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1996-08-02 第136回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年八月二日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員長異動  六月十九日今井澄委員長辞任につき、その補  欠として上山和人君を議院において委員長に選  任した。     —————————————    委員異動  六月十八日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     楢崎 泰昌君  六月十九日     辞任         補欠選任      清水嘉与子君     小野 清子君      楢崎 泰昌君     大島 慶久君      勝木 健司君     星野 朋市君      釘宮  磐君     田村 秀昭君      今井  澄君     菅野  壽君      竹村 泰子君     上山 和人君  七月二日     辞任         補欠選任      小野 清子君     沓掛 哲男君  七月二十九日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     森山 眞弓君  七月三十日     辞任         補欠選任      石井 道子君     上杉 光弘君      星野 朋市君     北澤 俊美君  七月三十一日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     石井 道子君  八月一日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     宮崎 秀樹君      中島 眞人君     海老原義彦君      木暮 山人君     渡辺 孝男君      田村 秀昭君     和田 洋子君      菅野  壽君     清水 澄子君  八月二日     辞任         補欠選任      渡辺 孝男君     益田 洋介君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 森山 眞弓君                 北澤 俊美君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 海老原義彦君                 塩崎 恭久君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 田浦  直君                 益田 洋介君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        文部省体育局長  佐々木正峰君        文部省体育局学        校健康教育課長  北見 耕一君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        農林水産省食品        流通局野菜流通        課長       山野 昭二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○社会保障制度等に関する調査  (病原性大腸菌O−157による食中毒等に関  する件)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言ごあいさつをさせていただきます。  去る六月十九日の本会議におきまして厚生委員長選任されました上山和人でございます。  本委員会は、申し上げるまでもなく、社会福祉医療、年金など国民生活に密接にかかわる重要事項を所管いたしておりますので、その使命は大変重大でございます。  この重責を担う委員長といたしましては、委員各位の温かい御指導、御鞭撻をいただきまして、公正かつ円満な運営に努めて、職責を全うしなければと思いを新たにいたしているところでございますので、何とぞ委員各位の温かい御指導、御鞭撻、そして御協力を賜りますように心からお願い申し上げます。     —————————————
  3. 上山和人

    委員長上山和人君) 次に、病原性大腸菌O157による食中毒等により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  4. 上山和人

    委員長上山和人君) 黙祷を終わります。御着席願います。     —————————————
  5. 上山和人

    委員長上山和人君) 委員異動について御報告いたします。  去る六月十九日、竹村泰子君、釘宮磐君、勝木健司君、清水嘉与子君及び今井澄君が委員辞任され、その補欠として田村秀昭君、星野朋市君、小野清子君、菅野壽君及び私、上山がそれぞれ選任されました。  また、去る七月二日、小野清子君が委員辞任され、その補欠として沓掛哲男君が選任されました。  また、去る七月二十九日、沓掛哲男君が委員辞任され、その補欠として森山眞弓君が選任されました。  また、去る七月三十日、星野朋市君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。  また、昨日、田村秀昭君、木暮山人君、大島慶久君、中島眞人君及び菅野壽君が委員辞任され、その補欠として和田洋子君、渡辺孝男君、宮崎秀樹君、海老原義彦君及び清水澄子君がそれぞれ選任されました。  また、本日、渡辺孝男君が委員辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。     —————————————
  6. 上山和人

    委員長上山和人君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事尾辻秀久君、森山眞弓君及び北澤俊美君を指名いたします。     —————————————
  8. 上山和人

    委員長上山和人君) 社会保障制度等に関する調査のうち、病原性大腸菌O−157による食中毒等に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。菅厚生大臣
  9. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 病原性大腸菌O157による食中毒への対応について御報告を申し上げます。  O157による食中毒状況は、八月一日現在、全国有症者累計が九千五十六名、死者七名、入院中四百二十六名となっております。堺市においては、有症者累計が六千五百五十三名、死者一名、入院中二百四十七名、このうち重症者は二十一名であり、うち重体者が十一名となっております。  全国、堺市とも、入院患者につきましては緩やかな減少傾向を示しておりますが、二次感染心配など依然予断を許さない状況にあると認識をいたしております。  厚生省におきましては、五月の岡山県での発生以来、関係機関連携を図りながら諸対策推進してきたところであります。  堺市の集団発生につきましては、七月十三日に厚生省に対し報告があり、翌日、担当官を派遣するとともに、文部大臣に続き十六日には私も現地を訪れ、その同じ日に厚生省病原性大腸菌O−157対策本部を設置したところであります。また、翌十七日には堺市、大阪府、厚生省から成る連絡会議を設置し、三者の連携のもとに徹底した原因究明に取り組んでいるところであります。  政府全体といたしましても、十六日に関係省庁による対策推進会議を官房副長官のもとに設置しますとともに、二十四日には関係閣僚による懇談会を総理が招集され、さらに三十一日には正式に病原性大腸菌O−157対策関係閣僚会議を開催し、食中毒のピークであります八月を控えて、病原性大腸菌O−157緊急行動計画を取りまとめたところであります。  厚生省といたしましては、現在、この緊急行動計画に基づき、関係機関との連携のもとに緊急対策全力を挙げて取り組んでいるところでありますが、以下、具体的な厚生省の取り組みについて御説明いたします。  まず最初に、今回の一連の食中毒原因についてでありますが、岐阜県の集団発生事例においておかかサラダが、また神奈川県の散発事例において牛レバー原因として判明いたしましたが、その他の事例については関係する食材からO157の菌が現在まで発見されておらず、現在、食肉及び野菜を中心に徹底的に流通経路調査を続けているところであります。  感染源の判明が難航している理由といたしましては、病原性大腸菌O157が他の食中毒菌に比べて少数の菌で感染するため、検食からの検出が極めて困難であることに加えまして、体内に入ってから症状を引き起こすまでの潜伐期間が四日から八日程度と比較的長いために、症状発生時にはその食べた食品が保存されていないことなどが挙げられているわけであります。  このため、従来は三日以上と指導してきた検食保存方法につきまして、食品衛生調査会食中毒部会緊急提言を受けて、二週間以上、マイナス二十度以下とするよう関係業者指導してきているところであります。  また、神奈川県の牛レバーからO157検出されたこと等を踏まえまして、全国の屠畜場、食肉処理場及び輸入肉を対象とした一斉点検を現在実施しておりまして、点検の結果、問題がある場合につきましては所要の改善を行うよう指導することといたしております。  そのほか、過去に細菌性食中毒原因とされた食品につきましても、都道府県等において汚染実態調査を行い、今後の発生予防に努めていくことといたしております。  また、O157汚染実態マップを現在作成しようということで、食品に限らず給食従事者保菌状況家畜のし尿、あるいは井戸水等広く全国におけるO157による汚染実態を把握し、今後のO157対策推進に役立てたいと考えております。  なお、堺市における集団発生につきましては、厚生省及び国立予防衛生研究所から担当官を派遣し、感染経路調査協力するとともに、堺市からの要請に基づき、健康相談業務の充実のため、近隣自治体保健所医師等派遣等人的支援協力をいただいてきているところであります。  次に、医療確保についてでありますが、特に幼児が二次感染により重症化した場合に備え、人工透析装置集中治療室等を有する病院を確保するなど、治療体制確保に努めるとともに、消事業、カテーテル等医薬品治療材料確保に支障が生じないよう関係業界等協力を要請しているところであります。  また、現時点までの知見我が国のこれまでの症例経験を踏まえ、治療法現状及び留意事項についてまとめた治療マニュアルを早急に作成し、本日あるいは明日を含む今週中には公表していきたいと、そのように考えております。  二次感染防止や新たな発生防止につきましては、保健所における健康相談や無料の検便を実施するほか、食品関係業者遊泳用プール管理者等に対して、衛生管理徹底等について指導したところであります。また、飲用水衛生確保するため、水道水の消毒を徹底するとともに、飲用井戸や受水槽の利用者に対し水質管理徹底指導しているところであります。  二次感染防止に関連して、一昨日、公衆衛生審議会伝染病予防部会を開催し、O157による食中毒伝染病予防法に基づく伝染病として指定することについて御意見を伺ったところであります。  専門家先生方からは、O157伝染力重症度がともに赤痢菌と同程度と考えられ、かつ、一食中毒としてのみならず感染症としての観点から、感染経路究明と二次感染防止することが急務となっていることから指定伝染病指定すべきであること、ただし運用に当たっては患者等人権に十分配慮すべきであることとの御意見をちょうだいしたところであります。  これを踏まえ、人権に配慮し、隔離等措置を除き、感染源となるおそれのある方への検便の実施、患者または無症状保菌者食品製造等の施設で直接食品に触れる業務に従事することの禁止等措置を限定的に適用することを前提に、腸管出血性大腸菌感染症を速やかに指定伝染病指定することとし、具体的な検討を現在行っているところです。  この腸管出血性大腸菌感染症という定義をいたしましたのは、O157以外にもベロ毒素発生する類似のものがありますので、それらを含めてこういった定義にさせていただいたところであります。今のところ、来週前半には指定できるものと考えて準備を進めております。いずれにいたしましても、指定に伴い、人権問題や誤解による無用な混乱が生じないように十分注意してまいりたいと考えております。  O157ベロ毒素により症状が重くなることから、生体内の毒素を吸着・中和する医薬品等の開発を推進することが必要であります。また、厚生省としても、従来から適宜研究を実施してまいりましたが、さらに本菌の食品における動態研究などを推進していく考えであります。  なお、一昨日には厚生科学会議を開催し、米国専門家にも数多く参加をいただきまして、O157に関する米国での発症状況知見についてお話しいただくとともに、これを踏まえ、委員及び国内専門家方々国内におけるO157対策について御議論をいただいたところであります。  さらに、近日中には米国疾病管理センター、CDCなどの専門家が来日をしていただける予定でありまして、こうした専門家協力しながら、さらなる研究を進めてまいりたいと考えております。  厚生省といたしましては、関係機関との連携のもとに、O157による被害の拡大とさらなる発生予防全力を挙げて取り組んでいく所存でありますので、どうか本委員会皆さんにもよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  10. 上山和人

