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1996-04-09 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月九日(火曜日)    午後四時開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     志苫  裕君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵政務次官   山崎 正昭君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        宝賀 寿男君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○塩事業法案内閣提出)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十八日、伊藤基隆君が委員を辞任され、その補欠として志苫裕君が選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 塩事業法案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。久保大蔵大臣
  4. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま議題となりました塩事業法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  塩専売制度は、明治三十八年に制度が設けられて以来、塩の需給及び価格の安定に寄与してまいりましたが、時代変遷環境変化等背景として、その見直しの必要性指摘されてきたところであります。  このような状況のもとで、塩事業関係者等の意見を踏まえつつ昨年十一月に提出されたたばこ事業等審議会答申に沿い、今般、塩専売制度を廃止するとともに、良質な塩の安定的な供給の確保と我が国塩産業の健全な発展を図るため、ここに本法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、大蔵大臣は、毎年度、塩需給見通しを策定し、これを公表することとしております。  第二に、塩の製造輸入販売及び卸売に関して、現在は指定等とされているのを改め、登録または届け出によることとしております。  第三に、大蔵大臣は、公益法人一つ塩事業センターとして指定し、これに、生活用の塩の供給や塩の備蓄、緊急時の供給等の業務を行わせることとしております。  第四に、塩産業自立化達成観点から、経過期間終了時点まで、所要措置を講ずることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ただいま大蔵大臣から塩事業法案提案理由を御説明いただきました。内容については一、二、三、四と書いてあるんですけれども、なぜ塩専売法事業法に変わるのかということについては、時代変遷環境変化背景としてというぐあいにしか御説明がございません。  私は、明治三十八年以来約九十年間にわたって塩の専売によりまして塩の安定供給がなされてきたと思います。塩は、米とともに国民生活の糧として非常に重要なものであり、それの安定供給のために専売事業が尽くしてきた、またやってきた功績を大きく評価をしている者でございますけれども、今この期に、専売というのはぐあいが悪いんだと、より自由な競争のもとに、自由な業態に流通過程を変えていかなきゃならぬというようなことだと思いますけれども、ただいま背景としてというぐあいに仰せになりましたけれども、より詳しく御説明を願えれば幸いだと思います。
  7. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいまの御質問をお聞きしながら、私、塩田のございます町に生まれた者として、この法案提案をいたしますことは非常に感慨がございます。  塩専売制度が塩の安定供給に寄与してまいりましたことは、今、楢崎委員指摘のとおりでございます。しかしながら、塩専売制度は、塩の製造輸入流通を包括的に管理するシステムであることから、規制が強く、市場原理が働く余地が少ないために、塩産業構造改善、ひいては産業発展を阻害する要因ともなっているとの指摘もなされてきたところでございます。  このため、市場原理に基づき構造改善を進めることにより、国内塩産業の一層の発展に資するとともに、多様な消費者ニーズに適切に対応することが可能となるよう、良質需要に応じた塩の安定供給を確保するための所要措置を講じて、塩専売制度を廃止することとしたものでございます。
  8. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、市場原理というぐあいに仰せになりました。専売制度というのは、流通過程としては非常に古い制度であるというぐあいに思いますけれども、同時に、専売によりまして安定的に供給されたというような大きなメリットもあるわけでございます。  今、規制というお言葉が出ました。今、熱病のようにみんな規制緩和規制緩和と言っていますけれども、規制緩和をし市場原理にゆだねるということは、同時に、自由競争によってその商品の品質がよくなり、かつ市場が大きくなる、要するに需要が大きくなっていってパイが大きくなって、そして国民生活全体にいい影響を与えるということがメリットだろうというぐあいに思うんですけれども、塩はちょっと事情が違って、余り塩をなめちゃうとぐあいが悪いんですね、健康上。大体国民一人当たり一日平均今十三グラム摂取をしているというぐあいに言われていますが、厚生省の発表によっても、人間の生活維持に十グラム程度が適当であろうというぐあいに報告をされております。需要を拡大してその業界を盛んにしようというようなことを考えていいのか悪いのかよくわかりませんけれども、決してそういう市場でない、物品ではないだろうと。したがって米塩というぐあいに言われているんです。  お米の場合には品質を改良するというようなことがありますけれども、塩の場合は、特殊用塩と称していろんな塩が出ていますけれども、基本的にはナトリウムということで、物としては若干違うと思います。一応質問の初めでございますので、これに対するメリットデメリット、特にメリットは今大臣仰せになりましたけれども、デメリットもあると思いますし、そういうことについて大蔵省のお考えはいかがでしょうか。
