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1996-05-30 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     小川 勝也君  五月二十九日     辞任         補欠選任      山本 一太君     馳   浩君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣  倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        自治政務次官   山本 有二君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        人事院事務総局        公平局調整課長  遠藤 宣男君        人事院事務総局        職員局補償課長  小倉 英雄君        文部省体育局体        育課長      銭谷 眞美君        文部省体育局学        校保健教育課長  北見 耕一君        労働省労働基準        局補償課長    谷  義為君    参考人        地方公務員災害        補償基金理事長  中島 忠能君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、戸田邦司君が委員辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。  また、昨日、山本一太君が委員辞任され、その補欠として馳浩君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長中島忠能君の出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小山峰男

    小山峰男君 今回の法律改正の主たる趣旨は、審理迅速化ということで法律改正をするというふうにお話を伺っているわけでございますが、このことについては大変審理が長引いているというようなことで既に前々から問題になっていたわけでございます。参議院等におきましても、既に六十年の国会におきまして審理迅速化を図るべきだというような附帯決議がついていたわけでございます。  今回、たまたま最高裁判決というものを契機にして改正が行われてきたようでございます。大臣も議員として御活躍でございましたが、附帯決議に対してやはりもっと尊重されるべきだというふうに考えるわけでございます。その辺につきまして、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  7. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 公務災害認定業務につきましては、基金支部段階でほとんどの事案が一カ月以内に処理されておりまして、また一カ月以内に処理されなかった事案のうち、おおむね半数は二カ月以内に処理が終了をし、残りの半数についても必要かつ十分な調査を行い認定事務が行われているところでございます。また、平成七年には、基金支部において受理後一年を経過している事案等について、基金支部支部の協力のもとに迅速な処理に努め認定が終了したと承知をいたしております。  支部審査会審査につきましては、従来から早期処理に努めるよう要請をいたしているところでございます。特に、昨年七月の最高裁判決を受けまして支部審査会において審理迅速化検討が行われ、審査会定期開催開催回数増加事務局充実強化等改善が図られつつあるというふうに承知をいたしております。  これらの措置に加えまして、基金本部において、支部審査会事務局に対する研修充実事務処理マニュアルの作成等きめ細かな対策を講じますとともに、今回の法改正によりまして本部審査会に二部制を導入することとしており、全体としての開催回数をふやし、再審査請求事案早期処理を図るなど、国会における附帯決議趣旨を十分踏まえ努力してまいりたいと考えているところでございます。
  8. 小山峰男

    小山峰男君 今、いろいろ理由をお聞きしたわけでございますが、いずれにしても、私は対応が非常に遅いというふうに思うわけでございまして、今後もこの附帯決議につきましては、政府におかれましても十分尊重するということで対応をお願いしたいと思っています。  次に、国家公務員では人事院あるいは裁判所といわゆる二またの制度になっているわけでございますが、地方公務員につきましては二審制で、しかも前置主義というような形になっているわけでございます。この辺の違いをなぜっけているのかというような問題、またメリットがあるのかというような問題についてお聞きしたいと思います。
  9. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員災害補償制度につきましては、簡易な手続によって迅速かつ公正な権利救済を図るという必要、またその審査に当たっては性質上高度の専門的、技術的判断が要求されるということから、司法判断の前に支部審査会に対する審査請求、また本部審査会に対する再審査請求という二段階不服申し立て制度を前置すると、こういうことによりましていわば行政司法機能調和を図っているところでございます。  簡易迅速な処理というところで、請求人に身近なところで審査を行う支部審査会、また十分な救済が受けられるよう慎重な審査を行い、かつ判断統一を図るということで本部審査会での第二審という二段階仕組みをとっているところでございます。  お話しのように、国家公務員につきましての災害補償実施はやや性格が異なっておりまして、基本的には使用者立場としての責任から災害補償実施を行うという構成をとっております。補償を受ける権利民事上の権利と構成し、行政不服審査法による不服申し立てという形ではなくて民事訴訟によるものというふうに解されておりますので、審査請求前置ということにはなっていないところでございます。
  10. 小山峰男

    小山峰男君 大変苦しい御答弁をいただいたというふうに思っております。地方にしろ国家公務員にしろ形態は似た形でございますし、また基本的には基金という形をとっておると思いますが、まさに地方公共団体の一部事務組合的な事務処理しているものという形でございまして、その使用者責任という意味ではどちらも同じだというふうに思うわけでございますが、時間もあれでございますので、この問題についてはこの程度にします。  それから、人事院にお聞きしますが、国家公務員不服申し立て件数とかそういうことについて、四年、五年、六年、七年、トータルで教えていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  11. 遠藤宣男

    説明員遠藤宣男君) お答え申し上げます。  国家公務員災害補償審査申し立て件数は、平成四年度から同七年度までで五十六件でございます。
  12. 小山峰男

    小山峰男君 その処理状況あるいは平均処理期間というようなものを教えていただきたいと思います。また、直接訴訟に行ったのが何件あるか、おわかりでしたらお願いします。
  13. 遠藤宣男

    説明員遠藤宣男君) ただいま御説明いたしました平成四年度から同七年度までの間におきまして、人事院処理いたしました件数は五十九件でございます。そのうち容認でございますが、これが十五件、棄却が四十四件となっております。  それから、審査申し立てを受け付けましてから判定までに要した期間でございますけれども、平均一年でございます。  また、平成四年度から七年度までの間の人事院判断に不服があり裁判所に提起された、そういうものはございません。
  14. 小山峰男

    小山峰男君 今お聞きしますと、五十九件中十五件、二五%が容認されたということでございますし、また処理期間が一年ということのようでございます。  地方公務員の方の資料をいただきまして見ますと、二百五十四件中、容認が三十七件、一五%、支部審査平均で二年六カ月、さらに本部審査が十カ月から一年ぐらいということで、国家公務員に比べますと容認数もかなり国家公務員の方が多いという状況でございますし、また処理期間平均で一年対約三年半ぐらいというような状況になるわけでございます。  この差というのは、いろいろシステムの相違等もあろうかと思いますが、どういうようにお考えでしょうか、自治省、お願いします。基金でもいいです。
  15. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 御説明申し上げます。  国家公務員と比べまして地方公務員の場合に少し審査期間が長くかかっているじゃないかということですが、国家公務員の場合には、公務上外認定をするのが人事院最終責任になっておる、その人事院が今度不服申し立て審査をなさるということでございますから、かなり地方公務員の場合とは仕組みが異なっておるという点を御理解いただかなきゃならないと思います。  地方公務員の場合には、第三者機関としての審査会支部にも本部にも設けましてそこで審査をお願いしておるわけでございますから、少し事情が異なるという点を一つ御理解いただきまして、なお私たちサイドといいますか審査会サイドにおいても、この際、なぜおくれておるかということについて分析をいたしまして、審査会委員さんにも、また事務当局本部の方も、それぞれ努力すべき点を整理して努力していかなきゃならないというふうに考えております。
  16. 小山峰男

