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1996-04-04 第136回国会 参議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月四日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月三日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     常田 享詳君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 木暮 山人君                 田浦  直君                 常田 享詳君                 水島  裕君                 山本  保君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省保険局長  岡光 序治君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (薬害エイズ問題に関する件) ○小委員会設置に関する件     ―――――――――――――
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会開会いたします。  議事に先立ちまして、血液製剤によってエイズウイルス感染され、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立お願いいたします。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ―――――――――――――
  4. 今井澄

    委員長今井澄君) 委員異動について御報告いたします。  昨三日、勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として常田享詳君が選任されました。     ―――――――――――――
  5. 今井澄

    委員長今井澄君) 社会保障制度等に関する調査のうち、薬害エイズ問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 石井道子

    石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。  通常国会が一月二十二日から始まりまして、早くも桜の咲くころ、四月、新年度になったわけでございまして、その間、衆議院の予算委員会開会ができなかったというような影響を受けまして、参議院委員会開会のチャンスがなかなか得られなかったという経過がございます。そういう中で、おくればせながら今回、参議院厚生委員会におきましてエイズに関します集中審議を行うという運びになったわけでございまして、できるだけ濃密な、そして実のある審議をこれから行わなければならないと思うわけでございまして、よろしくどうぞお願いを申し上げる次第でございます。  その間、エイズ患者さん、また感染をされた方々、いろいろな多くの苦難を乗り越えて今日まで来ていらっしゃるわけでございまして、不幸にしてお亡くなりになりました方々に対しましては心から御冥福をお祈り申し上げますと同時に、長い間闘病生活を続けておられます皆様方に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。  今回は、血友病という立場で、その治療を受けている立場で何の責任もない、そういう千八百人余り方々エイズ感染され、約六百人余りの方が発病されたと聞いております。そして、既に五百人近い方がお亡くなりになったということを聞いておりまして、まさにその悲惨な現実を見るときに、恐怖と苦悩の生活を送らざるを得なかった、そういう患者さん方、また家族の皆様方に対しましてその御心中をお察し申し上げる次第でございますし、私自身も大変無念な思いでいっぱいでございます。  連立与党におきましても、今まで新しい政権に向けて三党の政策合意におきまして、被害者救済は重大な課題であるという共通認識のもとにHIV訴訟に関する早期和解を推進するという姿勢で最重要課題として取り組んでまいりました。  その中で、三月二十九日に七年間にわたる東京大阪におきます提訴されました薬害エイズ訴訟が七年ぶりで和解成立したということはせめてもの救いというふうに感じますけれども、その意味を重く受けとめて、そしてこれからの対策に万全を期していかなければならないと存じます。記者会見原告のお一人の方が、死と向かい合いながら裁判を闘ってきた、生き抜こうとあきらめない気持ちを持ってきた、これからは恒久対策実現に向かって全力を挙げたいとおっしゃっていらっしゃいました。  和解後のなすべき課題は大変多いと思うのでございまして、この和解成立をいたしました現在、厚生大臣として今回の和解をどのように受けとめていらっしゃいますか、そして和解成立後の課題についてどのような認識を持っていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思います。
  7. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、石井先生の方からのお話がありましたように、先月の三月二十九日に東京大阪の両地裁におきまして、原告皆さんと国及び製薬企業との間で和解成立したところであります。  この和解は、御承知のように、昨年の十月に両地裁から和解の勧告がなされまして、森井前大臣和解のテーブルにのるべきという決断をされ、そしてこの橋本内閣が誕生するに当たりましての三党合意でも先ほど御指摘されたように和解による早期救済が三党の合意とされ、また総理自身施政方針でも述べられて、ある意味では与党そして内閣が一体となってこの問題、和解ということの実現努力した結果、こうした形が成立したと、そのように考えております。  しかし、七年にも及ぶ裁判ということで、原告団皆さんには大変苦しい思いをさせたということで、その裁判に時間がかかったことについても国としての責任を感じておりまして、そのことについても本質的な問題と同時にその和解の席でおわびを申し上げたところであります。そういうことを含めまして、一つの大きな山であったことは確かであって、そういう意味ではこの和解という山を越えられたことは大変重要でもあり、まさに厳粛に受けとめているところです。  しかし、同時に残された問題もいろいろたくさんありまして、直接的には、今、石井先生がおっしゃったように、これからの恒久対策、特にエイズ治療研究体制整備については、患者方々からの意見伺いながら、安心して治療を受けられるようなそういう体制をきちんとつくらなければならないと思っているわけであります。また、遺族皆さんに対する鎮魂・慰霊の措置につきましても、関係者皆さんの御意見を聞きながら、具体化に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。  さらには、こうしたことになった原因、さらにそういうものを踏まえての今後の薬事行政あり方、こういった問題については、この国会質疑ども踏まえながら、今後の問題として積極的に検討して取り組んでいかなければならない、このように考えております。
  8. 石井道子

    石井道子君 大臣からお話のありました恒久対策、また真相解明再発防止の三つの課題につきまして、連立与党としてもエイズワーキングチーム中心といたしまして、患者さんや遺族方々と話し合いをしながら、御意見伺いながら、和解成立後の最も重要な課題として位置づけてきたところでもあります。  真相解明につきましては、厚生省といたしましても大変御努力をされてきていると思いますが、既にその関係ファイルが二度ほど公表になりました。そしてさらに、この間さらに新しいファイルが出てきたということでございまして、四月二日の厚生大臣記者会見でおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、その新しいファイルが発見されたという報告を受けたと発表されたその厚生大臣に改めてその概況についてお伺いをしたいと思います。
  9. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、石井先生からお話がありましたように、四月一日に従来に加えて、直接的には関連の深いものが七冊、いろいろ聞きますと、さらにそれに加えて業務局の方で既に二十冊のファイル存在を確認していたと。それは、一月二十三日につくりました調査プロジェクト調査をしたときに、二十六日に、すべて合わせますと、既に公開したものあるいは公開予定のものの三冊を加えて三十冊のファイルが、その存在がその時点で確認された、発見されたということであります。  そして、私のところに対する報告はたしか二月の九日に、業務局関係がその三冊に加えてもう一冊別のところから見つかったものがありましたが、そういう報告がなされたわけですが、それ以外のものにつきましては、エイズ研究班との関連性が薄いということで、四月一日の時点まで私の方には報告がされておりませんでした。  その後、今後の真相解明に資するものがないかということでさらにそれぞれの部署で調査を進めていた結果、関連性の薄いと思っていたものの中でも重要なものがあるということが判明したということで私の方に報告が上がってきたという、そういう経緯であります。  しかし、そのエイズ研究班との関連性が薄いということであるわけですが、内容的に見ますと必ずしもそうは言えない内容もかなりありますし、もともと私の方で調査を指示したのはエイズ研究班に限定したことではないわけでありますので、そういう点では、資料存在報告がおくれたこと、さらにはそれを国民の皆さんに対して報告することがおくれたことについては適切な対応ではなかった、こう考えておりまして、今後できるだけ早急に必要なものについては公開していきたいと、このように考えております。
  10. 石井道子

    石井道子君 ファイルが発見されたのがいつであるとか、あるいはどのような経過をたどって報告されたのかということにつきまして業務局長にお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  11. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいま大臣からもお話がございましたが、一月二十三日のエイズ調査プロジェクトチームの発足を受けまして、業務局内事務室あるいは書庫の調査を改めて徹底をいたしたわけでございますが、その中で、いわゆる審査課から課長ファイル、あるいは企画課血液事業対策室から今お話を申し上げますエイズ関連資料としての三十冊のファイルが発見をされたわけでございます。  私どもの方は、当時このエイズ研究班資料が長い間にわたって見つからなかったということについて徹底的に調査をするという考えで、そのところに重点がございましたためにそういった目で見てまいりまして、それについて、三冊についてはその段階で分類をいたしたわけでございますけれども、それ以外に七冊について、関連性を認めておったわけでありますけれども、比較的その関連が薄いということで公表をしなかったものでございます。残りの二十冊につきましては、これはエイズ関係をいたします一般的な資料でございました。  私どもといたしましては、そういった経緯ではございますけれども、やはり、今、大臣からお話がありましたように、真相解明というのはエイズ研究班関係資料だけではございませんので、もっと総合的な広い視野で資料の点検をすべきであったというふうに深く反省をいたしておるところでございます。  この関係資料につきましては、四月一日に大臣報告をいたしまして、二日に大臣からファイルの概要について発表をしたところでございます。  現在、このファイル内容については精査中でございますけれども、できるだけ早い時期に公表をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  12. 石井道子

    石井道子君 今、精査中であると伺いましたけれども、多少そのファイルの中にあります資料の中で原因究明真相解明に対して役に立つような資料がおありになるでしょうか。いかがでしょうか。
  13. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この七冊の中の一冊は、当時いわゆる生物製剤課郡司課長のもとで課長補佐を務めた人がファイルをした、あるいはその後任者ファイルをしたというふうに判断されるものがありまして、その中には例えば外国政府が当時この問題に対してどのように対応したのか、それを各国政府に大使館を通して問い合わせをした、そういった資料、あるいは国内外の企業に対して血液ないし血漿を輸入する場合のハイリスクグループのスクリーニングをどういうふうに対応しているのかという、そういう報告を受けているといったこと、さらには日本国内血、つまり国内で供給された血液によって血友病患者皆さんに対するいわゆる薬といいますか、凝固製剤がつくれないか、どの程度がつくれるだろうかといったような検討、さらにはトラベノール社の方から加熱製剤説明書、さらにまたトラベノール社が一部非加熱製剤の回収をしたといったような報告、またいわゆる郡司ファイルという中にありました七月四日及び十一日のペーパーと同一のものなどが含まれております。  そういった意味で、かなり重要なものが入っていると私は判断をしておりますが、よく言われるように、それですべてのことが決定的に解明ができるものかと言われますと、そこまで決定的とはなかなか言えないかもしれないものでありますが、当時のことを知る上では十分役に立つものだと考えております。  この資料、できれば明日ぐらいには公表をいたしまして、検討をさらに加えて真相究明に努めてまいりたい、こう考えております。
  14. 石井道子

    石井道子君 国会におきましても、その真相解明につきましてはさらに取り組んでいかなければなりません。そして、本日の理事会におきまして、参議院厚生委員会の中に薬害エイズ問題小委員会を設けることを決定いたしたところでございます。  これから真相解明について取り組むわけでございますが、今までも厚生省として調査プロジェクトチームをつくられていろいろやっていらっしゃいました、御努力をされてまいりましたが、今後の対応、具体的にどのようにされる御予定か、そして厚生省自身真相解明再発防止に対してどのように取り組んでいかれますか、お伺いをしたいと思います。
  15. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今回のような薬害エイズの問題を二度と起こさないということを、これは和解における確認書の中でも大変厳しく指摘をされ、また約束をしたところであります。  そういった意味で、まずは徹底した真相解明が重要と考えて、先ほど来申し上げたような形で調査プロジェクト中心に事実関係調査、整理を行い、結果を順次公表いたしているところです。しかしながら、なお不明な点もありますので、補完的な調査を引き続き行いまして、新たに必要な問題については先ほどのファイルを含め順次公表していきたいと思っております。  また、こうした事実関係解明を踏まえて、行政としての責任を厳しく受けとめて、薬事行政のこれからのあり方、その見直しなど再発防止に取り組んでいく必要があると考えております。  これまで調査プロジェクトの中で報告した中でも、今回のエイズ問題では政策決定プロセス薬事行政あり方についていろいろと反省するべき面があると思っております。これらについて実は今、調査プロジェクトだけでそこまで次の改革について議論をするというのはやや、何といいましょうか、目的からして無理がありますので、場合によっては並行的に今後の問題を検討するような場をつくることを今検討いたしております。  例えば、ソリブジンの問題のときには厚生大臣私的諮問機関をつくってそれらの対応策を決めて、最終的には薬事審議会で法案を諮問して答申を受けたわけですが、今回、もう少し幅広い問題でありますので、幅広く薬事行政あるいは再発防止検討していただけるような、議論していただけるような有識者を含めたそうした何らかの場を近々お願いできないかということで今検討をいたしております。  そういう中を含めて、現在の政策決定プロセス改善あるいは情報収集あるいは公開あり方、さらには医療機関患者への情報提供研究班議論公開、さらには薬事行政、その組織の改善、こういった問題についてもいろいろと御議論をそうした場も含めていただきたいと思っております。  こういった意味で、こういった議論をする場を含め、もちろん国会での議論を含めて、これからの薬事行政あるいはこういった問題の再発防止について議論を進めていただき、改革に取り組んでいきたい、こう考えております。
  16. 石井道子

    石井道子君 今まで薬害エイズ方々大変偏見とか差別の中で御苦労されたと思いますし、十分な医療が受けられなかったという状態があったのではないかと思います。そしてまた、エイズ感染者に対します立ちおくれがあると思います。  そういう点で、今回の恒久対策一つといたしまして、エイズ患者方々の最も切実な問題として、患者方々が安心して差別偏見のない医療が受けられるような、そういう医療体制早期に確立する必要があると思います。特に、その中心となるエイズ治療研究開発センターとかエイズ拠点病院整備について考えていらっしゃるようでございますが、現在の具体的な構想についてお伺いをしたいと思います。
  17. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) エイズ患者感染者方々が安心して医療を受けられる体制整備することは極めて重要なことであると考えております。  このため、エイズ治療臨床研究情報収集とこれを提供すること、あるいはまた関係する職員の方々研修を担うエイズ治療研究開発センター、これは仮称でございますが、これを国立国際医療センター病院設置いたしますとともに、基礎研究を担う国立予防衛生研究所エイズ研究センター充実を図り、エイズに関する治療研究等センター的機能整備していくこととしております。  また、拠点病院整備につきましては、平成八年度予算におきまして新たに医療従事者実地研修及びカウンセラーの設置のための予算を計上させていただくなど、その一層の整備充実を図っているところでございます。  さらにまた、全国各地医療従事者やあるいは研究者の方、エイズ患者感染者エイズに関する最新の治療技術研究成果、治験の現状等に関します情報を手に入れることができますように、国立国際医療センターエイズ治療研究開発センター仮称でございますが、ここを中核といたしまして国立予防衛生研究所エイズ研究センター全国エイズ拠点病院等を結ぶ情報ネットワーク整備について検討を行っていきたいと考えております。  こうした取り組みを通じまして、医療体制充実を図っていくこととしております。  いずれにいたしましても、エイズ治療研究推進体制整備及び運営のあり方につきましては、患者団体方々とも協議をしつつ、今後具体的な検討を進めてまいることとしております。
  18. 石井道子

    石井道子君 エイズ患者とか感染者につきましては、全国的に分布をしているのでございますが、その中で東京都の関係が三二・七%ということで断トツに多いわけでございまして、次が茨城県の一一%ということになっております。中央におきます東京中心とした医療体制充実するということも必要でありますが、また地方においてもやはりそのような体制充実していく必要もあろうと思います。  医療機関というのは、特に大きな病院というのは、厚生省関係とかあるいは大学病院ですと文部省とか、また自治体病院ですと自治省とか、そういう行政の管轄が違うものですから、そういう面でそれぞれの医療機関省庁の壁を越えましてお互いに連携していく必要があるのではないかと思います。  以前に文部省関係で、一九八四年二月でございますが、大阪大学の山村元学長さんを団長といたします調査団をアメリカに派遣されました。そして、かなりよい調査をされたということで、そのデータが日本においてあるいは厚生省医療行政の中で生かされるべきでありますけれども、それがそうではなかったというふうに聞いているのでございまして、それぞれの役所の中で縦割り行政の弊害がこの問題に限らずいろいろ見られますけれども、今回はエイズ患者を救うという点についてぜひそのような連携をとりながら、国立病院とか自治体病院とか大学病院とか、そういう点の連携をとって全国くまなくそのような体制がとられますように御期待を申し上げる次第でございます。  それから、このエイズ患者に対しましては、二次感染、三次感染者の問題があります。この方々医療費の問題も心配をされているところでもありますし、またエイズ患者差額ベッドの解消の問題も言われているところでございます。大きな負担があるということも聞いておりまして、このような問題についてはどのように取り組まれるお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  19. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 最初に、石井先生のおっしゃいましたいろいろな拠点病院、確かに国立病院以外でも多くの公立や大学病院、これも国立大学病院もありますし私学の大学関係もあるわけでありまして、そういった意味では相互連携を図ることが大変重要だと考えております。  今月の十二日にエイズ拠点病院長会議の開催を予定いたしておりまして、相互のそうした形での連携を図っていきたいと思っております。  また、この機会をとらえまして、関係する省庁にもいろいろ御相談あるいはお願いをし、さらには地方自治体、いろいろな関係団体とも協議をしながら連携のとれた拠点病院整備に努めているところでありますけれども、そうした関係省庁との連携やあるいはそういったエイズ拠点病院長会議などを通して有機的な連携が図れるよう一層努力をしてまいりたいと、このように思っております。  また、二次感染、三次感染者医療費についてのお尋ねでありますけれども、基本的には感染をされている血友病患者皆さんと同様な扱いにしていきたいと考えております。  具体的に申し上げますと、血液製剤によるHIV感染者から二次的、三次的に感染した人の医療費について、エイズ治療に係る医療費負担が長期にわたって高額になることから、抗ウイルス剤投与などエイズ治療が必要になると思われる一つの現在の基準のようなものがCD4、陽性リンパ球が五百パー・マイクロリットルと書いてありますが、よく言われますCD4が五百という水準以下になった者について、現在、血液製剤による血友病患者感染者と同様に、高額療養費特例措置を講じて医療保険自己負担をまず一万円に引き下げております。そしてその上でこの自己負担分治療研究事業として公費によって負担をする、そういう二段階措置をとっておりまして、この医療費自己負担が結果的には解消する方向になっておりますが、これと同じ扱いを二次感染、三次感染の方にも適用したい、この方向検討を行っております。  さらに、エイズ患者差額ベッドの問題につきましては、エイズ拠点病院中心に、本人の意に反した不当な差額ベッド差額徴収が行われることがないように万全の措置を講じていきたいというのが第一の考え方であります。  さらには、具体的にはまず拠点病院などにおいて個室整備を促進し、同時に近く予定している拠点病院長会議などの場を活用して、不適当な差額徴収を行わないよう指導の徹底を図ることといたしております。また、新たに医療保険診療報酬における重症者加算の中で、他の患者さんからの感染防止といった治療上の必要からエイズ患者が個室に入った場合にはこの加算措置の対象として、これにより差額ベッド料の徴収が行われないよう医療機関の指導を徹底してまいりたい。免疫が下がった場合にいろいろな感染のおそれが高まるわけですので、そういう場合は治療上の必要ということで個室に入っていただく場合には医療保険上の加算措置を講じたい。これによってそれに上乗せする差額ベッドの徴収はないように指導していきたいということであります。  さらに、厚生省、都道府県に差額ベッド問題に関する苦情相談窓口を設置して、不適当な事例に対しては個別的に医療機関の指導を行うなどの措置を講ずることといたしております。このための都道府県の担当者間会議を緊急に開催し、これらの措置を周知徹底することといたしております。  これらのいろいろな措置を講じても、なおそれでもいろいろ問題が残る可能性がありまして、この問題は実は和解のときに、大阪原告団の中で一人大変今後のことを心配されて、この差額ベッドのことを含めて特にいろいろ要請がありました。私としてはこの問題は講じられるあらゆる手だてを講じて何とかしますからということで説得を申し上げた経緯もありまして、なおそれでも残った問題がこの問題で生じた場合には、別途措置をするということも含めて、本人の負担がないようにしていきたい、このように考えております。
  20. 石井道子

    石井道子君 現在、難病と言われる病気がいろいろとありまして、その治療薬がない、治療方法がないという病気がたくさんありますが、エイズもその中の一つでございます。ですから、できるだけ早くこのエイズ治療薬を研究開発していただきたいと思うわけでございまして、できるだけ早くこの薬を提供してほしいと願うものでございますが、エイズ治療薬の研究開発につきましてどのように取り組んでいらっしゃいますでしょうか、お伺いいたします。
  21. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) エイズ治療薬の開発でございますが、平成五年度からオーファンドラッグ制度というものを設けまして、このエイズ及び関連疾患の治療薬をオーファンドラッグとして指定をいたしまして、開発経費に対します助成金の交付でありますとか、あるいは税制上の優遇措置でありますとか優先審査を行う、そういったことでできるだけ早く患者方々に使用していただけるように配慮しておるところでございます。この四月一日にはラミブジンという薬、それからプロテアーゼ阻害剤としてリトナビル、インディナビルあるいはガンシクロビルにつきましてもオーファンドラッグとしての指定を行っておるわけでございます。  また、このエイズ医薬品の研究開発費につきましても、平成八年度に七年度予算額の倍増をいたしまして、国際的な英知を結集して、そしてエイズウイルスの増殖を停止させる医薬品の開発でありますとか、あるいは免疫機能を活性化させるための治療薬の開発に取り組むことといたしております。  それから、一日も早くこの治療薬を患者方々が使用できるようにいたしますために、それぞれの開発企業に対しまして治験の開始を急ぐように要請をいたしております。インディナビルにつきましては二月十三日、3TCにつきましては三月十八日、リトナビルにつきましては三月二十二日にそれぞれ治験届が提出をされまして、これらにつきましては五月じゆうには患者を対象といたします治験が開始されるものというふうに考えておりますし、またガンシクロビルにつきましても五月を目途に治験を開始する予定であるというふうに聞いておるわけでございます。  また、この服薬を希望される患者方々が治験に参加する機会をできるだけ確保していこうということで、製薬企業あるいは治験を実施いたします医療機関の協力を得るということ、それから患者方々に十分なインフォームド・コンセントを実施する、そういったことを前提にいたしまして、治験実施計画の目標症例というものを、従来数十例程度でございましたけれども、これを数百例程度ということで大幅にふやしまして、投与を希望します患者方々にできるだけ十分な薬が行き渡るように、今、企業に要請をいたしておるところでございます。  その際、患者方々に対しましてこの治験に関する正確な情報が提供できるということが重要でございますので、医療機関に対しましてはエイズ拠点病院を経由いたしまして情報の提供を行いたいというふうに考えておりますし、また患者団体とか医師等で構成をされます患者の支援団体に対しましてもこれらの情報を提供してまいりたい、このように考えております。
  22. 石井道子

    石井道子君 医薬品が大変長い期間を要して、多くの開発費を要して開発され、そしてまたそれが治験を通してさらに厳重な審査手続を経て承認されるわけでございますが、それが業務局レベルの仕事であろうと思います。そして、その薬がやはり市販後に臨床の場で、医療の場で使われた時点でどのような反応があってどのような成果があったと、副作用の問題も含めて特に情報の問題についてはかなり今後も厳重にチェックをして業務行政医療行政との連携を十二分に図っていく必要があるのではないかと思います。  今回の薬害エイズの問題、一連のさまざまな問題がありますけれども、かつてサリドマイドとかキノホルムなどの事件がありまして、これは二十年ぐらいにわたって争われました。今回は七年ということで早期に決着を見たところでありますが、そのようなやはり一連の問題を見る中で、それぞれの行政立場とかあるいは企業の論理とか、そして学者の権威とかあるいは医師の特権とか、さまざまな問題を抱えているのではないかと思います。大変専門的な分野で難しい課題でありますので簡単に素人がわかりにくい問題だけに、やはり関係する当事者の方々につきましては十二分にそれを踏まえて、自己の限られた、狭められた立場ではなくて、やはり患者中心立場考えをいたしていただきまして、そして問題解決のために取り組んでいただければよい結果が出るのではないかということを感じるわけでございます。  医薬品の副作用の問題も最近はさまざまな課題があります。そのことにつきまして、この医薬品の情報が迅速に国民に提供されますようにその仕組みを、ルールを考えていくことも必要かと思います。  今後も、業務行政とそれから保健医療行政との連携の中で、薬害の問題を最小限に、また絶対に起こさないようにということを踏まえて決意のほどを伺いたいと思います。
  23. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 医薬品の市販後におきます副作用情報収集と、そして関係者に対する提供ということは極めて重要な問題であると考えておりまして、その充実に努めておるわけでございます。  副作用情報収集につきましては、メーカー等からの報告を求める制度、それから希望する医療機関をモニター施設として指定をして行う、この二つのやり方をとっておるわけでございます。メーカー等からの副作用報告につきましては、最近の関心の増大に伴いまして件数も大幅に増加をいたしております。平成六年度には年間約一万三千件が厚生省情報として寄せられておるわけでございます。  また、市販後の安全対策充実いたしますために安全性確保対策検討会という私的な懇談会の中間取りまとめをいただいたわけでありますが、そういった中で副作用報告制度につきまして薬事法上しっかりとした形で法制化をしていくということを今考えておりますし、またこのエイズの問題を反省いたしまして、この感染症について新たな報告対象にするということで現在薬事法の改正法案を国会に提案させていただいておるところでございます。  また、副作用の情報の提供につきましては、こういった医療機関等から厚生省報告された症例につきましては中薬審の副作用調査会で因果関係の有無等について検討をいたしまして、必要に応じて添付文書の「使用上の注意」を改定する等の措置を講じまして医療現場へのフィードバックを図っておるわけでございます。  また、御指摘の保健医療行政と業務行政連携につきましてもこの検討会で御議論をいただいておりまして、医療現場におきます医薬品の使用の実態を踏まえました安全対策充実、あるいは医療機関の医薬品副作用情報収集、活用、そういったことについて今御検討をいただいております。その結論を踏まえましてさらに具体的な対策を講じてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  24. 石井道子

