運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-02-23 第136回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十三日(金曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 貞敏君     理 事                 青木 幹雄君                 服部三男雄君                 風間  昶君                 常田 享詳君                 谷本  巍君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 浦田  勝君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 北澤 俊美君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   大原 一三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     野中 和雄君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産省畜産        局長       熊澤 英昭君        農林水産省食品        流通局長     中須 勇雄君        農林水産技術会        議事務局長    山本  徹君        食糧庁長官    高橋 政行君        林野庁長官    入澤  肇君        水産庁長官    東  久雄君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        通商産業省生活        産業局通商課長  稲葉 健次君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (平成八年度の農林水産行政基本施策に関す  る件)     ―――――――――――――
  2. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、平成八年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題といたします。  本件につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  先輩、同僚委員の御理解をいただきまして、伝統ある農林水産委員会質問をさせていただきますことを大変光栄に存じます。  まず、林業について大臣にお伺いします。  近年の国内林業をめぐる状況は、木材価格の低迷、賃金の高騰等により、林家山離れ林業経営意欲低下が進行しておりまして、先人が植え育てた造林地における保育作業などの手入れ不足が目立ち始めております。  私の地元の福井県でも、要間伐材のうち四〇%しか間伐が行われないで、しかもそのうち三〇から四〇%しか利用されていないということで、間伐がされても山の中にごろごろと間伐材が転がっている、あるいは間伐が十分行われないといった大変な状況にあるわけであります。  また、これら森林を守り支える山村過疎化もありまして、林業労働力減少、六十歳以上が五〇%を占めるような高齢化国産材自給率低下など、林業木材産業を取り巻く環境が厳しい状況にあります。  私の選挙区福井県におきましても、林業の盛んな市町村でさえ同様の問題で山離れが進んでおります。一部、若狭にあります名田庄村というような昔からの林村では、都会へ行きまして現業職員をリクルートしてくるといった意欲的なことをやったり、あるいは川上から川下まで統合して第三セクターをつくるというような村もありますけれども、例外的でございます。  そこで、全体として我が国林業木材産業現状をどのように把握しておられるのか、また、それを踏まえた今後の施策展開方向についてお伺いをしたいのであります。
  4. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 先生林業に大変積極的な関心をお持ちだということをお伺いしておりますが、私も山の中に育った人間でありまして、帰るたびに林業の厳しさというものを関係者の皆さんから訴えられております。これは何といいましても、やはり林業をいち早く国際化した、この問題が長く尾を引いているわけでありますが、これを今あれこれ言ってもせんないことでありまして、やはり現状を踏まえた新しい政策を一歩でも二歩でも前進させる必要があるなと。  そういう意味で、我々、今回この国会に新たな法案を三法お出ししまして、川上川下、そしてまた労働者確保のために新しい政策を打ち出していこう、こういう試みを今国会で提案していきたいと思っております。  委員指摘のとおり、国産化時代が来たと言いながら、なお十分な展望が開けないままに林家が苦しんでいらっしゃることは事実でありまして、それに関係する我々農林水産省といたしましては、やはり後ろ向きでなくて、何とか前向きの施策を一歩、二歩、今度出す法案が一〇〇%、百点満点とは申しませんが、どうかひとつその辺に十分委員の御協力と、さらにまた積極的な御提案を心からお願いしたいと思います。
  5. 松村龍二

    松村龍二君 ただいま御説明もありました適切な森林整備を進めていくために、山で働く人たち確保することは極めて大切であります。人を育てることは一朝一夕にできることではありません。  まず、労働力対策として、今までどのような施策を講じてきたのかお伺いしたいのであります。  あわせて次の質問もいたしますが、福井県の場合、林業労働力現状につきましては、早くから森林組合地域林業振興の中核的な担い手として位置づけまして、山仕事、特に造林作業では森林組合への委託が八〇%程度に達していましたが、山村過疎化高齢化が進行していく中で、林業労働力減少しておりまして、昭和五十五年には、福井県内に二千六十六人いた森林組合作業員平成五年には九百八十四人と半分以下に減少しているという状況に置かれております。  こういった中で、平成三年度には県では財団をつくりまして、林業従事者確保育成林業活性化を図ってはいるものの、野外での重筋肉労働、季節間断的な作業などから、平成五年度の新規参入者における定着率は五六%と半減するなどの問題があります。また、林業生産活動の中核的な事業体として森林組合育成強化が重要でありますが、経営基盤強化には事業量確保が不可欠であります。  そこで、全国的な課題となっております新規参入者促進や、林業事業体強化を通じた労働力確保について労働行政とも一体となった対策が重要と考えますが、これについて御意見伺いたいと思います。
  6. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、今までに講じてまいりました労働力対策につきまして御説明申し上げます。  御指摘のとおり、林業担い手減少あるいは高齢化等状況に対応しまして、林業担い手を何としても確保しなくちゃいけないということで、平成六年度からまず労働基準法林業へ全面適用するというふうにしたわけでございます。これは労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されていなかったんですけれども、これを適用することにいたしました。現在のところ、事業体の四分の一が週所定労働時間四十時間未満を達成しております。  このほかに、予算措置といたしまして、林業事業体規模拡大等による体質の強化、これは森林組合合併等でございます。  それから、作業班機能強化のための機械施設整備等でございます。さらに、三Kの現場からの脱却の一番大きな問題は機械化でございまして、高性能林業機械等導入促進を図っております。  それから、何といっても他産業と比べて問題なのは、雇用の長期化安定化にもとるところがあるということでございまして、この点につきましても事業量等確保に関するいろんな政策を展開してまいりました。さらに、災害の防止とか福利厚生施設整備等労働環境改善にも施策を展開してまいったわけでございます。しかし、必ずしもこれは十分でございません。  そこで、この国会におきまして、林業労働力育成確保を図るためにはどうしても他産業並み労働条件確保することが必要であるということ、それから、安全な職場環境確保を今まで以上にしっかりとやることが必要であるという観点から、労働省と一緒になりまして、林業労働力確保に関する法律を提案させていただいているわけでございます。  この法律に基づきまして、まず林業への新規就業促進するということで、林業就業しようとする者の就業の準備に必要な無利子資金貸し付けであるとか、あるいは職業安定法の特例を設けてもらいまして、各都道府県に設置する労働力確保支援センター、これが委託募集を実施できるようにするとか、あるいは機械貸し付けをするとか、林業労働者等に対する研修の実施を図るとか等、各般の施策をこの法律に基づきまして展開してまいりたいと考えているわけでございます。
  7. 松村龍二

    松村龍二君 林業の問題は非常に奥行きの深い、また歴史のある問題でございます。これにつきましてはまたほかの委員質問をされると存じますので、次の問題に入らせていただきます。  次は、養蚕業に関連いたしまして、生糸価格形成の問題についてお伺いしたいと思います。  近年、我が国養蚕業は、従事者高齢化後継者不足等により養蚕農家数繭生産農家とも大幅に減少してきております。昨年、養蚕農家は全国で一万三千六百四十戸となり、ちなみに十年前の昭和六十年には十万戸あったわけでありますが、一万三千六百四十戸となり、また国内繭生産量も二十年前の五%程度の五千三百五十一トンまで落ち込んでいるところであります。  こうした中で、農林水産省におかれましても、昨年十一月一日付で組織改正が行われまして、農蚕園芸局という局名から「蚕」という文字がなくなりまして、かわりに「産」という字を使用した農産園芸局というふうに名称が変わったことは皆様承知のとおりでございます。従来の繭糸課蚕業課二つの課が統合されて蚕糸課一課体制となりました。  そこでまず、こうした変化はやはり時代の流れであるとの見方がありますが、政府はどのように認識しているのか伺いたいのであります。また、こうした厳しい状況の中で我が国蚕糸業をどのように振興していくつもりなのかについてお伺いしたいと思います。
  8. 高木賢

    政府委員高木賢君) お尋ねのように、養蚕農家数あるいは繭生産量が、従事者高齢化あるいは後継者不足というようなことから大幅に減少していることは御指摘のとおりだと思います。  しかしながら、養蚕は北関東の火山灰で覆われた地域あるいは傾斜地の多い中山間地域、いわゆる条件不利地域におきます複合作目一つといたしまして、農業経営上重要な地位を占めていると考えております。また、製糸業などの関連産業とともに地域農業あるいは地域経済に重要な役割を果たしていると考えております。また、絹業に対する生糸安定供給、こういう上でも重要な役割を果たしていると考えております。  昨年、組織改正を行いましたけれども、これは今日におきます蚕糸業実態を踏まえまして、蚕糸関係の二課を一課に統合し、名称を変更したものでございますが、今申し上げました蚕糸業の果たしている重要な役割にかんがみまして、各種対策につきましては引き続き講じて、養蚕農家経営安定等を図っていく考え方でございます。  具体的にどういうことをするのかということでございますが、ただいま申し上げましたような条件不利地域におきます基幹作目一つである、あるいは生糸国内需要の七割は国産生糸が占めている、生糸輸出国中国などに限られている中で絹業者生糸安定供給を図る必要があるということから、養蚕業振興と繭、生糸の価格安定を図るということは引き続き重要な課題であると考えております。  このためにどういうことをやるかということでございますが、高品質化品質のいい糸をつくる、繭をつくるということ、あるいは差別化といいますか、通常の糸より細い糸をつくったり、あるいはニット用には太い糸をつくるというようなことで付加価値の高いものをつくっていくという方向を追求するのが一つでございます。  それからもう一つは、養蚕製糸絹業一体となりまして統一的な商品をつくるという考え方のもとに、縦に一貫したといいますか、繭、生糸安定的取引を推進して産地を形成していくと、こういう考え方をひとつとっております。  それから三番目には、効率的機械施設導入によります低コスト化とか生産性の向上ということで、これらの施策を重点的に進めまして養蚕製糸振興を図ってまいりたいと、このように考えております。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 次に、生糸価格動向等について申し上げるわけですが、言うまでもなく、生糸についてはウルグアイ・ラウンド農業合意によりまして、平成七年度から蚕糸砂糖類価格安定事業団による国家貿易制度が維持されつつ関税化が実施されております。  こうした中で、蚕糸砂糖類価格安定事業団によって、昨年六月末、昭和六十二年三月以降停止しておりました国産生糸の一万俵の買い入れが実施されまして、生糸価格の買い支えが行われたわけです。これは実に八年ぶりのことでありました。ちなみに、生糸価格については、平成五年八月以降、不況のもとでの需要の減退、円高等を要因とする絹製品輸入急増輸出国価格引き下げ等から安定基準価格を下回っていたところでありました。ことしに入りまして、取引の指標となります二月十九日の標準値が一キロ七千九百円と、前週末に比べ百三十円上昇し、一昨年の平成六年六月以来一年八カ月ぶり高値をつけたと報じられているのであります。国際相場リヨン相場と申しまして、三十ドル、三千三百円でございます。  したがいまして、生糸産業の原料といたします絹織物業者にとりましては、このような高値はとてもたまったものではないということで悲鳴を上げているところであります。生糸価格形成制度運用に当たっては絹織物業者にも配慮をすべきなのではないでしょうか。絹業者が存在してこそ養蚕農家絹糸業者もあるというふうに理解いたします。
  10. 高木賢

    政府委員高木賢君) 御指摘のように、絹業蚕糸業製品納入先でございまして、養蚕業にとりましても絹業振興が図られるということは重要なことだというふうに考えております。  こういう観点から、大きく三つの分野で配慮した措置考えてきたところでございます。  一つは、安定基準価格、これを平成五年度には一万四百円でありましたものを六年度は八千四百円、七年度は七千二百円ということで引き下げてまいりました。一方、いわゆる実需者輸入制度がございますが、この輸入枠につきましては、平成五年に二万四千俵という枠を平成六年度には二万八千俵、平成七年度には三万俵ということで配置設定をいたしております。それから、絹業の側からこれまで協力金あるいは手数料というものをいただいてまいりました。これが平成六年度千百五十円でございました。制度が変わりまして、平成七年度は輸入糸調整金ということになりましたけれども、これは千円ということにいたしております。このように、絹業経営にも配慮して制度を運営しているところでございます。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 これまで、円高等を背景として洋装品を中心とした絹製品輸入急増しております。さらに一時期、絹偽装二次製品輸入急増し、絹織物国内需要悪影響を及ぼしてきたと言われております。  年間の絹等需要量を見ますと、平成六年では四十四万俵であり、このうち国産生糸は六万五千俵にすぎません。輸入生糸輸入絹糸が合計六万二千俵、残り三十万俵以上は輸入絹織物輸入二次製品が占めているのであります。特に絹二次製品平成五年に比べ五割近くも増加しております。絹市場そのものは拡大しておりまして、日本は世界の絹消費量の四分の一を占め、絹の大消費国となっているのであります。  そこで、最近における絹偽装二次製品輸入実態について通産省にお伺いしたいのであります。  また、絹偽装二次製品の取り締まりに当たっての基本的な考え方、対応についてもお伺いをしたいと思います。
  12. 稲葉健次

    説明員稲葉健次君) 先生の御質問に対してお答えをしたいと思います。  昭和四十九年に生糸一元輸入制度が実施されたことに伴いまして、その後、昭和五十一年以降、絹糸及び絹織物の主要な対日輸出国でございます中国及び韓国との間で二国間協議を実施してきております。年度ごと輸入数量を設定いたしまして、具体的には輸入貿易管理令あるいは輸出入取引法に基づく管理を行ってきたところでございます。  しかしながら、最近、実質的には絹織物でありながら二次製品と偽って脱法的に輸入を行うケースが頻発するような事態が見られたわけでございます。こうした事態に対しまして、私ども通産省といたしましては、平成六年の四月から事前確認制という管理制度をとっておったわけですが、この対象範囲を拡大いたしましたり、あるいは制度運用強化することによりまして、こうした悪質な脱法的輸入を防止することとしたわけでございます。  私どもとしましては、今後ともこの制度を厳格に運用をいたしまして、絹製品輸入につきましては、我が国絹織物産業の健全な発展を図る上で支障を与えることのないよう取り計らっていきたいと考えております。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 皆様承知のように、北陸の福井県の経済繊維や眼鏡など中小企業に支えられた地場産業が特色となっております。繊維は明治以来、絹、人絹、合繊主力素材が変わりながら、近年、合繊メーカーと共同開発した新合繊で一世を風靡しているのであります。しかし、円高アジア諸国の追い上げの中で、必死の活路を見出しいる状況であります。  ところで、県内絹織物生産高を見ますと減少傾向にあり、平成七年を見ても、平成六年に比べ一六%の減となっております。また、生糸消費量減少しているのであります。  県内絹織物業者からは、こうした状況を反映して、高値生糸価格アジア諸国からの絹織物等輸入急増を招き、海外との競合の中で日々生き残りをかけた厳しい経営を強いられているとの声が大きくなっているのであります。  丹後、西陣、石川県、新潟、その他絹織物業が盛んなところはございますが、この絹業者自分たちは決して滅び行く産業ではない、同じ競争の場に立たせてもらって割安な生糸が、東南アジアよりも高くてもいいけれども、割安な生糸が入手さえできれば十分にやっていかれるという気概を持っているのであります。  生糸についてはガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意により、今年度から関税化が実施されておりますが、ことし四月からこの七・五%の現行生糸の一次関税率が廃止されることとなっております。そこで、まず、この措置を講ずることとした理由、その効果等について政府伺いたい。  次に、輸入に際して徴収される調整金蚕糸業振興資金に充当されております。絹織物業界からは、調整金、現在千円でございますが、引き下げ要望の声がありますが、調整金の金額のあり方について政府考え伺いたい。  さらに、実需者輸入分現行の三万俵から、例えば五万俵に増枠することによりまして、生糸生活のなりわいのもととしております織物業者には目いっぱいの実需者輸入分が渡るということにすれば、また調整金総額自体もふえることになりまして、これを積極的に活用していくべきではないかとの意見もあるわけでありますが、政府の見解を伺いたいと思います。
  14. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず、お尋ねの第一番目の生糸の一次関税率を廃止する理由効果ということでございます。  今お話しのありましたように、絹織物需要が近年減少しております。また、絹製品輸入急増しておるという中で、絹織物国内生産量企業数減少傾向で推移しているということは御指摘のとおりであろうと思います。今回の関税の撤廃はこのような状況に対処するものでございます。我が国絹業のいわば競争力強化、コストダウンに資するとともに、蚕糸業製品納入先であります我が国絹業経営改善を通じて国産生糸に対する需要確保にもつながるものと考えております。  それから、二番目の輸入糸調整金決定考え方でございます。実需者輸入に関します輸入糸調整金は、まず第一番目にはやはり何といっても生糸の時価に悪影響を及ぼさないということからの考えでございます。それからもう一つは、一方では絹業に過度な負担を課することにならないという二つ考え方基本にいたしまして、その時々の国内糸価動向などを勘案して決定する、こういう考え方でございます。今後ともこのような考え方のもとに適切に決定してまいりたいというふうに考えております。  それから、三番目に実需者輸入分の枠をふやすということについてのお尋ねでございました。例えば五万俵ということを言われましたけれども輸入生糸によって需給均衡が損なわれるということになりますと、生糸価格が大幅に下落をする、養蚕業が大きな打撃を受けるということに相なります。例えばというお話ではございましたが、例えば五万俵というような大きな数字我が国生糸需給状況から見ますと大変過大な数字ではないかというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、実需者輸入につきましては、国内生糸需給状況を十分踏まえて適正に決定していく必要がある、このように考えております。
  15. 松村龍二

    松村龍二君 大臣絹業者があって初めて日本養蚕業もあるという観点から、ただいまの質問につきましてよろしく御理解を賜りたい。何か一言御発言いただければありがたいんですけれども
  16. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 絹業あって蚕さん、生糸さんがあるわけでございまして、また蚕さん、生糸さんがなければ絹業もない、こういった持ちつ持たれつの関係が今日までいろいろの決定の際に十分配慮されてきたものと私は認識しております。今委員指摘のように、現在の絹業の厳しさ等々を考えますと、委員の御意見のとおり、今後ともその施策には、局長からも申しましたが、いろいろ障害はあると思いますけれども、やはりそのための施策を怠らずに前向きに対応していきたい、かように考えております。
  17. 常田享詳

