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1996-02-16 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十六日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  二月十四日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     佐藤 泰三君  二月十五日     辞任         補欠選任      佐藤 泰三君     平田 耕一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 平田 耕一君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 伊藤 基隆君                 清水 澄子君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君     国務大臣         大蔵大臣    久保  亘君     政府委員         大蔵政務次官  山崎 正昭君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房参         事官         兼内閣審議官  河上 信彦君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君     事務局側         常任委員会専門         員       小林 正二君     説明員         法務省民事局参         事官      升田  純君         法務省刑事局刑         事課長     麻生 光洋君         自治省行政局選         挙部収支公開室         長       斉藤 信行君     参考人         日本銀行理事  山口  泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件) ○平成年度における租税収入減少を補うため  の公債発行特例に関する法律案内閣提出  、衆議院送付)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、鈴木政二君が委員辞任され、その補欠として佐藤泰三君が、また、昨日、佐藤泰三君が委員辞任され、その補欠として平田耕一君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成年度における租税収入減少を補うための公債発行特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 租税及び金融等に関する調査議題とし、財政及び金融等基本施策について、久保大蔵大臣から所信聴取いたします。久保大蔵大臣
  6. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力お願い申し上げます。  まず、最近の内外経済情勢について申し上げます。  我が国経済の現状を見ますと、設備投資住宅投資、生産などに明るい動きが見られ、景気には緩やかながら再び回復動きが見られ始めているところであります。  一方、世界経済は全体として拡大基調維持しております。  私は、今後の財政金融政策運営に当たり、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、以下に申し述べる諸課題全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。  第一の課題は、景気回復を一日も早く確実なものとすることであります。  政府としては、これまで経済運営には万全を期してきたところでありますが、このところの景気回復動きを確実なものとするため、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めてまいります。  八年度予算編成においても、我が国の現下の経済情勢を踏まえ、異例に厳しい財政事情のもとではありますが、公共投資の着実な推進を図るとともに、我が国経済の中長期的な安定成長に向けて、経済構造改革の実現のための措置実施することとしております。  さらに、八年度税制改正において、七年度と同規模所得税個人住民税特別減税を継続して実施するほか、土地税制証券税制等についても適切な対応を図ることとしております。  金融面では、昨年九月の公定歩合の引き下げを含めた累次にわたる金融緩和措置実施により、各種金利は依然として低い水準にあり、今後ともその効果を見守ってまいる所存であります。  最近の為替相場の動向につきましては、一連のG7蔵相中央銀行総裁会議における合意に基づいた各国協調等により、円高是正が進んできております。今後とも為替市場において関係各国と緊密に協力してまいりたいと考えております。  第二の課題は、財政改革推進であります。  我が国財政は、昭和五十年度以降十五年間にわたり多額特例公債発行を余儀なくされてきましたが、平成年度予算において特例公債発行を回避することができました。その後、バブル経済の崩壊とともに、税収減少し続けるというかってない状況となりましたが、各年度予算編成においては、何とか償還財源の手当てのない特例公債発行を回避してまいりました。  しかしながら、八年度予算編成に当たっては、税収が七年度当初予算で見込んだ水準をさらに二兆円以上も下回る見込みとなる一方、これまでのさまざまな工夫も限界に突き当たり、多額特例公債発行せざるを得ない容易ならざる事態に立ち至りました。  他方、経済情勢の変動に対しては、財政として可能な限りの対応をしてきた結果、近年公債残高は急増し、八年度末には約二百四十一兆円に達する見込みであります。単年度で見ましても、八年度予算公債発行額は二十一兆円にも上り、公債依存度は二八%と極めて高いものとなっております。  こうした事態が今後も続くようなこととなれば、高齢化の進展や国際的責任の増大など、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応することは困難となり、我が国経済社会発展にとって重大な支障となりかねません。  今後の財政運営においては、容易ならざる財政事情を厳しく受けとめ、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくことが基本的課題であります。そのためには、中長期的観点から行財政が果たすべき役割守備範囲を見直していくことが必要となりますが、その過程で国民に痛みを分かち合っていただくことをお願いせざるを得ないことも考えられます。  八年度予算は、特例公債を含む多額公債発行という財政の厳しい実情を直截にお示しする姿となりましたが、これを地ならしとして、各位の一層の御理解と御協力を仰ぎつつ、新たな財政改革への歩みを進めてまいりたいと考えております。  第三の課題は、税制上の諸課題に適切に対応することであります。  平成六年十一月に成立した税制改革関連法においては、消費税地方消費税を合わせた税率は、既に先行して実施している所得税個人住民税負担軽減とおおむね見合う形で九年四月一日から五%とすることが法定されているほか、いわゆる検討条項が盛り込まれております。今後、本年九月末という法律上の期限を勘案して、この税率について新たに法改正を要するかどうか検討を進めていく必要があります。さらに、法人課税などの諸課題についても、その検討に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  第四の課題は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済発展への貢献に努めることであります。  我が国としては、世界経済のインフレなき持続的成長強化を目指して、G7蔵相中央銀行総裁会議等を通じた政策協調を進めてまいります。また、我が国は、WTO、APEC等の場を通じ、多角的自由貿易体制維持強化に積極的に取り組んでおります。本年三月には、議長国として第三回APEC蔵相会議を開催し、マクロ経済資金フロー問題等につき、協議を行うこととしております。  関税制度につきましては、一層の市場アクセスの改善を図る等の観点から、ウルグアイ・ラウンド関税引き下げの前倒しなどの関税率等改正を行うこととしております。  第五の課題は、金融システム安定性確保証券市場活性化を図ることであります。  金融は、経済活動に必要な資金の供給という、経済全体にとっていわば動脈ともいえる役割を担っており、健全で活力ある金融システム我が国経済持続的発展のための不可欠の前提であります。  こうした観点から、金融機関の不良債権問題につきましては、預金者保護信用秩序維持に最大限の努力を払いつつ、引き続き果断に対応し、できるだけ早期に本問題の解決が図られるよう全力を挙げて取り組んでまいります。  住宅金融専門会社をめぐる問題は、金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊課題であります。この問題の処理に当たっては、住専からの資産等を引き継ぐために設立する住専処理機構資金援助等を行う預金保険機構に設ける住専勘定に対して、財政資金六千八百五十億円を支出することといたしました。また、住専処理機構において引き継いだ資産にかかる損失が万一生じた場合には、適切な財政措置を講ずることとしております。  これらの財政措置は、住専問題の早期処理により、我が国金融システム安定性と、それに対する内外からの信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるため不可欠であり、やむを得ないものと決断したところであります。  住専問題の処理に当たっては、透明性確保とともに、住専経営責任を初め種々の責任明確化等を図り、国民各位の御理解を得るよう全力を尽くしてまいります。  このため、積極的な情報開示に努めてきており、先般、国会より議院証言法に基づき提出要求のあった住専七社に対する過去二回の調査結果及び上位貸付先実名リスト等について、内閣の承認を経て提出したところであります。  また、借り手返済責任につきましては、預金保険機構指導のもと、住専処理機構が、過去の取引経緯関係者利害等にとらわれることなく、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速かつ的確に用いることとし、特に、悪質な回収困難事案に対しては、預金保険機構が罰則で担保された財産調査権により調査するとともに、みずから回収するなど強力な体制整備することとしております。なお、借り手、貸し手に限らず、その他の関係者についても、違法行為に対しては厳正に対処していく必要があると考えます。  さらに、過去の金融政策金融検査・監督のあり方を総点検し、今後、金融機関における自己責任原則の徹底を図るとともに、市場規律が十分に発揮される透明性の高い新しい金融システムを早急に構築していく必要があり、ディスクロージャーの促進早期是正措置の導入や検査・モニタリングの充実を図るほか、破綻処理手続整備預金保険制度拡充等を進めてまいります。  以上の不良債権問題の早期解決と新しい金融システム構築については、昨年十二月の金融制度調査会答申も踏まえ、先日国会に提出いたしました特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案のほか、所要法律案を今国会に提出することとしております。  