○前川忠夫君 科学
技術関係の所管の
官庁といいますと物すごく広いんですね。お聞きをしていて実はびっくりしたんですが、例えば新しい
技術とか新製品とかという視点で物を考えますとさまざまな所管の
官庁があるんでしょうけれども、これからのことを考えますと、やはり
通産省を
中心にしてこれらの問題についてしっかりかかわっていただきたいというふうに考えるんです。
そこで、これは民間の
企業の場合でもそうなんですが、
企業の
源泉というのは人、金、物だとよく言われるんですね。今の
日本の実態を見ていますと、私もそう細かく実情を見聞きしたわけではありませんが、まず物。物というのは要するに設備です。これは科学
技術基本計画の議論の中にもあるようですけれども、恐らく
国立大学とかいわゆる
国立の
研究所の施設というのはお粗末と言っていいんじゃないでしょうか。民間
企業と比較をしてもそうですし、あるいは欧米の先進国と比較をしてもそうなんじゃないかというふうに思うんです。それから、人。
研究職の人員なんというのはまさに先進国とは比較にならないくらいの人員しか配置をされていませんね。
アメリカの大手の
企業の一社の
研究者といったような人数だなんという話も実はちらちらと聞くわけです。それから、金です。金というのはさまざまな扱い方があるわけです。もちろん施設に対する投資もあるでしょうし、あるいは人に対する処遇の問題もあるでしょう。そういう部分をあわせてしっかりとやらなければ、幾ら科学
技術基本法をつくったって、あるいは基本計画をつくりましたといったって、実効性のあるものにはならないんですよね。
ぜひこの辺のところについてはこれから先、
平成八年度の
予算、今議論をしているわけですけれども、
平成九年あるいは
平成十年、これは五年、十年先、場合によっては五十年先を考えた体制をきちっとつくっていくということが私は必要なんじゃないかなというふうに実は考えているわけです。この辺の問題についてもしお考えがありましたらお聞かせをいただきたい。
と同時に、民間の
設備投資、特に
研究開発投資がここへ来てぐっと減ってきたというんですね、不景気の影響で。これは非常に私は心配を実はいたしています。先ほどもお話がありましたけれども、もちろんそれは民間
活力という点からは民間に何とか頑張ってもらいたいということもあるんですけれども、足りない部分はというよりも、国は国としての基礎的な
技術についてはしっかりとやはり蓄積をしていってそれを民間の中で生かしていく、そういう相互のやりとり。それから、先ほど人のお話がありましたが、人の面においても相互の行き来といいますか交流といいますか、そういう部分がやっぱりかみ合っていかないと成果というのは私は上がっていかないんじゃないかというふうに考えます。
そういう点では、これから先の
日本の
産業やあるいは経済というものを支える
技術という点、これをしっかりと踏まえていくということが私は必要なんじゃないか、こう考えておりますので、総合的なあれで結構ですから、それぞれ工業
技術院の院長やあるいは通産
大臣の方から所見がありましたらお聞かせをいただければというふうに思います。