    石井道子君 時間になりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 長峯基

    ○長峯基君 自由民主党の長峯基でございます。  まず、エイズ薬害によりまして亡くなられた方々に対して心から御冥福をお祈りいたしますとともに、闘病生活を送っておられる方々に対し心からお見舞いを申し上げます。  私は、まだ国政に参加をさせていただいて短いのでなかなかなれない質問でございますけれども、厳しいところがあったらお許しをいただきたい。人の生命にかかわる問題でございますので、私も真剣に御質問を申し上げたいと思いますから、どうぞ真剣な御答弁をお願い申し上げたいと思います。  実は、厚生省というのは人々の生命を守る省だと思っているのでありますけれども、最近の報道あるいはいろいろな御答弁を聞いておりますと、組織を守るあるいは自分を守るということに力点が移っているような気がして大変残念であります。  一昨日の夕刊に、「「まだあった」とは 「あきれてものも言えぬ」」、「組織的資料かくした」、「和解の4日後…「犯罪だ」 厚生省へ不信噴出」、こういう新聞の見出しが躍っておりました。私は本職が薬剤師でございますので、医療に携わっている者の一人として、厚生省が国民の信頼を失っていることに大変残念な思いがいたしております。何とかして信頼を回復する努力をぜひしていただきたい。  実は、率直に申し上げまして、菅厚生大臣は非常に私はよくやっておられると思います。高く評価をいたしております。ただ、大臣のそのような勇気と決断とその部下の厚生省の職員の皆さん方の間に何か不信感があるのではないかということが大変心配であります。組織というのは、トップのリーダーのもとに全員が一致団結をして事に当たっていく、そのような姿の中から私は国民の信頼が生まれ、本当に国民のためになる厚生省が誕生するのではないか、そのように考えております。  荒賀局長にお伺いをいたしますが、先ほど大臣の御答弁で、この報告が非常に大事な資料であるということをお聞きしました。二十七冊、この報告厚生省のどのポジションの人が握りつぶしたのか。あるいはもっと端的な言い方をすると、これは大事でない、公表すべきでない、好意的に考えましょう、まあ大して大事でないと御判断なさったのはだれなのか。これは厚生省が組織としてではなく個人として私は責任を負うべき問題であると思いますが、御答弁をお願いします。
  26. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この新しいファイルにつきましての御質問でございますが、一月二十三日のプロジェクトチームの発足を受けまして、私どもも局内の事務室あるいは書庫の調査を改めて徹底いたしたわけでございますが、去る一月二十六日の段階企画課血液事業対策室からエイズ関連資料としての三十冊のファイルが発見されたわけでございます。これにつきましては、そのうち二冊が既に公表され、また訴訟関係ファイルについても近く公表をする予定でございます。  先ほども答弁をさせていただきましたが、ちょうどこのころにおきましてはエイズ研究班資料が発見をされないということにつきまして、私どももまず徹底してそのファイルがないかどうかという点検をいたしたところでございます。しかしながら……
  27. 長峯基

    ○長峯基君 そんなのはわかっているんですよ。どのポジションかと聞いているんですよ。
  28. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) そういった点が私どもの頭の大部分を占めていたということでございまして、もっと広い視野で、真相究明に幅広く役立つかどうかという資料の点検につきまして私も中心になってやるべきであったというふうに反省をいたしておるわけでございます。  そういった意味で、最近になりて、その点検をしました結果、真相解明に資する、役立つということの判断をいたしたわけでございまして、これについてできるだけ早く公表をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  29. 長峯基

    ○長峯基君 質問に答えていますか。
  30. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この資料の取り扱いにつきましては、今申し上げましたとおり、私が全体の責任を持ってやってまいっておるわけでございます。そういった意味では私に責任があると、このように考えております。
  31. 長峯基

    ○長峯基君 はい、それでいいです。これはこれ以上申し上げません、また時間がなくなるといけませんので。ぜひ答弁は簡潔に、もう今までのその経緯というのは全部知っているわけですから、同じ答弁を二度されなくて結構です。石井議員の質問もずっと聞いておりましたから、要を得て御答弁をお願いしたいと思います。  大臣にお伺いしますが、今までこの資料大臣報告されなかったと、突然こういう二十七冊の資料があるという御報告を受けられたときにどのように大臣はお考えになったか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
  32. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先月二十九日に和解成立しまして、それまで業務局を含めてそれぞれの部門の皆さん、大変御苦労されておりましたので、私としては率直に申し上げて、和解成立したということで、まだまだ残された問題はたくさんあるけれども一つ段階を踏んだということでちょっとほっとしておりました。  週が明けて四月一日、その日予算委員会が衆議院でありまして、夕方役所に戻りましたら、そういった報告が上がってきたわけであります。時間的にも余り十分な時間がないときでしたので、その場では七冊についてはんの短時間ざっと目を通しただけであります。ただ、その翌日までその中の中心的なものについて少し時間をかけて目を通したわけですけれども、四月一日の段階でも、そういうものがあるのであれば、最初に私に報告があったのは二月の九日ですから、率直に申し上げて当然そこであるべきだろうと思って、びっくりもしましたし、若干なぜなのかという思いもいたしました。  ただ、その段階では中身がまだはっきりしておりませんでしたので一応説明を受けた段階でありましたが、二日になりまして内容を私なりに点検いたしましたので、これはどう考えてみても、プロジェクトをつくったときに調査をすべき内容を十一項目挙げておりますので、本来その中身に明らかに該当するものだと思いましたから、そのプロジェクトの責任者であります多田次官に対して口頭でまず注意をいたしておきました。  今後の問題、まだまだ残るかと思いますが、私としては、それ以前の問題もいろいろありますけれども、少なくともプロジェクトをつくった以降、さらに何らかの意図的な形で資料隠しが行われるようなことがもう絶対あってはならないと思って強く指示をしてきたつもりでありますので、そういった疑いを持たれたということについては大変申しわけないと、そういう思いをいたしております。
  33. 長峯基

    ○長峯基君 まだたくさん大事な質問がありますので、聞いている趣旨を、みんな頭のいい方ですからおわかりになると思いますので、簡潔にお答えいただきたいと思うんです。  それで、大変これは厳しい質問でございますが、これですべてですか。私はこんな質問は二度としたくないんですよ、この国会の場で。まだあるんですか、まだあるんですかと。大臣、これですべてですね、隠されたものは。意識的と無意識的とを問わず、今回の二十七冊ですべて出たと、このように解釈してよろしいですか。
  34. 菅直人

    国務大臣菅直人君) なるべく端的にお答えしたいんですけれども、私が厚生省のありとあらゆるところを自分でチェックするということはとても不可能ですので、昨日もその責任者の事務次官に私も同じようなことを申しました。もちろん、事務次官もその責任者とはいえ、自分で全部調べるわけにはいかないわけです。  それに、もちろん資料は、例えばエイズという問題であれば現在に至るまで幅広くいろんな議論がされておりますので、多分非常に広くとればもっともっとあるのは当然だと思っております。ただ、それがこの薬害エイズの問題に関連してどこまであるかということでいえば、少なくとも過去のファイルについて業務局での調査はこれですべてだと業務局長から私は報告を受けております。  ただ、もう一度念のために、この一連の経緯がもう少し数日かけてはっきりした段階で再度すべての部門に対して改めて再確認をさせたいと、このように思っております。
  35. 長峯基

    ○長峯基君 事実関係を申し上げますが、一月二十三日にプロジェクトチームをおつくりになりまして、一月二十六日に資料が発見されました。それから、二月九日に大臣報告があったと。そして、一冊は、二月二十一日に郡司ファイル公表になりました。三月十九日に七冊が公表になりました。それから、三月二十九日に和解成立をして、四月二日に関連資料ファイル二十七冊があることが公表されたと、こういう経時変化であります。  それで、最初の資料の一冊と二十七冊、これは今のところいつ公表されるおつもりか、大臣に御答弁をお願いします。
  36. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 残された一冊と、今月一日に報告のあった七冊プラス二十冊の中の一番中心的だと思われる、少なくともその一冊については明日公表する予定であります。
  37. 長峯基

    ○長峯基君 私は地方議会に長くおりまして、今、大臣からそのようなお話を聞いたのでありますが、つまりきょう集中審議があるというのに、きのう出さずにあした出すということは、これはもうしょうがなかったとおっしゃるかもしれないけれども、少なくとも集中審議の前に、私はきのうもおとといも厚生省の方に申し上げました、資料を出していただかないと議論ができないんですよ。  マスコミと国会、マスコミが大事だと思っておられるのか、これは比較するということは大変マスコミに対して悪いけれども国会というものをどのようにお考えになっているのか、私は非常に残念でなりません。もっと早くこれは国会に出して、そして私ども議論の対象にしていただきたい。マスコミは真実を報道するだけです。しかし、決して私はマスコミに公表することが悪いとは申し上げません。しかしながら、国会軽視だと私は感じるのでありますが、いかがでしょうか。簡単で結構です、コメントをお願いします。
  38. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これまでもファイルそのものを公開する場合には、基本的には、国会の正式な場ではないかもしれませんが、衆参の厚生委員会中心にした関係者の方にまずお見せをして、そして同時的あるいはその後にマスコミにも公開するという手続をとっておりました。ただ、前回でしたか、若干その手順が一部、こういう言葉がいいのかどうかわかりませんが、マスコミに縛りをかけた形で提出したものが順序が逆になりまして、いろいろと御迷惑といいましょうか、そういう御指摘を受けたことがありまして、今回もその間違った轍を踏まないようにということをかなり配慮いたしました。  そういった意味で、二日に記者会見をして、確かに私から一部内容を口頭で申し上げましたが、資料そのものは現在まだマスコミには公表いたしておりません。私もできるだけ早く国会関係を含めて公表すべきだということで準備を急がせているわけですけれども、全体としては相当膨大なものであるためにどうしても明日ぐらいまでかかるということでありましたので、大変その点ではきょうの質疑に間に合わなかったことについてはおわびを申し上げたいと思いますが、経緯としてはそのことを十分念頭に置いて準備を進めてきた結果だということを御理解いただきたいと思います。
  39. 長峯基

    ○長峯基君 はい、わかりました。  具体的なことについて質問を進めていきます。御答弁は業務局長でも結構でございますので、よろしくお願いします。  まず、財団法人血友病総合治療普及会、安部英さんがおつくりになっている財団について、どのような目的といいますか、組織なのかということをちょっと簡単に御説明をお願いします。
  40. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 御指摘の法人は、血友病に関する研究を推進するとともに、血友病総合治療の普及を図ることにより、血友病患者の二次的障害を軽減してその社会参加を促進し、もって血友病患者の福祉及び保健医療の向上に寄与することを目的として設立された財団法人でございます。
  41. 長峯基

    ○長峯基君 まず、この財団は昭和五十八年に寄附金を受け入れ、スタートいたしまして、六十一年に設立許可になっておりますけれども、この趣意書の中に「現在使用されている血液製剤には、肝炎やAIDSの発症、凝固因子に対する阻止物質の発生等各種の副作用があり、深刻な問題となりつつあります。これらに対しては原因を明らかにし、安全な製剤を開発して治療法や予防法を確立することが焦眉の急を要する課題であります」というようなことが書いてございます。つまり、この五十八年当時、寄附金を受け入れるときに既にこの安部英さんはエイズの問題について十分の認識があったということが考えられるわけであります。  同時に、この基本財産でありますけれども、ミドリ十字から一千万、日本臓器から一千万、当時の日本トラベノールから一千万、カッター・ジャパンから一千万、化血研から三百万等寄附を仰いで、まさに製薬メーカーと血友病総合治療普及会というこの財団法人は癒着した形でスタートしている。しかも、五十八年当時、エイズに重大な、血液製剤に副作用のあることを認識している、それを厚生省は許可しているという実態があるわけでありますが、特にこのメーカーとの癒着について、大臣、どのようにお考えになるのか、御答弁をお願いします。
  42. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 公益法人の設立許可に除しましては、設立後の当該法人の事業が真に公益に資するものとなりますようにいろんな観点から検討をし、審査を十分しているものでございます。  御指摘の法人は、血友病に関する研究の推進を主な目的といたします法人でございまして、血友病についての研究が進むということはこれは望ましいことでございますから、目的及び事業内容の公益性や事業活動遂行のための基本財産の確保等について十分審査をいたしまして許可をしたものでございます。  しかし、今から考えますと、この当該財団の中心的な先生が治験をされたということ、それからまたこの治験の時期に非常に近いと、それから治験を依頼された製薬会社から基本財産というものについて御寄附をいただいたというようなことについては、これは、今、委員御指摘のような別の面から検討されるべき問題があったのではないかなと、こんなふうに考えております。
  43. 長峯基

    ○長峯基君 大臣は一人だと思いますので、大臣にお聞きしたときはコメントで結構ですから。今、局長がおっしゃったことはもう全部わかっているんですよ。そういうもとで許可をしたことはわかっています。しかし、メーカーとの癒着をどう思うかと大臣に聞いたんですから、大臣が好ましくないとか、一言でいいんですよ、そういう答弁を期待しているわけですから、よろしくお願いします。  次に、昭和五十八年六月十三日に第一回の「AIDSの実態把握に関する研究班」が開催をされました。感染経路としては血液や精液等を介することが疑われるということです。そして、七月に厚生省は、日本血液製剤協会を通じて、輸入血液製剤、原料血漿について、エイズのハイリスクグループから供血されたものではない旨の証明書の添付を血液製剤メーカーに指示をされた。  局長で結構ですが、どのような方法でどこに指示をしたのか。そして、その指示は薬事法何条、つまり法的な位置づけはどこなのか。三番目に、証明書の添付を指示したということでありますけれども、その効果はどうであったのか。  この三点について伺いたいと思います。
  44. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお尋ねの昭和五十八年七月二十二日のハイリスクグループから供血したものではない旨の証明書の添付の関係でございますが、この血液製剤メーカーに対しましては、これはただいまお話もございましたが、社団法人の日本血液製剤協会というものを通じまして行っておったわけでございます。これにつきましては、関係業界に対します指導、通知等につきまして、この業界団体を通じまして指導の徹底、そして効率的な実施ということをねらいとしておるわけでございます。  そういったことでございまして、血液製剤メーカー全体が関係する事柄でございましたので、日本血液製剤協会を通じまして行ったところでございます。これはあくまでも行政指導という形でいたしたわけでございます。そういった意味では、法的な裏づけといいますか、そういったものではございませんけれども、今申し上げましたような形で法的義務を課すものではございませんが、こういったことについて実効ある措置をとってまいりたいと、このような考え方でやったわけでございます。  これについては、既にアメリカにおきましてもこのハイリスクグループの排除ということは非常に重要な対策の実施ということでやっておるわけでございまして、私どもにおきましても、この当時におきます有効な対策一つであったというふりに認識をいたしております。
  45. 長峯基

    ○長峯基君 それでは関連して、社団法人日本血液製剤協会というものについてちょっとお伺いしますけれども、この協会はどのような目的でつくられ、その役員ですね、会長はどのような職業の方か、理事長というのはどのような前歴の方か、御答弁をお願いしたいと思います。
  46. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお尋ねの社団法人日本血液製剤協会でございますが、これは血液製剤の品質の改善を期しまして優良な製剤の普及を図りまして、血液製剤事業の進歩発展によります治療医学の向上を図るということで昭和三十二年三月に設立をされたわけでございます。  事業内容としては、新しい血液製剤の開発に関する研究でありますとか、あるいは生産、需要等に関する調査等の事業を行っておるところでございます。
  47. 長峯基

    ○長峯基君 役員。
  48. 今井澄

    委員長今井澄君) 効率的な答弁をお願いいたします。
  49. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この社団法人日本血液製剤協会の理事長は、元厚生省局長をいたしておりました宮嶋理事長でございます。
  50. 長峯基

    ○長峯基君 会長は。
  51. 今井澄

    委員長今井澄君) 荒賀業務局長、会長名。
  52. 長峯基

    ○長峯基君 いいです、事前に資料はいただいておりますから。会長は川野武彦、株式会社ミドリ十字社長です。  つまり、私が何を言いたいかということはおわかりになると思うんですが、先ほどの財団法人血友病総合治療普及会、社団法人日本血液製剤協会、また、もう次は質問いたしませんが、財団法人血液製剤調査機構等々、このような財団ですとか社団法人というものは製薬会社と厚生省OB、この血液製剤協会の理事長が元厚生省業務局長、そして会長が株式会社ミドリ十字の社長、もちろん役員はそれぞれ製薬メーカー、つまりそういう一つのつながりの中で血液行政が行われていた。  そして、口頭でハイリスクグループに添付文書をつけなさい、はい、つけましたよと、果たしてそういうことが十分に行われたのか、そして所期の目的が達せられたのか。事は人命にかかわる問題でありますから、私は決して荒賀局長を責めているわけではありません、当時のそれぞれのこのポストにあった人たちの本来ならば生の声を聞きたい。非常にこれは大切な問題であるということを指摘いたしておきたいと思います。  まさにこの薬害エイズは起こるべくして起こったのではないか。それだけに、真相を究明して、二度とこのようなことが起こらないようにするにはどうするのかということをぜひ厚生省の幹部の方々にはお考えをいただきたい。  次に、昭和六十年七月一日に加熱製剤が承認をされました。そして、ミドリ十字だけについて申し上げますと、第Ⅷ因子は昭和六十年十一月に、第Ⅸ因子製剤は昭和六十一年五月に回収が終了をしたという報告があったそうであります。そして、立入検査をしてみたら、実に昭和六十三年四月まで在庫整理をしていたということが確認をされました。  三点お伺いします。  まず第一点は、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子、昭和六十年十一月並びに昭和六十一年五月に回収が終了したというのは、どのような方法で確認をされたのか。これは以前に厚生省から一遍発表がありましたので、どのような方法でこれは確認されたのか。  二番目に、六十三年四月という最終確認はどのような方法で行ったのか。  三番目に、なぜもっと早く薬事法第七十条に基づく回収命令を出さなかったのか。  この三点についてお伺いいたします。
  53. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) まず、最初の御質問でございますが、これにつきましては先ほど申し上げましたが、昭和六十二年三月二十五日に先ほど御説明をさせていただきました日本血液製剤協会を通じてこのⅧ因子並びにⅨ因子の非加熱製剤の回収状況、非加熱製剤の最終蔵出し、あるいはこの非加熱製剤を市場から自主回収した措置等につきまして報告を求めたわけでございます。  それから、ミドリ十字の関係でございますけれども、この関係につきましてはただいまの血液製剤協会の報告を受けておったわけでありますが、これはことしに入りまして再確認を行いましたところ、その間の事情についての十分な説明が得られなかったということで、去る二月二十三日に本社並びに関係工場に対して立ち入りをいたしたものでございます。そういった調査によりまして、先ほどお話のございましたように、回収時期について第Ⅷ因子製剤については二年五カ月おくれ、あるいは第Ⅸ子製剤については二年二カ月おくれということで、その間まで終了をしていないということが明らかになったわけでございます。  また、第三点の回収命令の問題でございますけれども、当時の事情を生物製剤課の職員の回答をプロジェクトチームが求めましたところ、この加熱製剤の供給が開始されました当時、非加熱製剤を一斉に回収いたしますと患者方々治療に重大な支障を来すということで、それぞれメーカーが従来使用していたものと交換する方法で自主的に取りかえるという形で非加熱製剤を回収したということでございまして、そういった事情で回収命令をかけなかったということでおおむね回答が一致をしておるわけでございます。  私どもとしては、当時の事情といたしましてはこのような認識であったとは思いますけれども、これは今回の和解関係裁判所の所見に示されておりますように、血液製剤を介して伝播されますウイルスによりまして血友病患者エイズに罹患する危険性、あるいはエイズの重篤性についての厚生省認識というものが十分ではなくて、期待をされた有効な方策を講ずることがなかったものというふうに考えておる次第でございます。
  54. 長峯基

    ○長峯基君 この加熱製剤が承認されてから最終的にミドリ十字が完全に回収するまで二年九カ月かかったということでございますけれども、ここでも日本血液製剤協会を信頼してその報告をまともに受けていたと、そのことが立入検査をしてみたら間違っていたということでありますが、虚偽の報告をしたという点が一つ、それからミドリ十字が昭和六十三年四月までそれを販売し続けたということの問題点が二つあると思うのでありますが、これに対してどのように薬事法上は処理をされようとしておられるのか。  大臣に一点だけ。  今指摘を申し上げましたけれども、このような財団法人とか社団法人というのが、もちろんこれは厚生省だけではありませんけれども、雨後のタケノコのようにあるんですね。そして、そこに癒着と言ったら言葉は悪いんですが、それなりの効果もあるでしょう、しかし今回このようなことが明確になってきたということについてどのように考えたらいいのか、考え方だけは大臣にお聞きしたいと思います。
  55. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 最初の報告と立入調査をしたこの二つの結果が余りにも違っているというのは私も、当時からといいますか、非常に問題が多いと思っております。その過程において、今言われました虚偽の申し立てがあったのか、あるいは部分的に聞いているところによると、最初の協会を通しての問い合わせのときの問い方と立入調査をしたときの問い方に差があって、当時は当時の問い方に対して答えたんだというようなことを抗弁しているという話も、これは正式ではないですが、聞いております。  そういった点で、今おっしゃった点でまさに二つ問題があると思います。つまり、事実関係として、虚偽の申し立てをしたとすれば、それは立入調査の結果わかった結果に基づいて何らかの薬事法上の処置をしなきゃいけないと思っております。  また、この財団なり社団なりを通してやったことが必ずしも正確な形で行政の意図と一致をしない形で行われていたとすれば、やはりこういう団体が間に介することによって、両者といいましょうか、当事者である薬メーカーもあるいは厚生省もどちらもが何となく責任がどちらにあるかわからないというような過程になっていることになりますので、こういうことがもしあったとすれば、この場合においても何らか今後のあり方については考え直さなきゃいけない、このように考えております。
  56. 長峯基

    ○長峯基君 それでは次に、いわゆる第四ルートについて伺いたいと思います。本来ならば専門家の方の御答弁が欲しいのでありますけれども。  つまり、血友病患者さんではなくて、手術をしたとか、あるいは小児の病気で止血剤として、第以因子製剤が多いようでありますけれども、第Ⅲ因子製剤からもこのような患者さんがおられるというような学会の発表もあっているようでございますが、全く身に覚えのない方がある日突然エイズだと宣言される。しかし、どれだけ考えてみてもそのような思い当たる節がない。ところが、何年か前に手術をした、それで、それもなかなか昔の話になりますとカルテもありませんのでいろいろと調べた結果、特定な方の中でそういう方が出てきていると。しかし、これはどれぐらいの広がりを持つか想像もつかないというようないわゆる第四ルートという疾病であります。  今回、プロジェクトチームをおつくりになって積極的にお取り組みだというふうに聞いておりますけれども、この第四ルートの実態と今後どのような調査を進めていかれるおつもりかについて御説明をお願いしたいと思います。
  57. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 今の第四ルートの問題でありますけれども、非血友病患者のHIV感染につきましては、四月二日に厚生省内にプロジェクトチームを発足させたところでございます。今後、医療施設に対する調査におきましては、カルテあるいは薬剤管理簿等を精力的に調べまして、薬剤投与及びHIV感染の実態把握の徹底に努あてまいりたいと、このように考えております。子の実際のやり方については、現在プロジェクトチームで検討中でございます。
  58. 長峯基

    ○長峯基君 これは積極的にお取り組みをいたがいて、それなりのデータが出た時点対策等についてはまた伺っていきたいと思います。  拠点病院公表について一つだけお伺いしたいと思うのでありますが、四十七都道府県、拠点病院は百八十五の医療機関があると。そして、今十三都県六十六医療機関が、三分の一でございますけれども公表になっているというふうな御報告をいただいております。  今回、参議院会議でもらい予防法の廃止ということが、これは遅過ぎた感もございますけれども、行われました。附帯決議の中で、患者皆さん方に対するおわびと今後の対策というものが決議されたわけでございますが、このエイズ患者さん方に対するいわゆる偏見差別というものがなくならない限り永遠にエイズ患者さんたちは救われない。どんなにお金をもらっても、人格が傷ついたということは人間としての尊厳を傷つけていると思います。しかも、公表しないというのは、患者が減るとかいろいろ理由はありましょうが、医療に携わる方々の御判断であります。私はこれが許せない。  例えば病院で、ある県立病院でも国立病院でも大学病院でもいいでしょう、公表するのかどうかという議論があるだろうと思うのでありますが、そのときは必ず病院長あるいは病院の役員、それぞれの部長あるいは看護婦長あるいは薬剤部長、その他病院のスタッフといいますか、幹部の方々か多分お集まりになって、公表するかどうかという議論があるんだろうと思うのでありますが、そのときに、人の命を預かる医療に携わっている方々が人間の尊厳性というものを否定して、患者か減るから公表しないとか、そのようなのは理由にならないと思うんです。  私は、公表しないという病院厚生省公表すべきだと思う。どうでしょうか。これこそ名誉挽回の意味も兼ねて厚生省が強力なリーダーシップを発揮して公表させるべきだと思いますけれども、御答弁をお願いします。
  59. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これは拠点病院公表の問題、実はもう一つ、先ほど委員の言われました第四ルートに関連して、どこでその非加熱製剤が使われていたかというこの病院の問題、若干性格は違うんですが、存在しております。  拠点病院につきましては、率直に申し上げて、今一生懸命お願いをして拠点病院をつくっていただいているという経緯があります。私も、今、長峯委員がおっしゃるように、病院というものは基本的には自分たちが治療が可能な患者さんを積極的に受け入れるということが社会的な使命でもありますから、拠点病院であることはぜひ公表していただきたい、そう思っておりますし、そのような指導といいますか、強いお願いをいたしております。  ただ、今のところやはり、何といいましょうか、お願いをして拡大をしている段階でありますので、強い要請という段階で現在進めておりまして、次第に理解が得られるものと、そのように考えております。
  60. 長峯基

