運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-26 第136回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     北岡 秀二君      林  芳正君     浦田  勝君      松村 龍二君     山本 一太君  三月十五日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     狩野  安君      山本 一太君     松村 龍二君  三月十八日     辞任         補欠選任      狩野  安君     岩永 浩美君  三月二十二日     辞任         補欠選任      松村 龍二君     下稲葉耕吉君      三浦 一水君     中原  爽君  三月二十五日     辞任         補欠選任      下稲葉耕吉君     松村 龍二君      中原  爽君     三浦 一水君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 貞敏君     理 事                 青木 幹雄君                 服部三男雄君                 風間  昶君                 常田 享詳君                 谷本  巍君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 浦田  勝君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 北澤 俊美君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君    衆議院議員        農林水産委員長  松前  仰君    国務大臣        農林水産大臣   大原 一三君    政府委員        農林水産政務次        官        野間  赳君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局統計情報部長  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     竹中 美晴君     —————————————    本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)     —————————————
  2. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、林芳正君が委員辞任され、その補欠として浦田勝君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 菅野久光

    菅野久光君 ちょっと都合で自民党さんにお許しをいただいて先に質問させていただきます。便宜を図っていただきましたことにまずお礼を申し上げたいというふうに思います。  例年のことでございますけれども、三月の末のいよいよ畜産価格決定する時期になってまいりました。きょうは食肉部会、あすは酪農部会というときを迎えました。  私は出身が北海道でございますが、北海道では酪農しかやれない地域があるわけです。特に稚内の近くの天北あるいは網走の北紋地区といいますか、北見、紋別のあるあの辺の地域だとか、あるいは根室、釧路の根釧地域、こういうところは酪農しかやれないわけです。ほかの作物は育たないわけでございまして、この畜産価格がどうなるかということは、即酪農家経営そのものがどうなるかということに深くかかわっております。  特に政府支持価格、これを引き下げるという方向でずっと来ているわけでございますけれども、しばらくの間は加工原料乳価格の据え置きということで来ておりますが、ちょっとよくなりますと生産調整実施されるということで意欲がその段階でそがれる、あるいは牛肉の輸入自由化の問題、乳製品関税化の問題など、酪農畜産経営は非常に厳しい経営環境に直面しているわけでございます。そして、生き物を扱っているだけに、とにかく年がら年じゅう休みなし。そして、牛の場合には自然分娩というのがなかなか困難でございまして、子牛が生まれるときには徹夜して分娩のお手伝いをしなくちゃいけないというように非常に労働時間が長いわけでございますけれども、しかしそれに比べて所得が非常に少ないわけでございます。そういうことですが、やはり生来牛が好きだあるいは酪農が好きだ、どうしてもこれでやっていこうという意欲に燃えた方々もいますけれども、長い間そういったような状況が続きますと、もうこれ以上はやっておれないということで離農される方も年々ふえていっているというような状況であります。  昨年の十二月には、平成十七年度を目標として酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針、いわゆる酪肉近代化方針が公表されました。  しかしこれは、それを裏づける政策的な支援がどうしても必要なわけでございます。いわば一年一年の計画では非常に金額も多くかかる経営でございますからできないので、何とか中長期的な見通しが立つような政策というものを農民人たちは大変望んでいるわけでございます。  そういった中で、当面する平成八年度の畜産物価格決定に当たって生産現場の実情を十分に把握して適切に対処する、酪肉近代化方針を決めた最初の畜産価格でございますからそういうことが大事だというふうに思いますけれども、そういったことについてどのように考えておられるか考えを承りたい、このように思います。
  5. 野間赳

    政府委員野間赳君) 今回の酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針は、ウルグアイ・ラウンド合意実施消費者ニーズ変化などの情勢変化を踏まえまして、今後の我が国酪農肉用牛生産の安定的な発展を図っていくために、一つには国内生産につきましては生産性向上を図りながら持てる力を最大限発揮して可能な限りの拡大に努めていくということ、経営感覚にすぐれた効率的、安定的経営体により生産の大宗が担われる生産構造を実現していく、もう一点は国産品有利性を生かして良質、安全、新鮮な生産物を適正な価格で供給していくことを基本的な展開方向といたしておるのであります。  この新たな基本方針に即して、我が国酪農及び肉用牛生産の健全な発展を図るためには、地域畜産構造の再編と総合的な流通消費対策展開を図っていかなければならない、またコスト低減を図るための畜産基盤総合的整備の推進、畜産環境対策充実強化価格安定対策流通飼料対策の適切な実施を図っていくなどに重点を置きまして、各般施策展開させていただく考えでございます。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしろ、酪農家人たちが本当に希望を持って営農ができるというような状況を何としてもつくり出していかなければならないというふうに思っているわけです。  余り時間がございませんので、加工原料乳価格を決めるに当たっていつも問題になるのは労働費算定の仕方なんです。毎勤統計調査産業計の五人以上規模平均労賃単価を用いているということなんです。  実は十五、十六日と私どもの党で根室中標津調査に行ってまいりました。その調査の中でいろいろお話を聞きますと、例えば平成七年度の生乳生産原価牛乳販売量三百四十トンで一キロ当たり生産原価七十七円五十銭、そして総収入二千六百三十五万円、そしてそれぞれの項目を差し引いていって家族労働費は六百十一万三千円になっております。これは三人で働いているということですから三人で割りますと一人二百三万七千円、それから二・五人の場合には一人当たり二百四十四万五千円、そういう労賃にしかならないわけでございます。  また、中標津町の一戸平均農業所得ですが、総収入三千四十六万八千円、そして経費などを差し引いていきますと、一戸の平均所得が六百四十三万五千円、これを三人で割りますとやっぱり二百十五万円ということになります。  そうしますと、例えば中標津町の場合、公務員所得が六百万、平均的な勤労者所得が四百二十六万、そして酪農生産者が二百十五万。そして勤労時間は、公務員が二千時間、それから一般の勤労者も二千時間、そして酪農生産者は二千五百時間、ちょっと少ないんじゃないかと思いますが、これで割りますと、一時間当たり労賃は、公務員は三千円、勤労者は二千百三十円、そして酪農生産者は八百六十円です。  このように、毎勤統計を使っていると言いながら、実態はこのように違うということは、やっぱり生産費労賃とり方について今のようなやり方でいいのかどうか。生産現場農民人たちは非常にそこに乖離があると、実態はそんなものじゃないという思いを非常に強く持っているわけです。  この中でも、同じ人間が飼育家族労働飼料作物家族労働評価については、例えば金額が違うだとかそういうさまざまな問題があって、この生産費が低く算定されるということに強い不信を抱いておりますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  7. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 家族労働費評価の問題でございますが、酪農における、特に飼育家族労働につきましては、その労働が年中無休であるとかあるいは拘束的であるという特殊性がございます。そうしたことも十分勘案をいたしまして、保証価格算定におきます特別な配慮として、主要加工原料乳地域における製造業五人以上規模労賃評価がえしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 理解をしてくれと言われても、実態とはかなり乖離した労賃だということは先ほど私が言ったことでもおわかりいただけるのではないかというふうに思います。  このことについては今ここで論争をする気持ちはありませんが、いずれ別な機会に労賃とり方とかそういうものが今のままでいいのかどうかということを、じっくり生産費の問題についても論議をする必要があると私は思っております。  それから、生乳取引の問題でございますけれども乳脂肪率取引をしているんですが、やはり実態を適正に反映するためには無脂乳固形分などを加味した乳成分取引へ移行してもらいたいという要望農民に非常に強いわけでございますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  9. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 価格算定に用います乳量の問題でございますが、保証価格算定におきましては、それが財政支出を伴う行政価格でございまして、一定の規格のものについて価格設定する必要があるということから、現在、乳脂率三・五%に換算した乳量百キロ当たり生産費を基礎としているところでございます。  これを御指摘のように無脂乳固形分等乳成分を加味した乳量に変えるべきである、そういう御意見かと思いますが、現状ではこの乳成分取引はまだごく一部の地域で、今年度でいいますと四道県で実施されている状況でございます。  そういう状況でありますことのほかに、生産者乳業者間で設定されております取引基準地域ごとにまちまちでございまして、なかなか基準の統一が困難であるという問題がございます。  そういうことからいたしまして、現状乳成分取引に即した乳量に変えるということはなかなか困難ではないかどいうふうに考えております。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 非常にそういう要望も強いし、その方がより実態を適正に反映させているという農家人たちの声もありますので、今後一つ研究課題ということでこれは進めていかなきゃならぬのではないかなと、私はそう思っております。  あと厩肥副産物評価の扱いについてですが、ふん尿を肥料として評価して費用化計算を行っておりますが、この近年の急速な生産性向上に向けた規模拡大によって十分に厩肥肥料として活用できない、あるいは新たな処理費用がかかっているという実態などをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  11. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生質問畜産物生産費調査におきましては、御指摘のように、厩肥を自家利用した場合あるいは販売した場合には副産物として評価しておりますけれども、廃棄したものにつきましては副産物として評価しておりません。  したがいまして、廃棄した厩肥につきましては、廃棄のための運搬費用であるとか、あるいは引き取ってもらった場合の引き取り料、そういったものは生産費の中に計上しているわけでございます。  また、厩肥を最近では手を加えて販売している場合もあるわけでございますが、その場合にはその加工経費ども生産費経費の中に計上しているところでございます。
  12. 菅野久光

    菅野久光君 一応やることはやっているということではあろうと思うんですけれども、その辺がなかなか納得のいく形にはなっていないように私もいろんな話を聞いて思いますので、今後この問題についても詰めていかなきゃならない問題だなと思います。  時間がございませんので、酪農経営合理化特別対策事業というのをキロ二円で行っておりますが、これはぜひことしもやってもらいたいという要望が強いということを申し添えておきます。  それから、加工原料乳限度数量確保も、現行の二百三十万トンは何としても確保してほしいという要望が非常に強いわけでございます。  一番基本になる原料乳価でございますけれども、これも現行価格をしっかり守ってもらいたい。確かに昨年度は酪農は幾らかよかったわけですね。それで本当にことしはまあよかったという声を私どもも聞いております。それだけに、そういう気持ちに水をかけるような価格設定をやれば、生産意欲酪農経営意欲というものを失ってしまうのではないか、そのことを私は大変恐れています。  ガットウルグアイ・ラウンド足腰の強い農業ということで六年間対策を今進めておりますが、その期間中にやっぱり足腰をしっかり強いものにして、この対策が終わった後十分に自由化に耐え得るような体質にしていかなければならないと思っているんですが、その最中に水をかけるような価格決定ということは今やるべきときではないなというふうに思っております。  不足払い制度をどうするんだという大変大事な問題もありますけれども、特にガット対策期間中だということを私は強く念頭に置いてこれらの問題に対応していかなければならないのではないかというふうに思っております。  それから、行ってやっぱり感ずるのは、労働時間が今千八百時間の時代に、三千時間を超える酪農家がたくさんあるということですね。このためにいわゆるヘルパー制度をつくったわけでございますけれども、この利用平均して六・四日というような話も聞いております。これは一つは、やっぱりヘルパーを頼むためにはそれ相応の経費がかかるわけですね。とてもそれだけの経費を負担することができないという面が一つはあります。  それから、私は酪農人たちにも言っているんですが、農家自身意識も変えなくちゃいけない。それは、自分が育てている、扱っている牛は、人に預けられないという気持ち、それも強くあるわけですね。ですから、そこのところはやっぱり意識を変えてもらわなければならない。そのためには、ヘルパーの使用というものをある程度計画的に、例えば年間十日なら十日、十五日なら十五日というものが使えるように、そして使った場合の費用をどうするかという問題なども含めてやれば、ヘルパー組合も計画的な運用ができるわけですし、また、このことは私は担い手対策一つでもあるというふうに思うんですね。担い手対策担い手対策一つのちゃんと予算を持ってやっているんですが、私はこれは別々のものではないんじゃないかなというふうに思うんです。  ですから、基本的に酪農家労働時間を下げていく、そして所得をしっかり確保していく。新農政のときに、生涯二億五千万なんということで、年間六百万から七百万ぐらいの所得と言ったんですが、先はどのように、二、三百万そこそこの所得ですから、とてもそんなことにはなっていかないと思うんです。やっぱり、労働時間の短縮、そして収入確保、ここをどうやっていくかということがこれからの酪農振興にとって大事なことだと思うんですが、その辺についてお考えがあれば承って私の質問を終わりたいと思います。
  13. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 酪農ヘルパー制度につきましては、酪農家労働を軽減するという意味で大変有効な手段の一つというふうに考えております。そういう観点から、国といたしましても既に御存じのとおり、平成二年度に利用組合運営費助成等ヘルパー制度支援のための基金を造成いたしまして、それ以来各般施策充実を図ってきているところでございます。そうした施策を活用して、ヘルパーが十分活用されるように我々としても取り組んでいきたいと考えております。
  14. 谷本巍