    小山峰男君 今回の改正で、結局三カ月経過本部審査へ持っていけると、本部審査でさらに三カ月経過訴訟に行けるというような形になったわけでございますし、また本部審査会等再編整備を図ったということでございますが、これで本当に処理迅速化が図られるのかどうか、むしろ支部審査会に大変時間がかかっているという問題があるのではないか。  現状だと、三カ月たつと一応訴訟に持っていけるというような形になっておるわけでございますが、今度六カ月経過後というようなことになるとすれば、むしろ現状の方がいいのではないかというような気もいたすわけでございますが、その辺につきまして基金としてどういうふうにお考えか、よろしくお願いします。
  17. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 今回の改正案を読ませていただきますと、こういう制度をおつくりになるときにはいろいろお考えになっておつくりになったなというふうに私は理解をいたしております。  一つは、今、公務員部長からも御答弁がございましたように、本件につきましては簡易迅速な救済制度というものを整備し、そして二審制というところで、本部審査会では丁寧な審査をいたしまして行政サイドとして最終的な補償統一を図っていくということで、行政側にもそれなりの考慮を払っておられるなという気がいたします。  しかもまた、裁判が三年以上かかっておるという現実を踏まえまして、司法行政との調和ということで審査会の方にそれぞれ審査をさせていかだく機会を与えていただいておるというふうに理解するわけでございます。  そういういろいろな立場というものをお考えになりましてこういう制度をお考えになっておるわけでございますから、私たちは私たちとして、耳えられた立場というものを理解して仕事に努めていかなきゃならないというふうに考えます。
  18. 小山峰男

    小山峰男君 現在、五十九の支部があるということのようでございますが、そのうち案件を抱えているのは半分以下だというふうにお聞きしているわけでございます。そういう意味では、確かに本部だけでということも問題があるかとは思いますが、逆に支部を廃止するというようなことは考えられないのかどうか。その辺につきまして、これは自治省にお聞きした方がいいと思いますので、よろしくお願いします。
  19. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 公務災害補償に関する審査に当たりましては、やはり性質上高度の専門性あるいは技術的判断というものが要求されるわけでございます。他方、多数の不服申し立てについて簡易迅速な処理ということも必要でございまして、職員に身近なところで実際に補償実施している各支部、また職員立証等の便宜ということも考えると、支部審査会における第一次審査ということが適当であると考えておるところでございます。
  20. 小山峰男

    小山峰男君 そういう遠方になるというデメリットも確かにあるわけでございますが、しかしそれによって期間がかなり短縮されるというメリットもまた出てくるというふうに思うわけでございまして、今後の課題として検討いただきたいと思うわけでございます。  時間もありませんので、最後に過労死の問題についてお聞きしたいと思います。  過労死というような非常に認定の難しい事務が最近の社会情勢の結果として出てきているということでございまして、大変な課題だと思っております。民間の皆さんの過労死だとか国家公務員過労死だとか地方公務員過労死だとか、みんないろいろ形態は違うわけでございます。しかし、共通部分というのはかなりあるというふうに思っておりまして、こういうものの認定事務というものについては当然横の連絡をとりながら連携を図っているわけでございますが、むしろ審査については民間公務員もあわせて一本のところでそういう問題を処理するということがより共通認識の上に立った審理ができるのではないかというふうに私は思っております。  人事院労働省、さらに自治大臣にお聞きして質問を終わりたいと思います。
  21. 谷義為

    説明員谷義為君) 労働省におきましては、従来から労災認定に関する認定基準等を策定した場合には関係省庁等に必要な連絡説明等を行っているところでございます。今後とも連携を密にして、迅速、的確な労災補償に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、労災保険制度は、業務上の事由または通勤災害による労働者傷病等に対しまして迅速かつ公正な保護をするためのものでございます。小務員を対象といたします国公災及び地公災とは制度内容等が異なっていることなどから、認定業務を一元化することについては困難なものがあるのではないかというように考えておるところでございます。
  22. 小倉英雄

    説明員小倉英雄君) お答えいたします。  国公災制度におきましては、補償法上、労災キ均衡を図ることとされておりまして、心臓瞬疾患認定基準についても同様でございます。いわゆる過労死認定につきましては、被災職員の個別具体的な職務内容勤務実態等を精査し総合的に判断いたしました結果、職務上の過重負荷が存在し、その過重負荷によって発症したことが認められる場合に公務上の災害として取り扱うこととされております。  このように、過労死認定の際には、被災職員職務内容勤務実態把握等が重要でございまして、国家公務員につきましては、その職務内容勤務実態等を熟知している各省庁人事院において認定業務を行うことでよりきめ細かく対応できるものと考えております。  なお、先生指摘労災地公災との整合性につきましては、今後とも連絡を密にしまして連携を保っていきたいものと考えております。
  23. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 地方公務員災害補償制度につきましては、全国すべての常勤の地方公務員に対して統一的、専門的な補償実施いたすため、各地方公共団体にかわって地方公務員災害補償基金が行うこととなっておりまして、労災国公災とは制度内容などが異なっておりますので、認定業務を一元化することにつきましては困難なものがあると考えております。  地方公務員災害補償につきましては、国家公務員との均衡を失しないように適当な考慮を払うこととされておりまして、国家公務員災害補償労災との補償内容均衡考慮することとされていることから、心臓脳疾患等認定基準についても整合性を図る必要があると考えております。これまでも心臓脳疾患等認定基準改正に当たりましては相互に連絡をとっているところでありまして、今後とも連携を密にして、迅速かつ公正な補償実施に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 小川勝也

