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1996-05-15 第136回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十五日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      平田 健二君     今泉  昭君  五月十五日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     平田 健二君      久保  亘君     齋藤  頸君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沓掛 哲男君     理 事                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 荒木 清寛君                 前川 忠夫君     委 員                 斎藤 文夫君                 坂野 重信君                 中曽根弘文君                 野間  赳君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 齋藤  勁君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君                 小島 慶三君    政府委員        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        大宮  正君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    参考人        社団法人日本通        信販売協会副会        長        石川 博康君        日本弁護士連合        会消費者問題対        策委員会委員   齋藤 雅弘君        東京地域婦人        団体連盟事務局        長        田中 里子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として齋藤勁君が選任されました。     —————————————
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案審査のため、本日、社団法人日本通信販売協会会長石川博康君、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員齋藤雅弘君及び東京地域婦人団体連盟事務局長田中里子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、本案審査のため、お手元に配付いたしております名簿の三名の方々参考人として御出席願っております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。ただいま議題となっております本案につきまして、皆様方から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、議事の進め方でございますが、まず参考人方々から御意見をそれぞれ二十分程度お述べいただいた後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御承知願います。  なお、参考人方々には、意見の陳述及び委員の質問に関する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、石川参考人からお願いいたします。石川参考人
  6. 石川博康

