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1996-05-07 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月九日     辞任         補欠選任      山本 一太君     村上 正邦君  四月十日     辞任         補欠選任      和田 洋子君     勝木 健司君  四月十一日     辞任         補欠選任      村上 正邦君     岡部 三郎君      勝木 健司君     和田 洋子君  四月十二日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     山本 一太君  四月二十五日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     倉田 寛之君      岩瀬 良三君     畑   恵君      小川 勝也君     田浦  直君  四月二十六日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     谷川 秀善君      山本 一太君     佐藤 静雄君      田浦  直君     小川 勝也君      畑   恵君     岩瀬 良三君  四月三十日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     山本 一太君      小川 勝也君     阿曽田 清君  五月一日     辞任         補欠選任      阿曽田 清君     小川 勝也君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 山本 一太君                 岩瀬 良三君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        長        菅沼 清高君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁警備局長  杉田 和博君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        自治省税務局長  佐野 徹治君        消防庁長官    秋本 敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        大蔵省主計局主        計官       三國谷勝範君        文部省教育助成        局施設助成課長  玉井日出夫君        文化庁文化部芸        術文化課長    大橋 敏博君        文化庁文化部地        域文化振興課長  土居  正君        林野庁指導部基        盤整備課長    仲  建三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営  企業金融公庫)     ―――――――――――――
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  去る五月一日、予算委員会から、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について、本日午後の半日間、審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山本一太

    山本一太君 初めて質問をさせていただきます自由民主党の山本一太でございます。  質問の前に、まず最初に、倉田自治大臣一言申し上げたく存じます。  大臣、私は昨年の七月に初めて参議院議員として当選をさせていただきまして、それからほぼ一年がたったわけでございます。全くの新人議員であります私がこのようなことを申し上げるのは大変僭越でございますけれども、私は、よく言われております参議院改革とかあるいは参議院独自性という問題は、これはイコール参議院議員改革であり、また参議院議員一人一人の独自性の問題に置きかえられると、このように思っているわけでございます。すなわち、参議院議員一人一人が高い見識と行動力を持って衆議院議員とは違った独自の機能をいかに果たしていけるか、このことが本当の意味参議院の地位の向上につながっていくのではないか。これは、十八年間参議院でお世話になりまして、亡くなりました私の父もよく申していたことでございます。私もこの一年間の国会生活を振り返りまして、それをまさしく実感したわけでございます。  倉田大臣は、私の記憶が正しければ、宇野内閣坂野大臣以来、久しぶり参議院からこの自治大臣というまさしく政権の中枢のポストにつかれたわけでございます。就任当初からオウム真理教等の問題もございました。また、住専処理機構などの問題もありまして、大変な大活躍そして御苦労をいただいているわけでございますけれども、参議院から出た大臣は一味違うということをどうか引き続き証明していただきたい、このように思うわけでございます。後世の歴史に、橋本内閣参議院倉田自治大臣あり、このように名前を残していただくぐらいの気概と決意を持って難局に取り組んでいただきますことを心からお願い申し上げ、また、僭越でございますが、激励一言申し上げる次第でございます。  この点につきまして、三十秒でも結構ですが、一言大臣決意を例えれば幸いでございます。
  4. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 山本委員は、お父様がかつて参議院にありまして、参議院のあるべき姿を求められたことをおそばにおられて感じ取ってこられたと思います。同時に、そういうことを糧にしながら本院に参画をされまして一年が経過をされようという今日、思いを込めて大変御激励をいただきました。  現下、自治省が抱えている問題あるいは警察庁が抱えている問題、極めて重要な課題ばかりでございます。山本委員初め本委員会委員先生方の理解と御協力の中で、参議院のチェック・アンド・バランス、衆議院審議に対する補完という意味も込めまして、当該委員会における議論が交わされ、そのことが我が国の二十一世紀に向かう対応につながっていけるようにいささかなりとも微力を尽くしてまいりたいと強く感じておりますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。  御激励ありがとうございました。
  5. 山本一太

    山本一太君 大変力強いお言葉をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。  また、私は今、一年目に入りましたこの国会活動の中で、政と官の関係についても日ごろ考えるわけでございます。やはり政が官に対してあらゆる行政分野でより一層のリーダーシップを発揮していかなければいけない、そういうあるべき姿に少しずつでも近づけていかなければいけないと常々思うわけでございまして、これはもちろん地方行政分野においても同様でございます。  政治がもっと責任を持って地方行政をきちんとチェックし、そして政策をリードしていく、このことが必要なことは言うまでもないわけでございます。もちろん、質問の方もきょうは一生懸命やらせていただくわけでございますが、それはそれといたしまして、今、国、地方とも大変厳しい財政状況の中で、予算編成等を含め連日連夜私たちと同じ目的のために御苦労いただいております自治省関係者皆様方に対しましても、この場をかりまして一言敬意を表させていただきたいと思います。  きょうは、鎌田筆頭理事また溝生理事初め我が党の諸先輩の御好意で、何と七十五分という過分な質問時間をいただきました。まだまだ先は長いわけでございますけれども、谷川委員の方からもそろそろ行けという声もありますので、質問の方に移らせていただきたいと思います。  私のまず最初質問でございますけれども、地方行革、すなわち地方自治体行政改革について伺いたいと思います。  御存じのとおり、現在、地方自治体財政はまさに危機的状況、国と同様、火の車でございます。現在、自治体借金である県債等地方債発行残高平成八年度末で約百兆円に上る見込みであるというふうに伺っております。これに財投からの借り入れとかあるいは公営企業借金でしょうか、これらも含めると全体で何と約百三十六兆円にも上ると、こういう膨大な数字となっているわけでございます。  こうした状況を受けまして、国と同様、地方にも今、行財政改革が求められているわけでございます。一方、地方公務員の数を見ますと、昭和六十三年以降増加を続けてまいりました。そして、平成七年四月現在の総数では約三百二十八万人ということになっているわけでございます。平成七年四月の最新の調査、お忙しいところ、これはたしか川村課長補佐が私の部屋に持ってきていただいたわけでございますが、平成七年四月の調査では、七年ぶりに前年度よりも下がっているというふうなこともお聞きしたわけでございますけれども、まずこの具体的な数字について一言お答えをお願いいたします。
  6. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員数現状でございますが、ただいまお話がございました平成七年四月一日現在の地方公務員総数は、対前年比較で四千百六十人減少いたしまして三百二十七万八千三百三十二人となっているところでございます。  これは、行政需要面では、高齢化対策あるいは市町村保健センター整備などこういった施策の充実、あるいは災害対策医療対策ということでそういう行政需要に対応し、他方において事務事業見直しあるいは組織機構簡素合理化民間委託ということに取り組んできたということによるものと考えております。
  7. 山本一太

    山本一太君 七年ぶりに減少したということにつきましては、これは自治体定員管理努力の成果であると評価をいたしたいと思います。全体としてはやはり依然として高い水準にとどまっているという状況にあるかと思います。  これに関連しまして、給与水準につきましてもし同様のデータがあれば御提示をいただきたいと思います。
  8. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 地方公務員給与関係でございますが、給与水準は、通常、国家公務員を一〇〇とした場合のラスパイレス指数で見ておりますが、昭和五十年以降二十一年続けて低下をしてきております。平成七年四月一日現在、全地方団体の平均で申し上げますと、前年に比べまして〇・三ポイント低下いたしまして一〇一・八となっております。  また、ラス指数分布状況を見ましても、昭和四十九年には指数一一〇以上の団体が七百九十三団体、二三・九%程度ございましたが、平成六年以降はこれが皆無となるなど、逐次低い階層に移行してきている、こういう実態にあります。
  9. 山本一太

    山本一太君 定員管理また給与水準等につきまして自治体側もそれなりの努力をしてきたということにつきましては、私も評価をさせていただきたいと思っております。  さて、一昨年の十月だったかと思いますけれども、自治省は「地方公共団体における行政改革推進のための指針」というものを策定いたしました。その中で、各地方公共団体に対し新たな行政改革大綱の自主的な策定、また行政改革推進本部並びに行政改革推進委員会等を庁内に設置するとか、あるいは事務事業を見直すということであるとか、時代に即応した組織あるいは機構見直しとか、また先ほど御説明をいただいた定員管理給与適正化推進などをこの指針の中で求めているわけでございます。  最近、首都圏自治体、これは一都三県、東京、神奈川、埼玉、千葉、そして政令都市三つだったと思いますが、横浜、川崎、千葉、こういったところで地方行革中期的方針をまとめる動きが出ているということも一部報道されているわけでございますけれども、地方における行政改革現状並びに先ほど申し上げた行革指針に示された自治省方針について、簡潔に御説明を求めたいと思います。
  10. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員ただいま御指摘のように、大変厳しい状況の中で、地方公共団体が自主的、主体的に行政改革を進めていただく必要があると考えておりまして、平成六年十月、一昨年に「地方公共団体における行政改革推進のための指針」というものを発したところでございます。この指針を踏まえまして、現在までに各地方公共団体におかれまして積極的に取り組みをいただいているわけでございますが、昨年度末までにすべての都道府県それから指定都市、これで新たな行政改革大綱策定が行われたところでございます。  この行政改革大綱の中身につきましては、行政需要の変化や住民ニーズに的確に対応できるように事務事業見直していくとか、あるいは組織機構の再編、それからスクラップ・アンド・ビルド徹底等定員管理適正化、それから住民サービス向上に向けた事務処理改善等に取り組んでいく姿勢が示されているところでございます。  現在、行政改革大綱策定いたしましたところにおかれましても、この実施計画を毎年度定めていただくとか、あるいは場合によってはこれをローリングしていただくとかというような取り組みも行っておられます。  ただいま公務員部長の方から職員数あるいは給与の問題につきましては御報告を申し上げたところでございますが、そのほかにも、例えば補助金等整理合理化につきまして、これはこの行革大綱前の実績でございますけれども、昭和六十年から平成五年度までの間に廃止や削減を合わせて三千億円余の改善を行っているとか、そういう努力の結果があらわれているところでございます。
  11. 山本一太

    山本一太君 今御説明をいただきました行革指針には、やはり今後の地方行革を進める上で大変重要なキーとも言うべきポイントがさまざま網羅されている、私は行革指針を読ませていただいてそのように感じたわけでございます。この点は評価をしたいと思っております。  さて、今御説明をいただきました地方公共団体行革に関しましては、昭和六十年に出された地方行革大綱に基づきまして各自治体のほとんどのところで行革大綱策定しているということがございます。そして、この行革大綱に基づいて事務事業見直し組織合理化を含む行革にそれぞれの自治体が取り組んでまいったわけでございます。  今回の指針内容につきましては、先ほどいろいろ御説明をいただいたとおりでございますけれども、昭和六十年に続いて今回改めて指針が出されたということは、地方分権の大きな流れの中で自治体役割がますます重要になってきた、こういうことを受けてのことだと思います。  そういった観点から、内容については今お聞きしたとおりでございますけれども、今回の指針が今まで出されたものと比べてどういうところにその特徴があるのか、その点について簡潔に御説明をいただければと思います。
  12. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま委員指摘のように、今回の指針のねらいというものの中に、単なる行政改革にとどまらず、地方分権というものに備えて、またこれと並行して地方行政における体制整備、確立ということがその主眼にあったことは事実でございます。  そういう観点から、今回の行政改革のための指針策定に当たりまして、ただいま委員から昭和六十年の行政改革大綱との比較においてどう違うかという御質問がございましたが、まず第一に、手続等の面におきまして、今回の行政改革大綱策定に対しましては住民の意思を反映させるために住民代表者等から成る行政改革推進委員会等を設置するということを求めております。それからまた、この行政改革大綱行政改革進捗状況を公表いたしますとともに、行政改革推進委員会等におきまして行政改革大綱進行管理を行っていただく、こういうことが特徴一つでございます。  次に、内容の面につきましては、従来から言われておりますような地方公共団体役割の増大とか新たな行政ニーズに対応できますように、事務事業組織機構等見直して弾力化していくということとか、あるいはスクラップ・アンド・ビルド徹底等によります定員管理等行政責任領域に留意した事務事業整理合理化行政簡素化、こういう視点は当然でございますが、新たな考え方、特に強調いたしております考え方としては、地方公共団体におきます政策形成機能充実強化とか、それから新たな政策課題に対応し得る人材の育成、研修体制整備、こういうことが一つ掲げてございます。  それから第二には、行政運営のプロセスの改善、これは特に明確な目標の設定とか進行管理徹底とか小集団によるいろいろな提案制度とか、こういうことも指摘をしております。  それから第三には、行政透明性向上あるいは公正の確保という観点からの対策を講じるように指摘をしております。  それから第四には、住民サービス向上観点から、情報化推進等事務処理改善とかあるいは公共施設の設置、管理面における改善等を以前よりもさらに今日的なものにしていただくように求めている、これが特徴的な内容となっております。
  13. 山本一太

    山本一太君 今のお話にもありますけれども、従来、行革といいますと、やっぱりむだなところをぶった切るとか、必要ないところを移すとかいうどうも非常にネガティブなイメージがあったわけでございますけれども、昨日、改めてこの行革指針を読ませていただいた中ではかなりポジティブな感覚が出ておりまして、大変これは大事な点だろうと私は思います。  今御説明をいただきました地方行革推進において、地方公共団体自主性を尊重するという点もまた大切だと思います。地方行革推進に当たっては、今御説明いただいたとおり、ぜひとも地方公共団体自主性あるいは住民の意見を十分に反映しながら進めていただくことを一言要望申し上げておきます。  地方行革についてはこのくらいにいたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  消費税、これは現行三%でございますけれども、この税率に関しましては、平成六年秋の税制改革平成九年四月、来年の四月から地方消費税分を含めて五%に引き上げるということが決まったわけでございます。そして、その際、御存じのとおり消費税法の附則で、先ほど取り上げました行革推進状況等にも配慮しつつということでございましたが、税率見直しの場合には平成八年九月三十日、すなわちことしの九月末までに消費税法改正が必要であるということが定められたわけでございます。御存じのとおり、現在の状況ではどうも平成九年四月からの消費税率は所定の法律どおりとなる可能性が強まっているわけでございます。  そして、この消費税率の引き上げに伴い、地方財源強化目的地方消費税、これは地方税でございますが、これが創設をされるということになっているわけでございます。地方消費税は国税である消費税額の二五%という定めがございますので、納税者にとっては消費税が四%、そして地方消費税が一%ということで合計五%ということになるわけでございます。  さて、昭和六十三年、平成元年税制改革消費税が導入されたときのことをちょっと思い出していただきたいと思います。この消費税導入の際に、既存の地方間接税についてはいろいろと整理統合が行われたという経過がございます。この中で電気税ガス税、そして木材引取税、これらは廃止をされ、減収分については代替財源として消費譲与税というシステムが創設をされたわけでございます。しかしながら、そのとき統廃合されずに存続となったものも幾つかございまして、それがいわゆる料理飲食等消費税、すなわち今特別地方消費税というふうに名前を変えて存続されている税でございます。  次に、この特別地方消費税につきまして幾つか細かく質問をさせていただきたいと存じます。  まず、この特消税の沿革でございますけれども、これまでの経緯について一言だけ、本当に簡単に御説明をいただければと思います。お願いします。
  14. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 現在の特別地方消費税でございますけれども、これは昭和二十五年、地方税法が制定されたときでございますけれども、この当時は遊興飲食税という名前で、道府県税といたしまして遊興飲食宿泊等課税されていたところでございます。  その後いろんな変遷、改正がございましたが、昭和三十六年度にはこの名称料理飲食等消費税というふうに変更をいたしまして、また免税点なども引き上げたところでございます。  それから、今お話がございました平成元年度、このときに名称特別地方消費税と変更いたしまして、税率を三%、また免税点をそれぞれ引き上げますとともに、課税面の運用につきましてもいろんな点で簡素合理化を図ったところでございます。  それから、一番新しい改正平成三年度でございますけれども、このときには免税点を引き上げますとともに、旅館だとか飲食店の所在の市町村に対しまして五分の一の範囲内で交付金を交付すると、こういう改正をなしてきた経緯がございます。
  15. 山本一太

    山本一太君 今の最も新しいデータで、その税収はどのくらいの額になりますでしょうか。
  16. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 平成六年度の決算が出ておりますけれども、約千四百億円を少し切る額でございます。
  17. 山本一太

    山本一太君 この特別地方消費税につきましては、いろいろとマイナスの面も指摘をされているわけでございます。これは大変つたないものでございますけれども、私の妻にも協力してつくってもらったものですので、ここで御披露させていただきたいと思うわけでございます。(資料を示す)  特別地方消費税マイナス面として強調されているのは、大きく言いますとこの三点でございます。まず、先ほど局長の御説明にもございましたけれども、もともとの成り立ちからいってこれは戦時体制下におけるぜいたく税としての性質を引きずっているという点が一点でございます。二つ目は、消費行為に対し現行消費税に加算される、すなわち一つ消費行為に対する二重課税になっているという点が二つ目でございます。三つ目は、この主な徴収者ホテル旅館業界等でございますけれども、これに大変悪影響を及ぼしているという点でございます。  これ以上いろいろと詳しく申し上げるつもりはございませんけれども、同税は先ほど申し上げたとおり、基本的にぜいたくは敵だというような戦時税制の思想を引きずっておりまして、現代の時代にはそぐわないという指摘がなされているほか、先ほど申し上げたとおり消費行為に対する二重課税、すなわち消費税三%プラス特別地方消費税で六%という極めて不自然な形で存続をされているわけでございます。これについては、特に主要な徴収者であるホテル旅館あるいは料理飲食業界等にとっては徴収をめぐるお客さんとのトラブルが絶えない、経営にかなり悪い影響を及ぼしているという事実があるわけでございます。  もし、特別地方消費税がこのままの形で存続となった場合には、平成九年に創設予定の地方消費税がこれにさらに併課され全体で八%、五%プラス三%で八%という税率になるという見込みでございますが、これについては八%の税率になるということをちょっと確認させていただきたいと思います。
  18. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 現行の制度と、それから来年の四月から施行されることになっております平成六年に成立をいたしました税制改革内容について御説明を申し上げますと、平成六年の税制改革では、現行三%でございます消費税税率を、国の消費税は四%に、それから地方地方消費税につきましては国の消費税の二五%ということになっておりますので、税率に換算をいたしますと一%でございますから、国の消費税地方消費税は合わせますと五%でございます。それから、現行地方税法では特別地方消費税税率が三%となっておりますので、これらを合わせますと八%ということになるわけでございます。
  19. 山本一太

    山本一太君 このまま存続をした場合には八%となるという御回答をいただいたわけでございます。  こうしたいろいろな状況にかんがみまして特別地方消費税、今後特消税と略して言わせていただきますが、特消税につきましては、地方消費税導入に伴いぜひとも吸収されるべきだというような要望がこれまで旅館ホテル業界を中心に出されてきたわけでございます。  これを受けて、平成七年度、引き続き平成八年度の税制改正大綱においては「特別地方消費税については、地方消費税の導入の時期までに、その在り方を抜本的に検討する。」という表現にとどまっているわけでございます。この税制改正大綱にある「抜本的に検討する。」という内容を受けまして、同税に対する現在の自治省のお立場を一言お尋ねしたいと思います。
  20. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 平成六年の税制改革におきまして地方消費税創設されますとき、いろんな御議論がございました。今、山本議員の方から言われましたのは、自由民主党、日本社会党、新党さきがけの平成八年度の税制改正大綱ではなかろうかと思います。政府の税制調査会でもこの問題につきましては御議論がございます。また平成六年の税制改革のときに、平成六年十一月の参議院地方行政委員会におきまして、地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議をいただいております。  この附帯決議に若干触れさせていただきますと、「消費税率の引上げ及び地方消費税創設に関連して、特別地方消費税について、今後引き続き地方における自主財源の必要性を踏まえつつその在り方を総合的に検討すること。」、こういう附帯決議もいただいているところでございます。いずれにいたしましても、地方消費税の導入のときまでにそのあり方について検討すべきであると、こういうようにされているところでございますので、私ども現在検討を進めているところでございます。  特別地方消費税につきましては、その税の性格といたしまして、課税対象とされております消費行為と、保健衛生だとか環境整備だとかリゾート整備だとか、こういった地方団体行政サービスとの間に密接な対応関係があるのではないか。また、先ほど御説明申しましたが、平成六年度の税収は千四百億円ぐらいございます。自主財源の乏しい都道府県におきまして貴重な財源となっておりまして、特に観光が地域経済の上で大きな比重を占めておる地域にとりましては貴重な財源となっているということ、それから先ほど来御説明いたしておりますが、市町村にも税収の一定割合を交付いたしております。そういう点から申しまして、地方団体にとりましては極めて重要な財源となっているということにつきましても御理解をいただければと思っております。  今後、地方におきます自主財源の必要性なども踏まえつつ、時期につきましては地方消費税の導入のときまでに、こういうことでもございますので、そのときまでにはそのあり方につきましていろんな角度から検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  21. 山本一太

