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1996-06-11 第136回国会 参議院 金融問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十一日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  六月十日     辞任        補欠選任      本岡 昭次君     国井 正幸君  六月十一日     辞任        補欠選任      荒木 清寛君     山本  保君   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 中曽根弘文君                 前田 勲男君                 吉村剛太郎君                 直嶋 正行君                 林  寛子君                 一井 淳治君                 筆坂 秀世君     委 員                 笠原 潤一君                 金田 勝年君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 楢崎 泰昌君                 服部三男雄君                 平田 耕一君                 保坂 三蔵君                 真島 一男君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 荒木 清寛君                 牛嶋  正君                 海野 義孝君                 高橋 令則君                 益田 洋介君                 山下 栄一君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 伊藤 基隆君                 大脇 雅子君                 梶原 敬義君                 山本 正和君                 吉岡 吉典君                 国井 正幸君                 佐藤 道夫君                 奥村 展三君    衆議院議員        発  議  者  保岡 興治君        発  議  者  永井 哲男君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国務大臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        警察庁刑事局長  野田  健君        総務庁人事局長  池ノ内祐司君        防衛庁参事官   別府 信宏君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        防衛庁装備局長  荒井 寿光君        法務大臣官房長  頃安 健司君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省貯金局長  木村  強君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  伴   襄君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君     事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君     ―――――――――――――    本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出、衆議院送  付) ○金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案衆議院提出)     ―――――――――――――
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題等に関する特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、本岡昭次君が委員辞任され、その補欠として国井正幸君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案、以上六案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案外五案の審査のため、来る六月十四日午後一時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案外五案の審査のため、明十二日、全国銀行協会連合会会長橋本俊作君、前大蔵省銀行局長寺村信行君及び弁護士田中清隆君をそれぞれ参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  9. 坂野重信

    委員長坂野重信君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 関根則之

    関根則之君 自由民主党関根則之でございます。  きょうは、自由民主党を代表いたします質問の一番手を承りまして、金融関係法案等につきまして御質問を申し上げます。テレビが入っておりますので、いつも申し上げますけれども、私に答弁するんではなくて、私の後ろで聞いていらっしゃいます国民の皆様にできるだけわかりやすく御答弁をいただければありがたい、そんなふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、参議院の自民党、社会民主党、新党さきがけ三党は、平成八年度の予算案が通過をいたしました段階で、五月十三日付で、三党の連名をもちまして総理大臣あて申し入れを行っております。主として住専処理の関連につきましての三項目の申し入れでございます。もう既にあれから約一カ月を経過するわけでございまして、きのうの国会におきます我が党代表前田先生からの質問の中にもございましたけれども、私どもは真剣にこの問題、この申し入れに当たっているつもりでございます。それをお受けいただきました政府として、総理として、また大蔵大臣として、どのようにこれを受けとめていただき、またどのような対応策をとっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。  特に、この申し入れば三点にわたっておりますが、中心的な課題は、住専処理につきまして公的負担六千八百五十億を投入する予算を通しましたけれども、実質的には国民負担にならないように、国民負担をなくすように、そういう措置を早急にとっていただきたい、これがこの申し入れの中心的な課題であるわけでございますが、その辺につきましてどのように対応なさいましたか、お尋ねを申し上げます。
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 参議院与党三党からお申し入れをいただきました内容は、今まさに委員が御指摘になりましたように、住宅金融専門会社処理などにつき関係金融機関などに新たな寄与を求めて、結果として国民負担を可能な限りなくすように努める。同時に、住専処理機構を早急にスタートさせて債権回収などを図るよう促す、同時に金融機関等関係者に対して徹底した刑事民事上の責任を追及する。そして、制度整備した上で新たな金融システムの確立に努める。この三点であったと思います。  政府としても、このお申し入れに対しては、この趣旨を真摯に受けとめながら最大限の努力を払ってまいりました。なお、関係金融機関などによる新たな寄与の問題につきましては、今後ともに結果としてできる限り国民負担の軽減につながるように、関係金融機関などの自主的かつ真剣な取り組みというものを促しているさなかであります。  また、政府といたしましては、住専処理機構序国会で一日も早くお認めをいただき、一日も早く設立をする、そしてあらゆる手段をもって債権回収責任の追及に取り組んでまいる所存でありまして、関係法案の一日も早い成立に御理解をぜひ賜りたいと心から願っておるところであります。
  12. 関根則之

    関根則之君 総理を初め政府のサイドにおきまして、真剣に対応して何らかの解決策を見出したいということで御努力をいただいていることはわかりました。しかし、これは今の時点でまだ解決策としてこうやろうという案は見つかっていないという状況でございますか。
  13. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 与党三党から申し入れのございましたことにつきまして、今、総理から御答弁がございましたが、その趣旨に沿って、また、この住専問題処理に関しまして、この国会が始まりましたときから政府としても申し上げてまいった方向に沿って、新たなる寄与について関係金融機関との協議を進めているところでございますが、今まだ具体的な方策についてお話を申し上げる段階まで来ておりません。しかし、できるだけ早く、必要に応じて私どもの方からも具体的な方策についても提示するときかあろうかと考えております。
  14. 関根則之

    関根則之君 ただいまの答弁の中で総理はできるだけ早くこの法案を通していただきたいと、こういうお話がありましたけれども、私どもは違うんですよ、順序が。この法案を通すためには何とかその解決策を、国民負担をなくす方策を、ああこういうふうにやるんだなということをきちっと確定していただいて、その上でこの法案を通す、そういうやり方はできないかということで一生懸命我々は我々なりに相談もし決議もし、みんなでいろいろと政府側に対しても要望をしている、そういうことなんですよ。その順序をぜひひとつ、いずれは解決をするんだというんじゃなぐて、少なくともこの参議院審議の途中で、審議の終わるまでの間に、審議終了までの間にその結論を出すということをお願いしたいと思っております。  ところが、いろんな話が出てきていますよね。預金保険料を引き上げるんだとか、あるいは安定化拠出基金積み増しをするんだとか、場合によると日銀で借り入れをするなり日銀から出させりゃいいんじゃないかとか、そんないろんな話が出ております。そんな中に新しい基金をつくったらどうかというような話も出ておりますね。これはどうなんですか、新しい基金をつくろうというような考え方があるんですか。それとも従来どおりの、預金保険機構の中の安定化基金というものを使ってその枠の中でやっていくという考え方なのか、その辺はどうなんですか。
  15. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 新しい基金をつくって国民負担をできるだけ軽減する方向で運用するということも一つの考えとして存在している方策だと思っておりますが、まだ具体的にこれらの考え方について、この問題について詰めて話をしようという段階まで来ていないということを申し上げているわけでございます。
  16. 関根則之

    関根則之君 新基金をつくるとかあるいは従来の安定化基金を使うとか、まだそういうことについての具体的な判断はできていない、こういうことのようでございます。しかし、大体今週いっぱいぐらいでこの委員会審議もできたら終えたいというような話もあるぐらいですから、そんなにのんびりしていたらこれはどうにもならなくなってしまう、解決策が見出せない、そういうことになってしまっては困りますので、極力急いでいただきたいと思います。  そこで、仮に、従来から考えております、今の法案の中にも入っております金融安定化基金というものを使って積み増しをして、それを使うことによって公的資金の投入を、予算は通っておりますけれども実際上、実質上使わなくて済むようにするためには、これは事務当局で結構ですけれども法律上、今の法案に手を入れる必要があるかどうか、その辺お答えください。
  17. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 御指摘の点が、現在、法案の中に含まれております金融安定化拠出基金追加拠出国庫に還流させるというようなことであるとすればという前提でございますならば、現在の住専処理法第九条におきましては、金融安定化拠出基金は、住専処理機構への出資住専処理機構の円滑な業務の遂行のための助成金等を行うために設置されたものでございます。したがいまして、直接国庫へ還流するという仕組みにはなっておりませんので、仮にそういう御指摘だとするならば法案修正が必要になる、こういうことに相なろうかと存じます。
  18. 関根則之

    関根則之君 多少の法案修正は必要だというようなお話ですが、私は、やりようによるとそんなに大きな修正をしなくても済むんじゃないかなと、そんな感じがします、場合によれば。ですから、そういう方式が、うまく話がつけば、それこそ一日、一日ぐらいで修正案をぱんぱんとやるということだって不可能ではないというような感じがいたします。  しかし、実際問題としては、そういう法案処理ということになると多少ややこしい話になるかなという感じもするわけでございますけれども、ひとつ鋭意そういう点も事務的にも詰めておいていただきたいと思います。  ところで、日銀にもう少し働いてもらうといいますか、日銀から貸し付けなりなんなりの形でお金を出していただく、こういう方法はとれないかという観点から御質問を申し上げます。  今、日銀は一千億拠出することになっておりますが、そのために住専処理法の二十五条で法文を設けておりますね。しかし私は、この二十五条の法文というのは本来置かなければいけない条文ではないんじゃないかというような感じがするんです。  というのは、住専処理法二十五条の規定は、「日本銀行法第二十七条の規定にかかわらず、」と書いてあるんです。ところが、日本銀行法二十七条の規定というのはどういうふうに書いてあるかといいますと、「日本銀行目的達成必要アル場合二於テ主務大臣認可受ケタルトキハ」やってよろしいと書いてあるんです、いろんな仕事を、目的に書いてある仕事以外でも。目的といいますか各条項で書いてある仕事以外でも、日銀設置目的にかなうときには大蔵大臣の許可さえ得ればやることができますよということが書いてあるんです。  それで、日銀目的というのはどういうふうに書いてあるかといいますと、まさに日銀法の第一条で、いろいろありますけれども、「金融調整及信用制度保持育成任ズルヲ以テ目的トス」と。やや難しい言葉ですけれども、要するに信田制度保持のために日銀は存在するんですよということが書いてあるんです。それが日銀目的下すよと書いてあるんです。「信用制度保持」というのは何ですか。まさに今皆さんが、我々がやろうとしている住専処理じゃないですか。金融システム維持のために、金融制度を安定化させるために国費まで投入して今住専処理しちゃおうと、こういうことをやっているんでしょう。金融制度維持のためにやるんですから、その目的はまさに日銀目的であり、それにかなう仕事をやろうとするのであれば、大蔵大臣さえ認可すればできるんじゃないですか。どうしてこんな規定を、二十五条をわざわざ置く必要があったんですか、お答えください。
  19. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 関根委員指摘のとおり、現在の日銀法第二十七条のただし書きにおきましては、「日本銀行目的達成必要アル場合二於テ主務大臣認可受ケタルトキ」は日銀法規定する業務以外の業務を行うことができるとされているところでございます。今、委員の御指摘は、業務そのものではないかという御指摘でございましたが、業務以外の業務につきましてもこのようにされているところでございます。  ところで、日銀法二十七条の認可を受ければ、住専法案第二十五条によります日銀拠出のための根拠規定は不要ではないかという御指摘かと存じますが、現在提案申し上げております住専処理法案では、日銀拠出住専処理機構への出資の原資となるものでございまして、その重要性にかんがみ、拠出根拠及び金額を明確にするという観点からあえて明文上の規定を置いたものでございます。
  20. 関根則之

    関根則之君 事務当局だから余りはっきりした答弁をいただけなかったんですけれども、要するに、基本的には日銀目的の範囲内だし、これでいっていけないことはないかもしれないけれども、より明確にするために明文規定を置いたんだと、こういう説明ですよね。私は、法制局法案審査やり方の問題だとは思いますけれども、こういう今までの既定法律があって、その中でその法文を使ってやれるときには全然別な新しい法律なんかっくる必要はないと思うんですよ。そのためにやっぱり法案審査に時間を要しますし、職員だって大変ですよ。細かいことを言えば、印刷費だつて余計にかかるわけですからね。私は、そういうものは既存の体系の中で処理できるような法律をつくるべきだというふうに考えていますよ。  だから、この次さらに、あるいは日銀が単なる一千億の出資だけではなくて、これだけ日本金融システムを守るために、大変な住専処理という大きな課題なんですよね。だから、さらに日銀出資をしようとか、あるいは拠出をしようとかそういうときには、まさに日銀法の第一条の規定により、しかも日銀法の二十七条で大蔵大臣認可が得られれば、そういう寄与日銀がすることができるんじゃないかと思うんですけれども大蔵大臣、いかがですか。
  21. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 新たなる寄与をどのような具体的な方策に基づいて進めるかということがまだ確定できる段階でございませんが、今後新たな寄与について具体的に検討が進む中で、日本銀行の役割についても検討することになろうと考えております。
  22. 関根則之

    関根則之君 ぜひ日本銀行も含めて、日本銀行は、私は知らないのよと言うのは本当におかしいと思うんですよ。日本銀行法の第一条の目的が、さっき申し上げましたように、日本における金融調整信用制度維持のために存在する、それが日銀なんですから、まさに日銀がしょっぱなを切ってやらなきゃいけない。  私は、この法律の組み方を見ていて、ひよっとすると日銀の方から、認可申請を出すなんというのはばからしいから国で法律をつくってくださいと、そういうことになったんじゃないかというような感じがするんですが、そういうことはありませんか。  私に言わせれば、現在の法律の中でもできるんですよ、大臣認可さえもらえば。読んだとおり、繰り返しませんけれども。それを、わざわざ置かなくてもいい規定を、明示的により明確にするためにこんな規定を置いたというのでしょう。これは、日銀の方から、実は少し協力したいから、お金を出したいから、大臣認可してくださいという認可申請を出さなきゃだめなんですよね、今までの法律では。それを日銀の方からは出せないから、それじゃあんたの方で法律でもつくって出せるようにしてくださいよと、そういうふうにしたんじゃないかというような感じがしますが、そういうことはありませんか。
  23. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 必ずしも委員の御指摘のようなことではございませんで、関係者の間で所要の法律案というものを検討した中で生まれてきたことでございます。
  24. 関根則之

    関根則之君 余り細かい法律のつくり方の問題で時間をつぶす余裕はありませんからそれはいいんですけれども、今御答弁をいただきましたように、ぜひひとつ大臣日銀法をも含めて積極的な対応をしていただきたい。  また、法制局長官にもお願いをしておきますけれども、ぜひそういうときに、わざわざ寝た子を起こすような形であちこちひっくり返して、膨大な法律をあちこち手当てしなきゃできませんよと、そういうことじゃなくて、既定体系の中でできるときには既定体系を生かして使うといいますか、弾力的に対応する、そういう方向法案作業をやっていただきますようにお願いをしておきます。  ところで、母体行を初めとして住専をつくった銀行が、今以上の負担をすることは株主代表訴訟の対象になってしまって、その訴訟で負けるかもしれないなんというようなことを言っているんですよね。私はそんなことは全然ないと思います。  これは、セントラルファイナンスの経営が悪化したときに、親銀行の東海銀行が支援をしたわけです。株主代表訴訟が起こったわけです、去年ですよ、平成七年。名古屋の地裁も高裁も決定段階で、そんなものは大丈夫ですよと、金融秩序の安定のために、また、自分の金融業をその中で続けていく、存続のために必要のあることはやっても構わないんですという判決が出ていますよね、判決というか決定でしょうけれども。  自分がその中で金融業をやっているんでしょう、金融界の中で。その金融界という屋根がぶっつぶれちゃったら自分の金融業というのは成り立たないじゃないですか。銀行業務ができなくなるわけでしょう。そのまさに業界の立て直しのために自分がほどほどの出絹をする、お金を出すということは、それはまさに会社の利益にかなうこと、銀行の利益にかなうことですから、仮に少しへその曲がった株主がいて株主代表訴訟を起こしたって、負けるはずないじゃないですか。  今までそういった金融システムの安定のために銀行なり金融機関お金を出して、そのために経営責任が問われて株主代表訴訟で負けちゃったなんという例がございますか。
  25. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) あるいは法務当局からの御回答が適当かもしれませんが、私の承知しておりますところでは、株主代表訴訟は最近において盛んになってきたと言われている事例でございますが、最近の株主代表訴訟におきまして取締役が敗訴いたしました事例は二つほどございまして、いずれも明白な贈賄等の違法行為の事例であるというようなことでございます。
  26. 関根則之

    関根則之君 そんな例はないんですよ。私も全部調べたわけじゃありませんけれども、いろいろ学問の先輩や後輩の皆さんから教えていただいておりますけれども、そんな例はないと言うんですね。だから、これは単なる隠れみのなんですよ。母体行その他の関係者の隠れみのですよ。そこのところを大蔵省はもっと詰めて、大蔵省だけでは答弁できないと思いますよ、法務省もいるわけですから。この株主代表訴訟の主管省は法務省でしょう。法務省とも連絡をとりながらいろんなことを研究して、そんなことはないんだということをしっかり詰めるべきだと思うんですよ、必要があれば法制局も入って。そういう詰めをやってあるのかないのか、法律上の解釈として。  金融システム維持のために、まさにその中で自分が働いて御飯を食べさせていただいているその業界を守るために、業界という言葉は余りよくないけれども、まさにその中で仕事をしているわけでしょう、金融業というのは。だから、金融業という世界を、その秩序をきちんと守っていく、そのために自分が応分の協力をしていくということが、それが株主代表訴訟で負けるなんということはあり得ないと、そういうことをはっきり宣明すベきだと思うんですよ。その詰めがなされているのかどうか、これからするつもりかどうか、ちょっとお答えください。
  27. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 株主代表訴訟については、私どももいろいろな方の御意見を伺ってはおりますが、その代表訴訟の結果がどうなるかにつきましては、定量的な基準があるわけではございませんで、個々の事例ごとに裁判所において判断されるものと考えております。この点については法務省当局も同様の御見解であると伺っております。  いずれにいたしましても、この株主代表訴訟という問題をどう考えるか、どう判断するかという点に関しましては、その判断の結果につきまして責任を問われることになります銀行の取締役等の当事者がまず考えるべきものであろうかと存じておるところでございます。
  28. 関根則之

    関根則之君 銀行局長答弁の限界だろうと思いますからこれ以上深追いしませんけれども、ともかく裁判というのは、裁判官がいて、弁護人がいて、両当事者がいて、そこで具体的に証拠を挙げて弁論を闘わせて決めることだから、どういう裁判でどっちが勝つなんということは言えないんです。しかし、法律の姿といいますか、法律は何を言っているんだということは、そんなものはみんなだれだって自分の範囲というか考え方というのは決めているじゃないですか。  だから、大学における法学部の授業なんというのが成り立つんでしょう、この解釈はこうですよということになっているんだから。少なくもそのぐらいのものは役所の方で銀行を指導し、あるいは株主代表訴訟という制度を持っている法務省と連絡をとり合いながら確定解釈というのはできるじゃないですか。そういうものを私はきちっと立てていくべきだと思います。これは要望をしておきます。  そんな心配は全くない、銀行経営者が責任を免れるために隠れみのとして使っている論理にすぎないということだけを申し上げておきたいと思います。  ところで、次に移りますけれども、最近の銀行経営というのは物すごくいいようですね。史上最高の利益を上げているということでございますけれども業務純益、最近どうなっているか、ちょっと教えてください。
  29. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 部長銀、信託、大きな銀行二十一行の七年度の決算について申し上げますと、債券の相場が堅調に推移したことによります国債関係損益の増加、これは増加率で一六〇%程度ございますが、そういう国債関係損益の増加を主因といたしまして業務純益は前年同期比約七二%の増加、増加額で約二兆円ということでございます。その結果、二十一行の業務純益は四兆七千億円となってございます。  しかし、多額の不良債権処理、これは十一兆円程度不良債権処理に充てているわけでございますけれども、それを行いました結果、経常利益は約三兆二千億円の赤字という戦後初めての状況になっておりまして、なお当期利益は約三兆五千債円の赤字と、このような状況になっております。
  30. 関根則之

    関根則之君 国民の皆様に誤解があるといけないから、私はそこのところははっきりさせたいんですよ。  今のように、大蔵省に聞きますと、確かに単年度の業務純益は四兆七千億の業務純益が上がっているけれども、不良債権を抱えていてそれを償却したから決算は赤字ですと、こう言っているんですよね。しかし、不良債権なんというのは過去何十年間、私に言わせれば相当長い期間にわたってためてきたやつなんですよ。それで、これは毎年毎年繰り越し繰り越しで来ているわけですよ。それを一挙に平成七年度で何兆円も償却して、その結果として決算上赤が出ているだけで、経営そのものは大黒字なんですよ。  しかも、今、数字として四兆七千億と言いましたけれども、こんなものは全国の都市銀行だけでしょう。全国にはそのほかに地銀もあれば第二地銀もあるし、信用金庫もあれば信用組合もあるわけですよ。そういうものを全部含めたいわゆる預金を取り扱っている金融機関業務純益は平成七年度において八兆四千七十億なんですよ。八兆四千億なんですよ、皆さん。そこのところを国民の皆さんによく理解してもらいたいと思うんですよ。  八兆四千億の黒字が業務純益として単年度、銀行業務の営業の結果出ている。それだけの史上空前の利益を上げていると言ったって過言ではないんですよ。それを、業務純益はどうですかという質問をすると、四兆七千億ですという本当にごく一部の、都市銀行だけの数字で説明をする。そういう態度というのは余りよくないと思いますよ。国民に本当のことを知らしめようとしない。ディスクロージャーとかなんとか言っている、透明性を行政に確保するとか言っているけれども、できるだけそれを国民に教えないようにする、教えようとしない、そういう態度がにじみ出ているんじゃないかと思いますよ。そういう態度は改めてもらいたいと思います。  ところで、そういう史上空前の銀行利益、業務純益が上がっているその原因は何だと思いますか心
  31. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 先ほど申し上げましたように、七年度の決算に関して申し上げますと、債券相場が堅調に推移したことによる国債関係損益の大幅な増加を主因として業務純益が増加したと、こういうことでございます。
  32. 関根則之

    関根則之君 そこで私は、国債関係だけだという説明について大変疑問を持っているんです。そうじゃないんじゃないかと思うんですよ。  一つは、やっぱり金利が低下してきたからだと思います。今、公定歩合は〇・五%でしょう。バブル期に金利はずっと低く抑えてきて、バブル期の最終段階でちょっと上がりました。その金利水準と銀行業務純益とは完全なきれいな形で反比例するんですよ。  パネルをこしらえてきましたからちょっとごらんをいただきたいと思うんですが、まず閣僚の方ごらんいただきたいんですがね。(図表掲示)この赤い線が金利の曲線です。昭和六十三年からとってあります。それから、この青い線、これが業務純益。これは残念ながら信金とか信組は入っておりません。だから、この金額が七兆円、六兆八千億ぐらいでおさまっていますけれども、信金を入れると八兆四千億になるんですよ。  こういう形ですけれども、金利が上がってまいります。これは平成二年ですよ。これがピークで六%。公定歩合でとっていますからね。六%になると、それからだんだん下がってきて、今〇・五%ですよね。これと全く反比例して銀行業務純益というのはこういう曲線を描いている。きれいな形でしょう。(「それは当然だ」と呼ぶ者あり)いや、当然だ当然だとおっしゃるけれども、これを大蔵省に聞くと大蔵省は、いや、これじゃないんだと言うんですよ。  いいですか、この昭和六十三年度のときの公定歩合は二・五%あったんです。それが六%まで上がったんですよ。六十三年の業務純益は三・六兆円ですよ、三兆六千億。それが、金利が上がると業務純益はぐっと下がってくる。二兆八千億ですよ、平成二年でね。それからバブル崩壊で公定歩合をずっと下げてきた、金利水準を下げてきた。と同時に、自動的に全くきれいな形で業務純益が上がってきているんです。平成四年が四兆六千億ですよ、四兆六千億。それからだんだん上がりまして、平成七年度ではこれ六兆七千億です。さっきから言っておりますように、この数字は信金へ信組が入っておりませんから、実際には八兆四千億。もっとずっと上へ上がるんですよ。  こういうきれいな形が出ているにもかかわらず、大蔵省は金利とは関係ないんだと、そういうお話をなさっているんですけれども、おかしいんじゃありませんか。
  33. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 御指摘のような金利要因もあろうかと存じます。私どもも、金利が低下する局面におきましては、通常、銀行の収益というものは増加する傾向にある、逆に金利が上昇する局面になりますと収益が低下するようなことになるということも事実でございます。  ただ、先ほど申し上げましたのは、七年度の決算につきましては、国債関係の損益の増加というものも非常に大きな要因として作用しておりますということを申し上げたわけでございます。
  34. 関根則之

    関根則之君 私は与党質問なんですよ。だから、余り大蔵省をやっつけちゃうわけにはいかない。  ただ問題は、そういう傾向として、皆さんだって高等学校で比例とか反比例とか、今は小学校で教えますか、そういう話を御勉強にな。たと思いますよ。しかし、こんなきれいな形で物事が相関関係で、金利が上がれば利益が少なくなる、金利が下がると途端に利益が上がってくる。きれいな形で今お見せしたわけですよ。  そういうのがあるにもかかわらず、私がそういう相関関係というのは大きいんじゃありませんかという説明をしたら、平成七年度だけの答弁をしているわけですよ。おかしいんじゃないですか。私は金利と銀行業務純益との相関関係をお示ししたはずですよ、時系列で。昭和六十三年からの時系列で御説明したんです。それを七年度だけの単年度の理由を・国債関係の問題です、外国との取引でもうかっただけですよという説明をしたがる。そういう態度はやっぱりぐあいが悪いと思いますよ。  そういうことをやっていると、本当に国民から信頼される政府にならないですよ。橋本総理の評判が大変いいんですから、もっともっとよくするためにも、やっぱり本当のことを国民にわかりやすく説明するような金融行政であってもらいたいとお願いを申し上げておきます。  ところで、一々聞いていると時間がありませんから申し上げますけれども、今お年寄りが一年間に百万円預けて幾ら利息が出ると思いますか。五千円ですよ。一金利は〇・五%ですよ。五千円なんていったら銀行へ行くための回数券を三十枚ばっかり買えばそれでなくなっちゃいますよ。銀行へ通っためにお年寄りが回数券を一冊買えばなくなっちゃいますよ。その程度なんです。大変困っているんですよ、今。営々として何十年働いて、老後に何とか安定した生活を送るために何がしかの貯金をしている、そのお年寄りの楽しみにしていた金利というのが全然出てこない。いろいろ真金で福祉事業やっているところなんかも本当に困っちゃっているんですよ。  本会議でも申し上げましたけれども前田先生からお話がありましたけれども平成六年、家計収入の金利所得の減少は四兆一千億ですよ。銀行が利益を上げている二・六兆円、その分、家計加入から銀行へ移転をしているわけですよ、所得が。そういう数字があります。四・一兆円、家計が金利収入が少なくなったために損をしている。その額というのはすごいですよ。  今、新ゴールドプランというのでかねや太鼓下やっていますよね。これは大切なことだから大いにやる必要があると思いますよ。結構なことだ。厚生省が一生懸命やっていますよ。その新ゴールドプランで特別養護老人ホームをつくったり、老人保健センターをつくったり、デイケアセンターをつくったり、そういう仕事を一生懸命やりますよ。在宅看護の支援のためにお金がかかります。そういう仕事を国の方で補助していますよ。そういう新ゴールドプランに要する経費というのは、厚生省、平成八年度で幾らぐらいかかりますか。
  35. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) お尋ねの新ゴールドプラン関係の費用につきまして、平成八年度の国費ベースで総額六千九百九十六億円の予算を決めていただいたところであります。
  36. 関根則之

    関根則之君 今、大臣からお話がありましたように、新ゴールドプランにつぎ込む年間の国費というのは七千億欠けるんですよ。総理、去年が大体六千億ですから、一千億、一生懸命力を入れていただいて三〇%近くふやしていただいたんですよ。これは非常にありがたいことだけれども、しかし絶対量とすれば七千億なんですね。  それに比べて、国民の目には政策としては見えないかもしれないけれども、いつの間にか国民のなけなしの貯金の利子が四兆一千億吸い上げられちゃっているんですよ、年間に。これは大変なことなんですよね。  だから、金利政策というのはもちろん経済政策として大変重要だから、低金利政策をとって産業振興のためにやっていくということも必要でしょうけれども、そこの陰で本当に苦労している預金者、貯金者、お年寄り、そういう国民の生活にどういう影響を与えるのか、その辺のところも十分考えて政策判断をやっていただきたいと思うんですが、総理、いかがですか。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本院におきましても、例えば予算審議の途中、低金利政策がいつまで続くのか、その影響はどうなのかとしばしば御論議になりました。今、この住専問題の審議が始まりましたその冒頭で議員から御指摘のありましたことを真剣に承りました。そして、私ども、まさにこの低金利政策というものの影響が特に預金生活者の方々に対して非常な御苦労を与えている大きな要因であることを決して否定するものではありません。  しかし同時に、一方で我が国の経済の状況を考えますときに、ようやく緩やかながら景気は回復基調に上ってまいりましたが、なおその足取りは非常に根強いものとは申せませんし、失業の状況というものも三・四という異常に高い数値でとどまっている。中小企業の足取りも非常にまだ危険な要素が多い。その中で、あえて国民の一部に御迷惑をかけていることを知りつつもこの政策を採用しなければならない状況であります。  それだけに、議員から御指摘がありましたように、その結果として例えば非常に大きな収益の得られている金融機関、こうした方々はみずからのよって立つ部分というものはよくお考えをいただきたいものだ、そのように思います。
  38. 関根則之

    関根則之君 そういう銀行の業績がいい状況ですから、私は、一方で、預金金利全体の水準を今すぐに上げることはできない、総理の経済政策の基本としてもそれは無理なんだというお話はよくわかります。しかし、特に社会的に弱い立場にある人たち、お年寄りですよ、この人たちに対して私はもっともっと、優遇金利の預金というか、そういう商品を開発して積極的にやるべきだと思うんですよ。  今は確かに福祉定期とかあるいは年金受給者向けの預金とかありますよね。ところが、例えば福祉預金なんというのは年間幾らかかっているかと思ったら六百億ぐらいしかかかっていないんですよ、銀行負担はね。この年金受給者に対する金利上乗せ、百万円に対して一%ですか、ある銀行が始めたわけですけれども、非常に結構ですよ。結構だけれども、こんなものは一人当たり一年一万円しか恩典がないわけですよ、お年寄りにとって。一年一万円じゃもうどうにもならないわけですよね。  だから、もう少し年金受給者を対象にして、年金受給者は全部で三千万いますから、これを全部というわけにいかないが、そのうち所得の低い人たち、例えば年間所得二百万以下の人たちに限って、そうすると半分になりますから、そういう人たちを対象にして仮に二%ぐらいの恩典をつけた、二%ぐらい上乗せする、そういうシステムをつくって、せめて一部をそういうやり方をしても私の試算によると大体二%で三百五十万。これはマル優の限度額が一人当たり三百五十万ですから、三百五十万の限度額いっぱいまで二%ぐらいの上乗せをしたって三千億ぐらいしかかからないんですよ。八兆四千億の業務純益のほんのわずかでしょう。  こういうことをお進めになるお気持ちはありませんか、大蔵大臣
  39. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 経済対策として低金利政策がとられてまいりましたことについては、今、総理からも御答弁を申し上げました。  低金利の問題は、これはプラス面、マイナス面が国民のそれぞれのお立場によってございます。この問題でマイナスを生ずる部分に対して、特に今、関根さんが御指摘になりましたような方々に対する配慮ある商品の開発というようなことについては、金融機関においてさらに努力をされることは必要なことだと思っております。それらのことについては、経営上の判断もあると思いますが、政府としてはそのことについて別に制限を加えたり消極的になったりする立場ではございません。
  40. 関根則之

