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1996-03-26 第136回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後二時二十分開会     —————————————    委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任     亀谷 博昭君      河本 英典君  三月十五日     辞任         補欠選任     岩永 浩美君      北岡 秀二君     林  芳正君      保坂 三蔵君  三月二十二日     辞任         補欠選任     北岡 秀二君      鈴木 政二君     小林  元君      石田 美栄君  三月二十五日     辞任         補欠選任     鈴木 政二君      北岡 秀二君     石田 美栄君      小林  元君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理事                 陣内 孝雄君                 吉村剛太郎君                 広中和歌子君                 松前 達郎君     委員                 岡  利定君                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 北岡 秀二君                 保坂 三蔵君                 小林  元君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林 久美子君                 伊藤 基隆君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  日野 市朗君    政府委員        郵政大臣官房長  谷  公士君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        星野 欣司君    説明員        文部省生涯学習        局学習情報課長  廣瀬  寛君        厚生省社会・援        護局企画課長   辻  宏二君    参考人        日本放送協会会        長        川口 幹夫君        日本放送協会専        務理事技師長  森川 脩一君        日本放送協会専        務理事      齊藤  曉君        日本放送協会理        事        中井 盛久君        日本放送協会理        事        菅野 洋史君        日本放送協会理        事        河野 尚行君        日本放送協会理        事        石渡 和夫君        日本放送協会総        合企画室経営        計画局長    稲葉 和彦君        日本放送協会経        理局長      酒井  伸君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査及び郵政事業、通信、放送及び電波等に関する調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。日野郵政大臣
  5. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) ただいま議題とされました日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入は五千八百二十八億円、事業支出は五千八百七十六億円とし、事業収支における不足額は四十八億円となっております。この不足額及び債務の償還に必要な資金八十八億円の手当ては、前年度までの繰越金四百六十四億円をもって充てることとしております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入は八百四十九億円、資本支出は八百億円となっており、放送設備整備など建設費に六百五十七億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、緊急報道体制充実及び非常災害対策強化を図ること、並びに新しい放送技術研究開発に取り組むこと、また受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等を計画しており、これらの実施に当たっては、経営全般にわたり一層効率的な業務運営を推進し、視聴者信頼され、かつ創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等実施に当たっては、厳しい財政状況にかんがみ、効率的な業務体制の確立に一層努力するとともに、配慮すべき事項として、受信料収入確保に努めるとともに、経費の削減を行うこと及び衛星放送に係る収支の一層の明確化等を指摘した意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。  ありがとうございました。
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、日本放送協会から説明聴取いたします。川日本放送協会会長
  7. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) ただいま議題となっております日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成八年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、緊急報道体制充実及び非常災害対策強化を図ってまいります。また、新しい放送技術研究開発などにも積極的に取り組むことといたします。  あわせて、協会財政が厳しい状況にあることを認識し、経営財源確保のため、受信契約増加受信料の確実な収納に努めるとともに、経営全般にわたり一層効率的な業務運営を推進し、視聴者信頼され、かつ創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  平成八年度の主な事業計画につきまして御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制充実非常災害対策強化を図るための設備整備及び放送番組充実のための設備整備を行うほか、衛星放送ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備等実施することとしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めてまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、音声による国際放送受信改善に努めるとともに、映像による国際放送を拡充いたします。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい技術研究開発を初め、放送番組放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内五十五人の純減を行い、総員一万三千六十人とし、給与につきましては適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額五千八百二十八億三千万円を計上し、このうち受信料については五千六百七十三億四千万円を予定しております。これは、契約総数において四十二万件、衛星契約において七十五万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など総額五千八百七十六億五千万円を計上しております。  事業収支不足四十八億二千万円につきましては、前年度以前からの繰越金の一部をもって補てんすることとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百五十七億円、出資二十五億二千万円、放送債券償還等に百十八億六千万円、総額八百億八千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源及び事業収支不足を補てんするための財源として、前期繰越金減価償却資金及び借入金など総額八百四十九億円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入三億八千万円、支出三億二千万円を計上しております。最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成八年度収支予算事業計画等につきましてそのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業受信料により運営されているということを深く認識し、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようにお願いを申し上げます。
  8. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 以上で説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 日本放送協会皆様には、今日まで我が国放送事業中核として鋭意努力してこられましたことに対し深く敬意を表したい、このように思う次第でございます。  提案されております平成八年度収支予算並びに事業計画資金計画につきましての質疑の前に役所の執行部にちょっと尋ねたい、このように思います。  この数日間、TBSの問題が新聞及びテレビ、ラジオでいろいろと報道されておるところでございます。  昨年、あの本当に痛ましい地下鉄サリン事件で多くの方が亡くなられ、また被害に遭われたわけでございますが、その原点と思われます坂本弁護士一家殺害事件に関しまして、その当時のTBS関係者が深く関与をしておったんではないかと。また、事件発生当時は、この殺害事件オウム真理教との関係といいますものに我々一般の者も何がしかの疑念というものを持っておったわけでございます。  そういう中で、先般、衆議院委員会におきまして、TBS大川常務ですか、出頭されまして、この件については、その録画テープオウムに提示されたということについては否定をされたわけでございます。ところが、一転して、この録画テープオウムの今起訴されております早川被告を初め三人の者がTBS当局に押し寄せたときに見せたと。その言い回しは、早川メモというものがあって、録画との符牒からいって見せたことは否定し得ないであろうという、表現としましては大変遠回しな言い方でございますが、見せたということを認めたわけでございます。  今申しましたように、一連オウム事件、その原点とも言えますこの坂本一家殺害事件、もしこの坂本弁護士インタビュー録画オウムに見せておらなければ、またもしこれが放映されてみんながそれを認識しておれば、このような本当に痛ましい殺害事件というのは起こらなかったんではないか、私は個人的にそのように思う次第でございます。  そういうことからいきますと、若干言葉が過ぎるかもわかりませんが、この録画ビデオオウムが押し寄せてきたので見せた、それがある意味では殺害一つの大きな動機になったということを考えますときに、私の感情的、心情的には、これは過失致死とも言うべき、犯罪とは申しませんが、と問いたいような気持ちを私は抱くわけでございます。  申すまでもなく、電波といいますものは国民共有の財産であることはもう言うまでもございません。その電波を借りてそれぞれの放送事業者事業を行っておるわけでございまして、これはそれだけに倫理観その他大変要求されるものだ、このように思う次第でございますが、今般のTBSオウムに対するビデオ録画の件、さらにさかのぼりますと、サブリミナルというようなまことに疎ましい手法を導入した事実もございます。また、引き続いて、捕らわれております麻原被告の声を流したというような事実もあるわけでございます。  そういうことを考えますときに、本来、報道といいますものは自由であるわけでございまして、政治権力とか行政権力が介入すべきものではない、このように思っております。当然のことながら、電波を借りて放送事業をする者がみずからの自浄作用によって、自浄能力によって改めるべきものは改めていかなければならない、また、その社のみならず、業界として改めるものは業界自体がやはり力を合わせて改めていかなければならない、このように私は深く思うものでございます。  しかしながら、これだけたび重なってまいりますと、TBSという放送事業者にはもう自浄能力がないんではないか、それを問うのはもう無理なんではないか、私はそんな気がしておるわけでございます。  報道によりますと、郵政省の方も事情をいろいろと聞いておるということでございます。放送法との関連でこれから行政としてもいろいろと対応していくもの、このように思う次第でございます。  しかし、坂本さん一家殺害され、そしてそれがずっと一連オウム事件につながっていく。遺体を発見するまでの本当に捜査当局の苦労。また、龍彦ちゃんという一番小さな子供さんの遺骨が出てきた、これは捜査当局努力もあった、このように思いますと同時に、龍彦ちゃんという子供さんの遺体一つ意思があった。それは、どうしても自分は見つかってやるんだ、そしてオウムという団体が起こしたまさに悪魔の所業に対決するんだという意思が私は遺体にあったんではないか、このように思いますときに、これだけ日本国民すべてが怒り、そして悲しんだこの事件に対して、いわゆる報道当局者として、これまでオウムとの関連がたび重なってきたTBSという事業者にそれだけの資格はもうないんではないか、私はこのように思う次第でございます。  放送法に照らし合わせて厳重処分とか、そういうこと以前に、本来ならばTBS当局営業停止をみずから申し出るとか、それもなければ行政として断固たる私はここで決意をしなければならないんではないか、このように思う次第でございまして、そういう面では、きょうは大臣見えでございますが、大臣の所信をまずお聞かせいただきたい、このように思います。
  10. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、吉村先生からは非常に強いお憤りの声がございました。TBSがこのたびとった行動というものについては私も非常に憤りを感じているものでございます。  まず、衆議院法務委員会における説明も聞きましたし、それから郵政省といたしましても三月十八日にTBSを呼びまして報告を受けております。しかし、昨日あたりから、TBSから発表される報告というものは全く反対の事実を述べているわけでございまして、私としてもまことに遺憾である、このように考えているところでございます。  それで、昨日もTBSに来ていただきまして、その内容を聞くということをいたしまして、そしてさらに聴取をいたしまして、さらに深くその内容を聞くためにまたおいでをいただいて調査に応じていただくというような考え方でございます。  ただ、先生もよく御承知のように、郵政省というのは直接の監督官庁でございますから、我々は事実関係をきちんと掌握する、それもきちんとした手続透明度の高い手続をもってこの事実を調査いたしまして、それが放送法に触れるかどうかということを厳格に見てまいらなければなりません。手続的にも実態をもきちんと見ていかなくちゃいかぬ。そういうことで我々この問題に対処してまいりたいというふうに思っております。  お怒りの点はお怒りの点として、これは先生のみならず多くの国民の皆さんがお怒りになっていると私存じますが、やっぱり監督官庁としてなすべきのりというものもございますから、それをきちんと守りながらこれから対処してまいりたい、このように考えております。
  11. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 大臣いみじくもおっしゃいましたように、これは私一人の怒りではございません。まさに全国民怒りであり、また坂本一家に対する悲しみであろう、このように思う次第でございます。といいますのは、これはまさに国民気持ちなんですね。今おっしゃいましたように、行政として、法に照らして、事実関係を積み上げて、そしてその事実に基づいて対応していくということは当然であろう、このように思います。と同時に、大臣おっしゃいましたように、国民怒りといいますもの、そして報道に対する不信感、これほど今高まっておる時期はないんではないか、このように思う次第でございますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  それと同時に、きょうは川口会長がお見えでございますが、先ほど申しましたように、まさに放送事業中核として今日まで放送界をリードしてきていただきました日本放送協会NHKでございますが、その会長として、放送界のあるべき姿、倫理に基づいたあるべき姿といいますもの、御感想があればお聞かせいただきたい、このように思います。
  12. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 同じく放送を預かっている事業者の一人として、今回のTBS事件は本当に残念でございます。遺憾であります。  電波公共のものである。電波放送する内容は、国民の福祉の安定、そういうものに役立たなければいけないと思っております。それが逆に、先生のおっしゃったように、非常に無残な状況を招いたかもしれないというふうな疑いがあるということは、私ども放送事業者として同じく、心からこれを反省しなければいけないことだと思っております。  既に私は、NHK部内においてはこういったことについての注意をさらに促しまして、公共放送としてのあり方をもう一遍きちんとみずからの中に畳み込んで仕事をしていくように全員に申したところであります。今後とも、NHK民放一緒になって日本放送界を何とか意味のある、意義のあるものにしていきたいという気持ちを持っておりますので、さらに今後とも私からもいろいろ働きかけて努力をしていきたいと思っております。
  13. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ただいま大臣並びに会長からお言葉をいただきました。まさに今放送に対する国民信頼というのが失墜されておることでございますので、今後もう二度とこのようなことが繰り返されないようにどうかよろしくお願いをしたい、このように思っております。  この件につきましては、きょうは質問者もたくさんおられまして、それぞれの方々が思いのたけを述べられる、このように思っております。きょうは日本放送協会予算に関する審議でございますので、この問題はほかの方に譲りたい、このように思うわけでございます。  申すまでもなく、日本放送事業といいますものは、公共放送でございますNHK民放がそれぞれ相切瑳琢磨しながら今日の地位を築いてきたわけでございます。この提案説明の中にもありましたように、申すまでもなくNHK受信料収入をもとにして経営をされておるわけでございます。また、民放の方は広告収入宣伝収入ということでございます。  今日、民放NHK、それぞれ私もよく拝見するわけでございますが、随分と番組内容にも趣が違うな、このように思っております。NHKは、まさに全国あまねく国民に平等に放送を通じていろいろな情報提供するということでございます。民放の方は、それぞれコマーシャル収入その他に基づいて、ある意味では自由奔放に番組を構成しておるところでございまして、私は、NHK存在民放存在、今の日本の姿といいますのは、先ほどのTBSの問題とは切り離しますと、この並立といいますのはある意味では非常にいい形ではないかな、こんな感じを受けております。  アメリカは民放一本でございまして、視聴率を高めるというようなことからとかく興味本位に走りがちな面があるわけでございますし、ヨーロッパの方では公営放送というシステムが主体のようでございます。そういう面では、日本NHK民放並立といいますのはある意味では大変にいいことではないかな、このように思う次第でございます。  ただ、民放からの切り口でNHKを見ますと、何かおもしろくないとか、かたいとか主張がはっきりしないとか、こういう意見もあるわけですが、私は公営放送としてはそれはそれで大変いいことだ、このように思います。公と民との役割分担というものを私は非常に評価をしておるところでございまして、NHKとしましても、これからこういう姿を守りつつ、公と民の役割を十分に自覚していただいて、これから放送姿勢をとっていただきたい、このように思う次第でございます。  NHK民放さんの形といいますものについて、会長のお考え、また今後の形といいますもの、御意見があればお聞かせいただきたい、このように思います。
  14. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) おっしゃるように、世界ではまことに珍しい形に今なりつつあります。ヨーロッパは昔はほとんど国営放送ないしは公営公共放送でありまして、商業放送が入り込む余地がなかったんですけれども、このごろはすっかり商業放送が力を得まして、公共放送がどんどん衰退をしているという現状がございます。  私は、その中で日本国民皆様NHKという存在を非常に高く評価してくださっている、ある程度の信頼はくださっているということについては本当にありがたいと思います。この形を私はまだまだ続けていくべきだ、そして公共放送商業放送という二つの異なった放送体系がお互いに切磋琢磨しながら、しかも共存共栄という形でもって進んでいくのはやっぱり日本の我々の放送体系しかないんじゃないかと思っていまして、何とかこの形を将来とも維持したい。  当然、マルチメディア時代というのはまた百チャンネル、百五十チャンネルになりますから、その際に公共放送がどうあるべきかということについても真剣に考えて取り組んでいきたい。少なくともそれが一つの理想的な形ではあるまいかというふうな理想を追って進んでいきたいと思っております。
  15. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ただいま会長おっしゃいましたように、まさに百チャンネルとかいう時代になつできますと、例えばチャンネルを契約する、お金がある人は何ぼでも情報を集めることができる。お金がない人は集めることができない。それが経済格差であり、また次の格差にもつながってくる、社会的格差にもつながってくるような時代になってくるんではないか、このように思いますときに、やはり全国国民にある程度の情報はあまねく提供できるというNHK役割というのは大変大きいものがあろう、このように思う次第でございまして、よろしくお願いしたいと思います。  同時に、私個人的には、ほかの業界でも官と民の兼ね合いといいますものがこれからいろいろな面で出てくるであろう、このように思いますときに、NHK存在というのは一つのモデルケースになろう、このように思う次第でございます。  次に、いろいろあるんですが、時間が随分迫ってきております。私は福岡博多の出身でございまして、会長さんの奥様もたしか博多だと、このようにお聞きしておりまして、「走らんか!」、郷土を舞台にした番組でございますので大変私も興味深く見させていただいております。  その中で、博多弁ですね、あの番組は。当初、私も何となく違和感があったわけでございますが、役者さんもけいこされたんでしょう、すっかり本場の博多弁を使うようになりました。小松政夫さんというのはパーフェクトですね。聞いてみたら博多出身だというから当然かもわかりませんが、これはパーフェクトの博多弁です。その他、いろいろな番組で大阪弁とか名古屋弁とか、大河ドラマとかいろいろございます。  私は、この言葉、いわゆる方言といいますものは我が日本国民の大切な文化財だと、このように思う次第でございます。そういうものも守っていただくというところにNHKのみならず放送界の役目があろうかと、このように思う次第でございまして、言葉のそういう文化財、文化といいますものをこれからも守っていただきたい、このように思う次第でございます。それにつきまして、会長さんの決意のほどか考えがございましたらお聞かせいただきたい、このように思います。
  16. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 私は鹿児島の出身で博多の女房でございますので、まさに九州そのものなんですが、昔から方言というものに対して非常に強い意識を持っています。一時は方言を軽視したりあるいは愚弄したりするような風潮もありましたけれども、それは絶対にいけない。方言にあらわされた地域の社会の色合い、それから人々の感情みたいなものが込められておりますから、それを大事に使うことは絶対大事だと思っていました。そういう意味では、NHKのドラマはたくさんの方言を使った番組をつくってまいりました。これからもつくっていきますが、担当の齊藤放送局長がおりますので、ちょっと彼から細かいことを御説明申し上げます。
  17. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 地方の、地域の言葉を大事にするということは、番組制作の上では非常に大事なことだと思っております。地域の歴史、文化あるいは風土を豊かに表現するという意味で、地域の言葉を大事にしたいというふうに思っております。  ドラマでは、今回の「走らんか!」に限らず、それぞれ地方制作のドラマあるいは地方を舞台にしたドラマということはかなり意識的に制作するように心がけております。そういう意味で、私どもは番組を制作するに当たって国内番組基準というものを設けておりますが、この中でも、昨年の九月でございますけれども、放送言葉について、方言は慎重に扱うという従来の表現から必要に応じて使うという言い方に、つまり必要ならば積極的に使っていくんだというふうに変えております。  それから、地域の文化を大事にしていくという意味では、これも今の言葉に通じるんですが、地域文化の創造にNHKとしては積極的に取り組むんだということで、これも私どもの国内番組基準の中に新たに「地域文化」という項目を設けまして、積極的に取り組むんだという姿勢をここに記述いたしました。  以上でございます。
  18. 岡利定

    ○岡利定君 今、吉村委員も申されましたように、TBS事件というのは大変ショッキングな出来事であります。ただ、その事実関係についていろいろと郵政省の方でも当事者からお聞きいただいておる中でもまだわかっていない点も随分あるということでございますので、その調査結果などがある程度まとまった段階で聞かせていただくこととして、きょうはNHKの方の関係を中心に聞かせていただきます。  私が聞かせていただきたいのは、二つの関係に絞って質問させていただきます。  一つは、NHKが去る三月二十二日からFM文字多重放送、いわゆる見えるラジオの放送を開始したということを知りました。郵政省にお聞きしますけれども、このサービスは既に民放FMでも行われておると聞いておりますけれども、全国何県ぐらいで受信可能なのか、どういう状況なのか、実施状況と、それから受信機の普及状況がおわかりでしたらお教えいただきたいと思います。
  19. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 民放のFM文字多重放送につきましては、平成六年十月、エフエム東京が、「見えるラジオ」という愛称でございますが、これでサービスを開始いたしまして、その後、エフエム東京のネットでありますJFN、全国FM放送協議会三十四局に拡大されまして、番組情報であるとかニュースであるとか交通情報等を放送しております。さらに、東京ではエフエムジャパン、それから大阪ではエフエム802の二局が加わりまして、現在、民間FM放送局で四十六局中三十六局で実施しております。  受信機につきましても、携帯型、車載型、据え置き型とがございまして、現在、約四十万台が普及しております。  県にいたしますと、全国三十四県で実施されておるという実情でございます。
  20. 岡利定

    ○岡利定君 NHKにお尋ねします。  NHKは当面八都府県に限ってサービスを始めたということをお聞きしておりますけれども、まず八都府県に限った理由をお伺いしたいと思います。  放送サービスというのは、NHKが本格的に行うことによって全国的な普及というのが一挙に進むというのが今までのラジオ、テレビなどいろんな新しいサービスのときに経験をしているわけでございます。この見えるラジオというのは耳の不自由な方々にも大変喜ばれているとも聞いております。また、見えるラジオというのは新しいラジオ受信機を必要とするものでありまして、放送行政局長のお話ですと今四十万台ぐらいだということですけれども、本格的に普及するということになりますと、大変な大きな需要が出てきて、産業界にも大きな刺激を与えるものだと思うわけです。  そういう意味で、放送番組内容充実というのは当然でありますけれども、早期に全国で見えるラジオが受信できるようにするということが大変必要じゃないかと思うわけです。NHKの全国実施の見通しといいますか、予定などについてお聞かせいただきたいと思います。
  21. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) お答えいたします。  岡先生御指摘のように、NHKは三月二十二日、ちょうどこの日がNHKの七十一回目の誕生日といいますか、放送を開始してからちょうど七十一回目の記念日でありますけれども、この日からFMによる文字多重放送というのをやり始めました。場所は東京、横浜、浦和、千葉、名古屋、大阪、京都、神戸の八地域でございます。  それで、この八地域に限ったのはどういうことかというまず第一の御質問でございますが、NHKは既に文字放送をテレビでやっておりまして、声とか映像で出しているニュースを文字に直して、そしていち早く多重していくという技術を今既にやり始めております。その技術ができるだけ生かされる形であるということがまず一つありましてその中でとりあえず東京、横浜とか人口集中地域におきまして普通のFM放送のほかに、ちょっと見ていると、音楽を聞きながらなおかつニュースが、例えばきょうTBSの社長が記者会見したというならばそういうようなニュースがぱっと文字で出るわけです。  だから、音声と関係なく文字が出てくるというようなサービスが付加的にできるというようなことがわかってまいりまして、郵政省もこういうような付加的放送の多様化といいますか、そういうようなサービスをできるだけふやしていこうというような全体的な御方針もあり、我々もその中に一歩踏み出して、まず都市の部分からやらせていただきたい。  これは将来、影響がどういうものになるか。特に都市部におきましては交通渋滞が非常に多うございますが、交通渋滞などの情報もこれに入ってくることになります。そうすると、どの地域が込んでいるなというようなことが、持ち歩いている受像機で音楽を聞きながら、しかも別の情報が入ってくるというようなことがありますので、そういうことがどのぐらいまた皆さんの間に受益感というか、役に立つ情報になっているというようなことをこの中で調査させていただきながら、順次拡大させていっていただきたいな、こう思っている次第であります。
  22. 岡利定

    ○岡利定君 順次拡大ということになりますと、まだ大分時間がかかりそうな感じもするんですけれども、道路交通情報なんかというのは道の込んでいるところだけしか要らないので、もっと一般的なニュースなんかもいっぱい使えるんじゃないかと思うわけですし、またそっちの方が大事になってくるのかなと思う次第です。  いずれにしましても、この新しいサービスは非常に大きなウエートを持っていると私は思いますので、NHKの方でもいろんな検討を重ねられて、ぜひ早期に全国普及を図っていただきたいということを要望いたしておきます。  次に、二点目でございますけれども、放送技術研究開発関係についてお尋ねしたいと思っております。  科学技術研究開発の推進というのは我が国の将来にかかわる重要な課題だという認識から、昨年は科学技術基本法が制定もされ、また政府の方でも平成八年度予算案の中でも大きなウエートを持って取り扱っておられるわけでございます。  そういう意味で、大変大事な分野でありますけれども、とりわけ情報通信分野は世界的にも二十一世紀のリーディングインダストリーと位置づけられておりまして、我が国がこの分野でおくれをとるということは大変な事態を招くことでありますし、そういう意味で官民挙げて積極的に取り組むべき要請があると思う次第でございます。  そういう面から、情報通信分野といったときに、いろんな分野があるわけですけれども、画像だとか音声だとかいう面ではいわゆる放送関係技術に密接にかかわる分野でありますけれども、従来からNHKが特にこの分野についても研究開発を非常に積極的に進められ、実績も上げてきたと思う次第でございます。そういう点から、この分野、放送関係を中心とした技術開発あるいは研究開発という点について、二、三点お尋ねしたいと思っております。  まず、郵政省にお尋ねしたいんですけれども、今、日本で使われておる放送技術のレベルというのは先進国と比較してどのような状況にあると理解していいのかという点なんです。端的に言えば、世界一なのか、あるいはまあまあというのか、いや、この辺は大分おくれておるというのか、その辺はどうでしょうか。
  23. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 現在、放送メディアが多様化、高度化しておりますし、またデジタル化も進展するような状況の中で、放送技術の研究対象分野というものが従来の伝送技術中心から番組制作技術あるいは受信技術というふうなところに至るような放送システム全体に今拡大してきているという状況であります。  そういう状況下におきまして、先生、どのぐらいの程度なのかということでありますが、私どもの承知している範囲では、ディスプレーの技術であるとか放送スタジオ機器等の製造技術は我が国が進んでいる。一方、コンピューターグラフィック等の高度な番組制作技術におきましては欧米諸国の方が進んでいるというふうに認識しております。  いずれにしましても、これらの技術は他の産業分野への技術波及性が非常に高いものがあります。また、放送技術の研究対象分野も従来よりも一層拡大しているということもございますので、そういうことも含めて我が国の放送技術開発の総合的な推進を図る必要があろうかというふうに考えております。
  24. 岡利定