  9. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 今回の規制緩和の大きなメリットとして、消費者に多様な形で塩を供給できるということがメリットと考えていますし、デメリット的なものについてむしろ注意していかなきゃならないのは、安定供給をいかに確保していくかということでございます。それとともに、国内塩産業自立を目指した経過措置をとることによって、デメリットを排除して、適切な形で制度移行ができるものというふうに考えております。
  10. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そのメリットデメリットについてはこれから詳細に議論をしていきたいというぐあいに思いますけれども、諸外国においても実は専売制度というのは残っているんだと思います。それについてはいかがですか。
  11. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 諸外国事情について申し上げますと、欧米諸国におきましては、イタリアオーストリア専売制度をまだとっております。ただし、全部にわたっての専売制度ではなくて、オーストリアでは流通段階専売から除かれておりますし、またイタリアにおきましても、これまで流通について専売制を廃止するという形で、現在は生産独占という形での専売制度が残っているという形でございまして、このように規制緩和が行われているというふうに承知しておりますので、このような各国における状況も踏まえながら、安定供給のための所要措置を講じて専売制度を廃止したいと考えております。
  12. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今お答えになりましたけれども、流通のところはいずれにしても自由化ということが行われていると思います。先ほど大臣、塩の産地に育てられたと、こういうお話でございます。武田信玄が塩を送られたというような話もありますが、いずれにしても、塩というのは生活をする上においての非常に重要な物資であるということは間違いないわけでございます。  したがって、それじゃ我が国における塩の資源はどれだけあるのかねと。諸外国では岩塩と称する天然の資源がございまして、無尽蔵じゃないと思いますけれども、天日によって刻々形成もされているというようなことで、塩の自給率というのは非常に高いと思うんですね。ところが、我が国の塩の自給率というのは極めて低いと思いますが、その点はいかがですか。
  13. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 我が国における塩の自給率は約一五%というふうに考えておりますが、それは全体の需要量九百万トンに対して約百四十万トンの生産が行われているにすぎないということで、特に岩塩等欧米に多い塩につきましては我が国は全くと言っていいくらい資源がなくて、専ら海水による塩をつくっているという事情にございます。
  14. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 たばこ事業等審議会塩部会ですか、そこの答申によっても、我が国塩事業自立化ということが本当は条件なんで、そこに至るまでの間にいろいろな問題があるよということが指摘をされているわけです。  今お伺いすると、日本の国の塩自給率は一五%にすぎないと。となれば、塩の自立化といっても、結局は輸入する塩と我が国生産される塩、我が国生産されるのは昔は入浜式、あるいは天日、そしてその次に枝条架が来、その次にイオン交換樹脂膜が来て今日に至っているわけですけれども、我が国自給率というのは非常に低いわけですね。それが自由化ということになると、輸入の塩と我が国の塩とが競争ができるのかねというのが基本的に問題だと思います。  さきに大蔵省指摘されましたけれども、ほかの各国専売制度がしかれていない国が多いわけですね。しかし、イタリアであるとかあるいはオーストリアの国々は、製造については専売制、要するに製品の大もとについては専売制をとっている。結局その自給率がどうかねという問題にかかってくるわけでございます。  そういう意味では、我が国自給率が非常に低い中、塩事業自立化ということで今、塩事業法が御提案はあるわけですけれども、輸入する塩は天日だとかあるいは岩塩だとか非常に資原としては安いものだというように思いますけれども、我が国イオン交換樹脂膜を使った塩に対しては相当コストが低いと思いますが、いかがでしょうか。
  15. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 国内塩輸入される海外塩との格差ということでございますが、国内の塩につきましてはこれまでもコスト低減のための合理化をどんどん進めてまいりまして、輸入塩との格差の縮小というところに努めてきておりますが、まだ若干のコスト差はございます。  御承知のように、海外の塩はエネルギーコストの安い形でつくられた天日塩ないしは岩塩ということでございますので、そことのコスト差というのはまだございますが、海外の塩を持ってきましてこれを国内で利用するとなりますと、一般に粗い、しかも若干の不純物を混合している塩であるということが多いものですから、そういった感じでいろいろ諸経費がかかりまして、そうしたいわば商品的な輸入塩とのコスト差を見ますと、現在はトン当たり約千五百円程度まで縮小してきているというふうに承知しております。
  16. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 千五百円の格差というのはトン当たりですよね。それで絶対額はおっしゃっていませんけれども、いろいろ計算の仕方はあるんだと思いますが、絶対額でどれぐらいの差があるかということが一つでございます。  それから、塩を輸入した場合には、最近輸入が相当大きくなっておりますが、実は為替レートとの問題がございますね。例えば為替の円が高くなっていけばそれだけ格差が広がっていく、安くなればそれだけ格差が少なくなっていくという関係にあると思いますが、そういう点はいかがでございますか。
