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1996-03-15 第136回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十五日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      釜本 邦茂君     松村 龍二君      清水 達雄君     景山俊太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 佐藤 静雄君                 陣内 孝雄君                 渡辺 四郎君     委 員                 岩井 國臣君                 景山俊太郎君                 鎌田 要人君                 竹山  裕君                 松村 龍二君                 依田 智治君                 赤桐  操君                 村沢  牧君                 山下 芳生君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        国土庁防災局長  村瀬 興一君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        内閣官房内閣安        全保障室内閣審        議官       山崎信之郎君        内閣官房内閣情        報調査室内閣調        査官       佐野 智則君        科学技術庁研究        開発局企画課防        災科学技術推進        調整官事務取扱  上原  哲君        文部省教育助成        局財務課長    遠藤純一郎君        文部省高等教育        局私学部私学助        成課長      樋口 修資君        厚生省老人保健        福祉局老人福祉        計画課長     吉冨 宣夫君        労働省職業安定        局雇用保険課長  上村 隆史君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部企画課長  太田 俊明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (地震防災対策に関する件)  (阪神淡路大震災復興対策に関する件)     —————————————
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十四日、釜本邦茂君及び清水達雄君が委員を辞任され、その補欠として松村龍二君及び景山俊太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 おはようございます。自由民主党の依田でございます。  当委員会としましても、先般一年後の阪神淡路大震災を視察させていただいたわけでございますが、これらの経験を踏まえつつ、きょうは東海南関東等の大地震対策について関連する危機管理的観点から質問させていただきたい。  ただ、その前にやはり一言触れておきたいのは、国会がもう半月にわたり、新進党の衆議院第一委員室占拠という形で空転が続いておるという状態、これはきのうのブラジル大統領の話ではございませんが、議会制民主主義に対する、極めてこれは破壊するものであって暴挙であるということで、しかもこういう国民の命にかかわるような災害対策特別委員会にも欠席するというような状態は非常に遺憾でございます。質問するに当たりまして、まずこういう欠席戦術というようなものに対して遺憾の意を表明しておきたいと思います。  きょう私は二十分間時間をいただいているんですが、依田さん、質問してくれと言われたときにちょうど、この「世論調査」という雑誌が皆さんのところにも配られたと思います。ぱらぱらと見てありやっと思ったので、その発想から実はきょうは質問させていただきます。  この調査は、総理府が昨年の九月末から十月についてやって、ここに詳細報告になっていますが、その中で私が非常にこれはと思いましたのが、去年関西地区であれだけの地震があったものですから、やはり危険と感じている災害は何だというのに対しては、平成三年の前回調査したときは三三・六%の人が地震と、こう言っていたんですね。それが今回の九月から十月にかけてでは約二倍の六十数%。さすがにやっぱり地震に対して感度いいなと、こう感じたわけです。特に南関東とかは八〇%くらいが非常にこれは危険だと、こういう地震に対する感覚を持っておる。  ところが、次の項目で、自分の住んでいる地域で今後十年くらいの間に大地震が起こると思いますかと、この質問ですね。これは全国的には三八%くらいで、前回が二二%ですから、全体としてはやはり二八%くらいの人が、起こるかもしらぬということで、それにしても数は少ないなと思いますが。  一番私がこれはちょっと政府としてもしっかりした方がいいなと思いましたのは、例えばいつ起こるかわかりませんよと言われている東海地方、この方々が五四・七%です。南関東で五三・六%。こういう数字を見ますと、半数近い人は、この一番問題だと思われる東海地方人たちでも十年間に地震が起こると思っていないというか、まあ希望的観測もあって、起こるかもしらぬけれどもいやだというので起こらないという方に丸をつげている人もいるかもしれませんが、これはやっぱり非常に問題じゃないのか。  そこで、きょうはちょっと科学技術庁の方の専門家に来ていただいていますが、この東海とか南関東等地震が起こる蓋然性というか、まだ予知の装置が触れたとかそういう問題じゃないと思いますが、一般的に国民に啓蒙する意味でどの程度のことが言えるのか、そういう発生可能性についてちょっと御報告を願いたい。
  5. 上原哲

    説明員上原哲君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、東海地震につきましては、十七世紀、十八世紀、十九世紀と、具体的に申し上げますと慶長の地震宝永地震、それから安政の東海地震という形で、おおむね百年から百五十年ぐらいの期間の間に地震が起きてございまして、いわゆる駿河湾を想定震源といたしますマグニチュード八クラスの地震が近い将来に起きることについては懸念されているところでございます。  また、南関東につきましては、御案内のとおり南関東地域自体プレート構造が極めて複雑な形状をいたしてございまして、具体的に申し上げますと、太平洋プレートという大きなプレートがハワイの方から押し寄せている部分と、それからフィリピン海プレートという海側プレートでございますが、伊豆半島の方に押し寄せている部分と、陸地上で申し上げますとユーラシアプレート中国大陸の方から来ているプレートと、それからいわゆるオホーツクプレートないしは北米プレートと言われているプレートがございまして、その四枚がちょうど南関東周辺で複雑な形状で非常にぶつかり合っている状況でございます。  したがいまして、その状況下においてはいろんな現象が起こるということでございまして、いわゆる中央防災会議防災強化地域指定専門委員会報告にもございますとおり、今後南関東地域直下におけるマグニチュード七クラスの地震切迫性が高まってくることなどが言われているところでございます。  それで、現時点におきまして、じゃその評価は変わっているのかと申し上げますと、一応現時点においてもそういうような評価が大幅に変わるような知見が得られていないという状況でございます。  それで、先生指摘がありましたとおり、南関東、それから東海地域においては、高密度の地震観測網並びに地殻変動観測網で気象庁並びに関係機関の御努力によって今監視されているところでございますが、私ども調査推進本部、昨年七月にできたわけでございますが、それ以降定例的に一カ月ごとに、それらのデータも含めまして全国的な評価を行うと同時に、昨年の十二月に長期評価部会ということで、なるべくわかりやすい形で地震発生確率と申しましょうか、どのくらいの地域でどのくらいのマグニチュードのポテンシャルの地震がどの程度発生するかということについての検討を開始いたしておりまして、今その作業をやっているという段階でございます。  以上でございます。
  6. 依田智治