    委員長上山和人君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 厚生省など関係皆さん不眠不休O157対策に当たっておられることはよく承知をいたしております。お疲れさまであると思いますが、ただいま黙祷もささげました、亡くなった方々もあるのでありますから、国民のためにさらに懸命に頑張っていただきたい、まずそのことをお願い申し上げておきます。  そして、私どもも、休会中でありましたけれども、あえてこの委員会をきょう開きました。国民皆さんがこれだけ心配をしておられるのでありますから、私どももやれることは何でもやりたい、そう思っておりますし、きょうの委員会皆さんの不安を少しでも解消できればと願いますので、どうぞお答えいただく皆さんも、わかっておることはわかりやすく、そしてわからないことはもう率直にこれ以上はわからないのだということを言っていただきたい。そのことがむしろ不安解消になるんじゃないかと思いますから、よろしくお願いを申し上げておきます。  最初に、そもそもO157というのはどんな菌なんだろうかということから質問をいたします。  私が承知しておることから言います。  一九八二年にアメリカのハンバーグの中から見つかって、これが大腸菌としては百五十七番目に見つかったのでO157と呼ばれており、今のお話の中にもありましたように、人間の命を奪うほどの毒素を出す菌であって、この菌自体抗生物質で殺せるのだけれども、この菌が出す毒素を今のところ解毒する薬はない、こういうふうにおよそ理解をしておりますが、違っていたら答弁の中で指摘をしてください。  そこで、まずお聞きしたいんですが、最近、このことに加えてAグループだとかBグループだとか、グループ三つもあるなどという話も出てきておりまして、そうなりますと心配になりますのは、そのグループによって感染経路が違うんだろうか、あるいはまた治療方法まで変わってくるんだろうか、そんなことを心配いたしますので、まずO157という菌について質問をいたします。
  12. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) O157とはどんな菌かという御質問でございます。  まず、大腸菌について申し上げますと、大腸菌は大きさが一ないし二ミクロンほどの細菌でございまして、家畜や健康な人の腸内にも存在をしております。ほとんどの大腸菌は無害でございますが、このうち幾つかのものは人に下痢を起こすことがございまして、これを病原性大腸菌と呼んでいるわけでございます。本年、集団並びに散発発生を見ておりますものは腸管出血性大腸菌と呼ばれる病原性大腸菌の一種でございまして、正確には大腸菌O157H7または大腸菌O157Hマイナスと細かく分類をされております。慣例的にこれを病原性大腸菌O157と呼んでいるものでございます。  この菌は、今、先生指摘ございましたように、一九八二年、アメリカにおきますハンバーガーによる集団食中毒事件患者の便から初めて見つかりまして、その後世界各地で見つかっているものでございます。  なお、大腸菌O抗原と呼ばれる菌の成分によりましてさらに細かく分類をされております。O157と申しますのは、O抗原の百五十七番目という意味でございます。なお、ちなみに現在O抗原は約百七十種類わかっているところでございます。  O157は、大腸菌のうちでも毒力の強い、先生も御指摘ございましたベロ毒素を産生するのが特徴と言われております。ベロ毒素は一型と二型に分けられておりますが、これらの毒素赤痢菌と同一または非常に似たものであるということから、赤痢菌からその毒素を産生する性格が大腸菌に移ったとも言われているわけでございます。  O157感染した場合、健常者の場合には症状がなかったり、あっても軽い下痢だけのことがほとんどでございます。しかしながら、乳幼児、小児や基礎疾患を持っておられます高齢者の方では重症に至る場合もございますので特に注意を要します。本菌に感染いたしますと、症状として初めは腹痛を伴います水様性の下痢を引き起こしますが、後には出血性下痢となることがございます。出血性下痢が一日程度続きました後に、まれに溶血性尿毒症症候群と呼ばれる疾患を引き起こすことがございます。これは、腎臓の機能が急速に阻害をされます急性腎不全、止血に関係する血液中の血小板の異常な減少、赤血球の急速な破壊による貧血三つ症状特徴とする重篤な疾患でございます。  御指摘のように、ベロ毒素を中和する等の治療方法は現在のところございません。そのために、溶血性尿毒症症候群を引き起こしました患者治療は、急性腎不全に対します透析療法有害物質の除去を目的とした血漿交換療法貧血等に対します輸血などが対症的な治療として行われているところでございます。
  13. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 AグループBグループとか言われているグループによって少し違うのかということの御答弁はございませんでしたので、次にお答えいただければ結構であります。  そこで、もう少し聞きたいんですけれども、私たちからしてみれば、どんなところにいるのかが一番心配なわけでありまして、聞くところによると、牛のうちの〇・二%、すなわち千頭の牛がいると二頭の牛は持っている菌だとか、こういう話もありますので、一体そこらのところがどうなっているのか。極めて素人の質問として聞かせていただくと、めったにいない菌なのか、その辺にうじょうじょと言ったらちょっと悪いけれども、そんなに珍しくなくいる菌なのか、そういったことをもう少し教えてください。
  14. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 大変失礼いたしました。グループA、B、Cに対する御質問のお答えを漏らしておりました。  O157H7という菌も、その中に持っております遺伝子はいろんな種類がございます。その遺伝子種類によって便宜的に私ども研究班がA、B、Cというグループに分けたわけでございまして、これは別にAとかBとかCとかという名前がついているというわけではございません。ある特徴を持った遺伝子を持ったグループを仮にA、仮にB、仮にCとこう称しているわけでございますが、いずれにしましても、この遺伝子のパターンによりまして毒性に差があるわけではございません。いずれも非常に強い毒性を持っているというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、どのくらいいるのかということでございますが、これは我が国あるいはアメリカ等々におきまして、家畜の腸の内容物をとりましてその中で調べた調査等がございます。その場合に、調査によってこれはばらつきがございますが、〇・二%程度散見される例もあるようでございます。  なお、どこにいるのかということでございますが、家畜の腸の中に非常に少ない頻度ではございますがいるわけでございますので、家畜ふん便を介したりそれから食肉をつくる際に腸の内容物が枝肉にくっついたりするということで環境の中へ入ってくるというふうに考えられております。ただ、アメリカの例なんかを申しますと、湖で泳いでいた方が感染したとかというふうなことがございますので、そういう汚水に汚染されるという可能性のある環境にはいるのではないかと考えてはおりますが、先ほど大臣から報告申し上げましたように、汚染状況についてはもう少し広範に環境なりなんなりのマップをつぐって明らかにしていきたいと考えております。
  15. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この後現状認識についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、ことしが異常なのかどうなのか、こういうことをお聞きしてみたいわけであります。  まずお尋ねしたいのは、一九八二年以前は菌そのものがわからないわけですが、今のお話を伺っても、例えば牛だって〇・二%ぐらいはいるだろうというお話でありますから、千頭連れてくれば二頭は持っている菌であって、またそう珍しい菌でもないからそれ以前だってこういう食中毒にかかった人はあるわけでしょうし、今にして思えばそうだったんじゃないかなということもあるんじゃないかと思います。  そんなことを含めて、特に一九八二年以降ははっきりしておりますから、記録もあるでしょう。見つけたアメリカと日本と、どのぐらいのO157による食中毒というのが発生しているのか、これはもう簡単でいいですから答えてください。
  16. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) アメリカで一九八二年に発生したのが集団発生世界最初の例でございまして、その後アメリカにおきましては肉あるいはその他の食品摂取によって散発的に集団発生散発例が見られているところでございますが、我が国におきまして本菌によります食中毒が明らかに確認をされましたのは平成二年の幼稚園での事例最初でございます。
  17. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 ですから、要するにことしは異常だということですね。これを一言答えてください。
  18. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 全国地方衛生研究所というところがございますが、そこで持ち込まれたふん便食品、水、家畜等につきましてO157の有無を検査いたしております。  平成七年一月から十二月の一年間では、全国地方衛生研究所で行いましたO157検出率が〇・二七%でございましたが、本年一月から七月十五日までの間では三・九六%というふうに検出率が高くなっております。この高くなっておりますのは、岡山堺等集団のケースが含まれているために高くなっているものというふうに理解をしておりますが、いずれにいたしましても、本年非常に発生が多いということにつきましては各地データを細かく分析をいたしませんとその要因等々についてわかりませんので、現在鋭意データを収集し、分析を進めたいと考えております。
  19. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 これだけの騒ぎになったのはことしてすから、やっぱりことしは何か異常なんだろう、こういうふうに思います。  そこで、少なくとも一九八二年に菌が見つかってことしに至る間があるわけであります。その間、厚生省だって手をこまねいておられたとは思いません。昭和五十九年には、国立予防衛生研究所が、症状の激しさと危険性から、今後詳細な調査研究が必要である、こういう報告もしておられるわけであります。その六年後、今お話しのように平成二年に死亡者が出るような食中毒発生するわけでありますけれども、甘く見ておられたわけではないだろうな、そんなこともちょっと聞いてみたい気もいたしますけれども、その辺のことについては後ほど石井委員質問されますので私からは質問はいたしません。  ただ、一九八二年にアメリカが見つけたわけですから、アメリカはこのことに対する研究対策は十分練ってきたのだろうと思うんですけれども、その辺のことについてもしお手元に資料があったら教えてください。
  20. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 今、先生指摘のケースは、日本の臨床の散発例を、ぽつぽつと出てきた例を集めて調査をされた結果として、今後の調査研究が必要であるという御指摘をいただいているものというふうに思います。ただ、集団発生を見ましたのが、先ほど申し上げましたように、平成二年のしらさぎ幼稚園以降でございますので、この間、病原性大腸菌によります食中毒の全体像、あるいはまたどういうことで汚染が起こるのかといったような調査研究につきましては継続的に行ってきているところでございます。  これらのうち、しらさぎ幼稚園のケースにつきましては、研究班の報告に基づきまして、これらの事態に適正に対処いたしますために地方衛生研究所に検査器具を充実する等、その成果を行政の実績の中にも生かしてきているところでございます。
  21. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 参議院自民党としましては、先週の七月二十六日にO−157に関するプロジェクトチームを設置いたしまして、早速翌日、大阪の堺市にも現地調査に参りました。その際、宿院保健所長さんからもお話を伺ったんですが、そのときに、ことしはどうも冬から食中毒が多くて悪い予感がしていたのだという話をしておられたんです。  厚生省はそんな認識はお持ちじゃありませんでしたか。
  22. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 食中毒の統計につきましては、各保健所から報告されましたケースを都道府県で一括してまとめまして、それで私どもの方へ報告があるわけでございまして、しかも食中毒は年によりまして多い年、少ない年、いろいろばらつきがございます。ことしにつきましては、いわゆる堺市等の例が入っていない月までぐらいの報告しか入っておりませんので、その点の詳細な分析はまだいたしておりません。
  23. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 あえて今の質問をいたしましたのも、O157に限らずなんです。けさもまた新しいビブリオ感染症で亡くなった方があるという新聞報道もありましたけれども、新しい伝染病が流行する危険性というのは絶えずあるわけでありますから、人の命にかかわることはもう念には念を入れていただいて、取り越し苦労でいいんです、気をつけてやってほしい。間違っても甘く見て大事に至ったということがないように、この際お願いもしておきたいものですから申し上げたところであります。  そこで、いろいろ聞いてまいりましたけれども、要するに、改めて厚生省として現状をどう認識しておられるのか、先ほどの大臣お話でも重体の患者さんもおられます、そういう患者さんの差し支えないところで、容体まで触れてお答えいただければと思います。
  24. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 先ほど大臣の方からも私の方からも患者さんの数、それから入院中の方等々の資料については申し上げた次第であります。患者数の増加はこのところ微増というふうなことで推移をしてございます。また、入院中の方も漸減傾向になっているところでございます。  ただ、しかしながら全国的に、しかもほとんどの地方自治体において発生をしているということから見ますと、まだまだ予断を許さない状況というふうに私どもとしては考えておりまして、さらに対策をきっちり進めていく必要があるというふうに考えております。
  25. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 要するに、まだまだ大変なんだということだと思います。  そこで、次に原因究明についてお尋ねをいたします。  今後の再発防止のためにもとにかく原因究明が重要なわけでありますけれども、先ほどもそれに触れて御説明もありましたけれども、例えば堺市の例で現在どこまで解明が進んでいるのか、改めて説明してください。
  26. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 病原性大腸菌O157によります食中毒原因究明につきましては、どの食材がどの段階でこの菌に汚染されたかという感染ルートの解明が最も重要な課題であるというふうに認識をいたしておりまして、都道府県等協力をいたしまして原因究明全力で取り組んでいるところでございます。  具体的には、病原性大腸菌O157によります食中毒発生した都道府県等におきましては、食中毒原因となった可能性のあります食材の流通経路全国的に調査をいたしまして、明らかになった事例につきましては関係食材を収去して検査を実施するといったことを行っておりますとともに、特に堺市におきます集団発生につきましては、事態にかんがみまして、同市に厚生省、大阪府からスタッフを派遣いたしまして協力して食材についての検査等の調査を行っているところでございます。  このうち、堺市におきます原因究明状況でございますが、これまで給食を食べた児童及び教職員全員に対しまして喫食状況の聞き取り調査を行いまして疫学的な分析を進めますとともに、保存されておりました検食や、それからその食材の流通ルートをさかのぼりまして収去した食材等約二千件につきまして病原性大腸菌O157検出検査を行いまして、原因となった食品の絞り込みに現在努めているところでございます。  また、今回の一連の食中毒におきまして原因食品が判明しているのは、六月十日に届け出のありました岐阜市の小学校において発生した学校給食のおかかサラダによる事例神奈川県三浦市におきます牛レバーの生食の事例の二例でございますが、堺市の例を含めまして引き続き病原性大腸菌O157関係食材からの検出を進めますとともに、疫学調査によります原因究明の手法などを駆使いたしまして原因究明に取り組んでいるところでございます。
  27. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 どうもよくわからぬ、そんなことになるわけであります。  これもまた先ほどの大臣の御報告の中にもあるんですけれども、何が障害でこんなにわけがわからないんだろう、そう思いますから、これも少しはお答えいただいていますけれども、何が障害なんだというのをもう少し説明してください。
  28. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 病原性大腸菌O157食中毒には他とちょっと違う特色が二点ほどございます。第一点目は、感染から発症までの潜伐期間が四日から八日と言われておりまして、通常の細菌によります食中毒より長いということが第一点でございます。第二点目は、感染した場合に、発症するために必要な細菌の数、いわゆる感染発症菌量が数百個と言われておりまして、他の食中毒菌と比較しまして極めて少ないということから、食品中からの菌の検索が技術的に非常に難しいこと等が原因究明の障害になっていると考えております。  検食の保存につきましては、七月二十五日に、保存期間を二週間に延長し、保存方法を冷蔵から冷凍とし、あわせて調理済みの食品のほかに食材を菌検索に十分な量を保存することという措置をとったところでございます。  また、原因食の検査の方法につきましても、検食のみでなく、関係食材の流通経路全国的に広くたどりまして食材等の検査を十分に実施いたしまして汚染源を特定するほか、過去に細菌性食中毒原因となっていた食品等の汚染実態調査も実施するよう都道府県に指示を行ったところでございます。  これらに加えまして、病原性大腸菌O157米国におきます汚染源とされる食肉につきまして、屠畜場及び食肉処理場衛生管理徹底いたしますとともに、自主検査の実施、汚染実態調査等を行いまして原因究明徹底と汚染の未然防止を図ってまいりたいと考えております。
  29. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 原因がはっきりしないということが大変住民を不安にしているんだと思います。申しましたように、先日、堺市に参りました。そうしますと、原因がわからないものですから、笑い話じゃなくてもうまことしやかに、住民の皆さんが何と言っているかというと、これはどうもオウムのしわざと言っているわけです。もう本当に原因がわからないからいろいろうわさになって、不安になる、言うならば流言飛語のたぐいが出てくる、こういうことであります。  ですから、今お聞きしても大変だとは思いますし、わかりづらいんだろうなとは思いますけれども、それでもとにかく全力を尽くして、あらゆる手段を尽くして一日も早く原因究明してほしい。そして、こうなんだということを説明してもらわないとこの不安というのはますます大きくなると思いますからあえて今の質問もしましたし、そのことをお願いするわけであります。  このことに関してもう少しお尋ねしたいのは、外国で発生源と指摘されている食品についての国内での汚染状況、今、牛の話は少しありましたけれども、こうしたものについてはどういうふうに考えておられるのか、お聞かせください。
  30. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 先ほど来申し上げておりますように、O157アメリカ等調査におきましても牛などの家畜や人の腸管内に見られるわけでございまして、家畜の場合には解体処理時に腸管を傷つけた場合などに腸の内容物が漏れまして食肉に付着するといったことで汚染するというふうに指摘をされております。  ちなみに、米国におきます牛肉の汚染実態について見ますと、一九九二年から一九九三年にかけて屠畜場において行われた枝肉のふき取り調査では、二千八十一検体中四検体、これは〇・二%でございますが、からO157検出されておりまして、O157感染源といたしまして牛肉、中でもひき肉が最も重要視されているところでございます。  また、我が国におきましても、平成五年度と六年度に全国の屠畜場におきまして牛の腸管内容物及び牛の枝肉の腸管出血性大腸菌汚染実態調査を行っておりまして、そのデータによりますと、牛の腸管内容物四千九百十四検体中ベロ毒素産生性大腸菌が十一検体、これは〇・二%、うちO157が六検体、〇・一%。枝肉四千八百十検体中ベロ毒素産生性大腸菌が九検体、これも〇・二%、うちO157が三検体、〇・一%検出をされております。  このように、食肉は解体処理時の取り扱いによりましてO157に汚染される可能性もあることから、屠畜場におきます衛生管理が重要と考えているところであります。このため、七月二十六日から全国の屠畜場と食肉処理場及び輸入肉を対象とした衛生管理の一斉自主点検O157についての自主検査を指導しておりまして、点検の進捗状況につきましては定期的に報告を受けるとともに、個別に問題があるケースにつきましては所要の改善措置を講じさせるよう指示しております。  それからさらに、六月二十七日に設置をいたしました腸管出血性大腸菌に関する研究班におきまして全国の屠畜場におきます食肉輸入食肉等の汚染の状況、汚染の要因等について実態調査を現在行っているところでありまして、この結果を踏まえまして屠畜場における衛生管理について抜本的な改善方策を講じることといたしております。  また、牛以外の関係でございますが、アメリカにおきましてはこれまで食肉以外にレタス、生乳、アップルサイダーなどを原因としたO157による食中毒発生しておりますが、我が国におきましてはこれまでのところ同様の食品原因としたO157による食中毒報告はされておりません。現在、我が国発生しておりますO157による食中毒につきましては、先ほど来申し上げておりますように、原因究明徹底的に行いますために、カット野菜や過去に細菌性食中毒原因となりました食品を中心に汚染実態調査を実施しているところでありまして、その結果を踏まえまして食菌以外の食品についてのO157対策を講ずることとしております。
  31. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 次に、医療確保について、特に治療方法などについてお尋ねしたいと考えておりましたけれども、これは私の後でお隣のお医者さんでもあります宮崎委員質問されますのでお譲りして、広報活動についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  先ほど来申し上げておりますように、堺市に参りましたときに、タクシーに乗ってタクシーの運転手さんといろいろ話していたんですが、こんなことも言っていました。最初はレンジは大丈夫だと言われて、どうも最近になったらレンジも危ないんだと言うと。一体どっちが正しいのかわからないし、だんだんいろんな話が出てきてわけがわからなくなる、こんな話をしておられました。  また、先ほど来のお話を伺っていても、この菌が肉の内部に入り込むことはないわけでありますから、ミンチした肉は別でしょうけれども、肉の表面に熱を加えてちゃんと消毒すればそれで大丈夫なんだと思いますけれども、言われてみればそうなんですけれども、なかなか素人にはそんなこともわからない。現地へ行って聞きますと、肉はもちろんですけれども、生野菜や豆腐も買わないんだという人もいるし、ですから豆腐屋さんも頭を抱え込んでおるというような話でありまして、食品業界とか地域経済に極めて深刻な影響を与えそうな感じがいたします。  ですから、その不安解消のために、言うならば空気感染などは決してしないんだという、皆さんからしてみりゃもうそんなこと言わなくたってというようなことまでもう少し丁寧に広報啓発活動をしていただく必要があると私は思っております。  たまたまけさ我が家の新聞にも「O−157から身体を守るために」というチラシが入っていましたけれども、これも早速おやりいただいたことなんでしょうけれども、こうしたことを今後どうしようと考えておられるか、もう少し説明しておいてください。
  32. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 先生指摘のとおり、国民に対しましてO157に関する正しい知識を普及するということは極めて重要であるというふうに認識をいたしております。既に六月十七日に、緊急に開催をいたしました食品衛生調査会の食中毒部会のうちの大規模食中毒等対策に関する分科会で検討を行っていただきまして、病原性大腸菌予防対策等につきまして取りまとめていただき、これをもとにパンフレット等を作成いたしまして都道府県知事あてに周知するように依頼をいたしました。都道府県におかれましては、この依頼を受けて、パンフレットの作成でありますとか広報誌への掲載等によりましてO157に関する正しい知識の普及を行っていただいているところでございます。  また、厚生省におきましても、七月一日よりO157に関する国民向けのQアンドA等をインターネットにより情報提供したほか、手洗いを十分にすること、食品を十分洗うこと、まないたや包丁等は熱湯消毒等をすること、食品にはできるだけ十分な加熱調理を行うこと、特に先生指摘のひき肉の場合には肉が細かくなっておりますので全体が赤みを帯びないところまで十分に加熱するといった内容を国民向けへの各種メディアを通じまして情報提供を行ってきたところでございます。  さらに、今御指摘のございました、本日、O157予防方策等につきましての政府広報誌を全国の家庭に約四千万部配布をいたしまして、さらなる普及啓発の徹底を図ってきたところでございまして、今後とも国民に正しい情報をわかりやすく伝えるように努力してまいりたいと考えております。  政府広報に関しましては、関係閣僚会議においても極めて重要であるとの認識が示されておりまして、引き続きテレビ、ラジオ等のマスメディアを通じまして政府広報が行われることとなっております。
  33. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この問題はもう本当にあらゆる手段といいますか、とにかく使ってやってください。やり過ぎるということはないと思いますから、みんな不安がっているわけですから。そして、申し上げたように、皆さんの感覚からすれば一々こんなことまでとか、もうこんなこと常識じゃないかとか思われるようなことがむしろ我々には知りたいこと、不安に思うことが多いので、そうした感覚でぜひそういう広報をしていただきますようにお願いをしておきます。  次に、予防対策、そして何よりも今は二次感染、これをとめなきゃいかぬわけでありますから、こうしたことについてお尋ねをいたします。  堺市の事例では二次感染者が相当出ておるようでありますし、先ほどの大臣お話では緩やかに患者の数が減っているとか、そういう表現で何となく経済動向の表現みたいだなと思って聞いていたんですが、そんなのんびりした話じゃありませんから、この二次感染、一体どういうふうになっているのか説明してください。
  34. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 先生方のお手元に配付してあります「病原性大腸菌O−157による食中毒の対応について」というのを二枚めくっていただきますとその数字が出ております。「大阪府堺市と全国における病原性大腸菌O−157による有症者数・入院者数・死者数の推移」と書いてありまして、八月一日現在でいきますと、二次感染者数は累積有症者患者六千五百五十三人のうちの百五十二人という数字でございます。
  35. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 要するに、二次感染はまだとまってはいないんですね。そこのところを聞きたいんです。
  36. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) これは累積で書いてありますということは、ふえていますということはまだ二次感染と疑われる、正確に言いますと二次感染と思われる方がまだ出ているということでございます。
  37. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 とにかく、こういうときどういう言葉遣いになるのか知りませんけれども、言うならば安全宣言みたいなものを一日も早くしていただかないとこれはもうやっておれないと、地元の皆さんのお気持ちだと思いますから、しかし二次感染がまだあるのに安全宣言をやったら、これまたとんでもない話ではありますけれども、どうぞとにかくそういう状況をつくっていただきますように、さっきから申し上げていますが、最大限の努力をしてください。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、さっき指定伝染病というお話がございました。来週中にもというお話でございますが、改めて念を入れてお聞きしますが、指定伝染病指定なさるんですね。
  38. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、限定的な適用ということを前提とする指定をするということで、そういう方針で現在準備に入っております。
  39. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 慎重に準備に入っていますとお答えになったんですが、恐らく指定伝染病指定はなさるんだろうなというふうに思います。  そこで、先ほどの御説明でも人権に留意してということを強調されました。それはもうそのとおりで留意していただかなきゃならないわけですが、具体的にどういうことを留意されるのか、その留意される具体的な内容について少し説明しておいてください。
  40. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御承知のように、この伝染病予防法というのは明治三十年にできた大変古い法律でありまして、片仮名でまだそのままになっております。  一般的に言いますと、この伝染病予防法の場合は、大原則は、患者さんを隔離して、そして他の人といわばいろんな意味で遮断をするというのが原則になって、さらにそれに加えて消毒をするとか検査をするとか、いろいろな形になっております。しかし今回の場合、最近のいろいろな医療水準の向上によって隔離ということは必要がない、あるいは無理をして隔離すれば病院では足らなくなったりして今の治療の水準を維持できないということで、まず隔離は考えておりません。いわゆる適用除外を考えております。  また、逆に言いますと、適用する方のことをまず申し上げますと、お医者さんの方から患者さんとか保菌者がわかったときは届け出をしてもらう。これは、法律ではそれに加えて世帯主も届け出をするということになっているんですが、今回の場合は、お医者さんに診ていただいて、お医者さんの方の判断で届け出をしてもらうことだけでいこうということで今準備をしております。  それから、患者や保菌者が食品製造販売業務に従事している場合に、直接食品や食器に触れるような業務に従事することについては制限をする、それ以外については、症状の出ない保菌者もおられますので、一般的な業務への従事の禁止はしない、そういう限定的なことを考えております。  また、消毒も、公共の場所の消毒はもちろん市町村が行いますが、個々の住宅、自分の家についてはそれぞれ自分たちで消毒をお願いする。  それから、検査については、ある範囲については義務的にといいましょうか、例えばある給食施設などで発生したときに、それにかかわっている人にはすべて検便検査を受けていただきたいと、こういうことについては場合によっては強制的にお願いする、そういったところに限定を考えておりまして、もちろん交通の遮断とか等々のようなことについては適用しないでいきたい、大筋そんなところであります。
  41. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 エイズもそうなんですけれども、このところやっぱり変な菌が出てきたり、変な病気が出てきたりするなと思います。世紀末というのはこんな現象が起きるのかなと変なことを思ったり、抗生物質で全部菌はやっつけてしまえると人間が思っていて、どうも思い上がるなよと反撃を食らっているのかなとか、素人ですからいろんなことを思ったりもいたします。  いずれにいたしましても、日本でも食生活が随分変わってきました。かつての日本食ではなくなったと思いますし、また食料品の買い方にしたって、昔はそんな買い方はしませんでした。その日だけの分を買っていた日本人の食料品の買い方が、大量に買ってきて冷蔵庫にたくさんほうり込んでというような、やっぱりこういう変化もあるんでしょうし、そういういろんな変化に十分対応できるように、国民の命を守ってくださるように厚生省、万全の努力をしていただくようにお願いをしておきます。  そこで、文部省にもう少しお尋ねをしたいんですが、今度のことは学校給食がそもそもだという話もあるものですから。  恐らく新学期になって学校給食というのが大問題になるだろうと思います。もう学校給食をやめてしまえとか、あるいは、やる側も心配でたまらぬからやめてしまおうとか、こんなところまでいくのではないかなと思いますが、文部省、どういうふうに考えておられますか、お尋ねします。
  42. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 文部省といたしましては、厚生省連携を図りながら、都道府県教育委員会等に対しまして通知、あるいは学校給食の担当者会議を通じまして繰り返し学校給食におきます衛生管理徹底及び病原性大腸菌O157予防対策等の指導を図ってきたところでございます。  さらに、七月二十四日には学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力会議を設けまして、学校給食施設設備のあり方、あるいはその調理のあり方の検討、さらに衛生管理のチェックリストを八月の上旬までに作成するということとしております。  この検討結果を踏まえまして、二学期から用いられます食材について、厚生省関係省庁協力を得まして、抽出によります緊急の点検、あるいは給食施設設備等の緊急の点検を実施していただくとともに、自主的な点検の励行など教職員あるいは学校給食関係者に衛生管理徹底していきたいというふうに考えているところでございます。  これらの措置を通じまして、二学期からの給食が実施できるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  43. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そうしますと、学校給食は続けるんだということで文部省としては考えておられる、こういうことだと思います。  そうなりますと、万全の措置をとっていただきたいと思います。  時間もありませんからその中で一つだけお尋ねしますが、今度のことでO157みたいな潜伐期間が極めて長い菌が出てくると今までの食材の保存ではどうも間に合わないという話になってきました。これについてはどうなさるお考えですか。
  44. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 従来、学校給食におきます保存食の保存期間につきましては七十二時間以上ということで取り扱っておりましたが、去る七月十七日には暫定的に一週間以上ということとし、さらにその後、厚生省からの通知も踏まえまして一週間を二週間に延長するということにしたところでございます。
  45. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そうしますと、今まで三日で済んだのが二週間残せと言われるとこれ大変じゃないかなと思います。そして、聞くところによると温度もマイナス二十度C以下に保てと、こういうことのようでありますが、その設備、まあ一言で大変じゃありませんかということをお聞きしたいんですが、どうですか。
  46. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 従来の保存期間に比べまして大分長くなるということでございます。その保存のやり方につきましては、厚生省の通知等に基づきまして各食材五十グラム以上というようなことでカットしながらやっていくことになると思いますが、その冷凍設備についてはこれから各市町村において適切な措置がなされるものというふうに考えているところでございます。
  47. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 まさにお役所の答弁でありまして、適切な措置がなされるだろうと、こういうことでありますが、もうこれ以上くどくどは聞きません。  ただ、建前としても、そういう設備に金がかかったとか大変だったからといって給食費にはね返るということはないことになっていますから、それはもう絶対にないように、そしてそういう設備が要るところに対しては文部省としてもちゃんと、まさにきめ細かく配慮してくださるように、もっと言うとちゃんと金を出してくださるとか、そういうことをやってもらうようにお願いをしておきます。  それから、もう余り時間がありませんからお尋ねはしません、お願いだけしておきます。  このところ現地に行って聞いても、あるいはその他のところの話でも、どうも病気になった子供が下手するといじめに遭ってしまう。かつて我々の時代は肺病なんて言ったころに、あそこに肺病が出たというとその家の前を鼻をつまんで走ることになっていまして、そしてもうとてもその家の人と物なんか言っちゃいかぬということになって、子供がいれば遊ぶなという話になった。そんなことになっては大変でありますし、まさにまた別の形のいじめが生じるわけでありますから、これは文部省としては十分御配慮いただいておきたい、そんなことの決してないようにしておいていただきたいということをお願いいたしまして私の質問を終わります。
  48. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私は、まず医師の立場でちょっと御質問を申し上げたいと思います。  まず、このたび罹患されまして亡くなられた皆様方の御冥福と、今思っている方々に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。また、厚生省初め文部省等の関係各位の皆様方の御苦労を心からおねぎらい申し上げます。  しかし、私がきょう申し上げたいことは、この感染症、特に二次感染がある、いわゆる伝染病、これが何で今ごろ、二カ月もたってこういうようなことの対応をしているか、ここら辺が非常に疑問に思うわけですね。  それは五月二十八日に岡山県の邑久町で集団発生しております。十一年前に国立予防衛生研究所の阪崎博士という方が既にこのO157の危険性を指摘しておられますし、またアメリカ等の文献を見てもプールからもうつるということもわかっている。  私はかねがねこれは二次感染があるんだろうと言ったら、あるようですと、こういう答えですね。あるようですという答えはまことに心外でありまして、なぜ科学的にこれをきちっと詰めないのか。供手傍観をしている。これはそういうことをやっていると大変なことになるよということを御指摘申し上げたのでありますが、何でこういうふうになったかということについて、まず今ごろになったという経緯をひとつ厚生省から御答弁願いたいと思います。
  49. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私もいわゆる医学というそういう意味での専門家ではありませんが、私なりに理解しているところで申し上げますと、このO157の問題を含めまして、食中毒という認識で従来から基本的には対応してきておりました。その中で、食中毒としてそれにかかった人の例えば便から同じO157検出をされるということで、その菌が赤痢菌に近い感染力を持つのではないかと。  ただ、これも専門家によっては、いや、赤痢の場合は例えば四、五人かかったところから五十人、百人とどんどんふえていくけれども、そういうふえ方は今日では余りしていないんだという言い方をされる方もおります。例えば今言われた阪崎さんというお医者さん、専門家の方と私も先日あるテレビ番組で同席をしましたが、その先生も、感染力などについて指摘はされますが、一方ではそんなに非常に強い感染力があるということではないんだということもまた同時に言われたりいたしました。  しかし、現在の状況を把握していますと、先ほど御報告もいたしましたように、あるいはお手元の資料にもありますように、少なくとも堺の例でいえば給食を食べた人以外で百数十名が発病している。あるいは検便検査だけでいいますと三百数十人の人に陽性が出ている、この中には発症している人、していない人、両方含まれているようですけれども。  そういう事態を見ますと、やはり今御指摘のように感染力というのは決して弱いというふうには見ることができない。人から人への感染も十分に起きている。そういうふうな認識が強まりまして、そういった点から、つまりは食中毒であると同時にいわゆる伝染病としての扱いを同時並行的にやらなきゃいけない、そういう認識が強まってきて、現在、指定伝染病指定も含めてするという方向で検討している、そういう状態にあるわけであります。
  50. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 今のをお聞きしていると、何か言いわけじみたようにとれるんです。  かつて私どもが大学の学生のころ、疫痢というのがあったんですね。今はそういうものは見られません。その文献を調べると、O111というのが学会で発表されたりしておりまして、大腸菌のある一種によってそういう伝染性の強い疾患が流れておる。対応は、これはやるのなら早くやった方がいいですよ。それは、一つは私はやはり縦割り行政にあるのではないかと思います。  きょうは文部省に出席を求めているんですが、最初課長答弁すると言ったから私は怒ったんですよ、大体こういう重要な集中審議に責任感を持たないのはおかしいじゃないかと。やはり局長クラスが出てきちっと責任を持った答弁をしろということできようは体育局長さんに来ていただいたんです。  私が申し上げたいのは、厚生省と文部省と連絡を密にしてすべてのことをやっていますかと、こういうことです。というのは、堺で起きたときに学校の先生が児童の家庭をお回りになっている。そのときに、おたくでどなたか御家族で下痢をしているような方おりませんかとか、何でも一言聞くことがこの二次感染データの収集にもなるわけですね。そういうことはおやりになっていないと思うんですね。この間私、自民党の社会部会で聞いたらやっていないと言っていましたね。それは、国全体としてこういう問題を取り上げるときに、私はちょっと軽んじているんじゃないかと。やっぱりこういう問題が起きたときは、これはもう縦割り行政はだめなんですよ。例えば厚生省、そして今回は文部省、それから農水省。  それから、かつて上高地で赤痢が大流行したことがある。それは、洞沢というところにテントを張って、そこでみんなが用便をするものだから雪渓の水と一緒になって梓川に流れてきた。それを使ったものだから赤痢になつちゃった。私も実はそのとき赤痢に罹患したんです。当時クロマイというのがあって、大変クロロマイセチンが功を奏したので助かったわけですが、やはりそういうことを考えてこれは国家的な危機感を持ってやらなければいけない。  ひとつ文部省さん、そのときは連絡をとって、堺市に起きたときもそういう連絡のもとでそういう調査をなさったのか、全くそうじゃなくて独自で勝手におやりになったことを後でお聞きになったのか、この辺はいかがでございましょうか。
  51. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 文部省において現在承知しているところでは、堺市におきましては七月十五日以降、継続的に教諭、養護教諭などが児童の保健指導の一環として各家庭を戸別に訪問しております。そして、下痢や腹痛、発熱等がないかなどを尋ねてすべての児童の健康状態の把握に努めており、そのような症状があった場合にはすぐ医療機関で受診するよう指導を行っているところでございます。また、二次感染が問題になるようになってからは、その際できる限り家族の健康状態についても尋ねるようにしているというふうなことでございます。  他方におきまして、七月二十日以降、二次感染対策といたしまして、堺市においては保健婦が下痢、腹痛等の症状を示している児童の全家庭と、そのような症状はないけれども乳幼児のいる家庭を訪問して、家族全員の健康状態の把握を行うとともに、正しい予防法について指導しているというふうに承知をいたしておるわけでございます。
  52. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それは厚生省と話し合ってやっているんですかということです。一言でいいです。
  53. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) この関係につきましてはすべて厚生省と相談の上行っておるところでございます。
  54. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それで、私もう時間がございませんから言いっ放しになりますけれども、この「出血性大腸菌による食中毒患者の診療に当たる医師の皆さんへ」という、これは厚生省の生活衛生食品保健課がつくったものなんです。ところが、保健医療局長さんは知らないんですね、こういう文書さえ。こういうことではだめなんで、一回よくこれを見ていただきたい。  私は、やはりこれは厚生省の中でも司令塔を一本にして、そして全部が集まってきちっと流さないと。例えば、私、山口県に行きましたら、栄養士会の会長さんが病院の給食に関してそういう指示を仰ごうと思ったら窓口がどこだかわからない、行くとうちの管轄じゃないとけられる、こういう問題が起きております。保健所長は医者じゃなくてもいいなんて規制緩和委員会がとんでもないことを言っておりますけれども、年間三万件以上起きる、こういうような事態になったときにやはり医師でなきゃだめだと。岐阜県の医師会へきのう行ってまいりました。そうしたら、衛生部長さんがたまたまお医者さんだった、それで窓口がやはり保健所も医者だったと。それでうまくいってぴしっとあそこは食いとめられたと。  ですから、こういうことは絶対必要なことでありまして、私は総合的にすべてを判断した中でこの病気というものは国家的な事業として取り組まなければいけない、かように思っております。  最後に厚生大臣の決意を伺って、私は時間がございませんので終わります。
  55. 菅直人