    関根則之君 消極的になったり制限を加える立場ではないという、それだからだめなんですよ。今現に福祉定期については通達を出してやっているわけでしょう、四・一五%の特別金利であれは銀行局が通達を出しているんですよ。一斉の通達じゃないようですよ、グループごとに何か連絡をしているようですけれども。そういうやり方序して、やっぱり行政指導だっていい行政指導をやったらいいと思うんですよ、遠慮なく。余り介入するのはよくないけれども、現にやっていることなんですから、それをもうちょっと一歩前へ出たらいいじゃないですか。  今私が提案したような金利二%を上乗せすれば、三百五十万持っていれば一人当たり年間七万円お年寄りに行くわけですね。ふえるわけですよ、利子が。ちょっとした小遣いになるじゃないですか。生活の足しになるじゃないですか。そういうことを政治のリーダーシップで私はぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  そこで、私が今までこんなことを言ってきたのは、業務純益の話をしたのは何かといったら、やっぱり銀行には住専公的資金を投入したものを追加負担で新たな寄与で持っていくだけの力があるということを言いたかったんですよ。そういうことをしっかり根っこに置いてやってもらいたい。  私は、今回の住専処理公的資金を投入したのは、これはキーワードはたった一つ。迅速に処理をしないと大変なことになる。日本の経済が動かない。貸している金がそもそも回収できないから塩漬けになっちゃうでしょう。担保にとられている不動産が動かない。不動産が動かないということは、世の中のいろいろな企業立地活動なんかでさなくなるわけですよ。これから科学技術に基づいた新しい産業を創造しなきゃならない。そうでないと外国と競争していけなくなる、日本は。だから、新産業の創造のためにも、多少危険は伴うかもしらぬけれども、新たな産業に対する投資というのが必要になるでしょう。  ところが、銀行が不良債権をしょってびびっちゃっていれば、そういった多少危険を持つ新しい産業に投資することができないんですよ。日本の産業が全体として沈滞してしまう。それでは因るから、ここでともかく金融システムを動かしていかなきゃいけない。待っていたんではいつまでたっても銀行もやらないし、借りている方はなおさらやっていない。どうにもならないから、しょうがないからそのために公的資金をつぎ込んで動かしてやる。動かしていけば経済が活性化して、また税収も上がってくるだろう、追加支出の財源もできるだろう、そういうことじゃないかと思うんですよ。  私は、言ってみれば呼び水だと思うんですよ、この六千八百五十億の投入は。やること自身が悪いと言っているんじゃない。動かすためにやることは結構だと。しかし、動かすことによって追加支出をするだけの力がついてきたら、それは当然返すべきだと思いますよ。  今は各家庭にみんな水道が普及したから井戸がありませんけれども、昔は井戸ポンプでやっていたわけでしょう。ポンプでやるといったって、空になっちゃうと水が上がってこない。そのときに呼び水で、ちょっと大事な水だけれども一杯水をやって、やってくるとだんだん上がってくるわけです。つぎ込んだ呼び水まで一緒に上がってくるわけですよ。それだけじゃなくて、次から次へと地下水が上がってくるでしょう。そういうやり方を私はしなきゃいけないと言っているんです。  まさにその呼び水として六千八百五十億を機能させることによってこの金が生きてくるわけです。六千八百五十億はむだ金じゃないんだと。つぎ込んで経済を動かすことによって、それ以上のもっともっとたくさんのものが返ってくるではないか。税収だって上がりますからね。そういう形に使うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  41. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今お話がありましたような認識でこれまでも政府の立場を御説明申し上げてきたように思います。特にこの住専問題は、今の不良債権が巨額に上っている金融の不安な状態を、これ以上住専問題を先送りすることによってますます深刻なものにしてしまう危険性を、公的関与によってでもこれを処理することがその危険性をなくする道であるということで御検討をお願いしたわけでございます。そういう意味では、今お話しになりましたようなことは、大体私としては同じような理解に立つことができると思っております。  そして、この住専問題の処理を突破口にして、今後の金融の安定、内外の信用の確保に努めていくことによって、税収、それからもう一つは住専そのものの処理を強力に行うことでその回収、そして金融機関の新たなる寄与、追加負担、こういうものによって国民に直接御負担をかけることができるだけ軽くて済むようにしなければならないということを申し上げているのでございます。
  42. 関根則之

    関根則之君 最初に申し上げた私ども申し入れば、できるだけ少なくするなんてものじゃないんですよ。読んでみましょうか。「国民負担を可能な限りなくすよう努めること。」と、そういうことなんですよ。軽減してもらってそれで結構という話じゃないんですよ。実質的にゼロにしてくれ、なくしてくれと、そういう方策お願いし、そういう方策をとるべきだというふうに考えておりますので、ひとつそこのところを間違わないでいただきたいと思います。  それから、私はさっきも申し上げましたけれども、とりあえず日銀から保険機構に借り入れをしておいて、もうこれは単年度でなきゃだめだと思いますよ。単年度で無理なら、三年とか四年とか数年度で、今金利が安いですから、基本金をつくっておいてそれの運用益でカバーしていこうという、もうそういうやり方は余りきかないですよ。  だから、三年なり四年なりで返す、あるいはできれば単年度で、単年度だって私は可能だと思いますけれども日銀融資というものを活用して、それに対して関係金融機関が数年間で追加拠出をして日銀に返していく、そういうやり方がとれないかと思います。そのために法律の改正が必要だというのであればそれは臨時国会でやる、この国会では難しいでしょうから臨時国会でやる、その程度のめどはっきませんか。総理お願いします。
  43. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今の御指摘は、結局空き詰めて考えますと、二、三年時間をかけるといたしましても、六千八百億というものを関係者の間で負担をし直すということでどうだと、こういう御提言だと存じます。  私どもといたしましては、今回の処理策と申しますのは、るる御説明申し上げておりますよろに、関係者の間で最大限の努力をしてなお埋まらない部分が六千八百億だということでございますので、その再分配ということは大変に難しい課題であろうかと考えております。
  44. 関根則之

    関根則之君 銀行局長答弁を求めたわけではございません。  既に十二月の段階で考えていた銀行経営状況と、ことし、今の時点での銀行経営状況、利益の状況というのは違っているんです。二兆円ばかり違っているわけですよ。そういうものをもとにして、今の時点で物を考えていただきたいと思います。  それで、次へ進みますけれども総理、いろいろ御苦労いただいているということはわかります。前向きで取り組んでいただいていることはわかるんですけれども、しかしあくまでも銀行の自主的な決定、あなた方が考えて決めなさいよと、どうもそういう姿勢が見えてしょうがない、言葉の端々に。それでは困るので、まさにリーダーシップを発揮していただく場だと思います。政府に本当の迫力というものが欠けているんじゃないか、そんな私は感じを抱いております。そうじゃないというのであれば、ぜひひとつ、曲治が本当にリーダーシップを発揮してやっていくんだということを、その御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もし、迫力が欠けているというおしかりを受けるなら、これは甘受いたしますし、おわびも申し上げます。しかし、住専処理機構が成立しなかった事態、あるいはこれを白紙にする事態というものを御想定いただきたい。どういう混乱が起きるでありましょう。  私どもは、住専処理機構というものが通過、市立したその状況の中で、これを突破口として不良資産処理というものに当たろうといたしております。そして、これはちょっと言葉が悪うございますけれども久保総理銀行に対する説得の細努力等は、私は迫力は間違いなしにあると思います。しかし、強制する力を政府は持っているわけではありません。その点で、できることできないことの限界がございます。  我々としては、住専処理機構というものを通過、成立させていただいて、これを動かしながら今後の努力をしていきたいと考えております。その基本が固まらないままに努力をせよと言われましても、そこには私は限界はあろうと思います。
  46. 関根則之

    関根則之君 迫力がないなんてとんでもないという御答弁ですから、私も総理が御苦労いただいているということはよくわかっています。さらにひとつ馬力をかけてやっていただきたいとお願いをいたしておきます。  それで、問題は、法律上限界があるんだというようなお話をよくお聞きするんですが、そのことを私は最初に申し上げたんですよ。日銀に一千倍出資させているでしょう。あれだって、法律で書いてあるのは、出資しなければならないと書いてあるんじゃないんですよ。日銀出資できると書いてあるんですよ、二十五条で。そうしたら日銀は金を出したわけですよ。そうでしょう。  同じようなことができるんですよ。民間銀行だって、この住専処理のために預金保険機構に出資することができると書いたら、できるんですよ。それを進めたらいいじゃないですか、必要費ら。我々は応援しますよ、立法機関として。そろいうやり方を、知恵を出しながら、いろいろ手声尽くし、その枠組みをつくりながら、何かなければだめだというのであれば、我々も協力しますから、そういう枠組みをつくってひとつぜひやつ了いただきたいと思います。  この問題にばかりいつまでもかかわっているわけにはまいりませんので、さらに一層の総理並びに大蔵大臣、関係閣僚の御努力お願いいたし生じて、本題に入ります。  もう時間が過ぎてしまいましたけれども債権回収それから責任追及、こういうものをひとつしっかりやっていただきたいと思います。  次に、今度の金融関係法案の改正に当たっての基本的な考え方はどこにあるのか、その辺につきまして大蔵大臣から考え方をお聞きします。
  47. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 金融の自由化、国際化ぶ進んでまいります中で、我が国の金融行政、金融システムがこれに対応し切れなかったことを私どもはこれまでの経過の中でいろいろと反省しな仕ればならないと思います。  そこから出発して、これから私どもは、やはり自己責任の確立、それから市場規律を基軸とした透明性の高い金融システムを確立していくことが今極めて重要であり、急がなければならない課題であると考えております。そのために今回金融関連法案を提案し、御審議お願いしているところでございます。
  48. 関根則之

    関根則之君 護送船団方式をやめて自己責任の原則にのっとった銀行経営をやってもらう、そろいう物の考え方だと、こういうお話ですよね。  ところか、銀行というのは片っ方で免許制度が残っているんですよね。免許制度というのは何のためにあるんですか。免許の条件、銀行法の四条に書いてありますよね。健全経営に足る財政的な基礎があること、財政的な基礎がしっかりしていなきゃ銀行をやらせませんよと言っているんですよ。収支見込みが良好である、それから経営をする人たちが十分な社会的信用を有すること、こういうことを書いてあるんですよ。至れり尽くせりじゃないですか。国民に対して、財政的基盤はちゃんとある、収支見込みもちゃんとしていますよ、社会的信用もある人たちが経営していますよ、心配しなさんなと、お墨つきを与えているわけでしょう。  一般の人たちは、自己責任も結構だけれども銀行を大蔵省がそういう条件で認可しているんだ、免許を与えているんだということで安心して預金をしているわけですよ。どうなんですか、自己責任も結構だけれども、いきなりばんと破産をさせるんですか。今度は、更生の申し立てたとか破産の申し立てを監督官庁である大蔵省が裁判所に申し立てすることができるようになりましたよ。ある日突然、国民の皆さんは信頼をして預金をしている、そうするといきなりばんと破産が出てくるんですか。そんなことをしたら国民は困っちゃうじゃないですか。  その辺のところを、二つの要請、一つは自己責任、場合によれば破産をさせますよ、効率的にどんどん破綻処理を進めていきますよ、いつまでも悪いまま引きずっていきませんよということを言っている。しかし、片っ方では免許制度を持っている、今度も早期是正措置なんというものを入れて、いろいろ細かいことまでやるんでしょう。どっちが本当なんですか。
  49. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 金融機関の健全性を確保するために早期是正措置を中心とする今回の法案も御審議お願いしているところでございまして、この早期是正措置をきちんとやっていくことによって、何も突然破綻させる、そういうことにはならないと思っております。早期是正措置を通じて透明性の高いものになっていくことによって預金者の立場も守られる、こういうふうに考えております。
  50. 関根則之

    関根則之君 早期是正措置を講じて預金者の立場が守られる。そうですよね、銀行がそれによって悪いところを早く直して健全経営に戻れば、それで預金者も安心なんですよね。それはそれでいいと思うんですよ。ところが一方では、自己責任だ自己責任だといって、悪かったらつぷしちやうのよと、いつまでも抱えていくようなやり方はしませんよと、こういうやり方をしているんですよね。  国民はそこで迷っちゃう。両方の要請を受けて、そこのところの仲立ちをするといいますか、片っ方は自己責任、破産することもあるよ、しかし免許を与えて早期是正措置をきちんととらせて経営の健全性を守らせる、そういう努力もしますよ、しかし最後は破産するかもしれませんよ、そういうやり方でしょう。そのときに、両方の要請を仲立ちするのは、私は預金保険だと思うんですよ。そういう仲立ちを預金保険がするときに、今の一千万、余りにも少な過ぎるんじゃないですか。いかがですか。
  51. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 預金保険機構によります保険金の支払い限度額は、前回の法改正時、すなわち昭和六十一年でございましたが、昭和六十一年におきまして、当時の個人の金融資産保有状況を踏まえまして、それまで三百万円でございました、それを一千万円に引き上げられたところでございます。  その後の個人の金融資産の保有残高の推移を見ますと、全体といたしまして増加傾向にあるとはいいながら、平成六年の国民一人当たりの貯蓄残高は約四百六十万円でございます。預金残高は約百七十万円でございまして、先般の金融制度調査会におきましても、現段階において直ちに限度額を引き上げるということは必ずしも必要ではないんじゃないか、そういう意見が大勢を占めたところでございます。
  52. 関根則之

    関根則之君 そういうお話もありますけれども、私は今、長い間お勤めをして退職をされた方々がどの程度の預金を持っているのか、そういうことを調べた数字がありますね。これは貯蓄動向調査報告、総務庁統計局で出していますけれども、どのくらいになっていますか、六十五歳以上。
  53. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今御指摘の貯蓄動向調査報告の平成六年版におきましては、六十五歳以上で千八十二万円になっておろうかと存じます。
  54. 関根則之

    関根則之君 こういう数字を言うときも一番低い数字を言うんですよね、銀行局というのは。どういうことなんですかね。  貯蓄総額は二千五百六十三万円なんですよ。そのうち通貨性の預貯金は千五百九十万、それの内訳として、銀行に預けているのが幾らかというと千八十二万なんですよ。全体では二千五百六十万円なんですよ。そのくらい持っているというのが現状ですよね。  それから、退職をして老後、御夫婦で、無職でこれから生きていくときに幾らかかるか、そういう試算をしたものがありまして、それをパネルにしてきましたから、ちょっとごらんをいただきたいんです。(図表掲示)大体二千万円必要なんですよ。これは家計調査年報の数字に基づいて専門家に私は試算をしてもらったんですよ。それが二千万円ですよ、二千万。  どういう計算をしたかというのはもう時間がありませんから詳しく言いませんけれども、大体、夫婦二人で生活をするには毎月二十七万ぐらいかかるんですよ、六十歳以上で。社会保障給付費が十九万五千円ある、だから月々七万四千円は自分で用意しておかなきゃいけないわけですよ。  それを今、六十歳で定年になってやめたとして、男はあと二十年と四カ月ぐらい生きるんですよ、二十・四四。だから、八十歳と五カ月ぐらいしか生きられないですね。女性はやっぱり得ですね。六十歳で定年になって、あと二十五年と四カ月ぐらい生きられる。そうすると、この経費を全部足しますと、男は千八百万円必要なんです。女性は二千二百七十六万円必要なんですよ。中をとると二千万円。二千万円ぐらいないと老後は安心して暮らせないんですよ。  それが、営々としてためた貯金がパアになっちゃったら、一千万円でパアになっちゃったらどうするんですか。しかも、この経費には葬式代入っていませんよ。子供さんたちがいなかったら葬式も出せないというようなことになってしまうんです。  これが、我々といいますか、今、日本の高齢者の置かれている現状なんですから、そういうことを考えて、自己責任も結構です、私は大いにこれから透明性を高めてやっていく必要があると思うんですけれども、しかし自己責任を徹底的に追求してやったときには銀行は破産することがあるべしでしょう。あったら大変ですよ。いや、そんなものは三つも四つも銀行をかけ持ちしていればいいじゃないかと言うかもしれませんけれども、そんなことできないんですよ。田舎の本当に郵便局ぐらいしかないところは、あっち行ったりこっち行ったりそんなことできない、お年寄りは。  そういうことを考えたときに、私は、一つの取引先の銀行なりあるいは郵便局なりできちんとこれだけのものが確保されている、そういう体制をつくるべきだと思う。自己責任の原則、護送船団やめちゃうよという要請と、片っ方で、そうはいっても本当に、だってこの銀行がいいか悪いかなんというのは一般の人にはわからないですよ。それは仕事でもやっていて大きな事業をやっている人は、経理担当者もいるからそういう人たちに教えてもらうことができるかもしれないけれども、一人で生活している人なんかそんなこと全くわからない。わかれという方が無理ですよ。  そういう人たちも少なくも老後の資金ぐらいは安心して預金保険からもらえるようにしてやるべきじゃないですか。その辺について大蔵大臣、どうですか。事務当局は結構ですよ、つれない返事ばっかりするんですから。どうかひとつそこのところをどう考えるのか。
  55. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 保険料率とも関係してくる問題だと思いますが、これから五年間は預金の全額を保証するという立場で預金保険機構を整備しようとするわけでございますから、その間にまた国民生活や経済の動向等も見ながら考えられていく問題だと思っております。
  56. 関根則之

    関根則之君 考えられていく問題だと思いますなんて、そんなよそごとみたいなことを言ってもらっちゃ困るんですよ。今まさにあなた方が提案している法案は、五年後にはペイオフやりますよということでしょう。ペイオフというのは恐ろしいことですよ。銀行経営がうまくなくて、大蔵省は保証している、この人は社会的な信用があるし、財政的な規模はあるし、収支見通しもいいから、おれたちは免許してお墨つきを与えるけれども、それを信用していたら、いつの間にか銀行が破産して、ペイオフで一千万で終わりという大変なことになるわけでしょう。そういう制度をこしらえながら、先のことはまた考えていくでしょうなんということじゃ困るんですよ。  やっぱりそこのところはきちんと、その金額もその時々の情勢に応じて、今なら二千万必要なんですから、できるだけ早く、例えば五年後なら五年後にはきちっとしますよと、そういう答弁をしてもらわなきゃ危なくてついていけないじゃないですか。自己責任なんという観念だけで銀行制度をいじってもらっては困るんですよ。銀行を信頼し、大蔵省を信頼して預金しているお年寄りの立場に立って、安心していられるような答弁をしてくださいよ。
  57. 久保亘

    国務大臣久保亘君) いや、私が申し上げているのに無理があるでしょうか。五年間……
  58. 関根則之

    関根則之君 五年後の問題ですよ。
  59. 久保亘

    国務大臣久保亘君) そういう金融システムを確立していくために、預金の全額保証を行うということで、保険料率を七倍に上げて整備しようとするものです。  それで、その五年後をどうするかという問題は、特別保険料の見直し等も入れてございますが、そういう中で真剣に検討せらるべき問題であり、初めからペイオフニ千万というようなことを決めてまいります場合には、保険料率がどれぐらいになるのか、そういう問題も考えなければならない問題だと思っております。
  60. 関根則之

    関根則之君 料率の話が出ましたから申し上げますけれども、今度は一律料率ですよね、一定料率。アメリカでは料率に格差を設けているでしょう。経営のいい銀行、非常によく能率的にやっている銀行については定額ですよね、一銀行二千ドルで結構ですと、定率ですよ。それから、一番低いのが〇・〇三%。日本の場合には今度〇・〇八四になるんですか、だからそれよりも大分低いですよね。それから、一番悪い銀行、危なっかしいというか問題のある銀行は〇・二七%ですから、九倍の格差があるわけですよ。定額と比べりゃもっともっとうんと差がある、比較にならないぐらいの倍率ですよね、格差がつけてある。要するにへ銀行経営についてインセンティブを与えているわけですよ。  日本ではどうしてこういう、これからは銀行経営というものはどんどん伸びる。護送船団というのは一番スピードの遅い船に合わせるということでしょう。経営の一番条件の悪い銀行に合わせて、余りいい銀行だからといってどんどん金利を上げちゃ困りますよというやり方でしょう。  そうじゃなくて、伸びる銀行はどんどん伸ばしてやろうと、そういうシステムだとすれば、こういうものにも、どんどんやればそれだけの見返りがあるのよ、一生懸命経営努力をすればそれだけの見返りがあるんだよという制度をつくっていかないと機能しないと思うんですよね。その辺、どうして預金保険料にアメリカのような格差制度存導入しなかったのか、お尋ねいたします。
  61. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 御指摘のように、アメリカにおきましては、これはアメリカ独自の制度でございますが、九三年より、金融機関経営者のモラルハザードを防止する、あるいは健全経営に対するインセンティブを与えるという観点から、金融機関の健全性に応じまして異なる預金保険料率を適用する、可変的保険料率と呼ばれております制度が導入されております。  しかしながら、同制度につきましては、従来上り、経営内容が悪化いたしますと金融機関に高い料率を適用する。例えば病気になると高い保険料になると、こういうことになりまして、かえって自主的な再建を困難にするということにならないかというような問題点も指摘されているところでございます。  我が国におきましては、現在、金融機関が不自債権を抱えまして、その早期の処理が望まれている現下の情勢下では、金融機関の自助努力による不良債権問題の早期処理に支障を来すおそれがあるということで、現在の段階ではこのような制度は必ずしも導入は難しいんではないか、このよろに考えておるところでございます。
  62. 関根則之

    関根則之君 事務的な説明はそういうことだと思うんですけれども、私は、今度せっかくこういう、護送船団方式をやめてその結果が国民にどろいうふうに返ってくるんだということ、そこを考えながらいろいろと運営をしていっていただきたいと思うんですよ。それは効率のいい銀行、そわが効果を発揮して国民に効果が戻ってくる、そういうやり方にするということだと思うんですよ。スピードの一番遅い船に合わせていく、それが難送船団方式でしょうっ経営の悪い、条件の悪い銀行に合わせておいたら国民はいつまでたったって金利が上がってこないんですよ。恩典が少なくなっちゃうんですよね。見返りが少なくなっちゃうわけでしょう。  だから、能率的な経営をして一生懸命経営努力をしている銀行がそれだけの経営成果を上げて、出てきたその成果を預金者に還元する、そういろやり方をする。そのためには、やっぱり努力し{らその努力が報われるような制度を設けなきゃいけないんですよ。いい銀行も悪い銀行も全く同じ料率で保険料を払わなきゃいけない、そんなふろにしていたら保険料率を上げることもできない。今のペイオフの限度額、破産したときに返ってくる金額を上げるということもできない。  今、何も私はすぐに二千万にしなさいなんで言っているんじゃないんですよ。現状がそういうことだから、五年後に本当にペイオフシステムが動き出すときにはそれはそれなりの状況の中できちんとしますよと、少なくもそのぐらいの答弁はしてもらいたい。  それから、インセンティブの問題だってそうですよ。何でもかんでも横並び、一律じゃなきゃだめだというのが今までの金融行政の物の考え方だけれども、これからは違うのよ、伸びるやつはどんどん伸びていってくださいよ、そういうシステムなんだから、インセンティブを与えて励みがつくように、経営をよくするように、そういう努力をこの料率の中にも入れてくる、そういう考え方を、それじゃ今すぐそうしますなんということ序期待しているわけじゃありませんけれども、物事の考え方の中にインセンティブをできるだけ与えていくんだと。一生懸命努力をしている銀行努力をしない銀行のしりをふいているというやり方でしょう。それはやっぱりおかしいんだと。いい銀行はどんどんよくしていくんだ、その結果を預金者に還元しますよ、そのためにインセンティブを与えていきますよ、少なくもそのぐらいの指導をしていくということを答弁できませんか、大臣
  63. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大変難しい問題であります。自由化とか市場規律とかいう立場からいたしますと、当然そこには競争が必要となってくるわけであります。そういう意味では、今、関根さんお話しになりますことはよく理解ができるところでありますが、まだ日本の場合に直ちに、競争主義に立ちました場合に保険料率などにおいてそのようなものを持ち込みます場合にはへこれはどろいう結果になっていくのか、弱肉強食で逆に中小の必要な金融機関経営を困難にすることはないのか、それらのことについても十分検討しながら、方向は自由化で、いい意味での競争が行われることが私はこれからの方向であろうと思っております。
  64. 関根則之

    関根則之君 保岡先生にお見えいただいておりますので御質問申し上げます。  今度、議員立法で保岡先生たちを中心にしまして提案がなされているわけでございまして、一年間の時効の停止の法案と、それからいわゆる住専債権回収に当たりまして暴力団が建物を占拠しちゃってなかなか競売がうまくいかない、そういうようなときに、単なる債務者だけではなくて占有者に対しても保全処分の効力が及ぶということにして、いわゆる暴力団等による妨害を排除することができる、そういう改正であろうと思います。この法律ができれば競売なんかも大変スムースにいきますし、そもそも競売価格が物すごく安く落とされるということもなくなるだろう。大変結構なことだと思うんですよ、債権回収の実を上げるという点から。  そういう意味で大いに期待しているところでございますが、提案者といたしましてその辺につきまして御説明をいただければありがたいと思います。
  65. 保岡興治

    衆議院議員(保岡興治君) 先生が御指摘のように、今、日本の経済社会には物すごい大量の不良債権が山積みになっている、しかもそれを一掃しないとあすの日本の活力を手にしていくことができない、世界に対する責任も果たせない、そういう意味ではこの債権の回収を何とか徹底して処理をしなきゃならない。住専もその中で象徴的な存在として、公的な資金も投入して、そうして一日も早く徹底した回収と責任を追及して、そして国民の期待にこたえなきゃならない。そういう意味で、その債権処理をするためには最終的には法的な手段としての競売を実行する以外にない。  ところが、この競売が不良債権のためにどんどん累積しまして、競売案件が急増しております。ところが、これを温床にいろいろ占有で不当に妨害をしたり、あるいは仮装の賃借権を立てて執行を妨害したり、こういうことで立ち退き料やいろいろな名目でお金を大量に、不当に得るというような陰のダーティーな勢力の横行も非常にあって、これも将来の日本の社会問題につながりかねない。  そういった債権の徹底回収と責任の明確化、あるいはこういった社会問題を未然に回避するためには競売の執行がきちっとできるように、今、先生が御指摘のように、保全処分の妨害を占有者にまで及ぼして、従来債務者と所有者だけになっておりますけれども、これを不当な占有者にまで拡大するとか、あるいは競売前に保全処分がかけられる道を開くとか、その他引き渡し命令の相手方を拡大して簡易に迅速に引き渡し命令が実行できるとか、そういった工夫を議員立法でやるべきであると。  政府の提案を待っていたのでは、検討や審議会その他いろいろ時間もかかるようですので、この債権の回収のために競売がきちっとできなければ解決にならないということで議員提案をさせていただいたわけでございます。  そういったことで、一日も早く当委員会でも御審議の上、衆議院から送られてまいりましたら成立をさせていただきたいと思っておるところでございます。
  66. 関根則之