    常田享詳君 平成会常田享詳でございます。  昨日の農林水産大臣所信表明に基づきまして、住専問題そして国連海洋法条約問題等についてお尋ねをしたいと思っております。  最初に住専問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨日の所信表明の中で、農林水産大臣は、母体行が責任を持って処理すべきであると主張してきたというふうに述べられているわけであります。  ところが、農林水産大臣は、同じ所信表明の中で、系統負担系統体力等から見てぎりぎりであるというようなことも述べられているのであります。  そもそも住専問題の本質は住専の経営問題であり、そうした本質経緯等を踏まえて系統負担金融システムの安定のための資金贈与という協力であると位置づけられていたのではないかと思うのでありますけれども、改めてこのあたりと所信表明と食い違っているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  18. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 食い違っているとすれば、私の説明が悪かったのでございまして、これは今までも各委員会でお答えしたことでありますが、今回の事件の発端は、やはり母体行という以上はお母さんでございまして、その子供の面倒を見ないでそれをほうり出すということは筋違いでございます。したがって、その経営の内容、さらにまた人事面、今日までいささかも関係を持っていない農林系がその第一義的責任を問われるということは私はナンセンスだと思うんです。そういう意味で、今日まで、前大臣から引き継ぎもございましたが、一貫して母体行責任を主張してきたところでございます。  しかしながら、過般の予算編成の際にいろいろ経緯があったことでございましょう。農林系も何らかの負担をするようにという与党プロジェクトチーム並びに与党調整会議の経緯もこれあり、それならば、貸し手責任とは申しませんけれども、それに資金を贈与してきたある程度の責任もある。その調整の中では責任ということは言っておりませんが、協力をいたしましょうということで、贈与という形で五千三百億円を提供するということになったわけでございます。  委員承知のとおり、その五千三百億円が系統にいかなる負担を与えるかということになりますと、これは大変な負担でございまして、簡単に申しますと、四十七信連の中で経常利益で約三十の信連が赤字になると。こういったていの重い負担でございまして、我々としては、いわゆる内閣一体原則でそういう方針になれば涙をのんでこの負担をせざるを得ない、こういう決断をいたしたのが五千三百億円でございます。
  19. 常田享詳

    常田享詳君 ただいまの御答弁で、当初からの協力という位置づけは変わらないということをお聞きいたしましたので、次に進まさせていただきます。  住専問題に関する今国会の論議におきましても、母体行の住専を利用した不良債権減らし等、紹介責任等に限らず、母体行の責任が明らかにされているところでありますが、本来、財政資金の投入の要否の論議の前に、そうした責任の所在を明確にする必要があったのではないかと。  実は、私は昨年の臨時国会もこの農林水産常任委員会で、公的資金を導入するということが言われているけれども、それであれば大蔵省は母体行が紹介融資をした先のリスト等、できるだけのディスクロージャーをしない限り国民の理解は得られないということを申し上げたのでありますが、守秘義務等云々でのらりくらり逃げられたわけであります。案の定、今六千八百五十億円の公的資金を導入するということに対して、余りにも今までディスクロージャーされていないために、国民の怒りは今頂点に達しているわけであります。  そういうことを考えましたときに、私は、そういう今申し上げたような手順を踏んでおれば、母体行の責任等が明確になって財政資金の投入も不要になったのではないかというふうに考えるわけであります。そのあたりについては、農林水産大臣としてはどのような御見解をお持ちでありましょうか。
  20. 大原一三

    国務大臣大原一三君) これにつきましては、もう既に委員先刻御承知と思いますけれども、各種の折衝過程があったわけでございます。  野呂田前大臣からの引き継ぎによれば、母体行責任を我々としては一貫して主張してきたと。その間いろいろの金額の提示もあったようでございますけれども、我々の負担はあくまでもゼロだという折衝をしてまいったにかかわらず、最後の段階で公的資金の投入、極めて残念なことであるが、こういう結果になったと。内閣としては、このスキームを内閣全体の責任で決めるんだからということであったそうでございますが、六千八百五十億円の公的資金を投入せよということは、我が農林サイドからはいささかも主張した覚えはないということを大臣から聞いております。
  21. 常田享詳

    常田享詳君 それでは次に、大蔵省が住専問題にかかる財政資金は農協救済との説明をしているとも聞いておりますが、このことについて農水省として確認しておられるのかどうか。  また、政府・与党は公式に農協救済ではないと説明する一方で、一部幹部や大蔵省が公式見解と異なる発言をしているとの報道がありますが、このことについての農水省の御見解を承りたいと思います。
  22. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今、大臣からもお答え申し上げましたとおり、今回の処理スキームというのは、あくまでも我が国金融システムの安定を図るという観点に立ちまして、景気を本格的な軌道に乗せると、そういうねらいを持って行われたものということでございますし、そういう意味で、農協系統の金融機関の救済とかあるいは負担軽減のものではないということにつきましては、総理大臣、大蔵大臣それから農水大臣からも繰り返し御説明を申し上げているところでございます。  したがいまして、先ほど御質問がございましたような大蔵省の発言につきまして、私どもとしては了知をしていないわけでございますし、大蔵省の方も、聞かれました際に、それは大蔵省としてそういうことを申し上げたということではないということを言っておりましたので、私どももそうであろうというふうに思います。  しかしながら、この経緯の中でさまざまに、例えば系統のためのものではないかというような御議論があったりして、そういう意味でかえって混乱を来すようなことではいけませんので、私どもとして、政府として、きちんと従来から総理大臣、大蔵大臣、農水大臣が御答弁になっているとおり、きちっとした対応をすべきだというふうに私ども思っております。
  23. 常田享詳

    常田享詳君 六千八百五十億は農協救済のためではないということがはっきりいたしましたので。  ただ、一部幹部、また、いろいろな政治家の方々の発言で大変気になることがあります。それで具体的に一つお聞きしておきたいのでありますが、もしこのことについて農林水産大臣御存じのことがありましたらお答えをいただきたいと思います。  二十一日の時事通信で、住専問題で自民党の加藤紘一幹事長は、二十一日午前、都内で開かれた全電通中央委員会であいさつし、住宅金融専門会社問題に関連して、十分な担保もなく五兆円も貸した農協も組織の傷つく農協が出てくると思うし、各信連はつぶれるのがほとんどで、そうすべきだと述べ、信用農協連合会の大半が倒産するのもやむを得ないとの認識を明らかにしたというふうに報じられ、全国に発信されましたけれども、これについて何かお聞きになっていることがありましたら御願いします。
  24. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私はその加藤発言なるものを熟知していないわけでございますが、ある新聞によりますと、加藤幹事長は今回の処理はむしろ母体行が全面的に責任を負うべきであるという発言もどこかでされていたのではないのかなと記憶しております。どこでおっしゃったか知りませんが、委員指摘の今の発言は、私が会いましたら、取り消してもらいたいと、こう私は申し上げたいと思います。
  25. 常田享詳

    常田享詳君 住専問題の論議はこれから当委員会で重ねられることと思いますので、きょうは昨日の農林水産大臣所信表明についてということでありますので、次に、国連海洋法条約の問題について伺います。  私も鳥取県でありまして、竹島にすぐ近い境港を抱えておりまして、大変深刻な問題として受けとめております。そういう意味でお尋ねをさせていただきたいと思います。  水産王国と言われた日本が今や世界最大の水産物輸入国になってしまったわけであります。ほとんどの先進主要国で漁獲量の総量規制がなされ管理型漁業が定着しているのに、日本ではいまだに実施されていないわけであります。今まさに私は国連海洋法条約の批准、承認が急務であるというふうに考えております。そこで、我が国としてはいつまでに海洋法条約を批准する方針なのか、まずお伺いいたしたいと思います。  あわせてでありますけれども、この条約を批准いたしますと、現在の日中、日韓の既に結ばれている漁業協定との整合性が図られなければならないというふうに思うわけでありますけれども、このことについてどのように考えておられるのか。  といいますのは、ここで排他的経済水域の全面設定、全面適用ということになりますと、我が国が一九七七年、漁業水域二百海里を設定したときに、日韓及び日中漁業協定に留意し東経百三十五度以西の日本海、黄海及び東シナ海には設定せず、韓国、中国に対しては適用を除外しているわけであります。また、両国との漁業協定において、その取り締まりについては旗国主義をとっているため、韓国、中国漁船による我が国漁業水域内における乱獲に対しては有効な取り締まりができない状況にあるわけであります。こういった点との整合性をどのように図っていかれるおつもりなのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
  26. 東久雄

    政府委員(東久雄君) まず最初に、手続的なものといいますか、いつまでの批准を求めるかということだけ私の方から答えさせていただいて、あとの全面設定、全面適用の問題と、韓国、中国との問題は大臣の方からということで。  まず先日、二月二十日に閣議了解をいたしまして今政府部内で準備をしておるわけでございますが、これは九四年十一月に国連海洋法条約が正式に発効、効力を持つようになったときに、当時の外務大臣から談話を発表いたしまして、この通常国会に承認をいただくように政府部内で準備していくということでございました。それを受けて、この通常国会で御承認をいただくべく先日二月の二十日に閣議了解をいたしております。これは、政府はその早期締結を目指して所要の準備を進めるということでございますが、この国会で批准、承認をいただくべくスケジュールを考えていきたいということでございます。  あと二点につきましては大臣から。
  27. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員日本海側でこの問題については大変な御関心をお持ちと思いますが、排他的経済水域については、今も水産庁長官から話がありましたように、閣議了解においてこれを設定する方針を明らかにしたところでございます。  せんだっても大臣室に漁業関係者が大挙して来られまして、全面適用、全面実施ということを強く要請がございました。我々農林水産省といたしましても、これらの要望を踏まえて、これから始まるであろう日韓、日中の漁業交渉において、幸いに韓国サイドも中国サイドも今回は二百海里の問題については国会批准をしたいという対応にあるようでございますので、我々はこれを前向きにとらえて、できるだけ漁民の皆さん方の要望に沿うよう努力をしてまいる所存でございます。
  28. 常田享詳

    常田享詳君 日本海側で見ておりましても、例えば韓国漁船等のやりようは本当に目に余るものがございまして、漁業資源保全のためには、韓国、中国漁船の悪質な操業をやめさせることが必要であります。このためには、二百海里漁業水域を早く設定しなければならない。そして、排他的経済水域の全面設定、全面適用をしなければならないというふうに考えております。今農林水産大臣から大変力強い御答弁をいただきました。ぜひともこのことにつきまして実現をお願い申し上げたいと思っております。  次の質問でありますけれども、排他的経済水域を設定する場合でありますけれども、近隣諸国との領土問題が発生するわけであります。これらをどのように処理されるおつもりであるか、お尋ねをしたいと思います。  排他的経済水域、EEZを設定すると、竹島については日韓双方が領有権を主張しているわけでありまして、双方が竹島を基線としてEEZを引いた場合、広大な水域が重複することとなるわけであります。また、尖閣列島におきましては、日中、台湾も領有権を主張しておりまして、さらに大陸棚の扱いについて、我が国中国側からの大陸棚は日本の境界線で分割されるとしておりますけれども、一方中国側は沖縄まで及ぶ大陸棚に権利が及ぶというふうにしているわけであります。  こういった点、領土問題に対してどのように対処されるのか。  また、閣議決定では漁業協定を改定するとされておりますけれども、領土問題とこの漁業協定の改定についていかに調整、統合されるおつもりなのか。一部には、北方領土方式を採用するとの考えが外務省にあるという報道がなされております。境界線画定の基準は何なのか。韓国、中国間では中間線となるのかどうなのか、お考えをお聞きしておきたいと思います。
  29. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今、竹島問題の御指摘があったわけでございますが、竹島については、外務大臣が明確に予算委員会でも答えております。  竹島については、我が国は従来から一貫して、歴史的な観点から見ても国際法上から見ても我が国の領土であるという立場を堅持するということでございますから、二百海里の線引きに際しても、まずは我々の立場はそういう考え方で線引きを行うということに相なろうと思います。  中国についても、恐らく同じような形で線引きをするということに相なろうと確信しております。
  30. 東久雄

    政府委員(東久雄君) その他のちょっと細かい点につきまして説明させていただきます。  まず、今回の国連海洋法条約によるいわゆる排他的経済水域の設定方法でございますが、この海洋法条約の中では、沿岸国が二百海里を越えない範囲内で設定することが認められておりまして、隣国との間でその二百海里同士が重なり合うときには協議を行った上で設定するということになっております。  先ほど中間線というお話がございました。これは今の暫定措置法による一九七七年に設定しました漁業水域のときに中間線という形でロシアとの間の線を引いておるということはございますが、この国連海洋法条約の中に明確に中間線という考え方が示されているわけではなく、協議によって公平になるように引きなさいということになっておりますので、その点が中国、韓国との話し合いの焦点になるところでございます。これはそういう形で引かれていくものというふうに考えております。
  31. 常田享詳

    常田享詳君 それでは次に、TACの問題についてお尋ねいたします。TAC、すなわち漁獲可能量制度導入に当たっての問題であります。  海洋法条約では、沿岸国がEEZ、いわゆる排他的経済水域を設定した場合、その水域における漁獲可能量を定めることが義務づけられているわけであります。また、沿岸国はEEZにおける自国の漁獲能力を定め、TACの余剰については他国の漁獲を認めることとしているわけであります。  そこで、TACについてでありますけれども、まず第一に、適正なTACの設定、資源調査、研究体制の整備、社会経済的要因の勘案等。二番目に、適正なTACの配分、漁業関係者、都道府県の意見の反映等。三番目に、実効ある管理を行うための体制整備、正確な漁獲実績の把握、取り締まり体制、運用程度。四番目に、漁獲努力量の調整に伴い減船が必要となった場合の補償。五番目に、外国漁船、特に現在我が国漁業水域で操業を行っているロシア、韓国、中国の取り扱い。こういった点が問題点として浮上してくるわけであります。  時間の関係上、この中の三番、実効ある管理を行うための体制整備、四番、漁獲努力量の調整に伴い減船が必要となった場合の補償、五番、外国漁船、特に現在我が国漁業水域で操業を行っているロシア、韓国、中国の取り扱い、このあたりについてお聞きしておきたいと思います。
  32. 東久雄

    政府委員(東久雄君) ちょっと技術的にわたる問題もございますので、私の方から答えさせていただきます。  TAC、いわゆる漁獲可能量、トータル・アローアブル・キャッチの略でございます。TACと称しております。このTACの管理のあり方につきましては、漁業の関係者等にお集まりいただいて、約三カ月かげてどういうふうな体制をとるかという取りまとめをさせていただいております。これを基本にして我々は今後やっていかなければならないと思っております。  まずその体制でございますが、この実効を確保するためには漁獲量の把握ということが必要でございまして、それは船からの報告を取りまとめるというようなこと、それも迅速にやるシステムを確立するということ、それから水揚げ港での統計を整理するということ、これらの方向に沿って、このTACの実効はもう少し時間がかかりますので、八年度の予算の中でもその措置をお願いしておるところでございます。  それから、十分な取り締まりが必要である、この点も御指摘のとおりでございまして、海上保安庁等ともお話をいたしておりますし、我が方の船、いわゆる取り締まり船を中心にした形での十分な取り締まりというような体制というものも必要だと考えております。  それから、このTACそのものをどういうふうに実効していくかということでございますが、これは数量的な管理でございますので、その漁獲量を超えないようにということで、まず漁獲実績の公表でございますとか漁業者に対する指導、助言というようなところから始めて、最終的には採捕禁止措置まで踏み込めというのが先ほど申し上げました研究会での報告でございまして、そういうものを踏まえながら、我々現在政府部内で、これは各省との関係もあるものでございますから、現在検討中でございます。これが第一の御質問の体制の問題でございます。  それから、減船ということの問題でございますが、漁獲可能量は先ほど先生指摘のとおり、生物・科学的な資源状況を基礎として、漁業経営に与える影響等、社会的、経済的要因を考慮した上で決めるという形でやれるように国連海洋法条約上なっておりまして、それはやはり社会に大きなショックを与えないように導入していきなさいよということでございます。  したがいまして、私たちはこういうことで漁業者の経営上大きな影響は受けないようにというような方向関係も、いろいろな方から意見を聞きながら、そこで配慮しながら決めていかなければならぬというふうに考えておりまして、端的な言い方で言いますと、直ちに直接大幅な減船というような形にはならないことになるのではなかろうかと考えております。ただ、漁業者のそれぞれの御意見というようなものもございますので、十分それらを聞いて決めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。  次に、外国漁船との関係でございますが、これは前に国連海洋法条約の議論の過程で日本側が逆に要求した、要するにアメリカ、ロシア水域から追い出されるようなことのないようにということで歴史的な経緯での、いわゆる漁業をやっている国に対しての配慮というものが決議としてついておりまして、これらに対する配慮というものをやった上でやっていきなさいよと、余り急激な経済的ショックにならぬようにというようなことが述べられております。  これらのことからいたしましても、やはり今御指摘のロシアとの相互入漁という形での現在のシステムもございます。こういうようなことも勘案しながら、これは相手国との交渉事になるというふうに考えております。  それから、そういう形での外国船の取り扱いでございますが、先ほど言いましたTACの中には、外国船がもしとるといたしましてもその量は当然入ってまいりまして、それでその枠内でやる外国船の漁業につきましては、当然外国船につきましても規制の対象にしていかないと、このTACの管理のシステムが働かないことになるということを御説明させていただきたいと思います。
  33. 常田享詳

