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1996-02-22 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      平田 耕一君     佐藤 泰三君  二月十九日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     志苫  裕君  二月二十一日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     塩崎 恭久君      渡辺 孝男君     水島  裕君  二月二十二日     辞任        補欠選任      水島  裕君     渡辺 孝男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 水島  裕君                 渡辺 孝男君                 清水 澄子君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵政務次官   山崎 正昭君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵大臣官房参        事官        兼内閣審議官   河上 信彦君        大蔵省主計局次        長        伏屋 和彦君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        国税庁課税部長  内野 正昭君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        農林水産省経済        局農業協同組合        課長       米田  実君    参考人        日本銀行理事   山口  泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、平田耕一君が委員辞任され、その補欠として佐藤泰三君が、また、去る十九日、伊藤基隆君が委員辞任され、その補欠として志苫裕君が、また、昨日、渡辺孝男君及び上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として水島裕君及び塩崎恭久君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自由民主党塩崎恭久でございます。  きょうは大臣にお出ましをいただきまして御質問させていただくわけでございますが、規制緩和の問題につきまして少し聞かせていただきたいと思います。銀行局はこのところ大分忙しそうでございますので、きょうは証券局中心にということでやらせていただきたいと思っているわけでございます。  先般、「規制緩和推進計画見直し検討状況」というものの中間公表というのが出ました。大変大部なものでございますが、この中で三つほど具体的に取り上げさせていただきまして、お話を聞かせていただきたいと思うわけでございます。  もう御案内のように、これは三月末までにもう一回見直しをしっかりするということになっているわけでございまして、これが一月に出て、三月まで審議を続けて、これについての答えを三月末までに出すというふうに承っているわけでございますが、この中間公表の後の話、あるいは今後どうするのか、そういうことも含めてお話をいただきたいと思うわけでございます。  三つ取り上げておりますのは、この中間公表の中に「対応」というのがございまして、「措置済措置予定」、「検討中」、「措置困難」、「その他」と四種類あります。「その他」は別といたしまして、きょうは三種類を選ばせていただきまして、「措置予定」のもの、これは時価発行公募増資規制の問題でございます。それから「検討中」というものでございますが、これは社債流通市場整備の問題でございます。そして、「措置困難」ということで中間公表で出てまいりました大型私募債ルールの問題でございます。  規制緩和がなぜ必要かなどというようなことはもう今さら言うまでもないわけでございますけれども、改めてこの数年を振り返ってみますと、日本景気が停滞をする中で、数十兆円の景気対策を打ってきたにもかかわらずゼロ成長近傍で低迷を続けているということで、やはり財政のみに頼っていたのでは日本経済政策はだめだという認識はもう皆さんお持ちであろうかと思うわけでございます。そして、やっぱり日本経済を再活性化するために根本から直さなきゃいけないということで、行革委員会を含め、いろんな場面で規制緩和に本格的に取り組んでいるわけでございます。  特に、高齢化が迫りくる中で、活力ある社会をどうやって維持発展させるのかということで、今ちょうど厚生の分野では公的介護保険という話が上がっておりますけれども、活力ある社会を保ちつついかに福祉を達成していくかという、両方を達成していかなければいけないという大変難しい問題になっているわけでございます。  実は、昨日、自由民主党行政改革推進本部で外部の顧問先生方と、今、総理でございますが、橋本自由民主党総裁を初め役員との懇談がございました。その中で特に党外の顧問方々が一様に言っていたことは、やはり漸進主義といいましょうか、ステップ・バイ・ステップのアプローチじゃだめだと、やっぱり発想の転換をしなければいけないんだというお話でございました。  折しも、住専の問題で大変騒がしい昨今でございますけれども、金融行政あるいは政策につきましても抜本的にやっぱり見直さなきゃいけないということになっております。かつて金融不祥事があったときには証券行政も抜本的に見直そうということで、今回のこのまとめの中にも書いてございますけれども、「公正で透明な証券市場を確立していく」と、大蔵省みずからがこういうふうに考えを改めたといいましょうか、変えたといいましょうか、ということになっているわけでございます。  ちょうど先般、与党行革プロジェクトでも、今までなれ親しんでまいりました為銀主義の問題をどう考えるのか、このことについても聖域なく問いかけていこうということで、私たちも問題を投げかけ、恐らく外為審でもこれからそのお話をしていただけるんではないか、こう思っているわけでございます。  前置きがちょっと長くなりましたけれども、そんなようなことで、証券も含めて金融の産業としての活性化も必要でございますし、また先ほど申し上げたように、日本経済の再活性化を図るという意味でもこの規制緩和証券あるいは金融分野でしっかりとやっていくということが大事なんだろうと思うわけでございます。  ということで、三つ取り上げさせていただくわけでございますが、まず第一の時価発行公募増資に係る規制撤廃の問題でございます。  ことしの一月に、これは株じゃなくて社債の方でございますけれども、適債基準撤廃とかいう、こういうかなり大胆な措置をとられました。そのときの発表文というのを見てみますと、「適債基準及び財務制限条項設定の義務付けを撤廃し、今後は当事者の自由な意思に委ねることを基本としつつ、」と、これが大変大事なことだろうと思うんです。「投資家保護の観点から最低限必要な企業内容等開示制度の充実を図るという考え方に立ち、」ということでございますから、恐らくこの考え方は株であろうと社債であろうと証券全般にわたって同じなんだろうと思うわけでございます。  そういう中で、この時価発行公募増資をいつまでとめておくのかということでございまして、これは「措置予定」ということでございますから、緩和ないしは撤廃ということでこの中間公表にも書かれているわけでございます。  ただ、今ちまたではどこまで本当にやるのかということを大変心配している向きもございまして、当初いわゆる五円、十円という規制がございました。規制といってもこれは自主ルールみたいなものでございましたが、一株当たり配当が五円以上と。これは一株当たりの税引き後経常利益が十円以上というのが最初あった自主ルールみたいなものでございました。その後、昭和六十二年、六十三年、そして平成元年と異常に時価発行増資がふえたわけでございます。もちろんエクイティーによる調達というのが全般的にふえた中でこの公募増資もふえてきたということでありますけれども、それで平成二年に株価が急落をし、この時価発行増資もとまってしまって、以来、再開ができずに、平成五年になって条件をつけてまたスタートをしたということであります。  そのときの条件が今まで生きているわけでありまして、いわゆる株主資本利益率ROEというのが一〇%以上なければいけない。これは実は、今一般的に言われているのは三%程度と言われているわけでありますから、とてもではないけれども一〇%ROEがある企業というのは余りない。それから、二割増配を公約できる。二割増配を必ず次の期もやりますと言えるところもなかなか少ないんだろうと思います。それから、潜在株式比率一割未満。こういうものがあったり、原則の話ではありますけれども、こういうものがまだ生きている。  これを今回検討し、なおかつ「措置予定」ということになっているわけでございますが、例えばそのROEを一〇%から六%にするとか、そういう程度のピースミールアプローチでいくのか。それともやはり、この適債基準撤廃のときに出ておりますように、「今後は当事者の自由な意思に委ねることを基本としつつ、」と、つまり市場参加者意思にゆだねるというような形でもう完全に撤廃をするということでいくのか。その辺をどう考え、どうやろうとされているのか、その辺をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 時価発行公募増資に係りますがイドラインの内容、そういったものが実施されるに至った過去の経緯につきまして、ただいま先生から御指摘になったとおりでございます。  そして、このガイドライン、ただいま数字を挙げて御指摘いただきましたように、基本的な考え方といたしまして、時価発行公募増資等におきましては、株式数の増加がございまして一株当たり利益が減少する、また株価が低下するということで、株主という立場から見ますと株主利益希薄化ということが起こるような取引でございますので、やはり増資に伴って調達資金収益性というものが十分に確保される必要があるだろう。そういう物の考え方に立ちまして、ただいまROE等々お挙げになりました数字、この数字そのものの根拠というのはまた別途議論が要るかもしれませんけれども、物の考え方といたしましては、やはり時価発行なさる方々株主利益というものにも十分配慮している企業であってほしいという願いの込められたガイドラインだろうと思います。  前回のバブルのときに、私は、言葉はきついかもしれませんけれども、発行体方々が無コスト資金とおっしゃってどんどん増資をなさった、株主資金をお願いしておいて、無料の蛇口で水をひねり出すような感じであったということについて、やはり何がしかの経済全体としての反省が入り用ではなかろうかという感じは持っておるわけでございます。  したがいまして、こういった株主利益に配慮するという基本的な考え方市場関係者発行体あるいは仲介者の間で十分浸透するという仕組みができますれば、役所がガイドラインという形でいろんな数値を示してハードルをつくるということが必要でなくなるだろうというふうに考えておりまして、そういう状況が早く来るということを今期待しておるところでございます。  そういった考え方に立ちまして、今後こういった基本的な考え方が十分に浸透しまして、まさに正しい意味資本市場において自己責任原則が働きまして健全なマーケットメカニズムが機能するようにするためには、あとどういうことが必要であるかということをよく考えた上で検討結果を出してもらいたい、こう考えておるところでございます。
  8. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今の御答弁を聞いておりますと、増資をすると供給がふえるから値段が下がる、そうすると株主は不利益をこうむるというふうにおっしゃったかと思うわけでございます。株主利益を守る仕組みが大事だということもおっしゃいましたけれども、その仕組みをつくることと、政府株価株主のために守ってあげるということが果たして政策目標になり得るのかどうかというのは私は大変疑問があるだろうと思うんですね。供給がふえて価格が下がるのは経済学では当たり前な話であって、その供給をふやそうとする会社の意図も、これは市場参加者としてのやることでありますから、株主市場参加者であって、それは当然ある企業増資をして株価が下がるかもわからない。しかし、その企業のトータルの価値というものは、それは変わらないわけでありますから、その分、株数がふえて株価が下がる。ぶっかけたものは同じだということでありますから。  では、一体政府は何を守るのか。株主利益といいますが、株価を守ることが、あるいは株価を維持することが直接的な大蔵省政策目的である時代はもう済んだのではないかなと私は思っているわけでありますし、それがやっぱり根本的な規制緩和考え方。もうここで大蔵省みずからが、当事者の自由な意思にゆだねることを基本としつつというのは、やっぱりそれも含めてやるべきことだろうと思うんです。  ですから、ROEを一〇から六にするとか、そういうような考え方というのは、かつての規制あるいは投資家保護というのは、確かにこれは政治家も何か事件があるたびに大蔵省においでいただいて批判をしてきた、繰り返してきたということもあって、いつの間にか証取法上の投資家保護というのがかなり拡大解釈をされて、やらなければいけないように追い込まれてしまった大蔵省も大変だなとは思いますけれども、しかし、今何度も申し上げているように、株価を維持することが政策目標になり得るということはなかなかいかがなものかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  9. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 私の表現がいささか舌足らずであったと存じます。  私が申し上げたかったのは、株価を維持するということよりも、増資に応ずる投資家にとって、その増資を行う企業体株主利益に十分配慮した例えば配当政策といったものをとっていっている企業であるかどうかという重要な投資判断があるであろう。そして、今のガイドラインはそういうのを、このラインであれば間違いなくクリアしますということを数字的にお示ししておるガイドラインでありますけれども、そのガイドラインがなくなったときに、発行体意図としてやはり増資に伴う株主利益の還元ということについての姿勢というものが制度、慣行として何らかの形で定着する、あるいは株主から判断でき得るものであってほしい、そういった道を今模索させていただいている。  したがって、一〇が六かというような議論よりも、全体として株主がきちんと発行体の実情について把握できる、配当政策等意図が把握できるといったような環境が醸成されるために私ども何か少し汗をかくことがあるかどうか、それを見きわめながらこのガイドラインの取り扱いを検討いたしたい、こんな気持ちでおるところでございます。
  10. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 ということであれば、例えばディスクロージャーのあり方をもっと見直してきっちりやらすようにした上で、ROEなどの制限をなくすというふうに理解したらよろしいんですか。
  11. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) そういったことも含めましてこれから十分に考えたいと思います。  もう一つの要素といたしまして、これは先生指摘いただきましたように、バブルとその崩壊の市場の混迷の中で緊急避難的にとっておるわけでありますから、株式市場全体が既にそういった病気療養期間を終わったという確認も一方では現実問題としては必要かなと思っておりますけれども、それはタイミングの話でございまして、内容的には今御指摘のような点も含めまして検討させていただきたいと思います。
  12. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 景気回復宣言もしているわけでございますし、今申し上げたようなことでひとつ、何だそれだけかとやっぱり思われないような規制緩和をぜひお願いしたいというふうに思います。  次の話題でございますが、大型私募債に行く前に、むしろもうちょっと大きな、「検討中」ということでこの中間公表では処理されておりました社債流通市場整備状況につきましてちょっとお話を伺いたいと思うわけでございます。  具体的には、証券局社債受渡し決済制度研究会というのがありまして、そこで社債流通市場の問題についてずっと去年の七月から検討していただいているわけで、その検討状況と今後の方向性タイミング等々最後に聞きたいわけでありますが、発行市場につきましては、先ほど冒頭申し上げたように、適債基準についても、あるいは財務制限条項設定義務についても撤廃をされるということで、かなり英断をされて、発行市場の出しやすさという意味では多くの評価を得ているだろうと思うわけでございます。  ところが、その一方で流通市場は全くまだ整備がされていないということで、私も余り社債市場についてはよく知らなかったわけでありますが、昨年いろいろまた勉強し直してみまして、改めてこの流通市場を何とかしないとよくないなと。特に今銀行がああいうような状況で、不良資産でなかなか前向きな融資に移れないという中で資本市場での資金調達が必要だということでございますから、ますます先ほどの増資の問題も含めて資本市場整備というのが大事だろうと思うんです。  この社債流通市場というのは、古い方々などは、社債というのは大体発行したら持っているものだというふうに、私の父の年代ぐらいの人たちは大体そう思っていたようであります。しかし、アメリカなんかの場合は全然そうじゃなくて、例えばアメリカなんかの場合、二年前ですけれども、大体発行残高の六倍ぐらいの回転をしている。それから日本でもかつて日本銀行やあるいは銀行シ団で持っていた国債かなり流通をするようになりました。これもいろいろな変遷を経てなるようになりましたけれども、今、二百二十兆ぐらいあるんでしょうかね、国債残高が。それに対して三千五百兆ぐらいの売買が行われているということでありますから、国債流通市場という意味では十七倍ぐらい回っているということであります。  それに対して、じゃ社債はどうなっているかというと、残高が十八兆で、流通、つまり売買の往復で十一兆しか売買されていないということでありますから、六割ぐらいしか回っていないということであります。  どこに問題があるのか。いろいろあるわけですが、この社債というのは、皆さんも御案内のように、社債等登録法という昭和十七年にできた古典的な法律に基づいて今でも動いているわけでありまして、十七年というのは、先般廃止されました旧食管法とか、まだ生きておりますけれども現行日銀法等ができた年であります。戦中であります。そのときにできた社債等登録法仕組みの中でまだ社債というのが出ていて、登録済み証なる紙っぺらが、これも郵便で、このコンピューターの時代郵便でやりとりされる。  おまけに、資金決済は十日に一遍しか行われないということであります。国債は今まで五日に一遍しか決済されないということで、今度はローリング決済というのになるようなお話も聞いているわけでありますが、十日に一遍の決済といっても、郵送でやっているのを含めると最長で一カ月ぐらい決済が行われないということで、いつも決済リスクを負いながら今売買が行われているというのが現状でありますから、当然、決済リスクがあるということで流通コストが高くなる。そうすれば発行コスト自体発行条件自体にいい影響を与えるわけがない。つまり、売れる当てがないものを買ってくれと言ってもなかなかいい値段で買ってくれないのと同じであって、これを何とかしなきゃいけない。  このコスト高の分が今まできっと、最近随分社債調達しているところもふえてまいりましたけれども、そういう人たちコストに上乗せをされているということで、これを何とかしなければいけないということで、実は平成元年ぐらいに大体の方向性が出ていたわけでございますね。しかし、いろいろ利害関係者が多いものですからなかなかこの流通市場仕組みができないということで、去年の七月に先ほど申し上げた研究会をつくられたというふうに理解しているわけであります。  実は、私ども与党行革プロジェクトチームで去年の秋に、居住者ユーロ円債の九十日間国内還流制限撤廃を唱えまして、大蔵省は当初、還流制限を許してしまうとユーロ円債日本企業が発行するようになって、国内発行市場が空洞化しちゃうということで反対をされていたわけですね。しかし、結果として十二月に、この平成八年の四月に九十日間の還流制限を四十日にする、アメリカが四十日ですがそれと同じにして、そして平成十年四月には完全撤廃するということで、かなり英断をしていただいたわけであります。  私も大蔵省もよく踏み切ったなというふうに思いましたが、そのときの私が受け取ったメッセージは、二年後にこれを完全撤廃するということは、二年後にはもう国内流通市場もおおむねワークするようになっているということを決断されたんではないかなと私は受け取ったわけであります。  そういう意味で、昨年の六月の緊急円高経済対策の中でこの研究会というのがスタートしたと聞いておりますけれども、この中での検討状況、何がポイントになっていて、いつまでに結論を出すつもりなのか、そして新しい制度ができるとするならばいつごろそれをスタートするおつもりなのか、その辺についてお話を伺いたいと思います。
  13. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 御指摘のとおり、昨年来、社債受け渡し決済制度の改善を図るべく研究会を設けまして今鋭意検討いただいておるところでございます。そしてまた、そこの検討の場所ではだんだんと議論の焦点が絞られてきておるというふうに認識しております。  先般、一応の研究会の途中の仕切りといたしまして、早急に実現可能なものであって、市場の関係者が進んで利用するものを構築しようという二つの前提条件のもとに、問題点の一番でございます、先生指摘になりました決済遅延という問題を解消することが一つ。二つ目には、証券資金の同時決済ということを実現するような仕組みにしたい。三番目に、マーケットの議論というのは全く白紙に絵をかくようなわけにはまいりませんけれども、将来への発展性、将来の究極の姿というものを目指すようなものであってほしい。四番目に、関係者が大勢ございますから、制度の中立性が確保されていることが望ましい。五番目に、これは流通でございますから、効率的でコストが妥当なものという五つの条件。私どもは、これをお取りまとめになりました蝋山先生の名前をとりまして蝋山五原則というふうに呼ばせていただきたいと考えておりますけれども、そういった五つの原則のもとに具体的な改善案のたたき台をつくるべく、これからタスクフォースを設けまして、実務者で一つのたたき台の案をつくるという検討状況にございます。  これは検討状況でございますけれども、基本的な問題認識といたしましては、まさに先生が御指摘いただきましたように、発行市場というものをほぼ完全な自由化に近い形のところまで持ってくることができたと考えておりますけれども、やはり流通市場というものが十分に整備されておりませんと発行市場の自由化措置自体が十分な効果を発揮し得ないだろうという認識を持っておりまして、こうした市場におきましては、これからは流通市場整備ということが私どもの一番の検討課題かなと思っております。  御指摘のとおり、この案件は既に十年来いろいろな方々がいろいろな御議論をなさってまいりましたけれども、気持ちの上では、この年がこの十年来の議論にけじめをつけるべき年だという認識を持っておりますので、早急にこのタスクフォースでの議論を進めていただいた上で、研究会の御結論を待って、何らかの実りある成果を得たいとふうに今考えているところでございます。
  14. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今、局長の方からけじめの年だというお言葉でございますが、たしかこの研究会がスタートしたときに、夏ぐらいまでに結論を出すというふうに伝わっていたかと思うわけであります。そもそもこういう研究会議論の中身が余り見えてこないというのも問題だなと私は思っておりますが、大体いつごろまでに結論が出るのか。  つまり、先ほど申し上げたように平成元年に大体の大筋が、例えば登録済み証はもうやめましょうとか、記番号をもうやめましょうとかいろいろな話が出ていたけれども、いろいろな案もかなりできかかっていたにもかかわらず平成五年ぐらいにつぶれているとか、そういうことを考えると、本当に今度は大丈夫なのか、本当に答えを出してくれるんだろうなということを心配している向きもある。何分にもこの研究会の中身が見えていない市場関係者がおられますから、そういう人たちのためにも、けじめですからもう余りしつこく言わせてはいけないのかもわかりませんが、そういうことかというふうに理解しておりますけれども、改めて、ことし本当にやるのかどうかというのをもう一回お答えいただきたいと思います。
  15. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 今、蝋山座長の研究会に具体的な作業をお願いいたしておりますから、私の口から具体的な形で日程について御拘束申し上げるわけにはいかないという気持ちもございますけれども、蝋山座長のお気持ちとしましては、タスクフォースにおける実務家の検討というものは一、二カ月は当然のことながら入り用かと思いますけれども、それを待って、連休の前後には研究会にこれから最後に詰めていくべき一つの案が出てくるという日程を組んでおるというふうに伺っております。  そういったことを踏まえますと、先生がおっしゃいましたように、私はことしがと申しましたけれども、ことしも後ろの時期ではないところまでという気持ちで研究会先生方にも御審議を煩わせ、できるだけ早くという気持ちでまいりたいと考えております。
  16. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 何しろ昭和十七年にできた制度で営々と今日までやってきたわけでありますから、いろんなしがらみというものがやっぱりあるんだろうと思うんです。大事なことは、過去のしがらみはしがらみとして、それにとらわれることがないように、先ほど蝋山五原則ということをおっしゃいましたけれども、特に今、繰り返して申し上げるように、銀行からの融資がなかなか思うようにいかない中で、企業が元気になって、福祉を賄えるだけの経済の成長というものをもたらすためにも、やはり使い勝手のいい、そしてまた先ほどもおっしゃったようなコストの安い資金調達ルートというものをつくっていただかなきゃいけないんだろうと思うんです。ですから、しがらみに余りとらわれずにぜひ頑張ってもらいたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、先般の中間公表では「措置困難」ということになっておりました大型私募債ルール規制緩和でございます。  今申し上げた社債の一種ではあるわけでございますが、先ほどのは流通するわけでありますけれども公募のお話でございまして、いわゆる私募、つまり勧誘対象が五十人未満、あるいはプロの投資家だけを相手にするプロ私募というどっちかに入るもので、なおかつ二十億円以上を大型私募債と言っているようでありますけれども、これについてのルールかなり厳しく課されております。これは、証券流通をされると貸し出しなのか債券なのかよくわけがわからぬというような、そういう垣根の議論もあるのかもわかりませんが、いずれにしても、皆さんも御存じかもわかりませんが、驚くほど細かく規制をしているわけであります。  四つ種類がありまして、一つは、一回当たりに出せる発行額の上限というのは二百億円で決まっておって、それから二番目に年間発行額も千二百億円まで、年間発行回数も六回まで、なおかつ発行後二年間は転売をしてはいけませんと、こういう四種類の規制がかかっているわけであります。それで、産業界からかなり苦情といいましょうか要望が出ているわけでありまして、これを即時撤廃してほしいという話でございます。  規制している理由というのは、この中間公表にも書いてありますけれども、これを見ますと、「公募債市場と私募債市場の適正なバランスを確保しつつ、私募の取扱い業務の適正な遂行を確保する」、こう書いてあるんです。  私は、ちょっとどうかなというふうに思いますのは、公募債市場と私募債市場の二つの市場の適正なバランスに配慮しながらこういう規制をかけているんだということは、言ってみれば需給調整を当局がやっているというふうにもとれるわけであって、適正なバランスが必要であることは結果としては大事なことなんだろうと思いますけれども、むしろこれは市場が、マーケットが決める適正なバランスということだろうと思うわけでありまして、そこを大蔵省がこの程度が適正なバランスのとれた公募と私募のバランスだと言うのはちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うわけであります。  確かに、安定的で低コスト資金調達ルートという意味では公募債の方が私募債よりはいいということは間違いないわけでありますけれども、しかしやっぱり調達サイドから見て選択が可能だということが大事なんだろうと思うんです。ですからそれがどっちに行くかというのは、やっぱり同じ条件でどっちへも行けるようにしておいて、結果としてバランスがとれるような格好になるというのが理想なんだろうと思うんです。そういう意味では、これは居住者ユーロ円債還流制限撤廃のときにも、いわば空洞化を一時的にしてしまうかもわからないけれども、英断をされて九十日を四十日にし、またもう二年後には撤廃をするということまでお決めになった。  そういう意味では、同じような論理で考えれば、ここでこれはもう撤廃して、公募債は先ほどやると言っていらっしゃるわけだし、ここでたとえ私募債の方を自由化しても公募債の方の整備がとまったりだめになったりするようなことはもうないんだろうと思うんです。  ですから、そういう意味では、今何度も繰り返して言うように、資金調達のルートというのはいろんな形である方がいいわけでありますから、そういう意味でこれはもう自由化してもいいんではないだろうかというふうに私は思います。何度も繰り返して言うように、何しろ当事者の自由な意思にゆだねるということを基本とする証券局政策としては、これもやっぱり自由化すべきではないだろうかというふうに思うわけでありますので、「措置困難」ということで一月にお出しになったこれをもう一回考え直していただけないだろうか。  これは実は、私ども与党行革プロジェクトでもお願いをしておりますし、私ども自由民主党の行革推進本部の規制緩和委員会、唐沢委員会と言っておりますが、そこでもお願いをしているわけでございますけれども、その辺のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
  17. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 塩崎先生に改めて申し上げるのも失礼かと存じますけれども、公募債と私募債というものの違いというものを考えてみまするに、公募債はディスクローズのある有価証券で、私募債はディスクローズなき有価証券と言うことが一つできると思います。あるいは、公募債は一般の広い投資家を対象としたものである、私募債は限られた投資家を対象としたものであるという違いがございます。  したがいまして、私募債のマーケットに関しまして、ディスクロージャーなき有価証券という性格にかんがみまして、ディスクロージャーを必要としないような投資家に限る等々の制約条件というのは、アメリカのSEC等々においても同じように置かれておるところだと考えております。  ただ、私がちょっと考えますのは、発行体方々が非常に私募債の使い勝手をよくするということに熱い目線を注がれる背景には、一つはディスクロージャー負担を軽くしたいという気持ちと同時に、先生が御指摘になりました公募債市場というものが、発行市場の方は昨年までいろいろございましたし、それから流通市場は先ほどの御質問のような問題がございますので、結局公募債市場が使い勝手が悪いということで、私募債の市場というものを使いたいというお気持ちが非常に強いのかなと。  しかし、発行市場の方の問題の改善に成果が上がらないままこれを許していきますと、結局ディスクロージャーなき有価証券というものだけが日本の公社債市場の中心になってしまうという問題があるので、公募市場と私募市場のバランスのとれたということを申し上げておるわけでございまして、数量的に六対四とか、そういうめどとかいうようなことではなくて、事柄の考え方と考えておるわけでございます。  そこで、そういう非常に基本的な問題があるという意味で「措置困難」ということで発表させていただいておりますけれども、措置困難と申し上げたことは検討も何もしていないという意味合いではございません。先生が先ほど来御指摘になった問題意識につきましては私ども問題意識を持っておりますし、先ほど御質問いただきました社債流通制度というものが完備されてくるようであれば、今までは公募債市場がなかなか未発達だから私募債市場も多少それに合わせて不自由にしなければいけなかったという制約条件があったとすれば、むしろ発想を逆にして、公募債市場を使い勝手をよくすることによって私募債市場も多少使い勝手をよくすることができる、そういう拡大均衡的な発想がとり得ないかどうかということは私ども気持ちの奥にはございます。  その上で、まだ道筋が見えておりませんので、特に公募市場の方の流通市場の問題について道筋が完全に見え切っておりません、努力中でございますので、こちらの方につきましては当面「措置困難」とさせていただいておりますけれども、気持ちといたしましては、今申し上げましたような拡大均衡的な形で道筋が見つからないかということにつきましては、これから努力させていただきたいと考えております。
  18. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 私募はディスクロがないという今のお話でございますが、確かに日本ではそういうふうに言われているわけですけれども、アメリカの場合はむしろ私募というのはかなりディスクロがきついと聞いておりますし、私も実際ディスクロの私募の場合のアメリカの資料というのを見せていただきました。かなり分厚い、事細かに書いたデータが出ているものを出さなければ私募の社債というのは出せないということでありますから、今おっしゃったディスクロなしだからこの私募のあれはいけないというのは、工夫の仕方によってどうにでもなるんじゃないかなというふうに私は思うんです。  ですから、そこはいろいろ意見の差があるかもわかりませんからあれでございますけれども、もう一つは、やっぱりこれはプロの世界に近いんだろうと思うんですね、私募というのは。であるからこそディスクロが緩い。アメリカの場合は、公募の方はもう格付がはっきりしていますし、一様にディスクロしていますから問題ない。むしろそれが日本の方はきっちりしていないというところが問題であって、あとプロの世界でどれだけ厳しくやるかというのは、これまた市場参加者が、アメリカのように、プロの世界であるにもかかわらずさらに細かなディスクロージャーを要求されるというケースもあるわけでありますから、先ほどおっしゃったのは必ずしも正しくないんではないだろうかというふうな気がいたします。  しかしいずれにしても、均衡拡大的になるように公募の方の整備を見ながらということでありますけれども、ひとつ居住者ユーロ円債のときと同様に、少しせっかちなぐらいでも、私はそのくらいでがたがたするような市場でもないと思いますし、むしろそれをやることによって風通しがよくなるという意味でプラスの方が多いんではないかと思いますので、先ほどの蝋山委員会がいつ出るか、見えてからということでは夏以降みたいなことになっちゃいますけれども、ぜひこれはもっと早目に、洞察力のある大蔵省でございますから、先を見ていただきたいというふうに思います。  そこで、最後に大臣に一言だけお伺いしたいわけでございますが、きょうも新聞に少し報道されておりました。きのう自由民主党の行革推進本部で、先ほど申し上げたように党外の顧問方々においでいただいていろいろ行革について御意見を賜りました。その席で、実はきょう新聞が一部誤って報道しておりましたので改めて言っておきますが、冒頭の本部長あいさつということで水野本部長があいさつをしたときに、実はその前の日に、規制緩和委員会、唐沢委員会でEUの代表の方においでをいただいて規制緩和の話を分野ごとに聞いたんです。全体の話ももちろん聞きましたけれども、その中で皆さんが一様に言ったのは、どうもこのところ政府として規制緩和はもうどこかに行っちゃったような気がするという印象が多いよと。実はきのうの党外顧問方々の中でも、ダボス会議に行ったときにやっぱりみんなそう言っていたというような話も聞いてまいりました。  そういうことでありますので、これはやっぱり大変いかぬなということで、きのう実はそれを水野先生が橋本総理・総裁に申し上げて、外国にも外務省を通じてこんな分厚いやつを全部報告をしているはずなのに、それが理解されていないというのは心外でもあるし、また努力をしなければいけないだろうというふうに言っておりました。  EUの代表団がもう一つ言っておったのは、アメリカ人たちも同じように見ていると。つまりもう日本では規制緩和の熱は冷めているというふうに受け取られているという話でございましたのですが、こういうふうにとられてそれでいいのか、その辺を大蔵省として、そしてまた副総理としてもぜひ一言賜りたいと思うんです。
  19. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 規制緩和につきましては、昨年の三月三十一日に規制緩和推進計画が策定され、これは三年計画として前倒しされることになっているわけであります。  大蔵省といたしましても、金融証券、保険、通関、流通等の幅広い各分野におきまして、規制緩和の項目を盛り込んだこの計画の推進に努力をいたしているところでありますけれども、昨年も、いろいろな経済対策をつくります機会、あるいは大阪のAPECの会議におきましても、また十二月には、証券分野等についての規制緩和措置においても積極的に取り組んでまいったところでございます。  現在は、本年三月末の同計画の改定に向けて、各界の御意見等を伺いながら積極的な努力をいたしているところでございます。大蔵省といたしましても、また政府といたしましても、規制緩和にはさらに積極的に取り組んでまいる決意でございます。
  20. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 御決意のほどはよくわかるわけでございますが、先ほど来ずっと話が出ている、例えば居住者ユーロ円債還流制限撤廃というのはかなり思い切ったことをされたと私は思っているんです。それから、財務制限条項とか適債基準とかの撤廃も同じようにかなり頑張っていただいたと思っているわけでありますけれども、そういうものが外国から見て規制緩和を一生懸命やっていると全く理解されていない。これは何でだろうかと。ですから、同じペースで同じようなやり方をしていたのでは、外国は相変わらず同じように思って、今の内閣は規制緩和をやる気がないんだなというふうに思い続けるような気がしてならないんです。そのときには、政治の方は一生懸命になっているけれども役所は嫌がっているのかねというふうな話も出ておりましたけれども、なぜそんなことになってしまったのかを含めて、もう一回お願いできたらと思います。
  21. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 橋本内閣が発足いたしましてからようやく一カ月余りを経過したところでございますが、規制緩和行政改革といったような課題は内閣に与えられている最も重要な政治課題だと考えておりまして、もしその点において海外における理解が十分でないとすれば、やはりこれから、特に三月末の規制緩和推進計画の改定に当たって、積極的な内閣としての考え方が伝わるようさらに努力をしなければならないと考えております。
  22. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 終わります。ありがとうございました。
  23. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 先般の委員会財政赤字体質のことについて質問をいたしましたが、時間が十分でなかったので、さらにこの問題を続けて御質問申し上げたいと思っております。  先般の委員会では、公債残高平成八年度の末において二百四十兆余になるということで、これは大変な赤字体質になっておるな、二十一兆円の国債平成八年度に発行しなきゃならないということも非常に大変なことだなということを申し上げ、かつ財政再建についても、財政健全化についても認識を幾つか問うてまいりました。  さらに、二百四十兆の国債残高と言うけれども、実は「中期的な財政事情に関する仮定計算例(イ)」によれば、従来の傾向をそのまま放置したら四百八十兆円の国債残高になるではないか、そのほかにさらに処理を要する事項として四十三兆円が外側にあるねと、こういうお話をずっとしてまいりました。  その財政危機の中において、大蔵省が国会にお出しになった「財政改革を進めるに当たっての基本考え方」ということで中期的な考え方をお示しになっておられますが、その中で政府の方は、今後経済成長に伴う税収の増加にそんなに大きく期待することは困難なんだということを一つ前提に置き、さらに公債残高の累増に伴う公債費の増加、地方交付税の増加、既存の制度・施策のもとにおける一般歳出の増加額等、到底すべてを賄い切るわけにはいかぬと。賄い切るわけにはいかぬということになると、四百八十兆に近づくのかなというような気もするんですけれども、そこは財政構造について思い切った見直しを行っていかなければ年々拡大するので、ぜひ財政健全化の取り組みを行いたいということが述べられているわけでございます。  歳出構造がそういうことになるということは望ましいんですが、さらにその仮定計算例(ロ)として、一般歳出が五%に伸びる場合、三%に伸びる場合、あるいは〇%の場合というぐあいに置かれ、そして平成十五年に特例債発行がゼロになるということを想定して幾つかの仮定計算例が置かれているわけでございます。  このような計算を国会に出されたのは恐らくことしが初めてであろうというぐあいに認識をしておりまして、そういう意味では財政健全化に対する財政当局の意識が少し前進したのかなと思います。ただ、ほんの少し、文字の上だけというような感じもしないわけではないんですけれども、仮定計算例(ロ)のうち、五%だったら大変だと、三%でも大変だと。平成八年の一般歳出の増を見てみますと、政府案ベースで二・四%の増になっております。  そういうことから見ますと、なかなかゼロにすることは難しいな、しかしゼロにしなければ到底財政再建はできないのだなということをこの表を見て感ずるんですけれども、財政当局として、この仮定計算例ゼロに向かって進めていきたいと考えているのか、これはとても難しいよと考えておられるのか。そこら辺の決意というんでしょうか、決意ないしは見通しにもなるかもしれませんが、そういう観点に立った大蔵大臣の御所見を承りたいと思いますが、いかがでございましょう。
  24. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘されましたように、今回「中期的な財政事情に関する仮定計算例」というものをお出ししているわけでございます。これは、中期的な財政運営についての審議の御参考にしていただくために、一定の仮定のもとに機械的手法によりまして今後の財政収支の状況を試みに計算したものでございます。その仮定計算例(ロ)で、今委員が言われましたように一般歳出の伸び率〇%、三%、五%というケースでお示しているわけでございますが、これは今後の財政改革の御議論をしていただくに当たりまして、その参考に資するために、相互に比較して検討していただくための便宜を考えまして、わかりやすい三ケースを機械的に置いたものでございます。したがいまして、それぞれに特別の政策意図が込められているものではないわけでございます。  いずれにいたしましても、財政の厳しい状況の中でこれを放置することはできないわけでございまして、過去におきましては厳しいシーリング、例えばマイナスシーリングなどのもとで昭和五十八年度から六十二年度の当初予算におきましては一般歳出の伸び率を〇%以下とした例があるわけでございますが、現在のこの我が国の財政状況からいいますと、財政健全化に取り組むことが喫緊の課題でございます。  今後、歳出の全般につきまして、先ほど委員が話されましたこの「財政改革を進めるに当たっての基本考え方」にもございますように、これまでは財政支出が適当とされてきました施策につきましても、今日の情勢のもとでなお財政が関与すべき分野か否かという行財政の守備範囲の見直しの観点に立ちまして、聖域を設けることなく制度の根本にまでさかのぼって洗い直しを行うことが重要な課題であると考えているわけでございます。  今後、国会の場とか財政制度審議会等での御議論をいただきまして、それを踏まえながら財政改革に強力に取り組んでまいりたいと考えているわけでございます。
  25. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今仰せになりましたように、過去においても、昭和五十八年から六十二年まで五年間一般歳出の増加ゼロということでやってこられました。が、その後漸増をして、それ以後は大体三%ないし四%、ことしは二・四%というぐあいになさいましたけれども、増加傾向に入っていることは間違いありません。それは経済対策ということもあったと思いますけれども、どうも最近は財政の増加傾向がぶり返しているというような感じになっているというぐあいに思うんです。  そこで、この「基本考え方」で、今、伏屋主計局次長がおっしゃったように、「聖域を設けることなく制度の根本にまでさかのぼって洗直しを行うことが重要な課題である。」というぐあいにうたわれていますが、実はこの文言は去年の文書の中にもあった文章のような気がするんですね。要するに、言葉だけが躍っているんじゃないか、本気でやっていないんじゃないかというような感じが強くするわけであります。先ほどちょっと申し上げましたように、現在の経済情勢あるいは経済成長の見通し等々を見まして、財源がどんどん出てくる、要するに税収に期待するという時代は少し過ぎているような感じがいたします。そうしますと、歳出について厳しい自制を行っていかなければならぬということではあるんですが、言葉だけというぐあいに私は申し上げましたけれども、具体的に何か考えていることがあるんでしょうか。  私は、平成八年度の予算を見てみても大きな制度改変はなかったような気がするんですね。こういう財政危機の中にあっては、やはり制度改変というような大きなものがなければ財政の健全化は保っていけないんじゃないかというぐあいに思いますが、いかがでしょうか。
  26. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 平成八年度予算、特例公債を含みます多額の公債発行に依存せざるを得ない状況でございまして、一方で、限られた財源の中で景気への配慮など現下の経済情勢に適切に対処するとともに、一方で、今言われました一般歳出の方でございますが、私どもといたしまして従来にも増しましていろいろ見直しを行ったわけでございます。特に、経常部門は厳しく経費を抑制いたしまして、伸び率一・五%ということで、六十三年度以降では最も低い伸びとしたところでございます。その意味では、資源の効率的な、重点的な配分に努めておるということを御理解いただきたいと思います。
  27. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 一生懸命御努力されているということはそのとおりでしょうけれども、それにもかかわらず一般歳出が二・四%の伸びになっているということは、財政健全化の方向にしっかり足を踏み出していないということではないかというぐあいに考えているんです。大きな制度改変が多分必要でしょう。それについては、まだ八年度予算も参議院に回ってきていない状態ですから、それをまだ申し上げる状態ではないと思いますけれども。  例えば補助金について、補助金の額がどれだけあるのか、まずお伺いをしましょう。補助金の総額、そして地方に対する補助金、それは幾らぐらいでしょうか。
  28. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 補助金の総額ということでのお尋ねでございます。  一般会計全体で七十五兆一千四十九億円のうち一般歳出が四十三兆でございますが、そのうち補助金は総計といたしまして十八兆七千三百六十六億円ございます。これ以外に産業投資特別会計の繰り入れ等もございますが、私ども一応、一般歳出の中の補助金等という整理では十八兆七千三百六十六億円と整理しておるわけでございます。  地方は、今手元に細かいデータがなくてまことに申しわけございませんが、従来から地方公共団体への補助金の割合は約八割ということで計算ができておりまして、その意味からいいますと約十四兆前後かと思いますが、ちょっと細かい数字がなくて申しわけございません。
  29. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今仰せになりましたのは一般会計分だけなんですね。あと特別会計に随分ありますから、地方公共団体に対する補助金というのは非常に膨大なものに上っているというぐあいに思います。  例えば補助金の査定の仕方、補助金の考え方というのも、実は地方分権との関係からいいますと、非常に極端に言えば一般財源化したらどうだと、こういうような議論もございます。それから農林系統ではメニュー方式というのが随分行われているわけですね。  それで、補助金を交付するということについていろいろな問題が指摘されていますけれども、例えば箱物の補助金だと非常に規格が厳重で、そしてこれこれ以上のものでなきゃいかぬと採択基準をどんどん上げていくというようなことで、地方に行ってみると実情に合わないような建物が随分建っているというぐあいに指摘をされているんですね。もしこれを地方団体にお任せをすればさらに効率的にこれを使うことができると。  例えば、一千万円のものはいかぬというぐあいに今言っていますが、いや一千万円でもいいものができていくというような状況もあって、何も補助金の補助金交付要領に限定されて大きな建物を建てなければだめなんだという代物でもないと。言ってみれば地方公共団体の判断力を生かし、そして大蔵省の予算編成もそのようなものじゃなくて、現在のようなものでなくて、一定の基準を設けなきゃならぬのかもしれないけれども、それを非常に緩くして地方公共団体にお任せをし、それを効率的に使っていただくとか、そのような制度の大きな改変あるいは査定の改変。これも主計局が大変御苦労なさって一件別に査定を一つ一つなさっておられるんだそうですね。  むだな努力とはもちろん言いません。査定をするには細かい事情がわからなければ査定はできないでしょうから、そういうこともあるいは必要かもしれませんけれども、私の方から見ると、主計局が非常に膨大なエネルギーを使っていると同時に、各省が膨大なエネルギーを使う、そしてその結果として中央集権が強まり地方分権が進んでいないというようなこともあるように思うんです。  そういう意味では、現在の予算の仕組みそのものを、考え方を変えていくというようなことが必要なのではないだろうかというぐあいに考えるんですけれども、これは大きな制度改変だとはいうけれども予算の編成の仕方で変わっていくわけですね。そういう意味では大蔵省側の反省だとか感想だとかそういうものはありませんか。
  30. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 今、補助金等につきまして、全体の予算編成の中での一つのテーマとして委員から大事な点を御指摘いただいたと思います。補助金等につきましては、先ほど委員が言われました、一つは地方行政のいわば自主性、選択の幅を広げるというか、自主性の尊重。もう一つ、やはりこれも先ほど委員が言われましたのですが、国の側から見ての財政資金の効率的な使用という観点から、これは補助制度見直しとか補助対象の重点化、統合メニュー化、一般財源化等を行うなど、やはりその整理合理化を積極的に今推進していかなければならないと思います。  他方、補助金等は、一定の行政水準の維持とか特定の施策の奨励等のための政策手段として、やはり政策遂行の上で重要な機能を担っているものであるわけでございます。  したがいまして、御指摘にありました、これから補助金等の整理合理化を進めるに当たって、やはり引き続きその前提となります制度・施策そのものの見直しを行いつつも、類似の目的を有する補助金等につきましては統合メニュー化を進めるとか、さらには地方公共団体の事務事業として同化、定着しているものなどにつきましては一般財源化を図るなど、いろいろ御意見を承りながらその整理合理化を推進していかなければならないと考えております。
  31. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今の御答弁ではなかなか満足しかねるんです。というのは、今仰せになったようなことは毎年考えておられるんですよね。毎年やったやったと言われるんだけれども、一向に進んでいないという現実があるわけです。そういう意味では非常に思い切った、これだけの財政危機宣言をされているんですから、財政が緩やかなときにはいろいろなことをおっしゃっても構いませんけれども、これぐらいの財政危機になってきたときに、やっぱり今のような御答弁では不十分なので非常に思い切った改革を、ここに一例として補助金を挙げただけですけれども、各分野においてメスを入れていかなければ、先ほど申し上げた仮定計算例(ロ)の〇%というところにはなかなか行かないということを警告し、また要望をしておきたいと思います。  それから、話題がちょっと変わりますが、先日、参議院の予算委員会政府長期債務という概念の数字を出されました。すなわち政府の長期債務は三百八十兆円であるという資料を御提出いただいておりますが、これはどういう性格のものでございましょうか。
  32. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 先日、参議院に御提出をいたしました資料のことだと思いますが、これは端的に言いますと、政府の長期債務残高を国際比較という観点から整理させていただきまして御提出申し上げたものでございます。  我が国の政府の債務残高につきましては、いわゆる公債残高約二百四十一兆、八年度末の見込みを御説明する場合が多いわけでございますが、政府の債務残高を諸外国と比較しようとする場合には、各国ごとにいろいろ債務の形態がさまざまでございますために、一応国債残高政府の長期借入金等を機械的に一括して積み上げました、両方合わせた概念の長期政府債務残高という数字を用いまして、それを各国共通のベースとして国際比較を行い、さらにはこの国際的に比較をするために、それぞれの国の規模が異なるものですから、経済規模、GDP比の対比をとって資料を作成しているところでございます。  そこで、二百四十一兆に政府の借入金の七十七兆を足しまして、それらを足しまして三百二十一兆となります。この我が国の三百二十一兆をGDPで割りますと六四・六%ということになりまして、これはアメリカの六〇・二、イギリスの四五・四、ドイツの二一・〇、フランスの二二・五に比べて先進国の中で最も悪い状況ということで、この数字はまた別途いろいろ御説明申し上げているところでございます。
  33. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 大変不思議に思うんですよね。国際比較のときには、先ほど三百八十と言ったのは三百二十だったようですけれども、三百二十兆だと。国民に説明するときは二百四十兆だと言って説明する。先日の委員会で私は、今後処理を要するものと大蔵省側が言っている四十三兆円を足して二百八十三兆として説明すべきではないか、そうでなければ国民はどれだけの債務を国がしょっているかわからぬということを御質問申し上げたんですが、その後この長期債務という資料が出てきて、いや実は三百二十兆なんだよという話になって、しかもそれは、国際比較をするときにはこれを使うんだというぐあいにおっしゃっておられる。そうすると、国の債務は三百二十兆なんですか、幾らなんですか。
  34. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) いわゆる公債という形で国の債務ということになりますと二百四十一兆でございまして、同じ債務という意味では借入金も債務でございますから、国際比較をするときには、各国の債務の形態が、必ずしも公債のウエートは同じじゃないものですから、それを統一的に比較するためにはやはりベースを共通にせざるを得ないものですから、長期政府債務残高という形で借入金を足させていただいておりまして、そこはどちらの概念をとるにしても、ともに債務残高であることは間違いございません。
  35. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 私は、国際比較ももちろんやらなきゃいかぬのですけれども、国民に対して政府は一体どれだけの負債を持っているんだということを説明しなければ、財政健全化でお願いしますよと言っても、その基礎がはっきりしないようでは困るよということを申し上げているんです。  質問の時間が余りありませんけれども、これは対外発表されているんですか、財政審にはこれは報告されているんですか、三百二十兆というのは。国民に対しては、大蔵省がパンフレットその他、国民に幾ら債務がありますよと言っているときにはこれを説明しているんですか。そこを答弁してください。
  36. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 実を言いますと、この三百二十一兆を前提といたしましたGDP比六四・六%につきましては、これは国際比較の中でもこれまでもパンフレットに明快に記載しておりますし、広く資料を提供してきたところでございます。今回の平成八年度末の六四・六%という数値につきまして、従来と同様国会にも資料としてお出ししているわけで、もちろん財政審の場でも御説明をし、広く国民の理解を得るべく努めてきているところでございます。  先生のおっしゃる意味で、例えば分子が三百二十一で分母をGDPでという明快な形では必ずしもすべての場でやっているわけじゃございませんが、六四・六という数字の前提は三百二十一兆でございます。
  37. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 数字の話でありますからいろんなとり方があるということ、今後処理を要する事項も少し性質が違いますよというこの間の答弁でありました。しかし、国民に財政危機を訴える以上、少し性質は違うかもしれないけれども、これを足すとこれだけになります、大きく計算をすれば三百二十兆なんです、というようなことを明示しないで国際比較六十何%でございますというのを出しても、どうもむなしいような感じがいたします。  そこで、時間がありませんからぱっと中身に入ってしまいますけれども、この三百二十兆の中で、郵貯特会に対する金融自由化対策としての貸付金がありますね。四十兆、計算の中に入っているんだとこの間説明を受けましたが、これは運用部が郵貯特会にお貸しをしているんで、どうもツーペイのような感じがして、どうもうまく整理がされていないなという感じ。  それから旧国鉄の債務継承分の十兆円というのがこの中に入っているようですけれども、これも今後処理を要する事項の中にも入っているし、こっちの中にも入っている。若干ずつ性質が違うものかもしれませんが、等々、少しこの概念について十分な整理ができていないように思われますが、いかがですか。
  38. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  各国のまず政府の債務残高について国際比較をしようとする場合は、先ほどお話ししましたように各国ごとの債務の形態がさまざまでございますので、やはり公債と借入金等を機械的に一括して積み上げた長期政府債務残高数字を用いさせていただくのが適切かと思います。先ほどからお話しいただいている二百四十一兆に足しました三百二十一兆の方の数字かと思います。そこで、我が国の長期政府債務残高についても、これは一般会計及び特別会計の借入金残高国債残高に機械的に足し上げて算出しているわけでございます。  そこで、今まさに委員が御指摘ありました資金運用部からの借入金の中に、御指摘のように郵便貯金特別会計といたしまして八年度末の見込みで約四十兆の資金運用事業分があるわけでございます。ですから、形式的には三百二十一かと思いますが、実質的に、一つの議論としては、長期政府債務残高に含めるべきでないという御議論がそれは十分あり得ようかと思います。
  39. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 時間がないのでここで議論をするつもりはありませんけれども、いずれにしてもこの概念は従来出ていない概念でございますから、それをきちんと整理をして、国民に対して訴えるときに、三百二十兆なのか二百四十兆なのか、これはきちっと整理をしていただきたいと思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  40. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) ちょっと先ほどの郵貯特会、先ほど委員がツーペイだと言われましたが、まず郵貯の預託金として特会から資金運用部へ預託金を全体で預けておるわけです。これが百九十五兆ぐらいあるわけです。そのうち四十兆を資金運用のために必要な資金として借り入れているものですから、それを差し引くのも一つの議論かということでお答えしたので、それはちょっとつけ加えさせていただきます。  今の話で言いますと、いわゆる形として公債での債務という意味では二百四十兆。そして国際的に比較する意味では、委員が言われたように、やはりこれは債務であることは違いございませんから、借入金も足した三百二十一兆。その二つの数字をそれぞれのそのふさわしい場所で使わざるを得ないものですから、使わせていただきたいと思いますが、両方債務残高であることは先ほどからお答えしているように間違いございません。
  41. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 財政改革・再建を進めるに当たりましては、やはり債務の内容を今御指摘がございましたようにきちっとお示しをして、それに基づいて再建の目標を定めることが必要であると考えております。
  42. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 いずれにしても、財政健全化ということでおやりをいただく以上、よく財政状況を整理されて国民に説明をされることを切望いたします。  話題を若干変えますが、今、住専の問題が取りざたされておりますが、実は金融業界の状況を見ますと、これからノンバンクの問題が非常に大きく取りざたされていく、これから処理をされていくという問題があると思います。  金融機関のノンバンクに対する貸し出しは約十兆円、九兆円ちょっとというぐあいに言われており、住専がこの中に入っているようでございますから、住専を引くと五兆円ぐらいになるのかなというような感じがいたしますが、これについての処理状況はどういうぐあいになっているんでしょうか、今後どういう状況に推移するんでしょうか。
  43. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) このノンバンクへの貸し出しというのは、今委員からも御指摘のように、概念のとり方がいろいろございまして、一応日銀の統計月報によりますと、これは平成七年九月末の部長銀、信託二十一行を合計した金額で申し上げますと、広い意味でのノンバンク向け貸出額は約三十六兆円ということになっております。これは、最も広い意味でとりました概念と理解をしております。  なお、その中で不良債権の状況ということになりますと、これは私どもが昨年九月末時点でとりました調査の結果でございますけれども、部長銀、信託二十一行の不良債権、これは金利減免債権まで含めまして全体で二十三兆八千億に上るわけでございますが、そのうち住専を除きますノンバンク向けの債権額は約七兆円ということになってございます。
  44. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 この処理が今でも進んでいるし、この三月期にも進むと思うんですけれども、これについての処理については、従来、公的資金は投入しないんだという御方針のように承っているんですけれども、そのとおりでしょうか。
  45. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今回、住専問題については、財政資金の導入を含む処理方策を取りまとめ、お願いをしておるところでございますけれども、一方、今後の不良債権処理問題につきまして、住専問題の処理について昨年の十二月十九日に政府与党で合意いたしました文書の中におきましては、「住専以外のノンバンクの不良債権処理については、公的関与を行わない。」と合意されているところでございまして、住専以外のノンバンクについては、今回お願いしておるようなことは考えておりませんということでございます。
  46. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 なお、先般、金融制度調査会の答申で、信用組合の破綻処理については、預金者保護、信用秩序維持のために納税者に負担を求めざるを得ない場合が出てくるかもしれない、すなわち公的負担を行うかもしれないというような答申が出ておりますが、信用組合についてはどのようにお考えですか。
  47. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この不良債権問題の処理にめどをつけるまでのおおむね五年間は、預金者に破綻処理費用の分担を求める、すなわちペイオフということでございますが、それは困難である。また、金融機関の破綻は金融システム内の最大限の努力により対処することを基本原則とすべきであることから、当面の破綻処理におきましては、関係の金融機関等による可能な限りの支援や預金保険による資金援助のみでは破綻処理費用が不足する場合に備えまして、預金保険機構の中に民間金融機関からの特別保険料、これは今までの一般保険料に加えまして、今の一般保険料の三倍程度のものが考えられておるわけでございますが、その特別保険料によって賄う特別勘定を時限的な制度として整備する必要がある、このような御答申がございます。  なお、先般の金融制度調査会答申においては、さらに信用組合の破綻処理につきましては、ただいま御指摘のように預金者保護、信用秩序維持に万全を期す観点から、金融システム安定の間接的受益者である納税者にも負担を求めざるを得ない場合があるとの考え方が示されております。現に、地方公共団体におきましては、従来からも信用組合の破綻処理に際して財政措置が講じられてきたという経緯があるわけでございますけれども、国のサイドにおいて、このような御答申を踏まえて、今後どのような対応をしていくべきか検討をしてまいる必要があると考えているところでございます。
  48. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 この問題は、さらに法律案を用意されて今国会に御提出になるというお話ですから、そのときにまた再度議論をさせていただくとして、農林省においでいただいておりますので、農林省に御質問を申し上げたいと思います。  実は、住専処理で五千三百億の負担をする、それがぎりぎりの線なんだということで国会で説明をされているところでございます。時間がありませんから内容を省略しますけれども、なるほどそうかなというような感じを持っていますけれども、農協自体がぎりぎりの線だということは、農協が非常に金融機関の薄弱さというんですか、脆弱さというものを持っているということを同時に示しているような感じがするんです。  お答えいただく前に、ちょっと資料をちょうだいしておりますので読み上げますけれども、総合農協の一組合当たりの部門別純損益の推移の表をこの間ちょうだいいたしました。それによりますと、どうも農協の経済基盤というものは、購買部、販売部、倉庫部等において慢性赤字的な状況にあり、それを信用部、共済部が補っているというどんぶり勘定的な性格が非常に強いような感じがします。  今、農協関係は再建計画をやるんだというお話でございますけれども、農協を再建していく、あるいは再編をしていくに際して、こういうような経済的基礎の薄弱さを払拭して、全体の経済部門が健全になるように図っていただきたいというぐあいに思っていますが、いかがでしょうか。
  49. 米田実

