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1996-04-09 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月九日(火曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 山本 一太君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣  倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        自治政務次官   山本 有二君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        消防庁長官    秋本 敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        総務庁行政管理        局管理官     浜田 恵造君        総務庁行政監察        局監察官     鎌田 英幸君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を  改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉田自治大臣
  3. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま議題となりました消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、消防団員等公務災害補償等共済基金を、消防団員等公務災害補償等共済制度の公正かつ確実な実施を確保しつつ、民間法人化し、その経営活性化及び効率化に資するため、役員選任財務等についての政府関与縮小する等の所要改正を行うものであります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、消防団員等公務災害補償等共済基金に関する事項についてであります。  まず、役員選任について、自治大臣による任命制を廃止し、基金における選任に対し自治大臣が認可すること、財産目録及び事業状況報告書等に係る自治大臣の承認に関する制度を廃止し自治大臣への提出のみとすること等、国の関与縮小を図ることといたしております。また、基金目的及び業務について所要規定整備を行うこととしております。  第二に、指定法人制度導入に関する事項であります。  基金のほか、自治大臣指定する者は、消防団員等公務災害補償責任共済事業及び消防団員退職報償金支給責任共済事業並びに消防団員等福祉事業業務を行うことができるものとし、その指定の手続、要件等を定めることといたしております。  第三に、消防団員等公務災害補償等責任共済について、消防団員等公務災害補償等責任共済契約の締結、市町村等に対する経費支払い等に関し所要規定整備を行うとともに、消防団員等福祉事業内容消防団員等公務上の災害を防止するために必要な事業を加えることといたしております。  そのほか、この法律の題名を消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律に改めるとともに、罰則その他について所要規定整備を図ることといたしております。  なお、この法律は、一部の経過措置を除き平成九年四月一日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小山峰男

    小山峰男君 私は、今回の法律案につきまして御質問させていただきたいと思います。  まず、この法律案によりますと、消防団員等公務災害補償等責任共済事業指定法人制度導入されるわけでございます。消防団員等公務災害補償等共済基金自治大臣指定する法人とが並立して消防団員等公務災害補償等責任共済事業を行うというふうになるわけでございますが、この指定法人制度導入するねらいというのをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 今回の改正案は、特殊法人整理合理化一環といたしまして、消防団員等公務災害補償等共済基金民間法人化しようとするものでございます。  これによって導入をされます指定法人制度につきましては、消防基金以外の自治大臣指定する法人消防団員等公務災害補償等共済事業に資することができるようにするものでございます。  これによりまして、この事業につきましては消防基金制度的な独占が排除されまして、消防基金経営活性化であるとか事業効率化であるとかに資してまいるというふうに考えておるところでございます。
  7. 小山峰男

    小山峰男君 ただいま特殊法人整理合理化一環として自治省でお考えとお聞きしたわけでございますが、自治省には特殊法人二つしかないということで、苦し紛れの整理合理化かというふうにもお見受けするわけでございます。それにしても、ある意味では非常に中途半端な形になっているんじゃないかというような感じにも受けるわけでございますが、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  8. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 今回の改正案は、御指摘もございましたが、行政改革一環といたしまして特殊法人見直しを行うこととされたことに対応して、自治省所管特殊法人につきまして、法人あり方であるとかあるいはその事業について真剣な検討を重ねてまいりました結果、消防基金民間法人化を図ることといたしたものでございます。  具体的には、指定法人制度導入あるいは役員選任等につきまして国の関与縮小することによりまして、消防基金経営活性化であるとかあるいは事業効率化を図ろうといたしておるところでございまして、行政改革の理念に沿いました特殊法人見直しとして意義あるものというふうに考えておるところでございます。
  9. 小山峰男

    小山峰男君 この問題についてはまた後ほどお聞きしたいと思います。  次に、この消防基金自治大臣指定した法人とでは掛金の額とか給付水準などがどのように調整されるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団員等公務災害補償等責任共済制度、これは先生御存じのとおり、消防団員の方々などが安んじて消防防災活動に従事することができるようにしますために、消防団員等公務災害補償あるいは消防団員退職報償金支給に要します経費につきまして市町村掛金原資として市町村が共同して補てんすると、そういう公共性公益性の高い制度でございます。市町村の間で災害補償退職報償金支払いの額あるいはまた掛金の額が異なるというようなことは適当でないと考えられますので、指定法人につきましても、こうした額につきましては消防基金契約している場合と同一にしたいというように考えているところでございます。  また、消防基金指定法人がその実施に努めることとされております消防団員等福祉事業につきましては、消防基金指定法人それぞれが常勤地方公務員について実施されます福祉事業の実態を考慮しながら、それぞれの判断で実施をするということにいたしておるところでございます。
  11. 小山峰男

    小山峰男君 給付水準あるいは掛金が同じというようなことであるとすれば、指定法人制度導入するという意味が本当にあるのかなという気もいたすわけでございまして、その辺もう一度お願いしたいと思います。
  12. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 指定法人制度導入することによりまして、これまで消防基金が独占的に行うこととされております消防団員等公務災害補償等共済事業に、自治大臣指定する法人が参入できる道が開かれるということになります。  したがいまして、市町村等はそのような指定法人ができますと、消防基金または指定法人のいずれかと任意に契約をすることができるということになってまいります。そうなりますと、基金にとりましていわばライバルが登場するということにもなってくるわけでございまして、消防基金及び指定法人経営努力が促されまして、経営活性化効率化が促進されるというように考えられるわけでございます。
  13. 小山峰男

    小山峰男君 この指定法人につきましては、民法三十四条の公益法人指定するということになっているようでございますが、現実問題として、現在全国の市町村基金に加入しているという中で、新たにこういう民法三十四条の法人が設立されてくる可能性というのはほとんどないのではないか、むしろ絶無に近いんではないかというふうに思われるわけです。そういう意味では、確かに制度的には競争原理というようなものが導入されてくる可能性はあるとしましても、現実問題としては非常に少ないんではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
  14. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 今回の改正によりまして、法律で定める指定要件を満たしている法人につきまして、申請があれば消防団員等公務災害補償等共済事業を行うことができるというように制度的な道を開くわけでございますけれども、現在のところ、具体的に特定の団体が申請してくるという見通しを持っているものではございません。ただ、将来のことについてどうかということについては、今の段階では何とも申し上げようのないという状況でございます。
  15. 小山峰男

    小山峰男君 先ほどもちょっとお話がございまして、今もあったわけでございますが、今回の改正行政改革一環というようなこともあったと思いますし、また規制緩和競争原理導入というような目的もあるようでございますが、そういうことだとすれば、指定法人というようなことじゃなくて法律で一定の水準を決めるなりをして、現在民間でやっております損保会社とかそういうところにやってもらうということも考えられたかどうか、むしろその方がより競争原理導入にもつながってくると思いますし、経済の活性化にもつながるんではないかという気もいたすわけでございますが、その辺どうでしょうか。
  16. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 指定法人制度導入するに当たりまして民間会社もその対象にしてはどうかということでございますが、先ほども申し上げましたけれども消防団員等公務災害補償等についての責任共済制度、これはそれぞれ市町村掛金原資としながら市町村が共同してその経費を負担する、補てんする、こういう仕組みでございまして、極めて公共性あるいは公益性の高い事業ということでございます。  営利目的とする法人がこの仕事を行うということについてはやはりまだなじめない部分があるんじゃないかということで、私どもといたしましては、この事業実施することとなる指定法人につきましては営利目的としない公益法人であることなどを要件として、民間損保会社等営利法人考えていないところでございます。
  17. 小山峰男

