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1996-05-07 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     峰崎 直樹君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        大蔵省主計局次        長        伏屋 和彦君        大蔵省理財局長  田波 耕治君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        国税庁課税部長  内野 正昭君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        大蔵大臣官房会        計課長      妹尾喜三郎君        厚生省社会・援        護局地域福祉課        長        堀之内 敬君        運輸省自動車交        通局保障課長   中村 達朗君        会計検査院事務        総局第一局大蔵        検査課長     石野 秀世君    参考人        国民金融公庫総        裁        尾崎  護君        日本開発銀行総        裁        吉野 良彦君        日本輸出入銀行        総裁       保田  博君        日本銀行理事   山口  泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及  び日本輸出入銀行)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、伊藤基隆君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君が選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 去る五月一日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査委嘱がありましたので、本件を議題といたします。     —————————————
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、参考人として国民金融公庫総裁尾崎護君、日本開発銀行総裁吉野良彦君、日本輸出入銀行総裁保田博君及び日本銀行理事山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) それでは、委嘱されました予算について大蔵大臣から説明を聴取いたします。久保大蔵大臣
  7. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 平成八年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は七十五兆一千四十九億二千四百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十一兆三千四百五十億円、雑収入は二兆三千四百八十二億百万円、公債金は二十一兆二百九十億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は十九兆百一億七千九百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一千七百十五億四千百万円、国債費は十六兆三千七百五十一億九千七百万円、政府出資は三千九百二十八億円、緊急金融安定化資金は六千八百五十億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計歳入歳出予算について申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも三百三十一億三千三百万円となっております。  このほか、印刷局等の各特別会計歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算について申し上げます。  国民金融公庫におきましては、収入四千五百五十二億三千四百万円、支出四千八百九億三百万円、差し引き二百五十六億六千九百万円の支出超過となっております。  このほか、日本開発銀行等の各政府関係機関収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございますので、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願い申し上げます。   よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で説明の聴取は終わりました。  なお、お手元に配付いたしております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいたいと存じます。   これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 政府関係機関総裁方、私は質問を三機関についてはしませんので、私の時間内はどうぞ御退席をいただいて結構でございます。  平成八年度の大蔵省関係予算の中で一番大きな特色というのは、公債費が当初予算から二十一兆円出ていることにあるというぐあいに思います。また、いわゆる国債費でございますけれども、これが非常に大きな金額に膨れ上がってきているということが最大特徴でございまして、まさに財政危機が迫ってきたなという足音をひたひたと感ずるわけでございます。  そこで、平成八年度の国債費及びその利払い費あるいは償還費をどのように平成八年度予算で計上されているか、概略をお話し願いたいと思います。
  11. 田波耕治

    政府委員田波耕治君) 平成八年度予算一般会計国債費の総額は十六兆三千七百五十二億円でございます。そのうち債務償還費が四兆五千四百五十億円でございますが、御質問国債利子等は十兆七千二百十四億となっておるところでございます。
  12. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は先ほど平成八年度の最大特徴はというぐあいに申し上げましたけれども、その中でも、特に新規債の中で赤字特例債、これが大幅に計上されていること、それから国債費がかつてない最高の十六兆円が計上されたこと、これは財政当局としては非常に強く意識をせにゃならぬところであるというぐあいに思っています。さらに申し上げれば、利払い費が十兆円を超えたということですね。これも大変なことであるし、去年の利払い費に比べても五千億増加している。要するに、現在二百二十兆の国債があり、今年度末には二百四十兆の国債になる、そして毎年五千億ないし六千億の利払い費がふえていっている、そのような財政事情にあるということが一番の問題点であるというぐあいに思っているわけです。  これを国債発行額とそれから国債費と比べて、従来、積極財政というのでしょうか、経済の伸展のために国債費を余計に出すという方向で経済の加速、促進をねらっていたのがこの国債費であるというぐあいに思うんですけれども、その差額がだんだん接近をしてきていることですね。  すなわち、国債発行額もふえているけれども、同時に国債費がどんどん膨れ上がってきている。現在の平成八年度を見ますと、二十一兆円の国債発行に対して国債費が十六兆ですから、約五兆円弱の積極財政というんでしょうか、財政としては経済に対する促進効果を持っているというぐあいに思われるんですが、実のことを言うと、これから消費税についての議論が行われます。あれは地方消費税を含んでおりますので、国税としては二兆円程度になると思います。それから、ことしは臨時特例所得税の減税を二兆円程度しております。これは法制上によれば両方とも来年度は増税になっていくわけです。財政構造において同じならば、二兆円と二兆円、すなわち四兆円が国債発行額から減っていくということになります。  そうなってくると、十六兆円の国債発行で来年度は約十七兆円弱の国債費が必要になってくると。すなわち、財政構造として逆の効果になっていくというふうに思われ、これはどういうぐあいに考えるんだろうか。  結局、旧来の借金を返還するための利払い費、並びにそのうちの一部を支払うための償還費、それが新規国債費を上回っている事態平成九年度はなってくるはずだなと。そういう財政構造になっているのかなと。自転車操業もいいところであるということが、もちろん国債費よりも現在は国債発行額の方が多いわけですからもっと悪い事態であることは間違いないんですけれども財政構造の悪化がひしひしとこの数字にあらわれてきていると思いますけれども、この点についての御感想を大蔵大臣からお伺いできればと思います。
  13. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 御指摘状況にございますことは、私ども我が国財政の危機的な状況と見ているのでございます。  昨年の十一月十四日に前大蔵大臣我が国財政事情の容易ならざる事態について国民皆様方の御理解を求めたところでありますが、これは一般には財政危機宣言と呼ばれてまいりました。これを一般企業の場合で考えますならば、単なる危機的状況というものを通り越しているのが我が国財政の現状であろうと思っております。さればこそ、武村さんも最近お書きになりましたものの中で、財政危機宣言と言われているけれども、実際は破綻宣言と言ってもいい状況なんだよということを言われております。  私どもは、この深刻な事態考えながら、どのようにして財政再建を行うか、その目標と具体的な再建策について今各局において十分検討を願うとともに、大蔵省全体として財政再建の方策を検討するように指示をいたしているところでございます。  また、国会における皆様方の十分な御論議もいただきました上で、平成九年度の予算編成財政再建の初年度を意味するものとなるようにやらなければならない非常に窮迫した事態であると考えております。
  14. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大蔵大臣の今述べられた今日の財政についての認識はそのとおりだというぐあいに思います。問題は、実行が一体できるのかねと。平成八年度の予算を見ましても、財政削減をしなけりゃならぬ、どこにも聖域はないんだというような御談話がございましたけれども、一向に財政縮減についての具体的な、ああこうだなというようなしるしが見えないところが問題であるというぐあいに思います。いずれにしても、今大蔵大臣の述べられたようなお覚悟を財政当局は十分お持ちになってこれからの財政運営に励んでいただきたいというぐあいに思っております。  さて、今日、国債費が十六兆円になった、利払い費が十兆円になったということでありますけれども、実はこれは低金利に支えられてもっとどんどんふえていかなきゃいけない、ふえていかなきゃいかぬというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、普通でいえばふえていく要素を十分持った国債額の累増であるわけであります。  現在、政府は低金利政策をとっておられますけれども国債費をふやさないために低金利政策をとっているとは思いません。国民経済全体についての活性化のために低金利政策をとっていると思いますが、現在の国債利払い利率というのはどれくらいになっているんでしょうか。利率でございます。
  15. 田波耕治