    ○長峯基君 時間が参ったようでございますから最後にしたいと思いますが、私どもは先ほど皆さんと御一緒に黙祷をささげたわけであります。厚生省の職員の方が本省で二千人、全体では七千六百人ぐらいおられるということでございます。今、厚生省に対する批判というか国民の信頼が失われておりますけれども、私がこのようないろいろな質問をさせていただくのに、大体課長補佐あるいはそれよりも若い方々からいろいろと説明をしていただきます。非常にまじめに積極的に取り組んでおられます。きのうも夜中に資料を届けていただきました。  そういう方々と話しておりますと、なぜ厚生省がこんなに批判を受けなきゃいけないのかという疑問すらわいてくるわけでございますが、ぜひ菅大臣におかれましては、そのような職員、若い職員の皆さん方のお気持ちも酌んで、ひとつ全職員一遍ぐらい、一遍ぐらいと言うと失礼でありますが、このことに対して黙祷をする。やっぱり自分の責任、今はもう無責任時代でありますから何でも人の責任にしていくわけであります。  私は最初に、荒賀局長責任の問題をお伺いした。最後に自分の責任ですとお答えになった。これはもちろん局長責任でないことは私はわかっております。どの部署からそのような判断が出たかも大体わかっております。しかし、やっぱり局長が自分の責任としてとらえるところにこの問題はまず解決の第一歩がある。私は、本当に考えたら菅大臣には、何の関係もないと言うとおかしいんですが、今回のこのエイズ薬害は関係ないんですよね、たまたまこの時期に大臣に御就任になったのでおわびをなさった、本当に心から患者皆さんにおわびをなさった、そのことが今日の和解につながってきているというふうに考えるんです。  私もたまたまこの時期に国会に参画をさせていただき、そして勉強させていただく中に、余りにも組織を守る、あるいは組織のためには個人というものが本当のことを言えない、そのような状況があると思いますので、どうぞ大臣厚生省一丸となって、若い人たちの気持ちもよく聞いていただいて、二十一世紀の厚生省が国民に信頼されるような厚生省になるようにぜひ御努力をいただきたい。私ども全力を挙げて応援をしてまいりたいと思います。  最後に一点お伺いいたしますが、調査プロジェクトチームというのがございます。内部でいろいろなことを検討なさる。もうお聞きと思いますが、なぜ外部の人を入れないかという問題がございます。  例えば、TBSの問題でも内部でプロジェクトが調査をする。同時に、せんだって調剤薬局がいろいろ問題を起こしましたね。そのときも社長が、それでは調査委員会をつくりますと胸を張って言うんですよ。だれも信用しない、そんなことは。厚生省の役人が調査プロジェクトチームをつくって調査をします。出た中間報告は記憶にない、わからない。期待したとおりの報告なんですよ、言葉は悪いけれども。  そうじゃなくて、そこに弁護士や患者さんやいろいろな人を入れてオープンにして、その中で議論をする、そして悪かったものは悪かった、何も悪かったからあなたを殺すというんじゃないんですから、謙虚に反省をして新しい業務行政をつくっていく。そのスタートにしないと、今度は、今度はで三度目ですよ。確認書、もう三度目。こんなことが四度あったら大変なことでありますから、ぜひ大臣のリーダーシップで、ここは部外者も入れて、何とか再生厚生省に向けて、国民の信頼を得る厚生省に向けて御努力をしていただきますことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  61. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 調査のプロジェクトのつくり方については、今、長峯委員からもありましたように、外部の人を入れた場合にどうなるかということも検討をし、また今後も検討しなきゃいけないと思っておりますが、まずは内部でつくってここまで調査をしてきたということであります。  今後につきましては、外部の方も入った、あるいは外部の方を中心にしたこの薬害再発防止のそういう議論をしていただく場はぜひつくりたい。調査そのものについて外部の方を入れた場合に、権限の問題がどうなるかということを若干検討したことはあるんですが、飛行機事故の場合は権限を法律で付与されるという仕組みになっております。今回の場合に、そういう外部の人を入れて調査をしてくださいといったときに、その人たちに権限を与える形がとれるのかどうかというところで若干難しさを感じておりましたので、現在のところは内部で進め、また外部の人の入った何らかの場をつくりたい、こう考えております。  そして、最後に長峯さんの方から、今、国民の立場でなくて組織を守る行動が厚生省を含めて多いのではないかという御指摘がありまして、これは、今、住専の問題などでもあるいは似たような議論が他の省庁についてもあるかと思います。  確かに私も一人一人の厚生省のメンバーを見れば国民のためにという使命感を十分持って活動しているというふうに思っておりますけれども、ややもすればやっぱり組織になると過去の人たちがやったことを守ろうとするという性格が出ますので、こういった点は今回の問題を一つの契機にして、改めるべきものはまさに思い切って改めて、そして本当に国民の皆さんの信頼に足りる厚生省にしていかなければならないし、そのことにおいては厚生省一丸となって取り組めるものと確信しておりますので、どうか御支援のほどをよろしくお願いします。
  62. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。残り時間が余りございません。十二時ちょっと過ぎまで、約五十分ということでございますけれども、できましたら四十分ぐらいで終えたいなと思っております。しばらく質疑をさせていただきます。  石井先生あるいは長峯先生、両同僚からエイズ薬害の問題につきまして質疑があったわけでございまして、できるだけ重複を避けまして、言ってみれば少し違う観点から私は取り上げてみたいなと思っております。  と申し上げますのは、この問題の側面の一つとして、薬というものについての行政の取り扱いについて通常の政策決定システムとは違ったプロセスといいましょうか手続、あるいは判断というものがあっていいのではないかなというふうな気がしますし、今回の問題はそうした問題でもあるのではないかというふうな気がするからでございます。  御存じのとおり、かつて私どもは重大な薬害の経験をしてまいりました。サリドマイドあるいはスモンという大変大きな、苦い、ある意味では悲惨な体験を経て今日に至っております。それから、形は違いますけれども同じ薬の問題で今回のエイズ薬害という問題を抱え込むことになってしまったということは、一面、我が国における薬をめぐる行政の仕組みあるいはプロセスというものに問題はなかったのかなということにつきまして反省をし、新しい道筋をつけていく工夫も必要なのではないかなと、こんなふうに思うわけでございます。そうした観点から私は問題を取り上げてみたいと思います。  最初に、端的に言いましていわゆるエイズ研究班というのがいろんな意味で、資料がどうだったのか、あるいはそのときの判断がどうだったのか、製薬会社との関係はどうだったのかというふうなことでいわば論議になっており、そこが大きな争点、あるいは見方によっては疑惑ということになっているわけでございますけれども、翻って考えますと、そもそもこのエイズ研究班というのはどういう権限とそれからどういう義務とがあったのか。  一方で、医薬品についての最終的な責任を負う形になっておる厚生大臣厚生省との関係はどういう法律的な関係だったのかということにつきまして必ずしも分明ではないような気がするわけでございます。こうしたいわば便宜的な、何か参考意見を聞かせてちょうだいというふうな感覚かもしれません、法律的には。というようなことで事の重大な決定が行われ、それをいわば尊重して薬の取り扱いが決められるということは果たしてどうなのかなと率直に思います。  したがいまして、質問ということでございますけれども、このエイズ研究班という形で、当時のいわば重大な医薬品政策の決定のプロセスをこういう形で踏まざるを得なかったということにつきまして、その事情とそれから、これはいわば後知恵でございますけれども、現在から見てそのプロセスがどうだったかなということについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) エイズ研究班設置経過でございますが、これにつきましても調査プロジェクトの中間報告に当時の生物製剤課長の回答が寄せられておりまして、「一九八二年の暮れから八三年の極めて早い時期に文献を読んで危険を感じ、行動を起こしたと記憶している。」と述べております。  また、原因不明の感染症の担当は当然公衆衛生局ではありますが、血液を介しての感染症となると生物製剤課で対処してもよいのではないか、またこの生物製剤課血液事業研究費の所管でもございますのでその中に盛り込みまして、専門家に研究をしてもらうということでこれは公衆衛生局とも協議をして生物製剤課で取り組むことにしたということがこの経過でございます。  この血液事業あるいは原因不明の感染症をそれぞれ担当しております生物製剤課あるいは保健情報課にとりまして、このエイズ問題というのは非常に重要な事項の一つでございます。危険性が示唆される情報が得られますと、この安全対策あるいは予防対策をどのように講じていくか、その検討をするための専門家の協力を得るということはある意味で必要なことでありますし、また当然のことであったと考えております。  この時点におきましては、生物製剤課長の危機感はございましたが、まだエイズ原因は十分解明されておりませんで、両局、両課の連携でまずエイズの実態調査を行う、それからエイズに関する当時の治験にのっとりまして、免疫とか感染症あるいは血液血友病、疫学等の関連する分野を網羅し、またそれぞれの分野の専門家を集めて研究班を組織したというふうに理解をいたしておるわけでございます。  しかしながら、この研究班の性格というのは中薬審のような法律に基づく厚生大臣の正式の諮問機関ということではございませんで、これにつきましては、このプロジェクトチームの中間報告書にもございますように、研究班という専門家のみの検討結果に頼り過ぎたのではないか、あるいはまたこの研究班がサーベイランスという面とそれから血液製剤の安全対策という両面を任務にしたことが果たして適切であったかどうか、それから厚生省が政策判断をいたします段階検討の場をこういった研究班からきちっとした権限と責任を持った組織にゆだねるべきではなかったかという問題も指摘をされておるわけでございます。  こういった問題につきまして、今後、政策決定のあり方、そのプロセスの改善ということについては十分注意をし、またその改善に努めてまいりたいと、このように考えております。
  64. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 次に、医薬品というものの特性からしまして、ある特定の医薬品あるいは既存の医薬品についてのフォローの過程である問題が起こったときにどう対応するかというときの問題でございますけれども、察するに医薬品といいますのはプラスの面とそれからある意味でのマイナス面、いわゆる副作用というのが多分その典型になるんだと思うんですけれども、両面のプラスとマイナスといいましょうか、ベネフィットとリスクといいましょうか、というふうなものを持ちながら一つの判断を迫られるというのが通常の状態ではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。  これは、例えば他の政策決定と違いまして、最近ぎりぎりという言葉がはやっていますけれども、そうしたぎりぎりの選択というものが必要になってくる場面が多いのではないかなと、こんなふうに思うんですけれども、他の一般的な政策決定と違って、そうした医薬品の特性についてどういうふうに、ある政策決定をするときに判断する考え方といいましょうか、リスクとベネフィットというのをどのように評価して、どういう手続を経てそれを決定していくのか、選んでいくのかということについて、例えば現在の中薬審なんかではどんなふうに扱われるものなのか、簡単に御説明いただけますか。
  65. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 医薬品の承認審査プロセスにつきましては、御承知のとおりでございますが、メーカーが承認申請に当たりまして動物試験あるいは人を対象にした臨床試験等のデータを添付して申請をいたします。それで、メーカーから申請をされました医薬品につきましては、薬事法に基づいてまず事務局におきまして審査をいたしますが、これは提出資料についての臨床評価のガイドラインに沿ってきちっと収集、作成されたかどうかの確認でありますとか、あるいは有効性、安全性の評価に関する論点整理とか、それから過去の事例との比較等を行いますとともに、GCPの遵守状況、これはこの臨床試験が被験者の安全性、人権に配慮して適正に実施されたかどうか等、そういったことの実地調査も行うわけでございます。  その後、中薬審におきまして調査審議が行われまして、その時々の最新の医学、薬学の治験に基づいて、この医薬品の効果の大きさ、また反面、副作用の頻度、程度というものが詳細に調査審議されまして、そして既存薬との比較も考慮しながら、有効性、安全性が評価されるわけでございます。そして、薬事法に記載がございますように、申請された効能、効果を有するとは認められないとき、あるいは効能、効果に比べて著しく有害作用がある場合に医薬品としての使用価値がないというときには承認を与えないことになっておるわけでございます。そういった過程を経て、大臣が答申を中薬審から得ました後に承認を行っておるわけでございます。  このリスク、ベネフィットの基準、承認ということでございますけれども、これにつきましては有効性、安全性の観点で各種のガイドラインを作成しておりまして、その中で試験方法あるいは評価方法を示しておるわけでございます。  今申し上げましたようなこの基準につきましては、効能、効果とそれから有害作用を比較考量して、そして使用価値がない場合は承認を与えないということでやっておるわけでございますが、その基本的な考えは、その新しい申請に係る医薬品の有効性、安全性というものが既存の医薬品に比べて同等かそれ以上であるか、そういったことについての臨床試験の成績をもとに承認の可否を決定いたしておるところでございます。
  66. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 今、中央薬事審議会の実際の段取りのおおよその御説明があったわけでございますけれども、改めて中央薬事審議会というものが、薬事法という法律はいわば薬についての基本法だろうと思いますけれども、これを見てみますと、平たく言えば一諮問機関でしかないわけでございます。審議会というのはたくさんありますけれども、それぞれの審議会というのは性格が異なると思います。例えば、さまざまな広い分野の方々にお集まりいただいて、そこでいわば意見の集約のような形で審議会というのは機能する場合もあるかと思いますけれども、中央薬事審議会に期待されている機能というのはそうした一般的な審議会の機能とはかなり本来違うのではないかなと、こんなふうに思えてならぬわけでございます。だけれども、法律上出てくるのは、第三条にございますように、「厚生大臣の諮問に応じ、薬事に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に中央薬事審議会を置く。」と書いてあるんですね。中央薬事審議会というのはどういう権限でどんな義務を負って何をするのかというのは、率直に言いまして法律上何の根拠もないんです。これはどうなのか。  つまり、あくまでも薬事法で薬について一身に責任を負いその義務を果たす、まあ権限という表現になるのかもしれませんけれども、これは厚生大臣しかないんです。審議会は、それに対してその後ろにいて何か意見を言うかどうかというふうなことにとどまるわけですよね。この体系の中で厚生大臣、例えば大変そういう意味での見識とそれからそれなりの御見識もお持ちの今の大臣ではあっても、かなり専門的な問題等々についてやはり大臣が御自身で判断するのはかなり無理だろうと思いますし、かつまた業務局あるいは特定の課のスタッフを動員しましても、そこはそう容易な判断は、先ほど言ったようにプラスとマイナスの判断をしながら難しい手順を踏んで最終の判断をしなきゃならぬというときに、いわゆる役所の中のスタッフだけでどうにかなる問題ではないだろうと、こんなふうな気がするわけです。  一方で審議会がそこに一定の役目をしてもらいたいということで考えられるわけですけれども、法律的には先ほど言ったような形でしかないというのは、やはり実態とそれから法的な問題といいましょうか、システムとして私はしっかりしていないなというふうに思わざるを得ないと思うんです。この辺につきまして、例えば審議会をもう少し、いわば厚生大臣の後ろにくっついているのではなくて、表に出てそれなりの機能を果たすものとしてその権限と義務というものを、あるいは厚生行政との連携というのをどうやるのか、あるいは途中の審議なり何なりのプロセスをどういうふうに展開するのかということについて、もう少し表に出して事を決めていくような仕掛けにする必要があるのではないかなと、こんなふうな考えを持つわけです。  この点につきまして、厚生省、できれば大臣に一言、どんなふうなお考えをお持ちか、お聞かせいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
  67. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今の阿部委員の方からの御指摘は、本当にこれからの業務行政考える上で大変重要な御指摘をいただいていると思っております。薬事審議会というのは実質的には医薬品のいわば承認の審査をする機関という側面といいましょうか、そういう性格が非常に強いわけでありますけれども、例えば今回の問題でも、今回の場合、トラベノールというところがその裁判の過程で出しているものによると、承認申請を出したかったけれども、どういう形で出すのか、完全な新薬の形なのか、あるいは一部変更なのか、どちらで出していいかということをいろいろ業務局と相談したけれども、一年以上かかってもなかなか結論が出なかった。  私は特許制度というのに若干関係をしておりましたので、特許の場合はそういう手続過程が全部法律で決まっておりまして、こういう形があれば少なくとも出願という形でまず受けとめて、もちろん内容の審査は審査でやるわけですけれども、そういう手続過程がかなりはっきりしております。しかし、薬事審議会の場合は諮問機関ということで入口の手続過程も含めて必ずしも明確でない。そして、そこで出された結果は率直に申し上げて、薬のいろいろな専門的なことを厚生大臣が最終的に判断しろと言われても、それは専門家の集まりである中央薬事審議会の答申を尊重するということに当然なるわけでありまして、そういう点では、おっしゃるとおり、そういう形で来たことがいいのかどうか議論していただかなきゃいけないのではないだろうか。  いろいろな国の例なども見ておりまして、もう少し独立性を持たせた方がいいという議論も一部にはありますし、どういう形がいいのか、ぜひ御議論をこの場を含めていただいて今後の薬事行政改革一つ方向性を検討する上での材料にさせていただきたいと、こう思っております。
  68. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 同じ問題でございますけれども、現在の薬事審議会は、新薬の承認あるいはその手続上の変更というふうなことにつきましてはかなり実際上はマニュアルのようなものをお決めになって取り扱いを進めておるようでございます。  ただ一面、今回の血液製剤の変更というもの々やるかやらないかというふうな問題などに典型的にあらわれておりますように、新しい薬をメーカーからの申請があったときにどうするかということとはちょっと違った性格の、かなり専門的たテーマというものに取り組むというのは、必ずしも薬事審議会はそこに位置づけられていないよろな気がしてなりません。だからこそ、先ほどお聞きしましたようないわゆるエイズ研究班の組織が設置されたんだろうというふうに思うわけでございます。  医薬品の問題といいますのは、メーカーがおつくりになるものを審査して承認するかしないかというふうな、いわゆる行政法上で言う警察行政的な手法にとどまらず、言ってみれば医薬品政策というものが展開されなきゃならぬし、その政策決定、政策遂行についてその時々でかなり専門的あるいはある種の国民合意的なプロセスを踏むということが非常に大事な場面が多くなるのではないかなという気がするわけなんです。  そういうときに、先ほど同僚委員からの話もありましたように、例えば製品の回収だとか、あるいは改善命令というふうなものは現在いわば厚生大臣の権限規定としてはございます。だけれども、どういう場面で何をしなきゃいかぬかということは実は書いてないわけでございまして、権限規定としてあるかないかという問題と、それからその時々の医薬品政策上行わなければならないいわば義務ですね、だれが負い、どういうときにその義務が履行されなきゃならぬのかというふうな規定の仕方というのは、残念ながら今までの我が国の法体系ではなかなか見つからないのが正直なところでございます。  だからむしろ、二つございますが、一つは義務規定ですね。どういう場合にしなきゃならぬのかというふうな形でできれば法的な整備を図っておくべきではないかというふうなことが一つ。それからもう一つは、そうした重要な政策判断をするときに、それをいわば補佐するといいましょうか、あるいは事実上何がしかの判断をする上において必要な事前の判断というふうなものを得るための機関として例えば薬事審議会というふうなものを使う、あるいはそこに登場させることが考えられないのだろうかというようなことも必要になってくるのではないかなと、こんなふうに思います。  以上、二つの点につきまして、御見解といいましょうか、厚生省でこれから先御検討になるに当たりましてどんなふうなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  69. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 確かに、先ほどお話もございましたように、中薬審の機能はこういった新しい薬の承認審査ということを中心に行ってきておるわけでございます。  ただ、今お話にもございましたが、いろいろな副作用の問題でありますとか、あるいは新しい事態にどのように対応していくか、その際に中薬審として厚生大臣の諮問等に応じまして調査審議をする、例えば私どもが今回の薬事法の改正を提案させていただく前段階としては、中薬審に特別の部会を設けさせていただきまして、そこで十分な御審議をいただいて答申をいただく、これも薬事行政の新しい展開に向けての中薬審の一つの役割というふうに理解をいたしておるわけでございます。  また、私ども厚生大臣の権限というものが薬事法上いろいろな形であるわけでございますけれども、そういったものについての発動の基準でありますとか考え方でありますとかあるいはガイドラインでありますとか、そういったことについてもできるだけ明確にし、それを対外的に明らかにしていく、これは行政手続法の面におきましてもそういったことが要請をされておるわけでございますが、中薬審の運営におきましても、あるいはまた厚生大臣がいろいろな権限を行使するときにあらかじめそういったガイドラインなりあるいは発動基準といったものをつくることによって機敏で効果的な対応ができるように、そういった努力をしていかなければならないと、このように考えております。
  70. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ちょっと観点が違いますけれども、後でもう一度これからの審議会を中心にしたいわば権限の再編成というものには触れますけれども、その前に一つお聞きしておきたいと思うし、私の意見を申し上げたいわけです。先ほども残念ながら資料が後で出てきたとかいう話もあるわけでございますけれども、いわゆる公開の問題というのをどう考えるのかということについての私の意見でございます。  医薬品の承認、あるいは医薬品のさまざまな問題について、その時々の政策決定を例えば審議会に諮ったときに、いわゆる公開の問題をどう考えるのかということ。つまり、隠さないでオープンにしましょうよという意味での公開ももちろん大事な観点であり、開かれた行政という意味では私はそのとおりだと思いますが、一面、公開するということは、その時々のプロセスというものを確認するといいましょうか、どういう意見があり、使った資料はこういうものであって最終的にどういう判断に立ち至ったのかということを公開するということは、逆に言うと今私が申し上げたようなことを例えばその審議なりに参加した人たちの間で確認されなければいかぬわけでございますので、一つ政策決定プロセスというものがある意味では公開されることによって定着するという機能を持つのだと思います。  公開することは、逆に言うとそこから先に進める足場ができるのだということでもあるのではないか。逆にまたそうでなければ、ただ単に隠さないでオープンにしろというだけの話ですと、これは責任がどうなるのかということにもなりますので、非常につらい選択になりかねないので、むしろ公開というものを部分的にプロセスを一つ一つ手順を踏んで前に進めるための一つの手だてではないかというような側面で考えていただくことが大事なのではないかと、こんなふうな気がするわけです。ある意味では、その手続、手順と判断に最善の努力をする限りにおいて、その時々の責務は果たされたのですよということを確認するプロセスでもないのかなと、こんなふうにも思うわけでございます。  もちろん、そのときそのときの判断なり施策の展開がいわば十年先、二十年先に歴史的に見てどうだったのかということの責任と批判はあるにしても、直接的な、行政的な手法を展開するそれぞれのポストにいた者の仕事として、ある意味ではそれなりの手順を踏むことによって容認されるようになるのではないかなと、こんなふうな気もするわけなので、医薬品を取り扱うプロセスについてはそうした考え方というのがやはり大事になるような気もするわけですけれども、この辺について一言、局長なり大臣なり、何か御意見ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  71. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 阿部委員も長く行政におられたわけですので、今おっしゃったことについてはそういった経験を踏まえての御議論かと思います。私は、本当のところ、今おっしゃったことをぜひ現役の皆さんにも十分その重要性を一緒になって理解していただきたいという思いで聞いておりました。  つまり、まさにおっしゃったとおり公開ということを、私もこの間の経緯でいろいろ内部でも相談をしますと、そこまでなぜオープンにしなきゃいけないんですかみたいな感じでの受けとめ方がまだまだ強いわけです。しかし、私は公開することである意味では権限も責任も一部移っていくんだと。つまりは、公開しないということは、逆に言えばすべての責任をよくも悪くもそれはかぶらなきゃいけないわけでありまして、インフォームド・コンセントということも言われておりますが、そういった意味も含めて、こういう薬にはこういう効果があるけれども、しかしこういう若干の危険性があるけれどもどうしますかと言うことによって、選択されることによってある部分では責任も一部はそれを選ぶ側の方に移っていく、そういう面を含めてすべての問題にそうしたことがあるように思います。  おっしゃるように、今回の薬事、これは薬事に限らないかもしれませんが、薬事行政あり方については、例えばある薬が認可をされるに至った経緯がきちんとわかるシステムになっておれば、その後においてもその議論の過程を通してチェックもできますし、またオープンにする過程を含めていわばその後の公衆的なチェックにたえ得るというか、そういう形であるいは問題があれば指摘を受けてまた変えればいいという意味でも大きな意味があるというふうに思っております。  そういった点で、今、阿部委員のおっしゃった意見に私自身大変共感を覚えるものでありますが、そのことをどういう形で薬事行政あるいは行政一般にビルトインしていくかという、そこがこれからの御議論いただかなきゃいけない大変重要な点ではないかと、このように感じております。
  72. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 時間も余りありませんので、端的にあと二つほどお尋ねします。  結局、安全な医薬品、しかも一方で病気の治療ということでの役目もさせなきゃいかぬ、かなりある意味でのジレンマの中で判断をして前に進めていくということが必要になってきますと、かなり専門的なスタッフも必要でございましょうし、手続もプロセスも非常に大事になってくる。そうなりますと、人の上でもコストの上でも相当な費用が必要になってくる。言ってみれば、役人なり特定のお医者さんなりの善意の上に寄りかかるようなもの、あやふやなものであってはならぬのだろうというふうな気がするわけでございます。  そうなりますと、例えば医薬品の審査体制一つにしましても、今、大臣もちょっと触れられました他の国々の状況等を見てみましても、アメリカのFDAなりにつきましては千四、五百人の審査スタッフがいるだとか、あるいはイギリスの医薬品庁の二百五十名ほどの審査体制、専門員がいるとかいうふうな話も聞くわけですけれども、同じようにするかどうかというふうなことで考えるのは私は必ずしも賛成ではありませんが、やはり今の体制というのは少し脆弱であることは否定できないだろうと思うのでございます。  日本の場合は、先ほどから私は薬事審議会を例に挙げていますけれども、その辺の活用とこの権限、行政薬事審議会との権限なり義務なりというものを吟味した上で、薬事審議会をいわば中心にして補強していくという体制が一番現実的なのかなというような気がするわけです。  改めてそういう目で見ますと、薬事審議会は専門の事務局はないわけですね。全くない。それをタスクフォースといいましょうか、助ける仕掛けもない。全く民間のあるいは大学のお医者さんたちを中心にして、いわば審議会の委員なりあるいは専門委員ということで辞令一枚用意をして、もり時間もありませんから説明を受けませんけれども、極めてわずかな謝金ということで協力をお願いしている。いわばお願いするというふうな視点になっちゃうわけですね。これはやっぱりまずいのではないかなと。もう少し専門の事務局スタッフなりをまず置いて、一方で公務員としてどんどんふやしていくということはどうかなとむしろ思いますので、お話があるかもしれませんけれども、いわゆる医薬品機構と略称される極めて長い名前の機構があるわけですけれども、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、こう言うんだそうですけれども、この辺をもう一回、いわば医薬品機構、頭から略称の医薬品機構じゃなくてというようなことで、その機能として調査なり評価なり副作用なり、あるいは一面での研究なりということをやる機構として再編成をして、専門的な職員をそこに置いて、タスクフォース的に活用し、権限もある程度はっきりさせて、薬事審議会と権限をはっきりさせてやっていくというふうな体制考えられないかなと思います。  その際に、そのコストをどうするのかということでございますけれども、これはある意味じゃ言いにくいことなのかもしれませんけれども、私は一般会計でそれなりの覚悟が要ると思います。と同時に、それだけではなくて、これは国民の薬という安全あるいは有効性というものに対するコストですから、一つの提案として、例えば日本はほぼ一〇〇%医療用医薬品は医療保険で賄っているわけですから、保険の薬価を決めるときに全体に〇・一%か何か乗せればいいんだろうと思うんですけれども、というふうなことで全体のコストとして調達するという判断もあってもいいのではないかと。大蔵省に要求して十人ふえた、十五人ふえたというものではないだろうというふうな気がするわけでございますので、私はかなり思い切ったそのコストを賄うための体制というのをこの際おつくりいただいたらいかがだろうかなと、こんなふうな気もするわけです。  もう時間がありませんのでこれを最後にいたしますが、まとめて幾つかのポイントを申し上げましたけれども、これからの体制あり方、あるいはそのためのコストの賄い方ということにつきまして御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  73. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいま御指摘がございましたが、現在の私ども厚生省におきます審査体制、これは世界に通用する画期的な新薬について審査をしていくという体制としては、残念ながら決して十分なものではないというふうに考えておるわけでございます。  今お話もございましたが、そういった厳しい行財政状況ではございますけれども、いろいろな工夫をいたしまして、例えば医薬品機構の組織体制充実する、また厚生省自体の審査体制を強化していく、そして審査のレベルを上げていく、中薬審におきましてもそういった事務局のレベルアップによりましてより高度な評価判断に専念できるような体制をぜひやってまいりたい、そして欧米諸国と遜色のない審査体制を確立してまいりたいと、このように今努力をいたしておるわけでございます。  また、費用の問題につきましても、これは非常に重要な問題でございます。ただいま医療保険の観点からの御提言もございましたけれども、中薬審の今回の法改正におきます答申におきましても、こういった医薬品機構の調査・相談業務に要します費用は製薬企業におきまして手数料によって負担をしていただくということが提言をされておるわけでございます。そういったことも通じまして、外国の例も参考にしながらそういった手数料の内容も決めてまいりたいと思っておりますし、また先ほど出ておりました中薬審の委員手当の増額等につきましても今後処遇の改善努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  74. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、内容的なところは局長から答弁をさせていただきましたが、今の阿部委員お話を聞いていまして、これもちょっと類推なんですが、今から十数年前に特許庁が特別会計に移っておりまして、特許庁の審査がコンピューター化を含めてかなりお金がかかるというときに、いわゆる審査料によって賄うという形に移った経緯を私は知っております。  同じやり方があるかどうかは別として、今御指摘いただいたように、今財政的に大変厳しい状況を迎えておりますが、一方では積極的な意味でのいい薬をつくっていかなきゃいけないし、同時にその安全性を考えていかなきゃいけないという場合に、必要な体制は何とかつくらなきゃいけない。その場合に、今御指摘をいただいたようないろいろな形の中で、メーカーに負担をしていただくのがいいのか、あるいは結果的にはメーカーになるのかどちらになるのかわかりませんが、医療保険制度の中でそれを考えるのがいいのか、そういうことも大変重要な御提案として検討させていただきたいし、今後ともぜひこういった御議論を伺わせていただきたいと、そのことを申し上げておきたいと思います。
  75. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 終わります。
  76. 今井澄