    小山峰男君 一応の理屈はわかるわけでございますが、公益性の高い事業につきましてもいわゆる民間法人がやっている例というのはかなりあるというふうに思っております。輸送関係だとか電気だとか、かなり公益性あるいは公共性の強い事業民間会社もやっているわけでございまして、この辺は将来の課題として御検討をいただければというふうに思います。  次に、消防団員常勤消防職員補償というような問題について差があるかどうかということをお聞きしたいわけでございますが、火事の現場で災害を受けるというような状況についてはどちらも同じというふうに思われるわけでございます。その補償考え方あるいは現状等はどうなっておるのでしょうか。
  18. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 非常勤消防団員公務災害補償常勤消防職員公務災害補償制度、これは補償の種類あるいは支払い額計算方法などにつきましては基本的には同じ考え方に基づいた制度ということになっております。  ただ、消防職員常勤職員、そして消防団員非常勤職員でございますので、年金等算定基礎となる金額につきましては、消防職員につきましては被災日前三カ月の平均給与額基礎とする、それに対しまして消防団員につきましては勤務年数及び階級に基づきまして政令で補償基礎額を定める、こういうやり方の違いという点がございます。常勤職員との均衡につきましては、それぞれ十分配慮しているところでございます。
  19. 小山峰男

    小山峰男君 できるだけそういう形で、消防団員につきましても十分なる補償、そういうものをぜひお考えいただきたいと思います。  次に、現在の制度では市町村が一人幾らというような形で掛金を掛けているわけでございますが、この部分については交付税算定がなされているというふうにお聞きしております。今度、この指定法人等契約をしたというような場合についてもその辺は消防庁として十分面倒を見るということになるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団員等公務災害補償等共済制度は、たびたび申し上げておりますように、市町村支払いを要する経費につきまして市町村掛金原資として共同で補てんするという内容でございます。  こういう制度公共性にかんがみまして、市町村消防基金に支払う掛金につきましては地方交付税基準財政需要額に算入をする、そういう財源措置がなされているわけでございますが、消防基金のこのたびの民間法人化によりまして指定法人共済事業実施するという場合におきましても、この事業公共性に変わりはございません。  市町村指定法人に支払う掛金につきましても、消防基金への掛金と同様に地方交付税により財源措置がなされることを私どもとしては予定をいたしておるところでございます。
  21. 小山峰男

    小山峰男君 次に、自治省所管特殊法人は現在のこの基金ともう一つということで二つでございます。そのほかに、いわゆる自治省所管認可法人あるいは公益法人というようなものがたくさんあるわけでございますが、それぞれ幾つあるかお聞かせいただきたいと思います。
  22. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) まず、自治省及び消防庁所管をいたしております認可法人でございますが、平成八年四月一日現在で十八ございます。  それから、同じく公益法人は四月一日現在で七十三になっております。
  23. 小山峰男

    小山峰男君 自治省だけでもかなりの管轄法人があるわけでございます。行革一環としてこれらの認可法人あるいは公益法人についても合理化あるいは見直すべきだというようなことが決定されているわけでございますが、そういう整理統合あるいは合理化等についてどのようにお考えか、またどのような状況になっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  24. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 私ども所管をいたしております公益法人等につきましては、省内にプロジェクトチームを設けて検討してまいりましたが、平成七年度末までに一応の結論を得まして、公益法人のうち財団法人地方自治協会財団法人地方行政システム研究所、これを平成八年四月一日から統合することにいたしております。また、財団法人国際消防交流協会は、ほぼ役割を果たしたという観点から平成七年六月で解散を行ったところでございます。  それから、自治省所管認可法人でございますが、これらは地方公務員災害補償基金あるいは共済組合関係法人でございまして、いずれも地方公務員社会保障制度あるいは福利厚生制度の一翼を担うという重要な役割を果たしております。そういう観点に立ちながら、今後とも事業運営合理化効率化に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 小山峰男

    小山峰男君 こういう認可法人あるいは公益法人等につきましても、その整理合理化等につきましてさらなる御尽力をお願いしたいと思います。  ここで、自治大臣にお聞きいたすわけでございますが、この前の警察官の職務に援助協力した者の災害給付に関する法律でも申し上げたわけでございますが、各省間に大変似たような形の事務をやっている法人等があるわけでございまして、そういう各省間の調整というのが私も国へ来てみて大変欠けているというふうに考えるわけでございます。  自治大臣にお聞きしていいのかどうかわかりませんが、こういう法人整理につきまして各省間の調整をどのようにしていったらいいか、国務大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  26. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 小山委員からただいま御指摘がございましたように、法人整理合理化というのは、政府全体として各府省庁間の連絡を密にして調整を図っていくということが肝要なことだろうと思います。  御案内かと思いますが、公益法人の設立てあるとかあるいは監督事務であるとかというものに関しましては、昭和六十年六月十日に事務次官会議申し合わせというのが行われまして公益法人等指導監督連絡会議が設けられて、各府省庁間で統一的な取り扱いが図られますように調整を行ってきているところでございます。  冒頭申し上げましたように、認可法人も含めまして政府全体としてこれらの法人整理合理化を図っていく際には、各府省庁間の調整、連携というものを図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  27. 小山峰男

    小山峰男君 内閣一員としてぜひ連絡調整を十分にやっていただいて合理化を図っていただきたいと思います。  時間が来ておりますが、総務庁にこのことに関連してお聞きするわけでございますが、総務庁としては、各省関連特殊法人あるいは認可法人などにつきましてトータルとしての対応策を当然図っているというふうに思います。閣議決定等でいろいろ改善の案が出ておるわけでございますが、拝見しますと大変安易な部分整理合理化等が行われているという印象を強く受けております。本当に国民が望んでいるような整理合理化が行われていないというふうに思っておるわけでございますが、今後の取り組みについて総務庁の方からお話をいただきたいと思います。
  28. 浜田恵造

    説明員浜田恵造君) 認可法人を含めました特殊法人等につきましては、ただいま先生指摘のとおりこれまで見直しに取り組んでまいりました。  特殊法人につきましては、すべての法人事業合理化効率化、特にその中では十六の法人の八法人への統合、それから現在御審議いただいております消防団員基金を含めます五つの法人の廃止、民間法人化等改革を昨年閣議決定させていただきました。このうち、今国会には統廃合対象法人の約半数に当たります九法人統廃合民営化等について法律案提出されております。  また、認可法人につきましても、昨年末の行革大綱におきまして、通信・放送機構中央職業能力開発協会、日本下水道事業団あるいは各共済組合について個別に合理化効率化方策を決定いたしますとともに、その他の認可法人についても、行政代行的機能を果たしているものにつきましては見直しを踏まえ、事業合理化効率化推進することを決定いたしました。  今後につきましては、これらの閣議決定に基づきます改革をまず着実に推進していく必要があると考えております。また、行政改革は不断に取り組むべき課題でございますので、昨年末には特殊法人のディスクロージャー、いわゆる財務内容の公開の一層の推進閣議決定いたしましたが、統廃合等早期実施を含めまして、引き続き改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  29. 小山峰男

