運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-28 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十八日(木曜日)    午後一時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 山本 一太君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣 倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官   山本 博一君        自治政務次官  山本 有二君        自治大臣官房長 二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官    湊  和夫君        自治省行政局長 松本 英昭君        自治省財政局長 遠藤 安彦君        自治省税務局長 佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員       佐藤  勝君    説明員        国土庁長官官房 八幡 和郎君        大蔵省主計局主        計官      三國谷勝範君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)(閣法第四一号) ○地方行政の改革に関する調査  (地方財政拡充強化に関する決議の件)     —————————————
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 平成会岩瀬でございます。それでは、質問させていただきます。  今の情勢は非常に厳しいわけでございますが、国の一般歳出は二・四%というような伸びでございますし、財政投融資も一・九%ということでまさに非常に抑制型の国の予算であるわけでございます。また、公債発行額が二十一兆余ということで、構成比二八%というふうな非常に厳しい状況の中での予算編成でございます。こういう事柄に対して国の方も財政危機宣言を出しておるわけでございまして、いろいろな政策的経費も非常に圧迫された形での影響が出てきておるというように思うわけでございます。  このような中での地方財政でございますけれども、まずもって国も節減合理化に意を用いなければならないということも考えられるわけでございまして、民間企業の経営に対しまして多額公金の投与は許されるはずもないわけでございます。昨日の読売新聞などを見ましても、末野興産に一千億円のいろいろな預金が隠されておるようなところにも、回り回ってこういう公金が投入されるということはやはり節減を図っていかなければならないと思うわけでございます。  そういう中で、地方財政につきましても平成年度非常に巨額借入金を抱えているような状況でございまして、過去最大の収支不足が見込まれるというようなことで、前に私も申し上げましたけれども、危機的な状況にあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  平成年度における地方財政について、自治省の方ではどのような対処をなされましたか、おとといの渡辺委員のお答えにもございますので簡単で結構でございますけれども、どのように対処なされたか、まずお伺いいたします。
  4. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 平成年度地方財政対策はどのように立てたか、こういうことを御質問でございます。  平成年度につきましては、歳入面で考えてみますと、所得税住民税減税をやるこの地方財政への影響額について、一つ減税補てん債あるいは交付税特別会計借り入れ財源補てん措置を講ずるという平成年度、七年度に引き続いた措置があったわけでありますが、この減税以外にも通常収支不足で、ただいま御質問にありましたように地方税地方交付税伸びが見込めないという中にありまして、一方、歳出の面では、近年における借入金から派生いたします公債費が大変増大しているというようなことで、平成年度、七年度に引き続いて巨額財源不足が生ずる見通しになりました。具体的には約五兆七千五百億の財源不足でありますが、その財源不足をどうやって埋めていくかということであったわけであります。  このため、交付税法の六条の三第二項という問題もありまして、この五兆七千五百億の財源不足のうち地方債、いわゆる財源対策債で充当する二兆三百億を除きました部分について国と地方が折半で責任を持とうという考え方のもとに、国の一般会計からの特別の加算、これは法定加算が四千百三十八億円あるわけでありますが、そのほかに臨時特例加算として四千二百五十三億円を行うほか、残りの一兆二百二十五億五千万円については交付税特別会計借り入れをいたしますけれども、その借入金の元利の将来の償還については国が負担をしていただくということにいたしたわけであります。残り部分につきましては交付税特別会計において借り入れたものを地方責任を持って返していく、そういうことによって財政対策を立てたわけであります。  最終的には、地方交付税総額を前年度より四・三%増額することができたということで、地方団体の方にも財政運営上支障はない財政計画を立てることができたというように私どもは思っておる次第であります。
  5. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 そういうような補てん措置をされて地方財政対策をとられていくのは地方にとっても非常にありがたいというふうに思っておるわけでございますけれども地方も今非常に金が不足しておるというのが実態だろうというふうに思うわけでございます。  今のいろんな地方財政対策、今年度限りのいろいろな措置かと思うわけでございますが、この中で地方交付税措置というものに対しての後の責任は国と地方で半分ずつ持とう、こういうようなことのようでございます。今の局長さんのお話の中にも入っておりましたけれども法定加算分四千百三十八億円、これは私どもあらかじめ定められていたものだというふうに理解しておるわけでございますし、臨時特例加算、これは繰り上げ償還とはいうものの過去の分を返していただくんだ、こういうふうに私どもも今まで理解しておったわけでございます。二分の一、二分の一とはいいながら、こういうのを入れ込んで二分の一ということはちょっと私どもも納得がいかないんですけれども、この点はいかがでしょうか。自治省の方の御答弁もお願いしたいと思いますけれども大蔵省の方の答弁もちょっとお願いしたいというふうに思うわけでございます。  地方におりますと、そうは思ってもこういうことについての発言の機会というのはないわけでございまして、こういう場でないとなかなかこういうこともお聞かせ願えないということがあろうかと思います。
  6. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) ただいま御答弁を申し上げましたように、平成年度財源不足が五兆七千五百億というようなことになったわけでございますので、地方交付税法の六条の三第二項の規定というものに当然該当することになるわけであります。  地方債、いわゆる財源対策債処理をいたします二兆三百億円以外の地方交付税処理をしようという三兆七千二百三十三億円について、平成年度におきましてはこれを国と地方で折半してそれぞれ補てん措置を講じよう、単年度ではありますけれども、そのことを制度化するというところで交付税法の六条の三第二項という規定をクリアしたいと考えたわけでございます。したがって、この六条の三との関連から申し上げますと、地方財政制度改正として交付税処理をすべき額の半分については国が責任を持つということにした点について御理解を賜りたいというように思うわけでございます。  確かに、法定加算四千百三十八億円、臨時特例加算四千二百五十三億円、もともと地方が主張できる金額ではないかという御指摘であります。ただ、過去の例を見ていただきますと、法定加算につきましても、これまで当該年度に丸々一〇〇%入れていただいたということはなかったわけでありますし、臨時特例加算の四千二百五十三億につきましても、平成三年から平成五年まで地方財政が国に貸したお金の一兆円ほどの残額は平成年度から年割りで決まって入れていただくことになっていたものを、地方財政がこういう厳しいときでありますだけに、それを繰り上げて償還してくださいという形で協議に臨んだわけであります。  国の方におきましても、総額二十兆を超えるような特例債を含んだ公債発行するという厳しい中で地方財政の現状というものを理解していただいて、こういった借入金ではなく現金を一般会計から交付税特別会計に繰り入れをしていただいたということについては、国の方としてもできるだけの措置を講じていただいたというように私ども考えている次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  7. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) ただいま先生からの御指摘また財政局長からの御答弁がございましたように、平成年度予算における地方財政につきましては大幅な財源不足が続くという厳しい状況にございますが、一方、いろいろ御指摘ございましたように、国の財政事情も二十一兆円を超えます公債発行に依存せざるを得ないという状況でございまして、またそのうち十兆円を超える額というのは償還財源の手当てのない特例公債に頼らざるを得ないという厳しい状況にございます。当初予算でこのような特例公債に依存するのは七年ぶりというまことに深刻な状況にあるわけでございます。  こういった状況のもとで平成年度予算におきましては、地方財源不足に係ります交付税増額措置について国と地方で二分の一ずつ負担するという措置を講ずることとしたところでございます。  このうち一般会計加算につきましては、今のような厳しい財政事情のもとではありますが、いわば特例公債に依存しながら返すという形で法定加算を上回る加算を行ったものでございますが、今回の財源不足が非常に多額でございまして、残り部分につきましては借入金償還時に法定加算することとしているものでございます。現下の国の財政事情のもとで、可能な限りの措置を講じたものということで御理解を賜りたいと思います。
  8. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 国の方も厳しいことは私も重々承知しているわけですけれども、そういう中での対策ということになりますと、じゃ交付税率をかえたらどうだろうというような議論にすぐなってくるわけなんで、国も厳しいというのは理解できるにしても、やはり地方には地方財源を付与してあげるということが必要なんじゃないかと思うわけでございます。  これはそういう中であらわれてきていることなんですけれども、もう一つあらわれてきていないのもあるわけなんで、毎年のように交わされております自治、大蔵の覚書でございます。この第五項、六項、それから八項も影響するんでしょうか、こういう中でそれぞれの額、たくさんありますので並べている時間がありませんけれども、八千億円余の当然入ってきていいものが加算されていない、こういうようなこともあるわけなんで、この点についてもちょっと大蔵省の方でお答えいただきたいと思うわけでございます。  景気対策は車の両輪のごとく国、地方を合わせてと、よくこういうことを言われておるわけです。  地方のいろいろな公共団体は一生懸命努力しているわけなんで、こういうものは払うべきものは払うという姿勢をとっておかないと、そこでの信頼関係というのは崩れていくんじゃないかというふうに思うわけでございます。この点についての御答弁をお願いしたいと思います。
  9. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 八年度公経済全体の税収状況ということでございますけれども、八年度におきましては地方税がほぼ横ばいという厳しい状況でございますが、一方、国税につきましては、前年度当初予算比二兆円を超える減少というまことに厳しい状況にあるわけでございます。  このような状況のもとで八年度地方財政対策におきましては、特例公債に依存しながら法定加算四千百三十八億円のほか、過去の特例減額に係ります分につきまして四千二百五十三億円を特例加算しているところでございます。  繰り返しになりますが、これらの措置現下財政事情でとり得る可能な限りの措置でございまして、覚書加算につきましてはその加算を行うことができなかったわけでございますが、これにつきましては後年度法定加算にすることとしているところでございます。  いずれにいたしましても、国と地方先生指摘のように公経済を支えます車の両輪でございまして、両者がバランスのとれた財政運営を行っていくことが必要と考えております。今後とも、このような基本的な考え方に立ちまして、国及び地方を通じました財政資金効率的使用経費節減合理化に努めながら、その時々の国及び地方財政事情を踏まえまして、地方財政運営支障を生じないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  10. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 苦しいというようなおっしゃり方であるわけですけれども、やはり払うべきものは払っていく、そういう中での苦しさを分かち合うという形をとらないと、それぞれの財政責任を持ってやっておるわけでございますので、これはぜひ来年以降そうしていただきたいというふうに思うわけでございます。  また、そういう中での話なんですけれども地方での一兆八千億円余の地方交付税、これについても交付税特会借り入れるわけでございますけれども、これについて地方が独自のものということでやっている、それに対する財源対策自治省の方で面倒を見たというようなことであるならば、この一兆八千億の借り入れに対して利子をつけて返してよというのもまたおかしな話じゃないかと思うわけなんで、これらは利子負担を軽減すべきじゃないかというふうに思うわけですが、この点は今度は自治省の方でお答えいただきたいと思います。
  11. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 平成年度、七年度借入金利子については確かに国が持っていただくということであったわけであります。ただ、これには若干経緯があるわけでありまして、現在の交付税法の附則三条によりまして、地方財政が足りないときには特例加算というのが本来の筋であるわけであります。そういった点から、緊急やむを得ず特例加算ができないということで借入措置を講じているわけで、そういった意味で利子は国が負担するという物の考え方であるわけであります。  今年度の場合は、法律で言いますと六条の三第二項の、単年度ではありますけれども財政制度制度改正、その制度改正というのは地方交付税で増額すべき分の二分の一は国が責任を持つ、残りの二分の一は地方責任で対処する、そういう制度改正をいたしたわけであります。したがって、国の方で責任を持っていただく借入額一兆二百二十五億五千万円の利子については国が責任を持っていただく、しかし地方の方で借り入れます一兆八千六百十六億五千万円については地方利子についても責任を持つという形になっているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  12. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 利子を持ってということであるならば、また逆に地方が自分の方で借りて対策をとるよという場合もなきにしもあらずなわけなんで、せっかくの対策でございますので、さらにもう一押しお願いをしたいというふうに思うわけでございます。  それから、昨日の新聞に出ておりましたけれども、経企庁が景気動向を発表されております。一月の指数が発表されておりまして、これが全部白丸に変わってきております。五〇%を境にしての黒丸、白丸でございますけれども、全部白丸になって景気が上がってきた、こういうように我々にとっても非常にいい話であるわけでございます。また一方では、失業率史上最高の三・四でずっと来ておるというようなことで非常にまだらな感じがするわけでございます。将来の景気も、我々一生懸命に景気浮揚を図らなければならない段階ですけれども、そんな急激な景気の上昇というのは今の社会情勢では考えられないわけでございまして、そういう中で税収確保というのも今後厳しいものがあろうかと思うわけでございます。  こういう中で、来年度もこういう大幅な財政収支不足が見込まれるというようなことがあった場合に、自治省としては、毎年毎年財源対策債でやって、しかも国税借り入れでやり、起債でそのまた残りを見るとか、こういうようなことばかりでももういけないんじゃないかと思うわけでございます。  そういう中で、来年度以降そういうことができた場合にはどういう措置をお考えになっておられますのか、これは大きな問題でございますので、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  13. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 平成年度以降の地方財政対策につきましては、今後の経済動向であるとかあるいは国及び地方財政状況などを現時点で見通すということは大変困難でございます。現段階でその見通しについて申し上げるということはできかねるのでございますが、中長期的に見まして、国、地方財政事情がまことに厳しい状況にあるということはおっしゃるとおりであろうというふうに思います。  こういった状況を踏まえまして、地方団体が当面をしています諸課題に適切に対応でき得ますように、地方税地方交付税等地方一般財源充実確保を基本としながら必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えておりますので、御理解を賜りたいというふうに思う次第でございます。
  14. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 将来のことでございますし、なかなか難しい話でございますので、ひとつできるだけの御努力をお願い申し上げたいと存じます。  それで、もう少し交付税のことに触れさせていただきますけれども平成六年十一月に地方制度調査会で「地方分権推進に関する答申」というのを出してございます。これで交付税のところを見ますと、「自主的・自立的財政運営を保障できるよう、その所要額確保するとともに、算定方法を合理的でできるだけ簡素なものとするなど、その財政調整機能充実を図っていくべきである。」、こういうふうに答申がなされておるわけでございます。  もう一つ、それから間もなく出されました「地方分権推進に関する大綱方針」、これは閣議決定のものでございます。これの地方交付税のところの項目を見ますと、「地方交付税については、」「公共団体財政需要を的確に反映させることのできるものとするなど、その財政調整機能充実を図っていくものとする。」ということで、調整機能充実を図っていくということについては両方合っているわけですけれども、何カ月も過ぎない間に、算定方法をできるだけ簡素なものとするという点が抜けてきておるわけなんです。  地方交付税、非常に難しく、いろいろな点で多岐にわたってきているわけでございます。自治省の方でもできるだけ簡略化できるような計算方法を考えてやっておられるわけですけれども、それでもまだ専門家でないとよくわからないという点があるわけなんで、この簡素化を図るという点でどのような努力が行われているのか、お伺いしたいと存じます。
  15. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 地方交付税算定方法の問題でございます。これは今御質問にありましたように、簡素合理化すべきではないかという強い御意見が片一方ではあるわけであります。ただ、現実問題といたしましては、地方交付税の特に基準財政需要額算定を通じて、地方団体行政水準といいますか、行政内容一つの指針、指標にもなるものでありまして、毎年度、各地方団体から交付税改正についての意見というものを私ども聞いて改善を加えていくわけであります。地方団体からの意見としては、各地方団体の多様な財政需要中身をできるだけ正確に反映できるように算定をしてもらいたいという意見書担当者の机の上にもうこんなにたまるぐらい来るわけであります。  私ども簡素合理化とできるだけ実態をより反映した算定方法、これは突き詰めていきますといろいろな補正を中に挟んでいきましてやや複雑な方法になるわけでありますけれども、そういった両者の間で大変難しい選択を迫られているわけであります。しかしながら、やはり国民にわかりやすい制度ということが大事でもありますので、できるだけ簡素合理化をしながら、しかも地方団体の要望にもこたえていくという両方の方法をとらせていただいておるわけであります。  近年になりまして、例えば従来はその他の諸費、人口分というものに入っておりましたが、地域づくり、ふるさとづくりの関係については企画振興費というものを独立させましたり、あるいは社会福祉費の中に入っておりました老人関係経費を分離いたしまして、六十五歳以上の人口測定単位といたしました高齢者保健福祉費といったようなものを新たに設置したりいたしまして、交付税中身がよりわかりやすくなるような措置も講じてきたところであります。  いずれにいたしましても、行革審等答申にも示されています算定方法簡素化、よりわかりやすいものとなるように今後とも努めていきたいというように思っております。
  16. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 私も若いころ、自治省皆さん交付税のことについて議論したことがあるんですけれども、正直言って地方団体での資料の把握とかいうものについては限りがあるわけなんですね。ですから、自治省皆さんと議論してもなかなか納得させられるだけの資料というのが得られないし、またそういう見方を年じゅうしているわけじゃないんで非常に歯がゆい思いをしたこともあったんです。そういう中で、全体的に見回しておられるわけでございますので、この簡素化という点、恐らく自治省皆さんの義務だろうと思うわけでございます。そういうわけで、今後とも簡素化にお努めいただきたいと思うわけでございます。  それから、時間もないのでもう一点だけ簡単にさせていただきますけれども福祉社会に向けて一番問題になってくるのは高齢者の問題だろうと思うわけでございます。そういう中で特養等施設の問題なんですが、そういう中に入られる方、これは非常に年配の方なんですね。ところが、それを介護する人も非常に年配なんです。ですから、負担が少しかかっても、介護する人ももう収入がないわけなんで、非常に負担に思うわけでございます。従来より制度としてずっと見てもらってあるわけでございますけれども福祉社会に向けて施設の面での充実、こういう点で一層御努力をいただきたいと思います。簡単でいいですが、ちょっと御回答いただければと思います。
  17. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 特に高齢者に対する財政需要につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在、高齢者保健福祉費というものを従来の社会福祉費の中から分離をして独立させまして計算するようにいたしてございます。しかもその中では、例えば老人ホームの被措置者数指標にとりまして、これは四月一日現在の数字でありますが、その指標に、かかります全国平均の一人当たりの単価を乗じる、これは密度補正という手法でありますけれども、そういった手法をもちまして各地方団体実態に近い財源措置をしているというような工夫もいたしているところであります。  また、そういういわゆる補助事業ばかりではありませんで、各地方団体では地域の実情に応じた福祉施策も展開しているわけでありますので、そういった単独事業に係る財源措置についてもこの交付税の中で充実を図っているということでございます。  今後も、御指摘のようにこの行政については地方団体として経費のかかる部分でございますので、私どももその充実に努めてまいりたいというように考えているところでございます。
  18. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 終わります。
  19. 小川勝也

