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1996-03-15 第136回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十五日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     川橋 幸子君  三月十五日     辞任         補欠選任      前川 忠夫君     瀬谷 英行君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 秀夫君     理 事                 石渡 清元君                 中曽根弘文君                 齋藤  勁君     委 員                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 小山 孝雄君                 塩崎 恭久君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 川橋 幸子君                 瀬谷 英行君                 西山登紀子君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君    政府委員        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業省環境        立地局長     鈴木 孝男君        中小企業庁長官  新  欣樹君        中小企業庁次長  鴇田 勝彦君        中小企業庁計画        部長       藤島 安之君        中小企業庁小規        模企業部長    井田  敏君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        国土庁大都市圏        整備局総務課長  有賀 長郎君        法務省民事局第        四課長      原田 晃治君        大蔵省主税局税        制第三課長    伏見 泰治君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    石川  透君        労働省職業安定        局業務調整課労        働力確保業務室        長        末廣 啓子君        労働省職業能力        開発局技能振興        課長       後藤 憲夫君        自治省税務局市        町村税課長    武田 文男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○中小企業対策樹立に関する調査  (中小企業対策基本施策に関する件)     —————————————
  2. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十四日、三重野栄子君が委員辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。  また、本日、前川忠夫君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     —————————————
  3. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事齋藤勁君を指名いたします。     —————————————
  5. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 中小企業対策樹立に関する調査を議題といたします。  前回の委員会において聴取いたしました所信に対し、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小山孝雄

    小山孝雄君 自由民主党の小山孝雄でございます。  衆議院での予算空転が続く中ではございますけれども、こうして本委員会が開かれることに至りました。その間の委員長、そして理事各位の並々ならぬ御努力に心から敬意を表し、さらに質疑の機会をお与えいただきましたことにまずもって感謝申し上げる次第でございます。  本論に入る前に、通産大臣にお越しいただいておりますが、大臣はお聞きになられましたでしょうか。きのうのブラジル大統領国会での演説につきまして私は大変感銘深く拝聴をいたしたところでございます。特に、国会は討論を行い、質疑応答し、国益を確認し、真実と総意を求める権威ある場でありますと、こう述べられまして、さらに、国会政治経済中心的役割を担い、国家の命運を分ける重大なる責務の多くを行政府と分担していることを忘れてはなりませんと、こういったくだりがございまして、まさしく議会制民主主義国家における立法府である私ども国会の果たすべき使命を実に端的にあらわしたものであって、ひょっとしたら審議することを拒否して委員会をバリケードで封鎖し、赤じゅうたんの上に座り込んでピケを張っている新進党の諸君を念頭に置いての演説だったのかなと。それならちょっと国際的に大変恥ずかしいことだなと思ったわけでございます。  大臣は、こうしたカルドーゾ・ブラジル大統領演説を一人の政治家として、また国務大臣としてどうお受けとめになられましたでしょうか。御感想をお聞かせいただければと思います。
  7. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) まことに立派な御意見だと思って拝聴いたしました。
  8. 小山孝雄

    小山孝雄君 きょうも平成会諸君おいでにならないようでございますけれども、一番聞いていただきたい方がおいでになっていないわけでありますけれども日本国が続く限り議事録が残るわけでございますので、そこにとどめおきたいがためにあえて申し上げた次第でございます。  こうしている間にも新年度の予算成立が日一日とおくれていくわけでございます。これは非常に長い長い不況の真つただ中にあって大変苦悩をしている中小企業経営者、そしてそこで働く多くの人々にとってまさに考えるだに憂うつで、ある意味では腹立たしい思いを持って見ておられると思うんですけれども、私はこうした中小企業の皆様の立場に深く思いをいたして、通産大臣、そして中小企業庁長官、さらにまた関連で、労働省大蔵省にもおいでをいただいておりますが、質疑をさせていただきたいと思います。  まず第一に、通産大臣にお伺いいたしますが、きょうの閣議で三月度の月例経済報告が決定されたということでありますが、先月同様、景気景況につきまして、「生産は緩やかながら増加している。」、「景気には緩やかながら回復の動きがみられる。」と、こうございましたわけです。また、大蔵省景気予測調査でもそのような表現がなされておりますが、景気、特に中小企業を取り巻く景況をどのように見ておられるか、まずもってお伺いをいたしたいと思います。
  9. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 私が就任いたしましてから月例経済報告を三回伺ったわけでございますが、徐々にではございますけれども数字の上でも確かに景気回復兆しが一回目、二回目、三回目、ですから一月、二月、三月と見えておるのは確実だと思います。  ただ、御指摘中小企業につきましては、数字のいい状況というのがなかなか出てまいりません。特に、一番最初に私が就任したときにございました、製造業は悪い中でもマイナス度合いが少ない、マイナス度合いが少ないというのは結局悪いことですけれども小売業に関しては非常によくないという状況は全く今日まで変化がなく進んできていると思います。これからの景気回復していく上の非常に大きな不安材料一つ中小企業にあるというふうに認識をいたしております。
  10. 小山孝雄

    小山孝雄君 今、大臣も述べられましたように、全般的に緩やかながら回復兆しという月例経済報告とは、中小企業現場はそうはいかないようでございます。  つい最近、私、十数名の中小企業経営者中小企業というよりも零細小規模事業所の若手の経営者皆さんと懇談を持ちました。そこで述べられたことは、二月の月例経済報告にも同じような表現があったわけでございますけれども、はるかに及ばない、まだまだ長い長いトンネルの中だという感を深くしたわけであります。あえて申し上げますと、中小企業現場状況は本当に仕事がない、金がない、さらにまた人材も足りないという三重苦にあえいで、本当に経営者は青息吐息の思いで走り回っているのが実態である、こんなふうに直接お聞きしたところでございます。  どうか大臣におかれましては、今申し上げた中小企業現場経営者皆さんの生の声をお聞き届けいただいてさらに御努力をいただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  特に、中小企業庁では四半期ごと中小企業景況調査というのを実施しておられますけれども、最近の調査結果はどうなっておるでしょうか。特に、資金繰りについての判断、資金繰りDIはどういう状況でございましょうか。長官、ひとつお答え願えますか。
  11. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 私ども四半期ごと中小企業景況調査というものを行っておるところでございます。これは中小企業者方々に、業況が好転したか、それとも悪化したかということを伺いまして、その割合DI調査を行っているわけでございますけれども、その結果を御紹介申し上げますと、昨年の七−九月までの四半期、四期連続で悪化幅拡大をしておるという状況にございました。これが昨年の十−十二月期には横ばいという形になったわけでございますけれども、これの中身を見てみますと、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、製造業については幾分悪化幅が縮小をしてきておる、しかしながら小売業など非製造業部門におきましては悪化幅はさらに拡大をしておるということで、総じて横ばいというような結果になっておるところでございます。  それから、資金繰りでございますが、私ども景況調査の中には直接的には資金繰りDIをとってはございませんけれども資金繰りDIをとっておりますのは日銀の短観でございます。この短観によりますと、いわゆるバブル期と言われる時代には、資金繰りが楽であるという企業割合の方が苦しいという割合を上回っておりましたけれども、その後バブルの崩壊以降、資金繰りは苦しいとする企業割合の方が楽であるとする企業割合を上回っている状況でございます。現在、緩和基調を維持しておると言われておりますけれども中小企業に関しましては資金繰りがなかなか苦しいという実感を持った企業が多いということを意味しておろうかと思います。  このため、政府といたしましては、景況が依然厳しい中で中小企業資金調達円滑化を図ることが極めて重要な課題であると認識をいたしまして、このため昨年の経済対策あるいは二次補正予算というような対策を講じまして、政府系中小企業金融機関による特別貸付制度創設拡充、あるいは中小企業信用保険法改正による無担保保険特別小口保険等付保限度額引き上げを図るなと思い切った中小企業金融対策を講ずることといたしておりますし、また平成八年度におきましても、政府系中小企業金融機関について所要の貸し付け規模確保するなど中小企業金融対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  12. 小山孝雄

    小山孝雄君 いずれにいたしましても、非常に長期間にわたって特に中小企業現場における資金繰りは非常に苦しいようでございます。もう五年以上続いているやに思うわけでございますけれども、これは非常に憂慮すべき事態だと、こう思っておりますが、通産大臣、いかがお考えでございましょうか。
  13. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいま長官の方からも御答弁がございましたが、資金繰りが大変厳しいわけでございまして、今後とも中小企業金融円滑化を図るべく適切に対応してまいりたいと考えております。
  14. 小山孝雄

    小山孝雄君 大臣は、先般の本委員会での所信の中で、   中小企業経営基盤安定強化を図るため、中小企業資金ニーズを踏まえ、政府系中小企業金融機関において適切な貸し付け規模確保するとともに、その経営基盤強化等のため出資等を行うなどの措置を講じてまいります。   また担保力信用力の不足する中小企業ニーズに対応した保証業務を行うため、中小企業信用保険公庫及び信用保証協会経営基盤を教化します  と、こう述べておられます。  中小企業金融信用補完充実を図るその具体的な内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  15. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 御指摘のように、中小企業にとりまして金融円滑化を図るということは中小企業対策基本中の基本と申し上げてもよろしいかと思います。  そういう観点から、私ども平成七年度の二次補正予算におきまして政府系中小企業金融機関低利融資制度充実を図ってまいりましたし、また厳しい経営環境下にある中小企業に、こうした政府系中小企業金融機関に対する金利五%を超える既往債務にかかわる金利減免措置を講ずるということなと思い切った施策を講じてまいったところでございます。  また、信用補完につきましては、さきの臨時国会におきまして中小企業信用保険法の一部を改正いたしまして、無担保保険特別小口保険付保限度額引き上げを図るというようなことで無担保保証の推進というようなことにも努めておるところでございます。  こうした措置をなおしっかりと今着実に実行に移すとともに、八年度におきましてもこういった政府系金融機関による資金供給円滑化並びに信用保証協会保険公庫を通ずる信用補完制度充実ということを図ってまいりたい、こういうことでございます。
  16. 小山孝雄