    参考人石川博康君) 石川でございます。  初めに、我が国通信販売の現状につきまして御説明を申し上げたいと思います。  我が国通信販売は、協会発足時、昭和六十年でございますけれども、このときには約八千三百億円の売り上げでございましたが、十年後の平成六年度におきましては二兆五億円になっており、我が国小売業売上高の中の一・四%を占めるに至っております。現在、御承知のように、景気が低迷をしておるわけでございますが、平成五年度から六年度の伸びを見ますと一〇四・七%でございまして、百貨店を初め各種小売業大変低迷をしている中では、通販業界は総じて着実な伸びをしておる、こういうことが言えようかと思います。  また、当協会調査によりますと、通販利用者は毎年増加をしておりまして、昨年一年間で見ますと、通販利用世帯数は六二・三%に達していると思われます。また、個人の利用者も三六・四%で、ともに前の年を上回る伸びを示しております。こうした傾向は今後とも続くものだと私どもは考えております。  このような通販産業の拡大は、女性社会進出を背景に、便利で手軽な買い物手段として広く消費者の支持を得ていることのあらわれであり、一方、私ども業界といたしましても、後ほど御説明申し上げますが、各関係法令にのっとって業界自主規制制定し、商業倫理確立取引公正化消費者利益保護に努めていることによるものと考えております。  次に、社団法人日本通信販売協会について、その概要を御説明申し上げます。  社団法人日本通信販売協会は、昭和五十八年十一月に通信販売業界倫理確立取引公正化を目指して設立をされた通商産業大臣認可公益法人であります。その後、昭和六十三年に訪問販売等に関する法律改正をされ、通信販売規制強化とあわせて、当協会は、取引を公正にし、消費者利益保護し、通信販売事業の健全な発展に資することを目的とする業界団体として同法に位置づけられております。  その業務内容でございますが、当協会は、この訪販法規定に基づきまして、業界自主規制である倫理綱領制定及びその普及と実践、通販一一〇番による消費者からの相談受け付け及びその処理通販事業者及び消費者に対する広報、啓発、内外の情報資料の収集、提供及び調査研究等業務を行っております。とりわけ通販一一〇番は、消費者トラブルの迅速、的確な処理を図るために開設したものであり、当協会主要業務の一つとなっております。  当協会のこうした諸活動は、近年、各関係方面からも高い評価を受けつつあり、またマスコミなどにも取り上げられる機会も多くなり、消費者方々の当協会に対する理解も年々深まってきております。  協会会員数でございますが、通販業界発展を反映いたしまして増加をしております。協会設立時には正会員が九十二社でございましたが、現在では二百七十五社に上っており、我が国の主要な通販事業者のほとんどが加盟をしております。  売上高で見ますと、平成六年度で会員社売り上げは一兆八千百億円。先ほど申し上げましたように、我が国通販業界全体が約二兆円でございますので、その九〇%強を会員社で占めている、こういうことが言えます。  当協会では、業界自主規制である倫理綱領普及通販業界全体の信頼性向上及び消費者保護観点から、協会にいまだ加盟をしていない事業者加盟促進努力をしているところでございます。  次に、協会自主規制普及活動について申し上げます。  訪販法では通信販売にかかわる広告等について一定事項表示義務等規制がかかっておりますが、協会では、これに加えて、通信販売倫理綱領通信販売倫理綱領実施基準通信教育に関するガイドラインJADMAマーク制定等自主規制制定いたしまして、法令で定められた事項の遵守はむろんのこと、より消費者保護立場に立った規制基準を設け、これらの普及啓発に努めておるわけであります。  この倫理綱領は、通販に対する消費者からの信頼を得るとともに、通販の健全な発展を図るため、会員が遵守すべき基本的な事項を定めたものであります。一に消費者権利尊重、二に公序良俗の尊重、三が良質の商品・サービスの提供、四が真実に基づく広告表示、五にプライバシー保護、六に青少年の健全育成、七に消費者苦情処理体制整備等を定めたものでございます。  また、倫理綱領実施基準は、会員社が実際の通販活動を進めるに当たって、綱領趣旨を具体化し実践する上での目安を定めております。例えばでございますけれども、現在問題の電話勧誘に関しては、この実施基準第三章の九で、顧客への電話は、内容のいかんを問わず深夜または早朝には行わないことにしておりまして、また勤務先への電話顧客意思尊重することを定めております。  また、通信教育に関するガイドラインでは、訪販法指定役務である「技芸又は知識の教授」を通信販売手法で行う場合の会員が遵守すべき基本的事項を定めたものであり、その内容は、通信販売倫理綱領と同実施基準に準じて取引講座内容広告表示講座基準等について定めたものであります。  このガイドラインは、近年の悪質な電話勧誘による資格取得商法から消費者保護するため、当協会会員社の適正な事業活動の指針を示したものであります。  例えば、解約でございますけれども原則として解約を受けるということにしております。これは第一章の五項で決めておるところでございますが、原則として解約は受けるものとし、受ける期間及び解約に関する費用の条件を表示すること、そして講座内容特性により解約を受け得ない場合にはその旨を表示すること、教材等を継続して送付する場合の中途解約条件についても前二項と同様とする、このように定めております。協会といたしましては、会員以外のいわゆるアウトサイダーにおいてもこのガイドライン趣旨にのっとった営業活動を行うことを期待しておるものであります。  また、JADMAマークは、協会正会員にその使用を認めているもので、消費者購入申し込みをする際の安心と信頼目安マークとなるよう定めたものであります。  また、近年言われております消費者プライバシー保護観点から、協会昭和六十二年から会員各社の間でMPS、メール・プレファランス・サービスの制度を実施しております。この制度は、消費者カタログ等送付を希望しない旨を申し出た場合、その名前を会員社顧客名簿から削除するシステムでありまして、我が国では唯一の制度であり、現在でこの制度利用の申し出は四千九百六十八人に達しております。  また、TPS制度、テレホン・プレファランス・サービスにつきましては、今回の法律改正機会業界といたしましてもその導入を検討してまいりたい、このように考えているところでございます。  次に、消費者トラブル解決について申し上げたいと思います。  協会は、消費者利益保護のため、発足間もない昭和五十九年から通販一一〇番を開設しており、現在は常時三名の相談員一般消費者からの相談苦情等受け付け処理に当たっております。相談件数通販産業発展とともにふえてまいっております。平成七年度には二千九百五十一件に達しております。これらの相談事案につきましては、当協会会員社についてはほぼ一〇〇%そのトラブル解決をしており、また未加盟事業者トラブルについても会員社と同様に厳しく指導し、その多くのケースはトラブル解決を見ております。  次に、アウトサイダーへの対応でありますが、協会のこれらの自主規制は、未加盟事業者、いわゆるアウトサイダーに対しましては効力が残念ながら及びません。しかしながら、協会ではこれらの周知、普及を図るため、毎年、全国各地の九カ所でアウトサイダー対象にして訪販法自主規制等についての説明会を開催し、これらの趣旨の徹底、業界モラル向上と意識の啓発について厳しく指導をするとともに、協会への加盟促進努力を重ねております。    〔委員長退席理事久世公堯君着席〕  また、協会では、通販利便性特性を有効に生かすため、体の御不自由な方々に向けていろんな施策を実施しております。例えば、平成六年度には目の不自由な方々のためにカセットテープによる通販の上手な利用法を作成し、関係身障者団体配布をいたしました。さらに、昨年は耳の不自由な方たちに向けてファクスによる通販利用パンフレットを作成し、聴覚障害者団体等配布をしております。このほか、毎年、シルバー層若年層向けパンフレットを作成し、配布も行っております。  次に、このたびの訪販法の一部改正案について意見を申し上げさせていただきたいと思います。  当協会としては、最近の悪質な電話勧誘による消費者トラブルの増大は関係業界のイメージを著しく損なうものとして深く憂慮しているところであります。このため、消費者保護を図り、公正な取引関係を確保するためには、こうした悪質業者に対し何らかの規制を加えることはやむを得ないものと考えております。その意味から、今回の訪販法の一部改正案国会上程は時宜を得たものと考えております。  通信販売は、先ほども申し上げましたように、現在では女性を初めとして幅広い層の御愛顧を得ておるわけでございますが、今後は、急増いたします高齢者層共働き世帯、さらには、先ほど申し上げましたように、体の不自由な方々にとっても手軽で便利な購買手段として、日常の消費生活において極めて重要な役割を担っていくものと考えております。私ども業界は、こうした今後の社会経済情勢の変化や消費者利益保護も念頭に置きつつ、協会の自主的な規制のもとで、創意工夫を凝らしながら事業に取り組んでまいっております。そして、大多数の通販事業者は公正にまじめに経済活動を行っていることをこの機会に申し述べておきたいと思います。  電話勧誘販売取引は、今回の改正法案通信販売取引とは切り離して取引規制がかかることになりますが、電話を用いた販売取引はもともと事業者及び消費者の双方にとって極めて便利で有用な手段であると思います。とりわけ、今後の高齢化社会の進行に伴って、体の不自由な方々共働き世帯増加によって時間的余裕の少ない方々が増大していくことを考えますと、自宅におりながら手軽に電話でお買い物ができるということは大きなメリットであり、その健全な育成を図っていくことが今後重要になっていくと思っております。したがって、国におかれましても、こうした事情を御賢察の上、電話勧誘取引規制が過重なものとならないよう御配慮をお願い申し上げます。     〔理事久世公堯君退席委員長着席〕  今まで申し上げましたように、通信販売業界では各種自主規制制定し、法令で定められた基準にとどまらず、消費者保護立場配慮した規制基準を設けております。国におかれましては、業界のこうした自主努力に十分御配慮をされ、今回の改正法による規制強化に際しましては、大多数のまじめな事業者の公正な経済活動を阻害することのないよう、また今後の健全な通信販売事業発展の芽を摘むことのないよう、業界自主規制を極力尊重しながら関係法令の運用を図られるよう慎重な御配慮を要望するものでございます。  以上で終わらせていただきます。
  7. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ありがとうございました。  次に、齋藤参考人にお願いいたします。齋藤参考人
  8. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員をしております弁護士齋藤雅弘でございます。  私は、日弁連がことしの一月に訪問販売法改正に関する意見書を発表しておりますが、この意見に沿って今回の訪問販売法改正について、幾つかポイントを絞って御意見を申し上げさせていただきたいと思います。  まず、昨今の新聞報道などにもありますように、資格商法を中心とした電話勧誘取引被害が非常に多発をしておる、またその被害の深刻さということは委員先生方の御理解を得ていただいていると思いますが、そういう観点からしますと、今回の改正法につきましては多少遅きに失するんではないかという印象を持っております。それから、連鎖販売取引につきましても、全国各地消費生活センター相談事例や、弁護士会でもやっております消費者相談事例などを見る限り、かなり深刻な被害が多発しておりますので、やはりこの点に関する法改正も多少時期を失しているんではないかというような印象も持っております。  そういう問題を踏まえまして、日弁連で御意見を申し上げたわけでありますが、まず、電話勧誘取引につきまして、幾つか我々の方で考えていることを申し上げさせていただきます。  まず、今回の改正法につきましては、電話勧誘取引規制対象としていわゆる政令指定商品制というものをとっております。電話勧誘取引はなぜ法規制対象とすべきかということをさかのぼって考えていきますと、そもそも電話という手段を使って積極的に消費者のところに電話をかけて、勧誘をした上で取引に引き込んでいくというものが電話勧誘取引内容でございますけれども消費者の方から電話をかけるということではなくて、事業者側から積極的に電話という手段を使って勧誘をしていくということに問題の本質があるわけであります。  この点に関しましては、御案内のとおり、ドイツでは、今のような形で事業者の方から積極的に電話勧誘のために使って商取引を行っていくということは不正競争防止法上違法であるということで、差しとめの対象になるということであります。したがいまして、電話を積極的に勧誘手段として使っていくということに関しましては、社会的な相当性の枠組みから見て必ずしも積極的には評価されていない、むしろ消極的に評価をされている国もあるということを十分御理解いただきたいと思います。  また、電話勧誘問題点について、不意打ち性ですとか密室性ですとか不確実性、それから執拗に何度も電話をかけてこられるというふうな問題点指摘されておりますが、これらはいずれも電話という手段を使い、なおかつ事業者から積極的に勧誘行為を行うという勧誘手法、方法に問題があるからということで指摘をされていることであります。  したがいまして、このようなやり方からくる問題を規制していこうとする場合には、対象になっている商品が何であるか、権利が何であるか、役務が何であるかに関係がなく、その勧誘手法に問題があるということからしますと、いわゆる政令指定商品制をとって、対象商品権利役務を特定した上で、それについて訪販法規制をかぶせていくという考え方はやはりまずいのではないだろうかというふうに思う次第であります。  現実に電話勧誘取引につきましては、訪問販売法で現在指定をされております政令指定商品権利役務に限らず、例えばマンションの共同経営、それから証券取引、ワラントですとか信用取引ども含まれますけれども、それから商品先物取引被害などが特にまた最近ふえているようなことも耳にしております。そういうものにつきましては訪問販売法指定商品にはなっておりません。こういう取引についてもかなり被害が出ているというふうに私どもが認識するような事情もございますので、そういう観点から申し上げても、やはり政令指定商品制を採用すべきではないんではないかというふうに申し上げたいと思います。  日弁連意見では、このような観点から、電話勧誘という行為そのもの規制場面と、それから電話勧誘によってその後契約締結に至るいわゆる契約締結行為場面を二つに分けた上で、電話勧誘そのものについては政令指定商品制を少なくともとるべきではないというような考え方を申し上げてあります。議員の先生方のお手元にも意見書をお渡ししておるつもりでございますので、御参考にしていただげればというふうに考えております。  それから、もう一点でありますが、今回の改正案ではクーリングオフ規定電話勧誘取引導入をしていただいておるようであります。この点につきましては、電話勧誘取引クーリングオフ規定が入ることは大変評価すべきことであるというふうに考えております。  しかし、クーリングオフ権利を行使できる始期につきましては、改正法案を読ませていただきますと、消費者の方がいわゆる法定書面を受領した日からクーリングオフ始期を算定していくという規定の体裁になっているようであります。しかし、やはりこの点も電話勧誘取引の特質から見ますと問題があるのではないかというふうに考える次第であります。  その理由を申し上げますと、恐らくこの規定訪問販売の場合と横並びの規定にしたというふうに推察されるわけでありますけれども訪問販売の場合ですと、面談によって実際の契約勧誘契約締結に必要な書類の作成の手続がなされることが多いわけでありますが、その場合には目の前で契約書面契約に関する書面が差し出され、その場で認識ができます。場合によっては商品をその場で取り出して消費者の側に見てもらう、確認してもらうというようなこともあるわけであります。したがいまして、その時点で具体的な契約の話になっている、契約締結する問題の場面に来ておるということが直ちに認識できて、恐らくそれを誤解したり、そのときの状況の判断を間違う消費者はほとんどいないんではないかというふうに考えられるわけであります。  電話勧誘の場合ですと、電話勧誘取引被害の実態から見ますと、そもそも契約意思があるかないか、もしくは契約意思がきちんと確立されているものかどうか、契約意思があいまいのままで契約締結された、もしくは契約締結の段階に移っていくというような問題が多数指摘をされております。したがいまして、電話勧誘取引の場合、契約締結自体に問題のある場合というのが非常に多くなっております。その場合、後日書面送付されてきても、消費者契約意思がない場合ですとか契約意思が非常に薄い場合には、そのままその書面を放置してしまってクーリングオフ期間が徒過してしまう、過ぎてしまうというようなことが十分起こり得る危険があります。  特に、この法定書面は、後日郵送ですとか宅配便その他によって送付されてくる例が非常に多くなると思いますけれども、その場合に電話で直接応対をした消費者以外の者が受領することも非常に多くなります。家庭への送付ですと、御本人だけではなくて家族がお受け取りになったり、職場への送付ですと、直接電話で応対した御本人ではなくて同僚や上司や部下が受け取るというようなことも非常に多くなってまいります。  それから、消費者の側に契約意思があいまいの場合にそういう書面が送られてきますので、御案内のとおり、ダイレクトメールやその他の商品の売り込み、販売勧誘郵便物がたくさん参りますので、それとの区別も一層困難になってくる。したがって、受け取った方としては、直接本人が受け取らない場合もありますし、直接本人が受け取って認識したとしてもダイレクトメールやその他の必要のない書面というふうに理解をしたり、誤解をしたりする可能性が非常に高くなってまいります。  そういたしますと、クーリングオフ始期として送られてくる非常に法律的に重要な意義を持っている書面だということを十分認識しないままでクーリングオフ始期が進行していくということになってしまうわけであります。このようなクーリングオフ規定の仕方をすることはまさしく電話勧誘取引本質、すなわちこの法律案電話勧誘取引トラブルを防止して適正を図るためであるということで御提案されているというふうに承っておりますので、そういう観点からしますと、法の趣旨、目的からしてやはり不十分ではないかというふうに考えているわけであります。  このような日弁連の方の意見につきましては、事業者側の過大な負担になるんではないかというような御指摘もあるわけでありますし、消費者の側が長期間放置しておいて後からクーリングオフ権利を主張してくるのは不公平ではないかというような御指摘もあるわけでありますけれども電話勧誘という非常に事業者にとって簡易で簡便な方法を積極的におとりになって商売につなげていくわけでありますから、むしろそれに伴って発生するリスクというのは当然事業者側が負うべきではないかというふうに考えております。  また、電話という手段を使えば消費者の非常にプライベートな領域に直接入り込むことができるわけでありますので、そういう観点からしましても、事業者側にその点についての負担をおかけしてもさほど不公平にはならないというふうに私どもは考えております。  また、現行の訪問販売法規定から考えましても、訪問販売の場合に、法定書面として不備のある書面を交付した場合に、その後、かなり期間を経過してクーリングオフ権利を主張してきた場合にこのクーリングオフ権の行使を認めた裁判例も幾つか出ております。  こういうことからしまして、消費者の側が書面を受領した日からということではなくて、我々が申し上げております消費者の側がその書面を受領したこと、もしくは契約書面に署名、捺印をしたことなどについて積極的なアクションを行った日をもってクーリングオフ始期としても決して不都合はないというふうに考える次第であります。  さらに、この点について申し上げますと、訪問販売法自体は我々のような弁護士のところで、すなわち裁判所の裁判の基準となるということは当然でありますが、むしろ全国各地消費生活センターその他で消費生活相談員の方によってトラブル解決する基準として大変役に立っております。  その場合に、裁判所のような有権解釈がそこで示されるわけではありませんので、非常に単純明快で、むしろ形式的な基準によって消費者利益が守られていくというような法律の書き方をしていただいた方がはるかに役立つ法律になるんではないかというふうに考える次第でありまして、そのような観点からも、クーリングオフ始期の点につきましてはぜひとも御検討いただきたいというふうに考える次第であります。  電話勧誘取引につきましては、今申し上げた二点についてぜひ意見として申し上げさせていただきたいと思います。  それから、今回の改正案につきましては、いわゆるマルチ商法、連鎖販売取引につきましても法改正をしていただくような内容になっておるわけであります。御案内のとおり、昭和四十九年の産構審の中間覚書にありますように、連鎖販売取引につきましては実質的には全面禁止をする方向で法規制をすべきであるという御意見が従前から出されておりますが、マルチ商法につきましての被害の実態を見る限り、なかなか実質的な全面禁止というような内容になっていないということがあるわけであります。  現実に、訪問販売法連鎖販売取引の要件に自分のところは該当しないんだと非常にうまく連鎖販売取引を遂行している事業者がたくさんございます。その結果、この数年来、警察の方でかなり一生懸命摘発をされて、刑事的な責任も含めた追及がなされておって、被害相談の件数などは多少下がってきておりますけれども、摘発の手を緩めますとまた被害が拡大していくというような性質を持った取引であるわけであります。また、もっと積極的に、私のところは訪問販売法連鎖販売取引に該当する事業者であるということを積極的に明示をして取引をしているという事業者もあるくらいであります。  そういたしますと、この連鎖販売取引に関する訪販法規定に対して真正面に対抗するような事業者の存在を許しているということからしますと、マルチ商法の実質的な禁止という点から考えますと、かなりほど遠い現実があるというふうに考える次第であります。したがいまして、今回の法改正につきましても、マルチ商法についての規制強化するという点では前進をしている内容だというふうに考えますけれども、もう少し御検討いただいて、先ほど申し上げました実質的禁止に近づける御努力をいただければというふうに考えております。  少し具体的に申し上げますと、マルチ商法の場合の訪販法の定義が非常に難しい内容になっておるということが一つこの法律を適用していく場合の障害になっているというふうに考えております。特に特定負担の授受についてのところはかなりわかりづらいというようなことも指摘をされております。金額的には特定負担は現在二万円というふうにされております。この二万円の内訳や実際の授受の形態、時間の経過を踏まえて特定負担に該当するか否かということの判断をせざるを得ないわけでありますけれども、かなり微妙な判断が事実の認定を前提にして行われることになります。そういたしますと、せっかく法律の条文として規定があっても、法の適用としては非常に使い勝手の悪いものになっているというふうに考えざるを得ません。  したがいまして、連鎖販売取引の定義の内容をやはり法文の本条に具体的に規定をしていただく、なおかつそれができるだけ客観的に、法の適用をする立場から見てわかりやすく、また適用を受ける人の立場から見てもわかりやすく明示をしていただくのが必要ではないかというふうに考えられます。  今回の改正案につきましては、この点についての法文上の手当ては見当たらないようでありますので、その点をきちんと御配慮いただければというふうに考える次第であります。特に連鎖販売取引の場合には、違反行為に対する罰則が通常の訪問販売などの規定に比べて厳しくなっております。そういう意味では刑事法的な性格もあるわけでありますので、構成要件の明確性という憲法上の要請からしましても、その辺の具体的な規定が必要ではないかというふうに考えております。  それから、マルチ商法につきましては、規制強化して罰則をきちんとかけていく、制裁をかけていくということも必要ではありますが、勧誘を受ける消費者にとって、マルチ商法の本質ですとか勧誘している事業者の実態、実際に進めている商法の内容をきちんと理解させるということが被害の予防や根絶にとっては非常に大切なことであるというふうに考えております。そういう観点からしますと、特にマルチ商法の場合には、情報提供と情報の開示ということがぜひとも必要であるということです。  具体的には、勧誘する事業者事業内容の開示をきちんと行うということ、それからマルチ商法、連鎖販売取引自体の内容をきちんと消費者理解させられるだけの情報を積極的に開示をしていくということが必要ではないかと思います。もっと具体的に申し上げますと、連鎖販売取引というのはどういう点に問題があるか、危険性があるかということを具体的に消費者の方に教え込まなければいけないというふうな内容をやはり事業者側に情報の開示義務、提供義務として課する必要があるのではないかということを考えております。  私ども日弁連の方では、そういう観点から警告書面を作成して、その警告書面に、マルチ商法というのは非常に危険で、友人を失ったり、勧誘にあるような利益を得られることは少ないですよ、在庫を抱えて大変なことになりますよ、破産をした例もありますよというようなことで、具体的にわかりやすく消費者に危険性を告知していくということをやったらどうかということの御提案を申し上げております。そういうことで、消費者の方の注意を喚起して、この商法の被害に遭わないようにするということがぜひとも必要ではないかというふうに考えます。  具体的な連鎖販売の行為規制につきましては、今回の法改正で重要事項として告知をすべき内容について法文の中に幾つか具体的な例示をされておりますので、この点は評価をすべきことだというふうに考えております。同じようなことで、情報の開示や、いかなる場合にいかなる責任が発生するかということをもう少し政省令などのレベルでもきちんと書き込んでいくというようなことをお願いできればというふうに考えております。  それから、連鎖販売取引につきましては、クーリングオフ期間を従前の十四日間から二十日間にお延ばしいただくというような案として御提案をされております。連鎖販売取引をやっている各事業者の場合に、ある勧誘を受けた人がその実態を理解して、その勧誘のとおりにやってみて、これがうまくいくのか、何か問題があるかということに気づくのに大体一カ月程度の期間を要するのが通例ではないかというふうに認識しております。そういたしますと、大体一月やってみて売り上げがどうなっているのかということの締めが来るわけでありますし、その間、努力をして実際に成績が上がるのか否かということもわかるんではないかというふうに考えますので、クーリングオフ期間も二十日間でいいのかどうかにつきましてはなお検討の余地があるんではないかというふうに考えております。  それから、今回の改正案ではマルチ商法についての刑事制裁の規定はそのまま、刑罰の重さにつきましては改正対象になっておらないようであります。マルチ商法の事業者の場合には、警察の摘発を受けても同じようなことを繰り返しているという意味での再犯をやっている者がかなり多いというふうに聞いております。したがいまして、これは刑罰が軽過ぎるという点にもやはり問題があるんじゃないかと思いますので、少なくとも連鎖販売取引の刑事責任はもう少し引き上げるべきではないかというふうに考えております。  最後に一言申し上げたいと思いますけれども電話勧誘取引にしましてもマルチ商法にしましても、またそれ以外の訪問販売につきましても、消費者センターなどに苦情がたくさん上がってくるものの多くがいわゆるクレジットを利用していることが挙げられております。相談を受けてみますと、被害に遭っている人の多くが大体クレジット契約によって代金の支払いをしているという例が多くなっております。  御案内のとおり、割賦販売法につきましては、訪問販売法政令指定商品が横並びになっておりませんので、役務権利につきましては割賦販売法の適用はございません。したがいまして、訪販法のレベルでは処理ができても、クレジットの法律関係指定役務指定権利となっていない関係から、どうしても残ってしまいます。したがって、事業者との間では法律関係が解消されても、クレジット会社との関係では代金の支払い義務は残っていくということになりまして、これではせっかく訪問販売法できちんとした救済を図っても、なかなか実態として被害者の救済ができない、消費者権利が守られないという事態になりますので、訪問販売法だけではなくて、割賦販売法の対象にも権利役務をぜひ入れていただいて、同様の救済が図られるように御配慮いただきたいというふうに考えております。一言最後につけ加えさせていただきました。  以上、私の意見として申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  9. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ありがとうございました。  次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人
  10. 田中里子

