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1996-05-07 第136回国会 参議院 厚生委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  五月一日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     木暮 山人君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 勝木 健司君                 田浦  直君                 水島  裕君                 山本  保君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省生活衛生        局長       小林 秀資君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省児童家庭        局長       高木 俊明君        厚生省保険局長  岡光 序治君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君    説明員        警察庁生活安全        局少年課長    勝浦 敏行君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        加茂川幸夫君        建設省住宅局住        宅総務課長    古屋 雅弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (厚生省所管及び環境衛生金融公庫)     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、北澤俊美君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。     —————————————
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 去る一日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 石井道子

    石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。  参議院の予算委員会もいよいよ大詰めとなりました。与党としてはできるだけ年度内成立を目指しておりましたけれども、それが実現できなかったことはまことに残念でございますが、ようやく委嘱審査の日を迎えることができたということでございます。今までの日本経済成長、そして完全雇用の中で誇っておりました日本経済も四年前のバブル経済の崩壊によりまして大変深刻な後遺症を残しているのでございまして、大変大きな災いを残しております。景気回復もままならないということもありまして、できるだけ早期予算成立を目指してその実効ある実行を待たれているというときではないかと思います。  我が国は二十一世紀に本格的な少子高齢化社会を迎えます。そして、生産年齢人口が大変減少いたしますし、社会保障費用がますます増加をしてしまう、社会経済活力低下をするということが心配をされているわけでございます。しかし、私は、日本を世界一の長寿国といたしました日本人のすぐれた英知を生かして、さらにまた厚生省の立派な実績をもってすれば日本経済社会活力をこれからも持っていけるのではないか、そんな期待を持っているわけでございまして、今後も国民一人一人が心豊かに安心して暮らせる、そういう真の長寿社会を構築するために努力をしていかなければならないと思いますし、それができるものと信じているわけでございます。  そこで、厚生省平成年度予算案につきましては大変規模が大きいということが特徴であろうと思いますし、政府全体の一般歳出の約三分の一を占めております。ですから、政府全体の財政事情にも大きな影響を受けざるを得ない、それに左右をされてしまうということは論をまたないところでもございます。極めて厳しい財政事情の中でも、高齢化進展によって年金医療費国庫負担はますますふえてまいります。そして、厚生行政間口は大変広いものですから、そういう面で緊急に対応しなければならない問題もたくさんあるわけでございますが、それぞれの政策課題に対応できる予算平成年度予算案に適切に盛り込むことができたでしょうか、このことをお伺いしたいと思います。  特に、少子高齢化社会を迎えて、やはり今後も年金医療福祉社会保障費用の増大に向けて、低成長時代の中で国民に過剰な負担をかけないで、そして社会保障制度が安定的に運営できるということが重要であると思いますので、二十一世紀に向けた社会保障システムをどのように構築をされていくおつもりでございましょうか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  5. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、石井委員の方からもお話がありましたように、厚生省予算、この平成年度予算案の中で十四兆三千億円をお願いいたしておりまして、その中で医療費及び年金に関する国庫負担が、医療が六兆四千五百億、年金が四兆一千三百億、合わせて十兆五千八百億ということでちょうど予算の四分の三をこれらの国庫負担が占めております。そういった意味では、大変厳しい財政状況の中で人口高齢化進展に伴い不可避的に増加するこうした厚生省予算編成はこれからますます容易でないというふうに認識をいたしております。このような中で、毎年、制度見直し事務事業効率化などを進めながら、間口の広い厚生行政の諸課題に対応できる予算を確保してきているところであります。  平成年度予算においては、これら医療年金以外に大きな課題として障害者プランをスタートさせ、また新ゴールドプランエンゼルプラン関係予算も大幅に増額をお願いし、保健福祉プランを総合的に推進することといたしました。また、これ以外にもリサイクルを重視した廃棄物対策推進、そして母子保健医療分野での新規施策の展開、さらにはエイズ対策の強化、厚生分野科学技術振興経費などを計上したところでありまして、国民のニーズに対応し、時代の要請する諸課題にも積極的に取り組む予算となっていると考えております。  さらに、今、石井委員の方から社会保障制度の安定的な運営をしていくために二十一世紀に向かってどのようなシステムを構築していくのかという御質問もいただきました。  高齢化進展に伴いまして社会保障に係る費用増加をしていくことは避けられないものと考えております。しかし、他方で低経済成長時代を迎え、経済活力を損なわないで、また国民の皆さんに過剰な負担を課することがないようにしつつ適切な医療福祉サービスを提供していく、なかなか難しい道ではありますけれども、こういったことが両立するような道を模索していかなければならないと思っております。  このような状況にかんがみまして、社会保障制度全体の構造改革を図っていく必要があるのではないか、その際には医療福祉といったそれぞれ個々の施策の間でいろいろな連携を図って、従来は医療で行われていたものを福祉で行う、あるいは枠組みを組みかえることによってより効果的、効率的な形の医療福祉というものを考えていく、そういったことを含めて社会保障給付全体の増加をできる限り抑制しながら質は向上させていくという道を模索していきたいと考えております。また、公、民の適切な役割分担を確保することにより、社会全体のサービス効率化を図っていくといった観点も必要だと考えております。  以上申し上げたように、大変難しい道ではありますけれども委員がおっしゃったように、経済社会活力を損なわないで、しかし少子高齢化社会に備える、そういう方向を模索してまいりたい、このように考えております。
  6. 石井道子

    石井道子君 ありがとうございました。  次に、児童の問題についてお伺いをいたします。  先日、厚生省から人口問題に関する意識調査が公表されました。これによりますと、人口高齢化に対する危機感大変皆様方が持っていらっしゃる、浸透しているということがわかります。一方で、出生率低下については望ましくないとする否定的な評価が上昇しておりまして、低出生率対策必要性についても何らかの対策が必要であるということを考えている方が八割を超えている状態でございました。出生率低下問題への国民の関心はだんだんと高まっておりますし、大きな危機感を持っているというふうに思います。  これからの我が国社会経済を担う子供の問題は、私もたびたび取り上げてはまいりましたけれども高齢化対策と並んで、それ以上に緊急に取り組まなければならない大変重要な課題であると思っております。既に、出生率を高めるため、女性が働きながら安心して子育てができる環境づくりということで育児休業制度ができましたし、また保育所対策も進めていただいておりますし、また出産手当金増額などにもいろいろと配慮をしているところでございますが、最近の出生の動向を見ますと、超未熟児がふえているということ、そして高齢出産がふえているという特徴が見えてまいりました。  我が国においては、これまでの母子保健施策の拡充によって乳児の死亡率の低さは世界の最高水準にありますが、超未熟児高齢出産における緊急時の母子医療体制整備は不十分でございまして、今年度から新たに創設されます総合周期母子医療センター事業、これが大変大きく注目をされているところであろうと思います。  そこで、この事業の概要についてお伺いをしたいと思います。
  7. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) まさに先生指摘のとおり、子供の数が減っておりますが、一方、未熟児あるいは高齢出産といった形の増加が見られているわけでございます。それからまた、未熟児に対する医療高度化というものも非常に進んでおる、そういった中で安心して出産することができるような総合的な出産前後のいわゆる周産期医療体制充実を図るということは、これは非常に喫緊の課題であるというふうに考えておるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、平成年度予算案の中に、一つ都道府県におきます。産期医療協議会といった出産前後の周産期医療システムというものをきちっと地域において考えていただく、そしてそういうシステムというものを整備していただく、こういうことを一つ盛り込んでございます。それからもう一つは、出産前後における救急医療に対応するための総合周期母子医療センター整備、その中における運営費助成ということを新たに計上いたしてございます。平成年度予算案におきましては、初年度ということもございますので、全国五カ所の予算措置を講じておるところでございます。今後はこれをできれば各都道府県にそれぞれきちっと整備していただくような方向で各県とも協議しながら着実な充実推進に努めたい、このように考えております。
  8. 石井道子

    石井道子君 次に、児童福祉施策見直しについてお伺いをいたします。  戦後、我が国は飛躍的な経済成長を遂げ、国民生活水準も大幅に向上してまいりました。また、女性社会進出増加いたしまして、子育てをめぐる状況も大変大きく変わってきているところでもあります。また、児童の権利に関する条約も批准をされまして二年を経過いたしているわけでございますが、この条約の考え方についても徐々に国民の間に浸透しつつあるのではないかと思います。  このような状況の中で、現在中央児童福祉審議会において児童家庭福祉施策見直しの議論がされていると伺っておりますが、児童家庭福祉見直しに関します大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  9. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 児童家庭を取り巻く環境は、今、先生もおっしゃったように、大変大きく変化をいたしておりまして、現在の児童家庭福祉施策の体系では十分には対応できない問題も多数生じてきているところです。このため、来るべき二十一世紀を見据え、時代変化に対応した構造改革が必要となっているとこの分野でも考えております。このような認識のもと、中央児童福祉審議会特別部会を設けまして見直し検討に現在着手をしているところであります。  二十一世紀少子高齢社会を控え、子供たちを個性豊かでたくましく育て上げ、次代の担い手として社会に送り出すことが必要であり、児童家庭福祉施策充実活力ある社会基盤づくりという観点から最も重要な課題一つ認識しております。こういった観点に立って今後とも中央児童福祉審議会における幅広い角度からの審議を期待いたしているところです。  特に、連日のようにいじめとかいろんな問題が出ておりますけれども、そういったことも含めてこれからの児童が健やかに育つような環境をどうしていくか、厚生省としても全力を挙げて取り組みたい、このように考えております。
  10. 石井道子

    石井道子君 次に、廃棄物関係についてお伺いをいたします。  国民日常生活にとって必ず発生するごみの問題は生活環境の質を高めるという面において特別にいろいろと配慮しなければならない問題で、重要なことでございます。国民生活に密着した生活基盤施設として廃棄物処理施設整備は着実に進めるべきであると考えておりますが、平成年度予算編成においても、公共事業全体の予算伸びが四・一%であったものが、廃棄物処理施設整備につきましては大幅に上回る九・一%という高い伸び率が示されているわけでございまして、この廃棄物処理については今までの燃やして埋める処理から極力リサイクルを図る循環型の廃棄物処理へと質の転換を図ることが必要と考えられます。  それで、まず廃棄物リサイクル現状についてお伺いをしたいと思います。
  11. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、ごみリサイクル状況について御説明申し上げます。  リサイクル平成年度では二百四十五万トンでありましたのですが、平成年度には四百八万トンヘと約一・七倍に増加をいたしております。これはごみ発生量の中に占める割合でいきますと、これをリサイクル率という形で見ておりますが、これによりますと、平成年度が五%であったものが平成年度には八%と三%の増加であったわけでございます。  また、分別収集に取り組む市町村状況を見ますと、平成年度では全国で千三百四十二市町村全国の四二%の市町村が何らかの形で資源ごみ分別収集を実施いたしておりますが、最終処分地が逼迫していること、それからリサイクル意識高まり等から分別収集に取り組む市町村の数はふえておりまして、平成年度には二千十一市町村全国の六五%の市町村が取り組んでいるところでございます。  しかしながら、分別収集を実施している市町村の多くは実は缶だとか瓶だとかいう比較的分別収集のしやすいもののみに取り組んでおりまして、PETボトルだとかいわゆる飲料用紙容器牛乳パック等につきましては、実はPETボトルでは約五・四%の市町村、それから飲料水用紙容器では一九・四%とまだ少数の市町村に限られているという現状でございます。  いずれにいたしましても、ごみというのは従来からの埋めるというだけではなくて、何とかリサイクルをして減量化をしていかなくちゃいけない、このように考えておるところでございます。
  12. 石井道子

    石井道子君 リサイクル推進するに当たりましては、重量ベースで二五%、容積ベースで六〇%を占める缶や瓶の容器包装廃棄物リサイクル推進することが重要でありまして、私どもも大変苦労いたしまして容器包装リサイクル法成立させたところでございますし、この法に沿いまして円滑な施行を図っていただきますことを御期待申し上げる次第でございます。  そして、この廃棄物関係の中で産業廃棄物処理の問題も大変重要なことではないかと思います。それで、この産業廃棄物の問題は前から不法投棄とかあるいは最終処分場の問題とかさまざまなトラブルがあったり、また有害物質が発生するなどの問題もございまして、非常に多くの課題を抱えております。  そういう中で、これは知事の許可でありますし、民間企業に任せるようなシステムの中でございますのでなかなか思うようにいかないという現実の姿もありますが、ぜひこれは厚生省といたしましても産業廃棄物処理対策についてともども積極的に取り組む必要があろうと思いますが、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  13. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 先生指摘のとおり、産業廃棄物処理に当たりましては、不法投棄の問題だとか最終処分場の確保など、取り組むべき課題が大変多いと私どもも思っておるところでございます。  ただ、産業廃棄物をめぐりましては、不適正処理が住民の不信感を増大させ、最終処分場立地反対が強まり、それがさらに最終処分場の逼迫をまたもたらしまして不法投棄を惹起する誘因となるという、こういった一種の悪循環になっているわけでございます。どれか一つだけを解決すればということではなくて、この悪循環を断ち切ることが私ども大変に重要だと考えておるわけでございます。  そのため、現行の廃棄物処理あり方について総合的に見直しをする必要がある、このように考えまして、本年の二月に生活環境審議会の中に産業廃棄物専門委員会を設置いたしました。これまでに三回の専門委員会を開催し、都道府県産業界からの関係者意見を広くお伺いするとともに、近く最終処分場現地視察をするなど、今積極的に検討をしておるところでございます。
  14. 石井道子

    石井道子君 どうかよろしくお願いいたします。  次に、医薬品関係についてお伺いをいたしますが、今度の国会で大変重要な問題として住専問題があり、また薬害エイズの問題があります。この重要な問題に対しまして、厚生大臣を初めといたしまして関係者皆様方が大変御努力をされてその問題解決のために当たっていらっしゃるわけでございますし、その御苦労もお察し申し上げる次第でございますが、できるだけ原因究明とかあるいは再発防止恒久対策に対して万全を期していただきますことを心から御期待している次第でございます。  今回の薬害エイズ問題につきましては、三月二十九日に和解成立をいたしたところでございます。そして、このような医薬品によります、また血液製剤によります悲惨な健康被害薬害被害というものが発生しないように全力を尽くして私どももその課題に取り組んでいかなければならないと思います。  この点について、厚生省において今回の事件を踏まえまして医薬品による健康被害再発防止対策に関するプロジェクトチームをつくられたと聞いておりますが、このプロジェクトチーム目的と、どのようなことを検討されていくのか、まずお伺いをしたいと思います。
  15. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 医薬品による健康被害再発防止対策に関するプロジェクトチームでございますけれども先生指摘のように、今回のような悲惨な被害を発生させるに至ったことを深く反省し、今後このような被害を再び発生させることのないよう、医薬品等による健康被害再発防止具体策を取りまとめることを目的といたしまして四月十二日に設置をいたしたわけでございます。  このプロジェクトチームでございますが、大別いたしますと、一つには再発防止のための政策決定プロセスあり方二つ目には情報提供あり方三つ目には薬事行政及びその組織のあり方、この三つ検討項目中心にいたしまして医薬品による健康被害再発防止具体策につきまして幅広い観点から検討を進めること、こういうふうにいたしておりまして、今後厚生科学会議における大所高所からの御意見等を踏まえながら六月ごろまでを目途にいたしまして具体策を取りまとめたい、かように考えておる次第でございます。  この再発防止対策につきましては、国会でも種々御指摘をいただいているところでございまして、また与党におかれましてもエイズ問題検討ワーキングチーム中心にいたしまして検討が始められておる、こういうふうに承知をいたしておるところでございますので、それらの御指摘、御意見も的確に受けとめながら適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  16. 石井道子