    山本一太君 今の局長の御説明、ちょっと不明確なところがございましたが、今おっしゃったような理由で自治省としては特別地方消費税存続をさせたい、こういう意向でございますでしょうか。
  22. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 政府の税制調査会なり、それから参議院地方行政委員会の附帯決議なり、また山本議員の方からお話がございました税制改正大綱なり、それぞれのところでそのあり方につきまして検討すると、そういうような方針をお示しいただいているところでございます。したがいまして、そのあり方について検討するという方針をお示しいただいておりますので、私どももそれを受けましていろんな角度から検討してまいりたいと考えておるところでございます。  先ほど来申しておりますように、地方にとりましての非常に貴重な財源、税源であると、それからまた現に地方公共団体の方からもこの税につきましては存続をしてほしい、そういった要望も出されているところでございます。したがいまして、今ここで私ども役所としての方針なり結論なりそういうことを申し上げられる段階ではございませんけれども、いろんなことを踏まえまして検討を進めてまいりたいということでございます。
  23. 山本一太

    山本一太君 しつこいようですが、もう一度だけお尋ねを申し上げますが、そうすると、抜本的にそのあり方を見直すというのは、特別地方消費税撤廃も一つのオプションとして入れて審議をしておられるということなのか、あるいは市町村等からの要望もあり、存続ということを頭に置いて今議論しておられるのか、そこら辺のところをもし答えられる範囲でコメントをいただければと思います。
  24. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 先ほど来申し上げておりますように、今の時点で私ども自治省といたしまして結論を申し上げる段階ではないと思っておりますけれども、特別地方消費税につきましては地方団体からも存続の要望が出てきているということだとか、それからまた地方におきます自主財源の必要性を踏まえつつ云々という参議院地方行政委員会での附帯決議だとか、いろんな御意見がございます。ですから、そういういろんな御意見も踏まえながら、検討に当たりましてはやはり多角的にいろんな観点から検討してまいりたいということでございます。
  25. 山本一太

    山本一太君 特別地方消費税については局長がおっしゃったような状況もあり、撤廃ということは必ずしもなかなかそう簡単にいかないということは今の御説明でわかりました。  私ごとで恐縮でございますけれども、私の実家は実は群馬県の草津温泉という観光地でございまして、祖父の代から小さい旅館を営んでまいりました。私は子どもながら、随分若くして政治の世界に飛び込む前に旅館を継いだ父と母の苦労を見ながら、旅館の仕事を手伝いながら育ってまいりまして、旅館の経営というものは非常に大変だということを身をもって体験してきたわけでございます。  当時、特に私の父と母が苦労しておりましたのは、料金の精算を大変複雑にしていたということでございます。御存じのとおり、当時は公給領収証という制度がございまして、これは簡素化をされてきたわけでございますけれども、そんなことで大変苦労していたという思い出がございます。  また、草津温泉は温泉地でございますので、入湯税に加えてこれをお客様に請求しなければいけないということもございまして、当時は料理飲食等消費税でございますけれども、大変な苦労をしたわけでございます。その意味で私は、なぜ旅館ホテルあるいは飲食業の方々がこの特消税の撤廃ということに取り組んでいるのか、ここまでこだわるのかというのは身をもってよくわかるわけでございます。  この税の存在は、特に旅館などにとりましては恒常的に消費者とのトラブルを招いております。  また、簡素化されたとはいえ、一般的に一泊二食の料金システムをとる旅館の精算を面倒くさいものにしているなど、関連業界にとっては極めて切実な問題であるということをぜひともこの際御認識いただきたい、このように思っております。  先般、四月十四日の日経新聞を見ておりましたら、ちょうどある記事が目にとまりました。これはスイスの話でございましたけれども、今観光立国スイスの名門ホテルの宿泊客が減少しているということで、次々閉鎖になっているわけでございます。業を煮やしたスイス政府が、来年一月をめどにホテル代に限って消費税率を下げるという方針を打ち出したわけでございます。スイスの消費税は通常六・五%ですが、これを三%に下げる方針であるという記事が紹介をされていたわけでございます。  これは原因は値段ということになっておりまして、もちろん日本の場合と単純に比較するつもりはございませんけれども、地方消費税創設後、先ほど局長説明されたように八%という高税率になる中で、既に大変厳しい状況にある旅館ホテル経営者にこのことも大きな不安を与えているということもこの際申し添えておきたいと思うわけでございます。  先ほど局長の方からもございましたけれども、この特別地方消費税を何とか存続の方向で検討したいというその根拠でございますけれども、これは行政サービスと非常に関連があるという点でございましょうか。もし、ほかにその根拠があれば示していただきたいと思います。
  26. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) この特別地方消費税、昔は料理飲食等消費税と申しておりましたけれども、この税につきましては、飲食だとか宿泊だとかそういった利用行為とその地方行政サービス、これがやはり密接な関連を有しているのではないか。  先ほど申し上げましたけれども、もう少し具体的に申し上げますと、課税対象となります消費行為と、保健衛生だとか環境整備だとかリゾート整備、そういった地方団体行政サービスとの間に密接な関係があるのではないか、こういう考え方で昔の料理飲食等消費税、現在の特別地方消費税課税させていただいているところでございます。
  27. 山本一太

    山本一太君 今、局長の方から御説明いただいたわけでございますが、今の説明、またこれまで特消税の存廃についていろいろと行われてきた議論を踏まえまして、これから一つ一つお尋ねをしたいと思っております。  まず第一に、局長が今指摘された地方団体行政サービス、保健衛生であるとか観光施策の推進とか観光道路整備等、こうしたものと特別地方消費税との間に非常に密接な関係があるということでございます。  この点について一つお尋ねをしたいと思うわけでございますが、私は、税制の基本理念、特に最近の税制改正論議の中で強調されているのは、税の公平、中立、そして簡素ということだと思うわけでございます。今、局長が御説明されたように自治体財政需要がふえる、もしこういう理由で特別地方消費税消費税にプラスして課されるということであれば、同じようなケースにもやはり同じような税がかかるというのが公平の原則であると私は思うわけでございます。  同様に、ごみ処理や道路整備といった点で地方団体行政サービスを誘発する、例えば野球のスタジアムとかあるいはレジャー施設についても、公平という点からいけば、その理屈からいけば同じように消費税にプラスアルファされて特消税のようなものがかけられるというのが原則的なものだと思いますけれども、こうした施設の入場料には消費税しかかかっていない、このように理解をしておりますが、ここら辺の中立性、整合性についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  28. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 特別地方消費税につきまして特に課税をさせていただいておりますのは、先ほど来申し上げておりますような理由でございます。  また、これは免税点制度がございますので、その免税点を超えた比較的高額のものに対して課税させていただいているというようなことでございまして、料理飲食等消費税特別地方消費税につきましての課税の根拠と申しますか、課税考え方は先ほど来申し上げているようなことでございますけれども、現行の制度では特別地方消費税は普通税でございます。普通税と申しますのは、特に使途なりなんなりを特定しないそういう税として徴収をさせていただいているものでございます。  先ほど来申し上げておりますのは、特別地方消費税課税しております。その課税の根拠と申しますか、考え方について御説明をさせていただいているのでございまして、当該団体の支出とそれからこの税の徴収というのが直接にリンクしておる、そういうものではなくて、一般的な使途に充てる普通税として徴収をしておるということにつきまして御理解願えればと思います。
  29. 山本一太

    山本一太君 今、るる御説明をいただきましたけれども、いわゆる自治体財政需要がふえるという同じ理由で、なぜ野球スタジアムの方にはかからなくて旅館の宿泊にはかかるのかという点についてちょっと不明確な感じがいたしますので、もう一度その点について御説明いただきたいと思います。
  30. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) これは一つはいろんな沿革的なこともあると思います。確かに、先ほど来お話がございましたように、いわゆる個別の間接税としていろんな税がございました。平成元年度、要するに国の消費税が導入されますときに、個別の地方の間接税についてどういう考え方で対応するかということにつきまして税制調査会なりその他いろんな機関で御議論もいただきました。  そのときに、いわゆる従前の料理飲食等消費税現行特別地方消費税につきましては、先ほど来申し上げておりますような考え方での課税の根拠と申しますか、一般の消費税が導入されましても特別地方消費税につきましては地方税として存続することのできる根拠があるのではないか、こういう考え方平成元年税制改革のときに、その他の税につきましては大方廃止をされたわけでございますけれども、料理飲食等消費税につきましては名称を変更し、また内容につきましても大幅に変更して特別地方消費税として改組、存続をさせていただいたものでございます。
  31. 山本一太

    山本一太君 今の御説明、正直申し上げてまだいま一つ不明確な点がございますけれども、この点につきましてはまた別に局長に御指導いただきたいと思いまして、次の点に移らせていただきたいと思います。  私の感触といいますと、同じ条件のもとで旅館業界にのみ特消税を課すというのは、公平中立という点からはやはり多少おかしいのではないかなという感じがいたします。  これまでの議論の中でいろんなことが言われてまいりました。今、局長がおっしゃったような免税点の引き上げということも指摘をされてきたわけでございます。この点につきまして、私は、遠藤局長平成二年の税制改正の際に、たしか月刊「地方税」という雑誌だったと思いますけれども、そこに寄稿された論文を拝見させていただいたわけでございます。その中で特消税存続の根拠が極めて明快に示されていたわけでございまして、局長がこの免税点の引き上げについておっしゃっております。すなわち、免税点の引き上げにより対象者が限定をされた、そのために大衆的課税としての性質がなくなったと、このようにおっしゃっているわけでございます。  まず、この大衆的課税というのはどういう定義をもって大衆的課税とおっしゃっているのか、この点について説明を求めたいと思います。
  32. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 私はその論文を読んでおりませんので、どういう流れの中でそういう言葉が使われているのかちょっと承知をいたしておりませんのでなかなかお答えしづらいわけでございますけれども。  いずれにいたしましても、料理飲食等消費税から特別地方消費税に改組いたしますときに、免税点を大幅に引き上げる等いろんな内容改正をいたしましてこの税につきましての負担をお願いする、こういうことで平成元年改正をされたという経緯があるということでございます。
  33. 山本一太

    山本一太君 今のは、いかなる基準をもって大衆的課税と言うか言わないかということについてはお答えをいただいていないと思いますが、まあその件については結構でございます。  確かに、おっしゃったとおり税率の引き下げも行われました。もともと一〇%という税率自体が大変私にとっては理不尽なものでございました。  これが三%になったということでございますが、免税点の引き上げが同時に行われてきたことももちろん事実でございます。そして、平成三年の改正前の段階では、宿泊の大体一〇%程度、また飲料の一%程度に課税されているという推定もあるようでございます。  ここで、やはり妻の協力で書いた一つデータをお見せしたいと思うわけでございます。(資料を示す)  この数字でございますが、これが何を意味しているかということを局長、御想像できますでしょうか。三億二千六百三十万という数字でございます。これは実は日本交通公社の広報室が調査した、九六年度における一泊以上の国内旅行の延べ人数、年間三億人でございます。すなわち、一年間に国民一人が平均約三回、一泊以上の旅行をしているという計算になるわけでございます。  もちろん単純計算はできませんが、仮にこの三億の宿泊行為について特消税の対象となる宿泊が一〇%だと仮定した場合には、これは約三千万人がこの課税の対象になっているという見方もできるわけでございます。例えばこれを五%にしたとしても一千万人以上、一千万件以上の宿泊について特別地方消費税がかかっているということになるわけでございまして、これで大衆課税でないという規定はなかなか私はできないと思うわけでございますが、この点について局長の御見解はいかがでしょうか。
  34. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) これは大衆課税であるかどうかということにつきましてはいろんな考え方のあるところでございますけれども、この特別地方消費税改正考え方につきまして御説明をさせていただきます。  この消費税ができましたとき、平成元年改正でございますけれども、そのときに、この税につきましては免税点等を大幅に引き上げることによりまして、課税の対象と申しますか、そのカバーする範囲を極力少なくしよう、それからまたいろんな制度はございましたけれども、そういうことにつきましても特別徴収をされる方々の御負担をできるだけ少なくさせていただこうと、そういう点から課税簡素合理化等も図ったところでございます。  また、平成三年に、御案内のとおり免税点は大幅に引き上げさせていただいておりまして、私ども、この制度改正内容につきましては、やはり十分な担税力を持っておられる方々に先ほど来申し上げておりますような課税の根拠といいますか、そういった観点から税をいただけるのではないかなということできておるものでございます。
  35. 山本一太

    山本一太君 どうも私の質問のお答えにはなっていないように思いますけれども、特別地方消費税免税点を上げたから課税対象者が非常に減ってほんの一千万人以上になったということでございますので、この点につきまして、免税点を上げて課税対象者が少なくなったという理屈には私は大変無理があるように思うわけでございます。  さらに、特消税が大衆課税でないという考え方の背景には、これも遠藤局長の論文にその趣旨があったわけでございますけれども、本税がある程度高額所得者、何かぜいたく税であると、どうもそういう認識が根幹にあるような気がするわけでございますけれども、もしこれがぜいたく品に、ぜいたくな行為にかかる課税ということであれば、なぜ毛皮や宝石などのぜいたく品は三%の消費税になったのか、これもやはり整合性という点から説明がつかない、私はこのように思っているわけでございます。  すなわち、ミンクのコートは場合によっては三百万、四百万円というものもあるわけでございまして、そのミンクのコートに三%の消費税がつく、しかしながらその何十分の一、場合によっては百分の一にしかならない旅館の宿泊費に六%の税金がかかるというのはこれはどうも不公平ではないか、こういう指摘も多いわけでございますけれども、この点につきましてはどのように御説明をされるか、見解を伺いたいと思います。
  36. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 一般の消費税が導入されますときに、国税、地方税を通じまして個別の間接税についてどう対応するかということにつきましてはさまざまな議論があったわけでございます。  今御指摘のございましたのは、恐らくかつての物品税、これらにつきましてそれぞれの品目によりまして税率が異なっていたことは事実でございます。消費税が導入されますときに、それらの個別の間接税については、例えば物品税は若干の経過措置がございましたけれども廃止をする、そういう整理がなされたわけでございます。  地方税につきましては、これは先ほど来御説明をさせていただいておりますけれども、当時の料理飲食等消費税なり、娯楽施設利用税なり、電気税ガス税なり、木材引取税なりいろんな個別の間接税があったわけでございますけれども、それらについて地方税としてどういうように考えるかということにつきまして、特別地方消費税につきましては、先ほど来申し上げておりますようなそういう考え方で改組して存続をする。娯楽施設利用税は一部ゴルフ場利用税に改組いたしましたけれども、その他の税につきましては廃止をする、こういう考え方平成元年消費税が導入されますときに個別の間接税につきましての対応を決めさせていただいたものでございます。  あくまでも、特別地方消費税につきましては、先ほど来申し上げておりますような課税の根拠といいますかそういう考え方で、一般の消費税とは税の性格なり課税の趣旨なりそういう点で異なった面があるのではないかということで存続をさせていただいているものでございます。
  37. 山本一太

    山本一太君 今、局長にかなりまじめにお答えをいただいたわけでございますけれども、依然として、なぜ宝石やミンクといったものについては三%の消費税になったのかということについて私は十分納得ができないわけでございます。  また、ここでもう一点申し上げたいと思いますけれども、恐縮ですが、これも月刊「地方税」の中の「特別地方消費税存続」という題の論文でございますけれども、すなわち「一般消費者から」「の見直しの強い声は挙がっていない」、この点についても私はいささか違った見解を持っております。  国民の税に対する監視の目は昨今ますます厳しいものになっておりまして、このレジャー全盛の時代の中で旅館宿泊や飲食に伴う二重課税に対する関心は、もちろん静かではございますけれども、確実に高まっている、このように思います。  このことがより大きな見直しの声につながっていくという感触を私自身は持っているわけでございます。  実は、昨年の十月から十一月にかけて幾つかの旅館の観光客を対象に特消税についてのアンケートを実施いたしました。ちょっと時間がございませんで表にはなっておりませんが、この税を知っていると答えた人が全体の五割以上でございました。聞いたことがあるが内容は知らないとかあるいは全く知らないという人を合わせると三割八分ぐらいになったわけでございます。このことも事実でございますけれども、明らかに前年度の調査よりもふえております。また、廃止すべしというふうに答えた人も全体の六割強になりまして、これも前年度よりかなり増加をしているわけでございます。本年度はさらにこの数字が上がってくるものと思うわけでございます。  先般、旅館業界やホテル業界を中心に特消税廃止のキャンペーンが行われました。これについては各種メディア、テレビ、新聞等から大きく取り上げられまして、その後もいろいろと問い合わせの電話がかかってくるわけでございます。このこともやはり世論が特消税に対して関心を高めているという一つのあらわれであると私はとらえているわけでございます。  自治省として、消費者の声という点についてはどのような感触をお持ちなのか、もしお答えをいただければお聞きしたいと思います。
  38. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 個別の消費者の方々につきましては、私ども直接接触していないという面もございまして、先ほど来いろんなお話がございましたけれども、自治省として消費者の方々につきましての声は直接にはお聞きいたしておりません。  したがいまして、大体の傾向といいますか、どういう意見かということにつきましては、今の段階で自治省としてこういうように受けとめておるということが言える状況ではないということでございます。
  39. 山本一太

    山本一太君 わかりました。  また、別の議論でございますけれども、消費税との併課というものは特に特消税のみの特殊事例ではないと、こんな議論も行われてきたわけでございます。確かに同様のケースとして、石油やたばこや酒、ゴルフ、ゴルフはこれはゴルフ場利用税だと思いますけれども、これらは消費税との併課となっているわけでございます。  しかしながら、石油税については先ほど谷川委員にも確認をしたわけでございますが、石油税は道路財源という非常に明確な目的を持った目的税でございます。この点で、先ほど局長おっしゃったように普通税である特消税とは明らかに異なっていると思うわけでございます。また、お酒やたばこということについては、これはもちろん健康上の理由から消費を抑制するという効果を持たせているものであって、これも基本的に特消税とは違うと、このように私は認識をしているわけでございます。  この二重課税ということについて、ほかの例とはいささか違うという点についてはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  40. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 個別の消費税と申しますか個別の間接税につきましては、一般の消費税が導入されました後も存続しておるものがございます。国税で申しますと今お話がございましたような税がございますし、地方税で申しますと軽油引取税だとか、たばこの地方消費税だとか、そういう税がございます。それぞれの税につきましてはそれぞれの課税考え方がございまして、例えばたばこや酒等につきましては非常に古くからの税でございまして、沿革的にもこういうものが税として存続してきておるということが言えるのではないかと思います。  特別地方消費税につきましては、先ほど来何度も申し上げておりますように、この税の課税対象となりますいろんな行為と地方団体行政サービスとの間に密接な関係があるのではないか、そういう考え方課税をさせていただいているものでございます。
  41. 山本一太

    山本一太君 今、特消税のケースはほかのいわゆる二重課税と違うのではないかという指摘に対しましては直接のお答えがなかったので、やはりこれは不自然な形であると、このようにとらせていただきたいと思います。  さらに重要なことは、このままもしこの特消税が存続をして地方消費税との併課ということになれば、全く同様の消費行為に対し二つの都道府県税、先ほど局長おっしゃったように二つとも普通税でございますが、これが課されるというかなり異常な形になる、このように思うわけでございます。  この点については、平成六年十一月二十二日に行われた本委員会での御質問に、当時の野中自治大臣がこうおっしゃっております。率直に言って、消費税あるいは地方消費税特別地方消費税、こういうものが三つ並ぶというのが本当に納税者に理解されるのかどうか、考えるといろいろ議論のあるところだと、このように答弁をしておるわけでございます。  地方消費税導入後、このままの形でいきますと名目上三つの税が並ぶということになるわけでございまして、しかも二つの地方税、両方とも普通税という点について、これは税制としては極めて不整合でよくない形ではないか、こういう指摘についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  42. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 地方消費税は、国の消費税と同様に消費一般に対して広く課税をする税でございます。あくまでも消費一般に対して課税されるものでございます。特別地方消費税は、これはもう何度も御説明申し上げておりますので説明は省略させていただきますけれども、先ほど来御説明をいたしておりますような考え方で、消費税平成元年度に導入されました後も存続をさせていただいておる税でございます。  そういう点から申し上げますと、特別地方消費税と、それから地方消費税を含む消費税、要するに消費一般に対して課税される消費税とは、税の性格なり趣旨なりそういう面で異なった点が見られるのではないかというように考えております。
  43. 山本一太