    委員長今井澄君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十分開会
  77. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査のうち、薬害エイズ問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 平成会の釘宮でございます。  まず冒頭に、このたび血友病によるエイズ感染によってとうとい命を失われました皆さん方に心から弔意を表させていただきたいと思います。また、現在闘病生活を送られている皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。  本日、こうして集中審議を行うことになりましたけれども、私どもはこの薬害というものを二度と起こさないということを過去に何度も経験をしてきたにもかかわらず、今回またこうした事態が起こった、このことを思うときに、今回こそはという思いが強いのは私ばかりではないと思います。そういう意味で、きょうは原告団皆さん方も傍聴にお見えになっておられるようでございますし、特に厚生大臣、そして厚生省の幹部の皆さん方には、こうした原告団皆さん方の思いは、何としてでも真相究明をしていただいて、そして二度とこういう薬害を起こさないでいただきたいという思いでいっぱいだろうと思いますので、ぜひともこの真相究明についての皆さん方の真摯な対応を心からお願いして、私の質問に入りたいと思います。  まず、大臣にお伺いをしたいのでありますが、三月十三日付で東京HIV訴訟原告・弁護団が「薬害エイズ真相究明に関する弁護団中間報告書」というのを大臣あてに出しております。大臣、ごらんになりましたでしょうか。この中間報告を読ませていただきますと、ますます疑惑が募るばかりであります。大臣、この中間報告についての感想をまずお聞かせください。
  79. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この東京HIV訴訟原告・弁護団の方から出されました「薬害エイズ真相究明に関する弁護団中間報告書」は私あてに来ているわけですが、読ませていただきました。かなり分厚い内容になっておりまして、非常にいろいろな問題についてかなり突っ込んだ御指摘をいただいております。  今、委員もおっしゃいましたように、今回の薬害エイズ問題、こういうことを本当に今度こそは二度と起こさないためには徹底した真相解明が重要と考えておりまして、御承知のように、調査プロジェクトを役所の中に設けて十一の項目についてできるだけの調査をするようにという指示を一月二十三日に出しまして、現在までその関係調査が進んだところについて公表を順次いたしているところです。しかし、まだ不明な点もありますので、これからもさらに継続していかなければと思っておりますが、こういった調査の中で、この弁護団からの中間報告書でいろいろ御指摘いただいた点については、いろいろと参考にはさせていただいて調査に生かさせていただいております。  すべてのこと一つ一つにきちんとこたえ切れているかというふうに言われますと、あるいは当初の調査項目よりも広がった問題も出てきておりますのですべてにきちんと対応できているというところまでは必ずしも行っておりませんが、少なくともこの指摘も参考にしながら今後のさらなる補足的な調査もしていきたい、このように考えております。
  80. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 昨日の衆議院の予算委員会大臣が、厚生省の内部プロジェクトには調査の限界があるというようなことを発言なさっておりまして、先般の私の質問に同趣旨の答弁があったわけであります。  私はそのときに申し上げた。とにかく厚生省が本当にこの問題について真剣にこれを解明していくという姿勢が出てこない限りこの問題の真相はやみに葬られてしまう、そんなおそれすらあると思うんです。そういう意味では、きょう傍聴にお見えになっている皆さん方も、何かしらそういった意味での不信感が私はまだまだぬぐい去られていないというふうにも思います。  とりわけ荒賀局長、現職だということで本当に大変だと思うんですけれども、しかしこれは局長を責めるわけじゃなくて、今こうした問題が起こった背景は何なのかということについて、本当に厚生省が真剣になってこれを解明していくということが国民の負託にこたえるということに私はなっていくと思いますし、午前中の議論の中にもありましたけれども厚生省の信頼回復というのをやらなければこれは大変なことになるわけですから、私はこの調査項目、調査内容、こういうようなものについては、この弁護団がつくった中間報告、これを読むと非常に矛盾点、そしていろんな問題点が浮き彫りになっていますし、そういうような問題についてぜひこれを採用して参考にしていただきたい、このように思います。  ここに「薬害エイズ関連年表」というのがあります。  私はこれをずっと見たわけですけれども、この中に網をかけてある部分があるんですが、これはいわゆる情報公開されていなかった部分、いわば郡司ファイルを初めとする訴訟がある程度一段落してから後に公開された部分であります。  この網の部分を除いてこの年表を見てみますと、これは極めて厚生省が書いたシナリオというのがぴったりしてくるんです。このシナリオというのが、例えば八三年の六月にエイズ研究班ができて、それから危機感を感じて取り組み始めて、そして八五年三月に一号患者が出て、五月に血友病患者の第一号を認めて、そして七月に加熱製剤の認可をしている。  こうしてみると、確かに厚生省がたどってきたこのシナリオというのは我々から見ても何ら問題点はないわけでありますが、しかしその網で囲われた部分が出てきますとかなり矛盾点というのが出てくるわけで、この網で囲った部分の矛盾点を本当の意味一つ一つ解明をしていくということが私は大事だというふうに思うわけであります。  そういう意味で、これからこのシナリオ自体を我々としては一つ一つ検証をしていくということを、私自身もやっていきたいと思いますし、この後、小委員会等でも参考人等をお招きしてその辺を詰めていきたいというふうに思います。  私は、今回このエイズの問題について勉強を始めて最も感じたのは、今言いましたこの厚生省が書いたシナリオ、このシナリオというものは一度決めたら決して変更しない今までの行政なり官僚の体質というものが私はあると思いますし、そしてこのシナリオは一体だれが書いたのかということがどうも今の状況ではよくわからない。私は、このシナリオを書いた人と、そしてそれを書かせた人が必ず背後にいるんだというふうに思うんです。それは政治力かもわかりません。そういうふうなところにまで本当は踏み込んでいかなかったら、これからこういう問題というのは決して根絶されない、このように思いますし、そして私はこの問題を調査すればするほど、必ずそこに行き着くのは業界の利益を守ってきたというようなそういう姿というものが見えてくるわけでありまして、これは私の杞憂であればいいんですが、そういうふうな思いをするわけであります。  菅厚生大臣はこのエイズの、血友病の問題についてはずっと一生懸命やられてきた第一人者でありますから、ぜひ頑張っていただきたい。そして、今そこにおられる皆さん方は首をかけてでもぜひやるべきだ、私はそんな思いをいたしております。  それで、私は、この年表の網の部分、いわゆる今後議論をされていかなきゃならない部分について、きょうは時間が限られていますので少し論点を絞ってお伺いをしていきたいと思います。時間がありませんので極力短く簡潔に答弁をお願いいたしたいと思います。  郡司さんがプロジェクトチームの質問に「八二年の暮れから八三年の極めて早い時期に、村上先生から得た文献を読んで危険を感じ、行動を起こしたと記憶している。」と回答をしております。厚生省が当時濃縮凝固製剤によるエイズ感染の危険を十分認識していたというふうに思われるわけであります。郡司さんはそのほかにも「アメリカの血友病患者がリスクにさらされれば日本血友病患者も同程度のリスクにさらされることになると私は考えた。」と、このようにも言っておりますし、大河内一雄研究員は「米国で起きたことは日本でも起こると考えていた。」、「エイズの危険性を考えると国内献血からのクリオ使用が最も現実的であると考えていた。」と、このように述べておるわけであります。そして、七月四日に藤崎課長補佐が作成したと言われている「血液製剤の取り扱いについて」というものがこうした危機感を背景にして生まれてきたというふうに思うわけであります。  この点について、厚生省はこの時点で危機感を感じたということについてはお認めになりますか。
  81. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお話がございましたように、郡司課長がこのエイズの問題について危機感を感じ、そしてこのエイズ研究班をつくってできるだけ早い実態の解明と、そして対応策考えようとしたことは事実だろうと思います。
  82. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、厚生省として当時そういうふうな認識にあったというふうに認識しているかどうか。
  83. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この所管課の課長がこういう認識で取り組んだということは、厚生省もその担当課としての認識を持っておったということであろうと思います。
  84. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それなら、これが一週間後に、厚生省がこうした認識の上に立ってつくった具体策、加熱製剤の使用を推進させる、またトラベノール社に対して加熱製剤の輸入承認の申請を急がせる、また非加熱処理の製剤については米国原料を用いたものは扱わないよう業者に行政指導を行うというこの三つが一週間後に見事に消えちゃった。これはもう今まで何回も論議をしてきたことでありますから、私は少なくともここのところを解明するということは我々の責務だろうというふうに思います。  この点については、安部さん、郡司さんにぜひ国会にお越しをいただいて、そして解明に協力をしていただきたいというふうに思います。  このお二人について、委員長、ぜひ証人喚問をお願いいたします。
  85. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。
  86. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 そこでお伺いをいたしますが、八三年七月十八日の第二回エイズ研究班会議の議事録によれば、この会議で非加熱製剤に関しては当面輸入禁止の措置は必要ないとの結論が出されたようでございます。  この結論を導くに至った研究班内での議論の状況を聞かせてください。
  87. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) このエイズ研究班の第二回の会議議事要旨でございますが、この当日におきましては、安部班長より世界血友病学会出席後の報告、あるいは疑似エイズ症例の検討でありますとかエイズの概念の検討、あるいは厚生省エイズ対策検討、そういったことが議題とされておりました。  このエイズ対策検討の中には、業務局生物製剤課より、今後血液製剤に関してどのような対策を行うべきかとの質問がありまして、「研究班は当分の間は現状のままで良いと言う結論を出した。」という記述があるわけでございますが、その具体的な研究班検討状況についての記述はないわけでございます。  また、調査プロジェクトチームにおきましても、当時の生物製剤課の職員に対して事情聴取をいたしたわけでありますが、当時の課長補佐からは、「非加熱製剤について当面輸入禁止の措置は必要ないとの結論を得たと思う。」というような回答があったところでございます。
  88. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 これを荒賀局長にお聞きしても、当時局長がその場にいたわけじゃないので、これはまた参考人等をお呼びする中で解明をしていかなければならないことだというふうに思います。  同じく研究班の第二回の議事録には、安部班長よりストックホルムの会議報告があったと記載され、郡司課長は今回の追加調査に対する回答で、この報告がされたことによって大きな意味があったと述べていますが、安部班長がどのような報告をされたかということをちょっと聞かせてください。
  89. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) これにつきましても、第二回会議の議事要旨におきまして、安部班長から世界血友病学会の出席後の報告として、「血液製剤についての取扱いは現在のままで良いというのが、各国の意見であった。」というふうに記述をされておるわけでございます。  また、調査プロジェクトチームヘの当時の生物製剤課職員の回答によりますと、安部班長の報告によりましてどのような議論が行われたかということについての具体的な記憶をしている者はいなかったということでございます。
  90. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 肝心なところになると記憶にないというのはこれはもういつもあることなんですけれども、この辺が本当は一番大事なところなんですよね。私どもはこういった問題については、先ほどからも言っていますけれども、ぜひ参考人の皆さんには協力をしていただかなければならない、このように思うわけです。  この安部班長が参加をした六月二十九日のストックホルムで開催されたWFH、世界血友病連盟総会でありますが、このWFH勧告というのは濃縮製剤の使用継続というものを国際的にある意味ではお墨つきを与えたような会であったと言われております。  そこでお伺いをしたいんですが、厚生省はこのWFHという機関をどのような機関と考えていたんでしょうか。
  91. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) WFH、世界血友病連盟の性格につきまして昭和五十八年当時厚生省としてどのような機関と考えていたかと申しますことは現在よくわからないところでございますが、厚生省において当時エイズ研究班設置をした生物製剤課長に確認いたしましたところ、このWFHは世界の血友病に関する学会の連合体と考えていたと、こういうことでございます。
  92. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 このWFHについては、いわゆるこの大会のスポンサーが血液製剤メーカーであったということが言われております。そして、この中にはもちろんミドリ十字も入っておるわけでありますけれども、こうしたスポンサーがつくった会合のお墨つきがそのまま研究班会議の中で反映をされたということになれば、これはある意味ではそういう加熱製剤をまだ研究開発が進んでいなかったそういうメーカーに対してこの会合がお墨つきを与えて、それに日本厚生省が乗ったということになるわけですけれども、その点についてはどうですか。
  93. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 調査プロジェクトチームの当時の生物製剤課職員の回答によりますと、この加熱製剤については、副作用、効果等に疑問があるとの慎重な意見が強かったと思うという回答をしておるわけでございますが、第二回会議におきますこの血液製剤対策に関する結論につきましては、この安部班長の世界血友病連盟の報告だけをもとに出されたものではないというふうに考えられるわけでございます。  しかしながら、当時のアメリカのCDC等の政府機関におきましては、このエイズについての危険性ということについていろいろと警告もいたしておったわけでございますので、そういったことについても十分留意をしていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  94. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それじゃ次に移ります。  一九八三年の五月に、トラベノール社日本に輸出した製剤の原料血漿提供者の一部がエイズの症状を呈したという理由で製剤の回収を行っております。しかし、この製剤回収の報告書は研究班にも風間小委員会にも報告がなされなかった。そして、公表がなされておりません。研究班に判断を求めながら、その研究班に自己が把握している重要な情報を偏った判断から提供しないという当時の厚生省の姿勢は至るところに見られるわけでありますが、その一端を示す事項と私は指摘したいと思います。  この点について、郡司課長は当時、上司にも報告していない、意味がないと判断したからというようなことを述べておるわけですが、このことについてどういうふうに御認識ですか。
  95. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお話のありましたように、郡司課長は、このエイズ研究班への報告を行っていない理由については、意味がないと判断をしましたので研究班にも報告はしていないと思いますし、公表もしませんでした、リスクの判断はこのような事実によって行われるものではなく科学的な事実によるべきだと思います、研究会のメンバーも厚生省も、エイズ原因は何なのか、もしビールスだとしたらどんなビールスで、その感染力はどの程度なのか、潜伐期は、発症率はといった情報を必死に読み取ろうとしていたのですというふうにしておるわけでございます。  この報告の件につきましては、やはりいろいろとこういった時期に動きがある、そういったことをいかに迅速にあるいは的確にこの研究班にも報告をし、そして議論に供するということも必要であったのではないかというふうにも考えております。
  96. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 これは私どもが常識的に考えても、郡司さんが本当に自分の判断だけでやったというふうには思えないんですね。ここのところもこれからぜひこれは解明をしていかなければならない。  それの裏づけとなるのがいわゆる厚生大臣による例外輸出許可、業務局長による例外輸出許可の通知等が、いわゆるこの製剤を回収してアメリカに逆輸出するときに通知書が出されているわけですね。この点についてはどうですか。
  97. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまの例外輸出許可の手続の関係でございますが、住友化学工業が米国のトラベノール社から品質上問題があるということで米国へ返送したいという要請を受けまして、この例外輸出許可の手続が行われたものでございます。これは一九八三年七月十三日に申請が出され、七月二十六日に許可をされたわけでございます。  これについての当時の課長からの事情聴取によりますと、こういったことについての回収報告エイズ原因等の新たな知見を提供するものではないということで上司に報告をしなかったということでございます。また、当時の局長に確認をいたしましたわけでございますが、例外許可についての記憶はないということでございました。
  98. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それじゃ何ですか、厚生省というのは、局長の判こを押したり大臣の判こを押していても、結果的にはその人たちが知らない、覚えていないようなことでもやっちゃうわけですか。もう全く矛盾をしているじゃないですか。こういうふうなところを厚生省として何で明らかにしていかないんですか。自分たちがまず身内から明らかにしていくことによって信頼回復というのはできていくんだと私はここで指摘をさせていただきたいと思うんです。  これは、ここでも私は幾つかの質問を用意していたんですけれども、もう時間が余りありませんので大半は省きますが、例えばこの年の十一月にはカッター社も回収をしているんですね。これも厚生省報告しているわけですよ。厚生省はそこで逆輸出という形じゃなくて、これの国内廃棄を指示しているんですね。これについては、じゃどうなんですか、どうしてこういった手段をとらせたんですか。
  99. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまの御質問でございますが、このカッター社のライアン氏が裁判におきまして、厚生省の指示によって回収した血液製剤国内で廃棄処分をしたという証言をしておるわけでございますが、厚生省はカッター社から一九八三年の十一月に自主的に廃棄する予定である旨の報告を受けまして、その後同年の十二月に廃棄が完了した旨の報告を受けておるわけでございますが、厚生省が廃棄を指示したという事実はなかったものと考えております。
  100. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 そうすると、危険だというふうにカッター社が判断をして、そして厚生省報告したものについてまで厚生省としてはどういうふうにしなさいという指導すらしなかったということなんですかね。この辺については今後またおいおい詰めていきたいと思います。  時間がありませんので次の質問に移りますが、厚生省加熱製剤に対する取り組みについて私は若干疑問を覚える部分がありますので、その点について問いたいと思います。  バクスターの加熱製剤導入への働きかけというのは、八一年の六月に厚生省生物製剤課に打診をしてから始まっております。このことについては、トラベノール社の小栗さんの陳述の中にあります。そして、八二年の三月に承認申請素案の生物製剤課への提出をし、当時の製剤課の平林補佐は申請区分について一変の考え方を示した。一変というのは有効成分に影響を与えない製造方法の一部変更ということでありますが、これはいわゆる八三年の八月初めに生物製剤課からヘモフィルTの承認申請を提出するよう要請を受けておるわけですが、ここから一転して十月に安部教授から健常者を対象とした第一相試験を実施すべきだと言われた。同じく平林補佐から、二施設四十例以上の臨床試験が必要になると言われたと。これは私ども素人が考えても、こういう流れの中でどうしていわゆる一変から治験に変わっていったのかということは全く不可解なんですね。  その間に、その研究班の松田重三氏がプロジェクトにも答えているんですけれども、六月十三日の会合で郡司課長が、加熱製剤の緊急輸入の方法もある、また超法規的な措置考えなければならないと、こういうふうなことが六月時点で語られている。そして、八月に承認申請を出すというふうにいったのが、どうして十月になって一変どころかそれを飛び越えて治験に変わっていったのか、これについては全く私どもですら理解ができないんですけれども、その点についてはどうですか。
  101. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) これは郡司課長の証言によりますと、米国トラベノール社加熱製剤の説明を受けまして、加熱製剤の肝炎対策としての効果を示すデータとしては実験に使用したチンパンジーの数が少ない、あるいはチンパンジーがB型肝炎抗体陽転をしたことから、この乾燥加熱方式ではB型肝炎の不活化は完全ではないというような問題点があるために不十分であるという印象を持ったとしておるわけでございます。
  102. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それじゃもう少しその件に関連してお聞きをさせていただきますけれども、いわゆる八三年八月の時点加熱製剤早期開発指示というものがなされたかどうかというのが実は非常に議論が分かれているところなんですね。これについては、郡司さんはみずからはこれは行っていないというふうに否定をしております。  しかし、小野昭雄氏、エイズ予防法が審議されたころの生物製剤課長ですが、この方は論文の中で明確に事実として認めております。それを受けて、昭和六十三年の三月十六日の参議院予算委員会及び五月の衆議院社労委員会業務局長は、この経緯を踏まえ五十八年八月に加熱製剤の開発指示をした旨答弁をしているんです。  しかしながら、去る三月一日の衆議院の厚生委員会集中審議の中で、トラベノール社加熱製剤開発指示についてということで、厚生省の答弁は、今回のプロジェクト調査結果では担当課長が指示した記憶はないと述べておるんですね。これはもう完全に矛盾しているわけですよ。国会答弁ですら矛盾しているんですけれども、この点についてはどうですか。
  103. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお話がございましたように、昭和六十三年三月あるいは五月の参衆の予算、社会労働委員会におきまして、五十八年八月に厚生省加熱製剤の開発を指示した旨の答弁をしておるわけでございます。  しかしながら、本年の二月に調査プロジェクトチームが行いました調査結果によりますと、当時の生物製剤課の職員で加熱製剤早期開発を指示したという記憶を持っている者はおりませんで、またメーカー各社におきましても指示を受けていないという回答がございました。そういった点を踏まえまして、厚生省がメーカーに対して加熱製剤早期開発の指示をした事実はないというふうに答弁をさせていただいたところでございます。
  104. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、ですからそこは非常に問題なんですよ。要するに、いわゆる加熱製剤早期開発指示というものがなされた、なされなかったということは、これはある意味ではトラベノール社に限って言えばどうもしてないようだ、しかし開発のおくれていた国内メーカーに対しては指示をしたということがここで、その矛盾の中で出てきているわけですよ、そうでしょう。そのことを私は考えてみると、そこには何か意図的なものがあったと。  そして、このことを一つ一つ私も考えてみたんですが、厚生省加熱製剤の開発においておくれをとっていた国内メーカーの打撃を少なくする、これはもういわゆる郡司ファイルの中にもあった言葉ですが、そのために国内メーカーにだけ開発指示を出して、その開発を待って十一月になって治験のガイドラインの説明会を持った。そして、十月にいわゆる一変どころか治験を導入した。こうなるといわゆるシナリオが合ってくるんですよ。しかも、ミドリ十字は八月になって安定剤を加えた乾燥加熱製剤の開発に成功しているんです。これ考えてみたときに、だれが考えたってそうじゃないですか。  時間がありません。  大臣、最後に、このことについてどういうふうにお感じになっておられるか、お伺いしたいんです。
  105. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この加熱製剤については、今、釘宮委員も言われましたけれども、もう既にアメリカではトラベノール社が開発をし、あるいは三月段階で許可を得ているわけです。ですから、それを承認申請を急がせるというやり方が一方ではあったと思います。また、国内メーカーについて開発指示をするというやり方も今おっしゃるとおりあったのではないかと思います。  ただ、このあたりがなぜ、何といいますか、よく言われますように、スタート時点ではかなりの差があった、外国の既に開発が終わっていたところとまだ国内で十分に開発が進んでいなかったところが最終的には同時に許可をされる、承認されるということになったその経過については、私も大変不自然なものを感じております。ただ、その経過がどうであったと確定的に今残念ながら私が申し上げるような、何といいましょうか、断定的に申し上げられるようなことはわかりませんので、答弁としてはこの程度にとどめさせていただきます。
  106. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私はぜひ厚生省政府委員皆さん、そしてまたとりわけ荒賀局長にはお願いをしたいんです。局長は今現職、たまたま現職だということでこういうふうな場におられるわけですけれども、これはしかし厚生省の今から十二、三年前からの時代の体質みたいなものが私はあったと思うし、そこを解明しないと結果的にこれからまたこういう問題というのは根絶できないわけですよ。そのためには局長としてぜひ私は真相解明に向けて頑張っていただきたい、心からお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  107. 常田享詳