    小山孝雄君 今述べられた施策はぜひ強力にお進めをいただきたいと思いますが、長官、この施策が進められていったときに、じゃ一体いつごろから中小企業資金繰りがよい方向に転換すると予測をしておられますか。
  17. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) これは大変に難しい御質問でございまして、資金繰りというのはまずは民間金融機関からの貸し出しというものが非常に楽になるということが大事だろうと思っておるところでございます。  ただ、現在の状況というのは金融緩和基調、つまり公定歩合も史上最低というようなレベルにあっていわゆる緩和基調というものがあるわけでございますが、一部優良な中小企業に対しましては民間金融機関もそれなりの貸し出し意欲も旺盛なものがありますけれども、いわゆる一般的な、あるいはかなり厳しい経営環境に直面しておる中小企業に対しましては、なお、貸し渋りと言いますとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、十分な資金供給が行き渡っていない、こういうことだろうと思います。  これがいつまで続くかというのは非常に予測いたしがたいところでございますけれども、私どもとしては、政府系中小企業金融機関あるいは先ほど申し上げました信用補完制度というものを適切に運用することによりまして、中小企業者資金需要に適切にこたえていくという努力をしてまいりたいと思っております。
  18. 小山孝雄

    小山孝雄君 いつごろからと申し上げてもなかなか難しいことだと思いますが、それだけに予算成立というものが一日も早く求められているところでございます。  さらにまた、大臣所信の中で、中小企業技術開発、それから新規創業重要性を強調しておられます。創造的中小企業に対する支援措置の抜本的な拡充強化を図ると、こうも述べておられるわけでございます。中小創造法は昨年の四月に施行されたわけでございますけれども、その後どれだけの実績が上がってきたのかなと。そして、今回また改正案を出しておられるわけでございますけれども、どういう支援措置考えておられるのか、大臣にお答えをいただければと思います。
  19. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 我が国経済発展を今後とも安定的に続けていくというためには、どうしても新規産業群の創出というものが必要であろうというふうに認識をいたしておるところでございます。そのためには、いわゆるベンチャー企業というものをバックアップするということ、さらにその手前にあります技術開発、この種を創造するものだろうと思っておりますけれども技術開発支援する、そういった対策が必要であろうと思います。  こういった流れの中に、昨年四月に中小企業創造活動促進法を御制定いただきました。その後、この法律認定件数平成八年二月末現在で六百十二件ということになっておるところでございます。こうした措置をさらに一層私ども平成八年度において充実強化を図ってまいりたいと思っております。  具体的に申し上げますと、まず資金面におきましては、中小企業ベンチャー企業の株式、社債による資金調達支援するためのいわゆる直接金融措置というものを昨年の補正予算によりましてとったわけでございますけれども、八年度におきましては再保険制度創設というものを考えております。こういったことなどを内容といたします中小創造法改正案を今国会に提出しているところでございます。  また、技術開発面におきましては、NEDOと中小企業事業団の連携によりまして、中小企業事業化の種となります提案公募型の研究制度創設、これは予算額にして八億円でございますけれども、また中小創造法のさらなる活用を促進するために技術改善費補助金、これを大幅に拡充いたして八年度予算案に計上をいたしておるところでございます。  こういった措置によりまして、創造的中小企業ベンチャー企業育成支援ということに万全を尽くしてまいりたいと思いますが、ぜひにもこの予算早期成立させていただきたい、また法律早期に制定をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  20. 小山孝雄

    小山孝雄君 今お話のあったこの技術開発に対する補助制度等々、中小創造法に基づく措置、当初予算、そして補正予算もあるわけでございますが、どれくらいの件数実施に移されたのか。そしてまた、それが当初の予算、この大体予想したところとどんな比較になっておりますか。予定どおり大体制度が使われたかどうか、十分に使われたかどうかを伺いたいと思います。
  21. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) この創造法に基づきます技術改善費補助金につきましては、平成七年度から技術改善費補助金の中に創造的中小企業振興枠というものを設けさせていただいております。その予算額は、当初予算で十四億四千百万円、さらに補正の追加によりまして五億二千百万円、合計十九億六千二百万円ということになってございます。実績でございますが、平成八年一月末現在では二百二十三件ということに相なっておるところでございます。
  22. 小山孝雄

    小山孝雄君 二百二十三件の補助事業が行われたわけでございますが、これは最初予想したのと比較して多いですか、少ないですか。
  23. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 私ども当初予定ではもう少し少ない件数を見込んでおりましたけれども、先ほどの認定件数も非常にふえたというようなこともありまして、予定よりは少し上回った実績になっておろうかと思っております。
  24. 小山孝雄

    小山孝雄君 なお一層の活用を願うものでございます。  次に、後継者難の問題で大臣のお考えをお尋ねしたいと思いますが、中小企業を取り巻く環境に大変厳しいものがあるということは段々の今までのお話でもございましたけれども、その中でも後継者難というのが特に大きな問題であると思います。  個人経営小売業というのはもう大型店に太刀打ちできませんで、どんどん消えていっている現状がございます。そしてまた、大型店のみが利益を受けるようなことになってはならない、こう思っておるわけでございますが、さらにメディアの発達や宅配便の普及などによって通信販売コンピューターショッピング拡大が予想されまして、今後小売業全体がさらに縮小していく可能性が各方面で指摘されているところでございます。  また、製造業につきましては、いわゆる産業空洞化で、本当に職人わざを持った技能労働者がこれまた大変少なくなりつつあるという現状もございます。我が国産業を下支えしてきた技能職人わざを受け継ごうとする若い人が本当にいなくなってしまうのかなという気もするわけでございます。  魅力ある中小企業づくり人材育成というのが大変必要だと思いますが、魅力ある中小企業づくりを進めるために通産大臣施策を、どんなお考えであられるのか、改めてお尋ねしたいと思います。
  25. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 中小企業に働く労働者方々をいかに確保するかということにつきましては非常に大きな問題でございますし、そのためにも中小企業における職場環境、働く環境というものを整備するということが非常に大事なことかと思っておるわけでございます。そのために労働省と御協力をいたしまして、中小企業労働力確保法という法律を共同で運用いたしておるところでございます。  こういった法律のもとに、いわゆる三Kと言われるような職場というものをできるだけもっと働きやすい魅力のある職場にしていくという努力を行ってまいりたいというふうに思っておる次第でございますし、さらに昨年の臨時国会におきましてこの労働力確保法改正いたしまして、より高度な知識技能を有する労働者方々中小企業に新しい職場を求めて、例えば新規事業に乗り出す際にもこういう高度な知識を有する方々が必要だというためにも、この労働力確保のための対策という新しい観点からの施策も講じておるところでございます。そうした施策などを通じまして、総合的に魅力アップを図っていきたいというふうに考えております。
  26. 小山孝雄

    小山孝雄君 今、中小企業庁長官から労働省とも共同して、協力してというお話もありました。その労働省にもきょうはおいでいただいておりますが、魅力ある中小企業にするためにいろんな環境の整った職場づくりということも必要であって、その中の一つに、中小企業が特におくれておりますのが労働時間の短縮の問題でございます。  御案内のとおり、来年の四月以降、週四十時間制完全実施というのが待ったなしになっているわけでございまして、平成五年の労働基準法改正のときに特に中小企業について猶予期間を置いたわけであります。その待ったなしがあと一年後に迫っているわけでございますけれども中小企業の時間短縮の現況、これらについて明らかにしていただきます。
  27. 石川透

    説明員石川透君) 労働省が行いました労働時間等総合実態調査結果、これは平成七年の五月、六月に実施したものでございますが、これによりますと、週四十時間達成事業場割合は三八・七%というふうになっているところでございます。  これを規模別に見ますと、三百一人以上の事業場ですと九五・一%が達成しておりますが、百一人から三百人では六三・〇%、三十一人から百人では四五・三%、一人から三十人では三七・三%と四十時間の達成事業場割合が低くなっているところでございます。中小企業につきまして週四十時間達成率としては依然として低くなっているというのが現状でございます。
  28. 小山孝雄

    小山孝雄君 中小企業の四十時間達成率が非常に低いわけでございますけれども、それがために中小企業労働時間短縮促進特別奨励金という制度も設けて応援をしてきたわけでございますが、その利用状況、当初予算、それから件数実績額等についてちょっと発表願えますか。
  29. 石川透

    説明員石川透君) 先生今御指摘中小企業労働時間短縮特別奨励金でございますが、これは平成五年度から実施されております奨励金でございますが、五年度の予算額、それから実績について申し上げますと、四十四億六千百万の予算に対しまして、実績は千二百一件で十三億二千八百万でございました。平成六年度におきましては、百十四億七千万円の予算に対しまして、実績は二千八百十九件、二十九億七千七百万円でございます。平成七年度におきましては、これはことしの二月末までの数字でございますけれども、百十八億七千百万円の予算に対しまして、三千八百九十七件、四十二億六千二百五十万円の支給実績となっているところでございます。  予算に対しまして実績が十分に伸びていないところは大変残念でございますが、年々努力いたしまして増加傾向にあるというような現状でございます。
  30. 小山孝雄

