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政府委員(遠藤安彦君) 御
指摘のとおりでありますが、
平成八年度の
地方財政対策につきましては私は課題が
二つあったというように考えております。
一つは、
通常収支の財源不足がかなり大きくなることが見込まれる、これは交付税法六条の三第二項の規定に該当する事態になるであろう、それをどのようにクリアするかということが第一点であります。
それから、第二点の課題は歳入構造でありまして、来年度も景気の
状況によって
地方税収入が大きな伸びを見込めないということの中で、片方で歳出の方では公債費の増、これはもう義務的なものでありますが伸びてくるというようなことがありますと、ある
程度の交付税の伸びを確保しなければ
地方財政の運営がなかなかきつくなるのではないか、必要な交付税の総額を確保する必要があるということが
二つ目の課題であったわけであります。
第一の課題につきましては、精査をいたしますとやはり五兆七千五百億の
通常収支の財源不足が見込まれるということでありまして、
平成六年度、
平成七年度につきましては既に御案内のとおりでありますけれども、三兆円なり四兆二千六百億の
通常収支の不足につきまして財源対策債と交付税の借り入れで
処理をいたしたわけであります。この交付税の借り入れにつきましては、
地方団体が将来これを返していくという形で
処理をしてきたわけでありますけれども、来年度につきましては、従来の
やり方ではやはり六条の三第二項の規定というものがクリアできないのではないかということであったわけであります。
この六条の三第二項には要件が
二つございまして、
一つは
地方行財政
制度の改正、もう
一つは交付税率の改正という
二つの方法論があるわけであります。私どもも長期的に見てこういった歳入不足の状態がすぐに解消できるのかどうか、そういった点には不安があるわけでありますから、当然交付税率の改正ということも考えられるわけであります。
現に私どもも、
事務的な折衝の場面ではそういった交付税率の改正の問題も当然持ち出していたわけでありますけれども、相手の国庫の方は財政危機宣言を出すというような状態の中で、恒久的な
制度改正としての交付税率の改正というのはやはりなかなか協議がまとまらないという状態の中で、それではどのような対策を講じたらいいかということになったわけであります。過去の例も参考にしながら、最終的には
予算内示の二日前に、今、法律の中に書いてありますように二分の一を国に
責任を持っていただくということにいたしたわけであります。
これは過去にも例があるわけでありますけれども、今回の場合は過去よりも、
地方団体が借り入れをしてその元利償還金を国が
責任を持つということだけではなくて、国が一般会計から直接入れていただく金額というものをふやしていただくということの中で対策を講ずる必要があるであろうということで、実はこの点について折衝が大変厳しかったことは事実であります。
ただ、私ども、
平成三年度から
平成五年度まで若干
地方に財政的な余裕があったときに、三年間にわたりまして
地方交付税の中から一兆七千億ほどを国にお貸ししておったわけであります。これは、これまでの本
委員会の
答弁で申し上げておりますように、交付税が厳しい
状況になったときの役に立てるために当該年度特例減額して後年度加算をするんだという
考え方を申し述べてきたわけでありますが、まさにそういう厳しい
状況になったわけでありますから、これを繰り上げて返していただきたいということを強力に申し上げました。
結局、法定加算の全額と、臨時特例加算という名前になっておりますけれども、両方合わせて国の一般会計からの繰り入れが八千四百億弱できたわけでありまして、そういった意味で過去における
制度改正よりも少しは中身の濃いものになったかなということであります。
単年度か長期的な改正かという問題でありますが、御案内のとおりこの秋にも税制改正をどうするかという論議があるわけでありますし、またこれまで講じてまいりました経済対策によって経済が上向いたならば税収あるいは交付税の算定
対象になっております五税の税収の動向というものがどうなるんであろうか、そういったものをやはり見定める必要もある。そういった意味から、単年度の
制度改正として不足額のうち交付税で
処理する分の二分の一を国に
責任を持ってもらうという方式で財政対策をまとめたわけでありますので、何とぞ御理解のほどを
お願い申し上げたいと存じます。