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塩崎恭久君
自由民主党の
塩崎恭久でございます。
きょうは
大臣にお出ましをいただきまして御質問させていただくわけでございますが、
規制緩和の問題につきまして少し聞かせていただきたいと思います。
銀行局はこのところ大分忙しそうでございますので、きょうは
証券局中心にということでやらせていただきたいと思っているわけでございます。
先般、「
規制緩和推進計画の
見直し・
検討状況」というものの
中間公表というのが出ました。
大変大部なものでございますが、この中で三つほど具体的に取り上げさせていただきまして、
お話を聞かせていただきたいと思うわけでございます。
もう御
案内のように、これは三月末までにもう一回
見直しをしっかりするということになっているわけでございまして、これが一月に出て、三月まで
審議を続けて、これについての答えを三月末までに出すというふうに承っているわけでございますが、この
中間公表の後の話、あるいは今後どうするのか、そういうことも含めて
お話をいただきたいと思うわけでございます。
三つ取り上げておりますのは、この
中間公表の中に「対応」というのがございまして、「
措置済・
措置予定」、「
検討中」、「
措置困難」、「その他」と四種類あります。「その他」は別といたしまして、きょうは三種類を選ばせていただきまして、「
措置予定」のもの、これは
時価発行公募増資の
規制の問題でございます。それから「
検討中」というものでございますが、これは
社債の
流通市場の
整備の問題でございます。そして、「
措置困難」ということで
中間公表で出てまいりました
大型私募債の
ルールの問題でございます。
規制緩和がなぜ必要かなどというようなことはもう今さら言うまでもないわけでございますけれども、改めてこの数年を振り返ってみますと、
日本の
景気が停滞をする中で、数十兆円の
景気対策を打ってきたにもかかわらずゼロ
成長近傍で低迷を続けているということで、やはり
財政のみに頼っていたのでは
日本の
経済政策はだめだという認識はもう
皆さんお持ちであろうかと思うわけでございます。そして、やっぱり
日本経済を再
活性化するために根本から直さなきゃいけないということで、
行革委員会を含め、いろんな場面で
規制緩和に本格的に取り組んでいるわけでございます。
特に、
高齢化が迫りくる中で、活力ある
社会をどうやって維持発展させるのかということで、今ちょうど厚生の
分野では
公的介護保険という話が上がっておりますけれども、活力ある
社会を保ちつついかに福祉を達成していくかという、両方を達成していかなければいけないという大変難しい問題になっているわけでございます。
実は、昨日、
自由民主党の
行政改革推進本部で外部の
顧問の
先生方と、今、総理でございますが、
橋本自由民主党総裁を初め役員との懇談がございました。その中で特に党外の
顧問の
方々が一様に言っていたことは、やはり
漸進主義といいましょうか、
ステップ・バイ・
ステップのアプローチじゃだめだと、やっぱり発想の転換をしなければいけないんだという
お話でございました。
折しも、住専の問題で大変騒がしい昨今でございますけれども、
金融の
行政あるいは
政策につきましても抜本的にやっぱり見直さなきゃいけないということになっております。かつて
金融不祥事があったときには
証券行政も抜本的に見直そうということで、今回のこのまとめの中にも書いてございますけれども、「公正で透明な
証券市場を確立していく」と、
大蔵省みずからがこういうふうに考えを改めたといいましょうか、変えたといいましょうか、ということになっているわけでございます。
ちょうど先般、
与党の
行革プロジェクトでも、今までなれ親しんでまいりました為
銀主義の問題をどう考えるのか、このことについても聖域なく問いかけていこうということで、私
たちも問題を投げかけ、恐らく
外為審でもこれからその
お話をしていただけるんではないか、こう思っているわけでございます。
前置きがちょっと長くなりましたけれども、そんなようなことで、
証券も含めて
金融の産業としての
活性化も必要でございますし、また先ほど申し上げたように、
日本の
経済の再
活性化を図るという
意味でもこの
規制緩和を
証券あるいは
金融の
分野でしっかりとやっていくということが大事なんだろうと思うわけでございます。
ということで、三つ取り上げさせていただくわけでございますが、まず第一の
時価発行公募増資に係る
規制の
撤廃の問題でございます。
ことしの一月に、これは株じゃなくて
社債の方でございますけれども、
適債基準の
撤廃とかいう、こういう
かなり大胆な
措置をとられました。そのときの
発表文というのを見てみますと、「
適債基準及び
財務制限条項の
設定の義務付けを
撤廃し、今後は
当事者の自由な
意思に委ねることを
基本としつつ、」と、これが大変大事なことだろうと思うんです。「
投資家保護の観点から最低限必要な
企業内容等の
開示制度の充実を図るという
考え方に立ち、」ということでございますから、恐らくこの
考え方は株であろうと
社債であろうと
証券全般にわたって同じなんだろうと思うわけでございます。
そういう中で、この
時価発行公募増資をいつまでとめておくのかということでございまして、これは「
措置予定」ということでございますから、
緩和ないしは
撤廃ということでこの
中間公表にも書かれているわけでございます。
ただ、今ちまたではどこまで本当にやるのかということを大変心配している向きもございまして、当初いわゆる五円、十円という
規制がございました。
規制といってもこれは
自主ルールみたいなものでございましたが、一株
当たりの
配当が五円以上と。これは一株
当たりの税引き後
経常利益が十円以上というのが最初あった
自主ルールみたいなものでございました。その後、
昭和六十二年、六十三年、そして
平成元年と異常に
時価発行増資がふえたわけでございます。もちろんエクイティーによる
調達というのが全般的にふえた中でこの
公募増資もふえてきたということでありますけれども、それで
平成二年に
株価が急落をし、この
時価発行増資もとまってしまって、以来、再開ができずに、
平成五年になって
条件をつけてまたスタートをしたということであります。
そのときの
条件が今まで生きているわけでありまして、いわゆる
株主資本利益率、
ROEというのが一〇%以上なければいけない。これは実は、今一般的に言われているのは三%
程度と言われているわけでありますから、とてもではないけれども一〇%
ROEがある
企業というのは余りない。それから、二割
増配を公約できる。二割
増配を必ず次の期もやりますと言えるところもなかなか少ないんだろうと思います。それから、
潜在株式比率一割未満。こういうものがあったり、
原則の話ではありますけれども、こういうものがまだ生きている。
これを今回
検討し、なおかつ「
措置予定」ということになっているわけでございますが、例えばその
ROEを一〇%から六%にするとか、そういう
程度のピースミールアプローチでいくのか。それともやはり、この
適債基準の
撤廃のときに出ておりますように、「今後は
当事者の自由な
意思に委ねることを
基本としつつ、」と、つまり
市場参加者の
意思にゆだねるというような形でもう完全に
撤廃をするということでいくのか。その辺をどう考え、どうやろうとされているのか、その辺をまずお聞かせをいただきたいと思います。