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1996-05-07 第136回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      浜四津敏子君     長谷川 清君  四月十七日     辞任         補欠選任      平田 耕一君     佐々木 満君  四月十八日     辞任         補欠選任      佐々木 満君     平田 耕一君  四月二十六日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     筆坂 秀世君  四月三十日     辞任         補欠選任      林  芳正君     浦田  勝君  五月一日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     林  芳正君      筆坂 秀世君     山下 芳生君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          沓掛 哲男君    理 事                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 荒木 清寛君                 前川 忠夫君    委 員                 斎藤 文夫君                 坂野 重信君                 中曽根弘文君                 野間  赳君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君                 小島 慶三君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  田中 秀征君        官)    政府委員        公正取引委員会        委員長      小粥 正巳君        公正取引委員会        事務局長     糸田 省吾君        経済企画庁長官        官房長      竹島 一彦君        経済企画庁総合        計画局長     土志田征一君        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業大臣官        房審議官     横川  浩君        通商産業省通商        政策局長     細川  恒君        通商産業省貿易        局長       広瀬 勝貞君        通商産業省基礎        産業局長     林  康夫君        通商産業省機械        情報産業局長   渡辺  修君        通商産業省生活        産業局長     中野 正孝君        工業技術院長   平石 次郎君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        特許庁審査第一        部長       菅野 利徳君        中小企業庁長官  新  欣樹君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        防衛庁装備局通        信課長      渡部  厚君        外務省経済局国        際機関第二課長  齋木 昭隆君        大蔵省理財局国        庫課長      松田 廣光君        大蔵省銀行局総        務課金融取引管        理官       大月 洋一君        文部大臣官房人        事課長      伊勢呂裕史君        文部省高等教育        局企画課長    若松 澄夫君        文部省学術国際        局研究助成課長  遠藤  啓君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部データ通信課        長        藤本 栄助君        労働省職業安定        局業務調整課長  井原 勝介君        労働省職業安定        局業務調整課民        間需給調整事業        室長       森山  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管公正取引委員会経済企画庁)  、通商産業省所管中小企業庁を除く))     —————————————
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。  去る四月十一日、浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として長谷川清君が選任されました。     —————————————
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 去る五月一日、予算委員会から、本日五月七日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁並び中小企業庁を除く通商産業省所管についての審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  通商産業大臣から説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣
  4. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 平成八年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  我が国経済の最近の状況を見ますと、昨年の経済対策の効果もあり、設備投資住宅建設などにおいて幾つかの明るい動きが見られ、生産も緩やかに増加するなど、景気には緩やかながら再び回復動きが見られ始めております。  ただし、中小企業回復にはおくれが目立ち、雇用も依然厳しい状況が続いているなど懸念すべき点も見られます。  私としましては、ようやく明るさの見られ始めた我が国経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最も重要であると考えており、中長期的な我が国経済持続的発展のために、引き続き内外経済動向を十分注視しつつ、切れ目ない経済運営に努めてまいる所存であります。また、ゆとりと豊かさに満ちた二十一世紀を迎えるため、自由で活力ある経済社会を構築してまいりたいと存じます。  このような認識のもと、通商産業省といたしましては、平成八年度の関係予算及び財政投融資計画の作成に当たり、次のような三つの柱から成る基本方針に沿って、諸施策実現を図ることとした次第であります。  第一は、「経済構造改革推進」であります。  我が国経済の最大の課題は、安定的な経済成長を確実なものとしつつ経済構造改革を力強く推進していくことであります。このため、研究開発情報化等将来の発展基盤整備するとともに、新規事業への支援、新産業生活インフラ整備等により経済フロンティア拡大し、質の高い雇用機会を確保してまいります。また、我が国の喫緊の課題である一層の輸入拡大対内投資促進を図るとともに、国際的にも魅力ある産業立地環境実現を目指し、地域経済活性化等推進してまいります。  第二は、「中小企業対策推進」であります。  我が国経済活力源泉たる中小企業が、先行きに明るい見通しを持って現下の構造変化の波を積極的に乗り切っていけるようにするため、技術開発新規創業等創造的事業活動に取り組む中小企業への支援強化を初め、引き続き中小企業構造改革推進経営基盤の安定・強化のための対策切れ目なく講じてまいります。  第三は、「総合的エネルギー政策推進」であります。  我が国経済安定的発展国民生活の豊かさを確保しつつ、エネルギー環境問題や世界経済発展といった地球的課題に責任ある対応をしていくために、エネルギー政策国際展開を図りながら、我が国エネルギー供給体制効率化エネルギー需給構造高度化資源エネルギー安定供給推進してまいります。  この結果、一般会計は、九千百八十八億円を計上しております。また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千二百四十一億円、電源開発促進対策特別会計四千六百七十六億円を初め、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。さらに、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで八兆四千四百四十三億円を計上しております。  以上、平成八年度における通商産業省関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  5. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 次に、経済企画庁長官から説明を聴取いたします。田中経済企画庁長官
  6. 田中秀征

    国務大臣田中秀征君) 平成八年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算額は、二百七十五億九千五百万円余であります。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、適切かつ機動的な経済運営と的確な経済情勢判断推進に必要な経費として、二億二千二百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、経済状況を的確に把握するため単身者世帯消費予測調査実施改訂国民経済計算系列整備などに必要な経費であります。  第二に、経済フロンティア拡大する構造改革推進に必要な経費として、一億三千二百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、経済フロンティア拡大と二十一世紀への経済社会発展基盤調査世界経済発展改革戦略研究に必要な経費であります。  第三に、世界経済拡大均衡に向けた積極的取り組みに必要な経費として、三億五千五百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、政府調達苦情処理市場開放問題苦情処理、対日投資促進中心とした市場アクセスの一層の改善に必要な経費アジア太平洋地域協力への取り組み強化に必要な経費国別経済協力指針の策定など経済協力推進を図るために必要な経費、旧計画経済諸国に対する知的支援充実を図るために必要な経費であります。  第四に、生活の豊かさを実現する総合的な政策推進に必要な経費として、三十五億百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、内外価格差是正・縮小を図るために必要な経費ボランティア活動促進のための環境整備に必要な経費製造物責任制度の定着に向けた諸施策推進を初め消費者行政積極的展開に必要な経費であります。  また、これらの経費のほか、海外経済協力基金に対する交付金百三十九億円余を計上しております。  本基金平成八年度の事業規模は、九千四百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、前述の交付金のほか出資金三千七百三十三億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金等からの借入金五千五百四十億円が予定されております。  以上、平成八年度における経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  以上でございます。
  7. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 次に、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。小粥公正取引委員会委員長
  8. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 平成八年度における公正取引委員会関係予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち、公正取引委員会予算額は、五十三億八千二百万円となっております。これは、前年度予算額に比べますと一億四千三百万円、二・七%の増額となっております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、独占禁止法施行経費等として五十億五千四百万円を計上しております。  これは、違反事件審査のための経費経済実態流通実態調査及び対策のための経費など、独占禁止法を厳正に運用するとともに、法運用透明性を確保するための経費であります。この中には、独占禁止法違反事件処理を担当する審査部門中心とした増員、事務局にかえて事務総局を置くなど組織強化・拡充のための経費が含まれております。  第二に、下請代金支払遅延等防止法施行経費として五千九百万円を計上しております。  これは、下請法運用強化と啓発・普及運動を積極的に行い、下請取引適正化推進するための経費であります。  第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として二億六千九百万円を計上しております。  これは、公正な競争を維持・促進することにより、消費者利益の保護を図り、景品表示行政を積極的に推進するための経費であります。  以上、平成八年度における公正取引委員会予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  9. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 林芳正

    林芳正君 自由民主党の林芳正でございます。  本日は、委嘱を受けました予算についていろんな方面からお聞きしたいと思いますが、大変に幅広い分野でございますので、限られた時間でもございますので、私は与えられた時間を二つのテーマについて絞ってお聞きしたい、こう思っております。一つ目産学連携と言われている分野でございまして、もう一つ電子商取引、この間、加藤委員からも御指摘のあった今からの問題について順次御質問させていただきたいと思います。  それでは、まず産学連携についてでございますが、いわゆる産学連携というのは、新しいメガコンペティションの時代に向かっていくという現状の中で、やはり研究開発というものが非常に大事になってくるだろう。その中で、産業空洞化懸念ということが昨今言われております。海外生産技術開発拠点が移転していく、国内雇用が減っていく。また、新しい分野、これは通産省さんの方で中小企業施策と絡めていろんな施策展開されておるところでございますが、一般的にはこういう懸念が出てきておる。これに対応して、新規産業育成といった経済構造改革というものをやっていかなければいけないわけでございますが、その中で、やはり日本技術立国でございますから、独創的な研究開発推進ということを大変重要なこととしてやっていかなければならないわけでございまして、それを考えていく上で産学連携ということが出てくるわけでございます。大学等のポテンシャル、これはシーズであると思うんですが、それから企業の方のニーズ、これをうまく結びつけて新しい分野産業、また技術を見つけていかなければいけないんではないかなと私は考えておるわけでございます。  ところが、まだまだ大学側企業側双方ともこの産学連携ということに対して、余り歴史がなかったものですから意識が変わっておるのがまだ不十分であるというような現状であると私は思っておりまして、今からの問題としていろんな形での産学連携に取り組んでいかなければいけない、こう思うわけでございます。  これは参考で通産省からいただいた数字でございますが、日本アメリカを比べた場合に、産業界からの資金大学に入っていく資金でございますが、九三年度で日本が六百四十二億円に対してアメリカは十五億ドル、かなり大きな開きが出ております。また、特許出願数に関しましても、これは九四年度で日本では国立大学が全部で三十件でございますが、アメリカMIT、マサチューセッツ工科大学でございますが、ここ一校だけで二百二十五件というような数字が出ております。これは特許の数え方や、またいろんなくくり方によっても大分違うわけでございますが。また、こういう大学から出てきた企業というものが大きく成長している例というのが向こうでは枚挙にいとまがないわけでございまして、今申し上げましたMIT一つをとってみても、デックですとかスピーカーで有名なポーズ社等、いろいろな新しい企業が出てきておるということでございまして、今からこの産学連携を進めていかなければいけないなと、こういうふうに思うわけでございます。  まず最初に、こういった新たな経済フロンティアの開拓、産業連携推進が大変に大きな意義を今申し上げたように持っておる、こう思うわけでございますが、全体的な感触といいますか御認識としく大臣がどういうふうにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  11. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 産学連携につきましては、我が国経済活力源泉一つとして重要な意味を持つという認識を持っております。  ただいま先生からも御指摘をいただきましたが、通産省といたしましても順次政策的な手当てを行ってまいりました。  具体的には、予算等による産学協同研究開発推進でありますとか、産学連携のための研究開発施設整備促進とか、あるいは産学官情報交流機会提供などを実施してまいりました。  今後は、これらの充実とともに、文部省等とも連携をして産学交流促進する制度、仕組みの整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  12. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。  全般にわたって大臣から御答弁いただいたわけですが、具体的な取り組みといいますか、細かい点に入る前に、それぞれ予算、税制、財投、いろいろまた制度に対する取り組みということがあると思うんですが、具体的にそれぞれの分野予算措置を含めましてどのような取り組みをなされているのか、もう少し細かくお聞きできればと思います。
  13. 横川浩

    政府委員横川浩君) ただいま大臣から答弁ございましたように、通産省におきましては、産学連携推進のために、申し上げます三つの柱を軸に施策実施をいたしておるわけでございます。  一つに、産学協同などでの研究開発支援でございます。それから二つ目には、産学連携研究施設整備を図るということでございます。それから三番目の柱といたしまして、技術交流情報交流機会提供を行おう、こういった柱を軸に施策展開をいたしておるわけでございます。  ただいま申し上げました第一の柱でございます研究開発支援につきましては、産学官連携によります基礎的、独創的な研究開発推進を、いわゆる提案公募型の研究開発支援をいたしております。それからまた、企業大学等連携をいたしまして行います技術開発に対しまして、日本開発銀行等からの必要な資金低利融資を行う施策など、順次実施をいたしております。  それから、第二番目の柱でございます研究開発施設整備でございますけれども、昨年秋に民活法の改正をいたしまして、これによりまして産学連携施設整備民活事業として進むようにいたしたところでございます。  それから、第三番目の柱の情報交流機会提供でございますが、大学研究活動産業界ニーズ等調査及び情報提供、それからまた全国各地区にございます通産局におきます産学連携推進協議会(仮称)の開催、さらには地域における技術交流につきましてのセミナーの開催など、平成八年度予算に計上いたしまして推進をしていこうということでございます。
  14. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  いろんな諸施策展開していただいておるわけでございますが、一方で、制度官庁と申しますか、いろいろな現行の制度を管理運営なさっている官庁とのかかわりということも出てくる、こういうふうに私は思っておりまして、きょうは文部省にもお聞きしたい、こう思っております。  まず第一点は、よく言われております、国立大学先生研究をされておられるわけでございますけれども、ここの人事流動化ということが、これは産学連携ということだけでなくていろんな意味から議論をずっとされておられるところでございます。大学審議会のいろんな取りまとめ等を拝見いたしますと、任期制というものを大学教員にも全部ではないにしても一部選択的に取り入れたらどうかという動きがあるようでございますが、この検討状況について文部省の方からまずお聞きしたいということでございます。  これをお聞きするのは、国立大学先生と比較的似た立場にあると思われておりますのに国立研究所がございますけれども、こちらの方の研究者は、研究交流促進法というのがございまして、一応任期つきの採用が特別法で認められておるということでございまして、これとパラレルで考えることができないのかなという観点からお答えいただければと思います。
  15. 若松澄夫

    説明員若松澄夫君) 大学教員任期制につきましては、大学審議会の中にございます組織運営部会というところで御検討いただいているところでございまして、先生御案内のとおり、昨年九月には同部会におきます。その時点までの審議概要というものが公表されているわけでございます。  この審議概要におきましては、任期制導入する意義といたしまして、「人事流動化による教育研究活性化」ということと「多様な経験を通じた若手教育研究者育成」ということを挙げておりまして、各大学判断任期制導入し得ることとする、いわゆる選択的任期制と呼んでおりますけれども、そういう措置をとることが適切であるという基本的な方向が示されているわけでございます。このほか、審議概要では任期制運用でございますとか、導入の方法あるいは任期制導入に伴います措置などについて指摘をしているわけでございます。  現在、大学審議会におきましては、この審議概要に対します大学関係団体などの意見を踏まえながら、答申に向けてさらに審議を深めているというところでございます。
  16. 林芳正

    林芳正君 そこで、これは任期制導入した場合という仮定論になるわけでございますけれども、その前に、今そういう審議会状況だということでございまして、今後どういつだ手順と申しますかスケジュールで物事が進んでいくのか。そして、もし任期制導入した場合に、これはしてほしいわけでございますが、今までずっと下から上がってきた方との処遇のバランスということを少し緩めに考えていただけないのかなということがございます。  と申しますのは、非常に著名な研究者ですとか業績を残された方をお迎えする、それも期限を限ってというようなケースが一番選択的任期制導入した場合に出てくると私は思うわけでございますけれども、そういうときに今までいた方と年齢、経験年数が同じだから全く同じ給料ですよということではなかなか優秀な方に来てもらえないのではないかなと、こういうふうに思うわけでございまして、今までのライン上の方よりも少し厚遇ができないかという点と、それからもう一つは、これは任期制ですから任期が終わった後どうなるのかということも大きな問題になるわけでございまして、一般国家公務員の方であればいわゆる天下りの規制、こういうものがあるわけでございますけれども、これについても任期で数年いただけで何十年も同じお役所におられた方と同じような規制になるのはいかがかなという気もいたすわけでございまして、その二点について、これは非常に仮定の論議でございますけれども、御所見をお伺いいたしたい、こういうふうに思います。
  17. 若松澄夫

    説明員若松澄夫君) 最初に、今後のスケジュールというお話がございましたけれども、現在大学審議会におきまして、先ほど申し上げましたように多角的な見地で御審議をいただいているところでございまして、現在のところ具体的にいつ答申を出すかということについては決まっておりませんという状態でございます。  それから、二点目の処遇の関係でございますけれども、先生御案内かと思いますが、現行の給与制度と申しますものが、国家公務員法の規定によりましていわゆる職務給の原則というものが基本となってございます。官職の職務と責任に応じて給与というものが決定されるという仕掛けになっているわけでございます。  現在、民間企業でありますとかあるいは私立大学等から国立大学の教員に任用された者の給与につきましては、大学教員の職務の特殊性ということから、一般的には経験年数に応じまして初任給決定の一般原則というのがございますが、それよりも有利な扱いができるというような形に大学教員についてはなってございます。そういう形の一定の仕掛けで初任給の決定を有利にいたしましてもなお部内で不均衡が生じるというような場合には、人事院の承認を得て初任給の格付におきます一定の優遇ということができるということになっているわけでございます。  すぐれた業績を有する者を民間企業等から任期つき国立大学教員に任用するというようなケースも、任期制導入されました場合には増加するというふうには思うわけでございますけれども、その場合の給与のあり方ということにつきましては、現在の職務給の原則との関連等もございますので、今後十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、任期後の問題につきましては、一つ大学問、国公私の大学問の中で移動するというケースがあろうと思いますし、いわゆる研究公務員という形で行くということもあろうというふうには存じております。なるべく全体がそういう形の流動化を図れるような仕掛けになっていくということがあれば、大学教員任期制というものも進むのではないかというふうには考えておりますけれども、当面、大学の教員の任期制についてとりあえず風穴をあけたいということでやっておるわけでございます。
  18. 林芳正