    参考人田中里子君) 東京地域婦人団体連盟の田中でございます。  産業構造審議会の委員を務めておりましたので、電話勧誘販売のことについていろいろ協議に参加してまいりました。いわゆるマルチ商法、連鎖販売取引のことについては最後に申し上げますが、なかなかわかりにくいな、一般の消費者としては中身を知るということが大変難しいという感じを率直に持ったものです。  まず、電話勧誘販売の方からまいりたいと思います。  御存じのように、国民生活センターが集計した全国の消費生活センターなどに寄せられた電話勧誘販売による苦情相談件数は、平成六年度には二万三千四百五十七件に上っております。昭和六十二年に二千六百六十二件だったものが十倍近くにも増加しております。特にこの三、四年の急上昇ぶりは全く目をみはるものがございます。  集計によりますと、相談者は、二十歳代が約半数、男性が七割ということでございますが、それ以外の者たちにももちろん被害が及んでおります。でも、多くは社会人になって比較的間もない会社員が被害者で、彼らの前途を考えましても、一日も早く不当な勧誘の魔の手から避けさせる方法はないかと思っておりました。  ちょうどきのうイイノホールで消費者問題国民会議96中央大会というのが開催されまして、経済企画庁長官を務められて、今、行政改革を担当されています宮崎勇さんが「規制緩和とくらし」という講演をなさいました。その中では、経済的規制は緩和すべきだが、社会的規制は暮らしの中で必要ではないだろうかと話されております。まさに今回の訪販法改正は社会的規制に当たるのではないでしょうか。  そういう意味では、私も産構審の委員として討議に加わりました上で、当面、被害救済のためには一日も早い改正を望みまして、ことしに入ってからは議員の先生方にもお願い申し上げに上がっているわけでございます。一日も早い改正案の通過を期待しておりますものでございます。  さて、結論を申し上げた後で、苦情例を通して私なりに感じていることを二、三申し上げたいと思います。  何も被害者は若い男性ばかりではありませんで、各年代を通じて男女ともにわたっております。  第一に申します例は、二十歳代の若い主婦、女性でございます。突然自宅に電話がありまして、一般旅行業務取扱主任者の資格取得講座について勧誘を受けました。とにかく不意打ち性ということがあります。その電話説明では、まず第一に通産省の認可を受けている。二番目に資格を取れば家にいながら仕事ができて必ず収入になる。三番目にこれからは試験が難しくなるので今が受験のチャンスというふうに言われましたと。最後に講座による指導が主であるから安心してぜひ受講してほしいということを強調されたということです。  でも、いろいろ聞いてもすぐに契約するのはちょっとまずい、ですから契約は保留にしました、パンフレット送付をしてくださいと頼みました。四日後にパンフレットと登録番号が記入された契約書が送られてまいりました。その書面を読んだときに、契約を了承していないのに契約が成立したことになっているのに気がつきました。電話のときの説明と違って教材の販売が主であることがわかりましたということで、この相談内容から見ましても、とにかくこの女性は非常に冷静で、非常に判断力もあり、適切な応対をしているのではないかと推測されますが、電話密室性というのは、とにかく言った言わないの議論になれば、なかなか解決しにくいものがあります。  よく例に引かれます日本語のあいまいさで、断るときに結構私も使っておりますけれども、もう結構ですと言いますが、結構ですと言うと、いいということにもなりますし、いいですと言ったときには、断るときにはもういいですと言いますが、いいですねと言うと何となく引き受けちゃった、応諾したような感じを持つもので、それが電話勧誘販売のときに後々まで大変問題を引き起こしているのだと思います。  彼女は消費者センターに苦情を申し出ましたけれども、多くの消費者は泣き寝入りする場合が非常に多うございます。こういうケースなら、改正案が通りますと不実告知の禁止規定にも該当すると思われますし、クーリングオフによって解約す  ることもできるというふうに考えます。  でも、この場合、私が危惧いたしますのは、書類が送られてきても、本人契約したと思っていないので、先ほども齋藤参考人がおっしゃいましたように、本人契約した意思がございません。ほかの郵便物に紛れてつい放置したままクーリングオフ期間がどんどん過ぎてしまわないだろうかということを危惧するものです。  私は、弁護士会の方でお考えのことなら万全だと思いますが、間をとりまして、せめて事業者側は書類を消費者が受領したかどうかの確認の電話を入れるということぐらいは当然の責務だろうと思います。それでなければ、本人パンフレットが送られてきたからそのうち見ようということで日にちが経過してしまいます。電話勧誘が本筋で御商売になるぐらいなら、電話をかけて本人に書類が行ったかどうかということを確認するぐらいは大変たやすいことではないだろうかと思いまして、私も審議会の場でも発言いたしました。なかなかそこのところの合意がいま一つということになっております。  二番目に申し上げますのは、私の知人で四十歳代の女性が英会話教室の電話勧誘を外国人教師から再三にわたって受けました。大変たどたどしい日本語だけれども、何となく魅力もあるということで、本人は英会話をやってみたいなという気持ちを持っておりましたので、とうとう学校見学に出かけまして、外国人教師とも会い、四十万円で週一回一時間ずつ二年間のクレジットを組みました。本人も言っておりましたが、そのときの説明で、月謝と同じに毎月銀行口座から引き落とすんだから安心してくださいというふうに言われまして、二年間の四十万円はよく計算するとそんなに法外なものではないというふうに感じて契約をしたということですが、最近、更年期障害でどうも体調が思わしくない、学校も休みがちということになりまして、夫の転勤があるや否やというような心配もあり、このままずるずると行ってしまってはどうだろうかと心配をしております。学校の定款を見て、中途解約のことは書いてあるかどうかということを聞きましたら、中途解約の条項がないということです。クレジット会社とも話をつけるように、まずセンターに相談に行くように言っております。  先ほどもいろいろ御発言がございましたように、今回の訪販法改正には直接該当しないかもしれません。しかし、割賦販売法の今後の問題としてもぜひ御検討をいただきたい。関連の問題として申し上げておきたいと思います。  三番目に、実は私も家におりますと、本当に電話勧誘というのはございます。どういうのがあるかというと、私はマンションに住んでおりますので、マンションを買いかえませんかということでマンションの販売勧誘、それから先物取引が結構多うございます。とにかく金利が低いから、低金利のときには先物取引をぜひ御検討くださいと。それから、証券取引のことも電話がかかってまいります。  そういうふうに考えると、これらは指定商品になっておりませんので、不動産取引でマンションを買うのに電話勧誘だけでということはおよそないのではないかと思いますが、金利の低さを嘆いているお年寄りが先物取引証券取引でひっかかりはしないかなと心配をしております。  指定商品制というのをとっておりますのは、規制緩和のときに、できるだけそうでないものにまで広げることはないという考え方から始まっておりますが、そういう意味では電話という不意打ち性のもので指定商品になっているかどうかなどということを考える余裕はございません。電話の場合は指定商品制ということがないと非常にいいのではないかなと考えます。  今回、この問題を出していくと、さきの電話勧誘で実際に被害に遭っている者たちが、そういう意味ではどんどん被害者が増大して被害数がふえるということもありますので、とにかく今回はそういうことで、電話という非常にいろいろ利用しやすくて、とても簡単に、今普及率が高いものを手段として販売勧誘を行うときの方策というのは、もう少し突っ込んで引き続き検討していただいてもいいのではないかというふうに思います。  それから、それに続いて、実は電話勧誘販売のときにはとにかく氏名を名乗りなさいということが新聞にも書かれております。でも、私が実際に経験して、電話に出たときに齋藤ですとか田中ですとかまず言われますと、ああ、知っている人かなと思いまして、あれ、どこの齋藤さんだったかなと思っているうちについつい中身に引き込まれるということがあります。氏名を先に名乗るということはいかがかと。私は、事業者名、自分のところの事業者の名前を正式名称で目的をはっきり言って、担当の何々ですと個人名を名乗る、目的を告げていくというそこまでは前段で電話をかけたときにやっていただきたいと思います。そのくらいは常識のことではないだろうかというふうに思います。  先ほど申しましたが、例えば指定商品に入っておりません先物取引とか証券取引の場合でも、とにかく不実の告知をしたり威迫的な行為を行ったり、そういったことは、今回の改正案に入らなくとも、社会的な責務として大いにこのあたりは電話勧誘販売事業者には徹底していくということは当然のことだろうと思います。事業者教育であり、消費者の方もどなたですかという、電話をかけたところの目的をはっきり聞くというのは当然のことだろうと思います。  ことしの一月には、産構審の同じ消費者委員である主婦連の清水鳩子さんと御一緒に早期改正を強く要望した要望書を出しております。あれからもう五カ月になってしまいました。一月の通常国会、早く提出して通してくださいねとしきりに申し上げて、当時は橋本通産大臣でございましたが、橋本総理になりましたし、もう待っていられませんよということをきょうは申し上げたいと思います。  もう一つ、冒頭申し上げましたようにいわゆるマルチ商法、連鎖販売取引のことについてはなかなかわかりにくいんですね。私も本当によく中身がわかっておりませんが、マルチ商法なんてやらなくてもいいんじゃないのという感じを持っておりましたが、衆議院の商工委員会の中では、野田議員さんが、連鎖販売取引には女性が随分多く、まして就職が難しいときで、主婦である者たちが大変利用している、販売員としてやっているという御発言を拝見しまして、何とか悪い者に引っかからなければいいなということが気持ちとしていっぱいでございます。  とにかく、今回、悪質業者については非常に目を光らせる方向でやっていかれるという改正になると思いますが、私どもも本当にそういうふうにいい方向に進んでいくということで改正案に期待をしていきたいと思います。  クーリングオフ期間も二十日ということで、三十日ということも、多ければいいなとは思いますが、私が焦点にしております電話勧誘販売を考えますと、とにかく今国会でこの改正案を一日も早く通していただくということが当面は必要ではないかと思いまして、皆様方の御努力をぜひ期待したいと思っております。  ありがとうございました。
  11. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳は終わりました。  これより参考人方々に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 自由民主党の平田でございます。よろしくお願いいたします。  一問ずつお尋ねをしたいと思いますけれども石川参考人には、流通というものの将来性につきまして、電子商取引等も今いろんな形で煮詰めといいますか、それに向かってスタートをされたわけでありますけれども、いろんな形で流通の変革というものに非常な見識あるいはお考えをお持ちだろうというふうに思っています。  私は、今固まっているわけではございませんけれども、将来五十年、百年、私たちの日本がどんな姿になるのか、どんな国がいいのかといったら、やっぱりできるだけ法律あるいは規制というものは少ない方がいい、そして世の中に訴訟というのはできるだけ少ない方がいい。物質的にも精神的にも本当に豊かな生活をするためには、そんなふうなものがいいんじゃないかなとおぼろげながら思っておるわけですけれども、流通につきましては、メディアがどんどん発達するにつれてやっぱりそれと追っかけっこをして法律をつくっているようではいけませんので、将来の流通の姿というのものを見通していかなきゃいかぬだろうと思いますが、その辺の流通の将来というものについて、電子商取引も含めた形でお考えがあればお聞かせをいただきたい。  それから、齋藤先生には、豊田商事の弁護団の顧問をやられておるということでございまして本当に大変な経験がおありだろうというふうに思いますけれども、そういう被害に遭った方というのは例えば何らか共通するものがあるのかないのかとか、そういう形の被害に遭わないようなことにするにはどうすればいいのかなと。法律規制するというんじゃなくて、消費者の側からこういうことにもっと国としてPR、アピールする必要があるよ、あるいは教育というのはこういうふうにあるべきではないかなという、その豊富な経験を通じて、豊田商事の被害者の一貫性というか、そういうことがあればお聞かせをいただきたいなというふうに思います。  それから、大変長い間ボランティアをされておられます田中参考人には、女性社会進出石川参考人のお話の中ではそれに伴って通販がふえてきたということでありますけれども、その辺で現状の女性社会進出というのは田中参考人の目で見られてどんな程度なのか。将来もっともっとそれを促さなきゃいかぬよとか、あるいはこの程度でいいんじゃないかとか、その辺の女性社会進出につきまして御意見を拝聴したいというふうに思います。  以上、どうぞよろしくお願いいたします。
  13. 石川博康

