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1996-02-13 第136回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十三日(火曜日)    午後四時三分開会     —————————————    委員異動  二月九日     辞任         補欠選任      寺崎 昭久君     今泉  昭君      渕上 貞雄君     三重野栄子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 西田 吉宏君                 松浦 孝治君                 広中和歌子君                 瀬谷 英行君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 鈴木 政二君                 中曽根弘文君                 保坂 三蔵君                 真島 一男君                 矢野 哲朗君                 今泉  昭君                 及川 順郎君                 片上 公人君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 三重野栄子君                 緒方 靖夫君                 国井 正幸君    政府委員        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    参考人        国会等移転調査        会会長      宇野  收君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国会等移転に関する調査  (国会等移転調査会報告に関する件)     —————————————
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、寺崎昭久君及び渕上貞雄君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君及び三重野栄子君が選任されました。     —————————————
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国会等移転に関する調査のため、本日、参考人として国会等移転調査会会長宇野收君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 国会等移転に関する調査を議題とし、本日は、昨年十二月十五日に国会等移転に関する法律第十三条第三項の規定に基づき内閣から提出された国会等移転調査会報告に関する件について参考人から御意見を承ることといたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  宇野参考人におかれましては、御多忙のところ当委員会に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。  本日は、国会等移転調査会報告につきまして、忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず参考人から国会等移転調査会報告について二十分程度説明していただき、その後七十五分程度委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、参考人におかれましては、御説明、御答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、宇野参考人にお願いいたします。宇野参考人
  6. 宇野收

    参考人宇野收君) 国会等移転調査会会長をいたしております宇野でございます。座って報告を申し上げます。  本日、この場にお招きいただきまして、国会等移転調査会報告内容について御説明をいたします機会を賜りまして、まことにありがとうございます。  この調査会におきましては、昨年の六月に第二次の中間報告を取りまとめました後、当面の検討事項のうち、残された課題でありますところの移転先選定基準移転の時期の目標、東京整備あり方三つにつきまして基本部会中心に精力的に審議を行ってまいりました。  これらの項目については、昨年の七月二十六日から十二月七日まで計七回にわたり基本部会において審議を重ね、さらに十二月十三日に開催いたしました第七回調査会において審議をいたしまして、既に中間報告として取りまとめている「首都機能移転 その意義効果」、「首都機能移転範囲手順・新首都都市づくり」を含む国会等移転調査会報告として取りまとめました。  同日、村山内閣総理大臣に直接御報告いたしまして、その後同月十五日付で、先ほど委員長のお話にございましたように、総理から国会報告されたというふうに承っております。  それでは、報告書につきまして御説明をさせていただきます。  まず、表紙をめくっていただきまして、表紙の裏をごらんいただきたいと存じます。  ここに「新首都」という言葉定義について書いておりますが、首都という言葉法律上の定義は現在のところないようでございますが、この報告書におきましては、「新首都」とは、「国会並びに行政及び司法に関する機能のうち中枢的なものの移転先の新都市、という意味において用いている。」わけであります。  次に、目次をごらんいただきたいと存じます。  七章から構成されておりまして、第一章「今なぜ首都機能移転か」は、首都機能移転とは何か、なぜ首都機能移転が必要か、首都機能移転意義効果は何かということを国民に問いかけ、理解と関心を持っていただくために、平成五年の調査会発足から約一年間にわたり調査審議を行い、一昨年の六月に第一次中間報告として取りまとめた部分でございます。  次に、第二章「移転対象は何か」、第三章「新首都はどのような都市か」、第四章「首都機能移転はどのように進められるのか」の三つの章は、第一次中間報告を取りまとめました後、約一年にわたって新首都具体像を明らかにしていくため、どのような機能をどのような手順移転整備すべきであるか、新首都はどのようなイメージ都市とすべきか、新首都づくりのための新しい手法制度はどうあるべきかなどについて調査審議を行い、昨年の六月に第二次中間報告として取りまとめた部分でございます。  これらの部分につきましては、過去に中間報告として内閣総理大臣報告し、総理から国会に御報告されている部分でございますので、字句の修正や語句の統一などの編成上の修正にとどめまして、そのまま引用したものとなっております。  第五章「新首都はどこへ」、第六章「いっ移転するのか」、第七章「世界都市東京」の新たな出発」が第二次中間報告後、それまでの検討の成果を踏まえまして新たに調査審議を行った部分でございます。  以上、先ほども申し上げましたように、平成五年四月から昨年の十二月までの約二年九カ月にわたる検討の結果を総括的に一冊の報告書として取りまとめましたのが本報告書でございます。  それでは、その内容につきまして説明をさせていただきます。  まず、第一章から第四章までにつきましては、既に中間報告を行い、報告させていただいたところでございますので、ごく簡単な説明にとどめさせていただきます。  第一章の「今なぜ首都機能移転か」では、我が国を取り巻く現在の社会情勢を概観し、その変革に的確に対応するための方法としての首都機能移転意義効果についてできる限り網羅的に記述しております。  その内容といたしましては、一つ東京機能移転により政経分離を図り、政・官・民の新たな関係をつくり出す国政全般改革契機となること。首都機能移転地方分権規制緩和と並んで我が国社会改革のための車の両輪であること。一つ東京一極集中のメカニズムを改め、国土の均衡ある発展を図ること。一つ首都機能東京と同時に被災する可能性の少ない地域移転することにより、国の災害対応力強化されること。一つ、来るべき二十一世紀に向けて新たな時代をつくり、国民意識を変える人心一新の好機となることということであります。  第二章の「移転対象は何か」では、新しい政治行政機能、本格的な国際政治機能、日本の進路を象徴する機能三つ観点から、新首都機能あり方について検討を行い、移転対象となる国会行政司法機能範囲を記述しております。その範囲としては、国会は全部、司法最高裁判所移転対象となると考えておりますが、行政国会内閣との関係中枢性の高い政策立案等にかかわる機能が立地すべきとしております。  第三章の「新首都はどのような都市か」では、新首都づくり基本理念のキーワードとして、平和、文化環境を挙げ、新しい国会議事堂中央官庁などの新首都施設国会都市中心とした小都市群とするといった都市形態イメージを記述しております。  第四章の「首都機能移転はどのように進められるのか」では、首都機能段階的に移転することとし、第一段階の新首都像を明らかにしております。また、新首都づくりのための土地利用のコントロールの方法土地投機対策土地取得方策事業主体などについての望ましい制度手法あり方についても記述しております。  第五章以降が今回新たに報告するところでございます。  七十五ページをごらんください。第五章「新首都はどこへ」では、今まで議論してまいりました新首都基本理念を体現し、首都機能移転意義効果を発揮させるために、新首都に求められる要件を明らかにし、その場所選定基準を示すとともに、公正・透明な手続移転先地選定する方法について提案を行っております。  まず、移転先地選定基準といたしましては次の九項目を挙げております。七十六ページをごらんください。一、開かれた新首都という観点から、国内のより多くの地域から容易に来訪できる場所が望ましく、日本列島上の位置について、国内各地から新首都へのアクセスに極めて大きな不均衡が生じない場所であること。  二番目は、七十七ページでありますが、東京からの距離としては、政経分離を目指した新しい政治行政都市としての新首都を、我が国経済文化の拠点としてあり続ける東京との間で一定の距離を置きつつも相互機能分担と提携を確保する必要があるという観点から、新首都東京からおおむね六十キロメーターから三百キロメーター程度範囲であることが適当であること。また、新首都東京を結ぶ交通ルートは、相互に代替できる複数のルートを選択できる必要があること。  三番目、七十八ページでございます。新首都国際社会への能動的貢献の場という観点から、その町開き段階から、特に航続距離の長い欧米主要各国からの便にも対応できる規模滑走路を備えた国際的な空港が必要であること。また、新首都都心部から空港までの所要時間はおおむね四十分以内であること。  四番目、七十八ページの下でありますが、新首都開発面積は、第一段階でも二千ヘクタール、最終的には、段階的に整備された小都市群を合わせると、最大限の人口六十万規模、面積九千ヘクタールと想定しており、広大な用地の迅速かつ円滑な取得が可能であり、土地利用の密度が低く、可能な限りまとまった規模国公有地が活用できること。  五番目、七十九ページです。国の災害対応力強化という観点から、東京と同時に被災する可能性の少ない地域であり、大規模地震により著しい災害を生じるおそれのある地域や、火山による壊滅的な災害が予測される地域は避けること。  第六番目、八十ページでございます。その他の自然災害により都市活動に著しい支障を生じないよう十分配慮すること。七番目、極端に標高の高い山岳部や、急峻な地形の多い場所は避けること。また、一国の応接室としてもふさわしい景観にも配慮する必要があること。  八番目、六十万都市の出現で現在の首都圏より水需給の逼迫するおそれのある地域は避けること。  九番目、八十一ページでございますが、政令指定都市級大都市からはスプロールの影響が及ばない十分な距離を保つこと。      .  以上、九つの基準を掲げております。  なお、東京からの距離がおおむね三百キロメーターを超える遠隔地については、その他の選定基準に照らし、極めてすぐれた長所を有する場合には検討対象に加えることといたしております。  八十二ページでございますが、移転先地地理的条件を規定するものではございませんけれども移転先選定段階だけでなく、新首都建設段階においても配慮すべき事項といたしまして、経済的な効果自然的環境などへの配慮を挙げております。  次に、八十三ページからの移転先地選定方法でありますが、移転先地選定は、多くの国民移転先の地元の合意形成を図りつつ、公正・透明な手続で行うことが必要であります。このために移転先地について、国権の最高機関である国会法律により決定することが最も適当であると考えております。  また、これに先立ちまして、選定基準に照らして移転先候補地選定し、国会報告するための権威ある専門的かつ中立的な選定機関を設置することを提案しております。  八十五ページからの第六章「いつ移転するのか」では、移転早期実現必要性を整理するとともに、早期移転のためのプログラムについて提案を行っております。  地方分権規制緩和を初めとする国政全般改革は、我が国が新しい社会対応するためにおくらせることのできない緊急緊要な課題であります。また、阪神淡路大震災の経験は、我が国にとって大規模災害に対する対応力強化が急務であることを改めて認識させることになりました。首都機能移転は、国政全般改革を促進する契機として、また、災害対応力強化観点からその早期実現が求められております。  そのため、二十一世紀にふさわしい政治行政機能を確立するという国政全般改革国土構造の改編という効果をより鮮明に発揮できるよう、世紀を画する年に首都機能移転のメルクマールを置く。そのために、一、専門的かつ中立的な移転先選定機関を設定して、二年程度を目途に移転先候補地選定し、これを国会報告すること。二、この選定機関報告を受けて、国会法律移転先を最終的に決定すること。三、世紀を画する年までに新首都の建設を開始すること。四、建設開始後約十年を目途に新首都国会を開設することというプログラム提案をしておるわけであります。  最後に、八十七ページから第七章「世界都市東京」の新たな出発」では、首都機能移転後の東京あり方について記述しております。  首都機能移転は、東京から見ても災害対応力強化するとともに、社会資本整備のための費用の増大や生活環境の悪化に歯どめをかけ、東京を住みやすく働きやすい環境につくり変える上で大きな効果があると考えております。すなわち、首都機能移転後の東京が、過密集中に伴う諸問題から解放され、より国際的、先端的、創造的な特色を有した世界都市としての役割を果たしていくむのと考えております。  そこで、九十一ページでございますが、都区部内に所在する庁舎及び宿舎の敷地が約二百十ヘクタールに及んでおるのでございますが、首都機能移転に伴って発生する跡地を活用して、大規模災害への対応危機管理体制強化生活者重視の住みやすく働きやすい快適な都市づくり世界都市にふさわしい国際的な文化交流機能の育成という視点を重視した新しい町づくりを展開していく必要があると考えており、その適切な利活用プログラム検討する体制を国と東京都などで整備することを提案いたしております。  以上が国会等移転調査会報告の概要でございます。  最後一言お願いを申し上げたいと思いますが、国会等移転早期実現に向けてどうしても欠かせないのが国会リーダーシップ国民的な合意形成でございます。国会におかれましては、次のステップに進むための所要法制度整備に早急に着手していただくとともに、国民にわかりやすいPRの実施に努められ、実現に向けて一層の国民合意形成が図られますよう努力されることを期待いたしております。  以上をもちまして私の報告とさせていただきます。ありがとうございました。
  7. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ありがとうございました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 坂野重信

