運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-01 第136回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月二十九日     辞任        補欠選任      山下 栄一君     横尾 和伸君      吉川 春子君     山下 芳生君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 佐藤 静雄君                 陣内 孝雄君                 北澤 俊美君                 渡辺 四郎君     委 員                 岩井 國臣君                 釜本 邦茂君                 鎌田 要人君                 竹山  裕君                 依田 智治君                 市川 一朗君                 田浦  直君                 戸田 邦司君                 長谷川道郎君                 横尾 和伸君                 村沢  牧君                 山下 芳生君                 本岡 昭次君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        国土庁地方振興        局長       岩崎 忠夫君        国土庁防災局長  村瀬 興一君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        運輸省鉄道局施        設課長      白取 健治君        建設省河川局治        水課長      土屋  進君        建設省河川局砂        防部砂防課長   田畑 茂清君        建設省道路局企        画課道路経済調        査室長      藤本 貴也君        建設省道路局企        画課道路防災対        策室長      馬場 直俊君        建設省住宅局住        宅整備課長    山中 保教君        自治大臣官房参        事官       原  正之君        自治省財政局地        方債課長     瀧野 欣彌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (阪神淡路大震災復旧復興対策に関する件  )  (一般国道二二九号豊浜トンネル崩落事故対策  に関する件)  (雲仙・普賢岳火山災害対策に関する件)     —————————————
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二月二十九日、山下栄一君及び吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として横尾和伸君及び山下芳生君が選任されました。     —————————————
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 おはようございます。自由民主党釜本邦茂でございます。私に与えられた時間の中で三点ほど質問させていただきます。  まず、先日の災害対策特別委員会におきまして、積丹半島豊浜トンネルで起こった事故で犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げたところでありましたが、そのことが自然災害であったとか人災であったとかの議論は別といたしまして、昨年の阪神淡路大震災を振り返り、人の命を奪うような災害のないことを日々願っていた一人であります。しかし、災害はいっどこでどのような形で起こるかわからないという現実を改めて認識させられました。  先般の大臣所信の中にも、それらの体験を踏まえて災害対策充実強化を図っておられること、また復旧復興、予防に対する予算措置もしっかり配慮されていることを予算案の中で感じさせていただきました。この点については一日も早い成立を心から願う次第であります。  さて、予算案となると住専問題だけがクローズアップされ、このことも大切であることは十分承知しておりますが、時には六千八百五十億円もあれば復旧復興はすぐできるのにという安易な見解を発表される方もおられます。しかし、そんな簡単なことではないと思います。  そこで、大臣所信で述べられた「阪神淡路地域復興対策の推進につきましては、同地域の一日も早い復興に向けて、今後とも地元地方公共団体との緊密な連携のもと、復興関連施策の円滑かつ着実な実施政府一体となって全力で取り組んでまいります。」との御意見でございます。災害のあったそのときだけすぐ飛んでいくということではなく、むしろその後の取り組みの姿勢が大事だと思います。  現在、政府国土庁はどのように対応されているのか、ここでPRを兼ねて声を大きくして御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  5. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 大変国土庁に御激励をいただきまして、ありがとうございます。  政府といたしましては、阪神淡路地域復興につきましては、これまでも地元との緊密な連携のもとに各般の復興施策の円滑な、そして着実な実施を図ってきたと考えているところでございます。地震発生から一年が経過いたしまして、被災地は本格的な復興段階を迎えておりますが、復興については長期にわたる事業でございますので、今後、地元との一層緊密な連絡体制を確立していく必要があると存じているところでございます。  そのため、政府といたしましては、総理及び官房長官からの御指示がございまして、復興委員会が解散をしたということのために地元では何か遠く忘れられたというような印象を持っている方々が多いと聞いておりますので、そうじゃないんだよということを確実あらしめるために、どちらかというと現地から東京に来てもらって今までは話をするのが多かったんですが、省庁皆さん陳情で回られる時間帯のことなどもございますし、それではちょっといかがなものかというような御指示もございました。  先般、二月二十八日でございますが、復興本部事務局長及び内閣内政審議室長初め各省庁の幹部が出かけてまいりまして、知事さんそれから市長さん、関係どころという方々十分話し合いをいたしまして、これから継続的に現地との協議を進めていこうということが確認されまして、第二回もいつやるのか、早目にやろうじゃないかと。  それからもう一つは、やはり復興対策本部現地知事さんと市長さんもおいでいただいて生の声を聞くことが大切だろう、こういうことにかんがみまして、現在その対応に対処しているところでございます。  いずれにいたしましても、できる限り被災地の生の声を直接聞いて、復興に向けての政府取り組みを充実してまいりたいと、こういう決意でございます。
  6. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございます。  前回の私が質問させていただきましたときに、阪神間の道路網等ということにつきまして、おっしゃっておられました道路も二月の終わりに開通したということで着実に進んでいるというようにお聞きしておりますし、またそういった実態も私は住居があちらの方でございますのでよく知っております。そういう意味で、まだまだ阪神間の道路等につきましても渋滞が非常にたくさんあるということで、一日も早く復旧復興していただきたいとお願いするわけでございます。  私自身常々思うに、今何が起こっているのかということに関しまして、テレビにいたしましても新聞にいたしましても本当に一点のことのみ集中して取り上げていくというような中で、災害時の報道についてお聞きしたいと、かように思います。  阪神大震災のとき、また今回の豊浜トンネル事故でも見られましたように、我々が一体どうなっているのか、またその実態を知りたいという知る権利も持っておりますし、また報道する側にとりましては報道する自由というものを持っているという中で、問題はその報道やり方、知らせ方の問題があるというぐあいに私は思います。  私自身も一昨年までJリーグの弱いガンバ大阪の監督をしておりました。連戦連敗というようなことが続きますと、報道陣が押しかけてきて一体どうなっているのかと選手にあれこれ聞く。そういった中で、次の日の新聞を見ますと、チーム内が大変混乱しているだとか、ある意味じゃ監督批判だとかフロント批判だとかというような問題が大きく新聞の記事の見出しになって出てくるということで、選手監督批判をしたのかとかフロント批判をしたのかというようなことを聞きますと、いや私はそんなことは言っていませんと。  選手の名前が名指しで出てくるわけですね。そして、書いたどこどこスポーツ何とかというところのその担当の記者に聞きましても、いや私はそんなことは書いていない、これはデスクが勝手に書いたことでしてというような答えが返ってくる。今のそういった新聞だとか、特にスポーツ新聞なんかはそうだというぐあいに思ったりもするわけなんですけれども、やはり売れればいいというようなそういう風潮があって、チームがどうだとかというようなことには余り関知しないというような傾向が非常に強いんじゃないかというぐあいに思うわけです。  災害というようなときに、現場に本当に命がけで救生活動の作業をされている方々がおられる。そういった方々の近くにレポーターの人が押しかけていって、何か芸能人が結婚だとか離婚だとか、またある意味じゃ不倫会見というようなことと同じように、ああでもないこうでもないというようなことを言っているみたいに感じるわけでございます。そういった事の重大性がわかっているのかということを非常に疑問に感じるんです。報道の自由ということは非常によくわかるんですけれども、そういったときに何かもっとよい報道あり方がないのかということを思うわけです。  その辺のところを大臣は、今回の豊浜トンネル事故のああいったものをテレビで見られてどういうぐあいにお感じになったというところをお聞きしたいなと思うわけでございます。
  7. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 報道の問題というのは非常に私は難しい問題だと基本的に思います。  つまり、報道の自由というのがございますし、それから、それぞれ社の方針もあることでしょう。けれども、私どもが考えるには、まず地震とか災害が発生した場合は、被災者とそれから被災地の住民、それから国民皆さんに正確な情報を速やかに伝達するということが私は広報活動の極めて重要な基本的な認識でなきゃならぬと思っています。  具体的には、被害者方々国民皆さんに対して、まず一つ被害規模などの状況、それから二つ目には二次災害危険性というような情報、そして被災地の人々の安否に関する情報、こういうものを的確に知らせなきゃなりませんし、同時に加えて、ライフラインや交通事情の問題、そして行政がとっているさまざまな施策に関する情報、こういうものを早目にお伝えすることが事故災害のときに一番大切じゃないかと思っています。同時に、広報活動というのは我々行政だけではとても皆さんにお知らせするほどのことがございませんから、放送事業者とか通信社とか新聞社報道機関協力はどうしても得なきゃならぬことだと思います。  ただ、先生指摘のような、こういうことを言っていいかどうか知りませんけれども興味本位みたいなことでの取材活動ということに関しては、必ずしも的確というか、それを欠いているような私は感覚を持っておるものですから、それはそれなりに関係どころとまた話をしながら、報道関係者ともよく協力関係を結びながら、先生指摘のような問題も含めてお話をし合っていきたいと思っております。
  8. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございました。  先日の新聞によりますと、この七月に復興宝くじ発売されるということをお聞きしました。自治省は、当初、新年度には復興宝くじを発行する予定はなかったようでございますが、橋本総理の意向を受け、倉田自治大臣のもと自治省全国自治宝くじ事務協議会検討した結果、七月に復興協賛宝くじを発行するということに相なったわけでございます。今宝くじ売り上げが伸び悩んでいるというときでございますが、すばらしい決断に敬意を表し、国民の皆様の御協力を願い、その協力売り上げ収益金によって一日も早い復興計画ができるようにと思っている次第でございます。  どういった内容でその復興宝くじ発売されるのか、お聞き及ぶところで結構でございますが、お聞きしたいわけでございます。
  9. 瀧野欣彌

    説明員瀧野欣彌君) 阪神淡路大震災復興のための宝くじにつきましては、平成七年度におきましても復興宝くじということで実施したわけでございます。平成八年度におきましては、ただいまも御指摘がありましたけれども、当初は予定していなかったわけでございますけれども総理の御指示というようなこともございまして、阪神淡路大震災復興協賛宝くじということで八年度におきましても引き続き復興協力していきたいというふうに考えております。  その骨子を申し上げますと、発売の期間といたしましては平成八年の七月二日から十一日までの十日間でございます。発売額は、既に発売計画というのは昨年の年末に決まっておったわけでございますけれども、当初予定しておりました百五十億円、これは通常のくじでございますけれども、それに復興分を百億円上乗せするという形で発売いたしたいというふうに考えております。この上乗せいたしました百億円からそれぞれ買われた方に当たり金の配当をするわけでございますけれども、そういったものを除きますと、収益といたしましては四十五億円程度が見込まれております。これを全国発売団体都道府県政令指定都市でございますけれども、それぞれの御協力を得まして阪神淡路大震災復興対策に役立てていただくというふうに考えております。  それから、ただいま御指摘もありましたように、宝くじの売れ行きが必ずしも芳しくないという状況の中で販売対策のための魅力のアップということも必要であろうということで、今回初めて五百円くじというものでこれを発売していきたい。それによりまして、前後賞がなくても一等賞が一億円という賞金になるということでございます。例えて申しますと、現在三百円くじというのがありますけれども、それに二百円乗せるわけでございまして、五百円にいたしまして買っていただきますと、そのうち二百円分が阪神淡路復興に使っていただけると、そういうような感じでございます。  今後、この考え方によります発売につきまして、発売主体が四十七都道府県、十二政令指定都市でございますので、そちらの方で構成しております全国自治宝くじ事務協議会というのがございますので、そこで正式な決定を行いますなど、発売に向けまして所要の手続を進めていきたいというふうに考えております。
  10. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 私も宝くじのところには余り協力は今までしていなくて、一年に一回、年末のジャンボ宝くじだけお正月の夢をかけてやったわけなんです。今まで一度たりとも当たったことはないわけですけれども、当然私も、今回、一等一億円の夢をかけて御協力させていただきたいと、かように思います。  最後に、本当に被災者に対する思いやりを、国でやり得る最大限の努力を引き続きやっていただきたいということを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  11. 岩井國臣

    岩井國臣君 自由民主党岩井國臣でございます。  まず最初に、このたびの北海道古平町の事故につきましてお尋ねしたいと思います。  今私は古平町の事故と申しましたけれども、あれは事故なんでしょうか災害なんでしょうか。やや専門的な質問で恐縮でございますけれども、本日はその辺の問題から質問を始めたいと思います。  二十八日の大臣所信表明の中には事故災害という言葉が出てきておりますね。事故災害事故災害と、法律用語としてそれらはどう違うのか。あれは事故災害かわからないから事故災害なんて妙な言葉をお使いになっておられるのではないと思いますけれども、そんな勘ぐりもしたくなるわけですが、まさか大国土庁事故災害かわからないというようなことはないですよね。  なぜ私が重箱の隅をつつくようなことを言うかと申しますと、言うまでもなく法律用語というのはあいまいであるはずがない。法律用語があいまいであっては責任というものもあいまいにならざるを得ない。責任があいまいであれば当然危機管理あり方というものもあいまいにならざるを得ない。そんなことを考えながら、今、私はあれが事故なのか災害なのかということを問題にしているわけでございます。私は、あれはやっぱり災害ではないのか、そう思うのでございます。法律用語で言えば災害定義ははっきりしているわけでございまして、あれはやっぱり災害ではないでしょうか。  そこで、質問でございますが、法律用語といたしまして、国土庁事故災害事故災害、この三つの言葉をどう使い分けておられるのでしょうかと、そういうことでございます。
  12. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 災害対策基本法第二条におきまして災害定義の規定がございますが、そこでは災害は「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」としておりまして、今申し上げましたその「政令で定める原因」といたしましては「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模事故」と規定しておるところでございます。したがいまして、旅客列車の衝突・転覆事故、航空機の墜落事故などによりまして甚大な被害が生じた場合には、災害対策基本法に規定しております災害に該当するというふうに考えております。  ただ、自然災害と区別して議論した方が便宜な場合もございますので、自然災害と区別する意味事故災害というふうに言ったわけでございます。
  13. 岩井國臣

    岩井國臣君 自然災害と区別するということにつきまして私は異議がございます。あれは自然災害そのものではなかろうか、こう思っておりますが、それはちょっと横へ置きます。  さて、国土庁長官はさきの所信表明で、必要に応じ防災基本計画の見直しを行い、また、事故災害対策編作成検討を行うという旨の決意を述べておられるわけでございます。私は、必要に応じとか検討を行うというのがちょっと気に食わないわけでございます。  今回の事故、私流に言いますと災害ですけれども、一般的に事故と言われておりますので事故という言葉を使いますけれども、あれは災害だと。今回の事故にかんがみまして、なぜ防災基本計画事故対策編を作成するとすっきりした言い方ができないのか、こういうことでございます。必要に応じとはどんな場合なのか、また、検討を行うとはどんな検討を行うのか、その辺をお伺いしたいわけでございます。
  14. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 先生がおっしゃっている部分表現がちょっとわかりにくい表現であったかと思いますが、必要に応じ検討という部分は、昨年の七月に災害対策基本法に基づく防災基本計画地震等自然災害について抜本的な改定を行いました。そういった改定を行いましたが、不断に必要に応じて見直しながら必要な場合には改定をしなきゃいかぬということを前段の部分で言っておりまして、事故災害につきましては、ことしの二月から防災基本計画専門委員会というのを自然災害のときに設けておりましたけれども、その委員方々にそれぞれ専門委員を追加いたしまして事故災害対策について検討を始めておるところでございます。  したがいまして、そういった専門委員会での検討を踏まえまして、ことしの五月ごろには中央防災会議でできれば決定をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
  15. 岩井國臣

