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1996-03-26 第136回国会 参議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後二時三十一分開会     —————————————    委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任      中島 眞人君     岡野  裕君  三月十五日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     中島 眞人君  三月二十二日     辞任         補欠選任      中島 眞人君     世耕 政隆君  三月二十五日     辞任         補欠選任      世耕 政隆君     中島 眞人君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 長峯  基君                 勝木 健司君                 木暮 山人君                 田浦  直君                 水島  裕君                 山本  保君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省社会・援        護局長      佐々木典夫君        厚生省児童家庭        局長       高木 俊明君        厚生省保険局長  岡光 序治君        厚生省年金局長  近藤純五郎君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     東  良信君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○らい予防法廃止に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○平成八年度における国民年金法による年金の額  等の改定特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案らい予防法廃止に関する法律案及び平成八年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。菅厚生大臣
  3. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま議題となりました三法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金支給を初め各種援護措置を講じ、福祉増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等支給額を引き上げるとともに、引き続き戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給等を行うこととし、関係法律改正しようとするものであります。  以下、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。  第二は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、戦傷病者等の妻として支給を受けた特別給付金国債償還を終えたときに、夫たる戦傷病者等の死亡により戦没者等の妻となっている者に対して特別給付金支給するものであります。  第三は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、戦傷病者等の妻に対して引き続き特別給付金支給することとし、その場合、十年間の国債償還額を九十万円、六十万円及び三十万円とするものであります。また、特別給付金国債償還を終えたときに、夫たる戦傷病者等が平病死している場合、その妻に特別給付金として額面五万円、五年償還国債支給することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  次に、らい予防法廃止に関する法律案について申し上げます。  現行らい予防法は、感染源対策としての患者の隔離を主体とした法律でありますが、今日、ハンセン病は、現在の我が国においては感染しても発病することは極めてまれな病気であることが明らかとなっており、また、仮に発病しても、治療方法の確立している現在においては、適切な治療を行うことによって完治する病気となっております。したがいまして、らい予防法に定めているような予防措置を講ずる必要性はなくなっております。  こうした医学的知見を踏まえ、これまでらい予防法の弾力的な運用を図りつつ、国立ハンセン病療養所入所者に対する処遇改善に努めてまいりましたが、らい予防法の抜本的な見直しには至らず、その見直しがおくれたこと、また旧来の疾病像を反映したらい予防法が現に存在し続けたことが結果としてハンセン病患者、その家族の方々の尊厳を傷つけ、多くの苦しみを与えてきたこと、さらに、かつて感染防止の観点から優生手術を受けた患者方々が多大なる身体的・精神的苦痛を受けたことは、まことに遺憾とするところであり、行政としても陳謝の念と深い反省の意を表する次第であります。そして、こうした思いのもとに、今回、らい予防法廃止提案することとしたものであります。  しかしながら、現在、国立ハンセン病療養所におきましては約六千名弱の方々療養生活を送っておられます。これらの方々は、既に平均年齢が七十歳を超え、またその大多数が視覚障害、肢体不自由などの後遺障害を有しておられます。さらに、社会の差別、偏見や三十年以上の長きにわたる療養所生活の結果、社会に復帰して自立するのが困難な状況に置かれておられます。  このような療養所入所されている方々の置かれた特別の状態にかんがみ、らい予防法廃止とあわせて、法の廃止後も引き続き、療養所入所者に対する医療及び福祉処遇維持継続を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、らい予防法廃止することとしております。  第二に、国立ハンセン病療養所入所している方々等に対して現在行われている医療及び福祉措置を引き続き行うこととしております。具体的には、国は、この法律施行の際現に療養所入所している方々に対し、療養所において引き続き必要な療養を行うとともに、入所されている方々に対し、福利の増進に努め、社会復帰に必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができることとしております。また、都道府県知事療養所入所している方々の親族に対する援護を行うことができることとし、国はその費用の全額を負担することとしております。さらに、国立ハンセン病療養所を一たん退所された方々につきましても、原則として再入所を認めることとし、入所者と同様の処遇を行うこととしております。  このほか、法律に用いられております「らい」という言葉を「ハンセン病」に改めるとともに、優生保護法その他の関係法律につきましても、あわせて見直すこととしております。  最後に、この法律施行期日平成八年四月一日としております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  最後に、平成八年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について申し上げます。  公的年金制度及び各種手当制度につきましては、国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数変動に応じた物価スライド実施することとなっております。  平成七年の年平均全国消費者物価指数が〇・一%の下落となったことから、国民年金法等規定に基づけば、平成八年度においてこれに対応した減額改定を行うこととなりますが、このたびの消費者物価指数変動が僅少であること、現下の社会経済情勢等にかんがみ、平成八年度における特例措置として、公的年金及び各種手当の額を平成七年度と同額に据え置くこととし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  平成八年度において特例として、国民年金法による年金たる給付厚生年金保険法による年金たる保険給付児童扶養手当特別児童扶養手当障害児福祉手当特別障害者手当等原子爆弾被爆者に対する医療特別手当等並びに国家公務員等共済組合法地方公務員等共済組合法私立学校教職員共済組合法及び農林漁業団体職員共済組合法による年金である給付について、物価スライドによる年金額等改定措置を講じないこととしております。  なお、この法律施行期日平成八年四月一日としております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 今井澄