    山本一太君 それは局長、このまま特消税が存続になった場合に、今申し上げたとおり名目上三つの税が並ぶということは税制上決して不整合ではない、税の性質が違うから納税者の納得を得られると、こういう意味でございますか。
  44. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 国の消費税それから地方地方消費税地方消費税課税標準を消費税額といたしておりますので、国の消費税地方消費税というのは同様の性格の税でございます。  特別地方消費税は、先ほど来申し上げておりますような理由で消費一般に課税される消費税とは性格面で異なった点があるのではないか、そういう点で消費税地方消費税とは違った面があるというように理解されるのではないかということでございます。
  45. 山本一太

    山本一太君 特別地方消費税につきましては、その他さまざまな例外規定などもございまして、例えば外国の大使等が任務遂行のために必要なものとして一定の方法により行う利用行為に対しては特消税がかからないとか、あるいはオリンピックや国際大会などがあるたびに現地の旅館に、消費税は取っても特別地方消費税は取らないようにという通達があるという話も伺っておるわけでございます。  また、先ほど局長が申し上げたとおり、都道府県から市町村に対する交付金の件等につきましても実はいろいろな疑問点がございまして、これを一つ一つお尋ねしたいところでございますけれども、七十五分は先が長いと申しておりましたらかなり時間が過ぎてまいりまして、このままでは特別地方消費税一本で終わってしまうということもございますが、最後に総括して一言申し上げたいと思います。  私は率直に申し上げまして、特別地方消費税が貴重な財源となっている県や市町村が存在することは否定をするつもりはございません。また、厳しい地方財政の中で特消税の吸収に当たっては代替財源の問題を避けて通ることはできない、これが大前提だということも十分理解をしているところでございます。  名前は申しませんけれども、地方行政に長年携わってこられた尊敬すべき先輩からも、山本君、財源を新たに確保するというのは大変なんだ、君の気持ちはよくわかるけれども、特消税の問題はいろいろ大変なんだよというふうに御指導いただいておるわけでございます。  先ほど来、遠藤局長の月刊「地方税」の寄稿文の話をいたしました。あえて局長にはきょうは直接お尋ねをしなかったわけでございますけれども、その中で局長が、平成二年度の税制改正における特消税存廃の議論というのは、地方自治を守るか否かのこういうことにも匹敵する問題提起だったと言っておられたのが大変印象的でございました。なるほど、千何百億円の財源のためにこのぐらいの決意をもって取り組んでおられるんだなということに、私は素直に感服をしたわけでございます。  しかしながら、諸先輩の御指導をいただいたりあるいはいろいろな議論を聞いてきたわけでございますけれども、私はやはりこの特別地方消費税についてはどうしても納得がいかないわけでございます。財源として有用であるというのは既成事実でございまして、そのことが、あの平成元年消費税導入に伴いほかの税と一緒に吸収、廃止されるべきであったこの不自然な税を今後も存続させるという根拠にはならない、このように私は思うわけでございます。すなわち、税がなくなるから困る、そういうことが存続の理由となるというのはこれはもう本末転倒の議論である、このように思うわけでございます。  それなら、代替財源をどうするんだというふうにいろんな方からよく聞かれるわけでございますけれども、地方交付税で調整するとか、あるいは法定外普通税の制度、難しいかと思いますが活用をするとか、あるいは地方消費税税率を調整するとか、幾つか可能な考え方はあるように存じておりますが、それは代替財源の問題も含め、吸収、統合に伴う問題について、専門的な見地から我々政にきちっとしたオプションを出していただくのがまさに専門家である皆さん方、官の方々の任務であると私は考えているわけでございます。  大変答えにくい質問であると思いますが、代替財源の話を局長に今お聞きしょうと思いましたけれども、これはもう今までの中でいろいろとお答えをいただいておりますので避けたいと思います。  特消税の問題総括して申し上げるなら、旅行は先ほどの資料あるいは観光白書の例を挙げるまでもなく、もう大多数の国民にとって欠かせないレジャーというふうになっているわけでございます。一方で観光レジャー産業の振興、余暇政策推進をうたいながらも、他方でそれを抑制するような課税を行うということは、まず政策としての整合性を欠くと私は思うわけでございます。  また、加えて言うなら、我が国では今後大幅な人口減が予想をされておりまして、今、地方においては定住人口から交流入口の拡大へと行政の力点が移っているところでございます。観光産業がもたらす交流入口の地域への経済波及効果は莫大なものがあり、特消税を含めこれを阻害する要因はできるだけ取り除くというのがやはり望ましい政策ではないでしょうか。  これも用意してきたのですが、時間がないので簡単にお見せしますけれども、これは佐賀県の嬉野町の例でございます。(資料を示す)  定住人口の生活消費額、人口が大体二万人でございますので、一日の生活消費額を三千円としますと、三百六十五日で大体二百十九億円ぐらいになります。それに対し交流入口という点におきましては、宿泊客が嬉野町は年間で約百万人おるわけでございます。日帰り客というのは除くにしても、今の人ですと一日大体二万円ぐらい使うわけでございます。アンケートで大体この程度ということで調べたわけですけれども、二百億円といういわば経済効果があるわけでございまして、やはりそこら辺のところも十分考慮に入れた政策の決定が必要であるということも申し添えたいと思うわけでございます。  また、国、地方とも今大変財政的に厳しい状況が続く中で、今後も高齢化等いろいろと多様なニーズにこたえるため国民に対し税負担をより求めていかなければいけない、求めていかざるを得ない状況にあるということでございます。私は、こうした時代だからこそ納税に対する国民の理解と信頼を高める必要がある、このように思いますし、特に税の徴収には納税者をきちんと納得させる十分な理由づけが求められていると思うわけでございます。  この点で私は、先ほど局長の論文を申し上げました。地方自治を守るための闘いだったということでございますけれども、私にとってもこの特消税の議論というのは、税制上の不整合を抱えたまま存続しているこの税の議論というものは将来の税体系を考える上で貴重な前例となる、このぐらいの問題としてとらえておりますし、税システムをこれからより健全なものに是正していくための一つのメルクマールになる、このようにとらえているわけでございます。  特消税についても税の公平、中立、簡素という観点からきちっと納得できるような理由を示していただければ、これはもちろん旅館関係者も喜んで徴収をすると思いますし、それなら私が旅館を回って説明してもいいと思っているぐらいです。  また、消費者もきちっとした理由があれば気持ちよく納税をするはずだと、このように思うわけでございます。  質問については、局長一つ一つ随分真摯にお答えをいただいたわけでございますけれども、残念ながら本日の説明では、存続の根拠というのは極めて弱いと私は思わざるを得ないわけでございます。これではやはり旅館関係者あるいは消費者を納得させられないのではないかということを今新たに思った次第でございます。  本日の議論を踏まえまして、撤廃に伴う財源の問題等については私どもも精いっぱい協力をいたしまして十分に議論をする、このことは前提にしつつも、特消税は今回の地方消費税創設に伴いぜひとも吸収、撤廃、もう一度申し上げますが、ぜひとも吸収、撤廃をしていただきますよう重ねてここで強く要望申し上げる次第でございます。  特別地方消費税についてはもうこのくらいにしたいと思いますが、気がついてみれば七十四分になっておりまして、この後、介護保険あるいは地方分権推進等いろいろと伺いたい点もございましたけれども、時間になりました。  いずれにせよ、大臣を含め、一つ一つ質問に大変きちっとお答えをいただいたことを感謝申し上げ、また七十五分をいただきました我が党の諸先輩にも感謝を申し上げまして、私の初めての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 続訓弘

    ○続訓弘君 初めての質問ですから、具体的な質問に入ります前に、まず倉田大臣に御就任のお祝いを申し上げたいと存じます。  私は、倉田大臣が自民党の国対委員長時代に、公私にわたって大変お世話になりました。そして、倉田当時の国対委員長は、我が参議院は政党の垣根を超えて自由に議論しようじゃないか、本音の議論をしようじゃないか、そして言いたいことをどんどん言いなさい、我々ものむべきことはちゃんとのむよと、こんなお話を常にしておられました。倉田大臣は御案内のように地方議会で経験豊かな方であります。そして、千葉県議会では議長をお務めになられた、そういう大臣に対して私は大変期待を持っております。  以下、数点にわたって大臣の率直な御見解を承りたいと存じます。  また、ただいまは山本委員が真摯な御質問をされました。感激して拝聴させていただきました。  ありがとうございました。  さて、地方財政の問題についてまず御質問を申し上げます。  景気の動向が著しく悪い関係から、ことしの地方財源は八兆六千二百七十八億円という巨額な不足額を生じております。ことし限りではありません、引き続きもう三年にわたってこういう巨額な財源不足額を生じております。そういう意味では、地方交付税法第六条の三第二項に基づいた抜本策を講ずる必要があるんじゃないか、このように考えますけれども、大臣の所見はいかがでしょうか。
  47. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 続委員から冒頭御激励を賜りましたが、微力でございますので、どうぞ御経験のあるところを御発揮いただきましてお支えを賜り、地方行政がより一層円滑に進展してまいりますようにお願いを申し上げる次第でございます。  御指摘にございましたが、平成八年度の地方財政平成六年度及び平成七年度に引き続きまして大幅な財源不足が生じております。平成八年度の地方財政対策におきましては、交付税率の引き上げを含めましてこの補てん措置を検討したところでございます。  しかしながら、平成八年度におきましては景気の推移を見きわめる必要があること、平成九年度の地方消費税創設を控えまして、平成八年度は税制改革の議論が予定をされていることなどから考えまして、交付税率の引き上げ等の恒久的な制度改正は適当ではないという判断のもとに、平成八年度限りの特例措置といたしまして、通常収支不足にかかわります地方交付税の増額による対応につきまして、国と地方が折半してそれぞれ補てん措置を講ずることといたしたところでございますので、御理解のほどを賜りたいと存じます。
  48. 続訓弘

    ○続訓弘君 三千三百余団体倉田大臣に大変期待しているわけです。なぜならば、四十一年以来、交付税率は三二%に据え置かれている。したがって、地方は七、三の状況を、三割自治ではなくて少なくとも五、五の財源配分を願っているわけです。そういう意味では、この機会にやはり地方交付税の率を上げるべきだ、私はこのように強く要望を申し上げます。ぜひ来年度の対大蔵省の折衝の際には、仮にことしと同じような財源不足が生じた場合には体を張って交付税率の改定に努力をしていただきたい、このことを御要望申し上げます。  続いて、住専との関連で、三月十三日の東京新聞にこんなことが書いてございました。  今回の住専関連の不良債権の処理の一次損失分六兆四千百億を穴埋めするために、母体行が三兆五千億円、一般行が一兆七千億円、これを損金にした場合には地方税全体に八千五百億円の財政的なマイナスの影響を与える、さらには住専から借りた会社が多額の滞納額を生じさせている、これは各地方団体に対して大変な重荷になっている、こんな報道がなされておりました。  これに対して、税務局長にこの数字を確認願いたいと思います。これは一定の計算方式に基づいた算出の額だと思いますけれども、これに間違いないのかどうなのか、御確認を願います。
  49. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 私もこの三月十三日付の東京新聞を拝読させていただいておりますが、まずこの影響額の問題でございますけれども、若干法人税関係の計算につきまして御説明をさせていただいた方がいいんじゃないかと思います。  金融機関が不良債権を償却したことによりまして、法人税法上これは損金扱いとなるわけでございます。その分、決算上の利益は減少することになるわけでございます。具体的にこの法人税の減収額につきましては、法人税の所得の計算というのは益金から損金の額を差し引いて算出されるものでございます。言いかえますと、その事業年度におきまして幾らの益金があり幾らの損金があるか、そういうことによって所得が算出されるものでございまして、損金とされます不良債権の償却額が直接にこの法人税収の減につながっている、こういうものではございません。減収額につきましては、これはなかなか計算しにくい面があるということでございます。  そういうことになりますと、御案内のとおり、法人事業税は課税標準は法人税の所得の計算の例によるということになっておりますし、法人住民税は法人税額そのものが課税標準となっておりますので、確かに法人税が減収になれば法人事業税なり法人住民税が影響を受けるわけでございますけれども、その金額につきましてはなかなか計算しがたいものであるということにつきまして御理解いただきたいと思います。
  50. 続訓弘

    ○続訓弘君 具体的な新聞報道によりますと、東京都に関しては、その五兆二千億円の不良債権を棚上げすることによって千八百億円の都税にマイナスの影響が出てくる、さらには住専から融資を受けた三十社の滞納金額は百九十億に及ぶと、こんな数字がこの新聞報道になされております。  これはひとり東京都のみならず関連地方団体、例えば大阪だとかそういう住専問題を抱えている地方団体に対しては私は特に影響があるんじゃなかろうかと思います。加えまして、何も住専七社のみならず、これから大変な問題になってくるであろうノンバンク等々の不良債権の処理に関連をして地方財政に大変なマイナスの影響を与えるんじゃなかろうか、私はこのように思います。  そこで、こういう地方財政財源に対して、やはり自治大臣としては三千三百余団体が抱えていろいろんな事業を推進する必要がございますので、財源の確保については大臣として体を張って何としても保障していただく、こういう決意が必要ではないだろうか。そのためには、大蔵の壁は大変厚いと思いますけれども、ぜひそれをはねのけて三千三百余団体のために御奮闘いただきたい。決意を伺わせていただきたいと存じます。
  51. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 技術的なことにつきまして私からちょっと御答弁をさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、住専処理のために金融機関が負担した額を損金算入するとした場合には地方財政にも影響が出てくるわけでありまして、一つは、地方税関係は先ほど税務局長が答弁したとおり、法人関係住民税なり事業税なりの減収になってはね返ってくる、それから国の法人税が減収になれば、具体的にその三二%が地方交付税ではね返ってくるということでございます。具体的な金額はこれは計算しがたいものがあるわけでありますが、いずれにしてもそういった影響が出てくるのは避けられないわけであります。  私の理解するところでは、これは税法上の正規の制度的な問題からくる減収の話であるわけでありまして、これについての補てんとかということはなかなか難しい話ではないかというように思われます。  ただ、最近は全体的に経済が少し戻ってきたというような状況がありますし、景気の回復というものが地方税に対する反映それから国税に対する反映というものはプラスになって出てくるであろうというように思っておりますので、そういった点を踏まえて来年度以降、毎年度の地方財政計画を策定する段階におきまして、地方団体財政収入それから財政支出を的確に算定をし、結果として、先ほど御質問がありましたけれども、そういった点も地方交付税法上の問題も含めまして、地方財政の運営に支障がないように地方財政計画を立てていくことが私どもにとっては大変必要なことであるというように理解をいたしております。
  52. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、地方分権に関連して伺います。  平成八年二月二十一日に、地方分権及び規制緩和に関する特別委員会に諸井さんがお出ましをされまして、こんなふうに述べておられます。  当委員会としては、今回の地方分権推進を我が国の地方制度にとって明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革として位置づけ、今後とも精力的に調査審議を進めてまいる所存でございます。  今回の地方分権推進を実のあるものとするためには、当地方分権推進委員会の活動のみならず、何よりも国会における強力な御支援、御協力と国民各位の御理解、御支持が必要と考えているところであります こんなふうに述べられました。  この推進委員会の中間答申が三月二十九日に出されましたけれども、新聞等の報道によりますと、それを受けて例えば自民党の族議員が自治省の幹部や総務庁の幹部を呼びつけて、こんなのじゃ法案は通らぬぞと、こんな声高なお話をされたやに報道されております。私はその報道を信じたくはありません。  なぜならば、御案内のように、地方分権推進は衆参両院一致の国会決議で、同時に推進法案は、参議院では修正案を出されましたけれども、それはそれとして四項目にわたる附帯決議を付してこれまた全会一致で議決をされた法案である。  その法に基づいて委員が真摯に、それこそ何回かの議論を重ねて出された案に対して今のようなお話があろうはずがない、こういうふうに私は考えます。  そこで、別の新聞報道によりますと、自治省はこの機関委任事務廃止の提言に対して何一つ失うものはなく、他の省庁は失うものが多い、むしろ自治省を解体すべきだ、こんな包囲網が着々と組まれているとの新聞報道もございました。  いずれにいたしましても、私は、地方分権推進は所管大臣である倉田大臣が不動の姿勢を貫かれない限り答申は実現しないと思います。  今までも何回となく、民間臨調あるいは政府の地方制度調査会等々から提言がございました。そして、地方時代という議論はもう十数年来行われてきております。しかしながら、幾つかは実現されたもののちっとも進んでおらない。そういう意味では、今回の三月二十九日の提言はまさに画期的な提言だと私は存じます。それが本当に実のある最終の答申に至るまでには今申し上げたいろんな摩擦があるかと存じますけれども、それをはねのけて、最初に御紹介申し上げました諸井さんのお話しのように、強力なリーダーシップのもとに大臣のバックアップがぜひ必要だと存じますけれども、これに対する大臣の所見を伺います。
  53. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 続委員からいろいろな角度でお話がございましたが、お話にもありましたように、地方分権推進平成五年六月の衆参両院におきまして国会決議がなされたわけでございまして、さらに平成七年の国会におきまして、衆参両院において地方分権推進法というのが可決成立したわけでございます。  いずれにいたしましても、私はこの二つのことが地方分権推進していく上での原点であるというふうに考えておりまするし、こういった経過を踏まえますと、国会、内閣を挙げて取り組まなければならない課題でありますし、また時代の強い要請であろうというふうに思います。  もう委員御案内ですので中身についてくどくは申し上げませんが、画一と集権から多様と分権、これは明治以来の中央集権行政のシステムを本格的に変えていくわけですから、並々ならぬ決意で取り組んでいかなければならないと存じまするし、いろいろな御意見が経過の中で議論されるとするならば、原点にまたひとつ戻って、互いにそのことに思いをいたしながら一つ一つ垣根を越えていかなければならないのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、三月二十九日に地方分権推進委員会は中間報告を取りまとめて橋本総理に御報告なさいました。いよいよ具体的な指針の勧告に向けまして、この中間報告をもとに引き続いて関係各界の意見調整を進めていくものと思います。同委員会におきましては、引き続きひとつ精力的に御論議をしていただきまして、地方分権の理念に沿った実り多い成果が得られることを心から私は期待をいたしております。  続委員の御指摘にもございましたように、この実現のためには政治の強力なリーダーシップが必要でございましょう。同時に、私といたしましても、先生方の御理解と御協力を得ながらこの問題には強い決意で取り組ませていただきたい、かように考えておるところでございます。
  54. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいまは倉田大臣から不動の姿勢を伺って、私は安堵いたしました。ぜひその姿勢で臨んでいただきたい、このようにお願いを申し上げます。  続きまして、私がかねて主張しております起債の許可制度の問題について御質問申し上げます。  これは地方分権との関連でもございます。  地方債許可制度に関連して、「地方財政読本」というのがございまして、その四版を私読ませていただきました。そうしますと、こんな解説が書いてあります。  昭和二二年五月に施行された地方自治法は、明治時代に制定された市制町村制・府県制以来の国による地方債の許可方式をそのまま踏襲したものであったが、占領軍総司令部による改革要求を受け、結局、二二年一二月の地方自治法改正で、起債の自主性の原則を明記するとともに、暫定的な許可制度に改められ、その制度が現在までつづいている。 こんな解説がございました。  私は、憲法九十二条の原則は地方自治法二百三十条が原点ではないかと思います。恐らく、最初は二百三十条と二百五十条がごちゃまぜに提案されたのでしょう。それを占領軍が、それではおかしい、地方自治になっていない、せっかく日本の行政制度を抜本的に改正するという意図のもとに法律を改正するのであるから、制度を創設するのであるから、起債は原則自由にしなさい、こういうのが占領軍の政策ではなかったのか、こう思います。  したがって、そういう意味では、二百五十条は仮に当時は是認されたとしても、戦後五十年、今や金融の市場も地方団体の受け皿もすべて許可制度になじまない。もし仮に、どうしても許可制度が必要であるならば別な方法で考えたらどうだろうか、私はこんなふうにも思いますけれども、それに対する所見を伺いたいと存じます。
  55. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 続委員からは、地方債の許可制度に関しましてたびたび御意見を賜っているところであります。新憲法制定後、地方自治法の規定の経緯につきましては、ただいま委員から御質問の中で御説明があったとおりであります。  当時の一番大きな理由といたしましては、やはり資金量が全体的に不足をしておったというようなことが非常に大きな要素であったように私ども聞いておるわけであります。現在、資金量につきましては、これだけの大きな地方債あるいは国債を発行しても日本の市場では受けとめるだけの大きな力を持っておるわけであります。  ただ、地方債の現在の許可制度というものを考えます場合に、地方財政制度自体が戦後からだんだん変わってまいってきておりまして、現在では、三千三百の地方団体が個々の仕事をする上で、全体的に一年間の財源が保障をされていなければならないという物の考え方地方財政制度の上に非常に大きな位置を占めていると思うのであります。  そういった中で、地方交付税の制度も昭和二十九年に制定されまして以降発展をいたしてきておりますし、地方債の制度、許可制度を含むわけでありますけれども、そういった地方財政計画を策定する中で地方財源を保障するという一環として大きな位置を占めているというように私どもは考えておるわけであります。  したがって、地方債の許可制度につきましては、委員も御承知のとおり、現在は枠配分方式ということで、かつてのように一件査定を中心にして許可をしているということではなくて、地方団体に発行します許可の総枠の範囲内で許可をしていくという非常に弾力的な簡素化も図ってきておりますし、関係省庁の協力を得まして、政府資金につきましては貸し出しに当たっての事務の簡素化というものも大変進んできているわけであります。  ただ、現在の地方債の許可制度の中で、特に弱小の地方団体が中心になるのかもしれませんけれども、自治大臣あるいは都道府県知事が地方債を許可するという権力的な関与だけではなくて、その背後に、許可された地方債の信用というものが民間に付与される、あるいは資金問題につきましても、地方団体で民間からの資金が集めにくい弱小団体に対しましては政府資金を重点的に配分する、それからことしのように大変大きな財源不足がある場合には、従来一般財源で財源措置をいたしておりました公共事業の裏負担については、財源対策債というようなもので振りかえて措置をするというような財政対策を講じる手だてにもなっているわけであります。  何といいましても、地方債で許可されたものについての元利償還金については、後年度の地方財政計画で公債費を計上いたしまして、元利償還金をマクロベースにおいて地方団体が払える、償還し得る財源を手当てするという大変大きな役割を担っているわけであります。私どもは許可制度だけに固執をしているのではなくて、こういった許可制度に伴う地方団体に落するメリットといいますか、そういったものもやはり頭の中に置いて制度というものを考えていかなければならないのではないかというように思っております。御質問では、憲法の精神、地方自治の本旨というお話もありましたけれども、私どもは必ずしもそういうようには考えていないわけであります。  いずれにいたしましても、地方債の制度も含めまして、現在、地方分権推進委員会でいろんな方面から議論をされるというように思っておりますので、そういった議論も見据えながら今後対応してまいりたいというように思っている次第でございます。
  56. 続訓弘