    説明員(米田実君) 御説明申し上げたいと思います。  農協の収益構造でございますが、お話のとおり、購買、販売、そういうものにつきましては一般に採算が悪くなっておりますが、農協が農家組合員の負託にこたえましてその機能を十分に発揮していくためには、これまでのような信用・共済事業の収益に依存した経営体質から脱却し、部門ごとの採算を確保するということが必要であると理解しておるところでございます。そのために、従来から、部門別損益計算等の実施なり、構造的に赤字不採算となっている個別施設の整理、統廃合、要員管理の徹底等に努めるよう指導しておるところでございます。  こうした問題も含めまして、現在、農政審議会におきまして、今後の農協系統の事業、組織のあり方について御検討いただいているところでございます。
  50. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 それでは終わります。
  51. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野でございます。よろしくお願いします。  先日、十六日の日に久保大蔵大臣から所信表明のお話がございましたけれども、私はきょうは、かねてから自分としましていろいろお聞きしたいと思っておりました住専問題に絞りまして少し御説明をお聞きしたい、かように存ずる次第でございます。  今回の住専の損失の処理問題におきましては、この損失の負担につきまして、いわゆるぎりぎりという言葉が盛んに出てくるわけでございまして、まさにキーワードになっているような感があります。これは、昨年の十二月十九日の深夜に政府の処理案が決定したということでありますけれども、翌十二月二十日は平成八年度の国家予算の大蔵原案が決まったということでありまして、政府のこの処理スキームはまさに土壇場でのぎりぎりの選択であったというように考えるわけです。後ほどまた申し上げますけれども、どうしてこうまで急いで住専の処理策を決める必要性があったのかということにつきまして大蔵大臣にお聞きしたい、こう思います。
  52. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この住専問題の重要性、緊急性につきましてはかねてから各方面で強調されておったところでございます。政府におきましても、例えば昨年の四月十四日の経済対策閣僚会議におきまして、金融機関の不良債権については金利減免等を行っている債権をも含めということで、この住専問題というものをも視野に入れて考えなければいけないんだということを示したところでございます。  その後、夏から秋にかけましても、いろいろな機会におきまして、この住専問題について何とか年内に決着を図る必要があるのではないかという方針を大蔵大臣あるいは総理大臣が御指示になりまして、私ども事務方といたしましても、年内解決に向けて鋭意努力をしてまいりましたところでございます。  今御指摘のように、最終的には予算編成という日程をにらみ合わせながら、十二月十九日に閣議決定に至り、政府としての方針を決めた、こういうことでございます。
  53. 海野義孝