次に、証券市場活性化につきましては、市場が本来の機能を発揮する上で必要な環境整備を図ることが責務であるとの考えに立ち、昨年末には証券界からのヒアリングを踏まえた規制緩和措置を公表いたしました。また、八年度税制改正において、有価証券取引税軽減措置等を講ずることとし、本年一月からは社債の適債基準撤廃等を行いました。引き続き一層の証券市場活性化に努めてまいる所存であります。  次に、平成年度予算の大要について御説明いたします。  八年度予算は、徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配慮することとし、厳しい財政事情の中にあって豊かで活力ある経済社会構築等のために真に必要な経費の確保に努めたものとなっております。  歳出面につきましては、一般歳出規模は四十三兆一千四百九億円、前年度当初予算に対し二・四%の増加と抑制されたものとなっております。国債費は、定率繰り入れ実施などの結果、十六兆三千七百五十二億円となっております。これらに、地方交付税交付金緊急金融安定化資金等を加えた一般会計予算規模は七十五兆一千四十九億円となっております。  次に、歳入面について申し述べます。  税制につきましては、当面の経済状況等を踏まえ、平成八年においても所得税特別減税を継続して実施するとともに、土地税制等について適切な対応を図る一方、公益法人等に対する課税適正化租税特別措置整理合理化、その他所要措置を講ずることとしております。  公債につきましては、発行予定額を二十一兆二百九十億円としております。その内訳は、建設公債が九兆三百十億円、特例公債がいわゆる減税特例公債を含め十一兆九千九百八十億円となっております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は四十七兆五千九百億円となっております。  財政投融資計画につきましては、対象機関事業内容等を厳しく見直すとともに、国民生活の質の向上等各般政策的要請に的確に対応していくとの考え方に立ち、住宅建設、地域の活性化等の分野を中心に一層の重点的、効率的な資金配分を図っております。  この結果、一般財投規模は四十兆五千三百三十七億円、前年度に対し〇・七%の増加となっております。また、資金運用事業を加えた財政投融資計画総額は四十九兆一千二百四十七億円、前年度に対し一・九%の増加となっております。  なお、国債の円滑な消化に資するため、その引き受けについて資金運用部資金を積極的に活用することとしております。  この機会に、平成年度補正予算(第3号)について一言申し述べます。  七年度一般会計補正予算(第3号)につきましては、歳入面では、最近までの収入実績等を勘案して租税及び印紙収入減収を見込む一方、特例公債発行等を行うとともに、歳出面では、地方交付税交付金減額等を行うこととしております。  以上によりまして、七年度一般会計第三次補正予算総額は、第二次補正予算に対し、歳入歳出とも一兆四十四億円減少し、七十八兆三百四十億円となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所信一端を申し述べました。  なお、既に本国会に提出したものを含め、御審議お願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、平成年度補正予算(第3号)に関連するもの一件、平成年度予算に関連するもの五件、その他四件、合計十件であります。今後、提出法律案内容につきましては逐次御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  7. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で所信聴取は終わりました。  本件の質疑は後日に譲ります。     —————————————
  8. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、平成年度における租税収入減少を補うための公債発行特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。久保大蔵大臣
  9. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  今般、平成年度補正予算(第3号)を提出し、御審議お願いしておりますが、当該補正予算において、七年度租税収入は、第一次補正予算額から大幅に減少し、六年度租税収入を下回って五年連続の対前年度減収になると見込まれております。この租税収入減少を補うため、七年度における公債発行特例に関する措置を定める必要があり、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  本法律案では、財政法第四条第一項ただし書きの規定等による公債のほか、七年度一般会計補正予算(第3号)において見込まれる租税収入減少を補うため、当該補正予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債発行することができること等としております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  10. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 本日議題になっております法律案は、平成年度における租税収入が三兆円余り減少し、そして歳出減等を差し引きまして合計一兆九千億の特例公債発行せねばならぬ、こういう法律案であるというぐあいに承っております。  問題は、これを赤字公債発行することについてであります。どうも最近の財政事情を見てみると、公債発行が累憎いたしておりまして、平成五年には建設公債を含めてですけれども十六兆二千億、平成六年には十六兆五千億、平成七年には二十二兆、そして今審議中の平成年度予算では二十一兆の国債発行が予定されているようであります。  先ほどの所信表明でも言われましたけれども、このような国債発行を行うということは我が国にとりましてゆゆしき一大事、経済にとっても財政にとってもゆゆしき一大事であると思いますし、今審議中の平成年度予算案によれば二百四十一兆円余りという国債累増額が出てくるようであります。その中にはもちろん建設公債も含まれている。建設公債については公共財産が残るんだからいいじゃないのという議論もありますが、それについても私は別の考え方を持っておりますけれども、それは置いておいて、ともかくも純粋の赤字公債、すなわち今の世代の者がおいしい思いをするために後世に負担を残すという赤字公債は、どうあっても非常にけしからぬというんでしょうか、財政にとって望ましくない姿であるというぐあいに思っているんです。  ちなみに赤字公債だけで見ますと、平成六年は四兆一千億円、平成七年は四兆三千億円、これは減税分が入っていますけれども、そして平成年度には十二兆円を予定しているということになってくるわけですけれども、このような財政の基本的な赤字体質、それについていかなる所見をお持ちか、大蔵大臣にお尋ねをまずしたいと思います。
  12. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今御指摘がございましたように、我が国財政赤字先進諸国家と比べましても際立って高いGDP比となっております。政府全体の長期債務ということになりますともう六五%に達しようということで、これもまた他に例を見ない非常に高い率となっておりまして、これらのことから、昨年、財政危機宣言ともいうべき財政事情に関する国民皆様への御理解を得るための宣言を申し上げたというようなことでございます。  先生お話しになりましたように、これらの赤字は将来にわたって後代の負担として残る可能性を非常に強く持つものでございますから、私どもとしては今、財政再建のための改革喫緊課題となっていると考えております。  財政制度審議会におきましても、財政役割守備範囲の見直し、そしてまた財政構造改革を通じて、これから財政再建のためにどのような目標を定めるかというようなことについて御審議お願いをいたしております。これらの答申とともに、国会における皆様方の御論議を通じて財政再建の方途を急いで樹立していかなければならないと考えているところでございます。  与党三党におかれても、このことに対しての検討の場をつくって検討を進められると伺っております。国会全体としても、ぜひ財政再建に関して皆様方の御審議を賜り、私どもの今後の財政改革再建へ向けての努力に一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
  13. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、大蔵大臣仰せになっていましたように大変な財政危機に至っているというぐあいに私は思いますけれども、実は昨年の十一月に前大蔵大臣の武村さんが財政危機宣言、そういうぐあいに書いてありませんでしたけれども、のようなものを言われ、平成年度予算においては赤字はやむを得ないということを言われ、かつその際に、財政支出削減等々諸般の工夫を凝らすんだ、さらに、それだけじゃ足らないので将来にわたっていろんなことをせねばいかぬというようなことを言われましたが、実は、平成七年のあの時期に財政危機宣言をされたということは、極めて私にとっては遅過ぎるように思っています。  予算を翻ってみますと、平成六年において既にやりくり予算と言われる特例法案で五兆円のやりくりをなされ、平成七年は六兆円をなさった。それを赤字公債を出さないという意味で新聞には隠ぺいするというような言葉も使ってあったように思いますけれども、いずれにしてもそれを表面に出さないで何とか大蔵省が自力でやりくりをやって糊塗をしていたというような印象が非常に強いんです。それを平成年度予算、本予算においてある程度オープンにしたという意味ではそれなりに評価をする。赤字になって評価されても困るんですけれども、そういうような態度をとられたということはあれなんですけれども。  重ねてお伺いをしたいんですけれども平成七年の議案を審議しているわけですが、平成年度の新予算において二十兆円の公債を出される。それは国際的に比較してどのような意味を持っているんだ、また国民一人当たりはどういうような感じになるんだというようなことを御説明願えればありがたいと思います。
  14. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、平成年度第三次補正予算におきまして約一兆九千億円の国債発行し、八年度予算におきましては約二十一兆円の国債発行することとしておりまして、八年度末、このまま参りますと国債残高は約二百四十一兆円に増加する見込みでございます。  御質問の国際的に見てということでございますが、この結果、財政指標フローストックがあるわけでございますが、フロー財政指標でございます公債依存度は、主要先進諸国が大体一〇%台にある中にありまして我が国は二八・〇%、八年度予算におきまして群を抜いて高い水準になるわけでございます。  また、ストック指標でございます国の長期政府債務残高、これは国債残高を含んでいるわけでございますが、その対GDP比で比較してみましても、二〇%台にございますドイツ、フランスはもとより、これらよりかなり高い水準にあります米国の六〇・二%を上回りまして、先ほど大臣が答弁していただきましたのですが、我が国の場合正確に申し上げますと六四・六、約六五%ということでございます。  フローストック、いずれの指標で見ましても我が国財政は主要先進国中最も悪いと言えるほどの水準となっておるわけで、現在諸外国では財政健全化に積極的に取り組んでいるところでございます。我が国としても、先ほどの大臣の答弁にありますように、今後一層強力に財政改革に取り組んでまいらなければならないということであると思います。