    ○続訓弘君 大変皮肉を込めて、ある説をここで御紹介申し上げます。これは起債許可制に関連してでありますけれども、起債の許可制度について、  個人であれ、企業であれ、資金の借入については、経済活動を円滑に行うためには、本来、当事者にまかすべきである。民法において、能力に欠けている準禁治産者が他から融資を受けようとするときは、あらかじめ補佐人の同意を必要としている。地方自治法第二百五十条は、この意味で、地方自治体を準禁治産者扱いしている。住民によって選ばれた知事、市町村長があらかじめ地方債を予算に織り込み、議会に提案し、同じく住民により選出された議員がそれを審議し、議決するという手続きをとっている。このうえ、地方自治体の起債を国の許可にかかわらしめていることは、知事及び市町村長のみならず、地方議会の議員まで無能力者扱いするものといわなければならず、明らかに地方自治を侵害し、憲法の精神に反するのではないか。 という一つの論文であります。  これを今御披露申し上げましたけれども、財政局長は、さらにそれでも私どもは地方団体を準禁治産者扱いにしていないと、こうおっしゃるんですか、御答弁願います。
  57. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 地方団体は決して準禁治産者ではありません。私は、地方団体は立派な人格を持って自分たちの意思で自分の郷土をよくしていこうとするために首長さんほか議員の皆さんが一生懸命働いておられる、そういう団体であると思っているわけであります。  ただ、財政問題につきましては、先ほど言いましたように、例えば財政力のない団体などが、地方債の許可制度を外していきなり市場から起債をするというようなことが現在の地方財政制度の上で成り立ち得るかどうかということを考える必要があると思うわけであります。そういうことも込めまして、地方債につきましてはさまざまな御議論があったことから、これまでの一件審査方式というものをやめまして、先ほども申し上げましたけれども、私ども全体の枠配分という非常に緩やかな方式にいたしておるわけであります。  現実問題として、地方債の許可をめぐって私のところに地方団体の首長さんが陳情等に訪れることはありません。私もほとんど記憶がございません。そういったような現状の中で、地方債の許可制度だけが今の地方財政制度全体の枠組みの中で議論をされてしかるべきものではないかというように思っております。私は、地方団体は立派な独立した個人である、団体であるというように認識をしている次第であります。
  58. 続訓弘

    ○続訓弘君 いや、この議論はちっともかみ合わないわけです。しかし、いずれにしても、先ほども申し上げたように、住民から選出された議員があるいは住民から選出された首長さんが、予算を通してこれは借金していいということですべてが了解されているわけですよ。にもかかわらず、陳情は一つもありません、したがって実際許可制度はないに等しいんだというようなお話のようでございますけれども、それであってもやはり私は二百五十条を廃止すべきだということを強く主張し続けます。  なお、これは平成六年十一月三十日に、参議院の同じ地方分権及び規制緩和に関する特別委員会で、参考人としておいでになりました山口県の河内山柳井市長が受け皿論について陳述されました。同様に、同じ日に、元島根県知事で独協大学教授の恒松制治先生も陳述をされました。もはや地方自治法二百五十条は地方団体にとってはおかしい、受け皿論もちゃんとしっかりしていると。  柳井市長は、人口五万人の小さな市ではあるけれども、私どものところでは職員もしっかりしております、毎日のごとく金融機関の頭取なんかもおいでになって、縁故債はどうですか、ちゃんと用意して待ってますよと、こういうありがたいお話もある、そういう意味では二百五十条はとにかく廃止すべきだと強く主張しておられました。  また、独協大学の恒松教授も、確かに中央集権制度はかつてはメリットがあった、しかしもはや五十年たった今ではそのメリットはない、失敗を恐れず二百五十条を廃止すべきだと、こんなふうに陳述しておられました。  いずれにいたしましても、私は、地方分権の象徴的なこととして常にこのことを主張し続けているわけであります。ぜひ御理解をいただきたい。  最後に、大臣からこのことについて所信を伺わせていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  59. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 続委員からお考えのほどを披歴されながらお話がございました。山口県の柳井市長の例をお引きになっての御質問でございますが、地方公共団体行政運営能力は十分備わっているものとは思いますが、相互に切磋琢磨して資質の向上を図っていくという観点に立ちますれば、さらに地方自治行政の一層の発展を図るためにも、職員の交流などを加えながらさらに相互に有益な成果を上げるように対応していかなければならぬ面もあろうかというふうに思います。  さらに、地方債の許可制度の問題につきまして、自由化をすべきではないかという御視点での御議論があったと理解をいたしております。現行地方財政制度の中におきまする地方債の許可制度につきましては、今さら私が申し上げるまでもなく、地方財政計画を通じまして地方財源を保障していくという財政制度の一環をなしているものであろうかと思います。独立いたしました財政制度としてとらえるべきものではないというふうに考えておるところでございます。  さらに、地方債の許可制度は、単に地方団体に対して地方債を許可するという行為にとどまりませんで、続委員も御案内のとおり、地方債への信用の付与の機能であるとかあるいは政府資金等の融資の一元的な調整機能を果たしていくなど、非常に重要な役割を果たしておると私は思います。  このような機能につきましては、地方団体現状を考えてみた場合にあるいは地方分権推進するためにも大変必要なことではなかろうかというふうに考えております。  こうしたことなどから、自治省といたしましては、地方債許可制度につきましては、その機能を維持しながら、個々の事業ごとに必要性等を審査する一件審査方式というものから、個々の事業ごとの必要性であるとか事業規模であるとかを地方団体の自主的な判断にゆだねまして、財政調整機能を中心とする枠配分方式へ順次移行を進めてまいったところでございます。いわゆる弾力化、簡素化というものを図ってきたところでございます。  今後につきましては、地方分権大綱方針の中にございます地方債許可制度につきまして、その弾力化、簡素化を図っていくことを基本といたしておりますので、自治省といたしましてもその方向で検討を進めているところでございます。地方分権推進委員会の御論議などを経まして、また各方面の御意見を伺いまして幅広く検討をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  60. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私の持ち時間が三十分しかないから、少し早口で質問をするかもしれません。  まず、私は、公営企業関係についてお伺いをしたいと思うんですが、地方公営企業は、平成六年度決算によりますと、その事業数は全国で一万三百八十三事業、決算規模で二十一兆四千四百十億円、これは普通会計全般の二〇%強の規模となるのですが、今、地方公営企業関係が地域社会における住民福祉の向上にますます重要な役割を果たすようになってきているというふうに私は思っておるところです。  そこで、私は、住民の日常生活に不可欠な各種のサービスを提供している地方公営企業のあり方について、特に総合的な機能を持つ行政主体としての地方団体の一部として、常に親元の地方財政とのかかわりの中で多面的に検討し、計画づくりに反映させ、経営に当たっていく、そういう意識が地方公営企業の経営にはぜひとも必要なことだというふうに自覚をしております。  今後、地方公営企業が地域づくりに積極的な役割を果たし住民の期待にこたえていくためには、自治省としてはいかにあるべきか、どう考えておるか、まずその基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
  61. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 渡辺委員から、地方公営企業が地域づくりに果たす役割あるいは住民の期待にこたえていくために、当省としてどういうふうに対応していくのかという視点でのお尋ねがあったと思います。  ただいまの御指摘のように、地方公営企業につきましても御指摘の要請に積極的にこたえていくことは極めて必要なことであろうというふうに存じます。  地方公営企業は、これまでに上下水道あるいは交通、病院など住民生活に密接をした、関連した社会資本の整備を主として受け持ってまいったところでございますが、これらの分野につきまして一般行政との連携を深めまして、さらに住民サービス向上と活力のある地域づくりを目指していかなければならないと存じます。環境対策あるいは高齢化対策など、社会の情勢の変化に応じまして新たな事業の展開を図っていく必要もあると思います。各地方公営企業におきましては、このような重要な役割を果たし得ますように経営の効率化を図りますとともに、積極的な事業の展開を図る必要が一方であるというふうに考えております。  自治省といたしましても、本年度、今後の地方公営企業のあり方につきまして調査研究を行うことといたしておりますが、同時に、地方財政計画の策定などを通じまして、公営企業の繰出金にかかわる地方交付税措置の充実であるとか、また企業債の確保に努めながらその経営基盤の強化を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  62. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 次に、地方公営企業の決算を見てみますと、六年度は十一億円とわずかながら黒字に転じておるようですけれども、一般会計からの繰り出しの方が三兆五千億と、前年度に比べて約九百億円持ち出しがふえておるわけです。これから見ても、全体として公営企業の経営というのは依然として厳しい状況にあるというふうに言わざるを得ません。  自治省として、その経営状況について原因はどこにあるというふうに考えておられるのか、またそれに対してどういう措置をとっていこうというふうに考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
  63. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 御指摘のとおり、平成六年度の決算では若干の黒字になりましたが、各事業ごとにこれを見てみますとそれぞれ特徴があるわけでありまして、例えば病院事業会計は依然として赤字だけれども赤字の幅が減少をしたといったようなこと、あるいは水道事業や宅地造成事業の黒字幅が増加したといったようなことが全体として黒字になった原因だろうと思っております。  しかし、御指摘のとおり、一般会計からの繰入金につきましても、特にこの収益的収入への繰入金が大変増加をしているというようなことですから、その経営状況は依然として厳しいものがあるというように考えております。  この厳しさの原因でございますけれども、個々の企業の経営条件あるいは事情といったものが違うので一律に規定をするのはなかなか難しいかと思いますけれども、幾つか理由を挙げるとすれば、一つは、景気回復がおくれていることに伴う需要が伸び悩んでいるんではないだろうか。それから、物によって地方団体のサイドで必ずしも料金設定ができないという公営企業があるわけでありまして、そういった意味からいうと費用に見合った料金設定がなされていないものがあるというようなこと。あるいは、ここ数年非常に積極的な建設投資が行われていましたので、その資本費の負担が増大しているといったような点が挙げられるのではないかというように思います。  これに対して、自治省としてどういう方策をとるかということでありますが、経営効率をよくしてもらうということや、あるいは適切な企業収入の確保などに努めるよう指導、助言をしてきておりますし、また公営企業の繰出金についても、所要額を地方財政計画に計上いたしまして地方交付税措置の拡充を図るなどをいたしております。また、建設投資につきましては必要な企業債の確保に努力をしているということでございます。
  64. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今、若干お話がありましたが、特に公営企業の中でも公立病院、これは地域医療の確保あるいは医療水準の維持向上のために大きな役割を果たしています。しかし、経営状況を見てみますと、平成四年、五年度と二年連続して経常損失が一千億円を超えると、こういうふうに非常に悪化しつつあるわけですが、六年度は若干赤字も減少したわけですけれども、依然として経営はやはり厳しい。  私は、公立病院の場合は確かに経営健全化を目指すのは当然だと思うんですけれども、いま一つ公立病院の役割があるんではないかと。例えばこれは地域の医療機関として、経営上は不採算であっても住民の健康を守る大きな役割があるというふうに思っておるところです。  こういう点について、自治省として公立病院の経営悪化の原因を分析されておるというふうに聞いておりますが、どういうふうに分析をしておるのか、また公立病院の役割についてどういうふうに考えておるのか。ついででありますが、その分析の結果についてどういう対策を考えておるかということもあわせてお伺いしたいと思います。
  65. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 御指摘のとおり病院経営、特に公立病院の経営は大変厳しいものがございます。  原因として考えられるところが幾つかあるわけでありまして、一つは診療報酬の改定の問題であります。ここのところ二年に一遍、診療報酬の改定が行われているわけでありますけれども、これが必ずしも高くない、むしろ低いといったようなことが非常に大きな原因であろうかと思います。  それからまた、看護婦さんの確保あるいは離職の防止といったような観点から、人事院勧告において看護業務に対する評価が見直されるということで、昭和六十三年度から平成六年までの間に三〇・二%というような大きな幅の給与改定が行われたわけでありまして、当然こういったものも影響をいたしておるわけであります。  それから、三番目といたしましては、高額医療機器の購入など設備投資に要する経費や医療活動に必要な材料費の伸びが高いといったようなことが原因として考えられるわけであります。  公立病院の役割としては、御質問の中にもありましたように、特に地域医療それから地域の中核的な医療として不採算部門も当然持っているわけであります。そういった部分につきましては一般会計からの繰り出しを認めておりますし、その点については地方財政計画に計上をし、また地方交付税上の措置も講じているところでございます。  各病院につきまして経費の節減合理化等も一層図っていただく必要があると考えておりますけれども、先ほど言いましたような財源対策、財源措置について今後とも自治省として努力をしてまいりたいというように思っております。
  66. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 平成七年度から経営アドバイザー派遣制度が発足をしました。これまでに地方団体からどのような反応があったのか、あるいは希望された団体についてはどのように実施をしてきたのか。私が調査した範囲では、申請は八十二件ありながら、何か自治省自身の予算の都合もあって具体的にやったのは六団体だというようなこともちょっとお聞きしたわけですが、それに間違いないかどうか。
  67. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 地方公営企業経営アドバイザー派遣制度というものを予算に計上いたしまして平成七年度から行っておるわけでありますが、派遣要請の数は八十四件ございまして、そのうち六団体に対して派遣をすることにいたしたわけでございます。  この経営アドバイザーとしましては、学者の先生、公認会計士、それから各事業分野の専門家などで構成をいたしまして、個々の事業について経営の効率化等の観点から経営計画、財務会計あるいは組織管理、情報管理等について専門的、具体的な助言、指導を行うということでございます。  何せ予算が少のうございますので、要請総数は非常に多かったわけでありますが、この一、二年、余り多くの団体に派遣することができないのは残念なことでありますが、制度のスタート時としましては地方団体からの期待というものは大きなものがあるというように私ども認識をいたしております。
  68. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今お話がありましたように、地方団体の方もかなり期待をしておるわけです。ですから、これはぜひひとつ要望しておきたいんですけれども、予算を組んで、そういう申し出に対しては申請があればやっぱり派遣をして経営実態を点検あるいは指導する、そういうことをぜひひとつお願いしておきたいと思うんです。  ついででございますが、平成七年度から第四次の病院事業経営健全化措置がスタートしましたが、この中でお聞きをしたいのは、第三次の健全化措置との違いが第一点。二つ目に、四次の健全化措置に対する市町村からの申し出あるいは指定の状況はどうなっておるのか。それから三つ目が、計画期間中に健全化の効果をどの程度見込んでおるのか。これは具体的に申し上げますと、不良債務の解消の目標等もあると思うんですが、そこらを含めてあわせてお伺いしたいと思います。
  69. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) まず第一に、第四次の病院事業経営健全化措置と三次との違いでございますが、一つは対象団体の要件を緩和したことでございます。  具体的には医業収支比率いわゆる医業費用に占める医業収益の割合のことでございますが、これが三次の場合は九〇%以上ということであったわけでありますが、その医業収支比率が九〇%未満であっても計画期間内にこれが五%以上改善されるということが確実なものも対象に加えるということで、経営改善意欲のある団体を広く取り込めるように配慮したところでございます。  指定の状況でございますが、経営改善を図ることとした団体の数は四十九団体でございまして、平成七年度を初年度として五年度以内を目途に経営健全化計画をつくりまして、それにのっとって第三の御質問にあります効果でありますが、総額三百二十九億円に上る不良債務を解消すると。そして、単年度収支を均衡させるなど経営の健全化を図る計画にいたしてございます。
  70. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 次は、消防庁の方にお尋ねをいたします。  防災対策を含めて、大規模な地震が発生した場合に、阪神・淡路の大震災でも多くの議論のあったところですが、政府として初動対応を敏速に実施するためには被災状況を早急に把握することが重要なことは言うまでもありませんが、消防庁として行っている施策では、本年度の予算の中でどのようなものがあるのか、どのように八年度予算充実をしようというふうに考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  71. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 大規模な災害がございましたときには、今御指摘ございましたように、まず情報収集・伝達、これが大事でございます。  そのために消防庁で行っておりますことを申し上げますと、地域衛星通信ネットワークの整備、これは衛星を使った無線の電話等でございますけれども、これを引き続き進めておりまして、情報通信ネットワークの多重化を図るということにいたしております。  また、地震について申し上げますと、気象庁、科学技術庁で計測震度計を設置しておりますけれども、ところによっては設置をされていないところが全国に市町村の数でいいますとまだ二千ほどございますので、そういったところにつきまして消防庁の補助による都道府県事業として計測震度計を置く、それによりまして全市町村に少なくとも一つの計測震度計を置く、これによって震度情報を速やかに把握するということを平成七年度の補正予算から始めました。  そしてまた、大規模な災害がございましたときに、現地の状況を映像として速やかに把握するということのために、高所に据えつけましたカメラあるいはヘリコプターに搭載したカメラ、これによりまして画像情報として把握するということをいわゆる画像伝送システムということで平成七年度の補正予算から整備を始めまして、これによりまして全国の主要な都市におきましては、その状況が私どもなりそれから他の地方公共団体なりで速やかに把握をできるというようなことをいたしております。  あるいはまた、ヘリコプターは災害情報の収集という意味でも大きな効果がございますけれども、これにつきましても大幅な増強を図っております。  さらにまた、全国的な応援活動を行いますために全国の消防機関によります緊急消防援助隊を昨年編成いたしましたけれども、被災地の都道府県知事からの要請を待ついとまがないというようなときには、消防庁におきまして直接広域応援の要請ができるようにというような法令の整備も図る、こういったようなことをやってきております。
  72. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 消防白書の七年度版に、ヘリコプターの積極的な推進が必要だというような提言もなされておったようですけれども、これはぜひひとつ要望しておきたい。予算編成の段階から大臣を含めて大変な努力をしてまいりましたけれども、やはり大蔵との関係で希望どおりにはいっていないようですから、新しい年度に向けてヘリコプターの計画的な導入についてぜひひとつ対応していただきたい。時間がありませんから、これは要望しておきたいと思うんです。  次に、行政関係について幾つかお尋ねしたいというふうに思っております。  まず一つは、行政手続法の問題で、施行されて一年半が経過をいたしましたが、地方自治体に対しては、適用がない部分についてはすべての自治体において行政手続法の規定の趣旨を踏まえて必要な措置を講ずるよう努力すべきというふうに書かれておりますが、地方団体、特に市町村取り組みが少しおくれているんじゃないかという気がいたします。現状はどういうふうになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  73. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘のように国の行政手続法は、地方公共団体の条例等に根拠を有します処分と、それから地方公共団体が行います行政指導につきましては行政手続法の規定を直接に適用しないということでございますけれども、これらにつきましては行政手続法の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされているところでございます。  現在のところ、都道府県、指定都市におきましては、すべての団体におきましてこの行政手続制度が整備されているところでございますが、御指摘のように、市町村におきましてはまだ約一割の団体整備を終えているだけという状況でございます。
  74. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それでは、市町村関係についてどういうふうに具体的に取り組むよう指導していこうと考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  75. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 市町村関係につきまして、ただいま御説明申し上げましたように取り組みがおくれていることはまことに残念に思っておるところでございますが、今回、全国市長会及び全国町村会におきまして、行政手続条例等の早期制定についての申し合わせをしていただいたところでございます。  自治省といたしましても、先般、都道府県の総務部長あてにまた市町村指導担当部局の方に、市町村行政手続条例等の早期制定について適切な指導、助言をしていただきまするよう内簡を発したところでございます。  今後とも、この行政手続制度の整備につきましては必要な指導、助言等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  76. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 次に、中核市制度の施行に関してお伺いしたいと思うんですけれども、四月から中核市が発足をいたしまして、宇都宮初め十二市が誕生したわけです。この中で、特に都道府県からそれぞれの権限が移譲されて、住民としては非常に便利になるはずであるのが、どうも関心が余り高くない。  いろいろ聞いてみましたところ、どうも指定要件に少し無理があるんじゃないか。県都で中核市の役割を果たしながら人口が三十万に満たないというふうなことで、結局三つの要件がありますが、その要件に満たないという部分で、ですからこの要件自身を少し弾力的に緩和しながら、一つの都道府県の段階で中核市の役割を果たしておるというふうに判断ができれば、例えば人口二十五万でもそういう部分については指定をすべきじゃないかというふうに思っておりますが、これは要望しておきたいと思うんです、時間がありませんから。  次は、警察庁の方にちょっとお尋ねいたしますが、時間があれば、私は三十兆円産業と言われておりますパチンコのプリペイドカードのことを実はお聞きしたがったわけですが、きょうは時間がありませんから、これは省略をいたします。  警察も銃器に対する取り締まりに大変な努力をされておりますが、先般来、そういう中でも深刻な事態が起きておるということについてそれぞれ新聞等で報道されておりました。  先般、駐車場のトラブルの苦情から職務執行中の千葉県の現職警察官が短銃を発射して、その行為が昨年六月に施行された改正銃刀法の発射罪の容疑に当たるとして逮捕されたわけです。これは議論の段階でも、もともと発射罪というのは、銃を持たない人が使った場合にこれは適用するんですというようなことで、警察官に適用されたことは驚くべきことだという指摘も実は弁護士の方から出ておるわけです。  また、発射罪については、警察官等の職務遂行上の発射には適用されないただし書きがあるわけですね。それなのに何であの警察官は発射罪の罪名で逮捕されたのか、ちょっと理解するのに無理があるものですから、お聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つ、警察官の発砲をめぐって、職務上、今言ったような条件がいろいろありますが、不測の事態が起きた場合には、その現場で警察官が発射するかどうかという判断をする、しかし若い警察官なんかの場合はなかなかその判断が難しいと思うんですね。そういう部分についてどういう教育をされておるのか。  ただ問題は、銃の取り締まりが、そのことによって逆に警察官そのものが憶病になつちゃいけないものですから、そういう点を含めてお聞きをしたいと思います。
  77. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) 今お尋ねになりました件につきましては既に報道等されておりますけれども、本年の二月二十四日の深夜に発生した事案でございます。千葉県の船橋警察署に勤務しております二十五歳の警察官が、マンションの中の駐車場における苦情処理のために通報によって現場に駆けつけましたところ、これはマンション内の専用の駐車場でございますけれども、その中に契約者以外の車がとまっていたということからトラブルが起こっておりまして、その車両をどかしてくれるように強く要望されたわけであります。  したがいまして、その警察官といたしましては持ち主を探す等したわけでございますけれども、なかなかあらわれない。一方、苦情申立人の方は強く求めたと。まあ一種のなじられるような状態が続いたものでございますから、若いこともありまして、あってはならないことでありますけれども、興奮状態、一種の錯乱状態にありまして、けん銃を当該駐車している車に二発発射してそのまま現場から去ってしまったと。その後、翌々日に八王子市内の旅館におりますところを発見したわけでございます。  そうした状況から職務放棄の事実が明らかになりましたので、同日付で懲戒免職にいたしますとともに、先ほどお尋ねのございましたけん銃の発射罪で逮捕をいたしまして、千葉地裁におきまして現在公判中でございます。  発射罪の適用につきましては今お尋ねのような疑問があろうかと思いますけれども、この数年来、銃器、特にけん銃の発射事案が相次ぎました。企業幹部に対する発射あるいは暴力団相互間のけん銃威嚇射撃あるいはその報復といった事案が発生いたしましたことから、従来、単にけん銃を発射しただけでございますと、不法所持が成立する以外には器物毀棄等が成立するだけというようなことでございました。にもかかわらず、世の中には大変不安を与えるわけでございますので、先ほど御質問ございましたように、法を改正いたしまして、不特定多数人が存在している場所あるいは乗り物、そういったところでけん銃を発射した場合には不法所持に加えて加重規定をつくったわけでございます。  ただし、この中には、当然警察官が職務上けん銃を発射することもございますので、職務を執行するに当たって発射した場合にはこの対象にならないということは明文の規定をしてございます。  しかし、先ほどの事案につきましては、御説明いたしましたとおり、本来の職務を執行するに当たっての発射には該当をしないということから、また事柄の重大性にもかんがみまして発射罪を適用して逮捕、起訴したわけでございます。ちなみに、改正以後この発射罪は暴力団員等のけん銃の発射につきまして三十九件適用いたしているところでございます。  お尋ねの警察官のけん銃の使用についての教育でございますけれども、けん銃というものの持つ危険性等にもかんがみまして、これは警察官職務執行法でも厳正にその使用基準あるいは場合によって危害を与える場合の条件が極めて厳格に規定をされておりまして、この点につきましては警察官採用以来、機会あるごとに教育をしているところでございます。  ただ、一方、けん銃を使用する事案、銃器犯罪が多発するという状況にもございます。今御質問ございましたように、警察官が萎縮してしまうということもまた問題でございますので、適切な判断のもとに、瞬時に的確な判断をして犯人を制圧、検挙して一般人の安全を確保するということも大切でございますので、このところ急遽、実践的な訓練をより一層的確に行いますために、一種のシミュレーション映像射撃装置といったものも、これはアメリカなどでやっているのでございますけれども、各都道府県警察のけん銃射撃訓練場に導入をいたしまして、いろんな状況に即応して的確な判断をして、適切なけん銃使用の判断ができるような訓練も現在強力に推進をしているところでございます。  以上でございます。
  78. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 終わります。
  79. 和田洋子