    ○小川勝也君 岩瀬委員に引き続きまして、若干の質問をさせていただきます。  まず、連日議論の中心となります財政状況の認識について質問をさせていただきたいと思います。  一昨日の谷川委員の質問でも明らかになったとおり、国、地方ともに財政状況は危機に瀕していると考えております。大臣の御認識も同じであるかどうか、改めてお伺いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  20. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 我が国の財政状況は、平成年度予算におきまして特例公債発行を含めて二十一兆円に上る公債発行に依存せざるを得ないものとなっていることに加えまして、平成年度末の公債残高は、御指摘のように二百四十一兆円に増加する見込みでございます。国債費が政策的経費を圧迫するなどして、構造的にますます厳しさを増しているものというふうに承知をいたしているところでございます。  また、平成年度地方財政につきましては、地方税伸び悩み、地方交付税の落ち込みに加えまして、所得税及び住民税減税が実施をされることなどから、引き続いて大幅な財源不足が見込まれるところでもございます。平成年度末で百三十六兆円を超える多額借入金を抱える見込みとなっておりまして、さらに個別の地方団体公債費負担も増加をしつつございます。  今後、地方分権推進をされてまいります過程で、公共投資基本計画等の考え方に沿いまして、住民の皆様に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実など、現下の重要施策課題を推進してまいります上で地方団体の担う役割というものは、またこれに伴う財政需要はますます増大をするものと見込まれておるところでもございます。  こうしたことから、地方財政は国と同様に極めて厳しい状況に置かれているものと、かように認識をいたしているところでございます。
  21. 小川勝也

