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1996-05-07 第136回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 秀夫君     理 事                 石渡 清元君                 中曽根弘文君                 今泉  昭君                 前川 忠夫君     委 員                 景山俊太郎君                 小山 孝雄君                 塩崎 恭久君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 阿曽田 清君                 武田 節子君                 西川 玲子君                 平田 健二君                 渡辺 孝男君                 齋藤  勁君                 三重野栄子君                 西山登紀子君                 国井 正幸君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君    政府委員        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業省環境        立地局長     鈴木 孝男君        通商産業尚機械        情報産業局長   渡辺  修君        中小企業庁長官  新  欣樹君        中小企業庁次長  鴇田 勝彦君        中小企業庁計画        部長       藤島 安之君        中小企業庁小規        模企業部長    井田  敏君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部取        引課長      鈴木 恭蔵君        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  和泉澤 衞君        大蔵省銀行局特        別金融課長    五味 廣文君        建設大臣官房地        方厚生課長    小澤 敬市君        自治省行政局行        政課長      朝日 信夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (通商産業省所管中小企業庁)、中小企業金  融公庫及び中小企業信用保険公庫)     —————————————
  2. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  去る五月一日、予算委員会から、本日五月七日午前の半日間、平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省所管のうち中小企業庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫についての審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  通商産業大臣から説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣
  3. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 平成年度中小企業対策関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  我が国経済が緩やかながらも再び回復動きが見られる中で、中小企業をめぐる景況は依然厳しい状況にあります。最近、持ち直しの動きが見られるとはいえ、大企業回復に比して大きくおくれをとっているなど、全体としては力強さを欠いております。  政府といたしましては、我が国経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せるべく経済運営に努めてきたところであり、その中で厳しい経済環境に直面する中小企業経営基盤安定強化を図りつつ、中長期的視点に立ってその構造改革推進支援してきたところであります。  私は、我が国経済の活力の源泉とも言える中小企業が、先行きに明るい見通しを持って現下構造変化の波を積極的に乗り切っていくとともに、創造性に富んだ活発な事業活動展開を通じ、新しいフロンティアの開拓の担い手としての役割を果たしていけるような施策展開が何よりも重要と考えております。  このような認識のもとに、平成年度中小企業対策関係予算及び財政投融資計画作成に当たり、次のような基本方針に沿って諸施策実現を図ることとした次第であります。  第一は、中小企業技術開発新規創業等支援であります。  産業空洞化懸念を打破し、我が国経済を活力あふれたものとしていくため、中小企業による技術開発新規創業等創造的事業活動の一層の展開を図るべく、資金面技術面経営面での支援措置を拡充強化するとともに、情報化推進による中小企業経営革新支援してまいります。  第二は、中小企業向けの円滑な資金供給信用補完充実であります。  中小企業経営基盤安定強化等のため、政府系中小企業金融機関において所要の貸し付け規模を確保するとともに、当該機関経営基盤強化等のため出資等を行うこととしております。  また、担保力信用力の不足する中小企業のニーズに対応した保証業務を行うため、中小企業信用保険公庫及び信用保証協会経営基盤強化してまいります。  第三は、小規模企業対策推進であります。  小規模企業の置かれている厳しい経営環境にかんがみ、経営指導員小規模企業技術力向上をも含めた指導を新たに行えるようにするなど経営改善普及事業の一層の充実に努めるとともに、小規模企業者創業支援のため中小企業設備近代化資金制度の拡充を図るなど、小規模企業対策を着実に推進してまいります。  第四は、中小流通業活性化であります。  消費者行動変化価格競争の激化、さらには空き店舗問題の顕在化等著しい環境変化に直面している中小流通業者がこうした環境変化に円滑に対応していけるよう、商業基盤等施設整備空き店舗対策を初めとする施策展開に引き続き努めてまいります。  これらの施策実現のため、一般会計中小企業対策費として千八百五十五億円を計上しております。また、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで五兆五千六十六億円を計上しております。  以上、平成年度における中小企業対策関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  中小企業対策関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
  4. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 石渡清元

    石渡清元君 平成年度中小企業対策予算は、一般会計中小企業対策費及び特別会計合計で千九百十四億円ということで、前年比十億円の増でございました。かってはもっと中小企業対策費は多かったんじゃないかなんという論議も私ども党内で行ったところでありますけれども、前年度に引き続きまして、中小企業技術開発新規創業等支援重点を置き、情報化推進中小流通業活性化等施策が中心となっております。厳しい財政状況の中で、十分とは言えないまでも、中小企業者に配慮した予算編成評価をするものでございます。  こうした予算関係でありますけれども、単なる予算額を確保するということのみならず、やはりいかに効率的にこの政策が生かされているかということが一番大事なことでございます。そういう面では、過日発表されました総務庁中小卸売業小売業に関する行政監察報告書、これを見ますと、かなり多くの課題が指摘をされておるわけでございまして、そういう中で、これを是正しながら、今後、中小企業対策を進めるに当たってどのような姿勢で予算執行に臨むのか、まず基本的な考え方をお伺いいたします。
  6. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 先生から御指摘いただきましたように、四月八日に総務庁から中小卸売業小売業に関する行政監察結果に基づく勧告を受けました。本勧告では、一層の制度周知事務手続簡素化等を通じ、中小流通業対策関連予算の効果的かつ効率的な実施に努めるように指摘をされております。  当省といたしましては、今後とも本勧告趣旨を踏まえまして、一層の制度周知事務手続簡素化等を図り関連予算の効果的かつ効率的な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 石渡清元

    石渡清元君 それでは、今、大臣の御説明の中の第四の中小流通業対策から順次御質問を申し上げます。  まず、中小卸売業活性化対策についてでございますけれども、これは二つに分けますと、一つ地域中小卸売業連携促進事業、そしてもう一つ地域中小卸売業活性化推進事業及び広域中小卸売業活性化推進事業、この二つに分けられます。これはいずれも平成二年から四年までにかけて創設をされたものでございますけれども、決算を見ますと非常に多額の不用額を生じておりまして、特に平成年度におきましては、連携促進事業では三七・七%の不用額、こういうことでございますが、これは需要喚起に向けて積極的な動き働きかけというのがされているのかどうか、あるいは施策自体周知徹底が行われているのかどうか、こういったようなことに対して本年度予算というのはどのような改善をして取り組んでいるのか、その認識をお伺いします。
  8. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) ただいま御指摘をいただきました中小企業卸売業連携促進事業につきまして、予算執行の段階で不用額が立っているというのは委員の御指摘のとおりでございます。  この連携促進事業につきましては、実施主体都道府県あるいは政令市という形になっておりまして、関係卸売業者を参集させましていろいろな流通卸売業効率化につきまして議論をする、そういった予算でございます。  残念ながら、この時期におきましては景気の低迷等もございまして、なかなか実施あるいは実施率が上がってこなかったわけでございますが、今後私どもといたしましては、関係都道府県あるいは政令市、また中小企業関係団体中小企業事業団等々のパンフレット作成あるいは各地域での説明会開催等を通じまして、この予算実施効率を上げるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  9. 石渡清元

    石渡清元君 都道府県を通じてと言うのですが、都道府県から地域中小卸売業関係者に対する働きかけが十分ではなかったのではないか、あるいはその政策についての理解が十分行き届いていなかったんじゃないか、その辺についてはいかがでしょうか。
  10. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) 御指摘のように、関係団体政令市等々につきましては当然のことながら予算実施に鋭意努力をしてまいったわけでございますが、委員指摘のような点につきまして、今後、改善あるいはもっと積極的なPRに努めるべく中小企業庁としても指導をしてまいりたいと考えております。
  11. 石渡清元

    石渡清元君 二番目の地域活性化推進事業及び広域活性化推進事業につきましても同じように、特に広域活性化推進事業に至っては一〇〇%不用額と、こういうことでございます。これも十分理解を、そんなはずないわけでございまして、そういう意味で事業実施のための助言、指導というのをもう少し徹底させるような努力が必要ではないかと思いますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  12. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) 卸売業地域活性化推進事業及び広域卸売業活性化推進事業につきましては、確かに御指摘のような点がございます。これは一つには、中小企業物流効率化推進事業という平成四年にできました中小企業流通効率化促進法に基づきます別途の助成手段がございまして、こちらがかなり活用されているという実態にございます。  ただ、中小卸売業活性化推進事業につきましては、中小卸売業組合等主体となりまして、共同して情報化とかあるいは取引先へのサービス力強化等を含めました卸売業の総合的な活性化を図ることを目的にしております。  他方、物流効率化推進事業につきましては、先ほど申し上げましたように、法律に基づきます物流にスポットライトを当てました共同物流システム構築とか、あるいは受発注配送情報ネットワーク構築等物流機能強化のための、そこに的を絞った助成制度として活用されているわけでございます。  今後、こういった二種類推進事業につきまして、その趣旨についても、先ほど申し上げましたように、関係機関あるいは中小企業事業団通産局等々で十分な施策内容差別化につきましても理解を深めることによりまして、この両事業が柔順に活用されるように努力をしてまいりたいと思っております。
  13. 石渡清元

    石渡清元君 なぜお伺いするかといいますと、その二種類推進事業は非常に似ているんですね。そういう中で、たまたま答弁がありました物流効率化推進事業、これの方が補助単価が高い。したがって、見ていますと、そちらの物流効率化推進事業の方を先に利用している傾向がありますので、そういう面で二種類とかいろいろ答弁がありましたけれども、例えばそれぞれの事業に固有の役割があるのだったらそれをはっきり政策として説明しないと、それでなくても中小企業対策重点、これの中にもおびただしい数のいろいろな施策、これは結構なことなんですが、果たして中小企業者に対してどこまで理解をされているか。これが生かされないところが非常に残念でありますので、そういったような有効な使い方をどう周知徹底させるか、それをちょっとお答えください。
  14. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) ただいま御指摘の点は、中小企業施策全般についても当てはまる御指摘だと考えております。  先ほど申し上げましたように、物流効率化にポイントを絞った補助制度流通業の全体の合理化効率化を図るための補助制度につきましては、都道府県あるいは我々通産局あるいは関係中央会等団体を通じまして、その差異について十分な理解が得られるように、従前にも増しましてパンフレット作成あるいは説明会開催等を経まして、中小企業者理解が得られますように努力をしてまいりたいと思います。
  15. 石渡清元

    石渡清元君 次に、中小小売商業振興法による高度化事業でございますけれども、これも商業基盤等施設整備事業による補助金及び高度化融資による支援政策でございまして、新たに高度化事業計画の中に電子計算機利用経営管理計画及び商店街整備等支援計画が追加をされておりますけれども、これも何か制度的に十分浸透していないような、あるいはこれの利用率が少ないとするならば手続が非常に煩瑣ではないか。聞くところによると、提出書類の厚さが五センチに及ぶとか、それだけの提出書類が必要かどうか。そういったようなことで、政策関係申請書類、一層中小企業者利用しやすいように簡素化をすべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  16. 井田敏