    政府委員田波耕治君) 八年度の予算について申し上げますと、例えば十年債の金利は、八年度発行分については三・六%ということで積算をしておるところでございます。
  16. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 随分安い国債金利であるわけですね。従来は一〇%近くの国債が発行されたこともあります。それに比べると非常に安い金利で今借りておりますから、それほど利払い費の痛みを直接的には感じていないんだと思っていますが、この低金利政策そのもの経済活性化のためにやっているんだというぐあいに認識をしておりますけれども、具体的にはこれはメリットデメリットが大変錯綜している政策だと思います。  まず最初に、この低金利政策経済活性化のために一体どのような考え方でやっているのか、それがどのような経路で国民経済によい影響を与えているのか、その部分について御説明を願いたいと思います。
  17. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 低金利政策我が国経済に与えるよい影響につきましては、いろいろなことが考えられますけれども、大きく申し上げれば二点に大別されるかと思います。  まず第一点は、企業におきまして金利支払い減少いたしますので、当然、収益が好転する。これは設備投資を増加させたり、あるいは雇用の増加といったようなものをもたらしまして、ひいては消費に好影響を与えるであろうというふうに考えられます。  もう一つ家計におきましては、確かに受取利子収入減少するという問題がありますけれども、一方でやはり家計負債利払い減少させるということから、例えば住宅投資を増加させるといったようなことが考えられまして、こういう大きな流れを通じて国民生活に好ましい影響を与えるものというふうに理解しております。
  18. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、メリットの方の話を伺いましたけれどもデメリットについてはどのようにお考えですか。
  19. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) デメリットといたしましては、今ちょっと触れましたが、一つ家計利子所得減少ということでございます。これは、家計借入者としての家計もございますのでネット考える必要があろうかと思いますけれども、そういうことがあろうかと思います。  そのほか、これはちょっと別の観点になりますけれども年金財政でありますとか、あるいはその資金運用しております経済主体運用状況収益の低下ということにつながっていく、あるいは財政にも利子所得減少に伴う税収の減ということがございますので、そういうデメリットがあるというふうに考えております。
  20. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今申されましたけれども最初家計ですね、家計利子所得が減ってくると。確かに住宅ローン等負債も減ってくるでしょう。そうするとネットはどっちに働いているんですか。私は消費支出についてはマイナス要因になっているんじゃないかというぐあいに考えていますが、いかがですか。ネットの話をしているんです。数字を言ってください。
  21. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) これはSNA統計で推計することがある程度できるのでございますけれども、それによりますと、一般的には貯蓄といいますか、そちらの方のウエートが大きいために受取利息の減の方が大きく働くというふうに考えられております。
  22. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 具体的にどれくらい、何兆円ぐらいですか。
  23. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 統計によりますと、個人企業を除いた家計部門統計でございますけれども、六年度、利子所得が二十三兆円余りございます。一方で利子支払い、これはローン利子等でございますけれども、これが十一兆円余りでございます。
  24. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 すなわち、消費支出については、少なくとも個人の可処分所得については十一兆円余りが少なくなっている、それが消費影響しているというぐあいに考えざるを得ないわけです。  またさらに、一番大きなところは年金ですね。年金運営というものは大体五・五%を基準にして企業年金会計が運営されているというぐあいに思います。その利子所得が現在五・五%では回らない、せいぜい三%強にしか回らないという状態になっているというぐあいに思います。そのために、企業年金その他は大変な潜在負債を持つ、そればかりじゃなくて破綻に追い込まれる、どうしようかということでいわゆる企業年金議論されていると思いますが、その点についてはどういうぐあいに認識になっておられますか。
  25. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今先生質問年金でございますが、二つに分けまして、一つ公的年金の話でございます。  先ほど先生からも御指摘がありましたが、公的年金賃金上昇に合わせまして年金額を改善するとともに、その実質的な価値が維持されるよう、物価上昇に対応したスライドを行っているわけでございます。  それで、公的年金年金財政への影響についてでございますが、年金額賃金物価上昇に応じて引き上げられる仕組みとなっておりますために、年金財政への影響運用利回り賃金物価上昇率との相対関係、すなわち実質的な利回りで決まってくるものでございます。  先ほども御指摘ありましたのですが、現在は金利とさらには物価賃金のいずれもが低水準であるわけでございまして、実質的な利回りは私ども平成六年の財政計算時に想定していたものとほとんど変化がないわけでございます。実際には、先ほど委員から御指摘がありましたように、預託金利の方は確かに二%程度下がっております。他方、CPIの上昇率の方も、当時想定しておりました水準から上昇率自体が二%程度低い水準にあるわけでございまして、その意味では公的年金財政への影響は現在のところほとんどないと考えておるところでございます。  いま一つ企業年金の話でございます。  これは、私がお答えするのが適当かどうかあれでございますが、企業年金資産運用ということでいいますと、極めて長期間にわたる運用であることとか、市場金利の動向に必ずしも連動しないような株式、不動産、外貨建て資産等を組み込んで運用が行われていることから、現在の低金利政策企業年金資産運用に及ぼす影響については必ずしも一概には言えないわけでございますが、今後ともその意味ではやはり長期間であること、かつ安定的な運用が望まれることだと思っております。
  26. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今御答弁いただきました企業年金についてですね。運用利回りが若干減ってはいるけれども、実は物価スライドを見込むとそんなに大きな影響は出ていないんだ、こういうお話だと思います、公的年金の方は。それは計算上もそうなるかもしれません。しかし、企業年金の方は物価スライドがなく、定額をもって支払うという約束を各会社が従業員に対してなされている。その基金がどんどん減少していっているという事態が起こっているわけです。  先般、アメリカの証券取引委員会指摘が行われまして、日本上場企業の各社には何百億ないしは何千億の積立企業資金積み立て不足指摘されている、こういう状態であります。私はこれをどうしろとかこうしろということを今議論するつもりはございませんが、低金利については、確かに先ほども言われたように国民経済を刺激するという大きな効果があると同時に、いろんなところにひずみが出ている。ひずみの方を、どこを基準にしてひずみと言うのかねという問題はあると思いますけれども、少なくとも多くの問題点指摘をされているわけです。史上初めての公定歩合〇・五%をいつまでも持続するわけには多分いかないんだろうと。少なくとも経済の発展が平常に戻ってくれば当然速やかにとめなければならぬ政策であろうというぐあいに思うんです。  ちなみに、低金利政策をとられた結果、先ほど申し上げたように、家計に及ぼす影響は非常に大きいということでありますけれども、同時に、この低金利政策によって一番潤っているのは金融機関であるというぐあいに言われています。金融機関は空前の利益を上げている。すなわち、今三月期の利益はどれだけかわかりませんが、九月期の中間決算業務純益で約四兆円の利益が上がったというぐあいに報ぜられています。それに対して、お年寄りだけではないと思いますけれども、要するに金利生活をしている方、特にお年寄りですね、そういうような方が銀行に預けても金利生活は全然できないねということが今議論をされているわけですけれども、そういう事態についてどういうぐあいにお考えでしょうか。
  27. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 確かに、現在物価は安定しておりますけれども、非常に低金利状況が続いているということで、例えば金利生活者等方々にとって非常に厳しい状況であるということは御指摘のとおりかと存じます。  この低金利状況のもと、老齢福祉年金受給者等、特に経済的に恵まれない預金者方々に対しましては、特別の配慮を行うとの観点から福祉定期預金を実施しているところでございます。これは現在四・一五%という相当高い金利を付しているわけでございます。これにつきましては、現在の低金利状況を踏まえまして、先般その受け入れ期間を本年三月以降さらに一年間延長したところでございます。  また、これとは別に、近時、民間金融機関の中で、個々の経営判断によりまして、年金生活者に配慮いたしました新しい金融商品の取り扱いを開始しているものがふえていると承知をいたしております。例えば銀行で申しますと、今我が国に百四十九の銀行がございますが、そのうち百三十七の銀行におきましてこのような年金受給者向け金利上乗せ商品を実施していると聞いております。
  28. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は、今銀行局長御答弁になりましたけれども、その政策については疑問を持っているんです。福祉預金四・一五%というぐあいに申されましたけれども、大体、今ごろ、金融機関福祉政策やれといって銀行局は通達を出すんですかね。僕は非常にその点については疑問に思っているんです。一%上乗せしろというんだったらまだわかるけれども金融機関調達コストはもっと低いわけですね。それを四・一五の金利を出して福祉政策金融機関にさせているというのも僕は奇異に感ずるんですが、出発点のときのいろいろいきさつがあったと思います。あえて申し上げませんが、そういうことでちょっと疑問に思うようなところがあります。  さらに、年金受給者に対して一%の上乗せを御要請になる。これは銀行局が御要請になったんじゃなくて銀行の方で自発的になさったんだというぐあいに理解をいたしますけれども、これもほんのスズメの涙程度で、百万円が限界ですからね。これで考慮したということにはとてもならないというぐあいに思っているんです。  ところで、金利を決定している、例えば公定歩合を〇・五に決定をしているのは日銀の専管事項であるというぐあいにされています。  私は、日本銀行法の第一条「目的」を読んでみますと、日本銀行の設立の目的は平たく言えば物価の安定とそれから信用秩序の維持であるというぐあいに思います。日本銀行はその責任を持っていますけれども、同時に、日本経済をどういうぐあいに持っていくか。今、低金利政策と言われています、その政策を一体だれがこしらえているんだと。日銀がこしらえているのか、政府がこしらえているのか。日本経済の運営について国民にリスポンシビリティーを持っているのは政府であるというぐあいに思っているんです。ところが、日本銀行が公定歩合を決定している。さらに、松下総裁は低金利政策を続けるんだと言い、かつG7ではアメリカから低金利政策を続けてくれよと要請を受けている。そんなことをどういうぐあいに理解をしているんでしょうか。  要するに、現在、責任は一義的に政府にあるのか、日本銀行政府とはばらばらに物を考えているのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。
  29. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 日本銀行の役割といいますか目的は、ただいま御指摘のとおり、日銀法によりますと通貨の調節、金融の調整及び信用制度の保持育成ということになっておるわけでございます。御指摘のとおり、公定歩合操作あるいは公開市場操作というものは日本銀行の所管事項でございます。ただ一方で、例えば支払い準備率操作等は大蔵大臣の認可に係るというようなことで、政府といたしましても広い意味で金融に関する施策の一部を担っているということでございます。  中央銀行政府経済政策が整合的でなきゃならないというのは御指摘のとおりでございまして、いろんな形で日ごろより日銀と当局間で意見交換を行っておるわけでございまして、政府経済政策全体として整合的に運営されなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。
  30. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、世上あるいは政党間において日銀法の改正ということが議論されているように耳にしています。どういう具体的内容なものかは詳細にはわかりませんけれども日本銀行の独立性の強化というようなことがうたわれているというぐあいに思いますけれども、今御質問を申し上げたように、日本経済の責任は政府にある、しかし金融政策の決定は日銀にある、そして日銀の権限を強めていくということになると、一体どういうぐあいに物を考えればいいんでしょうか。  私は、この議論がこれから行われていくと思いますけれども日本銀行の独立性を高めるということと、これは確かにアメリカ等においては強い独立性を持っていることは言うまでもありませんけれども、それと日本政府の現在の立場とどういうぐあいに関連が出てくるのか、どういうぐあいに物を考えていくのかということを御説明願いたいと思います。
  31. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 中央銀行政策面の独立性といいますか、これは大変歴史的にも、また現在におきましても重要な事柄であろうと思いますが、やはり金融政策全般としてこれは行政に属することでございますから、先ほど申し上げました政府経済政策との整合性というものは、これは損なってはならないということかと思います。  確かに、現在、日銀法を見ますと、片仮名の法律であったり、表現にやや戦前の色彩が強いといったような御指摘がございます。それはそのとおりでございますけれども、一方で、この戦後の五十年の間に、やはり政策運営におきまして中央銀行の中立性というものを尊重した形で運営されてきたし、また現在もそのように運営されているというふうに思っておりまして、そういう意味で、現時点で法改正の喫緊性があるかどうかということについてはやはり慎重に考えなければならないのではないかというふうに思います。  諸外国の例を見ましても、これはその国々の政治経済体制でありますとか歴史的経緯によりまして仕組みというものは区々になっておるわけでございまして、我が国におきまして確かに今、中央銀行のあり方、日銀法の改正問題というものが話題になっておるのは事実でございますけれども、この点については国民的な各界各層の幅広い議論というものを慎重にやる必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  32. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 確かに難しい問題を今お伺いをしているわけですけれども、金融政策の決定ですね、政府と中央銀行の間で必要な連絡を綿密にとってということを言われましたけれども、実は日銀法の中にも大蔵大臣の業務命令的な条項もあるわけですが、一遍もあれは発動されたことがないんです。  そして、政府から、特に大蔵省から日銀政策委員が派遣をされておりますが、ポリシーボードにおいて大蔵出身の、あるいは大蔵省の意向を受けた政策委員が金融政策の決定について積極的に発言したということも余り聞いていないんです。  どういうぐあいにして経済運営責任を負う大蔵省日本銀行とは意見の交換をしているんでしょうか。
  33. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 大蔵省日本銀行の間におきましてはあらゆるレベルにおきまして日常的な接触もございますし、それからその時々の経済情勢に応じて適時に意見交換をするといったようなことで、これは頻繁な意見交換が行われておるわけでございます。  今、いろいろ日銀法の問題につきまして、日銀の運営に関する問題等につきましての御指摘がございましたけれども、少なくも現時点におきましては、日銀政策委員会というものがございまして、そこで法律上何が決められるべきかということが明確になっておるわけでございまして、最終的な決定権限はそこにあると。大蔵省あるいは経済企画庁からの政府代表委員がそこで発言をする機会はあるわけでございますけれども、表決には加わらないというのは御指摘のとおりでございますが、そういう形でぎりぎりの調整、それと中立性の確保というものが現在の法律のもとにおいてとられているというふうに理解しているわけでございます。
  34. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 極めてあいまいな関係になっているわけですね。日常不断に意見の交換をしているというのは一体何なのかと。日常不断に意見の交換をやっていればそれで十分なのかと。しっかりした規定がないし、しっかりした規定が働いていないというぐあいに思うわけであります。  私は、日銀法の改正の論議はこれから具体化し、深められていくと思いますけれども、その際に、財政運営ということ、経済運営ということと金融政策というのは切っても切れないわけですから、そこの点をきちっと理解していく必要があるというぐあいに思います。  そこで、先ほどアメリカ合衆国の話をしましたが、FRB、すなわち連邦制度準備理事会、これは実は政府に対して十分な責任を持っている機関なのかどうなのか、調べてみてもなかなかわからない。しかし、議会に対しては責任を持ち、マニュアルレポートも出しますし、さらに半年に一回は議会に対して報告をしている。すなわち、議会に対して責任を持っているという格好をとっているわけであります。  しかしながら、日本の場合の日銀というのは、政府に対して責任を持っているのか、国会に対して責任を持っているのか、どういう形で国民に対して責任を持っている機関になっているのか、そこら辺が極めて不透明なような感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
  35. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今御指摘がございましたが、アメリカのFRBに関しましては、議会に出席いたしまして連邦準備制度の政策経済・金融情勢に関する見解等を報告したり、あるいは毎年一回その業務に関する報告書を議会に提出することとなっておりますほか、半年ごとの経済情勢判断及び連邦準備制度の通貨信用増加率の目標値を盛り込んだ特別報告書を提出することとなっております。我が国においては、このようなことは必ずしも規定されているわけではございませんし、また行政府との関係につきましては、アメリカの場合に行政府の関与権に関する規定はございませんが、連邦準備制度理事会の理事は上院の助言と承認に基づき大統領が任命することとなっておりますほか、議長は理事の中から大統領が指名し、また大統領は一定の場合に理事を罷免することができるというような関係になっているわけでございます。  この点に関する日本の制度は先ほどから御指摘のようなことでございますが、その現行の制度が適切かどうかということにつきまして、今、私どもの立場からコメントするという段階ではないと考えております。
  36. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 銀行局長が答弁されたように、あるいは先ほど武藤議官が言われたように国によって金融制度が違っているわけです。アメリカの金融制度と日本の金融制度は相当大きな差があります。  ですから、こういうぐあいにすべきであるという議論にはなかなかなりにくいと思いますけれども、今の日本銀行のあり方あるいは日本銀行法そのものから見て、非常に金融政策の立案について透明性が乏しいんですね。やはり金融政策というのは経済政策の非常に重要な一環ですから、その政策を決定するときに、どういう考え方で、どういう効果を期待してこういう金融政策を決めていくんだということをやっぱりしっかり言明をすべきだというぐあいに思っているんです。何か現在では、日本銀行が金融政策を決め、そして政府の方はそうだなそうだなと言っている程度の話にしか聞こえないんですね。そういうことでは大変困るので、日本銀行法の改正の議論も出ていますから、そのときにこの議論をやりたいと思いますが、この問題についての大蔵大臣の御所見はいかがでしょう。
  37. 久保亘

    国務大臣久保亘君) これからの新しい金融のあり方の基本になりますものは、今お話がございました透明性の確保にあろうと考えております。そういう意味では、日本銀行の最高意思決定機関であります政策委員会の議事録等が公表されるというようなことなどについても、日銀法の改正を検討してまいります過程では十分議論すべきものと考えております。
  38. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 それでは、今大蔵大臣から御発言をいただきましたので、ぜひこの問題について慎重に大蔵省の中でも議論をしていただきたいし、私ども議論をしていきたいというぐあいに考えております。  ちょっと論点を変えて、現在、日本経済の成長というものをどういうぐあいに我々としてはとらえるのだろうかという点でありますが、やはり情報社会の進展が大きく日本経済の回復に寄与しているというぐあいに考えております。  そこで、我が大蔵省予算として、情報社会の進展に応じてパソコンを導入しているとか機械化をやっているとか、そういうような話を伺うんですけれども、その点についての予算上の措置はいかがになっておりましょうか。
  39. 内野正昭

    政府委員(内野正昭君) まず、国税庁の関係を御説明させていただきます。  現在、国税総合管理システム、KSKシステムと呼んでおりますが、平成八年度予算におきましては、システム開発費並びに東京国税局、仙台国税局における施行に必要な経費等として二百五十五億円を計上しております。  近年、納税者数の増大、経済取引の複雑・広域化及び新税の導入など税務行政を取り巻く環境が大きく変化をしております。KSKシステムは、このような状況の変化に対応し、国税当局が保有、蓄積をしている各種データ等を有効活用することによりまして、効果的な税務調査や的確な滞納整理の実施等、税務行政の高度化を図り、適正・公平な課税の実現に資するため、国税庁において開発を進めてきたところでございます。
  40. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 聞くところによれば、大蔵本省でパソコンを職員に配付しているというぐあいに聞いていますが、どのようにされていますか。
  41. 妹尾喜三郎

    説明員妹尾喜三郎君) 先生のお尋ねの件でございますが、総額で三億七百万円の経費を使いまして全職員にパソコンを配ったところでございます。その利用の仕方でございますが、LANといいますものを省内に構築いたしまして、そして電子メール、それから電子掲示板等を行いまして、それからまた諸資料、諸データのデータベース化を進めまして、ペーパーレスを通じて業務運営の効率化を図っておるところでございます。
  42. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 まだ配付されて間もないので、大蔵省が非常に抱負を持ってしゃべられたと思います。なかなか実現はしないんだというぐあいには思いますが、その気持ちで、せっかくパソコンを全職員に配っているんですから、情報化社会に乗りおくれないように頑張っていただきたいというぐあいに思います。  そこで、今ペーパーレスということを仰せになりました。税務の関係質問をしたいんですけれども、活動している各企業は現在、商法上、商業帳簿の作成を義務づけられているんですね。ところが、経済団体等々からの要望がございまして、これをペーパーレス化にしてもらいたいと。すなわちフロッピー化をして、それを株主の帳簿閲覧権とかなんかに備える。そればかりじゃなくて、同時に税務に対してもフロッピー化をして、簡便なペーパーレス化の商業帳簿を作成したいという要望が出ているというぐあいに思います。  それに対して、まず第一の段階として、商法における商業帳簿の記載・作成は、実はペーパーによらなくてペーパーレス化の電磁的記録でよろしいんだということを、ことしですか、法務省が回答しているというぐあいに聞いています。  まず最初に、商法上電磁的記録で保存することを認めているということについて、今度は税務上大蔵省はどのように考えておられるか、御答弁を願いたい。
  43. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 言うまでもなく、税法上の記帳義務、それから帳簿書類の保存義務といいますのは、申告納税のもとで適正・公平な課税を担保するために必要不可欠なものであるというふうに認識しております。  さて、電子媒体のお話でございますが、偽造、変造がより簡易に行えるという問題があるわけでございます。そのような電子媒体での保存を現状のままで無条件に認めるということになりますと、適正・公平な課税を担保する観点からは問題が多いというふうに考えられるわけでございまして、税法上は従来から帳簿書類は紙で保存しなければならないというふうに解しているところでございます。  なお、商法上の帳簿書類の取り扱いでございますが、これは商法の解釈によりまして一定の要件のもとに電子媒体による保存が認められているというふうに承知しておりますが、これは債権者、株主などの閲覧権の確保という商法の要請に従ったものであるというふうに考えているところでございます。
  44. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ところが、現在のほとんどの企業は、大企業でなくても、中あるいは小の企業でも商業帳簿は全部フロッピー化されている、すなわち電磁記録になっているわけですね。  これは国税庁にお伺いしたいんだけれども企業先に税務調査に行かれると、全部紙に書いた帳簿で調査されるんじゃないでしょう。そんなことをやっていたら何十日、何百日かかるかわからない。やっぱり電磁式記録をもとにして調査をなさっておられるように思います。現に、国税庁ではそのような調査が可能であるようにいろんな訓練をされているというぐあいに聞いています。  現在、法制上、電磁記録を税務書類として認めてないということではありますけれども、どのように対処しておられるんですか。
  45. 内野正昭