    ○岡利定君 放送分野といってもいろんな分野があるわけですから、今局長の言われたようなことじゃないかなと私も思います。  ところで、総務庁とか科学技術庁の調査によりますと、情報通信の分野の特許などの取引に係るいわゆる技術貿易では日本は大幅な輸入超過になっているという状況が発表されております。このままでは大変なことになるんじゃないかなと思うわけですが、日本が特に輸入に頼っているような技術にはどんなものがあるのか。特に、放送の分野の実情についてわかっておりましたらお伺いしたいと思います。
  25. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 総務庁が実施しました平成六年の科学技術研究調査報告によりますと、平成五年度の我が国の国際技術貿易は、全産業では三百七十四億円の黒字でございますが、放送を含む通信・電子・電気計測器工業では五百四十億円の赤字ということになっておりまして、入超ということであります。一方、放送メディアの多様化、マルチメディア化が進む中で、放送技術が通信技術、ネットワーク技術と融合が行われているということでありまして、先生のおっしゃるような形で放送の分野だけちょっと取り出すような統計が実際はないわけでありまして、トータルで今申し上げたようなことでございます。  強いて言いますれば、例えば通信衛星を利用しましたデジタル放送についていいますと、符号圧縮方式や多重化方式に利用されている技術、いわゆるMPEG2のような技術、あるいは誤り訂正技術は各国の技術をいろいろ組み合わせて利用している状況でありますので、輸入するものもあれば、日本が開発して輸出するものもあるということで、お答えにならないかもしれませんけれども、そういうような形で非常に融合してきているということだけは申し上げられると思います。
  26. 岡利定

    ○岡利定君 やっぱり最先端の、しかもリーディングインダストリーにかかわる技術ということであれば、何とか努力して輸入超過じゃなくて輸出超過に持っていってほしいものだと思うわけであります。そのために、この種の研究開発あるいは技術開発の分野に政府としても積極的に取り組んでいただきたいなと思うわけでございますが、郵政大臣、この点についてお考えがございましたらお話しいただきたいと思います。
  27. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、先生から非常に貴重な御指摘をいただいたと考えております。特に、デジタル技術を基礎として放送技術研究開発を推進しなくちゃいかぬ、これは私ども大きなテーマとしてこれを据えてまいりたいと思っております。何しろこれは単に放送というだけではなくて、いろんなメディアに拡散していく技術でございまして、これをしっかりと押さえてまいりたいということを考えているわけでございます。  現在、統合デジタル放送等のデジタル放送技術研究開発は、郵政省の通信総合研究所、それから通信・放送機構、それからNHKでもこれを一生懸命取り組んでいただいているところでございます。そうして、その基本的な考え方については電気通信技術審議会、電技審におきまして御審議をいただいておりまして、関係機関といろいろ連絡をとりながら一つのきちっとしたビジョンをそこでおつくりをいただく、そして総合的な放送技術研究開発、これを推進してまいりたいというふうに考えておりまして、この方向を推進してまいりたいと思っております。
  28. 岡利定

    ○岡利定君 大臣今おっしゃいましたように、この分野は大事でございますので、推進さらには支援というようなことで政府としてもぜひ積極的にお取り組みをお願い申し上げます。  ところで、NHKにこの点ちょっとお聞きしたいんですけれども、先ほど申しましたように、日本放送界技術開発の中でNHK放送技術研究所の果たしてきた役割というのは大変大きかったと思うわけでございます。これからもマルチメディア時代となってきたときに、先ほどからお話しありましたように、いろんな分野での研究成果の活用というのが必要になってくるということでございますが、この放送技術研究所の役割なりあり方について、会長のお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  29. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 放送と申しますものはテクノロジーの発達の上にでき上がった産業であるという私は認識をしておりまして、どんどん技術開発が進んでいく、そしていろんな新しいものが開発されていく中で放送自体も豊かになっていく、膨らんでいくという性質のものじゃないかと思うんです。  今、技術研究所では大きく言って三つのことをやらせております。  一つは、現在の放送により新しい、より有効な手段が技術的に何か開発できないか、そういう観点です。コンピューターグラフィックを使うとか、そういうものはもちろんですが、そのほかにも人間工学的な研究等も入れまして、今の放送をより楽しめる、より見やすく、より聞きやすいものにするという開発が一つございます。  それから次は、差し迫っているデジタル時代に対してどのように対応するか、デジタル技術への対応でございまして、これは大臣も今お話しなさいましたけれども、NHKでは、ISDBというスタイルでこのデジタル放送を統合的に取り込んだ放送はできないか、そういうことの実現に向けて研究を進めております。それから三番目は、もっと先の方、今一部やつておりますけれども、例えばスリーD、立体テレビは見ている人たちにどのようにプラスになるだろうかとか、もしその立体テレビをやるんならどういう状況でやることができるだろうかとか、うんと先のことですけれどもいろんなことを考える。  大体その三つのぐらいの枠の中で研究者が一生懸命今やっております。しかし、砧の研究所ももう老朽化しましたので、建てかえを行うなり設備を更新するなりして、何とかより研究の便になるようにしたいというふうに思って検討しております。
  30. 岡利定

    ○岡利定君 今、会長おっしゃったように、放送技術研究所に課せられている役割というのは大変大きいわけでございます。  NHK受信料の中でどれだけの研究開発費を出すのが適当かというのはいろいろと難しい問題があると思いますが、八年度の予算で見ますと六十四億八千五百万円の研究技術開発費というのが入れられておるようになっておりまして、全体の事業支出の中の一・一%というふうな数字が見えております。一・一%というのは多いのか少ないのか、きょうはそういう点、一つの検討課題ということでお話だけさせていただきたいと思うんです。  いずれにしましても、この分野での有効適切な研究開発の推進というのが大変大事でありますので、NHKとしてもこの点についても十分御配意いただきながら、我が国の情報通信の発展のために技研が大いに働けるようにまた御配意いただきたいと思う次第であります。八年度の重点事項等についてお聞かせいただきたいなと思ったんですけれども、時間の関係がございますので、大変具体的な話になるんですが、放送技術研究所で今研究されているものについて一つだけちょっとお教えいただきたいと思っております。  いろんな技術開発をやっておられるようでございますけれども、高齢化社会の到来ということの中で、高齢の視聴者の立場に立った技術開発の一つとして高齢者用話速変換装置というのがある、あるいは開発しているというように聞いたわけでございますけれども、具体的にどのようなものなのか、そして実用化の見通しというのはどういう状況にあるのか、お話しいただきたいと思います。
  31. 森川脩一

    参考人(森川脩一君) お答えいたします。  今、先生のおっしゃいました話速変換装置と申しますのは、最近、アナウンスにしろしゃべり言葉にしろ、大変スピードが速くなっておりますが、そういうスピードが速くなっている話し言葉の音声を自動的にゆっくりと聞きやすいスピードに変換する装置でございまして、これはデジタル技術を用いてそういうことができるわけですけれども、これをNHK技術研究所でいろいろ研究をしております。  いつごろ物になるのかというお話でございますが、基本的なところの研究は既にもう終えておりまして、これからはいかにそれを実際に実用化にふさわしいようにするために、例えば小型にするとか、もっと安く手に入るようにできるとか、そういう研究へ進んでおりまして、大体一、二年のうちでそういうものを完成させようというぐあいに考えております。また、この研究というのは非常に奥深い部分がございまして、今後さらにまたいろんな利用範囲が考えられますので、そういうところにも拡大していくように、その方向に向けてまた新たな研究を進めているというのが現状でございます。
  32. 岡利定

    ○岡利定君 ありがとうございました。  政府におかれても、NHKにおかれましても、この分野での重要さを十分に御認識いただいているわけでございますので、積極的な取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  33. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 先ほど我が党の吉村理事からお話がございましたように、朝のテレビ番組、四月から今度は東京に戻ってまいります。偶然なんでございますけれども、私どもの選挙区の上野とか谷中とか下町の現代青年の生活をまた全国に放映していただけるというので非常に期待をしております。会長、日ごろよくおっしゃるとおり、放送は文化であると。まさしくいながらにして日本の風土あるいはまた歴史、伝統、そしてそれぞれの地域に住む方々のかたぎ、そういうことを知ることができまして、本当にいい時代に生活しているなということをNHK放送を通じながら朝十五分の間に感じているような昨今でございます。  そんないい放送がございましても、実はこんな狭い日本といいながらまだまだ難視聴地域が残っておりまして、私どもの実は地元の東京都におきましてもほとんどのところは難視聴地域はございませんで、ビルなどの影響によりますところの複合難視という問題が出ておりますが、わずかながら残っている難視聴地域の中に離島がございます。離島もほとんど対策を立てられておりまして、おかげさまで放送文化に接している方々がほとんどなんでございます。  たまたま実は日本の一番最南端の島というのが、鹿児島県でも沖縄県でもございませんで、東京都にございます。というのは、洋上はるか一千二百キロの沖ノ鳥島、これが東京都でございまして、これが実は本土の、日本の最南端の国土である、こういうことになっております。その島及びまだ普通の一般市民が住むことのできない硫黄島、これを含めた自治体になっております小笠原、ここは洋上はるか一千キロにあります。さすがに地上波は届きません。  NHKさんにおかれましては、昭和五十九年に衛星放送、これを利用させていただきまして、何とかBSの一、二は見られるようになりまして、この恩恵に浴してきたわけでございますけれども、平成六年、七年、電気通信格差是正事業と銘打ちました小笠原地区テレビ難視聴解消事業がいよいよ実は終わろうとしております。そして、この四月から放送開始の運びとなりました。本日まで大変御苦労を重ねていただきました関係者各位、とりわけNHKさんには都民の一人としてお礼を申し上げたいわけでございますけれども、実はここでまた新たな問題が起きております。  と申しますのは、御存じのとおり、小笠原は昭和四十三年に戦後が終わりまして日本に返ってまいりました。小笠原振興特別措置法という法律がありまして、沖縄と同じように振興策をとっているわけでございますが、何せ空港も持たず、わずかな船の便で行き来をいたしますと往復で五日間かかる、こういうような地域でございます。  したがいまして、昔であるならば文化果つる離島なんでございますが、ここで東京で見られる電波のすべてを見ることができることになった。NHKの一、三はもとよりでございますが、民放の四、六、八、十、十二、全部見られる。こんないいことはないと大喜びなんでございますけれども、問題はその負担がございます。  率直に申し上げまして、格差是正事業では十七億円かかりまして、二年間で国から三分の一の補助をいただきまして、三分の二の十億ばかりを都が都担で持ったわけでございます。このことはインフラ整備としてやむを得ない、こう思っておりますが、むしろ今後いわゆるメンテの分で一台当たり月々三千円かかるというのがちょっと重いんでございます。  と申しますのは、NHKさんだけを今まで見ておりますと、衛星放送を含めまして二月で四千六百円ということですから、月二千三百円で見られたわけです。ところが、今度は月三千円プラスNHKの聴視料一千三百七十円ですか、これがかかりますから、合わせて四千三百七十円のお金が島民にかかってくる、こういうことになっておりまして、非常にありがたく、放送が見られるという文化に浴する喜びを感じる一方、収入の極めて脆弱な島民にとりましてはこの負担はまことに重い、こういう感じがあるわけでございます。  そこで、郵政省におかれましては、特に振興特別措置法云々というわけではございませんけれども、実際に自分の故郷でありながらまだ帰れない硫黄島をふるさとにしている方々も小笠原に今じっと頑張っておりまして、こういう方々に本当の意味格差なく文化の伝達を行うということは、私たち日ごろその文化に最も浴している人々にとりましては責任の重いことではなかろうか、こう思っておりますので、何とか温情的な御措置をさらにいただけないものだろうか。即答といいましても難しいと思いますけれども、ひとつ御答弁いただければ幸いでございます。
  34. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御案内のこの小笠原地区テレビ放送難視聴解消事業ですが、無事この四月からサービスが始まるわけであります。  実は、平成六年からの二カ年で、総事業費約十六億円、うち国庫補助が五・三億円、それから事業主体であります東京都が約十億円の負担をしていただきまして、小笠原の一世帯当たりにしますと約百四十万円かけて国と東京が負担して、やっと成功したわけであります。  ところが、この小笠原地区は遠隔地でありまして、この解消事業は衛星をもって放送すると。しかもNHKから民放チャンネル、東京都のMXもたしか入ると思いますが、そうしますと、このチャンネル料が実はかかるわけであります。回線料がほとんどの額でありますが、これを含めましてやっぱり四・八億円ぐらい毎年かかるというふうになりまして、言いわけがましいんでありますが、これを東京都とか小笠原村それから各放送事業者にも持っていただくということで話し合いまして、その小笠原分の中で、小笠原村としても非常に負担が多いので住民の方に持っていただこうということで、これが実は四千四百万円になったそうであります。そうしますと、一世帯当たり月三千円ということになりまして、地区の方にしてみますと、この三千円もNHKプラスで要るから大変だというその気持ちはわかるんでありますが、今のところこういうことで話し合いが済んでいるというふうに我々も聞いております。  なお、この運用費というのは国が負担するということができません。公共事業として施設はつくったわけですが、そういうシステムはちょっとないものでありますから、あとは自治体との関係でこういう話し合いが済んだことを我々としては尊重したいというふうに思っているわけであります。
  35. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 御説明はよくわかります。大変お金がかかっていることですし、またさらにメンテナンスでもかかるということを承知はしておりますけれども、やはり島民の今日の状況を考えますと負担能力を超えている部分がある。しかし一回テレビを見たら、これどうしても見たいと恐らく思うであろう。まして東京の生のニュースを伝えているあの開局したMXテレビが今度は入るんですから、今御説明ありましたとおり、これは我々も見てもらいたい。その中で、やはり小笠原島民、小笠原島が一億七千四百万円、これも負担するわけですね、一般会計で。  ですから、そういうことを考えますと、やっぱり島民の負担というのは少し重過ぎるんではなかろうか。かけ過ぎだと、オーバーコミットメントだと、こういう見方もありますけれども、小笠原の今日まで歴史的に置かれてきたことや、あるいは洋上はるか一千キロというところ、島民は三千人を超えないわずかな方々かもしれませんけれども、どうぞこのあたりも見捨てないで、何とかそう遠くないうちに、日野大臣時代で御措置をいただければと、これは要望でございます。  それから、今私御質問の中で申し上げました都市の難視聴、これでは都市型CATVが非常にいいんですね。私なども毎回見ておりまして、もう複合難視で、どこの電波をどのビルが妨害しているかわからないというのでNHKさんに調べていただくんですが、主犯はわかりません。結局は、難しいシャドーの入った画面をいろいろ見てきたんですが、このCATVに入ることによって一気に解消しまして、すばらしい電波を今は享受しております。こういうように、都市の難視聴、特に複合難視を救ってきたということで都市型CATVというのは注目されているわけです。  一方、アメリカみたいな国土の広さあるいは地形の複雑さ、そういうところで根をつけてきたCATV事業と違って、日本の場合は育つ前に同じ分野で競争が非常に激しくなって、CATVが計画どおり進んでいかないんじゃないか、育っていかないんじゃないかと一方では危惧の念をお持ちの方があると聞いております。  しかし、現に平成五年十二月のCATV事業への規制緩和が発表されましてからは、例えばタイタス・コミュニケーションズやMSOの積極的な事業展開でも見られますように、とにかく積極的な事業展開がここに行われておりまして、今申し上げた従来の難視解消やあるいは多チャンネルサービスなどに加えまして、双方向のCATVサービスや電話サービス事務への参入など入れましても、なお大きな期待がCATVに集まろうとしていることも事実だと思います。言ってみれば、通信・放送の融合型サービスの時代に入ってきたと私たちは考えたいと思っているわけでございます。  現に、そういう数値を見る限りにおきましては、例えばCATVの全体の加入者はもう既に一千万、都市型でもやや少ないといいながらも二百二十一万。そしてホームバス、これは接続可能な端子数、これはもう九百四十万に達していて、加入者は毎年大幅に伸びている、こう聞いております。  しかし、先ほど申し上げたように、そんな順調であるというふうに見えながらも、この六月からはいよいよサービス開始のパーフェクTVだとか来年夏のディレクTVなど、サービスの開始は言ってみればデータベースによるCATV以上の多チャンネルサービスの事業開始によりまして一段と競争が激化する、こういうふうに考えられるわけです。  現に、CATVの普及率が六〇%のアメリカにおきましても衛星デジタル放送は百万を超えてしまった、こういうふうに加入者の数値を聞くにつけましても、日本でも既にCATV連盟とパーフェクTVとの間で利害調整会議が持たれたなど、全く新しい事態を迎えようとしているわけです。  さらに、アメリカにおきましては、通信法の改正によりまして、先ほど申し上げた通信・放送の垣根がなくなったということで、日本でやっと始まったばかりのMSO、これを地域電話会社が既に買収を決めたというような事態が出たそうでありまして、これは激しいなということを感じております。  このように、ケーブルテレビ、CATVをめぐる状況は予断を許さないものを含めながらも期待は膨らむ一方である、こう思うわけでございますが、郵政省はCATVをどう位置づけられて、またどのように育成をしようとされているのか、所感の一端をお述べいただきたいと思います。
  36. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生、るる御指摘のとおり、CATVは一つ放送の再送信を行うということによりまして難視聴解消に役立ってまいりました。一方、非常に広帯域の情報を送れるということで多チャンネル化という可能性がありまして、地域の高度情報化に不可欠なメディアになりつつあります。既に一千万を超えておるCATVがあるわけですが、この中で特に都市型CATVというものが非常に広帯域のものでありまして、これが平成七年九月末現在では二百六十五万になっておりまして、非常に大きな伸びを示しております。  これの理由でありますが、一つは、かつてありました地元事業者要件とかあるいはサービス区域の制限、こういうようなものを外しまして規制の緩和をしたというところへいろんな事業者が入ってきて、先生説明のいわゆるMSOというような大規模な事業者が出てきたということが一つあろうかと思います。  このCATVの一番の特徴はやはり広帯域であるということでありますので、単に再送信だけではなくて双方向の通信ができる、いわばこれは通信ができるということでありまして、もう既にCATVが通信をやるということは法制的には認められておりまして、例えば電話サービスもできるということになっておりますが、これを将来のターゲットにしてたくさんのCATV会社が今参入してきているというのが一つでございます。  そういう意味におきまして、郵政省としましては、難視聴解消と同時にCATVの広帯域化というものを非常に助成しょうということで、光ファイバーでやると非常に広帯域になるわけでありますから、光ファイバーを使ったときには超低利融資をやりましょう、これが一つございます。これは都会であります。  それから、CATVを地方都市でやろうとした場合、やはり財政的に大変だというときに、新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業ということで、若干補助金制度を求めて、これが非常に今人気がございます。  それから、幾つかのCATVができた場合、これをお互いに今度はつなごうという動きが出てまいります。つなぐ技術的な研究というものも予算をつけまして今やっておる。こういうような形でCATVの広帯域化あるいは広域化ということを進めたいということでやっておるわけでございます。
  37. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 CATVの件でもう一点だけお尋ねいたしますが、ただいまお話があった都市型CATVの件では、私たち東京におきましても十八事業者二十五区市、二十五の区と市が既にこの電波を享受できるシステムになっておりまして、非常に普及の度合いが速いことを痛感しています。しかし、その一方、ただいまもお話がありましたように、保護育成しょうと、保護という言葉はともかく、育成しょうというCATVでありましても、現実に先行するデジタル衛星放送との競争などはやっぱり避けられないわけですね。この新時代に突入した以上は、CATVの魅力をもう一度さらに明らかにするように、あるいはまたこれらが現実に早期実現するような手だてというのがもっと早い段階で促進できるような方途をもう少しとっていただけないだろうか、こう思うわけです。  例えば、私たちが期待しているCATVの中でもホームセキュリティーあるいは健康データを医療機関とやりとりができるホームドクター、健康管理システム、あるいはパソコン利用の自宅学習、あるいはVODですか、ビデオ・オン・デイマンド、これはもうとにかく自分の見たいやつを即ぱっと放送局が送ってくれるわけです。これはしかし衛星デジタルでもできるわけですね。それから、カラオケやゲームの配信、それからホームショッピング、インターネットヘの接続、パソコン通信、それから免許がとれればCATV電話サービスの開始とか、もうあり余るほどのサービスがこれだけ羅列されながら、現実にはなかなかあちこちで実験段階、実験段階で実現化してないんです。  双方向テレビとして期待されておりまして、この七月十九日に開業予定の武蔵野三鷹ケーブルテレビ、こういうCATVがあるんですが、ここも結局、事業開始におきましては従前の多チャンネルサービスとインターネットヘの接続やパソコン接続サービス、これはニフティですが、これだけなんですね。あとはどういうサービスを今後準備されていますかというと、母体社であるところのセコムが自宅学習方式を研究しているとか、そういう程度であって、一向に双方向CATVの魅力を引き出せるようなその企業の事業の片りんを見せない、こういうような実態を私どもは感じるんです。もちろんネックはインフラの整備もあるでしょうし、それからアプリケーションの開発なんという問題もあるでしょうし、特にインフラの整備では数百億円かかるわけですから、こういうものにどう乗せていくなんということは私たちもなかなか簡単には言えないとは思います。  さらに、例えば簡単にソフトの供給などの問題におきましても、ついこの間伺いますと、関西文化学園都市での映像ソフトの利用状況は月わずか五回だというんですね、たった五回。何でこんな少ないんだろうと、こう思いましたらば、結局は映像ソフトが不足していたんだと、こういうことになりまして、こんなことはもう本来はNHKの独壇場じゃないだろうか、こういうソフトの提供という点では、こう思うんですが、これらのCATVの魅力を一段と引き立たせるような事業の早期実現方についてはどのような御見解をお持ちでございましょうか。
  38. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先ほど申し上げましたように、CATVは広帯域等、双方向機能があるということで、非常に魅力があるということでございます。  例えば、先ほどCSとの関係を申されましたが、CSデジタル放送、これは多チャンネルでありますが、CATVと違って双方向の電話のような形にはなかなかならない。一方、このCSを使ってOSとCATVが両方できることによりまして、非常にソフトといいますか、アプリケーションを発表する場というのはふえてまいるということで、むしろ日本の場合は今までCATVが余りにも小規模であったし、CSも小規模でありましたから、競争というよりも切磋琢磨して一緒に助け合う面が出てくるという意見が今強くなってきております。たくさんのソフトを発表する場があればソフト産業が育ってくるわけです。それによってまたいろんな形の産業が起きるだろうということを思っております。  それから、CATVの通信への参入ということで、例えばホームセキュリティーとかインターネットとか、いろいろございますが、先生御案内のとおり、まだまだこれ本当の初歩段階で、スタートしておりません。しかし、かなり大きな可能性を持っているということは事実でありまして、そのためにたぐさんの事業者が今この業界に入ってきているということは、やはり将来に可能性があると見ているからだと思います。  郵政省としてどういうことができるかといいますと、先ほど申し上げましたファイバーにするときの超低利融資であるとか、それからアプリケーションを各地方で地方公共団体等がやるときの補助であるとか、そういうような形でアプリケーションの補助を、何とか初歩段階の補助をしていくということで今後とも進めたいというのが基本的な考えでございます。
  39. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 とにかくリーディング産業として期待されているマルチメディアの世界ですから、通産も頑張っておいででございましょうけれども、何といったって郵政省が所管して誘導策をとって、一刻も早く時間との競争にも勝って、やっぱりアメリカを凌駕して世界のマルチメディアの分野での覇者を私たちは目指していくのが未来志向ではないか、こう思っております。  最後に、吉村先生からもお話がございまして、私が触れるのは今は適切じゃないのかもしれませんが、例のTBS事件でございます。  これは、私、東京を選挙母体とする人間にとりましては、今度のオウム真理教の事件はもう本当に宗教団体がやったとは思えない全くひどい事件でありまして、一つの教団がサリンの事件だけでも十一名を殺し、そして現在も五千人に及ぶ後遺症を残す方々を苦しませているわけです。事件が起きて一年たちましたし、またこのTBS事件が起きましてから既に六年半が経過しているわけでございます。  その中で、この事件の発端というのはいろんなところに端緒がありまして、必ずしもTBS事件が全部ではないとは思いますけれども、よくよく考えてみますと、平成元年の八月に東京都はやむにやまれず認証を出しました。これはもう法律的に出さざるを得ない、訴訟を起こす、こうさんざん言われまして、不作為による訴訟を起こすと、そしてまたデモまでかけられて、不承不承認証を与えたわけです。一年以内に事件が起きますとこの認証は取り消しになるという法律的な方途が残っているわけで、これに対して麻原教祖及び教団は非常に危機感を持っていたわけですが、そこへ降ってわいたような坂本事件なわけです。  この坂本事件は、その認証からわずか三カ月後、十一月に起きているわけですけれども、くしくもその真ん中の十月二十六日に「3時にあいましょう」での取材に端を発しているわけです。何でこの坂本事件のようなことが起きたのか、どうしてもその動機がわからなかったというのが今日までの状況でございましたけれども、中川公判の中で出てきた早川被疑者のノートあるいはまた供述、こういうことによりましてTBSの疑惑が持たれたわけです。  ところが、残念ながら、TBSはそれについて一言も、横浜法律事務所の公開質問状にもなかったというふうに口を閉ざしたし、現に抗議に来たということも通告をしなかったという二重三重の不作為どころか作為的な、犯罪的な違反行為をやっているわけです。公共電波を預かる、あるいはまた報道TBSなんて言われた会社にとってはもう万死に値する、私に言わせれば過失どころか重大な犯罪である、こう思うわけです。  吉村先生から自浄能力がない、過失致死事件を起こしたと、こう断言されましたけれども、私も全く異口同音でございます。ましてもや、先ほど申し上げましたように、都民が依然として苦しんでおりまして、そのほかにも目黒公証役場の事件、あるいは東京都庁舎の知事をねらった爆発事件、あるいはまた近隣では新宿駅の青酸事件、そしてまた宵山道場やあるいはまたその附属病院におけるところの業務過失致死事件、あるいはいろんな事件が連続しておりまして、これは麻原教祖がもし犯罪者だとするならば百回ぐらい絞首刑になってもいいぐらいの犯罪の連続なんですね。それを事もあろうにTBSが幇助した、あるいはまた未必の故意といいましょうか、そのぐらいの犯罪を犯してしまった。これはとんでもないことだと思うんです。  しかし、きょうはこの場がその弾劾の場ではないようなことを、委員長及川先生の御配慮で次の機会があると聞いておりますので、私たちも一過的にこの問題を論ずることなく、公共放送をどう位置づけていくのか、あるいは放送事業者の責任をどう全うしてもらうのか、私たちも感情的にTBSを責めるだけではなくて、TBSが信じてしまったというような客観情勢があるならばそれは捜査当局の問題も出てくることでありましょうし、そういうことを含めて次の機会にぜひこの問題について遡及をしたいと思いますので、どうぞ大臣におかれましても、既に郵政省調査をきのう何回も行ったようでございますけれども、TBSは自主的に何らかの形で私たちが今時間を与えている間に自浄能力を果たしていただけるように、筑紫哲也さんの「多事争論」ではありませんけれども、ここではオブジェクションばかりでございますので、そのあたりをどうぞお伝えいただきましてTBSの良心の呵責に訴えたいと思います。  以上です。
  40. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 景山俊太郎でございます。  前に質問を申し上げましたときはいろいろと注文を随分申し上げたわけでありますが、その後、NHKのいろんな番組を見ましたり、また世間でどういうふうにNHK番組が言われているかを聞いたりいたしまして、ちょっと評価の高いことから初めに申し上げたいと思います。  「クローズアップ現代」というのをやっておられますけれども、これは本当に国民の暮らしに非常に地道な調査と幅広い報道を心がけておられる、最近こういう精神が高く評価をされております。それから「NHKスペシャル」でありますけれども、これも環境とか経済、薬害、教育、いろんな問題について何に原因があるか、何かには必ず原因がある、そういう点を非常に心がけて、根気強く積極的にやられておるところが随分評価されているんじゃないかと思います。それから、「大地の子」であるとか「秀吉」とか「吉宗」、こういうのも非常にだれもが楽しみだと、こういう感じを持たせた番組でありまして、やっぱりこれはほかの民放も学ぶべきところじゃないかなというふうにも感じたわけです。  それから、バラエティーの歴史番組がありますけれども、「お江戸でござる」とか科学番組の「ためしてガッテン」、こういうのがあるわけなんですけれども、これも若い人よりも高齢者の人がよく見るというんです。なぜかというと、そこへお年寄りが出るからというんじゃなくて、やっぱり高齢者の方々ももっともっと勉強しよう、知識を得よう、そういうことを非常に心がけて、がちゃがちゃした一時間番組のようなのを民放はやっていますけれども、ああいうのじゃなくて、本当に落ちついた番組をやっておられるということで随分最近のNHKは評価が高い、こういうふうに言われております。  それからもう一つ、適切な人を登用しているという面が見られますのは、国谷裕子さんというキャスターがおられますけれども、よくこういう人を抜てきしてやられておる。NHKは人材が豊富だと思いますけれども、やっぱり育てる懐の深さというのを見せられているんじゃないか、こういうふうに最近のNHKを見させていただいて感じたところであります。  そこで、質問をいたしますけれども、受信料関係について、まず質問をしたいと思います。  阪神・淡路大震災が起こりましてからもうはや一年以上たったんですけれども、その後、オウム事件、いろいろございまして、だんだんマスコミの目もほかの方に移ろっている感じがいたします。しかし、被災地の皆さん方は一生懸命に努力して立ち上がっておられる。しかし、なかなか御苦労されている方もまだたくさんございます。  そこで、NHKは、従来二カ月間この受信料の免除期間を持っておられましたけれども、阪神・淡路のときには六カ月に延長されたと聞いております。この処置は非常によかったと思いますけれども、しかし六カ月経過いたしまして、まだなかなか立ち上がれない方、いろいろ御苦労されている方があろうと思います。そういった方々に対しまして、受信料の免除期間というのが六カ月以上にはならないのかとか、そういう点を、ひとつもしお考えがありますれば、まずお伺いをしたいと思います。
  41. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) お答え申し上げます。  免除期間としては、先生おっしゃいましたとおり、平成七年一月から六月までの六カ月間ということで免除の措置をさせていただきました。それ以降、つまり去年の七月以降は免除というものはないということで、具体的に現地において全国から営業の関係の職員を動員いたしまして、お一人お一人のお客様のところを伺わせていただいて、そしてその実態に即した中で話し合いをさせてきていただいているということでございます。免除の措置を延長するということは考えておりません。
  42. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 会長さん、それでいいでしょうか。
  43. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 原則はそうなんです。ですけれども、私どもは、やっぱり視聴者の方々が災害に遭われて、それから回復される、そして再びテレビを見られるような環境になったと、それでお払いいただけるならば再契約をしてまたやっていただく、NHKの契約をしていただいた上でごらんいただくというふうにお図りをいたします。  ただ、その段階ではまだとてもテレビを見られるような状況にはなっていないというふうな方もいらっしゃいますし、それから相当災害の度合いがひどくて御同情申し上げるべき余地があるというところもあります。それは、だから営業の者がじかにいろいろお話をして適切に対応しているということでございまして、何も規定に従って不人情なことまでやるというようなことは一切いたしません。きちんとやっております。
  44. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 NHK受信料制度で成っておるわけでありますけれども、もうちょっと国民にPRをした方がいいんじゃないかと思っております。広報番組として「テレビ自由席」でありますとか「テレマップ」などがあるようでございますけれども、まだ浸透の度合いは薄いような感じがいたしますし、確かに自分で電波を使って自分の会社の宣伝をするというのも面映ゆい気はいたすかとは思いますけれども、やっぱり公共放送NHK存在基盤というのは受信料制度であろうと思います。その点を、今後、いろんな形があろうと思いますが、積極的におやりになった方がいいんじゃないかと思いますが、その点をお聞かせをお願いしたいと思います。
  45. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 御指摘がありましたように、公共放送の存立基盤、これはまさに受信料制度でありまして、負担の公平を期するためにも制度を理解していただく活動、これは大変重要なことと考えております。  NHKは、そういう意味でこれまでもさまざまな理解促進の活動を進めてまいったわけですが、最近、特にメディア環境が激しく変わっております。そういう中で、公共放送あるいは受信料制度についてさらに理解促進活動を進めるということが協会経営にとって非常に差し迫った課題というふうに認識しております。  そこで、この三月からおよそ三年間にわたりまして長期的な理解促進のための運動を展開することにいたしました。この手始めといたしまして、三月二十四日、日曜日の朝十時五分から七十分間、これは生で総合テレビとラジオと連動いたしまして「あなたの声に答えます・公共放送96」、NHKの理解を深めていただく番組放送いたしました。これは、年間五百万件を超える視聴者からのさまざまな質問とか御意見等がございます。これはなかなかお答えし切れないということで、番組を通じて直接現場の、現場に近い人間がお答えするという番組でございます。当日、千四百件余りいろいろお電話や反響をいただきまして、まだまだ一回では放送し切れないということで、これから先も続けてこういった番組を編成していきたいというふうに思っております。  そのほか、パソコン通信、これでもNHKのページを設けまして、基本的な受信料制度あるいは番組広報等のPRをさせていただいております。  今後、あらゆる機会あるいはあらゆる媒体、印刷も含めまして、国民皆様にこの受信料制度について御理解をいただきたい、そういう努力を続けてまいりたいと思います。
  46. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、多メディア化でありますとか多チャンネル化、マルチメディア化に伴いまして、人々の情報に対します価値の意識というものでしょうか、そういうものが非常に高まってきておりますし、強まってきております。生活態様の多様化とか価値観の多元化等とも相まちまして、受信料制度を取り巻く環境は実際なかなか今後大変になろうと思います。  そういった中で、NHK受信料制度というのを今後どういうふうに維持、維持していかなくてはなりませんが、その御苦労があろうと思いますけれども、何かお考えがありますればお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) お答えいたします。  今、放送局長からもお話ありましたけれども、この受信料制度を維持していきたいというのは、NHKは今後とも守っていきたいというのが我々の願望であります。それは、やはりこの制度がいろいろな意味公共的な役割を果たして、そして基本的な情報あるいは文化というようなものを皆様にいつでもどこでも安く良質なもので出していけるという制度であろうということで守っていきたいというふうに考えているわけであります。  だけれども、先生が今おっしゃるような新しいうねり、マルチメディア時代になってうねりが来たときに本当に大丈夫なのかということが御指摘のところだと思いますが、これについて本当の答えというのは今なかなかございません。  ただ、言えることは、やはり国民皆様あるいは視聴者皆様に総体として信頼されているということが非常に大事であるということが第一だと思います。会長もそういうことをこの七十年の放送記念日のときに、今七十歳をNHKが迎えて、これからの十年ということを考えていくときにそういうことが非常に大事なんで、視聴者信頼をかち得るためにもう一度整理をしてみようということで、今「NEXT10」運動というのをやっておりまして、それはすなわち何かというと、しかし特別な方法はないんで、やはり視聴者本位制というか、視聴者のためにどういうふうにしてやっていくか、やっぱりそれは信頼だと。  その中で一番大きいのはやはり放送サービスですけれども、受信料というのは単なる番組の対価というだけじゃなくて、NHKという公共放送を維持していくための特殊な負担金というふうな解釈に我々立っておりまして、そのことを視聴者一人一人との関係信頼を結んで維持していきたい、それがまた結果的にはいい番組、いい放送サービスを出していけるというふうに考えております。
  48. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 現在、先ほどからお話がありますようにTBSの問題、これは倫理性が非常に問われると思いますし、以前、椿発言とかいうのがありましたときは公平性が問われたと思います。同じ放送関係でありますけれども、こういう問題が起こりますとNHKの方にもいろいろとしわ寄せがあると思います。どうか視聴者の立場というものを十分考えて、お答えいただいたように、しっかりと責任と信頼を十分認識しながら今後やっていただきたいというふうに思っております。  それから、要員の効率化についてちょっと伺いたいと思いますけれども、これまで平成二年から六年、従来に比べて千六百二十八名の人を削減したということを聞いております。その間に衛星放送の二十四時間放送やハイビジョン放送実施など、放送サービスの内容充実にも随分努められてきたと思います。もちろん、今後も要員の効率化を引き続き行われることも必要ではありますけれども、やっぱり人を減らすだけでは、公共放送放送内容がお粗末になったのではこれはまた問題であろうと思います。  ですから、放送の根本というのはやっぱりソフトにあろうと思いますし、優秀なソフトは優秀な人材にあろう、こういうふうにも思っておりますので、今後のNHKの人員、要員といいましょうか、そういうものに対します基本的な、効率的といいましょうか、そういうもののお考えがありますれば聞かせていただきたいと思います。
  49. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) すぐれた放送サービスができるかどうかは、ただいま景山先生が御指摘のとおり、私どもも人材いかんであるというふうに考えておりまして、そのために要員効率化に当たりましても、NHK全体の業務を全国的な視野に立って見直して、どこかに改善すべき余地がないのか、それからスリム化とか集約化をして再編成するどころがないかということを絶えず考えておりまして、技術革新の成果も積極的に取り入れて要員の効率化に努めてまいりました。  それで、全体を揺する中で、放送部門を中心に現場第一線へパワーシフトをするということで、放送を生み出す力が萎えないように努力しておりまして、職員の研修も計画的に行っておりますし、特に最近採用しました新人層、若手層については職場に研修トレーナーとか研修リーダーというものを六人に一人ぐらいの割合にうけまして、人材を育成して、継続的に立派な放送がこれからも出せるように努めておる次第であります。
  50. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今申し上げましたように、優秀なソフトは優秀な人材からという点で、放送番組を取材し制作する人は多様な才能を持った人材が不可欠であろうと思います。  そういう意味で、やっぱり東京とか大阪、大都市に限らず、いろんなところに人は埋もれていると思いますので、地域の方にも人材を見つけるようにして、今後のNHKの基本的な人の採用につきまして伺いたいと思います。
  51. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 例えば、平成八年度のNHKの大学卒業者の採用は現在全国で二百九十名を予定しておりますが、このうち地域の放送局で採用される予定の人は九十名。合格者の出身大学を見ますと、全国各地に及びまして七十校になっておりまして、地方大学もこの中に三十四校含まれております。NHKとしましては、すべての大学に門戸を開いておりまして、形式にはとらわれずに、本当に実力を持った人材を採用すべく努力をしております。試験会場も全国に十五校ございます。  そうすることによって、災害時に的確に対応できる、そういう報道要員ばかりでなくて、先ほどからの御審議にありますように、地域の多種多様な文化に参加できる、そういう人材をこれからも多様に採っていきたいというふうに考えております。
  52. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 また、一番放送を見ていらっしゃるのは女性であろうと思います。男より女性の方が放送を見る時間は長いと思います。放送番組には女性の視点というのはこれからやっぱり不可欠な問題であろうと思います。  どの職場もそうであろうと思いますけれども、やはり男性社会であろうと思います。しかし、放送現場では女性の登用ということも今後考えていかなくてはいけないと思います。しかし、勤務が不規則でありましたり、いろんな問題もあろうと思いますけれども、昨今、不況で女性の就職が極めて難しい、こういう状況にもあるわけでありまして、報道機関として率先して女性の採用を進めていただきたい。そういうことを思っておりますけれども、今後の女性の採用、またその状況、方向、そういうことがもしおわかりになればお知らせ願いたいと思います。
  53. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 私どもも女性の感性とか視点が放送にそのまま反映していくことがますます重要であると思っておりまして、従来、番組制作とか事務要員に女性を採用しておりましたけれども、昭和五十八年度から取材要員いわゆる記者、それから昭和六十二年からは技術関係、それから平成二年度からは報道カメラマンにも女性を採用しておりまして、現在、全体で千人余りの女性がNHKで働いております。  御指摘のとおり、母性保護の問題もありますので、育児体制整備なども毎年改善しております。平成八年度も六十名の大学卒の女性の採用を予定しておりまして、これは全体の中で二一%になっておりまして、今後もこうした割合は維持したいというふうに考えております。
  54. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 最後ですけれども、郵政大臣に伺いたいと思います。  CSデジタル放送というのがことしから始まるようでございます。我が国も本格的に多チャンネル時代を迎えてまいります。従来ならば、地方でも五、六チャンネル、また東京で見ましても十チャンネルもあるわけですけれども、これからは五十チャンネルとか百チャンネルが常態化するようでございます。そうしますと、情報の洪水にだれもが毎日遭うわけであります。  それは、放送をされる方の倫理の問題とか公平性の問題とか公共性の問題、いろいろ出てくるわけでありますし、これはまたこれで放送の自由ということもありますが、いろんな形での教育というのは必要であろうと思います。それと、今度は見る方はもう無差別的に情報が入ってきまずから、本当にパニックに陥るような感じじゃないかと思います。そうしますときに、自分でやっぱり情報を見分けて、きちんとした社会生活が送れるようなことを今後考えていかなくてはいけない。  そのときに当たりまして、情報教育という問題、これはやっぱり国の大きな問題になってくるんじゃないかと思います。文部省も当然そういうことに今後注視してくるとは思いますけれども、やはり電波を監理している郵政省情報に無関心ではいられないと思います。そういう点で、大臣の御所見を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  55. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、先生御指摘のとおり、私は恐るべき多チャンネル時代になるかもしれないなとも思うんですね。どのチャンネルがいいだろうと思って探しているうちに一日暮れてしまったなんということだってないわけではなかろうというふうに思うわけでございます。  その中から、私は、質のいい番組ソフト、すぐれた番組ソフトというのはきちっと生き残っていくだろうとは思います。しかし、それと同時に、一方では過当競争になるわけでございますから、質が悪くて、みんなが見たがるものというのもあるわけでございます。そういうものもどんどん参入してくるということもあろうかというふうに思います。  私は、こういった光の部分と影の部分というのはいろいろ出てまいるかというふうに思うわけでございますが、しかし送り手の方に対して、やっぱりこれは節度を持った送り手になってもらわなくちゃいけない。それと、受け取る側も、特に子供なんかの場合は十分な価値判断の基準というものもなしに見るわけでございますね。親が見せたくないものほど子供が見たがるというような傾向があったりするという話も指摘をされておりますが、そこいらの教育は家庭においても社会においてもちゃんとこれからやって、どのような情報を受け取るか、こういう情報の判断の中から特に子供、青少年なんかについては保護をしていくというようなしかるべき配慮が必要であろうと、そういう時代になってくるだろうというふうに思います。  アメリカなんかではVチップの話なんかがいろいろ論議をされておりますし、日本でもそういった問題なども考えてみなければならない、そんなふうに今考えております。
  56. 北岡秀二