    国務大臣菅直人君) おっしゃるとおり、この問題は厚生省の中でも生活衛生局あるいは保健医療局が完全に情報を一緒にして対応していかなければなりませんし、今、文部省からもお話がありましたが、あるいは食肉に関しては農水省にもいろいろ御指導、御協力をいただいていますが、経緯としても先月の十六日にはまず副長官のもとに対策推進会議ができ、その後、最初に申し上げたように、内閣全体としても取り組む体制に総理の方の御指示でなっておりますので、厚生省の中はもちろんですが、すべての関係機関が一体になって取り組む体制はきちっとできてきたと。若干それまでの不手際のあったことは申しわけなく思っておりますが、そういう意味でこれから何としてもこの体制の中で漏れのない対策をすべての面でとっていきたい、全力を挙げていきたいと考えております。
  56. 石井道子

    石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。大変猛暑の中を御苦労さまでございます。  このO157によります感染症、ちょうど五月二十八日に岡山県の邑久町で集団発生をしたわけでございまして、それから全国的に猛威が振るわれております。多少下火になっているというような御報告もありましたけれども、決して油断ができないというふうに思います。現在、一都二府三十九県にも及んでいるというような状況でございまして、この間、大変不幸にしてお亡くなりになりました方々には心からのお悔やみを申し上げ、また感染をされた患者さんの方々につきましては心からお見舞いを申し上げ、そして一日も早い適切な処置がとられるような対策を願っているものでございます。  この病原性大腸菌がいろいろと話題になりましたのは、一九八二年、アメリカのオレゴン州とミシガン州においてビーフハンバーガーから発生をしたということの集団下痢症事件でございます。このときにO157検出されたということでございまして、ベロ毒素を産生することが明らかになったという報告がございました。  日本においては、浦和のしらさぎ幼稚園において、一九九〇年でございますが、井戸水によっての原因O157の問題が発生をいたしました。しかし、日本においては、それよりも六年早くでございますけれども、一九八四年に東京都の小学校において発生をしております。そして、そのときにはこれはO145Hというような病原菌であったというような報告のようでございますが、その後、一九九五年までの間にかなり患者さんも出たり、感染者も出ているというような報告がなされているということを聞いております。  そのような状況があるわけでございますが、そのことを厚生省としてはどのように受けとめられて、そしてそれに対してどのような対策をとられましたでしょうか、その実情についてまずお伺いをしたいと思います。
  57. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 我が国におきます病原性大腸菌O157集団食中毒につきましては、平成二年十月に、先生指摘の埼玉県のしらさぎ幼稚園の事例が初めてでございます。  厚生省では、この事件に対応いたしまして、発生した同じ月の十月に浦和市における感染下痢患者集団発生に関する専門家会議というのを設置いたしまして専門家によります検討をお願いいたしまして、この御意見を踏まえまして都道府県に対し飲用井戸等の衛生確保について徹底を図りましたほかに、食品関係営業施設等に対します管理指導徹底衛生対策徹底等平成二年十一月に指示したところでございます。  また、平成二年度の厚生科学研究事業におきまして、腸管出血性大腸菌の疫学的臨床医学的研究を実施いたしまして、平成三年十一月には腸管出血性大腸菌の迅速検査法につきまして地方衛生研究所の職員に対します技術研修会を開催いたしまして、全国衛生研究所におきまして菌を検出できる体制を整備したところでございます。  平成四年以降におきましても、病原性大腸菌によるものを含めた食中毒発生予防いたしますために、夏期の食品一斉取り締まりを行いまして管理指導の強化を図りましたほかに、全国衛生主管局長会議等の機会を通じまして衛生管理徹底の指示を行っているところでございます。  また、本年の一連のO157によります食中毒につきましては、岡山県邑久町及び大阪府堺市での食中毒発生の直後に、医療機関に対する適切な治療方法の周知を図りますとともに、原因究明方法を教示いたしますために、国立予防衛生研究所や国立小児病院等の研究者、専門医及び厚生省担当官を派遣したところでございます。  さらに、堺市の食中毒発生直後の七月十六日に省内に病原性大腸菌O−157対策本部を設置いたしまして、厚生省の組織を挙げて原因究明医療確保、二次感染防止、広報活動の充実等に力を注いできたところでございます。
  58. 石井道子

    石井道子君 いろいろと対策をとられているようでございますが、そう敏速でもなかったというふうな感じもいたします。  特に、厚生科学研究班によります研究も浅川班、また竹田班によりましていろいろやっていらっしゃいますけれども、これは昭和六十三年度から平成三年度、平成二年度のことでございまして、それなりの提言もされているわけでございます。このようなことをできるだけ早く臨床の場で適用できるような、そういう体制をとることが必要ではなかったかなというふうにも思います。  次に、感染者の方々が大変ぶえているという傾向を考えますと、先ほどもお話が出ておりましたけれども、やはり伝染病指定をするということが必要ではないかとも思います。しかし、明治三十年にできた伝染病予防法でございまして、必ずしも現状に合っているとは限らない。そして、これを指定した場合のメリットとかデメリットですね、これをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。もちろん、指定した場合にはその運用の方法が非常に重要になってくると思いますので、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) この病原性大腸菌O157による病気を伝染病予防法指定するのかということにつきましては、新聞等々でいろいろ御意見を拝聴いたしておりました。多くの方々は、伝染病予防法イコール隔離ありという前提で皆さん方お考えになって、そういう前提に立って反対だとかとおっしゃられる方も結構いらっしゃったわけであります。  私ども、このO157伝染力といいますか、人から人へうつる力というのは、第一次患者よりは二次患者の方がはるかに少ないということで、ほかの怖い伝染病とは違うということから見てどうしたものかなと。それから、臨床家の先生方に御相談をいたしますと、隔離をする必要があるのかないのかというようなこともいろいろお聞きをしたら、余り隔離の必要はないと、こういうふうに皆さん方おっしゃられます。そんなこともありまして、私どもとしては七月三十一日に公式に公衆衛生審議会を開きまして、そこで先生方に御相談を諮ったのであります。  伝染病予防法というのは今まで全部隔離をやってきました。この法律はできてから九十九年たっていますが、一度も隔離なしでやったことはなかったのであります。しかし、今回法律をよく読んでみましたら、隔離なしでも指定することが可能であるということがわかりましたので、私ども事務局としては、今回は隔離をしないという人権に配慮した形で指定ができるものだろうかどうだろうか、それでも指定をするのかしないのかということで先生方に御意見を伺ったところ、結論としては人権に十分に配意をして指定されることが妥当である、こういう御判断をいただいたわけであります。  そういうことで、私ども大臣をキャップとして相談をしまして、そしてこれは指定へ向けて準備をしようということで今現在やっているところでございます。  今、先生がおっしゃられましたメリット、デメリットということでございますが、まずメリットでは、伝染病予防法指定をいたしますと、人にうつす可能性の高い方、または大量に患者さんを広げてしまうような方といいますと給食をつくっていらっしゃる人方に当たるわけですけれども、そういう影響力の大な方については、やっぱりこれは強制的にでも菌の検査をお願いする。排菌する可能性がある菌を持っていらっしゃる人については、やっぱり直接その仕事につくのはまずい、だから休んでいただかなくちゃいけない。食事をつくらない業務に移るのは構わない。しかし、それをつくるという仕事をやられちゃ困るということで、やっぱりどうしても強制力が必要だというのがありまして、そういう意味では第二次感染を紡ぐという面では指定しないよりは指定した方がはるかにメリットがある、このように思います。  もう一つのメリットは原因追求の面で、食品衛生法ですとはっきりここが疑わしいというところについては検査に入れますけれども、今回のように前々から皆さん方が肉が怪しいとおっしゃられても、肉が怪しいという客観情勢が何もないときにはあくまでも肉の関係者には御協力いただくしかない。しかし、伝染病予防法ですと、学問的に言ってこれは強制的に検査する必要があるといえばこれも立入検査することができる。そういう意味では、検査をするということについても強制的にやれるということは、原因追求にプラスになるというふうに我々は考えたわけであります。  また、デメリットといたしましては、これはメリットにも半分はなるんですけれども食中毒と言われていたのが伝染病ということになると、国民皆さんにこれははっきり人から人にうつる病気ですよ、十分気をつけてくださいというメリットもありますが、先ほど尾辻先生がおっしゃられましたように、子供たちのいじめの中に「ばい菌」だとかいう言葉がありまして、そういうこと自体がいじめの原因にまたなってくるのではこの伝染病指定ということがマイナスになる面もあるのではないか、こんなふうに思ったわけであります。  しかし今回、人権に最大限配意してやって、やっぱり二次感染を防いでいくということがより重要というメリットの大きさから指定をすることが妥当だというふうに審議会の委員も考えられたし我々の方も考えた、このように考えております。
  60. 石井道子