    依田智治君 やはり東海並び南関東地方では、私は、今の報告にありましたように、防災という観点に立てばもう十年と言わず今でも発生してもそれに対する備えをやるというくらいの気持ちであるべきじゃないかと、こう感じております。最近、私の地元であります山梨の河口湖あたりでもマグニチュード五か六程度地震が起こっている、これは必ずしも大地震の前ぶれかどうかはっきりしないという調査結果が出ておりますが。  先ほどの指摘しておりますこの調査の中でもう一つ気になった数字は、ああいう大地震があったので、その後防災訓練に新たに積極的に参加していますかというようなことに対して、積極的に参加しているという人は三年前の調査では七・七%、今回は六・〇と、むしろ減っているんですよね。それで、阪神大震災後に何か対策をとり始めましたかと、何もしていませんという人が実は六割近いんですね。ここにおられる方もそう言われてみれば何もしていないなという人があるかどうかあれですが、ただ、何か水ぐらいくんでおこうかとか、何か非常食くらい用意しておこうかとか、懐中電灯ぐらい置いておこうというようなことは通常は大体の人が答えているかと思っていましたら、この地方の人でも非常に警戒心が薄い。  そこで、大臣にお伺いしますが、やはり阪神淡路大震災のときは、私も実は昔警察のときに防災担当をしていたことがあるんですが、実は東海地方とか関東地方しか頭になくて、実際上あの地域に警鐘を鳴らしたことはなかったんですね。ところが、観測ではやはり名古屋、京都、大阪、神戸地区、八大観測地域特定観測地域になっている。そういうことで、そして新聞を調べてみると、結構地震専門家なんかが警告を発しているんですね。しかし、関西地方の人はほとんどそれに対する警戒心がなかった。  こういう点を考えますと、これだけ緊迫性のある東海地震等についても、南関東大地震についても、非常に人間というのはのほほんとして、そこで余りくよくよしなくて生きているという、哲学的に見るとそういう面もあるかもしれませんが、やはり政府としては、国民の命を守るためにはいろいろ世論調査の結果を踏まえて、国民防災対策重要性というのを大いに広く啓蒙し広報していくということが必要じゃないか、それはまさに政府責任じゃないか、こんな感じがしております。防災を総合的に担当しておる国土庁長官としてどのようなお考えか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  7. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生の御指摘はまことに重要で、我々もその認識をまず受けとめていきたいと思っています。  防災原則というのは、私は、原則ですから、みずからの身の安全はみずからが守るということがやっぱり防災基本じゃないかと思うんです。国民一人一人がそういう自覚を持ちまして、平常時より災害に備える心がけをやっぱり徹底していくことがこれは大切だと思います。  先生案内だと思いますが、昨年七月に、そういう問題を踏まえまして防災基本計画が改定されたわけです。ここにはたくさん書いてあるんですけれども、私流に要約いたしますと、この改正された中身というのは、まず一つは、我が国の置かれた自然条件等について国民の正しい理解を得るために、地震活動及びプレート活動活断層等に関する広報資料作成二つ目には、地域防災的見地からの防災マップ地区別防災カルテ、そして地震時の行動マニュアル、こういうものを作成、配布することが二つ目に大切だと思います。三つ目に、防災週間とかそれから防災関係行事を通じて、住民に食料、飲料水の備蓄、非常持ち出し品の準備など、家庭内の予防安全対策発生時にとるべき行動避難場所での行動などを防災知識として徹底していくことが大切だと思っています。  今後ともそういう観点から、今お話しのように、予防、予測、防災なものですから、必ずしもきちっといっていない点があるかもしれませんけれども、各関係省庁及び各地方に対して国土庁としても積極的に取り組むように指示してまいりたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  8. 依田智治

    依田智治君 同じ世論調査に、国民が一番心配しているというのはやっぱり過密都市等におけるライフラインですね、電気、ガス、そういうものに対してしっかりできているのか。この問題もちょっと実は各省を呼んで聞きたいと思ったんですが、時間がありませんし、また基本方針等について聞いている時間もございませんので、これはぜひ防災基本計画等にのっとって、国民の要望にこたえ、できるだけ早期に、耐震性のあるそういうライフライン施設というものの構築に向けて努力するように、これは要望しておきます。  あと、今大臣いろいろ言われましたが、大体言われていることなんですね。そうすると、やっぱり目に見える形で絶えず注意を喚起していくというためには、政府もしっかりとこれに対する目に見える形での行動というのをやる必要があるんじゃないか。  そういう意味では、政府閣僚懇談会で、首都直下型地震についての政府マニュアル総理が欠けたときはだれがやる、官邸がだめなら国土庁とか防衛庁とか立川基地とか、そういうようなものをこの間決めておりました。これも詳細に聞いている時間がございませんが、こういうものを決めましたが、果たして内閣官房では、さてじゃ連絡するとなれば情報機器情報体制をしっかりしなきゃいかぬ。大臣に来てもらうとすればヘリポート基地とかその他具体的な計画。こういうマニュアルとか計画に基づく具体的な対策というのはほぼもう実際上いつでも対応できるような状態になっているのか、今準備しており、これからできるだけ早くやるという段階なのか、この点をちょっと、ごく一言で結構ですから簡単に。
  9. 佐野智則