    林芳正君 私が二点目にお聞きした民間企業任期が終わってから、天下りというと言葉が悪いわけでございますが、民間企業任期の終わった後、行かれる場合のいわゆる規制緩和についてちょっと。
  19. 若松澄夫

    説明員若松澄夫君) 失礼いたしました。  大学審議会で議論しておりますような任期制制度化されるということになりますと、人事流動化が一層促進されるわけでございまして、御指摘のように離職後営利企業に就職をするというようなケースも増加するだろうというふうには考えておるわけでございます。  現在、御案内のことかと思いますが、国立大学の教員を含めまして一般職の国家公務員が営利企業へ就職するということにつきましては、人事院の承認を得た場合を除きまして、離職後二年間はその離職前五年間に在籍していた国の機関と密接な関係のある営利企業の地位につくということが禁止されているわけでございます。営利企業へのこの就職制限の趣旨というものは、職員の在職中の服務というものを厳正なものとし、また公務の公正さというものを確保するということにあるわけでございます。  一方、任期制導入の趣旨でございます人事流動化を一層促進するという私どもの立場からいたしますれば、できるだけそういう制限は緩い方がいいということであるわけでございますが、それぞれ国家公務員法上の要請ということと、私どもの人事流動化を図りたいという要請とをどう調和させていくかということであろうと思います。この点につきましては、関係の機関とも協議しながら今後研究していきたいというふうに考えている次第でございます。
  20. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。ぜひ関係の諸機関と強力にネゴをしていただきたい、こう  いうふうに思うわけでございます。  それから、もう一つお聞きしたいのは、いわゆる研究者が休職、休んで外部で研究を行う、日本語では休職出向というふうな言葉があるそうでございますが、私が海外におりましたときによくサバティカルということを学者の先生なりワシントンにいらっしゃる研究員の方がおっしゃって、最初何の意味かよくわからなかったんですが、サバティカルリーブという言葉がありまして、やはり研究休職というか休職出向という意味でよく使われておられました。そういうことで一年なり二年、現場を離れて別の研究所へ来られたり、また違う国へ行って研修をされたりという方が随分おられるなという印象を持っておったわけでございまして、いわゆる休職出向といいますか研究休職というものが日本にも根づいて広がっていっていただきたいなと、こういうふうに私は思っておるわけでございます。  これも実は先ほどの任期制と似たような状況でございまして、国立研究所の職員と申しますか研究者の方には、研究交流促進法で退職金の算定の基準の特例が設けられております。休職した場合の期間を、例えば一年休職しておった場合は、原則の国家公務員法に戻りますと、そのうちの半分だけを退職金の算定のときに加えていただくということですが、研究交流促進法の特例として、研究公務員にはこの一年なら一年金期間を退職のときに算定してもらえるという特例が特別法で設けてあるわけでございますけれども、国立大学の教官の場合はまだこれが原則のまますなわち国家公務員法上の二分の一の原則のままでございます。研究公務員の場合は教育をするという任務はないわけでございまして、その教育の部分が大学先生には研究という職務ともう一つの柱としてあると。その辺で二分の一なのかなという気もするわけでございますが、この大きな流れの中でやはり研究公務員並みに、国立大学先生のこのサバティカルリーブを促進するためにもこの二分の一を上げて特例に近づけるような方向で検討していただけないか、御所見をお伺いしたいと思います。
  21. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 国立大学の教官につきましては、先生指摘のように研究交流促進法の適用がございませんため、科学技術に関して国と共同で行われます研究または国の委託を受けて行われる研究に係る業務に関する研究休職というのは認められておらないわけでございます。また、公共的施設である学校、研究所、病院などにおいて国立大学の教官にも研究休職が認められる場合におきましても、研究交流促進法で定められているような退職手当の計算上の特例もないということでございまして、今のところ先生が言われるような弾力的運用はできないということになっております。  いずれにしましても、産学連携交流を進めることは非常に重要なことでございます。そういう中で、産学連携交流の促進につきましては、科学技術会議におきまして、現在、科学技術基本計画の策定に関連いたしまして必要な検討がなされているところでございますので、その検討状況を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
  22. 林芳正

    林芳正君 ぜひよろしくお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  それと、ちょっと順番が入り繰りするかもしれませんけれども、労働省にお聞きしたいことが一つ、今の産学交流でございまして、労働者派遣事業法が今度改正されるわけでございますが、この一環として、いわゆるポジティブリストというのがございまして、派遣業をやってもよろしいという業種が、これは政令事項だったと思いますけれども、幾つか定められておりまして、今回の改正と時を同じくしてこのポジティブリストにかなりの職種が追加をされておるように聞いております。  その中で、研究開発、いわゆる研究者という業務もこの新しく追加されるポジティブリストの候補に挙がっておるというふうにお聞きしておるわけでございますけれども、この中に実は研究補助者、いわゆる研究者というのは、今大学先生研究公務員のお話をしておりまして、自分でテーマを設定して、またはいろんな指示をいただいて研究を主体となって進める方だと、こういうふうに思うんですが、この方を助けて試験管を振ったり電子顕微鏡を見たり、ソフトをつくる場合にはデータを入力したりと、いろんな業務があると思うんです。いろんな形で研究者を補助するいわゆる研究補助者、リサーチアシスタントというふうに言われる方でございますが、このような方もかなり専門的な技能を要する方でございまして、この研究開発の業務の定義と申しますか、その中に研究開発研究補助者も入ってくるのか、入ってくるような解釈の方向でお願いをしたいなと私は思うわけでございますが、その辺に関する御見解をお願いします。
  23. 森山寛

    説明員(森山寛君) 派遣事業の見直しにつきましては、一昨年の十一月から約一年間にわたりまして中央職業安定審議会で検討いただいたところでございまして、現在、その建議をもとに国会に改正法案を提出させていただいているところでございます。  先生の御質問の対象業務でございますけれども、大変御議論があったところでございまして、大幅に拡大という御意見があります一方、この派遣事業といいますものが雇用と使用が分離するという特殊な形態でございまして、慎重に対処すべきであるという御意見もございまして、その検討の結果、この対象業務につきましては専門的な知識、技術または経験が必要な業務であること等の基準を基本に、その必要性について具体的に検討がされたところでございます。先生指摘のように、最近の社会経済情勢の変化をもとに、この研究開発業務につきましても適用対象業務とすることが適当であるというふうにされたところでございます。  ただ、その具体的な範囲につきましては、現在、先ほど申し上げました国会に提出しております派遣法の改正案、この施行に合わせまして施行令で拡大をしていくというふうになっておりまして、今後いろんな御事情あるいは実態等を踏まえまして中央職業安定審議会においてさらに御審議をいただくことになっておりまして、そういう実態等を踏まえまして検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  24. 林芳正

    林芳正君 ぜひ時代の流れを取り込んでいただきまして、鋭意御検討をお願いいたしたい、こういうふうに思います。  それから、また文部省にお伺いをするわけでございますけれども、国立大学先生の兼業でございますが、最近、新聞紙上いろいろと、これは私学の先生だと思うんですが、大学先生がベンチャーキャピタルを起こしたというような記事を見るわけでございますけれども、私学の場合、非常に緩やかなそういう産学の交流が起きやすい体制にあると、こういう新聞記事を見て思うわけでございますけれども、国立大学先生というのは国家公務員でありますから、それからくるいろんな制約、こういうものがあるんではないかな、それは私も理解をしておるところでございます。  その中で、国立大学先生が兼業するという場合に、この許可の基準を定める文部省の通達というのが、実は昭和五十八年の三月四日付で職員の兼業の承認及び許可に関する人事課長通知というものが出ておるようでございまして、これについてちょっとお聞きするわけでございます。  まず第一点は、この中で国有特許実施のための企業に対する技術指導についてはやっていいよと、こういうことになっておるわけでございまして、この特許が、特許を実際に取得した、それから出願、いわゆるペンディングになっておる、そこまではいいですよということでございますけれども、これを特許というものに限らず、知的財産権全般についてもう少し広げていただけたらいいんではないかなという趣旨でございます。  民間と国が共同研究をする場合に、それによって生じた結果がだれに帰属するかという取り扱いを決めておられるわけでございますけれども、特許については取り決めがございます。いわゆる知的財産の中で最近よく話が出てまいりますコンピューターのソフトウェアでございますけれども、このデータベースやソフトウェアにつきまして、これは著作権に当たるということでございまして、これについての取り決めが文部省のこれは通達だと思いますけれども、「データベース又はプログラムの作成を直接の目的とする民間等との共同研究により作成されたデータベース等の著作権も国と民間等との共有とすることができる」というような通達が昭和六十二年に出ておるようでございます。  そういう出てきた成果物についての措置がなされておるわけでございますから、この特許と同じような著作権につきましても、できた後、その研究開発に携わった大学先生がもう一回戻っていって指導するというようなケースも出てくる、こう思いますので、国有特許に限らず広く知的財産権一般にこれを拡大できないのかなということでございますが、その辺についてはいかがでございますか。
  25. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 先生指摘のように、国立大学の教官が特許以外の例えばデータベース、先ほど申し上げましたようにコンピューターソフトウエアの著作権に関しまして、国有特許に関する技術指導と同様のかかわり方をすることも可能性としては考えられるわけでございますが、今までのところ、データベース等の著作権に関して兼業を認めてほしいといった要望は特に聞いておりません。これは、要するに特許などの発明の商品化については相当時間もかかるし、創意工夫もかかるわけでございますけれども、データベースなりコンピューターソフトウェアなどの著作物については既に創意工夫なりそういうものを凝らした後の表現されたものでございますものですから、それを拡大したり改変したりする場合もそんなには手間がかからないということがあるかと思います。  したがいまして、先生指摘の点につきましては、関係方面からそういう要望がありました段階で検討していくべき課題というふうに考えております。
  26. 林芳正

    林芳正君 ぜひ、要望があった場合はもちろんでございますけれども、要望を先取りするような形で前向きな御検討をお願いいたしたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、同じ通達の中にもう一つありまして、営利企業の付設の研究施設等の非常勤研究員で学術研究推進上有益と認められる場合はやっていいですよと、こういうことが書いてありまして、この具体的な範囲については別途通知により定める、こういうふうなことが昭和五十八年の通知に書いてあるわけでございますが、この別途通知というのがまだ実際には出ておらないということでございます。これは広く解釈するとかなりいろんなケースが想定できると思うわけでございますけれども、この別途通知がないために実際にこういうケースはまだないというふうにお伺いしておりますけれども、この学術研究推進上有益と認められる範囲というものは具体的にはどのようなケースを指すのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  27. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 先生の御指摘の通知の趣旨は、教育公務員の服務上の規制と学術研究推進上の必要性との調和を図る。さらに、大学研究者と民間企業等における研究者との交流や協力をスムーズに推進するという観点から、今後必要となった場合には一定の条件のもとに営利企業付設の研究施設での兼業を認められる道を開くことができるよう、あらかじめこの通知において書き出したものでございます。  具体的な条件については別途文部省から発出する通知によるところとなっておりまして、これまでもこの通知に盛り込むべき事項について検討を行ってきたところでございますが、大学関係者の中に共同研究で十分対応可能だなどという慎重意見も多かったことから、今までのところ通知を発出するに至っていない状況でございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、産学連携、交流の促進につきましては科学技術会議における科学技術基本計画の策定の検討状況を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
  28. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。  これは昭和五十八年の通知で、多分検討されたときはそれ以前でございますから、社会情勢、それから産学連携に対するニーズというもの、そして大学企業の現場における皆様の考え方ということも十年たって今と大分変わってきたと、こういうふうに思っておるわけでございまして、今御答弁あったように、それを踏まえて科学技術会議というところで大きな目標、方向を出していただけるものというふうに理解をしておるわけでございます。  それとあわせまして、文部省の方でも産学連携のあり方に関する協力者会議ということを進めておられるように聞いておりますけれども、現在の進捗状況並びに将来的なスケジュールや、どういう論点、私も今何点か質問いたしましたけれども、どういう論点が方向性として出てこようとしておるのか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  29. 遠藤啓

    説明員(遠藤啓君) 文部省におきましては、従来から大学産業界等との研究協力の一層の推進を図るために、民間等との共同研究でありますとか受託研究の拡充等の諸施策を進めておったところでございますけれども、先ほど御指摘のありましたような文脈の中で、これから産学連携、協力が一層重要であると私どもは考えているところでございます。  そうしたことから大学産業界との連携、協力のあり方を見直しまして、これを一層推進する方策を検討するために、今年の二月に今御指摘のございました産学連携・協力の在り方に関する調査研究協力者会議というものを設けまして、これまでその会議は二回開催いたしております。  第一回目は二月二十八日に開催いたしまして、会議の趣旨の説明、座長の選出、それから産学連携、協力全般に関する意見の交換を行ったところでございます。二回目につきましては四月二十四日に開催いたしまして、産学連携、協力のあり方の基本的な考え方について検討をいただいたところでございます。  今後につきましては、共同研究制度等のこれまでの各種研究協力の関係制度のあり方、あるいは国立大学に順次置いてきております共同研究センターのあり方などについて、先ほど来指摘されております科学技術基本計画の議論にも留意しながら検討を進めていくことにしております。  そういう状況でございます。
  30. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。ぜひ時代の流れに合った、教育から見ても大変に大事なところだと思いますので、産学連携に前向きに取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  視点を変えまして、産学連携の一部ではあると思いますけれども、サマージョブということについて取り上げてひとつお聞きをしたい、こう思うわけでございます。  いわゆるサマージョブ、最近雑誌や何かに少しずつ出てきておる言葉でございますが、学生が、いわゆる卒業予定者が一斉に会社を訪問するのではなくて、大学を卒業する前の一年生、二年生、また四年制の場合は三年生も含まれるかもしれませんけれども、数週間から数カ月にわたって実際に研修生として企業で働くことによって体験学習を行う制度でございます。主にアメリカで、夏休みが長いものですから、夏休みにこういう仕事をするということが多いことからサマージョブと、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、大変に私もいい制度だなと思っておるわけでございます。  学生や大学にとりましては、実際に働いてみるということで、リクルートスーツを着てただ面接を受けるということではなくて、実際に働くということはどういうことであろうかということを肌で感じることによりまして、自分の人生設計ですとか職業観についての考えを深める契機にもなりますし、また、今学生がまじめに勉強しておらないという意味ではないんですけれども、サマージョブやこの研修をやった後で学習に対する意欲が大変に向上をしておるという結果も出ておるようでございます。また、一方で企業とのいい関係もできてくるわけでございまして、就職にも有利になることもあるという実利上のメリットもあるようでございます。  また、企業にとっても一括採用ではなかなかわかりにくい学生の本当の素顔をじっくり観察することができるということでございますし、実際に採用した場合は、初期的な研修というものを省いて、すぐ採用即即戦力として働いてもらうことが可能になるというメリットもあるようでございます。また、大学の方から見た裏返してございますが、大学との交流も企業としても深まるということでございます。  また、これは実際に取り入れている社が何社かあるようでございますが、そこのアンケートによりますと、このインターン、学生が入ってきまして数週間なり一カ月、二カ月なり指導をするわけでございますが、通常は若手社員を一人張りつけまして、その学生、インターンの指導に当たる、こういうことでございますと、若手社員というのはまだ部下がおらない状況で、自分の下に入ってきた学生を指導することによりまして、この若手社員そのものに対するいろんな刺激になったり、教育的な効果がある、こういうふうなことがアンケートの結果として出ておるわけでございます。  実は、この休みの間、また学期の間でも結構なんでございますが、実際にこういう職場に行って働くということを単位として認定しておる大学というのが大分出てきておりまして、一例を挙げますと高崎商科短大、東京コミュニケーションアート専門学校、また信州大学、いろんな大学が実際に大変に効果のある制度として取り入れておるようなところでございまして、これも産学連携の視点を変えた一つとして私は推進をしていきたいなと、こう思っておるわけでございます。  その中で、通産省にお聞きするわけでございますけれども、このサマージョブと言われるシステムを通産省としてどういうふうに支援をしていただけるのか、どういう措置が考えられるのか、その辺について御見解をお伺いしたいと思います。
  31. 横川浩