    常田享詳君 平成会の常田享詳でございます。  まず、質問に入ります前に、三月二十九日、東京大阪HIV訴訟和解を見たところでありますけれども、その和解の結果を見ないままにお亡くなりになられました方々に対しまして心から哀悼の意を表したいと思います。また、被害に遭われました方々や御家族、御遺族の怒り、悲しみ、苦しみを思うとき、原告・弁護団のきょうまでの真相究明に対する並々ならぬ御努力に対して心から敬意を表したいと思います。あわせて、和解に至る過程における菅厚生大臣の御努力に対しまして心から敬意を表したいというふうに思います。  私たちは生きたいんです、喜んで和解を受諾したわけでは決してないことを忘れないでほしい、また和解成立てすべて解決されるものではない、和解は出発点とさえ言えるという裁判長の発言、私たちはこれらの声を忘れることなく今後恒久対策、真相の究明、そして再発防止のために力を合わせて全力を挙げて取り組まなければならないと考えるものであります。  このたびの薬害エイズを振り返ってみますときに、私も薬剤師でありますけれども、一番根本的なところで大切なものが見失われていたのではないかと思うわけであります。  それは薬事行政のバイブルであります薬事法、その第一条であります。薬事法の第一条には、「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、」云々と書かれているわけであります。このように薬事法の目的規定を定めているのであります。本来この目的を達成するにあるのが業務局の仕事であります。  図らずも、厚生大臣和解成立後の談話の中で、本来国が薬事法に基づく義務や措置を講じていれば大変な状況をもたらさずに済んだ、被害を招いたことに対し心からおわびしたいと謝罪をしておられます。私も認識が一致するところであります。  そういう意味で、薬事法第一条にかんがみ、改めて薬事行政責任について厚生大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
  108. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この薬事法上の責任という問題につきまして、今、常田委員の方から第一条の「安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、」というところを特に御指摘をいただきました。  あわせて、昨年十月六日に東京地方裁判所が和解勧告の所見の中において、特にこの項目が昭和五十四年の薬事法改正で加わった問題であるということを指摘すると同時に、医薬品等の製造、承認に当たり、審査すべき項目として副作用というものがこの改正で明記をされた。さらに、医薬品等による保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するため、必要があると認められる場合の医薬品等の製造業者等に対する緊急命令制度等が新設をされた。さらに、こういったことで医薬品の安全性の確保は厚生大臣が行う業務行政において最大の考慮を払うべき事柄の一つとなった、このように解されるという御指摘をいただいております。  厚生省として医薬品の安全性の確保の観点からいろいろ対応をしてきたわけでありますけれども、まさに、今、常田議員もおっしゃったし、東京地検の所見でも言われたこういった薬事法上の責任というものを十分に果たせてきたかということになりますと、今回の問題では期待された有効な方策をとることができなかったという意味で、この所見に述べられた薬事法上の責任ということを含めて、国の責任を認めるという立場に立って和解に臨んだと、そういう経緯でありまして、今の御指摘についてのお答えとさせていただきます。
  109. 常田享詳

    常田享詳君 まことに一致する御答弁をいただきました。その結果和解に至ったわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、今後和解して終わりではなく、和解がスタートということでございまして、そういった姿勢が貫かれていなかったためにこういう問題が発生し、多くの方々を犠牲にしてしまったという、その償いはこれからなされなければならないわけでありますので、今、厚生大臣がおっしゃった姿勢を今後厚生省、すべてその姿勢を貫き、今後の薬事行政に、そして今後の問題の対応に処していただきたいというふうに思っております。  このたびの問題私、残念なのは、ただいまの薬事法第一条に対する姿勢が貫かれていなかったということとあわせて、一九七五年に既に血液問題研究会、いわゆる厚生大臣私的諮問機関ではありますけれども、この中で明記されているわけであります。血漿分画製剤は「現在、主として民間の製薬企業によって製造されている血漿分画製剤については、その需要が高まっていることからも、今後はすべて(一部の例外は除いて)献血によって製造されるべきであるとの見地から、公益法人のような組織での製造体系などを含めて早急に検討を進める必要がある。」というようなことで、やはり血液製剤はほかの医薬品とは違うんだということが述べられているわけであります。  あわせて、これは後になりますけれども、一九八五年の血液事業検討委員会中間報告におきましてはもっと明確に「血液は、貴重な人体の臓器組織の一部であり、医療上の必要による輸血は、臓器移植とも言うべきものである。」というふうに述べられているわけであります。  先ほどの薬事法上の安全に関する認識とともに、こういった認識が貫かれていたならば私は状況はずっと変わったものになったのではないか、犠牲者はもっと少なくて済んだのではないかというふうなことを思うのでありますが、厚生大臣、いかがでありましょうか。
  110. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今の御指摘、どの時点でどういう形というのを、今、常田委員言われましたが、それぞれをすべて私も確実に確認をしているわけではありませんが、そうした指摘を受けているという認識は持っております。  特に、今回の問題、いろいろ議論しておりまして、いわゆる一般の化学薬品というものと、まさに血液そのもの、あるいは血液を原料としてつくられている今回の血液製剤というもの、あるいはワクチンなどを含めた、何といいましょうか、生物製剤というものの性格がかなり違っているということもいろいろやっておりまして多少は理解をしてきたつもりであります。  そういった意味で、血液については従来からできるだけ、本来なら日本で使われる血液あるいは血液製剤の原料は日本の中で献血を中心に賄われて、そしてその安全性をしっかりと確保することも並行的にやられるべきだということは指摘を受けておりますけれども、残念ながら当時の血液製剤の原料は大部分を海外に求めていたということでありますし、現在に至るも、かなり改善はされたとはいっても、一部の薬については海外にかなり依存を、血液についても依存をしている面があるということを認識しております。  そういった意味で、今、常田議員の挙げられた問題点はまだまだこれから厚生省として、あるいは国として努力していかなければならない大きな課題だと、このように受けとめております。
  111. 常田享詳

    常田享詳君 時間がありませんからきょうは質問から割愛しますが、きょう報道されました新たに見つかった資料の中に、日赤と厚生省の間でかなり突っ込んだ話がなされていたにもかかわらず、クリオ製剤の採用等も含めて何ら進展を見なかったと。このことはまことに残念であるということを申し上げておきたいというふうに思っております。  次に移らせていただきますが、先ほど我が党の釘宮議員が指摘をいたしましたあたり、いわゆる一九八三年七月、今問題になっております一週間で方向転換したのはなぜかということ、まずここが一つの大きなポイントではなかったか、これはそのとおりだと思っております。  あわせて、先ほど来の質問にも出てまいりました、その後この問題を最小限に防ぐことができた、それも厚生省の力でできた、学会の影響を受けないでやろうと思えばやれたのがやはり非加熱製剤の回収であったと私は思っております。これが一九八五年にきちんとなされていれば、その後の被害は本当にもっともっと少ないものに終わったし、多くの方々を苦しみに追いやることもなかったのではないかと思われて残念でならないわけであります。  ところが、先ほどの答弁を聞いておりますと、同じようなことで、いわゆる非加熱製剤をすぐに回収してしまうと治療上大変困るような状態になるから加熱製剤と並行してそれを許したんだと。その結果、ミドリ十字、日本臓器を初め、回収報告まで改ざんして報告した。それさえもつかんでいなかった。だらだらと非加熱製剤が使われていってしまった。  そういうことで、お尋ねをしたいんですけれども業務局長、回収命令を出すか出さないか、この判断は最終的にはだれがするんですか。製剤課長なんですか。製剤課長で特にこういうことの結論が出せるんでしょうか。
  112. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 回収命令といいますか、あるいはその他危害の防止のための緊急措置というのは薬事法上規定がございまして、厚生大臣の権限でございます。  そういった意味では、今お話がございましたように、やはりまず業務局として対応を決める、また大臣にも御相談をするというような重要事項であろうかと思います。
  113. 常田享詳

    常田享詳君 そのとおりだと思います。  今の業務局長であればそうされたと。しかし、その当時の業務局長は、そういう報告はなかったと本人は述べておられる。ところが、製剤課長は報告したと。それからまた、元課員は、担当課のみならず業務局全体の共通の認識であったということです。非加熱製剤を早急に回収しなきゃいけないということは共通の認識であったというふうに述べているわけであります。  私は、やはり業務局長の判断というものがそのときの業務行政に大きく作用すると。先ほど長峯議員の質問に対して業務局長がその責任は私でありますと言われましたけれども、まことに私は立派な回答であったと、すべての今までの業務局長がそのような姿勢で取り組んでおられればこのような事態は防げたのではないかなというふうに思うわけであります。  さて、この問題につきまして、先ほど来述べておられるように、非加熱製剤を回収したら本当に治療上に影響が出たかということについてでありますけれども、その前に薬事法第五十六条第六号についてお尋ねを申し上げます。  すなわち、「病原微生物により汚染され、又は汚染されているおそれがある医薬品」について規定がされているわけであります。  まず、質問の第一点は、各製薬会社から一九八六年、八七年、自主的に製造、輸入の廃止届を出された非加熱製剤は、薬事法第五十六条六号に規定している「医薬品」に当てはまるものであるかどうか、お伺いいたします。簡潔にお願いします。
  114. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 薬事法の五十六条六号でございますが、この規定につきましては、「販売、製造等の禁止」の規定でございまして、その六号において「病原微生物により汚染され、又は汚染されているおそれがある医薬品」ということでございます。  これについて今お話しの扱いでございますけれども、これはミドリ十字のケースも含めてのことでございますけれども、この五十六条六号の該当の問題につきましては今調査も含めて慎重に検討をいたしておるところでございます。
  115. 常田享詳

    常田享詳君 もうちょっと歯切れよくお答えいただきたいと思います、大事なところでありますから。  それでは、一九八五年五月に三人の血友病患者エイズ認定を厚生省が行ったときに、当時の松村生物製剤課長は、加熱すればほとんど完全にエイズウイルスを死滅させられるので、加熱製剤が行き渡れば血友病患者からエイズが発生することはなくなると思うと新聞にコメントしていますが、このことは厚生省として一九八五年の五月時点で非加熱製剤は薬事法第五十六条六号の「医薬品」と認識していたということではないんですか。違うんですか。
  116. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この点につきましても、ただいま御指摘の薬事法五十六条六号の規定でございますけれども、この内容について、ただいまお話のございました当時の担当課長の発言につきまして、当時の厚生省内でどのような判断が行われたかにつきまして現在慎重に調査を進めておるところでございます。
  117. 常田享詳

    常田享詳君 先ほどちょっとお褒めしたんですけれども、どうも後がよくなくて残念でなりません。  改めて聞きますけれども業務局長、現時点で一九八五年当時の非加熱製剤は薬事法第五十六条第六号の「医薬品」と認めるのか認めないのか。認めないならその理由をはっきり言ってください。これは大事なんです、さっき言ったように。あそこできちんとやっていれば大変な防御ができたんです。おっしゃってください。
  118. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまの五十六条六号の「病原微生物により汚染され、又は汚染されているおそれがある医薬品」の製造等の禁止の規定、それからこの解釈でございますけれども、病原微生物に汚染されている医薬品ということについて、これは何らかの検査方法によりまして汚染が確認された具体的な医薬品をいうわけでございますし、またおそれがある医薬品については、検査によっては必ずしも十分検出されないけれども、ほかの理由によって汚染されていることが相当程度疑われる具体的な医薬品をいうものでございます。  そういったことで、非加熱製剤すべてがこの五十六条六号に該当するという当時の認識に基づく発言なのかどうか、また当時厚生省内でどのような議論が行われ、判断が行われたかについては、先ほど申し上げましたように調査をさせていただいておるところでございます。
  119. 常田享詳

    常田享詳君 例えば、副作用があるかどうかということを判断する場合でも、その医薬品を使ってすべての人に副作用が出るか出ないかというようなことで判断するわけじゃないんですよね。一九八五年の時点ではかなりもう血液製剤ははっきり危ないということがわかっているわけですよ、国際的にも、日本においても。それで、なおかつ今お認めにならないというのはどういうことなんですか。どんどん時間がなくなっていってしまいますから、またこれは小委員会等でぜひやっていただきたいと思います。  非加熱製剤は製造実績、輸入実績のあったものについては一九八七年四月までにすべて輸入、製造の廃止届が出ているということでありますけれども、一九八五年八月の加熱製剤販売開始時点で非加熱製剤が出回っていた量及び回収対象となる量はどのくらいと把握しておられたのか、お尋ねいたします。
  120. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 当時の職員に事情聴取を行ったわけでございますが、この六十年八月の第Ⅷ因子の非加熱製剤でございますが、加熱製剤の販売開始時点の、その当時の非加熱血液製剤の市場在庫の詳細については調査はしていないといりふうに聞いておるところでございます。  ただ、六十二年に社団法人の日本血液製剤協会を通じましてメーカー等に対して行いました調査結果によりますと、昭和六十年八月の加熱製剤の第Ⅷ因子が販売開始されました後に各社が回収をいたしました非加熱第Ⅲ因子製剤量というものが千七百二十六万単位であるというふうに承知をしておるところでございます。
  121. 常田享詳

    常田享詳君 非加熱製剤がどの程度の量出回っていたかわからないということですか、今お答えになったのは。  別の資料で、厚生省に昭和五十八年、一九八三年ですね、例の七月の問題がいろいろ言われている、その当時の製薬六社の血液凝固第Ⅷ因子製剤の売上高等をお聞きしましたら、きちんと資料が来ていますよ。その売上高がきちんと把握できているということは、当然製造されている量を把握しておられるということではないんですか。違うんですか。そんないいかげんなことなんですか。もう一度お願いいたします。
  122. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまお答えをさせていただきましたのは、その加熱製剤の販売時点の非加熱の市場在庫の量の詳細については当時調査をしていないということでございますけれども……
  123. 常田享詳

    常田享詳君 時間がなくなっちゃいますね、委員長
  124. 今井澄

    委員長今井澄君) 荒賀局長、ちょっとその辺はきちっと整理をして。すぐ出せますか。ちょっと整理をしてもらえますか。
  125. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 今お話しの一九八三年当時の製造量は、これはわかっておるわけでございます。
  126. 常田享詳

    常田享詳君 八五年はわからないということですか。
  127. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいま八三年と八四年の数字は持っておりまして、八三年でございますと、第Ⅷ、第Ⅸを合わせますと一億三千万単位、それから八四年におきましては、これもⅧ、Ⅸ両因子の計が一億二千三百万単位というふうに承知をしております。
  128. 常田享詳

    常田享詳君 八五年八月はわからないということですか。さっき聞いたのは八五年八月です。
  129. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいま手元には持っておりません。
  130. 常田享詳

    常田享詳君 じゃ後でいただきます。  重ねて、一九八五年八月の加熱製剤販売開始時点で、当時の加熱製剤の供給能力量はどれくらいと認識しておられたのか。あわせて、一九八五年当時、加熱であれ非加熱であれ、全国血友病患者方々が必要とする製剤はどのくらい必要だったのか、その患者数と必要数量を教えてください。これも答えられないのなら、委員長、後でいただいてもいいんですけれども、時間だけなくなりますから。通告してあるんですよ。
  131. 今井澄

    委員長今井澄君) 時間の問題がありますので、もしあれでしたら後でまとめてきちっと整理して出してもらいたいと思います。
  132. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 第Ⅷ製剤につきましては、これは検定合格数量でございますが、八月当初が二千三百万単位、九月が一千万単位、それから十月が一千四百万単位、十一月が五百万単位でございます。  それから、必要量でございますが、これは血液製剤委員会が試算をしたものでございますが、当時、Ⅷ因子の血友病患者の方は三千五百人、それに必要とする年間のⅧ因子の必要量が一億単位というふうに承知をしております。
  133. 常田享詳

    常田享詳君 もっとお聞きしたいんですけれども、時間がなくなってしまいました。  厚生大臣、もし厚生大臣がその当時の厚生大臣だとした場合、このような状況で回収命令をお出しになりましたか。それとも、この当時の厚生大臣がそうであったように、出さなかったか。答えにくいですかね。
  134. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私は、従来からこの問題を聞かれたときに、やはり一つは非加熱製剤の危険性というものの認識が八三年当時も十分ではなかったけれども、八四年ぐらいになればもっとその危険性がはっきりしていたし、今御指摘のあった八五年当時はさらに確定的と言っていいぐらい危険性を認識していてもおかしくないと思っておりますから、そういう意味でいえば、加熱製剤が供給されるとなれば当然に非加熱製剤を使わなくするということの必要性はあったと、このように認識しております。
  135. 常田享詳

    常田享詳君 ありがとうございました。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  製薬会社の責任の問題であります。  ミドリ十字につきましてはいろいろ報道されているところでありますが、先ほど釘宮議員が言いました年表で、期せずして一九八三年七月、「ミドリ十字が安全PR文書を配布」、同じく七月、「日本臓器が「内外タイムス」でオーストリア献血を使っているので安全と虚偽の主張」というようなことで、実はミドリ十字の責任も大変重いわけであります。これはいろいろ報道されております。ミドリ十字は一九八三年にも無承認の放射性物質を販売しているということで一九八八年に処分を受けているんです。問題を起こしているのは一九八三年、この時点にこの血液製剤と同時進行で放射性物質を無承認で売って三十五日間の工場閉鎖と伺っております。こういう体質があるということでありまして、そのほかにも再審査のデータ、いわゆるグロブリン製剤のデータを一部処分したというようなことで始末書もとられているというようなことでありまして、いろいろミドリ十字につきましては問題があるところであります。  しかし、その一方で、余り言われていないのが日本臓器であります。実は日本臓器というのは、先ほどちょっと触れました一九八三年の血液凝固因子製剤の売上高ではミドリ十字に続いて第二番目なんですね。ミドリ十字が四十七億九千九百万円、これは薬価ベースでありますけれども日本臓器が十五億六千九百万円で六社の中で第二位であります。日本臓器にとっては血液製剤というのは大変重要な製品になっているわけであります。  先般、ミドリ十字に対しましては立入検査をされましてその結果を報告されましたが、日本臓器製薬への厚生省の立入検査の結果はまだ報告されておりません。立入検査の結果、加熱の承認後どのくらいの期間非加熱製剤を出荷していたのか、そしてその数はおよそ何本ぐらいになるのか、御報告をいただきたいと思います。
  136. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ことしの二月に日本臓器製薬につきましては昭和六十二年三月の日本血液製剤協会を通じた報告内容に誤りがあることを疑わせます報道がございましたので、三月四日に同社の本社等三カ所に立入検査を行ったわけでございます。  しかしながら、非加熱製剤の最終出荷時期でありますとか、あるいは回収終了時期とか、あるいは出荷本数というものを直接確認できる資料は保存はされていなかったところでございます。  なお、同社の工場におきまして、回収品の非加熱の第Ⅷ因子製剤が廃棄されたという記録が残されておるわけでございます。これは六十二年四月ということでございますが、そういったことでございますと、報告された回収終了時期以降も回収が終了をしていなかったのかどうか、そういった点も含めて今さらに調査を進めておるところでございます。
  137. 常田享詳

    常田享詳君 私の入手している資料では、ミドリ十字がすべて回答ができた重要なことについて、日本臓器はほとんど資料がなく確認できなかった、資料がなく確認できなかった、資料がなく確認できなかったなんですね。明らかにこれは資料隠しをしているとしか思えないような姿勢でありまして、ある面ではミドリ十字より姿勢が悪いんじゃないかなというふうに思うわけであります。  ところで、ミドリ十字が厚生省の官僚の天下り先ということで大変言われておりますが、日本臓器にも天下りしていますね。おっしゃっていただけませんか。
  138. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 昭和五十九年十二月に血液製剤部長を最後に国立予防衛生研究所を退官いたしました安田純一氏でございますけれども、昭和六十年四月から平成元年三月までの間、日本臓器製薬の技術顧問を務めておった、こういう回答を最近になりまして安田氏からいただいております。
  139. 常田享詳

    常田享詳君 今お話がありましたように、一九八五年当時、国立予防衛生研究所の部長でなおかつ研究班の班員であります安田氏は、日本臓器から今度はイムノ社に勤めておられるということで、明らかに日本臓器も天下りということでこれも政官の癒着が疑われても仕方のないような動向をとっておられるということでありまして、このことについてもまことに私は日本臓器の姿勢を遺憾と思うところであります。  あわせて、日本臓器はイムノ社から加熱製剤の販売の話を八三年と八五年の二回持ちかけられているのに断っているというふうに報道されておりますけれども、もしこの時点でこの事実を厚生省にイムノ社が話していれば、トラベノール社から加熱製剤検討の話が入っていた時期でありますから、私は厚生省の姿勢が変わったんじゃないかというふうな思いがするわけであります。  そういう点で、厚生省にイムノ社の方からそういう話があったのかなかったのか、そしてもしあったとすればそういう姿勢の方向転換に影響があったと考えられるのかどうなのか、そのあたりいかがでしょうか。
  140. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 当時の生物製剤課の職員に対しまして事情聴取をしたわけでございますが、日本臓器製薬からの報告を受けたという記憶のある者はいなかったわけでございます。
  141. 常田享詳

    常田享詳君 先ほどの話とも関連いたしますが、私は業務局長の判断というのがこのたびの節目節目で大変重要な意味を持っていたのではないかなというふうに思っております。  そういう意味で残念なのは、一九八三年当時の業務局長であります持永議員がいまだにはっきりと国会の場で議員としてその当時のことをお話しにならないということは残念でなりません。私は、言われていることと内容の是非はともかくとして、持永議員にはその当時の業務局長として、国会議員でありますからやはり国会の場で一日も早くはっきりしていただきたい。厚生大臣も同じ与党の方でありますからそのように、そのことが私は政治不信、行政不信を国民から払拭する大きな役割を果たすというふうに思っておりますので、ぜひお勧めをいただきたいというふうに思っております。  質問の最後になりますけれども情報の開示と伝達の問題等についてお尋ねいたします。  実は、きょうの朝の新聞を見てまたびっくりしたのでありますけれども公開された資料が改ざんされていたのではないかという報道がされているわけですね。それにあわせて、例のファイル七冊が提示されたのは、我が党の山本議員の質問通告があって、結局それで慌ててやったというようなことで、どうも不明な点が多いんですね。  それで、まずお聞きしたいのは、これは改ざんの内容を見ますと大変重要な部分なんですね。一九八三年の郡司さんのところですね、その項目のところが改ざんされていたのではないかということが出ているんです。私はまさか改ざんするというようなことは許されることでもないしという疑いの目でこの新聞を見たんですけれども、事実関係をおっしゃっていただけますか。
  142. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私自身、どの記述とどの記述がどうなっているか、大変資料が多いものですから、まだ自分で従来の資料と新しい資料とのペーパーの突き合わせということまで自分自身ではやれておりませんが、きょうそういう事実関係を確認した時点では、確かに同じ「AIDS研究班第二回班会議 議事次第」という資料の中で違う記述のものが別々のファイルに入っているようでありまして、ですからそれは片方を改ざんしたというよりは、どういう過程かはわかりませんが、同じ会議議事次第ではあるんですけれども、こちらのファイルに入っていたものにはある項目が入っていて、こちらに入っていたものにはある部分が入っていないというもので、それをあくまで公表ですからそのままコピーをして公表する、そういうことでありまして、改ざんをした事実はない、あるいはそういう事実を私は確認いたしておりません。
  143. 常田享詳

    常田享詳君 時間が来てしまいましたので、最後に厚生大臣に、先ほどのメーカーのミドリ十字と日本臓器に対しては今後どのような処分を考えておられるのか、それとあわせて情報公開について、先ほどもお話がありましたけれども、これは非常に大切なことだと思います。  そういう意味で、まずはきょうの新聞に同じように、厚生大臣は「省内の調査には限界」ということで外の人を入れるということをおっしゃっておられますけれども、私は、このたびの東京HIV訴訟原告・弁護団、大変すばらしい調査能力を持っておられるようですし、読ませていただくと大変いいところを押さえておられますから、こういった方々意見もやっぱり今後取り入れていくべきではないかと。そういう中に加えるということではないですよ、加える、加えないという、絶対加えなさいとか言っているんじゃないですが、こういう方たちともよく連絡をとり合いながら解明していかないと私はいけないんだと思いますけれども、その点についてもあわせてお聞きをしておきたいと思います。  あわせて、アメリカの情報公開法でありますけれども、やはりもうFDAであれしているわけでありますけれども、こういったことにつきましてももう日本考えるときに至っているのではないかなというようなことを思います。そういうことで、情報公開法の問題、それから、先ほど厚生大臣みずから言われましたけれども、インフォームド・コンセントの問題、特に医薬分業等を通じてやはり患者さんに直接私は医薬品情報を提供していくというようなインフォームド・コンセントは重要な問題だというふうに思っております。  それから医薬品機構、先ほど出ましたけれども、これも医薬品機構を通じて末端の医師、薬剤師等に、インターネットなりまたはスパコン等を通じて末端の端末機に、有料でいいわけですから、会員制で的確に常時情報がどんどん流れていくような仕組みづくり、そういったものを考えていただきたいというふうに思っております。  そういうことで、最後に、その処分の問題と情報公開法に対する厚生大臣のお考え、それから原告団を入れるのとどういうふうに今後かかわっていかれるか、その三つだけお願いします。  終わります。
  144. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ミドリ十字や日本臓器について立入検査を行ったわけですが、まだいろいろと不明な点もありまして、そういったことが一段落した後にその後の対応については考えたい、そういうふうに思っております。  また、調査の問題は、当初から申し上げておりますように、庁内につくる場合とあるいは外の人を入れた場合は若干性格が変わってきたり、あるいはその権限をどういうふうに付与することができるかといった問題があると思います。しかし、先ほども御質問の中でお答えしましたように、原告団あるいは弁護団から出されたいろいろな報告書や、あるいはいろいろお会いをしたときに指摘を受けた問題については十分参考にさせていただいて調査を進めてきたつもりでありますが、まだ不十分な点があればそうした御意見も聞きながら参考にさせていただいて調査を進めたいと。  さらに、今後の問題については、この薬事行政改革、あるいはこういった問題の再発防止を構造的にどうしたらいいかという問題についてはぜひ有識者の方の御意見も聞く場をつくりたいと、このように考えております。  そして最後に、情報公開につきましては、現在、行政改革委員会、政府の審議会の方でこの問題が進められていて、十月をめどに最終報告が行われるというふうに聞いております。行政手続法に加えてこの情報公開というのがある意味では行政に対して国民がチェックをしていく、あるいは参加をしていく上では欠くことのできない制度だと思っておりますが、そういう点では今回の薬事行政についてもこういう制度とも相まって透明性が図られるのではないか、このことについてはぜひ積極的な姿勢で臨んでいきたい、このように思っております。
  145. 水島裕