    委員長今井澄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。平成会皆様方も議論に参加をすることになりまして国会が正常化されたこと、大変うれしく存ずる次第でございます。  日切れ法案質疑に入る前に、まず一つ二つ大臣にお尋ねをしたいと思うわけでございますが、第一にエイズの問題でございます。  きょうの新聞、テレビ等でさまざま報道されておりますけれども菅大臣におかれましては、二月に患者に対しまして国の責任を認め、なおかつ謝罪もされて、そして第二次和解案が三月七日に提示され、被告の製薬会社全社、そしてまた国も、さらには患者原告も全員これを認めるということになったやに聞いているわけでございます。いよいよ二十九日が和解調印というときに至っているわけでございますが、エイズ問題については、私ども連立与党福祉プロジェクトチームの中にワーキングチームを設置いたしまして、早期和解の推進を最重点課題として取り組んでまいりました。  けさの報道によりますと、いわゆる恒久対策と呼ばれるものを患者側に対して提示をされたというふうに出ているわけでございます。特に、治療研究体制整備であるとか、あるいは鎮魂慰霊措置であるとか、それからエイズ治療薬早期提供開発促進、そして差額ベッドの問題、二次.三次感染者医療費の問題等々につきまして具体的な提案をしたやに報道されているわけでございますけれども、私ども連立与党を代表いたしまして、大臣としての具体的な方針並びに決意につきましてお披露をいただきたいと思うわけでございます。
  6. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、塩崎委員の方からもお話がありましたように、今日、二十九日の和解に向けての最終段階に来ているわけであります。  この間与党三党のプロジェクト皆さんに、例えば三月十五日にもそれまでの和解について厳粛に受けとめるようにという御意向をいただいておりますし、また今回の第二次和解案が出た後もいろいろと三党でそれの促進方を進めていただいております。さらには今回、今から御説明する案の取りまとめに当たりましても、大阪、東京の原告団との間で与党プロジェクト皆さんがいろいろと意見交換をしていただきまして、そういった意味では本当に与党プロジェクト皆さんと一緒になってまとめてきているということで、この場をおかりして与党関係者皆さんにもお礼を申し上げたいと思います。  今御質問のありました現時点における状況とその内容でありますけれどもエイズ患者医療体制整備鎮魂慰霊措置等については、連立与党考え方も十分に念頭に置き、また患者遺族からも御意見をいただきながら検討を進めているところでありますけれども和解成立時までに決着のつかない問題については和解成立後においても患者方々と誠意を持って話し合いを行い、できる限りの対応を行ってまいりたいと考えております。  具体的には、御指摘のあった問題について各項目をちょっと申し上げますと、第一に治療研究体制整備に関してでありますけれども、まずHIV感染症等に関するセンター的機能を備えた治療研究機関については、国立国際医療センター及び国立予防衛生研究所エイズ研究センターにおいて治療研究、情報及び研修を一体的に推進するセンター的機能整備を図ってまいりたいと考えております。また、エイズ拠点病院につきましては、今後一層の整備充実に努めるとともに、国立国際医療センター等との連携を強化することにより全国拠点病院等における診療水準の向上と均質化を図ってまいりたいと考えております。  また、裁判所の所見に示された鎮魂慰霊措置につきましては、連立与党考え方十分念頭に置き、また引き続き原告皆さんからも御意見をいただきながら、厚生省としても弔意のあらわし方についてその具体化に向けて最大限の努力をいたしたいと考えております。  エイズ治療薬早期提供開発促進につきましては、迅速審査実施によるエイズ治療薬早期供給、そしてまた承認前のエイズ治療薬の幅広い提供を図りたい。この場合は国際的な英知を結集した治療薬開発促進にも取り組んでまいりたいと思っております。このエイズ治療薬の幅広い提供という問題は、現在治験という形でまだ正式に認可されていない薬についても早期に実質的には患者さんに使っていただけるような、もちろんその場合にはインフォームド・コンセントといったことが重要だと思っておりますが、そのこともあわせて進めてまいりたいと考えております。また、差額ベッドの問題につきましては、まずエイズ拠点病院等における個室整備促進を図ること、そして不適当な差額徴収を行わないように関係医療機関に対する指導の徹底を図るとともに、現行重症者加算といった診療報酬における対応について、この問題でそれを拡大的に適用できないか、新たな適用の改善策について現在検討を進めているところであります。エイズ拠点病院などを中心に、患者本人の意に反した不適当な差額徴収が行われることがないよう万全の措置を講じていきたいと考えているところです。  また、二次・三次感染者医療費については、現行血友病患者皆さんに対して講じております方式等に準じて、発症者及び一定の感染者についてはエイズ治療に要する自己負担の解消を図るべく現在具体的な詰めを行っているところであります。  以上、幾つかの問題、五項目について申し上げましたけれども、現在この五項目について原告団との間で詰めを行っている現状について御報告申し上げました。
  7. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 きょうは日切れ法案が主でございますから余り長い質問をするわけにもいかないわけでございますので、また本予算のときに申し上げます。  いずれにしても、二十九日が調印の日ということでございます。過去の過ちを認め、そしてまた責任を認められた大臣として、今お話ありました中には今までの慣例ではなかなかできないことも含めてやらなければいけないことがあるわけでございます。そういう意味で、特に感染者やあるいは発症者に対しては、これはもう時間が迫っていることでもございますので、どうぞひとつ一刻も早い御決断をしていただくようにお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  もう一つ、これも実は残念なお話でございますが、昨年の十一月に私ども地元愛媛県で起きた事件に関連してお伺いをしたいわけでございます。  それは、厚生省保険局医療課及び県の保険課が合同で行います保険診療に関する共同指導というのが二日間、十一月にございました。そのときは対象歯科医師四名に対してでございました。二日間の予定でございましたけれども、一日目の指導が終わった夜に、翌日に指導を受けることになっておりました歯科医師の方がみずからの命を絶たれたということがございました。  また後ほどいろいろ申し上げますけれども、こうした保険診療に関する共同指導というのは健康保険法の四十三条ノ七を根拠といたしまして行われているように聞いているわけでございますが、この目的、それから指導内容、そしてまた指導対象者選定基準、どうやってこれを選んでいるのか、それから実施中身、こういったことについてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 御指摘がありましたように、根拠規定健康保険法の四十三条ノ七の規定でございます。そこでは保険医療機関保険医などは厚生大臣または都道府県知事指導を受けなければならないということになっておりまして、これが根拠規定でございます。  それから、その目的は、都道府県知事が行う指導と、それから厚生大臣知事とで共同でやる場合、これを共同指導と言っておりますが、いずれも診療内容、それから診療報酬請求適正化を図るということが目的でございます。  それから、対象者選定でございますが、いわゆる診療報酬請求明細書レセプトの一件当たりの平均点数を上位から並べまして、その高い保険医療機関選定対象とするということにしております。  それから、指導内容実施方法でございますが、指定をした場所カルテとかあるいはレントゲン写真であるとか、そういう関係の資料、書類を持ってきていただきまして、そこの場所で持ってきていただいたカルテといわゆる診療報酬明細書レセプトとを突き合わせいたしまして、その内容を確認しながら診療内容とか診療報酬請求の点で不当な事項とかあるいは不正な事項がないか、そういうことを確認いたします。そして、問題があればその場で指導を行う。なお、この指導に当たりましては、この法律の四十三条ノ七の規定にもありますが、専ら地元関係団体歯科医師の場合ですと県の歯科医師会役員に立ち会いをしてもらってそれを実施する、大体そういうことにしております。それから、指導の結果につきましては後日文書で通知をする、こんな扱いにしております。
  9. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今回の大変残念なケースのときには、通常厚生省と県と合わせて四、五名の方とお話し合いをするという格好であったようでございますけれども、このケースの場合には合計で十名ぐらいの方と歯科医師先生が向かい合って今おっしゃられたような点についてのお話があったと。それもかなりこのときは、中身がいろいろあったのかもわかりませんけれども、声を荒らげたり、あるいは時には机をたたいたりというようなこともあって、かなり尋問に近いようなときもあったように伝え聞いているわけでございます。  今回、こうしてみずからの命を絶たれたこの先生、まだ四十代半ばでございまして、十歳ぐらい年下の奥様と子供さんが一歳と二歳ということで、まさに遺族は途方に暮れているということでございます。  もちろん、このことだけがその原因だと言っているわけではございませんけれども、こういう尋問に近いような形の指導というのが本当にあったのかどうか、その点について。ほかの地域でもそのようなケースがあったやに、こういった不幸なケースにつながるようなことがあったと聞いているわけでございますけれども、これについてどのように把握をされ、お考えになっているのかをお聞きいたしたいと思います。
  10. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 本当に痛ましいケースで、私どもも非常に残念だと思っておりまして、かつ指導あり方についても反省すべき点があるんじゃないかと思って総点検をすべく今考えているところでございます。  そもそも論といたしまして、指導に当たりましてのよりどころとしまして指導大綱というものを私ども定めておりますが、その中でも個別指導においては個々の保険給付及び保険医療に関する事務並びにその診療内容について書類を閲覧し、懇切丁寧に懇談、指導を行う、こういうふうに定めておりまして、今御指摘がありましたような尋問とかという話ではなくてまさに指導でございますので、その趣旨に沿うような対応をしていただくよう従来からお願いをしているところでございます。  今回の事例、私ども調べてまいりましたが、御指摘がありましたように平成七年十一月の十五日、十六日、二日にかけての予定でございまして、御指摘がありました方は十六日に予定をされておる、十五日の指導様子がいろいろ伝えられて大変いろんなプレッシャーを受けられたんじゃないでしょうか、十六日の指導を受けられる前に不幸な事態になったというふうに私ども聞いております。  そのときの様子でございますが、厚生省から三名、それから県の方から七名、合計十名でその担当者を構成しております。従来、通常の場合、大体厚生省から二名ないし三名、それから県側から六名ないし十名ということでございますので、今回が特に人数が多かったということではないと思っております。なお、この場に、先ほどもちょっと申し上げましたが、県の歯科医師会幹部役員が四名立ち会っていらっしゃいます。  こういう中でいろいろお聞きをしたわけでございまして、私ども、あくまでも指導でございますので、検察取り調べではございませんから、そのような趣旨で行うように言っておりますし、今回の場合も同じようにやったのではないかというふうに聞いているところでございます。
  11. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 私どもが聞いているのは、かなりきついお話があった、そういうことが伝わってというふうに聞いているわけでございます。  いずれにいたしましても、この法律に基づく指導目的というのが先ほど局長がおっしゃったようなことでもございますし、決して尋問するためにあるわけではない。やはり適切なる医療が行われ、そしてまた適切なる診療報酬点数請求されるということが大事なわけでございますのでしょうから、新しい大綱というものができ上がって、この四月からと私ども聞いているわけでございますけれども、ぜひこういったことが起きないようにしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、大臣にお尋ねしたいわけでございます。  このようなことで、今、局長さんは決して今までと変わったことはなかったというお話でございますが、私どもはそういうふうには聞いていないわけでございまして、こういうようなことが起きたことについて、そしてまたこれからの厚生省としての指導あり方について大臣の御所見を一言お願いしたいと思います。
  12. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 保険医療機関に関する指導というのは、私もいろいろなケースを時折耳にしますけれども、今回の場合に非常に痛ましい結果を招いたということでありまして、そういう点では、今の保険局長の答弁もありましたけれども、そのやり方に何か問題があったとすれば反省すべきだと思っております。  ただ、このルールは御存じのように保険診療というルールにのっとって国民に対して適切な医療提供していただくためのものとして指導を行っているわけであります。指導大綱見直しを、今新たなものをつくったわけですけれども、その趣旨を踏まえて、指導については教育的な配慮が優先されるように適切な指導を行うことによって保険診療の質の維持向上に努めてまいりたいというふうに思っております。  そういった点で、行き過ぎがあればこれはきちんと見直さなければならないということは当然だと思っております。と同時に、今の保険の診療のルールというものをしっかり守っていくということもまた重要な問題であろうということで、そういった意味で新しい指導大綱のもとにそういった面がきちんと、何といいましょうか、冷静に、適切に行われるように努力してまいりたい、こう考えております。
  13. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 二度とこういうことが起きないようにひとつ御指導をよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次に今回の日切れの中の問題に移りたいと思うわけでございますが、今回この物価スライド制、完全スライドになったことによって、昨今の景気低迷もあり、そしてまた価格破壊等々の影響からも物価が去年は下がったということで、〇・一%を完全スライドさせるかどうかということで、私ども与党としても、九本の制度にかかわる問題でございますということで、これは今回は下げるべきではないのではないだろうかということを訴えてきたわけでございます。  政府においても、今回この法律を出して、今回については下げない、スライドさせないということにするわけでございますが、まず初めにこの今回提案されております法案趣旨について、先ほど趣旨説明がございましたけれども、その心をもう一回お願いしたいと思います。
  14. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 平成七年度の消費者物価指数が〇・一%下がったことから、本来なら完全スライド制ということで八年度の給付額も〇・一%引き下げることになるわけであります。しかしながら、この下落幅が〇・一というかなり小さな幅であると、もちろん金額は相当になるんですけれども、小さな幅で全受給者にお知らせをしたりするといった等々のことを考えますと、幅が非常に小さいということで、そこまで対応することが適切かという問題が一点あったと思います。そしてもう一つは、このような微細な物価変動に対して年金額等改定することが年金額等の実質的な価値の維持、効率的な制度の運営といった観点から適切かどうかスライド制のあり方について再検討する必要があると。  つまり、今申し上げたことと重なりますけれども、余りにも小さい変動である場合には必ずしも、それに対応しなければいけないということの必要性が薄いのではないかと。特に、率直に申し上げて、これまでこの制度は右肩上がりの時代、物価が上がることを想定してそれに追いつくようにということでやってきたものですから、小さな幅での下落ということでそうしたことの必要性がそんなに高いかどうかということがありました。また、関係各方面から、これは与党皆さんからもいただいたわけですが、現在の社会経済情勢のもとで、いろいろ金利が低いとかいろんな問題があるわけですけれども、そういう中では年金額を引き下げるというのは適切ではないのではないかという要望も寄せられたこともありまして、そういったそれぞれの事情を総合的に勘案して八年度限りの特例措置として年金額等を据え置くことといたした次第です。
  15. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 このスライド制自体が今おっしゃったように右肩上がりのときにつくられたものでもあり、実質的な価値を維持するということが大事なんだと思うんですね。この社会保障等々の問題でいつも忘れてはならないのは、例えば実質的な生活水準であるとか、実質と名目というのを取り違えると私たちは間違いを起こすことがあるんじゃないかなと私はかねがね思っているわけであります。  今、金利が低いというのは、物価も低いわけでありますからそういうことになっているわけでありまして、さあ、物価が低い、金利も低い、じゃ年金をどうする、こういうような言ってみれば根本的なお話になるとこれはもう時間が何時間あっても足りませんのできょうはやりませんが、今回の場合はテクニカルな問題として、こういうことで今回はスライドしないということでありますけれども、このところ金融政策よろしきを得てか、あるいはほかの要件もあって物価が余り変動しないわけですね。そうすると、こういう事態がまた来年も起きるかもわからない。そうなると、毎年特例を出していたのでは大変だろうということで、例えば少し幅を持たせてまとめてやるとか、そういうような少し包括的な見直しというのはないものかどうか、一言だけでもお願いできたらと思いますが。
  16. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 塩崎委員も御承知のことと思いますが、かつては右肩上がりを前提として当初五%の幅ということでやっていた時期もあったわけですが、余りにも五%という幅だと逆に物価に追いつかないということがあって、だんだんと変化して現在の完全スライドになっているわけです。そういった意味で、今言われたように、非常に小さな幅の物価変動が今後も続く可能性もあり得るだろう、若干上がったり若干下がったり。そういうことを考えますと、必要経費などを考慮した場合に、それにすべて連動しなきゃいけないのかということでの見直しが必要になるのかと思っております。今御指摘をいただいたように、その場合、例えば物価変動がある小さな幅、それが一%になるのか二%になるのかわかりませんが、小さな幅の間での変動にとどまるときには年々の物価変動の累積が一定幅を超えるに至った場合に初めて改定を行うといったような方法も考えられるのではないかと思っております。  いずれにしても、年金審議会などにおいて幅広い観点から御審議をいただきたいと考えております。
  17. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 いずれにしても、受給者の実質的な手取りというものが守られるということが大事だと思いますので、そういう観点を忘れることなく、そういったやや技術的なところについても配慮してやっていただきたいと思います。  あとちょっとしか時間がございませんのですが、最後らい予防法の問題でございます。  ここに、私は医者でも何でもないので、あえて現代用語の基礎知識みたいなものを出してみて「らい予防法」というのを引いてみますと、いきなり「らい予防法」の廃止を求める声が強まっている。」と。これ二年ぐらい前のやつですが、「同法は一九〇七(明治四〇)年に制定され、五三(昭和二八)年に改正された法律だが、ハンセン病患者の隔離、取り締まりが主眼で、差別と偏見のもとになっている。」、こんなふうに、ごくごく普通の人が読むものにこういう説明が書いてあるわけでございます。  大臣にひとつお答えをいただきたいと思うわけでございますが、もう既に、一月でございましたでしょうか、患者皆様方に対して謝罪をされたというふうに聞いているわけでございますが、今回この差別のもとだと言われている法律が、諸外国では、例えばWHOなどではもう一九八〇年ぐらいに、うつらない病気だし、治る病気だということがほぼ確定したにもかかわらず、今日、一九九六年になってやっとこれを廃止しようという、おくれた理由というのは一体何だったんだろうかということを大臣に一言お聞きしたいと思います。
  18. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今発売されている中央公論に、かつて厚生省に在任もされていた大谷さんという方が大変詳しくこの間の経緯を書いておられるのを実は先ほど改めて読んでおりました。もうこのらい予防法ができた時点においても、つまり昭和二十八年ですか、そういう時期においてもいろいろな議論があったようですけれども、やはりその時点では、従来のといいましょうか、隔離を中心とした方向がまだ主流で、それにのっとって今の予防法がつくられたと。そして、その後実質的にはいろいろな見直しが行われてきて、ある時期にもらい予防法見直しの議論が若干は出た時期もあったようですけれども法律廃止された場合に入所されている人が、例えば廃止します、さあ出てくださいと言われるというようなことに対して対応ができるのかとか、あるいは医療及び福祉の体制が確保できるのかという関係者の不安も若干あったり、あるいは医学的にも万一といったようなことの危惧があったりということでありましたし、また社会全体がこのハンセン病というものに対して受け入れる環境が十分でなかった、そういったことの配慮が重なったようであります。  ただ、今考えますと、この大谷さん御自身もおっしゃっているんですが、そういうことを自分自身当時心配をして改善には努めたけれども、法の廃止ということにもっと早い段階から取り組めばよかったという反省を述べられておりますが、これは私どもにとっても、この患者さんの人権というものに対しての、何といいましょうか、私たちの感覚なり感性がやはり少し弱かったのではないだろうか。ついつい今までと同じなんだからとか、若干でもまだはっきりしなければこれまでどおりにやって仕方ないじゃないかみたいな気分があって、患者さんの人権というもの、家族の皆さんに与えている非常な厳しい差別というものを考えればもっと早い段階で廃止ができたのではないだろうか、そういう思いが強いだけに、今おっしゃったように、一月十八日の時点で患者の代表の皆さんにお会いをしたときにもそういう考えから国として患者皆さんにおわびを申し上げた次第であります。  そういった意味で、患者やその家族の皆さんの尊厳を大変傷つけたことに改めておわびを申し上げたいと同時に、これかららい予防法廃止を本当に最後の契機としてこのハンセン病に対する偏見やそういったものが完全に払拭されるように厚生省としても頑張らなければなりませんし、この場をかりて国民皆さんにもそうしたことをぜひアピールさせていただきたい、こう思う次第です。
  19. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 私ども小学校のときに「ベンハー」という映画を見てハンセン病のことを知って、いささか子供心ながらにショックを受けたことを今でも覚えているところでございます。  しかしながら、これから廃止をしていくわけでございますが、今、大臣からお話があったように、やはりこれから患者皆様方が偏見に遭うことなく、そしてまた患者の心に合ったような形での社会への復帰というものがなされていくような手だてというものを引き続いてぜひ御配慮いただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 平成会の釘宮でございます。  まず冒頭に、これは委員長に申し上げておきたいと思いますが、三月四日以来、国会が住専問題を契機に予算委員会で不正常な状況になりましたが、当委員会がこの不正常な状況の中で十四日に大臣の所信に対する質疑を行ったということは、今までの当委員会の慣例として全会一致ということが前提であったということを考えたときに、極めて遺憾であると言わざるを得ないと思います。今後こういったことのないようにぜひとも御配慮をお願い申し上げます。  きょうは戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びにらい予防法廃止に関する法律案平成八年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案、三件の法案審議であります。  この法案審議に入ります前に、現在和解交渉を間近に控えた薬害エイズの問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  去る三月二十日に、東京、大阪HIV訴訟の両原告団は、東京と京都市で総会を開いて、東京、大阪両地裁が提示した和解案を受諾することを決定いたしました。これは、国、製薬会社五社が既に受諾表明をしており、提訴から七年ぶりに和解成立することになるわけであります。  しかし、原告和解を受け入れたのは、マスコミ報道にも見られるように、時間がない中やむを得なかった、また苦渋の選択であった、終わらぬ闘いである、こういったことが患者の、原告団の本当の気持ちであろうというふうに思うわけです。こうした原告にとって苦渋の中の選択であったことを踏まえて、和解案には遺族弔慰金の問題や恒久対策、こういう問題が今後話し合いにゆだねられるということになったわけでありまして、そういう意味で、長年こうした問題で薬害の訴訟というのは幾つかあったわけですけれども、今回の問題も結果的にスモンのときと比較しても、例えばいわゆるスモンのときは七九年当時で最高額四千四百万円の慰謝料が払われた、これが今回四千五百万ということで、本当にこれで十分であったのか、また健康管理手当や介護手当、これも本当に十分であったのか、こうした疑問が残るわけであります。  大臣伺いたいと思いますが、大臣は先般、国の責任を認めて謝罪をいたしました。また、この問題については大臣みずからが長年取り組んでこられた政治家の一人でもありますが、この薬害エイズに関連して、一連の問題と今回の和解に関しての大臣の感想をまずお伺いしたいと思います。
  21. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、釘宮委員の方からも三月二十日の原告和解の受け入れと原告皆さんの気持ちについての御指摘がありました。  私も、その折にマスコミの皆さんに聞かれたものですから、今回の和解がそういう形で合成立に向かっているわけですが、まず七年間も訴訟で時間がかかったということについて、これだけ長い期間がかかったということについて、やはり被告の国としても大きな責任があったのではないか、そういう点では長年の和解までにがかった時間に関してもおわびを申し上げたいということをその場でも申し上げた次第です。もちろん、原因そのものについても、これはもう第一次和解案所見の中で裁判所が指摘をしているように、被告国やメーカーに大きな責任があるということは既に認めているところでありますけれども、そういう意味では本質的な責任と同時に和解までに時間がかかったということについても責任を感じているところです。  そういうことを踏まえた上で、率直に申し上げて、原告団の受け入れの表明で和解に向かって大きな山を越えたということについてはその時点では少しほっとした気持ちがいたしました。しかし、それ以降、あと数日間ではありますけれども和解が正式に成立をするまで今具体的な一つ一つの問題の詰めをやっておりまして、それについて誠実に対応すると同時に、きちっとした合意をつくっていきたいと。  ただ、この合意ができ和解ができたとしても、もちろんそれですべての問題が解決するわけではないわけでありまして、それ以降残される幾つかの問題をさらに協議を続けなければなりませんし、場合によっては真相究明といったような問題は今厚生省として取り組んでいる調査だけでは必ずしも十分ではないかもしれない、そういうことも含めて残された問題についてもそれぞれの立場で取り組んでいかなければならない、こういうふうに感じております。
  22. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 正式和解は今月の二十九日になるわけでありますが、私はこれからが真のエイズ問題解決においての正念場だというふうに思います。  昨日も衆議院の厚生委員会大臣一つの山は越したけれどもこれから幾山もあるんだというような趣旨の発言をなさっておられましたが、私はこの問題は自分たちは決して間違わないという官僚の無誤謬なまでのこうした姿勢が解決を長引かせた原因であるというふうに思います。一度走り出したら間違いを自覚しても走り続ける、決して謝らない、組織として前任者をかばい隠ぺいするという悪弊が原因だと言っても過言ではない、このように私は思うわけであります。また、それをチェックできなかった政治家の責任もあわせて問われるというふうに思います。  そうした中での今回の和解でありますが、私は、裁判所が和解案を提示する時点では国の謝罪も郡司ファイルの公表も中間報告も二次報告もなかった、その中での和解案の提示でありますから、もしそれらがあれば和解の条項はもっと原告寄りになっていたのではないか、このように思います。  したがいまして、これから恒久対策、こういったものが残ってまいるわけでありますけれども、先ほど塩崎議員の質問の中で、大臣和解成立後も誠意を持って対応する、こういう答弁をなされましたので私は一つ一つここで確認をしようかと思いましたが、今後の推移を見守ってまいりたいと思います。また、今、理事会等でも集中審議検討もなされておりますのでこの問題については後日に譲りたいと思いますが、ぜひとも大臣、一言、これからの取り組みについて大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  23. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 資料などが見つかったことでの御指摘もありましたが、これは第二次和解案所見の中でも、裁判所自身もみずからいろいろ証人喚問などを裁判の場でされて認識をしていたことがある意味では確認されるような資料であったというふうに言っておられます。決してこれは国の責任を逃れるために言うという意味ではなくて、そのくらい裁判所は早い段階で国の責任や被告メーカーの責任を確信していたということを踏まえて、先ほど申し上げましたが、ここまで逆に言えば争うことによって患者皆さんに対してより厳しい状態を続けたことについては二重の意味責任を感じているわけであります。  そういったことを踏まえて、今、釘宮委員の方からお話がありましたが、和解の正式な決定で盛り込まれるものというのは、もちろん裁判所が提示をしている一時金ですとか、あるいは発症後に対しての対応とか幾つかの大きな柱はきちんと盛り込まれると思いますけれども、今後の努力しなければならない問題についてはあるいは確認書のような形、あるいはさらに議論を続けようという形になってくると思います。そういう中には今御指摘の健康管理手当の問題とかあるいは裁判所が言っている弔意のあらわし方の問題とか、さらには治療研究体制をどうきっちりしたものにしていくかとか、こういった大変重要な問題がまだまだ残されるというふうに、少なくとも部分的には残されると思っております。  そういった点では、いろいろな残される問題についても、こうしたことを招いた責任を含めて、あるいは再度こういった同じようなことが起こらない、そういうきちんとした姿勢を示すためにも誠意を持って取り組んでいきたい、このように考えております。
  24. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 この問題は国民が注視をしておりますし、菅厚生大臣の姿勢に大いに期待する向きもありますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。  この薬害エイズの問題は、何の責任もない善良な国民が、国、製薬会社、さらには今回はいわゆる学会というものが絡んでいるわけですけれども、三者の癒着構造の中で起こった問題でありまして、今では五日に一人の命が失われているという実に不幸な事件であります。血友病患者方々は国を信頼し、薬に頼り、医者を信頼し、裏切られた。しかも、提訴後七年間も経過した、こうした国の責任や製薬会社、こういった人たちの責任は全く否定をできないというふうに思うわけでございます。  私は、ここで大臣にお伺いをしたいんですが、これらの問題について、厚生省で調査プロジェクトチームというのが発足をして、それ以後、郡司ファイル、さらには中間報告、そして二次報告、こういった報告が次々になされてきたわけであります。しかしながら、これは私自身も含めて国民の多くの皆さんは釈然としない思いでいっぱいだろうというふうに思うわけですが、大臣はこれらのプロジェクトの報告によって真相解明は十分できたというふうに御認識でございますか。
  25. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 一月二十三日に調査プロジェクトをスタートさせまして、今、委員からもお話がありましたように、調査によって見つかった幾つかのファイルや、あるいは多くの関係者質問をしたりいたしまして、それの回答などを公表いたしたところであります。まだもう一つファイルが残っているのと、若干の追加的な調査が必要かと思っておりまして、例えばよく言われます七月四日—七月十一日の一週間の間にいろいろ意見が変わったのではないかといったようなことについてもなお若干の調査を追加しようということで、今その補完的な調査を指示しているところであります。  そういったまだ未確定の部分もありますけれども、今、釘宮委員の方からお話がありましたように、全体として当時の事実関係なりがすべて明らかになったと言えるかというふうにおっしゃったとすれば、私にとっても必ずしもすべてが明らかになったというふうには思えてはおりません。まだいろんな問題、質問に対する回答の中でもそれぞれ矛盾をしたといいましょうか、ある人と別の方の言われることが相矛盾をしていたり、あるいは記憶が十分でないといったような答えがあったりして、必ずしもその当時の事実関係がぴたっとわかったという感じはいたしておりません。  そういう状態でありますが、これから先どこまで厚生省という立場で調査を続けることが真相解明につながるのか、つまりは質問をして回答をいただいて、再質問してもまた同じような回答をいただくケースも出てきておりますので、そういった点ではある部分では、部分的には限界といったようなものも感じております。それだけに、この問題は国会の質疑あるいは捜査機関等の他の機関などもそれぞれ関心を持って取り組んでおられますので、そういった中でさらに事実関係が明らかになってくると、そういうことも期待をいたしているところであります。
  26. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今、大臣が身内の調査の限界というようなものを申されたわけでありますが、私は、先ほども言いましたように、この問題はうやむやにすべきでは決してない、ましてや厚生省の内部でこれが自浄能力として出てくるようにならなければこうした問題というのは一向に変わっていかないし、また第二のこうした薬害が起こらないとも限らない、このように思うわけでございます。とりわけこの調査プロジェクトチームというのは、いわゆる厚生省が犯したこうした事件を結果的に身内が身内を調査するというような状況の中で、その限界があるということについては私もこれは認めないわけではありませんが、しかしこうした問題をまず厚生省の内部の皆さんが自己反省をして、そして身内からこうした問題を改革していくんだということに一生懸命になっていただかなければ困ると、このように思います。  特に、七月四日から十一日にかけて何が起こったのかということについては、これはもう多くの国民が、ここの時点で何があったのかということについてはこれは何としてでも明らかにしていかなきゃならないと思うんですが、そういう意味でこの調査プロジェクトの中に原告団を入れる、それぐらいのものを、外部の人を入れていくというようなことはお考えにないですか。
  27. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 最初にこの調査プロジェクトをつくるときにも多少、内部だけでつくるのか、他の関係者あるいは第三者を入れるのかという議論もあったわけですが、そのメンバーによって性格がそれぞれ変わってくるんだと思いまして、その段階では庁内の努力ということで庁内に調査プロジェクトを設けたわけです。  今、委員の言われました患者さんであるとか、原告団であるとか、あるいは第三者という方を入れた調査プロジェクトということになったときに、どういう形で調査が進められるのかなということをいろいろ考えてみたんですが、例えば飛行事故が起きたときには航空事故調査委員会設置法というのがあるということを聞きまして、私も調べてみました。そうすると、それはやっぱり調査の権限を法律によって与えられていることによってその調査メンバーがいろんな人に調査権を発動できる形になっております。今、私が知る限り、そういう第三者の人に何かこういう調査をお願いして権限を付与できる仕組みがなかなか見つからないんですね。  ですから、多分いろんな方に、第三者の方にいろいろ調べてもらったら、もう一回こういうこととこういうことを大臣として調べてくれというような勧告なり意見書という形になってくるということもあるのかなと思ったりして、そういう点で、決して逃げるわけではないんですけれども、そういう第三者を交えた調査機関ということになりますと、そこにどういう形で権限を付与することができるのか、あるいはこれは厚生省という立場ではちょっと難しくて、場合によっては国会という立場であったり、あるいは他の立場で考えていただくしかないのかもしれません。  そういう点で、決して消極的に対応するつもりはないんですけれども、現在のところ、まず内部調査をやれるところまでぎりぎりやった上で、その後どういう形でつなげていけばよいか、こうした御議論も伺いながら考えていきたいと思っております。
  28. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、この薬害エイズの問題は、今、衆議院の予算委員会で問題になっております住専の問題と根っこは同じだと思うんですね。要するに、情報を開示しなくて、そして行政がそういう情報をとにかく持って、それを表に出さない。問題が起こっても、それにあえてふたをしようとする。それが噴き出したときに初めて国民はそれを知らされてしまう。結果的に国民は、住専の問題では公的資金、自分たちの払った税金を使えと、全く自分たちが相知らないところで起こった問題について責任をとらされる。  これは、税金を払うというのはお金で済む話ですけれども、今回のエイズの問題というのは、信用していた行政が結果的に隠しおおして、そしてその結果、最後は命を奪われてしまったということですから、この問題というのは本当に国民にとってこれほど不安なことはないのではないか、もはや私は行政に対する不信感というのはもう頂点に達しているというふうに思います。したがって、今、大臣が内部でこれを、自浄能力がないというふうに、なかなか難しいということであれば私は非常にこれは残念なことだというふうに言わざるを得ないと思うんです。  そういう意味では、これから集中審議、さらには我々も、衆議院では証人喚問も要求しておりますが、参議院においてもそうした証人喚問等もこれから行いながら、何としてでも国民皆さんにこうした問題について真相を明らかにしていく、そして二度とこういう問題を起こさないようにするということについて決意を持って我々もやっていきたいと、このように思っております。  それでは、法案の審査について何点か御質問をさせていただきたいと思います。  まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関する法律案についてお伺いをしたいと思います。同援護法のいわゆる国籍条項についてまず伺いたいと思います。  第二次世界大戦中、日本軍属として戦地において戦傷を受けたいわゆる在日韓国人の同援護法に基づく障害年金請求に対して、平成六年七月十五日、東京地裁において在日韓国人の戦後補償は立法不作為の状態にあるとの判決が出され、また平成七年十月十一日、大阪地裁において援護法の国籍条項に違憲の疑いがあるとの判決が出ています。  地裁の判決とはいえ、一方では立法不作為を指摘し、他方では違憲状態を指摘しています。政府としてどのような対応をされるおつもりなのか、御説明をお願いします。
  29. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 御質問のございました平成六年七月の東京地裁、それから平成七年十月の大阪地裁のそれぞれ援護法の国籍条項にかかわります判決につきましては、中身といたしましては、まず東京地裁の判決におきましては、援護法の国籍要件には十分な合理性があるとした上で、在日韓国人が日韓両国のいずれからも何らの補償も受けられない状態となっていることはその意味では立法不作為の状況にあるが、その不作為の状況について適否ないし当否を軽々に評することは適当でないというふうなものでございました。  それから、平成七年の十月十一日でございますが、大阪地裁判決は、結論としては国側の勝訴としつつ、日韓請求権・経済協力協定の締結後においては、日韓両国いずれからも在日韓国人の元軍人・軍属に対する補償の道が閉ざされており、援護法の国籍要件により何らの補償給付を行わず、重大な差別を生じさせる取り扱いは憲法十四条に違反する疑いがあるといったようなものでございます。今、先生お話のとおりでございます。  対応としまして、しかしながらこの問題につきましては、特に大阪地裁の判決について申しますと、韓国との間におきましては日韓請求権・経済協力協定、いわゆる日韓協定によりまして、韓国人に対する補償の問題は在日韓国人を含めて法的には完全かつ最終的に解決済みとなっているという日韓請求権・経済協力協定に関する我が国政府の解釈が受け入れられていないのではないかというふうに考えるところでございます。  また、実はこの事案に類似いたしまして、平成四年四月、台湾住民元日本兵に関します最高裁判決におきましては、援護法の国籍条項には十分な合理的根拠があるとされておりまして、ここに示された考え方と大阪地裁判決は異なる判断があるというふうに私どもは受けとめておるところでございます。  したがいまして、厚生省といたしましては、大阪地裁判決につきましては条約の解釈にかかわる重大な問題があると認識をいたしております。いずれの訴訟につきましても、原告側より控訴がなされまして現在東京高裁、大阪高裁において係争中でございますが、法務省、外務省等とも相談をしながら、控訴審においてただいま申しましたような国としての考え方を主張しているところでございます。
  30. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 この問題は、戦後もう五十年が過ぎて、最近ではいわゆる地方公共団体の長や議会の議員に対する選挙権を付与すると、在日外国人に対しての参政権の問題等も判例等ではこれを認めていくべきだというような判例、学説が変化してきているわけでありますが、私はこのあたりで援護法の国籍条項を見直す考えはないのかどうか、そのように考えるわけですが、いかがですか。
  31. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 今お尋ねのありましたこの件につきましては、在日の韓国人であられた元日本軍人・軍属の方々にとりましては大変お気の毒なことであると私ども思うわけでございますが、先ほど申し上げさせていただきましたように、韓国人に対します補償の問題につきましては、日韓請求権・経済協力協定によりまして国家間の問題として在日韓国人を含めまして法的には解決済みであるということでございますので、援護法の国籍要件ということでの解決は極めて難しい問題である、困難であると考えておるところでございます。
  32. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 次に、女性のためのアジア平和国民基金について、これは総理府の主管ですが、見えていますか。  女性のためのアジア平和国民基金ができてほぼ七カ月、現在までの募金額及び従軍慰安婦制度解明の調査研究の進捗状況、これについてちょっと説明をしてください。
  33. 東良信

