○
守住有信君 厚生
大臣、お聞きでしたか、合併浄化槽は抜けておりますよ。二つ言いました。三つ目が抜けておった。今もそのような
認識なんです。
私がいろいろ調べましたら、
厚生省のルートは、保健所はきちっといっておりますね。家庭婦人の方々にいろいろ講演をしたりパンフレットを置いたり、合併浄化槽についてですよ。ところが、役場に行きますと、建築
関係、これには何もパンフレットを置いてない、合併浄化槽について。そして、議員の諸君たちも町村長も、下水道はよう知っております。ところが一方じゃ、かつて下水道事業団の談合問題が、あの流れがずっと地域の中にも来ておる。こっちは零細でしょう。こっちはそれなりに地域でも大手の方でございます。土木屋でございます。
そういう面をいろいろ見ると、役場に行っても建築、土木
関係、パンフレットは置いてない。離れた保健所に置いてある。家庭の御婦人には大いに啓蒙しています。家庭の御婦人方も生活環境、浄化問題というのは非常に
関心を持たれる。ところが、家を建てるとき、建て直すとき、やっぱりおやじの方が実権を持っておる。それからまた、住宅産業、これは建設省ですよ。その下請なんですよね。だから、そういう建設産業と下水道のグループというか工事会社、メンテナンス会社、これとの連携も実は余りできておらぬなということも
感じたわけでございます。
それと同時に、各
省庁がまず自分のシンクタンクを使ってコスト対効果というものを出してみる、そしてそれに対して今度は大蔵省がみずからのシンクタンクも使いながらよくその特徴を分析していく。やっぱり適地適作なんですよ。都会地、都会地の近郊、ずっと平坦地域、中山間地域、農業政策と同じなんだ、これは。それを一律パーでやってね。
九月十日は下水道促進デーですから、日経新聞にも大きく出ておる。それから、次の日はスポンサーがいっぱいついて、そして統計数字は下水道だけの数字なんです。これはよその県は怒りますよ。徳島県、下水道だけで見ておるから何と九%、和歌山県八%、ほかもいろいろありますよ。それだけのグラフなんです、下水道だけから見たグラフ。下水道類似施設だ、あと二つは。下水道だけの視点で出ておる。あとはスポンサーが山ほどありましたよ、下の方に。両方よくごらんください。日経新聞だ。日経も偉そうなこと言って批判するけれ
ども、やっぱり大手が後ろについておるのかなと、こういうふうな気まで出てくるわけですよね。
そして一方では、これはきのうもお話しになっていましたけれ
ども、公共事業の非効率さの例としてこの写真、鳥取県日吉津村、農水省の下水道処理、農業集落と建設省の公共下水道が隣り合わせで川の横のところで同じようにやっておる。そして一軒一軒は合併浄化槽。
それで、やっと最近
厚生省は自治省と組まれて、まずは特定水源地域をやった。一番川の源流、水資源、清流、わき水、この地域の生活排水をまずやろうということで、
厚生省と自治省が一緒に組んで法律もつくられた。そして、ずっとこれが進み出して、自治体自体もみずから事業主になって、特に上流の方ですな、水源地域、合併浄化槽は。農林は農林であれはリサイクルできる。こっちも小川に流してリサイクルできますけれ
ども、それぞれのあれがある。建設省も近ごろは下水道も水資源という角度で、渇水の
事態を迎えていろいろな手法を来
年度に向かって組んでおられるようですけれ
ども、雨水貯留浸透とかいろいろありますが、これはなかなか立派だと思います、建設省としての取り組みの下水道。
ただ、一番根っこのところの、私が知っているのは例えば熊本県、細川知事時代の下水道マップ。そうすると、そのマップで勝手に町村に絵を描けばいいんですよ、市を
中心に。そうすると、ここは合併浄化槽はつくらせぬと、こういうことなんだ。それで細川とけんかして、何だいと言って、すぐ翌週の月曜日だったか記者会見して訂正させたんですけれ
ども。もう具体的にそういう、一熊本県だけじゃないですよ。それが
全国的にある。
最近、十年前から合併浄化槽は開発されて、しかもこれが一軒一軒なものですから、なかなか浸透しないんですよ。そして町村長も余り知らぬ。下水道はよく知っておりますよ。田舎の方に行くと農業集落排水施設はよく知っておる。その真ん中の一番のところ。それで、私は経済効果というもの、コスト対費用、橋本総理もいつもおっしゃっておるはずですよね。それを三つの方式があるから、どこを適地適作でやっていくかというのをコスト効果から分析して、シンクタンクをそれぞれ手前持ちだからこう出すでしょうけれ
ども、それを最後に大蔵省主計局がさらにみずからのシンクタンクで三者を分析して、そして資源配分というか財源配分を本当に適地適作でやってもらいたい、こう思っておりますから、私の主張だけで、きょうは水俣病の問題がありますから、この
程度に下水道関連はさせていただきます。
それで、それ以外にも一言だけ。
これはやっぱり切り抜きですけれ
ども、東大の宮島教授がこういうことも言われておる、最後のところで。これは結論は「複数
省庁による予算共同要求の導入」というようなことで、最後のところで「例えば下水道については、建設省と農水省があらかじめ調整を行った上で共同要求するというように、複数の
省庁で事前に調整し、共同要求したものでないと認めないという
やり方に変えて行く。」、あるいはプロジェクト要求。ここにも合併浄化槽は出ていないんです。東大の教授も知らないんだな、入っていない、これには。この間の読売ですけれ
ども、宮島教授。これだけをつけ加えておきます。
さて、水俣病の対策。もう四十数年になりますかな、皆は猫曲がりと言って、ちょうど四十三年ぐらい前は私は水俣で郵便
