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1996-05-23 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十三日(木曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 山本 一太君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君    政府委員        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        警察庁長官    國松 孝次君        警察庁長官官房        長        菅沼 清高君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  野田  健君        警察庁交通局長  田中 節夫君        警察庁警備局長  杉田 和博君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件警察法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  警察法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉田国家公安委員会委員長
  3. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  この法律案は、オウム真理教関連事件経緯にかんがみ、都道府県警察広域組織犯罪等、すなわち同事件のような組織犯罪その他の全国の広範な区域において個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、または害するおそれのある事案に迅速かつ的確に対処することができるようにするため、その管轄区域外における権限行使に関する規定整備を行うとともに、広域組織犯罪等に対処するための警察態勢に関することについての国家公安委員会及び警察庁長官権限に関する規定その他所要の規定整備を行うことをその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、広域組織犯罪等に関する都道府県警察管轄区域外における権限に関する規定整備であります。  これは、都道府県警察は、広域組織犯罪等処理するため、必要な限度において、その管轄区域外権限を及ぼすことができることとするものであります。  第二は、広域組織犯罪等に関する国家公安委員会及び警察庁長官権限に関する規定等整備であります。  その一は、国家公安委員会権限に属する事務に、広域組織犯罪等に対処するための警察態勢に関することを加えるものであります。  その二は、警察庁長官は、広域組織犯罪等に対処するため必要があると認めるときは、都道府県警察に対し、広域組織犯罪等に対処するための警察態勢に関する事項について必要な指示をすることができることとし、都道府県警察は、当該指示に係る事項実施するため必要があるときは、その管轄区域外権限を及ぼす等の措置をとらなければならないこととするものであります。  なお、この法律施行日は公布の日としております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 鎌田要人

    鎌田要人君 私からは、警察関係五点、自治省関係案件につきまして三点お伺いいたしたいと思います。時間が限られておりますので、できるだけ形容詞は省いて、そのものずばりのお答えをお願いいたします。  まず第一は、今回の警察法の一部改正、これの趣旨を今お伺いいたしました。特に、今回の同法の改正理由オウム真理教関連事件反省によるものとされておりますが、その反省点は何か、改めてお伺い申し上げたいと思います。御回答は倉田国家公安委員長にお願い申し上げます。
  6. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 一連オウム真理教関連事件捜査につきましては、高度の科学技術犯罪に悪用したものであること、全国規模にわたる広域捜査が求められるものであること、閉鎖的な集団による組織的な犯罪であること、こういったことにより捜査上非常に困難を伴っていたところでございます。  中でも広域捜査の点に関しましては、目黒公証役場事務長拉致事件地下鉄サリン事件発生をする前に、警視庁山梨県内オウム真理教関連施設に対し権限を及ぼすことができなかったのかとの御指摘をいただいておるところでございます。  現行警察法第六十一条によりますと、都道府県警察は、管轄区域における公安維持等に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも権限を及ぼすことができることとされておりますが、犯罪等事案管轄区域外発生をした場合には、管轄区域公安維持に関連することを明確に認定できなければ権限を及ぼすことは困難でございます。また、広域組織犯罪等発生をした場合に必要な全国警察態勢について、個々の都道府県警察では判断が困難でございます。  そこで、今回、都道府県警察は、広域組織犯罪等処理するため、必要な限度において管轄区域外権限を及ぼすことができることを規定する。  警察庁長官は、都道府県警察に対し、関係都道府県警察間の役割分担その他の広域組織犯罪等に対処するための警察態勢に関する事項について指示できることを規定するといった内容改正をお願いしておるところでございます。
  7. 鎌田要人

    鎌田要人君 國松長官にお伺いいたしますが、平成六年の警察法の一部改正に合わせまして、犯罪捜査共助規則というものが設定されておりますね。これで合同捜査共同捜査に関する規定整備されるとともに、それらの捜査に関する警察庁長官指示権整備されていると存じますが、それだけでは足らず今回警察法改正する必要があるという理由をお伺いいたしたいのであります。
  8. 國松孝次

    政府委員國松孝次君) 御指摘がございましたように、平成六年の警察法の一部改正によりまして、各県警察合同捜査を行う場合、その指揮命令系統の一元化を行うなど合同捜査に関する規定等整備されたことに伴いまして、共同合同捜査を行うための手続等を明確にすることを目的といたしまして犯罪捜査共助規則の一部が改正されたところでございます。  その中で、この合同捜査というものの実施を円滑に行うために、警察庁指導調整一つの手段といたしまして警察庁長官指示措置に関する規定整備されたところでございまして、警察庁長官は、「広域重要犯罪を認知した場合において、必要があると認めるときは、関係都道府県警察に対し、合同捜査又は共同捜査を行うべきことを指示するものとする。」という規定が置かれたところでございます。  しかしながら、この警察庁長官指示対象となります合同捜査というものは、その事件について現行法上の管轄権を有する都道府県警察相互間、共助規則におきましては関係都道府県警察ということを言われているわけでございますが、A県B県C県といった現行法上の管轄権を有する関係都道府県警察相互の間においてしか行うことができないという制限がございます。それに加えまして、ここで行われます警察庁長官指示と申しますものは、現行法上の警察庁指導調整という範囲内においてしか行い得ないということでございまして、そういう限界があるわけでございます。  しかしながら、今回起こりましたオウム真理教関連事件のような大変大規模、複雑な広域組織犯罪等が起こりました場合にはその発生地等のいかんを問わず、いわばオールジャパン警察総合力を発揮するという意味で、警視庁を初めいろんな警察自分管轄内の問題といたしまして管轄権を有するようにするということにしなければならない、そういう必要性があったということがございます。  それから、合同捜査実施を含みます警察態勢というものに関する事項につきましては、警察庁長官が行いますのは今までのような指導調整という緩やかな措置よりも、国家的な見地からより積極的、能動的な指示を行い得るようにする必要があると考えまして、今回、主といたしましてそういった二点を念頭に置きまして改正をお願いしておるところでございます。
  9. 鎌田要人

    鎌田要人君 よくわかりました。  都道府県警察広域犯罪組織等処理のために管轄区域外にも権限を及ぼす、こういうことをできるようにすることが警察庁長官による指示権を創設するということに結びついたと思うのでありますが、警察には、改めて言うまでもないわけでございますが、国家公安委員会という組織があり、国家公安委員長として大臣がお座りになっておられるわけでございます。その関係で、国家公安委員会制度がこの結果形骸化するおそれはないのか、また形骸化することについてどういうお考えを持っておられるのか。その点を、今度は長官の立場じゃなくて、国家公安委員長としてどういうふうにお考えになっておられるのか、お答えをお伺いいたしたいのでございます。
  10. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 改正案第六十条の三の規定によります都道府県警察管轄区域外権限行使につきましては、都道府県公安委員会管理のもとに行われるものでございます。また、改正案第六十一条の三の警察庁長官指示全国的な観点から都道府県警察相互間の協力態勢について行われるものでございまして、都道府県公安委員会都道府県警察に対して行う民主的管理の妨げになるものではございません。なお、警察庁長官指示国家公安委員会管理のもとに行われるものでありますことは、今回の改正案の第五条においても明らかでございます。  このように、今回の改正案によりまして公安委員会制度が形骸化するようなことはないものと考えておるところでございます。
  11. 鎌田要人

    鎌田要人君 私がこのことをあえてお伺いいたしましたのは、若干それに類する都道府県公安委員会が、表現は悪いんですが、形骸化しておる事実を現実に身にしみて知っておるものですから、その点を特に事前の御注意までに申し上げたところでございます。公安委員会制度というのはレーマンコントロールなんですね。いわゆるアメリカ素人支配という考え方ですから、このいいところは伸ばしてやらなきゃいかぬと思います。  以上で公安委員会の問題は終わります。  次に、刑事局長さんお見えですね、刑事局長さんに二点ほどお伺いいたしたいのでございますが、これまで広域捜査ということにつきましてどのような措置を講じておられるのか。というのは、本来は自治体警察ですから、広域捜査ということは恐らく最初の昭和二十三年ごろの警察法改正のときには余り問題にならなかったんじゃないか。あのときは国家地方警察あり、それから自治体警察ありましたからね。そういうことでありますが、今日のように犯罪広域化し悪質化するということになりますと、広域捜査につきましてどういう措置を講じてきておられるのか。  特に、広域捜査につきましてはさまざまな対策を講じて対応してきておられるわけでございますが、なかなか現実には都道府県警察自治体警察という壁がありまして、必要はわかっておってもじだんだを踏むような事例があるんじゃないか、そういったことを痛感いたしますので、今回の改正でこれに十分対応できるのか、その点の見通しをお伺いいたしたい。  それから、今回の改正だけで組織犯罪対策として十分だと考えていいのか。もしアメリカRICO法のような取締法が必要だとすればその点についてのお考えもあわせてお聞かせを願いたいと思います。  以上です。
  12. 野田健

    政府委員野田健君) 警察が行います捜査活動は、それぞれの都道府県警察自分事件管轄に基づいて捜査を進めているわけでありますけれども、犯罪自体広域に行われるようになってまいりましたので、これらに対応するため、従来から、例えば管轄権を共通に持っております数都道府県警察指揮系統を一元化して行う合同捜査であるとか、あるいは管轄権を共有する数都道府県警察共同捜査方針を立て、そしてそれに基づいてそれぞれがそれぞれの指揮官のもとにおいて行う共同捜査、こういったものを推進してきたところであります。  また、各都道府県警察においては広域機動捜査班というものを設けまして、これが必要に応じて他の都道府県区域にも捜査の手足を伸ばすというようなこともやってきたところでございます。  これらの活動が十分にできますように、これらの関係数府県にまたがった捜査訓練実施するというようにしてまいりました。  そして、平成六年の警察法改正をいただきまして、隣接または近接する都道府県警察相互間の管轄権調整であるとか、あるいは共同して事案処理に当たる都道府県警察相互間の指揮系統調整を円滑に行うことができるようになったところでございます。警察は、これらの改正規定を有効に活用して関係都道府県警察間に合同捜査本部を迅速に設置する、あるいは広域捜査隊を運用したりするなどして、こういった広域的な捜査を進めてきたところでございます。  ただ、今回のオウム真理教関連一連事件は、前例のない大規模で複雑な事案組織的に引き起こされたというようなことがございまして、現行法上は都道府県警察がこのような広域組織犯罪等管轄区域外発生した場合に管轄区域内の公安維持に関連することを明確に認定できなければ権限を及ぼすことが困難であるということでございまして、今回、オウム真理教関連事件のような組織犯罪その他の広域組織犯罪等全国都道府県警察が十分な態勢をとって対処することができるよう規定整備をお願いしているところでございます。  社会情勢等の変化に伴いまして、犯罪広域化はますます顕著になるものと考えられますことから、今後とも広域捜査に間隙を生じないよう引き続き努力してまいりたいと考えております。  また、組織犯罪対策としてアメリカ合衆国で行われておりますRICO法のような法律が必要ではないかというお尋ねでございますが、このようなオウム真理教関連事件というようなものを捜査してまいりますと、組織的な犯行であって密行性計画性が非常に高いということでその解明に大変な長時間を有したということが反省一つにございます。  そして、御指摘RICO法は、マフィア対策を主目的としてアメリカ合衆国連邦法として制定されているものでございますが、中でも特に殺人、賭博、恐喝といった組織犯罪組織がしばしば繰り返すような犯罪についてこれらを特に重く処断する。あるいはこういった活動が繰り返し行われることを、それをまた一つの新たな犯罪とするということで処罰し、またそこから出てきます不法な収益を収奪するということで活動を封圧していこうという考え方でありまして、これらについては大変貴重な示唆があるものというふうに考えております。  我が国アメリカ合衆国とでは、対処すべき組織犯罪等の実態、あるいは前提となる法制度が大きく異なっておりますので、直にそのまま日本法律とするということについてはいろいろな検討を要すると考えておりますが、今後これらの法制あり方等についても我が国の実情を考えながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
  13. 鎌田要人

    鎌田要人君 今のアメリカRICO法の問題についても感じるんですが、法律で取り締まる対象というものは、だんだん日本社会アメリカの悪いところをまねをしてきつつあるように思うんです。これは単に私がひが目で見ておるんじゃなくて、現実の姿としましてアメリカナイズされておる。そのときに、アメリカ初め諸外国立法例を絶えずあなた方が調べられて、それでこの日本の国情に合うように調整しながら立法化を図っていくということは必要だと思います。  以上で警察関係質問を終わりまして、次に自治省関係でちょっと早急にお伺いいたしたいことがあるのでございます。  それは、先ごろの東京都の管理職選考に関する判決、それから川崎市の人事委員会が行いました、採用後は公権力行使または公の意思形成への参画に携わる職にはつけないという条件を付して、一般事務職等を含め採用試験受験資格から国籍条項を取っ払っちゃったんですね。私は、この公務員制度改正というのはほっておけない大事な問題を含んでおると思いますので、警察法の一部改正の場でございますが、この点を特に、今度は自治大臣初め公務員部長さんにしっかりとした御見解をお伺いいたしたいという気持ちでこの問題を提起するわけでございます。  第一は、法制局の第一部長さんお見えになっておられますね、公権力行使または公の意思形成への参画にかかわる地方公務員につきましては、先ほど申し上げました東京都の管理職選考に関する判決でも述べておられるところでございますが、我が国主権との関係等からいたしましても、日本国籍を有しない者はつくことはできない。これは当たり前だと思うのでございますが、その理由を含めまして、内閣法制局としての見解をお伺いいたしたいのでございます。
  14. 秋山收

