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赤桐操君 どうも余りはっきりしていないように思うんですけれども、これは
建設省側だけの理由ではないと思います。
さかのぼりまして、これが私どもの
予算委員会で論議されたのは昭和五十二年の
予算委員会です。ここで実は、当時は長谷川四郎さんが
建設大臣でいらっしゃって、私が事前に長谷川大臣とも随分話し合いをいたしましたけれども、しょせん
予算になるということでございました。
特に、ちょうどそのころ、五十二年というと
住宅公団の公団家賃が大分上昇を始めておりまして、これはちょっとまずいじゃないかという批判が出ておりました。たまたま千葉県の八千代市に村上団地という団地が、これは大団地でございますが、八万戸でき上がることになって、五十二年前後にも大体工事が行われておりましたが、ここで初めて明らかにされたのは傾斜家賃でありました。このときの家賃の額を申し上げるというと、七万円から十一万円という傾斜家賃です。最初入居時は七万円だけれども、それがだんだん上がっていって十一万円まで到達する、こういう家賃方式を採用するということに相なりました。当時の千葉県下における公団家賃の大体の相場というのは、同じ十八坪ないしは二十坪くらいのものは大体四万円台であったと思いますね。四万から四万二、三千円くらいになっていたかと思います。
そういう
状況の中で、七万円からスタートするということは、これは実は施設その他もかなり新しいものでぐあいのいい団地になるようでございましたけれども、いささか庶民感情からすれば隔たりがある、大変な距離感があるということで、これを実は取り上げて私が南部総裁と話し合いをいたしたわけでありますが、
住宅公団には見解がございます、公団には公団としての規定がありますからこれを超えてそれを安くするとかそういうことはできませんということでございまして、残念ながらこれは総裁との話し合いの中ではうまくいかなかった。
これは
予算委員会で本格的に論議する以外にない、そういうことになりまして、私が五十二年の
予算委員会でこの問題を取り上げて、具体的に具体例として申し上げたことを記憶しているわけであります。
そのときの
状況の中では、公共負担分とそれから金利の問題で、やはりこれは公団に対して国が政策的に援助しなければできない、私はこういうふうに判断をいたしたわけであります。したがって、公共負担分については公団にこれを全部任せないで、もっと具体的に言えば、家賃に組み込むことをやらないで国と自治体がこれを持っていく、そういうことを考えるべきだと。特に、
住宅公団は
政府の実施部隊ですから、これは国が持つ以外はないでしょう、こういうように考えたわけです。
〔理事石渡清元君退席、
委員長着席〕
それから、もう一つの金利の問題について、当時一%下げるとかなりの家賃の低下を図ることができたんですね。かなり高い金利を使っておった。あの当時、財投の金が五・五%でしょう。それで、公団が用地買収に使っておった金は七%から八%前後に至っておったと思います。こういう
状況の中では、これはとてもじゃないけれども安くしろといっても無理だ、こういうふうに考えて、金利の補てんをすべきではないかということも私は考えた。
その前に実は申し上げることになりますが、四十八年、これはちょうど私が選挙に出る前の年でありました。四十八年にたまたまソ連との話し合いがございまして、材木の問題等がございまして交渉に出たことがあります。これは、一週間モスクワでいろいろ折衝が行われて話がまとまって私はパリに入ったのでありますが、このパリで私が見たのはHLMのやっておりました
住宅の実情ですね。それからドイツでは、同じように生活協同組合が中心になっておりました
住宅建設、この
状況を視察いたしたわけでございます。
この中で、フランスの
住宅局長と私との間の話し合いでは次のようなことを覚えております。金利についてはどのくらいかと。これに対する答弁は、一ないし三%。これがフランスにおける
住宅建設の場合の金利でございます。今もこれは変わりがないようであります。それから、さらにドイツに、当時は西独でございましたが、西独においても同様の答弁でありました。
それから、ドイツにおいては、特に私は現地の
建設の
状況、新しい現場のあれも要求したのでありますが、同様にフランスにおきましてもパリ郊外の大体三十キロくらいのところに五つの衛星都市が
建設される
計画がございました。イブリーというところで
建設が着工されているところなので、そこの現場に参りまして実態を
調査したのでありますが、そのときの結論として現場からはね返った答えは、金利は一ないし三%と。さらに、公共負担分についての私の問いに対しては、日本の場合においては大体受益者負担として公共負担分は全部かぶっている、しかしこちらの方ではどうなっているかという質問に対しては、受益者負担とは何か、こういうことでわからなかった。これを