    政府委員井田敏君) 中小企業庁におきましては、中小小売業者中小小売商業振興法に基づく認定を受けましてアーケード、駐車場等商店街基盤整備あるいは共同配送センター整備等を行う場合に、補助金あるいは中小企業事業団高度化融資等の各種の支援措置を行っているところでございますが、今御指摘ございましたように、中小企業庁といたしましては、少しでも多くの小売業者がこういったいろんな助成制度を活用いたしまして競争力強化に取り組むことができますようにすることが極めて大事だと思っております。そのためには手続簡素化しまして、助成制度利用しやすいものにするというのが重要であると考えておるところでございます。  この趣旨勧告もいただいておりますので、勧告を十分踏まえまして、今後ともパンフレット作成配布等による助成制度の一層の周知を図る、また中小小売商業振興法認定申請時に作成が必要となっております事業計画の期間の短縮を図る、あるいは申請者が、例えば高度化融資申請に必要な手続についてわかりやすいマニュアルをつくりまして簡単に申請しやすくするといった等、事務手続のより一層の簡素化を図ってまいる所存でございます。
  17. 石渡清元

    石渡清元君 今、勧告監察報告を踏まえて簡素化すると、そういうふうに言われなくても、中小、特に小規模事業者というのは非常に事務組織能力というのは薄いものですから、その辺のところをよく踏まえて、こっちから先取りしてその簡素化利用しやすいような方向を検討すべきではないかと思います。  それともう一つ都道府県へいろいろ委任をするわけでございまして、その場合に中小企業庁長官通達高度化認定要領等通商産業局同意を必要とする。これは金を出すのでどうしてもそれに対する担保とかそういうような書類で要求するのであろうかと思いますけれども、やはり都道府県に委任した以上はある程度利用については柔軟に任せた方がいいんじゃないか。通達というのは法律ではありませんので、法律ではないけれども、そういう通達である程度通産の方が縛るというような、あるいは範囲を狭めるようなことになってしまっては、せっかくの宝の持ちぐされになるようなそういう方向に行きはしないか、そういう懸念を持っておるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  18. 井田敏

    政府委員井田敏君) 商店街整備等に関しまして中小小売商業振興法に基づきます計画認定でございますが、都道府県知事が行うこととされているところでございます。ただ、具体的な認定に当たりましては、事業規模十億円以上のものなどに限りまして事前に通産局同意を得るということにしているのが現状でございます。これに対しまして、先般の行政監察におきましては、商店街整備及び共同店舗整備に関します計画認定につきましては通産局同意制度原則として廃止すべきではないかとの勧告を受けておるところでございます。  私どもといたしましては、今回の勧告趣旨を踏まえまして、今後これらの計画に関しましては、まず一つ事業規模が十億円以上のものにつきましても原則として通産局同意を不要としたいと考えておりますし、また中小小売商業振興法に基づきます高度化事業計画認定基準及び事務処理要領趣旨に即しました適切な運用を行うよう都道府県に対しまして一層の周知をいたしまして、地域の特性に応じました制度の適切な運営が可能となるように努めてまいりたいと考えております。
  19. 石渡清元

    石渡清元君 次に、商店街空き店舗対策事業についてお伺いいたします。  平成年度日本商工会議所調査によりますと、空き店舗を一〇%以上抱える商店街調査対象の三四・三%、三分の一以上、今後も増加するとしている商店街が五五・二%という数字を示しておりますが、この空き店舗対策に取り組んだということは私は非常に評価をしておるわけでございます。  今まではどちらかというと対症療法的な対策をやってきましたけれども、本年度からはこういったような経過を踏まえて新規空き店舗対策モデル事業等々が創設をされまして非常に期待をしておるわけでございますけれども、この情報というのは一つ商店街だけの情報ではなくて、これをさらに生かすために、私は、どこの商店街にどういったような空き店舗がある、あるいは別な商店街はこういう空き情報だ、地域社会でそういったような空き店舗情報というのがお互いに把握できるような、これは不動産取引業でないいわゆる商店街空き店舗専門センターのようなもの、あるいはそういったような情報交換ができるような仕組みをつくれば、さらにもっと応募がふえ、あるいは空き店舗対策充実につながっていくのではないかと思いますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  20. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) この商店街対策あるいは空き店舗対策というのは私ども現下経済状況の中で非常に厳しい状況にあると思います。そこで、何とかこの空き店舗につきましてはシャッターをあけることにして商店街全体の明るさというものを取り戻したいという観点から、平成年度予算案におきまして空き店舗対策モデル事業創設していこうということであるわけです。  ただいま委員指摘の、どこにどういう空き店舗があるかということを相互に情報流通するような形で物を考えろという御指摘、まことに適切な御指摘であろうかと存じます。私ども、今までこういった情報交換につきましては、各県庁所在地に設置されております小売商業支援センター、いわゆるリテール・サポート・センターでございますが、これを活用いたしまして、定期発行情報誌などに掲載をし、広く一般提供をいたしておるところでございます。また、各地の商店街振興組合商工会議所などにおきましても空き店舗情報提供というものをさらに一層行っていくということが、ただいまのお話を聞きまして必要性を痛感いたした次第でございます。  不動産業による情報というのではなくて、そういった公的な機関というものを通じた情報提供というものに今後ともいろいろと工夫をしながら努力をしてまいりたいと思っております。
  21. 石渡清元

    石渡清元君 ぜひひとつお願いいたします。その空き店舗情報需要側にいかにジャストインフォメーションで知らせるか、その工夫をされるとなお効果があるのではないかと思います。次に、情報化推進について幾つかお伺いをします。  平成年度中小企業対策重点事項となっております情報化推進についてでございますけれども地域中小企業製品技術情報等インターネットを通じて発信する事業を既に進めておりまして、今回新たにネットワーク関連情報化基盤整備事業あるいは中小企業国際情報ネットワーク事業を開始するということでございますけれども、具体的にどのような支援をしようとしているのか。あるいはネットワーク国際情報ネット、どういうふうに違うのか。
  22. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) ただいま御指摘のございました情報化基盤整備事業及び中小企業国際報ネットワーク事業につきまして、その差いかんという御質問をいただいたと思います。  情報化基盤整備事業につきましては、中小企業情報化を通じた事業発展の機会を円滑に獲得いたしまして、今後の情報化社会における就業形態取引形態変化に柔軟に適切に対応できるよう、地方公共団体が先進的な情報化モデル事業を行うことを促進する事業でございます。  具体的には、地方公共団体地域中小企業向けネットワークを使いました電子商取引の実験を行ったり、あるいはネットワーク上での企業広告実証試験等を行おうとする際に必要となりますコンピューターセンター施設整備に対しまして二分の一相当額を国から地方公共団体補助をさせていただくものでございます。  また、片や中小企業国際情報ネットワーク事業につきましては、昨年の二月に情報社会に関する関係閣僚会議というのがG7とEUの間で持たれたわけでございますが、この場で世界情報インフラ構想のメリットをわかりやすい形で人々に示すことを目的として実施されますG7共同プロジェクト合計で十一ございますが、その中の一部として本中小企業国際情報ネットワークというプロジェクト実施されているものでございます。  プロジェクト内容につきましては、距離や国境を越えて世界じゅうの中小企業が自由にそれぞれの技術情報あるいは製品に関する情報あるいはどういった人材があるかということについての人材等情報インターネット交換することを目的とするものでございます。我が国はその幹事国といたしまして、参加国中小企業情報インターネット上で公開するための場の設定、言いかえれば、プロジェクト参加国ホームページのリストを紹介いたしますホームページ作成するという点を幹事として担当しているところでございます。  平成年度予算で計上しておりますこの事業は、この情報交換の場を管理運営いたします情報処理振興事業協会を支援するための予算ということになっております。  なお、このプロジェクトの日本国内における受け皿といたしましては、全国に二十六カ所の中小企業地域情報センターにおいてインターネット利用推進事業平成年度から既に実施中でございます。これによりまして地域中小企業者インターネット利用して国内外との情報発信・交流を行うことを支援していく、そういったプロジェクトでございます。
  23. 石渡清元

    石渡清元君 非常にこれからはメディアを通じたいろいろな流通とか経済の形が変わってくると思います。ただ、これがもう全部広がってしまいますので、これからそれをどう生かしていくかということも非常に大事なことかと思います。  役所手続簡素化についてちょっと先ほど申し上げましたけれども、通産省行政窓口のオンライン化、これを三月二十六日、許認可事項の申請作業を簡略化するために、現状の紙による文書にかわってフロッピーディスクで情報提供する方法と、所定の用紙に必要事項を記入し、ファクシミリで送信する二種類の方法を四月から順次導入するというふうに発表しておりますけれども、これは非常に画期的なことだと思います。これからまたこの需要がふえてくると思いますけれども、その辺の将来展望についてお伺いをします。
  24. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘ございましたように、四月一日を期しまして、フロッピーディスク、それからファクシミリによる許認可等の申請の受け付けを開始したわけでございます。  具体的に申し上げますと、昨年三月に策定いたしました通産省行政情報化推進計画、こういう五カ年計画を定めまして、これに基づく第一弾ということで四月一日から実施したわけでございまして、電気事業法あるいは化学物質審査規制法等六法律四十様式につきまして、フロッピーディスクまたはファクシミリによる手続の受け付けを開始いたしたわけでございます。これによりまして民間企業との手続の負担は大幅に軽減するものと期待をいたしております。  それから、今後の取り扱いでございますが、この五カ年計画、さらに意欲的な具体的な電子申請というのを拡大していくようにということを決めておりますので、準備が整い次第、この六法律以外につきましても逐次拡大していきたいと、かように考えております。  御案内のように、平成二年に特許庁におきましては特許情報申請、すべてこれ電子化を行ったわけでございます。そういう意味では非常に早く手をつけておりますけれども、特許以外の分野も逐次これで浸透させていきたいと、このように考えております。
  25. 石渡清元

    石渡清元君 これが広まることは非常に結構なことなんですけれども、ただ問題点もあるわけでございます。例えば、従来の印鑑によるものが、印鑑にかわる認証をどういうふうに判定するのか。あるいはフロッピーに格納されているいわゆる電子データについては、その真偽ですね、その辺のところをどのように確保するのか。いわゆる情報のセキュリティーについて、例えばインターネット利用したオンライン申請の要望がこれから高まってくると思いますけれども、その辺の情報のセキュリティーの確保とか、あるいは認証についてはかなり厳正にやりませんと、これは混乱を生じたり、また不正が生じる可能性が非常にあると思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 許認可申請等が電子化されました場合に、提出された電子データの内容が真正であるかどうか、これをどのように認証するのかという点につきまして、今これが非常に重要な問題であるということは御指摘のとおりでございます。  具体的に、先ほど申し上げましたフロッピーディスクとファクシミリの例で申し上げますと、我々が四月一日から導入いたしました方式は、まずフロッピーディスクにつきましては、どういう項目についてそのフロッピーディスクにデータを入れておるかというものを全部記載いたしまして、それに申請者が記名、押印をした書類をフロッピーディスクと一緒に出させることにいたしておりまして、それが届け出られましたフロッピーディスクと一致しておればこれは本人のものであると、こういうふうな認証方式をとっておるわけでございます。  また、ファクシミリにつきましては、これもあらかじめファクシミリで届け出をしようとする方から具体的な使用ファクシミリの事前登録を我々の方にしていただきまして、それに基づきましてID番号とパスワードをファクシミリの届け出をしようとする人にあらかじめ与えておきまして、それを使いまして具体的なファクシミリの申請をしていただくと。それを受け付けましたら、我々は全く同じものを本人に再返送いたしまして、向こうでそれが間違いないかどうかを確認していただいてアイデンティファイをすると、こういうふうな認証方式を導入しておるわけでございます。  そういう意味では、御指摘の点については最大限の注意を払うような形で、省令に基づきまして今のような手続を改正して決めたわけでございます。
  27. 石渡清元