    岩井國臣君 今回り事故にかんがみまして、ぜひそういった対策編というものをおつくりいただきたいと、こう思うわけでございます。  さて、これは建設委員会でも取り上げさせていただきました問題でございますが、危機管理に当たりましての責任の問題でございます。今回のような事故の場合、人命救助まで含めた事故処理全体の責任というものはそもそもだれにあるのか、こういうことでございます。市町村長にあるのかどうか、都道府県知事にあるのかどうか、それとも施設の管理者である国にあるのかどうか、あるいはその辺がはっきりしていないということなのかどうか。  私には、現行法律のもとでどうもその辺の責任がはっきりしていないのじゃなかろうかなと、そんなふうに思えてならないのでございますが、もしそうだとすれば、それは政府だけの問題でもなくて、我々国会、立法府の怠慢でもあるわけでございます。そんな気もするのでございますが、それはちょっとさておきまして、危機管理体制という面で今回の事故処理やり方を考えた場合に、そこに一つの盲点があったのではなかろうかと、私にはそう思えてならないのでございます。  そこで、国土庁にお聞きしたいわけでございますが、今回のような事故を念頭に置いた場合、危機管理責任ということにつきまして、現在のところで結構でございますが、どのようにお考えになっているのでございましょうか。
  16. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 今回のトンネル崩落事故につきましては、私どもといたしましても、建設省それから北海道開発庁、消防庁、警察庁等関係省庁連携いたしまして情報収集を行ったところでございますが、事故態様を見ますと、先生御承知のとおり、被害の及ぶ範囲が道路、あるいは道路利用者であったバスの乗客、あるいは乗用車を運転されていた方々にとどまっている。それから救助活動を進める上での最大の問題が、二次災害を防止しながらバス等の上に載っておりました岩盤、土砂を迅速に排除しなきゃいかぬというふうな状況であったと思います。  そういう状況でございましたので、道路管理指揮監督を行います建設省、それから道路管理者である北海道開発局事故対策本部が設置されまして、それらが中心となって現地において専門的な対応を行うということが体制としては適切であったのではないかというふうに考えております。  このように、事故によって、どういう機関がやったらその全体の対策が一番効率的にいくかというようなことを考える必要があるかと思いますが、先ほど申し上げました事故対策編を現在、関係省庁あるいは専門委員会の場で検討していただいておりますので、自然災害とは若干違う面もあろうかと思いますので、それぞれの態様に応じてどういった対策というか体制をとったら一番効率的かというようなことにつきましては、検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に、建設省にお尋ねします。  今回の緊急点検対象となるトンネルでございますけれども、どういう選定の基準で対象となるトンネルをお決めになったのでございましょうか。地形条件のほか、地質条件というふうなものも考慮されているのかどうか。  それから箇所数でございます。箇所数全国でどれぐらいになるのか。大ざっぱに言いまして全国で数十カ所ぐらいになるんでしょうか、それとも数百カ所ぐらいになるのでございましょうか、その辺をお聞きしたいわけでございます。
  18. 馬場直俊

    説明員馬場直俊君) お答えいたします。  今回の豊浜トンネル崩落事故重大性にかんがみまして、二月十三日付で全国道路管理者に対して、トンネル坑口部及び落石覆工、いわゆるロックシェッドでございますけれども、こういったものが設置されている箇所ののり面、斜面について緊急点検指示したところでございます。  この緊急点検におきましては、今回の崩落事故発生地点と同様の地形条件、すなわち海岸線などに多く見られますような岩盤が露出しており崖壁の高さの高いもの、大体十五メーター以上ということを想定しておりますけれども、こういったものを対象に、開口亀裂の規模、岩盤の亀裂状況、のり面、斜面の形、岩壁の高さ、凍結融解、湧水の有無、それからトンネル坑口部や落石覆工の状況、こういったものを点検いたしまして、先生おっしゃいましたように、地質条件もよく見る必要があるということから、専門家の参画も得ながら実施することとしておりまして、既に実施している箇所もございます。  箇所数についてでございますけれども全国トンネル及び落石覆工というものは合計で約八千を超えている数を数えておりますけれども、そのうち約千数百カ所が対象になるのではないかというふうに考えております。
  19. 岩井國臣

    岩井國臣君 大変な箇所数でございます。大変だとは思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次にお聞きしたいのは、措置の問題でございます。緊急点検の結果、必要に応じて講ずることとされております措置、いわば対策についてでございます。全国総点検の結果、どういう対策を講ずるのかということでございます。  全国レベルにおきます対策の内容につきましては、今実施中の原因究明の調査全国総点検が終わらないと何とも言えないというふうなことかと思いますが、基本的な考え方みたいなものをお聞きしたいわけでございます。  今回のような極めてまれにしか起こらない、これは私、自然現象と、こう思っておるんですけれども、まれにしか起こらない自然現象につきましては、どこまで対策をやるべきなのか、その辺は管理瑕疵の問題とも絡みまして大変難しい問題ではないかと思います。設計外力をどこまでとるのか。どんな災害が起こっても絶対的な安全性というものを追求していくのか。それともあるレベルでの安全性というものを確保すればいいというふうに考えるのか。私は、河川というような自然公物はもちろんのことでございますが、道路のような人工公物でありましても自然災害に対し絶対的な安全性というものは求むべくもないと、そのように思っておりますが、そういった安全性につきましての基本的な考え方みたいなものを伺いたいわけでございます。
  20. 馬場直俊

    説明員馬場直俊君) お答えいたします。  ただいま実施中の緊急点検につきましては、専門家の判断も含めまして当該箇所の今後の対応方針を定めるように各道路管理者に指導しておりまして、対応方針といたしましては、対応を必要としない、それから重点的な観察の継続、詳細な調査実施対策を必要とする、つまり具体的な対策工法について検討する、こういった四つの段階を設けてございます。  こうした点検結果に基づきました対応方針を踏まえまして、平成八年度より、のり枠工、アンカー工、除去工等の具体的な措置を講じていくこととしておりますけれども、厳しい自然条件下にある路線に係る防災対策事業につきまして、平成八年度予算の範囲内において所要額を増額し、今回の緊急点検結果を踏まえた新たな対策等の実施、それから観測装置等の研究開発の充実を図るなど、安全性向上に取り組む考えでございます。  以上でございます。
  21. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に、阪神淡路大震災復興に関しての質問でございます。  先般、須藤災害対策委員長のもとに、委員会の方で現地視察いただいたわけでございますけれども、私は参議院建設委員会にも所属しておりますので、そちらの方で二月二日に現地調査に行ってまいりました。あの未曾有の大震災から一年が過ぎまして、私の見たところ神戸では、兵庫県、神戸市御当局の大変な御努力と、そしてまた国土庁を初めといたします政府の力強い支援によって日増しに明るさを取り戻しつつあるように感じました。しかし、政府の理解と協力がなければ多分解決しないであろう問題もまことに多いのでございます。  そこで、さきの建設委員会で私はインフラ整備、あるいは復興特定事業といった問題に焦点を絞りまして質問させていただきましたので、本日は恒久住宅の問題につきまして質問させていただきたいと思います。  被災者の大変多くの方々が仮設住宅その他でまことに不自由な生活をしておられるわけでございまして、そういった現状を思いますときに、兵庫県の「ひょうご住宅復興三カ年計画」、あれに基づきまして公営住宅、復興住宅等の建設をともかく着実に進めていくということがまず基本であるわけでございます。そして、適正な家賃対策を講ずることによりまして、それら住宅への入居というものがともかく円滑に進むということが肝要ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。  被災者の中には、従前、文化住宅といいますか、極めて狭い住宅に一万円かそこらの極めて安い家賃でやっておられたという方もおられるわけでございます。公営住宅でも最低三万五千円という家賃でございますから、そういう方々は公営住宅にも入れないと、こういうことでございます。また、ほとんど収入がなくて生活保護がもらいたいんだけれども、猫の額ほどの土地かもわかりませんがともかく自分の土地があるということで、これは当然生活保護がもらえないわけであります。もちろん家は壊れているんです。そういうことで、そういった方々も生活保護がもらえないから公営住宅でさえ入居が難しいと、こういうことでございました。さて、どうすればいいでしょうか。  家賃にかかわる問題につきましては、ただ単に住宅政策だけではなくて、福祉政策その他の政策とあわせまして、ともかく総合的な対策が必要になっておるかと思います。そこで、家賃にかかわる総合的な対策につきまして、基本的な考え方というものをまず国土庁にお伺いしたいと思います。  続きまして、建設省に対しましては、恒久住宅の建設につきまして、その現状とそれから今後の見通しをお伺いしたいと思います。その際、規制緩和をして輸入住宅をどんどん建てればいいじゃないかというそういう意見もございますので、その点も含めてお答えいただきたいと思います。  それから同時に、建設省には家賃問題につきまして、公営住宅の家賃がもっと安くならないかというそういう声もございますので、その点もあわせてお伺いしたいと思うわけでございます。ひとつよろしくお願いいたします。
  22. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答え申し上げます。  仮設住宅から恒久的な住宅へのスムーズな移行を図りますことは、被災者の生活再建といった観点から最も私どもも重要な施策だと考えております。そのためにも、まずは公的供給住宅の建設を急ぐ必要があると考えておりますし、同時に家賃対策を初めといたしました総合的な対策が必要であるというぐあいに認識をしております。  特に、中でも公的供給住宅の供給におきましては、現在、仮設住宅等におられる方々実態とニーズを十分踏まえた供給を的確に進めることが必要であると、このように考えておりまして、供給される住宅の種類、場所、タイプ、家賃、こういったことに関しまして、需要者側とのいわゆるミスマッチが大きく生じないようにできる限りの対応をする必要があると考えております。このため、現在、私どもでは兵庫県に対しまして、仮設住宅等におられる方々のニーズについてのできる限りきめ細かい調査をお願いしているところでございまして、こうした調査結果を踏まえまして、ミスマッチへの対応をきちんとすることによりまして家賃問題を初めとしてかなりの程度対応が可能になってくると、かように考えております。  しかしながら、公営住宅等につきましては、現在、建設省におきまして各種の特別措置の適用によりまして家賃の低廉化に大変努めていただいているところでございますけれども、それでもなお御指摘のように家賃負担が重いような高齢あるいは低所得の方々がいらっしゃる、こういう指摘がございますので、それに対しまして何らかの工夫ができないか、これを検討することが必要だと考えております。  今後私どもといたしましては、関係省庁あるいは地元とよく相談をしまして、真剣に検討してまいりたいと考えております。
  23. 山中保教