    石井道子君 四月四日の厚生委員会におきましても質問をさせていただいたところでありますけれども我が国にはエイズ治療薬の数が大変少ないということが患者皆様方からも和解協議の中で言われたところでありますし、その早期開発推進が求められているというふうに思います。  開発推進に向けて積極的に取り組んでいく方向検討されていると聞いておりますけれどもエイズ治療薬研究開発促進を図るための対策進捗状況はどうなっているのでございましょうか、お伺いをしたいと思います。  また、先日もアメリカでは非常に短期間にエイズ治療薬審査を終了して承認されたと聞いておりますが、アメリカではこのような重要な医薬品については迅速審査体制をとっているということでございまして、医療に貢献をしていると聞いております。我が国におきますエイズ治療薬についての審査体制についてお伺いをしたいと思います。
  17. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) エイズ治療薬研究開発でございますが、まず一つ平成五年に創設をいたしましたオーファンドラッグによります開発促進制度でございます。エイズ関係治療薬につきましてもオーファンドラッグに指定をいたしまして、助成金の交付でありますとか、あるいは税制上の優遇措置優先審査を行ってできるだけ早く承認を行うということで患者の方々にできるだけ早く使用できるように今努力をしておるわけでございます。このオーファンドラッグ補助金は、七年度予算額四億円でございましたが、八年度予算額では五億円を計上させていただいておるところでございます。  それからもう一つは、エイズ医薬品研究開発費でございますが、八年度におきましては七年度予算額を倍増いたしまして総額十五億三千万円の予算を計上させていただいております。  具体的には、特にエイズ研究が進んでおります米国等外国研究機関大学等との共同研究充実させたいということで、外国研究機関との国際共同研究を大幅に充実させることを考えておりまして、逆転写酵素阻害剤あるいは第二世代の治療薬と言われておりますプロテアーゼ阻害剤に続きますさらに新しい治療薬として免疫機能を活性化させる医薬品等開発にも取り組んでおりますし、また新たな出資制度を設けまして、これによる基礎研究推進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、四月四日の本委員会で御説明をさせていただいた以降の進捗状況につきましては、エイズ治療薬でございますザルシタビン、ddCでございますが、去る四月二十四日に承認をし、薬価基準にも緊急収載をいたしました。また、インデイナビル、3TC、リトナビルに続きましてガンシクロビルでございますが、これにつきましても四月九日に治験届を提出されまして、これらの治療薬につきまして各企業と医療機関との間で治験契約の事務手続が進められておりまして、五月中には患者の方々を対象とした治験が開始できる見通しとなっておるところでございます。  それからまた、患者の方々に対する正確な情報提供も非常に重要でございますが、こういったことについてはエイズ拠点病院を経由して情報を提供することにしております。  去る四月十二日の都道府県エイズ拠点病院等緊急連絡会議におきまして、拠点病院長に対しましても私どもの方からエイズ治療薬の今後の取り扱いにつきまして説明を行い、協力を要請いたしました。例えば、エイズ治療薬の内容について患者の方々によく説明をしていただきたいこと、また、治療薬が行き届くような十分な量を確保しておりますので、患者の方々に漏れなく連絡をしていただきたい、さらに治験に参加に当たりましては文書による患者の方々に十分なインフォームド・コンセントを行うということ、さらに日和見感染の治療薬、これは国内での需要は極めて少なくて企業ベースの開発が難しい医薬品もございますので、これは国の研究費によりまして研究班を編成して供給することが可能である、そういう方向で実施をいたしたい、そういった説明を行って拠点病院長等の協力を要請したわけでございます。  それから、アメリカ治療薬の迅速審査関係でございますが、確かに米国のFDAにおきましては治験の各段階でFDAが事前の評価を行いまして、十分な試験結果が得られた段階で承認申請が行われまして、申請から数カ月という短期間で承認が行われておるところでございます。  私ども日本におきましてもエイズ治療の緊急性を考慮いたしまして、エイズ医薬品調査会というエイズ関係医薬品を専門に審議いたします専門の調査会を今月中に中薬審の中に新設をいたしまして、エイズ治療薬審査を適切、そして迅速に行いたいというふうに考えておるわけでございます。具体的には、欧米で既に承認されました医薬品についての国内治験の開始と同時に、欧米の試験結果をもとに承認申請を行ってもらいまして、この新しいエイズ医薬品調査会、これは仮称でございますが、この調査会での審議を開始していただき、そして国内の治験結果もあわせて審議をしていただいてはどうかというふうに考えております。  これによりまして、従来は国内の治験が終了した後に承認審査が行われておりましたが、治験の進行と同時に審議が行われるということが一点。それから、国内の治験計画につきましてもこの新しい調査会で検討し、そして事前に指導が行えるというようなことで治験期間の短縮も図られるのではないか、そういったことをあわせ考えて、承認の時期が従来よりも一年程度早めることができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、承認前の取り扱いでございますが、承認審査において新規に必要な治験とは別に、治験に参加できる患者の対象範囲を拡大することによりまして国内の患者承認を待たずにエイズの治験薬が使用できるようにすることにしておるわけでありまして、この場合におきましても安全性の問題については専門的な医師等が治験薬を使用し、また患者に対する文書によるインフォームド・コンセントにつきましても徹底をするような指導を行うことによって治験段階の安全性に問題がないように対処いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  18. 石井道子

    石井道子君 ことしの予算特徴といたしまして、科学技術研究費の予算が大変大幅に増加をいたしまして、総額で二兆六千七百億円ということであります。その中で厚生省関係ですと七百五十億円ということで余り多いとは言えませんけれども、このような予算も十分に生かしながら医薬品研究開発、そして医療分野における基礎研究などに対して十分に有効な手を打っていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、医薬分業の問題についてお伺いいたします。  今までエイズの問題に限らずソリブジンの問題とかダナゾールの問題、医薬品によります副作用の問題が非常ににぎわわしてまいりました。そして、医薬品の副作用を防止するという点については薬剤師によるチェックを十分に行う必要がありますし、そのための医薬分業であろうというふうに理解をしているところでもございます。  最近、医療のチェック機能を果たすべき薬局と薬剤師、そして医療機関との癒着が報道をされています。特に、調剤専門薬局の大手でありますクラフト社、また日本調剤などの医療機関へのリベート問題、このようなことが報道されているところでございまして、医薬分業に対します国民の信頼を裏切るものではないかと思うのでございます。  この問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、このチェーン薬局などの実態はどうなっているでしょうか、そしてこの薬局などの違法的な行為に対しましてどのような調査を行ってどのような処分を行う予定でございましょうか、そのことをお伺いしたいと思います。
  19. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 具体的な御指摘がありましたので、まずクラフト社につきまして御報告をいたしますが、クラフト社が開設をしている八十四の保険薬局すべてにつきまして監査、指導を実施いたしました。それから、クラフト社と緊密な関係にある医療機関に対しましても監査、調査を実施したところでございます。  今申し上げましたように、開設する薬局数が八十四薬局、それから一部負担につきまして減免をした薬局が四十五、給与の支払いをした薬局が三、指定寄附をした医療機関が一つ、それから店舗の又借りをしたものがあるようでございます。それから、報道もされましたように、株の譲渡をしたその譲渡株数は十八万五千株というふうな状況でございまして、それらの関係につきましてすべて調査をいたしまして、その結果を現在把握し、それから具体的な不正診療もございますので、その返還額等について今確定の作業を行っているところでございます。  それから、もう一件の日本調剤でございますが、四月の一日に事情聴取を行いまして、報道されましたような事実関係について調査を開始したところでございます。そして、この日本調剤の関係も開設をする保険薬局、それから関連をする医療機関につきましてクラフト社と同じように事実関係に基づきまして厳正に対処をしたいというふうに考えております。
  20. 石井道子

    石井道子君 医薬分業の受けとめ方というのはさまざまあると思いますし、メリット・デメリット、いろいろあると思いますが、高齢化社会の中で多科受診とか重複服用とか相互作用を防止するというふうな面で正しい面分業を定着する必要があると思います。まさに質の高い医薬分業を進めるということが国民医療にとって大変重要なことであろうと思いますので、その点についての御指導なり対策をぜひお願いしたいと思っております。  この医薬分業の推進に向けて医療サイドからの取り組みについてお伺いしたいと思いますが、四月二十五日に医療審議会から「今後の医療提供体制の在り方について」という意見具申がなされたところでございます。医療計画において、かかりつけ薬局による医薬分業等、医療関係施設相互の機能や業務の連携についてということで都道府県で必ず定めることが適当であるというふうに示されました。医薬分業が医療計画に明確に位置づけられているということがその正しい進展を見るということの重要なポイントであろうと思いますし、この意見具申は今後の医薬分業の推進にとって重要なものであると考えられます。  医療サイドから具体的にどのように取り組んでいかれますのか、お答えをいただきたいと思います。
  21. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 医療供給体制の上からの医薬分業の推進ということにつきましては、従来から地域医療計画の中で任意的な記載事項として示され、その指針を示してきたところでございますが、今、石井先生がお触れになりましたように、先月の末にまとめられました医療審議会の意見の中では、この地域医療計画というものを、従来の地域における必要病床数ということだけではなくて、かかりつけ薬局によります医薬分業あるいは医療関係施設相互の機能や業務の連携等を医療計画の中に必ず明記するという方向医療計画の見直しが提言をされております。そういう意味で、医薬分業の問題につきましても医療計画の中に必ずそれを具体的に記載をしていく、計画の中に盛り込んでいくという方向が示されたというふうに理解をしております。  そういうことでございますので、今後それぞれの地域の実情を踏まえて医薬分業の推進も含めました必要な医療供給体制をどういうふうに確保するかという観点から、私どもとしてはこの医療審議会の意見も踏まえまして医療法の改正ということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  22. 石井道子

    石井道子君 次に、病院の薬剤師の配置基準についてお伺いをいたします。  現在の病院の薬剤師の配置基準は八十調剤に一人とされているわけでございますが、既に第二次医療法改正によりまして特定機能病院においては入院患者三十人に対して一人の薬剤師を配置するということが法律で決められております。また、診療報酬の中でも病棟業務を行った場合の点数ももう既に七年ほど前から設置されているわけでございまして、このような状態の中で病棟業務の重要性というものが改めて喚起されているところでもございますが、今後その問題について一般の病院に対してどのような見直しをされる御予定でございましょうか、お伺いいたします。
  23. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 病院の薬剤師さんの配置基準ということにつきましては、かなり以前から八十調剤に一人といったような基準が設けられておりまして、ただ現実に調剤技術が非常に進歩してきている、あるいは薬剤師さんの仕事自体が服薬指導あるいは薬歴管理等の病棟業務が増大をしてきているといったような状況の中で、先ほどまとめられました医療審議会の意見の中でも、薬剤師の業務に応じて適切な数の薬剤師を配置するという観点から、例えば病棟単位に薬剤師一人を配置するといったような入院患者数を考慮した基準に見直すことが必要ではないかという御意見をいただいております。  私どもといたしましては、この意見を踏まえまして、先ほど来申し上げているような病棟業務の増大等、病院におきます薬剤師さんの業務の実態というものを踏まえつつ具体的な配置基準というものを検討してまいりたいというふうに考えております。なお、その際にはやはり関係の方々の御意見も聞かなければいけないと思いますし、また現在の病院におきます薬剤師さんの数の実態ということも配慮した上で新たな基準というものを検討したいというふうに考えております。
  24. 石井道子

    石井道子君 今、医療費が毎年一兆円ずつふえてまいりますし、そして平成年度には二十六兆七千億円という膨大な数字になっておりまして、医療費の適正化ということが大変切実な問題になっているわけでございまして、その中で薬の使用量が多過ぎる、三〇%近くを占めているということで指摘をされたところでもございます。  その薬の問題につきましては、薬価基準制度というものがありまして、診療報酬と薬価基準という公定価格で決められた中で医療が行われているという問題がありますが、この薬価基準の問題はさまざまな矛盾も抱えているわけでございます。ちょうどエイズの問題で血液製剤が非常に使用量が多過ぎるということが言われまして、それはやはり薬価差益を求めているからではないかということも言われたところでございます。  このたび厚生省の方でも薬価基準制度についての検討を行うということを伺っているところでございまして、大変長い間のさまざまな変遷を経た薬価基準制度、これを今後の医療に対しましてどのような方向性を持って取り組んでいかれる予定でございましょうか、お伺いをしたいと思います。
  25. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 医業経営とも大きくかかわっておりますのと、それから薬剤の適正使用ということにもかかわっておるというふうに考えておりますので、広い観点からの検討が必要だろうと考えております。  御指摘がありましたように、薬価基準制度そのものにつきましては薬価の算定方式の見直しを行うとか、あるいは多剤投与の場合の薬剤量につきまして診療報酬上低減の措置を講ずるとか、そういうさまざまな措置を講じてまいりましたが、これだけではどうも不十分なようでございます。  そういう意味で、広い観点から、これまでの検討に引き続いて中医協で基本問題小委員会を設置していただいておりますので、その中で御審議を引き続いて行っていただきたい、こんな方向で考えております。そのときには、繰り返しになりますが、診療報酬体系のあり方、それから薬価差解消などの今後の薬価制度あり方、そういうふうな広い観点から対応を行っていきたいというふうに考えております。
  26. 石井道子

    石井道子君 取引の中で薬価差益を求めることによって薬価が引き下げられて、その引き下げた分を診療報酬の引き上げに振りかえるという作業が今までも随分長く続いてまいりました。そういうふうないろんな問題がありますので、この際あらゆる角度から検討をされましてよい方法をつくっていただきたいというふうに思うわけでございまして、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  それから、最後になりましたけれども、先ほど申し上げましたように、医療費の適正化対策ということが大変重要な問題になりました。医療費がますますふえてまいりますから、それぞれの健康保険の組合制度の中で非常に財政的にも危機的な状態にあるということを聞いているわけでございます。医療費適正化問題は大変範囲が広くて、これについてはもっともっと時間がなければなりませんし、答弁もいろいろあると思いますが、とりあえずこの問題について今後どのような方針で取り組むお考えか、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  27. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御承知のように、国民医療費高齢化進展に伴って増大する一方でありまして、他方、経済状況というのは必ずしも以前ほどは伸びていないために保険料収入も伸び悩んでいるのが現状であります。医療保険財政は、平成年度において、例えば政府管掌健康保険においても二千八百億円という大幅な赤字決算になっておりますが、組合健保や国民健康保険においても同じように大変厳しい状況になっていることは御承知のとおりであります。  こういった状況の中で、良質かつ適切な医療を効率的に確保するという考え方に立って平成年度における医療保険制度の抜本改革に向けて取り組んでいく必要がある、このように考えているところであります。  その際、御指摘のように、幅広い観点に立った医療費の適正化対策を講ずることが重要であると思っております。この医療費適正化対策の中では、診療報酬の適正化のみならず、先ほど議論のありました診療報酬の合理化や薬価の見直し、あるいは医療機関の機能の分担及び連携の促進を初めとする医療供給体制の見直しなど、総合的な面での取り組みが必要であると考えております。  このような考え方に立ちまして、今後、関係審議会でも掘り下げた議論をいただきながら、国民経済と調和のとれた、高齢社会にふさわしい医療保険制度の実現に向けて努力してまいりたい、このように考えております。
  28. 石井道子