    石渡清元君 わかりました。  ただ、これは絶対盗まれないという確証というのはあるんでしょうか。よくそういうことがあったり、あるいはその暗号を使ったりいろんなケースがこれからどんどん日進月歩、このメディアの関係はしてまいりますので、その辺のところをかなり先取りをしないと。  何かパリのファッションショーのあれがインターネットを通じて盗まれてしまったとか、そういうことを最近のニュースで私は聞いておるのでございますけれども、その辺の厳正な方法というものを考えるべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  28. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 今申し上げましたファクシミリとフロッピィーディスクに基づきます具体的な申請につきましては、先ほど申し上げましたような手続をしっかりと踏みながら、かつそれが可能な範囲で拡大していきたいというふうに考えております。  御指摘のように、これをインターネットまで拡大いたしまして、これに基づいて具体的な申請あるいは許認可手続といったようなところまで拡大いたしますと、現在インターネットにつきましてはセキュリティーの問題についてなおかつ不安が幾つか指摘されており、御指摘のような事例もございます。  そんなこともございまして、一気にインターネット申請に持っていくまでにはまだまだ暗号技術のさらなる開発、さらにはいろんな取引形態がございますから、それに適した形での認証制度というのをそれなりにこれから研究して実験をしながらうまい当てはめをしていかなきゃいけないんじゃないか、こんなふうな研究課題が随分残っておるような気がいたしております。  したがいまして、そういうものも現在エレクトロニックコマースの実験その他を通じまして我々は勉強を進めておりますけれども、そういったものの、ある意味で確信が持てるような段階でインターネットに踏み切らざるを得ない、まだしばらく時間がかかるかと、このように考えております。
  29. 石渡清元

    石渡清元君 フロッピーディスクとファクシミリ、これはわかりましたけれども、これからはかなりインターネット利用が爆発的に増大するんじゃないか。現に取引あり、広告あり、あるいは雇用までやっておるわけでありますので、そういう面で早目早目の対策、特に中小企業というのは無防備ですので、そういう面でのセキュリティーについてもお考えをいただきたい。  と同時に、電子認証について民間会社がもうできてしまったんですね。日本ベリサイン株式会社という会社ができました。インターネット上でやりとりされる電子文書が、本来発出者が発出した真正な文書であるということを確認する電子認証、こういう会社ができて始まっておりますけれども、これを民間の会社だけに任せていいものかどうか。その辺の政府の考え方をお伺いします。
  30. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 先ほど申し上げましたように、インターネットを通じますこれからの各種の商取引、これは飛躍的に拡大していくだろうと思っておりますが、同時にその形態というのはケース・バイ・ケースでいろんなものが予想されると思っております。今、先生御指摘のありました、日本に初めてできました日本ベリサイン社の認証サービスでございますが、これも我々は実態をそれなりに把握いたしております。  ただ、現在インターネットで行われておりますいろんな商売を見てみますと、例えば非常に小範囲な当事者同士であらかじめ打ち合わせをして商売を行うと、インターネットを使おうと、こういう範囲で使おうではないかと、こういったような話し合いが行われて利用されているものもございます。  その場合に、必要最小限の相手の認証をする場合のいろんな技術というのを、例えばある認証を専門にする会社があって、そこにお互いに頼もうではないかと、こういうような話し合いができて行われる場合においては、これは民間当事者間の合意に基づくやり方でございますから、それはそれで非常にスムーズに進んでいくのではないかと、私はこういうふうに考えております。  ただ、これが非常に広範囲になってまいりまして、あるいはさらに公的部門がそれに関与するような場合、そういったようなものになった場合におきましては、もう少しシステマチックな認証にすべきではないかといったような議論がさらに必要になってくるだろうと思います。こういったような問題につきましては、例えばOECDの場なんかにおいても、国際的にそれをどうするかといったような話し合いが現に今行われております。  したがいまして、いろんな取引のケースに応じて認証の形態も変わってまいるものでございますから、それぞれについて最適な方法を見つけ出していかなきゃいかぬのじゃないか。御指摘の点は十分踏まえて勉強してまいりたいと思っております。
  31. 石渡清元

    石渡清元君 次に、産学連携についてお伺いをいたしますけれども新規創業あるいは技術開発支援策というのは本年度中小企業対策予算の目玉となっておるわけでございます。特に、中小企業人材とかノウハウ、研究施設が非常に不足をしておりまして、それが技術開発力の向上のネックになっておるわけでございますけれども、そういう中で、中小企業庁におきましては平成年度から地域産学官共同研究事業実施しておりますけれども、そのプロジェクトの進捗状況をまず御説明ください。
  32. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) 平成年度から予算化をしていただいております地域産学官共同研究プロジェクトの進捗状況でございますが、愛媛県において実施をされております金属系の新材料及び加工技術の開発を初めといたしまして、全国で現在八テーマを採択しているところでございます。  各テーマとも都府県が中心となりまして推進をされておるわけでございますが、各技術分野でのすぐれた研究開発成果を有する大学の研究者と新規事業分野の開拓に意欲を持たれておる中小企業者との密接な連携により、各事業とも順調に進んでいるものと我々は認識をいたしております。  また、平成年度予算案におきましても、新規分を含めまして対前年度比で二・五億円増の五・六億円を計上しているところでございます。
  33. 石渡清元

    石渡清元君 そのプロジェクトのテーマの選択はどこでどのように行われ、今八テーマという御答弁がありましたけれども、全体でどのぐらいの申請があって、それでどのような過程で八テーマになったのか。
  34. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) この地域産学官共同プロジェクトにつきましては大変評判がいいというか、需要の高い制度になりました。  具体的には、全国から十一のテーマの申請が出てきております。その技術的な内容あるいはある程度ブロック別での配分等々も考慮いたしましたが、技術的な面におきましては各技術専門家のお入りになっていただいた委員会でその採択についてやらせていただいております。
  35. 石渡清元

    石渡清元君 そして、本年度新たに中小企業産学技術交流促進事業創設をされておりますけれども、具体的にはどのようなプロジェクト、あるいは先ほどのあれとどういうふうに違うのか。
  36. 鴇田勝彦

    政府委員鴇田勝彦君) 八年度予算から予算化をお願いしております産学技術交流促進事業でございますが、この中身につきましては、中小企業者にとりまして大学とかあるいは公設の試験研究機関の敷居はややもすると大変高いものがございます。去る四月二十三日に閣議決定をしていただきまして国会に提出をいたしました平成年度版白書におきましても、昨年の七月の調査でございますが、中小企業者が何らかの形で大学等の研究機関と交流をされているというのはわずか三割程度にすぎない状態になってございます。  したがいまして、本産学技術交流促進事業におきましては大学と中小企業者との間の交流が活発に行われるということを目的といたしまして、まず第一には、大学の研究者及びその研究内容中小企業の方によく知ってもらうという点が第一点、また中小企業のすぐれた技術を大学の研究者にも知っていただくという点が第二点、第三点といたしまして共同研究や具体的な連携内容について個別に相談をしていただく場を提供する、以上の三つを目的といたしまして中小企業事業団が開催をすることにしているものでございます。  これによりまして、意欲を持たれた中小企業と大学との間で連携関係がさらに一層構築されまして、大学の有するすぐれた研究成果が中小企業の方々に移転されるということを強く期待しております。
  37. 石渡清元

    石渡清元君 ぜひひとつ事業団で広くもっともっと大学等の研究施設利用するような、そういう環境づくりをぜひしてもらいたいと思います。  と申しますのは、アメリカで産学共同研究の推進を国際競争力強化のための国策と位置づけまして、九二年に中小企業技術移転法、これを制定しておりまして、中小企業と大学、研究機関の研究員との共同プロジェクトに対して政府予算的にバックアップする、そういったような対策、これは中小企業と大学、中小企業に限ってかなり力を入れ始めた、こういう例もありますので、ぜひ我が国におきましても国際競争力を高める、あるいは高い政策目標から将来的にはそのような法制化をして中小企業の産学連携というのを進めるべきじゃないか。その辺についてはいかがでしょうか。
  38. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) これからは技術の時代なのではないかということで、中小企業にとりましても技術の重要性ということは非常に深く認識をされておるところでございます。そのためにも、御指摘のような産学あるいは産学官の連携というものを一層進めていくというこの認識はまことに正しい方向を示すものだろうというふうに思っております。  私ども、そういった観点から平成年度予算案におきまして、先ほど御説明申し上げました中小企業産学交流促進事業あるいは産学官の共同研究プロジェクト、こういったようなものに加えまして、新たに提案公募型で中小企業と学官との共同研究などを進めていこうという観点から中小企業創造基盤技術研究制度というものを創設させていただきたいということで計上をいたしておるところでございます。  したがって、こういったような具体的な制度充実ということによりまして中小企業と大学等との連携が一層密接になるものと期待をいたしておりますけれども、さらに我が国中小企業技術力向上のためにどのような制度が必要であろうかというようなことにつきましては、たゆまぬ研究努力というものを講じてまいりたいと思っております。
  39. 石渡清元

    石渡清元君 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思うんです。  それともう一つ、例えば通産省とか中小企業庁は何か会議、コンファレンスなんかやるときにその地域の大学キャンパスなどをどんどん利用して、アメリカなんかではよくそういう面で研究施設利用している。大学の主催じゃなくてもそういう場所でやっている。そういう傾向もありますし、またそういうような学生にも広く公開をする意味で、あるいは興味を、関心を持っていただく意味でもそういったような場所等についてもこれから研究機関、大学等をぜひ御利用いただくとよろしいのではないかと思います。  続きまして、地場産業振興対策についてお伺いをいたします。  新産業立地政策研究会が昨年七月に報告書をまとめ、これからの産業立地というのは非常に厳しくなる、あるいはもっともっと効率的に進めなければいけない、こういったようなことを報告しておりますけれども、この立地政策の見直し論議の中で地域産業、特に中小企業が集積している地場産業の振興はどのように位置づけられているのか。
  40. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 先生御指摘のように、昨年の夏に新産業立地研究会の報告書が出ておりますが、この研究会は円高基調の中でアジア経済の急速な進展、そういうものを背景といたしまして我が国企業活動がグローバル化、ボーダーレス化している。そういった状況の中で、産業立地につきましても今後どのような観点から展開していくのかということにつきましての報告でございます。  先生御指摘のように、中小企業を中心としました地場産業という視点はこの研究会の中では明確になっておりませんが、むしろ地域産業、地場産業を含めました地域産業全般につきまして地域の特性なり条件を生かしまして、従来の大企業企業誘致というよりも地域産業をどうやって高度化するか、その場合に地域の持つ技術人材、資金を含めまして地域づくりを効果的に行う、そういったことが今後大事なのではなかろうか。そういった意味で、内発的発展の中核といたしまして地域産業というものを位置づけ、地域産業の高度化が重要である、こういう認識に基づいた報告書が出ております。
  41. 石渡清元