    常田享詳君 減船の問題でありますけれども、当然そういうケースも考えられるわけですね。  減船につきましては、従来から減船した漁業者に対しては不要漁船の処理費用を交付するとか、共補償費用を借り入れた残存漁業者に対して助成金を交付する等の処置が講じられているわけです。そこで、今回の場合は海洋法条約の批准ということになって、それに伴うそういう事態が発生した場合は、極めて特殊なケースでありますから、減船について従来より手厚い補助が行われる必要があると私は思うわけであります。このことを強く要望しておきたいというふうに思っております。  最後に、農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。  実は、さきの臨時国会のときにも農林水産大臣に、その際は私はレスター・R・ブラウンの「飢餓の世紀」という本を引用して、世界の人口増と食糧危機の問題、その国の国民を食糧危機から救うことができるのはその国の政府だけなんだと、よその国の政府は助けてくれないんだということで、農林水産大臣の決意をお伺いし、大変強い決意をお述べいただいたわけであります。  今回、実は新大臣お尋ねしたいのは、ここに東京大学の荏開津典生先生がお書きになった、大臣もお読みになったかと思います、「こころ豊かなれ 日本農業新論」という本がございます。昨年の十月発行のものであります。  一九九三年、いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドの締結そしてミニマムアクセスというようなことで、大変日本の米を取り巻く状況、農業を取り巻く状況ががらっと変わったわけでありますけれども、そういう中で私が一番今心配しておりますのは中山間地の問題なんです。この荏開津先生の本の中にも「ガット農業合意と中山間農業」という章がございまして、その中に、  農業の競争力国内のすべての生産者に一律に備わっているわけではない。コストの高い地域もあれば、コストの低い地域もある。自然力を利用する農業では、このような地域差を避けることができないのである。ここに、農業合意を受けて、あらためて中山間地域の農業問題がクローズアップされている理由がある。 というふうに述べておられます。  とりわけ農産物価格の抑制が中山間農業に打撃を与えることは、充分に予想されるところである。その意味では、二〇〇〇年を待たずして、中山間農業はいままさに正念場にさしかかっているといってもよい。さらに、二〇〇〇年以降も関税障壁の引き下げ措置が続くとすれば、最初に外国農産物との競争の矢面に立つのは中山間農業であるとみなければならない。 というようなことを述べておられます。  ところが、実は今申し上げましたガット・ウルグアイ・ラウンドが締結された当初、農水省は、ここにもそのときの報道がございますけれども、大変積極的に中山間地対策に乗り出そうとしたわけであります。そして日本型デカップリング等の検討にも入ったわけでありますが、最近これが私の見たところ、農水省、非常に消極的になっているとしか思えないわけであります。今、私の言っておりますことが取り越し苦労なのか。この中山間地、条件不利益地域というものが日本の四〇%を占めているわけです。環境の問題、国土の保全の問題、日本の文化を守る、そういった意味からも守っていかなければならない中山間地というものに対して、デカップリングということを改めてもう一回論議をしていただくこと等も含めて、農林水産大臣の強い御決意を承って、質問を終わりたいと思います。
  34. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員指摘のとおり、四二%という中山間地の農家並びに生産というものは、我が農林業にとっては無視できない大きなウエートを占めております。そしてまた、役割を果たしていただいているわけであります。  私も、委員指摘のデカップリングというものにつきましても、自民党の農政の中でいろいろ議論をしてきましたし、非常に私はいい制度だなと思って、実は衆議院の農林水産委員長でたまたま委員会で出張ができまして、外国のフランス、ドイツ等々で、その問題について委員の皆さん方も関心をお持ちでございましたので調べて帰ったのでございます。ところが、実際にこれらの中山間地で皆さんがいただいている所得補償はいかにも金額が多くないんですね。果たしてこれで中山間地につなぎとめる、引きとめ薬になっているのかな、引きとめ役になっているのかな、そういう疑問を実は持って帰ったところであります。  私も非常に魅力のある制度だなと最初そういう気持ちで飛びついたのでございますが、私が農林省に来てそれを聞きますと、農政審議会でいろいろ検討したと、だがまだ時期尚早ではないのかなと、さらにもう少し今後対応に積極的に取り組んで勉強していく必要がある、こういう私は事務局の報告を受けました。  先生のそういうお気持ち、非常に私も理解できる一人でありますので、なおこの問題については前向きに勉強を重ねていくという姿勢をとり続けたい、こう思っております。
  35. 常田享詳

    常田享詳君 ありがとうございました。  中山間地の問題、お気持ちよくわかりましたけれども、先ほどこの本を引用して申し上げましたように、二〇〇〇年まで待っていられない。例えば私の県なんかは七〇%以上が中山間地でありますけれども、まさに今もう集落は過疎じゃないんですよね、崩壊なんです。集落がもう崩壊していっている状況でありまして、そういうことから見ますと、本当に一年手をこまねいていればどれだけの集落が崩壊していくのかという危機感を持っております。  そういうことで、今強い意欲を示していただきましたように、中山間地問題ぜひとも農水省を挙げて積極的にもう一回取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間でございます。引き続きまして、大臣に御質問させていただきます。  さきごろ食料需給表の平成六年度速報が発表になりました。国民一人一日当たりの供給熱量は対前年比〇・三%ふえた、二千六百二十六・六キロカロリーと、ここ十年ほど安定しておるわけですが、穀類の供給熱量は統計史上初めて千キロカロリーを割り込んだと。  これはやっぱり国民の米離れが最大の原因であることは明らかなんですが、米の消費拡大方策について、資料をきのういただきましたが、予算も四十八億と前年度と八年度が変わらない。本当に真剣になって、新しいことを含めてやっていこうとしているのかどうか。これをきちっと踏まえて答弁をお願いしたいのでございます。
  37. 高橋政行

    政府委員高橋政行君) ただいま先生からお話がございましたように、米の消費拡大につきましては、特に健康面からも、栄養バランスにすぐれた日本型食生活を進めていくという意味からも、また米の需給均衡に資するというようなことからも重要であるというふうに我々そのところはしっかり認識をいたしまして、この消費拡大対策を進めているところでございます。  確かに予算につきましては、前年度四十八億、八年度四十八億ということでふえてはおらないわけでございますが、我々この事業の性格上からも、やはり地道に継続的に消費者に働きかけて啓蒙、普及をしていくことが必要であるというふうに思っております。したがいまして、それぞれの年におきましてもいろいろ事業内容に工夫も加えながら取り組んでいるところでございます。  特に最近では、お医者さんとか栄養士の皆さん方の中で、どちらかというとお米を食べるとかえってよくないんだというようなことを言われる方もいらっしゃるわけでございますので、やはり医師とか栄養士、そういった皆さん方と協力して、特に医師会あるいは栄養士会、そういうようなところとも協力をいたしまして栄養知識の普及、啓発を図るということに力を入れる。あるいは将来の米の消費の担い手は子供でございますので、やはり子供の方々に米の体験を通じたお米とかあるいは御飯食を親しませる事業とかを行う。  特に、来年度におきましては生産者団体とか販売業者、御飯食をとります関連団体、御飯食をとります関連団体といいますのは、例えばつくだ煮屋さんは御飯がないと成り立っていかないというようなことでございますので、つくだ煮屋さんとかノリ屋さんとかあるいはお魚屋さん、そういう人たちとのネットワークもつくりまして、そういう人たちと一緒になっていろんなイベントなどを開催しながら食の推進を進める。  そういうようなことで、我々内容的にもいろんな工夫を加えながら、ただいま先生からお話がございましたように、この米消費拡大対策の重要性を十分頭に置きながら、今後とも積極的に推進をしていきたい、このように思っております。
  38. 風間昶

    ○風間昶君 私の子供も二年生ですが、小学校で直径十五センチぐらいのプラスチックの鉢に米づくりを何かクラス全員でやっていて、またそれを楽しみにしながら見ているという状況であります。今のお話ですと、要するにいろいろ働きかけてやっているということなんだけれども、実は私自身もけさ、きのうの残りの御飯をちょっと食べてきたんですが、農水大臣はけさ御飯を食べてきたんですか。
  39. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私は、実は朝飯を食べぬ習慣でございまして、昼は米、夜は米であります。
  40. 風間昶

    ○風間昶君 それは極めて不健康な話でありまして、朝昼兼用で恐らく食べられるんでしょうけれども、忙しい公務の中でありますけれども、ぜひ朝は米でなくても食べていかないと、ちょっと将来的に大臣自身の健康にかかわる問題にこれはなってまいりますので。事ほどさように食べられる方も食べられない方もいるわけです。  そういう意味では、これは本当に農家の方々が一生懸命になってつくってもどこに行っているのかわからないと、自分がつくったものが大事に食べてもらっているんだろうかという話を昔子供のころによく聞いたことがありますけれども、やれやれどんどんと言っている人たちが食べないということは、これはいかがなものかというふうに思いますので、ぜひ大臣、朝食べなくてもとにかく米を食べるという姿を国民の前に見せていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  次に、輸入食糧は年々ふえているわけでありますけれども、あわせて輸入食糧の安全性についてもやっぱりそれなりに不安の声が出ておるわけです。我が国はJASがありますけれども、国際食品規格、コーデックスのJASへの採用にかかわる問題といたしましてどのようなものが今浮上してきているのか、一点伺いたい。  それからもう一点は、資料をいただきましたが、来月の三月五日から八日までFAO・WHO合同食品規格委員会の第十回アジア地域調整委員会、いわゆるコーデックスのアジア地域調整部会が東京ですか、日本でとにかく開かれるというふうに聞いていますが、どのようなことが議題の中心になっているのか。また、ホストとしての日本がどういう報告をするのか。  三点目は、コーデックスのJASへの採用にかかわることで浮上してきた問題点、それからコーデックスの部分での議題と我が国の報告内容も含めてお伺いしたいと思います。
  41. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 初めに、コーデックスとJASとの整合化の問題についてお答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、現在のWTO協定のもとでは、その一部を構成しておりますいわゆる貿易の技術的障害に関する協定、TBT協定と言っておりますが、あるいはSPS協定、こういったものに基づきまして、各加盟国は、国内における食品の規格、表示あるいはその格付等の手続に関しては国際貿易の障害にならないように運用していく、そのために具体的な規格を定める際は国際規格を基礎としたものにする、そういうことが義務づけられているわけでございます。  もちろん、国際規格と完全に一〇〇%一致するかどうかということについては、それぞれの国の固有の事情がございますから、合理的な範囲内では部分的に基準を採用するということもあるわけでございますが、基本はやはりこういう体制のもとでできる限り整合化を図っていくべきものというのが私どもの立場でございます。  このため、農林水産省といたしましては、JASの規格に関しましては、制定、改正を行う都度、現行規格あるいは新しい規格については、それに照応する国際規格でございますいわゆるコーデックス、これとの関係を十分検証し、可能な限り整合化を図っていく、いろいろ関係者のお話等を聞きながら進めてまいりたいというふうに思っております。  実は、現在、JASの規格が定められていて、他方、それに対応するコーデックスの規格というものがございますのが、JAS規格から見ますと七十九規格がございます。実は、このうちの六十三規格は、一部、部分的にはコーデックス規格とも整合しているわけでございますが、整合していない部分がある、こういう状況でございますので、逐次ただいま言ったような手続の中で国際規格に適合させるべく努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから第二点目の、コーデックスのアジア地域調整委員会の問題でございます。  本年三月五日から八日まで、東京でたまたまこの地域委員会が開催されるということに相なっております。このアジア地域の調整委員会は、コーデックス、グローバルな意味での機関の下部組織と申しましょうか、地域機関という位置づけでございまして、コーデックス規格に関するアジア特有の問題についての意見調整なり、アジア諸国の食品に関する情報の収集とか交換、こういったことを主たる目的として設けられている委員会でございます。  今回の会合におきましては、具体的な話としては、アジア地域を中心に流通しております食品でありますタケノコの缶詰であるとか漬物とか数品目の規格をグローバルな委員会から委託を受けてその内容を調整、決定する、こういう仕事を行うほか、食品規制及び食品安全問題に関するFAOとかWHOからの情報提供あるいは各国からの報告が行われることになっております。  私どもといたしましても、厚生省ともどもこの会議に積極的に臨み、特に食品の規格に関しましては、我が国におきます食品の実情というものが十分反映されるような形でこの食品の規格を作成する作業に参加してまいりたい、こういうふうに思っております。
  42. 風間昶

    ○風間昶君 一般の消費者団体からの参加もあるというふうに聞いておりますので、ぜひ成功裏に終わるように期待申し上げたいと思います。  次に、PL法、それから容器包装リサイクル法が施行になってまだ日が浅いわけでありますけれども、食品産業や農業そのものも安全で地球に優しいものであることが求められているわけで、この両法の施行によって食品産業、農業分野での問題が出てくるかどうかということが議論になると思います。  PL法とそれから容器包装リサイクル法、それぞれについての食品産業あるいは農業分野での問題点、課題、これをきちっとお答え願い、なおかつその問題点に対してどういうふうにしていくのかということも含めて御答弁いただきたいと思います。
  43. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) まず初めに、二つの法制度と農業との関係について御説明申し上げますと、いわゆる製造物責任法、PL法におきましては、この製造物責任の対象というものは、御承知のとおり、製造または加工された動産というふうに定義をされておりまして、いわゆる未加工の農林水産物は対象から除外される。そういう意味で、一番根っこのまさに作物を育てておられる農家そのものというものが対象になる局面は極めて少ないものというふうに思われます。ただ、もちろん農家あるいは農業団体、農家集団等が加工とかそういう過程を経れば当然この法律の対象になる、こういうことがございます。  それからもう一つの、容器包装リサイクル法につきましては、実はこの法律に基づいて、再商品化義務というふうに言っておりますが、経費的等の義務を負います事業者というのは、一定の中小企業者については対象外とする、そういう規定がございます。具体的には、製造業で申しますと、常時使用従業者数が二十人以下であって年商売上高が二億四千万円以下の者は適用除外となるということでございますので、この法律につきましてもいわゆる通常の農業者というものは法の対象にはならない、こういうふうに理解をしております。  ただ、先ほど申しました農民団体等も含めまして、食品産業全体ということでは大変大きな影響というか、かかわりがあるのは御指摘のとおりでございます。  まず、PL法に関しましては、昨年七月一日にこの法律は施行されました。この法律の趣旨に沿って、食品産業界全体としてやはり消費者被害の未然あるいは再発防止、あるいは被害者救済のため一層取り組みの充実が求められている、こういうことだろうと思っております。  このため、農林水産省といたしましては、関係者に対してこの法制度の普及、浸透に努めるとともに、特に各個別の事業者がPL法に適切に対処するために、消費者に対する苦情相談への対応方法とか社内の体制のあり方あるいは再発防止方法のマニュアルの作成、それから特にいろいろ取り扱い面で注意すべき事項を十分記載しなければならない、そういう表示ルールの策定、そういったことに関しましてマニュアルをつくって皆様の利用の便に供していくというふうなこと、要は安全な食品ということでございますので、食品の適切な品質管理なり安全性を確保するための技術の開発、こういったことを講じてまいりたいというふうに思っております。  なお、直接私どもがやっている話ではございませんが、財団法人食品産業センターにおきましては、昨年七月の制度発足に合わせて食品産業PL共済というものを発足させております。加入者である食品企業が欠陥による消費者被害等に遭った場合に賠償履行費用等を補てんすると、こういう目的の事業を開始したところでございます。  それからもう一つの容器包装リサイクルにつきましては、いろいろ御議論をいただき、昨年六月に法制度として成立したわけでございますが、いよいよ明年の四月から具体的に動き出すということに相なります。明年四月からはガラス製の瓶、それから飲料あるいはしょうゆ用のペットボトルというものが対象になってこの制度が動き出すわけでございます。  そういう意味では、これからあと一年というものがそのための準備期間でございますので、この準備期間の間に、食品産業においても当然容器包装廃棄物の再商品化の義務というものが事業者に課せられることになるわけでございますので、これが円滑に行われるように準備をしていかなければならない、環境を整備していかなければならないというふうに考えてございます。  このため、お願いをしております来年度の予算案におきましても、法律の適切な実施あるいは関係事業者への制度の周知徹底を図るための各般の調査であるとか法律内容の普及、啓蒙、あるいはこの法律基本的な骨格と申しましょうか、再生利用を促進するという意味におきまして、技術を開発するとか、この法制度を円滑に動かすための指定法人の業務開始への支援を行うこと等、そういうものについて予算をお願いしているところでございます。  今後とも、時間はわずかでございますが、関係省庁とも連携しつつ、適切、円滑な法律の施行に向けて鋭意努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  44. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  続いて、先ほど松村先生からも御質問があったんですけれども、ラウンド対策のうちの生糸、繭対策について伺います。  現実の上では、絹製品中国などとは競争できないほどコストが高くなって先細りの一方であるのはもう間違いないと思うんですね。しかしながら、やっぱり日本の技術というのは研究水準でも、それから実際の製品を見てでも世界の最先端を行っているというふうに言っていいわけで、科学技術立国を標榜するからには、世界に冠たる研究で何とか付加価値の高い業種へと飛躍させていかなければならないというふうに思うわけです。  これはきのうちょっといただいたんですけれども、シルクのパウダーをちりばめて、皮膚に非常にフィットするシルクレザーというボールペンなんです。中がシルクじゃなく表なんですが、農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所の名前が入っているんです。  こういうようなことも含めて、要するに付加価値の高い業種になっていくことが、蚕糸産業がある意味では日本の伝統文化を継承していくことにもなるわけで、そういう意味で、農水省にそのための施策ということをちょっと簡単に決意を含めてお伺いしたいと思うんです。
  45. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘のとおり、養蚕振興のためには、繭、生糸の高付加価値化あるいは新蚕業の育成のための研究開発が大変重要であると考えておりまして、私どもそういった方向で取り組んでおるわけでございます。  最近の研究成果の事例として、先生からただいま御紹介いただきましたような、絹の粉を素材といたしましたシルクレザーといったような新しい素材の開発とか、それから絹の保温性、吸湿性、それから圧縮後の回復性というものを生かしました新しいタイフの絹の綿とか、それから品種の改良といたしまして、ストッキングに向く細い繊維をつくる蚕、あるいは逆にセーターなどに向く太い繊維をつくる品種の開発等々を行っておりまして、これの企業化のための採算性等について現在検討をいたしております。今後もさらにバイオテクノロジー等も活用いたしまして、新しいタイプの蚕の品種の開発とか、絹を素材といたしましたコンタクトレンズあるいは人工皮膚などの新製品の開発にこれからも一層力を入れてまいりたいと思っております。
  46. 風間昶