    小川勝也君 小山委員に引き続きまして、幾つかの質問をさせていただきます。  まず、この法律案を読ませていただくと、非常にわかりにくいなという印象を持ったわけでございます。御案内のとおり、量局裁判決を受けてつくられたあるいは改正された法律案だと認識をしておりますが、一部改正ということをどんどん続けてまいりまして、法律が読みづらくあるいはわかりにくくなっていくという現状に対して非常に憂えるものでございます。  内容について幾つかの質問をさせていただきます。  小山委員からも質問がありましたとおり、今回の改正の主な目玉は審査あるいは決定までの迅速化ということであろうかと思っております。手続の時間がどういうふうに短縮されるのかということがポイントであるという前提から御質問をさせていただきますが、現行の制度に比べ改正後の審査あるいは今度は訴訟に移行するまでの年限も短縮されたわけでございますけれども、どんな改正後を想定されておられるかということで御質問させていただきます。  私が読んだ限りにおきますと、今回の法律改正されたことによって与えられる結果が主に三つにまとめられるんではないかというふうに考えるわけでございます。一つは、なるべくスピードを持って処理しようということから、支部審査会本部審査会が一生懸命審査をしてなるべく六カ月以内で結論を出そうという動きになる。そして二つ目には、現状のいろいろな形で、二年六カ月などという数字もありますけれども、審査に時間がかかっておる現状からかんがみてとても間に合わないので、今回の法律改正が行われたなら六カ月たって訴訟に持ち込まれる、そういうケースが多くなるであろう。あるいは第三のケースとして、法律改正したけれども、裁判に持ち込むかどうかというのは請求者の任意でございますので、このままだらだらと請求者審査を待つという現状が続くか。大きくこの三つに分けられると思うのでございます。  自治大臣改正後のこの審査あるいは請求者利益からかんがみてどのような結果が想定されるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 小川委員、いろいろな角度で御指摘がございましたが、今回の法改正におきましては、審査迅速処理を図るとともに、労災との制度均衡を図って、二段階不服申し立て制度趣旨を生かすために、支部審査会決定遅延の場合における救済規定を創設するとともに、本部審査会における審査体制整備するなど、必要な法的整備を図ることとしたものでございます。  今回の改正に伴いまして、支部審査会迅速化を図る必要があります。既に、昨年七月の最高裁判決を受けて、九月に支部審査会に対し基金本部が、事務処理体制整備支部審査会の運営のあり方などについての検討を改めて要請したところ、支部審査会定期開催開催日数増加等改善が図られているところでございます。  さらに、これらに加えまして、基金本部において支部審査会事務局に対する研修充実、情報の提供、審査請求事務処理マニュアルの作成などによる支援などを行うことといたしております。  いずれにいたしましても、本部審査会支部審査会関係者の相当の努力が必要とされるところでございますが、被災職員の迅速かつ公正な権利救済のための審査請求制度の本来の機能が発揮されますように努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  26. 小川勝也

    小川勝也君 質問どおりお答えをいただけなかったように思うわけでございますが、今の大臣の御答弁をお伺いしますと、支部審査会を含めて審査充実あるいは事務局強化を図ってスピードアップを図るということでございます。当然孝ういうお答えが返ってくると思うわけでございますけれども、もしそれであれば、再三の附帯決議迅速化をしてくださいということで国会からいろいろお願いをしてあるのに、今までなぜそれがなされなかったのかということがまず一点でございます。  そして、大臣からのお答えにはありませんけれども、訴訟に持ち込むことができるということが今回の改正の主な内容でございますが、もし裁判に持ち込まれるようなことになりますと、支部二して本部二つ審査の二重の意味がどこにあるのかということになってしまいますし、あるいはもし仮に審査が遅々として進まないということになりますと、いわゆる請求人利益というものがどこで守られるのかということになるかと思います。今、大臣から、審査充実強化を図るということでございますが、その辺についてお伺いをしたいと思います。  先ほど小山委員から御指摘があったとおり、全国五十九の支部の中で件数が多いところあるいは少ないところあるいは数年にわたって全くないところなど、いろいろあるやに聞いております。あるいは、都道府県の庁舎の中にちょっとした仮住まいをしたような審査事務局があるように聞いておりますが、支部事務局あるいは審査体制現状等改正後はどのようになるのかということをお尋ねいたします。
  27. 中島忠能

    参考人中島忠能君) お答えいたします。  まず、全体としての認識をしていただきたいと思いますが、先生お話しになりましたように五十九支部ございます。その中で、七年度末に審査案件を持っている支部が三十六支部でございます。したがって、二十三支部審査案件を持っていないということでございます。その三十六支部の中で審査案件が非常に多い支部幾つかございます。大阪とか東京とか兵庫とか神戸とかというふうにございますが、平均的に申し上げますと、一支部大体三件ぐらいの案件を持っているというふうに私たち認識しております。  そこで、そういう平均的な状況を頭に描きながらお答えしなければならないわけでございますけれども、やはり何といいましても、審査会委員さんに定期的に審査会を開催してくださるようにお願いしなきゃならないというふうに思います。  そして、審査会委員さんに審査案件について自主的に論点を整理していただく、そして意見を口述される方にいろいろ質問事項というものも整理していただくということを今まで以上にお願いしていきたいというふうに考えます。そして、支部審査を助ける書記でございますけれども、私たちは、この書記の方にも配慮いたしまして研修をしていただく、あるいはまた審査事務について精通していただくということを今まで以上に深めていただく必要があるかというふうに思います。  それで、審査会でございますから、請求人と原処分庁がございます。それぞれの方にやはり審査迅速化について協力していただくということが必要でございます。今までの状況を見ておりますと、どうしても請求人の側の理由によって審査会が開けない、あるいはなかなか反論書が出てこないということもございますし、また原処分庁の方にも今まで以上に早く弁明書を出していただくという努力もお願いしていかなきゃならないというふうに思います。  いろいろな点で今まで以上に努力することによって、審査期間というものを短縮する努力をしていきたいというふうに思います。
  28. 小川勝也

