○塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。きょうは百七分いただいておるわけでございますが、さまざまな何か事情があるようで、一時間ちょっとでやめるということになっておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
年金の話に入る前に、この間ちょうど
年金の話で自由民主党の阿部先生から、
保険料率、将来の推計、
国民年金の
保険料の将来の見通しとか、これを見て改めて、このときまで私が生きているかどうかよくわかりませんが、そのとき息子や、娘はいませんけれども、孫かだれかが
負担をするのかなと、こういうことを考えると、やっぱりこれからかなり難しい時代になるのかなという気がいたすわけでございます。そういうことで、今ちょうど
厚生省の中にも
社会保障に関する構造改革推進本部なるものをおつくりになったようでございますし、最初に
社会保障全体の見直しにつきまして、少し大臣の
基本的なお考え、あるいは今後のスケジュールについてお話をお聞きしたいと思うわけでございます。
その前に、私自身がどう考えているのか、何が
ポイントかということでございます。恐らく
厚生省も、あるいはここにおられます
委員の皆様方本大なり小なり同じようなことを考え、今までのような連続線上の上ではなかなか難しい時代なんだろうなとお考えになっているのではないかと思うわけでございます。
ポイントは五つぐらいあるのかなと私は思っておりまして、
一つは、やっぱり
社会保障でありますから、社会的に弱い
立場にいる
人たちの確実な社会的な支援というものを確保していく、これはもう当然のことだろうと思うわけであります。
さはさりながら、二番目の
ポイントとして、
高齢者もかつてのように定年をしたらそのままということじゃないのはもう常識になっているわけでございまして、社会参加というものをどうしていくのか。つまり、
高齢者自身が扶養されるだけの
立場ではもちろんないということを改めて確認しなければいけないのかなというふうに思うわけでございます。
社会保障自体も、こういった
高齢者の社会参加、ボランティアであったり、勤め続けるとかいろんな形があるんだろうと思うんですけれども、それを助けるような観点もこれからは必要なんだろうということだと思います。
それから三つ目は、
高齢者のこういうような形のライフスタイルも随分変わってくるわけでありますから、当然多様なニーズがあって、選択の自由というものがなければいけない。これまでの福祉というのはどうしてもお仕着せであったり一方的な平板なものが多かったわけでありますけれども、
高齢者が健康であるかどうかとか、あるいは社会的・経済的に置かれた
状況によってさまざまなニーズが
高齢者の中にも出てくるし、そういうものに応じた
社会保障の見直しというのは当然必要になってくるということだろうと思います。そのためには個人の選択を自由にということで、介護
保険の問題は後で申し上げますけれども、
厚生省あるいは老健審、そして我々与党の福祉のPTも選択の自由というものを随分大事に考えてきたような気がいたします。その手段としては
民間活力をフルに動員するということではないかと思います。
四番目は、そういう中で、やっぱり経済の実態、あるいは個人の
負担であるとか、そういうものとの平氏性というものも大事に考えなければ、二九・八%まで上がるという
年金の
保険料率に代表されるように、これから大変厳しい時代になってくるわけでありますから、例えば
社会保障の今の
制度をもしこのまま続けていった場合には、将来の
国民負担、
国民負担についてもいろんな
議論がこの
委員会でも出ておりましたけれども、その辺も率直に
国民の皆さんにお示しをするということが大事なんだろうと思うわけであります。かねてから
高齢化のピークでも
負担率が五〇%以下と言われておりますし、今回、橋本総理は四五%以内にというようなことも巷間伝えられているわけでございますが、そういったものとの整合的な
社会保障制度の選択肢というものを
国民に示すことが大事なんだろうと。
今回、介護
保険、また後で述べますけれども、今、月五百円でというような話がありますけれども、例えばこれも
前提としては半分公費で見るということが今までの福祉の延長線上で入っているわけでありまして、例えばドイツのように全部
