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1996-02-22 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 山本 一太君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 峰崎 直樹君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        長        菅沼 清高君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁生活安全        局長       中田 恒夫君        警察庁刑事局長  野田  健君        警察庁交通局長  田中 節夫君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        自治省税務局長  佐野 徹治君        消防庁長官    秋本 敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        地方分権推進委        員会事務局次長  石井 隆一君        大蔵省主計局主        計官       三國谷勝範君        大蔵省主税局税        制第三課長    伏見 泰治君        大蔵省銀行局中        小金融課長    石井 道遠君        運輸省港湾局計        画課長      川嶋 康宏君        建設省道路局企        画課道路防災対        策室長      馬場 直俊君        建設省道路局高        速国道課長    菊地 賢三君        建設省住宅局住        宅・都市整備公        団監理官     大久保和夫君        建設省住宅局住        宅整備課長    山中 保教君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)     —————————————
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鎌田要人

    鎌田要人君 私からは、まず初めに、北海道豊浜トンネル崩落事故で亡くなられました方々の御冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、これらの方々のとうとい犠牲を無にすることのないよう、今後の交通安全対策の上に生かしてまいりたいとお誓い申し上げる次第でございます。  このことに関連いたしまして、警察庁生活安全局長お尋ねいたします。  私がここに持ってきました資料は二月十八日付の日本経済新聞の朝刊でありますが、この記事によりますと、「硬直行政、初動に遅れ 大震災教訓生きず」という見出しのもとに、「阪神大震災などの大災害を通じて学んだはずの危機管理人命救助優先視点は生かされず、今後の同種事故災害対策にも不安を残す形となった。」と述べておりますが、この点につきまして警察サイドからの率直な意見を求めたいと存じます。  なお、時間の関係上、私が伺いたい事項をあらかじめ申し上げますので、一括してお答えをいただき、なお時間がございましたならばさらに質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次にお尋ねいたしたいのは、地方分権推進についてであります。  この問題につきましては倉田大臣所信表明にもございましたとおり、現在、地方分権推進委員会において地方分権推進計画作成のための具体的指針勧告するために精力的に審議を重ねているところでありまして、当面、今年三月中に中間報告を取りまとめ、その後年内に勧告を目指すこととされているところでありますが、これに関連いたしまして、二点お尋ね申し上げたいと思います。  まず第一には、機関委任事務制度廃止について、同委員会平成七年十二月二十二日、第二十五回の委員会終了後、画期的な検討試案を出されたところでありますが、これに対する関係省庁反響はいかがでありましょうか。特に「今後とも存続が必要な事務については、原則として地方公共団体自治事務とする。」という考え方に対する反響はいかがでありましょうか、地方分権推進委員会事務局の方にお伺いをいたします。  次に、最も大事な問題といたしまして地方税財源充実問題があります。この点につきましては地方分権推進法の第六条の条文がありますことは御存じのとおりでございますが、この点につきまして平成七年十月十九日付の「地方分権推進に当たっての基本的考え方」によりますれば、「地方税については、地方における歳出規模地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという方向で、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図る」とされております。「あわせて、地方交付税については、」「その総額安定的確保を図るとともに、財政調整機能充実を図ること。」。さらに、「補助金等については、事務事業内容等を勘案し、地方公共団体事務として同化定着・定型化しているものや人件費補助に係る補助金交付金等については一般財源化等を進める」などの提言がなされております。  これらの点につきまして、大蔵省主税局及び主計局の率直な意見はいかがでございますか、お伺いをいたしたいと思います。  以上でございます。
  4. 中田恒夫

    政府委員中田恒夫君) お答え申し上げます。  ただいま委員から、先般の豊浜トンネル事故につきまして、新聞報道を例におとりになりましてお尋ねがございました。立場上私からは、警察活動中心に他機関との連携をどうしたのかというようなことをお答え申し上げたいと存じます。  現地北海道警察におきましては、事故認知の直後に地元の余市警察署現地対策本部、それから警察本部総合対策本部をそれぞれ設けたところでございまして、関係の諸機関におきましてもそれぞれ所要の態勢をおとりになったと承知しております。その上で、それぞれの関係機関におきましては相互に必要な連携をとって迅速に事態に対処する必要があるというようなことから、現地合同対策本部が設けられたわけでございます。  ここには北海道警察からは副本部長として道警本部警備部長を派遣いたしましたほか、所要職員を差し出しまして連絡調整に当たらせたわけでございます。  この合同対策本部での打ち合わせの結果、被災者救生活動につきましては関係機関がそれぞれ専門性というようなものを発揮しつつ当たるということを考えまして、例の大きな岩の破砕については北海道開発局中心に、そして岩石なり土砂の除去なり排出作業については北海道開発局自衛隊中心に、そしてそれが取り除かれた段階以降における被災者救助警察消防というところが行うというような役割分担のもとに救助作業に当たったわけでございます。特に私ども警察では、さきの阪神淡路大震災の際の教訓のもとに編成いたしました広域緊急援助隊北海道の部隊がこれに当たったわけでございます。  なお、現地警察におきましては、それ以外に二次災害防止のための交通規制でございますとか、被災者に関する情報収集等に当たりましたほか、被災者の遺体が発見されました後は、その身元確認なり遺族への引き渡し等の業務を行ったところでございます。  今回の事故、大変巨大な岩盤が救生活動を妨げるというような悪条件があったわけでございまして作業には困難をきわめたわけでございますが、関係機関におきましては精いっぱいの努力をしたというふうに考えております。その過程の中で、警察としては自衛隊とか消防とかその他の関係機関との連携については相当程度うまくいったんではないかというふうに思っております。ただ、もう少し早く救出できなかったのかというような御批判もあるところでございまして、それぞれの機関において今回の事故教訓として、事故災害対応について今後一層の努力を行ってまいりたいというふうに考えております。
  5. 石井隆一

    説明員石井隆一君) お答え申し上げます。  機関委任事務廃止に係る検討試案につきましては、本年に入りまして地方団体関係省庁からヒアリングを行っております。地方団体と一部省庁からは、今回の試案については非常に画期的なものであるというふうな評価をいただいておるのでございますが、大方の省庁からは、現行機関委任事務が多種多様でありまして、そのすべてを検討試案自治事務法定受託事務の二種類に当てはめるのは困難ではないか、したがいまして国と地方共同事務という事務の類型もあるのではないか。それから、仮に自治事務にした場合でも、試案の中にあります国の関与手法だけでは全国的な統一性公平性を要する事務を的確に執行できないのではないかといったような懸念や意見が出されているところでございます。  それから二つ目の、国の関与及び必置規制についてでございますけれども委員会といたしましては、ただいま先生の御指摘の点に関連して、これをさらに一歩進めまして昨年末に委員長見解として、「国の関与基本ルールと手続きに関する一般的な制度を設ける方針で、具体的な検討を行う。」といったような幾つかの方針を公表したところでございます。  これに対する各種意見でございますけれども、国の関与及び必置規制に関しては、全国的な統一性公平性確保、あるいは広域的な調整必要性がある場合、あるいは国の利害に重大な関心がある場合にやっているということ。それから、国の関与についての統一ルールを設けるということについては、国の関与必要性事務内容に応じまして非常に多様で、一律に定めるかどうか実態に即して検討すべきである。それから、法令の定めによらない国の関与なり必置規制についても、国民利益等の増進が円滑に図られるか否かを基準としてその必要性なり存廃を検討してほしいといったような御意見になっておると思うわけでございます。  委員会といたしましては、こうした各種意見も踏まえながら、先ほど先生も引用されました十月の委員会見解なり年末の試案の基本的な考え方を生かしながら、具体的な検討を行って中間報告にこぎつけたいと思っております。  なおもう一点、補助金税財源の御質問がございました。先般来、六団体関係省庁等から委員会として意見をお伺いいたしておるのでございますが、ただいま先生もおっしゃいましたように、地方団体からは、三年以内に奨励的補助金四兆円のうち二兆円を削減して、その削減相当額については約一兆円を地方税、残りの一兆円を交付税で措置すべきではないかといったような思い切った御提案をいただいているところでございます。  これに対しまして補助事業を所管されております関係省庁からは、補助金というものは全国的な行政水準確保、それから特定の政策課題推進奨励といったことについて大変大きな役割を果たしている、したがってその重要性を個々に評価しない一律の削減というのは円滑な行政推進に障害になるんではなかろうかとか、また一方で、従来から地方事務として同化定着、定型化しているものですとか、人件費補助に係るようなものの一般財源化とか、あるいは補助金の統合、メニュー化とかいったようなことはこれまでも努力をしております、また今後とも努力はいたしますといったような意見が出ておるところでございます。  補助金につきましてただいま先生お話しのように、委員会といたしましては積極的にその整理合理化を進めることはもとよりですが、国の過度の関与を是正する観点から、補助基準補助要綱あり方につきまして基本的な見直しを行うといったような委員長見解も既に年末に出しておりますので、こういった委員長見解基本方針に沿いながらこれから本格的な論議を進めていきたい、こんなふうに考えております。
  6. 伏見泰治

    説明員伏見泰治君) 先生が今御指摘をされました分権委員会基本的考え方、これは当方も承知をしているところでございます。  昨年の十二月に政府税調の八年度の税制改正に関する答申が出ておりますけれども税制改正ということで当然地方分権推進にも非常に大きな影響を与えてまいりますので、現在、分権推進委議論が進められているということは特に記述がなされているところでございます。  この国と地方の財源問題でございますが、今御指摘がありましたような税源の問題に限りませんで、ほかにもいろいろな制度もございます。それらのあり方を全体として総合的にどう考えていくか、それから今、分権委事務局の方から現在の推進委員会審議状況のお話がございましたが、国と地方機能分担あるいは費用負担あり方、そういった全体としての総合的な検討がこれから深められていくことと思います。国も地方も今大変厳しい財政状況にあるわけでございますが、その過程議論を深めていく必要があるというふうに考えております。
  7. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 昨年十月の基本的考え方におきまして、「地方交付税については、」「その総額安定的確保を図るとともに、財政調整機能充実を図ること。」とされているところでございます。  国と地方の財源問題につきましては、税に係る制度でございますとか補助金制度等種々制度あり方にかかわる問題でございまして、今後とも国と地方機能分担費用負担あり方見直しや、国と地方財政状況等を踏まえつつ、幅広い見地から検討を行っていく必要があると考えております。  いずれにいたしましても、地方交付税につきましては、従来から地方財政計画を適切に策定していくことを通じまして、そのときどきの国、地方財政状況等を踏まえつつ、地方財政の運営に支障が生じることのないよう所要の額の確保に努めているところでございまして、今後とも適切な対応に努めてまいりたいと思っております。
  8. 鎌田要人

    鎌田要人君 特に私が重点を置いてお尋ねをしたかったのは、この地方税財政措置問題でありまして、今あなた方お二方の答弁を聞いておりますといかにも役人らしい答弁で、しっぽをつかまれないようにということできゅうきゅうとしているような感じがするんですね。私は、国の問題地方問題というのは一省一局の問題じゃないということを特に強調したいんです。  私も皆さんの先輩としまして自治省という役所に昔おりましたが、そのときの私の気持ちは、それは不完全でありましたけれども国会皆さん方の御意見も十分尊重しながら、一省一局の立場ではないということを誇りにしておったものです。私は、特に今の主税局主計局のあなた方の御意見を伺っておりまして非常に不満であるということをつけ加えまして、今後こういう状態では私どもは絶対に承知できませんので、あなた方自身もそういうことで今の地方分権推進委員会と一致されて、どちらが国家国民のためになるんだということに視点を置いて、一省一局の立場でなくて国家国民観点視点を置いてお答えになられるように希望いたします。  以上で終わります。
  9. 小川勝也

    小川勝也君 平成会小川勝也でございます。  大臣所信に対しまして幾つかの質問をさせていただきます。  まず最初に、地方分権への決意をお伺いしたいわけでございますが、昨日の所信表明にございましたとおり、倉田自治大臣の並々ならぬ御決意を伺ったわけでございます。また、私は国会に参りましてから常々考えておるところがございます。  現在の政治状況、そしてこの永田町周辺状況はいわゆる官高政低ではないか。昔、自民党が最も勢いがあったころは党高政低などと申しておりました。私は、そんな官高政低の中で、いわゆる議院内閣制のもとで本院からエースとして自治省大臣として就任された自治大臣に、改めて地方分権への御決意をお伺いしたいわけでございます。  地方分権推進委員会皆さんが日々活躍されておられることと思いますけれども中央省庁それぞれの皆さん自分たちの省の仕事をなかなか地方に移譲させたくない。そういう事柄は今のシステムによりますと、ある省に入りますと定年までその省におる方が多いわけでございます。倉田自治大臣は先ごろの橋本内閣誕生大臣に御就任されましたけれども、いわゆる任期が短い、下手をすれば半年以内という短い時間の中で、この参議院を代表してあるいは党を代表して地方分権への仕事に取り組まなきゃいけない。そういった点からかんがみまして大きなリーダーシップが必要で、大臣としての御決意を改めてお伺いしたいと思います。
  10. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 小川委員御案内のように、地方分権推進につきましては、全国的な統一性公平性を重視する現行の画一と集権行政システム住民地域視点に立った多様と分権行政システムに改めるということであります。  私は、このことについては常々集中から分散、集権から分権、長いことこれを視点考え方を述べてきた経緯がございますので、改めてこの問題に真剣に取り組んでまいりたいというふうに思っている次第でございます。  先刻来、地方分権推進委員会次長より鎌田委員質問お答えがありましたが、地方分権推進法は五年間に集中的かつ計画的な取り組みを行うことにより成果を上げようとするものでございまして、政府としても地方分権推進委員会から具体的な指針勧告をいただいて、地方分権推進計画を速やかに策定して着実に実施をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。  地方分権推進委員会では、昨年来、地方団体関係省庁、有識者から意見の聴取をしながら極めて精力的に審議を積み重ねてきておられまして、三月を目途に委員会として中間報告を取りまとめて、本年中には勧告を行えるように審議を進めていくこととされているものと承知をいたしております。  地方分権推進につきましては、一言で申し上げるならば、これまでのいわば中央集権的なシステム改革を図ろうとするものでありますから、その実現には委員が御指摘になりましたような強力な政治リーダーシップが必要であろうと思います。地方分権推進していくことは今や時代の大きな流れでもございますので、私としても実りある成果を上げることができるよう強い決意で取り組んでまいりますので、委員の御支援のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。
  11. 小川勝也

