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1996-06-06 第136回国会 参議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月六日(木曜日)    午後零時十七分開会     —————————————    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任      都築  譲君     木暮 山人君  六月五日     辞任         補欠選任      木暮 山人君     渡辺 孝男君      山本  保君     西川 玲子君  六月六日     辞任         補欠選任      西川 玲子君     山本  保君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 勝木 健司君                 田浦  直君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省児童家庭        局長       高木 俊明君        厚生省年金局長  近藤純五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君    説明員        科学技術庁科学        技術振興局研究        基盤課長     小田 公彦君        文部省学術国際        局学術課長    坂本 幸一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四日、都築譲君が委員辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。  また、昨五日、木暮山人君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。     —————————————
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  5. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案反対討論を行います。  本改正案の大きな柱は、年金制度一元化の一環として、破産状態にあるJRJT共済年金給付について厚生年金や他の共済組合から財政支援を義務化するというものであります。しかも、その財政支援は四十年以上の長期にわたって継続させるものであります。  本改正で、他の保険からJRJT共済への支援額は、年間千六百億円にも上り、現行の制度間調整法による各保険からの財政支援六百六十億円に比べても大幅に負担増額されます。ところがその反面、国鉄清算事業団JR各社支出額は千二百二十億円から五百億円程度に大幅に減額されるという労働者に酷な仕組みとなります。  なお、現役JRJT労働者に対し、厚生年金より高い保険料を課すということにも反対であります。  特にJR労働者は、被用者年金の中で最も高い保険料、最も低い年金給付という状況を押しつけられてきました。そもそもJR共済が破綻した大きな原因は、国、JR当局責任があります。  戦争前後に国策としての大量採用を行い、その後急激な人減らし合理化を行う中で、現役労働者の減少、大量退職者発生により破綻したものであり、JR労働者には何らの責任もありません。一元化で格差を是正するというのなら、保険料も通常の厚生年金並みに引き下げるのが当然であります。  我が党は、JR共済等が単独で運営できない状況にある現状では、統合することそれ自体に反対するものではありません。国民の連帯と相互援助は必要なことです。しかし、国の支援はゼロで、事業主負担は大幅に減らす、その分を保険者労働者に安易に転嫁する、主に労働者で支え合えというこのような改正案には到底賛成しがたいのであります。  私は、今後とも、国民の要望に沿い、年金制度充実のために努力することを表明して、討論を終わります。
  6. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  8. 釘宮磐

    釘宮磐君 私は、ただいま可決されました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会及び社会民主党・護憲連合各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、被用者年金制度については、今回の三共済厚生年金への統合後においても、一元化に向けた着実な取組みの推進に努めるとともに、可及的速やかにその全体的方策を明確にすること。  二、一元化を進めるに当たっては、各制度目的機能経緯等配慮しつつ、制度安定性公平性の確保に関し、財政計算時ごとに適切な検証を行うとともに、制度間の給付負担の不均衡について、引き続き、その是正を図ること。  三、年金制度に関する国民の理解を得るため、すべての年金制度現状と将来展望について、できるだけわかり易く的確な情報を広く公開すること。    特に各制度からの財政支援については、財政計算時などにおいて、適切な情報の提供に努めるとともに、関係者意見がより一層反映されるよう配慮すること。  四、国民年金の未加入者及び未納者の解消に向けて、運営・制度の両面にわたる総合的な対策を推進すること。  五、受給者及び被保険者に対するサービスの向上を図るため、年金現業業務一元化等の整備を推進するとともに、そのための基礎年金番号の導入に当たっては、プライバシー保護に万全を期すること。  六、厚生年金基金制度については、企業年金としての安定化、健全な普及発展を図るための措置を講ずるよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願いいたします。
  9. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、釘宮提出附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅厚生大臣
  11. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  12. 今井澄