    谷本巍君 飲用乳価の問題を中心に若干伺いたいと存じます。  ことしの一月、大手三社が飲用乳価大幅引き下げ通告を行ってまいりました。先週、飲用乳価価格動向に影響を持ちます関西市場調査に入ったのでありますが、メーカーが挙げている第一の理由は、需給緩和ということにありました。  飲用乳需給緩和と関連がございますのが、保証価格動向がどうなってくるかということと、限度数量枠がどのように決定されるかということが大きいとされておるのであります。  新年度の場合に、数量枠でいいますというと、二百四十五万トン必要だという声もあります。枠が小さ過ぎますというと、飲用乳価引き下げの要因にもされていきかねないという状況があるわけであります。制度的には保証乳価とそれから限度数量というものは飲用乳価ともろに連動するという関係にはないというのが制度上の建前でありますから、そういう建前をきちっと踏まえながら決定に当たっていただきたいと思うが、いかがでありましょうか。
  15. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳限度数量設定当たりましては、法律の規定に基づきまして生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳最高限度という考え方基本にいたしまして、最近の生乳生産事情とか飲用牛乳乳製品需給事情、そうした経済事情を十分考慮いたしまして、明日開催されます畜産振興審議会の御意見も聞いた上で決定してまいりたいと、そういうふうに考えております。
  16. 谷本巍

    谷本巍君 それから、飲用乳価との絡みの問題でもう一つ二つ重要な問題があるのでありますが、その一つは、余乳処理施設を持たないメーカーがかなりあるということであります。やっぱり、この施設整備をしていきませんといけないだろう。したがって、その辺どう考えているかということ。  もう一つは、古くからインチキ牛乳と言われてまいりました還元乳の出回りを抑制していきませんと公正な価格決定ができないという問題があることであります。もともと還元乳生乳不足の際、やむを得ざる対応としてこれがスタートをしてきたという経過があるわけでありまして、したがいまして、正常な需給状態、あるいはまた過剰な状況という場合には、当然抑制されてしかるべきだと思うのでありますが、どのように認識されておるか。  それからまた、先般、全酪の長岡の工場でありましたか、成分調整牛乳という表示をして販売されていたものに還元乳が少々含まれていたということで処分を受けました。この種の調査は、今後ともやはり厳しくかつ全国的にやっていくべきだと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  17. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 生乳流通でございますが、最近、県域を越えた広域流通ということがふえてきておるわけでございますが、今後、国際化の進展を踏まえまして、我が国酪農乳業国際競争力強化を図っていきますためには、こうした生乳広域流通対応した集送乳の合理化を図りますとともに、季節的な需給ギャップ等により生じました余剰生乳の適切な処理が重要な課題になってきております。  そこで、県域を越えたブロック単位での需給調整体制整備という観点から、八年度の予算におきましても、広域需給調整施設整備対策を講ずることにいたしておりまして、余乳、余剰生乳処理施設とか、あるいは一時的なクーラーステーションのような処理施設、こうしたものを整備していく考えでおるわけでございます。  それから、還元乳の問題について御指摘がございました。国といたしましては、飲用牛乳は極力生乳で賄うという基本的な考え方に立っておりまして、都道府県に対しましてもそうした観点から指導をしておるところでございます。  ただ、バターとか脱脂粉乳等に水を加えて生乳と同等の成分を持つように調整した還元乳につきましては、これは濃厚牛乳や、あるいは逆にローファットミルクのようなものを求める消費者ニーズがあることも事実でございまして、そうしたニーズヘの対応とか、あるいはまた地域的、季節的な生乳不足対応する必要がある、そういった観点もございまして、還元乳というものを一切全面的に規制するということはなかなか難しい面がございます。  いずれにしましても、極力、国産生乳を使用した牛乳乳製品消費拡大には今後とも努めていきたいと考えております。
  18. 谷本巍

    谷本巍君 それから、大臣に伺いたいのでありますが、飲用乳価決定していくルールをどう確立するかということであります。  関西市場へ参りました際も、私、印象を強めましたのは、どうも価格形成のパターンが変わってきたなということであります。つまり、販売力を持つ者が価格形成主導権をとる時代に入ってきたということであります。  具体的に言いますというと、大阪の場合も量販店が売っている千cc当たり価格で見ますというと、もう百五十円というのが出ているんですね。  そういうふうな安売りのものも含めた販売から、原料乳の占める割合というのは大体五〇%を見当に抑えていきたいという方向であります。したがって、今回の値下げ通告というのはそういう意味では最低の値下げ通告だというふうにメーカーも言っているところであります。  以前は、乳価値下げの場合もあるいは値上げの場合も、生産者メーカー小売店がどういうふうに配分をしていくかというようなことで乳価というのが決められてまいりました。最近は価格破壊に見合う生産者乳価が求められるという局面も生じ始めてきたということであります。こういう状態をそのままにしておきますというと、これは酪農は滅んでいきます。とりわけ飲用乳主体の場合には、土地との絡みでもって規模拡大におのずから制限されたものがあるからなおそうだということになってくると思います。  公正なる価格形成を可能とするルールづくりに、ひとつこの際大臣、力を注いでいただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
  19. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 衆議院の採決がございまして、おくれまして申しわけございません。  今、谷本先生からるる、私もこれ毎年多少関与していまして、農林水産省が、大臣局長が口出しして決められればいいなと、そう思って、大臣局長のしりをいろいろたたいた経緯もあるのであります。今、委員指摘のように県単位でやっているわけですね、それがばらばら折衝だということで、非常に交渉面生乳酪農家が弱者の立場に立たされるという事態があちこちにあるわけであります。  先ほど審議官も言いましたですが、幸い今、生乳広域流通組織化モデル事業というのがあるわけでございまして、このモデル事業の、例えば東北なら東北、九州なら九州、四国なら四国と、全体の酪農家がこれに入っていただいて、そして乳業者と交渉をしていただくというシステムが私は一番いいのではないのかなという感じを持っております。  したがって、こういうモデル事業もあるんですから全員がこれに加入していただいて、そして乳価決定の際にまとまってブロック単位でお当たりいただくようなシステムを指導していけたらいいなと、先生質問をとらせていただいた直後でございますが、こういう議論をしているところでございます。
  20. 谷本巍

    谷本巍君 時間が参りましたので終わります。
  21. 服部三男雄

    服部三男雄君 自由民主党の服部でございます。  大臣にお伺いしますが、現下の我が国の畜産の事業を取り巻く環境を見ますと、これはかなり厳しいものがある。例えば、まず国内問題で見れば、農家が高齢化してきておりますし、稼働人員、戸数自体も非常に、しかも急速に減少傾向にあるという厳しい状況があります。さらに、現在は環境問題というのが非常に厳しくなってきておりまして、汚水の問題とかいうことで非常に周囲との調和が難しくなってきている。  こういうこともありますし、何といいましても、対外関係で見ますと、一昨年のガットウルグアイ・ラウンド農業交渉の妥結、そこへ円高という問題もあるんでしょうけれども、非常に輸入、特に牛肉の輸入がふえてきている。そうした中で、セーフガードというんですか、輸入急増時の緊急措置等、過去もなされておりまして、極力対外関係からくる直接的な影響を緩和する措置はとられておりますけれども、今後の中長期的な見通しを考えましても、やっぱり酪農家、畜産農家はどうも今後の経営に自信を持てないんではないかな、大きな不安を持っておられるんではないかなと、このように思われるわけであります。特に、平成三年に牛肉の輸入自由化が行われまして、枝肉価格や子牛の価格が急激に下がってきたということも言えます。  こういう内外の状況考えますと、酪農、畜産というのは我が国農業の基幹的部分を占めておりますし、国民の食生活、栄養というものを考えますと、これはやっぱり政府としても十分対策を講じていかなければならない重要な問題だろうと考えます。  そこで、まずガットウルグアイ・ラウンド農業合意の後のこういう状況考えますと、我が国の畜産振興というのをどのように対策を講じていくのか。さらには、そういう畜産をめぐる経営状況について政府当局はどういう認識を持っておって、今後そういう経営改善にどういうふうに対処していくのか。この二点についてお尋ねしたいと思います。
  22. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 今我が国畜産は、食肉や牛乳等の安定供給という基本的使命に加えまして、地域社会の維持等、多様で重要な役割を果たしております。一方、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施など、国際化の進展、消費者ニーズの多様化等、我が国の畜産を取り巻く情勢はかつてに比べ大きく変化いたしております。  そうした中で、畜産をめぐる最近の状況を見ますと、農家戸数は減少しているわけでございますが、飼養規模拡大しておりまして、最近におきましてはおおむね収益性は改善ないし向上しているところでございます。一方で、借入金に多くを依存して急速に規模拡大を行った経営の一部には、負債が固定化するといった問題を抱えている経営があることも事実でございます。  ガットウルグアイ・ラウンド対策その他といたしまして各般対策を講じているところでありますので、そうした対策の適切な活用によりまして畜産経営の一層の改善と体質強化に努めていきたいというふうに考えております。
  23. 服部三男雄