    石渡清元君 時間が来ましたので最後の質問になろうかと思いますけれども、結局、地域産業と言うんですか、今の答弁で言えば。地域産業のポテンシャルを高めた新規立地を誘発、誘致する、これは結構なんですが、それによって逆に既存の中小企業が外へ出てしまったり追い込まれないような配慮も必要ではないか。  と同時に、この前同僚の齋藤議員も指摘されましたように、工業等制限法、これらも抜本的に見直しをしながら地域産業の振興をやろうと。これはもう神奈川県、横浜、川崎含めて、かつての京浜工業地帯がよみがえらなければいけないということで取り組みがスタートしたところでございますけれども、そういったような地域産業の振興策について、まとめ的にちょっと御答弁をいただいて、質問を終わります。
  42. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 先生御指摘の工場等制限法につきましては国土庁の主管の法律でございますので、私どもがお答えするのが適切かどうかということでございますけれども、地元の経済界からは、工場等制限法が中小企業を含めまして大都市の製造業の活性化に支障を来しているのではないか、そういった意味で工場等制限法の緩和についての強い要望があることは私どもも承知しております。  国土庁におきましても運用の改善をこれまで図ってきたわけでございますし、一般的に申しますと、中小企業が人口の増大をもたらさないという前提のもとで経営の合理化、共同化を行う場合には許可は可能でございますし、また昨年の春におきましては、工場団地におきましては作業場の面積を増大する場合にも人口増大を伴わない場合にはこれを許可するという形での運用改善を図っております。  ただ、これで十分かどうかという御指摘はございますし、私どももこれからの大都市の製造業の位置づけ、あるいは地域産業の空洞化の懸念ということを考えた場合に、産業立地政策の観点からもこの大都市の製造業のあり方につきまして検討する必要があろうかと思っておりまして、四月に産業構造審議会の中の産業立地部会におきまして今後の地域産業政策につきましての諮問がなされ、現在検討中でございますが、この産業立地部会におきましても大都市の製造業あるいは中小企業を含めまして、地域産業、地場産業のあり方につきまして、工場等制限法を含めましていろいろな規制がどうなっているか、この点につきましても検討をしてまいりたいと思っております。
  43. 石渡清元

    石渡清元君 終わります。
  44. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田でございます。  私は、小規模企業共済制度につきまして御質問いたしたいと思います。  私自身JAの組合長をいたしておりまして、小規模企業経営者と農業経営者がそれぞれ同じような立場にあるにもかかわらず、制度的に満たされていないという違いがありますことを日ごろからこれは何とか是正しなきゃならないなと思っておったわけでありますが、それは小規模経営者には共済制度があるけれども、農業経営者には共済制度がない。四十年にできて三十年間この制度がそれぞれ果たしてきた役割は非常に大きかったわけであります。法的にもこれは例外ではないということになっておりますが、この三十年間にそれが誕生していなかったということはどういうことなのかというのが一点であります。  二点目は、総務庁もこれは農林省と通産省と協議をしてその対応をすべく勧告をいたしておるようでありますが、この三十年間にわたりまして共済制度実施状況といいますか、そして成果、まずその点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 井田敏

    政府委員井田敏君) まず、農業者につきましてはどうしてこの小規模企業共済制度の恩恵が受けられないのかといった趣旨の御質問でございます。  これは、農業を営まれます個人事業主あるいは農業生産法人の役員等の農業者につきましてもこの小規模企業共済制度への加入が法的には排除されているものではございません。しかしながら、農業者に係る各種の施策につきましては農林水産省の方で独自の施策を総合的に展開されているという等の経緯がございまして、運用上その加入対象にしてこなかったところでございます。  実績はどうかというお尋ねでございますが、昭和四十年に始めまして、平成年度末でございますが、毎年大体十二、三万件の加入がございます。合計で二百二十五万件ぐらいの件数の在籍者になっておりまして、かなり小規模企業経営者にとって廃業等に備えた共済制度として十分な御活用をいただいているというふうに認識いたしているところでございます。
  46. 阿曽田清

    阿曽田清君 これは数字的には三十年間毎月一万円ずつ出すことによって一千二百六十万ほど廃業する時点でもらえるということであります。このことは大変励みになることでもありますし、小規模経営者と同じように農業者の方々も六十になって後継者に渡す、あるいはもう後継ぎがいないというのが非常に多いわけでありますから、そういう小規模経営者と同じような立場に立っておるのが実態ではないかと思うんです。農林省でそういう取り組みが多角的に取り扱われるということで、いわゆる通産省・中小企業庁では取り扱いをされていなかったということでありますから、まさに農林省は怠慢であったんだなと、私からはそう言いたいくらいであります。  したがいまして、この小規模企業共済制度に改めて農業者を受け入れていく、認めていくというようなことについてのお考えはいかがでございますか。
  47. 井田敏

    政府委員井田敏君) 過去の経緯につきましては今申し上げたところでございますが、最近になりまして、ことしの一月でございますが、総務庁の農業担い手対策に関する行政監察勧告が出ております。  これによりますと、昨今の農業者をめぐる状況等を勘案しまして、先生御指摘の今のような点を踏まえて、農業者につきましてもこういった小規模共済制度への加入をまず農水省におきまして通産省との間で所要の検討、調整を行い積極的に取り組むように、また通産省に対しましては、小規模企業共済制度の健全な運営に留意しつつも所要の検討、調整を進めるようにという趣旨勧告をいただきました。  これを踏まえまして、ことしの三月に開かれました中小企業政策審議会の共済制度委員会におきまして、八年度中にもこの小規模共済制度に農業者の加入を認めるという方向審議をいたしまして、お認めいただきましたので、ただいまその方向で準備を進めているところでございます。
  48. 阿曽田清

    阿曽田清君 大変前向きの御答弁をいただきましてうれしく思う次第でありますが、八年度中にということでございます。  大臣、大体その受け入れの時期といいますか、実施スケジュールということで、恐らく農業経営者の方々に一つの時期の設定をすることによって普及し、理解を得て御参加いただくということができるだろうと思うわけでありますが、八年度中といいますとまだ大分非常に不透明でありますが、大体どの時期に受け入れる準備ができ上がってスタートするか、具体的にその目標日といいますか、実施日をお聞かせいただければありがたいと思います。
  49. 井田敏

    政府委員井田敏君) ただいま農業者の加入につきまして農林水産省との間で準備を進めております。例えば、農業者をどのように確認するのか、あるいは農業者の場合の廃業の形態、どういう場合に加入された後脱退をされる種類としてあり得るのか、こういった各種の準備を今、農水省と通産省との間で行っております。  したがって、いつごろかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、こうした事前の事務的な準備が整い次第、ある程度制度のPRに必要な一定の準備期間というのは必要ではございますが、できる限り八年度中の早い期間に加入対象として加えたい、このように考えているところでございます。
  50. 阿曽田清

    阿曽田清君 早い時期にということですから、早い時期だったら今五月ですから七月ということで想定してもよろしいのか、いや、その早い時期は余り早過ぎるということで十月ぐらいになるのか、大体そういうところのめどを改めてお聞かせいただきたいということが一点。  それから、この実施に当たりまして、今までは商工会が窓口でありますし、あるいは青色申告会等が窓口になっているということでお聞きをいたしております。一番そういう面で総合的に各農業経営者の方々をつかんでおるといいますか、実態をつかんでおるのはやはり総合的な機能を持つ農協ではなかろうかなと思うわけであります。農協にも信用事業を持っておりますし、いろんな指導事業等を持っております。農業者の青色申告会の窓口でもあります。  そういう観点からすると、何も商工会と青色申告会等々の窓口設定に限らず、農協の窓口ということもあり得るんじゃなかろうかと思いますが、そういう窓口の問題についてはいかがお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 井田敏

    政府委員井田敏君) まず、農業者加入の目途でございますが、なかなか今の準備状況、なるべく早く急ぎたいと思いますが、具体的にいっと今申し上げるのは難しゅうございますが、できる限り早くというふうに考えておるところでございます。  それから、農協をいわゆる委託団体に加えるべきではないかという御質問でございます。  今現在、この共済制度運営主体中小企業事業団が行っているところでございますが、小規模企業共済の業務を円滑に進めるために、全国にあります数多くの金融機関あるいは事業団体に対しましてこうした共済金の掛金の収納等の業務の一部を委託いたしまして、全国の小規模企業者あるいは共済契約者の便宜を図ってきているところでございます。  現在、ちょっと具体的に申し上げますと、全国に金融機関、委託団体、例えば都市銀行、信託銀行、地方銀行等々の金融機関、それから商工会議所、商工会連合会、全国中小企業団体中央会、こういった各種の団体合わせまして窓口が全国津々浦々三万三千カ所以上設けられているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、仮に新しく、農業者がどの程度お入りになるかわかりませんが、農業者が加入ということになりました場合におきましても、こうした全国の三万三千カ所、もう全国津々浦々あるわけでございますので、従来と同様、実務上特段の支障を来すことなく対応が可能と考えておるわけでございます。  また、この委託先の選定につきましては、かつて中小企業政策審議会から意見具申をいただいております。その趣旨は、新しく委託先を増加するというよりは、むしろ既存のいろんな委託先があるので、その委託先間の連携の強化を図ることによって事務効率化を図るべきである、いたずらに委託先をふやすべきではないと、こういった趣旨の答申でございます。  こういったことをあわせ考えますと、私どもといたしましては、今のままで十分ではないか、委託団体を新たに増加させる必要はないのではないかというふうに考えているところでございます。
  52. 阿曽田清

    阿曽田清君 なぜ私、窓口を農協にと申し上げましたのは、今御答弁中小企業政策審議会でそのような答申がなされておる。これは昭和五十七年度に出されておるわけでありますから、もう既に十年以上経過をしております。かつまた、農業者にもこのような共済制度の加入の道を開けという、そういう総務庁からの勧告はその後でもございます。そういうようなことからすれば相当環境の変化が起こってきておるわけでありますから、そういう意味において窓口を何も五十七年に中小企業政策審議会で出されたものを踏襲する必要はないのじゃなかろうか。むしろ、機能的に全国津々浦々ということを申されましたが、全国津々浦々、関係者のいるところに関係機関があるというのは、私は農協の組織だろうというふうに思います。  そういう意味において、十数年前の中小企業政策審議会の答申のもとをこれからも踏襲していこうとされることは余りにも時代錯誤じゃなかろうかなというふうに思いますし、また認定等の問題についても当然そういう機関が、ちゃんとしたものが窓口と認定とが一体となった形の方が望ましいのじゃないかというふうにも思いますので、再考を促したいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  53. 井田敏

