○田英夫君 そこに今の日本
政府の根本的な問題が、日本
政府というより外務
大臣、外務省のと私はあえて申し上げたいんです。
それは、
与党の中にも非常に明快に、今や冷戦構造が崩壊をした、西側とか東側とかいう状態ではなくなってきた、こういうことを明快に意識しておられる方がおられることを私も
承知しております。
ところが、外務省の外交の基本は現在も西側の一員ということの上に立っているとしか思えない。そして防衛庁の防衛政策というものももちろんその上に立っている。アメリカはもちろん現在もそういう基本の上に立っていると思います。日本もそれでいいのかということをぜひお
考えをいただきたい。長い間こういう問題に携わってきた者の一人として、このことを大変私は心配をしております。
今度の日米安保共同宣言を詳細に何回も拝読をして思うことは、この共同宣言に出てくるような、そして今外務省の
局長も言われたようなそういう基本的な姿勢でいて、歴史的にも地理的にもあるいはすべての社会的な習慣な
ども含めて日本とアメリカとは非常に違う。しかし、私は基本的に外交の上でアメリカとの
関係は非常に重要だと思っていることは間違いないんですけれ
ども、例えば韓国、北朝鮮、この朝鮮半島あるいは中国、こういう人たちと比べてみて日本はすべての習慣とか歴史とかいうことの中で、この地域とは極めて深い
関係がある。
アメリカは建国以来まだたかだか二百年ちょっとですよ。こういう中で、もちろん世界の現状の中でアメリカの持つ
意味というものは極めて大きいからこそ日米
関係というのは重要だということをまた繰り返して申し上げますが、そういうことを
考えたときに、この日米安保共同宣言のような形で、日本とはかなり違うアメリカと運命共同体のような形でしっかりと手を握って、もしその結果として中国やアジア諸国との
関係が悪化するようなことに結びつくならば、これは日本にとって大変なマイナスになるんじゃないかというところを広く見るのが、これからの日本の外交の最も大切な部分じゃないかと思います。
外務省もきっと、今私が具体的なことを言うとアメリカと同じ答えが出てくると思いますが、アメリカは、アジアのことを
考えるときに、APECのことを言うときに、あのマレーシアのマハティール首相が主張するEAECというものに反対をする、不快感を示す。日本もこれでいいのかということなんですよ。この辺のところが日本の外交を
考えるときにこれから非常に重要ではないだろうか。
また、軍事的な問題を含めて、安全保障の問題を含めて
考えたときに、アメリカとの間で安保条約というものの結びつきをどんどん強化していく軍事同盟的な色彩がますます強くなっていく、そういうことを最近感じます。それでいいんだろうか。
特に、具体的な例でいえば、きょうは防衛庁をあえてお呼びしていませんけれ
ども、TMD、戦域ミサイル防衛構想、これに既に昨
年度から
予算がついています。こういう問題に深入りしていっていいのかどうか。アメリカは、さきの中国の台湾周辺でのミサイル演習に結びつけて台湾に対してもTMDに参加するように今呼びかけている。韓国に対しても呼びかけている。こういう中で、日本に対して最も熱心に、出資を含めて、研究費を出すことを含めてこれに参加することを求めてきている。これでいいんだろうか。
また、この間の四月の共同宣言と同時にACSAが結ばれました。これも平時ということになっておりますが、この後方
支援と言っていいこのことが平時だけで済むだろうか。こういうことを
考えたときに、さきの外交の基本的な問題とあわせて
考えたときに、私はここが心配だと申し上げざるを得ない。
きようもある週刊誌を読んでおりましたら、あえてお名前を申し上げるけれ
ども、河野洋平前外務
大臣、自民党前
総裁が、私は基本的に有事をつくらないという外交をやるべきだと思うということを語っておられる。恐らく池田外務
大臣も同じことを
考えておられるだろうと思う。これが日本の外交の基本じゃないでしょうか、先ほど申し上げたようなこととあわせて。
ですから、私は、結論を言ってしまえば、中国を殊さらに敵視するような、敵と言うのはちょっと強過ぎるかもしれません、アメリカの場合はかなり中国に対して冷たい
関係を今持ちつつある、これと同じ態度は日本は絶対にとるべきでない。そして、北朝鮮との
関係でいえば、一日も早く日朝国交
正常化交渉を再開すべきだと私は思っています。
きょうは時間がありませんから、私の意見を一方的に申し上げました。
私は実は、
参議院の
審議というのは、余談ですけれ
ども、行
政府に対して立法府の我々が御質問をするというだけではいささか良識の府としていかがなものかとかねてから思っておりますので、あえて私の意見を申し上げまして、これが外務
大臣の御参考になればと、生意気なことを申し上げますが、思います。
時間がありませんから、ODAの問題は先ほど今井
委員が六
年度の
会計検査院の報告に基づいて実例を挙げて
お話しになりました。したがって、重複を避けます。
ただ、私が申し上げたいのは、この六
年度、六カ所でよくなかった例があるという
会計検査院の御指摘を読み、またこれに対する外務省の御見解も読みました。そこで、これも私の方から意見を一方的に申し上げれば、ODAはぜひ現地の政治的、経済的、社会的あるいは民族的、さまざまな実情を踏まえた上でやらなければならない。先ほど今井
委員に対する外務省のお答えのようなことであると、やっぱりODA基本法が必要なんじゃないかなと。実は
宮澤内閣の末期に
参議院で
議員立法で提出をして、すぐに廃案になってしまったことがありましたけれ
ども、したがって法案はできております。そういう思いに駆られます。
そこで、ODAについては一言御質問をしたいのは、ミャンマーの情勢がまた緊張しているということを報道で
承知をしております。アウン・サン・スー・チーさんが逮捕されるんではないかというような情報もあります。この最近のミャンマー情勢をどのように受け取っておられるか、そしてこれに
関連をしてミャンマーに対するODAをどうなさるおつもりか、お答えいただきたいと思います。