    ○水島裕君 朝からいろいろ御議論がございましたから、私は重複は避けるようにいたしまして、ですから少し予定も変えまして、次の三つの点について質疑をしたいと思います。  第一は、私はこの薬害エイズというのは多少専門に近いものでございますからそれを踏まえて、この事件のターニングポイントになった点が幾つかございますので、それを述べさせていただきたいと思います。それから第二は、なぜこういう悲劇が起きてしまったか。厚生省、医学界の体質が結局問題だったと思いますので、事実関係に即してこの辺を究明しまして今後の対策に供したいと思います。それから第三は、厚生省よ、ひとつ名実ともに生まれ変わって信頼を回復してほしいということでございます。  では、第一の点からいきますと、まずエイズ第一号の認定でございます。一九八三年七月でございます。この症例は、私どもが今見ますともう明らかなエイズ思います。当時でもこれは限りなくクロに近かった例をシロと認定したわけでございます。もちろん、日本の第一例でありますから、診断基準すべてに合っている方がいいという議論は成り立つわけでございますが、厚生省がこの委員会をつくった一つの大きな理由は、血液製剤が安心かどうか、血友病の人が大丈夫かどうかということでつくったわけでございますから、たとえ結論は完全にエイズとは確定診断はできなくとも、血液製剤は危険がありそうなので十分検討することと、少なくともそういう結論は出たはずでございますので、その点御異論はないと思いますけれども、これ松村局長でございますか、もし御異論がございますれば一言。なければ結構でございます。
  146. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 当時のいろいろな医学的知見に基づきまして当時の専門家の方々が結論をお出しになったわけでございまして、それについて今から、それがもっと早くできればよかったなという気持ちももちろんございます。ございますが、当時エイズというものがまだ必ずしも今のようによくわかっていない、そういう時代であったのではないかと。まことにそのときにそういうふうになればよかったなということは現在では申すことができるわけでございますが、そんな感じを持っております。
  147. 水島裕

    ○水島裕君 お答えいただくと私の質問の価値が減ってくるような気がしますのでそのくらいでやめさせていただきまして、次は加熱製剤の治験でございます。  これは加熱製剤が必要だということで治験を始めたわけでございまして、始めなくて緊急輸入という手もあったわけでございますが、厚生省あるいは委員会はその道を選んで一九八四年の二月から臨床試験を始めたわけでございます。なぜ臨床試験を始めたかと申しますと、このものが本当に効果があるだろうか、それから非常に問題となる副作用がないだろうかということで始めたわけでございます。  もう皆様御存じのように、この効果の点はすぐにでもわかるわけであります。もちろん、途中で効果が落ちるとかそういうことはありますけれども、それは対応できるわけでございます。  それから、エイズよりも恐ろしい副作用、そこまでいかなくてもかなり重篤な副作用があるかどうかというのは、これはアレルギーその他、もう私よくわかっていることでございますが、一カ月から三カ月すれば十分わかるわけでございます。今まで余り言われなかったことでございますが、全くこれを使わないで認可するというのも確かに問題だという議論も成り立ちますけれども日本である程度使ってこれは大丈夫だと、治験中でございますけれども、そのときに承認に切りかえるというのが一つの知恵だったと思います。  これも、そういう知恵があったのに残念であったという程度の答弁でも結構でございますけれども、いかがでございましょうか。
  148. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この当時の生物製剤課の職員の質問調査回答でございますけれども、やはり米国のトラベノール社から受けた加熱製剤に関する説明につきましては、いろいろとまだ問題があったという理解を持っておったわけでございます。そこで、八三年十一月に治験の説明会をいたしました。この繰り返し投与をする場合の安全性が非加熱製剤と同じかあるいはそれ以上であるということを明らかにするために、インヒビターの発生頻度でありますとか、肝炎のウイルスの検出頻度でありますとか、あるいは肝臓機能の変化等について六カ月という使用成績を求めまして、各社がいずれもそのような内容で実施をされたところでございます。  当時はエイズに関する知識が十分今日ほどなかったわけでございますが、今申し上げているような考え方で六カ月という判断を当時したわけでございますが、仮にエイズの危険性が今日のように明らかであれば、この六カ月の期間を短縮することも検討されたのではないかというふうに今考えております。
  149. 水島裕

    ○水島裕君 少しは酌んでいただいたようですので……。  いずれにしましても申し上げたいのは、最初の認定をすれば恐らく一年以上は加熱製剤の使用が早まったわけでございます。それから、今の治験も始まって一定期間で承認すれば、これも一年は早まったわけでございますので、もうあちこちで本当に大きなロスをしているということを申し上げたいわけでございます。  それから第三は、抗体陽性という結果が出てからでございます。エイズウイルスが見つかりまして、それで八四年の八月に安部教授が自分の持っている四十八例の血清を送った。この辺の事実関係は御存じだと思いますが、その結果が九月に来ているわけであります。それからさらに、鳥取大の栗村教授が日本での試験でもって同様な成績を出しているわけでございます。  先ほど菅厚生大臣が、八五年からはほとんどもう間違いなく確認できると申されましたが、大体同じ認識かもしれませんけれども、私の方は八四年十月、九月のときは安部さんが自分で一人でデータを持っていた嫌いがございますのであえて八四年十月と申し上げますが、そのときは血友病の人が血液製剤によってエイズ感染したという疑いが極めて濃厚だと、これはもうほかのいろんな事例も含めますとほぼそういうことが確実と言えると思いますので、それから先は本当に問題があったのじゃないかというふうに思います。  これも御答弁をいただこうかと思いましたのですけれども、簡単にでしたらひとつお願いいたします。
  150. 今井澄

    委員長今井澄君) どなたに答弁を求めますか。
  151. 水島裕

    ○水島裕君 やはりこれは松村保健医療局長でございますね。  抗体と申しますのは、松村局長も御存じのように、微生物に対する特異抗体でございまして、コントロールも十分調べてあるわけなんです。ですから、特異抗体が出たからといって感染が一〇〇%正しいとは言えないですけれども松村さんの常識でももうこれは九五%以上ぐらいと考えるのが医師あるいは医学者の常識でございますけれども、いかがでございましょうか。
  152. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 水島先生のような非常に学識の高い方から御質問でまことに私もお答えしにくいんですけれども、当時いろいろな情報を集めておりましたけれども、今から考えますと、エイズというものに対する認識がやはり残念ながら不足していたと、こんなふうに思っております。
  153. 水島裕

    ○水島裕君 一言申し上げますと、それはエイズは当時新しかったかもしれませんけれども、ウイルスとかウイルスに対する特異抗体というのはもう新しいことでないわけでございますし、そのときはエイズのウイルスも発見されていたわけでございますので、それ以上は申しません。  次に、厚生省及び医学界の体質、特にきょうは厚生省の方が多いですので厚生省の体質でいろいろ考えてみますと、大きく言って三つの問題としてもいい体質があるのではないかと思います。体質というよりかは構造ということになるかもしれません。  第一は、情報の伝達が不十分であったということでございます。これは朝からすごく問題になっております。もう幾つもございます、一々みんな申し上げませんが。  どうしてこういうことが起きたかと申しますと、私も厚生省の中をとてもよく知っておりまして、必ずしもマンパワーが十分ではないということが挙げられます。それから、先ほど釘宮議員の方からもありましたように、やはり縦割りがある程度できていて、この当時は公衆衛生局と業務局でございますけれども、そういうものの連携が必ずしもうまくいっていなかったんじゃないかというようなことが挙げられますので、ひとつこれからは外部に重要なことは公開すると同時に内部でもよく連絡を取り合っていただきたいというふうに思います。  時間の関係で次にいきますと、次が危機管理が不十分であったのではないか。これは日本人が概して下手なのでございますが、神戸の大震災でもそうであります。例えば、先ほどの臨床試験の途中で、あの途中ではもうエイズが、先ほど申しましたように血液製剤が危ないということがかなりはっきりしていたわけでございますから、治験は六カ月で始めたらもう六カ月ちゃんとやって終わるものというのが平時の対応でございますけれども、これはやはり有事の対応をしなくてはいけないわけで、そのときこういうふうに決まっているけれどもやはりこれは怪しいし、これだけの結果が出たからここで認可しようという手もあった。  そのときのことを患者さんあるいはいろんな血友病のお医者さんから聞きますと、加熱製剤の治験に当たった患者さんはよかったと、本当に助かったと言っているわけでございます。つまり、加熱製剤の治験に当たったからうつらなかったわけでございますけれども、当たらなかった人がすごい被害を受けたということでございますから、一つ考え方としては、いろんな費用を何とか集めてなるたけ大勢の人にみんな治験に参加してもらっていればこんなことにはならなかった、こういうのも有事の対応としてできるわけでございます。  それから、聞くところによりますと、血液製剤の小委員会を八四年の三月で解散したのも、どうもこれは研究班ということでやっていましたので、一二月で予算が切れたので四月からはできなかったということも聞いておりますが、これだけ重要なプロジェクトを厚生省予算がないからと、会合するぐらいで大した予算は要らないわけでございますので、まあ別な原因かもしれませんけれども予算がないからやめたというのは、いずれもこの有事の対応が下手だったと、危機管理が悪かったということになるのではないかと思います。  あるいは、もう一つついでに申し上げますと、第二番目の体質でございますが、これも先ほどからいろいろ出ていまして、一度決めますとなかなか変えられないとか、いろんな体質が出ておりました。私が非常に問題だと思いますのは、厚生省の中の情報厚生省の方が自分の判断は正しいと思って厚生省の中だけで決めるという、そういう体質がかなりございまして、善意で解釈しますと血友病の人がパニックになったら大変だとか、現場が混乱したら大変だとかいっていろいろお決めになったわけでありまして、そういうのを外に出せば結果は随分違ってきたと思います。  そういう体質と先ほどの危機管理、そういうことも全部踏まえまして、厚生大臣、何か一言ございましたらお願いいたします。
  154. 菅直人

    国務大臣菅直人君) それぞれ大変重要な指摘だと思いますが、今回の問題は業務局と当時の公衆衛生局、今の保健医療局、もともとこの研究班をつくるときから両方にそういう班をつくりたいという考えがあって共同して生まれたというふうにも当時の経緯で聞いておりますが、そういう形であったにもかかわらず、必ずしもその両方の特性が生かされてこなかったという意味で、第一番目に言われた問題の指摘も大変当たっているのではないかと感じておりました。  また、危機管理については全くの同感でありまして、先ほども一部申し上げたし水島先生からもありましたが、抗体検査ができて、特に安部、その当時は前班長でしょうが、の資料が半数近くが陽性だったということが厚生省に伝わったのがさらに半年かかったなんというのはとても率直に言って私にも理解できないというか、どこか別のところでやっておられた方ならともかく、つい直前までエイズ班の班長みずからのデータがその直後に伝わらないというようなところを考えますと、やはり危機管理的な発想で物事をフォローしていなかった、そして、三番目に言われたこととも関連しますが、そういう中では、まさに一度方向性を決めれば、平時の対応とおっしゃいましたけれども、そのままの対応で治験を進めてしまった、ですからその危機管理的対応がないから回収についても単に供給量がどうだといったような判断で済ませてしまった、それぞれ御指摘された点は今回の原因一つのバックグラウンドとしてあったのではないかと、そんな感じがいたしております。
  155. 水島裕

    ○水島裕君 時間がございませんので余計なことを言っている時間も本当はないんですけれども、そういう抗体が陽性になったというのは私どもも知っていたぐらいなのでございます。ですから、もしも正式に連絡が行っていなかったとしても、厚生省の方も間違いなく知っていたと思います。そこで、厚生省のもう一つの体質として、正式に言われないと言われたことにはならないということで対応なさらないというのもついでに申し上げたいと思います。  それでは、今、そういう側面がございまして、それでは今後どうすればいいかということを少し申し上げたいと思います。  その前に、人間も非常に大切でありまして、仮に今のことがずっと動いておりましても、トップに立つ方がちゃんとした知識と哲学と実行力を持っていれば今までの機構でも今度の問題は十分防げたのではないかと。そういう点では非常に残念でございますが、いつもそういう方がいるとは限りませんので、やはり機構面も改革をしなければいけないと思います。  私は、やはり二つのことが大切でありまして、一つはアメリカのFDAやイギリスのMCAなどを御参考になってもおわかりのように、やはり医薬品を扱う、ここですと業務局というのはもっと充実しなくてはいけない。先ほど阿部議員の方から予算とかそういうこともお話がありましたけれども、MCAは予算を十分とるために、例えばメーカーからの新薬の申請のときに、一品について日本はたった七十五万円だと思いますけれども、MCA、イギリスでは千五百万円とっているわけでございます。そういうことをしますので経済的にも独立しているということで、人も十分雇える、こういうのをトレーディング・ファンド・エージェンシーとイギリスでは言っておりまして、イギリス政府の中には十二しかないと。  それだけ業務局充実しているわけでございますので、そういうことを参考にされて何とか業務局の機構を、この間は医薬品庁と申し上げましたけれども、私が申し上げている名前とか、それから機構ということは一つの参考にしていただいて、どうぞ精神だけを酌み取っていただきまして、先ほど厚生大臣も有識者の集まりをするんだとも言っていらっしゃいましたけれども、ぜひ早くそういう機構改革厚生省内、あるいは中央薬事審でもよろしいかと思いますけれども、そういうところで議論を始めていただきたいと思います。  もう一つは、やはりチェックシステムでございますので、そういう特別な委員会をチェックができる、これは厚生省内ということにはどうしてもなりますけれども、何とか独立したような形のチェック機構をつくっていただく、こういうディスカッションを厚生省内ですぐにでも始めていただきたいと思いますし、厚生大臣もそのおつもりだと思いますけれども、その辺の御決意をお述べいただければと思います。
  156. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 先ほども答弁をさせていただきましたが、やはり日本の私どもの審査体制というものが欧米に比べますと、例えばアメリカ、イギリス、これは内部審査方式、つまり事務局が中心になって審査をする方式、それからフランスとか私どもは外部の専門家、私どもでいえば中薬審を中心に、そういった五百人を超える専門家の方々の活用をさせていただく審議会を中心にやっていく、二つの方法がございますが、いずれにしても私どもの数は医薬品機構を含めましてもわずかに五十名、フランスにおきましては百五十名ということで、やはりこの体制の強化ということは着実にぜひさせていただきたいというふうに今考え、またそのための努力をいたしておるわけでございます。  こういった医薬品、あるいは先生もこの前お話しになりました審査の問題それから世界に通用する画期的な新薬を日本の独自の力で開発をしていく、もちろんそのためにはしっかりとした治験を実施していかなければならないわけでありますが、そういったことについていろいろな機構の問題も御提案をされておるところでございます。  医薬品庁というような構想につきましても、私ども立場から申し上げますと大変魅力ある提案であるわけでございますけれども、何とか安全で有効な医薬品の承認をきっちりやると同時に、また一面ではそういった世界に通用する医薬品を開発していく、そして独立性の強い審査に関しても透明性を持ち、また専門性を持った形で常に最新の治験に基づく審査が行えるような、そういった機構を私どもも目指したいと思います。  また、その背景になります人員の問題あるいは財政の問題、今お話がございましたが、アメリカのFDAの手数料二千万とかそういうオーダーでございますが、私どもの方はその十分の一程度ということで、やはり財政面においても、また人員、組織の面においてもいろいろとこれから改善をしていかなければならない課題があるというふうに認識をいたしております。
  157. 水島裕

    ○水島裕君 こちらの知っていることを答えていただいてもしようがないので、こちらの質問に答えていただきたいと思います。  質問は、名前とか機構とか、そういうことはやはり厚生省の中で議論をしながら決めていっていただきたいけれども、私の申しました精神は生かしてそういうことをすぐに始めていただけるかどうかということが質問でございます。
  158. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、原因究明といった問題を特にこの委員会を含めて議論をしていただいているわけですが、ある意味では並行的に、今、水島委員からもおっしゃったような今後の医療行政、医薬品行政をどうするかということについて議論をしていかなければならない。  そういう場合に、役所の中だけでということではなくて、有識者を交えての会を早急にお願いをしたい。今そのつくり方を検討いたしておりまして、近々、そうした審議会のようなものになりましょうか、あるいは私的懇談会というようなものになりましょうか、そういうものについて形を決めて公表したい、このように考えております。
  159. 水島裕

    ○水島裕君 ぜひそのようになさることを強く切望いたします。  きょうは恒久対策のことが余り出ませんでしたので一言だけお尋ねあるいは意見を申し上げます。  拠点病院をつくるのにはもちろん全く賛成でございますが、血友病患者さんというのは血友病の専門医のところに大部分行っているわけでございまして、そういう血友病の専門医の人が感染症とか免疫不全という治療になれていらっしゃらないと結局は拠点病院に行かないでそういうところへ行って、カリニ肺炎とか、ならなくてもいいようなことになってしまうということがございますので、今なさっていらっしゃることと同時に血友病の専門医のエイズ治療の教育ということにもひとつ力を入れていただきたいと思いますし、私も前の医科研の島田教授と相談してそういう研修会を開こうかということを今計画いたしております。  もちろん、治療・研究センターができて研修会か始まればいいんですけれども、なかなか先のことというふうになると思いますので、その辺何か特別なお考えがあれば私の方は何もしないで助かりますので、いかがでございましょうか。
  160. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 御指摘のように、血友病患者さんとその方を治療されておるドクターとの結びつきは非常に強いというふうに私どもも思っております。  そこで、こういった血友病患者さんを実際に診ておられる先生方に対する感染症その他の研修をどうするかということだと思うのでありますが、一般的には、委員もよく御存じのように、医療従事者実地研修のための予算等も新たに組ませていただいて研修充実に努めてまいりますが、今お話しの血友病患者さんを診ておられる先生方といいますのは、現在実はHIV感染者発症予防・治療に関する研究班という全国的な研究班をつくっております。この班は、班とはいいますけれども非常に大きなものでございまして、実は班員が九十三名、それから班友という形で六百八十六名の先生方、これは血友病の御専門の先生方なんですが、入っておられるわけであります。  したがいまして、こういった研究班の中で今のようなエイズ特有の治療法、そういったものについての情報提供というものを強力にしていただくように研究班お願いをしてみようと思います。
  161. 水島裕

