運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-26 第136回国会 参議院 環境特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      足立 良平君     加藤 修一君  四月二十六日     辞任         補欠選任      佐藤 泰三君     北岡 秀二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 狩野  安君                 河本 英典君                 釘宮  磐君                 竹村 泰子君     委員                 石川  弘君                 北岡 秀二君                 鴻池 祥肇君                 長峯  基君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 馳   浩君                 加藤 修一君                 畑   恵君                 広中和歌子君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 有働 正治君                 中尾 則幸君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君    政府委員        環境庁長官官房        長        田中 健次君        環境庁企画調整        局長       大西 孝夫君        環境庁大気保全        局長       大澤  進君        環境庁水質保全        局長       嶌田 道夫君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        農林水産省構造        改善局建設部開        発課長      山村 宗仁君        運輸省海上技術        安全局安全基準        課長       矢部  哲君        運輸省海上技術        安全局技術課長  佐藤 守信君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、足立良平君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。  また、本日、佐藤泰三君が委員辞任され、その補欠として北岡秀二君が選任されました。     —————————————
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 馳浩

    馳浩君 自由民主党の馳浩と申します、よろしくお願いいたします。  今回の改正案中心有害大気汚染物質対策、その中におきましても、有害大気汚染物質の中で健康リスクが高くその低減を着実に図るべき指定物質設定とその抑制措置のための規定が重要であるということでございます。  そこで、中央環境審議会から出されました中間答申によりますと「自主的取組を活用しつつ」ということになっておりますが、今回の改正案とこの答申の方とどうもちょっと内容が違うのではないか。答申の方では自主的な取り組みと、だけれども今回の改正案におきましては規制的な内容意味が強いのではないか。ということは、出された答申よりさらに一歩踏み込んだ改正案内容になっておるというふうにとらえてよいのでしょうか。  ということは、岩垂環境庁長官大気汚染防止に対する意欲のあらわれと思われますが、その点の御決意のほどをお聞かせください。
  5. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 馳先生の大変御熱心ないつもの質問に敬意を表したいというふうに思います。  今御指摘いただきましたように、中央環境審議会中間答申は、健康リスクが高くてその低減を着実に図るべき物質群工場事業場対策として、自主的取り組みを活用しつつ公平で信頼度の高い制度、それからもう一つ透明性の高い仕組みの構築を求めていることは御案内のとおりであります。環境庁としては、その中間答申に基づきまして、その趣旨を具体化するものとしてこの法案を準備いたしたわけでございまして、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。  具体的に申しますと、有害大気汚染物質による健康影響を将来にわたって未然防止するために、幅広い物質について現時点で現実的かつ実効のある対策を速やかに講ずることができるよう、事業者による自主的な取り組みを促すということが一つでございます。  それから二つ目は、御指摘附則規定によって、ベンゼン等指定物質について基準設定などによって早急に排出抑制を進めるということにしていることは、これもまた御案内のとおりであります。  これらの取り組みによって有害大気汚染物質排出抑制を推進してまいりたいというふうに思っているわけでございますが、あえて一言つけ加えさせていただくと、やっぱり現場が一番有害物質に対して敏感でございます。それから、その影響を受ける被害者現場にいます、一番身近なという意味では。そういう意味で、事業者皆さんがそこらのところを十分勘案の上で積極的にこれらの取り組みを進めてほしい、そのことを期待していることを申し添えておきたいと思います。
  6. 馳浩

    馳浩君 わかりました、よろしくお願いいたします。  大気汚染防止法の二条一項三号のいわゆる有害物質に関する定義におきまして、「人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質」となっておりまして、二条八項におきまして自動車排出ガスについても同様の定義でございます。しかし、今回の改正法律案におきまして、有害大気汚染物質定義は「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質大気汚染原因となるもの」としていて、先ほど引用しました文章においての「又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質」という部分が削除されているわけです。これはなぜなんでしょうか。というのは、これによりまして対象範囲が狭くなっているのではないかと思います。  私もこの国会の周りをいつも歩いておりまして、警察車両がよくとまっておりますね。とまつておりながらも、エンジンはつけておりますので排気ガスが出てきます。そうすると、自民党の前にとまっている車の周り植え込みの緑が全部はげてしまっているわけですね。これは本当に植え込みに対して申しわけないななんて思うんですけれども、同じように生活環境も我々国民にとっては大事な財産でございますから、そういった点のお取り組みというのを、これは環境庁がその定義の中に入れてより一層取り組まなければいけないのではないかと思うんですけれども、どうしてでしょうか。
  7. 大澤進

    政府委員大澤進君) 今回の改正そのものは、有害大気汚染物質による人の健康への影響防止に向けた取り組みをできるだけ急いで対応していくという点、それから生活環境への影響にすきましては、国内はもちろん諸外国においても知見が十分にそろっていないとか、そういう状況にございます。そういうことから、人の健康に着目した今回の改正案になっております。  実は、御承知だと思いますけれども中央環境審議会中間答申でも、生活環境及び生態系保全観点からも検討を進めるようにという御意見答申の中に入っておりますので、私どもとしてはそういう趣旨も踏まえて、今後知見収集等必要な対応をしてまいりたい、かように考えております。
  8. 馳浩

    馳浩君 もう一度、念押しのようですけれども、では十分な科学的知見モニタリングの結果を受けて、将来的には生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときには見直すということでよろしいのですね。
  9. 大澤進

    政府委員大澤進君) 私ども日常生活、広い意味生活環境といいますか、そういうものに影響を及ぼすというような知見なり実情あるいはおそれなりがあるということが科学的な根拠等でもって把握できる場合には、当然御指摘のような対策をしていかなきゃならない、かように考えております。
  10. 馳浩

    馳浩君 そういうことで、非常に多様なモニタリングというものをぜひお願いしたいと思います。  続きまして、有害大気汚染物質は今のところどのくらいになる見込みでしょうか、欧米と比較してお答えください。
  11. 大澤進

    政府委員大澤進君) これまでの環境庁調査研究成果を踏まえますと、この有害大気汚染物質に該当する可能性がある候補物質としては、非常に大ざっぱな数字で申しわけないんですけれども、これは化学物質の分類の仕方とかによって一つが十になったり、もっと数十になる場合があるわけです。そんなことで、二百から三百種類というぐあいにどもは今数えております。ただ、具体的には、今後中央環境審議会において専門家の御意見、御検討を踏まえて物質名等を明らかにしていきたいと思っております。  なお、諸外国でございますが、今回、アメリカにおける有害大気汚染物質としては百八十九物質をリストアップしておりますし、ドイツでは百五十四物質オランダでは二百二物質について排出ガイドライン設定していると聞いております。
  12. 馳浩

    馳浩君 その諸外国におきまして具体的に数字が出ておるわけでございますが、それを参考にしながら、ぜひ日本でも、二百から三百と、百も違いがあるわけですから、そういうことのないように、できる限りお取り組みを願いたいと思います。  続きまして、具体的にどの物質有害大気汚染物質に該当するのか、予測可能性を担保する上でも重要ですから政令等で公表すべきではないかと思います。具体的に政令等規定するつもりでしょうか。それとも、そうしないのならばその理由もお述べください。
  13. 大澤進

    政府委員大澤進君) 有害大気汚染物質をリストアップするに当たりましては、その物質有害性に関する科学的知見のみならずへ生産とか使用量、それから大気における検出の状況等に基づいて、現在、大気汚染原因となり得るかどうか、健康リスク程度はどうか、こういう点を判断して詰めていく必要があると考えております。ただ、あらかじめ政令指定するというのは、この今回の法律ではとっておりません。ただし、どうしても緊急に排出抑制を急いですべきというようなものについてはいわゆる指定物質というぐあいに政令指定対応するという仕組みになっております。
  14. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  次に、有害大気汚染物質勧告等対象となる指定物質は、今のところ、ベンゼンテトラクロロエチレントリクロロエチレン、この三物質になる予定だそうですけれどもダイオキシン類もこの対象にすべきではないかということをまず申し上げます。  といいますのも、私の地元の北國新聞、四月二日付の夕刊に「ダイオキシンを断て」という大きな見出しで一面に出ておるんですけれども、このダイオキシン類もがんや奇形の原因となる史上最強の毒物であると、これに対する十分なモニタリングをして取り組まなきゃいけないんじゃないか。  諸外国の事例を新聞で書いてありますのでちょっと読ませていただきますけれども、「海外では既に、ドイツオランダが既設の焼却炉まで対象にした排出基準設定、削減に取り組んでいる。中でもオランダは、廃棄物焼却のほか、鉄鋼業化学工業セメント関連産業といった国内ダイオキシン発生源とそこからの発生量を洗い出し、二〇〇〇年までに排出量を四分の一にする計画を進めている。」と、こういう取り組みをしている国もあるわけですね。  それに対して我が日本の場合はいかなるものなのか。ダイオキシンという言葉を聞いただけでも私は本当に背筋の凍るような思いがいたしますので、これに対するお取り組みはいかがされるのか、お伺いいたします。
  15. 大澤進

    政府委員大澤進君) 御承知のように、今回指定物質として予定しているのはベンゼントリクロロエチレンテトラクロロエチレンでございます。これらの物質というのは、大気環境濃度実態値大気環境指針やあるいは環境目標値等と比較して高いという状況にございまして、もちろんその物の性状としての毒性も一定のレベルがあると。こういうことから、今回、先ほど申しましたような三物質中心指定するというぐあいに考えているところでございます。  ダイオキシンにつきましては、今御指摘のように大変有害性の強い物質だということは私ども承知しているんですが、これは一般ごみ等を焼くときに生成されるものでございまして、しかし煙から出てくる量というのは一般に極めて低いというか微量であるということでございますが、やはり中長期の観点から見ても国民健康被害未然防止ということを常に私どもは意識していかなきゃならぬということからも、先ほど申した三物質と同等といいますか、それに比して劣らないぐらい対策対応を考えなきゃならないものと考えております。  そこで、私どもは今、このダイオキシン類につきましては、大気環境モニタリング、つまり実態値をはかったり、それから健康影響に関する知見整理とか評価、あるいは排出源抑制技術等に関する情報収集とか分析を行っておりまして、これらの成果を踏まえて総合的な対策検討を進めていきたいと考えております。  いずれにしても、私ども十二分にこの重要性は認識しながら、今後とも早急な対応のための作業を進めてまいりたい、かように考えております。
  16. 馳浩

    馳浩君 今の質問につけ加えてなんですけれども、また記事を引用させていただきますが、ダイオキシン類というのは生物の体内に蓄積しやすいと、愛媛大学は平成六年に大阪府の人の脂肪組織の中から平均一四三pptを検出し、これは欧州人レベルの四倍以上のダイオキシンが蓄積していたというような報告をしておるわけです。  加えて、環境庁平成六年度の調査におきましても、東京湾と滋賀県琵琶湖の底の泥や大阪湾の魚からやはりたくさんのダイオキシン類が検出されているということでございまして、ほうっておいたらどんどん排出され、たまり、そして最終的には我々人間にも影響を及ぼすということでございますから、モニタリングの結果にもよると思いますけれども、いつまでにやりますということははっきり言えないと思いますが、できるだけ早く取り組んでいただきたいと思います。  これはできたら大臣の御決意をまたお聞かせ願いたいと思います。
  17. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 基本認識は今局長からお答えをいただいたとおりでございまして、それ以上のものではございませんが、厚生省など関係省庁との関連もございまして、現在、ダイオキシンに関する健康影響知見整理それから評価を行うと同時に、排出源把握排出抑制技術の現状などというものに対する情報を交換いたしまして、それを分析いたしまして、ダイオキシン対策のあり方について検討を進めておるところでございます。  今、先生御指摘のとおり、それらのことを積み重ねながら、可能な限り早く対応をしてまいりたい、対策を講じてまいりたいというふうに思います。
  18. 馳浩

    馳浩君 次に移ります。  今回の改正案附則九項にいう指定物質に対する指定物質抑制基準とはどういう基準なのでしょうか。
  19. 大澤進

    政府委員大澤進君) この指定物質抑制基準と申しますのは、その指定物質排出施設排出口における濃度基準として、この基準レベルについては、排出濃度実態というか状況、あるいは実施可能な排出抑制策等を勘案して設定するというぐあいに考えております。ただ、具体的には、専門的な内容にもかかわることでございますので、中央環境審議会において専門家の御検討なり御意見を賜りながら基準を決めてまいりたい、かように考えております。
  20. 馳浩

    馳浩君 問題はその排出基準ということでございますけれども、どのレベル基準にするのかということなんです。アメリカにおいては到達可能な最高の汚染防止技術に基づく基準ということでMACT基準ドイツオランダにおいてはBAT基準というものがございますね。これを参考にしながら日本でも基準を決めていかれるのかというところになってくるんです。  というのは、物質指定いたしましても、最終的には基準を十分に明確にしておかなければ勧告あるいは報告を聴取するという前段階における対応環境庁としてはしづらいのではないかなと、こういう部分を心配いたします。  もう一度、その基準レベルというものはどの程度をお考えでしょうか。
  21. 大澤進