    委員長今井澄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  14. 今井澄

    委員長今井澄君) 医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 水島裕

    水島裕君 私の持ち時間は三十八分となっておりますが、三十分で終わらせてほしいということでございますので、間違いなくそれで終わるように御協力させていただきます。あともう一つ、これは私の追加ですけれども大臣も大変お疲れだと思いますので、そのようにさせていただきます。  今回の出資制度改正は、日本で特に足腰が弱いとされております保健医療分野あるいはライフサイエンス分野での基礎的研究推進する、そういう目的でもって十億円を計上するということでございますので、大変好ましいことだと思います。しかし、これにより果たして法案に書いてありますような画期的医薬品がつくられる道ができるかとか、そういうことになりますといろいろ問題があると思います。  私は、きょう時間がありましたら、日本での医薬品開発というのは本当のことを言うとうまくいっていないのでございまして、これまで画期的医薬品、特に世界の患者さんたちに貢献するようなものはほとんどできていないと言っても過言ではないので、そういうことも討論し、しかも医薬品機構の今後あるべき姿ということも質疑したいと思っておりました。時間があったらいたしますけれども、なければまた来週でも、薬事法が参りますので、共通テーマだと思いますのでそちらに回させていただいて、きょうは主として研究費、主な目的であります研究費について御質問させていただき、間違いなく五十二、三分までには終わるようにいたしたいと思います。  それで、今回の研究費でございますが、これは一件一億円、一年でございますが、これが十件ということで、これまで私どもがいただいていた研究費に比べると非常に大型でございます。それだけに、使い道を間違えて悪い手本になると大変なことになると思います。  まず、お伺いしたいのは、この研究費テーマというのをどういう方法で選んでいくかということ。それから、成果評価をどのような方法で行う予定になさっているかということ。それから、これだけの大型研究費でございますので何人かでチームを組んでやるというのは当然だと思いますけれども、余りにも細分化されないようにするべきではないか。それから、一年一億円ということですけれども、これが何年にわたる研究であるか。  この四点についてまずお伺いいたします。
  16. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 今回の基礎研究推進事業におきましては、テーマ選定に当たりまして、重点研究分野をあらかじめ医薬品機構がお示しをし、これに対して広く研究課題公募することといたしております。重点研究分野といたしましては、今のところ、脳・神経関係老化エイズ医用工学技術等を考えておるところでございます。  テーマ採択に当たりましては、従来の研究ではなかなか解明の進まなかった難病等の疾病の分野につきまして、分子生物学的研究といった斬新なテーマ採択すること、これは本事業成果を上げる上で極めて重要なことであると認識しております。  具体的には、第一線の若手研究者によります評点制度ピア・レビュー方式を導入いたしまして第一段階の選定を行います。さらに、非専門家も含めた有識者から成る委員会におきまして、倫理的あるいは社会的な側面の必要性も含めて採択の可否を決定することにしたいと考えております。  採択されたテーマ研究成果につきましても、この委員会において、保健医療分野共通基盤として独創的な新技術あるいは新分野創出等に資するかどうか、そういった点で社会的、倫理的な配慮も踏まえて長期的な観点に立って評価をすることにいたしております。  また、今回の基礎研究推進事業におきましては、新しい研究課題について専念できる研究班を編成いたしまして、そしてそこにマンパワーを集中し先端的な実験機器が購入できる、そういった大型基礎研究に対しまして一課題当たり年間約一億円の研究を原則として三年ないし五年間行うことにいたしておるところでございます。
  17. 水島裕