    服部三男雄君 畜産振興に関する基本的な考え方とか経営状況についての質問をしたわけですけれども、やっぱり産業でありますから、畜産経営安定に何が一番大事かと、それはもう価格に決まっておるわけであります。きょうあす畜産振興審議会で来年度の畜産価格について審議される運びとなりますけれども、やっぱりそういう現下の状況を見ますと、生産者の方々が将来に希望を持てるような価格決定でなければならない、このように考える次第であります。  本年の畜産価格決定に向けて大臣はどのように考えておられるのか、その点についての所見をお伺いしたいと思います。
  24. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 特に問題の多い乳価については、きょうじゅうに各方面との折衝を重ねて、あすの審議会にかけなきゃならぬという日程でございます。  幸か不幸か、生産性が上がって五%を超える、六%近い生産費の減が出ているわけでございまして、これ私見に近いのでありますが、農家も企業でありますからもうからなきゃどうにもならぬ。  会社であれば、生産性が上がってその分付加価値が上がれば、一部は配当、労賃、それからあすの投資へのための内部留保へ回る分、これは農家でいえば農家の手取りだろうと思うのです。それから消費者へ還元する分、こうあるわけでございまして、巷間よく生産性が上がった分だけ全部消費者に還元しろというような議論が往々にして聞かれるわけでありまして、私はこれは間違っておる、こう思っております。  従来、この生産費をめぐっていろいろ政治的にもまた各界からも綱引きがあるわけでございまして、将来何かいい方法、手法があれば、こういったときにそんなに議論しなくてもフィックスできるようなシステムがあればいいなと、正直言って私はそう思っております。ただ、今回の価格決定に関して一番考えなきゃなりませんことは、飼料価格が過去形でありまして、非常に下がっている過程のものでありまして、その後ずっと上がっている。四月もこれ決定すれば当然上がらざるを得ない。じゃ、六月まで決めるそうですが、七月以降はどうだというと、これもアメリカのいわゆる穀物、シカゴ相場に出るまでには、新穀物が出るまでにはさらに時間があるわけでありますので、その間の見通し等も勘案しながら適正に決めていかなければならぬなと。  先ほどから服部委員指摘のように、畜産は農業の、特に畜産県と言われているところが五割以上超えているわけなんですね。日本全体でも農業生産の三割五分近くを占めているわけでありますから、この問題は極めて農政にとっては重要な課題でございまして、私も精力的に、各般意見がございましたが、委員の御指摘のような点も踏まえながら決定をしてまいりたい、かように考えております。
  25. 服部三男雄

    服部三男雄君 続きまして、牛乳の問題です。  酪農関係ですけれども、これはそれこそ飛躍的に技術の進歩とかあるいは日本ではなじみにくいと言われておりながらも規模拡大を実現できたわけですね。その結果は、やっぱり当然牛乳生産費の低下ということにつながってまいります。しかし、牛という、乳牛という生き物が相手でありますから、非常に労働時間が長時間に及ぶ、過重となってくるというような傾向と、一方では規模拡大しましたけれどもそういう酪農農家自体が減ってきているというようなことを考えますと、必ずしも酪農についてもそう楽観視した状況にあるとは到底言えないだろうと思うのであります。  でありますから、これも価格の問題でありますけれども乳価牛乳価格についても生産者の方々がその措置を非常に強く望んでおられると聞いておりまして、大臣乳価に対する基本的な考え方についてもお尋ねしたいと思います。
  26. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま特に乳価について基本的には触れたつもりでございますけれども、先ほどから各委員先生方から御指摘ございますように、将来、農業生産労働時間数を千八百時間、都市労働者並みに持っていきたい、こう言っておりながら、特に酪農家実態は三千時間をはるかに超えるケースがございます。そういったことを考えると、構造政策もさりながら、やはり価格政策が十分機能しないとそういったことも非常に難しいし、さらにまた後継者を得るのも非常に難しい、そういう実態に私はあると思います。  そういうことを踏まえながら、今晩、何時までになるかわかりませんが、もとよりいろいろ財政当局とも折衝しなきやなりませんし、精力的に詰めてみたい、こう考えております。
  27. 服部三男雄

    服部三男雄君 時間の関係で最後の質問になりますけれども、ことしの三月九日に全酪連の長岡工場の水増し牛乳問題というのが発生いたしました。新聞で取りざたされまして社会問題化したことは委員政府関係者も記憶に新しいところでありますけれども、これは国民の間にやっぱり不信を巻き起こしたことも避けられない事実だと思います。  牛乳というのは生ものでありますから、国際競争という点では余り考えられない。そういう意味ではありがたい品目でありまして、我が国酪農のメリットというのを生かしやすい分野ではなかろうかと思うわけであります。また、今後も国民の健康を考えますと牛乳の需要拡大ということを図っていかなきゃいかぬと考えるわけでありまして、生産者初め関係者が一体となって頑張ってきた時期にこういう問題が起こったことは極めて遺憾なんですが、農水省としてはこれにどのように対応し、今後どのように再発防止のための対策を講ずるのかというお考えを尋ねまして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 全酪連の長岡工場におきましては、三月九日に、生乳に脱脂粉乳、生クリーム、水を加えたものを牛乳として販売していたということが判明したところでございます。  今、先生のお話にもございましたように、関係者が飲用牛乳消費拡大に懸命に取り組んでおります中で、こういう牛乳に対する著しい不信感を招来するような不祥事が起きましたこと、本当に大変遺憾に存じておるところでございます。  農林水産省といたしましては、事件の発生を承知いたしました三月九日の夕刻、直ちに厚生省とも協議の上、長岡工場の操業の停止と製品の回収を全酪連に対しまして指導したところでございます。また、三月十一日付で地方農政局、都道府県等に対しまして、飲用牛乳を製造販売しているすべての乳業工場に対する実地調査を行うよう指示したところでございます。  実地調査につきましては、現時点で既に八割の工場で調査を終了いたしまして、これらにつきましては特に不適正な事実はなかったという報告をいただいております。残りの工場につきましても、今月中には調査を終了すべく指示しているところでございます。  私どもといたしましては、こうした実地調査の結果を十分踏まえまして、今後こういう事態を再び招くことのないよう指導に万全を期しまして、消費者飲用牛乳に対する不信感を払拭してまいりたいと考えております。
  29. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田でございます。今までそれぞれ質問がありまして、ダブるところがあろうかと思いますけれども、御了承いただきたいと思います。  酪農あるいは肉用牛、それに養豚等につきましてそれぞれの規模拡大が図られてきておるところでございますが、大変この十年の間において大きく変わってきております。  例えば、酪農におきましては、昭和六十一年には七万八千五百戸ありましたのが四万四千三百戸と四三・五%の減であります。しかしながら、頭数におきましては、二百十三万頭であったのが百九十五万一千頭と七%の減にすぎません。したがいまして、一戸当たりの頭数というものは六四%伸びているという勘定になるわけでございます。  また、肉用牛におきましては、二十八万七千百戸から十六万九千七百戸、これまた四〇・九%の減少であります。頭数におきましては二百六十三万九千頭から二百九十六万五千頭ということで、逆に一二%ほどふえております。したがいまして、一戸当たりの頭数は約九〇%の増というような状況であります。  養豚におきましてはもっと顕著に出ておりまして、戸数が七万四千二百戸でありましたのが一万八千八百戸と、何と七五%ほどの減少であります。頭数におきましてはそう変わりませんで、千百六万一千が千二十五万ということになっておりまして七%の減。一戸当たりの頭数からいたしますと二六五%の増になっております。  ということは、十年の間に相当の農家戸数が減ってきておるけれども規模そのものが拡大し頭数そのものは余り変わっていないということで、統計上からすると非常によろしいように見えるわけであります。農林省の説明によると、高齢化によってやめられていったり担い手がいないからということで戸数が減ったというようなこと等を理由に大きく挙げておられますけれども、むしろ規模拡大をし続けなければ成り立たなくなってきておるということが私は一面あるのではなかろうかなと思うわけであります。  私は熊本でありますが、熊本の畜産農家実態を見てみますと、話を聞くたびに、酪農はまずまずと言えるにいたしましても、ここ数年まずまずのところであるという話は多うございますが、総じてとんとんというような意見が多うございます。あるいは借入基調というところが多うございます。ですから、実態からいたしますと経営内容は、規模拡大を図ってきておるけれども、決して豊かさにつながってきているとは言えないという感じを持っておるわけであります。  したがいまして、畜産を取り巻く状況下におきましては、穀物の自給率の確保の問題やらあるいは安定した飼料の供給、さらにはふん尿処理の問題等々もありまして、なかなかこれからの酪農、飼育牛あるいは養豚等の経営については大変な事態を迎えてきておるのではなかろうかと思うわけであります。  農林大臣といたされまして、そういう取り巻く環境の中で、決して規模拡大だけがいい状況じゃなくて、規模拡大をしなければ飯が食っていけない状況になってきておるということを現実に踏まえていただいて、魅力ある農業、夢と希望の持てる畜産経営というものをどのように実現していこうとされているのか、まずはお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員は熊本でありまして、私はその山一つ越えた宮崎であります。いずれの県も畜産の農業生産に占める比重が非常に高いと私は思っております。特に、中山間地域における畜産経営実態は私は非常に厳しいものがあるなと、絶えずそう思っております。  先ほど委員指摘のように、農家総体の中で六十歳以上が五割強を占めるという今日の農家実態を見ますときに、あと十年たてば七十歳にならざるを得ないわけでありますから、そういう険しい流れの中で、離農していく方はそればかりではないと思います。経営状況が厳しくて、他産業との所得格差から見ても、離農していく方も多分にあると思われます。そういった中で、日本のこれからの食構造を考えますときに、畜産の重要性はますます高まっていくわけでございますから、そういったことを勘案しながら、いかにすれば今おっしゃったような未来に夢を持てるような酪農なり畜産経営ができるか。  和牛の子牛は、これは最近非常に調子がよろしゅうございます。だからあの安定価格帯というのは全然意味がないんです、あれは全部飛び越えちゃっているものですから。豚はおかげさんでセーフガードで五百十五円というところへ今張りついておりまして、セーフガードの自動的発令はできるようになっていますので、これはいいんです。問題は熊本の赤毛ですね、これも大分私は値段がいいんじゃないかと思っております。一時赤毛は悪くて、赤毛だけはとにかく分離しなさいということがあって、四、五年前に赤毛を別個にやるようになりまして、これも補償がかなりできるようになったということでございます。最近はその赤毛も上がっちゃって、補償金にひっかからないという状況、これはいいことであります。  問題は酪農でございまして、やはり現状を見ますときに、その労働時間数等から見ますと非常に険しい経営をしていらっしゃるなと思いますのは、私が先日田舎へ帰りまして、酪農の人と話し合いたいと、こう言って集まってもらったんです。そうしたら、いや、大原さんと酒飲む間三時間ぐらい遊びが出てくるんだと、その遊びの時間をちゃんと奥さんが手帳につけて、大原大臣との懇談会三時間マイナスと、こう書いているというんです。大変律儀な方々が酪農家には非常に多いんです。そういう精農家の方ばかりであります。  そういったことを考えますと、今度の価格決定でも、やはりおっしゃるように希望の持てるような生産費を補償できるような価格決定に何とか持っていきたいなと。今晩、あすと皆さん方の御意見を聞きながら努力をしてまいりたい、こう思っております。
  31. 阿曽田清

    阿曽田清君 農林省から新たな酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針等についてという資料が出されておりますが、その中に、生産性向上による低コストの推進、それと消費ニーズ対応した品質向上を図るということになっております。  私はここで、労働時間というもの、これを投入することによってより収益が上がるというのが実態でございまして、ここでその労働費を低減したり経費の節減を行っていって、反面、品質向上を図っていくという、まさに表と裏とをどのような形でそれをマッチさせていくのか、ウルトラ級的な対策実施しようとされておるのがこの近代化を図る基本方針の中に書いてあるわけでありますが、これについて審議官にお聞きいたしたいと思います。
  32. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 私どもとしまして、生産コストの低減と品質の向上ということは必ずしもミスマッチというものではないのではないかというふうに考えております。  まず、労働費の低減のためには労働時間の削減ということが必要でございますが、そのためには飼養管理等、作業体系の見直しでありますとか、フリーストール・ミルキングパーラーあるいは自動給餌機といったような省力化施設、機械の導入あるいは共同作業の実施による作業の効率化、そういったことを通じて労働費の低減を図っていきたい、そのことによってコスト低減を実現していきたいということを考えております。  同時に、飼養管理等の生産技術あるいは経営管理技術、粗飼料を基本とした飼料自給率の向上等を図っていきますことによって生産コストの低減、品質の向上ということを実現できるものと考えているところでございます。  今御指摘のございました新しい酪肉基本方針におきましても、そうした手段を通じまして生産合理化、コストの削減を図り、ゆとりある経営の実現を目指したいとしているところでございます。
  33. 阿曽田清