    参考人石川博康君) 今、先生からお話がございましたように、流通は非常に変革をしております。  特に、従来、流通の世界は店舗、百貨店を中心といたしまして、店舗ではスーパー、それからコンビニエンスストア、そのほかいろんな形で店舗展開がされておるわけでございますけれども、戦後流通の発展の軸はモータリゼーションにあったんですね。ですから、最初のうちはどうしても都会の中心の百貨店、これが中心でございました。それがスーパーストアになり、モータリゼーションの発達とともに郊外へ出ていって、スーパー、それからその後は大量のディスカウントストア、こういう店舗が郊外に出ていって発達してきた。  ところが、モータリゼーション全体の波がここのところへ来て大体なだらかな伸びになってきた。言ってみれば、大体一家に一台以上の車というようなことになってきた。今後はどういうものが小売業発展の軸になるか、こういうことでございますけれども、野村総研の最近の見通しでは、その軸になるのはコンピューターじゃないか、こういうふうに見通しております。  最近の新聞にも出ておりますが、昨年度七百五十万台のパソコンが販売されております。特にウインドウズ95を契機といたしまして、大変パソコンが各家庭にも、今までは大体事業所だったわけでございますけれども、各家庭にも入り込んでおります。そして、そこで行われるのはインターネットや電子ネット、ニフティ、PC−VAN、こういった中でホームページが開かれて、今ショッピングモールが開かれております。私どももここにショッピングモールを出しておりますけれども、まだまだ商売にはなっておりませんが、これがインターネットの中で電子決済ができるようになりますと世界的にあっという間に瞬時に商売が成立する、こういう時代が来るんではないかと思われます。  小売業の将来の発展の軸がパソコンになるんではないかという、この見通しは一つの見方ではないかな、こういうふうに思っております。
  14. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 豊田商事の被害者についての御質問でありますが、お答えとしてきちんとしたお答えにならないかもしれませんが、一言で申し上げますと、正直申し上げて豊田商事の被害に遭った方につきましては、先生の御指摘のような教育やその他の方法による手段では恐らく被害に遭うことは防げなかったろうというのが正直な印象でございます。  これはどういうことかといいますと、大きく分けて二つ問題があります。一つは、そういう被害に遭う一つの社会的な実体というんですか層、人たちがやっぱり現実に存在をしておるということです。そういう意味では社会的な弱者ということかもしれません。これは老人問題でもありますし、社会問題でもありますし、地域問題でもあります。ちょっと具体的な中身につきまして申し上げる時間がありませんので、割愛させていただきます。  もう一つは、いかに防御をしたところで、それを上回るセールステクニック、それから勧誘の方法、もうちょっと言いますと、商品先物取引などの被害例を御紹介すると非常にわかりやすいんですけれども、人を落とす方法、テクニックというのは幾らでもあります。例えば大学の先生だろうが銀行の支店長だろうが一部上場企業の部長だろうが、今三人申し上げましたけれども、いずれも私の依頼者です、商品先物取引被害者です。こういう人たちを落とすためのテクニックというのはあるんです。正直に言いますと私が優秀な外務員になれるぐらい、数多くやっていますとなるほどというふうにわかる方法があります。  したがいまして、事業者側、特に悪徳業者の側はそういうテクニックを磨いて開発をして、それで消費者のところに来るわけでありますから、正直申し上げてそれは事実上不可能に近いという、結果論ですけれども被害に遭った人にとっては不可能に近いということが言えるんじゃないかというふうに考えます。  先生の御意見、確かに規制は少ない方がいい、訴訟は少ない方がいいというと、どうも私どものような弁護士の仕事がなくなってしまうのでちょっと危機感を感じますが、御指摘のとおりでありますけれども、やはり社会の一番の基本となるところは残さざるを得ませんし、規制を少なくしていくということにつきましては、十九世紀的なレッセフェールに戻せということはこれはやっぱり大きな間違いでありますので、あと数年で二十一世紀ですので、二十一世紀の時代に適合する考え方を本当に政治に携わっている先生方にきちんと御議論いただければと思います。  一言だけ申し上げますと、規制という言葉の厳密な定義を今なされておらないで議論がされております。特に規制緩和の議論について法律学者が入っておらないということは、私ども弁護士立場から見ると非常に危惧を感じます。それぞれの方々が自分のイメージで規制という言葉をお使いになっていらっしゃいます。社会的規制や経済的規制というふうに二分法というのが非常に通用されているようですけれども、これも必ずしも固まった考え方ではありませんし、そこはきちんと御議論いただく上で規制を考えていかなきゃいけない。  そういうふうに考えていきますと、豊田商事の被害者に返りますが、必要な規制というんですか、これは社会的な一つの基盤というんですか、そういうやはり必要最小限のものはきちんとお決めいただくことが先ほど申し上げたような被害の根絶につながっていくんじゃないかというふうに考えます。  最後に一点だけ。私も通産省のEDIの研究会のメンバーなんですが、同じようなことが通信手段を使った取引場面でも起きてきております。コンピューターメーカーのコマーシャルにありますように、お父さんがコンピューターをいじれなくて非常に困っている、会社の中でコンピューターを使えないやつは、おまえは首だと言われる、こういう時代であります。コンピューターリテラシーがある人とない人が階層分化をしてきている時代です。この階層分化をしていきますと、コンピューターリテラシーのない人に対しては、こういう先端の通信手段を使った取引というのが非常にそういう意味では社会的弱者になり得るということになります。  したがいまして、電話勧誘についても同じなんですが、やはりそういうものも見通した上で法的な規制というか法的な整備をぜひきちんとおやりいただきたいというふうに考えますので、その本当の第一歩として今回の訪販法改正案評価をしていただいて、御審議いただければというふうに考える次第であります。
  15. 田中里子