    ○水島裕君 それでは、だんだん時間もなくなりましたので……。  私は、今、厚生省に関して大変危惧を抱いているわけでございます。このままですと厚生省は弱体化しまして、指導力も低下するのではないか、いろいろメーカーなんかに対してもだんだん言いにくくなってきて、今こそ薬事行政を変えなくてはいけないところなのに思い切って改革ができないのではないかというようなことを危惧しているわけでございます。  また、一部には大臣がかわったらまたもとの厚生省になってしまうのではないかというような指摘もないわけではございません。それですから、やはり事務当局もこの辺で頑張っていただきたいと思います。ですから、やはり悪いところがあれば思い切って外科手術をなさって、名誉を挽回してきちんと出直していただきたいと思います。  実は原因究明というのが非常に大切でございます。患者の発症は恐らく一九八三年がピークであったということでございまして、結局八三年の七月ごろ、よくなぞの一週間と言われておりますけれども、私自身考えはそうじゃなくて、その前の数カ月だったと思います。  いろいろな情報があって、加熱製剤を緊急輸入するという方向、それとそうじゃないという情報がたくさんありまして、厚生省では結局緊急輸入しなくて普通にやっていこうという方法をとられたわけでございます。これ時間があれば全部ずっと言っていきますけれども、例えば抑える方ですと先ほどのストックホルムの会議とかあるいは日赤の血液が十分使えないかもしれないとか、各国に打診したらそれほどでもなかったとか、現に日本にはエイズ患者がいなかったとか、それから抗体がなかったので血友病の人が感染しているかどうかわからなかったとかいろんなことがありまして、これはむしろ抑える方ですけれども、早く非加熱をやめなくちゃいけないという情報もたくさんあったわけでございますので、そういうことを総合的に判断して今のような経過をたどったわけでございます。  そのことを一番よく知っているのはやはり当事者であります。当事者というのは担当課長、それから課長補佐でございます。その人は、厚生省にいる方もいるし、いない方もいるわけでありますけれども、そういう方が協力して、それから研究班のメンバーの何人かは非常に本当のことを言っていらっしゃるようでございますので、そういうことが全部出てくれば、もう本当にあと一、二週間でこれはおおよその原因は究明できるわけなのであります。厚生省はその力をまだ持っているはずでございます。調査プロジェクトチームをおつくりになり、多田次官もそれから菅厚生大臣も限界があるというふうにおっしゃっていますけれども、やはりここはもう一度頑張って、絶対当事者はわかるわけでございますので、ひとつ原因を究明していただきたいと思います。  当事者がよくわかるかどうかという一つの例としまして疾病対策課、エイズ課というのはその辺から出てきたわけでございますが、疾病対策課というのがありまして、私は一九七二年から難病の研究班をつくりました。現在までですから二十四年間ずっとやっておるわけでございまして、私はその二十四年間すっかりおつき合いしてきたわけでございます。班長も幾つかやらせていただきましたので課長とか課長補佐ともうしょっちゅう連絡をとっておりました。その方たちは、いろんなものがかわるときに課長とその担当の課長補佐の方は全部よく御存じでありました。あいさつにいらっしゃるときも、紙を見て答弁するんじゃなくて、そらでそういうことをすうっとしゃべっていかれました。  ですから、これだけの情報でこういうふうにしたというのは当時の方々が知らないということはないわけでございますので、ひとつそこをきちんとして出直さない限り国民から再び信頼される厚生省は生まれてこないのではないかというふうに思いますので、何とかもう一回気を取り直して頑張っていただきたい。これは大臣だけじゃなくて事務当局もひとつ菅厚生大臣がいなくなっても大丈夫だというところをやはり見せていただかないと、とても国民に厚生省のことは信用してもらえないんじゃないかと思います。  厚生省も本当にメーカーとかなんかには随分きついことを言うわけでございますので、そういうことも含んでひとつ事務担当の代表とそれから厚生大臣に本当の御決意を最後にいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 血液製剤によるHIV感染に関する事実関係行政立場から調査、整理し、再発防止対策の推進に資するため、大臣の命令によりまして一月二十三日に調査プロジェクトチーム設置され、十一の調査項目につきまして私どもできるだけの事実関係調査を行い、その結果を公表してきたところでございます。  しかしながら、なお御案内のように不明な点がございますので、現在補完的な調査を行っておる、そういう状況でございますが、新たなファイルも出てきた、こういうことでございますので、その辺のファイル調査も含めまして、またただいまの先生の御指摘も踏まえまして、事務方といたしまして今後ともできる限り最大限の努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  163. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、実質的な責任者の総務審議官の方からある意味では心強い意見表明もありましたし、私もいろいろやっておりまして、ここが限界かなと感じることも何度かあったわけですが、しかし、今、水島先生のお話を聞きまして、やはり現場にいる当時の課長あるいは課長補佐といったまさにプロ中のプロの皆さんは当然のことながら周辺の状況を含めて十分に理解をして物事が進んできたという、そういう、私もそうかとは思いながらやってきたわけですが、なかなか何度お尋ねをしてもこれ以上はもう同じことということが重なるものですからやや限界を感じている面もあったわけですが、新しいファイルは、あす発表するファイルも含めて、また新たな事実関係も若干わかってまいりましたので、もう一度省内の力でできる限りの調査をやってみたいと。  また、このことは厚生省が本当に国民の信頼を回復する上でも大変に重要なことだと考えておりまして、そのことは厚生省のメンバー一同十分理解してやっていると私は信じておりますので、もう一度さらに頑張ってみたいと思いますので、よろしく御協力、御指導のほどお願い申し上げます。
  164. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 菅大臣は、御就任以来、大変な熱意でエイズ問題の解決に当たられ、その真実に迫る決意が事態を動かしたと言ってもいいのではないかと、心から敬意を表します。それと、命をかけて闘ってこられた被害者、患者の方たちの勇気を私は心からたたえたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  私たちはいろいろなことの中に住んでおります用地震もありテロもあり、たくさんの喜びと悲しみの繰り返しの中に住んでいるわけですけれども、しかし、うそやごまかし、そういう欺隔にあふれた社会の中には住みたくない、そう思います。  エイズ問題は、私の調べたところ、九五年六月六日までなんですけれども、延べ二百二十二人の国会議員、この一年間ちょっとまだ調べておりませんが、二百二十二人の国会議員が質問をしております。私も三回しておりますけれども、我々の力量不足もあり、調査不足もあったのでしょうけれども厚生省はこの二百二十二人の国会議員の質問に対してすべて虚偽の答弁ですり抜けていったわけであります。  二日前、また新たな二十七冊のファイルが見つかったと、これは和解成立を待っていたかのように、今になって一体どこにどういうふうに隠ぺいされていたのか。先ほど業務局長は、企画課血液事業対策室にあったと、しかももっと早く私が中心になって捜索するべきだったと。私は大変不思議に思いますが、この企画課血液事業対策室、これは一番ありそうなところじゃないんですか。真っ先に調べなければいけないところではなかったのでしょうか。  厚生省はほかの省庁とは違います。人の命を預かっているという、そういう感覚が厚生省にあるんだろうか。患者、被害者の皆さんの怒りと悲しみ、痛み、これがわかっているんだろうか。ちょっと言葉が過ぎるかもしれないけれども、もしかしたら組織的暴力と言えるようなことなのではないだろうか。  私も亡き石田吉明さんと友人でした。ここに彼の署名入りの要請書があります。「竹村泰子様石田吉明」と書いてあります。私の命は砂時計ですと言っていた彼もついに昨年旅立ちました。彼は、だんだん弱ってくる体をつえをついて何回も何回も私たちのところへ要請に来たわけです、緊急の要請に。その内容についてはもうきょうは触れませんけれども、彼の生前になぜ真相究明ができなかったかと、本当に歯ぎしりをするほど悔しい思いでいっぱいでございます。  先ほどの資料隠しというか、出てきたとおっしゃっているからそれを信じるとしましても、一体どこにどんなふうにあったのか、もし隠されていたとすればどこがストップをかけていたのか、これが明らかにならないと問題の解決には全然ならないんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
  165. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 一月二十三日に省内に調査プロジェクトチームが発足をいたしまして、私どもも改めて局内の事務室、書庫の調査徹底いたしたわけでございます。一月二十六日に、局内の企画課血液事業対策室というところでございますが、エイズ関連する資料といたしまして三十冊のファイルが発見をされたわけでございます。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  この三十冊のファイル、長らくエイズ研究班資料が見当たらないという疑問に対して私ども徹底的に調査をするという構えでいたしたわけでございますが、この三十冊のファイルもそういった目でまず点検をいたしまして、そのうち三冊といりものをふるい分けいたしまして、二冊は既に公表をし、一冊を近く公表予定いたしておるわけでございます。  しかしながら、この残りの二十七冊のうちの七冊につきましては、私どもの十分な精査といいますか、もっと広い目でこの真相解明に役立つ総合的なチェックというものを十分に行わなかったということで、この七冊につきまして、今までは研究班との関連性が必ずしも強くないということでそのままにしておったわけでございます。  改めて最近それを点検した結果、これを真相解明に役立つものとして公表をしなければならないというふうに考えた次第でございます。
  166. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうしますと、その企画課血液事業対策室にこの二十七冊があったということはわかっていたわけですね。
  167. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 一月二十六日の時点で今申し上げましたように三十冊が出たわけでございますが、それを点検する過程で私どもの点検の目というものが十分ではなかったということで、その当時からあったわけでございます。
  168. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 こういう大変な事態になっているときに振り分けを一体だれがどうするのか、しかも全部公開してしまおうという気になっていないからそういう目がないのではないかと私は思います。  また、その一月二十六日までどうしてこの血液事業対策室を見なかったのかというお答えはいただいておりませんけれども、それも含めて、委員長、国政調査権を使っていただきまして、どこに資料がしまわれていて、あるいは隠されていたのか、一体だれがとめていたのか、これをお調べいただきたいと思います。
  169. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまの件につきましては、後刻理事会協議することといたします。
  170. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 先ほどからいろいろとお話が出ておりますように、一九七五年、既にWHOは売血による感染症の危険を重く見て、各国は国内の献血で自給し効果的な法律を制定することと勧告をしております。厚生省に設けられた血液問題研究会も、七五年、血液製剤も含め、すべて国内の献血で賄うべきであると厚生大臣意見を具申しております。だが、厚生省はこれを無視した。なぜなのでしょうか。  これは安部氏の圧力があったからではないかというふうに報道されておりますけれども、小委員会では、濃縮製剤に比べ治療効果が劣るとか家庭療法ができないとか大量生産の体制がとれないなどを理由にクリオの評価を不当に後退させていったと、この背景には非加熱製剤の継続を強く主張していた安部さんの影響が指摘されると、こういうことが言われているわけでありますけれども厚生省はなぜこれを無視したのでしょうか。
  171. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 先ほども申し上げておりますが、このクリオに戻るということにつきましては、やはり当時のエイズに対する危険性というものの認識がもし十分であれば、やはり何としても安全な血液製剤を生産していく、これは国内血液で何とか賄えないかということでございます。  その方法としては、クリオという一つ世代の前のもので、これは有効性なりあるいは安全性という面では濃縮製剤に劣っておるわけではございますが、しかしエイズの危険性ということから考えますれば、そういった選択肢が一つあったことも事実でございますし、またこれは当時の生物製剤課の職員でそういったことを考えていた方もいるわけであります。  また、国内血でこの濃縮製剤を賄うことができるのかどうか、そういった議論も含めて、当時の事情については、日赤との関係についてもいろいろと交渉があったわけでございますけれども、私どももそういった経過についてもさらに十分事実の把握をしてまいりまして、どうしてこういった大きな問題に被害が拡大をしていったのか、そういった点についての分析把握をしてまいりたい、このように考えております。
  172. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そういった厚生省の方針、それからさまざまな外部からの圧力もあったかと思いますけれども、ミドリ十字などは血液製剤や原料をどしどし輸入し始めたわけですね、この時期。それが二千人にも上る血友病の人たちを感染させ、既に四百人の方の命を奪ったということになるわけです。  業務局はほかの部局に比べて絶大な許認可の権限を持っておられるわけでして、この権限を軸に官と業の癒着の構造があったのではないでしょうか。  これはある雑誌ですけれども、実にすさまじい天下りの構造ですね。もう皆さんごらんになっていると思いますけれども、ちょっと例を挙げてみますと、厚生省から天下り、日赤の血液事業部長ら四部長が厚生省出身者。日本血液製剤協会、ミドリ十字創業者の故内藤良一氏の指導でつくられたというこの協会は、実質的には厚生省OB、各メーカーの役員らで組織され、現在の鬼武理事は元厚生省麻薬課長補佐、前会長はミドリ十字副社長を務めた小玉知己氏、元厚生省薬務局細菌製剤課長補佐でありました。それから、ミドリ十字のことはよく知られておりますけれども、同じく内藤良一氏が創業された。そして、薬害エイズ事件が起きたときの社長は元業務局長の松下廉蔵氏であった。同時期の副社長は先ほどの小玉知己氏であった。東京支社長は今村泰一氏、薬事部長は富安一夫氏、業務局出身。まさにこのミドリ十字の幹部は厚生省で固められているわけでして、そのほかにも厚生省エイズ研究班班長が安部英氏であり、血液製剤問題小委員会委員長が風間睦美氏であり、血友病総合治療普及会、これは後で触れますけれども、理事長が安部英氏であり、というふうな形ですさまじい天下りの構図があったわけでございます。  私は、この構造をやはり何とかしなければ、この際、厚生省はこういう事態に及んできっぱりと天下り人事をすべてやめると、この決断をしていただきたいと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  173. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 天下りについてはいろいろな指摘がありますし、ある意味では、こうした問題の一つのバックグラウンドをなしているということは私にも十分理解はできるわけであります。  それはありますが、一応まず基本的なところを少し申し上げますと、国家公務員法第百三条の規定によりまして、職員が離職後二年以内に離職前五年間に在職した国の機関と密接な関係を有する営利企業に就職する場合は人事院の承認を得なければならないとされております。  また、厚生省としては、今後とも、つこうとする地位の職務内容が離職前五年間の職務内容関係がある場合や厚生省の許認可等に関係がある場合には人事院に申請をしないなど、厳正な運用を行ってまいりたいと思っております。  この基本的な考え方を超えて天下りについてどうするか、この問題は私はやはり今の国家公務員制度全体の問題とあわせて考えないとなかなか難しいのではないかと。率直に申し上げて、五十代の早い時期に順次退官をされていくという今のキャリアシステムの中で、その後のことをきちっとした形で考えないままそこだけをやめるということが果たして可能なのかどうかということを考えますと、それはよく言われますように、最終的には職業選択の自由という問題にもなりますけれども、逆に言えばそうした天下りといった形をとらなくてもきちっとした仕事をその後も継続してやっていけるような公務員の人事のあり方、そういうものをあわせて考えることによって、天下りをしないでいいという表現がいいかどうかわかりませんが、そういう制度にしていく。  あるいは、完全に個人として能力を買われて行く場合はともかくとして、実際のシステムとして何らかのフォローをしなきゃいけないということがないような、そういう制度に変えていく必要があるのではないか。例えば、定年制の問題等を含めて検討していくべきではないか、このように思っております。
  174. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 確かに大臣のおっしゃるとおり、それは社会全体の問題であり労働関連課題でもあると思いますけれども、しかし少なくとも関連の深いまるで親戚のようなところへ天下っていくということについては、やはり一定の制限を設けなければ、民間の会社の人たちはそういうことにはならないわけですから、だれも天下っていかないわけですから、これはお役人の特性ですよね。  そういうことを考えていきますと、もちろん定年制も延ばさなくちゃいけないし、老後の生活考えてきちんと社会制度をつくっていかなきゃいけないと思います。しかし、こんなに厚生省があちらこちらから責められ、たたかれているときに、やはりそういう方向厚生省が率先して考えていきたいと、大臣がお答えになってしまうと後が大変だと思いますからあれですけれども、しかしそのくらいの御決意が欲しいと私は思いますが、もう一度お答えいただいていいでしょうか。
  175. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この問題ある段階では厚生省としての行政のいろいろな意味責任というものを明確にして、今後のあり方について一つ方向性を出していかなきゃいけないと思っておりまして、そういう段階で今の御指摘も十分踏まえながら今後のあり方考えていきたい、このように思っております。
  176. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 血友病遺族の方から殺人の疑いで告訴されております安部英氏、この方が主宰する財団法人に八三年五月、四千三百万円の寄附があったと、もちろん企業、薬の会社からですが。この時期は、厚生省が安部氏を班長とするエイズ研究班設置し、そして加熱製剤の研究に取り組み始めた時期と一致している。安部氏は、七月十八日の第二回の会議以降、非加熱製剤の必要性を強硬に主張しておられます。  また、現職の衆議院議員である持永和見代議士は八一年八月二十六日から八三年八月二十六日まで、つまりこの時期に業務局長でいらっしゃいました。この時期は、八三年七月、厚生省生物製剤課のメモが、先ほどからありましたように、一週間で加熱製剤の緊急輸入から非加熱製剤の継続に変わった時期でもあります。この持永代議士にも日本薬業政治連盟から献金があったというふうに伝わっております。  私たちは、この委員会であるいは国会でぜひ参考人あるいは証人をと考えます。これは与党だ野党だじゃなく、国民の代弁者として私たちは選ばれております。それは私たちの義務であるというふうに思います。幸いこの委員会の中に薬害エイズ問題小委員会設置されるというふうに聞いておりますので、委員皆さんの熱意でぜひ参考人招致を実現させたいというふうに考えております。これは特にお答えいただかなくて結構です。  この間、私も専門家ではないので、少しく勉強いたしました。先日、四月二日の報道では、第四ルートの調査プロジェクト厚生省の中に発足させられたというふうに聞いております。これについて少し教えていただけたらと思います。
  177. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いわゆる第四ルートと言われますのは、血友病患者以外の方に非加熱製剤を使った結果エイズウイルス感染をされた、そういうケースを言っているわけですが、具体的には新生児出血症あるいは劇症肝炎あるいは肝硬変等の疾患により凝固因子が欠乏した患者に対して非加熱の血液凝固因子製剤が投与されたために生じたものであります。  この問題の把握については、これまでHIV感染者の発症予防及び治療に関する研究班、これはいわゆる山田班と言われておりますが、この班による調査、及び厚生省が都道府県、指定都市を通じた調査を実施してきたわけですが、回答率が低いことや、製剤を投与されながらHIV検査を受けていない患者が多いことなど、調査結果が必ずしも十分なものではありませんでした。  このため、厚生省としてその後、いわゆる非加熱製剤を第Ⅸ因子について製造販売をしていたメーカーについて、調査もかけてかなりの医療機関ども把握をいたしましたが、それでもまだいろんな面で不十分だと考えまして、そこで従来の調査方法を再検討して、薬剤投与及びHIV感染の実態把握の徹底に努めるために、この問題についての調査プロジェクトを省内に設置して調査を進めることにいたしました。そのスタートを四月の二日に行ったところであります。
  178. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ありがとうございました。  今、大臣お話にありましたように、血友病には凝固因子の八番目が欠損している血友病Aと九番目の因子の欠損している血友病Bの二通りがあるわけです。今おっしゃった補充療法という補っていく療法、このために、報道によりますと全国千百七十七の医療機関に八〇年代初めから半ばにかけてエイズウイルス感染のおそれがある非加熱血液製剤、第Ⅸ因子製剤が納入されているというふうに書かれておりますが、これはそのとおりでしょうか。
  179. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 今までも調査をいろいろしてきたわけですけれども、その調査では不十分ということで、薬事法に基づく把握をいたしまして、納入された医療施設として千百七十七カ所という数字がございます。
  180. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私も浅学非才でありますので、少し前までは第四ルートのことを余りよく知りませんでした。凝固因子の抽出の方法の一つがクリオと略されることになる血漿を凍結処理する方法、それからもう一つが水酸化アルミニウムや硫酸バリウムなどを血漿と反応させてビタミンK依存性の凝固因子、この中に第区因子も含まれるわけで、これを吸着させて抽出する方法である。前者のクリオが血友病Aに、後者が血友病Bの治療に応用されたわけです。第区因子だけを高濃度に血清から抽出する方法や遺伝子組みかえで第民因子をつくる方法は九〇年代までは開発されなかったということであるようです。凝固因子は肝臓でつくられるわけですけれども、重症の肝臓病ではビタミンKが欠乏するとか障害を受けて凝固因子の一部が不足する、こういうことであるようです。  問題は、この両者の適応症です。前者のクリオは血友病Aとフォン・ビルレブランド病という血友病よりはまれな病気の治療にしか応用されないんですが、後者の方はビタミンKの欠乏するようなさまざまな病気にも応用がきくと一見思われていたことがあるようで、さっき大臣お話しされましたように、性交渉、母予感染血液感染のほかに、第四ルート、つまり血液製剤感染していった血友病以外の人たちがいらっしゃるということになるようであります。  一九九四年六月に、産業医大の白幡教授が、新生児メレナの治療で使われた血液製剤、これでHIV感染した症例というのを報告をされてから一年近くたって、やっと研究班による実態調査厚生省ではありません、これは研究班による実態調査が行われた。この報告に対して、小児科以外の領域でも血液製剤が使用されている可能性があるのではないかと、それについてはこれまで運動団体が聞いてきましたけれども、はっきりしたお答えは何も出なかったと。  その直後の、九五年七月に厚生省は曲がりなりに内部的な第四ルートの調査に乗り出したというふうに聞いておりますが、今度の調査プロジェクトではなくて、前にも内部的な調査班はあったわけですか。
  181. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 今御指摘の研究班の先生方に研究をしていただいた後、今度は厚生省が都道府県を通じた患者把握調査をいたしました。その結果、対象施設五百四十四施設を対象として調べております。回答は九五・八%、こういうことで私ども厚生省といたしましても調査をいたしたところでございます。  しかし、これだけではないという御指摘がございましたので、新たにまたプロジェクトチームをつくって現在調査をしておる、こういうことでございます。
  182. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 全国千百七十七の医療機関に納入されていることは先ほどお答えいただきましたけれども、その中で五百四十四ですか、今のところわかっているのは。
  183. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 五百四十四と申し上げましたものは、先ほど委員御指摘の厚生省が実際に調査をしたものでございます。千百七十七といいますのは、これからやるものでございます。
  184. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 数字の違いがよくわからない。
  185. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この千百七十七でございますが、これにつきましては、薬事法の規定に基づきまして、報告命令を製薬メーカー六社に対しまして、承認取得後現在までに第以因子非加熱を納入した医療機関等のうちで、できる限り確認をし得るものすべてについて報告を求めたわけでございます。その数字が千百七十七ということでございます。
  186. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それで。
  187. 今井澄

    委員長今井澄君) 今の二つの数字の関係を明確に答弁してください。
  188. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 私が五百四十四と申しましたのは厚生省が独自にやったものでございますが、薬事法に基づく把握医療施設というのはそれをカバーをしておりまして、ですから千百七十七の中の五百四十四、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  189. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 だから、その残りの引いた差はまだこれから調査をするということですね、まだ未調査ということですね、回答が戻ってきていない。――はい、わかりました。  厚生省は、九二年に既に第四ルートについて報告がなされていたのではないかという情報があるんですけれども、私の調査によりますと。第四ルートのドイツでの感染実態を調査したドイツ連邦保健庁の最終報告書、これを九五年二月に入手していた。ドイツでは、一九九二年の終わりから九三年の十月あたりまでに第四ルートの患者数を発表、九四年十月最終報告、九五年二月厚生省最終報告を入手という情報があるんですけれども日本では、九四年の七月、第四ルートの症例が発表され、小児以外の実態調査は約一年後の一九九五年に入ってからのことなんですね。  厚生省がこのドイツの報告書をどういう意図で入手したのかはわかりませんけれども、九四年二月には第四ルートの存在を知り、調査の必要を感じていたからではないのかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  190. 今井澄

    委員長今井澄君) すぐ答弁できないようですから、竹村泰子さん、次の質問に移ってください。
  191. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 第四ルートに関して質問をするということは、私はきょうはちゃんと申し上げてありますので、そのくらいの情報はちゃんと調べてきていただきたいと思いますが、後日それではお願いをいたします。  私の調査によりますと、九四年の七月、第四ルートの症例が発表されたんですね、日本で。その前にドイツでは九三年十月から患者数を発表したりしていた。遅くとも九五年二月には厚生省は最終報告を入手していたんじゃないかと思うのです。  詳しいことは余り時間がありませんのできょうはできませんが、結論としては、我々が第Ⅸ因子製剤の入っている血液製剤は正確には複合製剤と海外で言われている製剤であり、血友病Bの患者さんに無条件に使用されている国は開発国のフランスと日本しかないという事実。さらに、複合製剤はDIC、血管内凝固症候群という致命的な副作用を起こすことが多いという副作用情報が既にさまざまな雑誌などに世界的に出されていた。ほかに方法がないときに限り複合製剤を使用してもいい、それも十分に注意して使用しなければならないといっただし書きがついていたということなんですけれども、一体その適応はどうなっていたんでしょうか。そのような効能書きがきちんとあったのでしょうか。  第Ⅸ因子複合製剤が非血友病患者さんにまで使われていたという事実は医療関係者も当時は驚いたそうです。広範な適応を持っていたことを知っていたのはほんの一部の関係者だったと。本当にそうだったんだろうかと。私は専門家ではありませんので、厚生省はこれらの適応を知らせなかった、あるいは知っていたけれども言わなかった、あるいは医者や病院になぜ知らせなかったのかと、そういうふうなことをあわせてぜひお答えいただければと思います。
  192. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この血友病Bの患者さんに対します第Ⅸ因子の適応の関係でございますが、これは慢性の肝疾患でありますとかあるいは肝炎とか、あるいはビタミンK欠乏症、そういった面、あるいは産婦でありますとか新生児、あるいは手術前後の患者管理といった後天的な欠乏症例にも使用できるということが適応例として掲げられておるところでございます。
  193. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 だから問題だと今私は言っているので、そうなんだけれども、しかし海外では、特に複合製剤はほかに方法がないときに限り、副作用が非常に多いから十分に注意をして使用することというふうにただし書きがついているわけですよ。それを厚生省は知っていたのか知らなかったのか、知っていて隠していたのかと聞いているんです。
  194. 今井澄

    委員長今井澄君) これは適応症の問題じゃないですか、許可されている。非常に簡単なことじゃないですか。
  195. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 時間が経過していきますので。
  196. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 肝疾患の場合、特に線溶高進の疑いのある肝疾患のある場合、あるいは血管内凝固のある患者でヘパリン療法を受けていない場合等は禁忌であるというふうに承知をしております。
  197. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 禁忌、ちょっとよく聞こえなかったんですが、禁忌であると書いてあるわけですね。  それが医療現場にちゃんと行き届いていただろうかということはどうお思いになりますか。あなたは当時の業務局長じゃないから、ちょっと気の毒ですけれども
  198. 今井澄

    委員長今井澄君) この質疑、いいですか、これで。だから、きちっと文書には書いてあるわけですよね。それを今読み上げたわけですね。だから、その適応症も副作用、禁忌も書いてあるわけですよね。――竹村泰子さん、その質問を続けますか、厚生省に対して。
  199. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 わかりました。いいですか。  私が言ったのは、だからちゃんとそれは知らせてありましたかということを聞いているわけですが、いいです。
  200. 今井澄