    石井道子君 以上で終わります。
  29. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それじゃ私から、二時半ごろまででしょうか、わずかな時間でございますが、障害者福祉、障害福祉の問題につきまして少し御質問を申し上げてみたいというふうに思います。  総花的になってもなんですから、きょうは高木児童家庭局長、お残りいただいて大変恐縮なんですけれども、障害福祉の問題は大変幅広いんですけれども、いわばノーマライゼーションといいましょうか、その考え方を中心にいたしましてこれからの社会福祉、特に障害福祉の進め方につきまして質問といいましょうか、大臣も含めまして少し意見交換をさせていただきたいなというつもりでの御質問でございます。どうかひとつ、政府の責任者ということ以前の問題として、福祉行政を志す者として、できましたら少しフリーに意見交換をさせていただければありがたいというふうに思っております。  まず、ここにせんだって皆様方におつくりいただきました障害者プランというものがあるわけでございますけれども、副題として「ノーマライゼーション七カ年戦略」、こう銘打っているわけでございます。したがいまして、今までの福祉とは違う新しいリーディングオピニオンというものとしてノーマライゼーションと位置づけておるのであろうと思うのでございますけれども、果たしてこのノーマライゼーションというものが広い意味での日本福祉行政にどの程度しっかり根づいたものになっているのかなと思うわけです。逆に言いますと、副題をつけた以上は、別な意味からするとそうなっていないという反省の上に立ってこれからその思想、考え方でやっていこうということのあらわれかなというふうに思いますので、改めてきょうは全体としてはノーマライゼーションというものについてひとつ意見交換していきたいな、こんなふうに思っております。  まず初めに、簡単で結構ですが、このノーマライゼーションの理念といいましょうか、どういうことなのか、今までと比べてどこがどう違ってくるのか、基本的な理念とはどういうことなのかについてちょっと簡単に御説明いただけませんでしょうか。
  30. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 障害者プランでは「ノーマライゼーション七カ年戦略」という副題をつけておるわけでありますが、このノーマライゼーションという考え方でありますけれども、これは我々としてはやはり障害者の方が障害のない者と同等に生活するといいますか、それからまた社会で活動する、そういうことが自然に実現できるような、そういった社会というものを目指しているものであるというふうに考えております。  今まで政府のいろんな政策の中でもそういった理念に従って推進しているつもりでありますけれども我が国においても理念としては理解あるいは定着してきていると思いますが、さらにこれが実際の社会の中で本当に定落してきているかというと、まだまだこれからだろうと。そういった意味で、早急にこういった理念に基づく社会づくりと申しますか、それを目指していこう、このような考え方に立っております。
  31. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ここにたまたま全日本手をつなぐ育成会のつくりました障害白書ともいうべきものがあります。表題が「地域であたりまえの生活を」という表現になっていますが、平たく言えばそういうことかなというふうに思います。  当然のことでございますけれども、このノーマライゼーションという考え方がこれからの障害福祉を進めるいわば指導理念ということだろうなというふうに思いますけれども、そうした基本的な施策の指導理念なのかどうなのか、もう一度ちょっと御確認いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
  32. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) まさに委員指摘のような考え方に立って我々としても進めていきたい、このように考えております。
  33. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それでは、そうした視点から今展開されている施策につきまして、幾つかのポイントの点で果たしてこれがノーマライゼーションかどうなのかということについて触れていきたいと思います。  まず一つは、従来、知的障害児とか知的障害者とかというふうに二十歳の後と前でかなり区別したような表現をしていたんですけれども、人間の生活に二十歳の前と後でそんな大きな区別があるわけではございませんし、今度厚生省でもせっかく障害福祉部ということで児と者に分けるとかという妙な、世の中に通用しないような言葉遣いをやめていくことになるのだろうと思うんですけれども、障害福祉部ということで一人の人間として、成長過程にある人間としてとらえていくということになるんだろうと思うのでございます。従来、施設中心で考えられてきたように思うんですけれども、その知的障害の人たちが地域の中でどういう生活実態にあるのか、施設に入っているのか入っていないのか、数はどうだということじゃなくて、その人たちの生きざまというのがどういう状態であって、しかも戦後五十年なら五十年の中でどう変化してきたのか、あるいはこれからどう変化すべき、変化見通しを持つべきなのか、その辺の生活実態というのがもう一つ伝わってこない感じがするんです。  そうした知的障害者の生活実態、親との生活はどうなっているのか、毎日の生活、学校に行っているときは学校に行っているんでしょうけれども、その後のお仕事、仕事というよりも社会参加といいましょうか、というのはどういうふうになっているのか、それがどういうふうに変化してきているのか、その辺についていかがでしょうか。
  34. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) なかなか難しい問題でありますが、私ども、いわゆる知的発達障害者の生活の実態でありますけれども、調査に基づいてある程度数量的に把握していることから申し上げますと、精神薄弱者、いわゆる知的発達障害者でありますが、これが三十八万五千人ほどいらっしゃるわけであります。そういった中で、いわゆる施設に入っていらっしゃる方が約十万一千人、それから在宅で生活している方が二十八万四千人、こういうことでございます。  従来、施設整備とそれから在宅対策、これを両輪の形でやってきたわけでありますが、委員指摘のとおり、どちらかというとやはり施設収容ということが急がれたように思います。これはやはりバランスよくこの辺の整備というものがなされるべきであるというふうに考えておりますけれども、緊急性等々を考えますと施設整備ということが急がれたということではないかというふうに考えております。  在宅の方々の生活ぶりでございますけれども、このうちいわゆる自宅と申しますか、自宅で暮らしている方が約九二%ということで大部分の方が自分の家あるいはアパートというところで暮らしていらっしゃるわけであります。  それから、親御さん等との同居の状況を見てみますと、親御さんと暮らしている方が八一%程度ということになっておりますから、大部分の方は親御さんと御一緒に生活しているということになるんじゃないかと思います。  それからまた、その中で仕事をしている方、これはいろんな形の仕事がございますけれども、約十万人の方が何らかの形で仕事をしているということになっております。これはいわゆる福祉的な作業所で働いていらっしゃる方、これが四三%程度ございます。それからまた、そのほか製造加工業のような形で二四%程度、それから農林漁業というようなことで八%程度、このような状況になっているわけでございます。
  35. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 子細にあれすればいろいろ議論しなきゃならぬところは多いわけでございますけれども、知的障害のいろんな状況把握というのは過去においては反対運動等々もあったりして、余りうれしいことだけではないんですけれども、その背景にはどこか施設中心主義みたいな、やっぱりその人たちを社会から少し区別するというふうな物の考え方がどこかにあったのかなというふうにも反省するわけでございます。これからまさにノーマライゼーションの第一歩として、ともに生きるんだよというふうなことでの生活実態をきちっととらえるといいましょうか、施設に入っているか入っていないかの問題じゃなくてということでの実態把握、それからこれから七年間の間にどう変化していくのかという視点での実態調査、全国一斉調査だけじゃなくていいと思うんですが、実態把握というのをもう少しやっていただきたいものだなというふうに御要望申し上げておきたいと思うんです。  そういうことから考えまして、一つの例として、例えばショートステイというふうな仕掛けも既に知的障害についてもあるわけでございますけれども、果たしてこうしたものがノーマライゼーションというふうな発想からしてこのままでいいのかなという感じも率直にするわけです。  例えば、私の地元なら地元の山形でも知的障害の施設が県内に四カ所か五カ所ございまして、そこに十床ぐらいずつショートステイのベッドがある。ところが、県内数カ所ですから、そこまで行くには一時間以上かかるというのが実態なわけですよね。しかも、きょうはちょっと上の子が風邪を引いて病院に連れていかなきゃならぬので下の子の面倒を見ていられない、この子は知的障害がある子だとしますと、すぐ行っても間に合わない、二週間前に申し込んでショートステイの話になつちゃう。デイサービスも同じですね。というふうな状況があるわけですよ。  そういう中で、もっと利用しやすいようにということでいわば私的契約、半分ボランティアなんですけれども、預かり契約みたいなことが行われておる。私は決して悪いことじゃないと思うんですけれども、これが言ってみれば法的には、あるいは公的な支援というものはゼロという状態であるわけですね。それで、県内の施設群の何カ所かにショートステイというのがあって、そこではがっちり補助金も出してやっているけれども、こちらはお留守になっているというふうな状態なんですね。  じゃ、ショートステイの必要ベッド数を将来どんどんふやしていくのがいいのかというと、私はちょっと違うんじゃないかなという気がするわけですよ。今までの障害福祉というのは施設の方からどうやってサービスを届けるかなというような発想で考えてきたけれども、本当の意味でのノーマライゼーションを考えれば、施設の方から手を伸ばしていくのじゃなくて、むしろ利用者の方から見て利用しやすい別なサービスを組み立ててみるというふうな発想が要るのではないかなと、こんな気がするわけです、今の例を見ましても。  二週間前に申し込んでおるとか、所得状況を調査するとかというのは余り関係ないんですよね。例えば、料金なんかも今ショートステイは千五百円か二千円かになっていると思うんですけれども、お金の問題というよりも具体的に利用する人たちの視点から普通のサービスならば当然利用したであろうような形態で物を考えてみて、その後で例えば所得調査だ何だは必要ならやるべきで、順序を少し逆転させるのがノーマライゼーションなのではないかなというふうにも思うんです。  現在のショートステイの実施状況なり、あるいは今私が申し上げた今のショートステイなりの利用形態というのが制度上は少しノーマライゼーションという観点から見ると改める余地がないのかどうなのか、その辺についてちょっと御意見をいただきたいと思います。
  36. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) ショートステイの制度はあるわけでありますが、今御指摘のとおり、その使い勝手と申しますか、利用のしやすさという点についてさらに我々としても当然検討をし、まさにおっしゃるとおり、利用者の立場に立って使いやすいようなそういった制度にしなければいけない、これはもう当然だろうというふうに思っております。  それからまた、これは福祉関係はとかくそういう面が強いのでありますが、いろんな制度が整っておるけれども意外と知られていないというような問題もよく指摘されます。そういった意味でも、やはりもっといろんな制度について知っていただけるような、そういった対応というものも必要だろうというふうに思っておるわけであります。  これは福祉制度というのが生い立ち的にと申しますか、沿革的にいわゆる措置制度というような形であらゆる制度が発生してきたというようなこと等々がありまして、どちらかというと利用者サイドに立った視点というものが欠けがちであるということがあろうかと思います。これはやはり我々としてもこれからショートステイだけではなくて他の福祉施策についても利用者が利用しやすいように、そしてまた身近なところで十分そういった制度というものが周知できるように、そういったことを十分心がけながら進めていかなきゃならないというふうに思っております。  なお、ショートステイの状況を申し上げますと、平成年度末、施設数としましては全国で千二百六十五施設がやっておりまして、これを実際に利用されていらっしゃる方が十八万三千人余というふうな数字になっておりますけれども、まだまだこういった制度というものが十分身近なものとして活用されるように我々としても常にきめ細かく検討していかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
  37. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 同じような例として、例えば仕事といいましょうか、仕事というよりむしろ社会参加、人々の生きるための生活のリズムというふうな感じでとらえる方がむしろ私はなじむんじゃないかなと思っていますけれども、知的障害の人たちの何かの形で社会参加、社会貢献というふうなことの結びつきをどうとるのか大変大事なことだと思うし、そのために授産施設だとか作業所があるんだと思うのでございます。  こうしたふうなことで、例えば授産施設の分場という考え方は大変いい考え方だと私は思うんです。つまり、今までの施設に来なさいというのじゃなくて、むしろそれぞれのところで、小規模作業所にある程度補助金を出していこうということと同じことだと思うんですけれども、それぞれ自然の姿というものを大事にしながら、そこに対していい条件づくりを応援しましょうというふうなのが、分場にしろ小規模作業所にしろ補助金にしろ、そういう考え方だろうと思うんですよ。ただ、もっと徹底してもらいたいのは、例えばその分場についても同じ法人でなきゃいけませんよみたいな発想がまだどこかにあるような気がしておるし、現実にそうした指導要綱になっていると思うんですけれども、それぞれの自然な姿で作業にいそしむ場所ができてきたところを応援するんだよとなれば、必ずしも同じ法人でなきゃいかぬよというふうな発想に果たしてなるのかなと、私、正直思いました。  そういった思いもありますものですから、そうした考え方も含めまして一つお尋ねしたいのは、要するに今までの福祉施策というのは、局長も認めておられますけれども施設の方から物を考えていくというふうな考え方だったのではないかと思うんですが、今度はどちらかというと、例えばショートステイにしろいろんな作業の場所にしましても、自然にそれぞれが動いてきた動きというのを大事にしながら、施設から伸ばしていくんだじゃなくて、そこをさらに応援するんだよというふうな発想ですね。少し形式張って言えば、授産とか施設建設という発想の考え方から社会参加だとかあるいは自主拠点を育成するんだというような考え方に少し力点を移していく考え方がどうしてもやっぱり必要なんじゃないかなと。小規模作業所なんかは役所の側、行政側は何か不十分だけれども認めていくんだみたいな発想がどこかにまだあるような気がしてしようがないんですよね。それ自体を認めていくといいましょうか、ある条件づくりのためにはこういう条件がどうしても必要だよというような考え方で対応していくことが必要なのかなと。勝手にやるのはおれは知らぬ、本当はやってはいかぬのだけれども、わあわあ言うからしょうがない、補助金を出すよみたいな発想が末端の行政なんかの場面では感じないわけじゃないので、その辺もう少し物の考え方を、ノーマライゼーションというものは何なのだということから今までの施策自体の進め方も少し変えてもいいのではないかなと、こんなふうに思うんです。  できれば大臣局長と二、三、意見交換をしてきましたけれども大臣の考え方も含めてちょっと御意見を聞かせていただければなと思いますけれども、いかがでしょうか。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕
  38. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私、この休みの間に八丈島と大島へちょっと行ってまいりまして、大島では知的障害者の施設を視察してまいりました。  今議論をいろいろしていただきましたが、それぞれのところでいろいろと努力をされているわけですけれども、まさにそのノーマライゼーションという言葉あるいは概念がどこまで根づき、どこまで広がっているかというのはそれぞれ努力する中で次第次第に前進しているのではないかと思いながらも、まだまだこれから一層頑張らなければならないところも多いようにも見受けられました。  知的障害者福祉について、今、授産あるいは施設という観点から社会参加という方向へ進めていくという御意見のように伺ったわけですが、障害のある人々が社会の構成員として地域の中でともに生活を送れるように住まいや働く場、ないしは活動の場の確保を進めることが大変重要だと考えております。昨年十二月に策定された障害者プランにおいてもこのような観点から精神薄弱者の社会参加を促進するグループホームあるいはデイサービスあるいは適所による授産施設等の政策の充実を図ることとしたところであります。  そういった意味で、まさにそうした障害を持っておられる皆さんが地域の中で生活も、ある意味では社会参加という面でも普通の皆さんと同じような活動ができる、そういう場をより充実させて、まさにノーマライゼーションの実践に向けて厚生省としても努力をしてまいりたい、このように考えています。
  39. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それじゃ次に、ちょっと視点を変えまして、知的障害を持った人たちのグループづくりにちょっと触れてみたいと思うんです。  この間、前から期待しておってようやく実現したんですけれども、私の山形のある地域で「手をつなぐ私たちの会」というのができたんですよね。手をつなぐ親の会というのはよく聞くんですけれども、「手をつなぐ私たちの会」というのがありまして、私もお花見に来てくれと言うので行ってまいったのですけれども、大変楽しく数時間過ごしてきたんです。考えてみれば当たり前のことだなと非常に教えられた思いをして帰ってまいりました。親の会とか守る会とか、周りの人たちがわあわあいっぱいやってくれるんだけれども、本人はどこへ行ったのかと言われてみれば当たり前のことなのでいろいろ、エピソードでもないんですけれども、自分たちで寄り集まったときの名前を何にしようかといろいろ出たそうです。若あゆの会だの何なのかんだのとある種の理念みたいなものを入れ込もうとして展開をされたそうですけれども、でもちょっとそれは何かほかで使っているとか何だかんだ言って、結局私たちは私たちでいいんじゃないかというので「私たちの会」にしたそうです。私は一番いい名前だと思うんです。  知的障害のいわば二十歳以上の人たちがある福祉ホームのようなところを拠点にして集まりを持って、自分たちで苦労して名簿をつくったりお花見の段取りをつけたりして招待してくれたんですけれども、考えてみればノーマライゼーションというのはそういうことではないかと思うんですよね。周りの人たちがわあわあ福祉でしてあげるというような発想ではなくて、その人たち自身の動きというものを大事にしながら、それを応援するというふうな視点、これがノーマライゼーションなのではないかというふうに思うわけです。  そうしますと、結論を急ぐような形になりますけれども、今までのこともただ理念として皆さんにお説教するということではなくて、むしろみずからの問題としてシビアに受けとめる必要はないのかなと。もう一度後でその辺はお聞きいたします。  まず、そういった本人たちのグループ、グルーピングといいましょうか自主活動といいましょうかということについての、私はたまたま上山市の温泉町の人たちのことを例に挙げましたけれども全国的にそういった動きなりというのを私はできたら応援してあげてほしいなというふうに思うんですけれども、どんなふうな状況なのか。  また、菅大臣、大変福祉とかそういった自主的なということに大変御関心を多分お持ちなんじゃないかなと思うんですけれども、その辺についての大臣なりの感想もあわせてお聞かせいただければありがたいと思いますが、どうでしょうか。
  40. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 今まさに知的障害者の方たち、これはもちろん障害の程度に幅がありますからそういった意味で全部というわけにいきませんけれども、比較的障害の軽い方中心だろうと思いますが、そういった意味ではかつて親の会と言っていた全国の知的障害者の方々の団体も全日本手をつなぐ育成会というふうに名称も今改まっておりますし、そういった中で本人部会というような部会も設けまして、昨年十一月の大分県での全国大会では本人部会の方々が討論会を開催して大いにいろんな問題について自分たち自身の問題として御議論されたのを聞いてまいりましたけれども、そういったことで知的障害者の本人たち自身、いろんな自主活動をしていくという動きが現在ございます。  今の全国的な状況で見ますと、全国都道府県で二十七団体を形成いたしておりまして、その中に参加している御本人の数が千六百人程度にもなっております。こういった方々は日ごろ自分たちの生活について話し合ったり、あるいはスポーツとかハイキング等々を行って交流を深め親睦を深める、こういうようなことを積極的に進めるように現在なってきておりまして、非常に喜ばしいことであるというふうに私ども思っております。
  41. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほど申し上げたように、ちょうど私この連休中行った中でも、そうした学園の附属施設として喫茶店のようなものを小さな公園というより遊園地のようなところに、それは施設のすぐ前なんですが、つくってそこを自主運営されている、そんな様子も拝見をしてまいりました。  今まさにそうした障害をお持ちの方本人が自分たちでいろいろな活動をする、いろいろな運営をするということは一番本当に望ましい形だというふうに思っております。そういう自主的な活動をいろいろな形で周辺の我々といいましょうか地域といいましょうか、そういう人たちが社会全体でそれを支えていく、支援していく、そういう形が一番望ましいのではないか、そんなふうな感想を持ったところです。
  42. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 時間もわずかですので一つ二つに絞ってお願いしたいと思うんです。  ノーマライゼーションというのを平たく考えますと、例えば私ども普通の社会の常識として二十歳あるいはその前後、あるいは二十四、五までなかなかひとり立ちできない学生もいますけれども、そうなれば親の庇護のもとに生きるというのはノーマルな姿ではないんだろうと思うんです。心情的な親子の関係というものは、これは永久に存在する限り多分変わらない。できればいい関係の中で生きていきたいとだれでも思いますし、双方にとってそれはそうあってほしいと思いますが、ただ経済的な面なりあるいは生活の形成自体を親の存在を前提にしてしか成り立たないというのはノーマルではないと言うのかなというふうに私は思います。  そうしますと、ノーマライゼーションということを考えますと、障害を持っていようが持っていまいが、仮に持っていたとしても例えば親なき後というふうな話を今どこの知的障害の施設に行きましても、あるいは親御さんたちの集まりに行っても不安だということをよく言われますが、これは不安という状態のままでいくというのはやはりノーマライゼーションの理念からすればかなり程度が違うというか感覚が違うんじゃないかな、こんなふうに思うわけです。いきなり親なき後も何の心配もないようにしろというのは、施策的にこれはしんどいとは思います。だけれども、長期的な視点としては、親がいなくてもできれば在宅なら在宅の中で、まさに地域で当たり前の生活をしていくということがノーマライゼーションの普通の考え方、施策のノーマライゼーションだろうなと、こんなふうに私は思うんです。  そうしますと、今、親なき後の対応について御本人なり親御さんなりからこれから先の最大の不安として訴えられているように思うんですけれども、これからの具体的な施策なりというのは相当真剣に考えなきゃいかぬ。特に、これからの「ノーマライゼーション七カ年戦略」と銘打つ限りにおいて、これはやはり生半可なことでは対応できないのではないかと言われて久しいんですけれども、まだその辺について明確な方向づけが必ずしも出ていないのではないのかなと思うんです。  この辺について、最後に局長さんから、今どんなふうな御検討状況なのか、あるいは将来どんなふうに展望を切り開いていくのか。  特に、親なき後という、それが一番大きな問題かなと私は思いますけれども、あわせまして、今まで触れてきましたように、ノーマライゼーションというのは市民に向かってお説教する理念ではなくて、むしろ私は行政自体が自分らに課さなきゃならぬ理念の問題なんだ、逆に言うと今までの施策を改めるところというのは決して少なくないんじゃないかというふうに思うわけです。  例えば、私の山形でも時々新聞で老人ホームなり障害者の施設なんかにどこかの団体が慰問に行くという表現が常に出てきます。私、まだおさまらなけりゃいずれ新聞社の社長に会って文句つけなきゃ、文句というか少し話をしなきゃいかぬかなと思っているんですけれども、慰問に行くという発想の中に何が含まれているのかなと。多分私は善意だと思うんです。でもそれは心がよけりゃすべていいというものでもないだろうというふうに思うんです。あるいは何か銭金で解決できる問題でもないんだろうと思うんですね、福祉の問題といいますのは。そういう位置づけといいましょうか、地域で当たり前の生活をしている人に慰問に行くということは多分ないと思うんですよね。これもいわばノーマライゼーションの問題からすれば相当大転換しなきゃならぬ考えなのではないかなと、こんなふうにも思うわけです。  そうしますと、ただ単に何か施設を住民に開放するとかというノーマライゼーションで何かお説教の概念ではなくて施策を改めていくための指導理念なんじゃないか。つまり、まず最初に私自身も含めて自分らにといいましょうか、ということで考えていくようなかなり厳しい問いかけなのではないかなと、こんなふうにも思うわけですけれども、そのようなことについてできれば菅大臣からも一言ちょうだいできればありがたいなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  43. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) まさに親なき後の知的障害者の方々の状態、これは親御さんは大変不安を持っていらっしゃるわけであります。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  この問題は非常に難しい問題がいろいろあろうかと思いますけれども、やはり何といっても親御さんが一番心配なのは自分が生きているときと同じような状態で安んじて生活できるだろうかということだろうと思います。そういった意味では、一つは生活の面における所得保障といいますか、所得の問題が一つあろうかと思います。そういった意味で、障害の程度によりますけれども、障害の軽い方であるならば、そして現実に働ける方であるならばできるだけ生きがいを持って生活できるような、そういった職を持った形で生活できる社会、これが非常に必要だろうと。現に私どももいろいろとグループホームとか福祉ホームを見せていただいて、何らかの形で職を持って生活している知的障害者の方々というのは非常に生き生きとしております。そういったことがまず必要だろうと。  それから、どうしてもそういうわけにいかないという方については障害年金なり、そういった公的な支援というものが必要でありますし、そういったものの充実を心がけていく必要があるというふうに思っております。そのほか、また私的なものということになるのでありますけれども、心身障害者の扶養共済制度といったものも現在できているところであります。  それからまたもう一つは、住まいの場の問題があるわけでありますし、それから先ほどから出ておりますようないわゆる知的障害者御本人たちの連携といいますか、そういったものの中でお互いに励まし合いながら生活していくような環境づくり、そしてそれを地域社会が十分受け入れられるような、そういった社会づくりということが必要になってくると思います。  それからまた、阿部委員が一生懸命やっておられます例の成年後見制度、こういった自立を支援していくためには制度が必要であるというふうに思っておりますし、この辺のところもできるだけ早く制度化されることが望ましいというふうに考えておるわけでございます。  いずれにしても、社会全体がノーマライゼーションという理念そのものを体できちっと実践できるようなシステムにしていかなきゃならない、そのためにはどうしても時間がかかると思いますけれども、着実に推進していくどいうことを我々心がけていきたいというふうに思っております。
  44. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今いろいろな形でノーマライゼーションという概念についてお話しをいただきまして、これが単に何か障害を持った皆さんに対して行政なり健常者が何かこう恩恵的に何かをするというのではなくて、行政自身が一つの自分自身の理念として、あるいは自分自身の考え方を変えていく理念としてひとつ持たなければいけない概念ではないかという、そういった趣旨のお話だったように受けとめたわけですけれども、まさに福祉という言葉自体もそうかもしれませんが、従来は弱者救済という概念が中心だったかと思いますが、今はまさにいろんな立場の人がそれぞれの特性の中で平等に共通に生きていくという、そういう社会をいかにすればつくり上げることができるかということに広がってきたのではないかと思います。  そういう点で、今おっしゃったようなことがぜひ行政というものの中でもそういった位置づけでお互いに理解しながら実践につながっていくような理念として位置づけられていけばいいなと、話を伺っていてそう感じたところです。
  45. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 以上で終わりますけれども、一言申し上げますと、最近、障害関係の方々の中から最近は老人福祉だけもてはやされて障害福祉が非常に陰に隠れているようで寂しいとかというふうな意見があるんですけれども、実はそういう話を聞くということ自体大変私は寂しいと思うんですね。  障害福祉の理念というのは、老人がどうだからこうだというものでもないだろう、もっともっと一番根っこにある福祉の問題の基本なのではないかなというふうな気もしますので、その辺ひとつ、高木局長さんだけじゃなくて、今度障害関係の障害福祉部もできるわけですから、いわば福祉行政の第二ステージというふうなものを目指してひとつ意欲を持ってやっていってほしいなと、こんなふうに思いますし、そのことを最後に御要望申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 田浦直