    和田洋子君 お尋ねをいたします。  今回は、特に超過負担の問題が大きいと言われている文部省関係の補助金について御質問をしたいと思います。  学校を新築する場合、その一平米当たり補助単価は十八万以下と聞いておりますが、本当でしょうか、お知らせください。
  80. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) お答えを申し上げます。  平成八年度の予算案における、学校施設を整備するに当たっての建築費に対する補助金を出しておりますが、その予算単価でございますけれども、小中学校の校舎、これは鉄筋コンクリートづくりの場合になりますけれども、十八万二千三百円という設定をしているわけでございます。
  81. 和田洋子

    和田洋子君 この委員会に来て、初めて今この資料をいただきました。「最近五カ年間の超過負担とその改善措置」というものですが、十八万二千三百円で建てておられる学校はないというふうに私は思っております。  私の地方では、寒冷地とか豪雪とか過疎とか木材を使用するとか面積を加算されたりしてその上に少しの補助がついているというふうに言われておりますが、全国で学校を新築する場合、そういうものの実施単価について承知をしておられますか。
  82. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) 先ほど平成八年度におきます予算単価というところでお答えを申し上げたわけでございます。これはそもそもの考え方といたしまして、標準的な設計に基づきます建物にかかる標準的な経費こういうことを前提に一応予算上の単価を設定しているわけでございますけれども、実際の建築に当たりましては、標準の場合を超えましてくい打ちをもっとやらねばならない、あるいは先ほどお触れになったようなさまざまな工事をやらねばならないということがございます。したがって、工事ごとにそれぞれかかる実施経費はやはり異なってくるわけでございます。  そこで、私ども、補助単価につきましては、予算上の単価としては先ほど申し上げたいわば標準的なものを前提とした単価を設定しているわけでございますけれども、その上でさらに、実際にどういう工事を行ったかということを調査いたしまして、その調査結果に基づいて単価補正をやっているわけでございます。  そこで、お尋ねの実施単価がどうであろうかということでございますけれども、これはやはりそれぞれの学校の工事ごとで大分区々でございます。それからまた、年度によってもいろいろ建物の工事が多い年度とそうでない年度とあるものでございますから、平均的にとかあるいは一概に申し上げることは正直大変難しいと思っております。  ただ、一般的なケースということで見ますと、先ほど申し上げましたけれども、予算単価に比べて実施単価が二割前後多い場合が見受けられるわけでございます。これに対して私どもは、実際の工事がどうなっているかをよく調査した上で、その基礎的な単価に単価補正を行って補助単価を設定し補助を行っている、こういう形でございます。
  83. 和田洋子

    和田洋子君 二割ぐらいあるんじゃないかというふうなお答えでしたが、実際に補助単価だけで建てている町村なんというのはあるんでしょうか。  私の地方で実際に今建てている学校に問い合わせてみたんですけれども、実際の実施単価は二十七万八千六百三円ということです。さっきの文部省のお話によりますと、随分高いというようなお答えでしたんですけれども、うちの方は豪雪地帯であるとかそういうことで少し高くなっているのかもしれませんが、いただくお金が十八万二千三百円、そこにいろいろ補正をしたとしても二十七万八千六百三円というふうにはならないと思いますけれども、今お尋ねをするのは、その基本の単価で建てている学校があるかどうか、それと、実際の乖離があることは百も承知でいていつも大蔵省にどういう算定のもとに要求をされておられるのか、その二点をお答えください。
  84. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) お答えを申し上げます。  先ほど具体例ということで御指摘になったわけでございますけれども、先ほど来申し上げているとおり個々具体には大分区々なわけでございます。おっしゃるとおり、やはり豪雪地帯にありますと積雪加重というものを考えねばなりませんので、いわば建物自体を丈夫につくっておかねばならない、それだけまたお金もかかるということでございます。あるいはまた、建物の中で少し柱を少なくして空間を大きくとるためには構造を強くせねばならないものですから、長大スパンといったような建て方もあるわけでございます。そういったことから区々であるということはひとつ御理解を賜りたい。そして、それに基づいてできるだけ適正な補助単価の設定をお出ししているんだということも、またひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。  それで、先ほど申した予算単価でできているかということでございますけれども、もちろんできている学校もあるわけでございますが、個々の学校を具体的にどこだと言われますと、これは設置者がどれぐらい学校に経費をかけるかそれぞれの地域の実情に応じて御判断なさっているものですから、学校名はひとつ差し控えさせていただきたいと思いますけれども、そういった学校も当然あるわけでございます。  それから、乖離があるんではないかということですけれども、かつては確かに標準的な建物で見ましても予算単価と実施単価の間にかなり大きな差が実はございました。それはもう御指摘のとおりでございます。そこで、かなり御指摘をいただいていたものでございますから、平成四年度に大蔵省、文部省、自治省の三省合同によります実態調査を実施いたしました。その結果に基づきまして、補助単価につきましては、平成五年度、六年度の二カ年にわたって大幅な単価の引き上げを行ったわけでございます。例えば四年度と六年度を小中学校の校舎で比べますと、三二%の補助単価のアップを行っているわけでございます。屋体ですと三五%ということになるわけでございます。ですから、そういう標準的な形の部分については基本的には適正な補助単価で建てているんではないか、かように私どもは考えているわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、今後とも実情の把握に努めながら適正な補助単価の設定に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  85. 和田洋子

    和田洋子君 大蔵省にお尋ねをいたします。  今、文部省からいろんな面で見直しをしながらというふうにお答えをいただいたわけですが、大変苦しい答弁ではないかというふうに思います。  補助単価と実施単価の本当の違いについて、国の財政当局としての見解はどうなんでしょうか。  予算担当部局としては、実態とかけ離れた予算査定を行っている結果としてそれだけ地方に負担をかけているのではないかというふうに思いますが、大蔵省はその点をどういうふうに思っておられますか。
  86. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 国庫補助基本額につきましては、それぞれの補助対象の範囲内におきましてその目的に即して合理的に設定された規模、規格水準地方公共団体が事務を執行した場合の標準的な経費を基礎といたしまして算定してきております。毎年度の予算編成に際しましては、物価動向その他の経済事情等を勘案いたしまして、適切な補助基準の設定に努めてきているところでございます。  なお、こういった標準的な経費、物価の動向等によって変わる場合もあるわけでございますが、こうした中で国庫補助基準額につきましては、例年調査対象となります補助金を設定いたしまして、その結果に基づきまして適切な補助基準の設定に努めてきているところでございます。  御指摘の公立学校施設整備費補助金につきましては、先ほど文部省からお答えがございましたとおり、平成四年度に大蔵、文部、自治三省合同による実態調査を行いまして、先ほど文部省から答弁がございましたような引き上げを行いまして現在の補助単価を算定しているところでございます。
  87. 和田洋子

    和田洋子君 大蔵省の役目として予算を査定するということがあります。地方行政にとって予算の査定ということは削られるという、予算査定イコール削るというような受けとめ方をしているのが大半だというふうに思います。  予算の査定は要求額を削るということではなくて、もっと温かい配慮のある、子供たちの人材の育成とか文部省などがいろんなところで言っていることと相反する面がたくさん出てくると思いますが、温かみのある予算の組み方というか、そういうものに本当に心しておられるのかなと。限りある予算の中で、必要な事業にいかに財源を確保していくかというのが大変な課題であると思いますが、それに対してはいかがでしょうか。
  88. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) ただいま御指摘ございましたように財源が大変限られているわけでございますけれども、そういった限られた財源をどのようにして効率的に使用していくかということで私どもも予算編成に臨んでいるわけでございます。各年度の予算編成につきましては、財政法に基づきまして、各省各庁から提出されました概算要求に基づきまして大蔵省としても検討及び必要な調整の作業を行っているところでございます。  こういった中で、ただいま御指摘の補助単価等につきましては、それぞれの立場で物の見方といったところも異なるところがあるかもしれません。こういった中で、今ほど申し上げましたとおり、国庫補助基準につきましては、例年調査対象となる補助金を選定いたしまして、自治省、大蔵省それから要求官庁三省で合同調査を行いまして、それぞれの物価動向その他の経済事情等を勘案しながら適切な補助基準の設定に努めてきているところでございます。  御指摘の文部省の公立学校施設整備費補助金につきましては、これを平成四年度に行いまして大幅な引き上げを行ったところでございます。
  89. 和田洋子

    和田洋子君 今見せていただいた中で、最近五カ年間の超過負担とその改善措置というのがこんなにたくさん載っているわけですね。このことから、私の町の学校改築のことを聞いてみましたら、昨年よりは三%アップになっているというふうに聞きました。こういう見直しをされている中でさえ三%くらいであるということにかんがみまして、自治省はこんなにたくさんのいろいろな見直しをしなければいけないことを抱えている地方自治体の代弁者として、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  90. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) ちょっと技術的なことも入るものですから、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  国庫補助負担制度における最大といいますか、地方団体側から見て非常に不満の多いのは、御指摘のありました超過負担の問題であります。これは古くから、特に市町村については小中学校だとかいうのは何十年に一遍の建設事業になるものですから、大変ここに超過負担が多い、本来やるべき仕事を削ってそっちの方に振り向けなければいけないというようなことで不満が多いわけであります。  私どもは、国と地方との間の財政秩序というものをきちっと適正に保つためにはこういう超過負担というのはあってはいけないということで取り組んでおるわけでありまして、そういう地方団体の声が出てきた場合には、関係各省庁、大蔵省と相談して実態調査をして超過負担の解消に努める。  超過負担の中身としましては、今御指摘になりました単価の差が主でありますけれども、そのほかに社会経済的に日本の社会が進んでまいりますと、例えば面積でありますとか、対象になるサッシが昔は木造のサッシであったけれどもそれが鉄製のサッシになっているのが普通であるとか、今はもうアルミのサッシだと、そういう質的な部分があるわけであります。そういったことを国の立場から、今の水準としてはこういうものが建てばいいんだというものを、標準設計を各施設についてきちっとつくってもらって、その標準設計での標準仕様、そういったものまでは国の方で責任を持ってその二分の一なり三分の二なり決まっている補助率のものについては出しますよと、こういう形にやっぱりしていくべきだろうと思います。  地域の事情によって、いや鉄筋コンクリートはだめだから高いけれども木造の校舎をつくりたいというところも今あるわけでありますが、そういったところまでやるかどうかというのは超過負担の問題とは少し範囲が外れてくるのではないかというように思っておるわけであります。  いずれにしましても、超過負担というのは先ほど言いました国と地方の間の財政秩序を考えるときに大きな問題なので、私どもの立場としては、地方団体の代弁者としてそういうことがないように毎年目を光らせて、関係省庁にも申し入れをして超過負担を生じないようにしてもらう措置をとってもらうと同時に、顕著なものについては共同で実態調査を実施して、そしてそれに基づいて単価の是正それから内容等の是正もしていくというようにしていきたいというふうに思っております。
  91. 和田洋子

    和田洋子君 今御答弁のとおり、学校なんというのは二十年以上も建てられてそのままという形になると思いますので、今の段階で一番いい方法をとられたとしても、二十年、三十年後にはもう本当に古いものになってしまうというのが実情だと思います。そして、我が福島県などは県産の材料を使って子供にゆとりのある、温かい配慮のある学校をなんということも提言をされているところでありますので、ぜひ大蔵省だけでなく自治省も、そういう点では子供たちに配慮のある、ゆとりのある学校建築であってほしいなというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。  地方分権推進の中で零細補助金について整理合理化が進められているというふうに言われておりますが、補助金がなくなったことに伴う相当財源はどんな形で確保をされておられるのか。補助金カット相当分が地方交付税に反映されたなんという話はまだまだ実感としてこないわけでありますけれども、その点はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
  92. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 補助金の問題につきまして、特に零細補助金についてはその効果に対して交付事務等を含めたコストが非常にかかるということから、こういったものについては零細補助基準を引き上げるといったようなことで整理を進めるべきだということで臨んできております。  零細補助金は一つの単価が小そうございますので、零細補助金をやめる場合にはそういう事務が廃止されるのが一番望ましいわけでありまして、事務自体が廃止できるようなものについては財源措置はもう要らないということになるわけであります。  事務自体はなくならないけれども、零細がゆえに一般財源化するという場合につきましては、財政計画の中で事務事業の経費はとっておきまして、片一方の国庫補助金がその分なくなるわけでございますので、必然的に一般財源の税や交付税で全体として財源が足りるようにしなければならないということであります。ことしなどの場合大きな財源不足がありましたけれども、その財源不足の中には、ぎりぎり詰めて言えばそういう零細補助金がなくなった部分についても上乗せで乗っかっているというように考えていただいて結構だと思います。  具体的な措置としては、交付税の中の御審議をいただきました単位費用を計算するときに、今までは総経費の中から零細補助金の額を差し引いて単位費用を積算しておったわけでありますが、今度はその総経費から零細補助金がなくなればその部分については総経費だけが残りますので交付税の中で全額が措置できる、これは理論的な考え方として措置できるということで財源措置をしていくということになります。
  93. 和田洋子