    参考人田中里子君) 女性社会進出というのはこれはもう進んでいくと私は思います。職場進出の中ではなかなか壁が厚く、思うような結果が今出ておりませんが、そして事業者、雇用者側の方も不況になると安く済むパートにどうも移行しがちであるということもありますし、簡単に首を切られるというのも女性に多く出てきておりますので、こういうやはり不公平は一日も早くなくして、女性の本当の能力というものをぜひ認めていただける二十一世紀を期待しております。  一方、社会の地域のボランティア活動、いろいろさまざまございます。この方は女性が随分大きな分野を担っておりますが、むしろこれこそ男性に大いに進出していただきたいと思いますし、リタイアした後でなくても、このごろは週休二日制も多くなってきておりますので、ぜひ地域活動に参加をしていただきたい。  そういう世の中というのを二十一世紀に実現していかれれば大変夢も膨らんでいきますと思いますので、ぜひそういう方向に御尽力いただければと思います。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。前段のお話といい、私の質問につきましても大変懇切にお答えをいただきまして、本当にありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  17. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木清寛でございます。きょうはお三方、本当にありがとうございます。  まず、石川参考人にお尋ねします。  先ほど齋藤参考人のお話で、電話勧誘取引につきましては指定商品制ではなくて、一律の全面的な規制にすべきであるというお話でありました。指定商品でなくてもマンションの共同経営とか、あるいはワラント等の取引などについてもやはり規制の必要があるというお話でございましたが、この点につきまして石川参考人としてはどういうお考えでございましょうか。
  18. 石川博康

    参考人石川博康君) 指定商品につきましては、確かにおっしゃるとおり、私なんかも家におりますといろんな電話がかかってきまして非常に困ることが多いんでございますが、ただ全商品指定商品を外して、全部が全部この訪販法の傘下の中に入れてやるというのもいかがなものかという気がいたします。  やはりいろいろこれはほかの、他業法もあるわけでございまして、そういう意味でいけば、一つ一つこういう問題が起こったときにその商品をどうするか、こういうことで御検討を賜ればよろしいわけであろうかと思っております。現在の指定商品の範囲の中で問題のあるものはすべて大体カバーされておりますので、私はこのままでよろしいんではないかな、このように考えております。
  19. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 同じ件を田中参考人にお尋ねします。  先生は産構審の委員でもあられまして、この議論に参加をされておったわけですが、先ほどのお話を聞きますと、規制緩和等の関係もあって、一律規制ではなくて指定商品制になったんだというように理解しましたが、議論はそういう経過もたどったわけでございましょうか。
  20. 田中里子

    参考人田中里子君) 随分長い間指定商品制がいいのか、全部に網をかけるのがいいのかという議論はもう訪販法の初めからずっと続いておりまして、私も一消費者とすれば、事業者もなかなか頭がようございますので、次々指定商品でないものをねらっていくということはよくあります。そういう意味では、指定商品制でないということを非常に期待していたことも事実でございます。  ただ、今のこういう世の中になってまいりますと、非常にその規制をすることの難しさというのも一方にございますので、指定商品制をとった場合にすぐに対応できる体制というのを次善の策で要望をしてきたというのが事実のところで、なかなか思うようにいっていないということなんです。ここで指定商品制を廃止して、全部に網をかけるということができるのかどうかと現実的に考えると、非常に難しいのではないかということで議論を実効性のある方に移してしまいますので、指定商品制のことがそのまま残ってしまうという、私も痛しかゆしというところで、悩みは深しというところなんですが、今本当に外すことができるのかどうかというところを現実的に考えると、やや難しいのではないかという判断をしておりまして、そこに強く触れていないということでございます。
  21. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、齋藤参考人にお尋ねしますが、現行の訪問販売法指定商品制につきましては、いわゆる被害の救済の後追い行政になってしまうという批判があるわけですね。ただ、実際指定商品がもうかなりの数ありまして、ほとんどのものが含まれているという意見もあるわけですが、実際この指定商品制になっていることによって被害が救済されなかったというような事例はままあるんでございましょうか。
  22. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 幾つか先ほども御紹介をさせていただきましたが、やはり不動産の取引、それから金融的な取引、証券の取引商品先物の取引、それからそれ以外に幾つか悪徳商法として警察の摘発などを受けていますけれども、いわゆる預かり商法的な、具体的な名前を挙げますと、例えばティピーシーという神奈川県警が摘発をした出資法違反の事件なんかもあります。  それから役務になりますと、かなりいろんな役務取引電話勧誘によってなされているのもありますし、電話勧誘に限らず訪問販売形態でも役務取引について、ちょっと今具体的に名前まですぐ浮かんできませんけれども被害の例として挙がってきているのもかなりあると聞いておりますので、やはり現在指定されているものだけで九九%というか、九割方というんでしょうか、そこまでカバーできているかというと、必ずしもそうではないんではないかというふうな認識を持っております。
  23. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、電話勧誘クーリングオフ始期、それにつきまして石川参考人にお尋ねいたします。  先ほど齋藤参考人の御意見としては、電話勧誘特性からすれば、消費者書面を受け取って何か積極的なアクションを起こした時期をクーリングオフ始期とすべきである、決してそれは業者にとっても過重な負担ではないはずだという御提案でしたが、この点に関しましてはどういう御意見をお持ちですか。
  24. 石川博康