    小山孝雄君 今お話ありましたように、非常に利用率が少ない。予算がふんだんにありますのに、平成五年度は、スタートしたばかりということもあったんでしょうが、四十四億の予算に対して実績十三億、約三分の一。平成六年度が百十四億の予算に対して二十九億、七年度がまだ途中でございますけれども、あと二カ月残すのみでまだ半分もいっていないという、これはどういうところに原因があるのかなということを、担当課長としてどう思われますか。
  31. 石川透

    説明員石川透君) この中小企業労働時間短縮特別奨励金制度でございますが、これは労働時間を短縮し、そのために省力化投資あるいは新たな労働者の雇い入れを行って、その場合に初めて支給の対象となるという制度でございます。単に労働時間を短縮するだけではなく、そのための省力化投資等が要件とされているところでございます。  省力化投資等につきましては、ここ数年の設備投資の冷え込み等によりまして、中小企業におきまして省力化投資の意欲が若干冷え込んでいたということが一つの理由として挙げられるのかなというふうに思っております。  私どもといたしましても、予算を消化すべく、また週四十時間の実現に向けましての最大の決め手だというふうに考えておりまして、さまざまな機会を活用いたしまして周知、それから内容充実等に努めてきたところでございます。状況は先ほど申し上げたとおりでございますが、一層努力してまいりたいというふうに考えております。
  32. 小山孝雄

    小山孝雄君 塚原大臣はまた労働大臣も御経験なされたわけでございますが、私は怠けているとは思いませんけれども、また言いませんが、利用いただくための努力がまだまだ足りないのじゃないのかなという気がするわけでございます。  そこで、時短奨励金と、通産、労働が共管をしておりますいわゆる労確法、これは昨年私が当選をして初めて一つの法案をつくるときに賛成と、こう言って手を挙げた法律なものですから非常に印象深く覚えております。全政党の賛成で成立をした、改正ができたと記憶いたしております。時短奨励金でもそうなんですが、この労確法の申請手続、これが非常に煩雑で、特に要求される資料が多くて、まさに人手の足りない中小企業ではもうそれだけで申請をあきらめるというようなところもあるやに聞いているわけでございます。  たまたま私がじっこんにしている方の同業者の組合、それがこの労確法に基づく補助金の申請をするのに膨大な事務作業が伴うということをこの前知ったわけでございます。今たまたまお借りしてきたんですが、これは名前を出しますと後で現場でその組合がいじめられると悪いですので紙を張っておりますが、間違いなくある協同組合のものでございます。  どうしてこんなにたくさんのものが必要なのか、この申請はこういう話でございます。この同業の組合が、労働環境の改善や時短の推進や、そしてまた福祉施設の充実を図るための講習会の開催や、あるいは啓発パンフレットやマニュアルの印刷などを行うために組合として九百万円の補助金を受けるものでございます。同業組合の会社数はちょうど八十社でございますが、その八十社の会社の一社一社が受けるものではございません。同業組合として補助金を受けるのにかかわらず一社一社が今後五年間の経営計画を出せと、しかも三種類の書類、一種類当たり二十枚の書類を提出すると、こういう結果がこんな膨大なものになっております。枚数にして約五千枚。  既に、政府は昨年の三月三十一日に規制緩和の策を閣議決定いたしておりまして、「国民負担の軽減、行政事務の簡素化を図る等の観点から、平成七年度から十一年度までの「規制緩和推進計画」を定め、規制緩和等を計画的に推進する。」と、こういう決定に基づいて、例えば通産省においては情報化推進本部というものが設けられて、「行政事務のより一層の効率化・高度化を進めるとともに、国民に対する行政サービスの一層の向上に向けた公開行政情報へのアクセスの改善、行政サービスのペーパーレス化等を推進するため、常に最新の情報処理技術の動向を注視しつつ、その成果を行政運営に積極的に活用し、もって国民の立場に立った効率的で効果的な行政の実現を目指す。」ということまでうたっておるわけでございます。  時短を促進するための作業なのに、その補助金をその会社会社が、八十社の会社が直接受けるものでもないのに、その中小企業の方が夜なべして作業をして書類をつくらなくちゃいけないなんてこれはもう本末転倒である。どうしてこんなにたくさんのものが要るのかといってお聞きしてみると、調べてみますと、この書類は労働省、通産省、地方自治体、労働省の特殊法人の雇用促進事業団、それから全国中小企業団体中央会、五機関に同じ書類を出さなくちゃならないと、こういうことからもくるようでございまして、この現状について、通産大臣、済みませんが、これだけのたくさんのものがなぜ必要なのか、私はびっくり仰天してあきれるやら、しまいには一緒になって腹を立ててしまったのでございますけれども、どう考えられますか。
  33. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) 中小企業関係の施策に関する手続一般につきまして、その煩雑さをいろいろ指摘されていることは事実でございますし、我々も簡素化に努めようと努力しているところでございます。  今御指摘中小企業労働力確保法に基づく雇用管理改善計画でございますけれども、これは今、委員が御指摘いただきましたように、組合員の労働時間の短縮あるいは職場環境の改善等々のためにいろいろな取り組みをするという場合に、補助金等あるいはいろいろな助成策を講ずると、こういうためのものでございます。その部数とかそういうのは、助成する関係のところが施策を持ち寄りましてなるべく円滑に実施したいと、そういうことでいろんな書類が多くなっているということも事実でございますが、御指摘もありまして、私どもの方も改善の努力をさせていただいております。  例えば、この計画の申請書の添付書類の数でございますけれども、これまでこの計画に参加する中小企業者ごとに一枚ずつ書類を作成してもらったと、こういうことでございますけれども、これをやめまして、一覧表にして全体を把握すればいいじゃないかと、こういうことで各名簿づくりに直させていただきました。これは昨年の一月に実施させていただいております。  それから、一度計画が承認、認定された後変更というものもございますが、この変更につきましても認定制ということじゃなくて届け出制ということで書類も簡素にさせていただいている、そういう努力はさせてもらっております。それから、手続面で早くするということも努力をいたしておりまして、これは都道府県の労働関係部局と商工関係部局でいろいろ協議するということになっておるわけでございますが、これも持ち回りでいいというようなことで早くやると、そういったようなことで努力をさせていただいておるわけでございます。  現在、この団体の数の認定は約七百、参加の企業十一万七千社と、こういうことでございますが、時短の促進等大変重要な課題でございますので、引き続き御指摘を踏まえましていろんな意味で努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  34. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 一つ一つの政策、中小企業施策をいたしますときに、私どもはより中小企業の皆様方にこれを御活用いただきたい、使い勝手のいいものでなければならないということを念頭に置いて努力をしているつもりでございますが、今の書類の膨大さを見ても、出す方も大変だけれども読む方も大変だという感じになってしまいますので、より中小企業施策を利用しやすいものにいたしますように、手続面でも負担の軽減に今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
  35. 小山孝雄

    小山孝雄君 今、大臣から前向きの御発言がありましたけれども、今隣の委員が読む方も大変なら直ちにやめたらいいじゃないかと番外発言が私の耳に飛び込んできましたんですが、どうですか、もっと簡単にできませんか。
  36. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 一般論として申し上げるわけでございますが、例えば補助金とかあるいは融資とかいう場合には、その計画なり事業内容というものが適正であるかどうかということで審査をしなければならないということはどうしてもやはり必要でございますし、そのためにある程度の必要な書類なり手続というものが必要であるということはこれは御理解をいただきたいと思いますけれども、これがいたずらに煩瑣なものになったり、あるいは非常に過重な負担になるというようなことでは問題でございますので、そういった面についてはできるだけ負担軽減に意を用いてまいりたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  37. 小山孝雄

    小山孝雄君 大蔵省の目が怖い、あるいは人事院も頭に置かなきゃいかぬ、そういうことはわかります。ですけれども、この場合は、私はこの八十社のおのおのに対して直接補助金が出るのかなと最初は思っていたんです。ところが、おのおのの会社には一銭も出ないわけです、出ていないわけです。組合が政府施策を実行するのに協力をするための申請書類なんです。それにもかかわらず、各社に今後五年間向こうの計画を出せと。国会と同じようにあしたがどうなるかもわからない、そんな中で五年間も先なんか書けるかというのがこの書類をつくった人の本当の声ですよ。  これはいたずらなものは要求しないとおっしゃいましたけれども、いたずらな要求だと思います、私は。五年間もおのおのの会社に補助金がおりるんだったらそれは厳重にしなくちゃいけません。しかし、組合に政策の推進の御協力をいただくための補助金でございますから、本当にこれこそむだなことじゃないのかなと、そう思いますが、どうですか。
  38. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) 先ほど御答弁申し上げましたように、組合の構成も組合員の個々の計画につきましては総括表でお出しいただく、一覧表の中で出していただくということで簡素化させていただいているところでございます。
  39. 小山孝雄

    小山孝雄君 今、現に要求されているという話ですよ。どうですか。
  40. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) ちょっと今のものと直接合うのかどうかわかりませんけれども、組合員の事業計画内容につきましては、中小企業金融公庫の融資とかいろいろな助成措置があるかと思いまして、そういうものについては必要かと思いますけれども、組合の補助金の対象につきましては昨年の一月から実施しておりますので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  41. 小山孝雄