    小川勝也君 改正された後も注意して審査迅速化が図られたかどうかを見守っていきたいと思っております。  それでは、関連をいたしまして、地方公務員の特殊勤務手当についてお伺いをいたします。  数年前、武蔵野市の事例を挙げてマスコミがキャンペーンを張っておりました。各自治体ごとの裁量で、特に現業の職員の方だと思いますけれども、危険度あるいはその他の尺度からいろいろな手当を給与のほかに加えていくと。これが全国的に現在どのような状況になっているのか、あるいは自治省としてそれを把握しているのかどうか、あるいは目に余るような事例があるのかどうか、それにどう対処するのかということをまとめてお伺いしたいと思います。
  29. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員の給与、特に特殊勤務手当についての御指摘でございます。  基本的考え方は公務員法の均衡の原則ということで、国家公務員に準じて行っていくというのが基本でございまして、各種手当につきましてもそのようなことで指導をしているわけでございます。  全体的な特殊勤務手当の状況は、例えば支給人員で見てみますと前年に比べて減少の傾向にございます。そういうことで地方団体の適正化のための努力が払われているということでございますが、お話しのように一部の地方団体においてはまだ問題が残されておりまして、制度趣旨に合致しない特殊勤務手当等、住民の批判を招いていることもございます。  また、訴訟においても手当の支給が違法という判断がなされたケースもあるわけでございまして、私どもといたしましては、従来からいろいろな機会を通じまして、特殊勤務手当の趣旨に反する手当については見直しをするようにお話をいたしております。特に特殊勤務手当につきましては、個別それぞれ基本に立ち戻って手当の見直しをしてもらって、是正を図るように要請しているところでございます。
  30. 小川勝也

    小川勝也君 ただいまの質問は、特殊な勤務をする方が手当をもらっちゃいけないということではなくて、例えばラスパイレス指数などといろいろな形で給与を指数化しております。あるいは、地方公務員の給与はそこの住民に情報の開示が当然なされておりまして、情報公開が進んでおるかと思いますけれども、一部の特殊勤務手当の中には住民からわかりにくいものがあったり、あるいは自治体として給与水準をごまかすために使われるような例もあるやに聞いております。公平公正の観点からこれからも自治省に指導をしていただきたいと思っております。  それでは、まだまだ聞きたいこともあるのでございますけれども、次の機会に譲らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  31. 有働正治

    ○有働正治君 私は、法案とのかかわりで、公務災害の実態と対策について一、二お尋ねします。  一つは、腰痛、頸肩腕についてであります。腰痛、頸肩腕については認定上の争いが多いわけであります。支部審査会への審査請求状況についてでありますが、九五年度で結構ですから、公務外とされて審査請求を行ったものが何件で頸肩腕、腰痛は何件か、本部審査会への再審請求で、同じように何件のうち何件が頸肩腕、腰痛となっているのか、まず事実関係をお示しいただきたいと思うのであります。
  32. 中島忠能

    参考人中島忠能君) ちょっと待ってください。
  33. 有働正治

    ○有働正治君 そうですが。じゃ、時間の関係で、私から今の件で言いますと、四十九件のうち頸肩腕、腰痛が二十二件、本部審査会への再審査請求は二十五件のうち十二件となっているようであります。率としては高いわけであります。  この点で、労働省は腰痛対策で指針を、また頸肩腕対策では中央労働災害防止協会が報告を取りまとめ発表しているようであります。自治省にお尋ねしますけれども、これらの指針、報告をどう受けとめて、どう対応されておられるのか、お示しいただきたいと思います。
  34. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 健康で快適な職場生活を送るということで公務災害の防止が大変重要でございます。地方団体では、特別養護老人ホームあるいは学校給食の調理場など、またVDT作業の多い職場などで腰痛あるいは頸肩腕症候群が発生しやすいということで、そういうところでは特別な健康診断あるいは職場での予防体操の実施、安全作業標準の徹底など予防対策に取り組んでおります。  今お話しの指針につきましては、地方団体の方にお示しをしてその周知を図っておるところでございます。また、頸肩腕症候群の予防対策についての調査報告につきましては地方団体においても有効なものであると認識をいたしておりまして、これにつきましても地方公務員安全衛生推進協会などの機関誌で紹介をいたしておりますが、自治省としても、いろいろな担当課長会議あるいは各種研修会等において配付するなど周知普及に努めてまいりたいと考えております。
  35. 有働正治

    ○有働正治君 頸肩腕症候群の予防対策で、昨年、労働省の中央労働災害防止協会が「職場における頸肩腕症候群予防対策に関する検討結果報告書」を取りまとめています。報告書の中では「労働衛生管理と労働衛生教育という項目に分けて職場における頸肩腕症候群の予防対策を示し、各事業場はこれを踏まえ、各事業場の実態に即した対策を講じる必要がある」としているわけであります。今、自治省側も述べられましたけれども、そういう点からいいまして、十分対策をとるよう、徹底して効果が上がるように努めていただきたいということを改めて強く要望しておきます。  次に、小中学校など教員の安全衛生管理体制の問題についてお尋ねするわけであります。  公務災害を未然に防ぐということが非常に重要であることは言うまでもないわけであります。そこで、職員一千人当たりの件数では少ないようでありますが、件数としては一番多い教員の安全衛生管理体制についてです。働く者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした労働安全衛生法では、産業医などとともに衛生管理者、安全衛生推進者等をそれぞれの事業場で選任することとなっているわけであります。  そこで、自治省の安全管理体制の整備状況、九五年三月三十一日現在で見ますと、教育委員会の衛生管理者は、選任を要する事業場のうち五六・一%、半分強であります。安全衛生推進者等は、選任を要する事業場の四一・四%しか選任されていないというのが現状のようであります。文部省は、学校をさらに小、中、高、特殊教育に分けて昨年五月一日現在の調査を行われたようであります。  そこで、文部省にお尋ねします。その整備状況について、トータルで結構ですので、結論的な整備状況をお示しいただきたいと思うわけであります。
  36. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) 昨年の五月一日現在で文部省が実施をいたしました安全衛生管理体制の整備状況の調査結果によりますと、小学校、中学校、高等学校及び特殊教育諸学校の合計で、衛生管理者につきましては、選任を要する学校三千九百六十六校に対しまして選任をしている学校が千八百四十九校で、選任率は四六・六%でございます。また、衛生推進者は、選任を要する学校三万四百四十四校に対しまして選任している学校は六千五百五校、選任率は二一・四%という結果でございます。
  37. 有働正治