    政府委員大澤進君) 今、諸外国の例もお話しございましたように、国によってもちろん差はございますが、例えばオランダドイツでは要するに排出抑制策、具体的にどういう抑制策がとれるか、そういうものを踏まえながら基準をつくっていくという状況でございます。  したがいまして、この指定物質抑制基準につきましては、やはり排出状況とかあるいは実施可能な対策等、例えば活性炭吸着処理それから燃焼処理など既に汎用性のあるものとして普及しつつある処理技術を採用することによって、現時点で達成可能な最善レベル設定することを今検討しているところでございます。  アメリカの例としては、ドライクリーニング装置について見ますと、先ほどおっしゃられましたMACT基準は、冷却コンデンサーの設置または活性炭吸着装置での処理となっております。これは現在環境庁において検討中のレベルとほぼ同等のものではないかと考えておるわけでございます。また、オランダドイツでは、工場事業場の新設、操業の際に満たすべきガイドラインとして、最善の適用可能な技術抑制技術ですね、これをBATと言っておりますが、これによりまして達成できるレベル排出基準が定められております。  そういう状況でございますので、私ども、これらの諸外国の既に取り組んでいるものを十分参考にしながら、中央環境審議会専門の御意見も踏まえて我が国として適切な基準設定してまいりたい、かように考えております。
  22. 馳浩

    馳浩君 この基準レベルがあいまいなままでは、最終的には私はこういう大気汚染防止という問題に関してやっぱり環境庁の責任というものは明確になってくると思うんです。ですから、諸外国のいろいろ事情がありますからということは環境に関して私は関係ないと思うんですよ。どこの国であろうと環境環境で、我々地球に住んでいる人間に与えられた財産ですから、これはやっぱり日本としても諸外国に負けず劣らずこういう取り組みをしていただきたいと思いますので、この点に関しましてもう一度大臣の御決意をお願いいたします。
  23. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 指定物質抑制基準というのは、もう申すまでもございませんが、有害大気汚染物質の中でも排出をできるだけ早く抑制しなければならないと考えられるベンゼンなどの物質について、人の健康を保護する観点から事業者が遵守すべき基準を定めるものだということをまず押さえておきたいと思います。だとすれば、具体的には、この法案が成立後直ちに中央環境審議会に御審議をお願いいたしまして、今局長からも答弁もいたしましたように、専門的な知見を加えながら、その結果を踏まえて健康被害未然防止観点に立って適切な基準を定めてまいりたいというふうに思います。  そこで、これは私の気持ちを含めて申しますと、法律が成立した後、可能な限り早くということなんですが、できれば半年ぐらいをめどにして基準を政令化していく、そういう努力を求めたいというふうに思っております。それは中央環境審議会の議論を待たなければいけませんから、それらの皆さんの御協力を待たなければいけませんけれども、できるだけ早く制定をしていくということを審議会にもお願いをしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  24. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  今回の改正法律案附則第十項に「勧告」という言葉が出ておりますけれども、これは行政指導一つを法文化したにすぎないということで、守られなかったときの罰則規定というのはないわけですね。ということを考えると、絵にかいたもちになってしまうような、そういう懸念もあるわけでございます。  そういう意味で、この法律を不遵守のときには氏名公表等、その程度するべきではないかという気持ちもいたしますが、いかがでしょうか。
  25. 大澤進

    政府委員大澤進君) この指定物質への指定が相当と考えられる物質につきましては、他の有害大気汚染物質に比較すれば健康影響等に関する知見は集積しているものの、罰則公表等の厳しい規制措置を講ずるには、なお一層の知見収集あるいは排出抑制技術確立等が必要であると考えているところでございます。  これらの物質につきましては、より確実な排出抑制を図る観点から、事業者の自主的、積極的な取り組みを尊重しつつ、取り組み目標とする排出基準を定めるとともに、取り組みが不十分な事業者に対して勧告を行い適切な実施を求めるということにしているところでございます。  ただ、御指摘のような氏名公表制度の導入につきましては現時点においては難しいと考えておるところでございますが、地方公共団体を通じた指導によりまして勧告をきちんと守ってもらう、あるいは確実な排出抑制策が図られるよう必要な施策、対応をきちんとやってもらうということを指導してまいりたいと考えております。
  26. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いします。  次の質問に移ります。今回の改正案におきまして原付自転車規制対象にいたしましたけれども、ここで二つ質問申し上げます。  特殊自動車、ブルドーザーとかコンバインとかフォークリフトですね、なぜこれが規制対象とならなかったのかというのがまず一つ二つ目は、諸外国におきましてはこういう特殊自動車規制対象にしておるのでしょうか。  なぜこういうことを聞くかという理由を申しますと、特殊自動車一般自動車をも含めた全自動車排出する窒素酸化物の二八%も占めるということでございます。こういうことを考えれば、特殊自動車も含めてよいのではないかという気もいたしますが、いかがでしょうか。
  27. 大澤進

    政府委員大澤進君) 窒素酸化物による大気汚染防止を図る上では、今御指摘特殊自動車についての排出抑制対策を進めるということは大変重要な位置づけにあると私どもも認識しておりますが、この特殊自動車というものは、一般建設作業現場等のいわば特殊な条件下で使用されるというようなこと、あるいはその搭載されているエンジンが、走行したりあるいは運搬用に使われたりあるいは掘削等の際に使われるというように非常に用途が多岐にわたっている、こういうことから一般自動車と異なっているため、その窒素酸化物排出抑制技術実用化についてはなお一層の調査研究が必要でございまして、今環境庁としては、これらの使用実態把握等を行った上で、排出ガス低減に係る技術的な調査研究、それから最適な排出抑制策等について検討を行ってまいりたいと考えております。  それから、二点目の諸外国状況でございますが、いわゆるオフロード車というんですか、日本で言う特殊自動車でございますが、これは従来余り規制は行っていなかったわけでございますが、最近になって欧米でも規制の開始がされているところでございまして、例えば、国際的なこういう自動車なら自動車について基準を決める国際標準化機構という機関がございますが、そこでは既にオフロードエンジン排出ガス計測法の規格を現在作成中でございます。それから、アメリカでは、カリフォルニア州が一九九五年以降、製造販売規制をするというぐあいに聞いておりますし、それから、連邦政府は九六年以降、製造販売規制に取り組むというぐあいに聞いております。欧州では、現在、製造販売規制については検討中であると、少し時間がかかるように聞いておるところでございます。
  28. 馳浩

    馳浩君 わかりました。今後の課題としてぜひ重要視していただきたいと思います。  最後に、平成八年、ことしの二月二十八日の読売新聞の夕刊ですけれども、見出しが非常に刺激的なんですね。「工場隣接地 大気から高濃度有害物質 欧米基準の四百−千二百倍」と。で、ちっちゃく、「環境庁「不安あおる」と公表せず」と。これはおかしいですね、「環境庁は、「住民の不安をあおるおそれがある」などを理由に、その場で資料を回収、現在も非公開としている。」というのは。逆に、住民の不安をあおるおそれがあるなら余計にこれは公表しなければいけないことでございます。  この記事の真偽とともに、環境庁としての取り組みを最後にお聞きいたします。
  29. 大澤進

    政府委員大澤進君) 本件につきましては、有害大気汚染物質の検出濃度の状況を表にして新聞に出ているわけでございますが、これらのデータは、私ども既に有害大気汚染物質対策検討会というのが平成六年から七年にかけて検討した経過がございますが、そこの参考資料として平成七年六月に内容的には公表しているものでございまして、私どもとして隠したりあるいはマル秘扱いにするということはしたことはございません。  それから、内容的には、一部データの整理の仕方が若干私どもが出したものとは差はございますが、本質的には差はございません。  環境庁といたしましては、こういう有害化学物質が、地域によって、所によって、場合によっては比較的高いところもあるし、あるいは非常に低いところもあるわけでございますが、いずれにしましても、事業者国民、行政が協力しまして有害大気汚染物質対策を推進していくには、今回の改正案にも種々規定してありますように、これらに係る情報を皆が共有するということ、あるいは対策の必要性や方法論が十分理解されているということが大変これらの取り組みについては重要だと思っておりますので、私ども今回の法案の改正の趣旨を十分踏まえて、これら物質に係る情報の提供等に努めてまいりたい、かように考えております。
  30. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) この件について、私も読売新聞の夕刊を見て朝びっくりしまして、すぐ役所の中で調査をいたしました。  報道されている事実とかなり食い違いもあるようでございます。だけれども、このことを教訓にして、この法律の中で規定をしておりますように、あるいはまた環境基本計画の中で明らかにしておりますように、お互いに実態をきちんと認識し合う、理解を共有する、そこから取り組みを始めるという意味で言うと、情報公開ということを含めてできるだけの努力をしていかなきゃいけないな、こんなふうに思いますので、御理解をいただきたいなというふうに思っています。
  31. 畑恵

    ○畑恵君 平成会の畑でございます。まず、きょうの議題であります大気汚染防止法改正案について一点伺わせていただきます。  これまでの大気汚染防止対策被害が発生してから対策を打つという対症療法的といいますか後追い型であったのに対しまして、今回の改正案はそれを未然防止する予防的な考えに立つものでありますから、これはやはり日本環境行政にとってまことにエポックメーキングなことであり、大変すばらしいことだと思っております。ここまでおまとめになられました岩垂長官そして環境庁の皆様の御苦労、御功績を多とするものであります。  ただし、この改正案、どのように実りあるものにするか、実効性を持たせるかというのが最も肝要なところだと思います。それにつきましては、やはり数々難題が控えているなという感は否めません。規制の効果を担保するためには、まず数値を明確にして、それに基づいて法的規制をかけていく、これがやはり必要なことだと思います。  一方、もちろん三年後の見直しという規定をされているとはいえ、今回の改正案はやはり産業界ですとか通産省サイドからの自主規制論、こちらの声に大勢従ったものと言えますので、このままでは果たしてどれだけの実効性があるかなというところが私にとっては疑問でございます。  ただ、これはヒアリングなどで私ども平成会の方で説明を受けておりますけれども、確かに健康に対する悪影響化学物質の因果関係というのはよく調べなければいけない。そのために、これらの物質についてまずデータを蓄積していくんだと、そのための猶予期間だと思ってくださいという御説明は伺ったんですけれども、それにしても、緊急性が高いと特定された、または思われる疑いの増してきたものについては、やはりその時点で枠をはめていくべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  32. 大澤進

    政府委員大澤進君) 今回の改正は、委員承知のように、科学的知見を十分蓄積しつつ、将来にわたって健康被害未然防止するという観点から実施可能な対策に着手する、できるところからやっていく、こういう考え方に基づきまして、まず排出状況について最も実際的な知識とか情報現場について排出抑制手段等を有しているということがわかっている事業者取り組みを求めるという規定を入れてあるわけでございまして、これによって幅広い有害大気汚染物質、多種類にわたるこれらの物質について排出抑制対策が効果的に推進されるものと私どもは考えておるところでございます。  しかし、御指摘のような急いでやるべき点もあるわけでございまして、例えばベンゼン等早急に排出抑制をしていくべきだと。こういうものにつきましては、附則において排出抑制基準というものを設定しましてその遵守を求める。しかも、その事業者が十分に取り組んでいないというような状況がある場合には勧告を求めるというようなことで排出抑制対策を講じることとしておるわけでございまして、こうした改正法の枠組みの中で対応していくことにより第一歩を踏み出すということによってこれらに対する排出抑制策の効果が一歩一歩上がっていくものと、かように考えております。
  33. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございました。本当に今回が大きな一歩だと思っておりますので、次、二歩、三歩ときちんと踏み出せるように頑張っていただきたいと思います。  それでは、一般質問に移らせていただきます。  まず、このたび島根県が全面干拓、この方針を打ち出しました中海の本庄工区干拓をめぐる動きにつきまして御質問をさせていただきます。きょうは農水省の方にも御足労いただきましたので伺わせていただきます。  そもそもこの中海、宍道湖の干拓事業ですが、島根県が淡水化計画を発表したのは昭和二十九年でございます。四十年以上も前のことで、干拓事業がスタートしましたのは、年がばれてしまいますけれども、私が生まれたころでございます。当然その時期というのは、戦後の食糧増産政策から出発した干拓事業ということでありました。しかし、それも昭和四十五年の減反政策が始まるとともにストップがかかって、昭和六十三年に本庄工区の工事は農水省と島根、鳥取両県の合意のもとに中断され、現在に至ったわけです。  干拓の凍結決定後も、その土地利用につきましては国と県の間で協議が繰り返されていたようです。昨年三月には、県が設けた土地利用懇話会が、結局一つの案には絞り込めないということで、全面干拓、部分干拓、全面水域の三案を示したと聞いております。  にもかかわらず、その年、去年の十一月になって島根県の澄田知事が発表したのは、全面干拓による農地としての利用案でございました。知事の御説明によりますと、将来の食糧不足の可能性指摘されて、日本の自給率の低さを憂われ、新しい形態の農業を行う田園都市構想を打ち出されて今回の決定の根拠にされているようでございますけれども、ではその田園都市の具体的な計画はというといまだに示されておりません。  時代はこの四十年の間に、食糧増産から減反、そして現在は世界的に環境保護というのが叫ばれている今日に至って、水質汚濁ですとか景観破壊、このリスクをも辞さずに来るべき食糧危機に備えての農地の確保のためにこれだけの蛮勇を振るわれる知事のお姿というのは、どうも余りにも立派過ぎまして、私のような卑小な人間には理解の域をはるかに超えていらっしゃるんですけれども、伺うところによりますと、松江市域だけでもこの十年間で約二百ヘクタールの田畑が工場や宅地、道路に転用されて、これに近隣の市や町を加えますと四百ヘクタールに及ぶ土地が転用されているということ。  どうして現にある農地をつぶしているその一方で、わざわざ自然環境を破壊しながら、そして多額の費用を投じながら農地をつくるのか、私のような普通の人間にはどうしてもわかりませんので、ぜひ私がわかるように御説明をいただきたいと思います。
  34. 山村宗仁