    阿曽田清君 我々は生産者に向かってよく言うことでありますが、牛を飼っておる後継者の方々に搾乳量を高めよう、あるいは脂肪率の高い酪農にというようなことを望む場合には、ただ単にえさを与えて、そのえさの時間帯だけ作業している、納屋を掃除する時間帯だけで日々終わるということでは本当に搾乳量も上がらないし、脂肪率も上がってこない。やはり自分の奥さんのしりをなでるような気持ちで牛のしりをなでながらかわいがっているか。果樹農家におきましては、子供を健康に育てるためにということでいろいろと気配りをしておる、ミカンの木も一本一本我が子供のごとく状態を見ながら管理をしているか。それをすることによって搾乳量も上がるし、そして脂肪率の高い酪農ができるし、また肥育そのものについてもいい肉質のものに向上していく。  だから、労働時間を節減することは、逆にいいものをとることができない。一時間余分に納屋に入り、畜舎に入り、管理をすることによって収益は上がってくる。これは単に畜産だけじゃなくて、ほかの作目においてもそうであります。ですから、私は労働時間を短縮すること、労働時間を縮めるという単なる省力化だけじゃなくて、いかに動物なり作目とより時間を接してやっていくかというその時間を大いにとることが収益を上げていく道だろうというふうにいつも言っているんです。  ですから、労働時間がふえることが、ある意味では乳価にしましても食肉についても上がることでもありますし、またそのことが農家の方々に収益として還元されてくるというふうに私は理解をいたしておるのでありますが、審議官いかがなものでありましょうか。
  34. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 確かに先生指摘のとおり、農業とか畜産におきましては、そういう愛情といいますか非常に細やかな心配りを持って家畜を育て、果樹や野菜を育てるといった面があることは事実であろうと思います。それはそれで大変そのとおりだと私も同感するところでございます。  ただ、現在畜産で問題にされますのは過剰労働時間ということでございますので、先ほど申し上げさせていただきましたのは、そういった多過ぎる労働時間への対応という観点から申し上げさせていただいたのでございます。
  35. 阿曽田清

    阿曽田清君 過剰労働じゃなくて、ある意味では必要適正労働時間という、その労働時間をやはり私は今度の価格設定当たりましても多く見るべきじゃなかろうかなということで、そこのところを十分ひとつとらえていただきたいというのが一点であります。  次に、飼料の問題でありますけれども、御存じのとおりに国産のいわゆる自給飼料、これは二五%、約四分の一であります。海外から七五%が入ってきておるわけでありますが、昨年、もう御承知のとおりのアメリカの減反あるいは異常気象による減収、そういうもので大幅にアメリカの穀物事情、減少いたしたわけであります。東南アジア等におきましては中国が輸出を禁止する、あるいは国内消費がふえてきたというようなこと等があって、昨年の十月から一気に反転いたしまして飼料価格が上がり出したということで、通常補てんなりあるいは異常補てん等を通じて価格の安定にお努めになっておられますが、ことしの九月の最終時期まで見てみなければ、アメリカの方の作況状況がまたどうなるかわからないということからすれば、十月まで値上がりしていくというのは予想されることでありますし、その後もアメリカの作況いかんによってはどうなるかわからないというのが現状ではなかろうかと思います。  それには補てん等で抑えていただいておりますけれども、もう既に四月からの分もさらに二千六百五十円上がるということでありますが、これに補てん等をされながら、トータル的には二千百円ぐらいが十月から延べまして上がるというようなことであります。  そんな中で私が申し上げたいのは、国内で粗飼料を初め飼料の自給率の確保という問題についてこれはもっと積極的に取り組まなきゃならないことであろうと思います。もう一つは七五%も海外へ依存しておるこの実態からいたしまして、わずか一カ月間の飼料備蓄というのでは余りにも海外の動向によってすぐ影響を受けざるを得ない。一〇〇%の自給率を誇る米でさえも二カ月の備蓄米があるわけでありますから、また産業のエネルギーと言われます石油についても百五十日、いわゆる五カ月分は確保されておるわけでありますから、少なくとも一カ月の備蓄じゃなくて三カ月ぐらいの備蓄を飼料の場合に考えておかれることが海外での影響を防ぐことができる、緩やかにすることができると考えるわけでありますけれども、その点のお考えはいかがなものでありましょうか。
  36. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 御指摘のように、飼料穀物、配合飼料の原料といたしましてほとんど我が国は輸入しているわけでございますが、その安定確保を図りますためにおおむね一カ月分を備蓄として確保しているところでございます。  これは通常想定し得ます主要国の不作が我が国に及ぼす影響といったものも考慮し、あるいは現実に一九七三年に起こりました米国の大豆輸出規制も実質一カ月程度の輸出規制であったといったこと、あるいは主要な輸出国の港湾ストライキみたいなことも考えられるわけでございますが、それにつきましても過去の例を見ますと平均しまして四十日程度であったと、そんなことを考えまして一カ月ということを目安にしているところでございます。  過去の備蓄の活用実績を見ましても、これまで最高でも七万二、三千トン、現在一カ月で百二十万トンあるわけでございますが、七万トン程度でございまして、通常その程度の在庫、さらにこれに民間の通常の在庫ということも勘案いたしますと、まずは対応できるんではないかというふうに考えているところでございます。
  37. 阿曽田清

    阿曽田清君 これからはますます東南アジア等も穀物の輸出は難しくなってくると思います。食生活も改善されて、東南アジア等でも肉類の消費というのは大きくなってくるでありましょう。そうした場合には自国で消費するという形が強まってくるでしょう。  アメリカもある意味ではいろんな災害等々の問題がいつでもどこでも起こっているわけでありますから、安定した供給を日本に必ずできるということには至らないだろうと。そういうことからすれば、アメリカが不足になったら即、シカゴ相場が上がったら即日本の飼料に影響してくる。そういうことではなくて、緩やかな形で対応ができるためには安いときにストックしておくということもひとつお考えをいただきたいなというふうに思うわけであります。  乳価の問題なり食肉の問題等についていよいよ決まるわけでありますが、今申し上げました粗飼料なり国内自給を高めるということ、これはすなわちある意味では高いえさをつくるということにもなるわけであります。ですから、そういうところに力を入れて将来にわたって考えていただくということと、それとやはり適正な時間をかけて飼育をしていく、そういう時間を大きくとるというような観点からいきますれば、今度の食肉価格あるいは乳価につきましても高いサイドでの設定が必要ではなかろうか。  将来、夢と希望を持たせる意味におきましても、大いに適正な労働時間いわゆる収益を上げられるような労働をしながら、そして国内の粗飼料なり飼料づくり等にも専念をするという将来の方針を考えて進めていかれるとすれば、やはり価格というものがそれを誘導していくべきではないかという観点で、ぜひひとつ現状価格以上を御設定いただきたい、これは要望をいたす次第であります。  時間もございませんので、地元の問題で一つ質問させていただきたいと思います。  自動給餌機というのがございますが、大体これ六百万か七百万ぐらいする品物だと思います。熊本は非常に暑いところでございまして、夏場になりますと牛がてきめんに食欲不足になります。  夜、涼しくなってまいりますと食欲が出てくるというようなことでもございますので、牛の快適な状況といいますか、食い込み量のできる状態をつくり上げてやる、それには自動給餌機というものが極めて効果を発揮するんじゃなかろうかと思うわけであります。夜に自動的に置いてくれる自動給餌機が設置できますれば、手が要らずに牛が食べたい、また食い込み量のいいときに給餌ができるということにもなるわけでございまして、乳量の低下も防げることになります。やはり食い込みがあって初めてそれが牛のエネルギーとなって乳が出てくるわけでございますから、そういう意味におきましても、このオートフィーダーの設置について国の助成というものは考えられないのかどうか。  よく個人でつけられる場合は融資ですよと、共同ならばいいですよということですが、この自動給餌機は共同というわけにはいかないものですから、やはり大型化してきている最近の経営状況からいたしますれば、個々の農家に対しても大型、法人化をしている農家というのは特に適用すべきではなかろうかなと考えるのでありますが、いかがなものでございましょうか。
  38. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) ただいま御指摘ございましたようなメリットを考えましても、自動給餌機のような効率的生産に必要な施設、機械を導入していくということは、今後の課題であろうと考えております。  その場合に、個人施設でございますのでなかなか補助事業というわけにはまいらないわけでございますが、この種の施設につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意も受けまして、今後、一層の生産コストの低減とかあるいはゆとりある畜産経営を実現していくというような観点から、リース事業による導入という方策も用意しているところでございます。平成七年度から経営効率化機械緊急整備リース事業というのも実施いたしております。こうしたものを御活用いただければと思いますし、あるいはまた農業近代化資金とか畜産振興資金、その他各種の資金制度、有利な資金制度も用意しているところでございますので、御活用いただければと思います。
  39. 阿曽田清

    阿曽田清君 私も質問しましたように、今いろんな近代化資金とか導入資金というのがあることはよく存じております。ですから、個々の農家で六百万、七百万とかかるようなものを導入するに当たっては、少なくとも三分の一の助成とかあるいは国と県の合同で二分の一の助成というようなもの等を考えていただきたいということでの質問でございますので、単なる資金で、融資でということ等でお考えにならず、どうぞひとつ前向きにお取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  要望いたしまして、終わりたいと思います。
  40. 高橋令則