    石井道子君 この問題につきましては、子供たちとか弱い方々感染をして発病し重症になるというふうな状況でございます。また、二次感染心配が大変あるわけでございまして、早急に治療方法を確立しなければならないと思うわけですけれども、なかなかこれといった決め手がない。抗生物質も使ってはまずいというようなことさえ言われているぐらいですから、この問題について今後どのように取り組むかということは大変重要なことだろうと思います。  特に、医薬品の開発の問題とか治療方法、そのようなことについてどのように取り組まれるお考えでございましょうか。
  61. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) このO157に関する下痢症の診断、治療につきましては、六月二十八日に腸管出血性大腸菌に関する研究班の中に診断治療に関する調査研究班というのをつくりました。  ただ、その後皆さん方、現場ではどうも臨床の先生方治療に迷っていらっしゃるという報道等聞かさせていただきまして、これは早く治療マニュアル的なものをつくらなくちゃいけないのかなと思っておったんですが、大臣からも治療マニュアルを早くしなさいと、大臣、現場に行かれましてそうおっしゃられました。  我々としては、実は治療というのは、先生もおっしゃったように、抗生物質を使うか使わないかということ一つでも大変意見が分かれるし、それから下痢どめをするにしてもどんな薬を使うかということでまた意見が分かれる等々ありまして、必ずしもなかなか一致はしにくいのであります。ところが、よく聞いてまいりますと、初期治療といいますか、開業医の先生とか市中にある小さな病院の先生、専門病院でない先生方のやる一次医療については割に意見の合意が見やすいというふうに私ども判断をいたしました。今この一次医療に当たるところ、そこの治療についてのマニュアルを厚生省が日本医師会等と協力をいたして一本化した形でつくろう、それを何とか今週中にでも公表にこぎつけたい、このように思っておるわけであります。  問題は、その後の二次医療になりますと、私がいろいろ先生方からお伺いしたところでは、これは血漿交換療法をやる方がいいのか、人工透析をやる方がいいのか、これについてもまさに百家争鳴と言うとちょっと大げさでありますけれども意見がいろいろ分かれ過ぎておりまして、ここは専門医療機関が今インターネット等を使っていろんなディスカッションをやっていらっしゃいますので、そこにお任せする方が今はベターではないかなと私ども考えておりますけれども、そこにつきましては今申し上げました診断治療に関する研究班とよく御相談をして、今後とも患者さんの治療のよくなることを願って努力してまいりたいと思っております。
  62. 石井道子

    石井道子君 このO157に関します感染あるいは発病を予防する点については、食品についての監視体制を強化するということが必要だろうと思いますが、末端の保健所がそれを実際に行っていると思います。その保健所がその体制をきちんと整備するためにはどのようなことが必要でございましょうか、そのことをお伺いしたいと思います。
  63. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 食品の監視体制の関係でございますが、保健所におきます食品の監視体制につきましては、現在、全国で八百四十五の保健所がございますが、その保健所に医学、薬学あるいは獣医学を修めた人たちなど専門的な知識を持っておられます方を食品衛生監視員として配置をしておりまして、平成七年末現在で七千三百六十七名の方が配置をされて日常的な業務に当たっておられます。  それから、毎年食中毒が多発いたします夏でございますが、夏におきましては七月に夏期食品一斉取り締まり、十二月に年末の一斉取り締まりを実施いたしまして、食中毒予防対策等を重点的に行ってきているところでございます。  それからさらに、先ほど来御指摘のございます、本年はO157による一連の食中毒発生がございました。七月からの夏期食品一斉取り締まりを一カ月延長いたしまして、七月、八月に大規模調理施設への集中的な立入検査等の官指導を強化いたしますとともに、七月二十九日に緊急の全国食品衛生行政担当課長会議を開催いたしまして、食品事業者への衛生管理徹底を指示したところでございます。  このように、必要な食品の監視体制を整備いたしまして食品衛生の強化に取り組んでいるところでございますが、さらに検査技術の高度化あるいは食品の加工技術の高度化、あるいは多様化というふうな事態がございますので、これらに対応いたしますために全国食品衛生監視員に対します技術研修等を実施いたしまして、資質の向上を図りまして食品衛生の向上に努めているところでございます。
  64. 石井道子

    石井道子君 今、大変輸入が促進をされております。自由化が図られているわけでございまして、大変日本も輸入が多くなったと。その中でも食品の輸入というものも大変多くなっていると思います。  そういう中で、やはり今回のO157につきましては牛肉の中に発見をされたという事例があるわけでございまして、食肉類の問題、これのチェックがかなり重要ではないかと思います。こういうことがあったから特にやらなきゃならないということはもちろんですけれども、平素からそのような体制を十分にとっておく必要があるというふうに思います。  そういう点で、輸入食品に対します検査体制、輸入量が余りにも多くて、それに対する検査員が少ないということをよく聞くんですが、一時それをふやした経緯もあったと記憶しておりますけれども、そのようなことでこの問題にどのように取り組まれるのでしょうか。今回はO157が牛肉に発見されたということで、アメリカの例もありますし、そういうことを踏まえて特にその面の監視体制の強化について取り組み方をお伺いしたいと思います。
  65. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 国民の食生活は極めて多様化をしておりますし、それから御指摘のように食品の国際流通が非常に進んでまいりました。それに伴いまして、我が国食品の輸入件数が増加をしているわけでございます。  数字で申し上げますと、厚生省の監視統計によりますと、平成七年では件数で百五万件、重量で二千八百二十六万トンというふうな輸入の状況でございます。これを十年前と比較をいたしますと、件数で二・七倍、それから重丘では約六百万トンの増加になっておりまして、こういった事態に対応した輸入食品の安全対策推進するということは極めて重要であると考えております。  輸入食品に関します病原性大腸菌O157の検査につきましては、平成八年七月二十六日の屠畜場及び食肉処理場衛生管理の実施にあわせまして、牛肉を輸入する営業者に対しまして病原性大腸菌O157の自主検査を実施するよう指導しておりまして、その結果病原性大腸菌O157による汚染が判明した場合には、食品衛生法に基づきまして必要な措置を講ずることといたしております。  また、七月半ばから、東京と大阪の検疫所で採取しました牛肉につきまして、横浜と神戸にあります輸入食品・検疫検査センターというところに送りまして病原性大腸菌O157のモニタリング検査を実施しておりまして、自主検査と同様に病原性大腸菌O157による汚染が判明をいたしました場合には同様の措置を講ずることといたしております。  以上申し上げましたように、輸入牛肉につきましては、病原性大腸菌O157の検査を推進いたしまして輸入食品の安全の確保ということを図ってまいりたいというふうに考えております。
  66. 石井道子

    石井道子君 次に、文部省にお伺いいたします。  今度の問題は学校における集団発生ということで、学校給食の問題というのは非常に直接的に重要な問題があります。それで、この安全性を確保するために、今までどおりの衛生管理体制でいいということはあり得ないと思いますし、そのことに対してどのような対策をとられるお考えでしょうか。それと同時に、やはり病原菌とか病気に対する認識といいますか、そういうものを文部省であっても厚生省並みの認識を持って取り組む必要があるのではないか。再発防止のためにどのような対策をとられますか、お伺いをしたいと思います。
  67. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 学校給食におきますO157関連の対応ということでございます。  文部省では、去る七月二十四日に研究者あるいは医師などの専門家によります調査研究協力会議を設けたところでございます。  この会議におきまして、いわゆる学校給食施設設備のあり方、調理のあり方、あるいは環境衛生衛生管理のチェックリストの作成ということを目的として、八月の上旬までに結論を出すということとしております。この結果を踏まえまして、二学期から用いられる食材につきまして厚生省等の御協力も得まして抽出によります緊急の点検を行い、施設設備の緊急の点検を行っていただくということとしているところでございます。これらの措置を通じまして、二学期からの学校給食を安心して実施できるというふうに考えているところでございます。  また、O157関係につきまして、例えば六月五日には課長通知をもちまして都道府県の教育委員会に対しまして、その性質あるいは予防策、七十五度C以上一分間以上の加熱、あるいは手洗いの励行といったような注意事項を流し、同様に夏休み開始前にはやはり夏季休業期間中の児童生徒の生活上の留意事項といったようなものにつきましても各学校で指導をいただくように通知を発し、指導していただくこととしているところでございます。  これらを通じまして、あるいはさらに一層広報活動の充実を図りながら啓発に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  68. 石井道子

    石井道子君 あと何点か質問がございますけれども、前の尾辻先生との重複がございますので省かせていただきます。  最後に、厚生大臣にお伺いしたいと思います。  厚生大臣は、前の国会のときから薬害エイズ問題に対して大変敏腕を振るわれました。そして、これは十数年前のことについての後処理の問題でありますが、今度のO157の問題というのは今ここで起こっている問題であるという点については多少事情は違いますけれども、大変早急に差し迫った課題でございますし、まさにその渦中にあるわけでございます。  そして、日本もこのように経済的に豊かになって文明社会になってということで、清潔をモットーとする日本であってもこのようなことが起こるということは大変嘆かわしいことでありますけれども、しかしこれはまさに人類生存のための人間と細菌との闘いではないかと。これから新しい細菌がどんどん出てくるということもありますし、やはりベロ毒素を持っている大腸菌におきましては、O157に限らず、O26H11とかO26Hマイナス、またO111、それからO18とかO114とか大変多くの種類大腸菌細菌がまだ存在しているわけでございまして、そのことがいつ日本において感染するかもわからないというような事態でございます。一口に大腸菌といって簡単に考えるケースが今まであったかと思いますが、今度のO157のことをよい経験として、この際その感染症に対しましての万全の対策をとっていくべきではないかと思っております。  人命にかかわることでありますから、手おくれになっては何にもならないというふうに思います。これは慎重を期すのもいいんですけれども、やはり対策が早いほどよいと、やり過ぎて悪いということはないのではないかというふうにも思いますので、早急にこの問題について手を打っていくべきではないかと思います。行政が後追いであっては困るわけでございまして、厚生大臣のリーダーシップによってこのようなO157に関連いたします感染症対策、エイズの問題もそうでございますが、そのことについて御決意のほどを最後にお伺いさせていただきまして質問を終わらせていただきます。
  69. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御指摘のとおり、今回の問題はやはり一つの危機管理を含めたまさに今そのものの問題というふうに認識をしております。  岡山発生したときも一度、衆議院でしたかどちらでしたか、質疑をいただきまして、担当者をすぐ岡山に送りましたし、今回もできるだけ早く対応したつもりではありますけれども、結果的には感染源がなかなか特定できない、あるいは合併症の治療方法が必ずしも確定しないなどの難問がありまして、必ずしも国民皆さんから見て迅速的確に対応できなかったのではないかという御指摘をいただいていることはこれは重く受けとめなければならないと思っております。現在、内閣にも対策会議をつくっていただきましたし、それ以前からの厚生省における対策会議等を含めて、まさに全力を傾けて何としても、この八月という一般的には食中毒のピークを迎える時期でありますが、この間にO157のできれば終結ができるようなところまで全力を挙げたいと思っております。  と同時に、実はさきのサミットでも総理の方からの御指摘の中に今議論になっているエマージングディジーズという、新興感染症という考え方が最近出ておりまして、それにさらに「リ」を入れてリエマージングディジーズといったような、例えば結核のようなものはもう世界で、特に日本ではかなり抑え込まれたと思ったものがまたぶり返しているとか、まさに新しい感染症がエイズやこのO157等々含めていろいろ出てきていると、それらに対する対策をきちんとやらなければということで国際的にも非常に関心が強まっております。  私も今回のものに取り組んでみてへ我が国でも感染症に関連する学者、専門家皆さんが、何といいましょうか、他の分野の専門家皆さんに比べてやや減ってきているというような要素もありまして、そういった点ではもう一度この分野における基本的な対応力をきちんとつけなければいけないのではないだろうか。厚生省に関連して言えば、国立予防衛生研究所など、そういった感染症対策の機関をもう一度強力に充実させながら、こういった新たな感染症発生した場合にもまさに迅速的確に対応できるような体制に強化をしていかなければいけないのではないかと。  教訓というよりは今進行中ではありますが、こういった問題を踏まえて、そういった点についても改革が必要ではないかと考えておりまして、そういった点でもまた本院の当委員会の御指導もぜひいただきたいと、このように考えておりまして、とにかく全力を挙げて頑張りたいと思っております。
  70. 石井道子

    石井道子君 ありがとうございました。
  71. 北澤俊美

    北澤俊美君 平成会の北澤でございます。冒頭、厚生大臣にお伺いをいたします。  この九千人に及ぶ発症者、それからまた七名の死者というのは、極めて不幸であるし深刻な事態だと、こういうふうに思うのであります。  今日の我が国の食環境というのは、もう申し上げるまでもなく、大変な食品流通の拡大、増大、それから外国からの食品やその素材の輸入の拡大というようなことで大変複雑多岐にわたってきておるわけでありますが、それだけに命に直接かかわりの深い食品衛生については国民政府に大きな期待をかけておるというふうに思うのであります。人類が生息してきている中で、常に私たちは与えられた生とそれに忍び寄る死の恐怖との闘いであったわけでありますけれども、今日これだけ文明が発達してきておりますと、そのことをややもすれば忘れがちになるわけであります。しかし、改めてここで国家と国民とのかかわりについて考えてみますと、これは申し上げるまでもないことでありますけれども、生命の危険につきましては、国民は個人の努力の限界を超えたときにこそ国家がその安全を図ってくれるという、そういう期待を強く持っておるんだというふうに思うんです。  したがって、これは契約的に個人の一定の自由を国家にゆだねて、しかもまた税金、納税というような形で国家に尽くす中で、国家が今度は国民に大きな義務を負わなきゃならぬ、こういうことだと思うわけでありますけれども、今回のこの事態を考えますと、必ずしも国家が国民にきちんとした責任を果たしておったのかどうか。そこのところを、とにかく命に直接かかわる場面を担当している厚生省とすれば、これは重要な課題として反省も込め、そしてまた将来にわたっての施策を立てる上でも真剣に考えなきゃならぬと、こういうふうに思うわけであります。  当面、今、国民がこの問題について求めておるのは原因究明でありますし、また二番目には適切な治療方法の開示、それから二次感染防止、そしてO157による感染の終息宣言を待っておるんだと、こういうふうに思うわけであります。相当大きな被害を出して、今この時点でまだ明確な実情が我々のところにも報告ができないというこの実態は、政府とすれば相当重大に反省をしていただかなきゃならぬと、こういうふうに思うわけであります。  冒頭、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 菅直人

    国務大臣菅直人君) おっしゃるとおり、国あるいは国家というものの責務として国民の生命、財産あるいはそれを含めた安全というものを守っていくという、それは最大の責務と言っても言い過ぎではないと思っておりまして、そういった点で厚生省も特に健康あるいはこういった食中毒感染症による生命への危険を防ぐということは重要な責務であるというふうに認識いたしております。そういった点で、今回のO157によって七名の皆さんのとうとい命が失われたことについては大変申しわけなく思っているところであります。  この感染経路の解明について、先ほど来申し上げておりますように、この食中毒は発病までが、他の食中毒の場合は数時間から半日程度という短期間で発病するのに対して、四日ないし八日ということで食べた物が残っていない例が多いためになかなか感染経路が見つからない、あるいは合併症の治療法が必ずしも確定していない等々の幾つかの問題で必ずしもその原因究明もまだ確実なものになっておりませんし、そういった点では御指摘を受けた点は十分考えなければいけないと思っております。  しかし同時に、そういった難しい状況を越えるために現在さらに感染経路、特に堺については大変たくさんの学校の学童が感染しておりますので、それらの疫学的な調査をずっと続けておりまして、何とかその中から原因究明するべくさらなる努力を続けておりますので、そういった結果が出るのを期待いたしているところです。  同時に、感染経路の方からの究明が難しいという現状の中では、逆に例えば食歯等の屠畜場などを含めてそういったところを網羅的に調査するといったことを行っておりますし、また治療方法についても現在、現在の知見は近くマニュアルの形で発表しますが、それに加えて何とかこの毒素の解毒ができるような、そういった研究についても今全力を挙げているところであります。  そういった点で、国としての責任を果たすべく全力を挙げてまいりたいと、こう考えております。
  73. 北澤俊美

    北澤俊美君 もう一つ、大臣にお尋ねをしますが、今度のこの事態で盛んに言われたことは伝染病予防法が古いと、大臣自身も明治三十年で片仮名入りだと。明治三十年にできようが片仮名で書いてあろうが中身が立派なら、現在に通用すればそれは何ら問題のないことでありますけれども、そんなことに象徴されるように古いわけであります。  私は、食中毒というのは、非常に皆さんから言うとレベルが低いかどうか知らぬけれども食中毒というのはたまたまそこで食事をしたら、そこに菌があってそれを食べたら体調を崩したと、こういうことでありまして、それが今度は家へ帰ったらおやじにうつったり弟にうつったり妹にうつったりというのは食中毒という概念からは外れておるわけですね。にもかかわらず、二次感染がわかっても感染症としての扱いになってこない。この法律がまずくて適用が難しいから伝染病指定ができなかったのかどうか。  それからまた、これを抜本的に改正したいという大臣の意向はあらゆる報道を通じて聞こえてきておりますけれども、基本的にこれを契機にといえばどんな問題があって、これから後、進行状況をどうなふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  74. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) このO157は人から人にうつるということは申し上げましたが、御理解いただきたいのは、伝染病というふうに通称皆さん言っておるのは法定伝染病で、法律で定められた伝染病、または厚生大臣指定した指定伝染病伝染病と言っているんですね。
  75. 北澤俊美

    北澤俊美君 そんなことはわかっている。
  76. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) それで、今回でも食中毒対策でスタートしたときも人にうつる可能性についてはわかっていましたので、そういうことですから感染症対策としても対応していると、このように思っております。
  77. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、局長からも若干ありましたが、食中毒としての対応に加えていわゆる二次感染予防については、かなり早い時点からその危険性はわかっておりましたので、対策は現行法といいましょうか、この伝染病予防法指定をするしないにかかわらず対応はしてきているわけであります。例えば、関連する検査、検便等もいろいろな形でしているわけであります。  今日まで指定にまだ至っていないのは法律的に難しいからなのかという御指摘でありますが、一つは、難しいという表現に当たるかどうかはわかりませんが、先ほども局長が他の委員の方にも答弁しておりましたが、この伝染病予防法というものの考え方がやはり隔離というものを大原則としてつくられているというのがその道の専門家皆さんの共通の認識であります。そういった点では、隔離をする必要があるのかないのか、あるいは隔離をすることが今の特に堺の実情と照らし合わせて適切なのかということがまずあったものですから、そういう点では必ずしも隔離というものは今の堺の状況には合わないのではないかと、そういうことがあって必ずしもこの伝染病予防法指定について当初話が進まなかったわけであります。その後さらなる検討を加える中で、隔離等の規定を除外してその必要な部分だけといいましょうか、限定適用という道があるということを確認いたしましたので、そこで現在その限定適用の方向で準備を進めているということであります。  それから、伝染病予防法のもともとの改正問題というのは、実はこの問題が起きてから生じたというよりはかなり以前から話はあったようでありまして、その中で七月の二日に、現行の伝染病予防法の抜本的見直しを行うために、公衆衛生審議会伝染病予防部会をそのために設けて検討を始めたところであります。小委員会などを設けて検討をしたいということでありますが、ちょうど時期的にこの堺の大量の食中毒発生と重なりましたけれども、その問題があるなしにかかわらずこの伝染病予防法の改正については議論をしていただこうということで進んでおりましたし、このことが全く影響はないとは言いませんけれども、少なくともこの事態も踏まえながらどういう形で改正するかの検討はこれから順次専門家皆さんに議論をお願いしたいと、こう考えております。
  78. 北澤俊美