    ○田浦直君 私、平成会の田浦でございますけれども厚生省所管の諸問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず初めに、医療の問題についてお尋ねをしたいと思うんですが、先月の二十五日に医療審議会の方から答申が出されました。その中に地域医療支援病院創設という構想が入っているわけでございます。このことにつきまして私非常に関心を持っているわけでございますけれども厚生省としてはこの支援病院創設ということについての評価といいますか、感触といいますか、そういったものはどうお考えなのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  47. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先月二十五日でございましたか、今お話がございました医療審議会からの御意見をいただいております。  その中に地域医療という観点から幾つかの御提言があるわけでございますが、基本的には二次医療圏単位に医療というものを、もちろん幾つかの例外はありますが、完結していったらどうかというのが一つの基本的な御意見であるというふうに認識をしております。その中で、診療所あるいはその地域の中小病院というものを支えていく、あるいは今はやりの言葉で言えばいわゆるかかりつけ医というものの機能を支援していくような、そういった機能を持った医療施設というものを考えたらどうかという御提言でございます。  地域医療支援病院という形での、言葉としてはまだそこまでは熟していないわけでございますけれども、基本的に私どももやはり地域医療というものが二次医療圏というものを単位にして完結をしていくという方向は望ましいのではないかというふうに思っておりまして、今後この問題についてさらに具体的にどういうふうな形でやっていったらいいのかということについて私ども内部で意見を詰め、また関係皆様方の御意見も聞きながら詰めてまいりたいというふうに考えております。
  48. 田浦直

    ○田浦直君 私もなかなかおもしろいといいますか、いい構想ではないかなというふうに思っているんですね。  その中で特に有床診療所を療養型病床群に充てたらどうかという答申がなされているわけですけれども、これも非常にいい考えだというふうに思うんですが、これを実施する場合に幾つかの問題点があるというふうに思うんです。  その一つは、例えば医療法の十三条においては四十八時間を過ぎないように入院患者は診療所においては収容しないようにというふうに書いてあるわけですが、この療養型病床群というのは長期に入院させるというのがもともとの目的ですから明らかに相反するわけですね。この医療法の十三条との関係、これはどうなるか、十三条自身、現在ではもうあってなきがごときものですけれども、これについてのお考えはどうでしょうか。
  49. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 高齢者が今後ふえてくるということ、またそれに対応する療養施設といいますか、医療施設サイドの施設として療養型病床群の整備を図っていくということから、身近な医療機関である有床診療所にもこの療養型病床群を設置するということについて検討を行ったらどうかというのが先般いただきました御意見の趣旨でございます。  一方、今、先生がお触れになりました医療法の十三条、これは努力規定ではございますけれども、いわゆる四十八時間規定ということがございますが、もしこの療養型病床群を有床診療所にも設置をすることとした場合には、療養型病床群が長期に療養が必要な患者さんを収容するというものでありますから、この四十八時間のいわゆる努力規定というものは療養型病床群については適用除外をするという形で検討をしなきゃいけないというふうに認識をいたしております。
  50. 田浦直

    ○田浦直君 私はこの十三条自身を変える方がいいんじゃないかなと思うんですね。  今のは療養型病床群だけですけれども、もう既に例えば診療報酬の中で入院時医学管理料というのもありますね、これも明らかに長期に入院するということが建前の上で診療報酬が決められているわけですから、この十三条をそのままとっておいて例外例外とつくっていくのはおかしいんじゃないかなと、実際に今何にも役立っていないわけですから。  その点についてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  51. 谷修一

    政府委員(谷修一君) この有床診療所の問題については長い経過があるわけでございますが、一方、現在の医療法の中では診療所については構造設備あるいは人員配置等の基準は設けられていないというのが実態でございます。そういう中でこの四十八時間の努力規定というものが設けられているといったような裏腹の関係もございますので、構造設備とか人員配置基準というものを新たに有床診療所にも一般的な意味で決められるのかどうかということも含めて検討をしなければいけない課題なんじゃないかというふうに認識をしております。
  52. 田浦直

    ○田浦直君 十三条のことはひとつぜひ検討をしていただきたいと思います。  もう一つ、地域医療計画というのがございますね。この地域医療計画も病院の病床を制限するということになっているわけですが、診療所を今度療養型病床群にすると、診療所というのは何にも規制がないわけですから、療養型病床群の病床というのは幾らでもふやしていいということになるわけですね、人員と設備さえ整えば。  その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  53. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今おっしゃいますように、現在の地域医療計画におきます病床規制は病院のベッドについて規制をしている、診療所についてはその対象外となっているというのが実態でございます。  一方、今回いただきました医療審議会の意見書の中でも療養型病床群の整備ということの重要性、必要性ということは指摘をいただいておりますが、一方、病院病床全体としては療養型病床群を含めた一般病床全体の病床数が増加することがないようにすることが必要であるというふうに述べられているわけでございます。  一方、有床診療所につきましては、先ほど申しましたように、現在病床規制の対象とされていないわけでございますけれども、有床診療所にこの療養型病床群を設置するというふうにした場合にこの病床の取り扱いを地域医療計画上どのようにするかということについては、私どもとしてもまだ議論をいろいろしておりますけれども、今後いろんな方面の関係皆様方の御意見も聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  54. 田浦直

    ○田浦直君 医療法の改正、第三次改正とか言われておりますね、その上に乗ってくるのかなというふうに私は考えておるわけですけれども、今度改正されるのは大体いつごろの時期になりますか、今の問題とも関連をするわけですけれども
  55. 谷修一

    政府委員(谷修一君) この療養型病床群の問題につきましては、現在別途検討をされておりますいわゆる介護保険制度との関係もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、もしこの今回いただきました医療審議会におきます意見書の具体化ということについてまとまれば、法案をできるだけ早く国会の方に提出をさせていただきたいと思っております。
  56. 田浦直

    ○田浦直君 私はいい構想だからできれば早く実施できるような方向でやってほしいというふうに思っているんですよ。  それで、局長の答弁を聞いておると一つもはっきり、何にも言わないというような感じがするんですね。何か、私この国会に来ていつも感じるんですが、何にも言わないというのが役人のすぐれた素質のような、そういうふうな答弁ばっかり受けるんですね。ぜひもう少し歯切れのいい答弁をお願いしたいなというふうに思います。法案が出てから私は詰めてやらせていただきたいというふうに思います。  それから次に、前回もちょっと質問をいたしましたけれども、指導についてちょっとお尋ねをしたいんです。  今度は選定委員会というのをつくって、その選定委員会で指導をする対象を選ぶというふうなことになっていると思うんですが、その中に医療関係の団体の人は入らないんですね、今度は。それはどういう理由で入らないのか、僕は入れて参考に御意見を聞くのが非常にいいと思うんですが、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  57. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) どの医療機関を個別指導の対象にするかという選定は、そもそもが指導が行政の責任において行われるということでございますので、そういう意味でその選定委員のメンバーは都道府県関係各課の課長とかあるいは指導医療官とか、そういう医師あるいは指導、監査の担当者を構成メンバーにすべきではないかと考えているわけでございます。  そこで選ばれた対象につきまして医師会等に御連絡をするわけでございますが、それをごらんいただきまして、この医療機関は点数が高いというのは当然高い、要するに特別の理由があるというふうに考えられるものにつきましてはそこで医師会等から御指摘をいただきまして、その御指摘をいただいた際にはその選定委員会にもう一度諮りまして除外をするというふうな格好にしたいと思っております。
  58. 田浦直

    ○田浦直君 いや、医師会だけじゃなくして、医療関係の団体等は一応建前的には選定委員会の中に入っていないけれども、きちんと話し合いはするんだということでございますね。ちょっと確認をさせていただきたい。
  59. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) おっしゃるとおりでございます。
  60. 田浦直

    ○田浦直君 そのときの基準が点数が高い人をということに今なっているんですね。これは私ども医師から言うとちょっとおかしいなと、それだけで選ぶというのはおかしいなという感じがするんです。  この点数が高いというのはいろんな分け方があると思うんです。病院なり診療所なり、診療所にしてもいろんな科目がありますね。それによってまちまちですね。あるいは処方せんを出しているところ、出していないところ、いろんなところで点数が違ってくると思うんですが、その分類の基準といいますか、そういったものはどういうふうにされるんでしょうか。
  61. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 御指摘がありましたように、選定をする場合には同じ条件のもとで高いところはどこなんだという選び方をしなきゃいけないと思います。  そういう意味で、御指摘がありましたように、まず病院と診療所にまず分けなきゃいけない、病院につきましても一般病院、老人病院、精神病院、それから臨床研修指定病院、こういった四区分は必要だと考えております。それから、医科の診療所につきましては主たる診療科によりまして、内科とか精神科とか小児科とか外科とか、こういった区分を十一区分すべきではないだろうか、それから歯科、薬局、それぞれ一区分ということで合計十七区分にしたいというふうに考えております。
  62. 田浦直

    ○田浦直君 さっき述べましたあれはどうなんですか、処方せんを出しているところと出していないところというのは余り関係ないですか。
  63. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) それはそれぞれの区分の中でまた詳細を見てみないといけないだろうと思っております。
  64. 田浦直

    ○田浦直君 そういうふうなことをされるときに、いろんなものが資料として厚生省の中にもあると思うんですね。私ども医療機関あるいは医師会が非常に欲しいのはやっぱり資料ですね。エイズでもいろいろ問題がありましたけれども、やはりいろんな資料を公開してほしい。例えば、地域の医療機関の平均点数がさっきおっしゃった十七部門で大体どのくらいずつあるのか、極端に言えば毎月でも出していただきたいというふうな希望もあるんですね。あるいは医療費の動向だとか診療報酬のデータとか、そういったものを要望すれば、まあ何でも出せとは言いませんが、希望に沿って出してやるというふうなことをぜひお願いしたいと思うんです。  とりあえず、さっきの指導と関係がありますので平均点数、例えば今話がありました十七区分の平均点数とか、そういったものを小まめに出していただけないかというふうにお願いしたいんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  65. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 御指摘がありました選定基準に係る一件当たりの平均点数につきましては、その値を医師会等を通じて明らかにしたいと思います。区分ごとに明らかにしたいと思います。  それから、一般的な医療費の情報でございますが、先生御存じのとおり、毎年六月の審査分につきまして社会医療診療行為別の調査を実施しておりまして、これで一件当たりの平均点数を、これはもちろん全国レベルでございますが、病院では一般、精神、老人の区分ごとに、それから診療所につきましては主たる診療所ごとに公表をしております。それから、毎月の医療費の動向は私どもそれぞれの医療保険制度の区分ごとに実数を公表しております。これはぜひとも今のインターネットのようなものに組み入れて随時引き出してもらえるようなシステムに、ぜひともそれに乗りたいというふうに考えております。  それから、年度の動向では医療保険各制度ごとに事業年報を出しておりまして、そこで全体、国民医療費という姿でお示しをしていることにしております。  できるだけ今後も詳細な調査をしたいと思っておりますが、そういったものにつきましては情報提供いたしたいと心がけたいと思います。
  66. 田浦直

    ○田浦直君 ぜひそういうふうにお願いを申し上げたいと思います。  次に、薬害エイズについてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。  今、厚生委員会の中に小委員会ができていますから細かいことは小委員会でこれからも尋ねてまいりたいと思うんですけれども、この前調査プロジェクトチームというのが総括を出して一応終了したようなことが発表されたわけですけれども、私ちょっと奇異な感じがしているんです。もう少しいろいろやるんだろうと私は思っておったわけですが、この調査プロジェクトチームのもともとの目標といいますか使命といいますか、それは一体何だったのかということをお尋ねしたいと思います。
  67. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 調査プロジェクトチームの使命でございますけれども血液製剤によるHIV感染に関します事実関係につきましてはこれまで裁判等において明らかにしてきたところでございますが、本年一月の与党三党の政策合意や総理の施政方針演説におきまして、必要な調査を行い医薬品による健康被害再発防止に最大限の努力を尽くすこと、こういうふうにされましたことを踏まえましてさらに行政の立場から事実関係を調査整理することが必要である、こういう認識に立ちまして、例えば血液製剤を介して伝播されるウイルスについて、あるいは第一号患者認定をめぐる議論についてなどなどの国民から疑問とされております十一項目を調査対象といたしまして、御案内のように一月二十三日に厚生大臣の命によりこのプロジェクトチームが設置された、こういう経緯でございます。
  68. 田浦直

    ○田浦直君 そうしますと、今、大体総括をしたところで、何かがあったらまた活動するけれども、一応もう終わっているというふうな状態なんですか。
  69. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 調査プロジェクトチームにおきましては、申し上げました厚生大臣から指示を受けました十一の調査項目につきまして、一つには文献等の調査、もう一つは公表を前提といたしました質問調査の方法によりまして、約三カ月でございますが、一定の調査期間内において権限に基づかない任意の調査という性格のものでございますが、そういう性格のものとしてできるだけの事実関係の調査整理を行ってきた、こういうふうに考えておるところでございます。  先生指摘のように、約三カ月にわたります調査結果につきまして先月二十六日に公表いたしたところでございます。  調査内容につきましては、記憶がないという回答が幾つかございましたし、あるいはお二方の記憶が食い違っておる、さらに尋ねてもさらに食い違っておる、こういうことがございまして、私どもといたしましても完全に事実関係を解明できたということは毛頭考えておりませんが、先ほど申し上げましたようなおおむね設置時に指示を受けました任務と申しましょうか、調査事項と申しましょうか、そういうものにつきましては終了したのではないかな、こう考えております。  なお、先生からお話ございました今後のことでございますが、このチームにつきましては、申し上げましたように、当初与えられました任務は一応終了したものと私ども考えておりますが、組織としては存続する、こういう大臣からの御指示をいただいておりますので、今後国会等におきます調査等を十分注視してまいりたい、現時点でそういうふうに考えておるところでございます。
  70. 田浦直