    説明員佐野智則君) 先生指摘閣僚懇談会の申し合わせに基づきまして現在所要の措置を講じているところでございます。  情報伝達に関しまして具体的に申しますと、参集場所連絡に関しまして、ラジオ、テレビの放送事業者への協力要請、あるいは私ども内閣情報調査室情報伝達の拠点ということになっておりますが、その関係参集場所連絡先の確認とか徹底、あるいは各閣僚内閣官房の緊急時の連絡表作成とか関係者への徹底、それから各省庁におきます所要携帯電話整備とか、通常情報伝達の手段によりがたい場合の警察無線の活用といったことを図っているところであります。  今後、さらに衛星電話等整備を図るといった形で情報伝達体制参集体制の一層の充実に努めていきたいと思っております。
  10. 依田智治

    依田智治君 ぜひ内閣としても政府としても、いつ起こっても十分だという体制を一日も早くつくっていただくように、ハード面ソフト面からいろいろ対応策を講じていただきたいと思います。  そこで、国土庁にお伺いしますが、例えば前回法律改正等で、大臣全員を入れた災害対策本部設置とかいろいろ改正したわけでございますが、いずれにしても、こういう防災訓練閣僚も含む参集訓練等も含むいろんな目に見える形の防災訓練というようなものを、これ防災の日にだけやるというのは全くの年中行事でございますから、みんなが忘れたころ時々ぱっとある大臣に指定して広報するとか、いろいろの形で、いろいろな工夫した閣議設置訓練とか、そういうようなものを随時やりながらそれを公務員に広報し、国民にも注意を喚起していくというのが大変重要じゃないか。これまで余りそういう訓練が目についていませんが、このあたり状況をちょっと御報告いだだきたいと思います。
  11. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) ただいま先生おっしゃいました訓練でございますけれども閣僚レベルを含みました訓練につきましては、昨年の九月一日に行いました訓練につきましては、実際に閣議もやりましたし、それから総理からも記者会見をしていただいて緊急災害対策本部設置したというようなことを発表もしていただきました。かなり実態に即した訓練を昨年は行ったところでございます。  その後は、閣僚は含んでおりませんが、事務レベルで、例えば参集訓練でございますとか、これにつきましては、首都圏に起きたという想定で車、電車等公共機関が使えないというふうな訓練もいたしておりますし、逐次事務レベルとしての訓練はやっておるところでございますけれども閣僚皆さんを含めた訓練につきましても、今後、大臣とも相談いたしました上で、あるいは官邸とも御相談の上検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  12. 依田智治

    依田智治君 やはり国民に目に見える形で、ただ防災週間とか防災の日だけでなくて、時々随時にやっていくということが大変重要だと思いますので、その点を具体的に実行していただくようにお願いしたいと思います。  あと残りわずかでございますが、政府内閣責任というのはただ大地震対策だけでなくて、国家のいろんな危機管理全般について官邸等がしっかり機能するということが大変重要で、今いろいろ内閣官房でも危機管理体制について検討しておるということでございますが、現在の検討の方向というか状況について、概略で結構でございますが御報告いだだければありがたいと思います。
  13. 山崎信之郎

    説明員山崎信之郎君) 現在、内閣官房におきます内閣危機管理体制強化のための方策についての御質問でございますけれども、まず、危機管理に関しましての第一は情報伝達が正確にかつ迅速に伝わるかどうかということでございますが、これは既に先ほどの御質問に対しまして内閣情報調査室の方からお答えをしたように、政府部内の情報連絡網整備あるいは緊急参集体制充実等を図っておるところでございますし、また、内閣情報調査室情報集約センターを設けまして、二十四時間体制内閣として、これ地震だけではなくて、内閣が対応すべき危機管理全般につきましての情報の収集、集約を図るような整備を進めているところでございます。  またそのほか、内閣官房危機管理チームというものを設置いたしまして、内閣危機管理につきましての補佐体制整備とか、あるいは情報集約センターに加えまして官邸内におきまして危機管理センター整備するとか、あるいは所要の、例えばハイジャック等につきましてもマニュアル等整備、改定などに努めております。  このような危機管理体制につきましては、当然内閣として常に点検、改善をしていくべきものであると考えておりまして、今後ともこのような体制充実を図っていきたいというふうに考えております。
  14. 依田智治

    依田智治君 いずれにしましても、国民を啓蒙し、そしてまた内閣としても責任を持って危機管理体制充実を図るということは大変重要なことでございますので、今後とも御努力をお願いしたいと思います。  終わります。
  15. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 きょう私は、特に被災者の失業救済問題について何点かお尋ねをしたいと思います。  阪神淡路大震災で、ピーク時には六万五千人ぐらいの方たち被災者の中から失業したということで、特に被災者に対する雇用保険関係の問題でございますが、もしも雇用保険が打ち切られるということになれば、大変な失業者がおるわけですから、無収入にもなるということでございますが、お聞きをしたいのは、去年の被災後の二月ごろと例えばことしの二月ごろ、どのくらいの雇用保険受給者数がおるのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 上村隆史