    ○有働正治君 非常に整備がおくれているというのが昨年の調査結果から示された現状であります。この問題は国会でもしばしば取り上げられてきているようであります。  そこで、文部省にお尋ねするわけでありますが、このおくれの実態について、何が原因なのか、どのような原因があると考えておられるのか、そこらあたりについてのお考えをお示しください。
  38. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) ただいま数字を申し上げましたとおり、学校における衛生管理者、衛生推進者の整備状況は必ずしも十分とは言いがたい状況にあるわけでございます。  これにつきましては、学校におきましては、従来から子供、教職員の健康の保持増進、安全管理のための措置といたしまして、学校保健法の規定に基づいて学校安全計画が策定をされ、それに沿った労働安全衛生対策がとられてきたという事情がございます。こういったことから、労働安全衛生法に基づいた労働安全衛生体制の整備等については十分な対応あるいは認識が必ずしもなされてこなかったということが先ほど申し上げたよらな実情の背景としてあるというふうに把握をいかしております。
  39. 有働正治

    ○有働正治君 認識がなされていなかったという状況にあること自体がやっぱり重大だと思うわけであります。その点で文部省の責任も非常に大きなものがある。学校保健法のことをおっしゃいましたけれども、これは児童生徒には目を向けるけれども、教職員にはなかなか目を向けて手だてをとるというふうにならないわけであります。  そこで、実態を踏まえた上で今度は自治省の方にお尋ねするわけでありますが、自治省と文部省あるいは財団法人地方公務員安全衛生推進協会が昨年研究会をつくって、教職員の安全衛生管理体制について検討を行って、報告が近々でき上がるやに聞いているわけであります。具体的に職場の安全衛生管理体制を整備する上でどういう検討がなされて、どういう方向で進められようとしておるのか、お示しいただければと思います。
  40. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 公立学校を含め教育委員会部局での安全衛生管理体制の整備状況というものは御指摘状況でありますので、そういったことを踏まえまして、平成七年度におきまして文部省あるいは安全衛生推進協会と共同で調査研究を行っております。悉皆ということでなくて抽出ですが、学校現場における体制の整備がおくれている原因について実態調査を行いまして、それを踏まえて安全衛生管理体制の整備促進とその活性化方策について検討、調査を行ったところでございます。  そこでいろいろ議論して、集約的な意見として一つは、安全衛生管理体制の整備の推進においては教育委員会の指導力の発揮ということが重要である。二点目は、労働安全衛生に関する研修や普及啓発等の充実が必要であり、その場合には首長部局との連携強化、共同で行ったりあるいはお互いにノウハウを提供し合ったりということで連携強化が大切である。三点目は、労働基準監督官の役割を持ちます人事委員会等の役割も重要であり、この方面での指導ということも必要だということなどが集約されているところでございます。  私どもは、こういった研究成果というものを踏まえ文部省とも連携を密にしながら、いろいろな担当課長の会議あるいは研修会などで周知徹底を図っていきたいと考えております。
  41. 有働正治

    ○有働正治君 連携しながら対策をとっていくという点が非常に大事だと思います。  第一番目に挙げられた教育委員会の指導性の問題にもかかわると思うのでありまして、その点で文部省にお尋ねするわけでありますが、こういう教職員の現場でのおくれた実態の改善、そして衛生管理者や衛生推進者等を具体的に整備するという点では職場の実態に合わせた選任が当然必要だと考えるわけであります。  従来、衛生管理者は、養護教諭や保健体育の教諭がその資格を持っているのでそれで対応できるという考えのようでありましたが、昨年の調査に示された今日においても非常におくれている実態という点から見ますと、それだけでなくて職場の実態に合わせて、養護教諭等以外の教職員にも資格を取ってもらって体制を強化する等々、現状を抜本的に改善していく手だてが必要と思うわけでありますが、これらについてはどういう方針なりお考えを持っておられるのでありましょうか。
  42. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) 御指摘のように、学校における労働安全衛生体制の整備の促進のためには、学校における労働安全衛生体制の整備の必専性についての認識を高め、衛生管理者等の選任が円滑に進むように、衛生管理者等の職務に対すろ校長を初めとした教職員全体の理解を深める、さらに労働安全衛生体制の意義等の一層の周知徹底を図るということが必要であると考えております。  文部省といたしましては、昨年来、各種の担当課長会議、主管課長会議等を通じまして、このような趣旨の徹底に現在努めているところでございます。
  43. 有働正治

    ○有働正治君 私も幾つかの県にお聞きをしまして調べてみましたが、例えば茨城県の教育委員会では「平成七年度県立学校教職員資格者(衛生管理者)養成事業の実施について」、こういう通知を出されて、衛生管理者受験準備講習会の受講などを行って養成の努力がなされているわけであります。その対象者につきましては、県立学校の教職員のうち保健体育担当教諭及び養護教諭以外の者とされているわけであります。こうした努力は私は非常に大事だと思うわけであります。  そこで、もう一歩文部省として対応願いたいと思うのは、財政的な措置がとられないことにはこういう整備が進まないことは明らかであります。  そこで、安全衛生に関する交付税措置でありますが、現在、衛生管理者試験免許取得に要する費用、衛生管理者試験受験講習会に要する費用、安全衛生推進者等養成講習会に要する費用については交付税措置がとられています。しかし、公立学校における衛生管理者等に係る経費については、給食調理場分を除いて地方交付税上特段の措置はとられていないと承知しているわけであります。  認識が現場でも十分なされていなかった云々という先ほどの答弁というのは私に言わせれば論外で、文部省の責任は重大だと考えるわけでありますが、具体的に職場の安全衛生管理体制を整備していく上で、こういう地方交付税の措置などを含めまして予算措置をとるということも必要ではないか。そういう点で自治省などとも相談して、自治省対応するという方向で文部省はイニシアチブをとる、連携してやるということが必要と考えるわけでありますが、今申しましたようなこういう財政上の措置を含めまして対応願いたいわけでありますが、まず文部省の方からお尋ねします。
  44. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) 学校における労働安全衛生体制の充実のために、先ほど来申し上げておりますように、各種会議等を通じましてその意義また衛生管理者の選任についての周知徹底を現在図っているわけでございますが、今後さらに衛生管理者等の選任の状況などを見まして、各般の事情を考慮した上で関係省庁とも協議しながら必要な対策をさらに検討してまいりたい、かように考えております。
  45. 有働正治