    関根則之君 ありがとうございました。終わります。(拍手)
  67. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今回六法案がこの特別委員会に付託されているわけでございますけれども、この六法案はいずれも金融に関する法案でありますが、二法案住専問題に、そしてあとの四法案はこれからの金融秩序をどのように我が国として持っていくのかということになっているようであります。いずれにしても、バブルによって我が国経済が崩壊の危機にさらされている、特に日本金融秩序、世界の中における日本金融秩序の信頼という大きな視点の中に立った重要な法律案であるというぐあいに認識をしています。  私どもは、この委員会でそのような大きな視野のもとに日本の経済の将来を論じなければならないわけですが、ただ残念ながら今日、問題は政府の財政支出六千八百億というのがどうなっているのかね、いいのかね悪いのかね、それはどういうぐあいにして回復するのかねというようなことをめぐって、論点が少々偏っているなという感じもしないわけではありませんけれども、確かに住専の破綻は不特定多数の預金を預かっている金融機関の破綻ではありません。それに、言ってみれば民間の私企業間の問題である。それに財政資金を投入するとは一体何事かという国民の気持ち、考え方というものはそのとおりであるというぐあいに思っているところであります。  しかし同時に、住専の各社は十三兆一千億、大変な金額ですよね。十三兆一千億という資産を有し、その資産の調達先がほとんどすべて金融機関であるということから金融機関に及ぼす影響が物すごく大きい。金融機関はよく政府の方では経済の動脈であるというぐあいに言われていますが、一歩その処理を誤れば我が国の金融秩序が乱れ信用不安に至る、我が国の経済に多大の影響を及ぼすであろうということは言うまでもないことでありまして、この問題を外して住専問題を議論することはできないという状況であると思っています。  そこで、従来政府が御説明にはなっておりますけれども、今改めてどういうぐあいな経緯、考え方からこの六千八百億という財政支出をするに至ったか、簡単で結構ですから御説明を願いたいと思います。
  68. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 長い期間にわたりました両院の御審議を通じて、今お話がございましたように、国民の皆様も住専問題、特に住専債権債務処理を早急に決着させなければ日本経済、金融にとって極めて重大な事態になるということについては御理解がいただけているものと考えております。  ただ、これを処理いたします場合の方法について、公的資金の投入をめぐってさまざまな御批判、御意見等があることもよく承知をいたしております。この問題は、民間の問題であるから当事者に任せて処理すれば適切に早期に決着できるという問題ではないということも御論議を通じて明らかになったところだと思っております。  特に、住専債権者の関係は大変複雑で、多くの方々、利害の対立する関係がございます。そういう中で、現在積算されております六兆四千百億の損失部分をどのようにして始末をつけるかという問題について、当事者間の協議をお願いしてきたところであります。  その長い協議を通じて、この問題は公的関与を行っても処理しなければならない、先送りを許されない問題という認識の中で、それぞれ債権の全額放棄、あるいは一般行の三兆八千億に対する一兆七千億の放棄、そして系統金融機関の五千三百億の贈与というようなことでぎりぎりのところで御検討いただき、合意に達したのでありますが、なお不足いたします六千八百億につきまして、これを公的資金を投入してもこの問題を処理しなければ日本経済の将来にとって重大な禍根となる。そして、そのことによって国民の失うものは六千八百億を上回るものとなろう。このことに対して、政府として責任を持たざるを得ない。  しかし、この論議の当初から、母体行を中心とする金融機関の持つべきその公共的責任というものはなお追及せられるべきものであるという立場から、私どもはこの問題と取り組んでまいりました。金融制度調査会の答申の中にございます、公的資金の投入は極力圧縮の努力をすべきであるという立場に立って努力を続けているところでございます。  今はそのような日本経済の動脈に生じております重大な欠陥を取り除くために、まず私どもはなすべきことをなさねばならぬ。そのために、現在お願いを申し上げておりますこの処理方策と同時に、これを通じて日本金融システム金融行政のあり方についても今日の新しい時代に対応できるものに確立していかなければならないという視点に立ってお願いをいたしております金融関連法案とともに成立をさせていただくことが極めて重要と考えております。その中での六千八百億の負担でございます。
  69. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、大蔵大臣から詳細にわたって、この住専法案がどのような形ででき、政府としてどのような認識を持っているかということを御説明いただきました。私は、この問題は民間の貸借の出来事であり、民間が解決すべきものという基本的な感じを今でも持っているところであります。しかし、関係者が協議をし、そしてその結果として解決できればそれは最高のものに間違いございません。  しかし、それができないということで、住専各社並びに出資者である母体行、貸し手である一般行がこの問題をギブアップするというんでしょうか、そういう形で解決ができないということを申し出られたと。それに対して政府は、今おっしゃったような問題意識から、すなわち日本の経済をどうやって維持していくかという問題意識から、早急にこの問題を解決しなければ、日本国経済が復興の途中にあるにもかかわらずさらに悪化をしていく懸念があるということから、国が一種の介入というとおかしいですけれども、介入をして当事者を集めてその当事者間の和議を求めたんだと。  しかし、和議を求めたけれども、先ほど申されたように、母体行は住専七社の損失額六兆四千百億のうち三兆五千億しかできないと。その三兆五千億というのは、結局のところは母体行が住専各社に持っている債権の全額放棄である。一般行はプロラタと言うんでしょうか、貸出人として、比例して、修正プロラタと言われていますけれども、そのような形で一兆七千億を放棄する。農協は、いろいろ議論があったけれども、特に第二次再建計画とか、それからそのときの大蔵省、農林省との覚書であるとか、あるいはそもそも母体行が持つべきであるというような議論であるとか、そういう議論から五千三百億を贈与する。差し引き六千八百億が足らないということで、一種の和議のお手伝いとして六千八百億を財政支出するという形になってきたんだというぐあいに理解をしています。  しかし、問題は、本来民間で負担をし、解決をすべきものであったという認識からいえば、母体行が三兆五千億放棄したというのはぎりぎりであるのか、それ以上のものは求められないのか、一般行はどうか、農林系統融資機関の五千三百億というのは妥当かというのがそれぞれ吟味されていかなければいけない、そういう立場ですよね、基本的には。  政府はもちろん六千八百億というものを財政古出するという決心をしたんですけれども、今、大蔵大臣が言われたように、いや母体行に問題があるじゃないかとか、いろんな問題を提起し、発言をされております。総理大臣もそのような御発言をなさっておりますが、一体、政府はこの問題について、各貸出機関である母体行、一般行、その他がぎりぎりの負担をしたんだというぐあいに認識をされているのかどうか、その点についてきっちりとした御発言を願いたいと思います。
  70. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 昨年十二月に関係者間の協議が行われました段階においては、これが負相し得る限度だということで合意されたものと考えております。  しかし、その後、金融機関、とりわけ母体行の責任はそこにとどまるかという問題は、住専と母体行との関係、設立、出資、人事、経営、さらに紹介融資といったような問題を含めて、母体行け子会社ともいうべき住専処理に関してもっと大きな責任を負うているのではないか、さらに銀行はそれに対応できるだけの体力を有しているのではないか、こういう立場から御議論がございました。私どももそのような立場についてさらに検討を加え、母体行はさらにその責任に基づく負担を行うべきであるという考え方を持ったのであります。  なお、この新たなる寄与につきましては、関係者の間で一たん合意いたしておりますこのスキームを成立させ、スタートさせていく中で新たなる負担寄与についても積極的な協議に基づいて合意が得られなければならないものと考えておるのでございます。
  71. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、大蔵大臣から御答弁いただきましたけれども銀行金融機関側、すなわち六兆四千百億円の欠損について、赤字の穴埋めを関係者が全部できないと。しかしながら、母体行その他はぎりぎりだと言っているけれども、なおかついろんな議論の過程から見て新たな寄与お願いするということは考えているんだというお話下ございますね。  そこで、大変恐縮なんですけれども、先ほど関根委員が申されましたけれども平成八年の三月期の銀行の決算は、業務利益に関する限りは最宮の水準を行っているというぐあいに言われていますが、その状況をまた詳しくお話し願い、昨年の十一月段階における母体行その他の支払い能力というんでしょうか、ともかくも資金的な余裕、伏力というものはどういうぐあいに変わってきたかということを御説明願えませんでしょうか。
  72. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 銀行協会の側も、私と直接いろいろと意見を交わしました中でも、確かに体力はあるということを申されております。しかし、体力があるから出せと私は申すわけではありません。責任に応じて負担すべきものである、そしてそれに応ずる体力がある、こういうことで私の方から申し上げております。  今申されました八年三月の決算期におきまして、先ほど銀行局長も申し上げましたように、主力二十一行だけでも四・七兆、前年同期比七二%増の業務収益を上げております。また、これらの収益をもって大幅に不良債権の償却も可能となっているのでありまして、そういう意味では、御審議をいただいております間に、さらに母体行側の持ちます体力についてはさらなる寄与を要請するに足ると、このように考えておるところでございます。
  73. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 母体行側ないしは銀行側、全金融機関ですね、それがどのようにこの問題にこれからかかわっていき得るのかということは、またちょっと後で御質問申し上げたいと思います。  私は、大蔵大臣の言われたように、この問題を早急に解決せにゃいかぬということ、それから、解決するのに際して現在当事者間において十分の合意がなされない、したがって政府がそれに参加をして六千八百億の財政支出を現時点においてせざるを得ないということはある程度理解をするものでございます。  実は、世界の各国においても、同じように金融機関の破綻に際していろいろな財政措置、いろいろな国家的措置がとられていると思いますけれども、それらの例を大臣はどのように御理解なさっておられますか。
  74. 久保亘

    国務大臣久保亘君) アメリカにおきましても、貯蓄貸付組合の破綻に伴いまして十九兆円の公費の負担が行われた例がございます。北欧三園におきましても、金融機関経営危機に際しまして公的資金の投入が行われた事例がございます。  詳細は政府委員の方から申し上げます。
  75. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 不良債権問題に苦しみますことに関しましては、世界各国この七〇年代以降共通の経験を持っているわけでございます。とりわけアメリカにおきましては、八〇年代の傍半に貯蓄貸付組合の破綻が相次ぎまして、結果的に十九兆円に上る財政資金の導入が行われたわけでございます。  北欧三国におきましては、絶対額は小そうございますけれども、国の規模が小さいがゆえでございまして、その相対的な大きさといたしましてはアメリカを上回るような財政負担が行われておりまして、投入された財政資金の額は、ノルウェーで約三千億円、スウェーデンで八千七百億円、フィンランドで七千億円という巨額に上っておるわけでございます。  一方、イギリスにおきましては、七〇年代前半と九〇年代前半に二度にわたりまして中小金融機関経営危機に際しまして、イギリスでは中央銀行による融資や保証という手法におきまして措置がなされているところでございます。  フランスでは、国営銀行でございますけれども、クレディ・リヨネ銀行に対しまして財政資金の支援が行われた例がございます。
  76. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今御答弁いただいたように、諸外国でも、金融機関というのは経済の静脈であると言われているわけですから、それをとめるわけにいかないというので、その危機に際して多くの財政支出を見た例があるわけですね。日本国でも現在六千八百億を支出しようとしている。しかるに、なかなか国民の理解を得られていないというところが問題になっていると思いますが、どうしてだというぐあいにお思いでございますか。
  77. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 早期処理ということでは御理解をいただけても、結局国民の皆さんの御負担になるということについては、なぜ住専問題にということで御疑問があるのは、私はそうだろうと思っております。  ただ、この問題で十分に御理解をいただいておりません点は、今直ちに六千八百億を国民の皆さんに税負担という形でお願いをするものではございません。この六千八百億の投入金額は、将来どのような形でこれが国庫に還元されてくるかという問題でございます。  それは幾つかの道があると思っておりますが、一つは、回収がどのように行われるかということがございます。もう一つは、この処理が適切を得て、日本経済が順調に回復軌道をたどることによって税収が伸びるという効果も見なければなりません。それからもう一つは、この負担をぜひ金融機関が、その体力によって新たなる寄与という追加負担をしてもらうことによって、これが六千八百億の公費投入が将来還元されてくるという、いろいろな方法があると思います。  そういう形を通して、この六千八百億の公費投入が国庫に返ってくることによって、国民の利益を最終的にはこの処理を早期適切に行うことによって守る、そういうことで御理解をいただかなければならないと考えているところでございます。  どうして国民の理解が得られないかということにつきましては、私もこれを不言で申し上げることは大変難しいと思いますが、御負担を願うことが直接今自分たちの暮らしや仕事にかかわって還元されるということが目に見えるものでないという点においては、非常に国民の皆様方の御理解歩いただくことが難しい問題だと思っております。
  78. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 私は、やっぱり国民にかかわりのない世界の貸し借りの話が、いや当事者が云々ということで財政支出にすぐ結びつくということについての不信感というんでしょうかね、思いが非常に強いと思うんです。  総理はいろいろな会合の中で、金融秩序の維持ということが非常にあるんだよと、それが大事なんで、このことをやらざるを得ないんだというぐあいに御説明あるいは御答弁になっておられますけれども、それをもう一つ易しく御説明願えませんでしょうか。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻、大蔵大臣が御答弁になりました点にも重複する部分がありますが、私はやはり国民から非常に強い反発を受けました大きな原因、それは、突然公金の支出というものが決められた、そこまでのプロセスがよくわからないという点は大変大きかったように思います。  そして、昨年の夏以降、関係者の中でこの事態を処理していくために真剣な話し合いがなされておりましただけに、それが真剣であればあるほど当事者の中の話というものは外に情報として出ていかない。そして、最終的に財政資金の投入ということが決断をされたということに、プロセスの点で国民の反発を受けた部分が非常に大きい。総理官邸に参りますインターネット等の御意見を見ておりましても、私はそのような印象を持っております。  そして、それはそのまま今国会になりましてから、この住専を含みます問題で与野党の御論議をちょうだいし、政府として御答弁を申し上げておりますうちに、一つのことに気づいた部分がございます。  今、日本金融機関が国際的に信頼を取り戻さなければならないという点についてはどなたも御異論がありません。そして、その取り戻さなければならない信頼、その土台にあるものが何かと言えば、金融機関の抱える不良債権である。この不良債権処理を何とかしなければいけないというところも皆共通項だと思います。  問題は、これは衆議院の御論議の中である野党の議員の方の御質問にお答えしたことでありますが、野党の皆さんは不良債権全体を問題としてとらえられ、この住専問題もその一角に位置づけておられる。いわば氷山の一角という位置づけをしておられた。  私どもは、同じようにこの不良債権の問題を后としても処理する、処理の軌道に乗せていくことが日本金融システムの信頼性を維持する、あるいは再構築する上で欠くことのできないことだと考えております。問題は、我々は住専というものを突破口としてとらえ、喫緊の課題としてとらえてきた。そこに議論の差異が生じたような思いがいたしました。  しかし、私どもはいろいろな言い回しで、多数の金融機関がかかわっているなんということは申し上げてきておりますけれども、いずれにしてむこの問題を、昨年の夏少し前ぐらいでありましょうか、当時の大蔵大臣が国際会議等に御出席になりながら、日本金融の信頼性の再構築という視点から考慮の対象に挙げられた時点から突破口という位置づけにこれをしてきたわけであります。そして、反省をするならば、私も大蔵大臣経験者として金融自由化を進める努力はいたしてまいりました。  しかし、ある程度問題意識は持ちながら、そして当時の大蔵省の事務方の諸君も問題意識は持ちながらも、自由化という事業の進展と行政のこれに対応する変化というものを怠ったという責任はあると思っております。  そして、今我々は市場原理に基づいたより透明性に富んだ、情報開示の素直に行われる、外かこ見て変わったとわかる金融システムというものの再構築を迫られているわけでありますが、それには当然ながら行政もそれに対応した変化をしていかなければならないでありましょう。  しかし、いずれにしてもそうした努力を重ねた中で、日本金融システムに対する信頼性というものを我々は国際的に取り戻さなければならない、それが今の状況ではなかろうかと考えております。
  80. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、総理大臣から金融機関全体の動向等に関する、それから世界の金融機関との関係は一体どうなるのかというような大きな視点から御説明をいただきました。大蔵大臣からは、この六千八百五十億というのが導入された経過も十分御説明をいただいたというぐあいに私は思います。  そういう意味で、政府の御提案になっている今の法律案というものは高く評価すべきものであると思います。同時に、この議論の過程において母体行主義であるとかあるいは法的処理を行うべきであるとか、いろいろな議論が出てまいりました。私は、法的処理を行えば農協が、系統金融が二兆数千億の負担をしなきゃならぬとかいろんな問題が出てくる、そしてしかも処理のために非常に時間がかかるということでその案はとり得ないというぐあいに政府としてはお考えになったというぐあいに思うんですけれども、その点についてもう一遍確認を求めたいと思います。
  81. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 住専問題は、いわゆる法的処理、会社更生法や破産法によって処理するということになってまいりますと、利害関係が非常にふくそういたしておりますために大変時間がかかるしへその解決が困難な状況になるのではないか。それらの点について、今の方策以外は考えないのだということではなく検討をしてきた問題だと思っております。特に、野党の皆さんから会社更生法の適用についての御意見をいただきました際にも、真剣にそれらの問題について検討をいたしました。  しかし、会社更生法の三十八条に基づけば、現在の住専経営の実態、つまり破綻状態にあるものを裁判所が更生法に基づいてこの申し立てを受け入れる可能性があるのかという問題、もう一つ、仮に受け入れられたといたしましても、二百五条、可決の要件に基づきますならば、債権者の三分の二以上の賛成がなければこれは機能しないわけでございまして、そういう意味でも大変困難な方法になりはしないか、そういった問題も十分に検討いたしました。  また、破産法によります場合には、プロラタ方式などによって計算をいたしますと、母体行であります銀行の損失負担が当然半減することになります。そして、その分系統金融機関負担が、今の五千三百億の贈与からいたしますと数倍の重さにならざるを得ない状況があるのではないか。  そういたしますと、住専問題の処理を急ぎました理由の一つに、この問題をこれ以上深刻な状態にいたしました場合には、系統金融機関に信用不安を生じ預金者保護が非常に困難になるというような状況を生む可能性はないか、そういったようなものも考えました上で、破産法の道をとることは極めてその手続が難しいということと同時に、非常に重大な問題をはらんでいる、こういうようなことから、今回は公的関与に基づく御提起申し上げております処理法が私どものとり得る最善の道と考えた次第でございます。
  82. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 そのような趣旨でこの法律案ができているというぐあいに考えますけれども、問題は母体行その他により一層の寄与を求めるべきという政府の御見解でもあり、さらに衆議院でこの六法案が通過したときに三党声明を出しまして政府に対して「住専を消滅させるための損失処理に要する財政負担六、八〇〇億円については、」「関係金融機関等(農林系統金融機関を含む。)に新たな寄与を求め、結果として国民負担をできる限り軽減するよう努力する。このため、関係金融機関等と協議し、できるだけ速やかに具体化を図る。」という三党声明が出されました。  これは先ほど関根議員が御質問したときに言及されましたけれども、これと同じ趣旨のことを参議院では既に政府申し入れをしているわけですけれども、これについて政府はどのようにお考えになり、どのように行動されているのかということを御説明いただけないでしょうか。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本院からちょうだいをいたしましたと同様の御意見を衆議院の特別委員会可決に当たりまして、自由民主党、社会民主党、新党さきがけ三党からちょうだいをいたしました。  そして、この声明を受けまして、政府としてはこれを重く受けとめながら、新たな寄与という問題を初めとして、我が国の直面いたします金融しの諸問題に迅速かつ的確に対応するために真剣に取り組んでまいりたいと考えております。同時に、与党三党としても、この申し入れを実現すべく、側面から御努力をいただいていると承知をいたしております。
  84. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 それでは、午前中の時間が経過したようでございますので、午後続けて関連質問をさせていただきたいと思います。
  85. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩     ―――――――――――――    午後一時二分開会
  86. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案、以上六案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 午前中に引き続き、御質問を申し上げたいというぐあいに思います。  午前中は、六千八百億の政府支出をせざるを得なかった経緯並びにその考え方、諸外国の例等々をお伺いいたしました。  あえてそれを申し上げたのは、本日はテレビで放映をされておりまして、国民に対してその間の経緯をしっかりと御説明を願いたかったという趣旨で御質問を申し上げ、十分な御答弁をしていただいたように私は思います。  しかし、問題は、六千八百億について、さてこれを今後どのように考えていくのか。政府としては六千八百億の支出を、金融業界に対して新たな寄与を求めるという考え方を御表明になりました。  たまたま、たまたまというわけじゃありませんが、多分政府の決意を金融業界の方でも受けとめられ、そのような中で、先ほど申し上げましたように、参議院では総理に対して六千八百億の削減というんでしょうか、限りない削減をお求めんし、かつ与党の三党においても声明を発表して、軽減するように努力すると、こういうような表組で政府に対して努力を求めてまいりましたつそれに対して、それでは政府はどのように行乱したのかということは、また後でお伺いをいたしたいと思いますけれども、全銀協側としては、画するに金融機関としては、先般、衆議院の金融関係の特別委員会で橋本俊作全銀協会長が参考人としての御発言をなすっておられます。  その御発言によれば、公共性の高い金融機関としては新たな寄与を模索している、これは政府が言っているんじゃないですよ、金融業界がそう言っている。しかし、なかなかいい案が浮かばず苦慮しているんだというぐあいに言っておられますけれども、この御発言に対して政府側はどのような行動を起こしておられますか、どのようなことをしておられますか。
  88. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 政府側のこのことに対する取り組みとともに、与党三党におかれても、総理申し入れがございました方針に沿って、また、衆議院における議決に際しましての与党の談話でありますか声明でありますか、この内容に基づいて金融機関側との接触も行われておりまして、いろいろと努力をされておると伺っております。  また、政府といたしましては、既に予算委員今の審議の過程から、銀行協会側に対して、国会における厳しい御論議を踏まえて、政府としても追加負担による新たな寄与について銀行側が真剣に検討されるよう強く要請を続けているところでございます。  明日また銀行協会の会長が当委員会にも御出席と伺っておりますが、そういう中でも明確な意中が表明されることを期待いたしております。私どもといたしましては、この国会の会期を閉じますまでの間に、新たな寄与に関する母体行を中心とした金融機関側のこのことに対する基本的な立嶋が明確となるよう強く望んでいるところでありまして、そういう方向に沿って目下関係者との事務レベルの協議を含めて接触を行っているところでございます。  具体的なこちらからの提示ということにつきましてはまだ今日申し上げる段階でないことを先ほど御答弁申し上げたところでございます。
  89. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今御答弁をいただきましたけれども、実はなかなか進んでいないように私どもには見えるんです。  それで、全銀協の橋本会長は、先ほど申し上げましたように、なかなかいい案が思い浮かばず苦慮しているところでありますとへこういうぐあいに言われているんですね、苦慮していると。まあ苦慮していただかなきゃいかぬわけですけれども、この稿本会長の御発言を聞き、あるいは新聞紙上でそれを読んで、国民は、ああ、いい案ができ始めているんだなと、こういう期待感に胸を膨らませていると思うんです、六千八百億はこれで消えるんだなと。政府もおっしゃっている、全銀協の会長さんもおっしゃっている、これで解決するんだなと、こういう思いが大変強いと思うんです。果たしてそういうぐあいに進んでいるんでしょうか。  今、大蔵大臣お話では、恐らく水面下で、こういう問題はある程度水面下で事を運ばないとうまい案ができてこないのかもしれませんけれども、水面下でいい案が浮かびかかっているんでしょうか、お答えください。
  90. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 相撲の取り組みで申しますと、最初の段階では土俵に上がらない状況でありましたけれども、今ようやく皆さんの強い御意見等を拝聴しながら土俵に上がるところまで来たんじゃないか。しかし、まだ機熟して立ち上がるというところまでは来ていないと思っておりまして、それを私どもといたしましては具体的な方策も含めてこの国会の会期中に何とか取りまとめたい、そういうことで全力を尽くすよう指示を関係のところにもしているところでございまして、もうしばらく時間をいただきたいと思います。
  91. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、大蔵大臣は、機熟してとか、立ち上がる状態にあるのかないのかというような御発言がございましたけれども、実はなかなかそういうぐあいになっているという感じがしないんですね。その上に大蔵大臣は、参議院審議中にと。会期は六月十九日。本委員会においてはさらにもう少し早い時期に、今週中にでもという発言もありますけれども、その間にやらなきゃいかぬということになってくると、大蔵大臣参議院の会期中にこの案を実現さす決意、あるいは命じてじゃなくて、現実の問題としてそういうことになると思っておられるのかどうか、しっかりした答弁を求めます。
  92. 久保亘

    国務大臣久保亘君) そのようにしたいと考えて、私も自分にできることを全力を尽くしているつもりでございます。
  93. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 御決意のほどは相わかりましたが、そのとおりしていただかなければやっぱり困ると思っています。  それから、さらに申し添えますけれども、六千八百億が国民負担になるということですね。それではいかぬということで、軽減をしょうやという話が出ておりますが、軽減なんですか、ゼロにするんですか、どっちなんですか。
  94. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 全く国民に御負担をかけないという結果を得れば最上だと考えております。公的資金を投入いたしましたものをできるだけ圧縮する。圧縮してまいりますと、その最も究極の結果はゼロということもあり得ると思うのでありますが、むしろそれよりも回収その他によっては上回る場合もあり得るものと考えております。  そういうことで、六千八百という数字にこだわらず最大限の負担を要請する、そしてそのことによって国民の利益を守る、こういう立場で努力したいと考えております。
  95. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 御決意はそうでありましょうし、また、実際に現在の案ができていないと、今模索中であるということですから、ゼロにするということは今御言明になることはなかなか難しいかもしれませんが、私はやっぱりやる以上は、新たな寄与をしていく以上は、軽減じゃなくてゼロにするということが当然だというぐあいに思いますが、いかがですか。
  96. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 軽減、圧縮するということで御理解をいただきたいと思います。
  97. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 確かに今案があるわけじゃありませんから、大蔵大臣としてはなかなか軽々しいことは申されないというぐあいに思いますけれども、ゼロにするという決意表明だけはしていただきたい、かように考えますが、いかがですか。
  98. 久保亘

    国務大臣久保亘君) せっかく努力をしていろところでありますから、最終的には国民負担とならないよう力を尽くすことが、この委員会を初め国会において与野党を超えて御論議がございましたことにおこたえすることだと考えております。
  99. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 橋本全銀協会長は衆議院における参考人としての発言の中で、なかなかいい案が思い浮かばず苦慮しているんだとおっしゃると同時に、私企業としては、要するに金融機関は私企業ですから、私企業としてはその限界の範囲内で合法的、経済合理性、公益というような条件を満足できるような追加負担を考えているんだというぐあいに述べられております。  確かに、母体行としては住専スキームの中において三兆五千億という最大限の、要するに全債権を放棄してその責務を果たしたというぐあいに全銀協側は考えておられるというぐあいに思います。その立場もわからぬではないですけれども、私は、さらにその中で全銀協という金融業界の中では金融秩序を維持するという非常に高い公益的な責務を負っていると思います。  先ほど関根委員質問の中にも出ましたけれども、免許という形をとって十分な活動の場所を与えられ、金融業界の運営についての全責任を、監督官庁としてはもちろん政府でございましょうけれども、業界としては金融業界がその信用維持のために全力を尽くさねばならぬという立場にあることは言うまでもないことでございまして、そのために、体力があれば、余力があれば、当然それに貢献すべきものであるというぐあいに思います。  さらに、昨年の十一月、スキーム形成のころから比べると、先ほどお話がありましたように、銀行業界も非常に体力をつけ、余力を持ってきた。その中において、当然のこととして、いつまでも政府に甘ったれたようなことを言うんじゃなくて、みずからの力で信用制度維持を図るということが当然の責務であろうかというぐあいに思っております。  スキームができた後の話でございますので、非常に狭い、細い道を一歩一歩踏み外さずに渡らなきゃならないことも言うまでもないことでありますけれども、私はここは勇断を持って、先ほど申し上げましたように、六千八百億の負担というものをゼロにするという態度で全銀協側あるいは金融業界側とお話を願わなければならない時期ではないか。さらにそれは、大臣仰せられたように、参議院でこの法案審査しているときにやはりそれを実現させていくということが必要ではないかというぐあいに思いますが、重ねて大蔵大臣に御所見を承ります。
  100. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大変御激励をいただきまして感謝をいたしておりますが、一つこの問題で御理解をいただいておかなければなりませんことは、銀行側に対して法的に負担を強制する手段は現在の法体系のもとではないということであります。  そういう中で、銀行側とのある意味では戦いともなりますが、協力と戦いとその両面を通じて、私どもは、この問題を金融機関の持ちます公共的責任の重さや今度の住専問題に関する母体行を中心に負うております。その責任というものを考えて、ぜひ銀行側にも私どもの要請を受け入れてもらえるようこれからも最大の努力をいたしたいと考えております。
  101. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 大蔵大臣としては最大限の決意を表明され、努力をなさるというぐあいに受けとめます。  しかし、具体的ないい案がないと、先ほども申し上げたように、何ともならぬということで、世上いろいろな案が検討されているわけですね。大蔵省としても当然いろいろな案を検討されていると思います。大蔵大臣が言われたように、これは政府としては強権的にこうやれ、ああやれといって命令をすべきものではないということはそのとおりかもしれません。しかし同時に、これは大蔵省側というよりも政府側も、こういう案でどうだろうか、金融業界もこういう案なら受け入れられるんじゃないか、いろいろな御提示をなさる必要があると思います。  先ほど大蔵大臣は、必要があれば大蔵省からも案を提示するということを考えたいという趣旨の御発言がございました。となると、いろいろな案があるよというだけではだめなんで、もう身近に迫っているんですから、もうすぐやらなきゃいけないんですから、大蔵省に案がないはずはないというぐあいに思いますが、いかがでしょうか。
  102. 久保亘