    説明員上村隆史君) 雇用保険の件でございますが、被災によります事業所の休業などによりまして賃金が支払われない方、あるいは事業所閉鎖等によりまして一時的に離職をした方などにつきまして保険失業給付特例支給を実施してきたところでございますが、この特例給付の対象と、それからあわせまして震災による離職を余儀なくされたと見られる方、こういった方に対しての失業給付受給者全体は、推計でございますが約二万五千五百人というふうに見ております。  なお、この特例給付等につきましては震災直後にさかのぼって支給を開始しておりまして、その後個別の延長給付等を行ったところではございますが、現段階においてはそのほとんどの方が支給が終了しているというところでございます。
  17. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 支給が終了しておるということになると、職についていなければ無収入ということになるわけですか。
  18. 上村隆史

    説明員上村隆史君) 受給者のうち、安定所紹介等で約九千を超える方々が就職をされておりますが、なおまだ求職中の方々が何千人かいらっしゃるところでございます。そういった方々につきましては、求人開拓等に努め、職業紹介努力しているところでございます。
  19. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そこで、特に今現地の方で、この間も行ってまいりましたが、やはり職のない方というのは中高年の方たちに集中しておるようです。ですから、その中でも特に無技能労働者技術を持っていない方たちが多いわけですが、せっかく被災失業者のため緊急立法就労促進法をつくりましたが、結局これは十分機能を果たしていないという現地声等もあるわけです。現在、この緊急法に基づく就労状況は一体どうなっておるのか、現地の方からどこが問題点があるというふうに何か報告を受けておるのかというのが第一点です。  それから第二点目に、私は提案をしたいんですけれども、こういう大災害、あるいは昭和の初期にもありました大恐慌のときも政府はやっておるわけですけれども、例えば被災地では第三次産業復興とか新産業の創出というのはまだまだやっぱり時間がかかるわけです。そうしますと、確かに民間皆さんも一生懸命努力をしていただいておるわけですけれども民間にばかりに任せるということでなくて、国や自治体がこういう震災時に特殊の事業を起こしていくというのが必要ではないかというふうに思うわけです。  その一つの例として、例えば労働省であれば失業者救済対策事業ということ等があるわけですけれども、これはもう今失対そのものを打ち切るという方針があるものですからなかなか難しさがあると思うんですが、ここいらについては起こすという気持ちがあるかないか、お聞きをしたいと思います。
  20. 太田俊明

    説明員太田俊明君) まず第一点目の公共事業就労促進法実績についてでございますけれども、この紹介実績につきましては、平成八年二月末現在におきまして、延べ人員で三千十六人目、実人員で三十三人となっております。  この紹介状況につきましては、兵庫県から、公共職業安定所、ハローワークの窓口の状況につきまして随時報告を受けているところでございますけれども、現在の実績にとどまっている理由としましては、大きく分けまして二つの点があるのではないかと考えております。  まず一点目は、公共事業工事就労されます無技能労働者につきましては、その多くを事業主体雇用しております手持ち労働者が占めていることでございます。二点目では、一方で公共事業工事に係ります無技能労働を求職する被災失業者の数が大変少ないこと。この二点が挙げられているわけでございます。  私どもとしましては、今後、公共事業工事件数の伸びに合わせまして、被災失業者地元における雇用の確保に資しますように、関係府県公共職業安定所を通じまして、公共事業発注部局との連携の強化建設業者への指導、さらには被災失業者に対する公共事業就労に関する周知等を行うことによりまして、この制度の円滑かつ実効ある施行を図ってまいりたいと考えております。  それから、二点目の失業救済事業の点につきましてでございますけれども、国や自治体が労働者の就業機会を確保するための事業を起こすことにつきましては、先生お話ございましたように、これまでの失業対策事業の長い経験から見まして、事業の非効率性あるいは失業者の滞留等の問題があると考えております。したがいまして、被災地におきます雇用対策としましては、地元からの要望が大変強かった雇用調整助成金の特例措置及び高率助成の継続でございますとか、あるいは特定求職者雇用開発助成金、これは労働者を雇い入れたときの賃金助成でございますけれども、こういう助成金の積極的な活用等によりまして雇用の維持、失業の防止に努めているところでございます。
  21. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣、後ほどお聞きをしますから、ちょっと聞いておってください。  今言った中で失業対策事業が非効率性が高いというようなことのお話がありましたけれども、これは失業対策事業のスタートの時点の目的を君はやっぱり間違えておると思うんだよ。失業者を救済するのが目的であったわけですよ。事業の効率性を追求するんじゃなかったんです。そこは少し、きょうは時間がないから僕は指摘をしておきたいというふうに思うんです。  今大臣お聞きのように、こういう特別立法をつくりましたけれども、実人員はたった三十三人しかいない、こういう実態なんですね。そこで厚生省にお聞きをしますけれども、今確かにあの被災地の場合はケミカルシューズなんかで働いておった中高年の女性の方が非常に多いわけです。そういう中で土木とか建築の仕事についてはどうしてもやっぱり向かない、肉体的にも向かないということ等もあるわけですが、いろいろ適応するこれから先の職種を今この時点で我々自身が、行政がやっぱり中心になって見つけ出してやるべきじゃないか。  そういう中で、これから先、高齢化社会が進んでいくわけですから、厚生省も新ゴールドプランまで出して福祉対策充実しなさいというふうにやっておるわけですね。ですから、例えば被災者皆さんたちの本人の希望を聞きながら、介護の仕事についても、非常に肉体的な労働を要する部分もありますし、軽易な部分もあるわけですから、そういう向き向きな部分について福祉要員をこの時点で確保するという視点に立って、例えば福祉関係の研修会なんかをやりながら、そういうやっぱり福祉要員を養成するという考え方がないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  22. 吉冨宣夫