    ○有働正治君 最後に、自治大臣、労働安全衛生法に基づく教育関係の職場での安全衛生管理体制の整備を見ますと、自治省管轄のほかの部局との関係で見ますと、例えば知事または市長、警察、消防などと比べて著しく劣っているわけであります。警察は八七・六%、消防が九四・〇%、知事または市長が八八・五%、これに対して教育委員会は五六・一%、安全衛生推進者等でも、知事または市長が八〇・四、警察が九一・八、消防が七七・二に比べ、教育委員会は四一・四と、こういう状況なわけであります。  こういう点からいいますと、広い意味自治省自治大臣の所管の地方自治体でのこういう地方公務員の教職員のおくれの現状については改善の余地があると思うわけでありますが、この点、大臣はどうお考えなのか。  また、今文部省の方も、必要に応じ関係省庁とも協力し、改善のために必要な手だても検討して対応していくという御答弁であったわけであります。そういう点から、自治大臣としてもまた国務大臣としても、財政的な問題を含めまして、連携して積極的に改善策をおとり願いたいと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  46. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 職員の安全と健康の確保とともに、公務災害の防止を推進するためには安全衛生管理体制の整備がその基本となるものでございます。自治省といたしましても、学校における体制整備が図られますように調査研究を行うなど取り組みを進めてまいりましたところは、先刻、公務員部長からも御答弁でお触れ申し上げたところでございます。  地方公共団体の安全衛生管理体制整備に係ります経費につきましては、現在、地方交付税において衛生管理者等の資格取得等の経費について措置をいたしているところであります。学校につきましては、衛生管理者等の資格を有する養護教諭や保健体育教諭がいることからこれらの経費は算入しておりませんが、今後、文部省からお話があれば地方公共団体の実情等を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。  文部省とも連携をとらせていただきまして、学校における安全衛生管理体制の整備の推進に努めてまいりたい、かように考えております。
  47. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  48. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  昨年の同法の改正案の審議の際にも細かいことをいろいろと御質問させていただいたわけですけれども、公務災害の予防対策について、こういう質問をさせていただきますと、当時の野中大臣は「地方公務員公務災害の発生事例についての統計の分析や類型化等による公務災害の発生原因の調査研究、さらにこれを活用した防止対策の検討、さらにはその成果を地方公共団体への普及等を行う」、また公務災害防止事業の実施に当たっては「職種ごとに分析調査をし、かつ実施をして効果的な防止対策の普及を図っていく必要がある」、こういうふうに御答弁いただいたわけですけれども、その後どのようなお取り組みが行われたか、まずこれからお伺いしたいと思います。
  49. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 昨年の災害補償法の改正によりまして、基金におきまして公務災害防止事業を行うように努めることとされたところでございます。具体的には、公務災害の発生を未然に防止するという観点から、今お話がありましたように、公務災害の防止に関する活動の援助ということの援助事業、あるいは対策の調査研究に関する調査研究事業、あるいは対策の普及推進に関する普及事業などの推進に努めてきているところでございます。  平成七年度におきましては、年度途中でございましたが補正措置を講じまして、例えば病院等における針刺し事故の防止対策とか清掃業務における事故の防止対策などにつきまして先進的な取り組みを行っている支部の事例の調査等、モデル的にやっております。  平成八年度でございますが、七年度に行いました調査研究の成果というものについて普及を行っていくという普及事業に取り組むとともに、調査研究面では、消防職員につきまして公務災害防止対策についての調査研究を行うとか、あるいは公務災害の発生事例についての統計の分析、類型化等によって公務災害の発生原因の調査研究を行うことに手をつけているということでございます。  このほか、学校給食事業における安全衛生管理面での指導者のセミナーなどに対しましても援助事業などを行っておりまして、自治省としては公務災害を生じさせない環境づくりというものを推進してまいりたいと考えております。
  50. 西川潔

    ○西川潔君 今回の改正案は、主に公務災害認定に関する不服申し立ての請求におきまして審査時間が非常に長くなるという傾向に対応するためということですけれども、審理時間の長期化、過労死や腰痛といった公務との因果関係がはっきり立証しにくい複雑な事例がふえているということをお伺いしているわけです。  そこで、私は具体的な問題として公務災害時における腰痛の防止対策についてお伺いしたいわけです。この腰痛については、昨年六月に大阪地方裁判所が、基金大阪府支部長が行った公務認定処分を取り消す旨の判決を言い渡したわけです。  富田林市養護学校教員の腰痛症の問題でございますけれども、この判決に至るまでの経緯と、判決が出された後の腰痛に対する認識あるいは今後の予防対策などについてお伺いしたいわけですが、大阪支部がこの件を公務外と認定するまでの経緯についてお願いいたします。
  51. 中島忠能

    参考人中島忠能君) お尋ねの件につきましては、昭和六十一年の十一月十四日に受理をいたしております。そして、六十三年三月三十一日付で公務認定処分というのが行われております。  以上でございます。
  52. 西川潔

    ○西川潔君 審理の長期化という問題でございますが、このケースの場合でも、この方が公務災害認定請求をされたのが六十一年の六月でございまして、判決が確定するまでに実に九年の期間がかかっているわけです。本来、職員救済を前提に考えなければならないわけですけれども、現実にこれほどの時間がかかるということですから、果たしてこの制度の役割を果たしているかどうかと疑問に感じるわけです。  そこで、このケースの場合に、大阪府支部長が公務認定の処分を行うまでにほぼ二年近くかかっているわけですけれども、現実に苦しんでいる職員の方に対してこの二年間という期間も本当に長い期間であると思うわけです。今回の改正案ではこの期間については対象外となっておりますが、職員や御家族の気持ちを思いますと、何よりこの認定処分の迅速化が必要ではないかと思うわけですけれども、この点について。
  53. 中島忠能