局長をちょっとしましたものですから、あの水俣湾、猫が魚を骨のまま食って、その次は胎児、お母さんの子供、それが今四十何歳ですけれ
ども、死んだ人もおる。それがだあっと広がった。水俣湾だけならまあまあだったけれ
ども、それがずっと鹿児島の方から芦北からもちろん天草まで、そして新潟の阿賀野川もある。水銀。盛んに議論して、無機水銀が何で有機水銀になるかとか、学者の方もあれでございました、プロセスはやめますけれ
ども。いろんな患者団体あるいは弁護士団に私もいろいろ話を聞いたり、普通の大衆社会の話も聞いてきました。
やっと去年の十一月ですか、村山総理が決断された。やっぱり違うな、大分湾の漁民のせがれだと、実はそういう思いでおりまして、大きな峠を越しました。あらゆる患者団体が、いわゆる二百六十万ですけれ
ども、
医療補償等もずっとやっていくわけですから納得して、私も患者団体や弁護士団といろいろあれしておりましたけれ
ども、やっと峠を越した、この長い悩みが。世界の公害の原点。
ところが、残った問題がまだあるわけでございます。
一つはやっぱり水俣、芦北等を
中心にする地域社会。今、もやい直しという言葉で、これは地ごろの熊本県の方言でございます、もやい直し。もやいとは何だ。船のとも綱でございます。いろんな糸がまじり合っております。その糸も昔の糸だ。一般の住民と患者団体や各家庭とかいろんなあれと長い間の怨念みたいなものと、こっちの反発がある。それを今もやい直し運動ということで、水俣市長以下、あそこの三町長が一緒になりまして、下から、住民からというのが基本になってございます。もやい直しという運動。
さらに、それに対応して水俣・芦北振興計画。もう第三次に入っております、第一次、第二次と。ところが、あれが閣議了解だものだから、どうも各
省庁の中で余り
認識が入っておらぬ。例えば道路整備にしましても、八代からずっと水俣、芦北、出水、阿久根とずっと鹿児島へ、地域でございますよ、それも建設省の九州の枠の中、これでやっているんです。これは一例でございます。
そのほか、きめの細かい、ここに持ってきておりますが、熊本県の「第三次水俣・芦北地域振興計画
平成九
年度」、これはいろいろお話もこれからますます県知事以下、
市町村一緒になってまいると思いますけれ
ども、その地域の、中で、
一つは地元は地元としてということで、あの不知火湾の芦北、水俣、海岸端ですね。眺めのいいところですが、桜の木をずっと植えようと、
全国から募金しまして。
全国的な問題ですから、心を通わせる。
全国から募金して桜も植えようとか、そういうように地元は地元で取り組んでおります。
振興計画もいろんな各般にわたったものがございます。やはり、あれだけの四十何年にわたった悩み、人口流出その他ありますので、いろんな広域プロジェクトや地域プロジェクト等々ございます。今度は、いわゆる第三次の初めての取り組みでございますから、その水俣病の怨念を克服して、具体的な目に見える地域振興に御配慮をいただきたいという、これは
一つの陳情でございます。
それと、もう
一つがあのチッソでございますが、チッソが倒産したら全部国の財政、県の財政がかぶらにゃいかぬわけですよ、原因者
負担だけれ
ども、ここが倒産したら。もう二千億近くに今はなっている。今後もずっと返済はあと三十年か四十年続くんです。それで、かわりに熊本県債を発行して、県議会が始まっておりますから、三年に一回の見直しですから、これからまた県議会は県議会で県知事以下苦労してこれを説得しなければいかぬ。しかし、一番のもとはチッソでございます。チッソが倒産したら元も子もなくなるんですよ、全部国の財政と県の財政にかぶってくるんです。
そして、今チッソの経営はどうだといいますと、化学肥料はさっぱりでございますからね、触媒が水銀だというので。半導体とか部品とか液晶とか、これは割にいいんです。ただし、日本の最近の情勢は、半導体も液晶もだんだん台湾その他東南アジアと、こうなりだした。そして、現在は利益がやっと年間三十億。ところが、今の支出で毎年八十億円要るんですよ。その差が五十億ある、毎年です。五年たち十年たち、これが我々は心配でならないんです。
そこでどうするか。
一つは、通産省基礎産業局だと思いますが、かつて申し上げたことがありますが、日本の化学界、これ競争原理ではありますけれ
ども、販売であるいは研究開発でチッソを支援する。そこで、かの有名な通産省の行政
指導力が、こういうのは特別の問題ですから、一般論じゃないんだ、通産省も原因者だったんだよ。当時は
環境庁はなかった。
厚生省は積極的に取り組もうと思った。これは歴史の証人、ジャーナリズムがいっぱい言っておりますよ、はっきり過去の歴史を。それを通産が増産に次ぐ増産で抑えたというプロセスが過去にある、朝日その他がずっと書いておりますよ。
だから、それは先輩の時代だけれ
ども、そういうものを今の現役が心の中で、いや済まなかったと思って、あと残る問題はチッソが倒産せぬように、ちゃんと利益を出して補償金に全部充当されるように、補償金が四種類あるわけですから、水俣湾埋め立てもあります、健康被害の方もあります、それから補償金もあります、それに向かってどのようにとらえておられるのか。これはちょっとした舞台裏の知恵ですっとやればいいんだよ、化学製品の販売とか。
その辺をどうとらえておられるか、一遍その決意のほどを、大げさに天下に向かって言う話じゃないけれ
ども、やっぱり公害の原点のチッソが倒れたらえらいことになりますよ。そこも
問題意識の中に入れて、チッソがちゃんと成り立って育っていくように、どのようにお考えか、まず通産省からお聞きしたいと思います。