    ○小川勝也君 大臣も同じ御認識なので安心をしたところでございます。  先日来、議論を聞いておりますと、国も地方も非常に危機的な財政の中、その負担の割合をどのようにしようかあるいはどういう負担が適切なのかという話題に終始しているような気がいたします。  さて、このような厳しい財政状況の中での政治家の役割について大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。  今回議題となっております地方税法並びに地方交付税法に関する法律案でございますが、これは優秀な官僚機構の方々が知恵を絞りながらつくった、あるいはこうせざるを得なかったというような法律案と認識いたしますので、私どもも賛成せざるを得ないと考えております。しかし、政治あるいは官僚機構はおのずからいろいろな役割の違いがあるように私には思えるのであります。言うなれば、今回の法律案ではございますが、これはまさに官僚機構のルーチンワークの一部であると私は考えるのであります。そこで、このような厳しい財政事情の中、国も地方も大変だと。そんな中、政治家の本来の役割とは何でありましょうか。  私見を申し上げさせていただく時間をお与えいただきますれば、私どもの国は、明治以来の優秀な官僚制度と戦後できましたいろいろな諸制度がうまく機能いたしまして、戦後の復興から社会資本の充実あるいは福祉施策の充実など、目覚ましい発展を遂げて今日まで至ったと思うのであります。その前提条件にあったのが、ごく一部の時期を除いての高い経済成長率にあったと言えるのではないか。  毎年毎年税収がふえる、そして予算規模も大きくなっていく。そんな中で、例えば予算措置の中で借金財政に陥ったとしても、次の年の収入がふえるのでありますから、その借金の相対的な額の大きさが次の年には小さくなっていく、こういう予算を組む財政措置にとって非常にいい条件のもとに支えられてきた。  ただ、先ほどの役割論で申し上げますれば、政治家は、安定してふえる収入の中からあるいは大きくなり続ける予算の中から、社会資本の整備であるとか地方充実であるとか福祉施策の充実であるとか、よく言えば歳出面を中心に仕事をしてきたと言えるのではないか。そして、悪く言うのであれば、選挙を意識しながら選挙区にいかに予算を持っていくのか、あるいは業界や団体そして自分の支持母体に向けてどうやって有利な施策を実行させていくのか、そんなことを中心に仕事をしてきたのではないかと言えるのであります。そのことが、結果的に日本の隅々までこんな充実したすばらしい国ができたことも否めない事実だと私も認識をしております。  ただ、そんな中、我が国はオイルショックという大きなハードルも踏み越えて高い経済成長を維持してまいりました。しかし、先日来の議論の中にありますように、財政状況はこんなにも逼迫をしておる、あるいは渡辺委員岩瀬委員の御指摘のとおり、バブルの後とはいえ来年や再来年にたちまち税収がふえるという、そんな甘い状況ではないことは皆さんの一致した見解でもあろうかと思うのであります。  今のこの重要な財政危機を認識しながら、そして厳しい経済状況も認識しながら、私はいろんな不安定な要因というか、心配な要因を考えることができます。例えば円高であるとか産業の空洞化、あるいは規制が多過ぎて新しい産業がなかなか創出できない、そして先ほども話題になりましたが、失業率の上昇等雇用の不安、あるいは今回の住専処理によって明らかになったように、住専だけでない、ノンバンクだけではない、企業がそれぞれ抱えている不良債権の問題、これは税収伸びが期待できないということのいろいろ大きな要因になっていくかと思います。  また、財政の方を考えてみましても、国家的に農業に対してまだ保護を続けなければいけないとか、あるいは本格的な高齢社会が到来をする、そして先日来この審議の中で明らかになった四百兆円になんなんとする国、地方を合わせての借金は、将来的に少子化を迎えた後の子供たち、我々の国の次代の人たちにこのツケを回すということにほかならないのであります。そんな状況の中で、景気回復待ちというような安易な施策でいいのでありましょうか。  今回議題となっております二法の改正案、これはまさに優秀な官僚機構の仕事であると仮定をいたしまして、政治家の与えられた責務は何でありましょうか。私は、国、地方の現在置かれている財政状況と、景気回復もままならない、税収伸びも望めない今日の危機的な状況をどう打破していくのかという問題こそが国民から負託を受けた国会議員の役割だと認識をいたしますし、ましてや議院内閣制の我が国においては、政治家でありそして内閣の一員であります国務大臣責任は非常に重いと考えております。  この財政の危機をどう克服するのか、そしてどう乗り切っていくのかということに対しまして、倉田自治大臣の御所見をお伺いしたいのでございます。
  22. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 小川委員から御持論を交えまして、現下の我が国の財政状況に対するさまざまな角度からの御指摘をいただきました。その御意見に対して自治大臣として一言申し上げさせていただけるなら、橋本内閣現下の最重要課題は我が国の景気対策にあろうかと存じます。  そういう意味からいいますと、平成年度の政府予算案は景気の回復に資していくためのさまざまな施策を、御議論があるところは十分わかりますが、網羅したもので適切なものというふうに私は承知をいたしているところでございます。したがいまして、この予算が早期に成立をしていただけますように心から御期待を申し上げたいという気持ちでございます。  ちなみに申し上げますと、地方財政充実強化していきます場合には、地方税一つとりましても、また地方交付税をとりましても、なかんずく地方交付税国税五税のパイに一定の割合で求めたものでございますから、景気が回復することによって国の税収がふえるということが最も大切なことになるんではなかろうかというふうに思います。  しかし、現下地方財政につきまして今後の対策やいかんということになりますと、経済の動向であるとか、国あるいは地方財政状況などを現時点で見通すということは極めて困難でございますし、現段階におきましてその見通しにつきまして申し上げることはできかねるところでございます。  しかしながら、御指摘のように多額借入金残高を抱えております現状を踏まえますと、中長期的に見まして地方財政事情がまことに厳しい状況が見込まれるということは言うまでもございません。したがいまして、私といたしましては、このような厳しい地方財政状況のもとにおきまして、地方団体がその役割を十分果たしていけるように必要な税財源確保して、地方財政運営支障の生じることのないように努めるということが私の責務であろうというふうに認識をいたしているところでございます。
  23. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も、大臣の御活躍と景気の回復をお祈りするものでございます。  そこで、先般来議論の中心となっております地方の厳しい財政について御質問をさせていただきます。私は、地方自治体の財政をいかに好転させていくのかということから御質問させていただきたいのであります。  簡単に考えまして、地方自治体の財政の好転化には三つの点が考えられると思います。一つは、収入がふえることであります。このことについては、いろいろな議員からいろいろな角度で御質問があるかと思います。また第二には、支出を減らす。これは、つまり行政サービスを後退させるということにもなりましょう。そして第三点が、そんな中で行政のむだを省いて効率的な自治運営を目指すという点であります。  私は、いわゆる効率的な行政を目指すという地方の行革についてお伺いしたいと思います。  初めに、地方公共団体の行政改革に対して自治省としてどのような指導を行っているのか。そして第二に、行革に努めた自治体とそうでない自治体があるかと思いますが、そんな中で一生懸命行革をやった自治体がどんなメリットを享受できるようなシステムになっているのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  24. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。  第一点の地方団体の行革に対して自治省はどのような指導をしているかということでございますが、自治省におきましては、平成六年十月に、地方公共団体における行政改革推進のための指針というのを策定いたしまして各地方公共団体に通知をしたところでございます。各地方公共団体におかれましてはこの指針を踏まえまして、住民の代表者等から成ります行政改革推進委員会等を設置し新たな行政改革大綱を策定するなど、住民の理解と協力のもとに、行政需要の変化や住民ニーズに的確に対応できるための事務事業の見直し、組織、機構の再編、スクラップ・アンド・ビルドの徹底等による定員管理の適正化、行政サービス向上に向けた事務処理の改善等に取り組んでいただいているところでございます。  また、これらの地方公共団体の取り組みを一層推進するために、地方公共団体みずからが適切な進行管理のもとに自主的、主体的に新たな行政改革大綱の着実な実施を図っていくことが必要であると考えておりまして、都道府県と政令指定都市では、現在ではもうあとわずかでございますが、今年度中に全団体がこの大綱の決定を見る予定と聞いております。  今後とも、こういう方針に沿いまして地方公共団体の行政改革が計画的に推進されますよう、私どもとしても必要な指導、助言、情報提供等を積極的に行ってまいりたいと考えているところでございます。  それから、第二点目の行革に努めた団体がどのようなメリットが生じるのかということでございますが、本来、地方公共団体の行政改革は、何よりも地方団体自身がみずからの置かれた厳しい環境のもとにどういうふうにリストラを進めていくか、あるいはどういうふうに新たな住民の要請に応じていくか、また自己の政策形成能力等をどうして高めていくか、こういう点を住民とともに考えていただいて、そして行革を進めていただくことによりましてみずからがメリットを生み出していく、私どもはそういうことが重要であろうと考えているわけでございます。  現実に地方公共団体が進めておられます行政改革の中で、例えばスクラップ・アンド・ビルドによる福祉と保健等の組織再編成や職員の効果的な配置の推進、あるいは事務処理方法の改善等によりまして住民サービスの向上を図るというような実例も出ております。  また、補助金等の廃止、削減を通じまして、よりニーズの高い事業にそれを向けていくというような努力も見られております。これは一例でございますけれども、例えば昭和六十年から平成年度まで私ども調査いたしましたところ、全国で約三千億円の補助金等の削減、廃止等が行われておりまして、これらは新しい行政ニーズに振り向けられたものと考えているところでございます。  さらに、地方公共団体の政策形成機能の充実強化や職員能力の開発等を推進していただきまして、みずからの創意と工夫によって主体的な行財政運営地域づくりができる、そういう方向で努力をしていただいているところでございます。  私どもは、そういう地方公共団体のみずからの主体的な努力をいろんな面から応援させていただくということを通じて、今後も地方団体の行政改革が円滑に進みますように、私どもとしての努力も払っていかなければならないものと考えているところでございます。
  25. 小川勝也