説明するのに大体二十分ぐらいかかったですね。それで、現場の
説明をしてくれる所長さんと課長さんが納得した結論としては、何のために税金を納めているんですかと、こういう結論であったわけです。
フランスではそういうことはありません。フランス
政府と州
政府でこれは全部責任を負っております、したがって公共負担分については一切なしと。これはそういうやり方をとりません、金利は一ないし三%と。なるほどこれは一つの政策だ、こういうように私は考えた。西ドイツにおいても同様の答えが返ってきた。大体、ヨーロッパはほとんど全部共通してこういう考え方に立っておるようでありました。基本理念がそこに一つあったと思いますが、とにかくこれはヨーロッパ全体の考え方として共通しておったようであります。それが公共負担分についての負担の割合と、それから金利の問題、こういうことで出てきておったと思います。
こういう
状況でありまして、したがって私は、この
委員会で金利の低減を図ること、さらにまた言うなれば公共負担分の低減を図ること、こういうことを要望いたしたわけであります。特に公共負担分については大きいですよ。
これはちょっと時間がかかりますので余り詳しく述べるのは避けたいと思いますが、例えば十万坪の
土地を公団が買収し、あるいは民間が買収している。本当に団地をつくるということになったときには公共負担分が五割ですよ。純粋の
住宅用地は五〇%しかないですよ。それで、
道路とか
公園とか学校とか、あるいはまた遊水地とか、こういったものが全部そこに入ってくるわけです。それは一切用地費の方にかけられてくる。だから、
土地費そのものがもう認可になると同時に倍になる、これが実態じゃないんですかね。
さらに、そこに加えて金利が入ることになる、あるいはまた造成費が入ってくることになる、事務費が入ってくることになる。民間でいえば、今度はもうけが入るでしょう。そうしたものが全部重なってくる。これが全部用地費にかぶさってくる。こうなれば、用地費が一坪単価三万円で買ったものであってもこれはもう販売するときには恐らく七、八倍のものになるんじゃないでしょうか。これはもう常識ですよ、どう考えてみてもそうなるんです。
ですから、日本のこれからの
住宅政策から考えたときに、
政府の実施部隊である公団が少なくとも家賃の計算の中に公的負担分を入れるということについては避けなければならぬのではないか。あるいはまた、金利についても、大体アメリカも含めて西欧各国が考えることは一ないし三%、高くても三・二、三%程度ということになるならば、これは日本においてもその三倍ぐらいの金をかけて公的
事業団体が行うということについてはおかしな話ではないのか、こういうことになると思います。
これが大体時間で約二時間ぐらい論争したと思いますけれども、このときに村山大蔵大臣の答弁は、わかった、関係省庁からもう一度やってもらいたい、こういうことであったはずであります。そういうことで大体このときの論議は終了したのでありますが、その後、長谷川大臣がおやめになるときに私に、
予算に入りましたよと、こういうことで帰られたのであります。
後で、
住宅局長からお伺いしたところ、三百億計上されております、しかもこれは毎年三百億ずつ上積みされることに相なっておりますのでと。そうですが、そうすると十年たつと三千億になるのか、私は三百億程度のものであっては今の需要にとてもじゃないが焼け石に水だと思うけれども、それは時間をかげながら、繰り上げてもひとつ計上してもらうようにこれからの努力を重ねる以外にないということで当時の
住宅局長さんのお話を伺った経過がありますが、そういう
状況なんです。
ですから、私は正直申し上げて、こういう考え方をするならば、少なくとも民間の場合にはこれはどのぐらいもうけがあるんだということになりますから余り適切な例になりませんけれども、公団の例で話をするならばこれ以上透明で明確なものはないと思うんですね。しかも、これは
政府の政策の実施部隊ですよ。ここに少なくともすべてのものがあらわれてこなければならぬはずであって、そういうような考え方で今日までの経過を考えて、当時は三百億が適当な額であったかもしれない、十七年たった今日においては
住宅の価格も大変上がってきている、
土地費も上がってきている。そういう中である以上は、もっと本来ならば三百億を引き上げなきゃならぬはずではないかと思うんです。
ですから、三百億のままで来ても今日になれば少なくとも五千億を超えることになるだろうと当初私は申し上げたんですけれども、本来物価の
状況その他から比較するならばもうこれは一兆を超えていますよ、この金は。そのくらいの腹を据えてかからなければならない大きな政策であったと私は考える。
局長、いかがでございますか。