    政府委員(内野正昭君) 先ほど主税局の方から御答弁させていただきましたが、税法上の記帳義務と帳簿書類の保存義務は、申告納税制度のもとで適正・公平な課税を担保するために必要不可欠なものというふうに考えております。  適正・公平な課税を担保し、かつ帳簿書類の電子データによる保存を認める場合、次のような条件が不可欠ではないかというふうに考えております。  一つ目は、電子媒体に保存されましたデータの偽造、変造ができないこと。経済取引のオリジナルな情報、例えば筆跡ですとか印鑑の印影、あるいは紙の状態等が消滅しないことなどの真実性が確保されること。これが一点目でございます。  二つ目は、調査の際には必要な情報が速やかにプリントアウトされるような措置が講じられること。仮にプリントアウトが拒否された場合でも、適正・公平な課税を行うことができるような措置が講じられることなどの可視性が確保されること。これが二つ目。  三つ目といたしまして、保存データのアウトプットが訴訟、特に刑事訴訟におきまして十分な証拠力が認められること。この三点が不可欠であるというふうに考えております。  以上の前提条件が解決されることが不可欠であるというふうに考えておりまして、こうした前提条件につきまして、その具体的な内容の検討を早急に行っているところでございます。
  46. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は、商業帳簿についての税務上の取り扱いと商法上の取り扱いが分離しているということは極めて奇異に感ずるんです。  諸外国の例をとりましても、ドイツ、アメリカ等々、今や電磁式記録が商法上も正規の書類として認められ、かつ税務の取り扱いにおいても、いろいろ条件のことを言われましたけれども、その条件を多分クリアしているんだと思いますが、正規の書類として認められているということだと思います。  一番最初に申し上げましたように、この情報化社会の中において、いつまでも手書きの帳簿でなきゃ税務にたえられないんだなんて、そんな乱暴なことを言われても困るので、ちゃんと社会の進展とともに大蔵省、税務行政も歩んでもらわなければ困る。  そういう意味では、早急に電磁式記録を正規の税法上の問題として取り扱っていただくように御考慮を願いたいと思うんです。三条件というぐあいに申されましたけれども、偽造防止、要するに事後的に訂正する。確かに、電磁記録というのはさっと入れかえようと思ったら入れかえられるという欠点があるわけでございます。しかし、それも日計簿あるいは月計簿等々においてソフトで工夫をしていけば、訂正されるところが確かに訂正をしたんだという証拠が残るというような方式も現在既に開発されているように聞いています。  そういう意味では、現在のところ非常に大きな問題、時間的な問題があると思いますけれども、早急にその点を克服され、やっていっていただきたいと思いますが、国税庁並びに主税局ではこの問題を一体研究しているんですか研究していないんですか、どうですか。
  47. 内野正昭