    ○海野義孝君 大蔵大臣にちょっとお聞きしたいんですが、現在となりましてはちょうど死んだ子供の年を数えるようなものでありまして、村山内閣の時代には、この政治のあるいは政策のプライオリティーという面について基本的に私は判断を誤ったというか、やや甘かったのではないかなというように思うんです。  ということは、今振り返ってみますと、村山政権一年半、ちょうど一昨年の夏ごろから昨年いっぱいでありますけれども、私も経済畑出身でありますが、考えてみますとこの時期というのが、ちょうど景気の回復の問題あるいは構造的な不況を打開する問題、そういった面では一番対応が急がれた時期ではなかったかと、そう思うんです。しかしながら、昨年夏、衆議院で新進党が臨時国会の開催を主張しまして、この金融問題等につきまして可及的速やかに対応するべきではなかったかということを主張したわけでありますけれども、結果的にはこの問題は行われなかったということでして、当時与党の幹部であられた大蔵大臣はこの点について現在どのような心境であられるか、お答えいただきたいと思います。
  54. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 政策のプライオリティーの問題につきましては、これは時の政権が与党とともに検討を加えて判断し、選択してまいるものであります。  そのことが誤りであったかどうかということについて、今その評価に関する結論は出ていないと思っておりますが、私どもは新しい政権におきましても、この村山政権において選択された政策基本的に継承する立場で現在政治の運営に当たっているわけでありまして、海野さんがおっしゃいましたように、政策の選択に誤りがあったというふうには考えておりません。  私は、当時、与党の幹部の一人として、これらの政策の決定に当たっても与党の立場から参画してまいりました。  確かに、経済対策が急がれる状況の中で、臨時国会の召集をできるだけ早くしなければならないという立場に立って経済対策の樹立等にも努めてきたのでありまして、九月二十日に五兆円台の補正を含みます十四兆二千二百億の経済対策を取りまとめて、そして九月中に臨時国会を召集するということで全力を挙げてまいったのでありまして、もう少し早くに開かれればそれにこしたことはないと私どもも考えておりましたけれども、いろいろな準備や作業を進める限界であったと考えております。
  55. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。当時の事情は我々野党側としましてもよくわかる面があります。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕  そうはいいましても、住専問題につきましては、私に言わしめますと、何か年末に来て火がついたように慌てたという感じがするわけでございます。先ほど西村銀行局長からもるる御説明ありまして、それはそれとして理解できますけれども、私は当時の新聞をまた引っ張り出して見直してみましたら、どうも大和銀行の問題が起こった後の新聞報道というのが大変慌ただしいという感じがするわけです。  例えば、十一月の初めでありますけれども、大和銀行が米国から撤退させられるという、日本金融行政史上におきましての大変不名誉な事件が起こりまして、それに対して、すぐ翌日の新聞には大和銀行と住友銀行との合併説、年が明けましたから、早ければことしの秋というような記事が出ましたけれども、これはだれかが書かせたのか、あるいは新聞が憶測で書いたかそれはわかりませんけれども、そういった面が一つ。  それから、引き続いて翌日の新聞には、住専の損失の処理を従来五年計画で進めていくというものが、一括処理をするというように大蔵省の方針が出たということがまた新聞のトップをにぎわせたということで、この辺の一連のものを見ると、私は何か外圧によって日本側が追い込まれたと、まさに面目打開のためにこういった一連のことが新聞で報道され、また、臨時国会が終わった直後からこの予算大蔵原案の策定に至るまでの間に大変いろいろな問題がありましたけれども、まさにぎりぎりというか、大変苦しんだ上で予算に間に合わせたというような感じがするわけですけれども、大蔵省として住専について最終の段階で急速方針の変更があったかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  56. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほど大臣から答弁を申し上げました九月二十日の経済対策でございますが、これは今御指摘の大和銀行事件というものがあのような形で世の中に取り上げられる前の段階でございますけれども、その経済対策におきまして、住専会社をめぐる問題への対応策を図るとし、「九月末に問題検討基本的方向を示すよう努力するとともに、年内に対応策がまとまるよう取り組む。」と明示しておるわけでございます。  したがいまして、この住専問題について政府といたしまして年内に対応策をまとめるということは、あの事件が起こるというか、あのような取り上げ方をされる前に既に明確にしておったところではございますが、しかしながら、今海野委員指摘のように、その後大和銀行事件というようなものをきっかけに日本金融に対する国際的な目が厳しくなってくる、ますます厳しくなってくるという中で、この住専問題の処理というものの対応がますます重要になってきたということは御指摘のとおりかと存じます。  しかしながら、だからこの問題を急いだということではなくて、この問題はそれ以前の段階から年内の解決に向けて努力をするという方針は立てていたところでございます。
  57. 海野義孝