    国務大臣久保亘君) いろいろな考え方がないわけではございませんが、まだこれを協議の場に上げて論議をするというところまで詰められていないということで、その具体的な考え方をここで申し上げることが困難であるということを申しているのでございます。
  103. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 では、私の方から申し上げざるを得ないというぐあいに思うんです。  いろいろな案が言われているということの中の一つに、現在、預金保険機構ですか、そこを今回の法律案では従来の七倍、そこまで上げよう、すなわち〇・〇八四まで上げようというようなことが提案をされております。  しかし、その上にさらに余力ありと見られればその保険機構の保険料を若干上げて、それをさらにこの債権処理会社という新会社、できるであろう新会社の一般財源として繰り入れるのはどうかというような案が新聞紙上あるいは関係者の間で議論されていますが、この案についてはどんな感じをお持ちでしょうか。
  104. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 先ほど大臣からも申し上げましたように、私どもといたしましてそのような個々の具体的な案を提示しているという段階ではございませんが、一般論として今の御意見にお答えを申し上げるとすれば、現在御提案申し上げております預金保険料は七倍に引き上げるということでございますが、これはいろいろな議論の経過におきまして、今の金融機関の能力あるいは外国に比べまして限度いっぱいのものである、負担力の面から限度いっぱいのものであるという面が一つございます。  もう一つは、住専と余り関係の深くない、例えば信用組合だとか労働金庫だとか、預金を受け入れております金融機関にはすべてこの負担が平等に比例してかかるというような問題があるわけでございます。このような問題との関係をどのように考えるのかということも一つの論点になろうかと考えております。
  105. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 いろいろな案に、全くいやそれは結構ですねというような案があれば当然出ているわけですよ。いろいろ問題があることも当然でしょう。だからこそいい案があればということで模索をされているんだというぐあいに思います。あえて今、銀行局長が、保険料が限りなく高いものであるという仰せでございましたけれども、アメリカにおいては金融破綻に際して行った保険料は〇・二三三%というような割合で行われており、我が国は七倍にしても〇・〇八四ということで相当の差があるように思います。もちろんアメリカの金融機関の収益力、日本金融機関の収容力に差があることはそのとおりでございますが、あえてそれが最大の問題になるとは考えておりますん。  それから、信用組合等関係のない金融機関に生でそれが及ぶということでございますが、私はそんなことを言っているんじゃありません。これは金融機関の信用保持という点から全金融機関が磁力をすべきだという観点から物を申し上げていろので、わしは住専と関係ないからそんなのは嫌だよというような金融機関では、私は情けないというぐあいに思います。  必ずしもこれが大きな障害になっているといろぐあいには私は考えておりませんが、まだ具体的な案をつくっていないということですから、ぜひこれも御検討の俎上にのせていただいて、速やかにやっていただきたい。  さらに、次の案を申し上げましょう。(「三つ四つ出してやれ」と呼ぶ者あり)三つ四つ出してやれということですから、続けて幾つか出していきます。  銀行の中には、だんだん面倒くさくなってきたので、ちょっと表現が悪くてごめんなさい、全金融機関がそうだねと言うためには、あるいは全金融機関が平等に負担をするという意味では、預在、貸倒引当金制度というのがございますね、今融機関につきまして。これは業種によって貸倒引当金への引当率というのは税法上異なっているわけでございますが、金融機関については千分の三ということでございます。全金融機関、現在において二兆三千億円ぐらいの積立金を持っているというぐあいに伺っております。その中で金融機関の貸倒引当金引当率を若干引き下げて、要するに税金をいっぱい出してということになりますが、それで全金融機関としての本件に対する姿勢というものをあらわしたいという意見もございますけれども、いかがでございましょうか。
  106. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 御指摘のような考え方関係者の間で議論がされているということは事実でございます。  しかしながら、この御提案につきましてはまず第一に、金融の分野におきまして、できれば自主的に解決すべき課題につきまして税というような手段を用いることがどういうものであるかという御議論もあろうかと思いますし、それから貸倒引当金というものは将来に備えるものでございますが、現在の不良債権が累積しているという金融情勢からいたしまして、それを引き下げるということをどのように考えるのか、こういう課題もあろうかと存じます。  また、この貸倒引当金は、大きく言いますと融資額に応じて積み立てられているものであるわけでございますが、それを負担の手段に使うといろことは融資額に比例して負担をしていっていただく、こういうことになるわけでございますが、このことが住専問題との関係でどのように考えられるべきか、このようなことが議論になろうかと存じます。
  107. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 では、住専問題では住専に対する貸付金を放棄するということでこれは無税の扱いになるわけですね。そのようなことも考えて貸倒引当金の率をいじったらどうかという議論が行われているというぐあいに承知をしているんです。  今、銀行局長が言われましたけれども、これもさっき申し上げたように確かに全部うまいぐあいにいけばそういうふうにいくに決まっているんで、全部うまいぐあいにいっていないからいろいろな案が出てきているわけですから、銀行局長が仰せられた問題について一つ一つおかしいじゃないかということは申し上げませんけれども、これまた大いに検討すべき案であるというぐあいに黒います。  先ほど申し上げたように、この解決の新たな寄与をどうするかということは、細い狭い道を一歩一歩踏み外さずに通り抜けていくということが大事なわけですから、それに際して、今、銀行局長の言われた議論もあるかもしれませんけれども、一つ一つ物事の考え方を整理してやっていくことが必要であろうというぐあいに思います。  さらに、先ほどからもう少し言えというお声がかりがございますので、もう一つ案を申し上げます。  すなわち、有力な案として現在、預金保険機構の中に安定化拠出基金というものがつくられることになっておりまして、各金融機関が一兆円の拠出をすることになっています。そのうちの千億は出資に充てられ、九千億は運用益を出すように本てられ、そしてその運用益を債権処理会社の助成として使うということになっているわけでございます。  私は、一兆円というのはだれが決めたものでもないので、人間様がまあ一兆円ぐらいでいいだろうと、大体そうだねということで決めたものだと思いますけれども、(「そういう決め方していたの」と呼ぶ者あり)そう思いますけれども、それをさらに積み増す、これにあと一兆円を積み増せば、利率がどれくらいになるかわかりませんけれども、今の安い金利で三・五%としましても十五年間たてば六千億ぐらいになっちゃうんですね。それをやるということはどうかという議論が行われていると思います。もちろん大蔵省でも十分御検討になっていると思いますけれども、いかがでございますか。
  108. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今御指摘のいわゆる基金を増額する、あるいはつくるということにつきましても関係者の間で議論の対象になっていることは御指摘のとおりでございます。  ただ、今一兆円の基金という御指摘がありましたが、この一兆円の基金を設けるにつきまして、昨年の暮れに、現在御提案申し上げております政府処理策を固める段階におきまして、関係者の間での非常に厳しい議論の中で、なかなかこの一兆円の基金をつくるということにつきましても関係者の議論がまとまり切らなかった。それをどうにかまとめたという非常に狭い道をたどってきた結果になっているわけでございます。  さらに、この問題を進めます上で、これは民間金融機関もございましょうし系統金融機関もございましょうが、関係者の間でこのような一度合意に達したものにさらに上積みをするというようなことをまとめるということはなかなかに難しいことであろうかと考えているわけでございます。  なお、今の一兆円の基金の使途と申しますのは、これは今の法案の中で定められているわけでございますが、六千八百億円の財政負担を軽減させるという意味での御提案であるとすれば、現在提案中の住専処理法案修正が必要になる、このような問題もございます。
  109. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 一兆円の合意をしたときに非常に狭い道を通ってきたんだ、なかなかまとまらなかったんだ、こういうようなお話でございますけれども、要するに私は、そのとき狭い道であっても、もっと狭い道で構わないから渡ればいいと思っているんですよ。何をもってそれができないのかということについてはなかなか理解ができません。  さらに申し上げれば、何回も申し上げますけれども、昨年の十一月、十二月の時期の金融業界の採算の状況と現在の採算の状況とを比べれば格段の差があるということは、先ほど大蔵大臣が申されたとおりでございます。その環境が変わった中で、どうしてそれができないんでしょうか。私は大変不思議に思っているところであります。  それから、今、今の法律ではどうも六千八百億の使い道になかなかその運用益を充て得ないんだというお話がございましたが、それじゃ、それのほかにもう一つ別の基金をつくるという案があるんじゃないでしょうか。それについてはどう考えられますか。
  110. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) まず、利益がふえたではないかという御指摘でございますが、この点については、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、そのような負担力があるということと拠出をするということと一応別の問題として、もちろん関係のある問題ではございますけれども、体力があるからということでなかなか関係者として合意を得ることは難しいということも御理解いただきたいと存じます。  なお、別の形でという御指摘でございますが、別の形でという御提案は今の基金と別の基金をつくってという御趣旨かと存じますが、それは、基金を別途預金保険機構の中につくったらどうだというような御提案だとか、あるいは預金保険機構と全く別に基金をつくったらどうだとか、いろんな御提案というかお考えがいろんなところで出されているということも私ども承知はいたしております。
  111. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今四つぐらいの案を御提案申し上げ、それぞれについて一長一短あるというぐあいに思いますけれども、検討はされているようでございます。しかし、検討しているだけでは意味がないんですね。決めにやなりません。そして、決めるときにはやっぱり勇断を持って、政府としては自信を持ってやっていかなければならないんだというぐあいに思っています。  そのいろんな寄与の中で、先般、これも衆議院の特別委員会参考人として系統金融の方が言われましたのは、農林系統機関もそのような案があればその案に沿って検討したいということを言われております。農林大臣、いかがですか、この点については。協力をなさる御意思がございますか。
  112. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) もう楢崎委員十分御存じでありますが、我々としては従来、何度も申し上げるわけでありますけれども、子供の責任はおふくろが持てと、要するに母体行責任を言ってきたわけであります。  しかしながら、既に五千三百億を拠出し、協力申し上げる、その中には五兆五千億という大変大きな貸出金というものがスキームの中に入っているわけでありますから、我々としても追加負担につきましては、今決算状況もずっと調べておりますが、やはり我々が予想したように、今三十七でございますか、新年の決算が出かかっております。当期利益で大体二十、だからもう少しふえそうであります。我々は当期利益で大体二十ぐらいが赤字だろうと申し上げたんですが、二十を若干上回りそうであります。経常利益については過半数と申し上げたんですが、よくわかりませんが、今のところやはり二十四、五の水準になりそうであります。  したがって、今後の経営ということを考えました場合に、内部留保、経常利益、千三百億が昨年の経常利益でございました。今年度は、したがってそれから二千を控除したわけでありますから非常に厳しい決算に相ならざるを得ない。内部留保は、御承知のとおり一兆三千ぐらいしかない。それに対して、今回は拠出をした分だけ減らざるを得ないということでございますから、非常に厳しい状況であることは委員御存じのとおりであります。  しかしながら、過般も参考人が申し上げましたように、全銀協等の前向きの対応というものがはっきりすれば、厳しい中であるけれども自分たちとしても真摯に検討してまいりたいということを申し上げております。したがって、我々農林省としても、この辺については系統の意見も十分酌みますけれども、全体のいわゆるバランスを考えながら積極的に対応していかなきゃならぬのではないのかなと、こう思っております。
  113. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今の農林大臣の御決意、御見解、大変結構であるというぐあいに思います。  いずれにしても、全銀協側あるいは金融機関側が何らかの行動を起こして、それにつれてやっていく。五兆五千億の資金を住専七社に貸し、そしてそれを全額返してもらった。それに対して五千三百億の贈与を行ったというポジション、そういうポジションを十分考慮した御発言のように承りました。  それから、この解決案の中には農林系統金融も参加をしていただかなきゃいかぬわけですが、一つだけ日銀がなかなか顔を出していないんですね。日銀が顔を出していない。先ほど、午前中の質疑関根委員が言われましたけれども日銀法の第一条には、これは昭和十七年の古い片仮名書きの法律なので、これ直さにゃいかぬなということで、今与党日本銀行法の改正の議論が行われていますけれども、この古い法律でございますが、第一条「目的」の中で、「日本銀行ハ国家経済総カノ適切ナル発揮ヲ図ル為」、ここのところが評判悪いわけですよね。総動員法じゃないかということで評判悪いんですが、そこのところを通過して、「通貨ノ調節、金融調整及信用制度保持育成任ズルヲ以テ目的トス」というんですね。  住専問題というのは、総理大臣がしばしば御発言になっているように信用制度維持そのものなんですね。それ以外の何物でもないんですよ。六千八百億の国家支出をするというのはそのためなんですね。ところが、日本銀行はいかなる寄与をしたのか、総本山日本銀行はいかなる寄与をしたのか。  千億円の出資をします、債権処理会社に千億円の出資をいたします。この出資は返ってくると考えられているお金なんですよ。出資をしますと言うだけで済むんでしょうか。このスキームをつくられたときに一応の決着としてそういうことになりました。しかし、今回は新たな寄与をするという場面でございますから、日本銀行がその新たな寄与の場面において新しい寄与を考えるというのは、私は理の当然であるように思いますが、いかがでございますか。
  114. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今回の処理スキームを策定いたします段階におきまして、御指摘のように、金融システムの安定化という今御指摘の条文をも踏まえまして、日本銀行も協力をしていただくということで一千億円の拠出を行う、こういうことになっているわけでございます。  新たな寄与という問題につきまして、現時点で日本銀行に対して何らかの役割を期待するという具体的な御相談を申し上げておるわけではございませんけれども、御指摘の点も一つの課題ではあろうかと感じております。
  115. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 日銀国会に総裁が出席されまして御意見を述べておられますが、いわゆる損失の負担日銀が融資という形で資金を出すことについてはいかがなものかというお考えのようであります。  しかし、新たな寄与という立場で日銀にどのような役割を果たしてもらえるのか。そのことについては、今後具体的な方策を検討してまいります中では十分に検討すべきことと考えております。
  116. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 私は、新たな寄与をするということを政府側も希望をし、金融業界も新たな寄与をしたいと言っているわけですから、これは当然実現をされねばならぬ。しかし同時に、それは早急に、先ほどから声が出ておりますが、もう一カ月も前から参議院側としては申し上げ、そしていろんなところで御見解を述べられている問題でございます。それはぜひ早急に、できれば参議院を、この委員会を終了する前に実現をしていただきたいし、それをさらに軽減するというような中途半端なものではなくて、ゼロにするという決意をもってやっていっていただきたい、かように希望をするものでございます。  最後に、総理大臣の御決意をお願いいたします。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来、久保総理から御答弁を申し上げておりますけれども政府としても全力を尽くします。
  118. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 私の受け持っている時間がちょっとあれで、さらに関連質問を三浦委員にやっていただきたいと思いますので、私の質問はこれで終了させていただきます。
  119. 三浦一水

    ○三浦一水君 関根、楢崎両先輩議員の後を受けてでありますが、関連の質問をさせていただきたいと思います。  自由民主党の三浦一水でございます。初めての質問でございまして、私を初めとしまして、国民の皆さんがわかりやすい御答弁お願い申し上げたいと思います。  この住専問題の処理に当たりまして私がぜひこの際銘記をすべきと思います点は、やはりこれまでの経過ではないか、ここに至りますまでの経過ではないかと私なりに考えておるわけでございます。  住専出資者であり実質的な支配権を有したとも見られております各母体銀行が、紹介融資あるいは迂回融資等の方法によりまして、金融機関としてはまことに不十分な担保のもとに母体行各行の子会社とも言うべき住専に融資を継続してきた、この結果が各母体行自身の莫大な不良債権ともなっているという経緯であります。  これらにつきましては、一部には、国民、預金者に対しますいわゆる母体行としての責任を果たすべき、銀行としての責任を果たすべき中にあって背任行為ではないかという意見もあります。あるいはまた競業避止義務違反であるとの意見も承るわけであります。  この点につきまして、改めて大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  120. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 母体行と住専の関係につきましてはいろいろな御議論がございます。また、七つの住専につきましてそれぞれ特色もあるわけでございます。  一番母体行の数の多い住専で申し上げますならば九十近い親がいるという状況でございまして、したがいまして、母体といいましてもなかなかにその住専に対して常々から経営に参画しているという意識が必ずしも高うございませんで、役員を派遣しているというわけでもないというような関係の母体もございます。  また他方におきまして、比較的母体の数が少ない、一つないし二つというような例も金融機関としてはあるわけでございますが、問題は、そのような非常に色合いの違う七つの住専問題というものを、たて糸と申しますか、系統金融機関という非常に巨大な貸し手が一貫して存在すると、こういうことでございます。系統金融機関は、住専全体で見ますと貸出額の四二%を占めているという最大の貸し手でございまして、この共通いたしました最大の貸し手があるということが住専問題序非常に複雑にしているわけでございまして、七つそれぞれ別々に親と子の関係の特色に応じて処理をするということが難しくなっていると、こういうことで今回の処理策になっているわけでございます。  したがいまして、今御提案の幾つかの問題点、それぞれ住専各社によって違いがあるわけでございますが、全体として問題を考えなければいけないところに非常に難しさがあるということを御理解願いたいと存じます。
  121. 三浦一水

    ○三浦一水君 複数の親があり、複数の里親があるとでも申しましょうか、それがゆえにその責任を追及できないというのはおかしな話でありまして、応分の責任はきちっとすべきであろうと筋論で御提起申し上げたいと思います。  これまで住専の議論に対しましてはさまざまな角度から話が行われてきました。私が主張しました母体行最大責任主義、これに対しまして一方では、住専は破産手続により処理をされるべきという意見があります。住専問題を振り出しに戻して当事者間で会社更生法の手続で行えという意見であります。  仮に破産による法的処理を行うとすると、政府案による処理スキームと比較して母体行あるいは一般行、系統の負担額はそれぞれどのようになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  122. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 現在御提案申し上げております負担額の割合は、母体が三兆五千億、一般行が一兆七千億、系統が五千三百億と、こういうことになっているわけでございますが、仮に、完全プロラタと言っておるわけでございますが、比例配分という方式をもちまして配分をいたしますと、母体金融機関は三兆五千億ではなくてその半額の一兆七千五百億、一般金融機関は一兆七千億ではなくて一兆九千億、系統金融機関は五千三百億ではなくて二兆七千五百億と、こういうことに相なります。  また、一時関係者の間で議論をされました修正母体主義という考え方、すなわち母体は貸したものを全額放棄するけれどもその他のものは比例配分をする、そのような考え方でこの損害額を配合いたしますと、母体行は三兆五千億、現在の案のとおりでございますが、一般行は一兆七千億になっておりますものが一兆二千億、系統金融機関は五千三百億が一兆七千億と、そのようになろうかと、これは機械的な計算の結果でございますけれども、そのようなことでございます。
  123. 三浦一水

    ○三浦一水君 そこで、私が着目をしたいところは母体行に関する負担の軽減につながるこの方法でございまして、計算上、今お示しをいただきましたが、比例配分をしたときには三兆五千億の母体行の負担がほぼ半減をするということであります。これは、すなわち母体行の責任も半減をして処理されるということにつながらないかと危惧をするわけでございます。  また、破産手続による場合には、これはJA等でもよく話が聞かれておるようでございますが、損害賠償請求あるいは先ほど申しました競業避止義務違反に基づく訴え等の訴訟が多発するなど、債権債務関係が非常に不安定な、また長期的な状況をつくり出すおそれが考えられます。法的処理を行うと、母体行等から住専への紹介融資あるいは住専の役員等への母体行からの派遣等、さながら母体行の別働部隊として住専を利用してきたことなどの過去の経緯等を踏まえた負担の分担を求めることができなくなるおそれがあると思います。  そこで、破産手続による手段をとらなかった理由を、恐らく大蔵省におかれましてはそれも検討の範囲の中に加えてのこの政府処理案の御結論かと思うところでございますが、大蔵大臣からそのとらなかった理由を明確に御説明を賜りたいと思います。
  124. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、三浦さんからもお話がございましたように、破産処理をいたしました場合、機械的な損失の負担を考えました場合に、母体行の責任住専問題に関して非常に重いにもかかわらずその負担が半減される、そして一方では系統金融機関が非常に深刻な事態に陥る負担を余儀なくされる、こういうことが一つございます。  もう一つは、今もお話がございましたように、破産処理をいたしました場合には、利害関係をめぐっての訴訟その他さまざまな問題が起きてまいりまして、この処理が長期化するおそれもございます。早期に解決を迫られております住専問題の処理に当たりましては、この二つの面から破産処理によることは適当ではない、このように考えているところでございます。
  125. 三浦一水

    ○三浦一水君 ちょつと横道にそれますが、一点お尋ねをしたいと思います。  各金融機関におきましては、住専関連の不良債権につきまして、平成七年度の三月期末決算において既に処理が進められているところもあるやに伺っておりますが、母体行、一般行につきましてそれぞれのその処理の進捗状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  126. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 八年三月期におきまして、まず母体行でございますが、住専に対する債権をどのように取り扱ったかというお尋ねでございます。  日本興業銀行日本長期信用銀行及び和歌山銀行の三行は債権放棄を実施いたしております。その他のほとんどの金融機関は、所要の手当て、すなわち債権償却特別勘定への繰り入れを行ったと聞いております。いわゆる間接償却を行っていると、こういうことでございます。  また、一般行分について申し上げますと、各行とも債権償却特別勘定への繰り入れを行っていると、このように聞いております。
  127. 三浦一水

    ○三浦一水君 数字については、一般行等の債権償却、間接償却を行われたところはどのくらいになりますか、つけ加えて。
  128. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) ちょっと今手元に正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、原則といたしまして、母体行、一般行ともそれぞれの住専に対する債権額を今回の政府案の考え方に沿って償却をするとすればどれぐらいの償却をしなければいけないか、このような考え方に立って処理をしているというふうに理解をいたしております。
  129. 三浦一水

    ○三浦一水君 お答えの前に私が調べた数字を言うとなんでございますけれども、先ほどの三銀行、六千百億余に加えまして三兆七千億程度が償却をされたんではないか、私の数字であります。そうしますと、住専に関連します負担の八三%にも上るんではないかな、そのような数字になるんではないかと御提起を申し上げたいと思います。  そこで、次にお尋ねしたいと思いますのは、先ほど来両先輩議員が鋭く質問を続けておられました国民負担軽減の問題でありますが、本来であるならば、低金利の恩恵を受けて主要各行では、先ほど四兆七千億余という業務純益のお話があっておりましたが、これも各銀行、信用組合まで合計をしますと、関根先生の御指摘どおり八兆四千億にも上る業務純益になっているということであります。  そのような中で、政府におかれましても先ほど来国民負担をできるだけ軽減すべく日々の努力がなされているということであります。相撲の土俵に例えられまして、土俵に上がっていただくことができたと。あるいはまた、楢崎先生からもいろいろな御提案もあっていたようなところであります。  私が心配をしておりますのは、先ほど農林水産大臣は、真摯にこの追加負担の問題につきましてJA側も検討をしていく、そのような明確な御答弁があったところでございますが、もとよりそれ以上の責任を果たすべき母体行の立場の中で、どう追加責任負担していくかという点につきましては、先ほど来一歩も考えが示されていない、そのような思いがするわけであります。その点に心配をいたします。  相撲も四十八手、いろんな方法が考えられるのは当たり前でありますが、一つを示せということじゃなくて、そのうち三つ四つ示してこの中でということならお答えもしやすいのかなと思いますので、つけ加えて重ねて聞きたいと思いますが、そのようなお考えがあれば幾つかお示しをいただきたいと思います。
  130. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 先ほど楢崎議員から幾つかの素材の御提供がございました。私どもも、先ほど御指摘のございましたような案がみんなの念頭の中にもあって、それぞれしかし難点があって非常に苦慮しておられる、こういうことかと存じます。  現段階で議論の対象になっている考え方というのは、先ほど楢崎先生が御指摘になられましたようなことであろうかと私どもも理解いたしておりますが、しかしながら、それぞれ解決すべき難題を抱えておりまして、関係者の間でまだ議論が十分に進んでいないというのが現状でございます。
  131. 三浦一水

    ○三浦一水君 楢崎先生の御提案のありました範囲までは具体的検討の範囲だというところまで確認をさせていただきたいと思います。  この問題にひっかけて話す問題ではないかと思いますが、いずれにしても、私はいろいろと行政、政治、少ないながらかかわりを持たせていただきまして思いますことは、行政の情報を中心としてより多くをオープンにされるべきではないか、もうそうされてもいい時代に入ってきたんではないか、国民の判断、本当にしっかりした判断が今持てる日本ができてきたんではないかな、そのような思いが強うございます。この問題を初めとしまして幾つかの案があってもいいじゃないか、こういう理由で変えたよという、この問題に例えて言うことではないかもしれませんが、ついでにそのような政府なり行政の姿勢ということもぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に移りたいと思いますが、いずれにしても、この住専の問題の処理をしていくに当たりましては、各母体行の負うべき道義的かつ社会的な責任をこの処理案にどう盛り込んでいくか、処理自体にどう反映をしていくか、すなわち莫大な不良債権を有する住専会社の整理、清算を行う際の実質的な公平性をいかに確保するか、そのことが今回の処理の最も肝心な点であると私なりに存ずる次第でございます。  その点で、先ほど来国民負担をゼロにという強い要望があっておるところでございますが、そこまで行き着いていないという点においては百点と言うことはできないのでありましょう。しかし、母体行の責任を最大限盛り込んだそういう総体的なスキームであるという点においては、私は十分評価にたえ得る処理案ではないかと積極的な評価をしたいと思うわけでございます。  そこで、重ねまして、この今日までの努力でありますが、なお一歩このことで国民にこのスキーム全体が理解を得られない、それは甚だ残念なことであります。各御関係の御努力も、私たちも精いっぱい努めることのできる部分があるんではないかと考えるわけでございまして、最後まで御努力をぜひともよろしくお願いを申し添えたいと思います。  次に、農協系統の改革について若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  農協運動で欠くことのできない大事な柱は、まずは農家経済に密接なかかわりを持ちながら、しかしながら収益を生み出すことができないと言われております営農指導業務、この分野ではないかと私は考えております。そしてまた、生活指導の業務も同じ性質のものではないかなと考えております。  そういう中で、農協におきます信用事業あるいは共済事業、大変大きな役目を果たしているわけで、これらの非収益部門の費用を捻出してきているという役目があるわけでございます。加えて、この両事業は、昨今におきまして非常に事業収益を上げにくい販売あるいは購買の経済事業の、時によりましては赤字を補てんしながら行われてきているのが日本の各農協の置かれた現状ではないかと言うことができるのではないかと思います。  そのような中でさまざまな問題が重なりました。信用事業が大変な減益の傾向にあることは憂慮されるべき点であると考えております。農協の貯金残高がこの三月〇・一%減となり、あるいは四月〇・六%減となり、戦後初めてのことだと聞いておりますが、前年同月比で減少をしている、このような状況になってきているということに注意を寄せるべきだと思います。これまでのように、いわゆる他部門の赤字を信用あるいは共済事業におきましてその黒字で補っていくということは、このような状況からまことに難しいという見通しを持たざるを得ません。そのような農協の独自の取り組みもなされてきているとは聞いておりますが、この体質改善を抜本的に行っていく必要性が今喫緊の課題ではなかろうかと思っております。  関連して、見落としてはならないという点で申し上げたいと思うのでありますが、経済事業につきましては、特にその整理再編が信用あるいは共済事業とともに重要な課題であると認識をいたしております。  農協合併は盛んに推進をされてきております。そしてまた、国際競争も激化の一途であります。これは逃げられない現状であることは否めません。そこに合併によるスケールメリットを組合員も求め、農協も求めてまいりました。しかし、なかなか農家にとって大きな足かせであります資材費の低減を図ることができない、これは今国際競争力が激化する中で大変な頭の痛い各農家の悩みであります。それに役割を果たすべきはこの農協におきます経済事業であることは論をまたないところでございますが、これらの改革も、先ほど来申しておりますように赤字の補てんをされているような状況ではならない。事態の抜本的な改革が求められることをつけ加えて提起をしておきたいと思います。  農協系統では、事業二段階あるいは組織二段階制への移行や広域合併の推進など、経営体質の強化にこれまで既に取り組んできておられます。その進捗状況はどうなっているのか。あるいはまた、政府におきましても、農政審議会に農協部会を設けていただき、農協系統の事業、組織の見直しについて検討が行われているやに承っております。  今後のこれらの農協系統のあり方をどのようにお考えになるのか、大原農林水産大臣のお考えを賜りたいと思います。
  132. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 委員、第一線で農協関係のお仕事に、るる御説明がありましたように既に十分御存じのところであります。大変御立派な私は質問だと思います。  そういう意味で、今、単協の組織の再編というのは非常にドラスチックに行われまして、二千五百台が現在二千二百台に一年間で減っておるということでございます。既に、御指摘がありましたように、JA自体といたしまして二〇〇〇年までには三割生産性を上げたいと、こういうことで御指摘のように二段階制を今後の重要な改革の柱に掲げておられるわけであります。  したがって、御承知のように、御指摘がありましたように、実際問題として、単協の一番大事な営農指導や生活指導は、これは採算事業でありませんから赤字になるのは当然であります。それを賄っていかなきゃならない信用事業、共済事業、さらにあわせて購買事業、販売事業が補完をしていかなきゃならないわけでございます。不幸にして販売、購買事業が赤字になっていることは御指摘のとおりであります。その部分を全部今日まで信用、共済事業で賄ってきたというのが実態でございます。  アバウトでございますが、七十兆円という預金が農協にある。しかも、単協では四割しか貸し出しておりません。六割は上部団体に吸い上げているわけであります。信連に至っては一九・九%、つまり二割しか貸し出しがございません。八割は農中、つまり上部団体に吸収しておるわけでございます。したがって、この金融構造を考えましたときに、将来のいわゆる農協系統金融構造の改革は、やはり何としても農林中金のあり方を抜本的に改革し、資金の運用を効率化し、採算性を上げていく以外には手法はないと我々は考えております。そういった意味で、二段階を早急に実現する必要があると考えます。  そして、先ほどこれも御指摘がございましたが、内閣総理大臣の諮問機関であります農政審議会において農協部会を設け、その中で特に信用事業について重点的に今審議が行われております。我々もまた部内においてプロジェクトチームをつくり、意見の交換をしながらその審議会に反映をさせていっております。したがって、この九月ぐらいまでにはその抜本改革案をつくり上げまして、来年の通常国会までには、委員指摘のような各種の問題を織り込んだ抜本的な法律改正を何としても提案したいと、このような努力を目下行っているところでございます。
  133. 三浦一水

    ○三浦一水君 今質問の中で触れさせていただきました経済事業に関する組織についても、大臣にちょっと所感を触れていただければと思います。
  134. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) ただいま大臣の方からお答えを申し上げたとおりでございますが、系統におきましては、組織二段、事業二段という形でその合理化を進めようということで展開をいたしております。  当然ながらその中には、大臣が今主として申し上げました信用事業が入っているわけでございますが、共済事業、それから経済関係の事業、そういうことにつきましても当然視野に入れて現在対応いたしております。  したがいまして、中金と信連の統合ということを今申し上げたわけでございますが、経済事業について申し上げますというと全農と各県の経済連との統合、それから共済につきましては全共連と各県の共済連の統合ということで、この三つがそれぞれに事情は違いますけれども、系統の組織事業の二段化ということの方向においては同じでございますので、系統としてはそれを一体としてとらえてやっているということでございます。  農水省といたしましては、その中で特に、中金と信連を統合します場合に今法制度上ネックがございますので、その点につきましてはそのネックを取り除かなきゃならない、そういうことも視野に入れてやっていると、こういうことでございます。
  135. 三浦一水

    ○三浦一水君 営農指導、生活指導、非収益部門でありますが、営農指導はまさに農家に欠くことのできないことであります。改良普及員とのいわゆる整合性の問題は別にあるとしながらも、この点が充実を図られて困るところはないという認識であります。ぜひともよろしく内容の充実したものになるようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、農水産業協同組合貯金保険法について、その関連でお尋ねをしたいと思います。  この貯金保険法が改正をされることになっておりますが、これとは別の形で農協系統に対しまして、相互扶助理念に基づきまして、経営の悪化した農協に対します支援措置として、従来から農協系統が自主的に取り組んでまいりました相互援助制度も貯金者の保護と信用秩序の維持に資する観点から極めて重要な役割を果たしているものと考えております。  八年度からこの相互援助制度が拡充強化をされたということでありますが、農林水産省としてこれについての具体的な説明をお願い申し上げたいと思います。
  136. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 相援制度相援制度と言っておりますが、相互援助制度というのは、今の貯金保険と紛らわしい名前で、昭和三十九年だったと思うんですが、発足をした制度であります。  実際は、貯金保険を間接的に守るために、要するに信用事業あるいはその他の事業の破綻に陥る可能性のあるもの、あるいは陥ったものに対するいわば組織的な援助措置として発足したものでございます。その後改革されまして、現在〇・〇二%だったと思うんですが、二年間あの相援資金を積み立てなさいと。これは破綻した組織、系統、そういったものの、あるいは合併が行われた場合の援助資金に提供いたします。  今回は、御承知のように、貯金保険機構におきましてもそういった支援をするわけでございますけれども、要するに今回の増加負担分が少ないというのは、一方において委員指摘のような相援制度が、既存の制度があるからでございます。  現在、相援の積立金は四百数十億円になっていると思います。この分を今度は〇・〇二でございますから、先ほどの〇・二の十分の一をずっと今後積み立てていこう、したがって、さらに四百億円程度の積み立てをして八百億円強のいわば援助資金をつくろうということで、新たに改革をしているところであります。  貯金保険と相援制度と相まって今後の農協の経営の万全を期する仕組みをつくっていきたいと、このように考えております。
  137. 三浦一水

    ○三浦一水君 冒頭より、これまでの経過に基づきます母体行の最大責任主義ということについていろいろとお尋ねをさせていただいたわけでありますが、今後ともこの方針がきちっと貫かれまして、国民に公平感のある処理がこの重大な問題に対してとり行われますことを切に御期待申し上げまして、ちょっと時間前でございますが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  138. 林寛子

    ○林寛子君 与党さんの方が少し時間を早く終えていただきましたので、少し譲ってくださったのかなと思って感謝申し上げようと思ったんですけれども。  平成会の林寛子でございます。  見渡しますと、私よりも先輩でお世話になった方々もいらっしゃいますし、野党として御質問申し上げるわけでございますので、苦しいという気持ちも中にはあるんですけれども、やはり国民の声というものを、この場で皆さん方にお伺いするためには、少し言いたくないことも申し上げなければならないかもしれません。  まず、中国が六月八日、昨年の八月十七日以来通算で四十四回目の核実験を、過日フランスの核実験が行われて世界じゅうから非難が出ております中で中国が実験をいたしました。そのことに関して、まず総理のお気持ちを聞かせてください。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この核実験が行われました直後、政府といたしましては外務大臣から、在日の中国臨時代理大使を招致いたしまして、これに対する抗議の意思を明確にいたしました。  そして私自身は、記者団の質問に答えてでありますが、もう本当にやめてもらいたい、そして一日も早く核実験を停止しCTBTの早期妥結に貢献してもらいたい、そういった意思を明らかにいたしたところであります。
  140. 林寛子