    水島裕君 私ども古手のいろんなことがわからないボスみたいな人はだめだと申し上げますと、今お聞きしますと、今度は急に若手研究員とまでなってきてしまいました。そうではなくて、分子生物学もわかる中堅どころ中堅どころ以上じゃないと研究評価というのはやはり余り若手には無理なところもございますので、そういう人を集めてピア・レビューすると。  それから、昨日も医療法改正の案を見せていただいたんですけれども、それも見るとおかしいところがあるんですね。ですから、そういうときはやはり委員会の人の名前も書いていただかないと。委員会の人の名前を見せていただいたら、実際の臨床に携わっている方はいないんですね。ですから、やはりこういう案を出していただくときは、あるいは卵と鶏でなかなか難しいのかもしれませんけれども、やはりこういうような人にピア・レビューしてもらうというのを出していただいてから、それならばいいだろうということになるんじゃないかと思いますので、またこの委員会とは別にでもいいですけれども、その辺の情報を教えていただきませんと、このところいろいろ失敗しているのはどうもミスキャストが多いような感じがいたしますので、どうぞその辺をよく考えていただきたいと思います。  次は、こういうライフサイエンス、特にヒューマンに関係ある、リレーティブのライフサイエンステーマというのは文部省科技庁にもあるわけでございますので、似通ったテーマがあるときは一緒にするとか、あるいはそれぞれの省庁特徴を生かすということが必要だと思いますので、文部省科技庁からお答え願えたらと思います。
  18. 小田公彦

    説明員小田公彦君) お答えいたします。  まず、科学技術庁で進めています戦略的基礎研究推進事業について簡単に御説明させていただきますと、本事業知的資産の形成に資するという基礎研究充実強化を図る、こういう観点から、新技術事業団への出資金を活用いたしまして、新たな科学技術の進展あるいは新しい産業の創出につながる先導的、独創的な研究を重点的、集中的に取り上げて実施するという考えで平成七年度から発足したものでございます。  この制度におきましては、まず国が戦略的に研究目標を定めまして、これを受けて新技術事業団が具体的な研究領域を設定し、そのもとで研究テーマ公募しまして大学あるいは国研などと共同研究を実施するというものでありますが、このライフサイエンス関係につきましては、戦略目標といたしまして未知領域への挑戦といったものを我々掲げまして、その研究領域といたしまして生命現象を設定いたしております。  そのもとで重点分野といたしまして、脳機能解明あるいは遺伝子等生命活動のプログラム、さらには免疫等生体防御のメカニズムといった三つ分野から公募をいたしておりまして、具体的に言いますと、平成七年度におきましては四百十一件の公募がありまして、合計二十三課題採択いたしておる次第でございます。平成八年度におきましても同様に実施したいと考えておる次第でございます。
  19. 坂本幸一

    説明員坂本幸一君) 文部省におきましても、特殊法人等への出資金を活用いたしました基礎研究推進事業といたしまして、今年度から日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業というものを開始することとしているところでございます。そこでは生命科学というものも重要な研究分野一つとして研究を積極的に推進していこうとしているところでございます。  私どものこの事業目的は、大学を中心といたしました学術研究機関に対しまして、委託などの方法によりまして応用的な学術研究というものを広く推進しょうとするものでございます。他省庁事業がその行政目的に沿って行われるということに比べますと、その趣旨を異にしているところでございます。  ただ、今回の各省庁出資事業というものでは、研究大学で一部委託されて行われるというように予定されておりますので、対象とする研究プロジェクトなどに重複がないように関係省庁十分連携をとりながらやっていきたい、こう思っているところでございます。
  20. 水島裕