    政府委員横川浩君) サマージョブといった形で学生が実際に企業活動の中で実務を経験いたしますことは、まさに先生がただいま御指摘になられましたように、さまざまな積極的な意味合いを持っているものと考えるわけでございます。そういった意味で、最近、民間企業取り組みも広がりつつあるというように通産省としても認識をいたしておるところでございます。  通産省といたしましては、このような取り組みが円滑になされますように、その実態や動向を十分に把握をいたしまして、大学企業、学生等の関係者に対しまして情報提供等をさらに行ってまいりたいというふうに考えております。
  32. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  また、これは直接関係が出てくるかどうかは別といたしましても、いずれ学生が就職するという場面に少なからずつながってくる問題でございまして、そういう観点から労働省にお聞きしたいと思うわけでございますけれども、このようなサマージョブそのものにつきまして労働省として何か支援策や措置をお考えになっておられるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  33. 井原勝介

    説明員(井原勝介君) 委員指摘のように、サマージョブあるいはアメリカで行われておりますようなインターンシップ制度といったようなものにつきましては、御指摘のように、就業前にその仕事の実態あるいは職業の実態等を経験した上で自己の能力と適性に合った職業を選択していくという意味で非常に有意義制度ではないかというふうに思っております。  ただ、日本でそれを全般的に導入いたしまして、あるいは国が支援をしていくということになりますと、学校等の送り出しの問題、あるいは企業の受け入れ体制の問題、あるいは現在就職協定等もございますが、そうしたこととの絡み等、さまざまな解決しなければならない問題があるというふうに思っております。  現在、私どもで大学等新卒者就職問題懇談会という懇談会を学識経験者あるいは学校、企業の関係者等に集まっていただきまして開催しておりまして、こうした問題も含め学生の就職のあり方全般について検討していただいているどころでございまして、今後ともこうした機会を利用してさまざまな方の御意見もお聞きしながら積極的に検討してまいりたいと思っております。
  34. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  その中で、今御答弁いただいたこととダブるかもしれませんけれども、労働省としてもいわゆる就職難ということに対応されておられるわけでございまして、学生職業センターというものを昭和五十一年から職業安定局長の通達で出されておられるようでございますが、卒業予定者のみということになっておるようでございまして、八年度も一般会計で千九百万ほどでございますか、それから労保の特会でも二千三百万強ほどの予算を今、これは予定でございますけれども、計上されておられるようでございます。  これは卒業予定者のみということでございますが、これをさらに飛躍させる施策として、平成八年度から学生総合支援センターということを考えておられるようにお伺いをしておるわけでございまして、これは八年度の話でございますからまだ計画段階ということであろう、こういうふうに思うわけでございますけれども、この中で、職業生活の設計に関するコンサルティングの実施ということを新しく業務内容として加えてはどうかというような記述があったわけでございます。私といたしましては、このサマージョブの制度というのは、この観点から見ますれば職業生活の設計に関するコンサルティングを学生にやらせるためにそういうインターンをやるんだというような解釈もできるんではないかなと思うわけでございまして、その辺の観点から、この学生総合支援センターの中にそういう支援措置を盛り込むということの可能性についての御見解をお伺いしたいと思います。
  35. 井原勝介

    説明員(井原勝介君) 委員指摘のように、現在、学生総合支援センターの設置に向けまして準備を進めているところでございまして、計画によりますと、二年後から設置をしていきたいというふうに考えているわけでございます。業務の中身につきましては、現在、各県に設置されております学生職業センターの業務を中心にしまして、新しい業務についても今後検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。  そういった中で、一点、職業センターの業務といたしましては、四年生、卒業予定者が中心になって事業を実施しておりますが、職業紹介だけではなくて、職業相談あるいは適性検査等いろんな関連の業務をやっておりますが、そうした業務については特に卒業予定者でなくても、早い段階からそういった指導が必要な場合もございますので、サービスの対象にしているところでございます。これは学生総合支援センターになったときにも変わらないだろうと思っております。  さらに、新しい業務につきましてはこれから検討してまいるところでございますが、委員指摘のように、いわゆる学生が職業生活設計をしていくに当たって、仕事の何たるか、あるいは職業の何たるかといったような観点から自分の職業生活設計をどうしていくのかということを考えていかなければいけないということで、そういった面でのコンサルティングといった事業も非常に重要になってくるんではないかというふうに考えておりまして、学生総合支援センターができます暁には、そういったコンサルティング事業等につきましても実施できるように検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  36. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。ぜひその方向で鋭意御努力をお願いいたしたい、こう思います。  またこれは、産学交流のサマージョブで大学の話をさっきしたわけでございますが、文部省にお尋ねをいたすわけでございますけれども、八年度の予算の中で大学改革推進経費という項目がございまして、この中に学外体験学習等実践支援経費ということで約七千万強を計上されておられるわけでございます。先ほど例示で申し上げましたが、まさにこういう研修を学外体験として単位を認定しておる大学が出てきておるわけでございまして、この事業の中でこういうサマージョブ、インターン制度推進しておる大学についてどのように支援をしていく御計画であるか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 若松澄夫

    説明員若松澄夫君) 先生御案内のように、学問でございますとかあるいは社会の高度化、複雑化ということに対応いたしまして、幅広い識見と豊かな人間性を有する人材というものを養成するということが大学教育の重要な課題となっておるわけでございます。特に科学技術の乱用を防いだり、あるいは技術や職業に対します高い倫理観を持つ人材養成ということにつきましては強い社会的な要請があるわけでございます。  そういうことから、平成八年度から新たに社会福祉施設あるいは民間企業等々での実習などを支援するための学外体験学習等実践支援経費ということで約七千万円の予算を計上させていただいておるところでございます。この支援経費は、社会福祉施設あるいは民間企業、公共団体など学生の学外での体験学習でありますとか、あるいは学外で活躍をいたしております第一線の実務家という方を招聘いたしまして特別講義を実施するというような形でもって専攻分野と社会とのかかわりの認識を高めたり、ボランティア感覚あるいは職業倫理の涵養ということに資するようなカリキュラム改革というものを実施する、そういうプロジェクトを対象にして必要な経費措置しようとするものでございます。  ただいま先生から御指摘ありましたように、今この予算につきましては各大学からより多くの応募があることを期待しておるわけでございます。現在、各大学から、今申し上げました形のプロジェクトにつきまして具体的な要望を聞いておる段階でございます。その各大学の要求書が出そろった段階で、また予算が成立いたしました段階で速やかに執行をすることによりまして、こういう体験学習のようなものを今後とも推進していきたいというふうに考えている次第でございます。
  38. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。ぜひその方向で鋭意御努力をお願いいたしたいと思います。  以上で産学連携についてのお尋ねは、時間も制約されておりますので、このぐらいとしまして、もう一つのテーマであります電子商取引というものについて何点かお尋ねをいたしたい、こういうふうに思っております。  昨今、パソコン通信を使いましたオンラインショッピングやインターネット上にいろいろなホームページを開いて、消費者が参加する形で電子商取引、要するに物を売り買いするときに引き合いを出して、それに対してオファーを出してということでございますけれども、このような商取引の一部を電子空間上で行うということが国際的にも出てきておるような現状でございますけれども、機器の操作性ですとか取引の安全性、信頼性、機器やシステムが抱える制限等、いろいろな問題が出てくるのじゃないかな、こういうふうに思っております。  我が国は、この間、加藤委員からも御指摘があったようでございますけれども、ヨーロッパやアメリカに比べてやや取り組みがおくれておるのではないかという懸念もあるわけでございますけれども、この辺につきまして大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  39. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 電子商取引につきましては、総括質問の際に加藤先生の方から御質問いただき、私ども並びに郵政省の方でそれぞれ御答弁をさせていただきましたが、経済産業構造の変革のかぎというふうに私は認識をいたしました。  今後とも、解決すべき技術的な課題制度的な課題について実証実験や研究会を通じた検討を進めまして、電子商取引実現に向けた取り組みが一層加速されますように、引き続き精いっぱい努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。  今の大臣の力強い御答弁を踏まえて、実質的に海外でも、イギリスではモンデックス社というところと聞いておりますし、またオランダでデジキャッシュ社、それからアメリカでもビザやマスター等のカード会社を中心としていろんな実験が行われておるというふうに承知をいたしておりますけれども、具体的に我が国でのいろんな実験の取り組み、またこれでどういつだような成果がどれぐらいのスケジュールで出てくるというふうにお見積もりをされておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  41. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。  我が国電子商取引関連でございますが、平成七年度に二度にわたる補正予算をこの場でお認めいただきましたけれども、それに基づきまして現在四十五の実証プロジェクトを実施に移しておるわけでございます。当然のことながら、電子商取引技術の開発がまず第一に重要でございますけれども、それとあわせて各種の法律問題も含めた制度課題の解決が同時並行的に行われなければなりません。  さらに、それをよりブラッシュアップしていくために実証実験というものが極めて重要でございまして、今申し上げました四十五のプロジェクトというのはまさにその実証実験を行うプロジェクトでございます。具体的には、暗号認証技術だとかあるいはICカードだとか、そういった幅広い技術につきまして着々と実験をいたしまして、その成果を逐次公表していきまして、現実の具体的な商取引の上でこれをコントリビュートさせていこう、こういうふうな考え方で行っておるわけでございます。  あわせて、現在、昨年の四月から電子商取引環境整備研究会という研究会を主催いたしまして、もろもろの技術面、法律面、その他各種の方面からの専門家を集めまして、電子商取引実施していく場合に起こり得る問題点を幅広く議論して、先般中間報告をいただきました。そういうことで、実証実験、制度、さらにはより専門的な将来をにらんだ勉強、そういったものを三位一体で行っているわけでございます。
  42. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございます。  少し細かい点についてもお聞きしたいと思うんですが、実際に我々の生活にどのようにかかわってくるかということなんでございます。  細かい法律論に入る前に、一例でございますけれども、実は私もインターネットのメールのアドレス、こういうものを持っております。実は、アットマークというのがございまして、aの周りを丸で囲んだマークでございます。通常、インターネットのアドレスというのはこのアットマークの前が個人の認識番号と申しますかアドレスでございまして、この後にいわゆるサーバーと言われていますインターネットの接続のプロバイダーの表示番号が出てくる、こういうことでございまして、このアットマークのアットの部分をドメイン名とこういうふうに呼んでおるようでございます。このドメイン名と商標法とのかかわりというものが昨今指摘をされておるわけでございます。  例えば、このドメイン名の後のいわゆるプロバイダーというところの名前に「キング」というようなものを登録しておきまして、それでそこのキングさんというプロバイダーから私が「バーガー」という名前をいただきますと、あわせて読むと「バーガーキング」、こういうふうになりまして、例えば私がインターネット上でハンバーガーの商売をやるといかにもバーガーキングが商売をやっておるような形をつくり出すことが可能になってくる、こういうようなことがどこかに書いてあったわけでございます。実際にはアメリカだと思いますけれども、このドメイン名を悪用したと思われることについての訴訟が二つ三つ既に起きておるようでございます。  この辺について、商標法との関連からどのようにお考えか、御見解をお聞きできればと思います。
  43. 菅野利徳

    政府委員(菅野利徳君) ただいま委員から御指摘ございましたように、電子商取引推進していく上で、例えば既に登録されております文字商標、アルファベットで構成されておりますような文字商標と同一あるいは類似のドメインネーム、あるいは今先生おっしゃいましたEメールのアドレスを取得した人間あるいはこの組み合わせ、今バーガーとキングという二つの組み合わせでもそういう問題が起きるという御指摘がございましたけれども、そういうEメールのアドレスあるいはインターネットのドメインネーム等の関係において商標権の侵害の問題が生じる可能性はあるわけでございます。  もちろん、商標権の侵害かどうかということにつきましては、そういうインターネットのドメインネームあるいはEメールのアドレスがどういう使われ方をするかということに関連いたしまして、個別具体的な問題として検討されるべき問題ではございます。いずれにしましても、委員指摘のとおり、アメリカにおきましてはそういう問題で商標権侵害訴訟が起きているというようなことが数件出ているのも事実でございます。  以上のような事情を踏まえまして、先般四月の末に、先ほど機情局長の方から御説明申し上げました電子商取引環境整備研究会の中間報告というものが出ておりますけれども、その中におきましても、そういうドメインネームあるいはEメールのアドレスというものと商標権の問題というものをどう考えていくかということが今後の電子商取引推進していく上での一つ課題であるということが指摘されているわけでございます。  特許庁といたしましても、今後の商標制度の運営に当たっては、電子商取引の普及等の技術革新あるいは情報化の推進というものに伴いまして、新たに生じてくる今御指摘のような問題についても機動的かつ円滑に対応していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。  その際、インターネットに係るドメインネームの使用等に起因して発生する御指摘のような問題につきましては、我が国だけではなくて国際的な広がりを持つ問題でございますので、海外の動向等々についても十分把握をした上で対応していく必要があるというふうに考えておりまして、今後とも海外動き等々につきまして十分注視してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  44. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  実は、いろんな法律がこの電子商取引というものにかかわってくるんではないかな、こう思っておりまして、先ほど局長から御答弁をいただきましたいろんな勉強会の中にもそういうところが入ってくるんではないかと思うわけでございます。  例えば民法でございますと、カビの生えるような話でございますが、五百二十六条で隔地間の当事者の契約の成立時期ということが書いてございまして、申し込みを発信したときに契約は成立するというのが民法上の原則でございますが、これは民法ができた当時の郵便、飛脚はおらなかったと思いますけれども、発信してから到達するまでかなり時間がかかるといった時代の原則であったのではないか、こう了解をしておるわけでございますが、インターネットでやりますと、これは瞬時のうちに相手に到達するということでございまして、そういった場合にはこの発信主義というのが果たして妥当なのか。  また、インターネットでございますと、間に何人もプロバイダーが入ってくるわけでございますから、その間に情報が改ざんされるという可能性も出てくるわけでございまして、そういったような問題がこの五百二十六条だけではなくて、例えば九十五条の錯誤ですとか九十六条詐欺、強迫、また無能力者、四条、九条、十二条といったような無効取り消しといったいろんなところに出てくるんではないか。また、代理というもので、実際に口頭でやる場合ではなくて発信者の顔の見えないところでやる場合の百九条、百十条に書いてあるような表見代理の問題等、いろんな問題が民法上出てくると思うわけでございますけれども、この辺について。  また、これをさらに進めまして、昨今言われております電子マネーと申しますか、貨幣そのものをインターネット上で流通させようという実験が行われておるわけでございますが、そうなった場合には、今度は四百六十七条の対抗要件ですとか百六十七条の時効、これは商法では五年、また小切手法では六カ月というふうに特則があるわけでございますけれども、この辺についてどういうふうにお考えを現段階ではされておられるか、御見解があればお聞きしたいと思います。
  45. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 今、先生から大変幅広い、かつまた専門的観点から大変難しい問題についての御指摘がございました。  おっしゃるように民法というのは一般原則でございまして、それを適用する場合、通常の商取引においても個々のケースに具体的に適用する際にいろんな解釈、当てはめが行われておるわけでございますが、特にこの電子取引になりますと、今までの商取引とは変わっておりますものですから、そういう意味で全く新しい事態というのがいろんな方面に発展して出てくるのではないか、このように考えております。  先ほど一例を挙げられましたが、錯誤に基づきまして行われた商行為というのは民法上は無効ということになっておりますけれども、例えば全く消費者が素人で単純なミスをしてインターネットで送った場合に、相手にそれがすぐ伝わった場合、これを一体錯誤というふうに見るのかどうか。そういうことで、錯誤で全部取り消しておったらおよそインターネットを通じた電子取引というのは発展していかなくなるんじゃないか。  こういったような問題もございまして、先般のこの研究会では、例えば一度発信されて受諾したものを、図面を一遍相手方に返して再度同じものをこれでオーケーだと言って入れ込んでもらった場合には、これはもう錯誤と言ってもその錯誤に重大な過失があるというふうな推定を行って、一つのルールをつくって適用していく、こういうことも考えられるんではないか、こういったようなものが答申されておりますけれども、そういったものを随所にこれは検討していかなければなりません。  これはある意味技術発展とイタチごっこになるわけでございますが、こういったようなものをしっかりと実証実験、先ほど申し上げました実験を通じましていろんなルール化ができてくると思います。それによってある程度商慣行を確立していく形でルールを適用していければなと、こんなふうに思っておるわけでございます。  また、電子マネーの問題につきましても、これは一に送ってくる人間の本人の認証の問題が非常に重要な問題になってまいります。この認証問題につきましても、これは非常に重要な問題を抱えておりますけれども、同時に、これは余り過剰規制を行ってしまいますと、先ほど申し上げましたように、せっかくのインターネットでの電子取引というこれからの発展の可能性を阻害することになるものでございますから、これについてもその両方のバランスをよく考えた形でこれから検討しなきゃいけないし、あわせて、これは国際間の取引になりますから、我が国だけではございませんで、国際的なそれぞれの部門のハーモナイゼーションをしっかり図っていかなきゃいかぬ、こういうふうな基本的な考え方のもとにこれから研究を重ねていきたい、かように考えております。
  46. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  私がお伺いしようと思った国際ハーモのお話や、また実態を踏まえた上で、実験の結果を通じながら法律との整合性を図っていかれるという御趣旨でございまして、その方向で鋭意頑張っていただきたいなという気がいたすわけでございます。  今、電子マネーのお話が出たわけでございますけれども、貨幣ということになりますといろんなまた法律との絡みが出てくるわけでございまして、そこで大蔵省にちょっとお伺いをしたいわけでございます。  紙幣類似証券取締法というのがございまして、いわゆるお金に似たものをどうやって扱うのか、こういうような話でございまして、この流れの中で実はNTTや、今、高速道路にもハイウエーカードというのがございますが、いわゆるプリペイドカードというものに関して、これが一体貨幣になるのかねというようなお話で、実はプリペイド・カード等に関する研究会というものが答申を出されておられます。平成元年の二月ごろだったと思いますけれども、この中で大蔵省の見解ということで、通貨の機能というものは「何処でも、誰でも、何にでも、支払ないし決済の手段として利用できることであると考えられる。」、こういうふうなことが書いてあるわけでございます。  この電子マネーというのはまだいろいろな実験段階でございまして、私がいろいろ見ておりますと、ICカードに入れ込んでICカードを持っていただく形と、それからインターネットの中でもう全く目に見えないところでサイバー空間の中でだけ流通するという、この二つのプロトタイプが出現をしておるようでございます。一方、これを現実の今あるものに引き直してみますと、銀行に預けておる預金の払い戻し請求書もしくは小切手、もしくは今申し上げましたプリペイドカード、前払い式証票でございますが、この辺が近い概念になるのかなと、こういうふうに思うわけでございまして、この辺の区別をするときに、このカードを出したときに実際に預けておる預金から引かれるのか、最終的に決済をしたときに落ちるのか、この辺の違いが一つのメルクマールになっておるような気もいたすわけでございます。  この出現しつつある二つのタイプの電子マネーといいますか、これに限らず電子マネー一般について大蔵省の御見解をお聞きしたいと思います。
  47. 松田廣光