    ○高橋令則君 平成会の高橋でございます。  畜産物価格決定に関係する諸問題についてお伺いをさせていただきます。  先ほど菅野委員からもお話がございましたことしの畜産物価格決定は、昨年の十二月に決定されたいわゆる酪肉近代化基本方針策定後の最初の年度と申しますか、時期にあるわけでございまして、このたびの価格決定に当たっては、この方針を今後具体化していく一つのステップとしても位置づけられるものかな、そのように思っております。  そういったことを前提にいたしまして、この重要な酪肉近代化基本方針の策定のねらい、そしてまたこれを実現させるための今後の具体化の方向といったものについて、基本的な問題でございますので、大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。  申すまでもなく、この酪肉近代化基本方針にはかなり意欲的な目標設定がなされていると承知をしております。牛乳乳製品では平成五年度が八百五十五万トン、そしてそれが平成十七年度には一千十万トン、そして牛乳は六十万トンから八十万トン、また、生産性向上の目標としては加工原料乳地帯では現状生産コストの七ないし八割程度の水準などなど、生産目標及び生産性向上の目標もかなり意欲的ではないかなとこのように思っております。それだけに飼料自給率の向上でありますとか規模拡大による環境問題発生、それから乳業メーカー合理化の問題などなど多くの課題もあるように承知をいたしております。  したがって、そのような課題を踏まえながら、先ほど申し上げましたこの方針が何をねらい、そしてこれをどうやって具体化していかれるのか、その方向について大臣の積極的な御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 高橋委員もう篤と先刻御存じのように、これらの方針、大変難しい課題ではあるが、やはり夢と希望を持たなきゃならない農業のこれからのありようの中でどういう柱を立てていくかということで描いた構図であることは御存じのとおりであります。  御承知のように、先ほども申しましたが、畜産というものの農業の中における位置づけを考えてみますと、三割強を農業生産の中で占める、やはり畜産県になりますと五割以上を畜産によって、ブロイラーも含めてでございますが、飯を食っていくという実態。それから、日本の将来の食糧構造、動物性たんぱくがふえていく、これはもう必然の勢いであります。現在、動物性たんぱくがふえた分だけお米の消費が減っているという実態もあるわけでございます。そういう位置づけの中でやはり構造政策、これをまずどういうふうにとらえていくか。  私は、先ほども申し上げましたけれども、五〇%以上の農家が六十歳以上だという事実、これはだれも否定できない事実でございます。後継者が、若い方がいても跡取りがいない、あるいはまた若い方がいないか、いずれかの様子でこういう実態が生まれているわけでありますが、これが十年たちますと七十になり、二十年たつと八十歳になっちゃうわけですね。じゃ、その余力というか農地なりあるいは牧草地、これをどういう形で我々が考える中核的な精農の農家へ集約していくんだろうか、こういったことがやはり組織的に行われなければ日本の食糧自給率というのは私は確保できない、ましてや畜産においてをやと、こう思っております。  したがって、構造政策において、土地の集約というような問題についてはやはりもうちょっと思い切った集約政策をとっていかないと、国あるいは公共団体が積極的に関与して農地を賃貸したりあるいはまた長期低利のお金を融資してそういった農家に集中していくという作業、これは私は基本だと思います。同時に、やはり価格政策というもの、これが車の両輪のような一方のてこにならなきゃならぬのではないのかなと。  私は畜産の技術者ではありませんから、機械とかよくわかりませんけれども、そういったことを両輪として問題把握をしていって、やはり生産費が上がったから下がったから一〇〇%いただきますよでは私は農家価格政策は保障されていかない、かように考えておりまして、その五・八%を当面の問題としてどう埋めるか、頭の痛い問題でございますけれども、私の能力のできる範囲で精力的に頑張っていかなきゃならぬのがきょうあすの課題である、このように考えております。
  42. 高橋令則

    ○高橋令則君 大臣の御認識を聞いて安心をいたしましたが、ぜひそのような方向でお取り組みをいただきたい、このように考えます。  私が大臣のただいまの御答弁の中で非常に同感したのは価格政策のあり方についてでございます。現在の畜産物価格制度は、生産費補償方式、基本的にそれをベースとして、そしてそれにさまざまな政治的な努力、極めて高度な次元からのいろんな考え方を付与いたしまして決まってきておるわけでございます。そして、それを毎年このようにやってきておるわけでございます。こういうふうなやり方といったものは、ほかに何かあるかというと、これは当面なかなかないだろう。  現在の制度をやはり尊重して、今までの経過もそれは大事にしていかなければならない。  しかしながら、今後牛肉の自由化などなど、さまざまな農産物価格国際化、ボーダーレス化というふうなものが進んでまいります中で、一方、我が国の土地を初めとする、大臣が構造政策とおっしゃられましたけれども、その対象とする土地の条件の劣っていると申しますか、脆弱性と申しますか、そういった点からすると、これまたある程度限界があるだろう。そこにギャップが出てくる。そうしますと、今のような生産費補償方式をベースとする価格支持政策を、価格だけではなくて、いろんな意味で最終的にはこれは農家の手取りの問題、所得の問題でありますから所得確保対策ということになろうかと思うんですが、超長期的には、中長期的と申しますか、何か別な考え方でやっていかないと、そこには埋まり切れないようなものが出てくるのではないか、私はこのような心配をしている一人でございます。  大臣の御答弁にもそういうニュアンスのものが感じられたやに伺いましたが、当面の価格対策考え方もそうでございますけれども、今後のそういう価格のあり方に対する、あるいは価格を支持するためのポリシーのあり方についての大臣の哲学の御披瀝がいただければありがたいなと思いますが、お願いします。
  43. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 当面五・八%が頭の中にいっぱいありまして、なかなか演説をぶてない厳しい状況で、ついつい先はどのような答弁になったわけであります。  食糧自給率がなぜイギリスで四〇ぐらいだったのが八〇になり、フランスで七〇ぐらいだったのが一三〇になり、ドイツでも一〇〇%になった、フランスはもうまさに食糧輸出国になっちゃった、これは何だろうかと。我が国もそのまねをぴたりとできれば、土地条件等一ヘクタールとイギリスあたりは三十ヘクタール、フランス十七、ドイツ十二ヘクタールですか、なかなかこれは同じ伝ではいかないけれども、よく調べてみますとこれは価格政策なんですね。彼らには構造政策はもう要らないんですよ。三十ヘクタールもある農地、平地が延々とつながっているんですから構造政策は要らないんですよ、持ってくればいいんですから、どこか安い土地を。  我々は、まだでこぼこの田んぼで、中山間地に至ったら何カ所も重い荷を持って運ばなきゃならぬという厳しい生産条件でありますから、その構造面のでこぼこ、これは一元にはいかないのでありますが、外国の場合を見ますと、輸出する場合には輸出補助金、輸入する場合にはいわゆる国境税による価格調整税をかけているわけですね。これ自体が全く価格政策でありまして、そういう意味ではやはり、なぜこんなに食糧自給率が上がったか、我々四六%をこれからどう上げていったらいいかという議論をするときに、ヨーロッパの勉強をしろとなると、価格政策が前面にぴたっと出てくるんですね。  そこらのことを考えますと、私は今農林大臣ですから余り演説がぶてないのでありますが、そういう夢もやはり持たないと農林大臣は務まらないなという感じで、農林省の連中を集めちゃその議論をするものですから、最近非常に嫌われております。  いずれにしましても、やはり両面相まって、車の両輪でいかなきゃいかぬなという気持ちはおわかりいただけると思います。
  44. 高橋令則

    ○高橋令則君 大変我が意を得たりというふうな御答弁をいただきまして感謝を申し上げます。私も同じような意味で心配をしておりますので、現実を踏まえながらも将来に夢を持ち、またそこに近づけていくように、この世界に携わる者の一人として微力を尽くしてまいりたいとひそかに思っております。  少し具体的な話をお聞きをしていきたいと思います。  私は岩手県でございますが、非常に山の多い地域で、北海道を除きますと一番広い県でございます。中山間地域対策が非常に頭の痛いところでございます。全国でも中山間地域にくくられますのは、たしか私の記憶では六九・何%、約七〇だったと記憶しております。その中山間地域の振興というのは言うべくして非常に難しい。現実にはもうどんどん人が出ていきまして、地域に元気がなくなっているという実態でございます。  これは、深刻な話をして申しわけありませんが、私は去年の七月に図らずも推されまして選挙に出まして、改めて県内を回りました。ある村に参りました。人口が今一万人弱でございます。そこへ行ってある部落に入りましたら、いや副知事さん、前の職で呼ばれたものですから申しわけない、あなたはいいことをおっしゃったけれども、来年我が村で進学する児童の数わかりますかと、いやそこまではわかりませんと言ったら、十七人しかいないんですよと言われたんです。これで元気が出ますかね、何か対策はありますかねと言われて、もうまさに絶句して帰ってきました。いろんな事情もあったろうし、これは分析すれば切りがありません。  そういう中で、やっぱりその地域地域、部落部落で、大臣が先ほど仰せられたような高齢者の方々を中心にその部落を守っているんですね。そして、その高齢者の方々がやっていることは、残念ながら規模拡大とか何にもできない。そして、結局そこでやっているのは多品種少量生産というんですか、そういうふうな形で細々とやっている。しかし、そういうものについてもある程度商品性をつけてやっていかなければこれはなかなか暮らしが成り立たない、元気も出てこないということになります。農水省でお進めになっております、あれは平成六年でしたか、中山間地域の振興対策というものもつくられました。これも一生懸命やっております。しかしながら、これを具体化していくのはなかなか至難である。  そういう中で、この畜産関係ですね、地域の特色に合わせた畜種というものがある。これはもちろん多頭飼育はできません、少ないんですから。  そういったものにもある程度光を当てて、そして暮らしが成り立つための一つのメニューとしてやっていくような、そういう手当ても必要だなということを感じております。この中山間地域対策一つとしてそういうことも考えなければならないだろう。  したがって、現在進んでいる畜産農家の減少、今六%、八%、そしてまた豚の飼養農家に至っては平成七年度は一四・九%でございますか、資料によると、そういうふうに大幅に減っている。そして、規模拡大しております、いいことだ、こういうふうになりますが、そういう裏の面で今申し上げたようなことにも一筋の光を当てて取り組まれていただくようなことをお考えもいただきたいものだと、こう思うわけでございます。  今、農水省がおつくりになった先ほどの方針をひっくり返して見ますと、肉専用種の場合、複合経営で二十頭にスポットを当てて技術水準ができておりますね、いわゆる指標が。これは後書きが書いてありますから、私は二十頭で悪いとは言いません。それなりに意味があると思いますが、もっと少ないところでもそれなりの構成をなして地域の畜産、そしてまた中山間地域の振興という意味からやはり捨てられないものがあるのだということを申し上げたいわけですが、竹中審議官の一つ理解ある答弁をお願いします。
  45. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) ただいまいろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、畜産ということで考えました場合に、農家戸数、飼養頭数、いずれで見ましても、中山間地域のウエートはほぼ五割を占めているところでございます。そういう意味で、中山間地域は畜産にとりまして重要な地域であるというふうに考えております。  ただ、御指摘ございましたように、一般的な意味での規模拡大とか合理化というのはなかなか進まない面がございます。ただ、中山間地域にはまた中山間地域なりのよさもあるところでございまして、例えば気候が涼しくて草資源が豊富にある、そういった点を活用する畜産、あるいは地鳥とかそのたぐいの特用家畜を振興する、そういった観点、あるいはまた草地景観といったものを利用して都市住民との交流を育てるとか、そういうきめ細かな手だてが必要であろうかというふうに考えております。
  46. 高橋令則

    ○高橋令則君 私は、ちょっと一つだけ細かいことを申し上げますが、里山の活用といったものがこの中山間地域の振興では一つの策かなと思っておりまして、いわゆる蹄耕法というふうなことを頭に入れた振興事業、そういったことを農水省が最近お考えになって取り組んでいるというふうに聞いておるんですが、その成果はいかがでございますか。
  47. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 御指摘いただきましたような里山等を活用いたしまして、蹄耕法等によりますいわゆる山地酪農的なものでございますが、農林水産省としましても各般施策を講じまして御支援をさせていただいておるところでございます。面的な広がりとかという面では大変ふえているといったようなことではございませんが、地域地域でそれなりに大変御熱心に取り組んでいただいている酪農家等もあるところでございまして、私どもも引き続きできる限りの御支援をしていきたいというふうに考えております。
  48. 高橋令則