    政府委員(内野正昭君) 先生指摘の点につきましては、私どもも時代の流れというものを敏感に感じとりまして、鋭意検討をさせていただいております。  企業会計をコンピューターで処理する企業は、自社で独自に会計システムを開発しているものや市販の汎用システムを活用しているものなど、その態様は大変区々になっております。こうした企業の実態を十分踏まえまして、先生指摘の点も考慮しつつ、どのような条件を設定すべきかにつきましてさらに検討を進めてまいりたいと思っております。
  48. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 さらに検討というぐあいに言われましたけれども、さらにじゃ困るんですね。大いに前向きにやってもらわなきゃいかぬ。これは恐らく国税庁の問題じゃなくて主税局の問題だというぐあいに思っています。  要するに、現在の商法上の商業帳簿に対する規定は、明瞭かつ整然にとしか要件をつけていないんですね。そのような大ざっぱな条件では何ともならぬ。恐らく税法上もこれを改正して、こういう条件で商業帳簿を備えなければならぬというような方向に向かわざるを得ないんだと僕は思います。  ドイツ、アメリカ等々における税制においては、そこら辺のことは克服されているように思うというぐあいに先ほど申し上げましたけれども、随分前から公認会計士協会あるいは機械工業会等でこの問題は研究してやっているわけですね。私は日本が一番おくれているんだというぐあいに思いますよ。  そういう意味で、ゆっくり検討したいということはそうかもしれませんけれども、自由民主党の中ではこの問題について議連をつくって勉強しようということをやっているところでございまして、むしろ行政側の対応がおくれているんじゃないかというぐあいに思っておりますが、いかがですか。
  49. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) この電子データの問題は、規制緩和のまさに計画にも盛り込まれているところでございます。また政府政府といたしまして、高度情報通信社会推進本部のもと、制度見直し作業部会というのをつくってございます。そこにおきましても、書類の電子データによる保存あるいは申告、申請手続の電子化、ペーパーレス化について検討を重ねておりまして、ことしの六月にその報告が出るというふうに聞いております。  税法も、時代の流れにおくれるということはなかなか難しい点がございます。したがいまして、時代の流れにはついていかなければならないというふうに考えておりますが、一方において適正・公平な課税をどう担保するかという問題があることも事実でございます。  アメリカの制度、よく資料がございませんけれども、恐らくアメリカでは、今の三条件を担保するため大変いろんな厳しい要件が課されているというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、この六月に出るでありましょう報告の趣旨を踏まえ、国税庁とも十分協議を重ねながら、と申しますのは、やはりその執行ができなければ制度は動かないという問題があるものでございますから、そういう国税庁との協議も重ねながら積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  50. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今仰せになりましたように、政府の中において規制緩和推進計画をおつくりになり、さらにその中で制度の見直し作業部会を設けられた。仰せのように六月くらいまでに答申を出すという話でございます。  現在、政府の中で電磁式記録というものがどのように評価されているかということにつきまして、恐らく大議論がこれからなされるんだと思いますけれども、実は、届け出あるいは申請、税金のように厳格に守らなきゃならないものじゃなくて、個人の任意で出せるある程度の申請書については、例えば特許庁における特許申請等はもう電磁化されているわけですね。そういうぐあいにしてどんどん進んでいっているわけです。  国民生活に一番大きな影響を与え、かつ各企業で現実に電磁式の記録があるにもかかわらず、税法上はそれを認められないということは大きな問題点だと思います。今いろいろのその実行上の問題点があると。問題点があるからやらなきゃいいんだというんじゃなくて、問題点をどうやって克服していくのか、どういうぐあいに官民の力を合わせてそれをやっていくのかということを十分検討していただきたいと思います。  これは将来はいわゆる電子申告になっていくと思いますね、十年ぐらいのスパンで考えると。今は電磁式記録だけのことを言っております。しかし、電子申告も当然議題としては上ってくる性質のものであるというぐあいに思っております。  ところで、大蔵大臣、今申し上げたように、現在、時代の趨勢として電算化あるいは電磁式記録の採用とか、そういうことが行われてきているように思われますが、最後に大蔵大臣の御感想を承って、質問を終わりたいと思います。
  51. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、政府との間にいろいろと御議論ございましたけれども、私どもの短い体験を振り返ってみましても、本当に科学技術の進歩は想像をはるかに超えるものがあると考えております。  私ども考え及ばないスピードと技術の進歩がもたらすものに、政府が対応できる研究とその準備を進めていくことは、これからの国際化の時代におきまして最も重要なことであると考えております。  ただいま御指摘のございましたことをよく念頭に置きながら、今後さらにこれらの問題と取り組んでまいりたいと考えております。
  52. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 質問を終わります。
  53. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 きょうは、平成八年度予算のうち大蔵省関係委嘱審査ということでございますので、大蔵省所管予算に関し三点ほどお伺いしたいと思います。  ただいまの楢崎先生質問は、財政予算、会計に関する基本的な問題で大所高所からの御質問なんですが、私のは各目明細に記載されている細かな数字についてお伺いするので恐縮ですが、よろしくお願いしたいと思います。  今回質問するについて、この各目明細を一応全部読ませていただいて、どうもよくわからぬなというのを三点ほど質問させていただきます。  まず一番最初は、この十五ページに書いてある国家公務員等共済組合連合会等助成費という項目についてお伺いします。この十五ページの記載によると、国家公務員等共済組合連合会医療施設費等補助金として九十七億三千万円余が計上されております。そしてその内訳として、建物減価償却費等七十億三千万円余、医療施設建設費金利二十六億九千万円余と、こう記述されておりますが、右の二つの支出項目について、それぞれ支出の具体的な内容及び支出金額算定の根拠を伺いたいと思います。
  54. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  確かに、今委員指摘になりましたように、十五ページにそのような項目が計上してあるわけでございます。  御説明させていただきますと、国は、国家公務員等共済組合連合会が国家公務員等共済組合法に基づきまして福祉事業の一環として行っております病院経営の円滑な運営を図るために、連合会に対しまして今御指摘のような医療施設の減価償却費等、また建設費金利を補助しているものでございます。  一つは建物減価償却費等でございますが、これは医療施設の建物等の減価償却費につきまして、前々年度の発生額を補助しているものでございます。したがいまして、例えば今見ていただいております平成八年度の場合は、六年度の決算ベースをもとにいたしまして補助を計上しているところでございます。  いま一つは医療施設建設費の金利でございますが、これは医療施設の建設が年金資産の方からの借り入れによっておりますことから、借入金の金利相当額を補助しているものでございまして、金額は先ほど委員が御指摘になられたとおりでございます。
  55. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 国家公務員等共済組合連合会がこのような病院経営を行うということの共済組合法上の根拠はどこにあるわけですか。
  56. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  国家公務員等共済組合は、まず大きく分けまして、一つは、国家公務員等共済組合法に基づきまして国家公務員等及びその家族の病気とか負傷につきましての療養の給付、これはいわゆる短期の給付でございます。  それから、国家公務員等が退職をいたしました場合の共済年金の給付事業、これはいわゆる長期の給付でございますが、事業を行っているほかに、組合員たる国家公務員等の福祉の増進に資するために各種の福祉事業を行うこととされているわけでございます。  国家公務員等共済組合連合会は、これらの共済組合の事業のうちの共済年金に関する事業、先ほど言いました長期の方の事業と福祉事業を共同して行うために各共済組合が共同で組織をしているものでございます。  今言われました福祉事業の具体的内容は、国家公務員等共済組合法第九十八条でございます。連合会の行っている病院経営がその九十八条の中の第一号に定められているわけでございますが、組合員及びその被扶養者の健康の保持増進のための必要な事業の一環として実施しているものでございます。  連合会による病院経営は組合員の健康の維持回復に大きな役割を果たしておりまして、共済組合の福祉事業として重要な意義を有していると。また、そういう意味で法律でも定められているというぐあいに理解しております。
  57. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 病院経営するについて、あなたが今そのような根拠規定をおっしゃるだろうとは思いました。この根拠規定は、しかし今あなたが読むように読むには非常に無理がある。  しかし、九十八条一号の趣旨をあなたが今おっしゃったように読むとして、仮に法の規定に従ってできるということを前提にした上で、私も素人なんでよくわからぬけれども、要するに国家公務員等共済組合法によれば、この組合の運営に要する費用は、雇い主である国と公務員、職員である組合員の折半負担が原則であると。この折半負担によって共済組合のいろんな給付なり、あるいは福祉事業なりを行うというのが原則だと考えている。  そうすると、それにもかかわらずなぜ別個に、昭和二十七年からずっとある程度の金額、本年度予算は九十七億ですが、これが補助されているということになるわけです。そうすると、国と組合員の費用折半負担という共済組合法の原則とこの補助金とはどういう関係になるんですか。
  58. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  今先生言われましたように、この予算は昭和二十七年からずっと継続的に計上されているわけでございます。  今の御質問にお答えするという意味で、国家公務員等共済組合制度におきましては、先ほど申し上げました短期給付及び長期給付に要する費用は国と組合員で折半負担することとされているわけですが、ここでの国による負担は、事業主としての社会保障制度上の負担であるわけでございます。  他方、国家公務員等共済組合連合会の医療施設費等の補助金でございますが、これは、国家公務員等共済組合連合会の行っております事業が公務員の福祉の維持増進に果たしている役割にかんがみまして、この連合会の業務の円滑な運営を国として政策的に助成するものでございます。事業主の社会保障制度上の義務としての負担とは趣旨、性格を異にするものであるわけでございます。ということで御理解いただきたいと思います。
  59. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、要するに共済組合法の、先ほどの費用折半負担の原則とは別個な国の連合会に対する特別の補助ということのような趣旨と伺いますが、そうすると、この共済組合法上、このような補助をなし得るという規定は何かあるんですか。
  60. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えいたします。  事業は、私ども先ほどの九十八条第一号で読むべきものと考えておりますが、今先生が言われました補助金につきましては、これは連合会の円滑な事業運営を政策的に補助するために交付しているものでございまして、特段の国家公務員等共済組合法上の根拠にはよらず、いわゆる予算上の措置として措置されているものというぐあいに考えております。
  61. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それで大蔵大臣ちょっと伺いたいんです。  要するに、国家公務員等共済組合法で言うと、先ほど申し上げたように国と組合員の費用折半、これで運営するんだよ、その集まった金の中でだけで運営するんだよということが共済組合法の原則なんです。国民もそう思っているわけです。ところがそれとは別個に、法律補助じゃなく予算補助という形で百億円近い金が出ている。しかも、それが特別にことしと去年と二年だけじゃなくて昭和二十七年から継続的に、もう確定的にこういうふうに補助金が出ている。このような補助金というものはやはり法律補助にするべきであって、単なる予算補助というふうなありようというものを変えるべきじゃないかと。  これは大臣に申し上げるのは非常に恐縮ですが、例えば学者の中にも、予算補助が法律の根拠なしになされることは法律の留保の原則から見て問題があり、補助金交付のごとき資金交付行政には原則として法律の根拠を要するとか、あるいは法律学会においても、多数説というわけじゃないけれども、多くの学者が、補助金の交付等の授益的行為をも含めて一切の行政権の活動について法律の留保が必要であるとする学説もいっぱいあるわけなんです。  だから、昭和二十七年からこれだけ多額の金額を毎年毎年もうほとんど確定的に出すような補助金を、単に予算に書くだけでということでなくして、やっぱり法律の根拠に基づく補助金というふうに性格を変えるべきだと思いますが、所見はいかがですか。
  62. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま政府委員の方からお答えを申し上げましたように、国家公務員等共済組合法におきます経費の折半負担というものと、ただいま御指摘になりましたものとは性格がやや異なるものという判断から、これは事業主としての社会保障制度上の負担として、昭和二十七年以来、法律上の根拠によらない予算措置における補助として、国会の審議を経て、その議決に基づいて支出権限が認められてきたものと考えております。  大部分の補助金につきましては、平成八年度で申し上げますと八三・七%は法律上の根拠に基づく補助となっておりますが、これらの予算措置で補助を行うものも、行政運営等の立場から必要なものについては、国会の御審議、御議決を経た上で行われることは認められてよいのではないかと考えております。
  63. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それは認められているし、ずっとそのような運用がなされているんですが、できる限り法律補助にするべきであるというふうなことも少しお考えいただいてみたらどうだろうかという趣旨で申し上げたんです。  次に、各目の十八ページにあるアジア開発銀行等拠出金、いわゆるODAに関する拠出金の一部分に関してですが、時間がなくなってきましたので私の方から直接説明しますけれども、アジア開発銀行等拠出金として五百三十五億円余が計上されている。その中で、十二の銀行その他の国際機関に対してこの五百三十五億円余が分けて出されているわけです。  お伺いしたいのは、このような十二の拠出先を選定したり拠出先ごとにどれだけの拠出金を決定するかということに関して、大蔵省としてはどの程度の関与をしておられるのでしょうか。
  64. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) アジア開発銀行を初めとするこれらの十二の国際開発金融機関に対する拠出については、大蔵省所管予算として計上され、大蔵省により執行されているところでございます。  また、我が国は、これらの機関に対する主要な出資者として理事を派遣しておりまして、理事会等の場を通じて積極的に業務運営に関与しているところでございます。これらの機関を通じた我が国の拠出金等の使途、効果等については、理事と密接に連絡をとりつつ、十分審査の上、支出を承認してきているところでございます。
  65. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 予算審議の過程で、決算的なことで非常におかしな質問ですけれども、要するに、この十二の国際機関に拠出金を出すと、会計的に言えば、出したよという出金と、相手先のアジア開発銀行だとかあるいはいろいろな拠出先がそれだけの金額は受け取りましたよという受け取りさえあれば、これで一たんは、会計的には確かに予算どおり執行されたなということはわかるんですが、このアジア開発銀行に出ていった百十億八千万円余というのがどう使われたんだろうか、あるいは、アフリカ開発銀行に対して二億円出したよといった場合に、日本国が出したということ、向こうが受け取ったということはわかるけれども、その先ほどういうふうに使用されたか皆目見当がつかぬということだと、決算的な立場から見ると非常に困るんですが、その辺については大蔵省としてはどの程度把握しているんですか。
  66. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 国際開発金融機関につきましては、出資金を出しているところ、あるいは拠出金を出している国がそれぞれ理事を派遣して、理事会で厳密に審査しているところでございます。  もちろん、向こうのそれぞれの開発機関につきましては外部監査というものが入っておりまして、プライス・ウォーター・ハウスとか世界的に有名な外部監査法人がその執行については厳密に監査しているところでございます。もちろん日本では会計検査院がこれを検査している、こういうことでございますから、こういう開発金融機関、非常にODAの重要な項目でございますけれども、厳密に監査をされているというふうに承知しております。
  67. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 会計検査院に来てもらってちょっとこの辺の監査について実情をお伺いしたいと思いましたので、御答弁ください。
  68. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答え申し上げます。  会計検査院では、大蔵省から提出されます計算書あるいは証拠書類といいましたものに基づきまして、いわゆる書面検査という形で支出の手続ですとか拠出金の算定根拠等の確認を行っているところでございまして、必要に応じまして大蔵省等から関係書類の提示や説明の聴取を受けているところでございます。今後ともこの検査を行いまして、拠出金の使途ですとか効果等について十分把握してまいりたいというふうに考えております。  お話しのアジア開発銀行等の国際機関についてでございますが、これは加盟各国の合意のもとに組織されたものだということもございます。したがいまして、現在のところ、この国際機関を通じました援助につきましては、現地調査というところまでは考えてはおりません。やはり予算を執行いたします大蔵省に対します検査を十分行いまして、その実態を把握するように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  69. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 各目の三番目についてお伺いします。  各目の八十三ページに、これは特別会計の方ですが、地震再保険特別会計というのが記載されております。この歳入の部に再保険料収入予定額二百七十五億三千万円余という金額が計上されており、また歳出の部に再保険金四百九十八億二千万円余というのが計上されておりますが、この歳入歳出の部の金額についての算出根拠というか、金額を算定した大もとの考え方を述べてください。
  70. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  まず、地震再保険制度そのものでございますが、これは地震保険に関する法律に基づきまして、地震保険契約によって保険会社が負う保険責任を再保険する保険会社を相手方といたしまして国が再保険しているものでございます。地震が起きた場合の支払い保険金額が一定の額を超過した場合に、その超過した部分について国が再保険金を支払うことになっております。  お尋ねの件でございますが、地震が起こった場合の支払い保険金についての国と民間の負担割合は地震保険に関する法律施行令で定められておりまして、お尋ねのまず国の再保険料収入でございますが、これは全体の地震保険料収入に国の負担割合を乗じて算出いたしております。  具体的には、やや細かくて恐縮でございますが、過去五百二年間に発生した三百七十五地震が現在再来した場合の各地震ごとの国の負担額を合計いたしまして、全体の保険金に占める国の負担額の割合、すなわち再保険割合を求めて算出いたしております。八年度の再保険料収入予定額二百七十五億三千万余につきましても、予算策定時におきます地震保険契約状況等を踏まえて再保険割合等を推計し算出したものでございます。  お尋ねの第二点の、歳出の部の再保険金四百九十八億二千万余でございますが、再保険金につきましては、先ほど申し上げました再保険料収入及びたまっております過去の預託金利収入等の歳入額から事務取扱費等を除いた額を計上いたしております。  なお、八年度の歳入歳出予算で申し上げますと、再保険料収入二百七十五億三千三百万円と預託金利収入等の雑収入二百二十三億六千万円を合わせた歳入額四百九十八億九千二百万円から、先ほど申し上げました事務取扱費等六千七百万円を控除した四百九十八億二千六百万円を再保険金として計上いたしているところでございます。
  71. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それで聞きたいのは、保険料はことし二百七十五億入ってくるよ、それから歳出の方でもし地震があったら四百九十八億出さにゃならぬよと、こういうことになっているんだが、うまいこと地震が来なければ四百九十八億は出さないで済むわけです。そうすると、この会計としては単年度会計になっているから計算上出てこないけれども、従前からの累計した積立金はどういうふうになっておりますか。
  72. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  お尋ねのように、再保険金の支払いを要するような地震被害がなかった場合でございますが、毎年の再保険料等収入は決算におきましてそのまま剰余金となるわけでございますが、これは地震再保険特別会計法に基づき積立金として積み立てなければならないこととなっておりまして、不時の地震に備えることになっているわけでございます。  昭和四十一年の本制度発足以来平成六年度末までは、兵庫県南部地震を除きまして巨大な地震災害がなかったこと等から、平成六年度末の積立金の残高は四千四百四億円となっております。
  73. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 平成六年度末四千四百四億円も積立金がたまったと、これは非常に結構な話だけれども、阪神・淡路大震災でこの中からどのくらい出しましたか。
  74. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 実は、兵庫県南部地震が起きましたのは平成七年、昨年一月でございまして、これにつきましては、平成六年度中に保険会社から再保険金の請求がなかったために、同年度において再保険金支払いはございませんでした。なお、平成七年度におきまして、兵庫県南部地震に対しまして約五十八億円の再保険金の支払いが行われたところでございます。
  75. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私の聞きたいのは、少なくも今の時点だと、四千四百億ためたけれども、あれだけの阪神・淡路大震災で五十八億しか出さぬで済んだということで、何か国が保険会社をやっていろいろもうけているのなら別だけれども、そうでないと、これ制度としてどうなんだろうかということについての疑問があるから伺っているわけなんです。もちろん、でっかいのが来て、阪神・淡路よりもっと大きいのが三つも五つも一年に来たといえば、それは四千四百億ぐらいすぐすっ飛んでしまうだろうけれども、ただ、阪神・淡路のときだって五十八億しか出さなかったというんです。  これ出さぬというのはどうしてかというと、保険契約の状況やいろいろな状況でもっと改善するべき余地がある。例えば、昭和四十一年からせっかく四千四百億たまったけれども、阪神・淡路で三分の一消えてしまったとか半分消えたとかといって、ちょっとしか残らなくなってしまった、またためようというのならいいけれども、四千四百億円もたまっていて五十八億ぐらいしか出さぬというんだったら、これは仕組み自体がおかしいんじゃなかろうかと思うので、この辺をもう少し検討してみる必要があるんじゃなかろうか。国が保険業務をやって、国が商売をやってもうける筋合いは全くないと私は思うんです。これでは商売をやっていても非常に効率のいい商売になってしまう。  ということで、大臣にいきなり地震再保険特別会計の今後の改善策なんということを申し上げても非常に難しいかもしれませんが、どなたか、検討するかどうか、その辺考えてください。
  76. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 私ども昨年の兵庫県地震が大変印象に深いわけでございますが、過去やはり関東大震災とか巨大な地震が来ております。  現行の制度は、小規模の地震であれば民間だけでの対応が可能でございますが、大規模の地震の場合には国が対応しなければ保険として成り立ち得ないわけでございまして、地震保険におきましては、超過損害額再保険方式、すなわち損害額が一定の枠を超過した場合に、その超過した部分について再保険金を支払うということで国が再保険を行っているわけでございます。現行ですと、地震保険の支払い保険金額が九百二十億円までは民間の一〇〇%負担でございますが、逆に、巨額化しまして四千六百八十億円を超える支払い保険金額になりますと、その超える部分につきましては国が九五%負担することとなっております。  なお、民間側におきましても、責任負担額に応じた危険準備金の積み立てが行われているところでございます。  なお、当然のことながら、国がこの地震保険制度でもうけているわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、預託金利子も含めましてその年に災害がなければ積み立てていくという制度になっているわけでございます。
  77. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今あなたがおっしゃったような仕組みを含めてもう少し検討してみたらどうかということを申し上げたわけです。  予算各目についての質問をして、あと別の一般信用組合問題について伺おうと思いましたが、残り時間があと五分しかありませんので、ちょうど切りがいいので、以上で終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  78. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、私の方からは、きょうはまず自動車重量税についてお伺いをしたいと思います。  自動車重量税については、これは車の登録とかあるいは車検のときに、例えば新車の場合は三年間一括払いするわけです。車検をとって有効期間二年の場合は二年分一括払いする。この税金の制度の疑問が私なんかのところにも非常に寄せられているんです。同じ自動車の税金でも自動車税というのがありますが、これは例えば車を途中で買いかえたりしますと、払った分は還付されて戻ってくるんです。ところが自動車重量税に関しては、一回払ってしまいますと全く還付制度がなくて戻ってこない、したがって仕組みとしてはおかしいじゃないか、こういう声が非常に多いわけであります。  私はやはりこれは、自動車重量税についても税の性格上還付をすべきだ、このように思っておるわけでございますけれども大蔵大臣、この辺の問題意識はお持ちでございますか。
  79. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 今先生お尋ねのようなお話は時々伺っているところでございます。  この自動車重量税でございますが、自動車が車検を受け、または届け出を行うということによりまして道路を走行することが可能になるという法的地位、あるいは利益を受けることに着目して課税されております一種の権利創設税であるというのが税法の考え方であると認識しております。したがいまして、一たん車検が有効なものになっておれば、現実に自動車がどの程度走行するのか、あるいはその期間内に廃車するのかどうかということとは直接関係のない税であるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、車検の間に廃車になったということがございましても、権利創設税という性格からいたしまして還付は行わないということにしているわけでございます。
  80. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この問題は、昨年も、参議院のこれは運輸委員会ですが、今の社民党の同僚議員が、やはり還付制度とか一括納入というのはおかしい、こういう質問をされております。  今、権利創設税だと、こういうことなんですが、明らかにこれはおかしいんですね。といいますのは、この税金が導入されたのは昭和四十六年なんですが、そのときの衆議院の委員会の議事録を持ってきておりますけれども、その中では、道路整備が必要だから重量税というのを新しく設けるんだと。つまり、道路整備五カ年計画をきちっとやっていくためには財源が足りない、したがって自動車重量税という新しい税を設けるんだと、こういうことを当時の福田大蔵大臣が明確に答弁されているわけであります。  私も、やはりそういうことであれば、これはある程度経過からいってもよくわかる。つまり、創設の経過からいって、これは道路に使う税金で、自動車ユーザーが走行することによって道路から受益を受ける、そのことに関する一種の道路損傷税的な性格だと、むしろこの方が明らかにこの税の性格からいっても妥当ではないかと思うんです。  走るための権利といっても、新車を買って三年たったらまた二年間払わなければいかぬですね、しかも前払いで。途中で保有するのをやめて、道路のためにつくられた税金で払っていたのが、自分が車を持つのをやめたにもかかわらずその税金が返ってこないというのは大変不合理だと思うのであります。  現実に、毎年毎年の自動車重量税の税の使途、使い道ですね、これを見ましてもその大半、この数年間の実績で見ますと大体八五%以上は道路のために使われているわけです。やっぱりこれは考え方を変えるべきだ、こう思うんですけれども、いかがでございましょう。
  81. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) ただいま自動車重量税の創設のときの、自動車重量税というのはどういうものかというお話がございました。自動車重量税でございますが、特定財源ではないかという御指摘がございました。  自動車重量税は、自動車の走行が道路の建設、改良、維持を初めといたしまして道路混雑、交通安全、交通事故等に関連して社会に多くの負担をもたらしていること、それから道路その他の社会資本の充実の要請が強いことを考慮して、一般財源を強化するために創設された税であるというふうに認識してございまして、自動車重量税法にはそういう意味では目的規定は置かれていないわけでございまして、このような意味でも、道路特定財源に当たる目的税というものではないのではないかというふうに認識しているわけでございます。  ただ、自動車重量税の税収のまず四分の一でございますが、自動車重量譲与税法に基づきまして地方公共団体に交付され、地方道路整備のために使用されております。そういう意味では、この四分の一は法律上の道路特定財源でございますが、残りの四分の三でございますが、これは法律上、使途の特定のない一般財源であるというふうに認識しているわけでございます。  お尋ねの、四分の三の部分も道路に充てられているではないかということではないかと思いますが、この自動車重量税の四分の三の八割を道路事業費の国費負担分をめどとして算定をしているということでございますので、実質的にこれが特定財源として充てられているのではないというふうに理解しているところでございます。
  82. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、特定財源か一般財源かの議論じゃなくて、今あなたがこれは権利創設税だとこのようにおっしゃったから、これはそうじゃないんじゃないですかと。そもそもこの税金は、つくるときのいきさつからいいますと、道路整備を推進するために議論があってできた税制ですと。それから、今、道路特定財源じゃないとおっしゃったけれども、今のお話にあったように四分の一は地方へ回って道路整備に充てられていて、残りの四分の三の八割は道路に使う、こういうことになっているわけですね。ですから、さっき私が大半というふうに申し上げたのは、そういう意味で大半というふうに申し上げたんですよ。  例えば、権利創設税という概念はほかにどういう税金があるんですか、権利創設税なんというのは。ちょっと例があったら教えてください。
  83. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 自動車重量税は権利創設税と申し上げました。この税と似ている性格のものとして、権利の創出等に伴います登録免許税、これが権利創設税として近い税であるというふうに認識しております。
  84. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 よく登録免許税というのは挙げられるんですけれども、これは一回払ったらその一回で終わりですよね。まさに権利創設税というのはそういうものだと思うんですよ。  今おっしゃらなかったけれども、私もいろいろ調べましたけれども、まだ幾つかあるんですよ、権利創設税と言われるものがほかにも幾つかあります。申し上げてもいいですけれども、もう御承知だと思いますので言いませんが。  いずれにしても、例えば私が、大臣もそうですよ、車をお買いになって三年分お支払いになると、途中で持つのをやめたら返ってこない。三年たって車検を受けると、また権利創設税だといって税金を取られるんですよ。それを二年ごとに繰り返すわけです。今、大体車は九年とか十年使われますよね。そうすると、その間ずっと一台の車に乗っていると何回も権利創設税を払わなきゃいけないんですよ。  いいですか、大臣、こんなばかな税金の存在がそういう理屈で説明されている。私は、重量税をやめろと言っているんじゃなくて、そういう仕組みはやっぱり国民から見ても問題があるんじゃないか、こう言っているわけです。  もう一つ申し上げます。今、重量税は、税金を取るときの、取るというような言葉はよくないかもしれません、納めるときの基準は自動車の重量で基準が決まっているわけです。例えば、乗用車でいいますと〇・五トン刻みで六千三百円、年間ですね。だから、三年分だと掛ける三です。これを払わなきゃいけないんですよ。これは明らかに、税の算定方式も重量で決まっているということは、道路に対する損傷、これを意識した徴税になっているわけです。筋が通らないと思うんです。  しかも、もう一つ申し上げますと、金額が大きいんですよ。普通、大体乗用車というのは重量が一トン前後の車ですから、例えば重量が一トン未満の車でいいますと、三年分というと三万七千八百円。一トン超えますとこれは五万六千七百円。今一・五トン以上というのもあります。これも入れますと七万五千六百円。それを一括払いするんです。  今もうほとんどの家庭に車があって、こういう時代の中で、今申し上げたような理屈で還付制度もなくて、しかもこれだけの高負担の税を権利創設税だということで返さないということは非常に私は問題がある、こういうように思うんですけれども、いかがですか、今の税の算定基準を含めて。
  85. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 自動車重量税は、繰り返させていただきますけれども、自動車が車検を受けまたは届け出を行うことにより道路を走行することが可能になるという法的地位、利益に着目して課税される権利創設税であるというふうに申し上げました。税金の担税力はどこに求めるのかといいますのは、税の設計なりあるいは税法を考える場合の非常に重要な点だろうというふうに思っております。  この自動車重量税といいますのは、担税力を何に求めるかということになってまいりますと、今言ったような道路を走行することが可能になる法的地位あるいは利益ということでございますので、車検が一年、二年、三年とこういうふうにあることも事実でございますが、まさに車検ごとにその法的地位が与えられるということから、車検の都度課税が行われているということだと理解しているわけでございます。  それから、自動車重量税は名のとおり重量を一種の課税標準にとっているわけでございますけれども、これは必ずしも道路損壊ということだけではなしに、自動車の走行がもたらしている社会的費用の程度をはかる尺度、共通の基準として何がいいのかというところから、重量がまさにその負担のバランスをとる上で適当ではないかということから設けられている、そのような仕組みになっているというふうに理解しているわけでございます。
  86. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、権利創設税としてこういう重量でかけるのは適当だとおっしゃいましたけれども、私は本当にそれは適当な考え方だと思いますよ。  権利創設税でこういうかけ方をしているものはあるんですか。ちょっとお尋ねします。
  87. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 権利創設税で私今思い出しますのは登録免許税でございますが、登録免許税の世界におきましても、まだ使用し得る建物でありながら取り壊すということも十分あり得るわけでございまして、それではその場合登録免許税を還付しているかと申し上げますと、還付していないのでございます。  これはつまり物に着目した税とでも申し上げましょうか、所得税等の税でございまするならば、いろんなその人の事情によって考慮する余地が出てくるわけでございます。しかしながら、このような権利創設税というようなまさに一種の事実に着目し担税力を求める税にございましては、そのような還付制度を設けることはなかなか困難であるというふうに理解しているわけでございます。
  88. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、今の権利創設税ですというところの理屈が通らないんですよね。今、登録免許税のお話をされましたけれども、これは一回払えばいいんですよ。権利というのはそういう何回も払わなきゃいかぬものなんですかね。国が権利創設税だということで税金をかけ出したら、何にでもかんにでもかかっちゃいますよ。そうでしょう。  私は、今、登録免許税のお話が出ましたけれども、明らかに自動車の重量税というのはカテゴリーが違うと思うんですよね。税の払い方からいっても、取る基準からいっても、創設の背景からいっても。しかも、自動車というのは耐久消費財なんですよ。こういう耐久消費財に権利創設税ですと。そもそも耐久消費財にこういう権利創設税がなじむんですかね、皆さん方の言葉で言うなじむという言葉がありますけれども、私はなじまないと思うんですよ。耐久消費財に権利創設税をかけるということは、どう考えてもこれはすっきりしないことばかりなんですよね。権利創設税ですから一括で、しかも還付はしませんと。  何回も言いますが、私は、税をやめろとかこういう税はおかしいから撤廃をしろと、こういうことを言っているんじゃないんです。今の仕組みがおかしいんじゃないですか、少なくとも保有をやめた段階で返すべきじゃないかと。例えば、車を買って三年間払っておいて一年半で買いかえたら、そこからまた新しい車の三年分払うんですよ。一年半分はそのままなんですよね。そういうことからいってもおかしいんじゃないですか、しかも耐久消費財にこういうことをかけるというのは。  ですから、大蔵省の理屈は権利創設税だとおっしゃるけれども、私は、どう見たってこれはさっき申し上げたいわゆる受益者負担としての道路損傷税的な色彩の税だと、このように理解せざるを得ないんですけれども、いかがでございますか。
  89. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 今いろいろお話をいただきました。何度も繰り返しになって恐縮でございますが、一つは、この自動車重量税を設けたときの理由あるいは背景というお話と、税金をどこに求めるかという課税の根拠というのは、どうしても我々税制は分けて考えざるを得ないのでございます。  それで、耐久消費財にこのような権利創設税を課せられるのかというお話をいただきました。ただ、自動車といいますのは、まさにいろんな意味での利便性がたくさんあることも事実でございますが、他方、社会的なコストも、自動車の走行することに伴いまして費用がかかることも事実でございます。地方税と合わせますと種々の税がそういう観点から、自動車の特殊性とでもいいましょうか、地方税の方を詳しく言うつもりはございませんけれども、やはりそれにより一種の固定資産税的な考え方をしている税もございます。  国税のこの自動車重量税の場合には、何に担税力を求めている税かということになりますと、さっきから繰り返しになって恐縮でございますが、まさに道路を走行することが可能になるという法的地位あるいは利益に着目しての税であるというふうに説明せざるを得ないのでございます。  そのような税の性格からいたしますると、今先生指摘のようなお話、なかなか国民の方が理解していただけない面があるよと御指摘もいただきましたが、そのようなことをいたしまするとこの税の性格が変わってまいりまして、あるいはそのようなことをしようといたしますと保有税なりに切りかえていかなければならないという問題がございます。そうなりますと、まさにこの税を廃止しその税収分をどうするかということになると、保有税としてこれを仕組むかというような問題にもなってまいります。  一方におきまして、昭和四十六年来それなりに定着している税でもございますし、私どもといたしましては、やはり自動車重量税の権利創設税としての性格を大切にしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  90. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは議論すればするほどあなたの答弁に矛盾が出てくるんですよ。今は権利に着目してとおっしゃったけれども、車が道路を走るときは燃料に揮発油税がかかっているんですよね、ガソリンの場合は揮発油税がかかっている。要するに燃料課税がなされているわけです。それから、車を持っているときはどうだといいますと、自動車税という、これは地方税ですがかかっているわけです。そうですよね。  ですから、権利を取得して走れることに着目して設けたとおっしゃるけれども、そうやって走るときにちゃんと燃料税がかかっているわけですよ。どんどん筋が通らなくなってきますよ。どうなんでしょうね。  私は、何回も言うように、この税は還付制度がないのがおかしいと言っているんですよ。しかも、さっき申し上げたように高額の税を一括で取っているんですよ。しかも悪いことには、その税を納めるときに自動車損害賠償責任保険も一括払いするわけです、三年なら三年。車を買うときを例に挙げますと、それに消費税も払うんです。自動車取得税も払うんです。それに車の価格のお金を払うんです。  だから、大蔵省のサイドから見ると、これはまさに取りやすいタイミングで取れるところから取っているとしか言いようがないんですよ。しかもそれは返さない。例えば、阪神・淡路大震災で車が壊れた、破損した方はたくさんいますね。ああいう方々も返されないんですよね。こんな税金が本当にあっていいのかなと。むしろ、あなたがおっしゃったような保有税としてもうちょっと整理して、自動車税との関係をどうするかとかありますが、整理をして自動車には保有税をかけますと、社会的費用がかかりますということであればそういうことかもしれません、とおっしゃっていただいた方がはるかにわかりやすい。こう思うんですけれども、いかがですか。  大臣どうですか、こういう議論を聞いていて。五つか六つぐらい私今申し上げましたよね。できたときのいきさつから道路財源に使い道としては使われてきた。実際に大半がそういうふうに使われてきた。それで今、社会的費用というお話が出ましたけれども、例の公害健康被害補償法があったときは、今おっしゃった国の四分の三のうちの八〇%の残りから公健法の患者の補償のお金も出ていたんですよ。そのことは別にして、要するに大半が道路整備に使われてきた。これは事実ですよ。しかも、課税の仕方が車の重量単位にかけている。  それからもう一つ申し上げますと、何回も繰り返し払わなければいけない。耐久消費財であるにもかかわらず何回も払わなければいけない。本当は耐久消費財というのは、大体は買うときに税金を払ってそれで終わりなんですよね。ただ、自動車に関してはいろんな見方がありますから、ここのところまで私は踏み込みませんが、それでも何回も何回も税金を一括で取る。それから、さっき申し上げましたが非常に高額な金額を、しかも一括で取って返さない、こういう税なんですよね。  そういう点から考えますと、非常にこの税は、さっき買うときと車検のときと申し上げましたが、いろんな費用がかかるときに一緒に取っているんですね。ですから、少なくとも還付制度をきちっと考える。だって、大体車を使う方というのは今は初めて買うんじゃなくて買いかえるわけですから、次の車でちゃんと払っているわけです。ですから、少なくとも還付制度を考える。それから、できればこれは三年とか二年の一括払いではなくて単年度払い方式にしていただきたい。  きょうは税水準の話はしません。しませんが、この取り方の問題はやっぱり非常に問題が大きい、このように思いますので、私は政府税調なりできちっと御議論いただいてしかるべきだと、こういうふうに思うんですけれども、大臣どうですか、今までの話を聞いていて。
  91. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいまの御議論をお聞きしながら、直嶋さんの方は自動車に関して御専門でございますし、また政府委員の方は税を扱う専門の立場からの議論であったように思います。  確かに、もしこの税が一般財源として得られる税であるとしても、それこそ一般的に道路の使用権、利用権というような立場でこの税制が考えられているものとすれば、直嶋さんのおっしゃっていることにも理のあることだなと思いながら聞いておりました。しかし、自動車そのものを所有することによって負担をお願いしている税であるとしますならば、一般財源としての税の対象ということからは、これは何年分ということであるにしろ、その自動車の所有に伴って必要な負担をお願いする税であるとすれば、政府委員の主張にも理のあることかなと。  これはしかし、私は個人的なことしか今は申し上げられませんけれども、感想としては、なかなか難しい税の一つだな、いろいろと研究するには値するものだと考えながらお聞きいたしました。
  92. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと重ねて申し上げるようですけれども、やっぱり一番問題は還付制度がないということなんですよね、何回も申し上げますけれども。実際自動車は、税の水準とか、さっきからお話しありますように保有税的な自動車税とか燃料課税だとか幾つも税金がありますから、こういうものをどうするんだという議論もありますけれども、そのことは一応さておいたとしても、還付制度がないというのがやっぱり問題だということでございますので、今大臣からも半分ぐらい御理解をいただいたというお話でございますが、ぜひとも御検討をお願い申し上げたいと、このように思います用意外に知られていませんけれども、大変経済的な負担の大きい部分だと、このように思います。  今、大体自動車保有台数は六千万台超えていますから、大体各家庭に一台あるという状況でありますから、そういうバックグラウンドの中で冒頭申し上げたような声が出てきているということでございますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは、重量税の方は一応これくらいにいたしまして、残る時間で、また自動車のことで恐縮なんですが、自賠責保険について若干御見解を承りたいと思います。  実はさきの国会の中で、これは議員立法としてでありますけれども、自賠責保険法が改正をされまして、いわゆる生活協同組合とか事業協同組合も自賠責保険を取り扱うことができるようになったということであります。そういう法改正がございました。私は、基本的にはこれは自動車ユーザーの立場から見て、それだけ扱うところがふえてくるということは望ましい、好ましいことだと、このように思っております。  それで、一応法の施行日等から考えますと、昨年末にこの法律が改正されましたので、ことしの末ぐらいですか、大体一年後ということであるわけなんですけれども、そういう中でこの新規参入がされるということでありますので、一年先の法の施行までにやはりいろんな面で詰めておかなければいけないことが結構あるんじゃないかと、このように思います。  それで、きょうは運輸省いらっしゃっていますか。まず最初に運輸省の方にお伺いしたいんですけれども、今申し上げたように新しく扱えるそういう組合ができたということで、法の施行までに決めなければいけない各省の省令とかあるいは政令とかその他もろもろあると思うんですけれども、主なところでどんなことをやっておかなきゃいけないかというのをちょっと御説明いただきたいと思います。
  93. 中村達朗

