○田英夫君 実は私ごとですが、私が初めて参議院に参りましたのが昭和四十六年、一九七一年ですが、その年の十一月、十二月がいわゆる沖縄国会でありました。私にとって初めての本格的な国会が沖縄国会でありました。
そこで、実は衆議院では激しい論議が行われまして、最終的に沖縄の特別
委員会で当時の社会党は欠席のまま採決、本
会議もまた欠席のままという
状況の中で
一つの重要な決議が衆議院で行われました。
それは、一般的にはいわゆる核抜き本土並みということが当時の合い言葉のようになっておりましたから、そこに注目をして、具体的には非核三原則を沖縄でも守り抜くということを衆議院本
会議で決議をしたわけですけれ
ども、実はそこにもう
一つ基地の返還についての内容が込められておりまして、「基地の整理縮小につきましては、復帰後すみやかに実現できるよう、現在からこの問題に真剣に取り組む方針であります。」という当時の佐藤
総理大臣のこの決議に対する決意表明がこれに加えられたわけであります。
つまり、非核三原則と米軍基地の整理縮小を実現すべきであるという衆議院の決議に対して、佐藤
総理がこのような決意を本
会議で表明をされている。つまり
政府の約束である、公約である、同時に国民の総意である国会の決議だ。
これで、実はこの決議によって当時の与野党の間で修復ができまして、意見の一致ができまして、参議院に送られてきてからは、参議院では激しい中にもすべての政党が参加をして
議論ができる状態になったと私は記憶をしております。
そういうことを考えますと、ぜひともこれは、そもそもその時点から始まった沖縄基地の返還であり、またこれを実現することを
政府も約束をしておられたということを重く見ていただきたいと思います。
私の意見としては、この返還を実現するためには幾つかの、直接かかわりのないように見えるけれ
ども重要な外交問題があるのではないか。まず、例えば
北朝鮮との国交正常化。今しばしば
北朝鮮の危険性とか
中国の脅威論とかいうことがアメリカや
日本の一部で言われておりますけれ
ども、それは逆に受け取って、これをなくす外交をやることがまず第一じゃないだろうか。また、
日米安保条約というものをこの際国民のすべての皆さんとともにもう一回基本から見直してみる、そういう
議論をしてみるということも極めて重要ではないだろうかと私は今思っているのです。
例えば、実は驚きましたことに、この
日米安保条約につきまして、今回お会いした自治体の長、名前を申し上げていいと思いますが、山内読谷村村長からは、勝者と敗者の
関係で結ばれた
日米安保条約は見直すべきではないかと実感をいたします、こういう言葉が私
どもとの話の中で出てまいりました。これはそのとおりなんですね。
これは御存じのとおり、サンフランシスコ平和条約のときにそもそも最初に結ばれた。そして、当時の吉田
総理という方は、御本人がおられないので今直接当時の御
意思を聞くわけにいきませんけれ
ども、サンフランシスコ平和条約は、同行されました超党派の代表団が全員署名をされた。にもかかわらず、最初の
日米安保条約については吉田
総理お一人が署名をされている。このことは何を
意味しているんだろうか。そして、御存じのとおり六〇年安保、七〇年安保という改定が行われてきて、六〇年でかなり本質的に変わった部分はありますけれ
ども、いずれにしても勝者と敗者の
関係で結ばれたというこのことは、私
ども肝に銘じるといいますか重く受けとめる、そのしわ寄せが沖縄に来ているんだという
意味が込められていると思います。したがって、
日米安保条約というものをもう一回見直してみるという私の意見は、こういうことから来ているんだということもぜひお考えをいただきたい。
もう
一つ、首長さんの中で驚くような意見を言われた方があります。桃原宜野湾市長、これは普天間飛行場があるその市長さんですけれ
ども、桃原市長は沖縄独立論ということを私に言われました。これは独立をすれば安保条約から解放される、したがってアメリカ軍基地もなくなるというそうした
意思から出てくることですと、こう言われたんです。そこまで思い詰めておられる。このことはぜひ
政府の責任者の皆さんは重く考えていただきたい。そこまで言われるんですね。
大田知事につきましては御存じの方が多いと思いますけれ
ども、今度お会いした桃原市長も山内読谷村村長、こうした
方々はそれぞれの自治体の責任者でありますが、私は実に驚きました。人間的にも実にすばらしい、苦悩の中でそうした人間性を持たれたのかもしれませんけれ
ども、村長さんとか市長さんとかいう肩書以上に
一つの政治哲学といいますか人生哲学を持っておられるということに驚きを感じたんです。この問題についてお考えになるときにはこういう
方々のお言葉をぜひひとつ重く受けとめていただきたいと思います。
そこで、もう
一つ具体的なことでお伺いをいたしますが、最近いわゆる特別立法ということがしきりに言われて、秋の臨時国会ではこの問題が具体的に出てくるんじゃないだろうかということが報道されています。現に、七月十八日、
政府の地方分権推進
委員会のヒアリングで、
防衛庁が米軍基地の問題については国の責任事務にすべきだということを述べておられるようでありますけれ
ども、これはどういう
意味を込めておられるのか、お伺いしたいと思います。