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1996-04-11 第136回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十一日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     和田 洋子君      常田 享詳君     田浦  直君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 木暮 山人君                 田浦  直君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省生活衛生        局長       小林 秀資君        厚生省社会・援        護局長      佐々木典夫君        厚生省年金局長  近藤純五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君    説明員        農林水産省畜産        局衛生課長    青沼 明徳君        農林水産省食品        流通局消費生活        課長       井上 隆昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理  化のための厚生省関係法律の一部を改正する法  律案内閣提出)     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、勝木健司君及び常田享詳君委員を辞任され、その補欠として和田洋子君及び田浦直君が選任されました。     —————————————
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしてしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 和田洋子

    和田洋子君 平成会和田洋子でございます。よろしくお願いします。  第八次廃棄物処理施設整備計画についてお尋ねをいたします。  この計画は、法律に基づいて昭和三十八年度から五カ年の計画でスタートして、平成七年度まで第七次にわたる施設整備計画策定をされ、廃棄物処理施設計画的な整備が進められてきたところでありますが、今、大量調達とか大量生産とか大量消費大量廃棄産業文化から脱却しなければいけない時代に来ていると思います。  平成八年度を初年度とした第八次計画の概要と特徴をお尋ねいたします。
  5. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ごみ処理におきましては、これまでごみの衛生的な処理確保する観点から焼却処理を進めてきたところでありますけれども、ごみの量の増大や質の多様化処理困難化など、さまざまな問題が生じているところであります。  こうした問題に対処するために、これまでの単に燃やして埋めるという処理から、今御指摘のありましたように、ごみ排出量そのもの抑制、そして再利用、いわゆるリサイクル推進など、循環型の廃棄物処理への転換を図っていく必要があると考えております。  このために、今回の第八次計画においては、特にリサイクル型社会への転換推進計画というふうに位置づけまして、まず第一にごみ排出抑制、そして排出時の分別促進、また第二にリサイクル推進焼却時の熱利用促進、第三に廃棄物処理施設計画的な整備、第四に生活排水処理し自然の河川に返す合併処理浄化槽整備促進、第五に産業廃棄物適正処理推進、こういった五点を重点として廃棄物処理施設計画的に整備することとしております。事業量も現行の第七次計画の一・七八倍の五兆五百億円を確保したところであります。  今後とも、本計画を通じて廃棄物処理施設整備を図っていくとともに、さらにリサイクル推進するために、これは一人一人のライフスタイルそのもの転換にもかかわる問題でありますので、そうしたことも推し進めてリサイクルが定着をした社会の実現に向けて努力してまいりたい、このように考えております。
  6. 和田洋子

    和田洋子君 ありがとうございます。  まず、ごみ排出抑制についてお尋ねをいたします。  ごみ排出量昭和六十年代に入って急増してきており、中でも紙とかプラスチック類ごみ重量の約二分の一を占めていると言われております。  ごみ排出抑制についての基本的な考え方、何を指導されていくのか、またどういう啓蒙をされるのか、お尋ねをいたします。
  7. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) ごみ処理につきましては、今後、ごみそのもの排出抑制に努めるとともに、リサイクル推進等により循環型の廃棄物処理転換することが必要である、こういう考え方に立っておりまして、第八次の廃棄物処理施設整備計画においてはこれらの事業重点一つとして考えているところでございます。  ごみ排出抑制につきましては、まず計画期間中に国民一人当たりの排出量の増加を毎年〇・五%の伸び抑制したい、このように考えておりまして、これは現七次計画のときの一・五%から〇・五%に落とす、それだけ減らしていただこう、こう考えておるわけでありますし、それからリサイクル率を現在の一〇%から一五%まで引き上げると、こういう考え方に立っております。  これらの目標を達成するためには、何よりも住民の理解と協力、それからもう一つは国並びに地方自治体と一体となった取り組みということが大変重要であると考えております。  具体的には、市町村ごみ減量再生利用推進するために行う住民への普及啓発活動事業に対して補助行い支援をすること、それから平成九年四月から施行されることになっております容器包装リサイクル法によりまして容器包装廃棄物をふやせば事業者経済的負担が増加するという仕組みが今度できるわけでございますが、そういうことを導入することによって過剰包装抑制リターナブル容器自主回収促進していくということ、それから市町村容器包装リサイクル法に基づく分別収集取り組みやすいように参考資料の配布やモデル分別収集計画策定等情報提供を行うこと、それから実施市町村リサイクルプラザ等整備を行う際に補助を行うことなどを通じましてごみ排出抑制分別促進に取り組んでまいりたいと、こう考えているところでございます。
  8. 和田洋子

    和田洋子君 ちょっと外国の例などをとってみますと、分別ごみ処理というのは大変すばらしく徹底されておるというか、町の中に何か大きなものがあり、これは何ですかなんて聞くと、瓶など全部分けてあるごみの捨て場ですと。日本ではごみ捨て場というのは小さいように思いますけれども、大きなごみ捨て場が堂々とあったりして大変進んでいるなと私なんかは感じてきたところです。  ごみ排出時に分別促進をされるということですが、どういうふうにやられるつもりですか。
  9. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 分別ごみですけれども、もう現に市町村段階で紙だけの日だとかガラス瓶の日だとか、それからプラスチックの日だとか分けてありまして、各市町村によってやり方は少しずつ違うのでありますけれども、容器包装リサイクル法のときは法律で今度は国民の各世帯でもって分別をしていただいて、そしてそれを市町村分別種類ごと収集をして、そして業者のところにその事業者責任のもとに持っていっていただくという仕組みになっておりまして、全国的にはだんだん各家庭でガラスプラスチック、それから紙とか、こういうふうに厚生省が決めている基準に沿って分けられていくようになるのではないかと、このように思っております。
  10. 和田洋子

    和田洋子君 徹底されれば日本もすばらしくよくなるというふうに思っております。  次は、リサイクルの一層の促進についてお伺いをいたします。  ごみ処理について、前回の第七次の計画からリサイクル考え方が取り入れられたと聞いておりますが、いわゆるリサイクル法及び容器包装リサイクル法も成立した現在では資源有効活用の立場からさらにリサイクル率を向上させることが求められると思います。第七次の段階で一〇%、第八次は十二年までで一五%。一年に一%という伸びなんですよね。リサイクルがこんなに普及されなければいけないという時代に、一年に一%の伸びというのは随分低いんじゃないかなというふうな思いがいたします。  例えば、素人の考えかもしれませんけれども、何か商品をつくる設計段階から、商品ができる中での廃棄というか、そういうものとか、商品がもう要らなくなったときは次のリサイクルにするとか、もう商品をつくる段階から設計をされればもっとリサイクル率伸びるのではないかというふうな思いがいたしますが、どういうふうにされるおつもりでしょうか。何でこんなに低いんでしょうか、お尋ねをいたします。
  11. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、今回リサイクル率伸びが低いのではないかという御指摘でございますけれども、まずリサイクル率に非常に大きな影響を与えます容器包装リサイクル法関連から申し上げますと、平成九年四月一日から始まりますものは品目としては金属とかガラスというのが中心でして、PETボトル部類平成九年四月からでありますけれども、その他のプラスチックは実際に始まりますのが平成十二年ということでございます。  今回の計画でいきますと、平成八年から平成十二年ということなものですから、要は容器包装リサイクル法のうちで、いわゆる金属とかガラスとか、どちらかというと従来もうやられていたものが多くて、それで一〇%という数字を言っているわけですから、プラスチック類が一番大きいと思うんですが、それはまだ平成十二年がスタートということなものですからこの第八次では大きな数字にはなかなかならない。その後、場合によってはその次に続くところで数字が相当大きくなるのではないか、こう思っておりまして、今回ではまだ容器包装リサイクル法の場合は助走時代、こういう感じを持っているわけでございます。  ただ、先生が御指摘されましたように、リサイクル率を高める方法の一つとして、材料選定だとか部品の規格化、それからリサイクルを考慮した設計などを行うということは大変重要なことでございまして、御指摘の点を踏まえつつ、リサイクルについての普及啓蒙リサイクル関連施設重点整備等リサイクルの一層の推進が図れるように努力をして、この一五以上に行くということは大変うれしいことでございますので、そういうふうに努めていきたいと、このように思う次第であります。
  12. 和田洋子

    和田洋子君 ぜひにそのような方向でお願いをしたいと思います。  今、デポジットという言葉が盛んに言われるようになっております。諸外国ではその取り組みもされていると聞いておりますが、日本ではデポジット考え方とか、そういう進められ方はしているんでしょうか。  私の地元なんかでは、例えば山の中に行くと谷の底に冷蔵庫が捨ててあったりテレビが捨ててあったり、農道を走っていくと野積み自動車がすごくあったりして大変景観を損ねている、そして危険でもあるというふうに思います。  そういう意味では、車とか家電製品のような大きなごみに対するデポジット制というものがどのくらいまで話をされているか、日本ではそういう取り組みがあるのかどうか、お聞かせください。
  13. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、今、先生指摘自動車だとか家電製品デポジット制については、残念ながら私ちょっと承知をしていない状況にございますが、外国でやられていることは承知をしております。  それで、まず自動車とか家電製品というのは母など結構有用なものが使われておりまして、何とかリサイクルを進めていくべき商品であると、このように思っておるところでございます。  自動車は、現在約九五%が実際には下取りを当れておりまして、路上に放棄というのもあって、これはまた自動車グループが集まって協会をつくってその処理経費を出して助けてはいますけれども、九五%が回収をされております。  それから、家電製品については厚生省平成六年に廃大型冷蔵庫及び廃大型テレビというものをいわゆる指定一般廃棄物というものに指定をいかしました。それを受けまして、業界が中心になりまして廃家電製品を適正に処理するシステムというのができ上がったところでございます。ですから、どっちかというとデポジット制よりは、そういう協会も各企業も協力をして、そしてこれを処理システムとしていくというふうに日本では今動いているということでございます。  なお、それ以外の商品についてデポジット制というのは、例えばビール瓶だとかそういうものでは行われているわけでありますけれども、デポジット制を全部の商品にやるかどうかというのはちょっといろいろ問題があるわけであります。  といいますのは、デポジット制というのは有効な手段の一つではあると思っておりますけれども、自動車とか家電製品のように製品の寿命が長い、したがって買ったものでも引っ越しをしていってしまうと、今度は出すところは違う土地電気屋さんになってしまったり、自動車販売店になったりということも多いわけですし、それかりもう一つは金額の設定が非常に難しいというような難点がございまして、ビール瓶のように割に単一単価でやれるものとは少し違うということから、デポジット制がとれるというのは、それ自体はいいことでございますけれども、制度としてしみ込むことについては十分な検討が必要ではないかと、こんなふうに思っているところでございます。
  14. 和田洋子