    参考人中島忠能君) おっしゃるとおり、私たちもそう認識いたしております。  そこで、昨年の八月に、六月末現在で受理してから一年以上経過しているものにつきまして私たちの方に相談に来ていただきまして、十二月の末までにすべて片づけました。それから、昨年の十一月に、九月末現在で六カ月以上経過しているもので結論を出していないものについて再び相談に来ていただきまして、昨年度末、ことしの三月三十一日までに片づけることができました。  それ以後、支部の方で認定事務をしていただいておるわけでございますけれども、おっしゃるように、案件によっては支部の方で結論が非常に出しにくいという案件もあるようでございますので、受理いたしましてから三カ月経過してなお支部の方で結論が出しにくい、困っているというものについては本部の方に相談に来ていただきまして、お互いに意見を交換しながら結論を出していこうじゃないかということをやっておりまして、今御指摘のように、結論を出すまでに長期化するということをできるだけ避けていく努力を現在しているところでございます。どうぞ御了解いただきたいと思います。
  54. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、審査体制整備についてでございますけれども、このケースの場合は公務認定処分の取り消しを求める審査請求を大阪府支部審査会に対しまして行ってから、その棄却が決定するまで三年と数カ月がかかっているわけです。現在の支部審査会平均処理期間は二年四カ月ということでございますので、それよりも随分長い時間がかかっているわけですけれども、そこにはどういったことが背景にあったのか、またこの間にどのような審査を行ったのか、特に私がお伺いしたいというか素朴な疑問ですが、書面審査以外の方法にどのようなものがあるのかということをお伺いしたいと思います。
  55. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 先生がお挙げになりまた富田林の養護学校の先生の件につきましては、具体的に申し上げますと、腰椎分離すべり症といいまして腰痛の中でも大変判断が困難な基礎疾病をお持ちの方でございましたので、一般的に言いますと、判断するのに少し時間がかかってもやむを得ないかなという感じはいたします。それにいたしましても、やはりちょっと時間がかかり過ぎているかなということを率直に感じざるを得ません。  特に大阪の場合には、平成七年度末で三十六件の件数をまだ持っております。これは全国で一番多い件数でございますので、大阪府支部審査会には少し頑張ってもらわなきゃならないなというふうに思います。私たちの方も、大阪の方で審理を進めていただくに当たりましてできるだけいろんな情報を提供するとか、あるいはまた医学的な意見を聴取されるときに便宜を図るとかいろいろな工夫をしてまいりたいと思いますけれども、何といいましても大阪府支部審査会の話でございますので、やはり第一義的にはその努力というものにまたなきゃならないというふうに考えます。
  56. 西川潔

    ○西川潔君 これまでは急性腰痛以外の慢性腰痛についてはほとんど公務との因果関係は認められてこなかったということですが、今回の判決を踏まえた公務災害上における腰痛に対する認識と、認定判断基準についての見直しということについてどうお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  57. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 先生にちょっと統計的なことを申し上げて恐縮ですが、腰痛につきましては平成五年度に二十八件の請求がございまして、十九件を公務上と認定いたしております。そして、平成六年度は三十件の請求件数がございまして、そのうち十七件を公務上と認定いたしております。七年度は三十四件の請求に対して二十件という公務上の認定をいたしておりまして、数字の上だけで申し上げるのは非常に恐縮でございますけれども、この認定状況というのは他の災害補償認定機関と比べましてもそれほど見劣りのする数字ではないというふうに私たちは見ております。  そういう前提に立ちましてお答えさせていただきますと、今おっしゃるように腰痛というのはなかなか認定が難しい、特に基礎疾病といいますか、基礎疾患をお持ちの方につきましては非常に難しいということが医学的にも言われております。  そこで、腰痛を発生されまして認定請求に来られるときに、被害者の場合には基礎疾病のところまで含んで公務上の認定をしてほしいという希望をお持ちの方が間々ございます。そこで私たちの方と認識が食い違うことがございますけれども、その点はよく説明をいたしまして請求者の方に納得していただくように努力をしていかなきゃならない。そこで請求者の方と私たちの間に認識のずれがあることによりまして、私たちの方の仕事に対する不信というものが生まれてくることはよくないことでございますので、そういうふうな努力というものをあわせてしていかなきゃならないというふうに思います。  なお、認定に当たりましては、先生も御存じのように、どういうような労働に従事しておられるとか、どういうような作業態様でそういうことが起こったのか、またその方がどういうような健康状態であったのかというようないろんな資料を集めまして、専門医の意見を聞きながら適正に判断をしていく努力というのがこれからも要請されるだろうというふうに思います。
  58. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございます。本当に難しい問題ではありますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、こうした慢性腰痛の公務認定につきまして労働現場の実態に即した御判断を僕としてはお願いしたいのと、腰痛の予防対策について少しお伺いしたいんですけれども、養護学校の教員などの腰痛予防対策といたしまして腰痛予防健診、腰痛の教員に対する軽減措置が必要だと思うわけです。何より教員の増配置が重要と考えるわけですけれども、これは文部省の方からお伺いをしたいと思います。  そして、今後どのように取り組まれるのか、この判例を契機といたしまして今後の新たな予防対策をどのように考えていかれるのか、自治大臣答弁をいただきまして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  59. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 一般に学校運営に当たりましては、特定の教員に過度の負担をかけることのないように配慮しつつ、校内における協力体制の確立ということが重要であろうかと思っております。そういった意味で、人員の適正な配置といったようなことでの負担軽減をできるだけ図っていくというふうに考えているところでございます。  現在、公立養護学校の学級編制及び教職員の配置の改善につきましては、これまでの数次にわたる改善計画によりまして、現在、教員一人当たりの児童生徒数で言えば一・七人というふうになっているところでございます。平成五年度から平成十年度までの六年間で、小中学部につきましては第六次、高等部については第五次の改善計画を実施しておりまして、例えば学級編制の標準につきましては、小中学部は七人から六人に、高等部は九人から八人にそれぞれ改善するということ、それから教職員の配置の改善といたしまして、障害の状態の改善、克服のための養護訓練の教諭等の定数の措置どいったきめ細かな措置を講じているところでございます。  現在、厳しい財政状況のもとではありますけれども、この改善計画の着実な実施に努めてまいりたいというふうに思っております。
  60. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 職場におきます腰痛を予防してまいりますためには、作業管理や健康管理、労働衛生教育などを適切に行いまして、腰痛の発生の要因の排除や軽減に努める必要があろうかと存じます。特別養護老人ホーム、給食調理場など腰痛が発生しやすい職場におきましては、安全作業標準の徹底であるとか健康診断の実施、予防体操の実施などが重要であると考えております。  自治省といたしましても、平成六年九月に労働省から出されました「職場における腰痛予防対策指針」というのがございますが、これの周知に努めてまいりますとともに、地方公務員安全衛生推進協会と連携をとりながら、腰痛が生じやすい職場における予防対策についてさらに研究をさせていただき、その成果を地方公共団体に提供をしてまいりますとともに、地方公共団体における腰痛の予防対策の普及、啓発、支援といった点について努力をしてまいりたい、かように考えております。
  61. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。
  62. 田村公平