    北岡秀二君 多少、重複、関連する問題があるわけでございますけれども、私の方からは七点ほどお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、予算関連して、一番基本的なところからお伺いしたいわけでありますけれども、このたびのNHK平成八年度の予算は、平成七年度に引き続いて赤字予算となっておるわけであります。  私は、改めてこの内容を拝見させていただきまして、阪神・淡路大震災関連を差し引きましても、やや構造的な赤字になりつつあるのではないかなというような印象を持たせていただいたわけでございます。冒頭、大臣おっしゃられましたとおり、当面、繰越金を充当できるものとして、いずれ累積赤字ができてくるんではないのかなというような推測がされるわけですけれども、冒頭、郵政大臣におかれましてはこのような事態に対してどのように受けとめておられるか、まずお伺い申し上げたいと思います。
  57. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、先生御指摘の御心配、実は私の心配でもございます。やっぱり赤字という体質をずっと引きずっていくということはできないわけであります。特に、NHK受信料財源として運営しているわけでございます。できるだけ視聴者に新たな負担を求めるということなく運営を行っていかなければならない、私もそう考えておりまして、これはNHKには努力をしてもらわなければならない、こう考えております。  でありますから、放送法に従って述べた意見の中でも、私の方から事業運営の刷新、効率化を徹底するというようなことを意見としてつけさせていただきました。それから、八項目にわたって意見をつけているわけでありますが、これらの意見をしっかり踏まえながらNHKには一層の努力をしてもらいたい、これが私の考えでございます。
  58. 北岡秀二

    北岡秀二君 このことに関連いたしまして、NHKの方にお伺い申し上げたいわけでございますが、先ほどからも話がありましたけれども、NHKは、受信料という限られた財源の中で、より公共性の高い、そしてまたより質の高い番組提供しなければならないという重大な使命を担われているわけであります。また、そのことに関連して、先ほど来話にもありましたとおり、非常に努力をされて、そしてまた国民に対して質の高い放送を継続して提供されておられる。このことに関連しましては心から敬意を申し上げたい次第でございます。  一方、放送に対する需要が多元化しておる。衛星放送技術革新によるメディアが増大する中、それに対応するということでたゆまざる合理化あるいは効率化にも取り組んでいかなければならないということも避けて通れない現実だろうと思うわけでございます。このことに関連して、合理化、効率化、先ほど景山先生がややニュアンスの近い質問もされたわけでございますけれども、現在までの取り組み、そしてまたその実績を踏まえた上でこれからどういう方針で取り組んでいかれるのか、さらに視聴者に対してどのような形で説明をされていかれるおつもりなのか、お伺い申し上げます。
  59. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 私が会長になりましたのが平成三年で、二年から六年までの五カ年計画の初めのうちに当たります。私は、NHK財政状況と、それからこの先どうなっていくだろうということをまず第一にやっぱり考えました。  それで、一番大事なことは、どうやって収入をふやすかということであり、もう一つはどうやって支出を抑えるかということだと思います。  収入をふやす方は、当時、平成元年から始まっておりました衛星放送というのが順調に伸びるような状況を示しておりましたので、この衛星放送をどうやって伸ばしていくのか、それが本当に受信者の方々に必要と思われるという波になるためにどうすればいいかということを一生懸命考えました。それで、結果としてはこの三月で普及はもう大体一千万台を突破していると思います。それから、NHKとの契約も七百三十万をオーバーしました。  したがって、この衛星放送の将来がどの程度伸びるかということに入る方の、収入の方の問題というのは一にかかってくると思います。もちろん、受信者に対していいサービスをする、それだけでもって単純にお金が入ってくるとは思いませんけれども、まず基本的にはやっぱり信頼される放送を出すことというのが一番大事であろうかと思いますので、そのことを前提にしてやっていきたいと思います。  それには、まずはやっぱり視聴者と真っ正面から向き合うという姿勢が必要ではないかと思うんです。そして、視聴者の声を率直に聞いて、率直に聞いたものをその御要望にこたえてどうやっていい形にしていくのかということが当面の一番大きな問題ではなかろうかと思っております。去年からやりました幾つかの番組が非常に好評を得ております。それは、私どもがそういう気持ちで対応した努力が実ってきたということも言えますので、今後、さらにいろんな番組を大胆に、しかも誠実な形でトライアルをしていきたいというふうに思っています。  もう一つは、やっぱり支出をとめるということです。支出をできるだけ少なくするということが大事なんですが、それにはやはり何といっても経営の体質をスリムにするということ。でぶでぶと太った余分なものをいっぱいつけた体質では、これはもう支出は本当に幾らとめてもとまりませんから、できるだけスリムにしておく必要がある。したがって、この時代ですけれども、私は要員削減ということを年度ごとにやっぱり続けていこうと思っておりまして、ことしも、平成八年度も五十五人という純減実施しました。それはやっぱりNHKのそういう体質をできるだけスリムにしていきたいということであります。  そしてさらに、いわゆる冗費のようなものは極力これを切るということにして、むだなものは絶対使わない、役に立つと思うものには大胆にお金を投資するということを今後も実施をしていきたいと思っております。  そういう経営の基本的なものがきちんと職員の一人一人に行き渡ればもうちょっとNHK自体が、先ほど構造的とおっしゃいましたけれども、どうしても避けられない負担増というものをできるだけ長く延ばしていける。五年で云々じゃなくて、例えば八年とか九年とかいう形でもって延ばしていける。それは私どもがやっぱり精いっぱいやるべき責務である、こう思っております。
  60. 北岡秀二

    北岡秀二君 受信される家庭から受信料をいただきながら経営をしていかれるという特別の形態をとられておる放送業でございますので、常にそのあたりの経営姿勢、そしてまた経営に対する合理的な取り組みというのはいろんな角度から問われるものであろうかと思います。今、会長のおっしゃられたその基本姿勢のもとで、なお一層御精進を積んでいただきたいと思う次第でございます。  次に、先ほどからの話題にも関連することでございますけれども、放送倫理について数点の角度からお伺い申し上げたいと思う次第でございます。  先ほどのお話のとおり、オウム報道をめぐってTBSの対応が議論を呼んでいるわけであります。  さらに、この問題に限らず、これはもう以前から問題としてあったわけでございますけれども、視聴率を争う余りに青少年への配慮を欠いた暴力シーンあるいは性描写がはんらんをしておる、またセンセーショナルな扱いによるプライバシーの侵害等、放送関連するたくさんの問題、これは過去においても生じているように、そしてまた現在も一連事件の中でこのような形で生じておるというような感じがあるわけでございます。  ただ、この点で私ども政治に携わる者として特に注意しなければならないのは、報道の自由、そしてまた編集の自由、これはもう絶対的に守らなければならない、そういう前提条件があるわけでございます。特に、電波というのは公共性を有するものであるだけに、自由の名のもとに個人、組織あるいは社会の尊厳を破壊する、そこまでの自由は私は保障はされていないというような認識を持っておるわけでございます。  そしてまた、逆の立場で考えますと、報道の自由あるいは編集の自由、これを守ろうと思えば、それだけにそれに裏づけされる責任を全うしなければならない、これはもうだれしもが認めるところでなかろうかと思う次第でございます。  最近の一連の問題というのは民放を中心とした問題でございますけれども、最近の傾向の中で私自身が感じるところ、今申し上げました責任の部分というのがともすると軽んじられているんではないのかなというような印象を受けておるわけでございます。  このことに関連しまして、これはNHKの方にお伺いしたいわけでございますけれども、放送番組編集に当たってのNHKの基本的な考え方、改めてお伺いしたいと思うんです。
  61. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) NHKといたしましては、不偏不党、公平公正という放送によって真実を伝えていくというのが私どもにとって一番大事なことだろうというふうに思っておりますし、先生が今おっしゃいましたように、そのことによって放送における表現の自由というのは確保されるんだろうというふうに思っております。  そういった意味では、政治上の問題を扱う場合でも、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする、そのことによって視聴者が判断できる材料を提供するというふうに心がけておりますし、また番組の編成、構成あるいは出演者の選定、こういったことも慎重に行うようにいたしております。  そういったことで、放送いたしましても、その後、私どもは放送した番組が実際にそういう公正公平という視点からどうだったのかという検証と、みずからをそういった意味で律していく努力といいますか、これを続けるのが大事であろうというふうに思っておる次第でございます。
  62. 北岡秀二

    北岡秀二君 このことに関連してでありますけれども、放送法では放送番組の適正を図るために放送事業者放送番組審議機関を設置することとされているわけでございますけれども、より高い公共性と社会的責任を担うNHKにとりましては放送番組審議会が十分に機能することが特に重要であると考えるものであります。NHK放送番組審議会について、どのように機能し、またどのように活用されているのか、お伺いいたします。
  63. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 放送番組審議会、これは中央と各地方にございますが、毎月一回定例の会議を開いておりまして、取材のあり方等も含めまして非常に具体的で多様な意見が毎回活発に数多く出されております。NHKとしては、その都度、こうした意見を重く受けとめまして、ニュースあるいは番組制作に生かす努力をしております。そういった意味では、この番組審議会は極めて有効に機能しているというふうに私どもは思っております。
  64. 北岡秀二