    和田洋子君 車を買った時点と十年後価値観というものが違ってきたり、そういう家電とか車なんというのはスパンが長いものですから大変決めるのには難しいことがあるというふうには思いますけれども、野積みの車のことなんかを考えたり、山の中に捨てられた冷蔵庫のことなんかを思いますと、何かしていただかなければならないなという思いはいたしますので、何とぞよろしくお願いします。  次に、合併処理浄化槽、し尿の関係でちょっとお尋ねをいたします。  日本の国の下水道普及率というのはもう本当に低いわけですけれども、私の町村なんかでは水洗を使われているお宅なんというのは本当に数えるほどしかない。それは、例えば町を流れる川というのは田んぼに入る用水ですからそういうものを流せないというような事情があったりして、普及が大変おくれているというふうに思います。でも、今こんなに整備がされている中で、都会から帰ってくる孫におばあちゃんちのトイレは怖くて嫌だというような言われ方をして、おばあちゃんたちは大変困っておられることも事実です。ぜひに下水道というものを普及させていただきたいなというふうに思います。  そして、新築をされる方たちが一番困るのは、そういうのをちょっと待ってというふうに役場なんかから言われるんですね。この地域はこういう下水道にするからとか、この用水には流してはいけないからというふうにお断りがあるわけなんですけれども、建設省農水省厚生省下水道が進んでいるのがわかるのにこんなに地方町村普及しないということを考えますと、ぜひに三省で大きくいつも話し合って、この町村には建設省合併処理浄化槽が来る、この町村は農家が多いから農水省合併処理浄化槽が来るとか厚生省でやりましょうとかいう大きなグラウンドデザインみたいなのを描いておいて、それで今新築をされる方たちに例えば三年間待ってください、必ずこの地方には農水省のが来ますよ、厚生省のが来ますよみたいな大きな予定が組まれていればいいんですけれども、今新築をされる方なんかは大変困って、どうしようか、自分一人で厚生省合併処理浄化槽をお願いしようかなというふうに考えるわけですから、ぜひに三省がきちんと連係プレーでもって地方住民が惑うことのないような何か施策というものはとられないのでしょうか。
  15. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 政府構造改革のための経済計画というものがありまして、その中において生活排水処理する人口の割合を現在の五割から二〇〇〇年までには七割を超える程度にしたい、二十一世紀初頭には九割を超える程度まで向上させることをまず目標といたしております。それまで厚生省建設省農水省もみんな頑張る、こういうことでございます。  それで、従来から各事業の特性に応じた効率的かつ適正な施設整備のために厚生省農水省とか、厚生省建設省とか、こういう個別に必要な調整を行ってきたところなのでございますけれども、なかなか三省いつも合同で定期的にというふうではなかったんですが、平成六年十二月に初めて関係三省連絡会議を設置したところでございます。そして、平成七年十二月に、この連絡会議における協議を踏まえまして、都道府県汚水処理施設整備に関する構想策定する際の基本方針三省連名で各都道府県知事に通知したところであります。  今後、この都道府県構想に基づき、地域の実情に応じた施設の効率的な整備が進められ、目標の達成が図られるようにさらに連携に努めて推進をしてまいりたい、このように思っております。
  16. 和田洋子

    和田洋子君 ぜひに三省連係プレーのもとで、地方住民が惑わないようによろしくお願いします。次は、廃棄物処理施設計画についてお尋ねをいたします。  まず、言葉じりをとるようで申しわけありませんけれども、廃棄物処理と言うよりは廃棄物を出さない根本的な工夫をする廃棄物減量計画と言う方が私にはぴったりくるかなという思いがいたします。  処理センターについてお伺いをいたします。  廃棄物処理センターというのは、一般廃棄物にしろ産業廃棄物にしろ最終処分場にしろ、本当に全国でもう埋め立てる場所がないとか処理施設がないとか、ごみがこんなにふえていく中で苦慮をしているところですけれども、廃棄物処理センターの設置がこんなに望まれている割には指定を受けた都道府県が……。  平成五年一月から七年十一月までに八つの自治体が指定を受けたというふうに聞いています。その八つの中で供用開始がされているのは岩手クリーンセンター一つだけなんですが、せっかくの指定を受けながら何でできないのでしょうか。その進捗率はどういうふうになっているんでしょうか、お尋ねをします。
  17. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 先生指摘のとおりでございまして、現在、廃棄物処理センター岩手、大分、長野、愛媛、香川、新潟、高知及び兵庫の八県で指定をされておりまして、そのうち岩手県の廃棄物処理センターが財団法人クリーンいわて事業団において平成七年九月から廃棄物処理を開始しているというのが現状でございます。  それで、なぜこう遅いんだ、こういうことなんでしょうけれども、この建設のためには整備計画策定用地選定地元交渉、さらには施設実施設計等が必要となりますが、残りの七つセンターについてもそれぞれ施設整備に向けてこれらの手続を進めているところではございます。現在、地元交渉を行っている廃棄物処理センター七つのうち五つあると。ですから、この地元交渉というところでどうもとまっている、こういうことになるわけでありますけれども、この中には既に地元交渉をおおむね完了し、施設実施設計に着手している廃棄物処理センターもあり、早期の施設整備期待をされているわけでございます。そのほかの廃棄物処理センターについても施設整備が逐次進むものと期待をいたしております。  厚生省といたしましては、今後とも産業廃棄物適正処理のために処理施設整備必要性廃棄物処理センターの役割の重要性等について啓発普及を行うとともに、適正な処理確保信頼性の高い施設整備のため廃棄物処理センターに対する財政支援等を行うことにより、廃棄物処理センターによる施設整備促進に努めてまいりたいと思います。  特に、岩手県がスタートしたということで各県からも皆見学に行かれるということで、やっぱり一つできるというのはなかなか大変難しいんですけれども、一つできることによってある意味ではPR効果というんですか、人に説得する非常にいい材料になるということから、私どもも大いに期待をしているし、また一生懸命各地方自治体に督励をしてまいりたい、このように思っております。
  18. 和田洋子

    和田洋子君 今、財政支援をしながらというふうなお言葉ですけれども、財政支援はどのようにされておられるのですか。
  19. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 産業廃棄物処理につきましてはいわゆる排出者責任原則がとられていますことから、産業廃棄物処理施設整備については公的な財政支援は行われないのが原則でございます。しかしながら、都道府県が第三セクター方式で設置する廃棄物処理センター公的部門の関与によって産業廃棄物処理を行っていくものであり、次のような財政支援を行っておるところでございます。  一つが、公共活動によって生じる産業廃棄物処理する施設に対する国庫補助公共活動ですね、公共投資や何かでコンクリートを壊したりなんかする、そういうものから出てくるというやつですね。それから二番目に、最終処分安全性及び信頼性確保のために必要な環境影響評価、それから地下水観測設備水質検査設備整備に対する国庫補助。これはいわば廃棄物処理センター安全性ということを皆さんにわかっていただく、それからそれと同時に安全性を保っていくために必要なもの。それから三つ目が、廃棄物処理センター産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律に基づきまして、二つ以上の産業廃棄物処理施設及び研修施設等整備する場合に対するNTT−Cタイプの融資というのを行っております。それから四つ目に、廃棄物処理センター事業の用に供する土地にかかわる特別土地保有税の非課税の措置。  こういう四つのことをやっておるということでございます。
  20. 和田洋子

    和田洋子君 少ない財政支援の中でクリーンいわて事業団供用開始されたのでありますけれども、ちょっとお聞きするところによれば、その維持管理が大変だったり、使用料がなかなか高くてそんなに利用をしてもらえないというのも事実だと聞いております。  そういうことから考えますと、ごみ有料化にするのは自分が出したごみ自分で始末するというのが大原則であるからもちろんなんですけれども、有料化したために今度は不法投棄につながるという、これは極端な言い方かもしれませんけれども、そういうことも考えられるのではないかなという思いがします。  そういう不法投棄についてはもう全国どこにでも珍しい話でないほどたくさんあります。  我が福島県の磐城地方なんかも、炭鉱の廃坑にドラム缶廃油が四万四千八百八十本、これは推定で本当はどのくらいあるかわからないそうなんですけれども、そのくらいの廃油が捨てられております。そんなドラム缶がもう朽ち果ててだんだん油が地面ににじんできています。それを排出業者であるある業者さんがくみ上げた量は二百三十二キロリットルでもうほんのわずかで、後、つぶれちゃったんです、その会社は。それで、今、県が代執行しているんですけれども、県は余りお金がないので全部一度にできないので、まだ半分以上もやられないである。地元住民自分たちの飲料水がその廃油で汚染されては大変だということでみんな物すごく怒っております。  今、大気汚染の防止法、また水質汚濁の防止法が出ておりますけれども、土壌の防止法というのはまだまだできないんですね、一緒にはできなかったんですね。そういうことから考えますと、これは県が代執行しないならば国がまず、いろんなことは後にしても、住民のところまでいかないような手だてはしてもらえないのかどうか。これは各都道府県の知事からの要望も出ているので御存じだと思いますけれども、全国でこの不法投棄には泣いているところがたくさんあります。  今、処理場の問題でもおっしゃいましたけれども、地元住民の同意を得られない。それは、不法投棄のようなことをして、ごみ捨て場というのは汚いもの、迷惑なものという考えがある。それだからこそ地元住民の同意が得られない。そして、地方自治体は支援のお金が少ないのでなかなか取り組めない。もう本当に悪循環になっています。だから不法投棄が出る。また、処分場が少ない。そしてまた、つくることができない。悪循環だと思います。  もう本当にここいら辺で厚生省が音頭をとって、環境庁でも何でもみんなのリーダーとなってどこかで切っていかないと。すばらしいものを国が指導して建てて、処分場は決して汚いものではない、こんなにきれいにして汚水も出さない、大気汚染もしない、水も汚さない、こんなものであるから大丈夫なんですよみたいな、先ほどおっしゃいましたようなモデルになるような処分場を日本全国に幾つかつくってこの悪い循環をぜひにいい循環にして、それなら何か自分の方でも、私たちごみをきれいにする意味でもうちの方の山に建てましょうみたいな、住民の同意が得られるような、循環がよくなるような考えを厚生省が音頭をとってもうそろそろしなくてはいけない時代に来ているというふうに思いますが、そういう大きな意味で悪循環をいい循環に直すような厚生省のお考えをぜひにお聞かせいただきたい。
  21. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、不法投棄処理施設の建設といわば悪循環に陥っているという御指摘をいただきまして、確かにそういう面があるということを私どもも認識いたしております。  産業廃棄物につきましては、平成三年に廃棄物処理法の改正を行って、たしかマニフェストという表現でしたか、そういう形で規制の強化を図ったわけでありますけれども、その際にも不法投棄に起因する環境汚染の問題が指摘をされておりまして、不法投棄防止と原状の回復をどのように講じていくかが課題として取り上げられたわけです。  さらに、近年の動向を見ておりますと、産業廃棄物をめぐる紛争事例は増加を見ておりまして、他方では最終処分場の新規立地は逆に減少していると。このような事態が続けば、我が国における産業廃棄物処理に重大な支障を来すことが懸念をされる状況になっているというふうに認識をいたしております。  産業廃棄物をめぐっては、その不適正処理住民の不信感を増大させ、最終処分場への立地反対が強まり、それがさらに最終処分場の逼迫をもたらし不法投棄を惹起する誘因となる、まさに先ほどの御指摘の一種の悪循環が見られております。  このような悪循環を断ち切り、産業廃棄物の適正な処理確保していくために、現行の廃棄物処理のあり方について総合的に見直していく必要があると考えております。  このような産業廃棄物の総合的な対策について検討するために、厚生省ではことしの二月に生活環境審議会に産業廃棄物専門委員会を設置いたしまして、その検討に着手をいたしたところであります。  こういった意味で、今回の法律では第八次という形で大くくりで提案をさせていただいておりますが、この産業廃棄物のより深刻な状態を何とか打開するために、今御指摘のあったように、きちんとした形で国民の皆さんに理解をしていただいた上で処理ができるような仕組みをつくるにはどうしたらいいかということでこうした専門委員会を設置して本格的な検討に着手をしたところであると、このような状況にあります。
  22. 和田洋子