    ○風間昶君 先ほどの具体的、技術的な松村先生質問も踏まえて、日本の伝統文化としての位置づけもできるこの蚕糸産業がきちっとやっていけるだけの実りある研究をぜひ続けていただけるように御期待申し上げます。  次に、ラウンド対策の中で、酪農家に対してミルキングパーラーや自動サイレージ運搬機器のリース料の一部を助成する制度、畜産経営効率化機械緊急整備事業という長たらしい十五の文字があるんですけれども、現在の運用状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  47. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) 今、先生から御指摘のございました事業名は経営効率化機械緊急整備リース事業でございます。平成七年度、本年度から実施をいたしております。畜産農家の方に効率的、省力的な機械をリース方式で利用していただこうと、このために助成を行っているものでございます。  本事業につきましては、現在までのところ、飼料の自動給餌機械等十六件につきまして、総額で約一億二千万円のリース契約に対します助成を決定したところでございます。  また、利用農家の付加貸付率、リース料でございますけれども、これは契約条件によってそれぞれやや異なっておりますけれども、おおむね末端の農家のリース料としては三%ないし四%というふうになっているところでございます。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  ぜひこれは借りることですからなかなか伸びないんでしょうけれども、リース料率をきめ細かくやっていただきたいことを心からお願いする次第です。  次に、乳価のシーズンを控えておりますけれども、いわゆる飼料それから肥料、農業機械、農薬などの生産資材のことについての問題であります。  これも、国際水準に価格を近づけなければどうしてもコストの上でハンディを生じると。コストプラス適正な利潤とう価格決定方法にも問題なしとはしないわけでありますけれども、コスト低減はもう常に言われてきていることであります。  その対策について、扱う局が違うのかもしれませんけれども、どういう形で都府県あるいは団体に実際に行動をしていっていただけるかということをやっぱり農水省はきちっと示さなきゃならないと思うんです。そこの部分でお考え伺いたいと思います。
  49. 高木賢

    政府委員高木賢君) 農業生産資材のコスト低減対策についてでございます。  生産資材の価格につきましては、御案内のように、多くのものは農業団体と個別メーカーの価格交渉で決定されております。しかしながら、生産コストの低減を図るためには機械とか肥料とか農薬などの資材費の低減を図るということが極めて重要でありますので、行政といたしましても、これらの農業生産資材の製造、流通、利用、各段階にわたります合理化を推進することが必要だということで考えております。  このために、昨年、幅広い関係者から成ります農業生産資材問題検討会というのをつくりまして、いろいろ資材費の低減方策について御論議をいただき、検討いたしました。それが昨年の末ですけれども、農業生産資材問題検討会報告書ということで取りまとめられたところでございます。  この検討結果を踏まえまして、農林水産省といたしましては、まず製造、流通段階、ここでは農業団体とかメーカーが大きな役割を果たすわけでございますが、農業機械につきましては過度なモデルチェンジを抑制するとか、部品を共通化するといった方向を打ち出しております。  それから、肥料につきましては、汎用性肥料を活用した銘柄の集約とか荷役の機械化を推進するということを打ち出しております。  また、農薬につきましては、農薬の重量、これを軽くするなどの新技術の開発、あるいは各地の流通拠点となります倉庫の配置の見直し、こういうことを打ち出しているところでございます。  また、利用段階、これは主として農家なり生産現場でございますが、農業機械の適切な導入と効率的な利用、あるいは施肥を適正な量にするとか、あるいは効率的な防除を行うというようなことにつきまして指導の徹底に努めているところでございます。  これだけでは一般論、抽象論になってしまいますので、資材費の低減につきましての実効を上げるべく、この三月をめどに行動計画を各関係者に立てていただこうということで今取り進めているところでございます。  具体的には、資材の製造、流通の関係団体が製造、流通段階での資材費低減のための行動計画をつくる、それから利用段階につきましては都道府県を中心として行動計画をつくる、こういうことをやっております。これをそれぞれまた学識経験者の方に行動計画がいいかどうかということも十分評価していただきながら行動計画をつくりまして、そしてそれを着実に実施するということによって資材費の低減を図っていく、こういう考え方で現在取り進めているところでございます。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 今、農薬の話を……。
  51. 高木賢

    政府委員高木賢君) 農薬につきましても、先ほど申し上げましたが、農薬の重量を軽くするという新技術の開発とか、その流通拠点となっております倉庫の共同利用とか配置の見直しとか統廃合の推進、こういったことを進めるということを打ち出しております。当然、行動計画の対象にもなります。
  52. 熊澤英昭

    政府委員(熊澤英昭君) 先生の方から飼料についてもお話がございましたので、補足して御説明申し上げたいと思います。  飼料コストの低減につきましては、規制緩和を推進しようということで、具体的には、平成七年四月から農家がトウモロコシを丸粒で流通使用できるように制度を仕組んだところでございますし、また十一月からは大麦についても同様に丸粒単体で農家の方々が利用できるようにしたところでございます。  さらに、配合飼料につきましては、横流れ防止の観点から混入規制という、点数制というのがございますけれども、この混合規制につきましても、四月から緩和したいということで、現在、鋭意関係省庁と調整を進めているところでございます。  なお、配合飼料価格につきましては、御存じのとおり、国際的な飼料穀物価格の上昇あるいは円安の進行等で、民間で決められます配合飼料価格の値上げが行われているところでございますが、これに対しましては、民間が主体となって運営をしております価格安定基金、さらには国が助成をしております価格安定基金がございます。そういった基金から農家に対しまして補てんがなされておりまして、農家の負担が緩和されるように措置をしているところでございます。
  53. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  組織的な話ですが、先ごろというか先月末に総務庁から農業担い手対策に関する行政監察の結果が報告されました。その中で法人化の推進と育成対策について勧告が出されておりますので、この勧告に関連して何点か伺いたいと思います。  まず、法人化を推進する理由は、当然、法人形態によった方が雇用労働者の福祉の増進が図られることが挙げられますけれども、実際には医療保険やあるいは労働保険にも加入しておらないで身分が非常に不安定であるわけです。そういう意味で、両方の保険とも農水省の管轄ではないんですけれども、保険もない事業所というのは一人前とは言えないわけで、法人化を推進するとなるならばそれなりの対策を講じないわけにはいかないというふうに思うんですが、そこのところを農水省としてはこの総務庁の勧告に基づいてどうやろうとしているのか、真正面から取り組む姿勢と方針をお伺いしたいと思います。
  54. 野中和雄

    政府委員(野中和雄君) 法人形態の農業経営につきましては、先生も御指摘のとおり、経営管理能力の向上、その他雇用労働者の福祉の増進等々さまざまな利点を有しているわけでございまして、私どもも効率的かつ安定的な農業経営の育成対策の一環としてこの法人化を推進しているところでございまして、そのためにさまざまな措置政策も講じてきているわけでございます。その中には、法人をつくり、また育てていくためのいろいろな相談指導活動といったようなことも実施をしているわけでございます。  ただいま御指摘の医療保険あるいは雇用保険を初めといたします社会保険の適用につきましては、法人経営等におきます従事者の福祉の向上等を図る上で極めて重要なものであるというふうに私どもも認識をいたしているわけでございまして、これまで法人に対しましてその設立や経営運営に関する指導相談活動をやっているわけでございますが、その一環といたしまして、これらの制度についても周知を図っているところでございます。  さらに、平成八年度からはこれらの相談支援体制を一層充実することにいたしておるわけでございますので、その中で、今回の行政監察の結果に基づきます勧告の趣旨も踏まえまして、これらの制度が活用されますように、さらに強力に指導をしてまいりたいと考えております。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 聞きますと、要するにこういう制度そのものを知らないから加入できない、知っていたら入ったんですよという声も結構あるわけですね。だからそういう意味では、今、局長おっしゃったように、PRがどこを通じてやられているのか私わかりませんけれども、また窓口がどこなのか、そこの部分をちょっと教えていただきたいと思うんです。具体的にPRというふうに今、局長はおっしゃっているけれども、どこを通じてどういう媒体で、そしてどこが実際にこの加入の部分の窓口になるんでしょうか。
  56. 野中和雄

    政府委員(野中和雄君) 法人につきましては、農業会議、全国それから県に農業会議がございますが、そこが主としてこの法人に対する指導相談等々を行っておるわけでございまして、こういうところを通じて指導をしてまいりたい。また、一部農協系統につきましても、同様に今PRをしていただきたいというふうに考えております。
  57. 風間昶

    ○風間昶君 同様に、農業生産法人に小規模企業共済制度への加入が可能なのかどうか、これも総務庁から通産省と協議するよう勧告されているわけでありますが、この点が一点。  もう一点は、むしろ農協の共済制度を弾力的に運用することによって解決できるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これが二点。  例えば、農協の組合員でない労働者についても共済をできるようにする、あるいはさらに共済を利用した場合の保険料については小規模企業共済の掛金がすべて所得控除になるので同様の措置を講ずればいいというふうに単純に思うわけですけれども、この小規模企業共済制度加入が可能か、農業生産法人に。もう一つは、農協の共済制度の弾力運用によって解決できるんではないか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  58. 野中和雄

    政府委員(野中和雄君) 一点目につきまして私どもの方からお答えを申し上げます。  農業経営の分野におきまして、他産業並みの生涯所得の実現を図る効率的なかつ安定的な経営体の育成をするということが極めて重要でございまして、そのためにリタイア後の生活の安定あるいは廃業、死亡等の不測の事態へ備えるなど他産業並みの福利厚生の充実を図ることが極めて重要であるというふうに考えているわけでございます。  このために、ただいま御指摘のように、このたび勧告もございました行政監察結果も踏まえまして、農林水産省といたしましては小規模企業共済制度への農業者の加入の実現に向けまして、現在通商産業省と精力的に調整を行っているところでございます。
  59. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 小規模企業共済と農協共済の弾力的運用ということの御指摘でございますが、御指摘のように、小規模企業共済は個人の事業主あるいは小規模の会社の役員、そういう方々が事業を廃止した場合等のための事業に着目した共済制度というふうに理解をいたしております。  そういう意味では、農協共済の場合は個人の方の生命あるいは財産につきましてのいわゆる共済あるいは保障ということでございまして、かなり性格を異にいたしているというふうに思っております。  さらに、それに加えまして事業の廃止、すなわち農業の廃業を共済金の支払い事由とするということにつきましては、なかなか農協共済の仕組み、考え方ということとの関係で非常に難しい問題があるというふうに理解をいたしておりまして、共済の弾力的な運用という形の中で小規模企業共済制度と同様の措置を講じるということは非常に難しいのではないかというふうに理解をいたしております。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、同じ仕組みでない、性格を異にしているということを今伺いましたけれども、仕組みを変えていくことができれば可能なんですか。
  61. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協共済の性格からしまして、現実問題としてさまざまに難しい問題があるのではないかというふうに理解をいたしております。  そういうことの観点に立ちまして、小規模の共済につきましては別途の法律で小規模企業共済法という形の中で恐らく対応されているのではないかというふうに思いまして、なかなか農協共済との関係においては難しいというふうに理解をいたしております。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 次に、農事組合法人については員外従事者の規制を緩和するよう、これまた総務庁から求められていますが、これについてのひとつ御所見を伺いたい、それからもう一点は、非組合員であった人が農事組合法人で従事するのをチャンスとして組合員になるというようなことが現在の枠組みの中で可能なのかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  63. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今、御指摘のように、今回の勧告の中で農事組合法人制度に関しましていわゆる員外従事者制限の緩和ということで検討する必要があるというふうな指摘がなされたわけでございますが、この点につきましては農事組合法人の員外従事者制限ということで、実は平成四年の農協法の改正におきまして、全従事者の二分の一以内という制限でありましたものを三分の二以内というふうに緩和しております。したがいまして、現在はその法律施行の運用状況というものを私どもとしてはその動向を見守っているという状況でございます。今後とも、そういう意味で農事組合法人の雇用の実態といった調査をこれからも続けながら、そういう法改正に伴って緩和されておりますので、その動きがどうなっていくかということを見ていきたいというふうに思っております。  さらに、二点目に御指摘のありました農事組合法人の員外従事者の方々も、農協法の世界で申し上げますと農業に従事する個人ということでございますので、農協法のいわゆる農民という定義に該当するというふうに思っております。また、農協の組合員資格との関係で御指摘があったわけでございますが、農協法では今申し上げました農民のうち定款で定める方というふうな農協法の規定がございます。現在、多くの農協におきましては模範定款例に基づきまして、一年のうち九十日以上農業に従事する農民という方に組合員資格を与えているという事例が非常に多うございます。そういう意味で、この要件に該当しますれば員外従事者の方々も農協の組合員となることができるというふうに理解をいたしております。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  いずれにしても、勧告が出ているということは喫緊の問題点になっているということと同時に、課題積み残しというふうにもとられているわけですから、これは外から見てもきちっと今後も運用を含めてやっていただきたいというふうにお願いする次第です。  次に、漁業について伺いたいと思います。  ちょっと先ほどの常田委員質問ともラップする部分もあると思いますが、お許しいただきたいと思います。  国連海洋法条約関係して、いわゆる東経百三十五度以西の日本海及び東シナ海にも全面的な排他的経済水域の設定をすべきだという世論に押されて、政府も設定に向けて作業を進めているというふうに思われるわけでありますけれども作業の進捗状況について農水省の受けている報告があれば大臣にぜひお伺いしたいと思います。
  65. 大原一三

    国務大臣大原一三君) この前の閣議了解、二月二十日でございましたが、今国会へその条約及び関係法案を提出したいということで準備を進めているところであります。また、問題の韓国及び中国との漁業関係につきましては、その協議により海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた新たな漁業協定が早急に締結されるよう、速やかに交渉を開始する方針でおります。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 お言葉を選び選び慎重な決意とも言えぬ、何といいましょうか、御決意だというふうに承りました。  排他的経済水域の設定が難航した場合であってもTACの設定については関係国と協議してきちっと決めて資源管理する必要があるわけで、当然なことなんです。特に、排他的経済水域が重なる場所についてはTACに重なりがありますと資源管理上問題があるわけですが、外交マターではありますけれども、農水省としてどう取り組むのかということをこの委員会の場で国民の前に明らかに御説明をお願いしたいと思います。
  67. 東久雄

    政府委員(東久雄君) TACの設定につきまして、これは漁業管理と関連する問題でございまして、昨年の秋に漁業関係者並びに学者の方々にお集まりいただきまして研究会を開き、そのあり方について議論をしてまいっております。  それで、TACというのは総漁獲可能量ということでございます。これはどこの国もそうでございますが、魚ごとに資源の状況が違いますから、魚の種類ごとに決めるという方向が出ております。これはまた海域ごとに違っておりまして、海域ごとにという方向が出ております。それで、これは諸外国の例でいいますと、二十から三十ぐらいの魚種を管理するというのが通例でございまして、我が国におきましては、まず最初はそこまでいかないだろうから、当面はある程度の重要魚種から始めて徐々に広げていくべきであるというような考え方でございます。  それから、我が国の二百海里のいわゆる排他的経済水域を設定いたしますと、この漁獲可能量を設定することが海洋法条約上の義務でございますので、これをやらなければならない。したがって、二百海里の線引きをやるということの中でやるわけでございますが、それではその二百海里の重なる部分はどうなるか、これは当然二百海里というラインを我が方が引いたというところの中は全部資源として我が国の資源のTACの中で計算することになります。  この例はちょっと余り適当でないかもしれませんが、北海道の北方四島のところでそういうふうなところが今もございます。その管理のあり方というのは、やはり関係国の間でよく協議をしてどういうふうにこの重なっているところを管理していくかということを検討しなければならぬというふうに考えております。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 今はTACの話ばかり言いましたが、ただ実際上これから動いていく話ですから、また機会を改めて御質問させていただきたいと思います。  北海道近海での韓国船での自主規制違反の実態と処置につきましてどういうふうに対応しているのか、最近の事例を含めて相手方、韓国の方からその後どうなっているのかも含めて教えていただきたいと思います。
  69. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 北海道近海で現在操業しております韓国のトロール船というのは十一隻ございます。これは約四百トンぐらいのものから一千トンまでのもの、全部で十一隻が操業中でございます。  これは日韓漁業協定によりますと十二海里の外側では、ある意味では自由に操業できるわけでございますが、しかし我が国が北海道周辺ではトロールの禁止ラインを設けておるという実情がございまして、これについて長い交渉の結果、韓国側が自主的にこのラインを守るという沿岸、距岸から十五から十七海里のところに、これは地域によって違っておるわけですがラインが設けてございまして、この中では操業しない、いわゆる自主規制ラインということになっております。このラインを侵犯するという操業、そういう違反を私どもたびたび非常に数多く見受けておるわけでございます。  特に最近、韓国のトロール船はそのラインを侵犯するということのほかに、これとの関係で午前七時と午後七時にその定位置を連絡することになっておるんですが、この連絡を怠るというようなこと、ないしはちょっとおかしいぞと思われるような位置通報があったりするという違反がございます。それから、それに加えて最近は荒天時だとか夜間、このときをねらってライン侵犯があるというような違法状態が、特に悪質なものの増加というのが見られます。  ちなみに最近の違反件数というのを申し上げますと、平成六年で十七件が平成七年には四十四件に及んでおる、平成五年も十一件でございますから、十件ぐらいだったものが急激にふえておるという状態が見られます。こういう違反は、我が方で確認いたしますとすぐに日韓漁業協定によりまして韓国側に通報し、韓国側はその漁船に対して事情聴取をして国内で罰則を科するというシステムになっておりまして、これは我が方から通報したものに対しましては相当のカバレッジで罰則を講じておることは事実でございますが、これは我が方が発見する違反でございますが、それが相当ふえているという実態がございます。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、認めているじゃないか、越えているじゃないかというふうに現認したものだけなわけですけれども、それだけでもとにかく、じゃ韓国に対してどうしてくれるのだということの後の作業はどういうふうになっているんですか。
  71. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 我が方から通報したものに対してどれだけ処罰をしたかという件数が報告されまして、これはもちろん向こうの違反を確実に確認をした上で処罰しておるようでございますが、大体九割方の件数が処罰されているというふうに今までの連絡では来ております。四十四件の急激にふえたところについては、ちょっとまだ全体の報告は来ていないということでございます。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  今度は、韓国船の違法というか自主規制違反操業の話とは違って、十九日から外務省で開いていた第五回日ロ漁業事務レベル交渉が物別れに終わったというふうに新聞に出ておりました。日ロ漁業管轄権の問題で、北方四島での安全操業の話し合いが物別れに終わったという新聞記事であります。  そういう意味で、去年の十月からずっと続けられてきているわけでありますけれども、六回、七回とこれから行われていくわけですけれども、今後の水産庁の方針、それから交渉の見通し、これについては当然今までもずっと海洋漁業部長が引き続き御担当されていらっしゃるわけですが、それについて今後の話し合いを教えていただきたいと思います。
  73. 東久雄