    北岡秀二君 NHKの方からは放送番組審議会が十分に機能されておるという説明をいただいたわけであります。  そこで、郵政省の方にお伺いしたいんですけれども、一方で、私が先ほど申し上げました放送にかかわる問題について、特に民放を中心とした放送番組審議機関が十分機能していないのではないかとの声も聞くわけであります。そしてまた、これ違う観点からの話でございますけれども、今後の日本の国情を考えてみますときに、大きな変革期にある、さらに世の中混迷の度合いが増していくであろう、こういうことが想定されていくわけでございますけれども、こういう状況の中でマスコミの果たしていく役割というのは非常に大きなものがあるわけであります。  先ほど申しました放送の自由をとうとぶ上でも守るべき責任は全うするという観点から、放送番組審議機関とは別に、放送番組をチェックする第三者機関を設置する考え方もあろうかと思うわけであります。この点について、郵政省の御見解をお伺いいたします。
  65. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 放送法では、三条の四におきまして、先ほど説明ありましたように、民間放送事業者も含めまして放送番組審議会というものをつくっておりまして、基本的には放送番組の適正化というのはこの機関でなされておるというシステムになっておるわけであります。  大部分はそういうふうに機能しておると思いますが、意見としましては、なかなかこの審議会の中身が見えない、あるいは本当に機能しているんだろうかというふうな声のあることは事実でございます。審議会を客観的にもっと強化すべきじゃないかというふうな声もございます。それから、先生御指摘のような、もう一つ第三者機関のようなものをつくって、それによって番組の適正化を図るべきではないかという意見もございます。  現在、私ども郵政省の中の多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会というところで、この中におきまして、番組を含めまして多チャンネル時代における放送の規律のあり方ということ、川口会長にも入っていただきまして、いろんな方々の意見を聞いてまとめておるところでございます。そういう中でも、番組をチェックするというようなダイレクトな意見では出てきておりませんが、例えば放送による被害、人権問題が出たときにこれを申し出る第三者機関のようなものが要るんじゃないかとか、あるいは放送の自由といっても、番組審議機関というものは一応内部の機関でありますから、やっぱり外部でなければだめなんじゃないかという意見はございます。一方、こういうふうな例えば政治的公平の問題、人権の問題は基本的には自己責任の問題であるからなかなかそういうところで機能するのは難しいという意見もまた、こういう問題ではありますから、必ずあるわけであります。  いろんな意見はございますが、十二月までには最終取りまとめをやるということで、四月には一応の中間取りまとめと。こういうようないろんな意見を聞きながら今後の方向というのを探っていきたいというふうには考えておるわけでございます。
  66. 北岡秀二

    北岡秀二君 私、先ほど申し上げましたとおり、報道の自由を守る上でも、それに見合うだけの責任は全うしていただかなければならない、これはもう絶対的な鉄則だろうと思うんです。先ほどお話し申し上げたとおり、これからいろんな社会的な変革の中にある混乱というのが予測されるだけに、放送業界の担う役割というのは大きいものですから、その観点に立った上での処置というのをぜひともよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。  次に、NHKの将来展望についてお伺い申し上げます。  先ほどからお話にありまして、特に保坂先生が詳しくいろいろな角度から申されておりましたけれども、デジタル化あるいは技術革新、マルチメディア化が進行して放送の可能性が物すごく拡大をする。そしてまた、放送と通信の垣根がこれからなくなり、融合されるんではないかというような話があるわけでございます。非常に多方面にわたって可能性が広がり、なおかついろんな分野からの参入もこれから予測される。  こういう状況の中で、NHKが将来果たしていくべき役割、そしてまたNHKのあり方というのを将来に向けてどのようにお考えになっておられるのか、大きな枠でお話をお伺いしたいと思うんです。
  67. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 私も、近いうちに必ず参るでありましょう多メディア・多チャンネル時代というものについては、幾つかの憂慮すべき状況と期待すべき状況というのがあると思っています。  憂慮すべき状況というのは、結局メディアがふえる、山のように放送時間はあるんですけれども、結果的にはその中で質がどんどん低下していくという現象が起こらないかという問題がやっぱりあります。それから、幾つかのメディアが対応するのに、人間対メディアという関係でいくと今までどおり密接じゃなくなって、いかにもメディアがメディアとしてやはり人間の生活とはちょっと遠いところになってしまうというふうなことがあるんじゃないか。こうなったらやっぱり新しいメディアは人間の生活にはそんなに大きく寄与しなくなってきます。  そこで、やっぱりメディアを利用する立場の放送事業者というのは、これは通信事業者もその中に入ってくるでしょうけれども、やっぱりみずからの存在というものをきちんと自覚をして、そしてみずからが持っている力を最大限に発揮するという立場をとらなければいけないと思っています。つまりは中身の問題というのが非常に大事になってくるわけで、NHKは特に公共放送ですから、公共の福祉のためにお役に立つという位置づけでいろんなことをやっていかなければいけな  い、そのことが日本における放送事業国民にやっぱり認知をされる最大の理由ではないかと私は思うんです。  私の考えですけれども、いろんな国があります。いろんな地域があります。その国、その地域の状況に応じてやっぱり独特のメディアを持つべきだと思うんです。ですから、日本には日本の独特のメディアというのが発展すべきであろうと思っていまして、そのために私どもがお役に立つように努力をしたいと思っております。
  68. 北岡秀二

    北岡秀二君 もう時間が参りましたので、最後に地域放送についてお伺いいたします。  NHKの八年度の事業計画の重点事項の中でも、「個性ある地域放送番組充実と全国発信の推進」ということがうたわれておりますが、現在、各地域には地域の民放が、ローカル民放がある。少なくとも量的あるいはその地域との密着の度合いから申し上げますと、NHKよりもより密着した形で、そしてまたより幅広い形で地域の民放が活動されておられる。私、同じ土俵でNHKが地域放送に取り組んだらちょっとおかしいと思いますので、もうこれもあらかたの概要でいいんですけれども、その地域の民放NHKの地域放送の差別化をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  69. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 地域における民放さんが非常に活発に地域のために取り組んでおられるということは私もたびたび聞いておりますし、そういった意味では私どもNHKの地域の放送局もNHKの個性を生かした地域との密着な関係といいますか、そういったことを改めてやっぱりきちんと構築していく必要があるだろうなというふうには思っております。  したがいまして、ここ数年、地域のための放送、それから地域発全国放送、この二本立てでいわゆる地域の情報強化をしてまいりましたけれども、NHKNHKの特徴といいますか、ネットワークを生かすという意味ではNHKの特徴があるんではないか。非常に柔軟にネットワークを生かせると。したがいまして、地域の放送局同士がお互いに手を組んで一つのテーマに取り組む、あるいはいわゆる拠点局と申しまして、大阪とか名古屋とか、こういった拠点局が地域を支援しながら大きなテーマに取り組む、あるいは今度は東京も含めて全国的な視点でいわゆる地域の情報を全国規模で放送する、こういったことを柔軟に活発に取り組みながら、NHKらしい地域情報充実強化ということに、これからますます力を入れたいというふうに思っております。
  70. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうはNHK予算審議でもありますし、時間も制約されております。また後日、TBS問題を含めて放送界全体のあり方について集中審議をするという話も聞いておりますので一問にしたいと思いますけれども、先ほど吉村先生、それから保坂先生からもお話あったTBSの問題ですが、私も非常に憤りを感じております。  今回のTBSのビデオ問題は、どう考えても私はよろしくない。報道機関の基本姿勢、倫理を考える上でも極めて私は重大な問題だ、このように認識をしております。大体、取材内容を事前に第三者に見せないことは、新聞、テレビを問わず報道に携わる者の鉄則であります。これは全くその鉄則を曲げた、それを逸脱した、無視した行動だと私は思っております。その上、テープを見せた事実はないと最初に言った。見せたことについて、その後、記憶や事実関係はどうしても出てこない、ちょっと意味がよくわからないんだけれども、そう言っている。最後に一転して見せたと。これはもうどうなっているのか。それで、これはうそじゃないかと。うそだとはまだ言ってない。私は間違いなくうそではないか、こういうふうに思います。うそは泥棒の始まりだというのは小さいときから言われているんですけれども、非常にもう憤慨にたえません。幾ら最近うそがそっちこっちではやっているんじゃないけれども、多いといったって、これはちょっとひど過ぎると私は思います。  したがって、事は重大でございます。放送局の職員が放送で事実関係を曲げて放送したとか、またプロデューサーがやらせをやったとか、過去に何回かありましたけれども、それももちろんいけないけれども、私はそれ以上に今回の問題はほうっておけない問題だと思います。TBSは、したがって過ちの上に、その処置をするのにまた過ちを犯している。これは二重三重の私は過ちだと思います。極端に言わせていただければ、坂本一家の殺人の遠因にもとれるように思われます。これはTBSの体質のあらわれではないか。もちろん、TBSの中には一生懸命まじめに働いている人がたくさんいるということは私は承知しております。  そこで、郵政省にお聞きしたいんですけれども、思想信条の自由、表現の自由ということは私たちもよく承知をしております。それから、放送法は権限に基づく以外には何人からも干渉されない、編集の自由もあるということも承知しております。しかし、先ほど北岡さんからお話あったように、何人からも干渉されないといっても、その反面、そこには責任と使命、そしてその重さを感じるのが私は当然であると思うんです。私から言わせれば、TBS公共電波を使う者として責任もなければ使命感もない、こういうふうに言っても差し支えないと思うんです。  そういうことで、監督官庁としてどういうふうにこの問題をしようとしているのか。私は、今回の問題について、今言ったように、表現の自由とかありますけれども、こういう問題を絡めて非常に解決には難しい問題を含んでいる、こういうふうに思います。したがって、放送法の精神に従って厳正な調査をして、適正な対処をしていただきたいと強く私は要望したいです。  今言ったように、監督官庁行政指導もするし行政措置もする。局長に答えていただきたいんだけれども、局長だって、これは一民間放送であった出来事では済まされません。あなただって責任があるんですから。一部の責任じゃなくて、重大な責任が郵政省にもある。そういう意味を含めて今後どうするのか、聞かせていただきたいと思います。
  71. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) TBS関係につきましては、三月十八日に一度事情聴取をいたしました。そのときには記憶にないというふうな発表等を聞いたわけでありますが、後でそれが実は間違いであったという逆の報道発表がありました。直ちに呼びまして、事情を今聞いておるところであります。まだ何点か疑問もありますし、会社の体質としてどうしてそのようなことになったのかということもいろいろ聞いてみたい点がございます。まずは事実関係等を調査するということが一つの役目だろうと思っております。  その上で、この問題が所管する放送法にどのように関係するのか等につきまして今後早急に検討する必要があるというふうに考えておるところでございます。
  72. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大臣につけ加えてお伺いしますけれども、今、早急に検討する、こういうことでございますけれども、大臣、まだ当分おれは大臣やっているんだから、そんな気持ちはないでしょうけれども、ゆっくりするということではなくて、きちっとこれを指示していただきたいと思いますけれども、どうですか。
  73. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 過般、衆議院法務委員会TBSからいろいろ説明を聞きました。そしてまた、三月十八日には郵政省でも説明を聞いておりまして、昨日、TBSの記者会見がありまして、私は直ちに、食い違い、この点についてTBSを呼んで事情を聞くようにということで指示をいたしました。物事を決めるときには決めるというタイミングがあるものでありまして、私は、このように日本じゅうが、あえて日本じゅうがと申しますが、この問題に強い関心を持っているときに、これを私は便々として日を送るつもりはございません。早急な調査を進めてまいりたい、このように思っております。  ただ、そこで私申し上げておかなければならないのは、監督官庁としてTBSに何らかの不利益を課するという場合、これはきちんとした手続をとらねばなりません。それから、きちんとした事実の認識を持たなければなりません。そこについて、また私はこれをないがしろにするつもりはないのでありまして、そこらを十分皆さんにもひとつ御理解をいただきたいところであるということだけは申し上げておきたいと思います。
  74. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、NHK予算の問題で会長にお聞きいたします。  まず、予算編成についての基本的考え方をお伺いしたいんですが、私は、四年度の決算を審議した際、平成六年十一月二十四日でございましたけれども、川口会長に対して具体的な数字を挙げながら、単年度で見れば小さいことかもしれないけれども、これが重なっていけば大変なことになる、こういうふうに私は指摘いたしました。  小さいことといえば、数字の上からいくと副次収入なんかの問題も小さいことでございますけれども、この副次収入を例えば見た場合に、会長は三年に会長になったが、その前、島さんのときには副次収入は五%ぐらいにするというような話、この前も私申し上げましたけれども、それが依然として事業収入に占める比率は一・四八、一・三九、一・一七、一・二四、大体一%ちょっとですけれども、これも額にすれば大体六十億ぐらいになるわけです。  例えばの話がそういうことでございますけれども、ところがことしの予算は、現行の受信料に改定してから本格的な赤字決算ということになってきているわけでございます。NHK経営体質というものは、私がそのときに指摘したにもかかわらず、受信料をまた値上げしなければならないような方向に進んでいるように思われるんですけれども、会長予算編成における認識をここでもう一度お伺いしたいんです。
  75. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 前回の御指摘のことは私もよく覚えております。そのとおりの面があると思っています。  ただ、今回の予算編成に当たりまして、私どもが考えたことをまず申し上げておきます。  当然、予算というものは収支とんとん、あるいは少し残すぐらいの予算を組むのがいいんじゃないかとは私は思います。ただ、ことし非常に大きな要因がありましたのは、去年の阪神・淡路大震災による大きな痛手がまだことしも残っているということ。それで、それは思い切った措置をいろいろとりましたけれども、結果としてはその余波がまだ残っております。それが一つあります。  それで、もう一つ大きな大きな問題は、あの大震災で我々が得た教訓で、ああいうときの公共放送がどのように動くべきか、そのことについて、これは単に番組のつくり方とか報道の仕方とかいうふうな問題ではなくて、例えば機器をどうやって整備するのかという問題とか、それから連絡のための線をどう確保しておくのかとか、そういう施設設備等の確保のために相当大きな支出をしないといけないということが起こってきたわけです。  それで、震災対策として、例えば建物の補強等を含めて工事をすることにしますと、これが相当に予算的には大きな大きな比重を占めることになりました。これはやっぱり平成八年度の予算の中で実施をしませんと、いつ何どきまた大規模な災害が襲ってくるかもわかりません。そういうことのためには、どうしてもこれは切るわけにはいかないというのが一つございました。  それから、これは前からわかっていたことですけれども、アトランタでオリンピックが実施をされます。今、オリンピック放送というのは大きな問題をはらんでいますけれども、一つ放送権料の高騰であり、もう一つは規模が物すごく大きくなって、それを放送でカバーするのには制作経費がまた膨大なものに相なります。その大きな支出を覚悟しても、なおかつやっぱりやらなければいけないのかというふうな疑問も当然ありますけれども、私は、現在、日本人が持っているオリンピックに対するある種の、非常に大きなあこがれとは言いませんけれども、オリンピックに対してたくさん見たいんだという欲求というのが相当大きいというふうなことをいろいろ調べてやっぱりわかりました。  それで、このアトランタ・オリンピックについてはできるだけ節約をするけれども、だけれども放送権料の問題にあわせて制作経費の増というものに対しては何とか対応しなければいけない。  この二つの大きな要因、つまり阪神大震災を教訓として今後の災害報道への備え、それとアトランタヘの対応ということの大きな大きな要因がありましたので、これはやっぱりきちんと計上しなければいけない。そういうことを前提にしてやりますと、どうしても四十八億という赤字を出さざるを得ないという状況になりました。  このことは私にとっては非常に大きな問題でありまして、構造的とおっしゃいましたけれども、NHK自体が商売をやってもうけて、それでもって利潤を図るというところではない。つまり、放送内容によって国民に幸福な生活をしてもらうというふうなところである以上は、受信料で成り立っている組織としてはどこかでまた負担を少し上げていただきたいというお願いをする時期が来る、そういう性格のものだとやっぱり思います。  ただ、できるだけそれを経営努力によって抑え込んで、昔は四年に一遍でしたけれども、それを五年にしました。それで今度は、平成二年から始まっていますから二、三、四、五、六、七、八と、今現在七年目に入るんですが、これは抑え込むことができます。九年も恐らく抑え込めます。十年以降については、まだこれは今の段階では何とも申し上げられない要因がいっぱいありますので言明はできませんけれども、これもできるだけ値上げをしないような形でいきたい。  そこで、結果的にどうしても値上げをしなければいけないというような状況が起こったときにはどうするんだと。それはまさに視聴者との話し合いだと私は思うんです。それで、NHKが受信者にとって必要欠くべからざるものであって、しかも出したものは信頼するに足ると思われるならば、それぐらいの負担は私どもは受けましょうと言ってくださるのか、もう要らないというふうにおっしゃるのか、そこの話し合いになるだろうと思います。私どもはそれにふさわしいものを出し続けたい。結果としてそれが多少の御負担の増になるならば、それはまげてお願いをするというふうな性格のものではないかと思っております。  だけれども、できるだけそのお願いする時期をうんと長くとって、御負担はできるだけ低く抑え込むということだけは経営として頑張ってまいりたいというふうに思っています。
  76. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私が聞きたいことをみんなしゃべってくれたので了解しましたけれども、確認だけさせてもらいます。  二月七日に、九年度は値上げはしない、こういうことで記者会見されたそうですけれども、その確認と、それからそのときに、十年以降は大震災のような大事故が起きないとかマルチメディアがどう進展するかを見てみないと決められないが、できる限り値上げはしないように予算執行し、赤字を減らす努力をする、こういうふうにおっしゃいましたね。九年度は上げないという確認と、十年度はこういうことでおっしゃいましたけれども、経営五カ年計画平成二年から六年の間、このときの繰越金が五百二十億、八年度には三百二十億あるわけですから、私としては今の状況でいけば十年度も何とかなるんじゃないかな、こういうふうに思っているんですけれども、その辺の答弁を簡単にお願いして終わります。
  77. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 二月七日に申し上げましたことはそのとおりでございます。そのように実行したいと思います。  それから、平成八年で四十八億の赤字計上しましたけれども、これも実際業務に入った中でできるだけ切り詰めて、この赤字の幅は縮小をさせるということの努力をしたいと思います。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 新進党・平成会の広中和歌子でございます。  私は、一視聴者といたしまして、NHK番組も大変楽しませていただいております。「生きもの地球紀行」、「大地の子」、「戦後五十年NHKスペシャル」など、思いつくままに述べましたけれども、今後ともいい番組をつくり続けていただきたい。要望いたします。  次に、TBSの未放送ビデオ問題につきましては多くの同僚議員が既に発言されたわけでございます。大臣は、今後、事実を厳正に調査し、放送法に照らして違反については厳正に対処していきたいというふうに述べられまして、これはもうぜひそれをやっていただきたいと思うわけでございます。  しかし、違法性はさておき、まずその前に放送倫理の問題ではなかろうかと思います。NHKを初め各報道機関がみずからを律する内部規律体制というものをどのようにこれから確立していかれるのか、少なくとも今までの体制では不十分ではなかろうかという気がするわけでございますけれども、ぜひこの点について御要望申し上げます。  それから、要望のついでにあと二つ申し上げます。  きのうの新聞報道によりますと、NHKは週末に二十四時間放送体制をつくるということでございます。夜間、何を流すかというと、いい番組の再放送なども放送なさるということでございまして、それは大変結構でございますが、ぜひここでお願いしておきたいのは、国会委員会審議、例えばこういうようなものでございますけれども、その委員会審議の中で特別に何点か選んで放送していただきたいとお願いする次第でございます。  国会委員会放送につきましては、私どもで検討しているわけでございますが、非常に時間がかかっていまだに実現を見ておりません。国民国会を非常に親密に結びつけ、国民に政治というものを理解していただくためにも、そして私たち政治家の活動を理解していただくということも大変大切な公共性のあることだろうと思います。ぜひこの夜間の時間を御利用いただきましてお取り組みをいただきたい。これが要望の第二点目でございます。  第三点におきましては、ちょっとこれは私ども党派にかかわることでございますが、現在、与党は三党派から成っております。私どもは第二党の大きな党でございますけれども、NHKの日曜日の朝の九時からの政治討論会、大変にリプリゼンテーションというのでしょうか、私どもは一人で与党三人と対決しなければならない。放送時間というのでしょうか、発言時間など非常に不公平ではなかろうかと感じている次第でございまして、この点について御配慮を願いたい。これが第三点目の要望でございますが、もしコメントがございましたら、ぜひお願いいたします。
  79. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 三点ございましたが、私どもに関係する部分でお答えしたいと思います。  内部、いわゆるみずからを律するシステムというか、そういうことが不十分ではないかという御指摘でございます。先ほど番組審議委員会のことは申し上げましたけれども、それはそれといたしまして、例の「ムスタン」の事件以来、私どもは既に局内に放送番組の向上に関する委員会というのを設けておりまして、大体月一回、報道のあり方、人権問題、それからその他放送内容が適切であったかどうか、こういったことを局内で議論をして、それに対して結論を出したものを局内に周知するということをきちっと行っております。  それから、今、国会委員会の様子を深夜でも流してほしいという御要望でございますけれども、私どもは、国政の最高機関である国会の議論をお伝えすることは公共放送NHKとしては大変重要であるという認識を持っておりまして、ラジオで昭和二十七年以来、テレビでは二十八年以来、中継あるいは録画放送を行ってまいりました。そういった観点からは今後も取り組んでいきたいと思っておりますけれども、しかし放送の態様がその都度違うということでも、これは私ども編成上もいろいろ問題点が出てまいりますし、やはりある種の原則は立てておきたいというふうに思っておりまして、そういった原則に沿って今現在は放送を行っております。  原則の中身は今ちょっと省略させていただきますが、例えば本会議での政府演説、代表質問は全部放送するとか、予算委員会の総括質疑のうち各会派の第一質問の方の質疑は必ず放送する。そのほかにもございますが、一応の原則を立てまして、放送時間は午前十時から十一時五十五分、それから午後は一時から六時まで、この時間に入らない分は夜遅い時間にということで放送しております。そのほか、ニュースとしてぜひお伝えすべきことはニュースの中で委員会質疑等についての内容について御紹介するというようなことを行っております。  深夜の放送については非常に難しい点がございまして、各種委員会、これは全部一日に行われるということではございませんが、トータルいたしますと五十を超えるような委員会がございます。どの委員会内容がどの時点で一番重要かという判断もなかなか難しいところが実はございますし、そういう意味では要員とか機材の面でもなかなか対応するのは難しいということがございます。そういったことで、今現在は私どもの原則に従って放送させていただいているということでございます。  もう一点、討論について公平さを欠くんではないか、各党代表の方の人数の問題ですが、これは基本的には私ども放送番組の表現の自由あるいは編集の自由にかかわる問題だというふうには思いますけれども、先ほど来のお話のように、少なくとも私どもは公平公正な放送を心がけるということも非常に大事だというふうに認識はしております。  ただ、今現在、発言時間を出場される方の人数を含めまして機械的に割り当てていくということは必ずしも公平と考えておりませんで、実際の番組の中で発言の内容あるいは展開に即して全体としての発言回数であるとか発言時間にバランスをとっていくというふうに努めております。  それから、今の日本状況としてはどうしても政党中心の政治が展開されているという意味では、政党の代表の方をなるべくお一人出ていただくというような方向で、それを基本に考えておりまして、そういった意味でいくと、政府とかあるいは野党とかいう関係でいくと人数に若干バランスを欠くということがございますが、一応そういった考えでやらせていただいています。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 お考えはわかりましたけれども、やはり出席者の会派の大きさに比例するというような考え方もぜひ取り入れていただきたいと重ねて要望します。  それから、委員会審議でございますけれども、既に院内におきましては院内放送をしておりまして、そのビデオをお使いになりますとわざわざここにおいでになって放送を収録することは必要ございませんので、そういう点でもあとは御方針に従って適当な委員会を選ぶことがおできになるんではないかと思います。そのことをつけ加えさせていただきます。  次に、国際放送分野についてお伺いいたします。この分野におけるNHKのお役割というのは非常に大きいと思います。NHKのラジオ日本あるいは映像国際放送につきまして、海外の情報発信の拡充方針についてこれからお伺いしていきたいと思います。  まず、ラジオ日本では、現在、世界の中でどのような地域、どのような時間帯で放送を行っているか伺います。世界ではどのくらいの人がこのラジオ日本を聞いているのか、その予算、制作担当スタッフについてもお伺いいたしますが、時間が非常に限られておりますので、かいつまんでお話しいただければありがたいと思います。
  81. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) いわゆる国際放送ラジオ日本、短波による放送でございますが、これは年間およそ一千三百万人に上ります海外渡航者、それから年々増加しております海外での長期滞在の邦人、合わせて千四百万人近い方がこのラジオ日本を聞かれているというふうに思っております。  同時に、英語、日本語、そのほか、言葉では日本語を含めて二十二言語で海外に放送しておりますけれども、外国人の方がどのくらい視聴しているかということはちょっと把握しかねますけれども、かなり多くの方に視聴していただいていると思っておりますし、阪神・淡路大震災の際には、かなりこの災害についての関心も寄せられましたということでございます。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、世界各地で国境を越えるテレビという動きがあります。国際理解を促進する手段として非常に期待されており、海外では例えば香港のスタテレビそれからBBC、アメリカのCNNなどがいろいろ活躍しているわけでございますけれども、NHKも映像国際放送を開始して一年になると伺っております。その現状と評価、それからこれからの展開につきまして、また手短によろしくお願いいたします。
  83. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 映像による国際放送を開始して二年目に間もなく入るわけですけれども、現在、北米地域で約五時間、それから欧州地域で約三時間十分放送しておりますけれども、これを四月からそれぞれ三十分程度さらに時間をふやして放送していきたいというふうに思っております。  この反響と効果はどうかということについては、昨年の秋に北米、欧州両地域でアンケートの調査をいたしました。約四千七百人の方に調査をいたしまして、番組に対して満足度はどうかということですが、非常に満足あるいはまあまあ満足という両方合わせまして、北米が六三%、欧州では七一%、こういう結果でありまして、大体満足していただいているんではないか。その理由としては、ニュースがリアルタイムで入手できる、あるいは日本に関する映像が見られる、こういったことで受け入れられているというふうに私どもは考えております。
  84. 広中和歌子