    和田洋子君 ありがとうございます。  時間がもう少しあるので福島県の廃油のことについてちょっと言いたいんですけれども、原因者が回収したのは二百三十二キロリットルで、業者が倒産してしまって、今、県が代執行しております。それで、内容物を見てみますと、テトラクロロエチレンとトリクロロエチレン、本当に人の健康に害になるような廃油だったんです。  地下水における汚染状態の解明、廃油の早期回収住民は強く要望している中で、原状の回復のために国が産廃の処理基金の創設をするというふうな検討がされると聞いておりますが、それを最後にお尋ねいたしまして質問を終わります。よろしくお願いします。
  23. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 産業廃棄物不法投棄対策につきましては、未然防止や原状回復を図ることが必要であることから、平成三年の廃棄物処理法の一部改正において、不法投棄に対する罰則の強化や原状回復のための措置命令をかけやすくする等の措置を講じてきたのであります。しかしながら、不法投棄の中には実行者が不明であったり、それから途中で倒産をしてしまったりということで原状回復を行うことが困難な場合があるのはそのとおりでございます。  したがって、今後は未然防止対策の一層の強化や不法投棄の実行者による原状回復を確保するための措置を強化するとともに、不法投棄の実行者が不明、無資力である場合の原状回復のための方策を検討するということで、先ほど大臣から話していただきましたように、もう一生懸命この悪循凍につながるところを切ろうと、こういうことでございます。  今、先生から原状回復基金の創設というお話がありましたけれども、我々はそちらよりはまずこの悪循環を断ち切ることに手を染めていくべきだということで、そこに努力をさせていただきたい、こう思う次第であります。
  24. 和田洋子

    和田洋子君 ありがとうございます。終わります。
  25. 西山登紀子

    西山登紀子君 今回の第八次計画を見ますと、リサイクル型社会への転換推進計画、ネーミングもリサイクル・ゴーゴー計画というふうにつくられているわけですけれども、私はぜひこういうリサイクル・ゴーゴー計画が進むように、そしてまた定着されるように希望するものです。  それを具体的に見てみますと、今回の第八次計画の中では、お金の面を見ますとごみ焼却場とか最終処分場伸び率よりも確かにリサイクル関連施設の予算の伸び率が大きいわけですけれども、私はもっと注文をつけるならばめり張りをつけてもいいのではないかというふうに思うわけです。  そして、これからこの第八次計画で進められていきますリサイクル型社会への転換、これが進む中でのごみ焼却場のあり方の問題について大臣にお伺いしたいわけです。  新しいリサイクル型社会への転換が進められていく中でのごみ焼却場のあり方というのは、当然のことながら発生の抑制、それからリサイクル促進、環境問題とか景観、そして地元の合意など十分配慮して進めるということが前提となるというふうに思うわけですけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。
  26. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ごみ処理の基本は、ごみそのもの排出抑制し、排出されたごみをできるだけ減量化するとともに、リサイクルできるものはリサイクルをし、なお残ったごみは生活環境の保全上支障がないよう焼却し、または埋め立てることであり、適正なごみ処理施設整備推進することは必要であるというふうに考えております。  また、ごみ処理施設整備に当たっては、環境保全対策を十分検討するとともに、ごみ処理住民に密着した事業であり、住民の信頼と安心感を得て行う必要があることから、施設整備に当たっては住民の理解と協力を得ることが必要である、そのように考えております。
  27. 西山登紀子

    西山登紀子君 ところが、京都市、私も住んでいるわけですけれども、そこで非常に大きなごみ焼却場をめぐる問題が起こっているわけです。  昨年の十二月五日、厚生省の環境整備課にも地元の皆さん、この地元の皆さんというのは京都市の市原野の自治連合会の皆さんなんですけれども、陳情なさいましたので厚生省も御存じかと思います。今、計画をしようとしているこのごみ焼却場というのは平成十二年度の竣工予定なんですけれども、東北部清掃工場、これは仮称でございますが名前がついておりますけれども、計画が進められているわけです。  私、地元の皆さんとも懇談もし、京都市の計画も見てみたわけですけれども、幾つかの問題点があるというふうに思いました。この京都市の新しく七百トンという非常に大きなごみ焼却場を計画しているわけですけれども、従来京都市は全量、全部燃やしてしまう、それが最も進んだごみ対策だということで、むしろリサイクルは大変おくれております。今、たかだか缶のリサイクルが月二回行われているような程度でございます。そういうふうな基本方針を踏襲した形でこの東北部清掃工場の建設がいきなり住民の頭越しに持ってこられたということであります。全量焼却体制を維持するために新たな大きな清掃工場が必要だというわけです。  この基本計画を見てみますと、京都市の場合は年率一・二%のごみがふえる、この伸び率をベースとして計画を立てているわけです。これは厚生省の基準に基づいて計画を立てたというふうなことも書かれているわけですが、ごみの量はどんどんふえる、こういうことでごみ焼却場が必要だというわけであります。しかし、この第八次計画では厚生省自身がごみの増加量というのは〇・五%に抑えていく、こういう新たな数字目標を持っていらっしゃいます。そのことは考慮がされておりません。  そしてさらに、私も現場に行ってみたわけですけれども、この地域というのは風光明媚な第一種風致地区の指定を受けているところであります。しかも、山に囲まれた盆地の中に市原野という地域があるわけでございます。そこに巨大な清掃工場、地上四十メートル、煙突は百メートルに及ぶ巨大な煙突を建てるというわけであります。  住民の皆さんが景観それから環境の破壊、大気の汚染、悪臭、こういう問題に非常な危機感を持たれまして、五年越しに京都市といろいろな形での住民運動を展開されているわけです。最近行われました住民アンケートは九割を超える回収率でありまして、現在の計画には七〇%を超える住民の皆さんが反対だ、見直しをしてほしい、こういう意向でございます。さらに、先日懇談をしてお話を聞いた方の中では、京都市はリサイクルにとても熱心とは思えない、そして従来どおりの焼却一本やりの方針を持ってきて頭越しにこういう焼却場を建てるという、こういうふうなことを進めるようなごみ行政に国の税金を使ってほしくない、そこまで厳しい御意見も出たわけでございます。  ですから、厚生省にお伺いしたいんですけれども、非常に重要な問題点が指摘されているこの巨大なごみ焼却場の問題なんですけれども、地元の意見を無視して強行するようなことがあってはならない、当然のことながら尊重する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  28. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず最初に、先生もよく御存じなことだと思いますが、ごみ処理原則のことをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  ごみ処理市町村の固有事務でありまして、市町村の責任のもとで行われているということでございます。そういう意味では、リサイクル推進ごみ処理施設整備については個々の市町村の判断によってまず行われるということを御理解いただきたいと思います。  ただ、先生もおっしゃいましたように、厚生省の第八次の計画ではリサイクルするものはする、できるだけ燃やさないようにしていこう、そして伸びも先ほど答弁いたしましたように〇・五%の伸びに抑えたい、こういうことを言っておるわけでございまして、当然そのことは今後我々としても、まだ市町村に情報が届いていないかもしれませんので、我々としては全国市町村に対して国の考え方をよく理解をしてもらって、そして国の計画の本当のよさを御理解いただきたい、このように思っておるところでございます。
  29. 西山登紀子

    西山登紀子君 ぜひよろしくお願いをいたします。  最後に一問、大臣にお伺いいたしますけれども、いわゆる小型PETボトルの問題です。  飲料メーカー六百社でつくる全国清涼飲料工業会が四月一日からこの小型PETボトルの自粛を解除するというふうに決めたわけでございますが、これはぽい捨て、散乱、これが増大はしないかという非常に危惧を持つわけでございますけれども、東京都などでは既に引き続き自粛を求める要請も行っているというふうに聞いておりますので、ぜひ指導を御検討いただきたいと思います。大臣の御見解を伺いたいと思います。
  30. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 小型のPETボトルにつきましては、昭和五十七年に清涼飲料の容器として使用が認められて以来、業界団体である全国清涼飲料工業会においてその製造販売の自粛が行われてきたところであります。しかし、近年小型PETボトルによるミネラルウオーターの輸入が急増したこと、また業界団体に加盟していない企業において小型PETによる製造販売が始まったことなどから、業界団体としてはこれ以上の自粛は困難になり、また業界団体としての自粛は独占禁止法に抵触する可能性もあるとしてこのたび業界団体としてこの自粛解除に至ったというふうに聞いております。しかし、これに伴いまして散乱問題が生じることがないよう関係業界に対して缶の場合と同様に十分散乱防止策をとるように働きかけてまいりたいと思っております。  本来なら、リサイクル法も通っているわけですから、できれば自粛を続けてもらいたいという気持ちもあるわけですけれども、こうした業界による自主判断によってやられてきた問題であるために、現在のところこうした散乱防止策をとるように働きかけるというところでとどまっておりますけれども、何とかならないかなという思いはいたしております。
  31. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  32. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 今井澄

