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政府委員(
久保田勇夫君) お答えを申し上げます。
先ほど委員おっしゃいましたように、昨年の大阪のAPEC総会でいろんなことを決めたわけでございます。せっかくの機会ですから
一つだけ申し上げさせていただきますと、APECと自由貿易地域という二つの概念がございまして、自由貿易地域というのは、域内の国は貿易の自由化をするけれども、域外に対しては必ずしもそういうことを認めさせないということでございます。その自由貿易地域の
一つの典型として
関税同盟というのがございまして、
関税同盟というのは、その自由貿易地域の
一つでありますが、メンバー以外の人に対する政策は同じものをとるということでございます。
いずれにしましても、現在国際的に自由貿易地域なり
関税同盟というのは大変広がっておりまして、具体的には、
ヨーロッパにはEUがございますし、
アメリカにはNAFTAがございます。それから南米にはメルコスールというのができつつありまして、そういう
意味では、これに属していない大きな国というのは
日本ぐらいなものであります。その自由貿易地域というのは、一見非常にいいように聞こえますけれども、その自由化のメリットを域
外国に必ずしも及ぼさないということがあるわけでございます。
しかしながら、これに対しましてAPECはこういう
意味でのいわゆる厳密な自由貿易地域ということになっておりませんで、いわゆる開かれた地域協力の
原則というのはそういうことでございまして、APECの自由化の成果は非メンバーにも享受されるということになっている。そこに大きな特色があるわけでございます。
したがいまして、昨年十一月のAPEC大阪
会議におきましても、
我が国はいろんな形で積極的なリーダーシップをとらせていただきました。幾つかございますが時間もございませんので省略させていただきますが、まず、
関税自身は行動指針の中で非常に重要な項目として取り上げられましたし、さらに
先ほどお話しございました当初の
措置におきまして、幅広い
関税措置を持ち寄り、
我が国も
鉱工業品に係るウルグアイ・ラウンドの
関税引き下げの前倒し等を表明したわけでございます。他方では、APECの中での自由化・円滑化の中で非常に大きなものは税関手続の調和、簡素化でございまして、この分野では
我が国が議長を務めまして、APEC税関手続小
委員会におきまして電算化等のための具体的な計画をつくったところでございます。
法律の方に戻りまして、そういう
意味で、今回の
鉱工業品に係るウルグアイ・ラウンドの前倒しは昨年十一月のAPEC大阪
会議で対外的に約束したものでございまして、
鉱工業品のうち六百九十七品目についてウルグアイ・ラウンドで合意した
段階的
関税引き下げを前倒しして、九八年一月から適用する予定の
関税率を九六年四月から適用するというものでございます。
先ほど委員がおっしゃいましたように、
我が国としましては引き続きこのAPECを開かれた地域として推進するということに
努力をするということでございますし、税関、
関税当局もその線に沿って
努力をいたしたいと考えております。