    小川勝也君 大臣の強いリーダーシップを見守らせていただきますけれども、もし地方分権がうまく進まないとなれば、これは自治大臣のせいではなくて現連立政権問題があるんだということを私は認識させていただくことにいたします。  それでは次に、分権に関しましてさまざまな問題点指摘されることだと思いますが、その中でよく言われることに分権への受け皿問題が挙げられるかと思います。  私はこの受け皿問題の中で二点御確認をいただきたいのでありますが、一つは、小さな自治体あるいは体力のないと言われている自治体に関して、市町村合併によって体力をつけるあるいは合併をすることによってさまざまな機能充実の中で地方分権受け皿充実させていく、このことが有意義な手法だと考えるわけでございますが、この合併促進への自治省としての意欲あるいは決意、この辺をお伺いしたいのが一点。  そしてもう一つ地方公共団体そのもの能力あるいは職員能力ということが挙げられるかと思いますが、地方公共団体には、これは全国共通だと思いますけれども、すばらしい人たち地方公務員として働いておられる。この方々にもし能力がないとなれば、それはそのような仕事が与えられなかっただけであるというふうに確信をするものでございます。何とか、中央省庁がやっておる仕事地方公共団体職員方々に任されることがあれば、必ずやその能力は適正な程度にまで達するのだと確信をしておりますが、この受け皿がなかなかできないからということであれば、私はその権限を移譲することが能力を高める最大のことだと確信をいたしますので、この受け皿問題二点御確認をさせていただきたいと思います。
  12. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 私の方から前段の市町村合併についてお答え申し上げ、職員への権限の移譲につきましては公務員部長の方からお答えをさせていただきたいと思います。  御指摘のように、私ども地方分権ということとその基礎的な自治体であります市町村行財政能力の強化ということには大変深い関係があると考えております。そういうことで、今後地方分権を進めていく観点からも、市町村の自主的な合併というものを推進していく必要があろうかと思っているところでございます。  ただ、この合併問題につきましては、関係する市町村及び住民の自主的な判断というものが尊重されるべきであろうと考えておりまして、そういうことをよく理解した上で合併が選択できるような制度にしていく必要があろうというように考えているところでございます。  そういう考え方のもとに、昨年の三月に成立させていただきました市町村合併の特例に関する法律ができ上がっておりまして、昨年四月一日から施行されたところでございます。私どもこの法律を適正に運用してまいりまして、市町村の自主的な合併推進されるよう今後とも努めてまいりた  いと考えているところでございます。
  13. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 職員能力向上問題でございます。   お話しのように、地方分権を進める上で分権の担い手、実際に行政に携わる職員資質向上、あるいは人材の養成ということは大変大きな問題  であると思います。この点、各地方団体におきましても、政策形成能力育成研修に力を入れるとか、あるいは民間企業職員を派遣したり他の地方団体との人事交流を行うということで、職員資質向上についていろいろな取り組みを現にいたしております。  地方分権推進に伴いまして、住民に身近な行政地方団体が総合的に処理していくということになるわけで、それを目指しているわけでございまして、御指摘のとおりそうした仕事推進を通じて職員も鍛えられていくということがあります。特に地域に関する行政について、地方団体が主体的になって企画、立案、調整実施などを一貫して処理するということになりますと、職員の総合的な力、能力というのも向上するんではないか、このように考えております。地方分権推進職員能力向上、両々相まって進めていくべきものと考えております。
  14. 小川勝也

    小川勝也君 次に、地方税のことで少しお伺いしたいと思いますが、地方税に限らず国税もそうでありますが、私はもっと簡素化させるべきだというふうな考えを持っております。  言うまでもありませんが、税の原則は簡素、公平、公正でございますが、今の税制をいろいろ勉強させていただきますと、私もなかなかわかりにくい部分がたくさんあるのでございますが、極めて国民にわかりにくいのではないか。そしてまた、今国会にも提出されるかと思いますけれども、ある税の軽減化などということが絡んできますと、またより一層わからないことになってしまう。  私はこの前ある勉強会で、ニュージーランドの国税であったと思いますけれども、税を思い切って簡素化させたという成功例を勉強させていただきました。その例を引くまでもなく税はわかりやすい方がいい、簡素な方がいいということでございましょう。  今、地方税もいろいろな種類があったり、税率が変わったり、いろいろ難しい面もあるかと思います。これを今すぐにというわけじゃありませんけれども地方税簡素化について長期的な展望をお持ちかどうか、お伺いをしたいと思います。
  15. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 税の問題につきましては、税の負担の公平確保、これは非常に重要なことでございますけれども、あわせて税制の簡素合理化、これも非常に重要なことであるというふうに考えております。社会が複雑になりますと税制の仕組みも複雑にならざるを得ない、こういう面はございますけれども、基本的には今お話がございましたように、やはり国民方々にわかりやすい税制、こういうことは非常に大切なことだと思っております。  こういう観点から、例えば昭和六十二年度、六十三年度の税制改正におきまして、個人住民税の所得割でございますけれども、これは十四段階の税率の刻みがございましたが、これを最終的には三段階にいたした、こういう例がございます。  私ども制度簡素化にはできるだけ努力をしてまいりたい、そういうように考えておりますし、運用の面におきましても、納税手続の簡素化だとか国税当局ともいろいろ協力をしながら納税者の方々立場に立った税の運用というのが必要であると思っております。  今後とも、制度、執行両面におきまして税務行政の簡素合理化に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 小川勝也

    小川勝也君 我が国の行政というのは私は決してスピード感あふれるものだと思っておりませんので、もしこのままの形で少しずつ税をいじってもっともっと複雑になっていってから、じゃ簡素化しようということになりますとまた実施がおくれてしまいますので、もっと前もって、もしそういう方向に国民国会が誘導した場合はどういうふうになるのかということで、簡素化に向けての研究を続けていただきたいと思います。  それから、これは大事な質問でございますが、本来ならば特別委員会のマターになるかと思いますが、最近、小選挙区制における選挙をやる前に中選挙区制あるいは三人区の選挙をやったらどうかなどという声が聞こえてまいります。ゆめゆめそんなことはお考えになっておらないと思いますけれども、例えば自治省の内部で、今度の小選挙区制度以外の選挙制度は研究されていないことをここで御発言いただきたいと思いますが、大臣よろしくお願いいたします。
  17. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 現行の小選挙区比例代表並立制は、長い期間にわたりまして論議が重ねられました政治改革の一環といたしまして、関係法案が国会で議決をされた結果導入されたものでございます。次期総選挙から実施をされることになっております。  政府といたしましては、現行制度改革の趣旨に沿って正しく運用されることが重要と考えており、自治省といたしましても、その適正かつ円滑な執行ができるよう万全を期してまいる所存でございます。
  18. 小川勝也

    小川勝也君 ぜひ、国会で決めたルールに従って選挙が行われるような国であってほしいと思っております。  次に、私ちょっと教えていただきたいことがあるんですが、よく地方自治体方々とお話をする機会に、予算の年度内執行の問題あるいは単年度主義の問題、特に私の選挙区は雪国でございますので、公共事業予算について特に困っておるんだと。これは自治体の方でも住民が最も求める行政ができないということにもなりますでしょうし、あるいは公共事業に携わる関係業者の皆さんも大変お困りだという声を聞いております。  このことに関しまして、どういうところでこういう現状に甘んじておるのか、あるいは何らかの改善の方法があるのかないのか、その辺のことを教えていただきたいと思います。
  19. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘の件は、地方自治法で定めておりますいわゆる会計年度独立の原則というものであろうかと思うわけでございます。  一つの公会計というものは、一定期間を区画してそして収入と支出の均衡を図る、そしてまた金銭の受け払いの整理を明確にするんだと、こういう思想に基づいて定められている原則でございまして、これは何も日本ばかりでなくて、ある意味において、会計年度の区切り方は違いますけれども、世界的に公会計における共通の原則であろうかと思っております。  ただ、今委員も御指摘のように、余りそれを厳格にのみ行いますと、いろいろと事業の執行等、実情に即した財務会計管理ができなくなるという欠点もございます。そういうことから、現行法におきましてもいわゆる継続費の逓次繰り越しの制度とか、あるいは繰越明許費の制度とか、また債務負担行為の制度とかというような制度を一応設けておるわけでございます。これらの制度、特に継続費の関係等につきましては地方団体によってかなり区々であるようでございます。  現に設けられているこういう制度を使って、そしてそれが何か問題があるということならば、どういうことが問題であるか私ども検討をいたしてまいりたいと思いますが、要するにこれらの制度をまず適切に活用していただきまして、予算の効率的な執行をしていただきたいというように考えているところでございます。
  20. 小川勝也