    委員長今井澄君) 次に、民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 山本保

    ○山本保君 平成会の山本です。  前回、厚生大臣から趣旨の御説明をいただきました。行政改革の一環として、福祉また医療等の現場に係るさまざまな規制について可能なものからそれをなくしていこう、軽くしていこう、これによって消費者また国民の皆様にかかる負担を軽減したり、また行政事務を合理化するということであるということでございました。  一つ法律ですけれども、大変多岐にわたる内容でありまして、十分私も勉強したとは言えないところもございますけれども、基本的にこの考え方と、そして今回出されたものについては私は問題ではないのではないかとは思っておりますけれども、せっかくの機会でございますので、これにも関連する内容も含めて少し担当の責任者の方のお話を伺いたいと思いまして、質問させていただきます。そんなことで、詳しいところまで踏み込むものとそうでないものといろいろバランスを失するかもしれませんけれども、その辺は御了解いただきたいと思います。  最初に第一条ですか、診療放射線技師の法律関連することについてお伺いいたします。  医療現場において、照射録というんですか、ここにおいて住所記載を不要とするということについては、私も現場の方に何人かお聞きしましたところ、現在、この法律ができたときと比べてさまざまな形で患者さんの、こういう形式的といいますか、それに係るものについてはいろいろな作業また手続も進んでいるということで、わざわざこういう専門的な内容以外のことについて記入するということはそれほど必要ではないのではないかというふうに伺っております。  そこで、このこととちょっと関連いたしまして、といいますのは実は先回、私この席で児童福祉法関連についてお話をさせていただきましたときに、福祉の現場の専門職の方々の専門性を高めるということについてぜひこれまで以上に努力していただきたいということを申し上げましたこともあります。今回は医療関係の専門技術の方の問題でございますので、これについて少し同様の趣旨でお話を伺いたいと思っているわけであります。  医療関係、もちろん医師また歯科医師という非常に専門性の確立した、またその養成課程などもきちんとできたものがあるわけでございますけれども、それ以外に医療の進歩によりましてさまざまの専門の方が医療現場にはおられるわけであります。  資料等を見せていただきましたところ、十五種類百三十万人の方が働いておられるということであり、その中の一つがこの診療放射線技師であるということでありますけれども、まずこのような方の資質の向上ということについてどのようなことを行われているのかということについてお聞きしたいわけであります。  昨年の五月ですか、医療関係職種の教育課程の改善に関する検討会の意見書というものが出たということで私も承知しておるわけでありますけれども、その中にもこのことについてさまざまな提言、提言というんでしょうか、意見が出されているわけでありますけれども、この辺についてどのような今対応をされているのか、お話を伺いたいと思います。時間のこともありますので簡潔で結構でございます。どうぞお願いいたします。
  36. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今、山本先生のお話にございましたように、医療関係職種全般についての資質の向上という観点から、昨年の五月に意見書が取りまとめられております。これは、今、先生お触れになりました診療放射線技師だけのことではなくて、幅広く医療関係職種全体の教育課程の改善、それから生涯にわたる教育といったような幅広い観点から今後のあり方について御検討をいただいたものでございます。  具体的な問題として幾つかございますが、特に教育課程の質的な充実ということに関係いたしましては、やはり現在の医療関係職種の教育課程というのがそれぞれの職種によってほぼ独立をしているといったようなことから、やはり大学等との間の編入あるいは他の養成施設との編入ということが促進をされるような形をとった方が全体としてこういった診療放射線技師を初めとする医療関係職種の質の向上、あるいはある意味では量的な充足ということも図られるのではないかというようなことから、単位制の導入といったようなことが議論をされてきたところでございます。単位制の導入ということに関して申しますと、既に保健婦、助産婦、看護婦の教育につきましては、この報告を受けてことしの三月に学校養成所の指定規則等の改正を検討するというようなことで、現在準備を進めているところでございます。  そういう意味で、幅広い職種の中でもやはり共通する学問領域、それからそれぞれの職種ごとの固有の領域というものがあろうかと思いますので、そういうことを整理しながら全体として質の向上ということに努めてまいりたいと思っております。
  37. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  前回、私、保育とか児童福祉関係について少し詳し目に申し上げましたけれども、こういう職種につこう、また福祉、医療につこう、人のために、また人の苦しみを少しでも軽減しようということで、それを生涯の仕事にしようということで若い方がたくさんおられるわけであります。しかし、残念ながらその生活、給料とか職場の環境、また将来の保障等についてまだまだ、お医者さんがたくさんおられますから失礼な言い方になってはいけませんが、お医者さんたちと比べますとなかなかそこまでいっていないというふうに感ずるわけであります。各団体の現場の方などの御意見などを聞きましても、なかなか簡単に一本化はできないというふうにも伺っております。大変なことだとは思いますけれども、ぜひこの辺については、いろんな意見があるにしても、先回私申し上げましたけれども、例えば大学院マスタークラスぐらいまではきちんと体系立ったようなものにしていくと。専門学校というとやっぱり現場では、大学は今ちょうど受験が終わりましたけれども、専門学校を受けるというのと大学を受けるというのともう高等学校、これは教育制度の問題ではありますけれども、最初からそれだけで何か成績がどうというふうに決めてしまうようなことがあるわけでありまして、どうぞまず大学という形を文部省とも協議をしてなるべく早く進めていただきたいなということを希望として申し上げます。これについてはこういう問題のときにまたお時間いただければと思っておりますのでこの辺にさせていただきます。  次に、検疫法関連についてでございます。  伺ったところでは、今回の改正については、国内にもう既にない、またWHOも世界的に撲滅されたという痘そうをこの対象から外そうということであり、これによって各港等での検疫の書類、また潜伐期間等の違いでこのことによってメリットがあるというふうに伺っておるわけであります。その限り私もなるほどと思います。  これもまた直接関係ないことで申しわけございませんが、現在非常に社会的に問題となっております狂牛病のことにつきまして、私もこのことについては全くの素人でありまして、検疫という言葉を聞きますと狂牛病はどうなっているのかなと思うわけであります。  農水省の方にもきょう来ていただいておると思うわけでありますけれども、この狂牛病について、私もそうですけれども、皆さん非常に不安を感じているというふうに思っております。もちろん、まだ状況もはっきりしない段階で何か非常に大きな問題があるというような言い方をすること自体、またこういう責任ある場で行うということは逆の問題もありますので、私は決してそういう意味で申し上げているわけではありませんけれども、この委員会でも非常に問題になっておりますエイズの対応ということで見ましても、厚生省としてはやはりまず最悪の事態を想定して動いていくべきであったのではないかというふうに感じているわけであります。  中央官庁というところは、私もおりましたけれども、大体の場合は問題はないということは言わないわけでして、まず問題があるということ、これは責任逃れという意味もありますし、またそれによって予算を獲得しようという意味もあるわけですけれども、しかし考えてみますと、こういう形で一番恐ろしいことがあってはならないということで時には過剰反応というふうなことをしていくこともやはり行政の責任者としての態度ではないかと思うわけであります。  そこで、この狂牛病についてどんなような対応がされているのかということで、一般的な形で結構なんですけれども、お話しいただけますでしょうか。防疫体制、輸入禁止であるとか、またきょうのラジオ、テレビ、新聞等でも何か禁止をしているとか自粛をさせているというふうに伺って、例えば自粛というようなことを聞きますと何か非常に厚生省は責任逃れじゃないかというような気もするわけでありますが、これは本当にそういうものが今入ってきていない状況にあるのかどうか、この辺についてお伺いいたします。
  38. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 食品衛生法を所管している私の立場から申し上げますと、いわゆる牛肉を食べることによって今度のクロイッフェルト・ヤコブ病的な病気が発生するということが明らかであれば食品衛生法での対応ができるわけですけれども、まだそういう段階ではないわけでして、牛肉が危ないかもしれない、こういうことでございますので私どもはイギリスから入ってくる牛、牛肉並びに牛からつくる食料関係の品物については自粛という形でお願いをしているわけでございます。  現在のところは牛肉そのものは入っていませんで、この一月から三月でも百八十トンほど胃の内臓のものだとか骨だとかいろんなものが若干入っていますけれども、今その商品については自粛をお願いするということで、既に入ってきたものについては今どこに置いてますか、どこに売られましたかということをずっと追跡をしているというのが現況でございまして、法的処置、法的ということはできない、現行法ではできませんので自粛という形でお願いをしているということでございます。
  39. 青沼明徳

    説明員(青沼明徳君) 我が国における狂牛病の侵入防止対策を御説明申し上げます。  狂牛病と呼ばれます牛海綿状脳症、BSEは一九八六年に英国で初めて確認されたものでございます。これは、病牛の脳組織が海綿状となりまして運動失調等の症状を示して死に至るという疾病でございます。加熱処理不十分な牛の肉骨粉等をえさに使用したことが本病発生の原因とされております。  我が国におきましては、狂牛病の発生は報告されておりません。英国からの牛肉、牛臓器につきましては、一九五一年以来輸入を禁止いたしております。それから、生きた牛につきましても、一九九〇年以来輸入を禁止してきているところでございます。  今回、狂牛病が世界的な問題となっていること等にかんがみまして、今までの措置に加えまして、今後英国から輸入される可能性のある牛肉加工品等につきましても、万全を期す観点から、三月二十七日船積み分より当分の間輸入を禁止することといたしたところでございます。
  40. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  そこで、小林局長にもう少しお話を伺いたいんですが、今もお話があったわけですが、臓器といいまして、私もどんなものかと思っておりましたら、きょうの新聞にもありました。また、化粧品などにも使われているということで化粧品会社にもちょっと聞いてみたんですけれども、ゼラチンでありますとか酵素とかカルシウムというふうなものについて、これについてはいかがでございますか。
  41. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) この一月一日から三月二十五日までに、さっき牛の胃袋と言いましたが、あと、今、先生の御指摘のゼラチンだとかそれから牛の骨粉だとかというものが入っておりますが、こういう個々のものが安全であるか否かということについて、例えば骨粉は実は一千度で三時間という時間をかけて焼いているわけでございます。この中にはお医者さんもたくさんいらっしゃいますが、たんぱく質を一千度で三時間も焼けばどうなるかというのは、もう変成してしまって実際には私個人は無害になると思っておるのでありますけれども、私の個人の判断でというわけにはいきませんので、きょう実は食品衛生調査会をちょうど今十時から十二時の間で開いておりまして、そこで専門家の先生方に御意見をお伺いして対応していこうと、このように今思っているところでございます。個々についてはそういうことでして、今のところは牛関連商品については全部自粛でとめ置いておると、こういうことでございます。
  42. 山本保