    説明員(山中保教君) まず、恒久住宅の建設の状況と今後の見通しでございますけれども、兵庫県の住宅復興三カ年計画に基づきまして三年間に十一万戸建設する、こういうことになってございます。特に、このうち先生の御指摘がございました公営住宅あるいは公団住宅等の公的賃貸住宅は五万四千戸を計画いたしております。  昨日までの進捗状況でございますが、用地確保、見込みのものも含めまして大体めどがつきましたのが三万二千六百戸、約六割でございます。それから、着工をもう既にいたしましたものが九千四亘戸ございます。それから、年度末までに着工が見込まれるものが大体一万五千戸ございます。  公的賃貸住宅の供給といたしましては、これらの新規建設に加えまして、震災前にもう既に着工したものがございまして、そういうものが約七千戸ございます。それからさらに、既存の空き家というものが発生してまいります。そういうものが大体見込みで年間数千戸ぐらい発生するのではないかというふうに見込んでおりますが、さらに次年度以降の新規の着工といったものがどういうぐあいになるかというふうな見通しも現在その作業を行っておりまして、これらを踏まえました総合的な供給のプログラムとでも言うべきものを今鋭意作業中でございます。  募集につきましては、昨年の十一月に新築のものあるいは既存の空き家のものを合わせまして六千百戸余りの第一回の募集を行っておりますし、今後とも入居時期が固まったものから順次募集を行っていきたいと、こういう段取りを考えてございます。  それから、輸入住宅の導入の促進でございますけれども、住民の方丈の多様な住宅のニーズに対応するとか、あるいは住宅建設コストの低減化とか、あるいは国際協調といった観点からも輸入住宅の活用というふうなことは大変重要だというふうに思っております。  そこで、国と県が支援をいたしまして、ひょうご輸入住宅総合センターという輸入住宅の展示場とインフォメーションセンターを備えたようなセンターを設置いたしまして、輸入住宅の活用に努めております。それからまた、今後建設される公的な供給住宅におきましてもその活用ができないかを検討いたしているところでございます。今後ともこれらの輸入住宅の促進のためのいろんなことに積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、公営住宅の家賃の低廉化の方策でございますが、先ほど国土庁の方からも御答弁ございましたように、私どもが激甚法に基づきます補助率のかさ上げ等々いろんなことを講じまして、規模で申しますと大体四十平方メートルぐらいの高齢者向けの住宅、民間でございますと大体十万円ぐらいのものが三万円ぐらいまでは低廉化できている。そこまでは私たちも一生懸命やってきているのでございますが、先日総理から、私どもも含めました関係省庁に対しましても、このくらいの家賃であってもまだなお負担が重いという方々がおられるんじゃないかというふうなことで、これらの方々に対して何か工夫ができないかという御指示もございました。  それからまた一方、先ほども国土庁からございましたように、兵庫県で実態調査をやっておられるようでございますので、これらの調査の結果も踏まえました上で関係省庁と十分相談をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に移りますが、既に兵庫県から要望が出ておりまして、国土庁でもそれなりの検討が進んでいると思いますけれども、念のために新しい住宅地震共済制度ということにつきまして質問させていただきたいと思います。  現行の地震保険制度でございますが、保険料が高いということで加入者が極めて少ない。先般ある一定の改正が行われましたが、それでもやはり高い。ここに基本的な問題があるわけでございます。そういうことで、神戸といいますか兵庫県の場合、目下四十万にも及ぶ世帯の住宅再建が課題になっているわけでございます。  阪神淡路大震災では、義援金が千七百三十億円も集まった。大変な額ではあるんですが、北海道南西沖地震で二百五十九億円、雲仙・普賢岳噴火災害では二百三十三億円、そういったものと比べますと、なるほど絶対額では確かに大きい。しかし、一人当たりで見るとけた違いに小さいわけでございます。北海道南西沖地震や雲仙・普賢岳噴火災害では一人当たり一千万円を超えているのに、阪神淡路の場合は四十万円にしかならないと、こういうことでございまして、これではどうにもならない。せっかくの義援金ですから、多くの方々の善意というものを無にしないためにも、この際、国として何か考えなければならないのではなかろうか。  そこで、兵庫県の提案しておられます新しい住宅地震共済制度というものにつきまして、まずは政府のお考えをお尋ねしておきたいと思います。国土庁、いかがでしょうか。
  25. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えを申し上げます。  兵庫県が提案されております新しい構想につきましては、今回の被災体験を踏まえました一つの大変貴重な御提案であるというぐあいに受けとめております。しかしながら、その内容を拝見させていただきますと、幾つかの問題があることも事実でございます。  まず第一に、県の御提案では、すべての住宅所有者などを強制加入ということにしておりますけれども、このような負担増を多くの国民方々が受け入れるということにつきましてコンセンサスが得られるかどうかという問題が一点ございます。  それから第二点でございますが、現行の地震保険は基本的に損保会社の利潤を認めないで、可能な限りかなり低い料率を提示しているということになっておりますけれども、兵庫県の提案したシステムではこの料率よりもはるかに低い負担で機能するということになっております。本当にこうした仕組みで可能なのかということを検証する必要があるというぐあいに考えております。  それから第三点でございますが、現在の兵庫県の案では、阪神淡路大震災被災者への遡及適用ということをお考えのようでございますけれども、この点につきましては掛金を支払わなかった方へ共済金を支払うということになりますので、この点につきまして理解が得られるかといった問題がございます。  このほかにも幾つかの問題がございますけれども、いずれにいたしましてもこの御提案につきましては、阪神淡路地域復興だけではなくて、全国的な観点も含めました中長期的な視点に立った慎重な検討が必要であると、かように考えております。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 さて、大臣、いかがでございましょうか。今私は当面の重要案件でございます住宅問題に焦点を絞って質問させていただきましたが、先ほどの釜本先生の提起されました問題も含めましていろいろと問題が山積しておると、こういう状況でございます。  ただいま取り上げました共済制度のように、直ちには県の要望に沿いかねるというふうな問題も当然あるのでございますけれども、私といたしましては、やっぱり懸命に努力しておられます兵庫県とか神戸市などの要望にはできるだけこたえていただきたいというふうに思うわけでございます。  ところで、大臣にはさきの災害対策特別委員会で、阪神淡路大震災復興については政府一体となって全力で取り組むと、そういう旨の決意表明をしていただいたわけでございます。今までの釜本先生と私の質疑をお聞きいただきまして、そういった具体的な問題について大臣としてどう取り組んでいかれるのか、抽象論ではなく、具体的に決意のほどを伺わせていただければありがたいと思います。
  27. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生御案内のとおり、今まで各委員会で述べてきた政府の態度というのは、現時点では全力を尽くしてやってまいりましたということを申し上げております。つまり、三兆三千八百億円ということは事業費ベースで八兆円ぐらいになりましょうか、そういう取り組みと、十六本の特別措置法をつくった。特に今度は特段の地方財政措置もとったというようなことで、現時点ではやれることだけはやっております。  けれども、現在の地元状況というものを、それぞれの議員さんなり政府が出かけていってもいろんなお話を承っているわけであります。したがって、今日までの状況の点検、それからもう一つは何か忘れたことはないのかというような問題であるとか、充実が不十分じゃないかというような問題意識を持ちながら、これからはいよいよ復興の段階に入りますから、復興の段階ということになりますと、復興委員会から提起されている特別事業というのもございます。つまり、生活の再建の問題と、それから経済の復興の問題と、それから安心なまちづくりというのが、これは復興委員会から特別事業としてしっかりやれというお話なんですね。  そこで、生活の再建の方は今議論になっている住宅が中心なのでございます。したがいまして、住宅につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、抽象的な状況だけの報告では対応が非常に難しいものですから、これは建設省さんや神戸市にお願いをして実情調査というものを今やっているわけです。ところが、話を聞くと、この実情調査というのは大変のようでございますね。それぞれ個人の生活がありますから、言っていいことと言って悪いこともあるみたいで、なかなか本態というところがつかめないというような実情があるようでございます。  けれども、一番大切なことは、自立してやっていただきたいということを援助しアドバイスするということを基本に置きながら、どうにもならない人をどうするんだということでございますから、ここのところにやはり知恵を絞ってやってもらう。じゃ、知恵を絞るということはどういうことなのかということになれば、現地からも具体的な意見を聞く必要があるだろうと。  それで、今、国の金を入れられないのかということをよく聞くんですが、これは行政としてはやるだけのことをやっておりますから、補完する事業として今基金のような問題があるわけですね。だから、今行政としてやったもの以外にやる補完というのは、直接個人補償みたいにつながることはちょっと難しいですよと。したがって、県はまたどういうことを具体的に考えているのかというような、復興基金の問題も含めながらこれから話を詰めていきたいというように思っています。  具体的には、先ほども申し上げましたが、現地協議をして、今度恐らく四月の初めぐらいになると思いますが、復興に関する具体的な施策、手立て、これを東京で協議しよう。それからその後は、もう一回今度は神戸でやりまして、生活の再建について実情調査が出てきますから、そういうことを受けて次回は東京でやって、その後現地でやりましょうと、こういう話に今なっているところでございます。  さて、そういうところをずっと俯瞰してみますと、私はこれからの対応として三つだけはしっかりやってほしいと言っているんです。つまり、その一つは、国はこれだけ予算を入れた、何を入れたというんですが、予算措置された復興事業というものが円滑着実に実施されているのかという、ここが一つありますね。いわゆる感情とか気分じゃなくて、実態的にこういうものを点検してくれと。それからもう一つは、恒久住宅にスムーズに移行するというんでしょうか、そういう手だてをしっかり指導することが必要だろう。それで、さらに復興委員会から上海長江交易促進プロジェクトみたいなああいう提起がありますから、復興に対してこれからどう取り組むかということを真剣に考えなきゃいかぬだろう。こういうことを指示いたしまして、いずれにいたしましても担当大臣としては、阪神淡路というのは大変な教訓でございますし、またあれだけの被災があるわけですから、全力を尽くして取り組むということにしているところでございます。  橋本総理もそのことについては閣議でも必ず発言があるぐらいでございまして、この内閣としては全力を尽くして取り組む決意でございます。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 大変力強いお話をお聞きいたしまして、安心いたしました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  さて、次に、災害に強いまちづくりということで、これは阪神淡路だけじゃなくて、全国的な問題として二つほどちょっと質問を用意させていただいたんですけれども、ちょっと時間が中途半端になりますので、これはまた別の機会にということにさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 横尾和伸

    横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  私は、トンネル事故というかトンネル災害というか、両方ニュアンスがあっても結構ですけれども、つい先日の北海道豊浜トンネルの大惨事について、その教訓を生かすという観点からまずお伺いしたいと思うんです。  それは、具体的には今いろいろ、全国に同じようなことがあってはならないという観点から、特に道路を所管している建設省がつい先日、二月十三日付で関係機関都道府県政令市、道路関係公団など、民間の機関に対しても通知を行っていまして、その結果も報告せよということで、十七ページに及ぶ内容ですね、点検対象、点検方法あるいは記入上の留意事項等々を具体的に示された。素人の私が見てもまあまあある程度の全体的な集計というのはこれから行われるのかなという感じを持ちました。それはそれでこれからの努力をしていただくということで結構なんですけれども。  実は、トンネルというのは道路だけではないんですね。鉄道もあるんですけれども、これは鉄道を所管しているのが運輸省ということで、先日、私は二月二十二日の運輸委員会で質問をして、限られた時間の中で話が十分できなかったということもありまして、もう一回ここで質問をさせていただきたいと思うんですが一その際に運輸省が出しているのがたった一枚、これだけなんです。(資料を示す)運輸省が鉄道局長として地方運輸局長あてに、行数にすると五行、中身は「適切な措置を講じるよう管内鉄道事業者を指導されたい。」、報告のことも言っていません。これだけ、一枚。ちなみに先ほどの道路の件については、東京に関係機関それぞれ二、三名の担当者に来ていただいて、東京で説明会も行っています。それに対して、鉄道についてはこれ一枚。  国民の生命、財産を守るという観点からは、鉄道のトンネルなのか道路トンネルなのか、そんなことは余り関係ないんです。トンネルトンネルで、同じような事故が起こったら困る、こういう観点で、国としては縦割り行政的なやり方でいいんだろうか、私はそういう疑問を持っているんです。  そのことをお答えいただく前に運輸省から、なぜこの一枚でいいのか、なぜこんなことで徹底が図られるのか、お伺いしたいと思います。
  30. 白取健治

    説明員(白取健治君) まず、事実関係についてお話をしたいと思います。  先ほどのお話の中で、鉄道局長の通達で、措置をされたいというふうに通達を十三日直ちに出したわけでありますけれども、もちろん三月三十一日までにこの点検を終えてその結果については報告をするということを、実は通達には特に明示はしてございませんけれども、事務的に運輸局を通じまして各鉄道事業者に連絡したところでございまして、今年度中、三月三十一日までにはその点検あるいは調査の結果を報告させるということにしております。  それからもう一点、中身でございますけれども、鉄道につきましては、鉄道事業者はいろいろな法令によりまして、線路の保全でありますとか、そのための巡視あるいは監視、定期点検、これを義務づけられておりまして、日常的に巡回あるいは点検をして現場を常に熟知しておるという状況にございます。今回のトンネル等の緊急点検の方法につきましては、それぞれの線路あるいはトンネルにつきましていろんな状況がございますので、一律ではなくて、個々のケースによって異なるということもありまして、日ごろからそういったことで現場を熟知している鉄道事業者が、今回の崩落事故の視点を加えまして今回さらに点検を行うというのが適切というふうに考えております。  なお、鉄道におきましては昭和五十三年に、当時の国鉄時代にはなりますけれども、社団法人の日本鉄道技術協会というところで学識経験者等を集めまして委員会をつくって、「落石対策の手引」というのをつくっておりまして、これの内容に沿って点検をしてくださいというようなことで我々は鉄道事業者を指導しておるところでございます。この「落石対策の手引」につきましては、百数十ページにわたる内容でございまして、これによって今回点検をしているというのが実態でございます。
  31. 横尾和伸

    横尾和伸君 今言われた理由については運輸委員会でもお聞きしたところなんですけれども、今言われたことの理由は、じゃ道路では徹底されていない、管理も不十分、日常的な点検もしていない、管理のための立派な本もない、そういうふうに聞こえるんですけれども、そんなことはないと思うんですよ。  国民トンネル事故を恐れているんで、同じことがあってはいけないと、鉄道だろうが道路だろうが関係ないんです。それを省庁が違うからだけで、この一枚っぺら、説明会もない、そしてこれはそれなりに今の段階の対応としてはしっかりしている、説明会も持った、全国から集めていると。こういう違いというのは、調整官庁の国土庁、あるいは総理大臣の立場かもしれませんけれども、そういう中で政府として国民に、生命、財産はこのように守っていきますということで、わかりやすく一貫性のある対応が必要ではないかと思うんですけれども、長官のお考えを伺いたいと思います。
  32. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私が最初に思うことは、せめて国土庁長官をやっている間に事故がなきゃいいなとか、災害がなきゃいいなというのが一番実感でございます。  先ほど御質問もございましたが、事故災害おのおのに完全な対応をするということは、言葉では幾らでも言えますけれども、なかなかそこのところは難しい点があると思うんです、正直に申し上げまして。しかし、予知というものに関しては可能な限りやっぱりやっていかなきゃならぬことだと私は思っています。そのときに、各省庁それぞれが努力なさっていることも承知しておりますし、それぞれ事務方の方ではお互いに協議をしながら理解をし情報交換をしているわけでございますから、それはそれなりに尊重していかなきゃならぬことだと思っています。  役所の対応についてそれぞれの対応の違いがあるかもしれませんけれども、今先生が御指摘なさったように、国土庁として、そういう災害とか事故に対してもう少し前面に立って調整的な機能をしっかり果たせという意味では御指摘をそのままお受けしたいと思っています。
  33. 横尾和伸

    横尾和伸君 ぜひこれから国として一貫性のある行政をお願いしたい、頑張っていただきたいと思います。  時間がないので次の課題に移りますけれども阪神淡路大震災復旧復興関係でございますが、実は去る二月十三日、公明、私どもの党でございますが、公明の申し入れを大臣にいたしました。「阪神淡路大震災被災地復興支援に関する申し入れ書」、これは地元被災地の生の切実な叫びをどうしても伝えないといけないという状況の中で、私どもただ紙っぺら一枚を届けに来たというようなことではなくて、具体的には二人の党の副代表、それから兵庫県議会議員が二人、神戸市議会議員が一人、それから国会議員が私も含めて五名、こういう形で丁重にと心得ながら何とか聞いていただきたいということでお願いしたんです。  私の主観かもしれませんけれども大臣対応といいますか態度が大変冷たく、冷淡に映りました。それが政治家としてまたは大臣として、こういうことでいいんだろうかということを感じた。もう少し具体的に言いますと、あなた方、こんなことを今ごろ言ってどうなるの、どうにもならぬよということを前面に出してお話しされたんです。地元からそもそも声が上がってくるということ自体が、それはそれで大変なエネルギーと大変な苦労があるわけですけれども、そういったことも何か聞いていただけているのかどうか心配になったような状況でありました。  大臣、あのときの状況はお覚えになっていますでしょうか。私も申し入れのことを一つ一つ取り上げるつもりはないんですけれども、あの態度では大変今後が思いやられるので、ぜひこのことはお聞きしたいと思いまして、お伺いいたします。
  34. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 一番最初に、誤解があるといけませんので。  私は、会見の申し出というのがあったときに、国会の審議とか何かがあってお申し入れの時間、日にはなかなか会えないので、途中であってもよろしゅうございますかということをお聞きして、それでも結構ですということなものですから、それではお会いしましょうといって、いただいたものは住宅の復興と高齢者福祉の充実という問題、中小企業及び雇用対策、それから経済復興を支える交通・情報通信インフラの整備の問題、それからライフラインの強化と広域防災拠点の整備、災害対策に関する権限移譲の推進、それから復旧プロジェクトの支援という六項目の陳情書をいただきました。私は、その件についてはそれなりに十分お聞きをして対応してまいりますと答えたはずです。  ただ一つだけ、これはちょっと無理かもしれませんよと答えたのは、先ほど岩井先生質問にもあった保険の問題なんですわ。保険の問題は、非常に意味としてはわかるけれども、四つの問題からちょっと問題がありますよと。それは強制加入が全部できるんですかと、それから水準というのがうまくいくんですかと、それから徴収機能はどうするんですかと、それからもう一つは遡及しろと、こう言うんですから、それはちょっと難しい問題ですよと答えた記憶はございます。  したがいまして、決して冷たいということではございませんし、顔を見てわかるとおり私は温かい顔をしておりますから、どうぞ誤解のないようにしてください。
  35. 横尾和伸