    小川勝也君 選挙区のみならず、タクシーに乗りますと、これから三月に向けて道路が掘り返されるということをよく伺います。法律がどうなっておるのかというのは、それは自治省方々が一番よく御案内だと思いますけれども地方自治そのものは住民の幸せのためにあるということをお忘れなきように。  用意さえございますれば国会で立法措置もとれます。どれが幸せで、何が自治省権限なのかよくお考えをいただきながら、すばらしい知恵をお持ちなので、地方自治体そしてそこに暮らす人々が今後少しでも幸せになれますように、これからも頑張っていただきたいと思います。  質問を終わります。
  21. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 私からは、地方財政関係についてダブらないような視点お尋ねしたいと思います。  まず税関係ですけれども大臣所信表明におかれまして「地方公共団体住民との税による結びつきは地方自治の基盤であり、この上に立って」と、こういうようなくだりがございますが、この点はもう同感であるということを表明させていただきたいと思います。  それで、平成六年の税制改革におきまして地方消費税が生まれたわけでございまして、九年度から実施される方向でございます。行政需要の増大、殊に地方分権推進されている中で、地方団体に求められている役割というのは増加する一方であろうかと考えるわけでございまして、所信で触れておられるように、地方財源の充実は今後とも重要な課題であろうというふうに思うわけでございます。  そういう中で地方税における直間比率のあり方地方税の場合は直間比率は国以上でございますので、こういうことも考えまして地方税あり方についてお伺いいたしたいと存じます。
  22. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) まず、地方税あり方と申しますか、あるべき地方税考え方問題でございますけれども、やはり地方税というのは三千三百の地方公共団体がそれぞれの地域の実情に合った形で税収、それをもとに財政運営を行うわけでございますので、基本的には可能な限り税源がそれぞれの地域に普遍的に存在をする、こういうような税目が必要であると思いますし、一方で、やはり財政運営を的確ならしめますためには税収がそれ相応に確保されないといけない。そういう面から申しますと、税収の伸長性と申しますか、税収の確保という点から必要な税目、こういったものを適切に組み合わせるということが必要ではないか、かように思っておる次第でございます。  先ほどお話がございましたが、直接税と間接税の問題につきましては、特に地方税の場合には国税と比べましても直接税に少し偏ったような格好になっております。数字で申し上げますと、平成六年度の決算見込みでは、直接税が八八%、間接税が一二%程度、こういうことでございますけれども、先ほど申し上げましたような安定的な税源の確保、そういう点から申し上げますと、直間比率の是正を図るということも非常に大切なことだと思っております。  そういう観点から、平成六年の税制改革地方消費税の創設、これにつきましても御承認をいただいたところでございます。この地方消費税が実施をされますと、一応平成六年度の当初見込みベースで申し上げますと、直接税と間接税の割合につきましては、直接税が八三%程度、間接税が一七%程度、そういうことで間接税のウエートが相当高くなる、こういうような状況でもございます。  私ども、引き続きまして、地方税充実強化の問題とあわせまして安定的な地方税体系の確立を目指す、こういう方向で取り組んでまいりたいと考えております。
  23. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 地方税につきましてはゴールドプラン等福祉関係など、殊に現場の事柄で重要な問題がたくさんあるわけでございまして、安定的ということでぜひ推進をお願い申し上げたいというふうに思うわけでございます。  それから、もう一つ地方債の問題でございます。今は御承知のように毎年毎年地方債がふえておる状況でございまして、これは国も同様でございますけれども、国も地方も借金体質になっておるということが言えるんじゃないかと思うわけでございます。平成八年度予算では新規国債が二十一兆円発行されるということで、当然借換債もあるわけでこの借換債が五十兆円だそうでございますが、これに地方債が加わるわけで、平成七年度の地方債二十兆円を入れますと、国、地方合わせて七十兆円の借金を八年度内に行う、こういうようなことになるわけでございます。それから、残高を見ますと、平成八年度の交付税特会の借入金、これを加えますと平成八年度末で百三十六兆円を超える、こういうような非常に大きな額になってきておるわけでございます。  先ほど来お話がありますように、地方分権時代を迎えまして地方団体の足腰を強くしておかなければならない、それが自治省のお役目であろうというふうに思うわけでございます。この借金体質の抜本的な解消策、こういうのも考えていかなければならないんじゃないかというふうに思っているわけでございまして、この点についてお尋ねしたいと思います。
  24. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、平成八年度末における地方の借入金残高が百三十六兆円を超えるというような規模に見込まれるわけであります。平成八年度の地方財政計画の規模が八十五兆円でございますから大体一・五倍ちょっとの規模になるということで、私どもも大変深刻な問題であるというように考えております。  なぜこういうように借入金の残高がふえてきたかと申しますと、最近における景気低迷による地方税収不足、それから地方交付税の原資であります国税の伸び悩みあるいは減少といったようなことで収支の開きが大きくなってしまった、地方財政の財源不足が大きくなったということが一つであります。景気対策の観点からも先行減税というものが行われたわけでありますから、これに対する借入金といったようなものもありますし、それから同じく景気対策としては公共事業の追加とかあるいは地方の単独事業の追加とか、いずれも借入金によって処理をするというようなことで借入金残高がふえてきたということであります。ある意味ではこれはやむを得ない措置でありますけれども、こういう巨額な借入金を地方財政全体で持っているということを深刻に受けとめていかなきゃいけないというように思っております。  当面は、景気の回復によって税収がどういうように回復をしてくるのであろうかということが最大の関心であるわけであります。しかし、中長期的に見て、先ほど御質問の中で抜本的な解決策というお言葉を使われましたけれども、抜本的というのはなかなか難しいわけでありますけれども、やはり借入金の償還について計画的な償還を目指しているわけでありますので、今後の地方財政計画の策定を通じましてまず計画的に借金は返していく、新たな借金はふやしていかないようにするということが何よりも必要なことではないかというように思います。  いずれにしましても、地方団体としましてはやる仕事はたくさんあるわけでありますから、そういった点も私どもは考えながら、地方財政の運営に支障がないようにしていきたいというように思っている次第でございます。
  25. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それから次に、歳入構造を含めた全体のことについてお聞きしたいと思います。  地方税が落ちておるわけでございまして、当然一般財源の比率が下がっておる。そういう中で国庫支出金、これは横ばいなんですが、実質上は国庫補助金一般財源化ということになるので横ばいは増加なんじゃないかというふうに思っているわけでございます。それに加えて、地方債が急増しておるというような事柄もあるわけでございますし、またいろいろな数字が出ておるわけでございますが、税金も三年連続で下回っておる、一般財源も同様である、それから財調、これがかなり大幅に取りましが行われておるということも言えると思いますし、経常収支比率も八〇%を突破しておる、こういうのは以前に財政危機と騒がれたときよりもきつい状況じゃないかというふうに思うわけでございまして、どの数字をとりましても余りいい傾向ではないわけでございます。  これは県関係を申し上げましたけれども市町村財政についても同様だろうと思うわけでございます。こういう中でなかなか容易なことではないわけでございますし、また景気がこういう状況でございますので急速な回復とか従来のような景気の回復というのは見込めないわけなので、景気の回復ということも期待されるわけですけれども、それを待つだけというわけにもいかないというような状況であるかと思うわけでございます。  今後、これら全体が非常に右肩下がりというような中で地方団体の財政運営の指導ということはなかなか難しいかと思いますが、こういう点につきまして全体を見ましてどういうような指導を行っていくのか、この点についてお答えいただきたいと存じます。
  26. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 御指摘をいただきましたように、平成八年度の地方財政は百三十六兆円を超える多額の借入金を抱える一方で、現下の重要政策課題推進していく上では多額の財政需要が見込まれるわけでございます。地方団体に対しましては、行財政改革を一層推進して行政経費の節減合理化を図っていただくとともに、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹していただきまして節度ある財政運営を行うということを基本として指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  27. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 なかなか難しい問題であろうかと思いますけれども、まあ特効薬というのはないわけでございます。これらにつきましては、お金のかかるものはしようがないんだと、お金のかかる場合にはやはり税も高負担になりますよ、かからないような小さな公共団体にすればそれは負担も少なくていいよというようなことも、自治省の方で皆さんへの御理解をいただくことが必要じゃないかというふうに思うわけでございます。これは特にお答えはいただかなくて結構でございますが、地方公共団体も国と同様に必ずしも大きな地方公共団体でなくていいというふうにも思っておりますので、また御検討いただければと思うわけでございます。  それからもう一つ、先ほど来話が出ておりましたけれども地方団体から地方分権推進委員会に御提言がありました補助金改革でございます。この改革、先ほど来お答えいただきましたけれども、なかなか思い切った改革案だろうと。殊に補助金という場合、今までそれぞれに補助金がついているというのは有用性を持ってついておるわけでございまして、これを是正、縮小するというのはなかなか難しい話だろうと思うわけでございます。そういう中で、非常に荒っぽい、えいっというような話かもしれませんけれども、こういう形の案が出てきた。しかも、地方団体の方から話が出てきたということは大変我々も結構な話だろうというふうに思うわけでございます。  また一方、こういう分権の中で機関委任事務も含めましていろいろなお金のかかる事柄につきましては、なかなか総論賛成、各論反対で各省庁の反対も行われておる、そういうような話をお聞きするわけでございます。  こういう中で、自治省としましてどのような調整を行っていっていただけるのか、地方団体のために改革をしていただくわけでございますので、こういう補助金改革案なども含めまして自治省のお考えを伺いたいと思います。
  28. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 御指摘のように、地方団体から国庫補助負担金の整理合理化について具体的な提言をなされたことには敬意を表します。  国庫補助金等につきましては一般財源化などによりこれまでも整理合理化を進めてきたところでございますが、今後さらにこれを推進していくためには、地方団体の提言のように目標を量的に設定してその計画的な整理を促していくということも一つ考え方であろう、こういうふうに思います。何よりも重要なことは、これに伴いまして地方への税源移譲などにより地方の財源への振りかえを行う必要があるわけでございますが、これについても提言をされていることは高く評価をいたしたいと存じます。  自治省といたしましては、今後地方分権推進委員会における審議ども踏まえまして、国庫補助金等整理合理化に積極的に取り組んでまいりますとともに、これに伴います地方税財源充実強化につきましても検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  29. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 最後だろうと思いますけれども自治大臣国家公安委員長もお務めになっておるわけでございまして、警察関係をちょっとお尋ねさせていた、だきます。  平成八年度予算におきまして三千五百人の地方警察官の増員が図られたわけでございまして、久しぶりだろうというふうに思っておるわけでございます。今の状況、銃器がもう素人の手にも入ってくるというような非常に深刻な状況でございますし、また交通事故も皆様の非常な御努力にもかかわらずなかなか減らないというような状況でございます。  警察官はもう人の増員そのものが充実ということになるわけで、私どももこれには賛成でございます。そういう中で、増強された人員をどういうような観点と申しますか、どのような分野でこの増員を図られるのか、その点もちょっとお聞きしたいと思うわけでございます。  都市犯罪が非常にふえておるので大都市圏を中心に増員するのか、またそうはいっても地方の方でも過疎化現象に伴ってなかなか人手が得られない、お巡りさんを欲しくてもなかなか来てくれないというような実態でございまして、配るについても難しい点があろうかと思いますけれども、どのようなお考えで臨むのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  30. 菅沼清高

    政府委員(菅沼清高君) お答えをいたします。  今御指摘のように、大変ここ数年来の治安情勢は厳しいものがございまして、昨年の地下鉄サリン事件でございますとか、それからここ数年来とみにふえております銃器使用犯罪の急増、さらに国際化が加わりまして大変厳しい状況にございます。  警察といたしましても、こういう状況対応いたしますために、内部的なリストラそれから要員の重点シフトといった形で対応してまいったわけでございますけれども、事案そのものが増加している、それから一つ一つの事案を解決処理いたしますのに大変時間がかかるようになってきている、こういう状況になりまして、なかなか現在の体制だけでは対応をしがたいという判断から、八年度予算で三千五百人の増員をお願いいたしておるわけでございます。  この内容でございますけれども、三千五百人のうちの約三分の二は、交番におけるいわゆる市民生活の安全の確保のための要員としております。  そのほかには、けん銃等の銃器犯罪捜査体制を強化する、それから一連のオウム教団事件の中でも顕在化いたしましたけれども、科学捜査体制の強化の必要がある、そうしたことを踏まえまして三千五百人をお願いしておるわけでございます。  これが認められますと、各県の治安情勢、また現在それぞれの県が持っております警察体制、そうしたものを勘案しながらできるだけ効果的な配分をいたしたい、このように考えております。
  31. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 話はちょっと飛びますけれども、学生の就職状況、御承知のように氷河期と言われて非常に厳しいわけでございます。こういう中で、今年度の卒業生もまだ就職できない方がたくさんおるんだろうと思うわけでございます。女子の就職が厳しかったんで女子をというわけにも警察官の場合いかないかと思いますけれども、早く採用を決めてやって今年度の学生の就職にも役立たせていただければと、そういうふうに思うわけでございます。  要望を申し上げまして、終わりにします。
  32. 小山峰男

    ○小山峰男君 私は、所信表明に関連して質問を申し上げます。  地方分権必要性あるいは推進等につきましてはもう大変古くから叫ばれてきたわけでございますが、法律の制定というようなものを機に大きく前進しようとしておりますことは御存じのとおりでございます。大臣決意のほどはさきにお聞きしたわけでございますが、推進委員会検討状況を見ましても機関委任事務廃止等大きく前進をしてきているわけでございます。  このような中で、今後地方自治法の改正が大きな課題になってくるというふうに考えられると思います。地方分権は、もともと住民に身近な事務は身近な自治体でそれぞれの地方が特色を生かして発展していくことが基本であるわけでございまして、自治法等につきましても弾力的な対応ができるように改正を図る必要があるというふうに考えております。中身を見ますと、いろいろな面で規制的な法律になっている部分も多いというふうに思っております。ぜひ検討をお願いしたいと思うわけでございます。  そんな中で、受け皿論とも関係があるわけでございますが、特に第二十二次の地方制度調査会答申でも「今後、検討する。」となっておりますいわゆる市の支配人制度というようなものについても考えていったらどうかというふうに思うわけでございます。中核市とかあるいは広域連合などにあわせて選択肢をできるだけたくさんつくっておく必要があるというふうに思っております。  これらの点も含めて、自治法の改正について自治大臣の基本的な考え方をお聞きできればと思います。
  33. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 市の支配人制度につきましては、御案内のように、形式的に市を代表する市長とは別に、議会に任命された市支配人が議会の決定した政策の執行に当たるという制度でございます。  本制度市町村行政制度の根幹にかかわる事柄でもございますし、また憲法上、地方公共団体の長が住民の直接選挙によって選出されることとされている我が国におきまして、長とは別の執行機関地方公共団体の政策執行の全般を担うという制度機能し得るかどうかなど、種々の観点から十分かつ慎重な検討が必要であると考えております。  なお、御指摘のありました「小規模町村のあり方についての答申」の中の「その他」におきまして、「いわゆる議会−支配人制の導入等の基本的な組織形態のあり方事務配分の特例についても、今後、検討する。」ということは承知いたしております。
  34. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろ隘路もあると思いますが、できるだけ弾力化の方向で検討をお願いしたいと思うわけでございます。  次に、財政問題等についてお聞きするわけでございますが、地方分権にとって税財源確保をどうするかということは大きな課題だと、先ほど来いろいろ論議が出ているところでございます。方向としては、地方税充実地方交付税による措置とが考えられるというふうに思いますが、弱小市町村にとっては税財源の偏在による地方交付税への期待が大変大きいわけでございます。地方分権に伴って、地方がそれぞれの特色を持って行政を執行する場合の地方交付税の算定というものについては大変難しいものになるのではないかというふうに予想されるわけでございます。現在、各省で行っております行政水準基準というようなものがある程度弾力化されてくるということになりますと、交付税をどういう形で算定するのか非常に難しさも出てくるというふうに思うわけでございます。  これは若干先の話になるわけでございますが、その辺の考え方等があったらお聞かせいただきたいと思います。
  35. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 地方分権が進んだときに交付税の算定がどういうようになるのかというお尋ねかと存じます。  実際問題としては、地方分権がどういう形で進んでいくのか、確定していくのかがまだはっきりしないわけでありますが、個別の事務地方団体に任され、あるいは国の補助金、負担金等の整理合理化がなされるということになれば地方の一般財源で処理すべき部分がふえてくるわけでありますから、交付税問題で申し上げますと、やはり地方税財源の移譲の中で税源の移譲というのも当然必要なわけでありますけれども、御質問の中にありましたように弱小の市町村も多いということで、交付税総額というのも移譲といいますか、ふやしていくということが大変必要だろうと思っております。  それから、具体的な算定方法のあり方問題でありますけれども一つは客観的な指標に基づいてできるだけ配分をしていく、私どもはこれを静的な算定と言っておりますけれども、それと今、事業費補正その他、動的な指標に基づいて算定をいたしておりますが、こういったものをうまく組み合わせて地方団体から毎年度非常に多くの交付税算定についての要望が出されてきております。  交付税の算定自体を簡素化すると同時に、地方団体のそういった個別の財政需要の要望などにもこたえられるような多角的な検討も交えながら、これからは交付税の算定方法の改正に取り組んでいかなければいけないだろうというように思っております。
  36. 小山峰男

    ○小山峰男君 地方分権時代になれば、大変ユニークな町村だとか、あるいは福祉を重点に進める町村だとか、あるいは建設事業主体というような形でかなり市町村ごとの特色が出てくるというふうに思っておりまして、そういうものに十分対応できるような交付税の算定、ぜひそういう面で今後御検討をいただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、消防問題について御質問をいたします。  消防につきましては、常備消防化というようなことで大変御努力をされているわけでございます。しかし、その常備体制の中身を見ますと、全国の消防本部の組織の中で五十人から百人という程度の大変人員の少ない小規模消防本部が多いというような状況もございまして、消防団の活動というのがそれを補っているというふうに思っております。  調査によりますと、消防団員は、平成七年四月一日現在で三千六百三十七団、九十七万五千五百十二人というふうになっているとお聞きしておりますが、地域に密着しあるいは住民のことをよく知り得る立場にある消防団員が大変減少してきているとか、また平均年齢も三十五・九歳というように高齢化しているとか、あるいはサラリーマン人口の増加に伴い確保が大変困難になっているというような状況があるわけでございます。  大臣の説明の中でも、阪神淡路大震災で、地域の安全を守るためその役割が改めて認識された消防団の活性化と自主防災体制の整備についての強化というようなことが書いてあるわけでございまして、この辺につきましてどのようなことをお考えか、お聞きしたいと思います。
  37. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 今お話がございましたように、阪神淡路大震災において消防団を初めとする地域の自主防災体制の重要性が改めて見直されたというように私どもも考えております。  私ども阪神大震災後に行いましたいろんな施策の中で、緊急消防援助隊の創設といったような全国的な広域的な応援体制の整備もやってまいりましたけれども、しかし何といいましても、災害が発生しました場合、その直後にその地域で消火活動を行うあるいは救助活動を行うというのは、やはり消防団あるいは地域住民皆さん方の自主的な組織というものが大事でございます。その意味で、私どもこれまでも消防団を初めとします自主的な防災組織の育成には努めてまいりましたけれども、新たな気持ちを持って取り組んでまいらなければならないというように考えております。  具体的に申し上げますと、消防庁におきまして実施しておりますものとしては、例えば消防団拠点施設等整備事業、消防団活性化総合整備事業といったような名称によります消防団の施設、装備の充実、あるいはまた消防団の皆さん方の報酬、出動手当などにつきましての地方交付税の算入額の引き上げ、あるいはまた青年層、女性層の皆さん方に対する消防団への参加の呼びかけといったようなことにいろいろ努めてまいってきております。  また、自主防災組織につきましても、それぞれの地域でいわばコミュニティー防災拠点といったようなものの整備を進めていって、平常時におきましては地域住民皆さん方の憩いの場になる、あるいはまた自主防災組織の研修の場になる、しかしいざというときには自主防災組織の活動の拠点になる、備蓄をした資機材が活用されるといったようなそういうコミュニティーの防災拠点の整備といったようなことも進めてきておるわけでございます。  冒頭申し上げましたように、阪神淡路大震災の経験を経て、消防団、地域住民皆さんの自主防災組織の重要性を改めて認識されたと思います。私どもも精いっぱい努力してまいりたいと思います。
  38. 小山峰男