    ○小川勝也君 私としても自治省の方々に期待をしておるんですが、何とか地方分権と相まって、自治体が努力すればするほどそのメリットを自治体あるいは住民が享受できるような画期的なシステムがないかななどと考えておるわけです。ここから先はひとり言なんですが、中央が行革ができないと地方もできないだろうなという意見も持っております。  それでは、地方分権推進に絡めて質問をさせていただきます。  先日来、地方分権推進委員会からいろいろな情報が漏れてきておりまして、いろいろな情報を新聞等で見ておるんですが、そんな中で農地転用の記事が出ておりました。これは大胆な報告であって、都道府県の知事さんの中で大部分の方が知事の権限による農地の転用を望んでおられる、これは確かにすばらしいことであるし、私は何とか実現したらいいなと思うわけでございますが、一方、我が国としての食糧の自給あるいは安全保障ということから農地をどう確保していくのか、どう担保されるのかなこという不安も生じているのであります。  それと同じ発想で、例えば地方分権、あれもこれもという形でいろいろな議論がなされておるわけでございますが、反対する側からすると、例えばそういう権限を地方に移譲するとこんなリスクを負ったりデメリットが生じてきたりするであろうと、この反対論を駆逐していくことも推進に向けて重要なことだと思うのであります。  私は分権を推進する立場から質問をしたいのであります。例えば、課税自主権の拡充や起債の発行条件を緩和してくれ、こういうような話があると思うのでありますが、これがなされますと、今以上に自治体間の格差が広がるばかりか、例えば隣接した市町村で行政サービスに大きな格差を生じたり、あるいはさまざまな税の分野で税負担の違いが出てきたり、住民サービスに大きな違いが出てきたり、格差が出てきたりと、そういう懸念もあるわけでございます。  地方分権推進した後、自治体に対するそういう最低限のコントロールに対してどのような担保を考えておるのか、あるいはコントロールの手法を考えているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  26. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。  今回の地方分権推進ということの一つの大きな目標が、推進法にも書いてございますように、国と地方団体との役割分担というものを明確にする、これが一つあることだけは間違いないと思います。そういうことで、地方公共団体が住民のニーズや地域の実情に応じた施策を積極的に展開するため、地域に関する行政を主体的かつ総合的に担って、そして企画、立案から調整、実施などを一貫して処理していく、そういうような体制を確立して地方団体の自主性、自立性を高めていくということが求められている、これは一つの大きな原則であろうかと考えております。  一方、そうはいいましても、国が本来果たすべき役割というものがございますので、できるだけ地方のことは地方にゆだねて国の役割の機能というものを純化して強化していく、これもまた今回の地方分権考え方一つであろうかと考えているわけでございます。  そういうことから、ただいまも委員御指摘になりましたように、国としての果たさなければならない役割、特にナショナルミニマムの維持確保とか、あるいは全国的な規模、視点に立って行われることが必要不可欠な事務につきましては、引き続き国として一定の役割を果たさなければならないというように考えておるところでございます。  ただ、そのような事務につきましても、その執行に当たりましては、地方公共団体の裁量にゆだねることが適当なものについては、国は極力基準の提示とかあるいは制度の大枠の制定などにとどめることが大切だろうというように考えております。また、ナショナルミニマムを超える行政サービスというのは、地方における行政ニーズに合って、住民の選択にゆだねていく、そういうことが重要なのではないかと思っているところでございます。  さらに、地方分権推進に当たりましては、地方公共団体に一定の行政水準確保と、自主的、自立的な財政運営を保障できるような地方交付税地方税等の一般財源所要額確保いたしまして、地方税財源充実を図っていくことも必要だと考えているところでございます。
  27. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の御答弁を伺っていますと、国の関与はできるだけ小さくしていこうというような発言に受けとめられるわけでございますが、そうなってきますと、いわゆる自治体間の財政力、体力という面で格差がどんどんついていくのではないかというふうに思うのであります。  そんな中で、私は前にも質問をさせていただいたわけですが、例えば体力のない、財政能力の小さい自治体が合併をして、事務事業の合理化を図ったりあるいは体力の向上を図ったりすることも一つ方法であると考えるのでありますが、その合併の促進について何か策があるのかないのか、あるいは合併をしたことによって自治省としてこんなメリットを自治体に与えたい、そんな構想がございましたらお話をお伺いしたいと思います。
  28. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) この問題につきましては、さきにも委員の方から御質問がございましてお答え申し上げたところでございますが、昨年の三月三十一日で期限切れとなっておりました合併特例法を、昨年、十年間延長していただきました。  そして、今までの特例法は、どちらかといいますと合併の障害となりますことにつきまして特例を設けてその障害を外すということを目的といたしておりましたけれども、それに追加をして、自主的な合併を推進するという立場から、例えば住民発議の制度とかあるいは地方財政措置充実等を図ったところでございます。  住民発議につきましてはもう再度お答え申し上げませんが、例えば地方財政措置につきましては、今までございましたいわゆる合併算定替え、合併をすることによって交付税が減らないようにするという保障が五年でありましたのを十年間に延長していく、そういうことも行いましたし、また合併をいたしました関係市町村が合併後の市町村の建設計画を立てまして、それに基づいて事業を推進していきます際に、いわゆる交付税と起債の制度を使って大体七割程度までは施設整備等について交付税措置できるような仕組みを取り入れました。また、過疎債につきましても、過疎市町村が合併をいたしまして過疎債の適用がなくならないようにするための措置を講じたところでございます。また、合併推進に当たりましては、都道府県が行う事業につきましても所要の財政措置を講じていく、こういうようなことをいたしたわけでございます。  私どもも、この合併の推進につきましては、合併特例法の成立以来、各地方に私どもの職員を直接派遣してその趣旨等を説明いたしますとともに、広域行政アドバイザーというものを派遣いたしまして、そして各地方団体のそれぞれの御相談等に応じるというような制度も行っているところでございます。  委員御指摘のように、私どもも自主的な市町村の合併を推進していくということは非常に重要なことであろうと思っておりますので、今後とも自主的な合併の推進について努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
  29. 小川勝也

    ○小川勝也君 最後に、御要望を申し上げて質問を終わりたいと思います。  と申しますのは、例えば続委員の東京都や谷川委員の大阪府も一つ自治体でありましょうが、私どもの国には三千三百余りの地方自治体があります。その中には、今お話にもありましたように過疎の町や村もあるのであります。  今、地方分権と呼ばれまして、分権のメリットをこれだけ享受できるという自治体もあるでしょうけれども、こんな幾らいい文章や政策が流れてきても、到底私ども自治体ではそのメリットが享受できないという自治体もたくさんあるのであります。その地方自治体も、村も町も一つ自治体でございますし、そこの地域住民にも自治が必要なのであります。日本全国で地方分権推進というのが歓迎されるような指導をこれからも続けていっていただければありがたいとお願いを申し上げます。  以上で質問を終わらせていただきます。
  30. 和田洋子

    ○和田洋子君 一昨日と今までの委員の皆さんのいろんな質問の中で、国も地方財政は大変厳しいということがよくわかり、また大臣以下皆さんの御答弁にもあることでありますけれども、今回の地方財政計画、財源不足措置公債で賄わなければいけないなどというのは、後年、私たちの子供や孫にとっては大変不幸なことでありますので、今までの御答弁にありますとおりぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。質問をさせていただくわけでしたが、これは省略をいたします。  次に、大蔵省としての地方交付税に対する考え方をお聞かせ願います。  ことし一月に出された大蔵省の「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」によれば、地方同様に国の財政が大変厳しい、そして中期的財政事情は、経済成長に伴って税収が幾ら増加しても一般歳出の増加額のすべては賄い切れないのではないか、現状における多額歳出入のギャップは年々拡大の一途をたどるおそれが強いとしております。そしてまた、財政健全化への取り組みはもはや一刻の猶予も許されないと大蔵省では言っておられます。これは、今後税収が増加をするとしても現行制度のもとにおける地方交付税をすべて確保することはできない、地方交付税制度の見直しをせざるを得ないと述べていると私には読めるのでございます。  大蔵省は、地方交付税を国債費と同様に歳出増加要因としてできるだけ削減の方向で考えておる節がありますが、大蔵省として現在の地方交付税制度についてどのように認識をしておられるか、また今後の本格的高齢化社会における地方交付税制度はどうあるべきと考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  31. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 今後の国の財政事情につきましては、御指摘ございました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」においてお示ししておりますように、既存の制度、施策のもとにおける一般歳出の増加、あるいは目前に迫った本格的な高齢化社会への対応、あるいは社会資本の整備の問題、あるいは国際社会における責任の問題、こういった財政の役割を踏まえますとまた大変厳しいものがございまして、そのことをそのままお示ししているものでございます。  一方、地方財政事情も現在財源不足が続いている状態にございます。したがいまして、今後の国、地方財政運営に当たりましては、できるだけ速やかに財政がその本来の機能を発揮できるように健全な体質をつくり上げていくことが必要ではないかと考えております。そのためには、国及び地方を通じて経費節減合理化財政資金の効率的活用に努めていく必要があると考えております。  こうした中で地方交付税交付金につきましては、従来から、その時々の国及び地方財政状況、こういったものを踏まえながら、各年度地方財政計画の策定を通じまして、地方財政運営支障が生じることのないよう所要の交付税額の確保に努めてきたところでございます。  今後とも、国と地方公経済の車の両輪でありバランスのとれた財政運営を行う必要がある、こういう基本的な考え方に立ちまして、その時々の国と地方財政事情を踏まえながら、地方財政運営支障が生じることのないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  32. 和田洋子