    和田洋子君 では、大蔵省にもお尋ねをいたしますが、零細補助金の整理合理化に伴って地方交付税額がふえるというふうに思いたいんですが、そういうことでいいんでしょうか。
  94. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) ただいま財政局長から御答弁がありましたこととほとんど重複する形になるかと思いますが、私どももこれまで補助金等整理合理化につきましては、国、地方を通ずる行財政改革推進などといった観点から努めてきているわけでございます。  零細補助金につきましては、交付事務等を含めましたコストに比べまして十分な補助効果が期待できるかといった問題もありまして、これまで廃止、統合等を進めてきております。ことしもその廃止、統合等の基準をさらに強化しているところでございます。  いずれにいたしましても、補助金の整理合理化につきましては、これによりまして国と地方を通じました財政資金の効率的な使用あるいは経費の節減合理化といった観点が必要でございますが、それとともに地方におきます主要な財源につきましては、ただいま局長から御答弁がございましたように、毎年度の地方財政計画の適切な策定を通じまして地方財政の運営に支障が生じないよう措置しているところでございます。
  95. 和田洋子

    和田洋子君 大蔵省に予算編成権があるということはいろんな議論のあるところですが、現行ではそういうふうになっておりますから、財政当局においてその責任を十分に自覚して責任ある予算案の作成を望みたい。また、予算要求側も、真に必要なものであるならばもっともっと堂々ときちんと要求をすべきじゃないか、そのような議論を経た予算案が国会において審議されることを強く望みたいと思います。  次に、阪神・淡路大震災の経験を踏まえて、消防行政充実とそれに係る予算措置についてお伺いをいたします。  今の渡辺議員の御質問のように、大規模災害時における広域防災応援体制などはいろいろ御説明をいただいたところでありますが、その一環として緊急消防援助隊の創設がなされ、そしてそれに関連して広域防災応援体制を有効に運用していくためには、各市町村消防においてそれなりの施設設備、例えば先ほどの防災ヘリコプターとか高性能の消防自動車とかいろいろあると思われますが、そのような整備が図られることが必要であると思われます。  各市町村消防をつなぐ防災ネットワークは先ほどお答えをいただきましたが、極めて悪化した地方財政の現況にかんがみ各市町村財政的な負担は無視し得ないと思われます。これについて、消防庁として今年度予算において所要の財源確保が図られたのか、国民の生命、財産を守るため緊急に必要な予算として去年よりもすばらしくふえた予算になっているのかどうか、対前年度比のみならず各省の予算との対比において御説明をお願いします。
  96. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 総論については私からお答え申し上げまして、各論につきましては消防庁長官からお答えをさせていただきたいと思います。  消防庁におきましては、災害に強い安全な町づくりは極めて重要な課題でございまして、最重点施策として平成七年度におきましては二度にわたります補正予算を組ませていただきました。一次補正では百五十二億四千四百万、二次補正では九十二億三千四百万、百七十五億が当初予算でございましたので、四百二十億円になろうかと思います。  消防補助金をそのように確保いたしまして、和田委員お話にございましたように、画像伝送システムであるとか、震度情報ネットワークシステムであるとか、海水利用型消防水利システムであるとか、また緊急消防援助隊関係資機材、コミュニティー防災資機材などの新規メニューの創設であるとか、耐震性貯水槽に係ります補助金の引き上げ、さらにはヘリコプターの大幅な整備促進を図ったところでございます。  平成八年度におきましては、対前年度当初予算比一四・九%増の二百億九千五百万円の消防補助金を計上させていただいているところでございまして、また平成八年度の地方財政対策におきまする緊急防災基盤整備事業は三千億円を計上させていただき、さらに地域防災計画の見直し等に係りますソフト事業の強化対策といたしましては二百億円を確保させていただくなど、ハード、ソフトにわたります財政支援措置を大幅に拡充して所要の対応をさせていただきたいと考えているところでございます。
  97. 和田洋子

    和田洋子君 もう時間もなくなりますので、はしょってお尋ねをしますが、自治省は普通交付税の需要算定額において、消防費の算定について的確な財政需要の把握ができておられるのか。今、対前年度比一四・九%とおっしゃいましたけれども、算定の基準が消防庁なんかは今まで大変少なかったというふうに私なんかは自覚しているんですが、それに対しての一四・九%でありますから各省庁の予算に比して決して多いというふうには思わないんですけれども、今回の交付税算定に対して制度改正を行った点はあるのかどうか、お聞きをします。
  98. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 今、大臣から予算について御説明申し上げたとおりでございますが、普通交付税の算定におきましても、特に市町村の消防関係の経費につきましてもう少し具体的に申し上げますと、例えば十万大規模の市町村、これを標準団体として、実際にかかった経費などを基礎にしながら、先ほど積雪寒冷地などのお話がございましたけれども、そういったような地域の状況などそれぞれ必要な補正をして、そして的確に基準財政需要額の算定をするということをやっております。  これで大体必要なものは確保されておりますけれども、先ほど大臣からの御答弁の中にも少しございましたけれども、例えば地域防災計画の見直しなど阪神・淡路大震災の経験を踏まえて、必要なものにつきましては平成八年度は算定方法を改めるといったようなこともやるようにいたしております。
  99. 和田洋子

    和田洋子君 消防における広域防災応援体制整備がなされましたけれども、阪神・淡路大震災のときは、例えばほかの市町村からの応援の消防団のコックが合わなかったとか、ホースのコネクターが違っていたとかいろんな指摘がされたわけでありますが、それについてどういうふうに考えておられるのか。  あと、消防の広域防災応援体制ができたと同時に、警察庁も今回の改正で新たな危機管理体制整備という面から広域のシステムができたと聞いておりますが、警察庁ではその新たな体制に対する予算の措置はされたのかどうか。二点をお尋ねして、質問を終わります。
  100. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 広域的な応援活動を行います際の具体的な問題としてお尋ねのございましたホースの口径等の問題ですけれども、消防機関で使用しておりますホースにつきましては、通常は口径が六十五ミリのものでございますけれども、ビル火災などで少量水での防御活動を行うとか、あるいは筒先を持った消防隊員が活動しやすくなるようにするとか、そういったことで五十ミリあるいは四十ミリのホースを配備しているという消防隊もございます。  いろいろな口径のホースを持った消防隊が活動する場合に、じゃ具体的にどうしているのかということでございますが、今も御指摘の中にございましたけれども、接続の金具を使用するということで口径の異なるものもそれが可能になるということでございまして、阪神・淡路の大震災のときにもそういうようなやり方でもって活動をしてきておる。  口径の問題だけではなくて、接続の道具が差し込み式のものとねじ回しのものとございますけれども、それにつきましても専用の媒介の金具がございますので、それをもって対応するというようなことをいたしております。  そのほか、消火栓の問題などにつきましても、地域によって異なるとか、長い期間の間にそれぞれの消防のやり方でやってきたものがございますので、どうしても違う部分もございます。それらを全国一律、統一の規格のものにすると申しましても、今申しましたようないろんな事情のもとにやってきておりますのでなかなか難しゅうございます。  ただ、今申しましたように、異なっておりましても消防活動に支障のないようにということで工夫をしておる。そして、そういったことにしようということを、阪神・淡路大震災がございまして、全国消防長会といったような現場活動を行っております皆さん方の団体でも改めて確認をして、応援に行くときにはあるいは応援を受けるときにはそういったものに支障がないようにしていこうというようなことを確認しております。さらに、その統一を図れるものについてはどうしようかといったようなことにつきまして、全国消防長会と私どもの間でもいろんな相談をしておるところでございます。
  101. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。  最近の治安情勢の一つ特徴は、犯罪が広域組織化しているということでございます。こうした観点から、警察庁におきましても予算組織あるいは法改正といった観点から対応いたしております。  予算につきましては、一般の各警察活動経費を確保することはもちろんでございますけれども、犯罪が広域化しているあるいは組織化しているという状況に対応いたしまして、大きな予算要求の柱といたしまして政府案の中にそれを今回入れてもらっているわけでございます。  具体的に申し上げますと、警察活動というのは無線通信、要するに通信システムが大変効果を発揮いたしますので、WIDEシステムと称しておりますけれども、各都道府県単位の無線通信を越えて全国どこへでも犯人あるいはその組織の動きに合わせて通話ができる、こういうWIDE通信システムといったものを導入いたしておりますし、それから逃走していく車両等につきまして、迅速にこれを捕捉いたしまして検挙活動に移るための自動車ナンバーの自動読み取りシステムといったものも積極的に導入さらに拡充いたしているところでございまして、こうした装備、資機材等を中心に、広域捜査関連で今回政府案の中に五十二億円の要求をしているところでございます。  それから、組織関係につきましては、最近のオウム型の事件もそうでございますけれども、広域組織化していく犯罪に対応いたしますために、こうした広域組織犯罪を担当する審議官の新設、それからそうした広域組織犯罪を行う対象に対します情報活動を強化するための広域組織犯罪に対応いたします対策室を設けておりますし、さらにそうした事件が発生いたしましたときの捜査指導を行うための事件指導を行う室、そういったものもつくっているところでございます。  それから、この国会で改正をお願いいたしておりますけれども、警察法の一部改正を行いまして、従来の管轄区域の概念を超えて特殊な広域組織犯罪に対応いたしまして、それぞれの県が持っている知識、経験、体制、そういったものを早い段階から積極的に活用できるような形に持ってまいろうという警察法の改正もお願いしているところでございます。
  102. 和田洋子

    和田洋子君 ありがとうございました。
  103. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  私は、日ごろは高齢化社会、高齢者福祉、医療のことやら年金のことをお尋ねしておりますが、本日はちょっと視点を変えまして、地域文化の振興施策についてお伺いしたいと思います。  自治省ではこれまでにも、各自治体が行います地域文化の振興施策に対しての財政支援など、積極的にお取り組みいただきましてありがとうございます。本日は、この地域文化振興施策、文化を見ればその国がわかると申しますけれども、まず倉田大臣に地域文化振興、基本的なお考えからお伺いしたいと思います。
  104. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 生活にゆとりであるとか心の豊かさであるとかが求められるようになってまいりまして、住民の皆様の文化への志向というのは高まりつつあることは十分承知をいたしておるところでございます。  地方公共団体におきましても、音楽ホールあるいは美術館などの文化施設の整備にあわせまして、住民の皆様の芸術文化活動への支援であるとか、郷土の伝統芸能の保存であるとか振興であるとか、創造的で文化的な町づくりに積極的に取り組んでおるところでございます。  自治省といたしましても、このような地方公共団体の自主的、主体的な地域文化振興の施策に対しましては、ハード面あるいはソフト面、両面から積極的な支援を行ってきておるところでございまして、このような支援は引き続き行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  105. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願い申し上げます。  このテーマにつきましては、八年度の地方財政重点施策の中の「文化・スポーツ等の振興」、そこで「全国的なネットワークを通じた質の高い芸術文化事業の提供、文化に関する情報提供、研修等を支援するほか、地域文化振興のためのソフト施策の充実や各種文化施設の利活用の促進」というふうに読ませていただきました。  こういうことを支援していただけるということでございますが、この項目で言われている具体的な内容について御説明をお伺いしたいと思います。
  106. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 平成八年度の地方財政重点施策の中に、御指摘のように「文化・スポーツ等の振興」という項目を起こしておりますが、その中の①として今お読みになられましたような事柄を書いているわけでございます。主としてこの項目では三点ほど念頭に置いておるわけでございます。  その一つは、地域文化振興経費に対しますいわゆるソフト施策の充実のための対策として、これは平成五年度から実施いたし.ておりますけれども、地方財政計画の上で地域文化振興対策費という費目を設けまして、地方団体が取り組んでおります地域文化交流活動の推進あるいは創作活動の奨励、芸術鑑賞機会の提供等の地域文化振興のソフト施策のための経費を確保してその支援を行うというものでございまして、平成八年度におきましてもこの所要額の確保をいたしているところでございます。  二点目は、「各種文化施設の利活用の促進」という先ほどお読みになりました文面がございましたけれども、その分野でございまして、かねてからハードの施設そのものの整備につきましてはふるさとづくり事業でございますとか町づくり事業という形で取り組んできておりましたけれども、既存の文化施設がいろんな意味機能がかなり老朽化したりあるいは施設そのものが衰えたりというような状況もございます。また、最近の求められております活動になかなか対応しにくいという面もあったりいたしますので、既存の各種の文化施設の改修、改良、こういったリニューアルのための事業をふるさと事業の一環として明確化いたしまして、これに対して地方債と交付税を組み合わせた財政措置を行うことにいたしております。  これは平成七年度の補正段階から実施いたしたものでございますが、平成八年度におきましてもこの施策に取り組むことといたしております。  また、三点目でございますが、これは自治省が直接というわけではございませんけれども、財団法人地域創造という法人がございます。これは地方団体がいわば共同の組織として設立をされました財団法人でございますが、平成六年の九月に設立をされております。この財団法人を通じまして、各地域で創造性豊かな土壌がはぐくまれていくことを目的とした各種の支援事業を展開いたしておるわけでございます。  例えて申しますと、芸術提供あるいは芸術の共催事業あるいは情報交流事業、それから研修交流事業あるいは芸術の環境づくりのための事業、こういった地方団体が行います各種の事業につきましてこの地域創造が支援事業を行っております。  この財団法人とまた連携を密にいたしまして、自治省としても各自治体がいろんな角度から芸術文化の振興に取り組みやすいようにということで進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  以上、主要な点に限って説明させていただきました。
  107. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。  私も福祉の講演などでよく声をかけていただきまして全国へ参りますけれども、大変立派な建物がたくさんできております。きよしさん、建物はできているけれども、なかなか我々楽しむことが少ないというようなお話をよくお伺いするんです。年に何回しか使わなかったらもうこれは老人ホームにかえてもらった方がいいんではないかなというようなお話も、ちょっとジョークを交えてお年寄りがおっしゃるようなときもあるんです。  そういう中で、施設関係者の方にお話をお伺いいたしますと、御苦労されるのは講演や式典以外の舞台芸術などの催し物をいかに地域の皆さんに提供するかということなんです。大変難しいそうでございますが、公共ホールの利用実態からまずお伺いしたいと思います。
  108. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 公立文化ホールとして機能しております県民会館、市民会館それから公会堂、その数は自治省で行っております公共施設状況調べによりますと、平成七年三月末現在で全国で二千五百三十六施設ございます。  その利用実態についてでございますが、詳細な利用実態についての調査がございませんので正確なお答えがなかなかいたしかねるわけでございますけれども、平成六年一月のサンプリング調査による、これはアンケートによる調査でございますが、結果に基づくものがございますので、それで御説明いたします。  対象になりましたのは平成四年度の実績を調べておるわけでございますが、各施設の中の最大ホールの年間の使用状況を調べております。最大ホールの年間使用日数が二百日以上というホールが全体の三九%、約四割ぐらいでございます。それから、百五十日から二百日未満という利用の状況にありますものが二三%、それから百日以上百五十日未満が一八%、百日未満が二一%、こういうふうになっておるわけでございます。この日にちだけから見ますと、先ほどちょっと御指摘がございましたが、本当に活発にすべてが活用できているかということについてはいささか積極的な御答弁ができないわけでございます。  ただ、どういう事業に使っておるかということにつきましては、私どもの方では正確な調査をしたものがございませんので、先ほど、講演、式典以外の活用が大事だというお話がございました、恐らくこういったものがかなりのウエートをまだ持っておると思いますけれども、ちょっと私どもの方で手元にデータを持っておりませんので、その点につきましては御容赦いただきたいと存じます。
  109. 西川潔

    ○西川潔君 細かいことばかりの注文でございまして、恐縮でございます。  こうした公共ホールにとりましては、舞台芸術の上演を行うことがなかなか難しいというふうにお伺いしておりますが、背景にはいろいろと問題があるようでございます。一つには、ハード面の問題として目的別の専用ホールの比率が非常に小さい。大方の場合は多目的ホールであって、演劇にしましても音楽にしましても、本格的な舞台装置を必要とする舞台公演を上演することは事実上不可能に近いというような状態もお伺いしております。公共ホールの考え方が講堂から発展したもので、講演や式典を行うのが基本的な考え方というのが非常に大きかったんだと思うわけです。  そうした中で、地域の方々に質の高い舞台芸術を提供するための努力がやっぱり必要ではないかなと思うわけですけれども、先ほどの重点施策には「各種文化施設の利活用の促進」というふうにございましたけれども、現状の中でこういうような問題をどういうふうにしてクリアしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  110. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 最近におきましては、専用ホールといいますか、音楽あるいは演劇、こういったものを直接目的にした施設もできてきておりますが、従前つくられましたのは、どうしても多目的活用と施設数が限られておるということもありまして、そういう形でつくられたものがたくさんございます。そういう意味で、本当に質の高い舞台芸術等を展開する際に、今のままではなかなか不十分だという御指摘も恐らくそのとおりかと思います。  そういう点も念頭に置きながら、先ほど御答弁申し上げましたけれども、既存の文化施設の改修、改良等のリニューアルを正式な事業として、私ども認知したという言い方をしますと大げさでございますが、ふるさとづくり事業の一つの対象事業としてこういうものを取り上げて、ぜひ振興していきたいということで取り組んでおるわけでございます。  この事業を通じまして、例えて申しますと、既存の文化施設の舞台装置あるいは照明装置、それから音楽でございますと音響設備を近代的な設備に全面的にリニューアルする、こういった設備、機能充実、高度化といったものを図っておりますし、また同時に、見る側の客席も昔つくったものは大変狭くて前後の幅も小さいとかということで、長時間の演劇あるいは音楽を聞くのに必ずしも適切じゃないというような問題も抱えておりまして、こうした客席の改修でございますとかあるいは冷暖房設備の付設、こういったものもこのリニューアル事業の一環として取り上げて実施できるようにいたしております。このことを通じまして、既存の文化施設の機能向上あるいは利活用の増進が図られていくものというふうに考えておるわけでございます。  また、ソフトの面につきましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、財団法人地域創造の支援活動を通じまして、地方公共団体が自主的に実施いたします芸術活動に対する助成を行いますほか、地域単独ではなかなか実施が難しい芸術文化事業の企画、提供、こういった事業も実施をいたしているところでございます。
  111. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いしたいと思います。  全国いろいろとお伺いいたしまして、東京はいいね、西川さんというお話をよく聞くんです。見たいときにいつでも楽しみに行ける、本当に歌舞伎から我々の演芸、漫才まで。東京は、今からでも出かけたら、歌舞伎も見られますし、ミュージカルもありますし、映画も見られますし、寄席にも行けます。そういうことをよくお伺いするわけです。  そこで、例えばAという自治体には音楽専用ホールとか、Bという自治体では演劇専用ホールといった目的別ホールを、近隣自治体で事業を分担いたしまして、それをネットワークにして共有できるというようなことを今度つくっていただいたらどうかなというふうにも考えます。  また、最近では、愛知県の芸術劇場でありますとか、彩の国さいたま芸術劇場といった本格的なオペラが上演できるような目的別専用ホールが全国各地に誕生じつつあるという報道もたくさんございます。こうした同じ目的専用ホール間のネットワーク化によりまして、つまり巡演をスムーズに行えるようなシステムづくり、これはいいことだと思うんですけれども、文化庁ではこのあたりのことをどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  112. 土居正

    説明員(土居正君) お答えいたします。  文化ホールのネットワーク化についてでございますが、平成七年の六月に全国の公立文化ホールで組織いたします全国公立文化施設協会が社団法人となりまして、各ホール間のネットワークを緊密にして、ホールの設置、運営のあり方や相互の連携について研究や協議を深めております。  また、昨年度から文化庁が社団法人全国公立文化施設協会に委託をいたしまして、全国の公立文化ホールと芸術家や芸術団体をつなぐキーステーションとして芸術情報。フラザを設置いたしまして、文化ホールに対する専門的なアドバイスや、芸術家や芸術団体との仲介などの支援を行っております。  文化庁といたしましては、文化ホールの企画に関するアイデアを提供すると同時に、各ホール間の事業分担あるいは共同企画や巡回公演を促進することは重要であると考えておりまして、社団法人全国公立文化施設協会、芸術情報プラザなどを通じまして各ホール間のネットワークの緊密化にさらに努力をしてまいりたいと考えております。  また、来年秋に開場を控えております新国立劇場と地方公共団体が設置するオペラ劇場などの専用ホールとの連携も積極的に進めてまいりたいと考えております。
  113. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  そこで、公共の文化ホールの事業を活性化さす、そういう意味で専門的な人材の確保とか養成ということも今後ますます大切な課題ではないかなというふうに思うわけです。  公共ホールが自主公演を行う場合なんかには、大方のケースが企画会社や音楽事務所がセットにしたものをセールスなさるわけですけれども、そういう公演を買って提供するということで、つまり施設の職員が自前で企画公演を行うというケースは非常に少ないわけです。全国にこれだけの施設が整備されているわけですから、現在、事業の企画に地域の特性を織りまぜて地域住民によりよい文化に親しんでいただく、各自治体が独自に企画そして公演ができるようなソフト面での整備というものが大変重要ではないかなというふうに思うわけです。  そのためには、アートマネジメントの確立が私は最も必要ではないかなと思いますけれども、自治省とか文化庁はこういうことをどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  114. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 御指摘ございましたように、公共ホールの芸術文化施設を有効に活用して地域住民の方々により文化に親しんでいただきますためには、専門的な人材の確保養成を含めましたソフト面の充実が今後ますます重要なものであるというふうに考えております。  自治省といたしましても、先ほど申し上げましたけれども、そういった文化活動のソフト的な対策充実を図るという視点から、地方財政計画におきます地域文化振興対策費の計上でございますとか幾つかの取り組みを進めているわけでございます。  特に御指摘のございました人材の確保養成という観点から申しますと、財団法人地域創造の支援活動の中で幾つかの事業をやっております。例えばアーツスタッフ研修交流事業等も展開をいたしておりまして、地域の公共ホール、劇場などの芸術拠点で芸術の環境づくりに取り組みます専門的な人材の確保養成のための研修交流事業等についても積極的に支援をしているところでございます。  できましてから年限がまだそうだっておりませんので、こういった研修の対象としていろいろ訓練を終えられた方々がそうたくさんおられるわけではございませんけれども、こういう事業の積み重ねを通じましてソフト面の対策充実に今後とも努めてまいりたいと考えておりますし、また文化につきましては各方面にまたがった事柄でございますので、関係方面の御意見も十分踏まえながら地域文化の振興を支援してまいりたいと考えております。
  115. 土居正