    説明員(山村宗仁君) 御説明いたします。  今後の農地の必要性ということにつきまして平成七年に閣議決定されました農産物の需要と生産の長期見通し、平成十七年目標でございますが、それに基づきまして、十年後の農地面積というものは四百八十万ヘクタールから四百九十万ヘクタールというふうに農林省は見込んでございます。  また、平成五年に閣議決定されました第四次土地改良長期計画、それにおきまして、農産物の特性に応じた多様な農業生産の展開を図るとともに、国土資源の効率的な利用に資するため、草地の造成、既耕地の整備と一体的な農地の造成を行うということを入れておりまして、平成五年度以降の十年間におきまして農用地約十万ヘクタールの造成を行うというふうにしてございます。  このようなことから、干拓事業は、これは一般的なことでございますが、平たんかつ大規模な土地を造成するということと、それから意欲のある農家による効率的な生産性の高い農業、収益性の高い農業を実現するための有効な事業であるというふうに考えております。  ただし、この中海干拓事業の本庄工区につきましては、先ほど御指摘のとおり、平成八年三月に島根県知事から工事再開の要請を受けたところでございまして、平成四年に島根県知事と中・四国農政局長との協議がございまして、それを尊重いたしまして、島根県知事の要請内容を十分検討して、これから両者で検討していく中で今後の本庄工区の事業の進め方について決定したいというふうに考えてございます。
  35. 畑恵

    ○畑恵君 どうも私は頭が悪いのかもしれませんけれども、今の御説明で全く理由がわかりません。  私は決して何が何でも開発よりも環境保護をしろと言っているわけでも、また農業振興が大切でないと言っているわけでもございません。ただ、ごくごく常識的に考えてやはりおかしいのではないかということで御質問をさせていただきました。  では、どうしても干拓が必要であるとして、それではそれなりに環境面での影響、これについてきちんと御調査をなさって、そして悪影響が出ないように配慮をなさる、これは当然のことだと思います。  例えば、この中海の大根島の地下水の問題でございます。周囲を海で囲まれていることによって成立しています淡水レンズ、これがあって、それが豊富な水がめとなってくれているからこそこちらのこの地域、県下第二位の周密地となってたくさんの人が暮らしているわけですけれども、この淡水レンズは水面下五メートルより深い干潟が出現しますと消滅してしまうのは必至という研究者の報告があります。  ここ本庄地区は、また斐伊川水系の海への玄関口に当たっています。ここをふさぐということは、これは江戸時代から続いています干拓の大原則に余りにも反していることと、これは常識的に考えて余りにもおかしいのではないかと思います。  なぜそういうことが起きたのか。憶測かもしれませんけれども、大根島と江島、これがありますので、これをそのまま利用して干拓の堤防としてそのままつくれば安上がりで済むのではないか、こういうことで最初にこうした設計が行われたのではないかと思われます。しかし、この島々というのは、堤防のかわりにしてはいけない岩石、先ほど淡水レンズの話をしましたけれども、要するに水がたまりやすい、中に穴のある、空隙がある、または割れ目が多い大量に水を含む岩質でありますから、これを堤防のかわりにするというのはもうもとから無理でございます。  このようなさまざまな問題がある中で、なおかつ干拓を実行しようと、追加の調査も済まないうちに、とにかく調査の結果がどうなっても干拓は実行するんだという知事のお言葉も出たようでございますけれども、これに対する反対派の陳情を岩垂長官受けられまして、たしか今月の十八日に、湖沼法に基づいて水質の追加調査はきっちりやってもらいたい、それをまず大前提としてほしいというコメントをされたと伺っておりますけれども環境庁の皆様としてはこのことについてどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  36. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 畑先生御存じのように、五十九年に湖沼法という法律が成立をいたしました。それは、日本のあちこちにある湖沼の水質をこれ以上汚さないように努力しようという注律でございます。  中海は、この湖沼法、湖沼水質保全特別措置注というのが正式な名前ですが、指定湖沼になっています。したがって、水質保全対策が幅広く進められてきたわけであります。例えば下水道を整備するとか水底の泥を除去するとか、水質浄化のために頑張ってきたんですが、水質の状況というのは依然としてはかばかしくない、環境基準を大幅に今実は上回っているという状態であります。だから、この水域における大規模な干拓事業については、水質への影響というものを神経質にとらえていただいて十分対応してほしいものだというふうにまず申し上げました。  そういう立場に立って、実は、島根県が実施した宍道湖・中海に係る水質予測事業の内容検討したところが、この干拓事業が水質に及ぼすであろう影響を判断する上で非常に不十分なものだというふうに判断をせざるを得ませんでした。そこで、三月の中旬に、水質の予測手法など大きく分けて三分野でございますが、に分けて、こういう点の調査をぜひしてほしいということをお願いしたわけであります。  環境庁としては、これはいわば湖沼法に基づいてその当然の義務を島根県に要請したわけでありまして、私どもとしては、島根県がこれらの要望に対して誠実にこたえていくことを期待したいと思っています。農林水産省も、その点は当然のことだという前提で恐らく島根県と御相談をいただくことになるだろうというふうに思っているところであります。  いずれにしても、今は私は環境庁という立場だけに限って申し上げます。例えば、ラムサール条約というのは先生御存じのとおりです、渡り鳥というふうな問題が今改めてある種の環境のバロメーターのような意味を含めて国際会議などで議論をされている段階でもございます。それから同時に、今先生御指摘いただきましたように、地下水の問題やそれらの問題について現実に警告が出されているということも承っております。だから、それらについて農林水産省が、大変貴重な国民の予算でもございますから、そういう点は十分御配慮の上で島根県の計画に対して対応していただけるものと、またそうしてほしいものだという気持ち環境庁としては対応してまいりたいと思っております。
  37. 畑恵

    ○畑恵君 長官、どうもありがどうございました。本当に長官の思いのとおりに、どうしても干拓をしなければいけないのであれば、せめてそこのところは農水省の皆様、そして県の皆様、お聞き届けいただきたいと思うんです。  ただ、今の長官のお言葉にもありましたように、という意味環境保護という点では大変なリスクを冒して行うこの干拓でございますけれども、では実際にそれだけの危険を冒して悲願の干拓が完成した暁のことですけれども、せっかく造成した農地が果たして実際に売れるのかどうか。ですから、そのリスクを上回るだけのベネフィットがあるのかどうか、これが一番の問題だと思うんです。  既に干拓を終えました同じ中海の安来工区では五〇%以上、揖屋工区でも一五%もが売れ残っています。また、本庄工区を全面干拓をした場合、これはまだ試算でしかありませんけれども、島根大学の保母教授の試算によりますと、地方負担金は償還までの利息が加算されるために五百四十四億円、農地価格は土地利用懇話会で採算が合う限度としました十アール当たり百三十三万円の約三倍に当たる三百八十四万円にもなってしまう。当然、ここで一生懸命農業を営もうという意欲のある方々、多額の助成金がこれは必要になりまして、県財政を圧迫することは必至と予想されます。  それでもなおかつ全面干拓をして土地利用にこだわられるというこの理由を、恐縮ですけれども、もう一度農水省の方に伺いたいと思います。
  38. 山村宗仁

    説明員(山村宗仁君) 中海の本庄工区でございますが、先ほど申しましたように平成四年の島根県知事と中・四国農政局長の協議に基づきましてその取り扱いについて検討するということで、その結果を踏まえて今後の事業の進め方について結論を得るということで五年間工事を延期しておったということでございます。昨年の十二月から島根県の方で調整をとられまして、地元の市長、それから県議会、それぞれ島根県知事に同意をされたということでございます。  先ほど申しましたように、三月二十八日に、最終的に全面干陸、農業利用ということで本庄工区の干陸を進めるということで判断されまして、中・四国農政局長に、平成九年からの本庄工区の工事、これは必要な調査を含むということでございますが、再開を要請されたということでございます。  この要請を受けまして、今、平成四年の協議を尊重いたしまして、島根県と中・四国農政局の方で県からの要望事項も踏まえましてこれから詰めていくという段階でございまして、本庄工区の進め方について両者で協議しながら結論を求めたいというふうに考えております。
  39. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。とにかく、ぜひ現状に即した、時代に即した、時代のニーズに、そして何よりもそこに住んでいらっしゃる方々の暮らし、生活に根差した行政を行っていただきたいと思います。伏してお願い申し上げます。  それでは、質問変わりまして、環境庁が設置を目指していらっしゃいます地球環境戦略研究機関、こちらについて二、三伺いたいと思います。  地球環境戦略研究機関の設置ということで、大変大規模な事業、条約に基づく独立した国際機関として、専任の研究スタッフが百人、年間の研究費が五十億円という規模でございます。私も大変期待をしておるんですけれども、多少苦言といいましょうか、私の心配を申させていただきますと、やはりどうしても日本の学問ですとか文化の施設というのは、外枠をつくるとそのまま安心してしまうということになりがちなところがございます。特に研究機関となりますと、そこを貫く理念といいましょうかポリシーというものがはっきりしませんと、なかなか既存のものと独自色を出すことが難しいと思います。  特に、この地球環境の分野というのは、例えばオーストリアの国際応用システム解析研究所でありますとかさまざまな機関が既にございますので、これと競合といいましょうか独自色を出していく、さらにそれを凌駕するものをつくっていくというのはなかなか並大抵のことではないと思われますけれども、まず特色というのを伺えますでしょうか。
  40. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。  まずお断りをしなければいけませんのは、この構想は、実はまだ四月十二日に加藤一郎先生を座長とします学識経験者の懇談会から御提言をいただいたという段階でございます。環境庁といたしましてこの御提言を踏まえて今後どうこれを具現化していくかということにつきましては、なお関係する方面も多いわけでございまして、具体的な事務的な詰めというのはこれからというのが正直なところでございます。  この提言で言われております特色と申しますと、一つは、やはり基本的に現代の物質文明の価値観、価値体系というものを新しい時代の視野から問い直して、持続可能性というものを地球規模で考え、それを実現するために、自然科学的、技術的な研究を基盤としつつも、社会科学、人文科学という観点を十分取り入れて新たな文明の基本的枠組みをつくり出して、そういう中から具現化するための戦略に関する研究をしていってはどうかと。そういうためにこういう機関をつくってはどうかという基本的考え方を踏まえまして、研究機関の特色といたしまして五つの点を実は言っておられます。  それは性格として挙げてあるわけでありますが、一つは総合的でなければいかぬと言っております。これは、従来ともすれば自然科学的、技術的な研究に偏りがちであったという点を一応反省しまして、今後文明のあり方まで考えると総合的な研究が必要であるという観点をとっております。  それから新規性。やっぱり新しい枠組みを今後つくり出していこうということでありますので、研究自身も新規、新しいものであるということを追求していく必要があろう。  それから三番目に、国際性と言いまして、地球環境問題でございますから、当然国際的な協力した取り組みということを想定した考え方が必要であろうと。特に、アジア地域ではヨーロッパの研究機関のような形のものがないわけでありまして、そういう意味で、アジアを発信地域とするそういう研究機関があることは非常にいいのではないかということを強調しながら国際性ということを主張されております。  四つ目が公開性ということで、もちろん学者が中心になるわけでありますが、市民なり企業、大学生、いろんな方々が幅広く参加できるような形の研究機関というのを今後考えていくべきであるという点を一つの特色に挙げております。  もう一つは独立性ということで、政府機関ということになってしまうと立場が限られますし、あるいは特定の企業なり特定の団体の立場を余り堅持したものであるとなかなか偏ったものになるであろう、そういう意味で、そういうものから独立した形の研究機関として、そういう関与をできるだけ避けた、独立した立場での研究ができるようなものにせよと。こういう独立性を五つ目の特色に挙げておりまして、そういう意味ではかなり新しい形の研究機関を提唱されているという点が新しい特色であろうと思っております。
  41. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。まだ検討中であるということでございますので、お答えにくい点が多々あったんだと思います。  ただ、私がマスコミなどの発表で存じ上げているところによりますと、来年度内の開設をめどに今後選定作業を進めるということでございますので、来年度内の開設をめどでございましたらば、もう少し具体的なところも詰まっていないとちょっとスケジュール的に難しいかなということがございますのと、私、最初に理念、ポリシーと申しましたけれども、これをやはり裏打ちするものは何よりも情熱だと思います、何としてもこれをやりたいんだと。ところが、大変恐縮でございますけれども、今非常に簡潔にお答えいただいた五項目というのは、やや教科書に書かれてあることをそのままお読みになったかなというような感が否めませんで、ちょっと期待に胸膨らんだ部分がしぼみ、不安が大きくなってしまいました。  理念、そして情熱というようなこと、これを具現化していくのは、私は何よりも人材だと思っております。いかに優秀で、そして情熱あふれる人材を確保していくか、これがやはりそれぞれの研究機関の成否を握るところだと思いますけれども、実際、そうした望まれる人材というのは各機関から引く手あまたでございますし、さまざまな設備が整っているところ、そしてそれぞれの研究成果が既に上がっているところにやはりそういう方々が行ってしまうと。  そういう中で、なおかつ新しくおつくりになる研究機関がよりよい人材を求めるとなりますと、さまざまな人材ネットワークですとか人材バンクですとか、そういうようなものをあらかじめかなり準備なさいませんと非常に難しいと思うんですけれども、この人材対策についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  42. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 大変ごもっともな御指摘をいただきましたが、この構想を踏まえて今後具体的な事務的な詰めをしていく過程において一つ大きな問題は、国際機関という位置づけをとる場合に、当然のことながら相手国がまずあるわけでありますが、国連機関という形ではなくて、幾つかの国の条約なり協定に基づく国際機関ということを一応想定した提言になっておりますが、そういう形でやっていきます場合に、当然この構想に同意をして一緒にやっていこうという国を実は探し当てていくという作業があるわけでございます。  もちろん、この懇談会の先生方御自身が、従来検討の過程で幾つかの国のカウンターパートといいましょうか、研究されている方々といろいろお話をしたり調査に行ったりしたときに前向きの感触を得ている向きも幾つかあるわけでございますが、具体的に国と国の間の関係ということで仕切るにつきましては、今後正式なアプローチというものが必要になってくるわけであります。そのためには、国内的にも環境庁だけでできる話ではありませんで、もう一つさらに外務省初め関係省庁とも当然そういう点についての合意があった上で、国と国との間の話し合いができて、そこで設立の準備が具体的に動き出すということでございますので、現時点ではかなり流動的要素を含んでおるという点がございます。  それから、この機関が有効であるために人材が非常に重要なポイントであるという点は、まさに御指摘のとおりでございます。懇談会の先生方におかれましても、この機関が生きるも死ぬも、まさに優秀な人材を各国から招致できるかどうかにかかっているということを言っておられます。私ども、各国の一流研究者が喜んで来ていただけるようなものにしない限り余り意味がないというぐらいに思っておりまして、今後、もちろん関係方面と詰めていく過程において内容のあるものにしなきゃいかぬということを常々念頭に置いて今準備をいたしておるところでございます。
  43. 畑恵