    坂野重信君 きょうは首都問題につきまして宇野收会長、本当に御苦労さまでございました。  かねて超党派の国会議員の間で私ども首都問題懇談会というものを設置いたしまして、私も実はその委員として長年この議論を重ねてまいりました。  平成二年の十一月、ようやく衆参両院において国会等移転に関する決議がなされました。それらの経過を経て平成四年十二月、国会において国会等移転に関する法律が成立して、それに基づいてきょう御報告いただいた国会等移転調査会が設置されました。そして、このたび、法律で規定されておる六項目にわたる調査結果が報告されましたことはまことに御同慶の至りでございまして、宇野会長を初め関係者皆さんの労を多といたしたいと思います。  内容もなかなかよくできていると思います。特に、この新首都についての選定基準、性格、そして移転跡東京に関する考え方についてもかなり明快に記述されました。私は、この報告書の提出を契機として、会長がおっしゃるように首都機能移転が促進されることを期待している一人でござ  います。  そこで、この報告書を取りまとめ、完成された宇野会長にまず御感想をお伺いしたいと思います。
  9. 宇野收

    参考人宇野收君) 冒頭から大変難しい御質問でございます。実は、ここにもございますように、首都機能移転について国民皆さん合意をどのようにして取りつけるかということが一番私の頭にあった問題でございますが、どのぐらい合意されておるかというのの確認は甚だ難しい問題でございました。  しかし、その後の幾つかの調査の結果でほぼ六割くらいの方が同意しているというようなアンケートもございますが、それをもって同意があったと私はまだ思っておりません。したがって、これから先いろいろと具体的な候補地選定をされる過程で、なお振り返り振り返りしながら合意形成というものがありませんと、本当の意味首都機能移転の歴史的な意義が果たせないのではないかというのが私の一番の関心事でございます。  それから同時に、これを最終的にどこにするかという決定をされるのは国会でありますから、国会先生方に大きな決意というものをぜひリーダーシップを出してやっていただきたいということがございます。  以上の二点が私の今もっての関心事でございます。
  10. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、「今なぜ首都機能移転か」というのを第一テーマに出しておられますが、これはまさに我々として、政治家として、またせっかくお願いした委員の各位にとりましても、非常にこれは大事なことと思うわけでございます。  そこで、今特に反対の多いのは肝心の東京都民皆さんなんですよ。東京圏に住んでいる皆さんが、自分のところをよくしてやろうというのに反対だとおっしゃる。これは私どもの目から見ればまことに残念なことでございます。  そこで、この報告書の取りまとめ中に、御案内のとおり昨年の一月十七日に阪神淡路大震災が起こりました。自来、地震防災対策重要性国民の間に強く認識され論議が高まってまいったのは間違いないことでございまして、もし今、この過密状態にある東京に直下型のマグニチュード七以上の大地震が発生したらどうなるか。残念ながら今の状態においては首都機能は一挙に麻痺し、何十万人という人命の損傷と損失、そして甚大な財産の被害というものが発生することは必然であると思うわけでございます。私は、この首都移転の必要な理由なり根拠としてこの点をもっと明確に重点的に取り上げて国民に強くアピールする必要があると思うのでございます。これは東京都民にもわかりやすいことではないかと思います。  私は、自由民主党の政調の地震対策特別委員長として阪神淡路大震災を教訓として、昨年、全国的な地震防災対策についての緊急提言を取り主とめました。そして、これを政府関係方面に提出したのでありますが、これによって議員立法というものができて、全国的な地震対策特別立法というものの制定も見たのであります。  東京圏は御案内のとおりに、東海地方と並んで遠からず大地震発生可能性は高い、その際の被害は甚大だとされている、今申したとおりでございます。この際、思い切って首都機能移転を実行することによって、また一方、先ほどおっしゃいましたように地方分権の推進も同時に大事でございますから、これとあわせて一極集中を是正して東京オープンスペースを、そしてまた公園緑地や広場というものを確保し、国民生活整備や緊急時の避難地救護等に役立たせることによって、安心、安全にして快適な町づくり実現することは極めて肝要であろうと思います。  そのため、報告書にも触れてありますが、政治行政並びに司法の新首都町づくり構想と並行して、東京移転跡地を活用した新しい経済文化町づくり構想を、これは都民皆さんを差しおいてはどうにもならぬわけでございますから、都民皆さんの意向をくみ上げながらつくり上げることが望ましいと思うわけでございます。私は、これによって里足都民に夢と希望を与え、新首都へのコンセンサスを得ることが必ずできるんじゃないかと信じている次第でございます。  これらの点について、宇野会長の御所見を伺いたいと思います。
  11. 宇野收