    ○山本保君 わかりました。きょうそういう調査会があるということだそうでございますので、それについてはぜひ慎重に対応していただきたいということを申し上げます。  そこで、せっかく農水省の方がおられますので、ちょっと耳の痛いことかもしれませんが、実は各県にございます消費生活センターにこの問題が取り上げられて、聞いてみたと。そうすると、今、小林局長もちょっとおっしゃった一千度でやっているというような答えが最初に返ってこなくて、百四十度ぐらいでやるとか、またこれは厚生省の方に聞いてくれとか、うちの方ではないというような対応もあったということを聞いておるわけであります。どうぞこういう問題、もちろん専門家としては大したことはないとおっしゃる方もいるかもしれませんけれども、やはり一般国民としましては非常に気になるところでありまして、こういう場合に消費生活センターというところへ連絡がすぐに行くというふうに伺っておりますので、この辺もう少しきちんと各部署、また各省庁とのデータの連絡などをお願いしたいと思うんですけれども、一言お願いできますか。
  43. 井上隆昭

    説明員(井上隆昭君) お答えいたします。  このたびの狂牛病に関連いたしまして、先生おっしゃいましたように、一般消費者でございますとか消費生活センターとか、その安全性について問い合わせが寄せられているところでございます。  私ども農林水産省といたしましては、消費者相談の窓口を設けてございまして、消費者の部屋において担当課と十分連絡をとりながら、その情報をもとにさまざまな問い合わせに対応してきたところでございますが、御指摘の点も踏まえまして、今後さらに幅広い関係者との十分な連絡を行いながら、消費者への情報提供が一層適切なものになるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  44. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  それではこの問題は以上にいたしまして、次に三番目が理容師法、美容師法及びクリーニング業法でございます。  これについては、そういう営業をされている方の相続等、それを受けた方が行うときに現行では廃業手続をわざわざとらなくちゃいけないと。そしてまた、全く新規にお願いすると大分時間もかかるし大変であるということを私も伺っておりますので、これをこのように変えていくということは結構ではないかと思うわけであります。  ただ、ちょっと気になりますのは、こういうことで実際に資格を持っている方が本当にそこにいてやられているのかどうかという、これは相続のときだけではなくて、実際には働いている方がやめてしまうとかいろんなことがあるわけで、そういうときに問題だとは思いますけれども、ぜひこの規制緩和によって何かそういう事例がふえたというようなことのないように、この辺はよく御指導をお願いしたいと思っております。  この問題はこれぐらいにいたしまして、水道法の関連についてお伺いいたします。  この改正については、工事がさまざまなところでできる、厚生大臣の定める資格をつくるということであって、最初伺いましたときには何か今の地方分権とか規制緩和という流れと逆の方向ではないかというような気もしたわけであります。どうして各地各地でやっているその業種の方をわざわざまた国が、しかも法律を拝見しますと非常に詳しい、細かい規定が法律に書き込まれるということでありまして、この辺について少しまとめてお伺いしたいわけであります。  まず、こういう制度を今つくることのメリット、特に住宅建設のコスト等、何かこのことでプラスになるのかどうかというようなこと、また水道事業というものは一体どういう形で行われるのかということも、実は私も今回初めて知ったようなところもありますので、それも含めて御説明いただきたいと思います。
  45. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) まず、今回水道法の改正で専門職種の試験をするというところが入ってくるわけでありますけれども、今までは各市町村ごとに水道工事者の中の技術者さんに対する試験をやっていた、ですから各事業者の方が二つの町で事業をやろうと思うと試験を二つ受けなくちゃならない、こういうような仕組みになっているわけですね。今回は国が一つの試験をやって、それでみんな身分を、きちっとした技術能力があるということを認定すればそれで済むようにしようという、もう今まで各市町村がやっていたのが一本になってしまうわけですね。  こういう考え方自体は、地方分権との関係はどうかとおっしゃられたわけですけれども、こういう資格試験の実施のように全国的に統一されるのが望ましい事務については地方分権推進委員会の中間報告においても国が担うべきものであるというふうに位置づけられておるということをまず御報告申し上げたいと、御理解をいただければと思う次第でございます。  その次に、今回の水道法の改正でメリットはどうなんだと、こういうお話でございますけれども、まず一つは、従来のように市町村ごとに営業所を設けなくとも工事ができますことから、営業所等にかかるコストが削減できる。営業所をつくると大体一千五百万から二千五百万ぐらいかかるということでございますが、そういうコストがかからなくて済むようにできるということ、そして広域的な営業活動ができる。それから二番目が、先ほど申し上げましたように、従来市町村ごとに行われている試験を受けなくても全国共通の資格で対応できる。それからもう一つは、国家試験の創設等により給水装置の工事の職業としての魅力が増してくるということから、若いマンパワーも出てくるというようなことがメリットとして考えられます。  また、今度は業者がいろいろたくさん出ていらっしゃいますので、そこではもう今までみたいに、よくテレビにも出ていたんですけれども、委託でお願いしてしまうというようなことではなくて、きちっと身分を持った方がきちっとした仕事を直接やれるということで精度のいいサービスと、それから価格についてもそこには自由競争が行われるという面があって、私は今回の水道法の改正で住民の皆さんにも大きなメリットが与えられると、このように思っております。
  46. 山本保

    ○山本保君 今、私もその説明でその意味はわかったわけでありますが、現場の方の何人かにお聞きしましたところ、市によっては試験をやっていないようなところもあるようでございます。そういう方にとっては言うならば少し規制が強くなるということにもなるようでありまして、局長がおっしゃったように、もちろん専門性を高めるということから必要だとは思いますけれども、その辺のところとか、また実際に今もう資格を持ってやっておる方がそのままできるのであろうかというような心配の声も聞いております。これは法律を見る限り書いてないようでありますので、その辺についてはいかがでございますか。
  47. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 既成の工事店や資格者に対しての配慮がどうかというおただしでございますけれども、既存の水道指定工事店や資格者が新制度に円滑に移行できるように、法律施行までに二年間の準備期間をまず設けることにしております。そして、既存の指定工事代理店は届け出によりまして新制度の指定を受けたこととみなすということをいたします。それから、従来の店は一年間は資格者を置くことを義務づけいたしませんということを考えておるということでございますし、それから従来の資格を持っていらっしゃる人に今度新しい試験をどうするかということについては、試験の一部免除についても何とか考えていきたいと、このように思っているところでございます。
  48. 山本保

    ○山本保君 わかりました。どうもありがとうございます。それではこの部門については以上にしまして、次に五番目ですか、社会福祉事業関連についてお伺いいたします。  前回の趣旨説明でも、福祉事務所長さんの兼職ができるようにするんだというふうに伺ったわけでありますけれども、福祉事務所長さんというのはどういう専門性を持って、どういう資格を持ってやっておられるのかということについてお聞きしたいんですが、一般的にどのような規定になっておるのでしょうか。また、もし現状がおわかりであれば教えていただけますか。
  49. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 福祉事務所は、社会福祉事業法では福祉に関する事務所ということで、生活保護法を初めとします各種の福祉の法律を担当する第一線の現業機関というふうな位置づけがなされているわけでございますが、ここでは今申しましたいわゆる福祉六法等を直接担当するということで、それぞれの業務に精通した担当職員を配置することによりまして第一線の福祉の行政機関ということで動いているわけでございます。  それで、所長の資格という面で申しますと、社会福祉事業法の上では非常にかたい言葉で、福祉事務所の所の長は知事なり市町村長なりの指揮監督を受けて福祉に関する事務所の所務、所の仕事全体を掌理するという形で書いてございますけれども、福祉事務所の仕事からいいまして生活保護の被保護者の方であるとかあるいは障害を持った方、援護を要する方々等への指導、援護に携わる専門職員に対する指導監督を任務とするというふりに思います。そこで、関係法令等の運用に関する専門的な知識を持ちながら、所の職員に対する指導監督の能力なり経験が要求されておるというふうに思っております。  ただ、規定の上では所長の資格についてこれこれでなければならないという特段の定めはございませんが、当然にそれぞれの自治体においてこれらの業務を行うにふさわしい経験、知識を持った者を任命してきているものというふうに私ども思っておるところでございます。
  50. 山本保