    水島裕君 好意的にお聞きすればそれぞれの省庁特徴を佳かしてということでございますが、科技庁三つの大きなテーマ、かなり予算も入れていて、脳と免疫生命現象でございましたか、きのう案を改めて見せていただきまして、それの題を選定する人が大塚教授と村松さんとそれから橋本さんの三人でございましたね。そういう方は御自分では仕事はもう余りできないかもしれませんけれどもテーマ選定する能力は十分あると思います。そういうところが大切でございますので、先ほどの十億円のピア・レビューする人あるいは課題選定する人がどういう人かということは、私どもにどの程度の権限があるかわかりませんが、ぜひなるべく早く厚生委員会の方にでも一回お知らせいただいて、やはり後になってからこの人たちが選んだり評価したのではぐあいが悪かったということになりますと、当分エイズのことがございますのでいろいろわかっていただけると思いますけれども、そういう人が一番大切だと思いますのでお願いいたします。  それからもう一つは、一億円というとやはり相当いい研究をしてもらわなくちゃいけないものでございますので、こういう名前の人に上げるというのではなくて間違いなく実績のある人と、もう一つはそこの研究室のレベルで、設備、能力その他を加味しますけれども、そこでできるというところでなくては、そういうところに研究費が行かなくてはぐあいが悪いわけでございますので、一億円も出すのでしたら、ぜひそこの研究所に行って、あるいは病院、大学に行って、果たしてそういうことができそうなところかその場所をよく見るぐらいのことで研究費を出すということにしないとぐあいが悪いのではないかというふうに思います。  しかし、一方においては、非常に画期的な研究をやりますと、総額で十億というのは必ずしも多い額ではないわけでございますので、菅厚生大臣、この研究が非常に今後の保健医療にとって重要な基礎研究で、それが順調に進んだ場合は増額の見込みがあるかどうかをお聞かせいただけますでしょうか。
  21. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 保健医療分野において、いわゆる三大成人病の予防や治療技術開発老人性痴呆研究、また高齢化社会を迎えた我が国の重要な課題にそういった三大成人病の問題があるわけでありますし、またエイズ研究及び治療技術の確立は喫緊の課題であると、こう考えております。  そういったことで、今回こういう新しい制度、つまりは出資のような形で建設国債から研究費を充当するという新しい仕組みに対して、厚生省も積極的に、何といいましょうか、受け皿としてそれを受け入れて、こうした新しい基礎的な分野に充てようということであります。  基礎研究推進事業においては、脳・神経老化エイズ医用工学の各分野基礎研究に重点的に取り組むことといたしておりまして、これらの分野に十億円を支出するということにいたしたわけであります。先ほどそれの選び方などについていろいろ御指摘もありましたので、その点は十分念頭に入れて考えていきたいと思っております。  こういった大規模な資金が必要な分野がふえているわけですが、今後さらにより大きな資金をこうした研究に充てるべきではないかという御趣旨ですが、一般的に言えばぜひそういう方向で努力したいと思っております。  ただ、何分にもこれは全体の予算の問題ですので、そのあたりは皆さん方の御支援もいただきながら、特にライフサイエンスといいましょうか、この分野日本にとっても非常に重要な分野であると思っておりますので、ぜひ増額方向で努力したい、こう考えております。
  22. 水島裕

    水島裕君 よくわかりましたけれども、逆に、はっきりしないうちに一億円もの研究費をひとつ出さないように、三月末の道路工事のように予算を使わなくちゃいけないからというのでどこでもいいから出すということだけはなさらないように、ひとつそういうふうにしていただきたいと思います。  今、大臣からもいろいろテーマが出ましたし、十億円のテーマもここに例が書いてありますし、あるいは科技庁の脳、それから生命科学というのも一通り見ましたけれども、やはりあくまでも大切なテーマではあっても、今行われていること、それから外国のまねという範嗜はどうしても見えるわけでございますね。例えば、今回の医薬品機構テーマでも「新しいコンセプトによる」というので、これはいいかなと思いましたら、医薬品製造技術と急にここで薬をつくる技術とトーンが下がってしまうわけでございますけれども、せっかくならば新しいコンセプトによる治療法とかというふうにしていただくと出す方もこれならこれに出せるというので、やはりそういうところの配慮をしていただきたい。  それから、科技庁生命科学の方も、確かに脳なんかいいと思いますけれども生命科学の方で免疫発生、あともう一つございますけれども、そのうちで非常に興味があるのが発生学でございますね。これはほとんど手つかずでありますし、これから新しい治療技術開発する意味でもヒトの発生学から学ぶところは非常に多いので、むしろそういうのを一つの大きなテーマにするぐらい前向きの、前向きというよりかは全く新しい発想をしていただければと思いますので、またお考えください。  それから、くどいようですけれども、ぜひ医薬品機構の方のレビューもわかり次第教えていただければというふうに思います。  なぜこういうことを申しますかと申しますと、これまで厚生省研究班で行われていたものが必ずしも十分ではないというところから御質問しておるわけでございますけれども、私がよく知っておりますのは特定疾患、いわゆる難病研究班でございますので、そのトータルがどのくらいであるかということを松村局長からお願いいたします。
  23. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 特定疾患治療研究事業は大きく分けて二つあるわけでございますが、特定疾患治療研究事業というものが平成八年度で約百四十七億円でございまして、前年度と比較して約十億円増加をしております。また、特定疾患調査研究事業、主として研究を進める事業でございますが、こちらは平成八年度で約十五億円でございます。したがいまして、両事業を合わせて特定疾患研究費ということになりますが、両事業を合わせますと約百六十二億円、こういうふうになってございます。
  24. 水島裕