    小山峰男君 ぜひ総務庁なりが指導性を持って各省間の壁を破るような行革を進めていただきたいと申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  30. 小川勝也

    小川勝也君 小山委員に引き続きまして質問をさせていただきます。一部重複するところがあるかと思いますが、御容赦を願いたいと思います。  私は、この法案提出された経緯について改めて確認をさせていただきたいと思うわけでございます。先ほど来、小山委員から御指摘があったとおり、平成七年二月二十四日の閣議決定及び十二月二十五日の閣議決定によってこの法律案のもとが築かれた。その中に、各省とも行革のために血を流すように、あるいは独占的な事業運営はなるべく避けるようにというふうな括弧書きがつけられたように記憶しておるんですが、その辺の御認識を大臣に改めてお伺いしたいと思います。
  31. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま小川委員お話にもございましたが、今回の特殊法人見直しに当たりましては、自治省におきましても所管特殊法人につきまして、法人あり方さらにはその事業につきまして真剣な検討を重ねてきたところでございます。  その結果、平成七年二月二十四日の閣議決定特殊法人整理合理化について」におきまして、「消防団員等公務災害補償等共済基金については、消防団員等公務災害補償等共済制度の公正かつ確実な実施を確保しつつ、早期民間法人化する」というふうにされたところでございます。  さらには、お話にもございましたが、平成七年十二月二十五日の閣議決定「当面の行政改革推進方策について」におきまして、「消防団員等公務災害補償等共済基金については、平成九年四月一日を目途に民間法人化することとし、所要法律案次期通常国会提出する。しとされたところでございます。  今回の改正におきましては、これらの経緯を踏まえまして、消防基金のほかに自治大臣指定する者も消防団員等公務災害補償等共済事業実施することができるようにするとともに、役員選任事業の執行に対する国の関与縮小等を行いながら、消防基金経営活性化効率化に資することとされておるところでございます。
  32. 小川勝也

    小川勝也君 長々と御答弁いただきましたが、私が聞きたかったのは、閣議決定に基づいて、内閣方針だから仕方なくこの法案を出したんだということをお伺いしたがったわけでございます。  御案内のとおり、村山内閣が一応行政改革をやりたいということで内閣を発足させた、そのいきさつは皆さん御案内のことかと思います。今国会に次々と出されている法案、どれも実のない法案ばかりでございます。そして、今回の法案自治省内部において真剣な御議論があったということでございますが、私は、いかに自治省として傷を浅くするかという議論だったのではないかなというふうに思うわけでございます。  逆に考えてみますと、村山内閣行革方針というのは、どんな省庁もみんな一律に血を流すべきだ、例えば改革しなきゃならないあるいは合理化しなきゃならない特殊法人をたくさん持っている省庁一つ出せ、自治省のようにたった二つしか特殊法人を持っていない省庁一つ犠牲にしなさい、こういうことだったと思うわけでございます。ですから、自治省としては地方分権をリードする省庁でもございますし、自治省内部において政府行革に協力しようという姿勢はあったとは思うんですけれども村山内閣のつくりましたその行革路線に対しての御不満というのがいろいろあったように思うわけでございます。  前内閣を引き継いで橋本内閣の閣僚として御就任された倉田自治大臣自治大臣としてそして行革推進しなければならない橋本内閣一員として、村山前内閣のつくった行政改革へのレールをいかに認識しておられるか、御不満はないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  33. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 私といたしましては行政改革の理念に沿って行った選択である、こういうふうに理解していることをまず小川委員にも御理解賜りたいというふうに思います。  同時に、特殊法人見直しにつきましては、御議論にございましたように、村山内閣におきまして行政改革一環として重要な課題という位置づけをいたしました。各省庁において所管をするすべての特殊法人等役割、意義につきまして、徹底した見直しを行いまして整理合理化推進するというふうにされたところでございます。  自治省といたしましても所管特殊法人について見直しを行った結果、ただいま御審議をいただいている法案提出に相なったところでございます。御指摘のように、各省庁ごとに所管をいたしております特殊法人の数に差異はございますけれども自治省といたしましては自治省としての立場で、現下の重要な課題である行政改革の遂行に関しましてできる限りの努力を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  34. 小川勝也

    小川勝也君 改めて申し上げる必要もないかと思いますが、地方分権もあるいは規制緩和についてもそうでありますが、このような行政改革のように、行政に携わっている方々が仕事ができにくい案件に関しまして国務大臣のリーダーシップというものが改めて問われるわけであります。今まさに行革が必要だと自治大臣おっしゃいましたけれども、今までのように役所の権益を大臣がどうやって役所の皆さんと守っていくのかということではなくて、私は、国の将来のために国民のために何が必要かという観点から大臣としてのお仕事をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それでは、ちょっと法案の方に入らせていただきますが、私は、自治大臣指定する者、「指定法人」というところでお伺いをしたいと思います。  先ほど来、小山委員からも質問がありましたけれども民間に変わります基金と同じ仕事をする法人にどのような法人を想定しているのか、お伺いしたいと思います。
  35. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防基金以外に自治大臣指定を受けて消防団員等公務災害補償等共済事業を行うことができる法人につきましては、提出申し上げております法案の中にも具体的な要件を定めております。  これに基づいて現在のところどういう団体を考えているのかということでありますれば、それにつきまして現在具体的に特定の団体を想定しているものではございません。法人指定するということになりますと、具体的な事業実施計画や事業実施するための財産的な基礎、収支見込みなどについて判断をされるものでございますが、今申しましたように、現段階で具体的に特定の法人を想定しているわけでもございませんし、ましてや自治省所管公益法人指定法人の申請の意思を持っている法人があるというようにも伺っておりません。
  36. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど質問にも重なりますけれども、せっかく法律をつくってもこの指定法人にだれも立候補してこなかったということに結果的にはなるかもしれませんけれども、例えば立候補をする指定法人、三十四条法人ということになりますけれども、ここにいろいろと細則を定めてあるわけですね。  これは自治省の方々、消防庁の方々がつくった法律でございますので、例えばこのぐらいの要件をつくればだれか立候補してくるであろう、こういう厳しい方針を立てればだれも立候補できないということがわかるわけでございますので、万が一、基金と一緒に同じ仕事をする指定法人にだれも参入しないということが、あっていいとは思いませんけれども、その辺お伺いしたいと思います。
  37. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 先ほどもお答え申し上げましたように、責任共済事業の性格からいたしまして公共性公益性の高いものである、したがってこの事業が的確に実施をされるということの見通しを得た上でこの事業を行う法人指定するということが必要だろうと思います。その意味合いで、法律にも具体的な要件を定めるというようなことにいたしているわけでございます。  この制度ができました場合に指定法人の申請がないということになればどうかといいますと、現行どおり消防基金によって共済事業が行われるということになりますけれども、今回の改正によりまして、消防基金による共済事業制度的な独占が排除されるということ、そしてまた消防基金に対する国の関与縮小が図られるというようなことから、消防基金経営につきましては一層の活性化あるいは事業効率化に資するものというように考えております。
  38. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど小山委員から、自治省所管する認可法人公益法人の数が質問されました。先ほど来の長官の御答弁の中で、指定法人になれるかどうかというのはこれから財産目録であるとか事業内容であるとかを提出しなければ審査できないということでございましたが、基礎的な要件というのがいろいろあると思います。その基礎的な要件に合致する自治省関係法人はどのくらいあるのか、お答えいただきたいと思います。
  39. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 先ほども申し上げましたように、この事業の性格からいたしまして、指定要件として公益法人であることなどを定めておりますが、具体的に現時点で指定法人として想定をしている法人があるわけではございませんし、また先ほども申し上げましたように、自治省所管法人でそのようなことを希望している、考えている法人があるとも聞いておりません。
  40. 小川勝也