    ○山本保君 一般的にこういう現場の機関の長がその仕事について経験をしたかどうかとか、また実際その能力や資格を持っている人でなければならないかどうかというのは非常に難しいところがあると私も思います。  例えば、教育でいえば学校の校長先生というのは日本では教員のベテランの方しか校長免許を取れない制度になっておりますけれども、もともと免許制度というのはそういう意味じゃなくて、本来はといいますか、アメリカ型の制度では校長職というのは全く別の職でありまして、ですから免許があるわけなんですね。ただ、これは日本型といいますか、やはり教育に関して人を扱う場合に個々の教育実務を全くやらないような校長というのが、日本の場合はいろんな反対もあったにしても現実にはベテランの方がなった方がいいということで動いておるわけですね。  福祉に関しても、私はやはり長というのは実際にその現場で国民住民の方の苦しみなどを受けた方がなるのが一番いいのではないかなと思うわけであります。ただ、今おっしゃいましたように、役所の、またこういう機関の形としてトップの人がそうでなくてはならないということはないだろうとは思います。ですから、その場合、それを補佐する形の専門家がいなくてはいけないというようなことについて、ぜひその辺については少し厳し目に見ていただきたいなと思っているわけであります。  特に、この社会福祉事務所、生活保護等とおっしゃいましたが、まさにケースワークをするわけですけれども、ケースワーカーではなくて計算ワーカーだというようなことが俗に言われるわけでありまして、たしか二年ほど前にもお年寄りでクーラーをつけているが、つけるということについてそれは規定にある、ないというようなことで大分大きな問題になったような記憶があります。まさにクーラーをつけるかどうかというようなことは、私などは余りそういうのは好きじゃありませんので必要ないわけですけれども、夏の暑いときにその方にとって必要かどうか、こういうところを判断するのがまさに福祉の専門性のはずでして、それをただ表にあるからとか、計算したらお金がこうだからということでやっていかれては困るわけであります。ぜひ今回のこういう改正によって福祉事務所の専門性がより低くなったというようなことのないようにお願いしたいわけであります。  そこで、それに関連してあと二つほど、ちょっと蛇足かもしれませんが、こういうケースワーカーの方は事業法によりまして三科目ですか、三科目主事とよく言われますけれども、非常に資格の専門性が大したことないように、昭和二十年代の規定じゃないかと思うわけですけれども、この辺について何かもっと充実させていくというようなことはお考えではございませんか。
  51. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 職員の専門性ということでのお尋ねでございますが、若干最初のお尋ね関連して補足をさせていただきたいと存じますが、所長につきましては先ほどお話がございましたとおりでございます。  それから、現実のケースワーカー、社会福祉事務所の現業職員につきましては、社会福祉主事というふうなことでまさに現業のケースワーカーとして一定の資格、経験を要するという形で直接の困難な仕事に当たらせているということはもう御案内のとおりでございますが、そこの基本的な仕組みは今回は変えておらないところでございます。福祉事務所の所長につきまして、大きな保健福祉センター等ができる場合にはそこの長にもなれる道を開くというような趣旨の改正でございますので、引き続き社会福祉事務所が本来やるべき業務全体の統括を所長でしていただきながら、現業職員の資質の向上を引き続き努力しながら、福祉事務所に課せられた仕事の実践に遺憾なきように引き続き努力はいたしたいというふうに思っております。  それから、職員の状況につきまして、社会福祉主事の制度ができて確かに時間の経過もたってございます。戦後、社会福祉の制度が徐々に整備されてくる過程で、生活保護の事務を初め、さらに当初生活保護中心でございましたのを福祉五法を担当ということで制度の発展なりに伴い福祉事務所の仕事も広がってまいりました。それに伴って職員の数もふえ、それから対応すべき分野もふえてまいっております。さらに、これからの状況を見てまいりますると、高齢者介護をめぐる問題を初めとしまして、社会情勢の変化に対応して福祉に関する事務所のまさに拠点でありますところでございますので、さらに変化に対応しながら今後のあり方も念頭に置いて対応する努力をしたいと思っております。
  52. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  きょうはこのことについてはこれ以上お聞きいたしませんけれども、社会福祉士という資格が十年ほど前にでき、今、介護という話がございましたが、介護福祉士さんについては最近非常によくいろんなところで必要な資格だということでやっておるわけですが、福祉士というのは非常に高い資格のはずですけれども、なかなかこの辺について現場からも実際どういう意味があり、どういう資格として任用されるのかということについても決まっていないと。もちろん、つくるときにいろんな問題があったのかもしれませんですけれども、私はぜひこの社会福祉士さんというこの職についても、十年たったわけですから、一度根本的なところも含めてきちんと今の福祉現場、特にこういう福祉事務所長さんなんというのはまさにそういう方でなくてはならぬのではないかなという気もするわけでありますから、どうぞこの辺については積極的に対応していただきたいと思っております。  この問題については以上にいたしまして、次に六番目に消費生活協同組合法についてお伺いいたします。  御説明では、連合会をつくりやすくするのだということで、二つの単立の生協組合があればそれで連合をつくりやすくするということで伺ったわけでありますが、そのことが消費者、また組合員とか地域住民に一体どのようなメリットがあるのかについて少し御説明をいただきたいと思うわけであります。
  53. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 今お話がございましたとおり、今回の消費生活協同組合法の改正の趣旨につきましては、個々の生協、単位生協が共同で購買、仕入れを一緒にするとかあるいは配送を一緒にするとかいったような事業を共同して行う場合にその共同の連合をしやすくするというふうな趣旨でございます。現行でございますと、実は現行制度でそれぞれ事業連合を組むときに個々の生協間の出資限度が四分の一という制限がございます。このことから結果として四つ以上の生協が集まるということが必要なわけでございますが、その限度を二分の一に引き上げることによりまして二ないし三の生協、単位生協も共同して事業連合が組めるようにするというような趣旨でございます。  そういうことなわけでございますけれども、基本的に最近の生協全体の、特に地域の購買生協の動向なんかを見てみますと、これは全体の小売業と似たような傾向もあるわけでありますけれども、組合員一人当たりの利用高と申しましょうか、一番直近の資料でも、平成四年度あるいは五年度にかけまして、いずれも前年度を下がってきておるというふうな傾向がございます。それから、平成五年度におきます購買生協、供給事業をやっております生協の経営状況を見ますると、かなり、三割ほどが経営の累積赤字を抱えるというような状況もございます。小売全般の動きでもございます。  こういったような中で、一方、地域で消費生活の向上ということで大きな役割を示しているわけでございますが、個々の生協が共同の仕入れであるとか共同化を進めるという意味で経営の効率化をてこにさらに努力していくということで、大変これは意義が出てくるものというふうに思っております。そういう意味では、消費生活協同組合の健全な発展に資すると思っております。  最後にお尋ねがございました地域への影響等、特に小売との関係なんかもお尋ねがあったかと思いますけれども、今申しましたように、端的にここは個々の生活協同組合の問題というよりも生活協同組合が共同して事業を行うことを容易にするというふうな趣旨でございますので直接的には、間接的にはございますかもしれませんが、現在のなかなか厳しい経営状況を改善していくというふうな効果が第一でございまして、法改正が直ちにそれぞれの地域の中小小売商等に影響を与えてくるものではないというふうに思っておるところでございます。  そのような認識でおるわけでございますが、いずれにいたしましても、今回のも一つのてこにしながら、私どもは消費生活協同組合がその設置の趣旨に沿った形で健全に発展していただきたいなというふうに思っております。
  54. 山本保

    ○山本保君 それで、生協についての法律改正があるというふうに伺っておりましたら、実は先日偶然、NHKだったと思うんですが、テレビを見ておりましたら、北海道の釧路の生協が経営が非常に苦しくなり、またそのときにちょっと犯罪性のあるといいますか、何か粉飾決算というふうなことをされておったと。まさに、今、局長おっしゃいましたけれども、経営が苦しくなっておるということの一つの例なのかなと。まさかこんなことがほかのところにあるとは私も思いませんけれども、しかしこういう問題がテレビ、新聞等で報道されております。  これについて、厚生省としては今どんな対応をされているのかお聞きしたいんですが。
  55. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 今お尋ねの釧路の市民生協の経営問題につきましては、私どもも関心を持って北海道庁からいろいろ報告をいただきながら見ておるところでございます。  それで、実は現在、生活協同組合は共済事業等をやっておるものを含めまして千二百十四ございますが、基本的にそれぞれの地域で活動する、事業を行うものについてはそれぞれの都道府県知事の設立の認可から始まりまして監督に服するということでございます。  それで、県域を超えて広域のものなり職域のものについては厚生省が直接担当ということでございますが、今回の釧路市民生協につきましては、北海道知事が認可をし監督をしていただいている地域生協の一つで購買事業等をやってきている、歴史的には昭和二十六年から、いろいろ経過はございますが、地域生協としてやってきているものでございまして、規模も組合員数が五万五千人、店舗も十四持っておる、年間の供給高も百八十億台になるという、かなり地域でも大きな役割を果たしているものでございます。  それで、道庁からの報告によりますると、この釧路市民生協につきましてはかなり長い間にわたって決算操作を行っていたのではないかと、累積欠損金も報告によりますと平成七年十月時点で六十億台になっておるというふうなことでございます。そんなようなこともあって、釧路市民生協につきましては、経営悪化が表面化しましたことしの一月以降でございますが、債権のカット等による自主再建を模索してきたというふうなことでございますけれども、債権者の協力が得られないことから三月四日に釧路地方裁判所に和議を申請したと、そこらあたりが報道されているというところでございます。  先ほども申しましたが、厚生省としましても、この釧路市民生協の存在というのは地域の大きな存在というふうに思っておりますので、関係者の努力によって再建されることを私どもは期待しているわけでございます。同時に、釧路市民生協の問題につきましては、これまで決算の操作が行われてきているという、詳細な形ではございませんが、北海道庁の報告でございますので、まずは監督官庁であります北海道庁に対しまして、生協法に基づく検査をきちっとやっていただきたいと、事実関係を的確に把握して生協法の趣旨にのっとった適切な対応を行うよう指導している、そんなような状況でございます。  昨今の経済情勢やら、それから釧路市民生協のケース等を踏んまえて、全国の同じような供給事業をやっております生活協同組合の運営につきましては改めて必要な検査、指導等を重視するように、先般も担当者の会議を催して指導したところでございます。
  56. 山本保

    ○山本保君 調査中、または指導中であるということでございますので、その辺よろしくお願いいたします。  ちょうど今、新進党で衆議院の方でNPO法案というのを出しております。また、新聞等でもそういうふうに地域住民自分たちの中でその生き方、または人のための活動をしようというようなときに、この生協というのは確かに歴史的に見ても一つの端緒形態として非常に重要なものではないかと思っているわけであります。大型スーパーの進出であるとかいろんなことでさまざまな問題があるとは思いますけれども、ぜひこの趣旨というものを貫いて今の世に生かしていっていただきたいと思っておるわけであります。  では次に、これは簡単なことかもしれませんが、七番目に社会福祉・医療事業団法の関連についてでございますが、これについては一言だけ私の方からちょっと申し上げます。  伺いましたところ、特殊法人の整理合理化ということで昭和六十年にもともと二つの法人が一緒になった、そのときから続いている。福祉関係のお金を貸す団体ですから、福祉関係の勘定と医療関係とを一緒にしようということだそうであります。私、その限りにおいてもっと早くやるべきだったんじゃないかと思うわけであります。  これは、大臣もおられるからあれですけれども、こういうふうに特殊法人を合理化するというふうなことを言いましても、実際にはその中身は全く今までと変わっていなくて担当者も別、予算配分も別、であるから予算、執行、決算、すべてばらばらにやって実際にはただ二つの場所が一緒になっただけというふうなことがあってはならぬわけであります。こういうことでちょっと遅きに失するのではないかという気もするわけですが、これを改善したいということだそうでありますので、これについては了解するところであります。  最後に、厚生年金保険法と国民年金法の改正についてお伺いいたします。  まず、この法改正によって厚生年金基金と国民年金基金の運用についての規制をなくそうということだそうであります。  こういう運用規制をなくすれば、もちろんうまくいけば非常に利益が上がるかもしれないけれども、下手をすれば大赤字になって元も子もなくなるんじゃないかというふうな気もするわけでありますけれども、こういう資産の安全性ということについてはどのように保証されるのかどうか、その辺についてお聞きしたいんですが。
  57. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先生承知のとおり、厚生年金基金等の積立金の運用につきましては、現行では原則といたしまして信託銀行と生命保険会社だけに運用を委託する、例外的に積立金の一部を投資顧問等に使える、こういう形になっているわけでございます。  今回の運用規制の緩和と申しますのは、積立金の運用を効率的にする、こういう観点から投資顧問会社等を活用して運用できる範囲を広げよう、こういうものでございます。基金の積立金全体の資産構成につきましては、いわゆる五・三・三・二規制といいまして、五割が国債等の安全資産、それから株式とか外貨建ての資産というのは三割以下、不動産は二割以下、こういうふうなリスクのある資産については規制があるわけでございます。この規制というのはまだ残るわけでございますので、今回この改正によりまして資産全体のリスクが高まるということはないと考えておりますし、基金の運用次第でございますけれども、分散投資ということが行われますと安全性というのが高まる面もあろうかと思っております。
  58. 山本保