    参考人宇野收君) まさに冒頭におっしゃいましたように、首都移転についてはぼ賛成されている方が多いなという感触もあった一方で、東京都の方からは一貫して反対を言っておられるというのはずっと私ども意識の中にございましたが、今坂野先生がおっしゃった災害対応の問題ということになりますと、これは首都移転したら災害対応できるような明確なこういうことがありますよということについてまでの議論はまだ十分なされていないのも事実だと思います。  したがって、私どもは、明らかに今までと違って人の出入りも少なくなる、あるいは緑地も多少できるということがあり得るわけですから、首都移転した後、こういう形で災害対応できる幾つかの施設なりシステムができるということをもう少し勉強していくということは非常に必要で、感情的に反対だとか感情的によくなるよというだけではちょっと議論が深まらないのではないかというふうに率直に思っております。  調査会の方では、残念ながらそこまで踏み込んだ専門的な調査まではいたしかねておりますが、恐らくよくなるに違いないというところまででとまっておりますので、この辺は少し東京の皆様にも御理解いただけるような議論と、そして具体的な調査、施策を検討する必要があろうかと、これは私ども調査会の次のステップも含めてやっていただく必要があるのではないかというふうに考えております。
  12. 坂野重信

    坂野重信君 今おっしゃいましたように、今度の報告書にはそこまで具体的に入っておりません。新首都の方の構想場所が決まりませんと具体的にはできないと思いますけれども東京都圏についてはおよそどういうものを持っていくということがだんだんとはっきりしてくるわけですから、その中において具体的に、それじゃ跡地中心として安全、安心で豊かな東京町づくりをどういうぐあいにやるかということはこれはできるわけでございますから、この次の段階で、調査会でおやりになるかどうかは知りませんが、調査会の方でできればひとつ続いてぜひお願いしたいと思っております。  それから、時間がございませんので三番目の最後質問に移ります。  新首都移転先選定についてでございます。これは非常に大事な問題で、皆さんが非常に関心のあるところです。首都移転とは言うけれども一体どこに持っていくんだろうということがまさに国民関心が深いし、特に候補地となろうとしている地域については大変な関心事であるわけでございます。  そこで、新首都選定についてはいろんな条件、基準というものが記されておりますが、私としては何といっても最小限二つの大きな必須条件、それはさっき申し上げましたように自然的な条件として大規模地震等、まだほかに火山とか地すべりとか洪水とかありましょうが、大規模地震のようなものによる大災害発生の危険性の少ないところ、これはどうしても自然的なまず必須条件にならなければなりません。それと同時に、皆さんが見過ごしてならないのは、国民生活上欠くべからざる水の供給の心配があるかないかでございます。神戸の場合でもやっぱり水の問題があったからあれだけの大火災が起きてしまったということもありますし、毎日の生活にとっても水というものは欠くべからざる必須条件でございますから、この二つが私は最小限度の必須条件だと思うわけでございます。  そして、移転先選定に当たっては、もちろん候補地の意向というものを配慮すべきは当然でございます。しかし、考えてみますと全国的な立場から日本首都になるわけですから、北海道から沖縄までの皆さんが、できるだけ中心的な立場で利用しやすい、地理的に見ても首都として活用しやすい、そして交通上便利である、対外的にも日本首都にふさわしい場所でなければならないと思うわけでございます。これは会長も御異論ないかと思います。  いずれにしても、これを実行するためには、これから中立的な、かつ専門的な第三者機関を設けてその審議を経た上で、おっしゃるように最終的には国民の代表機関たる国会の場で法定化すべきだと思います。これらの点につきまして会長の御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 宇野收

    参考人宇野收君) ただいま坂野先生のおっしゃったことは全くそのとおりでございますので、何をお答えしていいのかちょっと私は戸惑っておるわけであります。  特に、関西におりまして神戸のあの災害を見ますと、地震というものがいかに恐ろしいものかということを感じておりますから、地震初め火山の爆発、そういう災害のないところというのは非常に大きな条件だと。それから水の供給、また申すまでもないということでございますが、具体的な踏み込んだ土地名というものは私ども議論をいたしておりません。  しかし、今おっしゃった、条件はこうですよということは一応みんな網羅して書いたつもりでございますから、かかってこれは次の専門的、中立的な機関で十分に精査して、そして候補地を挙げていただきたいと思います。  国会は、最終的にそういう中から決定をしていただく段階で、さらにどれにするかというものも含めてやられるのか、あるいは調査機関からはもうこれだけしかありませんといって報告した方がいいのかというような問題もありましょうと思いますが、その辺のことは新しい機関ができましたときに国会とまたよくお打ち合わせして方法を決めればいいんではないかと思っております。
  14. 坂野重信

    坂野重信君 終わります。
  15. 広中和歌子

    広中和歌子君 平成会の広中和歌子でございます。  宇野会長におかれましては、国会等移転調査会におきましてまさに精力的に御活躍され、そしてリーダーシップを発揮されましたこと、そしてすばらしい報告書をつくっていただきましたことを心から感謝し、そして敬意を表したいと思います。また、本日は参考人としておいでいただき、本当にありがとうございます。  幾つ質問させていただきたいわけですが、首都機能移転に関しましては、昭和三十年以降その必要性が言われ始めまして、たびたび検討されてきたわけでございます。その山は三回ぐらいあったと思います。まず昭和三十年ごろ、それから昭和四十年から五十年にかけて、それから最近につながるところのバブル期、六十年以降であったと思います。  私自身、今から十年前に政治に入りましたけれども、そこにおきまして新首都問題議員連盟に入りましてこの問題に関心を払ってまいったわけでございます。その議員同士のディスカッションの中で、かつて建設大臣を経験なさいましたある方が、こうした首都移転問題というのは地価高騰とともに沸き上がり、今回の、今回というのは昭和六十二年以降のいわゆるバブル期の遷都問題への関心というのも、地価鎮静化とともに消えていくんじゃないかといった趣旨のことをおっしゃったわけでございます。  現在、私どもはいわゆるバブル崩壊の地価下落の中にいるわけでございますけれども、そういう中におきまして、今回は前と何が違うのか、今回は本気なのだろうかということにつきまして非常に関心があるわけでございまして、この点でコメントをいただければありがたいと思います。
  16. 宇野收