  15. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 この国債残高というのは国民の一人当たりにとって幾らぐらいになるんでしょうか。また一世帯あたり幾らぐらいになるんでしょうか。そして、一世帯の可処分所得というんでしょうか、税金を払った後の可処分所得というのは幾らぐらいで、その一年分を超えているんじゃないですか。
  16. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  手元に七年度末の残高で計算してある資料があるわけでございますので、それで今の先生の御質問にお答えいたしますと、トータルで二百二十一兆円、国民一人当たり約百七十六万円ということでございます。また、一世帯ということで仮に四人家族ということで考えますと、約七百五万円ということでございます。  次の御質問の、例えば勤労者一世帯当たりの年間可処分所得でございますが、これは約五百七十七万円。これは世帯の平均が三・六三人ということで計算してありますが、ということから言いますと、まさにその残高は上回っているということが言えると思います。
  17. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 世界各国と比較して一番高いよというのはもちろん自慢できるわけじゃありません。しかし、国債発行残高がどれぐらいまでは許容できるんだというのはなかなか難しい話だと思いますけれども、今言われたように家族四人として七百五万円の国債を持っている。それに対して勤労者が一年間働いて飲まず食わずでやっていて五百七十七万円。もうとても耐えられない国債を、借金を国が背負っているということだと思いますね。  昨年も前大臣に御質問を申し上げました。地方債を含めるとGDPのもう上限に達しているんだと、このような御説明もございました。現在日本の経済が低迷をしており財政の発動が必要であるという事情も相わかりますけれども、これ以上の国債発行を許していくということは我が国財政にとって致命傷の問題ではないかというぐあいに思っているんです。  さらにお尋ねいたしますが、さっき御説明のあったのは平成七年ですけれども、八年度を見ますとそれからさらに二十兆円ふえて二百四十一兆円になるわけです。ところが、先ほど申し上げたように、大蔵省赤字公債を出したくない、赤字体質ではないんだ、赤字体質はもう昭和五十年代にさよならしたんだということを言わんがためにいろんな細工を従来やっておられました。例えば国民年金特別会計への国庫負担の繰り入れの平準化であるとか、地方財政交付金の会計に借入金をさせるとか、さらに日本国有鉄道の清算事業団の借り入れ、これも実際上国の借入金でございます。それらを含めて約四十三兆、先般お出しいただいた資料では、「今後処理を要する措置」として出していただいた資料では四十三兆円あるということなんですね。  私は、財政当局が国民に対して、このような借金状態、借金漬けでは国の財政が成り立たないんだ、何とかしなきゃならないんだということを真摯にアピールする上において、国債残高二百四十一兆円余りではないんで、実は二百八十四兆円余りになっているんだというようなことを積極的に御発言になり、現在の国の財政状況をお訴えになるということが適切かと思いますが、いかがでしょう。
  18. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘されましたとおり、平成年度末には国債発行残高が二百四十一兆円に達する一方で、いわゆる「今後処理を要する措置」というものを単純に合計いたしますと約四十三兆円となると見込んでいるわけでございます。  ただ、この「今後処理を要する措置」の大宗を占めます例えば国鉄清算事業団債務、約二十七兆円でございますが、これにつきましては、清算事業団の用地とかJRの株式の売却等を行ってもなお残る債務につきまして、その段階で最終的に国が処理をすることとされておりまして、現在の二十七兆円の債務残高すべてを国が処理する必要があるわけではないという、端的に申し上げますと、「今後処理を要する措置」の中にはさまざまな性質の措置が含まれておりますため、これらを合計して考えること自体に、一つのものとして考えること自体に問題があるとは考えております。  そうはいいましても、今の「今後処理を要する措置」が、さらに今後国が繰り戻しを行う等の適切な処理を行う必要がある措置等ではあるものの、基本的には、先ほど委員も言われました国の内部における措置である点について、広く市中等から資金調達を行っております国債とは私ども若干性格を異にしていると考えております。したがいまして、国債発行残高二百四十一兆円と、単純合計額である四十三兆円とをさらに単純に合計することは必ずしも適切ではないものと考えますが、いずれにいたしましても、今委員が言われましたアピールをするということ、我が国財政が危機的な状況に直面していることについて広く国民に訴えることは重要と考えております。  したがって、「今後処理を要する措置」につきましても、資料として取りまとめましてお示しするほかに、私どものパンフレット等にも掲載し、積極的な開示に努めてきておりますので、御理解いただきたいと思います。
  19. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 当然のことながら、性質が異なるから別のところにあるんですよ。そういうことを申し上げているわけじゃない、一緒にしなさいと言っているわけじゃないんですが、国が持っている債務というものがそれだけ大きいものだということを国民に言わなければ、おっしゃらなければ国民理解しないわけですよ。いや、資料として添付してありますからおまえら勝手に見ろというような性質のものではないんで、大蔵大臣が進んで口に出すべきもの。  要するに、いろんなところで今日本の政治、経済の中でディスクロージャーが大事だと。ディスクロージャーするといっても積極的に言うべきものと積極的に逃げて言うべきものとあるんですね。日本の財政の危機ということを強調されるからには、これがあるんだということを大蔵大臣としては常に口にお出しになる必要があるんじゃないでしょうか。大蔵大臣いかがでしょう。
  20. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 御指摘のとおりだと思っております。国の財政の事情について率直に国民の皆さんにお知らせするということが国民的な立場で財政再建に御協力を願うことになると思っているのであります。  当面の経済における景気回復の対策、そして本格的な高齢社会の到来に対応する等、財政需要は非常に大きくなっているわけであります。そういう中で財政事情そのものは、今政府委員からもお話を申し上げましたとおり、ますます厳しい事情にあります。そういう中で、先生が仰せになりましたように、財政の実情について率直な状況国民にお知らせをするということが何よりも大事なことと考えております。
  21. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大蔵省は、将来のことについて「財政の中期展望」を御発表になり、国会にも提出をいただいております。その中で、ただ大変だ大変だと、去年までは要調整額が十数兆あるんだというような資料を出しっ放しであられました。ことしは財政危機ということで、さらにそれを分析しまして仮定計算(イ)、(ロ)という形で御発表になっておられます。  私は、財政当局がそこに意を尽くされたことを評価するものでありますが、その財政仮定計算(イ)によれば、これは平成十八年度までの計算をしておられますが、実にこれの前提は、現在の傾向をそのまますっと直線で引っ張ったならばという前提になっているようですけれども、今の財政状況をそのまま続けていけば、平成十八年度末の国債残高は四百八十兆円、すなわち平成年度二百四十兆円と言っているものの倍になるんですね、四百八十兆円。そのほかさらに、処理を要する事項といって幾つかそれは減額はせにゃいかぬかもしれませんが、四十兆円があるというような状態で仮定計算(イ)はなるんですね。  そうなると、さっき言った国際比較とかそういうことは一体どうなるんですか。大変な数字になってきちゃいますよね。身動きできない状態になると思いますが、いかがでしょう。
  22. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、「中期的な財政事情に関する仮定計算例(イ)」の場合でございますが、これは委員が言われましたように、一定の仮定のもとに機械的手法によりまして財政収支の状況を試みに計算したものでございます。  加えまして、公債減額を行わずに各年度における歳出歳入のギャップ、いわゆる要調整額をすべて公債発行により賄うと仮定した場合に、まさに八年度末のほぼ倍である四百八十二兆円と試算されるわけでございます。  この数字が国際的にどういう意味を持ってくるかということで一つ申し上げられることは、現在、EU、欧州の政治統合と経済・通貨統合に関する規定を盛り込みましたマーストリヒト条約におきましては、経済・通貨の統合に参加するための条件の一つといたしまして、国と地方を通じました債務残高の対GNP比が六〇%以下になることを求めているわけでございます。ちなみに、日本は八年末でOECDの見込みで現在約九〇%、国と地方を合わせますと九〇%ということで六〇%よりはるかに高いわけでございますが、この今の仮定計算例(イ)の試算によりますと、平成十八年度は国の一般会計公債残高だけで対GDP比が約六八%に達することになるわけで、当然このマーストリヒト条約のEUとの比較でいいますと地方も足さなければならないわけでございます。恐らく一〇〇%をはるかに超える水準になると思います。  ということで主要先進国が、特にアメリカ、ヨーロッパ、財政健全化に積極的に取り組んでおります。この計算例(イ)のように放置しておいてさらなる財政の悪化を招くことは許されないわけでございまして、財政改革に強力に取り組んでいかなければならないという意味で参考にしていただけるかと思います。
  23. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 時間がないのでこれ以上の質問はいたしませんけれども、日本の財政事情というのはそれほど悪化をし、また現在の財政体質というものはこれをさらに推し進めていこうという状態にあるんだということを、これはよく御認識をいただいて財政運営を図っていただくことを希望しまして、質問を終わります。