    ○海野義孝君 お話は大変よくわかるわけですけれども、今回、住専の処理案につきまして政府がお出しになったわけですけれども、今も銀行局長から御答弁ありましたように、早期の処理ということが金融システムの安定性、それから内外の信頼の確保、預金者保護、また我が国経済の本格回復軌道乗せ等々のために不可欠であると。大変お言葉としては耳ざわりがいいわけですし、国民もこういったことを聞けばそうかなと、そのように思うわけでありますけれども。  久保大蔵大臣はいろいろな国会討議の中で御答弁されておりますけれども、住専問題を早期に決着する、そういったスキームが出たということによってその後ジャパン・プレミアムの問題あるいは株式市場の問題等々について変わってきている、こういった面を見ても、住専のこういった早期の処理、この対応は正確であったし、その効果が随所に見られるようになった、このようにおっしゃっているわけですけれども、こういった住専の処理をすればなぜさっき申し上げたような一連のことが改善される方向に向かっていくかという点について、その辺の因果関係といいますか、さっき申し上げたような株式市場とか海外での受けとめ方とか、いろいろなことについてどのように現状認識をなさっていらっしゃるか、その辺ちょっとお聞かせいただきたい。大蔵大臣お願いします。
  58. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 海野さんはこれらの金融経済の問題についての御専門家でございますので、いろいろ御見識が高いので私が申し上げることがどうかなと思っておりますが、ただこの住専問題というのは、御承知のように、今日のこの金融問題が国際化、グローバル化が非常に進んでおります中で、既に各国においてもジューセンというのはもうそのまま海外においても使われる言葉となっております。ジューセン・プロブレムということでG7等でも表現されるようになっていることに、私はこの住専問題というものがいかに国際的に注目されているかということを痛感したのでありますけれども、このG7におきましても、昨年の秋の私の前任者の出席いたしました会合においても論議をされたのであります。  そして、この住専問題といいますか、この不良債権をめぐる日本金融システムに対する信頼が失われることが、やはりこのジャパン・プレミアムにもあらわれてきたんだと思いますし、株式市場にも影響を及ぼしてきたものと思っております。このことに対する政府の取り組みが具体的に示されるにつれてこれらの問題に対する影響が及んでいることは、これは結果としてそのように認められるところではないのでしょうか。私はそう考えております。
  59. 海野義孝

    ○海野義孝君 今おっしゃった中で、株式市場を見ましても年初は大変スタートがよかったんですけれども、このところの動きを見ますと、二万円台ではありますけれども迷走しているような状態ということがあります。これも、確かに外人が日本株を買っているということでありますけれども、ただ、ジャパン・プレミアムの問題がここへ来て鎮静化しているということについては、従来、日本企業が積極的にアメリカにおいて資金調達するというようなことがありまして、日本金融関係もかなり取り入れをしたわけでありますけれども、ただ、昨年の大和銀行ショックあるいはプレミアムショック・こういったことによりまして、資金アメリカから取り込む、こういった面がその後かなり後退してきているというような面も、最近のジャパン・プレミアムが鎮静化してきていることであって、私は必ずしもその住専問題ということ、もちろん大蔵大臣もそれがすべてではないとお思いでしょうけれども、その辺がやや私は難点だというふうに思います。  それはそれとしまして、次に、政府が今お出しになって審議中の住専の処理案についてですけれども、これを策定するに至った基本的な考え方をお聞きしたいんです。  私は、既に国会において審議されておりますけれども、いわゆる預金業務を行っていない民間企業の損失処理に国民の血税を使うということは、やはり法のもとの平等というような面からいいましてもなかなか国民の理解を得られない。バブルの発生から崩壊して今日に至る政治、行政の責任、これはもう言うまでもなく重大でありますけれども、長期不況に苦しんできている国民に対して、こういったぎりぎりのところで国民の税金を使うということになった今回の処理スキーム、これについての大蔵大臣としての、釈明と言ったらあれですけれども、国民にわかりやすくひとつ御説明をいただきたい。簡潔で結構ですのでお願いします。
  60. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 政府といたしましても、また私、一人の政治家といたしましても、この住専問題の処理に巨額の税金を投入するということについては、これは非常に心の痛む問題でございます。好んでそのような公的資金の投入を図るべきものではない、こう思っております。  しかし、今日のこの事態に至りました深刻な状況をどう克服するか、そして、日本の国益と申しますか、中期的に見ました国民の利益をどう守るかということについて、政府は今、国民の皆様にこの公的資金の導入についてお願いを申し上げているわけでございます。  公的資金を投入しなければならない状況に至った責任、それから、これを投入しようとも、そのことによって債務者を放免したり、このような事態をもたらした経営責任等について、損害賠償請求権も含めて一切免責しないという立場で今後回収に努めるわけであります。責任追及を行うわけであります。そういうことを通じて、国民の皆様方にもぜひこの苦しい選択以外に方法がなかったことを御理解いただきたいと思っております。  私は、今でも、正直に申し上げて、もしこれにまさる解決の手段があり、そのことが国家、国民にとってより利益をもたらすということであれば、私はその道を選択すべきであるとは考えております。しかし、現在、国会の御審議をいただきました中でも、これにかわるべき的確な方策というものは示されていないように考えているのであります。
  61. 海野義孝

    ○海野義孝君 今の大蔵大臣の御答弁ですと、何かこの政府の案というものが最上であり、これ以外の方法はないんだということですが、これにつきましては、例えば法的な整理の道があるとかいろいろのことは国会でもこれまで論議はあったことです。私は、国会での論議とか参考人あるいは政治家の意見、こういったものの聴取によってわかったことは、それぞれの当事者の責任ということが明確にされていない、住専七社の処理になぜ六千八百五十億円もの国民の税金を投入する必要があるかということはなかなか国民の納得が得られないということであります。  私は、国民の税金をこの問題については使わないと。つまり、今回の予算案の中から、緊急金融安定化基金という形での赤字国債によってこれを充当するということはやはり削除をして、そしていわゆる住専の今後の損失の処理についてはさらに時間をかけて討議検討すべきではないかと、そのように私は思うんですけれども、大蔵大臣はその点は全く考えを変えるあれはありませんですか。
  62. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 国会では政府と国会の皆様との間で討論をすることが慣行的に許されておりませんので、私の方から申し上げにくいのでありますが、もしこのことを対策を講ぜずに、民間の問題だから民事に任せようということで放置するということは、非常に私は日本の将来のために問題があると思っております。そして、早期に解決しないとますますこの傷口が広がるだろうということについても、かなり方々の御認識が一致しているのではないかと考えております。  そういう中で、もしこの国会における御論議の中で、こういう方法があるではないか、こうすればこうなるということで、そしてその道を選択した場合の結果に責任を負っていただけるような、そういう御論議がございますならば、私は心から傾聴していろいろと考えなければならないことだとは思っております。
  63. 海野義孝