    説明員(東良信君) お答えいたします。  女性のためのアジア平和国民基金に対しまして全国国民の皆様からお寄せいただきました募金の額の総額というのは、三月十五日現在で約二億一千三百万円になっているというふうに承知しております。  また、二点目のお話でございますけれども、それについてお答えしたいと思いますが、女性のためのアジア平和国民基金の目的というものは、従軍慰安婦の方々に対する国民的な償いをあらわすことということと、それから女性の名誉と尊厳を脅かす今日的な問題に取り組むことということでございます。これらの目的を達成するための事業の一つといたしまして、いわゆる従軍慰安婦問題に関する資料の収集と整備というものに取り組むということにしておるということでございまして、現在当基金におきましてそのあり方を含め検討中、小委員会とかそういうものをつくりましてやっているというふうに承知しております。  以上でございます。
  34. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 募金の額が現在までで二億一千万ということだそうでありますが、これは村山総理が当時最大限の努力を傾注するという約束をして華々しくスタートしたわけでありますが、実質的に今現在で二億一千万。これは対象となる方々が千人を超えるのではないかと言われているわけですけれども、これじゃ一人当たり二十万ぐらいしかならないわけで、村山総理がいわゆる五十年を契機にこの問題についてこの基金をつくることによってアジアの皆さんに日本の誠意を示していこうということだったわけでありますが、これでは極めて私はお寒い限りだというふうに思います。  何が原因でこういう、当初の目標額はどれぐらいだったのかもあわせてちょっと聞かせていただけませんか。
  35. 東良信