    説明員(吉冨宣夫君) 兵庫県、神戸市におきましては、震災後におきます在宅サービスのニーズの増大に対応しますためにホームヘルパーの緊急養成に取り組まれております。その結果、これまで兵庫県で千八百三十五人、神戸市で九百九十五人の方が養成されたものと承知をしております。厚生省としましては、平成八年度予算案におきまして新ゴールドプラン関係で対前年度比で三万人増、そして平成八年度からスタートします障害者プラン関係で新たに八千人のホームヘルパーを確保することとしておるところでございます。先生指摘のように……
  23. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大体わかっておるんだ。わかっておるんだから。どうするか。
  24. 吉冨宣夫

    説明員(吉冨宣夫君) 先生指摘のように、被災地域におきまして中高年の女性の方で在宅福祉に意欲を持つ方がホームヘルパーとして必要な研修を受けられまして、ヘルパーとして活躍される、そのことがまた被災後失業された中高年の女性の失業の救済につながる、こういうことでございましたら、御指摘のように大変有意義なことではないかと、このように考えております。  いずれにしましても、兵庫県、神戸市では被災後ホームヘルパーの養成に大変力を入れて取り組んでいらっしゃるところでございます。そういうことから、今後とも地元自治体の要望に最大限配慮しながら全面的にこうした取り組みを支援してまいりたいと、このように考えております。
  25. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣、最後に、さっき労働省にもお聞きをしましたけれども、やっぱり失業対策事業はもう制度として打ち切っていくんだと思う。しかし、現にたくさんの失業者がおる。今厚生省の方では、その失業者の中から例えばホームヘルパーでも養成をしていきたいと。しかし、残念なことにその行政の縦割りとして、同じ被災をしながら失業者というたくさんの方がおる。国全体として見て、やはりこれから先の高齢化社会に向けては福祉関係の職員が非常にたくさん要るわけですから、そうすれば国全体としてそういう職員を養成をしていく、関係者を養成していくということになれば、一方では失業者を救済する、一方では政策目標の福祉関係の要員を確保するということで、私は国としては一石二鳥の行政効果といいますか、政策目標の効果が上がるんじゃないか。  ですから、大臣にお願いをしたいのは、復興担当大臣として、政府全体として、厚生省、労働省というように任せるのではなく、一緒になって失業者をどう救済するか、そういう中にこういう方法もあるんじゃないか、こういう道もあるんじゃないかというようなことで、ひとつぜひ閣議の中でリードをとっていただいて国全体として被災地失業者の救済に当たっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私といたしましても、阪神淡路地域の一日も早い復興という中では何といっても安定した雇用の場の確保ということが最大、重要な課題だとまず認識しております。したがいまして、先般二月二十八日に復興本部の事務局長と内政審議室長が現地に出かけていきまして、そのお話を今も続けておりますが、間もなく三月中に復興本部が開催されますので、各省庁対策を十分検討いたしまして、今までやってきたもの、これからやらなきゃならぬもの、そういうものについて今点検をしておりますので、先生の御指摘を踏まえまして復興本部のときにも、また国土庁としても、担当大臣としても万遺漏のないように努力していきたいと、かように考えています。
  27. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 もう時間がありませんから最後にお願いしておきたいんですが、縦割り行政の一番弊害というのは、そういうことをやっても、予算の出し方がそれぞれ違うものですから難しさがあるわけですね。ですから、私は国全体と言ったのは、予算をやつぱりつけてやるという方向を出さなければ、厚生省は厚生省で思っておりながらもできない、労働省も思っておりながらもできないという部分がありますから、ぜひお願いをして、終わりたいと思います。
  28. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、まず冒頭、本日の委員会の開会について我が党の立場を述べておきたいと思います。  今、国会は予算審議ストップという不正常な事態にあります。こうした事態は、三月一日、衆議院予算委員会理事会、議院運営委員会理事会で与党が一方的に採決を前提とした日程を決めたことに原因があります。しかし、三月十三日、衆議院議長の呼びかけのもと、与党三党と我が党の幹事長・書記局長会談が行われ、事態打開のために大幅に審議日程をとること、採決日程を強引に決めないことが確認をされました。私は、これは予算審議の正常化への第一歩だと思います。国会全体の問題でこうした努力が行われている真っ最中に委員長の職権で委員会を開会することは、努力している方向に逆行するものであり、我が党は反対であります。しかしながら、委員会が開会される以上、審議拒否という態度はとらず、国民の代表として出席し、政府の姿勢をただしたいと思います。  そこで、まず、私は大臣の政治姿勢、政治理念をお聞きしたいと思います。  きょうここに一九八〇年、昭和五十五年六月二十二日に行われた第十二回参議院通常選挙の公報を持ってまいりました。ほかでもありません、大臣、あなたが初当選をされたときの公報です。「日本社会党 全国区 鈴木和美 五十歳」と、あなたの政治信条と公約が書かれております。読み上げさせていただきます。  私は、五十歳の今日まで、働く者の生活をよくするため、ひとすじに働いてまいりました。この間、私が、深く肌身に感じたことは、今日の日本の社会が不条理、不公平と腐敗に満ちており、私たちが人間としての誇りをもって、ごくあたりまえの生活をすることが極めて難しいということです。  私は、人間の尊さが、すべての価値に優先し、人間が清潔な人間らしい生活を営めるような世の中を創り出すため、生涯をささげる決意です。あなたのご支援を心からお願い致します。  簡潔ですけれども、非常に高通な文章です。私も本当に感銘をいたしました。このときの政治信条、決意、大臣、今もお変わりありませんか。
  29. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) わざわざ委員会で御協議いただいてありがとうございます。  変わっておりません。
  30. 山下芳生