    北澤俊美君 法改正でありますが、法改正になりますと、我々はじきに政府側にいつまでにどんな形でとこう問いかけるんですけれども、もうちょっと考えてみると、我々は立法府にいる立場からするとこれは変な質問なんですけれども、今までえてしてそういう形になっていた。だから大臣答弁を求めたんですが、大臣も行政府のトップにおると同時に立法府に籍を持っているお方でありますので、ここのところはひとつその衝にあるということで、現在の日本のこの三権分立のものをここで今論じていると時間がありませんから見解を聞きたいんですが、この機をとらえてやればスムーズにいくと思う。だから、内容的なことはまだなかなか詰められないだろうと思うけれども、どのぐらいまでにこの予防法を改正しようとしておられるのか、その辺のところをお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これは、今まさにおっしゃったように、今回のこともありますし、あるいは議論を進める中での御議論がどうなるかにもよるんですが、一応厚生省が内部的にめどを考えておりますのは平成十年の通常国会、ですから来年ではなくて再来年の通常国会に改正案が提出できればという、そういったことをめどとしては考えて準備をしておりました。  ただ、今回のことがあって初めて限定適用の指定を行いますので、場合によっては二年後ではなくてもっと早い時期の改正も考えなければならないのではないかと、私自身はそのことも念頭に入れながら進めてまいりたいと思っております。
  80. 北澤俊美

    北澤俊美君 平成十年はいかにも何か聞いたことのある年数だなと思ったら、私の改選期であります、余り関係ありませんけれども。  立法府の立場からしても、これは促進するのは我々の責任でもありますので、相呼応して早期にと、こういうことを御要望申し上げておきます。  そこで、感染経路の解明というのは、先ほども皆さん方からも質問があって答弁もありますが、現在のところ解明はできていないと、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
  81. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 先ほど来申し上げておりますが、しらさぎ幼稚園の事例につきましては井戸水の汚染であった、それから岐阜県の集団発生事例ではおかかサラダ原因であったということでございまして、集団発生につきましてはこの二つについてはわかっておりますが、残念ながら現在までのところ、例えば堺市の事例等については感染経路は十分解明されておりません。
  82. 北澤俊美

    北澤俊美君 国民の不安を払拭するには感染経路を明確にしなきやどうにもなりませんからね。  そこで、たくさんの通告をしておりましたけれども、どうも時間の都合で余りできませんから順を追わないでお聞きをしてまいりますが、一つには、不安が募る中でさまざまなうわさや憶測が出ておるわけでありまして、先ほどの尾辻先生質問の中にオウムの話が出てくるほどであります。そんな中で肉あるいはまた食品、食事を提供するお店等が打撃を受けておるわけであります。  その一方で、これは農水省にお聞きをしますが、今、生野菜の最盛期であるわけでありまして、これがもう市場の人たちも破れかぶれになって、スイカをゆでて食べる方法はないかなんというぐらいに言っておるんです。これは深刻ですよ。長野県は今、全国の九〇%ぐらいの高原野菜を供給しているわけですけれども、出荷がもう半分だと、価格が三分の一に低落したという状況で、農家が去年の秋もだめだ、ことしの夏が勝負だと思っておったら思いもかけないO157が出てきたわけでありまして、この点についてどういう対策、現況もそうでありますが、現況は余り細かく言わぬでもいいが、対策をどういうふうに立てようとしておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  83. 山野昭二

    説明員(山野昭二君) 御質問でございますけれども、まず影響でございますけれどもO157の生鮮野菜に対します影響につきましては地方農政局等を通じまして現在鋭意実態を把握しております。  現在までの情報では、この一週間近く、先生ただいま御指摘のございましたように、生食用の野菜を中心にいたしまして、とりわけ大阪の市場を中心に影響が生じていると見られております。例えばレタスについて見ますと、業務用のサラダ用の野菜を中心に減少しておりまして、市場出荷量が昨年の約半分ぐらいになっておりますし、また価格も平年に比べて五割程度の水準となっているというようなことで、ただいまお話しのございましたように、長野県が九五%ほどの市場シェアを占めているわけですけれども、大きな打撃を受けているというふうに認識しております。そこで、こうした買い控えあるいは価格低落の原因といいますものは消費者の不安感によるものと考えておるわけでございます。  ところで、O157野菜との関係でございますけれどもO157によります野菜の汚染の可能性ということについて見ますと、大腸菌はそもそも動物腸内細菌の一種でありまして、野菜自体が大腸菌感染することや、あるいは大腸菌を保有するというようなことはございません。したがいまして、産地を含めまして流通あるいは消費の各段階におきまして、例えば洗浄の徹底あるいは手洗いの励行等、そうした基本的な衛生管理をきちっと行えば野菜が汚染されるというようなことはないというふうに私どもは考えております。  このように野菜に対しまして消費者の信頼が今失われているわけでございますけれども、信頼の回復あるいは向上を図るためには、ただいま申し上げましたような生産、流通及び消費の各段階におきまして確実に衛生管理を行うということが重要でございまして、現在その旨の周知徹底を図るということを行っておりますし、加えまして生鮮野菜の安全性を再確認するため、出荷段階におきまして自主検査を実施するよう都道府県を指導しております。また、既に一部の産地におきましては自主検査等を実施しているところでありますが、現在までのところ産地段階において野菜からO157検出されたというふうな報告はございません。
  84. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、農水省の見解をお聞きしまして、小野生活衛生局長さん、今の認識を追認できるんだろうと思います。  それともう一つ、かなり古いんですが、私たちの長野県で国体をやったときに、食中毒を出さないための対応をやったときにやっぱり生野菜の問題が出て、湯がき方式でやれば鮮度も落ちないし、あるいはまた栄養化も損なわれないというようなことで実施をした経緯があるんですけれども、そんなようなことについても、やたらに不安を募らせるのではなくて、これは安全ですよというようなことをきちんとしていただきたい。  それから、この予防策として、これは厚生省が言っているんじゃないが、マスコミや専門家は生水を飲むなと盛んにこう言っているんだね。これはある種の指導になっちゃっている。ところが、今私たちも生水を飲んでいるわけだけれども、そうすると水道水はもう安全じゃないのかという話になってくる、生水を飲むなということになればね。その辺はどうなんですか。
  85. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 大腸菌の性質でございますが、塩素消毒をすることによって極めて速やかに殺菌をすることが可能でございます。したがいまして、飲用水につきましては当然のごとく、水道の水につきましては塩素消毒をいたしまして、蛇口のところで残留塩素濃度があることを確認するようにしているところでございますから、水道水を介して感染するということは原則的にはあり得ないことというふうに考えられます。  それから生水の御指摘でございますが、いわゆる生水というのは水道水というよりはどちらかというと井戸水、水道を介さない水というふうに考えるべきではないかと私は思いますが、これにつきましては、井戸水の汚染というのはこれはあり得るわけでございます。過去におきましても、井戸水によりましてさまざまな事故が起こった例はございます。したがいまして、井戸水の衛生管理というのは本対策にとっても重要なことであるということで所要の指導を行っているところでございます。
  86. 北澤俊美

    北澤俊美君 次に、二十三日に厚生省が出した通達について二、三お聞きをしますが、その前に、今ちょっと途中で気づいたんですが、先ほどどなたかの質問に対して、予防法の適用で人権の問題を盛んに言われましたね、小林局長。特にいじめに重点を置いて懸念を表明したけれども、私はこれは次元が違うと思うんだ。いじめというのはまた別の世界の話であって、病気になることはちっとも恥ずかしいことじゃない、不幸ではあるけれども。だから、いじめが苦になって病気の方の対応をおくらせるなんという話はあり得ない話で、病気になることは決して恥ずかしいことじゃないですよ、不幸ではあるけれども。それと、いじめを盾にして、たくさんある対応の中から一つでも二つでも外せば、そのことの方がむしろ恥ずかしい話で、反論があろうかと思いますが、ちょっと時間がないから前へ進めさせていただきます。  そこで、この二十三日に検食の保存期間の延長について通知を出しておるんですけれども、あらゆるところから懸念が表明されているんですよ。  まず第一は、全国の調理施設のどの程度のものにこれが、大部分の飲食店は対象外なのかどうかということ。それからもう一つは、皆さんの所管である医療法人や社会福祉法人で、特に社会福祉法人の施設は措置費をもらってぎりぎりのところで運営をしている中で、温度を摂氏マイナス二十度にしろとか、それから二週間やれとか、こういうことは現実に対応できないと、こう言っているんだね。それに対して、これ指導だから補助金は出ないはずですね、出るのかどうか知らぬが。ところが、厚生省指導通達を出したけれども、受ける側からすればそれを経由して県の保健所指導をすると、それに従わなかったらもうこれやっていけない、現場はそういうことです。  だから、これちょっと言葉が悪いが、この通達は安全を期すために出してはいるんだけれども、やるべきことはやっていますよという厚生省のアリバイづくりであったら大変なことだと思うんです。そんなことを言われると心外だと、こういうふうに思うかもしらぬが、現場との認識の乖離というのはかなりなものがあると思うんです。そういう点についてどうですか。具体的に五十グラムをマイナス摂氏二十度で保存しろというのは、これはどういうことですか。
  87. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 検食あるいはそれに用いました食材につきましては、先ほど来申し上げておりますように、O157の潜伐期間の長さということを考慮いたしますと、原因の解明、再発の防止のためにぜひこれを保存していただく必要があるという観点から、どのような方法が妥当であるかということを専門家の御意見もお伺いしながら検討を進めてきたわけでございます。その検討結果に従いまして、私どもといたしましては、例えば病院でありますとか学校といったところ、あるいは大規模な調理施設につきましてはこの保存をお願いしているところでございます。  一部に、例えばこの保存用の小さいパックが市販されているとのことでございますが、これが保存期間の延長に伴いまして品薄になりまして、十分そういう容器が買えないために少し容量の大きいもので収容せざるを得ないために冷凍庫が十分に調達できないといったようなことも聞いております。私どもとしましては、そういったことにつきましては、十分実情を把握しながら適切な対応を図れるように、今いろいろと第一線を通じまして情報収集し、その対応策を検討しているところでございます。
  88. 北澤俊美

    北澤俊美君 この通達はスポットなんですか。このときだけ、後でまたもとへ戻すと、こういうことですか。
  89. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 一時的ではございません。いつまでということはありませんが、当分、かなりの期間、この方法でお願いしたいと考えております。
  90. 北澤俊美

    北澤俊美君 これは重大なことだ。これを一方的に、まあ思いつきとは言わぬが、急にこんなことを全国の施設でやって、これ対応できない。対応できないのに当分の間やれと、こういうことはどういうことですか。
  91. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 私どもといたしましては、このO157全国におきます発症状況、それから先ほど来申し上げております原因の追求の困難さということを克服いたしまして、国民皆さんの食生活の安全ということを確保することが極めて大切な私どもの役割でございますので、先生の御指摘のような問題は種々あろうかと思いますが、ぜひ御協力を賜りたいと思っております。  なお、末端で生じております事態につきましては、私ども承知しておる事項もございますし、また私どもの耳に入っていない事項もあるかと存じます。第一線の機関を通じましてそれらの情報を収集いたしまして対応策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 北澤俊美

    北澤俊美君 この場は言いっ放し、答えっ放しで済む話じゃない。議会の論議というのは一つ一つ結論を出していかなきゃならぬ。僕はこういう言葉を使いたくないけれども、極めて役人的な答えで、大臣、これちょっと大臣に聞くつもりはなかったが、いいですか、指導された末端はこれを実施しなきゃならぬという圧迫感を受けているんですよ。一方で、現実的に機材も足りない、それからまた経営的にも不可能である。一方は、上からそのことを当分やれと。それは国民の生命や健康の問題だとして取り上げている。できなかったらどうするんですか。もう少し現実的なものをやるべきだと思うんだが、一生懸命考えておられることの意味はわかるけれども、できることとできないことの判断ぐらいはきちんとしてもらわなければ困ると思うが、大臣、どうですか、今のやりとりを聞いていて。
  93. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今回のO157につきましては、特に小さいお子さんあるいは高齢者で体の少し弱い方などが特に注意をしていただくというか、考えなきゃいけないということがありまして、そういう点で保育園やいろいろな社会福祉施設についてこういった形の通知をしたわけです。  実は、省内でも私も少し細かいことを今聞いておりまして、マイナス二十度というのが市販の普通の冷凍庫でその温度までちょっと下がらないんじゃないかと、営業用であればそこまでいくだろうけれども市販のではちょっと難しいんじゃないかというような指摘も一部いただいたり、あるいは先ほど局長が申し上げました、いろんな五十グラムの食材を置いておくパックがなかなかないためにかなり大容量のものになって、そうすると相当大きな冷凍庫を別個に買わなきゃいけない、そうなると箇所数も多いですから相当の費用がかかるとか、そういったこともこの間、この通達以降指摘をいただいております。  そういった意味で、一方では安全性というものの確保のためにこれまでの三日以上を一週間以上に暫定的に引き延ばした後二週間以上ということにいたしましたし、二週間もたせようと思うと従来の冷蔵庫ではかなり難しいので冷凍ということにしたわけですけれども、今御指摘をいただいたように、通達はしたけれども実行不可能だということであれば通達の意味もありませんので、何とかそういう実質的には通達をした趣旨が生かされる形で、しかし部分的には場合によっては同じだけの効果が、若干温度の問題とかあるいは容器の問題とかそういう形で対応できるならばそのことも含めて検討しなければと思っております。  また、場合によっては冷凍庫の設置の経費について、確かに御指摘のとおり、厚生省からすれば一つの指導かもしれませんが、実際には半ば強制力を持つとすれば、それに対してどういう支援ができ得るのか、場合によってはそのこともあわせて検討してまいりたいと思っております。  そういった意味で、御理解をいただいていると思いますが、何とか安全性確保のためということがあるわけですが、同時に実行可能なものにするようにさらなる検討を続けたいと思っています。
  94. 北澤俊美

    北澤俊美君 もう時間がありませんので、文部省に最後に一つだけお聞きします。  厚生省との全体の議論を通じて、国民の健康のためには真剣に取り組むという認識だけは共有をしてこれからもやっていきたいと、こう思いますので、大変御苦労でありますが、頑張っていただきたいというふうに思います。  文部省、感染経路の解明がいまだ今回の問題で解明できていない部分がたくさんある、そういう中で学校給食が大きな原因だと、こういうことになっているが、具体的に今回の事例で学校給食の設備、運営その他について不備があったのかどうか、これは文部省の立場として。そして、反省すべきものがあったかどうか、簡潔にそれをお答えいただきたい。
  95. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 学校給食の衛生管理につきましては、学校保健法に基づきます学校環境衛生の基準というものを設けて、その徹底について文部省で指導してきているところでございます。  現在までその感染経路等の原因究明厚生省を中心にして行われているところでございますけれども、その中で特に堺市におきましては従来から通知あるいは研修会等で指導してきたというふうに聞いているところでございます。  また、特に岡山県で発生して以来、通知により職員あるいは児童の手洗いの励行、あるいは調理業務における衛生管理について指導徹底を図ったと……
  96. 北澤俊美

    北澤俊美君 いや、不備があったかどうかを聞いておるんです。不備があったの、運営面の。
  97. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) それにつきましては、現在、堺市におきましては患者への対応あるいは二次感染防止ということに全力を挙げているところでございまして、その対応状況について必ずしも私ども十分に把握できておらないところがございます。そういった意味で評価は差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  98. 北澤俊美

    北澤俊美君 そんなことを言うと宮崎さんみたいにやっぱり局長を呼ばにゃいかぬなんということになるぞ。  終わります。
  99. 水島裕

    ○水島裕君 国民のためにO157感染症対策というのが少しでも好ましい方向に向かうように私も質問をしたいと思いますので、どうぞ答弁の方もよろしくお願いします。  お話を聞いていますと、だんだん私が反対しようと思っていたことが薄くなってきたわけでございますし、また厚生大臣厚生省方々といろいろ話し合って意見が合わないということもないはずでございますけれども、私は指定伝染病指定するというのはどちらかというと極めて慎重でなくてはいけないと思います。  四つの理由を考えておりますが、それに沿って質疑を展開していこうと思います。  まず初めは、なぜこういう伝染病指定するかというと、主として患者さんあるいは保菌者に対してのことだと思いますが、それよりも私はやはり一次感染の方に対する対策の方が今回は重要ではないかと思います。  私も堺市立病院に七月二十六日に行きまして、またきょうもこの委員会が始まる前に木谷院長とお話ししたのでございますけれども、今、堺の病院では九百七十三人の人が感染で、そのうち学童以外の患者数が百五十二人で、このうち二十人か三十人ぐらいは二次感染、家族その他からうつったものではないかというふうに計算しますと、大体二、三%ぐらいだと思います。  それからもう一つ、実は私の秘書をやっております人の祖母が和歌山県橋本市の国城老人ホームに入所しているんですけれども、そこでも百人の人が同じ食事を食べて、十二人が感染して、一人が重病というのが何と私の秘書の祖母でございます。そこでもよく調べてもらいましたら、二次感染者は出ていない模様であるということでございます。  ですから、今回のことについては一次感染が非常に重要だと思っておりますけれども、まず厚生省の方はこの一次感染者、二次感染者の割合をどういうふうに把握していらっしゃいますでしょうか。
  100. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、先生方のお手元の資料にありますように、八月一日現在では二次感染者と思われる人、それが百五十二人あると。この中で実際に本当に二次感染がどうかということの確認はなかなか難しいのでありますけれども、私も堺には行ってまいりまして、先生方お話を聞いたところ、やっぱり家族に相当発症している、これは間違いない、こういうふうにお伺いをしてまいりました。相当数はやっぱり二次感染患者だと考えております。
  101. 水島裕

    ○水島裕君 昨日、厚生省の方にもお聞きしましたら、やはり二%というお話でした。そうしますと、やはり現状では九八%の方をもっと重要視した方がいいということで、潜伐期間が仮に四日から八日としましても、これだけ長い経過を見ますと、これからは二次感染が一次感染をどんどん追い抜くということではないというふうに思います。  つまり、そうしますと、人に対していろいろ法律をつくって云々するよりも食材、多分食肉だと思いますけれども、それの検査を十分した方がはるかに解決に近いというふうに思いますけれども、その辺のチェック体制はどうなっておりますでしょうか。私の方でも申し上げたいことがいろいろあるんですけれども、まず簡単にお願いいたします。
  102. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) いわゆる食材につきましては、先ほど来御質疑もございますし御答弁申し上げておりますが、流通をしております食肉、それから過去に食中毒を起こしました原因物質等々の流通経路を解明し、収去して検査も行っているところでございます。
  103. 水島裕

    ○水島裕君 例えば、堺市で食材千三百五十二件を調べて何も出なかったというふうに報告されているわけですけれども、これはO157以外の大腸菌も出てこなかったということでございますか。
  104. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 一般的な調査ということではなくて、O157に焦点を絞りまして、これの有無について検査をいたしまして、現在までのところ検出されていないという報告を受けております。
  105. 水島裕

    ○水島裕君 私は時々厚生省委員会とかいろいろやり方がおかしいと思うんですけれどもO157感染するというと、O157だけあるということはないので、大腸の中には大腸菌が十の六葉とか十の九乗ぐらいいると思うんですけれども、恐らぐそのうちの千分の一ぐらい、もっと少ないかとも思いますけれども、いずれにしましてもそういうオーダーでしかO157はないわけでございますので、O157を一生懸命探すよりもまずは大腸菌があるかどうかを探すというのが、普通の学者が考えるとそういうふうになりますけれども、もしお答えができなければ後でよく検討しておいていただきたいと思います。
  106. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 現在は汚染経路をとにかくはっきりさせて再発防止策を立てるということが私どもに課せられた急務でございますので、今申し上げましたような線で検査体制を進めておりますが、先生指摘の点も踏まえまして、今後のこともございますから、御指摘は十分含めまして今後のあり方を検討する際に十分検討させていただきたいと、こう考えております。
  107. 水島裕