    ○山本保君 それに関連してもう一つお聞きしますけれども、そうなりますと基金の運用ということをやるためには、やはりこれは管理というよりは経営能力といいますか、そういう特別な力がないとなかなかできないんじゃないかと思うわけですけれども、そういう方は各基金にはおられるわけでしょうか。その辺はどういうふうにこれから充実させていくわけですか。
  59. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 厚生年金基金の運用につきましては、数年前までは運用環境もよくて非常に好調だったということもございまして、だれがやってもある程度の収入がある、こういう状態が長らく続いてきたわけでございます。  今回の運用規制の緩和、それから運用環境の悪化、こういうふうな状況のもとでどうするかということでございますが、緩和をいたしますのでこれから基金みずからが財政運営に関しまして主体的に判断して決定していくことになるわけでございます。  したがいまして、やはり基金においても専門家を育てる必要があるわけでございまして、今まで大きな企業におきましても基金任せ、こういう形のものが多かったわけでございますけれども、母体の専門家を派遣するとか、こういったような傾向もかなり出てきているわけでございます。それから、最適な資産構成という面で外部の専門のコンサルタント会社を活用するとか、こういう面にも努力をいたしているわけでございます。それに加えまして、現に基金にいらっしゃる方、こういう方につきましてもやはり当然のことながら自己研さんに努めてもらう必要もあるわけでございますし、その研修というものもやっていかなきゃいかぬということでございまして、これはいろいろなところで研修はやっているわけでございます。中央でやっておりますのが厚生年金基金連合会でございまして、ここにおきまして基金の常務理事に対します研修を行っております。資産運用の関係のカリキュラムを充実するとか実施回数をふやすとか、この辺の面の充実というのも計画をいたしているわけでございまして、私どもも積極的に応援をしていきたい、こういうふうに考えております。
  60. 山本保

    ○山本保君 わかりました。  ただ、新聞等によりますと、この一、二年、その基金が解散をした、もしくはその危機にあるのじゃないかというようなことが報道されておるようでありますけれども、もし差し支えなければどういう状況にあるのか、それについてもお話しください。
  61. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 基金を取り巻く状況というのは、バブルの崩壊以降、非常に厳しい状態が続いているわけでございます。かてて加えまして、平均寿命が延びまして給付の増というものもあるわけでございます。現在、非常に私ども危ないなと思っておりますのが、基金が行っております代行相当分も賄えないような基金というのが少なからず出ているわけでございまして、私ども最低責任準備金の一〇五%を割ったところというのを一応今の危険水準と考えているわけですが、これが六年度末で百九基金あったわけでございまして、これの改善計画について私ども指導をいたしているわけでございます。  こういう非常に厳しい環境の基金もあるわけでございますけれども、厚生年金基金全体を考えますとまだ本体に比べまして成熟度が低いわけでございまして、今後さまざまな工夫を凝らすことによりまして基金財政の安定化というのは十分図り得るというふうに考えておりますが、これからも関連業界の不振とか、それから母体企業の経営状況、こういったものでやむを得ず解散に至るケースというのもやはり幾つか出てくるのではないかというふうに思っております。  それで、基金からの財政運営についての御相談というのはいろいろの段階があるわけでございまして、いわゆる解散の相談というところにも濃淡があるわけでございまして、関係者が大体合意をして解散しようではないか、こういうことで御相談に来ているというのが二つか三つございます。恐らくこれは近いうちに解散する可能性があるわけでございます。そのほか、基金の理事者の方で解散を検討している、こういう基金が数基金ございまして、合計いたしますと十弱の基金というのが解散を検討している、こういう状況になっております。
  62. 山本保

    ○山本保君 一般的に考えましても、右肩上がり成長でない、またこれから高齢化ということを考えますと、年金基金に関しては今のところ成熟度も低いので大丈夫だというお話ではありますけれども、なかなか難しい問題が出てくるのではないかと思うわけであります。  何かその辺について、この基金また年金のあり方について今どういう検討をされているのか、お話しください。
  63. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先ほど来申し上げましたように、近年の経済・金融情勢というのは非常に深刻なものがあるわけでございまして、基金全体に大変な影響を与えているということは御承知のとおりであるわけでございます。一方、厚生年金基金制度は昭和四十一年にできたわけでございますけれども、その後幾多の改正があったわけでございますけれども、基本的な枠組みというのは創設当時と変わっていないということでございます。これからかつてのような経済成長というのが見込めない時代になってきたわけでございますので、これから基金というのを安定的に発展を図るというためにはやっぱり制度全体の見直しをする必要があるのではないか、こういうふうに考えているわけでございまして、昨年の九月に関係者と学識経験者を集めました基金の制度研究会というものを設けて現在検討をいただいているわけでございまして、この六月ぐらいをめどに報告書をいただきたいというふうに考えておりますけれども、この報告書を受けまして、あと年金審議会とかあるいは関係の方々の御意見も聞きながら必要な制度改正に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  64. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。それでは私の質問はこれで終わります。
  65. 今井澄

    委員長今井澄君) 午後零時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      —————・—————    午後零時三十一分開会
  66. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 西山登紀子

    西山登紀子君 この基金の制度については、平成元年十二月十四日、参議院の当時は社会労働委員会で審議をされているわけですけれども、そこの質疑の中で、加入者の目標につきまして当時の年金局長、水田年金局長はこのように答弁をしているわけです。国民年金の付加年金の加入者は二百万人いる、そのうち七十万人の農業者年金基金加入を除いた百三十万人と想定をしていると。そして、倍以上にふえるのではなかろうかとも言っているわけです。さらに加えまして、とりあえずは三百万人はカバーできるのではないか、定着していけばさらに拡大すると答弁をしているわけです。  しかし、実際の到達点はどうかといいますと、平成五年度末で当初予定されました百三十万人の半分程度、七十二基金、七十七万人というのが実態でございます。年金局長が当時答えられた、自画自賛的な答弁もあるわけですけれども、大変国民の皆さんに、自営業者の方に期待される、待ち望まれている制度だと、こういうような御答弁もあったわけですけれども、そのようなことにはなっていない、それが今の実態ではないでしょうか。
  68. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 国民年金基金への加入者数でございますけれども、まだ七年度末はわかりませんけれども二月末の最新の数値はわかってございますが、地域型で六十九万人、職能型で十四万人ということで、合計で八十三万人ということでございます。  国民年金基金制度といいますのは、自営業者がお一人お一人加入されるわけでございますので、まだその趣旨というのが徹底していないという面もございますし、元年当時に比べますと、その後におきます経済不況が長引いたわけでございまして、こういう影響もございまして当初見込みました数字より大幅に下回っているわけでございますけれども、毎年着実に増加はいたしているところでございます。
  69. 西山登紀子

    西山登紀子君 当時の議論でも、この制度の導入に関しまして、国民年金の現状では加入できない人が多いのではないかというような懸念も示されていたわけでございます。一部の人が恩恵を受ける、結局は金持ち優遇の制度にならないのかというような疑問が、我が党以外にも何人かの議員が指摘をしていたと思います。そのとき、当時の局長はこんなふうに言っていらっしゃるわけでございます。  年収二百万の階層でも四人に一人の方が上乗せ年金ができたらぜひ加入したいという希望を表明しておられることから見ましても、決して私どもこれが金持ち優遇策になるということではない、むしろ低所得者の方でも入っていただけるように、一口当たりの単位が入りやすい金額の小口のものに設定することによって入りやすい条件の整備をしてまいりたいとこう思っております。 と、このように当時答弁をしていらっしゃるわけですけれども、しかし多くの議員が金持ち優遇対策になるんじゃないかという懸念を表明いたしました。  加入者は目標の半分程度、広がっていない、これは当時指摘があったような金持ち優遇策になるというこの懸念が的中していると、こういうことではないでしょうか。
  70. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) この国民年金基金制度と申しますのは自営業者のための基礎年金への上乗せの制度ということでございまして、税制上の優遇措置がある、こういうことでございますので所得のある方が入るというインセンティブを持つのは御指摘のとおりだと思うわけでございます。  現在入られている方の一人当たりの掛金額というのは二万円弱でございまして、六万八千円の上限ということから比べますと、まだまだ余裕があるという感じでございまして、必ずしも金持ちの方だけが入られているのではないのではないかというふうに思っているのでございます。  今後とも、広報活動の充実でございますとか、あるいは基金自身の自家募集、こういうふうなものに力を入れまして加入の促進に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  71. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、私は国民年金基金連合会へのいわゆる天下りの問題を取り上げたいと思います。  今、住専の問題でも大蔵省と銀行の天下りの問題が大きな国民の関心事になっております。また、薬害エイズの問題でも厚生省と製薬会社、この天下りの問題が大きな問題になっているわけですが、残念ながらこの国民年金基金連合会に関しましても天下りがあるということを指摘したいと思うんです。  天下っている人はだれかということですけれども、理事長と常務理事二名の合計三名。常務理事は一人が厚生省、もう一人は大蔵省からです。そして、現在の理事長である水田努さんはこの制度を導入したときの厚生省の年金局長をされていた方ではないですか。
  72. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 御指摘のとおりでございます。
  73. 西山登紀子