    ○畑恵君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  例えば、これもやはりマスコミを通じて聞き及んでいることですけれども、その特色として、アジア研究を中心になさるですとか東洋的な視点に立って研究を進めていくということも伺っております。先ほど御説明にもございましたように、単に学術研究者というだけではなくて、恐らくそれはNGOをある程度想定していらっしゃるんだと思いますけれども、幅広い分野から人材を求めるということでございますので、ぜひ実現していただきたいと思います。  おしまいに、その意欲のほどを岩垂長官に一言伺って質問を締めたいと思います。
  44. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生も先ほど御指摘をいただきましたが、アメリカの世界資源研究所であるとかオーストリアの国際応用システム分析研究所であるとか、国際的に権威のある研究所がございます。そして、それぞれの特徴を持った研究を続けておられます。  その中で、特にこの問題が議論になって、そしてそれをつくり上げていこうという御提起をいただいた背景には、実は環境問題、特に公害対策などの面でいろいろ経験をしてみて、自然科学や技術というレベルでの研究というふうなものは確かにある程度進んできたと、しかし考えてみると、二十一世紀に向けて人間の生きざまともいうべきものをいわゆる現代の文明論という観点からとらえて対応していくという時代が来ているのではないかというふうなことを、特に梅原猛さんなどを含めて我が国の高いレベルの研究者の皆さんに御指摘をいただいたわけです。そういう意味で、日本でそれをやるとすれば、日本の公害を乗り切って今日まで来た経験や問題点、そしてその中から学ばなきゃならぬいろいろな教訓というものを次の世代にまでつなげていくということだけでなくて、もっと国際的にその知見を広げながら対応していくという研究機関があることが望ましいなという議論にたどり着いたわけであります。  特にその中で、今局長も言われましたけれども、私はアジアという地域における、ある意味でいろんな共通点があるわけでありまして、そういうものを生かした共通の研究機関といいましょうか、共通の広場とでもいいましょうか、そういう役割がもしそこで果たせるとすれば、日本の国際貢献は新しい意味でフロンティアを持ち得るだろうというふうな感じがするわけであります。  そういう意味で、もちろん今の状況からいえば予算も決して十分ではないでしょうし、人材の面でもどれだけそういうことが確保できるかわかりませんけれども、単に日本だけではなくて、アジアならアジア、世界なら世界のそういう専門的な研究者の共通の研究機関、そして、あるいは先ほど先生が御指摘になりましたような、学者や専門家だけでなくてNGOの皆さんにもいろんな御意見をいただくというようなものとして、開かれた研究機関として位置づけることができるとすればすばらしいなと思っています。  びっくりするんですけれども、全国二十ぐらいの県あるいは市から誘致の手が挙がっておりまして、これどうやって整理したらいいんだろうかという感じでございます。事ほどさように地域社会でも環境の問題が非常に広がってきて、私のところの町で、我が県でそういうことを受けとめたいというお気持ちになっておられることに対して私は大変感動をいたしております。そういう立場に立って、この機能が大きな役割を国内外で果たすことを期待したいと思いますし、先生方のお力添えをぜひお願い申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  45. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。大気汚染防止法の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきます。  環境問題は本当に深刻な事態に来ているなということで、これにつきましては各委員の方も同感のことと思います。さらに、二十一世紀を身体複合汚染の世紀にしないという点につきましても恐らく同感の気持ちでいらっしゃるというふうに私も考えるわけでございますけれども、今回の環境庁さんが労を多として提出していただきました法律案につきましては、結論を先に申し上げますと、一歩の前進であるというふうに考えることはできますけれども、もう少し私は踏み込んだ中身があっていいのではないかというような気持ちでおります。  そういうことを踏まえまして、まず最初に環境庁長官にお尋ねいたしますけれども環境庁にはたくさんの環境にかかわるデータがあるわけでございますし、それから関連の官庁にもデータがたくさんあるということで、そういった関係のデータにつきまして、環境庁によります環境にかかわるデータの一元化、しかも市民がそれを無料で引き出すことができる、あるいは自由にアクセスすることができる、そういったデータの一元化についてきちっとしたシステムをつくっていくことが必要ではないか、そのように感じます。  さらに、先日発表されました情報公開法要綱案ですか、中間報告の段階でございますけれども、やはり環境汚染問題、こういったものを扱っていく上では情報がどれだけ公開されているかということが極めて重要な問題だと思います。なるべくといいますか、極力といいますか、努めて情報を公開してそれに対する対処をしなければいけないし、住民の側も十分そういうことに対して関心を持っているわけでございますので、一つは、環境にかかわるデータの一元化についてどのようにお考えになっているか、さらに、情報公開法要綱案について長官の立場からどのようにお考えになっているか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  46. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生御案内のように、環境基本法の第二十七条には、「国は、第二十五条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。」という規定がございます。これは環境基本法の精神でございます。  したがって、環境庁として、この精神に基づいて環境の保全の的確、効果的な推進を図っていくために国民皆さんの協力をいただかなきゃならぬ。そのためには、国民皆さんに必要な情報が適切に提供されることが重要であるというふうに認識をいたしております。  そして、それらのことについて、今先生も御指摘いただきましたけれども、実は役所でもできるだけそういう一元化の努力はしますけれども、御案内の国立環境研究所の環境情報センターを中心にいたしまして、例えば数値のデータ、あるいは大気汚染や公共用水域の水質の問題、それらのデータファイルなどをできるだけ整備いたしまして、本年の三月から、パソコン通信によって政府や地方公共団体が保有する環境情報国民や民間団体に提供する環境情報提供システムというものの運用を開始いたしました。  まだ十分とは言えません。したがって、データをできるだけたくさん整備する、そして同時にそれらのことを提供できるような体制をつくってまいりたいというふうに思っておりますので、その点御理解をいただきたいと思います。まだ決して十分ではありません。したがって、最大限その一元化と同時に国民に対する伝達へのそうした機能を整備してまいりたい、このように思っています。  それから、情報公開に関する中間答申については、これは先日いただいておりまして、これらについて環境庁の中でどう取り組むかということを鋭意検討いたしております。  ただ、今日までの経過で言うと、例えば委員会の公開などの問題についていろんな問題がありますけれども、極力国民皆さんにわかっていただく、そういうことのための整理を今日までもいたしてきているところでございますので、環境庁としては、今、環境基本法の精神にのっとって情報公開法に関する中間報告をしっかり踏まえて対応してまいりたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  47. 加藤修一

    加藤修一君 今、御答弁の中にパソコン通信等があったわけでございますけれども環境庁の中の局同士、ビューロー同士のスピーディーな情報の一元化ということについてはどうなんでしょうか。
  48. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 庁内の情報伝達につきましても、先般LANのシステムを導入いたしまして、庁内での情報交換ができるようにパソコンを活用してそういう体制をしいたところでございます。今後、より一層その面の活用をしていきたい、こういうふうに思っております。
  49. 加藤修一

    加藤修一君 先ほど長官の答弁の中に情報公開をするという話がございましたけれども、先ほどほかの委員の方から取り上げられました二月二十八日の読売新聞夕刊、「大気から高濃度有害物質」ということでございますけれども、この新聞に掲載されたという経緯については私も十分理解しているつもりでございます。  それで、それを踏まえた上でお聞きしたいわけでございますけれども工場などの敷地隣接地云々ということに関しまして、要するにどういう工場、具体的に工場の名前ですね、そういうものを明らかにしていただきたいというふうに考えるわけでございますけれども、どうでしょうか。
  50. 大澤進

    政府委員大澤進君) 工場の名前等も公開、公表という御指摘かと思いますが、実は私どもこの有害化学物質対策、かねていろいろな調査研究あるいは実態値調査等をやってきたわけでございますが、もちろん法的な根拠に基づいてやっておったわけではございません。地方自治体等あるいは関係のところと連携なり協力しながらいろいろな情報収集あるいは実態値把握等に努めてきたわけです。その経緯の中で、大気環境中の濃度レベルについてデータが先日の新聞等にも出たわけでございます。  この情報収集する過程で、私どもは地方自治体あるいは分析機関等と連携協力しながら、周辺地域といいますか、敷地境界ないしその周辺につきましては、そういう物質を発生していると思われるような事業場等の協力というか理解を得て測定した。つまり、個人といいますか法人の個別の工場の理解を得るときに、これはもちろん私ども調査研究検討の材料とするということで、公表しないということで協力を得られたデータが多いわけです。  ただ、一般環境については、これは自治体等ふだんはかっているわけですから、当然個別のデータも公表しているし、できるわけでございますが、今御指摘のような場合については公表はできない、こういうことになっております。
  51. 加藤修一

    加藤修一君 今回の法律の中身については、要するに低濃度で長期的な暴露の状態にある場合に発がん性のあるものを対象にしたというふうに私は理解しているわけでございますけれども、これが公表されないということは、低濃度であるかもしれないですけれども長期的に暴露している可能性のある人がいるというふうに考えられるわけですね。テトラにしてもトリにしても、何十年間は使われているわけでございますから、そういう可能性が十分にあり得ると私は思いますけれども、どうでしょうか。
  52. 大澤進

    政府委員大澤進君) これまで低濃度であるにしても暴露を受けた方がおられるんじゃないかということでございますが、御承知のように大気中には、人為的な起源あるいは自然的起源を問わず、有害大気汚染物質というのはこれまで微量であるにしても存在していたということは否定できないと思います。  ただし、大気中に微量に存在する大気汚染物質の長期的な暴露による健康影響に関する知見等、これらは最近私どもも蓄積をしつつあるところでございます。また、その大気環境濃度のデータにつきましても、特に最近の分析技術の高度化等に伴って、微量なものについてもこれにかかわる各種のデータが得られるようになってきた、蓄積が始まりつつある、こんなことでございます。また、諸外国の例を見ましても、若干の後先はあるにしてもほぼ同様な状況がありまして、国際的な関心も近年高まっているという状況がございまして、欧米の一部の先進国はもう既に対策対応に取り組んでいるという国も若干ありますが、総体的に見ると今着手しつつあると。  こんな状況ではないかと思っておりますので、今回法律改正も含めて対応しようと、今日時点における必要な、できる対応をしようということで今回法律改正案を出させていただいたところでございます。
  53. 加藤修一

    加藤修一君 短期的であろうと長期的であろうと、今回の関連物質の暴露を受けているということについてお認めになるかどうか、その辺どうでしょうか。
  54. 大澤進

    政府委員大澤進君) 先ほども申しましたが、これまで私ども自身も自治体等の協力等も得ながら、大気中の有害化学物質について、多くのものについていろいろな分析なり測定をしてきております。その他、内外の文献あるいはデータ等もございます。
  55. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 大澤局長質問に簡潔に答えてください。
  56. 大澤進

    政府委員大澤進君) はい。  そういうものが、そこに住んでいる人たちに、ふだん呼吸しているわけでございますから、若干にしろ入っていることは否定できないと思います。
  57. 加藤修一

    加藤修一君 そうしますと、わからないで暴露を受けている人がいるというふうに私は理解できるわけですけれども、もし情報が開示されれば、自分は暴露を受けているんだなということが当然わかるわけですね。  憲法の第十三条に、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と。これが十三条です。第二十二条、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と。第二十五条、これはもう御存じのとおりだと思います。  移転の自由に関して申し上げたいんですけれども、その暴露を受けている人がこれは大変だと感じた場合に、お金のある人は移転をしたいと。しかし、そういう情報が与えられていないときにはそのまま暴露をしてしまう。つまり、逆に言いますと移転の自由を侵されている。すなわち憲法に抵触する危険性はないか、そう思いますけれども、この辺についての御見解を教えていただきたいと思います。
  58. 大澤進