    説明員(松田廣光君) 先ほどの通貨の機能につきましては、先生指摘のとおり、平成元年のプリペイド・カード等に関する研究会の報告におきまして、「何処でも、誰でも、何にでも、支払ないし決済の手段として利用できることである」と、こういう見解を大蔵省としてお示ししたところでございます。  一方、紙幣類似証券取締法というのがございますが、これは通貨発行権の保護及び証券所持人の不測の損害防止のために紙幣類似の作用をなすものの発行流通を取り締まりの対象とするものですが、いわゆる電子マネーが将来このような機能を有するものになるのかにつきましては、使用できる地理的範囲がどの程度になるのかということ、それから使用できる人間が特定されるのかということ、さらにはどの程度の汎用性を有するものになるのかということなどの点が現時点においては明らかではございませんことから、具体的なお答えを申し上げられる段階にないということを御理解いただきたいということでございます。  いずれにしましても、大蔵省としましては、先ほど御説明申し上げました電子マネーと通貨の機能との関係、電子マネーと紙幣類似証券取締法との関係を含め電子マネーと通貨制度全体の関係につきまして、引き続き十分注視してまいりたいと考えております。
  48. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  ちょっと時間が迫ってまいりましたので、多少はしょってお伺いしたいと思うんですが、もう一つ出資法というのがございまして、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律というのが出ております。銀行等特別法で認められた者以外は預金行為、お金を預かる行為や出資を預かってはいかぬ、こういうことでございますが、電子マネーに新しく取り組もうとされている方が銀行でない場合、なかなか難しい問題がここでも出てくるんではないかな、こういうふうに思うわけでございまして、これについて電子通貨との関係上大蔵省はどういうふうにお考えかということが一点。  それから、今御答弁の中で、鋭意注視していただくということでございましたけれども、この電子商取引というものは大変幅の広い分野をカバーして勉強していかなければならない問題だと私も認識をしておりまして、今通産省の方でいろいろな実験をやられて、また勉強をされておられる。また、郵政省の方でもいろいろな勉強をされておられるというふうにお伺いをしております。この辺の省庁間の連携をぜひとっていただきまして、政府一体となってこの新しい事象に取り組んでいただきたい、こういうふうな思いを持っておりまして、それについて大蔵省通産省から御意見をお伺いして、私の最後の質問といたしたいと思います。
  49. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) 先生指摘いただきました出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、いわゆる出資法におきましては、一般大衆の保護と信用秩序の維持の観点から、例えば銀行法に基づく銀行のように、法律において規定のあるものを除いて預かり金を業として行うことを禁止しております。  この出資法におきまして預かり金と申しますのは、預金と同様の経済的性質を有するものとされており、通常不特定かつ多数の者が相手であること、金銭の受け入れであること、元本の返還が約されていること、主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とすることの四つの要件のすべてに該当するものと解されております。  したがいまして、例えば単に支払いのために金銭を預かる行為は元本の返還や預け主の便宜のために金銭の価額を保管するという要件に該当しないことになりますので、出資法に言う預かり金に該当しないと考えられるところでございます。  いずれにいたしましても、電子マネーと出資法の関係につきましては、その具体的スキームに即しまして預かり金に該当するか否かを検討することが必要でございますので、現時点におきましては具体的なお答えを申し上げる段階にないことを御理解いただきたいと思います。
  50. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 御指摘のように、電子商取引を含めた情報化は我が国経済社会にとっても大変重要な課題でございまして、関係省庁一丸となって協力して取り組む必要があると考えております。  そのような観点から、平成六年の八月でございますけれども、内閣に総理を本部長といたしました高度情報通信社会推進本部というのを設置いたしておりまして、昨年の二月には高度情報通信社会推進に向けた基本方針をここで打ち出しております。その中に、先ほど来御指摘のありました幾つかの問題点、セキュリティー対策、プライバシー対策を含めたこれからの情報化のあり方の方向性が打ち出されておりまして、この本部の場を通じまして、通産大臣が副本部長をいたしておりますけれども、関係省庁と密接な協力、連携を進めまして、御指摘の趣旨は十分踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  51. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わらせていただきます。
  52. 平田健二

    平田健二君 平成会の平田でございます。私は、繊維産業の置かれております現状についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど塚原大臣からも御説明がございましたが、そしてまた平成七年度の中小企業の動向に関する年次報告、いわゆる中小企業の白書にもございますように、我が国の経済は平成八年初めに再び緩やかながら回復状況にある、しかし、これは大企業であって、中小企業においては非常に厳しい、業種によっては非常に厳しい産業もある、こういうふうに分析がされておるわけでございます。  そこで、繊維産業ですけれども、御承知のように産業全体の九〇%が中小・零細企業である、こういうふうになっております。繊維産業の置かれておる状況というのは、御承知のように構造的な要因もございます、さらには産業海外移転もございますが、今業界で一番大変な状況というのは輸入の増大でございます。  ちなみに、通産省からいただいた資料によりますと、繊維二次製品の輸入についてですが、九一年を一〇〇といたしますと、九二年度は一二四、九三年一三八、九四年が一六二、九五年が一八九。九一年から実に倍増しておるわけでございます。翻って国内生産を見てみますと、二次製品ですが、九一年を一〇〇としますと、九二年が九六、九三年九〇、九四年が八七、九五年が八六。だんだん国内の生産が減っておるわけでございます。  最近、特に二次製品がまた大変輸入増加が著しくなりました。これもまた大変な状況でございます。このような輸入の急増によって、我が国の繊維産業は大変大きな打撃を受けております。当委員会の委員でもございます久世先生委員会の視察で行かれた報告がここにございます。この先生の報告にもございますが、繊維製品はアジアからの輸入増加で大変な状況だと、こういう報告がされておるわけでございます。九五年度の繊維産業企業の倒産は、東信速報によりますと千百十七件、五年連続倒産がふえておる、こういう状況にあります。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、この輸入増加に伴う我が国の繊維産業の危機的な状況をどのように御認識をされておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  53. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 繊維につきましては、当委員会あるいは衆議院等でも個々の具体的な事例も挙げた御質問もいただきましたり、また産地からのいろいろなお話をお聞かせいただくチャンスが大変に多うございました。  雇用でも全製造業の約一割を占めておるというふうなこともございますし、また産地性が高いというふうなことで、極めて重要な産業であるという認識を持っております。輸入品の増大や消費が低迷をしているというふうなことに直面をいたしまして、依然として大変厳しい現状にあるという認識を持っております。
  54. 平田健二

    平田健二君 そこで、繊維のセーフガードについて、私は前の当委員会でも御質問をさせていただきました。昨年の十一月に繊維二品目のセーフガードの発動が見送られました。その理由についてお伺いをいたします。
  55. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 一応セーフガードの発動につきまして調査に入ったわけでございますが、その調査の時点で数字がかなり減少傾向に向かったというふうなこともございました。そういうことで発動の見送りをいたしたわけでございますが、詳しくは貿易局長の方から答弁をさせます。
  56. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、昨年の二月に調査開始の申請がございまして、私ども四月にこれは大変だということで調査開始の決定をいたしたわけでございます。  それから、可及的速やかに結論を得ようということで鋭意調査をいたしまして、十一月に結論を出させていただいたわけでございますけれども、実はこの時点で、綿糸四十番手につきましては直近の一年間の輸入がその前の一年間、前年同期に比べまして九二%ということでございました。それから、ポプリン・ブロードにつきましても、同じく直近一年間の輸入がその前の期首に比べまして六四%ということでございまして、輸入が落ちついている、あるいは減少しているということがあったものですから発動を見送ったというような経緯でございます。
  57. 平田健二

    平田健二君 通産省の資料によれば、あるいは一部マスコミの報道によりますと、ポプリン・ブロードについてですが、昨年の十一月以降急激に輸入が増加をしておるわけですね。  実は、九二年ぐらいから九四年にかけてポプリン・ブロード、四十番手も含めてですが、輸入が急増しておる。業界から輸入規制についてのいろんな働きかけがあった。そういったことを受けて、九四年後半から、どうもこれは日本政府がいろいろと考えているぞ、少し輸入を制限しようということで、多分輸出国が輸出制限をしたと思います、自主規制を。  九五年、昨年の四月に調査を開始したわけですけれども、昨年の五月には、これは通産省の資料ですが、対前年比三一・五%までポプリン・ブロードは落としているわけですね。そして、十一月に発動が見送られました。途端に一八四%。日本政府あるいは業界が騒ぎ始めた、あるいは調査を開始したら輸入がだんだん減ってきた。調査を開始するぞと言ったときにはもう三一%、前年対比。そして、終わってすぐ、日本政府が多分これはセーフガードを発動しないぞということがわかった瞬間に倍増させておる、こういう状況にあるわけですね。これでは、自主規制が守られたのかどうか、まず一つお伺いしたい。  それから、中国との話し合いはどうなったのか、その辺の経過についてもお尋ねをいたしたいと思います。
  58. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) 中国との関係でございますが、昨年の十月、この委員会で平田先生からも御質問を受けた後、十一月の十五日でございますが、当時の通産大臣と先方の呉儀部長、大臣ベースで、本件二品目のセーフガードの調査の私どもの暫定的な決定について説明し、先方から自主輸出管理についてさらに徹底し強化していくという政治ベースの御発言もいただいております。以来、十二月、一月、三月、それから四月、四月は私ども通商産業審議官、次官ベースで本件について中国側の認識と今後の方針について確認をしてきております。  確かにポプリン・ブロードにつきましては、先生指摘のように、昨年の十一月から私どももびっくりするほど急増いたしまして、この傾向が十二月、一月、二月ごろまで続きました。三月は若干落ちついておりますが、この大きな要因は、中国政府が、突然でございましたが、昨年の十一月に、本年一月から先方の付加価値税であります増値税の輸出向け還付率、従来一四%でございましたが、これを九%に減らす、こういう発表をいたしまして、このポプリン・ブロード、たまたま九四年に輸入がふえまして、以来安定化に努めておったわけですが、国内の需給関係で在庫調整の機運のあるときでもございまして、主として中国側の駆け込み輸出という状況が続きました。先ほど申しました私どもの事務的な協議の場でも、この辺については説明を求め、我々の懸念を強く伝えてきております。  中国は、昨年の一月から日本側セーフガード調査品目であります綿糸四十番手及びポプリン・ブロード織物につきまして、輸出枠を設けて対日貿易管理をする、日本に対しては迂回をできるだけ避けて直接貿易で窓口を一本化する。あわせて、私ども二次製品についてもセンシティブな品目について輸出許可の対象にするというようなことで輸出管理に努める、こういう方針をたびたび協議をやるたびに先方は私どもに意向を伝えてきておるところでございます。  今後、中国との間におきましては、一、二カ月に一度事務ベースでお互いに実態のデータを交換し合いながら今後の輸出動向について精査をしていく、こういう方針でおるところでございます。
  59. 平田健二

    平田健二君 一、二カ月単位で協議をする、精査をするということですが、結果としてふえたらどうするんですか。一、二カ月やった、また減った、またふえた、また減った、どうするんですか、これもっとしっかりした方針を出してもらわないと。どういうふうに考えていますか。
  60. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) 御案内のとおり、中国はWTOにまだ加盟していない国でございまして、加盟しておりますと、先方の輸出管理につきまして詳細なデータ、管理方法について関係国が要求し、それに誠実にこたえる義務がございます。  しかしながら、いまだ中国は加盟しておりませんので、私どもも、中国側との話し合いではほかのメンバー国と違った意味で大変限界がございます。しかし、先方もたびたび政治ベースで対日枠について厳しい枠管理をし、違反者については輸出貿易権の剥奪もするという新しい措置も決めて昨年から輸出管理に努めている、こういうことでございます。  私どもは、基本的にはWTO協定の新繊維協定に基づきまして、直近一年間の輸入動向、輸出動向について毎月重ね重ねウォッチしておる、こういうことでございまして、一年間の動向が相当ふえるようなことになりますれば、それは中国との間で、私どもの方で場合によっては輸入管理をすることもあるべし、こういう方針で話をしております。
  61. 平田健二

    平田健二君 このデータを見ますと、日本調査を開始するという情報が流れれば輸入が減る、こういうことが読み取れるわけですね。したがって、昨年の十一月の発動見送りのときの文書を見てみますと、「注意深く見守る。」あるいは「再調査もあり得る。」、こういう表現になっておりますが、今回のポプリン・ブロードに関しての輸入急増について調査を開始しますか。
  62. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 御質問の二品目につきましては、私ども、最近の輸入動向を大変憂慮し注意深く見守っているところでございますけれども、輸入の増加及びこれによる重大な損害等の事実について十分な証拠が認められる場合には、規定やガイドラインに基づいて再度調査をやっていかなければいかぬというふうに考えております。
  63. 平田健二

    平田健二君 業界からの要請がなくてもやりますか。
  64. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 再調査の開始に当たりましては、業界の発動要請が原則としては必要だというふうに考えておりますけれども、今はそのことよりも輸入の動向がどうなるかというところを慎重に見きわめているという状況でございます。  なお、再調査を行います場合には、調査を極力速やかに終了するようにしたいと思っておりまして、前回の調査において業界から出されました資料等につきましては、これを極力活用しながら結論を早めていきたいというふうに考えております。
  65. 平田健二

    平田健二君 ぜひひとつ再調査を開始するように要望しておきたいと思います。  次に、二次製品の輸入増についてお尋ねをいたします。  二次製品も非常に高い水準で輸入が続いております。これらの輸出国と何らかの協議あるいは何らかの働きかけをしておりますか。
  66. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) 二次製品につきましても、昨年の七月以来、中国政府との間におきまして、私どもの二次製品としまして非常に輸入の急増が見られるものとして大変心配して懸念をしておる品目を通報いたしまして、具体的に申し上げますと、タオル、ニットセーター、ニットアンダーシャツ、綿製の毛布、この四品目につきましては大変センシティブな品目であるということで、先方に輸出の安定化に努めてほしいということを話し合いの過程で要請しております。先方は輸出の許可の対象にするということで対応していただいております。  最近は、輸入の増加率についてはやや落ちついてきたといいますか、そういう品目も見られますが、全体的には二次製品はまだ一割増のペースで輸入が続いておるものでございますから、大変私ども心配しておるところでございます。
  67. 平田健二