    説明員(中村達朗君) お答え申し上げます。  昨年十二月に改正されました自動車損害賠償保障法が施行されるまでに制定あるいは改正しなければならない主な政省令は次のものでございます。  新たに制定する必要があるものといたしましては、改正された自動車損害賠償保障法の施行期日を定める政令がございます。また、改正された自賠法第二十八条の三の規定に基づきまして、自賠責保険の事業から生じた収支差額及び運用益の積み立て方法を定める主務省令がございます。ここで申します主務省令とは、大蔵大臣、厚生大臣、農林水産大臣、運輸大臣、それから事業所管大臣が共同で発する命令をいうものであります。また、改正されました自動車損害賠償保障法第二十九条の二の規定に基づきまして、保険会社及び組合が自賠責保険の保険料率の算出に必要なものとして大蔵大臣の指定する損害保険料率算出団体に対し報告しなければならない事項を定める大蔵省令がございます。  また、改正が必要なものといたしましては、自動車損害賠償保障法の施行令、また自動車損害賠償保障法施行規則がございます。
  94. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お話があったように、これで関係する省庁がたしか厚生省、通産省等も含めて従来からかなりふえてくるということもあって、今お話があったように詰めなければいけないことが大変たくさんございます。その部分はぜひ各省庁間で精力的にお詰めいただきたいと、こう思うんです。  その中で、これは大蔵省にお聞きしたいんですけれども一般余り知られていないことなんですが、保険料の共同プール制というのがございますね。要するに、保険会社が集めた保険料の六割はこれは国の方に再保険で払う。残りの四割をそれぞれ運用するんですが、国の制度として保険をやっているわけでありますから、その損害率の算定等も含めて共同プール制をとってやっているということなんですが、今度ここに、農協は少し先になるということなんですが、全労済等が加盟をするわけなんです。そうしますと、今あります団体がつくっている規約でございますか、この規約の改正を話し合いをしていかなきゃいけないということなんですけれども、この共同プールのあり方とか仕組みといいますか、今後の運用の方向についてちょっとお話をいただきたいと思います。
  95. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 今般の自賠法の改正によりまして取扱主体が拡大するわけでございますが、お尋ねに的確に答弁申し上げているかどうかわかりませんが、端的に申し上げれば、これまでの自賠責保障制度の趣旨が損なわれないように適正な料率で、かつ被害者救済の制度としての趣旨を全うできるような、そういう細かな手続を定めていくことではないかと考えております。
  96. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 特に、この料率、今これは料率団体が、略称自算会ですが、料率算定を行っているわけなんですけれども、この料率団体がどういうデータに基づいて料率算定を行っているかということもやはり透明にしていかなきゃいけない。それだけ対象が広がってくるというふうに思うわけであります。今までは、これは損保会社における内部的なと申し上げていいような運用をされてきたと思うのであります。  したがいまして、そういう面で言いますと、大いにこういった保険データあるいは料率算定のデータというのを幅広くオープンにしていくということは、これは非常にまた望ましいことだというふうに思うのでありますけれども、こういった点の運用に関して今のところどういうお考えでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  97. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 御指摘のとおり、今回の改正によりましてプール制がとられまして、自賠責の取扱主体でございます損保及び各種共済のデータはすべて合算して適正な自賠責の料率を算定することとされております。そのために、すべての取扱主体に対しまして料率算出団体へのデータ報告義務が課されたわけでございます。したがいまして、大蔵省令で今後定めさせていただきますのは、料率算出団体が適正な保険料を算出するために必要となる項目が中心ということでございますので、例えば、自賠責の契約に関する資料でありますとか支払いに関する資料、あるいは付加率計算のための決算に関する資料等が対象になると考えられますが、いずれにしましても今後具体的に検討させていただきたいと存じます。  なお、御指摘のように、その各団体から報告していただく内容につきましては、できるだけ透明性のあるものにしたいと考えております。
  98. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 従来、ややもすると、特に保険の分野というのは非常に専門的な領域であることもあってわかりにくいという点もありますし、どういう形で保険料あるいはその料率が設定されているかということも非常にわかりにくい面があったと思うんですね。ですから、こういう法改正を機に、かなりこれは幅広く運用等も見直すという意味では非常にいいタイミングだと思いますので、ぜひともそういった面での幅広い資料の公開に努めていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。  厚生省、いらっしゃっていますか。厚生省にお伺いしたいのは、今るる申し上げてきましたように、特に厚生省の管轄の全労済が今度新規参入されるわけですね。この共済組合が新規参入されるということについては、従来この法律をつくる前からいろんな議論がありました。調査体制だとかあるいは事務処理体制がどうだとか多くの議論がある中で、そういう経過の中で法改正がなされたわけでありますけれども、現在の準備状況とか、あるいはこれから特に注意していかなければいけない課題等について見解を求めたいと思います。
  99. 堀之内敬