  17. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在の試算でございますと、国内塩トン当たり一万四千八百円程度輸入塩トン当たり一万三千二百円程度ということで、約千五百円程度というふうな格差というふうに承知しております。  為替レート変動によります影響を受ける部分でございますが、現在の試算では、ドルレートが十円変動すれば約四、五百円の動きがあるというふうに試算しております。
  18. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 千五百円ぐらいの格差があると。その格差がある中で自由化を、強制されると言うと言い過ぎだと思いますが、自由化を推進するということになると、歴然と日本塩産業が負けていくということになると思います。  そのために、経過措置ということを大蔵省側ではおとりになっておられ、その間に日本塩製造業輸入品に負けないようにというような期間経過期間としておとりになっており、さまざまな政策をおとりになっておられると思いますが、私自身は、塩のいろんな生産者の方にお伺いをして、実は私も行政の面でイオン交換樹脂膜に関与をしたこともあるんですけれども、イオン交換樹脂膜技術というのは今から三十年ぐらい前に開発をされて、そして徐々に皮膜の改造等々で性能が向上しているんですけれども、やんぬるかな、技術が開発されてから三十年ぐらいたっていますので相当高レベルのところに来ているように思うんですね。なかなかこの千五百円という格差を埋めるのは大変だなというような感じがしておりますが、いかがですか。
  19. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) イオン交換膜技法我が国で開発された塩の技術でございますが、昭和四十年代に開発されまして、四十七年に導入され、その後、二回ほど新しい技術が導入されております。  現在に至りまして、また最新の技術革新の成果を受けまして新しいイオン交換膜技法ができつつあるということでございますので、経過期間中にその技法を取り入れて、さらに一層の効率化合理化を目指した製造ができるように努めてまいりたいというふうに聞いております。
  20. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 いずれにしても、この千五百円の格差が埋められるという事態にならないと完全な自由化は達成できないということであろうと思います。そのような塩の自由化めどが得られるということが塩事業法の本則による流通機構の改定とかそういうことの基本になるというぐあいに思うんですけれども、それはどんな観点から判断をするんでしょうか。今、経過期間が五年ということになっているようでございますけれども、そのようなめどがあるんでしょうか。
  21. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 国内製塩企業は、イオン交換膜技法を取り入れるとともに、さらにさまざまな形で合理化に努めてきておりますし、また元売企業も、再編整備によりまして経営規模の拡大をして合理化を進めてきております。  こうした状況を踏まえてまいりますと、平成十三年度末までの間、所要経過措置及び塩事業センターによる助成措置を講ずることによりまして、この期間内での自立化達成を展望できる段階にあるというふうに考えているところでございます。
  22. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私はさっき為替動向等をお伺いしました。また技術動向もお伺いしました。一応この法律案では五年をめど自立化を達成できる。自立化を達成すればまことに結構なことだというぐあいに思いますけれども、私は、この自立化が達成できるかどうかということはやはり慎重に御判断を願いたい。そうでなければ、先ほど申し上げたように我が国の塩の自給率は一五%であると、しかも国民生活に欠かせないものでありますから、我が国塩産業が壊滅するというような事態にならないようにしっかりした判断をし、自立化めどをどういうぐあいにつけるかということは慎重に御判断を願いたいというぐあいに思っているわけでございます。五年間ということでありますけれども、五年間の間に達成できるかどうか。達成できないとすればさらに検討を行うという御趣旨法律案というぐあいに承っておりますので、これ以上申し上げるつもりはございません。  それからさらに、流通過程においても経過期間をつくっておられますよね。今申し上げたのは製造のところでございます。流通過程についても経過期間を設けておられますが、その趣旨はどういう趣旨でございましょうか。
  23. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) メーカーと同様、流通過程についても経過期間を設けて対応しております。これは、緩やかな形で制度移行をして、消費者に対して物を安定的に供給するという観点と、卸売等関係企業合理化を進めてさらに適切に対応していただけるように、やはり五年間という経過期間を考えているところでございます。
  24. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 塩の流通過程について、従来の専売から急激に自由流通ということに変わっていくわけですから、塩の専売で御苦労願った業者に対してそれなりに温かい心で接していただきたいというぐあいに思っております。  流通過程の一番の基本価格の安定だというぐあいに思います。従来の専売の一番大きなメリットは、僻地であろうとどこであろうと同じ価格で確実に供給されている、こういうメリット専売の大きなメリットであった。しかもそれが低価であった。いろんな流通過程を排除して合理化に努めてこられたというぐあいに思いますが、その点は一体どうなるんでしょうか。