    平田健二君 これは通産省からつくっていただいた資料なんですが、これを見ますと、ちょっと見方を教えてほしいんですが、対前年同月比という意味でしょうか。例えば九六年二月には中国からの二次製品の輸入が、トンですが、対前年同月比で一三二・九%増。
  68. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) そういう意味です。
  69. 平田健二

    平田健二君 といいますと、九四年一月から九六年二月までの資料をいただいておるんですが、全部一〇〇%以上なんですね。対前年同月比全部一〇〇%以上。物すごい量ですね、これ。  ですから、ぜひ一つお願いをしておきたいんですが、この二次製品についてもTSGの発動要請が業界からあれば調査を開始する用意はございますか。
  70. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) 先生の御指摘いただきましたこの資料は、二次製品といいましても大変品物の数が多数ございまして、普通はシャツでございますと一着とかそういうふうに勘定するんでございますが、これを一定の換算率で数量ベースに換算したものでございます。  確かに御指摘のように、ことしの二月は、昨年のレベルの関係もあってふえたんでございます。三月は、先生の資料のベースでいきますと七五%ということで前年より減っているわけでございますが、ただ基本的にはWTOのルールということを意識して輸入動向を見ておりますので、月々の変動だけではなくて最低一年及び中期トレンドの三年というレベルで私ども輸入動向を注意深く見ておるところでございます。  二次製品につきましては、先ほど申し上げました四品目の中で、業界の中で新しい構造改革をするためにも輸入の増加が余りにも大きいものについては、少しセーフガードも申請しようじゃないかという検討があることは私ども承知しております。
  71. 平田健二

    平田健二君 繊維製品については、先ほど申し上げました綿糸あるいはポプリン・ブロードを含めて全体繊維製品というふうにとらえていただいて、やはり輸入が急増しておるという問題については業界としては大変な危機感を持っておりますし、通産省も輸入動向については十分注意をしていただいて、ぜひひとつ二次製品についてもTSGの発動、調査を開始するということを業界から要請あれば進んでやるというふうにお願いをしておきたいと思います。  次に、TSGのセーフガードを発動するためのガイドラインというのがつくられております。このガイドラインについてちょっとお尋ねをいたします。  発動の要請が認められているのは本邦の生産者及び団体と限定されております。しかし、先ほど申し上げましたように、今繊維というのは、川下の第二次製品が大量に入ってくる、そうすると結果として川上の紡績もあるいは化合繊も、それぞれメーカーもあるいは染色の業界も織物の業界も、みんな影響を受けるわけですね。ですから、生産者及びその団体じゃないと発動できないということじゃなくて、こういった川上、川下、繊維に関係するところであればだれでも発動できる、あるいはまた、そこに働く労働組合も発動できるというふうにガイドラインを改正すべきだというふうに私は思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  72. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 先生指摘のように、繊維製品につきましては川上、川中、川下、大変密接な関連があるということについてはよくわかっておりますけれども、繊維セーフガード措置の発動のためには、特定の繊維製品等の輸入の増加がそれと同じ品目及び用途が直接競合する品目を本邦において生産する者に重大な損害を及ぼすということが要件になっているものですから、この要請を行うに当たっては、そのような関係にある本邦の生産者及びその団体の意向をまず踏まえてやっていくということに今している次第でございます。  また、そういたしませんと、調査開始の要否を決めるときにいろんなデータをとらなきゃいかぬわけですけれども、そういうデータもそういう生産者あるいは生産者団体から出してもらうという必要があるものですから、今のところそういうふうに要請の資格を限定させていただいておるわけでございますけれども、こういう限定の中で何とか実態に応じた対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 平田健二

    平田健二君 重ねて言いますが、繊維というのは単に縫製をされたワイシャツが大量に入ってきたからということだけじゃなくて、例えばワイシャツをつくるのにも糸をつくって織って、あるいは染色整理をして、いろんな業種がつながって初めて一つの商品としてでき上がるわけですね。商品単体が外国から入ってきて、それが影響を受けるからその団体だけだなんということを言っておると、繊維業界全体として大変な危機的状況に陥る。  ですから、私はやはりセーフガードを発動するのは、繊維業界すべてが、この業種について、この品目について、ほかの業種からもセーフガードの発動ができるというふうにガイドラインをぜひ改正をしていただきたいと要請をしておきたいと思います。  最後に、この六月の三日、四日にかけて京都でアジア太平洋繊維産業フォーラムが行われると聞いております。開催の趣旨には大変結構なことで賛成を申し上げます。しかし、参加者について、政府関係者と業界関係者のみ、こういうふうに聞いております。どうしてそこに働く者の代表の呼びかけがないのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  74. 中野正孝

    政府委員(中野正孝君) 六月の三日、四日でございますが、京都でアジア太平洋繊維産業フォーラム、これはもともと考えましたいわれは、APECの中で、少しすそ野の広い産業について、もうボーダーレスになりまして貿易、投資、大変活発になっておるということで、まずこういう分野では政策をやっている者、それから事業をやっている方の代表の方が中期的な需給ということをめぐって少し率直な意見交換をしてみようか、こういうのが発端でございます。  と申しますのは、このアジアの地域は世界の六割ぐらいの供給をやっておるわけでございますが、需要は四割でございます。したがいまして、数百万トンレベルの常に供給過剰圧力を抱えている、こういう特色のある地域でございまして、今や中国を含めすべてのアジアの国は供給過剰圧力ですべての人がルーザーになるという大きな危険に直面している、こういうふうに私ども思っておりますし、多くの国の政策当局者もそういう考え方でございます。  したがいまして、労働者の方を含めた集まりについて、私どもこれを好まないとかそういう考えはないんでございますけれども、ともかくこの複雑な国柄の国々が、特に何といっても我が国への輸入の半分以上が中国でございまして、まずこうした国々の官の方、業をやっている方に集まっていただいてこういう集まりのキックオフをやろう、こういうことが今回の主としたねらいでございます。したがいまして、働く方々の皆さんがアジア地域で集まりを持っておるということも私ども十分承知しておりますが、この中国を含めて一堂に会して行うという場合には、APECまがいといいますか、APECの考え方を延長してこの集まりをともかくスタートさせたいということで、構成を官民に絞って開催させていただくということにさせていただいているところでございます。
  75. 平田健二

    平田健二君 時間も参りましたので、もう二、三お聞きしたがったんですけれども、これで終わりにいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  76. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  今、資料が配付されておりますけれども、私は、四月二十五日の予算委員会の総括質疑におきまして、インターネットの既存産業に与える影響について、包括的評価について質疑をした際に、経済企画庁並び通産省から新たな技術を盛り込んだ形で見直しを行っていく旨の答弁があったわけですけれども、その後の見直しの状況を両省庁にまず聞きたいということでございます。
  77. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。  御指摘のように、先般の予算委員会の総括で加藤先生から、特に技術の急速な変化に伴いましていろんな産業界に影響が出る問題について御指摘がございました。私ども、この問題については常時フォローアップしてまいりたい、こういう御答弁を申し上げた次第でございます。  現在どういう状況かと申し上げますと、もう先生御承知のとおり、エレクトロニックコマースにつきまして、まず一般消費者とエレクトロニクス産業との関係のコマースでございますが、これについては十二月にまず実験に着手いたしました。さらに、四月十日でございますけれども、約二十の産業分野について、二十六プロジェクトについて一斉に企業間の高度電子商取引推進事業を開始したわけでございます。この両方が実は動き始めておるわけでございまして、特にその後者、四月十日に具体的に決めました二十六プロジェクトというのは、全産業の四〇%ぐらいにウエートを持つものでございますものですから、相当の影響が出てくるだろうと考えております。  こういったような大がかりな実験が動いてまいりまして、それが産業活動の具体的な活動に影響してまいりますのを我々見きわめまして、しかるべきそれの浸透度合いを見たところで全体のフォローアップをさらに進めていきたい、かように考えておるわけでございます。  具体的には、私ども産業構造審議会情報産業部会に基本問題小委員会というのを設けておりまして、これは常設してございます。大きな動きがあるたびに世界のいろんな国際会議の結果も全部報告申し上げておりますけれども、そこを一つの場所にいたしましてしっかりとフォローアップをしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  78. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) 昨年十二月に構造改革のための経済社会計画を決定いたしました。その過程では、経済審議会の中に高度情報通信社会小委員会を設けまして御議論をいただいたわけでございます。その御議論の結果を経済計画の中に盛り込んでいるわけでございますが、御審議の過程、さらにその後の動きを通じまして、高度情報通信社会の到来について、御議論の過程でお考えいただいていたよりもさらに具体化しているのではないかというような印象を私どもも持っておりまして、そういった点につきまして今回、経済審議会では経済計画のフォローアップのために構造改革推進部会というものを設けまして、これから御検討いただくということにしております。  その過程の中で、ただいま申し上げましたような高度情報通信社会の到来という問題意識を十分に生かして御議論いただいてフォローアップを進めたいというふうに考えております。
  79. 加藤修一

    加藤修一君 総括質問でやって二週間ぐらいしか経過していないわけですけれども、しかし、事態が相当早く進んでいるということを考えていきますと、相当のスピードでこういった面についての対応も考えていかなければいけないなというふうに考えるわけでございます。  例えばネットスケープのバージョン三・〇ベータ、これの無償配付が開始されたというふうに聞いておりますし、このソフトそれ自体がクールトークという電話機能までついていると。ネットスケープの利用者は世界で数千万人おるわけでございますから、このソフトの影響が国際電話事業に対して及ぶことはもう明らかでありますし、先日も指摘したとおり、これは非常に一刻を争う対応が必要である。  そういった意味では、政府は既存の産業への影響の評価及びその対策をどのようなスケジュールでやっていくか、今お二人の御答弁があったわけでございますけれども、どのような日程でアウトプットを出すのか、その辺についてももう少し具体的に教えていただきたいと思います。
  80. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 今御指摘がございましたように日進月歩でございまして、かつまたいろんな新しいアイデアがインターネットにあらわれ、それが実る場合もあるし、また消えていくのもございます。そういう意味では非常に日に日に新しい動きが起こっておるわけでございます。  我々といたしましては、こういった刻々動く情報、これは大臣からの御指示をいただきまして、我々あらゆる情報を集めるようにいたしておりますけれども、それと同時に、具体的にそれが産業にどういう影響を及ぼすかというのはそれなりにやはり浸透度がございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、電子商取引実証推進協議会というのを、これはエレクトロニックコマースに参加する業界全員で構成した約二百社を超える企業が集まっておりますけれども、現実にそこにこの協議会を既に創設いたしまして、そこにワーキンググループを六つか七つぐらいつくっております。既にそのワーキンググループを先日来何回か開いておりまして、新しい動きを刻々とそこで報告し合っております。さらに、今申し上げました幾つかの実験の結果も全部これに報告されまして、それに基づく影響をそこで議論するというのが現実の第一線ベースで行われることになっております。そういうことがまず一つ。  それからもう一つは、先般私ども機械産業懇談会から答申をいただきまして、刻々と変わる電子技術と、それから機械技術とがどういうふうに融合する形になって、新しい情報システム体化型製品というのがこれから新たに出てくる産業であろう、そういった分野に対してこれから思い切った技術開発投資をしなきゃいかぬ、こういう答申をいただいたわけでございますけれども、そういったものの新たな施策展開というのもこれから新政策の段階で非常に重要になってくると思います。  こういったようなものも総合的に勘案いたしまして、私どもは日々これ常時フォローアップをしていかなきゃいかぬと。めどといたしましては、全体のエレクトロニックコマースというのを二年ぐらいの間隔でやっていこうと思っておりますので、当然のことながら、その間には相当の影響が出てくると思っておりますから、しかるべき時期にこれらも取り込んで作業をしていきたい、かように考えております。
  81. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) 先ほど申し上げました経済計画のフォローアップにつきましては、経済審議会では十一月を目途に経済社会全体、経済計画で取り上げております構造改革の問題を御議論いただいて取りまとめをいただこうというふうに思っております。
  82. 加藤修一

    加藤修一君 経済企画庁の今の答弁は納得できないわけですけれども、次に行きます。  電子マネーについてですけれども、いろんなタイプがあると思います。第一が銀行が中心になって進めようとしていますICカードベースのもの、第二がクレジットカード会社が進めているようなICカード、さらにインターネットベースのもの、第三が主にソフト会社が進めていますインターネットベースのeキャッシュだと思うわけでございますけれども、この前二者については既存産業に対する業態の変化という見方も当然可能性としてはあると思います。ただ、三番目のeキャッシュについては既存の銀行そのものをバイパスしまして物事が進んでいく可能性が十分ある。そういった意味では、銀行業界がこれを何とか取り入れないような方向で、どうも回避するような選択肢を考える可能性が十分僕はあるように思うんですね。  こういった観点から考えますと、既存の今やっているプロジェクトに対するある意味では悪い影響といいますか、そういった点、それからそれによって世界的な動きと乖離していくような可能性はないのか。いわゆるICベースに固まってしまって、ほかのeキャッシュそれ自体に世界の動きというのが当然あるわけですから、それとの乖離がちょっと心配になる可能性が私はしているわけですけれども、その辺についての御見解をお願いしたいと思います。
  83. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) いわゆる電子マネーについてのそれぞれの種類ごとの先生の御指摘でございまして、おっしゃるように三つ目のeキャッシュ、これはインターネット上で現在デジキャッシュ社で行われているデジタルキャッシュのプロジェクトでございます。これも一種の実験と承知いたしておりますけれども、これはインターネット上で新たな電子マネーができ上がって、それによって物が決済されていくということでございますから、現実にこれが現実の現金に代替するようなことになっていくと、これは相当大きな影響が出てくる、私は金融問題については必ずしも専門家ではございませんけれども、そのように思うわけでございます。  ただ、現在行われておりますこのeキャッシュというのは、デジキャッシュ社が一種の実験で百サイバードルまでの架空の通貨を出しまして、それに応じてインターネット上でそのお金を発行し、そのお金を使って情報を提供するというインターネットだけでの一つの実験でございまして、現実にこれが実取引に結びつくということになりますと、当然のことながら現金とこのeキャッシュが代替しなきゃいかぬという問題も起こってまいるでしょうし、そうなると、たまたまデジキャッシュ社というのが現在そういう実験をしておりますけれども、これが出すeキャッシュというのが本当に信用性があるのかどうかとか、そういった健全性の問題とか、大変私は根本的な問題が奥に潜んでおるような気がするわけでございます。  そんなこともございまして、現在実験がそれぞれ行われております、あるいは現に商取引が行われ始めておりますものには、先生今御指摘のこのeキャッシュ方式というのはまだございませんで、ICカード方式とか、あるいはその他のクレジットカード方式というのが今動いておるわけでございます。  そういう意味で、おっしゃるように第三のタイプというのは影響度の大きい問題があると思いますけれども、同時に、解決しなきゃいけない相当根本的な問題があるのではないかなと、そのように私ども考えておりまして、金融政策全般の問題とも絡まるところ大なるものと考えております。
  84. 加藤修一

    加藤修一君 ただいまの答弁の中でのeキャッシュについての認識というのは理解いたしました。  それについて、今回のプロジェクトの中でも十分それについても考えていくというふうに理解してよろしいでしょうか。
  85. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 今回我々が募集いたしました、公募をいたしましたエレクトロニックコマースの実証プロジェクトでございますが、これはほぼエレクトロニックコマースに関心を持つ日本じゅうのあらゆる分野からの応募があったわけでございますが、残念ながら、その中にeキャッシュのようなインターネットで新たな電子マネーを創設するような、そういった具体的なプロジェクトというのは申請がございませんでした。やっぱり圧倒的ニーズはクレジット関係とかあるいはICカード関連でございまして、我々ニーズに応じて公募を受け付けたわけでございまして、したがって我々の今回やります四十五のプロジェクトの中には、eキャッシュというものは入っておりませんというのが現状でございます。
  86. 加藤修一