    小山孝雄君 私どもも後で確認しますが、しっかり審査するのはひとつ住専ぐらいにしていただいて、こういったものはもうなるべく簡略にしていただきたいなと本当に思います。  特に、この規制緩和というのは、役所が本当に一つ一つ吟味に吟味を重ねてやっぱり国民の税金を使わせていただくわけでございますから、石橋をたたいてなおかつ誤りのないようにというのはそれは十分わかります。しかし、規制緩和の精神というのは、閣議決定された精神はむだなお金と労力は国民に使わせない。その背景には、文書にはできませんけれども、多少間違いがあったっていいじゃないか、本当にいろんな手続等簡略なことでやっていこうじゃないかという精神が込められていると思います。これは通産省だけじゃないと思うんです。いろんな役所、きょうは労働省も見えていますが、労働省の先ほどの時短奨励金なんかもそういう意見がありました。どんな書類が必要なのかは私、精査しませんでしたけれども、あわせて労働省にもお願いを申し上げておきたいと思います。労働省、どうですか。
  42. 末廣啓子

    説明員(末廣啓子君) 今、先生御指摘の点はまことにごもっともな点があると思いまして、先ほど中小企業庁長官からのお答えもございましたけれども労働省といたしましても手続上きちっと手順を踏まなければならないところはございますが、それ以外で簡略できるところについてはできるだけ簡素化するという方針でやっております。先生が御指摘のケースにつきましては私もまた帰ってからちょっと調べさせていただきますけれども、恐らくそこに関係する分につきましても、労働省といたしましても今度から報告書を出していただく頻度を減らすという方向で改善をいたしたところでございます。  また、昨年の秋の改正で新しくできました助成金につきましてもできるだけ簡素化を図りながら、それからまた様式の記入につきましては、すべての様式につきまして記入例をすべて事業主の方に配付し、相談、援助をしながら細かく書き方を御相談しながら今やっているところでございますので、その方向でまたさらに努力していきたいと思っております。
  43. 小山孝雄

    小山孝雄君 ぜひ強力に直ちに実行に移していただきたい。  例えば時短奨励金、この前、行財政監察調査会で四国の方に参ったのでございますが、そのときに香川の基準局からお話がありましたけれども、いい制度だけれども、もう書類をつくるのが面倒くさくて申請するのも嫌になったという意見もありましたことを申し添えさせていただいておきますので、課長さんかな、よろしくひとつあれしていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  それから、これは労確法だけじゃないんですが、一つの役所に提出する書類、それがずっといろんなところに、例えばこの労確法の方で五機関に必要だと。  実は、私は今、自由民主党の規制緩和委員会の主査で、行政手続に関して勉強しているんですが、例えば建設省の指名を受ける登録、これも大臣、例えば都道府県に出せばその市町村、茨城県でございますと水戸の県庁の方に出せば全市町村に通じるようにしたらどうだという意見もあるわけでございます。だから、例えばこの労確法なんか窓口が商工課ですね、各都道府県の商工課ですよね。
  44. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) 商工部かあるいは労働監督部局かと思います。どちらかでいいと思います。
  45. 小山孝雄

    小山孝雄君 一カ所に出せば同じことでございますから、一枚出せばさっと全部にわたるようにできないものですかね。ひとつ考えてください。
  46. 藤島安之

    政府委員(藤島安之君) 私、提出部数についてはまだ承知しておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、この計画につきましていろいろな助成措置が用意されておるわけでございます。労働時間の短縮とか職場環境の改善とか、一応六項目が用意されておるわけでございます。  それで、関係部局が多くにわたっている、こういうことでございますけれども、大きな部局で見ますと、労働関係部局と商工担当部局になるわけでございます。これで一々協議会を開催してやるというようなことはやめまして、持ち回りで済むようにしております。  提出部数についてもそういうふうに考えてまいりたいと思っております。
  47. 小山孝雄

    小山孝雄君 いずれにいたしましても、国民にむだな労力は使わせないということを行政の基本に置いていただきたいなということをお願い申し上げまして、次に進みたいと思います。  衆議院の予算委員会はとまったままでございますけれども、公聴会で中小企業の代表の方が公述をされまして、新聞にこのような公述がされたというのが載りまして拝見いたしましたところ、手に職を持つ人たちの大学をつくったらどうだと。たまたま学歴に恵まれなかった人がこの大学で研さんを積んで、他の大卒者と伍して競っていけるという自覚と自信を持たせることができるならば大変意義深いことだという陳述があったのを拝見いたしまして、本当にそうだなと思いました。  これは労働省ですね。労働省はきょうおいでですか。いわゆる職人大学という構想についてどうお考えでありますか、お聞かせください。
  48. 後藤憲夫

    説明員(後藤憲夫君) 今、経済の国際化などに伴いまして、企業の生産拠点の海外移転の進展あるいは技能者の高齢化、後継者難などによりまして、我が国の今後の経済発展を支えるすぐれた技能が失われるおそれが生じているというふうに考えております。  今後もすぐれた技能を維持発展させていくためには、後継者の確保技能者の地位の向上、技能が尊重される機運の醸成などを図っていくことが重要であると考えております。このため、労働省といたしましては、卓越した技能者の方々の表彰、技能五輪全国大会あるいは技能グランプリといった技能振興施策を講じまして、技能が尊重される社会の構築に努めているところでございます。  先生お尋ねの職人大学構想につきましては、国際技能工芸大学の設立ということで関係者の方々からお話を伺っております。その内容につきましては、新しい現場の専門技能者の育成のための基礎教育、在職者の再教育、諸外国の技能者の育成の場となるよう現在関係者の皆様の間で鋭意検討が進められていると理解しております。  また、国際技能工芸大学につきましては、学士の称号が得られる大学を目指しているとも聞いております。学士の称号を持つ大学の設立につきましては、技能者の地位の向上、後継者の確保技能が尊重される社会の実現といった観点から、労働省といたしましても本構想につきまして鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
  49. 小山孝雄

    小山孝雄君 ぜひその構想をお進めいただければと、こう思うわけであります。  さらにまた、労働省の方にお尋ねいたしますが、人材育成、これは大変大事なことを先ほど申し上げたわけでございますが、物づくりの大切さの教育、職人、技能労働者を尊重する教育とともに、そういった人たちに対する処遇の改善や社会的な地位の改善が人づくりであって、その人づくりというのは一朝一夕にできるものじゃございません。そしてまた、一省の努力だけでできるものでもございませんし、関係省庁の緊密な連絡のもとに進めなければならない重要施策であろうかと思います。  たしか技能を持った非常に若い人たちが参加する国際的なイベントとして技能オリンピックという制度があって、そこに我が国技能を持った若い人たちが喜んで参加しているということも伺っているわけでございますけれども、その内容もちょっと簡単に御説明いただきたいのが一つ。  もう一つは、そういう国際大会でございますから参加するのにもかなりの費用がかかるのじゃないかと思います。特に、中小企業技能を持った人たちが参加するのに国の補助なんかはどうなっているのか。何だったら全額持ってやったらどうだという気もするわけでございますが、いかがでありましょうか。
  50. 後藤憲夫

    説明員(後藤憲夫君) 先生お話しの技能オリンピックでございますが、これは技能五輪国際大会というふうに私ども呼んでおります。この大会のねらいは参加国の職業訓練の振興あるいは技能の向上、若い技能者たちの交流だとか親善ということで、そういうねらいのもとに行われている技能競技大会でございます。  我が国は第十一回の大会から毎年参加をしております。昨年十月が第三十三回、これが最近の大会でございますが、フランスのリヨンという町で行われました。日本からは二十八職種で若い方たち二十八名がそれぞれ参加をいたしまして、成績は金メダルが四、銀メダルが三、銅メダルが一、計八個のメダルを獲得いたしました。金メダルだけの獲得数で見ますと、参加二十八カ国中第三位の成績ということになっております。  我が国産業の発展を支えたすぐれた技能の後継者たちでございます。この若い人たちの技能者の育成ということは大事な問題でございます。そういうことから、労働省といたしましては、この技能五輪国際大会へ選手を派遣しております中央職業能力開発協会に対しまして、まず選抜のための国内大会の経費につきまして一部補助をしておる、それから世界大会に派遣する費用の一部、三分の一でございますが、その費用を補助しているという状況でございます。
  51. 小山孝雄