    水島裕君 松村局長、私がどんな嫌みを言うか、当然御理解いただけると思いますけれども、今合計した百六十二億、特定疾患研究費に出ているんですけれども、そのうちの百四十七億、九〇%近くは患者さんの公費負担に回っているわけですね。一番最初は患者さんに公費負担すればある特定患者さんがある機関に集まるから治療研究がしやすいだろうということで治療研究費ということになったわけですけれども、今、百六十二億研究費を出しているといっても実際に研究費として使われているのは十五億円、一〇%以下だということでございます。日本は確かに外国に比べて一人当たりの研究費というのは相当多くなって、もうアメリカに並ぶぐらいになっているんです。  ところで、今言ったみたいに九〇%ぐらい、ただ患者さんの公費負担、治療代として使われているというようなところがございますので、ほかの目的研究費が使われて、もちろん公費負担は必要でございますからいいのでございますけれども、そういうのはやはり研究費から抜くみたいな形にしていただく方がいいので、そういう別な目的に使われていたり、国立病院補助もこの中に入っているんですよね。どういうふうに使われているかと申しますと、いろんな医療機器を買っているわけでございますので、とてもそれは研究費とは言えないんじゃないかと思いまして、それも百何億かのうちのかなりの部分がそうなのでございます。  やはり、野党は野党でございますので少し追及するような形にしないといけません。全体としてはもう賛成しているのでございますけれども、きょうは国対委員長も私の隣の隣におりますので、除名されてもいけません。  申し上げたいことは、私も厚生科学研究班などの班長をやらせていただいたわけでございますけれども、そのとき厚生省の方は国立病院の人を入れてくれというわけでございますね。私も最初は抵抗するんですけれども、国立病院の人を入れても余り役に立たないからと抵抗するんですけれども、いやいや、やっぱり我が省の病院だからということで、現にそういう方を入れますと、もちろん、がん研究費におけるがんセンターの役割とか例外、例外と言っちゃいけないかもしれませんけれども、そういうのもあるんですけれども、かなりのところでは国立病院の方に研究をお願いしても余り役に立たないというところが本当なわけでございます。  それでございますから、質問あるいはお願いは、国立病院に研究費を差し上げるということはいいんですけれども、そのときはやはり国立病院の方を整備して、人間も整備も能力と活力を持たせてからこういう大切な研究費を出すようにしていただきたいわけでございますので、その点、国立病院の研究面からの整備というのは着々と進んでいますでしょうか。
  25. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 国立病院の特別会計の中の主な研究費ということで、私ども大型研究費とこういうふうに申しておりますが、これは現在、がん、循環器病、精神・神経疾患、国際医療、小児医療、長寿医療、この六つの大型研究費予算措置されております。これらの研究は国として特に推進すべき医療に不可欠だ、こういうことで、今、委員も御指摘のように、がんセンターみたいなナショナルセンターが中心となってこの研究費を使って研究を進めておるところでございます。  それで、それぞれの研究費は一層の研究推進を図るために、現在最も重要かつ緊急性を有する研究テーマと申しますものを公示いたしまして応募をしていただいて、その中から研究成果の期待できます研究専門家によります運営委員会、こういったところで採択をいたしまして実行しておる、こういうことになっております。したがいまして、国立病院の先生方だけでなくて、むしろ大型研究費におきましては国立病院以外の多数の優秀な人材の参画を得てこの研究を進めておるところでございます。  また、研究実績につきましては、研究が終了した後に審査というようなことも行って研究の効率化を図っているところでございまして、今後ともこの国立病院特別会計の中の研究費の有効な活用に努力をしてまいりたいと思っております。
  26. 水島裕