    ○和田洋子君 地方分権が進められる中で、大蔵省のお考えと私たち地方に住む者そして自治省の考えに少しずつ差が出てきてしまっては大変困るわけでありますので、どうぞ大蔵省交付税についても財政基盤をしっかりさせて地方になるべくの御努力をお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  次に、国庫補助金のシーリング方式による削減ということですが、地方分権を進めるに当たって国庫補助金の削減は避けて通れない問題であると思います。地方六団体も国庫補助金の半減を提言しているところであります。国庫補助金は各省庁の権限の裏づけであり、その廃止、削減は非常に困難であると思われます。  そこで、国の一般会計で採用されているシーリング方式を補助金にも導入してはどうかと私は考えております。一般会計におけるシーリングの手法は、本来政策的考慮を働かせるべき予算編成に一律的手法を用いているものであるとして批判されることがたくさんあるんですが、歳出の削減という点ではそれなりの効果があったと評価をする意見もあります。  地方分権を進めるために、国庫補助金を廃止、削減するに当たって抜本的な改革が最も望ましいけれども、各省庁の抵抗が強い中で、次善の策としてシーリング方式も検討されてはいかがかと思われますが、自治省の見解をお願いします。
  33. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 地方分権推進が私どもにとって現下の最重要課題であるというように認識をしているわけであります。そういった中で、国庫補助金の問題というのはただいま先生が御指摘になったような問題をいろいろ含んでいるわけでありますので、私どもといたしましても、地方六団体から、奨励的な補助金については四兆円あるけれども半分の二兆円は削ったらどうかという御提言があったやに聞いておるわけでありますけれども、この補助金の整理合理化というのはこれから必要なことではないかというように思っております。  その場合に、補助金のもとになっている事務自体が廃止できないかということを検討されるべきではないかというように思っています。そのこと自体が大変な合理化になるわけでありますし、そういった必要があるのではないかというように思います。ただ、現実問題としては、補助金はなくなっても地方に事務は残っている、やらなければならない仕事というものは当然残るわけでございます。そういった補助金がなくなった場合について、税源移譲など税財源地方への振りかえというものが私はやはり必要になってくるのではないかというように思っている次第でございます。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕  いずれにしても、今後地方分権推進委員会でいろいろな御議論がなされることだろうと思います。そういった議論を踏まえながら、国と地方の役割分担に応じた地方税財源充実強化あるいは地方分権推進といったことに私どもも力を尽くしてまいりたいというように思っている次第でございます。
  34. 和田洋子

    ○和田洋子君 そこで、行政改革のお話をしょうかと思いましたが、小川委員が大変いい質問をされて、地方団体における行政改革大綱の策定も着々と進んでおるという話を聞きました。地方分権を進める中で、自治省は行政改革をどうぞお進めいただきたいと思います。  次は、地方団体への外部監査導入の必要性についてお尋ねをいたします。  地方分権を求める機運が高まっている中で、一方では食糧費だの官官接待だの地方団体をめぐる不祥事件も数多く出ております。地方分権によって地方団体に自主独立の財源確保されることは重要でありますから、その使途については不透明でなく住民に十分な情報を開示する必要があると思われます。そのためには外部の監査制度を導入すべきという多くの意見があります。  平成六年九月、地方六団体の「地方分権推進に関する意見書」の中で、外部監査制度の導入を提案しております。政府の地方制度調査会も専門小委員会を設置して外部監査制度について検討をしており、来る四月に報告のまとめをされると聞いておりますが、小委員会での検討状況はどうなっているのでしょうか、お尋ねをいたします。
  35. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 地方団体の外部監査制度導入に関する御質問でございますが、現在、御指摘がございましたように、第二十四次地方制度調査会におきまして監査制度のあり方全般について検討をいたしているところでございます。  その中の議論として、現在論議が進んでおります地方分権推進というようなことを考えますと、これから地方におきます責任が非常に重くなること、またこれまでは国のいろんな形での関与でもって、言ってみれば外からの監査、検査というようなものがあったけれども地方分権が進みそういうものをできるだけ少なくするという方向になりますと、やはりみずから監査を充実していかなきゃならないだろうという観点、それからいろいろ大変おしかりを受けております地方団体の公費の使い方、こういう点からも監査機能というものをもっと充実強化するべきである、そういうことが地方制度調査会全体の意見の流れであろうかと考えております。  ただ、この外部監査制度の導入に関しましては、一方では現在の監査制度とこれをどう調和させていくかという問題が一つございます。それからまた、地方自治というものを尊重した上で外からの外部監査というものを入れる場合にどういう形でその調和を図るか、また組織や財源をその自主性を尊重した上でどういう形で確保していくか、また技術的にも非常に難しいあるいは制度的にも解決しなければならない幾多の問題があろうという意見も出ております。  したがいまして、この二十四次地方制度調査会、実は四月の末までの任期になっておりますのでこれからもまた議論をしていただくことにはいたしておりますが、そこでの議論がどういう形に落ちつくか、私どもとしても非常に注目をいたしているところでございます。
  36. 和田洋子

    ○和田洋子君 小委員会の今までの流れをお聞きしたわけですが、それでは自治省としてはどういうお考えをお持ちですか。
  37. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。  自治省といたしましてもこの監査制度のあり方には非常に大きな関心を寄せておりまして、私どもも独自にいろいろ研究を行ってきております。  ただ、今申し上げましたように、二十四次地方制度調査会で精力的な議論をしていただいておりますので、まずは専門家地方制度調査会の御意見というものを踏まえて対応していかなければならないのではないかと思っているところでございます。
  38. 和田洋子

    ○和田洋子君 平成年度からふるさとづくり事業が三年間延長されたと聞いておりますが、これまでの地域づくり事業、ふるさとづくり事業についての成果をお尋ねいたします。
  39. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 自治省では、昭和六十三年度の後半から平成年度にかけましてみずから考えみずから行う地域づくりを実施いたしまして、引き続いて平成年度から平成年度にかけましては地域づくり推進事業という形で、また平成年度から平成年度、今年度までは引き続きまして第二次のふるさとづくりという形で一連の事業を展開してまいってきております。  端的に申し上げますと、これによりまして従来の中央の発想あるいは国主導といった形ではなくて、地域主導の地域づくりあるいは地方団体の自主性、自立性を生かした地域づくりが展開されるようになってきたというふうに考えております。  こうした事業、施策を活用されまして、地方団体では本当に広範にわたるいろんな事業を実施していただいておるわけでございますが、例えばソフト事業についていいましても、町づくり等を含めた人材の養成でございますとか、あるいは地域のイメージアップ、あるいは各種の地域間交流事業、地域経済の活性化とか文化の振興、ハード事業についていえば、もっと広く各種の基盤整備も含めて取り組みが行われてきております。  こうした取り組みを通じまして、先ほど申し上げましたように、まさに地域の創意工夫によります個性を生かした独自の地域づくり推進が図られてきておるわけでございますが、同時に、これらとあわせまして、市町村長さんにお聞きしてもおっしゃることはそうでございますが、これによりまして住民の行政、地域づくりに対する参加意欲が高まってきたということを言われておられますし、同時に、市町村の職員を含めた企画能力が高まってきたということも言われております。同時に、私ども喜んでおりますことは、こういうことを通じまして市町村のイメージアップとか知名度が高まるということで、地域住民の郷土に対する誇りを持つ意識も高まってきたかなというふうに思っております。こういったことがこれまでの事業の大きな成果ではないかというふうに思っております。
  40. 和田洋子

    ○和田洋子君 大変すばらしい成果だと思います。  でも、反面におきましては、例えば隣の町で温泉を掘って、どうしてうちの町では温泉が掘れないんだろうとか、そういういろんな問題があったり、また各事業がどこを切っても全部金太郎あめじゃないかなんということも言われているわけでありますけれども、ふるさとづくり事業を推進してきた上での難点と、今回、事業を三年も継続されるという意味はどんなものでしょうか、お知らせ願います。
  41. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 先ほど申し上げましたように、昭和六十三年度以降、実質的には七年度間にわたってこの事業を実施してまいったわけでございます。各市町村では、これまで住民の参加も得ていろんなアイデアを出し合って計画をつくってお取り組みをしていただいております。その中には、東京の目から見ていろんな問題があることも恐らくあろうかと思いますが、同時に、それは地域の目から見れば大変大事な仕事もたくさん展開できているというふうにも思うわけでございます。  おっしゃるように、事業のいろんな展開の中で、隣と同じようなものを競い合ってつくっているんではないかという御批判があることも確かに重々承知をいたしておりますし、当初の原点に立ち返ってみますと、みずから考えみずから行うというこの言葉にあらわれておりますように、自分たちの地域のことを自分たちで考えて個性豊かな地域づくりをということがこの本来のねらいでございますから、そのねらいにマッチする事業の取り組みが本当にできたか、そこに市町村間の温度差が出てきている面はどうしても否めないところがあろうかと思っております。  そういう点、平成年度以降、大変厳しい財政環境下で、改めて三年間ふるさとづくり事業を推進することといたしているわけでございますので、先ほど申し上げましたように、市町村においてみずから考えみずから行う、広く住民参加のもとに計画的、効率的な事業の展開が行われますように私どもも指導に努めてまいりたいというふうに思っております。
  42. 和田洋子

    ○和田洋子君 今回の地方財政計画においても、地方単独の事業の拡充が図られて大変すばらしいと思います。  これらの事業なんですけれども、例えば器をつくっても、美術館をつくってもなかなか絵が買えないとか、老人施設をつくっても中のものが買えないとか、維持管理、そういうものについてぜひ温かい配慮というか、箱物をつくってあとは勝手におやりというやり方ではなくて、その後のことについてもぜひ温かい配慮をお願いしたいというふうに、私は地方の議員でしたので痛切に感じておりましたが、その点はいかがなものでしょうか。
  43. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 御指摘のように、先ほど総務審議官の方からも御答弁がありましたが、各地方団体でふるさとづくり事業などのシステムを利用して、これは単独事業でございますから、地方団体で工夫していろいろな施設を自分たちの責任においてっくるということで、大変積極的な取り組みが行われてきたわけであります。  私ども心配いたしておりますのは、立派な施設はできたけれどもその中身についていろいろ御批判もある、そういったところも地方団体の方でいろいろ工夫して積極的にやってもらいたいという意味もあります。  それから、施設をつくりますと、ソフトの事業内容だけじゃなくて、どうしても維持管理費といったようなものも増大をしてくるわけでありますが、この点については、一般的には地方財政計画を通じて維持管理費の必要財源確保して交付税の単位費用の中に算入をしているわけでありますけれども、市町村がふるさとづくり事業などでつくった施設については御質問にありましたような趣旨を生かしたいということで、その管理運営費を基準財政需要額算定する場合にきめ細かく算定をしようということで、具体的には、その施設の建設に使いました地域総合整備事業債の額がありますが、最高でその一%を自動的に交付税の中に算入するという制度をつくっております。  最高で一%と申し上げましたのは、非常に大きな施設をつくった場合にその一%といいますと小さい施設の場合と随分差が出てしまうものですから、大きな施設、大きな額になりますと少し低減をさせるという意味で最高一%という意味でありますけれども、そういう具体的な施設をつくったものに着目して基準財政需要額に算入する方法を講じているところであります。  平成年度でそれによる増加額が大体四百三十億ぐらいでございますが、今後も地方団体実態等を踏まえてそういった点についてもよく考えていきたいというように思っております。
  44. 和田洋子