    説明員(東良信君) この問題につきましては、当初から国民皆さんの御理解をいただくということが大変難しい問題であるということで一生懸命にPR等々の活動をしていたということでございまして、私ども、今もそうでございますけれども国民皆さん、また特に労働団体、それから財界等々へのお願いというものを一生懸命やっているところでございます。したがいまして、そういう努力を重ねた上でそれなりの答えが出てくるということだというふうに考えております。と申しますのも、最近になりますと相当の金額が十日置き、または一カ月置きぐらいに入ってくるということでございますので、もうしばらくこういうことで努力をさせていただきたいというふうに思っております。  それから、二つ目でございますけれども、目標額は幾らだという御質問でございますけれども、これは率直に申し上げまして、これができるときにはいろいろなお話がございましたけれども、やはり国民皆さんの気持ちを集めるということでございますので、目標額は立てないという形で一生懸命に集めたいというふうに考えていたというところでございます。
  36. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 もしこの基金が失敗をすれば、これはまさに日本政府国民に対して改めて国際的な不信感が増幅してくるということも考えられるわけですから、この問題については政府はもっと積極的にやっていかなければならない、私はこのことをお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について二点ほどお伺いをしたいと思います。  この法律案提案理由の中で、減額改定の据え置きの理由として「現下の社会経済情勢等」を挙げていますが、具体的にはどのようなことを指しておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  37. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今回の趣旨は最初に申し述べたとおりでありますが、一つは非常に下落幅が小さい幅であるということと、もう一つはやはり従来は右肩上がり、つまりは物価も上がっている中でそれに少しでも早く追いつこうということで物価スライドという、完全スライドという形で制度がだんだんとそちらに変わってきたという経緯があったと思うわけです。今回はある意味では初めて物価が下がった中でどう対応するかということでありまして、先ほど塩崎委員からのお話の中でもありましたが、議論としていろいろな考え方はあると思うんですが、金利が低くなってせっかくの貯金をしても利息が小さいとか、そういったこともこうした現下の経済情勢という中には含まれて考えているところです。
  38. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ならば私は、これは一方で負担をしている現役世代に対してもこのことについてやっぱり説明があってしかるべきではないか、このように思います。この点については私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。  それから最後に、先ほど塩崎委員質問の中にもありました右肩上がりの経済成長を前提としたスライド制、これが今後は右肩上がりというよりはなだらかな姿に変わっていくんだろうというふうに思うわけですが、そうなりますとこのスライド制のあり方そのものを見直していかなければいけないのではないか、これは年金審議会や社会保障制度審議会等でも指摘をされているようでありますが、この点についてお伺いをし、さらにこの審議会での検討スケジュールがわかればそれもあわせてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今お話がありましたとおり、従来のようにずっと物価が上がっていくという時代から状況が変わっておりますし、また今後若干の上下動があるにしても小幅な物価変動が繰り返される可能性も十分あるわけでありまして、そういう場合に必要な事務経費などを考えますと、現在の物価スライドあり方というのも見直す必要があるのではないかと思っております。  例えば、先ほども申し上げましたように、物価の変動幅がある一定の小さい範囲の中で動く場合はその幅を超えたときに、累積が超えたときに初めて改定を行うという形なども考えられるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、年金審議会等において幅広い観点から御審議いただきたいと考えておりまして、時期的には遅くとも次期財政再計算期までには結論を得たいと考えております。
  40. 水島裕

    ○水島裕君 平成会の水島裕でございます。私の受け持ちはらい予防法廃止に関する法律案でございます。福祉のための予算措置も含めまして、平成会は先ほど菅厚生大臣の方から御説明がありましたことすべて賛成でございます。  本日私は、なぜこの廃止法案がおくれたか、少なくともWHOが一九八一年にリファンピシンなどを使えば十分対処できると言ったとき、あるいはそれから数年おくれても、少なくとも十年ぐらい前に廃止してもよかったんじゃないかと思いますし、そういうことをいろいろ御質問したいと思います。また、社会復帰に関しましての保障が十分かというようなことも本当はいろいろ御質問しようと思ったのでございますが、昨日の衆議院の厚生委員会でこの辺は十分取り上げられておりますので少しその方向を変えます。  ハンセン病の軽症化とともに、治療薬の進歩というのが大変大切だったわけでございます。主なものはりファンピシンでございまして、これは特効薬でございますが、実はこれが日本においてはハンセン病に正式には使えないというような業務行政上の問題点がございます。そういうことに関しまして、私の専門の一つは医薬品でございますので、ちょうどいい機会でございますからそれも含めまして関連質問、またエイズでもやはりこういうことが問題になっておりますので、そういうことについて触れていきたいと思います。  結局、私は、厚生省の組織、機構はそのままで人が十分活動してもらえば、あるいは運営をうまくすればいいと思っておりましたけれども、やはり厚生省の機構にも若干の改善が必要ではないかというふうに思われますので、そういうことを、全般的なことを申し上げたいと思います。  それから、ただいまのらい法案もそうでございますが、行政の大部分を官僚の方にお任せしておきまして、何か問題が起きたときに我々国会議員が追及するというのも本当はおかしいのでございまして、そういうこともありますのでこれから私が申し上げることにも十分耳を傾けていただきたいと、そういうふうに思います。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  さて、ハンセン病の特効薬でありますリファンピシン、それからクロファジミン、ダプソン、こういうものでございますが、いずれも日本では正式にはハンセン病に使えないという妙なことになっているわけでございます。  リファンピシンを例にとりますと、これは一九七〇年ぐらいから結核とかほかの感染症に使われ出しまして、ハンセン病にも非常に効くということで一九八一年、WHOがリファンピシンを主剤とする多剤併用でもってハンセン病治療可能、完治可能な病気というふうに言ったわけでございます。  日本ではハンセン病治療が公費負担、そういうこともありましたので何とかしのいでいたわけでございますが、今度らい予防法廃止ということでやっと昨年末にこういう治療薬、リファンピシンも含めた治療薬がオーファンドラッグとして指定された。オーファンドラッグというのはいわば急行審査でございます。しばしば準急審査ぐらいになってしまいますけれども、それに指定されたわけでございます。でも、このままいきましても、これまでの例からいきますと、リファンピシンが正式にハンセン病に使われるようになるには一、二年かかってしまうのではないかというふうに思います。  質問としましては、何とかこれを特急で承認できないかどうか、こういうことをしないとまたエイズのときの加熱製剤、あるいはエイズ治療薬と同じようなことになってしまいますので、この辺、業務局長、いかがでございましょうか。
  41. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) リファンピシンにつきましては、ただいま委員お話しのございましたように、現在結核治療剤として承認をされておりますが、ハンセン病治療の適応につきましては、これは承認申請がなかったために効能追加の承認をとる必要がございます。その場合に、このリファンピシンを平成八年度に希少疾病用の医薬品、オーファンドラッグでございますが、に指定をいたしまして、企業に対して開発援助を行って早期の承認取得を促しておるところでございます。  ただいま委員の方から特急審査をすべきと、こういう御意見でございます。私どもも、これにつきましては新たな治験を行わずに承認申請をしてもらうことにしたいというふうに考えておりまして、その際、厚生省としては優先審査を実施いたしますとともに、既存の国内外のデータ、それから今お話しのございましたWHOのハンセン病の対策指針、あるいは現在までの使用実績等を勘案いたしまして、有効性、安全性を確認した上で速やかに承認をしたいというふうに考えております。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕
  42. 水島裕

    ○水島裕君 ハンセン病に対するリファンピシンと同様な例というのがほかの難治疾患でもいろいろあるわけでございます。そういう疾患に対して第一選択、これはまず使わなくてはいけないということにほぼ国際的に認められているものとしましては、例えば乳がんに対するメソトレキセート、それから肺の小細胞がんとかあるいは骨肉腫に対するシスプラチン、それから、私臨床的には膠原病患者のものをやっているわけでございますけれども、ベーチェット病に対するコルヒチン、関節リューマチに対するメソトレキセート、こういうものは国際的にほとんど第一選択の薬剤になっているわけであります。例えば、コルヒチンは二十年間で大体一万人ぐらいはもう使っていると思いますし、どの教科書を見ても第一選択の薬剤ということになっておりますけれども、こういうものが実際に使えない。使えないと申しましても、日本にはあるわけでございますので、我々は医師の裁量でもって使っているわけであります。  こういうものに関しまして、これまでのいろいろな研究成績のデータを提出する、その他でもってこれも急行あるいは簡略審査ができないかということをまずお伺いいたします。
  43. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 医療上の必要性が高いにもかかわらず患者数が少ないということで研究開発が進んでいない医薬品があるわけでございますが、先ほど申し上げました希少疾病用の医薬品、オーファンドラッグに指定をいたしまして、助成金の交付でありますとか優先審査の実施等によりまして開発促進しておるところでございます。  厚生省としては、今後ともこの制度を活用して、医療上の必要性が高いにもかかわらず企業において開発が敬遠されがちな医薬品の開発促進のための指導を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、ただいま委員から御指摘がございましたが、長年の多数例の経験がございまして、教科書でも確立をした第一選択薬になっておりますけれども開発されていないようなものにつきましては、私どもの方もこの審査資料につきまして、ただいまお話しのいろいろな公表論文あるいは研究班の報告書などを含めました国内外の既存のデータを積極的に活用していきたい、そして有効性、安全性を確認していきたいと思いますが、その点で足りないところがございました場合には補完的に治験を行うというようなやり方を今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  44. 水島裕