    ○小山峰男君 今後ともその充実強化等についてぜひ御努力をいただきたいと思います。  次に、警察関係についてお願いやら御質問を申し上げる次第でございます。  これまでの我が国の治安のよさは世界的にも評価されていることはもう御存じのとおりでございます。しかし、最近、地下鉄のサリン事件だとかあるいは銃砲等の不法所持がふえているだとかいろいろな問題があるわけでございますし、またそれに加えて阪神淡路大震災が起こったというようなことで、日本の安全神話も崩壊しつつあるというような状況かと思います。  このような中で、二年後には我が国で世界的な大イベントでございます長野冬季オリンピックが開催されるわけでございまして、役員とか選手の皆さんに、治安のいいあるいは治安に対する不安のない環境の中で競技をしてもらう、そのことがオリンピックの成功につながるというふうに思っているわけでございます。  また、オリンピックというようなイベントになりますと、国際的なテロ集団というような問題もあるというふうに考えなければならないかと思うわけでございます。現在、長野県の県警でもその対応検討中というふうに聞いているわけでございますが、しかし全国的な支援、応援が必要だというふうに思うわけでございます。  そこで、警備体制だとかあるいは交通対策等につきまして支援をお願いしたいと同時に、考え方等をお聞きしたい。APEC等につきましてもかなり重点的な予算がつけられたという話を聞いておりますので、その辺、必要なものについては十分な形で御支援をお願いしたいと思うわけでございまして、考え方等を含めてよろしくお聞かせください。
  39. 田中節夫

    政府委員(田中節夫君) ただいま委員指摘のとおり、平成十年二月に開催されます長野冬季オリンピックでございますが、お話しのとおり厳しい情勢の中で開催されまして、多数の出場選手のほかに開会式等に国内外の要人の出席が多数見込まれる、また各競技場にも相当数の観客が見込まれ、地域交通にも大変大きな影響を及ぼすというふうに我々予想しております。  このような状況の中におきまして、オリンピック関係の諸行事を円滑に進めるためには、関係機関とも連携、協調を図る必要がございますけれども警察といたしましては、状況に応じまして他府県警察からの応援も含めて必要な体制を確立する、そして万全な警備対策を講ずる。また、所要の交通安全施設につきましても、これを計画的に整備いたしまして交通対策に遺憾のないよう期してまいりたいと考えております。
  40. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひ万全の体制でお願いしたいと思います。  特に、人的な応援等も当然お願いしなければならないというふうに思っておりますが、外国のお客さんたちも大変多いという中で、語学ができる人というような要請も大変あろうかと思います。警察庁等にもそういう語学のできる人も大勢いるわけでございますので、人選等に当たりましてはまたそういう面も考慮してお願いをしたいというふうに思います。
  41. 田中節夫

    政府委員(田中節夫君) オリンピックの開催につきましては事務局の方で具体的にいろいろ御検討されていると思いますけれども、私ども警察といたしましても、今委員指摘のようなことに十分配慮しながら体制をしっかりとっていくというふうに考えております。
  42. 小山峰男

    ○小山峰男君 そういう点でぜひよろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  43. 和田洋子

    ○和田洋子君 平成会の和田洋子でございます。  ことしは例年になく雪がたくさん降りました。  特に北海道の日本海側や東部の一部など、特定の地域に局地的な大雪が降っております。また、私の地元会津でも十年ぶりの大雪と言っております。  この大雪による被害については、例えばことしに入って一カ月半で雪によって亡くなった方が十五名いらっしゃる。雪おろしとか除雪中に水路に転落されたとか機械に挟まれてお亡くなりになったとかですけれども、またけがをされた方は百五十五名と聞いております。既に昨年を上回っており、相当深刻な状況であります。  こうした大雪に対して各地方団体では、主要な道路の除雪、排雪を行って住民の生活に支障がないように大変な努力をしています。しかし、団体によっては除排雪の予算がかなり大きな額に上って、現在のように厳しい財政状況のもとではこの負担が相当重くのしかかっているのではないかと考えられます。  そこで、こうした除排雪経費について現在どのような財源措置がなされておられますか、お尋ねいたします。
  44. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  ことしは御指摘がありましたように十年ぶりの大雪ということで、地方団体によりましてはこの除排雪経費が大変かかって困っているという状況について私どももよく承知をいたしているところであります。  一般的に申し上げますと、除排雪経費は、道路あるいは公共施設について除排雪をする経費が地方公共団体にかかるわけでありますので、それらについての経費を一つは普通交付税で算定しているところでございます。  考え方でございますけれども、雪のたくさん降るところと少ないところ、全然降らないところとございますので、全国を雪の深さに応じまして一級地から四級地まで区分をいたしてございます。  そして、私どもの方でそういった団体の除雪経費の実態を調査いたしまして、そしてその級地区分に応じまして大体平年の積雪量を除雪するのに要する経費、具体的に言いますと、機械のリース料あるいはチャーター料それから機械の燃料費などが主になるわけでありますけれども、そういった平年ぐらいに降ります雪の除雪については普通交付税の額で対応できる仕組みにいたしております。  平成七年度、今年度で申し上げますと、都道府県、市町村合わせまして、全国で約千五百億円が普通交付税基準財政需要額に計算をされているというようにお考えをいただきたいと思います。  この額は雪の実際に降る量とは関係なく、普通交付税でございますので毎年保障されているわけでありまして、今まで十年間どちらかというと雪が少のうございましたので若干有利になっていたのではないかという話もあるようなぐあいでありますが、ことしは先ほど申し上げましたように大変な大雪でございまして、一部の地域では自衛隊も出るというようなことでございますので、これはもう災害に相当するものだというように私どもも理解をいたしてございます。  こういうように年によって大変な豪雪に見舞われるということになりますと、普通交付税で算定された額では当然及ばないわけでありますので、地方公共団体から実際の除雪経費を報告していただくというようなことで、その中で普通交付税でどのぐらい算定されておったのか、あるいは実際の降雪量、積雪量がどのぐらいであったのか、当該団体財政状況がどうなのか、そういったようなことを勘案いたしまして、超過した分について特別交付税所要の措置を講じていくという措置をことしも講じていきたいというように思っている次第でございます。
  45. 和田洋子

    ○和田洋子君 標準的な経費は普通交付税で、不足する分を特別交付税でということですが、雪国で除排雪の経費は、住民の足の確保そして特に安全の確保にもつながっております。そして、それは自然が相手のことでありまして、地方団体は大変苦慮しているところですけれども、財源の措置をより充実していくべきと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
  46. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 概要につきましてはただいま遠藤財政局長から御答弁申し上げたとおりでございます。  私が言うまでもなく、雪国におきましては除排雪は住民の皆様の生活に欠かすことのできないものでございます。それに要します経費につきましては今後とも必要な財政措置を講じまして、関係地方団体の財政運営に支障のないよう対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  47. 和田洋子

    ○和田洋子君 次に、警察庁にお伺いをいたします。  死亡された方とかけがをされた方というのは消防庁の発表された数字でありますけれども、雪による交通事故を挙げればこれはまた違った数字が出てくるのではないかと考えます。公害の面からスパイクタイヤが禁止され、スタッドレスタイヤになってスピードが出せなくなって大きな事故が減っているとは言われておりますが、私が知る限りでは追突の事故とか接触の事故は大変多発していると考えます。その報告はありますか。
  48. 田中節夫

    政府委員(田中節夫君) 委員指摘の積雪地域におきますところの事故状況でございますけれども、私ども平成七年の二月及び三月に北海道、東北等の十一道県で起きましたスリップ事故、これをスパイクタイヤを禁止いたしました法律の前の状況と比べた数字がございます。  それによりますと、昨年の二月及び三月では、これは人身事故に限りますけれども、二千五百四十五件。それから、法律の施行前の平成三年の二月及び三月の数字が三千百四十一件ということでございまして、数字そのものは人身事故につきましては減っております。  ただ、今委員が御指摘のように、私どもでは人身事故に至らない物件事故は統計をとっておりませんので、全体としてどのような状況になっているかということにつきましては具体的な数字はとっておりません。
  49. 和田洋子

    ○和田洋子君 私が地元に帰りまして気がつくことなんですけれども、道路の標識に雪が積もってしまって案内が全然見えないということがあります。例えば、地元の人は見えなくても大丈夫なんですけれども、標識というのはわからない方のためのものだと思いますので、もしこれが事故につながるようなことがあってはなりませんし、雪が降っても、よく見るのは屋根がついていたりちょっと傾斜をしているような工夫はされているようですけれども、雪がするっと落ちるような何かそういうものは考えておられますか。
  50. 田中節夫

    政府委員(田中節夫君) 積雪地域におきます道路標識の設置の問題でございますけれども、まずこれを見やすいようにするということで、オーバーハングといいまして上からつるすような工夫をしている。それから、具体的に設置されました標識につきましては、角度を設けたり、今委員お話しのように道路標識の上部にひさしを設けまして標示板に雪がつかないそういう対策を講じておりますし、また幹線道路につきましては、警察官等が随時巡回いたしまして雪の付着のチェックを行う、そういうことで都道府県を指導しております。  ただ、この対応につきましてはまだ十分でないというようなところもございますので、引き続き指導してまいりたいというふうに考えております。さらに、新しい技術といいますか新しい方法が導入できないかというお話でございますが、これにつきましても、冬の積雪時におきます道路標識の視認性を高めるための技術的な研究あるいは工夫を一層重ねてまいりたい、かように考えております。
  51. 和田洋子

    ○和田洋子君 よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、建設省にお伺いをいたします。  昭和三十一年の四月から積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、雪寒法というのだそうですけれども、この法律に基づいて、積雪寒冷度が特に甚だしい地域に道路交通の確保が必要であると認められた道路を指定し、除雪、防雪、凍雪防止に係る雪寒事業を実施されていると聞いておりますが、現在、第十次五カ年計画が実施されているそうです。  融雪剤ですけれども、塩素系の融雪剤だと私は思って、みんなもそう認識をしているんですが、あれで周りの田んぼとか森林とかに害があるのではないかと地元では大変心配をしておりますが、苦情とかそのようなものはあるのでしょうか。
  52. 菊地賢三

    説明員(菊地賢三君) 高速道路等につきましては、冬期間におきます路面凍結による事故を防ぎ安全な交通を確保するために、勾配区間やカーブ区間のうちスリップ等の起こる可能性のあるところにつきましては必要な量の塩化ナトリウム、これは食塩でございます、こういうものや塩化カルシウム、こういうものを凍結防止剤として散布しているところでございます。  この塩化ナトリウムの凍結防止剤は、通常の散布量では沿道の果樹等への影響は少ないというふうに考えておりますが、道路の切り土部とか盛り土部等の境界付近とか、それから橋梁の部分とか高架橋の部分、こういうところは非常に凍結しやすいということ、それから農地との距離がとれないところなどの場合にはどうしても果樹に影響を及ぼす可能性があるというふうなことも考えられますので、必要に応じまして被害防止のための飛散防止ネットというものを設置して対策を行っているところでございます。それでも一部果樹等に収穫の減少等の影響があった場合には、塩分の付着量等を調査しまして必要な処理を行っているところでございます。  現在、凍結防止剤としましては今申し上げました塩化ナトリウム剤が主力でございまして、これは環境への負荷も少ないということでございまして、経済的でかついろんな効率も高いということで広く国内外で使われているものでございます。  私どもとしましては、今後とも冬期間におきます安全を確保するために、凍結防止剤の効果的な散布頻度また散布法につきまして、引き続きよりよい方策につきまして検討いたしまして、雪氷対策につきまして鋭意努力をしていきたいと思っております。
  53. 和田洋子

    ○和田洋子君 先ほどのスパイクタイヤの話ですが、雪寒事業などでお願いをできればいいんですけれども、スタッドレスタイヤになったために、交差点をみんなブレーキをかげながら静かに行くので交差点の路面が鏡のようにつるつるで、歩いている人が転倒してしまうということがあったり、また北海道ではお子さんの本当に痛ましい事故があったわけですけれども、大きな交差点には熱線を入れるとか、そういうようなことを考えておられますか。
  54. 馬場直俊