    加藤修一君 そこは極めて重要な部分だと思いますので、私は十分な対応をとるべきだと思います。考えていただきたいと思います。  それから、四月二十五日の予算委員会の総括質疑におきまして、私が暗号技術に関する専門のセクションの設置について質疑したわけでございますけれども、それについての答弁がなかったように思います。同じく通産省に質問ですけれども、専用の、専門のセクション、これについては必要ないという意味としてとらえていいのか、その辺はどのように御見解はなっていますか。
  87. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。  このエレクトロニックコマース関係の仕事は、私どもの電子政策課というところが中心になりまして仕事を進めておるわけでございますが、特にその暗号関係につきましてはソフトに影響するところが大でございますので、同じく機械情報産業局内の情報処理振興課というところが担当いたしております。したがって、暗号問題を担当するセクションはどこかという御質問であるとすれば、通産省の機械情報産業局情報処理振興課、こういうことになろうかと思います。  それで現在、そこで先生指摘のありましたように、暗号技術の研さんを積んでいこうということで、御案内のように昨年でございますけれども、情報処理振興事業協会、IPAと呼んでおりますけれども、ここで暗号技術開発事業というのを具体的に募集いたしまして、相当数の学会からも幾つかのプロジェクトが出てきたのでございますが、その中で日本として初めてでございますけれども、国が助成する形で五つの暗号技術開発に今取り組んでおります。  さらにそれに加えて、先ほど来申し上げておりますエレクトロニックコマースの約三百億相当のプロジェクトが一斉に動き出しておりますが、その中の相当のプロジェクトにいろんな形での暗号技術開発の実証実験が入っております。そういったようなものを全部集大成するといいますか、蓄積をする形でこのIPAというのが具体的な一つの暗号技術をこれから日本で研さんを積んでいく、あるいは技術、知見の集積する場所というふうに我々は考えております。そこに専門家を育てていきたい。かつまたこのIPAというのは国際標準化機関、ISO等で行います暗号アルゴリズムの登録機関にもなっておりますので、ここを一つの窓口にして中核機関にしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  88. 加藤修一

    加藤修一君 ただいまの答弁の中、それから前の総括の通産の答弁では、プロジェクトを通じて専門家の育成に努めたい、そういう話がございました。  それから、プロジェクトの期間は先ほどの答弁でも二年ということであったわけですけれども、その間に世界に通用する専門家を養成することが可能と思われるのかどうなのか、二年後はどうなのか。やはり世界の動きを常時ウォッチするセクションが必要だと思いますけれども、今の御答弁にありましたように、できるような話のように感じておりますけれども、世界の動きを常時ウォッチするということもその中に入っている、そのように理解してよろしいでしょうか。
  89. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 御指摘のとおりでございまして、IPAは先ほど申し上げましたそういう世界の標準化のための登録機関の役割も担っておりますから、当然世界全体をにらんでおるわけでございます。
  90. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、防衛庁にお願いしたいんですけれども、先日の防衛庁の答弁によりますと、暗号技術が国家安全保障にも関係していることを承知している、そういう話であったわけですけれども、OECDの会議は国際経済に関する会議と理解している、そういったところから参加しなかったんだ、そういうふうに言っておりますけれども、私の認識としてはそうではない。やはりアメリカと同様に、安全保障関係者としてOECDの暗号政策専門家会合にもぜひ参加すべきである、そのように思っています。  それから、郵政省に対して申し上げるんですけれども、国際的な動向、こういった面についての認識についてもお尋ねしたいと思うわけです。  防衛庁と郵政省にお願いします。
  91. 渡部厚

    説明員(渡部厚君) お答え申し上げます。  御質問のOECD専門家会合への防衛庁の参加ということでございますけれども、同会合が今後とも開催されていく予定と承知しておりまして、現在関係省庁とも御相談しつつ検討しているところでございます。
  92. 藤本栄助

    説明員(藤本栄助君) OECDの関係でございますが、ネットワークが進展してまいりまして電子的な取引も国境を越えるということに相なります。そういたしますと、電子取引の基礎となる暗号にかかわる制度も国際的な連携のもとに検討を進めていかなければなりませんで、OECDにおける検討の場に積極的に参加、貢献していきたいと思っております。  特に、その中でもネットワーク上において通信相手でありますとか、あるいは通信の内容が正しいことを証明するための機関、認証機関と言っておりますけれども、そういったものにつきましては、世界じゅうのどこにいてもどの認証機関を使っても一定の水準が確保されるということが必要でございますので、その設立とか運用に関する国際的な基準づくりが必要であると思われます。  その中で、会議の中でございますけれども、特定の国の技術でありますとかあるいは制度が有利に取り扱われることのない、そういった事態の生じないように、また通信のセキュリティーや秘密の確保にかかわる問題も数多くございますので、我が国制度との整合性が保たれることに特に留意をして進めてまいりたいと思っております。
  93. 加藤修一

    加藤修一君 先ほど林委員が質問したわけですけれども、国内法についても、その答弁の中では過剰に規制してはいけないという話もございましたし、私もそう思います。国内法のみの対応だけじゃなくて、やはり国際法の問題についてもアプローチしなければいけないなと。いわゆる国際法を整備していく、例えば課税決済方式、セキュリティーとの問題、そういったものに関する条約ということが考えられるわけですけれども、この点に関しまして外務省はどのような検討を行っておるでしょうか。
  94. 齋木昭隆

    説明員(齋木昭隆君) お答えいたします。  先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、OECDの場でこの暗号政策につきましては、これまで専門家レベルでの会合というものが何度か開かれておりますけれども、そういった会合の場を通じまして各国の暗号政策をこれからどうしていくかという話とか、それから官民間でどういう協力ができるかとか、あるいは国際的な協力、どういつだものが可能かというか、そのような観点からの議論がこれまで行われてきておるわけでございます。  したがって、これからもそういった専門家レベルの会合というのが随時開かれていくと思いますけれども、そういうOECDの場において、先進国の場でございますけれども、いわばこの分野での条約あるいは国際的なハーモニゼーションに向かって何らかの話し合いというものが今後とも進んでいくのかなというふうに考えております。
  95. 加藤修一

    加藤修一君 時間が迫っていますので、最後に大臣にお願いしたいんですけれども、アメリカはこの分野で極めて進んでいると思います。そういった意味では、どんどん既成事実をつくってしまう危険性がある。日本の銀行とか国際電話業者など既存の産業が気がついてみたらずたずたになっているという、そういった悪夢を避けるためには、やはり国内の産業転換のスピード、それを早めることが非常に必要である。その一方で、アメリカ動きを国際的な枠組みによってブレーキをかける、そういうことも私は手だてとして必要ではないかと思うんですけれども、大臣、よろしくお願いいたします。
  96. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) これは、日本がいかにしてイニシアチブをとっていくのかというようなお話になってぐると思います。答弁は、今後の実証実験及び電子商取引実証推進協議会における検討を踏まえ、必要に応じて国際間の制度的整合性を図るよう努めてまいる所存ということが答弁になるわけですが、イニシアチブをとるためにはやっぱり二つ具体的には背景があると思うんです。  一つは、やっぱり技術的にすぐれたものを持っているということだと思います。ですから、そういった面では我が国技術的にすぐれたものをこれからもさらに出せるような努力を、それぞれ国も含めて民間も努力をしていかなくちゃいけないというのがあると思うんですけれども、やはり先生の御指摘のように、はっきり言ってかなりおくれをとっているというのは事実だと思います。そういった中で、我が国は今までいろんな経験が、例えばビデオとかハイビジョンとか、いろんな歴史の中でいろんな国際間の規格、話し合い、あるいは通信にしてもそうですけれども、いろんな形でいろんな体験をいたしてまいりました。そういった中で、調整によるイニシアチブをとるということも十分これから我が国としてとれる可能性が非常にあると思います。  ましてや全体的な中で、経済面では国際ルールにのっとってやっていくわけですし、それを推進しているのが我が国で、リーダーシップをとってやっているわけでございますから、そういった面ではこれから私どもも数多くの国際交渉等の場に行く機会があると思うし、また向こうのそれなりのつかさつかさの人間とお目にかかる機会もあると思います。そういった状況の中で、調整の中から世界のより豊かな発展のためにしっかりとしたこの電子商取引のルールづくりというものを我が国がイニシアチブをとってやっていく、我が国がまたそういうイニシアチブをとることに対して世界それぞれが信頼をしていただけるというような形の対話をこれからいろいろな形で進めてまいりたいというふうに考えております。
  97. 加藤修一

    加藤修一君 もう終わりますけれども、調整の中にはブレーキをかけるということが入りますね。そこだけお願いします。
  98. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) やはり昔であればかなり難しいことがあったと思いますけれども、今これだけのある程度の技術力を持っている、ある程度の経済力を持っている、またしっかりした国内における政治の背景も持っている。それはいわゆる国会ということでございますけれども、すぐれた国会を背景にしているというようないろんなことを考えてみましたときに、十分にそういった形のものも可能だというふうに考えております。
  99. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。
  100. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 社会民主党の前川でございます。  最初に、日米経済協議の問題について、今後の課題を含めてお伺いをしたいと思います。  先ごろの日米首脳会談、御案内のように安保条約の再定義といいますか、さらには沖縄問題等々がある意味では焦点に当てられたということでありまして、以前から課題になっておりました経済協議の問題は事実上先送りになったんじゃないか、こういう認識をしているんですが、そういう認識でいいのかどうか。  また、これまで報じられたところによりますと、三分野一つは半導体あるいはフィルム、保険、こういった点が課題として挙げられていたと思うんですが、特に通産省の所管であります一つは半導体の問題について、たしかことしの七月末で一応話し合いの期限が切れるといいますか協定の期限が切れるというふうに承知をしているんです。  私は半導体というのは、後ほどお聞きをしたいと思いますが、例えばフィルム等と違いまして、今は先ほどからインターネットの問題あるいは電子商取引の問題、さまざまな議論がされておりますが、かつての鉄と同じように産業の米みたいなものですね。したがって、これは二国間の問題ではないんじゃないか。まさにボーダーレスの時代ですから、そういう意味では二国間で話し合うテーマからもうそろそろ外すべきだというふうに私は考えておりまして、そういう意味ではWTO等の場の中できちんと議論をするのが適切なテーマなんではないか、こう考えるわけですが、期限が限られているわけですが、この半導体問題について通産省の現在の考え方あるいは今後の対応について、まずお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  101. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 半導体につきましては、アメリカの大統領がお見えになりましたときに、いわゆる市場調査等も含めた形で何らかこの協定を延長できないかというような趣旨の、いわゆる言いっ放してございましたけれども、そのような形のお話があったやに伺っております。  ただ、私どもといたしましては、協定はその効力を十分に発揮した中で目的を遂げたということで、七月末をもってこれが終結すればいいというふうな基本的なスタンスを持っているわけでございます。  ただ、そういう状況の中で産業界、いわゆる業界同士が日米でお話し合いを現在いたしております。過日、四極通商会議の折もアメリカ側から四月末の両業界のお話し合いの結果を見た上で、また新たな対応を政府間でお話しできないかというような趣旨のお話がございました。また、日本側からはもう本協定を終了して何ら構わない、業界同士で話し合いをすればいいという提案に対して、アメリカの業界からはやっぱり最終段階のところで何らかの政府の関与が欲しいというようなことのお話があったというふうな報告も受けております。いずれにいたしましても、六月の初めにもう一度日米の両産業界の方でいろんな形のお話し合いをするということでございますから、これを見守ってまいりたいというふうに考えております。  また、二国間に加えまして、現在、EUあるいはカナダ等から、二国間ではなくていろんな形でお話し合いに参加をしたいというようなお申し出がございます。現実にもうWTOの時代、むろんWTOのルールの中でも二国間の話し合いというのはこれは認められているわけでございますから、二国間でやる場合はWTOのルールの中でやればいい話だと思います。  ただ、半導体に関しましては、どうしてもEU側が関税を持っておりますものですから、民間レベルでお話し合いをするというのは、関税のあるところとないところでお話し合いをするというのはなかなか難しいんじゃないかというようなことも考えておりますが、政府間におきましては、いわゆる担当官レベルでございますけれども、既に第一回目の日本、EU、アメリカにおける半導体の、これからどのような形になっていくかというような極めて事務的なお話し合いは、もう実施をいたしております。
  102. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 先ほど繊維のお話がございましたが、産業やあるいは製品ごとに多少その色合いが違うということは十分承知をしながらお聞きをするわけです。例えばフィルムの問題というのは、まさに日本アメリカの巨大企業間の障壁をめぐっての議論だというふうに理解をしているんですが、私は消費者の立場に立ってみますと、さまざまなそれぞれのフィルムの個性というのがあるんですね。私は写真のプロじゃありませんから、そう細かいことまでは承知をしておりませんが、一つの製品のレベルの問題を二国間の問題として議論を始めてそこでやるんだというくせをつけますと、これはさまざまな分野拡大をしていくという心配があるんです。  ですから、私が先ほど申し上げた半導体の問題と例えばフィルムの問題というのは、どこか基本的に違うんじゃないか。ここら辺は、日本的な考え方とアメリカ的な考え方といいますか、ここの違いが多少あるのかなという感じはするんですけれども、フィルムの問題についてはどういうスタンスでこれから臨んでいかれようとしているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。
  103. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 大臣に就任いたしまして、ともかく富士フイルムというのとコダックというのと具体的な名前が出てきて、国と国とで議論をしようというようなことが話題になっているというので大変にびっくりいたしました。日本の国で国会活動をしていた中で、個別企業に対して国が出てきてそういうことをするというのは全く想像もつかなかったわけでございます。いずれにいたしましても、現実の問題として、これはやはりクリントンさんがお見えになったときにも、言いっ放しではございましたけれども、そのような形でアメリカ側からお話がございました。  アメリカ側の言い方は、ともかく富士フイルムが日本市場の七割を占めているからけしからぬというところから物事が発しているわけでございますから、それならば当然これは独禁法上の問題でございますので、公取の方でしっかりと問題提起をされて、その場で解決をしていただきたいということを日本から申し上げて、これはそれ以上私ども新たな知恵も何もないわけでございますから、公取の場で解決をしていただきたいという形で現在申し上げておるということでございます。
  104. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 今、市場のシェアの問題でお話がございましたが、確かにこれから新しい産業が起こってまいりますと、ある時期圧倒的なシェアを誇るということはあり得るんですね。ですから、そういう意味では、このフィルムの問題についての扱いというのは慎重に取り組まないと、何かにつけて二国間の問題あるいは国際的な問題に発展をするという可能性を秘めています。もちろん、日本の国内における競争条件の問題、競争制限の問題、さまざまな視点からの点検は必要だと思いますけれども、私は国際的な視点から物を考える場合には、今大臣おっしゃいましたように、特に企業間の問題について政府がどこまでかかわれるかというのはやっぱり一応の限界を持ってやっていただきたい、このことだけ申し上げておきたいと思います。  そこで、アメリカの経済問題の提起の仕方は、よく大統領選挙だとか選挙の年になるといろんな問題が起きてくるというふうに言われておりまして、ことしはちょうど大統領選挙の年であります。御承知のように、今の段階ではクリントンさんの再選間違いないかなというふうに言われているわけですけれども、私は日米間の経済関係のこれまでの経緯を見ていますと、どうも日本の側からもあるいは逆にアメリカの側も何やら被害者意識みたいなものが先行して、この種の問題が惹起をされているという気が実はしてならないんですね。特に日本がそれなりの力をつけてきたということももちろん過去にはあったんでしょう。  しかし、これから先のことを考えますと、やはり政治とそれぞれの産業やあるいは業種との関係も含めまして、ある程度のクールな関係といいますか、さらにはアメリカ日本という関係だけではなくて、アメリカあるいは日本が世界の経済に果たす役割、視点、こういう点をきっちりと踏まえて、あるいはそういう物の言い方をアメリカに対してもするべきだし、あるいはアメリカにもそれを求めるべきだというふうに私は考えているんですが、総括的な話として、大臣のこれからのこの種の問題についての見解をお伺いしておきたいと思います。
  105. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 昨年の日米自動車交渉が、ある意味では二国間のそういった大変厳しい駆け引きの時代の終えんのような気がいたします。WTOも現在かなりのルールが整っておりまして、さらにその整備に向けて頑張っているというようなことを考えてみましたときに、これからはやはり国際ルールにのっとった形で、しっかりとしたオープンな場でいろんな面で問題点があった場合はそれぞれお話をしていくという、そういう時代に来ていると思います。  ですから、そういった面では逆に、例えば今ブラジルと自動車の問題で日本側から問題提起をしておる、あるいはインドネシアにも同じような問題提起をしている。冷静に考えてみますと、ブラジルとは本年百周年である。あるいはまた、大変ブラジル自体が我が国のことを大切にしてくれている。インドネシアは、非常に我が国のことを信頼してくれる中でASEANのリーダーとして一緒に努力をしてきた。そういったことを考えたときには、確かにそこで我々が問題提起をするというのはつらいものがあるわけでございますが、ただ、国際ルールにのっとってやっていくという中では、やはり御指摘をするべきものはしなくちゃいけない。それと同じように、アメリカに対しても全く同じく国際ルールの中でしっかりとした議論をしていくように私どもはお話をしていかなくちゃいけない、そういうふうに考えております。
  106. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 次に、景気の現状なり、特に基幹産業である、例えば自動車ですとかあるいは電機産業等々の下請問題と景気の問題についてちょっとお伺いをしたいんです。  経済企画庁の発表によって、景気が緩やかに回復をしているということですが、せんだって発表されました中小企業白書の中でも提起をされておりますように、中小企業はそれなりに何とか維持をしているけれども、まだまだ景気の回復という実感がない。しかも、例えばこれまで設備投資も先行してきた、しかしどうもそういう気配はまだ感じられない、利益の方もそう今までのような回復の仕方をしていないというような実情の報告があったわけです。  例えば、私の手元にある自動車部品メーカーのデータが届いておりまして、これを見ていまして実は私も愕然としたんですが、昨年でしょうか、為替レートが一時期八十円を切るというようなときがございました。もちろん、自動車メーカーは円高だからということだけではなくて、国際戦略の中での生き残り策ということでさまざまな手だてをとったんだろう、あるいは会社としての方針を出したんだろうと思いますけれども、手元にあります「自動車メーカー各社の部品の購買方針」というのを私は持っておりまして、これを見ておりましたら、各部品メーカーに対して、例えば九四年を起点にして九六年あるいは九七年では二〇%あるいは三〇%のコストダウンという要求が出ているんですね。  あるメーカーによっては年率一〇%。私も長年一経験がありますから承知をしていますが、部品メーカーというのは自動車関係、もちろんこれは一自動車だけではございませんけれども大変きつい、せいぜい一%、二%の利益が出れば上々だという実態があるんです。そこへもってきて年率一〇%からの単価の切り下げをやられたら、これは生き残れないわけですね。確かに円高は大変だった。いや、これは大変だというので部品メーカーもいろいろ努力をした。ここへ来て円が百五円前後で今ちょっと落ちつきを見せている、もちろん先行きはわかりませんけれども。じゃ、そういう円高が物すごく進んだときに決められた単価が、少し円安に振れたから戻したかというと戻していないんです。  これは、こういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、結局その分の利益が当然出るわけです。その利益の分はそっくりメーカーの懐に入ってしまう。国にしてみれば、どこから税金を取っても同じかもしれませんけれども、下請メーカーにしてみればもうたまらぬわけですね。この辺のところも、景気が緩やかな回復基調にあると言いながら、中小あるいは下請企業においてはまだまだ厳しい、利益が出ないという原因の一端が私はうかがえるんじゃないかというふうに思うんです。  もちろん、これは個別の商取引、経済取引の問題ですから、国やあるいは行政の側がかかわれる問題ではないという御指摘もあるかもしれません。しかし、通産省中小企業対策を含めてさまざまな施策についてやっていただいています。それなりに私は評価をしているんですけれども、中小企業あるいはこういう必死に努力しているメーカーの経営者や社長さんと会うと、こういう実態を何とかしてくれる方が先なんだという切実な声が聞かれるわけですね。  もちろん、小さいところに対しては、例えば下請代金支払遅延防止法だとか、あるいは下請振興基準等々によってある部分守られている部分もあるんです。ところが、その実効性ということになりますと、例えば単価の問題についても、いわゆる発注側のユーザーと部品を納入するメーカーとの間で協議をして適正に決めなさいと言っている。適正になんか決められつこないんですよ、力関係からいって。  したがって、私が先ほど申し上げた、例えば支払遅延防止法だとかあるいは下請振興基準だとかそういう問題についても、実効性という点から新しい時代に見合った形で手直しをしていくということも私は必要なんじゃないかというふうに考えるんです。これは中小という立場であると同時に、通産省の場合には大手のメーカーも含めた所管の官庁ですから、大手に対する指導という点を含めて、こういう実態についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  107. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 委員指摘のような下請企業を取り巻く環境が非常に厳しい状況になっておるということはそのとおりでございまして、先般、国会に御提出をいたしました平成八年版の中小企業白書におきましても、親企業並びに下請の中小企業双方からの意見、アンケート調査におきましても、これからは徹底したコストダウンが必要になってくる、あるいはさらなる品質、精度の向上というものが求められるというような答えが出てきております。また、この先どうなるだろうかというようなことについての見方といたしましても、やはり受注単価が切り下げられる方向にいくだろうという予測をしておる企業が多いわけでございます。  これにつきましては、委員指摘のように下請代金支払遅延等防止法という法律に抵触するようなケースにつきましては、その厳正な運用ということを通じまして、違反のないような改善指導なども行ってまいりたいと思いますし、また下請振興基準を通じてさまざまな指導等も行ってまいる所存でございます。  ただ、同じく白書が指摘しておりますように、最近の下請と親企業との関係というのに変化が見えてきております。つまり、これまでの発注というものが従来の安定した取引関係というものによってなされるということから、むしろ技術力とかあるいは技術開発のための提案力というものに重きを置いた発注というものがなされていくということになろうかと思います。  したがいまして、私どもは下請対策のための基本といたしましても、こういった下請中小企業が独自の技術を持つ、あるいは技術高度化し、より付加価値の高い製品をつくる技術力を身につけるというようなところに大きな力を入れて下請対策に万全を期したいと思っておるところでございます。
  108. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、これまでの議論の経過は、御承知のように大手企業の場合には量的なあれから考えてもリストラというのは比較的やりやすいんです。ところが、中小企業、ましてや零細企業の場合にはリストラというのはほとんどしにくいんです、人の面でですよ。また、逆にこの白書の中でもありますように、中小企業においては雇用のミスマッチが生じている、むしろ欲しい人が来ないという実態すらあるわけですね。  そういう意味で、私は今のような雇用関係の中で、雇用の受け皿としてはまだまだ中小企業に役割があると思っているんです。ところが、現実に先ほど申し上げたような実態を突きつけられますと、新しく業を起こそうという人はいないわけです。今申し上げたような産業のレベルの話ですよ、全く新しい産業は別ですけれども。そうなりますと、私は、いわゆる既存のメーカーにつながる、あるいはすそ野に広がっている中小企業あるいは零細企業育成ということもきちっと据えておかないと、これは大変なことになるなと。そのためには何が必要かというと、私はやはり公正に商取引ができるような環境をどうやって整備をしていくかということだろうと思います。  先ほど長官がおっしゃったように、確かにこれまでのような子会社だからといって優遇をするとか、あるいは目をつぶって取引をするという慣行はだんだん薄れています。であるがゆえに、より公平なあるいは公正な競争ができるような条件づくりのためには何が必要なのかという視点から、先ほど申し上げたような、例えば支払遅延防止法とかあるいは下請振興とか、そういうものも新しい視点から見直しをしていかないと、私はまさに中小企業はなすすべもないというような気がするんです。ぜひこの辺を踏まえてこれからの施策についてやっていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  もし、大臣の方で所感がありましたら、一言だけで結構ですから、お聞かせをいただければというふうに思います。
  109. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) いわゆる大きな企業と、そこから仕事が来る下請と、この前も御答弁の中で申し上げましたが、かなりの信頼関係に基づいて今日までやってまいったところもたくさんございます。そういった中で、果たしてどこまで現在のそれぞれの小さな企業を守る、並びに仕事を出す企業に対していろんな形で指摘をするルールをどのような形で整備していけばいいか、今よりも強化していけばいいかというのは大変難しい点もあるかとも思いますけれども、十分に中小企業庁の方で検討してまいりたいというふうに考えております。
  110. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこで、新しい別な問題でちょっとお聞きをしたいんですが、先ほど自民党の林委員の方からも、研究開発の問題について官学という視点からお話がありましたが、私は、昨年の十一月に科学技術基本法が議員立法で成立をいたしましたけれども、これに基づくその後の政府としての取り組み状況について、簡単で結構ですから まずお聞かせをいただければというふうに思います。
  111. 平石次郎