  25. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 流通過程の問題でございますが、塩専売制度の廃止によりまして原則自由の市場構造に転換することになりますが、大蔵大臣塩需給見通しを策定、公表することによりまして間接的に需給の安定、ひいては価格の安定に資するということとともに、塩事業センター遠隔地僻地離島等を含めまして良質の塩を安定供給するということで価格の安定を図ってまいりたいと考えております。
  26. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 塩の需給の安定といっても、その中で一番問題なのは、「生活用塩」と法律で表現されているようですけれども、さっき申し上げた一人一日十三グラムの、少量でございますけれども、健康、生活に必要な塩を安く提供してもらうということを専売はやってきたわけですが、自由流通になった場合に、その生活のための塩というのはどういうぐあいにして我々庶民の手元に届くことになるんでしょうか。
  27. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) お尋ねの生活用塩につきましては、塩事業センターが責任を持って供給するという形で考えております。しかも、その供給当たりましては、先生指摘のように全国一律の標準販売価格とするように留意したいと思っております。  具体的な仕組みにつきましては、現在検討中ではございますが、地域によりまして運送費の実費を勘案したセンターからの売り渡し価格になるように、消費段階全国一律の標準販売価格が可能となるように検討を進めてまいりたいと考えております。
  28. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 塩の総需要量が九百万トン、これはソーダ工業用塩を入れての話ですが、ソーダ用塩以外の流通は大体百八十万トンというぐあいに考えられるのですが、そのうち我々の口に入る生活用塩というのは三十五万トンであるというぐあいに承知をしているわけでございます。  その三十五万トンなんですけれども、実は塩というのは重量物なんですね。我々少量しか消費しないから、これそんなに重いものじゃないなというぐあいに思いますけれども、実は重量物で、我々の手元に来る塩の価格の二割ないし三割は運賃だそうですね。ですから、東京で買う塩のコスト山間僻地で買う塩のコストというものは、その三割があるかないかによって物すごい値段の違いが出てくるというぐあいに言われていると思います。  その運賃の差額を何らかの形で、全国一律に販売をするためには何らかの工夫がなければできない。また、それを一体だれがやるのか、どういうぐあいにしてやるのか。そうでなければ全国一律の価格供給をするということはできないし、そのためには、先ほど申し上げましたけれども、大変今、規制緩和ということがありますけれども、規制をし、いろんな施策をしないとそういうぐあいにはならないと考えるんですけれども、どういうような形態でおやりになるのか、お教え願いたい。
  29. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 生活用塩供給事業塩事業センターの大きな仕事の一つでございまして、具体的には、先生指摘のように運送費というのが大変大きなウエートを占めているということでございますので、地域ごと運送費の実態を判断した上で、それに応じて値段を適切につけてもらいたいというふうに思っております。
  30. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 自由の世界では一物一価、あるいは一物一価でないのかもしれませんけれども、後でまた御質問しますけれども、公益法人として事業センター指定をされると。そういうことになりますと、売り払い価格はそうすると各地域によって違うんですか。
  31. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 運送地を考えますと、各地域によって違った形にならざるを得ないと思います。
  32. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、専売の考え方とほぼ似たり寄ったりなんですね。それはそれで、全国一律にやるべき使命をセンターに授けてあるんですね。授けてあるんだったら、そのセンターがおやりになるのはそのとおりかもしれませんけれども、それ以外の塩は一体どういう価格になるんでしょうか。
  33. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 生活用塩以外の価格でございますが、塩全体の大半を占めます化学工業用の塩につきましては基本的に自由な形になりますので、これは状況に応じてかなり動いていく形が考えられます。  それから、それ以外の約二百万トン弱の食料用も含めた塩でございますが、これにつきましては経過期間余り変動がないように塩事業センター供給できる形になりますので、消費者利用者に大きな影響を与えることのないように留意してまいりたいというふうに思っております。
  34. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、それ以外の塩のことをお伺いしましたけれども、我々現在手にしている生活用塩というのは並塩とか精製塩といったものだろうと思います。あるいは食卓塩、そういうものだと思いますが、実はそれ以外に味塩であるとか、あるいはいそ塩というんですか、粗塩というんでしょうか、そういうものが幾つも出回っているわけですね。そういうものはどうなるんですか。
  35. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 用途や性状が特殊な塩につきまして特殊用塩というふうに言っておりますが、この特殊用塩につきましては、塩の専売制度下におきましても、日本たばこ産業株式会社届け出ることによりまして製造販売が認められております。  現在、食品加工用医薬用、それから家畜用香辛調味料用、これは味塩とかそういうものも含めてでございますが、そういうものも含めまして年間約十五万トン程度流通していると承知しております。  塩事業法案におきましては、届け出によりまして特殊用塩製造業特定販売業を行うことができるというふうにしておりますが、卸売、小売については規制対象外ということでございまして、消費者利便観点からは、今後とも消費者ニーズに対応した多様な塩がさらに供給されていくのではないかというふうに考えております。