    ○和田洋子君 仏をつくって魂を入れないんではなくて、ぜひ最後まで面倒を見ていただきたいと思います。  昨今問題になっている特別地方消費税の見直しについてお尋ねをいたします。さきの税制改革において導入することが決定している地方消費税が平成九年からいよいよ施行され、分権時代を間近に控え地方税制も新たな出発点に立つことになります。  この地方消費税の導入に関連して一つ気になることとして、特別地方消費税の存在があります。  この税は、消費税が導入された抜本的税制改革のときに地方の個別間接税が成立されたときにも、課税対象行為と地方団体の行う行政サービスとの密接な関連や、自主財源の乏しい都道府県や市町村にとって貴重な財源であることなどを理由に、税率や免税点などの調整を行った上でここだけ残ってしまった経緯があると思われます。一般には、なぜ宿泊や飲食が特に地方行政と密接な関係があるのかぴんとこない人もあります。領収書に消費税と地方消費税が併記される、釈然としない思いをしている人もあると思われます。  このような中で地方消費税が課税されることとなると、恐らく特別地方消費税の対象となる宿泊や飲食の領収書に三つの税金が入ってくると思われます。そういうことを考えてみますと、この特別地方消費税というのは絶対にやめるべきではないかと私は思います。  いろんなサービスを受けるということよりも、そういう旅館はその地方のイメージをアップしたり、お客さんを導入したりするまた違った貢献をしているというふうにも考えられますので、そういう点を考えて、大臣の御意見をお聞きかせください。
  45. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 和田委員が御意見を交えて御指摘になりました特別地方消費税は、御意見の中にもございましたが、飲食、宿泊等の利用行為が地方の行政サービスと密接な関連を有することなどに着目いたしまして課税をいたしておるところでございます。  地方消費税の創設に当たりまして、政府税制調査会におきまして「地方消費税の導入時までにそのあり方について更に検討すべきである。」とされているところでございます。御案内かと存じますが、平成年度の与党税制改正大綱におきましても、「地方消費税の導入の時期までに、その在り方を抜本的に検討する。」、なおまた平成六年十一月の本院におきます地方行政委員会の附帯決議にも、「消費税率の引上げ及び地方消費税の創設に関連して、特別地方消費税について、今後引き続き地方における自主財源の必要性を踏まえつつその在り方を総合的に検討すること。」、こういう附帯決議もございます。  今申し上げましたように、課税対象とされております消費行為と保健衛生、環境整備及びリゾート整備等、地方団体の行政サービスとの間に密接な対応関係がございますと同時に、ちなみに申し上げますと、平成年度で約一千四百億円の税収がございます。自主財源の乏しい都道府県におきましては貴重な財源でもございますし、特に観光が地域経済の上で大きな比重を占めている地域にとりましては貴重な財源となっております。なおまた、税収の五分の一が地元市町村に交付をされておりまして、市町村にとりましてもその交付額が税収の一割に相当する額となっている団体もございます。以上のような点から、地方団体にとりまして極めて重要な財源となっているところでございます。  しかし、今後、地方における自主財源の必要性を踏まえながら、地方消費税の導入時までにそのあり方につきましては多方面から検討をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。  いささか長くなりましたが、以上、御理解のほどお願い申し上げます。
  46. 和田洋子

    ○和田洋子君 千四百億円の税収があるというふうにお答えをいただきましたが、事ほどさようにその地方が潤っているからこその財源でありますので、どうぞそのこともお考えの上、絶対に廃止をよろしくお願いいたします。  終わります。
  47. 有働正治

    ○有働正治君 幾つかのテーマで質問させていただきます。簡潔で的確な御答弁を期待いたします。  一つは、地方財政危機、そして対応としての膨大なむだ、浪費にメスを入れる、こういう問題であります。この間の議論の中で、地方財政危機、極めて深刻だということが言われているわけであります。  まず、事実確認を求めますけれども地方債、公営企業、特別会計を含めまして、自治体の借入金の残高につきまして、一九八〇年度、九〇年度、九六年度見込みの状況、数字だけまずお尋ねいたします。
  48. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 地方財政借入金につきましては三種類あろうかと思いますが、地方債の残高、普通会計債の残高でありますが、それに公営企業債のうち普通会計で負担するもの、それから交付税特別会計借入金、この三つでございます。  御指摘の一九八〇年度、昭和五十五年度末で三十九兆円、それから一九九〇年度平成年度末で約六十七兆円、それから一九九六年度平成年度末、これは来年の見込みでありますが、今のところ約百三十六兆円という数字になっております。
  49. 有働正治

    ○有働正治君 四十兆、六十七兆、百三十六兆と文字どおり急上昇ということです。九〇年度と九六年度のわずか六年間で約六十九兆と、九〇年度が六十七兆だったわけでこの間に倍加している、こういう深刻な状況であります。  そこで、自治大臣にお尋ねするわけでありますが、こういう場合、私は地方自治の拡充、その裏づけの財源確保していくという点で、地方交付税法第六条の三第二項に規定されています交付税率の引き上げ、これがやっぱりどうしても必要だと。  自治拡充、財政の健全化、そういう点で政治決断して、自治大臣としては職責をかけるというぐらいの態度で臨むことが求められると思うのでありますが、私は事務当局からの説明、この間の今年度措置等々は事情をわきまえていますから、大臣だけに答弁を求めます。
  50. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 有働委員から簡単にお答えをということでございますので要点を申し上げたいと存じますが、これらの多額借入金につきましては、再三私が申し上げてきたことでございますが、景気の後退に伴う地方税収等の落ち込み、減税による減収の補てん、財源不足対策や数次の景気対策のための地方債の増発、交付税特別会計借り入れ等によりまして、近年急増したものであると思います。やむを得ない措置であった、こういうふうに認識をいたしております。
  51. 有働正治

    ○有働正治君 肝心なことに答えておられない。  交付税率引き上げ、この点について本当に真剣に考えて、国政のむだ、地方自治におけるいろんな見直す点は見直しながら、財源も国として確保していくし、とりわけ自治大臣としてはこういう交付税率の引き上げ、これを含めて本格的にやるべきだというこの点だけ。
  52. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 平成年度及び平成年度に引き続きまして平成年度地方財政が大幅な財源不足が生じることになりましたので、平成年度地方財政対策におきましては、交付税率の引き上げを含めましてこの補てん措置を検討したところでございます。  しかしながら、平成年度におきましては景気の推移を見きわめる必要があるということ、平成年度地方消費税の創設を控えまして平成年度は税制改革の議論が予定をされていること等から、交付税率の引き上げ等の恒久的な制度改正は適当でないという判断のもとに、平成年度限りの特例措置として対応したものでございます。
  53. 有働正治

    ○有働正治君 私はそこを本当に考えるべきだということを主張しておきます。  そのためにも、国、地方合わせまして膨大なむだ、浪費があると私どもは思うわけであります。  そういうメスを入れるところにはメスを入れていく。その一つとして新産都市事業、工業整備特別事業、この根本的見直しを私は求める立場でありますが、まず事実確認を求めます。  自治省の方でお答えいただきたいのでありますが、この新産と工特の両事業の財政特別措置法に基づき政府がつぎ込んだ利子補給金、補助率かさ上げ分が幾らになっているか、昭和四十年から平成年度の累計額、結論をお示しいただきたい。
  54. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  関係道県に対します地方債利子補給金の額でございますけれども、御質問の昭和四十年度から平成年度までの累計で千二百六十六億円となっております。また、関係市町村に対する国庫補助負担のかさ上げ額でございますが、昭和四十年度から平成年度までの累計で三千三十九億円となっております。
  55. 有働正治

    ○有働正治君 合計すると四千三百六億円ということになるわけであります。  国土庁にお尋ねします。この両事業につき込まれた財政資金、この昭和四十年度から平成年度の累計、つまり第一次から第五次までの累計で、新産十五地区、工特六地区、合計二十一地区について、国費、県費、市町村費、公社公団等、合計でそれぞれ幾らになっているか、数字をお示しください。
  56. 八幡和郎

    説明員(八幡和郎君) 制度が開始された昭和三十九年度から平成年度末までに行われる公共投資は約七十九兆七千四十三億円となる予定であります。そのうち、平成年度より始まりました現在の第五次基本計画におきましては、国から約五兆一千四百七十二億円、道県からは約三兆一千六百二十三億円、市町村からは五兆六千三百三十九億円、さらに公社公団等から九兆二千二百六十二億円ございますので、総額で約二十三兆一千六百九十六億円ということになります。
  57. 有働正治

    ○有働正治君 総投資額がわかればこの間の総累計はわかるはずでありますから、後日で結構でありますので、私の方に資料をお示しいただきたいと思うわけであります。  膨大な経費予算が投ぜられたということはおわかりのとおりであります。そこで、国土庁にお尋ねしますけれども、この両事業の工業団地の造成状況、売れ残り状況、それから新産・工特事業ではありませんが、むつ小川原開発、苫小牧東部開発の工業団地の売れ残り状況、これをお示しください。
  58. 八幡和郎

    説明員(八幡和郎君) 新産・工特地区におきましては、これまで二万四千ヘクタールの工業団地が造成されているところであります。これは平成六年四月現在の数字でございます。この九〇%を超える二万二千ヘクタールについて売却済みでございます。  むつ小川原それから苫小牧東部につきましては、現在この場に数字をお持ちいたしておりませんので、後日御説明したいと思っております。
  59. 有働正治