    政府委員秋山收君) 公務員国籍要件についてのお尋ねでございますが、政府は従来から、公務員となるにつきまして日本国籍を必要とする旨の法律上明文の規定がない場合におきましても、公権力行使または公の意思形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とし、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものと解しておりまして、このことは国家公務員のみならず地方公務員の場合も同様でございます。  その理由でございますが、理由といたしましては、自国の主権維持及び他国の主権の尊重という憲法の前文にも触れられております基本的な理念を踏まえまして、公務員という職務の性質を考慮いたしますと、公権力行使または公の意思形成への参画に携わる公務員は、国家に対し全体の奉仕者として全力を挙げて尽くし、またその信頼を十分に期待し得るものでなければならない。  このようなことから、そのような公務員任用するには日本国籍を保有する者であることが必要であること、また外国人をそのような公務員任用することは当該外国人の属する国の対人主権を侵害するおそれがあることなどが挙げられているところでございます。
  15. 鎌田要人

    鎌田要人君 そのとおりだと思うわけです。  それで、今度は自治省公務員部長にお伺いしたいのでございますが、さきの川崎人事委員会が行いました、採用した後は公権力行使または公の意思形成への参画にかかわる職にはつけない、こういう条件をつけて、一般事務職等を含め採用試験受験資格から国籍要件を撤廃するという決定は果たして適当なものかどうか、私は非常に疑問を持っておるんです。その点につきまして、自治省としてどのような見地に立たれ、どのような指導現実川崎市に対して行ってこられたのか、その経緯をお伺いいたしたいのでございます。
  16. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お答えいたします。  去る五月十三日に川崎人事委員会が、採用試験受験資格日本国籍を有しない人は公権力行使または公の意思形成参画させないとする条件を付し、消防士を除く全区分で国籍要件を設けないこと、また職員任用に当たってはこの条件前提とした人事管理を行うこととすることを決定したところでございます。  自治省としましては、幅広い経験を積み重ねつつ昇進していくことを期待されている職種であります一般事務職等につきましてこのような条件国籍要件を撤廃することは、将来にわたる適切な人事管理という点及び将来における公務員に関する当然の法理に基づいた任用の確保という点から見まして問題があり適当でないことから、川崎市に対し慎重に対処するよう指導してきたところでございます。今後とも、引き続き理解を求め、適切に対処するよう指導してまいりたいと考えております。
  17. 鎌田要人

    鎌田要人君 川崎市では消防士だけは除いたんですか。
  18. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) そうでございます。
  19. 鎌田要人

    鎌田要人君 消防士を除いた理由はどういう理由なんですか、御存じでしたらお教えください。
  20. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 消防士につきましては、査察等公権力行使に携わる仕事が比較的多いので除いたというふうに聞いております。
  21. 鎌田要人

    鎌田要人君 そうなりますと、非常におかしいんですね。消防士だけが査察等公権力行使に携わると。そのほかにも市町村役場仕事公権力行使に携わるものはいっぱいありますね。既に市町村の場合で機関委任事務、国の事務を機関委任しておる事務が五〇%という、これは歴然たる証拠もあるわけです。そういうものも含めて、今の消防士だけを除外して、あとのものは一応一般行政職にもっけようということで国籍条項を除外された。これは私は全く理解に苦しむんです。ここで憤慨しても始まらぬですが、その点につきまして何か御意見がありましたら、公務員部長としての御意見を伺っておきたいと思います。
  22. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 先ほども申し上げましたが、一般事務職等公権力行使または公の意思形成への参画に携わる職とそうでない職とが混在する職でございまして、採用された職員はそのような性格の異なる多様な職での幅広い経験を積み重ねながら昇進していくということを期待されている職種でございますので、先ほど申し上げました問題点がございますので適当でないというふうに考えております。
  23. 鎌田要人

    鎌田要人君 最後に、倉田自治大臣にお伺いいたしたいのでございますが、地方公務員への外国人採用の問題につきまして、今私と公務員部長の話をお聞きになられましてどういう感じを持たれましたか。また、今後のこの問題につきましての方針所見等をお伺いいたしまして、この点に対する私の質問を終わりたいと思います。
  24. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 地方公務員への外国人採用問題につきまして、ただいま鎌田委員から御議論のあったところでございますが、政府は従来から、内閣法制局見解に示されておりますとおり、公務員に関する当然の法理として、公権力行使または公の意思形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするが、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものであり、このことは国家公務員のみならず地方公務員の場合も同様であるというふうに解しておるところでございます。  その後の社会情勢の進捗の中におきまして、例えば昭和五十七年には学術の国際交流を推進するために国公立大学外国人の教員を任用するための特別措置法が制定されたと承知をいたしております。自治省といたしましても、これまで、例えば保健婦、助産婦、看護婦等の専門的な、あるいは技術的な職種につきましては国籍要件を付する必要はないと考えております。  しかしながら、地方公務員には、先ほど来の御議論にもございましたように、いろいろな職種がございます。一般事務職等につきましては国籍要件を撤廃することは適当でないというふうに考えて、地方団体の御相談には適切な指導をしてまいったところでもございます。  今後とも、このような考え方について地方公共団体に引き続いて理解を求めてまいりますとともに、公務員に関する当然の法理に抵触しない職種につきましては外国人採用機会の拡大を図るよう指導してまいる所存でございます。
  25. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 平成会の岩瀬でございます。  警察法の一部改正に関しまして、できるだけダブらないような形で御質問させていただきたいと存じます。  たまたま警察庁平成七年度の犯罪情勢を見ておりましたら、重要犯罪の認知件数一万件余で前年比四百五十一件減少、重要犯罪の検挙率は九〇・五%と前年に比べて上がっておるわけでございます。また、捜査本部設置事件の解決率も八五・五%と上昇しているというようなことで、大変結構なことであるわけでございまして、御努力に感謝申し上げる次第でございます。  そうはいいましても、最近の犯罪いろいろございまして、世界で最悪のテロ犯罪と言われました地下鉄サリン事件、また東京の八王子市のけん銃使用強盗殺人事件、けん銃の使用が市民の身近なところまで来ておるというようなことで、市民が巻き添えになることもあると。銃による死者が三十四人、これ去年の資料でございますけれども、九五年の資料、三十四人中一般市民が十四人だと、こういうようなことで一般市民が銃の巻き添え、また銃の携行というようなこともあるのかもしれませんけれども、こういうのが身近になってきておる。  また、麻薬なども、これは後で時間がありましたら質問したいと思っておりますけれども、非常に小中高校生、家庭に近いところにまで入り込んできておるというようなことで、安全、安心という非常にすぐれた我が国の治安面において非常な転機が来ているんじゃないかというふうに思うわけでございます。  この転機というのは、もう治安面だけじゃなくて、社会のいろいろな経済情勢、社会情勢もやはりそういう安全、安心ということが今求められてきておるところでもあるわけでございますが、こういう不安感が来ておるというのが実態じゃないかと思うわけでございます。これらを体感治安というような表現で言っておられるようですけれども、こういうふうに市民の身近に犯罪的な要素のものが入ってきておることについて、まず警察庁の御意見を伺いたいというふうに思うわけでございます。
  26. 野田健

    政府委員野田健君) 最近の犯罪情勢は、治安の指標ともいうべき重要犯罪、重要窃盗犯の認知件数は減少傾向にあり、一方検挙実績の向上が見られる。また、人口十万人当たりといった犯罪発生率といいますか認知件数の比率を見ますと、英米独仏等の諸外国と比べて比較的良好な状態を維持しているものと認識しております。  しかし、昨年は地下鉄サリン事件を初めとしたオウム真理教関連事件等重大特異な事件が多発するとともに、一般国民に向けられた銃器使用犯罪が多発するなど、我が国の良好な治安に対する国民の信頼に陰りを落としているほどの厳しい状況になっているという認識をいたしております。  そこで、昨年中にサリン等による人身被害の防止に関する法律案を提出し制定いただきましたほか、警察といたしましては、科学捜査体制を確立するために科学的知識を備えた捜査員、あるいは銃器捜査を充実させるために銃器捜査を担当する地方警察官の増員をお願いしたところでございます。そして、高度な分析、鑑定に必要な資機材の整備であるとか有毒物質使用犯罪に係る特殊事件捜査の体制強化、犯罪広域化に対しまして合同捜査あるいは共同捜査を推進するというような施策を推進しているところであります。  今後とも、安全な国日本に対する国民の期待や信頼にこたえていくために、警察活動の基盤整備や運用の改善について引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  27. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 できるだけ努力をお願い申し上げたいと存じます。  それで、今度の警察法改正に入るわけでございますけれども、これは広域捜査というようなことの問題になってきておるわけでございます。広域捜査そのものは今に始まったことではなくて、いつでもそういう問題があったんだろうというふうに思うわけでございます。ただ、その質の内容が非常に変わってきているということでございまして、そういう点で、警察庁の方でもいろいろ内部の組織を変えたり、またいろんな要綱をつくったりというようなことでされておるわけでございます。このことについては、警察白書を見ても広域捜査の重要性というのがうたわれておるわけでございます。  たまたま、過般、大きな何十年ぶりという警察法改正が行われたわけでございますが、今度のオウム事件を契機にまたこの広域捜査についての改正が行われるということでございます。事件はいろいろな性質があるにしても、これにいつも後追いで法の改正がなされるというようなことでもいけないかと思うわけでございますので、今度の改正でこういうような広域的な犯罪に対する警察庁態勢、こういうものは大体対応し切れるというふうにお考えになられるんでしょうか、その点お願いいたします。
  28. 野田健

    政府委員野田健君) 平成六年の警察法改正によりましては、合同捜査の制度に関する規定等都道府県警察間の協力に関する規定整備いただきまして、複数の都道府県警察管轄権を有する事案について、その処理を円滑に行うため指揮の一元化をできるようにしていただいたところでございます。  ただ、今回のオウム真理教関連事件発生してみますと、前例のない大規模かつ複雑な事案組織的に引き起こされたものであるということから、現行法ではこのような広域組織犯罪等管轄区域外発生した場合に管轄区域内の公安維持に関連することを明確に認定できなければ権限を及ぼすことが困難であったという事情にありまして、このような組織犯罪その他の広域組織犯罪等全国都道府県警察が十分な態勢をとって対処することができるよう、規定整備をお願いしているところでございます。  今回の改正規定平成六年改正により整備された都道府県警察間の協力に関する規定とを一体的に運用することによりまして、広域組織犯罪等への迅速かつ的確な対応が一層進むものと考えております。
  29. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 十分な体制でなされるというようなことでございます。  ただ、都道府県警察態勢というのはなかなか私はいいというふうに思っておるわけでございます。それは戦前の国家警察反省から生まれたんだろうというふうに思うわけでございますけれども、非常にいい制度だというふうに思っておるわけでございます。  ちょっと意味が違うかと思いますけれども、今非常に地方分権の問題が言われておるわけでございまして、こういう形で都道府県警察というのが働けるということであると非常にいいと思うわけでございますが、一方、広域捜査という全国的な捜査についてはなかなかうまく機能しない面もあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。広域捜査都道府県警察、こういうところの隘路みたいなものがあるような気もするんですが、その点についてお答えいただければと思うわけでございます。
  30. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  現行警察制度につきましては、今御説明もございましたように、警察法の三十六条二項にも書かれておりますけれども、都道府県警察がそれぞれの都道府県の治安の責任を持つといういわゆる自治体警察の制度をとっているわけでございます。国は、治安というものの性格上、一定の範囲内において補完的にこれに関与していくという形をとって運用されてきたわけでございまして、それなりに極めて効率的、効果的に運用されてきたと、このように考えているところでございます。  ただ、犯罪広域化してきていることも事実でございまして、そうした状況に対応するために、現行自治体警察の制度を基本にしながら必要な改正措置を講じてきている、こういうのが現在の状況でございます。
  31. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それから、今度の条文の中のことでございますが、六十条の三によりまして広域犯罪等処理に必要な権限ということについては一定の条件が付されておるわけでございます。全部が全部適用になるんじゃないよというようなことが言われておるわけでございますが、その前のところの第五条を見ますと、五条二項の改正の五号でございますが、個人の生命、身体等々これらの秩序を害しと、こうあるわけでございます。これらについては当然犯罪になるわけでございますけれども、その全体をくくっております「全国の広範な区域において」というのが今回の新しい考え方だろうというふうに思うわけでございます。この「全国の広範な区域において」というのはどのような広がりを言うのか。  それからもう一つは、この後に出てまいりますが、「害するおそれのある広域組織犯罪」、こういうことでございますが、おそれということになると未来になるわけでございまして、これらについてどのような形で、立証というんじゃないですね、予見というんですか、どのような形でこのようなことを考えこの態勢を整えるのか、そこら辺についてはどのようなことをお考えになっているのか伺いたいと思います。
  32. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  まず、「全国の広範な区域」という用語を用いているわけでございますけれども、これは単に二つ以上の都道府県という意味ではございませんで、全国的な範囲においてというような解釈を私どもはしておりますし、またそういう性質のものでございます。  それから、「害するおそれ」という点についてでございますけれども、これは定型的にあらかじめ具体的に規定することはなかなか難しい面もございますけれども、先ほど言いました全国的な範囲において公安を害する、具体的には人の生命、身体、財産を害するような事態が予測できるような、客観的、具体的な事情に照らしましてそういう危険があるということが認定、推定できるようなそういう状況ということでございます。  ここで言います広域組織犯罪等の最も代表的なものは今回のオウム真理教関連事件のようなものでございますが、そうしたもの、それから全国的に拠点を持ちまして活動している大型広域暴力団の対立抗争事件、そういったものを想定していただきますと御理解いただけるのではないかというように考えております。
  33. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 大体のことは想定できるわけでございますけれども、ただ捜査上一番大事なのは初動捜査じゃないかと思うわけですが、そういうときに当たって、この広域犯罪と初動捜査、これとの関係はどういう形で行われるのか。各県のところ、広域に広がったものにおきましても、やはりそれぞれの一部員でなくて、わかるならばそのときに初動捜査を行う。ところが、その初動捜査を行う段階のときはまだそれほどいろんなことがわかっておらないんじゃないかと思うんですが、こういう点はいかがでございましょうか。
  34. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 確かに、広域組織犯罪等といいましても初期の段階におきましてそれが該当するかどうかということは必ずしも明確でない段階があろうかと思います。しかし、ある状況に至りますと、それは先ほど言いましたような意味合いにおける広域組織犯罪、つまり全国的な範囲において公安を害する、どの都道府県におきましてもその治安にかかわってくる性質の犯罪というように認定ができる状態になってこようかというように考えているわけでございます。ただ、その場合に、そのことを全国的な状況の把握、情報、そういったもので判断をするためには、国の立場において判断をするのが一番適切であろうということで、今回におきましても、国がそういう判断を行った上で広域組織犯罪に対する対応等について必要な指示を行うと、こういう仕組みにしておるわけでございます。
  35. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それでは、その次に入りますが、態勢のいろいろな整備の問題でございます。  今までも広域捜査隊等がありまして、これらが共同訓練を実施してまいったわけでございますが、今後この広域組織犯罪、性格も変わってきているし、いろんな多様なものになってくるんだろうと思うんですが、こういう形での共同訓練、研修はどういうふうに実施していくのかという点が一点。  それから、そういう訓練の結果、実施への要請に基づいて出動する場合でも、なかなかこれは、北海道の方を九州に持っていくとか東京に持っていくということよりも、できるだけ近いところでいろいろな訓練というんですか、やった方が能率的じゃないかと思うんですが、そうしますと、今あるのは管区警察なわけでございまして、この管区警察との関係、こういう点も含めましてお願い申し上げたいと存じます。  それからもう一点は、この間の新聞でも見させていただきましたが、特殊部隊、SATというように略称されておるようでございますけれども、これが七都道府県というふうに新聞では見ましたが置かれて、この対応を図ると。これはテロ対策というふうにあるわけでございますけれども、これらも共同訓練、非常に大変なことだろうと思うわけですが、広域組織犯罪にもこれらを対応していくのかどうか、こういう点についてお答えいただければと思います。
  36. 野田健