    ○田村公平君 四問、質問通告をさせていただいておりますが、時間を巻かなければならないということなものですから、なるたけ巻いて質問いたしますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  まず、今回の地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案の、審理迅速化を図るということについては私は賛成であります。  しかし、私が承知しておる実態としましては、支部審査会よりは基金審査会の方が被災者個人に対して厳しい裁決をすることが多いというふうに聞いております。労災、公災を問わず災害発生の立証責任を被災者本人に負わせるということは、被災者本人にとり、時間的なものだけではなく、財政的、経済的にも負担が多く、我が国の労働災害補償そのものに対しての見直しをすべき時期に来ていると思いますが、いかがでございましょうか。
  63. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員災害補償制度におきましては、請求人の請求に基づいて認定を行うというふうにされております。その請求に当たりまして、被災職員の方あるいは代理人の方から事案に関する必要な書類等を提出いただいているところでございます。しかし、本人のみに立証責任を負わせるということではなくて、基金において認定事務を進める過程においては、任命権者あるいは医療機関等を通じて、被災状況職員の勤務状況などについて参考となる資料というものを収集しているところでございます。  公務災害認定に当たりましては、やはり被災職員立場に立って必要な資料をできる限り収集する、特に災害発生直後に所属職場において迅速かつ適正な資料収集、調査ということが重要なことであるということでございまして、基金におきましてもそういうことで対処いたしておるところでございますが、こうした対応によりまして迅速かつ公正な権利救済が図られるように私どもとしても努力してまいりたいと思います。
  64. 田村公平

    ○田村公平君 基金による公務災害認定決定がなされたことを受けて行う不服審査に係る審査会整備は当然のこととして、認定決定を行う基金基金支部審理体制の整備充実の観点から、基金支部審理迅速化審理の透明性の確保、それは明らかに認定基準に合致する事例以外は基金本部と協議をしなければならないことになっていますが、全国平均的な認定ということからいってやむを得ない面があるにしても、このことが基金支部判断を慎重過ぎるものにしていることは否めないことだと思います。高知県でも認定申請から認定まで二年以上かかることもしばしばであり、その途中で亡くなった方もおられます。また、基金本部認定決定する際に、判断を仰ぐ医師の氏名など明らかにされないため、医学常識からも疑問を抱かざるを得ないような認定がなされることもしばしばあります。  行政の透明性が求められておるこういう時代においてこうしたことを見直していただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  65. 中島忠能

    参考人中島忠能君) いろいろお話しいただきました。お話しいただきましたことをよく私たちも協議いたしまして、これからの仕事の参考にぜひさせていただきたいというふうに思います。  具体的には、先生お話しになりましたように、私たちは被災者の立場に立って仕事をしなきゃならないということは非常にごもっともでございますので、そういう観点から認定もしていくあるいはまた審査もしていくということでございます。  特に支部の方で認定を第一次的にお願いしている案件が多いわけでございますけれども、支部の方で御判断いただくときに判断が非常に難しいと思うものは私たちの方に協議に来ていただく、あるいは一定の案件については協議に来ていただくということにしておりますけれども、それゆえに支部の方の認定がおくれるということがあってはなりませんので、そういうことがないように私たちも、支部の方に会議とかあるいはまた研修会がございますので、そういうときによくお伝えいたしまして、支部の方とよく連携をいたしまして先生が御心配になるようなことがないようにしてまいりたい、こういうふうに思います。
  66. 田村公平

    ○田村公平君 先ほど有働委員そして西川委員の方からもお話がございましたいわゆる腰痛とか頸肩腕障害のことでございますが、私はそれにつけ足しまして、最近、各自治体でOA機器がどんどん導入されておりますが、それによる視覚障害、あるいは近代化することによって事務形態が変わってくることによる障害にも、予防医学的な見地から制度をやはり見直しておく準備をしておいていただきたいということをつけ加えさせていただきます。  最後の質問にさせていただきますが、いわゆる公務災害上の認定の打ち切りの見直しの件でございます。  治療による効果が期待できない状態、つまり症状の固定化が見られた際は、認定基準の上では症状の固定イコール治癒とみなされるというふうに聞いておりまして、療養補償が打ち切られることとなっております。このために、引き続き治療が必要であっても補償が打ち切られるばかりではなく、休業治療が必要なケースなどにおいては私病で休暇の期限切れによる失職の可能性もあります。  治癒の概念の見直し、また治癒認定後の療養や補償のあり方をも検討していただけないかと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  67. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 治癒というときに、完全治癒という場合と症状固定、しかも医療効果が期待し得ないという場合に治癒認定をするという二つがございますが、いずれの場合も被災者本人がかかっておられる主治医の意見を聞いて、また必要な場合には第三者的な医師の意見を聞いて治癒認定をするわけでございますから、先生が今御心配になるようなことは恐らく私はないんじゃないかと思いますけれども、先生がこういう場でそういう御指摘をなさいますので、私も会議等において、そういうことがないようによく徹底してまいりたいというふうに思います。
  68. 田村公平

    ○田村公平君 中島理事長によくお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  69. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について有働君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。有働正治君。
  70. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その理由を御説明いたします。  本修正案は、審査請求についての決定があったか、もしくは決定が三カ月以上遅延したときには、再審査請求でも裁判への提訴でもどちらにも選択を可能にし、国民の権利救済の道を確保しようとするものであります。  そもそも今回の地方公務員災害補償法の一部改正案は、最高裁が昨年七月六日に下した判決をきっかけとして改定された民間労働者を対象にした労働者災害補償保険法の改正と連動して提案されたものであります。労働者災害補償保険法と同様の制度を持つ地方公務員災害補償法についても、最高裁判決は尊重されるべきであります。  すなわち、最高裁判決は、審査請求期間であっても裁判を望めば裁判手続が可能であること、審査請求の遅延に対する救済措置の定めを置いていない現状のもとで二段階審査手続を踏まなければならないとするなら、国民の司法救済の道を不当に閉ざす結果を招くことは明らかであると指摘しているのであります。  ところが、今回提案されている政府案では、第一段階審査請求に対する決定の遅延についての救済措置を設けただけにとどまり、そのことによって審査請求段階から国民に司法救済の道を開くことを拒否しているのであります。これでは、最高裁判決指摘を真に受けとめたものとは言えません。  そこで、今回の本修正案は、地方公務員の生活と権利を守るため、最高裁判決を真に生かすべく提案したものであります。  以上、修正案の提案理由を申し上げました。  委員各位の御賛同をお願いするものであります。
  71. 菅野壽

    委員長菅野壽君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、有働君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 少数と認めます。よって、有働君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  73. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十分散会      ―――――・―――――