    説明員(土居正君) お答えいたします。  文化庁といたしまして、文化ホールの運営を活性化させていくためには舞台芸術に関する専門的な職員を養成確保することが重要な課題と考えておりまして、かねてから公立文化ホールの職員を対象といたしましたアートマネジメント研修や舞台技術研修などの研修会を開催するとともに、海外の劇場で研修を行う芸術フェローシップを実施し、文化ホールの企画や技術を担当する人材の養成に努めているところでございます。また、近年、文化ホールのアートマネジメントの重要性に対する認識が広まりつつございまして、社団法人全国公立文化施設協会の各ブロック主催の研修会等も開催されているところでございます。  今後とも、芸術家、芸術団体地方公共団体の御意見をお伺いしながら、社団法人全国公立文化施設協会と協力して、アートマネジメント研修、芸術フェローシップなどの充実を図り、企画、制作や技術を担う専門的な職員の養成確保に努力してまいりたいと考えております。
  116. 西川潔

    ○西川潔君 最後の質問にさせていただきますが、自治体が地域文化を育成していく上で情報収集、これも大変大切だと思います。文化庁では地域文化情報システムという事業にも取り組んでおられると伺っておりますが、各施設あるいは各自治体が独自の企画で事業を展開していくために、芸術家や芸術文化団体などのさまざまな情報を提供するシステムの整備、今後これにも積極的にお取り組みいただきたい。  そして、芸術祭の参加公演が東京では今まで行われておったわけですけれども、東京以外で本年度から初めて大阪でも開催をしていただけるというふうにお伺いいたしまして、我々地元の人間は大変喜んでおります。高い交通費を使ってとか、団体さんなんかは大変いろいろ御苦労があったというふうに聞いておるわけですけれども、大阪で行われると。その内容について御説明をいただきまして、最後の質問にさせていただきたいと思います。
  117. 土居正

    説明員(土居正君) 情報システムについてでございますが、地方公共団体や文化ホールなどの芸術文化に関する企画、立案、制作などを支援するために、文化庁といたしましてパソコン通信ネットワーク、地域文化情報システムの整備を進めているところでございます。昨年度は、芸術家、芸術団体のプロフィールに関する情報、全国の公立文化施設の施設や事業に関する情報などをデータベース化することを進め、本年度からパソコン通信上で順次オンライン検索ができるようにいたしております。  この地域文化情報システムは、地方公共団体や文化ホール、芸術団体等が相互に情報の交流や発信を行うものでございまして、今後、関係団体とも連携をしながら一層の整備努力してまいりたいと考えております。
  118. 大橋敏博

    説明員(大橋敏博君) 私の方からは、芸術祭の大阪公演の関係の御説明をさせていただきます。  先生お話しございましたように、芸術祭は、広く国民の皆様にすぐれた芸術作品を鑑賞する機会を提供する、あわせまして芸術家、芸術団体の意欲的な公演発表の機会といたしまして、芸術創造の発展に資するため昭和二十一年以来、毎年秋に開催をされている芸術の祭典でございます。  これが昨年度にはちょうど五十回という節目を迎えたところでございまして、この大きな節目を迎えるに際しまして芸術祭懇談会というのを設置いたしまして、芸術祭の一層の充実を図るためにそのあり方を検討することといたしました。この結果、先ほど先生から御指摘ございましたように、芸術祭参加の発表の場と機会というのを拡充する必要があるんじゃないか、特に我が国の芸術活動の一大拠点である大阪においても参加公演を実施してはどうかというふうな御提言をいただいたところでございます。  従来は、先生先ほどお話しございましたように、東京のみの参加公演の実施でございました。  こういうことから、特に芸術祭に積極的に参加していきたいという関西地区の芸術関係者の皆様方の従来からの御要望におこたえするというところのものでございました。  文化庁では、こういうふうな懇談会の提言をいただきまして、これを踏まえまして大阪参加公演の実施を図るために、関係地方公共団体関係の芸術団体などと協議をさせていただきまして準備を進めてまいりました。平成八年度からこれを実施しようというふうにいたしているところでございます。このために、平成八年度予算案におきましても、大阪参加公演の実施のための所要の経費を計上させていただいているところでございます。  平成八年度芸術祭大阪参加公演の実施方法につきましては、芸術祭執行委員会の総会で最終的に決定されることになっておりますが、従来の関係団体等との協議、お話し合いから、参加部門は演劇、音楽、舞踊、演芸の四部門、これは東京と同様でございます。参加期間は、平成八年十月二日から十月十一日までの十日間と考えているところでございます。  これを機会に、関西地区の芸術家、芸術団体皆様方の積極的な芸術祭参加をお願い申し上げているところでございます。
  119. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。
  120. 有働正治

    ○有働正治君 所用がありまして、質問の順位を繰り下げていただくことに御協力いただきまして、関係者にまずお礼申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  限られた時間でありますので、私は、自治省指導に基づいて進められていますいわゆる自治体リストラ問題に絞って質問いたします。  全国の各自治体のリストラ計画策定状況を見ますと、私がつかんでいる範囲でも住民にとって大きな問題が出てきています。私は兵庫県尼崎市のリストラ計画について現地を調べてまいりましたけれども、市民の間からは福祉や教育、生活切り捨てとなるという強い不安の声が出されているわけであります。  まず、自治省に具体的な事実関係の確認を求めるわけでありますが、尼崎市のリストラ計画につきまして、職員定数の削減計画は何%で何名か、公立保育園の民間化は何園予定されているのか、第一次推進計画の実施による経費効果はどれぐらいか、さらに尼崎駅前一帯の都心整備プロジェクトの事業費は幾らでありますか、どう把握されておられますか。
  121. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 私の方から第一点から第三点までお答えさせていただきまして、第四点の方は財政局長の方からお答えをしていただきます。  まず第一点の、尼崎市の職員削減計画でございますけれども、平成八年度から平成十年度までの三年間に職員定数の五%の削減を目標に適正化推進することとしており、県から聞いているところによりますと、企業会計職員及び消防職員を除く職員定数約二百三十人の削減を目標に適正化推進する計画があるとのことでございます。  第二点の、公立保育園の民営化は何カ所予定されているかということでございますが、推進計画自体に具体的な公立保育所の移管計画が明示されているわけではございませんけれども、県から聞いているところによりますと、市において平成十年度から毎年二園ずつ五年間で計十の保育園を移管する計画があるとのことでございます。  また第三点の、経費削減効果等でございますが、これらの推進計画が実現いたしますと、人件費等の経費の減が約四十二億円、一方、委託等による経費の増が約二十億円、差し引き年間約二十二億円の経費削減になるという試算を行っていると承っているところでございます。
  122. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 御質問の第四点でございますが、尼崎駅前の都心整備事業でございます。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕  自治省としてその全体像を必ずしも把握しているわけではありませんけれども、県を通じて聞きましたところ、総事業費は約千百億円と見込んでいるということでございます。
  123. 有働正治

    ○有働正治君 尼崎市は年間予算規模が一般会計で約一千九百億です。一千百億の都心整備プロジェクト、加えまして臨海部開発プロジェクトが大体三百億予定されていまして、そういう膨大なプロジェクトが推進される。片や職員定数の五%、二百三十人の人減らし、保育園の民営化等々のリストラ計画が進められているわけであります。  これは政府、自治省指導のもとで進められているわけであります。政府は昨年四月、いわゆる第五次定員モデルについて都道府県あてに通達を出されて、これを活用し国の定員管理計画を参考にして一層の定員管理適正化に努められるよう指導を願うと各自治体へ削減を要求し指導している、こういう状況があるわけであります。  尼崎市の場合、第一次行革推進計画の削減計画を見ますと、市では住民の訴えを受けるとすぐ飛び出していって修繕をする「すぐやる課」が設置されているわけです。工営所という仕事が配置されて、夜を徹しての作業で泊まり込みをするほど仕事も多く、大変市民に喜ばれた工営業務で八名、養護学校スクールバス運行業務で八名、防疫所業務で八名、計量検査所業務で二名、公民館運営業務で七名、補導所業務六名など職員定数の五%、二百三十名の人減らしが強引に進められようとしているわけであります。  自治体役割というのは、憲法、地方自治法に示された住民の安全、健康、福祉を保持するということであり、そして住民こそ主人公の立場でそれを貫徹するというのが本来の仕事だと思うわけでありますが、尼崎の場合、この精神を踏みにじって、文字どおり憲法、地方自治法にうたわれた教育、福祉、健康、そういう分野が直撃されているというのが実態であります。その一方で、大規模開発が膨大な予算を使って推進されようとしている。  そこで、大臣にお尋ねするわけでありますが、政府がこういう機械的な定員モデルを示して地方自治体に定員削減を私に言わせれば事実上強制するようなこと、これは憲法、地方自治法の精神との関係から見まして私は問題があるんだと考えるわけでありますが、基本的な考え方だけお尋ねいたします。
  124. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 尼崎市を初めといたしまして多くの地方公共団体におきましては、これまでの実績であるとかあるいは行政需要の動向などを勘案しながら、定員モデルあるいは類似団体職員数状況なども活用しながら、自主的、主体的に定員適正化計画を策定して推進しているというふうに承知をいたしております。  現下の地方財政をめぐる厳しい状況を踏まえますと、定員モデル等を参考にしながら事務の統廃合、縮小であるとか、組織機構等見直し民間委託等によります定員管理適正化に取り組んでいくことは重要であると存じます。地方自治の役割に照らしましても問題があるものではないというふうに考えておるところでございます。
  125. 有働正治

    ○有働正治君 そう言われるんですけれども、問題があるんです。  自治省は、自主的にと大臣も今言われましたけれども、地方の受けとめ方は、こういう指導が強力にやられていきますとこれ以上減らせと受けとめて実際上対応すると、表向き自主的の形をとりながら実態はそうでもないということで、尼崎の場合も類似市などと比較され多過ぎる等々が指摘されながら進められているというのが実態であります。  しかし、尼崎の場合は、隣の西宮市と比べましても、一人当たりの市民税の額が約六割の水準で、生活保護率は約二倍です。低所得者層も多くて、生活保護受給者、独居者、高齢者、母子家庭など行政サービスを必要とする人が非常に多い、行政サービス提供に要する人員も多くなっていると、市独自のこれまでの経緯状況にかんがみてこうなっている。やはり町というのは、町全体が生き物であるという中でこういうことになってきているわけであります。  ところが、こういうのに対して攻撃の矢が向けられ直撃しているという状況です。これは尼崎市だけじゃありません、もう全国多くのところでこういう問題が重大な問題になってきている。  例えば三月二十九日、東京の行政改革大綱が示されましたけれども、その中で六十四項目の施策見直しを初め、都民施策の切り下げ、区市町村への負担転嫁を盛り込んだ二百十九項目の具体的実施案が三カ年計画で実施されると。この中で都政のコーディネーター、調整者の役割になるとして、都が都民への直接的なサービス供給から撤退していく方向を福祉の分野を中心に大々的に進める方向が示されています。特別養護老人ホームなど都立の直営福祉施設を全面的に廃止民間委託される、こういう方針が打ち出されている。職員定数は三年間で四千五百人削減し、各施設の縮小、統廃合、その対象は福祉施設、都立高校、消費者センター支所、中小企業の試験研究機関など都民が直接利用している部門で、住民サービス低下に直結しかねない重大な内容です。その一方で、財政があれだけ深刻な事態になっているにもかかわらず、臨海副都心開発など依然メスを本格的に入れるということにはなっていない、こういう状況もあるわけです。  大臣千葉の場合を見ますと、船橋では類似都市と比べて五百七人多いということで、今でさえ不足している消防職員まで削るんです。こんな事例というのは私は余り聞いたことがない。阪神大震災の経験等々に照らしましても国民的な課題、その充実が要望されている消防職員の増員まで否定して逆に削る、こういうことまで起きているわけです。  ところで、政府は、この自治体リストラの中で保育内容充実と保母の労働条件の改善策として自治体が独自に定めています配置基準、保育料を目のかたきにするなど、規制緩和を口実にその質の低下、住民負担増につながる対応を求めているわけであります。保育では露骨に民営化、保母の数を民間並みに、そして保育料を国基準まで引き上げるよう求めています。  尼崎の場合は、四十五の公立保育園と三十五の市立保育園で二千八百人の子供を保育しています。本当にきめ細かく保育園が設立されているというのを私も目の当たりにいたしましたけれども、憲法と児童福祉法で保育の措置制度が確立され、保育の行政責任が明確にされて、公立保育園は国基準に上乗せしてより手厚い保育を行って、子供、父兄からも大変喜ばれているわけであります。これを民営化していく、先ほど御答弁でもありましたが、コスト削減でありますけれども、こういう一連の事態があるわけであります。  どれほど住民に大きな影響を及ぼすかを見てみますと、尼崎の場合は、被保護家庭特別扶助事業あるいは国保世帯主への給付の市独自の一割加算、こういう国、県補助事業への上乗せ、あるいは六十五歳以上の老人への市バス特別乗車証交付事業、七十七歳以上の高齢者への美容サービス事業、七十四歳以上の高齢者への敬老金支給などの市の単独事業など、およそ十七万人の市民に市としての上乗せ行政サービスを行っています。国保加入世帯は全世帯の約四割余であります。  こうしたことを考えますと、自治省行政改革の口実による指導でこれらの上乗せ行政サービスが切り捨てられるということになりますと、その影響は市の大多数の世帯に影響を及ぼしかねない市民全体の非常に大きな問題になって、懸念が示されているわけであります。  そこで、大臣にお尋ねするわけでありますが、自治体のこういう独自の施策、それは歴史的経緯、いろんな状況の中で市独自で考えながら、非常に苦しい財政状況も考慮しながら頑張ってやっている独自の施策があるわけであります。そういう自主性は認めるというのが本来の姿であると思うわけでありますが、この点についての考えをお聞きするわけであります。
  126. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま尼崎市の例でるる御質問がございましたけれども、近年の大変厳しい財政状況のもとにおきまして、やはり地方公共団体もそれに対応していかなければならない、一方では新しい行政需要もどんどんふえておりますし、行政需要そのものも高度化をいたしているわけでございます。  そういう中におきまして、地方公共団体みずからが行政運営全体にわたりまして総点検をしていただき、そして事務事業見直し、これはたとえ上乗せのような事業でありましても、またこれまで恒常的にやっておりました事業でありましても、やはり全体を見直していただいて、簡素で効率的な行政運営が図られるように常に心がけていただかなければならないと思っているわけでございます。  そしてまた、限られた財政のもとで、新しいニーズあるいは高度化されたニーズに対して適切に対応していくことが非常に重要なことであろうと私どもは考えておるわけでございます。  ただ、そういう中で行政改革のあり方というものを御議論していただきます際に、住民の代表を交えた審議会等を設置していただいて、そして住民の意向を踏まえながらこれを進めていただく、そのことがやはり重要であろうということでございまして、私どもも平成六年の十月に示しました指針においてそういう趣旨を述べているところでございます。  尼崎市におかれましても、早くからこの趣旨を踏まえられまして、そして住民の代表を交えた行政改革審議会を設置されまして数回にわたって御議論をなさり、そういう中で住民の意向を踏まえてそれぞれの行政改革方針を自主的に定められたものと承知をいたしているわけでございます。
  127. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、私がお尋ねしましたのは、各自治体は各自治体の歴史や経緯があって町の要望もある、それに応じまして各自治体は各自治体で独自の施策をやる、その自主性は当然尊重さるべきであると考えるがこの点はどうかという点について大臣にお尋ねしているわけで、もう事務当局は要りません。
  128. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま行政局長から御答弁申し上げましたが、私は尼崎市におきまする対応につきましては、住民の皆様の代表を交えた行政改革審議会における審議を経ました答申を踏まえましてこれら推進計画が策定をされたものと承知をいたしております。  住民の皆様の理解と協力のもとに、行政需要の変化であるとか住民の皆様のニーズに的確にこたえていくために、自主的、主体的に行政改革推進を図っているものと、こういうふうに認識をいたしているところでございます。
  129. 有働正治

    ○有働正治君 では、一般論として聞きますけれども、私はほかの自治体の例も挙げたわけですけれども、各自治体が独自に自主的に決めるべきだという考え方そのものはよろしいということですね、大臣
  130. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 行政改革は自主的、主体的に各自治体で進めていただく、それが基本でございます。  ただし、それについていろいろと私どもとしても助言をすることはございます。
  131. 有働正治

    ○有働正治君 やはり各自治体の独自の施策、自主性を尊重するというのが基本なんですよ。それを後退させるような答弁で、しかも自治省が実際上介入するというのは、私は地方自治法の精神からいってこれは問題ありという立場から指摘しているわけで、そういうのを崩したら自治省としては大変なことになるんですよ。そのことをはっきり指摘しておきます。  そこで、自治省にお尋ねするわけでありますが、通産省が産構審の総合部会基本問題小委員会報告、平成七年十月で、「第二章 経済構造改革の推進」の中で「公共サービスへの民間の参入」ということをうたっているわけであります。その中では、できる限り広範な分野で民間の能力を活用し、公共サービスの市場化、すなわち民間の参入拡大を検討していくし、地方公共団体と民間との連携を推進させるということをうたっていること、これ自体は御承知でありましょうか、結論だけ。
  132. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘の産構審の小委員会が昨年十月に出しました報告の中の、「日本的経済システムの限界を克服するための構造改革」の中で「規制緩和と競争促進」という項目がございますが、その中に「公共サービスへの民間の参入」が取り上げられているところでございます。  その中には「将来の財政負担と公共サービスに対する国民ニーズの多様化、増大を考慮すれば、できる限り広範な分野で民間の能力を活用していくことが望ましい。このような観点から、公共サービスの市場化、すなわち、民間の参入拡大を検討する必要がある。」「また、国で行っている公共サービスの地方公共団体への移管の検討と併せて、地域の事情を考慮しつつ、地方公共団体と民間との連携を推進させることによる公共サービスの市場化の促進を検討することも必要である。」と記されていることは承知いたしております。
  133. 有働正治