  36. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、食料品店に行くとJTの塩しか置いてないところがあり、あべこべを言うと、今は特殊用塩というぐあいに言われましたけれども、特殊用塩しか置いてないところがあるというような状態の流通過程になっていると思いますけれども、消費者の利便のためからいえば、塩を扱うのなら両方一緒に扱うべきである、私はそういうぐあいに思いますが、いかがでしょうか。
  37. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在、専売制度のもとで供給している塩は純度九九%以上の食塩でございますが、これは基本的に全小売店で扱っていただいているというふうに承知しております。  また、特殊な塩につきましては、先と言われました味塩とかゴマ塩とか、そういった形での塩がございますが、これらについては、適宜添加料を追加いたしたり、それからにがりとか水分を多目に調節したりというものが現実に商品として出ているわけですが、現在の取扱店のシェアは半分にもいっていない、状況に応じて各店舗が扱っているというふうに承知しております。  塩事業センターが扱います生活用塩については、今後とも希望する店については一〇〇%供給できるような体制をきっちりとってまいりたいと承知しております。
  38. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大事な点なんですね。  要するに、従来はJTが一元的に塩を管理していて、供給について漏らすところがない、全国津々浦々に至るまで供給を確保する、そして価格が一元化されているというんですか一律というんでしょうか、国民に対して地域による利不便はないという形で供給をしていたわけです。それが今回、塩事業法の制定によって価格変動が見られるというようなことがあってはならないというぐあいに考えているわけであります。  それからもう一つ申し上げますと、今、特殊用塩の話が出ましたけれども、JTが一元的に管理をしている塩の品質は九九%ですか、もう少し精度が高いんですか、よくわかりませんが、非常に純良な塩を国民に提供しているわけですね。これからどうなるんですか。自由だということになると、何かまがいものが出てきたり、有害な物質はもちろん入っていてはいかぬわけですけれども、そういう事案が起こってくるというぐあいに思いますね。  それに対してどういうぐあいな手を打つということを考えておられるんですか。
  39. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業法案におきましては、塩が国民生活に不可欠な代替性のない物質であるという特性にかんがみまして、粗悪品の製造流通を防止するため、塩製造業者等の登録制や大蔵大臣の業務改善命令等所要措置を規定しておりまして、これらの制度を適切に運用することによりまして品質のよくない塩の流通を防止してまいりたいと考えております。
  40. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 適当に運用しましてとおっしゃるけれども、だれがどういうぐあいにして検査をするんですか。
  41. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 大蔵大臣の業務改善命令の基礎に、各塩を扱っている会社に対して必要に応じて適切なサンプル等を出していただけるという形の規定をしておりまして、そういったものや塩の需給見通し等におきます報告の徴求等、幾つかの手段を通じまして適切な塩の管理というのをやってまいりたいと思いますし、その際に大臣が行います塩需給見通しというのも大きな役割を果たすというふうに考えております。
  42. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 塩の自由化をするに当たっては、価格の面と品質の面ということをきちんと管理しなければならないということが一つ大きな柱でしょう。  それからさらに、先ほど申し上げましたように日本国内における自給率一五%、一五%で足りるかどうか知りませんけれども、イオン交換樹脂膜という非常にデリケートな製造工程を経て塩をつくっているわけですから、少なくとも我々の食料用に、口の中に入る分だけは自給をしておかなきゃいかぬということが考えられると思います。  その中の少なくとも生活用塩需要、それからしょうゆ、みそ等を通じて我々の口に入る需要、そういうものはやっぱり国内で、戦時を想定するというようなことはなかなかできないと思いますけれども、そういう意味からいっても、我が国の中で自給をしていかなきゃいかぬという要請は審議会の答申の中でも明らかに付されているわけでございます。  したがって、食料用に相当するだけの塩の量の生産国内生産によって確保すべきではないかという考え方だと思いますが、その点はどうでしょうか。
  43. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 委員の御指摘のとおり、たばこ事業等審議会答申におきましても、「これまでと同様、経済合理性の下で食料用需要量程度の塩を国内生産により確保し、良質の塩を安定的に供給していく必要がある。」というふうにされておりますし、その答申趣旨に沿うように今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