    参考人宇野收君) ずばりと申し上げまして本気でございます。  なぜかといいますと、バブル期にそういう問題が起こったというお話の時代と、今の日本の置かれている状態を考えてまいりますと、先生も先刻御承知のとおり、日本のいろんなシステムがもう行き詰まっております。これは政治にもそういう問題がございますが、行政、そして私ども財界も含めて大変な問題にぶつかっております。  それは何かといえば、やはり戦後、日本がとってきた大きなシステムというのは中央集権体制で、そして、アメリカにいかにしてキャッチアップするかということであったと思いますけれども、そういう制度が非常に効果を上げた反面で幾つかの問題を生じておる。東京に一極集中をし過ぎた結果、東京に生活されている方の土地の高騰とか通勤の不便とか環境が悪くなるとかということがございます。一方で、日本の地方が東京と大変な格差がついて力を失ってきているという問題もあるわけでございます。  一方で、これから先どうするのかということを考えてまいりますと、規制の緩和もしなきゃいけない、地方の分権もしなきゃいけないということが今真剣に議論されているわけですが、その頂点に立つのが実は首都移転だと私は思っております。地方に分権をして、規制を緩和して、そして小さな中央政府をつくったら、その中央政府東京からどこかへ出ていくことによって、日本皆さんがこれは時代が変わったよという意識を持つ非常に大きなモメントになるというふうに思っておりますので、これは本気でやらなければならないことであるというふうに思っております。
  17. 広中和歌子

    広中和歌子君 私も全く賛成なんでございますけれども、しかし、こうした首都移転というか国会移転の問題がマスコミで議論をされた後になりましても、例えば、新しい総理官邸の建設を初め、新しい官庁の建物がどんどん計画され、あろいは建てられ、そういうことでございまして、一体官庁は本気なんだろうか、本当についてくるんだろうかと、国民はまたうまくいかないんではないかといったような危惧を抱いているのではないかと思います。  冒頭おっしゃいましたように、まさに政治リーダーシップが問われているところでございますけれども、予算がつき、新しい官庁の建物が今東京に建っていくことにつきまして、そのこと自体についてはどう思われますか、別にむだにはならないと思われますか。そして、そうしたものを超えて、新首都ができればスムーズに移転が行われると思われるかどうかお伺いいたします。
  18. 宇野收

    参考人宇野收君) 一種の戸惑いを感じながらああいう工事を見ております。  しかし、よく考えてみますと、新首都が完全に移り切るというのは、今ここですぐ即刻決定されても少なくとも十五、六年は先の問題でございます。そういたしますと、今やその耐用がもう限界に来ておるような施設を十五、六年もたせられるのかねという問題がございますから、私は、そういう意味も含めて今の工事はされているなということで自分を納得させておるわけであります。しかし、新首都ができましたらその建物は今の目的とは違うものに転用されるということもあるというふうにしなければ理屈が合わないことだと思います。  したがって、きょう先生方の中で議員連盟の先生もおいでになると思いますが、予算を通されるときにその問題はどうされたのかなと、むしろ逆に私も疑問を感じますが、これはちょっとこの辺にしておきます。
  19. 広中和歌子

    広中和歌子君 ありがとうございました。  それから、新しい都市をつくる、新首都をつくるという理由づけでございますけれども、最初は過密を解消する、一極集中を解消するというよろなところから、あとは、例えば先ほどおっしゃいましたように行政改革地方分権を推進してい叩く、そういうことに資するようになるだろうとか、また、そのためには規制緩和も必要だしというふうに、いろいろな新しいリンクづけがされているわけでございます。これについて先ほどちょっとコメントされましたけれども、果たしてどういう形でリンクされていくんだろうかということについてコメントしていただきたいと思うわけでございます。  新しい理由づけというんでしょうか、波及効果として住環境、自然環境が非常に守られた新しい都市のモデルとなり得るというようなことも加わっているわけでございます。そのようなイメージを描きますときには、規制は緩和するんではなくて、むしろ規制は強くしなければならない、場合によって非常に私権も制限していかなければならないというようなこともあり得るわけでございますけれども、その点についてもお触れいただきたいと思います。
  20. 宇野收

    参考人宇野收君) 非常に問題の核心に触れたことをおっしゃっていただいたわけでありますが、一つは、規制緩和地方分権首都移転というのはどんなふうに関連しているのかという御質問であったかと思います。  まず第一に、規制緩和でありますが、御指摘のとおり、今一万一千ほどある規制の中で、いわゆる経済的な規制、それから、環境あるいは安全等を含めたいわゆる社会的な一つの秩序づくりのための規制の二種類に大きく分けられると思うんでありますが、今言われているところの規制緩和というのは、経済的な規制はもう原則としてなしよという形での規制緩和であろうと思います。しかし一方で、環境とかあるいは交通の安全とかに絡んだ問題で、むしろ規制はふやさなきゃいかぬという問題もあり得ますから、これは二つの性格を分けて考える必要があるのではないかなというふうに思っております。  そこで、今度は地方分権首都移転との関係でありますが、先ほど申しましたように、経済的な規制はもう原則なしよと、それから、社会的な規制は必要なものは置いておくよという形で、一偏それが進んでまいりました結果起こってくる行政のシステムのあり方というものは随分変わってくると思います。  その場合でも、今までのようにすべての規制とか権限とか、あるいは財源とかというものを東貢に集めて、地方は自治というけれども、一見自治であって実際は自治になっていないよというよろな形の国の姿は二十一世紀には考えない方がいい。できるだけ地方に権限を渡す、地方に財源を渡すということで、一言で言えば地方にもっと自治を、本当の意味の自治を渡すということをやることによって、初めて東京一極集中が地方に幾つか分かれていって日本全体が活性化するんであるという意味で、地方分権というのは目に見えない遷都だと思います。  したがって、そこまで行ったらもう首都移転をしなくてもいいではないかという議論があることも事実でございます。私自身もそう思っておりました。  しかし、実は昨日亡くなりました司馬遼太郎先生が私ども調査会委員の一人でありまして、出席されたときに、首都移転の歴史的な意義ということを言われたわけであります。それは、今、日本はある種の行き詰まり現象が起きている、地方分権もする、規制緩和もするが、ここで国民意識がぱっと変わるという一つの作用を考えると、首都東京以外のところへ持っていって、新しいところに首都ができたよということが国民意識に与える意義が非常に大きいということを何遍か説かれました。  これはまさに首都移転の、経済効果もありましょう、あるいは危険分散の効果もありましょうけれども、歴史的な意義というのが私は非常に今大きいんではないかと思いますので、そういう問題を視点に置いて考えますと、規制緩和地方分権、そして国民意識を変えるという意味での首都移転というものの三点セットが、日本の今の行き詰まった状態のすべての運営、組織を変えるもう最後の上がり点ではないかというふうに考えております。
  21. 広中和歌子

    広中和歌子君 御説明は大変よくわかります。  この首都機能移転がこうやってここの段階に至ります前に、一省庁一機関の移転ということがございました。でも、結果的にはその一省庁一機関の機関というのは、本当にこんなことを言ってはなんですが、非常に末端で、しかも首都圏から外に出ようとはしなかったということで、現実にけ効果をあらわさなかったということがございますので、やはり国会移転を伴う抜本的なそうした移転が必要なんだということを私も痛感して、そしてこの問題にのめり込んできたわけでございます。  ところで、先ほどちょっと費用もかかりますがとおっしゃいました。費用がかかると同時に経済的な波及効果もあるに違いないということを述べられましたが、経済人でいらっしゃいますので、費用は大体どのくらい、そしてそれはどのように経済効果があるというふうに試算なさっているのかお伺いいたします。
  22. 宇野收