    政府委員(平石次郎君) 昨年十一月に制定されました科学技術基本法に基づきまして、現在、科学技術会議の中で基本計画についての取りまとめを行っているところでございまして、六月中にでもその案ができ上がるのではないかというように考えております。
  112. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 科学技術関係の所管の官庁といいますと物すごく広いんですね。お聞きをしていて実はびっくりしたんですが、例えば新しい技術とか新製品とかという視点で物を考えますとさまざまな所管の官庁があるんでしょうけれども、これからのことを考えますと、やはり通産省中心にしてこれらの問題についてしっかりかかわっていただきたいというふうに考えるんです。  そこで、これは民間の企業の場合でもそうなんですが、企業源泉というのは人、金、物だとよく言われるんですね。今の日本の実態を見ていますと、私もそう細かく実情を見聞きしたわけではありませんが、まず物。物というのは要するに設備です。これは科学技術基本計画の議論の中にもあるようですけれども、恐らく国立大学とかいわゆる国立研究所の施設というのはお粗末と言っていいんじゃないでしょうか。民間企業と比較をしてもそうですし、あるいは欧米の先進国と比較をしてもそうなんじゃないかというふうに思うんです。それから、人。研究職の人員なんというのはまさに先進国とは比較にならないくらいの人員しか配置をされていませんね。アメリカの大手の企業の一社の研究者といったような人数だなんという話も実はちらちらと聞くわけです。それから、金です。金というのはさまざまな扱い方があるわけです。もちろん施設に対する投資もあるでしょうし、あるいは人に対する処遇の問題もあるでしょう。そういう部分をあわせてしっかりとやらなければ、幾ら科学技術基本法をつくったって、あるいは基本計画をつくりましたといったって、実効性のあるものにはならないんですよね。  ぜひこの辺のところについてはこれから先、平成八年度の予算、今議論をしているわけですけれども、平成九年あるいは平成十年、これは五年、十年先、場合によっては五十年先を考えた体制をきちっとつくっていくということが私は必要なんじゃないかなというふうに実は考えているわけです。この辺の問題についてもしお考えがありましたらお聞かせをいただきたい。  と同時に、民間の設備投資、特に研究開発投資がここへ来てぐっと減ってきたというんですね、不景気の影響で。これは非常に私は心配を実はいたしています。先ほどもお話がありましたけれども、もちろんそれは民間活力という点からは民間に何とか頑張ってもらいたいということもあるんですけれども、足りない部分はというよりも、国は国としての基礎的な技術についてはしっかりとやはり蓄積をしていってそれを民間の中で生かしていく、そういう相互のやりとり。それから、先ほど人のお話がありましたが、人の面においても相互の行き来といいますか交流といいますか、そういう部分がやっぱりかみ合っていかないと成果というのは私は上がっていかないんじゃないかというふうに考えます。  そういう点では、これから先の日本産業やあるいは経済というものを支える技術という点、これをしっかりと踏まえていくということが私は必要なんじゃないか、こう考えておりますので、総合的なあれで結構ですから、それぞれ工業技術院の院長やあるいは通産大臣の方から所見がありましたらお聞かせをいただければというふうに思います。
  113. 平石次郎

    政府委員(平石次郎君) まず、科学技術基本法に基づきます基本計画でございますけれども、先生おっしゃられますように研究開発の役割、さまざまなものがあるかと思いますが、私どもの所管で申しますとやはり新しい産業の創出、より豊かな国民生活実現などの基盤を提供するという立場でそのような考え方を反映させていきたいというように考えておるところでございます。  また、その基本計画の中におきましては、政府研究開発資金の早期倍増を目指すとともに、研究が円滑にいきますように柔軟な研究環境、また競争的な研究環境というものを整備することを目指しまして、法案にあります科学技術創造立国を実現するように努めていきたいというように考えております。  また、民間の技術開発投資でございますが、これは先生もうよく御存じのことと思いますが、平成六年度の研究開発費は八兆九千八百三億円で、三年連続減少しておるという状況でございます。その一方で、政府の研究開発費の負担割合というものが欧米諸国に比べますと約半分というような状況でございますので、先ほど申しましたように、政府の研究開発投資の早期倍増が必要というように考えておるところでございます。  また、その研究環境、研究設備のことを先生からも御指摘がございましたが、私どもも同様の認識をしておるところでございますし、また研究する人の問題につきましてはさまざまなことがございますが、例えば現在政府でポスドク一万人計画というような形で若手の研究者育成、また大学研究所等での若手の活用というものに役立てたいというように考えているところでございます。  また、産学官の交流、これも非常に大切という御指摘があったかと思いますが、その点につきましては私どもも同様に重要と考えておりまして、さまざまな形で大学や国の研究所でのシーズの開発、またそれを産業界展開していくための新たな制度新規産業創造技術開発支援制度というようなものも今度の中で新しく考えられると思っておりますが、そういうような形で産学官の交流を推進したいというように考えております。
  114. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 ありがとうございました。  いずれにしても、金に伴う話は政府全体の問題になりますので、ぜひきちっと来年度以降取り組んでいただきたいということと、それから特に官といいますか政府や行政のレベルで物を考える場合に、民間の場合には割合その処遇やなんかも柔軟にできるわけですよね。ところが、先ほど林さんからも御指摘がございましたように、非常に硬直的な制度なりあるいはルールなりの上に立ってしかできないんですね。なかなか優秀な人は集まりませんよ、そういうことでは。そういう意味で私は、若い人たちにもこういうところに参加をしてもらうという意味では、もう少し国自身もこれから先のことを考えた場合に柔軟に対処ができるような、あるいは柔軟な処遇ができるような、そういう発想をぜひ持っていただきたいということを最後に要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  115. 山下芳生

    山下芳生君 昨年、電気事業法が改正されまして、発電部門への新規参入が認められました。これは電気料金の内外価格差の解消を目的とした規制緩和でしたが、本年度の電力の施設計画を見ますと、この新たに規定された卸供給による電源は今後十年間の見通しを見ても約二百六十万キロワット程度にとどまっております。果たしてこれで電力料金の内外価格差の解消、もっとはっきり言いますと電気料金の値下げにつながるのか、まず政府の見通しをお伺いしたいと思います。
  116. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 電気事業法改正に当たっては共産党からも御賛成をいただきまして、恐らく今先生の御指摘の部分が御賛成をいただける背景の中にもあったんだというふうに思いますけれども、そこが全然見えないじゃないかというような部分だと思います。  やはり入札制度では、短期的にはこの発電コストの低減効果というのはなかなかあらわれないと思いますけれども、中長期的には低減に寄与するというふうなことで私ども期待しておりますので、ちょっと長い目で見ていただければというふうに思います。
  117. 山下芳生

    山下芳生君 電気事業につきましては、一九七七年七月四日の通産省の省議決定、「発電所の立地に関する環境影響調査及び環境審査強化について」で環境審査を一段と強化するということをうたっております。この省議決定は、昨年の十月十九日の資源エネルギー庁の通達で新たに規定をされました卸供給事業者及び特定電気事業者についても適用するということになりました。  ただ、この省議決定を見ますと、出力十五万キロワット未満の火力発電所については対象外とされておりまして、環境影響調査書を通産省に提出しなくてもいいとなっております。なぜこういう対象外にしたのか、根拠を教えていただけますか。
  118. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今、委員指摘の昭和五十二年七月の省議決定に基づく環境アセスメントの制度でございますけれども、これは今御指摘のように、火力発電所につきましては十五万キロワット以上の規模のものを対象にするというように決めておるわけでございますけれども、これは、一般的に地域の環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとしまして、省議アセスメントの発足に際しましてそれまでの経験、実績を踏まえて決定したものでございます。  省議アセスメントですが、これは十五万キロワット以上の火力発電所を対象にしているわけですけれども、規模のいかんにかかわらず、当然のことですけれども、大気汚染防止法ですとか騒音規制法あるいは振動規制法等の公害防止関係の法令の適用を受けておりまして、これらの法令に基づく排出基準等に適合することが義務づけられております。したがいまして、十五万キロワット未満のものでも建設が行われます際には当然こうした関係の法令に基づく排出基準が適用されますので、こうした措置によりまして、地域の環境に著しい影響を及ぼすようなことはないのではないか、このように考えております。
  119. 山下芳生

    山下芳生君 いろいろな公害対策の対象になっているということですが、そういう意味でいいますと、十五万キロワット以上の発電施設についてもそういういろんな公害対策の対象になっているわけですから、それをもってして十五万キロワット未満の施設の対象を外すという理由には私はならないと思うんですね。しかも、国や地方自治体の公害対策自体がこの間、大気汚染の基準の緩和であるとかあるいは施設設置に際しての認可制を届け出制に緩和するなど、いろんな歯どめが緩められるのが今の現状でありますから、それだけでこの十五万キロワット未満を外すというのはいかがなものかと思うんです。  私がなぜこのことを強調して聞くかと申しますと、この新たな卸供給事業、売電事業については鉄鋼や石油化学など多くの産業分野で新規参入に対して高い関心が寄せられております。私の地元大阪でも、高石市にある興亜石油株式会社大阪製油所が高度化事業の一環として出力十四万九千キロワットの発電所を建設して関西電力に売電する計画を持っております。またお隣の和歌山県でも、東燃の和歌山工場が出力五十万キロワット、和歌山石油精製の海南製油所が出力十四万九千キロワットの発電所を建設してそれぞれ関西電力に売電する計画を持っています。  政府の考え方からしますと、このうち出力十五万キロワット未満になる興亜石油と和歌山石油精製の二社については通産省に環境影響調査書を出さなくてもいいと。これは、通産省としてはチェックしないということになるんですか。
  120. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 従来の私どもの決めております省議アセスの制度では、十五万キロワット以上のものを対象にしておりますので、仮にそのようなものが応札して契約を結んだ場合には、制度上は対象にしなくていいということになっております。
  121. 山下芳生