    ○海野義孝君 では、私は午後また若干時間をいただいておりますので、午前の部の最後の質問としたいと思いますけれども、今の大蔵大臣の御答弁につきましては、午後またちょっと申し上げたいと思いますが、私はこういうふうに思うんです。  今、日本のいわゆる金融システムの再構築ということにつきましては大変内外からも注目されているわけでありまして、そうした中で今回のこの住専問題の処理ということが大変関心を持って見られていると。先ほど大蔵大臣の御答弁で、こういった処理案を発表し、現在それを国会で論議を進めているということが海外からも大変注目され、また評価されていると、このようにおっしゃったわけでありますけれども、果たして私はそう言えるかどうかと。  今までの日本金融システム、金融行政というものが、私に言わせると、一九八五年秋のいわゆる円・ドル委員会後のプラザ合意、これに端を発して、そのころからいわゆる金融証券等の自由化、国際化ということが急速に進んだわけでありますけれども、今日に至るまで我が国の金融行政システムというものは、つまり護送船団方式という形で来たと。例の大和事件に対する金融行政の対応もそうでありましたし、あるいは今回の住専問題に絡むいわゆる母体行等の責任問題等につきましても、こういった事態に至ったことの根幹にはやはり護送船団方式というものが私はあったのではないか、こういったことがやはり対応をおくらせてきたと、こう思うんです。  そういう意味で、国際的ルール、つまり自己責任原則の貫徹、情報開示による市場規律の発揮、明確なルールによる高い透明性、こういったものが今世界から日本は求められているのではないか。そういう意味からしましても、今回のこの住専問題の処理ということは、まさにそういった日本の新しい金融システムが問われる重要なことではないかと、私はそう思います。  そういう意味でも、この問題は六千八百五十億円を国民に負担させなくても、ということは、私は今後もいろいろと問題がなおあると思うんです。当面のこの住専の問題、これは全体の不良債権の中でいえば小さい問題ですから、そういう意味からすれば、この問題には絶対に国民のそういったものを使ってはならない。やはり日本の新しいそういった国際ルールにのっとったようなことを政府あるいは金融行政としては断固勇気を持って私はやっていただきたい、このように思うわけです。  大蔵大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
  64. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 今、海野さんがお話しになりました金融システムや金融行政のあり方についての改革の御主張につきましては、私もほとんど同じような考え方でございます。  つまり、そのためにこの住専問題を処理して、その処理とともに、なぜこうなったかということを明確に責任追及とあわせてやることによって今のような改革の道が論ぜられる、私はこのように考えているのであります。
  65. 石川弘

    ○理事(石川弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後二時開会
  66. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、水島裕君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。
  67. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 海野義孝

    ○海野義孝君 それでは、午前に引き続きまして二、三またお聞かせいただきたいと思います。  午前中に久保大蔵大臣はこの政府案しか今考えられる最上の方法はないんだと、こういう御答弁でございましたけれども、今、衆議院の方でも一連の討論を行ってきておりますけれども、そういった中で法的な処理はどうかという話が出ております。  これは、法的な処理の問題とそれから政府のお出しになっている案とそれぞれ一長一短があろうかと思います。私は法律は専門じゃありませんけれども、法的な処理について弁護士さんとかいろいろな人の話なんかを聞いて勉強したところによりますと、この場合、破産法ないしは会社更生法適用による清算というようなやり方が考えられるかと思います。要するに、法的な処理によりますと、その債権の回収、処分、こういったものは、いわゆる第三者である管財人が決まり、そして関係者の集会にゆだねられるということで、大変内容的にはオープンであるというか、手続が透明だということ。  それから、管財人にかなり強力な債権回収権限というものが与えられているということでして、今、マル暴の問題とかいろいろなことで、いわゆる担保に対して短期で賃借権を設定するとかいろいろなことが行われますけれども、この管財人によって債権回収の妨害行為の排除、こういったものを強力に行うというようなことが言われているわけでございます。  そういう面で、この政府の案では最長十五年かけてやるということでして、この十五年という間には予想できないいろいろな問題が起こってくるんじゃないかということで、その辺が私はやや難点があると思います。では、おまえの言う法的処理なら十五年よりもっと短くてどうだということになりますと、これはいろいろなところによればかなり短期間に、十五年というような期間を要しないということが言われます。要するに、今新聞等でも言われておりますが、毎日のように地価は動いております。動いておるというのは下の方に順調に動いているようであります。  そういった中で、例えばここのところの新聞の報道でも、大蔵大臣お話等でも、現在の第一次処理の六兆四千百億円につきましても、大変これは流動的だということで、場合によったら、民間金融機関から出す一兆円の金融安定化基金、この中から振り向けるとか、いろいろなことで大変スキーム自体が揺れているというか流動的だと、こういうことがあります。この点は、現在の政府案によりますと、最終的に一体どれだけ財政資金の投入が必要かということが大変明確でない。こういった点がやっぱり国民の納得が得られない面が一つあると思うんです。  それからもう一点は、いわゆる住専処理機構というか、民間の株式会社機構で債権処理会社をつくるということでありますけれども、これについては、要するに民間の金融機関と日銀で各千億出資、そして金融界からは一兆円集める、そういった金融安定化拠出基金。これは既に第一次の部分につきましても損失が拡大しそうだということで、それに一千億ぐらい振り向けるんじゃないかというようなことも報道されていますが、ちょっとこれ考えてみると、この債権処理会社、要するに住専会社から千人ぐらい人を回して、これだけで見ましても年間数十億円ぐらいの人件費がかかると。  これもやはり、回収が長期化すればそれだけ膨大な人件費がかかりますし、それからもう一つは、母体行あるいは一般行、それから系統金融機関等で各二兆二千億円前後ぐらいずつ低利で融資をされるということでありますけれども、これも、現在は史上空前といいますか超低金利でありますから、これよりさらに下がっていくということは要するに金利ゼロというようなことなんですが、どっちかということを考えますと、これから先は、十五年というように考えるとやはり金利は上がっていくんじゃないかというようなことを考えますと、この債権処理会社といいますか、一応法律通れば四月からこの会社がいよいよ稼働し始めるわけですけれども、大変なやはり負担がかかるということです。  そういうことから考えますと、今現に例の共同銀行が実質的にはもう債務超過になっているというようなことも考えると、この債権処理会社という民間会社も、場合によったら住専処理と同じようにその二の舞で、倒産するかどうかわかりませんけれども、これから国としてもまた国民としても大変な負担を背負い込むことになるんではないかと。  このことは、強いて言えば、今の構造的な不況というものをやはり長引かせることになる、あるいは土地の流動化がおくれることになる、国民に対してそれだけコストを強いることになる、こういったことが考えられますので、そういった点で、政府のこの債権処理のこういったシステム、これについては大蔵大臣は絶対の自信がおありになるのか、ひとつその辺お聞かせいただきたいと思います。
  69. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 非常に多岐にわたる御意見でございましたが、一番のポイントでございます債権処理機構、きちんと運営できるのかというお尋ねに関してお答えをさせていただきたいと存じます。  まず、この処理機構で処理をいたします譲り受け債権の譲り受ける際のその損失処理でございますが、六兆四千百億円。これはいろんな要素がございます。一番大きいのは土地でございますが、御指摘のように、地価の動向というのは日々動くものでございますけれども、しかしながら、私どもは、今回の損失の評価に関しましては、昨年の八月の段階で、当時最新のデータでございました路線価によりましてきちんと評価をし、現段階では最も最善の努力をさせていただいた評価額だと信じております。これは今動かす必要もございませんし、一部の報道にございましたような一千億の評価減になるというようなことは、私ども今の段階で全く考える必要のないことだと考えております。  いずれにしましても、そういうものを引き受けました後、あらゆる手段を講じましてこの損失が拡大しないように努力をするわけでございますが、住専七社、恐らくこのまま放置しておきますならばその損失額はますます拡大していくということは明らかであろうかと思います。まさに今回の処理スキームはそのようなことを防ぐために、損失が拡大しますます結果的に国民の御負担を大きくするというようなことを避けるために、最大限の努力を図るための措置であるというふうにぜひ御理解を賜りたいと信ずるところでございます。
  70. 海野義孝

    ○海野義孝君 今の銀行局長のお話と私の考えとはちょっと見解が違う。いわゆる法的処理の方が債権の回収、保全、そういった意味では早期に実施できると。ところが債権処理会社でとなれば、早くて四月以降の稼働ということでありますから、そうしますと、そういった債権の保全等についてはそれだけやはり先ずれがしていくだろうという点があります。  それはそれとしまして、時間の関係でもう一点だけ申し上げたいと思いますが、この間、衆議院の参考人の方の中で、たしか農中の理事長さんがおっしゃっておりましたけれども、時間の関係で深くは触れませんが、農中の立場、いわゆる農業系統金融機関の立場としては母体行責任ということを言っていますけれども、こういうことをおっしゃっているわけですね。法的な処理を積極的に行うという気はないけれども、母体行から法的な処理をということであれば受けて応じるというような発言をされているわけで、これは大変なことではないかというように私は思うわけです。  こういった例から考えますと、例えば住専みずからか、あるいは大株主あるいはその主要債権者、そういったところから法的な処理ということをきようにでも裁判所に申し立てるというようなことを考えた場合、そうした場合には政府のスキームというのは法的に生きているものなのか、法的な処理という方が優先するのか、その辺のところが私は大変問題ではないかなと思うわけでございます。  いずれにしましても、今回の政府案につきましては、欠陥とは申しませんけれども、なかなか国民の納得を得られない。これは単に税金を出せということだけでなくて、そこにはやはり政治不信とかあるいは今の金融行政日本のそういったものに対する不信。国民は低利で金融機関に年間六百兆ぐらいの預金等をあれしていますから、一%でも年間少なくとも六兆円ぐらい。それから、今空前の業務純益が出ているのは、これは言うまでもなく、そういった不良債権の処理のために、業務純益を上げるためにそういった超低金利を行っていると。これによりましても相当国民の所得が移転されているということが害える。  それからもう一つ、こういった不良債権のあれに対して無税償却、例えば銀行が昨年の九月中間期で三兆四千三百億円の業務純益でありますけれども、単純に倍にしても年間六、七兆円。これに対して約半分近いそういった無税償却等が行われるよということになりますと、国民にとってみれば、ここで六千八百五十億円のそういった資金を投入する、あるいはまた国民の得べかりしいわゆる財務所得というものが超低金利によって金融機関等に移転する、それから無税償却、こういったことで大変な負担を国民は背負わなくてはならないと、こういうことなんであります。  そうしたことに対して、政府としてこれに対する代償があるのかどうか。久保大蔵大臣景気をよくすればいいんだとおっしゃっていますけれども、そういうことでなくて、ここでこうした六千八百五十億ないしはそのほかの、今申し上げたような負担を強いられる、これに対して十分納得できる政府の代償というか、そういう国民に対するメリットを与えるものがあるならば、国民はこれに対して理解を少しでも高めることは可能ではないか、こういうふうに思うんですけれども、その辺につきまして、大蔵大臣ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  71. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 六千八百五十億円の代償あるいは国民に与えるメリットということでございますが、私どもは、もし今回の措置がとられずこの問題が先送りをされた場合のデメリットということをもってそれにお答えできるのではないかとも考えるわけでございますけれども、もしこの問題が今の時点で解決されず先延ばしをされるということになりますと、恐らく我が国の金融システムに対しては内外から相当な不安が呼び起こされることになるのではないかと思います。  そして、この総額十三兆円の住専をめぐります債権債務関係が確定をしないことによりまして、数多くの金融機関の中には、とりわけ弱い立場にある金融機関の中には、利用者の側から不安感を持たれて、その結果として破綻に至るというような可能性も否定できないんではなかろうかと。その場合には、ひいては預金者が迷惑をこうむるということになり、預金者保護に遺憾な点を生ずるということになりますならば、これは大変に国民に御迷惑をかけることになる。しかも、この金融システムというものは、一カ所にほころびが生じますと、一波が万波を呼びましてシステム全体に波及するおそれがあるということは、過去の事例にかんがみましても十分考慮しておかなければいけないことかと存じます。  私どもといたしましては、そのようなことを生ずることのないよう一日も早く手当てを講じなければいけないということが、この六千八百五十億円をお許しいただく、お願いをするその代償だというふうに考えておる次第でございます。
  72. 海野義孝

    ○海野義孝君 時間になりましたから、最後に一言。  今の御答弁、大変懇切にお話しになりましたけれども、やはり国民は十分にはこれで納得できない。定量的な面、定性的な面というような面での今のお話の立て分けが十分にはできない、こういうふうに思います。  いずれにしましても、政府としましては、今回の問題は今後の不良債権処理の場合の重要な問題でありますので、私は、ここではこれ以上の政府あるいは大蔵行政としては努力を重ねていただいて、やはり責任者間で決着をつける、そういったスキームにぜひともしていただきたい。国民にこの段階では断じて負担をかけるべきではない、このように申し上げて私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  73. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。  前回の当委員会で久保大蔵大臣から所信の表明がありました。改めて私、全文を読ませていただいたんですけれども、その中から五行ほどちょっと引用させていただきたいと思います。  今後の財政運営においては、容易ならざる財政事情を厳しく受けとめ、できるだけ速やかに健全な財政体質を作り上げていくことが基本的課題であります。そのためには、中長期的観点から行財政が果たすべき役割や守備範囲を見直していくことが必要となりますが、その過程で国民に痛みを分かち合っていただくことをお願いせざるを得ないことも考えられます。 こう述べておられます。この文章を私読みまして、非常に大臣の真摯な態度を感じまして、敬意をあらわしたいと思うのであります。  ところが、その後すぐに審議されました平成七年度における財政収入の減少を補うための公債の発行の特例に関する法律案、これを私、財政再建の観点からもう一度見直してみますと、かなり多くの問題点がここに含まれているように思うのであります。きょうはこの問題を取り上げまして若干御質疑をお願いしてまいりたいと思います。そして、できればこの議論の中から財政改革の推進に少しでも役立っていけばと、こんなふうに思っております。  租税収入の減少による歳入不足を赤字国債で埋めていく、これは非常に私は安易な財政運営ではないかなというふうに思うわけであります。このやり方は、私はこんなふうに考えております。いわば財政運営の仕組みの中にビルトインされた財政拡大要因ではないかと、こんなふうに思っております。  このことについてちょっと御説明をさせていただきたいと思うのですけれども、ここ四、五年の予算編成を見ておりますと、まず翌年度の経済見通しをお立てになるわけですが、いつもそのときに高目の成長率を想定されるわけであります。それに基づいて税収を予測されると、どうしてもやっぱり税収の伸びが大きく出てくるわけですが、これがベースになって歳出予算が組まれていく。そうしますと、今四、五年ずつを見ていきますと、歳出予算の方も大体経済見通しでお立てになっている成長率とほぼ同じぐらいの伸びを示しているわけですね。ところが、事後的に見ると、ここ一、二年ほとんど一%以下の成長率であったわけですね。ですから、税収の方は結局平成七年度も見られますように減少を来してきているということであります。  そういたしますと、それに基づいて歳出予算が組まれておりますね。そして、今申しましたように実際の成長率はそんなに伸びていない。ですからGDPも伸びない。国民所得も伸びていない。そうしますと、今財政の規模を対GDPあるいは対国民所得で財政規模を見ますと、結局これはだんだん比率が高まっていくという状況が見られるわけであります。このことを指してビルトインされた財政拡大要因と、私こういうふうに呼ばせていただきたいわけであります。  財政規模そのものはそんなに伸びていないわけですね。伸びていないわけですけれども、今申しましたように、対GDPあるいは対国民所得で見るとその比率は高まっている。高度成長のときには財政の規模はどんどん伸びました。かなり伸びました。しかし、国民所得もあるいはGDPも伸びてくれたわけですから、その比率で見るとほぼ三十年代から四十年代にかけて、もう一度見ていただきますとわかりますけれども比率はそんなに変わっていない。ですから、今の構造というのは相対的に、すなわち対GDPとか対国民所得で見て財政規模は拡大しているわけです。  これは非常に私は問題ではないかというふうに思っておりまして、先ほども申しましたように、税収の不足分を赤字国債で補っていく、そうしますと国債の累積もふえていく、進んでいくわけであります。いわば、このビルトインされた財政拡大要因というのは財政運営では最悪のパターンではないかと、こんなふうに思っております。  ですから、これは早く是正していかなければならないと思いますけれども、今申し上げましたことについて大蔵大臣何かコメントがございましたらいただきたいと思います。
  74. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今先生が御指摘されましたように、一般会計の歳出総額の対GDP比ということで見てまいりますと、昭和三十年代から四十年代の半ばごろまではずっと一〇%から一一%台で推移してきているわけです。その後徐々に増加いたしまして、昭和五十六年度あたりに約一八%、ここらあたりがピークでございます。ピークを迎えたところでございますが、以後、懸命の財政改革の努力の成果もあったかと思いますが、その比率は低下をたどっております。近年は一五、六%台ということで推移してきているわけでございますが、八年度は今のところ一般会計歳出のGDP比は一五・一%という見込みでございます。  おっしゃいますように、三十年代、四十年代に比べますと、その意味では水準は上がっているということは言えるかと思います。
  75. 牛嶋正