    参考人宇野收君) 正直申しまして、私ども調査会で非常に精密な費用計算というものはいたしておりません。私ども調査会の始まる前に、我々のメンバーであります八十島先生が八十島調査会というのをつくっておられまして、その時点での概算計算は出ております。それは具体的な金額で十四兆円という金額が出ております。私どもはその十四兆円を一応頭に置いて幾つかの議論をしたわけでありますけれども、私どもの精査したものはございません。  なぜそういうことになったかといいますと、具体的な候補地がまだ決まったわけではありません。候補地がAというところに決まればこれだけのインフラの整備をしなければいけないよと。つまり、鉄道あるいはハイウエート空港その他が要る候補地もありましょう、そういうものがほとんど要らないところもございましょう、それによって非常に金額の動きが変わってくるわけでありますから、一応その十四兆というのは土地を確保する、あるいは市街をつくる、ある程度最低限のインフラをつくるというばかりの費用でありますから、場所によってそれよりもふえるところがあり得るというようなことでございます。  したがって、余り正確な数字を出していないというのが現状でありますが、さて、その結果十四兆が二十兆になるかもしれぬ、あるいは二十五兆になるかもしれぬという含みの中で、それだけのお金をどこから出すのかということが今の財政事情の中では大変難しい問題であることもよく承知いたしております。  非常に大ざっぱな話として申すならば、十年間に六百三十兆円という公共投資をやるという約束事をアメリカにしておりますね。これはどこから出すのかねという議論はそのときはなかったわけです。要するに、そのぐらいのことをやらないと日本の市場の活性化が起きないということも含めての議論だったと思うんです。これは十年間であります。同時に、首都機能移転する場合にも一年間で全部使うわけじゃありませんので、少なくとも十年以上はかかるわけでありますから、そうすると、仮に二十兆かかったといたしましても、その六百三十兆の中で首都機能移転というものが非常に大事だということだったら、それはできないことではないんではないかというぐらいの計算をしておるということであります。  それから同時に、二十兆使えば、経済波及効果を考えたらこのぐらいになるねというのは大体見当はつくのではないかなというふうに考えております。
  23. 広中和歌子

    広中和歌子君 私も、六百三十兆円の使い道でございますけれども、今までのいわゆる割り振りの中で何となく使われてしまうよりも、やはり国会移転といったようなそういう大きな目玉、国民にそれこそ夢と希望を与えるようなそういうプロジェクトにばんと使う方が大変いいんじゃないかと。そして、目に見えた経済的な波及効果もあり、また先ほどおっしゃったように人心の一新というんでしょうか、それから行政改革にもつながる、そういうようなことになるのではないかと期待しているところでございます。  それで、いよいよ移転先選定基準までは決めていただいたわけでございます。どこに決めるかということにつきましては、調査会としては一歩身を引かれて、あとは国民の代表たる国会がお決めになることだというふうにおっしゃっているわけでございますが、もうちょっと具体的なアドバイスを、調査会長としてでもよろしいし、個人的な御所見でもよろしゅうございますので、我々国会議員がどのような形で決めていったらいいのか、その手順も含めましてお答えいただけたらと思います。
  24. 宇野收

    参考人宇野收君) 今の、具体的な候補地をどう挙げるかという問題がないままに国会で決めていただきたいというのは、これは無責任な話でございますが、私ども調査会報告の中に書いておりますことは、私どもはここまで書きましたと、これは抽象的に書いておりますと、具体的な候補地選定をもっと専門的に、もっと精査してやる機関を早急につくっていただきたいということでございます。したがって、その中立的、専門的な、しかも権威のある機関で候補地選定していただいて、そしてその選定された候補地を決定するのは国会で決定していただきたいということでございます。決して調査会はそこで逃げたわけではありませんので、極めてこれから先は専門的にやらぬとできない問題でございますから、そういう機関をつくっていただきたい。  それに伴って、候補地は単数がいいのか複数がいいのかという問題もありましょうが、それはすべて国会調査会との間の一つのあうんの呼吸みたいなものがあって、できるだけ絞り込めと言われるか、あるいは二つか三つか出せ、我々が検討するよと言われるかは、それはひとつその段階で御決定いただければいいんではないかというふうに考えております。
  25. 広中和歌子

    広中和歌子君 中立的かつ専門的調査機関というふうにおっしゃいましたけれども、これまでの国会等移転調査会のメンバーの方も専門的かつ中立的な方々だと思いますけれども、そういう方々を想定していらっしゃるんでしょうか。
  26. 宇野收

    参考人宇野收君) これはちょっと私から意見は差し控えたいと思いますが、委員皆さんは中立的、専門的な方が随分おられることは事実でございます。
  27. 広中和歌子

    広中和歌子君 最終的なプロセスでございますけれども国会の中で最終的な投票に持っていくということに関しては、今から想像しただけでも大変だなという感じがするわけでございますが、その点で、例えば事前の世論調査とか国民投票とか、そういったようなことをいたしませんと、国民の中で盛り上がりがないんじゃないか。そしてまた、国会議員の中でも、もちろんそれぞれの国会議員は地元を代表しておりますから、やはり地元びいきというようなことになったりでございますので、やはり一工夫二工夫必要じゃないかと思うんでございますけれども、それについてもし御意見がございましたらお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  28. 宇野收

    参考人宇野收君) 意見を申し上げるのは大変心苦しいんでありますが、私、この国会等移転の議員連盟の会合に一遍出席いたしましたときに、議員連盟の先生のどなたかから、我田引都というお言葉でしたか、自分の選挙区には引っ張ってこないということを我々は申し合わそうというふうにおっしゃったわけでありますから、大変見識のある御発言であったと思っております。  実は、いずれにしてもどこかに決めるというときには摩擦が大変あるのも事実でありますから、これはやはり国会としての毅然とした態度で決めていただくということを期待する以外にありません。国民投票という形でやるのは一見大変民主的ではありますが、本当にそれで結論が出るんでありましょうかというふうな懸念を私はいたしますので、最後国会ではっと決めていただくというのが国会に期待するところであろうと思います。  なお、そこに行くまでに世論の動向というのは大変問題であろうと思いますから、その辺は今まさにマスメディアの時代でありますので、そういうマスメディアを通じてのいろんな世論の動向、とりわけ私はテレビの討論会なんというのは大変効果のあることではないかなと思うんですが、そういうことなんかをおやりいただきながら、最後は権威のある、見識のある国会の御決定にゆだねたいというふうに思っております。
  29. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 社会民主党の瀬谷であります。私は、実は東京生まれで東京育ちなんです。それで、戦前の東京でずっと育ってまいりました。年齢的には宇野会長さんと大体似たり寄ったりなんです。  そこで、今振り返ってみますと、昔の東京というのは住みやすいと思いました。地方からどんどん東京へ来る、東京へ来れば仕事もある、給料ももらえるというようなことで、魅力があったんです。それから環境もよかったんですね。何で環境がよかったかなということをいろいろ考えてみましたけれども、割合と余裕があったんですね。土地問題とか住宅問題とかという、そういう悩みがなかったんです。  それから、東京に働く人はそんなに通勤に時間をかけなくてもいいようになっていたんです。当時の都電ですけれども、ああいうものに乗って通うような、要するに、仕事も住まいも東京都内でもって済ましていた、そういう状況にあったんですね。  ところが、今ではどうかというと、私の選挙区は埼玉県ですが、埼玉県から一日に百万の人が東京都内へ通っているんです。神奈川県も同じぐらいだろうと思います。それから、千葉県も同じぐらいだろうと思います。それからさらに、山梨県、茨城県あたりからも通っていると思います。一日に何百万の人が東京へ通っているんですね。  この通勤の往復の時間帯というものは何にもならないんですよ。遊ぶわけにいかないし、車内で一杯飲むわけにもいかないしね、勉強するわけにもいかない、何をやるにも中途半端。この通勤時間というのは得るところはないんですね。要するに、一言で言うとむだなんですよ。だから、こういうむだな時間を費やさなくてもいいようにするためには、東京自体が居住環境がよくなきゃいけない。  関東大震災も私は体験しております、四つのときだったんですが。関東大震災を体験しておりますが、私の父親が書いておいた書き物を見ますと、大地震が発生すると同時に大火災が起きた、消火栓がみんな壊れてしまったと、それで消火ができない、あっという間に大火災が起きた。被服廠跡では一遍に三万人の人が亡くなったと。それから関東一円で合わせて亡くなった方が十四万人だというんですよ。阪神大震災では五千人あるいは六千人と、こういうふうに言われておりますけれども阪神大震災の場合の死者の数と関東大震災の場合の死者の数じゃけたが違うんですよ。  しかも、あの場合は東京都内のど真ん中に軍隊がたくさんありました。近衛歩兵第一連隊、第二連隊、麻布三連隊とか、工兵から軸重兵から全部合わせれば大変な軍隊がおったんです。ところが、あの関東大震災で東京の大火災に対して役に立たなかった。阪神大震災では自衛隊の出方が遅かったんじゃないかとかなんとかいろんなことを言われますが、仮にどんなに早くたって、火災の発生、地震の発生する前に到着するわけにいかないんですから。そうすると、大地震が起きた場合の災害対策ということを考えると、軍隊は必ずしも役に立たないわけです。それよりも、密集家屋やら密集の人口でもって火災による犠牲者が出ないようなゆとりのある環境をつくっておく必要があるだろうと思う。  だから、今度の首都移転というのは、私は、単に東京国会議事堂移転するということだけじゃなくて、日本国じゅうの環境というものをこの機会にもっとゆとりのあるものにする、つり合いのとれたものにする、どこか一カ所に固まらないでもいいようにするということをやる必要があるんじゃないかと思うんです。  去年の十一月に首都移転問題のシンポジウムがありました。そのときにいろんな方から意見が出ましたけれども、私が記憶に残っておるのは、兼高かおるさんが土地問題をちゃんとやらないとまたその候補地の周辺の地価が暴騰してしまうんじゃないかということを言われました。  だから、やはり土地、住宅でもって大もうけをすると、後に住専やら何やらで問題になるということのないように、まずそういう根本から決めていく必要があるんじゃないかと思うんでありますが、その点はどうでしょうか。
  30. 宇野收