    政府委員野田健君) 広域捜査隊といいますのは、都道府県の境界周辺の区域における事案処理するため、現在全国で十一隊編成しているところでございます。この各広域捜査隊ごとの訓練、あるいは管区警察局単位の専科教養等も実施しておりますが、今後ともさらに実践的教養訓練の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、広域組織犯罪等捜査に伴う管轄区域外警察官の派遣等の問題でありますけれども、全国の広範な区域において個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全、秩序を害し、または害するおそれのあるものということでございますので、法律上はすべての都道府県警察管轄区域外権限を及ぼすことができることとすべきものであろうと思いますけれども、実際問題といたしまして、管区警察局は複数の府県を管轄する国のブロック機関としての性格を有し、そしてその活動をしておりますので、今回の改正案におきましても、広域組織犯罪等に対処するための警察態勢に関する警察庁の所掌事務を管区警察局に分掌させることとしているところでございます。
  37. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) 警察といたしましては、かねてよりハイジャック事件等に対処するために、警視庁及び大阪府警に特殊部隊を設置いたしまして備えてきたところでございますけれども、先ほど委員が御指摘になりましたような昨今の厳しい銃器情勢、こういったものを踏まえまして、四月一日付をもちまして北海道警、さらに神奈川県警等五つの道県警に同種の部隊を設置することといたしました。その際、全体的な部隊の名称としてSAT、こういう呼称を冠したところでございます。  この部隊は、銃器使用、人質立てこもり事件とか、先ほど申し上げましたハイジャック事件等の事案発生した場合に、部隊が設置をされております道県警の管内はもちろんでありますけれども、それ以外の県にありましても、事態に応じて、その県の要請に従いまして迅速、的確に広域的な運営をするということにいたしておりまして、今後、広域組織犯罪等に対処する際には、事案の形態によってこの部隊が出動するということを考えておるところでございます。
  38. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 ありがとうございます。  それじゃ、少しオウム事件のことにも入らせていただきたいと存じますけれども、鎌田委員から先ほどこの法改正に当たっての反省というようなお話が冒頭にもあったところでございます。  松本サリン事件に対しまして、第一通報者であった方が被疑者、容疑者というような形でいろいろ報道されたやに我々記憶しておるわけでございます。それで、その一年後くらいに、新聞社の方におきまして紙上でもって、その取り扱いが間違っていたよというような謝罪がなされたように記憶しておるわけでございます。一方、これらのことに関して警察当局は、そういうような形での取り扱いはなかったというふうに私も記憶しております。しかしながら、その過程でもっていろいろそういう紛らわしいような形を持たれたんじゃないかというふうに思うわけでございます。  問題なのは、この方がそういう形になりましてから、警察の取り調べにおいては犯人扱いであったんじゃないかと、こういうようなことを漏らされておったことが問題であるわけでございまして、こういうことについて当局はどうであったのか、お答えをいただければと思うわけでございます。
  39. 野田健

    政府委員野田健君) 松本サリン事件捜査につきましては、法令の許す範囲内において適法に実施したものであります。  河野さんにつきましては、あくまでも第一通報者でありかつ被害者として御協力をいただいたわけでありますけれども、河野さんのお宅の直近が被害の発生現場であるということで、犯行に密接に関係ある場所であるということが考えられたために、被疑者不詳で捜索、差し押さえ許可状及び検証許可状の発布を得まして、河野さん宅及びその周辺の亡くなられた方のお宅等につきまして捜索、差し押さえ及び検証を実施したほか、河野さんからも事情をお聞きしたところでございます。  この過程において、河野さんに対して御迷惑をおかけすることになった点については申しわけないことと考えております。  また、平成七年六月十一日に地元の松本警察署長が遺憾の意をお伝えし、さらに六月二十七日、長野県警察部長が県議会において、まことに申しわけなく存じている旨申し上げているところでございます。
  40. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 オウム事件につきましては、坂本弁護士事件、この松本サリン事件、都庁内の郵便物の爆発事件、それから公証役場事務長の拉致事件とかいろいろあって地下鉄サリン事件というのが発生したわけでございます。  我々、事件の難しさということは重々わかりますが、それを別にしておきますと、それぞれの事件のところでもうちょっと見込みがあれば、最悪の地下鉄サリン事件が何とか防げなかったかというふうな、素人考えですけれども、思いを皆さん持っているんじゃないかと思うわけでございます。また、これらが今回の一つの法改正反省にもなってきたんだろうと思うわけでございますけれども、これは国民一般のだれもが心の中に持っているような話じゃないかと思うわけでございます。この点の警察庁の方のお考えをいただきたいと思います。
  41. 野田健

    政府委員野田健君) 坂本弁護士事件につきましては、事件発生直後から弁護士一家が何らかの被害に遭っている可能性が高いものとして捜査本部を設置し、所要の捜査を進めてきたところでございます。  坂本弁護士は、当時、オウム真理教被害者の会の救援活動に従事し、同教団との間に激しい対立関係があったことや、同氏宅に同教団のプルシャといわれるバッジが残されていたことから、オウム真理教の関与についても初期的段階からこれを視野に入れた広範な捜査を推進してまいりました。事件現場において物証が乏しかったこと、オウム真理教教団の閉鎖性が強くて内部情報がほとんど得られなかったこと、あるいは組織的な証拠隠滅活動が行われたことなどのために多岐にわたる捜査を丹念に行う必要が生じ、被疑者を検挙するまでに長期間を要したものでございます。  次に、松本サリン事件についてでございますが、事件発生後速やかに捜査本部を設置し、サリンの生成の方法や必要な薬品類に関する知識が乏しい中で、鑑識・鑑定活動実施あるいは生成方法の解明、地道な薬品販売経路の捜査等を行ってきたところでございます。  その結果、オウム真理教がダミー会社を使って各種のサリン原料、薬品等を購入していた事実を解明し、さらには上九一色村の土砂からサリンの残留分解物でもあり得る物質を検出したことからオウム真理教がサリンを製造しているのではないかとの疑いを持つに至り、その後、具体的な実行行為者の特定等証拠を一つ一つ積み重ねることによって本事件の解決に至ったものであります。  結果的に坂本弁護士事件あるいは松本サリン事件の解決以前に地下鉄サリン事件発生を見ましたことはまことに残念なことでございますけれども、両事件はともに類例のない事件でありまして、警察としては適正な手続のもと、証拠に基づき懸命の捜査を行ってきたというふうに御理解賜りたいと存じます。
  42. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それから、これは警察の方で非常に御苦労されているなと私が思ったことでございますけれども、國松警察庁長官もおられますが、被害者対策警察活動全体の柱石であり、それは単に一つ一つ措置が適切にとられるということで満足すべきものでなく、警察官の意識改革を伴う精神活動として展開されるべきものと考えているというようなことを述べておられるわけでございまして、この被害者対策というようなものまで警察が踏み込んでおられるということはなかなか大変だろうと思うわけでございます。被害者対策要綱というものが次長通達として制定されておられるようでございますが、これらについての基本方針をお聞かせいただければと思います。
  43. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  犯罪の被害者につきましては、単に犯罪による直接的な被害だけではなくて、精神的被害あるいは経済的な被害など多くの被害を重複して受けることになるのが通常でございます。特に、殺人事件の遺族あるいは性犯罪の被害者等につきましては、そうした精神的被害が大きいというのが通常でございます。  警察は被害者にとりまして大変身近な、また密接した関係機関でございますので、そうした被害の回復、軽減あるいは再被害の防止等について警察に対する期待も多いという前提に立ちまして、警察庁におきまして有識者からの意見なども踏まえまして、先ほど委員の方からもお話がございました被害者対策要綱というものをつくったわけでございます。  この基本方針でございますけれども、被害者の視点に立ちまして、被害者の救援、それから事情聴取等における被害者の精神的負担などいわゆる二次的被害の防止、軽減、あるいは被害者の安全の確保といった施策を中心といたしまして総合的な対応を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、「被害者の手引き」という被害者になった場合の問題等についてのパンフレットをつくりましたり、あるいは性犯罪捜査における婦人警察官の活用によりまして精神的な負担をできるだけ軽減をするといったこと、また被害者のカウンセリング連絡体制といったものにつきましても、民間とも必要な連携を保ちながら進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  44. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それでは、警察関係の今回の改正につきまして、警察行政も非常に多様になってきておりますし、また守備範囲も非常に広がってきておるというようなことでございまして、二十一世紀をにらんで警察組織のあり方についてのお考えがあれば国家公安委員長からお答えいただきまして、この関係を終わりたいと思います。
  45. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 警察組織のあり方についてのお尋ねでございますが、地域警察活動のような住民の皆様に身近な事項につきましては各都道府県にゆだねるとともに、広域的な警察活動につきましては国として一定の治安責任を果たし得るものでなければならないと考えておるところでございます。  現行都道府県警察を単位といたします自治体警察制度におきましては、ただいま申し上げましたような観点からも適切なものというふうに認識をいたしておるところでございますが、さらに広域組織犯罪等に迅速かつ的確に対処することができ得るように今回の警察法改正をお願いをいたしているところでございます。  今後におきましても、我が国の治安をめぐる諸情勢に的確に対応してまいりますために、必要な警察組織体制の整備に全力で努めてまいる考えでございます。
  46. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 終わります。
  47. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、具体的な質問に入ります前に、まず参議院地方行政委員会の調査室に感謝申し上げたいと思います。  それは、毎回のことでございますけれども、各法案が出る場合に私どもに参考資料という冊子を送っていただいています。特に、警察法の一部を改正する法律案については完璧な参考資料をいただきました。これを拝見しまして、今回の法律改正が那辺にあるのか、そしてどんな必要性があるのか、従来の改正経過はどういう改正経過をたどっているのか、あるいは予算なり人員なり犯罪の件数がどうなっているのかというようなことの完璧な資料をいただきました。したがって、今回の警察法改正については一定の理解を私はしております。  また、昨日は私どもの同僚議員の和田洋子議員が本会議で質疑を行いました。そして、ただいまは岩瀬議員が詳細な質問を続けられました。したがって、重複を避けて、私は別な視点から御質問を申し上げます。  それは、三月十五日に日本弁護士連合会会長の土屋さんから「各位」という、私ども各位あてに「警察法の一部を改正する法律案について」という文書をいただきました。そして、その文書の中には、添付資料として「日本弁護士連合会会長声明」と日本弁護士連合会の「警察活動と市民の人権に関する宣言(第三十七回人権擁護大会宣言)」を添付して陳情を受けました。  私は、日本弁護士連合会というのはいわゆる人権を擁護する法曹界の大集団だと理解しております。その人権を擁護する法曹界の連合会の会長が、会長の名においてこういう声明を出されたことについて、私は重く受けとめる必要があるんじゃないか、そして同時に、これに対して十分こたえられる必要があるんじゃなかろうか、こんなふうに思いましたので、以下この声明ないし宣言に関連をしながら御質問申し上げます。  まず、この声明の第一点は、  現行警察法は、一九九四年六月に、「犯罪広域化等に効果的に対処する」ことを理由として改正されたばかりであった。この時の改正の効果の内容が何ら明らかにされないまま、わずか一年半後に再び「広域犯罪」を理由として改正がなされようとしていることには疑問なしとしない。  その改正理由とされているオウム真理教関連事件についていえば、とりわけ坂本弁護士一家拉致事件や松本サリン事件に対する警察捜査が、「個人の生命、身体及び財産の保護」を第一としてなされたかなど、多くの疑義が提起されているところである。これらの疑義に対し、警察は、前記事件捜査に関する情報を公表し、国民の批判・検討に付すべきである。これらの捜査情報が公表されず、捜査への疑義が解明されない状況下において、今回の改正理由をそのまま是認することはできない。 というのが第一点でございます。これに対して、弁明があれば御所見を伺いたい。
  48. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 今回の改正趣旨につきましては、既に御説明をいたしている部分もございますけれども、前回の改正の折は、管轄区域外権限行使についてのものではございませんで、犯罪広域化等に対応いたしまして合同捜査の制度についての協力関係規定整備ということを中心にやってきたわけでございます。そこで、警察部長の協定によりまして、指揮権を一元化して一体的な捜査を行い得るような形をよりスムーズにするための改正でございました。  今回の一連事件捜査につきましても、関係都道府県警察間におきましてこの改正規定を活用いたしまして合同捜査本部を迅速に設置いたしました。適切に捜査を推進することができたと、このように考えているわけでございます。この合同捜査につきましては、現行法上の管轄権前提にした都道府県警察間における関係でございました。  しかし、今回のオウム真理教関連事件のような事案につきましては必ずしも十分でないのではないか、もっと早い段階で警視庁等いろんな知識、経験、豊富な態勢等を持っているところが出ていく必要があったのではないかというような御指摘等もございまして、そうした問題点を踏まえまして種々検討いたしました結果、今回の改正をお願いするに至った、こういうことでございます。
  49. 続訓弘