    説明員(馬場直俊君) 先ほど先生の御紹介ありましたいわゆる雪寒法に基づきまして除雪、防雪、凍雪害の防止と、こういった雪寒事業を推進しているところでございます。  ただいまお話がございましたスパイクタイヤ、これが禁止されましてスタッドレスタイヤが普及している中、滑りやすい凍結路面の発生がございまして、自動車、歩行者への影響が生じているということにつきましては十分認識しているところでございます。  脱スパイクタイヤ時代ということになりまして、各道路管理者はより一層の凍結路面対策を促進するために除雪方法等に各種の工夫を行っております。例えば、除雪の出動時期を従来より早くすることとか、あるいは適時適切な除雪の実施、また凍結防止剤につきましても早期に散布するなどの効果的な散布、これに努めているところでございます。  それからさらに、急な坂道等の対策といたしまして、坂道前後のチェーン着脱場の整備、あるいは消雪施設、砂箱の設置、凍結抑制舗装等の対策も推進しているところでございます。また、除雪機械につきましても、機械的に粗面を形成いたしまして摩擦係数を増加させるために、粗面形成装置を設置した例えば除雪グレーダー等の導入を図っているところでございます。  凍結路面対策の充実を図るために、平成七年度より新たにロードヒーティング等の消雪施設の実施対象地域を積雪地域から積雪寒冷地域全域に拡大いたしました。また、従来、人家連檐それから踏切道だとか急坂路に係る実施対象箇所に、ただいま先生が御紹介ございました自動車の制動、発進ということで非常に影響のある交差点、これにつきましても今年度から対象に加えたということになってございます。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  ロードヒーティングに限りますればランニングコストという非常に大きな課題もあるわけでございますけれども、今後ともこういった凍結路面対策を重点的に実施いたしまして、冬期の道路交通の安全確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 和田洋子

    ○和田洋子君 雪寒事業の中でよろしくお願いしたいと思います。  先ほど小川委員も、地方自治法の話の中で予算のことを言われたわけですが、道路工事の発注というものが雪国なんかでは大変遅いために、せっかく秋口につくった道路をまた冬に除雪の大きな車で傷めて、でこぼこの道を春と夏に通って、秋にまた発注を受けてと、もう本当に悪循環です。  私が県会議員の当時、いつもその要望はゼロ国債、ゼロ県債だったわけでありますが、そのような方向で考えておられるのでしょうか。
  56. 馬場直俊

    説明員(馬場直俊君) お答えいたします。  積雪寒冷地におきましては冬期における路面の損耗が激しく、特に三月上旬から四月上旬にかけましてわだちや段差が多くなって、交通安全及び騒音、振動の環境対策の観点からも早急な路面補修が必要とされております。  例えば、直轄の一般国道におきましては、このような背景を踏まえまして、ただいま先生の方からもお話がございましたように、昭和六十一年度補正予算で三月から工事着手が可能となるような修繕事業についての国庫債務負担行為が初めて導入されまして、昭和六十二年度の本予算より制度化されてございます。この制度を最大限活用いたしまして、積雪寒冷地における修繕事業を春先に実施できるように努めているところでございます。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕また、消えかかった区画線を春先に新たに引き直す等の交通安全上必要な措置が講じられるよう努めているところでございます。  以上でございます。
  57. 和田洋子

    ○和田洋子君 よろしくお願いしたいと思います。  災害対策本部の設置状況によりますと、都道府県では延べ四団体が設置され、市町村では九道県に延べ百四十二団体が設置されております。そして、その他自衛隊の派遣を九市町で出動願ったり、積雪地帯、寒冷地帯と言われるところの大半は、積雪と一緒に今度は過疎と高齢化ということをあわせ持って、大変地方自治体は苦慮しております。  例えば、私の福島県の二月十九日に発表した昨年十一月現在の高齢化の状況は、県内九十市町村のうち高齢化率を二〇%上回っている町村は六割までに達しております。昭和村というのがあるんですが、昭和村は最高の四〇・二五%であります。人口二千二十七人の中で二十歳以下の人口は百五十人、有権者が千八百人以上いる、そういうところです。以下、三九・七〇%とか、三四・〇三%とずっと続いております。  若者の定着を願って企業の誘致を図ったり、遊び場などをつくりたいといえば、今度はそれは自然環境保護の問題、開発と自然環境保護をどんなところで整合させるか、これは地方自治体の物すごく大きな課題だというふうに思います。森林はきれいな空気と水を涵養しております。農地は日本人の食を守っています。森林を守るために林道をつくる。後継者がいないので、お年寄りだけが山に登っていかなくてはいけない。林道をつくるとなれば、大変かわいいイヌワシがいたり、私たちの町村では自然環境保護をどういうふうにするか、また開発をどういうふうにするかというのが一番の課題なんですね。  それで、例えば教育でいいますと、小中学校の子供でさえも冬期間は寄宿舎に入らなくてはいけないという地域もあります。福島県では九校で寄宿舎に入る子供さんがいらっしゃいます。国から日用品と食料のお金を一日千四百円いただいているんですが、親は冬期間の仕事のない時期に子供を寄宿させなくてはいけない、大変な負担になっております。  そしてまた、生活の面から考え暮らしの面から考えていきますと、暖冷房、光熱、それは決してぜいたく品ではなくて、六月ぐらいまでこたつに入っていて、十月からはまたこたつに入らなくてはいけないというような地域であります。自動車のスタッドレスタイヤなんかは毎年買わないと悪くなってしまいます。そして、夏場と冬場、両方の車庫を持っている方がたくさんいらっしゃいます。夏場は自宅の近所の車庫で、冬場は道路のそばに車庫を持たなくてはいけない、大変お金がかかる地域であります。  そういう地域は、例えば公務員の皆さんには寒冷地手当というのがあります。それは、行政がそういう地域は本当にお金がかかるというふうに見ていらっしゃることだと私は思います、一般の人には寒冷地手当なんというのはないのでありますから。  税金の面でぜひに、さっきの小川議員の話にはちょっと逆行するかと思いますが、それは決して逆行ではないと思います。もっともっと心の行き届いた、本当に住民のための税金の配分であれば、寒冷地とかそういう人たちには少し税金の免除とかそういうものがあってしかるべきだと思いますので、これは質問ではありませんけれども大臣初め皆さんはそういうことに大きく配慮をされて、ぜひそんな温かい国政にしていただきたい。よろしくお願いします。  質問を終わります。
  58. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大臣、非常に時間が短いわけでございまして大変恐縮でございます。  私は、特に大臣所信をお聞きしながら、そういう中で幾つか感じた点について再度大臣の御所見をお聞きしたい。鎌田先生初め多くの委員から御質問がありましたので大分ダブると思うんですけれども、私自身も地方行政について一定の自分の考え方を持っておりますので少し述べまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思うわけです。  大臣地方自治には非常に豊富な御経験とすぐれた識見を持っておられることについては、先日の本委員会でも岩瀬委員の方から御紹介がありましたし、きょうも小川委員の方からそういうお話がございました。私も松浦先生初め自民党の先生方からも以前から大臣のお話はお聞きをし、大いに期待を申し上げておりました。  その中で、特にこれからの日本の政治の方向を決めるといいますか、地方分権推進について大臣所信の中で、「地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう地方公共団体の自主性、自立性を高めていくことが必要であり、もはや実行の段階である」との認識を述べられました。私も今日まで地方の自主性を求めて、私は地方分権ということではなくて地方主権という立場から今までいろいろと運動をし、あるいは国会の中でも申し上げてまいりました一人として、大臣所信をお聞きして百倍もの力を得たような感じを実は持ったわけです。  そこでお伺いをしたいのは、これも先ほど鎌田先生から若干お話がありましたが、昨年の十二月二十二日、地方分権推進委員会機関委任事務制度廃止した場合のいわゆる検討試案を公表していますが、これはもう御承知のように、私自身の分析では、従来の事務概念を全く御破算にしてしまうというような立場に立った新たな事務として自治事務とそれから法定受託事務、こういうふうに分類をした画期的なものではないかというふうに実は評価をしておるところです。  大臣としてはこの試案についてどういうふうに受けとめ評価をされておるか、まずお伺いしたいと思います。
  59. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま渡辺委員がお話になられたとおりだと私も思います。  機関委任事務制度につきましては、地方団体を初め地方制度調査会などにおきましても、地方自治の本旨との関係地方公共団体の自主性、自立性の確保事務処理責任の所在の明確化などの観点から、制度自体を見直していく必要がある旨の指摘が行われております。  御指摘地方分権推進委員会が昨年の十二月二十二日に発表されました機関委任事務制度に係る検討試案につきましては、地方団体等からの機関委任事務制度廃止に向けての強い改革意見表明に沿ったものであると存じます。機関委任事務制度廃止した場合におきまする新たな地方公共団体事務あり方について踏み込んだものと、こういうふうに私も同様に評価をいたしているところでございます。
  60. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大変心強く思っております。  私、先ほど若干申し上げましたが、私自身の地方自治についての見方として、地方自治の現状というのは、戦後の一時期を別といたしまして、例えば現在五百六十一項目と言われております機関委任事務あるいは補助金制度については評価は分かれると思うんですけれども、やっぱり補助金制度によってがんじがらめに地方は縛られてきたんではないか、そういう中でどんどん中央の権力、権限が強まってきたというふうに私自身は分析をしておるところです。  そういう中で、今大臣からお話がありましたように私も地方制度調査会に一緒に参画をしておりましたが、調査会を初め地方団体、あるいは非常に地方政治に関心のある多くの学者や文化人の皆さん、あるいは労働団体から、国の政治でこれほど長年にわたってたくさんの決議とか答申とかあるいは意見というのが出された政治課題というのは余りないんじゃないか。  もちろん、明治維新あるいは昭和の敗戦後の問題、今度は大きく言って三回目の変わりであるわけですけれども、そういうことから見て私自身は、今の機関委任事務制度あるいは地方自治の現状あるいは地方自治の本旨から見ても、現状というのは百害あって一利なしというふうに地方自治体から見られるんじゃないかと実は思っておるところです。  そういう中で、昨年五月のあの地方分権推進法、学者の皆さん、六団体からも非常に高い評価を受けたわけですが、地方分権を進めよということで法律で義務づけた、ここが非常に大きいところじゃないか。そういう点で、政府全体として真摯にこの重みを受けとめて、そして推進委員会に全面的にやっぱり協力をすべきであるというふうに私は願っておるところです。  先ほどの質問の中で推進委員会石井事務局次長からもお話がありましたが、各省庁からの推進委員会に対する回答を見てみますと、機関委任事務問題については新たな言葉として共同事務というような言葉まで出てきておりますが、かなりな抵抗が出つつあるんじゃないかというふうに思っておるところです。そういう点で、今の機関委任事務補助金制度問題にここで風穴をあけなければ、これから後の私らが願っております自治の本旨に基づいた地方自治というのはとてもまた遠のいていくんじゃないか。そういう点から見れば非常に重大な局面を迎えておる。  そういう中で三月末に中間答申が出され、そして勧告が相次いで出ていくでしょう。そういう点から見て、私も各委員の先ほどからの御意見を聞きまして、全面的にバックアップを委員会としてもやらなきゃいけないというふうに再度決意をしたわけですが、大臣は閣議の中でも特に重要なポストに自治大臣という立場でおられるわけですから、このことについて大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  61. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 渡辺委員から地方自治に精通したお立場で大変な激励をちょうだいして、恐縮でございます。  御指摘にありましたように、地方分権推進委員会意見聴取の場におきまして各省庁は、全国的統一性確保や広域的な調整などの理由を挙げまして機関委任事務制度見直しについて慎重な姿勢だったと伝えられておりますことは承知をいたしております。  しかし、先刻も申し上げましたように、地方団体からは機関委任事務制度廃止に向けまして強い改革意見表明がなされておるところでございますし、地方分権推進委員会に対しましても、機関委任事務制度の抜本的な見直しなど各般にわたります課題について積極的に検討を深められ、具体的な指針勧告をお願い申し上げておるところでございます。  地方分権推進は、国と地方の新たな関係の構築を目指すものでございまして、再三申し上げるようでございますが、私といたしましても、地方分権推進法に則して実りある成果を上げることができますよう強い決意で臨んでまいりますので、委員各位の御支援を心から重ねてお願い申し上げる次第でございます。
  62. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ありがとうございます。ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  先ほども鎌田先生なり岩瀬先生の方から質問がありました地方財政問題について若干お聞きをしておきたいと思うんですけれども、これも大臣の方にお願いをしたいんですが、先般来、財政局長の方からもお話がありました。国税と地方税の税源配分二対一に対して、地方税や国庫支出金による財源配分後の最終支出は逆に一対二であるというようなお話がありました。  それからまた、平成七年度の地方交付税の不交付団体が、これは非常に残念ですが、都道府県では東京都のみになりました。あとは全部交付団体になる。市町村では百五十三団体が不交付団体でありまして、全体の五%弱にしか当たらない。地方団体の九五%以上が国からの財政調整を受けなければ現在の自治の運営ができないという、これが恒常化してしまっておる。ここに今の税制度の欠陥があるのじゃないかということを指摘された学者もたくさんおられますが、私もやっぱりこの考えは一理あるというふうに自分自身でも思っておるところです。  そこで、きょうは時間がありませんから申し上げたいのは、評価が高い地方分権推進法の中で、この財政問題について非常に弱いという指摘もあります。推進法の第六条で、国は地方公共団体が自主的かつ自立的に事業を行うことができるよう国と地方役割分担に応じた地方税財源充実確保を図ると規定されておりますが、実はこれだけで終わっておるわけです。ですから、地方税源の充実策について別に明示がないものですから、確かに私らも一緒に参画をしておりましたが、この程度の規定しかできなかったということについては理解できないことはありません。  しかし、地方分権に当たってこれから先の地方財源の具体策についてはすべて地方分権推進委員会検討にゆだねるという状況になっておりますけれども、これではなかなか抵抗が強い。先ほど鎌田先生が少しおしかりになりましたように、大蔵の立場もああいう立場でありますから、大臣もおっしゃるように地方の自主性、自立性を高めるための地方財源の充実強化の具体策について、何か大臣にお考えがあればお聞かせ願いたいというふうに思います。
  63. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 御指摘にございました地方分権推進法第六条に規定されておりますように、地方税財源充実強化を図るということは今後とも重要な課題でございます。国と地方公共団体役割分担に応じた地方税財源充実強化に当たりましては、国庫補助負担金の整理合理化に努めるとともに、地方税充実強化を基本としながら、あわせて地方交付税充実強化を図ることが必要であるというふうに考えております。  現在、地方分権推進委員会におきまして、国と地方役割分担あり方に即して、権限の移譲、補助金等整理合理化地方税財源充実確保あり方などを含みます地方分権推進計画のための具体的な指針づくりが行われているところでありますので、これらの審議やさらに税制調査会などにおける論議を踏まえながら、地方税財源の一層の充実強化に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  64. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 先ほどお話がありましたように、六団体の方からも四兆円の補助金問題について具体的な提起がなされておりますから、ぜひ一緒になって求めに応じるように努力してまいりたいと思っております。  最後でございますが、国家公安委員長という立場から御所見をお伺いしたいと思うんですけれども、もう余り時間がありませんから省略をいたしますが、先ほどもお話がありましたように、治安のすぐれた日本だということで世界的に誇っておりましたが、残念なことに昨年ああいう事件が相次ぎまして、非常に今国民自身の中にも不安を感じておる部分がたくさんあるわけです。しかし、こうした中で昨年一年間を顧みてみますと、警察当局は特にサリン事件を初め、あるいは阪神・淡路の大震災、そして弁護士の坂本一家のあの残酷な事件に対して、あの気候的にもあるいは地形的にも環境の悪い中、本当に大変な努力をしながら犠牲者の救助作業に取り組んでおったのを多くの国民はテレビで拝見をして、やはり警察に対する信頼度が高まったんではないかというふうに実は私は思っておるところです。  そういう中でお聞きをしたいのは、やはり捜査というのはなかなか公開のできない部分もあると思うんです。今、警察がマスコミとよく約束しておりますように、誘拐犯人なんかの場合は公開をしないで秘密に捜査をしていくという方法もとられておりますが、特に厳密な捜査、慎重に慎重を重ねても警察官だって人間ですから間違いを起こすことがあると思うんです。その例があの松本サリン事件の河野さんの件だろうと思うんです。河野さんに対しては、本当にやっぱり申しわけないことをいたしました。  当時の国家公安委員長が、直接会館に河野さんをお招きして謝罪をした。そしてまた、大臣をやめた後も松本の病院にお見舞いに行って、できれば自分の施設で面倒を見させてくれないかというようなことに対して、あの河野さん自身が、やはり人間と人間の中で謝罪をされたと感じておる、私にとっては十分でございます。植物人間で入院しておる妻を治すためにこれからが本当の闘いであるというふうに報道されたわけです。先般は、ドキュメンタリーで約一年七カ月の放映がされまして、私は、あそこのお嬢さんを含めて御家族三人の本当に大変な御苦労があったと思うんです。  ですから、先ほども申し上げましたが、警察官だって人間ですし、一生懸命捜査をやる中ではあるいは間違いが起きるかもしれない。しかし、過ちは素直に認めて謝罪をする、そのことが民主警察そして信頼される警察につながっていくんではないか。  最高責任者としての国家公安委員長に、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  65. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) まず、捜査上の秘密の保持につきましては法令等におきまして規定をされ、捜査を行う者にとっての大原則とされているところであろうと思います。  御指摘の事件のような社会的関心の高い事件につきましては、報道関係者から取材を受ける際にも捜査側においてミスリードしないよう十分配慮をいたしてまいりますとともに、公共的な利益や個人の利益に関する事項につきましては、捜査上の秘密の保持の原則に反しない限度におきまして社会に必要な情報を提供することについて、今後配慮してまいりたいというふうに存じます。  なお、御指摘がございました当時の野中国家公安委員長の対応につきましては十分承知をいたしているところでございます。
  66. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ありがとうございました。終わります。
  67. 有働正治