    水島裕君 お約束の時間もだんだん近寄ってまいりました。  これも、人の名前を出さない方がいいと思いますけれども、後ろにいる某課長さんなんかはおわかりだと思いますが、厚生科学研究の慢性疾患の班長の一人は国立病院の方なんですね。どう考えてもその方よりかその下にいらっしゃる方の方が実力もあるし運営もうまいしということで、私は、国立病院に能力と活性化を持たすまでは無理して国立病院の方を班長とか何かに充てないように、これは一回充てちゃいますと三年そこの事業が余り進まないということになりますので、私はいつでも証人になって個々の例は申し上げます。ただ、国立病院の方もぜひいろいろ御活躍願いたいので、早く国立病院の整備あるいは研究面での能力というのをつけていただくということをお願いいたします。  あと二分ございますけれども、菅大臣、いろいろやりとりを聞いて、何かそういうところもあったかというようなところがございましたら一言言っていただいて、終わりにしたいと思います。
  27. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほど、どういうところに配分するか、逆に、それを決めるメンバーがどういうメンバーかということで、それはそう遠くない時期に決めるメンバーを決めることになりそうですので、そのときには委員会なりにお知らせをしたいと思っております。  研究開発というのは、一方で非常に属人的なといいましょうか人間のそれぞれの適性があるということで、それをどう選んでどうするかというのはなかなか行政の画一的なやり方では難しい問題ですから、それぞれ専門的な皆さんにも意見をいただきながらより有効な形で生かされるように努力したいと、そういうふうに思っております。
  28. 水島裕

    水島裕君 大変よくわかっていただけたようでございますので、ぜひこの十億円の研究費がよい見本となるように運営していただいて、これから国の研究がますます進むことを祈りまして終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  29. 西山登紀子