    ○田浦直君 そうしますと、もう大体資料はこれ以上は出てこないだろうということになりますね。  それからもう一つは、私も結構資料を読んだつもりですけれども、全部はもちろん読み得ませんけれども、結論というのはないんですね。こういうふうな回答がありましたとか、こういうふうな意見がありましたとか、さっきおっしゃられたように、記憶がありませんとか、それを見て判断をしてほしいという資料の作成をされたということではないかなと私の方は受けとめておるわけなんです。もし今のお話でしたら、皆さん方が、プロジェクトチームがその資料を見ていろいろ検討を加えて、大体こういうことでなかったろうかというふうな推測でもいいですが、何らかの結論を出さなくてはいけないんじゃないですか。厚生省としての一つのまとめといいますか、それはわからなかったらわからなかったでもいいですけれども、何か出さなければ、さあ資料出しました、国会の皆さんあるいはマスコミの皆さん、これで判断してくださいというのが今の状態のような感じがするんですよ。これでは真相究明には一つも、一つもということはないですが、余り役立っていないという気がするんですね。  お尋ねしたいんですが、真相究明への今後の何か活動方針というのはないんですか。
  71. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今幾つかこの調査プロジェクトについて疑問を出されたことは、それはそれとして私もよく理解をできると思っております。ただ、今、総務審議官から申し上げたように、一月二十三日にこのプロジェクトを立ち上げる時点では実はどんなふうに展開するか必ずしもすべてが予想できたわけではなかったわけです。しかも和解の勧告が出ておりましたので余り、何といいましょうか、逆に言うと長く調査をするというよりも一カ月をめどにして集中的に調査をして報告を私の方に上げてくれというような形で最初枠組みをつくりまして、項目も十一項目、大体その時点で重要だと思われたものについて集中的にやってほしいと。また、当初はああいう形でまとまったファイルがあるというのは必ずしも予想しておりませんでしたので、それぞれの関係者に個々に問う、問うのも言葉で問うてもまた言った言わないということも出ますので、基本的には文書で問うてそれを確認していく、そういうやり方を調査プロジェクトの方で一つの設計をして、私もそういうやり方でではぜひ進めてくれということで一月終わりあるいは二月の初めまでそういう準備をしてスタートをしたわけであります。  そういった点で、その後の展開の中では予想を、少なくとも当初予想したよりもいろいろな資料が発見をされたりしまして、さらにそれに関連していろんな方に問い合わせを出したりしたわけであります。ただ、その三カ月の段階での結果が、これも総務審議官からもお話ししましたように、必ずしもそれぞれの項目がなるほどこうだったのか、なるほど確かにこういうことで問題だったのかということが確認されたかというと、確かにたくさん疑問が残っております。そういう段階ではありますけれども、当初がそういう性格でスタートしたものですから、今後のことについては後ほど申し上げますけれども、一応役所の所内の当初予定した調査ということで言えば、資料調査が主でしたが、あるいは問い合わせ調査が主でしたが、これ以上同じ形で進めてももう繰り返しにほとんどなってきたのではないだろうかということもありまして、そういった点で、当初一カ月が三カ月まで延びたわけですけれども、一応所内の任意による調査ということでは、こちらが考えられる項目についての調査については一応このあたりが一つのある種の、限界というとあれかもしれませんが、一応予定されたところのぎりぎりのところかなと。  この後の進め方については、衆参で厚生委員会中心にいろいろと関係者の話を聞いておられるわけですし、また捜査当局も若干動いておるようですし、そういったものの中からまたさらに厚生省としてこういう点は調査しろ、調査すべきじゃないかということになれば、それはそれでまた調査プロジェクト等を動かすこともあり得るかなということで組織としては存続をいたしているところです。  いろいろな機関が動いておられますが、その上でさらにどういう形で真相究明が進んでいくのか、あるいはさらに役所としても進めなきゃいけないのかという点では、今厚生科学会議という場において、これは真相究明だけではないんですけれども、今後の再発防止を含めてこういった問題についてどのように物事を考えどのように物事を進めていけばいいのかという、そういう大所高所の観点から御議論をいただいております。これは臨時委員には何人かこの薬害エイズについてもいろいろな立場で深い関心をお持ちの方にも加わっていただいておりますので、そういう皆さんからの御意見を、一回目は先日いただきましたが、今月十五日に二回目を開いていただいて、そこでの指摘もいただくことにいたしております。  さらにその後どうするかというのは、率直に申し上げて現時点ではまだ具体的なことを決めておりません。ただ、役所の中に設けた再発防止のプロジェクトは一応スタートいたしておりますけれども、場合によったらこの厚生科学会議の御指摘をいただき、あるいはこれからの衆参各委員会での御指摘をいただいた上で、場合によっては形を変えた形で、例えば省内だけではない、あるいは省の外に何らかの形でそういう調査を委嘱するということも必要になるのかと、ここは決めておりませんが、思っております。  例えば、中華航空の飛行機の事故については先日事故調査委員会から報告書が出ておりますが、これは二年ぐらいかかって報告書を出されております。ですから、時間の置き方も、先ほど申し上げたように、当面のプロジェクトは一カ月ということでかなり短期で始めたわけでありますが、もし今後さらに何らかの形でそういうものを設けるとしたら、場合によっては少し時間をかけての調査ということも念頭に置いて体制を組まなきゃいけないのかもしれない。  そんなことで、現在、これで終わったということを申し上げているというよりも、省内に置いた調査プロジェクトについては当初の予定のものについての一応の調査を終了したと、そういう位置づけだということを御理解いただきたいと思います。
  72. 田浦直

    ○田浦直君 大臣のおっしゃることはよくわかるんですね。私は、厚生省がやっぱりいろんなことで疑われているわけですから、この際すっきりさせた方がいいというふうな気がするんですね。安部研究班の班長は殺人罪で今訴えられているということがありますけれども厚生省も僕は同罪だと思うんですよ。非常に失礼な言い方ですけれども、今までの書類を見る限りはそういう感じがするわけですね。  だから、すべて隠しているんだというふうな考え方も成り立つわけですから、ぜひ皆さん方の手で真相を究明するんだという意気込みが欲しいんですよ。そういうものが何となく感じられない。何か今のままいけばうやむやで終わるんじゃないかなという心配をしているわけですけれども、今、大臣がおっしゃったように、司直の手とかあるいはいろんなほかの外部の団体もつくってやるんだというお話を聞きましたから大変心強く思っておるんですけれども厚生省自身がひとつやっぱりこの際自分たちの潔白を証明するために頑張っていただきたいなというふうに私は思っておるんです。  大臣、もう一度お尋ねしますけれども、処分をされるというのが出ていますね。資料隠しをされたんじゃないかと、これはもう一般にそう思われているんですね。資料を隠したんじゃないかということについて、あるいは当時の行政のやり方についての何らかの処分をしないといけないんじゃないかなと私も思っているんですけれども、その点についてはどういうふうなお考えでしょうか。
  73. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今回の薬害エイズで、もう御承知のように、二千人近い方が感染をされ、六百人余りの方が発症され、既に四百人を超える方が亡くなっておられるわけです。やはり、こういうことを招いた行政としての責任というのは、これは和解の勧告で言われたことを認めたというだけでなくて、まさに行政としてそのことは深く感じなければいけないし、それについてどういう形の、何といいましょうか、けじめのつけ方、責任のつけ方があるかというのは、いろいろな考え方はあるかと思いますが、何らかのけじめはどこかの時点でつける必要があるだろうというふうに思っております。  それは、いわゆる一九八三年前後からの問題だけでなく、その後いろんな段階で、今考えてみればもっとこういう点を注意すればよかったとか、もっとこういうところは逆に余り頑張り過ぎないで患者さんたち、原告の言うことをもっとある意味では素直に聞いておけばよかったとか、いろんな反省点もありますので、そういった一連のことを含めて、それのあらわし方としてどういう形がきちっとあらわせるか、多少難しい点もあるわけですが、そのことはそういうことも含めてあわせて何らかの姿勢を示さなければいけないだろうと思っております。  それともう一点、私が大臣になった後に調査をする中で、やはりいろいろな資料調査をする中で若干の内部的な報告が不十分だったとか、そういう点も一、二ありましたので、それについても別というのではなくて一緒に含めて何らかの対応をすべきことが必要という判断に達すればあわせてて考えたいと。  ただ、まだ本院を含めていろいろな関係者について参考人等でお呼びになるというふうに聞いておりますので、できればそういったところの議論が一つの山を越える段階で、そういった議論もあわせて踏まえながら何らかのけじめをつけたいと思っておりまして、そういう点で若干時期の問題は国会の動きなどを拝見しながら考えたい、こういうふうに現在思っております。
  74. 田浦直

    ○田浦直君 薬害エイズ、二千人の方が今かかっておられるわけですし、四百人の方が亡くなられているというわけですから、どうぞひとつうやむやにならないように真相究明に努力をしていただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  75. 山本保

    ○山本保君 平成会の山本です。若干質問をさせていただきます。  最初に、厚生委員会といいますか、予算委員会でございますので予算編成について大臣に、感想めいたもので結構でございますから、若干お聞きしたいわけであります。  まず最初に、先ほどからお話も出てまいりましたが、本年度予算障害者プラン、また新ゴールドプラン、エンゼルプランというこれまでなかった目標設定をはっきりさせた予算充実が図られているというふうに私も思っております。ただ、若干心配なことは、各プランに示されております最終目標値とこの八年度予算を比べますと、このまま素直にスライドさせますととても追いつかないような状況じゃないかと思っているわけであります。来年度から大幅なアップが当然必要になってくる非常に厳しい状況でありまして、国民の皆様の理解の得られるような新しい考え方の予算を今後もぜひ頑張っていただきたい、八年度予算で九年度予算の話をするのは変ですけれども、お願いしたいと思います。  それで、ちょっと新人議員として、これまでの習慣に反するかもしれませんが、大臣に若干お聞きしたいことがございます。  といいますのは、ことしはちょっと長くなっておりますが、例年のことですけれども、その年度予算が執行されます前にもう既に次の予算の準備に各省かかっております。このゴールデンウィーク明けですと、まず厚生省でも各局では来年度予算の骨格は大体もう決まっておると思うわけであります。これは各省ともそうではないかと思うわけですが、このようなやり方というのは国民一般の考えからしますと非常に不思議な気がするわけであります。つまり、ことしの予算がどの程度効果的なものであり、どういうふうに使われているのかということも全くわからないまま来年の予算を組み立てなければならないと。これは国が一年かかって、予算審議は大変なことでありますから慎重につくっていくということから必然的に出てくる問題ではあると思いますけれども、慎重にやらなくてはならないとは思うわけですが、何かここはもっと柔軟にできないだろうか。そう考えてみますと、この予算編成の仕組みが、八月までに各省で原案をつくりまして、そしてそれから大蔵省がもう一度事細かくチェックをして、そして十二月末に予算案が提出されると、こういうやり方なわけですね。  この辺について私は自分の意見を言いますと、もっと各省に予算編成の権限を与えるようなことで、各省も大蔵省のチェックが厳しいものですから一生懸命時間をかけるわけですし、といいながら今度の予算の住専のように全く中身のわからないような予算も出てくるという、これは皮肉な状況だと思うわけです。  こういうことについて大臣は以前から、先回の質問でもちょっとお聞きしましたけれども、行政改革に非常に熱心に取り組んでおられるわけですが、こういう大蔵改革と一般に言われているようなものについて、簡単で結構でございますが、どのようなお考えをお持ちなのか、最初にお聞きしたいんです。
  76. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私も野党時代予算というのは国会に出てから議論をしていたわけですが、細川内閣以降、与党の一員としていろいろそばで見たり、あるいは特に村山政権になってからはさきがけの政策担当者として調整作業の一員としてやっておりまして、いろいろ感じるところはあります。  一番大きなのは、やはりシーリングという方式でまず一括的にシーリングをかぶせて、それで各省庁から出てきたものをその枠の中で調整していくというやり方が果たしてこういう大きな社会変化のときにいいのであろうかと。ある意味では役所を超えて、ある分野は思い切って大きく削り、ある分野は思い切って大きくふやすとか、そういう役所を超えての、何といいましょうか、予算のそういう変化が対応できないのではないだろうかと。  そう考えますと、例えば事業別にいろんな項目を挙げていって、その一つ事業に対しては、例えばエンゼルプランであれば厚生省関係するけれども他省庁も関係するとか、あるいは情報通信であれば幾つかの省庁が関係すると、そういう項目別に物事を考えていくといったようなやり方もあるのではないかとか、そんなことで、半年ほど前でしたか、現在の与党の中ではシーリング方式の見直しについての検討ということを与党の内部にプロジェクトを設けて議論のスタートをいたしたりしていたわけであります。  そういった点で、中期的に見ればあるいは予算の組み方を考えなければならないとは思いますが、一方では御承知のように大変膨大な項目でありますので、なかなか変えるとなればやはり仕組みそのものを相当しっかり議論した上で変えないといけませんので、今の私の立場としては、やはり今は本年度予算をできるだけ早く成立を図ると並行して、従来のやり方ではありますけれども、まずは八月の概算要求に向けての作業にどこかの段階では入っていかなきゃいけないだろうと。そういう日々年々の仕事と大きな制度的な改革というのは、どちらかといえば政治の場で大きな制度的な改革は議論をする必要があるのではないかなと、若干個人的な感想を交えてですが、そう思っております。
  77. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。私も同感でございますので、ぜひよろしくまたお努めいただくようにお願いいたします。  それに関連して私考えますと、予算編成というのは、今、大臣もおっしゃいました、私も言いましたように、厳密にまたしっかりつくっていくという面もありますが、もう一面、膨大な予算要求があり、それを半年かかってあきらめさせていくようなプロセスじゃないかと思うわけですね。みんな欲しいわけですから、それを削っていく、そのためにいろんな儀式が必要だというふうに私は思います。簡単にコンピューターであっという間に答えが出てしまっていたのではなかなかあきらめもつかないということでやるんじゃないかと思うわけです。  そこで、小さな話ではありますが、十二月の終わりに予算編成、最後に大蔵原案が出まして、内示がありまして折衝いたします。各省、四日から五日、以前はもっと長かったんですが、徹夜とか泊まり込みをしまして行う儀式があるわけですね。こういう儀式がなければなかなかおさまりがつかない。ここまで頑張って最後の段階までいったけれどもとれなかったとか、それもわかるわけですけれども、しかしどうも国民感情とずれているんじゃないかと思うわけです。新聞なども何か連日いかにも大臣が頑張ったので復活をしたというようなことを書いております。これは、御承知のように、一年かかってしっかりつくってきたものがそう一日二日でひっくり返るようなことはないわけでして、まさに政治家が何か物を持ってくる、金をとってくる、こういうために役所が協力をしておるというような気がしてしようがないわけです。ちょっときつい言い方かもしれませんが、お芝居になっているんじゃないかと。  ぜひこの辺は、今、官官接待等も問題になっておりますように、何日間も全国の首長さんや関係団体、業界の方が霞が関もうでを行う、こういうような慣行というか、こういうのについて、大臣、ひとつこの辺でピリオドを、十二月までやられるかどうかが一つありますけれども、どうでしょうか、御感想を。
  78. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これも率直に申し上げて、どちらかといえば政党なり政治なりの場での改革ではないかなという感じがしております。これも、細川内閣のときも若干そういう議論があったように覚えておりますが、村山内閣になりまして、自民、当時の社会、さきがけの三党では、例えば単独の党が関係者をいわば引き連れてというか一緒になって大蔵の担当主計官のところへ押しかけていくというやり方はお互いやめようじゃないかとか、少なくともやるとしたら三党できちんとあるルールの中でやっていこうじゃないかとか、必ずしも一〇〇%お互いに守れたかどうかは別として、今おっしゃったような面も含めて何か、どう言ったらいいんでしょうか、本来の政策論ではないようなやり方についてはできるだけ自粛すべきものは自粛し、オープンにすべきものはオープンにしていこうというようなことも議論をしたことを思い出しております。  そういう点で、これはどちらかといえば本当に、もちろん役所としてもいろいろそういう力にお願いをしなきゃいけない場合もありますので一概には言えませんが、やはりこれは政治全体としてまさにおっしゃるとおり国民にとって透明性の高い形で予算編成がなされることが必要なんだろうと、こう思っております。
  79. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。  この問題はそれぐらいにいたしまして、次に児童虐待といじめの問題について予算とも絡めてちょっとお聞きしたいと思っております。  最近、新聞などでも御存じのように、児童の虐待の問題が世間を騒がせているわけであります。ちょうど四月ですか、大阪で日本どもの虐待防止研究会というものができたというふうに伺っております。その中で、これ新聞を読みますと、熊本大学医学部の恒成先生という方が乳幼児虐待事件の司法解剖、ですからこれは死亡数、殺人と言っていいと思うんですが、年間平均三十一件というような報道も聞いているわけであります。そして、こういうことを考えますと、この予防と早期発見、対応というためには医者、医療関係者福祉関係者、そして警察などの緊密な連携システムが必要であるというようなこともこの大会で提言されているというふうに聞いております。私もこのような問題についてはぜひ制度的な充実を図っていただきたいと思っているわけであります。  まず最初にちょっとお聞きしますが、この児童虐待の実態の推移とその傾向などについて、どのような状況にあるか、御説明ください。
  80. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 児童虐待の件数といいますか状況でありますけれども、私どもとしましては、児童相談所で受け付けました児童虐待に関する相談処理、こういう格好でつかまえておるものでありますが、これは平成年度を一〇〇として見てみますと、平成年度で一・八倍ということで年々件数がふえてきていると、こういうような状況でございます。
  81. 山本保