    牛嶋正君 それで、ビルトインされた財政拡大要因を私なりにどういうふうにすれば取り除くことができるのかということを考えていきたいと思っておりますが、一つは、やっぱり予算編成における税収予測の方法を見直す必要があるのではないか。そしてもっと精度の高い税収予測をする必要があるというふうに思います。それからもう一つは、租税収入の減少が出てきた場合、安易に借り入れでそれを埋めるのではなくて、もっとほかの方法を考えていかなければならないのではないか。この二点について順次御質問をしてまいりたいと思います。  最初の質問は、これはだれもがよくする質問ですけれども、なぜ税収予測をするときに翌年度の経済見通しにおきまして現実性の乏しい財政見通しを立てて、非常に高目の成長率を想定されるのかということです。この意図であります。こういう税収予測を行う場合、これの見直しができない何か大きな障害でもあるのか、そのあたりをちょっとお聞かせください。
  76. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) ただいまの御質問の御趣旨は、経済見通しを高目にしておいて、それを利用して税収を大きく見積もる手法をとっているのではないかということも含まれているかと思いますが、私ども確かに年末の予算編成の際に政府経済見通しの諸計数を使って税収見通しを立てているのは事実ではございますが、巷間言われていますように、例えばマクロのGNPとかGDPの名目成長率に弾性値を掛けてマクロで税収が幾らという計算をしているわけではございません。各税目ごとに、例えば法人税でいえば大法人はどうなるか、中小法人はどうなるかといったような積み上げをしてきております。また、その際に経済見通しの各計数を使わせてはいただいております。したがって、全く無関係ではございませんが、経済見通しの数字が大きいがゆえに、それがダイレクトに出て税収を大きくする方向で利用しているということにはなっていないと思っております。  いずれにしましても、このところ、バブルの生成、崩壊という激動した経済の中で、残念ながら私ども税収見積もりにつきましては誤ってきておりますし、また、先ほどの御質問にもありましたように、金利水準の大きな変更ということが所得税に影響を与えていたり、いろいろな変動要因があることも事実でございまして、そういう実態の中で少しでも誤りの幅が小さくなるように工夫は今後ともしていきたいと思っております。
  77. 牛嶋正

    牛嶋正君 税収予測をするときに、今も御説明ありましたように成長率を勘案されていくわけですけれども、その場合に実質成長率と名目成長率がございます。多分、私は名目成長率をお使いになっているんだろう、こういうふうに思うんです。  これまでの高度成長以降の名目成長率と実質成長率の関係をたどっていきますと、大体名目成長率は実質成長率の一・五倍というふうな数字が得られると思います。もちろん年度によって若干変動はあると思いますけれども。言うならば、インフレ率というのは、これまでずっと実質成長率の約半分がインフレ率だったというふうに見ていいかと思います。我が国の経済構造というのはそういう構造であったわけですね。  ところが、バブル以降大きく経済構造が変わってきたというふうに言われておりますが、この実質成長率と名目成長率の関係を見ましてもやっぱり変わっているわけでありまして、私の計算では一・五ではなくて一・一ぐらい。ですから、かなりやっぱり経済構造というのは変わってきているなというふうに思うのであります。そういったことは、先ほど税収見込みにいろいろなマクロ的な指標をお使いになるということでございますけれども、その場合にこの実質成長率と名目成長率の関係についてどんなふうにお考えになっているのか、お聞かせください。
  78. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 税収を見積もる際に、御指摘の名目成長率と実質成長率との関係、歴史的な関係を踏まえ、将来についてどう考えるかということをどう反映させているか、あるいは関係させているかという御質問と受けとめます。  結論的に申し上げますと、先生指摘のように、まさに名目の経済活動にリンクして税法を適用しますので、その結果として税額が出てくるということからしますと、基本的には名目の成長率に着目して、経済見通しの中の名目分も使いながら税収見積もりをやっているというのが実情でございます。  最近の状況は、その名目成長率自体が低くなっているということが素直に反映して税収も低くなっているというふうに私ども見ております。したがいまして、名目と実質の乖離あるいは開差がどのぐらいあるかということは直接には影響していないとは思いますが、ただもうちょっと深く考えてみますと、私どもも税収計算するときに、例えば今度は所得税を考えますと、所得税というのは一人当たりの雇用者所得がどうなるか、それから雇用者数がどうなるかといったような分析の上で税収の計算をしております。そうしますと、雇用者数に関してはいわば実質に近い性格を持っていると思いますし、名目の方はそれに、何といいますか、物価の上昇分も上乗せされているという形で両方が活用されているのかと思います。  結論的に言いますと、経済見通しにおけるような成長率の名目、実質の開差を何かにそのまま使っているということではありませんということでございます。
  79. 牛嶋正

    牛嶋正君 ちょっとそのことをお聞きしたのは、経済見通しで見てみますと、やっぱり実質成長率と名目成長率の乖離はかなり以前と同じぐらいの乖離を設定されておりますので、それでちょっとそのお尋ねをしたわけですけれども。今おっしゃったように、いや、そんなものはストレートに用いていないんだというふうにおっしゃるならば、そのとおりだと思いますけれども、ただ税収のあれだけの落ち込み、減少を見ていくと、ここらあたりにもやっぱり税収の伸びを大きくする要因が含まれているのではないか、こんなふうに思いましてちょっとお尋ねをさせていただいたわけでございます。  何かコメントがございましたらおっしゃってください。
  80. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 政府経済見通しの名目、実質のGNPの現状についてのお尋ねということで、私ども政府経済見通しの作成に経企庁とともに当たっている者としてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、確かに今まで我が国では名目値が実質値を必ず上回るというような経済でございましたが、バブル崩壊後、具体的には平成六年ぐらいから名目と実質が逆転するといった初めての経験になりました。  こういう中での見通しというのは大変難しいものがあると思います。引き続き卸売、消費者ともに物価はむしろ前年を下回るような状態にありますので、今現状におきましては実質値の方が名目値を上回るといいますか、名目値が下回るような状況にあるというのは御指摘のとおりだと思います。
  81. 牛嶋正

    牛嶋正君 先ほど、税収見通しを立てられるときに、成長率に税収弾性値を掛けて、そんな単純な方法でやっているわけじゃないという御指摘でございましたが、我々として予算を検討するに当たりましては、やっぱり今まで説明されてまいりましたように名目成長率を考えて、税収弾性値としてはこれまで大蔵省は一・一というふうな数字を挙げておられましたから、そういったものを掛けてある程度の見通しを立てるわけであります。恐らくこの一・一というのは過去の税収弾性値の平均値をお出しになっているわけで、実際には先ほどのお話のように法人税は法人税で、また所得税は所得税で源泉分あるいは申告分を分けて、できるだけ精度を高めるための見通しを立てておられるというふうに思います。  ただ、法人税に関して申しますと、これまでも常に税収弾性値がプラスではなかったわけですね。マイナスになる。プラスのときには非常に大きな数値を示す、がしかしマイナスになる。ですから、平均いたしますと大体一・二、三というふうな数値がそこから出てくると思うんですね。そういう意味では、法人税の見通しというのは非常に難しいのではないかというふうに思います。  普通、税収弾性値を一より大きくする要因というのは、御承知のように累進課税の構造ですね。しかし、法人税の場合はもう一律課税と言ってもいいわけであります。ですから、法人税の場合の税収弾性値を決めているのはむしろ企業収益だろうと思うんですね。この企業収益は、国民所得が伸びているときでも景気後退期には減少いたします。そうしますとマイナスに出てくるということであります。  もしよろしければ、この法人税の予測、どんなふうにおやりになっているのか、ちょっともう時間がそんなにありませんから簡単で結構ですけれども、教えていただければと思います。
  82. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 先ほど御答弁申し上げたことをちょっと補足させていただいて今の御質問にお答えしたいと思いますが、委員が御指摘のように、全く私どもも弾性値を無視しているわけではなくて、例えば中期展望をお出しするときには、将来について見込みようがありませんから、過去の税収のトレンドをどう見るかというときに弾性値を使わせていただいております。  ただ、単年度ごとに弾性値を見ますとこれはぶれが大きいものですから、五年とか十年とか長い期間の税収の伸びとGNPの伸びでそれを計算いたしまして弾性値を出して利用しているということでございます。  それから、二つ目の法人税の税収見積もり、どうやっているのかということを簡単に述べよということでございます。簡単に申し上げますと、税収のかなりの部分を占める大企業につきましては、私どもできる限り個別のヒアリングをいたしまして、各企業は今期どうなるのかという予測をそれぞれ持っておられます。必ずしも回答は得られないんですが、できる限りその計数をいただいてきてそれを確保させていただいております。ただし各企業も、例えば九月ごろにヒアリングしても三月決算のときにかなり変わっているというようなこともありまして、大企業分でも、つまり一つ一つ聞いていてもずれが出てしまっている面もあります。  それから、中小につきましてはそういうことはできませんので、各種の経済指標から中小企業はどういうふうに経済活動をしているかということを見きわめます。と同時に、その足元までの実績というものがありますので、そういう実績もなるべく幅広くとらえて、その上に立って積み上げてきているということでございます。
  83. 牛嶋正

    牛嶋正君 税収に関しましてもう一つだけちょっとお尋ねしたいと思います。  所得税というのは割合税収の立てやすい税目だと思いますが、ただ源泉分と申告分がございまして、源泉分の方はいいんでしょうけれども申告分の方が問題であるというふうに思います。この源泉分と申告分の比率をずっとたどっていきますと、やっぱり若干変動がございます。そして、私の過去のデータでつかみ得た情報といたしましては、所得税の税収が伸びるときはどちらかというと申告分の割合がふえているというふうにみなすことができるんですけれども、その点について、申告分の税収見込みの立て方もあわせましてちょっと今のことについてコメントをください。
  84. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 所得税収は、御指摘のように大きく二つに分ける手法が一番オーソドックスだと思います。その一つが源泉徴収で納められる源泉所得税、それからもう一つは確定申告に基づいて納められる申告所得税でございます。  この内容が必ずしもはっきりと分け切れるわけではありませんが、粗っぽくこの二つで御説明いたしますと、源泉所得税についてはその中心が給与の税収でございます。給与の税収でも申告に回る分もありますが、そこは捨象して考えますと、御承知のようにその伸びというのはそう大きくぶれるわけではございません。したがいまして、御指摘のように安定的にその部分は出てくると。ただし、源泉の中には利子所得税なども入ってきます。この利子は、公定歩合等が動けばこれに反応して、タイミングのずれはありますけれども源泉所得税の税収を大きく動かす要因となっておりまして、昨今の源泉所得税の減少といいますか、伸び悩みというのはここに起因している面が少なくないと見ております。  一方、申告所得税の方でございますが、ここ近年の状況を振り返ってみますと、土地譲渡益に係る税収が大きく動くということで、非常にこれが見きわめにくい面でございます。  御質問は、この申告所得税が所得税全体のぶれをもたらしているだろうから、それをどうやって見積もっているのかという御質問でございます。悪戦苦闘しながら、各税務署等にもサンプリング調査といいますか、土地の動きがどうであるかというようなことを含めて調べて、私どもなりに推計しているというのが実情でございます。
  85. 牛嶋正

    牛嶋正君 お聞きいたしますとかなり税収予測というのは難しいようでございます。そうなりますと、先ほど私が申しましたビルトインされた財政拡大要因を取り除くためには、租税収入の減少が生じた場合にそれをどう埋めていくかということになってくるんではないかというふうに思います。したがって、そちらの方へちょっと議論を移させていただきたいと思います。  高度成長のときに財政配当という言葉がよく使われました、フィスカルディビデンド。税には自然増収があるわけですけれども、予算で立てられた税収の伸びを超えて、国民所得なりあるいはGDPが大きく伸びて税収が伸びていく。その予算を超えての税収の伸び、その分を財政配当というふうに呼びました。この財政配当、時にはかなり大きな額に達したわけでありまして、これをどういうふうに納税者なり国民に配当するか、分配するかということが非常に議論になったわけであります。  それで考えますと、今の税の自然増収はあるんだけれども、予算で見積もった税収が実現しないでそれを下回ってしまうということです。そうしますと、その下回った分は、先ほど申しました財政配当に対して私は財政負担と呼んでいいんではないか、フィスカルバードンと呼んでいいんではないかというふうに思うのであります。そうしますと、この財政負担をだれが負担をしていくか。ここのところで、大蔵大臣が所信で述べられました、国民に痛みもある程度求めていかなければならないのではないか、こんなふうに思うわけであります。  財政配当をどう分配するかという議論のとき、たしか三つの案がいつも議論の対象になりました。一つは減税であります。そしていま一つは、財政支出をふやして、そして公共サービスのレベルを上げる、そういう形で今の国民、納税者に還元していくという考え方。それからもう一つは、過去からの借り入れですね、国債を償還する、あるいは償還財源をそこで蓄えておくということだろうと思うんです。最初に申しました減税とそれから財政支出の増大、これはいわば現世代の納税者なり国民に対する配当の分配だと思うんです。最後の償還財源を積み立てていくというのは、これは将来世代の納税者に対する分配だと思うんです。しかし、あのとき議論は、やっぱり減税にほとんど使われたというふうに思います。やっぱり今の世代の人に配当を分配していくということ。  これと同じように考えますと、財政負担もやっぱり三通りの分け方が私あると思うんです。一つは、財政収入の減少分を増税で今の納税者にもう一度負担を求め直すということ。それからいま一つは、財政支出をカットして、そしてある程度公共サービスの水準を落として今の国民なり納税者に辛抱してもらう。それからもう一つは、ずっとやってこられた借り入れです。この前の二つというのは今の世代の人たちに負担を求める方法なんです。それに対して最後の借り入れというのは、これはちょっと将来世代に負担を求めていくということなんです。  こういったことについてどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願います。
  86. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 今委員から提起していただいている大事な問題のまたこれは一つの分析として参考にしていただけるかと思いますが、先ほど私が委員の御質問に対してお答えしました、一般会計歳出総額のGDP比が上昇してきている、それは既に上昇してきている要因自体に前の借り入れが響いてきているわけでございます。  この財政規模が膨らんだ理由といたしまして、やはり巨額の公債残高に係る国債費の増大があるわけでございます。昭和五十年に一兆円を超えまして、さらに六十年に十兆円を超えて、現在十六兆ということでございますが、この国債費の増大というものが一つ大きな要因で、今後ずっとこれが続くわけでございます。  国債費と地方交付税交付金を除きました政策的経費である一般歳出、このGDP比は五十年代に一〇%を超える水準、六十年、六十一年以降あたりで八、九%ということで来ているわけで、まさに言われましたように、結局、財源手当てを借り入れということでやっておりますと、この国債費の増ということで、これが財政を圧迫していくということが言えるかと思います。
  87. 牛嶋正

    牛嶋正君 財政配当のときに減税という手段が使われたわけですけれども、これによりまして、先ほど数値を示していただきましたように、財政の規模というのはGDPに対してそんなに増大しなかったんじゃないかと思うんです。ですから、それなりに財源が豊かであったからと言ってもいいと思いますけれども、財政運営としては、もし財政規模の拡大ということをとらえて議論するならば、非常にうまい配当の方法をとっていたんじゃないかというふうに思います。  それに対して、財政負担の場合を考えますと、やっぱり私はできるだけ将来の世代に負担を延ばすべきではない、転嫁していくべきじゃないというふうに思います。今の納税者なりあるいは国民がそれを考えていくべきだと思うんです。  その場合に、そうしますと増税かあるいは財政支出のカットかということになるわけですけれども、増税ということになりますと、財政規模はもうそのまま膨らんでいくわけですから、私が先ほど申しましたビルトインされた財政拡大要因というのは取り除かれない。  ですから、私がここで主張したいのは、こういうふうな租税収入の減少がもたらされたときに、何かそれとリンクして財政の支出の減少といいますか、いわゆる補正で減額補正というふうなものが組めないのだろうかと。むしろそういう減額補正を組むことが、大蔵大臣が所信で述べられている、やはり厳しい姿勢で臨まなければならない、そしてまた国民の痛みをやっぱり求めていかなければならない、お願いしていかなければならないということだろうと思うんですけれども、その点について大蔵大臣、ちょっとお考えありましたら。
  88. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 今、財政再建についての大変御専門の立場からの御意見を伺いまして、財政再建の道ということになりますと、お話がありましたように、そんなに幾つも方法があるわけではないと思っております。  昔から日本では入るをはかって出るを制すということが言われておりますけれども、結局、入るをはかるということになりますと、経済の問題が一つと、もう一つは税負担をどうするかという問題であろうと思っております。出るを制すということになりますと歳出のカットということになるわけでありますけれども、しかし、政府が国民生活に責任を負います分野を歳出カットということで財政的な見地からだけ縮小するというのは難しい問題も多いと思っております。  したがいまして、お話がございましたように、歳出カットについては、国民的な理解も得ながら、日本財政再建のために全体が協力して、我慢するところは我慢をするということで、将来に大きな財政の破綻やツケを残すということが今政治を担当する者の責任で行われてはならない、こう思っております。  しかし、現実には非常に厳しい状況にございます。私たちは、これをまだ時間が残されているという考え方ではなく、直ちに財政再建のための目標を設定しつつ、その内容を厳しく考えながら進めていかなければならないだろうと思っております。
  89. 牛嶋正

