○竹村泰子君
委員長に質問しておりませんので、だからもういいです。
委員長は
大臣じゃないから、全部のことを把握しておられるわけじゃないから、それはお医者さんでいらっしゃるのはわかっておりますけれ
ども。
わかりました。質問を変えましょう。
厚生省はちゃんと知っていて、知らせてもいたということですね。
海外では効能についてさまざまな臨床試験が行われており、新薬の認可の過程でこれらの文献が提出されているはずでありますよね。ですから、
薬事審議会は把握されていたはずであると
思います。それから、
業務局安全課、こうした効能拡大といいますか、効能書きについて安全課が把握していたはずであり、知らないというのは言いわけにはならないというふうに
思います。
それから、製剤の安全性のチェックはされたのかと。この第Ⅸ因子複合製剤には重篤な副作用があるということが国際的には知られていたけれ
ども、
国内ではどうだったのか。
血友病B以外で使用すべきではないし、
血友病Bでもほかに方法がない場合に限るというのが国際的な評価であった。これを止血剤としても使われているんですよね、
国内では。
私、ここに持っておりますのは、非
加熱製剤が投与されて、八四年の末からプロテインC欠損症に投与、
エイズ発症。八五年の春、胃の手術、五十代男性に投与、
エイズ発症。八五年の春、激症肝炎に投与、
エイズ発症、この方は子供さんでした。八五年の春、新生児ビタミンK欠乏性出血症、未熟児に投与、
エイズ発症。八六年の春、肝炎で四十代の男性に投与、HIVで
感染、死亡。こういうケースを持っております。
この八四年の末からということは、
加熱製剤の認可を目前に控え八五年にかけて、非
加熱製剤の強引な売り込み、つまり在庫整理と言ってもいいのかもしれませんが、薬業者たちは全社挙げての販促や値引き、
血友病患者以外への適応拡大に伴う売り込みが行われていたのではないかと。だから、非
血友病患者の非
加熱製剤によるHIV
感染が広がっていったのではないかというふうに思われます。
止血剤としての適応症は以前からもあったと
思いますけれ
ども、
血友病患者以外に実際に使用され始めたのは
加熱製剤認可に伴う非
加熱製剤の不良在庫化回避のためではないのだろうかと私は勘ぐりたくなるくらいなんです。その後、非
加熱製剤の回収
措置がとられないことがはっきりしたために強引な売り込みは影を潜めていったというように思うのです。
私は、
厚生省が積極的に
対策をとっておればこの第四ルートは回避できたはずだと思うんです。少なくとも、
エイズが社会問題化し、八三年から八五年にかけての
行政主導の
エイズパニックや
エイズ予防法制定などが行われたことからすれば、非
加熱製剤が回収されたとされる八八年以前の
段階で、
行政は非
加熱製剤の販売停止や回収などの
措置で
血液製剤によるHIV
感染を防止する必要があったのですよね。
もう時間がなくなりましたので次に参りますけれ
ども、HIV
感染防止のために一体何がなされなければならなかったのかと。非
加熱製剤の使用禁止と回収ということで、サリドマイド薬害の反省。サリドマイド薬害
裁判の第一回
和解交渉の席上、ミドリ十字の元社長、当時の松下
業務局長は、
厚生省は副作用が判明した
段階で直ちにサリドマイドの販売停止を行い、臨床試験等は後回しにするべきだったというふうに言っております。松下
業務局長は
国会で、疑わしきものは使わずというような
考えが、なお
行政一般につきまして不十分であったというような要素もございまして、今
考えれば、まず発売を中止した上で追試するという
措置がとられてしかるべきであったということは反省しておりますというふうに言っておられるんですね。当時、
業務局長です。
スモンの判決。スモン訴訟の
東京地
裁判決では、サリドマイド薬害の結果、
厚生省薬務局長通達をもって、一九六七年十一月以降について国の
行政責任を認める判決を出しております。医薬品の製造、承認について
厚生大臣の権限を認め、それを逸したときには
行政責任が問われるというものであり、松下
業務局長の発言を追認するものであったと
思います。
クロロキン最高
裁判決では、全体として
厚生省の
責任を回避しようという姿勢があったと、私はもう一度読み直してみてそういうふうに
思います。
余り時間がなくなってしまいましたので、私たちはこういう反省の上に立って、本当にたくさんの犠牲者、被害者の死亡や御病気の上に立って今この時期を迎えているわけです。ちっともよくなっていないのではないかというふうに思うわけです。
回収の問題でちょっとお
伺いをしたいというふうに
思います。
非
加熱製剤の回収
報告ですけれ
ども、
厚生省のミドリ十字への立入検査の結果、ミドリ十字は八七年末まで出荷を行い、いわゆる回収が終了したのは八八年七月ということであります。しかし、第Ⅷ因子製剤、複合製剤だったのですから、八八年七月の回収とは非
加熱製剤の使用期限が切れて使用できなくなった、いわゆる返品されたということになるのではないかというふうに思うわけであります。
ちょっといろいろ例を挙げてみますと、非
加熱製剤は出荷され、使われ続けた、八六年二月末まで非
加熱製剤は販売されていたというふうに新聞も報道しております。
ミドリ十字の回収の実態は、八五年十月二十一日、第Ⅷ因子、八六年五月三十一日、複合製剤、
厚生省の立入
調査の結果、従来の
報告より二年五カ月から二年二カ月おくれたと。要するに回収は八八年に入ってからということになりますよね。もちろん、
厚生省は回収について何ら御自分の力は発揮しておりません、回収を命じただけであります。そのほかの会社も、例えばバクスター、旧トラベノールですが、当時非
加熱製剤の回収については問屋や主治医を通して伝えた、そんなに遅い時期まで使われなかったと思うと、こういういいかげんなことを言っているわけですね。
日本臓器は、当時の回収状況を確認するデータはないが、そういうことはなかったと思うと。化血研は、
病院などをすべてチェックできたわけではないが、有効期限は二年なのであり得ないと
考えると。
こういうふうな答えがあるんですけれ
ども、この
情報は事実でしょうか。それとも
厚生省ははっきり回収できたと断言なさいますでしょうか。