    政府委員(東久雄君) いわゆる北方四島周辺水域の操業枠組み交渉と言っております。これは御承知のとおり、北方四島の十二海里内の操業の問題でございます。  一昨年の十一月だったと思いますが、ロシアの第一副首相と我が方の外務大臣との間の会談のときにこの交渉開始が合意され、昨年の三月から、今先生指摘のこの間の十九日から二十一日まで五回にわたっての交渉を繰り返してまいりました。  水産庁の方針というのは、ちょっと最近はあの水域ではございませんけれども、とにかくあそこで銃撃があったりいろいろ事故を起こしております。そこの安全操業を確保するということ、これは地元の大変な窮状を踏まえて、一日も早くそれが打開できるようにという姿勢で臨んでおります。しかし、先生承知のとおり、北方四島の問題は主権の問題が絡まっておりまして、その安全操業の合意を得ることが大変難しい交渉でございます。  しかし、先ほど物別れというお話がございましたけれども、私ども報告として聞いておりますのは、非常に友好的な中で話し合われ、交渉というのは最後の瞬間までわかりませんから、ここで本当は交渉の中身というのはなかなか言いにくいのでございますけれども、お互いにやはりそれぞれ何か妥協できる点がないかという真摯な交渉状態でございました。  それから、次の会合につきましてはまだ決定はされておりませんが、物別れでおしまいということじゃなくて、改めて外交ルートを通じて次の日程を決めましょうということでございます。我々はこの交渉が成立して、一日も早く安全操業の実現をもたらせるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 相手が相手だけに本当に大変な作業だと思いますけれども、粘り強くまた真摯に御努力をお願いしたいというふうに思います。  それで、次に林業について伺いたいと思います。  御承知のように、林業は農業以上に担い手不足に陥っているわけであります。しかも絶対数が少ないわけですから、ここが大きな政治判断になるんでしょうけれども林業従事者労働条件については農業並みに整備していく必要があるということからいくと、林業事業体の組織化を図っているというふうに言われているわけですが、担い手育成対策観点から、現在の組織体もあるわけですけれども林業事業体の組織化をどのように進めていくのかということが一点。  それからもう一点は、林業従事者労働安全対策、福祉対策の中で、保険もしくは共済で手当てが余りされていないような感じがするわけでありますけれども、けがをしたとき、お休みしたときあるいは退職したとき、それぞれについて保険もしくは共済でどういう手当てをされているのか、お伺いしたいと思います。
  75. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 我が国森林整備を担う林業事業体につきましては、森林組合はこれはもう有名でございますけれども、そのほかに造林を行ういろんな個人業者あるいは素材生産を行う事業体がかなりあります。  特に、素材生産業者と称する事業体というのは全国で一万一千ございます。実はこの大部分が一人親方でございまして、その組織化が一番大きな問題になっておるわけでございます。県によっては末端の事業体が協同組合をつくっているところもございますけれども、まだまだ未組織でございまして、県段階の組織化を急ぐことの方がまず先決じゃないかというふうな感じがしているわけでございます。  現在、県段階で素材生産業者が事業協同組合をつくっている県が十九県ございます。今度はそれを全国に及ぼしたいのでございますが、なかなかきっかけがつかめませんでした。そこで、今回、労働力確保法律を御提案申し上げまして、この法律をきっかけにいたしまして、各県の段階の事業協同組合化、さらに全国段階の組織化、それが進みますと、今度は末端における協同組合化あるいは協業化の促進ということが行われていくんじゃないか、またそれに向けて各種の政策を準備しなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  現時点におきましては、末端で協業化が行われているところは、作業路網を整備する場合とか、あるいは高性能な林業機械導入する場合とか、あるいはストックポイント、こういうものを整備する場合に、共同でなければ補助金が出せないよというふうなことで共同化が進んでいるところでございます。しかし、まだこれは十分でございません。  それから、もう一つお尋ね林業従事者の社会保障制度でございますけれども、三つございまして、一つ労働者の災害補償保険、これは傷害保険でございます。業務中の労働災害とか通勤途上災害による疾病等に対しまして給付が行われる制度でございますが、これは労働者を使用する林業を含むすべての事業体が強制適用となっておりまして、一〇〇%加入しております。  問題は雇用保険と退職金制度でございまして、雇用保険のところは被保険者が失業した場合に給付が行われる制度でございまして、原則としてすべての事業体が強制適用になっているんですけれども林業の場合には労働者五人未満の個人経営の事業所につきましては任意適用ということになっております。これにつきましては、森林組合では平成五年度で加入率が五一%、それから国有林の請負事業体では加入率が六二%というふうに低い状況でございます。  それから退職金制度につきましては、雇用労働者にとって雇用条件の一つの重要な要素でありまして、私どももこの普及を図っているのでございますけれども林業におきましては中小企業林業事業体を対象とした林業退職金制度がございます。これにつきましては、森林組合では七〇%の加入率でございまして、国有林の請負事業体は六四%というふうな状況になっているわけでございます。  このような状況でございまして、社会保障制度を広範に適用させるにはどうしたらいいかということで、各都道府県に担い生育成基金というものを設けております。これは自治省からの交付税を積み立てて七年度末で八百億ちょっとのお金が積み立てられておりますけれども、この基金を使いまして森林組合作業班員等の社会保険料の掛金の一部助成、これは間接的なデカップリングというふうに私ども考えているのですけれども、そのようなことでその加入促進を図っているところでございます。
  76. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。ありがとうございます。  大臣、お待たせしました。住専問題を伺います。  住専問題につきましては、先ほども完全母体行の責任と言ってきた系統だけに、協同住宅ローンについてはどこにも迷惑をかけないで処理するという姿勢には感服したわけであります。ところが、その後この系統が住専四社に対して〇・四%から三%の出資をしていることが明らかになったわけであります。この程度の比率であれば、母体行とは言えないまでも株主であることに変わりはないわけですから、国民の目から見ても、何らかの責任はないのかという国民の声があるわけです。これに関して大臣のお考え、所見を伺いたいと思います。
  77. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今御指摘のおつき合い程度の株を主として農林中金さんがお持ちになつておると、こう認識しておりますが、母体行ではないわけでございまして、母体行の人事、経営については全く知らされていない株主である、こう私は了知しております。
  78. 風間昶

    ○風間昶君 なるほど。今、この責任問題がぽんぽんボールのやりとりみたいに動いているように国民の目には映るわけであります。昨年の十月に、私は違いますけれども、新進党が母体行責任を明確に提示して、私自身は国民の一人としてやはり責任は完全母体行であるというふうに思っているわけであります。国民の中には系統だけが五兆五千億の完全弁済を受けるのはおかしいという声もありますけれども、だからこそ農水省はこれに対するきちんとした答えを出さなければならないわけで、それが示されていないわけであります。  考え方として、系統、特に信連は中金にお金を預けるような感覚で住専に金を出したんだというふうに私は思っているんですが、銀行の念書や大蔵省と農水省の覚書があっても、貸すというよりむしろ預けるという意識に近かったんじゃないかというふうに思うわけです。確かに当時の金利動向から見ると、破格の高金利であったかもしれないわけですけれども、しかし貸したのではないんだと、預けたんだということであれば全額弁済も筋が通るわけです。  この件に関しても、大臣の御所見を承りたいと思います。
  79. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 貸したのではない、預けたんだという気持ちはわかるのでありますが、実際は債権譲渡担保ローンをその担保としてとっておることは一般行が融資したのと同じ条件であるし、さらにまた五十五年の大蔵省が銀行に対して、一般的にです、これは住専だけではなくて、今の金融機関は銀行保証が多過ぎるという通達が出るまでは住専に対する貸し付けば銀行保証というものがついていたわけでございます。そういう状況の中で始まった融資でございまして、そういう意味で貸し付けではあるが非常に金融機関貸し付けに準ずる貸し付けであった、このように認識していたと思います。
  80. 風間昶

    ○風間昶君 完全母体行責任ということであれば全額弁済は当たり前と、あと銀行さんよろしく頼みますねと言って手を引くべきだったというふうにも思えるわけですが、全額弁済してもらって五千三百億円出しますというのはやっぱり不自然なわけです。確かに先ほど来話が出ている金融システムの安定、これは大事なわけでありますけれども、しかし不良債権問題というのは住専だけじゃないわけで、ほかのノンバンクの処理のときも同じように金融システムの安定は問題になるわけですから、系統の理屈だけで言うとそのたびごとに協力するという名目で資金を出すことになってしまわないかということなんです。もともと農家、農民から預かった大事な金なわけですから。そうしますと、やっぱり協力額の積算根拠は不明なわけで、三十近い信連が赤字ということであれば、世論は協力したんではなくて責任をとったというふうに見るわけです。  そこで、繰り返しの質問になりますけれども、なぜ五千三百を出すことにしたのか。それからもう一点は、今後も金融不安が生じるおそれがあるというふうになった場合に、やっぱりその都度協力する用意があるのか。その二点について伺いたいと思います。
  81. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 我々の認識としては、五千三百億は非常に厳しい負担である。何回もほかの委員会でございますが説明しておりますように、四十七の中の三十が赤字に転落するということは、やはり信連のこれからの経営にとってはこれ以上の負担はできないいわば限界だと、こういう負担でございます。もう我々は負担と言わないで贈与と言っているのでありますけれども、これを贈与いたしまして、これぐらいなら来年からの経営にも何とか致命的な負担にならないでしのいでいける水準であろうということで割り出したのが五千三百億円でございます。
  82. 風間昶

    ○風間昶君 二点目の、今後も金融不安のおそれがあるならばそのときは協力するんですか。
  83. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今後の金融不安に対してどう対処するかということは、今申し上げた私のお答えによって御判断をいただきたいと思うわけであります。  私は、余計なことかもしれませんけれども、今、日本の金融秩序というのはこれはもう思い切って改革しなきゃならぬ、信連だけではなくて、信金、信組、第二地銀、第一地銀、都市銀行、信託、それから長期信用銀行、こんな重畳的な仕組みはこれはまさに護送船団的、高度成長期の遺物でありまして、これをどのようにこれから切り壊していくかということがこれからの日本経済の再生にとって非常に大事なことであり、その中に我々の信組も位置づけていかなきゃならぬ、こういう考え方で取り組んでいきたい、こう思っております。
  84. 風間昶

    ○風間昶君 私が中金の理事長だったら贈与しないですね。  きょうの産経新聞か何かに出ておりましたが、中金と信連が二千億ずつの負担の割り振りを決めたようでありますけれども、中金が普通の株式会社だったら間違いなく株主代表訴訟になって経営者の経営責任が追及されるわけです。系統は五千三百の負担について組合員である農家にもっときちっとやっぱり説明を一方ではするべきだったし、社会に対してもそれをアピールすべきだったと私は思うわけです。国民の目から見ていると、うさん臭くされているというふうにやってみえられるから、五千三百も出すことになってかわいそうという世論になるはずが、逆に五千三百で済むのはけしからぬというふうに正反対の世論になってしまうわけで、そういう意味で系統、農水省はやっぱり宣伝不足の責任があると思うんです。そういう意味では、法的責任という意味ではなくて、日本農業新聞だけでちょこっとやっているというんではなくて、その辺についてはどうですか。
  85. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私は、責任がないとは申し上げておりません。信連の中において分担がようやく決まりかけているようでございますが、やはり総会シーズンもこれあり、恐らくこれからいろいろの形で責任問題が露呈する可能性はございます。  しかしながら、委員承知のとおり、今回の公的資金の導入は信連を擁護するためのものであるという、そういう言い方は我々としては一言も言っていないわけであります。大蔵大臣みずからさようにおっしゃっているし、総理もまたそうでございます。  ただ、信連の経営が協同組合システムでありまして、何と申しますか、内部留保はつくってはいけない、その利益は農民に還元しなさいという根本哲学があるわけでございまして、そういう仕組みの中で、経営基盤が浅い、浅いからあの連中に六千八百五十は出したんだという認識、これは大変誤解でありまして間違った認識である。何しろ年度末ぎりぎりで決まって、そうしてその負担を農家の方々やあるいは信連の当事者等に我々が説明する十分の余裕がなかったことも事実でございまして、先生のおっしゃるようなあるいは誤解が生じた余地もあったかと推測をいたします。
  86. 風間昶

    ○風間昶君 今、大臣、まさに信連の経営は協同組合方式というふうにおっしゃったわけですけれども、去年の九月にICA、国際協同組合同盟の創立百周年の記念大会がイギリスで開催されたわけであります、御存じだと思いますが。我が国の農協や漁協も加盟している団体でありますけれども、この同盟が協同組合の憲法とも言える協同組合原則を久々に見直したところ、いろいろその原則の中で論議され結局改正されなかったものが出資に対する配当制限という原則であります。自助だとか民主主義だとか公正とか、たくさんいろんな原則がありますけれども、要するに結局改正されなかったのが出資に対する配当制限という原則であります。これは、要するに協同組合というのは株式会社と違うんだという宣言であります。  しかし、今の農協のやり方を見ていますと、農協は株式会社のようになってしまった、営利追求に走ってしまっているように見えている部分が相当強くあってその感を強くするわけですけれども、農協は営農指導と農民連帯という本来の姿に戻らなければならないんでないかというふうに思うわけです。そういう意味で、今こそ信連、共済連、中金の信用事業だけではなくてすべての農協問題に大臣のリーダーシップが期待されているわけであります。その意味で、農協というからには本来あるべき協同組合の姿にしていくべく、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  87. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ICA大会のことは、先生質問があるというんで急速勉強させていただいたわけでございまして、専門家ではありませんけれども、今、委員指摘の問題点、これは確かに農協それ自体としてしっかり受けとめなきゃならぬ大きな問題だと思っております。  ただ、七十兆円という、千百兆円という国民貯蓄に比べますと多いか少ないかはわかりませんけれども、その生きざまをこれからどのようにしていって農家に還元していくかというシステムの再構築は、これは私は喫緊の課題である、こう思っております。  農家の中だけに還元したいんです、気持ちは。  しかし、そのお金を農家に融資するという仕組みが今後展望が開けない。農家の借入金というのは、もう既に施設にしてもいろいろな問題にいたしましても限界が見えております。そうであるとすると、残った資金をどのように運営していって農家に還元していくかという、事は農業金融の中だけで解決のできない、壁を越えていく課題でありますので、そういった面もこれからのリストラの中に大きく位置づけていかなきゃならぬのではないのかなと。  具体的な結論は申し上げられませんけれども、今後重要な検討課題一つになろうと、こう思っております。
  88. 風間昶

    ○風間昶君 まさに大臣、農家に還元していくという本来目的の中でのさまざまな選択肢があると思うんですけれども、本当にリーダーシップをとっていかないと、次は農協全体の問題信用事業だけじゃなくて、ここにやっぱり日本農業の再生のきっかけに至るべく一つの大きなキーがポイントとしてあるんじゃないかというふうに思うわけで、大臣のリーダーシップに期待するわけであります。  住専関係でもう一点。やっぱりそういう意味で系統の再編というのは避けられない問題ではないかというふうに思うわけですけれども、今、信連は吸収だとか譲渡ばかりが問題になっていますけれども、信用事業のレベルだけとってみても、信連、共済、中金という縦の再編、それから一方では各単協のハードの部分で合併していくという横の糸、これがかみ合ってこそ初めて本当に足腰の強い農業をやっていく上での組織体というふうになるんじゃないかと思うわけです。足腰を強めていくために系統全体のリストラを、人員の整理というだけではなくてどうしていくのかということが本当にこれ、だれもがみんなやらなきゃならない、やらなきゃならないと思っているんだけれども、それぞれの思いがあって踏み込めないでいる。  ここはしかし、もう本当に食糧危機のことも踏まえて考えますと、これはやっぱり今、大原大臣のときに手をつけていかなければならないと思うんですけれども、そういう意味で法整備も含めて系統全体のリストラをどう進めていくのか、大臣の御方針を伺いたいと思います。
  89. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 大変重大な指摘でございます。  幸いに、おととしてございましたか、JA、系統それ自体の中においてリストラの素案が提示をされております。我々も、農協それ自体がそういう改革をしなきゃならぬという高い意識をお持ちでございますから、特に今回の住専問題に絡む信連系統の合理化というものを奇貨といたしまして、委員おっしゃるとおり、いわゆる単協から県段階から中央段階への三段階を効率化し、そしてより有効な収益を上げられ、そして農家へ還元し、農家により有効な農政指導ができるシステムを再構築していくこと、これが一番大事な課題と思います。  むしろ、この信連だけに問題を限定しますと、委員指摘の全体の農協のリストラが薄れてまいりますので、これはやっぱり一体として考えていくべき課題だと、大変私は大事な課題だと思っております。
  90. 風間昶

    ○風間昶君 これは本当に大きな課題であることを大臣も認識され、問題はどうこれからやるかということの政治的な手腕が問われるんではないかと思いますので、全魂傾けて日本農業再生の道へリーダーシップをとっていただきたいというふうに思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  91. 菅野久光