    山下芳生君 私、今度の問題で、発電能力の規模といういわば量的側面からだけではなくて、質的な側面からも見る必要があるというふうに考えます。といいますのは、実は興亜石油も和歌山石油も石油精製の廃棄物である残渣、残りかすを燃料とした発電を計画しているんです。今までこの残渣を燃料とした発電所はありますか。
  122. 江崎格

    政府委員(江崎格君) これまでのところはないと思います。
  123. 山下芳生

    山下芳生君 そのとおりにないんですね。この残渣には硫黄分や窒素分あるいは重金属などさまざまな有害物が濃縮して存在しております。ですから、これは環境に対しても非常に大きな負担になるわけです。しかも、この卸供給事業の発電所がこれから建設される場所は既に開発が進んだ、例えば臨海部など環境条件としては非常に悪いところが多いんです。  私の地元の興亜石油大阪製油所も、臨海部のコンビナートがひしめく堺・泉北地域に立地をしております。この堺・泉北地域というのは、現状でさえ二酸化窒素や自動車の排ガスなど大気汚染の物質の環境基準をクリアできない地域が広範囲に存在しているわけです。ですから、今子供の中でぜんそくの患者が毎年ふえているんです。そういうところに今後石油精製施設の大規模な増設とあわせてこの残渣を燃料とした発電施設が新たにつくられるということになるわけです。  この問題で、今年の二月四日、大阪府と地元の高石、堺、それから泉大津の三市が一緒になって公聴会を開きましたけれども、この公聴会で公述した二十二人全員がこの計画に反対する立場から意見を述べているわけです。これは本当に新たな問題が提起されていると思うんです。こういう計画についてもノータッチでいいんでしょうか。
  124. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 委員指摘のように、石油精製事業者におきまして今回の卸供給事業の火力発電所の燃料として残渣油を使うという計画があることは私どもも承知しております。  ただ、この残渣油ですが、御指摘のように、もちろん非常に重質油分も多いですし重金属等も含んでいるわけですが、すべての火力発電所、これは規模のいかんにかかわらず、先ほども申し上げましたが、大気汚染防止法ですとかその他の公害防止関係の各種の規制法を受けております。したがいまして、SOxですとかNOxあるいはばいじん等につきまして排出基準等に適合することが義務づけられております。このため、仮に残渣油等を燃料に使ったといたしましても、他の火力発電所と同様に、脱硝ですとか脱硫あるいは脱じん等の大気汚染防止対策等を講ずることになっておりまして、そういう意味で環境保全上支障がないようにして操業するということが義務づけられるというふうに考えております。
  125. 山下芳生

    山下芳生君 建前はそうなっておりましても、実際に前例のない残渣を燃料とする発電によってどの程度の大気に対する、環境に対する負荷が与えられるのかという点、またそれに対していろいろな法制度のもとで公害対策を義務づけられてはおりますけれども、果たしてそれがクリアできるのかどうか、この点について、前例のない今回の問題について今お答えにあったのは、建前はこうなっているから大丈夫だというお答えだと思うんですが、地元では果たして大丈夫なのかと物すごくこれは心配の声が上がっているわけです。  これに対して、単に建前を立てるんじゃなくて、実際新たな問題が提起されているわけですから、残渣を燃料とした場合にどのような影響を与えるのか、またそれを除去するための装置、本当に信頼性の保障があるのかどうか。これは国が、政府が、規模の十五万キロワット未満ということではありますけれども、新たな問題が今度の法改正によって生じるわけですから、きちっと責任を持って対処をする必要が私はあるんじゃないかと思うわけです。  実際、これは大阪や和歌山だけの問題ではございません。いろんな石油精製会社が計画しているものを見ますと、日本全国でこういう計画があるわけです。いずれも都市部に隣接をして、しかも環境汚染が進んでいる場所に設置をされようとしているわけです。従来の対策の延長線上で考えるのではなくて、新たな問題が提起されるわけですから、現状より進んで、現状より厳しい基準を設けることも含めて考えるべきじゃないかというふうに思うわけです。  実際、この各石油会社の計画を見ますと、新規参入する発電所の多くが出力十四万九千キロワットに設定しているんですね。これは、自分たちの設置する発電所がやはり環境汚染を引き起こすおそれがあるということを自分で知っているからではないかと私は思うんです。だから、この十五万キロワット未満ぎりぎりに設定して通産省の省議決定によるチェックを逃れようとしているんじゃないか。私は、こういう事態を放置するならば、この省議決定でもうたっております「地元の理解と協力を得つつ発電所の立地を進めていく」というこの趣旨にも反するんじゃないかと思うんですね。  新たな問題が提起されているわけですから、きちっと対処していただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  126. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 残渣油を今まで燃料とした火力発電所はないというようなことでございます。現在、石炭を燃やすときも、石炭火発の場合も、私どもの地元でもつくっておりますけれども、非常に発電会社の方で責任を持って、いかに安全かということをしっかりと実験データに基づいて出しているというようなことがございます。  この残渣油につきまして、これからどのような形で私どもがそういう地域の方々の信頼を獲得する努力ができるかということは、今からちょっと検討してみなければいけないと思いますが、エネ庁長官から答弁がありましたように、ルールとしては決して、このままでいってもそれはいいのかもしれませんけれども、やはりこれはもう信頼の問題でございますから、残渣油に対する何らかの対応というものを私の方からエネ庁の方に申し上げて、エネ庁の方でしっかりとこれを検討させたいというふうに思います。
  127. 山下芳生

    山下芳生君 ぜひ強力な指導をよろしくお願いいたします。  最後に、関西電力は御坊第二火力発電所を建設しようとしております。ここで使用する燃料にこれまた環境負荷の大きいオリマルジョンを予定しております。オリマルジョンを燃料にした大規模な発電所はこれは世界でも初めてだと思いますが、あってもせいぜい数十万キロワット程度の規模であります。御坊第二火力の場合は百万キロワットクラスを四基、しかも通年運転することになると思うんですが、そうした場合の環境に与える影響についての実際のデータはまだないと思うんですね。通産省にお尋ねしても、関西電力から申請が出た段階で内容を検討するという答弁になるかもしれませんが、申請のあったときに具体的に対応するためには今から研究も必要だと思うわけです。  このオリマルジョンを燃料にした発電についてどういう見通しを持っているのか、確認をさせていただきたいと思います。
  128. 江崎格

    政府委員(江崎格君) このオリマルジョンを燃料にした発電所でございますけれども、御指摘のように関西電力が現在御坊で計画を持っております。  このオリマルジョンを燃料にすることでございますけれども、今委員もちょっとおっしゃられたように、国内それから海外におきまして少しずつ実用化されておりまして、例えば国内におきますと、自家用の設備が三基、それから関西電力も大阪の四号機というのを既に動かしております。それから、海外におきましても、英国、カナダ、デンマーク、リトアニアなどにおきまして既に八基が稼働しているという状況でございます。  ただ、御承知のように、今まさに御指摘ありましたように、このオリマルジョン、相当いろんなものを含んでおりますので、やはり公害対策は必要かと思っておりますが、今の計画ですとかなり大規模なものでございますので、当然計画が具体化するということになりますと、省議アセスに基づきまして環境影響評価の調査書を事前に出させるということになりまして、こうした機会などを通じまして環境保全につきまして十分チェックをしてまいりたい、このように考えております。
  129. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。
  130. 小島慶三

    ○小島慶三君 本日はせっかく二大臣がお見えになっておられますのに、専ら通産省の話になってしまっているわけでありますが、私はきょうはできればひとつ、せっかく公取の委員長がお見えになるなら、持ち株会社の問題でもお伺いしょうと思ったんですけれども、ちょっとまだこれ固まってないということでございますので、これはもう遠慮いたします。  それで、実は「中央公論」に武村前大蔵大臣が「このままでは国が滅ぶ 私の財政再建論」という論文を出しておられます。私もそれを読んで大変に感心をいたしました。私と主張が同じ点が幾つかありまして、例えばその中には支出について一律五%カットするというふうな御提案があります。これは私が先般予算委員会で御提案したことでございますので、その点は賛成なんです。ただ、その後に議員の歳費を二〇%カット、人数も三百人と百五十人とするというんで、これは少し考えてもらわないといかぬなと実は思っております。  それは別といたしまして、やっぱり今の財政危機というのは今から手をつけないと遅いというふうに思っておるわけでありまして、こういった提案が出てくる、これは大変結構だと思うのであります。  ただ一方では、景気に対する配慮というものがございますから、そんな大幅なリストラというか、スモールガバメントも一遍にはできないと思うんですが、そうすると通産省の仕事としては一体どうなるかという話でありまして、これは徹底的に民間セクターの活性化ということにもう全力を挙げていただく。せっかくとられた予算を活用して、そういうふうな点に重点を注いで実働の面で効果を上げていくということしか私はないと思っておるのでございますが、この点、大臣いかがでございましょうか。
  131. 横川浩

    政府委員横川浩君) 先生指摘のとおり、景気の本格的な回復軌道への回帰を進めていくためには、民間セクターの活力を増進していくということが大変重要でございます。そういった意味で、規制緩和でございますとか、それからまた新規事業発展基益の整備でございますとか研究開発、情報化の推進等、いわゆる経済構造改革を積極的に推進していく、これによりまして民間セクターが活力を最大限発揮できるような環境整備に努め、これによって当面の経済の活性化、さらには中長期的な展望の中における日本経済の活力ある再生といったものにつなげていく必要があるというように考えております。
  132. 小島慶三

    ○小島慶三君 御当局としてはそういう御返事が返ってくるんではないかと実は私思っておりました。大臣の御所信を伺いたかったんですが、先に参ります。  それで、そういった観点からしますと、やはり通産省予算としては一つ中小企業の関係の予算、それからもう一つは新社会資本というか研究開発予算、これが二枚看板だと私思っておるわけでありますが、中小企業の関係につきましては、毎年このところ予算が減ってきておったんですけれども、今回は一〇〇%ということで、これは大変に御努力をいただいたんだと思って私感謝申し上げております。できるだけ実効のある予算の使い方をお願いしたいというふうに思います。  それからもう一つ研究開発については、これはエピソードだけ申し上げますが、この前、委員長のお供をして筑波へ参りましたときに、これは後で研究官がしかられると困るんですけれども、研究官から、どうもうちの予算から見ると、夢のある、しかし実効性のない、現実性の乏しい、こういった予算がどんどん先に行ってしまう、だから小さくても現実にすぐに役に立つと思うような研究はなかなか置いてきぼりにされて認められないということをぼやいておりましたので、これは大変に困ったことだと思いますので、この辺の予算の査定、研究開発の評価という問題についてひとつもう一層御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、これは質問でございますけれども、今「もんじゅ」のああいうふうな問題も起きて、原子力の環境というのはなかなか難しくなってきたと私は思っております。予算を節約する必要があったのかもしれませんが、ああいうふうな何と申しますか、手抜き工事のようなことが行われるとますます原子力の信頼性というのは乏しくなると私思っておりますが、それにつけましても、今の日本の長期計画から見てやはりもうちょっと、ウエートから見てもう原子力も限度に来ているんじゃないか、そういうふうに思っております。全体の三分の一が原子力だというのはやはりちょっとオーバーなんではないかというふうに思うんです。  じゃ、何があるかといえば、私はむしろLNGに力をもっと注いだらどうか、原子力の四番バッターとしてLNGを活用するという必要があるのではないかと思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  133. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 先生から一番最初に私ども所信に対する御質問をいただきましたときに、石炭の極めて歴史的な面から、それから今後の重要性というのを御指摘いただきました。今回またLNGの御指摘をいただきました。  原子力につきましては、やはり環境面等々から見ましても、その安全が確保さえされれば非常にこれは有効なエネルギー源であるわけでございますけれども、御指摘がございましたような、これから地域の皆様方からどれだけ信頼を回復していくのかという大変難しい面がございます。私どもはその信頼回復のために精いっぱいの努力をいたしていかなきゃいけないということで、まずそれへの努力をいたしてまいりますが、御指摘をいただきましたLNGにつきましても、さらに今後重用できるように、実用面でどれだけのものができるか作業をしてまいりたいと思いますが、エネ庁長官の方からあと御答弁をさせたいと思います。
  134. 江崎格

    政府委員(江崎格君) LNG火力でございますけれども、御指摘のように環境特性ではかなりすぐれておりますし、それから出力調整の容易さという点でも評価できるわけでございますけれども、ただ地球温暖化のもとと言われております炭酸ガスの問題になりますと、原子力と比べますとちょっと比較できないという状況でございまして、そういう意味では原子力発電の重要性というのもまたあるわけでございます。  中長期的なLNGの調達の問題を考えてみますと、今まではアジアが中心でございましたけれども、賦存量を考えますと、やはりどうしてもこれも中近東というものにだんだん中心が移っていくという可能性もございます。  そういうわけで、LNGの長期的な調達の不確実性というようなことも考えながら、電源構成で最適な割合はどのぐらいかということを絶えず考えながら、LNGについても依存度を考えていきたい、このように考えております。
  135. 小島慶三

    ○小島慶三君 それで、きのうの新聞にAPECの諸国で八月にエネルギー担当大臣会議をやるということが載っておったんですけれども、私、これは見ようによってはかなり難しい局面が先に控えているというふうに思うのでございます。  従来は、中国からは石炭と石油、インドネシアからは石油といったようなことで、ある程度相手の国から資源を調達して持ってくるということが可能であった。これからもこの依存度というのはそう減らないでありましょうが、しかしこれからは各国が非常な勢いで経済成長を遂げている、人口も年率三%を超えるアジアの成長、エネルギー成長率は七%ということで、これからは相当な伸びになってくるということになりますと、なかなかこれはそういうところの資源ナショナリズムといったようなものもこれからはどんどん増大していくでありましょうし、そうすると彼らの立場から見ても自主開発というようなことになってくるかもしれない。ですから、日本としてはこういうところとの協力、これを一体どういうふうに考えるか。  それからもう一つは、エネルギーの供給国とそれから需要国、めいめいが需要国になっていくわけでありますから、その需給の流れというものをどういうふうに安定のベースに乗せてやっていくのか。かなり問題は複雑になっていくと私思うのでございますが、この辺についてはいかがでございましょうか。
  136. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 御指摘のように、アジアの急速な経済成長に伴いまして、この地域のエネルギー需給の問題、それからさらにエネルギ、に伴います環境問題、こうしたことが非常に深刻になるということで、こうした諸課題に対しまして域内で協力して対応するということが大変今後とも重要になると思います。  こうした観点から、APECにおきましても、エネルギーのワーキンググループというのがございまして、従来から三つのE、つまり経済成長、それからエネルギーの安全保障、それから環境保全といったこの三つのEの調和あるいは同時達成ということを目指しまして議論を行っているわけでございます。特に、昨年のAPECの大阪会合におきまして決定されましたアクション・アジェンダ、こうした場で域内のエネルギー問題にかかわる共通認識の醸成などといったようなことについて優先的に取り組もうということが決められました。  今、委員指摘のように、八月の下旬にエネルギー分野の具体的な活動の実施に弾みをつけようということで、大臣会合をオーストラリアで開こうという方向になってきておりまして、実は昨日ときょう二日にわたりまして香港におきまして事務レベルでこの大臣会合の準備の会合が行われております。まだ具体的な議題等がはっきりしておりませんので、どのようなスタンスでこれに臨むかということはこの段階では差し控えさせていただきたいんですが、ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、この地域三つのEの同時達成、こうした観点から私どもとしてはエネルギー分野のAPECの活動に積極的に対応していきたい、このように思っております。
  137. 小島慶三

    ○小島慶三君 恐らくアジアの諸地域の安全保障という問題の中で、このエネルギーの問題というのはかなり難しい問題の一つではないかと私思っておるわけでありますが、そういった意味におきましても、日本がLNGにもうちょっとシフトするというのが一番賢明な策ではないかというふうに思っております。  これで終わります。
  138. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁並び中小企業庁を除く通商産業省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会      —————・—————