    小山孝雄君 余り時間もございませんが、三分の一の補助とありましたけれども、これは半分以上出してやったらどうですか。
  52. 後藤憲夫

    説明員(後藤憲夫君) 今後努力してまいりたいと考えております。
  53. 小山孝雄

    小山孝雄君 努力じゃなくて、次の予算でとると。応援しますよ。大した金じゃないんですから、住専を考えたら大したものじゃないですよ。  次に移りたいと思いますが、大蔵省おいでいただいておりますが、中小企業、特に都市部における小規模中小企業皆さんが大変頭を痛めておられるのが、相続の事態が発生したときに、事業を承継する段階で相続税が重過ぎるために承継が非常に困難になるケースが多々あります。  大蔵省にお尋ねしますが、我が国の相続税は最高税率で七〇%、最低が一〇%でありますが、こんなに高い国はないわけで、国際比較をちょっと発表いただきたいと思います。  実は私はここに一冊の本を持ってきたんですが、これは「相続税が払えない」、百一歳で亡くなった画家奥村土牛さんの息子さんで奥村勝之さんという方が出した本です。  奥村土牛さんの絵でございますからちょっとしたものでも数千万、ちょっと大きなものであれば億単位のものになるわけです。たくさん残されておった。そしてまた、七十年間にわたって描き続けられたスケッチ、二十畳ぐらいの古い木造の家の座敷に人間の背丈ぐらいのスケッチがもう所狭しと置かれている。恐らく何万という数かなというふうに書いておりますが、そのスケッチにも相続税がかかってまいりまして、一束二千万とかという額だったそうです。正確なところはちょっと調べてみないとあれですが、大変な額がかかっております。とても払えないということで、お葬式が終わりまして、四十九日も終わって相続税の話になって、とてもこれは払えない。じゃこの世の中から消すしかないということで、兄弟が泣きながら奥村さんが七十年間にわたってかき続けてきた素描をごみ焼却場に持っていってみんなで焼き捨てたと。まことにこれは文化的にももったいない話であります。  大蔵省にお尋ねしますが、事業承継のための相続税、それ以前の問題として日本の相続税は高過ぎると思いませんか。
  54. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 最高税率と最低税率、日本の場合には、今先生御指摘がございました、最高税率が七〇%、最低税率一〇%でございます。海外でございますが、最高税率の方から先に申し上げますと、アメリカが五五%、イギリスが四〇%、フランス四〇%、ドイツ三五%でございます。それから、最低税率の方は、日本の一〇%に対しまして、アメリカが一八%、それからイギリスは四〇%一本でございますのでこれは最高、最低ございません。それからドイツが三%、フランス五%等となってございます。  ただ、税制の場合には、一つ税率構造の問題もございますが、一方で課税最低限、基礎控除をどれぐらいに持っていくかというようなこともございますので、税率だけで必ずしも議論はできないのかなというような点は申し上げておく必要があるかと思います。
  55. 小山孝雄

    小山孝雄君 相続税の問題については本当に突っ込んだ議論をしたいところでございますけれども、私に与えられた時間はあと七分でございます。  今ほかの要素も見なければならないというお答えがありましたが、全体としてやっぱり高過ぎるというのがどなたもの一致した意見じゃないかと思うわけであります。今ここで相続税を下げろなんと言ったって、これはもう話が別のことでございますのでこれ以上はできませんが、町場の中小、小規模事業者が事業承継の問題に直面をしたときの軽減措置はないのかどうか。  そして、これはたしか平成八年度、新年度の税制改正の中で、小規模宅地の課税特例あるいは非上場株式の評価の変更など、そういったものを施策として盛り込んでやろうじゃないかという話が自由民主党の税制の当初のあれではあったのでございますけれども、途中で大蔵省にけられたという話も聞いております。たしか課税対象を二〇%を一〇%に引き下げる案だったと思いますけれども、その経過について大蔵省、明らかにしていただけませんか。
  56. 伏見泰治

    説明員(伏見泰治君) 相続税の関係、先生もう十分御承知と思いますが、昭和五十年以降長いこと改正が行われておりませんでしたが、六十三年末のいわゆる抜本改正、それから平成四年度の改正、それから平成六年度の改正ということでございまして、このところかなりの頻度で改正が行われております。この間、税率のいわゆる累進度の緩和でございますとか、それから基礎控除の引き上げ等の措置が行われてございます。これは相続税全体についての措置でございますけれども、今お話しになりました事業承継というふうな観点からも当然そのメリットが及んでくるわけでございます。  それから、今、先生の方からコメントがございましたけれども、事業用の小規模宅地、二百平米以下の宅地等につきましての課税の特例でございますが、この特例につきましても、今申し上げましたような時点時点の改正の際に同じく拡充措置がとられてございます。六十三年以前、抜本改革以前でございますとこの減額割合が四〇%でございましたが、今お話がありましたように、現在これが八〇%の減額割合となっております。  そういう意味で、言ってみますれば、改正が行われてまだそれほど日もたっていないというようなことで御議論がございましたが、今年度につきましては措置は行われていないということと承知しております。
  57. 小山孝雄

    小山孝雄君 この相続税の問題についてはまた改めてじっくりと研究、取り組む機会を得たいなと、こう思っていることを申し上げて、次に進みたいと思います。  中小企業庁長官中小企業の果たす役割、産業の下支えであると同時に、事業所数においては九九%であることは皆さん御存じのとおりで、事業所数にして約六百五十万でございます。そしてまた、その中小企業が抱える従業員数は約四千百万人ぐらいになるわけで、全体の勤労者六千万と言われておりますから、七六%の人が中小企業で職を得て生活費をいただいている。そしてまた、その家族まで含めたらこれは大変重要な役割だと思います。  長引く不況の中にあっても頑張っている中小企業、たくさんの人を抱え、家族も養っていくその給料を出している中小企業というのは本当に大切にしなくちゃいけないと私は思うわけでございまして、中小企業庁長官としてのお考えをまとめてお聞かせいただきます。
  58. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 基本的に先生のおっしゃることに全く同感でございます。中小企業は国民経済を支え、また雇用を支えるという役割を持っておるわけでございまして、これから二十一世紀を迎えるというような時代になりまして、中小企業の果たす役割というものはますます大きなものがあるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  そのためにもやはり中小企業に頑張ってもらう、これは基本的に重要なことでございますし、労働力確保という面におきましても、先ほど申し上げましたように、労確法というものの適正な運用というものを通じて労働力確保等を図っていくということがございますが、さらにやはり私ども申し上げたいのは、いわゆる新規事業ベンチャー企業というものを育成することによって経済のフロンティアを拡大していく。そこに新しい雇用の場を創出していくというようなことがまた大事なことだろうということで、今度改正をお願いしております創造法改正法案というようなことによりまして一層の充実を図ってまいりたいと思っております。またさらに、発展をいたします中小企業への人材の移動を円滑に進めるということもこれも大事なことだろうと思いますので、労働市場のさらなる環境整備というものも重要なことだと思っております。  そういう意味におきまして、いろんな議論がございますけれども、私どもといたしましては、例えば労働者の派遣事業でありますとか有料職業紹介事業、こういったようなものにつきましても思い切った弾力化、自由化というようなものが望まれるところではないかというふうに考えております。  今後ともこうした多面的な対応によりまして、中小企業における雇用の創出、確保に向けて、これは労働省とも御協力をしながら全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  59. 小山孝雄

    小山孝雄君 最後に、大臣にお尋ねいたします。  この所信で、「中小企業は、国民生活を支え、雇用を支え、地域を支える我が国経済社会の基盤であり、活力の源泉」だと、こう申されました。まことにそのとおりだと思います。子供がおって、幼稚園児も遊び、公園で相手をする年老いたおばあちゃんもいて、近くには駄菓子屋もある、あるいは喫茶店もある、そしてその隣には町工場の活発な活動の音が聞こえる。そうした町が大臣のおっしゃるいわゆる地域を支えると、こうございますけれども、町並みがそういうものでなけりゃいけない、ただビル街があるだけではやっぱり町じゃない。下町あるいは町並みが私は中小企業が衰退することによって消えていくんじゃないかという感じすらするわけでございます。  特によく言われることでございますけれども、農林関係の全予算が三兆五千億円、それに比して中小企業の関連予算というのは一千八百五十六億円、住専予算の三分の一以下であります。こういったことも考えて、大いに中小企業対策施策を力強く、そして予算面からも我々も応援申し上げたいし努力もしていきたいしどうか頑張っていただきたいと、このように思うわけでございますが、塚原大臣の御所見を伺って、終わりにさせていただきます。
  60. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 衆議院の商工委員会所信に対する質疑のときに、いわゆる塚原通産大臣らしさをどこに求めていくんだという御質問がございました。非常に多岐にわたる通産行政の中であなたは何に一番力を入れるんだと。これはもうすべてに力を入れるのは当然でありますが、そのときの答弁の中で中小企業対策というふうに御答弁をさせていただきました。  本委員会から御指導をいただくことはこれからたくさん出てまいると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げます。
  61. 小山孝雄

    小山孝雄君 終わります。
  62. 齋藤勁

    齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、最低資本金制度の導入の今日的状況と今後の対応についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  平成三年の商法改正で、株式会社への最低資本金一千万円、そして有限会社の最低資本金が三百万円と引き上げられたわけでございます。五年間の猶予期間も過ぎ、この三月末をもって達成期限が到達をするわけでございます。私ども見ている資料では未達成企業が昨年末の段階で九十万社あるのではないかというそんな昨年末の段階でございますけれども、数値を見ております。  現時点で把握をされております最低資本金制度導入に伴います達成状況について、法務省にお伺いさせていただきたいと思います。
  63. 原田晃治

    説明員(原田晃治君) 平成八年、ことしの一月末現在における株式会社及び有限会社の登記簿上の数が三百十七万社ございますが、そのうち約七割強の約二百三十五万社が最低資本金を満たしております。したがいまして、登記簿上でいきますと未達成会社の数が八十二万社ということになります。  内訳について申し上げますと、株式会社につきましては、登記簿上の会社数が約百三十四万社ございますが、最低資本金を達成したものが約九十九万社、達成率が約七四%となっております。有限会社については百八十三万社が登記されており、そのうち約百三十六万社が最低資本金を満たしていると推計されております。  ただ、今申し上げましたのは登記簿上の数字でございまして、この数字の中には既に営業を廃止していながら解散の登記をしていない、いわゆる休眠会社と呼ばれるものが相当数含まれていると思われます。これらの会社を除きますと最低資本金の達成率はさらに高くなると思われます。  現実に、ことしに入りましてから、日本商工会議所、それから全国中小企業団体中央会及び全国商工会連合会、それぞれがその会員である中小企業を対象にアンケート調査を行っております。この調査結果によりますと、八割から九割の企業が既に最低資本金を達成している。現時点で最低資本金を達成していない会社につきましても、その八割以上の会社が期限内に増資もしくは組織変更という形で対応することを決定しているという結果が明らかになっております。  現実に現在、登記所には増資もしくは組織変更に伴う登記申請事件が相当数毎日出されております。猶予期間の満了日は迫っておりますが、今申し上げました増資とか組織変更に伴う登記申請事件につきましては五月末日まで受理するという扱いにしておりますので、現実に営業を行っている会社のほとんどが対応していただけるものと予想しております。
  64. 齋藤勁