    ○菅野久光君 大原大臣、御就任早々朝から晩まで住専住専ということで本当に御苦労さまです。  農林水産行政は、もちろん住専も農協との関係関係がないわけではないんですけれども、きのうの所信の中でも述べておられますように、「国民生活に不可欠な食糧の安定的供給を初めとして、地域社会の安定と維持発展、国土や自然環境の保全など極めて重要な役割を果たしております。」と、こう述べておられますように、早く住専の問題を解決してこれらの重要な課題に取り組んでいただけるように私どもも全力を挙げて頑張らなきゃならぬ、このように思っております。  きょうは余り時間がございませんので、個々の細かい問題については法案の審議やあるいは一般質問のときにお尋ねすることにいたしまして、基本的な事柄についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  まず、農業基本法の問題についてでございますけれども大臣はきのうの委員会で、所信表明の中で新農業基本法の制定について言及されました。その中で、「新たな基本法制定の問題は、農政の根幹にかかわる極めて重要な問題であると認識しており、その検討に当たっては、腰を据えた十分な議論を積み重ね、対応したいと考えております。」というふうに述べておられました。  一方、平成六年八月に農政審議会は、ウルグアイ・ラウンド農業合意を受け入れたのに伴って、その総合的な対応策として「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」という報告書を取りまとめました。その報告書では、農業基本法の見直しについて触れております。見直しに当たっての今後の検討課題を四項目に整理されておりますが、その一項目として「農業基本法がその政策の目標としている農工間格差の是正、選択的拡大、規模拡大や自立経営の育成という考え方の今日的な評価」を挙げております。これらの検討課題にはいずれも基本法農政が残した矛盾と大きな問題点が内在しております。いずれ農政審議会等で意見の集約が行われることになると思いますが、農林水産大臣は農政審議会が指摘した検討項目についてどのような所見を持っておられるのか、お伺いをいたします。    〔委員長退席、理事青木幹雄君着席〕
  92. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 農政専門の委員に私からお答えするのは多少面映ゆいんでありますが、私自身も実は農家の育ちでございまして、農業についてはいろいろの思いがたくさんございます。  ただ言えることは、ヨーロッパの例を調べてみまして、特にイギリスは四〇%まで落ち込んだ自給率が八〇%水準まで上がっている。フランスの七〇%程度一三〇%になっておる。ドイツも一〇〇%水準を確保しておる。いかにすればああいう自給率確保政策が達成されたのか、ここいらにやはりしっかりした視点を置いて、四六%といういわばみじめな水準からどのようにしたら自給率を維持、回復できるかという課題を私は今度の基本法の最大課題としてとらえていきたいなと。  ましてや、今後、地球人口が一億ずつふえて何十年か後には倍増するときに、今のような安直な外国からの食糧の供給ができるかどうか、考えますと恐ろしい気持ちを私は持っております。そういう視点から取り組んでまいりたいなと思っております。
  93. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣の今の決意を聞きまして安心をいたしました。本当に今、大臣が申されたようなそういう決意で我々もともに頑張っていかなきゃならない、そういう時期だというふうに思っております。  今、私どもの党としても、新農業基本法の問題について論議に入っておりますけれども、この新農業基本法の制定についての今後のスケジュールでありますけれども所信表明では、「腰を据えた十分な論議を積み重ね、対応したい」とされておりますが、具体的にその時期を明らかにしておりません。言うまでもなく、この立法は今後の農政の根幹にかかわる重要なものなので、農政審議会等で十分な議論の積み重ねが必要ではありますが、それでもいつごろまでに結論を出すのか、それが問われております。  そこで、新農業基本法案国会に提出される時期と審議、検討等の今後のスケジュールについて明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) お答え申し上げます。  ただいま基本的な考え方については大臣の方から申し上げたわけでございますが、具体的なスケジュールというお尋ねでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  今、大臣も申し上げましたように、今現在は農業基本法に関する研究会、現在までに七回やっておりますが、これによって検討を進めております。特に、先ほど先生がおっしゃられました四点の視点のうち、現行農業基本法の今日的評価ということを中心に現在検討しております。それらとあわせまして、農業基本法をめぐる諸問題についての主要な論点整理をこの春を目途に行うという考えで今進めているわけであります。  そこで、この研究会の取りまとめがなされますと、次の段階の検討ということになるわけでございますが、実は今の基本法は検討に着手してから制定に至るまでに四年かかっております。それだけ大変関係の各方面との意見交換が必要だということになるんだと思いますが、特にこの現行基本法が制定されました以降の国際化の進展とか、国民生活の変化といった社会経済情勢の大きな変化があるわけでありまして、現行基本法を制定したときと比べまして、国民の農業・農村・食料に対する認識なり考え方につきましてはかなりいろいろなものがあるわけであります。したがいまして、やはり国民各界各層の理解を得るためには、所信表明大臣が申し述べましたように腰を据えた議論が必要でございまして、そういった点からいきますと、今の時点で新基本法のスケジュールにつきまして確たることは申し上げられませんが、いずれにしましても、先ほどの大臣の御答弁にありますような考え方で一生懸命進めてまいりたいということであります。
  95. 菅野久光

    ○菅野久光君 今の段階ではまだ時期は明示されない、できないというようなことでございますけれども、ぜひひとつ精力的に作業を進めていただきたいということをこの機会にお願い申し上げておきたいと思います。  今の農業にとってやはり所得をいかに確保するかということが大きな課題でございます。一連の農産物価格の決定があるわけですけれども、とりあえず三月は畜産物価格の決定の時期になってまいります。  こういったようなことを考えていきますと、何か住専の論議のときに、住専に六千八百五十億円という金を出すのはおかしい、その金はガットの農業関連対策の六兆百億円の中から出せというようなむちゃくちゃな話なんかも出ておったわけでございますけれども、しかし、どんなことがあったって、そんなことはこれは許されないことでありまして、これからの日本の農業をいかに守り、そして発展させていくかということでは、最初に申し上げましたように、農家の所得をいかに確保するかということが大事な問題でございまして、その中にはもちろん価格の問題もありますし、関連対策の問題などもあろうというふうに思うんです。  先ほど、農業の資材価格の問題などがいろいろ出されましたが、実は農業用のトラクターの車検の問題を、北海道の農民組織であります北海道農民連盟がこれを取り上げて運輸省と話し合いをいたしました。  そのときに私もついていったんですが、その当時、運輸省の担当局長は、今交通事故がこれだけふえているのにトラクターの車検をなくすなんて、そんなめちゃくちゃなことがありますかということで、大分私に言ったわけですが、私は、それではトラクターが主因の道路上の交通事故というのはどのぐらいあるんだと言ったら、数は示さなかったんですね。それで、警察庁に行ってそこを調べましたら、いや先生、そんなのは統計にも出ないぐらいですと、こういう話なんですよ。ですから、運輸省がやらないと決めれば私どもはそれで結構ですと、こういうような話だったんですね。    〔理事青木幹雄君退席、委員長着席〕  それから毎年毎年のように上京してくるたびに交渉をしてそして運輸技術審議会ですか、あそこでいろいろ検討して、やっとことし時速三十五キロメートル以下の農業用トラクターについては車検を廃止する、もちろん自賠責もなくなるわけでございますけれども、そういう方向を決めて、今各関係省庁との話し合いに入り、そして、この問題についてできるだけ早く解決をしたいというような方向になってきた。  役所というのは、農林水産省もそうだと思うんですが、一回決めたことはなかなかこれを変えようとしないんですね。変えるためには非常に時間がかかるということがあるんで、この辺も行政改革の一つの大事な問題かなというふうに思っておりますが、農家の所得確保を目指して、大臣としてぜひ頑張っていただきたいと思いますが、その決意のほどをひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  96. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 価格政策、構造政策、いろいろ言われているわけでございますが、構造政策一辺倒で今の農家がもっていけるかどうか、さらにまた、価格政策オンリーで今後の農政の基盤が築かれるかどうかというようなことを兼ね合いにやっぱり考えていかなきゃならぬと思います。構造政策一辺倒でしたら農家数は一挙に減ってしまう、こういう問題もあるわけでございますから、そこらは先生方の御意見をいただきながら決めていかなきゃならぬ大きな課題だと思っております。  私も、行革プロジェクトの会長代行をやっておりまして、この前も、畜舎、これは建築基準法なんですね。人間がいるのと同じ基準なんですよ。  建設省が言うことを聞かないというんです。豚や牛が死んでもいいじゃないかと、人間さえ生きていれば。それなのに、人間の住む建築基準法と同じではおかしいと、ようやく建設省が認めてくれたんです。トラクターについても私は何回も、おたくの政党では山元さんが出ていらっしゃるんですが、この議論を繰り返しやった経緯もございます。  だから、零細者に有利な規制緩和はいいと思うんですね。零細者に不利な規制緩和が時々世の中横行しますので、我々は十分注目しなきゃならぬと、こう思っております。
  97. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣もいろいろなお仕事をなさってきましたので、私の言っていることもよく御理解をいただいて、これからの農林水産省の行政の中でひとつ生かしてもらいたいと、このように思います。  次に、ガットの関連対策の問題でありますけれども、今六年間のうちの二年目の予算を決めてその関連対策の実現に当たっているわけです。六兆百億円、自治省関連一兆二千億という大変な金をつぎ込んで関連対策をやっているんですが、その関連対策自体についても農民の中からは土建屋だけをもうけさせるんではないかなんというような声もあります。私もあちこち歩いていろいろ聞いているんですが、確かに農家の負債対策だとか構造改善事業などいろいろ農家の要求していることに当たっていることもあるんですけれども、やはりあともう考えてみれば四年間しか予算を組む期間がないわけですね。  それで、今二年目に入っているこの関連対策について、農業関係者の残された四年間の予算をつくる上でどういうことを要求されるのか。そして、今この関連対策として、ある事柄についてどういうところをどういうふうに直してほしいと、そういったようなことをぜひ私は聞くべきだというふうに思っているんです。  今までの農政は、やはり役所の中でいろいろ計画を立て、メニューをつくって、そのメニューに合うものは補助もする、しかしメニューに合わないものはだめというようなことがあったり、農林水産省の方でいろいろ決めたことをまじめにやった人は後から大変な目に遭って、そこから外れたことをやった人たちは非常にいい経営をやっているというようなことで、まさにイエス・ノーのノーセイではないかなどということを言われてきたこともあるわけですね。一生懸命やってきてそういうことを言われるというのは本当に私も与党の一員としては非常に残念だし、そういうことにならないようにやっぱりしていかなければいけないという思いなんです。  そのためには、今六年間のうちの二年間の予算を組みました。あと残る四年間で本当にガットの関連対策をやってくれてよかったと言われるような中身にするためには、ことしの五月か六月ぐらいまでに農業関係者の関連対策についての意見を聞く機会をぜひ持って、そして三年目以降の予算の中で生かしていくべきだ、一度つくった計画は絶対変えられないなどというかたくななことではなくて、やはり要求に沿ったような計画が私は最も大事なことではないかというふうに思っておりますが、その辺についてのお考えを承りたいと思います。
  98. 大原一三

    国務大臣大原一三君) まさにお説のとおりだと思います。  今御指摘がありましたように、我々は机上プランで走るんではなくて、地方公共団体、農協はもとより、それから第一線の農家の方々、これらの御意見をさらに吸い上げて、地に足のついたものにしていかなきゃならぬ。せっかくの六兆百億でございますから、これが生きなきゃ何にもならない。そういう意味で御指摘のとおり努力をしてまいりたいと思います。
  99. 菅野久光

    ○菅野久光君 積極的な大臣の決意を聞きまして、ぜひその実現のためにひとつ努力をしていただきたいと思います。  次に、国有林野の問題でございます。  国有林野事業の改善に関する計画をここずっと立ててまいりましたけれども、なかなか改善という方までいかないんですね。そして累積債務がふえていく。今の国有林野の会計そのものに私は問題があるのではないかと。  木というのはやはり百年、百五十年かからなければ一般的には金になっていかない。そういったような問題なども含めて、今累積赤字の問題があっていろいろな方策を考えられているんですけれども、どうもそこのところが頭の中にあって元気が出ないんですね。  それで、本当の改善計画になるような仕組みというものをどうつくっていけばいいのか、その辺についてぜひお考えをいただき、これはもう本当に日本の国の将来ということを考えたときに、今やっぱりやっておかなければ大変なことになるんじゃないかなと。住専も赤字、そして国有林野の経営も赤字、国鉄清算事業団も赤字、国の財政も赤字で、赤字赤字で大変なときではありますけれども、その辺についてのお考えを承りたいというふうに思います。
  100. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおり、前回、私が林野庁次長のときに国有林野の特別措置法の改正をしていただきまして、平成三年七月に国有林野事業の改善に関する計画をつくりまして、この計画に即しまして要員規模の適正化だとかあるいは組織機構の簡素化、合理化、それから自己収入確保などいろんな努力をやっているわけでございますけれども、なかなか累積債務は減少しないという状況でございます。  また、そのときに経常事業の部分と累積債務の事業勘定と二つに分けました。経常事業の部分はそこそこにやっぱり改善の歩みが見られますが、問題は累積債務でございます。累積債務の中の一番大きな問題は金利負担でございまして、現時点におきまして平均金利五・四%ぐらいでございますが、その平均金利を上回る借金が三兆二千億円の累積債務のうち一兆四千億を超えています。特に八%という高金利の借金が四百億以上ございます。  こういう状況でございまして、ことしも一般会計からの繰り入れにつきまして、今まで要求してもなかなか認められなかった造林借入金につきましての利子補給、これをやってもらう、あるいは償還期が来て償還金がないので借りかえなくちゃいけない、その場合の借金に対する利子補給が、一定の範囲内にとどめられたんですけれどもその対象を拡充するとか、それからまた保安林とか保護林とか、こういうものにつきましてはむしろ一般会計負担でやるべきじゃないかという世論の声を受けまして、世界遺産の部分から逐次一般会計化をするというふうなことを図っているわけでございます。  そうやってもなかなか累積債務そのものが減少していないのは事実ではあります。ただ、私どもは増嵩を食いとめて徐々に減少させていくというふうな方針を堅持しつつ、各般の努力をしなければいけないというふうに考えております。幸いなことに戦後造林しました人工林、これが順調にいけば五年後には大体今の伐採量の一・五倍になります。それから、十年後には二・四倍になります。そうしますと、木材販売収入も着実にふえて、これが債務の償還に充てられるようになりますので、その経営改善の努力を進めると同時に、そのような育林の面でも全力を挙げていきたいと思っています。  ただ、この国有林の問題、基本的な問題は、予算編成のときの最高の政治決定でありますシーリングでございます。シーリングという大きな制約があるためになかなか一般会計から十分な繰り入れができないということがございまして、ここは行政ベースでは可能な限りの手持ちの手段を使って努力いたします。その上はやはりまた何らかの手を講じなくちゃいけないんじゃないかというふうに率直に感じております。
  101. 菅野久光

    ○菅野久光君 林野庁長官から今のシーリングのお話がありまして、我々もシーリングの見直しという作業を与党としても進めておりますので、今までも林野の問題は総論賛成各論反対ということでなかなか物事が進んでいかなかったわけでありますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、長い時間のかかるこの林野の、木の問題でございますから、財になるまでに相当長い時間がかかるということなども含め、また地球環境を守るという我々が先進国の一員としての役割を果たしていくためにも、どうしてもこの問題はそう遠くない時期に解決をしていかなきゃならぬ、このように思っておりますので、大変な状況の中での任務でございますけれども、ひとつ頑張っていただきたい、このように思います。  最後は、水産問題でございます。  先ほどからも話が出ておりましたけれども、海洋法条約の批准の問題で、去る二十日に国連海洋法条約の締結及び海洋法制の整備について閣議了解を行いました。そして、韓国及び中国との漁業関係について、両国との協議によって海洋法条約を踏まえた新たな漁業協定が早期に締結されるよう速やかに交渉を開始し、合理的期間内に結論を得るよう鋭意努めるという閣議了解をしたわけでございますけれども、海洋法のもとで発足するTAC制度など新たな漁業制度の円滑な運営のためにも、これは国政の最優先課題一つとしてこの交渉に全力を挙げて取り組んでもらいたい、そして速やかに決着させる必要があるというふうに思います。  漁業団体も、合理的期間、これは外交的にいえばこういったような表現になることはやむを得ないとしても、ずるずると交渉が長引くということについては、これは漁業団体として非常に神経質になっております。したがって、交渉に当たっての一応のめどといいますか、腹づもりといいますか、そういうものが必要ではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  102. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 先ほどからも御指摘がありましたが、我々としては今まで韓国、特に中国との間に非常にトラブルの多かったその状況の中で、幸いにこの両国とも二百海里問題については批准をするという明るい見通しがございますので、あくまでも条約の線に沿った全面設定、全面的に適用するという基本線を変えないでこの両国とも積極的に交渉していかなきゃなりません。  何しろ相手のある話でございますから、ソ連と何回やっても話がまとまりませんというような事態がずっと続くようでは、私はやはり漁民の期待を裏切るのではないのかなということで、事務当局とも鋭意この問題については打ち合わせながら、委員指摘のようにできるだけ早く合理的な期間内に設定できることを努力したい、かように考えます。
  103. 菅野久光

    ○菅野久光君 政府の立場としては、合理的期間内ということで期間をはっきり言うということはなかなか困難ではないかというふうには思いますけれども、私どもとしてはやはり一年ぐらいをめどにして何とか早期に交渉を開始して決着を見るようにしてもらいたいというふうに思います。  北海道の周辺地域での韓国漁船による被害、これは先ほど水産庁長官からお話がありましたけれども、実は漁具被害が相当ありまして、この補償はなかなか難しいんですね。やったやらないの問題も含めて、実際に被害のあった何十分の一かぐらいしかお金がもらえないというようなことで、漁業者の人たちには大変な問題ですし、資源を管理するというような立場で禁漁期間にして、その間は日本の漁船はそこでとらないというようなことをやっているときに、目の前で悠々と底びきでやってしまう。  もう本当に何と言ったらいいかわからない、悔しさといいますか無念さというか、そういったようなものがありますので、海洋法条約を批准するこの機会に、今までの日韓漁業協定あるいは日中漁業協定を見直すという言葉ではなくて、新たな枠組み、海洋法条約に基づく排他的経済水域の全面適用、全面設定、こういったようなことを基本にした新たな枠組みを二国間でつくっていくということが私は大事だというふうに思うんです。  今まであるものの見直しということになれば、またそこでいろいろあるんじゃないかと思いますが、やっぱり望ましい枠組みを両国でつくり上げていく、そういうことが海洋法のまた精神でもあるというふうに思っておりますので、ぜひ全国の漁民の期待にこたえるような形で、相手のあることですから大変困難さを伴うことは当然でありますけれども、ひとつ最大限の努力をしていただきたいということを心から期待をいたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  104. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、まず最初に大臣お尋ねいたします。  二十一世紀は世界の食糧不足、こういうことが世界の常識になっております。そういう中で、世界各国ではそれぞれの国の自給率を引き上げる、こういう努力をしているにもかかわらず、日本はどうなのか。日本は、一月に発表された食糧の自給率、カロリーベースで四六%、穀物では三三%と、一億二千万人の国民の胃袋の半分以上が外国に依存しなければならないという、こういう極めて深刻な状態になっているわけであります。  世界の食糧の需給を考えるときに、日本の食糧の自給率を少なくとも六〇%台に回復して、さらにこれを高めていく、こういう立場で農政の転換を図る、このことが今緊急な課題であると思うんですけれども、国の基本目標に据えなければならない食糧の自給率の問題等については、残念ながら大臣所信表明の中に入っていない。こういう点について、まずお尋ねしたいと思います。
  105. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 先ほども申し上げましたとおり、新しい基本法の制定等、非常に大きな曲がり角にある日本の農政のこれからのありようを考えるときに、私はいろいろ、四つも五つも問題があるのかもしれませんけれども基本はやっぱり今委員のおっしゃったとおり自給率を引き上げる、少なくとも現状水準までには確保していかなきゃならないということを一番大事な視点に置いて考えていくべきではないのかな。ただ、そのための手法とは一体何ぞやということになりますと、これは非常に難しい課題をお互いに抱えていくんではないのかな、こういうことを考えざるを得ないわけであります。  委員質問時間が短いので、簡単にお答えさせていただきます。
  106. 須藤美也子