    参考人宇野收君) 承っておりまして、私も実は昭和十四年から十八年まで東京におりましたので、あの昔の東京の感じは今も少しおぼろげにわかるんですけれども、お話の土地の問題は、実はバブルがはじけた状態になっておりますから、大きな土地を確保するのには今が一番いい時期かもしれませんのですが、それにしても、もしアクションを起こせば、やはり土地は上がってくるということを非常に懸念をしておるわけです。  それで、調査会では、候補地が決まり土地を確保するときには、その決まった時点の地価を上げない、その時点で買い上げ価格を決めてそれ以上上げないというような仕組みができる必要があるということを言っていますが、これはどうしたらいいのかということは甚だ難しい問題でございます。  したがって、大きな土地、できるだけ公有地があるところなんかが非常に大きな候補地の条件になると思うんですけれども、おっしゃるとおり、地価の抑圧というのは非常に大きな問題でございます。これについても、先ほど申しました候補地を決める機関が、ここなら大体それが少ないなというようなことを考えながら立地の選定をやってもらわぬといけないなと思っております。  現に、国有地が非常に多いところが手を挙げていろいろ言っておられるのは、自分のところは国有地でいけるよということもおっしゃっておりますが、そういうことが非常に大きな問題になるなと思っております。  たまたま関西で学術研究都市をつくりますときに民有地を含めた土地の買収問題がありまして、当時がバブルの時期でありましたので非常に悩んだわけであります。当時は中曽根内閣の時代でありまして、総理が来られて、監視地域にしようということがありましたけれども、監視地域の指定をされたときはもう既に手おくれで、ずっと上がってしまっていたという非常に苦い経験をしておりますので、先ほど御指摘の土地の投機防止、そして価格凍結というのはいかにしたらできるかという問題、これも大きな検討事項として考えておかなければいけないと思っております。
  31. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まず、そういう基本的な問題も重要な政治課題であろうと思います。  その場合に、どうやったら土地価格を上げないで移転地を決めるかということは非常に難しいと思いますけれども、どうしてもやらなきゃならないと思います。私自身が毎日のこの通勤地獄を見ておりまして、これはまさに異常であるというふうに考えざるを得ません。  新しい首都を決めて、そして、東京と新しい首都は、例えばアメリカで言うならばニューヨークとワシントンのような関係にしてしまう。新しい首都政治都市であると。東京経済都市である、あるいは商業都市であると。それから、まあ学術とか文化とか、そういうようなところにしてしまう。金もうけにいい場所であるということもあるかもしれないけれども、しかし、そういうことをいろいろ総合して、新しい首都と旧首都との役割をはっきり分けて、そして、その新しい首都日本首都にふさわしい場所になるようにしなければなるまいと思うんです。  それで、さっき災害のお話が出ましたけれども、どこが一体日本では地震が起きやすいかということも厳密に、こればっかりは先のことはわからないけれども阪神だってよもや大地震があると思わなかった、まあ心配していなかったんだろうと思うんですよ。不意をつかれるというと人間というのは弱いですよ。大丈夫だと思っていたらトンネルの上から岩が落ちてきたなんていうような、こういうこともあるんですからね。だから、心配すると切りばないけれども、そういうことも考慮に入れてね。  海の方が地震の震源地というのは多いんですよ。北海道なんかもそうだけれども東海地方でもそうです。余り山の中に震源地があったという確率は少ないような気がするんですね。だから、そういう点を考えると、地理的に統計をとって調べて大地震が起きる可能性の少ない場所、高いところも八百メートル以上はないということ、これはここに書いてありました。そうすると軽井沢なんていうのは、せっかくだけれどもちょっとあれは新首都向きじゃないなというようなことがわかりますよ。  だから、地震もない、それから環境もいい、土地も高くならないというようなことの条件を満たすのならばそこに新首都を持っていこうと。おれのところへ新首都を持ってきて一もうけしようなんというような根性の悪い連中のいるところには首都を持っていかないと、そのくらいはっきりさせておいた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  32. 宇野收

    参考人宇野收君) 御決定いただくのは国会でございますから、大変今のお説はぴたっとよく私はわかります。  ただ、難しいのは、いつ天が落ちてくるかと心配するたぐいのような考え方でいきますと、日本全体が大きな火山帯の一角におるわけですから、もう安全なところはどこもないということも一方でありますから、常識的に考えて当面大丈夫というようなところを頭に置くということであろうと思います。  それから、水の問題を先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、水の供給のないところはこれはもう絶対にどうしようもならないということも含めて、一応いろんな条件は書いたつもりでございますから、それを頭に置いて専門的、中立的権威のある機関で候補地を決めていただくというのを早くやっていただきたいというのが私のお願いでございます。
  33. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今、会長が言われるのもごもっともだし、余りこれ以上水臭いことを言う必要もないような気がいたしますので、ひとつ移転反対をするような人は選定のメンバーに入れない、こういうようにしておやりになったらどうかということも私の方から申し上げまして、私の意見を終わりたいと思います。
  34. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  昨年の十一月に財政危機宣言が発せられましたし、それからことし一月になって大蔵省が中期的な財政事情に関する仮定計算例、こういうものを出して、西暦二〇〇六年には公債残高が四百八十兆円とかあるいは五百四十兆円になる、そういうことが言われていて、財政状態はもう大変な、まあ言ってしまえば時限爆弾を抱えたような状態と言われていると思うんですね。  そうした中で、宇野会長の書かれたものをいろいろ読ませていただきましたけれども、例えば、これは日経の昨年十二月十日付ですけれども、「たとえ経済的には不効率なことでも、ここらで少し壮大なムダをして、新しい時代に乗り換えるインパクトをつけてもいいんじゃないか。」、そういうことを言われていますね。あるいは、これは読売新聞ですけれども、昨年の七月二十三日付、「新首都建設によって大規模な土木工事が行われ、景気振興による内需拡大に大きく寄与するのはいうまでもない。」、そういうことを言われていますね。  そこで、私の最初にお聞きしたいのは財源の問題です。先ほど、できないことはないのではないか、そういうことを言われました。それからまた、調査会として精細な、精密なことはまだやっていないと言われました。私は、財源の裏づけの問題について調査会で、精細じゃなくても、例えば財政を視野に入れた御議論があったのかどうか、それについて最初にお伺いします。
  35. 宇野收