    齋藤勁君 ただいまの御報告ですと、ことしに入って中央会あるいは連合会アンケート等で八割から九割と。そしてこの年度内には、さらに言ってみれば駆け込み的というんでしょうか、急いで出すということで、そうすると、法務省の判断としては、増資の意向がある会社については届け出がほぼ済まされて、あと残るところは休眠会社いわゆるペーパーカンパニー、残るところはそういうものだというそんな見通しでございましょうか。
  65. 原田晃治

    説明員(原田晃治君) 最終的には、現実に営業を行っている会社のほとんどは対応していただけるというふうに考えております。
  66. 齋藤勁

    齋藤勁君 最終的に営業をされている会社が今度の最低資本金のそれぞれの引き上げに伴いまして手続が済んでいるということについては、以下の危惧する点については実は全く不必要な私の質問になるんですけれども、なおも増資の意思があっても、いわゆる中小零細企業の中で、いろいろ資金繰りが整わないということで、実はそういった会社が相当数出るのではないかというそんな心配、そしてそのことがこれからの商行為にどのような影響が出てくるかということについて、今日的には三月末までとにかく出してほしいということのさまざまな指導、これは法務省、同時に中小企業庁、通産省もあったと思います。  いわゆる達成期限後にそういった会社が清算法人、みなし法人、これから解散になっていくわけですけれども、そういった企業が既に届け出をしてある企業との取引の中でトラブルが起きるということで、最低資本金の問題につきましては、今後の対応について少なくともそういった商取引上トラブルが生じないようなきめ細かな施策をすべきではないかということで、幾つかあえて指摘をさせていただきたいというふうに思います。  言ってみれば、改正法が成立したころはちょうど不況の入り口でございまして、その後いわゆる日本の経済が右肩上がりが右肩上がりでなくなっているということで、いわゆるバブルがはじけたわけでございますが、そんな中でそれぞれの最低資本金の達成の締め切りが来ていますよということで、いろいろしてもかなわない企業があるのではないかということの実は危惧でございます。  それはとりわけ、私自身もそうですが、司法書士会あるいは税理士会、それから具体的には諸団体に入っていなくても、中小は増資対策に苦労しているんだということで、こういう危惧の点が指摘をされております。未達成企業の中で、これを機会に廃業しようと決心してちゃんと清算手続をとる企業はいいと。しかし、業績が悪いからこれ幸いと夜逃げするケースが出るのではないかというケース、それからこういった夜逃げをすると清算もできずに倒産にもならないから、言ってみれば始末に困って、得意先企業がいきなりみなし解散となって売掛金が回収できなくなる、資金繰りに苦しむ企業も出てくることだろうと、こういう危惧な点でございます。  ただ、先ほどから私もやりとりしまして、法務省の方が、残るところはもう休眠会社であるペーパーカンパニーであるんだということになりますと、こういった私が言っている危惧については全く不必要になるわけなんですが、さらに一つお尋ねさせていただきたいと思います。  こういうような未達成企業に対する対応というのは検討しなくてもよろしいと、そんな点は議員、心配しなくてもいいですよということでございましょうか。それは法務省よりもむしろ中小企業庁かもわからないですが。
  67. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 私ども、最低資本金につきましては、先ほど法務省から御答弁がございましたように、中小企業団体を通じましていろいろ調査をさせていただいております。もちろん、達成状況は非常にいいわけでございますし、また未達成と答えておる企業の方もこれから何とか努力をして達成するんだという方もおられます。しかし、中にはまだ態度が未定であるということとか、あるいは達成するのではなくて、むしろ個人というものに形態を変えるという御判断をされるというような方などもおられるわけでございます。  したがいまして、例えば会社形態から個人に変わるというようなことによって、従来の取引関係というものが非常に混乱をするということがないように私ども十分なる配慮をしたいと思っておりますし、特に金融関係などにおきましてそういうことが起こることもあろうかと思いますので、政府系中小企業金融機関に対しましては、そういった点につき、最低資本金制度の趣旨及び個々の中小企業者の実情に応じた適時適切な対応をとるように配慮されたいというようなことも指導をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、できるだけ混乱のないように、また御指摘のような連鎖倒産というようなものが発生することのないように十分なる目配りをしてまいりたいと思っております。
  68. 齋藤勁

    齋藤勁君 いずれにしましても、何ら対応しない企業の中にはペーパーカンパニーというのはかなりあると思います。私の方の指摘、危惧は、いわゆるこれからの商取引で取引先の最低資本金制度への対応を確認しないと相手がみなし解散会社になって債権が宙に浮く、こういう混乱が予測されるというふうに思います。  そういったことで会社制度、この乱用に伴うさまざまな弊害に引き続ききめ細かな対策をひとつお願いしたい。とにかく届け出をしてほしいということより、これから締め切った後の対応についてひとつ照準を当てていただきたいということでございます。  先ほど件数をお伺いしましたけれども、いわゆる阪神・淡路大震災当時に、大阪府と兵庫県に本社があった会社は期限が一年間延長されました。法務省の方で、この大阪府と兵庫県の地域を限定しまして、ここら辺の今現時点での状況というのは数値で把握されていますか。手元に資料ございますか。
  69. 原田晃治

    説明員(原田晃治君) 今、手元に細かい数字は持ち合わせておりませんが、現在、各登記所に最低資本金を満たすための増資もしくは組織変更の申請が相当出ておりますが、今御指摘のございました阪神・淡路大震災に伴う適用猶予期間を設けた地域、大阪府と兵庫県の登記所につきましては、他の登記所に比べますと現在の登記の出方は相当に少ない状況でございます。この阪神・淡路地域に相当数の会社がございますが、恐らくこの四月以降に、来年度の猶予期間を控えて次第に増資等の事件が出てくるものと予想しております。
  70. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は、この地域が単純に一年間延長してということで済まされるかどうかというのは企業実態、経営実態として非常に実は心配をしておりまして、融資対策とかいろいろされているわけでございましょうけれども、今全国的にはこの三月末でございますけれども、一年間の残りの中できめ細かなこの地域への対応をぜひひとつ要望させていただきたいというふうに思っております。  それでは続きまして、工業制限諸制度の緩和について幾つかお尋ねさせていただきたいというふうに思います。  特に、京浜臨海部、神奈川県川崎市、横浜市、そしてまた東京都の大田区部の方も入っていきますけれども、この地域におきましては、いわゆる明治以来、重厚長大型、鉄鋼、電機、化学等、こういう大変大規模な工場が進出しながら日本の産業、経済の牽引車的役割を果たしてきたことは言うまでもないというふうに思います。  しかし一方で、無秩序な工場配置等が起きたことによりまして、他方、公害に対するさまざまな技術的な対応もおくれたということもあり、深刻な公害問題の発生あるいは緑地確保が非常に難しいということで、さらに都市部への人口集中が激しくということで、全国的な過密過疎の生んだ一つのまた大きな特徴であったというふうに思います。  そういう中での日本経済の一つ施策として、過密過疎を解消する中で全国的に分散をしていこうということがあったわけですけれども、現段階でいいますと、御承知のとおり今や国内の産業が国外にということで空洞化をしているということで、この京浜臨海部に対しましては、国内というより国際的な空洞化ということで大変憂慮すべき状況が来ておることは御承知だというふうに思います。  そんな中で土地利用、いわゆる国土の利用という立場の中で、平成六年九月に国土庁大都市圏整備局が中心となりましていろんな有識者の方々も参加をする中で、「京浜臨海部の再編整備にむけて」という報告書が出されて今日に至っているというふうに思います。さらに、産業政策的な立場に立って昨年の七月に通産省では「新産業立地政策研究会報告書 グローバル経済下での魅力ある産業立地環境の整備へ向けて」と、こういう内容が明らかになっているところだというふうに思います。  今二つの、平成六年九月の国土庁並びに平成七年七月の通産省の政策研究会報告書をそれぞれ取り上げさせていただきましたけれども、前段申し上げました京浜臨海部については国土庁のみでございますけれども、後段の通産省に関しましては、私が短い時間で述べさせていただきましたこの京浜臨海部の歴史的な今の状況に立って、それぞれこれからどうあるべきかということについて立てた報告書、施策を求めるための報告書であると、こういうような位置づけで受けとめてよろしいでしょうか。
  71. 鈴木孝男