    政府委員大澤進君) 憲法論議は、私ども今それに正面からお答えするのはちょっと難しい点がございますが、私どもとしては、有害化学物質問題につきましては今回の法律を踏まえまして、これが成立した暁には、その中に国にかかわる責務といいますか役割も規定しておりますが、そういう中でこれらに関するいろいろな知見とか大気中の実態値等、これらを整理して評価もして公表すべしと、こういう規定を盛り込んでいるところでございます。  私どもとしては、今回の大防法の改正の趣旨内容につきましては、いろいろな人々がどこに移転したとしても、全国に結果を公表していくということで情報が得られるものと、かように考えております。
  59. 加藤修一

    加藤修一君 大臣、よろしいでしょうか、それについて。
  60. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 憲法上の問題などは、法案作成の過程で法制局等とも十分に相談をしてつくってきておりますから、その点はクリアできていると思うんですけれども、それはそれとして、健康に有害な影響ということになれば、やっぱりそういう問題が起こるかもしれません、率直に言って。だからこそ、できるだけ減らしていこう、そういうものをなくしていこうというねらいを、その願いを込めた法律だというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  憲法論争になりますと、これはいろんな問題が含まれてくると思います。だから、ここで私が一面的にこの法律だけについて申し上げることは妥当でないと思いますが、今先生が御指摘いただいたことなどは、それはそれとして一遍検討に値することだなというふうに思っております。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 その問題については難しい問題だという御答弁だと思います。私もそれについては勉強させていただきたいと思います。  それでは次に、大気汚染と疾病との関係で、これは急な通告だったと思いますのであれですけれども、厚生省の人口動態統計で悪性新生物の年齢調整死亡率、すなわち人口十万人に対する年次推移を表にしたものがございまして、昭和三十五年から死亡率の統計がございます。  男女別に出ていますけれども、昭和三十五年が一三・六、これ男性の気管、気管支及び肺の場合です。平成五年が四六・一ということで、ほかの悪性新生物についてはそれほど高くなっていない中で、急激に気管、気管支及び肺というところのがんの死亡率が約三倍以上に上昇している。女性については昭和三十五年で四・八、平成五年で一二二ということで、明らかに女性の方が死亡率が低いわけで、長寿の傾向が逆にあらわれているというふうに理解できますけれども、要するに肺の関係のがんでございますから、これが大気汚染関係があるかどうか、この辺についての環境庁の御見解というものはあるかどうかということなんですけれども
  62. 大澤進

    政府委員大澤進君) 大気汚染全体ということについてはいろいろ議論があろうかと思いますが、私どもも、今回の有害大気汚染物質対策絡みでいろいろな実態値をはかったところ、多種多様な有害と思われる物質は、濃度は別にしても検出されているわけでございまして、この中には、偽薬調査とかあるいは動物実験等の結果から発がん性が認められるという物質も含まれているわけでございます。  これらの物質は、その物質の性状として、微量ではあるが気管とか肺がんと、こういう関連性を指摘されているという物質もありますが、大気中の濃度によっては、長期暴露することによって健康影響可能性、つまり発がん率が高まる可能性といいますか、そういう懸念もあるということで今回の対策を立てようとしているところでございます。  ですから、大気汚染トータルとして肺がんとの関連というのは、私ども今後少し勉強させていただきたいと思いますが、今の段階で明確なペーパー等は手持ちにないのでここでお答えできませんが、先ほど申し上げたような点については、可能性として、リスクとしてはあり得るという状況でございます。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 確かに、局長おっしゃるように、この辺の因果関係をつかむというのは難しいと私も思います。ただ、相当数の大気汚染関係とがんの発生についてはございますので、十分これについても検討していただきたいと思います。  今回の法改正の中で、とりわけ低濃度で長期にわたって暴露を受ける場合についてのがん発生ということについて、科学的知見が十分整った形で実は三年後見直しとか、そういう話になっているならば、その辺のことについては逆に十分な検討が必要である。単純に因果関係だけで持っていくというのはなかなか難しいだろうということが逆に言えるのではないかなと思います。そういった面では、環境リスクの考え方、健康リスクの考え方、それを積極的に入れていく環境庁の考え方につきましては支持をさせていただきたい、そのように患うわけでございます。  次に、今回の法改正の中で「住民」という言葉が使われていますけれども、この住民の定義についてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
  64. 大澤進

    政府委員大澤進君) 今回の改正案では、有害大気汚染物質対策事業者国民が積極的に取り組むことができるよう、国及び地方公共団体が各種の情報の提供に努めるべき旨の規定がございます。  この規定に基づいて、大気汚染防止を促進する見地から、大気汚染濃度とか健康影響に関する科学的知見あるいは健康リスク程度、こういうものについて一般住民に提供する、こういう考えでいるわけでございます。
  65. 加藤修一

    加藤修一君 よくわからないわけですけれども日本国内に居住しています在日米軍基地内の方々は入りますか。
  66. 大澤進

    政府委員大澤進君) ちょっと先ほどの「住民」ですが、これは一般にそこに生活している人を住民と私どもは考えております。  在日米軍の方でございますが、在日米軍基地につきましては、日本国の法令は直接適用されるものではございません。  したがいまして、法的にはそうなんですが、今回の改正法に基づいて地方公共団体一般住民に対して知識の普及を行う場合に、私どもとしてはあえてそこに、つまり、基地に居住する方々を対象から外すということは必要ないんじゃないかと。これ地方自治体が対応するわけでございますが、実態的にはそれらの人たちも含めて知識の普及が行われることになるのではないかと考えております。
  67. 加藤修一

    加藤修一君 それじゃ、米軍基地内のいわゆる居住者からクレームがあったときには、環境庁は知りませんというふうな返事になりますか。
  68. 大澤進

    政府委員大澤進君) 米軍基地の方から環境庁あるいは自治体の方にクレームがあったときには、私どもは、そのクレームを受ける仕組みといいますか、日米の合同委員会という親委員会がございますが、そこにいろいろな問題について対応する組織がございまして、そういうクレームというか問題を受ける仕組みがございまして、現に、国内でそういう問題が起こったときには自治体あるいはそういうところを通して受けとめておるところでございます。
  69. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 加藤先生の御指摘の趣は神奈川県の厚木基地の問題だろうというふうに思います。これは基地の外にある工場といいましょうか、そこからアメリカ軍の基地の方に公害が、何か迷惑がかかっているという形でございまして、米軍の方から改善について要望が行われまして、その直後に環境庁として、厚生省、神奈川県とも連携をいたしまして、廃棄物の処理業者でございますものですから、立入調査、周辺の環境調査を実施いたしました。  結果として、大気汚染防止法、神奈川県公害防止条例などの関連法令に違反しているという事実が判明をいたしましたので、平成八年三月末でございますが、神奈川県などから改善のための措置を講ずるよう指示をしてまいりました。  現在、神奈川県は、ばい煙発生施設の適正な燃焼管理、それから排ガス処理施設の適正な管理などについて当該事業者に対する指導を行っていることを、先生御存じだと思いますけれども、あえて申し添えておきたいと思います。
  70. 加藤修一

    加藤修一君 住民の定義について自治省に確認いたしましたら、住民というのは、一定期間日本に居住するということでございますので、外国人も入ると、そういう見解が示されました。  そういったことを考えますと、米軍基地の中から排煙に関するダイオキシン関係についてクレームがあった場合に、これは環境庁対応するとか、あるいは逆の場合もあると思うんです。要するに、基地が加害者の場合と被害者の場合、両方あるんですよ。これについてどういうふうに考えるかというのが当然ありまして、それでFGS、ファイナル・ガバニング・スタンダーズ、これとの関係が恐らく出てくるのではないかなと思うんです。  アメリカ政府の公式な見解によりますと、ホストネーション側の国内法に準拠するけれども、尊重するけれども、どっちか厳しい方の環境基準に合わせるというんです、とるというんです。だから、アメリカ環境基準が厳しいとキャンプ内のあれにそれでやってしまうという話なんです。ところが、日本にその基準がない、未規制であるという場合も当然出てくるんですね。そうするとダブルスタンダードになる可能性が十分あるんですよ。これは非常に大きな問題ですので、今後十分検討していただきたいと思います。  時間が来ましたので、残念ですけれどもここで質問を打ち切ります。
  71. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾です。  大気汚染防止法の改正について、提案理由一つに、これまで規制対象外であった二輪車の排ガス抑制対策を進めるということになっておりまして、大気汚染防止観点から一歩前進と受けとめております。  大気汚染防止は、陸、海、空、この三つ一体となって総合的に進めなければならないのは、これは言うまでもないことでございます。私は、船舶、船からの大気汚染物質規制のあり方について御質問申し上げます。  船舶からの大気汚染物質については、現在規制がございません。野放し状態でございます。そこで環境庁は、昨年の三月十六日、船舶排出大気汚染物質削減手法検討会で中間報告をまとめました。東京湾中心でございますが、こうした船舶からの大気汚染物質排出実態は一体どうなのか、また、我が国のSOx、NOx排出総量と船舶からの排出量関係はどうなっているか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  72. 大澤進

    政府委員大澤進君) 我が国の船舶から排出される硫黄酸化物及び窒素酸化物の量は、硫黄酸化物につきましては年間約二十一万トン、それから窒素酸化物につきましては年間約三十二万トンでございまして、工場自動車等を含む総排出量に対しましては、おのおの硫黄酸化物は約二四%、窒素酸化物は一七%を占めております。
  73. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 一体どういう影響を与えるかということは今の数字だけではわかりませんけれども、これは野放しであってはならないということは言うまでもないと思うんです。  SOxについては、調べましたところ、環境基準を全国的にほぼ達成しておられるという説明でございましたが、NOxについては環境基準の達成状況は非常に厳しいと、特に都市部においてはなかなか達成できかねる状態だというふうに聞いております。実情はどうなんでしょうか。
  74. 大澤進

    政府委員大澤進君) いわゆるSOxにつきましては、御承知のように達成率は、主として一般住民がおられる一般大気局では九九・八%、ところが、自動車沿道において自動車排出ガス測定局があるわけですが、そこでは一〇〇%達成しております。  二酸化窒素、NOxにつきましては非常に厳しい状況でございますが、全国における達成状況は、一般測定局では九五・七%、自動車沿道の自動車排出ガス測定局では達成率が六七・四%となっております。    〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕  なお、都市部については、今調べて後でお答えいたしたいと思います。
  75. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は都市部についても……
  76. 大澤進

    政府委員大澤進君) 自動車NOx法の特定地域の都市部ですね、これにつきましては、一般局では達成率は約八〇%、それに対して自動車沿道の方は三九%となっております。
  77. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 三九%ですよね、これ達成率非常に悪いわけです。  そうしましたら、昨年の調査結果にもう一回戻ります。三月十六日の中間報告でございます。これ私いただいておりますが、特に神奈川県本牧埠頭での調査、船舶からのNOxは地域総排出量の二八・三%に達しておるわけです。高い数値でありますけれども、この理由、端的にお示しください。
  78. 大澤進

    政府委員大澤進君) これは、私どもは船舶からの年平均寄与濃度シミュレーションという形で推定したんですが、この地域というか場所から見てもやはり船舶による直接の影響であろうと考えておりまして、現在これらの問題についても検討しているところでございます。
  79. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 局長、きのう質問通告しているんですから、それはだれでも答えられますから、しっかりしていただきたいと思います。あえて苦言を申し上げます。  これは質問通告していませんけれども、私の感想です。この書類の中に、環境庁ばかりじゃないんですが、これは船舶からの濃度の、例えば影響と書くところを「寄与」と書いているんです。言ってみれば船舶から大気汚染物質排出する、そのことを寄与率と言うんです。寄与というのは、普通はいいことに対する寄与というのが一般常識でございますので、岩垂長官、この表現についても、官庁言葉じゃなくて何とかしていただきたいと私は思っています。これについては通告しておりません。心にとめていただければと思います。
  80. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) スタンスがこっちでやるかこっちでやるかで、実は一般的には寄与率というふうな言葉の方が多く使われております。しかし、御指摘の点もありますから、もし直せるとすれば全般直さなきゃいけないんですけれども部分的に対応できるとすれば、それはそれとして、表現の仕方を少し工夫すればお気持ちのことが生きると思いますから、ちょっと時間がかかるかもしれませんが御理解をいただきたいと思います。
  81. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 国際海事機関、IMOで進められておりますMARPO73/78条約の改正を控えておりまして、国内対策のあり方を今検討中だというふうに伺っています。この夏にも、IMOの下部機関でありますMEPC、これロンドンで会議が開かれるそうですが、日本としてはこの会議に今回の問題を踏まえてどのような態度で臨むのか、お答え願います。
  82. 大澤進

    政府委員大澤進君) 一九八八年以来、IMO機構内のMEPC、海洋環境保護委員会で議論が進められておるところでございますが、来年の三月にロンドンで開催されるMARPOL条約締約国会議には、私ども環境庁としても委員会に出席し、環境に与える影響などの報告を通じて国際的合意形成に努めてまいりたい、かように考えております。
  83. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 局長、お答えになっていないんですよ。せっかく聞いているんですよ。  もう一度聞きます。このMARPOL条約の改正案平成九年、来年の三月末ごろ採択の予定でございますが、NOx等段階的な規制の強化、つまり国際的にはいろいろありまして、初めからしっかりした規制じゃなくて緩やかにしていこうと、これは各国の事情もあるようでございますが、やはりこの際しっかりと日本の立場を主張していくべきだと思うんですが、それについてはいかがですか。
  84. 大澤進