    参考人宇野收君) 財政を視野に入れた議論は一応いたしました。そして、今緒方先生が言われたように、日本の財政状態が国レベルで見るともう大変危機的な状態になっていることも十分に皆さん承知をした上での議論でございました。  ただ、日本経済全体を考えた場合に、日本の中での貯蓄と消費のバランスというのは貯蓄が非常に多いというのも、これは御存じのとおりでございますね。アメリカと全く反対で、アメリカは貯蓄がなくて消費が多いということになっておりますから、国は大変財政危機でありますが、日本国民全体の財源という意味では貯蓄は十分にあるというのも一方でございます。  そういうことが背景にあるわけでありませんけれども、今回首都移転問題をやりますときに考えましたことは、先ほどから申し上げているように一つは歴史的な意味が非常にありますが、一方で財政的な公共投資をこれだけやることによる経済波及効果というものは、これはプラスの面として考えていいのではないかという問題と、先ほどちょっと申し上げた、アメリカとの交渉事の中で日本は今後公共投資をやっていきますよという約束事をしているわけですが、その公共投資の順序づけをした場合に、首都移転というものはどの辺の順位になるのかということを一遍考える必要がある、私はやっぱり最優先に考えるべきことではないんでしょうかという意味で、その辺の議論は一応調査会の中でいたしたということでございます。
  36. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ただいまお話がありました六百三十兆円の問題ですけれども、これは財政審の報告なんですが、その中でこういうことが書かれているんですね。「六百三十兆円の公共投資基本計画について」、国の財政から見ると、「それだけの負担増の計画に他ならないことを認識する必要がある。」と。ですから、六百三十兆円がどこかにプールされてあるわけじゃなくて、これは国民のお金なわけですよね。それを何か使えばいいという議論も、それからただいま話がありました貯蓄があるというのも、これも国民のものですよね、ですから、やはりその点では財源について非常に認識が足りないのではないかということを率直に感じました。  これは東京新聞ですけれども、十二月の十四日付、宇野会長がこの問題について、財源として「建設国債しかあり得ないが、財政均衡をとるか、」、その辺は「いい案があったら教えてほしい」ということを言われておりますね。建設国債ということも考えておられるんですか。
  37. 宇野收

    参考人宇野收君) これは建設国債という名前がいいのかどうかわかりませんが、首都建設のための国債という意味では建設国債に違いありませんが、そういうような形でもしないと、今の財政面だけを見たら財源はないという現状から見ますと、やはりそういう建設国債的な発想というのが要るのではないかということを私は言ったわけでございます。
  38. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設国債にしましてもやはり償還しなきゃいけないわけで、ですから結局そこが大きな問題になると思うんですね。  私は、これは経団連が出している「経団連ビジョン二〇二〇」という、その文書を見て改めて驚くわけですけれども、その中には、プログラムとして首都移転ということが高らかにうたわれている。そして同時に、消費税の税率について西暦二〇〇五年に一〇%から一二%にするという構想を出しているわけです。  ですから、この財源について、調査会あるいは宇野会長個人でも結構ですけれども、消費税ということも含めて視野に入れているのか、それについてお伺いします。
  39. 宇野收

    参考人宇野收君) これは私、財政の専門家でございませんので、消費税問題をちょっと今私がお答えをいたしかねるんですけれども、大きく考えて、やはり財政が赤字だから出せない、これはもう正論でございます。でございますが、財政が赤字だから出せないといっていわゆる極めて緊縮財政をやったら、その結果不景気になって、税収は上がらなくて、財政はさらに赤字になるという議論もまた一方であるわけであります。  したがって、私の個人の意見を問われるならば、この際、赤字を覚悟で積極的に景気の振興という問題に財政は向かわなければしょうがないと私は思います。その財源を消費税率で上げるかあるいは建設国債にするか、これは皆様の御議論にまたなければなりませんけれども、この際積極的にやらないで、バランスを考えておったらもっと局面は厳しいことになるというふうに私は思います。
  40. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設国債にするかあるいは消費税税率引き上げにするか、そういう選択があるということを言われましたけれども、私は思うんですが、今住専で大変な問題になっていますよね。こういう財源というのが、六百三十兆円のどの部分をとってくるにせよ、あるいは貯蓄を使うにせよ、結局すべて国民のそういう財源から生まれるわけですから、やっぱりその点非常に重大な問題だと思うんですね。  先ほど来東京の問題がいろいろ言われていますけれども、私は東京選出ですけれども都民とかあるいは首都圏の問題ではないと思います。これだけの巨大な、そして宇野会長言葉をかりれば、壮大なむだ遣いをここいらでという、そういうことをやるということは日本国民一人一人の問題であり、また負担が重くかかる問題だということを改めて述べておきたいと思うんです。  時間がなくなりましたので、最後に、先ほど東京が今後どうなるかということについて、恐らくよくなるかもしれない、よくなるに違いないということを言われましたけれども、この問題で一つは盛んに規制緩和ということが強調されているわけです。私はこの問題について考えるときに、何で一極集中が起きたのか、この問題が大事だと思うんですね。中曽根民活路線のもとで都市開発、その規制がどんどん緩和されていく、そのもとで起きたということはやはり周知の事実だと思うんです。  今度の報告を読みますと、首都移転によってさらなる規制緩和をということになりますよね。そうすると、私は東京の過密の解決どころか、規制緩和によってもっともっと大変なことになってしまうのではないか、そういったことを痛感するわけです。ですから、その問題についてどう考えるか。  それに関連してもう一つお聞きしておきたいんですけれども、やっぱり東京一極集中の本質ですね。本質は、この報告の中に述べられているように、何か東京にみんなあこがれて来ちゃったとか、そういう問題じゃないと思うんです。やはり一番大きな問題というのは、東京の国際金融都市としての機能強化するという政府の政策、それがあって進んだわけです。内外の大企業がそうした中で中枢管理機構を東京集中させるという、そうしたことが引き金になって東京の一極集中が起きたと思うんですね。ですから、今の政策を続ける限り東京一極集中はなくならないだろうと思います。  それでお尋ねしたいのは、宇野会長は財界の代表的な人でありますので、その点で、財界がみずから進めてきた東京への一極集中東京にどんどん集中してしまうという問題について、それを是正する、あるいは財界でそれを分散するという考え方、それがあるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  41. 宇野收

    参考人宇野收君) 大変御質問が広範にわたっておりますので、私の理解している範囲のところからまずお答えをさせていただきたいと思うんです。  一つは、東京一極集中はとまるのかねということでありますけれども、私は東京一極集中しているもとは何かというと、先ほどから何遍か申し上げているように、日本政治行政含めすべての制度が中央集権制度でこれだけの効率を上げてきたわけですから、東京へ来ればビジネスチャンスがあるわけです、私たち財界人から見れば。それから、東京へ来れば何か金もうけができるよと、もっと簡単に言えば。そういう問題が集中をどんどん生んでいったということですから、ここでその制度のままでいけばもっと集中効果が出るでしょうけれども、今集中の弊害が随分出ているわけですね。ですから、この際これは分権をしようではないですかということを申し上げているわけです。  一方で、東京はやはり経済中心であり続けると思いますけれども、地方に幾つかの活性化した地域ができるということによって、二十一世紀日本というのが全体がバランスとれるというようなことを期待して地方分権というものをやっているわけですから、システムを変えれば必ずそういう点のバランスがとれてくる方向へ行くだろうと。その結果、東京が衰退すると私は思いません。東京はやっぱり依然として繁栄するでしょう。しかし、今までみたいに何でもかんでも東京へ集まってくるということはなくなってくるのではないかというふうに思います。  それから、先ほど中曽根内閣の時代のいろんなお話が出ましたけれども、これは中曽根内閣規制緩和東京への集中だというのではなくて、中央集権体制というシステムが東京集中を生んでいるというふうに私は理解をしておりますので……
  42. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 民間活力という意味ですがね。
  43. 宇野收