    政府委員(鈴木孝男君) 先生御指摘の、昨年七月に私ども産業立地政策研究会の報告書を出させていただきました。その考え方は、先生御指摘のように、今後は企業が国を選ぶ時代である、国際競争力の確保観点から我が国の立地政策を考えなくてはいけないのではないかという問題点の指摘をしたところでございます。  そのような観点から、大都市圏における立地の問題、地方圏における立地の問題等を種々検討し、この研究会、まだ研究会の段階でございますので、むしろ問題点の指摘という形でかなりいろいろな先生方の御意見を踏まえて、私どもは現在その研究会レポートを踏まえまして、さらに日本立地センターなどの実態調査も踏まえまして、次のステップのための新しい産業立地政策と申しましょうか、地域に立脚した産業政策というものを検討させていただいている状況でございます。そういう意味で、研究会のレポートの中の幾つかの問題点をさらに具体的な検討を踏まえながら次のステップにという段階でございます。
  72. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、具体的にまず工業等制限法について国土庁にお尋ねさせていただきたいと思います。  現在、この京浜臨海部でございますけれども、工業等制限法の規制によりまして、工場及び大学等の新増設が制限をされているわけでございます。今申しましたこの急激な円高、アジア地域の経済成長に伴いまして、首都圏から地方に分散するはずだった工場が海外へと移転をしているわけでございます、空洞化ということで。私は、この大都市圏が有する産業集積あるいは立地特性を有効活用し、大都市圏の産業を活性化することが地方圏の活性化にまたつながっていくんだと、こういう考え方に立ちまして、工業等制限法については撤廃することが至当ではないかというふうに思います。  そこで、我が国産業の国際競争力を高めていくためにも、研究開発機能を強化していくということが不可欠であるならば、大学等との連携を図って、民間では余り力を入れてこなかった基礎的あるいは独創的な研究開発を活発にしていくためにこの臨海部においても大学等の設置を検討する必要がある、こういう考え方に立つならば、当然この制限法について緩和をしていかなければならないというふうに思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。
  73. 有賀長郎

    説明員(有賀長郎君) 工業等制限法の問題でございます。  この法律は、先生のお話のとおり、大都市の中心部への産業、人口の過度の集中を防止するために、工場それから大学につきまして新増設を制限するものでございます。私どもといたしましては、大都市の中心部における産業、人口の集積、これは依然として大きいものがございますので、国土の均衡発展を図るといった観点からその基本的な枠組みは堅持する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、例えば大学という問題もございましたけれども、こうした大都市の中心部につきまして先端的な研究機能の立地といったようなものが求められるというふうな状況もあるわけでございますけれども、これは大学の中でも教室の部分だけを制限した法律でございまして、大学の研究施設のようなもの、これはこの法律の対象外でございます。  また、産業の再活性化といったようなことでもございますけれども、この法律産業の構造転換それ自体をすべて制限しているわけではございません。例えば、中小企業につきましては、近代化設備の導入あるいは共同化といったようなことのために工場の増設を図るといったようなときには、一定の床面積の上限がありますけれども、これは許可できるという運用をしておりまして、さらに昨年の四月にはこの床面積の上限も撤廃させていただいております。それから、中小企業でなくても一定の工業専用地域等におきましては工場の増設を認めるということで、昨年の五月には政令の改正もいたしました。  先生御指摘の臨海部の再編整備という問題でございます。  この一昨年九月の私どもが取り組みました報告書を受けまして、さらに現在、地元の地方公共団体でその具体化を図るべく調査検討が鋭意進められております。これは地元が主体的に取り組んでおられることでございますけれども、私どもといたしましてもできるだけの御協力はさせていただきたいと思っている次第でございます。
  74. 齋藤勁

    齋藤勁君 また後でちょっと制限法のお話をさせていただきますが、時間の関係で次に工場立地法について触れさせていただきます。  工場立地法でございますけれども、就業環境改善あるいは環境保全の必要性がますます高まっていると思うんですけれども、高い緑地率や生産面積率の制限が土地の有効活用あるいは古い工場の設備更新の障害となって臨海部の活性化の妨げとなっております。  ここでさらに私の方での具体的な提起でございますけれども、工場当たりの緑地率を求めていくということではなく地域全体で緑地を確保していくという、そういった対応というのを検討すべきではないかというふうに思います。先ほどの七月の報告書の中には、この立地法に対しまして、今私が申し上げました共通緑地制度拡大をと、「拡大の是非」と書いてありますから完全に肯定もしていないんですけれども、この共通緑地制度という意味も私自身の指摘も実は同じ意味でございますので、この工場立地法の緩和ということについて、所管庁としてのお考え方を伺いたいと思います。
  75. 鈴木孝男

    政府委員(鈴木孝男君) 先生御指摘の共通緑地制度につきましては、私どもの昨年七月の研究会でも問題点の一つとして指摘をさせていただいておるところでございます。また、神奈川県からもそのような要望も私ども承っておるわけでございますが、その後、研究会レポートが出ました後、引き続きまして私どもその共通緑地制度につきましてはいまだ管理主体をどうするか、あるいは緑地の維持管理の方法をどうするか、緑地の費用の負担の問題等幾つかの問題点がございますので、もう少し具体的な実態を踏まえながら、この制度の導入の是非を含めまして引き続き検討させていただければという形で検討しておるところでございます。  ただ、工場立地法につきましては、先ほど工業等制限法につきましても国土庁の方から最近いろいろな運用の緩和を図っているというお話がありましたけれども、私どももこの緑地につきましても昨年、工場の建てかえの場合についての判断基準を明確化したり、あるいは環境施設をどういうものを含むのかということの省令の改正などをやりまして、そういう大都市における製造業の活性化あるいは既存工場の再活性化という観点からできる限りのことを私どもやっておるつもりでございますし、いろいろな課題があろうかと思いますが、また引き続き実態を踏まえまして勉強させていただければと思っております。
  76. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで制限法、立地法ですけれども、実は二つほど新聞のコピーを持っております。一つは、昨年の七月、先ほど来の新産業立地政策研究会報告書が出された後の報道です。新聞名は日経でございますけれども、「通産省、関連三法見直し 都市部で促進へ」ということで、言ってみれば、次の年度、平成八年度には幾つか緩和をされるのではないかという、そういった新聞記事を見る限り非常に期待を持たせる内容と。もう一つは、朝日新聞でございますが、平成七年十月二十五日付に、先ほど大学の新増設については緩和ということについての方向は答弁ではございませんでしたけれども、文部省が「大学の郊外分散、見直し 大都市での新増設緩和 社会人教育充実へ」ということで、文部省自身が検討をし、国土庁と協議を始めたという報道がございます。これはやはり市民なり県民が受けとめまして、これはもう次の年度にはというような何らかの期待感を持って受けとめざるを得ないというふうに思います。  持ち時間の関係でこれ以上やりとりできないんですけれども、それぞれの自治体との積極的な対応もそうですが、これからの国土庁の緩和に向けての前向きなひとつ努力をお願いしたいということでの決意と、そして立地局でのこれからの立地法に関する取り組みに対する考え方、姿勢についてお尋ねさせていただきまして、私の質問を終わります。
  77. 有賀長郎

    説明員(有賀長郎君) 工業等制限法の工場並びに大学関係への運用でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども基本的な枠組みはこれを堅持するという考え方ではございますが、それぞれの最近の新しい実態、そういったものに十分対応できるようにできるだけ弾力的な運用といったものを、これは各地元の公共団体とよく相談をしながらやっていきたいというふうに考えております。
  78. 鈴木孝男

    政府委員(鈴木孝男君) 私ども産業立地をめぐる最近の情勢の変化を十分踏まえまして、日本全体の産業の国際競争力の強化あるいは空洞化の懸念の回避といったような視点も踏まえまして、産業立地政策の観点からいろいろな問題を検討し対応してまいりたいと思っております。
  79. 齋藤勁