    ○有働正治君 大臣所信表明の中で阪神淡路大震災問題について触れられました。そして、被災住民自治体に対して今後も復旧その他について積極的に対応していくという意向を示されたわけであります。  私は、こういう被災住民にとって重大な問題になっています、地方自治法に基づいて兵庫県議会から自治大臣、大蔵大臣を含む関係大臣に、また神戸市議会から大蔵大臣あてに意見書が出されています兵庫抵当証券購入者の救済をめぐってまず質問いたしたいと思います。  破綻いたしました旧兵庫銀行はみどり銀行として本体は再出発いたしましたが、関連子会社は一方的に清算され親銀行から見放された格好になって、抵当証券を扱っていた兵庫抵当証券等も清算されて、このままだと抵当証券購入者、関係者の元利金が戻らないという深刻な事態になっているわけであります。多くの住民方々、とりわけその中には被災者が大多数でありますが、犠牲者として今悲痛な声を上げておられるわけであります。  質問に当たりまして幾つかの事実を確認するわけでありますが、自治省、大蔵省にお尋ねします。県議会と地方議会からの意見書につきまして、どういう性格のものだと位置づけて受けとめておられるのか、またその内容について簡潔にお述べいただければと思います。
  68. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方自治法第九十九条の第二項に、地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の公益に関します事件につきまして意見書を関係行政庁に提出することができるとされているところでございます。この規定は、当該地方公共団体の公益に関する事件について、地域の実情に即した適正な行政確保されるよう住民の代表たる議会の意見を明確に表明する権限を与えたものということでございます。  この意見書の提出を受けました行政庁は、解釈上少なくとも受理の義務はあると解されておりますが、意見書に回答する義務等は生じないものと言われております。しかし、このような制度の趣旨にかんがみまして、意見書の内容を十分検討して行政に当たることが期待されているということではないかと思います。
  69. 石井道遠

    説明員石井道遠君) ただいま先生から御指摘がございましたとおり、昨年十二月二十日付で兵庫県議会から「抵当証券販売に係る消費者保護に関する意見書」というものを提出いただいております。  その内容をかいつまんで申しますと、二つございます。一つは、兵庫銀行の預金者と同銀行子会社の抵当証券購入者との間で不均衡が生じないよう適切な措置を講じるべきであるというのが第一点。第二点といたしまして、消費者保護の観点から、販売会社が破綻した場合等のリスクの説明など、抵当証券の販売、勧誘方法の適正化が図られるよう要望するという趣旨のものと理解をいたしております。
  70. 有働正治

    ○有働正治君 大蔵省に事実確認を求めますが、兵庫抵当証券につきまして救済を求めておられるいわば被害者の方々の全体の件数、金額はどれぐらいなのか、その中で個人はどれぐらいなのか。  さらに、木津信用組合の場合も同様にお尋ねするわけであります。
  71. 石井道遠

    説明員石井道遠君) まず、兵庫銀行関連の抵当証券会社が二つございます。一つは兵庫抵当証券株式会社、ここは販売残高が約九百五十一億円でございます。販売先数は三千百四十三先、うち個人向けは三千六十五人、金額は百四十九億円でございます。もう一つ関連の抵当証券会社、兵庫大同ファイナンス株式会社というものがございまして、ここの販売残高は約三十二億円、販売先数十五先、うち個人向けは十三人、金額が一千八百万円でございます。  このほかに別途、木津信用組合の破綻に係る木津信用抵当証券株式会社というものがございます。この販売残高は約百七十億円、販売先数は三千二百七十四先、うち個人向けは三千二百七十人、約百十五億円と承知をいたしております。
  72. 有働正治

    ○有働正治君 兵庫の場合は、個人だけでも三千数百人で百五十億相当だと。兵庫、木津合わせますと六千数百人になるわけでありまして、相当大がかりな被害が出ているということが明らかだと思うんです。  私は、ここでは兵庫抵当の問題を事例にお聞きいたしますけれども、今までの中でも明らかになっていると思うんですけれども、兵庫県議会が意見書を出すにはやはりそれなりの理由と状況があったからだと思うわけであります。超党派で決議して関係大臣に提出しているわけでありますけれども、そういう背景なり購入者の置かれている状況等について大蔵省はどう把握しておられるか、簡潔にお述べいただきたい。
  73. 石井道遠

    説明員石井道遠君) 私ども、個々の抵当証券保有者の方々の現在の状況についてまで個別には把握いたしておりません。  それから、先ほど少し申し忘れましたので一言だけつけ加えさせていただきたいのでございますが、兵庫抵当証券、先ほど確かに個人向けで約百五十億円販売しておると申し上げましたが、このうち実際に被害額、要するに返ってこない額がどのくらいに及ぶかというのはまだ確定をいたしておりません。これは債務者がおりますので、そこから取り立てることを今後行うわけでございます。
  74. 有働正治

    ○有働正治君 自治省、この点確かに所管庁は金融問題で大蔵省でありましょうけれども地域住民の意向を酌んで、地方自治法、憲法に基づいて仕事をしている地方自治体地方議会としてやっぱり大きな問題であるからこそこういう意見書が出されたと思うわけでありますが、自治省としてはこういう証券購入者の置かれている状況なり、意見書が出される背景等についてはどのように理解されておられるのでありましょうか。
  75. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) ただいまの兵庫県議会からの意見書でございますが、私どもの方にも昨年の十二月二十日に、他の四件と合わせまして五件の意見書が出されております一つとして、ただいまの抵当証券の件が提出されております。  この件につきましては超党派で県議会で議決されたということでございまして、背景には相当数の県民の生活に影響があるというとらえ方がされておるんだろうと思いますけれども、何分私どもの所管外のことでございますので、具体的にとやかく内容について申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  76. 有働正治

    ○有働正治君 所管外ということは、あえて強調されない方がいい。確かに大蔵省の所管の問題であることはわかるんです。わかるけれども、あえて自治大臣に対して意見書を出すには、そういう意向も酌んで、政府として自治省として、地域住民方々に大きな問題だと自治省の今の答弁でもあったわけですから、当然そういう立場で取り組んでいくべき問題だと考えるわけであります。  実態というのは本当に私は深刻だと思っているんです。私も直接幾人かの方にお会いいたしましたし、直接お話もお伺いいたしましたけれども、本当にすさまじいものなんです。  私、幾つかの事例を述べさぜていただきますけれども、西宮市にお住まいの六十一歳の主婦の方であります。これは十二月の段階でお伺いしたものでありますが、そのときは大阪市内のある病院に入院されておられる方であります。この方は抵当証券を兵庫銀行の西宮北口支店で購入した。同支店に貸し金庫を借りていたのが縁で、兵庫銀行の勧誘を受けて購入し、その際リスクの説明等は一切なかった。行員のこういう説明を信じて、八百五十万円を定期預金と同じ感覚で託したと。この方は、大震災で家屋が倒壊して、一階に寝ていたため二階の下敷きとなり重傷を負い、救出されましたが、下半身麻癖の非常に深刻な事態で治療方法が今のところ見当たらないという状況で、二重の痛手の中で先行きが真っ暗だ、この八百五十万さえ戻ればという悲痛の声を上げておられるわけであります。  神戸市在住の六十五歳の主婦の方で、その後鹿児島の方の知人宅をいわば転々としておられる方でありますけれども、自宅兼店舗と数千万円の商品、顧客名簿を失われた方でもあるわけです。なじみの兵庫銀行の行員に抵当証券を買いませんかという勧誘を受けて、高利回りで元利保証であるからという決まり文句を言われて自分も購入した。兵庫銀行の破綻を聞いて、元本すら危ういという事実を知って兵庫銀行の行員に問いただしたところ、抵当証券に聞きなさいと言うだけだというんですね。こんなひどい話があるのかということをこの方は言っておられるわけであります。  また、芦屋市伊勢町の自宅において罹災された方、この方も本当に重傷を負われた方でありますが、一番新しい購入は兵庫銀行が破綻寸前の八月十五日です。破綻することを知っていながら直前まで購入を勧めていたという状況で、総額千百万円。その際、兵庫銀行が優秀であるということをこもごも強調され、イチロー定期よりも抵当証券の方が高利息で安全であると。しかし、リスクなどについてもただしたけれども、兵銀を通して販売するのであるから大丈夫だ、元利金とも兵庫銀行が誓って保証するということを明言されていると。しかし、この方は慎重であって、出先のそういう銀行員の言い分だけでは不安だということで、本店の営業部次長、名前も明確にありますけれどもここでは省略いたしますけれども、その方にあえてその点について確認を求めに行った、直接お会いしてお尋ねした。リスク、安全性に関しまして全く行員と同様の返事であったと。  しかし、その後の事態でショックを受け、激しい胃痛のため病院に入院されておられる。逃げ回るこの当時の営業部次長に対してこの方は、終生許せぬ、極悪非道だと本当に怒りをぶちまけておられたんです。後はナシのつぶてと。信用を第一にする銀行のこんな態度があるのかということをこもごも言っておられたわけであります。  また別の方、御主人が九十歳で奥さんが八十四歳、神戸市灘区で家屋全壊の罹災に遭った方でありますけれども、年金生活者にとって安全、確実、高金利と勧められてそれに頼りましたと、しかしその後の事態の打撃、これについても訴えておられるわけであります。  加古川市在住の六十歳代の主婦の方、これも加古川支店で、夫の退職金を含めて預金口座も全部抵当証券にかえたと。元本割れはないか、大丈夫か、リスクその他も聞いたけれども、大丈夫だ、預金と同じで利息がよくて元本割れしないようになっているんだということであって、購入した。  しかし、その後の事態でこの人はうつ病となり、自殺未遂もされておられます。その病気の悪化。  それで奥さんはいわば御主人にないしょの形で、御主人にも言えない。人のお力添えでないしょにしていた御主人にも話して、やっとその点だけはほっとしたということもおっしゃっておられるわけであります。  長田区在住の主婦、七十九歳の方も、満期が来たときに再契約をためらったけれども、口説かれて、銀行がいるから大丈夫なんだと、その上大蔵省元銀行局長の吉田頭取、大蔵省がバックにいるからと、これはもうほとんどみんな言われているんです。  神戸市東灘区の元大学教授、七十九歳、国籍はスイスの方でありますが、この方は大学教授でもありますので、総額四千二百五十万円でありますけれども、非常に利息が高い、心配だということで、その点は本当に執拗に兵銀本店で説明を求めておられるわけであります。その際、利息が高いのは抵当証券を専門に扱っているし、親銀行もついているから絶対大丈夫だと、これがもう二言目に言われて、ミスター大蔵省もついていると、三言目はそれなんですよ。  そういう被害者から私はファクスでいただいたり、お手紙をいただいたり、それはもう悲痛な訴えが、地元神戸市の我が党の市会議員あるいは県会議員を通じて教えていただいた部分ももちろんございますけれども、直接にもいただいて、実情というのはそれほど深刻なんです。  こういう実態について、つまり所管外という立場でなくて自治大臣として国務大臣として、県議会が自治大臣意見書を出したそれらの背景、状況というのは、今私が紹介したのはその一端だと思うんですね。政治家の立場として、国務大臣としてどう受けとめておられるのか、生の声をお聞かせいただければと思います。
  77. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 抵当証券を購入された方々に大変な動揺が広がっておることでもございますし、私といたしましては、関係者の方々による適切な対応がなされることを期待するものでございます。
  78. 有働正治