    西山登紀子君 今回の改正につきましては、医薬品の副作用被害者団体の方々からもいろんな意見が出ているわけです。医薬品機構の発足の原点である救済業務がおろそかになりはしないか、こういう声も出ております。また、医薬品機構の現在の正木理事長は、八三年の八月から八四年の八月の間、厚生省の業務局長でありました。したがって、薬害エイズに関しては非常に重大な責任がある。被害者からは、理事長としてふさわしくないんじゃないかという声も上がっているわけです。  理事長の任命権は厚生大臣にあるわけです。ですから、私も、こういう薬害エイズの問題を踏まえて、この人事の問題については厳正に対処すべきたというふうに思うわけです。また、理事には被害者団体や弁護士などを加えるべきだというような意見も上がっておるわけで、私は当然だと思いますが、この点をきょうは指摘しておきまして、限られた時間でもございますので陣痛促進剤の被害の問題について質問をしたいと思います。  私の地元にも陣痛促進剤の被害者の方がいらっしゃって、事情を伺いました。陣痛促進剤による被害を考える会という組織があるわけですが、これまでに母子死亡、脳性麻痺など百八十四件の被害が報告をされているわけです。裁判中が三十四件、裁判の準備中三十八件など、被害は一道一都三十二県にわたっています。  厚生省が九二年十月にこの副作用被害に対して添付文書を改めるという措置をとっていますが、それ以降もマスコミの報道では五十八件の重大な被害が出ているわけです。  全国的な規模であること、また被害が非常に重篤であること、裁判が多発していることなど、この被害の深刻な事態を厚生省はどのように認識していらっしゃるでしょうか。
  30. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 平成四年十月に、陣痛促進剤の「使用上の注意」に、母体、胎児に対する安全性に十分考慮して分娩の進行に必要最小限にとどめるというふうな記載をさせるなど、繰り返し陣痛促進剤の適正な使用について医療関係者の注意を喚起してきたところでございます。  しかしながら、平成四年十月の改訂後も子宮破裂等を起こしたり、あるいは死亡した症例、脳性麻痺の方が続発するという指摘がございまして、平成七年、昨年の十二月に、厚生省におきまして、企業に対して副作用の実態について調査をするように指示をいたしまして報告を求めました。  昨年十二月から本年一月までに行われた調査の結果、平成四年十月以降に発生した症例が二十三例ございまして、うち、母体の死亡が二で、胎児、新生児死亡が七例等でございます。この中には二種類の陣痛促進剤を同時に併用するなどの禁忌の使用法にあるような事例も含まれておったわけでございます。  本年の二月十四日に、厚生省におきましては、この添付文書に新たに子宮破裂の危険性について説明をした警告欄を設けまして、安全対策について改めて関係者に伝達をするように企業を指導しております。  また、日本産科婦人科学会でありますとか日本母性保護産婦人科医会に対しまして、会員向けの情報誌あるいは卒後研修等を活用して、子宮収縮剤の安全で適正な使用のための知識、方法の周知徹底を図る、そういった適正使用の推進に協力を依頼しておるところでございます。  また、三月に発行いたしました医薬品副作用情報におきましても、陣痛促進剤によります副作用症例の紹介、情報提供を行っております。  このように、子宮破裂などが非常に重篤な症状であり、また母子双方の生命を脅かす可能性があるということで副作用として重いものと考えておりまして、今後とも収集された副作用情報等をもとにいたしまして陣痛促進剤の安全性確保に努力をしてまいりたいと考えております。
  31. 西山登紀子

    西山登紀子君 九二年の十月以降の被害の把握につきましても、マスコミは五十八件、厚生省は二十三件。差があります。現在、機構に申請されているのも十二件、救済は十件ということであります。  埋もれた被害が数多くまだまだあると思うんですけれども、今後とも実態調査を継続して把握していただく、あらゆる方法を使って把握していただく、その点はどうでしょうか。
  32. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 陣痛促進剤の被害を考える会の調査によりまして出ておる五十数例、報道されておるわけでございますが、私どもの数字が相違しております理由といたしましては、厚生省には主治医が副作用あるいはその疑いがあると判断した例について報告をされておるということでありますが、被害の会には主治医の判断とは別に副作用とされたものというものが含まれていることがあるというふうに考えておるわけでございます。  これにつきまして、お尋ねの症例は、さらに副作用に該当したケースがあるかどうか、この会の方から提出された症例をもとに、企業の収集をした副作用症例との突合でありますとか、あるいは中央薬事審議会の専門家による検討などの調査を行いまして、必要に応じて適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  33. 西山登紀子