    広中和歌子君 けさニューヨークに電話をいたしまして確かめたんですけれども、何か七時から一時までNHKが見られるそうでございます。これはケーブルを通じてなんですけれども、十五ドル特別に払うとNHKが見られるということで大変喜んでおりました。  このことなんですけれども、今度、逆に我々は海外放送をどういう形で受けているかというとBSで受けていますね。それについては私はすばらしいと思っているんですが、あれはあくまでも編集されたものが来ております。編集されない例えばNHK放送がそのままニューヨークでケーブルを通じて見られるように、我が国も例えばアラビア語の放送を見たい人もいるかもしれない。そういう時代が来るかもしれないわけですけれども、それにはやはりケーブルというものが不可欠、つまり受け入れ体制が不可欠だろうと思います。  つまり、そういう特別な放送を聞こうと思ったらば受け皿みたいなものが必要だと思うんですが、今のケーブルテレビの状況というのは非常に限定されているので、これの将来性につきましてお伺いいたします。
  85. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 海外からの放送を見るのにはケーブルと直接聞くものがございます。例えば、BBCとかCNNはCS放送で現在直接聞くことができます。これはお金を払って加入する必要がありますが、聞くことができます。これを今度は都市のCATVが受信してCATVの加入者に配っているというのがございます。だから、CSから来たものをCATVが配る、これが一つあります。  それから、例えばスタテレビのようなものは、今度は直接に放送しますので、これをまた契約してCATVは受けて配るということで、CATVがそれを契約すれば海外の放送が聞けるということでございます。  それから将来ですが、CSデジタル放送になりますと、例えばポルトガル語放送であるとかスペイン語放送もじかに直接放送するということと、かつCATVを通して聞くという両方ができるようになるわけであります。  そのCATVですが、現在、非常に大きく伸びておりまして、都市型CATVが約二百数十万になっておりまして、これがどんどん広がっていきますと、直接聞くかCATVで聞くか、両方の選択が可能になる、こういうことでございます。
  86. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  もう時間なのでやめなければならないわけですが、NHK収入は九七・三%が受信料であると。受信料の伸び率から考えまして非常に財政的に大変であると。それで、会長経営のスリム化ということをおっしゃいますけれども、それには限界があるんではないか。しかし、公共放送であり、その点は大切にしなくちゃならないし、ヨーロッパの国で行われているようなコマーシャルを導入するようなやり方、それはちょっと考えられないというふうにおっしゃいました。  アメリカの例をちょっと申し上げさせていただきますが、アメリカではPBSというのがございます。アメリカは全部コマーシャルのテレビなんですが、一つだけ例外としてパブリック・ブロードキャスティング・サービス、PBSというのがあって、これは民間の寄附で成り立っているわけでございます。民間の寄附というのは、もう既に私ども聴視料を払っているわけでございますから、それは不可能といたしまして、企業から貢献を受けるということも可能ではないか。そういうことも一つの可能性としてお考えいただくことを提案いたしまして私の質問を終わらせていただきたいわけですが、やはり企業の中にもそういうパブリックサービスをしたい、そういう貢献をしたいという企業もあるということを御承知いただきたい、そのことを申し上げさせていただきます。
  87. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) コマーシャル放送の導入については、前にも私はそれはちょっと無理だということを申し上げたことがあります。それは、フランスの国営放送が分割をしまして、そして民放、いわゆる商業放送公共放送に分かれたわけですね。そして、どんどん商業放送のシェアが大きくなって、公共放送はどんどん没落していきました。それで公共放送に今度はコマーシャルを導入しようということが起こりまして導入したわけです。結果としては、フランスの公共放送は今は惨たんたる状況になっているということがございます。  コマーシャルを入れますと、どうしてもやっぱり民間放送商業放送と競争をしなきゃいけない。競争するのは何かというと、やっぱり視聴率という物差しではからなければいけない。そうすると、中身が何であるかよりも、いかに視聴率を稼ぐかという方に重点が移りますから、したがって内容的には大変おかしくなってしまうということがあります。私どもはコマーシャルの導入よりもやっぱり何かほかのことを考える方がまず先だと思います。  今の民間からの寄附については、これはまだ全く研究したこともありませんでしたので、慎重に検討させていただきます。
  88. 小林元

    小林元君 平成会の小林元でございます。  地域放送についてお伺いをしたいと思います。  関東平野にあります首都圏のほとんどは、そういう平野ということでNHKが二波、それから民間が五波、そういう体制になっておりまして、さらにはUHFが一局あるというような状態で、情報量としては大変恵まれている地域であるというふうに考えております。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  昨年十一月に東京にMXテレビが開局しまして、NHK東京といいますか、NHKの中央局がカバーする一都六県の中で、いわゆる県域テレビがない県というのは私の出身でございます茨城県、そして栃木県、これは全国でも二つの県ということになりました。  県域テレビが開局できるかどうかということになりますと、その地域の受信状態といいますか、情報量あるいは経済的な基盤、そういうものがいろいろあって、なかなか県域テレビができないという状況があるのかと思いますが、そうなりますと、どうしても地域向けの地域情報というものが少ないというような状況が出てくるわけで、いわゆるローカル放送情報過疎県というようなことで情報格差が出ているというのが実態だと思います。こういう中で、茨城県におきましても、ぜひ県域テレビをつくりたいというような動きが最近出てきておりますが、いずれにしましても、現時点では県域テレビがないという状況でございます。  NHKの場合に、ローカルニュースの時間帯といいますか、首都圏の場合、たまたま地域的な関係で一県一局のNHKテレビ局もあるわけでございまして、そういう地域の各県でも首都圏でも全く同じだと。そうなりますと、首都圏の場合は一都六県でありますので七分の一のローカルニュースというようなことになってしまうんではないか。特に東京の場合、東京といいますか首都圏の場合には東京の情報量が多いということになりますので、なかなか茨城県あるいは栃木県、各県とも出てこないというような状況だと思います。  それに比較しますと、例えば長野県とか山梨県ではNHK自体が県域テレビということになっておりますので、かなりのニュースが流されているんではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、そういう分野は民放があれば民放がカバーする。先ほどもお話がございましたが、民放のいわゆる地域放送、そしてNHKの地域放送のあり方というものはいろいろあると思います。  いずれにしましても、茨城県の場合、ちょっと調べていただいたんですが、一、二カ月で全国向けは二十六本あったそうでございます。これは全国向けでございますからあれですが、地域向けの地域放送というものは百六十五本放送されております。そうなりますと、一日で二・七本、三本弱というようなことで、何とかこの辺のいわゆる地域の情報量というものを勘案して抜本的にふやす方法はないか、ぜひとも川口会長さんから御意見をお伺いしたいと思います。
  89. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 首都圏におきましての地域へ向けた情報発信というのは、特に東京を中心とした関東六県の場合は、電波が一律に届くという中でなかなか難しい状況がございます。  今お話しの茨城県のケースですが、関東六県各局がそれぞれ一年に一回スペシャル月間というのを組みまして、この中で地域の情報を重点的に東京が支援しながら放送するということに取り組んでおります。したがって、そういう意味では重点的に取り上げていくことができるんではないかなというふうに思っております。  また、首都圏向け、東京向けの情報と、それからそれぞれの県に向けての情報、これは年々強化しておりまして、特に八年度からは、「845」という八時四十五分から十五分の首都圏向けのいわゆるニュースを強化しております。これからもそういった方向で強化して取り組んでいきたいというふうに思っております。
  90. 小林元

    小林元君 いろいろお答えはいただきましたけれども、なかなか中央局のローカルニュースということになりますと難しいということは十分承知しております。  先ほど来いろいろ話がありましたが、例えば教育テレビもニュースを流しているというような状況もあるわけでございますし、そういうものを使うとか、あるいは人口集中地域での文字多重放送ですか、そういうものもできるようでございますから、そういうものも活用して、なおかつでき得れば総合テレビでやっていただきたいわけでございますけれども、その辺、十分に配慮をしていただきたいと思います。  それから次に、地域発信の全国放送というんでしょうか、昨年九月、国内番組基準を改定されました。四項目にわたっていたと思いますが、その中で、「地域文化の創造に役立つ放送を行う」というような極めて意欲的な改正をされたことに対しまして高く評価するわけでございますが、その辺につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
  91. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 地方分権あるいは地域文化を重視するということが大事だと言われて久しいわけですが、ともすれば東京一極集中になりがちでございます。NHKでもこうした動きを的確に受けとめまして、いわゆる全国放送と地域放送、これを車の両輪として地域放送全体として充実強化を図りたいというふうに思っております。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  地域文化の創造というお話もございましたが、昨年の九月、国内番組基準を見直しまして、改めて積極的に地域文化に貢献するということの項目をつけ加えて、そういった姿勢を明確にいたしております。地域の多様性を重視して、地域の創造に役立つ放送を行っていくということに、そういったことをさらに心がけるという意味で新しい規定を設けました。  以上でございます。
  92. 小林元

    小林元君 今のことに関連しまして、そういうことで、平成八年度でそういうような番組編成、新しい番組といいますか、そういうものはございますのでしょうか。
  93. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 今申し上げたような観点で、地域の特性に応じましたきめ細かい情報提供、こういうことに努めたいと思っております。  先ほども申し上げましたが、まず地域に向けた放送としまして、平日のいわゆるゴールデンタイム、八時四十五分から九時までにローカルニュースを設けまして地域の情報強化する方向で考えました。それから、地域社会の活性化あるいは発展に寄与するという意味で、地域発全国放送、この定時番組を新しく設けまして、多様な情報の発信を推進していこうと考えております。  例えば、総合テレビのプライムタイム、夜ですが、週末、全国各地の旬の表情、夜の生中継でございますが、「生中継にっぽんの夜」というのを週一回考えております。あるいは名古屋の局が担当いたしまして、さらに各局もあわせて一緒に制作いたします「未来派宣言」、今、新しい生き方をされていろいろんな方がいらっしゃいますが、そういう方々たちをクローズアップする番組。それから、衛星テレビでは、大阪局が担当いたしまして「平成古寺巡礼」、いわゆるお寺めぐりでございます。それから、名古屋、福岡、こういった地方局が担当いたしまして「やきもの探訪」、こういったことを新設して地域番組充実強化を図りたいというふうに思っております。
  94. 小林元

    小林元君 地方の時代、そしてまた地方分権というようなことも話題になっているわけでございますので、今後ともどうぞそういう番組を数多く全国に向けて発信をされるようにお願いをする次第でございます。  次に、時間もありませんので、国際放送についてお尋ねします。  ただいま広中委員からもいろいろと御質問がありましたけれども、映像国際放送も含めまして、国際放送というものは日本に対する理解を深めるため、あるいは国際交流、そしてまた国際親善の面から極めて重要であるというふうに考えております。  こういう認識をしておりまして、また法律上でも、NHKでも中長期方針で、海外への情報発信について今後とも拡充強化をするというふうに言われているわけでございます。平成八年度のNHK予算に付せられました郵政大臣意見につきましても、NHKが我が国の放送の発展のために先導的な役割を果たしていく上で放送国際化をしてまいるべきであるというふうに書いておりますが、全く同様の認識に立っていると考えているわけでございます。そしてまた、委託国際放送業務充実等を通じまして映像による放送番組国際交流が積極的に推進をされているわけでございます。  そこで、国際放送の重要性につきまして、どのような御認識、スタンスを持っているのか、郵政大臣にお伺いしたいと思います。  そしてまた、これは非常に難しい問題かもしれませんけれども、国として、あるいは郵政省として、そういう国際放送に対する、こういうふうにやっていくんだというような基本方針といいますか、基本的な考え方、そういうものを持っていたらどうなのかなというふうに考えている次第でございますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  95. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 先生御指摘のとおりに、放送による国際交流というのは非常に私どもも大事なものであるというふうに考えております。  音声による、ラジオによる国際放送はずっと続けてまいっておりまして、ちょっと正確な数字は今私わかりませんで、NHKの方からお答えをいただければというふうに思いますが、これは国際化、日本を理解してもらうということ、それから海外の日本人に対してこちらからいろいろアピールをしていくということ、そういったいろんな意味がありまして、これについては政府の方でも積極的にやっていただきたいということで、こちらからもお金を出して助成をしているわけでございます。  また、音声ばかりじゃなくて、今度は映像による国際放送、これもNHKの方の大変な御努力によりまして、今、アメリカ、それからヨーロッパといったところで始まっているわけでございます。  こういった放送の重要さということを考えてみますと、さらにアジア地域全体にとっても非常に大事なことになってこようかというふうに思っております。  こういう国際放送の非常に重要さということを考えまして、今度の平成八年度のNHK予算案に対しても、大臣意見において映像による放送番組国際交流の積極的推進、これをNHKに対して要請をしているところでございます。  それから、NHKばかりではなくて、民間の放送事業者に対してもアジア向けの映像国際放送を推進するというような観点から、具体的な周波数の割り当て、それから番組制作に対する支援というような措置をも講じてまいりたい、このように考えているところでございます。
  96. 小林元

    小林元君 時間がなくなりましたので、要望したいと思います。  ただいまは大臣から大変積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  国際放送充実のためには、ただいまも御答弁がございましたが、NHKに限らず、あるいは民間放送も含めて、行政としても積極的な役割を果たしていくというようなお答えをいただいて大変力強く思っている次第でございます。行政として、いわゆる命令放送というような形がいいのかどうかというのも私は意見を持っているわけでございますが、いずれにしましても、国際放送の支援のために行政が果たしていく役割というものはやはり非常に大きいんではないか、そういうことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  97. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。  先ほど来、各先生方よりTBSオウムの問題が出されております。私個人といたしましても許されざるものというふうに思っております。これは、TBSが犯した問題ではございますけれども、しかし私は全放送界の問題としてぜひとらえていただきたいと思います。そして、改めて厳正、適正な対処を重ねてお願い申し上げたいというふうに思います。  それでは、平成八年度NHK予算について質問をいたします。  NHK収支予算書によれば、事業収入が五千八百二十八億円、このうち受信料は五千六百七十三億円で、事業支出は五千八百七十六億、四十八億円の赤字が出ることになっております。また、債務償還に八十八億円必要ですから一年間の収支不足は百三十六億円で、これによりまして繰越金は三百二十七億円に減少しますということになっております。  まず、何とかして赤字にならないようにするのが普通だと思うんですけれども、あえて赤字を四十八億円見積もった理由をお聞かせください。
  98. 石渡和夫

    参考人(石渡和夫君) お答えします。  八年度の予算編成におきましては、協会財政が厳しい状況にあるということを認識いたしまして、できる限り経営努力を行いました。  具体的に申し上げますと、要員削減あるいは業務体制の見直し、業務の効率的実施によります経常経費の削減、五十八億円の節減を予算に盛り込んでおります。この結果、八年度の事業支出の伸び率は前年度伸び率を一・四ポイント下回っております。過去最低の二・五%の増加としております。  しかしながら、受信料収入につきまして、震災によります受信契約の廃止等、影響が残っております。あるいはまた、アトランタ・オリンピック放送の年でございます。これらによりまして、公共放送の責務を果たすために必要不可欠な業務実施するため四十八億円の赤字予算を編成せざるを得ませんでした。  私どもはできるだけ視聴者の新たな負担をおかけしないよう、今後とも一層効率的な業務運営に努めていきたいと考えております。
  99. 西川玲子

    ○西川玲子君 わかりました。  しかし、この赤字を抱えてなおNHK受信料免除という制度を続けております。放送法三十二条では、郵政大臣の許可を受けた基準で免除がされることになっております。免除されている金額は年間幾らになるんでしょうか。簡単に免除制度の経緯も含めて説明お願いいたします。簡単にお願いいたします。
  100. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 御説明申し上げます。  受信料の免除には全額免除と半額免除というのがございます。また、施設を対象としたもの、それから個人を対象としたものとがございます。  施設を対象としたものはすべて全額免除でございまして、八年度に予定しておりますのは免除額で約百十二億円でございます。また、個人の場合は全額免除と半額免除がございますが、免除額は合わせて約七十二億円。以上、合計いたしますと百八十四億円の見込みとなります。
  101. 西川玲子

    ○西川玲子君 文部省関係、厚生省関係で年間百八十四億円になるんです、今お聞きしたとおり。五年間で約九百億円。免除はもうずっと慣例になっているから、ことしも学校や福祉施設には受信料は免除させていただきますと言っているように思えるんです。NHKは、文部省あるいは厚生省にどのような働きかけをしてまいりましたでしょうか、お聞かせください。
  102. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 昭和五十年度以降、国会の附帯決議がございまして、免除措置の見直しを強く求められておりました。私たちは、これまでも関係機関の御協力を得まして、昭和五十三年度以降段階的に免除措置を廃止してまいりました。  私どもとしては、引き続き国などに財源措置というものを実現していただくようにお願いし、それを前提に免除措置を廃止していきたいというふうに考えております。そのため、毎年、関係各省に対して免除措置廃止のための要望書を提出し、また廃止に伴う財源措置などを要望しているところでございます。  平成七年度につきましても、四月に文部大臣、厚生大臣、法務大臣あてに要望書を提出しておりまして、これに対して各省からは免除措置の継続の要望書が逆にNHK側に提出されているという実情にございます。
  103. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございます。  要望書をお出しになっているということで、あちらからも来たということなんですけれども、文部省、厚生省に、それではどう対応されたか、今の簡単なことではなくて、伺いたいと思います。
  104. 辻宏二

    説明員(辻宏二君) お答え申し上げます。  厚生省といたしましては、免除の対象にしていただいている方々は障害のある方々あるいは生活に困窮しておられるような社会的にいわば弱い立場にある方々でございます。現行の放送受信料の減免措置によりまして、これらの方々の自立の助長あるいは社会参加の促進に大きく寄与していただいておるというふうに考えております。  しかも、長年にわたって継続しておりまして、社会的にも既に定着を見ておるものではないかというふうに考えておりまして、こうした観点から引き続きこういう減免措置を存続させていただきたいというふうに考えており、こうした観点から、先ほど御説明がありましたように、六十三年度から毎年、受信料の免除措置の存続の要望書をNHK会長あてに提出させていただいておるところでございます。
  105. 廣瀬寛

    説明員(廣瀬寛君) それでは、御説明を申し上げます。  昭和六十三年度以降、毎年、日本放送協会会長から文部大臣に対しまして、文書により幼稚園、小学校、中学校、盲・聾・養護学校の受信料免除措置を廃止したい旨の要望があり、本年度も昨年七月に同様の廃止要望がございました。  これに対しまして文部省では、学校における教育放送等の持つ意義、役割日本放送協会公共的性格等にかんがみ、日本放送協会に対しまして、これらの学校の受信料免除措置をこれまでどおり継続されるよう強く申し入れてきたところであり、本年度も昨年九月に、前年度同様、文書により免除措置継続を要望したところでございます。
  106. 西川玲子

    ○西川玲子君 私はがっかりいたしました。特に厚生省に対しては。考え方がもう全然違うんじゃないかと思います。なぜならば、私は、困窮している家庭とか、もちろんそんなところから取るべきではない。しかし、こういったことはやはり厚生省がきちんと手当てをするべきではないかという意見なんです。  もちろん学校等では、これから申し上げようと思っていましたけれども、例えば教科書、これなんかは無料ですよね。義務教育では無料でございます、皆様御存じのとおり。でも、これは何も出版社にお金を全然払わないで踏み倒しているというわけじゃなくて、行政上きちんと払っている、ちゃんと文部省が手当てをしているということでございます。だから、もちろん義務教育では本はただでいいということになっているわけなんです。そういったことで私はお伺いしたがったんです。  ですから、今テレビは非常にぜいたくだなんという時代じゃございませんし、またNHKにしても、最初のころは各家庭にテレビというものがございませんでしたから、学校で何とかテレビを見せてあげようということで措置をされたというふうに思います。しかし、このテレビというのも今や教科書以上にある意味では教育の場で必要な私は教材の一つであるというふうに思うんです。今、御存じのように、テレビを見ない人はいません。そして、教科書等で先生から授業を聞くよりも子供たちはテレビを通していろんなことがよくわかる。  例えば、私は従軍慰安婦の問題について自分の子供に話して聞かせましたけれども、まだ年齢が小さかったせいか、そのときは、えっ、そんなことあったのというふうに答えましたけれども、それほどよくわかっていなかった。ところが、あるときNHKでこの問題を取り上げてやりました。それを画像から見ますと、もう泣いているんですよ、ショックで。というふうに、やはり放送を通していろいろな教育ということは私は非常に大事だと思うんです。  ですから、私自身は、この四十八億円もの赤字を計上する事態になっておりながら、文部省や厚生省は年間百八十四億円もの受信料を払っていないというふうに思うんです。これは本当は文部省や厚生省が払うべきお金じゃないかというふうに思うんです。なぜかというと、五年間も積み上げれば九百億円ぐらいになるわけですよ、さっきも申しましたように。そうすると、NHKとしても、私は別にNHKの回し者でも何でもないんですけれども、技術研究や番組予算が使えるわけです。私はそういうふうに回していかなきゃいけないと思うんです。  先ほどの委員会で米軍の受信料のことが問題になりましたけれども、厚生省や文部省はアメリカじゃないわけですからそんなふうに難しいわけではないと思うんです。やっぱりこれは改善されてしかるべきものであると私は思うんです。  なぜかというと、このまま赤字体質が続きますと三百二十七億もの繰越金額も食いつぶしてしまって、先ほど会長も九年度は絶対に受信料は値上げしないとおっしゃっておりますよね。十年度においても多分値上げをしないようにできるんじゃないかというふうにおっしゃってくださいましたけれども、しかし私はそういう値上げをせざるを得ないような状況にもなっていくと思うんです。そうすると、結果的にはそれは国民が負担をしなければならない。そういうことになると非常に大変だというふうに思います。  ですから、文部省、厚生省そして郵政大臣から改善への御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  107. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 現在の免除対象、これは今先生、それは国の方で持つべきであってNHKに甘えるべきではない、このようなお話かと思いますが、それぞれの行政による財政負担を求めたいということでありましても、今までのかなり長いいきさつというものは、このようなことを考えるときに急速にはやっぱり変えることはできない面もあるということはひとつ御理解いただかなければならないところじゃないでしょうか。  国は国としてのそれぞれ予算、これは財政的にも大変苦しい厳しい財政状況の中で予算を組んでいろいろやりくりをしているというところもございますし、またNHKNHKでいろいろ苦しい状況も続いている。しかし、その中でいろいろ両方の間で話し合いを続けながら、陳情と要請のキャッチボールみたいなことになったりもするわけですが、そういう今までの沿革というものをきちんと持ちながらの話し合いでございますから、これからもいろいろそういった中で話し合いを続けながら、当然この問題というのは解決していかなければならない問題ではなかろうかというふうに私は思います。  突然質問を振られましたので、いささかどぎまぎいたしまして、両方ともこれは言い分はあると思うんですよ、両方とも言い分はある。しかし、そういった沿革も無視することはできない、こう思います。
  108. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子でございます。  今回、先ほどから議員の先生方から出ておりますTBSの問題は、私も考えても、もう本当に信じられない話を今聞いております。そういう意味で、しっかりこの問題はとらえていただきたいと思っております。  私は、兵庫出身なものですから、今回もまた震災に遭った質問をさせていただきます。  今、阪神・淡路大震災は震災後一年余りたちましたけれども、まだまだ復旧・復興は大きな大きな問題を抱えております。そんな中で、この震災における情報ニーズと充足度についてお伺いいたします。  阪神・淡路大震災と関東大震災とは大惨事という点では類似しておりますけれども、マスメディアの点では関東大震災のときにおいては新聞だけでありました。それに対し阪神・淡路大震災は、テレビ、ラジオ、新聞等、立ち上がりの混乱はあったものの、割としっかり機能した点で異なった特色がありました。  関東大震災の唯一のメディア、新聞社も焼失し、倒壊し、発行不能状態に陥りました。その情報の空白から流言飛語が飛び交いまして、朝鮮人の虐殺の惨事が引き起こされたことはもう周知のとおりでございます。  今回の大震災においては、マスメディアの機能により被災地への救援状況、被災者の置かれている状況の把握ができていたことなど、正しい情報により不安と動揺を鎮静化することはできました。でも、不安と動揺を鎮静化したものの、被災者の満足のいく情報提供できたかといえば、必ずしもそうではなかったと思います。情報ニーズと充足度の点で今後に課題を残したことは事実であります。  今後、被災者の満足のいく情報提供するためにNHK電波七波をどう駆使していくか、その御意見をお伺いしたいと思います。
  109. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  110. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 速記を起こしてください。
  111. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 今御指摘がありましたように、幾つか反省点もございました。  ただ、私どもは、被害が発生した当初、現地の惨状とかいろいろ被災者の声、さまざまな問題点の指摘あるいは解説などをお伝えいたしました。それに続いて、具体的に被災者や関係者に役立つような情報、特にライフラインに関する情報等についてもお伝えするようにいたしました。そして、波を生かすという意味では、教育テレビ、それからFM放送でいわゆる安否情報に全力で取り組みました。  いずれにいたしましても、これまで経験したことがない大災害ということで、我々にとっても初めての経験で、幾つか至らない点は今後への経験として私どもは生かすように努めております。  七波をどういうふうに生かすかということでございますが、仮に阪神・淡路大震災のような大災害が起きた場合、私どもの総合テレビ、教育、それから衛星の第一、第二、FM、国際放送、こういったNHKの持っているすべての電波を使いまして、災害関係のいわゆる基幹情報、それから生活情報、それに安否情報あるいは障害者向けの情報、それから特に外国人向けの放送あるいは海外向けの情報、こういったことを多角的に伝えていくことになると思います。いずれにしても、被災した方々に特に役立つ情報発信が重要だと考えて、今後へさらに取り組みを強化したいというふうに思っております。
  112. 林久美子