    ○有働正治君 そんなのじゃだめですよ。ちゃんと言いなさい。ちゃんと通告もしてあるんだから。
  60. 八幡和郎

    説明員(八幡和郎君) 申しわけございません。  通告……
  61. 有働正治

    ○有働正治君 通告しているよ、何度も。変な言いわけするなよ。
  62. 八幡和郎

    説明員(八幡和郎君) そういうふうな数字を現在用意しておりませんので、大変申しわけございません。
  63. 有働正治

    ○有働正治君 極めて心外です。極めて遺憾です。  私がお聞きしたところでは、むつ小川原開発は四割なんです。苫小牧東部は一五%なんです。ひどい話なんです。大体九割が売れたという話でありますけれども、実際に造成して開発がどうかということが問題でありまして、この造成に対する立地状況の比率、立地比率とでも申しましょうか、そこを見てみますと、新産の場合には八一%、工特七三%と、売却率が九割という点から見ますと、新産で約一〇ポイント、工特で約二〇ポイントほど低下するわけなんです。そして、むつ小川原と苫小牧は述べたとおりなんです。  具体的なそうした姿の一つとして、新潟県の新産都市事業の中の新潟東港開発事業について、実際の工場利用率、進出企業の中でいまだ操業していない企業がどれぐらいあるのか、これをお示しください。
  64. 八幡和郎

    説明員(八幡和郎君) お尋ねの新潟東港の工業団地の工業用地の造成面積は、平成七年三月三十一日現在で九百九ヘクタール、そのうち売却済み面積が八百四十七ヘクタールであり、その率は九三・二%と報告を受けております。  操業企業数につきましては、八五年当時九十四企業だったものが、十年たちました今年度当初で百二十七企業に増加しており順調に推移して、また今後、環日本海経済交流の発展に従ってこれが伸びていくものと期待しておりますが、未操業企業が五十五企業あり、その土地保有面積が全体の一〇・四%に当たります九十四・九ヘクタールと聞いております。  なお、このほか用地の大半を暫定的にゴルフ場として使用している例があるのは御指摘のとおりでありまして、その面積は約百四十ヘクタールでございます。
  65. 有働正治

    ○有働正治君 実際の工場の利用率は約六九%で、全体の一二%は未利用と言ってもいいんです。  私も現場を見てきましたけれども、例えば日本石油は石油精製工場の建設を前提に百四十七ヘクタールを県から取得したわけでありますが、このうち百四十ヘクタールを八六年七月からサンライズゴルフ場として使っているんですよ。目的外なんです。膨大な土地がゴルフ場として使われている、これから先の見通しもない状況であります。  東港開発事業は総投資三千九百三億円が予定され、平成年度までの投資額が三千百四十億です。  その中で国費が六百億、県費が六百五十億等々となっているわけで膨大な財政資金が投入されて、そういう中で五十五が未操業で、ゴルフ場その他にまで貸されて、ペンペン草が生えている更地等々も三一%未利用になっている状況があるわけであります。  そこで、自治省にお尋ねしますけれども、この東港の工業団地進出企業から地方税として県税、市町村税はそれぞれ幾らになっているのか、お示しください。
  66. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 新潟東港に進出した企業の平成年度税収につきまして新潟県に照会をいたしましたところ、県それから関係市町村の税務当局におきましては立地企業の税収を特別に集計してはいないとのことでございますけれども、新潟県が立地企業に対しまして昨年実施したアンケート調査によりますと、県税が約十六億円、市町村税が約三十六億円であったと聞いているところでございます。
  67. 有働正治

    ○有働正治君 これだけの税収しかないんですよ。  総投資三千百四十億円投入した分の金利一・六%程度の分にしかなっていないんです。地方財政に貢献なんてそういう状況には全くないんです。  それで、私現場に行っていろいろ聞きますと、基本的に開発は終わっていましてもうこれ以上やる必要はないというのが当事者たちの内々の言い分なんです。そんな支障はないというのが実態なんです。ところが、今後、平成八年以降約八百億近くの投資が依然として予定され、それに国費、県費、関係市町村費等を含めまして行われるという状況があるわけなんですね。これは県の福祉やいろんな行政の上でも障害になってきたし、こういうのは根本的に見直した方がいいというのが今までも問題になっていましたし、やっぱりこの時期に見直すべきだと私は考えるわけであります。それが先ほど述べましたような全国的な新産・工特事業全体にかかわってきている、私はこういうふうに見るわけであります。  そこで、大臣にお尋ねするわけでありますが、国も地方の場合も非常に深刻な財政危機だということが言われているわけで、そういう点からいいましたら、これは一つの例でありますけれども、新産・工特に対してこの際見直すべきところは見直す、こういうペンペン草その他の状況の中ではそのことが求められている。そういう点で、自治省としても積極的に対応していただくということを求めるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  68. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) この新産・工特地区でございますけれども、新産・工特財特法に基づく特別措置により対象事業の整備が図られてきたことは事実でありますし、国土の均衡ある発展にも大きな成果を上げてきたところでもあると思っております。  今の状況を見てみますと、この新産・工特地区にありましては、まず一つは、多くの地区において下水道や都市公園などの生活関連基盤施設の整備におくれが見られる、今後その一層の充実が求められる状況にある。それから、近年のアジア諸国の産業インフラ整備等に追い上げられておりまして、各地区から産業が空洞化しているといった懸念が高まっているというようなこともあって、その建設整備をさらに進める必要があるということであります。  このような状況、それから関係地方公共団体財政の実情を踏まえますと、現在においても国の財政上の特別措置は必要不可欠であり、この新産・工特財特法について平成十二年度まで五年間の延長措置を講ずることとしたものでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  69. 有働正治

    ○有働正治君 これは工業団地づくりが中心なんです。そのほかにまつわるものはそれとしてやっていけばいいわけです。例えば、私は新潟の東港に行ったんですけれども一つ一つの事業は基本的には終わっているんです。だから、一千億近い金をやる必要はもうないわけなんです。だから、微調整の部分自治体と相談しながら必要なそれに応じた財政措置をやっていけばいいわけで、工業団地づくりが中心になったこういうものはあくまでも見直すべきだ。国土審議会答申でも、この事業が大きな矛盾にぶつかっていることは指摘しているわけですから、そのことを厳しく要求しておきます。  国土庁は結構です。資料等は、後ほど私の方にきっちり届けていただくように要求しておきます。  次は、温泉所在都市から要望が出されています財政措置の問題であります。  この点は、全国市長会また七十一の市が加盟します温泉所在都市議長会協議会等からの要望が政府の方にも当然届けられていますし、私どものところにも寄せられているわけであります。つまり、温泉所在都市におきましては、観光客など流動人口の増大への対応、旅館、ホテル等の宿泊施設の大規模高層化に対応した防災、救急に対処するための特別の施策、この必要性、さらに滞在者の安全、健康、福祉の保持など温泉地特有の数多くの問題を抱え、ほかの都市に比べその財政負担が大きい。その点では、国民の健康、市民生活の安定の上でもこういう都市は貢献しているわけであります。  私は、全国的な立場から財源措置を図るべきだということで質問するわけでありますが、こういう温泉所在都市の環境整備事業などの財政需要が大きいのに、入湯税分はわずかであるわけであります。自治体の負担が大だと。  そこで、自治省にお尋ねするわけでありますが、温泉所在都市から出されています政府への要望、地方交付税算定に当たって下水道費等流動人口の算入について今後さらに拡充強化していただきたい、こういう要望でありますが、経過は抜きで結構ですので、今後の対応についてお示しいただきたい。
  70. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 私どもとしては、温泉所在地だけではなくて全国の観光地から、御質問のような財政需要が特別にあるので交付税への算入をしてもらいたいという話が実は前々から強くあるわけであります。  本当を言いますと、入り込み客数とかそういったものが公信力のある資料としてとれれば、私ども交付税算定にむしろ使っていきたいという思いであるわけであります。この入り込み客数、各地方団体でとっておりますけれども、必ずしも公信力がある数値となっていないというようなこともありまして、温泉所在地については入湯客数という非常にしっかりした数字があるわけでございますので、御質問にありましたごみ、し尿処理に要する増加経費について、清掃費の中で入湯客数を指標とする密度補正によって基準財政需要額に算入をしているところでございます。  関係団体から私どもも大変強い要望を毎年承っておるわけでありますが、地方団体実態も十分勉強させていただいて、関係団体の要望も聞きながら適切な対応をしてまいりたいというように思っております。
  71. 有働正治

    ○有働正治君 私は出身は熊本でありますが、熊本は阿蘇を抱え温泉地が非常に多い。私も仕事で出張したり帰省した際、幾つかの市町村、自治体の方々の御要望を聞いてまいりまして、確かに今言われたように要望が強いんです。  私の郡内に山鹿温泉というのがあるんですけれども、ここは百二十万人ぐらいの人が宿泊、日帰りで来る古くからの温泉地であります。平成年度当初予算ベースで見ますと、温泉所在に伴う特別の財政需要状況、合計約二十億円になっているわけです。ところが、予算のうちの財源内訳で見ますと、入湯税は二千四百四十万円で、一般財源一億五千万円、補助金三億五千万円、市債その他十四億等々になって、入湯税分というのは予算のうちの一・二七%程度ということで財政が非常に圧迫されている、こういう要望を出されておられたわけであります。  そこで、全国温泉所在都市議長会協議会によります実態報告、資料等を見させていただきますと、加盟七十一市の平成年度決算状況の中で、単年度収支が赤字の自治体が三十六市、五一%に上っているわけであります。債務負担行為を含む公債費負担比率が、浜松市の二三・二%を初め一四%以上の自治体が二十五市、三五%に匹敵するわけで、財政困難の実態が示されているわけであります。  入湯税の状況を見ますと、平成年度、大館市の前年比マイナス五四・二%を初め、七十一市中四十八市、全体の六八%の自治体が前年比マイナス。一方で、財政支出の消防費、都市計画費、下水道費、保健衛生費、清掃費等々、流動人口を抱える都市がゆえの事業費負担のための財政が苦しくなっている状況があるわけであります。  以上を踏まえまして、自治大臣にお尋ねするわけでありますが、この全国温泉所在都市議長会協議会からも同じ趣旨の要望が政府に出されているわけで、財源対策として交付税措置の拡充、国庫補助率、起債条件の改善等々を真剣に受けとめて積極的に対応していただきたいと強い要望であるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  72. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 有働委員が御指摘されました、温泉所在地を抱える地方団体が、観光客の流入に対処して温泉地の振興を図るために、道路であるとか清掃施設であるとか公共施設の整備であるとか、観光資源を生かした各般の地域振興施策に取り組んでおるということは私も承知をいたしております。また、温泉所在都市による温泉所在都市協議会から普通交付税措置充実、先刻お話のありました特別消費税の存続の問題等、要望書の出ておりますことも拝見をいたしておるところでございます。  自治省といたしましては、かねてから関係団体の実態を踏まえまして所要の財源措置を講じてきたところでもございますが、今後も関係方面の要望などさらによくお聞きをしながら必要な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 有働正治