  24. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まず最初に、参議院の大蔵委員会から大蔵大臣が誕生しましたことをおくればせながらお喜び申し上げます。  それでは早速質問に入りたいと思いますけれども、今回審議に付されているこの法案は、租税収入減少を補うために一兆九千六十億円の特例公債発行するというものでありますが、当初予算を含めて今回で四回、合計五・五兆円もの特例公債、いわゆる赤字公債発行しないと国の会計が成り立っていかないということに対しまして、私は改めて財政危機の深刻さを痛感しております。  昨年十一月、武村前大蔵大臣財政危機宣言を行いましたけれども、私はこの宣言は、政府大蔵省が並々ならぬ決意を持って財政再建に取り組むことを宣言したものと理解しております。その上で、財政危機下にありながら民間会社である住専破綻処理一般会計から資金を投入する予算案政府大蔵省がつくったということがいまだもって信じられないのであります。  住専処理に当たっては、母体行、一般行、農林系金融機関それぞれがこれ以上は無理というぎりぎりの負担額を提示していると訴えておりますけれども、それでは国の財政には余裕があるのでしょうか。私は、国の方はもっと余裕がない、とても民間会社の放漫経営のしりぬぐいのために六千八百五十億円もの大金を投入する財政状況ではないと考えております。  そこで大蔵大臣にお尋ねいたします。  財政危機宣言を行い、赤字国債を追加発行している中で住専処理に国費を投入することに大蔵省は矛盾を感じておらないのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  25. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 財政論という立場から今お話しがございましたように、住専問題の処理にこういう危機的な財政状況の中で巨額の国費を投入をするということは、大変重大なことだということは十分に認識をいたしております。それだけに、今日のような財政事情の中で六千八百五十億を投入して住専問題を処理しなければならない状況まで立ち至りましたこの責任は、それぞれの分野において極めて重く受けとめなければならないことでありますし、とるべき責任はきちんととらなければならないと思っております。  ただ、それでは、この六千八百五十億を投ずる住専問題の処理を今日放置することによって、先送りすることによって問題はどのように展開するのかということに対して、政治の任に当たる者は真剣に考えなければならないことでもあろうと思っております。  そういう中で、このような財政事情の中でのやむを得ざる措置をとってもこの住専に係ります不良債権を処理しなければ、日本の金融システムの安定ということだけではなく、内外の信頼、そしてひいては預金者の保護を含めて、日本の経済回復促進を念頭に置きながら、今やるべきことを私どもは政策選択しなければならないのだということでの判断でございます。  どうぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
  26. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この問題についてはこれから、まだまだ議論が途中でありますのでいろいろ検討されていくことと思います。  現在、住専破綻の原因追及がなされておりますけれども、その中で住専当事者はもちろんのこと、借り手である不動産業などの会社、それから母体行、貸し手である農林系金融機関、そして政府大蔵省を初めとする行政の責任が取り上げられ、情報の公開とともに徐々にその責任の度合いが明らかにされております。  今回、政府大蔵省予算案作成の最終段階で一般会計から六千八百五十億円の投入を決めた背景には、政府金融行政失敗の観点から、母体行、一般行や農林系金融機関とともに住専処理責任を分担するというような意味合いが含まれていたと考えてよろしいのでしょうか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
  27. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大蔵省を中心といたします国の行政の責任として六千八百五十億の財政支出を決めたということではないと思います。これは、金融システムの安定を図ってまいりますために全体の住専問題処理システムを考えていく中で、現に起きております六兆四千百億という損失並びに欠損をどのような負担処理するかということも全体の処理スキームの中で検討されてきて、その結果、公的な関与を行ってまいります政府としてこの分は負担せざるを得ないという最終的な当事者との協議を通じての判断になったものと考えております。
  28. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この点に関してもまだまだこれから議論は続くと思うんですけれども、次に移らせていただきたいと思います。  次に、特例公債発行に関して財政改革に関連して質問させていただきたいと思います。  大蔵省は、先ほど楢崎委員の方からいろいろお話もありましたけれども、多少重なるところもあると思いますけれども、本年一月に「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方 財政の展望と財政改革課題」という文書を発表しておりますが、その中で今後の財政の中期展望について何種類かの試算を出しております。  また、先ほどの楢崎委員の方の試算とは別に、経済改革が進まなかった場合、名目成長率を一・七五%と。その数値を用いて計算した場合に、平成十八年度において特例公債発行額は三十六兆円、それからこれを含む公債発行総額が約四十九兆円、公債残高は約五百四十兆円となり、対GDP比は九二%に達する、そのように試算されております。この中期展望の試算ではさらに財政悪化が進むことが懸念されておるわけであります。  大蔵省は、国債依存度を五%未満に抑えるという財政再建の中期目標を掲げておりましたけれども、達成困難ということでその目標を一時撤回しているようであります。そうすると、今後の財政再建の具体的目標をどこに定めておられるのか、大蔵大臣にお伺いしたい。  また、国債残高や単年度特例公債発行の許容上限の目安をどの程度と考えておられるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  29. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えさせていただきます。  今委員が言われましたように、お示ししております「中期的な財政事情に関する仮定計算例(イ)」の場合に、特に経済計画におきます成長率の話でございますが、規制緩和等の構造改革が進展しない場合の経済の姿として示されているいわゆる名目成長率一・七五%、先ほど委員が言われました。その場合には、十年後、十八年度にまさに言われたとおり五百四十兆円になると、国のみでGDP比が九二%に達するということでございます。  そこで、五%の目標のことについての御質問でございますが、おっしゃいましたように、平成年度におきまして特例公債への依存から脱却しました後の中期的財政運営につきましては、来るべき本格的な高齢化社会に多大な負担を残さないようにすること等のために、公債依存度引き下げ等を図りまして、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることを目指しまして、その具体的な水準として、今言われました公債依存度が五%を下回る水準を中期的な一つのめどとしてきたところでございます。  しかしながら、我が国財政は八年度予算におきまして、再び当初予算段階から償還財源の手当てのない多額特例公債を含めまして約二十一兆円に上る公債発行に依存せざるを得ない状況となったわけでございます。お出ししました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」でもお示ししておりますが、今後の財政改革の道筋を展望いたしますと、かつて特例公債依存からの脱却を目指して財政改革を強力に推進していた時代と比べましても極めて深刻な事態に立ち至っていると言わざるを得ないわけで、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることは今もって重要な国民課題であり、その意義はいささかも変わるところはないと考えます。  しかしながら、現下の極めて厳しい財政状況を踏まえ、かつこれを放置することなく強力に財政改革を進めていくためには、今言われました中期的な財政健全化のための新たな目標とその実現に向けた方策について幅広く御講論いただきまして、検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。新たな目標、その方策につきまして、まさにこれからその内容検討させていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
  30. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まだはっきり目標値が決まっていないということは非常に大変なことじゃないかというふうに考えますけれども、単年度公債そのものの額としての目標、これ以上はもうだめなんだというような単年度特例公債の許容限度というのはどの程度まで考えていらっしゃいますでしょうか。
  31. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) どういう指標がふさわしいかということはなかなか一概に言えない。またそれぞれの指標の利点、問題もあるものですから。  そこで、先ほどからお示ししておりますが、一つは、大事な指標といたしまして、国際的に見まして、例えばフロー財政指標である公債依存度が、これは予算規模とか経済規模が違うものですから、主要先進国と比べてどうだろうかと。それが先ほど言いました我が国の場合二八%、八年度予算でそういう水準になると見込まれるわけですが、主要先進諸国は一〇%台だとか。それからもう一つはストック指標で、これもやはり経済規模が違うものですから、各国経済規模であるGDP比で見て、今度はストック長期政府債務残高で比べますと、先ほど言いましたようにヨーロッパの二〇%台、アメリカの六〇%を超えまして約六五%ということで、これはどこが限界ということは言えないわけでございますが、しかしながら主要先進国の中では最も悪いということが比較して言えるかと思います。
  32. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ちょっと時間がないので省きますけれども財政改革のためには行政改革も必要と思います。現在、国家公務員の第八次定員削減計画が実施されておりますけれども、一九八六年から九五年までの十年間で国家公務員が約二万三千人の削減がなされております。しかしながら、大蔵省は逆に三千八百人の定員増となっております。平成年度の計画でも二百九人の定員増となっております。各省庁の中で突出しておるわけであります。その理由はいかなるものでありますか、大蔵省当局にお伺いいたしたいと思います。
  33. 河上信彦

    政府委員(河上信彦君) 国家公務員の定員につきましては、行政改革を着実に推進する見地から、第八次定員削減計画に基づきまして着実に定員削減を推進してきておるところでございます。また、真に必要とされます新規財政需要につきまして、極力振りかえによって対応すべきということで、増員を厳に抑制するという方針で政府は取り組んでおるわけでございます。  大蔵省といたしましても、こうした政府の方針に沿いまして対応して着実に定員削減を実施してきているところでございますが、他方で、厳しい定員事情の中、行政の効率化、合理化に努めましてもなお増員が必要といったところがございます。  ただいま先生御指摘のとおり、平成年度におきましても、純増ベースで申しますと百五十人の増ということでございますが、この内訳を見ますと、国税関係が百四十七、それから税関関係が二十二と、こういった言うなれば行政を遂行していくに当たりまして真に必要なところを重点にいたしまして、いろいろと総務庁等と御相談いたしまして予算お願いしているところでございます。