    須藤美也子君 御協力ありがとうございます。  日本だけが、生産できるのに米を輸入しながら減反している。これは日本だけですよね。しかも、二月からはそれぞれの農家に減反面積が配分されまして、いろいろなところで問題が起こっております。  ミニマムアクセス米の導入に伴う生産調整の強化は行わない、こういう閣議了解をしたにもかかわらず、実際は、平成七年度、八年度産米の需給見通しては、計画流通米の中にミニマムアクセス米五十一万トン、これが組み込まれています。しかも、今回の過去最大の減反面積の中の上乗せ十万七千ヘクタールというのは、ちょうどこの五十一万トンミニマムアクセス米に相当する、匹敵する面積になっている。ですから、この閣議了解で決めたミニマムアクセス米の導入に伴う生産調整の強化は行わないということに対して反しているのではありませんか。  それと同時に、新食糧法の精神からも、つくる自由、売る自由と言いながら反強制的に農家の皆さんに配分するという、こういう強制的な減反はやめるべきではありませんかと、このことをひとつお願いしたいと思います。
  107. 高木賢

    政府委員高木賢君) 生産調整、これは潜在的な生産力が需要を大幅に上回っているという状況のもとでは避けて通れないことだろうと思います。加えて、国産米適正在庫と言われている百五十万トンを相当上回っておりまして、これを三年間で計画的に縮減するということでございます。  これはあくまで国産米の過剰在庫を縮減するという考え方でやっておりまして、ミニマムアクセス米の量、あるいはそういう要素は一切考えていないところでございます。
  108. 須藤美也子

    須藤美也子君 この問題については、過剰だから価格が暴落する、こういうことで随分農協さんの方でも必死になって減反の問題について農民の方々に話しているようですけれども、この減反をやった結果価格が保証されるのか、そして減反に協力した方々から全量そのお米を買い上げられるのか、こういう保証があるのかどうか、このことについてはこれからきちんと実証されると思うんです。  そのときにまた質問をすることにして、きょうはとりあえず、この減反問題については強制減反だけはやめなさいと、強制的な減反はこの精神からも外れますから、それだけはやめるように指導をすべきではないかと思います。
  109. 高木賢

    政府委員高木賢君) つくる自由、売る自由ということが言われたわけでございますけれども、今のような大幅な需給ギャップがあるところではそのままで予定調和的にうまくいくということには到底ならないと思います。  強制とは申しません。今までありましたペナルティーというのはやめるとか、できるだけ説得の上でということではございますけれども、やはり全体の需給がバランスを欠きますと価格の暴落を招くということにもなりますので、これはぜひとも御理解、御協力をいただかなければならない、このように考えている次第でございます。
  110. 須藤美也子

    須藤美也子君 次に、住専問題についてお尋ねしたいというふうに思います。  私は、全国各地の農村部を歩きますと、最近は住専問題で多くの農民から、米価は引き下がり、その上大幅な減反、経営が大変なのに税金で住専に農民の金を使うとは何事か、やめてほしい、こういう要求がいっぱい出されております。先ほど来いろいろ発言もありましたけれども、公的資金は農家救済のためだと、こういうことに対してはもう我慢できないと、こういうことを言われます。  大臣は、この農民の二重にも三重にも負担がかかっているこの問題についてどう考えておられるのか、その辺ちょっと答弁をお願いします。
  111. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私も言いたいことが山ほどあるのでございますけれども、本当に正直言ってそういう意見については我慢がならないわけであります、私も。しかしながら、最終決着は、苦しい中だが農協の方も負担してくれと、泣く泣くこれは実は負担したわけでございます。  農協の今の信用システムをごらんになればなるほど、そういう仕組みになっていないわけでありまして、それは超一流銀行、世界ランキングの十社の中の五つも六つも占めた銀行、これが母体行の責任を負うべきではないか。農協系統は一兆三千億の内部留保しかございません。二十一行だけで二十兆、母体行で三十兆という内部留保が現にあるではないか。それに我々は経営責任も、さらにはまた大事にも関与しておりませんよと。それだけでもうこれはわかるはずでございますけれども、いろいろ言う方があって、まことに我慢がならないというのが実態でございます。
  112. 須藤美也子

    須藤美也子君 大臣が我慢がならないと言われると、大変ですね。  昨年の暮れの十二月十三日の衆議院の予算委員会で、前大臣の野呂田大臣はこう言っていますね。  大蔵大臣との協議の場では、農協系統の貸付債権は全額返済して元本ロスは生じないようにすべきであるということが一つ、母体行には全額債権放棄や受け皿機関への出資は当然であり、これを上回る負担を行うことが基本である、この確保がなければ私どもは農協系統協力を得ることはできないと考えている、 ということを答弁しています。  この基本姿勢と大原大臣とは、ここは食い違っていますね。野呂田大臣のこの答弁の筋を貫けなかったのかどうか、そこをお尋ねしたいと思います。
  113. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 前大臣の話でございますので、事実関係も含めて私の方から申し上げさせていただきます。  大臣の発言として、系統のお金につきましては全額返済をして元本ロスを生じないようにということであったと思います。  この点につきましては、昨年の十二月十九日の政府・与党合意文書及び閣議決定文書におきまして、母体行につきましては全額、そういう意味ではロスといいますか、放棄をすると。それから一般行につきましても一部ロスをするという形になっておることに対しまして、今御指摘のように、系統につきましては五兆五千億を全額返済するという形の中で確保されているというふうに思います。  それから母体行につきましては、そういった元本を放棄するということに加えて出資であるとか、そういった負担をしていかなきゃならないという点についての御指摘でございますが、これも今申し上げましたように、母体行は三兆五千億のぎりぎりの自分の方の全額を放棄するということに加えまして、新たにできます住専処理機構に対します出資金、さらには住専処理機構等に対します低利融資そういうことについても行っていくと、そういう意味で、ぎりぎりの負担を求めていくということの趣旨は貫かれているというふうに私も思います。
  114. 須藤美也子

    須藤美也子君 ここに、静岡県の農協中央会、信連、共済連会長名で、「組合員並びに農協利用者の皆様へ」という、こういう分厚い書面が配られています。この中にこう書いてあります。  大蔵省・農水省は、半期毎に信連に対し住専に対する貸出枠の計画と実績の報告を求めチェックし、認可してきました。各信連はその範囲内において貸し付けしてきたのが実態であります。さらに、行政は住専からも四半期毎に報告を求め、その内容をチェックしてきたのであります。従って、無原則に行ったものではありません。  この静岡県の県信連の貸出金は、四十七の信連が住専七社に貸し込んだ残高、平成七年三月末で三兆三千四百二十五億円、このうちの三千四百三十九億円、全体の約一割以上。静岡県信連の貸出金七千九百六十六億円のうち約四割を住専に貸し出した。こういう異常な貸し出しを認めていた。  農水省、こういう指導をなさっていたんですか。
  115. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) この点につきましては何回か御答弁申し上げたわけでございますが、昭和五十五年に住専につきまして員外貸し出し規制の枠外にするというときの通達でもって半期ごとに届け出をするということになっております。  したがいまして、その中で貸し出しの状況、いわゆる実績につきましても、大蔵省それから農林水産省に対しましてそれぞれ実績の届け出がございましたので、そういう意味で、そのことについては把握をしたということにつきましては御説明をしているところでございます。  その点につきましてのさまざまな御指摘があるわけでございますが、当時住専が系統にとってどういう状況であったかということを二点ほど申し上げさせていただきますと、やはり住専は本来住宅ローンを提供するものだという意味での社会的公共性の非常に高いものであったというような意識があったし、それからまた、その当時大変住宅資金の需要が旺盛であったということで、そういうことにこたえていきたいというもろもろの意識があったと思います。  それから、当時は大変貯金量がふえまして貯貸率が非常に下がるという中で、系統としても自己努力ということの中でできるだけ自分の貸し出し先を見つけたいと、そういう状況の中におきましては、住専は当時は金融機関並みの扱いということでもございまして、かなり高配当ということを維持していたということもありまして、比較的信用のある取引先であった。そういうことの中で、それぞれの信連の個別の経営判断という中で貸し出しが行われたものというふうに理解をいたしております。
  116. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほど来いろいろ答弁の中でおっしゃっていましたけれども、四十七県信連の中で三十の県信連が赤字だと。こういう中で大臣お尋ねをしたいと思うんです。  大臣は、就任間もなく日本農業新聞にこういうことをおっしゃっています。農協系統の再編合理化の促進に当たって聞かれたときだと思うんですけれども、「系統には六十兆円という金(農協貯金残高)がある。これが将来、有効に日本経済の中で生き、それが景気を支える仕組みをつくることに焦点を絞る」、こうおっしゃっています。  私、これ見まして、いやまた大臣は農協のお金を住専のようなところに使って、地域農業がこれほど深刻になっているときに、先ほど大臣がおっしゃった展望が見えてこない、農協系金融機関にも、地域の農民に貸し出すにしても展望が見えてこない、そういう背景がある。であるとすれば、本来であればこういうお金を農業の再建、米と農業を守る、そういう方向とか、高齢化社会に向けて中山間地、いろいろなお話ありました。中山間地の福祉の向上のためにいろいろな施策をつくる、あるいは後継者育成のためにこれを有効に活用するという言葉を聞きたかったわけなんです。  ところが、日本経済の中に生き、景気をよくするために使う、一体この真意はどこにあるのかお尋ねしたいと思います。
  117. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私、そこだけ言ったつもりはないのでありまして、やはり農協の中でおっしゃったような資金循環ができれば一番理想的だと思うんです。さあその際、必ず利子補給が要るんです。  今度、農家の系統からの借金に対して農業生産のための借金は二・五%に金利を下げますというのは、これはウルグァイ・ラウンド対策系統への利子補給をやったものであります。そういったことができていけるなら、金利は普通の金融機関並みに保証しますよと、ただし貸すときは申し上げたようないわゆる利子補給によって農家に手厚い融資の循環ができれば一番理想的であります。  そういった方向も当然考えていかなきゃならぬのでありますが、七十兆円、六十八兆円というお金全体をそこへ還元するということが果たして手法として可能かどうか。その残った部分はできるだけ多く稼いで多く還元できる仕組みを、現在の金融体系の中で蛇口を広げていくことができないかどうかということを、これは反対しますよ、大蔵省も金融機関も。だけれども、それをやっていかないと農家への還元率が少なくなるんじゃないのかなという危惧を申し上げたつもりでございます。
  118. 須藤美也子

    須藤美也子君 農業協同組合の目的、性格、そういうものは銀行、株式会社とは違うと思うんです、先ほどおっしゃっていましたけれども。組合員がお互いに貯金し合い貸し付け合う相互金融によって営農と生活改善、向上を図ろうとするものであり、農協の資金は地域の農業振興や農村の福祉、産業活性化を図るために使用するものであると、これが農業協同組合の目的であり精神であると思うんです。  ですから、再編合理化、改革をするためにも、私はこの原点に立った立場を貫いてほしい。  と同時に、農民の怒り、これはやっぱりすごいですよ、何だと。であるとすれば、私は先ほど来おっしゃっている公的資金の投入は、少なくとも母体行救援のためのものであるということを農家、農協の皆さんがはっきりわかるように農水省の幹部の皆さんがしかるべきところできちんと公表していただきたい、大臣も。そう要求したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  119. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 御意見には全く賛成であります。異論はございません。我々の努力の不足を、今急に決まってから国会という状況の中で、十分まだ農家の方々へも申し上げる機会がないし、だんだん我々がそう言っていることは少しはおわかりになっているものも相当あると思うんです。  先般も農協の方々がいろいろ来られまして、よう大臣頑張ってくれておるわいなというお褒めの言葉も私いただいたのでありまして、これを背に受けて、またなお一層頑張っていかなきゃならぬ、こう思っております。
  120. 須藤美也子

    須藤美也子君 あと時間がありませんが、最後に六千八百五十億円の公的資金導入については我が党はきっぱり反対でございますので、その旨申し上げまして、質問を終わります。
  121. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  大臣所信表明に関連しまして、三点ほどお伺いをしたいというふうに思っております。  一連の住専の問題を含めて今もずっとこれ論議があったわけでございますが、今、系統農協の組織再編が大変マスコミ等でもクローズアップされているわけでございまして、聞く話によりますと、昨日ですか、農政審議会の方に諮問なされた、こういうふうなお話も承っておるわけでございます。御案内のとおり、これまでも系統農協の中ではいろいろ組織再編論議というのがやられてきまして、系統二段階論とかあるいは系統三段階で事業二段階だとかいろんなことをやってこられて、今現在では系統二段階というのが大体その大宗をなしているというふうに私は理解をしているわけでございます。  今、全国連と単協、こういうふうな形での系統二段階であるわけでございますけれども、単協の中でも、先ほどもお話ありましたように大変な広域合併を今一方では進めております。我が県なんかにおいても、三月一日にスタートをするんですが、ちょうど県北、福島境の方でJA那須野というのが今度誕生しまして、これが組合員二万二千人という大単協になるわけでございます。そういう中で、いわゆる系統再編について、農水省としてどういうふうな基本的な認識を持っているのか、その辺についてお伺いしたい。  非常にそれだけでは抽象的なものですから、さらにつけ加えさせていただきますと、いわゆる指導事業なり購買、販売、あるいは共済事業については既に全中もあり全農もあり全共連と、こういうものがあるわけですね。ただ、信用事業についてはこれまで都道府県の信連があって、あとは農林中央金庫と、こういうふうなことになっているわけでございますが、御案内のとおり、農林中央金庫は中金法でできているわけでありますし、信連は農協法でできているわけですよね。  その辺で、これからどういうふうな形でこの組織再編をなさろうとしているのか。いわゆる農協法の中で完結ができるような物の考え方で組織再編をするのか。あるいは、先ほどのこの住専の問題を含めて今信連の体力が非常に落ちていますから、なかなか現実の話としては難しいんだろうと思うんですが、ただ、純理論的には農業協同組合という自主協同の組織でございますから、ここの中でするのか。一方の共済事業等においては全共連という全国連組織を持っているわけですね。あるいは指導事業においては全国農協中央会、購買、販売においては全国農業協同組合連合会と、こういうふうなものを持っているわけでございますが、事信用事業に関して、農林中央金庫と農協とはやっぱり似て非なるものと、こういうふうなことがあるわけですが、その辺の基本的な方向性、考え方をお聞かせいただきたいというふうに思っております。
  122. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協全体のリストラの問題につきましては、大臣からお答え申し上げておりますように、本格的に取り組んでいかなきゃならない課題ということで、先ほども指摘がございましたけれども、ことしの一月三十一日に農政審議会にお願いをして、既に検討を始めているところでございます。  具体的な検討の中身につきましては、さまざまな御議論がございますので、国民各界各層の御意見をいただきながら、またこうした国会の場での御議論をいただきながら、私どもとしては議論を深めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  ごく簡単な意味での基本的な考え方ということを申し上げさせていただきますと、やはりこれも大臣が御説明申し上げておりますように、当面急がれております金融自由化、金融の荒波の中でどういうふうに農協の金融があるべきかということが非常に急がれておりますので、そういう意味では、まず第一点には信連と農林中金を統合するということによってこの問題に対応していくということがあるかと思います。  それから二つ目には、これも御指摘ございましたけれども、農林中金と信連の合併というのがいわゆる垂直合併ということになりますというと、やはり水平という意味での単協の水平合併というものを精力的に進めていかなきゃならないというふうに思います。そういうことを通じまして、基本的に他の金融機関並みの経営の健全性なり効率性ということもやはり視野に入れておきませんというと、この厳しい金融自由化の中での対応が非常に難しくなってくると思います。  そういう意味で、専門知識を有しておられます方々の役職員の活用なりリスク管理体制、あるいは自己資本の充実、ディスクロージャーといった問題につきましてもきちんとしていかなければならないというふうに思っております。  それから四点目には、これも先ほど来御議論ございますし大臣からも御説明申し上げておりますように、農協貯金が六十八兆円あるわけでございますが、そういう意味で、その健全な運用を可能にするための融資規制の見直しとか、そのようなことも含めて幅広い議論をしていかなきゃならないというふうに思っております。  そうなりますというと、今指摘のように、農林中金といわゆる農協法との関係の問題はございますが、基本的にはやはり農林中金法及び農協法の改正ということにつながってくるのではないかというふうに見ております。
  123. 国井正幸