    ○続訓弘君 声明の第二点は、「都道府県警察に対し、「必要な指示をする」権限警察庁長官に与える改正案は、都道府県公安委員会を中心とする自治体警察制度を形骸化し、警察制度が中央集権化されるのではないかとの危惧を生じさせるものである。」と、こういう指摘でありますけれども、これに対する御見解を伺います。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕
  50. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 今回の改正におきましても、広域組織犯罪等という極めて特異、異例な重要犯罪等発生した場合におきまして、それを全国のどの都道府県警察の治安にもかかわる事案という認識のもとに、それぞれの都道府県警察がみずからの判断と責任において管轄区域外権限行使することができる、こういうことを可能とするための改正でございました。それぞれの自治体警察としての基本を超えるものではないというように考えているわけでございます。  したがいまして、この改正によりまして中央集権化等の御懸念については、そういうことはないのではないかというように私ども考えております。
  51. 続訓弘

    ○続訓弘君 第三点目は、これは私が要約しているわけですけれども、弁護士連合会は、一九九四年十月に人権擁護大会で「警察活動と市民の人権に関する宣言」を採択した。この採択の内容は、公安委員会の形骸化や市民が警察活動を監視する制度が存在していないなどの問題を指摘している。  警察情報の公開、公安委員会のあり方の抜本的改革、市民による警察監視システムの創設など、民主的コントロールの充実による適正な警察活動の確立を求めた。こんな指摘でございますけれども、これにどうこたえられるのか、御答弁をいただきます。
  52. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 委員御指摘のとおり、現在の警察制度は、都道府県公安委員会都道府県警察管理し、国家公安委員会警察庁管理する、こういう仕組みになっているわけでございます。この場合の管理と申しますのは、その時々の治安情勢また警察行政の実情等につきまして報告をいたしまして、その報告を受けて大綱方針を定めながら警察活動管理する、こういう仕組みで成り立っていると考えております。そうした形で管理監督を受けて警察行政を実施しているのが現在の状況でございます。  このことにつきまして、特に公安委員会が形骸化しているというように私どもは受けとめてはおりません。先ほど申しましたような形で、私どもが言いますのは大変恐縮でございますけれども、公安委員会制度のもとに立った警察行政を運営していると、このように私どもは考えております。
  53. 続訓弘

    ○続訓弘君 この公安委員会の形骸化の問題については、先ほど鎌田委員が知事としての経験を踏まえながら議論されました。私も、かつて東京都におりまして、十二年間この様子を見てまいりました。大体、鎌田委員の御指摘にもありましたような感じを私自身も持っております。  例えば、東京公安委員会の委員さんの年齢を見ましても、大変高齢者がたくさんいる。そんな意味で、確かに形骸化というのが高齢者だから形骸化ということには直接は結びつきませんけれども、車いすの方が委員長をお務めになられる、しかもそれが長年お務めになっている、そしてほとんどの会議に出席できないような状況の委員さんでは、私はそういうそしりを免れない。まあ、お亡くなりになりましたからそれは一件落着でございますけれども。何も東京都に限らず、私はそういう公安委員会の高年齢化も一つ問題点ではなかろうかと、これは反省を含めながらそんな感じを持っております。  そこで、たまたま陳情に来られた方が私にこんな話をされました。  今回の警察法改正はオウム事件に端を発しております。同じくオウム事件に端を発した宗教法人法の改正がありました。時代は非常に危険な状況に流れるのではなかろうかと私どもは危惧しております。人権は何よりもとうといものである。  天賦人権だ。その人権が今のような歴史の流れを変えるような状況になるのではなかろうかという危惧がございます。したがって、ぜひこの問題に大所高所から国会議員として議論をしてほしい。  この声明文にはございませんけれども、こんな要請を受けました。  そういう意図の改正ではないということを信じておりますけれども、せっかくのお話でございますので、その辺の御見解公安委員長に伺って、この問題は終わらせていただきます。
  54. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) いろいろな御経験を踏まえまして続委員から御意見を伺いましたが、今回の警察法の一部改正をお願いしている法案につきましては、例えば警察庁長官指示全国的な観点から都道府県警察相互間の協力体制等について行われるものでございまして、都道府県公安委員会が当該都道府県警察に対して行ういわゆる民主的なコントロールの妨げになるものではございません。さらに、警察庁長官指示につきましても、国家公安委員会管理のもとに行われるものでございます。したがいまして、今回の改正につきまして、民主警察の精神に反するとか、あるいは中央集権に復するといった危惧はないものでございます。  法案の中身におきまして、第五条におきましては国家公安委員会管理を示しておりますし、第十六条におきましてはそれを受けて警察庁長官指示を行う規定を定めておるわけでございますので、御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  55. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、ただいま弁護士連合会のいわゆる声明並びに弁護士連合会から陳情を受けたその経緯について御説明申し上げながら御見解を承ったわけであります。  ただいま公安委員長として、そういう心配は要らないよ、そんな意図のもとの改正ではないよということであれば、法を守る、人権を擁護する弁護士連合会の会長あてに堂々と弁明をされないと、この文書は各方面に声明文として流れているんじゃなかろうか、弁護士会の重みというのは私は全国民に対する大変な重みとなって受けとめられているんじゃなかろうかと、こう思うがゆえにあえて申し上げているわけであります。その辺の対応について御答弁願います。
  56. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 日弁連からの文書、声明につきましては私どもも承知いたしておりますが、恐縮でございますけれども、私どもあてにこれは届けられたとかいう形のものではございません。  しかしながら、この声明文は各方面に配られているようでございまして、この声明文を受けまして、委員今御指摘のようなことを含めていろいろ御質問や照会等がございます。それにつきましては、私どもそれぞれの機会におきまして、私どもが先ほど来御説明をいたしておりますような観点から、今回の改正につきましてそういう御心配、御懸念を招くようなものではないということをその都度御説明をしているところでございまして、そういう意味合いにおきましてはこの声明につきまして私どもの考え方というのは各方面に十分お伝えし得ているのではないか、このように考えております。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕
  57. 続訓弘

    ○続訓弘君 今お話がございましたように、ぜひそういう理解を求めるような努力をお願い申し上げます。  それで、一点だけお尋ねいたします。  それは、今回の改正の中で広域犯罪を行おうとする組織の認定についてでありますけれども、こういう組織は一朝一夕にできるものではありません。そういう認定をされるべき団体が存在するとすると、その存在が広域犯罪につながるような団体であるかどうか、そういう活動をしているかどうかについては、常に情報を収集して事の真相を解明する必要があるんじゃなかろうか。そうなりますと、非常にこの辺難しい問題が出てくる。要するに、ある団体をそういう危険な団体だと認定して捜査をする。その捜査の行き過ぎ等があってはこれまた困る。  その意味では、この法律を守ることと、今度は実際に人権を擁護するというか、その立場は非常に難しいと思いますけれども、その辺の今後の取り組みの姿勢についてお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  58. 野田健

    政府委員野田健君) 一連オウム真理教関連事件は、閉鎖的な集団による組織的な犯罪であったわけでございます。警察としては、治安に与える影響等の点でこのような組織犯罪に対する対策を的確に推進することは極めて重要なことだと考えております。  こうした公共の安全を害するおそれのある集団、この中には例えばいわゆる暴力団と言われるような組織的なグループもあると思いますけれども、こういったものについてはできるだけ早期に発見し、そしてその実態解明を行って、犯罪行為であるとかあるいはテロ行為を未然に防止することが重要だと考えております。  一方、これらの防止活動のために適正手続の保障あるいは国民の警察に対する信頼の確保ということがちゃんと行われていなければならないというふうに考えておりまして、平素から公共の安全を害するおそれのある集団に関し的確な情報活動を行う場合に、これらの適正手続の保障等に十分意を配してやってまいりたいというふうに考えております。
  59. 続訓弘

    ○続訓弘君 行き過ぎにならないように慎重に配慮をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大分、重複する部分があるかもしれません。  まず第一は、私は今度の改正について、平成六年に改正をいたしまして、この検証の上に立って今度の改正案が出されたんだというふうに実は思うわけです。そういう点で、前回の改正の段階でも警察庁の方は、犯罪広域化等に効果的に対応するためとして、都道府県の境界周辺での事件について境界を越えた権限行使を認めて、複数の都道府県にまたがる広域捜査の際の指揮の一元化などの規定を設けるなどして、合同捜査やあるいは広域捜査隊の運営を積極的に進めてきたと思うんです。  ところが、今回の改正の背景として、先ほどからお話がありますように、全体的にはオウム事件の問題が中心になりまして、警視庁山梨県内オウム真理教関連施設に対して権限を及ぼすことができなかったと、このことが一番大きな改正理由ではないかという気がしてなりません。  そういう点から今オウム真理教事件を振り返ってみると、一つ平成元年十一月四日、例の坂本弁護士一家の拉致事件が起こりました。しかし、それ以前から同教団にかかわる多くの犯罪被害の告訴あるいは告発事件があっておったわけです。  同教団による土地の取得事件とか施設の建設などに関連をして建築基準法違反などの行政法違反事件が繰り返されてきたり、あるいは地域の住民とのトラブル等も実は頻発をしておったわけです。  その後、例の熊本県の波野村の国土利用計画法違反事件平成二年、そして平成六年の宮崎県の旅館経営者に対する営利略取事件など、かなりマスコミでも報道されてきたわけですが、やはり国民全体として、あるいは多くの国民になぜこの時点でもう少し適時適切な捜査ができなかったのかという率直な疑問が残っておると思うんです。ここらをひとつ解明することが私は大事ではないか。  そこで、オウム真理教の本部のあった山梨県に隣接する都県では特に集中的に事件発生をしておる。その間、東京都いわゆる警視庁を中心に長野県あるいは静岡県警等ではどのような捜査態勢によってどのような捜査が実際行われてきたのか、これをまず第一にお伺いをしたい。  それから同時に、平成六年度の制度改正以降、広域捜査に関して警察庁としてはどのような態勢整備が行われて、現実捜査においてどのような改善効果があったのか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
  61. 野田健

    政府委員野田健君) まず、坂本弁護士事件でございますが、事件発生直後から弁護士一家が何らかの被害に遭っている可能性が高いものとして捜査本部を設置し、所要の捜査を鋭意進めてまいりました。坂本弁護士は、当時、オウム真理教被害者の会の救援活動に従事し、同教団との間に激しい対立関係があったことや、同氏宅にプルシャと呼ばれるバッジが残されていたことなどから、オウム真理教の関与についても初期的段階から視野に入れた広範な捜査を推進したところでございます。  残念ながら、事件現場において物証が乏しかった上、同教団の閉鎖性が強く内部情報がほとんど得られなかった、組織的な証拠隠滅活動が行われたというようなことで、多岐にわたる捜査を丹念に行う必要から、被疑者を検挙するまでに五年余の期間を要したものであります。これは平成元年十一月の事件でございます。  その後、平成二年十月に、熊本県波野村において国土利用計画法違反事件がありましてその捜査に着手いたしましたが、その過程におきましても、この坂本弁護士事件との関連性を頭に置きながら捜査をするという配慮もしたところでございますけれども、その時点で坂本弁護士事件についてオウム真理教との関連を解明するには至らなかったところでございます。  そして、平成六年六月になりまして松本サリン事件発生したところでございます。事件発生後、速やかに捜査本部を設置し捜査にかかったところでございますけれども、残念ながら当時サリンの生成方法であるとかあるいは必要な薬品類に関する知識が乏しかったということで、生成方法の解明等を一から勉強しながら捜査しなければならなかったというような状況にありまして、大変苦しい捜査をすることになったわけでございます。  捜査をしてまいりましたところ、山梨県上九一色村の土砂からサリンの分解残留物でもあり得る物質の一部を検出したということがございまして、オウム真理教がサリンを製造しているのではないかと疑いを持つに至り、その後、具体的な実行行為者の特定等、証拠を一つ一つ積み重ねることによって本事件の解決に至ったところでございます。  この一連オウム真理教関連事件につきましては現在多くの事件が公判係属中でありますけれども、同時に、警察といたしましては、まだ七人の特別手配被疑者の検挙に至っておりませんで、これの追跡捜査全国都道府県警察を挙げて所要の捜査を推進しているところでございます。  平成六年の警察法改正によりまして、合同捜査の制度に関する規定等都道府県警察間の協力に関する規定整備されまして、複数の都道府県警察管轄権を有する事案については、その処理を円滑に行うため、警察部長が相互に協議して定めたところによりまして関係都道府県警察の指揮を一元化することができることとされたところでございます。  この規定を受けまして、これら一連オウム真理教関連事件につきましては十一の合同捜査本部を設置することにより、そしてそれぞれの事件の指揮権を一元化するということで捜査が順調に進んだというような経緯にあります。  そういう意味で、平成六年の警察法改正は時宜を得て行われたものと考えておりますが、平成六年の法改正管轄権を共有する都道府県警察間の指揮の一元化の問題でございまして、これらの捜査をやっていきました過程でいろいろ問題が生じてまいりました。それは、先ほど御指摘をいただきましたけれども、捜索対象が大変大規模にわたる上九一色村の捜査をするという場合に、もし山梨県警察だけでやるとすれば、連日山梨県警察の定員を超えるような捜査員を現地に派遣しなければならないというようなことがございまして、もう少し早くから警視庁捜査に参加することができればもっとよかったのではないかというような指摘を受けたところでございまして、今回警察法改正をお願いしているところでございます。
  62. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今、刑事局長からお話がありました。考えてみれば、前回の改正時点で、私どもは立法府におりながら、もう少し一緒になって広域捜査のあり方についても考えていい時期に来ておったのではないかということを私自身の反省も含めて実は申し上げておるところです。そういう点から見て、もう少しオウムの実態が明らかになっておれば、あるいは広域捜査のあり方についてもいま一歩踏み込んだ改正が前回できておったんではないかと反省をしておるということを申し上げておきたいと思います。  二つ目は、先ほどからもいろいろございましたが、やはり警察としても、やる場合に一〇〇%確証があってやるものではないと。いろいろ疑いがあれば、初動捜査の段階からきっと非常に心を使いながら捜査を始めていくわけです。坂本弁護士一家の拉致事件あるいは松本のサリン事件等で、特に松本のサリン事件では、あの被害の実態から見れば、先ほど刑事局長からお話があったように、どうしても第一通報者の自宅の前あるいは付近の被害が一番大きいということで、そこらに何かあるんじゃないかと捜査を集中する、物証を探すというのも当然のことだろうと思うんです。しかし、やってみて、結果的にあの第一通報者は完全に被疑者扱いにされておった。家宅捜査もされたという点から見れば、大変に私は気の毒な状況であったんではないかと。  ですから、前の委員会でも一回申し上げましたが、そこらは日弁連の方も言っております。先ほど続先生からもお話がありましたが、やはり自信を持ってやったことでも間違いがあるわけですから、間違いがあれば間違いがあったということを率直に謝罪すべきじゃないかということを、私この点では申し上げておきたいというふうに思っております。  次に、これは意見として申し上げてお伺いしたいわけですが、オウム真理教関連事件についてはおおむね完結に近いという状況に来ておるんじゃないか。またしかし、確かに六、七名指名手配の犯人が逃亡中で、今全国挙げて、警察は力を合わせて逮捕に向かっておるわけですが、そういう中で、オウム事件全体として捜査のどこかに問題があったのではないか、あるいは何が欠けておったのか、そういう徹底的な検証が私は必要ではないか。そういう中から今度の組織改正の問題も出てきたと思うんですが、一部には警察当局がうまくやっていれば防ぎ得たんではないかという率直な見方もあるわけです。  これは警察庁が発表したわけじゃありませんが、あの地下鉄サリン事件の二日後にXデーを設定しておった。その態勢もあるいは訓練もできておった。二日間おくれたがために地下鉄サリン事件の方が先になったという報道もあったわけです。警察庁が中心になってXデーを設定しておった。そして、一斉に強制捜査に踏み込もうという二日前に地下鉄サリン事件が起きたというようなことも報道されておるものですから、ここらはこの時点で、警察庁中心に関係した各警察本部と一体となって、この六年にわたる捜査を厲粛に分析しながら、そしてその結果を国民に示すべきではないかという気がするわけです。  その前段として、ぜひひとつオウム事件一連の検証を早急に取りまとめてこの委員会に提示をしていただきたいと思うわけですが、これは官房長でも結構ですが、いかがでしょうか。
  63. 野田健

