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国務大臣(
梶山静六君) まず冒頭に結論から申し上げますと、
総理の答弁に私も全く同意をいたします。
それから、私が申し上げた件は、確かに憲法七十二条に「
行政各部を指揮監督する」という
総理の
機能がございます。
内閣法の六条では「
閣議にかけて
決定した方針に基いて、
行政各部を指揮監督する」、こういうものになっております。
確かに私が就任以前の問題でありますが、このことを私が
イメージしたのは
阪神・
淡路大震災の問題とみずからここに限定をして言っております。「定例
閣議のある火曜日に発生したのは、不幸中の幸いというべきで、これが週末であったり夏休みの期間中であったりすれば、即座に
閣議を開くのは不可能に近い。」。その場合にどういう
措置ができるか、この問題を
考えますと、私は
内閣法というものを
改正してでも、
国民の生命、財産を守るために
内閣は一義的に努力をしなければなりませんから、こういうものに拘束されて
措置を誤っては大変だ、こういう思いがありました。
それから、きょう私のわきに法制局
長官がおいでになりますが、私も
内閣へ入って早速この問題を聞きましたけれども、
考えてみればこの
議院内閣制というのは極めて民主的なものであり、
合議制をとるという本質的なものがある。これと災害というものをどう整合性を持たせるか。そういうこともございまして、多分閣僚は全部これを了承しているわけでありますが、橋本
内閣においては二月二十三日に申し合わせをいたしまして、例えば東京に直下型の大地震があったときにどうするか。
これは今までそういうことを言うのは大変はばかったんですが、万一
総理大臣に事故があればその代行は副
総理がいたす、副
総理に事故があったときは
官房長官がいたす、
官房長官に事故があったときには
国土庁長官、そのようにいろんな
規定を設け、なおかつ
閣議が開催できない場合にも、電話でいわば
閣議にかわり得る有効な
措置をとることによってこの直下型の
大震災に備える。これは
政府として一番大切な
国民の生命、財産を守るという
仕事から見て
内閣法の欠陥と言ってもいいと思うんですが、災害時にどう対応するかということを
内閣法だけで読みますと、私は大変なおそれなしとしないと思います。
そういうことでありますから、せめて私も
官房長官になって、万一
震災が起きたときにどうするかという反省をするならば、この
阪神・
淡路大震災の教訓を得て、これだけのことを少なくとも橋本
内閣の中では
閣議で申し合わせをして、そういうことが実行可能になった、これでその欠点を除去できた、私はこのように確信をいたしております。
確かに私の文言には勇ましいところもありますが、実際に入ってみますと、ちゃんとこの法制局
長官がおりまして、これ以上の読み方は絶対に相まかりならぬ、
総理大臣も、
梶山気をつけろ、こうやられるわけですが、やはり
危機管理というものは極めて大切でありますから、万一の場合この
内閣法に縛られて
閣議を経なければそういう
措置がとれないということになれば
国民に対して相済まない、私はやっぱり
法律や憲法は
国民のためにあるものだ、このように理解をいたしております。