    政府委員井田敏君) 五十七年の答申ではないかという御指摘もございますが、先ほど申し上げましたように、日常私ども、この今の三万三千カ所が十分機能しておりまして、また農水省のお話の様子からしますと、加入農業者の数もそんなに大きくないというふうにも仄聞しておるところでございまして、実務上問題なく対応可能というふうに考えておるところでございます。
  54. 阿曽田清

    阿曽田清君 私とかなり考え方が違うような感じがいたします。私、若い後継者の方々にこういうようなこと等が農業者にも適用になったらどうだというお話をいたしますと、大変後継者の方々、それに対する期待がございます。私どもと同じ混住社会の中で、そして勤めておる方々の将来はこういう制度が六十になったらあるんだよ、農業者にはないんだということに対して、一つの何か自分たちが虐げられていると言ってはなんだけれども、冷や飯を食っているような感じを持つと、それが適用になると本当に励みになる、そういうことを若い方々はよく言っておるわけであります。  もう少し別な観点から、労働省管轄の農業労災制度の問題等も農業者の方々には十分に適用されていない。そういうもの等が備わって初めて勤労者の方々といわゆる農業の若い働き手、担い手の方々が勤労者と同じ生活保障というものを受けられるということになると、私は農業をする後継者も本当に意欲を持って取り組んでくることになるだろうと思うんですが、今それだけの差があるということはどうも冷遇されておる、そう言ってもいいのではないかというのが今の実態じゃないかと思います。  中小企業庁としては中小企業者をまず第一にと考えられるのはよくわかるわけですが、総務庁からこのたびそういう勧告があって、農業経営者にもそういう道をということであるならば、私は同じような思いの中で中小企業経営者も農業経営者も同等のレベルで私は対応していただきたいなと願うわけでございます。  それから次に、極端に言うと、退職金ということを言わせていただければ、この共済金そのものが一千二百六十万であったのが、こういう低金利のもとであるからということで何か改正されるような話でもございます。聞くところによりますと、一千二百六十万、これが三十年間毎月一万円ずつためてきた人がいただける。それがこの低金利の時代になったのでなかなか運用資金等がうまく回らないということもあって七百八十万程度に、約五百万ほど下がるということであると聞いております。  そうなりますと、二段階制で急激な落ち込みを防ぐということ等も考えておられるやに聞いてはおりますが、新しく入る人たちに対する魅力というものが私は欠けてくるのではなかろうかなと。これは中小企業者の方々にとりましても、新しく入ろうとする方々にとっても、三十年間積み立ててさておいて、三十年後にたった二倍ぐらいにしかならないのかなと。こういうことでは受け取るときに余り、三十年後七百八十万程度では何かありがたみを感じる金額にならぬのじゃなかろうかなという気がいたすわけでございます。  これは互助会的なものであって退職金がわりというものとは違いますよと言えばそれまででありますけれども、やはり三十年間積み立ててさておいて、やっぱりためておいてよかったなと言われるにはそれなりの、当初一千二百六十万であれば大体三倍から四倍ぐらいもらえたわけでありますが、今度は二倍ぐらいになっちゃうということであれば、私は本当の魅力ある制度になり得るのかなという心配をいたします。  ですから、互助会方式であれ少なくとも国のバックアップというのが私は必要ではないか、中小企業事業団の方に国からの援助というものは必要ではないかなというふうに感ずるわけでありますが、これは無理な話でしょうか。将来考えられないことなんでしょうか。お答えを願いたいと思います。
  55. 井田敏

    政府委員井田敏君) まず、改めてもう一度この趣旨を申し上げたいと思うんですが、この共済制度は相互扶助の精神に基づいて運営しておりますが、あくまでこの基本は、突然個人事業主が亡くなられたりあるいは廃業と、こういった場合に小規模企業者をお互いに助け合おうというための制度でございまして、先生御指摘のような積み立てで貯蓄というような色彩の制度ではないというのが基本的なところでございまして、御理解をいただきたいと思います。  また、かつては千二百万以上もらえたのに今の計算ではそんなにいかないではないかというお話でございますが、これも現下の低金利状況を踏まえまして平成年度からは新方式で四%の運用、それに金利変動に応じた付加金が乗るという二階建てになったわけでございまして、これもあくまで今年度四%と決めたわけでございまして、未来永劫この四でいくわけでもございません。仮にこの四で計算したら今おっしゃるような八百万弱の共済金が死亡の際にいただけるということであるわけでございまして、この辺もよろしく御理解をいただきたいと思います。  また、国費を投入してはどうかといったお尋ねでございますが、先ほどから申し上げておりますように、小規模企業者がお互いに助け合う相互扶助の考え、そのための掛金を掛けまして、それを原資として運営していくという制度趣旨、性格から考えますと、国費を投入して広く一般国民に負担を求めるやり方というのは私どもとしては必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。
  56. 阿曽田清

    阿曽田清君 この制度の活用につきまして、かなり私の期待するところと中小企業庁の取り組もうとされているところに開きがございますので、今後さらにひとつ勉強させていただき、かつ御議論させていただきたいと思います。  次に入りますが、商工会の問題につきまして質問させていただきます。  熊本県に九十四商工会議所と商工会とがございます。そこにそれぞれアンケート調査を全部出しまして、ここにアンケート調査の結果をまとめたわけでありますが、これを一々取り上げてやっていますと時間が何時間あっても足りませんので、かいつまんで一、二質問させていただきたいと思います。  県下の商工会、商工会議所に商工会行政についてのアンケートを行いました結果、今の行政の状態で満足しているか、まあ満足している、まあまあ満足しているという回答をした人が一九%でありました。これは熊本県下の九十四商工会議所と商工会です。満足していないという人が七五%あったんです。回答なしが六%でした。その中で特に多かったのは財源問題でありまして、特に人件費が少ないということと、それから人数が足らない、さらに待遇面が不足しているというようなことから、総じて人件費の問題について満足していないというところが多かったわけでありますが、これは指導員の方々なりが優遇されていないといいますか、そんなところにあるのではないかなというふうに思うんですが、その点どのようにお考えになっておるかということが一点。  それから、事業展開の上で規制緩和ということで、スーパーが出店することによって十軒いわゆる既存の商店がつぶれると言われるくらいでありますが、大型店だったらもっとひどいということで、倒産に追い込まれたりあるいは商店が衰退するということが至るところに起こっておる。自由競争だからそれまでだということで片づけられる面もありましょうけれども、商工会の立場からするとそういうわけにはいかぬ、何とか守ってやらなきゃならない、商工業者のとりでにならなきゃならぬ、よりどころにならなきゃならぬ。そういうことから、商工会自身も今までの延長線上じゃなくて、新しい取り組みというものをここで行わなければ商工会に対する期待感というのはだんだん薄れてしまうのじゃないかというふうに思うわけであります。  したがいまして、商工会の新たなる育成というものをどのようにお考えになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  57. 井田敏

    政府委員井田敏君) 我が国中小企業の約八割を占めます小規模企業が経営を安定させていく環境を整備していくというのは極めて重要課題の一つ認識しております。したがいまして、従来から、経営基盤の脆弱な小規模企業の経営の改善推進するために、全国の市町村にございます商工会あるいは商工会議所経営指導員を配置いたしまして、金融、税務、経営、各種の相談、指導、こういったことを初めとしまして地域活性化支援のための施策を講じてきたところでございます。  お尋ねの経営指導員につきまして人件費が足りないという御指摘でございますが、基本的にはこの経営指導員の人件費につきましては地方交付税、いわゆる一般財源化ということで地方交付税で見ることにしたわけでございまして、国費で見ておりますのは事務局長等の設置費を中心として一部のものになっているところでございます。  例えば、今御審議いただいております八年度予算案におきましても、大変この予算厳しい中でも、この小規模事業指導補助金につきましては対前年度比で二・七%増、総額で二百二十億円を確保いたしているところでございまして、うち人件費も、補助対象職員につきましては前年度比六千八百万円増の四十一億四千八百万、最大限の努力をいたしているところでございまして、御理解を賜りたいと思います。  また、御指摘の規制緩和等、大型店、スーパーの進出によって商店街が非常に衰退している。商工会がもっと頑張るべきではないか。全く御指摘のとおりでございまして、私ども商工会活動、先ほど申し上げました各種の相談、指導に当たっているわけでございますが、今後は新規創業も含めまして事業転換その他に係る技術面も含めた各般の指導を行いますよう、改めてこの経営指導員の研修事業にも力を入れ、経営指導員の資質の向上を図りつつ商工会活動を充実させていきたい、かように考えているところでございます。
  58. 阿曽田清