  34. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、大蔵省の機構改革について大蔵大臣に少しお尋ねしたいと思います。  住専問題を契機に大蔵省の分割論など機構改革を求める声が高まっておりますけれども大蔵省としまして自己改革の計画案を検討されているのかどうか、もし検討されていればその概要はどういうものを考えておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  35. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今度の住専の不良債権処理の問題を論ずる中で今、大蔵行政の機構にかかわっての御意見がたくさんございますことをよく承知いたしております。  金融行政としては、その原則は自己責任原則をきちんとすること、そして市場規律を軸にした透明度の高い金融行政を確立することにあると考えております。そういう今後の金融行政の目指すものに最もふさわしい新しい時代の大蔵行政、この財政金融行政というものがどのようにあるべきかということについて検討を絶えず行いますことは、これはまた現在の大蔵省の任務でもあろうかと考えております。  今、直ちに機構をどのようにするかというようなことについて検討を進めているわけではありませんけれども、特に今日の事態の中で、金融行政の面からバブル経済の発生から破綻に至る経緯などについて、この行政の側からの自己批判も含めつついろいろと内部で検討もいたしております。  そういうものの上に立って、先ほど申し上げました金融行政の目指すものに向かって機構の上でどのようなことが必要か、また運営に当たってどのようなことが変わらなければならないかというようなことについて検討を始めるよう私の方からもお願いをしているという段階でございます。
  36. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これは大きな問題ですのですぐに結論が出るものではなくて、いろんなところから意見が出ると思いますけれども、やはり大蔵省としても積極的に取り組むべき課題であると考えます。  時間ですので、以上で質問を終わります。
  37. 益田洋介

    ○益田洋介君 平成会の益田洋介でございます。よろしくお願いいたします。  私は、去る一月十四日から二十日までの間、参議院の金融問題の調査を目的とした北米派遣団に参加をさせていただきました。FRBそれからFDIC、FDICというのは御存じと思いますが預金保険機構でございます。それからRTC、RTCは既に任務を終えて解体をしておりますが、RTCで実務をとっておられた現在ゴールドマン・サックスの副社長をされている方等々とつぶさに会談をいたしまして、アメリカ版住専問題、これは約十年前に実際に起こって昨年末までかかって解決したわけでございますが、その実態、また機構の運用ぶり、成功した例もあるし失敗した例もあったということを伺いましたが、そうしたことについての調査をさせていただきました。  私が受けました印象の第一は、非常にシビアな姿勢でアメリカの当局及び関連機構の方々がこの問題に対処いたし、まず第一に責任の所在を明確にするということに焦点を当てて、そして所在を明確にした結果として処分をする、それからさらに事件の全容を国民の前に明示する、そうしたことをした上で公的資金の導入ということを国民お願いしたという経緯があったということでございます。  この点では、大蔵大臣が衆議院、参議院の予算委員会を通じて繰り返し、我が国のこの住専問題の解決については責任の所在の明確化と実際の不良債権処理を同時並行的に進めていくんだというふうなお話とは大分違う。つまり、国民にまず公的資金を投入するということに関して同意を得るためには、事件の全容を明確にすることと責任の所在をはっきりさせることだという考え方で、その上で公的資金の導入をお願いするという手法であったわけであります。  しかも、これはSアンドLというやはり住専と似たような金融会社でございましたが、このアメリカのSアンドLの場合は、日本の住専の場合と違いますのは預金者を持っていたわけでございます。ですから、私どもが信用金庫ですとか銀行ですとか、アメリカには郵便貯金はないわけですが、郵便貯金をするとかといった一般の市民たちの、国民たちの預金が集められていたために、こういう会社をいたずらに放置して不良債権を増額させてしまうということは、預金者保護のためによくないだろうということから公的資金を導入するという大義名分が成り立ったわけでありますが、日本の住専の問題は今全く違うわけでございます。  そうした中で、先ほど申し上げましたように、RTCという組織ができる以前から民事、刑事両方にわたって責任の所在、貸し手、借り手あるいは監督官庁の行政責任について相当追及をした結果、実に六千四百件の民事訴訟、刑事訴訟が起こされまして、そしてその中で五千五百人の人たちが有罪判決を受けている。しかも、なかんずく刑事告発が千九百件にも及びまして、その中で千六百件が実刑判決を受けて刑務所に送られているという非常に厳しい実態があったわけです。  この沿革としましては、当時の現行法においては、公訴時効ということもありますし、なかなかごうした特殊な問題に取り組み、しかも適切にそれを解決措置するということが不可能であるという判断から相当大規模法改正をアメリカでは行ったわけでございます。この点については総理大臣大蔵大臣も異論はないようでございまして、必要ならばどんどん法改正をして、整備をした上で実情に合わせた対応をしていきたいという御答弁を衆議院、参議院の予算委員会でもされておったように記憶しております。  私は、まず刑法二百四十七条の特別規定でございます取締役等の特別背任罪、この公訴時効について、ほかの法律との整合性というふうな考え方を当然法務省ではされていると思いますが、言ってみれば非常に五年と消滅時効の期間が短いわけでございますが、特に特別背任罪、アメリカの場合にも実際にその罪状としましては背任、特別背任あるいは業務上横領、まあ詐欺罪なんかでの摘発もあったようでございますが、現在の日本の住専問題については特に貸し手側の特別背任罪というのが相当あるように思われます。もちろん現在捜査の段階なので当局としてはこの点については言明はされない状態だと思いますが、私は特にまず法改正の第一歩としてこの特別背任罪の公訴時効を再検討して延伸してもらいたい。もうすぐにも時効が成立して実際に立件できなくなるようなケースが多々あるような気がいたしますが、その点について法務省のお考えを伺いたいと思います。
  38. 麻生光洋

    説明員(麻生光洋君) ただいまの御質問の趣旨は、いわゆる住専が今日問題となっております多額の不良債権を抱える原因となりました貸し付け行為につきまして、仮にその中に背任罪などの犯罪に該当するものがあったとしても、貸し付け行為などの時期によりましては既に公訴時効が完成したり、あるいは時効完成が切迫していて関係者の刑事責任を問えなくなるのではないか、こういう御観点からの御質問であると承知いたしております。  住専問題につきましては、事実関係の解明がまず何よりも重要だと思いまするけれども、仮に今御指摘のような公訴時効に関係する問題が生じまするといたしましても、公訴時効の期間を延長する立法をいたしましてその効果を既に過去において行われました犯罪行為についてさかのぼって適用するというようなことにつきましては、事後法の禁止を定めております憲法三十九条などとの関係で問題を生ずるおそれがありまして、極めて慎重な検討を要するところであり、難しい問題だと思っております。  ただ、検察当局におきましては、御指摘の時効の問題も十分に念頭に置きまして、刑事事件としてこれは取り上げるべきである、そういうふうに認められるような容疑事実が判明いたしました場合には、警察等の関係機関と綿密な、緊密な連携をとりまして迅速かつ的確に対応してまいるものと思っております。
  39. 益田洋介

    ○益田洋介君 もう一つ、今度は民事の法律について御質問させていただきますが、今私ども国会で議論しておりますのはこの不良債権の処理に当たって入り口の部分で、どういう機構で解決策を図るか、あるいは会社更生法や破産法という法律を用いて処理をするのかという解決の入り口の部分での話に終始しているわけでございますが、これから実際に処分をして回収をしていこうという際に一番問題になりますのは、特に更地の場合ですが、競売ということになってくると思います。競売というのは非常に現在時間がかかっておりまして、しかも面倒な諸手続が必要でございまして、早いもので東京地方裁判所では二年から二年半、もっとかかるものでは五年以上かかってしまう。この辺が将来的にネックになってくるということで、現段階から私はこの問題についての法をきちっと整備しておく必要があるのではないかと考えているわけでございます。  そして、民事執行法の改正ということも一つの案でございましょうし、また、特に短期賃借権の設定がなされている不良物件といいますか、不良債権を生じてしまった対象物件が多いというふうに聞いておりますが、こうしたものも撤廃できるような法律整備しなければならない。  さらに、これはアメリカに視察に行ったときに学んだことでありますが、政府は新たに法律をつくって、第一抵当権をRTCに移転した末は、第二抵当権以下の低位抵当権者の抵当権についてはこれを放棄させるという強制的な法律を制定した。もちろんただで放棄させるわけじゃございませんで、しかるべきコンペンセーションは、補償は払ったわけでございますが、そうしたことで巨額の財政資金を投入したという経過もあったというふうに伺っております。これは大変な法律で思い切った処分でございますが、不動産の処分をするに当たって今一番ボトルネックになっている部分の解決にはなかなか適切な方法ではないか。  この辺もぜひ当局に御勘案を願って、きちっとした形で、今は入り口のところだけの話をしていますが、最後に解決して回収するという部分の法律整備までも含めてこれから検討していただきたい、このように思いますが、民事局の御意見いかがでしょうか。
  40. 升田純

    説明員(升田純君) ただいま委員指摘のように、抵当権を実行します折にはさまざまな運用の工夫が必要であるということは事実でございまして、今後そういう運用がなされていくということは、さまざまな実務家によって行われるということが期待される状況にあると聞いております。  なお、御指摘のような法律を制定するということにつきましては、抵当権につきまして低順位の抵当権者でありましても、これは一つの財産権であります上に、低順位の抵当権者によりましてやはり抵当権を実行するということも可能でございまして、当事者間の合意によるという場合は別といたしまして、このような権利を法律によって強制的に放棄させるということは、現行法上とられております財産権の保障の観点から見ますと難しい問題があるのではないかなというぐあいに考えております。  やや具体的に問題を見てみますと、例えば担保価値が低下したという判断をするような時期、あるいはそういった低下の基準というものをどういった基準で判断するのか、それから、例えば競売を行いました結果余剰金が出ました折に、それをだれにどのように帰属させるのかといったさまざまな技術上の問題点があるということも付加させていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕
  41. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に大蔵大臣にお伺いします。  私は今いろいろな議論を聞いておりまして非常に疑問に思っています点は、新しく不良債権の処理機構を設定されるに当たって民間企業にしようと。なぜ公社とか公団というようなしっかりした法的な権限を与えた形態で出発をしようとなさらないのか。特段の理由があればお伺いしたいと思います。     〔理事石川弘君退席、委員長着席〕
  42. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御提案申し上げております住専処理機構は、住専から買い取った債権等につきまして、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速的確に活用いたしまして債権回収を促進しようとするものでございます。このためには、資産の処分あるいは業務提携等を臨機応変に行ったり給与体系を工夫する等、可能な限り弾力的な業務運営を行えることが必要と考えております。他方におきまして、公的資金を投入するということにかんがみまして適切な公的関与は必須の要件でございます。このような両方の面を両立させるため、住専処理機構は公社や公団の形態ではなく、認可法人としての預金保険機構が出資する株式会社形態としておるということでございます。
  43. 益田洋介

    ○益田洋介君 それから、この債権の処理に当たって、今までの政府のお考えを伺ってまいりましたところではすべて売却をして回収に努めるというふうな印象を受けておりますが、欧米におきましては、こうした不動産物件につきましても小口の証券化をして、いわゆるセキュリタイゼーションと言われていますが、そして、つまり大きな、例えば百坪だとか二百坪だというふうな土地を一括して売買するということは時間のかかることでしょうし、なかなか大変なことだということで、これを証券化してマーケットで売買すると。  日本では抵当証券法というふうな形で法律ができていたんですが、市場になじまないまま今日まで来てしまっているということですが、欧米の市場においてはこれはもう一般化しているということですから、この債権を証券化してヨーロッパのマーケットまたはアメリカのマーケットで売却するというようなことをぜひ御検討願いたいと私は思うわけでございますが、この点、大蔵大臣いかがでしょうか。
  44. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、この担保の不動産等をどのように処理するかというのは大変に難しい課題でございます。これを行う場合、御指摘の証券化という手法は私ども大変に有力、有効な手法だと考えてかねてから検討、研究をいたしておるところでございます。  しかしながら、残念なことに、日本ではなかなかこのような証券をこなす市場というものが発達しておりませんで、今御指摘もございましたが、欧米においてそのようなものを流通するというようなことが考えられないかという御指摘もございますが、私どもとしましては、日本においてもそういう証券化したものの市場を何とか発展させることができないかということでかねてから研究はしておるところでございます。
  45. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、時間もなくなってまいりましたので、次に預金保険について大蔵大臣——大蔵大臣お願いしますと必ず銀行局長がお答えいただくわけでございますが。  我が国における保険対象金融機関でございますが、これは銀行ですとか信用金庫あるいは信組、それから労働金庫というようなものが加入しているわけでございます。これは強制加入の対象とされている金融機関ですが、住専はこうした保険の対象機関には入っていなかったように伺っております。これほど巨額なディールをしてきた住専になぜ強制加入をさせてこなかったのか、この辺について大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  46. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専は御案内のように直接に預金を受け入れております金融機関ではございませんものですから、預金そのものを保険的手法によって保護するという預金保険機構にはなじまない存在だということで、従来からこれを加入させておらなかったところでございます。
  47. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは結果論になるわけですが、なじまないというふうな御説明はちょっと納得できないわけです。やはり住専こそ強制加入させておくべきだったんじゃないかと私は思うわけでございます。  それから、保険料率が現行では〇・〇一二%と非常に低率でございまして、これは各国の保険料率、欧米諸国と比較しましても大変に低いということで、今度は七倍にしよう、〇・〇八四%に膨らませようと、こういうお考えだというふうに伺いましたが、目標としている保険料、基金残高、どのぐらいにまで持っていけばよろしいというふうに大蔵省は判断されておりますか。
  48. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、現在の料率は〇・〇一二%、比較的低いものでございます。これは、平成四年に至るまで実際に預金保険制度を発動した例がなかった、すなわち破綻をした金融機関がなかった、こういうことで据え置いてきたものでございます。  今般、将来に対応するために保険料率を、一般保険料を四倍、特別保険料を三倍と、合わせて七倍程度にしてはどうかという金融制度調査会の御答申をいただいているわけでございますけれども、これの目標という御指摘は、恐らく基金の残高としてどれぐらいの目標をという御指摘かと存じます。  これはなかなか難しい問題でございまして、要は、基金としてどれぐらい積み立てていくかということと、それを取りましていく破綻の事例がどれくらい出てくるかということとの差し引きの問題になってくるわけでございます。現在までのところ約九千億円ばかりの残高になっておるわけでございますが、そういうところまで回復できればと思っておりますが、これはその途上における金融情勢にもよることでございます。
  49. 益田洋介

    ○益田洋介君 今の問題、ちょっと答弁に対して私の意見を述べさせていただいて、終わらせていただきます。  つまり、急にこの場に及んで保険料率をいきなり七倍にするというふうな無計画さが私は現在の行政機関の指導の問題点であるというふうに考えるわけです。今まで破綻した例がなかったと言いますが、実際、一九六五年に山一証券、大井証券という大変な破綻があったわけでございます。これまた日銀特融の話は今度予算委員会でさせていただきますが、つまり、一昨年から二信組、それからコスモ、木津の二信組、それから兵庫銀行等いろいろな破綻は既にあったわけで、全く今まで破綻がなかったから手をつけなかったという言い方は私はおかしいんじゃないかと思います。  やはりそういった面で、金融機構の見直しというふうに、絵そらごどのようにおっしゃっていますが、そういう具体的なものを徐々にやはり全体的な、世界の金融界における日本の環境等を勘案しながら施策をしていただかなければならないのではないかというふうに考える次第でございます。  ありがとうございました。
  50. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日本銀行の山口理事おいでですか。短い時間ですが、大変御苦労さまです。ありがとうございます。  私は、この平成年度における租税収入減少を補うための公債発行特例に関する法律案につきましては賛成の立場でありまして、それを冒頭表明をし、以下、直接関係ありませんが大蔵省と日本銀行の方にお尋ねをしたいと思います。  経済運営のあり方でございますが、私どもは、終戦直後を除きましていろいろな景気循環はありましたが、オイルショックと今回のバブルと二度大変大きな振幅といいますか、国民的な難題を抱えショックを受けたわけであります。オイルショックの折によく反省をされたのは、西ドイツと日本というのは石油もない、資源国ではない。しかし、同じようにやはりオイルショックの影響を受ける国でありながら、消費物価や卸売物価というのは日本は西ドイツの約倍上がっているんです。あのオイルショックの三年間に日本の場合は消費者物価が約二三・二%、西ドイツが約一一%、だから倍以上日本は上がっているわけですね。これはどこに問題があったのかというと、西ドイツの連銀と日本の日銀との金融操作にかかわる差がやはり出たのではないかというのは大方言われてきたところであります。  今回のバブルにつきましては、大蔵省やあるいは日銀あるいは経企庁、そういう行政の、しかも優秀だと言われている皆さんがそろっておりながら、一体どうしてあの泡がああいうように大きく膨らんで、この狭い日本列島の土地の値段がアメリカ合衆国の土地を二・五倍ぐらい買える日本の土地の評価というのは、そういうような状態がどうして出てきたのか。これ中曾根首相が民活を唱えて内需拡大を唱えたころから、やっぱり政治の責任もあると思うんだけど、しかし、独立して運営している日銀の金融操作なりあるいは大蔵省の監視・監督の責任なりというのは、私はこの際、だれを責めるとかどうこうじゃなくて、どこに一体問題があるのかということを本当に考えてみなきゃいけないんじゃないか。  二度あることは三度ある。あと十年も十五年もしますとまた同じことをやるような組織か仕組みになっている、私はこのようにも感じてしょうがないんですが、責めるわけじゃないんですけれども、問題の所在というか核心をはっきり握ってこれから対応していかなきゃならないと思いますので、どうしてああいうようにバブルがどんどん膨らんでいく途中で手を打てなかったのかということを日銀や大蔵省の方に伺いたいと思います。  肩の力を抜いてひとつお答えください。よろしく。
  51. 山口泰