    政府委員野田健君) 一連オウム真理教関係事件につきましては、我々もいろいろな教訓を得たところでございまして、例えばサリン等による人身被害の防止に関する法律案を提出し制定していただいたということもありましたし、また科学捜査というものについて大変厳しい反省を求められましたので、鑑識・鑑定資機材の充実を図るなどの施策を講じているところでございます。  今後とも警察としては、装備資機材、鑑識・鑑定資機材の一層の充実と科学的知識、技術を有する捜査員の育成、あるいは急激な社会情勢の変化に伴う犯罪広域化により一層適切に対処できる制度の確立に努める必要があるというようなことを考えております。現在、先ほど御説明いたしましたように、特別手配被疑者の追跡を懸命にやっている、また信者等の中に所在不明になっていて犯罪の被害に遭っている可能性というか、おそれのある者もありますので、それらの事件の解明に今努めているところでございます。  こういったことがいずれ一段落ということになろうかと思いますが、その時点では、さらにもろもろの御批判あるいは御指摘を検討させていただきまして、オウム真理教のような組織の生成拡大あるいはテロ行為に至った経緯、そしてこれに対してどのように対応していけばよかったかというようなことについて厳しい検討を行い、そして公表できる内容等につきましては可能な限り国民の皆さんに公表して、また御理解もいただいていこうというふうに考えております。
  64. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  この問題で最後になりますが、公安委員長の方に。  先ほど続委員の方からも日弁連の質問状に関しての質問がありました。やっぱり権限を強化する、あるいは警察庁長官指示権を強化するというふうに受け取られておるわけです。今の民主警察、地方警察が戦後どういう歴史の中で生まれてきたのか。一つは、戦前の国家警察の中での、歴史の反省の中から今の警察制度ができてきたわけです。  そういう中で、例えば地方自治法の中に、地方公共団体は憲法または法律に違反をしない限り一般的に条例でいろいろなことを制定することができるという自治法上の問題があるわけですが、この立法趣旨そのものは、いわゆる直接的には警察制度の改革でこの自治法上の立法をしたというふうに私らも聞いた覚えがあるわけです。それは、地方公共団体が地方の秩序を維持しながら、住民の安全、健康、そして福祉を保持する行政権の主体であるというようなことから、地方自治法上、憲法あるいは法律に違反しない限り条例を制定することができるという立法趣旨はそこにあるんだということを若いころ勉強しに行ったときに教えられた記憶がある。  そういう点から見て、先ほどから申し上げておりますように、何も中央集権化することでもないし、地方の公安委員会制度そのものがあるわけですから、そこらは十分機能を果たしていただくと。そうすれば、先ほどお話がありましたように、一層の警察関係の情報の公開とか、あるいは市民に開かれた警察の一環として、私は公安委員会に公聴制度を設けたらどうか、あるいは公安委員会の公選制を含む選任方法を採用したらどうか、こういうことをひとつ検討していったらどうだろうか。こういうことがやはり本当に住民に愛される警察になっていくんじゃないか。あるいは警察モニター制度や、これは衆議院でも出ておったようですけれども警察オンブズマン制度、そういう制度を検討するとかというようなことについて公安委員長としての御見解をお伺いしたいと思います。
  65. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 渡辺委員からのお話にもございましたように、今回の改正案につきましては、オウム真理教関連事件経緯にかんがみまして、各都道府県警察広域組織犯罪等に迅速かつ的確に対処できるようにするために国が全国的な立場から補完的に関与することとするものでございまして、具体的な捜査活動における個々の方針や方法の指揮を行うものではございません。したがいまして、都道府県警察がその判断と責任のもとに具体的な執行を行うこととする現行自治体警察制度の枠組みを変更するものでもありません。警察の中央集権化を進めるものでもございません。  警察の保有する情報につきましては、犯罪の予防、捜査に関する情報などのように情報の提供になじまないものも存在をいたしておりますが、警察行政の円滑な運営も国民の皆様の理解と協力があって初めて実現されるものでございますから、警察におきましても従来から国民の皆様に対する情報の提供に努めてきておるところでございます。  次に警察行政についてでございますが、警察行政につきましては、市民の皆様の声を反映させて市民の皆様によりコントロールするため、市民の皆様の代表となるべき方として両議院または都道府県議会の同意に基づきまして任命をされました委員により構成されております公安委員会制度が設けられておるところでございます。従来から国家公安委員会及び都道府県公安委員会によりまして警察民主的管理が適切に行われてきておりますので、改めて御指摘のような制度の導入などを行う必要はないものと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  66. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 時間がありませんから、最後にプリペイドカードの問題ですが、大変な問題になっております。時間がないから結論から申し上げますが、言われておりますようにプリペイドカードの偽造によって六百三十億を超すような犯罪が起きておるわけです。  ここに昨日の毎日新聞の夕刊を持ってきておりますが、この夕刊には、プリペイドカードの変造機を二十五台ぐらいつくって、一台五百万から八百万ぐらいで特定の人間に、高級車を乗り回して覚せい剤も使用し、暴力団とのつき合いも持っておる男にこの機械を売ったと。そして、この男が二十九歳で、学校もどういう学校を出ておるということまでマスコミの方はつかんでおるようです。そういうふうに明確なあれが出ておるんです。それと同時に、今プリペイド会社そのものが十数社の取引を禁止した。それはパチンコ店そのものが一緒になって偽造プリペイドカードを使って犯罪を起こしておるという、それをつかんだからああいう結果、取引を禁止したと思うんです。  そこらについて、現在警察庁の方ではどういうところまでつかんで、具体的に犯罪として立証しておる部分があるかどうか、あわせてお聞きしたいと思うんです。
  67. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) パチンコプリペイドカードの変造及びその行使事案が昨年夏ごろから急増いたしておりまして、昨年一年間で六百六事件、六百九十三人の検挙という状況であったのが、八年、ことしの一月から四月に既に六百件、七百八人ということで大きな問題となっております。プリペイドカード自体は健全化のためのシステムということでありますが、これが犯罪に悪用される、健全化に与える影響が大きいということ、さらには暴力団あるいは悪質な外国人グループが関与しておるということで治安上大きな問題と認識しておりまして、これの取り締まりを強化いたしておるところであります。  ただいまプリペイド会社からの契約破棄のお話がございましたが、私どもはプリペイド会社に対しましてもセキュリティーの万全と、また現在進行しつつある事案についての会社としての措置もあわせて要請しておるところでございます。会社の立場で、そういう契約違反があるようなホールについては既に破棄あるいは警告等の処分をプリペイド会社としてもやっておるということでございます。  その中には、私どもの犯罪捜査対象となるようなホールもあります。現に検挙をいたしておるものもございます。ただいま昨日の新聞記事のお話がありました。現在、ホールにおいて行使している被疑者は相当数検挙、逮捕いたしておりますが、その背景にあるものについてはそれぞれの都道府県において鋭意捜査をしておるところでございます。
  68. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 時間が過ぎましたから、ぜひひとつ、このプリペイドカードを導入した段階では警察の非常に前向きの姿勢があったわけですから、警察のメンツにかけてもこの問題は徹底して犯罪を明らかにしていくということをお願いして、終わりたいと思います。
  69. 有働正治

    ○有働正治君 私は、まず法改正の契機とのかかわりで、オウム事件への対応と教訓をめぐって質問いたします。  一昨年の法改正とのかかわりでありますが、広域組織犯罪等への対応の問題で、先ほど渡辺委員からも質問がございましたけれども、この法改正でオウム事件についても十一件の合同捜査本部を設けるなどして対応してきたというお話もありました。そういう点から見ますと、この法改正というのはその後の広域捜査活動等にもそれとして大きな実を上げたと見ておられるというふうに私は答弁を聞いて伺ったわけでありますが、その点だけまず確認したいのであります。
  70. 野田健

    政府委員野田健君) 平成六年の警察法改正によりまして、隣接または近接する都道府県警察相互間の管轄調整共同して事案処理に当たる都道府県警察相互間の指揮系統調整を円滑に行うことができるようにされたところであります。広域犯罪については、これらの改正規定を有効に活用いたしまして、関係する都道府県警察合同捜査本部を迅速に設置したり、あるいは数府県の警察官を一体として運用する広域捜査隊を設置するなどしているところでございます。  そして、具体的な例では、広域捜査隊というのは全国で現在十一隊設置している、こういうことでございます。一方、それぞれの事件に関していきますと、例えば殺人の絡む捜査本部設置事件、これは先ほども申しましたが、数府県警察指揮系統を一元化して行う捜査でありますけれども、こういった合同捜査であるとか、あるいは数府県が共同捜査方針を立てましてそれぞれの指揮のもとにこの共同捜査方針に基づいて捜査をしていく共同捜査であるとか、こういうようなものを行っております。殺人の絡む捜査本部の設置でいきますと、平成四年あるいは五年当時は六、七件でありましたが、この改正法の後では平成六年が十五件、七年は十二件というようなことで、大変効果的に行われております。  そして、オウム真理教関連事件におきましても、この改正規定によりまして指揮の一元化を図り有効に機能した、事件数で十一合同捜査本部を設置した、こういうことでございます。
  71. 有働正治

    ○有働正治君 オウム事件その他現行法でそれなりに対応してきたということは明白だと思うのであります。  そこで、オウムの教訓とのかかわりで、坂本弁護士事件について一点だけ。警察の最初の現場検証、八九年、平成元年十一月七日だと思いますが、この現場検証でいわゆるオウムとのかかわりでのプルシャというのを発見できたのかどうか、その点だけ。
  72. 野田健

    政府委員野田健君) 坂本弁護士事件につきましては、事案発生した三日後の平成元年十一月七日の深夜、同弁護士の母親から所轄警察署に弁護士一家が連絡のないままいなくなったとの届け出がなされ、事件を認知したものであります。届け出を受けました所轄警察署におきましては直ちに当直警察官を同弁護士宅に派遣したのでありますが、深夜でもあり、翌日綿密な現場見分を行う必要を認めたところから、当夜は現場保存を依頼し、簡易な見分を行ったものであります。翌日、十一月八日でありますが、本部鑑識課員、科学捜査研究所員の応援を得まして、坂本さん宅の実況見分を午前九時二十五分から翌日の夕方まで、夜間に一時中断いたしましたけれども、実施をいたしました。  プルシャに関しましては、この実況見分開始前の午前八時四十五分ごろ寝室の押し入れ付近の壁際にあったものを母親の坂本さちよさんが発見し、実況見分時に提出されましたので、これを領置したところでございます。
  73. 有働正治