    ○林寛子君 現在、御存じのとおり、中国へは日本の企業が四百九十一社、そして日本人の現地の企業への雇用比率は一・五%、中国人の雇用比率というのは九八%もある。それほど日中の関係が重くなっている中で、世界じゅうの非難がある中でもこれを実行するということは、政府として無償供与というものを考えるとか、あるいはこれだけの企業とそして両国の関係がうまくいっていますから、私は関係を損なうようなことをしろと言うわけではありませんけれども、この非難の中で実行したということに対しては日本政府もきちんとした対処をしていただきたいと思います。それに対しての御意見をもう一度聞かせてください。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この実験が行われました直後、政府がとりました対応は今申し上げたとおりでありますし、これから先もそうした機会がありますごとに、その機会をとらえて、これ以上の実験を停止するように、一日も早くCTBTの早期妥結に向けて貢献をされるように、我々としての要請活動は当然ながら続けてまいります。
  142. 林寛子

    ○林寛子君 中国が実験をしたということを総理がいつ御存じになったのか、私、承知しません。けれども日本の中で一番最初に報道されましたのは、オーストラリアが世界に先駆けて発表したのが、中国が近く核実験をすると聞いて地震センターが二十四時間監視体制をしいていたということでオーストラリアが一番早かったんです。  私は、今官邸からいただきましたけれども、四月一日、橋本総理と銭其シン外相が対談をなさったときに、その後のブリーフィングをなさったことがありますけれども、その中で、この核実験に対する中国の主張を注意深く見守るというだけのブリーフィングしか書いてないので、それが本当かどうか、ただ注意深くごらんになっただけなのか、そういう発言をなさったのか、もう一度聞かせてください。
  143. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、日本政府が中国が行いました核実験を承知いたしましたのは、正確な時間は後で事務方から確認いたしますけれども、たしか十二時ちょっと過ぎに気象庁の松代の地震観測所が異常な波形をとらえ、これが核実験によるものであろうという推定をし、連絡をした瞬間であります。これが私の手元に十二時少し過ぎに届きました。恐らく届いた情報としては一番早かったと存じます。  それから、三月三十一日から四月三日まで、外務省賓客として訪日をされた中国の銭其シン副総理・外務大臣と四月一日にお目にかかりましたとき、銭其シン外相の方からお話がありましたものに対し私から述べた言葉、まず、核実験及び台湾問題に関する我が国の懸念は昨日池田外務大臣から申し上げたとおりであり、この思いは我々に共通したものであることをぜひ理解いただきたい。核実験の問題に関する中国の主張を我々は注意深く見てきた。四月中旬にモスクワで原子力サミットが開催され、議題はまだ決まっているわけではないが、フランスが核実験を終了している中でのサミット開催であり、中国の核実験をめぐる状況は厳しくなるのではないかと懸念しているというまず発言がございます。  それから、銭其シン外相が発言をされました後、銭其シンさんの発言は、ここで見ますと、核の問題については九六年には徹底的に解決できると思う。CTBTが調印されれば問題を徹底的に解決できると思うという発言がありましたのに対し、最後に私から発言した部分は、核実験に関し先ほど述べた懸念は差し迫ったものである。我が国の立場は実験の早期停止を求めるものである。このように述べておる。記録によるとそうございます。
  144. 林寛子

    ○林寛子君 これは私、予定外の質問で時間をとるわけにはいきませんけれども、今申しましたように、やはり日本としてあれだけ中国に無償供与あるいはそういうことをしているときに何らかの形で、両国の関係を悪化させようということではなくということを私は重ねて申し上げておきますけれども、それはそれなりの処置というものをぜひとっていただきたいということを御要望申し上げておきます。  続きまして、過日、衆議院で自由民主党の加藤幹事長の参考人招致をいたしました。テレビで多くの国民の皆さん方がその日は注目なさったことであろうと思います。あるいは大臣の皆さん方も御注目なさった方もあろうと思います。  私は、ここにその日の自由民主党加藤幹事長の疑惑に関するマスコミの論調があります。  時間がありませんから多くは申しませんけれども、「説得力欠く加藤氏の疑惑弁明」、「「一千万円の献金の事実がないのに、なぜ一千万円を返そうとしたのか」という肝心な点について説得力のある説明はできなかった。加藤氏の疑惑はむしろ深まったと言っていい。」「かつて加藤氏のヤミ献金疑惑を鋭く追及していた社民党がこの国会では証人喚問に反対して加藤氏を擁護する立場に回った。」「さきがけも同様である。連立政権に埋没して党の本来の姿を見失った社民党やさきがけの態度は有権者の理解や共感を到底得られないだろう。」、これ大体全部同じような論調でございます。  「やはり証人喚問をすべきだ」、「加藤氏と元後援会長を同じ場に呼んで証人喚問をするのが一番いい方法だ。」。それから「不透明感が残った参考人招致」等々切りがありません。全部同じ論調でございます。「献金受領を否定しながら、なぜ一千万円を届ける必要があったのか、という素朴な疑問は解消しない。」。  時間がありませんから全部読みませんけれども、「これほど明白な食い違いがある以上、水町氏の証人喚問がいよいよ必要になった。それを踏まえ、加藤氏を喚問すべきだ。自民党の村岡兼造・国会対策委員長が「疑惑が晴れた以上、この問題は終わりだ」」、この言葉が一言、よかったというような、ほっとしたというような言葉でございます。重ねて、「この問題は一件落着。さすがだという思い」、どなたですかこれを言った方、覚えがあられますか。梶山官房長官でございます。  これだけ論調があって、私どもは昨日も自由民主党加藤幹事長、そして後援会長と言われた水町氏の両名の証人喚問を理事会に提出いたしましたけれども、今の国民の、マスコミも含めた、テレビを見た国民の皆さんも疑惑だろうと思うんです。それに対して、まず総理、ちょっとその感想をお聞かせください。
  145. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど私はその日、残念ながらそのテレビを終始見ているほどゆとりのある日程ではございませんでした。その上で、今、議員が読み上げられましたようなマスコミの論調というものは、あるいはテレビの画面で、あるいは新聞紙上で拝見をいたしました。
  146. 林寛子

    ○林寛子君 梶山官房長官、梶山先生、今の先生の談話についておっしゃってください。
  147. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 本来、政府側で答える問題ではございませんが、議会でやられたことでございますし、聞かれれば黙っているわけにもまいりません。  ぜひそういうことで、たび重なる質問があれば、それでも出て疎明をしたわけでありますから、ようございましたと、こう申し上げたわけであります。
  148. 林寛子

    ○林寛子君 それから、疑惑を追及なさったとこの参議院のところでもおっしゃった元社会党、久保先生も一言おっしゃってください。
  149. 久保亘

    国務大臣久保亘君) この問題は、与野党四党の国対委員長会談において合意されたことに基づいて国会でお取り決めになったことだと考えております。そのことに基づいて、政党の幹事長としてみずからの責任と良心において供述されたものと思っております。
  150. 林寛子

    ○林寛子君 全く見当違いで、それに関してどうしたかということが全然入っておりません。まあいいでしょう、もともと変心なさったわけでございますから。  お一人だけ、田中先生、さきがけも疑惑に関しては追及していらっしゃいましたので、一言。
  151. 田中秀征

    国務大臣田中秀征君) 今、副総理からもお答えありましたように、基本的に国会が決めて対処することだというふうに承知をしております。衆議院においても、参考人招致は衆議院において決められ、それに従って審議がなされたものというふうに思っております。
  152. 林寛子

    ○林寛子君 みんな、わざとはぐらかしていらっしゃる。参考人にお出になったことに関しての論調に対してのことを聞いたので、参考人にお出になったことがいいとか悪いとかと言っているわけじゃないんです。まあそんなことを言っても仕方がありませんから。  それほど、逃げの答弁をしなければならないほど国民はきちんと見ていたということが私はこのマスコミの論調によって明らかにされたと思います。そういう意味において、少なくとも国民の疑惑を晴らすという点においてはこれからもずっと追及していきたいと思いますので、国民の皆さんの前でそのことを私は申し上げておきたいと思います。  それから今、住専の話をしろしろという、たくさんこれからありますから聞いていただきたいと思います。  衆議院が、委員長は締め総だとおっしゃる、野党は一般質疑だと言って入ったところで打ち切り動議、正常な姿ではないと思いますけれども、ただ数の力で押して通すということに関しては、これはもう何をか言わんやで、今、参議院は、与党の皆さん方の質問を聞いていても、国民の側に立った、参議院はさすが参議院だなと、衆議院と違うなというふうに私は拝聴しておりましたので、今後そういうふうに参議院審議というものは、ただ、いけないということは、与野党別にして、私は国民の声を代弁するという参議院にしていきたいということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  衆議院がああいう形で、まあ強行採決と私は言いたいんですけれども、その結果はどういう言葉を使おうと自由ですけれども、一応参議院に回ってまいりました。そして、これが回ってきたときに、それに対して、これも世論調査が出ているんです。「「借り逃げ許せぬ」四三%」、これは皆さんに対することではないですから、借り手側の話ですから、これは仕方がないでしょう。そしてまた、私たちは、借り逃げをしようとする不動産業者に向けられていることが世論調査で明らかになった。「社会常識を守らないと、社会の荒廃を招きかねないという庶民の気持ちが噴出した。」、私はそのとおりであろうと思うんですね。  私は、そういう意味では、この中で、衆議院の答弁も聞いておりまして、これは金融不安を招くんだと、取りつけ騒ぎが起こったら大騒ぎになるからこれは何とかするんだとおっしゃいましたけれども、この世論調査によりますと、私は大したものだと思いますよ。預貯金の取りつけ騒ぎについて、起きないと思うという人が起きると思った人より一四%上回っているんです。取りつけ騒ぎが起こりますかと聞いたら、起こらないと思っている人がこれほど多いということですね。  私は、そういう意味では、日本国民は、皆さん方が御答弁なさること、また、私ども質問することを本当にきちんと理解していらっしゃるなと。ただ、やたらに取りつけ騒ぎを起こさないという国民の気持ちが私はきちんと出ていると思いますので、慎重な審議をして、私ども国民の声をここへ、法案に対しても反映させていきたい、私はそう思っております。  また、反対していらっしゃる皆さんの中で、住専公的資金投入に反対、八六%に増加、この増加という意味に関して、大蔵大臣法案が通った後でも、わからない、しかも反対だということをいえばもう九〇%近いんです。ただ、反対というだけでも八六%に増加していることに関しての御感想を。
  153. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 国家の将来のために御負担お願いするということでありましても、国民の皆様方に負担をしていただくことが大変難しい問題だということを痛感いたしております。しかし、今日、住専問題の債権債務を早期に処理しなければならない問題だということについての御理解は深まっていると考えております。
  154. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣、今、これだけの審議をして御理解が得られたと思いますと、それは私は大蔵大臣の私語だと思います。政府の説明不十分というもの、世論調査で九二%なんです。私は、大臣ですから希望的観測というものをおっしゃってもそれはいいと思いますけれども、理解が得られたと思いますということに関してはほど遠い数字であるというふうに思います。  そこで、私は政府に協力するわけじゃありませんけれども、こんなに長くかかって説明しているのに、なぜわからないんだろう、なぜ国民の皆さんの御了解が得られないんだろうと。私も主婦の一人でございますけれども、世論調査で女性の方がわからないという人も多いんです。ですけれども、消費税のときと違ってもっと女性が嫌悪感を持っているんです。  ですから、私は、きょうの番組の中で、またこの審議を通して、政府と一緒に、私たち参議院も与野党一緒になって国民の皆さんにどう理解してもらうか。いけないことはいけないで結構、けれども中身が理解できないということなんですから、私はぜひもう一度きょうはここで原点に戻らせていただきたいと思いますので、御協力賜りたいと思います。  まず原点、住専の設立意義は何でしょう。
  155. 久保亘

    国務大臣久保亘君) これは、昭和四十年代の後半から五十年代の初めのころにかけまして、住宅に関する民間の需要は非常に高まっておりました。その資金需要は、当時、住宅金融専門株式会社の設立を望む声と重なり合うものであったと思っております。  そういう中で、金融機関等が共同出資をして設置され、そして、この住専は民間の住宅建設資金の需要にこたえるものとして設立されたと考えております。
  156. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣がおっしゃるとおりでございます。  私もいろいろ調べてみまして、ここにもたくさんありますので、各社全部の設立趣旨というものを取り寄せて読ませていただきました。  私は、大蔵大臣が今おっしゃったとおり、庶民の夢ということで、少なくとも一世帯一家屋、個人の住宅ローンを借りてでも自分たちの夢を果たそうということで設立趣旨があると思います。「個人住宅の充足は、国民福祉向上のためまず第一に解決しなければならぬ課題であり、このためには、良質な住宅を豊富低廉に供給することが必要である一方、金融面で、住宅取得資金として尾期資金を円滑に供給することが不可欠な条件であると考えられます。」と、これ読むのをやめますけれども、各社全部、設立趣旨としては立派な趣旨で、庶民の夢をかなえるために、普通の銀行であれば七年しかローンが組めない、けれども住専であれば十年、二十年の長期ローンが組めると、そういうことで私はローンを組んでいったんだろうと思います。  私は、ちょっときょうこういうパネルを用意しました。(図表掲示)後ろにもちゃんと見えるようにしてあります。これは、夢をかなえるということで、国民の夢をかなえるレインボーで、住専七社は七色にしてにじの、希望の住専だったと思います、国民にとっては。ところが、それが本当に国民の夢のにじの住専七社であったんだろうか。  そういうことが私は皆さん方にも見ていただけるように、これは余り濃くすると七色に字が見えなくなっちゃいますので少し薄くしましたけれども、そういう意味の住専設立の趣旨からすれば、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように、本当に一般の庶民の夢をかなえる住専七社のスタートであったということに関しては私は大変よかったと思うんですね。ただ、その持っていき方が私は間違ったんであろうと思います。  そういう意味では、私は順次お話をしていきますけれども、ちょっとこれを見ていただいたらわかりますか。  七社の中で最初の社長、七社の中で一行だけです。全部大蔵出身でございます。それはもう御存じのとおり、百も御承知でしょう。これを見れば、いかに大蔵省と直結であったかということも明々白々なんです。物心両面で大蔵省が面倒を見、そして指導をし、そして介入をし、あらゆることをしてきたんです。これを見ただけでも、これはいろんなマスコミにも表になっていますけれども、小さくて目にとまらないで見過ごすことも多いんです。ですけれども、表にして改めて私は、この住専七社という、庶民の夢をかなえることに最初は大蔵省がいかにしてきたかということの証明であろうと思います。  これに対して、大蔵大臣、何かおありでしたら一言おっしゃってください。――大蔵大臣です。事務局は要りません、時間がありませんから。
  157. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 御指摘のように、住専の設立以来、特に当初におきまして、今御指摘の住宅ローンの公共的な性格から、大蔵省のOBが社長あるいは会長に就任した例があるのは今までも御説明してきたとおりでございます。  ただ、住専七社の中には、設立以来今日に至るまで全く大蔵省のOBが派遣されていないといろ例もございますことを申し上げておきたいと存じます。
  158. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣
  159. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 当時、先ほども申し上げましたように、住宅金融専門株式会社が設立されます時期においては、国の住宅政策等とも非常に関係の深いものであったろうと思っております。  ただ、今日、このような企業が設立されるときに、大蔵省からそこへいわゆる天下りという形で会長や社長等に就任をするということが、振り返ってそのことが責任の重さというものをどのように考えるかという点においては、十分に反省を迫られる問題でもあろうかと思っております。
  160. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣が素直に反省をというお言葉をお使いになったので、私は政府全体がそういうお気持ちになっていただきたいと思います。  私は総理にも申し上げたいと思うんですけれども総理もこの世論、そして国民の気持ちが痛いほどおわかりになっているんだろうと思います。でなければ、五〇%の支持率なんてありません。そういう意味では、この痛みを率直に私は受けていただきたい。それでなければ、私は支持率は消えていくと思います。これもバブルだと思います。  私は、そういう意味では皆さん方にぜひ、なぜこの住専処理に対してだけは世間の常識が通らないんでしょうか。それが国民の皆さん、わからないんですよ。今まででも、一般の私企業で税金を投入して公的助成で、あるいは公的資金を投入して助けた例があるでしょうか。あったら教えてください。大蔵大臣いかがですか、常識ですから。
  161. 久保亘

    国務大臣久保亘君) そのような事例につきましては、私、具体的に存じませんので、必要ならば政府委員から御答弁をいたします。
  162. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣、これは一般の人の常識なんです。今、世の中には中小企業、零細企業、倒産して一家心中しようかという人もいるんです、これだけの不況で。バブルがはじけたのは一般の庶民の中にもいるんです。それなのに、なぜ一宇の人にだけ特別待遇するんですか。答えてくだ太い。
  163. 久保亘

    国務大臣久保亘君) そのことにつきましては、もう両院の御審議を通じて再三にわたって御説明を申し上げたところでございますが、今この住専問題の処理日本の経済の動脈に起きた非常に重い病でありまして、これを取り除くためにどうするかということは、国の責任としてこれを政策的に判断しなければならないものと考えております。  民間の企業の問題でありますから民間で処理しろということで放置するということが可能な問題であるかどうか、そして今日、公的資金を投入してもこの問題を早期に処理することこそが日本の経済や国民生活にとってその将来に責任を持てるものであるかどうか、そういうことについて政策的な判断として決断をされたものと考えております。
  164. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵大臣、何度も今まで言ったからわかっているはずですというのは、今申しましたでしょう、これだけたっても九六%の国民がわからないと言っているんです。許せないと言っている。わかったら許すんです。今おっしゃったように、日本経済の将来のために今これをしなかったらというんであれば、国民だって我慢してくれますよ。ところが、これだけたってもわからないという九六%、常識が通らないんですよ。  そして今、体の中で悪いところがあったら取らなきゃいけない。それは二十一世紀の将来の日本の経済のためだとおっしゃいましたけれども、もしも例えばですよ、私も生身ですからどこか悪くなるかもわからない、あるいは体が悪い、私がお医者さんに診てもらって、これは悪いですよと。例えばがんがあると言われたときに、じゃ怖いからすぐ取ってくださいと。医者がすぐ切りますか。全部身体検査をして、どれくらいの麻酔をかけてどれくらいすればいいかという検査をしてからでないと切らないんです。切ってくれと言ってもすぐ切らないんですよ、がんでも。  それと同じで、これだけの、(「余りいい例じゃないな」と呼ぶ者あり)私自身の体の話をしているんですから。これだけの住専処理をわかってくれといっても、全体が見えないんです。日本じゅうの不良債権がどれだけあるんですか。全部身体検査をして、どれだけの麻酔をかければいいということで初めて手術ができるので、悪いところだけすぐ手当てをすれば、六千八百五十億だけ出したら日本の将来、日本の経済は安定ですよということは通りません。  もう一度言ってください。
  165. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私どもの方の説明が不十分でわかっていただけないということならやむを得ないことだと思いますが、ただこれらの問題については、政治の責任というのは、処方せんを書いて、そして処方を行わなければならないんです。何もしないということは許されないことだと思っております。
  166. 林寛子

    ○林寛子君 私は、そういう何もしない処方せんを書いて、でも危ないと、これは日本経済の根幹にかかわるというのであれば、もう一人違うお医者さんに診てもらってもいいんです。それが国会なんですよ。皆さんが出した法案国会で、いかに正しいか、これで国民が果たしていいかといろことを、もう一人のお医者さんに診てもらって処方せんを出すのがこの国会の役目なんです。  ところが、どうですか、衆議院では私たちが修正を求めようと一切問答無用。今、参議院与党の人でさえ国民の税金を使うのをやめましようとおっしゃっている。(「そんなこと言ってないよ」と呼ぶ者あり)おっしゃいましたよ。それなのにどうしてそういうことをおっしゃるのか。わかっていると、診断書を出したらそれに従えと、切るものは切るんだ、本人の承諾は要らないというのは同じなんですよ。国民の声はそれじゃ無視するということですね。
  167. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 随分激しいお言葉でございますが、私は林さんが申されましたように、国会において十分御審議をいただくということで、政府の案は国会に御提出して御審議お願いいたしているわけでございます。そして、この国会の論議を通じて私どもが提出いたしました処方せんにかわる別の処方が、これはいろいろとお示しになって御議論になって、その結論として国会がお出しになる結論に政府としては従うものと考えておりますが、今、政府の提出いたしましたものを衆議院においては御可決をいただいたものと考えております。
  168. 林寛子

    ○林寛子君 それでは百歩譲って、全体の不良信頼、今どれくらいあるとお考えなのか、教えてください。
  169. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 先般、発表いたしました不良債権の額、預金受け入れ金融機関全体で三十四兆六千八百二十億円でございます。
  170. 林寛子

    ○林寛子君 積算根拠にもよろうと思いますけれども、今おっしゃった三十四兆六千八百二十億。米議会の調査局、CRS、日本金融危機の報告書公表、議会です。不良債権四千億から八千億ドル、日本お金にして四十兆から八十兆、これは間違いですか。
  171. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) いろいろな調査機関ないし公的機関も含めましてそれぞれの御見解がおありになろうかと存じますが、私どもは私どもの調査の結果が正しいと考えております。
  172. 林寛子

    ○林寛子君 そこなんですよね。それぞれの考え方というものはあろうと思いますけれども、事ほどさように国民にきちんと、どれを信じていいかわからない。しかも、まして日本の民間の金融機関では、あるいは四十兆と言っているのもあれば七十兆と言っているのもある。今の政府の言った三十四兆六千、この数字と、民間ではこれは七十兆だと言う。そしてアメリカの議会に出された報告書では四十兆から八十兆と言う。それ一つとってみても、私は全体像がわからないと手がつけられないと言うんです。  大蔵大臣あるいは総理でも結構です。  おかげさまで日本は、一家の大蔵大臣は八〇%が女性でございます。少なくとも、テレビを見ていらっしゃる奥様方でも、御主人が、会社が倒幸したり、失業したりすると、今うちのローンはどれくらい残っているんだろうなと。主人が失業した、子供を抱えている、じゃ私はパートに出るとか、いろんなことに日本の女性は大変一生懸命に努力し、そして夫を助け、子供を救い、そういうすばらしい女性が八〇%も一家の大蔵大臣をしているからまだ健全なんです。けれども、その健全な女性が全体像もわからないで、パイを小さくして、一家の中の大蔵大臣の女性が、主婦が全体像がわからないでどうして計算ができるんですか。どれだけ補えばいいのか、どれだけ足りないのか、どれだけ危機が来ているのかという数字だけでも単純にわからない。政府の言うことだけを信じなさいと、それ以外言えないでしょうか。
  173. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 政府の言うことを信じなさいということよりも、政府としては、各金融機関の不良債権に関する正式な報告に基づいて不国債権の実態を把握することが重要だと考えております。
  174. 林寛子

    ○林寛子君 それでは水かけ論ですから、やつぱりおっしゃることは、国民が見ていますから、理解できないんだ、どれを信じるんだ、政府の出した数字が一番正しいんだということを、これはよしんば信じましょう。信じても、その中から今回は単に六千八百五十億を使うだけではないんです。不良債権の全体像が見えないと今後は、今度だけでも、今のだってどういう基準でこれを出すのかわからないんですよ、基準が。何でも物には基準がありますでしょう、常識的な。例えば、さっき大蔵大臣がおっしゃったように、この人肝体が悪いからお医者さんに見せて診断書をもらいましようとか、わからないんですよ、一般の皆さん方は。  なぜこれだけなのかという基準があるのか、ないのか。そして、これからは財政資金を投入することが二度とないのかどうか、これも返事をください。
  175. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 基準というお言葉でございますが、私どもは、破綻金融機関処理の店則と申しますか、考え方という意味で御説明を申し上げたいと存じます。そういう意味では基本的な考え方はございます。  私どもは、金融機関、この場合は預金受け入れの金融機関を考えておりますが、それの破綻処理に当たりましては、原則としてこれは金融システムの中で、別の言い方をいたしますと、当事者の努力でできない場合には預金保険の中で処理をするということを原則と考えております。ただし、今回御提案申し上げております法案の中では、信用組合に関しましてはそのような枠組みの中だけでは心もとない部分があるということで政府保証ということをお願いしているわけでございます。  なお、この住専に関しましては、先ほど大蔵大臣が御説明申し上げましたような理由によりまして、早期処理を図るという必要性、また預金受け入れ金融機関に大きな影響を与えて国民の預金の保護に遺憾な点を生ずるおそれがあるということで、臨時異例の措置といたしまして今回の公的資金の導入をお願いしている、こういうことでございます。
  176. 林寛子

    ○林寛子君 常識が通る、通らないという判断でしかできないんですよね。これだけ世の中に私企業がいっぱいあって、しかも自由経済のもとでなぜこの人たちだけをという、これはルールがあるというけれども、みんな納得していないんです。  今回のことで、これはちょっと余談になりますけれども、(資料を示す)これは全部常識と非常識、一般の皆さんには当たり前のことなんですよ。借りたお金は返すと、これは当たり前でしょう。だけれども、中には借りたお金は、ないそでは振れないと言って、返さないと言って傲言した人がいるんですね。  また、普通では、常識では苦しくなってお金がなくなって破産ですと言ったら法的処理するんです、してきたんです、今までもしてるんです。それを国民の税金で処理する、これは非常識なんです、常識、非常識で分ければ。これは常識とは思えないんです。六千八百五十億で日本金融の安定にはならないというのが常識なんです。先幾らあるかわからない、二次ロスの金額もわからない。けれども、これで、六千八百五十億で日本金融界が安定するなんてだれも思っていないんです。大蔵省だけが主張なさるんです。あとのことを言わないと言うんです。  また、積算根拠も不十分なんです。ぎりぎりのぎりぎりのとおっしゃるけれども、ぎりぎりという日本語、これはよくわからないんですよね。法的にぎりぎりと言いますか、法的にどこかぎりぎりと書いてある法案あるでしょうか。これもわからない。非常識な答弁なんです。  日本の不良債権問題はこれからだと、これは常識です。物にもみんな書いてあります。ところが、今言ったようにオールジャパンの不良債権は答えないんです。これも国民にとっては大変な非常識です。あるいは住専への母体行や大蔵の天下りの責任、先ほどからいろんなことで責任問題が出ていました、母体行。けれども、最初に見せましたこの住専七社、大蔵がこれだけ介入している、総量規制もした。総理、お眠りにならないで聞いてください。けれども、この母体行や大蔵からの天下りの責任はだれも言わない。だれも黙して語らず。これも非常識。後で大蔵大臣にこの大蔵の責任をどうお考えになるかも伺いたいと思います。  農林系も含めて貸し手、借り手の責任追及、これは常識です。けれども、どなたかおっしゃいましたね、地の果てまでも追及するということを。地の果てまで追及するとおっしゃるけれども、株式会社で住専処理機構で、株式会社にそんな権限はありません。世の中に株式会社なんてごまんとあります。相手を追及する権利が株式会社にどうしてあるんですか。これも非常識でございます。  国民の声で凍結か削除すべきだというのが今の世論調査でも常識なんです。ところが、どういうわけか、今までこんなことに、国民の声に一番反応なすって国民の声を代弁なさる、名前は変えた社民党さんも、一言一句変えないという村山委員長の指令が出ているという、これもわからない非常識でございます。  そして常識的には、日本経済の再構築のために今大蔵大臣がおっしゃったのであれば情報開示をすべきです。まだまだわからないことがいっぱいある。資料の提出を求めていますけれども、これも出てこない。これも政府、大蔵は情報開示には最小限の努力しかしていないということ。  これだけの非常識、常識ということを考えれば、私は国民の皆さんがわからないとおっしゃるのももっともだと思うんですね。まず、この母体行から、(発言する者あり)言っておりますけれども、大蔵から天下った人たちの大蔵大臣としての責任問題についてはどうお考えでしょうか。
  177. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 天下り問題につきましては……
  178. 林寛子

    ○林寛子君 いや、責任です。
  179. 久保亘

    国務大臣久保亘君) いや、これは国家公務員法や人事院規則に基づきます規制がございます。それに基づいているものにつきましては、これを法的に責任を追及する対象とはなり得ないと思っております。道義的にどのように考えるかは、これはその当事者並びに大蔵省としてそのような状態がふさわしかったかどうか、そのことについては今後の大蔵行政の中でただしていかなければならない問題と考えております。
  180. 林寛子

    ○林寛子君 それでは、そういうふうにおっしゃるのであれば、今まで大蔵省が立入調査をしていますね。大蔵省は何回立入調査なさいましたか。
  181. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 二度にわたって調査をやっておりますが、第一回目は平成三年から四千にかけましてでございます。第二回目は昨年の八月から九月にかけてでございます。
  182. 林寛子

    ○林寛子君 調査報告というのが出ております。けれども、大蔵省がわざわざ調査に入り、そして報告書もまとめて、そしてなぜ今日までこんなに尾を引いてきたのか、お答えください。
  183. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 二回目の調査、すなわち昨年の調査に当たりましては、これは与党のプロジェクトチームに御報告するというような趣旨もございましたが、要は住専問題を最終的に決着させるべき時期に来ているというような問題意識の中で行ったものでございますけれども、第一次調査、平成三年から四年にかけましてはもう少し問題意識は違っていたように思います。  かつ、住専に関しましては、調査の権限はございますけれども、直接に銀行や信用金庫を指導するような形での指導権限というものは大蔵省にはございませんで、そういう制約の中でこの調査に基づきまして行政に当たってまいったと、こういうことでございます。
  184. 林寛子

    ○林寛子君 調査に入った限り、どうこうしろとは言えないという、それだけの権限が大蔵省にはないというお話でございます。  世の中は、普通、会社であれば決算報告書というのをいたします。決算報告書をします場合には、どういうところでも公認会計士だとか監査とかそういう人たちがそれを精査して、間違いない、ということで提出するんですね。これは毎年行われるはずなんです。調査に入ったときに大蔵省はそれをごらんになりませんでしたか。
  185. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今御指摘の民間会社、株式会社としての企業会計上の処理というものは、他の会社と同様に住専においても行われていると存じておりますし、調査に当たりましてはそういう資料をも参酌した場合があろうかと存じます。
  186. 林寛子

    ○林寛子君 それでは伺いますけれども、監査法人というのがありますね。監査法人の監督官庁はどこですか。
  187. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 企業会計に関しましては大蔵省が管轄をいたしております。
  188. 林寛子

    ○林寛子君 大蔵省が管轄している監査法人の監査人がそれを監査し、署名し、判を押し、そして世間に出す。証券局ですか、これは。私は、今おっしゃったように、答弁の中にもありました、監査法人というものは大蔵省の管轄ですと。だったら、それを見逃したんですか、監査を無責任に承認して判を押して出したんですか。答えてください。
  189. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 企業財務をどのように行っていくかということは、主として証券局におきまして管轄をいたしております。私ども銀行局といたしまして銀行あるいはノンバンクの監督を行っていくという立場とは若干異にするものがございますが、企業財務に関する行政はきちんと行われておるものと信じておりますし、またそれに基づきましてそれぞれの公認会計士の方々がその役目を十分果たしておられるものと考えております。
  190. 林寛子