    ○山本保君 児童虐待といいますのは、本来そういうことがあってはならない場所での出来事であり、信じたくないような気がするわけであります。家庭の中で保護者によるものであると。その保護者の気持ちも、我が子が憎くて憎くてということはないと思います。いろんな形で援助を必要としている親だと思うんです。前回、四月でしたか、御質問させていただいた、二百年前に福祉という制度が始まったときにまさにその問題がヨーロッパで問題になったということもお話ししたわけであります。  ただ、この問題は新聞、マスコミ等であおり立てるようなことになりますといろいろ問題もありますので、慎重な対応が必要だとは思います。今でもいろいろ民間の活動団体があって電話相談などをされているわけでありますけれども、大半は育児に悩む親御さんの質問、ちょっと重くてノイローゼ的になっておられると。じっくりお話を聞き、ほぐしていけば問題はなくなるようなケースが多いんだというふうには聞いているわけですけれども、しかしその中に、ほんの数例ではあれ、非常に重いものがある。そしてそれは、今、児童相談所というふうにおっしゃられましたけれども、なかなか児童相談所の網の目には上がってこない。もしくは、上がっているんだけれども児童相談所が相談を受けるという受け身の形になっておって、その家庭に介入していくようなプログラムがつくられていない、またその法的根拠も非常にあいまいである、前回もそんなことを申し上げたわけであります。  このようなことをこれから直していかなければならないと思っておるわけですが、きょうはその中の一つで八年度厚生省予算児童虐待ケースマネージメントモデル事業というのがつくられるというふうにお聞きしているわけでありますけれども、この概要とねらいというようなものについて御説明いただけますか。
  82. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) この児童虐待の問題というのはなかなか難しい問題であります。  一つには、家庭内という密室で発生するケースが多いというようなこと、あるいは背景もなかなか複雑であるというようなこと等々、解決に至るまで多くの困難を伴う場合が多いわけであります。  この問題につきましては、まず予防、それから早期発見、それからそれに対して早期に対応する、こういったことが必要だと言われているわけでありますが、やはりそれぞれの地域においてこういった三つの対応をどう総合的に進めていくかということになってくるわけであります。そういたしますと、どうしても児童福祉関係者だけではありませんで、例えば医師とかあるいは弁護士とかあるいは警察等々を含めた関係者のチームによってそれぞれ連携を密にして対応していくということが非常に重要だろうというふうに考えたわけであります。  そういった意味で、八年度予算案の中にお願いしております児童虐待ケースマネージメントモデル事業の内容としましては、一つには、こういった関係者がそれぞれの地域においてチームをつくっていただいて、そして虐待と思われるケースについて、今申し上げたようなことで早期発見あるいは早期対応といった問題について検討していただいてはどうか、そしてそれを踏まえて全国的にその対策なり対応というものを今後どうつくっていくべきかということを考えていきたい、このような構想でモデル事業として全国八カ所実施をいたしたいということでございます。
  83. 山本保

    ○山本保君 いろいろお聞きしておりますと、その事業は各県の児童相談所を中心としたプログラムとして進めていくというふうに聞いているわけなんです。もちろん、児童相談所が一番の中心の機関にならなくてはならないとは思うわけでありますけれども、きょうここで一つ申し上げたいのは、児童相談所がなかなか動かないがゆえに民間のいろんな団体がこの問題にかかわってきていると。  具体的に申し上げますと、例えば東京では子どもの虐待防止センター、これは局長もよく御存じだと思いますが、去年の十一月に突然がんで亡くなった広岡知彦さん、私も非常に懇意にして、これまで私もこの方がやってこられた自支援助ホームを応援する施策をつくったり、それから平成六年から児童虐待に対応する施設関係事業として都市家庭在宅支援事業というものをつくったんですが、そのときも広岡さんにいろいろ話を聞いたんです。  広岡さんがそのとき私に言っておりましたのを今でも思い出すわけです。自分のところで小さな子供を保護したんだけれども児童相談所の方からもうこの子は家へ帰していいと、親が返せと言っているので帰していいと。それを一生懸命とめたんだけれども、結局負けて帰してしまったと。そうしたところが、一月たって行ってみたら、もう子供も親ももぬけの殻でどこにもいなかった、こういうことが起こったと。  そのとき広岡さんは、もう児相なんというのは信用できないと、こう言うものですから、私は、いやそうでもないだろうと。やっぱり一カ月後に行くということ自体がまず問題で、そんなに危ないのであればもう毎日のように見に行くようなシステムをどうしてつくらなかったのかとか、そんな話し合いをしたことを覚えているんです。そして、大阪には児童虐待防止協会という、これは電話相談を中心としたチームがありますし、また昨年秋に愛知県でも子どもの虐待防止ネットワークというのができたりしました。  役所の目から見ますと、法人化されていないとかいろんな制約はあるとは思いますけれども、ぜひこういう方たちに、広岡さんのことを言えば命をかけてやってこられた仕事でありますので、どうぞ何らかの形で、厚生省事業補助、費用などを見てあげるとか、見させていただくとか、または研究費などのような形で出すとか、そんなことをひとつ考えていただきたいと思うんですけれども局長、いかかでございますか。
  84. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 今、委員がお話しのようなことで、この児童虐待の関係でかなり民間のボランタリーな活動として進んでいるというのが実態でございます。そういった中で、やはり児童相談所を中心として公的にもどう関与していくべきなのかというのは、これは私どもとしても真剣に取り組まなきゃいけない問題として考えております。  そういった意味では、現在中児審の中でこの児童福祉体系の検討をいただいておりますけれども、こういった中でも一つ課題としてこの問題について御議論をいただこうというふうに思っております。  そういった現状にあるわけでありますが、一方、民間のこういう施設に対する助成ということでございますと、まさに都市家庭在宅支援事業の一環として助成制度はあるわけでありますけれども、国の助成制度ということからいたしますとやはり何らかの形の法人格というようなものをお願いしているわけでございます。そういった意味で、そういうことを度外視して助成をというようなお話かと思いますけれども、これはなかなか事業の補助ということになってまいりますと難しいかなという気もいたします。  ただ、この児童虐待防止のためのいろんな活動に対してどういうような形で公的にも連携を図り、支援をしていくべきなのかという観点については十分検討をさせていただきたいと思っております。
  85. 山本保

    ○山本保君 実は広岡さんとも以前やっていたときに自支援助ホームというような、これは法律にないものについても工夫をしまして事実上補助ができるような体制もつくったんですね。そんなことをやったんです。ですから、何か法人格を持っていないからとか、または児童相談所じゃないからということで最初から度外視しないようにぜひお願いしたいと思います。  この虐待の問題についてはこれだけではなくてまだほかにも、今、法律のことをおっしゃられましたけれども児童福祉法三十四条に今で言う虐待の定義が出ております。しかし、昭和八年に児童虐待防止法というのが日本でもつくられたわけですが、その当時虐待とされていた、今で言う障害を持った子供さんたちを見せ物にしたりとか、小さな子供を酒食にはべらせるというようなことを中心にし、戦後、昭和二十二年当時の状況でつくられたものであって、ほどんど現状では今のさまざまな問題に対応できるような条文になっておりません。この辺についてもまた機会を改めてじっくりやりたいと思っておりますけれども、よろしくお願いします。  次に、いじめの問題でございます。  以前、何でいじめと虐待が一緒に出てくるんだというふうに聞かれたんです。これは実は非常に似通ったものであります。先ほど申し上げましたように、実は社会的な目で見ましても、ともに本来こういうことが起こってはならないし、起こるはずがないというふうに言われている場面での子供の悩みであるわけです。要するに、家庭は親子の愛情、信頼、依存というものであるはずだというところで行われ、そしてそれの対応がないがゆえにおくれていると。実はいじめについても学校教育という、教師と生徒との間の信頼関係、師弟関係というんですか、または高校以上であればその教育理念を信じてというか、それを受けるために来ていると、こういう中で本来起こってはならないはずの事件が起こっているというわけであります。  きょうは文部省の方にも来ていただいているわけでありますけれども、文部省ではこのいじめについてどういうような対応をとられているのかということについてお聞きしたいわけです。  具体的には、学校カウンセラーというんですか、こういうのが置かれているし、また平成年度はそれを拡充するというふうに伺っておりますので、どれぐらい置かれているのか、またその資格要件、役割などについて御説明いただけますか。
  86. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) いじめ問題についてのお尋ねでございます。  文部省としましては、いじめ問題の解決のためには、まず基本認識としまして弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない、こういった強い認識に立つことが必要であると考えておりますし、この解決に向けては家庭、学校、地域社会のそれぞれがそれぞれの役割を果たしながら、なおかつ一体となって取り組むことが必要であると考えておるわけでございます。  中でも学校におきましては、まず第一に子供たちの一人一人を大切にしてその個性を生かす教育を着実に推進していくことが大変重要だと考えておりまして、このために必要な教職員の配置を計画的に推進しているところでございます。また、教員の資質、能力の向上でありますとか、教育相談体制の整備、あるいは今申しました家庭、学校、地域社会の連携の推進など、これらに関します各種の施策を総合的に現在進めておるところでございます。  その中で先生今御指摘のございましたスクールカウンセラーの学校配置でございますが、この事業平成年度から始めた事業でございまして、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業と申すものでございます。平成年度には約三億円の予算を計上させていただきましたけれども、八年度予算におきましてもこれを十一億円に大幅に拡充をいたしまして、教育相談体制の整備充実の一環としてこれを位置づけておるものでございます。  この事業の中身でございますが、今申しましたように、専門家を学校に配置する事業でございますが、スクールカウンセラーといたしましては臨床心理士といった資格など高度な専門家に委嘱いたしまして、具体的に学校におきまして子供たち、または教師、保護者等のカウンセリングあるいは指導助言に当たっていただいておるわけでございます。  この基礎資格としましては、大学院の修士を修了いたしました方で一年以上の実務経験を持っておるということが臨床心理士の基本的な資格と私ども理解をしておりまして、そういった専門家を配置することによりまして、もちろん子供の教育相談を受ける当事者としては学校、教師が第一の責務を負うわけでございますが、多様な教育相談体制を整備する上からこういった専門家の御協力をお願いしておるわけでございます。
  87. 山本保

    ○山本保君 努力されているということは私もわかるわけなんですけれども、ちょっと追加でお聞きしたいんですが、どれぐらいの学校に置かれる予定でしょうか。
  88. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) 失礼をいたしました。答弁漏れでございました。  平成年度には全国百五十四校に派遣をいたしております。八年度予算におきましてはこれを全国五百六校、具体には各県十校、さらに各政令指定都市三校分を見込んでおるところでございます。
  89. 山本保

    ○山本保君 小中学校でも三万とか四万という数だったと思うんですね。その中のわずか五百校ということであります。もちろん、このことは予算というものがありますので、これが一つ課題であるということは改めて言うまでもないわけであります。  二番目に、今、高度な専門性とおっしゃったわけでありますけれども、実はまだこの分野においては国家資格というようなものができておりませんですね。これは厚生省、文部省との間で何か非常に意見が合わずに、特にサイコセラピーの分野で資格化がおくれているというふうにも聞いているわけであります。この辺はきょうここで取り上げるにはちょっと大きな問題ですので問題提起だけをして、また厚生省とも一度じっくり話をしていただきたいと思っているわけなんです。  そこで、よく、よくといいますか時々、学校にカウンセラーは来たけれども、何か今おっしゃったようなふうじゃなくて、学校の先生のOBとかそんな方が来られるというようなことも聞いたりするわけなんですよ。ですから、やはり教育的な指導力ということと福祉、また臨床心理のカウンセリングというものは全く方法論が違いますので、この辺はぜひ慎重に考えていただきたいなということをひとつお願いしたいということです。  それからもう一つ、これはできれば後で一緒に御返事いただきたいんですが、三番目の問題として、この方たちを学校に置いている根拠といいますか、どういう権限を持った職員として学校におられるのか、この辺をちょっとお聞きしたいんです。
  90. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) まず、スクールカウンセラーの内訳でございますが、先ほど申しました臨床心理士の方々は平成年度について申しますと約九割の方々にお願いをしております。  先ほど教員OBの方もおられるのではないかという御指摘がございましたけれども、原則として教員OBは認めておりません。といいますのは、先ほど申しましたように、この教育相談体制の整備充実は専門家の方にお願いをするということ、それから学校外の方に、学校外から来ていただいて新しい目で学校も見ていただき、子供たちとも接していただきたいというねらいがございまして臨床心理士の方々に約九割お願いをしておるわけでございます。そのほかは精神科医の方でございますとか大学の教授等にお願いしておるところでございます。  それから、設置の根拠でございますが、厳密にはこれは非常勤としてお願いをしておりまして、地方公務員、特別職の非常勤公務員ということになろうと思っておりますが、委嘱の仕方は各県によって若干違っておるところがあるようでございます。なお、詳細についてはちょっと今資料を持ち合わせておりません。御勘弁願いたいと思います。
  91. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  時間もありませんのでこれ以上ここで細かいことは申し上げませんけれども、ぜひお願いしたいことは、つまり非常勤の形で行かれた相談員の方がまさに大変な子供の相手をしてやればいいんだということでやっていたのでは、これはいつまでたっても問題は減りません。つまり、そういう問題が起こってくる学校運営全体にちゃんと口の出せるような権限を私は与えるべきだと思うんです。  先ほど学校外の人を入れるんだとおっしゃった。それは非常にいいことだと思うんです。学校運営にやはりいろんな問題がある、もちろんこの問題は学校だけに責任があるとは言えませんけれども、しかし少なくともあると。であるならばその方たちに校長、教頭並みに資格を、きちんとした権限を与えていただくということをお願いしたいと思うわけです。  これと関連して、ちょっと早くなってあれですが、警察の方でこういういじめ問題について協議会をつくってやっているとお聞きしております。簡単で結構ですが、どんな状況で学校と警察との連携が図られているのか、御説明ください。
  92. 勝浦敏行