    ○有働正治君 将来は十兆円産業と言われています保育ビジネス、これに既に大手商社、家電量販店、レジャー会社など企業の進出ラッシュが続いているわけであります。そういう点で、産構審の報告のねらいというのは、そこに企業が大々的に参入し利益追求の場にしていくという意図が明らかだと思うんです。  現に各地の行革推進委員会などの答申を見てみますと、例えば倉敷市では、民間委託推進、定時制高校、保育園、幼稚園の統廃合、職員の定数管理の適正化などを打ち出しています。船橋市でも、小学校、保育所などの給食業務を委託、三年間で職員百六十人削減などを打ち出しています。  東京の国立市では、保育園、学校用務員、清掃工場等を委託し、八十人を削減。調布市でも、公立保育園の民間委託などを打ち出して、全国の自治体リストラの中で民営化、定数削減の対象となっているのは主として現業部門に向けられています。  現場の民営化、現場部門の切り捨てであるわけでありますけれども、この方向でいけば住民本位の自治体の業務との兼ね合いが大きな問題にならざるを得ないわけであります。地域の現場や現実に足場を持たないで手足の機能をなくした行政が、住民や地域との接点を失っていかざるを得ない。公的ヘルパーを持たない自治体では高齢者保健福祉計画策定も民間に依存せざるを得ないなど、私に言わせれば自治体の空洞化的な状況も生みかねない状況であります。憲法、地方自治法の空洞化につながりかねない、こういうことであります。  そこで、大臣にお尋ねするわけでありますが、これでは産構審報告に示されました公共サービスの市場化の促進に自治体が協力させられて、そのあげくには自治体の空洞化を生んで地方自治の衰退ということにもなりかねない結果が生まれるのではないかと懸念される状況に今直面しつつあると思うんです。憲法、地方自治法の精神を危機に陥れかねない、本来の姿が失われかねないという状況、こういう点で自治体を所管する大臣として、こういう問題に対してきっちり物を言うべきことは言って、地方自治の本来の姿を守るという立場で対応すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  134. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 将来の行政ニーズの増大というようなことを考えますと、公共サービスというもののあり方、これもやはり大きな課題ではなかろうかという問題意識かと思います。  この産構審の報告の中で、公共サービスのあり方といたしまして「基本的には公的主体がサービスを提供する分野」とか、「本来、民間でもサービスが提供可能な分野であるが、公的主体と民間の両者がサービスを提供している分野」、それから「サービスは民間が提供し、公的主体は施設設置もサービス提供も行わず費用負担のみを行う分野」というような形で、広く公共サービスと民間の関係をとらえられているわけでございます。  その産構審の中間報告にございます「公共サービスの市場化」という言葉が適切かどうかはともかくといたしまして、やはり今後の行政サービスの、特にここで掲げられておりますような医療とか福祉とかあるいは文化、教育というような面につきましては、現在におきましても民間と公共と両方でサービスの提供等を行っているというようなことも考え合わせますと、今後とも公共のサービスというものと民間のサービスというものとの連携というものを考えながら、行財政の運営とも絡めて適切に機能を分担するとかあるいは連携を強化していくとかということは必要ではなかろうかと思っているわけでございます。  そういう中におきまして、委託ということが適切なものは、委託は今申し上げましたことの一つのタイプにすぎませんけれども、そういう委託が必要なものにつきましては委託をして、その方が行財政の効率からいいましてもあるいは住民のサービスの向上からいいましても適切だと思われるものは委託をしていく、あるいは物によりましては公共と民間との機能分担をはっきりさせていく、あるいは連携を強化していく、そういうように多面的、多様な対応をしていくことが必要ではなかろうかと私どもは考えているところでございます。
  135. 有働正治

    ○有働正治君 今の答弁を聞いていますと、財界等が要望しているのに対して、自治省としてその言いなりになりかねないということを非常に危惧します。自治省のスタンスが非常に問題だと。自治体が産業界の下請機関なり仕事場にもなりかねない事態が生まれかねない、自治体の本来の姿が失われかねない、こういうことにもつながる大問題が今生じているという認識がない。  自治体の仕事というのは、憲法、地方自治法の精神にのっとって、地方住民の平和的生存権を保障して、住民の生命、人権、財産権を守り、福祉を増進させる、そういう点から申しまして、このリストラ計画あるいは民営化への移行という問題については今本当に根本的に見直すということが求められているということを厳しく指摘して、今後この問題を引き続き追及していくということを述べて、質問を終わります。
  136. 田村公平

    ○田村公平君 倉田自治大臣、四月二十七日には私どもの高知県においでいただきまして、ありがとうございました。その際に、国籍条項のことにつきましても現地で記者会見をしていただきまして、おかげさまで四月三十日、連休の最中でございましたけれども、一応の決着を見たようでございます。  ただ、公務員部長の方にもお願いしておきたいんですが、先般私が質問をさせていただいたときに非常にあやふやな部分もあったものですから、まだまだ火種が残っておりますので、そのことをまず冒頭お願いして、質問に入りたいと思います。  実は自治省におかれましては、ふるさと農道事業、ふるさと林道事業等をやっておられますけれども、この対象事業は一体どのようにして決めておられるのか、お教えをいただきたいと思います。
  137. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 現在、ふるさと農道・林道緊急整備事業という事業を行っておりますが、これは一つの単独事業のネーミングでありまして、地域が緊急に対応しなければならない重要課題としての農道、林道、そういったものの整備について農林水産省と協力をしながら、国庫補助事業と地方単独事業を効果的に組み合わせて推進していく仕組みとして創設をいたしたものでございます。  単独事業でございますので、地方団体に主体性があるわけであります。このふるさと農道・林道緊急整備事業を実施しようとする地方団体につきましては整備計画を策定していただく、その計画の対象となった地方単独事業について、自治省地方債とそれから交付税による事業費補正を講じていくということで個々の事業が進んでいくわけであります。  先ほど申し上げましたように、そういった事業は単独事業でございますから、自治省でいわゆる採択とかそういう行為をするわけではございません。これは事業としては地方団体が計画をするものでありまして、ただ財源的な裏づけとしての地方債の許可が要るということでございます。それから、そういうことになれば当該年度に地方交付税で事業費補正を組みますが、これは数字を報告していただければ交付税の中に組み入れていくということでやってございます。  規模としましては、平成七年度の場合で申し上げますと、当初計画は大体千五百億の計画で見込んでおりましたが、実績は約千四百五十億ほどで、ちょっと切っております。今のはふるさと農道事業でありまして、ふるさと林道の方につきましては、当初計画が千二百億でしたが、実績見込みでは一千二十億程度ということであります。ただ、七年度は途中の補正の段階で景気対策等の関連もありまして計画規模を膨らませております。  農道については千八百億、林道については千四百億と膨らませておりますが、実態としてはそこまでいかなかったようでございます。
  138. 田村公平

    ○田村公平君 今のお話を聞きますと、地方単独事業であるから地方が勝手に決めておるように聞きました。それから、今、起債の許可の話が出ました。それと交付税の問題も出ましたが、何らかの基準がないと、勝手に地方が決めてこの事業をやるんだというふうにはいかないと思うんです。  何らかの地方の意見を十分取り入れているのか。  我々は通常、ふるさと農道、ふるさと林道と呼んでおりますが、この事業の許可というものが当然考えられるんですけれども、そういう許可基準がもしあるのであれば教えていただきたいし、ないのであればそれはないで結構です。もしそのような許可基準があるのであれば、どのような審査を行っているのか。  そして、今お話がございましたけれども、例えば林道でいえば林野庁の方あるいは農道であれば農水省の構造改善局、そして該当する地方自治体、そして自治省、いわゆる三者協議がなされているのかいないのか。地方単独事業で地方が勝手にやって、それにいわゆる起債、交付税が本当に自動振り込みでついてくるのなら、これはまさにありがたい制度だと思うんですけれども、その実態を許可基準等々を含めてぜひ御答弁願います。
  139. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 許可基準といいますか整備計画の策定をするときに、一応基幹となるような緊急に必要な農道をつくってください、その場合にはこういう財源手当てをしますよという形になっておりますので、その計画の対象となる地方単独事業の要件というものを文言では定めてございます。  具体的に言えば、集落間あるいは集落と基幹的な道路もしくは公共施設等々を結ぶ農道あるいは林道といったようなことの開設あるいは改良事業ということであります。農道の場合でいいますと、受益面積がおおむね十ヘクタール以上のもの、それから幅員でいいますと四メートル以上の農道、これはトンネルとか橋梁とかそういったものでもオーケーであると、そういう定性的な基準を示しておりまして、地方がその基準に合致した計画をつくり、起債の許可をしていただければ財源措置はしますということになります。そして、それについては地方交付税の上で当該年度に事業費補正をすると同時に、許可した起債については後年度、地方団体財政力にもよりますが、三〇%から五五%までは交付税の基準財政需要額の中に入れていく、算入をしていくという形になります。  それから、各省庁との話でありますが、私どもがこれを最初に農林省に御相談したときの経緯を申し上げますと、農道とか林道は補助事業であるわけであります。例えば林道でいいますと、事業費が年間千五百億ぐらいあるわけでありますけれども、地方団体からよく聞く話は、基幹の林道で完成するまでにとにかく大変事業年度がかかってしまう、農道につきましても同じ苦情がよく聞かれるわけであります。確かに補助事業ですから補助事業で完成されるのは結構なんですけれども、そんなに長い年月がかかったんでは、実際に地元の住民の方たちが受益するまでに非常に時間がかかってしまう。そういうことがあったものですから、農道とか林道について補助事業として採択をするものであっても、地方団体が単独でつくりたいというときにはそういう単独部分もつくってもいいんではないか。  それから、例えば農道や林道の場合ですと、トンネルとか橋梁とか大規模構造物になりますと非常にお金がかかりますから、そういったところは補助事業では一番後回しになってしまうというようなことがありますから、そういった点について農林省がオーケーすれば単独事業でトンネルとか橋梁とかをつくる、そのことによって全体が早くできれば地元の住民の方々に利益が早く及ぶというようなことが考えられないかということでこういうシステムを考えたわけであります。補助の部分については農林省なりが補助事業として区間を決めてやりますが、区間を外れたところで単独事業でつくる部分についてはこのふるさと農林道で自由にやってもらって結構だという形で制度を仕組んだわけであります。  したがって、自治省としては事業ができればいいのであって、どこにどういう事業をつくらなければならないかということは地方団体が自分で決めていただくという形にいたしております。
  140. 田村公平

    ○田村公平君 では、いわゆる許可基準とかそういうものはその事業についてはないと、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  141. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) ただいま申し上げましたような性格のものを考えておりますから、そういう一定の基準に満たないものについては、つくられるのは結構ですけれども、財政的な支援措置としての対象にはならないということでございます。
  142. 田村公平

    ○田村公平君 つまり財政的な支援措置の対象にならない、じゃ、対象になるためにはやっぱり審査基準があるということですね。
  143. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 先ほど申し上げました農道であれば受益面積が十ヘクタール以上とか、それから幅員が四メートル以上とかそういうものでありまして、二メートルのものをつくりたいといっても、それは単独でといいますか、財政措置のない事業でやっていただくということでございます。
  144. 田村公平

    ○田村公平君 農水省来ておられると思いますけれども、ちょっと教えていただきたい。  今、自治省の方から話がありましたような、それほど綿密な打ち合わせを本当に現実問題としてなさっているんですか、教えてください。
  145. 仲建三

    説明員(仲建三君) お答え申し上げます。  今、委員から御指摘のあった点でございますが、都道府県段階におきましても、自治省さんと連絡をとり合ってルールを決めさせていただいているわけでございます。都道府県段階でも、農道部局なり林道部局それと企画財政部局と十分連絡調整をしていただきまして、そういうのをまた今度は県段階から国段階へルールにのっとりまして計画を出していただく、そういうことを通じまして整合性を図っていく、そういうふうなルールでやっておるところでございます。
  146. 田村公平

    ○田村公平君 御案内のとおり、農道等であれば、例えば農林省の構造改善局でやるという場合、国営総合農地だとか、あるいは大規模林道については、大規模林業圏推進連盟の会長を大分県知事がやっておりますけれども、いわゆるスーパー林道という一つの大きなフレームの中で、グランドデザインの中で、例えば四メーターなら四メーター、毛細血管のように林道が走って初めて間伐もできるし、大変疲弊しておる中山間地域の山で働く人たちの仕事が楽になる。もちろん、それを山元にある程度おろしてきて、そして過積載の問題もありますが、十一トン車に積みかえてそれぞれの原木市場なりに持っていく。  そういうグランドデザインの中で、いわゆる地方単独事業という名のもとで、今、自治省が言うのには、農道でいえば十ヘクタール以上、四メーター以上であれば、それは大きな構造物であろうと、トンネルを掘れば、水道を掘れば金がかかることも知っています。自動振り込み的に財政措置がなされるということなんですが、そういうグランドデザインの中における、つまり私が言いたいのは、蛇が卵を飲み込んだような農道や林道ができても困るわけです、現実問題としては。  つまり、対象ヘクタール数が十ヘクタールというのはある意味で大変小さいですし、小さいと言えば怒られますけれども、そういう意味での整合性は本当にとっておられるんですか。両省、ちょっと御答弁お願いします。
  147. 仲建三

    説明員(仲建三君) 林道につきましてお答えさせていただきますが、要は、先生御案内のとおり、林道につきましては都道府県知事さんの立てていただきます地域森林計画というのがございまして、そこで我が県ではここの地域にこれぐらいの林道が必要だというような計画を一応立ててやっております。  もう一方、国庫補助事業の方につきましては、これはやはり補助事業でございますから、採択基準を、例えば利用区域がどれぐらいとか、それから延長距離が、こう言っては失礼ですが、余り短くてもあれなんで、ある程度のキロ数が必要だとか、そういう採択基準を設けております。  そういう地域森林計画に乗った中で採択基準に合ったもの、それはいわゆる林野庁の補助事業という形で、国庫補助事業として都道府県なり市町村等に実施をしていただいておるところでございます。  もう一方、自治省さんの方で地財措置で、いわゆるふるさと林道でございますが、これにつきましても、先生がおっしゃるいわゆるグランドデザインと申しますか、今申し上げました地域森林計画に乗っかっている道、そういうグランドデザインの中で、先ほど財政局長の方からお答えございましたが、例えば進捗率アップのためとかそういうことで同じグランドデザインの中で国の補助事業をする、さらには地方単独事業ということをやっていただいておるわけでございます。端的に申し上げまして、その両々相まって林道の整備がよりスピードアップされる、それによって林業の振興のみならず山村地域の生活の改善については活性化が図れる、そういうふうに理解しておるところでございます。
  148. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 今、農林省の方から御答弁がありましたが、県でいいますと、基本的にこれを考えるセクションというのは、例えば農道でありますと農政部でありますとか、それから林道でありますと林政部であるとか、そういうところが計画として考えるというように理解をしていただいたらよろしかろうと思います。  私どもの方は、農林省と関係部局と翌年度の財政計画を決めるときに、全体の事業量とそれに見合って地方債の規模を決めていかなくてはいけないものですから、事業費を大体どのぐらい一年間にできるであろうかということを協議してお互いに決めてまいります。  それをベースに私どもは総務部長会議で、財政当局には、来年度はこのぐらいの大きさで何%ぐらいの伸びでやりましたよと。そうすると、県の財政当局もそれを理解した上で、現場であります農政部あるいは林政部から計画が上がってくるものについてやろうかどうかという内部の意思決定をしていくというように、自治省と農林省、それから県の中では現場の部局と財政当局それから市町村からも上がってまいりますから、それにつきましても地方課でありますとかそういうところと調整をとって全体の事業が行われるというようにお考えをいただいたらよろしいかと思います。
  149. 田村公平

    ○田村公平君 起債という観点から見れば、当然許可があるということは理解をいたしました。  では、いわゆる地方分権推進する立場の自治省としては、この地方単独事業であるところのふるさと農道やふるさと林道の実施に当たって、そういう起債なんかの許可というのはもうやめたらどうですか。全部地方にそのまま上げちゃった方が本来の地方分権になるんじゃないですか。  前に僕もちょっと質問させてもらいましたけれども、結局そういう地方交付税、お金の面ですね、起債の許可ということで、間接統治というよりもこの場合は直接になりますけれども、地方自治体を抑えておるように思うんですが、その点いかがでしょうか。
  150. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) この問題は起債の許可の問題とはちょっと性格が違うと私は思っております。  許可の問題は、先ほど続委員の方からも御質問がありましたけれども、現在は許可制度といいましても、この制度自体もそうでありますけれども、実際には地方団体が組み立てて自主的にやれば、その部分については総枠の中で、各県から起債の枠の中で計算をして上がってまいりますので、こういう要件に合致している事業であればそこで自動的に許可をされるということでございますから、一件一件査定するということはないわけでございますので、そういった点はやっぱり別に考えるべきものではないかと思います。要するに起債の許可制度と交付税との関連、これを考えたときには、地方団体が自由に起債をやったものを、それじゃどうやって交付税で元利償還を後から追っかけていくんだというような問題が自動的に出てくるわけであります。  委員もよく御存じのとおり、高知県は非常に過疎団体が多いわけですけれども、過疎債という制度が今ありまして、過疎債の枠というのも、三千五百億なら三千五百億と決めましてそれを地方団体に配分するわけでありますけれども、その配分をした過疎債については七〇%、後年度元利償還が交付税の中に算入されているわけです。それは許可制度があるからそういうことができるわけで、地方団体が勝手に過疎債をやってその七〇%は交付税の中で見ていくんだという制度は、なかなか制度としては打ち立てにくいというような問題が出てまいります。  だから、そういう点は別途方法論があるんではないかということで考えなきゃならない問題かもしれませんけれども、許可制度というのはそういう利点もあるわけでありまして、このふるさと農林道も起債を通じて交付税で追いかけていくということは、地方団体がそういう事業をしやすくなるという意味では意味があるというように私どもは考えております。
  151. 田村公平

    ○田村公平君 だんだん本音が聞けてありがたいんですけれども、結局、間接統治になるように僕は受けとめておるんです。結局、起債の許可があって、後を地方交付税で追っかけていく。それは局長、非常に正論を今おっしゃったわけです。  だから私は、さっきの山本一太先生の質問じゃないけれども、何となくちょっと納得できないなという部分があるんです。ずばり地域住民から見れば、自治省の起債が入っていようと交付税で充当されようとそんなこと関係ないんですよ。林野庁がやろうと構造改善局がやろうと、農道は農道であって林道は林道です。  だから、そういう意味でいえば、本当に地方分権自治省がおやりになる気であれば、そういう意味での総枠において、あなたのところの地方自治体はこれだけの能力だからここまでですよという総枠だけはめといて、あとは任せればいいというふうに思います。私は与えられた時間がだんだん少なくなってきたものですから、そこをちょっと強調しておきます。  ただ、財政力の弱い地方公共団体の場合、現実問題として起債というのは非常に厳しいですよね。つまり公債費比率が二〇%を超えているような場合に、起債への交付金、交付税を導入することよりも、逆に言えば、私どものような中山間地域の多い過疎の山村では、起債といえども早い話が借金ですから、補助金を手厚くする方がより形が見えやすくてわかりやすいんじゃないかというふうに思いますけれども、これは局長、いかがですか、また農水省もお答えください。
  152. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 起債といいますが、補助事業に対する裏負担についても起債が入る場合もあるわけであります。起債というのは地方団体が必要とする財源を措置する制度であるわけでありまして、これは補助金とは目的がちょっと違うというようにまず第一に思います。  それから、地方債と交付税の問題でありますけれども、地方債というものは借りれば元利償還を地方団体はしなくちゃいけないわけであります。  私どもがふるさと事業ということでこのハードの事業を考えてまいりました当初の物の考え方は、従来、起債の元利償還金についても、どちらかというと単独事業のものについては人口とか面積、そういったものを指標として元利償還金を地方団体に配分しておったわけであります。  これは仕事をやってもやらなくても同じ額が来るということでありまして、昔のように単独事業が補助事業の七割とか八割とかいう時代ならいいわけでありますけれども、今のように単独事業が補助事業の一・八倍もやるというような時代になりますと、そういう交付税の配分の仕方というものが地方団体自主性を育てることになるんだろうかということから出発しているということも御認識を賜りたいというふうに思います。
  153. 仲建三

    説明員(仲建三君) 農道、林道につきましては、これは先生御案内のとおり農林業振興の本当の基本となると申しますか、基盤でございます。  そして、農林業の振興のみならず農山村地域の活性化と申しますか、定住条件の改善、これにも資するわけでございます。  農林省サイドといたしましては、そういう農林業の振興を目的とするという大きな眼目があるわけでございますものですから、国の立場としていろいろなその採択要件と申しますか、要綱とか要領をつくりまして、それをクリアしていただいたところにつきまして補助事業ということで実施させていただいておるところでございます。  したがいまして、先ほどお話しございましたとおり、もう一方、地方財政措置ということでもやっていただいておるわけでございますが、これにつきましても補助事業でなかなか十分行き渡らないところに進捗率アップもしていただいておりますものですから、先ほどお答えしたとおり、補助事業それから地方財政措置、両々相まって農林道の整備、これが進められ、そして農山村の活性化が図られると、そういうふうに理解しているところでございます。
  154. 田村公平

    ○田村公平君 時間が来ましたので終わりますが、自治省もそういう意味では地方を大事にしていただいて、弱い地方がひどい目に遭わないようにして、先ほど言いましたように間接統治はぜひないようにお願いをします。  それから、きょうは警察庁、済みませんでした。十分に時間があると思ったんですが、もう少しぱっぱっと行けばよかったんですけれども。  終わります。
  155. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会