  44. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 確かに、この法律案の基礎になった塩事業専門部会の答申において、国内生産によって食料用程度の量は確保すべきだ、しかもその上に「経済合理性の下で」と書かれているんですね。ということになると、一番冒頭に申し上げましたように、やはり塩の生産業者に対して合理化を要請していき、国内塩輸入塩との価格差を縮小していくということを考えなければならぬ、合理化を考えなきやいかぬ。いや合理化ができるでしょうというぐあいに先ほど大蔵省の方で言われましたけれども、合理化をするにはいろんな手段が必要になってくると思います。  この法律の中では、塩事業合理化のためにセンター助成措置をやるんだというぐあいに書かれているんですが、どんなことをイメージされているんですか。
  45. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 経過期間の中におきましては、塩事業センター塩産業合理化推進、転廃業助成といった支援業務を行うというふうに規定されておりますが、具体的な措置としましては、メーカーにつきましては、先ほど申し上げましたイオン交換膜の新しい技術の導入等を含めましてシステム的な合理化というのを進めてまいりたいと思っておりますし、卸売等流通段階におきましては、流通拠点の整備といったものに対しての援助をしてまいりたいと考えております。
  46. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そのような合理化助成の措置センターにおいてなされると法律にも書いてあるんですけれども、それはそれで結構ですが、それにはやっぱりお金もかかる、時間もかかるわけですね。どういうぐあいになさるんですか。
  47. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業センターの行う合理化推進の措置につきましては、大蔵省が認可します事業方法書によりまして進めてまいりたいと思いますが、具体的な財政的な裏づけといたしましては、現在、塩事業で約九百億円強の基金を持っておりますので、そのうち約三百億円程度をその助成関係の基金という形で利用してまいりたい、そういった具体的なものを踏まえまして支援措置を進めてまいりたいと考えております。
  48. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 これからの措置であると思いますが、その措置経過期間中になさるんですね。
  49. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) こうした支援措置経過期間中のものでございます。
  50. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると、今センターということが出ましたけれども、センターというのはどういう構成で何をなさるのが主たる目的になるんでしょうか。
  51. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業センターにつきましては、法案の第二十二条にその業務を書き込んでおりますが、具体的には、離島・過疎地を含む全国各地への生活用塩供給、それから塩の備蓄、緊急時の塩の供給等の業務を行いますが、それとともに、経過期間内におきましては生活用塩以外の用途への塩の供給も行っていきますし、また同様に経過期間内におきまして、今お話のありました塩産業合理化推進、転廃業助成のための支援業務を行っていくこととしております。
  52. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 法律にそのように書かれておることは法律案を読まさせていただいて承知をしているんですけれども、どうも具体的なイメージがなかなかわかない。というのは、現在たばこ産業の塩専売事業本部においてそのような仕事をしておられるというぐあいに思うんですけれども、それの肩がわりをされるわけですか。
  53. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在、転廃関係ではたばこ産業株式会社の塩専売事業本部で関与しているものもございますが、合理化推進については、特に今回の措置で積極的に前向きに進めていくということでございます。
  54. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうすると塩事業センターというのは、その塩事業法案の中においても、生活用塩の確保であるとか、あるいは塩の事業の合理化の推進であるとか、非常に重要な職務を負うことになるというぐあいに思います。これは民法三十四条の法人のように法律案では書いてありますけれども、これを特殊法人等にしなかった理由は何ですか。
  55. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在の政府の行革においては特殊法人を極力整理してやっていくということから、特殊法人であります塩専売事業本部を廃止して、新たに民法法人としての公益法人に塩関連の業務をやらせるという形で考えたわけでございます。
  56. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 塩事業センターの任務の一つに、塩の自立化達成のために合理化等々について援助を行うという使命が置かれているわけですが、実はそのほかにも、輸入塩をどういうぐあいに考えているのか。現在においても、百八十万トンの国内塩需要について、全部を国内生産者が賄っているわけではありません。輸入塩を入れているわけです。その輸入塩との関係はどういうぐあいに取り扱っていくんですか。
  57. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 輸入される塩の大半はソーダ工業用の塩に充てられますが、そのほかにも、業務用に使われているのもございます。経過期間中は、塩事業センターがそうした業務用に使われる塩については一元的に輸入をしまして、適切な需給管理をしてまいりたいと考えております。