    横尾和伸君 顔の温かいのはよくわかります、顔だけですけれども。  私が申し上げたいのは、聞き入れていただかなかったから冷たいと言っているんではなくて、態度の問題なんです。そのことを一言申し上げておきます。  そういうこともあって、つい昨日の新聞で拝見しましたけれども、一昨日二十八日に、政府地元地方自治体協議会が開かれて、今後家賃の軽減に伴う地元自治体の負担問題について国として財政支援をするという方向の発言も政府側からあったやに聞いております。そういう意味では少し雪解けという気もしないではない。そういうことで、さらに頑張っていただきたいと思うんです。  実は、その関係から大変重要な問題として、私その場で大臣に申し上げたんですが、二月七日に私は現地にこの参議院の災害特で行ってまいりました。そのときに、これは災害特への地元要望会といいますか、名称は正確ではありませんが、要望の中で県知事から非常に切実なお話がありました。  状況が変わったと、住専問題で政府が財政支出をするということによって地元の住民の皆さん知事がではないですよ、住民の皆さんの考え、対応ががらっと変わった。そういう中で、新聞の整理によりますと、「被災者の間ではやはり公的救済をしてほしい、住専問題に対する資金があるなら(被災者の生活支援を)優先すべきではないかという気持ちがある。これをエゴだと言い切るわけにはいかない。政治としてこたえなければならないのではないか」、こういう知事のお話があったんです。  今まで一生懸命、ここまでで、ここから先はやはりエゴになるんじゃないか、そういう中で知事対応をしてこられた。国に余り個人の財産についてお願いもできないんではないか。そこでかなり知事も悩んでおられた、エゴの範庸といいますか。それが今回、住専問題によってバランスが崩れた、地元では大変厳しい対応をしなければならなくなってきたということを知事が切々と訴えられたわけです。  私はその席上、状況が随分変わっていますよ、被災地皆さんの心は変わっていますよということを手短にお話ししたつもりなんです。そのとき大臣は、これは大事な話なんですが、いや全然変わっていないよということを断言されて、時間切れになってしまったんですけれども、認識がちょっと違うんではないかということで、改めて、状況は変わって、住専問題に与党が財政支出をすると決めたときから地元皆さんの心は変わってきている、こう思うんですけれども、変わってきていないとおっしゃった大臣、今はいかがでしょうか。
  36. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 住専問題が出てから変わったかと聞かれれば、全国どこでもある程度そういう感情というものはお持ちになっているんじゃないでしょうか。だから、どうするかというのはまた別なんですが、我々としては、阪神淡路問題についてはもうやるだけのことは相当やってまいりましたと、だけれども、これでも不十分でしょうと、だからこれからも力を入れていきますという気持ちは変わりないのでございまして、今、住専問題が出てからいろんなアンケートを私も見ておりますから、それはそれなりに国民、とりわけ淡路皆さん阪神皆さんがそういうお気持ちを持っていることはよく承知しています。
  37. 横尾和伸

    横尾和伸君 当然です。変わっているんです。  改めて申し上げますと、憲法十四条に照らして明確にやはり判断しなければいけないと思うんです。憲法十四条は、「すべて国民は、法の下に平等であって、」、「経済的又は社会的関係において、差別されない。」と。住専では金を出すけれども、私的財産の保護についても結果的にはそれはする、しかし個人の災害で失われた財産、それに対する保護の問題は一切しないんだということで来た。そのバランスは、憲法十四条に照らすと完全に崩れてきている。一方では出しますよということを与党として意思決定をされたわけです。ですから、一方ではぐっとその態度が変わっているわけですね。平等でなければいけない、差別されない、であったら阪神淡路の被災をされた地元だって考えが変わりますよ。  そのことを私は申し上げたかったので、そういう意味で、住専問題と状況変化の認識について、やはり大臣、今お答えいただきましたけれども、まだまだ私の考えと隔たりがあると思うんです。  そこでお伺いいたしますけれども、二月六日に社民党は住専に関する見解といいますかマニュアルを、随分立派げなものを発表されております。社民党の代表者の一人として入閣をされた大臣、そのお立場でこのマニュアルに対する基本的な立場あるいは考え方をお述べいただきたいと思うんです。
  38. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 災害対策特別委員会でございますから、我が党の問題、直接答えることがいいかどうかは存じませんが、せっかくの御質問ですからお答えさせていただきます。  先生、今マニュアルという言葉をお使いになりましたですが、私の理解は、二月六日に発表したのは、住専問題についての党の基本的態度と課題ということに明確な態度をあらわしたと思っております。私は、その見解について、党員でございますから、それはそれなりに尊重されにゃいかぬと思っています。けれども、同時に橋本内閣の閣僚の一員でございますから、内閣の方針どおりに対応することが一番正しいと、かように思っています。
  39. 横尾和伸

    横尾和伸君 世の中全体から見れば、社民党の代表者の一人として入閣をされたということはだれも否定ができないと思うんですよ。ですから、党員の一人としてなんて、そんな軽い問題じゃないと思うんです。閣僚のお立場で、今のお立場そのものは私は否定をするものではありません。当然でございますけれども、社民党の代表の一人として入閣をされたというお立場も、これは一党員とは違うんじゃないんでしょうか。党員の立場でというふうに伺ったんですけれども
  40. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私は、党が二月六日に発表したものは、党員ですから、社民党員ですから、それはそれなりに尊重し、受けていかなきゃならぬというものを持っています、正しいと思っていますと。けれども、それの具体的な対応ということになった場合には、現内閣の閣僚だから、橋本内閣の方針に従って対応することが正しいと私は思っていますというお答えをしたんです。
  41. 横尾和伸

    横尾和伸君 正しいと思っていますという確信のお言葉をいただいたので、言われる意味はわかりました。  正しいと思っているその基本的態度に関するこれには大変立派なことがいろいろと書いてあるんです。例えば、社民党は「厳しく追及すべき立場と責任を持つ。」ということをかなり強調されているんです。現時点で、社民党のこの考えが今の国会運営の中でどれだけ実現したか、与党の大臣のお立場ですから、評価をしていただきたいと思うんです。
  42. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ちょっと難しい質問ですが、国会でどう対応したかということは、国会の運営に関してのことでございますから、それはそれなりに国会の中で御判断なされればいいんじゃないかと思うんです。  ただ問題は、社民党としては、情報の公開と責任追及という問題については、これは民事、刑事の責任を問わずすべての問題についてやっていきましょう、そして不透明さを解消しましょうという方針でございますから、それはそれなりに努力しなきゃならぬと、こういうふうに思っています。
  43. 横尾和伸

    横尾和伸君 与党の大臣のお立場なんですね。それはそれなりになんてものじゃなくて、やはり社民党としてこれだけ立派なことを言われているわけです。それに対して、つまり「追及すべき立場と責任を持つ。」ということ、その他にももっと立派な表現がありますから、趣旨はおわかりと思いますけれども、そういうことと、せっかく与党の大臣になられて、社民党の代表の一人として入閣をされている、だからこの理念はより生かしやすい、一番生かしやすいお立場だと思うんですよ。そういう意味で、私は今どのようにそのお立場を十分活用あるいは生かしているのかということをお伺いしたがったわけなんです。どうも何回聞いても同じ答えになりそうですので次に移ります。  同じこのマニュアルといいますか、この基本的態度、この中に、書き出しの部分で基本的なスタンスというか、かなりはっきりした判断を珍しくされているなというところがあるんですが、それは、「この問題は、自民党単独政権下の政策の誤りによって発生し、深刻化したもの」と、こう決めつけているんですが、大臣の認識も同じなんでしょうか。
  44. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) まず前段の方でございますが、社民党としては、現在の金融システムの混乱があれば先に大変なことが起きるという前提のもとに、今回のスキームは正しいものであるという認識に立っているわけですね、結論から言うと。けれども、ただ国費だけを投入するというのでは、国民が納得することには、責任の問題も透明化もそれはやっていかなきゃならぬのじゃないか、こういう立場ですから、多少よって来るところから若干違うことはあるかもしれません。  それから、今お尋ねの自民党の時代の欠陥だという、自民党というのは、今新進党に行かれている人たちも当時自民党だったんですから、そうでしょう、だからそういう欠陥というのはやっぱりあるんじゃないのか。  それからもう一つは、それを受け継いだ内閣が幾つかあるわけですね。それがまた先送りになっているというようなことでは、やっぱり私の方はこの処理というのは今緊急にやることが正しいというように思っているところです。
  45. 横尾和伸

    横尾和伸君 あちこちで「あらゆる責任の明確化と追及」を行うということを何回も言っているわけなんですけれども、「あらゆる責任の明確化と追及」で、なおかつここにありますように「自民党単独政権下の政策の誤りによって発生し、深刻化したもの」と決めつけるからには、社民党として自民党の責任をどう追及したのか。これは追及しなきゃいけないんですね、これだけ決めつけて結論づけているわけですから。この責任をどう追及したのか、過去形ですね、過去形でしっかりお答えいただきたいと思います。
  46. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私が閣僚の中でそれを追及するとか何かという課題とはちょっと私は次元が違うように思うんです。社民党としては、今与党としておるわけですから、その中で過去の内閣が行ってきたものが本当にそのまま継承されていいのかということについては、連立の中で常にお互いが切磋琢磨して修正しながら、またお互いに了解しながら、理解しながら、それで対応しているわけですから、それはそれなりに私は一つの連立の成果だと思っています。
  47. 横尾和伸

    横尾和伸君 三党で了解しながら、理解しながら、そんなものじゃいけないと言っているんでしょう、これ。「あらゆる責任の明確化と追及」というのは国民に見えるようにするということを言われているわけで、私はそのことを言っているんですよ。仲よくやっているからいいじゃないかと、三党だけで。それがいけないと私は言っているんですよ。この問題についてはみずからも責任の明確化と追及をすると、こう言ってはばからないわけですから、それでなおかつ責任がある、その責任は自民党単独政権下の政策の誤りだ、深刻化させたのもそれなんだ、こう言っているわけですから、そんな談合みたいな、あるいは了解と理解で仲よくやっていますよじゃ答えにならないんですよ。もう一度、大臣
  48. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) そう言っているんじゃないんですよ。社民党としては追及することは追及すればいいんじゃないですか、それは。ただ、閣僚として私が今述べているときに、だから追及は追及の中でじゃ何を追及するのかということは、これは党が考えてこれからやることでしょう。  それはそれなんだけれども、そういうことだけじゃなくて、現在のスキームというのを国民皆さんに理解してもらうというためには、今までやってきたことがいろいろ問題はあるんだけれども、時間がもう待てないということに来ているから、スキームはスキームだけで処理しましょうということを言っているのであって、追及をするということは私に言われてもこれはちょっと何とかできないんじゃないですか。
  49. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) もう時間が来ていますので。
  50. 横尾和伸

    横尾和伸君 いや、大臣が追及しろと言っているわけではなくて、社民党が追及したかどうかを大臣はどのように認識しておられるかという質問だったわけですね。  同じことの繰り返しになりますので、もう一つ角度を変えて申し上げますと、この「三つの基本的態度、四つの課題」という中には「あらゆる責任の明確化と追及」、先ほど言いましたけれども、その中に具体的に「必要な関係者の国会招致などに徹底した努力を行なう。」、こういう大変立派なことを言っておられるんですが、村山前総理の衆議院予算委員会、いわゆる委員外議員の出席、意見聴取、この件については今新進党が、衆議院ですけれども、これは血税投入を決めた御本人の前総理だということで、その要請にぜひこれは応ずるべきである、実現したいということを申し上げているわけなんですが、同じ社民党の代表である大臣、これは応じるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  51. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私は、村山さんに限らず、人間として述べるところがあれば堂々と述べればいいんじゃないですか、人間としてですよ。だから、それがこの国会の運営の中でどういうふうにするかということは、それはそれなりに国会の皆さんの中で協議して決めることだと思っています。
  52. 横尾和伸

    横尾和伸君 今の大臣のお言葉、出るべきところには出るべきだ、そういう原則論を強調されたと理解いたします。  時間が来ましたので、私の質問をこれで終わります。
  53. 田浦直

    ○田浦直君 私は、大臣所信に関連いたしまして、長崎の雲仙・普賢岳の噴火災害について二、三御質問をいたしたいと思っております。  最近は大災害があちこちでたくさんあるものですから、もう雲仙のことも忘れられてきているんじゃないかなというふうな心配をいたしております。雲仙のこの噴火は昨年の五月にやっと休止、山が活動をほぼ停止したという宣言を予知連から出されたばかりでございまして、それから復興に取りかかる。それまでは災害に備えてどういうことをやってくればいいかということで、それで手いっぱいだったわけでございます。したがいまして、どうぞ雲仙の普賢岳の噴火についても十分気を使っていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  そういうことで、この災害につきまして、今たくさんのダムをつくっていただいておるわけですけれども、その流域に非常に広い砂防指定地ができるわけでございます。私は、住民の声としましては、これを一体何に使うんだろうかという非常な期待があるような気がするわけですね。そういった意味で、水無川あるいは中尾川、そういったところの砂防指定地、これはどういうふうに御使用されるか、今御検討されておられればひとつお述べいただきたいというふうに思います。
  54. 田畑茂清

    説明員(田畑茂清君) 御説明をいたします。  砂防指定地は水無川流域で約二百九十ヘクタール、それから中尾川の流域におきましては約百六十ヘクタールございます。もう少しふえるかもしれませんが、大体このオーダーでございます。  今おっしゃられました砂防指定地というのはそもそもは、砂防施設をつくり、そしてそこに土砂をためるという本来の目的のために指定をしているわけでございますが、砂防設備の整備が進捗をしてきた、あるいは先ほどおっしゃいましたような火山噴火活動が鎮静化してきた、それから土石流の発生はまだありますがそれが減少していくというような状況で、安全性が高まってきた場合にはおっしゃったような、利用内容はちょっと今申しましたように本来の指定地の目的を達してなくちゃいけませんのでおのずから限定されるとは思いますけれども、有効利用、有効活用を考えなくちゃいけないと私も認識をしております。  今その砂防指定地の活用に関しましては、現在、先生方あるいは行政関係者等で雲仙普賢岳砂防指定地利活用方策検討委員会というのを設置いたしまして、そこで検討をしていただいておるところでございます。今後、県、市あるいは町と調整を図る必要もございます。あるいは地元の住民の方々の意見もお伺いしなくちゃいけないだろうというふうにも思っております。それから、今ございます振興計画だとか復興計画だとかとの調整も必要だろうと思います。そういうことをやりながら検討委員会でこの利活用の構想を取りまとめていきたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  55. 田浦直