    ○林久美子君 本当にしっかりとお願いいたします。震災は本当に突然いつやってくるかわかりませんので、やはり初めてのことというよりも、こういうことに関して日ごろのそれに対処するという姿勢で放送を行っていただきたいと思っております。  放送防災マニュアルと地震速報、立ち上がりのときの混乱についてお尋ねいたします。  神戸の震度六の放送は、NHKの大阪放送局で地震速報として流したのが全国で最初だったと言われています。それがちょうど五時四十九分、今、近畿地方で地震による強い揺れを感じましたと繰り返し、また各地の震度ですけれども、神戸は震度六、震度五が彦根、豊岡、震度四が奈良ですと放送されました。  ところが、東京のNHKでは、先ほど情報が入りまして東海地方で地震による強い揺れを感じておりますと繰り返したんです。東海地方で強い揺れと字幕と地図が画面に映ったんですけれども、しかし混乱はずっと続いておりまして、その後、震度五、震度として最大のものです、震度六ではありませんと撤回し、六時十五分にようやくNHKの神戸局と連絡がとれて確認し、復活することになったんです。これはA紙の震災誌の一節でもありますけれども、このような混乱や間違いはどうして起こったのか、お知らせ願えますでしょうか。
  113. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 阪神大震災の折には、神戸の海洋気象台、ここから大阪管区の気象台に震度情報を伝達いたします回線、これが障害を受けました。それによって、地震震度を東京に電送をいたしますいわゆるアデス情報、これが気象庁に入りませんで、気象庁の方でも確認できなかったということがございまして、NHK東京本部でも情報が混乱いたしました。結果、神戸局が電話取材で入手いたしました情報が有効に放送に生かされなかったということになったわけでございます。  災害直後には情報の混乱というのはしばしば発生すると。これは予測しなければいけないわけですけれども、そういった情報を整理して放送するというのがNHK役割でもございます。この経験を生かしまして今後の報道に役立てることにいたしておりまして、混乱時の各局との衛星を利用した連絡システム、こういったものを整備いたしますことを進めております。
  114. 林久美子

    ○林久美子君 今はもう衛星が本当に力を持っているんですから、よろしくお願いいたします。  そして、ことしの十月から新しい震度階級が導入されます。今までは八階級であったのが、震度ゼロから七階級が、その中で五と六に強弱が加わって十階級になります。ますます複雑になりますけれども、放送防災マニュアルが当然変わることと思います。ぜひ混乱のないように速報していただきたいと願うんですけれども、この点に関してお願いします。
  115. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 新しい震度階級導入に伴いまして、防災報道マニュアルについては現在私ども検討しているところでございます。御指摘を重く受けとめまして、混乱のないように運用するよう全力を尽くしたいと思っております。
  116. 林久美子

    ○林久美子君 震災の初動期の情報収集体制の整備強化についてお伺いいたします。  阪神・淡路大震災における災害報道において、災害直後の被害状況の的確な把握に手間取って、救出や救護、消火などの救援活動の初期動作がおくれたことはもう否定できません。地震の初期報道は震度階と津波情報でありますけれども、これだけでは的確な被害状況を判断できません。  特に、今回の阪神・淡路大震災は震度六と発表されましたが、近年、震度六の地震は何件かありました。例えば、平成五年一月十五日の釧路沖地震のマグニチュード七・八、これは死者が一名です。また、平成六年十月四日の北海道東方沖地震、マグニチュード八・一、これは死者はおりませんでしたけれども、ロシアがかなりの被害を受けております。また、平成六年十二月二十八日の三陸はるか沖地震、これはマグニチュード七・五で死者が三名。こういう事例から見まして、阪神・淡路大震災は過小評価された面が否めません。  災害は常に新しい顔を出してくると言われていますが、まさにそのとおりで、過去の事例は参考にすべきではありますが、それによりすべてを判断してはならないという教訓を持ったと思います。したがって、初動期における災害情報の的確かつ迅速な収集が課題であります。改善された整備強化策についてお尋ねしたいと思います。
  117. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 御指摘がありましたとおり、災害報道におきましては初期の段階でどれだけ的確な情報を把握できるか、これが極めて重要だと思っております。その取材のための連絡手段をどうやって確保するかということが報道機関にとってまた非常に重要となるわけでございます。  阪神・淡路大震災の検証を踏まえまして、NHKでは、例えば衛星系の電話の導入など多様なまず連絡手段の確保、それから航空取材体制の強化あるいはロボットカメラの増設、それからカメラの高感度化、こういったことで初動期の情報収集の能力アップを八年度には積極的に進めたいというふうに考えております。
  118. 林久美子

    ○林久美子君 もう時間がなくなってしまいましたけれども、もう一点お願いいたします。  先ほど北岡議員、そしてまた小林議員から地域放送における質問がありましたけれども、NHKは小回りのきいた地域発信型というよりも中央発信型放送というふうに考えております。したがって、地域に密着しているわけではないので、震災時における的確な情報収集においては迅速性に欠ける面があると思います。  一つ情報についてはあらゆる角度から検証して正確に発信することは当然でありますけれども、災害放送はその正確さにプラスして迅速性が生命であると思います。正確な情報をスピーディーに得るには、ふだんから自前の地域放送づくりに力を入れていくことが地域への浸透という観点から必要であると思います。この地域放送づくり自体、いざというときの情報収集能力をつけるのに訓練になる一番いい地域放送だと思います。  八年度における地域放送時間数がふえていません。平成七年度と同じ時間数であります。これは、中央発信型に偏した過去の反省がないのではないでしょうか。このことをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  119. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 日ごろの地域のための放送への取り組みが、経験としていざという災害時に生きてくるというのは御指摘のとおりでありまして、日ごろの番組への取り組みが大事だというふうに私ども考えております。  地域放送の時間がふえていないという御指摘ですが、いわゆるローカル放送、地域のための放送時間は、おっしゃるように、七年度と同程度になっております。ただ、私どもは、いわゆる拠点局を中心にしたブロック放送、そしてそれぞれの県単位の地域放送、これは自主編成に任せて、そのブロックなり各県の地域放送局が自分たちの裁量の中で自主編成を行えるということもございます。ですから、これは自分たちの企画提案によっていろんな取り組みができるということもございますし、そういった取り組みの延長で、全国放送の特集番組等にどんどん提案することによって番組制作に積極的に参加するということも現在行っております。ですから、いわゆる指定ローカルというローカルのための決められた時間というのは七年度と八年度は同じでございますが、これは柔軟な取り組みができるという状況にはしております。
  120. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。
  121. 松前達郎

    ○松前達郎君 社会民主党の松前でございます。  先ほどから各委員の皆さんからいろいろと各分野にわたっての質問が続いてきたわけでありますから、私も質問をしようと思っていた点については繰り返しになるかもしれません。しかし、あとは観点を変えてちょっとお伺いをしたいと思います。  まず予算について、これも先ほど鶴岡委員からの質問がございまして、私も全く同感なんであります。初めから赤字というのを計上していくという予算編成のあり方、これは企業ではないですけれども、企業の場合だとこういうことはちょっと許されないわけでございます。繰越金そのものもそんなにたくさんあるわけではありません。いずれは食いつぶしてしまう可能性もありますから、可能性というよりも必ず食いつぶしてしまいますから、この点も十分配慮しながら予算編成のシステム等、恐らく毎年同じシステムでやられていると思うんです。こういう点も十分見直しをされて、本来、予算として赤字というものを最初から組み込むんじゃない、そういう努力をひとつ続けていただければ、これは経営努力と言えばそれに尽きるわけですが、これをまず最初にお願いをしておきたいと思います。  さてそこで、次は情報の問題なんですが、今の時代というのは変革の時代だとよく言われているんですが、その主役となっているのは何といってもエレクトロニクスの急速な発展、それによる通信・放送メディアの発展等があるわけです。  新しい時代は見方によれば情報が力を持っている時代だろう、こういうふうにも言われているわけです。言い方をかえると情報革命の時代、恐らく二十一世紀はそういう時代になっていくだろうと思いますけれども、高度情報社会の出現についても、これはマルチメディアという言葉で表現されておりますが、総合的なメディアが恐らく主役として登場するだろう、これも予測がつくことであろうと思います。  こういった新しい時代の出現に移行する今の時代というのが、ちょうどその移行期に入っている移り変わりの時期だと思います。往々にしてこういう時代というのは空白的な時代になってくるわけです。特に行政面も、テクノロジーが先に進んじゃいますと、それによってどういう問題が出てくるかというのを後追いしなきゃならない、そういう時代にもなるんじゃないか。そしてまた、情報というものが力を持つ以上、情報が金を生むという考え方が充満をしてくる、そういう時代だと思います。  放送の方ですと、よく言われますが、視聴率優先の風潮、これがどうも最近の風潮である。そのためにはどんなことでもするんだということが、恐らく今回のTBS事件もそれの一つじゃないだろうか、こう思いますから、今日ほどジャーナリズムあるいはマスメディアと言ってもいいでしょう、これがみずからの倫理を厳しく反省をする時代、その時代が今の時代だろうと私は思っております。電波そのものは公共のものであると言われているわけですが、NHKオウム事件に関してはきちっとした姿勢で取り扱われたというふうに私は思っております。  そこで、ジャーナリズムとしてあるいはマスメディアとしての放送のあり方、それからテレビも含めて、このあり方について、人間的な面、それと文明論的な面、こういう面で成熟したメディアにするために何が必要なんだろうか、これについて、特に文化人である会長さんに御意見をお伺いしたいと思います。
  122. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 放送の機能にはいろんな機能があると思いますけれども、やはり大事にしなければいけないのは報道の面ですね、まずは。事が起こったら、そのことについて的確にお知らせをする。それから、そのことがなぜ起こったのか、その由来をきちんと報道する。将来、どうなっていくのかという見通しまでお伝えできればさらにいい、そういういわゆる報道の面があります。  その次に必要なのは教育だと私は思っています。日本の次代を担う子供たちがどのように生きてほしいのか、そのことをやはりテレビがきちんと子供たちに対して教えなければいけない。そういう意味では、教育面についての放送役割というのはもうちょっと見直されていいんではないかというぐあいに私は思っています。  例えば、ハイビジョンを使っての放送を今一生懸命実用化試験局という名前でやっておりますけれども、このハイビジョンなんかも、現在までの使い方を見ていると、例えば学校で理科の授業あるいは社会科の授業というものに使いますと、これは圧倒的にこれまでの五二五でやっていた放送よりも効果があるわけです。それで子供たちが一生懸命見るようになりますし、非常にわかりやすいという面がありますから、例えばそういうのを使って子供の将来にもっと有益な放送を我々はやっぱりやるべきだというふうに思っております。  それからもう一つは、やっぱり放送の効能としてどうしても娯楽的な要素というのが欠かせません。スポーツを見るのも娯楽ですけれども、例えばドラマとか演芸とかあるいは歌とかいうふうな番組についてもやはりバランスよく提供する責任がNHKにはあると私は思っております。  よく低俗という言葉がありますけれども、これは亡くなった飯沢匡さんという作家が言っていましたけれども、低俗といっても高低俗と低低俗というのがあるんだ、それでNHKは高低俗を目指しなさい、それはすべてを民放にお任せというふうにするんではなくて、例えば低俗な番組と思われるものでも高い低俗というものを目指しなさいということを私は言われました。そのとおりだと思います。そういういわば人間の生き方にゆとりを与えるような、あるいは潤いを与えるような放送というものがやっぱりなければいけないと思いますので、そういう三つの面で放送が大きに役に立つというのが一番理想的な姿じゃないかと思います。  そのために、私はこれからもその三つの要素は、どんなにマルチメディア時代になっていろんな情報が交錯しましても、やっぱり必要じゃないかと思いまして、それはまさにNHK放送事業者としてやるべき仕事だというふうな認識を持っております。
  123. 松前達郎

    ○松前達郎君 今、会長からお考えを伺ったんですが、まさにNHK公共放送ですから、それなりの哲学を持っていないと、やはり基本的にはそこの哲学が必要だと思うんです。それを基本にして放送そのものの具体的展開が行われていく、こういうことだろうと思います。今おっしゃったような哲学で今後も進めていただければと、こういうふうに思います。  昨年一月にNHKがまとめました「より豊かな文化としての放送を目指して」というタイトルの中に、中長期経営方針が入っていたと思うんです。これについて会長としての思いが込められているということであろうと思いますが、その思いについてお伺いしたいと思います。
  124. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) いわゆる中長期というのは何を言っているのかといいますと、私どもは平成二年から六年までの五年間の計画をまず出しました。それは国会承認をされて、受信料額も値上げになって現在まで至っているわけです。ところが、その計画が終わる、平成六年度が終わるときになって新しい要件がいろいろ出てまいりました。それから、我々が五年間で恐らく赤字になるだろうと思っていた受信料額が実は大きな余裕を生みました。それは一にかかって衛星放送の伸びが非常によかったということになりますけれども、一方では私どもがとってきたスリム化政策というのが成功したというのはあると思います。  したがって、今後の、次の計画を立てるのに、平成六年が終わって七年からの五カ年計画を立てるとこれまでどおりになるわけですね。そうじゃなくて、もうちょっとその先の方には未知のものを含めて非常に難しい問題があるんではないか。そうすると、期間を単に五年ごとに切る計画として出すのではなくて、中長期として、つまり中期は平成七年から九年あるいは十年、こういう三、四年の時期が中期に当たる、その先に長期の計画がなければいけない、こういうふうなことを考えまして経営計画を練り直したわけです。それが今おっしゃった中長期経営計画のできたゆえんでございます。  私どもはその中で、この中期の中では恐らくこれまでの繰越金というのがやっぱり物を言って値上げはしなくてもいいだろう、またしないために我々がどのような努力をしなければいけないのかということをまず慎重に考えました。  その後の長期の計画については、これはもちろんこれからのメディアの変遷があります、それから社会が変わっていきます、人間の考え方が変わります、そういう中で恐らくこのような形になるだろうという一種のシミュレーションをする必要があるんです。そのシミュレーションの中で、公共放送NHKがどのような形であるのが一番望ましいか。望ましいということは、つまりは日本国民にとって、NHK視聴者にとって望ましいかということを考えなければいけないと思っておりまして、長期の計画についてこれから具体的に、少しずつマルチメディア時代の姿も見えてまいりましたので、その計画をきちんとシミュレーションをした上で立てていこうと思っています。  基本的には、先ほど鶴岡先生も御指摘がありましたけれども、構造的に赤字をつくるような体質では困る。だけれども、それをなしにして、いわゆるもうけ体質、前に一時NHKはそっちの方に走ろうとしたことがありますけれども、例えば受信料以外のものを、ソフトの売買をうんとふやすことによって何とか収入を得ようとかいうふうなことを考えますと、それは本末転倒になってしまうという苦しさがありまして、そのことについては非常に難しいんですが、これからは私は、八、九、十、三年間の経過をずっと見ながら、その後にはより斬新でより的確な将来図というものをNHKは構築をしなければいけない、こう思っております。そのときに、例えば受信料問題のあり方についても、将来の見通しについてもきちんとした展望をしたいというふうに思っています。
  125. 松前達郎

    ○松前達郎君 ただいまいろいろと御計画をお伺いしたんですが、ぜひとも将来も含めてしっかりしたビジョンでNHKの運営に当たっていただければと思います。  さて、そこでもう一つ、これは今度、日野大臣あるいは楠田局長でも結構なんですが、マルチメディアというのが今もうはやり言葉のようになっているんです。マルチメディアといえば何でもいいというような感じにもうなっているわけです。私は、どうもマルチメディアについて、技術的な面でどんどん発展していく、これは結構な話です。マルチメディアそのものが拡大していくというのは新しい社会をつくる一つの要因になるかもしれませんから、これはいいと思うんですが、その反面、マルチメディアといっても視覚と聴覚ですね、主体になるのは。ほかにもあるかもしれませんが、恐らく大体それが主体になってくる。そうすると、どうもこれで媒体を通じての間接的人間関係がどんどん生まれてきて、何となく人間がマルチメディア人間になってしまうんじゃないか。これは、私も教育の方もやっていますから、そんなような気がしてならないわけです。  郵政省はマルチメディアの推進を盛んにやっておられるけれども、こういう面も少しは考えてやっているんでしょうね。その辺、いかがでしょうか。
  126. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) なかなか難しい質問でありまして、マルチメディアでいろんな方法によりまして情報をとれるということで、多様性が出るということで、技術的には私どもとしましては推進しておるわけであります。その一方で、一つの考え方としましては、例えば放送にとりますと、視聴者にとって余りにも複雑になって見えにくい、こういう面が一つあるわけでございます。これが技術面での問題であろうと思います。  それから一つは、先ほどからも議論のありました非常に情報があふれてくる、その中にいい内容もあれば非常に俗悪なものもある、これにどのように対応すべきかということであります。  基本的には、やはり送る側の問題と、それから受ける方の情報教育の問題ということは先ほどにも議論があったところでございますが、その中で私ども今考えておりますのは、やはりどうしても青少年の問題、特に放送分野におきましては青少年に対する俗悪な情報をどうブロックするかというような問題を真剣に考えなきゃならぬということで、その方面の議論につきましては、現在、私の局にあります懇談会におきまして、人権団体の方、PTAの方あるいは大学の知識ある先生方とか放送業界の方等を含めまして、今ちょうど議論の真っ最中でございまして、そういう中でできるところから対策をとるという方向に行きたいということは常々考えておるところであります。
  127. 松前達郎

    ○松前達郎君 大臣、ありますか。
  128. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) いや、結構です。
  129. 松前達郎

    ○松前達郎君 今、放送だけじゃなくてすべての、インターネットとか、いろんなのを言っていますけれども、そういうふうなものも含めてのつもりだったんですけれども、放送ではそういうふうなこれから進め方をしていくということになると思いますが、そうすると、やはり人間というのは一つ情報があふれ出たときにどれがいいか悪いかというのを選択できる思想が必要なんですね。だから、これは教育の責任でもあるかもしれません。それと、その思想に基づいたある間違いのない行動パターンを持つということです。これがどうしても必要になってくると思うんですが、どうか行政の面からも後追いにならないようにひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。これは私の要望です。  これで質問を終わらせていただきます。
  130. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 社会民主党・護憲連合の伊藤基隆でございます。  まず、NHK予算につきまして郵政大臣から意見が出されております。その意見の中の第六項目目に、視聴覚障害者向けの解説放送、字幕放送等の拡充という項目がありまして、この点に対しましては私も全く同感でありますし、評価をするところでありますが、冒頭に大臣からNHKの抱える課題について認識を確認しておきたいと思います。今申し上げました予算等に対する意見について、郵政大臣自身から考え方をお伺いしたいと考えます。
  131. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) NHK平成八年度予算について、これは赤字を計上するということになっております。NHK受信料財源として運営をしているわけでありますから、できるだけ視聴者に新たな負担を求めることなく事業運営を行っていくことが必要というふうに考えておりまして、そこでこの予算に対する大臣意見といたしまして、事業運営の刷新、効率化を徹底するようにということで意見をつけさせていただきました。  また、NHKが抱えていろいろんな問題あるわけでございまして、衛星放送にしても、豊かな放送番組提供と公正な報道、それから放送番組充実向上、こういった日本社会の中で非常に重大な役割を占めてきたNHKというものが抱える多くの問題について、この予算を考えるに当たって意見をつけさせていただいたようなわけでございます。これからもNHKに、公共放送として、日本の文化の重要な担い手として、そしてまた起きてくるいろんな問題に対して的確に対処していただかなければならないというふうな考え方のもとに、こういう意見をつけさせていただいているわけでございます。  先生が特に御指摘になりました視聴覚障害者向けの解説放送とか字幕放送充実、これも非常に重要なポイントでございまして、こういうことにも積極的に取り組んでいただかなければならない、そういう思いがこの中には込められているわけでございます。
  132. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 ありがとうございました。  私は、NHKの問題を考えるときに、いつも放送法に返って考えます。放送法の中にNHKの果たすべき使命というものが掲げられておるわけでありまして、これらの使命を効率的経営視聴者の負担を増加させないように達成していただきたい。  放送文化ということがずっと語られて、放送文化は無限の可能性があるという認識があると思いますけれども、一方、公共放送としての使命ないしは経営という問題は非常にシビアな問題でありまして、有限であろうというふうに考えております。経営というのは有限の中で無限の使命を達成する苦悩を背負っているわけであります。大臣の申されましたお答え、赤字予算ということを非常に重く受けとめておられて、その点について私も同感でございます。効率的運営で、しかも使命を果たしていく、この難しさが我々に課せられている、NHKに課せられているということではないかと思います。  そこで、NHK会長に二つの視点でお伺いしたいと思います。一つNHK役割という視点、もう一つ経営という視点でお伺いします。  まず、番組の問題でございますが、NHKの使命は豊かでよい番組提供ということだろうと思いまして、皆さんがそれぞれお好きな番組をおっしゃっておりましたが、私はあえて挙げれば、日曜日の夜七時に「ふるさとの伝承」という番組がありまして、七時のニュースの主な項目を見たらすぐそちらに回して見ております。日本の失われつつある村落共同体の生活、風習を極めて丹念に撮っておられて、非常な財産になっているんじゃないかというふうに思って、NHKらしい番組だなという評価をしているところです。一方、NHKのドラマの評判も大変よくて、皆さんからもそのことが出されました。「秀吉」の視聴率が高いようですし、「とおりゃんせ」に引き継がれてきた一連時代物のよさというものも最近再認識されているという感じがいたします。  しかし、一般的に言えば、受信料という特別の財源制度を認められていることでもありまして、NHKの使命の根幹はニュース・報道であろうというふうに考えております。川口会長御自身が昨年一月に発表された中長期経営方針の中で、重要課題の第一にニュース・報道番組充実を掲げておられます。しかし、中長期経営方針の中では同時に総合放送の二十四時間化というものを掲げまして、平成八年度には一時間延長して二十一時間化を予定しておりますけれども、新聞報道等によれば、ニュース・報道全体の時間は現状を維持しつつ、しかも夜七時のニュース時間を一時間から四十分に短縮するということでありまして、総放送時間が増加する中で、相対的にはニュース・報道の時間が比率を下げることになるんじゃないかというふうに思います。  つきましては、最近数年間でいいわけですけれども、全体の放送時間に占めるニュース・報道時間の割合の推移、また制作費用の推移、その他の部門も含めた部門別職員数の推移等を具体的な数字で、いわゆる娯楽番組と対比しながら、ニュース・報道番組の重視というNHKの方針を改めて具体的な数字で御説明いただきたいというふうに思います。
  133. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 番組の比率等は後で齊藤君から説明をいたします。私は、まずNHKのやるべきことについてお話をしたいと思います。  おっしゃるように、限られた財源で無限のものをやらなきゃいけないというふうな使命をNHKは課せられております。まだこれから私どもがやらなければいけないのは、いわゆる少数者サービスということでありますし、それから国際放送、これは受信料をいただけないところに放送を出さなければいけない、こういう問題もございます。だけれども、私どもはあえてそういうものをやっぱりやらなければいけない、やることが日本国民にとっていいことだということであればやりましょうということを前提にしつつ、これからやっていきたいと思います。  ただし、その根幹にニュース・報道というものを据えることは当然であります。今いろんな調査によりましても、テレビの受信者、ラジオの受信者が何を望んでいるかというと、的確な報道というのがあります。したがって、それに対してNHKはこたえなければいけないということでございまして、私どもは報道者としての使命をまず第一に考えます。  もちろん、一部今おっしゃった七時のニュースをちょっと二十分短くしますが、これは九時を今度は増大します。九時の前に八時四十五分からローカルニュースを特設して地域に対するサービスもいたします。全体としては報道のパーセンテージというのはそんなに減りません。それよりもむしろ報道というのは物事が起こったら、それに対する迅速な対応と同時に的確な対応だと思うんです。  したがって、NHKは編成は非常に自由になりますから、大きな問題が起こればどのような番組を差しかえてでも放送することができます。報道番組の使命というのはそこにあると思います。したがって、大胆な編成によりまして、国民のそういう知る権利に対してはできるだけ丁寧におこたえをしたいというふうに思います。
  134. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) いわゆる情報社会の進展の中でニュース・情報番組強化するというのは私どもの一つの使命でありまして、これは年々充実強化の方向で取り組んでまいりました。ただ、地上波、いわゆる総合テレビの場合は、教育、教養、それから娯楽番組を含めて全体にバランスのある編成をするということになっておりまして、ニュース・情報番組強化しながらも、しかしそれを無制限にバランスを欠いて編成するというわけにはいかないということが課題としてございます。  そういった中で、夜間全体、七時、九時、十一時、今お話がございましたが、このニュースのそれぞれの特徴を出しながら、例えば九時は十分延ばして国際情報をもっと入れるとか、あるいは十一時は昨年秋既に五分延ばしておりますけれども、そういった中で親しみの持てるようなニュース番組、それから八時四十五分のローカルニュースの新設とか、十一時半過ぎに十分間のニュース解説の時間を設けるとか、全体としてはやはり充実強化の方向で取り組んでおります。  数字でその辺をちょっと申し上げますが、八年度を含めて平成四年度からここ五年間の推移でございますけれども、いわゆる編成比率、全体の番組編成の中で報道番組が占めている割合を四年度から申し上げますと四一・二、五年度が四一・三、六年度が三九・九、七年度、本年度が四〇・〇、八年度が三九・六、〇・四ポイント、来年度は若干減るといえば減るということでございまして、この数字の推移を見ましても大体あるところに来ているなという感じはございます。  ただ、事件事故あるいはニュースの重要性にかんがみて、必要なニュースについては随時枠を広げる、あるいは特設ニュースを設けるということで、昨年来、そういった意味では定時の編成以外のニュースヘの取り組みというのも年々片や強化しておりますので、そういったことで御理解いただきたいというふうに思っております。  それから、費用の方の推移でございますけれども、いわゆる報道番組の経費ですが、平成四年度が二百十四億、七年度が二百四十九億、八年度は二百四十三億ということになっております。さっき申し上げましたように、例えば阪神・淡路大震災がありまして、そのための取材報道経費、こういったものは別でございます。  それから、要員の推移でございますが、これも比率上はほとんど変化はございません。毎年、若干増加はいたしておりますけれども、報道の方の要員について申し上げますと、平成四年度が八百五十三名、それから八百九十六、九百二十七、そして七年度が九百五十三、八年度がまだちょっとっかめておりませんけれども、大体比率についてはそう変化がないというふうに申し上げます。一方、娯楽の方の要員ですが、これは平成四年度の二百十五から二百二十三、二百三十一、二百三十一と、七年度までこういった推移になっております。  以上でございます。
  135. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 NHKが出した資料によりますと、テレビ報道番組比が平成二年度を一〇〇とすると七年度は一四六・八、テレビ芸能番組比が平成二年度を一〇〇として平成七年度は一六一。娯楽番組にやや力が移ってきているんじゃないかというふうに思います。  これまたNHKが出しました日本放送協会平成八年度収支予算説明資料を見ますと、これは大変なことだなと私も思いますが、「NHKニュース7」五十七分で四百九十万四千円かかる。「走らんか!」十五分で四百七万七千円ということでありますから、大変な経費がかかっておるわけでございますけれども、娯楽番組偏重ということまで顕著ではないにしても、ニュース・報道番組を主体とすべしということからすれば、私はやや娯楽の方に力が移っているんじゃないかというふうに思います。  さて、経営問題でありますが、平成八年度は大幅赤字の予算が提案されておるわけでありまして、多くの皆さんがこれについて触れられました。  赤字予算を組む前に、民間企業では厳しいコストの切り詰めをやっておるわけでありますが、私はこの説明NHKから聞いたときにも申し上げたんでございますけれども、改善策というとすぐ要員の効率化というふうに話が行きます。そういうNHKの姿勢については私は安易ではなかろうかというふうに思います。  私ら局外の者から見て、放送というのは番組制作が非常に重要であるけれども、もう一方ではいかに受信料を集めるかというところも同時に非常に重要な部門でありまして、番組制作そのものが、聞くところによるとサービス超勤のようなもので行われているということになりますと、公共放送の何たるかということを根幹から問われるんじゃないかというふうに思っております。  したがいまして、NHKはニュース・報道を中心とするよい番組提供という使命がありますが、よいものをつくるのだからコストはかかるということも大変な問題になってくるんじゃないか。よければよい、経費をかければよいということにはならないんじゃないかと思います。  そこで、例としてオリンピックの問題を挙げたいと思います。  これまた先ほどの説明資料の中で、「国民の期待に応えるオリンピック放送実施 アトランタオリンピックについては、地上、衛星、ハイビジョン放送などでの多角的な展開を図り、視聴者の期待に応えます。また、長野冬季オリンピックの準備にも万全を期します。」ということが言われております。先ほど川口会長の答弁でも、放映権料自体の相当の値上がり、それから機材その他の膨大な経費ということに触れられました。  まず、赤字予算という実態の中で、どれだけのコストをかけてオリンピック放送と取り組むのか、この点についてお伺いしたい。その上で、前回のオリンピック放映に係る経費との対比で、どういう項目について、どういう効率化努力によって、どれだけの節約の実現が図られるのかということについて説明をいただきたいと思います。さらには、民放との経費分担、何%をNHKが、何%を民放が、これは前回と今回、このことをぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
  136. 石渡和夫