  58. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 一元的に輸入すると一口で言われましたけれども、一元輸入というのはどういうことですか。要するに、輸入をするのはこの塩センター以外のものはできないという意味ですか。
  59. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 経過期間中についてはそういうことでございます。
  60. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、経過期間中にというぐあいに言われましたけれども、経過期間が終わったらどうなるんですか。
  61. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 経過期間後は、輸入業者は、大蔵大臣の登録を受けることによって輸入を行うことができるというふうに考えております。
  62. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ということは、経過期間中は輸入塩は入ってくるけれども、国内塩を保護すると言うと言い過ぎかもしれませんが、まあそういうことでしょう。国内塩が存続できるように塩センター価格の調整を行う、こういう意味だろうというぐあいに思っています。私は、それをやらなければ国内工業塩の生産業者が成り立っていかない、直ちに経済的に破綻を来してくるというぐあいに考えておりまして、それのための経過措置として輸入塩の管理を一元的にやるというのは、経過期間中やむを得ないことだというぐあいに理解をしているわけです。  しかし同時に、経過期間が終わったら輸入塩は自由に輸入され、そして国内供給をされていくということになるわけですから、一番冒頭に申し上げたように、国内塩自立化のためにどういうぐあいに物事を考えていくのか、どういうぐあいに判断をしていくのかということは極めて重要なことになると思います。  それから、さらに申し上げますけれども、ソーダ工業塩、約七百万トンあるというぐあいに言われていますが、これはどうなるんですか。
  63. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) ソーダ工業塩でございますが、塩事業法案におきましては、経過期間中でありましても大蔵大臣の登録を受けることにより輸入を行うことができるというふうにされております。ただ、このソーダ工業用塩で入ってきたものについて、仮に他用途へ横流れというようなことがありましたら大変問題が大きいということで、法案の附則で他用途への使用をしてはならないというふうに規定しておりますとともに、これに違反したときには罰則を設けております。
  64. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ということは、工業塩は従来は、専売のときにはたばこ産業がこれを検査し、そして塩であるということを確認するとか、あるいは他用途に流用することを監視するとか、そういう仕事をしていたわけですけれども、今回の改正によって、ソーダ工業塩は自由に輸入ができる、ただし他用途に流用することだけは許さない、こういう法制に変わるということですか。
  65. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) ソーダ工業塩につきましては、従来の扱いでも、専売権のもとではありますが、基本的に需給に見合った形で入れてきておりますが、今後は先生が言われたような形の運用を考えております。
  66. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、塩の製造業者の話をしましたが、さらに元売業者、中間に卸売業者がございますね。それはどういう形態になるんですか。  いずれにしても、私の理解するところでは、塩専売法のもとにおいて非常に大きな制約を受けて、例えて言えば、塩以外は扱ってはいかぬよ、元売業者に徹しなさい、利益はそんなに大きくないけれども、専売として保護してあるんだから、細々とではあるけれども生き延びられるんだよ、利益は薄いけれども我慢してやりなさいというぐあいにして、薄い利益で専売のために働いてきたと言うとおかしいですが、働かせていただいていたのかもしれません。そういう業者は、私の理解するところでは、現在の日本の商業主義の中で大変大きくなっているところ、小さくなっているところ、随分あると思いますけれども、塩の元売業者が軒並みどうも零細企業に陥っているんですね。私は専売の功罪の中の罪の一つであるというぐあいに思いますけれども、こういう元売業者をどういうぐあいに考えますか。
  67. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 制度の改革によりまして塩の流通に混乱を生じ、あるいは一般消費者、塩関係業者が多大な変化を受けることのないように経過期間中の措置として幾つか規定しておりますが、その中で塩卸売業者につきましては、経過期間中は、新規参入に際しては経験要件を付加するとともに、塩の製造業者はセンターまたは塩卸売業者を通じて販売するという形で、販売についても必ず塩卸売業者が関与できるような形で措置を考えております。
  68. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 経過期間を設けられたのはそういう趣旨かと思いますけれども、私は、やっぱり塩の自由化が始まってくれば、要するに経過期間が終わってくれば、商社等々、あるいは他の食料品卸等々巨大な資本の業者がいるわけですから、そういうものがずかずかとこの業界の中に入ってくるだろうというぐあいにも考えられます。五年間の経過期間をつけて、その間に体力をつけて、塩の流通としても頑張れよというような経過期間が必要になるというぐあいに思っておりますけれども、元売業者に対してはどういう助成を行うつもりでいるんですか。