    齋藤勁君 終わります。
  80. 西山登紀子

    西山登紀子君 質疑に入る前に一言ですが、衆議院の予算委員会がストップされているという不正常な状態のもとで本委員会も非常に不正常な開会が強行されたということにつきまして、日本共産党としては反対の意思を持っているということを表明させていただきまして、質疑に入らせていただきます。  大臣にまずお伺いをしたいわけですけれども、私の地元は京都です。住専の被害を最も深く受けたのは京都だとも言われているわけです。それは、住専の資金が京都の町壊しとそれから伝統産業を危機的な状況に追い込んだ元凶だとも言えるからでございます。政府が公表いたしました住専の大口融資先七百社、その七百社の中に京都の二十六社の名前が入っているわけです。異常な事態が進んだことを示していると思います。  京都ではバブルの時代に大量の住専の資金が流れ込んできました。東京よりも京都の方が土地が安いとか、東京よりも開発の余力がある、こういうことが騒がれまして、住専資金がどっと京都に流れ込んできたわけです。その結果、京都がどうなったのかといいますと、皆さんも来ていただきましてごらんになっていただけたとは思いますけれども、町壊し、景観破壊がどっと進んでいるわけです。JRの京都駅ビル、京都ホテルの高層化、これは本当に痛ましい限りでございます。地上げが強行されました。祇園祭りで有名な鉾町でも住民が追い出され祭りの担い手がいなくなる、こういう心配すら出ているわけです。  京都は世界遺産条約に登録されている十七の社寺があるわけですが、こういう大事な文化遺産をお預かりしているこの京都で非常に乱暴な高層マンションなどの建設が次々と進んだわけでございます。  ちなみに、幾つかの例を御紹介したいと思うんですけれども、例えば開発の火つけ役となった伏見区ですが、浜田開発というところには住専から、地銀生保住宅ローンというところからは二十五億円融資がされているわけです。  それから、モヒカン刈りという名前とともに京都の景観破壊の、モヒカン刈りと言葉はよくないですが、その名前とともに京都の景観破壊の象徴とも今なっている一条山の乱開発を行ったのは日本工業、この日本工業に住専の日本住宅金融から二百五十三億円もの融資がされているわけです。  京都で一番地上げが集中したのは下京区なんですけれども、そこにも総合住金などからの不動産会社の融資が非常に多く出ております。  また、銅板の屋根があるという独特の景観を持ちます京都大学の横にあります吉田山、その吉田山の宅地、山林の約二万平方メートルがこの開発の対象となったわけですけれども、これは日本ハウジングローンなどの融資で大きく底地買いなどが起こりました。数え上げたらもう切りがない。こういう形で京都の破壊が進んでいっているわけです。  それだけではありません。大型店の進出ラッシュも起こりました。大型店の店舗面積というのは、八八年の二八・一%から九五年十一月には三八・七%、一〇%もアップしたわけで、そのあおりを食らいまして零細な商店は九一年から九四年の三年間で二千二百軒以上も減っています。  つまり、住専の問題というのは不良債権の処理、こういう問題に限られるだけではなくて、その住専の融資の大量な流れによって京都の町壊し、日本の顔京都と言われるほどのこの京都の町が壊されて、また住民が追い出されて商店街はつぶされていっている。つまり、地場産業や伝統産業に重大な影響が出ているということではないでしょうか。  中小企業が苦境に追い込まれているわけですけれども大臣、この中小企業育成に当たられるという大臣の立場からこのような実態をどのように受けとめ、お考えになるでしょうか。
  81. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 先生から御質問の趣旨をいただきましたときに、いわゆる住専と景観ということで、私ども景観で承知しておりますのは、例えば京都ホテルが高過ぎるとか、それからJRの駅ビルが高過ぎるとかいう議論になっていることを伺っておりましたので、この辺が住専と絡んでいるのかなというふうに考えていたんですが、余りここは絡んでいないような感じでございまして、ちょっと御質問の趣旨を理解しかねていたんですが、今のお話を聞きまして、伏見の例とか一条山の例、下京区の例、吉田山の宅地の例等々お伺いをいたしました。いわばそのときそのときで、そのときの現状というのはよくわかりませんのでなかなかコメントしにくいんですが、それぞれ必要があっていろんな作業というものがなされてきたんだというふうに思います。  そして、このことが果たして中小企業に対してどういう影響があったのかということにつきましてはこれも現実把握をしていないのでわかりませんが、やはりその仕事をしていた時点ではもしかしたら中小企業に仕事があったというような状況もあったかもしれませんので、ちょっと一つ一つについてお答えできる立場にないものですから、まことに申しわけないと思っております。  それから、一昨年の連休ですが、本当にごくわずかですが、かなり細かく、子供を連れて京都に参りましたが、私は京都は大変すばらしい、家族一同みんな感激して帰ってまいりました。
  82. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣、京都は本当に今破壊されておりましてあえいでおりますので、余り悠長なことは言っていられないわけです。ぜひもっと京都の実態をよく深くつかんでいただきまして、中小企業の町京都でもございますので、対策をよくお考えいただきたいと思います。  次に、自治省に来ていただいていると思うんですけれども、こうした町壊しや不況にあえぐ中小企業の一番の悩みというのは高い税金と借金の返済です。京都では自殺者も出ています。  ところが、国民の税金で不良債権の穴埋めを受けようとする住専の大口融資先ほどうかといいますと、住専の大口融資先の七百社の名前は公表されておりますけれども、京都ではこの融資先の企業が市税の大口滞納者のワーストテンに姿を見せているわけです。自治省はこれら七百社の地方税の滞納状況について把握をしていらっしゃるでしょうか。
  83. 武田文男

    説明員(武田文男君) いわゆる住宅金融専門会社から融資を受けている者が多額の市税を滞納しているという御指摘であろうかと思いますが、私どもにおきまして、特定の納税者に係る地方税の滞納額につきましての把握というのはいたしておりません。
  84. 西山登紀子

    西山登紀子君 非常に国民的な大問題になっているときに、わからない、把握していないということでは私は済まされない問題だと思うわけです。これは把握し、公表していただかなければならないと思います。  京都で私が入手をいたしましたその結果を少し御披露したいと思います。  九四年度の決算、市税の大口滞納者、法人分でワーストテン、これが調べた結果わかるわけですけれども、その九四年度のワーストツー、これは窪田、住専二社から二百二十億円の融資を受けている会社ですけれども、これの滞納総額というのは三億三千六百五十七万一千五百二十八円でございます。内容は法人市民税と固定資産税、こういうことになっているわけです。  それから、第五位はアクスハウジング、これも八十億円の融資を受けているわけですが、滞納総額は一億七千百十九万三千五百九十円でございます。  八位は日本デニム、これは九十四億円の融資を受けている不動産会社ですけれども、滞納額は七千九百三十七万三千九百七円でございます。  第十位はコスモ建設、これも六千六百七十九万八千四百円が滞納されております。内容はそれぞれあるわけですが、コスモ建設の場合には固定資産税、特別土地保有税、こういったものが滞納の内容になっているわけです。  これは九四年度だけでございますが、それでは九三年度、九二年度はどうかということですけれども、九三年度もこのワーストテンの中に住専からたくさんのお金を借りた不動産会社がたくさん入っているわけですね。逐一申し上げているわけにはいきませんので、九二年度の決算をもう一度九四年度に加えまして、九二年度は実は上位に五社が入っております。  第三位に窪田、これは二億三千四十一万四千八百三十二円が滞納額です。四位はアクスハウジング、これは九千八百十万一千円が滞納額。六位が日本デニム、八千四百九万五千六百七十八円です。八位はコスモ建設、四千九百八十五万六千七百円。九位は京都住研で、四千八百八十一万二千五百七十円です。これが滞納額でございます。そして重要なことは、こういう滞納している企業がすべて不良債権を出しているということでございます。  もう一度自治省に要求をしたいと思いますが、一方で不良債権を出しながら一方で税金を滞納している、こういう状況については国民はぜひ知る必要があると思いますし、自治省としてぜひ住専の貸付先七百社すべてにわたりまして、税金の滞納がどういう状況であるかということを調べて公表していただきたいと思います。
  85. 武田文男

    説明員(武田文男君) 各市町村におきます滞納者あるいは滞納額等につきましては、これを公表するかどうかといったことにつきましては、まずは守秘義務の違反に当たらない限りにおいてということが必要でございますが、その限りにおきまして賦課徴収権を有しております各市町村が判断をされるべきものというふうに考えております。
  86. 西山登紀子

    西山登紀子君 今、住専の問題は国会で議論がされているわけです。そして、総理も大蔵大臣もあらゆる刑事責任や民事責任を含めて明らかにする必要があると、このようにも言っていらっしゃるわけですから、私は地方自治体の裁量に任すのではなくて、自治省みずからが調査をしてきちっと公表すべきだと思います。もう一度答弁を要求いたします。
  87. 武田文男

    説明員(武田文男君) 今申し上げましたように、地方税法上、いわゆる課税権といいますか、賦課権、徴収権、こういったものにつきましては各市町村におきまして有している、こういうことでございますので、この滞納額等の公表につきましてはそれぞれの市町村において適切な判断がなされるべきだというふうに考えております。
  88. 西山登紀子

    西山登紀子君 自治省としては地方自治体にその調査の必要があるということをきちっと申されて、そして把握をするという努力をなさいますか。
  89. 武田文男

    説明員(武田文男君) もう一度申し上げますが、各市町村におきまして賦課徴収権を持っておりますので、いわゆる滞納整理であるとか、そういったものの内容等につきましてもそれぞれの自治体で判断をされるべきものというふうに考えております。
  90. 西山登紀子

    西山登紀子君 やりとりが平行するんですけれども、自治体にそれが必要だということを自治省の方から言われて、そして把握に努められるかどうか、それをもう一度お聞かせください。
  91. 武田文男

    説明員(武田文男君) いわゆる滞納整理、これはどういった税につきましても、市町村、都道府県それぞれにおきましても滞納整理を進めるべきこと、これは当然でございますし、そのために必要な滞納者の把握あるいはそれに対するいろいろな法的な手段というのが税法上も定められております。こういったものにのっとって適切に対処すべきものということは、私どもはかねがね地方団体に対してそういう形で指導させていただいているところでございます。
  92. 西山登紀子

    西山登紀子君 吹田市ですか、市議会でも公表がされておりますし、いろいろな自治体があると思うんですけれども、ぜひそれは自治省として公表する必要があると、こういうことでぜひ御調査をお願いしたいと思います。  それで、最後に、大臣ですけれども、今お聞きになりましたように、住専がずさんな融資をしたということはこれだけ見ても明らかですし、そして借り手が不良債権を一方で出しながら市民税も滞納するという形で地方自治体の財政を圧迫しているということもおわかりいただいたと思うんですけれども、こういう状況ですね。中小企業が最も振興を要求したときに非常に市税が圧迫されているという状況で影響を受けているわけですけれども、これは京都だけではない、全国に起こっている状況ではないかと思います。中小企業育成する大臣としては無関心ではいられないと思うんですけれども、どのようにお考えか、最後にお伺いしたいと思います。
  93. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ちょっと先生にはかっとこられるかもしれませんが、今、住専問題と中小企業の関連の話で、私ども本当に今極めて純粋に一番心配している点を一言だけ言わせていただきますと、この住専によって今年度の予算がおくれるということによる影響が何よりも今一番心配であるという認識を持っております。
  94. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十四分散会      —————・—————