    ○国井正幸君 私、農協の組織再編の中で大変重要なことは、一つは今経済局長がおっしゃられたように、特に信用事業においてはいわゆる員外利用の規制を広げてあげないとこれはどうにもならないという現実があると思うんです。先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、これはやっぱり銀行なんかは恐らく大反対をするんではないか。  しかし、今日の農家経済現状というものを見ますと、大体九割方が兼業農家なんです。いわゆる農外所得をもって農家経済を運営している、こういうふうな現状があるわけでございまして、そこで出た農家経済余剰を農協に積む、そして利用するというか預けて、そこで収益を得ると。  そういういろんなことを考えてみますと、手足を縛っておいて金融の自由化だということになっても、これはまことに競争にたえない現状があるわけでございますから、これらについてはやっぱり大変だろうというふうに思います、これは大蔵との関係もありますから。しかし、ぜひやはり員外利用の規制というのを緩和することが必要なんではないか。だから、全体ができなくても、この信用事業については特に例外措置を設けるかなんかして広げないといけないんではないか。協同組合という性格からして全部を取っ払うというわけにはなかなかいかぬというふうに思いますが、特にその点はお願いをしたいなというふうに思っております。  それからもう一点は、単位農協も合併をして、先ほど申し上げましたように取り扱いの事業分量が大変ふえているわけです。だから、従来のような感覚では、私は農協というのは経営がうまくいかないというふうに思うんです。  何年か前に農協法の一部改正があって、いわゆる役員の学経の枠が広がったと思うんです。現在、三分の一以内だというふうに理解していますけれども。ただ、これは可能規定ですよね、置くことができるという話だけでしょう、いわゆる三分の一は組合員以外からも役員を置くことができるという可能規定。自主的な組織だからそれでもいいと思うんですが、やっぱり私は学経、いわゆる経営の専門家を役員体制の中に組み入れていかないとなかなか経営というのも、もう預金だって何百億、購買、販売事業においてももう何百億という話ですから、自分で農家を経営していた感覚だけではもうとても農協の役員というのは務まらないという状況があるわけでございます。そういう経営体制を強化するという意味で、ぜひ学識経験者等を理事、経営体制の中に組み込めるように指導することが必要なんではないか。  そこで、もしお手元に数字があればお聞かせをいただきたいというふうに思うんです。単協等で農協法上は置けることになっているんですが、私が知る範囲では、我が県、私は栃木でありますけれども、県連では学経の理事がいるんですが、単協ではまず置いてないという状況なんですよ。ぜひ模範定款例の改正等もして、できるだけこの経営体制の強化、こういう面については特段の御努力をお願いしたいというふうに思っているんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  124. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 二点御指摘でございますが、員外貸し出しにつきましては御指摘のとおりさまざまな規制があるわけでございます。他方で、六十八兆円の貯金量があるということで、そのバランスを欠いているということについての御指摘であろうと思います。  そういう意味でも、先ほども指摘がございましたように、やはり基本的に農家の方々の生活及び産業、生業といいますか、そういうための資金にこたえるということを基本にしながら、それだけではどうしても対応できないものにつきましては、貸し出しによります自己運用ということ、さらには上部機関への預け金による運用、この三者がバランスのよくきいた形での対応ができるようにしていかなきゃならないというふうに思います。  そういう意味で、全体的に難しい問題はございますけれども、員外貸し出し規制につきましても農政審の場での御議論等も踏まえながら努力をしていきたいというふうに考えております。  それから、学経理事の登用を初めとした執行体制の強化ということはもう御指摘のとおりでございます。ただ、先ほどもお話ございましたように、平成四年の農協法の改正におきまして、員外の理事枠が従来全理事の四分の一未満というふうになっておりましたものを三分の一未満というふうに拡大をしてございます。そういう意味では、法制度上はかなりの手当てができているというふうに思います。あとは、今お話がございましたように可能規定といいますか、そういうことであることは間違いないわけでございます。  私どもとしましてもできるだけ、特に信用事業を中心に専門性の分野が非常に多くなってきておりますので、農協あるいは信連の執行体制、それから誤りなきを期すという意味でこれからも学経理事の登用ということについて指導をしていきたいと思いますし、その点、農協の方々の御理解を得るべく努力もしていきたいというふうに思っております。
  125. 国井正幸

    ○国井正幸君 特に、ここのところへ来て農協は経営能力がないとか、そういういわれなき誤解もあるんですが、やっぱりこれはきっちりするにこしたことないわけですから、ぜひその点についてはお願いをしたいというふうに思います。  それで、時間ももうないんですが、もう一点だけお聞かせいただきたいと思います。  実は、昨年の十一月からできた新食糧法の関係で、米の備蓄というものが、大臣所信表明にもあるわけでございますが、はっきりした形で国の役割ということになって百五十万トンを中心に国として備蓄をする、こういうふうなことになっているわけでございます。備蓄をするということになりますと、当然次の年まで持ち越さないと備蓄にならないわけですよね、途中で食べちゃうということは備蓄ではありませんから。持ち越すというふうなことになると、結局古米という形になってくるわけですよね。次の年に米ができて、また買って、その古いものを処分というか売っていく、こういうふうなことになるわけです。  そのときに必ず出てくるだろうというふうに予測できるのは、消費者からすると古いものを回した、こういうふうなことが裏腹の関係で、これは当たり前のことなんですけれども、備蓄をするということになれば古いもの、よくスイスなんかでは古いものから食べていく、こういうふうなことも言われているわけですから、当たり前のことなんですが、しかし、今の消費者ニーズからすれば古いものを回した。ということになると、当然値引きせいとかいろんな形が市場原理の中で出てくるんだろうと思うんですね。これは財政負担もそれなりにある。  私、たまたま思いますのは、今、農水省の補助事業の中で共同乾燥調製貯蔵施設、いわゆるカントリーエレベーター等が相当急速につくられているわけですよね。西の方は終わって、今、特に東の方が主力かもしれませんけれども、相当普及してきている。ぜひもみでサイロに貯蔵をして、そして翌年、今ずり米として出していけば、そういう意味では消費者ニーズにこたえられるのではないか。  したがって、これから新しくそういうカントリー等をつくるときには、備蓄用のサイロだけでも国としてきちっと整備をして、その運用は共乾施設運用するところに任せてやったらどうなんだろうか。そんな考えをしているんですが、その備蓄の考え方ですね、それらについてちょっとお考えを聞かせていただいて、時間もありませんので、これで終わりたいというふうに思います。
  126. 高橋政行

    政府委員高橋政行君) 米の備蓄の制度につきましては、ただいま先生からお話があったとおりでございまして、当然保管を要するわけでございますので、我々も何とかこれをうまく品質が劣化しないように保管していかなきゃいけないというふうに思っております。  特に、今御指摘がございましたもみ保管の関係でございますが、今低温保管というものも結構やっておりますけれども、いわゆる常温保管の場合に玄米保管に比較して品質保持面でどうかということにつきましては、これは今までも調査がございまして、その場合はもみ保管がすぐれているという結果が出ております。  しかしながら、低温保管を今一般的にやっておりますが、そういった場合の品質保持については、もみ保管と玄米保管でどちらが有利か、どちらがいいかという結果がございませんので、これらの点について検討するために、平成六年度から一応三カ年計画で、特に今御指摘のカントリーエレベーターですね、やはりもみ保管することになればカントリーエレベーターということになろうと思いますので、カントリーエレベーターで低温でのもみの長期保管の有効性につきまして今調査をしておるところでございます。  我々といたしましては、こういった調査、試験の結果を見て、それからさらに、もう一つはコストの問題といたしましては、もみ保管の場合は玄米保管に比較いたしまして倉庫のスペースが非常にかかるんです。玄米換算すると二倍ぐらいかかるというデータもあるわけでございまして、そういったコスト問題も含めてその辺は検討していきたいと今思っておるところでございます。
  127. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。
  128. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二院クラブの島袋宗康でございます。本日は沖縄の農業問題についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。  沖縄は我が国でもほとんど唯一の亜熱帯性気候の地域に属しているわけでございます。農作物の種類においても、本土がおおむね稲作中心であるのに対して、我が沖縄ではサトウキビが基幹作物であり、本土と著しく異なった特徴を有する地域であります。  近年の沖縄農業の状況は、畜産や菊、ラン等の花卉、冬春季の野菜、マンゴー等の熱帯果樹が成長しつつあることは明るい面があるわけでありますけれども、一方では、基幹作物であるサトウキビとパインについては生産が年々落ち込み、非常に厳しい状況にあります。  私は、今後の沖縄農業の振興のための政策は、亜熱帯という地域特徴を長所として大いに生かすような方向で進め、地域経済に与える影響が大きいサトウキビ等については、効率的、安定的な農業の持続が可能となるようにひとつ支援していく必要があるのではないかというふうに考えております。  そこで、いろいろ申し上げましたけれども、今後の沖縄農業の振興について、大臣としていかような方策で臨まれるのか、所信を承っておきたいと思います。
  129. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私も沖縄に何回かサトウキビを見に行ったことがあります。  御指摘のように、我が国唯一の亜熱帯性気候地帯に位置しておりまして、沖縄の振興についてはその特性を思い切り生かすということが重点かと思います。  具体的には、基幹作物であるサトウキビの生産性品質の向上を図ること、さらにまた気象条件の有利性を生かした、御指摘が今ございました冬春季野菜や、あるいは花卉、熱帯果樹、草地畜産などの振興を図り、沖縄農業を特色ある亜熱帯農業として確立していくことが重要であると思います。  このため、平成四年に策定されました第三次沖縄振興開発計画、平成四年から十三年度間のその計画に即して農業生産基盤の整備や経営規模の拡大、農業生産の担い生育成対策などを確実に実施していく必要があるほか、消費者ニーズに対応した高収益性作物の産地形成を図るなど、今後とも特色のある沖縄農業の振興を図るよう努めてまいりたいと思います。
  130. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ沖縄の農業振興について一段の御努力をお願いしておきたいと思います。  サトウキビの生産性の向上を図る上では、植えつけから刈り取りに至る各段階においてより一層の機械化を進める必要があるのではないかというふうに思います。特に、年配の方でも操作できるような小型の機械の開発とその使用料金の低額化を達成することが、今後の大きな課題ではないかというふうに考えております。その点について国の取り組み状況について現状を御説明願いたいと思います。
  131. 高木賢

    政府委員高木賢君) 御指摘のとおり、サトウキビ作につきましてはほとんどが手作業に依存するということで、多くの労力を要している実情にございます。特に収穫作業につきましてはほとんどが手作業でありまして、労働時間の半分強が収穫作業ということでございますので、まずもってこの収穫作業機械化を進めることがサトウキビの生産性向上にとって不可欠であると考えております。  その際、これは実情に応じた機械導入ということが必要だと思います。石垣島などの比較的栽培規模の大きい地域は、これは大きいあるいは中型のハーベスターということでございますが、沖縄の本島などの栽培規模の小さい地域につきましては中型、小型のハーベスターということで、それぞれの地域の実情に応じて導入、普及を進めているところでございます。  それから、今後のことになりますと、収穫だけでなくて、植えつけから収穫までの機械化一貫作業体系、これによります大幅な省力化が必要だと思います。したがいまして、補助作業者なしで植えつけを行うオートプランターという機械、この開発に今取り組んでいるところでございます。それからもう一つ、株出し管理作業として根切り、廃土、防除、施肥、これを一工程で行う株出し管理機というものの実用化を現在進めております。  この二つにつきましては平成六年度から八年度までの予定で実用化のための事業を実施しております。そういうことで、これからの開発を進めたいということでございます。  それからまた、これらの機械導入に当たりましては効率的な利用を図る、料金も低額化を図る、こういう観点から、農業機械銀行方式を導入するとか、農作業の受託者組織を育成するとか、高能率な生産組織における共同利用を推進するとか、こういうことで利用の効率化と使用料金の低額化を図ってまいりたいと考えております。
  132. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平成八年度の農水省の予算の中に、地域リサイクルシステム確立事業の名称でサトウキビの搾りかすであるバガスをリサイクルし、堆肥として再利用することを促進する事業が計上されていると伺っております。  このような形でバガスの再利用を図ることは、資源の有効利用だけでなく、地方の向上によるサトウキビ生産の向上、さらに、将来的にはサトウキビの生産コストの低下等に資することとなり、一石二鳥どころか三鳥、四鳥もいろいろな面で効果が出てくると私は考えております。  そのような意味から、この新規の事業を大いに評価しております。また、今後の推移を大いに注目しているところでありますけれども、この事業の概要と、今後この事業をさらに充実し、広げていくおつもりがあるのかどうかお伺いします。
  133. 高木賢

    政府委員高木賢君) 今お話がございましたのは、平成八年度に新規予算計上をいたしておりまして、ただいま予算委員会で御審議をいただいている内容のものでございます。  これは、バガスを堆肥化して土壌に還元するということによりまして地力の維持、増進と生産の安定化を図るということと、未利用資源の効果的なリサイクル体制の確立、さらには高品質、安定的なサトウキビ産地づくりということで、一石何鳥かと御指摘がございましたが、そういった多角的なねらいを持ったものでございます。  事業内容といたしましては、県、市町村、農協連、糖業者団体などから成ります協議会を設けまして、バガスの利用に関する調整、有機物の投入による地力増進などの課題についての検討ということを行う一方で、バガスの堆肥化と実証圃の設置、小規模の土地基盤整備、共同利用施設の整備、これを一体的に行うものでございます。  もちろん、これから御審議をいただいて可決をいただかなければ実行もできませんし、来年度といいますか、その先のことについて今確たることは申し上げられませんけれども、たまたま私も昨年沖縄県をお邪魔した際に、県庁当局から強く御要請を受けたことでもございますので、積極的に対応してまいる考えでございます。
  134. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、赤土問題についてお伺いしておきたいと思います。  沖縄で雨が降るたびごとに、赤土が流出して海を汚染し、漁業や観光にダメージを与え、サンゴ礁等の生態系が破壊され、環境問題にも影響を及ぼしております。土地改良等の農林関係の公共事業も大きな要因になっていると言われておりますので、現在、農水省においてどのような赤土対策を講じておられるのか、また流出後の除去対策にどのように取り組んでおられるかお伺いしておきたいと思います。
  135. 野中和雄

    政府委員(野中和雄君) 土地改良事業の実施に当たりまして、沖縄県におかれましては昭和五十四年度に土砂流出防止対策方針を策定されまして、沈砂池の設置の徹底を図りますとともに、この対策の周知徹底を図っておられます。さらに、平成元年度には、沈砂池の設置密度の増加あるいは仮設の植生工の実施等々の対策強化を図っておられます。  また、平成三年度には、農林水産省と沖縄総合事務局及び沖縄県の事業実施担当部局によります連絡協議会を設置いたしまして、毎年度の土地改良事業実施地区の施工段階におきます赤土流出防止対策の検証を行いますとともに、今後の対策を検討いたしまして、一層の対策の実効性の確保に努めているところでございます。さらに、平成五年からは、排水条件が不備な既耕地等からの表土流出防止を目的とした水質保全対策事業を実施してきている。  こういうような状況でございますが、今後とも土地改良事業の実施に当たりましては、現場の条件に適した施工計画、施設設計あるいは工事の施工に携わります関係者の方々の意識向上、それから土壌保全管理に対します農家の方々の意識向上などの対策を徹底いたしまして、赤土等の流出防止につき十分配慮するように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  136. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それから、ウリミバエの技術の海外移転についてお伺いしておきたいと思います。  沖縄県が打ち出している国際都市形成ビジョンの一つに、国際技術協力を掲げ、沖縄の地域特性を活用した亜熱帯農業や環境技術等を通じた国際貢献を図るとして、本年八月に亜熱帯総合研究所を設立する予定であると聞いております。この研究所の研究対象として、例えばウリミバエの根絶技術や赤土除去技術等が挙がっております。  特に、ウリミバエの技術については、根絶の達成という世界でも類例を見ない画期的な成果を上げております。世界各国、特に途上国から大変な関心を持って見られており、その技術移転に対する要望も強く、現在その技術の移転については、JICAの沖縄国際センターが途上国から毎年数名の研修生を受け入れて、那覇の植物防疫事務所で技術実習を行っているところでございます。  私は、今後受け入れ人員の増加等、さらに一層の充実、拡大を図る必要があると思っております。また、県が構想しているように、研究開発を通じて技術の一層の向上と応用範囲の拡大を図り、技術移転がさらに促進されるような方向に持っていくことも重要であると考えております。  これらの点について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  137. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 約二十年かかりまして、このウリミバエの根絶事業というのは、委員指摘のように世界的にも高く評価されていると聞いております。  今、御意見がございましたが、その研究生のさらなる増員、特に発展途上国との関係の緊密化等については、今後もなお一層努力をしていきたいと思います。  さらに、御指摘がございました、沖縄県の国際都市形成ビジョンに基づく国際技術協力農林水産省としても支援してという御意見がございましたが、この点につきましても、地理的、気象的条件から見て、アジアの国々との国際技術協力のかけ橋として沖縄県の果たす役割は極めて重要だと考えております。  したがって、今後の対応に当たりましても沖縄県の意向も十分踏まえながら、緊密に連携をとってまいりたいと思います。
  138. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の地理的条件を生かすという意味では、国際交流問題が大変国際貢献としての一翼を担うと思いますので、ぜひその点については御努力を願っておきたいと思います。  沖縄県は一千平方メートル以上の土地の形状変更を行う際に、赤土防止技術を施して、事前に知事に届け出、または通知することを義務づける赤土等流出防止条例を制定し、昨年十月十五日から施行しております。国の公共事業もその対象となるわけであります。  そこで、農水省としても、今後この県の条例を遵守していく心構えを持っているのかどうか、そして、この県の条例制定に対して農水省としても何らかの対策を講ずる必要があるんではないかと考えますけれども、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  139. 野中和雄

    政府委員(野中和雄君) 赤土等の防止につきましては、先生今お話しのように、沖縄県におかれまして昨年、平成七年十月に沖縄県赤土等流出防止条例を施行されますとともに、従来の土砂流出防止対策方針に基づきました土砂流出防止対策実施基準を改定いたしまして、土地改良事業等における赤土等流出防止対策設計指針というのを設定されたところでございます。  農林水産省におきましても、国営事業の実施に当たりましては、先ほど申し上げましたが、従来から県の実施基準を参考にいたしまして、現場条件に配慮した赤土等の流出防止に努めてきたところでございます。今回、ただいまお話しのように条例が施行されまして、それに伴いまして設計指針等もできたわけでございますので、国営事業の実施に当たりましてもこれらの趣旨を踏まえまして、赤土等の流出防止に万全を期してまいりたいと考えております。
  140. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので終わります。
  141. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会