保険料でやっちゃった場合に、皆さんにはこれだけ
負担をしてもらわなきゃいけませんよ、だけれども、いろいろなお
立場の方もおられるから、そこで半分あるいは三分の一公費を入れる場合にはこのぐらいの
負担になりますよと、いろんなメニューを示すことによって、これからのなかなか厳しくなる自分たちの
社会保障のあり方というものを我々を含めて
国民全体が認識していく、そういうプロセスが大事なんじゃないかな。
ですから、余り隠さずに、ひとつここはガラス張りにいろいろな選択肢や問題点というものを出していくことが大事であろうと。もちろん、成長率も随分下がってきた、前回の福祉ビジョンから見てもまた下がっているということでありますから、そういった点からの見直しも当然必要。
その一方で、この間、朝日先生から某役所の相関
関係の話が出ておりましたけれども、
社会保障負担と経済成長率の相関
関係というのがありました。しかし一方で、今は
企業があるいは人が国を選ぶ時代になったということはもう皆さんも御案内のとおりでありますから、この某役所の指摘する
社会保障負担が経済に与える影響というのも全く無視するわけにもいかないだろう。しかし、それが本末転倒になって、
社会保障の問題が言ってみればその問題で振り回されてしまうということはいけないんだろうと思いますけれども、しかし無視はできないということではないかと思うわけであります。
五番目に、世代間の公平ということがもう言わずもがなではありますけれども大事で、この公平さというものをどう考えていくのか。また後で述べたいと思います。
何か大演説になってしまいますが、介護
保険の問題についてもちょっと言っておかないと、後で
基本的哲学の中で言っていただかなければいけないので申し上げますけれども、さっき申し上げたように、我々、福祉プロジェクトをけさもやって、第八十三回か七回か忘れましたが、八十数回やってきて、そのかなりの
部分を公的介護
保険の
議論に費やしてきた。
そういう中で、
厚生省もいわば
社会保障の構造改革の第一のステップだとおっしゃって、何が何でもこの国会に出そうと、こういうふうに聞いているわけでございますけれども、例えば利用者
負担を定率で導入するとか、あるいは
高齢者自身、
年金から
保険料を取っていくとか、あるいは医療と福祉の一体化であるとか、あるいはまた
民間サービスの福祉のジャンルへの導入とか、かなり新しい試みを果敢に行っているということは我々も高く
評価をしなければいけないというふうに思っております。
しかし、今考えてみますと、きょう、あす市長会が行われていると聞いているわけでありますけれども、まだまだこの運営主体となるであろう市町村の了解が十分得られていない、納得が得られていないというふうに思われておりますし、またサービス供給のインフラの整備不足とか、あるいは地域間格差の問題、あるいは例えば二〇二五年のピーク時の
負担が示されていないということで将来への不安をやっぱり皆持っている。今五百円と言ったって、二〇二五年にどうなんだということがよくわからない。また、在宅だけ先にスタートすることについての批判もある。四十歳以上を対象ということにも批判があって、いろいろ煮詰まっていない問題があるんだろうと思うんです。
ですから、結論から言いますと、待ったなしになっている介護の問題に早くこういった
仕組みを導入するということの
議論喚起のために、早くたたき台をつくるということは大変重要だと私も思っております。それには大いに賛成をしますけれども、修正を覚悟で今のまま国会に上程をしてくるということは、ちょっと
政府提案としてはいかがなものかなと。
政府提案ということで出してくるならば、もちろん最終的に修正があったとしてもこれでいくんだというものがなければ、とりあえず出して、みんなの御
意見をいただいて修正していこうという程度のものであったならば、私はあえて閣法として出すのにはなじまないんじゃないかなというようなことを思っております。
そのほか、医療
保険の抜本的な見直しも少なくとも来年度からスタートしなければいけないということでありますから、年内にもう
議論が詰まらないといけない、こういうことになっているわけであります。
いろいろ言いましたけれども、そういうような今私が申し上げたようなことを踏まえて、ひとつ大臣のこれからの
社会保障全体の見直しに関する
基本的な哲学並びに今後のスケジュールについてお聞かせいただきたいと思います。