    ○高橋令則君 今のようないわゆる畜産物価格決定、そしてまた畜産振興という観点で大きな流れのほかにそのような観点にも十分光を当てたきめ細かい施策展開もこの際要望を申し上げます。  次に、ちょっとこれまた細かい話になりますが、畜産物価格の要素の中にいろいろたくさんございます。先ほど阿曽田委員が触れられました飼料、これは非常に大きいし、それからまた労賃も大きいわけですが、いわゆる生産資材費の問題があるんですね。農機具、農薬、そしてまた肥料などなど、農業資機材の経費の低減と申しますか、これが非常に大きな課題でございます。  これもずっと農水省でも取り組まれてきたところでございますし、またいろいろ大きな問題としても検討をされてきた経緯があるというふうに承知をしておりますが、私はその中で畜舎の問題を取り上げてちょっとお尋ねをしたいわけです。  非常に古い話になって恐縮なんですが、かつて私どもの県で第三セクターをつくりました。そして肉牛の振興をやりました。現在でもやっております。その中で、農水省の補助をちょうだいいたしまして億という大変な額の畜舎をつくった。私は財政をやっておりましたから一遍見に行きました、そんな億なんという畜舎はどんなものだろうと。いやびっくりしました。こんな鉄筋がだっと入っておる。その下に安い牛が入っているわけですね。いやいやこれはもう、こんなことをしなきゃ安全が保てないのかねと、こう言ってびっくりしたわけです。これが実に二十年以上前の話でございます。今の話ではありません。今は違うと言われれば、それはわかりません。  そして、余り驚いたものですから、帰ってきてすぐ担当を呼んで聞きましたら、そのぐらいの大きさでなければ建築基準法の許可が出ないので、何としてもそうしなきゃならないと言うんですね。いや、それは何とかならないかというわけで、今度は土木の建築課を呼んだら、いや、もうとても県の建築課あたりじゃどうにもなりませんと、それはもう国の問題でございますと言われまして、もう諦めてしまったわけです。  そのとき以降、実は畜舎に対する過大投資というんですかね、過剰投資が非常に私は気になっているんです。第三セクターですとこれは赤字でもよかれあしかれみんなで、お許しいただくと県市町村が寄ってたかって修理するという形になりますが、個人ですと全くそうならない。負債になっちゃうわけですね。  私は、いわゆる家屋としての安全性、そういったものは、これはもうまさに人命の問題ですから、もちろん守らなきゃならない。そういうことを前提にしながらも、畜舎という特性から考えて、それに見合ったような建築基準のあり方というものはあるのじゃないかということを長年考えてまいりました。そして、やっと十年ぐらい前になりまして、農水省の方でもお取り上げをいただいて、モデル的に規模の小さいものについては廃材を利用したり間伐材を利用したものをつくったというふうに、そういう事業があったように記憶しておりますが、やはりそういう象徴的なことではなくて、全体的に何とかしなければならないのではないか、こう思っております。  私の承知しておりますのは、建設省、農水省の関係部局によります畜舎建築に係る関連基準等に関する検討会というものをおつくりになったというふうに聞いております。そして、平成八年度には結論を出したい、このような形でやっとお取り組みをいただいていると。やっとというのは、これは失礼であれば撤回しますが、伺っております。この取り組みの今までの経過、そして今後の方向性についてお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 畜舎に関係いたします建築基準法の問題につきましてはかねてからの大きな重要課題でございまして、これまでも何回かの改善が講じられてきているところでございます。  御指摘ございました畜舎建築に係る関連基準等に関する検討会につきましては、さらに何かできないかというような観点から、平成七年三月三十一日に決定されました規制緩和推進計画も受けまして、建設省の担当部局と農林水産省の担当部局で開催をしているものでございます。平成八年度中には検討結果を取りまとめたいというふうに考えておりますが、検討会におきましては、現在、畜舎に対し適用されております基準に比べてかなりの程度緩和される基準を作成する方向で検討しているところでございます。
  50. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございます。ぜひ農水省として農家の実情に着目した、視点を置いた主張をしていただきたいと、このように思います。  私は畜舎に限って申し上げましたが、畜舎だけではなくて園芸ハウスとかにもいろんな農水省の補助、それからまた融資、こういったものに施設基準が全部ついています。これらも当然ですけれども、建築基準法もしくはそれに準拠する非常に大きな、重い農家負担になるようなファクターがあるんですね。したがって、今後の農水省の補助要綱あるいは融資のための要綱の設定に当たっては、農家の過大な負担にならないような施設基準についてぜひとも十分御検討いただいて、御配慮いただきたいと思います。これはもう本当に農家負担の問題になり、ひいては負債の問題になるんですね。これは、大臣ひとつよろしくお願いします。要望しておきます。事務当局を督励していただきたいと思います。  それから、時間も参りましたので最後に一つだけお聞きをし、またお願いしておきたいと思いますが、価格支持制度一つで、例の肉用子牛の指定協会、都道府県の価格安定基金協会がございます。これも御承知のように、昨今の牛乳価格の問題、子牛の価格の問題等々のしわ寄せを受けまして補給が非常にふえ、そして都道府県レベルの基金協会の負担が大きくなって、融資で賄っているという実態があるわけでございますけれども、その資金の枯渇あるいは財務基盤の強化といったことについてやはり心配をしている向きが多々ございます。したがって、ここで都道府県のこういう基金協会に対する支援、償還対策、こういったものについて農水省のお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 肉用子牛価格安定基金協会の財政基盤の問題でございます。これにつきましては、業務量が飛躍的にふえているといったこと、あるいは制度運営を安定的に確保するためには基本財産の充実が必要であるといったことを踏まえまして、従来から協会の自助努力を前提といたしまして畜産振興事業団が助成をしてきたところでございます。今後につきましても、制度の運営状況なり各協会の業務運用状況等を十分勘案しながら、必要な判断をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 高橋令則

    ○高橋令則君 最後に、大臣要望を一点申し上げて終わります。  前段申し上げました畜産物価格問題につきまして、我が党といたしましては、加工原料乳保証価格については現行価格を堅持する、そしてまた限度数量についてはやはり現行水準を維持し、約三十万トンにする等々、九項目にわたる要望をもちまして大臣に御要望申し上げたところでございますので、十分御勘案をいただいて、農家の期待にこたえるような施策展開されるようお願いをいたします。  終わります。
  53. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、畜産物価格についてお尋ねしたいと思います。    〔委員長退席、理事青木幹雄君着席〕  今、非常に重要なことは、畜産物価格を保証して、畜産、酪農経営を守ることだと思います。北海道酪農経営の収支を見ますと、九三年度では六百七十六万円、九四年度は五百五十七万円、このように減収しました。そして、酪農家戸数は年々減少し、九五年は七百戸も減って、今は一万一千九百戸になっています。きょうも傍聴席に北海道酪農民の方がいらしておりますけれども、先ほど紋別の方からお聞きしました。酪農民の方がいろいろ苦労なさっているわけですが、ある集落では百十戸のうち二十戸は利息も払えないという状況だそうです。十勝では年間に二十戸ぐらいやめていく、こういう深刻な状況が続いているわけです。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、まず二十年前の加工原料乳保証価格でやっていけるとお考えになっているのでしょうか。この間、製造関係の賃金は二・四倍、物価は一・八倍に上がっています。物価や他産業並みの価格に引き上げるのが大臣の大きな役割であり責任ではありませんか、そこをひとつお聞きします。
  54. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 大きな役割だと思いますが、現在までのいろいろの価格決定方式というものからはみ出して私だけひとり走り出すわけにもまいりませんので、委員指摘気持ちは十分体しながら今回も臨んでいきたいなと、こう思っております。  先ほども申しましたように、民間企業でしたら、生産性が上がり付加価値がふえれば、その付加価値分の中で消費者還元分を除いた部分というのは労賃と配当とあすの投資のための内部留保であります。これは生産者本人に農家の場合は還元されるべきものである。そういうことを考えますと、現在の価格決定方式がいいのかどうか、そういうことも農林省で議論するんですよ。以前から私はそういう考え方を持っておったものですから、大臣になったから何も議論して悪いということはありませんので、そういうことを考えますと、何かいい手法はないのか、力関係であっちへいったりこっちへいったりしないできちんと決まる方法はないのかなという悩みを非常に持っております。  いずれにしましても、きょうあすの問題でございまして、申し上げたようなことは間に合いませんが、考え方は以上のような考え方で努力をしてまいりたいなと、こう思っております。
  55. 須藤美也子

    須藤美也子君 酪農民の皆さんが本当に展望を持って、生産意欲を持って働けるように価格保証すべきだと思うんです。大臣だけがひとり走りしなくちゃならないなんという情勢ではないと思うんです。大臣がその気になれば多くの農民はみんな応援する。だから、今、戦後五十年たって、情勢も変わって、今までと同じような形で価格を決めること自体、私はもっと民主的な改善の方法を考えるべきではないだろうかと思います。  もう一つは、先ほど来いろいろお話がありましたが、配合飼料が九五年には三千百円、九六年の一月−三月期には二千五百円、九六年の四月−六月期には二千六百五十円、合計してこの間八千二百五十円も値上げされました。三月二十一日の飼料部会でも、畜産物価格算定に当たっては、飼料価格動向等を適切に反映させること、こういうことが確認されました。  こうした実態を今度の価格に反映されるべきではないのですか。  全中の資料では、キロ当たり三円五銭が新たなコスト負担になる、このように計算をしております。この問題も今回の価格に反映するよう大臣が積極的な働きかけをやってほしいと思いますが、いかがですか。
  56. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 配合飼料価格につきましては、御指摘のように、原料トウモロコシの高騰あるいは円安基調への変化等を背景にいたしまして、昨年秋以降上昇してきているところでございます。加工原料乳保証価格算定当たりましては、そうした事情も十分勘案いたしまして適正な価格決定を行う考えでございます。
  57. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういう方向で積極的に反映をさせていただきたいと思います。    〔理事青木幹雄君退席、委員長着席〕  次に、ぬれ子の問題なんですけれども、九五年八月以降価格が暴落しました。北海道では、七月に五万五千七百三十円が九月には二万七千七百九十円と半分に暴落してしまいました。こうした実態も今回の価格に反映されるべきだと思いますが、いかがですか。
  58. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 保証価格算定当たりましては、従来からも牛乳生産費調査期間のデータを基礎にいたしまして、ぬれ子価格等も含めまして直近時点までの物価修正を行い、生産費調査期間以降の価格変動を可能な限り織り込んできているところでございます。そうした考えに立って価格算定当たりたいと考えております。
  59. 須藤美也子

    須藤美也子君 次に、大手乳業メーカー飲用乳価のキロ平均六円の大幅引き下げを酪農家に通告しています。価格が暴落しているときに酪農家の皆さんは、死活問題だ、絶対に認められないと、こう言っております。農水省は乳業メーカーに対してどのような行政指導を行っているのですか。  つまり、六円下げる要素は何か。六円下げるということは、先ほど来私が申し上げましたように、もう酪農はやめろと言っていることと同じことなんです。これほど深刻なんです。ですから、この六円下げるという問題に対して農水省はどのような行政指導をなさっているのか、そこをお聞きしたいと思います。
  60. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 飲用乳価につきましては、これまでもそういうことでございましたが、生産者団体と乳業者の交渉によりまして自主的に決定されているところでございます。  農林水産省といたしましては、飲用乳価生産者団体と乳業者との自主的な交渉で行われるという性格を踏まえまして、取引当事者である生産者団体と乳業者が誠意を持って十分話し合いを行って解決されるべきものと考えておりまして、今後とも交渉の推移を見守ってまいりたいと考えております。
  61. 須藤美也子