    ○水島裕君 汚染経路を調べるといっても、何を調べているんだかよくわかりませんけれどもO157は、御存じのように、百個とか千個ぐらい体の中に入っても感染するかもしれないというんですけれども、なかなか見つからないわけですね。そのO157大腸菌と一緒にいるわけでしょうから、それも一緒に調べるぐらい、仮にむだだと思ってもするのが当然で、今のような感染経路の解明ではちょっとらちが明かないような気もいたします。厚生省、一度私も呼んでいただいて、厚生省委員の学者よりかよほどわかるところもございますので、一度御相談していただければと思います。  それで、もう一つ、仮に正しい検索をなさっていたとして、今、牛が中心だと思いますけれども食肉の検査は先ほどの御答弁あるいは新聞を見ますと自主検査をするように指導している、お願いをしているというふうに言っているんですけれども、そのようなかなり消極的のようなことでございますが、今度は人の方はもう強制的に調べると。さっきから言っておりますように、九八の原因食肉、そういうものの方で、二が人間の方という段階でそういうことでよろしいんでしょうか。
  108. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 食肉に関しましては、農林水産省と十分御協議をいたしました上で屠畜場及び食肉処理場につきまして自主検査をお願いしているということでございますが、それ以外に全国の屠畜場、食肉処理場につきまして一部モニタリングという形で収去して検査も行っております。  私ども、農水省といろいろ御協議をする過程で、農水省の方から関係業者に対しまして厚生省が行う自主的な調査について十分協力するようにということで御指導いただいているということで、両省相まって進めているところでございます。
  109. 水島裕

    ○水島裕君 自主的検査というのは厚生省が自主的に検査するんですか、自主的検査するように指導しているというのは。
  110. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 業者でございます。
  111. 水島裕

    ○水島裕君 今、厚生省が自主的にとおっしゃいましたけれども、そうじゃなくて業者が自主的に検査するんですね。  それで、少し順序が変わりますけれども、この指定伝染病指定されたら何がメリットかというので先ほども堺市立病院の院長とお話ししたんですけれども、今のところ特に向こうは困っていない、財政的な面以外は指定されても指定されなくても大体同じでしょうと。今だってちゃんと届けているし、隔離もしなくてもいいのならそれでいいしということで、何が困っているかというと、検査とか何かも費用がかかるし、病院がみんな負担してたりなんかしてこれはもう財政的には本当に困っているのでそれをしてほしいと。先ほどの北澤議員の質問のようにそれは学校も困っていますし、あるいは今度食肉を検査したらそこでも費用が要るということで、そういう点はぜひ指定してそういうことになるんだったらありがたいということですけれども、そのようなことは何も指定しなくてもできるんじゃないかと思いますし、その辺のことが問題ではないかと思います。  いずれにしましても、これは大臣の方にお伺いしたいと思いますけれども、問題は今の段階あるいは当分の間一次感染の方が重要であると。一次感染の方は人間じゃなくてほかのものを調べればいいわけです。人間はやはり人権、牛にも牛権があると言えばそれはもうそういうこともあるかもしれませんけれども、人には人権というのがあるわけですから、人の方がたやすく調べられるとか号令かければするとかいうのではなくて、やはり人権とかそういうことに問題がない方、しかも今九八対二と申し上げているわけで、そっちの方が重要だと申し上げているわけでございますので、そちらを強制的にでも調べるという方をまずおやりになる方が特に市民派からお出になった大臣としては大切じゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  112. 菅直人

    国務大臣菅直人君) たしか先週の二十六日に、農林省との話し合いを踏まえて、今の局長が説明しましたように業者の皆さんで自主点検をお願いするということで、そろそろその結果が順次出てくることになっております。  実は、それ以外に平成五年、六年あたりでもそういった屠畜場等の検査を研究的にやったデータもありまして、非常に低い水準ではありますが、O157検出報告が出ております。ですから、今回の自主点検の中でどういう報告が来るかによって、場合によってはさらに徹底した検査が必要になるか、そのことは検討したいと思っております。  これは法律的にも必ずしも指定をしなければできないということでもないわけです。というのは、食品衛生法もありますしと畜場法もありますので、それぞれの法律の適用のやり方でいろいろな手当てはあると思いますが、確かにおっしゃるとおり、指定をする場合は、これは農林大臣の方も指定が出た場合には自分たちとしてもより徹底した検査が必要になることも想定して今検討中だというようなこともこの問題の関係閣僚会議で言っておられましたので、そういった農林省の検討もよくお聞きしながら、自主点検報告が出てくる、一応一週間ごとに検査をしていこうということですので出てくるのをよく見て、今の御指摘を十分念頭に置きながら場合によってはより徹底した検査につなげていく、そのことを検討したいと思っております。
  113. 水島裕

    ○水島裕君 米国でも肉の検査は恐らくこういう伝染病なんかには指定しないで強制的に行っているそうでございますので、ぜひよく後で考えて御決断をなされたらよろしいかと思います。  恐らく今の研究会レベルというのは、全国食肉衛生検査所協議会微生物部会というところで調べましたら十一検体、〇・二%の肉に見つかったというようなことだと思いますけれども、三流新聞によりますと七%見つかったという報告もあるそうでございます。  これは危機管理ということで後で申し上げようと思ったのですが、恐らく今度も食肉でしたら一頭、何か一つの原因から堺の六千人の人が一遍に感染したんだと思いますので、やはりサンプリングでどのくらい感染しているかというのを調べるのはこれは学問的には意味がありますけれども、本当にそういうものが幾つか残っていたらまたそれであっさりと今度のような悲劇が起こり得るわけでございますので、人間を調べる前にひとつ一次感染のもとを調べて、きつい言葉で言えば、そういうものを強制的に調べるまでは人間を強制的に調べるようなことはなさらない方がよろしいんじゃないかというふうに思います。  もちろん、食品に携わる、給食に携わる人とかそういう人たちにはもうぜひ検査をしていただきたい、そういうことは当然でございますけれども、何が何でもみんな引っ張ってきて、したくないという人まで検査したりいろいろなことをするという辺は十分慎重におやりになっていただきたいと思います。  それでは次に、今のが二番目の理由でございますけれども、三番目は、結局指定されますのは患者あるいは保菌者でございますけれども、その人が非常に不便になるのではないか、あるいは人権の問題が出てくるのではないかと。その点については先ほどから十分配慮をなさるというふうに申されましたけれども、やはり実際パートで勤めるとかいうような人でこの人はO157感染者であるというふうになったときは、幾ら食品を扱わないといっても、どうしてもその人が人権をある程度侵害されるという可能性があります。  それから四番目は、今のことと関係するんですけれども、そういうことがあるのでむしろ届けなくなってしまう例が出てくるのではないか。これを指定することによるメリットは完全に把握できるということとお考えだと思いますけれども、そうでもないんじゃないかと。  実は、昨日の夕方も医学の研究会をやっておりまして、そこに医者じゃなくてもいろいろ医学のことを知っている者が来てそういう話をして、みんなどうだと言いましたら、二、三人は少なくともこんなものに指定されて勤めに出られなくなつちゃったりなんかとかいろんなことをしても大変だから、これは抗生物質でも飲めばすぐ治るんだからそれで治しちゃいますよというふうに言っておりまして、よし悪しは別といたしまして、こういうものに指定すると本当のことを言って、先ほどから話しているように、感染力その他からいってそれほどのことでもないということもありますので、かえって把握ができなくなるのではないかということがございます。  その一つの例として、今、赤痢が法定伝染病指定されているわけでございますけれども平成六年の患者数が千四十二人で、死亡者が一名ということだそうでございます。実際はどのくらいいるかと思いまして何人かの医師に聞いてみたら、多分倍ぐらいはいるんじゃないかと。これも本当の推測でこういうところで申し上げるべき数かどうかわかりませんけれども、外国から帰ってきて赤痢みたいなのをもう自分たちで治しちゃったり、その辺のお医者さんで治す人が非常にいるので実際は数が多いのではないかというようなことで、こういうものに指定するということが逆にそういう逆効果を及ぼすということが十分考えられるわけでございまして、こういうとき答弁を求めても大体お答えは推測できますので、言いっ放しにさせておいていただきます。  問題は、伝染病予防法の抜本的改正をなさるということですけれども、例えば今の赤痢の例でも千四十二人かかって一人死亡する、これを法定伝染病指定しておく必要があるかどうかということも含めて、大臣に最後にお聞きしょうと思っていたんですけれども、今でよろしければお答えいただきたいと思います。これは改正、いろいろ試みられるということでございますけれども、インフルエンザでも千四十二人かかれば一人はまず亡くなるわけでございますので、その辺も含めて根本的見直しについて一言でも結構でございますからお願いします。じゃ、小林局長から。
  114. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 大変医学的なことでございますので、かわって答弁させていただきます。  まず、伝染病予防法の検討の中で赤痢をどうするのかという具体的なお話でございますが、我々としては赤痢だけでなくてすべての法定伝染病、それから現在法定伝染病になっていないけれども、例えばもう伝染病予防法に隔離がないということを前提として考えた場合どうするかとか、いろんな取り組みがあって、例えば伝染病にも非常に怖いものから、そうではなくて比較的軽いけれどもこの程度措置はした方がいいというものまでいろいろあろうかと思うのであります。  そういう意味で、伝染病予防対策のやり方、あるべき姿とあわせてどの伝染病をどういう段階で整理するのかというふうな形での議論が進んでいぐだろうと思いますし、例えば隔離つきを前提とする伝染病予防法とするならば、例えばもうそれは赤痢も私は個人的には外れるのではないかなと、こんなふうに思います。外れるとは思いますけれども、そういうことも含めて伝染病予防法全体が……
  115. 水島裕

    ○水島裕君 いや、いいです。
  116. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) いいですか。  隔離が前提だと言われると、赤痢でも法定伝染病になるかということに対してはまた異論の出る人がたくさんあるだろうと私は思います。  いずれにいたしましても、法定伝染病の概念をまずきちっとして、それからどういう病気がそれに当たるのかという吟味を全部やり直すということでございまして、先ほど御質問がありましたように、十年では遅過ぎるという御意見もございましたけれども、私どもの方としては実はWHOの国際保健規則との関連でそちらが変わるということになっていますので、それとあわせて一緒にやりたいということで今十年の春を考えているわけです。そこは考えずにやるという考え方もあるかもしれませんのでよく考えてみなきゃいかぬと思いますけれども、いずれにしても伝染病予防法はそういうことを含めて全体的に見直したいと考えておるところでございます。
  117. 水島裕

    ○水島裕君 伝染病指定するとぐあいが悪いと思われる点は大体以上でございます。  もう一回繰り返しになりますけれども人権ということで、患者さんはもうこれではっきりしておりますけれども、保菌者については今後どういうふうに検査も含めて対策をなさるつもりでございましょうか。
  118. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 保菌者の方々につきましては、私どもとしてはある意味では行動制限がかかるというのは就業の制限をかけるという考え方にしております。それはすべての仕事についちゃいけないということではなくて、先ほど申し上げましたように、この病気が大量発生につながるような影響力の大変大きい職種、例えば料理をつくっている人たち、それも大規模な食堂、小さな食堂ではなくて大規模な給食材とかそういうものをつくっていらっしゃる人のところでそういう給食をつくるという作業をやるということは、それは禁止をしよう、このように考えております。  それはもう逆に言いますと、給食で今回起きたわけですけれども、例えばそういう給食施設で保菌者の方が働いていらっしゃる、そして菌が給食の中に入ってくる可能性があるといえば、それはもう全国のお母さんやお父さん、子供さん、みんな大変恐慌を来される。そういう意味では、そういうところにはついちゃいかぬけれども、例えば私ども公務員で直接そういう食事なんかつくっていない、そういう人たちは何も就業制限をする必要はないと、非常に限定的な、非常に問題のあるところだけ就業制限をかけよう、このように考えております。
  119. 水島裕

    ○水島裕君 今のことについては賛成でございますけれども、保菌者あるいは患者さんの便から菌が出なくなるかどうか、ずっと半ば強制的に調べていかれるというおつもりは今ございますか。
  120. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 健康保菌者の方には、もちろん御本人の選択はあり得ますけれども、菌がマイナスになるまではさっき言ったような就業制限をかけますので、患者さんによっては抗生物質を飲まれて、そうすれば早く消えてしまいますね、そうしたら陰性になるのを確認して就業禁止は解くということになります。
  121. 水島裕

    ○水島裕君 その辺、よく配慮していろいろ行っていただきたいと思います。  私の言うことも随分ずれますけれども、ばらつきますけれども、これはいろいろバランスを考えているということで御理解いただきたいと思います。  今度は逆にこういうO157、やはりこれは考え方によっては今の段階では赤痢よりか怖いと思いますので、こういう菌が日本のあちこちにいたのでは非常に国民は不安になるわけですね。ですから、やはりこれは撲滅しなくてはいけないと思うんです。  現在、法定伝染病になっているものは主として外国から来るので、恐らく今、日本に、ちょこちょこどこかにあるかもしれませんけれども、はっきりどこかにあるというのはないわけでございます。ですから、それに比べるとこのO157は非常にぐあいが悪いわけですね。もちろん、私の言っていることは合っているかどうか、自信はそんなにございませんけれども、私はやはり先ほどから申し上げております一次感染源を撲滅すれば日本からなくなるものだと思います。ですから、やはりそういうことで努力していただいて、日本からこのO157がなくなる日をなるたけ早く迎えられるように、今度はちぐはぐですけれども、こちらの方はまたこれで一生懸命努力をしていただきたい、そういうふうに思います。  それから次に、今度はこの指定伝染病に仮にしますと、というよりかはなるんでしょうが、そのときのメリットを考えますと、私は先ほどの二つだと思います。原因究明食肉がやりやすくなるということで、もちろん先はどのような私からの反論もございますけれども、それはそういうふうになさった方がいい。それからもう一つは、財政面でいろいろ対処がやりやすくなればそれも結構なことで、主としてこの二つだと思いますので、そういうことをむしろねらってやるというふうに国民の皆様に、もう一つ何かあるかもしれませんけれども、そういうふうに御発表なさる方が国民皆さん方の不安も非常になくなるし、ひいては先ほど申しましたように日本からこれを撲滅するのだ、そのためには今ここでお金を使ってもその方が得である、それは政府の言うことでございますけれども、そういうことをしていただきたいというふうに思います。  それでは次に、この予防治療ということに関しまして当面のこと、あるいは将来のことについて私の考えも含めてお尋ねをいたします。  これはもう先ほどからずっと話が出ていることでございますけれども、もう当たり前のこと、それからみんなが意見一致していることは、やはり我々がそう思っていても国民各層はそう理解していない場合が多いわけでございます。  対策本部は今は大臣が記者会見というような形で、やはり今は何といいましてもテレビ、新聞が情報のメーンでございます。私どもの病院のところに来るいろいろなO157対策、これはそれなりに役に立っておりますけれども、ああいうのはなかなか全部に行かないし、それからああいうのを読まない癖がある人もおりますので、やはりテレビ、新聞をお使いになるのが一番いいし、それも責任ある立場の方が本当に石けんでよく手を洗う、それから加熱できるものは加熱する、それからあとは自分が感染していると思う人といろんなものを扱う人が特に注意する、その三点を守るだけで私は本当に五割以上、七、八割は、あるいはもっとかもしれませんけれども、この感染は防げるわけでございますので、それはあしたにでも、あるいは日曜日、月曜日ぐらいにでもできたらなさった方がよろしいのではないかと思います。ですから、一般論としては衛生面の対応、国民衛生意識の向上でもってこの問題は大部分解決するのではないかというふうに思っております。  と申しましても、やはりベロ毒素で重病になるということも確かでございますので、ベロ毒素対策というのも現在はできなくても近い将来できるようなことを考えていかなくちゃならないと思います。  幸いにして、昨日、医学の研究会を催したところに抗毒素抗体、あるいはキメラ抗体といいまして抗体を無毒化する、抗体というのは通常マウスの抗体を使いますのでアレルギー反応その他が起きて効かなくなったり副作用が出たりするんですけれども、キメラ抗体と申しまして、毒をやっつけるところはマウスであるけれども、残りの全部は人の抗体を使うというのであいのこ抗体というふうに呼んでおりますけれども、そういう専門家もいましたのでいろいろ相談してみましたら、現在でもベロ毒素に対する抗体、この病気は大人はかかりにくいとか、それからガンマグロブリンを投与するといいというのは、やはり抗体があるからいいというふうに解釈されているわけでございますので、今ありますベロ毒素抗体をキメラ化しまして、先はどのように大部分ヒト型のようなものにして患者さんに注射すれば、これ勘でまたこういうところで申し上げるのが適切かどうかわかりませんけれども、九割以上はそれがうまくいくというふうに思います。  大至急やるようにということできのういろいろ相談しましたら、三カ月以内には何とかつくろうということで、もちろんこれは幾つかのメーカーその他にも協力してもらうわけでございますから、そういう話になりまして、できなかったら私は議員を辞職するとまでは申しませんけれども、私も一生懸命やろうと思いますので、ひとつ厚生省厚生省がそれを開発しているというぐらいのつもりになってやっていただきたいと思います。  多少明るいテーマかとも思いますので、大臣のお考えをひとつお伺いいたします。
  122. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今御指摘いただいたベロ毒素をいわば解毒するというんでしょうか、そういうものが私も専門家皆さんに聞きますと現在のところなかなかないんだということを聞いておりまして、今の水島先生お話だと十分にそういうものがそう長い時間でなく開発できる可能性があるという御指摘で大変期待をさせていただきたいと思っておりますし、またそれについて厚生省なり、これは厚生省に限らず、実は閣僚会議では科学技術庁長官の方からも、こういった研究には特にいろいろな研究費の出し方もあるものですから、自分たちの方でも考えるからというかなり早い時点で発言もありますので、具体的にまた話を聞かせていただいて、もしできる支援があれば、それが財政的支援であるか人的支援であるかを含めて積極的に対応していきたいと思っております。  それから、先ほど来御指摘いただきました一次感染がより重要だということ、それから法定伝染病指定というものの問題、これもおっしゃる趣旨はよくわかるつもりです。と同時に、何といいましょうか、一方ではきょうの御議論でも食中毒という側面と感染症という側面と両面常に考えてということも御指摘いただいておりますので、その両方についてそれぞれできる対応はしていきたい。  そういう点では、先ほど御指摘のありました食肉の検査等は、確かにアメリカのクリントン大統領が最近新しい、HACCPという衛生管理のプロセス全体の新たな方法の導入を若干の時間、三年間ぐらいかけてやりたいとアメリカで発表されておりますが、日本においてもこういったアメリカ対策も参考にさせていただいて、できれば日本からO157の菌がなくなるというそういう目標を今御指摘いただきましたが、そういう目標を立てて努力するということも必要ではないだろうかと、話を聞いていてそういうふうに受けとめたところであります。
  123. 水島裕