    小川勝也君 この法律案の中をずっと読んでみますと、指定法人になるためにはなかなか高いハードルを越えなきゃいけないということがわかります。例えば第三十八条、三十九条、四十条に書いてあるんですが、まず三十八条は、財産的基礎がなければいけない、そしてその二項に、全国の区域に及ぶものでなければいけないと。そして、私は四十条に着目しておるんですが、「指定法人役員選任及び解任は、自治大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、これは何を意味しているのでありましょうか。  例えば、文部省所管特殊法人がこの基金に参入したい、これは永田町や霞が関の方だったらわかると思いますけれども、一般的に文部省所管法人自治大臣の認可を受けて役員をかえるなんということはあり得ないわけですね。ということは何を意味しているかといいますと、指定法人になり得るのは、今までも自治大臣に認可を受けていたかあるいは自治省関係をしていた法人に限られるわけでございます。そのことをもって私は、責任ある発言とは申しがたいんですが、日本消防協会が将来的にこの基金と同じ仕事をするのではないかということを考えておるわけでございます。  この日本消防協会について、役員の数、人員、国からの資金のあるなしについて、あるいは自治省消防庁から人が送られているかどうか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  41. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 指定法人につきましては、たびたび申し上げておりますように、その事業の性格から公益性を担保することができるような一定の要件を定めておりますが、今具体的に特定の法人を想定しているものではございませんし、また具体的に名前を挙げて御指摘のございました日本消防協会がその事業をやりたいという意思を持っているというふうにも伺っておりません。  日本消防協会についてでございますけれども役員構成は、平成八年四月一日現在で、会長一名、副会長九名、理事長一名、常務理事二名、理事十五名、監事五名及び代議員百九名、この百九名のうち二十八名は理事等と兼務ということになっております。これらの役員、大半の方々は都道府県消防協会の役員であって消防団長をしている方々ということでございます。常勤役員であります理事長一名、常務理事二名につきましては、その出身は理事長が自治省、常務理事が自治省及び警察庁ということになっております。また、職員数は平成八年四月一日現在で三十一名ということになっております。  また、日本消防協会に対する補助金につきましては、この協会が行っております火災予防思想普及事業消防団員の教育訓練事業に対しまして、平成七年度におきまして三千五百八十九万五千円の補助金を交付しているところでございます。
  42. 小川勝也

    小川勝也君 日本消防協会の事業というのに今おっしゃられました火災予防の宣伝等あるわけでございますが、何か基金に似た仕事をしておるように承っておるんですが、その辺はいかがでしょうか。
  43. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 御指摘意味がよくわかりませんが、似たような事業と申しますか、消防協会の事業として福祉共済事業といったようなことをやっているものはございます。
  44. 小川勝也

    小川勝也君 この日本消防協会を私が挙げましたのは、いわゆる例ということでございます。  民間に移行する、そして新規参入して独占を避ける、この法律内容でございますが、今御答弁をいただいたとおり指定法人にだれが立候補するのか全く想定しておらない、それはそういうことで承っておきましょう。しかし、競合するあるいは立候補してくる指定法人が結果的にゼロになる可能性は当然あるでしょう。ただ、私が申し上げたいのは、競合する指定法人自治大臣役員選任及び解任の認可を受けなければ効力を発しないという条文でも見られるように、いずれにしろ、自治省が今まで関係しておった方々しか指定法人にはなれないんではないかと私は確信をしているところでございます。  初めに私もこの法律案の骨子を見せていただいたときに、指定する法人というのはどんなものかわからなかったものですから、先ほど小山委員指摘されましたように、例えば損保あるいは損保協会あるいはその他の保険会社がやるのかなと思ったのでございます。例えば経営合理化だけを図るんでしたら、基金の仕事、確かに公益性の高いものでございます。しかし、我が国において今の損害保険協会や損害保険会社は極めて公益性の高いものでございますし、仕事の分量から考えましても、合理性に関しましては特殊法人やそれにかわる基金の類ではないということもわかっているからでございます。  冒頭申し上げたとおり、村山内閣の余りすばらしいとは言えない行革方針に基づいて、一省一項何かやってくださいと言われたので仕方なく提出した法律案だということは重々承知しております。自治省の方々や消防庁の方々が何ら責めを負うものではございません。  ただ、改めて何度もお伺いするようでございますが、大臣自治省に入って一緒に仕事をやっておられる、このことに注目したいわけでございます。行政改革は国家国民の将来のためにやるということを改めて考えていただいて仕事に邁進をしていただきたいと同時に、もし仮に新しい法人が誕生しなかったり、日本消防協会を初めとして自治省関係指定法人が誕生してこの民営化された基金と同じ仕事をするということがいわゆる行革になるのかどうかということを改めて聞きたいのであります。まあ御答弁は要りませんが。  今回、行革関連法案ということで提出をされました。この法案が、自治省においての行革の最後ではないと私は思います。もし大臣行政改革が本当に必要だという理念がおありになるならば、自治省における次の行政改革は何か、あるいはもう一つ残った公営企業金融公庫の行政改革についてどういう方向性、方針をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  45. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 委員御指摘の公営企業金融公庫につきましては、平成七年二月二十四日の閣議決定、再三申し上げるようですが「特殊法人整理合理化について」に基づきまして、電算化等によりまして事務の一層の効率化を図るとともに、また資金調達の効率化、多様化によりまして資金コストの低減に努めてまいりますとともに、公庫が政府に依存する体質から脱却をしさらに自立的経営を強めるという立場から、引き続き国庫補給金の縮減を進めることというふうにいたしておるところでございます。
  46. 小川勝也

    小川勝也君 この法案に関しましては、私もこの法案が出されましたいきさつあるいは出さなければならない事情をしんしゃくいたしまして賛成をさせていただきますが、自治省において、特に倉田自治大臣に対しまして、行政改革は役所や永田町のためにやるのではなくて、国の将来のためにやらなきゃならないんだということを本当に肝に銘じていただいて、御精進いただきますことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  47. 有働正治

    ○有働正治君 まず、消防団基金につきまして、事実確認を含めて幾つかお尋ね申し上げます。  現行法第十二条の国庫補助に関する規定の問題でありますが、例えば昨年なり本年度、国庫補助はどういう目的で、だれを対象に、幾ら出されてきたのか、今度の法改正でこれはどうなるのか、お示しいただきたいと思います。
  48. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防基金につきましては、業務に要する経費のうち人件費の一部につきまして国庫補助を交付しております。その額は、平成七年度におきましては五千九百八十五万六千円でございまして、平成八年度予算案におきましては六千二十万五千円が計上されているところでございます。  民間法人化に当たりましては、当該法人の経常的事業運営経費に対する国庫補助は廃止をするということにされておりますので、今回の消防基金民間法人化に当たりましても、この国庫補助は廃止の方向で見直すことといたしております。
  49. 有働正治