    参考人宇野收君) ああそうですが。民間活力ね。  ですから、それは要するに基本的なシステムの問題を変えないと東京集中のあれはとまらない。その結果、東京の人は苦しい思いをますますするという悪循環になるんではないでしょうかということを申し上げたいと思います。
  44. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。私が最後でございますが、幾つ質問させていただきたいと思います。  立派な調査報告書をまとめていただきまして本当に御苦労さまでございました。私も読ませていただきまして、大変な御見識だということで大変敬服いたしておるところでございます。  それで、私も新しい世紀を迎えるに当たって、ぜひやはり首都移転というのはやったらいいだろうというふうに思っております。そういう中で幾つかお聞きしたいと思うんです。  人口が大体六十万人というのを想定なさっているわけでございまして、その中で、おおむね国会及び政府機関で五万人、こういうふうなことで書いてあるんです。この辺はどうなんでしょう、先ほど会長さんのお話でも地方分権、我々これから行政改革をやろうとしているわけでございますけれども、そういう者から見ると、そんな細かな議論はしていないのかどうかわかりませんけれども、人口規模なんというのは六十万人もならなくても十分やれるんではないかなというそんな感じが実は私したものですから、その辺の議論の経過ですね、六十万人という根拠なんですが、その辺ありましたらちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 宇野收

    参考人宇野收君) これは、計算の基礎は一応ございまして、最初に一遍に行くわけではありませんから、段階を追って行くということで、国会関係のところがまず移っていく。それから後、続いて内閣が移り、中央行政官庁の中枢部門が移り、あるいは最高裁も移っていくという段階があるわけですから、最初十万人でその次三十万人で、そしてそれに絡んだ幾つかの業務関係の方も含めて行くから、最後は六十万人かというふうな数字を書いておりますが、これはさらにシミュレーションをする必要があると思います。  というのは、私どもここへ来るまでに、首都をつくってどんなふうになっているかということで、ワシントンDCへ行ったりキャンベラへ行ったり、あるいはオタワへ行ったり、それから先月はブラジリアというブラジルの首都なんかを見てまいりましたが、それぞれやっぱり対応が変わっておるなと思います。というのは、最初考えた人口のままでむしろ減っている首都もあります。しかし、減っているように見えるけれども、周辺の郊外みたいなところでは非常にふえているということもございます。極端なケースは、ブラジリアという首都なんかの場合は大変ふえております。それも大変貧民層の人がふえておる、それが問題を起こしているわけですけれども。  そんなことで、日本の場合ももう一遍きちっとした計算をしなきゃいけませんですが、六十万人というのは、私どもの今の計算では成熟段階になったときの首都の数字でありまして、まず最初十万、その次が二十万、三十万というふうな過程が恐らく十年くらい続くんではないか。そして、最後は六十万ぐらいになるんじゃないかという想定をしております。
  46. 国井正幸

    ○国井正幸君 先ほども質問で出ていたわけでございますが、やっぱり土地の確保というのが非常に大変なことだろうというふうに思うんですね。  それで、おおむね九千ヘクタールほどが必要だ、これには道路用地が含まれていない、こういうふうなことでございますけれども、いわゆる官公庁とか公園とか、やっぱりいろんな都市機能でいわゆる公共用地に属する部分と、それから、今もお話がありましたように、政府関係職員を含めて関係者の住む住宅用地と、いろいろあると思うんですね。  取得の仕方として、まあ微に入り細に入りそんな詰めてはいらっしゃらないのかもしれませんけれども、いわゆる取得方法として、政府が一括して土地全体を押さえて、このところは例えば国会議事堂が建つところとか、この辺は住宅地と、こういうふうな配分をしてやっていくのか。あるいは公共用地はきちっと国で確保するけれども、それに付随する住宅地等については民間で開発をしてください、そのために行政も後押しをいたしますと、こういうふうな形でやろうとしているのか。その辺の大まかな考え方があればちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  47. 宇野收

    参考人宇野收君) ちょっと私、正確に覚えておりません点がありますので、多少後から訂正をしなきゃいけないかもしれませんが、一つは、今度の首都をつくりますときに、ばっと一つの町をつくって、この部分国会があって、この部分に役所があって、この部分は裁判所があって、この部分皆さん住んでいてというような、連絡した一カ所のところへ全部つくってしまおうという考え方ではありません。いわゆるクラスター方式という方式でありまして、幾つかの町がぱらぱらと分かれて、ここは国会、ここは行政官庁、ここは裁判所、ここは一般の住居、ここはみんなが遊ぶところというふうなクラスター方式の町づくりをしたい。  そうしますと、クラスターとクラスターの間はどんなところがいいかねとなると、できたら林がいい、森がいいということを言っておるわけです。甚だロマンチックな話をしておるわけです。ですから、そんなロマンチックな話のとおりできるかねという問題は、これはこれからの問題でありますが、そういうものを入れますと面積は九千ヘクタールではおさまらないわけです。数万ヘクタールになると思います。  そうしますと、全部を国公有地ということはできないわけでありますから、民間地が幾つか入ってくる。しかし、民間地を、ここは林のままで置いといてくれ、家を建てることはやらせないというようなコントロールも含めてやらないと、せっかくの町が本当に味気のない町になってしまうよというような議論をいたしておりまして、限りなく難しい条件で候補地選定しなきゃいかぬというのも事実であります。  私どもとしては、二十一世紀の本当に小ぢんまりした首都をつくって、そしてそこへ行けば日本が何を考えているのかとわかるような首都をつくっていただきたいというふうに思っております。  したがって、御質問の全部買うのかといったら、全部買うということは考えていないということであります。
  48. 国井正幸

    ○国井正幸君 その場合、最低限公共用地として国が確保しなくちゃならない面積なんというのは大体どのくらいを想定していますか。
  49. 宇野收

    参考人宇野收君) まだそれは確実に決めたわけではありませんが、少なくとも国会を入れる地域という中枢の部分、二千ヘクタールぐらいのものを頭の中に置いているということでございます。
  50. 国井正幸

    ○国井正幸君 最後に、きょうは午後から衆議院で、そしてまた参議院というふうなことでございますけれども、ここまでの報告書をつくっていただいて、あとはやはり候補地選定、やるかやらぬかということを含めて国会に投げかけられたというふうに私ども受けとっているわけでございますけれども、今会長さんから見て、我々国会関係者に望むことにつきまして御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  51. 宇野收

    参考人宇野收君) お願いを申し上げたいことは、先ほどから申し上げておりますように、次の段階候補地を決めるための機関をつくるということでございますから、どういう仕組みでつくるかということについて国会で御議論をいただきたい。  現在の調査会は一応これで仕事は終わったと私は考えておりますが、次に調査機関をつくる、その次に国会がそれを決める、それからその次にいよいよ建設にかかるときにどうするかというような問題が幾つか出てきますから、そういう問題は、やはりかかって法律をどう改正するかという問題を含めて御検討いただきたいというふうに思います。  それから、その過程でやはり私が非常に気を使っている問題は、国民首都移転に対する合意が、本当に理解をしてもらっているかねという問題を何遍か詰めていく必要があるということと、それから、御指摘があります土地の値段を上げないでそれだけの土地をどのようにして確保するかという問題がございます。これはマスメディアを使うという問題もありますが、土地の問題は、これはかかって法の改正を含めた一つのシステムの改定というのが要るんではないかと思いますので、その辺の御検討もぜひお願いをいたしたいと思います。
  52. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですから、本日の質疑はこれにて終了させていただきます。  宇野参考人におかれましては、大変お忙しい中、当委員会のために貴重な御意見をお述べいただき、また、質疑に対して御懇切にお答えいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会