    ○林寛子君 今の答弁は大変重要なことなんです。大蔵大臣、ぜひよくお聞きください。  監査法人というものは大蔵省の証券局が監督しているんです。そして、今おっしゃったように、私がこれをなぜ指摘したかといいますと、この仲専七社、監査法人、去年までは決算は適正といろことで届け出がなされているんです。  監督の大蔵省の証券局は何をしていたんですか。きょう、だれか来ていますか。大蔵大臣、証券局にこういうことをさせておいて、これ仕事しているんですか、仕事していると思えませんね。いかがですか。
  191. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私はそのこと自体についてお答えする立場にはないわけでございますけれども……
  192. 林寛子

    ○林寛子君 じゃ、答えられる人が来るまで待っているから。
  193. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) しかしながら、公認会計士の監査そのものの内容につきまして行政が指導するというような立場にはないんではないかと考えております。
  194. 林寛子

    ○林寛子君 私は、大蔵省が立入調査をしていなければこんなにしつこく言わないんです。けれども、二度も立入調査をし、しかも調査報告というものもあり、そして住専七社からのきちんと報告書というものを私は持っているんです。そしてしかも、それによって去年まで全く適正でありますという保証をしているんですよ。  だれが保証したのか。こんなことをしていいんですか、民間で許されていますか、ずっと。法的にだれかがどうかするんですか、どう処理するんですか、教えてください。担当者がいらっしゃらないんなら、後で担当者が来てからで結構ですから、どうするのか教えてください。一般の場合は、こういう不法な報告書を出して、しかも署名捺印しているということになればどうなるんですか。
  195. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 後ほど担当者に御説明をさせるようにいたしますけれども、そのような監査報告書は、商法等の法令に基づきまして適正に処理をされたものであると私どもは考えております。
  196. 林寛子

    ○林寛子君 無責任なことを言わないでください。だから答弁もらうの嫌なんですよ。  適正に処置されたものと思いますって、そんなこと言っていいんですか。適正に処置されていると思いますって、適正に処置されていなかったらこれは見逃したということですか、そういうことなんですか。  私、担当者が来るまでこの問題はいらっしゃるんですね、いらっしゃるんですか、後で。いらっしゃるんだったら待ちます。  委員長、どっちか聞いてください。
  197. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 答弁して。
  198. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) ただいま担当者を呼んでおりますので、後ほど御答弁を申し上げたいと存じます。
  199. 林寛子

    ○林寛子君 こういう住専七社に対しても、やはり一般の国民の常識から言って摩訶不思議なことが通っているんですね。そして、一般のものであったら厳しく処分されたり、あるいはいろんなことが起こるのに、これだけしているにもかかわらず、みんな見過ごしているんです。見過ごしているのか、なあなあなのか私はよくわかりませんよ、いらしてからよく伺いますけれども。  そういうことで、私はまだまだ問題があるということで、この問題は担当者がいらしたらもう一度質問させていただきます。  大蔵大臣、お聞きになっていてどう思われますか、大蔵の長として。
  200. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 外部監査の責任を負って監査法人で監査をされたことに対して、私が今ここでその評価を申し上げる立場にないと思います。
  201. 林寛子

    ○林寛子君 立場にないというのはおかしいんで、大蔵大臣でいらっしゃいますから、立場にはあるんだけれども担当者に聞きますというのが存確なお答えではないですか。まあその辺のところはいいです、担当者が来ますから。  それでは、普通一般では、お金を借りるのに担保をとられます。例えば、私が銀行お金を貸してくださいといって不動産担保を入れますと言ったら大体七掛けです。今はもっと低いでしょう。半分でしょう。けれども、少なくともお金を貸すときには銀行は担保をとるというのが常識なんです、一般の世界ではですよ、一般社会では。ところが、この住専七社では大変な担保割れをしているんですけれども、これに関してどうお思いになりますか。
  202. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 融資をするに際しまして担保をとるかとらないか、この点は一つの問題であろうかと存じます。むしろ、担保ということにこだわらず、その人を評価してお金を貸せというようなことを主張される金融人もおられますし、担保をきちんととるべきだという主張をされる方もおられるわけでございます。  いずれにいたしましても、住専に関しましては、恐らく、不動産の担保という意味では、不動産融資が多かったわけでございますので比較的担保をとっておったんであろうかと存じますけれども、しかしながら、例えば東京圏の地価で申し上げますならば、六割近くも地価が下落するという中でとった担保の価値が非常に予想以上に大きく目減りして、今やその担保としての機能を果たしていないものがあるということも御指摘のとおりかと存じております。
  203. 林寛子

    ○林寛子君 やっぱり普通の一般の人たちでは脅えられない融資状況だったわけですね。まあ乱脈と言っていいのかどうか、これは私も言葉を選ばなければいけませんけれども、普通の人たちでは考えられない、融資にはノーチェックだったんですね。  しかも、私、伺いましたところでは、融資をするときに、残高が一億円までは支店長へ内部決済。そして、三億円までは審査役、十億円までは営業本部長、それ以上は常務会だそうでございます。そして、担保はだれも言及しない。例えばその会だけできちんと、オーケーと言えばすぐ出るんだそうです。こういうときに私も借りておけばよかったと思いましたけれども。  一般の人から見れば、本当にこれはつぶれるべくしてつぶれるというのが当たり前の話で、普通の常識では考えられないことが、これがいわゆる金融というものを冠に使っていいのかどうか、それさえ一般の神経からすれば疑いたくなるような内部状況なんです。そういうものに関しては住専の中のだれが、今言ったように支店長あるいは審査役が、きちんと住専七社の中で、こんなにじ色のうれしそうな色ではなくて、もう灰色か真っ黒なんですけれども、この住専七社の担保もとらないでノーチェックで貸しまくるというのは、常識的に考えて、橋本総理、お仕事中でしょうけれども、いかがお思いになりますか。
  204. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。ちょっと緊急の電報が入ったものですから、失礼しました。  先ほど来、委員がわざわざ色をくすませたパネルをお使いになりながら、非常に厳しい御批判をいただいてきたことを残念に思います。  ただ、久保総理からも繰り返し申し上げておりますように、私どもとしては、我が国の金融機関の抱える不良債権問題というものを処理していく突破口としてこの問題を選んだ、そしてこれを解決することによって将来の新たな道を開いていこうとしていることだけは御理解をいただきたいと思います。
  205. 林寛子

    ○林寛子君 そういうことを聞いたんではないですけれども、至急の電報だとおっしゃるので、やむを得ません。  それではもう一つ、九〇年三月に総量規制をなさいました。これは橋本総理がよく覚えていらっしゃると思いますけれども、総量規制をしたときの理由ですね、社会状況だとおっしゃればそれでいいですけれども、なぜ総量規制の中から住専を外したのか、その辺のところの事情を、当時のことをちょっと御開陳いただきたいと思います。短くて結構です。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど海部内閣がスタートをいたしましたころ、地価の上昇というものが非常に厳しい世間からの批判を呼び、その地価を抑制するということは政府にとりまして大変大きな政策目標でありました。そして、就任後間もなく、たしか十月ぐらいであったと思いますが、通達を出し、資金が不動産融資に向かないように協力を要請した記憶がございます。同時に、当時土地基本法の御審議政府国会お願いし、土地に対するルールの策定というものをお願いいたしておりました。そして、その土地基本法を土台にして地価税をおつくりいただきましたことも御記憶のとおりであります。  しかし、なお地価の上昇の続く中で、たしか総量規制に踏み切ります数日前であったと記憶をいたしますが、土地関係の閣僚会議が開かれまして、その席上、ノンバンク等それぞれのところに対する努力はやっているけれども、なお一歩踏み込んだ対策をとるようにという海部総理の御指示を受けまして、それまでにも実は総量規制についての御議論というものは本院においてもたしかあったと記憶をいたしております。そして、創業という形容詞を私自身が使用した記憶もございますが、その時点におきまして総量規制に踏み切る決心をいたしました。そして、その上で農林系のいわゆる系統経営金融につきまして、これは農水省と二本立ての通達になった次第であります。  なお、補足して申し上げますなら、その中に住専という言葉がないというお話がしばしばございました。当時、私どもはノンバンクの中に住専を位置づけておったこと、御承知のとおりであります。
  207. 林寛子

    ○林寛子君 その当時の情勢、もう頂点に来て、何とか地価を下げなければいけない等々の社会情勢等々も御勘案あったんだろうと思いますけれども、今にして思えばこれは余りにも創業であったなと、今日のこういう状況を見誤ったなというふうに私は、政策的にという意味ではありませんけれども、ここまでというお気持ちがお心の中にはあるのではないかと思います。このことは済んだことですからどうこう言いません。  今、総理お話の中に系統のというお話がございましたので、時間がないものですからちょっとそっちの方に移らせていただきたいと思います。  農業協同組合、これも大臣に、大臣答弁が長いので嫌なんですけれども、短くて結構ですから、設立趣旨というものだけちょっと御開陳ください、申しわけないけれども
  208. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協は農民の自主的な協同組織ということでございまして、営農の支援なり生活の向上ということのため、販売、購買、信用、共済、営農指導などの幅広い事業を行いますいわゆる総合事業体ということでございまして、その行う事業によりまして組合員のために最大の奉仕をするということがその設立の目的と、こういうふうに理解をいたしております。
  209. 林寛子

    ○林寛子君 農業協同組合法第二章の第八条、「営利を目的としてその事業を行ってはならない。」というのはどう解釈したらいいでしょうか。    〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
  210. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協法八条の「営利」という概念は、対外活動によりまして得た利益を構成員に直接分配する、こういうふうに理解をいたしております。  農協の場合は、これは販売事業でありますとかそれから信用事業でありますとか、そういった事業によりまして獲得いたしました利益を直接構成員に、いわゆる農家の方でございますが、これに分配することを直接の目的として事業を行っているわけではございません。要するに、「施設」というふうな言葉を使っておりますけれども、販売事業、購買事業、信用事業という形で農協の施設を利用する、こういうことを目的としている、こういう意味でございます。
  211. 林寛子

    ○林寛子君 正直申しまして、私は神戸生まれ神戸育ちでございまして、余り田舎に縁がないものですから、今まで農業問題というものには弱うございました。けれども、今回は本当に農業関係のことを改めて私は一年生のようなつもりで勉強させていただいたんですけれども、やっぱりこれでいいのかな、これが将来の日本の農業のためになるのかなという点は多々ありました。  農林大臣は何か言いたそうな顔をしていらっしゃいますけれども、順次御質問申し上げますので、そのときにおっしゃっていただきたいと思います。  農林系の住専七社への出資状況を教えてください。
  212. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 出資というのは融資状況でございますね。
  213. 林寛子

    ○林寛子君 はい。
  214. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) これは、農林系統の住専七社に対します融資の残高ということで御説明いたしますと、平成八年三月末段階におきまして玄統全体で五兆四千四百億でございます。うち、豊林中金が八千百億円、信連が三兆三千億円、共済系統が一兆三千億円でございます。
  215. 林寛子

    ○林寛子君 今、七年だけちらっとおっしゃったんです。これは年次を追っていきますと、一九八五年、六十年の三月、九千七百五十億。しかも総量規制が九一年にあったわけですから、そうしますと、その前年の一九九〇年、平成二年、そのときには約二兆九千億だった。ところが、総量規制がここで線を引かれました。その途端に倍増するんですね。これが四兆八千億、すさまじい勢いでふえていくんです。  そういうことからしても、先ほど総理がちらっとおっしゃいましたけれども、なぜこんなにのめり込んでいくのか。変な話を例えて悪いですけれども、やっぱり好きな人ができても何か理由があるんですよ。ですから、私は、系統の皆さん方がこれだけ倍増するようなお金を出す理由がどこかにあったと思うんです。  農林大臣、これはお答えいただけますか、どろぞ。
  216. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 簡単にお答えいたします。  先ほど、今となってみればという御発言が委員の中にありましたけれども、実際問題として貯貸率が非常に低い、借り手が少ない、そういう状況の中で、四十年代から発足した住専というのはまことにいい貸し手であったわけでございます。そういう状況の中で、総量規制は出されましたけれども、先ほど総理からお話がありましたように、ノンバンクの一つであって総量規制の対象になっていないということもあり、金利も非常に高かったわけでございます。そういう意味で、貸し込んでいったという事実ははっきり認めなきゃならめと思っております。今にしてみれば、反省の材料の多いことであります。
  217. 林寛子

    ○林寛子君 農林大臣の率直なお気持ちをおっしゃったので、私はそのとおりだろうと思うんです。  ただ、ここで農林大臣、私は反省の中にもやっぱり今後こういうことはいけないという、どこか見つけていただきたいんです。反省するだけでは猿もごめんなさいと頭を下げるんです。私、それだけでは困るんですよ。余りにもこの系統の皆さん方は金融プロとして未熟です、正直言って。ずっと拝見しました。余りにも未熟。プロとしての条件を満たしていないにもかかわらずプロのような顔をしたということが私は大きな第一点の間違いであったろうと思うんです。(「それくらいにしてやれよ」と呼ぶ者あり)  そして、この中で人材の薄さ、金融関係の人材がいないんです。にもかかわらずのめり込んでいった。どういう誘いがあったか知りません。どんな声でくどかれたのか、それはわかりません。ここに一つあるのは、農協の職員や皆さん方が農協系の皆さん方に、職員や組合員にどう言ったか、住専への融資には万全の担保をとっているから大丈夫だ、そういって日本農業新聞に載っているんです。そのように、余りにも金融のプロとしての条件も備えていない、人材もそれほどいなかった。  それともう一つは、今言ったように万全の担保をとってあるから大丈夫だというのは、後ろに大蔵がいるから、あるいは母体行がいるからという甘えがあったのではないでしょうか。いかがですか。
  218. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) おっしゃるとおりに、いわゆる母体行というものは超一流銀行がきら星のごとく名前を並べていらっしゃるわけでございます。しかも、最初は銀行保証がございました。    〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕平成五年でございましたか、いわゆる大蔵省の通達によって銀行保証はできるだけなくしなさい、こういうことがございまして銀行保証はなくなりましたが、不動産担保ローンをとっておるということは事実でございます。  正直言って、そのころの住専のありようというのは大蔵省にもおわかりにならなかったところがありますし、まして申し上げたようないろいろの金融上のハンディキャップがあるわけでございますが、系統が十分知り得なかったということも事実でございます。  なお、専門家が少ないということは、御承知のとおり、いわゆる農協の幹部というのは選挙で選ばれるという実態がございます。したがって、今後、特に金融問題についてはプロの養成あるいは検査機構の充実、外部監査を入れる等々の改革案に今鋭意取り組んでいるところでございます。
  219. 林寛子

    ○林寛子君 後ろからもうそれくらいにしてやれやという声がありますけれども、私は、そうではなくて、これは将来の日本の農業の基本的なことである、今までの農業政策がこれでよかったのかという大きな転換点だと思うんです。  ですから、時間がもうだんだんなくなるのでこれは仕方がありませんけれども、一方的に言わせていただきますと、少なくとも金融のイロハを知らない農協がそれにのめり込んだ、あるいは系統がのめり込んだということに関しては私は大きな反省材料として考えていただきたいと思います。  またもう一つ、住専以外のノンバンクにどれだけ総額があるのかちょっと教えてください、供給総額。
  220. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 経済局長答弁が終わったら、証券局長が来ましたから、その後で。
  221. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 本年三月末の貸付状況について見ますというと、当省におきましては今般報告を受けたわけでございますが、系統全体におきますノンバンクの貸し付けば、概数で昨年に比べまして約一・一兆円減少いたしまして六・六兆円でございます。このうち不良債権額は三千億円程度となっております。  なお、平成七年三月末の五百八十億円に比べまして拡大しておりますけれども、これは全銀協の統一開示基準が本年三月期から改正をされまして、金利減免債権額に新たにいわゆる利ざやを確保していないスプレッド貸付金が含まれたという定義の変更ということでございまして、従来の定義で申し上げますと五百七十億円でございます。
  222. 林寛子

    ○林寛子君 わざわざおいでいただいたということで、前にちょっと戻りたいと思うんですけれども、証券局、内容を聞いてくださいましたか。  それでは、それに関してお答えください。大蔵省がそれを知っていたのかどうか。あるいはそれを知っていながらという言葉は悪いですけれども、お答えを聞いてからにしましょう。どうぞ。
  223. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 上場会社等につきましては、有価証券報告書等の開示書類を大蔵省に提出していただくことになっておりますが、その財務諸表は公認会計士による監査が行われるわけでございます。  御質問で、公認会計士の法人たる監査法人の監督権という御指摘がございましたけれども、公認会計士そのものは独立かつ公正不偏な立場で監査を行うという職業専門家の立場でございますから、通常言われます意味での監督というものを日々の業務として私どもが公認会計士の監査に対して行っておることはございません。  ただ、会社が重大な虚偽のある財務諸表を作成した場合に、公認会計士が相当の注意を怠り、重大な虚偽のないものとして証明した場合には民事上、刑事上、あるいは行政上の責任ということがございますので、私どもは開示書類について重要な虚偽記載があったかどうかということのチェックはいたします。それが判明した場合には、訂正を求める等法令に基づいた措置を行うところでございます。
  224. 林寛子

    ○林寛子君 それでは、わざわざ来てくだすったので申し上げておきますけれども、衆議院でも今回の処理に関してのアメリカにおけるSアンドLの状況というものがかなり話題になっておりました。  証券局でぜひ考えていただきたいということは、今おっしゃったように公認会計士というのは完全に大蔵省の保護監督の規制の中にあるんで才ね。けれども、先ほど申しましたようにアメリカのSアンドL、貯蓄貸付組合というのがSアンドしですけれども、今回のSアンドしの処置について、この破綻をめぐりまして会計事務所が次々と訴えられたんです。そして、賠償命令の額が三億ドルから四億ドル、言ってみれば三百億から四百億にも及んで、保険でカバーし切れない事務所は担当会計士が分割払いしている、倒産した会計事務所も多々ある。  私は、このアメリカの厳しさ、それを考えてみますと、このとおりにしろとは言いませんけれども、やっぱり資格を持って署名をし、判を押し、そしてそれを去年まで何ら間違いなかったと言って、適正だったと言って報告した責任というものも少なくともとがめられるべきだし、国民の目から見ればそれは不思議だな、一体だれなんだということを追及していかなければならない。  そういうるる追及しなければいけないことがいっぱいあるにもかかわらず、住専処理機構が性式会社では、それはほど遠いと言わざるを得ないということなんで、ぜひその辺も、監督官庁として証券局は公認会計士及びそういう監査法人に許して今後どういうふうにしていくか。それで資炊がどうのこうのと言うのであれば、監督官庁としてきちんとした処置をとっていただきたいということを要望して、お帰りいただいて結構です。ありがとうございました。
  225. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 民事上あるいは刑事上の問題というものは個別問題として起こり得るということを先ほど申し上げましたが、このことに加えまして、一般的に今回の監査の問題につきまして、各公認会計士協会におきましても私どもでも重要な問題と思いますのは、やはり貸付金が不良資産化したときの引当金の計上時期をどうすればよいかという問題は従来余り経験のなかった領域でございまして、こういった問題をこれから、御審議いただいております法案の中の早期是正措置といった形を行ってまいりますと、不良資産の自己査定といった問題が出てまいります。被監本法人が自己査定をどうするか、監査を行う公認会計士がそれをどう見ていくかというもののあり方につきましては今後重要な課題だろうと思っておりますし、公認会計士協会におきましては、本日いただいておりますような御議論も踏まえまして、本年の三月以降、銀行等監査特別委員会というものを設けまして金融機関に係る会計監査実務のあり方について検討を行っておるところでございますが、私どもも協力できる点は協力するということで積極的に協力してまいりたいと思っております。
  226. 林寛子

    ○林寛子君 系統の話をしているところへ割り込んできたので話がわからなくなってきそうなんですけれども、私もう時間がなくなりそうなんでちょっと焦っているんですけれども、まだまだいっぱい疑問点が残っております。  私、農林大臣にあえて申し上げておきたいと思いますことは、私たちの目から見ましても、農協は全国で二千四百ある。しかも、その人員というのは全国の農協の役職員含めて三十万人とか三十五万人とかと言われている。数が多いと思いませんか、余りにも。あるいはこの農協法の設立趣旨、先ほど言っていただきました。けれども、これから見れば余りにも本来の農業以外のことに力が入り過ぎているのではないか。その反省は、私は少なくともこういうときにぜひ今後改めていただきたい。本来の健全な日本の農業のあり方という政策できちんと対処していただきたい。バブルに乗っかって金もうけをするようなのは、私はそういう体質ではないと思います。先ほど申しましたように、金融に何の経験もない人が、そしてあるいは担保もとらないで、とにかくそういうふうにのめり込んだことだけは事実ですから、私はそういうことはきちんと今後対処していただきたい。  今後の対応としては、リストラをし、少なくとも私は、それらの人たちの、信連の経営者、会長、副会長四十七人、理事が約七百人いるんですね、信連だけでも。そして、これらの役員たちの責任は一体どうしたのかと。やっぱりだれかが決断したわけでしょう。私は、その責任というものは絶対に、住専七社、これも悪いけれども、知らないで出したからいいと許されるものじゃありません。私は、そういうことはきちんと責任責任として、今後農家の若い人たちが農業に専念できるような政策でもって明るい展望を政策の一つに挙げていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  あるいは透明なルールを出すとか、あるいは責任の明確化、そして何よりも国民の理解をいただくというような努力をしていただかなければ、二十一世紀の農業はなくなると、私はそれが一番心配なんです。だから申し上げているので、農林大臣に一言お考えを伺いたい。
  227. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 今まで余り農業に縁のなかったという委員から大変な御激励をいただいて、もとより農業に責任を持つ我々としては、むしろ今回の事件を契機にして体質改善をしていかなければなりません。  そういう意味で、系統の皆さん方もあと三、四年のうちに三割のいわゆる生産性の向上ということを打ち出しておられます。この問題が系統のリストラに非常に大きな制約をはめるということは間違いがございません。何回も申し上げますが、九月までには総理の諮問機関である農政審議会においてしっかりした結論を出していただき、来年の通常国会にはやはりそれを受けて、おっしゃるようなあの農協改革をぜひとも成功させたい、かように考えております。
  228. 林寛子

    ○林寛子君 住専処理機構の構想とか人事とか序伺いたいんですけれども、時間がありませんので。  あと一つどうしてもこれは聞いておきたい。  住専七社で、先ほど見せましたように、本来の設立趣旨に基づいて住宅ローンを組んでいる個人はどれくらいありますか。
  229. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 約十八万人と記憶いたしております。
  230. 林寛子

    ○林寛子君 今お聞きいただきましたように、これだけ情けない会社からでも、冒頭に申しましたように、夢をかけて個人ローンを組んだ人たちが今でも十七万人いるんです。その人たちはローンを返していませんか、返していますか。
  231. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 住専には非常に不良債権が多いわけでございますが、個人住宅ローンをお借りの方々は返済等についても非常によく返していただいているように伺っております。
  232. 林寛子

    ○林寛子君 総理、十七万人の人たちは、正直者がばかを見るというような日本の世の中に夢も希望もなくすんです。同じところからお金を借りて、しかも自分たちの買ったものを抵当に入れて、わずかなお金を、こんなに大きなお金を借りないでわずかな個人住宅ローンを組んで、こつこつと働いて返している人がいるんです。(「それが普通です」と呼ぶ者あり)にもかかわらず普通じゃない人が多過ぎる。しかも、西で一人、東で一人、それだけしか私たちの目にはまだ見えていない。  そして、地の果てまで追及するとおっしゃった人、手を挙げていただければいいですけれども、地の果てまで追及するとおっしゃったことが、次の株式会社住専処理機構で本当にこの十七万人のこつこつとローンを返している人たちに報いるような追及ができるとお思いになりますかというのが第一点。  そしてもう一つ、阪神・淡路大震災ですが、序庫県へ今までこの震災でどれだけ国がお金を出したか。少なくとも、御存じのとおり、もうお聞き及びでしょうけれども、ローンを払っている途中に家屋が喪失して、再建するために、復興のためには二重ローンを組まなきゃいけないという人がいるんです、現実に。そして、阪神・淡路大震災の復興をするためのお金というのは五千億です。今回の六千八百五十億と五千億と、こんなに差があって国民の税金を投入するということに理解が得られるとお考えでしょうか。いかがですか。
  233. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、住専処理策自体につきまして、これは住専処理機構だけではなく、預金保険機構が一体となって強力に債権回収を進めることになっているということをまず申し上げたいと思います。  そして、特に借り手の資産隠しに対応するために、預金保険機構には罰則つきの財産調査権を付与しております。また、回収に際して違法な妨害行為があれば、両機構には、捜査当局と緊密な連携をとりながら積極的に告発をするなど厳正に対処していく、そうした姿をとっております。  ですから、我々としては関係者責任の明確化に全力を挙げていくということを繰り返し申し上げておきたいと思います。  また、阪神・淡路大震災の被災につきましては、私どもは今後ともに兵庫県、また神戸市を初めとする関係市と御相談をしながら、私はイショクジュウという言い方をたしか本院でさせていただきました。ただ、そのイはドクターの医であり、ショクは食物ではなく職業、働き場所のことであり、そして住宅と。十分御相談をしながら努力をしていきたいと思っておることだけは申し添えさせていただきます。
  234. 林寛子

    ○林寛子君 少し時間が超過しておりますけれども、直嶋議員の関連を少し譲っていただいて、もうあと一、二問だけどうしても伺いたいことがございます。  橋本総理あるいは大蔵大臣、私たちは、先ほども申しましたように、六千八百五十億を投入するということで、これで取っかかりをつけてこれからも公的資金投入ということがあり得べしというふうな疑問を持っているんですけれども、ないんでしょうか、あるでしょうかだけお聞かせください。
  235. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 昨年十二月十九日閣議決定に先立ちまして政府与党の間で合意をいかしておりまして、今後ノンバンクに対する公的資金の投入は行わないということを確認いたしているところでございます。  なお、今度の金融関連法案の中で、信用組合の破綻につきましては、預金保険機構においてこの五年の間の破綻につきましての負担に問題を生じました場合、公的資金の投入もあり得べしということにいたしておりますが、これも実際にこの機構の保険料その他を考えまして大きな負担を行うことはあり得ないと、このように考えております。
  236. 林寛子

    ○林寛子君 済みません。時間がありませんから総理にまとめてお答えいただきたいと思います。  今、大蔵大臣お話がございました。あり得べきではないとかという、ちょっとよく語尾がわからないようなことなんですけれども。  私は、きょう時間がなくなりましたので一言だけ申し上げておきたいんですけれども、全く違った観点で、旧国鉄の債務です。だれが負担するのかという問題がこれは大きな問題になってくるんです。私は、きょう時間がありませんでしたから、ただ今後、そういう一般の皆さん方が不審に思っていらっしゃるということで、それをしないのかするのかということだけ。  少なくとも旧国鉄の債務というものが二十七兆六千億円に及んでいる。国鉄清算事業団の長期債務なんですけれども、それが閣議決定でこれはなされていること、土地などの売却をしてそれに充てるということなんですけれども、今度のバブルの影響を受けまして、事業団が持っているものというものは少なくとも七兆円を割っているんです。そして、二十兆円というものがだれも負担し切れないというようなことになっているんです。  そしてもう一つは、八六年の閣議決定では、もしも清算事業団が保有する土地などを売って残る債務は国において処理するというのが決められているんですけれども、これに対しても私は、少なくとも今後二度と今度のような住専処理するというようなことを、閣議決定している以上はやむを得ないと思うので、これもきょう時間がありませんからやめますけれども、一つの警告として、この処理の問題に対しても少なくとも政府としてきちんとした考え方国民の前に示さなければならないだろうと思います。私はそのこともひとつ警告しておきたいと思います。  それからもう一点。秋に、九月いっぱいで、本当は聞きたいんですけれども、ちょっと時間が余りあれですから失礼します。  三%消費税、御存じのとおり、私は久保先生と当選期が同じなものですから、あの消費税のときに久保先生がこの参議院予算委員会でも消費税反対の堂々の論陣を張られたことを今でも鮮明に覚えています。大変尊敬も申し上げましたし、国民の声をあれだけ代弁できるんだったら私もと思って、同じ五十二年当選組としては私もそうしようと思って、きょうも私は住専問題であなたのように国民の声を代弁して質問させていただいたんですけれども、この三%問題について、例えば今までどういう努力をしてきたか。  きょうは時間がなくなってしまいましたから、私は長々と言いたかったんですけれども、ニュージーランドのように十年間で大幅な行政改革、税制改革、規制緩和をなし得たお手本があるんですね。この間、ニュージーランドの大使においでいただいて、私たち勉強会をいたしました。本当に十年間ですばらしい成果を上げて、そして今は五つの省と五十の特殊法人を廃止して、残りも統合、再編して公務員を半分にしてしまった。金融も自由化したし、農業の保護も打ち切り、よく聞いてください、打ち切って公共料金の許認可制を廃止した、郵便、通信、運輸等のインフラ整備を強力に実行した、一時は失業者がふえたけれども、今は落ちついていると。  それだけのことをして私は初めて消費税の税率アップということも言えると思うんです。私は三%で足りると思っていません、将来的には。けれども、することをしないでただ税率だけを上げていく、しかも国民消費税七%反対と言った武村さんが今度はいきなり一二死だと。私は、余りにもすることをしないでこういうことをするということに対しては、後でまとめて皆さん方に、大蔵大臣総理お話を伺ってやめたいと思いますけれども、橋本総理は、強靭な日本の経済をつくっていくということを公約なさいました。  私はそれに大変期待しているんですけれども、支持率が高いだけで現実が伴わないというのであれば困るんです。ですから、少なくとも私は皆さん方に、今後私企業の営業失敗のしりぬぐいに安易に税金を使えない、そんなことをしていたんではモラルハザードの問題はより拡大していくという懸念を持っておりますので、少なくともこのことに対して、消費税とそして公約であります強靭な日本の経済をつくっていくということに対して、大蔵大臣総理のお答えを聞いて終わりたいと思います。
  237. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 消費税の問題につきましては、平成六年十一月に税制改正が国会において成立いたしますときに、この法律の中に、二十五条に検討条項が加えられております。この検討条項、四つの項目でございますが、これらについて検討を加えました上で、もし五%と法定いたしております消費税率を動かす場合には本年の九月三十日までに法律の改正を行うことを決めているわけでございます。  今日、これらの四つの検討条項について検討が行われているところでありまして、これらの手続を経た上で最終的に決められるものと考えております。五%は、平成六年十一月の税制改正の際に、五兆五千億の特別減税、これは平成七年度から三兆五千億の制度減税と二兆円の特別減税に変わるわけでございますけれども、この制度減税に見合う財源として、減税を先行させ、平成九年から消費税を五%にしてこの制度減税改正の財源を償うものとして決められたものでございます。  したがいまして、この整合性を保てるような検討条項の結果が出ますれば変更が可能となりますが、そうでない場合には、五%法定どおり実行しなければならなくなるものとして決定されているものと考えております。
  238. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この住専処理に関連しまして、国鉄清算事業団累積債務について御指摘をいただきました。その内容は議員が御指摘のとおりであります。そして、私どもが今後国鉄清算事業団の有しております資産を処分することによってその赤字幅を少しでも縮小するように努めていかなければなりません。しかし、国鉄改革の時点におきましても、最終的に処理し切れないものが残るであろうということは想定されておりました。それが議員が先ほど指摘をされましたような文章として残っております。しかし、当時予想したよりもその幅が広がっておることも御指摘のとおりでありまして、今後、その資産処分等につきまして、院のお知恵も拝借をしながらでき得る限りその債務を縮小するように努めてまいりたいと、そのように思います。
  239. 林寛子