    ○有働正治君 年間およそ六千万円の国庫補助金が出されていたのが今後廃止になるということですけれども、そうなりますと基金はその分の金をどこから捻出するということになるのでありましょうか。
  50. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 民間法人化に当たりましては、今も申し上げましたように経常的な事業運営経費に対する国庫補助は廃止の方向で見直すことといたしておりますけれども、これによる影響につきましては、事務合理化効率化など消防基金の内部努力によって対応することといたしております。
  51. 有働正治

    ○有働正治君 いま一つお尋ねしますけれども、最近、政府特殊法人基金民間化した事例、これをお示しいただきたいと思います。
  52. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 特殊法人基金民間法人化した例というお尋ねでございますが、自治省にもこれまでございませんし、他省庁所管でもないというふうに承知をいたしております。  基金以外の特殊法人民間法人化した例は、自治省一つございますものを含めて七法人あると承知いたしております。
  53. 有働正治

    ○有働正治君 基金民間法人化、これはないということであります。  それから、特殊法人等に対する補助金を調べてみましても、農業者年金基金政府の補助金として一千百五十億、石炭鉱業年金基金に一千万円、厚生年金基金連合会に六億五千八百万円、国民年金基金連合会に十五億三千二百万円、いずれも平成六年度分でありますけれども出されているわけであります。ほかとの兼ね合い、それから消防団基金が設けられた当初からの目的、設立の趣旨等からいってもこれは問題があるということを言わざるを得ないわけであります。  結局、国庫補助金がおよそ六千万円廃止されまして自助努力によるということになりますと、その分、市町村の負担あるいは消防団員への給付の切り下げ等の懸念もあるということも指摘しておきたいと思うのであります。  次に、消防団員の処遇改善問題についてお尋ねするわけであります。  消防団員の処遇につきましては、国の地方交付税で裏づけされて一定の改善措置がとられてきた、これ自体は私も承知しています。しかし、例えば共済給付の現状では、死亡の場合の遺族年金は子供がいる場合で四百万円程度、親も子もいない場合で百万から二百万円程度、退職報償金支給額は団長、副団長が十五年から二十年勤続で三十七万五千円、団員で二十五万円程度と承知していますが、まだまだその仕事の重大性等にかんがみまして大きな改善の余地が残されているということを感ずるわけであります。  そこで、自治大臣にお尋ねしますけれども、百万人近い消防団員の皆さん方の仕事の重要性にかんがみまして、この処遇改善について大いに力を入れていただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
  54. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団員の処遇につきましては、有働委員も今お触れになりましたけれども、これまでも地方交付税の算入等を通じまして改善に努力をしてきたところでございます。消防団員の労苦に報いるためには、団員の報酬を初め公務災害補償基礎額や退職報償金の基準の引き上げなど、その処遇の改善につきまして今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  55. 有働正治

    ○有働正治君 所管大臣としての所見も求めたいと思います。
  56. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 消防団員の処遇の改善につきましては、ただいま消防庁長官から御答弁申し上げましたように所要の対応をさせていただいてまいっておるところでございますが、今後とも処遇の改善については努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  57. 有働正治

    ○有働正治君 関連いたしまして、消防職員の待遇、労働条件改善問題についてもお尋ねします。  消防の最も重要な仕事の一つに、火災等の災害を予防する仕事、これが明記されているわけであります。  そこで、まず事実関係をお尋ねしますけれども、全国の消防機関が行った予防査察件数は何件なのか、それは対象物のおよそ何%に該当するのか。それが十分できていないと私は思うわけでありますが、そこらあたりの理由等を簡潔にお示しいただければと思います。
  58. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 市町村の消防長等は、消防法第四条の規定に基づきまして、火災予防のために必要があるときは、施設の位置、構造、設備及び管理の状況について消防職員に立入検査等をさせることができるというようにされております。具体的に立入検査を行うかどうかにつきましては、現地の状況に応じ、当該地域の消防長等が火災予防上の必要性の有無に基づいて判断をするということになります。  具体的な件数等でございますけれども、消防法上防火対象物とされております施設は、平成六年度におきまして全国で三百十七万九千百四十二件でございまして、全国の消防機関が実施をしました立入検査の件数は延べ数で百十七万八千七百四十九件でございます。  今申し上げましたように、立入検査の件数は延べ件数でございますので、一つの施設に対して重複して検査を行っている場合もあり得ますから、施設数に対する検査数の割合ということで正確に申し上げることは難しいわけでございますけれども、いずれにしましても相当数の施設について立入検査をしているということになろうかと思います。  最初に申し上げましたように、地元の消防機関はそれぞれ必要性の有無に応じて立入検査をしているところでございまして、この検査の実施につきまして特段問題があるというように私どもとしては伺っていないところでございます。
  59. 有働正治

    ○有働正治君 随分言いわけ的な答弁であると伺いました。しかも、相当数ということでこれでよしとする態度は私は極めて遺憾だと指摘せざるを得ません。  と申しますのは、これまでも政府は、消防機関の予防査察というのは非常に重要だということを指摘して、また法律に基づいてそういう検査が行われるわけであります。確かに、今の延べ件数からいいますとパーセンテージは機械的にいかないでしょうけれども、三割台程度というふうに単純計算でいきますと考えられるわけであります。事前に予防査察によって消防からきちんと問題点を指摘して改善指導されていれば被害を出さずに済んだと、大火事あるいは多数の死傷者が出るたびにそのことが言われあるいは改善命令が行われてきたけれども、その後の点検等が必ずしも十分でなかったために大事故に至った等々の指摘も多いわけであります。そういう点で私は、相当数でこれでよしという長官の態度というのは極めて遺憾です。  そこで、大臣にお尋ねするわけでありますが、私は、国民の生命、財産を守る、しかも消防法の規定に基づく予防査察、これが十分やれないという点で、消防職員をもっとふやしていただきたい、それができる対応をしていただきたいということともかかわる問題だと思うわけであります。  大臣として、こういう予防査察を含めまして、積極的に十分対応できるように努力すべきだと考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  60. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 消防機関が行います立入検査につきましては、消防機関が火災予防上の必要性の有無に基づきまして実施をいたしているものでございまして、特段問題があるというふうには聞いておらないところでございます。  消防力の全般的な強化につきましては、今後とも充実の方向で取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  61. 有働正治