    ○有働正治君 答えは最後の結論部分だけで結構なわけで、私の数倍も答えられて、私の要求以外のことまでるる説明は、時間とのかかわりでどうぞ考慮して御答弁いただければということをまずお願いしておきます。  結論から言えば、最初の現場検証で発見できなかったということなんですよ。そういう問題があるということです。  それから、新聞での報道でありますが、先日の中川智正被告の第五回公判の中で中川被告が「公安警察は、八王子アジトで潜伏中の私たちの行動を監視していた。逮捕後の調べで知った捜査報告書にあった人の出入りや服装のチェックも正確だった」ということで、どうも捜査報告書を知り得た、あるいは見聞したのか、そういうことにとられるような意見陳述を報道によるとやっているわけであります。その点はどうなのか。  いま一つは、こういうふうに言っているわけです。「それなら、私が都庁の職員の指を飛ばす前に逮捕してほしかった。悪いのは私だし、すべての責任は私たちにある。」が云々と言いながら「どうしてもっと早く捕まえてくれなかったんでしょうか」と泣きながら意見を述べた。」と。  私は、こういう犯罪者の居直りとも言えるような言い分をもちろん是認するわけじゃありません。だけれども、公安警察等は私たちの行動を監視して十分対応できる状況にありながら逮捕しなかったという趣旨を新聞報道では述べている。この点は、容疑者のいわば居直り的な是認できない発言ではありますけれども、同時にそういう指摘はどうなのかと国民にも大きな疑問を呈される内容である。この点についていかがでありましょうか。できるだけ簡潔にお願いします。
  74. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) 捜査報告書の点については、法廷内で具体的にどのような陳述をなしたかは承知しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。  次に、後段の件でありますけれども、委員も御案内のとおり、三月二十日に地下鉄の事件発生して以来、警察はオウムに対する捜査というものはもちろんでありますけれども、あわせて再発の防止に必死でありました。連日、全国警察官を大量に動員して再発の防止に努めつつ、違法行為が具体的にわかったものについては一刻も早くこれを捕捉すべく全力を挙げておったところでありまして、その指摘のようなことは全く考えられないということでございます。
  75. 有働正治

    ○有働正治君 ところが、国民の中には、坂本弁護士事件、山梨の異臭事件に端を発するようなオウム真理教のああいう残虐な一連の事態等々に対する警察の対応について厳しい批判があることも明らかであります。  先ほど続委員が日弁連の声明を引用されました。坂本弁護士拉致事件、松本サリン事件に対する警察捜査について多くの国民の疑義が提起されている、それに対する警察の説明、情報開示等々がまだ不十分であるという趣旨だと思うわけでありますが、それに対して警察庁の答弁が行われましたけれども、全く答弁になっていなかったと言わざるを得ない答弁と私は解しました。  坂本弁護士事件で、なぜ、オウムに対する初動捜査を行わなかったのか、本格的にここにメスを入れる手だてがとれなかったのか、その後松本サリン事件を含めてオウムに焦点を当てた捜査が早い段階からできなかったのか、これは本当に厳しい批判があるわけであります。  例えば、松本サリン事件東京地裁での公判を前にして、当時十九歳の信州大学二年生の御長男を奪われた阿部和義さんという方が事件についていろいろ感想を語っておられます。その中で、本当に息子さんを亡くされた思いとこれに対する今後の教訓という立場からだと思いますけれども、「神奈川県警が坂本弁護士のとき徹底捜査をしていれば松本の事件はなかったし、長野県警と松本警察署がしっかりしていれば地下鉄サリンがなかったことはまちがいないと思います。警察のミスが重なってこういう事件が起きたという意味では、人災だ」と思う、私の気持ちとしては「警察を訴えたいぐらい」だと、こういう気持ちを切々として語っておられるんですね。日弁連の声明もそうした意向を解しての問題提起、そして法改正に対する疑念だというふうに感ずるわけであります。  そういう点から見まして、先ほど警察庁の方は見解を渡辺委員に対してお示しになりましたので、国家公安委員長お尋ねします。  こういうオウム捜査をめぐる警察活動反省点なり教訓点なり等々をやっぱり国民の前に明確にさせていく必要があると思うわけでありますが、これらの点について国家公安委員長としてはどのようにお考えでありましょうか。
  76. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 坂本弁護士事件につきましては、事件発生直後から、弁護士一家が何らかの被害に遭っている可能性が高いものとして捜査本部を設置して初期的段階からオウム真理教の関与についても視野に入れた所要の捜査を鋭意進めてきたものと承知をいたしております。  松本サリン事件につきましては、サリンが犯罪に使用された初めての事件であり、警察にもとまどいがあったものでございますが、具体的な実行行為者の特定等、証拠を一つ一つ積み重ねることによりまして本事件解決に至ったものと承知をいたしております。  結果的には、両事件の解決前に地下鉄サリン事件発生を見ましたことはまことに残念でありますが、両事件はともに類例のない事件でありまして、警察としては適正な手続のもと、証拠に基づき懸命の捜査を行ってきたものであると承知をいたしているところでございます。
  77. 有働正治

    ○有働正治君 そうしますと、先ほどいろいろ教訓その他の問題もあると警察庁がおっしゃっていたようなことはないという意見ですか。今の大臣の答弁だと適切にやってきたから問題はなかったと言わんばかりの態度じゃないですか。それでよろしいんですか。先ほど警察庁刑事局長は、教訓を踏まえていろんな点をるる述べられたわけですよ。そして、そういう点で反省すべき点は反省するし、教訓にすべき点は教訓にしていくし、国民にもそのことは警察庁としてもはっきりさせると言われたのにもかかわらず、大臣としては何もなかったと言わんばかりのそういう答弁では国民は納得しませんよ。そんな何の反省もない、教訓もないような。
  78. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) お尋ねの件につきましての警察の対応について率直に私の承知している限りで申し上げたところでございます。  現在、オウム事件につきましては捜査中の段階で、指名手配被疑者を追跡中でもございますし、これらの検証等についての内容につきましては公表できる範囲で公表をする機会があろうと、こういうふうに認識をいたしているところでございます。
  79. 有働正治

    ○有働正治君 やはりこれだけ国民の中に重大な疑義が呈されている問題、国家公安委員長として率直に国民の疑問、批判、あるいは警察としてやってきた上に立って警察当局でさえ教訓、反省点があると言っている、それについて国家公安委員長としてはもっと高い見地から適切に対応されることが必要であるということを厳しく指摘しておきます。  私は、九四年の法改正で、やはりオウム事件の解決、そういう方向もしかるべくやられると、もちろん不十分な点があったわけで、そういう点では現行法犯罪捜査共助規則等々で十分対応できるという認識でいるわけであります。  次に、今回の法改正をめぐって幾つかお尋ねするわけでありますが、一つは、改正の条文にある「広域組織犯罪等」とは何かという点。二つには、五条二項の五号で言う、個人の生命、身体等々を害し、または害するおそれのある広域組織犯罪その他の事案、この具体的な内容を簡潔にお答えいただきたいと思います。
  80. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 「広域組織犯罪」と申しますのは、全国の広範な区域にわたって個人の生命、身体、財産を害す、あるいはその地域の公安を害するおそれのある犯罪ということでございます。
  81. 有働正治

    ○有働正治君 具体的に。
  82. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 具体的に申し上げますと、昨年のオウム真理教関連事件のようなタイプの全国的に被害を及ぼすおそれのあるテロ事件のようなものが一つ考えられます。また、全国活動の拠点を持ちます暴力団、いわゆる広域暴力団でございますが、広域暴力団の対立抗争事案のようなものが想定できるところでございます。
  83. 有働正治

    ○有働正治君 条文の中の「又は害するおそれのある」というのはどういう内容か。それから、判断はだれが下すのか。さらに、広域重要犯罪の定義に「長官の定めるもの」と現行の場合にはあるわけでありますが、改正案の場合にその定義の規定がないわけであります。これはどういうことになるのでありましょうか。
  84. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 「害するおそれのある」と申しますのは、あらかじめ固定的に規定することは困難かと思いますけれども、犯罪事案の態様、状況その他を判断いたしまして、具体的あるいは抽象的にその地域の公安が害される可能性、単なる単純な可能性だけじゃございませんけれども、ある程度の蓋然性を持った可能性が想定される場合でございます。
  85. 有働正治

    ○有働正治君 後段のところ答えがなかったんですけれども、だれが判断する、長官ですか。
  86. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  広域組織犯罪等の判断でございますけれども、これは先ほど言いましたような性質のものでございますと、それぞれの都道府県警察公安にかかわってくるわけでございますので、それぞれの都道府県警察が判断することができるわけでございます。  さらに、そうした場合のどのような形で管轄区域外権限行使をしていくかということの対応について指示警察庁長官がいたします場合には、その判断は警察庁長官が行うということです。
  87. 有働正治

    ○有働正治君 さらにお尋ねしますけれども、これ国家公安委員長にお願いしたいのでありますが、「おそれのある」ということの規定が入ったわけで、その場合に、念を押すわけでありますが、規定に伴うおそれ、これが国民の基本的人権その他、やっぱりいろんな点で不当に拡大解釈ということは当然あってはならないわけであります。ここらあたりについてはどういう基本的な考えをお持ちなのかお尋ねするわけであります。
  88. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 広域組織犯罪等に当たるか否かにつきましては、その主体の組織性やその影響が全国に及ぶか否かなどの客観的な要素に基づきまして明確に認定できるものであり、概念として不明確であるとは考えておりません。  私ども国家公安委員会といたしましては、この改正案を成立させていただきましたならば、警察庁権限行使に関し、適正な管理に努めてまいる所存でございます。
  89. 有働正治

    ○有働正治君 さらに、広域組織犯罪等とのかかわりで、今後いわゆる刑事犯罪だけでなく、条文上では軽微犯罪とされてきたものまで含まれるようになる危険性があるわけであります。  そこでお尋ねするわけでありますが、例えば平和の問題だとか民主主義の問題とか暮らしの問題等々で全国的に重要な課題が出てきた場合に、労働組合等が憲法に基づいて合法的にストライキ、集会等々を全国的に呼びかけ、実行するというようなことも当然起こり得ると思うんです。その場合に、公共の安全、秩序云々を口実等にしたりしながら、広域組織犯罪という形で取り締まり、対応が厳しくなるのではないか、そういう危惧の念、指摘もあるわけでありますが、この点いかがでありましょうか。
  90. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 広域組織犯罪等といいますのは、先ほども御説明いたしましたとおり、オウム真理教関連事件のような組織犯罪その他の全国の広範な区域におきまして個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、または害するおそれのある事案を指すものでございまして、軽微犯罪とか刑事犯罪とかそういう形の分け方をしているものではございません。この定義に該当するものでありましたらば、これは広域組織犯罪等に該当するわけでございます。
  91. 有働正治

    ○有働正治君 国家公安委員長お尋ねしますけれども、この間も議論がございました。改めて確認したいのでありますが、改正案のように、警察庁長官指示警察態勢に関する事項についての具体的なもので、いわば命令ともいうべきものとされ、さらにその範囲も広域組織犯罪その他の事案発生した場合だけでなく、そのおそれがあると警察庁長官が判断すれば、犯罪の起きる前から管轄区域を越えて警察を出動させることができるとされるわけであります。警察庁長官権限が拡大される結果、都道府県警の管轄区域があいまい化されることになって、実態上警察の中央集権化が進むことになるんではないか、こういう問題についてどのようにお考えになられるのか。  それから、官房長が今御答弁になられた点につきまして、いやしくも憲法その他で保障されている基本的人権がゆがめられることがあってはならないと思うわけでありますが、この二点につきまして公安委員長の御見解お尋ねします。
  92. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 今回の改正案につきましては、オウム真理教関連事件経緯にかんがみまして、各都道府県警察広域組織犯罪等に迅速かつ的確に対処できるようにするために、国が全国的な立場から補完的に関与することとするものでございまして、具体的な捜査活動における個々の方針や方法の指揮を行うものではございません。したがいまして、都道府県警察がその判断と責任のもとに具体的な執行を行うこととする現行自治体警察制度の枠組みを変更するものでもなく、警察の中央集権化を招くものでもございません。  次に、広域犯罪等に該当するか否かの判断につきましては、法律の要件に従って適正に行われるものでありまして、国民の基本的人権を侵害するおそれがあるのではないかとの批判は当たらないものと考えております。
  93. 有働正治

    ○有働正治君 国民のそういう疑念、批判、また日弁連の声明等幾人かの委員の方々から先ほども指摘されたわけであります。そういう点で、厳格に正面から受けとめていただくよう重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。
  94. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  今回の改正内容趣旨、その背景につきましては、先生方の質問と御答弁をお伺いしまして一応理解をさせていただきました。  まず、市民の一人といたしまして、一連のオウム事件のような残虐きわまりない犯罪を二度と引き起こしてはならないと強く思うわけです。そのための法整備あるいは警察活動の運用のあり方についても真剣な取り組みは当然必要であると思うわけです。そうした中で庶民感覚として感じますことは、なぜ今回の事件発生までにこういった対応策がとられていなかったのかなと、素朴な疑問でございます。これまでにも全国的な組織犯罪発生していたと思うわけです。この点につきましての御説明と、この改正にとどまることなく、こうした犯罪への対応策といたしまして科学捜査あるいは装備資機材の充実などさまざまな対策が必要であると思うわけですけれども、この点につきましてまず御説明をいただきたいと思います。
  95. 野田健

