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1996-04-10 第136回国会 参議院 環境特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十日(水曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  四月九日     辞任        補欠選任      足立 良平君     加藤 修一君  四月十日     辞任        補欠選任      西田 吉宏君     中原  爽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 狩野  安君                 河本 英典君                 釘宮  磐君                 竹村 泰子君     委 員                 石川  弘君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 中原  爽君                 長峯  基君                 野村 五男君                 馳   浩君                 加藤 修一君                 畑   恵君                 広中和歌子君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 有働 正治君                 中尾 則幸君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君    政府委員        環境庁長官官房        長        田中 健次君        環境庁企画調整        局長       大西 孝夫君        環境庁企画調整        局環境保健部長  野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       嶌田 道夫君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        厚生省生活衛生        局乳肉衛生課長  森田 邦雄君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    浜田 康敬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣  提出)     —————————————
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨九日、足立良平君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。  また、本日、西田吉宏君が委員辞任され、その補欠として中原爽君が選任されました。
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 長峯基

    長峯基君 自民党の長峯基でございます。水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について何点か御質問を申し上げたいと思います。  まず、地下水重要性につきましてはもう今さら申し上げるまでもありませんけれども大臣に所感をお伺いしてみたいと思います。  私どもの生命を守ってきた地下水水質汚濁防止法では、出口の規制河川汚濁環境基準というもので守っているわけでございます。また、水道あるいは簡易水道については水道法というのでチェックしているわけでございますけれども地下水というものについてはどのような法体系で守られているかということがはっきりしていないようでございます。  地下水については、政策上、その意義をきちんと位置づけた対策を講じていくことが必要ではないかと思います。今日まで、地下水については、地盤沈下汚染発生するたびにその都度対策が講じられたにすぎません。地下水重要性政策的にきちんと認識されて施策が講じられてきたとは言えないのではないかと思うのでありますけれども地下水重要性について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  5. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 御専門の長峯先生の御質問でございますから釈迦説法ではございますけれども環境庁としては、地下水というのは生態系における健全な水環境を構成する重要な要素である、また全国三千万人の飲用水として利用されるなど、河川湖沼等公共用水域と並ぶ重要な淡水資源だというふうに考えております。  私どもとしては、このような地下水重要性にかんがみて、今先生指摘のように、今日までの地下水に対する対策というものが決して十分ではなかったという立場に立ちまして、水質保全対策を的確に推進していくということが必要だという考え方に立って本法案を準備したというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  6. 長峯基

    長峯基君 あと細かい点については局長の方で御答弁をお願いして、もし総体的に御意見があれば大臣からお答えをお願いしたいと思います。  このような法律が出された背景というのには地下水汚染という現状があると思うのでありますけれども全国各地で深刻な地下水汚染発生しているという事実がマスコミによって報道されております。昨年の十一月には、山口県で十三地区で地下水汚染があったと、テトラクロロエチレン。それから、同じく十一月には静岡県で十六カ所で基準を超す。新潟県でも二つの井戸から発がん物質が出ている。  こういう新聞報道がずっとあるわけでございますけれども、まず第一点は、汚染現状について環境庁はどのように把握をしておられるのか、そして二番目に、汚染発生源についてどのように考えておられるのか、この二点について御答弁をお願いしたいと思います。
  7. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 昨年の一月でございますが、環境庁といたしまして地下水汚染状況につきまして全国的な調査を行いました。調査時点平成五年度末時点というふうになっておりますが、その平成五年度末現在の有害物質、これは水質環境基準で二十三項目決めておりますが、有害物質によります地下水汚染全国で千百五十一の地域となっております。  また、汚染原因物質といたしましては、最も多いのがテトラクロロエチレン、それから次にトリクロロエチレン、それから1・1・1トリクロロエタンなどの有機塩素系化合物となっておりまして、大体この三つで全体のおおむね九割を占めているというような状況にございます。  また、その発生源でございますけれども汚染原因者として判明しております工場事業場についていいますと、一番多いのが洗濯業でございます。それから、電子部品でございますとか電子装置製造業、それから金属被覆熱処理業などが主なものとなっております。
  8. 長峯基

    長峯基君 今、答弁にありましたトリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレン、これらの物質は、人の健康という点では発がん性等指摘がされております。これらの物質による汚染がこれまで放置されてきたことは極めて大きな問題であると思うのでありますけれども、これらの物質による健康影響のおそれについて環境庁はどのように認識をしておられるのか、局長にお伺いしたいと思います。
  9. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) トリクロロエチレンなどの有害物質につきましては、物質によりまして発がん性それから肝臓障害などの健康影響があることが指摘されております。環境庁といたしましても、これらの物質によります水質汚濁防止を図ることが重要であると認識しております。  このようなことから、環境庁におきましては、平成元年有害物質地下への浸透規制水質汚濁防止法に盛り込むとともに、平成五年にはこのトリクロロエチレンなどを公共用水域環境基準に追加したところでございます。  また、今回の水質汚濁防止法改正案は、このような有害物質により汚染された地下水による人の健康に係る被害防止するために、地下水水質浄化のための措置を定めようとするものでございまして、これに基づきまして有害物質による地下水汚染対策の一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  10. 長峯基