    ○田浦直君 行政とかあるいは先生方で検討委員会をつくられて今検討されているというお話でしたけれども、やはり僕は地元の住民の声を一番聞いていただきたいというふうに思っているんですね。住民にとっては本当に、二百ヘクタールとか三百五十ヘクタールですか、とかいうような広い土地ができるわけですね。それが、一つは危険に備えての土地ではあるんですけれども、それは使いようによっては使えるんじゃないか。建造物を建てるとかそういったことは非常に困難かもしれないですけれども、例えば遊歩道をつくるとか、スポーツ広場をつくるとか、あるいは公園にするとか、そういったバラ色のような、そういったものはできるんじゃないかなと僕は思っているわけですけれども、その点についての御見解をお尋ねしたいというふうに思います。
  56. 田畑茂清

    説明員(田畑茂清君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、建物だとか住宅を建てるわけにはいかぬだろうと思っておりますが、今おっしゃった先生の御提案等もこの検討委員会の中では検討しているように私は聞いております。  なお、申し上げましたように、県とか市とか町との調整も必要ですし、それから住民の方々の御意見を聞く方法も今検討しておるところでございまして、いずれそういう方々の御意見を伺いながら調整を図っていきたいと、こういうふうに思っております。
  57. 田浦直

    ○田浦直君 せっかくですから、そういう災いを転じて福にするとかで、住民が本当に喜ぶようなものになるとかいうふうな方向に、ひとつぜひ御検討して、早くつくっていただきたいというふうに思っております。  それから、今復興の途についたというところでございますけれども、そのためには、やはり一番大事なのは道路だと思うんですね。国道五十七号線というのが島原半島には通っておるんですけれども、この道路は大体片道一車線、ほとんどのところがそういう状況なんですね。私も、これは平成二年から噴火が始まったわけですから、もう五年半ばかりずっと続いておったわけですね。私も県議会議員のころには何回も視察に行ったわけなんですけれども、とにかくいつ着くかわからないというふうな状況なんですね。とにかく、車に乗ったが最後、いつ現場に着くかわからぬというふうな状況だったわけですね。今はもちろんそういう状況ではございませんけれども、やはり非常に道が、一本しかないということで渋滞をしておるわけでございます。そういった意味から地域高規格道路をつくるというふうな計画が今実際にできつつあるというふうに私はお聞きしておるわけですね。そういったことは非常に住民にとってもありがたいといいますか、復興のためになるんじゃないかというふうに思います。  この地域高規格道路についてどのような整備あるいは計画になっておるのか、そういったところをお尋ねしたいというふうに思います。
  58. 藤本貴也

    説明員(藤本貴也君) 御説明させていただきます。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  先生指摘地域高規格道路でございますけれども、現在、道路行政の中での最重点課題の一つということで取り組ませていただいております。  当該地域につきましては、島原道路ということで現在計画をしておりまして、御承知のとおり、深江町から諌早市に至ります約五十キロの道路でございまして、島原半島の骨格となります幹線道路を建設するということになろうかと思います。この島原道路につきましては、その全体を平成六年の十二月に地域高規格道路の中でも整備を進めていく路線だということで計画路線ということで指定をさせていただきまして、路線全体五十キロ、非常に長い延長でありますけれども、全体の整備方針あるいは概略のルート検討、こういうものを現在進めておるところでございます。  その中でも特にこの雲仙・普賢岳の噴火災害に関連いたします区間、これにつきましては最重点で整備を行っていきたいということで、具体的には、被災いたしました五十七号、現在仮復旧は何とかさせていただいておりますけれども、それから主要地方道の愛野島原線というのがございますけれども、これは現在昼間しか通行できないという状態でございます。そういうものの代替路となります区間については特に緊急を要するということで、深江町から島原の間の約五キロの区間につきましては、御承知のとおり五十七号島原深江道路ということで、相当、最重点の予算もつぎ込みまして事業の促進をさせていただいておる、こういうことでございます。  それからさらに、その北側でございますけれども、北側にも約六キロの区間、秩父が浦というところから出平町というところまでの間でございますけれども、これにつきましては、昨年末に地元に対して都市計画の原案を説明させていただいておりまして、平成八年度の早々にも都市計画決定をしたいということで県の方で今手続を実施しているというところでございます。このうちの特に愛野島原線の、先ほど言いました夜間に通行ができない区間の代替路になります約二キロの区間につきましては、これはちょうど中尾川を渡るところになるわけですけれども地域高規格道路のこれは整備区間ということに指定をさせていただきまして、特に重点整備ということで、八年度にできれば新規の事業化をしたいということで考えているところでございます。  いずれにしましても、島原道路全体五十キロ、非常に長い延長でございますけれども、できるだけ早期整備ということでもろもろの検討を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕
  59. 田浦直

    ○田浦直君 深江町というところから諌早まで五十キロあるわけなんですね。今やられているのは大体五キロ、それからあと五キロというところはめどがついているというところだと思うんですね。したがいまして、あと四十キロぐらい残っておりますですね。これは、用地の問題とかいろんなことで、道路に関してはいつもそういう問題があるわけなんですね。用地が解決すれば九〇%はもう終わったというふうなことも言われますけれども、この災害復興のためにということで全力を挙げてあと残りの四十キロについても早急にひとつ計画を実施していただきたい。これは要望ということにさせていただきたいというふうに思っております。  それから、先ほどからやっぱり阪神の問題でも土地とか住宅とかそんなものが随分問題になっていると思います。ここの島原でも、御承知のように土石流だとかあるいは火砕流とかいうことで、実際に住めないところがたくさんあるんですね。  私、皆さんも行かれたかもしれませんけれども、安中地区という、水無川の周辺ですね、こういったところにはもう二階の屋根裏だけが出ているような、それぐらい土砂が全部埋まっているんです。今でも埋まっている。私は、ここを一つの記念にとっておいたらどうかと。広大な土地にそういうふうな状況ですから、まるで本当にどこかの遺跡を見るようなそういう姿で、やっぱり自然の災害の恐ろしさというのが、本当に迫力があるくらい、そういうふうなところがまだ残っておるわけです。  そういったところの住民の方は今集団移転をしております。全部が全部ではないですけれども、集団移転をするということで、もう既に百三十五世帯ですか、安中地区においては集団移転を完了しているということでございますけれども、まだ残っておるんですね、中尾川の流域とかそういったところが残っております。ここも、海を埋め立ててそこに集団移転をするということで今行政の方と住民の方々がいろいろ話し合って、ほぼそういうふうになっている。これは海を埋め立てながら移転をするわけですから、多年度にわたるわけなんですね。  この防災による集団移転促進事業というのは二年間をめどということになっておるわけで、それによりますと非常にこれは困難だという状況になるわけですね。だから、私としましては、その法律、これは二年度ということで限定をされているわけではないわけですので、ひとつ柔軟に対応をしていただいて、住民の声を聞きながら、地元行政の声を聞きながら、移転がスムーズにできますように配慮をお願いしたいというふうに思うわけですけれども、その点について御返答をお願いしたいというふうに思います。
  60. 岩崎忠夫

    政府委員(岩崎忠夫君) 雲仙・普賢岳の噴火災害に係ります防災集団移転促進事業につきましては、ただいま先生指摘ございましたように、島原市の安中地区に係る集団移転促進事業計画は平成五年、それから深江町に係る集団移転促進事業計画は平成六年の十月にそれぞれ計画承認しておりまして、現在、着実に事業実施されまして、いずれも今年度中に事業が終了する、そういう見込みになっているわけであります。  そこで、御指摘になりました島原市の杉谷地区についてでございますが、現在、宇土山団地と先生の御指摘になりました三会海岸団地への移転要望があると伺っているわけであります。移転対策をどのように進めるかといったことにつきまして、現在、長崎県と島原市において検討している段階と聞いているところであります。  防災集団移転を行うときは、市町村は住民の意向を十分尊重した上で移転促進区域を設定し、住宅団地を整備し、移転者に対する助成を行う、こういった集団移転促進事業計画を策定して、内閣総理大臣の承認を得て事業実施すると、こういう事業の仕組みになっているわけでありますが、ちょうど島原市におきましては、この杉谷地区の災害危険区域内の二百三十三戸に対しまして、平成七年の十二月に住宅再建に関する意向調査を行ったところとも聞いているところであります。  国土庁といたしましては、今後とも長崎県並びに島原市と密接に連絡をとりながら、島原市から集団移転促進事業計画の申請がなされれば、その適切な実施に向けて努力をしてまいりたいと、このように考えております。  なお、この集団移転促進事業につきましては、市町村が法律に定める要件に従って集団移転促進事業計画を策定しまして、内閣総理大臣の承認を受けて事業実施する場合には国から法律補助として助成が行われる、こういうことになっているわけでありまして、この事業期間というのは国の助成要件にはなっておりません。先生指摘いただいたとおりであります。したがいまして、島原市におきましては、事業に見合った適切な事業期間が当然に設定されると考えておりますので、そういった島原市の意向を受けて私どもこの計画に対処していきたいと、こういうように考えております。
  61. 田浦直

    ○田浦直君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思うんですね。  この杉谷地区というのは、私のおふくろの里でもあるんですよ。それで、そこから移転するということについては、やっぱりそこに住んでいる住民というのはどうしても愛着とか、何とも言えないものがあるわけなんですね。でも、そういうことに行政協力をして、そういうふうに移転しようということですから、行政の方もひとつ温かい配慮をぜひお願い申し上げたいというふうに思うんです。  最後になりますけれども、長官にひとつぜひこの普賢岳についての今後のお取り組みをお聞きさせていただきたいと思うんですけれども、僕初めに申しましたように、やっぱりやり方によっては明るい面もたくさんできるわけです。あの地区は、島原ですから非常にスポーツが盛んで、サッカーなんかも有名な地区ですね。そういったところでスポーツ広場をつくっていただく、そしてできれば委員会で視察していただいて、そのついでに釜本委員なんかにも指導をしていただいて、そういうふうな何とかやれる範囲で明るいものをぜひやっていただければなというふうに思うわけですけれども、そういった意味をあわせて最後に長官の御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  62. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私、雲仙のときにはちょうど参議院の災害対策特別委員長をやっておったものですから、現地皆さんの御意見や現地が置かれている状況については、今でも鮮明に覚えているところでございます。  先般、五月の二十五日だったでしょうか、火山噴火予知連絡会が大体落ちついたんじゃないかというような発表をなされて、その後平穏が続いておりますので、気持ちの上ではほっとしているのでございますが、だけどあの地区はいつ土石流の第二次災害が起きるかわからぬということもあると思うんです。  そういう状況でございますから、今先生がお話しいただいたこれからの復興についての施策と、それから現状、予知をしっかりしておくということに対して、また関係省庁とよく連絡しながら、地元皆さん等のお声を聞きながら万全の対策をとってまいりたいと、かように思っているところでございます。
  63. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私は、国土庁皆さんが特に雲仙・普賢岳の噴火災害以降、近年、日本列島に地震原因とする大規模災害が相次いで起こりました。その間、風水害等による被害対策等もたび重なり、局長以下本当に長期で大変な御苦労の連続であったと、その御苦労に対してまず感謝を申し上げたいというふうに思っております。  私は、過日の鈴木長官の所信をお聞きしながら、この一年間の、大震災の教訓に学んで国土庁災害発生時の初動対応の迅速化を目指すために、官邸と一緒になって内閣の危機管理体制の整備を初め、防災基本計画の全面的な見直し、そしてこれを法整備まで含めて確立ができたことについては、実は高く評価をしておる一人でもあります。  また、今回の阪神の大震災の被災地を初め、先ほどお話がありました長崎県の島原、雲仙・普賢岳、あるいは北海道沖を中心とした一連の地震等による被災地では、今日では復旧から復興へと事業が着々と進んでいることに私自身も明るさを感じておる一人でもあるわけです。  そこで、一、二質問をさせていただきますが、実は去る二月二十七日に、阪神淡路被災地で、住宅もそれから仕事場も奪われた被災者方々が将来に希望が持てない、そして高齢者を中心に自殺を含めて八百四十人以上が亡くなっておるというようなことを、この代表の皆さん十数名お見えになりまして、与党三党のプロジェクトの代表として私もこの要請行動に参加をし、お聞きをしたわけですが、この代表の皆さんが、ぜひひとつ政治の手でこれ以上自殺者を出さないでください、何とか温かい手を差し伸べていただきたいという切実な訴えが実はありました。  八百四十名の方がそういうふうに自殺を含めて亡くなっておるということについて、私も地行のメンバーですから警察庁の方にもお聞きをしましたが、なかなかつかめないという実態であるようですけれども現地皆さんはそういう受け取り方をしておると。  そういう中で、特に被災後いろいろな政府の手によって、被災者の一人一人に対して、被災時から、例えば税金を含む猶予期間とか、あるいは各種の保険料なんかについても、民間の保険業界の方に政府の方が相談をして保険料の納入の猶予期間を一年間持っていただいたとか、こういうことで非常に温かい対策をしていただいたということについてのお礼を言われておりましたが、この被災者の命を守るための要望書という中に、特にことしの二月いっぱいでその猶予期限が切れる部分がたくさん出てくると。例えば生命保険なんかの場合、二月で切れた場合には、今現金収入がない、保険料を納め切れないと。それでその自殺者の中には、保険の契約があるうちに自分が自殺をしているんですね。亡くなって、そしてその保険金で後の家族の生活費をある期間見てやりたいということで自殺をしたという方がいらっしゃるというお話まで実はあったわけです。  ですから、ぜひひとつ国土庁長官として閣議の中でも、大臣の方からお願いしたいのは、難しさはあると思うんです、民間の保険関係部分がありますから。その保険等の保険料の猶予期間を、あるいは公的な部分もありますが、そこらについてはぜひ被災者の立場に立って猶予期間を延ばしていただくようにお願いをしたいというふうに思うんですけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。
  64. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいま御指摘がございましたとりわけ阪神淡路大震災対応についてでございますが、被災者の生活再建に向けて特例措置を敏速に講じてきたつもりでございます。  今御指摘の保険というような問題につきましては、所管が大蔵省でございますが、国土庁としても今お話しのような事情をある程度大蔵省と一緒になってお話を承りまして、それで先般ある措置を講じられたと思っています。けれども、今非常にお話のように深刻な事態を迎えているという状況は重々承知しているつもりでございますので、可能な限りの、どうにもならないという人たちにどういう手を差し伸べるのかということにつきましては、先ほども申し上げましたとおりこれからいよいよ本格的な現地との話し合いになりますので、先生の御指摘を十分踏まえた上で対処してまいりたいと、そう思っています。
  65. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それじゃ次に自治省の方にお尋ねをしますが、北海道のトンネルの崩落事故の問題についてですが、残念なことにあの事故で二十名に及ぶ犠牲者が出ました。北海道開発局あるいは自衛隊、地元の警察、消防、大変な努力を夜を徹してしていただきましたけれども、ついにとうとい命を失ってしまったと。  そういう中で、現在政府においても原因究明の作業が進んでおるものと思いますが、今後同様の事故の発生を防止するためにも、トンネル部の道路交通の安全確保等に万全を期さなきゃいけないというふうに思っておりますが、当面、今回の事故について復旧活動や遺族への対応に追われた自治体、特に財政の厳しい自治体であるものですから、その財政力の弱い地方自治体に対しては、この復旧あるいは犠牲者に対するお見舞い等を含めて、なかなか財政力がたえかねないという問題点もありますから、国による財政上の配慮として、特に地元関係自治体への特別交付金を速やかに交付してもらいたいというふうに思うわけですが、御見解をお伺いしたいと思うんです。
  66. 原正之