    政府委員野田健君) 警察におきましては、これまでも数府県警察指揮系統を一元化して行う合同捜査であるとか、あるいは数府県警察共同捜査方針を立てて、それに基づきそれぞれの指揮のもとに行う共同捜査を推進するなどによりまして犯罪広域化に対処してきたところでございます。そういった広域化に対応いたすために、そのほかには各都道府県警察において広域機動捜査班を設置するとか、あるいはそれぞれ訓練をするとかそういうこともいたしましたし、また平成六年に警察法改正をいただきまして指揮の一元化が円滑に行われるようにさせていただいたというようなことでございます。  ただ、従来の問題では、オウム真理教のような事件発生いたしますと、前例のない大規模かつ複雑な事案でありまして、このような広域組織犯罪等管轄区域外発生した場合に、管轄区域内の公安維持に関連することを明確に認定できない都道府県警察がこの権限を及ぼすことができないという状況にございました。今回、こういったオウム真理教関連事件のような組織犯罪全国都道府県警察が十分な態勢をとって対処することができるよう規定整備をお願いしているところでございます。  また、オウム真理教関連事件というものを捜査していく過程で、彼らが高度な科学技術を悪用したということがございました。これらに対しましては当方の態勢が必ずしも十分ではないということを十分反省いたしまして、平成七年度補正予算あるいは本年度の予算で装備資機材、鑑識・鑑定資機材の整備を図るなどの施策を講じているところでございます。今後も、装備資機材、鑑識・鑑定資機材の一層の充実、あるいは科学的知識、技術を有する捜査員の育成確保に努力をいたしまして、科学捜査という観点からも万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  96. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  今回の犯罪によりまして、市民生活にこれほどの大きな不安感、不信感を与えたという意味では犯罪史上例がないと思うわけですけれども、この不安感の解消に努めること、そしてまた犯罪を未然に防止するという点では市民の協力というものが本当に一つの大きなポイントではないのかなというふうに思うわけです。これらの点につきまして、警察庁ではどのように対応されているのかということもお伺いしたいと思います。
  97. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御指摘いただきましたように、治安の悪化に歯どめをかけて国民の不安感を解消するための取り組みが極めて重要であるというふうに認識を持っております。  警察といたしましては、犯罪発生した場合、迅速に被疑者を検挙し事件を解決するということの重要性は申すまでもありませんが、市民生活の安全と平和を確保するためには、犯罪などの未然防止や被害の拡大防止と回復を図るということが重要であるとの考え方に立ちまして、地域住民、警察、自治体などがそれぞれの立場で相互に連携して市民生活の安全と平和を確保することを目的として行う地域安全活動を強力に推進しているところであります。  今後、犯罪などの被害防止に資するために、地域で発生している犯罪の状況などの情報を迅速的確に地域住民の方に伝えるとともに、地域住民の方の協力を得ながら、安全な地域社会の実現に努めてまいる所存であります。また、特に社会の中にあって弱い立場にある高齢者、幼児、女性、障害者の方々につきましても、犯罪被害を防止するため、市民と協力して連携し、きめ細やかな対策を強力に推進してまいりたいというふうに考えております。
  98. 西川潔

    ○西川潔君 毎日私たちの生命そしてまた財産を守っていただく中で、犯罪に対しては本当に強く、また市民には優しい警察であっていただきたいというのが全国の人たちの希望だと思います。  残りの時間内で、警察が行う市民サービスに関連していろいろとお伺いをしてまいりたいと思うわけです。  昨年の末でございますが、政府は「障害者プラン」を策定されました。このプランによりますと、ホームヘルパーを四万五千人配置する、あるいは精神障害者の生活訓練施設を四倍にするといった保健福祉関係施策の整備目標、そしてまた教育、雇用、住宅、防犯・防災など、関係施策を横断的に盛り込まれております。これは本当に評価させていただきます。  そして、プランの内容を個々に拝見いたしますと、例えば「運転免許取得希望者等に対する利便の向上」「地域の防犯・防災ネットワークの確立」、こういう分野において警察関係施策も数多く含まれているわけですけれども、そこでまずは障害者プランと警察行政という観点から長官の御所見をお伺いしてまいりたいと思います。
  99. 國松孝次

    政府委員國松孝次君) 警察といたしましては、従来からいわゆる障害者対策と申しますものは警察行政の上でも大変重要なものと位置づけまして、障害者の気持ちに配慮したさまざまな施策を積極的に推進してきているところでございます。  御指摘のございました「障害者プラン」というものは昨年の十二月十八日に策定されたものでございまして、ノーマライゼーションの理念のもとに「地域で共に生活するために」とか、あるいは「社会的自立を促進するために」といったような七つの視点から施策の重点的な推進を図るものというように私ども理解しているところでございます。  そのうち、私ども警察に特に関係がございますのは「バリアフリー化を促進するために」及び「安全な暮らしを確保するために」という二つの視点、項目が一番関係のあるところでございますので、そういったところを中心にいたしまして、今後とも引き続きこうした施策を一層積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  100. 西川潔

    ○西川潔君 一昨年の本委員会におきまして、当時警察庁都道府県警察に出されました「障害者の気持ちに配慮した警察活動の推進について」という通達内容について御質問をさせていただいたわけです。その際に、私の方からは愛媛県の小田町というところが取り組んでおられますPFW、ポリスとファイア、ウエルフェア、警察、消防、福祉三者の連携によります地域活動を取り上げさせていただいたわけですけれども、警察庁からは手話相談交番などの御紹介をいただいた答弁をお伺いいたしました。  そこで、障害者プランの今後の具体的な施策の展開についてお伺いしたいと思います。  「安全な暮らしを確保するために」の1に「地域の防犯・防災ネットワークの確立」という項目がございますが、その中では手話交番の設置、手話バッジの推進、ファクス一一〇番の整備などの施策が挙げられております。この趣旨整備目標についてお伺いしたいと思います。
  101. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいまお話しの手話交番につきましては、聴覚障害者の方の身近な交番等における遺失物及び拾得物の届け出、困り事の相談等の利便のために、平成八年四月現在十六都府県六十三交番に設置しております。また、手話バッジにつきましては、街頭活動警察署などの受付を担当する警察官あるいは警察職員のうち、手話ができる者に着装させました。一目で手話ができますという旨わかるようにしておるところでありますが、八年四月現在で交番勤務員を中心に全国で二百五十人おります。  これらにつきましては、都道府県において地域の実情等に応じて推進しているところでありまして、整備目標を具体的数字であらわすということはなじまないんじゃないかと思っておりますが、当庁といたしましても都道府県警察への指導などを通じまして一層拡大してまいりたいというふうに考えております。  また、ファクス一一〇番は、ファクスによって緊急通報を受信して警察本部の指令室等において受理できるという、聴覚、言語障害の方々に利用していただきたいということで設けたものでありますが、本年四月現在四十六都道府県で設置を終えておりまして、残る一県につきましても本年八月中には運用を開始できるというふうになりました。この時点で全国設置が完了するということになっております。
  102. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございます。ラジオとかテレビの放送でもやらせていただいたんですけれども、大変な反響がございました。  次に、先ほど長官の方からもお話が出たんですけれども、「バリアフリー化を促進するために」の(4)の「運転免許取得希望者等に対する利便の向上」という項目についてお伺いをしたいと思うわけです。  この中では、運転免許試験場に手話通訳員の配置、字幕スーパー入りビデオの活用等を推進するということでございますけれども、この内容については昨年二月十四日の当委員会で新聞の投書をもとに質問をさせていただいたわけです。この点についての現状と今後の整備目標についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  103. 田中節夫

    政府委員(田中節夫君) 昨年の本委員会におきまして、委員から聴覚に障害を持っておられる運転者に対する講習に字幕スーパー入りのビデオを入れるなど、障害を持っておられる方に配慮した対策を講ずるべきではないかという御質問をいただきました。  私どもといたしましては、その後、聴覚に障害をお持ちの方のために字幕スーパー入り講習ビデオを作成いたしまして、すべての都道府県警察に配付したところでございます。また、都道府県警察におきましても、字幕スーパー入りビデオ、手話通訳入りビデオ等の活用、あるいは手話通訳員の確保等に努めまして、障害をお持ちの方に配慮した運転免許行政を推進しているところでございます。  私どもといたしましては、御指摘のように政府のつくりました障害者プランというのがございまして、その中に具体的に「運転免許取得希望者等に対する利便の向上」につきまして項目が書いてございますので、その項目に沿いまして障害をお持ちの方に配慮した各種の施策を今後とも積極的に推進してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  104. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  次に、俳回老人対策についてお伺いしたいと思います。  これからの大きなテーマでございますが、一昨年の家出調査では十代の割合が年々減少している、これはうれしいことでございますけれども、六十歳代以上は逆に増加傾向でございます。一昨年はその前年より四百八十一人も多い八千四百八人ということですが、これらの背景について警察庁ではどのような分析をされているのか、まずお伺いしたいと思います。
  105. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいまお話のありましたように、家出人捜索願受理数によりまして十年ほど前の昭和六十年と平成六年を比較しますと、十歳代は一万四千九百人強減少しておりまして、六十歳以上は四千人近くふえておるというような状況でございます。六十歳以上の家出人の増加数の過半数は、原因を見ますと疾病関係と放浪癖等によるものが占めている状況にあります。  この背景としましては、まず何よりも出生率の低下に伴う若年人口の減少、高齢化社会の到来による年齢構造の変化というものが考えられるわけでありまして、こうした高齢者の家出人の中には、老人性痴呆症の代表的症状の一つであります俳回行動によるものも相当数含まれているものと推測しているところであります。
  106. 西川潔

    ○西川潔君 痴呆症のお年寄りについては、先日私も「呆け老人をかかえる家族の会」という会の代表の方からお話をお伺いしたんです。お年寄り御本人にとりましては当たり前のことを当たり前に行動しているわけですけれども、例えば御本人にとっては三十代、四十代の時点までさかのぼっているわけです。今のことを忘れられるわけで、例えば子供を幼稚園に迎えに行ったり、公園に子供を呼びに行こうとする行動ですが、周りの者にしてみれば全く理解ができない。外出をとめようと当然いたしますし、そこで興奮をしたりかぎを壊して出かけようとしたりする場合があるわけです。お出かけになって無事におうちに帰ってくれればいいんですが、そうした俳回の途中に交通事故に巻き込まれたり、事件、事故が発生しておるわけです。  こういった事件、事故を未然に防ぐという意味から、少しでも早く発見できるような地域における協力の連携をするシステムの整備についても今後は重要になってくると思います。  そうした中で、北海道の釧路市でありますが、「はいかい老人SOSネットワークシステム」が全国的に注目を集めているところです。警察庁では釧路市、現地を視察されて、その後都道府県警察本部に対して俳回老人に対する取り組みを行うという内容の通達を出されたとお伺いしております。この釧路の取り組み、そして通達内容につきまして御説明をお伺いしたいと思います。
  107. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 北海道釧路市におきます「はいかい老人SOSネットワークシステム」は、釧路地区障害老人を支える会からの俳回老人の早期発見と介護施設などでの保護対策についての要請を受けまして、釧路警察署と釧路保健所が中心となって、市町村や病院などの関係機関等が連携を強化し、老人の早期発見、保護と適切な介護支援のために平成六年四月に発足したものであります。  このシステムは、現在一市四町一村の圏内において五十六団体で運用され、届け出を受けた警察署がみずから捜索するのはもとより、町内会、消防団、バス、タクシーなどの交通機関、エフエムくしろなどに手配し、それぞれの機関が連携をとりながら発見、保護活動に当たるほか、保護した方については必要により医師などの専門家による検討を行い、病院への入院、老人ホームへの入所、保健婦による俳回老人を抱える家庭への訪問など、アフターケアが的確に行われているシステムでありまして、ネットワークの創設以来平成七年末までに六十九名の方を保護するという効果を上げております。  警察庁では、高齢化社会の到来などに伴いまして今後増加することが予想されております俳回老人の保護対策として、関係機関が連携し早期発見、保護とアフターケア等に当たるシステムの構築、その運用が効果的であると認めまして、昨年夏、現地を視察の上、昨年十月、全国警察本部に対して、釧路のシステムの例を参考に、地域ごとにその実情に応じ、関係機関、団体及び俳回老人を抱える家族の会との連携を密にして積極的にネットワークを構築するように指示しているところであります。  これを受けまして、本年五月現在、一道十一県内においてネットワークが構築され、既に運用を開始しているどころであります。警察庁としましては、五月十日に全国の実務担当者会議を開催するなどしてさらに多くの地域へのネットワークの構築拡大に努めているところであります。
  108. 西川潔

    ○西川潔君 すばらしいシステムでございまして、早速に釧路の方へお出向きいただいて通達ありがとうございました。地域性もございましょうが、こういうことが全国に広がりますと本当に我々は安心でございます。年寄りと一緒に生活をしておりますと、それはそれはもう想像を絶するようなことが日々起こるわけでございます。  この釧路方式につきましては、警察、保健所、行政や福祉施設、そして企業、家族が協力し、俳回老人を捜し出して保護する、そして保護した後も必要な場合は施設入所などによりまして、施設の入所もなかなか、本当にお世話になるということは難しいわけですけれども、こちらは発見をするとアフターケアを行う、こういう点などでも大変評価をされているわけです。今後、各地域ごとにそれぞれの実情に応じましたシステムづくりが広がっていくことを期待したいと思います。  最後に、警察が行う市民サービスについての今後の方針長官に一言お伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  109. 國松孝次

    政府委員國松孝次君) 警察運営の基本は市民生活の安全の確保にあるわけでございますけれども、そうした基本にのっとった警察活動を行っていくためには、市民のニーズを的確に受けとめましてきめ細かい市民サービスを実施することが肝要であると考えているところでございます。  こうした観点から、警察では従来から、安全で住みよい地域社会を実現するため、交番、駐在所を地域の生活安全センターと位置づけまして、その地域において犯罪、事故、災害の被害を防止する活動を推進しているところでございます。また、先ほどお話も出ました手話相談交番の拡大、あるいはおいおい整備しつつございます弱者感応式の信号、そういったものの整備をいたしまして、障害者や高齢者の安全な暮らしを守るための施策を推進してまいりたいと思っているところでございます。  今後とも、市民のニーズを的確に受けとめまして、これを反映させた警察運営に積極的に努めてまいる所存でございます。
  110. 西川潔