    ○有働正治君 生の声をもっと聞かせていただきたいわけでありますが、大蔵大臣その他とも協議して、できるだけ地域住民地方議会の意向を酌んでやるように努力するというお立場であることには変わりございませんか、大臣
  79. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 先ほど申し上げましたように、関係者による適切な対応がなされるべきものであるというふうに存じております。
  80. 有働正治

    ○有働正治君 そのためにみずからも努力すると一言おっしゃっていただきたい。
  81. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 同じようなことを有働委員に繰り返して申し上げるのは失礼でございますが、先刻来申し上げておりますように、関係者によります適切な対応がなされるものであると、こういう考えでございます。
  82. 有働正治

    ○有働正治君 やっぱり地元県議会も住民も、自治省にあえて期待しているわけであります。そのことを重々お含みいただき、対応を求めるわけであります。  今、私述べましたように、一つには親銀行の旧兵庫銀行、今のみどり銀行の責任の問題もあると思うわけであります。被害者の多くは神戸などでありまして、大地震の罹災者でもあるというのが特徴であります。高齢者の女性で、錯乱状況になったり、うつ病、自殺未遂、不眠症、拒食症、胃潰瘍、家庭不和など本当に深刻であるわけであります。私としては、旧兵銀として、みどり銀行として、犯した罪を謙虚に認めて、謝罪と償いということを求めるわけでありますが、銀行の責任という問題は全くなしと断言できるのか。  必要であれば独自に調査をするなり大蔵省としても対応していただきたいし、少なくとも大蔵大臣にあてられた要請書でありますから、大蔵大臣ともよく協議の上、こういう極限状況に置かれているといってもいい、命を削る思いで生きておられる人々の救済に大蔵省としては万全を期すという方向で努力していただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  83. 石井道遠

    説明員石井道遠君) 親銀行としての兵庫銀行の問題を今お触れになったと思いますが、若干この抵当証券会社と親銀行の関係……
  84. 有働正治

    ○有働正治君 そういう基本的なことは知っているからいい、それは要らぬよ。
  85. 石井道遠

    説明員石井道遠君) これは先生承知だとおっしゃるわけでございますが、兵庫銀行がこの抵当証券自体について保証を行っておったということではございませんで、兵庫銀行の窓口において販売したということは、抵当証券会社と顧客との間の売買の媒介行為を兵庫銀行が行っていたというものでございます。その際、今御指摘がございましたように、兵庫銀行が行った売買の媒介に当たりましてその方法が問題ではなかったかという御指摘でございます。  この問題につきましては、抵当証券の保有者の方が兵庫銀行、それを受け継ぎましたみどり銀行を相手にまさに訴訟を提起されておられまして、現在裁判所において当事者がそれぞれの主張を述べておられる最中でございます。したがいまして、私どもといたしましては、その販売の仕方に兵庫銀行として法的な意味での責任があったのかなかったのかという点につきましては、当該裁判における判断というものを見守らせていただきたいというふうに考えております。  もちろん、この販売方法についてそれが親銀行みずからが保証しているかのごとき販売方法はとってはならないことでございますので、それについての指導というものは従来も行ってきたつもりでございますし、引き続き行ってまいりたいというふうに思っております。
  86. 有働正治

    ○有働正治君 大蔵省に幾つ確認いたしますけれども、抵当証券を扱っているノンバンクの不良債権等の処理、あるいは経営が困難に陥った中で、三菱銀行、富士銀行等、親銀行が関係のそういうノンバンク等に支援措置等を行っている事実があると思うのでありますが、この点についてどうなのか。
  87. 石井道遠

    説明員石井道遠君) 今御指摘のとおり、銀行の中には関連抵当証券会社の経営が行き詰まった段階で、再建支援のために債権放棄等の方法による支援を行っているものがございます。  幾つかのケースがございますので、具体的に一、二だけ申し上げますと、例えば三菱銀行は関連会社でありますダイヤモンド抵当証券に対しまして、他の関連会社への支援を含め平成五年度、六年度において約三千億円弱の支援を行い、また七年九月期決算においても約千二百億円の支援を行っております。  同様に、富士銀行あるいは第一勧業銀行等においてもそのような支援がなされておるものと承知をいたしております。
  88. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 有働君、時間が終わりました。
  89. 有働正治

    ○有働正治君 最後にちょっと一言。  今言われたように、親銀行が関連抵当証券等に対していわば救済措置その他をやっている事例もあるわけです。親銀行がそういう子会社の破綻について責任を持つというのは藤林益三元最高裁長官等もいろいろ述べているわけで、ましてそういう点では法律上の言葉で言えば信義誠実の原則としてやっているわけであります。大蔵省も元頭取等、日銀を含めて天下りをやっていたわけでありますから、この問題について行政府の責任として親銀行の責任を含めてきちっと対応していただき、木津信用組合の問題を含めてきっちり対応していただきたい。  それから、要望書について今後こういう被害救済のシステム化等についてもきっちりやっていただきたい、このことを強く要求しておきます。  終わります。
  90. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  先週金曜日にも午前の予算委員会、当委員会質問をさせていただいたんですが、阪神大震災被災者の公営住宅などの一時入居者の問題についてきょうもお伺いしたいと思います。  先日の質問では、公営・公団住宅などの一時入居の期限が三月三十一日に迫っておりますが、その後の住宅の確保の見通しが立たず途方に暮れているという方々に対して、入居期限の延長と家賃の減免をお願いしたわけです。  その後、橋本総理が十八日に被災地を視察されまして、そして二十日には総理の方から倉田自治大臣、建設大臣、国土庁長官に対しまして、被災者の住宅対策につきまして具体的な指示を出されたとお伺いしております。その際、各大臣に対してどのような指示が出されたのか、自治大臣に、そしてきょうは建設省の方にもお越しいただいておりますので、お伺いしたいと思います。
  91. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 西川委員指摘のとおり、総理は二月十八日に被災地を訪れまして、応急仮設住宅に住んでおられる被災者方々を激励され、被災地の状況をつぶさに視察されました。  二月二十日の閣議後、総理から、総理のおっしゃられたとおり正確ではないかもしれませんが、合意をひとつお酌み取りをいただきたいと思いますが、その一つは、仮設の住宅から安心してずっと住むことのできる恒久的な住宅への移行が早くできるようにしなければならないということ、一つは、種々の政策により引き下げを図っている公営住宅の家賃ですら重い負担になるような被災者方々を視野に置いて、恒久的な住宅に住んでいただけるような仕組みを工夫する必要があるなどにつきまして、関係省庁に対して、各省庁一体となって検討をされ、きちんとした対応をするよう御指示があったところでございます。  なお、その際、あわせて平成七年度に実施をいたしました復興宝くじにつきまして、地元での取り組みを支援するために平成八年度も復興宝くじを発行するといったことはできないか検討するよう御指示があったところでございます。
  92. 山中保教

    説明員(山中保教君) 私ども大臣に指示のございました中身につきましては、ただいま自治大臣から御答弁がございましたのと全く同じ中身につきまして総理から私ども大臣に指示があったというふうに承っております。
  93. 西川潔

    ○西川潔君 報道によりますと、公営住宅に入居する際の家賃を減免するために十九日に関係省庁による検討作業に入ったという報道も読ませていただいたんですけれども、この内容についての御説明を建設省の方にお願いします。
  94. 山中保教

    説明員(山中保教君) ただいまの件でございますが、具体的な方策につきましては今後検討をいたすことにしております。現在講じられております施策の効果を見きわめつつ、今後の住宅建設の進捗状況等も踏まえまして関係省庁全体で検討していく必要があると考えております。  いずれにいたしましても、兵庫県が応急仮設住宅の入居者全員につきまして、現在個別面接による方法で被災者方々の生活状況の把握に努めているところでございます。これらの調査結果を踏まえましてきめ細かな対応をしていくことが重要であるというふうに考えております。
  95. 西川潔

    ○西川潔君 もう一つ細かくお伺いしたいんですが、三月三十一日で入居期限が切れるわけですけれども、この公団住宅の一時入居者について今後どのように、今もお話に出ましたが、個別にというようなことを確認させていただきたいんですが。
  96. 大久保和夫

    説明員大久保和夫君) 阪神・淡路の大震災によりまして居住の場を失われ公団住宅に一時入居されました世帯数は、当初三千二百六世帯ございましたけれども、本年一月末現在では半分弱の千五百三十四世帯ということになってございます。  これらの方々につきましては、一日も早く恒久的な住宅に入居できるようにということで、地方公共団体において意向把握を行われまして、公営住宅あるいは公団住宅へのあっせんに取り組んでいらっしゃるところでございます。  現在、千五百三十四世帯のうちの大体七割の方々は四月以降の入居先が固まってきているというふうに聞いております。残り三割の方々につきましても、一日も早く恒久的な住宅に入居ということで、地元公共団体で個別の面接調査等を行いながら公営住宅あるいは公団住宅へのあっせんに努力されているところでございます。  公団におきましても、あっせん用の受け皿の住宅ということで、比較的低家賃の住宅でありますとかあるいは地元の地方公共団体に近いところをできるだけ用意するということで、こういった取り組みによりまして一時入居者の住宅の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  97. 西川潔