    阿曽田清君 商工行政につきましてはこれだけそれぞれ意向をずっと取り続けましたので、もう限りないほど要望が出てまいっておりまして、これを一々取り上げると切りがありませんので、後日またゆっくり勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  余り時間がありませんので事務的なことになりますけれども、一、二、労働時間につきましての御質問をさせていただきたいと思います。  時短の問題でありますけれども、来年の三月で一応猶予期間が終わりまして、四月から四十時間という、そういう体制が罰則規定を裏づけて実行されるということであります。先ほど申し上げましたように農協もまたその例外ではありませんで、四十時間へ移行させられておるわけであります。リストラをしなければ経営がうまくやっていけない、そのリストラをやらせた上でかつまたサービスを旨とする組合も労働時間を短縮しなさい、こういうことであります。  また、私個人的にも冷凍食品会社を経営しておるわけでありますが、それもまさに人海戦術の会社でございますけれども、時短で大変経営に影響を受けておりまして、赤字覚悟で時間短縮をしなきゃならぬのかというような事態に立たされておるわけでございます。  この三月までの猶予期間、まだまだ不景気でありますから、猶予期間を延ばしていただくということはできないのかというのが一点であります。さらにまた、接客娯楽事業、そういう特殊性のふるものについては四十六時間の特例措置がありますけれども、これも特殊性にかんがみて四十六時間体制をしばらくまだ猶予期間が置けないのかということと、特例措置の適用をさらにふやしていただいて、製造業、建設業に対しても適用可能にその範囲をふやしていただくことはできないのかというようなことについて、三点お聞かせをいただければと思います。
  59. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) この労働時間の短縮の問題は大変大事な問題であろうかと思います。  基本的な考え方といたしましては、やはりゆとりと豊かさが実感できる社会を実現する。そのためにも、また産業の国際的な調和を確保していくというためにも、ぜひこの短縮ということはやつていかなければならない課題であろうというふうに認識はしておるところでございます。また、こういった状況ができ上がれば、中小企業者の労働力の確保という観点からしても非常に重要な課題であるという基本的な認識は持っておるつもりでございます。  しかしながら、現下の経済情勢等を含めまして、最近中小企業者から切実な声が上がってきております。私自身もできるだけ現場の声を聞きたいということで日本各地に出向きました際にも、この問題何とかならないかと、このままでいきますと、来年の四月から四十時間ということになるわけでありますけれども、何とかならないかという切実な声を聞いてございます。中小企業者のこの何とかならないかという声につきましては、大きく言いますと四点だろうと思うんです。  第一点は、確かにこのままですと、来年四月からいくんだという法律上の制度になっているわけでございます。こういう制度になったときに、中小企業者としても頑張るだけは頑張ってみたいけれども、その時点で中小企業に対する四十時間制の適用については中小企業の実態等を勘案してもう一度検討していただけるのではないか、こういうような理解があって、頑張ることは頑張るけれども、その点の実態をよく見てほしいんだという経緯についての考え方が一つ。  それから第二点は、実態についての認識でございますけれども、昨年行われました労働省の調査、あるいは商工会、商工会議所調査によりましても、四十時間を達成している達成率というのは非常に低い情勢、こういったような情勢になってございます。そして、これが週四十時間ということになりますと、単純計算ということでいいますと一二・五%の賃上げと同じ効果が出てくるわけで、こうした負担というものにはとても耐えられるような体力が現在の中小企業にはないんだと、こういうような御意見が二点目かと思います。  それから三点目は、ゆとりと豊かさが求められるという観点からの制度が、違反したら直接罰則の適用になる、こういう形であるのが適当なのであろうかどうか、こういう観点からの御意見というものもあろうと思います。  それから第四点は、言われましたように四十六時間特例制度、これの延長並びに製造業とか建設業とか、おっしゃるようにそういった業種への拡大というようなこともぜひやっていただきたい、こういうようなことでございます。  私どもはこの問題、政府部内におきましては労働省が中心になりましてどうするかということをお決めになることだと思いますけれども、私どもとしましては、こういった中小企業者の声というものを十分お酌み取りいただきまして、混乱のない形で時短の努力というものを続けていくということができたらというふうに考えておるところでございます。
  60. 阿曽田清

    阿曽田清君 ありがとうございます。労働省にかかわる話でございますが、中小企業庁としては、中小企業経営者を守るといいますか、育成するという観点の中で、どうぞひとつ今お話しいただきましたことを実施できますように、労働省とのかけ合いをよろしくお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  61. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。よろしくお願いいたします。  平成年度中小企業対策関係予算、そして財政投融資計画の御説明を受けました。大変短い時間でもございますので限られた点にのみ指摘をさせていただきまして、ぜひこれからの中小企業対策施策についてより充実、そしてまた強化をしていただきたいということで述べさせていただきたいと思います。  主として公正取引委員会とやりとりをさせていただきますけれども、通産大臣にお座りいただいております。最後に、通産大臣として全体の商工行政を預かる立場としての所感も伺いたいというふうに思いますので、ぜひやりとりについて聞いていただければというふうに思います。  きょうの大臣の提案説明の中でも、とりわけ第四の中小流通業活性化を強調されておりました。私は、ここでこの消費者行動変化価格競争の激化、さらに空き店舗問題の顕在化等著しい環境変化に直面している中小流通業者、こういう業者がこうした環境変化に円滑に対応していけるようにというさまざまな施策を出していることについて、そして総体的な予算についてはもちろん賛成する立場ではございます。  私はそういった前段の立場でございますが、まずやはり現行の商取引が、消費者から営業利益を受けるためにいわゆる獲得競争がエスカレートをしていくということ、そういった中で誇大広告とか虚偽表示が行われることになれば、消費者の適正な判断をゆがめていくことは当たり前のことだというふうに思います。  そういった意味で、公正取引委員会では、不当景品類及び不当表示防止法等の法律について「表示と景品のルール」という冊子を発行して、いろいろ業者あるいは消費者に対しても教唆といいましょうか、指導をしているというふうに思います。  そこで、まず第一点目でございますけれども、この公正取引委員会中小事業者の事業活動に影響を及ぼすことになる誇大広告、虚偽表示、近年と申しますか、最近におけます景品表示法の運用状況についてお伺いさせていただきたいと思います。
  62. 和泉澤衞

    説明員和泉澤衞君) 公正取引委員会でございます。  虚偽、誇大な不当表示や過大な景品提供による不当な顧客誘引行為、これを防止しまして公正かつ自由な競争を維持促進するということは、中小企業を含めましてそれぞれの事業者が自由な事業活動を行うことができる基盤の確保にも資するものと考えられるところでございます。公正取引委員会といたしましては、従来から景品表示法に基づきまして不当表示や過大景品の提供、これの規制に積極的に取り組んできておるところでございます。  内容についてのお尋ねでございますので、平成年度におきまする状況をちょっと申し上げたいと思います。  公正取引委員会が排除命令、法的措置をとりました案件は三件、それから警告を行いました事件は六百九件になっております。排除命令を行いました三件はすべて不当表示案件でございます。  このうち二件につきましては、大手の宝石貴金属販売業者及び大手の紳士服の販売業者による不当な二重価格表示事件でございます。いずれも客観的な根拠のない比較対照価格を書きまして、実際の販売価格が著しく安いかのように見せかける表示を行っていたものでございます。  残る一件につきましては、ミシンの販売業者によるおとり広告に関する不当表示事件でございます。テレビ広告などにおきまして八千円という非常に安い価格で販売する旨の広告を行っておりますが、この広告のミシンの注文者に対しまして、注文のミシンの購入意欲を失わせるようにいろいろとしむけまして、別の高価なミシンを購入するよう勧めていたものでございます。合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合、これについての表示ということでおとり広告に該当するということでございます。  警告を行いました事件の内訳でございますけれども、表示関係が三百二十五件、景品関係が二百八十四件となっております。このうち表示の関係でございますけれども、商品の効能効果に関する不当表示、あるいは消費者の健康、本物志向に便乗した不当表示が増加をしておるという状況でございます。  なお、景品表示法の運用は都道府県でも行っておるところでございますが、平成年度上半期で都道府県において注意を行いましたものは九百八十六件となっております。  公取委員会といたしましては、不当な顧客誘引を防止するため、今後とも引き続き景品表示法の適切な運用に努めてまいる考えでございます。
  63. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いただきました資料の中に、今、平成年度の水準を伺いましたけれども平成四年、五年、六年を見ますと、毎年のように公取委の方からの排除命令、警告、そして都道府県を加えますと三千件、四千件がずっと出ているわけですね。この数字を見ますと、内容はいろいろ違う意味が当然あるのかもわかりませんけれども、公取委員会が違反事件を処理し、そしてさらにそれを消費者に、あるいは中小業者に、こういうことについてはいけないよということをやっているんでしょうけれども、後を絶たないということについて、例えば処理結果について消費者だとか中小業者にどういうような対応をしているのかということについて、毎年毎年しているということになると、何かずっと続けていて毎年幾らやったって三千件、四千件出てきますよということになりますと、表示法違反事件の処理はずっと尽きないのだろうかということになっていくわけですね。  ですから、そちらの方で処理をしたということについて、後処理について、全国的にそういったことについて周知をしていくということについてはどういうルールでやられておるのか、どういうことなのかということについてお聞かせいただけますか。
  64. 和泉澤衞

    説明員和泉澤衞君) 二つお答えを申し上げます。  一つは、これは違反ではないかというような具体的な事実を添えまして申し出がございました場合には、その措置の結果というところを、申告というふうに我々申しておりますけれども、申告に対しては通知を申し上げるということが一点目でございます。  それから、現実に違反行為あるいは不当表示を行った事業者に対しましては厳正に対応いたしておりまして、特に累犯あるいは重大な違反ということが生じないように常に目を光らせるということになっております。  ただ、お話のとおり、大手の量販店等々を含めまして大変数が多いという中で、私ども公正取引委員会また都道府県の担当職員というところで指導あるいは注意に当たっているわけでございますけれども、御趣旨を体しまして、不当表示が生じないよう、また累犯、重要な違反が生じないよう一層努めてまいる考えでございます。
  65. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、私は、具体的な事業と申しましょうか、についてお伺いさせていただきたいんですが、昨年の八月に全国電機商業組合連合会が公正取引委員会に、これこれこういうことについては景品表示法違反ではないかということについて何点か例示をしながら指摘をしているというふうに思います。そして、その結果、公取の方では、その調査をした後、表示法違反であると、表示法に基づきまして手続なり処理をされているというふうに思いますが、どういうような内容指摘があり、そしてどのようなことをその電機商業組合連合会の指摘に基づいた対応をする業者に対して処理をしたのかということについては、時間の関係もございますので、要約で結構ですので、内容についてお伺いしたいと思います。
  66. 和泉澤衞

    説明員和泉澤衞君) お尋ねの件につきましては、昨年の八月に、おっしゃられた電機商業組合連合会から申告があったものでございまして、平成七年、昨年十二月に警告をいたしておるところでございます。  内容といたしましては、大手の家電量販店が新聞折り込みビラにおきまして、特定の家電品についてですが、実際にはそのうちの一部の商品しか割引されていないにもかかわらず全品が大幅に割引されているかのように表示をしておりまして、このような表示は一般消費者に著しく有利だと誤認されるおそれがございますので、景品表示法第四条第二号に違反するおそれがあるということから、今後そのような表示を行わないよう警告を行っているところでございます。また、この旨は、先ほどの申告人の方にも通知を申し上げておるところでございます。
  67. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それは昨年の七月の処理の内容だというふうに思います。しかし、ことし、今もそうですけれども、私の家庭でももちろんそうですけれども、それぞれ皆さん方こちらにいらっしゃる方の中でも、一度なり二度はそういう広告、チラシを見たというふうな方もいらっしゃると思います。また、チラシを見ていなくても、全国紙にも「家電量販店安売り商戦」ということで、例えば「徹夜の行列組に中・高生らの姿」という新聞記事をごらんになっていらっしゃる方もおりますので、実は御案内ではないかというふうに思います。  一部の家電量販店、大型店が、このテレビは一円でということで限定、数はあるにしても、これはとにかく価格なんだろうかということについて、実はもう価格以前という、おとりという言葉にもならないくらいな不当表示ということで商行為に及んでいるということについて、同様に私も電機商業組合連合会が公正取引委員会に対応を求めているというふうに伺っております。  特に、この連合会では、私どもの聞いたときでは、北関東地区でYKKというようなイニシャルをとってそれぞれの店名を出して、そんなような店舗名も出しておりますが、ここでは私は具体的な店舗名は申しませんし、実はチラシを持っているんですけれども、この一円セール、ちょっと前までは五円セールみたいなのがございました。健全な商行為であるのだろうかということ。そしてまた、先ほど冒頭に言いました、私は小売店舗対策とか空き店舗対策をやっているけれども、大型店舗がこのようなことをずっとやっていれば、もう小売店舗なんかに買いに行く人はいないということであり、そして私自身、先ほどの石渡議員と同様に神奈川県でございますが、かつて千店舗以上あった家電業は今や六百台になっているというふうに実は神奈川県の業界でも聞いております。  消費者がやはり安いものに飛びつくというのは当たり前のことだと思いますが、中高生が徹夜で二晩も三晩もということになると、商品と価格と教育の問題まであろうし、メーカーも果たしてそういうことについてどういうふうに思っているのだろうかということもあるわけで、これは非常に多角的な問題だというふうに私は思います。  幾つかの問題点はございますけれども、一円などといった著しい低価格で販売しているこういう家電量販店、この問題についての公正取引委員会の検討状況について伺いたいと思います。
  68. 鈴木恭蔵