    ○水島裕君 ぜひ実行をしていただきたいと思います。  ここで二つ問題があると思います。一つは、行政指導をいろいろやっていただいても、どうしてもメーカーが申請しないときでございます。それからもう一つは、リスク、そういうことも考えまして、メーカーがどうしても採算に合わないという二つがあると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。  それからもう一つ、適応外の薬で副作用が起きたときは、厚生省は理論的にはこれは副作用と認めないというようなことをおっしゃっておりますが、これはもう患者さんあるいは一般医師にとっては大変マイナスなことだと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  45. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) まず、行政指導によりましても、どうしてもメーカーからの申請がない場合の扱いでございますが、これはもう委員御承知のとおり、医薬品の開発の主体はあくまでも企業、メーカーでございまして、そのメーカーが医薬品を市場に供給するということで、私どもはそういった状況におきましてはメーカーに対しまして粘り強く承認申請をするように指導を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。欧米におきましても、そういった場合メーカーに開発を義務づけるということはなかなかに困難があって、そういった制度があるということは承知をしていないわけでございます。  そういった場合どうすればいいか、もう一歩何か踏み込んだという御質問だと思いますが、医療上どうしても必要な場合に、例えば国が研究費を出しまして、そして研究班でこの医薬品を使用して臨床データを蓄積していただく、そういった蓄積したデータをメーカーに提供することによりましてメーカーサイドの開発の負担を軽減していくということも一つの方法ではないかということで、今後そういった方法も積極的に活用をしていきたいというふうに考えております。  それから、メーカーのリスクとそれから経済的メリットがない場合の扱いでございますが、これについては、今申し上げましたように、一つ研究会方式というものの活用でございますとか、あるいは先ほど申し上げましたオーファンドラッグの制度の積極的な活用によりまして支援を行ってまいりたい。このオーファンドラッグの補助金につきましても、七年度四億円、八年度予算におきましては五億円を計上させていただいておるわけでございまして、そういった点で開発リスクの高い医薬品の研究開発促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、副作用の関係でございますけれども、先ほどお話がございましたように、個々の医師の裁量といいますか、医薬品を承認された病気以外の使用ケース、これはやはり有効性、安全性というもののバランスをよく考えた上で、医師において専門職としての責任と判断によって行われておるということでございます。  そういった場合に、副作用といいますのはもう委員御承知のとおり医薬品本来の適応に使用した場合の薬理作用ということでございますので、これは直ちに報告義務の対象となる副作用とはならないものと考えておるわけでございますけれども、しかしこれらについては医薬品の安全対策上重要な情報でございますので、適応外の使用でありましても報告を求めておるところでございます。これらの報告症例につきましては、通常の副作用症例と同様に中薬審の副作用調査会で評価を行っておるところでございます。
  46. 水島裕

    ○水島裕君 これは菅厚生大臣にもぜひ聞いていただきたいわけでございますが、今のようにメーカーの主導ということになりますけれども、薬というのは企業の利益を得るという側面ももちろん確かにございますけれども、やはり薬というのは本来患者のためのものなわけでございます。ですから、どうしても患者が必要なときにはこれは何とか行政の方でもそれを推し進めていただきたいと、そうしなければいけないと思います。  そういうことを厚生省はいつも十分考えていただくといいわけでございますので、例えば私の意見では、厚生省、それから医学会、薬学会というのが一致した意見でなおかつメーカーが申請しないときは、今の研究会スタイルをとっても結構でございますけれども、少なくともこの申請を義務づけるぐらいのことを今後していかなければいけないと思いますが、薬が患者のためだということも踏まえて、厚生大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  47. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、水島委員の方からの問題提起というのは、ちょうど今薬害エイズの問題でいろいろな薬を日本でも開発してほしいと言われている強い要望の中で、どういう体制であればそのことが実行できるんだろうという、そういうことにも非常につながる問題なのかなと思って聞いておりました。  現在の状況は、もうよく御存じのように、医薬品の開発に当たっては医薬品について詳細なデータを保持し、医薬品の製造、輸入、販売、情報収集を行う体制を持つ製薬メーカーが責任を持って担当すべきというふうに考えられて制度が仕組まれておりまして、有効性、安全性については信頼性のあるデータをもとに製薬企業が申請し、厚生省において審査をする仕組みとなっております。  しかし、経済的な制約などから製薬企業が開発しない場合があることも事実でありまして、こういう分野においては開発促進のためにオーファンドラッグの制度を設け、製薬企業の開発意欲を支援してきたところであります。  御質問のような、それでもまだ開発されない医薬品についてどうすべきかという中で、今後、医療現場からの要望を製薬企業に積極的に伝える努力をするといったこと、あるいは承認申請に対する相談を充実するということ、あるいは国内外の既存の公表データを最大限活用して有効性、安全性の確認の上で足らざるところだけを補完的に治験を行うという、そういう対応の仕方で負担を軽くするということ、あるいは医療上どうしても必要な場合は、先ほど業務局長からも申し上げましたように、厚生省研究班といったような形でデータの集積を行って申請データとして活用する、そういったいろいろな促進的なやり方をとっているし、とっていきたいと思っております。  今、水島先生の方からお話のありました医師会、厚生省とお医者さんと薬学会が一致した場合は申請を義務づけるというようなことについては、これが今の制度の中で可能なのか、また実質的に先ほど申し上げたようなやり方でそれにかわることができるのかどうか、今後また検討してみたいと思っております。
  48. 水島裕

    ○水島裕君 くどいようですけれども、私どももそうですし、がんを診ている臨床医もそういう患者さんが来たときに適応外のものを使わなくちゃいけないというのはほとんど義務ぐらいに考えているわけでございますので、義務でやろうということが実際は使えないというのは本当におかしいと思いますので、いろいろ御検討いただければと思います。  エイズのことをいろいろ御質問しようと思ったんですけれども、時間もなくなりましたし、また集中審議もあると言われますのでそちらに回すことにしまして、ただ今の治験と関係があって一つだけ今回の薬害エイズのことでお伺いしたいと思います。  不幸にしまして、加熱製剤の緊急輸入をやめて、加熱製剤の臨床試験を一九八四年の最初から始めたわけでございます。それで、加熱製剤を緊急輸入しなかった主な理由は安全性が大丈夫か、あるいは本当に効くかどうかというのがはっきりしないということだったと思います。  八四年の二月から加熱製剤の臨床試験を始めたわけでございます。そうすると、効果というのは鼻血がとまるとか、凝固因子のタイターが上がるとかということでもう直ちにわかるわけでございます。それから、エイズにかかるよりも恐ろしい副作用というのは、血管が詰まったりショックになったりアレルギーが起きるということでございますが、それもどう考えても一カ月から三カ月で臨床試験をすればわかったはずでございます。  先ほどからの荒賀業務局長のお答えを聞いておりますと、今でしたらその時点、つまり一九八四年の夏ぐらいで加熱製剤の認可をしてよかったんじゃないかと思いますけれども、その点について、業務局長、いかがでございましょうか。
  49. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) ただいまの御質問は、一九八四年の二月に加熱製剤の臨床試験が開始されたわけでございますが、この重要な副作用は数カ月でわかっていたのではないかという御質問であろうかと思っております。  私ども、当時の状況を調べてみますと、この中薬審の血液製剤調査会の専門家と当時厚生省の方が相談をいたしまして、この血液凝固因子製剤は、御承知のとおり、生涯を通じて使用されるということで繰り返し繰り返し投与される、その場合の安全性というものが非加熱血液製剤と同じものか、あるいはそれ以上の安全性が確保されるのかということを明らかにする必要があったわけでございまして、その際はインヒビターの発生頻度でございますとか、あるいは肝炎ウイルスの検出頻度でございますとか、あるいは肝臓機能の変化、そういった副作用について一応六カ月程度の使用成績を求めるということで、当時六カ月ということが妥当であるというふうに判断をいたしまして、各社に対しましてその治験実施計画におきましてもそのような内容で開始をいたしたところでございます。  仮に当時エイズの危険性が今日のように明らかであったといたしますと、やはりこの六カ月の期間というものをできるだけ短縮するということが検討されたのではないかというふうに思われるわけでございますけれども、当時はまだエイズに関する知識が今日ほど十分ではなかったために先ほど申し上げましたこの六カ月という期間が必要だというふうに判断されたものと考えておる次第でございます。
  50. 水島裕

    ○水島裕君 今のことについていろいろ反論はできますけれども、それは次回に譲るといたしまして、ここでは全般的なことについて御意見をお伺いいたしたいと思うんです。  私は厚生省の職員には一度もなったことございませんけれども、いろいろな審議会その他でもって随分一緒に協力させていただいたわけでございますので、今のように厚生省がこう評判が悪いというのは本当は私も非常に心が痛いわけでございます。ですから、何とかして今までの反省の上に立って厚生省が早く評判がよくなるように御努力いただきたいと思います。  今度のエイズのことをずっと見ておりますと、一番問題だったと思いますのは重要な情報、人の命にも関係ある重要な情報が厚生省だけにありまして、厚生省だけでいろいろ判断なさっていた。もちろん、善意に解釈しますと血友病の人がパニックにならないようにとか、いろんなことをお考えになってやっていたわけですけれども、ひとつ厚生省外にもいろいろ意見をお聞きになればこういうことにはならなかったんじゃないかと思います。もしも厚生省内で御判断するのでしたら、もっと経験があって、しかも権限がある中央薬事審議会とかそういうところに一度諮ってこの問題を解決なされば、私も八一年ぐらいまでは生物製剤の審査も中央薬事審議会の委員としてやっておりましたけれども、そのときの感触でも、少なくとも一九八四年の後半からこういうデータが薬事審議会に出てましたら今と違った結果が出てきたんじゃないかと思いますけれども、この辺に関しまして、厚生大臣、いかがでございましょうか。
  51. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 現在調査をする中で、中間報告のときにも若干なぜこういうことになったかということを、中間的な段階ではありますけれども、調査班として報告書に添付をして申し上げたわけであります。その中で、今、水島先生の方のお話ともダブるんですが、一つは結局どこで最終判断をしたのかというのが非常に不明確になっているわけです。エイズ研究班というある意味では専門家の方々お願いをしたような形になっているわけですが、しかしその研究班がじゃどういう権限を持っていたかということになりますと、これは一種のタスクフォースでありまして、どの法律にも基づかない臨時的な研究班ということであります。ですから、そういう点ではやはりそういうもので機動的にやる場合にも、きちんとした結論を出す場合には何らかの権限が明確な機関にもう一度諮ってやる必要もあったのかなと。ですから、今回の場合は専門性という問題と、それからきちんとした権限という問題と、それから行政という問題がいずれも何か不完全な形で物事が進んだのかなと。  そういう点では、今後の反省としては今の御指摘は大変重要なものというふうに感じております。
  52. 水島裕