    説明員(堀之内敬君) 全労済も生協ということで、消費生活協同組合の自賠責参入に当たりましては、既に自賠責事業を実施している損害保険会社、農業協同組合とのイコールフッティングを確保する必要がありますので、消費生活協同組合におきましても自賠法に規定する基準に適合しなければならないとされております。  それを具体的に四点申し上げますと、一つには、事業を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有すること。二つには、責任共済の事業に係る収支見込みが良好であること。三つには、人的構成等に照らして、的確、公正かつ効率的に事業を遂行できる知識及び経験を有すること。四つには、十分な社会的信用を有する者であることでございます。  それからまた、具体的には、社会保障的な強制保険を実施するためにまた前提条件がございまして、お尋ねの二十四時間事故受け付け体制が整備されていること、それから十分な損害調査体制が整備されていること、それから三つ目に事業実施当初の財政的基盤が確保されていることといった前提条件を充足していることが必要であると考えております。自賠責参入を希望する全労済などの消費生活協同組合におきましては、これらの基準などを充足するための所要の準備に取り組んでいるところでございます。
  100. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御答弁の中で消費生活協同組合と農業協同組合のイコールフッティングのお話がございました。それは大事な面だと思うんですが、もう一点、この制度がやはり難しいのは、いわゆる協同組合組織のところと損保会社のような株式会社組織のところとが国の制度としての自賠責保険を共同で担っていく、ここにこの制度の実際の運用面での難しさがあると、こう思います。そういう意味で、特に関係省庁の間で、これは厚生省も含めて、今後十分な議論の中でイコールフッティングが果たされるように期待を申し上げておきたいと思います。  それで、時間がございませんので、ちょっと最後に運輸省に一点お伺いしておきたいんですけれども、この自賠責保険というのは、これは保険でありますから基本的には制度としてはノーロス・ノープロフィットというのが運用の原則になっているわけですね。それで、平成五年にもそういう背景で保険料率の引き下げが行われたわけなんですけれども、しかしなおかつ、平成六年、七年は国の一般会計に一兆円強お貸しをすると、こういうようなこともございました。ただ、そういう経過はあるにしても、基本はノーロス・ノープロフィットで保険というのは運用しているわけでありますから、全体の中でお金に余剰が生じた場合、具体的に言いますと運用益が大幅にたまってきた場合には、これはユーザーに還元をしていくべきだと、私はこのように思うんですけれども、この点についていかがでございますか。
  101. 中村達朗

    説明員(中村達朗君) お答え申し上げます。  自賠責保険の収支差額、いわゆる黒字相当分につきましては、先ほど先生が御指摘になられましたノーロス・ノープロフィットの原則からも、本来保険収支は均衡することによって黒字も赤字もないはずでありますけれども、現実には交通事故が予想よりも少なかった等の事情があるときに生じておるものであります。この黒字はユーザーに還元されるものでありまして、最近におきましては、平成二年及び平成四年の自賠責審議会答申において答申されておるとおり、保険料の引き下げの財源とされユーザーに還元されているところでございます。  また、自賠責保険の運用益につきましては、保険というものの性格上、保険料を収受してから保険金として支払うまでに必ずタイムラグが生ずるということから、その間の運用による利子がどうしても発生してまいります。この運用益につきましては、昭和四十四年の自賠責審議会の答申以後、累次の答申におきまして、保険契約者等に還元するとともに交通事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者救済対策等に資する施策に効果的に活用することが適当であるとされているところでございまして、この趣旨に沿って、黒字相当分と同様、保険料の引き下げの財源としてユーザーに還元し、また自賠責特会から自動車事故対策センター等に対して補助金を支出しているところでございます。
  102. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、運輸省から答弁いただいたんですが、いろんな運用益を使って事業をやるという部分についてちょっと大蔵省の見解を求めておきたいんですが、保険の制度からいうと、今ちょっとそれも還元だということをおっしゃったんですけれども、基本的にはやはり料率との関係でノーロス・ノープロフィットの原則を貫くべきだと、私はこう思うんですけれども、この点いかがですか。
  103. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 基本的にはただいま先生指摘のとおりであると存じます。したがいまして、運用益につきましても、収支残の黒字と同様、契約者へ本来還元すべきものと考えております。  他方、この点についての先ほど運輸省の御答弁にございましたように、審議会の答申の中で、発生する運用益を交通事故防止対策等に活用することも適当であるというような答申がございまして、こうした拠出は直接還元されるものとはちょっと性格が異なりますが、やはりこれも事故防止等を通じて結果的には自賠責収支の改善に資するとか、あるいはその結果低廉な保険料率の維持という面でも効果があるという考え方でもございますので、広い意味で契約者に還元されていると考えてもよろしいのではないかと考えております。  ただ、基本的には、先生おっしゃるように、本来契約者に還元すべきものであろうというふうに考えております。
  104. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  105. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日銀の山口理事に最初にお尋ねをすることになると思いますが、よろしくお願いします。  「昭和四十八、九年インフレーションの原因」という題で、小宮隆太郎さんが昭和五十年九月に論文を発表しております。ちょっとそれを読んでみます。  「昭和四十八−九年のインフレーションは主として四十八年十月以降の石油危機によって惹き起こされたという観念があるようだが、石油危機勃発以前の四十八年九月に、卸売物価指数はすでに前年比プラス一八・七%の水準に達していた。以下で明らかにされるように、インフレは石油危機以前にすでに本格的、全面的に進行していたのであり、石油危機はそれを一そう加速したにすぎなかったのである。」、序文にこう書いている。  そしてその次に、「政府および日銀は、インフレを惹き起こした責任の当事者であるために、インフレの原因について述べているところでは意図的に責任を曖昧にし糊塗しようとする傾向が認められる。」、こう書いておるんです。  「この論文の目的は、日本における昭和四十八−九年のインフレーションがどのような「原因」によるものであるか、とくに石油危機発生以前の時期に、インフレが全面的に進行することになったのは、いかなる「原因」にもとづくかを、明らかにすることである。」、こう言っております。  それから、「昭和四十八−九年のようなインフレーションが今後繰返し起こるとは到底考えられないが、もしかりに類似の事態が起こり易い「体質」を現代の日本経済がもっているとしても、あのような激しいインフレがどのようなメカニズムによって起こったかについての正確な分析なしには、「体質」を論じることはできないはずである。」、こう言っております。  「四十八−九年のインフレーションの「原因」の主要な候補者として、金融政策財政政策、為替政策、海外物価、輸出、民間投資等が挙げられる。」、こういうことを前提にしながら分析に入っていっているわけでありますが、中を省略をいたしまして、要するに一番主要なポイントとしては、「昭和四十八 九年のインフレーションの最も重要な原因の一つ、あるいはまさに最重要の原因は、四十六−八年の三年間にわたって過大な貨幣供給がなされたことにある。」、このように言っているわけです。  そして、中ずっと分析を論文でやっておりますが、その分析をした結果、「以上の分析から、四十七年から四十八年にかけての、マネー・サプライ急増の「原因」は、国際収支の黒字でもなければ、民間金融機関の対民間信用供与、あるいは「貸進み」でもなく、日本銀行の信用供与であり、日本銀行自身の「貸進み」であったことがわかる。」、このようにまとめておるわけですね。  今回のバブルと非常に類似をした点が多いわけです。山口理事は当時もう既に日銀に入られておったんじゃないかと思いますが、あの当時と今回のことを考えながら小宮隆太郎さんのこの論文の箇所を何カ所か読み上げましたが、御感想を承りたいと思います。
  106. 山口泰

    参考人山口泰君) 小宮先生の論文は私も以前に一度拝読したことがございますが、大分以前のことですので、今改めて拝聴しながら記憶をできるだけ呼び戻そうとしておりましたけれども、簡単に感想を申し上げます。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕  昭和四十六年から四十八年にかけましては、確かにマネーサプライの急増ということがございまして、これが当時のいわゆる狂乱物価と言われました一般物価水準の大幅な上昇一つの背景であったというふうに考えております。これに対しまして、委員お尋ねの直近の経験でありますいわゆる八〇年代後半における資産バブル、これにつきましても長期にわたる金融緩和が原因の一端であったというふうに考えております。そういう意味では、金融情勢というものがいずれの場合にも一定の役割を演じたという点では共通しておるというふうに思います。  ただ、一つ大事な違いというのもございまして、一九八〇年代後半の直近のバブルの経験の際には、一般物価、これは卸売物価消費物価といった通常の物価指数でございますけれども、こういうものがほぼ完全に安定しておりました。時によりましては、前年水準を大分下回るということが卸売物価については起きたわけでございます。したがいまして、日本銀行の金融政策といたしましては、そういう一般物価水準というのが異例の安定を示しておりますときにどういう政策をとるのが一番最適であろうかという、非常に難しい選択だったわけでございます。  改めて申し上げるまでもございませんが、当時、日本経済全体といたしましては、対外不均衡の是正とかあるいはいわゆる円高不況の克服という別の大きな課題を抱えておったわけでございまして、そういう課題を抱えながら、地価、株価というものが上昇を続けるという事態が起きたわけでございます。この全体的な状況に対してどういう金融政策をとるのがベストであるかというところから当時の政策担当者がぎりぎりの選択をしたというふうに思っておりますが、結果として見ますと、長期にわたる金融緩和がバブルに対してもその発生の一因であったということではないかと考えております。
  107. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 小宮さんが言っているように、あの狂乱インフレのときに、こういうことは二度と起きないだろう、しかし分析しておく必要があるということでやって、今回また起きたわけですね。だからそういう点では、今の日銀の通貨の番人というか、要するに日銀の金融政策というものには、何か大きな変化があったときにこれに対応し切れない何か弱点を持っているのではないか、そんな気がするんです。そういう点は、先ほどの答弁では、だからこうこうこういう違うところがあるから今回はやむを得なかったということでは済まされない。  その点は、どこに一体弱点があるのか。あるいはあなた方になければ、大蔵省が文句を言うからそうなったのか。何かそこのところの原因をこの際少し明らかにしておく必要があるだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 山口泰

    参考人山口泰君) 私ども、金融政策というものは経済全体についての総合判断で運営するということをかねてから申し上げております。その総合判断というものの中にどういう要素を織り込むべきかということが実際問題としては大事になってくるわけでございます。    〔理事石川弘君退席、委員長着席〕  いわゆる狂乱物価と言われた昭和四十六年から八年にかけての経験の場合には、一般物価、通常のインフレーションが非常に目に見える形で進行していたわけでございますけれども、この前のいわゆるバブルの経験の場合には、そういう金融政策にとって最も目に見えるターゲットになる物価水準というのが全く上がらずに、全く違うところといいますか、別のところで金融緩和のある種の副作用というものが発生したわけでございます。  こういう資産バブルの経験というのは、委員御案内のとおり、実は戦後初めてというべき経験でございまして、やはり数十年に一度しか起こらないそういう現象であったように思います。したがいまして、そういう点についての目配りというものが今から考えればやはりやや不十分だったのではないか、この点が一番大きな反省点でございます。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 昭和三十六年当時、あれは所得倍増論が出たとき、池田さんのときです。それから田中角栄さんが出られまして日本列島改造論が出た前後ですね。それから今回ですね。要するに、額的には大したことはないけれども、率でいきますと、五年前なら五年前を一〇〇としたときの上昇度合いというのは、この三回とも土地は非常に同じようなカーブで上がっているんですね。ですから、お言葉ですが、その辺は少し認識に差があるような気がします。  問題は、これはなかなか難しい話ですが、もう大丈夫だ、あとは任してほしいということが本当に言えるのかどうなのか、今の体制で。その点について、私はもう一度日銀の腹のうちを聞かせていただきたいんです。
  110. 山口泰

    参考人山口泰君) 今御指摘のとおり、経済情勢というのは確かに常に新しい問題を提起してまいりますので、そういう問題に対しておくれることなく情勢をきちんとフォローし把握する力というものが一番大事なことだと思います。  私どもは、今回のバブルというような、数十年に一度しかない経験だとは思いますが、そういう経験のみならず、世界の経済あるいは金融市場の中で起きております大きな構造変化といったことも十分に踏まえながら、金融政策について常にベストの選択はどうなのかということを日々よく考えておるつもりでございまして、今後ともそういう点でベストを尽くしてまいりたいと思っております。
  111. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 マクロの話からちょっとミクロに入っていきますが、あのバブルのとき日本銀行は、銀行からノンバンクへ行ったりあるいは住専へ行ったりするその流れというのは、個別にもトータルでも今どこにどういうようにお金が流れているのかというのは十分把握し、あるいは日銀の政策委員会あるいは日銀の中の内部での議論の中心にあのバブルが形成される段階で十分やられておったかどうなのか、その点をお聞きします。  そして、大蔵省としては、あのバブルが形成される段階で、当局はどのように資金がそういう方向に流れていたのかというのはつかんでおられたのかどうなのか。
  112. 山口泰