    ○水島裕君 一、二追加させていただきますと、先ほど申しました抗体というのは、結局作用があることと、それから安全であること、二つが重要だと思うんですね。作用があることはこれはもう動物実験ではっきりとわかることです。安全性は、我々このキメラ抗体というのはもう既にがんの治療とかリューマチの治療で使っているわけですね。相手がどういう毒素であっても毒性は本質的に同じなわけで、小林局長も昔お医者さんをやっていたからそのぐらいはおわかりになると思いますけれども、そういうものでございますので、もちろん経済的その他の援助というのもありがたいかと思いますけれども、何といってもありがたいのは精神的及び指導最初から開発の指導をするということで厚生省が御協力していただければいいので、それほど研究費などは要らないんじゃないかと思います。  それから、今、大臣のおっしゃるように、ぜひいろんなことを勘案してO157を日本から追放する、私は十分可能ではないかと思っております。現に今までの法定伝染病は全部そうなっているわけでございますので、それはそれなりに皆さんが非常に努力してそうなったわけでございます。  それから、実は時間があれば抗生物質の使い方ということで、米国のことを随分参考にしてお決めになっているわけですけれども米国は大体抗生物質を余り使わない国でございますので、そういうところばかり米国を見習って間違いを起こさないように。私の意見では、初期は抗生物質を使った方が明らかにいいと思いますし、それからこの間堺に行ってきましてその辺は十分ディスカッションをしてきまして、堺では市立病院で使って極めて経過がいいわけでございますので、その実績もやはり大切にされてガイドラインをおつくりいただければと思います。  最後に、多少抽象的なことになりますけれども、危機管理ということについてお尋ねいたしたいと思います。  これは今度こういうことが起きてから危機管理が悪かったということも多少はあるかもしれないし、多少じゃないかもしれませんで、特に堺でちゃんと加熱しなかったとかそういうことは問題でございますけれども、私が申し上げたいのはそういうことではなくて、恐らくこの堺で六千人が今度の中毒あるいは感染症になった原因は一頭の牛、食肉、これは推測でございますが、あるいはそれに近いような一つの原因、これは遺伝子を調べても同じだとか、いろいろな客観的なことからも随分推測されるわけですけれども、一つ間違う、例えば牛が一頭おかしくなったら六千人が病気になってしまうというのでは、これはやはり危機管理ができていないと言えることだと思います。これは先進国でこういうことはあり得るので、流通が先進国ではすごくよくなっておりますので昔では起きなかったようなこういう事件が起きてくるわけでございます。  そういう点につきまして、一つは、これは文部省の方に話が行っていますでしょうか、行っていましたら、今後給食を、一つ何か悪かったらこんな六千人も病気になってしまうというようなことは避けるような方針を既に考えていらっしゃるかどうかということと、あるいは、大臣にばかりお聞きして恐縮ですけれども、そういった面での危機管理を、これは何も食中毒ということではなくてほかの分野でも文明国であるところでできてくる、つまり、ビルの火災など一カ所起きても途中でシャッターが閉まってビル全体が燃えないような仕掛けになっているのを、今度は一つ悪くなると全部が病気になってしまうということになっておりますので、その辺のことについてできましたら文部省と大臣から御意見をお伺いしたいと思います。
  124. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 先ほど申しました文部省の学校給食におきます衛生管理調査研究協力会議でございますが、その中で学校給食の施設設備のあり方について今検討をいただいているところでございます。その結果を踏まえまして、学校給食施設設備の衛生面での望ましいあり方というものを示しまして、今後の整備指針として関係者に周知を図っていきたいということを考えているところでございますし、また学校給食施設設備の衛生管理について従来からの学校環境衛生の基準というものがございますが、これにつきましても施設の構造あるいはその調理場内の衛生状況、調理機械や食器としった設備の洗浄、保管状況等について検査を行っているわけでございますが、今回また基準の見直し等を行うことによりまして衛生管理の一層の徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  125. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今の御指摘は私なりにいろいろ考えるんですが、ある意味では今の日本の社会が、学校給食というのは学校というある意味では非常に限られた分野で、しかし大量に発生したわけですが、例えばいろいろ今仕出し屋さんなんかもかなり大規模化しているところもありますので、おっしゃるように、余り一遍に同じ食材を使わないとなると、小規模な単位で別々のものをつくるということにしなければならなくなるのかなと。果たしてそういうことが今のような流通経路なりいろいろな生活パターンで可能なのであろうかと。いわゆる規制緩和とかそういう趣旨からいうとやや逆行するような何らかのことを加えないと、そういう形にいわば戻すのはなかなか難しいのかなと。そういう点からいいますと、材料となるものをやはり徹底的に、そういうものから常在菌的にそういった危ないものがないようにしていくということでやることなのかなと。ただ、制度として給食とかそういったいろいろな大規模な食材のものについて、そういうものをもっと小型化するという考え方は個人的には私もあり得るのかなとは思うんですが、なかなかこれが行政とか法制度にのるかどうかということで言うと必ずしも自信がないといいますか、そんな感じもいたしております。
  126. 水島裕

    ○水島裕君 では、時間ですので一言だけこちらから申し上げて終わりにしたいと思います。  この問題にしましても、最近はエイズ、狂牛病、エボラ出血熱、それからレジオネラ、非常に感染症関係のあることが問題になっておりますので、先ほど大臣のおっしゃったように、予研の中に感染症研究あるいはいろいろ情報を出す立派な場所を、アメリカのCDCみたいなものをつくっていただければと思います。それとこの間問題になりました医薬品というもの、今、行革でもって物すごくスリムにすることは私も賛成でございますけれども、この二つだけはやはり日本ですごくおくれている、行政としておくれている分野じゃないかと思いますので、その点十分いろいろ考えていただければと思います。  いずれにしましても、エイズは昔故障した車をどこが悪いととまっている車を調べておるところでございますけれども、この現在のO157は走っている車のどこが悪いかというふうに今やっているところでございますので、これはエイズよりも厚生省の力量も問われるわけでございますので、ひとつ頑張ってやっていただけたらと思います。  では、終わりにいたします。
  127. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。  まず冒頭に、ぜひ大臣に一言国民皆さんにメッセージをいただきたいと思っています。    〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕  今回、この日時に参議院の厚生委員会O157問題についての集中審議をしようということを理事皆さんと御相談をしていた中で、どうも最近のO157問題をめぐる状況は、ある種のパニック状態というか過敏反応の状態というところがあって、例えばマスコミがレバーだと言えば焼肉屋さんががたっと落ちるとか、サラダだと言えば野菜のレタスやキャベツの生産地ががたっと落ちるとか、あるいは生もの、生水が危ないと言うとすべての生もの、水が危ないように受けとめられるとか、プールも入浴も危ないなどという形にもなってきつつあります。恐らく新聞に載るほどには、皆さん結構冷静に行動されているんじゃないかというふうに思いますが、しかしある意味ではあえてあれもこれも危ないという、そういう状況が非常に強調され過ぎているところがあると思います。もちろん、きちんと気をつけなければいけない点、それから今後きちっと究明しなければいけない点、徹底的に追求調査するという、やるべきことはやるとして今必要なことは、今後の対応策をできる限り冷静沈着に、かつ着実に実施していくと、こういうことではないかというふうに思います。  そういう意味で、この委員会における答弁というよりは、この場で大臣として国民皆さんに今の大臣という立場からのメッセージをぜひお伝えいただきたい、こんなふうに思いますからよろしくお願いいたします。
  128. 菅直人

    国務大臣菅直人君) せっかくの機会をいただいたんですが、ちょっと前置きで言いますと、これは今まさに朝日さんが言われたように、ある部分では多少過剰な反応もあるのかもしれないんですが、一方では、何といいましょうか、安心だ安心だと言えるところまでまだ来ていないという非常に難しい時期なので、なかなか割り切った言い方がしにくいわけです。  全体から申し上げますと、私は最低限幾つかのことを注意していただければ一般の生活をしていただいて何ら支障はないのではないかと。例えば、子供が夏プールに行くとかあるいは遊びに行くとか、そういったことがかなり何か少なくなっていると聞いておりますが、そういったところはそれぞれの施設がきちんとした管理をしていれば、そういった点ではそう心配をすることはないのではないかと思っております。  幾つかの点といいますのは、一つは、簡単に言えばよく手を洗って、食べ物についてはやはり加熱ということを軸にして注意をしていくと、そういった点を注意していただければ普通の生活をしていただいて何ら差し支えばないのではないかと思っております。  特に、行政ということで言いますと、先ほど来申し上げておりますように、当面、堺の大量発生という一つの問題について全力を挙げておりますが、それの感染経路というものだけではなくて、今、日本全体に流通している例えば食肉などの安全性についても順次チェック体制が進んでおりますので、そういった形で少なくとも全国的な拡大というものを抑えていける体制ができつつありますので、そういった点では、先ほど申し上げたような幾つかの注意をしていただければ全体としては普通の生活をしていただいていいのではないかと。    〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕  特に、子供さんなどでいじめといったようなことが起きたり、あるいは先日も、旅行しようと思ったら、堺からの人については何か嫌がられるなんというような報道などを聞きましたけれども、そういったことについては、やはりこれは余りにも過剰な反応であるということを申し上げられるのではないか、そんなふうに思っております。
  129. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 どうもありがとうございました。  現在、この問題は進行形で進んでいるわけですので、当面できる限り早急に対応しなければいけない課題と、それから今回の問題を通じて今後法制度上検討しなければいけない課題と分けて考えるべきだというふうに思います。  そこで、まず第一点にお尋ねしたいのは、今回のO157発生に関する情報の収集と解析と提供が適切になされてきているかどうかという点についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど来議論がありましたように、たまたまO157が主として食中毒、しかしもう一面、感染症という側面をあわせて持っているがためにこの情報の収集、解析、提供ということが必ずしもうまくいかなかった面があるのではないかという感じがしてなりません。  そこでお尋ねをします。  まず、厚生省としては食中毒の情報とそれから感染症としての情報とそれぞれ別に一応整理をされているようにお聞きしていますが、岡山発生した当初はまずは食中毒情報という形で恐らく収集されたんだというふうに思います。ところが、その食中毒情報が、例えばある行政のある部局には伝えられていたけれどもこちらの関係する部局には全然伝わっていなかったというようなことを現場の皆さんから時々お聞きするわけです。まあ、伝えたけれども十分受けとめていただけなかったのかもしれませんが。  そういう点で、仮に食中毒情報と限って考えたとしても、その情報が必ずしも的確に収集され、そして提供され受けとめられていなかったような面があるというふうに私は感じますが、この点どんなふうに受けとめられているのか、さらに今後どう対応されようとしているのか。
  130. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 一般的な点でまず申し上げますと、食中毒発生をいたしましたその情報につきましては、食品衛生法上、食中毒患者の診断をしたお医者さんから保健所に対しまして諸情報が寄せられるわけでございます。保健所におきましてそれらを取りまとめ、県を経まして厚生省報告をされるわけでございますが、今、先生指摘のようなそれらのルートにおける問題というのは、私どものところではまだかなり大きなトラブルがあったというふうには把握をいたしておりません。  ただ、例えば、私自身も経験をしたことでございますが、大規模に集団患者さんが発生をいたしますと、もう刻々情報が寄せられてまいります。それを的確に処理をしなければならない。その処理の速度に問題があった例を今回の事案で私も感じているところであります。したがって、今、情報の処理についていかに的確に処理し、しかも関係するところへそれを伝達するかということについては私ども十分勉強しなければいけないと思います。  それからもう一点、今回の事案で考えられますことは、当初は食中毒ということで私どもは一貫して情報収集に当たっていたわけでございますが、堺の例を初め、いわゆる二次感染と思われる、これはなかなか確定しづらいのでありますが、二次感染と思われる患者さんが出てまいりまして、これをどう扱うかという点につきまして確かに若干の混乱があったかもしれません。  今後は、関係部局に対しまして、これらの情報を共有する、一方通行で流すのではなくて一つの情報をお互いが利用するということで適正に処理をする、情報の価値の判断がそこで的確になされるというふうにも思いますので、そのようなことをこれから十分に心にとめまして対応してまいりたいと考えております。
  131. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次の質問の答えもあわせてお答えになったような感じがするんです。つまり、まず私は、食中毒情報としてどう的確に対応したか、次に感染症情報としていつごろからどのような形で問題意識を持って収集、解析、提供に取り組んできたのか、それぞれのレベルで取り組み方に問題があったかなかったかを点検した上で、その上で食中毒及び感染症という二つの側面を有する情報をこれから共有して有効に把握し、適切に提供していこう、こういう体制をつくってほしい、こういうことをぜひ申し上げたかったわけであります。  それでは、次の問題に移ります。  このO157の問題は、ある意味では、今申し上げたような情報の面でも、それから法律や制度の面でも、何かすき間をついたような問題提起だったというふうに感じられてなりません。  例えば、O157という大腸菌は牛などの腸内に普通にいる、普通にいるというか、〇・二%とかいろいろあるようですが、腸内細菌なわけであります。だからこれまでも一定の比率で多分いたんだろうと。先ほど来O157を撲滅しろという話があるんですけれども、多分この菌は牛の腸の中だけでは安定的に共生しているんだろうというふうに思います。ところが、これがいざ人間の世界に入ってくると今回のような同時多発的な、あるいは集団的な発生を引き起こした。  そこで、どのような経路でこれが入ってきてこのような同時多発的集団発生を起こしたのか、ここを探っていくのが最大の問題になるだろうというふうに思います。私はさまざまな障害があると思いますが、文字どおり草の根を分けてでも発生源をたどっていくべきだというふうに思っています。  ところで、農林省の方にお聞きしましたら、家畜には家畜伝染病予防法というのがあるというふうにお聞きしました。例えば、牛が生きている間は家畜伝染病予防法という法律の適用を受ける。ところが、先ほどもお話ししましたように、牛はこの大腸菌そのものを持っていても発病しませんから、だから牛にはO157という病気はない。大腸菌はいるけれども病気はない。したがって、家畜伝染病予防法の対象とはなっていない。じゃ、どこから対象になるのかと。屠畜場に行って食肉になった途端から今度は食品衛生法及び人間の伝染病予防法という形で今回対象にする、こういうことになるんです。  しかし、草の根を分けてでもその発生源をたどっていこうとすれば、屠畜場だけでとまつちゃったのでは、まだ途中ですよね。さらに、それが一体どこの牧場から来たのかというところまで追いかけようとすると、今の法制度上はいささかやりにくい点があるようだというふうに感じました。  これは、きょう農水省の方にあらかじめ通告をしておりませんから農水省の皆さんからのお答えはあえて求めませんが、つまり申し上げたいことは、例えば農水省と厚生省とそれぞれの所管する法律のすき間がある、そして厚生省の場合でも食品衛生法と伝染病予防法あるいは感染症とのすき間がある、こういうところをまさしくこのO157はついてきたのではないかというふうに思います。  恐らくこれは法制度上、今後検討を要すると思いますけれども、当面その辺をどのように克服されようとしているのか、この点をお伺いします。
  132. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 今、先生指摘ありましたように、牛肉などの食肉の汚染と申しますのは、牛などの解体をいたします際に腸管を傷つけますことによって腸管の中に入っております内容物が漏れて枝肉に付着するといったようなこと等が原因ではないかどいうふうに考えられております。  したがいまして、家畜の解体時に腸管を傷つけないように処理をするといったような措置、あるいは下痢などをしていない健康な家畜を屠畜場に搬入させることといったようなことが重要なことであろうというふうに考えております。  このため、七月二十六日に、各都道府県等を通じまして、体表にふん便の付着した動物や下痢をしている動物を屠畜場に搬入しないよう関係者を指導しているところでございます。このような家畜が屠畜場に搬入されないようにするためには、生産者の協力が必要でありますことから、生産者を指導する農林水産省にも御協力をお願いしているところでございます。  なお、先ほど来申し上げておりますように、屠畜場あるいは食肉処理場での各種の調査を通じまして、今の日本の食肉処理の対応の仕方が妥当かどうか、先ほど来国での食肉検査基準の大幅な改正のお話もございましたが、そういったものも実態調査の結果とそれから米国での状況等も踏まえまして私どもも十分検討してまいりたいと考えております。
  133. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次に、少し観点を変えて、それぞれの自治体、特に今回は堺市という市でこういう問題が起こったわけですが、そういう市のレベルでこういう問題が起こったときに、いわゆる公衆衛生行政を担う体制が果たして今どうなっているのかということについて、その一例を挙げながらお考えをお尋ねしたいと思います。  詳しい状況は私も把握していませんが、先日、与党福祉プロジェクトが現地にお邪魔したときに、市役所の皆さんのほかに保健所衛生研究所の皆さんからもお話を伺う、こういう機会をつくっていただきました。お話を伺いますと、たまたま堺市はそういう意味では市の保健所とそれから市の衛生研究所を持っている、そこでも今回対応はもうてんてこ舞いで、人もお金も足りないということで国やほかの自治体からの応援を受けて今一生懸命取り組んでいるところだという実態をお聞きしました。  そこで、私考えたんですが、例えば堺市と同じ規模のすべての自治体に保健所とか衛生研究所は果たして設置されているんだろうかと調べてみますと、現在の法制度上では、例えば中核市とかそういうきちっとした法令上の位置づけを得ていない自治体の場合には、相当規模の市でも保健所も持たない、衛生研究所も持たないというところがあり得るわけです。さて、そういうと.ころで起こったら今回どういうことになったんだろうかということを考えると、いささかぞっとするわけであります。  特に衛生研究所という言葉が先ほど来から何回も出てきておりますが、この衛研について言えば、現状では法律的な根拠あるいは設置の基準なども必ずしも明確には定められていないように思います。ぜひこの機会に、いろんなこれまでの検討経過があるわけですから、一気にこれこれというふうな考え方を示すわけにはいかないかもしれませんけれども、一定規模以上の市はこういう事態に積極的に対応できるように、そういう意味で保健所なり衛生研究所なり、こういうものをより多くより積極的に設置する方向での再検討が必要ではないか、今回はそういう問題を提起しているのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  134. 谷修一