    西山登紀子君 この被害の多発の原因というのは、陣痛促進剤というのは非常にデリケートな薬で、個人差が大きいということがあるのではないかと思うわけです。  そこで、分娩監視装置を継続して使用することだとか点滴には自動点滴装置を義務づけるなど、添付文書をさらに改善する、そして医療機関や医師へ周知徹底を図る、書き方の改善も含めて、そういう対応をぜひ図っていただきたいんですが、どうですか。
  34. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 陣痛促進剤の投与に当たりまして必要な注意というのは、添付文書の「使用上の注意」に記載されておるわけでありますが、オキシトシンを例にとってみますと、添付文書の冒頭、あるいは「使用上の注意」の一般的注意といたしまして、分娩誘発、微弱陣痛の治療の目的で使用する場合に、「過強陣痛を起こす可能性があるので、分娩監視装置等を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察等十分な分娩観察を行うこと」と記載されておりまして、さらに「できる限り少量から投与を開始し、陣痛発来状況及び胎児心音を観察しながら適宜増減すること」というふうにされておるところでございます。  陣痛促進剤の投与に当たりましては、投与中は子宮収縮の状態あるいは胎児の心音の観察等によりまして、母体、胎児の出産状況、十分な観察を行うことが必要でございます。その観察手段の例示として分娩監視装置について記載をしておるわけでありますが、ほかに適当な方法によることも可能であるというふうに考えております。  陣痛促進剤は少量から投与するというような「使用上の注意」を守ることが原則でございまして、その際に使用する器具としては、自動注入ポンプを使用するかどうか、これは主治医が産婦の状態等を勘案して判断をし選択をすることが最善であるというふうに考えております。したがって、特定のポンプあるいは特定の装置の使用を義務づけるということは困難ではないかというふうに考えております。
  35. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いしたいわけですけれども日本の妊産婦の死亡率は七・七、国際比較ではカナダやスウェーデンに比べて二倍以上高いわけです。改善が求められているわけです。  そこで、陣痛促進剤の使用について、妊婦に対しても十分な説明がされていないということも問題だと思います。日母、日本母性保護産婦人科医会は九二年十月に新指導票というのをつくりまして患者へのインフォームド・コンセントの徹底を図ることにしているわけですけれども、考える会によれば、医療現場ではこの指導票はほとんど使われていないということです。  そこで、すべての妊婦に対しまして、出産準備の段階で十分で正確な情報を提供する必要があると思います。母子手帳の中できちっと説明をすることや、保健所の妊婦学級、母親学級と言う場合もありますが、でもお知らせをする、講習をする、こういうふうなことを含めまして、あらゆる方法をとっていただいて、祝福されるべき生命の誕生と同時に起こるこうした悲劇をなくすことに厚生省は全力を尽くしていただきたい。  大臣の御決意をお伺いして質問を終わります。
  36. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この陣痛誘発剤の問題、聞いておりまして本当に、何といいましょうか、予定日を超えているとかあるいは陣痛が弱いとかということで使われているケースと、多分、計画出産というんですか、時間をある程度コントロールするような形で使われているケースといろいろあるようでありまして、そういう点では、これはもうお医者さんの専門的な判断ではあるかもしれませんが、何かやや本当の意味の必要ではないところまで使用が広がっているのではないかと、そんな感じもするわけです。  そういった点で、今、西山委員からもありましたように、この薬がどういう意味を持って、どういう副作用もあり得るかということも含めて、ぜひいろいろな機会を通して周知徹底するように努力をしたいと、こう考えております。
  37. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  38. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  39. 釘宮磐

    釘宮磐君 私は、ただいま可決されました医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合及び日本共産党各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、本機構の設立当初の経緯と趣旨を踏まえ、医薬品の副作用による被害者の迅速な救済に関して遺漏のなきよう必要な措置を講ずるとともに、新業務が適切に行われるよう、併せて体制の整備を図ること。  二、研究課題選定に当たっては、制度目的を踏まえ、長期的視点に立って、重点的に行うこと。  三、基礎的研究推進に当たっては、柔軟で独創的な発想を活かすことが重要であることから、ポストドクター等の若い研究者も積極的に活用すること。  四、基礎的研究成果については、エイズ難病等の克服を始めとする国民の保健福祉の向上に役立てることを旨とし、積極的かつ迅速に画期的な医薬品・医療用具の開発、治療・予防研究等の応用・開発研究につなげていくこと。  五、副作用被害者救済はもちろんのこと、基礎的研究やオーファンドラッグ等の開発振興は、いずれも国民生活に関わる重要な任務であり、今後さらに社会的な要請は増加することが考えられることから、専門的運営によって一層の成果をあげ国民共有の財産とするためにも、本機構の組織体制の在り方については今後積極的に検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願いいたします。
  40. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  41. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、釘宮提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅厚生大臣
  42. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  43. 今井澄

    委員長今井澄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会