    ○山下芳生君 今でも変わらない信条だと確認をいたしました。  そこで、特に、この中で大臣が述べておられる「人間としての誇りをもって、ごくあたりまえの生活をすること」、「人間が清潔な人間らしい生活を営めるよう」と述べている点についてお伺いしたいんです。  私は、今述べられているくだりは、住宅がこれを保障する必要条件というふうに考えます。そして、阪神淡路大震災で改めてそのことを認識させられたと思います。  例えば、厚生省の資料では、さきの震災による直接の死者五千四百八十八人のうち、七七%は窒息、圧死です。これは家が倒れさえしなかったら助かっていた命です。それから、避難所での生活の実態を振り返ったら、薄い毛布、冷たい食事、それからプライバシーのない空間と、ほとんどの人が風邪を引き、肺炎や持病を悪化させてこの避難所で七百人以上の方が亡くなられました。  考えてみると、生命を守ること、健康を維持すること、人間としての尊厳を確保すること、これはちゃんとした住居があって初めて成り立つことではないのかというふうに思うんです。まさに住居は大臣の言う、人間としての誇りをもって、「人間らしい生活」を営むための基本的基盤だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  31. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私の政治信条と具体的な政策の実施というのは、信条と政策の実施について、やはり具体的なものですから、それぞれの合意に基づいて政策を実施していかなきゃならぬという点では若干の不満な点もあるかもしれません、現実にはね。けれども、私は住宅というものは非常に重要な要素であるというように考えておりますから、これは建設省とも、それから各省庁とも皆さんと相談をして、とにかく早く住宅を確保できるような施策を展開するということはやってきたつもりでございます。  けれども、どうにもならないという人をどうするかということもこれからの相談事として県、市とも今相談中であるということでございまして、住宅の確保というのは非常に重要な要素だと今でも考えています。
  32. 山下芳生

    ○山下芳生君 大臣が信条で述べられている「人間らしい生活」を営む上でも重要な要素だというふうに私も理解をいたします。  そこで、その住居を確保するために今被災地被災者がどんな自助努力を強いられているのかということを、やはり私この場でしっかりと認識する必要があると思うんです。きょうは被災マンションの再建の問題について、建てかえの具体的な例を挙げて少し考えてみたいと思います。  宝塚市に宝塚ロジュマンというマンションがありました。震災で全壊をいたしまして、百十五戸のうち四十五戸がローンを抱える状況被災をされた。ローンの残額は総額六億円であります。  マンションを再建しよう、建てかえようということには全世帯が賛成をされました。ところが、方針は決まったんだけれども、最大の難関、問題は、ローンを組む際に設定されていた金融機関の抵当権であります。抵当権が二Fでも残っていると、再建を請け負う県の住宅供給公社に土地を売却できないことになります。こういう状況が実際に起こっているんですけれども、抵当権が二Fでも残っていると土地を売却できないということ、間違いございませんでしょうか。
  33. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 御指摘の罹災マンションの建てかえにおきます抵当権の扱いでございますけれども、私は専門ではございませんけれども、現在住宅金融公庫から、具体的には抵当権の特例的な取り扱いにつきまして現在検討中であると、このように聞いております。
  34. 山下芳生

    ○山下芳生君 まだ検討中でございまして、実際はそういう措置はされておりません。ですから、この紹介したマンションでは、住民の方々はこの抵当権を抹消するための資金を一生懸命用意されています。そのためにもう東奔西走されているんですね。  例えば、私どもの聞き取りでは、再建組合の副理事長さん、三十三歳の方ですが、一年半前に三千五百万円でこのマンションを購入された。震災の時点でローンの残高は二千五百万円。この二千五百万円を東奔西走して用意して、そして抵当権を抹消しなければならない。もう親戚じゅう走り回ったとおっしゃっているんですね。結局、マンションの再建後のまた購入資金が千八百万円かかるそうですけれども、ですから親戚から走り回って借りたものと合わせれば四千三百万円の借金になつちゃうんですね。そういう方々がたくさんあるんです。四千万、五千万、走り回って借りている方が。  ただ、どうしても抵当権を抹消するための資金を全額用意できない方がやっぱり残られた。このマンションではその額が四千二百四十万円になっているそうです。これをどうするかということが非常に問題になったわけです。  実は、この問題というのは今紹介したマンションだけの固有の問題ではございませんで、神戸新聞の昨年十一月九日付が「マンション再生」という特集の中で、「最大の難関 ローン抱え抵当権どう抹消」という記事を載せています。先ほど御答弁のあった住宅金融公庫は、返済中の公庫のローンがある場合、債権保全の点から見て、一時的にも抵当権を外すことは難しいと、金融機関としての立場を説明しています。次々に関門が待ち構えるマンションの建てかえ事業の過程で、一番の問題は抵当権の抹消との見方は多い。このため、業界や法律関係者などからは、官民出資による保証機構の設立を提案する声が出ていると。  抵当権を抹消するために官民、官もきちっと資金も出して保証機構をつくったらどうだという声が出ているそうなんですけれども、現在こういう保証機構をつくられているでしょうか。
  35. 生田長人