    参考人石川博康君) 基本的に商取引でございまして、個人の意思で決定をするのが商取引でございます。そしてその契約は、確かに今回のこの措置によりましてクーリングオフを設けて弱者を救済していくということは大変結構なのでございますが、中には大変悪い人も非常に多うございまして、このまま署名をして、そしてそれが到着したのが契約のスタートだということになりますと、これはもう悪い人は商品を受け取って契約をしないでずっとそのままほうっておく、こういうようなことになりかねないわけでございまして、そういうことから現段階におきましては契約書の到達日、この日を開始時期というふうに今この法案ではなっておるわけでございますけれども、私はそれで適切ではないかな、こういうふうに考えております。
  25. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、齋藤参考人にお尋ねいたしますが、割賦販売法につきましては、指定商品の中には役務提供あるいは権利の売買は含まれておりません。その点についての不都合は先ほどお話しになったと思いますが、ただ衆議院でも随分問題になりまして、通産省の答弁としましてはこういうことなんですね。要するに、そういう役務取引あるいは権利販売についてクレジット契約利用された場合、そういう場合には販売事業者との間でクーリングオフができる期間はクレジット会社も代金の支払いは普通はしないんだ、あるいは事業者との間の契約クーリングオフされた場合にはクレジット会社は代金を返してもらっている、そういう意味で実際の被害事例というのは承知しておりませんという、そういう答弁をされているわけですね。  実際、指定商品の中に役務あるいは権利が含まれていないことによるクレジット契約の不都合といいますか被害、そういうものは発生していないのでありましょうか。
  26. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 申しわけありませんが、事実認定というか事実認識が全く逆でありますので、ちょっとそこは意見としてはやはりそういう被害例があると言わざるを得ないというふうに私ども考えています。  それから通産省の方の御答弁、確かに訪販法上のクーリングオフ期間内にクレジット会社が立てかえ払いすることはないからいいということですけれども、必ずしもそうではありません。  それからもう一点ですが、事業者消費者の間で契約の解除にしろ契約処理が済めば代金を返してもらえるということですけれども、これも少なくとも私自身、こういう消費者相談に応じている全国の弁護士のいろんな相談事例などを見る限りはそうではない例の方が多いと思います。  それからもう一つ重要なことは、特に悪質の事業者の場合ですと、大きな問題になって多数の被害が出て、例えば苦情が集中して訴訟になったり、場合によっては警察の摘発などになりますと倒産をしてしまうということが多いんですね。そういたしますと、もう当事者能力がなくなってしまいますので、消費者事業者との間で話がついても、クレジット会社と事業者の間で処理をしてくれて代金の返還が受けられるかということになるとこれはもう不可能と言わざるを得ません。そういう例もかなりあります。  したがいまして、事実認識の問題として、やはりそういう訪販法クーリングオフの適用があっても割販法のクーリングオフの適用がないことによって、消費者側が立てかえ払いのクレジットの代金の支払いをクレジット会社に法律上強制されるという例があるというふうに申し上げられると思います。
  27. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 引き続いて、齋藤先生にマルチ商法についてお尋ねしますが、先生はいわゆる全面禁止論ということですから、よいマルチ悪いマルチという言い方をした場合には、よいマルチというものは実際はあり得ないんだ、そういう認識でよろしいでしょうか。
  28. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 私は、区別はできないと考えております。マルチ商法の本質からいって、やはりこれは社会的な非難を受ける商法だというふうに考えております。
  29. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、この点もよく議論になるわけですが、政府側の答弁としては、全面禁止にした場合には、当然刑罰で処罰をするということですから、罪刑法定主義の問題がある。ですから、非常に厳格な法律になって、かえって規制が狭くなって脱法行為がふえるんだ、そういう難しさもあるということなんですね。この点、何かよいお考えといいますか、こうすれば全面的な規制ができるんだというような対案といいますか、そういうものを弁護士会なり先生なりでお持ちでしょうか。
  30. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 我が国法律で一つ例を挙げれば、無限連鎖講防止法が類似の組織で全面禁止をしているわけですけれども、一つはシステム全体をどうとらえていくかというとらえ方と法律構成の問題としてどのように考えていったらいいかということで、もう少し研究をすればある程度の、今よりはっきりした形で全面禁止の構成要件が構成できるんじゃないかというふうに考えております。  それから、荒木先生御指摘のとおり、確かに構成要件の明確性からすると範囲が限定されますので、その周辺の部分が落ちてくるんじゃないかということは確かにそのとおりでありますが、それは立法技術的にといいますか、刑事的な規制に限らずその周辺部分をまた別途規制をかけていくというんですか、被害者の救済を図っていく方法は十分あるんじゃないかというふうに考えております。  その一つとして、今回の改正について我々が申し上げております開示を徹底させる、危険の認識を消費者にきちんとさせるというような観点でやっていけば、要するに入り口の段階で消費者に注意をさせるということにもつながりますので、こういう方法をもう少しきちんと整備をしていけば、周辺部分についての被害もなくなるのではないかというふうに考えております。工夫の余地はあると思いますし、引き続き私どもも勉強させていただきたいとは思っております。
  31. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に田中参考人に、生活者の政治ということが言われて久しいわけですが、参考人立場から見て今の日本の消費者行政あるいはそれをめぐる法律の現状をどのように評価されておりますか。
  32. 田中里子

    参考人田中里子君) 確かに、消費者行政というのは国の消費者行政も地方自治体の消費者行政においても相当格段に進歩、充実してきたというふうに考えますが、まだまだ問題は非常に残っていると思います。  それは、今度の訪販法改正もそうですし、この前、私、参考人で伺いましたPL法につきましても今後見直していくという、そういうものについて消費者側の、むしろ消費者団体の方がいろいろ意見を言っていく段階になってきたのではないだろうかと。私どもも、いろいろ法律についてこれからどうしていったらいいかということについては、専門的な勉強もしながら、先生方の御理解を得て、こういう部分を改正するということについてもできるだけ積極的に活動してまいりたいと思っております。  それと同時に、情報公開法もこれから法案が提出されていく時期になってまいりますと、情報公開というのはいろいろな意味で消費者行政にも大きくかかわってまいりますので、そのあたりのことについてはどういうふうに私どもも考えていったらいいか。目下、情報公開法案に向けて消費者側としては市民ネットワークというのをつくっておりまして、そこで意見の取りまとめをしながら法案づくりに反映させていきたいというふうに運動を開始しているところでございますので、今後とも国会という立法府において消費者側の意見を十分に聞く機会をお持ちいただくようにお願いをしたいと思っております。
  33. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  34. 齋藤勁

    齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁と申します。どうぞよろしくお願いいたします。きょうはありがとうございます。  石川博康参考人にお伺いさせていただきます。  社団法人日本通信販売協会でございますが、社団法人日本訪問販売協会というのが別途ございますけれども、この日本訪問販売協会とは何か業務上御関係があるのかどうかということ、それからそれぞれの協会に重複して加盟されているような事業者があるのかどうかということ、それから石川参考人の方の通信販売協会でございますけれども、役員等に政府の元お役人さんとかあるいは金融機関からの、元銀行員だったとか、金融機関の関係のそういった方が役員でいらっしゃるのかどうか、組織について、資料等以外にその点について教えていただければありがたいと思います。
  35. 石川博康

    参考人石川博康君) まず、訪問販売協会との関係でございますけれども、そう親しい関係といいましょうか、お互いに連絡をしょっちゅうとり合っているという形ではないと思います。  重複加盟者があるかという御質問でございますが、何社かございます。例えば丸八真綿さんという会社があるわけでございますけれども、これは、丸八真綿さんは最初に訪問販売協会加盟されておられて、その後ある企業を合併しまして、そして現在マルハチさんという名前で両方の協会加盟しているというような例はございますが、そうたくさんあるということではございません。あと幾つかの社があろうかと思いますが、私は現在その数字を持っておりませんので、多少あるという程度に答えさせていただきたいと思います。  それから、組織上の件でございますけれども、私どもは通産省の管轄下でございますが、私どもに来ていただいておりますのは、現在事務局長をやっておられる方が自治省だったと思いますけれども、政府の機関から一名来ていただいております。そのほかの方はいらっしゃいません。
  36. 齋藤勁

    齋藤勁君 先ほどの御説明の中で、平成八年度でトラブルの、トラブルと申しましょうか苦情処理が二千九百五十一件ありましたと。一〇〇%解決をされているということでございますが、この二千九百五十一件の分類について、どういうような内容で苦情が申し入れされたのかということについてお尋ねをしたいということ。  そして、今回改正に当たりまして幾つか資料も議会の方に出ておりますが、無店舗販売全体に占める電話勧誘の割合というのは、一番高いのが訪問販売、そして電話勧誘、そして通信販売という、こういう順序でございますが、圧倒的に訪問販売電話勧誘というのが多いわけですね。この通信販売協会のいわゆる取引手段として、はがきとかそれからいろいろ売買が締結される具体的手段があろうかというふうに思うんですけれども、この販売協会の中で電話勧誘についてどの程度されているのか、そういった事業者内容については把握をされているのかということ。  そしてもう一つ、非常に多額な売り上げをされているわけでございますが、参考までにお伺いしたいのは、メディア、いろいろ週刊誌あるいは新聞、それからチラシとかテレビ等もあろうと思うんですけれども、そういう分類別にどのような対象売り上げが高いとかそういうようなことについても分析されているのかについてお伺いしたいと思います。
  37. 石川博康