    ○西川潔君 先週質問をさせていただきましてすぐ報道があったものですから、私自身も本当に驚いているわけですけれども、個々の実情に応じた対応をひとつよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次に移らせていただきます。今国会に法案提出を予定しているわけですけれども、介護保険について自治省にお伺いしたいと思います。  介護保険については、現在厚生省の老人保健福祉審議会で審議が進められているところですけれども、連日のように新聞やテレビで報道されているわけです。皆さんにお伺いいたしますと、やっぱり期待もあるし不安もある、こういう御意見が多いわけですけれども、二十一世紀まで残された最大の国民の課題ではないかなというふうに私自身も感じております。介護される側の高齢化、介護する側の高齢化、年々高まりつつあります。皆さん不安に感じておられます。これまでのように家族の負担に頼ることは無理があるでしょうし、社会全体で支え合う、地域のお年寄りはすべて自分の父、母、そんな気持ちが必要でないかなと思います。だれがどのように費用負担をするかという問題も決して避けて通れるような問題ではございません。  現在、審議会での結論はまだ出ておりませんが、保険者を市町村とする方向が伝えられているわけですけれども、この点につきまして自治省の御見解と、そしてまたこの点につきまして市町村の合意が得られていないと伺っておりますが、自治省ではどのような認識をお持ちなのか、お伺いします。
  98. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) ただいまの御質問の中にもございましたけれども、一月末に厚生省の老人保健福祉審議会で二次報告が取りまとめられました。しかし、全体がまだまとまっておるということではございませんで、いわゆる制度にかかわる部分についてはまだ議論がほとんど残された形になっております。  その中で、保険者をどういうふうにするか、だれにするかということがその際の根幹の部分でございまして、この問題につきましては引き続き老人保健福祉審議会におきまして、国が保険者である方式、市町村が保険者である方式、あるいは老人保健方式、こうした方式をたたき台として慎重な検討が進められるだろうというふうに聞いておるわけでございます。  いずれにしても、保険者の果たすべき機能ということは、一つは保険料の徴収ということがございまして、もう一つが保険給付ということになるわけでございます。この二つの機能を考えたときにどういう方式が適当であるかということは、徴収の確保、あるいは介護コストの地域間格差の調整、あるいは現行の医療保険制度への影響、それから保険財政の安定性、こうした問題につきまして十分に比較考量された上で判断すべきものというふうに考えておるところでございます。  私ども自治省といたしましても、新しい制度の効率性とか安定性、こういった観点を踏まえながら、また地方団体が高齢者の保健、福祉に果たしております役割、こういったものにも配慮しながら、広い角度からこの公的介護保険制度の種々の問題について検討を進めていきたいというふうに思っております。  市町村から反対の意見が出ているのではないかという御趣旨の御質問がございました。現在、保険制度(「反対か」と呼ぶ者あり)反対というか、市町村が保険者となっております現行の、ちょっと私が質問を取り違えているかもしれませんが、市町村のいろんな危惧の問題についてでございます。  現在、医療保険の中の国民健康保険制度市町村が保険者となって運営いたしておるわけでございますけれども国民健康保険制度が大変いろんな大きな課題を持っておりますことから、かねて市町村からこの改善が求められておるというような状況がございます。こうした事情を背景にいたしまして、新たな介護保険が国民健康保険と同様の問題を抱えることになりはしないかという懸念を抱いておるというところでございます。  こうした懸念を背景にしながら制度の論議をするにいたしましても、例えば介護保険制度を導入した場合に、将来の介護サービスの水準がどうなるかとか、あるいはそれぞれの方式ごとに市町村費用負担といったものがどういうふうになるかということについてまだ明確でないという問題等もあるわけでございます。  したがいまして、介護保険制度の導入に当たっては、国民健康保険等現在の医療保険との関係でございますとか、あるいは将来の市町村の財政負担等についての十分な検討が必要であるというようなことから、市町村はこうした観点から十分に論議を尽くしてもらいたいということを主張されているというふうに理解をいたしております。私ども自治省としても、こうした市町村問題意識を十分に踏まえまして慎重に適切な対応に努めてまいりたいと思っております。
  99. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。  次に質問をさせていただこうというのも全部御説明いただきましたので、ここは省かせていただきます。  全国の方々、今御答弁いただきましたとおりだと思いますけれども、第二の国保になるんではないかなということが不安でもあるわけです。  そこで、介護保険の創設は地方分権の真価をはかる上でもこれは大事業になると思うわけですけれども大臣にお伺いしたいんです。この問題を契機に、地方自治体の規模、国と地方の財源負担と自主財源のあり方等々問われてくると思うんですが、大臣、一言お願いします。
  100. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 先ほど総務審議官答弁がありましたが、保険者をだれにするかというところが最大のポイントになるだろうと。今、これは委員の御質問の中にありましたように、老健審でまだ審議中ということであります。  市町村サイドの生の声を聞いてみますと、国保の財政問題総務審議官は危惧という言葉を使われましたけれども、どちらかというと不信感の方が強いわけであります。市町村の財政に及ぼした影響というのは非常に大きなものがあるということで、この二の舞になったのでは困るという意識が市町村に非常に強うございます。したがって、私どもも厚生省にお願いをしておりますけれども、老健審の議論の場でそういう市町村の危惧というものを十分考慮に入れて慎重な議論をしていただきたいというように思っているわけであります。  介護保険自体は、やはり高齢化社会を迎えてこれからの大変大きな日本の問題になってくるというように私どもとらえているわけであります。二十一世紀の高齢化社会に向かって、市町村が高齢化の実態を背景にしてそもそもこれを市町村のサービスとしてどうやって処理していくかということで、この介護問題というのは避けて通れない問題であります。  また、地方分権ということからいいますと、そういった住民に身近なサービスの提供というのはやはり市町村が判断してサービスを提供していくということが大事であるわけでありますけれども、何といってもその背後には財政的にそれが賄えるようなシステムが提供されなければならないという意味で、二十一世紀に向けて大変重要な問題であり、国民の合意それから市町村の合意というものを得られるような十分な議論をして、そしてこの制度というものを定めていかなければならないのではないかというように思っておる次第であります。
  101. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  次に、地域福祉の充実についてお伺いをしたいと思います。  平成二年の老人福祉法等の改正以降、積極的にお取り組みいただいているわけですけれども、せんだって岡山県の笠岡市というところにお邪魔をいたしました。瀬戸内海に面する笠岡市は三十の離島がございまして、そのうち現在七つの島で市民の方々が生活をされているわけですけれども、市内の高齢化率は二〇%、特に島の部分については三〇%と高い高齢化率になっておるわけです。  その状況の中で島でお暮らしのお年寄りは、交通が不便で本土にございますデイサービスセンター、この福祉のサービスが受けられないわけです。  そこを勉強に行ってまいりましたが、笠岡市では、離島のお年寄りに来ていただくのが無理であればこっちからデイサービスセンターを持っていこうではないかということで、福祉の船をつくったわけですね。こちらにもパンフレットをいただいてまいりましたんですけれども、中には特殊な浴場がありまして、リハビリの部屋がございます。そして、二階には交流室があります。そこでは食事をしたりカラオケをしたり、お年寄りが大変喜んでおられるわけですけれども、こういう点について一言、大臣からいただければ。
  102. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 私は現実にまだ拝見をいたしておりませんが、岡山県笠岡市におきましては、離島の高齢者も本土のデイサービスと同様のリハビリであるとか入浴などのサービスが受けられるよう夢ウエル丸を建造いたしまして、離島の高齢者に対して各種の福祉サービスを行っているものと資料等で拝見をいたしておるところでございます。  西川委員は「家族バンザイ」というテレビ番組の際にこの地を訪れたと伺っておりますが、笠岡市におきます夢ウエル丸の建造につきましては、自治省地域福祉推進特別対策事業を活用されて実施されたものでございます。地域の創意工夫がよく生かされた事業であるというように私は考えております。  自治省といたしましては、今後もこのような地域の実情に即した事業につきましては積極的に支援を行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  103. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。笠岡市の一般会計が二百億円ということですから、二億円もかかったこの船はそういうふうな援助がなかったらなかなかできていないというふうに思います。  時間の関係で、最後に、地元大阪を初めといたしまして各地で発見されました毒グモ、セアカゴケグモというクモについてお伺いしたいんです。  発生当初は、強力な毒で死亡例があると伝えられていたわけですけれども、大阪府では対策会議を開きまして、オーストラリアから血清を緊急輸入するほどの事態とまで報道されておりました。  一時は新聞、テレビ等々もう大変な報道でございました。その後、消防庁や警察庁から、応急処置や対応策などにつきまして各都道府県や警察本部などに通知したというようなこともお伺いしております。  いまだに小さなお子さんをお持ちのお母さん方から、きよしさん、もう大丈夫やろか、このごろテレビとか新聞では、一時期は本当に報道が過熱しておりましたんですが、後ぴたっと報道がなくなってかえって心配だ、今は一体どういうふうになっているのかと。新聞にもテレビにもこのごろは報道がないということで、ぜひこちらの方でお伺いをしてもらいたいということを伺いましたので、あえてきょう、こういう質問をさせていただきました。  今後の対策等々についてお伺いをいたしまして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  104. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 今お尋ねのございました毒性を有するセアカゴケグモにつきましては、昨年十一月に大阪府下で確認をされまして、その後、三重県等におきましても発見をされたわけでございます。このため、厚生省などにおきましてもそれぞれ対応をなさっておられますが、私ども消防庁におきましても、驚きまして、各方面から情報を集めまして、十一月三十日にセアカゴケグモの生態、あるいは被害に遭ったときの症状、それから応急処置の方法などにつきまして全都道府県に通知をして、救急態勢に遺憾のないように指導したところでございます。  現在までのところ具体的な被害の報告は受けておりませんけれども、今後とも関係機関連携をとりながら、毒グモ対策につきまして十分留意してまいりたいと存じます。
  105. 中田恒夫

    政府委員中田恒夫君) 今、消防庁の方からお話がございましたが、警察対応でございます。  毒グモの発見されました府県の警察でございますけれども先生の地元の市町村なりあるいは保健所、このような関係機関と対策会議を持ったりしておりまして、住民の不安感を解消するという観点から、発見した場合の措置、あるいは被害を受けた場合の対応要領というようなことについて交番新聞などで地元の方々にお知らせをしておりますし、またパトカーで付近住民に広報したケースもございます。  私ども警察庁といたしましては、毒グモは他の府県でも発見されることもあり得るということで、昨年の十一月でございますけれども、各都道府県警察に対して通達を出して、各関係機関連携をとってやるようにという指示をしたところでございます。
  106. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。
  107. 田村公平

    ○田村公平君 田村公平でございます。初めて質問をさせていただきますので、地方自治に明るい倉田自治大臣、よろしくお願いをいたします。  実は、昨年のお正月に私どもの高知県知事が、いわゆる高知県庁の一般行政職の採用について国籍条項を撤廃すると。それはちょうど戦後五十年の節目の年でもあるし、また国際化時代ということで撤廃するということを年頭の所感として述べました。  その後、どういう事情があったか知りませんが、この件は先送りになりまして、昨年十一月に行われました高知県知事選挙で再度知事の選挙公約としてうたわれまして、その後のことにつきましては既にもういっぱい新聞等にも報道されまして、自治省との会談平行線とか、撤廃を最後通告とか、何かドンパチ、戦争でも始まるような見出しがいろいろ躍っておりますが、このことにつきまして大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  108. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 高知県におきましては、平成八年度の一般事務職等の採用試験から国籍要件を撤廃することを検討しているようであります。  政府といたしましては、従来から内閣法制局見解に示されておりますように、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするが、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものであり、このことは国家公務員のみならず地方公務員の場合も同様であるというふうに解しているところでございます。  自治省といたしましては、医療技術系の職種等、公務員の当然の法理に抵触しない職種について、日本国籍を有しない者にも採用の機会の拡大を図るよう地方公共団体を指導してきたところであります。  しかしながら、一般事務職等につきましては、国籍要件を撤廃いたしますことは公務員に関する当然の法理を踏まえますと適当でないことから、高知県に対しましてもこのような考え方について引き続き理解を求めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  109. 田村公平

    ○田村公平君 実は一年ちょっとの時間的な余裕があったと思いますけれども、私ども高知県は古くは海原治さんの時代から、筆頭部長であるところの総務部長は今も自治省から参っておりますけれども、こういういわゆる地方と国の関係において、その間の自治省と高知県との意思の疎通、あるいは地方団体の中に全国知事会というのもございますが、他の四十七都道府県及び政令指定都市の中で国籍条項、当然の法理ということも承知しておりますけれども、そういう議論が、説得というよりも、なされたかどうかということが一点。  もう一点、このまま高知県が国籍条項を撤廃して突っ走った場合に一体高知県対自治省関係はどういうふうなことになるのか、それをお尋ねしたいと思います。この二点です。
  110. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 公務員の任用あるいは採用につきまして、ただいま大臣からお話ししました公務員に関する当然の法理というものを踏まえて対処していただきたいということは、県庁の人事当局の皆さんにもお話をいたしております。  それで、御理解を得べく努力をしてきたところでございますが、高知県あるいは高知県知事さんのお考えは別にあるようでございまして、今お話ししたような状況でございます。  私どもといたしましては、今後とも引き続き理解を得るように努力をしてまいりたいと考えております。
  111. 田村公平

    ○田村公平君 実は、兄弟でありますお兄様の内閣総理大臣は非常に理解を示したというふうに記者団のぶら下がり質問についてコメントをしておりますが、そうなりますと、大臣、これは閣内不統一とは言いませんが、そこらの関係はいかがになりますでしょうか。
  112. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 田村委員指摘の件は、恐らく新聞の見出しの件であろうと思います。総理がどのようなコメントを出されたかは定かには存じ上げませんが、あの内容を見ますと、私どもが申し上げていることに抵触するようなことではないというふうに考えているところでございます。
  113. 田村公平

    ○田村公平君 ちょっと切り口を変えさせていただきますけれども、運輸省きょう来ていただいていると思いますが、手結のマリーナというものがございますけれども、ちょうど私が秘書をやっておるころにこの計画がスタートをいたしまして、実は先般、突如として手結港マリーナ建設中止ということを高知県知事がお決めになりました。  運輸省港湾局の方からひもつきでそこに国費が行って高知県の財源と合わせてやってきたその事業が中止ということを、知事がこれはやめるということも一つの見識だと思いますけれども、その場合、いわゆる一般財源で戻入といいますか、補助金を返さぬといかぬと思うんですが、そういうことについてちょっと運輸省の答弁を求めたいんですが。
  114. 川嶋康宏

    説明員(川嶋康宏君) 手結港のマリーナの整備につきましては、港湾整備事業の中の補助事業実施しているものでございます。現在、二月十二日付で報道されました内容の事実関係につきまして県の方から事情を伺っているところでございます。  それで、現時点では事業を中止されました理由につきましてとかあるいは今後の対応についてということにつきまして、まだ十分な結論を得るような状況にはなっていないわけでございます。そういう意味では、この補助金の返還について現時点で云々を申し上げることはできないわけでございますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがございまして、中止ということになればその法律に照らしまして適切に判断させていただきたいというふうに考えております。
  115. 田村公平

    ○田村公平君 実は、その中止決断の大きな理由は採算が合わないというふうに知事は地元紙のインタビューに答えております。つまり、大蔵省の論理ではありませんが、国民の税金を使うのに費用対効果という趣旨でうちの知事は申しておりました。  実は高知県、御案内のとおり県税収入わずかに五百億円程度でございますものですから、費用対効果を言われますと、高速道路も、あるいは地方AB線として現在十五億円ぐらいもらっておるところの鉄道、その他の一般国道や三けた国道も入れまして、三けた国道の場合、御案内のとおり四対六の割合になっておりますけれども、費用対効果を言われるともうこれは地方はバンザイです。  採算性でやめるとなると、私どもの高知県、二十の省庁を全部敵に回して孤立無援、独立国家にでもならざるを得ないんじゃないかというふうな危惧さえ、つまり官僚群というのは恐ろしい存在でございますので、それはまあ鎌田先生のように立派な方もおられますけれども、いわゆるいじめ、実は既に私の出身地であります南国市の市長が、この十七日に地元で特別交付税の陳情に行きましたら、ちょっとおしりをこういう問題でひねられたと。  特交というのは、ある意味ではさじかげん一つなものでございますから、そういう形のいろんな新規事業等々、あるいは特交等についてこれから先いろいろ高度な配慮がなされますと非常に迷惑をいたしますので、そこらのところの忌憚のない御見解を、特に高知県に縁の深い自治省でございますので、お聞かせいただけたらありがたいと思います。
  116. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) 地方公共団体が、この場合は公共事業でございますが、いろいろなプロジェクトを計画してやられるわけであります。当然、そういった大規模なプロジェクトに着手する場合には、その必要性でありますとか規模だとか機能それから財源をどうするのかといったようなさまざまな検討がなされるわけでありますし、その事業自体は、予算化をいたしますれば県議会の審議を経て決定されていくということでございます。  私ども、財政環境が厳しいということもありますので、一般的な指導としては、各種施策を実施するに当たっては優先順位は厳しい選択をして、地域の実情に即してその緊要度を十分検討して、将来の財政負担についても配慮しつつ、財源の重点的、効率的な配分に徹するよう各地方団体にお願いをしているところであります。  しかしながら、地方分権推進という観点もあります、地域の実情に即して地方団体が適切に選択をしてやっておられることと思います。また、我々としてもそういった面の助言をしていきたいというように思っているわけであります。期間の長いプロジェクトでありますと、その間に事情の変更というものもあろうかと思いますが、そういったものについてどういう判断をしていくかということも一つ地方の自主的な判断になろうかと思います。  ただ、特別交付税云々のお話がありましたけれども、ちょっと私ども存じなかったことでございますし、特別交付税は各地の特別な事情を反映して適正に算定をしていきたいというように思っております。
  117. 田村公平

    ○田村公平君 ちょっと質問通告になかった話でこれは聞き流していただきたいと思いますけれども、大変財政力の弱い本県で、県立民営化方式ということで平成九年度開学予定の工科大学というのを既にもう着工しておりますけれども、当初二百五十億円程度と聞いておりました。これが三百五十億になって最終的には一千億とか、後年度負担のことを考えると大変な危惧をいたしております。  そういう意味で、今の手結のマリーナの建設中断、先ほど来申し上げましたけれども、起債だとかいわゆる交付税問題等々を含めて、今後、私どもの疲弊した四十七都道府県中五十一番目ぐらいにいろんな指標がなっているんじゃないかと思っておりますけれども、そういう高知県に温かい御配慮をお願いして、デビュー戦というか、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  118. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四分散会