    政府委員(生田長人君) 御指摘の罹災マンションの建てかえにおける抵当権の取り扱いにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、現在、住宅金融公庫におきましていろんなケースに分けて方針を立てておりまして、例えば敷地の全部を譲渡する方式の場合には、その敷地の譲渡代金が時価に見合って必ず公庫が譲渡代金を代理受領できるのであれば、そういう条件が満たされるのであれば、工事期間中の抹消に応ずるという、そういう方針を現在検討中でございますし、それから建てかえの竣工時に敷地の譲渡代金と竣工後の建物の譲渡代金を相殺するケースもございますので、そういう場合には対応といたしまして工事期間中に抵当権実行の留保をするというような考え方もございます。  したがいまして、いろんな形で抵当権の何らかの措置を考えることによって対応していきたいという方向で検討していると、このように聞いております。
  36. 山下芳生

    ○山下芳生君 私、これはぜひ急ぐ必要があると思うんですね。  同時に、現在はこの仕組みがございませんので、やはり実際問題いつまでも手をつけないわけにはいきませんから、先ほど紹介したこの宝塚ロジュマンではこういう解決策をとっておられます。  マンションの管理組合として住民自身で無利子無担保の基金を設立することを提案されたんですね。自分たちで基金をつくろうじゃないかということですよ。再建組合の理事、長さんは、四十八歳の方ですが、こうおっしゃっています。「自分自身「おれ、これ以上、金ないぞ」というのが正直な気持ちでした。でも、全員の借金を消さないと、家が建たない。こう訴えたら、みんな賛成してくれました」。  一年間の血のにじむような努力の末、ようやくマンションの再建が始まりましたと。本当にこれ涙ぐましい御苦労だと思うんですね。こういう方が、今これは率直な声として住専の処理策に対して本当にお怒りになっているんです。  それはそうだと思います。一方で、地震によって住宅が失われてしまった。大臣もさっきお認めになった「人間らしい生活」を営む上の重要な構成要素である住居を自分の責任は全くないにもかかわらず失ってしまった。そしてそれを再建するために四千万、五千万という二重三重のローンを抱えながら御苦労されている。その一方で、バブルに走った住専の処理にへ今母体行の責任が与党や閣僚の中からも声をお出しになって明らかになっておりますけれども、そういう住専の処理に、これは処理機構をつくって、そしてそこに国民の血税六千八百五十億円を投入して処理をしようとしている。このマンションの再建に保証機構は今できておりません。みんな自分の金で基金をつくっている。ですから私、これは怒るのは当たり前だと思うんです。  こういう実態を災害復興政府責任者のお一人として本当に真摯に考えていただいて、大臣、私冒頭、本当に感銘を受けた公約の中で、日本の社会が不条理と不公平に満ちている、何とかしなければならないとおっしゃっている。今このマンションの被災者皆さんの御努力と、一方住専の処理の問題を比べてみたら、こんな不条理、こんな不公平はないんじゃないかと私は思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  37. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 住専の問題は、この委員会でも何回か答弁しておりますが、住専は住専問題として、金融システムの問題やそれこそ国際的な信頼の問題ですから、これはこれなりにやっぱり対応していかなきゃならぬことだと思います。  それから、今お話しの問題については、ケースケースにおいてそれぞれ実態を完全に掌握しませんとその対応がなかなか難しいという問題もございますので、今お話しの点はお話しの点で承って、十分調査しながらこれからの相談事に対応してまいりたいと、かように考えています。
  38. 山下芳生

    ○山下芳生君 本当にこれから国会の審議が、私たちも正常化に向けて努力いたしますが、住専の処理の問題、大いに審議されると思います、引き続き。そのとき、やっぱり国民がどういう目で見ているのかということは本当に特に震災復興を担当する大臣として。こうおつしゃつているんです、「われわれ素人の方が必死にやっとる。新しい借金のために生命保険、今まで銀行に担保にとられている。だから、住専に国民の血税を投入することは絶対納得できません」と。当然ですよ。この方々のローンの金利は銀行に行っている、母体行に行っている。その上、一人当たり一万円、住専の処理で税金を取られることになったら、もう二重三重のローンの上にさらに四重苦をしょわせることにもなってしまう。私、これは本当にこれからの審議にぜひ復興担当大臣としてしっかりと心づもりをして臨んでいただきたいというふうに思います。  次に、被災者の救援、復興の具体的な問題についてお聞きします。特に、教育関係の問題について質問いたします。  まず、学校の教職員の配置の問題であります。  震災によって児童生徒が一時的に例えば兵庫県外に避難をされております。各学校においても生徒数の変動がかなり激しく起こりました。そういう県外に一時避難された児童生徒さんはいずれまた県内に戻ってこられる、また戻ってきてもらわなければ復興はあり得ないということでありますが。ですから、通常の基準ですと五月一日の時点での生徒数に基準を置いて教職員の配置をするそうですが、政府は昨年度、平成七年度は、戻ってこられた児童さんをきちっとスムーズに受け入れるために、あらかじめそういう戻ってこられる方を予定して教員を加配されました。これは非常にいいことだし、当然な措置だというふうに思います。  これは昨年度の特別措置でしたけれども、まだ県外に一時避難されている児童さんが約五千人いらっしゃる。これは来年度もまた戻ってこられるわけですね。来年度もこの教職員の配置の特別な措置を継続すべきじゃないですか。
  39. 遠藤純一郎