    説明員(原正之君) 今回の北海道豊浜トンネル崩落事故関係いたしました地方公共団体におきましては、先生指摘のとおり、災害弔慰金やその他の財政負担が生じることとなりますが、それらの財政負担につきましては、道を通じまして実情を調査した上で、その地方団体の財政運営に支障の生ずることのないよう特別交付税により適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  67. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 どうぞひとつよろしくお願いをしておきたいと思うんです。  それじゃ大臣一つお願いいたしますが、先ほど岩井委員からもちょっと御意見がありましたが、犠牲者に対する補償問題について大臣の御見解をお伺いしておきたいと思うんですけれども、今、道路管理者の刑事責任問題については、それぞれ捜査機関によって厳正に調査がされ判断されるべきものだと私は思っております。賠償責任についても、事故原因の究明を待たなければ詳細が判明しないほか、今回のような巨大な岩塊の崩落はまれな例でもありますし、予測が困難な面もあろうと思うんです。現段階で私は軽々に判断することはできないというふうに思うわけです。  しかし、従来から道路管理者の管理責任についてはかなり広くその責任を認める方向に流れてきておるわけですが、問題は、遺族の方々の御意見もこれはあると思うんですけれども、生活再建を支援する観点から、補償問題を司法の場で争いますと非常に長期間かかるものですから、私は可能な限り、早期に関係省庁間で遺族の皆さんとお話をしながら円満な解決が図られるように、ぜひひとつ国土庁長官としても努力をしていただきたいというふうに思うわけですが、大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  68. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいまの問題は、先生の御指摘のとおり、事故調査委員会というものが設置されたわけでございますので、この結果というものをやはり十分踏まえて対応しなきゃならぬと、基本的に私はそう思っております。同時に、御遺族の方々のお気持ちを考えますと、取り急ぎ、災害弔慰金というものは関係省庁と相談をして今対応しているところでございますが、これは事故調査委員会の決定とは何らかかわりはないということを踏まえながら、弔慰金の支給について各省庁から御協力をもらっておるところでございます。  したがいまして、事故調査委員会の結果というものが基本的にはありますけれども、それに先立ってどういう対応をした方がいいのかということにつきましては、また関係省庁とよく今先生の御指摘を踏まえながら対応していきたいと、かように思っています。
  69. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 どうぞひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。  次に局長の方にお尋ねをいたしますが、今回の事故の教訓を踏まえて、私は国土庁が先頭に立って、先ほど岩井先生あるいは横尾先生の方からも御質問がありましたが、全国各地の道路あるいは鉄道等の安全を点検するということで、建設省も運輸省の方もやっておるというお話を聞きました。  それで、その調査の結果を、そしてどういう対策を講じていくかということについて私はやっぱり公開をすべきだと思うんです。それで地域皆さんに、ここの付近にはこういう危険箇所がありますよと。住んでおるからわかっておると思うんですけれども、しかし、国としてもあるいは行政としても、ここの付近はやっぱり危険区域に指定をしておる、あるいは将来はこういうふうな計画でこういうふうな防止策をやりますよというようなことを、最低自治体を通じて住民の皆さんに公開をする、こういうことをやっていったらどうかと思うわけです。  そこら辺について局長の方のお考えをお聞きしたいと思うんです。
  70. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 先ほどからお話がございますように、今回のトンネル崩落事故の後、建設省、運輸省、若干のスタイルの違いはあるようでございますけれども全国的に緊急点検を行うということを指示しているということでございます。  その結果、点検をした結果何らかの対策をすべきところについては逐次対策をするということになろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、それぞれの事業と、道路につきましては道路事業、鉄道は鉄道関係事業ということで結びついているものでございますので、それぞれの関係省庁において基本的に、今先生がおっしゃいました周知あるいは補強工事等の対策を行うということになろうかと思いますけれども、私どもといたしましても、今後とも災害予防という見地から、関係省庁と緊密な連絡をとりながら推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、例えば国道であれば、あるいは公団の所有しておる道路であるかもしれませんが、そこらで建設省の方でどういう計画がされておるかということについては、自治体は余り知らないわけですね。災害対策本部というのはやっぱり地方自治体が中心になって組んでいる。あるいは運輸省が鉄道関係についてこういうふうな施策をやっていくというような計画があっても、これも地方自治体は余り知らない。  ですから、その対策、防災計画を立てたわけですから、やっぱりそういう部分まで含めて、最低地方自治体までは、国の計画はこういう計画がある、あるいは建設省はこういう計画を持っておる、運輸省はこういう計画を持っておるというようなことをやっぱり知っていただいておって、そして自治体の方から、危険箇所のあるような地域の住民の皆さんには、将来的にはこういうことをやっていきますよ、あなたのところにはこういう危険箇所がありますよということを周知しておく方が私はいいんじゃないかという気がしますから。雨なんかであれば、雨量によって避難勧告なんかを出すことがありますけれども、そうじゃなくて、やっぱり崩落なんかの場合はなかなか予見ができない部分もありますけれども、常日ごろやっぱりそういう注意を持っておくことが必要ではないかというふうに思いますが、これはお願いをしておきたいと思うんです。  それから最後に、もう時間余りありませんが、私、今度の北海道の崩落事故の問題で、開発局あるいは道警あるいは自衛隊等で合同本部をつくりました。そして、最初に開発局の小樽道路事務所長が本部長になってやっておりましたけれども、なかなか指揮命令系統の結びつきもよくいかずに、途中で交代をするということになったわけです。  この原因というのはいろいろあると思うんですけれども、やはり問題は、一般的に風水害あるいは地震という大規模なそういう災害対策については、先ほど申し上げました国土庁が中心になってつくりました防災対策計画などについてそういう準備を進められておると思うんです。今回みたいに本当に局地的、それもトンネルの中というようなことになりますと、なかなかこれが、例えば国道であれば管理者建設省である、地方道であれば管理者都道府県である、あるいは市町村道であれば市町村になるわけですが、そういう関係で非常に責任部分もいろいろと道路一本通りながらも変わっていく。  そういう問題等があるから、一つの問題として私はやっぱり教訓として生かしていかなきゃいけないというのは、そういう部分的に起きた、今度みたいな二十名の方が亡くなったわけですから大きな災害ですよね、そういう部分に対するやっぱり災害対策あり方ですね、災害対策本部のあり方について少し教訓として生かしていただいて、もう時間がありませんから答弁は結構ですけれども、ぜひひとつ国土庁が中心になって各省庁と御相談してつくり上げていただきたい、検討していただきたいとお願いをしておきたいと思います。  以上で終わります。
  72. 山下芳生

    山下芳生君 阪神淡路大震災から一年が経過いたしました。いまだに仮設住宅では孤独死が後を絶たずに、もう五十人を超えております。にもかかわらず、昨年の末で医療費の免除措置が打ち切られ、あるいは仮設を出た後、恒久住宅に入るめどがない方もたくさんいらっしゃる。私は、今こそ憲法二十五条、生存権を保障するという観点から、被災者皆さんの生活基盤の再建に国が責任を持つということがますます切実に求められているというふうに思うんです。  同時に、あの震災の教訓を今後の安全なまちづくりに生かす、防災に生かすということもまたこれは大事だというふうに思うわけです。  そこできょうは、防災対策として非常に大事な河川堤防の地震対策についてお伺いしたいと思うんですが、阪神淡路大震災のときに淀川の左岸堤防が長さ約一・八キロメーターにわたって崩壊をいたしました。河口部近く、場所で言いますと大阪市此花区の酉島地区なんですけれども、堤防の高さは八・一メーターあったわけですが、それが最大で三・五メーター沈下をしたわけです。  当時の状況を、これは読売新聞の大阪版なんですけれども、左岸堤防直近に住んでおられた七十五歳の方の体験談としてリアルに載せております。「激しい揺れに目をさまし、眼前の光景にわが目を疑った。いつもなら八・一メートルの高さにそびえて視界をふさぐ厚い堤防の壁がなく、木造:戸建ての二階から五百メートル先の対岸までが見渡せた。思わず、ジェーン台風の時を思い出した。「あの時は二階まで水につかったが、堤防はこんなに壊れなかった」」というふうに生々しく語っておられます。  この新聞報道では、当日、一月十七日の夜七時、満潮で水位は崩れた堤防の上端まで七十センチに迫っていたと。これは本当に亀裂が入ったらもう終わりだ、決壊する危険性が迫っていたということなんですね。私も直後に現場に行きましたけれども、本当に驚くべき崩壊状況で声が出ませんでした。これは何も淀川だけの問題ではないと思います。この地域の問題だけでもないと思います。  今、現地では復旧工事が進んでおりますけれども、日本全国の大都市には大河川が通っている、こういう点で河川堤防の地震対策、どうお考えかお聞きしたいと思います。
  73. 土屋進

    説明員(土屋進君) 御説明をいたします。  まず、淀川の方でございますが、当時、一月十七日ということもございまして大雨のおそれもない、それから台風の来襲する可能性もなくて、いわゆる洪水あるいは高潮、そういう心配はなかった、それから著しい津波発生のおそれもなかった、こういう状況にありました。  そういう中で、先生がおっしゃいますように、此花地区で堤防一・八キロほど、私ども調査では最大で三メーターと、こう言っておりますが、三メーターというのは堤防天端幅ががくんと下がりましてその幅が確保できるのが三メーター、こういう意味でございますが、三メーターほど沈下しました。その状況でも満水面からは大体一・三メーターほど余裕があった、したがって越水のおそれはなかったという判断をしたわけであります。  漏水の可能性につきましては、現場の職員が二十四時間巡回監視を行うなど万全の対策をとったわけでございますが、堤防の漏水は認められなかった、しかしながら満水時になりますと漏水のおそれもあるだろうと。それから、冬とはいえ雨も降るだろうと。そうしますと、降雨によって被災して傷んだ堤防がさらに弱体化するおそれがあると。そういうようなことから、一月十七日に被災を受けまして、緊急的に堤防の高さをもとある高さまでに土で積み上げる、それを実施しまして、一応此花地区では一月三十日に完了している、こういう状況でございます。  今後の全国の河川堤防の耐震対策の方策でございますが、先生御承知のように、河川の堤防というのは一般的には土でできております。これは材料が非常に得やすいということ、それから土ですので構造物として劣化しにくい、それから修復が大変簡単であるということ、それから基礎地盤と一体してなじむというようなことから、歴史的に積み重ねて土で来たわけであります。一方、その堤防は地震によって沈下等の損傷を受けましても復旧が容易であるということ、それから洪水中に地震が発生するという可能性が極めて低いと言われていることから、これまで河川の堤防については地震力を考慮しておりませんでした。  しかし、耐震対策の必要性から、これより、河川の堤防の耐震性について長いこと検討してきたわけでありますが、昨年のあの大地震が発生したこともありまして、ゼロメーター地帯の堤防につきましては、地震力を考えて、地震で堤防が壊れても人の住んでおります堤内地の方へ浸水するという二次災害、こういうものを防止することを目標に耐震性の向上を図っていきたい、こういうことを考えております。
  74. 山下芳生

    山下芳生君 今お答えにあったとおり、これまで河川堤防は地震力を考慮していなかったということです。  今回の震災の教訓を生かすために、今後地震力も考慮しようということで今建設省検討されていると。  建設省が学識経験者に意見を聞くということで河川構造物地震対策技術検討委員会というものができて、昨年三月に中間報告が出されております。それを見ましたら、今お答えにあったとおり、「まとめ」のところで「「地震により壊れない堤防を目標とするのではなく、壊れても浸水による二次災害を起こさないこと」を目標とする」というふうに書かれてあります。  壊れても浸水による二次災害を起こさない堤防を目標にするということですけれども、そうなりますとどの程度地震力でそういう状況まで持ちこたえられるのかということが大事だと思うんですね。  今回の阪神淡路大震災は、御承知のとおり、震度七という地震力が実際に加わった地帯が帯状にあったわけですね。ですから、壊れても浸水による二次災害を起こさない程度の強度というのは、これはその震度七、直下型地震の際にもそういうことだということでお考えなんですか。
  75. 土屋進

    説明員(土屋進君) まず、壊れない堤防を目標とするのではなくて二次災害を起こさない、こういうことでございますが、ちょっと御説明させていただきますと、日本の国というのは地形とか気象の自然的条件から非常に災害を受けやすいということは先生も御承知かと思いますが、その上に、昔から日本の国というのは河川のはんらんで形成されました沖積平野、そういうところで大変活発な経済あるいは社会活動が営まれてきているわけであります。現在、そういう沖積平野は大体国土の面積で一割ほどあるんですが、そういう河川のはんらんする区域に人口の約半分、そして資産の七五%が集中している、こういう状況にあるわけであります。  片方、日本の国の河川の整備水準というのを見てみますと、淀川などの非常に大きな河川におきましても、三十年ないし四十年に一度発生する規模の雨、そういう雨によって起きる洪水に対してもまだ整備率が七割にいっていない。そして中小河川につきましても、時間降雨五十ミリ、大体これは五年ないし十年に一度発生する規模のものでございますが、そういう五十ミリの降雨に対しましても四〇%と非常に低い水準にあるわけであります。  したがいまして、昨年も新潟県、長野県あるいは愛媛県でございましたように、どこかで洪水が発生いたしましてたくさんの財産等が失われておる、そういうことからやはり治水対策というのは緊急の課題になっている、こういう状況にあるわけであります。  そういう中で河川堤防、これはゼロメーター地帯だけでも非常に長い延長があるわけであります。これらすべてを地震で壊れない耐震性を持たせる、そうするためには非常に莫大な費用と物すごく長い年月が必要になってくる、こういうふうに言えるかと思います。  それで、堤防の特性というものを踏まえまして、やはり地震対策を行うに当たりましては、地震を受けても壊れない堤防というものをつくっていくのではなくして、壊れても堤内地の方に浸水による二次災害を起こさない、こういうことを目標としてできるだけ早くにそういうものを実施していくことが大事ではないかというふうに考えているところでございます。  非常に大きな地震に耐えられるにはどうするのか、こういうことでございますが、先生お話しのとおりに、技術検討委員会で現在対策対象といたします地震外力につきましては御検討をいただいているところでございます。しかしながら、ゼロメーター地帯でも大変長い延長を有している、そこに震度七クラスの巨大地震に対して壊れない耐震性を持たせるということはさらに莫大な費用と極めて長い時間、期間を要するということで大変困難ではないかと、こんなふうに思っているわけであります。  それで、当面の対策に当たりましては……
  76. 山下芳生