    政府委員大澤進君) 御指摘のように、日本の立場をきちんと主張していくということで、これまでもこの委員会等に参画して私どもとしても主張してきたわけでございますが、国内的にもNOxの低下技術あるいはその測定方法というのを現在研究しているところでございまして、今後、国際的な動向も十分踏まえながら削減に向けた努力をしてまいりたい、かように考えております。
  85. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 内容が伝わりません。  運輸省、来ていますか。運輸省、しっかり答えてください。  運輸省もやっておられると思いますけれども、どういうような削減方法で、具体的に今どんなことに着手しているのか、お答えください。
  86. 佐藤守信

    説明員佐藤守信君) お答えいたします。  窒素酸化物排出低減のための技術といたしましては、水を混入させた燃料、いわゆるエマルジョン燃料を使用する方法や、燃料噴射のタイミングをずらす方法、また排気ガスそのものを浄化する方法などがございまして、現在、舶用エンジンメーカー等において研究開発が進められているところでございます。  また、運輸省も、造船業基盤整備事業協会が実施しています船舶からの排ガス浄化のための研究開発について補助をしているところでございます。
  87. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 端的に伺いますけれども、見通しと効果のほどはいかがなんですか。
  88. 佐藤守信

    説明員佐藤守信君) お答えいたします。  船舶からの排気ガス浄化のための研究開発は、造船業基盤整備事業協会が平成三年度より実施しています。  具体的には、還元剤と触媒を利用して窒素酸化物低減させるものでございまして、これが実用化されれば窒素酸化物の削減に十分な効果があるものと期待しております。
  89. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今ちょっと排ガス浄化の研究開発の御説明ありました。その中で、新形式の舶用電気推進システムというのがありましたけれども、これはどんなシステムなんですか。
  90. 佐藤守信

    説明員佐藤守信君) お答えいたします。  新形式舶用電気推進システムの研究開発は、社団法人日本造船研究協会により平成六年度より実施されていまして、運輸省としてもこの研究開発に補助をしているところでございます。  具体的には、燃料を化学反応させることによって電気を取り出す、いわゆる燃料電池を用いてクリーンな推進システムを開発するものでございます。
  91. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これは運輸省でしょうね、船舶の大気汚染について今問題のあるのは日本にどれだけ船舶が入港するかということでございますけれども、特定重要港湾あるいは重要港湾、さらには地方港湾、これ全部合わせて何隻入港するんですか。実数わかりますか。
  92. 矢部哲

    説明員(矢部哲君) お答えいたします。  平成五年度の港湾統計によりますと、我が国の港に入港する船舶の数は約七百二十四万隻でございます。ただし、これはいわゆる国内の貨物輸送に従事いたします内航船を含んだ数字でございます。
  93. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今聞きましたら、七百二十四万隻も日本の港に入っているわけですね。そしてC重油のあれを排出しているわけです。私は、いろいろ先ほどの東京湾調査もありまして、これもしっかり取り締まっていかないと、片手落ちという言葉は悪いですけれども、やっぱり大気汚染防止について陸海空一体となった対策が進められていないということになろうかと思うんです。  それで、時間もございませんので私からちょっと説明しますけれども、御存じのように我が国の商船隊は空洞化が進んでおりまして、日の丸をつけている数が実は少ないんです。私の資料では、日本のいわゆる商船隊、これは千九百九十隻。日本の籍、いわゆる日の丸の旗を掲げているのが二百八十隻。外国用船、これは日本なんですけれども税制の関係等々でパナマだとかリベリアに船籍を移しているわけです。この総計が千九百九十隻です。  例えば、日の丸を掲げている船は当然国内法の対象になりますけれども、これ以外の日本人が所有している外国用船あるいは純然たる外国船、これについての規制が今後どうなっていくか大変心配でございます。この実効性について、当然MARPOL条約が発効して国内法を整備していくわけでございますけれども、これは日本として、やっぱり環境先進国として主張していかなきゃいけないと私は思っているんですが、それについてはいかがですか。
  94. 矢部哲

    説明員(矢部哲君) お答えいたします。  先生御承知のとおり、船の安全あるいは環境規制につきましては国際基準に基づいてやっているわけでございますが、基本的には、排ガス規制につきましても、その船舶が籍を置きます船籍国が責任を持って規制を担保するというスキームになっております。しかしながら、同時に、自国の港に入港する外国の船舶に対しましては、その港のある国の主管庁が港において立入検査を行いまして条約に適合しているかどうかを確認する、いわゆるポートステートコントロールというスキームもあわせて条約に規定されております。  したがいまして、我が国の外国用船であるか純粋な外国船であるかを問わず、外国籍の船につきましても日本の港におきまして立入検査を厳格に行うということでこの規制の担保を図っていきたい、こう考えております。
  95. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今御説明がありましたポートステートコントロール、これでしっかりと、日本ばかりではなくて外国の船もやっていただきたいと思います。  ちょっと細かくなりますけれども、昨年の百三十二国会で一部改正された大気汚染防止法、昨年も当委員会でやられたと思います。このときは、自動車の燃料に係る許容限度が主なテーマだったと思います。自動車の燃料の質の問題を御討議されただろうと思うんですが、これは船舶にとっても燃料の質の問題が問われてくるわけでございます。船の場合は品質の劣るC重油が主だというふうに聞いておりますけれども、これをどうするかというのがまた一つの問題であろうかと思います。品質の悪い燃料をたけば当然大気に与える影響というのは甚大になるわけでございます。  この点について、これは環境庁に御説明を求めたいんですが、日本はJIS規格があって品質規定がきちんとされている、しかし船は全部日本の重油を買っているわけではないわけです。これについてやっぱりしっかりと対策をとっていかなければ、七百二十四万隻も日本の港に入るわけですから、それをどうやっていくかということを、環境庁から的確なお答えをいただきたいと思います。    〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
  96. 大澤進

    政府委員大澤進君) 御指摘のように、国際基準としてはISOがあるわけでございますが、日本としては日本工業規格、つまりJISがあるんですが、JISの方が硫黄含有率というのは厳しい状況にあります、三・五%。ISOは五%になっております。  そういうことで、特にここで問題になるのはSOxでございまして、IMOにおいてはこれらの燃料の性状について当然議論されるわけでございますので、私どもとしてはIMOの議論を踏まえて、大気汚染の改善に支障が生じないよう、できるだけ低SOxオイル、これを使っていただくよう関係のところに要請していく、そういう考えでおります。
  97. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それはMARPOL条約もしっかりやっていただきたいんです、各国の事情もこれありでしょうけれども。今、上限値は我が国の三・五%、それから国際基準、これは五・〇%になっているわけです。ギャップがあるわけですから、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  時間もありませんので、最後に環境庁長官に、今の野放し状態になっている船舶からの大気汚染物質排出規制について決意を伺って、私の質問を終わります。
  98. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 大変いい御質問をいただいたというふうに思っています。  と申しますのは、実は、川崎はSOxはかなり安定してここずっと来ているんですが、この間、二度ほど突然ちょっと濃度が高くなりまして、どう考えても原因が定かでないんです。ひょっとしたらと、これはぬれぎぬを着せてはいけませんけれども、船の影響ではないかという判断も一部から出されています。  事ほどさように、先生が運輸委員会に所属をされて飛行機、船、そしてこの環境委員会では陸上と、陸海空でやっていかなければNOxもSOxも手がっかぬわけですから、最善の努力をしていかなきゃならぬという意味で、今御指摘のことを非常に貴重な御意見として受けとめたいと思います。  もちろん、今、日本でない国籍の船がたくさんふえているということも聞きまして、これは私ども承知しているわけですが、それらを含めて、例えば燃料転換だとかあるいはエンジンの回転数だとかというような問題もあるようですが、やっぱり今この段階で、MARPOL条約は来年のたしか三月、おくれる可能性もあるということを聞いていますが、そういう批准を含めて我が国自身も積極的に取り組んでいかなければいけないと思っています。  ただ、少し腰が引けるのは、日本自身がNOxの環境基準の達成率がなかなかしんどいという状況があるものですから、ついそういう実は気が引ける面もないとは言えません。しかし、最善の努力を私ども国内でしていくことを反映させる形で、国際的にも積極的に運輸省とも協力をしながら努力をしていくことをお約束したいというふうに思います。  ありがとうございました。
  99. 有働正治

    ○有働正治君 私は、本日の委員会が、全会一致の原則を踏みにじって委員長職権で開かれていることは極めて遺憾であります。こうした運営が今国会一度ならず続いていることは重大であることを厳しく指摘するものであります。同時に、審議拒否の態度は私はとりません。以上を指摘して質問に入ります。  今回の改正案の中身の一つ有害大気汚染物質対策の推進が掲げられているわけであります。そして、この有害大気汚染物質として、当面トリクロロエチレンテトラクロロエチレンベンゼンの三つの物質を考えていると聞いているわけであります。  その汚染状況でありますが、この三物質以外の物質でも、アクリロニトリルについて見ますと、日本の周辺環境の濃度は、最高値でオランダの直近の目標値の基準の二十三倍にもなっており、アメリカなどで使われているユニットリスクを十万人に一人の発がんリスクに換算してみると二百二十倍になっている、こういう指摘が出されているわけでありますけれども、この実態あたりはいかがでございましょうか。
  100. 大澤進

    政府委員大澤進君) 有害物質の中には、今お話がありましたように、大気環境濃度が我が国または諸外国設定している大気環境に係る指標を超えているか、または超えるおそれがあるものも幾つか存在しております。  具体的には逐一申しませんが、一部例示しますと、はかる場所によって相当差があるわけでございまして、一般環境は比較的低いレベルにありますが、工場事業場等の周辺環境あるいは敷地境界になると極端に高い値も一部見受けられる、そのような状況にございます。
  101. 有働正治

    ○有働正治君 諸外国状況を見ますと、アメリカでは百八十九物質有害大気汚染物質としてリストアップし、ドイツでは百五十四物質について排出ガイドライン設定オランダでは二百二物質について排出ガイドライン設定し、二十二物質について環境目標値を設定し、長期的な暴露による健康リスク低減のための施策が法に基づいて進められているわけであります。  また、調査そのものが、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンベンゼンなどに比べ、その他の物質の測定回数は極めて少なく不十分である、こういう状況です。  こういう点で、有害大気汚染物質に対する日本取り組みは、私に言わせればやっと緒についたところで、調査も十分に行われていないというのが現状だと指摘せざるを得ないんじゃないかと思うのであります。  そういう立場からいいまして、今回の改正にかんがみまして、長官といたしましてこういう有害大気汚染物質対策の推進に当たって、諸外国欧米の例などを参考にしながら対象物質もさらに広げる、あるいは見直しの時期も適宜早急に対応する等々、これでよしというのでない積極的な対応が求められていると感ずるわけでありますが、長官いかがでありましょうか。
  102. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) ベンゼントリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの三つの物質については、これまで得られた各種の知見によって、大気環境濃度が内外の、内外というのは外国も含めてのことなんですが、大気環境指針環境目標濃度などと比較して高いと、そういう状態にあるということが明らかになりましたものですから、環境庁としては、とりあえずこの三物質について指定をいたしましてその排出抑制対策を進めていくということが重要だということで法律を準備させていただいたわけでございます。  これからの問題は中央環境審議会審議を踏まえて対応していきたいというふうに思っておりますが、先生御指摘のとおりに、三年間待っているということではなくて、やっぱり各種の知見の充実やあるいは事業場などによるところの取り組みの進展などの度合いを見ながら、実際的に大気汚染物質対策が一層促進されることを期待したいものだというふうに思っております。  そこで、これからやるべきことは、一つは、三年をめどとして事業者による取り組み状況把握をいたします。行政によるところの大気環境モニタリングもやります。それから、環境影響に関する知見の充実も図ってまいりたいと思っています。また、発生源に関する情報収集などを十分に行いまして、その結果に基づいて制度のあり方について検討を加えていくことにしてまいりたいと思っておりますので、今申し上げましたように三年という期間は決して私は長いとは思いません。しかし、にもかかわらず、その辺の整備ができ次第、この検討の過程を通して健康リスクが高いことが明らかになって早急に対応する必要がある物質が認められた場合には、附則指定物質指定するなどの改正法の枠組みの中で対応していきたい、こういうふうに思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  103. 有働正治

    ○有働正治君 総務庁の大気保全対策に関する行政監察結果に基づく勧告がことし三月に出されているわけであります。そこでは、人が常時生活し、活動している地域の全体としての大気汚染状況を的確に把握する観点に立って監視体制の整備を図ることが急務になっていることが指摘されているわけであります。  そして、特に、道路周辺における自動車排ガスによる大気汚染状況把握するため、自動車排ガス測定局、自排局について、一々紹介はいたしませんが、必要なところに配置されていないこと、こうした状況になっているのは都道府県及び政令市に対し監視の密度等に係る自排局の具体的な配置の指針が環境庁から示されていないことなどを指摘して、配置について、「地方公共団体における監視の密度等に係る具体的な配置の指針を策定・提示するとともに測定局の小型化に係る技術開発を行い、計画的な自排局の導入を図るよう」「指導すること。」と勧告されているわけであります。  環境庁として、この勧告を受けてどう対応されるのでありましょうか。
  104. 大澤進