    参考人(石渡和夫君) お答え申し上げます。  オリンピック放送に対します視聴者の関心、期待は高いものがございまして、NHKといたしましては、その期待に十分におこたえしなければならないと考えております。  競技種目、放送時間が前回より上回る中でございますが、オリンピックの経費につきましては可能な限り経済性に留意いたしまして、ほぼ四年前のバルセロナ大会並み、二十七億九千万円を予定しております。これによりまして、権料を含めた総実施経費でございますが、為替の影響もございまして九十六億五千万円となります。前回、バルセロナ大会は百四億一千万円でございますので、七億六千万円下回ったものとなっております。
  137. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 民放NHKの経費の分担について御説明いたしますが、放送権料とそれからアトランタがオリンピック百周年ということで特別協力費、この分を合わせた分につきましては八〇対二〇という割合で、NHKが八〇%の経費負担ということにしております。  それから、民放さんとNHKで一緒になっていわゆるジャパン・コンソーシアムを組んでオリンピックの番組を制作いたしますが、この分については、二%でございますが、アトランタから民放さんに負担をふやしていただきまして、従来、四七対五三という比率を四九対五一、NHKの負担が五一%、これが制作費の分担でございます。
  138. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 次に、ハイビジョンと経営との関係でちょっとお伺いします。  まず、現状でございますが、そもそもハイビジョンを実際に見ている人は全受信契約者の何%であるか。その推移といいますか、最近の状況でどういうふうにこれが増加しているか。さらには、ハイビジョンのための開発費としてNHKの投じた経費は幾らか。私は、ハイビジョン放送に対する投資は、ハイビジョンをお持ちでない大多数の受信契約世帯にとっては全く利益還元のない支出というふうに見ております。ハイビジョンの聴視料、その決め方にもかかわることではないかというふうに思っています。その点についての説明をいただきたいというふうに思います。
  139. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) ハイビジョン関係についてお答えいたします。  平成六年の段階でハイビジョンの受信機というものが大体五万五千ぐらい出ておりましたが、平成八年の二月、ついこの間でございますけれども、今現在十三万五千台出回るようになりました。NHK全体のというか、今現在やっている五二五の放送の受信者というのは、NHKの場合、大体三千五百万おりますが、そこから見ると非常に微少なものでございます。  しかし、これは衛星放送の受信機が、三月二十二日、ついこの間でございますけれども、普及が一千万台になったということでありまして、また衛星放送電波監理審議会の御方針によってもこれを高品質、高画質の映像放送に変えていくという方針が出ております。それにのっとってNHKも衛星関係はできる限りハイビジョン化していくという方針を打ち出しております。先ほど来御議論がありました中長期の方針の中にもそれは明記いたしております。  我々としては、最初の投資というのはかなりかかるかと思います。昭和三十年代からこの研究に着手いたしまして、平成八年度までにがかったお金を総計いたしますと約千二百億円かかっております。  ただし、これからやはり映像文化というのが次の二十一世紀における非常に中心的な地位を占めると我々は思っておりまして、その中で、幅の広い高画質でしかも非常に臨場感のある映像というものがやがて二十一世紀のいろいろな文化的な形での中心的な役割になってくるであろう。最初の投資はかかるけれども、将来はやはりいいものが出てくる。  特に、今現在の十三万五千の中でも割合お年寄りの方なんかに買っていただくようになってまいりました。受信機が大体四十万とか五十万で手に入るようになってまいりまして、年とった方が一日テレビを見ている場合に、やはり目の疲れというようなこととか、そういうことが今の五二五とハイビジョンでは全然比べ物にならないというようなことがございます。
  140. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、川口会長が、来年度以降赤字から黒字への脱皮を図っていくということでの見解もありましたから、それを信じたいと思いますが、赤字が累積されていくという状態になれば取り返しというか引き返すことができなくなってくるという状況にもなりかねないわけで、さまざまな例が多くあるわけですから、無限と有限のはざまの中での苦労ということは当然にして経営者にあるわけですから、そういうことでの御努力をいただきたいし、別の機会にもさらにこの問題については詰めていきたいと思っています。  さて、受信料について、協会財政が厳しい状況にあると認識していて、経営財源確保のために受信契約増加受信料の確実な収納に努めるという見解が発表されました。だれが受信料を集めているのかという問題になります。  受信料関係の要員の削減ということが行われているようでありますけれども、受信料は振り込みが主体になっていると思いますが、新規契約をどうとっていくか、振り込みをどう進めていくか、拒否している人たちに対する請求をどうしていくか、説得活動または住居移転等の対応、さまざま営業現場の努力ということが支えている力であります。  先ほどの受信料確保していくということはそういうことなんでありまして、そこにおける要員の削減が行われるということは経営体制の根幹を揺るがすことにもなりかねない。さりとて効率化は図らなきゃならないというときに、収入支出、営業関係における収入に対する功績度というものも含めたラインというものを読み切らなければならないと思います。そのラインを読むためのどういう研究をしているか、またはどういう実験をしているか、どのように計画を立ててそこに行こうとしているか。単に要員削減、委託業務によって経費節約ということだけでは済まされない問題がここにあると思いますので、その点に対する、この場で詳しい見解は無理かと思いますけれども、会長の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  141. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 先生おっしゃいましたとおり、受信料の契約収納ということをしっかりやらなければ公平負担というのは実現できませんし、そして公共放送事業体としての財政的基盤も崩壊する。そういう意味では、契約収納業務はきっちりとやらなければいかぬ。その点でいきますと、やはり一定の要員体制あるいは経費というものは受信料制度を堅持していくために必要ではないのかなというふうに私どもとしては思っているわけでございます。  視聴者皆様に私どものNHK事業運営あるいは受信料制度の意義というものについても御理解をいただき、それから、特に今お話がございました契約収納状況についてどういうふうにやっているのかということを御理解いただいて、そういう中で毎年毎年の事業計画予算という中で御審議をいただき、御理解を得ていくべきものではないのかなというふうに思っております。  しかしながら、一定の要員体制あるいは経費が必要であると申しましても、やはり視聴者皆様からお預かりしている受信料であるということであります。私どもは、今後ともそういった中で営業経費の増加を極力抑制し、そして効率的な業務運営をしていくということを心にとめて努力をしていきたいというふうに思っております。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  まず、大臣TBS問題についてお伺いしますけれども、大臣は先ほど事実に基づいて対処したいと答えられました。  実は、きのう、逓信委員会理事懇談会にTBSの藤原報道局長見えまして説明があり、私がちょっと質問をしたんです。ビデオを見せたことはわかったが、早川メモにある放映の中止、これはどうだったのか。そこまでまだ調査が及んでいないという答弁でした。私はそこでも言ったんですけれども、TBSの起こした大きな誤りは三つある。一つはビデオを見せたこと。二つ目は放映を中止したこと。三番目は、坂本弁護士が失踪と言われた後、長期にわたって警察にも被害者にも横浜法律事務所にもオウムなどが抗議に来たことを一切言わなかったこと。  もしビデオを見せていなかったら坂本弁護士一家殺害事件は起きなかっただろうと思うんです。もし放映していたら、世論の監視のもとで松本が坂本弁護士をポアしろと言うことは困難になっただろうと思うんですね。もし失踪事件の後、オウムとの問題を警察その他に知らせていたら、これはプルシャが落ちていたわけですから物的証拠があったわけで、オウムに対する警察の捜査、これは行われただろうと思うんです。そうしますと、松本サリン事件地下鉄サリン事件などは未然に防ぐことができる可能性もあっただろうと思うんです。  ですから、私は、TBSの問題は、ニュースソースを守る、あるいは等々のそういうことを守らなかったという問題にとどまらず、実は客観的にはオウムのあの恐るべき事件に対する幇助者の役割をしたと言わざるを得ないのではないかと思うんです。  ですから、大臣は事実に基づいてと言われたけれども、TBSの誤りが引き起こした非常に重大な社会的な結果について、大臣としてどう認識されておられるのか、この問題をひとつお伺いしたいと思います。
  143. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、先生御指摘になられた諸ポイントについて、私もこれは非常に重大なポイントであるというふうに思っております。  でありますから、この問題について三月十八日に既に郵政省としてはTBSから事情を聞く、それから昨日もTBSに来てもらって、そしていろんな事情を聞きました。そして、さらに問題の突っ込みがもっと必要である、郵政省としても大事なポイントがあるということから、TBS調査結果の中で依然不明だとされているビデオを見せたときの詳しい状況、これについてまず調査をして、その結果を持ってきなさいと。それから、放送を中止した、これは抗議を受けた結果中止したのかどうか、この点についてもきちっとした調査を求めております。さらに、外部の者からビデオを見せることを求められたときのTBSの基本的な考え方、こういうものについても早急に調査を行って、そして報告を行うようにと今求めているところでございます。この問題につきましては、いろんな事実関係をもっと調べなければならない点はいろいろ出てくるでありましょう。  ただ、先ほども私申し上げたんでございますが、郵政省というのはこういう報道機関に対する、放送事業者に対する監督機関でございます。でありますから、これにつきましては私は厳格な手続をきちっと踏んでいきたい、こういうふうに思います。およそ人であれ企業であれ、それに対して不利益を課するというときは厳格な調査をきちっと行っていって、そして事実を、どういう事実があったのか、これもきちっと調べなければならないところでございます。  でありますから、今先生の方からいろいろ、この点についてきちっとした対処がされていれば後発の事件はなかったのではないかというお話がございました。この点について、私は、郵政大臣として今すぐに私の判断を申し上げるということは差し控えさせていただきたい、あえて差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ひとつ監督官庁の責任者として厳格な対処をお願いしたいと思います。  次に、NHK予算についてお伺いします。  視聴者NHKに望んでいるのは、民放では難しいようないい番組をできるだけ高くない受信料でということだと思うんです。それで、時間も余りございませんので、番組の中身の問題とそれから受信料問題についてお伺いします。  私、ここにカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の「日本/権力構造の謎」、有名な本の上巻を持ってきたんですが、これはルース・ベネディクトの「菊と刀」と並んで国際的に読まれている本で、十数カ国語に翻訳されている非常に辛口の批判です。テレビについてもまことに厳しい。  テレビという麻薬が日本ほど見事に利用されて  いるところは他にない。また、その中毒症状が  これほど強く蔓延しているところも他にない。という書き方です。NHKはちょっと褒められている。  皮肉なことに、NHKが、官界ともっとも直接  的につながる局でありながら、リポーターが社  会的な問題について掛け値なしの疑問を投げか  ける、まじめな番組を放映することがある。その後が大変。  それ以外は、NHK定食番組にみられるように  疑似学術的で無害の、論争を注意深く避けた番  組をはじめとし、風刺漫画に近い日本人好みの  社会風俗を描くホームドラマがあり、そして頭  がまったく空っぽのショー番組までどの局にも  揃っている。こうなっていまして、欧米では大体平均精神年齢十一歳から十二歳に合わせているんだが、  日本のテレビ番組は平均精神年齢八、九歳に合  わせている。まあちょっと辛口過ぎるけれども、多少思い当たるところもないではない。非常に強い意見ですね。  私は、この中でやっぱり政治批判、このレベルについてちょっと取り上げたいんですけれども、彼は日本の権力の行使というのは責任の中枢が欠如している、国民が仕方がないと思っているということを言っていまして、なぜそうなるかというと、一つはやっぱり日本のマスコミ、学界の政治批判が弱いというんですね。  欧米では権力行使の一挙手一投足が、毎日のよ  うに質の高い新聞や雑誌で細かく分析され、こ  うした分析をめぐって国民の間にしばしば議論  が激しくたたかわされる。日本はそういってないというんですよ。新聞の政治論評というのは、派閥と派閥間のことばっかりで、政策案についての言及は皆無である、そのぐらい厳しいことを書いているんです。  そこで、私は、政治番組について二つきょう取り上げたいのは、一つは去年の自民党、新進党の総裁選挙、あれはテレビがハイジャックされたとまで言われたんです。特に、小沢さんたちの新進党については、十二月二十一日午後、約二時間にわたって候補者の公開討論、小沢さんはNHKのインタビューに答えて、マスコミが非常に注目してくれるからこの機会をフルに利用したいと。つまり、一政党の党首選挙を国会議員選挙に並ぶぐらいやったんです。党勢拡大にこれは大変奉仕したわけです。私は、こういうやり方は、放送法の不偏不党とか政治的公平とかという点から見て見識が疑われるやり方だったのではないかと思うんですけれども、会長、いかがでしょうか。
  145. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 判断の基準は、当然、視聴者が今何を見たいのか、どういうことが問題になっているのかということにやっぱりあります。それを放送する立場からきちんと判断をして、そして、放送事業者の自由な立場でもって決めるのが私は一番いいと思うんです。  この前の選挙の問題は、先生おっしゃるような面もあったかもしれませんけれども、それほど注目をされていた選挙だったと。だから、ある程度の時間を割くのはむしろ当然であったんじゃないかというふうに私は思っています。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 反論したいんですけれども、またにします。いろいろ問題がある。  次は沖縄問題。会長は、年頭のあいさつで沖縄局に会長褒賞を差し上げたことを述べておられます。きのうNHKからいただいたんです。それで、なぜ沖縄であんなに営業が伸びたか、このことを座間味局長会長が電話したと述べている。そうしたら局長は、沖縄で起こった昨年後半のいろんな問題に沖縄局が自分たちの問題として取り組んだからだ、そう答えたということを述べられた。私はこれは大変感心したんですよ。年頭あいさつの冒頭に沖縄の問題を取り上げたことも大変よかったかと思っているんです。  さて、問題にしたいのは、じゃ中央のNHKはどうだったかと。昨年、沖縄問題が起きたときに本当に国民の立場で取り上げただろうかということなんです。あのとき、例えば国民の世論は非常に大きく変わったんですね。有名なデータになったけれども、日経の調査、安保解消が八月の二八・七%から十月には四〇・二%へはね上がった。これはペリー国防長官たちが、これは大問題だと、ショックを受けたと。それから、産経などの調査では、これは十一月、米軍撤退が四四%、撤退すべきでないが三一%、一三%上回るぐらい国民の世論が大きく変わってきた。  NHKは世論調査をよくおやりになっている。十二月には確かにおやりになっているんだが、こういう十月、十一月の沖縄問題でこれほど日本国民世論が、特に日米安保体制の問題で変わっているときになぜおやりにならなかったのか。これどうもやっぱりNHKのお上寄り、政府寄りの態度が出たのではないかと思うんですけれども、非常に激動の時代なので、やっぱりもっと臨機応変にやっていただきたい。  私は、今度は住専問題では、先ほどウォルフレン氏が指摘したような問題点がかなり変わって、国民の世論をNHKテレビを初めとして新聞までかなり取り上げて厳しい批判をしたと思うんですけれども、ぜひそういう国民の立場に立って、何も私、今、共産党の立場を放映してくれと言っているんじゃないですよ。本当に国民の立場に立つた質の高い政治的な報道、解説等々、これをNHKに期待したいと思うんですが、態度をお伺いします。
  147. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 事件以来、沖縄ではアメリカ軍基地の撤去、縮小を求める運動が高まったわけですけれども、そういった中で安保についてもいろんな議論がなされました。私どもはニュース番組を中心に随時取り上げて報道をしてまいりましたけれども、これは日常のニュースだけではなくて、例えば「クローズアップ現代」とか「NHKスペシャル」とか、こういったところでもきちんとせきとめた形でこの沖縄の問題を取り上げております。  昨年の九月、「島は怒りに揺れた」というタイトルで「クローズアップ現代」で放送いたしました。十一月一日、「沖縄の怒りは解けるか・決断迫られる村山政権」ということで、これも「クローズアップ現代」でございます。それから、ことしの二月十八日、「「日米安保が問われた日」沖縄・東京・アメリカの模索」ということで、これは安保を中心に「NHKスペシャル」で取り上げております。それから、これは予定でございますが、来月の十一日……
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 簡潔にお願いします。
  149. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) これは基地関連内容で、現在さらに準備を進めております。  以上でございます。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、受信料問題をお伺いいたします。  現行受信料を九七年度までも堅持するということがありましたし、ほかの委員も御質問でありました。私は、ハイビジョン問題、これが受信料に影響するんじゃないか、そう危惧を持ちます。予算案では、ハイビジョン関係予算が全体の二・四%から二・八%へと急増している。これは財政的に受信料値上げの要因をつくることになりはしないかと思うんです。  先ほども質問と答弁がありました。この中長期経営方針、現行衛星二波を二十一世紀の早い時期に全面ハイビジョン化することを目指している。冒頭のところでは、統合デジタル放送、それへ向けてのハイビジョン、これをやっぱり中心軸に据えて述べてあります。  それから、「NEW MEDIA」の四月号、「ハイビジョン放送大飛躍へ」、ここに川口会長が書かれている。大体ハイビジョンというのはジャンボ機みたいなものだと、ジャンボ機が航空界の主流になったように、だからこれが主流になるという判断ですね。最後のところに、九六年中に四十万という普及へ向け全力を挙げる、こう述べておるんです。  先ほどの答弁では、二月ですか、十三万五千台でしょう。会長、ことしじゅうに四十万台までいくとお考えなんですか。これにはNHK発表のハイビジョンの普及予測の表があります。西暦二〇〇〇年で四百万件、二〇〇五年で千二百万件、こういう見通しをお持ちなんですか。その実現の可能性についてどうお考えになっているかお答えいただきたい。これは会長にお答えいただきたい。会長の言ったことなんですから。
  151. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 今の調査NHKが勝手にあるいはでたらめにやったことではございません。これは、しかるべき調査機関があって、そこで国民のいわゆる購買層のいろんなところに聞きまして、そしてデータを集めたものでございます。したがって、これまでメディアが変わっていくたびにやった調査の実績からすれば、ある程度信頼できるような数字じゃないかと思っています。  もっとも、それには非常に大きな問題がありまして、一つは、内容視聴者のニーズにこたえる、見ることを非常に欲するというふうなものにならなきゃいけません。中身の問題である。  それから二番目は、受信機が安くなければいけない。幾らよくても何百万というお値段ではだれも買いません。ですから、現在の衛星放送が受かるような受信機の程度まで下がってくるということが必要であります。現在、ICというのが非常に発達をしておりまして、どんどん半導体が安くなっている。したがって、将来的には相当安いお値段で購入していただける時代が来ると思うんです。  三番目は、ハイビジョンのずうたいについてです。縦、横、幅、全部物すごく大きい。したがって、普通の御家庭ではあれが入ってくるとほとんど人がいる場所がないというぐらいなスペースをとりますけれども、今NHKとメーカー二十六社で開発しておりますプラズマ受像機、これはいわゆる壁かけテレビというものでございますけれども、これが非常に速い勢いで今開発が進んでおりまして、この前も私は最新のものを見ましたけれども、映像の色の美しさなんというものは現在のNTSCよりもはるかにすばらしいものがあります。  したがって、そういう中身のよさとお値段と、それから受像機の改善が行われればそれぐらいの普及はできるというふうに思っております。  特に、先ほどからいろいろ話題になっていますが、オリンピックというものに対する日本人の関心というのは私は相当なものだと思います。それに対してやっぱりNHKはこたえなきゃいけない。こたえるのにいろんな形でもって放送するわけですが、例えばハイビジョンによるオリンピック放送というのは、この迫力はやっぱりNTSCの比ではありません。  したがって、今回のアトランタ・オリンピックと九八年の長野オリンピック、その二つの大きなオリンピックでもって飛躍的にお客様がふえるんじゃないか、そういう期待を実はしておりますということです。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が過ぎておりますので、もうやめますけれども、この「NEW MEDIA」の四月号には、日本電子機械工業会の会長、ソニーの大賀会長も、オリンピックはハイビジョン普及の追い風だと、これに乗るんだということを言っているんですね。三千五百万の視聴者すべてが高いハイビジョンを望んでないですよ。こういうときに、三千五百万の人々のことを主にして考えなきゃいけないのに、我々もハイビジョン全部反対じゃないですよ、その一部の人のために、また業界と結んでハイビジョンの普及に余りにも力を入れて、予算もそこにつき込んで、受信料の値上げになるようなそういう事態をぜひ避けるよう検討していただきたい。このことをお願いして質問を終わります。
  153. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 あと一人を残しまして、本日十四番目の質問者でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  私は、昨年の秋、放送と人権という問題を質問いたしました。放送をする者にとって国民の人権、名誉とか肖像権だとかプライバシーというようなものは十分に尊重され保護されなければなりません。そういう観点からいろいろ質問したわけであります。  NHKには幾つかの委員会とか審議会がある。きょうも出ておりましたけれども、番組を向上させる放送番組の向上に関する委員会だとか放送番組審議会だとか、いろいろあるということを聞いております。  その中に、放送現場における倫理に関する委員会存在することを知りました。まさしく人権をいかに保護して放送をするかということを勉強されている、研究されている委員会だと知ったわけで、非常に心強く思ったわけであります。しかし、私は、その放送現場における倫理委員会なるものがいかなる活動をして、どのような成果をおさめられているのかよく存じませんので、具体的な活動状況とその成果を教えていただければ幸いでございます。
  154. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) きょう私がNHKに出勤をしましたら、この倫理委員会というものの総括をやっている酒井という理事がおりますけれども、それが飛んできまして、きょうやりますと。TBSでああいう問題が起こって、これはTBSの問題として見るんじゃなくて、放送をやっている者全体の問題として見なければいけないと思いますと。したがって、早速、倫理に関する委員会を開いてこの問題を徹底的に討議しますと。結果は、齊藤があした出ていくと齊藤君に報告があるわけです。それで、放送局長がそれを全体に統括をして、そしてどのような形でどういうふうにまとめるか、どこにどういうふうに通達を出すかということを決めますので、実際上非常に有効に動いていると申し上げていいと思います。細かいことは齊藤君に。
  155. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 御質問にお答えする前に、ちょっと関連しまして、先ほど広中先生から御質問があった際に私は委員会のことを申し上げましたけれども、正確に申し上げますと放送現場の倫理に関する委員会ということで、訂正させていただきます。  それでは、質問の方にお答えしたいと思いますけれども、今申し上げましたように、この倫理に関する委員会は「ムスタン」の反省に立って私どもはっくりました。そして、月一回開催しておりますけれども、番組、ニュースの取材あるいは制作上のモラルについての検証、それから現場への指導、それから人権・差別問題についての研修会の開催、それから放送番組向上協議会とかあるいは民放連と連携したセミナー、シンポジウムヘの取り組み、こういったことへの提案とか、さまざまな活動を継続しております。  具体的に、例えば平成七年の七月、例のサブリミナルの問題が起きましたけれども、この問題についても検討をいたしました。それから今回、TBSの問題についても、倫理に関して我々はもう一度整理してこの問題を検証しようということで取り組むことにいたしております。  具体的な運営については、実際にこういうことをやる必要があると事務局から提案をいたしまして、それから考査室長がこの特別委員会というのをまず開催いたしまして、そして、さっき申し上げた放送担当理事を座長とした倫理委員会を設ける。そこで議論した結果、どういう対応をすべきかという結論が出ましたらば私の責任において局内に周知徹底する、こういうことにいたしております。
  156. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 幾つかのすばらしい委員会があるわけであって、あればいいというものじゃなくて、問題は私は中身だと思いますので、十分に成果を発揮されますように。そして、そういう委員会がどういう活動をして、いい放送をしようと努力されているかということも一般国民にもう少し知らせていただいた方がいいんじゃなかろうかと思うわけであります。  放送現場の倫理ということに一つ関連して、最近、北海道でトンネルの落盤事故がございまして、被害者がたくさん出て、民放を初めNHKさんもいろいろ取材をされたわけなんですが、私どもいっそういう被害者になって、事件の当事者になって取材を受けるかわからない立場になる可能性は十分にあるわけでありますが、そういう被害者たちに対する現場の取材の現実の指揮命令というか指導というのは具体的にどんなことをなさっているのか、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
  157. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 日常の取材活動のあり方につきましては、私どもが決めております国内番組基準、ここで取材、放送に当たっての基準を設けております。これを徹底させるように努めております。人権を守る、人格を尊重する、あるいは個人や団体の名誉を傷つけない、あるいは人権とプライバシーには最大の配慮をするというようなことを決めておりますが、こういったことに沿って取材活動をするように指導しております。  実際の取材に当たりましては、事件、災害の悲惨な状況社会的な影響を視聴者に伝えるとか、あるいは当事者の証言から事件、災害の真相がわかってくるというようなことはどうしても避けられないわけですが、いずれにしても取材に当たっては放送も含めて節度が求められるということは当然でありまして、そういう観点で指導を徹底しております。  以上でございます。
  158. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 放送現場でのそういう人権保障という意味においても十分に配慮された放送を期待するものであります。  民放と比較してというと語弊があるかもしれませんけれども、さすがNHKだなというふうに思うのは、人権のトラブルがNHKにほとんどなくて民放にたくさんある。比較じゃありませんけれども、NHKは人権をめぐる訴訟件数が戦後十一件しかない。しかも、ほとんど全部勝訴もしくは和解によって終結しているという現実を知りまして、褒めるわけじゃございませんけれども、そういう人権に対する執拗なまでに、守り過ぎるぐらい保障した報道放送を期待するものであります。  次に、衛星カラーの契約締結についてお尋ねをいたします。  これは受信料と絡むわけでありますけれども、先週末の三月二十二日にNHKは、いわゆるBS放送衛星放送が一千万世帯に達した、こういう発表をされたわけであります。平成八年度のNHK予算を見ますと、有料受信契約数が七百三十万だと、こうなっているんですね。衛星放送の契約者というか、現実に見ることができる人が一千万世帯あるのに、契約しているのが七百三十万しかないという。極めて単純な計算で、約二七%、約三〇%の人が衛星契約の契約料を払っていない、受信料を払っていないという現実があるわけです。  当然、NHKが徴収してしかるべき金額が支払われていない。米軍基地の受信料の徴収の問題だとかNHK財政の赤字の問題だとか、いろいろ言われているわけですけれども、約三〇%に及ぶ人が受信料を支払っていないというこの現実をNHKはどのように認識されているのか。そういうふうになったのはどういうところに原因があるのか、今後そういうものの回収に対して徹底する方法を何か考えられていらっしゃるのか等を含めまして、質問をいたします。
  159. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) お答えを申し上げます。  三月二十二日にBSを受信しておられるところが一千万を超えただろうというふうに発表させていただきました。これは、半年ごとに民間の調査会社にお願いいたしまして、どのぐらいの普及状況になるのかということをサンプル調査させていただいております。そして、去年の九月の調査時点以降、衛星のテレビのアンテナの出荷状況等を総合的に勘案いたしまして、この三月には間違いなく一千万を超えたであろうというふうに我々は確信をして発表させていただきました。  そうした衛星の受信者を、これは平成元年度に衛星料金を設定させていただいたわけですが、最初の契約状況は、元年度末五一%、二年度末五八%、三年度末七〇%、着実に契約率を向上させてまいりました。しかしながら、七〇%を超えたところでこの改善が非常に難しくなっているということでございます。  衛星契約の開発というのは、結局、テレビをごらんになっておられる中から衛星を受信するということがぽつんぽつんと発生してくるわけでございますけれども、それを我々営業現場の人間が年じゅうそこをぐるぐる回って発見をし、そして契約に結びつけるということがございます。したがって、一定のタイムラグということもまず発生するということもございます。  また、特にマンションなどの共同受信施設というところは外からアンテナで発見するということができませんものですから、どうしても戸別に訪問をして、その結果それを把握する。もちろん留守であれば確認のしようがないというようなことがございます。そういった困難な状況でございますので、八年度は特に重点的に衛星契約の開発に取り組みたいというふうに思っております。  まず、口座振替の利用をさらに拡大いたしまして、委託取次収納員のパワーというものを契約開発業務ヘシフトしたいというふうに思っております。それから、大都市圏を中心に、マンションは特に大都市圏が多うございますので、大都市圏を中心に衛星契約開発の活動の強化、それを軸とした要員体制を整備いたします。それから、そのほかに学生あるいは主婦といった臨時戦力も活用させていただきまして、衛星受信世帯の把握あるいは契約化の強化ということを考えたいというふうに思っております。それから、反復訪問をしなければならぬわけですが、そのほかに電話あるいは文書対策といったものも効果的に織り込んで、そして特に先ほど申し上げました集合住宅対策というものを強化して契約率の向上を図っていきたいというふうに思っております。
  160. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 完全に徴収するのは非常に難しいとは思うんですが、やはり受信料の負担の公平という観点から、払わないのが得するというようなことだけはないようにしてもらいたいと思うんです。郵政大臣放送法でテレビを持っている者は受信料支払いの締結義務があって払わなきゃいかぬ、こう書いてあるわけで、訴訟でも起こして全部取ったらいかがでしょうか。
  161. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) NHKさんの方でどのようにお考えになるか、それはNHKの方できちんと対処される、いろんな努力の方法というのがあるわけでございますから、どのような方法をお選びになるか、ひとつNHKさんの方の御努力を見たいと思います。
  162. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 会長、どうですか。
  163. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 我々も実はそのことが番頭が痛い問題でありまして、公平負担ということが成り立たない限りは受信料制度というのは非常に危ないものになります。したがって、公平に負担していただくにはどうすればいいかということはいろいろ考えまして、菅野が申し上げましたように、いろんな手だてを講じて、地域スタッフといいますけれども、第一線に立っているスタッフがそれこそ足を棒にして夜となく昼となく訪問して、それで開拓をしている、契約に結びつけているというのが現状なんです。  よくスタッフから言われます。この法律は罰則がないからいけないんだ、罰則をつけてくれ、払わなかったら懲役だとか、そういうふうなことを言ってくれれば払うんだというようなことを言われるんですけれども、私はその方法はちょっと今のところはとれないと思うんです。  まだそれよりも、罰則よりも話し合い。それで丹念に訪問をして、じっくりとNHK存在の意義を話すことによってかえってNHKに対する認識を改めていただく、そういうちょっと迂遠な方法ですが、現在はまだそれがいいと思っています。ただ、社会情勢の変化に応じてはあるいは法律の改正をする必要が起こってくるかもしれませんけれども、現在はそう考えておりません。
  164. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 非常に難しい問題ではあるけれども、やはり公平ということを十分に踏まえた改善を期待しております。  次に、視聴覚障害者に対する放送の問題ですけれども、統計を見まして、目の見えない人、耳の聞こえない人が一日にテレビを見る平均が一時間から三時間あるということを聞きました。そういう障害者に対する字幕放送、これは衆議院でもいろいろ取り上げられて、もう既に質問されていますので重複を避けますけれども、アメリカでは深夜放送と早朝のテレビ以外は全部字幕をつけて放映されているという現状なんだそうであります。しかし、日本ではほとんど字幕の放送がなされていない。  私も統計をちょっと調べてきたんですが、外国と比べますと日本の字幕放送にかける放送時間数というのは極めて少ない。技術的な問題と財政的、経済的な問題の二点があって少ないんだろうと思うわけですけれども、岡先生が質問なされましたいわゆる技術開発、研究開発NHKでは相当進んでいる、こう聞いております。  話速変換装置について質問されまして、一、二年のうちには完成するとおっしゃったんですが、NHK技術開発の中で、音声を吹き込みますと自動的に画面に文字が出てくるという研究がいずれ開発されて実現化するであろうということを前々から私聞いていたんですが、こういう研究開発の実現の可能性というのはいつごろなんですか、お尋ねをいたします。
  165. 森川脩一