    ○有働正治君 必ずしもよしとするわけにはいかない答弁でありますが、次に具体的に進めたいと思います。  私も、現場を含めて消防職員の仕事の状況、労働環境の状況、条件等、いろいろこの間も見たりお聞かせいただいたりしたわけであります。  自治労連の消防部門の紹介で、ある消防司令補・隊長のスケジュール表を見せてもらったことがあります。午前九時の大交代、九時三十分からの車両・器具点検、十時の課長指示・ミーティング、それから火災救助出動の反省会、訓練、体力トレーニング、救助出動、火災出動、訓練計画作成事務、仮眠、救助出動、仮眠、夜間警防勤務、事務処理、署隊長会議等と続き、翌日午後帰宅となっておりました。拘束時間は二十四時間、そのうち内勤時間は十六時間、無給の拘束時間でも出動体制を続け、週休二日制になっておらず三当一休、仮眠室は大部屋とこの場合にはなっていたわけであります。やっぱり救急出動のたびに目を覚まさせられるという状況であり、様子からしまして御家族も非常に心配しておられるわけであります。  とりわけ、休暇が欲しいというとき、いろんな事情で休暇が必要な場合がございますが、それがとれないという状況であります。盆も暮れも正月も祝祭日も勤務サイクルの中で出勤して仕事をされているわけでありまして、本人の病気あるいは家族サービス、心身のリフレッシュ、冠婚葬祭等々で年次休暇を求めても、年休要員を低く見ている職場であるため、休むとかわりのだれかが呼び出されるということでついつい年休をとりづらいという実情等もこもごも訴えていたわけであります。  消防職員が休暇をとれない、こういう労働条件の改善につきましての必要な人員増、このための努力を求めるわけでありますが、いかがですか。
  62. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 休暇のことを取り上げながらお尋ねがございましたが、消防職員につきましては、災害に二十四時間体制で備えるための交代制勤務というような勤務の性格、あるいはまた火災出動時などにおきまする職務の危険性などに配慮しながらその処遇や執務環境の改善を図ることは重要であるというように考えております。  年次有給休暇の取得状況を調べてみますと、一般職員とほぼ同様の水準というように承知をいたしておりますけれども、今後とも年次有給休暇を取得しやすい環境づくりといったようなことについて努めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 有働正治

    ○有働正治君 自治労連の調査、私は相当数の自治体のアンケート調査をこの間見させていただいたわけです。  埼玉県下の五十二消防本部について週休二日制度実施状況を見ますと、多くが三当一休か三当一休八週一休などとなっており依然不十分だと。愛媛県今治市の消防職員アンケートでは、年休取得を許可されないことがあると答えた人が五割近い、一年間の年休日数五日以下の人が四十数%、こういう状況です。西条市では許可されないことがあるが三割、年休五日以下が三分の二に達しています。大阪府岸和田市では、不許可にはならないけれども勤務日が調整される、これが約五割です。許可されないことが多いが四分の一を超えている。こういう状況で、今述べられた認識は実態から乖離しているということを私は指摘しておきます。  次に、仮眠室の改善の問題。今挙げましたけれども、大部屋が多くて、しかも救急隊員と消防隊員が同じ部屋で仮眠している場合もまだ多く存在しているわけであります。救急出動があるたびに消防隊員も起こされてしまう。ジュネーブの消防の仮眠室は二十平方メートルで、テーブル、ロッカー、洗面台もあり、二人部屋となっているが実際は個室として使用されているということも聞き及んでいるわけであります。仮眠室はできるだけ個室をふやす方向で、また救急隊員と消防隊員を別にするなど改善ができるように国の助成、交付税措置の改善を求めるわけでありますが、いかがでありましょうか。できれば大臣にお願いしたいと思います。
  64. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 私の方から、事実関係等につきまして一言申し上げさせていただきたいと思います。  消防職員の執務環境につきましては、先ほども申し上げましたように、二十四時間常時即応体制を確保するための交代制勤務、そういう勤務の性格等に十分配慮したものであることが適切であると考えております。  それの関連で仮眠室の問題でございますが、個室化するという例もございますけれども、個室化するということにつきましては、従来に比べてより広いスペースを必要とするといったようなこと等いろいろございまして、なかなか簡単には思うようにいかないという面もございます。ただ、そうはいいましても、仮眠室につきましてもできるだけ改善するということで、各消防本部におきましては、空調の整備、防音、照明の調整、寝具の衛生の維持、仮眠室の少人数化、あるいは区画を設けるといったような環境の改善にそれぞれ取り組んでおられるというように承知をいたしております。  消防庁におきましても、大変細かい話でございますが、地方交付税に建物修繕費、寝具乾燥消毒費などの執務環境の改善に必要な経費を算入するといったようなこともいたしております。個室化の問題等を含めまして仮眠室の改善につきましては、二十四時間体制確保のための交代制勤務といったようなことを考えながら今後とも努力してまいりたいと考えております。
  65. 有働正治

    ○有働正治君 最後に、時間もなくなったので、いま一つの問題、先ほど消防職員の待遇、労働条件改善とあわせて大臣に御答弁いただければと思いますが、つまり水道事業における渇水対策に対する交付税措置の拡充の問題です。  昨年の渇水は、東海地方、西日本を襲い大渇水であったわけであります。交付税措置で渇水対策として全国の水道事業のために、例えば平成六年度六十八億円が出されていること等は私も承知しているわけであります。  問題は、水道料の収入が減ったがために全国で、例えば名古屋もそうですし、松山もそうですし、今あちらこちらで料金値上げが相次ぐ傾向にあるわけであります。これは深刻な住民への影響として地域社会の大きな問題になっているわけでありますが、渇水というのはいわば一種の災害現象であるわけでありまして、それが料金で住民の犠牲にすべてはね返るというのはやっぱり検討する必要がある。  渇水対策としては政府としてしかるべき措置をとっているわけでありますが、料金にはね返らないようにする上で、もっと渇水対策に対する国の手だてをふやすとかあるいは国の地方交付税でこれに対応すること等、料金値上げをできるだけ抑制するための手だて、これについての検討と改善を何とかできないか、地域住民の強い要望でありますので、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
  66. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 御質問の趣旨はよくわかるわけであります。いわゆる上水道事業などの地方公営企業の性格問題でありますけれども、その経費というのは原則として経営に伴う収入、料金によって充てるということで、独立採算が原則だというのが地方公営企業の大原則であると思っているわけであります。  ただ、地方公営企業法にも、災害の復旧その他特別の理由により必要となる財源については一般会計から補助することができるということでありまして、御質問にありましたように、渇水対策に対しては特別交付税財源措置をしたということであります。  それで、この渇水に伴って料金が減収した影響というのをどう考えるかということでありますけれども、この料金問題というものについては、将来の経営に伴う収入によって賄うというのがやはり基本となるべきものだというように考えている次第であります。
  67. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 一つは、消防職員の処遇や勤務条件についての御質問であったと思います。  御案内のように、災害に対して二十四時間の体制で備える交代制勤務をとっておりまして、その勤務の性格であるとかあるいは火災出動時における職務の危険性であるとかということは十分配慮していかなければならないというふうに思います。  現下、地方行財政をめぐる環境は委員も御案内のように大変厳しいものがございますが、ただいま申し上げましたような観点に立ちまして、消防職員の執務のしやすい環境づくり、勤務条件の改善等につきましてはさらに努めてまいりたいというふうに考えております。  なおまた、渇水時における高料金の団体に対する問題でございますが、財政局長から御答弁申し上げましたように、地方自治体は渇水によって料金の減収の影響というものが起こりますと、一時的なものであろうと思いますので、地方公共団体としては料金の急激な上昇にならぬように対処されていくであろうというふうに考えております。  しかし、そういった影響が大きい場合には、高料金団体に該当するようになった場合には資本費の一部に交付税措置を講じることなど財政支援措置をしておるところでございまして、こういう措置を活用して適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  69. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  消防団員の皆様方におかれましては、郷土愛護の精神に基づきまして本当に地域の人々のために危険を顧みず日々御努力いただいていることに感謝を申し上げる次第でございます。本日、私からは、消防団員等公務災害の防止対策に関連して質問させていただきたいと思います。  今回の改正案には、消防団員等公務災害の防止事業等の推進という内容が盛り込まれておるわけですけれども、まずこの点についての御説明からお願いを申し上げます。
  70. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団員等公務災害補償等共済基金また指定法人は、業務の執行を通じまして消防団員等公務災害に関するさまざまな事例そして情報を把握することができるという立場にございます。したがいまして、これらをもとにして基金などが公務災害の防止対策を検討して、その成果を市町村それから消防団員等に普及するということは、消防団員の安全な活動を確保する上で重要というふうに考えられるわけでございます。そういったようなことから、今回の改正案におきましては、消防基金及び指定法人がその実施に努めることとされる消防団員等福祉事業内容に、消防団員等公務上の災害を防止するために必要な事業を加えるということにいたしたものでございます。  具体的な事業でございますけれども消防団員の安全管理対策に関する調査研究や、消防団員への講習会の開催、啓発資料の作成などを予定いたしております。こうした事業実施によりまして、公務災害が防止され、補償経費の抑制、軽減、そしてまた何よりも安全な消防団活動が確保されるということにつながっていくことを期待しているものでございます。
  71. 西川潔