    説明員鈴木恭蔵君) 企業が創意工夫によりまして、効率性によって低い値段で商品を提供するというのではなくて、採算を度外視しました著しく低い値段で商品を販売することによってお客を不当に誘引するということ、こういったものは御指摘のとおり正常な競争手段とは評価できぬ、独占禁止法上、不当廉売として規制の対象になるわけでございます。  独占禁止法で規制されております不当廉売といいますのは、一般的には正当な理由がないのに供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することによりまして他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合、こういったものをいうのでございます。  個別、具体的な事案それぞれにつきまして不当廉売かどうかということにつきましては、もちろんそれぞれの事案の内容に即して判断される必要があるわけでございますが、ただいま先生御指摘の家電製品を一円などといった非常に安い値段で販売する行為、これにつきましては独占禁止法の先ほど申した不当廉売、これに該当するおそれがあるのではないかということで、私ども目下調査を行っているところでございます。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その調査結果はいつ出るんですか。
  70. 鈴木恭蔵

    説明員鈴木恭蔵君) 大変申しわけございませんが、現在調査を行っているところでございまして、その内容とか進捗状況、こういったものにつきましてはちょっと今お答えを差し控えさせていただきたいのでございますが、できるだけ早くこの結果を得たいと思っております。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私の持っているチラシは、ことしの二月の東京の西町田店ですね。それから、先ほどの新聞のこの「中・高生らの姿」というのは四月、先月の新聞記事です。一円というのはたまたま今私ここに出しましたけれども、五円とかどうかということに警告したのは去年の例であるわけですね。現行法に照らして当然そちらの方は取り扱うんでしょうけれども、少なくとも現行法で現状の置かれていることについてもし対応できないような、法体系でもし不利、不利と申しましょうか、消費者にとってよろしくないということについてならば、少なくともその法改正も含めて私は早急な対応をすべきだというふうに思います。  そこで、先ほど冒頭に、大臣にやりとりを聞いていてということで最後に所感をお伺いしたいということで話をさせていただきましたけれども、この法改正につきましては別にしましても、私はたまたま一円セールとか言いましたけれども、もともと業界が指摘をしていますのは、いわゆるメーカー希望小売価格というのがございますね。その希望小売価格のあるパーセンテージ以下のいわゆる仕入れ値というのがメーカーから来るんですが、その仕入れ値以下でいつも量販店から販売をしているということになると一体価格というのは何だろうか、何なんだろうかということになるわけだし、小売商とメーカーとの関係は何だろうということになりまして、もはや小売商というのは商行為として成り立たないということに今の私たちの社会というのはできているのだろうかということについて、とにかく小売店舗はもう御苦労さんでした、過去のものですよというふうに果たして言い切っていいのかどうかということについては大変深刻な問題だと思います。  とりわけ、昨年フランスで、小売商業を守りましょうということで法改正の動きもあった、こういう案は外国の例もあるんですが、外国の例があるからどうこうというより、現実にこういう姿があるわけですから、商行為そのものについて早急に、先ほども言いました、今度の中小企業施策の中でこのことについてはきちっとした対応を出しておかないと、今たまたま私は家電業界の話をしていますが、最近の情報では、違う業界にもこのようなことが類似して起きているということになると大変ゆゆしき問題だというふうに思います。  そういうことで、総体的に商取引の問題、メーカーと小売店舗、量販店の問題等について、消費者の立場、そして小売店舗の立場ということについてやりとりを聞いていただきまして、今後の中小企業施策についての大臣としての所感をお伺いさせていただきたいと思います。
  72. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 非常に消費が活性化をするということは極めて大切なことでございまして、そういった面では消費者が購買意欲を持つような形で各商店の経営をされるということは非常に重要なことであるし、日本の国の経済にとりましても非常にすばらしいことだと思います。  今、先生から御指摘をいただきました点につきましては、私どもも、YKKというような名前が出ましたけれども、そのような具体的な名前を持った陳情も現実に受けております。具体的な事例につきましては当然公正取引委員会の方で対応をしていただくしかないわけでございますので、そのような趣旨のお答えを今日までしてまいったわけでございます。  やはり、健全な商活動をされる意味におきましても、公正取引委員会の果たすべき役割というのは大きいし、公正取引委員会が信用を失うというようなことになりましたときは、大変にその商取引におきましてもそれぞれの方々が不安を持つということになると思います。昨今、日米交渉等の中でも、公取に対してアメリカ側が信用できないなどとけしからぬことを言っていますが、アメリカが別に言う分には、それはそれなりに勝手にいろんな交渉の中で言っているんでしょうが、私どもはやはり国内において万々が一、公取の信用がなくなるというようなことになりますと、これは大変なことだと思います。  ただいま公取側から答弁がございましたように、それぞれにつきまして誠意を持って対応しているようでございますけれども、さらに一つ一つの作業を、人数が少ない中で大変だと思いますけれども、今般、商工委員会の方になりますか、機能強化の法案等も出るやに伺っております。そのような中で、さらに公取がその機能を強化される中で、国民から信頼をされる、今日までも十分国民は信用しているわけでございますが、さらに信頼されるような仕事をされることを心から期待する次第でございます。
  73. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど大臣から平成年度中小企業対策関係予算などが説明をされたわけですけれども、一言申し上げたいと思います。  一般会計予算が出されていますが、千八百五十五億円ですけれども、これはもう本当に少な過ぎる、貧弱過ぎるというふうに私は思うわけですよね。しかも、四年連続マイナスですよ。  よく比較に出されるんですけれども、米軍に対する思いやり予算というのは今年度〇・八%ふえまして二千七百三十五億円でしょう。それに比べて本当に少な過ぎると思うんですよ。ですから、総額がこれだけ貧弱でありますと、いろいろな形で施策を打ち出しましても中小企業活性化ということがそもそも本流になって流れない、そして景気の回復にもならないと、こういうふうに思うわけです。私は、やはり抜本的に予算をふやすべきだ、こういうことを指摘させていただいて、きょうは業者青年の問題について伺いたいと思います。  若い企業家の育成、それから後継者の育成というのは非常に大事なわけですけれども、マスコミも非常に関心を持っているところです。  国民金融公庫が九六年の二月にアンケート調査をやっているわけですけれども新規の開業を目指す理由に、「自分の裁量で仕事をしたい」というのが四〇・六%、「自分の力を試してみたい」、これが三四・六%ですよね。このパーセンテージというのは高収入を得たいという回答よりも高いわけです。つまり、収入を得るということももちろんあるでしょうけれども、積極的な社会への働きかけ、あるいは自己実現といいますか、そういう意欲が非常にあらわれていると思うわけです。  ただ問題は、この開業時の年齢が非常に高くなっていて、平均四十一・七歳であります。そして、開業時の年齢が二十九歳以下のパーセンテージはどうかといいますと、九二年度のときには一四・一%あった。それが九五年度では一一・五%というふうに下がっているわけです。  また、もう一つ、全国商工団体連合会という組織が業者青年・後継者問題で十万人規模の実態調査をやっていらっしゃるわけです。この実態調査では、後継者が非常にいないというのが不況との関係で出ているわけです。不況の中で収入は減っている。そういうところでは如実に、四六・六%が後継者がいないというような数字も出ているわけです。しかも、業者青年が新しい事業を起こそうとした場合に、資金を借りようとしてもなかなか難しい。特に、零細な家族専従者の場合には最も頼りになる働き手であり、家業を助けているんですけれども、自分の所得が認められていない。だから、お金を借りようとしても借りられないというような難しい厳しい現実があるわけです。  そこで、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、こうした業者青年のこの実態、どのように認識をしていらっしゃるでしょうか。
  74. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) いわゆる業者青年に入ると思いますけれども、若手の後継者の方々の資質向上を図るための努力に対して従来から人材育成面での支援を行ってきておるわけでございますが、今後とも業者青年も含めました若手後継者の育成を支援してまいる所存でございます。
  75. 西山登紀子

    西山登紀子君 それで、このアンケートでも出ているわけですけれども創業支援について最も充実させてほしいという項目は「開業資金の融資」、これが八八・二%ということで、複数回答ではあるんですけれども、一番高いわけです。開業資金の融資、これをもっと借りやすくしてほしいというのが要望です。  地方自治体もいろいろと努力をされているわけです。例えば、愛知県の開業支援資金では融資対象の条件が四つあるわけですけれども、同じ企業に三年以上勤務し同一業種の事業を開業する場合、また法律上の資格に基づく事業を開始する場合、特許法や実用新案法の登録による開業の場合、それから独自の技術やノウハウを利用した開業の場合というふうないずれかの場合となっているわけですけれども、四つ条件があります。  兵庫県の開業貸し付けの小規模事業資金でも、要件は特許法、実用新案法、意匠法などというふうな条件があるわけです。  また、京都府も起業家育成支援資金融資というのがあるんですけれども、これも六カ月以内に事業新規に起こすことというふうな条件がついています。  これらのいろいろな条件というのは、いろいろと地方自治体として努力をしていらっしゃるんでしょうけれども、実際にはまだまだ若い事業者が仕事を開始する場合には厳しいし、もっと緩和してほしいというような声もあるわけです。  そこで、中小企業庁新規事業支援施策利用ハンドブック、こういうふうな施策の一覧をまとめて状況を把握しておられるわけですけれども、もっと各自治体の制度の要件を緩和するように、実情に合うように中小企業庁がリードをすると、助成だとか資金面での支援の積極策、こういうことが求められていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 新規事業創業に対する資金調達を円滑化するということは非常に大事なことでございます。ただ、県が独自に行っておる融資制度というのは、その県なりなんなりの実情というものの中で行っておるものだろうと思いますので、私どもといたしましては、国の立場としては県との連携というものも緊密にとりながら、例えば平成年度の第二次補正予算において講じられましたような都道府県のベンチャー財団を通ずる直接金融制度といったようなものの充実、あるいはさらに今国会で創造法の改正をお願いいたしまして、ベンチャー財団が行いました債務保証、これを信用保険の対象にするというような形などによりまして創業支援新規事業の資金調達の支援というものを図ってまいりたいと思っております。  また、融資制度という面におきましても、中小公庫の新事業育成貸付でありますとか、あるいは国民公庫におけるのれん分け資金の貸付制度というようなものを活用して資金調達の円滑化を図ってまいりたいと思っております。
  77. 西山登紀子