    牛嶋正君 今までずっと予算編成について、あるいは補正予算の組み方について見てまいりましたけれども、私、基本的にまだ高度成長、あるいは諸外国に比べてやや高目の成長率を維持してきたときの財政運営がそのまま引き継がれているんじゃないかなという気がするんです。  先ほど私は、一つの典型としてフィスカルディビデンド、財政配当というのを紹介したわけですけれども、これからはもう財政配当なんて望めない、恐らくむしろ財政負担が毎年何らかの形で出てくるというふうに私は思うんです。その場合に、平成七年度の三次の補正のようなことをやっていると、これはやっぱりいつまでたっても拡大要因というのは取り除けないわけでありまして、むしろここで発想の転換をしなければならないんではないかと。  そこで私は今のようなことを申し上げたわけであります。場合によっては公務員の定期昇給をストップする、そういうことだってやっぱり考えていかなければならない時期ではないかというふうに思っております。もちろん、国民に痛みを求めるわけでありますから、できるだけ公平にそれは分かち合わなければなりませんけれども、しかし、今ここをしのげばまた税収の伸びがあるだろうというふうな、そういう考えでこれまでの延長上で予算の運営をされるならば、私はいつまでたっても財政再建はあり得ないというふうに思う。  そういう一つの例を、この租税収入の減少をどういうふうに、それを財政負担としてみんなにどういうふうに負担してもらうかということを私は真剣に考えなければならないと。そういうところから財政再建というのは出発していくのではないか、こんなふうに思います。  最後にそのことを、私意見だけ申し上げて、何かございましたらお願いいたします。
  90. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 今お話がございましたように、国民に痛みを分かち合ってもらうということになります場合には、政治や行政の任にあります者が、その何倍ものみずからの痛みをまずみずからに課すということがなければいけないだろうと思っておりまして、今お話がございましたことは、財政再建の問題を考えてまいります場合に極めて重要なことだと考えております。
  91. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先日、山口日銀理事にはありがとうございました。きょうはこの前よりちょっと時間が多くて三十三分でございまして、また御協力をお願いいたしたいと思います。  経済運営についてでございますが、きょうは幸い経企庁の政務次官の清水さんもこっち側の方に座っていただいて聞いていただくと思うんですが、大蔵省や日銀の方にお尋ねをしてみたいと思います。  日本経済運営については、高原のハイウエーというのは高い低いありますが、この高原のハイウエーを車で走るように、何とかスムーズな経済運営がどうしてできないものだろうかと常々考えておったわけですが、結論はそのことをお尋ねするわけであります。  ちょっと冒頭変わった話になりますが、週刊朝日を読んでおりましたら、私の尊敬する司馬遼太郎さんが亡くなる前に評論家の田中さんと二人でお話をされているのが載っておりまして、司馬さんはこう言っているんですね。「バブルを見逃したのは、まぎれもなく我々全体です。一度の反省もなく今日の事態を迎えた。その大反省のために、」ここからは何をするか、こういうようなお話をされておりまして、そして、「今日の事態というのは、」「私は、太平洋戦争を起こし、負けて降伏したあの事態よりももっと深刻なのではないか、日本は再び敗戦を迎えたのではないか、そう考えています。」というような表現をされております。  太平洋戦争が終わったときに、我が国がポツダム宣言を無条件に受け入れて無条件降伏をいたしました後、GHQというか戦勝国は、どうしてああいうような無謀な日本の体制というのができたのかということを恐らく考えたんでしょう。そのときに到達したのは、日本に本当の民主主義はなかったと。軍部の独走を許した、そこに本当の民主主義はなかった。そのために、問題なる財閥解体や、地方における大地主、それに対する農地改革、あるいは職場の民主化あるいは地域の民主化がないために、一方では労働組合を育成すべきじゃないか、教育の国家統制等々、これらにやっぱりメスを入れなきゃ日本の本当の民主主義というのは育たないのではないか、こういうことになって今日、戦後の骨組みができ上がってきたと思うんです。  そういう意味では、今回のバブルというのはやっぱり我々にも責任があるし、だれがどうこうじゃなくて、なぜ一体ああいうようなバブルが、それは世界のどこもバブルだったと言えばそうなんですが、しかし、日本は異常な形でバブルが形成をされていったのか、どうしてそれを拒み得なかったのか、私はその点について非常に残念でならないのであります。  そういう点で、一つは大蔵省、不動産融資の総量規制をもうちょっと前に、九〇年三月二十三日にやった総量規制を少なくとももう一年半か二年前ぐらいからどうして気がつかなかったのか、なぜかというのをひとつ皆さんのお考えを伺いたい。  それから、証券局の関係になるのか、営業特金の規制証券局長通達というのが九一年七月に出されておりますが、もっと二、三年前にこういうものがどうして出されなかったのか、そういう点が非常に今反省されるところであります。  それから、日本銀行さんには、あのような金融緩和状況、そして二・五%の公定歩合を非常に長く維持しておったという金融緩和状況を、もっと早目に規制をかけるような見通しと決断がつかなかったのか、このことについて関係者からお聞きしたいと思います。
  92. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、それでは私の方から総量規制の問題についてお答えをさせていただきたいと存じます。  土地関連融資の自粛につきましては、バブルが始まりました六十一年ころから累次にわたって土地融資の自粛ということについては金融界にお願いをしてきたわけでございますが、なかなかその効果が浸透いたしませんで、平成二年三月に至りまして御指摘のいわゆる総量規制通達を発したわけでございます。  もっと早くなぜこの強い措置をとらなかったかという御指摘はまことにごもっともなことでございますが、当時、一方におきまして金融の自由化、規制緩和ということが進行しておりました。金融行政の一つの考え方として、当時の意識としてはできるだけ金融機関の経営の自主性にゆだねるべきであるというような考え方が非常に根強くございまして、そういう見地から余り直接的な規制というものを避けた方がいいのではないかというような考え方があったのは事実でございます。  しかしながら、振り返ってみますと、そもそもあのバブルの時期というのはまことに異常な時期であった、決して通常の事態ではなかったわけでございますので、そのような事態の異常さとの関連におきましてこのような措置をもっと早くとっておくべきだったかどうかという点は、私どもも今後の教訓にすべき点ではなかろうかと考えているところでございます。
  93. 山口泰

    参考人山口泰君) 御指摘をいただきました、日本銀行金融政策の転換がなぜもう少し早目に行われなかったのかということにつきましてお答えさせていただきます。  私ども、バブルの原因というのは実は相当複雑ではないかと思っておりますけれども、前回の場合、長期にわたる金融緩和が一つの原因であったということは否定できないと思っております。  そこで、なぜ当時金融緩和が長期化したのかということをごくかいつまんで申し上げますと、第一は、当時の金融政策の運営が、何といいましても為替相場の安定あるいは対外不均衡の是正というようなことに相当ウエートを置きながら運営されておりまして、これらのいわば当時の国家的な目標を達成していきます上で金融政策に対する負担といいますか、期待といいますか、それが非常に大きくなっていたということがあろうかと思います。  第二に、いわばそういう国家的な目標の達成を意識いたします余り、資産価額の急激な上昇あるいは通貨の量、マネーサプライでございますが、これらが相当ふえているというような金融緩和の実情なり金融緩和の副作用といったものに対する配慮、目配りというものが必ずしも十分ではなかったというふうに考えております。  そして、今第二に申し上げたことと関連いたしますが、第三に、資産価額というもの、特に土地の値段があれほど大幅、急速に上昇いたします場合に、それがいずれは銀行の問題、金融システムの問題にはね返ってこざるを得ないということについて理解が必ずしも行き届いていなかったというような点が、当時を振り返りました幾つかの基本的な反省点でございます。  こういったことを今後の政策運営に十分生かしてまいりたいと思っております。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、通告していなかったかな、営業特金の規制の問題もちょっと今お願いしたんですけれども。  日銀の山口理事、国家的な要請というか、内需拡大と貿易の均衡、こういうことにこたえるために日銀の判断が少しずれたという今のお話ですが、そこは、政策当局というか、金融の総元締めのところはやはりそういうときでも冷静に判断をして、ドイツの連銀、ここらと日銀のあり方、ありようの違いというのはよく比較されるんですけれども、なぜそこはきちっと独立した形で、そういうことはあったとしても、それは国家要請といっても、マスコミが言っているし、一部財界が言う、あるいは政治家も言う人もおる。そういう状況が本当にすべての国家の要請であるかどうか、国家的課題であるかどうかというのはこれはまた問題でありまして、だからそこらで政策が振られるというのはなぜかというのをちょっとお聞きしたいんです。
  95. 山口泰

    参考人山口泰君) 当時を振り返ってみますと、金融政策の運営が為替相場の安定なり対外不均衡の是正といったものになぜ大きなウエートをかけていたのかという点でございますけれども、当時といたしましては、例えば為替相場の安定というものが日本経済をいわゆる円高不況という大きなショックから立ち直らせるために必要なことであるという、当時としてのぎりぎりの判断というものがあったんだろうと思います。  私どもが今日の時点から当時の状況を総合的に振り返ってみますと、そういう相場の安定なり対外不均衡の是正というものを意識しながら金融政策を運営しているその間にありましても、金融緩和の結果といたしまして通貨の供給が大幅にふえるとか、あるいはそのこともありまして資産価額が大幅に上昇するということが同時進行的に起きていたわけでございます。  委員が冒頭おっしゃいましたように、経済というものをハイウエーの上をなだらかに走っていくように誘導していくためには、そういう経済情勢が、全体として見た場合に、中長期的な安定成長の軌道にうまくつながっていくのかどうかという点の判断が非常に重要であったんだろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、資産価額高騰なりマネーサプライ急増なり、そういうものが非常に長い目で見ますと日本経済の安定的な、バランスのとれた成長にとって問題が多いという状況、ここについての理解の仕方が必ずしも十分ではなかったのではないかということを申し上げたいと存じます。  したがいまして、このことを少し前向きにとらえて申し上げますと、金融政策の運営というのは、御指摘のとおり、国民経済のインフレなき持続的成長といいますか、そういうことの目的のために主として使ってまいりたいと考えております。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日銀にはまた後からお尋ねします。  西村局長から先ほどお話がありましたが、大蔵省銀行の監査というのをずっとやっているでしょう。そのときに現場の人たちというのは、あの大手の銀行がノンバンクを通じて不動産に行く、あるいは住専もそうですけれども、みずからまたどんどん貸していく、そういう状況というのは早目に把握できていたんじゃないか。だから、それに対して、いろいろな事情はあるけれども、なぜそこで手が打てなかったのか、打てないのか、そこのところの問題なんですね。これはまた同じようなことが二十年後ぐらいに来れば、このままなら恐らくやるでしょう。だから、どこに一体組織的に問題があるのか、お聞かせ願いたいんです。
  97. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、今回のバブルの過程を通じまして、金融行動として一つの大きな特徴はノンバンクというものの活動でございました。このノンバンクというものが金融機関の活動の波を非常に大きくし、それが今日のバブルの崩壊の過程において大きな後遺症を残しておるということは、いわゆる住専問題も一種のノンバンクとして言えることかと存じます。  そこで、そのノンバンクにつきましては、実は五年ほど前、まだこれほどバブルの崩壊が明らかになっていなかった、ノンバンクの活動が非常に活発だった時期でございますが、ノンバンク研究会というような場を設けましてこの問題を大蔵省検討したことがございます。  非常に多岐にわたる検討でございましたが、一つ印象に残っておりますことを申し上げますと、このとき、果たして金融上の規制というものを、今現在、日本では預金の受け入れ、預金を受け入れるからその金融機関はコントロールをしなければいけない、それは預金者保護のために必要なことなのだという考え方基本になっているわけでございます。したがって、ノンバンクのように、預金は受け入れないがお金を貸し出すというような金融機関については非常に目配りがなされていないというのが今の日本金融制度でございます。ところが、フランスとかスイスの金融制度を見ますと、お金を預け入れるというところではなくて、お金を貸し出すというところに着目いたしまして金融機関のコントロールというものがなされているということがございます。  そこで、当時、果たして日本の場合に、金融機関の行動をコントロールする場合、預金を受け入れるというところに着目すべきなのか、お金を貸し出すというところに着目すべきなのかということに非常に大きな関心が集まりました。当時の議論といたしましては、やはり預金の受け入れということに中心的な課題を置くべきであろうということになったわけでございます。しかし今日、ノンバンク、住専問題がこのような様相を見せます場合、お金を貸すという行動についての社会的な規範というものがどうあるべきかということも非常に大きな課題であるなということを思い起こさざるを得ないと感じております。
  98. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 司馬遼太郎流に言いますと、これは戦争に負けたと。東京裁判がいいか悪いかは別として、結果的には軍事裁判にかけられたんですよね。だから、私はあなた方をどうこうというわけではないけれども、これはこうこうこうだったからこうだったんだよということでは、なかなかやっぱり今後のことを考えると済まない。しかし、これはできた、これはできないと。なぜできなかったのかと。今後こういうことはもうやらないようにするためにはこうするんだというところが本当にこれから聞きたいし、時間もありませんから、予算委員会等でまた機会があると思います。  それから、日銀と大蔵省の関係ですが、私もまだ勉強不足でよくわからないし、もっと勉強しておけばよかったなと思っておるんですが、要するに日銀は独立をしている、自主性がある、こういうことをいつも聞いてはおりますが、先ほどからの山口理事さんのお話では、いろいろとその当時の世論とかあるいは政治情勢で動かされているというような感じを受けましたが、大蔵省を通じての影響も一体どの辺まであるのか。そういうことは言いにくいと思いますが、いや大丈夫だと、日銀はどこからどう言われても左右されなくてしっかりやるよと、こう言われるのか、その辺を。
  99. 山口泰

    参考人山口泰君) 日本銀行はこれまでも、私どもなりの経済分析あるいはそれに基づいた総合的な情勢判断というものを基礎といたしまして、主体的な判断で金融政策の運営をやってきたつもりでございます。今後もそういう考えにはいささかの変化もございません。  先ほどちょっと私、国家的目標とか国是というような言葉を使って数年前の政策運営について御説明申し上げましたけれども、そういう国是あるいは国家的目標というものを日本銀行自身の判断の中で重要な要素として織り込みながら当時政策を運営していた、こういう意味でございます。
  100. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ということになりますと、やっぱりもうすべての金融政策の非常に大きな部分というのは日銀に、あなたからお話がありましたことをそのまま受けますと、要するに問題は日銀だということになりかねないんだね。  それで、日銀法というのは昭和十七年の二月二十四日施行ですか、非常に戦時体制のもとでの現行法ですけれども、これの第一条に、「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」云々と。  また、これは前から私も決算委員会や何かで大分議論したことがあるんですが、第四条なんかは「日本銀行ハ本店ヲ東京市ニ置ク」というようになっておりまして、あと、四十二条が大蔵省が監督をする、あるいは四十三条の業務の施行命令、四十四条、これは非常に大蔵省の管理監督下みたいなことが非常に強く出ているんですが、本当に今言われましたように、主体性というか、自主性で日本銀行というのはこれからも運営できるんですか。
  101. 山口泰

