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政府委員(中須
勇雄君) まず初めに、
二つの法
制度と農業との
関係について御
説明申し上げますと、いわゆる製造物責任法、PL法におきましては、この製造物責任の対象というものは、御
承知のとおり、製造または加工された動産というふうに定義をされておりまして、いわゆる未加工の農林水産物は対象から除外される。そういう意味で、一番根っこのまさに作物を育てておられる農家そのものというものが対象になる局面は極めて少ないものというふうに思われます。ただ、もちろん農家あるいは農業団体、農家集団等が加工とかそういう過程を経れば当然この
法律の対象になる、こういうことがございます。
それからもう
一つの、容器包装リサイクル法につきましては、実はこの
法律に基づいて、再商品化義務というふうに言っておりますが、経費的等の義務を負います事業者というのは、一定の
中小企業者については対象外とする、そういう規定がございます。具体的には、製造業で申しますと、常時使用従業者数が二十人以下であって年商売上高が二億四千万円以下の者は適用除外となるということでございますので、この
法律につきましてもいわゆる通常の農業者というものは法の対象にはならない、こういうふうに
理解をしております。
ただ、先ほど申しました農民団体等も含めまして、食品
産業全体ということでは大変大きな影響というか、かかわりがあるのは御
指摘のとおりでございます。
まず、PL法に関しましては、昨年七月一日にこの
法律は施行されました。この
法律の趣旨に沿って、食品
産業界全体としてやはり消費者被害の未然あるいは再発防止、あるいは被害者救済のため一層取り組みの充実が求められている、こういうことだろうと思っております。
このため、
農林水産省といたしましては、
関係者に対してこの法
制度の普及、浸透に努めるとともに、特に各個別の事業者がPL法に適切に対処するために、消費者に対する苦情相談への対応方法とか社内の体制のあり方あるいは再発防止方法のマニュアルの作成、それから特にいろいろ取り扱い面で注意すべき事項を十分記載しなければならない、そういう表示ルールの策定、そういったことに関しましてマニュアルをつくって
皆様の利用の便に供していくというふうなこと、要は安全な食品ということでございますので、食品の適切な
品質管理なり安全性を
確保するための技術の開発、こういったことを講じてまいりたいというふうに思っております。
なお、直接私
どもがやっている話ではございませんが、財団法人食品
産業センターにおきましては、昨年七月の
制度発足に合わせて食品
産業PL共済というものを発足させております。加入者である食品企業が欠陥による消費者被害等に遭った場合に賠償履行費用等を補てんすると、こういう目的の事業を開始したところでございます。
それからもう
一つの容器包装リサイクルにつきましては、いろいろ御議論をいただき、昨年六月に法
制度として成立したわけでございますが、いよいよ明年の四月から具体的に動き出すということに相なります。明年四月からはガラス製の瓶、それから飲料あるいはしょうゆ用のペットボトルというものが対象になってこの
制度が動き出すわけでございます。
そういう意味では、これからあと一年というものがそのための準備期間でございますので、この準備期間の間に、食品
産業においても当然容器包装廃棄物の再商品化の義務というものが事業者に課せられることになるわけでございますので、これが円滑に行われるように準備をしていかなければならない、
環境を整備していかなければならないというふうに
考えてございます。
このため、お願いをしております来年度の予算案におきましても、
法律の適切な実施あるいは
関係事業者への
制度の周知徹底を図るための各般の
調査であるとか
法律内容の普及、啓蒙、あるいはこの
法律の
基本的な骨格と申しましょうか、再生利用を
促進するという意味におきまして、技術を開発するとか、この法
制度を円滑に動かすための指定法人の業務開始への支援を行うこと等、そういうものについて予算をお願いしているところでございます。
今後とも、時間はわずかでございますが、
関係省庁とも連携しつつ、適切、円滑な
法律の施行に向けて鋭意努力をしていきたいと、こういうふうに
考えております。