    参考人山口泰君) 金融市場の中でのお金の流れの把握でございますけれども、私どもは金融市場の中で金融機関と日々接触を持ち、また一定のヒアリングをしておりますので、第一にはそういう機能を通じて、また第二には、いわゆる考査というもので金融機関の実地考査をやらせていただいておりますので、こういう仕事を通じましてお金の流れというのは相応につかんでおったつもりでございます。  恐らく、例えば不動産部門に対して非常に大きなお金の流れが起きておったのにどういうふうに対応したのか、しなかったのかというふうな御質問かと存じますけれども、金融政策はやはりマクロでのお金の総量を調整しようという政策でございますから、金融政策の手段を使ってこれに影響を及ぼします場合には、どうしてもそのことが経済全体、マクロ経済に対してあるいは為替相場に対してどんな影響を持つのかということもあわせ考えなければいけない立場にあると思います。そういうことの総合判断といたしまして、委員の御案内のような政策の結果になったというふうに考えております。
  113. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) バブルの当時、資金の流れを大蔵省はどの程度つかんでいたのかというお尋ねでございます。  私どもといたしましては、まず、バブルの発生と言われる昭和六十二年ごろから四年間ぐらいがバブルと言われておるわけでございますけれども、少なくともその前半におきましては、これがバブルであるという認識というのは正直なところなかったと言わざるを得ないと思います。それは、大蔵省がということと同時に、およそ世の中全体がそういうことであったのではないかと、今考えればそのように思われるわけでございます。  同時に、当時、日銀の方からも今お話がありましたとおり、資産価格は上がっておったけれども物価水準が安定していたとか、あるいは海外からの内需拡大要請が続いていく中で我が国が低金利政策をとるということが一つの対外公約にもなっていたとか、あるいは六十二年十月にいわゆるブラックマンデーがございましたけれども、その後、むしろ国際的に協調して金融緩和政策をとるというようなことが株の連鎖安としてのドル対策であったといったような、そういう状況の中でそういうふうに認識されていたということだと思います。  しかしながら、当時、投機的な土地取引という問題が既にあったという認識はあったわけでございまして、既に何度も議論になっておりますので簡単にいたしますけれども、土地関連融資の取り扱いについて銀行局最初に抑制的な通達を出したのは昭和六十一年でございます。その後何度かに分けて行われて、いわゆる総量規制というのはその大分後になるわけでございますけれども、総量規制というものがマクロ経済政策としては非常に特殊な直接的な規制であるということから、当時としては直ちに総量規制をやるべきだという議論にはなっていなかったということでございまして、すべてというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども状況はかなりわかっていたけれども、その当時の認識というものがむしろ経済のファンダメンタルズを反映した動きであるという、そういう所論さえも当時あったという状況の中でとられた措置であるというふうに考えるわけでございます。
  114. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 資金の流れの把握の仕方とすれば、日銀は毎月、銀行から報告を求めてやっておりますね。だから、大蔵省と日銀でどちらが実際に生きた資金の流れがどうなっておるかというのをつかむのは、やはり日銀の方がそういう点では生の数字を絶えず把握しているというように私は理解しているんですが、その辺は山口理事さんどうでしょうか。
  115. 山口泰

    参考人山口泰君) 大蔵省との比較ということではなくて、日本銀行についてのみお答えさせていただきますと、今御指摘をいただきましたとおり、月々の金融機関に関するデータというのをいただいておりますので、金融市場の中で起きておる変化につきましては比較的早いタイミングで情報を把握するように努めておるところでございます。
  116. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日本銀行は、昔は三億ですか、三億以上のまとまった融資については、これはどういう融資条件か、個別の報告を営業局の資金課、そこでそれぞれ把握をしておったようですが、今はその報告義務というのか、そういうまとまった融資金額というのは幾らでやっているんですか。
  117. 山口泰

    参考人山口泰君) 私の知る限り、ただいまのところは、そういう個別の取引については一々情報を徴求しておりません。全体としての預金とか貸し出しとか、そういう金額を金融機関からちょうだいしております。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一度お尋ねしますけれども、例えば住専なら住専に都市銀行が大きな金額を融資しますね、一件五百億とか。そういう個別の融資については、資金課第一係とか第二係とか担当が、そこでは全部つかんでいるんでしょう。融資条件、返済計画をどうするとか、それは個別につかんでいないんですか。
  119. 山口泰

    参考人山口泰君) ちょっとただいまの答弁を修正させていただきます。  営業局の資金課、あるいはさっき実地考査に出かけておるということを申し上げましたけれども、そういう機会を通じまして金融機関から貸し出しについての必要な情報をいただいております。例えば、何億円以上についてはすべてその条件について情報を求めるというような一律的な基準をただいま設けてやっておるかどうかということまではちょっと今即答できませんが、金融市場あるいは金融機関に対する私どもの調査の中で、これは大事な動きであるということにつきましては、そういうようなものにつきましては当然、条件を含めて情報をお願いしております。
  120. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵省、日銀と大蔵省先ほどの御答弁でも打ち合わせをよくやっているというようなお話でしたが、今回のバブルの発生段階のとき、総量規制をやる前、そういう非常に大事なときに、お互いにそういうことの情勢交換というのをやられたかどうか、いかがでしょうか。
  121. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 具体的にちょっと承知しておりませんけれども、当然、意見交換を行っていたものというふうに考えております。
  122. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 狂乱インフレのときも今回も、このような状態をつくり出したことに対する金融政策のあり方というのは、こういう短い時間で議論をしてもしようがないんですけれども、言いわけじゃなくて、大蔵省の金融当局あるいは日銀も真剣になって考えてもらわないと、これはまたやりますよ、これはまた何か情勢が変化した場合に必ずそういうことじゃないかと思いますが、ひとつ十分検討してもらいたいと思います。  資金の流れの中に、例えば農協系統の資金も日銀はそれぞれ報告を求めて、あるいは調査を毎月やっていると思うんですけれども、今回のバブルに関して、バブル以前にも住専に恐らく二兆円近く系統資金は回っておったが、その辺の調査をしておられたかどうか。
  123. 山口泰

    参考人山口泰君) 農協自体は日本銀行の取引先ではございませんで、農林系統の中では農林中央金庫さんだけが日本銀行の取引先でございます。したがいまして、農協関係の例えば貸し出しの数字でありますとかそういうことにつきましては、正確なことは今お答えできませんが、余りつかんでいなかったというふうに思います。
  124. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 各県に支店がありますね。支店の段階で、例えば県信連なら県信連に調査に行ったり、支店に来てもらって、それで毎月そこはしっかり把握をされているようです。ただ、ある県の話だけれども、ちょうどバブルが燃え盛る前、そういうときは余りやかましくなかったそうです、支店の方も。ですから、各支店長は四十七信連についてはしっかりと把握をしておったようです。  大蔵大臣、これは大蔵省が悪いとか日銀が悪いとか、あるいは政治もこれは全く無関係じゃないんです。  私は今宿舎におりますが、紀尾井町のすぐ上に、司法研修所の跡に大京観光が大きなビルをつくりまして、これは理財局も国有財産払い下げの研究会というのを中曽根当時総理から言われてつくりまして、短い間に結論を出して、これは公示価格の二・八倍で売れているんです。たしか平米当たり二千七百万円かな、だから非常に高い額で売れております。麻布の林野庁の宿舎の跡は、地元の人がおれたちに使わせてくれということでいろいろやったんですけれども、あそこは何かいろいろみんなで払い下げをやっぱりやっているんです、地元じゃなくて。それも平米当たり二千五百万ぐらいして、相場の二倍なんです。地元の人は、それにつられてこの周辺の固定資産税が上がるから困るということで、ああいうときにまとまった国有財産のいい土地をどんどん払い下げたものですから、これは政治も私はあのバブルの引き金を引いた責任はあると思う。これはやっぱり否定してはいけないと思うんです。  しかし、金融に関しては、大蔵省やあるいは日銀というのは金融の専門家ですから、ここが何度も何度も同じような過ちをし、国民が大変苦しむというようなことは、これは困る。だから、久保大臣のときに、日銀と大蔵当局の金融政策のあり方を本当にとことん突き詰めて、間違った方向に行かないように対応していただきたいと思うんですが、最後に。
  125. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今回のバブルの発生から破綻に至ります過程を振り返って、このことに対する十分な反省と教訓が今後に生かされなければならないと考えております。  一つは、日本経済の先行きに対する見通しや判断が適切であったかという問題。また、金融機関のリスク管理体制が十分に確立されていたか。さらに金融政策のあり方が、このバブルの発生にさらに自己増殖を行わせるような形で株や不動産の市場にどんどん資金が流れ込んでいくことに対して的確な対応がなされたか。こういったような問題は、今回のバブルの発生から破綻に至る経過の中で、その時期時期における判断は適切なものと考え、懸命な努力をやってきたんだと思っておりますが、しかし今、結果として考えてみれば、多くの教訓を残したものと思っております。これらの問題がしっかり今後に生かされるようにやらなければならないと考えております。
  126. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  127. 山口哲夫

    山口哲夫君 まず、財政再建審議会の設置について質問をいたします。  しつこいようですけれども、非常に重要な問題だと考えておりますので今回もまた取り上げさせていただきましたので、お答えをいただきたいと思っております。  四月二十三日の当参議院の予算委員会で自民党の阿部議員の質問に対して総理大臣が答えておりますことは、この間も一部読みましたけれども、もう一度ちょっと読んでみたいと思うんです。  財政再建についての阿部議員の質問なんですけれども、総理はこういうふうに答弁しております。「先ほど何か特別な財政を検討する仕組みをという御提案もありましたが、私は余り仕組みをたくさんつくるのは好きじゃありません。現在審議会がたくさんありますから、むしろその審議会の連合体、あるいは会長さんたちに集まってもらい、事務局に集まってもらってでも、壁を越えて議論をしてもらうことを工夫したい。」とずっと述べて、最後に、「とっさにそのようなことを感じておりました。」、こういう答弁なわけです。  これに対して、大体総理の考えでいらっしゃることと私の考えでいることと非常に共通するところがあるというふうに思いましたので、私は財政再建のための総合的な立場での議論をしていただく審議会をつくってみてはいかがだろうかという提言をさせていただきました。それに対して久保大蔵大臣がお答えの中でこう言っています。「審議会の問題につきましては、これは私が今そのような審議会をつくるべきだとかつくるべきでないとか、ここでちょっと申し上げるのは困難であると思います。」、こういうお答えでございましたけれども、その後、総理とお話し合いをこの問題についてされましたでしょうか。
  128. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 特にこの問題について話をしたということではございませんけれども財政再建の問題については折々に話をいたしております。  それは、今、山口さんから先般の御質問に引き続いてのお尋ねでございますけれども、基本的には財政制度審議会の特別部会において今検討をお願いいたしております。この財政制度審議会は御承知のように各界の方々の御意見が反映するような構成になっております。  しかし、総理も言われておりますように、今この危機的な状況にあります財政再建の道を検討いたしますためにもっと幅広い意見の集約を図ったらということもあるんだと思いまして、社会保障制度審議会や税制調査会、経済審議会、こういったところの会長や担当の事務局長の皆さんたちが十分連携をとりながらお話になればよいのではないかというような御答弁であったと思っておりまして、今もそのような総理の考え方と私ども考え方は変わりがないわけでございまして、そういう立場に立って、これからも国会の御審議も十分に承りながら、大蔵省として再建の方向を考えてまいりたいと思っております。
  129. 山口哲夫

    山口哲夫君 大蔵大臣の御答弁の中で、平成九年度を初年度にして財政再建を図っていきたいというような決意も述べられております。そうなりますと、相当急がなければいけない作業ではないかと思うわけです。  総理がこういうようなことをおっしゃったということは、今までの財政制度審議会だけ、あるいは税制調査会だけ、社会保障制度審議会だけではなかなかやっぱり財政再建全体の方法をとらえることができないというお考えがあったから、総体的な面での審議というお考えがとっさに浮かんだんじゃないかと思うわけです。  そういう意味で、これは国会が終わりましたらすぐにでも着手しなければ、御審議いただくのに相当時間もかかるでしょうから、平成九年度を初年度にするということになると相当急がなければならないことだと思います。そういう点で、ぜひ総理ともその辺の具体的な考え方についてお話し合いをされていただいて、ぜひ総理の考え方というものを財政再建の中で生かしていただけるようにお願いをしておきたいと思っております。この問題についてはまたいずれやらせていただきたいと思います。  次に住専問題でございますけれども大蔵大臣銀行協会連合会の会長橋本さんに、住専問題の解決にこれまで以上の協力を大変強く要請していらっしゃったようですけれども、具体的にどんな解決策のためにどの程度の協力を求めようとされていらっしゃるのか、その点についてお尋ねいたします。
  130. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 新たな負担の仕方でありますとか、どの規模のものでありますとかいうような話を具体的にする段階までまだ来ていないんです。住専処理機構の設立に関しての合意がまず基本にあるわけですが、予算もようやく皆さんの御協力で成立間近にあると思っておりますが、住専処理機構に関する法律はまだ国会で審議も始まっていないという状況でございます。そういう中で、銀行協会の側と具体的な話をするという段階まで来ていないと。ただ私は、銀行側の、特に母体行の住専問題にかかわる責任は非常に重い、そのことを理解した上で、銀行側としてさらに負担を行うことによって住専問題の処理に寄与することを考えてもらいたいということを再三にわたって要請をしていると。まだ具体的な問題を話し合うテーブルに着くというようなところまで来ていないというのが現状でございます。
  131. 山口哲夫

    山口哲夫君 五月二日の参議院の予算委員会で、今申し上げた橋本さんが、これ以上の負担は極めて難しいというふうに述べておられるんですけれども、どうしても銀行、母体行側が負担できないんだというような場合には政府としてはどうされますか。
  132. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 昨年の十二月十九日に政府といたしましては閣議決定をいたしまして、金融機関の側に協力を要請したわけでございますが、その後もその具体化についてたびたび意見の交換をし、銀行側の考え方も私ども承知しておる  つもりでございますけれども金融機関の側といたしましては、母体行あるいは一般行としての立場で今回の問題について非常に重大な責任を感じているということは認めつつ、そのような認識の上に立って債権の全額放棄、あるいは一兆円の基金への拠出、さらには低利融資等、最大限の寄与をし負担をするという考え方でこの政府要請にこたえていきたいと、こういう考え方を示しておられるわけでございます。  したがいまして、現段階におきまして、私どもとしては先ほど大臣からお話がございましたようなことで、さらなる寄与を考えられないかということを問いかけている段階ではございますが、銀行側の考え方として、今まで最大限の努力をしてきたというお考えを守っておられるという状況にあるわけでございます。
  133. 山口哲夫