    ○西川潔君 終わります。
  111. 田村公平

    ○田村公平君 一番最後に質問するというのは非常につらいものがございます。質問したかったことも、諸先輩方が人権の問題も含めまして大変突っ込んだ議論がなされて、ありがたいことだと思っております。  私は高知県から選出されておりまして、実はオウムに関しましては四国四県で唯一高知に支部がございまして、そういう意味では日本列島の縮図が高知県であります。  これはもう警察庁御案内のとおり、人口十万人当たりの殺人事件発生率もたしかナンバーワンでございます。当然弁護士の数も人口十万人当たり日本一で、パチンコ屋の台数も大体ベストスリーぐらいには入っております。いわゆる山口組の四代目をやるべき中山勝正が大阪で短銃で射殺されたりとか、これも高知出身でございます。組事務所にダイナマイトが投げ込まれたり、高知市の帯屋町、この帯屋町というのは実は銀座みたいなところですけれども、そのすぐ近所で短銃発射事件。そういうところにたまたま私は生まれ育ってきております。  あるいは覚せい剤、シャブの記事が地元の高知新聞に朝刊夕刊含めて載らないことがないぐらいのところでございます。大阪ルートあるいは広島ルートということで覚せい剤が流れてきておるように聞いております。これは警察情報ではなくて、普通に市民、県民の間でそういう話がなされております。逆に言えば、それだけ検挙されていると新聞報道されるということは、警察の力が働いておるということだとも思いますが、未解決、いわゆる警察用語でいうところの迷宮、お宮入り事件も多々あること。  それから、最近の傾向といたしましては、太平洋に面しているわけですから、九州、東シナ海とはちょっと条件が違うのに、いわゆる密航者、密入国、あるいは四国山脈に隔てられておる大変地政学的には厳しい環境にありながら、外国人による犯罪も多発しております。  そういう中で、本改正案におきましては今回組織犯罪という言葉が用いられておりまして、警察組織犯罪対策にまさに本腰を入れて取り組んでいくことは大変ありがたいものと期待をしております。  先ほど先輩議員から話がありました人権の問題とか、あるいは私ちょっと前にも言ったことがありますけれども、私の父親は実は特高に二回ほどつかまっています。溝渕増巳という県知事は国警本部のたしか次長をやっておりまして、その溝渕元知事からも戦前の警察の嫌な思いをいっぱい聞いておりますので、そういう危惧が若干ないといえばうそになりますが、先輩方の御質問の中で明らかにされましたので、もう少し前向きな話で質問をさせていただきたいと思います。  これは警察庁のだれに聞けばいいかわかりませんが、高知県は発砲事件も多いんですけれども、たしか高知県警にも銃器対策室が設けられました。そういうことで、現在の銃器対策はどのような状況にあり、また今後どういう方針で臨んでいくかをちょっとお尋ねしたいと思います。
  112. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 銃器に関します御質問でございます。  昨年中の銃器発砲事件全国で申しますと百六十八回で、一昨年に比べますと約三三%減少しております。ここ数年、暴力団の対立抗争以外の発砲が相対的に増加傾向にございまして、銃口が市民生活や企業活動等に向けられ、不安感を与えているということで、治安上大きな問題と認識しております。  これまでも銃器対策につきましては治安にかかわる最重要課題という認識を持ちまして、昨年八月に各都道府県警察警察部長を長とする銃器取り締まり総合対策本部を設置するとともに、警察庁及び各都道府県警察に銃器対策課または銃器対策室を設置する等、警察組織を挙げて銃器の摘発に取り組んでおります。現在も警察と税関等関係取り締まり機関が連携して「けん銃取締り特別強化月間」を実施中であります。  これにあわせまして、国際協力の推進や国民の理解と協力の確保を図ることも重要でありまして、銃器対策国際会議等各種の国際会議や銃器根絶のための国民の集いを開催するなどして働きかけを強めているところであります。  しかしながら、銃器情勢はまだまだ厳しいものがありますので、警察としましては、今後とも発生した事件の検挙に全力を挙げるということはもちろんでありますが、さらに摘発体制を強化するとともに、実践的な訓練を通じた捜査手法の高度化、また昨年九月に内閣に設置された銃器対策推進本部の場を通じた関係省庁との連携、それによります水際対策の強化、あるいは銃器の仕出し国、製造国等関係国との情報交換の一層の緊密化などによりまして、銃器の密輸、密売ルートや暴力団の武器庫の摘発など、根源的な事案の検挙を図っていくということにしております。
  113. 田村公平

    ○田村公平君 これは平成七年十月四日の読売の記事ですけれども、「捜査員銃押収劇ねつ造 前橋署の三人 保釈エサ組員に買わせる 手錠外し記念撮影 群馬県警、聴取始める」、こういう見出しがございます。これはおとり捜査じゃないわけですね。留置場に入っておる者が、現在留置されている者が、お前、無罪放免にしてやるから、行ってはじき買うてこいと。それで、一緒に記念撮影しておる。その対策はいいんですよ。僕が何を言いたいかというと現場のモラルの問題、これは署長もぐるじゃないとできないんです。  私は過去に、警察官職務執行法のどこにそういうことが書いてあるんだとか警察手帳の提示を求めるとかいうことを申し上げたことがあるんですけれども、そうすると警察官は、おれは制服を着ているから間違いないと。だけど、現実問題、愛媛県警のある署長は自分の行きつけのスナックのおかみさんに署長の制服をあげてしまったりとか、ここにいっぱいあるんですよ。警察官は身分を証明する場合は警察手帳を提示することとなっております。だから、いい制度をつくっても現場の警察官のモラル、士気の問題。  つまり、何を言いたいかというと、今度の改正される法律警察庁長官が指揮権というか、各県警本部にこういうふうにしろと。オウムみたいなやつが出てきそうだというときに、一人一人の警察官とそしていわゆる市民の情報提供というか市民の協力、あるいは警察庁においても一一〇番の日というのをつくってなるだけ気安く来ていただきたいということをやっておっても、いわば成績を上げるために銃を暴力団というかやくざの組員に買ってきてもらう、現場がこういうことだとこれは一種の警察不信。  これは全部警察官の犯罪記録なんですけど、白紙の調書の事件とか、いわゆる痴漢行為に及んだとか、発砲、警部補がひったくりとかここにいろいろあります。余りこれを言っていると時間がなくなりますので、そういう意味でSATという制度をつくることも大変いいことだと思うんです。  しかし、現場の教育というのは、これは一体どういうふうになっているんですか。
  114. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  御指摘のとおり、警察官は市民に対して街頭で権限行使する、そういう立場にあるわけでございますので、強い執行力を持つことはもちろんでございますけれども、やはり豊かな常識あるいは高いモラル、そういったものをきちんと身につけた存在であることが必要であることは私どもも十分認識をいたしております。  したがいまして、採用時における資質についても十分その向上に努めておりますし、また採用後の教育、さらに現場、一線についてからの日常的な業務執行の指導等につきましても、各種の研修施設はもちろんでございますけれども、日常的な業務指導、身上の監督等を通じて現在進めているところでございますけれども、さらに一層そうした努力を重ねてまいりたいと思っております。
  115. 田村公平

    ○田村公平君 先ほど渡辺委員からもちょっと質問が出ましたんですけれども、いわゆるプリペイドカードのことで、これは地元の高知新聞の夕刊ですが読ませていただきます。  警察庁が導入を推進したパチンコのプリペイドカードだ。カードは次々と偽造、あるいは変造されて使われた。被害額は実に五百億円。  カード導入の狙いは主として脱税防止であった。パチンコ店の脱税は確かに目に余った。警察は。パチンコ店の指導監督官庁。なんとかしなければ、と思ったのだろう。  その意図は分かるが、分からないのは、テレホンカードの偽造もあって、このカードも偽造の心配があったのに、なぜ導入にあれほど躍起となったかだ。  導入前、各県警は警察庁指示を受けてパチンコ店にカード導入を強く働きかけた。売り上げを競うセールスマンにも似ていた。高知県警も同様。警察庁は導入に成功した警察を表彰までした。指導監督官庁として本来の姿から少々、逸脱しているようにも思えた。 ちょっと省略しますが、  ところが、パチンコは今や違法機種がはびこる一方で、極めてとばく性の強い遊びとなつた。射幸心をあおられた客が各地で起こす事件は枚挙にいとまがない。警察が力を入れるべきは、本来こちらだろう。  三十兆円産業に成長したパチンコ業界に寄生して生まれたカード会社は、わずか数年で二、三兆円の売り上げを誇るようになったが、その裏で進行する犯罪は今や、社会問題となりつつある。  これは宮田速雄君という高知新聞の社会部記者の署名入りの記事であります。  私は、それだけじゃなくして、最近報道されました、子供を車の中に置いたままという、それぐらい若いお母さんや親がパチンコ屋に入り浸るというか、これはもう監督官庁として、先ほど渡辺先生の方からも質問がありましたが、その裏には大変大きな組織が、個人の趣味だけで偽造しているとはとても思えない。  NTTのテレホンカードは高額の分からもう一挙に小額になってしまった。私もだから大損したんです。NTTのカードが使えなくなった、交換に行く前に。だから、そういうパチンコに関するプリペイドカードについてはそんなことは考えていないですか。もっと金額をタイトにして、数百億、五百億とかそういう億円単位ですよ、損することにならないように。
  116. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) パチンコのプリペイドカードにつきましては、そのシステムがホールの経理の明瞭化、経営の合理化というパチンコ営業の健全化に資するということ、そういう側面から、今推進というお言葉をお使いになりましたが、警察庁としてもホールが導入することを推奨してきたものであります。  現在、今御指摘もありましたように、その変造カードの行使が大きな問題となっておりまして、これにつきましては私どもとして取り締まりを強化するとともに、カード会社に対するセキュリティーの強化、また各ホールにおけるこの種事案発生防止のための協力等につきまして要請をし、対策を進めていっておるところであります。  ただいまテレホンカードの例で金額を圧縮するというお話がありました。あるいは総額、総被害の圧縮のお話かもしれませんが、総被害を圧縮することにつながるわけでございますが、テレホンカードにおいても行われましたように、一つには高額券の停止という措置は現在とっております。  パチンコのプリペイドカードにつきましては、一万円券については四月半ば、五千円券については五月の半ばに停止をいたしまして、現在三千円券以下のカードになりまた、これによりまして、まだまだ対策途上ではありますが、トータルの被害も相当抑えられてきておると見ております。もっとも、トータルの被害につきましては、ただいま申しましたようないろんな施策の効果という点もございます。  それから、パチンコの問題に関連しまして、不正機の取り締まりについて御質問がございました。御質問のとおり、パチンコは過度の射幸心を抑えるという観点で風適法において規制をされておりますが、これにつきまして一定の基準内でパチンコ等の機械を設置して遊戯に供するという法律上のしかけになっております。それをくぐって、より射幸性の高い機械を設置するという、いわゆる不正機の問題につきましては、私どもこの風俗営業適正化法の根幹にかかわる重大な問題だということで、現在、この変造カードの行使事案とあわせまして、不正機の摘発というのを重点に置いた取り締まりを昨年来強化しているところでございます。
  117. 田村公平

    ○田村公平君 つまり、四十七都道府県の各県警本部の指導監督のもとにある。パチンコ屋さん、それのいわゆるプリペイドカードの導入というのは警察庁、その中でこういう不正や五百億とか億単位のお金が消えていくということは、これは警察行政というものを考えても非常に不公正かつ不公平なものでありますから、どんどん厳しく対処していっていただきたいと思います。三千円とか言わずに五百円程度にするとか、そういういろんな方法があると思いますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。  私は浪人生活が長かったものですからいろんなところにいろんな友達がおります。山梨県のオウムの施設に警視庁が乗り込んだ、地下に何か隠してあるんじゃないかと。建設重機等を警視庁が持っておらぬということで、突如として某建設会社に要請がありまして河口湖に集合いたしました、前後を警察車両で固めていただいて車列を組んで。これはずばり言っていいでしょう、飛島建設です。もちろん、警察機関、警視庁はちゃんと日当、手当は出してくれたんですけれども、急に出てこいと言われても下請制度になっていますから、ほかの現場をとめて出ていって、あそこでコンクリートをはがしたり、一歩間違えば大変危険な作業に従事したということを現場の所長から聞いております。所長というのは警察の署長じゃなくて建設会社の現場事務所の所長から聞いております。そのときに、飛島建設の下請のいわゆる現場の土木作業員の方々に大変な被害が及ぶような可能性すらあったわけです。  そういう意味で、先ほど私は警察官の士気、モラルの問題を申し上げましたけれども、これは予算措置を伴う話でありますが、あわせて装備の充実も図っていただかないと、もしその手の事故が起きたときに国家賠償法に基づいてといっても限度があります。そういう意味での特殊車両等々を含めた、俗に言うユンボとかバックホーとかいうことなんですけれども、そういう機材も、せっかくこういう形でいわゆる広域捜査態勢をとっていくんであれば、全部の県警に配備しろという意味じゃないんです、管区ごとにそういうシステムあるいは建設会社、重機会社に頼んで借り上げた場合にはどうするかというルールづくり、そういうこともしておかないと、ただ警察庁長官のもとに指揮監督命令ができる、ところが現場個々はばらばらだった、対応がかえってまずくなって、それなら前のままがかえってよかったと。  私は次、本当は警視正から警視長という肩書が欲しいと思っている人がいたりして、そこでさっきの話じゃないですけれども、銃器対策の件で、留置しておる暴力団の組員にけん銃を買ってきてくれと言ってというようなことにならないように、そういうことをお願いして質問を終わりたいと思いますけれども、長いつき合いの國松長官、いかがですか、見解を。
  118. 國松孝次

    政府委員國松孝次君) 委員、るるさまざまな問題につきまして御指摘の点は、要するに警察庁長官以下がいろいろと指示、命令をいたしましても、現場がしっかりしていなければだめではないかと、そういう御趣旨のことの質問であろうと思います。  お説のとおりでございまして、私ども、システムをつくりましても、それを動かす人がついていかなければどうにもならないことでございますので、そういった点も踏まえまして、新しいシステムをつくっていただくと同時に、それを動かす現場の人間の教養の徹底、実務能力の向上というものにつきましても引き続き留意をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  119. 田村公平

    ○田村公平君 これで終わります。どうもありがとうございました。
  120. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      ―――――・―――――