    西山登紀子君 そこで、大蔵省、来ていただいていると思うんですけれども、今もお話に出ました。もちろん、地方自治体任せではいけないわけで、国としてものれん分け制度改善というのが考えられないかというふうに思うわけです。進んでいると言われる愛知なんかの場合でも、融資対象についての留意点の中で、同一の生計者では三親等以内の親族は除くというふうにあるわけです。ですから、子供さんが事業を起こそうとしてもなかなか借りられないというようなことがありますので、こののれん分け制度改善ですね、そういう点でも改善をする可能性はないでしょうか。ぜひ御検討ください。
  78. 五味廣文

    説明員(五味廣文君) ただいまののれん分けの融資制度でございますが、従業員独立開業貸付制度という名称で国民金融公庫で行っておりますが、二親等内の親族である家族従業員、これについては適用をしないという制限を課しております。  これはもともと制度発足の当初、中小企業に長いこと働かれる方はなるべく定着していただいて、そのインセンティブとしてのれん分けという形で独立のときに有利な融資制度がございますと、こういう趣旨で始まったことから、家族というのはそれには当たらないだろうということでやっておったんですが、昨今の新規開業の重要性、特に中小企業における新規開業の重要性ということから再検討が必要だということで、八年度予算編成期に議論をいたしまして、現在御提案しております八年度予算制度改正の中で、国民金融公庫のこの従業員独立開業貸付、名前を新規開業支援貸付というように変えまして、この二親等内の親族を除くというような制限は撤廃をする、また年齢要件なども多少厳しいものがございましたが、こういったものも撤廃をしていくという形にしてございまして、予算を成立させていただきました翌営業日からこれを実施できるように今準備をしております。
  79. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。官公需対策についてお伺いをしたいというふうに思います。  平成年度において講じようとする中小企業施策一つとして、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づいて、中小企業者の受注機会の一層の増大に努めるとともに、中小企業官公需確保対策推進協議会などによって、発注者側、受注者側、双方にその周知徹底を図ると、こういうふうなことが記載されておるわけでございます。  特に、私は国あるいは地方自治体発注の公共工事について伺いたいというふうに思います。したがって、きょう建設省と自治省の方に来ていただいておりますが、総合的にこのやりとりを聞いて中小企業庁としてどういうふうに進めていくのか、最後にお伺いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  一連のゼネコン汚職等の問題を踏まえて入札制度等について改善が加えられてきて、一部これは評価できる点もあるんだろうというふうに思うんですが、私はどうも余りにもマスコミ等からたたかれ過ぎて萎縮をしてしまったのではないかというふうに思っています。そういう意味で、どうも形式的になり過ぎてはいないのかなと。例えば、一般競争入札、あるいは公募型、工事希望型、あるいは制限つきの一般競争入札、非常に聞こえはいいんですが、事中小企業対策ということで見ていくと非常に問題があるというふうに私は思っています。  そういう意味で、私、持ち時間が非常に少ないので、ああやっています、こうやっていますという細かな問題をここで聞いても、時間がないですから、その点について聞きたいということよりも、むしろ発注者の姿勢がきちっとしていれば、やっぱり指名競争入札というのもそんなに世間で言われるほど問題があることではないんじゃないかと、私はそういうふうに思っているんですよ。  そういう意味で、いわゆる建設省として直轄事業でいろいろ工事があります、地方を含めて。これについて、特に中小の建設業者対策としてどういうことを考えて今やろうとしているのか。今のままの制度でいいのかどうか。この辺について、見直しを含めて世間ではそういう期待があるというふうに私は思うんですが、その辺どのようにお考えでしょうか。
  80. 小澤敬市

    説明員(小澤敬市君) 建設省でございます。お答えいたします。  建設業者の大宗は中小・中堅建設業者でいらっしゃいます。そういう意味では、中小・中堅建設業者の受注機会の確保を図りますことは、地域経済の活性化を図る上で極めて重要な施策であるというふうに認識しておるところでございます。  これまでも建設省におきましては、中小建設業者の受注対象となります工事に他の建設業者が参入しないように発注標準を遵守するというようなこと、あるいはこうした建設業者の受注が可能になるように分離・分割発注を推進するなど、中小建設業者の受注機会の確保に努めてきたところでございます。  しかしながら、昨今の中小・中堅建設業者を取り巻く状況は非常に厳しいものがございます。そこで、昨年の七月と十月に中小・中堅建設業者の受注機会の確保対策というものを取りまとめまして、現在、精力的に取り組んでいるところでございます。  具体的には、建設省の直轄工事におきまして、当面の施策といたしまして、共同企業体、いわゆるジョイントベンチャーでございますが、それに関しまして、条件を緩和するなどによりこれまでよりも規模の小さい建設業者でも共同企業体に参加していただくようにすること、あるいは一般競争や公募型指名競争入札の参加資格を緩和いたしまして上位のランクへの工事の参入を可能とするようなことなど、地元を初めといたします中小建設業者の参加機会を一層拡大することに努めておるところでございます。  また、中小建設業者の受注機会を増大させます上で、発注標準と申しますが、ランクの区分額でございますけれども、基本的にはこの変更が有効と考えておりまして、平成年度の暫定措置といたしまして関東地方建設局ほか二地建におきまして土木工事の発注標準を引き上げたところでございます。平成年度からはこういった措置を拡充いたしまして、中小建設業者が従来よりも大規模な工事を受注できる機会、そういったものを拡大するように見直しを実施しているところでございます。  また、地方公共団体や公団等に対しましても、私どもの直轄工事が講じましたこういった対策趣旨を徹底いたしまして、その運用の改善を図ることを要請しておるところでございまして、今後ともさまざまな機会をつかまえまして各発注機関に対しまして一層の周知を図り、中小建設業者の受注機会の確保のための具体的な施策推進に全力を尽くしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  81. 国井正幸

    ○国井正幸君 ぜひそういう意味で、中小企業の建設業者が受け入れられるように一層努力をしていただきたいというふうに思います。  次に、自治省に伺いたいと思いますが、私は栃木でございますけれども、私の地元でも幾つかの町で庁舎等の建設をやっているわけですね。ついこの間行われたのは二十億三千万の工事が一つあった。これの状況では、制限つきの一般競争入札ということで二千店以上の業者が対象になつた。地元なんか一社も入らないわけですね。従来はそういうことはなかった。僕は非常に問題があるというふうに思っているんですよ。  首長になぜそういうことなんだと、こういうふうなことでいろいろ聞いてみると、今、建設省で言われたように分離・分割もあるし、さらにはJVの活用もあるわけですね。ただ、やっぱり首長に言わせると、分離・分割すると、例えば建設本体と電気だとか設備だとか分けていくと何回も入札をやらなくちゃならない。そうすると、その都度、いろいろ談合だ、こうだということでマスコミ等に騒がれる。そういうことをできれば避けたいと、こういうふうな非常に萎縮した気持ちを私はやっぱり首長の中に強く感じるんですね。だから、首長が痛くない腹を探られたくないというのはわかるけれども、しかしそのことだけで工事を発注したのでは、あなたの役目というのは半分ぐらいしか終わらないよということを私は申し上げてきたんですよね。しかし、やっぱり国等の指導もそういうふうなことになっているからということで、別に私はどこをどうしろということで言っているわけではないんだけれども、もっとやっぱり自治体の工事なんかについては地元の業者を活用して中小業者を育てるようにすべきだと、こう考えているんですよ。  そういう意味で、どうでしょうか、自治省から考えて、今地元の自治体の首長というのが僕は非常に萎縮している感じを持っているんですが、子ういうことを含めて、入札制度なんかについて自治省はどういうふうに考えていますか。
  82. 朝日信夫

    説明員(朝日信夫君) 地方団体の入札・契約手続につきましては、お話にありましたように、平成五年の末に建設省とも共同いたしまして改善策を取りまとめて地方団体に通知をいたしたところであります。  これは、お話にもありましたように、不正の起きにくいシステムというものを目指そうと、それからまた手続の透明性なり競争性といったものを高めていこうと、こういったような観点でそうした改善策を取りまとめまして、その後もさらに御指摘のように経済対策に基づきます公共事業の効果的な施行というものを図っていく必要がある。こうしたような観点もございまして、そうしたことも踏まえながら必要な助言、要請等に努めてまいったところであります。  その際に、同時に中小建設業者の受注機会の確保ということにつきましては、その受注対象となります工事についての発注標準の適正化、そしてそれを遵守すること。さらに、中小建設業者の受注が可能となるように分離・分割発注を推進することなどによりまして積極的にその機会確保に努めるよう要請をしているところであります。  先ほど建設省の方からもお答えがありましたように、特に昨今の中小建設業者を取り巻く厳しい状況というものもございますので、建設省の直轄工事の取り扱い例というものも紹介をしながら、特定共同企業体の適切な活用でありますとか、あるいは競争入札の参加資格の緩和等の措置につきましても周知、要請等に努めているところであります。  いずれにいたしましても、各地方団体におきまして公共工事の量や内容面あるいは有資格業者の状況、そうしたものを踏まえながら、今後とも中小建設業者の受注機会の確保が図られますように適切な周知指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 国井正幸

    ○国井正幸君 ぜひ分離・分割に関しては、これは建設省にもあるいは自治省にも、やっぱり分離・分割はきちっとして分割発注できるように、これだけはきっちり僕は言ってもらいたいというふうに思うんですね。  最後になりますけれども、指名競争入札をやったり分割をしたり、そういう機会をつくっていくと不正が起きるんじゃないか、不正が起きるんじゃないかと、そういうことばかりが先行していて、僕は中小企業対策になっていないと思うんですね。  そういう意味で、これは官公需対策として、お題目だけで書くんじゃなくて中身のある対策として、これは中小企業庁として、建設業の関係だけとってもこういう問題があるわけですから、ぜひやっていただきたいと思うんですが、最後、どうでしょうか、大臣でも結構なんですが、ぜひ中小企業庁としての決意のほどというのをお聞かせいただきたいと思うんです。
  84. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) 官公需につきましては、今、委員からお話がございましたように、毎年度中小企業者に関する国等の契約の方針というのを官公需法に基づき閣議決定をしておるわけでございます。  平成年度分につきましては、平成七年の七月四日に閣議決定をしております。その際、私ども、建設省、自治省とも、中小建設業の受注の問題、建設工事における入札方式が変更されて機会が減ったんじゃないかということで、いろいろな御指摘を受けたことも踏まえまして御相談をさせていただきまして、従来の分離・分割発注の推進という項目に加えまして、先ほどいろいろ御答弁がございましたような入札制度の緩和の措置を盛り込んだ内容の閣議決定をしておるわけでございます。  平成年度につきましては、予算が成立後、速やかにこの中小企業者に関する国等の契約の方針を閣議決定すべく各省と協議に入ることになっております。その際には、先生の御指摘を踏まえまして、中小建設業を含めまして中小企業の受注機会が拡大するよう最大限努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。
  86. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 以上をもちまして、平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省所管のうち中小企業庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会      —————・—————