    須藤美也子君 審議官、そう言いますけれども、相対取引で決める、だから行政指導はいいんだと。それは責任逃れじゃありませんか。  農水省はこれまで、生産者団体が都道府県から地域化、ブロック化して乳業メーカーと相対取引することや、生乳取引で入札制度の導入などを農水省の指導で提案しているんじゃないですか。そのことに対して、後は勝手に生産者メーカーが相対取引で決めることなんだと。これでは農水省の指導というのは一体何なんですか。ちょっとそこを。
  62. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 農林水産省といたしましても、飲用乳価の問題につきましてしばしば交渉が長期化するなどの問題につきましては十分認識しているところでございまして、来年度の予算におきましても一つのモデル事業を実施いたしまして、その中で飲用向け生乳取引の改善対策を検討していくことにいたしているところでございます。  まだすぐに結論に至るというわけではないかもしれませんが、そういう問題意識は持っているということでございます。
  63. 須藤美也子

    須藤美也子君 改善したいという意識を持っているというのであれば、これはやっぱりきちんとやっていただきたいと思うんです、こういう情勢のときですから。この問題で余りしつこくは言いません。  乳業メーカーの引き下げ理由は何ですか、六円引き下げなければならないという理由は何ですか。
  64. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 直接承知しているわけではありませんが、聞いているところによりますと、メーカーとしても業績が悪化していることとか、あるいは量販店に対する納入価格が低下しているといったこと、あるいは飲用消費が減少しているといったことが挙げられているというふうに理解しております。
  65. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうおっしゃいますけれども、九五年の三月期の決算は、昨年十二月の日本経済新聞を見ると、ちょっと意図的だなと思うんですが、皆減収というふうに大きな見出しで出ていますね。しかし、三月期決算では雪印は七・六%、明治は二九・八%、森永は二九・一%、これだけの経常利益を上げているんですよ。  乳業メーカーにくみするのが私は農水省ではないと思います。そこは信頼しています。酪農家経営をやって成り立つような形で指導すべきだと思うんです。ですから、この問題について六円引き下げるということでなくて、現状を踏まえて引き下げをやめるように私は農水省が強く乳業メーカーに要求するのが当たり前ではないかと思います。  さらに、この乳価交渉の成り行きに大きな影響を与えるのが今度決着する加工原料乳保証価格であります。  大臣加工原料乳保証価格が引き下げられれば飲用乳価乳業メーカーの希望どおり引き下げられてしまいます。そうなるのではないでしょうか。その点でも加工原料乳保証価格が引き上げられることを本当に多くの酪農民が要求しているんです。この点についてどうですか。
  66. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳保証価格につきましては、法律の規定に基づきまして、生乳生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して加工原料乳地域生乳の再生産確保することを旨として定めるということにされているところでございます。  一方、加工原料向け以外の飲用向けの乳価につきましては、市乳の需給実勢等を勘案しながら乳業メーカーと指定団体との間で自由で対等な交渉により行われているものでございまして、過去の経緯を見てみましても、飲用向け乳価保証乳価と直接連動しているものではないというふうに理解いたしております。
  67. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間がありませんのであと一分だけ。ぬれ子について最後に要望です。  つまり、ぬれ子価格が暴落している。その一因は、肉用子牛生産者補給金の単価が下がったことと言われています。これは九五年から平均売買価格算定にF1価格を加えたからではないですか。  F1で二万六千六百十九頭、前年比に比べて五八・九%、倍以上増加しています。  一方、乳用種は二十二万八千五十九頭で、一一・五%減っています。乳用種が四、五万に対して、F1は八万から十万、価格差が非常に大きい。  肉用子牛生産者補給金制度の運用に当たって、F1と乳用種の品種区分を分けるかして改善すべきではないでしょうか。このことを要求としてお願いしたいと思います。  最後に、加工原料乳保証価格の引き上げと保証基準価格の引き上げを申し上げまして、今のF1の問題、一言御答弁をいただいて、私は終わらせていただきます。
  68. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 乳用種と交雑種の問題でございますが、分けて保証基準価格等を設定すべきではないかという御指摘でございます。  肉用子牛の生産者補給金制度は、肉用子牛の再生産確保することを目的といたしまして保証基準価格等を定めているところでございます。その品種区分につきましては、品種により生産構造が異なることとか、あるいは過去における価格形成の態様やその水準が異なることといったことを踏まえまして、現在、黒毛和種、褐毛和種、その他の肉専用種及び肉専用種以外の品種という四つの区分を設定して運用しているところでございます。  肉専用種以外の品種には乳用種と交雑種が含まれるわけでございますが、この制度は肉用子牛の再生産確保することを目的としておりまして、交雑種につきましては、乳用種と同じく酪農経営から生産されて、その生産コストもほぼ同水準であることとか、あるいは包含した品種区分とした場合には、両品種の市場価格差の変化が直ちに両品種を生産することの損得となりますために、市場ニーズを的確に反映した生産誘導が可能になるということもございまして、交雑種は肉専用種以外の品種に包含して価格算定等を行っているところでございます。  今後ともこの制度の適正な運用を図る観点からは、交雑種と乳用種を同一品種区分として運用するのが適当ではないかというふうに考えております。
  69. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  もう皆さんいろいろ御質問されましたので、私も聞くことは少なくなってきているんですが、三点ほどちょっとお伺いをしたいと思います。  一つは、飼料価格動向でございます。畜産・酪農経営考えた場合に、どうしても経営コストの大宗を占めるえさの価格動向というのが経営に大変重要な影響を及ぼすというのは御案内のとおりでございます。世界的な穀物の需給逼迫から今後値上がりが必至だと、こういうふうに言われておるところでございます。現に全農は、三月二十二日だったでしょうか、四−六月の配合飼料の価格を全畜種平均でトン当たり二千六百五十円引き上げると、こういうふうなことで発表しているわけでございます。  飼料価格の値上げは、今も須藤委員の方からお話がありましたように、昨年の十月から十二月ですか、これでもって三千百円、そしてことしの一−三月で二千五百円、五千六百円も既に上がっているわけでございまして、今回の値上げを加えると、トン当たり八千二百五十円というふうな大幅値上げになるわけでございます。民間基金と異常基金からそれぞれ補てんはされるというふうに言っても、二千百円程度は農家の負担増になるんではないかと、こういうふうに言われているわけです。  そこで、世界の穀物の需給状況と、あわせて民間基金あるいは異常基金の財源の状況はどうなっているのか、これからの見通しを含めてお聞かせをいただきたい。そのことがひいては農家に対する飼料価格動向に即連動するわけでございますので、その辺の見通しについて一つはお伺いをしたいと思います。
  70. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 今後の配合飼料価格動向につきましては予断を許さないものがあろうかと思いますが、ことし秋以降ということを考えてみますと、アメリカを初めトウモロコシの主要生産国におきまして減反緩和等による作付面積増が見込まれるところでもございます。したがいまして、天候がおおむね順調であれば、飼料穀物の国際相場は秋になれば落ちつきを取り戻すのではないかというふうに考えております。  この配合飼料価格安定基金の財源状況でございますが、七年度末で、通常補てんにつきましては約三百二十億円、異常補てんにつきましては約九百五十億円という財源状況になっておりまして、また八年度中にも二百億から三百億円の積立金も見込まれますことから、八年度に補てんを継続いたしましても、直ちに補てん財源に不足を来すというような状況にはないものと考えております。
  71. 国井正幸

    ○国井正幸君 えさの価格は、今お話がありましたように、アメリカの作付増等によっても改善される可能性はあると思います。ただ、中国あるいはインドネシアとかこれまで食糧の自給を掲げてきた国々も、輸入を前提とするような状況政府の方針も変わっているようなことも伝えられているわけです。そういうことからすると、必ずしも予断を許さない状況にあるんではないかと思います。そういうことでございますので、特に基金の財源確保については細心の注意を払いながら格段の御努力をぜひお願いしたいと思います。  そういうふうな状況でございますから、先ほども多くの皆さんがおっしゃっていまして、私も同じことを申し上げるのもなんでありますが、やっぱり下げる要素というのは、基本的に畜産物価格価格決定に当たってはないのではないかと思っているんです。  特に、先ほど来の大臣のお話も聞いて、あえて私がここでお伺いをするということもないのかなと思っているんですが、いわゆる生産性向上のメリット、これについてはぜひ生産者にも還元をしてもらう。そして、生産意欲がわいてくるような状況というのを大臣のお考えのとおりにぜひ頑張っていただいて、いろんな部分、難しい部分はあると思いますが、我々は応援団でありますから、大臣、その部分は頑張っていただきたいと思っておるところでございます。  この点について、あえて大臣からもう一度ということでなくても結構でございますので、その辺は十分心に置いて頑張っていただければなと思っています。  最後になりますけれども一つ要望と、今取り組んでいるところがあればお聞かせいただきたいと思うのは、先ほどもお話が出ましたけれども、全酪連の長岡工場でああいう大変遺憾なことが起きてしまったということなんです。しかし、これは特異な例でありまして、生産者団体でプラントを持っているところだって一生懸命頑張っているわけです。私も実は五年ほど牛乳販売する担当をやったことがあるんですけれども、大変な努力をしているわけですよ。だから、起きてしまったことに対して、もちろんきちっとしなくちゃなりませんけれども、特に消費者の皆さんに対して信頼回復をどういう形でやるのか、これが非常に大切だと思うんです。  悪いことが起きたときに、そのことだけが報道されて、後のことがどうも報道されない。これが非常に不信感だけが残るということになるんではないかと思います。それらの事後処理の問題についてひとつお聞かせいただきたい。  あわせて、今イギリスで狂牛病が報じられていますよね。それで、ヨーロッパで輸入禁止措置というふうなことがとられている。お聞きしましたら、我が国は口蹄疫の関係でもともとイギリスからは入れていない、こういうふうなことでありますから、それはそれでいいんですけれども、一般の消費者の方から見ると、我が国ではどうなっているんだろうかというのを知らないと思うんですね。この部分は、食糧をあずかる農林水産省としても、そういうことはないとは言いながらも、消費者にわからしめる努力、これは私はやっぱり必要なんではないかなと思うんですよ。  その辺で、今どういうことを考えてどういうことをやろうとしているのか、あるいはやっているのか、その辺をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) まず、全酪連の長岡工場の問題でございますが、私どもといたしましても、事件の発生を承知いたしました三月九日に、長岡工場の操業の停止と製品の回収を指導いたしました上で、さらに三月十一日以降、地方農政局、都道府県等に対しまして、飲用牛乳を製造販売しているすべての乳業工場に対する実地調査を行うよう指示したところでございます。  その後、現時点では八割程度の工場について調査を終了しまして、これらの工場につきましては特に不適正な事実はなかったということでございますが、今月中には残りの工場につきましても調査を終了することにいたしております。  私どもといたしましては、大変遺憾な事態であったわけでございますが、こうした実地調査の結果を踏まえまして、今後再びこういう事態を招くことのないように再発防止なり各関係団体への指導に万全を期しまして、飲用牛乳に対する信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。  それから、狂牛病の問題でございますが、狂牛病につきましては、これまでに英国を初めとする十カ国で発生いたしておりますが、発生頭数は英国がほとんどでございまして、英国以外はごく小規模の発生にとどまっております。現在も発生報告のありますのは五地域のみで、発生の大宗は英国と見られておりますが、その英国におきましても、一九八六年の最初の発生の報告以後急増いたしました後、一九九二年をピークに現在は減少傾向にあるというふうに理解いたしております。  我が国は、英国を初めとするいわゆる狂牛病の発生国に対しましては、生体牛の輸入を禁止いたしますとともに、畜産物につきましても、家畜衛生に関する国際機関であります国際獣疫事務局の動物衛生規約に基づく厳しい防疫措置に加えまして、我が国独自の安全性確保のための条件といたしまして、この病気の発生のない農場で生産された牛であることの証明義務を課しましてこの防疫の徹底を図っているところでございます。今後とも、そうした措置の徹底によりまして、この病気の清浄国である我が国への狂牛病の侵入防止に万全を期してまいりたいと考えております。
  73. 国井正幸