    ○水島裕君 また次の機会にぜひもう少し細かいところまで意見を闘わせるというか御相談できたらと思いますけれども、時間の関係もありますので本日は……。  これは私見でございますが、厚生省の方にお出しした文書が少しかた苦しいところがあって直ちにきょうは御賛成いただけないかもしれませんが、先ほどから申しましているように、人がちゃんとして運用をよくすればいいというふうに思っておりましたし、今でもそれで可能なのかもしれませんけれども、これだけの事件を起こしたわけでございますから、やはり機構を変えるということをどうしても考えていただかなくては、あるいは我々も一緒に考えなくてはいけないと思います。  二つありまして、一つはいろいろ調査の権限がある。もちろん、これは決定権はなくてもいいんですけれども、調査の権限がある。本当に必要なときには内部の立入検査もできて、そこの問題点をオープンにするだけで私はいいと思いますけれども、そういう特殊な、特別な委員会を、これはいろいろ行政の機構からいきますと厚生省内に置く以外にしようがないと思いますけれども大臣官房とか中央薬事審議会の中に置きまして、ただその委員長委員の任命権だけは厚生省以外、これは総理大臣でもいいですし国会でもよろしいかと思いますけれども、こういう業務行政に関してのみ必要に応じてチェックするという委員会をつくるのが一つ提案でございます。  それからもう一つは、厚生省の業務局というのは他の局に比べますとかなり特殊な任務を負っておりますし、生命と直接関係のある情報その他がございますので、ほかのものと一緒よりかは厚生省の中で独立させまして、イギリスとかアメリカはそうでございますけれども、日本でいえばこれを医薬品庁というふうにでもしまして、その中に関しましては先ほどのチェック機関にしろ、あるいは透明性とかそういうことに関しても、ほかの局とは別に扱うようにするのがよろしいんじゃないかと思います。それで、荒賀さんも大変医薬品のことにお詳しゅうございますけれども、そういう医薬品庁のトップには医薬品に非常に詳しい方になっていただくということが必要でございます。  今いろいろなところ、あるいは厚生省内でもすぐれた医薬品を開発指導するという部署と審査する部署は違えた方がいいという御意見が結構ございますけれども、私は逆に、もちろん課は別な方がよろしいですけれども、やはりそれは両方とも医薬品庁に入れていただいて、薬というのはどうしてもリスクとベネフィットの関係でもって成り立つわけでございますから、いつも管理する方ばかり、あるいは推進する方だけというのでは結局リスク・ベネフィットの関係がうまくわからないで業務行政が進むということにもなりかねませんので私は一緒にした方がいいのではないかと思いますが、こういう提案につきまして、菅厚生大臣、どのような御印象を、あるいは厚生省でもこういうことをお考えになっていると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  53. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私もこの分野、決してそう詳しいわけではないんですが、この間いろんな方にお話を聞いたりいたしておりまして、今、水島先生の方から大変参考になる御議論をいただいているわけです。  それで、一つは今言われた開発と審査といったような問題、特に治験をどういう形で進めるのがいいのかといったような問題、よく役所の中で話をしておりますと、アメリカは審査そのものは役所のプロパーのスタッフでやっているけれども、日本の場合は薬事審議会という外の皆さんに集まっていただいている。また、治験については主に大学の先生を中心にしてお願いをしている。大学ということになると、厚生省の立場からすると、お願いベースではあるけれども、行政的な関係でいえば必ずしも直接の責任なり権限を持っている場所ではないとか、そういういろんな制度が何か少しばらばらになっているような気がするわけです。  あるいは、最近は予見の問題もいろいろ言われておりますけれども、アメリカのCDCなんかのような機能は日本ではどこにあるのかと聞くと、予見が期待されているという、そういうふうに指摘される方もおります。そういう点では、今の厚生省あるいは場合によっては文部省といった役所の壁、さらには医薬品、医療関係は、これはもう先生の前ですけれども、何といいましょうか、行政というものとまた別の人事的なコントロールが大学を中心に、教室を中心に動いているというような問題でなかなかいい面も悪い面も含めてちょっとコントロールがしにくいという問題もあるように思います。  そういう中で、先ほど二つ提案があったと思いますけれども、調査権限を持つ委員会をどうつくっていくか。これはやはり、おっしゃるとおり、メンバーをどこで決めるかということもありますけれども、どういう権限を持たせるかなのかなと思っております。先ほど航空機事故の問題も言いましたけれども、あれは国会で承認大事になっておりまして一定の権限が立法によって与えられておりますので、今の薬事法だけではなかなか難しいのかなという感じもいたしております。  それから、医薬品庁の構想については、まさにどういうところで基礎研究開発、治験、審査というものを行うのか、また一緒に行うとすればどこでそれを透明性を高めて一般の人でもきちんと再チェックできるようにするのか、そういったものとの組み合わせであるのかなというふうにも思っております。  こういう問題については、私もまだ決して専門的な知識は十分でありませんが、水島先生の御意見をまたいろんな機会に聞かせていただいて、ぜひ参考にさせていただきたいと思っております。
  54. 水島裕

    ○水島裕君 ありがとうございました。ぜひ前向きにいろいろ御一緒にできればいいと考えております。火事太りということもございますので、今直ちに厚生省の組織、規模を大きくするということは難しいのかもしれませんけれども、アメリカのFDAとかイギリスのMCAというようなところに比べますとやはり日本は非常にスタッフも少ないわけでございますので、今の全体のことを通していろいろ考えていっていただきたいと思います。  それから、治験の話が出ましたけれども、ざっと数えても今一年に十万人ぐらい患者さんが治験に携わっているというか治験されている。それで、科学的に見ましても倫理的に見ましても日本の治験はまだまだ問題がございますので、これも早く取り組まないと、問題になるから取り組まなくちゃいけないというのは私は好きじゃございませんですけれども、やはり早く取り組む必要があると思います。二、三週間前に朝日新聞の「論壇」に書かせていただきましたけれども、日本の開発する医薬品というのはほとんどまだ全世界の健康とか福祉に役に立っていないものでございますので、ここで取り締まりを十分にする余りそういうものが開発できなくても困るわけでございますから、そういうことを全部ひとつお考えいただいて、いい行政にしていただければと思います。私は、全体としてそうおかしいことはないので、そういうことを推し進めるとともに、チェック機構と透明性だけを持たせれば今の行政の姿でも少なくとも二倍か三倍よくなるはずでございますので、少なくともそこだけはひとつお考えいただくか、あるいは私が申し上げている精神だけでもひとつ酌み取っていただいて、方法は全く別でも構いませんけれども、ぜひ改革をしていただければ大変幸いでございます。  最後に、全く関係ないことでございますが、三月二十九日の最終の和解成立て、これは大阪と東京で最終の面談をなさるそうでございますけれども、ちょうど三月二十九日が参議院の本会議でございまして、最終の和解面談のときには厚生大臣、ぜひおいでいただけるといいのでございますが、何とか国会と調整をつけましておいでいただけることが可能かどうか、今の御予定はいかがでございましょうか。
  55. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 大阪の原告団の方から二十九日の十時からの集会に出席をしてほしいという要請をいただいていることは私も承知しております。また、東京の方も場合によっては連動した形でという話も若干聞こえてきております。  ただ、これはまさに国会の審議の問題ですので、その時点が衆参それぞれの中で本会議や委員会がどうなるかということがまだ私にもよくわかりませんので、そこは逆に与野党の委員皆さんに御協力がいただけて、そうした時間をとってもいいということであればぜひ伺わせていただきたいと思っております。ただ、場合によっては暫定予算の参議院の採決もその日になるかということも聞いておりますので、もちろんそこは私の一存ではいきませんし、個人としては行ければ行きたいという気持ちは十分にありますけれども、そこは与野党の皆さん、国対関係者皆さんと十分協議をして考えていきたいと思っております。
  56. 水島裕