    山口哲夫君 といたしますと、三つの協力をするというわけですね。債権放棄はしましょう、低利融資もいたしましょう、それから一兆円の出資もいたしましょう、それだけは何とか銀行側としても御協力はしましょうということで、その上でさらに何らかの協力をしてもらいたいという強い大臣からの要請をされたと。そうすると、その後の五月二日の予算委員会でのお答えというんですか発言というものは、そういう政府要請に対してはこれ以上無理だという回答として受けとめていいんですか。
  134. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今、関係者のお立場としては、政府要請し、国会でも御審議をいただいておりますスキームについて協力するという姿勢で臨んでいただいているわけでございまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、まず私どもとしてはその政府の提案を何とか一日も早く実現をさせていただく、そういう上で何か新しい知恵がないのかという問いかけをしているわけでございます。
  135. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、政府の方で示した住専処理スキームの一というのがありますね。今三つの問題が局長の方からお話がありましたけれども、それは受けたんですか、受けてないんですか。
  136. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 政府が提案をしている今のスキームについては、関係金融機関としては基本的に了解をしていただいておるところでございまして、その具体化、実現について一緒になって検討しておると、こういうことでございます。
  137. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、政府の方で示したスキームについては一応関係機関としては受けとめると、そこまでは確認できているわけですね。しかし、その後にさらに何とか協力をしなさいということについてはまだ回答はいただいていないと、だめだという回答ではないというふうに受けとめていいんですね。
  138. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 金融界の方々のお考えとしては、もともとこの住専の処理については、融資額の比率に応じて負担をすべきであるとか、あるいは最大限いわゆる修正プロラタ方式という方式での負担が限度であるとか、いろいろなお考えがあったわけでございます。しかしながら、昨年十二月十九日に政府としてそれをさらに上回るような協力をお願いをし、要請をし、そのことについて金融界としては今までなかなか難しいという御判断であったのを、政府としてそういう提案があるんであれば自分たちとしても協力をして、基本的に合意をしていただいているわけでございます。  それをさらに踏み越えるような御判断が今、金融界にあるかということにつきましては、先般証人喚問等でお考えを明らかにしておられるところでございますが、今の段階でそういうことに関する知恵は出てこないということを言っておられると私ども理解をいたしております。
  139. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは大臣にお尋ねいたしますけれども、今の局長の御答弁では、政府の十二月十九日の要請に対しては一応は受ける考えはあるけれども、それ以上のことについては五月二日の証人の発言の中では無理だということについて、それをさらに踏み越えて、それでも協力をしてもらいたいという要請をしていると、しかもこれからもそれは続けるというふうに考えてよろしいんですね。
  140. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、山口さんが言われたことは私もそう思っておりますが、国会で党派を超えて皆さんがそれを御主張になったんです。そのことを私は国会の意思として銀行協会側にもお伝えいたしました。また、私も大蔵大臣としてぜひ御協力を願いたいということを申し上げたのであります。ただ、橋本さんも、国会に証人として御出席になって、今どんな協力をするのかということを尋ねられれば、大変難しいとお答えになる以外になかっただろうなと私は思っております。  私とその前に、四月の二十三日にお目にかかりましたときにはこう言われております。  大臣のおっしゃる趣旨はよくわかっております。前、お話ししたとき名案が浮かばないと申し上げました。確かに体力はありますが、株式会社としての法的な制約があって、正直言って今の段階では名案がない。ただ、大臣から再度こうやってお話を伺ったし、これまでの経緯についても新会長によく引き継ぎたいと思っております。  このように言われております。  私は、何よりも今、合意しているものをきちっと決めた上で、このことについて母体行を中心とする銀行協会の側と具体的な話を詰めていかなければならないと考えております。
  141. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ詰めていただきたいと思うんですけれども、ちょっと気になるのは、与党の幹部の方が、母体行には負担能力はあるが負担を求める理屈がないと言っているんですね。それは今お話があったように、前の橋本さんも大臣の要請に対して、体力はあるけれどもなかなかいい方法が見当たらない、そんなような答えを言っておられる。しかし、確かに大臣も空前の利益を上げているじゃないかというようなことで強く迫っていらっしゃる。  そういうことから考えると、体力はあるけれども理屈がないで済むものだろうかと。それは何らかのやっぱり突破口を見つけていかなければいけないんでないだろうかなと思うんですね。そういうようなお考えに立ってこれからも御努力されるのか、あるいは与党の幹部の方が言っているように、体力はあるけれども負担を求める理屈がないでおさまるのだろうかというふうに思うんですけれども、その辺のこれから橋本さんに接触される御決意をもう一度お聞きしたいと思います。
  142. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 銀行協会側との話で、あなた方は体力があるから出せと、こういう話にはならないと思うんです。あなた方は住専問題に関して非常に大きな責任を負うているのではないか、その責任にこたえるために可能な限りのことを協力してもらいたい、そのための体力はあるのではないか、こういうことでございませんと銀行協会側との協議をスムーズに進めることは難しいなと思っております。  しかし、今私が申し上げましたような立場で、それから法的に損害賠償請求に当たるようなものについては、これは別途住専処理機構ができましたならば、その機構と預金保険機構との協力によって、これらの問題も細かく検討をしながら、必要なものに対しては請求を行っていかなければならぬ、こう思っております。
  143. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の論議の中で出たことで、最初一つ具体的に合意しているものをまず決めてという大臣の答弁がありましたけれども、その第一次スキームの三・五兆円、第二次スキームでの一兆円の拠出金、これは各銀行ごとにもう全部手続が終わって負担額まで決まっていますか。
  144. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 三兆五千億の負担、あるいは一兆円の基金への拠出、さらに二兆二千億ばかりの低利融資、この配分につきましては、最終的には、各住専の処理計画が決まりました段階で各母体行あるいは関係金融機関がそれぞれ所要の手続、例えば取締役会の決定等を経て決めるものでございます。  しかし、その基本的な考え方、基本的な枠組みについては既に私ども関係者は了解をしていると、このように理解をしておるところでございます。
  145. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、今決まっていたとしてもこれにとどまるものではないということで、きょうは住専の問題で主として大臣の見解をお伺いしたいと思うんですけれども、三・五兆円の負担にとどまるものではないという点では、これはもう既に各党超えての一致があるものだと思っております。大臣もしばしばそのことはおっしゃっているわけです。  そこで、私はもう少し先までお伺いしたいと思いますけれども、第二次スキームでの一兆円の拠出を含めたロス負担ですね、ここでも国庫からの支出が予定されているわけで、六千八百五十億円は国民の負担にならないようにということをおっしゃっているわけですけれども、第二次スキームでのこの国庫からの支出財政措置というものについても同じ考えか、それは第一次スキームに限定してのお考えなのか、大臣どのようにお考えになっていますか。
  146. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) いわゆる第二次ロスについての国庫負担についてのお尋ねと理解をいたしましたが、ちょっと考え方を整理させていただきたいと存じますけれども、いわゆる第一次損失につきまして関係者の間で最大限の努力を要請したわけでございます。そして、そのようなぎりぎりの努力で、それでもどうしても埋めることのできない損失については国がいわばその部分を負担せざるを得ないという考え方で六千八百億円の財政措置をお願いしていると、こういうことでございます。  しからば、それを上回るような損失が、これは出ないように最大限の努力をするわけでございますが、万が一出た場合にどういう処理をするかと、こういう考え方になるわけでございます。そこで、その部分についていわゆる一次ロスの処理と同じように国が負担をするということでは、すなわち全額負担をするということでは、それはやはりこの問題の処理になじまないのではないか、その部分については金融システムの安定のために関係者が協力し合って処理をするように努力をしていこうではないかという考え方のもとに関係者で議論をしました結果、国と民間金融機関とが折半で負担をしていこうと、こういうことになっているわけでございます。
  147. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その先を聞いているんだよ。大臣、そこまでは答弁は私は求める対象ではなかったんですが、その答えで出ているものについても、これまでの国会論議で、国民への負担ということが六千八百五十億円をめぐってはあれだけ論議になったわけですから、第二次ロスが万が一出た場合にも、国民の負担にならないように母体行く一層の負担を求めようということも念頭にあるのかないのかということが私の質問の趣旨です。
  148. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 損失を負担し合うための財政支出としての六千八百五十億や、二次ロスが不幸にして発生した場合の負担、そういうものと直結させるという形で母体行の負担を考えると非常に難しくなるのであります。  そうではなくて、母体行である金融機関が住専問題の処理のためにいろいろな方法を考えて可能な限りの新たな負担をやってもらう、そのことが結果的に国民負担を軽くするということになるということを私どもは申し上げ、そのための努力をしているのでございます。
  149. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どうもよくわからないんですけれども、それはおきましょう。  大臣、最近の論議で、母体行くの追加負担に関連して、母体行の負担という用語と、それから母体行の寄与という言葉を使い分けて答弁なさっていると私は注目して聞いていますが、これはどういうふうに使い分けなさっていますか。
  150. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 母体行の追加負担による新たなる寄与、こういうことで申し上げているつもりでございます。
  151. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、特別、追加負担部分は区別してということではなさそうですから、それはそれでおきましょう。  そこで、この間の証人喚問等を聞きながら私の感じたのは、住専処理の責任の主体は一体どこにあるのかという問題なんです。銀行の証人あるいは参考人としての発言を聞いていると、何か政府が提案していることに協力しましょうみたいな調子で、国が、政府が住専処理の主体であって、それでそれに母体行が協力するという考えでいるのかどうなのか、銀行側の姿勢は私は逆さまだと思うんです。  私は、この処理の責任は、これまで論議されてきたように、やはり住専をつくっていろいろやってきた母体行が本来その処理の主体になるべき責任を負っていると思うんです。そこら辺については大蔵大臣どのようにお考えでしょうか。
  152. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) これはかねてから私どもも、この住専問題というのはあくまでも当事者間で処理すべき問題である、それが原則であるということは申し上げているわけでございます。そしてその場合の当事者というのは、母体行もございますし、一般行もございますし、系統金融機関もございます。それぞれの立場で関係当事者が解決に努力すべき問題だという原点に立って政府も提案をしているわけでございます。  しかしながら、そのような関係当事者間の努力の限界がどこかということについて関係者間にかなりの意見の違いがあった、そこの調整をするために政府としても協力をし関与をした、こういうことでございます。
  153. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は今の答弁にやはり問題があると思うんです。広い意味でいえば、母体行だけじゃなくて一般行にも系統にも、それは何らかの責任がないとは言えないかもしれませんけれども、母体行の責任とほかとは区別すべきだと思いますよ。大臣のこれまでの一貫した答弁は、僕はそこは区別して答弁してこられたと思いますよ。大臣いかがですか。
  154. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私も、母体行、一般行、系統金融機関それぞれ当事者ではあるけれども、その関与の度合い、責任の度合いに違いがあるということも承知をいたしておるつもりでございます。
  155. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いつ大臣になられたかわかりませんけれども、これはそれでいきましょう。  その次に、これまた論戦を聞きながら、論戦というよりこの間の証人喚問でも感じたことですけれども、母体行に責任を求めることが法的に根拠があるとかないとか、その関係のものですね。  論戦の言葉の中で法的処理、法的処理ということが出ると、母体行の責任で処理しようというのは非法律的な、何か法律に基づかない勝手なことをやっているような響きもするわけで、私は、法的処理という言葉は特殊な言葉で使われていて、破産法とか会社更生法とか、こういう法律によるかよらないかの区別であって、何か不法な、勝手な処理を母体行の責任でやろうとしているという意味ではないと思います。  それからまた、三・五兆円以上の負担については法的根拠がないということも論議され、この間の証人喚問でも、銀行からの意見であって、これは論議していると、結局、会社の顧問弁護士の意見だというふうにこの間、橋本さんはおっしゃったんですけれども、そういう意味であって、母体行の責任で処理するということは、何か法律に触れるような、法律と無関係な勝手なことだということではないと思うんです。  用語がいろいろひとり歩きするとそういう印象も与えますので、今我々が国会でやろうとしている母体行の責任を一層強く求めるということ、これは大臣も同調しておられる。これは決して法律外の勝手ないいかげんなことをやろうとしているものではないというふうにお考えになっていると思いますけれども、その種の論議が与える印象に関連して大臣の答弁を求めます。
  156. 久保亘

    国務大臣久保亘君) これまで国会の論議の中で法的処理という言葉を使いました場合には、これは民事の問題として破産とか会社更生とか、そういう法律によって処理するということを法的処理という立場で論議されていたと思っております。  それから、今政府が提案をいたしております合意に基づく住専問題処理策の中で決まっております、合意しております以上の負担を母体行に担わせることについて法的に強制する手段がなかなか見出しがたい、このことについては大体国会の中でも皆さん方のまた共通の認識になっていると思っております。ただ、法律上追及せられるべき責任、つまり賠償請求権に属するようなものについては、法律上これはその責任が問われなければならないということを申し上げてまいりました。  したがいまして、何か母体行がこの処理の任に当たるというような立場での議論はなかったのではないでしょうか。
  157. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 与える印象が、法的処理とそうでないものは、法律によらない、いいかげんな根拠のないものだという印象を与えかねないから、私はそれはそうではないんだというふうに思っていますし、大臣のこれまでの主張からいってもそういうことだろうと思って、その点だけ確かめておきたかったんですけれども、それでいいですね。——どうして答えにくいのか僕はよくわからないんです。法的処理と法的でないというのが、今、大臣は民事上の問題ということですけれども一般の人には、新聞の見出しなんかで公正な法的処理でというふうな見出しが盛んに出ると、何か法的処理でないのは公平でない、公正でないような印象を僕は与えていると思うんです。  だから、それは破産法とか会社更生法に基づくものだけが公正で、そうでないものは公正でないということにはならないと思うんですけれども、そういう意味のことを私はお伺いしている。
  158. 久保亘

    国務大臣久保亘君) むしろ、この住専問題の経緯にかんがみてこの問題を公正に処理していくという立場からいいますと、単に法的処理というだけでは、その公正さは保たれないのではないかということを私ども審議の中で申し上げてきたつもりでございます。  例えば、破産処理ということになりまして、債権に応じてということで損失負担が処理されました場合には、母体行は、今私どもが合意をいたして進めようとしております方法に比べますとはるかに軽い負担で済むという理屈が成り立ってくるわけでありますから、そういう意味では、何が公正かというのは、実際にやられる手段に基づく責任のとり方によって決まってくるものと考えております。
  159. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その点ははっきりしたと思います。  それから、時間があと数分しかないんですが、私はこれまでの論議を通じてもう一つ大蔵省に聞きたいことがある。  住専問題をめぐっての大蔵省の責任ということは、論戦の中で個々には問題にはなっていますけれども、これはかつて大臣がそういう点も含めて全部きちっとしなくちゃならないということを論戦の始まった時期におっしゃったと思いますけれども、しかし、我々はこれまでの論戦で、この住専の設立から、あるいは大問題になった総量規制の時期、それから第一次、第二次再建計画、あるいは立入検査をどう判断して指導に生かしたか、それが正しい認識があったのかなかったのか等々、たくさんの問題に関連しての論議はありましたけれども、それ全部をひっくるめて、私は、大蔵省がこの問題についてのとるべき責任というものは必ずしも明確になっていないと思うんですね。  それどころではないとおっしゃるかもしれないけれども、だが同時にそれを明らかにしなければ、母体行なども、何だおまえら偉そうなことばかり言ってという気分も残るんじゃないかということをこの間の経緯を見ると考えるわけですね。  例えば再建計画なんかについても、先ほど銀行局長が答弁されたと同じ言葉、当事者間の問題だと。それで、再建計画も当事者が決めたので大蔵省はタッチしていないようなニュアンスの答弁があったこともありますけれども、今日の段階になれば、もう行政が介入しなかったなどとは言えない。第一次再建計画から第二次再建計画の経過だって、大蔵省は覚書をつくり、それから系統に対して明確な回答も与えている。その回答の中には、本来当事者がやるべきものだが、あえて行政も介入するという中身を含めた回答もしているわけで、大蔵省がこの問題に非常に深くかかわってきた。  そこら辺を今後に生かすための総括作業というふうなものはやられているのか。もしやられていれば、その中心はどういう点なのかということをちょっとお伺いしておきたいです。
  160. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) ただいま御指摘もございましたが、この住専問題をめぐりましては過去の長い経緯もございます。そういう中におきまして、私どもが行政として果たすべき役割と、そのときそのときに懸命になって考えまして対処いたしましたことは幾つもございます。それがそのときそのときには最もよい方策だと考えられたことが、後に必ずしもそのような結果になっていないということもございます。その点については今まで国会の場でも御説明を申し上げてきたとおりと考えております。  また、今回の住専問題の処理につきましてこのような御提案を申し上げております私どもの気持ちといたしましては、そのような長い経緯のある問題を行政の衝に当たります者としても責任を感ずるからこそ、一日も早くぜひ解決をする道を探らせていただきたいということでお願いをしているわけでございまして、そのような観点から、今まで資料の提出等につきましても私どもとしては最大限の誠意を持って対処してまいったつもりでございます。  なお、今後とも、そのような観点から行政のあり方につきまして私どもとしても真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
  161. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上をもちまして、委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————