    説明員(谷修一君) まず保健所のことについて申し上げますが、今お触れになりましたように、市がみずから保健所を設置する、いわゆる保健所政令市というのは現在三十五市が指定をされております。堺市と同程度以上の都市は、具体的には堺市の人口が約八十万人ということでございますが、すべてみずから保健所政令市として保健所を設置しているというのが実態でございます。  一方、またこの保健所政令市の基準につきましても、従来人口三十五万人以上と言っていたものを三十万人というようなことで先般改めておりますが、私どもといたしましては、一昨年の地域保健法の制定の際の経緯等も踏まえまして、保健所政令市への移行ということを図っていきたい、またあわせてこの地域保健法でうたっております保健所の機能強化ということについては指導してまいりたいというふうに考えております。  一方、衛生研究所でございますが、これは地域保健対策の中での技術的な中核ということで、そういう観点からの調査研究あるいは試験検査等を目的としているわけでございますが、これにつきましては政令指定都市を初めとして先ほど触れましたような堺市と同程度以上の都市ではすべて整備が行われております。ただ、保健所政令市三十五市のうちでは衛生研究所が設置をされておりますのは二十四の市でございまして、保健所と違いましてすべてに整備がされているということにはなっていないわけでございます。先生もお触れになりましたように、地方衛生研究所については都道府県並びに指定都市を中心にして整備をするといったようなことで現在のところ整備をしているわけでございますが、今後ともそれぞれの都道府県単位での衛生研究所の機能の充実を図るという形で進めてまいりたいというふうに考えています。
  135. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次に、関連いたしまして食品衛生検査体制の強化を求める立場から、さまざまな問題がありますから、その一つの例として、ちょうどO157の問題がございますから、屠畜場における検査体制の現状がどうなっているのか、例えば獣医師さんはきちんと確保されているのかというようなことについてぜひ現状を含めてお尋ねをしたいと思います。  ある獣医師さんにお伺いしましたら、食肉の検査についてもっと病原体検査を徹底すべきではないかという御意見を伺いました。先ほどちょっと話をしましたけれども、牛本体はO157を持っていても病気を発症しませんから、牛を見ている限りは病気の牛とは見えない。だから、そういう牛は病原体検査はしないんです。しかし、中にO157はいる可能性はある、こういうことなわけであります。  そういう意味では、屠畜場における獣医師さんの診断というか判断、あるいは適切な解体処理、こういうことが非常に重要だというふうに思います。生きている牛からいよいよ食肉になるその第一歩のところなわけですから、そこのところについて現状を含めて今後どんなふうに取り組んでいかれようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  136. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 屠畜場におきましては、食肉衛生検査を実施することは大変重要でございます。そこで、全国都道府県等に現在百四の食肉衛生検査所を設置いたしておりまして、そこで約二千四百名の公務員であります獣医師が家畜一頭ごとに疾病の有無を検査しているところでございます。  現在行われております検査といいますのは、解体前あるいは解体後にリンパ節等をさわる等によりまして異常があるかないかを検査いたしまして、もしも異常がある、異常の疑いがあるというふうな場合には細菌学的な検査あるいは病理学的な検査等々を行いまして、その結果に基づいて処理をしているところでございますが、先生指摘のように、すべての枝肉等につきまして細菌検査等を実施しているわけではございません。  そこで、先ほど来申し上げておりますように、七月二十六日から全国の屠畜場それから食肉処理場及び輸入肉を対象といたしました一斉自主点検O157についての自主検査を指導しておりまして、この結果を定期的に報告を受けまして検討材料の一つとしたいと考えておりますほかに、六月二十七日に設置した腸管出血性大腸菌に関する研究班におきまして全国の屠畜場における食肉あるいは輸入食肉等の汚染の状況、汚染の要因等について実態調査を現在行っているところでございまして、これらの結果を踏まえまして、いわゆるその微生物検査をどうするかということも含めて屠畜場におきます衛生管理について抜本的な改善方策というものを検討していきたいというふうに考えております。
  137. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 先ほどどなたかの委員からもございましたように、輸入食品も含めて食品衛生検査体制の拡充あるいは充実が求められているというふうに思います。  ところが、例えば規制緩和であるとかということもありまして、業者の自主的な管理にゆだねたり、あるいは食品衛生協会等に委託をしたりという流れで、この間そういう食品衛生管理体制あるいは検査体制というのがかなり緩やかになってきているような感じがしてなりません。果たしてこれで本当にその食品の安全が確保できるのかどうか、こういう点についても今の体制に対してある種の警告を発したのではないかというふうに私は受けとめています。そういう意味で、全体的な再検討を含めて検討をぜひお願いしたいと思います。  最後に、これはもう先ほど来から何度も話題に上っています話ですのでお答えは必ずしも求めませんが、現行の伝染病予防法の改正について要望を申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  一昨日、きょうも大臣の方からもお話がありましたけれども伝染病予防法に基づく指定伝染病として指定をしたい、こういうことでありますが、恐らく大臣も迷われたのではないかと思うんです。というのは、根拠となる伝染病予防法という法律そのものが、一言で言えば非常に極端な社会防衛的な考え方に貫かれた立法になっていると、そこに当てはめることにいささかのちゅうちょがあったのではないかというふうに思います。  そもそも伝染病という名前からして、患者さんやあるいは感染者、さらには家族の皆さんまでいや応なしに巻き込んだ形でさまざまな基本的な人権侵害にもつながりかねないような事態が想定されるわけですから、そういう意味では私は今回の伝染病予防法に基づく指定を受けたことについてある意味では極めてやむを得ざる措置というふうに受けとめています。問題は、むしろそういう古い法律をなぜもっと早く改正できないのかということにもつながると思います。  先ほど来いろいろWHOの話もあり、少しく丁寧に検討したいということもあり、例えば平成十年ごろにはという話もありましたし、いやもう少し早くしたいという話もありましたが、私としては、新しくさまざまな形で起こってきている感染症の問題を含めて、より今日的な感染症に対する総合的な対策の根拠となり得るようなそういう立法に向けてできるだけ作業を急いでいただきたい、こういう要望を最後に申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  138. 西山登紀子

    西山登紀子君 病原性大腸菌O157感染症に対します国民の不安は非常に大きなものがあります。特に、乳幼児を持つ親御さんの心配というのは大変なものです。私は、その不安にはやはり根拠があるというふうに思います。  それは安全であるべき学校給食から、しかも世界最大級と言われるような六千人を超える被害児が出ているという問題、そして重症患者や死亡者も出ているし、全国的にもその患者数というのはふえているわけです。私の地元の京都でも患者数は三十名、死亡者は成人で一人というような事態になっているわけです。だから、不安が募っていくわけです。そして、何よりも感染原因がまだわかっていないということ、これが不安を増大させている最大の原因です。  ですから、この感染原因感染原因というのは感染源感染経路、こうしたものを含めました感染原因究明というのが急務でありますし、従来の食中毒防止という観点だけではとても対応はできません。極めて重篤で危険性の高い感染症としての対策が必要となっているというふうに考えるわけです。  私たち党国会議員団も七月十八日に調査団を組みまして、私も堺市に行ってまいりました。市立堺病院や重体の子供さんの入院していらっしゃる民間の病院、それから現場の市の職員組合、教員組合、こういったところから現場の皆さんのお声も聞いてまいりました。関係者の皆さん、大変な努力をされているということが理解できました。  非常に残念なことではありますけれども、しかし堺市の例えば予防という点での対応は、岡山県の発生の教訓が生かされていない。調理現場から加熱のメニューに変更してほしいという調理師さんたちの声が上がっていたにもかかわりませず、二カ月前にメニューは決まっている、一括購入だということから無視をされまして、いわばO157については全く無防備というような状況があったとわかりました。初動のおくれ、それから医療機関の混雑や二次感染防止の不徹底など、堺市の対応につきましては市民の不信感は非常に強かったというふうに私たちは実感をいたしました。もちろん、対策を市長さんの方に直ちに申し入れをしてまいったわけですけれども、問題は、こうした堺市の対応のおくれというのは政府対策のおくれとは無関係とは言えないという点だと思います。  そこで、最初大臣にお伺いしたいわけですけれども、八二年アメリカO157集団食中毒発生をいたしました。国内でも九〇年には埼玉の幼稚園で事件が起こりました。専門家はそのときに既に警鐘を乱打しているわけであります。当時厚生省食中毒下痢研究班の班長であった阪崎利一さんという方が談話を出していらっしゃるわけです。その当時、研究班でも第一号患者を発見し、HUSを確認し、その感染症の重要性を指摘して対策を求めてきたのに生かされなかった、薬害エイズの二の舞です、遅くとも九〇年にはこうした今日の事態は十分予測できた、非常に残念だという談話を出していらっしゃるわけです。  厚生省は、このO157が重篤な感染症であるという点についての把握、それから認識に不十分さがあったと言わざるを得ないのではないかと思うわけですけれども大臣の御見解をお伺いいたします。
  139. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御指摘いただいている点で、きょうのこの議論すべてに関連するんですが、食中毒という問題と感染症というそういう一つの考え方として、食中毒対策に重点が置かれて感染症対策がおくれたのではないかという御指摘と、もう少し言いますと、この阪崎さんという方は私もお会いしましたし、朝日の「論壇」に、ここにもありますが、この方はどちらかといえば、O157それ自体がHUSなどを招く、そういう重篤な合併症のもので、感染症であるとか食中毒であるとかというよりも、食中毒であってもこういった性格を持った重篤な合併症を招くので十分にもっと注意が必要でなかったかと、そういう御指摘だと私は受けとめているんです。そういう点では、先ほど来申し上げているように、一方では感染源の特定がなかなかいろいろな幾つかの理由でできにくかったことと、一方では合併症に対する治療方法が確定していなかったために必ずしも的確な医療機関の合併症に対する対応についてやや戸惑いがあったと、そういう点ではすべてが十分であったかといえば、不十分さがあったと思っております。  ただ、政府がこの問題についてきちんとした対応ができなかったという御指摘については、先ほど来申し上げているように、まあ時期的には比較的早い段階から動いていたんですけれども、今のような問題があって、結果において必ずしも迅速に的確な指示が出せなかったという点では若干の問題があったかと思っておりますけれども、その理由も今申し上げたようなところで御理解いただきたいと思います。
  140. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は説明にはなっていないというふうに思いますけれども、次の質問に移らせていただきます。  政府O157指定伝染病指定をするというふうに、限定適用という方針を固められたようですけれども、これはOの感染力、これは一次感染力が非常に強いということや、症状が非常に重篤であるというところからも私はやはり必要なことだというふうに考えるわけですけれども、これだけでO対策がすべて解決したということにはならないと思います。とりわけ、今、国民の不安を取り除くために最も緊急で必要なことは、堺の市議会あるいは大阪府知事、京都の市議会もそうですが、意見書を出してこられておりますように、やはり堺市のこの原因徹底追求と、それから全国的な疫学調査を行うことによってこの感染原因をきちっと究明するということが第一に必要だろうというふうに思います。  それから二つ目、先ほど来御議論がありましたけれども、今でもいじめなどの心配が現実に出ているわけです。伝染病指定をいたしますと、今は治療方法もまだまだ未解明であるわけで、健常な保菌者もあるわけです。ですから、この運用に当たりましては人権侵害だとか、それからいたずらな不安を地域住民に与えないような慎重な配慮が当然必要だというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
  141. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 腸管出血性大腸菌感染症指定伝染病指定に際しましては、人権に配慮し、隔離等を伴わない限定適用とすることといたしております。特に、不必要な就業制限がされないようにガイドラインを作成したり、立入権の乱用を防止するため、伝染病予防上必要とされる場合を明示して周知することといたしております。  また、腸管出血性大腸菌感染症は、従来の法定伝染病指定伝染病と違って隔離の必要性も少なく、二次感染防止食品取扱者及び用便後における手洗いの励行等、一般的な予防対策の実施により十分可能であることを広く啓発、周知を図り、偏見や差別が生じないように努力をしてまいりたいと思っております。
  142. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、Oの予防対策というのは、疾病とか病原菌の国際化に対応した対策が必要であるというのは今までも議論がされてきた点であります。  このOはアメリカ食肉、特にひき肉が感染源であるというようなことが指摘をされているわけです。肝心なことは、八二年のアメリカ集団食中毒事件が起こった後も、米国で年々HUSなどの重症患者さんが二万人以上は出ているんじゃないかという推定がされているわけです。ですから、この輸入されている牛とか食肉に対しまして、Oに着目をした検疫が当然私は必要だというふうに考えます。日米構造協議で合意されたのは輸入手続の迅速化ではあるわけですけれども、この食の安全というものはそれでは十分だったのかということが私は問題になろうかと思うわけです。  食肉の自由化というのは一九九一年なんですけれども、その輸入量はどうかということを農林省にお聞きをいたしました。輸入量というのが非常に急増をしております。一九九一年に自由化が始まったわけですが、そのときの統計は、四月の一日からですが、輸入量はくず肉も含む牛肉全体で約三十五万トン、うちアメリカは十五万トンですから約五〇%弱がアメリカからの輸入量であります。一九九二年から九五年、年間の量をずっと見てみますと非常に急増していっておりまして、年間の輸入量全体をとりますと、九二年と九五年を比較いたしますと、およそ一・六倍に牛肉の輸入量というのはふえているわけであります。そのうち、学校給食にも当然この輸入牛肉というのは使われていると、昨年千二百トンが使われているというふうに聞いているわけです。  ですから、もちろん国産の牛肉が安全というふうにはもういかない。Oは日本全体に定着をしているというふうに見られるわけですけれども、しかしこの指定伝染病の限定適用を機会といたしまして、当然この輸入牛肉の検疫、Oを含む検疫を行ってこういったものの感染を水際で防止するという策もまたどうしても今緊急にとるべき対策だというふうに思いますが、どうですか。
  143. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 輸入食肉に関しまして、病原性大腸菌Oの検査の関係でございますが、平成八年七月二十六日の屠畜場及び食肉処理場衛生管理の実施に合わせまして、牛肉を輸入する業者に対しまして病原性大腸菌Oの自主検査を実施するよう指導しております。その結果、Oによる汚染が判明をした場合には食品衛生法に基づいて必要な措置を講ずることといたしております。  また、七月半ばから、東京と大阪の検疫所で採取した牛肉につきまして、横浜と神戸の二カ所の輸入食品・検疫検査センターに送付いたしまして、病原性大腸菌Oのモニタリング検査を実施しておりまして、自主検査と同様に病原性大腸菌Oによる汚染が判明した場合には法に基づく必要な措置を講ずることとしておりまして、輸入牛肉につきましても病原性大腸菌Oの検査を推進し、その安全性の確保に努めているところでございます。
  144. 西山登紀子

    西山登紀子君 従来の御答弁の繰り返しなんですけれども、私はそれでは納得するわけにはまいりません。非常に緊急な事態であります。  ですから、私は厚生大臣にお願いしたいわけですけれども、先ほども場合によってはとか結果を見てというふうなお話大臣のお口からありましたけれども、しかしそうではなくて、きちっとした検疫体制をまずやって、そして何もなければそれはそれでいいわけです。だけれども、やはりこういう危険性が現実に起こっている段階では大臣の英断が必要だと思うんですね。ぜひその点を大臣の口から、御自分の口から提案をするということをお約束していただけませんか。
  145. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 国内産の肉あるいは輸入肉ともに、今、局長から申し上げたように、自主検査なりでそれぞれ同じように点検に入っているわけです。ですから、確かにさらに強い強制力を持った検査ということも場合によっては考えなければならないかもしれませんが、それは今行っている自主検査の結果が近く出ますので、そういったものを見定めながら次の段階で検討していきたい、必要になればそういったことも考えなければならないと思っています。
  146. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は薬害エイズの問題でも大臣にいろいろと質問をしてまいりましたけれども、やはり必要なときにはその権限もしっかりと使っていただくということを再度お願いしておきたいというふうに思います。  それでは次に、時間がありませんのでちょっと質問を飛ばしまして、感染者のうち非常に重症になりますHUSという問題なんですけれども、私も堺に行ってみて、このOというのが非常に危険な感染症だなというふうに認識をしました。例えば、その治療法につきましても、ある病院のお医者さんは十分な経過観察と症状に応じた治療をしておけばこのHUSへの移行を防げるというふうなこともおっしゃいます。しかし、別の病院では、HUSへの移行というのは本当にわからないものでありまして、元気にファミコンをやっていた子供が急に午後からHUSになつちゃうというようなこともあるんだというようなお話もある。だから、そういう点でも非常に不安になるわけですね。一度外来で帰った子供がまたHUSになる、本当に親御さんとして見た場合に不安で仕方がないというふうに思うわけですよね。  ですから、もちろん感染を防がなければなりませんが、感染した場合に重症にしない、ましてや犠牲者は出さないというふうな治療法の確立というのが本当に急を要しているというふうに思います。ですから、治療法の確立あるいは治癒の判定基準なるものに精力的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
  147. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) このOによる感染症は、今、先生がおっしゃったように、HUSという重い症状患者さんが大体六から一〇%ぐらいあると言われております。それもまた元気な子が急に今おっしゃられたように突如として悪くなるということがあるわけであります。  そういう意味で、治療指針を何とかまとめようということで、先ほども答弁申し上げておりますが、その中に実は急に悪くなる前に検査でもって何とかわからないのかということをポイントにして学者の先生方と今議論をしておりまして、何とかいい方法が今はあるということで先生方の合意が得られそうでございます。そういうことをして、これは今のところは簡単に尿検査でもってまず疑いから始まってと、こういう段階で行けるわけですけれども、そういうようなことを講じて、HUSを予防できるというところの学問まではまだ行っていませんけれども、HUSになりそうな危険が近くに来ている子供たちを早く専門医に見せるべく検査を何をすべきか、そういうようなことを含めたガイドラインを今つくろうと思って、これは大臣から今週中にということで、きょうは本当はその調整に駆けずり回っているはずだったんですが、ここに出ておりますので私の部下にやっていただいておりますけれども、そういうところを今何とかうまくまとめて今週中に出そうと努力をしているところでございます。
  148. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、大臣に三点お伺いいたします。  特に、対策につきましては予算も含めて万全の対策をお願いしたいわけですけれども、私の地元からも、例えば老人ホームや保育所などの福祉施設などから、先ほどもお話ありました保冷庫などの設置に対します財政的な措置を行ってほしいという要望、これ具体的に挙がっております。  それから、例えばこれは文部省の関係だと思いますが、二学期から学校給食を安全にやっていく場合に保冷車、運送する場合の保冷車がない、それから清潔な保管庫もない、こういうのが堺の実態であったわけですけれども全国的に見てもそういうことがないように安全な学校給食、秋から安心して行えるようにする措置をとる必要があるだろうというふうに思います。ですから、この点も大臣のお口から閣僚会議の方でも提案をしていただけないかということが二つ目。  それから、中小業者の皆さんの経営が非常に、特に魚屋さんとかお肉屋さんとかの営業に影響が出ているということで関係自治体からも要望が出ておりますので特別の金融対策などを、これも厚生大臣の方から閣僚会議の方に検討を提案していただけないか、この三点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  149. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ちょっと順番が逆になりますが、三点目につきましては、このO157の問題でいろいろな影響が出ることについて、せんだっての関係閣僚会議でも特に総理の方から中小企業者に対する影響について調査をして必要な措置を講ずるようにということで通産省を中心に指示が出されております。飲食店等、融資などを含めてどういう形で経営に対して影響が出ているか、それをどうすればいいか、これは府知事からも総理に直接に陳情があったと聞いておりますし、私も府知事から聞いておりますので、これは閣僚会議でもう既に取り上げているということで御理解いただきたいと思います。  それから、学校の給食のより安全性を強めるという問題は、もちろんこれは文部省の方も直接それを監督する立場でやっておられると思いますが、これは私の方からも直接保冷車が必要であるとかないとかという言い方になるかどうかは別として、給食を再開する場合の安全性の確保という点は当然厚生省も考えなきゃいけない問題ですので、それは指摘をさせていただきたいと思っています。  それから、最初の保育所や老人ホームの冷凍冷蔵庫については先ほど他の委員の方の御指摘もありました。通知は出したけれども実際にはそれがなかなか実現しないというのでは通知を出した意味がなくなりますので、それが適切に実行できるような形でどうすればいいのか、財政措置の問題もあるかもしれませんし、あるいは温度の設定とかいろんな問題で実質的な効果が、つまりは二週間きちんと保存できればいいわけですから、実質的な効果があることでより実効性が保てるようなやり方があるかどうか、これは十分検討して何らかの対応をとっていきたい、こう考えております。
  150. 上山和人

    委員長上山和人君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会