    政府委員大澤進君) 環境庁としましては、従来から都道府県に対しまして、自動車排出ガスの測定局につきまして気象条件あるいは地理的条件あるいは自動車の交通量とか道路の構造等を踏まえながら適正な配置をするよう指導してきたところでございますが、今回の勧告も踏まえまして、自動車排出ガス測定局の整備の障害となっていろ用地確保困難な地点については、測定局の小型ユニット化を図るという工夫もしながら、今後とも測定局の効率的かつ計画的な整備に努めてまいりたい、かように考えています。
  105. 有働正治

    ○有働正治君 長官にお尋ねしますけれども、こうした不備を補うという形にもなっているわけでありますが、市民団体、市民NGOの中では、自主的に大気汚染の簡易観測法などを開発して長年にわたって観測も行っているわけであります。例えば、東京都では大気汚染測定運動東京連絡会もつくられ、一九七八年から東京の大気汚染の測定を行ってきているわけであります。昨年は三十七回目の一斉測定が十一月三十日から十二月一日にかけて行われ、一万四千百五十四個の有効回収数があって、非常に大きな取り組みが進められているわけであります。  こういう市民参加自体、いわば大気汚染から身を守るという立場からの自主的な積極的な取り細みであり、環境基本法に基づく環境基本計画でも、「環境基本計画策定の意義」としまして「この環境基本計画は、社会の構成員であるすべての主体が共通の認識の下に、それぞれ協力して環境の保全に取り組んでいく」とうたわれていることなどにかんがみまして、こうした市民の自主的な積極的な取り組みというのは非常に重要じゃないかと私は思うわけでありますが、長官はどのような御認識でございましょうか。
  106. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 市民参加によるところの環境調査という運動があちこちで展開されていることに敬意を表したいというふうに思います。  その意味は、確かにデータを収集するということも大事です。それだけでなくて、その経験を通してみずからが環境保全のために何らかの行動に立ち上がる、例えば自分が自動車を運転する場合にそれについていろんな注意をするというふうな、ある種のモラトリアムとでもいいましょうか、そういうものについて関心を寄せていただく上でも重要だというふうに思っております。だから、環境庁といたしましては、実は昨年度から市民参加型大気生活環境調査モデル事業というのを考えまして、それらを推進しているところであります。  だだ、ちょっと困ると思うのは、環境庁調査するのと市民がやるのとデータが違うケースがある。違うケースがある場合に、一概に、例えば片方がごまかしているじゃないかとか、低いところばかり選んでいるんじゃないかというような議論になってしまうと、せっかくのお互いの努力というものにマイナスの面も加わってしまいますので、そこはお互いに冷静に、例えば測定法の意義あるいは制度の管理上の問題などについて科学的なあるいは客観的な知見を提供し合う、そして共通の理解を深めていくということが非常に大事だなというふうに思います。  大衆参加によるところの環境を守っていく運動、そのことをぜひ進めていただきたいし、また私どももそれに対して対応してまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  107. 有働正治

    ○有働正治君 自動車排出ガスにつきまして、特にディーゼル排気微粒子について取り上げたいのでありますが、この浮遊粒子状物質について環境基準が定められているわけでありますが、東京都の報告等々を見ても基準達成状況はひどい状仰であります。時間の関係で、一々ここで例示はいたしません。  そこでお尋ねしたいわけでありますが、環境庁は、ディーゼル車の排出ガス低減対策について、一九八九年の中央公害対策審議会答申に基づいて対策を進め、九九年までの長期目標を立てています。しかしながら、浮遊粒子状物質環境基準は、東京都の環境基準達成状況等を見ていると、果たして達成できるのか、甚だ危惧が強く指摘されているわけであります。  ここらあたりの現状をどう認識されておられるのか、まず長官、いかがでありましょうか。
  108. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 御指摘のとおり、環境基準の達成状況というのは、一般環境大気測定局で六二%、自動車排出ガス測定局で三三%であります。依然として深刻な状態にあることは申すまでもございません。したがって、環境基準の達成に向けて各種の施策を今までも提起いたしておりますが、その着実な前進を目指したいというふうに考えているところであります。  御案内のように、この物質が気管支ぜんそくやがんなどを引き起こす危険性が高いというふうに指摘をされておりまして、早急な手だてを講じなきゃならぬと思っています。  きのうの新聞で見たんですが、東京都が、これは全国の自治体に先駆けて二〇〇〇年の年間排出量を二千四百二十トン削減する、それで環境基準の達成率の向上を目指すと、こういうふうに計画を策定なさいました。ディーゼル車や工場の煙突から出る黒煙や粉じんなどのうち大気中に浮遊する粒径〇・〇一ミリ以下のもの、これは一九八五年から九四年度に国の環境基準を達成した都内の一般環境大気測定局は一割未満、自動車排出ガス測定局は全局が達成できなかったという現状になってしまうということをみずからお認めいただきまして、さてやろうということになっておりますので、それらのこともできるだけバックアップして、力を合わせて頑張っていきたいというふうに思っております。
  109. 有働正治

    ○有働正治君 その一つとしてディーゼル車がふえている問題があるわけであります。自動車走行量の指数で見ますと、ディーゼル車は一九八五年度を一〇〇といたしますと九三年度で二〇五、ディーゼル車の急増が大気汚染悪化の大きな要因の一つになっている、こういう指摘であります。  こうした深刻な事態を環境庁としてどう認識して、どう対応するか、簡潔にお願いします。
  110. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) ディーゼル車が増加傾向にあることはもう御案内のとおりでありますし、改めて繰り返しません。  環境庁としては、かねてから審議会答申に沿って順次ディーゼル車の排出ガス規制の強化を進めてきております。現在は、この答申で示されたDEP、ディーゼル排気微粒子の排出量を六割以上削減することを求める長期目標について平成十一年ごろまでに目標を達成する技術的めどが立ちました。したがって、その規制強化のための作業を進めているところでございます。  今後とも、DEPの排出実態大気汚染状況調査を踏まえてディーゼル車の排出ガス対策に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  111. 有働正治

    ○有働正治君 これは今長官も言われましたけれども、DEPが気管支ぜんそくの引き金になっていることについての医学的な解明も進み、あわせて、先ほども議論ございましたけれども、私も国立環境研究所の研究レポート等いろいろ拝読させていただきましたけれども、これは研究実験の中での問題でありますが、肺がんへの関連指摘されている。国際的にも世界保健機構等々での指摘もあるわけで、本当に健康を守る上でこの問題を積極的に重視して対応するということを強く求めておきたいと思うのであります。  そこで、対策一つとして低公害車の普及の問題についてでありますが、流通におけるディーゼル貨物車にかわりましてLPG車が注目されつつあるようであります。LPG車は浮遊粒子状物質あるいは黒煙を出さない、こういう点が評価されているようでありますが、この点はどう認識され、どう評価されているのでありましょうか。
  112. 大澤進

    政府委員大澤進君) LPGの自動車でございますが、従来からタクシー等に広く多く採用されてきておりまして、近年は最大積載量二トン程度の小型トラックにも普及が進んできているところでございます。  LPG自動車の排ガスの規制値そのものは、御承知のようにガソリン自動車規制値と同様でございまして、技術的にはガソリン車とほぼ同様の排ガス性能であると認識しておりますが、ディーゼル車に比べますと、一点目は黒煙及び粒子状物質排出されないという点、それから二点目としてNOxの排出量が車両の大きさに応じて一〇ないし七〇%程度低い、こういうことからディーゼル車の代替としては低公害性があるんじゃないか、かように考えております。
  113. 有働正治

    ○有働正治君 そういう点からだと考えるわけでありますが、一部の自治体では低公害車扱いをしている例が見られるわけであります  大阪市では、LPG自動車の導入に対する助成制度を創設して、電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車の購入やリースに対して助成を行っています。そして、平成八年度からLPG車に対して大阪市独自の制度として助成を行う。助成対象として、ディーゼル車車両総重量二・五トンを超える、を廃止して、新たに購入するLPG車車両総重量二・五トンを超える、を対象としているようであります。  東京都の場合も、低公害車の普及促進の一つにこのディーゼル代替LPG車を挙げて、排出が少なく、黒煙排出もほとんどない、粒子状物質低減率が非常に大きいと、こう指摘しているわけであります。  愛知県でも同様に、LPG車を低公害車と位置づけ普及計画を持っていますし、長官の神奈川の場合も、LPG車をDEP、黒煙に注目し低公害車にすることを検討中だと、等々を私も承知しているわけであります。  こうした自治体自体の独自の努力というのは、大気汚染防止法、特にディーゼル排気ガスから人の健康を守る上で非常に寄与することではないかと思うわけでありますが、長官の所見を求めるわけであります。
  114. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生おっしゃいましたように、大都市地域で、地球温暖化防止対策として、あるいは大気汚染対策として自動車排出ガス規制の強化やより低公害な自動車の普及を推進することが重要であるということは環境庁も認識をいたしております。したがって、これらの地方自治体や民間で低公害の自動車を導入する努力について環境庁としては高く評価をしたいというふうに思っています。特に、LPGの充てん施設が比較的整備されている状況のもとでは、ディーゼル代替としてLPG自動車の普及を進めることは当面の大気汚染防止対策としては有効なことだというふうに考えています。  ただ、先生にちょっと申し上げておきたいのは、少し長期的な観点に立ちますと、LPG自動車の普及についてちょっと配慮しなきゃならぬ点がございます。それは、天然ガス自動車との環境保全効果の比較、それから大型のディーゼル自動車のLPG自動車への代替可能性、これらのことについて評価を踏まえていかなきやなりませんけれども、今先生おっしゃったように、当面の手だてとして、それらが応急な対策として非常に重要だという点は私どもも受けとめておりますので、先生の御指摘の考え方も含めて検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 それから、全国の生協、生活協同組合では、現時点での最も低公害な車としてLPG小型十ラックの導入を進めているようであります。全国の生協では小型トラック一万三千台が活用されていますが、ここ二年間で四百六十台がディーゼル車からLPG車に切りかえられたと聞いているわけであります。ディーゼル車に比較して、先ほど述べました黒煙、DEPのみならず騒音や振動が小さいなどすぐれている、自然環境にも優しい、そして導入コストがディーゼル車並みになってきている等々のことで生協としての取り組みだと私は承知しているわけであります。  こうした民間のそれなりの独自の努力、これはこれとして評価されていいのではないかと思うわけでありますが、いかがでございますか。
  116. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 全くおっしゃるとおりでございまして、また、地方自治体がそれらの取り組みをしていくことについても私どもは高く評価をしたいというふうに思っております。
  117. 有働正治

    ○有働正治君 この低公害車の導入を推進している神奈川県では、ことし一月中旬から二月九日にかけて、コープ低公害車開発株式会社と共同で、LPGトラックを中心にガソリン、ディーゼルの各トラックについて排出ガスの第一次調査を行ったと聞いています。県は、まずLPG車の低公害性を探ることを目的に、ガソリン車、ディーゼル車との比較によるLPG車の低公害性を二次、三次にわたって調査していく方針だと。  そういう県それから生協等々の努力が始まっていて、これはそれとして高く評価すると。もちろん、長期的に本当の意味での環境対策は、それはそれとして同時並行して進めると。このことの重要性、御指摘はそのとおりだと思うのであります。  時間が参りましたので、最後に、今回の改正で、大気汚染に係る緊急時における硫黄酸化物に係るばい煙量の減少のための措置に関する計画の届け出及び勧告に関する規定の削除が行われるわけでありますが、依然として大気汚染状況が深刻な中で、これを削除することを非常に危惧する声もあるわけであります。この点では実質上後退につながらないようにしてほしいという関係者の強い要望が伝えられてきているわけでありますが、長官の決意のほどをお伺いしたいわけであります。
  118. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今回の緊急時の硫黄酸化物に係るばい煙量減少計画の届け出の問題は、御案内のようにあの法律が昭和四十年に制定をされまして今日までかなり長い年月がたっています。その間、そういう事態がほとんどなかったという、大体官民の積極的な努力によって一定の安定を見ることに至っているという意味で解除ということにするわけですが、しかし、これも御案内のように、実は第二十三条の第一項及び第四項をごらんいただいておわかりのように、都道府県知事がばい煙排出者に対して緊急措置命令などの措置を講ずることができるという条文は依然として生きておりまして、この運用によって今先生御懸念の点は排除できるというふうに考えております。また、そのための努力を私どももしてまいりたいというふうに思っていますので、御安心をいただきたいというふうに思っております。
  119. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 きょう、私は最後の質問になりますので、かなりいろいろダブるところがあるかもしれないと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。  今回の改正で、有害物質による大気汚染の背景を改めてお聞きしてみようと思います。  まず、環境庁は今回の改正案の提案理由で、従来のばい煙、自動車排出ガスなどに対する取り組みに加えて新たな課題に的確に対処していくことが求められているとしておられます。ここでは有害物質による大気汚染への対応を初め四つの課題を示されましたけれども、このように多種多様な大気汚染状況が生じてきた背景というか原因、それを防ぎ切れなかった理由、このことについて環境庁はどのように認識しておられるか、できれば長官、お答え願いたいと思います。
  120. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生御案内のように、急速な科学技術の進展に伴いましてさまざまな化学物質が開発利用されていることは御承知のとおりです。その中で、有害大気汚染物質に該当する物質が、例えば製造、使用、貯蔵、廃棄などさまざまな過程で、それこそさまざまな形で大気中に放出されているという状況が生まれているわけであります。それは、時によって予見できないような、そういう形で排出をされている面もございます。また、有害大気汚染物質のうちの一部のものは、物を燃やす、つまり燃焼の結果として生成されることが明らかになってまいりました。これはもう申し上げるまでもございません。  こうした有害な大気汚染物質に係る長期暴露による健康影響に対する知見、あるいは大気環境中の濃度、発生源の実態などについての情報は、率直に申し上げて、最近になってようやくこれは大変だというようなことを含めて蓄積をされてきたということであろうと思います。  したがって、とりあえずそういう形で対応すると同時に、今後とも間断なく各種の知見の充実を図るとともに、将来にわたって人間健康影響未然防止するという努力を徹底していかなければならない、こんなふうに思っております。
  121. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今の長官のお答えで、先ほど同僚の馳議員の方からもダイオキシンのお話が出ておりましたけれども、廃棄物などについても、まだ日本ではごみは燃やすものとなっているわけで、そういったことについても、やはりごみは燃やさないで処理できるというふうな方法を、もう言うまでもないことですけれども、私たちは考えていかなきゃならないんだろうというふうに思います。  時間がありませんので、ダイオキシンでありますとか低公害車でありますとか、さまざまなことが頭に浮かぶのですけれども質問を進めたいと思います。  私は、多種多様な有害物質が問題視されるようになりましたのは、今長官のお答えにもありましたように、産業構造の変化でありますとか科学技術の高度化でありますとか、もろもろの原因があったと思います。そして、やっぱりその中で化学物質の管理が非常に大事になっていくだろうというふうに思います、このことはちょっと後で質問申し上げますけれども。  我が国においても、これまで取り組まれていた有害物質への対策がようやく制度として取り組まれることになったわけで、このこと自体は一歩前進と思いますが、残念ながら諸外国対策と比べますと、先ほどから同僚議員の質問にありましたとおり、規制策などの取り組み、なお十分ではないというか不備というか、まだまだという感じがするわけです。これらについてはどう考えておられるんでしょうか。
  122. 大澤進