    説明員(勝浦敏行君) 学校との連携につきましては、地域によりまして開催の頻度に差がありますが、おおむね四半期に一回程度開催をされております学校警察連絡協議会の場を活用いたしまして、いじめ問題に関する全般的な協議を行っておりますほか、平素から警察署の少年担当職員が管内の各学校の生徒指導担当者の方などと随時連絡をとり合うなどして互いにいじめ事案を早期に把握できるよう努めているところでございます。  また、いじめ事案を把握した場合には、事案の真相究明を徹底して、加害少年の適切な処遇を図ることはもちろんでございますが、解明をいたしましたいじめ事案の背景など参考となる事項を学校側に提供するなどして、学校と連携しながらいじめ事案の早期解決と再発防止を図っているところでございます。
  93. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  聞くところによりますと、九割ぐらいの学校はもうきちんとできているというふうに聞いております。教育の場に警察ということですから、いろんな形で配慮されながらやっているんだと思っておりまして、この辺についてはもう私これ以上申し上げません。  今ここで問題といいますか一つ気がついたこと、つまり今問題になっておりますのは基本的にはいじめる側の子供であります。これは当然でありまして、少年法などでもいわゆる虞犯とか触法少年を見つけますと、これは通告しなければならないと法律にはっきり義務が書いてあります。児童福祉法にもございます。  私が今問題にしたいのは、先ほどの虐待の流れからしてもおわかりだと思いますけれども、今問題になっておりますのは、いじめる側の子ではなくして、いじめられている、つまり学校における虐待とも言えるわけですから、その受けている子供をどう救うかということが今非常に施策的に問題じゃないかと思うわけです。  ところが、これは本当はまた高木局長にもお聞きしたいところですが、法律を見ますと児童福祉法ではいじめている子供を通告する義務はあります。児童福祉法と少年法はほとんど同じ条文がありまして、そういう子供を見つけたら通告せよとあるわけですが、いじめられている子供を見つけても通告するということはないんですね。当たり前じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そうではありません。先回からずっと言っておりますように、実は児童福祉法では保護者からいろいろよくない行為を受けていたり、または何もされない、遺棄されている子供を見つけたら児童相談所などへ通告しなさいという義務が課せられております。つまり、これはちょっと法律の穴でありまして、学校教育というのは本来そんなものはあるはずがないと思っておりますから学校教育法の体系にはないわけです。  ですから、私はこの問題というのは、もちろん学校の中で一生懸命やっていただくというのは大事なことではありますけれども、もう問題は学校だけでおさまる問題ではない。そして、今の児童福祉法でももちろんいろいろな形で相談を受けることはできます。しかし、受けることができるということと法律規定によって通告を受けてきちんと対応しなければならないということは違うわけでありますから、この辺について新しい法律をつくるなりきちんとした対応を、そのために定義とかの問題がありますけれども、この辺をぜひ今後、私自身もまた勉強したいと思っておりますし、御検討いただきたいなと思っているわけです。  最後に、大臣、今お聞きになっておられて、先ほど阿部先生の方からも障害者のことをしっかりというお話がございまして、私もまた同じように、エイズの問題ももちろん大変な問題でありますけれども、ぜひ子供たちのこともしっかりお願いしたいと思っております。こういう子供たちへの対応、また子供を本当に健やかに個性豊かに育てるための、大臣、御決意を一言お話しいただければと思います。
  94. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、山本委員の方からずっと虐待の問題、いじめの問題、いろいろな面での御指摘がありまして、そういったことがなぜ近年ふえてきたのか、もちろんあってはならないというか、ないことが当然好ましいわけですけれども、なぜこういうことになってきたのかということをやはり相当根本にさかのぼって考えてみなければならないのではないかと思っております。  特に、もちろん厚生省としてというか役所として自分たちが管轄している、例えばこの問題であれば厚生省の場合は児童福祉法の現状に対する、何といいましょうか、十分さあるいは不十分さをどう改革していくかということもあると思うんです。  ただ、それと同時に、これは若干、大臣としてというよりは一人の政治家として考えますのは、役所の幅だけでそれぞれが施策を出し合ってそれを横に連ねてみてもなかなかこの問題は解決できないのではないだろうか。いじめの問題などはいろんな施策を重ねていくとますます場合によったら子供にとっては余計大きな圧力になっていくのかもしれないわけでありまして、そういう点ではやはり一人一人の子供ないし当事者にとって今の社会がどういう形で当事者にかかわっているのか、そういう根本にさかのぼった議論をどこかの場でする必要があるんじゃないだろうか。  確かに家庭の中で、何といいましょうか、保護者が子供に暴力を振るうなんということも従来ちょっと考えられないわけですが、多分そういうものが生まれているのは社会構造の中でやはりある種のストレスのようなものがあるいは大人に対してもかかっているかもしれないし、あるいは学校の中で言えば、やはり学校というのは行かなきゃいけないんだということが義務教育という中で法律で決められているわけですが、従来は子供たちの教育の機会を満たすためにつくられた制度が場面によっては、そんなに嫌なら行かなきゃいいじゃないのといっても、いや、やっぱり行かないといる場所がないということで逆にプレッシャーになっている。  いろんな制度が当初考えられた意味合いと違った性格を持つように社会状況そのものが変わっているような気がしますので、そういう点ではこの議論は役所ごとにするということを超えて、それは政治の場なのかあるいは専門家の場なのかわかりませんが、もっと根底的な議論がある中で、逆にその中から出たことについて役所として何ができるか、何をすべきかという、そういう観点も必要ではないかなと、これは若干個人的な見解も交えての感想ですが、そんなふうに伺っていて感じたところです。
  95. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  96. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。今年度予算案厚生省関係する幾つかの具体的な課題についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一番目の課題として、入院時の食事の問題に関連して幾つかお尋ねをしたいと思います。  たしか一昨年、平成六年十月に新しい制度として入院時食事療養費という制度が導入されまして、当時相当に論議を呼んだ上で一定の決着を見たというふうに理解していますが、このときに入院時の食事に関する給付の見直しについては食事の質の向上と患者ニーズの多様化への対応が必要であり、医療機関側のサービス改善の努力を促す観点から導入されたと、こういうふうにうたわれていたと思います。一昨年の十月ですからおよそ一年半経過をしております。  さらに、ことしの十月から入院時食事療養費については六百円から八百円になるというふうに記憶していますが、そういうときであるだけに、果たして新しい制度が導入されて以降、病院の食事に関するサービスはどのように変わってきたのか。例えば、適時適温配膳、選択メニュー、そして患者さんの食堂の設置等々のことが課題として挙げられていたと思います。  これらの課題がどの程度に改善されてきているのか、現状をお尋ねするとともに、今後の対応の方向についてお聞かせいただきたいと思います。
  97. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 御指摘がありましたように、平成六年の健康保険法の改正で入院時食事療養費の制度を導入したわけでございまして、この趣旨は入院と在宅等に係る費用負担の公平を図るということとあわせまして、御指摘がありましたような患者のニーズの多様化等に対応して入院時の食事の質の向上を図るということを目的としております。  この改正の際、あわせまして平成六年十月に診療報酬改正を行いまして、こういった課題に対応すべく適時適温の食事の提供を評価する特別管理加算を大幅に引き上げました。それからあわせまして、選択メニューとか食堂における食事の提供、こういったことを評価する加算を新たに設けたわけでございます。  具体的にそれを採用しておる医療機関の動向でございますが、まず適時適温の食事を提供する特別管理加算の算定対象の医療機関でございますが、毎年七月に定例報告をとっておりますので平成六年七月と平成七年七月とを比べたものを御報告いたしますが、平成六年七月には約二千二百の病院がこの適時適温の食事を提供する加算の対象になっておりましたが、これが一年後の平成七年七月には病院、診療所合わせまして約四千百五十と大幅に増加をしているというふうに見ております。  それからもう一つ指摘がありました食堂加算の算定対象でございますが、これが平成七年四月時点での調査でございますが二千三百、大体全病院七千七百のうちでございますので約三四%、それから選択メニュー加算を算定している病院が千三百、一九%、こういうことでございまして、これが平成六年十月から半年たった時点での調査でございますので、そういう意味では相当の医療機関で食事の改善に取り組んでいただいているんじゃないだろうかというふうに見ているわけでございます。  今後の方向でございますが、お話がありましたように、病院給食の質の向上と、それから患者ニーズの多様化への対応ということがどうしても課題だと思いますので、こういった方向を念頭に置きながら、関係審議会で十分御審議をいただいて、今申し上げました加算の状況、その変化も踏まえながら適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  98. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、若干の数字をお示しいただいたんですが、ちょっとわかりにくいというか、もう少し、ことしの十月までで結構ですので、新しい制度ができて実際に病院あるいは診療所で提供される食事についてこれくらい変わったよということははっきり国民の皆さんに示せるように、ぜひ一定の準備をお願いしたいと思います。  さて、入院時の食事の問題と関連しましてお尋ねしたいんですが、院外調理方式、つまり病院以外のところで調理をした料理を病院に持ち込んでもよろしいという制度がスタートをするということで、ことしの三月、四月と続いて関連する医療法の施行規則の一部改正、あるいは院外調理における衛生管理ガイドライン等が示されたというふうにお伺いしております。  この一連の動きについて簡単に経過を御説明いただきたいと思いますが、新たに院外調理方式の導入をすることによって厚生省としてどんなことを期待しているのか、あるいはどんなことを意図しているのか、この辺についてもお伺いしたいと思います。
  99. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 病院の給食につきましては、従来は入院時におきます患者さんへの食事の提供の業務というものが調理から配膳までのすべてを衛生面の配慮が行き届いた病院内の給食施設で行うということでされてきたわけでございます。  ただ、近年の調理技術あるいは衛生管理技術の進歩によって病院外の調理加工施設でも適切な衛生管理が可能となったのではないか、またそういうことから院内の給食施設で行うことに限定する必要性が乏しくなってきたのではないかというような背景がございます。さらに、これは平成四年十月でございますが、医療審議会の意見書の中でも、給食施設の取り扱いということについてそのあり方検討すべきではないかという意見書が出されております。  こうしたような状況を踏まえまして、平成五年四月から医療関連サービスについての基本問題検討会というところで議論を重ねてまいりまして、昨年の秋、十月に病院外の調理加工施設において患者給食の調理を行うことを認めるべきではないかという報告書が提出をされております。  この報告書をもとにして私ども省内でいろいろ検討を重ねまして、ことしの三月に院外調理による患者給食というものを認めるべく医療法の施行規則の改正を行いました。また、あわせて並行して議論をしてまいりましたいわゆる衛生管理のガイドラインというものにつきましては、衛生面での安全性を確保するために必要な基準を設ける、また患者さんの患者給食ということの特殊性にかんがみて新たな衛生管理ガイドラインを決めて、それをお示ししたところでございます。  もとより、今般、院外調理を認めたということでございますが、患者等に対する食事の提供ということが治療の一環であるという従来からの考え方は変わりがないところでございますが、一方、今回の省令改正等によりまして給食形態の選択肢をふやすことになるのではないか、またそれが結果的には患者サービスの向上に資するということを期待いたしております。  ただ、この院外調理の導入ということに対しましては、今申し上げましたように、患者サービスとしての食事の質の向上という視点から、どういう方式でやるのが最もいいのか、これはそれぞれの医療機関が自主的に判断をしてどういう形でやるかということを決めていただくことが基本だというふうに認識をいたしております。
  100. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、病院側の選択肢が広がると、こういう観点でお話があったわけですが、お聞きしますと、今回、実施に踏み切る前に一部でモデル的に実施をして、それを素材に調査検討を行ったというふうにも伺っております。  院外調理方式の導入によって患者サービス面でどのような効果があったのか、あるいはコスト面でどのような効果が出たのか出なかったのか、メリット・デメリットについてお聞かせいただきたいと思います。
  101. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今申し上げましたこの院外調理の導入ということを認めるに際しまして、いわゆる病院給食の特殊性ということにかんがみて、院外調理によっても従前と同様な適切な食事が提供できるかどうかということで平成年度に幾つかの施設を対象にいたしまして調査研究を行いました。  その際には、いわゆるクックドチル方式というものを中心にいたしまして、冷凍車で配送して翌日再加温して患者に提供するといったような一定の条件のもとにモデル事業をやったわけでございます。  幾つかの点がございますが、食事の形態、あるいは治療食についても院外調理を試みて、例えば治療食としては腎臓病食あるいは減塩食等の主菜の提供ですとか、あるいはその際の栄養管理面でのおいしさの変化ですとか、あるいは栄養成分が変化したかどうか、あるいは油脂類、つまり油類の変化がどうであったか、また衛生管理という観点から特に細菌学的な検査もあわせて行っております。また、保存方法によって経時的にその食事がどの程度変化をするかといったようなこと、それから患者さんのサービスという面で選択メニューあるいは適時適温給食ということに対応できたかどうかといったようなことについていろいろ調査をいたしたわけでございます。  その結果、全体として院外調理の導入によりますサービス面のメリットといたしましては、選択メニューがふやしやすくなるといったようなことが指摘をされました。また、ちょっと話は前後いたしますが、このモデル事業におきましても、院外調理によっても衛生面、栄養面とも支障なく食事を提供することが可能である、また選択メニューあるいは適時適温給食にも十分対応できるといったようなことが明らかにされております。  一方、デメリットといたしまして、若干物によっては冷凍保管等によって味が落ちるといったようなものがあるのではないかといったような指摘がされております。  一方、コスト面でございますけれども、既に大きな病院におきましては大量購入によります納入単価の引き下げといったようなことは行われているわけでございますけれども、中小の病院の方がよりこの効果が大きいのではないかといったような指摘もございまして、ある程度委託費の低下が期待できるのではないか。ただ、反面、どうしてもやはり再加熱用の調理機器の導入ということが必要でございますので、そのための初期投資ということは考慮をする必要があるといったようなことがこの研究報告書でも指摘をされております。  そういったようなことで効果の点、あるいは若干のデメリットは幾つかあるわけでございますが、それぞれの医療機関の病床数、あるいは食事をどういう形で提供していくかといったようなことで、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはりそれぞれの医療機関が最終的には判断をしていただく問題だろうというふうに認識をしております。
  102. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと答えが二重に重なって、どうもわかりにくい答弁だったような気がします。  いずれにしても、主たる観点は入院時における食事のサービスの改善に資する、こういう立場からぜひ、品質管理等も含めていろいろ問題があると思いますので、そのような立場での御指導をお願いしておきたいと思います。  それでは大きな二番目の問題として、先ほど来何度か議論に上がっております障害者プランについてお尋ねいたします。  私自身はこの新しい障害者プランが策定されたこと、とりわけこのプランが障害者基本法の制定を踏まえて身体障害、知的障害、そして精神障害の三障害を含めた障害概念のもとに提起されている、このことは画期的なことであるというふうに高く評価をしたいと思います。  ただし、そうはいっても、どうしても障害者プランというふうに言いますと、まず最初にイメージするのは身体障害者でありますし、その次に知的障害者でありますし、ややもすれば精神障害者は別枠というふうに考えられがちであります。私もあちこちに行きますと、精神障害者の保健福祉施策はこのプランの外にあるんじゃないかという理解をされている方がまだまだ多うございます。  そこで、障害者プランの中に精神障害者の保健福祉施策が具体的にどのように盛り込まれているのか、その主要な施策あるいは具体的な数値目標等について、主要な点についてで結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。
  103. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) 今回の障害者プランの中で精神障害者の社会復帰の促進ということは重要な柱になっておりまして、ともに暮らせる社会づくりということで精神障害者もこのプランの中の重要な柱であることは御存じのとおりでございます。  そこで、具体的にどのようなプランを考えておるのかということでございますが、今回の障害者プランでは、精神障害者が地域の中でともに生活を送れますように、社会復帰施設やグループホームにつきまして計画期間、これは七年間でございますが、その七年間の間に現在の四倍から五倍の数を整備をしていくという高い目標値を設定して整備推進を図ることとしております。さらに、地域で生活をしておられる精神障害者の日常生活の支援あるいは日常的な相談への対応や地域住民との交流活動を支援するために、地域生活支援事業を新たに創設することなどの施策を盛り込んだところでございます。  さらにもう少し具体的に申し上げますと、平成年度におきましては、生活訓練施設につきましては七年度は十六カ所でありましたけれども、二十カ所、さらに授産施設につきましては七年度は二十四カ所でありますが、これを三十カ所、グループホームにつきましては二百二十カ所から四百三十カ所へおおむね倍増を図ろうということを考えております。また、生活訓練施設と授産施設につきまして、職員配置をそれぞれ一名増員いたしまして補助基準額を引き上げることなど、こうした社会復帰対策で対前年度一七〇%、一・七倍の予算枠を計上させていただいておるところでございます。
  104. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今一・七倍の予算ということで強調されたわけですが、今回障害者プランの中に精神障害者の保健福祉施策が相当に重点的に盛り込まれているということのPRをぜひやっていただかないと、どうもすっと通ってしまうようなところがありますので、ぜひそのことをあわせてお願いしておきたいと思います。  ただ、これらの施策推進するに当たってどうしても検討をしておかなければいけない、そしてできるだけ早急に克服しなければいけない課題が二つあると思います。  その一つは、精神障害者のための保健福祉施策推進するに当たっての市町村の役割であります。現行の法制度上は精神障害者のための保健福祉施策について市町村の役割が極めて弱いというか薄いというか、逆に都道府県の任務というか役割が強いという、そういう構造になっていると思います。  昨年、精神保健福祉法へと法改正がされたわけですが、その法体系の中でもなお行政の中心的役割は都道府県という従来の制度的枠組みがそのまま維持されているのではないか、非常に中途半端な改正であったのではないかというふうに私はちょっと思っているんです。これから市町村障害者プランを策定していく、あちこちの計画を見ますと、都道府県プランを見ますと結構精神障害者の項目は入っているんですけれども市町村の計画を見ますと精神障害者の部分がすぽんと落ちているところが結構あるんですね。そういう意味で、ぜひ市町村に積極的に障害者プランの策定作業の中で精神障害者にかかわる部分を受けとめていただくために何らかの手だてが必要なのではないかというふうに思います。  今すぐにできることと今後しなければならないこととあると思いますが、厚生省としてどのように考え、さらに今後どのような方策を講じていこうとされているのか伺いたいと思います。
  105. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) 精神障害者の保健福祉施策は確かに、今、委員指摘のように、これまでは都道府県中心に取り組まれてきたと言わざるを得ないと思います。  これにはいろいろ理由もあることだと思いますが、精神障害者に対する対応が医療中心として技術的専門性というものが高いというようなことも一つの原因ではなかったかなと考えておるところでございますが、今後障害者プラン推進いたしまして地域での生活を支援していくためには市町村の役割が重要であるということは論をまたないところでございます。  こうした考えから、既に平成五年にできました障害者基本法におきましても、精神障害者が障害者として明確に位置づけられますとともに、市町村が精神障害者基本計画を策定するなど福祉の増進の役割についても明確化をされてきているところであります。  また、さらに平成六年には地域保健法ができまして、この地域保健法に基づく基本方針では、専門的、技術的な役割は都道府県の保健所が担う一方で、精神保健福祉に関する普及啓発や相談、指導などの身近で利用頻度の高いサービス市町村保健センター等において実施することが望ましいとされたところでもございます。  また、今、委員の御指摘もありましたけれども平成七年の精神保健法の改正におきましても、都道府県のみならず市町村における正しい知識の普及、あるいは相談、指導についての役割を明示いたしまして、今後市町村の精神保健福祉業務の充実を図ることとしたところでございます。  今後、市町村施策推進するための基本となります障害者基本計画の策定に当たりまして、精神障害者の保健福祉施策が適切に位置づけられますよう、他の障害者施策と連携を図りながら必要な指導、さらには支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
  106. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、御説明をいただいたわけですが、私はなおかつ市町村の役割がなお不明確なままであるというふうに考えざるを得ません。  これは今すぐそれを何とかしろということではありませんが、中期的に考えてどちらの方向に持っていくのかを含めて当面何をするのか、ぜひ市町村の役割について積極的なPRも含めた取り組みをお願いしておきたいと思います。  さて、もう一つ課題は精神医療供給体制の整備をどのような地域的単位を基礎に図っていくのかということでございます。  あれこれ申し上げませんが、現行の医療法では医療計画の中で一般病床とは別枠で、精神病床、結核病床については都道府県の単位でという地域的単位を定めております。一方、先ほども説明の中にありましたが、国の障害者基本計画の中では、精神障害者の社会復帰関連施設整備について医療計画に定める二次医療圏を単位として進めていくということもうたわれております。社会復帰関連施策整備が二次医療圏単位で、そして精神病床にかかわる地域的単位が都道府県の単位で、これはどうもレベルが合わないというふうに考えざるを得ません。  これも一気に医療法そのものの規定を改正するかどうかという課題があると思いますが、当面この医療計画の具体的な推進に当たって、精神医療供給体制の整備についても一般医療と同じレベル、つまり二次医療圏単位での整備を図っていく方向性を明確に打ち出していく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) 精神医療施策につきまして二次医療圏単位で整備を図るべきではないかということでございますが、精神医療につきましてはこれまでどうしても入院治療が中心で行われてきたことがございます。  そこで、都道府県におきましては、都道府県全域を一つの単位と、いわゆる三次医療圏の中でこの精神医療の供給体制というものを考えてきたわけでありますが、今御指摘のように、最近では精神医療の技術的な進歩がございまして入院期間も短くなってまいりました。それとともに、外来で医療が行われるというような方向にも進んでまいりました。さらに、今問題となっておりますように、精神障害者の社会復帰を促進することが重要だと、こういうふうになってきております。  こういったことを考えますと、御指摘のように、精神障害者ができる限り地域の中で生活ができるように二次医療圏単位で社会復帰施設整備は今後も図ることとしておるところでございます。  また、一方、精神医療の供給体制でございますが、これは今申し上げましたような経過から、立地が都道府県の内部におきましてもかなり地域的に偏在をしております。それで、これまでの都道府県単位を二次医療圏単位に切りかえますことは、施設が偏在しておるという状況の中ではすぐにやるということはなかなか難しいことではないかと思います。  そこで、私どもといたしましては、そういった問題はあるにいたしましても、例えば応急入院患者や措置入院患者の入院治療を担う指定病院、こういうものを指定しておるわけでございますが、こういったものの取り扱いにつきましては二次医療圏に配慮をして指定を行うようにできるところから対応をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、これからの精神科医療供給体制につきましては、社会復帰、福祉施策進捗状況、あるいは精神医療救急医療、こういったもの、あるいは一般医療等の関連など精神医療を取り巻く状況を見きわめながら今後どのように整備すべきかについて検討をさせていただきたいと思っております。
  108. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今申し上げた二つの課題市町村の役割の問題、そして二次医療圏単位の医療供給体制の整備の問題。一つは中期的な課題があると思いますね。中期的な課題方向性を見定めつつ当面何をやるかということだと思いますので、ぜひその辺を明確に、ある程度方向を押し出しつつ当面これをやっていくという形での具体的な取り組みをぜひお願いしたいなと思います。  それでは三番目、最後の課題として今国会に改正案が提出されております公営住宅法の改正問題について建設省にお尋ねしたいと思います。建設省の方、おいでですか。  突然にこの厚生委員会で公営住宅法の改正問題が出てきた理由は、実は今までずっと申し上げてきた障害者プラン推進ともかかわってくるということで、あえて最後にこの問題を取り上げさせていただきました。  そこでまず、ちょっと時間の関係があって十分御説明をいただく時間がありませんが、今回の公営住宅法の改正案の中で公営住宅に係る福祉施策どの連携の強化、この部分について、ごくかいつまんで具体的な改正内容についてお聞かせいただきたいと思います。
  109. 古屋雅弘