    参考人山口泰君) ただいまバブルの例を引き合いにお出しになりまして、経済の変動をもう少し小幅にすることはできないだろうか、なだらかにすることはできないだろうかという貴重な問題提起をいただいたと存じます。  日本銀行の金融政策の目的、これを一言で申し上げますと、インフレのない持続的な経済成長を何とか実現したい、こういうことに尽きると思っておりますが、残念ながら、御指摘いただきましたように、時といたしまして経済にはかなり大きな変動が生じてしまったのは事実でございます。  バブルのことを御指摘いただきましたので、私もそれの経験に沿いまして若干申し上げさせていただきたいと存じますけれども、バブル発生当時のことをいろいろ思い起こしてみますと、当時、例えば東京圏に対する一極集中の進行でありますとか、あるいは東京が新しい国際金融センターとして台頭してまいりまして、それに伴うオフィス需要が急激に増加するといったことでありますとか、あるいは日本からの資本輸出が非常にふえまして、日本の低い金利が世界の金融市場を潤すんだというような御指摘、あるいは土地取引に対するさまざまな法制、税制面からの制約、いろいろなことが実は相当複雑に絡み合っておりまして、結果としてバブルと言われる異常な経済行動というものに結びついていったようなことを記憶しております。  その中で、金融政策、低い金利水準維持ということも一つの役割を演じてしまったように思いますけれども金融政策だけで果たしてあれだけのバブルと言われるような経済情勢を未然に防ぐことができたかどうかということを考えますと、私どもはかなり難しかったのではないかなというふうな考えを持っております。  また、バブルと言われるような経済現象というのが一たん発生してしまいますと、それが経済のメカニズムそのものによりましていずれは破裂し崩壊していくというふうにならざるを得ないわけでございまして、そういうバブルの崩壊に立ち至った局面におきましては、金融政策のできることというのは、その崩壊に伴う痛みといいますか経済に対する悪影響、これをできるだけ和らげる、小さくするということに主として限られてくるというふうに思っております。  ただ、当時のバブル発生に至るいろいろな経済情勢を振り返ってみますと、一つ言えますことは、当時やはり政策運営の重点といたしまして、為替相場の安定あるいは対外不均衡の解消というようなことにかなりのウエートを置かざるを得ない、いわば国家的な目標になっていたということが一つあったかと思います。そういう国家的な目標というものもいわば意識いたしまして当時の金融政策運営されたという面もあったかと思います。  そのような金融政策面での対応というのは、当時の政策担当者の立場に立ってみますと恐らくぎりぎりの政策選択であったろうと思いますので、その評価について、数年たった今日において軽々に論ずることはできないと思いますが、あえて申し上げますと、金融政策運営していく上で大事なことは、やはり冒頭申し上げましたインフレのない持続的成長というこの目標に強くこだわっていくということではないだろうかと存じます。言いかえますと、例えば当時の為替相場の安定とか対外不均衡の解消といった目標のために過度に金融政策に……
  52. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 簡単に。
  53. 山口泰

    参考人山口泰君) 依存した対応をとりますと、結果として経済の振幅を大きくしてしまうようなことが起きかねないということでございます。  今、金融政策の目標について申し上げましたが、同時に、じゃそういう目標を実現するためにどういう政策を実際に行えばいいのかという方法論もございまして、この点では、通貨とか信用の量あるいは地価等の資産価格、こういったものに対しても十分な注意を払いながら政策を運営していくことが必要であろうと考えております。  そんなことを心がけながら、御指摘いただきましたような安定的な経済発展という目標のために努力してまいりたいと思っております。  長くなりまして失礼いたしました。
  54. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) バブルがどのような事情で発生したかというお尋ねでございます。大体今、日本銀行からのお話がございましたが、私どもは、いろいろな状況の中からあえて取り上げますと、我が国経済に対するまず強気の期待というものがありまして、金融機関によるリスク管理体制が必ずしも十分でないままに金融機関が活発な行動をとったということ、それに加えて、長期にわたる金融緩和の状況があったといったようなことから、大量の資金が株式市場、土地の市場に流れ込んだために発生したものというふうに考えております。したがいまして、その先行きに対する期待が一掃されますと、結局はバブルの崩壊ということになったのではないかと。  そういうことでいろいろ反省点はあるわけでございますけれども、現時点で当時の状況を振り返ってみますと、資産価格の急激かつ大幅な変動というものが国民経済に非常に深刻な影響を与えるということについての的確な認識が必ずしも十分でなかったということが教訓としてあるのではないかなというふうに考えております。
  55. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 金融当局は、この問題に対してお答えされるときには、大阪の住専で末野さんですか、たくさん借りている人、あの人は済みませんでしたとこう言うんですが、当局としては、言いわけが先にくるのではなくて、バブルをとめ得なかった、そこのところはやっぱり我々の弱さがあったということを、やっぱりポイントをずっと出していただいて、それから言いわけを聞きたかったわけです。  もう時間ですからやめますが、私は、高原のハイウエーというのは高い低いがあるんですが、それを車で走るときに、ああいうような形でずっとなだらかな経済運営がどうしてできないのかと。悪い道を行くように、もう自動車がばっと吹かして、そしてぼんぼん吹かしておってばっとブレーキかけるような、がたがたするような経済運営をずっとやってきておりますから、いつもいつもそう思うんです。  だから、金融当局の皆さんについては、また折を見てこの点については少しゆっくりと議論していきたいと思いますので、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  56. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、きょう、事前通告したテーマで質問するとかみ合わないという体験をしましたので、この場ではかみ合うように、事前通告していませんけれども、先ほどの委員会の質問の一テーマでやらせていただきたいと思います。  先ほど論議がありましたけれども、この大変な財政危機に六千八百五十億円の公的資金を投入する、そのために赤字公債発行するということには私どもは絶対反対であります。さっきも指摘がありましたが、大蔵省責任逃れがそういう形でやられているんじゃないかというのが漠然とした国民的な私は感覚になっているんじゃないかと思います。それは、世論調査を見ると一番責任が重いのは大蔵省という数字が出ていることからですね。  私は、一番か二番か別として大蔵省責任も大きいと思いますけれども、どういう性格の責任があるかということを明らかにしていかなくちゃならないと思います、責任があるだけじゃなくてですね。その点で私は、大臣が繰り返し強調してきておられますように、透明性確保あるいは種々の責任の明確化、こういうことは非常に大事なことだと思って、別の委員会ですけれども、先ほども問題提起とあわせて質問をさせていただいたわけです。  それで、この問題を見る場合に、私はやっぱりいろんな関係機関がどういう気になっていろいろ動いたかということを正確に客観的に知っておくことが大事だと思って、さっきも、母体行や住専が県信連に行ったときにどういう論議になっているかと。これは私、信連は要請されれば幾らでも提出するだろうと思います。そういうのをぜひ見てもらいたいということをもう一度言います。  例えば、それを見ますと、再建計画は大蔵省指導でつくったんだ、あるいは大蔵省と我々が一緒になってつくった、こういう説明が随所に行われております、母体行や住専側からの説明ではね。だから、実態はどうだったかという問題も大事ですけれども、そういう説明を受けて、それなら協力しよう、その再建計画は安心できるだろうという気になった経過というのは、そういうのを読んでみると私は非常によくわかる気がすると思うわけです。  それで、私は二つ提起した覚書から確約書から大蔵大臣の談話、このうちまだ確約書が出されていない。私は、あんな簡単な、数行じゃないですか、確約書の中身ね。だれもこんなもの出すのに反対する者ないと思いますよ。私がちょっと見せてもらっているものによると六行ですよ、全文で。こんなものをなぜ出されないのか。こんなものが出ないから何か隠しているんじゃないかという気になると思えます。これ出されて母体行もそんなに困るような大変な内容はない。出せ出せと言ったがこれだけだったかという気になる程度のものじゃないですか。そういうところにも、大臣透明性確保あるいは責任の明確化ということを強調しておられるが、その実が伴っていない。そういう結果になっているという問題が私はあると思います。  それから、私は、事前通告では文書でもきちっと書いて、これはこういう意味だという詳細なる説明をしたのが系統四団体の要請、これに対する大蔵、農水の回答ということで、これはこうこうこういう意味だということを詳細にきのう事前通告のときに述べておいたんですが、ここに至っても全然かみ合わないことになりました。  私はなぜそういうことを言うかというと、さっき言った確約書から、そういう四団体の要請との関係で、再建計画を受け入れるか受け入れないかということが大問題になっている。そこで、その要望書は先ほど紹介がありましたけれども大蔵省の口頭回答、それから農水省の口頭回答というのは、これはかなり詳しく朝日新聞にももう要旨として出しているものでありまして、それは文書になって全国の県信連はみんな持っているわけですよ。大蔵省がまた農水省がこういう内容の回答をしたんだ、それなら安心できると思い込んでいるんですよ。どこかの蔵の中にかぎが締まっているんじゃなくて、これは全国の県信連はみんな持っているわけですよ。  ですから、そんなものあるかないかわからぬということじゃなくて、しかもそれは今も焦点になっている元本保証についての回答まであるわけですよ。そういうものを、なるほどそれは回答のとおりだとか、あるいはそれは大蔵省の回答と違うというのなら、それははっきりすればいいわけですけれども、ところが、回答があるかないかわからない、こうなると、私は大蔵省の仕事の仕方というのは一体どうなっているかと疑問を持たざるを得ない。大蔵大臣談話まで出して非常に重視したその住専再建問題をめぐって農林四団体からの連名の要請書が出た、その回答はどういう回答をしたか痕跡がないというのなら、だれかが行って出任せに口頭で回答したのか。私はちょっとした重要なものは、口頭で回答するにしてもみんな文書つくって練り上げて回答しますよ。だから、その回答書がないなんというそんな奇怪なる話は通じないですよ。  大臣ね、そういうわけで、全国の県信連みんな持っている文書をこっちはあるかないかわからないと言われると、はいそうですかと言うわけにはいかないわけで、そう言うことをきちっとして、その経過の中で種々の責任の明確化も、事態はこういう経緯ならその経緯の中に、個々の問題の評価はどうあれ、やはり経緯に沿った処理をしなくちゃいかぬなということになると思いまして、それで大臣にそういう例えば口頭回答なんかお読みになっているんだろうかというようなことも含めてお伺いしようと思うたら、あるかないかわからぬというわけのわからぬことになっちゃったんで、そこまで行かずに終わったんですよ。  そういうのが私が大臣にお伺いもし、また提案もしたがったことですけれども、今のそういう文書というのは、もう口頭で回答したらあとは痕跡もなくなる仕事の仕組みかどうかということと、それから私が今ちょっと言いましたこと、大臣の感想を述べていただきたいと思います。
  57. 久保亘

    国務大臣久保亘君) もう何回も申し上げてまいりましたように、私は、住専問題については積極的な情報の公開ということが極めて重要なことであり、国民の御理解をいただくためには必須の要件である、こう思っております。  そういう立場から、国会の始まります前に可能な限りの努力をしてもらって資料を公開したのでございますが、その後も、守秘義務との関係を生ずるおそれのあるものについては議院証言法に基づく手続を国会の方できちんとおとりくださったので、それに応じて提出をいたしました。積極的に公開することを原則として進めております。  今、吉岡さんからお話のありました問題についても、私といたしましては、どのようなことになっているのか、要請に対する口頭の回答というのがどんな形で行われたのか、そういうことについても調べてみたいと思っております。