    ○水島裕君 それでは、時間になりましたのでこれで終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  57. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 初めに、スライド特例法案についてお尋ねいたします。  先ほどからいろいろとお尋ねがございましたけれども、この法案は森井前大臣の強い御指導関係各方面からの要請を受けて提案されたものと理解しておりますが、一つ気になりますのは、九六年度の特例はともかくとして、今後の物価スライド制のあり方、これをどのように考えるかということではないかと思います。  先ほどから年金審議会からも物価変動の少ない場合等の物価スライド制のあり方について今後検討を行う必要があるというふうに指摘がされているとございましたし、大臣もお答えになっておりますが、もう一度簡潔に今後のあり方について御意見を承りたいと思います。
  58. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 竹村委員おっしゃるように、この問題は前大臣の段階で大筋方針を決めていただいておりまして、与党皆さんからの要請なども含めて今回提案をさせていただきました。  先ほど来申し上げておりますように、物価がどんどん上がっていく時代から今回初めて下がったわけですが、また将来上がるとしても従来のように一〇%、二〇%という上がり方ではない、小さな幅ということも十分考えられますので、そういった場合に事務費などを考えたり、あるいは実際的に小さな幅であればそれほど、何といいましょうか、生活の面で急ぐということではない場合もありますので、そう考えますと、例えば物価変動がある一定の小さな幅の内部で動く場合は前の年のままでずっといって、その累積が例えば一%とかあるいは二%とかを超えた場合には、上がった場合はもちろん上げるし下がった場合は下げるという、そういうやり方が考えられるのではないかというふうに思っております。  こういった問題、年金審議会において御審議をいただいて、次の再計算のときまでには結論を出していただきたいと、こう考えております。
  59. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それでは、先ほど釘宮議員の方から援護法の国籍条項の問題が出されまして、私もこのことにはずっと取り組んでまいりましたので続けてその問題を取り上げたいのですが、ちょっと視点をきょうは変えまして、戦後、朝鮮、台湾には軍人・軍属の戦死公報というのが出されたのでしょうか、どうでしょうか。その辺からお答えいただきたいと思います。
  60. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 朝鮮半島出身の旧日本軍人・軍属の戦没者の遺族の方に対します死亡通知につきましては、昭和二十一年に連合軍の最高司令部によりまして通信禁止令が出されるまでは日本人と同様に行ってまいったという経過でございます。その後におきましては同司令部の認可を得ながら一部実施してきたというふうに承知をいたしてございます。その後は、昭和二十三年に大韓民国が樹立されましたため、それまでやっておりました死亡通知をすることが困難になったというふうに承知をいたしてございます。
  61. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日本人の未帰還者の調査は戦後直後から開始されておりますね。旧植民地の軍人・軍属も同時に調査されたと思いますけれども、各地域別の戦死者名簿なども作成されていますでしょうか、どうでしょうか。
  62. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 朝鮮半島出身の軍人・軍属の戦没者の方につきましては、先ほど申しましたように個別の通知ができなくなったという経過から連名簿の検討をいたしておりましたところ、ちょうど昭和四十六年九月に韓国政府からの要請もございまして、これに応じる形で全戦没者名簿約二万二千人を登載いたしました死亡者連名簿を韓国政府に送付をしてまいってきておるというような状況でございます。
  63. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日本人の未帰還者というのは今どんなふうになっているのでしょうか。未帰還者、行方不明者の人数とか、あるいはどんな状態になっているかということがわかれば教えてください。
  64. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 未帰還者の現時点の数でございますか。現時点で約七百というふうに承知をいたしてございます。
  65. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 未帰還者、不明者合わせて七百人ということですね。  それで、私が家族だといたしますと、私の夫が生きているのか死んでいるのか、帰ってこないわけで行方不明なのか、生死がわからないという人が今七百人とおっしゃったんですが、本当はもっともっとおられて、それはどういうふうにして一応お亡くなりになったということにしているんでしょうか。何か死亡宣告をしたというふうに聞いておりますが。
  66. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 未帰還者につきましては、基本的には軍人であった方が未復員という方、あるいはそれ以外に外地におられた民間の人で戦後いろんな事情で帰ってこれなかった、なおかつ生存されておってみずからの意思で現地に残ったということでないというふうな方々を想定しているわけでございますが、今お話がありました中で、死亡宣告ということで、これまで一番直近までの数字で約二万件を死亡宣告という形で処理をしてきておるところでございます。
  67. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日本人ですね。  朝鮮、韓国の方たちに対してはどうですか。
  68. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 朝鮮半島出身の方々につきましては、日本の国籍を失う以前におきましては内地に引き揚げてまいりました部隊の関係者からの情報等によりまして内地出身の日本人と同様な未帰還者の調査を行ってまいったところでございますが、昭和二十八年、未帰還者留守家族等援護法の制定があったわけでございますけれども、日本人の生死不明者につきましての調査が本格化いたすころからでございますが、朝鮮半島等の出身者につきましてはサンフランシスコ平和条約、昭和二十七年の四月でございますが、その締結後は日本国籍を失っておりますために日本政府によります未帰還者調査対象とはすることとしていないということで今日に至っているところでございます。
  69. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣、おわかりと思いますが、つまり日本人として、日本兵として、軍人・軍属として戦わせられた人たちが死亡宣告すらしてもらえずに、日本人の場合は未帰還者に関する特別措置法制定によって国が戸籍処理をしているわけですけれども、そういうことすらせずに、いまだに自分の肉親が生きているのか死んでいるのかわからないという放置状態の方たちがたくさんいらっしゃるんですね。  先ほど申しました未帰還者に関する特別措置法なども、植民地出身者はサンフランシスコ平和条約によって日本人ではないとされたわけですから、全部除外されているわけなんですけれども、このような状態で戸籍処理さえできずに戦後五十年、家族はいまだにその行方を追っている状態だということについて、大臣、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
  70. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 若干補足させていただきます。  実は、朝鮮半島出身の旧軍人・軍属の関係方々につきましては、昭和四十六年に日韓の政府間で、亡くなられた方々二万二千人の名簿を出させていただいているわけでございます。その後、日本の厚生省としまして当時の軍から引き継いでおりますいろんな資料につきまして、平成五年の秋でございましたけれども、包括的な名簿ということで留守名簿等、厚生省が集計し、把握しておりますすべてのデータを総点検いたしまして、全体で二十四万四千人になるわけでございますけれども、これを含めまして韓国政府に全面的に引き渡しをしてきているということでございまして、厚生省の立場ではできる限りの情報の把握、必要な提供等は努めてまいってきているということを若干補足させていただきたいと存じます。
  71. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私、きょうは時間がございませんのでもう一言だけ申し上げて、大臣の御所見、そして御決意を聞いて終わりたいと思います。  朝鮮半島出身者、旧植民地の未帰還者について、遺族会とか家族会とかいろいろな団体の方が厚生省に行きますと、こういうお答えが返ってきているんです、これまで。「未帰還者調査は、未帰還者留守援護法に基づきやっている。援護法には国籍条項があるので、日本人外と判明したときから所轄外だと認識している。」と、こうやってはねつけているんですね。所轄外というのは一体どういう意味でおっしゃっているんだろうか。強制連行されたり軍人・軍属として戦わせられたり、そういう人たちで行方不明になっている多くの人々、この生死確認ぐらいはされるべきではないだろうか、政治的な対策を講じる必要があるのではないかと思います。  最後に、大臣、誠実に対応なさる気がおありになるかどうか、それから、せめて調査ぐらいをやっていただく御決意がおありになるかどうか、お伺いしたいと思います。
  72. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私も、こういった問題での国籍条項といいましょうか、あるいは戦争中は日本国民という形で徴兵をされたり、いろいろな形で戦地へ赴いた方がその後の変化の中で全く別な扱いを受けるようになっているということに大変疑問は感じるわけであります。  今の未帰還者留守家族のこの援護法の経緯も、私も少し聞いてきましたけれども、戦争直後いろいろな国から帰れない人の留守家族を支援しようと、そういう意味では日本の国として外国に出て帰れなくなった人の留守家族を支援するんだということで他の法案と同じように国籍条項をそのまま入れたわけですね。ですから、いわゆる戦争中に日本人として戦ったり、あるいは戦地に赴いた人に対するフォローという観点を余り考えないでつくられた法律だという感じはいたしております。  そこで、現在、先ほど局長も言いましたように、朝鮮半島出身の旧日本軍人・軍属の安否について遺族の照会があった場合は、厚生省が保管している資料に基づいて可能な限り調査をして生死の確認を行ってきているところです。また、先ほども述べましたように、そういった資料も平成五年に相当の量のものがあったわけですが、その副本をお送りいたしております。これ以上の調査ができるのかできないのか、どうすればいいのかというのは、率直なところ事務当局としては大変困難だという状況にあります。  これは、過去のことを言っただけでは済まないんですが、私は、若干これは立場を超えるかもしれませんが、やっぱりサンフランシスコ条約のときに国籍条項を画一的に外してしまったことがいろいろな問題が非常に矛盾したことになったのではないか、責任をいわば放棄したことになってしまったのではないか、少なくともその時点では二重国籍であっても、どういう国籍であっても残した形でいった方がよかったのではないかというふうにも私は感じているんですけれども、ただそれは当時のいろいろな判断で行われたことだと思います。  現時点で何ができるかということはもう一度十分検討してみたいと思いますけれども、かなりこれまで生死の確認などについてはそういう意味ではやれるところはやってきたというのが事務方の認識で、厚生省としての認識になっていることも申し上げておきたいと思います。
  73. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 時間がありませんので終わりますが、この問題はまた、在日の方たちの国籍条項の問題もございますし、じっくりとやらせていただきたいと思いますが、ぜひ誠実な対応を御検討いただけますようにお願いを申し上げて、終わります。
  74. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。私は三つの法律案のうちらい予防法廃止に関する法律案に絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問に先立ちまして、このらい予防法廃止する法律案審議し採決をする場に私自身がこのように参加できることを心から喜びたいと思いますし、余りにも遅きに失したとはいえ、ようやくこのらい予防法廃止することができるという意味でこの法案に全面的に賛意を表したいと思います。  ちょっと振り返ってみますと、実はこの参議院の厚生委員会におきまして、古い話になって申しわけありませんが、昭和二十八年、現行らい予防法案の審議に当たって本委員会は附帯決議を付しております。九項目にわたる附帯決議でございますが、特に私はその中で、附帯決議の一番最後のところで、「近き将来本法の改正を期すると共に」というふうに附帯決議の中に盛り込まれております。昭和二十八年の参議院厚生委員会でそのような附帯決議をし、しかし四十数年たってしまった。このことについて諸先輩にとやかく申し上げるつもりはございませんけれども、やはり本院の本委員会においても一定の責任と、そして家族や患者さんや亡くなられた遺族皆さんに心からおわびを申し上げる、こういう気持ちが必要ではないかというふうに思います。  そのことを冒頭に申し上げながら、なお気がかりな点が幾つかございますので、お尋ねしたいと思います。  まず第一の点は、ハンセン病の今後の治療体制の確保がきちんとできるだろうかという点であります。もちろん、さまざまな予防活動や治療の進歩によってハンセン病の発症自身が極めて少なくなってきているとはいえ、残念ながらいまだ根絶された状況には達していない。とすると、今後新規にあるいは再発という形で感染され発病される場合もあり得る。その方たちの治療体制、医療体制は今後どうなっていくのだろうかという問題であります。  特に、これまでの治療体制が十数カ所の国立療養所を中心とする医療機関に限定されておりました。それだけに今後の治療体制がどのように確保されていくのか、大変不安といいますか、心配をしております。もちろん今後も、国立ハンセン病療養所はもちろんのこと、一般の医療機関においてもそのような患者さんが出てきた場合に適切に受けとめ適切に治療していくということが求められると思いますが、その場合果たして的確な診断がどの程度できるのだろうか、あるいはそのための治療薬はきちんと確保できるのだろうか、あるいは治療のための技術、ノウハウは蓄積されているだろうか、そしてそういう皆さんを引き受ける治療体制はどの程度に確保されるだろうか、さらにはそのような医療治療を受けた場合に医療費の負担はどうなるだろうか、幾つかの問題が不安な点として頭に思い浮かびます。  先ほど水島先生の御質問の中で治療薬の問題については触れられましたのでその部分については省略をいたしますが、ぜひ今後の治療体制の確保についてどのようにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。
  75. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) らい予防法廃止に伴いまして、今後新規に発生する患者さんをどのように治療していくかということでございますが、ハンセン病は今や一般の疾病、こういうことで対応できる、そういうことになったわけでございますので一般の疾病として一般の医療機関で原則的には治療をしていただく、こういうことになるかと思います。したがいまして、当然のことではございますけれども、一般の疾病として保険診療対象として取り扱われることになるものと考えます。  そこで、この診療体制の整備でございますけれどもハンセン病は今や新規発生も少なくなりまして、ハンセン病治療の専門家が減少しているという現状から、委員指摘のような点もあるわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、一般の皮膚科の先生方あるいは神経内科医の方々、こういった方々向けの診断治療指針をつくってハンセン病に関します専門知識の普及を図っていこう、こういうことを考えております。こういったことを通じまして、また学会等のいろいろ御協力もいただきながら、一般医療機関でのハンセン病診療が支障なく実施されるように努力をしてまいりたいと思います。  薬につきましては先ほどお話があったとおりでございます。
  76. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ医療関係職場に働く職員教育を含めた丁寧な取り組みをお願いしたいと思います。  二点目に移ります。  法律案を読ませていただきまして、現在ハンセン病療養所入所生活をされておる方たち、あるいは今後入所生活を送る予定の人たちについて、さまざまな側面から配慮がなされているという点は十分に評価したいと思いますが、その一方で、実際にはなかなかそういう方は少ないのかもしれませんけれども、これを機会に地域で普通に暮らしてみたい、つまり社会復帰社会参加をしていこうと、こういう人たちもおいでになると思います。そういう人たちに対する視点と配慮が極めて弱いように感じられてなりません。もちろん、そのことがそう簡単にできるとは思いません。しかし、もしそのような気持ちを多少ともお持ちの方がおいでならば、厳しい現実があるからこそ社会復帰社会参加を支援するためのきめ細かな配慮と具体的な対応策を準備しておくことが必要だというふうに思います。  恐らくそのことを意識してということだと思いますが、法律案の第五条には「社会復帰の支援」という項目が盛り込まれております。この条文を積極的に活用するなど、国の責任において社会復帰社会参加されようとする皆さんに対する最大限の配慮と対策をぜひ検討してほしいと思います。  現時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) 社会復帰を希望される方に対する支援対策といたしましては、従来より、退所された後の生活不安等を少しでも解消していただくために、医療、老後、就職等につきまして助言、指導を行う相談事業、こういうものを実施させていただいております。また、自立助長のために、社会復帰の希望のある方に対しては各種の職業指導及び就労に必要な資金の援助というようなことを実施してきているところでございます。  今後のことでございますが、社会復帰を希望される方々につきまして、これを支援してまいることは非常に重要な課題であると認識しております。そこで、引き続き今申し述べましたようなこれまでの支援対策を充実することは当然でございますが、今後は患者さんあるいは軽快者、あるいはもう治ったということで社会復帰を考えておられる方々、こういった方々が具体的にどういうふうな方式をとりたいのか、あるいは御要望はどの辺にあるのかというようなことをよく調べまして適切に対応をしてまいりたい、このように考えております。
  78. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ当該の皆さんの御意見ども伺いながら、現時点で社会復帰を積極的にというふうになかなか声が上がってこない実態があるのかもしれませんが、それは決して本意ではないと思います。現実の難しさの中でそういう選択をちゅうちょされているのではないかというふうに思いますので、ぜひそこのところは今後積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  最後に、今後の入所者皆さんに対する開放的な療養生活の保障とか、あるいは今申し上げたようにきめ細かな社会復帰施策の拡充とか、さらには今日時点でもなお存在する差別、偏見を克服するためのさまざまな啓蒙活動とか、国の責務として今後も行っていくべき課題は重大であるというふうに思いますが、もう一方、ハンセン病療養所が所在する自治体の役割も大変重要だというふうに思います。都道府県、市町村、十二ほどになるというふうに伺っておりますが、その自治体との協力のもとに、ぜひ自治体レベルで、あるいは都道府県、市町村レベルで積極的な取り組み、きめ細かい配慮が必要だというふうに思います。  この点についてどのような方策を検討されているのか、お伺いしておきたいと思います。
  79. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) ハンセン病に対します理解の促進、あるいは入所者方々の開放的な療養生活が実現されるためには、地域社会において受け入れられることが極めて重要であると考えておるところでございます。  このため、厚生省といたしましても、らい予防法廃止を契機といたしまして、従来の取り組みに加えまして、ただいま御審議いただいております平成八年度予算におきましても前年度に比べまして相当予算額をふやさせていただいて啓発普及事業を盛り込み、また新たに入所者方々社会交流事業等を実施する、こういったことを考えておるところでございまして、より効果的な啓発普及事業を積極的に展開してまいりたいと考えております。  また、今、委員指摘の地方自治体等の御協力もいただくわけでございますが、これまでも地方自治体の方々には非常に御協力もいただいておりますが、具体的な事業の実施に当たりましては地域社会の理解と協力を得ることが不可欠である、こういうふうな考え方からさらに一層自治体の方々に対しましても積極的な取り組みをお願い申し上げていきたいと、このように考えております。
  80. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  81. 西山登紀子

    西山登紀子君 まず、らい予防法廃止について御質問をいたします。  らい予防法廃止は当然のことでありまして、遅きに失したと言わなければなりません。政府対応のおくれによって患者、家族に言い知れぬ多大な苦難を与えてきたことは言をまちません。今、患者さんの平均年齢は七十歳、高齢者では八十歳代、九十歳代の方もおられるわけです。ほとんどの人は現在の療養所がついのすみかでございます。療養所で私もお話伺いましたが、その中には十四歳のときから入所させられて今日に至った、そういうお話もございましたし、私は言葉もありませんでした。ですから、今日私が思いますのは、今後政府が深い反省と謝罪の意を込めて、必要な改善を加えながら、こうした方々の人権の回復とついのすみかにふさわしい安心できる環境、そして対策を継続させる必要があると考えます。  その際には、将来にわたって患者さんの患者給与金、これを予算措置して継続してほしいという切実な御要望もございますし、またこの療養所に働いていらっしゃる職員の方々も長い間の社会の偏見の中で献身的に医療や介護や日常の世話を続けてこられました。その人たちの苦労もまた正しく評価し、これに報いるような方策も必要だと思います。  らい予防法廃止になるという歴史的な日を直前に控えまして、まず大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  82. 菅直人

    国務大臣菅直人君) らい予防法が本当にこれまで続いていたこと自体大変大きな反省をしなければならないと思っております。  その上で、らい予防法廃止するに当たっては、御承知のように、これまで続けてきた患者給与金を含め、現在行われているすべての医療及び福祉措置を継続するというのが基本的な方針でありまして、そのことは確実に継続し、維持していきたいと考えております。  また、国立ハンセン病療養所の職員の処遇につきましても、入所者視覚障害や肢体不自由などの後遺症、あるいは高齢化が進んでいるということでの合併症などを有している方もおられることから、勤労の困難さなど勤労環境がなかなか厳しいということも承知しておりまして、従来それなりのそれに対する措置もされていると聞いておりますが、今後このらい予防法廃止をされたときにそういったことについてどうするかということも、これまでの経緯を踏まえ、関係機関と十分相談をして進めてまいりたいと、こう考えております。
  83. 西山登紀子

    西山登紀子君 ぜひ誠意を持って当たっていただきたいと思います。  次に、「らい」の名称の廃止についてですが、辞典などについては改版するときに「ハンセン病」という正式疾病名にするということなど、表現と内容について正確な表現を用いるよう教育関係あるいはマスコミ関係方面にも要請する必要があると考えますが、いかがですか。
  84. 松村明仁