    説明員(古屋雅弘君) ただいま国会に建設省から公営住宅法の改正案の御審議をお願いしております。  改正案では、住宅にお困りの方々に的確に公営住宅を供給するということを最大の眼目とした内容でございますけれども福祉政策との連携をこの際強化していきたいというのも大きな一つのポイントでございます。  具体的には、法律の改正をお認めいただきましたならば政省令等で手当てしてまいりたいと考えておりますが、内容的には三つございます。  一つは、公営住宅の性格上、入居者の資格というものを一定の所得水準に満たない方々に限定をさせていただいておるわけでございますが、高齢者世帯やあるいは障害者のおありの世帯につきましてはなかなか民間で住宅を手当てするということが容易でないという実情がございますので、一般の世帯の方々よりも収入が多少高くても公営住宅を御利用いただけるように、この入居収入基準というものを地方の裁量によりまして弾力化を可能としたいということが第一点でございます。  それから第二点は、老朽化した公営住宅を建てかえる際に建てかえの要件というのを法律で定めておりますが、その建てかえる団地にいろいろな社会福祉施設を呼び込んでくる、例えば障害者福祉ホームでありますとかデイサービスセンター、こういったものをあわせて併設をしたいという場合には、その建てかえ要件を緩和いたしまして、そういった施設の併設をより円滑に進められるようにいたしたいというのが第二点でございます。  それから第三点目は、例えば障害者の方々の共回生活の支援を目的としましてグループホーム事業等を行っておられる社会福祉法人がおありでございますが、こういった方々に公営住宅の住戸をお貸しできるようにいたしたいというような内容を考えておるところでございます。
  110. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間もありませんから一点だけ確認をさせてください。  今、三つの具体的な施策について御説明がありました。  そこで、障害者のために、あるいは障害者のための施設、こういう御説明があったわけですが、その場合の障害者の範囲、概念は身体障害、知的障害、そして精神障害を含むものということで理解してよろしゅうございますか。
  111. 古屋雅弘

    説明員(古屋雅弘君) 先ほど御説明いたしました障害者という概念の中には、先生指摘のとおり、身体障害者、知的障害者のほかに精神障害者、こういうものを含めて考えてまいりたいというふうに思っております。
  112. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  終わります。
  113. 西山登紀子

    西山登紀子君 今年度厚生省予算の目玉というのは、新ゴールドプラン、それから障害者プラン、エンゼルプラン、この三つプランが目玉というふうに言われているわけですけれども、私はここで大事なことは、これらの計画が国民の実態と要求に対して実際どのようにこたえているのか、どのように実行されているのかということが非常に大事なことではないかと思います。  エンゼルプランに関して言いますと、そのエンゼルプランの一環として緊急保育対策五カ年事業というものが策定をされているわけですけれども、その中には放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の整備目標が示されているわけです。七年度五千二百二十カ所、八年度が六千カ所、十一年度九千カ所を目標としています。これはプランとして数値目標がきちっと出されたということは初めてのことではないかと思います。私もたびたび当委員会で学童保育の制度化についても質問をしてきたわけですけれども、数値目標が出た、ようやく出された、こういうふうな思いがいたします。  そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、エンゼルプランに明記をして計画的に整備をしていこうということですから、やはり法的にきちっと位置づけてはどうかと思うわけです。  学童保育は都市児童健全育成事業としてスタートしてかれこれ二十年になります。私も三人の子供を学童保育所で育ててまいりましたけれども、もう単なる補助事業ということでは済まない、そういう時代にもなっておりますし、児童福祉施設としてかけがえのない施設だ、こういう点でも私は定着しているというふうに思うわけです。学童保育所というのは、何よりも子供の安全、そして女性が仕事を持って安心して働くことができるということに対する支援、さらに加えて、最近異年齢の集団というのがなかなか子供社会に見られなくなってきたわけですけれども、学童保育所に行けばそれがある、遊びがある、こういう意味でも、子供らしく、自主性を伸ばしていくという、人間形成を伸ばす、つくる、こういう場所としても学童保育所の意義というのは大きくなっているのではないかと思います。  そこで、大臣児童福祉法上きちっと位置づけて制度化する必要がある、その点についてはどのようにお考えですか。
  114. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いわゆる学童保育は、共稼ぎ家庭の増大など子供を取り巻く環境変化に対応し、仕事と子育ての両立を支援する上で、今、西山委員もおっしゃるとおり、大変重要な事業だというふうに認識をいたしております。厚生省としては放課後児童対策事業として現在まで助成措置を講じてきたところであります。  そういった状況ですが、現在は中央児童福祉審議会の基本問題部会におきまして、この放課後児童対策を含め、現行の児童家庭福祉体系全体について御検討をいただいているところでありまして、この検討状況も踏まえて今後のこの施策の進め方について適切に対処していきたい、このように考えております。
  115. 西山登紀子

    西山登紀子君 実は九四年三月のこの当委員会でも児童家庭局長からそのような御答弁をいただいているわけです。もう二年もたっているわけです。急いでいただきたいというふうに思うわけですね。  さらに、これは都市部だけではなくて農村部でも非常に要求となっているわけで、季節的なものだけでもいいから欲しいというふうな御要望もあるわけです。  数値目標の積極的な実現を目指してこの補助対象の対象を拡大していく、そのためにも、現在基準をおおむね二十人というふうな規制があるわけですけれども、この点を弾力的に運用していただきたい、その点どうでしょうか。
  116. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 御指摘のとおり、放課後児童対策事業では対象人員がおおむね二十人以上である事業に対して国庫補助を行うという形になっておるわけであります。現行制度の中においてこの放課後児童クラブに対する助成あり方でありますけれども、やはりある程度規模がまとまった形での事業に対して補助を行うという格好にせざるを得ない状況になっておるわけでありますが、今、大臣からも御答弁ありましたように、現在この放課後児童クラブの扱いについて中央児童福祉審議会の基本問題部会におきまして幅広く御議論をいただいておりますので、こういった検討状況も踏まえまして今後適切に対処をするという格好で考えていきたいと思います。
  117. 西山登紀子

    西山登紀子君 都市部だけではないわけでございまして、農村部の子供のこともぜひお考えをいただきたいというふうに思います。  それでは次に、数値目標は出たんだけれども、それでは予算はそれに見合って十分確保されているのかということが問題だと思います。実は、この学童保育に対します補助は七年度一二%カットされたわけです。一カ所当たりわずか三十六万円の国の補助なんですけれども、一二%カットをした。これは大変意地の悪い言い方をすれば、エンゼルプランでこのようにやるよと整備目標を打ち出した、ところが七年度の一カ所当たりの補助はカットしてしまう、これは看板に偽りあり、このように私は申し上げても過言ではないと思うわけですね。  そして、エンゼルプランの基本的な視点というのを見てみますと、このエンゼルプラン子育て支援の基本的な視点として、子育て支援のための施策については子供の利益が最大限尊重されるよう配慮すること、こういうことまできちっと打ち出されているわけです。そういう基本的視点に対しても私は看板に偽りがあるというふうに言いたいわけです。エンゼルプランで箇所数はふやした。しかし、一カ所当たりの補助金はカットする。現場で声を聞きますと、規模の小さい学童保育所ほどこの削減分というものはもろに痛手になるんだ、こういう声が寄せられているわけです。  私は、今年度は絶対にこういうことをしてはいけない、やらないということを約束をしていただきたい。そして、カットした昨年分を何らかの形で、現場は苦労してやり繰りをしているわけですから、手当てをするべきだと思います。予備費は三十三億円もあるわけですから、どうして予備費を使うというようなことをお考えにならなかったんでしょうか。現場では本当に、やり繰りというのは例えば物を売ったりバザーをやったり、私も共同学童保育所をやってまいりましたからよくわかりますけれども、そういう苦労をしながら、子供のおやつを削ったり、そんなふうになっていくわけです。子供たちにしわ寄せがいくわけですよね。私はこういうことは絶対に許すことができません。  今年度は絶対にやらない、去年カットした分は何らかの形で手当てをする、こういうことを約束していただきたいと思います。
  118. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 平成年度における学童保育に対する補助でありますけれども委員指摘のとおり、九〇%弱の補助という格好にならざるを得ないという格好でございます。これは大変残念なことではあったわけですが、予算で確保しました、いわゆる見込みました箇所数に対しまして実際に申請のありました協議箇所数がかなり上回った、そういった中で現実の予算の執行に当たりましてやむを得ざる措置ということでございまして、予算の財源が限られておりますので、そういった中でこのような形で消化をさざるを得なかったという状況でございますので、この点については御理解を賜りたいと思います。  なお、平成年度、これはまだこれから現実の協議が参ってまいりますので、そういった状況を見ながら適切に対応していきたい、このように考えております。
  119. 西山登紀子

    西山登紀子君 今、計画以上に申請があったと言うけれども、経過をお聞きいたしますと、複数配置をする基準を変えたというわけですよね、四十人を三十五人にする。このことはいいことです。そのために、予定をしていたのが七百七カ所、ところが申請があったのが千三百カ所出てきた、だから補助金をカットした。こういうことは私は単なる見込み違いと言うには余りにも大きな見込み違いでありまして、当初からきちっと予算化をしておくべき問題ではなかったかと思います。この点、補助事業だからというような甘さがあるのであれば、やはり国がきちっと義務的に出資をする制度化が必要だということを重ねて申し上げて次に移りたいと思います。  この補助金のカットということにつきましてはもう一つ大きな問題が実は平成年度に起こっているわけです。  院内保育所の補助を大幅にカットしたという問題です。これはカット率は三七・五%です。約四割カットいたしました。保母さんたちの人件費なんですけれども、この人件費を三七・五%カットしてしまった。十二カ月分支給するところを七・五カ月分しか補助を出さなかった。しかも、出さないという通知は一月に入って出したわけです。ですから現場は大混乱をしたわけでございます。  当委員会には施設施設長などをやっておられる議員の皆さんもいらっしゃるからよくおわかりだと思いますけれども、こういうことを国がやったら現場はどうなるでしょうか。大変なことになって、地元でお聞きしますと、ある病院などは百六十一万円補助金が削減をされてしまった。病院の負担は千六百四十四万円、国の削減がなくてもそれだけ出しているわけですけれども、さらに百六十一万円削除されてしまったというわけです。国の補助を出さないというだけではなくて、国がこういうことをやるものですから県も補助をつけない、こんなふうになっているわけです。  いただいた組合の資料を見ますと、国が補助をつけないのだから、つまりカットをするから県もその分カットをする、こういうふうな右へ倣え、悪い方への右へ倣えをしている県が九県も出ているわけです。これはもっとふえているのではないかと思います。もちろん、中には国の分も県で補助をする、こういう山形県のような県もあるわけですけれども、現場はこういうふうになっているわけであります。  担当者の説明をお聞きしますと、予定していた以上に県からの申請が多かったのでカットをした、こういう言い分で、また見込み違いだ、こういうふうにおっしゃるわけですけれども補助金を四〇%近くもカットする、保母さんたちの人件費です。現場というのは工事現場ではありません。生きている子供を保育している現場なんですよ。工事現場と同じように思っているんじゃないですか。  現場を泣かすということで解決をする、予備費があるのに出さない、余りにも乱暴な措置ではありませんか。
  120. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 病院内の民間の院内保育施設運営費の補助につきましては、平成年度から厚生保険特別会計の児童手当勘定で助成を行ってきております。  今、西山先生からお話ございましたように、平成年度予算として予定をいたしておりましたのが千十カ所でございましたけれども、これを大きく上回る千二百七十二カ所の要望が施設側から出てまいりました。厳しい財政事情の中で予算の範囲内で執行せざるを得なかったということから、要望施設すべてを採択するというようなことからやむを得ず減額して交付を行ったところでございますが、ただ各県からのいろいろな御要望について年末までいろんな調整をしたわけでございますけれども、そういったようなことで予算の範囲内で執行せざるを得なかったということに御理解をいただきたいと思います。
  121. 西山登紀子

    西山登紀子君 平成年度は何カ所予定をされていますか。
  122. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 平成年度は現在各県から、平成年度がこのような状況でございましたので、改めて要望を現在県を通じてとっているところでございます。
  123. 西山登紀子

    西山登紀子君 私も担当の方からお伺いいたしまして、最初は見込み違いがあった、見込み違いといってもそれは私は行政上のミスというふうに言わなければならないほどの見込み違い、こんなふうに思っていたんです。しかし、実際によく伺ってみますとそうじゃないんですね。  平成年度は予定していた箇所は九百二十四カ所ですよ。実際に申請があったのは千百十九カ所ですよ。上回ったんです。その分どうしたかというと、延長時間の二割カットという形でやっぱり現場を泣かせたんです。翌年、それでは予定箇所は何カ所にしたのか。厚生省は千十カ所しか予定をしなかったでしょう。それに千二百七十二カ所の申請が出てきた。だから人件費三七%またカットしたわけです。現場を泣かせたんです。  千二百七十二カ所も病院内保育所をどんどんつくりましょうといって、看護婦さんの確保のために病院の方々や地方自治体は努力をしてきた。それは歓迎すべきことではありませんか。それにもかかわらず、私がお伺いしたのでは、今、局長は具体的な数をおっしゃらなかったけれども、言えないはずですよね、聞いている数は千四十ですよ。ことし厚生省が予定をしている箇所づけの数は千四十ですよ。去年出てきたのは千二百七十二カ所ですよ。ことし千四十ということであれば、これはまた補助金をカットするのですか。これも私は看板に偽りありというふうに申し上げたいと思うんです。その看板というのは、エンゼルプランもあれば看護婦確保法というのもあるわけです。看護婦確保法の第三条に基づく基本指針というのがあります。育児が原因で離職しないようにということで国や地方公共団体は院内保育の充実を図っていく必要がある、このようにちゃんと基本指針を打ち出しているわけです。  厚生省の今の態度は、基本指針は基本指針、予算の補助は関係なくカットします、こういう態度だと受け取りますけれども、どうでしょうか。
  124. 谷修一

    政府委員(谷修一君) もちろん、看護職員の確保対策についてこの院内保育事業というものが果たしている役割というのは十分認識をしているつもりでございます。また、この必要な予算の確保ということにつきましても努力はしてきたつもりでございますが、ただ平成年度につきましては先ほど来申し上げたようなことで減額をして予算を執行せざるを得なかったということでございます。  なお、本年度につきましても、今後、本予算が看護職員確保対策に果たしている役割ということを改めて認識いたしまして、具体的に予算の執行ということについて効率的あるいは効果的な補助のあり方というようなことも含めて検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
  125. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いしたいわけですけれども、今のような厚生省の姿勢では病院内保育所というのは本当に運営が困難になります。そして、新設の意欲もそがれていく。絶対にやってはいけないことだと思います。むしろ、もっと積極策を出してたくさんの箇所づけをしておいて、そしてどんどんつくってください、看護婦さんも安心して子供を預けて働いてくださいと、そういうふうにするべきではないんでしょうか。  今は児童手当勘定ということで財源をやっているわけですけれども、予備費の活用だとか、それから必要財源の確保のために企業側にも理解をしてもらって少し負担率をふやすだとか、いろいろ方法はあると思います。根本的には一般会計できちっとその分を見るべきだと思うわけですけれども大臣の言葉で院内保育所に負担を押しつけるようなこういう過酷なやり方は今後絶対にやらない、そしてもっと箇所数をふやしていく、昨年カットした分は何らかの形で手当てをしていく、こういうことのお約束をいただきたいと思います。
  126. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私も、今のお話を聞いておりまして、看護婦さんの人材確保の問題、あるいはさらにはエンゼルプランという意味での、何といいますか、仕事をしながら子供を育てていく支援ということが大変重要な施策一つだということはそのとおりだと思っております。  そういう点の中で、看護職員の確保については看護婦等人材確保法及び基本指針に基づいていろいろ総合的な対策を講じてきたところでありまして、そういった施策も、部分的には不十分かもしれませんが、若干の効果を上げたことによりますか、平成十二年度においてこれは百十五万九千人という形で現在のところおおむね人材確保が図られているというふうに承知をいたしております。  院内保育所の運営費に対する助成については、予算を大幅に上回る補助要請があったことや、厳しい財政状況の中で平成年度においてはやむを得ず一律減額をして予算を執行せざるを得なかったものであるという、政府委員からも申し上げましたが、この点については決して望ましいことであるとは思いませんが、事情として御理解をいただきたいと思います。  今後、このような補助金あり方について、安定的な執行が確保できるよう、幅広い観点から検討をしてまいりたい、そのように考えております。
  127. 今井澄

    委員長今井澄君) 以上をもちまして、平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————