○
上野公成君 公営住宅の大きな根幹の
制度そのものについては以上で終わりにさせていただきますけれども、もう
一つは
高齢者の問題、
高齢化社会に対する取り組みといいますか、このことについて御
質問させていただきたいと思います。
今、介護保険が非常に問題になっております。いろんな議論が、市町村に任せるのはちょっと大変じゃないかとか、反対の大合唱みたいなものも市町村長さんの間にあるようでございます。しかし、介護保険というのは
負担の問題だけでも、
負担をしてもドイツなんかはいろんな
意味でもうパンクしているわけですから、この
負担の問題以上に、あるいは同じぐらいと言ってもいいと思いますけれども、きちっとしておかなければいけないいろんな問題があるんです。
私は、デンマークヘよく行くんです。在職中にも三回ぐらい行ったんですけれども、やめましてからは、官僚の皆さんとは違って、行きたいとき、
国会閉会中ならいつでも行けるものですから年に二回ぐらい行っているんです。それで、なかなか役所の出張では余り深いことまでわからないんです、ざっとあれしてね。言葉の問題もありますしね。しかし、毎年行っていると、向こうにいろんな知り合いもできるし、どんどん、だれだったらデンマーク語をちゃんとうまくつないでくれるかということもわかるので、役所にいたときにはわからなかったこともいろいろわかってきたんですよ。
それで、デンマークは先進国でありますけれども、一番最初に養老院の起源ができたのは一七一〇年。一七一〇年にもう、これ江戸
時代ですから、江戸
時代でも
相当前の方ですね。それで、一八九一年、ですから明治二十四年には救貧法という
法律ができまして、年金をもらえるか老人ホームにはいれるかどっちかを選択できるというようなことが明治二十四年にもうあったんです。その後ずっと進んできているわけですけれども、しかしデンマークへ行ってみますと、だれでもが
住宅に入りたいが、老人ホームに入れないんです。もう本当にみんな待っているんですよ。だから、もう非常に天国みたいなことを書いている人がいますけれども、そうでもないんですね。何年も待っておって、九十何歳の人がまだ待っているというのもある。
それで、今までのそういう一七一〇年の養老院、これ領主が領民のためにつくったんです。そういうお慈悲の
制度でやってきたわけですね、慈悲の心。それで、慈悲でずっとやってきたのがずっと続いてきたんです。老人ホームをどんどんつくってきたんです。しかし、老人ホームへ老人をいっぱい入れていると、これ金もかかるんだけれども、みんな元気がなくなるんですね。それで、何か老人ホームに行くと何となくみんな元気がない顔をしているので、やっぱりこれじゃいけない、これは金もうんとかかるということもあるんですけれども、それで一九八八年、八年ほど前になりますが、
高齢者住宅身体
障害者住宅法というのができたんです。
それで、これからは養老院はもうつくらない、老人ホームはつくらない。困っている人は本当に
高齢者住宅に入れる、
住宅のない人はですね。そうじゃない人は在宅でやる。それがお金もかからないということの方が大きいような気がするんですが、表面的には向こうの政府の人はそう言いませんけれども、しかしその方が生き生きとした、老人が本当にそういう
生活をできるということであります。
それで一九八八年に、それまでは社会省が全部やっていたんですが、その
高齢者住宅、
住宅の施設は
日本でいう
建設省が全部やる、そしてソフト面は全部社会省がやる、そういうふうに分けたんです。
それで、
高齢者の問題をあれするためには、これは簡単に言いますけれども、それをやるために向こうでは地方分権というのをやっているんですね。一九七〇年に、
高齢者対策を進めるのは、それを
担当するのは市だ、市町村だと。それまで千三百八十八市があったんです。だけれども、その市には大きな市もあるし、小さいような市もあるし、それぞれの能力が全然違うから、だからそれを二百七十五に編成がえしたんです。ほとんど同じ能力を持つようにしたんです。その上で税金の半分は市にやって、そしてそのかわり責任を持って
高齢者対策をやれ、こういうことになったんで、今の
日本の状態で市町村に全部責任を持たせて、既に半分以上が六十五歳以上のところもあるんだから、そんなところに保険だなんというようなことはおかしいんですよ。これはここで言うことじゃないからいいけれども。
それと、施設が圧倒的に必要なんです、施設が。
日本は
高齢者がこの倍ぐらいになるわけだから、この倍の施設が要るんですよ。それから物すごく人が要るんです。これは人が少ないのはデンマークでさえ悩みの種なんです。だから、このことをきちっとやらないと、
幾ら保険をやったりゴールドプランだとかといっても、あれは二〇〇五年ですから、二〇二五年にピークに来るわけです。
そこで、その施設についても本当に大きな問題なんで、これは
建設省がやったらいいんじゃないか。それは
厚生省は自分で抱えていて何もできないというのじゃこれはうまくないんですね。せっかくさっき言いましたように三百万戸の
ストックがあるわけですから、それをこれからは、なぜ高額
所得者は出ていけ、出ていかなきゃいけないと言ったのか、これは本当に困っている
高齢者のために大事な施設だからそういうことを申し上げたのでありまして、そういう
意味で
住宅はやっていけばいいと思うんです。
もう
一つ、施設の大きなものにデイセンターというのがある。デイセンターというのはお年寄りだけが来れるわけですけれども、そこでいろんなことをやっているんですよ。九十何歳のおじいさんが毎日来て絵つけをしているんです。来た人は本当に生き生きとしているんです。これは五万ぐらいの都市に私は行ったんですけれども、きのう東京都千代田区の生き生き何とかというところに行ってきましたけれども、ちょっと圧倒的に違うんですね。やっぱりああいうものをつくって生き生きとするということが、介護老人の数も減るとか生き生きとした
生活ができるということになるんで、これは
厚生省に頼るんじゃなくて、特にまた
公営住宅や
公団住宅は集会室というものがあるわけですから、それをそういうセンターにどんどん衣がえしていく、何もないところにも施設は
建設省の方でやっていくというようなことをやれば、
高齢者対策、三つか四つの柱の
一つだと思うんですよ、施設を
整備するということは。
厚生省で本当に、
局長やなんか余りいないんでまた
厚生省後であれしますけれども、そのことをちょっとまずお聞きします。