    参考人石川博康君) ちょっと訂正をいたします。先ほど自治省と申し上げましたけれども、私の記憶違いで、総理府であったかと思います。総理府から一人今事務局長においでいただいております。  次の御質問でございますけれども取引手段でございますが、現在、先生御指摘のように、私どもは基本的に広告によって知らしめて、その広告によってお客様から申し込みを受けて成立する、要するにテレビ、それから新聞折り込み、カタログ、いろんな各種手段でまずお客様に広告という形で知らしめて、そしてお客様からの注文をいただいて初めて契約が成立する、こういう形が私ども通信販売のあり方でございます。この点が今問題になっております電話勧誘のやり方と違う、こういう点が指摘されようかと思います。電話勧誘の場合には各家庭に入り込んでいく、そしてそこで契約を成立させる、こういう意味で大きく違うわけでございます。  今御指摘の、私ども通信販売におけるはがき及び電話契約のあり方でございますけれども業界全体のことにつきましては私ちょっとまだ全体を把握しておりませんが、例えば私どもの会社で言いますと、約七〇%が電話でございまして、残りの三〇%がはがきでございます。これは、私どもは実はテレビ局からスタートしてテレビでやっておりますので、どうしても電話が多くなります。これがカタログからスタートした会社でございますと、逆にはがきでのお申し込みが圧倒的に多くなる、こういう形のようでございます。まだ私は業界全体がどういうパーセントになっておるかということは把握しておりません。  それから、取引全体がどういうようなパーセントになっておるかということでございますけれども、現在の通販協会で一番大きいメディアはやはりカタログ販売でございます。カタログ販売が圧倒的に多うございます。その次が新聞折り込み、そしてその次ぐらいにテレビの通信販売が最近非常に伸びてきている、こういうことが言えようかと思います。それ以外にラジオの通信販売、それから直接ダイレクトメールで送る販売、そういう各種手段を使って販売をしておる、こういうことでございます。
  38. 齋藤勁

    齋藤勁君 齋藤雅弘参考人にお伺いさせていただきます。そしてまた田中参考人にも関連してお伺いさせていただきます。  いわゆる連鎖販売取引でございますが、昨年の十二月の末でございますけれども東京地裁で、連鎖販売取引に該当する場合があるということで、実はあっぷる出版社等に対して出版物の頒布禁止の仮処分を求めた、こういう事件がございます。これは、日本アムウェイという会社が実は提訴しているわけでございますが、地裁の方でそれなりの判決が出て、今アムウェイの方が司法判断はおかしいんではないかということで高裁に提訴しているわけでございます。この株式会社アムウェイは連鎖販売ではない、連鎖販売取引をしていませんよということで今日までずっと来ているわけですが、東京地裁ではそうではないという、そういうことが明らかになっています。  時間の関係がありますから、これらにつきましては内容についてるるやりとりをすることができないわけでございますが、齋藤参考人、そして田中参考人、株式会社アムウェイのいろいろ消費者からの苦情、被害等についてのそういった申し出、内容までは時間の関係でできないかもわかりませんが、この裁判との関係も含めまして、御意見も含めまして、株式会社アムウェイと消費者との関係についての実態等について、おわかりでしたら教えていただきたいというふうに思います。
  39. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 私もその裁判の例は存じています。お役人の答弁ですと訴訟中ですから答弁を差し控えさせていただくということになるんでしょうけれども、私、個人的には、非常に形式的にとらえていけば、この訪問販売法が現在規定をしている連鎖販売取引に該当するかどうかということについては、該当しない場合が多いんじゃないかと思います。先ほど私の意見の中で申し上げましたように、例えば特定負担をどういうふうに授受をしていくとこの連鎖販売取引の定義に該当していくかということの擬律、もうちょっと言いますと、私ども日弁連が言っている時間的な拡張ですとか特定負担の内容まで踏み込んでいきますと、やはり該当する場合も出てくるし、むしろ該当すると言える場合もかなりあるんではないかというふうに考えざるを得ないと思っています。  具体的に、この訪販法規定する連鎖販売取引に該当するか否かという非常に厳密な法律判断をちょっとおいて考えまして、いわゆる勧誘を受けた人、もしくは加盟した人、加入した人からの苦情相談や苦情の訴えはどうかということで考えますと、やはりこれはかなりあります。ただし、別にこのアムウェイに限りませんけれども連鎖販売取引の非常に難しいところは、中間や末端にいるある人が、私はこれは困るからやめたい、もしくは本部やその上の人に対して損害の賠償や商品の返還をするからお金を返してくださいということをやりますと、今度はそれに関連している人たちから寄ってたかって、あなたそんなことすれば、私の担当している地区の売り上げが落ちる、責任をどうとってくれるんだというような話が出てきたり、要するに抜けさせてくれない。それを無理して抜けると人間関係上非常にまずいことになったりします。  特にアムウェイというような具体的な業者ということではなくて、この連鎖販売取引が今どういうところで問題になっているかといいますと、例えば大きな集合住宅、団地ですとか大きなマンションの中の一棟全体とか、街区全体の中でこれが広がっている。結局、御近所づき合いの中で広がっていきますから、私一人抜けたと言えないんですね。それから、最近よくある例で、PTAのお母さん、お父さんは少ないのでお母さん方の中で、ちょっと元気のいいある人が始めますと、私抜けたと言いますと村八分になる。これは学校のいじめと同じなんですけれども、人と違うことをやってノーと言ったり、私はやらないと言えないんですね。そういう深刻な問題が出てくるということです。  ですから、やめたいとか被害の訴えをしたいといっても、なかなかできないような環境やそういうアクションを起こされるということもあって、弁護士消費者センターに対してきちんと苦情を言ってこられる方の数というのは割合としては非常に少ないと思います。その中でもやはり苦情が来ていますので、もっと全体を通じて見るとかなり潜在的に問題として抱えていらっしゃる方がたくさんいるんじゃないかというふうに私は思っています。
  40. 田中里子

    参考人田中里子君) 私も、もう少しちゃんと聞いてくればよかったと思うんですが、ちょうど昨日、私の団体の副会長の友人がまさに何か渦中にいるということで非常に困っている、どうしていいかわからないということの訴えがあったというところまで聞きました。そういう意味では、掘り起こすと割に周辺にその気になれば被害事例などが集められるのではないかというふうに思いましたが、何しろきのうきょうのことでございましたので、その辺きちっと把握してこなかったことをおわびいたしたいと思います。  でも、これからも続きますので、意外に相当数の関係者がいるのではないかという感じがいたしておりますので、引き続いて調べてみたいと思います。
  41. 齋藤勁

    齋藤勁君 時間ですので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  42. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下です。  まず、石川参考人にお尋ねします。  アウトサイダー問題ですが、通産省の資料によりますと、平成七年度の消費者相談案件における業界団体非加入業者、アウトサイダーの割合は、電話勧誘販売においては企業名がわかっているうち九九・四%、ほとんどすべてということになっております。協会加入業者はまじめに商売をなさっているのにアウトサイダーの悪質な商法のためにあらぬ誤解を受けたりされるなど、言うならば協会もそういう面では被害者という側面もあると思うんです。  お話では、貴協会ではアウトサイダー説明会なるものを行っているということですが、それはどういうもので、それで効果があるのか、あるいはもっとほかにこういう対策が必要じゃないのかということがあればお話し願えますか。
  43. 石川博康

    参考人石川博康君) 説明会でございますけれども、全国で九カ所やっております。九カ所といいましても、東京と大阪が二カ所ずつでございますから、残りは北海道、仙台、広島、福岡というような大都市でやっておるわけでございます。  私どもは、先ほど申し上げましたように、広告媒体で業者を認知するわけでございますから、認知した業者には必ず案内を出しております。したがって、折り込みとか新聞とか雑誌とかテレビとかそういうところで認知をした非加盟者にはこちらからお知らせをして、何月何日にこういうところで説明会をやるからそこに参画してほしい、こういう形でお知らせをしてやっております。そういうことで認知できない業者はなかなか認知できませんので、これには出せない、こういうところもございます。  ただ、おかげで最近はこのJADMA、日本通信販売協会の認知度が高まりましたので、こういうところがこういうことをやっているよというようなことを知らせてくれる場合もございますけれども協会の方はいろんな手段を使いまして、日本で行われている通信販売の広告をしているものについては最大限その情報をとるようにして、そのアウトサイダーの業者には説明会に来るようにということの通知を出すように努力をしております。
  44. 山下芳生

    ○山下芳生君 それで、どのぐらいのアウトサイダーがそういうことを通じて入ってこられるんでしょうか。
  45. 石川博康

    参考人石川博康君) 現在、通販業者の数のとらえ方がなかなか難しいのでございますけれども、全国に約二千社ぐちいあるんではないかと言われておるんです。先ほど申し上げましたように、現在正式加盟社が二百七十数社でございますので、残りがまだ非加盟社、こういうことになります。  ただし、それ以外に私どもは現在、準加盟社という形をとっております。準加盟社を数で申し上げますと、先ほど申し上げましたように正会員が二百七十五社でございますが、正会員になるのにはちょっとまだいろいろ問題があるよ、これから指導をして正会員にしていこう、こういう準会員社が四十九社ございます。そして、賛助会員社は百七十六社で計五百社が私ども会員になっておりますが、この準会員社というのは、まだ通販協会正会員にするのにはちょっと不安だけれども、一たん準会員として入れておいて教育をして正会員にしていこう、こういう努力をしておるところでございます。  この悪徳業者といいましょうか、こういう方には、さっき申し上げましたように年間九カ所でいろんな説明会をやって入るように説得をし、かつまた努力をしておるんですが、悪いやつほどよく逃げるといいましょうか、大変難しいところで実は困っております。
  46. 山下芳生