    長峯基君 平成元年有害物質規制というのが法制化されたと思うのでありますけれども、今日までその浄化対策というものが法制化されなかった理由についてちょっとお伺いしてみたいと思います。  地下水重要性汚染状況汚染物質有害性にかんがみれば、被害未然防止という観点からももっと早く地下水汚染対策を進めることが必要であったと思うのであります。平成元年規制を行ったときに今回の改正内容もあわせて措置をすることが適当だったのではないかと思うのでありますけれども、なぜ今日まで放置されたかということについて、その理由をお伺いしたいと思います。
  11. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生今御指摘のように、平成元年に、地下水につきましては水質汚濁防止法改正いたしまして有害物質地下浸透規制を規定したところでございます。この平成元年当時でございますが、地下水浄化に関します技術、それから科学的知見が必ずしも当時は十分でなかったということがございまして、未然防止対策水質汚濁防止法改正でとったわけでございますけれども汚染された地下水浄化措置を制度化することは困難であるということを当時判断したわけでございます。  その後、地下水汚染原因究明技術及び汚染地下水浄化技術の進歩が見られまして、地方公共団体におきまして浄化措置の経験が積み重ねられているというようなもろもろの事情がございます。そういうことで、現在におきましては技術といたしましても地下水揚水法でございますとかいろいろな技術が広く用いられるようになってきているところでございます。また、平成六年の十一月でございますが、環境庁といたしましても、有機塩素系化合物等に係る土壌地下水汚染調査対策暫定指針というのを公表いたしまして、調査浄化技術につきまして広く地方公共団体等に知らしめたところでございます。  こういうこともございまして、今回の法律改正は、このような技術的な進展と、他方地下水汚染全国的に確認されているという現状を踏まえまして、新たに措置することが適当だというふうに判断いたしまして今回法律改正をお願いしているところでございます。
  12. 長峯基

    長峯基君 ただいまのお話によりますと浄化技術が確立したということでありますけれども地下水浄化法律で規定して行わせる以上、浄化技術の確立というのは非常に大事であると思いますけれども措置命令を受けた場合に一般企業が利用できる技術があるのかどうか。地下水汚染というものを薄めるというか除去するというのはなかなか難しいような気もするわけでございますけれども、もしその技術について御説明ができればちょっと御説明いただきたいと思います。
  13. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 地下水汚染の大半を占めます有機塩素系化合物に係ります代表的な浄化技術といたしましては、現在のところ二つございます。  一つは、地下水揚水法と呼ばれるものでございます。もう一つ土壌ガス吸引法と呼ばれるものでございまして、最初の地下水揚水法は、汚染された地下水を揚水いたしましてトリクロロエチレンなどの対象物質を曝気によりまして水中から除去する、それを活性炭に吸着させまして回収するという方法でございます。また、土壌ガス吸引法は、土壌中に存在します対象物質真空ポンプなどによりまして強制的に吸引して回収するという方法でございます。  以上が有機塩素系化合物のことでございますが、有機塩素系化合物以外の重金属等によります地下水汚染につきましても、汚染された地下水を揚水いたしまして対象物質凝集剤添加とか活性炭吸着によりまして処理をする方法が現在のところ一般的でございます。  このように、一般企業にとりまして利用できる技術は既に普及段階に達しているというふうに考えております。また、本年二月の中央環境審議会答申におきましてもこの点について触れられておりまして、浄化技術につきまして「既に普及段階に入っているものと評価される。」というような記述もございます。
  14. 長峯基

    長峯基君 浄化技術が確立しているといっても、その技術が膨大な資金を要するということになりますと、浄化措置を適切に実施することは極めて困難になると思うのであります。  このような企業というのは中小企業が多いわけでありますので、その浄化技術を使う場合にレンタルとかいろいろな方法があると思うのでありますけれども中小企業に対する資金等対策、これはどのようにお考えになっているか伺いたいと思います。    〔委員長退席理事竹村泰子君着席〕
  15. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先と言われた中小企業に対する配慮であろうと思いますが、今回の措置地下水汚染から人の健康を保護するための必要不可欠な措置でございまして、仮に汚染原因者中小企業でございますとか資金が乏しいというような場合におきましても、やはりPPPという原則からいたしますと浄化を実施していただく必要があるというふうに原則的に考えております。  しかしながら、中小企業者ないしは資金が乏しいという方も現実におられるわけでございますから、このような中小企業者などに対しましては、特に地方公共団体技術的助言など可能な限りの支援ができるように国としましても自治体を指導していきたいと考えておりますし、それから、現に一部の地方自治体でございますけれども、そこで実施されていますように、自治体中小零細企業者に対しまして浄化装置を貸与するなどいたしまして自主的に事業者の負担を軽減する方法をとっておるところもございます。  このような方法を広く検討、実施することなどによりまして、浄化措置が可能な限りこういう中小企業者等に対しましても円滑に実施されるように努めていきたいというふうに考えております。
  16. 長峯基