    説明員遠藤純一郎君) 兵庫県の平成七年度の教職員定数につきましては、御指摘のように年度途中において一時的に県外に避難している児童生徒が戻ってくる際にクラスがえなどをしなくていいようにということで、年度当初からその分の教員定数を保障することを内容といたします特例措置を政令を改正して行ったところでございます。また、児童生徒の心の健康の問題の相談に適切に対応できるようカウンセリング担当教員の加配も行ったところでございます。  平成八年度におきましても、児童生徒が県外から戻ってくることが見込まれること、また児童生徒の心の健康の問題への対応が引き続き必要とされる状況にあることから、平成七年度と同様に政令を改正しまして必要な教職員定数の特例措置を行う予定にしております。また、カウンセリング担当教員につきましては、平成七年度は百二十八人を配置したわけでございますけれども平成八年度は二百七人の定数措置を行う予定にしておるところでございます。
  40. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひ実態を踏まえてやっていただきたいと思います。  最後に、今のは小学校、中学校の問題でしたけれども、次に私立の学校の助成についてお伺いしたいと思います。  平成七年度は被災生徒学生などへの授業料の減免措置を行いました。この措置のおかげで、本当にたくさんの生徒学生が学校をかわったり退学を余儀なくされる事態を免れました。私も、ある私立の高等学校に通う女子高校生の話をお伺いしましたけれども、家庭が、御両親が被災をされて仕事を失いかけた、非常に気に入った仲のいい友達もたくさんいる私立の学校だったけれども、授業料が高過ぎるのでこのままだったら公立高校にかわらなければならない、先生、つらいと言われたそうですが、学校の側でも頑張られて、そして国のこういう制度ができて、今ももとの私立の学校に行けているという状況もお聞きしました。非常にいい制度だというふうに思います。  これも、まだ被災地の置かれている実態、失業の問題も先ほどありましたように完全に事態が好転しているというわけではございません。ですから、やはり私学の授業料減免の措置を来年度も継続して、ぜひこういう生徒学生の皆さんの希望にこたえる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  41. 樋口修資

    説明員(樋口修資君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、今回の震災によりまして被災いたしました学生生徒の方々を対象といたしました授業料等の減免事業に対する支援措置につきましては、平成七年度の補正予算におきまして、大学につきましては三十八億四千万円、高校等につきましては十億八千万円余の合計四十九億二千万円の補正予算を講じさせていただきまして、これら学生生徒諸君の修学上の負担の軽減に努めたところでございます。  この措置は、被災学生生徒等の修学上の負担軽減を図るための七年度限りの緊急かつ臨時的な措置として講じさせていただいたところでございまして、国の支援措置の継続についてはなかなか困難であると考えておるところでございますが、今回の震災に伴いまして日本育英会において奨学金を貸与できるような措置を講じました学生生徒等に対しましては、八年度も引き続き事業を継続することといたしておりまして、これらによりまして被災生徒学生諸君の修学上の負担軽減に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  42. 山下芳生

    ○山下芳生君 打ち切るということなんですけれども、奨学金で、育英会で対応するという御答弁ですが、これは実態は、これまでやられていた育英会の奨学金の震災の枠を、昨年は四十億の枠があった、それを今度来年度は三十億にしようというお話だというふうに私は聞きました。これは奨学金ですから返さなければなりません。しかも、その総枠は減っているわけですね。全体で申しますと、授業料の免除を受けていた学生が打ち切られる、その分を今お答えのあった育英会の奨学金でカバーできるかというと、そうではない仕組みになっているというふうに私は理解しております。これはそうじゃないんですか。
  43. 樋口修資

    説明員(樋口修資君) 確かに授業料の減免措置と育英奨学の制度はそれぞれ別個の制度でございますので、重なり合う分もございますが、制度の趣旨としては違うわけでございます。  ただ、補足的に御説明申し上げますと、特に高校以下の授業料減免については、基本的にはこれは設置者たる学校法人がそういう事業を展開するかどうか、それに対してこれは所轄庁でございます都道府県においてそれに対応した支援措置が講じられるかどうかでございます。七年度におきましては国として特段の措置を講じさせていただいたところでございます。  八年度以降、関係府県、特に兵庫県等におきましても、授業料軽減補助制度が各県でございます。兵庫県でもございますが、この授業料軽減措置の補助制度をさらに充実されまして、この補助制度の中で震災の影響で所得が低下する生徒についてもこういう授業料軽減補助を措置するということになっておりまして、関係府県においてこれらの制度の中で適切に対応されるとお聞きしておりますので、私どもといたしましても、関係府県に対しまして、そのような配慮がなされるよう今後とも必要な指導を行ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  44. 山下芳生

    ○山下芳生君 残念ながら、地元被災自治体でも公立の学校に対する免除の措置はもうことしの三月で終わるということも言われております。ですから、自治体に期待するんじゃなくて、やはり私は、被災地の本当に復興の未来を担う青年学生たちのこういう状況をそのまま放置して、本当に復興に未来はあるのかというふうに思うわけです。ぜひこれはもう一度実態をしっかりと見詰めて、カバーできない事態が生じかねない危惧を私は持っております。そこはぜひ対応すべきだというふうに思うんです。  一例を挙げますと、今学生の皆さんの下宿が、非常に下宿代が上がっております。かつて一万円、二万円ぐらいで入っていた下宿が震災でつぶれて、三万円でももうない、大体五万円台の家賃が学生の下宿の半数を占めるという声も聞きます。そうなりますと、その分またアルバイト、そして生活を切り詰めて、そして学費免除措置がなくなると、これはどうしても残念ながら学問の道を断念せざるを得ない状況が生まれてこざるを得ない心配がある。ですから私は、それでは本当に復興の未来を担うそういう力強い担い手を支援していくということに逆行するんじゃないかというふうに思うわけです。  ぜひ、これは文部省任せにするんじゃなくて、震災復興担当大臣として、青年学生の復興の未来の担い手の実情もしっかりとおつかみいただいて対応していただくよう要望して、質問を終わります。
  45. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五分散会