  58. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 ともかく、全国の県信連はそれが大蔵省考え方だと思っているわけですから、ぜひ調べていただきたいことと、私いろいろ言いましたから、銀行局長の発言の機会も与えなければ不公平だと思いますから、一言、そういう口頭回答というものは文書も何もなしにぱっとその場で、大変頭脳明断であるのでしゃべるというやり方が大蔵省のやり方なのかどうなのかということだけちょっとお答え願います。
  59. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) どうも先ほどは失礼をいたしました。  まず第一点の確認書と言われておるものでございますが、これはただいま手続をとっておりまして、内容的には、御指摘のように、私もこういう内容でございますというのは口頭で答弁は申し上げてはきておるのでございますが、文書の作成者が民間なものですから、つくった人の御了解、これも百七十ばかりの人の御了解が必要なものですから、そういう手続をとって今提出を準備させていただいておる、こういうことでございます。  もう一つの信連に対する回答書というものでございますが、私も系統の方々が議事録としておつくりになったようなものがあるというようなお話は漏れ伺ってはおるんでございますが、私どもの方で系統の方々に対して御面談のときにどのような紙を用意してお相手を申し上げたのかというところについては、必ずしも非常に明確な回答書をつくったというふうには理解をしておらなかったのでございますが、なおそういうメモが存在するかどうか一度調べてみたいと存じます。
  60. 山口哲夫

    山口哲夫君 補正予算につきましては、また赤字国債を一兆九千億も積むということでは到底納得できるものではありません。したがって反対の意思表示をしておきたいと思います。なお、財政の基本的な問題については大臣所信表明に対する質疑のときにでもさせていただきたい、そう考えて、住専問題について質問をしたいと思います。  質問に入る前に、私ども新社会党の基本的な考えだけを申し述べておきたいと思います。それはあくまでも六千八百五十億の国費の支出については反対であるということです。これはもう母体行の責任解決するべき問題でありまして、一説によりますと、母体行の大手銀行等の中では九五年度の業務純益が六千億を上回る。そういう純益を上げているわけでありますから、そういうものを中心にして母体行がもう少し努力をすることによって、大臣が先ほど述べていた金融不安というものは起きないで済む、解決はできる、そういうふうに考えておるところでございます。  それで質問ですけれども、衆議院の予算委員会で一度も取り上げられていませんでしたこの欠損金の問題を質問したいと思っております。  この第一次処理案の対象というのは、御存じのとおり第一次欠損分の六兆四千百億円。その内容は二つに分かれておりまして、回収不能債権が六兆二千七百億で、欠損の方が一千四百億と、こう言われております。六兆二千七百億に比べると一千四百億というのは少ない金額かもしれませんけれども、しかし国民にとってはこれは大変大きな問題でございまして、当然これは六千八百五十億の一部とみなさなければいけないだろうと思っております。  したがいまして、これは当然明らかにしていただかなければならないわけでありまして、現在不良債権については実名で公表しております。これは税金が使われるわけでございますので、過去のものでありましてもその内容は当然明らかにするべき問題だと思っております。もしこの中に暴力団絡みのものやあるいは政治家絡みのものがあったのでは、これは国民としても納得できるところではございませんので、この発生の原因を第一、そしてその内容について明らかにしてもらいたい、実名で公表していただきたい、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  61. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、千四百億円の欠損金というのがどういう性格のものかということを積算を含めてお答えを申し上げたいと存じます。  この千四百億と申しますのは、まず第一に、住専七社の資産譲渡時までの期間損失の繰越分、毎年度年度の繰越分でございますが、これは譲渡時には損失として処理することが必要でございます。その所要額を住専七社合計いたしましたものが約二千九百億円ございます。  一方において二千九百億円ございますが、他方において、この処理に当たりましては、住専七社の資本金等がございますが、これをまずこの穴埋めに充当するということが必要でございます。すなわち住専処理、消滅するわけでございますので住専の株主等の権利は失われるということで、この住専の資本金等を欠損の穴埋めに充当するという考え方のもとに、資本金等を七社合計いたしますと約千五百億円ございます。そこで二千九百億円から千五百億円を控除いたしました差額が千四百億円という欠損見込み額になるわけでございます。  以上御説明いたしましたところでおわかりいただけるかと存じますけれども、こうした欠損金というのは収益から費用を控除したものの過去からの累計によるものでございますので、実名と申しますか、いわば一つ一つ固有名詞のついたものというよりも過去からの累積という性格のものでございますので、個別内容をお示しするということが困難な性格なものであるということを御理解いただきたいと存じます。
  62. 山口哲夫

    山口哲夫君 先般、二月七日に公表されましたのは百社にわたっていますよね。住専が貸し付けた先、百社。これは七つですから七百の先を全部公表しているわけですね。これにしかも貸し付けの残高から回収見込み額、不良額全部発表していますよね。そういうことからいきますと、過去のものであってもこれは発表できないものではないと私どもは考えております。  欠損金千四百億、これだけで締めくくられてしまいますと中身が全然わからないわけでして、少なくとも七社ごとに欠損金というのが一体幾らあったのか、これは出せると思います。それから各社ごとに今度は毎年度、昭和六十年度以降でも結構ですけれども、毎年度どのぐらいの欠損があったのか、それも示してもらいたい。それから貸付先の企業名、これはこっちでも出しているわけですから、出せないことはないと思いますね。それから不良債権、損失見込み額、回収見込み額、いずれも百社について出しているわけですから、同じような扱いとして出すべきだと、そう思います。出せますか。
  63. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいま申し上げましたように、強いて固有名詞を出すといたしますと住専七社の名前になるわけでございます。七社の各最新の欠損額及び資本金というようなものは、財務諸表を一番初めに提出いたしました資料に個々には掲載されておるものではございます。したがいまして、内容は既に御提出申し上げたものの中に場所は異なっておっても記載されておるような性格のものとなっておるわけでございます。
  64. 山口哲夫

    山口哲夫君 二月七日に出した百社のこれと一緒にされたんでは困るわけですね。欠損金を一体各社がどの程度出したのか、出したその理由というのは一体どこにあるのか、どういう先に貸し付けて焦げついているのか、これはやっぱり明らかにするべきだと私は思います。  それで、時間がありませんので大臣にもぜひお答えいただきたいと思うんですけれども、まず当局に二つお聞きしておきたいんですけれども大臣はとにかくできるだけ情報公開したい、透明性が一番大事だというふうにおっしゃったので、全く私もそのとおりだと思うんです。  そこで、住専の貸付先企業の役員名と前職を公表していただきたいと思うんです。なぜかといえば、貸付企業が年商売上高三十倍の融資を受けている。年商売上高の三十倍の融資を受けるというのは普通の常識では考えられないです。そこには何かがあるのではないかというような国民の疑惑というのは当然起きると思うわけです。そういった癒着がもしあるとすれば明らかにしていかなきゃなりませんので、少なくとも貸付先企業上位五十社くらいの役員名と前職だけは明らかにしていただきたい。  それから、自治省には住専の大口融資先からの献金を受けている政治家名というものを明らかにしてほしい。  この二つ、当局からお答えいただき、恐らく満足な御回答にはならないと思っておりますので、大臣の情報公開、透明性というそういうお考えに立って、ぜひひとつ事務当局に出させるような御決意をお伺いしておきたいと思います。
  65. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 個々の融資先に係る役員ということでございますが、私ども融資先に係る主な内容については調査の結果を御報告しておるところでございますけれども、すべての融資先についてそのような役員の名前とか前職というところまでは把握していないところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  66. 斉藤信行

    説明員(斉藤信行君) 政治資金規制法では、政治活動に関する寄付につきましては寄付者側からの報告は義務づけられておりません。受領者であります政治団体等が報告をする仕組みになっております。  自治大臣に収支報告書を提出した政治団体は平成六年分で約四千二百団体余り、また都道府県選挙管理委員会に提出した政治団体は、これは平成五年分でございますが、平成五年分で五万二千余りもございまして、これらすべての政治団体の各年分の収支報告書等について一つ一つチェックすることは困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  67. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  68. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党を代表して、ただいま議題となった平成年度における租税収入減少を補うための公債発行特例に関する法律案に対して、反対の討論を行います。  本法案は、本年度第三次予算において見込まれる租税収入減少を補うために、一兆九千億円もの赤字公債発行を行おうとするものであります。歳入不足を穴埋めするための赤字公債発行は八九年度以来初めてのものであります。  このような事態をもたらした原因は、政府の過大な税収見積もりに加えて、景気対策と称して巨額の公共事業予算を組むなど、財源を顧みない放漫な財政運営を行ってきた結果であります。これにより、補正後の国債発行残高は二百二十二兆円を超え、公債依存率は二八・二%と高まり、我が国財政の危機をいよいよ深めるものであります。  以上の理由から、本法案に反対の態度を表明するものであります。
  69. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  平成年度における租税収入減少を補うための公債発行特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会      —————・—————