    ○西川潔君 公務災害につきましては、近年、直接の消防作業以外の、例えば脳疾患であるとか心臓疾患であるとかという事故がふえつつあるということも資料等々で伺っております。  そうした中で消防庁では、昭和五十二年に「非常勤消防団員の健康管理等について」という通達をお出しになりまして、消防団員の皆さん方の健康診断に対する財政支援を行っておられますが、この実施状況も含めまして、健康管理体制についてもあわせてお伺いをしたいと思います。
  72. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団の適正な活動を図るためには団員の健康の維持管理が必要不可欠でございますので、地方交付税におきまして団員の健康診断に要する経費を算入するような措置もいたしております。  平成五年度の実態調査、これは無作為の抽出調査でございますが、調査を行いました百五十二消防団のうち四十八消防団で健康診断が実施をされております。消防団員の皆さんは、その多くの方がそれぞれ職場での健康診断あるいは地域住民の健康診断等の対象になっております。そういったことで市町村による実施の割合は約三割ということでございます。  この調査結果を踏まえまして、平成六年六月に都道府県を通じてそれぞれ各市町村及び消防団に対しまして団員の健康管理の充実強化を積極的に推進していただくように指導したところでございます。今後ともその充実が図られるように努めてまいりたいと存じます。
  73. 西川潔

    ○西川潔君 引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、昨年の阪神・淡路大震災の発生後は、団員の多くの方々がみずからも被災者でありながら、消火活動あるいは倒壊家屋の下敷きになった方々の救助活動等々、本当に頑張っていただいたわけですけれども、それも延べ七万人以上の団員の方々が幅広い活動に従事していただいたわけです。  あれから一年以上が経過したわけですが、その際に公務災害に被災された方々の現況についてお伺いしたいと思います。
  74. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 阪神・淡路大震災におきましては、今も御指摘ございましたように多数の消防団員が活動してくださったわけでございます。この震災発生後の消火・救助活動などに従事をしておられました方々のうち、神戸市灘消防団の団員お一人が心筋梗塞でお亡くなりになっております。また、神戸市及び淡路島の一宮町それから五色町におきまして、合計七名の消防団員の方が活動中に負傷をしておられます。死亡された団員の御遺族に対しましては遺族補償年金等支給をされております。そしてまた、負傷された七名の方に対しましても療養補償等が支給されているところでございます。
  75. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  震災の直後から警察、消防の総力を挙げましてお取り組みになったわけですけれども、今回の災害を教訓といたしまして、警察におかれましては広域緊急援助隊、消防におかれましては緊急消防援助隊をそれぞれに創設なさったわけですけれども、今後、こうした広域応援活動には地域住民に密着した、そして消防団との連携についても大変に重要であると思うわけですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  76. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 消防団につきましては、先ほど来から御指摘もございましたけれども、阪神・淡路大震災の教訓にもございますように、大規模な災害が発生した場合に、まず地域の防災体制の重要な一翼を担うものとして今後さらにその充実強化を図っていかなければならないと思っております。  また、同時に、阪神・淡路大震災の際にもございましたように、これは主として近隣の地域からということになろうかと思いますけれども、応援出動ということもございます。消防団と常備消防とは性格の違う面がございますので、常備消防と全く同様の広域応援ということは難しい面もあろうかと思いますけれども、以上申しましたようなことを念頭に置きながら、平成八年度は大規模災害に対する消防団の活動方策といったようなことにつきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  77. 西川潔

    ○西川潔君 この点は本当によろしくお願いしたいと思います。  次に、消防機関の非常備町村における消防団員などの活動についてお伺いをしたいと思うわけですけれども、まずは消防本部、消防署が設置されていない非常備町村、消防本部が救急業務実施していない町村の現状について御説明をいただきたいと思います。
  78. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 平成七年四月一日現在で申しますと、全国の市町村三千二百三十五のうち、消防本部及び消防署を設置している消防の常備化市町村、この数は三千九十七市町村でございます。その内訳は、政令で義務づけられている市町村が三千九十三、任意実施の町村が四ということでございまして、その他の百三十八町村が消防本部等を設置していない非常備町村ということになっております。  これを比率で申し上げますと、常備化率は市町村数で九五‘七%、人口にしまして九九・五%が常備消防によってカバーをされるということになっておりまして、全国的に見ますと、主として山間地あるいは離島の町村の一部を除きましてほぼ常備化をされるというようになってきているわけでございます。  また、消防の行っております重要な業務として救急業務があるわけでございますが、救急業務実施している市町村につきましては、平成七年四月一日現在で三千百十八市町村でございます。このうち、救急業務実施を義務づけられた政令指定市町村は三千九十三市町村、残りの二十五町村が任意実施町村ということになっております。したがいまして、百十七町村が救急業務実施していないということになっております。  以上申しましたような数字を比率で申し上げますと、救急業務実施している市町村の割合は全市町村の九六・四%、全人口の九九・六%がカバーをされているということになっております。
  79. 西川潔

    ○西川潔君 平成七年四月一日現在で、非常備消防化率が全市町村で四・三%、また救急業務実施していない市町村三・六%ということですけれども、そのうち消防の非常備地域に当たっては、消防団員が消防活動を全面的に担っているわけです。  一方、救急業務実施していない地域においても約六九%の地域では、消防団に救急自動車を配置いたしまして消防団員が救急患者の救急搬送を行う消防団救急、あるいは役場内に救急自動車を置きまして役場の職員が救急患者の搬送を実施する役場救急といった補完体制を整備しているというふうに伺っております。この実態についてぜひお伺いしたいと思います。
  80. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 平成七年四月一日現在で、救急業務実施していない市町村は百十七町村ということでございましたが、その後九町村が新たに救急業務実施することとなりましたので、実態調査を行いました平成七年五月の時点におきましては百八町村が救急業務の未実施町村でございました。  この救急業務実施町村百八のうち、今も御指摘ございましたけれども、役場で一一九番通報を受信して役場職員等が救急自動車等で救急出場するといういわゆる役場救急、これを実施している町村が七十二町村でございます。また、一一九番通報を消防団本部で受信をしまして、これは一般には役場にございますけれども、団本部に参集した団員が救急自動車で救急出場するといういわゆる消防団救急を実施している町村が二町村というようになっております。  その他の町村におきましても、御存じのとおり隣接市町村との応援あるいは診療所との連携を図ることなどにより対応しているところでございますけれども、こうした地域におきましても、事務委託やあるいは広域化を進めることなどによりまして救急業務実施体制の確立に努めてまいりたいと思っております。
  81. 西川潔