    参考人山口泰君) 今、現行日本銀行法の中の幾つかの条文につきましてるる御紹介がございましたけれども、御指摘のとおり昭和十七年の法律でございますから、随所に当時のいわば戦時下特有の雰囲気というものが色濃く反映された内容になっておるのは御指摘のとおりだと思っております。ただ、十三条ノ二というところ以下で政策委員会の規定というのがございまして、これは昭和二十四年の改正で後から追加された条項でございますけれども、戦後、政策委員会制度というものが導入されまして、そこで金利政策を決めるということが書かれております。  したがいまして、先ほど私が申し上げましたような、日本銀行の独自の判断によりまして主体的に政策を運営してまいるということもこのあたりに根拠を置いた形になっているということでございます。  当然のことながら、私どもとしましては、バブルの経験のみならず、これまでの金融政策の運営の歴史というものを全体的に踏まえまして、私どもの政策目標でございます物価の安定、あるいはそれと両立するインフレのない経済成長というもののために今全力を挙げて政策を運営してまいりたいと、こういうふうにかたい決意を持って臨んでおるつもりでございます。
  102. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 政策委員会のことも承知しておりますが、御承知のように、政策委員の任命に当たりましても、農業部門で詳しいのは農林省のOBが入られ、人選についてもそういうような形で、私は、それは言われるように本当に十分な機能を果たしているかどうかというのは、はいそうですかとはなかなか言いにくい。  それは別として、しかし、第一次オイルショックにしても、あのインフレにしても、今回にしても、やっぱりああいう異常な形でよそよりももっとずっと大きな波をかぶる、その後は今度は急ブレーキを踏む、そういう形のあり方を、これは大蔵大臣、そのとき言い逃れりゃそれで済むという問題じゃない。もう一回よくここは反省をしていただいて、我々も反省をして、あるべき日銀の姿というのは皆さんが答弁されているようなものではないと。西ドイツの連銀あたりと比較をしてみると、非常に私はやっぱりそういう意味では不十分だと、心配がありますから、答弁は要りませんが、検討していただきたいと思います。  それから、これも答弁はしにくいと思うんですが、東京の二信組とかコスモとかあるいは兵銀とかどんどんつぶれていったときに、私は昔労働組合の役員をやりながら、労使協議会とかいうものがありまして、団体交渉や協議会で、そういうように経営者が異常な状態に走るときには、これはおかしいじゃないかと。労働組合は元来労働条件の維持向上だけが仕事だと言う人もおるけれども、結局つぶれたり、あるいは今回の住専のような形になると、これは非常に多量の人が解雇されるし、あるいは労働条件も、もう皆さんから今銀行は高い高いと、こう言われて袋だたきに遭っているような状況。だから、労働組合自体も私は、ああいうところで経営がおかしい方向に行ったら、労使協議会か何かで、これは頭取おかしいと、そういうような姿というのを本当はとってほしかった。  つい最近、大手の銀行の労働組合というか従業員組合の人たちとちょっと電話で、あなたたち、一体こういうようにどんどん不動産にお金を貸す過程の中で労働組合は経営については何も言わなかったのかと、こう言ったら、いえそれはもう私たちは賃金、労働条件、これに関すること以外は何も言いませんということですから、非常にそういう意味でも残念です。もう時間が来ましたからやめますが、ひとつ銀行局の方も大蔵省の方もその辺は関心を持ってください。  以上で終わります。
  103. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 財政問題でまず大臣にお伺いしますけれども、大蔵省財政危機ということを強調し続けておられます。問題は、それをどういう危機かという、認識かという問題です。  私は、現在の財政危機というのは、七〇年代後半から八〇年代前半まで二次にわたる石油危機後十年近く続いた第一次財政危機に続く第二次財政危機を迎えようとしていると、そういうふうに思っているところです。特に、歳出構造という点を見ますと、我が国の歳出構造というのは八〇年代後半から国債費が首位を占めていると。それ以前、七〇年代は社会保障関係費が長い間首位を占め、次いで地方財政費、公共事業費と続いて、まあ国債費は五位ぐらいというところにあったんですが、それが国債費が首位を占めるようになってきたと。これはどこからどう見ても、まともなどころか大変な問題だと思います。こういうことを含めて、現在の財政危機をどのように位置づけて認識しておられるかということをお伺いします。
  104. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 今お話ございました政府財政危機状況に関する国民の皆さんへの発表は、昨年十一月に前大蔵大臣によって行われたのでありますが、これは九月末時点までの税収の状況が明らかになったことを受けて、大変厳しい税収動向等により平成八年度の財政事情は容易でないということで、八年度の予算編成に向けて国民の皆さんに実情を公開するとともに理解と協力を求めると、こういうことで発表されたものが一般には財政危機宣言と言われているものだと思っております。  このことは、八年度の予算編成に当たりましては、編成いたします考え方のベースになったものだと思っておりまして、歳出削減等について従来にも増して十分な検討が行われたものと思っております。しかし、財政危機の状況はなお八年度の予算を通じて厳しさを増す状況にございます。そういう中で、財政再建の道は今後、歳出、歳入両面にわたって厳しく見直しが行われなければならないものと考えております。
  105. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どうしてこういう財政危機に立ち至ったか。これは単純でなくいろいろな側面から見ていかなくちゃならない問題はあると思いますけれども、例えば財政審の建議を見ましても、その原因としてまず挙げているのはバブル崩壊後の景気の下支えということですね。つまり、景気対策と称して膨大な公共事業費を中心とする歳出、これに伴って公債発行を続ける、こういう結果が今のような財政危機を生み出してきたということを私どもは繰り返し言ってきた問題であります。  こういう財政運営の結果、我が国の財政というのは諸外国に比べて国、地方をあわせた歳出の特徴があらわれていると思います。それは、最終消費支出の割合が少なく、投資支出の割合が高くなっていることであります。一般政府財政支出において政府最終消費支出が占める比率というのは、日本は二七・九%に対してアメリカは四七・七%、イギリスは五〇・四%となっていますね。まあ六割ですか、半分よりはちょっと多いわけですけれども。こういうわけで消費支出というのは非常に低い。一方、一般固定資本形成が占める比率というのは、日本は一九・三%、アメリカは四・八%、イギリスは四・八%というふうにこれは非常に高い。  しかも、その中身ですが、公共投資の中身としてもいろいろな問題がある。自治省の行政投資実績によりますと、我が国の公共投資は産業基盤整備が半分ぐらい、そういうところに重点が置かれていると。生活基盤整備というのは二割程度というような状況になっていますね。こういう状況というのをどのようにお考えになるか、まずその認識をお伺いいたします。
  106. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 先ほどこのような財政危機の状況に立ち至った原因についてもお話がございましたけれども、この前、私、G7に参りましたときにG7各国のお話もいろいろと承りました。今やっぱり一番大きな問題は、それぞれの国において財政赤字をどうするかという問題があるなということを直接そういう話を聞きながら痛感をいたしたところであります。  我が国におきましても、今お話がございました経済の下支えということで多額の支出を必要としたということだけではなく、各国に共通いたしております成長率の問題、それから高齢社会の到来、特に日本の場合には高齢化社会が急速に進展しているということもございます。また、社会保障分野における立ちおくれを政府の役割として進めなければならないということもございました。  また、今公共事業の関係でお話がございましたけれども、我が国の場合には、今比較されました欧米諸国家に比べました場合に、社会資本の整備が大変立ちおくれていたということもその比率が高い一つの理由であろうと考えております。  しかし、そのようなことを早く克服していかなければならない課題でありますことは今、吉岡さんが指摘された問題だと思っております。
  107. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の問題もいろいろ議論したいんですが、時間がわずかですから、私がきょう一番聞きたい点に進ませてもらいます。問題は、財政危機をどう打開するかということをめぐってですけれども、私は、もう一括して幾つか項目を挙げてお伺いします。  所信で述べられている中でも触れられておりますが、今の低金利政策というのはずっと続けていかれるのか。どうお考えになっているのか。  それから、税収が五年連続前年割れという状況のもとで財政再建をやらなくちゃならない。先ほどもありましたけれども、平成八年度の予算編成にとどまらない財政危機下での財政再建問題ですから。そうしますと、どういうところに重点を置くか。  私は端的にお伺いしたいんですが、歳出の削減にポイントを置くのか。歳入増、これは税収増ということになるわけですが、そのどちらもということだろうと思いますが、どちらかといえば、今の税収が非常に落ち込んでいる状況のもとでは何に力を注ぐかという問題について。  それから、何よりも所信で述べられている、国民に痛みを分かち合っていただくことをお願いせざるを得ないという、その国民に対する痛みの中身、これは一体どういうものになるか。  それから、ついでにお伺いしておきますけれども、所信でも述べられている点ですが、法人税をめぐる諸課題とかいう表現でありますが、これは法人税の税率引き下げを引き続き検討していこうとお考えになっているのか。消費税については現段階でなお税率をさらに上げることも検討課題になっているかどうか。  大変たくさん並べましたけれども、一括してお伺いいたしておきます。
  108. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 低金利政策を続けるかどうかという問題につきましては、金利を上げるか下げるかということに関しましては日本銀行の所管でございまして、私の考えをここで申し上げる立場にございません。  しかし、低金利の状況経済景気回復のために必要だということであります限りにおいては、このことによって影響を受けます高齢者、年金生活者に対する救済のいろいろな方策が考えられなければならないということは当然であります。  それから、歳出か歳入かという問題は、これは双方から考えられなければならないことでございますけれども、財政が、歳出を削減して何とか赤字が小さくなればよいというだけでは、結局経済の伸びがなければ今度は入ってくる方が非常に狭められるわけでございますから、その辺のところは総合的に考えていかなければならない問題だと思っております。  しかし、歳出の面でも、先ほどから皆さんの御意見にもございましたように、いろいろ慣例となっているもの、そういうものについてあらゆる分野にわたって見直しを行う、そして不必要なもの、削減できるもの、こういうものについて思い切った見直しを行うということは、これは財政の面のみならず行政の立場からも必要なことであろうと思っております。  それから、痛みを分かつということは、結局国民の御負担がどうなるかという問題と、それから国民の側からぜひやってもらいたいとお考えになっていることも、財政状況によって必ずしも思うように財政支出が可能とならないというような面も、やはり後代に大きなツケを残さないという立場で御理解を願わなければならない問題が今日の財政状況の中では出てくるのではないかということで、歳出の思い切った見直し、それから例えば消費税の来年四月一日からの五%負担、こういったようなことについては国民の皆さんに痛みを分かち合ってもらうということになるのだと思っております。  法人税の問題につきましては、これは税制全体の問題として検討が加えられている問題だと思いますが、特別措置が行われているような問題の根本的な見直し等も含めながら、課税ベースの問題と税率の問題とをあわせて検討しなければならない問題であろうかと思っております。  消費税につきましては、平成六年十一月の税制改正によりまして、来年四月一日から五%とすることを国会の議決によって既に法定化されてございます。この消費税の五%をさらに上積みするかどうかという問題につきましては、先ほど衆議院本会議でも御質問がございました。  この法改正、税制改正のときに検討事項となっております立場からは、今種々の検討が加えられておりますが、この五%をさらにアップするということは非常に難しい問題だと私は思っております。消費税は、九年の四月一日、法定されております五%で実施されることとあわせて、今検討条項による検討状況というものをしばらく見てみたい、このように考えているところでございます。
  109. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  110. 山口哲夫

    山口哲夫君 財政の再建に関する基本的な考え方についてお聞きしておきたいと思います。  たしか昭和六十三年ころだったと思いますけれども、日米構造協議がありまして、日本側からはアメリカに対して当時双子の赤字を相当追及いたしたと思います。特にアメリカ財政の赤字というものが非常にひどい、これを何としても克服するべきだというのが日本側の主張であったと思うわけです。当時、三年ほど前からアメリカでは財政再建に関する法律を持っておりまして、それなりに努力をして、その後三回ほど法律の改正等を行ってまいったわけです。  その結果、どういうふうになったかといえば、平成七年十二月十二日に財政制度審議会で出された報告を見ておりますと、その資料によりますと、国及び地方の財政収支の対GDP比、これの数字を見ておりますと、アメリカは一九九二年にGDPに比較いたしまして赤字が四・三%、それが年々減少いたしまして、九六年には二・〇%まで減少してまいりました。  ところが、日本はどうかというと、九二年には黒字で下五%が、年々今度は赤字に転落をして九六年には四・二%になる。ちょうどここ数年の間にアメリカの赤字財政日本財政というのは全く逆転をしてしまった。あれほど日本アメリカに対して財政赤字を克服しなければだめだと言っていたのにかかわらず、その日本が逆に財政赤字に転落をする、こういうような実態になってきたわけであります。  ですから、この報告の中でもこういうふうに書いてありますが、「我が国の国及び地方の財政収支赤字の対GDP比は、従来最下位だったイタリアをも超え、一九九六年には先進七カ国中最下位にまで転落する見込みであり、公債依存度も平成七年度で二五・五%と主要先進国中極めて高い水準となっている。」そして、「累積赤字は本年末には対GDP比八八・九%に達するものと見込まれており、主要先進五カ国中最悪の水準となる。」、日本の赤字財政というのはこういうふうに大変なところまで来ていると思うわけでございます。  アメリカがなぜここまで財政の克服をできたかといえば、先ほど申しましたように、財政改革法案を一九八五年に成立をさせて、その後も三度にわたって改正を行ってきた。そういう法律的な効果というのが非常に大きかったと思うわけです。  そういう点で大臣にお聞きしたいんですけれども、日本財政再建を根本的に改めて考え直していくためには、我が国においても財政再建のための法律をこの際考えるべき時期ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。大臣の御意見を何か。
  111. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 御質問のアメリカ財政再建法という手法についてまずお答えさせていただきます。  今、委員が言われましたように、財政再建法のような手法がアメリカ等で……
  112. 山口哲夫

    山口哲夫君 中身は知っているので、日本で法律をつくる意思があるのかどうかということを聞いているんです。
  113. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) その場合に、アメリカでは形式的な中期的な財政運営の目標を定めるだけではなくて、あわせて実質的な歳出カットもいかに行うかについて議論をして、そしてその成果を集約して、例えば医療保険の削減のような個別の歳出の削減策とか、歳入増加策を盛り込んだ法律であるということは一つ御留意していただく必要があるわけでございます。  これからいろいろ財政健全化のための新たな目標と実現に向けた方策について幅広い議論をしていただくときに、やはり今委員が言われましたように、まさに健全化に極めて重要な政策課題として取り組んでいるわけでございますので、そういう具体的な取り組みや手法も参考にしながら検討していただくということになるかと思います。
  114. 山口哲夫

    山口哲夫君 アメリカの包括的財政調整法、中身は知っています。そういう中身を持ちながら日本でもやっぱり考えるべきときではないんですかと。単なる財政見通しを出すだけでは、これだけ極端なところまで赤字財政になっている日本財政を立て直すことはできない。だから、やっぱり大臣としてしっかりきちっと財政再建のための法律をつくるべきだと、私はそう考えるんです。それについての決意のほどをお聞きしたいと思うわけです。
  115. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 確かに、今政府として、山口さんが言われましたようなことについても検討をしなければならないと思いますが、せっかく財政制度審議会にも特別部会を設けて検討をお願いいたしております。また与党におかれても、与党三党によります財政再建の検討の場をおつくりになって検討をされることとなっております。国会でも皆様方にこうして財政再建の問題について御審議をいただいておりますので、これらのそれぞれの立場からの御意見を十分に伺った上、できるだけ速やかに財政再建に向けての政府考え方を取りまとめたいと思っております。
  116. 山口哲夫

    山口哲夫君 残念ながら財政審議会でもそういう立法化のことまでは触れられていないわけですね。  それで、政府の方で財政の中期展望というのを出している。これはことしの一月に出したんですけれども、これを読んでみますと全く単なる展望にすぎないわけです。ですから、歳入についても、これは税制の八年度の改正を中心にして、それがどういうふうに影響を来すかという計算だけですね。歳出の方も、これはやっぱり八年度の予算、制度というものを前提にして組んでいるだけにすぎない。  ですから、結局は平成九年度においても十三兆円から、そして十一年には十四兆四千億の赤字になるわけです。大蔵省として単なる展望を出すのは、これは計算上出てくるんですけれども、アメリカの法律のように、それでは一体歳出を、五カ年でどのぐらいの赤字になるんだから、これをどうしてもなくするためには歳入でどこをふやすのか。  例えば、これは九三年のOBRAというんですか、日本語で言えば包括財政調整法ですけれども、ここでは五年間で四千九百六十億ドルの財政赤字削減効果というものをきちっとあらわしているわけです。それには歳入増加を五年間で二千四百十億ドルやるんだと、その中心になるものは、高額所得者に対する所得税率の引き上げを五年間でもって千百五十億ドルをやる。これを立法化しているわけですね。そして、そのほか細かいのもあります。歳出の面では、これはメディケアの削減、五年間で五百六十億ドル、それから国防費の削減に至っては五年間で千百十億ドルも減らすということを法律で決めているわけです。  ですから、このくらいの決意を持ってやらなければ、日本財政というのはだんだん赤字財政になって、結局は財政がもう完全に崩壊してしまうんではないだろうか。そのツケは最後は結局は全部国民に来るわけですから、やっぱり大蔵省としてアメリカのような財政再建に対するしっかりした考え方というものを法律でもってあらわすだけのことを考えるべきだと私は思うんです。  ですから、いろんな意見を聞いてやるというのもそれは結構です。しかし、まあそう言ってはなんですけれども、アメリカの場合には四年間大統領はずっと続けられるし、あるいは上下両院だってほとんど解散なしにやっている。ですから、長期の中でそれだけアメリカ財政に対して本当に真剣に考えているけれども、日本の場合には内閣がしょっちゅうかわるものですから、そのときそのとき予算さえ組んでいればそれで済んでしまうというような、赤字をどう解決するかという長期的な責任というか、そういうものがどうも見受けられないと思うんです。  久保さん、社会党のシャドーキャビネットの大蔵大臣をやられて、そして今我が国の大大蔵大臣なんですから、やっぱり私は久保大蔵大臣のときにこそ、日本のこれからの財政赤字は五年間でこれだけは解消しなければ大変なことになる、したがってこのぐらいの法律は考えていくんだという、そのくらいの決意でもって私はやっていただきたいし、期待しているんですが、どうですか。
  117. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 今、大蔵省として、まあ政府と申してもよいのでありましょうか、取り組まなければならない重要なテーマは、財政金融両面にわたって大変危機的な状況がございますことを、これを単なるその場限りのびほう策ではなくて根本的に是正し再建していく努力が求められると思っております。  皆様方の御協力をいただきながら全力を尽くしたいと思っております。
  118. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ立法化についてもお考えをいただきたいと思います。  それから、もう一つ具体的な問題で。これも大蔵大臣、シャドーキャビネット委員会の大蔵委員長社会党の大蔵大臣、そのときの方針なんですけれども、「赤字国債の再発行を回避する必要がある。」というふうに書いています。しかし残念ながら、これはまたついこの間一兆九千億出してしまったんですけれども、これはもう終わったことですから問いませんけれども、その下の方に「貸倒引当金の非課税限度率の圧縮、特別措置の整理等、」というふうに書いているわけですね。それで、具体的に数字を見ますと、そういったもので四千五百億円ほどの収入を得なければならない、こんなふうに書いております。  そこで、引当金の中で一番大きいものは何かと思ったら、これは退職引当金ですね。現在、残高が何と十三兆七千五百七十億ですね。それで、どのぐらいこの退職引当金を使っているのかと見ておりましたら、期末残高に対して目的使用というのは、これは日本の大手企業十数社ですけれども、八・一%しか使っていない。ですから、退職引当金制度というものが意外にそんなにたくさん使われていない。したがって残高ばかりふえるわけですね。私は、せめてこの半分くらいには法人税をかけるような立法化をしてみたらどうだろうかと思うんです。それが一つです。  それからもう一つは、現在たしか四〇%の従業員がやめてもいいように退職金を積み立てることができる。これは四〇%なんかやめていないですね、ほとんど。ですから八%しか使われていないわけでして、そういうことからいえば二〇%程度に、これは大臣社会党の大蔵大臣のころに主張していたことですけれども、やはり現在よりも半分くらい、五〇%くらいは圧縮するべきだ。そういうことによって少しでも財源を生み出すというお考えについていかがですか。
  119. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 技術的な面について最初に答弁させていただきます。  引当金の中には貸倒引当金あるいは退職給与引当金といったものがございまして、当時の社会党の御主張は貸倒引当金を縮減するということであって、退職給与につきましては、雇用者の退職金を保全するという意味でこれは必要であると御主張されていたと認識しております。  それから、四〇%がやめる計算というように御指摘ございましたが、現在の制度の趣旨は、在籍年数が各職員どのぐらいかということから、現在価値に逆算したときにまあ四割ではないかということで、昭和五十五年以降、実情に合わせてそうしております。したがって、こういう実態が変わってくるならば手当ての必要があろうと思います。  加えまして、先ほども御質問ありましたが、法人税につきましては基本的に課税ベースの議論はしないといけないと思いますので、そういう意味では、委員指摘のようにこの引当金も検討の対象にはしていきたいと思います。  ただし、これを財源の面からばっさり切るというのは、こういう引当金制度が存在している理由からしますと問題が多いと私は考えます。
  120. 久保亘

    ○国務大臣(久保亘君) 政党としてはそれぞれに税制の問題につきましても主張がございます。今、連立政権でございますから、連立を構成いたします政党間において政策調整会議が持たれておりまして、それぞれの分野で、税制につきましても三党の税制調査会がございます。それらにおいて、それぞれの党の主張も基本に置きながら論議をされた上、与党としての方針が決められているものと思っております。  そういう中で、党は党としての主張を最大限に行うと、こういうことであろうかと思っております。
  121. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————