    ○林寛子君 消費税。
  240. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 消費税は先ほど大蔵大臣が答えました。
  241. 林寛子

    ○林寛子君 時間オーバーしましたけれども、直嶋委員に補足質問を譲ります。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  242. 坂野重信

    委員長坂野重信君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員辞任され、その補~として山本保君が選任されました。     ―――――――――――――
  243. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 平成会の直嶋正行でこざます。まず私は、最初にやはり住専問題について総理及び大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。  住専の問題については、衆参両院でこの国会が始まって以来議論をしてきたわけでありますが、さっき同僚の林議員も指摘されましたように、やはりいまだに、なぜ国民住専の損失を負担しなきゃいけないのか、また幾ら負担するのか、これらについて政府はまだ全く明らかにされていない、このように思います。  確かに、六千八百億円の税金の投入を一次損失の処理では決定をされました。しかし、さっき世論調査のお話ありましたが、税金投入に対する国民の反発が非常に大きい、このことがわかると追加負担をおっしゃる。政府の失政をそのままにして国民の目をそらそうとされている。  追加負担なるものについてきょうも朝からいろいろ議論がありました。与党関係者あるいは政府政府の方おっしゃっているかどうかあれですけれども、再三再四発言をされていまして、その内容もたびたび報道されています。きょうもいろいろお話がありました。しかし、具体的なものはまだ全く見えていないんですね。私は、国民の日から見ると、この話が始まったのは二月の終わりぐらいからですから、もう全く幻を見ているようなものじゃないかと思うんです。  それから、前回予算委員会のときも私、大蔵大臣に申し上げましたが、本当に六千八百億円の税金投入を減少させる、あるいはなくするというふうにお考えになるなら、それは政府が作成して今、国会に出されているこのスキームがもう既に崩れているんですよね。ですから、六千八百億円の予算を削除して、引っ込めて、そして住専処理法案を撤回して新たにやり直すべきだと思うんでず。それがやっぱり私は政治のけじめだというふうに思いますし、それをやらずに事を進めようとすることは、これは政府みずからおつくりになった法案をみずから無視されることになるわけですから、法治国家あるいは民主国家と呼ばれる国の政府かとるべき態度ではないんじゃないか。さっきも、秋に臨時国会をやって法案改正のお話もありましたが、私は今のやり方はまことにおかしい、このことをまず指摘しておきたいと思います。  きょうは、実は今六千八百億円の税金投入という一時損失の話を申し上げましたが、もっと問題なのは私は二次損失だと思うんです。  これは、ことしの一月三十日の閣議了解の中で、いわゆる二次損失、回収過程で損失が生じた場合はその二分の一を政府負担すると、これは決定されているんです、閣議了解の中で。ところが、ずっと国会での審議の中で政府がおっしゃってきておられる答弁は、一言で申し上げれば、そういう損失が出ないように、生じることがないように努力をする、結局このことしかおっしゃっていないんですよ。私も、前回の大蔵大臣初め皆さんとの議論をさせていただいた予算委員会の議事録をもう一回読み返してみましたけれども、結局そこのところしかおっしゃっていない。  これは、もう政府負担は二分の一だよと、政府負担ということは国民負担ですから、損失が出たら二分の一負担する、こういうことを決めているんですよ。決めておきながら、あたかも二次ロスが生じないような、そういう御説明をされてきているんです、ずっと。私は、そこは本当に大変な国民をごまかすものになるんじゃないか、こう思うんです。  それで、まず最初に総理にお伺いしたいんですけれども、今申し上げた二次損失というのは本当に発生しないんでしょうか。九九%発生しないと、このように御判断されているんでしょうか。
  244. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 直嶋委員の御質問でありますけれども、今後の地価の動向あるいは経済動向などによりまして、いわゆる二次ロスが全く発生しないと申し上げる自信は私もありません。その発生する可能性を否定し得ないということは、これは事実です。  私どもとしては、新たに設立をされます住専処理機構が買い取りました債権などについて、この機構におきまして強力な回収努力を続ける、そしてそこからの回収、増収分というものを国庫に環流させていくことによって、結果として全体の財政支出を抑えるように努力をしていきたい。従来、同じ答弁したじゃないかと言われればそのとおりです。しかし、私どもはそう考えております。
  245. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、総理が今おっしゃったように、財政支出を抑えるように努力していくと、このことは私はそうだと思うんです。そういうまた御尽力をいただきたいと思うんです。  今、総理はその二次ロスが発生する可能性は否定し得ないと、こうおつしゃったですね。ここでやっぱり発生するということは否定し得ないということは、想定されているわけですか、それとも想定していないんだけれどもということなんですか。  要するに、総理は二次ロスが出てくるということを念頭に置かれているのか、それともそうじゃなくて、しかし先行きわからぬから否定はできないよと、このようにおっしゃっておられるのか、ここのところどうなんでしょうか。
  246. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我々としては出ないように、発生しないように全力を尽くしますし、また出ないことを願います。しかし、今後の地価あるいは経済動向によってその発生を全く否定することはできない、言葉どおりの、申し上げていることであります。
  247. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 なかなかこれ以上総理としておっしゃりにくいかもしれませんが、しかし私が申し上げたいのは、既に閣議でこの住専処理の方針をお決めになって、そして一月三十日ですから、これは橋本総理久保総理のときに閣議了解の中で要するに政府と民間とで二分の一ずつ負担するよと、こういうことはお決めになっているわけですね、了解されているわけですよ。  同時に、民間の負担の部分については、それぞれ皆さんがお金を出して基金をつくって、その分用したもので回収過程に生じたロスの民間の部分については充てますよと、このことも同じ閣議了解の中で決められているわけですよね。だから、もう民間の場合はお金を出しなさい、それに基金を充てましようということは既に決めているんですよ。そういう準備をされているわけですよね。それにまだ否定し得ないというようなことしかおっしゃらない。だから、ここが私はちょっと、やはり本当にあり得る、十分損失が出るんだということであればはっきりおっしゃった方が国民としても理解がしやすいと、こう思うんですよね。  いかがでございますか、ちょっとしつこいようですが、もう一度お答えいただけませんか。
  248. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 住専債権債務処理の佃進に関する法律案を御提案申し上げます際には、いわゆる一次損失と言われている六兆四千百億の負担の問題、そして今後回収の努力を全力を挙げて進めることによって損失の拡大を防ぐために努力をしなければならないけれども、しかし今後の地価や経済動向によってそのような状況が発生しないということを断言できないわけでありますから、そういう中で、関係金融機関等との協議の上で、いわゆる二次損失と言われている部分も含めて、全体の住専問題の債権債務処理に関するスキームとして提案を申し上げているわけでございますから、そういう立場で御理解を賜りたいと用います。
  249. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大蔵大臣のおっしゃる立場はわかるんですよ。しかし、これからの地価とか経済状況というお話をされましたが、既にこの住専のスキームが決まって、あるいはもっと言えば、その決定は、昨年、大蔵省が実施された検査に基づいて債権処理が決まっているわけですから、それ以降の地価の動向だとかそういうものから判断すると、私は二次ロスは相当な金額になるんじゃないかと、こう実は内心思っているわけです。  今、国鉄清算事業団のお話が出ましたが、これは十五年かけて回収、処理をするということですから、状況によっては本当に後年大変な財政の問題になってくるんじゃないかと、こういう危機感を持っているものですからしつこくお聞きをしているわけであります。  それで、ちょっと具体的にお聞きしたいと思うんですが、いわゆる第III分類というやつですね、大蔵省の検査結果で分類された一兆二千四百億円だったと思いますが、これについてお伺いしたいんですけれども、この第III分類については大蔵省の検査結果をもとに、九五年一月の路線価をもとにして、その路線価から七掛けのところまでの部分が第III分類だというふうにお伺いしております。  予算委員会でも西村局長は、公的バックアップをすることによってとにかく損失が生じないようにするんだと、このようにおっしゃっているんですけれども、さっき申し上げたような最近の地価動向から見て、例えばこの第III分類を見た場合には、私はいかに公的バックアップをしても全額回収は難しいと思うんですね。それから、もし本当に損を出さないと、こういうふうにおっしゃるんでしたら、今の状況から見てこういう判断をしているよというそれなりの材料を出していただかないと理解できないと思うんです。そういうものは何かあるんでしょうか。どうでしょうか。
  250. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、直嶋さんからお話がございましたように、九五年の路線価を基準にしながら積算をされているわけでございますが、現在のところは、八年の公示価格と対比いたします場合にはこれは不可能な計算にはなってこないと思っておりますが、非常に厳しい状況にあるということは私どもも認識をいたしております。  そういう中で、どのようにこの回収を迅速に強力に行うかということが今何よりも重要なことであろうと考えております。
  251. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大蔵大臣から公示地価の話が出ましたので、ちょっと私の方も申し上げてみたいと思うんです。  今非常に厳しい状況になっているというお話がございました。ことしの一月の公示地価を見ますと、大都市のいわゆる商業地といいますか、こういうところは確かに二〇%ぐらいのマイナスになっています。例えば、国土庁がこの間発表されたことしになってからの一-四月の地価動向でも、やっぱり大都市の商業地の地価というのは下落しているんですね。  そういう面でいうと、確かに路線価でその七掛けなんだから、要するに公示価格から見ると八掛けの七掛けなんだと、こういうことだから安全率はかなりあったと私は思うんです。ところが、この間の地価下落で、今、大蔵大臣おっしゃったように、もう安全率はほぼ切っているんじゃないかなと。  それで、問題は個別のところなんですよね。具体的にちょっと例を挙げて申し上げますと、東京で例を挙げますと住総という住専がございます。住総、これの実は新しい本社ビルの建設用地が新宿区の四谷にございます。ここの土地と新宿通りを挟んだ向かい側の最寄りの、要するにことしの公示価格は一平米当たり五百七十万円、これは昨年の実績から比べますとマイナス二五%です。  それからもう一つ、今度大阪で言いますと、例の末野興産のあのビルがあるミナミの繁華街、このあたりで申し上げますと、平成八年の公示価格は平米当たり二百七十五万円でこれはマイナス二九・三%です。  つまり、今、大臣は厳しい状況にあると、こういうふうにおっしゃいましたが、例えば実勢価格と公示価格の関係を見ると、やはり一割ぐらい実勢価格の方が低いんですよね。しかも、公示価格は後追いのデータですから、そういう点から判断すると、もう既に実はこのスキームはやっぱり破綻しているんだと、回収を全部するという意味でお考えになっていろんならこれはもう崩れていると、こういうふうに思わざるを得ないんですけれども、どうでしょうか。
  252. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) いろいろな数字の挙げ方はあろうかと存じますけれども、地価全体といたしましては、国土庁の公示価格で申し上げますと、全用途全国平均では八年一月は四%の減でございます。もちろん、東京圏の商業地で見ますと一七・二%というように二割近い下落を示しているものもございますし、私どもも、先ほど大臣が申しましたように、大変厳しい状況を背景に債権回収に取り組まなければならないと心を新たに取り組む所存でございますが、他方におきまして、別の意味でこの住専対策によって今までできなかったこともできているという例もあろうかと存じます。  例えば、住専の大口債務者である不動産業者から隠し財産が多額に発見されるというような例も新聞報道でもございますが、ああいうものはもともとこの処理策を検討いたしました段階ではなかなか回収が難しかろうというふうに想定をしていたものでございますが、関係者努力によってそのような事例も出てまいっております。住専処理機構を発足させていただきまして、預金保険機構と一体となりまして、今までにないような回収努力をいたしますならば、その努力の成果は必ず報われるものと信じているところでございます。
  253. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 努力するというのと現実はやっぱり違うと思うんですね。  今、隠し財産のお話がありました。願わくは、債務者の方がたくさん隠し財産を持っておられることを私は祈りたいと思うんです。確かにそういう話もありますが、じゃ、もう一つちょっと例を挙げましょうか。  私の手元に今、住専七社の担保不動産の競売実績の資料があります。私、前回、予算委員会でも、東京地裁が行った過去一年の競売実績から見てこの回収というのは大変なんだということを申し上げました。あのときは住専ということではなかったんですが、ただ今回、たまたま私の手元に住専八社、協同住宅ローンを含めた八社が競売を開札したその実績がございます。  ちょっと紹介させていただきます。  昨年、平成七年度下期の実績でございますが、開札物件、これが二百一件。この合計で抵当権額が五百六十四億円。開札の最低売却価格、この価格が百五十三億円。この中からいわゆる優先抵当権のついたものを除いた、実質の住専に返ってくると見込まれるものは実は九十三億円なんです。ということは、率ではじくと実に一六%なんですね。  それからもう一つ申し上げます。  この中で落札したものがございます。落札したもの、これが五十二件ございます。これの抵当権額は六十六億円です。落札は二十四億円。中にはかなり最低売却価格を上回って落札しているものもあるんです。しかし、この中で優先担保のついたものを除いた実際の回収額は十一億円。六十六億円に対して十一億円ですから回収率は一七%ということなんですね。  ですから、これは確かに現時点で、たまたま昨年の下半期の競売実績です。ですけれども、私、予算委員会で申し上げたときも、やっぱり回収率は一七、八%というのが去年一年間の実績でございました。ですから、それは今のデータだから将来変わるかもしれぬと、こういうこともあり得るかもしれません。しかし、今、西村局長が挙げられたように、強力な捜査をして、それは隠し財産を摘発するとかいろいろプラス面あると思います。政府も一生懸命おやりになると思うんです。しかし、そういうものでカバーし切れる範囲を報えているんじゃないかと私は思うんです、今申上げたような回収率を見る限りはですね。  ですから、これは確かに気持ちとしては損を出さないようにしたいと、このことはよくわかるんですけれども、現実はもう既にこういうことになってきちゃっている。さっき速やかにというお話がありましたが、速やかに売ろうとすればするほど、やればやるほどやはり損が出るというのぶ回収の構図だと思うんです。ですから、私は、政府はやっぱりその部分は率直にお認めになって、国民にも率直に話されるべきだと、こう思うんですけれども大蔵大臣どうでしょうか。
  254. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 毒岳により言す宴質回収が非常に難しい問題であることはよく承知をいたしておりますが、今お話がございましたのは担保額と回収額、づまり競売によります売却額の比較でございましたが、住専処理機構が買い取ります債権は担保額と同じではない、このように思っております。そこの差がどれだけ出てくるかですね。  しかし、いずれにせよ、買い取りました債権を迅速的確に処理してできるだけの回収を行うということは、非常に困難な仕事でありますが、これをやり遂げなければ住専問題の処理はできないんだと思っております。そして、その間にやはりどうしてもやむを得ざるロスを生じます場合には二分の一の負担ということを取り決めているわけでございます。初めからもう二次ロスは絶対に出ないということならば、法案の中にそのようなことを入れないわけでございますから、そこは私どもといたしましてもそういうことを生じないよう全力を挙げなければならない責任を伴うが、しかし関係者との間の協議において、もしそのようなことを生じた場合にはこういう取り決めで処理するということは決めさせていただきたいと思っているところでございます。
  255. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっき私が申し上げた数字は、確かに担保額と実績との数字ですから乖離が大きいのは当たり前かもしれません。ただ、さっき、その他に私は最低売却価格という数字を一つ申し上げたつもりなんです。ですから、私が申し上げた一六とか一七というのは確かに路線価でどうということで、仮に推計してもやっぱりとてもとてもという数字だと思うんですね。  もう一つ、ちなみに最近の事例を申し上げますと、これは政府がお出しになった資料で、「担保不動産売却価格と路線価の対比について」という共国債権買取機構の実績があります。これは確かに昨年一年間の実績です。東京二十三区と大阪市内のそれぞれ具体的な比較が載ってございます。これを見ると、確かに大体五割ちょっとぐらいですか、路線価以上で売れているものもあるんです。かなり大幅に上回っているものもあります。そのかわり極端に下回っているものもあります。  ただ、この数字は確かにそうなんですが、ここでもう一つ見ておかなければいけないのは、この債権買取機構は、実は回収の実績というのを見ますと、大体債権額に対して四%ぐらいしか回収できていないんです。買い取り価格から見ても一割切っているんですね、九・六%ぐらいの回収しかできていないんです。つまり、契約が成り立つものしか今売っていないと、こういう状況なんですよ。だからこれが、再三おっしゃるように、非常に大きな規模の住専の不良債権処理するということになりましたら、当然さっき申し上げた競売とか不動産市場にいろんな影響が出てくるわけです。それで、これは供給圧力としてかかってくるわけです。ですから、私はそういう点でいうとやっぱり二次損失というのは非常に重要な問題だと。  きょう初めて大臣答弁で、やむを得ない場合のロス、絶対にロスが出ないならああいうことを入れませんということをおっしゃったんですね。今までは一生懸命回収します、一生懸命回収しますとしかおっしゃっていないんですよ。だから、私は本当にそういう意味でここの部分は大変重要な問題で、場合によっては一次損失を上回る財政資金の投入につながる危険性がある、このように思っておりまして、このことはこの場でも明確に申し上げておきたいと思います。  それで、大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、二次回収の期間が十五年になっている。何でこれは十五年というふうに決められているんでしょうか、ちょっと御説明いただけますか。
  256. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 十五年という想定をいたしましたのは、住専が現在持っております資産、それを承継いたしましたものをどれぐらいの期間をかけて処理していくことが適当であるか、こういうことを考えて最長十五年というふうに設定をしているわけでございます。しかしながら、恐らく実際問題といたしまして、いわゆる不良倍権の処理というものは五年くらいでピークを迎えることになるんではないかと想定をしているところでございます。  先ほど御指摘がございましたが、個人住宅ローンは相当に長期間、これは十五年以上にもわたろものもあるわけでございますけれども、そういうものを直ちに処分してしまうというわけにも利田者の立場から申し上げるとまいりませんし、かといって、それがすべて処理できるまで待っていろというわけにもまいらないということで十五年という最長期間を設定し、もしその時点でまだ個人住宅ローン等で残っているものがあれば、それはどこかへ承継するようなことを考えなければならないのではないか、このように考えているところでございます。
  257. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お答えがあったんですが、ちょっと大蔵省にお聞きしたいんですけれども、単純計算で結構ですから、きのうちょっと計算していただくようにお願いしたのですけれども、九千億円の原資を年利四・五%で運用した場合の利息の総額、十五年間運用した場合の利息の総額は幾らになりますか。計算していただけましたでしょうか、ありますか。
  258. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 四・五%という想定をされたわけでございますが、私どもといたしましては、十五年間の存続期間中にどの程度の金利になるかということにつきましては、必ずしも現在で見通すことは難しいと考えておりまして、例えば預金保険機構の資金運用平均利回りでいいますと、六年度においては三・七%とか五年度においては三・九%とか、そういう状況でございまして、今後の金利情勢というのを今の段階で御指摘のようなことで見通すということは、私どもとしては必ずしも自信を持てないということでございます。
  259. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、ですから二次処理スキームというのは非常に心配なんですよね。要するに、今私が聞いたことにお答えにならなかったんです。四・五は難しいというお話。  それで、私の方で計算した数字がございます。これは四・五で十五年間運用すると、金利は単純計算でいきますと六千七十五億円なんですよ。つまり、さっき二分の一、第III分類の総額が一兆二千四百億円なんですよ。ですから、これは政府と民間が折半するという数字になってくるんですよ、この十五年というのは。そうじゃないんですか、そういう前提で組んだんじゃないんですか。  だから、さっき回収の問題とかいろいろおっしゃったけれども、例えばこの国会審議でも円速に債権を回収するために住専処理機構をつくるんだというお話を再三されているわけですね。しかし、五年ぐらいがピークでしようというお話はありますけれども、十五年もかけてやる。これけそういうロスをカバーするための基金上の必要性から十五年間という期間が必要になったんじゃないんですか。正直に言っていただいた方がいいですね。
  260. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 先ほどは引き継いだ資産の面から申し上げたわけでございますが、別の面から申し上げますと、今、直嶋委員指摘のとおり、その期間にどのような運用が可能になるかという側面もあるわけでございます。  ただいま安定化拠出基金の運用益だけでいわゆる二次ロスを埋めるに足るのかという問題の提起がございましたが、まず第一点といたしまして、六千億を超えるいわゆる二次ロスが生ずるといろふうには私どもは想定をいたしておりませんことと同時に、もう一つは、引き継ぎました資産の損失が出ました場合に、この安定化拠出基金の運用益というものも一つの財源になろうかと存じますけれども、また約六兆八千億に上ります低利融資の運用益というものもカウントができるという要素もあるわけでございます。これは引き継ぎました資産をどの程度正常なものとして維持していけるか、管理していけるかという問題とも関連すろことではございますけれども、必ずしも安定化拠出基金の運用益だけでそのような計算をする必要はないと考えております。
  261. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、十五年間という期間はこの資金運用の面からいうとやっぱり必要だったと、こういうことはその中でやれますよというのが今のお答えだと思うんですね。ですから、そういう意味では、当初から一兆二千、これは今の西村局長の言葉をそのまま言いますと、これ以上の損は想定していないということですから、一兆二千億ぐらいの損を想定して、それが上限になるのかもしれませんが、こういうスキームができていると、今このようにおっしゃったと思うんですね。  私が申し上げたのは、さっきの御答弁であったように、それでも今の金利情勢なんかから考えると、あるいは地価の動向から考えると難しいんじゃないですかと、このやりとりを今していると思うんですけれども、こういう理解でよろしいですかね、大蔵大臣
  262. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私はいわゆる二次ロスが六千億を上回るという想定をむしろしていないわけでございます。先ほど直嶋委員が、そのよろに計算をすると六千七十五億になってまだ足りないというような御質問でございましたので、そのようにお答えした次第でございます。
  263. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、結局損失は一兆二千億出るということなんですよね。そういうことなんですよね。それはもう明らかなんですよ。だけれども、今までそのことをおっしゃってこなかったんですよ。どうですか、大蔵大臣、そうじゃないんですか。
  264. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 二次ロスの額を想定したということではなくて、この基金による運用益によって、仮に二次ロスが発生した場合も、これを二分の一負担処理し得るということで設定されたものだと考えております。
  265. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、率直に言って、大蔵大臣、額を想定したんじゃないと、こういうふうにおっしゃいますけれども、もともとこの第Ⅲ分類というのは回収困難だと。くしくもこの政府のスキームを見ると、民間の基金の金利計算をしてみるとその半額負担の六千億ぐらいの金利が想定されている、民間の出す基金はですね。ですから、そういう意味で言うと今申し上げたような前提でおつくりになったんじゃないですか。僕は、このことはやっぱりおっしゃっていただいた方がいいと思うんですね。  それから、もう一つ私がさっきから申し上げているのは、もっと出るんじゃないですかという心配がありますよと。だから、さっき六千億以上を想定していないなんということをおっしゃいましたけれども、とてもとてもそうじゃないんじゃないでしょうかと、こういうことを申し上げているわけなんですよね。  大蔵大臣、もう一度お聞きしたいんですけれども、このときの二分の一の政府負担根拠というのはどういうふうに考えればいいんでしょうか。ちょっと御説明いただけますか。
  266. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 若干、経緯というか議論のプロセスも含めて御説明を申し上げた方がいいかと存じますけれども、今までいわゆる一次ロスについて御説明をたびたび申し上げてまいりましたように、六兆四千百億と想定されます損失をどのように処理していくかということで関係者の間で昨年の暮れにぎりぎりの折衝が行われ、その経過を踏まえまして私どもからその負担の割合を提示いたしまして協力を求めたと、こういうことでございます。それで埋め切れなかった部分が六千八百億ということになりまして、その部分をこの問題の早期解決のために財政的な措置を講ずると、こういうことにしているわけでございます。  しからば、万が一それを上回ったような損失が生じた場合にはどうするのであるかと。それはなぜそういうことを決めておかなければいけないかと申しますと、この住専の財産を買い取りますためには新たな資金を系統を含めます民間から借りなければなりません。そのためには、その資金を新たに供給する人たちにその貸すことによるリスクがどのような形で処理されるのかということをあらかじめお示ししておく必要があるわけでございます。  そういう観点から、この問題については、立場によっては、お金を貸す人たちにとっては全部政府負担をしてくださいというような考え方もあったでございましょうし、一方においてそれはお金を貸す人がそのリスクをとっていただけま甘んでしょうかと、このようなお話もあるわけでございますが、この住専処理という問題は日本経済全体のために、金融システム安定のために公共的な見地から取り組むべき課題であるので、そのような問題が生じた場合には関係者、国及び民間がそれぞれ折半をしてこの問題に取り組んで解決序しよう、このような合意に達したと、このようなことでございます。
  267. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 根拠がないんですよね。折半と今最後におっしゃったんですけれども、要するに足して二で割ったわけですね。  私は、ここではっきりしておきたいのは、恐らくさっきの説明の背景には金融システム維持という大きな、公共のためということの中にはそういう意味合いも含まれているんではないかと思うんですけれども、回収の責任はやっぱりこれは国民が負うということなんですか。回収責任まで国民が負わなければいけないと、こういうことなんですか。どうなんでしょうか。
  268. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) この折半をするといろことについては、今御指摘の回収という観点も含まれていたように思います。すなわち、だれかが負担をするということになってしまいますと、その他の関係者が回収に取り組むインセンティブが欠けてくるというような問題もあるところから、やはり国も一生懸命この回収という問題に取り組む、(「国民は関係ない」と呼ぶ者あり)そして民間の金融機関も回収に取り組むということによって、損失をできる限り、限りなくゼロに近づけていくという努力関係者一同していこうではないかと、そのような意味もこの損失負担を二分の一ずつ分担しようという考え方の根底には含まれているように考えております。
  269. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、後ろで声が出ていましたが、国民は回収に関係ないんですよね。関係者ではないんですよ。  もう一つ今申し上げておきますが、さっきから議論していますように、今も答弁の中で万一損が出た場合、損が出ないように頑張って万一損が出た場合、私はそれを繰り返される限りはやつぱりこの二次損失における国民の理解は得られないと思いますよ。このことを申し上げておきたいと思います。  それで、さっきちょっとお話の中でお触れになったように思ったんですが、例えば金融安定化基金からお金を穴埋めしていきますね。損失は政府、民間半々の負担ですから、運用益で穴埋めをしていくと。それで、その基金を、九千億ですか、これを食いつぶしてしまった場合は、これはたしか預金保険機構の一般勘定から繰り入れる、こういうふうになっていたと思うんですが、こういう理解でよろしいんですか。
  270. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 厳密に申し上げるならば、そういう運用益をもって損失が生じた場合に対処していきまして、それでも対応不可能になった場合には、例えば出資金というようなものが毀損していくということになろうかと存じます。その上でさらに損失が生じました場合には、融資をいたしましたものがリスクをかぶる、融資の元本が毀損する、こういうことになってこようかと存じますけれども、その融資に関しましては預金保険機構が保証をするという形になっておりますので、その保証が実行されますならば、今、直嶋未員御指摘のように、預金保険機構から資金が拠山されることになる、このような手順になろうかと考えております。
  271. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、ちょっと西村さんにその先をお聞きしたいんですけれども、今お話をさあた、つまり預金保険機構から繰り入れなければいけないような状態になるまで、幾らぐらい損が出ればそういう状態になるんでしょうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  272. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私どもはそのような損が出るとは全く想定をいたしておりませんで、関係者の間で元本が毀損をしない、いかなる場合下も毀損をしないというような前提でこの枠組みをつくるならばどういうふうになるか、そういうことで取り組んでほしいという考え方のもとに今申し上げましたような手順が発動されることになるわけでございますが、私どもといたしましては、そのようなことが生ずることはまず考えられない、このように考えております。
  273. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、元本が毀損するということは、つまり九千億ということですね、七千億に傷がつくという意味ですね。違うんですか、ちょっと言っていただけますか。
  274. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今申し上げました元本と申しますのは、合計で六兆八千億、母体、一般、系統がそれぞれ約二兆二千億ずつ低利融資丸しようと言っているその元本のことでござい止す。
  275. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あと住専の問題でちょっと総理の見解をお伺いしておきたいんですけれども、けさの議論にもございましたが、これは二次損失の評ではなくて追加措置の話になるのかもしれませんが、例えば基金をつくって金融機関にも出資してもらって、さらに日銀にも融資をしてもらって掛金の負担がかからないように、あるいは軽減できるようにというようなお話がございました。  この日銀の融資ということについては、これは公的な資金とか公的な負担に該当するというふうに総理は理解されておりますか、どうですか。
  276. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はやはり日銀の次金あるいは日銀特融といったものは公的な資金、公的な支出にこの場合考えられるべきものであろうと思います。
  277. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私もそうだと思うんですね。ですから、確かに今の税金を使わないというお話がございますけれども、それを減らすために公的な次金をまた別のところから使うというようなことは、結局は何をやっているのかよくわからなくなってしまう、こういうことになるんじゃないかと思います。時間の関係がありますのでもうそれ以上申し上げませんが、今の部分だけ指摘をさせていただきたいと思います。  それで、残る時間で金融三法の方について少し質問させていただきたいと思います。  金融関連法案で最初に総理にお伺いしたいんですけれども、けさも議論ございましたが、今回の金融関連法案は全体的に言いますと、いわゆる競争原理とか自己責任原則、これを徹底する、同時に行政とか金融機関経営の透明性を確保する、こういうことが大きな目的だというふうに思うんです。  総理にお伺いしたいのは、この自己責任原則という部分で申し上げますと、日本金融機関というのは行政から保護されて、よく護送船団という言い方をされますけれども、そうじゃなくて、自力できちっと責任を持って経営ができるようにというような面もあると思うんですが、同時にやっぱり私はここには預金者の立場から見ても自己責任ということが問われているんじゃないか、あるいはここで言っている自己責任という言葉は預金者の自己責任も含めて言っているというふうに思うんですけれども、この預金者の自己責任というのは総理はどのようなものだとお考えでしょうか。  あるいは、もうちょっと申し上げれば、預金者が自己責任を追及されるということは今までは余り大きな問題にならなかったんですけれども、なぜ預金者まで自己責任を問われることになってくるのか、この点についてちょっと総理の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  278. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど大蔵大臣在任中に、ある場所で信用組合の破綻が生じかけたときがございました。初め私はこれをつぶすつもりで実は議論を始めました。  ところが、まさに一千万円超の預金者の方がそこの場合約八〇%を占めておりました。現在もなかなか問題かあるところでありますけれども、その時点においていわゆる預金保険機構がワークする形ではありませんでしただけに、私はその構成比を見て本当に考え込んでしまいまして、結果的に在来型の対応をこの場面では選択せざるを得ませんでした。  私は、今、議員が御指摘になりたいこと、あるいは今の時期に指摘しておくべきだと思われることはまさにそのとおりだと思うんです。我々は、金融システムというものを変えていきます中で、当然のことながらディスクロージャーを進め、より透明性の高い金融行政、より透明性の高い金融機関のあり方というものを追求してまいります。そういうものがはっきりしてくれば、当然のことながら、私は逆に預金者に対しても自己責任原則というものを適用し得る素地は生ずると存じます。  しかし、現在までの状況では、ほとんどその情報開示というのがなかった状態の中で、私は、預金者に対して自己責任原則を求めることには無理がある、自分自身の体験でそう思いました。  現在、五年以内のできるだけ早い時期に預金者にもその自己責任原則を問い得るだけの環境をつくりたい、そのためにはやはりディスクロージャーを進めていく、そして透明性の高い金融行政というものを再構築していく、こうしたものと並行して考えるべきことだ、そのように私は思っております。
  279. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 実は、私がもうちょっとお聞きしたがったのはそこから先の話なんですよ。それをやってどうなるんでしょうかと。  つまり、今、総理がおっしゃったように、自己責任原則だとかあるいは透明性を高めていく、これは一体なぜこんなことをしなきゃいけないのか、ここのところをやっぱりちょっとお話をいただきたいと思うんです。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、現在大変信用不安を醸成しやすい金融情勢、あるいはディスクロージャーの進んでいない情勢の中で、金融機関の破綻処理に対して預金者の方々に直接負担を願うということには無理があると思います。それだけに、当面は預金者全体を、また全額を保護しながら破綻処理を行うということを考えているわけでありますけれども、先ほども触れましたように、五年以内のできるだけ早い時期に預金者にも自己責任原則を問い得るということを申し上げましたのは、その環境の整備が整いました後におきましては、金融機関の破綻処理においてペイオフも選択肢の中に入れるということをやはりお互いが考えていくべきではないだろうか、そのように思うんです。
  281. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、日本の経済環境とか、日本のというのは国際的な日本の経済環境とか、それからその中における金融機関の、例えば日本の今の金融機関の状況を考えると、今、総理がおっしゃったような自己責任原則というものをきちっとしていく、それから預金者も国際的に物が通用するような視点でやっぱり対処をしなければいけないと。すなわち、二十一世紀にはこういう時代になるんだろうなと、そのように思っております。  それで、大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、今、総理がいみじくもおっしゃったんですけれども、要するにそういった意味では預金者にも責任を持ってもらえるようなことにするためには、やっぱり金融機関経営実態をきちっと把握できるようなディスクロージャーが不可欠だと、こう思うんです。今回のこの法律の内容で大蔵士臣は、預金者に自己責任を問える、そういうレベルになっていると、このようにお考えでしょうか。どうでしょうか。
  282. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今お話しございましたように、自由化、国際化の時代に対応できる預金者の自己責任原則というものが確立されていかなければならないと思っておりますが、この金融機関経営の健全化ということについて早期是正措智などが的確なルールに従って行われることによって、これらのものができるだけ公表されるというようなことか重要になってくるのだと考えております。
  283. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう時間がございませんので、最後に一点、そういう意味でちょっと申し上げておきたいんです。  例えば不良債権のディスクローズということを考えた場合に、大蔵省の案では、これは金融制度調査会で議論されたものだと思うんですが、九八年三月末まで順次ディスクローズする範囲を拡大していって、そこで一応の区切りと、こういうことになっているんですね。ところが、大臣、現実にはそれで本当に的確に判断できるかといいますと、それは今まであった不良債権の金額がオープンになるだけで、実はその金額が本当に正しい実態をあらわしたものかどうかということは問題がいろいろあるんですね。  例えば、幾つか申し上げますと、東京の二信組とかコスモ信組の問題のときにいろいろ発覚し生じたが、いわゆる飛ばしとか追い貸しというやつがあります。これはその段階で不良債権から消えてしまうわけですね、財務諸表上からは。じゃ、こういうことをどうやって預金者が知ることができるんだろうかなと。それから、例えばさっき議論しました共国債権買取機構、あそこに今、金融機関が土地を売っていますが、これは全部売れ炊ければまた引き取ることになっているんですよね。売れないやつは引き取るんですよ、金融機関がまた、つまり、これは一時的にそこへ預けているだけなんですよ。さっき共国債権買取機構は生だ四%ぐらいしか回収できていないというお話声申し上げましたが、ああいう実態から見てみろと、もう明らかにあそこに残っているものは不慮債権になりつつある、そういうものじゃないかと思うんです。しかし、これは財務諸表上には出てこない。  もう一つ、もっと根本的なことで申し上げますと、今の日本の会計制度というのは時価を反映する仕組みになっていないんですね。ですから、例えば含み損があってもそういうものを表面化させない、こういう問題があるんですよ。  ですから、私はこういうところまで含めて手をつけていかないと、本当に預金者がきちっと判断できる状況にならない。したがって、それは責任も問うことにならないんではないかと思うんですけれども、こういう努力はどうですか、大蔵大臣、していただきたいと思うんですけれども、いかがでございますか。
  284. 久保亘

