○阿部正俊君 あと十数分しかありませんので、余りあちこちもいっていられないのであれしますけれども、今のお話をお聞きしていますと、正直言いまして、この
段階保険料率というふうな
一つのテクニックということで
国民につじつまが合うような形で
説明してきたんだと思うんです。今までは何とかつじつまが合ったように見えたのは、
局長が今いみじくもおっしゃられましたように、あくまで可処分所得が減るわけじゃないんだというふうな、何というんでしょうか、かなりの割合での右肩上がりの経済の中での
一つの手法だったのかなというふうに思うんです。
これから先どうなのかというのはあれですけれども、近藤
局長は可処分所得の範囲内でというふうなことの意味合いの御
説明をされましたけれども、私は、医療なりそれから今議論になっています介護サービスなりを考えますと、実質的にはやっぱり可処分所得の増分を分配するということではなくて、まともな意味での世代間の扶養ということでの合意というものを、合意といいましょうか、感覚というのを求めていく必要があるのかなという気がするわけなんです。
そうなりますと、その合意を得ていくためには、
計算上こうなりますよということだけじゃやっぱり説得力が弱いと思うんですよね。合意を得ていくというふうな積極的なスタンスとはちょっと必ずしも言えないのかなと。今、
年金についても情報開示というようなことを言われていますけれども、情報開示といいますのは、ただ何か隠しているか表に出すかというふうな論議ではなくて、もっと
国民が選択をしやすいような形で出していくということが私は非常に大事なんじゃないかなというふうに思うんですよね。
計算の根拠を何かコンピューターの中を見せろみたいな話ではなくて、選択しやすい仕掛けにして、オープンにしていくという意味で私は大事なんじゃないかなと。
例えば、そういう意味で
一つの提案といいましょうか、あえて申し上げますと、こういう
段階保険料率のどんぶり勘定で必要
保険料ということではなくて、例えば今一六・五ですから、一六・五までは皆さん出してくれているわけです。こういう場合だったらどれぐらいの
給付が実現するのか。将来、
段階保険料、
段階というと何か
段階的にやっていくみたいなニュアンスですが、そうではないんです。一挙に二六・二までいく場合もあるわけですよね。そういった将来の世代に期待する
部分で
給付が成り立つのが幾ら幾らで、今皆さん方出し合っている
部分で成り立つものは幾ら幾らで、あともう
一つ、
年金について
一つの要素がありますのがいわゆる
積立金でございます。これが今九十兆ぐらいですか、
厚生年金の場合。相当の額なんですが、それの存在とその運用で将来の
給付設計はどれだけになるのか。
多分その三つの要素だと思うんですけれども、それぞれ分けて提起をして、どういうふうに
国民の皆さんは選択されますかというふうな提案の仕方というのは要るのではないか。どんぶり勘定でこれだけ必要ですよというようなことだけでは、どうもなかなか納得されないのかなという気がするわけなんです。例えばそういうふうなことを提案したいんです。
あともう
一つ、別な見方からしますと、いわゆる
世代間扶養とか
年金の有利不利の問題でいつも議論になるんですけれども、確かにどこの国でも
年金のスタートというのは、いわゆる私保険的な要素を加味しながら
国民に訴えてスタートしたという歴史を持っていると思うんです。でも実際上は、賦課方式か積立方式かというのは余りこだわるつもりはありませんけれども、結果論としてやはり
世代間扶養に近づいていくことだけは事実なんです。
こうなりますと、別な見方として、例えば月額二十万円の
厚生年金をちょうだいしている人がいたとしますと、その方の納めた
保険料及び
事業主が出してくれた
保険料の幾らぐらいが一応想定されて、一方で、現役の働いている
人たちの今出してくれている
保険料の中から割かれている
部分でどれだけになっているのか。私の感覚では、月額二十万円の
年金をもらっているとするならば、いただいている
金額のうちで御自分が出した
保険料分というのは多分二割
程度が関の山ではないかなという気がするんですけれども、ほかはみんな今働いている
人たちが出している分なんです。
その辺がどうなのか、どういうモデル設計になるのか、やはり率直に打ち出しながらこれからの
年金制度を考えていく。そういうことを考えますと、公務員は別だとかというようなことは到底言えるような
状況ではないのじゃないかという気が私はするわけなんです。
今二つのことを申し上げました。マクロとして三つの要素に分解してみると、それぞれの
給付がどういうふうな割合で成り立っているのか。つまり、現在の
厚生年金でいえば、二八・五という既に出している
保険料で賄われる分が将来の
給付の何割ぐらいで、それから
段階保険料に期待する分が何割ぐらいで、それから
積立金の運用云々で考えられる分が何%ぐらいなのかというようなことをできましたら教えてほしいことと、それから例えば個別の
年金額についていえば、御自分の出した
保険料と、それからいわゆる
世代間扶養で賄われる分が幾らなのか、その辺をまず御明示いただけるかどうか、
お尋ね申し上げたいと思います。