    委員長今井澄君) 竹村泰子さん、それは知らされているんですよ。文書が出ているということは知らされているんですよ。
  201. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 委員長に質問しておりませんので、だからもういいです。委員長大臣じゃないから、全部のことを把握しておられるわけじゃないから、それはお医者さんでいらっしゃるのはわかっておりますけれども。  わかりました。質問を変えましょう。  厚生省はちゃんと知っていて、知らせてもいたということですね。  海外では効能についてさまざまな臨床試験が行われており、新薬の認可の過程でこれらの文献が提出されているはずでありますよね。ですから、薬事審議会は把握されていたはずであると思います。それから、業務局安全課、こうした効能拡大といいますか、効能書きについて安全課が把握していたはずであり、知らないというのは言いわけにはならないというふうに思います。  それから、製剤の安全性のチェックはされたのかと。この第Ⅸ因子複合製剤には重篤な副作用があるということが国際的には知られていたけれども国内ではどうだったのか。血友病B以外で使用すべきではないし、血友病Bでもほかに方法がない場合に限るというのが国際的な評価であった。これを止血剤としても使われているんですよね、国内では。  私、ここに持っておりますのは、非加熱製剤が投与されて、八四年の末からプロテインC欠損症に投与、エイズ発症。八五年の春、胃の手術、五十代男性に投与、エイズ発症。八五年の春、激症肝炎に投与、エイズ発症、この方は子供さんでした。八五年の春、新生児ビタミンK欠乏性出血症、未熟児に投与、エイズ発症。八六年の春、肝炎で四十代の男性に投与、HIVで感染、死亡。こういうケースを持っております。  この八四年の末からということは、加熱製剤の認可を目前に控え八五年にかけて、非加熱製剤の強引な売り込み、つまり在庫整理と言ってもいいのかもしれませんが、薬業者たちは全社挙げての販促や値引き、血友病患者以外への適応拡大に伴う売り込みが行われていたのではないかと。だから、非血友病患者の非加熱製剤によるHIV感染が広がっていったのではないかというふうに思われます。  止血剤としての適応症は以前からもあったと思いますけれども血友病患者以外に実際に使用され始めたのは加熱製剤認可に伴う非加熱製剤の不良在庫化回避のためではないのだろうかと私は勘ぐりたくなるくらいなんです。その後、非加熱製剤の回収措置がとられないことがはっきりしたために強引な売り込みは影を潜めていったというように思うのです。  私は、厚生省が積極的に対策をとっておればこの第四ルートは回避できたはずだと思うんです。少なくとも、エイズが社会問題化し、八三年から八五年にかけての行政主導のエイズパニックやエイズ予防法制定などが行われたことからすれば、非加熱製剤が回収されたとされる八八年以前の段階で、行政は非加熱製剤の販売停止や回収などの措置血液製剤によるHIV感染を防止する必要があったのですよね。  もう時間がなくなりましたので次に参りますけれども、HIV感染防止のために一体何がなされなければならなかったのかと。非加熱製剤の使用禁止と回収ということで、サリドマイド薬害の反省。サリドマイド薬害裁判の第一回和解交渉の席上、ミドリ十字の元社長、当時の松下業務局長は、厚生省は副作用が判明した段階で直ちにサリドマイドの販売停止を行い、臨床試験等は後回しにするべきだったというふうに言っております。松下業務局長国会で、疑わしきものは使わずというような考えが、なお行政一般につきまして不十分であったというような要素もございまして、今考えれば、まず発売を中止した上で追試するという措置がとられてしかるべきであったということは反省しておりますというふうに言っておられるんですね。当時、業務局長です。  スモンの判決。スモン訴訟の東京裁判決では、サリドマイド薬害の結果、厚生省薬務局長通達をもって、一九六七年十一月以降について国の行政責任を認める判決を出しております。医薬品の製造、承認について厚生大臣の権限を認め、それを逸したときには行政責任が問われるというものであり、松下業務局長の発言を追認するものであったと思います。  クロロキン最高裁判決では、全体として厚生省責任を回避しようという姿勢があったと、私はもう一度読み直してみてそういうふうに思います。  余り時間がなくなってしまいましたので、私たちはこういう反省の上に立って、本当にたくさんの犠牲者、被害者の死亡や御病気の上に立って今この時期を迎えているわけです。ちっともよくなっていないのではないかというふうに思うわけです。  回収の問題でちょっとお伺いをしたいというふうに思います。  非加熱製剤の回収報告ですけれども厚生省のミドリ十字への立入検査の結果、ミドリ十字は八七年末まで出荷を行い、いわゆる回収が終了したのは八八年七月ということであります。しかし、第Ⅷ因子製剤、複合製剤だったのですから、八八年七月の回収とは非加熱製剤の使用期限が切れて使用できなくなった、いわゆる返品されたということになるのではないかというふうに思うわけであります。  ちょっといろいろ例を挙げてみますと、非加熱製剤は出荷され、使われ続けた、八六年二月末まで非加熱製剤は販売されていたというふうに新聞も報道しております。  ミドリ十字の回収の実態は、八五年十月二十一日、第Ⅷ因子、八六年五月三十一日、複合製剤、厚生省の立入調査の結果、従来の報告より二年五カ月から二年二カ月おくれたと。要するに回収は八八年に入ってからということになりますよね。もちろん、厚生省は回収について何ら御自分の力は発揮しておりません、回収を命じただけであります。そのほかの会社も、例えばバクスター、旧トラベノールですが、当時非加熱製剤の回収については問屋や主治医を通して伝えた、そんなに遅い時期まで使われなかったと思うと、こういういいかげんなことを言っているわけですね。日本臓器は、当時の回収状況を確認するデータはないが、そういうことはなかったと思うと。化血研は、病院などをすべてチェックできたわけではないが、有効期限は二年なのであり得ないと考えると。  こういうふうな答えがあるんですけれども、この情報は事実でしょうか。それとも厚生省ははっきり回収できたと断言なさいますでしょうか。
  202. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) これはまさに先ほどお答えを申し上げましたように、ミドリ十字にいたしましても日本臓器にいたしましても、六十二年三月の日本血液製剤協会を通じての報告とはまたかなりといいますか、大幅に回収がおくれた事実が判明をしたところでございます。したがいまして、ミドリ十字の立ち入りを行いまして回収のおくれ、あるいは出庫をしておりました正確な時期についての調査をいたしたところでございます。
  203. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 調査をしているところでございますとおっしゃったんですか。
  204. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 立入調査は、既にことしの二月二十三日に立入検査を行いました。その内容、結果については今お話にありましたような回収と出庫についてのおくれがあったわけでございますが、これについての薬事法上に照らしての問題については現在検討をいたしておるところでございます。
  205. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今、私が例を挙げたことは、それではこれはいいかげんな情報ではなくて、こういう状況で回収されたと思われるとか、問屋や主治医を通して伝えたとか、そういうふうな調査結果が正しいのですか。ということは、回収されたかどうかわからないわけですね。まさか使われてはいないでしょうけれども、はっきりと全部回収できたという自信は厚生省はおありですか。
  206. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 当時の事情を調べましたところでは、各メーカーが加熱製剤と非加熱製剤を交換する形でそれぞれ自主的な回収をしたわけでございますが、それが最終的にいつ完了したか、私どもに対する報告では、例えば第Ⅷ因子製剤については六十年十一月という報告がございましたけれども、しかし結果においてはその時期を大幅におくれての回収が行われておるという実態からいたしますと、その時期までに回収が完了したということは到底言えない状況でございます。
  207. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうすると、いつまで使われていて、いつ回収できたかということはわかっていないんですね。その間に何人の人が死んでいったか、何人の人が血友病にかかっていかれたかということを思いますと、これは大臣、きちんと回収について情報を、データを集めていただいて、どの会社の何はいつ回収が終了したとか、あるいは終了していないとか、私はそういう報告を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  208. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまのいつまでに回収が終了したかということでございますが、ミドリに関しましては最終の回収時期が第Ⅷ因子製剤は六十三年四月、第Ⅸ因子製剤は六十三年七月ということでございます。
  209. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この問題は、竹村委員がおっしゃるとおり、いろんな段階調査で次第次第にわかってきているんですが、それでもおっしゃるとおり非常に不明確なところが残っております。  つまりは、回収命令をかけていませんので、結局は自主回収ということなわけです。自主回収というのも、自主回収をしたところのデータは出てきておりますが、回収できなかったところは、ですからデータがないというよりは回収をしたというのが出ているだけであって、自主回収ですからすべてが回収されたかどうかというのはわからないわけです。先ほども局長が言いましたように、あるメーカーなんかは取りかえたと言っているわけですから、じゃ、全部が取りかえ切ったか切らないかというのはわからないんですね。  そういったことで、今新しい第四ルートのプロジェクトをつくることとも実は結果的にはオーバーラップするんですけれども、いわゆる非加熱製剤をまず売ったメーカーに対して、薬事法上の調査はもう既にかけたわけです。その非加熱製剤をつくって売ったところはもちろん会社は全部わかっておりますから、そこが売った先の医療機関を今全部挙げているわけです。しかし、率直に申し上げてこれも間に卸が入っておりますので一〇〇%データがメーカーでわかっているということにはなりませんで、千百七十七というのはその中で特にミドリ十字が自分の会社の販売先はかなり把握していたという報告がありまして、そこを中心にしてわかったところの報告が千百七十七ということであります。  そうしますと、その次の調査となると卸にかけなきゃいけなくなるわけです。卸は二千社ぐらいあるわけでして、これをかけるかけないを含めて今検討しておりますが、これも十三年前のことでありますので、必ずしも一〇〇%どこに流れたかということはわからない可能性もあるわけであります。  また、そういった医療機関がわかったとしても、先ほど保健医療局長の話もありましたように、その医療機関がある程度わかっても、今度はそこに対してまた調査をしなければならない。これは今のところは都道府県を通して調査お願いという形でやっております。そういったところでわかったものについては、今度はお医者さんにさらにお願いをして、つまりは病院でレセプトなりカルテなりを見てどなたに投与したか、そしてその人にできたら検査をしてもらって把握をする。そういう非常に長い段階があって、そういうことを含めて今回の新しいプロジェクトは第四ルートということに基本的にはなっておりますけれども、基本的にはその全体のことを調査しようと。  血友病患者関係については、比較的血友病患者皆さんに対しては、把握が従来進んでいるというふうに理解しておりましたので、そちらについてはある程度人数なりが把握されていると。それ以外については、そういう形で今改めてそのプロジェクトをつくって調査をやっているということです。  ですから、御心配されるのは私も同感でして、どの範囲にどの程度の量が使われたかというのは、現時点ではまだはっきり申し上げられるだけの調査結果が出ておりません。
  210. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 繰り返されるこういった薬害被害、一体どこまで、いつまでと私どもも胸を痛めます。この際、御一緒に力を合わせて、次の被害が起こらないようにしっかりとお互い頑張りたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  211. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、和解成立後、亡くなられた原告の方のお家をお訪ねいたしまして、遺族の方にお会いをいたしました。この遺族の方は、和解は中間報告だ、真相究明ができて初めて本当の報告がちゃんとできるんだ、こういうことをおっしゃったわけです。私もそのとおりだというふうに思います。そして、たび重なる厚生省資料隠し、証拠隠し、これは本当に許せないと思います。こういう厚生省の態度というのは、真相を覆い隠して、そして私は、被害者の命をもてあそぶ、こういうふうに申し上げてもいいと思います。こういう態度は私は絶対に許すことができません。  きょうは、私、荒賀局長に釈明は求めません。御自分がお考えになって、とるべききちっとした責任をおとりになるべきだというふうに思います。そしてまた、大臣には厳正な対処を求めまして、質問に入りたいというふうに思います。  まず最初に、風間ファイルについてお聞きしたいわけです。  こういう風間ファイル報告公表されたわけですけれども、これはエイズ研究班のもとにつくられました小委員会血液製剤委員会と言うわけですけれども委員長は風間さんでございます。このファイルは風間委員長が提出されたファイル、非常に分厚いファイルです。私も見てみました。勉強させていただいたわけですけれども、大変驚きました。  これは、記述としては、中間報告なるものが出されているわけですけれども、八三年の十月十四日、第四回のエイズ研究班報告されている中間報告の項目の中には「加熱第Ⅷ因子濃縮製剤について」という項目がきちっとあるんです。そして、クリオの評価も、大きな進歩をもたらしたというふうにきちっとクリオについての評価も述べられているわけです。そして、その結論の中には、加熱第Ⅷ因子濃縮製剤の評価を我が国でも可及的速やかに開始するべきであるときちっと明記がされています。それが中間報告です。  ところが、八四年の三月二十九日の最終報告では加熱製剤の項目もありません。結論に相当する要約の中には加熱のカの字も出ていないわけです。そして、結論中の結論であるわけですが、それにはクリオの評価は全く消されてしまって、「AIDSと補充療法剤」の項目の中では「クリオの適応を拡大することには限界があり、補充療法の主体としての第Ⅷ因子濃縮製剤の地位は動かし難い。」、こういう結論になっているわけです。つまり、クリオの拡大は否定され、非加熱製剤の主体としての強調が非常に明記される結果となっているわけです。この結論というのは、その中間報告経過も含めまして検討過程のものとはかなり違うものになっているのではないでしょうか。
  212. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) この血液製剤委員会の中間報告におきましては「加熱第Ⅷ因子濃縮製剤について」という項がお話のございましたように設けられておりまして、その中で「本剤は本来肝炎対策の一として取り上げられたもので、AIDS対策としての評価を現時点で下すことは困難である。」という記述でありますとか、あるいは第Ⅷ因子の活性でございますとかインヒビターの発現等の問題があることから、必要と思われる治験を我国でも早急に開始すべきというふうにしておるわけでございます。  最終報告におきましては、こういった項目、加熱第Ⅷ因子濃縮製剤というものはないわけでございますが、新たに「AIDSと因子補充製剤」という項が設けられておりまして、この中で安全な因子補充療法のためには加熱処理のような製法の改良などによってこの問題が対処されるべきだというふうにしておるところでございます。  また、クリオにつきましては、中間報告と最終報告におきまして、ともにクリオ製剤の評価という項目がございます。このクリオに関しましては同様の考え方を持っておるわけでございますが、新たに設けられました「AIDSと因子療法剤」の中で、クリオの適応拡大には限界がありまして、補充療法の主体が濃縮製剤にあることに変わりはないというふうにしておるわけでございます。  このように中間報告と最終報告では加熱処理につきまして、加熱製剤の項は落ちてはおりますが、その必要性は示されているのではないかというふうに考えております。  また、クリオにつきましては、最終報告におきましてクリオの限界を示した部分が新たに加わっておりますが、クリオの評価につきましては共通した考え方に立っておるものと理解をいたしております。
  213. 西山登紀子

    西山登紀子君 資料が出されているわけですから、きちっと見れば私はゆがめられた結論が出ているということははっきりしていると思います。  患者団体は八三年の夏ごろから加熱製剤への転換を求めていたわけです。小委員会の下した結論は、六カ月たっても現状維持、つまり非加熱製剤を使うということを継続する、こういうままでありました。クリオの意義も消され、クリオの限界性ばかりが強調された小委員会報告になっているわけです。どうしてそういうことになったのか。このゆがめられた過程では風間氏の恩師であります安部班長の圧力があったとマスコミで大きく報道がされているわけです。  ここにそのことを示唆するテープがあります。委員皆さんにはテープを起こしました資料の配付をお願いしてございますので、その資料を見ていただきたいと思います。  私もこのテープを聞いてみました。まずそのテープを聞いて驚いたことは、大変口汚いといいますか、そういう安部氏の言動でございます。  少しこのテープの説明をさせていただきたいと思うんですけれども、このテープというのは、八三年の十月十八日、家庭療法委員会で安部氏が発言をしている内容でございます。この家庭療法委員会というのは、実は八三年の十月十四日、第四回エイズ研究班会議があったわけですけれども、その席上で九州大学の大河内委員がクリオに切りかえるべきだ、非加熱濃縮製剤の自己注射方式は撤退すべきだと主張したその四日後に開かれているわけです。この家庭療法委員会というのは、実は安部氏が小委員会のメンバーを私的に集めた、いわば小委員会の風間委員長報告案の検討会でもあったわけでございます。  安部氏のこの発言の部分を少し御紹介したいと思います。  最初に、「敵の根拠にするところをきちんとつかんで、それに一撃をくらわせなきゃいけない」、この「敵」というのは大河内さんのことでございます。さらに、「大河内は、いま僕たちがやっているあれはでたらめだ、ということをいってるんですよ」、こういうふうに口汚く言っているわけでございます。さらに、「風間先生のあの回答は不満なんです。ああいうものを親委員会にだされては、私が委員長をしておる以上は非常に不満なんです。おわかりでしょうか。あなた、勉強になったとおっしゃいますけども、どのように把握しておられるかというのを、きょうの説明からきいておると、その点にいささかちょっと疑問が残るんですよ」、「あなた」というのは風間先生のことでございます。  そして、飛んで一番最後、これはよく報道されている言葉ですが、一番最後の下から四行目ですけれども、「風間先生書いておけよ。コンセントレートでなければならないという、まあ、いま結論になったわけです。これは風間先生、非常に注意しなければいけないぞ。あなたがこの答申を出したら、あなたは終生うかばれないぞ」、こういう言葉を言っているわけです。これはやはり、おどしであり脅迫、このようにも受け取れるわけですけれども、そういう経過もあってこの小委員会の最終報告の中からクリオの意義がすっぽり落ちて、つまりクリオの採用説を主張されていた九州大学の大河内教授、この方を「敵」と呼んで、この主張、クリオの採用説を「一撃をくらわせなきゃいけない」と、こういうふうに言っていたわけですが、そのとおりクリオの意義がこの最終報告からすっぽりと落ちている。  この事実は厚生省はお認めになりますか。
  214. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) クリオにつきましては、この最終報告におきましても「クリオの評価」という項目がございまして、中間報告とほぼ同様の考え方を持っておりましたが、新たに設けられました「AIDSと因子療法剤」の中で、このクリオの適応拡大には限界がありまして、補充療法の主体が濃縮製剤にあることは変わりはないというふうにしておるところでございます。
  215. 西山登紀子

    西山登紀子君 さらにこのテープの起こしを見ていただきたいと思います。  真ん中のところなんですけれども、安部氏はこういうふうに言っています。「どうしてもコンセントレート」、これは非加熱濃縮製剤のことですけれども、「でなければならない、というところが問題なんです。」、この「問題」というのは重要な問題だという意味であります。「そこで私は、それをいって、これはホーム・イン・フュージョン」、家庭療法、「が必要であるといったのは、実はコンセントレートが必要であるということをいう前提なんです。」、こういうふうにコンセントレートの必要性を非常に強調しておられるわけであります。  そして、私はその言葉と、そしてまた先ほど引用いたしましたけれども、最後に安部氏が「風間先生書いておけよ。コンセントレートでなければならないという、まあ、いま結論になった」と、「非常に注意しなければいけないぞ。」と、「あなたがこの答申を出したら、あなたは終生うかばれないぞ」というふうにおどしているこの言葉をあわせてぜひ見ていただきたいと思います。  まさに安部氏の圧力によって小委員会の結論が、先ほど御紹介しましたけれども、繰り返しますと、「クリオの適応を拡大することには限界があり、補充療法の主体としての第Ⅷ因子濃縮製剤の地位は動かし難い。」、これが結論になったのではないか。  厚生省はどうお考えですか。
  216. 菅直人

    国務大臣菅直人君) このテープにつきましては私も、多分同じものだと思いますが、テレビなどで放送されていたように思います。ですから、ただそのテレビも含めてこのテープがどういう形で、何といいましょうか、確認をされているかということは私も承知いたしておりませんが、少なくとも先ほど来この中間報告と最終報告の差異、あるいはこの間いろいろ出てきた資料を私なりに拝見して得た印象、さらには、先日でしたか、どこかのテレビ局に安部さん本人が出ていろいろしゃべっておられたときの話しぶり等を含めて、私も、安部当時の班長がいわばクリオという従来の療法に戻ることは大変難しいという、そういう認識を当時持っていて、そしていわゆる濃縮製剤、当時は非加熱であるでしょうが、それを使うしかないというような認識を持っておられたということは、いろいろなものを総合してみて、そういう印象は持っております。  このテープそのものについてというのは、今言いましたように、ちょっとそれ自体を私が確認できる立場にないものですから、これ自体だけで申すわけにはいきませんが、全体としてはそういう印象を持っております。
  217. 西山登紀子

    西山登紀子君 この安部氏の家庭療法委員会というのは八三年十月十八日ですから、既に所見で述べているように、非加熱製剤が非常に危険だということは科学者の間での常識的な見解であったわけですが、そういう時期においてなおこの安部氏はこういうふうに、コンセントレートでなければならないんだと、そういうことを主張し、風間氏に、私は脅迫というふうに受けとめますが、こういう言葉を投げかけているわけですから、私はこういうお考えエイズ研究班方向が決められたということは非常に重大な問題犯罪的な行為だというふうに思うわけです。  さらにこの安部発言をよく吟味してみますと、さらに重大な大きな問題が含まれていることがわかります。  右のページの下から五行目なんですけれども、安部氏は「厚生省は日赤対策でいっぱいなんです。」、こういう言葉を述べているわけです。実は、これは二日前に公表されたファイルの中に、マスコミが報道されておりますけれども厚生省と日赤が八三年の六月、七月、九月に折衝していたという内容がそのファイルの中にあるという報道があったわけですけれども、そのことと非常に符合いたします。  安部氏はこういう厚生省と日赤の折衝を熟知していたということになるのではないでしょうか。どうですか。
  218. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 当時日赤と厚生省の間では、この凝固因子製剤製造のための原料血漿の確保、あるいは先ほどお話もございましたが、クリオの問題でありますとかいろいろな国内血を活用した方策について意見交換、あるいは厚生省が日赤からの情報をとっていろいろと検討をしていたことは事実でございますし、それについて安部班長がある程度そういった内容を承知していたこともあり得るのではないかというふうに考えております。
  219. 西山登紀子

    西山登紀子君 厚生省が今お認めになったわけですけれども、安部氏は厚生省がなぜ日赤対策でいっぱいなのかというその内容も知っていたはずであります。つまり、厚生省は当時、非常に危ないと、だから外国の血液を使うのではなくて国内血で何とかならないかということで日赤と交渉をしていたのではなかったでしょうか。  さらに重大なことは、このコピーをもう一度見ていただきたいと思うんですけれども、右のページの真ん中から下の部分です。安部氏はこういうことを言っています。  少し長くなりますので短くいたしますけれども、「第二のヒイテのことをどうするかということを、きょうやりたいと思います。」。この「ヒイテ」というのは加熱製剤のことです。「第二のヒイテのことをどうするかということを、きょうやりたいと思います。ヒイテの大体の話をいたしますと、現在私の所に申し込みがきておりますのは八社です。それを使ってもらうためにはですね、厚生省などはね、あるいはある会社などはね、前のコンセントレートの……簡単にこれを許可してもらおうという、これは厚生省の態度もちょっと悪いですよ。そういうふうなことを臭わせてるわけですな。それに未だに決め得ないわけです。これをどのように扱うか、ということを。しかし私どもとしましてはね、やっぱり新しいものは新しいもんですから、いっぺんボランティアを通さなければ、とにかくそれを健康人のボランティアのやってみて、大丈夫だということを確認しなければ私は使いたくない。そうでしょう……。そこで厚生省はどう考えておるかと申しますと、非常に決めかねておるわけです。」、そして日赤対策でいっぱいだというふうなことをここで発言しているわけです。  この安部氏の発言は、これは当時トラベノール社がアメリカでとった加熱製剤承認で厚生省と折衝しておりました。八三年の五月段階では、新たな治験は必要ではなく、いわゆる一変でいいのではないかという感触を得ていた。これは小栗氏の裁判での陳述書の中でそのことが述べられているわけですけれども、そのことを、「ある会社などはね」というのはその意味であります。安部氏は、厚生省の態度もちょっと悪いと、そういうことをにおわせているからというふうに厚生省を非難しているわけです。この一変でいいという厚生省の方針を安部氏は知っていたわけです。知っていて、これをつぶしにかかって、そしてつぶした。こういうことではないかと思うんです。  四月一日のNHKの「クローズアップ現代」でもこのトラベノール社が安部氏に会ったときの文書が映されておりましたけれども、安部氏は八社同時だと、一社や二社の先駆けは許さないんだということを明言したということが文書に、映っていたわけです。  大臣にお伺いいたしますけれども、私が紹介したこのテープの内容といい、そしてこういうテレビで報道されている安部氏の態度、こういう態度というのは、おくれていたミドリ十字の調整という、もうこれは周知の事実でありますけれども、その事実とあわせて考えますならば、我が国における加熱製剤の導入を意識的におくらせたその責任というのは非常に大きいのではないでしょうか。大臣のお考えをお伺いします。
  220. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほど申し上げたように、このテープそのものについて余りコメントして私自身が、テレビではちらっと聞きましたが、まして起こされたものについて責任が持てませんのでそれは若干差し控えさせていただきますが、先ほど来言っておりますように、全体の流れを私なりに掌握した中で判断をいたしますと、今、西山委員が言われたような同じような疑問を私も持っております。  つまり、何といいましょうか、私もトラベノール社の陳述書を読んでおりますが、かなり早い時点から加熱製剤の承認申請を出したいとしていた、そして八三年三月にはアメリカで既に承認されていた、そういう非常に早い段階で進んでいるメーカーと、それに比べれば非常におくれてスタートし、なかなかてこずっていたメーカーが結果において同じ時期というか、全く同日だったと思いますが、承認になるということは、やはりその中で何らかの調整が行われたのではないだろうか。また、安部班長がそういう趣旨のことを言われていたような資料も、あのファイルにあったかどうかちょっと、いろんなテレビとかいろんなものが重なっていますので一概には言えませんけれども、たしかそういうことを認めておられるような新聞記事なんかも見たような覚えがありますので、そういうものをあわせて考えると、今おっしゃったような認識についてはほぼ私も同様な認識を持っております。
  221. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣も同様のお考えということであります。  安部氏は、今、殺人罪で告訴をされているわけでありますが、この安部氏を班長に任命した厚生省責任も非常に重大であると思います。非常にゆがめられた小委員会報告と合わせた行政対応を行って、さらに回収命令などの有効な手を打たなかった厚生省の根本的な行政責任は決して免れることはできないというふうに思います。そしてまた、薬害エイズの根本的な、基本的な責任というのは国の業務行政にあるだろうというふうに思うわけです。  ところで、今、私が紹介をいたしましたこのテープで、安部氏が非常にいろいろなことを詳しく知っております。日赤との交渉、一変の情報、こういうものを非常によく知っている。これは業務局のだれかが絶えず安部氏と連絡を取り合って情報交換をしていたとしか考えられません。業務行政上の非常に重要な問題があったのではありませんか。だれが安部氏と情報の交換をしていたか、国家公務員法上の問題もあろうかと思うんですけれども大臣、厳重に調査をしていただいて、当委員会報告をしていただきたいと思います。
  222. 菅直人

    国務大臣菅直人君) まず、今先ほど私がほぼ同様の認識と申し上げたのは、あくまで時間的な問題についてはぼ同様という意味でありまして、何といいましょうか、それがどの程度問題であるかないかという認識はそれぞれあると思いますが、その点はちょっと念のために申し上げておきます。  それから、今、いろいろな情報を当時のこのテープから見ると安部班長が知っていて、それがあるいは国家公務員法に違反するのではないかという御指摘であります。  私もこういう、何といいましょうか、厚生省が委嘱をした、エイズ研究班というものをお願いした場合に、どの程度のものを厚生省がその班長にお示しをしていろいろな判断を仰ぐのか。中には十分示していないではないかということもあるわけですね。例えば、たしかピシバニールの回収報告なんというのはもっと出すべきではなかったかというような議論もあるわけであります。  ですから、私が今この場でお聞きしているような情報について、たとえ何らかの形で安部班長に伝わっていたとしても、そのことは私はそんなにそのこと自体で問題になるようなことではないのではないだろうかと。ただ、このエイズ研究班がどういう議論をされてきたかということは、この間もかなり中心的に調査をしてきたことでありますので、一般的に申し上げれば、わかる範囲ではさらに調査したい。ただ、今御指摘の点については、私の認識では、そういった法律上の問題はないのではないか、そういう認識を持っております。
  223. 西山登紀子

    西山登紀子君 きょう、ようやく参議院集中審議が行われたわけですけれども、やはり真相はまだまだやみの中です。  委員長お願いしたいわけですけれども、私は、当時の郡司元生物製剤課長、安部英元エイズ研究班の班長、それから松下廉蔵、当時ミドリ十字の社長、それから持永和見氏、元業務局長、この四人の方を証人として呼んでいただきますように理事会で御検討いただきたいと思います。
  224. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。
  225. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後ですが、大臣にお伺いしたいと思います。  やはり、身内でかばい合って資料を覆い隠す、こういうことでは到底真相の究明はほど遠い、このように私も思います。  そこで、大臣の直属に新たに調査委員会を設けられるようですけれども、その際には、民間の有識者はもちろん、薬害エイズ訴訟の弁護団の代表をきっちりと加えて真相究明に迫るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  226. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御承知のように、現在の調査プロジェクトは省内でつくったわけですけれども、今予定をしております、これと並行にこれからの薬事行政あるいは再発防止について検討しようというものにつきましては、有識者の皆さんに参加をしていただいた大臣私的諮問機関のような、あるいはそういった種類のものを念頭に置いております。  ただ、これは、今の調査プロジェクトにかわって調査を進めていくという性格では必ずしもなくて、もちろん一部ダブるかもしれませんけれども、どちらかといえば今の薬事行政なり再発防止あり方についての指摘や提案をいただきたいというふうに思っております。  いろいろな関係者を加えての調査のプロジェクトなりをさらにつくるべきではないかという御指摘でありますが、これもいろいろな機会に申し上げているんですが、第三者を加えた場合に、どういう法律的な根拠で調査権限を持たせるかというのがなかなか難しいのではないか。例えば、航空事故調査委員会というのはこれは法律によってメンバーに調査権限を与えていて、それに応じない場合は罰則規定まで入っているわけですけれども、そういう点ではそういう特別な法律がこの問題についてはありませんので第三者の方に参加をしていただいても、結果的にはどうしても例えば厚生大臣の権限に話が戻ってくる、つまり厚生大臣に対する勧告とか意見という形になってくるのではないかなということもあって第一段階では省内に設けたわけです。  しかし、これから先、そういう有識者による検討会などを含めて、さらにどういう形で真相の究明に当たっていくか、役所としてもやれる範囲のことについては十分検討して進めてまいりたいと、こう考えております。
  227. 今井澄

    委員長今井澄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  228. 今井澄

    委員長今井澄君) 小委員会設置に関する件を議題といたします。  薬害の根絶を図ることは厚生行政の重要な課題であることにかんがみ、薬害エイズ事件の真相を究明することにより、薬害の再発を防止する観点から薬事行政あり方等について調査検討するため、小委員十一名から成る薬害エイズ問題に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長の選任は、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員に阿部正俊君、石井道子君、大島慶久君、清水嘉与子君、長峯基君、釘宮磐君、田浦直君、水島裕君、朝日俊弘君、竹村泰子君及び西山登紀子君を指名いたします。  また、小委員長に釘宮磐君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会から参考人の出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会      ―――――・―――――