    国務大臣久保亘君) やっぱり預金者に自己責任原則をきちんとしていただく以上は、当然に情報の開示ということについては、預金者が十分にみずからの金融機関との関係を判断できるよう、今お話がございましたようなことに努力すべきだと、こう考えております。
  285. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、そういう意味では今回の法案ではまだまだ不十分だというふうに思いますので、この点だけつけ加えて質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  286. 一井淳治

    ○一井淳治君 社会民主党の一井淳治でございます。  住専問題につきましては、基本的なスキームにつきまして、金融制度の安定とかあるいは預金者保護が必要であるということを国民に詳しく理解を求めてもらうように訴えていくと同時に、国民の汗の結晶であります税金を少しでも使わないように、もうこれをゼロにしていくように最大限の努力をしていく。そのためにも、母体行に追加負担を求めるとかあるいは債権回収を強力に進めると同時に、情報公開あるいは透明性を拡大していくということを進めていかなきゃならないと思うわけでございます。これは共通の合意を得たことでございますので特に質問としては申し上げませんけれども住専法案ができますと、そういうことで新しい機構ができ上がっていく、あるいは国会の休会中にそういうことが進んでいくものですから、特に総理大蔵大臣、その他関係大臣の方々に、これまでの国会で論議された方向が守られながらいい方向に前進するように御要望を申し上げたいと思います。  そして、委員長に対しても、この委員会が閉会中にも金融問題について論議ができるように理事会の議題に上げていただくよう、この場をかりて要望を申し上げておきたいと思います。  まず、刑事問題についてお尋ねをさせてもらいたいと思いますけれども、もうこれは日本の経済を大混乱させまして、また税金を投入するという大変なことになったわけでありますから、厳しい刑事処罰ということが当然であると思います。  ところが、最近まで我々が接している情報によりますと、末野興産あるいは桃源社関係の二件のみで、まだまだ刑事責任の追及が本格化していない、非常に進んでいないという不満な気持ちでいっぱいでございます。  逮捕者が何人ぐらいであるのか等の現状を捜査当局の方から、捜査の責任者の方から御説明をいただきたいと思います。
  287. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) いわゆる住専関係の事件につきましては、御指摘のとおり、末野興産関係で現在延べ十二名、桃源社関係で四名、合計十六名を検察といたしまして受理いたしております。  なお、この人数には同一人物を再逮捕するなどしているために、実人員といたしましては、末野興産関係で四名、桃源社関係で四名となっております。なお、鋭意捜査は継続中ということでございます。
  288. 一井淳治

    ○一井淳治君 この事案の性質からして、とてもとても今の状況では捜査が進行しているという状況ではないと思いますし、また、末野興産、桃源社というのは住専の機構全体からしますとどちらかといえば枝葉の方でありまして、本体に達していないわけであります。ぜひとも強力な捜査を展開していただくように、人が足らないんでしたら意図的にどんどん全国から集めるとか、全力を挙げてやってもらいたいと思います。  そして、この住専なんですけれども住専に許する刑事対策というふうになってきますと、恐らく背任罪あるいは特別背任舞という罪名か問題になってくると思うんです。主として考えられる罪名はそうじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  289. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 住専問題につきましては、国会におきますいろいろな御論議の中にお美ましても政府から御答弁がなされていると存じさすが、借り手、貸し手を問わず、関係者らの刑事上の責任につきましても可能な限り明らかにされる必要があるということで、繰り返し御答弁させていただいたところでございます。  検察当局におきましては、御指摘のような問題点があることも踏まえつつ、幅広い観点から資料や情報の収集、分析、検討に努めるなど、所要の捜査を進めてきたところでございます。  既に御指摘のようなケース、または一部の事件につきましては、警察当局や国税当局等の関係趣関と緊密な連絡を図りながら強制捜査も実施し、あるいは関係者らについて一部起訴するなどしているところでございます。  今後、さらに関係者らの刑事上の責任を追及すべきであると認められるような容疑事実が判明いたした場合には、検察当局におきましても関係趣関と緊密な連携のもとに引き続き鋭意所要の捜本を進めまして、法と証拠に基づき、厳正かつ迅油に対処するものと存じます。
  290. 一井淳治

    ○一井淳治君 私が聞いているのは、本体であります住専を対象にした場合にどういう罪名が考えられるかということを聞いているわけです。
  291. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) これは委員御承知のことで大変恐縮でございますけれども、やはり刑事事件の責任ということになりますと、実態的に北景となる事実、実際の社会的な事実を確定してまいりませんと、最終的にどのような罰条を適用されるかということについては今明らかにできない面があろうかと思います。  ただ、先ほど委員が御指摘なされましたような状況も十分踏まえつつ、現在、鋭意実態の解明に努力しているということでございますので御了承いただきたいと有します。
  292. 一井淳治

    ○一井淳治君 子供を相手に時間つぶしをやっておるんじゃないんです。一分間でも国民の期待にこたえて刑事責任を追及するという立場に立たないと、今のような話を聞いているとがっかりすると思うんです、本当に。納税者の人たちは、これでは悪が眠るな、巨悪がこのまま眠っていくなという心配を持つと思います、私は率直に言いまして。  住専業務内容はわかっていましょう。どういう罪名が予測されるかということが、それが言えないんですか。法務の最高責任者がそれが言えないんですか。どうなんですか、本当に。
  293. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、背任ということも十分念頭にあると思います。しかし、まず罪名があって、それに基づいて捜査するものではございませんので、その点は法務当局の答弁としては御了承いただきたいと存じます。
  294. 一井淳治

    ○一井淳治君 背任あるいは特別背任が最もよく考えられる罪名であると思うんですけれども、公訴時効が五年なんです。とすると、もうどんどん時効にかかっているという状況であるというふうに思います。ですから、早急に人を手配する等して全力を挙げて取り組んでいかないと本当に巨師が眠ってしまうという結果になると思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  295. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 住専問題につきましては、貸し手、借り手を問わず、関係者らの刑事上の責任が可能な限り明らかにされる必要があると考えていることはこれまで繰り返し申し上げてさたところでございます。  検察当局におきましては、御指摘のような問題点があることをも踏まえつつ、幅広い観点から次料や情報の収集、分析、検討に努めるなど所要の捜査を進めてきたところであり、既に一部の事件につきましては警察当局や国税当局等の関係機関と緊密な連携を図りながら強制捜査を実施し、あるいは関係者らを起訴するなどしているところであります。  今後、さらに関係者らの刑事上の責任を追及すべきであると認められるような容疑事実が判明した場合には、検察当局におきまして関係機関と緊密な連携のもと、鋭意所要の捜査を進め、法と証拠に基づき、厳正かつ迅速に対処するものと思います。
  296. 一井淳治

    ○一井淳治君 これ以上お聞きしても時間のむだになってしまいますが、一生懸命むだをするようなことに私もこれ以上耐えられませんから。  要するに、時効にかかっているんです、大きな事件が。これに対してどのように対処していくかということを真剣に考えてください、大臣、それだけお願いします。本当に真剣に考えてください。これは国民の期待にこたえなくちゃいけないわけですから、お願いしたいと思います。  それから次に、民事関係の責任の追及の関係で質問をさせていただきますけれども住専の損害の発生原因、これはもう当然のことでありますけれども、回収不能の不良債権が大変発生しているということであります。  四月十八日の予算委員会におきまして私も一度質問をさせていただきました。法務省当局の答弁ですけれども住専が貸し付けをするに際して、貸し出しの審査あるいは担保評価について十分な注意をしていなかった場合には損害賠償責任が発生する、住専経営者について損害賠償責任が発生すると、そういう答弁を得ているわけでございます。  その後、法務省の方でもいろんな資料が入っていると思います。これは、本気でこの住専問題に取り組んでおられた例えば大蔵省の第一次、第二次立入調査のいろんな資料も入っていると思います。そういったものをごらんいただいて、どうでしょうか。  今ここに第一次立入調査の報告書がございます。大蔵省の官僚の作成されたものですから、内容には相当正確度があると思いますけれども、例えば審査について見ますと、審査体制は形骸化している、ほとんど無審査の状態になっていると。あるいは担保掛け目はほとんど守られていないと。そして、利息の追い貸しもとりわけ注意が払われていないというようなことが書かれておるわけであります。  これはどこの住専とは名前は言いませんけれども、こういう状況が仮にあるとすれば、私はこれは経営者の責任が当然発生すると思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  297. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、民事法の問題の一般的な解釈の問題として、四月十八日の御質問に対してそのような御答弁を申し上げました。  ただ、法務省といたしましては、住専各社の業務実態がどういうものであるか、さらに、民法上の損害賠償請求権の存否について判断し得るような事実関係の詳細は承知しておらないところでございますし、また損害賠償請求等の民事上の責任は、一般論といたしまして、当事者間の権利行使の問題として最終的には訴訟の場で、裁判所で具体的個別事案に応じて判断されるものでございます。したがいまして、法務省といたしましてその損害賠償責任を追及するという立場にはないということを御理解いただきたいと思います。  住専問題におきます住専をめぐる関係者民事上の責任追及、これは住専から損害賠償請求権を譲り受ける住専処理機構において、預金保険機構のバックアップのもとに適切かつ強力にされるべきものというふうに承知しているところでございます。
  298. 一井淳治

    ○一井淳治君 住専処理機構には検察庁のあるいは法務省のOBの方が入っていかれる、そして預金保険機構には法務省の方がお入りになるという予定になっております。そして、損害賠償責任があるかどうかということについては、住専処理機構が原案をつくる。原案をつくらない限りは補助しないというふうになっているわけで、必ずつくるわけですけれども、その場合、法務省のあるいはOBの方が助言をするというふうになっているわけであります。  今申し上げました資料は、国会にも出ておりますし、その他の官公庁にもあるわけですから、これは当然見ておられるはずだというふうに思います。ですから、そういったものは当然法務省の日に入っておって、そしてそれを検討していると、私はそういうふうな状況が今なければならないと思うわけですけれども、じゃ、そういう状況はないんですか。例えば、住宅金融専門会社七社に閲する大蔵省の第一次立入調査結果というものをまだ法務省の方では見たこともないんでしょうか。
  299. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘の報告書は国会に提出されたものというふうに承知しておりまて、私ども直接正式にそれをいただいているという立場にございません。ただ、間接的に委員か二もお見せいただきましたし、その記載内容の概亜は私ども承知しております。  その記載内容を拝見いたしました限りでは、事案によっては、これはあくまでも個別の事案に応じて最終的には裁判所の判断になるわけでございますけれども、御指摘のような損害賠償責任の泊及ということが問題になる場面もあるのではないかという認識は持っているところでございます。
  300. 一井淳治

    ○一井淳治君 将来、住専処理機構がこういった損害賠償請求権というものの請求のリストをつくったり原案をつくったりされるわけですけれども、このものが入っていなくちゃいけないわけ下す。ですから、今のお話を聞かせていただければ、判断をするのは裁判所ですよ、これはもらはっきりしておるんです。最終的な法的な判断になれば司法の判断になるわけですけれども、しかし原案をつくって、損害賠償請求権があるという一つの前提のもとに請求書をつくってこれを債権譲渡せにゃいかぬ、債権譲渡しないと住専処理機構に移行しないわけですから。そして、そういったものも含めて債権譲渡するということは、これはもうこの法案の最初から確認されておるわけです。ですから、今言ったようなものも将来十分検討して、債権譲渡の対象にしていただくということを確認いただきたいと思うんですけれども、大蔵省の関係の方、いかがでしょうか。
  301. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 損害賠償請求権につきましては、住専から包括的に引き継いで適切に処理をいたす所存でございます。
  302. 一井淳治

    ○一井淳治君 法務省の方にもう一遍お聞きしますが、これ損害賠償請求権が発生する可能性が十分に考えられるんじゃないでしょうか。それは、今あるとは言えないと思うんですよ。ほかにも、この国会審議の中で見ておりますと稟議書が出ております。稟議書には掛け目として例えば八〇%とか七五%出ている。ところが、実際には時価の一〇〇%を超えて融資なんかされている。そしてまた、稟議書なんか見ますと、全く理解のできない稟議内容になっているわけです。  そういったことも総合すれば、この住専経営者に対する損害賠償責任ということを当然予想していただいて検討してもらわにゃいかぬという状態であることは間違いないと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。今あるとは言えないとしても、当然考えていかにゃいかぬ、そういう状態ではあるんじゃないでしょうか。
  303. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 繰り返しになりますが、私どもの立場として、今そういう責任があろともないとも申し上げかねるということは御承知いただきたいと存じます。一般論として、先般御答弁申し上げたところですが、その要件に該当するという場合も具体的事案に応じてはあり得るのではないかというふうに認識しておるところでございます。
  304. 一井淳治

    ○一井淳治君 それでは、今後ともそういう点に関心を集めて、損害賠償責任というものを見逃さないようにお願いしたいと要望申し上げておきたいと存じます。  次に、公正、健全な運営を市場原理にゆだねながら実行していこうという今後の金融自由化の対策でありますけれども、そして金融四法がまさにそれをねらっているというふうに思います。  そういう中で一番私どもが心配しておりますのは、経営基盤の弱い信用組合でございます。一番この経営基盤の弱い信用組合につきまして、最近問題になっている大型のものが東京協和、安全信組、そしてコスモ信用組合、これがあったと思いますけれども、この信組の損失額、処理費用は幾らだったのか、そしてこれをどのように処理されたのか、説明いただきたいと思います。
  305. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) お尋ねの、まず東京協和、安全の二つの信用組合でございますが、損失額を含めました処理に係る総処理費用は約千五百六十億円となっております。また、コスモ信用組合につきましては、同じく総処理費用は二千七百億円となってございます。  東京協和、安全の二つの信用組合の処理を行うために、受け皿金融機関でございます東京共同銀行を設立いたしまして、預金保険機構、民間金融機関等の支援を得まして、二つの信用組合の事業の全部を譲り受けましてこれを処理してきたところでございますが、その後、コスモ信用組合の破綻処理におきましても受け皿金融機関が見当たらないことから、コスモ信用組合の事業の全部を東京共同銀行に譲り受けまして、預金保険機構、民間金融機関等の支援を得て処理を行ってきたところでございます。  なお、これらの信組の回収可能債権等につきましては、社団法人東京都信用組合協会の中に回収機関を設け、不良債権の譲渡を行っているところでございます。
  306. 一井淳治

    ○一井淳治君 以上の信組は、もうこれは預金保険機構で処理済みというふうに言ってよろしいでしょうか。
  307. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 預金保険制度を活用いたしまして処理を進めているところという意味では、まだ処理が済んだわけではございませんが、処理に着手を既にしているということでございます。
  308. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、木津信用組合の損失額及びこれをどのように処理をしていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  309. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 木津信用組合の損失額につきましては、昨年の十一月に大阪府から発表されました検査結果によりますと約九千六百億円となってございます。これに加えまして、回収可能な不良債権が二千一言億円程度ございまして、正常資産は総資産一兆三千百億円の一割にも満たないという極めて異常な経営状況となってございます。  このように多額の不良債権を抱え、経営破綻に陥りました木津信用組合の処理に当たりましては、その破綻処理コストが巨額に上り、前経営陣の私財の提供、関係金融機関の可能な限りの支援、大阪府の財政支援及び現行の預金保険機構の資金援助を行ったといたしましても、このままでは預金者自体に損失を負担させないで処理することは不可能、すなわち預金者の預金をそのまま払い戻すことが不可能ということになりますところから、現行制度では資金援助の上限となっておりますペイオフコストを超える資金援助を可能とすること、破綻信用組合の事業を譲り受けまして、その債権の回収に当たる受け皿機関の整備を図ることが必要になってまいります。そのため、預金保険制度を拡充することにより対応せざるを得ないわけでございます。  このようなことから、今国会に所要の法律案を提出いたしましたほか、現在の東京共同銀行を抜本的に改組いたしまして整理回収銀行整備を図った上で、整理回収銀行に木津信用組合の事業の全部譲渡を行うということによりまして預金者保護に万全を期すると、このような考え方でいるところでございます。
  310. 一井淳治

    ○一井淳治君 大蔵省では、平成八年三月期の預金取扱金融機関の不良債権等の状況というものの調査をされまして一覧表をつくっておられますが、それで信用組合について言うと、不良債権額、それから貸倒引当金の合計、それから業務純益、それから上場有価証券の含み益というものは信用組合に限って言いますとどうなっておりますか。
  311. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 信用組合全体の経営状況についてのお尋ねでございますが、信用組合全体の不良債権額は、平成八年三月末の速報によりますと、既に破綻が表面化いたしました木津信田組合、福井県第一信用組合、大阪信用組合の各信用組合を除きまして二兆一千億円、金融機関全体では三十五兆円でございますが、その中の二兆一千億円に達しております。これに、今申し上げ生じた破綻が表面化いたしました信用組合を含めて考えますと、全体で約三兆五千億円ということに相なるわけでございます。  これに対しまして、信用組合が不良債権処理するための主たる償却財源でございますが、貸倒引当金、含み益等の内部留保が全体で約二千億円ございます。また、出資金等の自己資本勘定が約一兆二千億円ございまして、合わせますと合計一兆四千億になるわけでございます。  先ほど申し上げました不良債権三兆五千億がすべて直ちに損失となるものではございませんけれども、しかし信用組合業界だけ見ましても全体として大体二兆円程度の不良債権が残る、こういうような計算になるわけでございます。担保保全令の回収が見込まれるといたしましても、なおかなりの処理費用の不足が見込まれるわけでございます。  一方、信用組合の業務純益、年々の収益は年間一千六百億円程度にとどまりますので、信用組合を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況になつているというふうに理解をいたしております。
  312. 一井淳治

    ○一井淳治君 信用組合全体の毎年の利益額が千六百億から千七百億ぐらいですから、不良債権を償却していくことが実際にはかなり困難ではなかろうかと思います。  そういった中で、今回の新しい法案によります預金保険機構が出発するわけでありますけれども、これまでの預金保険機構の残金といいま才か、資産の合計として三千億円ぐらいが残っていると聞いておりますけれども、それ以外に、金融機関が毎年どの程度の掛金を払ってくるのか、そして現在、将来の見通しを考えた場合に、預金保険機構の力で将来五年間の欠損といいますか、支出を賄っていけるのかどうか、現時点で赤字にならないようになっているのかどうか、これが一番大事だと思いますから、そこのところの御説明をお願いいたします。
  313. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 平成八年三月末の預金保険の責任準備金の残高、蓄えの残高は随分と減ってしまったわけでございますけれども、三千八百六十五億円となってございます。今般、保険料率を従来の七倍程度に引き上げることによりまして、今後五年間に約二兆三千億円の保険料収入が見込まれることになりますので、今後五年間の預金保険料の利用額は、これを合わせますと約二兆七千億円ということに相なるわけでございます。  ところで、今後生じ得る金融機関の破綻規模等を予測することは極めて難しいわけでございますが、信用組合につきましては、一昨年来破綻が相次いでいることや、不良債権額に比べまして貸倒引当金や自己資本等の償却財源が脆弱であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。今後処理を要する木津信用組合等を含めましてその破綻処理費用を賄うためには、信用組合自体の納付する保険料のみでは必ずしも十分でないというか、不足することは明らかでございます。  しかしながら、一般金融機関分を含めまして全金融機関としての預金保険料の利用可能額は、先ほど申し上げましたように五年間全体で約二兆七千億に上りますこと等から、現時点におきましては、仮に現在把握されております信用組合の不自債権が全額損失となりまして破綻処理が行われたとしても、そういうことはないと私どもは思っておりますけれども、仮にそのような極端なケースを考える場合におきましても、他の業態において大規模な破綻が発生しない限りはという条件は付さなければなりませんけれども、全体としては、基本的には今般の預金保険料率の引き上げによりまして対処し得るのではないかと考えているところでございます。
  314. 一井淳治

    ○一井淳治君 税金からの支出、これが起こらないようにということが最大の眼目でありますけれども、将来、経済の変動等によりましていろんな予想外のことが起こる可能性もなきにしもありません。そういったことで、どういうことを対応としてお考えになっておるのか。あるいは仮にこの税金からの支出が必要となった場合に、国会の監視のもとにそういったことが行われなくちゃならないと思いますけれども、そのあたりのことについての説明をお願いいたします。
  315. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 現在御提案申し上げております法案におきましては、五年後に、信用組合に関しまして一般の金融機関の特別保険料の残高をもちましても賄うこと、補うことができなくなりますような場合に備えまして、政府の保証を借入金に付することをお願いしているところでございますけれども、そういう事態が生じました場合におきましても、当然のことながら、それは国会の議決を経て実行するものであり、また政府保証を付するに際してもそのようなことを国会のお許しを得た上で行う、こういうことで考えております。
  316. 一井淳治

    ○一井淳治君 そして中途の、例えば三年あたりのところで預金保険機構の収支状況を検討していただくとか、十分な対応を中間段階でもしてもらわなくちゃいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  317. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 三年後に預金保険料、特別保険料率の見直しを行うことにしておりますので、その際に金融機関、とりわけ信用組合の経営の状況等はさらに検討する機会があろうかと考えております。
  318. 一井淳治

    ○一井淳治君 この信用組合の関係ですけれども、こういう信用組合に対する監督はどなたがなさっておるんでしょうか。
  319. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 信用組合に対する指導監督権限は、中小企業等協同組合法などの規定によりまして、信用組合の地区が都道府県の区域を超えないものは都道府県知事に機関委任されております。現行制度上、都道府県知事は、法令上の権限を適切に行使する等により、適切な監督に当たるとともに、大蔵大臣は知事の法令上の権限行使に対しまして指揮監督を行うほか、金融システム全体の安定性を図る責務を有しているところでございます。  ただ、信用組合の破綻処理に当たりまして、都道府県に財政支出を行う責務が信用組合監督法令上あるわけではないと考えられておりまして、現在、都道府県におきましては信用組合の破綻等に当たり資金拠出等を行ってきているわけでございますが、これは機関委任事務としての信用組合の指導監督の一環というよりも、それぞれの都道府県の実情に基づきまして、地域経済に与える影響や民生の安定等を勘案の上、公益上の必要性からそれぞれの都道府県の責任に基づく判断により行われていると、こういう性格のものと理解をいたしております。
  320. 一井淳治

    ○一井淳治君 第一義的には都道府県の監督だと思いますが、これらの今申し上げました問題になっている信用組合はいずれも中小企業等協同組合法による組合でありますけれども、法定枠を超えて預金を集めたりあるいは貸し付けをしているような感じがいたします。そして一番問題なのは、高金利の定期預金で大口預金を集めている。木津信組に至っては、都銀のレートを二・五%上回っているという、あるいは旅行券つきの、くじつきの定期を発行したりして大口預金を集めておりますけれども、これでは採算が合わないということがもうおのずと明らかじゃないかと思うわけであります。  だから、地価上昇、バブルに乗って拡大路線を突っ走って失敗したわけでありますけれども、ワンマン経営でほとんど貸出審査が十分に行われていない、経営悪化すると経理操作で不良債権をごまかしてしまうということをやっておったものですから、相当早くから都道府県では内容が非常に悪いということがわかっておったと思うわけであります。にもかかわらず、東京都あるいは大阪府は適切な指導をしなかったという、これが何といっても一番問題にされなきゃならないんじゃないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。大臣の御見解を伺いたいと思います。
  321. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 信用組合は、もともと仲問うちの金融機関といたしまして、組合員のために地道な活動をするということで設置されたものでございます。しかしながら、御指摘のように一部の、特に大都市部の信用組合におきましては、バブルの時期に必ずしもそのような枠組みの中ではなく一般の金融機関と同じような行動に走りまして、結果的にリスク管理に手落ちがあったというようなケースが見られて今日の破綻に至っているところでございます。  このような点に関しましては、それぞれの担当されます都道府県におきましても反省の上に立って新たな取り組みを既に着手していただいていると思いますし、私ども金融全般を見ます立場から、都道府県知事と協力をいたしまして必要な場合には共同して検査に当たるなどの対応を考えてまいりたいと考えております。
  322. 一井淳治

    ○一井淳治君 東京都や大阪府の監督が非常にずさんであったと思うわけです。もっと早く手を打てばこういう多額な、特に木津信組に至っては九千億円という不良債権を発生させておるわけですから、これに対する早期の行政上の監督が必要であったと思います。  私は、こういったような金額がふえてくると結局税金を負担しなくちゃならないという危険性もふえるわけですから、やはり東京都、大阪府はもっと多額の金額を負担すべきじゃないかと思います。そして、本件の場合は監督不十分による損害賠償責任があるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、きょうは時間になりましたので、あした私は午前十時から引き続いて質問させていただきますので、その節に研究結果をお聞きしたいと思うわけであります。  それから、もう一つ研究結果を聞きたいことがございます。それは法人税法三十三条と商法二百八十五条ノ四との関係でございます。  商法の二百八十五条ノ四によりますと、貸し金について担保不動産の目減りが発生したような場合には回収不能分として債権金額を減額しなくちゃならないという規定になっておりまして、貸借対照表はそういうふうにすべきであるんですけれども、しかし法人税法三十三条におきましては、金銭債権については原則として目減りを認めないというふうになっているわけですね。  この二つの法律の解釈をどのようにしたらいいかということについて、これもあす御見解を伺いたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  323. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会      ―――――・―――――