    ○有働正治君 最後に、固定資産税問題についてお尋ねします。  今回、負担調整措置が諸事情からとられたことは私も承知しているわけでありますが、時間の関係自治大臣に端的にお尋ねするわけであります。  政府が固定資産税評価額を地価公示価格の七割に引き上げたために評価額が時価を上回るいわゆる逆転現象が生まれ、この固定資産税評価額に対し全国で一万九千件もの不服審査請求の申し立てが出され、自治体も対応に苦しみ、国民の怒りと不満が高まったことは御承知のとおりであります。今回の負担調整措置もこうしたものへの一つの対応であるということは承知しているわけでありますが、私も本委員会でこの問題を何度か取り上げさせていただきました。国民が納得していないというのが実情であります。  したがって、次の平成年度の評価がえを前にして、評価額が公示価格を上回るという逆転現象のような大きな矛盾を避けるためにも、固定資産税評価額は適正な時価を基準とした従来の評価方法に改める、そして地方自治体の自主性を尊重して、自治省からの一遍の通達で全国一律に強要するようなことは改めるべきだと思うわけでありますが、大臣の所見を求めます。
  74. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 事務的なことも含んでおりますので、私の方からお答えをさせていただきます。  平成年度から、固定資産税の評価につきましては地価公示価格の七割という考え方で実施をいたしております。その後、地価の下落等もございまして、固定資産税の評価額が地価公示価格を上回るいわゆる逆転現象が生じている地域もあるところでございますけれども平成年度それから平成年度また今回の税制改正でも、いろんな負担調整措置または負担調整率の変更、こういったこともお願いをいたしておりまして、税負担面では実質的な逆転というのは生じていないというように考えているところでございます。  平成年度の固定資産税の評価がえにつきましては、現在、市町村におきまして平成八年一月一日を調査基準日として作業を進めておりますが、御案内のとおりここ三年間の地価公示価格が下がっておりますので、こういったここ三年間の地価下落というのは的確に反映されるものになる、こういうように考えているところでございます。  ただ現実には、地価が下落いたしまして評価額が下がりましても、平成年度の課税標準額との関係で申しますと、平成年度の評価額が平成年度の課税標準額を上回ることが予想されるわけでございまして、この間の調整をどうするか、今後、市町村の評価がえの動向だとか税制調査会の御論議だとかこういうことも踏まえまして、平成年度の税制改正において検討してまいりたいと考えているところでございます。
  75. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、本当にこの問題は深刻なんです。だから、評価がえを是正しない限り、固定資産税、都市計画税、これが大増税となって、国民生活、中小企業は大きな打撃を受けて、借地借家人にとっては地代、家賃の大幅値上がり、公共住宅の家賃にも連動していきますし、登録免許税等々にも影響するわけですから、見直すべきところは見直す本当に抜本的な対応を求めるわけであります。その点、大臣、肝に銘じてお願いしたいということであります。  終わります。
  76. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  地方税法等の一部を改正する法律案の修正について有働君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。有働正治君。
  77. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について御説明いたします。  我が党は、国民の懐を直接温めて消費拡大を図る減税こそが不況対策の柱であることを主張してきましたが、今回の住民税の特別減税はその点では評価できるものであり、全体として法案には賛成であります。  しかし、一方、政府案による国民への負担増の大きなものとしては、個人住民税の均等割の引き上げが盛り込まれております。均等割だけの納税者は約二百六十万人以上と言われ、この均等割だけの納税者には特別減税の恩恵がなく、さらに、これらの人のほとんどは固定資産税や不動産取得税など他の減税の恩恵もこうむることなく、均等割部分の増税だけが押しつけられる事態になるのであります。  修正案は、全体が減税の恩恵を受ける中で、均等割の納税者か増税になるという事態だけはせめて回避しようとするもので、住民税均等割を現行のまま据え置くこととしております。  以上が本修正案の提案理由及びその内容であります。  慎重御審議の上、御賛同いただきますよう申し上げまして、趣旨説明といたします。
  78. 菅野壽

    委員長菅野壽君) これより地方税法等の一部を改正する法律案並びに修正案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより地方税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、有働君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 少数と認めます。よって、有働君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  80. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、続君から発言を求められておりますので、これを許します。続訓弘君。
  81. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、ただいま可決されました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ及び自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方団体の行政需要の増大、引き続く厳しい地方財政状況等にかんがみ、左記の事項についてその実現に努めるべきである。  一、今回の平成年度分の固定資産税及び都市計画税の負担調整措置の変更について、納税者に十分周知徹底を図ること。  二、地方税地方団体の重要な自主財源であることにかんがみ、地方団体地方分権推進等に伴って増大する行政需要に的確に対処し、地域の実情に即した自主的・主体的な行財政運営が行えるよう、課税自主権を尊重しつつ、地方税源の充実強化に引き続き特段の努力を行うこと。  三、固定資産税は、土地保有税の根幹であり、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえて制度の整備充実を図ることを基本とすること。また、平成年度の土地の評価替えに当たっては、引き続き評価の均衡化・適正化を推進するとともに、最近における地価の変動をより的確に評価額に反映させるよう努めること。あわせて、路線価等の積極的な公開に努めること。  四、税制の簡素化・税負担の公平化を図るため、非課税等特別措置については引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等を推進すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  82. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいま続君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 多数と認めます。よって、続君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉田自治大臣
  84. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  85. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  86. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、地方財政における過去最大の財源不足に対し、その財源保障のため本来国が負うべき責任を果たすものとなっていないからであります。  地方財政借入金額が、九六年度末には百三十六兆円に達する巨額なものとなる危機的な事態にもかかわらず、改正案の内容が、過去最大の八兆六千二百七十八億円に上る地方財政財源不足に対して、国は一兆二百二十五億五千万円の借入金など財源不足の一割強を負担するにすぎません。  一方、特別減税に伴う地方税の減収や交付税の減額の二兆八千七百四十五億円を初め、財源不足の七三・五%を地方の新たな借金で補てんすることになっているのであります。これでは国の責任放棄と言わざるを得ないではありませんか。  第二の理由は、今回の制度改正実態交付税法第六条の三第二項の趣旨に反するばかりか、地方財政の悪化を促進するものとなっているからであります。  政府は、三年連続の巨額地方財政財源不足という今回の事態に対し、交付税法第六条の三第二項の趣旨に基づき交付税率引き上げを選択すべきであるにもかかわらず、財源不足の七、八割を地方債の増発で補てんするなど、財源不足の補てんの大半を地方に押しつける内容の制度改正で対応しようとするため、矛盾を一層拡大することとなるのであります。したがって、この改正は将来的に地方財政危機を拡大し、ひいては福祉や教育など住民の暮らしの切り捨てにつながるおそれがあると言わねばなりません。  反対の第三の理由は、新産・工特財特法の延長が、破綻が明らかとなった新産・工特事業の中止、終了を求める国民の声に背を向け、このむだ遣いを続けさせるものとなるからであります。  新産・工特事業は、その中心をなす工業団地づくりなど産業基盤整備事業が円高による産業の空洞化、産業構造の変化などにより事実上破綻しているにもかかわらず、国費と地方財政の浪費を続けるばかりか、大企業本位の産業基盤整備向け投資を優先させる結果、住民の暮らし、福祉、教育の切り捨てをもたらすものとなっており、中止、終了させるべきものであります。  最後に、このような地方財政の危機に当たり、政府は、景気対策のために自治体に対して地方単独事業を強制し、地方財政危機に拍車をかけるようなこれまでの政府のやり方をやめること、政府として、国民の反対の声が高まっている住専問題での税金投入やゼネコン奉仕型の大規模開発などを抜本的に見直し、国民の命と暮らしを守るために万全の措置をとるよう強く要求して、私の反対討論を終わります。
  87. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  88. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  90. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 次に、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。  渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺四郎君。
  91. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ及び自由連合の各派共同提案による地方財政拡充強化に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方財政拡充強化に関する決議(案)   政府は、地方分権推進を図るとともに、現下の厳しい地方財政状況等に対処する観点から、地方財政の中長期的な安定と発展を図り、地方団体が諸施策を着実に推進できるよう、左記の事項について措置すべきである。  一、累増する巨額借入金が今後の地方財政を圧迫するおそれがあることにかんがみ、地方税地方交付税等一般財源充実強化により、その健全化を図ること。  二、地方交付税制度地方団体の増大する財政需要に的確に応え、その機能の向上が図られるよう地方交付税総額の長期的な安定確保に努めるとともに、財政調整機能充実を図ること。また、地方交付税を国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度を検討すること。  三、地方分権を積極的に推進するため、地方団体への権限委譲、国の関与・必置規制の緩和や廃止、機関委任事務の廃止等制度の抜本的見直し、国庫補助負担金の整理合理化等を図るとともに、国と地方の役割分担に応じた地方税財源充実確保を図るほか、効率的な地方行政体制の整備・確立に必要な支援を行うこと。  四、地方団体が個性豊かな活力ある地域づくりを自主的かつ主体的に推進するとともに、地域の実情に応じた生活環境及び住民生活に密着した社会資本の整備を着実に推進することができるよう、引き続き地方単独事業の充実を図ること。  五、少子・高齢化の進展に伴う地域福祉の充実等の要請に適切に対応するため、引き続き地方団体が単独で行う社会福祉経費の一層の充実を図ること。  六、阪神・淡路大震災を踏まえ、地域の安全性を高めるための基盤整備、消防防災施設・設備の充実等を推進するとともに、消防団についてより一層の活性化を図ること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  92. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまの渡辺提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 多数と認めます。よって、本決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉田自治大臣
  94. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  95. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会      —————・—————