    西山登紀子君 現在の理事長、水田さんはこの制度を導入したときの年金局長であったわけでございます。  次に、それではこの国民年金基金連合会への国庫補助はどれぐらい出されているかという問題なんですけれども、七年度当初で十四億円出されているわけです。八年度は十五億円出される。これは何に使われているかというと、事務費の補助であるわけですが、人件費と事務費です。  しかし、よく考えてみますと、この国民年金基金よりもはるかに規模の大きい厚生年金基金連合会、これは加入人員は平成七年七月時点の数字では千二百二十九万人加入をしているわけです。国民年金基金は七十七万人の加入です。どれほど差があるか、おわかりいただけると思います。基金の数は、厚生年金基金連合会の方は千八百四の基金ですが、国民年金基金は七十二の基金です。これほど規模において大きな差があるんですが、逆に事務費の補助金はといえば、厚生年金基金連合会の方は六億九千万円でございます。いかにも国民年金基金連合会へのこの国庫補助というのは大き過ぎる、国民の目から見ますと非常に不自然に思われるわけでございます。  この基金連合会の定員はといえば二十一名。係員はたった五名しかいません。あとはすべて役付です。しかも、トップの三人は天下っているという奇妙な組織なわけですけれども、いかにもこの額、十四億円なり十五億円という国庫補助というのはいかにも額が大きいとは言えませんか。
  74. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 国民年金基金連合会でございますけれども、この連合会は、一つは各基金を中途で脱退される方がいらっしゃるわけでございまして、この年金給付を一元的に取り扱う事業を行っております。それから、基金全体の事務処理の効率化を図るということで共同事務処理、したがいましてコンピューターに要する費用というのもかなりの経費を要しております。  それから、基金の一口目の年金給付につきましては、同一掛金で同一給付、こういうふうな目的のために一口目の年金給付の確保を図るために給付の確保事業というふうなことで、この国民年金基金制度を通じます横断的な事業を行っているわけでございます。地域型は四十七基金、それから職能型二十五基金、これを統合するような事業を行っているわけでございまして、御指摘の事務費の補助金と申しますのはこうした事業の安定的な運営を図るということで必要だということでございますし、御指摘のように加入員がまだ少ない、立ち上がりから間もない基金でもございますし、それから共同の電算処理事業も行っている、こういうことからある程度はやむを得ないのかなと思っております。  厚生年金基金連合会の例が出ておりますけれども、厚生年金基金連合会も発足当初はかなりのシェアの補助金を出してきたわけでございまして、まだまだ未熟だということで御理解を願いたいと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても加入者の促進を図りながら基金の自立に向けまして努力する必要がある、こういうふうに考えております。
  75. 西山登紀子

    西山登紀子君 どんなに言われても私は不自然だと思います。  この国庫補助というのは人件費と事務費に使われているわけですけれども、もらった資料を見てみますと、この理事長の月収ですね、月収幾らか。これは、おやめになったときは平成二年六月なんですけれども、月収は九十五万八千円であります。理事長に就任なさったのは平成三年六月ですが、そのときの月収は百十五万九千円なんです、一カ月。上がっちゃっているわけです。平成七年になったらさらに上がりまして、百三十万七千円。こういうふうにぐんぐん上がっていく、月収が。これを年収に計算をいたしますと、約十六・五カ月ということで計算をし直してみたんですけれども、年収にすると、おやめになったときは千七百七十万円年収があったわけですが、理事長に就任するとこれが二千百四十万円、平成七年度ではおおむねですが二千四百二十万円。退職したときよりも再就職したときの方が高い月給、年収をもらっている。  金額の確認をしたいんですが、どうですか。
  76. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 厳密な計算をしますと若干狂うと思いますけれども、おおむね御指摘数字に近いと思っております。
  77. 西山登紀子

    西山登紀子君 さらに退職金、まだお勤めになっているんですけれども、退職金を少し計算をしてみたわけですけれども、ことしの五月でお勤めになって丸五年になるわけですね。ですから、退職金の規程というのがあるのでその規程に沿って退職金をこちらの方で試算をしてみたわけですけれども、平成七年度の水準で計算いたしますとおおむね二千八百二十万。実際に退職されるときは、何年お勤めになるかわかりませんが、三千万程度にはなるんじゃないでしょうか。わずか五年間でこれだけの退職金をおもらいになる。  民間労働者の場合、労働省の調べでは大卒勤続三十五年以上でも二千四百十七万円でございます。三十五年以上勤めてもこれだけの退職金であるわけですが、五年間で三十五年営々として勤めてきた労働者の平均の退職金を上回るような退職金をおもらいになる。これはどう考えても民間労働者や国民的な感覚から外れた、非常に並外れた優遇ではないかと思うんですけれども、そういうふうに思われませんか。
  78. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 退職金の水準をどうするかというのはいろいろ御議論あろうかと思うわけでございますけれども、現実に定めております国民年金基金連合会の退職金の規程につきましては、これは特殊法人の基準を参考にしてといいますか、ほぼ準拠して決めているわけでございまして、この特殊法人の基準そのものは民間企業の役員の退職金とのバランスを勘案して決められている、こういうふうに聞いております。
  79. 西山登紀子

    西山登紀子君 並外れて優遇されているとは思わないかと、民間の労働者なんかと比べて。その点を聞いているんです。
  80. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 連合会の理事長でございますので、当然民間の企業で比較されるべきものは役員、社長とか副社長とか、そういうこととのバランスだと思っておりますので、民間企業の役員の退職金とのバランスを考えた基準というのは、いろいろ御議論あろうかと思いますけれども、一つ考え方ではないのかな、こういうふうに思っております。
  81. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変驚いた御答弁だと思うんです。わずか五年間働いてこれだけの退職金をもらっちゃう、普通の労働者の方にすれば人生二度やったぐらいの退職金をもらっちゃうということになるわけで、私はこれは並外れた優遇だというふうに思うわけです。  それで、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  この元年金局長は国会の答弁で、こうした人件費などの事務費の見積もりはどうなるのかという質問に対しては、これから十分検討していく、必要であれば事務費の要求等もあわせ今後検討していくというふうに答弁をしていらっしゃる。そして、その後いろいろと大蔵省とも折衝されたのでしょう、平成三年度では十五億円事務費を取っているわけです。  このように考えますと、この天下りの問題というのはその内容において、当時の年金局長自分の担当のときに基金という制度をつくり、しかも事務費補助、つまり人件費などですけれども、これについてもレールを敷いた、そして最初の理事長に自分が一番乗りといいますか就職をする、そしてそのお給料はどうかといえば局長時代よりもうんと多い給料を得て、そして多額の退職金をもらう、こういうケースであるわけです。これは天下りの中でも極めて異例な非常にお手盛りの典型といいますか、そういうものではないかと思うんです。  国民年金で暮らしていらっしゃる方というのは平均月四万円にも満たないわけでございまして、こういう人の御意見を聞けば、行政を私物化し、本当に腐敗のきわみだと言う方もいらっしゃいます。大臣、今、厚生省に対して非常に厳しい視線が向けられている折でもありますので、国民の視点あるいは年金暮らしの皆さんの視点から見てこれはやはり襟を正すべきだと思うんですけれども、いかがですか。
  82. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この国民年金基金というのは、御承知のように、自営業者においても基礎年金の上乗せとしていわゆる二階建ての年金をつくろうという中で平成元年に創設されたものであるわけです。そういった意味で、この制度自体は、私も当時のことを思い出してみても、長い間の議論を積み重ねて、厚生年金基金のようないわば二階建て部分を自営業者にもつくろうということで、そういった意味ではこの制度は大変重要な制度として認知をされてきているし、先ほどの報告では必ずしも当初の見込みどおりではないかもしれませんが、しかしこれからの可能性としても重要な制度だというように思っております。  そういった意味で、この制度を運用するに当たっては、やはり年金制度に精通をした人、あるいはその年金を含めた資産運用に関して知識を持った人の中から理事長なり理事が選ばれるというのは基本的には十分あり得ることであり、またあるべきこととも言えると思います。そういった意味で、今回のこの連合会の理事長が厚生省のOBから選ばれているということ自体が、一概にそのことだけで私物化とかそういったことに当たるとは私は必ずしも考えません。ただ、確かに今いろんな分野で、厚生省だけの中でも天下り問題というものが厳しく指摘をされていることは承知をいたしておりますし、私も何らかの一つ考え方といいましょうか、ガイドラインのようなものが必要なのではないかなというように思います。  よく言われる民間の薬メーカーに天下りをする場合、あるいはこういった半ば公的な制度にOBが再就職する場合、若干私はそれぞれの性格が一部違うのかなとも思っております。ですから、そういうことも考えながら、御指摘は御指摘として受けとめたいと思っておりますけれども、やはりこういう制度の場合にある程度そういうことに精通した人の中から選ばれるということの必要性もありますので、そのこともあわせて考えなければならないのではないかと、このように思っております。
  83. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  84. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  私は、反対理由を述べる前に、内容において関連性のない十一の法律を一括して改正するという政府の態度は乱暴な法案提出の手法であると、まず遺憾の意を表します。  私は、厚生年金法及び国民年金法の改正については反対であります。  厚生年金法及び国民年金法の改正の中心は、現在は投資一任契約を認められていない国民年金基金にも投資一任契約を導入し、三年後の九九年四月には厚生、国民両年金基金とも投資一任契約を全面解禁するというものであります。  私が二法案に反対する第一の理由は、もともと投資一任契約は元本保証がなく、利回りが高いかわりにリスクが大きいものであり、これを全面解禁すれば、運用に失敗した場合には年金加入者に大きな被害をもたらすおそれがあることです。  反対理由の第二は、日米の投資顧問業者は基金だけでなく公的年金本体についても投資一任契約の解禁を強く要求しており、実際に九六年一月から年金福祉事業団の資金運用に法の網の目をくぐる形で事実上の投資一任契約が導入されています。こうした中での年金基金の投資一任契約の全面解禁は、さらに公的年金本体へ投資一任契約を大々的に導入することにつながるおそれがあることです。  そもそも、国民の老後生活の保障、その柱である年金制度の充実、安定的運用の第一義的責務は国にあることは論をまちません。この大局的視点から見て、リスクの大きい投資一任契約の全面解禁は自助努力の一層の強要であり、いわば国の責務の転嫁であり、到底賛成することはできません。  私は、放射線技師法、理・美容師法、クリーニング業法及び水道法等の改正については、関係者の御要望を受けて手続の簡素化を図ったものであり、賛成であります。  このような理由により、十一の法律の改正案に一括して賛否の態度を求められた場合、年金制度が国民生活に及ぼす影響の大きさを考慮すれば、反対の態度を表明せざるを得ません。  以上で私の反対討論を終わります。
  85. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  86. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会