    山下芳生君 震度七の話。
  77. 土屋進

    説明員(土屋進君) 震度の話でございますが、当面の対策に当たりましては、スーパー堤防であるとかあるいは水門等のほかの構造物などで類似の構造物の基準、そういうのがあるわけでございますが、そういうものを参考にして、従来一般的に用いられております程度地震力を設定することが現実であって、これによりゼロメーター地帯の河川堤防の耐震補強対策を早急に進めていく、こういうことを考えているところでございます。
  78. 山下芳生

    山下芳生君 結局震度七は想定しないということだと思うんですけれども、私はこれは本当にそれで阪神大震災の教訓を生かすことになるのかというふうに率直に思うわけですね。今回の阪神淡路大震災、兵庫県南部地震地震力というのは特別に大きかったということではないというのが専門家の皆さんの御指摘ですよ。  私は松田時彦さんが書かれた「活断層」という本を持ってまいりましたけれども、   今回の地震による地震動の加速度は、激震地では六百ガル以上の加速度が何地点かで観測されています。八百ガルをこえたところもあります。大阪市では三百〜四百ガルていどでした。  これまでの内陸直下地震では六百ガルていどの加速度はしばしば観測されています。外国では、一千ガル以上の記録もえられています。観測された加速度値から見るかぎり、兵庫県南部地震で神戸地域がとくべつにつよい震動をうけたのではないようです。未曾有の災害だといいますが、地震動そのもののつよさは未曾有ということではなかったといえましょう。 というふうに専門家は指摘されていますね。  ですから、特別な例外的な問題としてそれを排除してしまうわけにはいかないということだと思うんです。ましてや、全部の堤防を震度七に備えるのかといえば、それは今おっしゃった時間もかかるし、費用もかかるでしょう。しかし、ゼロメーター地帯で震度七直下型が起こったとき、そして堤防が浸水による被害を食いとめることができなかった場合、どのぐらいの規模災害が起こるのかということを考えたら、これは本当に大変なことになりますね。  今回の淀川の左岸が、わずかぎりぎりもったということですけれども、もし仮にもう少し崩れて決壊していたらどのぐらいの被害になったのかということを、これは資料をお配りしておりますけれども、八月十七日の読売新聞夕刊がシミュレーションしております。これは近畿地建がやったデータですけれども、これによると、「堤防損壊部が決壊した場合、JR大阪駅などを含む大阪市北区の西半分に至る約千五百ヘクタールが浸水、少なくとも二万七千世帯六万人が被害を受けたとみている。」と、建設省地建自身がこういう被害想定をされているわけですね。たまたまそこでとどまったからいいけれども、しかし震源地から四十キロ離れたところですよ、淀川の左岸堤防というのは。もし震度七直下型が起こったときにはこれぐらいの、二万七千世帯六万人が被害を受けていただろうというんですね。  これは河口部ですからこの程度被害で済んでいるという想定ですけれども、これでも大きいですけれども、淀川流域全体でゼロメーター地帯の被害想定、どのぐらいになっているかお答え願えますか。
  79. 土屋進

    説明員(土屋進君) その前に、震度七クラスのお話でございますが、それほど特異なものではないというお話でございました。  私どもは、地震時の堤防の変形量の評価手法につきまして、今検討に着手したところでございます。土の構造物というのはなかなか解析のしにくいものでございます。そこにもつてきまして、堤防の場合には洪水を何回も何回も受けながら少しずつ堤防を広げたり高くしたりしてきているわけです。ですから、その土の成分が変わってきている、しかも時代によって施工の方法も違うというようなことから、同じ河川でも区間によって状況が違ったりしているわけであります。そういうものをすべてまとめまして解析、検討に着手している、こういうことでございますが、この研究をさらに進めまして妥当な評価方法を探り出す努力を続けていきたいということを考えております。そして、それによって壊れても浸水による二次災害を起こさない、そういう観点に立ちましてより大きな地震力に対応した効率的な対策手法、こういうものにつきましても検討をしていきたいというふうに思っております。  ただ、当面進めております対策が非常に巨大な地震に対しましてどの程度の効果があるか、当然効果はあるわけでございますが、どの程度の効果があるかということにつきましては、これもさらに技術的な検討を進める必要がある、こういうふうに思っております。従来は最初にお話しいたしましたように地震外力を考慮していなかった河川堤防でございますので、それに耐震補強を進めるということによりまして、より大きな地震力に対しましてもある程度の効果は期待できるのではないか、こんなふうに考えております。ただ、その評価はこれからやりたいと。  それから、地震によって淀川堤防が壊れてゼロメーター地帯が浸水した場合どの程度被害想定か、こういうお話でございますが、河川の堤防が地震で壊れまして堤内側に浸水した場合に生ずる被害、この被害は堤防の被災を受けた場所、それから被災の程度、それから堤内地盤の高さ、そしてそのときの河川の水位、それから復旧に要する時間などいろいろな要素によって異なるわけでございますが、そういう意味被害を想定するということは一般に大変難しい、こういうことになるかと思います。  そこで、淀川の場合でございますが、ゼロメーター地帯では一般に河川の水位、こういうのは潮位の影響を受けることが多いわけであります。そういうことから、河川の水位に波浪の影響も考えまして、仮に堤内側の地盤高が朔望平均満潮位プラス一メートルの高さ以下の区域がすべて浸水する、こういう非常に大胆な仮定をしてみますと、淀川の沿岸では面積で約百六十平方キロ、区域内の戸数は約七十万戸、区域内の人口は約百八十万人、こういうふうに推算することができます。  以上でございます。
  80. 山下芳生

    山下芳生君 百八十万人という非常に大きな方々が浸水の被害を受けるという想定もあり得るわけですよね。ですから、震度七ということを想定するということをなかなかおっしゃらない。いろんな理由を挙げられましたけれども、私はそれで本当に震災の教訓を生かしたことになるのかということを本当に真剣に考えないとだめだと思うんですね。事実、阪神大震災では震度七の地震力が働いたわけですよ。にもかかわらず、そして百何十万という方がそれによって堤防が決壊したときには被害を受けるということも一方でわかっていながら、しかしそれは想定しないということになりますと、これは政府が新たな安全神話を振りまくことにもなりかねないというふうに私は思うんです。  あの阪神大震災の直後、予想を超える大きな地震だったというようなことを建設省はお言いになりましたけれども、実際はロスやサンフランシスコの地震力と比べてみてもそれ以下だったわけですよね。しかし、ロスやサンフランシスコの地震調査に行った建設省の報告書では、日本の橋梁はあの程度地震では大丈夫だ、安全だということを言っておいて、そしてそれが露橋したら予想を超える大地震だったということで責任逃れをしようとする。そんなこと絶対にあってはならないというふうに思うんですよ。  今度もし、今検討をされている河川堤防の地震対策が、いろんな理由があって震度七ということを想定しない、しかしいろんな考慮をして、震度七ではないけれどもこれまでよりは強化されまっせということで線を引いたとしたら、これは安全神話を新たにつくって、しかしその後、震度七直下型が河川の河口部ゼロメーター地帯を襲って決壊してたくさんの方々が水没した、大阪だけじゃありません、全国でそういう被害が起こり得るわけですよ。そのときになって、いや予想を超える大きな地震でしたということを言う逃げ道をつくるようなことがあったらあかんと思うんですね。裏を返せば、本当にもう壊れて浸水してもそれはしゃあない、百何十万人の方我慢してくださいよということを言っているようなものだと私は思うんですね。  ですから、大臣所信表明の中で「震災の教訓を踏まえて、災害対策充実強化を図ってまいりました。」とおっしゃっておりますけれども、これは本当に災害の教訓、震災の教訓を踏まえているのかと。私はそのことを、今やりとりもお聞きになって、本当にたくさんの国民の生命、財産を守るという立場から、河川の問題だけではなくて防災対策に今度の阪神淡路大震災の教訓を生かすということで、建設省任せじゃなくて大臣がイニシアチブを発揮して、こういう問題があるんですから、そういう努力を建設省の側にもしていただきたい。いかがでしょうか。
  81. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 私が所信で述べたことについてのまず第一は、阪神淡路の大震災を踏まえて何をまず最初にやったかということは、一番大きい問題といたしましては昨年の七月に防災基本計画ですね、これを改定した。その基本的な考え方というのは、今やりとりを伺っておりましてなおさら感ずるんですが、この河川という問題については、一般的地震動に際して機能を重大に損じないというようなことだけじゃなくて、まれに見るその直下型ですね、そういうものに対してもまず第一は人命、人命に重大な影響を与えてはいかぬよと、この基本的な認識を皆さんに持っていただきたいということであの計画は大幅に改定されたと思うんです。  そこで、各省庁に対しては、この考え方に基づいて具体的な施策というものを検討してもらいたい。もう国土庁としては技術的なことは建設省さんとかそれぞれの省庁にお願いするきりないのでございまして、物の考え方としてはそういう考え方に立ってこれからの人命尊重の防災対策を進めていきたいということを各省庁にお願い申し上げたところでございまして、今先生指摘でございますから、さらに各省庁に対してのお願いを強めていきたいと、かように考えています。
  82. 山下芳生