    参考人(森川脩一君) 音声を入力しまして画面に文字を出す技術を音声認識技術と呼んでおりますけれども、この音声認識技術の実用化と申しますのは先ほどの話速変換と比べて大変困難な面が多うございまして、NHKでも開発に取り組んでおりますが、今達している段階はどういうレベルかと申し上げますと、特定の人を決めて、その特定の人のまたさらに特定な言葉をコンピューターに覚えさせておく、そういうことをした後、その人自身にあらかじめ決められた幾つかの単語をしゃべらせて、それを認識させるというところまで進んでいる段階でございます。  したがって、放送で使う場合、当然ですけれども不特定多数の人がいろんな形で言葉をしゃべられる、それを文字として認識させるというところにはまだしばらく距離がある、こういうのが実態であります。  それから、この音声認識技術は、諸外国におきましてもそのようなレベルに達したという情報は私自身まだ寡聞にして聞き及んでいないというのが状況であります。
  166. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  167. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。  十五番目の登板ということでありまして、前に出た質問と完全に重複を避けるというのは至難のわざでございますが、なるべく視点を変えて御質問をさせていただきたいと思います。  郵政省にまず伺いたいのですが、NHK関連事業に関してはNHKの肥大化と商業化などと言われているわけであります。私も、昨年の十一月九日に、ちょうどこれは決算審議の折だったと思いますが、川口会長関連事業に関するNHKの方針を伺った経験がございます。  私は、基本的には、NHK全体の経営効率化のために関連事業の展開を図って、財務内容を改善して受信料負担の軽減を図るということは、視聴者の観点から見ても非常に歓迎されるのではないかというふうに考えているわけです。  先日、民放連の、これはちょうど今問題になっておりますTBS社長の磯崎さんが会長をやられているんですが、この磯崎会長の退任の記者会見で、NHKについて、特にその関連団体について非常に厳しい批判をされたということが報道されました。NHK全体の売り上げの三割が関連団体によるものであり、制度的な改善や節度ある運用を求めてきたが、平成八年度の予算を見てもこれらに対する改善が見られないというふうに言われています。  この三割というのは、伺うところによりますと、NHKとの取引の金額が入っているということで、正確には一六、七%ということらしいのでありますが、郵政省としては、民放連の会長がこういう発言をされたということについてどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  168. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) NHK関連団体の事業活動でございますが、これはNHK事業をまず支援する、あるいはNHKの効率化に資するという目的に沿って行われてきたというふうに考えております。一方、その形において民間企業といたずらに競合したり特定の民間企業と結びついたりすることのないよう、節度を持って行われることが必要であるというふうに考えております。  同時に、NHKにおきまして、この関連団体の事業展開を通じて業務の効率化を進めることによって副次収入により財務の健全化も図っていただきたい、要するにバランスを持ってやっていただきたい、こういうことでございます。
  169. 水野誠一

    ○水野誠一君 そのときに私はもう一つ伺いまして、NHKの子会社の財務内容について情報公開を積極的にやるべきじゃないかというふうに伺いました。そのときに楠田局長は、今後、政府の方針にのっとって必要な措置をとっていく、こういう御答弁をされたのでありますが、それ以降、省内ではどんな議論がされたのか、あるいは実態としてこれは進みつつあるのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  170. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生から御質問のありました子会社等の財務内容等の情報公開につきましては、その後、昨年の十二月十九日の閣議決定によりまして、特殊法人は民間株式会社の例に準じて子会社などの関係会社に関する情報開示を行うということになっております。  NHKでございますが、NHKもこの特殊法人に入るわけですが、これまで既に各年度の業務報告書等におきまして関連団体の業務NHKからの出資状況等を明らかにしてきているところでございます。  郵政省といたしましては、現在、今般の閣議決定を受けまして、今後なお必要となる措置等があれば、それについて検討してまいるということを申し上げたいと思います。
  171. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、川口会長に伺いたいと思います。  今年度のNHK予算が赤字予算であるということについては、もう既に北岡委員、鶴岡委員、松前委員、伊藤委員等、まだ漏れがあるかもしれませんが、からも御指摘があったということで、またかという感じかもしれないんですが、私は、繰越金によって補てんされる今年度はいいとしても、平成十年を超えてもできれば現状の放送料金を維持していくということを考えていったときには、やはり経営の抜本的な改革というものが要求されてくるのではないかというふうに思うわけであります。  いろいろ先生方からも指摘があった人件費ということもその一つのテーマだと思いますし、また今企業経営という立場から見ていった場合に、一時言われましたリストラクチャリングというものが、リストラクチャリングだけではだめだ、つまりリエンジニアリングという観点から経営構造自体を変えていかなきゃいかぬ。さらに言えば、一度現状のものをゼロベースに戻して、リインベンション、すなわち新しく業態をつくり出していくというぐらいのところからもう一度経営というものを見直していくべきだということが今民間企業の経営の中では盛んに言われているわけです。恐らくNHKの運営ということの中でもそういう視点が私は必要になっていくんではないかなというふうに思うところがあります。  しかし、とは申せ、一番とは口にありますリストラクチャリングということの中で、先ほども何人かの委員の御質問もあったんですが、職員の数という問題、これがどうしても重要な問題になってくるわけであります。平成八年度における職員の減が五十五名ということで先ほどお答えがございました。これについては伺ったとおりであろうと思うのでありますが、過去数年間の職員減の数というものをデータでお示しいただければと思うんですが、いかがでございましょうか。
  172. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) NHKの職員数は、昭和五十五年から効率化をやってきたわけですが、この十六年間に三千八百七人、現在、平成七年度末で一万三千百十三人でございまして、特に平成二年から平成六年にかけては千六百二十八名の削減をしております。
  173. 水野誠一

    ○水野誠一君 それで、私も計算してみますと、ここ数年間は年間大体三百人ずつぐらいの減というふうに理解をしております。それと比べますと、ことしの五十五名というのはややスピードダウンしてきているのかなと。もちろん減らせばいいということではないんですが。  ただ、もう一つの視点は、平均して三百数十名の要員減ということが今までは関連事業の中で吸収されていたという面があったんではないか。そういう視点から見ていったときに、もうそこにおいて、つまり関連事業で吸収していくというところに限界が出てきているのかどうか。そうではなく、ほかの要因で要員減をもう図れなくなっているのか、そのあたりについてちょっと例えればと思います。
  174. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 関連団体ばかりでなくて、業務そのものの見直しによって純減を図った面がございますが、平成二年から六年間の大規模な削減をやりつつ、一方では衛星放送二波、ハイビジョン、それから文字多重放送その他新しい業務をやってきたものですから、効率化は一定の段階に達しているという認識は持っております。例えば、マルチメディアのお話が先ほどから出ておりますけれども、今後数年間の中で放送の取材、伝送、制作、それから送出、放送等、一連のシステムそのものが変わる可能性がありまして、そういう意味ではこれからも要員の削減という面については努力を図っていきたいというふうに思っています。
  175. 水野誠一

    ○水野誠一君 この要員の問題というのは単純に民放とは比較はできない面もあろうかと思うんです。民放というのはキー局で見ると大体平均千五百人体制でやっておられる。これがさらにネット局に広がっていった場合に、百七十八社で約三万一千名というのが今の現状だというふうに私は理解をしています。そうして考えたときに、キー局は五局ということでございますから、単純に割ると、一局のキー局の系列ということで考えれば六千名ぐらいがその人員という形になるわけであります。  これは、比較して云々ということではないんですが、NHKの人員体制というものを過去の実績からどうふやすか、どう減らすかということではなく、先ほど申し上げたようなリインベンションという形から、あるべき人員数というものをぜひとも一度御検討いただくということが大事なんではないかな、そんなふうに思う次第であります。  続いて、今の関連にもなるんですが、NHKの体制を考えていく中で、これ以上の効率化が無理だということが言えるのかなというふうにも思うんですが、例えば今申し上げたりインペンション的な考え方でいったときに、衛星放送あるいは国際放送部門、こういうものを切り離していくというような考え方、これはいかがなものか。例、えば、BBCなんかは国際放送部門というのを別会社化しているというふうに伺っておりますが、こういう方策が果たして有効な手段になり得るかどうかということは私もちょっとまだよくわからないところではありますが、NHKの御意見として何かあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 今の御指摘は、私どもも何とかそういう方法があったらやろうと思っていることをおっしゃっていただきました。今後も検討させていただきます。  ただ、ぜひ先生方に御理解いただきたいのは、NHKというところは物を売ってもうけるところではないんです。採算が合わなくてもやらなければいけないことはやらなければいけないんです。そして、とにかく国民情報をお伝えして、そして高い文化性のある番組をつくっていく、私は高い放送文化というふうに言っていますけれども、そういうものをやっぱりやっていく使命があると思うんです。  したがって、採算を度外視してもとは言いませんけれども、採算ベースだけじゃなくて、時にはそういう価値というものを計算の中に入れてやらなければいけないものもたくさんあると思うんです。  今回も御指摘がありましたけれども、例えば国際映像放送だとか、何かもう国内の受信料を出してくださる方々からいえば全く関係ないです。ところが、日本の国という立場でいえばある程度のことはやっぱりやらなきゃいけない、拡大をしなければいけないというのは当然だと思うんです。それを受信料の見返りなしにやらなければいけないわけですから、そういうこととか、それから例えば障害者のための字幕放送も私どもは念を入れてこれから加速をつけたいと思います。ただ、それにはやっぱり相当たくさんのお金が要るわけでして、じゃ、お金が要るからやめるかというとやめられないんです、それは。やめてはいけない。  ですから、そういう意味では採算性を度外視した経営というものもしなければいけない。ただ、そこにはやっぱりある種のきちんとした経済性がなければいけないということで、私どもの立場は非常に難しいんですが、しかしむしろこの難しさが公共放送を預かっている者の一つのだいご味じゃないかというふうに喜びに変えて経営をしようと思っております。  今の御意見は十分これからも私どもの参考にさせていただきたいと思います。
  177. 水野誠一

    ○水野誠一君 私も、今、川口会長がおっしゃったように、質ということを落としてまで合理化を図れというようなことは決して申し上げておりません。特に、NHKのつくり出す文化というものは非常に重要なものである。まして、これからは国際的に評価され通用する番組制作というものをぜひお考えいただき、現在はまだまだ海外からの番組輸入の方が圧倒的に多い、NHKから出せるものが少ないというお話を以前川口会長からも伺ったことがありますので、ぜひとも日本が誇れる番組をおつくりいただくということはやぶさかではありません。ともかくそれにしても、片方で合理化というものは図れるところにおいては図り、そしていいものはっくるというめり張りのある経営お願いしたいということでございます。  次に、先ほど伊藤委員からアトランタ・オリンピックの件について御質問があったわけでありますが、そこでジャパン・プールというお話がございました。これは、私は当然のことだというふうに思うんですが、民放と力を合わせて報道の効率化を図っていくということと同時に、海外の、とりわけアトランタの場合はアメリカでやるわけですが、アメリカのテレビ局を利用した番組制作、あるいはさらに違う海外のクルーと力を合わせてやる取り組みというようなもの、これもお考えになっているのかどうか、伺わせていただきたいと思います。
  178. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 今の世界の情勢では、例えば海外で仕事をする場合に、我々が全部行ってやるということはとても考えられません。したがって、海外の基幹放送局と協力体制をつくって、少しでも安いお金でつくりあげるというのが基本的な方針であります。  アトランタは、もちろんABCを初めアメリカの放送局の協力も仰ぎます。それから、私が四月の半ば過ぎに行きますけれども、イギリスのBBCという、これはNHKからいえば公共放送の先輩格ですが、まだ非常に強い制作力を持っておりますので、ここの会長とこの前下打ち合わせをしましたけれども、今度は調印をしてきます。そして、BBCとNHKとのより緊密な協力体制をつくって、そこでいろんな番組をつくっていこう、あるいは報道情報の交換をやろうということで、これが締結された後は大分情勢が変わってくるだろうというふうなことも思っております。とにかく前向きにいろんなことをやっていこうと思います。
  179. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  先ほど上田委員の方から住専についてNHK報道のお話があったわけでありますが、今、国民の最大関心事というのは恐らく住専の問題ではないかなというふうに思います。これについては民放も、そしてまたNHKも、いろんな時間を割いて住専とは何か、あるいは住専に対しての立場を異にする討論というようなことがかなりいろんな番組で組まれているわけでありますが、しかし今もってなおまだ本当の意味での国民の理解というものが、それがいいとか悪いとかということを超えて、住専とは何かということについての理解というものはまだ不十分な状態ではないだろうかな、そんなふうにも感ずるところであります。  先ごろも、あれはたしか二時間番組だったと思いますが、各党別に住専についての意見を述べる、そういった番組をおつくりいただいているわけなんですが、私は、それらの番組を見ても、どれを見てもやっぱりちょっとまだ討論というものが十分にし尽くされていないんじゃないか、あるいは客観的なわかりやすい解説というものがどうもし尽くされていないんじゃないだろうか、そんな感じを持っております。  もう既に何回もやってはいるということではなく、やはりこの手の情報というものは繰り返し繰り返し重ね合わせることによって国民の理解というものも得られるというふうにも思います。また、そこで賛否両論、本当にとことんまでの討議というものがされていいのではないかなということを考えますと、朝までテレビとは申しませんが、NHKでもやはりある意味においてはエンドレスの時間を設けて、徹底的な討議をそこでするというような御企画なんかもぜひお考えをいただきたい。こういうことについては合理化で余り放送時間を長くしない方がいいということなどは申しませんので、ひとつそういう意味でもぜひメディアをフレキシブルに御活用をいただければいいのではないか、郵政大臣からのお許しも恐らく出るのではないかというふうに思いますので、最後にこれをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  180. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 手短に申し上げます。  放送の欠点というのは一過性ということで、一遍放送するともう再放送を見る機会もなくなってしまう、繰り返しができないということなんですね。それと、新聞みたいに欲しいときに欲しいものを見るということはできません。それにはやっぱり回数を多く、何回でも繰り返してやるということが当然必要になってきまずから、そのことについてはおっしゃるとおり思い切ったことをしたいと思います。  ただ、この番組の編成については、特に郵政大臣がお許しにならなくても私どもが自主的にできますので、これはきちんとやるつもりでございます。
  181. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。
  182. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  184. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  広中さんから発言を求められておりますので、これを許します。広中さん。
  185. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送に携わる者がその倫理を強く自覚し、放送の不偏不党、真実及び自律の確保に一層努めるとともに、放送に対する国民信頼と期待に応える豊かな放送文化を創造すること。  一、協会は、その財政が厳しい状況にあることを深く認識し、財政健全化のため業務全般にわたる抜本的な見直しを行い、計画的な効率化を推進し、現行受信料の維持に努めるとともに、視聴者の理解と協力が得られるよう、関連団体を含む協会全体の経営内容を積極的に開示すること。  一、協会は、衛星放送の普及を図り、受信契約の締結と確実な収納を行うとともに、メディアの特性を生かした放送に努めること。  一、障害者向け放送を広く普及するため、字幕放送等に係る制度の検討、助成制度の拡充など、情報通信を通じた福祉の増進に資する総合的な施策を展開すること。  一、放送国際化に対応し、国際間の相互理解と文化交流の一層の促進を図るため、映像を含む国際放送を拡充するとともに、十分な交付金を確保すること。  一、放送文化に関する半世紀にわたる研究成果を十分に活用し、また、ハイビジョンを含むデジタル放送等の新たな放送技術の開発により、マルチメディア時代にふさわしい放送サービスの実現に向けて積極的に取り組むこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  186. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいま広中さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 全会一致と認めます。よって、広中さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、日野郵政大臣及び川日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  188. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) ただいま日本放送協会平成八年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  189. 及川一夫

  190. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。
  191. 及川一夫

    委員長及川一夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  193. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 最後に、委員長の立場から一言申し上げておきますが、きょうの委員会で、各委員の皆さんの御発言の中でTBS問題というのは大変重視すべき問題で、言葉としてはございませんでしたが、要すれば、この逓信委員会でも集中審議的なものを行うべきではないかという意味の御発言がございます。後ほど理事の皆さんと御協議を申し上げまして、できるだけその御期待にこたえるような措置をしていきたい、こう思っております。  なお、各委員の皆さんが所属をされている政党並びに各会派にぜひ御協力をお願いしたいんですが、これから暫定予算が決められ、そして本予算について再度審議をすることになろうかと思います。したがいまして、予算委員会開催ということになりますと、大臣の出席問題が途端に問題になりまして、下手をすると日程が延び延びになってしまう。したがって、すぐにも決めなければいけないものが遠い存在になってしまったのでは意味がございません。  したがって、各会派、各政党の委員の皆さんには、ぜひ逓信委員会放送法に基づく審議をするように、その際には委員会が開催できる措置を例外として扱ってもらうように各国対なり議運の委員の皆さんにひとつ働きかけていただくことを委員長の立場からお願いを申し上げておきたいというふうに思います。ひとつよろしくお願いいたします。  きょうは夕食もとらずに皆さんに御協力いただきまして、委員長として心から感謝申し上げたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十八分散会