    政府委員大澤進君) この問題は、長期暴露による健康影響知見の蓄積あるいは大気環境モニタリング結果の集積等によって近年問題視されている、今大臣からも基本的なお話がありましたように、そういう状況がございます。  また、国際的に見ても、この問題は、OECD等の国際機関においておおむね一九九二年のUNCEDを契機に本格的に議論されるようになったと。ただ、一部の先進国、アメリカドイツ等においては既に具体的に取り組みが進んでいるという状況もございますが、総じて申し上げれば、この有害大気汚染物質対策に諸外国が着手しつつあるという現状でございます。  我が国では、平成五年の環境基本計画の策定を受けまして、そこで、これら物質に係る各種の知見情報の集積の状況、それから諸外国等の動向等を踏まえ、健康被害未然防止観点から対策に取り組めようと基本計画にも盛り込まれておりまして今回の法案を提出したところでございますので、私どもとしては、できることからとにかく著手するという気持ちで今後とも取り組んで、さらに必要な見直しもしていきたいと、かように考えておりますので、御理解願いたいと思います。
  123. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 おくればせながら一生懸命というところでありますね。頑張っていただきたいと慮います。  今後の対応策としては、中央環境審議会答申に盛られたいろいろな対策を今回の法改正とともに確実に実施していくことが差し当たり重要なことと考えます。  そこで、まず状況の変化に対応したモニタリング体制、この再構築が必要となるのではないかと思います。工場自動車などからの排出監視体制に加え、有害大気汚染物質関係に的確に対応すろ体制の確立が急務となると思います。ことし三月の大気保全対策に関する行政監察で勧告されてもいますけれども、具体的な方針の確立について、例えば実施に当たっての都道府県への指示体制を含め、伺いたいと思います。  私の手元に環境庁のお出しになった資料で平成五年四月九日の大気保全局長通知というのがありまして、「トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気汚染防止について」という通知を拝見しておりますけれども、そういったことでほかにありましたら教えてください。
  124. 大澤進

    政府委員大澤進君) 有害大気汚染物質については、既に一部のものについては行政対応として通知も出しているところでございますが、その中で、モニタリングするということは実態把握する上で大変重要なことでございまして、これは地方公共団体がその役割を担っていただくということで、今回の法律改正でも十八条の二十三において、地域の大気汚染状況把握に努めるとともに情報の提供、知識の普及を図るということが求められております。環境庁としても、この地方公共団体の役割が十分発揮されるよう、いろいろな形で積極的に支援をしてまいりたいと思っております。  具体的には、効果的かつ効率的なモニタリングが実施できますよう、今回検討しておる対象物質あるいはモニタリングの方法等について、地点とか測定場所あるいは頻度など方法論、そういう技術的な面も含めて基本的な方針を提示してまいりたいと思いますし、さらに排出抑制に係る技術情報、その他この物質対策の推進の上で必要となる各種の情報も積極的に自治体等に提供して支援してまいりたい、かように考えております。
  125. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 既に大気汚染防止法規制されている有害物質というのが、カドミウム及びその化合物、塩素、塩化水素、弗素、弗化水素、鉛及びその化合物、窒素酸化物、アスベストと。お聞きしようと思いましたが、時間がないので私読んでしまいましたけれども、こういうふうに既に規制されているわけですね。それに今回三つの物質がつけ加わったわけでありますけれども、特に発生源からの情報が不可欠になりますけれども、このハイテク時代にどのような化学物質を使用しているかも、これはなかなか企業秘密として事業者の協力が十分得られるのかどうか心配になります。その辺はどのようにお考えでしょうか。  ここにあります資料では、「化学物質総合安全管理の推進の在り方」、これは化学品審議会安全対策部会でお出しになっている自主管理の抜粋のようでありますけれども、その中にも、国際的には一九九〇年に主要先進国の化学産業が国際化学産業協会協議会、ICCAを設立して自主管理としてのレスポンシブルケアを開始したと。我が国でも日本化学工業協会がICCAの一員として積極的に進めておられるというふうに資料にはございます。  大臣、そういうことで、事業者、産業界の自主管理あるいは自主的な情報提供ということについてどんなふうにお考えになっておられますでしょうか。
  126. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 有害大気汚染物質対策を効果的に推進し、また対策の効果を確認するためには、各種科学的知見環境データなどとともに、各物質の製造、使用の状況排出状況などの発生源情報把握が重要であるというふうに、先生のおっしゃるように認識をいたしております。  このため、法案においては、事業活動に伴う有害大気汚染物質排出、飛散の状況把握することを事業者の責務として規定しているわけであります。環境庁としては、関係省庁地方公共団体とも十分に連携して、事業者の理解を得ながら発生源情報収集に努めてまいりたいというふうに思っています。  ただ、国際的に見ると、聞くところによればということでございますけれども、例えばアメリカやカナダなどでは事業者の自主的な申告制度と言われるものがそれなりに重視されているということも承っております。これらは、日本事業者がそこまでたどり着けるかどうかということはともかくとして、国際的なそういう努力を学びながら、そういう努力に追いつき追い越していく努力をやっぱり期待したいし、そのためのさまざまな環境庁としての指導対応を促してまいりたい、こんなふうに思っております。
  127. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そのとおりなんですけれども、なかなか容易ではないのではないか。これは罰則つきではないんですね。ですから、悲しいかな、罰則つきじゃないとなかなか実行されないというのがまだまだ現状であります。  そういう意味で、今大臣おっしゃいましたけれども、例えばオランダでは政府と産業界の間で化学物質環境放出量の削減呈の目標値等についてボランタリーなアグリーメントを結んでいる。それから、アメリカでは環境放出量の削減活動に自主的に参加する企業を募って、そしてその成果を公表するということで実績を上げている。こういうふうな例を見ましても、論理としてはわかりますが、やっぱり現実に何かこういった具体的な方法を講じないとなかなか実現されないだろうというふうに私は思いましたので、ぜひ理想に従ってなるべく具体的な施策を繰り広げていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  新たにこの法で規制される物質は、先ほどもありましたが、ベンゼントリクロロエチレンテトラクロロエチレンなんですけれども、今回二百八十四物質について検討されたと聞いております。そのリストが正式な形で公表されませんでした。環境新聞という新聞に載ったんですけれども、正式には公表されておりません。諸外国の場合は、数には差がありますが、相当数の物質のリストが公表されております。それに対して、先ほど同僚の加藤議員の御質問にもありましたとおり、公表されればそれに対する防護もできるわけでありまして、我が国においてもこのようなリストの公表を急ぐべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。なぜ公表しないんでしょうか。
  128. 大澤進

    政府委員大澤進君) 御承知のように化学物質というのは非常に数が多いというような状況があるわけでございますが、今回の改正案においては、有害大気汚染物質ごとに健康影響のおそれの程度評価し、その成果を定期的に公表するということを国に対して求めておる規定があるわけでございまして、環境庁としましては、本法案に基づきまして、これら物質のリストを公表するとともに、有害化学物質に関する幅広い情報を集め、また、国民事業者に対するわかりやすい形での情報の提供とか知識の普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  129. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 この法案成立後は公表していく姿勢でということだと思いますが、ぜひできる限り公表していただきたいと強く要望しておきます。  最後になりましたけれども、この改正案に盛られました有害大気汚染物質対策、施行後三年をめどとして検討を加えるとなっておりますけれども、私は、一歩前進とはいえ、やっぱり諸外国対応に比べて非常におくれていると思います。  大臣改正案の成立する前にこのようなことを言うのは論理矛盾なんですけれども、しかし、成立後、この制度が十分なのかどうか、諸外国の例などを見ながら、三年を目途と言わず早急に検討に着手していただきたい。空気は選べませんから。私たちは、水は選ぶことが、食べ物も選ぶことができるかもしれない、でも空気は選べないんですね。ですから早急に着手していただきたい。このような化学物質の健康への危険性の対応は一刻もおくれを許されない事態になっていると思います。最後に大臣の御決意を聞いて終わりたいと思います。
  130. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今御指摘をいただきましたように、事業者の自主的な取り組みを促すという法律の建前でございますから、だとすれば、有害大気汚染物質大気中への排出状況把握するために環境庁は努力をすること、それから排出抑制のために必要な措置を講ずることなど、これは法律の責務として課せられているわけでございますので、その目標に向かって努力をしなければならぬと思っております。  その場合に、事業者取り組みをバックアップするために、法案で、有害大気汚染物質ごとに大気汚染による人の健康に係る被害が生ずるおそれの程度、つまり健康リスク評価して、その結果を定期的に公表するということ、それから二つ目は、有害大気汚染物質排出抑制のための技術に関する情報収集して整理して、そしてその成果の普及に努めること、これがやっぱり国の責任だというふうに思っております。  それで、これからの努力でございますけれども、国としては、これは地方公共団体についても同じですけれども事業者に対する情報の提供に努めるということを法律で決めてやりますから、その方向で努力をすると同時に、これらの規定に基づく取り組みを適切に行っていくこととあわせて有害大気汚染物質に該当する物質のリストの作成、今先生がおっしゃったこと、それから公表、特に健康リスクが高いと考えられる物質についての環境基準設定などによって積極的に事業者排出抑制のための取り組みをバックアップしてまいりたいというふうに思っておりますので、法律が成立した後もそうした努力を継続的に続けてまいりたい。  三年間余裕があるからそれまで待っているというようなことのないように、鋭意努力をしていくことをお誓いしたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  大気汚染防止法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  133. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、ただいま可決されました大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、参議院フォーラム及び新社会党・平和連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。一、大都市地域の窒素酸化物等による大気汚染  については、改善が大幅に遅れ、依然として  深刻な状況にあることにかんがみ、早急にそ  の環境基準の達成を図るため、各般にわたる  大気汚染防止対策を一層強化すること。特  に、近年の大気汚染については、自動車排出  ガスの寄与度が高まっていることにかんが  み、低公害車の大量普及に向けて一層有効な  手段を講ずるよう努めること。また、未規制  車種である特殊自動車排出ガスの排出抑制  対策検討を進めること。二、ダイオキシン等多種多様な有害物質大気  中から検出されていることにかんがみ、有害  大気汚染物質対策の推進に当たっては、国民  の健康被害未然防止を旨として、科学的知  見の充実を急ぎつつ、早期に実効性のある対  策を講じ、いやしくも科学的知見が十分でな  いことをもって重要な対策が遅れることのな  いようにすること。三、有害大気汚染物質対策を効果的に推進する  ため、十分なモニタリング体制を早急に整備  するとともに、健康リスクが高いと評価され  る物質など必要な物質については環境基準の  設定等を早急に進めること。四、有害大気汚染物質排出状況等に関する情  報を的確に収集するとともに、国民の健康を  保護する観点から必要な情報については、こ  れを公表すること。五、本法附則第九項に基づく指定物質を早急に  定めるとともに、それ以外の有害大気汚染物  質についても、事業者による排出抑制の取組  が確実に行われるよう適切な方策を講ずるこ  と。六、有害大気汚染物質を含めた化学物質につい  て、その製造から廃棄に至るまでのすべての  段階における環境リスクの低減を図るため、  国際的な連携を積極的にとりつつ、総合的な  安全管理制度についての検討を行うこと。  右決議する。以上でございます。何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  134. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 全会一致と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、岩垂環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩垂環境庁長官
  136. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
  137. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会