    山下芳生君 そういう立場にお立ちでしたら、震度七というふうに大臣おっしゃった、しかし建設省はその河川の堤防についてはそれを想定していないわけですから、ここにギャップがあるわけです。本当に教訓を生かすという立場に立って、今検討中ですから、まだ中間報告ですから、ぜひこの問題を受けとめていただいて、生かされるようにしていきたいということを問題提起をさせていただきたいと思います。  終わります。
  83. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 初めに大臣に一言申し上げます。さすがに鈴木大臣であったと国民から称賛されるようなお仕事をぜひやっていただきたいということをまず初めに申し上げておきます。  そこで、ずっと質問を今まで聞いておりまして、通告しておりました質問ではちょっと間の抜けたようなことになりますので、ちょっと組みかえさせていただきます。  二月の二十八日に阪神淡路復興協議会というのが兵庫県で行われました。今私、どういう議論がなされたかというその議論の中身と、それから三井国土庁事務次官が後ほど記者会見でどういうことをおっしゃったか、それをマスコミがどのように報じたかという資料を入手しましたので、それをもとにして幾つかの点でお願いをいたしたいと思います。  まず、国土庁の事務次官が、被災者向けの公営住宅に対して国が家賃軽減への財政支援をすると表明したということが新聞に載り、このマスコミとの話、また、三井事務次官の最後のまとめの言葉にもそういうことが出ておりますが、私は、このことは鈴木大臣から言ってほしかったですね、このことを。「復興本部事務局長が表明」と、いかにも政府が軽いんですよ。これはだれが言っても同じじゃないかというけれども、僕はそうじゃない。改めてここで、大臣言葉として、被災者向けの公営住宅、国が家賃軽減のための財政支援を行いますということをここで明言していただけませんか。
  84. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 本岡先生現地で大変御苦労なさっている点は承知しておりまして、改めて敬意を表したいと思います。  さて、今のお話でございますが、若干私が報告を聞いている点と、マスコミさんのお話の中では一歩先に進んだような感じがしているところでございます。  橋本総理から、建設大臣、自治大臣、私と三人呼ばれまして、恒久住宅に早く移行するようにまず検討してくれぬか、それでどうにもならない人もいると思う、それについて各省庁でそれを検討してもらいたいと、こういうお話でございましたので、それぞれ厚生省それから建設省そして自治省というところで相談を今しているところでございますが、より現地の実情を、先ほど申し上げましたように実情を十分点検した上でどうするかということをこれから決めたいということを考えておったものですから、恐らく三井次官はそういう方向で検討していくものだと思うということをお話しされたのじゃないかと思うんです。  そこで、橋本総理からのせっかくの指示でございますから、各省庁でこれから検討して、今、本岡委員のおっしゃるような表明をこれから近いうちにやるように努力してまいりたいと、こういうふうに思います。
  85. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 具体的な中身は今後検討の結果改めて表明していただくにしても、基本的な姿勢の問題として、事務次官が現地でおっしゃっていて大臣がまだ、いやこれからいろいろやるんだということでは、私はやっぱりますいんじゃないかと思うんですよ。  だから、やはり大臣言葉で、基本的な考えはそのとおりです、具体策はこれからできるだけ早く詰めて被災者皆さんに安心していただくようにいたしますと、こういうように大臣がめり張りのきいた言葉でもって一つ一つの出来事に対して、被災者やら一生懸命復旧復興をやっている地元に対して勇気を、そしてこれからの見通しを与えていかなきゃいかぬ。私はそのことが今欠けているんじゃないかと、こう思うんですよ。もしうまくいかなかったらおれが腹を切ればいいじゃないかというぐらいの決意で私はやらせますとおっしゃっていただけませんか。
  86. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 気持ちや基本的な考え方は私は私なりに持っているつもりでございます。  御案内のとおり、国土庁というのは関係省庁の調整機関でございますし、私は復興担当大臣でございますから、各省庁の意見を聞いた上で最後に決断し、なお今問題点は既にもう言ってあるわけですから、決断する時期がいずれ来るものだと思っております。
  87. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 残念ですが、きょうはその程度にさせていただきます。  そこで問題は何かというと、国も今まで支援策をいろいろ講じてきているから、公営住宅の家賃を三万円程度まで抑えられるだろうというところまで来ているんですね。ところが、被災者の中には高齢者もおり、それから低所得者の方もおり、年金生活者の方もいて、年金も国民年金だというような方は、今まで自分の住んでおった家賃というのは一万円ないし二万円までだという方が、それでは三万円という家賃は安いのか高いのかというと、その国民年金五万か六万しかもらっていない人の一方、二万というのは非常に大きいわけです。だから、被災地では一万と三万の差をどうするかという議論の中で起こっているんですよね。  そうすると、結局答えは二つなんですよ、やることは。その差を現物でもって家賃補助で支給するか、あるいは、建設の補助を国が今やっておりますがそれをさらにアップして、そして一万円あるいは二万円までで入れるようにするのかどうか、この二つですよね、やるとすれば。私はそれ以外、余りそんなとっぴな方法はないと、こう思うんです。  だから、私はここで次にお伺いしたいのは、もうそんなに難しく考えることじゃないと、やる気があるか、やる意思を持つかどうかだけ。  そこで、先ほど大臣も、これからこの会議を四月には東京で、次はまた地元でと、こういうふうにやっていきたいとおっしゃった。結構です、やってください。とすれば、次の四月の東京のときにはその答えを出します、これでもいいんですよ。やはりそういうように一つ一つを、どうなるかということを、それがないから不安だと言っているんです。だからここで、今言えなければ、四月のときにはきちっと結論を出してこの会議に臨みますと、こう言ってください。  そんなことは大臣の問題だ。大臣に私は聞いているんだ。事務局に聞いてない。
  88. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先ほど申しましたように、四月の会議というのはどちらかというと、産業の復興とか安心なまちづくりの方を重点にやりましょうということに四月はなっているんです。  それから、その次に神戸に行くときには、これはある程度はっきりせにゃならぬと思うんですね。というのはどういうことかというと、今待機所であるとかそれから仮設住宅から公営住宅からずっとあるんですけれども、一体公営住宅に移れる人が何人いるか。今お話しのように低所得者で弱者と言われる人が何人いるのかということがはっきりわからないと、国の施策としてもどれだけ対応するのかということが必ずしもはっきりしないものですから、四月のときにこうしますというところまで行くのはちょっと時間がかかるんじゃないのかと思っているんです。  しかし、何回も申し上げますように、そういう人たちに対して国は何らかの新しい措置をしなきゃならぬということは総理からの御下令ですから、これはこれなりに担当大臣としても腹を決めてやっていきたいと、かように思っています。
  89. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 問題は住宅だけでなく、そのほかいろいろあります。わかっていますが、しかし、私は復旧復興ということで一番大事なのは被災者がこれからどういうところに住むことができるのかということですよ。生活の再建はやっぱり新しい住居をどういう形で求められるか、そこに安心というものが伴うと思うんですね。  今応急仮設住宅、待機所、そして親戚に、また県外の公営住宅にそれぞれ散らばって、早く恒久的な、自分の住まいですよ、それは自分の家であろうと借家であろうと自分の家をといって待っておられる人が六万七千世帯もあるんですよね。この人たちが本当に生活の再建の基盤である住居を持つことができるということがなければ、それは幾ら道路がよくなって、港湾がよくなって、鉄道がもとに戻ってといったことをやってみても、これは私はだめだと、こう思うんです。  そういう意味で、いろいろやることがあって、それは優先的に、順位をつけるときに私は住居問題の解決は最優先、一位の問題だと思うんです。とすれば、一方では十二万五千戸建てるとか七万七千を公営で建てるとかいったその数字はよろしいわ。しかし、お一人お一人の人にしたら、おれはどうなるのかなということに対する安心感をどう与えるかということは今私が言っていることなんです。だから、四月になればほぼ自分たちのこれからの先も見えてくるという、やはりそういうことが私は一番必要ではないかと思うので、どうですか大臣、それこそ大臣の決断じゃないんですか。  今から一カ月からあることを、それは検討してどういう方針でやるかと、その中身は、どれだけのお金が要るかとか、対象者がどれくらいいるかというのは、これは調査をして明らかになってくるんです。考え方の問題として、家賃補助でいきます、いや建設の補助をアップして、そして実態的に家賃が低いようにしますというのか、それとももっと別の方法をとるのか。やはり四月のときには明らかにするように、あなたには大臣答弁で求めたならば、努力しますとか検討しますとか言って、努力はせぬこっちゃと私は思っていますけれども、それでもやはりそれに近いようなことをあなたがここではっきり言って、そのことが一つの軸になって物が動くと、こうされるべきじゃないですか。  わかっていますよ。大体全体の国土庁の置かれている立場というのはわかっているけれども、だけれども国土庁長官大臣としてここはやっぱり復興責任者はおれだと、最後はおれが言うんじゃなくて、前もあなたがおっしゃったらいかがですか、初めも終わりも。中はほかにさせたらいいじゃないですか。もう一言だけ。もうこれ以上言いませんけれども、どうぞ。
  90. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 本岡委員の気持ちを十分酌んで対処してまいりたいと思います。
  91. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そんな初めから大臣答弁がうまくなったらやりにくくてかなわんがね。まあその程度にしておきます。これだけにかかわっているわけにはいきませんので。  そこで、もう一つ、先ほどから議論になりました住宅地震共済制度の創設の問題です。  これ私は腹が立つんですよ。復興対策の事務局次長さんも何か答弁された。大臣も何か補足的にそのことをおっしゃったですけれども、兵庫県が一生懸命考えて出してきたものを、あなたたちはそれを、こういうところに問題があると、中身をくさすことだけやっているんですか。強制加入のコンセンサスをどうして得るんですか、現行の地震保険の低い料率の中でどうしてやっていけるんですか、遡及適用、そんなことができるんですかと。そうじゃないでしょう。もしこれがだめならこういう方法でというのをやりなさいよ。  だからその前に、こういうことをやる気があるのかないのかという問題なんですよ。やる気もないのに、兵庫県が一生懸命考えたことをこんなけなしなさんな。あなた方、失礼じゃないですか。やる気があるんなら、こういうふうに問題をけちつけなさいよ。僕の言葉で言ったら、けちをつけているんじゃないか、持っていったら。やる気あるんですか、別のことを。兵庫県のはここが問題がある、国土庁はこう考えている、これでいったらどうですかと。あなた方は対案対案ということを言うでしょう。兵庫県はちゃんとみずからこうやって、どうですかと示しているんじゃないか、地方自治体として精一杯。それに対しての国の答えが、その中身についてけちをつけてくさすことですか。その後に、国ならこういうことをやりますということをなぜおっしゃらないんですか。  住専の六千八百五十億の問題、金融システムのためにというが、我々の議論しておるのは、日本国民の生命、財産を守る、安心システムをどうつくるかということの議論をしておるんでしょう。金融システムも大事だ、だけれども、これは人間が安心して住める社会をどうするかということをつくるシステムが大事です。  私がこのことを予算委員会で質問したら、大蔵大臣も、そのときの総理もこう言った。本岡さんのような議論をすると、生命保険も要らぬ、火災保険も要らぬ、損害保険も要らぬと、こうきた。保険社会なんだから、みんな自分の安全を保障するためにはそれぞれの保険に入っておけばいいと言ったんです一それはそうでしょう。だから私もいろんな保険に入っています。災害から国民の生命、財産を守ることは国の基本方針であるとあなたはおっしゃった。だけれども、頼れないからみんなそういうものに入っているんじゃないですか。そうじゃないですか。  だから、大臣所信の中で、災害から国民の生命、財産を守ることは国の基本であると、こう高飛車におっしゃったら、何だと言いたくなるんですよ。百歩譲って、地震の起こったときに全部救済される保険があればいいですよ。ないからどうしようかという議論になっておるんでしょう。そのときに、兵庫県がない知恵を絞ってつくった。国はそれにかわるものを示さない。けちつけるだけや。大臣、こんなことでいいんでしょうかね。それで、あなたが災害から国民の生命、財産を守るのは国の基本だとおっしゃっていることとこれは全く矛盾するんじゃないんですか。いかがですか。
  92. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先ほども申し上げましたように、保険制度の問題につきましては、別にけちをつけているわけではございませんで、問題点がこういうことがありますよと。したがって、兵庫県からせっかくの御提案でございますから、それやそれや問題点というものを踏まえた上で検討していかなきゃいかぬと思っていますよと、そういうことを申し上げておるんであって、別にけちをつけているつもりはないんです。  それから、もう一つは、もちろん保険制度というのは、これは真剣なこれからの、どこにどういうことが発生するかわかりませんから、これは大いに検討せにやならぬことだと思うんです。  それから、兵庫県だけにとってみれば、保険の問題を中心的に考えるのか、それから、現在積まれている六千億と言われる基金の問題を考えるのか、それから、実質的な個人補償とも思えるような先ほどの家賃の問題とか何かを考えるのかという、総合的なことを私は考えていかなきゃならぬことだと思っているんです。  したがって、保険問題についても、単にけちをつけているということではございませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  93. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうおっしゃるんなら、いわゆる国土庁なり国の方針として、この兵庫県が提案している、こういう大震災、大災害が起こって住宅が、もう地域全体が壊滅的状態になって、その人たちが立ち上がっていくときに、保険システムとして、地震のこの問題に対して共済制度というようなものをつくってはどうかと。共済制度がだめなら別のものがある。自動車の自賠責のような仕組みがどうかとかいろいろな議論はありますが、そういうものを国として今お考えになっているのかどうか、そこのところはどうですか。けちだけつけているんじゃないとおっしゃるなら、国としての対案があると。  それでまた、兵庫県の言っているところに問題点を三つおっしゃいましたが、その三つの問題点を解決するために、こうしたら解決できるんじゃないかというものを国としてお考えになっておられるのかどうか、そのあたりはどうなんですか。
  94. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 先生御承知のように、今、国も関与しております地震保険制度がございますけれども、それについて内容の拡充を本年の  一月一日から行ったところでございます。  その拡充した結果、従来の保険につきましては、担保する金額が低いとかいろいろな問題がございましたけれども、その点についてある程度の拡充をしております。現在、行ったばかりでございますので、どういうふうな普及をするか、あるいはその成果が上がるのかというようなことも、とりあえずは見きわめてみる必要があるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほどの兵庫県のあれにけちをつけているんじゃないかというお話、大臣からお答えいたしましたが、特に、ああいうふうな低い料率になるかならぬかという話につきましては、けちをつけるとかつけないかという問題じゃなくて、保険として計算してみて成立するかしないかの問題だと思います。  それにつきましては、実は与党三党で有志の先生方の会合でも、兵庫県からも来ていただいて話を伺ったことがございますけれども、その場でも保険の専門家からもそういったような数値として成り立つのかどうかというふうな議論もあったということを申させていただきたいと思います。
  95. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう時間がありませんので、この点はこの辺にしておきますが、とにかく前向きに積極的に提案されていることは受けとめてもらって、それで早い段階で、だめならだめと、こう言ったらどうですか。それはだめなんですよと。もっと別のことを考えましょうやと。そうせぬといつまでもずっと出してくる、そして同じことをあなた方も繰り返している。そういうことに私は不信感がずっと増勢していくと思うんですよ。この方法はだめだと、共済制度は。そうしたらこうだというふうに、一つ一つ区切りをつけていかずに引っ張っていかれるから、ずっとこう来ると、僕はそこのところを思うんですよ。  それから次に、応急仮設住宅が今ある、これを一冬越して二年だと言うけれども、それでは二年たってその後全部応急仮設住宅は取っ払うと、皆恒久住宅へ移れると。そうじゃないですね。皆恒久住宅に移れるという可能性のもとにやっているんだから、今ある住宅の補強なんて考えぬでもいいという、それは非現実的ですよ。それは全部一斉に移れない、やっぱり仮設住宅に残る人がいる。その応急仮設住宅の補強問題。  あるいはまた、応急仮設住宅はどこにつくられているか。学校の運動場、公園、いろんなところにつくられているんですよ。それを取った後の原状復旧をする場合、これどうするかという問題があります。学校、民間用地、公園、野球場、国有地、その他の公有地としていろんなところでやって、それをもとに戻すということについてもお金がかかる。  だから、応急仮設住宅のそうした問題、今後の要る費用をこれを国が支援するということ、これは当然検討をすべきことではないかと思うんですが、いかがですか。
  96. 生田長人

    政府委員(生田長人君) お答えいたします。  今の点でございますけれども、設置されました仮設住宅につきましては、先生よく御承知のとおり当該地方公共団体が取得した財産として管理されるということが現在の災害救助法におけるルールでございまして、その補強あるいは撤去あるいは敷地の原状回復に要する費用につきましては、現在の災害救助法において負担することは予定されていないというのは御承知のとおりだと思います。  しかしながら、今回の応急仮設住宅の設置数は何はともあれ大変な前例のない規模でございますので、現在兵庫県において実施しておりますいろんな仮設住宅の入居者調査、戸別の聞き取りをやっておりますけれども、それをもとに仮設住宅の解消計画というものをつくっていかなければならないと考えておりまして、これをよく検討した上でさらに住宅確保対策というのを並行して進めておりますので、それを踏まえて地方公共団体あるいは関係省庁と十分これから相談をしていきたいというように考えております。
  97. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつよろしくお願いします。  最後に、やっぱり住専処理のために一般会計から六千八百五十億円の公的資金を出すということについて私も触れざるを得ません。  阪神淡路大震災のこの被災になりました兵庫県、私の聞いておるところでは十年間に十七兆円の国税を納税しておるんです、十七兆円。そして、自分たちの意思でない自然災害によって壊滅的な状況になって、そして立ち直ろうとしているんですね。立ち直らせるというのは、それは個々人の生活の問題、都市機能の問題でもあるかもしれないけれども、とにかく一年間に平均一兆七千億から二兆円のそういう税収を上げてくるだけの経済力を持っておった地域がつぶれたということなんですよね。だから、そこをどういうふうにして復旧復興するかということは日本の経済全体の問題であり、日本の国益の問題だと思うんですよ。  そういう立場から考えていったら、阪神淡路大震災に対して個々人の生活は自力更生でやれと、それが建前やと幾ら言っても、おれらはまじめに税金を納めてきたんやないか、一生懸命働いてきたんやないかと。ある日突然ばさっとつぶされてしもうたんやぞ、一体今までおれら一生懸命流した汗は何やったんやという、この感情に対してはそれはこたえようがないですよ。だから、私も恥ずかしくてこのごろはこのバッチをつけて入られへん、そういうところにはね。おお国会議員、何しに来たんやといって冷ややかな目で見られるのが落ちですよ。  だから、どうしても、私はきめ細かい対応の中で、それは原則は、個人の財産、資産について国が税金でもって対応できないという原則はあるにしても、原則は原則としてもっと血の通った対応を、やはり先ほどの家賃の問題もその一つですけれども、きちっとやって、そして、十年間に十七兆円も税金を納めるだけの経済力のあった地盤がやはりきちっと復旧復興して、そしてみんなが頑張って、お世話になった、さあ今度は御恩返しゃとやっていくような、そういう力をどう与えてやるかということで、神戸だけ阪神だけ兵庫県だけというふうな問題のとらえ方をしていくと、私は大間違いになるんじゃないかと、こう思っているんですよ。  だから、個人に対する補償とか個人に対するという問題についても、頭からこうやらずに、多様な方法でそういう問題に対して対応していくということをやっていただかなければならぬし、六千八百五十億のものを被災者に分けたら大体六百万から一千万ぐらいになるだろうと、これをもらえたらなと、奥尻やら長崎と比べて被災者は皆思っているんですよ。  だから、そういう問題に対してどう対応するかということを国土庁長官復興本部長としてこれからしっかり受けとめていただいて、先ほど言いましたように、さすが鈴木大臣であったというふうに、歴代の国土庁長官の中で名大臣として名が残るように頑張っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  98. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時五十六分散会