    ○西川潔君 次に、総務庁にお伺いしたいと思いますが、平成七年七月三日に関係省庁に対してなされた救急業務及び救急医療業務に関する行政監察の中で、この非常備町村における救急搬送の実施体制の整備、そして役場救急について監察結果と勧告内容が示されておりますけれども、その内容についてお願いいたします。
  82. 鎌田英幸

    説明員鎌田英幸君) 御説明いたします。  監察結果によりますと、非常備町村というのは、調査対象十三県のうち六県に三十六町村ございました。そのうちの四県の三十二町村について詳しく救急搬送の状況について見たわけでございますけれども、その内訳は、町村役場の職員が医療機関に傷病者を搬送するいわゆる役場救急、これを行っているものが十五町村で半分近くになっております。そのほかは、民間業者に搬送業務を委託しておりましたり、あるいは応援協定によりまして隣接の町村の消防本部から救急隊が出場するといったような形態になっておりました。  そこで、役場救急の出場件数というのを見てみますと、人口千人当たりの年間の出場件数が大体十四・四件から三十九・一件となっておりまして、これは消防本部を置いて救急をやっている場合の全国の平均が二十三・三件ですから、それなりのニーズがあるということがわかったわけです。  そこで、役場救急の担当職員について救急業務に関する教育訓練がどのようになっているかということもあわせて調べました。その結果を御報告しますと、役場救急の場合、その町村の職員に対しまして救急業務に関する講習を受講しろ、こういう義務はございません。ございませんけれども、そういう中で役場救急の担当者のだれも救急業務に関する講習を受講していないというような実態であるとか、あるいは講習を受講しないまま応急処置をやっている、特に機器を用いた応急処置というかなり程度の高いものをやっておったりというようなことが幾つか見られました。  こういう実態を自治省にぶつけましたところ、役場救急につきましては消防法に基づかないいわば住民サービスであるということで、必ずしもこのような我々の調査結果に基づく実態というのを御存じなかった、実態を把握していなかったということがございました。  そのような結果を踏まえまして自治大臣に対し勧告を行ったわけですが、非常備町村における救急搬送の実施体制を整備する観点から、役場救急等の実施体制、施設及び職員の教育訓練のあり方について検討してくださいということで勧告をいたしております。
  83. 西川潔

    ○西川潔君 こうした地域に住む住民の安心の確保はもちろんですけれども業務に当たる職員の安全の確保、この行政監察勧告に対して積極的な対応が必要であると考えるわけですけれども、この勧告が示された後の今後の方針ですけれども、あわせてお伺いしておきたいと思います。
  84. 秋本敏文

    政府委員秋本敏文君) 昨年度、非常備町村における救急業務実施状況を調査いたしたわけでございますが、この調査結果を踏まえまして消防団員等の教育訓練の充実について検討をしてまいりたいと思っております。  同時に、このような地域におきましても円滑な救急業務を行っていくということのためには、先ほども申し上げましたけれども事務委託などによる常備化を進めていくとか、あるいはまた現在、消防・防災ヘリコプターの整備を全国的に進めております。平成七年度、八年度、二カ年で相当大幅にふえてくることになっておりまして、平成八年度末におきましては全国で六十機近い消防・防災ヘリコプターを保有するということになってまいります。そういったヘリコプターを活用した救急システムの整備を進めるとか、そういうようなことも含めながらこういった地域における救急業務についても鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  85. 西川潔

    ○西川潔君 地域性にもよりますし、本当に勉強してまいりますと大変奥の深い、命にかかわる大切なことでございますし、また大変難しいことも省庁間でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  団員の皆さんにおかれましては、ボランティアとして有事の際には危険を顧みず身を投げ出して業務に当たっていただいていることにこの場をかりて本当に感謝を申し上げますとともに、そうした方々の公務災害の防止対策につきましては全力を挙げてお取り組みいただくことをお願い申し上げます。  最後に、大臣に御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  86. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 御指摘にありましたように、消防団員が安んじてその活動に従事してまいりますためには、その活動によります災害に対して補償が的確に実施されるということは不可欠なことでございます。あわせまして、公務災害の防止対策を推進することは極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。  今回の改正案におきまして、消防基金及び指定法人に、消防団員等福祉事業一環といたしまして公務災害を防止するために必要な事業を行うよう努めることの規定が設けられておるところでございます。公務災害を防止するための事業推進をされることによりまして、消防団活動における安全の向上が図られまして公務災害の減少に結びつくことを期待いたしておるところでございます。
  87. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  88. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部改正案に対する反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、改正により現行法の第十二条「国の補助」の条文が削除され、年間約六千万円の基金への国庫補助金が廃止されるからであります。  今回の改正案には、基金役員任命制の廃止等国の関与縮小、評議員会の設置、消防団員等公務災害の防止事業等の推進など当然の措置として賛成できるものも含まれていますが、この補助金廃止は見過ごすことのできない問題点であります。  消防団基金は、九十八万人の消防団員などを対象とする公務災害補償退職報償金支給のために、全国の市町村を直接の対象とする責任共済の機関でありますが、民間法人化されることに伴い、基金への国庫補助金が廃止されることとなるのであります。この補助金は、退職報償金支給に対する事務経費補助として基金職員十四人分として出されているものであり、この補助金が廃止されると消防団員への退職報償金支給事務に支障が出ることとなります。  今回の改正は、市町村財政の窮迫や支給額が政府の所期する基準を下回っているなどの事情により消防団員等への災害補償が不十分なので、国庫から基金への補助の道を開いた旨政府自身が説明してきた基金創設当時の目的、しかも今日なお有効と考えるその目的を否定するものと言わなければなりません。  反対の第二の理由は、改正により国庫補助金が廃止され、基金に対する国の責任が薄れ、基金の財政基盤を弱めるおそれがあるからであります。  基金は、廃止される国庫補助金の分を捻出するため、その資金運用で才覚を発揮し収益を上げるか、または市町村の負担をふやさざるを得なくなります。資金運用は大きなリスクを伴うものであり、そのツケが市町村消防団員へ押しつけられることにもなりかねません。  今回の改正の一方で、国の政策として設けられた農業者年金基金、石炭産業年金基金など特殊法人等への国庫補助金を続け、また最近、こうした基金民間化した例がないことなどの点から見ても合理的な改正理由とは言えません。  消防団は、消防本部・署が置かれていない非常備町村にあっては消防活動を全面的に担っており、常備化市町村においても初期消火、残火処理等に活躍しているほか、多数の警防要員を必要とする大規模災害時には大量の消防団員が動員され活動されており、その活動は高く評価されています。  私は、このような重要な活動をされている消防団員の皆さん方の処遇の改善と、さらに消防職員の大幅増員、その処遇改善、労働条件改善、さらに消防力全体の抜本的な充実強化のために政府が一層の力を注ぐよう要求して、反対討論を終わります。
  89. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十分散会      —————・—————