    ○山下芳生君 どうもありがとうございました。  続いて、齋藤参考人にお尋ねします。  クーリングオフ始期についてですが、石川参考人の御意見ですと、利用者には悪い人がいる、電話契約をして商品を受け取ったまま書面を返送しない、こういう場合は業者に不利になるという御意見だったと思うんです。齋藤参考人は、そういうリスクは負担して当然だという御意見だったと思うんですが、そういうことに対してリスクは当然だという理解でよろしいんでしょうか。  それから、そういうリスクは当然だというだけではなくて、業者としてそういうことを防ぐような何らかの手だてはないものかどうか。例えば書面送付されてから商品を発送する、そうすると電話での契約という点でメリットが少なくなるのかもしれませんが、例えばそういうことも含めて業者の側としてとるべき手だてというのは何かないか、御意見お願いいたします。
  47. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) お答えを先に言ってしまわれたような感じなんですが……。  ですから、クーリングオフ始期との関係法定書面送付されるわけですけれども、その段階で一緒に商品を送ってしまうからなんですね。やっぱりリスクがあると感じれば、それは事業者の側としては商品送付しないはずであります。商品送付するということは、消費者側の利便もあるという考え方もありますけれども事業者側から見れば契約を早くしてもらう、取引期間を短くしてもらうということでお送りになるわけですけれども、それはやはり事業者側のメリットでもあるわけでありまして、そのために自分の方のリスクで商品をお送りするわけです。これは代金の決済を受けないうちに商品を先に送るということですから、決してクーリングオフだけに限らず、隔他者間取引といいますけれども、通常のこういう人が相対じゃなくて離れている間の取引の場合には当然伴ってくるリスクですから、やはりそれはクーリングオフ始期の問題に絡めてその問題だけでとらえるからおかしなことになるんであって、むしろやはり商品の発送をどの段階でするのがいいのかということは、これは事業者側のリスク管理上の問題として考えるべきじゃないかと思います。  それから、事業者側の負担と申し上げましたけれども石川さんからいろいろ御説明いただいて議員の先生方もおわかりでいらっしゃると思いますけれども、あくまでもクーリングオフの適用になるのは、事業者の側が積極的に電話という手段を使って勧誘をしてきて、その後の取引の問題であります。  通販協の方のお仕事としては、先ほどの統計数字からもおわかりのように、あくまでも消費者の側から積極的な契約の申し込みを受け付けてそれに対して契約締結していくというような取引の形態であります。むしろ石川さんの方の加盟されている事業者方々はそもそもこのクーリングオフ規定の適用を受けるような商売の形態になっていないわけでありますので、あくまでも私ども指摘しているような方法で、みずからお客さんを引っ張り込む、取り込むという形で電話という勧誘手段を使う以上は、それに伴うリスクは事業者の方で負担していただくのが公平ではないかと、こういう指摘でありますので、そこのところはちょっと区別がややこしいかもしれませんけれども、意識をして御理解をいただければ御納得いただけるんじゃないかというふうに考えております。
  48. 山下芳生

    ○山下芳生君 田中参考人にお伺いします。  電話勧誘販売相談者の典型というのは、参考人も御指摘あったとおり二十歳代、これが半分、それから男性が約七割の給与生活者ということで、比較的社会人になって日の浅い会社員が典型的な被害者像ということですが、こういうことになっている背景あるいは根拠、何かお感じになることがあればお願いできますでしょうか。
  49. 田中里子

    参考人田中里子君) さあ、どうなんでしょうか、私どもの身近にいる男性に余り被害者がございませんのですが……。  被害を受けた人たちというのは、やはり職場に電話がかかってくるというところが非常に一つネックではないかと思います。職場にかかってきまして、実はうちの事務所のような小さなところですと、職場にかかっても、こんな電話があったと、いろいろ訪販の勧誘電話がかかる場合もありますけれども、割にオープンにしてしまいますので、本当に断るのも簡単に、みんなのいる前でごうごうと言って断りますので問題はありませんのですが、大勢同僚がいて、仲間がいて、それでかかってくるときの応対というのはおのずと、若い人たちの会話の中ではなかなかきちっとした断り方を身につけていないのかなと。教育の問題と言えるのか、それとも最近の男性はなかなかあいまいさが多いのかなという、そういうことも家庭教育の問題もあるのかもしれませんけれども、いささかびっくりしているというのが本当でございまして、若い男性がそんなにはっきり断っていないのかなということに驚かされております。その程度しか存じておりません。
  50. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  51. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうはお三人の方、わざわざお忙しいところありがとうございます。  私ちょっと伺いたいのは、お三人にお伺いしたいんですけれども電話勧誘の問題でございます。  私は、電話というのは通信とは違うと思うんですね。通信の場合には一日に一回か二回、ポストにとりに行けばいい。電話はそうでない。一日何回でもかかってくる。その場合に、やはりどこにいても電話をまずとりに行って電話機を取り上げなきゃならぬというアクションが必要である。一日仮に十回かかってくるといたしますと、これは私の家内の説なんですけれども、三分の二は広告電話電話勧誘であるというわけであります。そうしますと、一年に三千六百回のうちの二千五百回は電話勧誘のために立たなきゃならぬという、大変なこれは一種の被害だと私は思っておるわけです。ですから、そういった電話暴力といいますか、それに類するようなものをどの辺まで一体認めていいのかというのが大変問題であると私は思っております。  かかってくる電話の一番多いのは何かといったら、かみさんに言わせるとお墓だと言うんです。これは、確かに私の年齢から見てかけてくるんでしょう、これは頭にくる。その次はマンションであり、それからゴルフ場であり、株であり、それから先物取引であり、アメリカあたりの厨房製品であり、綿製の立派な掛け布団とかそういうもの、それから小学生がいれば塾に対するあれとか、あるいは教材だとか参考書とか、とにかく森羅万象切りもないものが電話という媒体を通じてされてくるということなのでありまして、やはりこれは少しオーバーに電話というものが使われ過ぎている。コミュニケーションの手段でありますから、そういうものが余計かかってくれば一般の必要な電話の邪魔にもなりますし、何かそういう点で電話と通信というのは区別した方がよろしいというふうに思っております。  それで、そういう点に関しまして、先ほど齋藤先生から、ドイツは電話勧誘を禁止しているというお話があったようなんですけれども、この点、日本もこれからの話でございますけれども、これは一体禁止ということはできないものか、その辺についてもしどうしても禁止がだめならば時間を区切って認めるというようなことができないものかどうか、この辺、お三人にお伺いしたいと思います。石川先生からお願いします。
  52. 石川博康

    参考人石川博康君) 大変手厳しいお話を賜ったわけでございますけれども、しかし逆のこともあることを皆様方におわかりいただきたいと思うわけです。  これから老齢社会を迎えまして、私ども今大変お年寄りの方に喜ばれていることがございます。私は、通信販売の大きなこれからの役割は、老齢社会の中でお年寄りの家庭に重いもの、例えばお米でございますけれども、これ今度は自由化になりましたのでお米を我々売れることになったわけでございますが、お米を定期的にお届けする、こういうことが始まりました。それから紙おむつ、それからトイレットペーパーとかかさの多いもの、こういったものをお年寄りが持って家にまで帰るのはこれは大変なんでございます。それを我々通信販売はお届けをする。しかも、ある一定期間、お米だと十キロ、五キロお届けすると、その次に大体何日ごろにお米がなくなるということは、我々は統計的にとれるわけでございますから、定期的にお電話を申し上げて、いつ幾日ごろお届けしょうと思いますがいかがでしょうかと、これは一種の御用聞きでございますけれども、こういう御用聞き、私はお年寄りのところへの新しいビジネスということで、電話勧誘とは違った、こちらからお電話をしてもこれが喜ばれる電話、喜ばれる通信販売、こういうふうな形にだんだんなっていくんじゃないかな、こういうふうに思います。  それから、電話暴力の件は、テレマーケティング協会というのがございますが、これが早く私は日本通信販売協会と同じように社団法人化されて、そしてこういう自主規制をきちんとやることによって、できるだけ早くアウトサイダーも取り入れて立派な業界に、団体になっていくことを期待いたします。  以上でございます。
  53. 齋藤雅弘

    参考人齋藤雅弘君) 電話勧誘全面禁止をすべきじゃないかという御意見でありますが、私も、先ほど申し上げましたけれども事業者の側からかけてきて積極的に商取引勧誘するという点に関しては、そういう考え方に非常に親近感を持っております。  今ドイツの例を申し上げましたけれども、ドイツは不正競争防止法という取引の適正を図るための法律に違反をしているということで、そういう電話商取引のための勧誘はやってはならないという裁判所の命令が出ています。それから、同じような例というか似たような例ですけれども、イギリスでは、ちょっと正確じゃないかもしれませんが一九八四年だったと思いますが、金融サービス法という法律ができまして、この中では投資取引ですね、株とか証券の取引、これについては、事業者の方から積極的に電話勧誘することはお客さんの方の承諾がなければできない、こういう仕組みになっています。  したがって、そのように考えていきますと、確かに電話利便性というのはありますけれども、これは消費者が自発的に電話利用して積極的にアクセスをしていく場合はそのとおりで結構ですけれども商取引について事業者側から積極的に消費者の方に電話をかけていくという場合につきましては、一律全面的な禁止がいいかどうかということは、これはそれぞれの国の文化や物の考え方、社会の仕組みによって違いますけれども、ある一定の枠を持ってそういう方向にしていっても決しておかしくはないんではないか。  例えば、今申し上げたイギリスの例のように、ある特定の事業者との間で継続的な契約を結んでおいて、私の場合には事業者の方からこの要件では電話をかけていただいても結構ですよという事前の承諾をとっておくとか、それ以外はだめにするというような形で、いろんな工夫をすることによって、小島先生御指摘のような電話暴力の根絶につなげていけるんじゃないかというふうに考えております。
  54. 田中里子

    参考人田中里子君) 私も奥様と同じように、うちにいるときに何回か電話で立たされて、本当に迷惑だと思いますし、そのときには、もうこれはそうだなと思うと、取り込んでおりますから失礼と言って、すぐ切っちゃいますが、とにかくあの話を聞いているということは、聞く側にとっては本当に暴力に等しいというふうに思います。  そういう意味では、私は、電話が向こうからかかってきて勧誘して、そこで契約が成立したというような、そういうやり方というのはやっぱりおかしいのではないかというふうに考えておりました。  御用聞きの例については、前にこういうものを継続的に取ったいということが向こうに伝わっていて、向こうがいかがですかというふうに聞いてくるということで、これはもう高齢化社会になって大いに結構だろうと思いますが、とにかく消費者側が意思をきっちり持って対応するという方法を電話勧誘販売の場合には非常にあいまいにしてしまうというところに問題がありますので、電話勧誘販売を行う事業者にはそれなりのリスクが伴うのは当然だと思いますし、いろいろそういう意味では、消費者側に不利なことについては規制できちっとカバーしていくという方法が次善の策として今出ているというふうに理解しております。
  55. 小島慶三

    ○小島慶三君 終わります。
  56. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 以上をもちまして参考人方々に対する質疑を終わります。  参考人方々には、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時六分散会