  69. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩の卸売業者に対しての経過期間中の助成措置でございますが、具体的には事務システムの合理化、物流拠点等の充実といった形の助成を考えております。現実に塩の卸売業界におきましては、制度改革を見越した形で具体的な業務提携あるいは合併等の動きが出てきておりまして、規模の拡大等を通じてこういった情勢に対応できるように体質強化というものについて動き出しておりますので、そういった合理化効率化に対して塩事業センターを通じて援助してまいりたいと考えております。
  70. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 援助というと聞こえはいいんですけれども、実は経過期間中においても少しずつやっぱり廃業が出てくると思うんですね。塩の業者は、先ほど申し上げましたように塩自身が非常に安い物品でございますから、大量に物を扱っていても極めて利が薄いというようなことがございまして、私も廃業等のことを耳にしておりますけれども、廃業等を行うということについてはどういうぐあいにお考えですか。
  71. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 合理化の過程におきまして、今後の事業の見通しというのを各事業者が立てていく中で統廃合というのが起こり得るというふうに考えておりますが、経過措置の中には転廃業に対する助成というのも考えて、状況に応じて事業者が適切な道を選択できるように対応を考えております。
  72. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 元売のところも頑張ってもらわなきゃいかぬわけですが、塩そのものが安い品物ではあるんですけれども、先ほど専売メリットとして申し上げたように、専売の塩販売人として指定されれば、必ず塩の多様な商品を店に備えつけ、利益の薄いもの、あるいは販売の少ないものでも置いておくということを義務づけられ、まじめにやってきた小売業者が多いと思うんですけれども、そういう小売業者に対してどういうように物を考えたらいいんだろうか。  私の存じ上げているところでは、塩の小売店一店舗当たり年間の売上高は三十万円という平均が出ているそうですね。そして、利益率が二割ちょっとですから、六万円相当の利益を上げていると。そういう零細——零細な店でないかもしれません、しかし事業としては極めて零細な事業を今まで非常に専売という名のもとに誇りを持って、お国のためにやっているんだと、まあお国のためだけじゃないでしょうが、国民のためにもやっているんだという誇りを持ってやってきた小売業者に対して、どういうような措置がとられるんですか。
  73. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) この九十年の専売の歴史の中で、小売がしっかりと下支えしてきたという事情については私どもよく承知しております。  専売法を制度改定するわけでございますが、これまで塩専売法によりまして販売人という形で指定、実質的な許可でございますが、指定を受けていた者から販売店契約の締結の申し出がなされたときには、センターとしてこれに対する契約締結義務を負うという形で事業の継続というのを考えておりますし、そういう形で契約したところに対しましては塩事業センターから生活用塩供給を適切に行っていくということでございますし、消費者に対しては、この店は塩を取り扱っていますという形で表示をして消費者に対しての宣伝をするとともに、今まで塩を取り扱ってきたいわばプライドというものを表示する形の措置も考えているところでございます。
  74. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は、小売店が今までずっと一生懸命やってこられて、国民生活の上で塩の供給に果たしてきた功績というのか事績というのか、それを高く評価するものでありますけれども、実はこれからも大蔵省の所管として流通業界を見ていかなきゃいかぬわけですね。その上で、卑俗な言い方になりますけれども、やっぱり社会的に貢献したんだということで勲章であるとか表彰であるとか、いろんなことが従来各業界については行われているわけですが、そのようなことについてはどのようにお考えですか。
  75. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) これまでの塩小売人が果たしてきた役割というのを十分承知しまして、制度改定の際には感謝状というものを考えてまいりたいというふうに思っておりますし、叙勲等につきましては、関係方面にそうした事情を訴えてまいりたいと承知しております。
  76. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 最後に大蔵大臣にお答えを願いたいと思いますけれども、今御質問申し上げたように、塩を専売事業から自由に移すということはいろんな摩擦が伴い、かつ専売のときに一生懸命やってきた人たちをぱっと自由の荒波の中に入れるわけでございます。そういう意味では、大蔵省大蔵大臣の愛情を持ってこの塩の事業に接していただきたい、そうでないとこの移行が円滑に動かないというような感じをしておりますが、最後に大臣の御感想をお願いしたいと思います。
  77. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいままで先生からお話のありましたこと、特に最後に申されましたことは非常に重要なことだと考えております。  塩は、今も御意見ございましたように、国民生活にとって不可欠のものであり、今回この専売制度を廃止するに当たりましても、良質需要にこたえられる塩の安定的な供給ということを進めると同時に、これまでこの専売事業のもとで余り利幅のない塩の小売等に専念をしていただいた方々のお立場が今後も十分に生かされるような配慮、そしてまた、今申されましたようなこれまでの功績といいますか、業績等に対して十分に意を用いるようにしなければならないことだと考えております。
  78. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 質問を終わります。
  79. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————