    政府委員(松村明仁君) 今回、御指摘のように、法律上「らい」という病名を「ハンセン病」と改めることとしておりまして、今後行政的には「らい」という言葉は用いずに「ハンセン病」という言葉を用いていく姿勢を明らかにしておるところでございます。こういったことにつきましては、関係の各方面に徹底を図ってまいりたいと思っております。  既に皆さんかなりこのハンセン病という言葉は浸透をしておるとは思われますけれども、今後機会をとらえ、今回の見直し趣旨でありますとかハンセン病に関する正しい知識の普及啓発について働きかけていくこととともに、厚生省におきましてもより効果的で多様な啓発事業の積極的な展開を図ってまいりたいと思います。
  85. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、いわゆる浮島丸事件ということについて質問をいたします。  まず最初ですが、この浮島丸事件というのはどういうふうな事件であったかといいますと、悪夢のような戦争が終わって直後の八月二十二日、戦争中徴用の名のもとに日本に強制的に連れてこられた、そして強制労働をさせられていた旧海軍軍属・準軍属の朝鮮人の方々が三千七百二十五名、ほかに便乗乗船というふうなことも多々あったようですけれども、下北半島の大湊港、ここから浮島丸という船に乗って、帰鮮のために船に乗ったわけでございます。そして、やっと解放されて母国に帰れると思った八月二十四日の午後五時過ぎに、船は急に航路を左にとりまして、朝鮮の釜山港に向かうはずだったわけですけれども、舞鶴港に入港し、突然爆発をして謎の沈没を遂げた事件です。触雷説か自爆説か、いまだに真相はわかってはおりません。  当時、舞鶴の市民が懸命の救助にも当たったわけですけれども、たくさんの方々が亡くなったわけです。朝鮮人の方が五百二十四人、日本人軍人の方が二十五人、合わせて五百四十九名、この数も乗船者全員がそもそも不明ということもありますので必ずしも確かではありませんけれども、今わかっているので五百四十九名、こういう方々が亡くなられたというふうに伝わっているわけですが、いわゆる世に言う浮島丸事件という、概要はこういう事件のことではないかと思いますが、どうですか。
  86. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 今お話がございました海軍の所有船浮島丸が終戦によりまして帰朝を熱望する朝鮮半島出身の元海軍軍人・軍属、それから民間の方を乗せて青森の大湊港から朝鮮半島に向かう途中、昭和二十年八月二十四日、舞鶴湾内において沈没して五百四十九人の方々、内訳等今お話がございましたように私どもも伺っております。
  87. 西山登紀子

    西山登紀子君 平成四年、一九九二年八月二十五日に犠牲者の遺族の方が京都地方裁判所に公式陳謝等請求の訴訟を起こされているわけです。この訴状の中にはこのように書かれています。  原告らは金銭が目的で本訴訟を提起したのではなく、被告日本国が犠牲者と遺族の前で浮島丸事件の真相を究明し、真摯な謝罪を行ってその道義を取り戻すことを念願するものであるから、とりあえず本訴訟においては、右各損害の一部として、被告日本国に対し、浮島丸事件で死亡した犠牲者の遺族は各々金五〇〇〇万円、生還者とその遺族は各々金二〇〇〇万円の支払いを求めることとする。 このように述べているわけですけれども、こういう裁判が行われているということはもちろん御承知ですね。
  88. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 浮島丸事件に関しまして、平成四年八月以降、韓国在住の犠牲者、それから遺族の方七十七名の方が原告になりまして、国に対しまして損害賠償、謝罪、そして遺骨の返還を求める訴訟が提起されておりますことは承知をいたしてございます。  厚生省といたしましては、遺骨の返還に関しまして外務省ともども指定代理人ということで対応しているというような状況でございます。
  89. 西山登紀子

    西山登紀子君 その遺骨のことなんですけれども、私も調べているうちに大変びっくりいたしました。  この東京の目黒区にあります祐天寺というお寺に遺骨が保管をされている、こういうことがわかりましたので私も先日お参りに行ってきたわけでございます。これは、お参りに行きましたが、お寺の方にお聞きしますと毎朝丁寧にお参りをしてくださっているわけですけれども、行ってみますと、厚生大臣という名のもとに弔意も示されておりましたし、塔婆というんでしょうか、こういうのがありまして、朝鮮半島出身の旧軍人・軍属云々というふうな文字はあったわけですけれども、浮島丸殉難者というふうな文字はありませんでした。  この祐天寺に浮島丸事件の犠牲者の遺骨が二百八十五柱保管がされているのは事実でしょうか。
  90. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 現在、祐天寺に預託をいたしております浮島丸事件の犠牲者の方の遺骨は、今二百八十五とございましたが、私ども二百八十柱ということでお願いをいたしてございます。  これまでの経緯を若干申し上げさせていただきますと、浮島丸遭難の際に亡くなられました朝鮮半島出身者の方の遺骨につきましては、昭和三十三年五月に呉地方復員部から移管を受けまして、その後、昭和四十六年六月、氏名、本籍が判明しております五百二十一柱を他の戦没者遺骨とともに祐天寺に預託をいたしました。  祐天寺にいたした経過等につきましては、なるべく交通の便のいいところに祭ってほしいというふうな御希望も踏まえて対応したというふうに承知をしております。  このうち遺族等の確認ができました遺骨につきましては、昭和四十四年八月の第三回日韓定期閣僚会議の了解事項に基づきまして、昭和四十六年十一月、それから昭和四十九年十二月、そして昭和五十一年十月の三回にわたりまして計二百四十一柱を他の戦没者遺骨とともに返還をしてきているところでございます。  したがいまして、現在祐天寺に預託しております二百八十柱は遺族の確認されない御遺骨であるということで私ども認識をしておるところでございます。
  91. 西山登紀子

    西山登紀子君 もう一つよくわからないんですけれども、この裁判ですが、遺族の方が遺骨の返還を求めていらっしゃるわけですね。それで、九つの遺骨をそれぞれ引き渡してほしいというふうにこの訴状は述べて追加の訴訟を起こしているわけです。  私は、二百八十八というふうに、二百八十五ではなくて二百八十八だというふうに改めて確認をさせていただきたいと思いますが、二百八十八なんですよね。
  92. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 二百八十柱でございます。二百八十です。
  93. 西山登紀子

    西山登紀子君 二百八十ですか。
  94. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) はい、二百八十です。
  95. 西山登紀子

    西山登紀子君 五柱減っちゃった。  数が、こういう裁判の訴状には二百八十五というふうに出ているし、厚生省は二百八十だというふうにおっしゃるし、非常にまだ数がはっきりしないというふうなことも私にとっては非常に不明朗といいますか残念な気がいたしますけれども、戦後五十年たってなおこういう異国の地に保管されているというこの遺骨については、何ともやはり許されない気持ちがいたすわけです。早く母国にお返ししなければいけないというふうに思うわけでございます。  そこでお伺いしたいと思いますが、再度、事件の経緯などを付して韓国政府遺族の調査を依頼するなど再協議、再努力を戦後五十年を経た今日さらにやるべきではないかと。それからさらに、この裁判になっております九人の方々遺族が判明をしているわけですから、遺族の求めに応じてその遺骨についてはお渡しする、こういうことをやるべきではないかと思いますが、どうですか。
  96. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 実は、犠牲者の方々の遺骨について早期に御遺族にお返しすべきではないかというお話でございますが、先ほども申しましたように、浮島丸事件に係る遺骨のうち遺族の確認ができましたものにつきましては、過去、四十六年、四十九年、五十一年、三回に分けて二百四十一柱を既に韓国政府を通じて返還してまいったところでございます。  それで、遺族が確認されず、現在祐天寺に預託しております柱のうち死亡者の本籍地が現在の韓国内にありますものにつきましては、一括して返還するという基本方針のもとに外務省を通じまして韓国政府との間で一括返還の交渉を行ってまいってきたところでございますが、これまでのところ正式な合意を得るに至っていない、それで今日に至っているところでございます。  なお、政府といたしましては、遺骨に関する問題につきましてはできるだけ早期の解決を図るべく、実は訴訟の提起がございましたが、訴訟外で協議を行いたい旨申し入れまして、原告との話し合いをしてまいりました。訴訟外協議が行われてまいったわけでございますが、ところが原告側は浮島丸事件に関する謝罪とそれから遺骨返還を切り離すことはできないという御主張でございまして、現在では原告側の申し出により一時打ち切りというような形になっているわけでございます。私どもとしましては、訴外で話し合いをし、御遺骨の問題は切り離してでも早く処理をすること、いい解決をするということの御提案もしたわけでございますが、大変に残念に思っているところでございます。  いずれにいたしましても、この問題は引き続き韓国政府ともよく外務省を通じて働きかけながら、できるだけいい解決に努力をしたいと思っているところでございます。
  97. 西山登紀子

    西山登紀子君 遺骨の交渉がうまくいかないのは相手が悪い、こういうふうにも聞こえるわけですけれども、私はそうではなくて、やはりこれは別に裁判に訴えられなくてもこちら側からきちっと誠意を持って謝罪もすれば補償もちゃんと話し合う、そういう態度で臨むべきではないかと思います。  そういう点を指摘させていただきまして、最後大臣にお伺いしたいわけですけれども大臣、この浮島丸の殉難事件というのは私は戦争が生んだ二重の悲劇、こういうふうにも言えるかと思います。昨年、市民の皆さんがこの歴史を風化させずに未来に引き継ごうということで劇映画もつくられたわけです。「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」という題名の映画ですけれども、大変私は感動いたしました。そして、この地元の舞鶴では毎年慰霊祭というのが開かれているわけですけれども、平和の願いを込めたチョゴリ姿の女性、それからみどりごを抱いてその足元には助けを求めるたくさんの群像が寄り添っている、こういうふうな追悼の碑も建っているわけですが、この追悼の碑の周りに集まって毎年追悼式が行われているわけです。追悼式は知事や市長も出席ないしはメッセージを送っているわけですけれども、こういう国際的な悲劇を風化させないためにも、私は要請があれば大臣がメッセージを送る、こういうことぐらいはぜひしていただけないものかと思っておりますし、大臣のこの浮島丸の殉難者に対して、あるいは遺族に対してどう思われるかということも含めてお答えをいただきたいと思います。
  98. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この浮島丸の問題につきましては、私不勉強で今回質問いただくまで詳しいことは知りませんでした。  こういった戦争直後の本当に、何といいましょうか、混乱期に起きた事件、あるいは戦争末期に、昨日もある席で、日本からいろいろな捕虜の人に対して物を送るという形で船が出ていたのが、やはり連合国がそういう何か約束事がうまく伝わらなくて沈んだという事件で、これは何か日本人の遺骨を逆に今度は中国の方から知らせがあってそれを受け取りに行ったなんていう話もある席できのう出ていたんですけれども、そういういろいろな悲劇といいましょうか、そういうものがいろいろな形であったということについては本当に、何といいますか、五十年たった今日においてもそういった歴史を風化させてはいけないということは私も同様に考えております。  この浮島丸事件そのもののいろいろな経緯は、今、局長の方からもお話をしましたように、遺骨等についてはもちろん基本的には身元がわかればお返しをするということで、そういう姿勢で臨んでいるつもりですけれども、若干まだいろいろな経緯の中では進んでいない問題もあるということだと理解しております。  今おっしゃいましたこの慰霊祭について、要請があればメッセージをということでありまして、一般的に言えば、そうした問題についてメッセージなりなんなりをすることは必要があればそうしたいというふうに思っておりますが、ちょっと私も初めて伺った事件でもありますし、そういう慰霊祭がどういう形で行われてきているのかというのも、今お話を聞いたところのような形であればメッセージを送らせていただくことも十分可能かなと。ちょっとどういう形なのかということをその段階でまた要請があればお尋ねをした上で判断をさせていただきたい、こう思っております。
  99. 西山登紀子

    西山登紀子君 よろしくお願いいたします。  終わります。
  100. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより採決に入ります。  まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、らい予防法廃止に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  103. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、ただいま可決されましたらい予防法廃止に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会社会民主党・護憲連合及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     らい予防法廃止に関する法律案に対する附帯決議(案)   ハンセン病は発病力が弱く、又発病しても、適切な治療により、治癒する病気となっているのにもかかわらず、「らい予防法」の見直しが遅れ、放置されてきたこと等により、長年にわたりハンセン病患者・家族の方々の尊厳を傷つけ、多くの痛みと苦しみを与えてきたことについて、本案の議決に際し、深く遺憾の意を表するところである。   政府は、本法施行に当たり、深い反省と陳謝の念に立って、次の事項について、特段の配慮をもって適切な措置を講ずるべきである。  一、ハンセン病療養所入所者の高齢化、後遺障害等の実態を踏まえ、療養生活の安定を図るため、入所者支給されている患者給与金を将来にわたり継続していくとともに、入所者に対するその他の医療福祉処遇の確保についても万全を期すこと。  二、ハンセン病療養所から退所することを希望する者については、社会復帰が円滑に行われ、今後の社会生活に不安がないよう、その支援策の充実を図ること。  三、通院・在宅治療のための医療体制を早急に整備するとともに、診断・治療指針の作成等ハンセン病治療に関する専門知識の普及を図ること。  四、一般市民に対して、また学校教育の中でハンセン病に関する正しい知識の普及啓発に努め、ハンセン病に対する差別や偏見の解消について、さらに一層の努力をすること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願いいたします。
  104. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅厚生大臣
  106. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  107. 今井澄

    委員長今井澄君) 次に、平成八年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会      —————・—————