    ○国井正幸君 時間がちょっとありますからあれですけれども、結局、やっていることはそれはそれで結構なんですが、知っている人だけ知っていて知らない人は知らないというところに問題もあるので、我が国には狂牛病の牛はイギリスからは入ってきていないとか、そういうことあるいは、例えば製造プラントを立入調査したけれども、今八割方ですか終わっているということでしょう、そういう遺憾なことはないという事実ですね。そういうことをぜひマスコミ等を通じて僕は発表してもらいたいと思うんですよ。  これは、おかしなことがあるとマスコミも飛びつくんですが、当たり前のことを当たり前に言ってもなかなか取り上げてもらえないという悩みはあると思うんです。その辺をぜひ知恵を絞っていただいて、なるべく記事になるような形にして、特に狂牛病の問題は、知っている人はそれは入っていないから大丈夫だということで騒がないと思うけれども、一般の国民から見れば、あれだけほかの国で輸入禁止措置をとっているのに我が国はどうなっているんだろうという素朴な疑問が僕はあると思うんですね。そういうときに我が国は大丈夫なんですと、こういうことをマスコミを通じて国民に知らしめる努力、その辺をぜひ僕はお願いしたいと思うんですよ。
  74. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 実は、本日も大臣からそうした指示をいただいているところでございまして、そうしたPRなり周知徹底に努めていきたいと考えております。
  75. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。
  76. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二院クラブの島袋宗康でございます。  今、お隣の国井先生から狂牛病の問題で質問がありましたけれども、関連いたしますので、私は角度を変えてお尋ねしていきたいと思います。  実はおとといの新聞なんですけれども、「狂牛病パニック拡大 英国産牛禁輸広がる 牛乳の安全性にも不安」という見出しで、牛が脳や運動神経に異常を起こして死亡する英国の奇病、いわゆる狂牛病。英政府が人間に感染する可能性を初めて認めたところから、各国にパニックが広がっている。英国産牛肉の輸入禁止を決めたのは、欧州連合いわゆるEU域内だけでなく、南アフリカ、ニュージーランド、シンガポール、エジプトなどにまで拡大している。英国内では、牛肉は食べるなというのが唯一の予防策である。そして、給食から牛肉を締め出す小中学校は一万校を超えそうな勢いだ。牛肉にかわる羊肉や鳥肉の価格が上昇する中で、英政府は国内のすべての肉牛約一千百万頭の処分も選択肢の中に入れているというふうに報道されているわけであります。  そこで、お尋ねいたしますが、この狂牛病は我が国への伝播のおそれはないか。その辺について一点お伺いすると同時に、牛肉のこういった問題が起きて、世界的な需給バランスが変動するおそれがないかどうか。私は、これは非常に変動する可能性があると思っておりますけれども我が国への牛肉の輸入量と、それから価格に対する影響はどういうふうな点について変わっていくのかということをお尋ねしておきたいと思います。
  77. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) いわゆる狂牛病が我が国に伝播するおそれはないかという第一点でございますが、我が国では、御存じのように、海外から輸入される動物、畜産物を介して伝染する家畜疾病の侵入を防止するために動物検疫を行っているところでございます。  いわゆる狂牛病につきまして、我が国は英国を初めとする狂牛病の発生国に対し、生体牛の輸入を禁止いたしますとともに、畜産物につきましても、国際獣疫事務局の動物衛生規約に基づく厳しい防疫措置に加えまして、我が国独自の安全性確保のための条件としまして、狂牛病の発生のない農場の牛から生産されたものであることの証明義務を課して防疫の徹底を図ってきているところでございます。こうした措置を徹底することによりまして、我が国は狂牛病のいわゆる清浄国であるわけでございますが、我が国への侵入防止に万全を期してまいりたいと考えております。  それから、海外での狂牛病の発生が我が国の食肉価格に及ぼす影響といった点でございますが、英国の牛肉生産量は全世界の二%程度ということで大変少量でございますし、我が国の輸入先は豪州と米国がその大半を占めていることから考えますと、我が国の食肉価格に直ちに影響が及ぶ可能性は低いものと考えております。  いずれにしましても、食肉の価格なり、特に牛肉の価格につきましては、今後ともその動向を十分注視してまいりたいと考えております。
  78. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 イギリスの牛肉が全世界の二%にすぎないという点では、さほど価格あるいは輸入量等、そういった問題には影響はないと思いますけれども、その辺は私の危惧であって、心配したところでございます。いずれにいたしましても、そういう対策は十分に我が国としてはとっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  沖縄県における畜産業の振興策についてお尋ねいたします。  まず、沖縄県における畜産業の現況及び他県と比較してどのような課題があるのか、それをまずお聞かせいただいて、そして沖縄の畜産業の振興策に対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  79. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 沖縄県は、亜熱帯性気候地帯に位置しておりまして、その特性を生かした農業全体の発展構図が構築されなけりゃならぬと、こう思っております。  畜産につきましても、従来、非常に生産性の高い粗飼料生産基盤を活用して、特に肉用牛の飼養頭数は増加しております。畜産全体で沖縄県の農業生産額の三分の一を占めるという状況で極めて重要な産業であります。ところが、一方において、飼養戸数は減少傾向にありますし、亜熱帯の特性を生かしながら家畜の改良、飼養管理技術の改善等によりなお一層の生産性向上を図らなきやならぬ、そういう状況にあると思います。  このような事情から、沖縄県における畜産振興、合理化を図るため、生産コストの削減、価格の安定、消費の拡大等、各般施策を総合的に尾開し、畜産経営の健全な発展畜産物の安定供給を図ってまいりたいと、このように考えております。
  80. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ沖縄県内の畜産業振興策について特段の御配慮をお願いしておきたいと思います。  それから、牛肉、豚肉及び鳥肉のそれぞれについて、国内生産量と輸入量がどのようになっているか、そして国内自給率はどのような状態に推移しているかという点でお伺いし、また食肉の国内生産振興上の課題とその対策についてお伺いしておきたいと思います。
  81. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 肉類の自給率につきましては、残念ながら近年いずれも低下傾向にございます。個別の品目について見ますと、平成六年度では、牛肉が四二%、豚肉が六六%、鳥肉が七三%となっておりまして、肉類全体では平成五年度の六四%から四ポイント下がって六〇%となっているところでございます。  我が国の食糧の自給率につきましては、御承知のように先進国の中でも異例に低い水準でございます。そうしたことを踏まえまして、自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本として政策展開に努める考えでおるわけでございます。  国民の重要なたんぱく質供給源であります畜産物につきましても、生産性向上に努めながら、国産品有利性を生かした形で可能な限り国内生産を維持拡大していきたいと考えておるところでございます。そのために、昨年十二月に策定しました酪農肉用牛近代化基本方針等のもとで畜産経営の担い手の育成確保を図りますとともに、飼料基盤の拡充等、生産基盤の強化とか、さらには環境問題への適切な対応を図るための施策等々を積極的に推進していきたいと考えております。
  82. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  83. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  風間昶君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。風間君。
  84. 風間昶

    ○風間昶君 私は、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び二院クラブの各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。    畜産物価格等に関する決議(案)  我が国農業の基幹的部門である畜産業を取り巻く情勢は、ウルグァイ・ラウンド合意による牛肉、豚肉の関税の引下げ、畜産物輸入の増大、畜産物価格の低迷、飼料穀物価格の高騰、深刻化する後継者不足等極めて厳しいものがある。  よって、政府は、こうした情勢を踏まえ、平成八年度畜産物価格決定に当たっては、畜産業の生産基盤及び経営体質の強化を図るため、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。  一 加工原料乳保証価格については、農家意欲と誇りと希望を持って営農に取り組めるよう、正当な労働評価を行い、再生産確保を旨として適正に決定するとともに、加工原料乳限度数量については、生乳生産事情飲用牛乳及び乳製品需給事情を考慮して適正に設定すること。  また、牛乳乳製品消費拡大対策国産チーズや生クリームの生産振興対策、乳肉複合経営対策酪農ヘルパー、コントラクターへの支援対策等を今後とも積極的に推進するとともに、我が国乳業経営体質を強化し、国際競争力を高めるため、乳業施設の再編合理化を総合的に推進すること。  二 牛・豚肉の安定価格については、経営の安定が図られるよう、再生産確保を旨として、適正に決定すること。  また、肉用牛に関する繁殖雌牛確保対策、子牛生産拡大対策肉用牛生産振興対策、肥育経営安定緊急対策、肉豚に関する生産性向上対策経営体質改善対策、防疫対策等を積極的に推進すること。  三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家経営の安定が図られるよう、再生産確保を旨として、また、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産実態及び輸入牛肉の価格動向等を勘案して、それぞれ適正に決定すること。  さらに、肉用子牛補給金制度の円滑な運営のため、都道府県肉用子牛価格安定基金協会の財政基盤強化対策等を継続すること。  四 最近における飼料穀物価格の高騰に対処して、畜産物価格算定に適正に反映させるとともに、配合飼料価格安定制度充実と適切な運用、自給飼料生産対策強化等に万全を期し、併せて政府操作飼料について、今後とも安定確保を図ること。  五 畜産業の発展に資するため、家畜排せつ物処理施設整備等の畜産環境対策、金融・税制対策、家畜疾病予防対策等を総合的に推進するとともに、食肉の輸入急増に対する関税の緊急措置及び特別セーフガードの適時・的確な発動を行うこと。また、乳製品のカレントアクセスについて、国内需給に悪影響を及ぼさないよう適切に管理すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  85. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまの風間君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  86. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。  よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大原農林水産大臣
  87. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分に検討してまいる所存でございます。     —————————————
  88. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院農林水産委員長松前仰君から趣旨説明を聴取いたします。松前君。
  89. 松前仰

    衆議院議員(松前仰君) ただいま議題となりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  乳業施設資金融通制度は、酪農及び乳業の健全な発展に資するため、乳業を営む者に対し、農林漁業金融公庫から、その乳業施設の改良、造成等に必要な資金を融通することを目的として、昭和三十六年に創設されました。  自来、本制度による貸付実績は、平成六年度までに三百九十九件、約三百七億円に上り、中小乳業を中心とした乳業合理化近代化及びこれを通じた酪農の健全な発展に大きな役割を果たしてまいりました。  一方、ガットウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴い、今後、国際化の進展が見込まれる中で、我が国酪農乳業の安定的発展を図っていくためには、乳業工場の統廃合による牛乳乳製品の製造販売コストの低減を強力に推進し、我が国乳業国際競争力強化を図ることが喫緊の課題となっております。  本案は、こうした課題にこたえるため、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本制度をさらに平成十三年三月三十一日まで五年間延長するとともに、貸付金の償還期限を現行の十八年以内から二十年以内に延長しようとするものであります。  以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  90. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  91. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。      —————・—————    午後三時四十三分散会