    長峯基君 今回の法律改正では、有害物質だけではなくて、事故時の措置を拡充して油をその対象とすると。例えば、タンクを設置しているガソリンスタンド等から漏れた油によって中小河川に油膜ができ、水田の稲が油で汚れる被害を受けるなど、そのような事故というのもあると思うのであります。従来の水質汚濁防止法では、排水規制するということで、排水を行わない工場事業場については何ら規制を行っていないのであります。しかしながら、排水を行わない事業場においてもこのような油のタンクなどの破損によって水質汚濁事故原因となるようなことがあると思われるのであります。  今回の改正では、このようないわば常時排水を排出しない事業者における事故に対しても適切に対処できるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  17. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生おっしゃいますように、今までの水質汚濁防止法は、常時排水をします事業場対象とするということで、それを特定事業場ということで対象としてきたわけでございます。  今回の改正案でございますが、水質汚濁事故現状を踏まえますと、油による事故が非常に多いということで、油による事故を今回事故時の措置対象としたわけでございますけれども、油による事故発生件数を見てみますと、油タンクなどによります事故が多うございます。したがいまして、今回油タンクなどを設置する事業場事故時の措置対象としているものでございます。  これによりまして、御指摘にございましたように、これまで水質汚濁防止法対象外でございました常時排水を排出していない事業場、例えば油タンクだけを持っているような事業場でございますが、このような事業場につきましても今回油による水質汚濁事故についての対象にしたということで、以上両々相まちまして適切な対応が今後図られるものというふうに考えております。
  18. 長峯基

    長峯基君 関連して、工場排出基準上乗せ排出規制というのがあると思うのでありますけれども水質汚濁防止法では、地方公共団体上乗せ排出規制について、国の環境基準排出基準上乗せができるという条項があると思うのでありますが、どのような規定があるのか、お伺いしたいと思います。  この上乗せ規制についてあと数点お伺いしますが、これはどのような趣旨で設けられたのか、それから上乗せできる範囲というものは、これは無限ということはないと思うのでありますけれども、どのように決められているか、それから特に厳しい規制を実施している自治体について御存じでしたらちょっと御説明いただきたいと思います。
  19. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 水質汚濁防止法の三条の三項でございますが、これによりまして全国一律に定められております排水基準によっては人の健康を保護し、または生活環境保全することが十分でないと認められる区域につきましては、都道府県条例で、より厳しい排水基準、いわゆる上乗せ排水基準と言っておりますが、この上乗せ排水基準を設定することができることとされております。  また、この上乗せ排水基準に関する条例につきましては、この法律施行令におきまして、水質環境基準が維持されるために必要かつ十分な程度のものとの基準が定められておりまして、そういう意味では一つの枠組みがこの政令で決められているわけでございます。  このような上乗せ条例でございますが、全都道府県において制定されておりまして、具体的な某準値は、各都道府県によりまして、対象となります業種、それから水域ごとに異なっております。  例えば、BOD生物化学的酸素要求量と言っておりますが、このBODについて見ますと、国が定めます一律排水基準は一リットル当たり百六十ミリグラムというふうになっておりますが、各都道府県における最も厳しい基準について見ますと十から三十ミリグラム、これパー一リットルでございますが、程度となっております。というようなことで、各地域におきましてかなりきつい、厳しい上乗せ排水基準が決められております。  これはなぜ決められているかということにつまましては、国といたしましてはやはりナショナルミニマムということで決めておりますので、どうしてもそれはある程度高い数値を決めざるを得ないわけでございますが、現実の問題として各都道府県におきましてはそれよりもかなり厳しい基準が決められているというのが実態でございます。  また、どのようなところが決められているかということでございますが、これはほとんどの県でもって水域ごとに決めているというような実態でございます。先生御関心であろうかと思いますが、例えば宮崎県なんかにおきましてもこの辺はかなり厳しい基準が決められているというふうに承知しております。
  20. 長峯基

    長峯基君 河川汚濁、それから水質浄化、こういうものは、釈迦説法でありますけれども非常に大事な問題であります。かつて泳げるような川であったものが今は大変な汚れ方でございます。ただ、地方自治体によりましては、いま一度泳げる川を取り戻そうということで上乗せ基準等を設定して非常に大変な努力をしているわけでございまして、そういう意味では、環境庁とされましても、地方公共団体のこのような自主的、積極的な対応というものを十分御理解いただいて、御指導やら応援をしていただければ大変ありがたいと思っております。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  21. 加藤修一

    加藤修一君 平成会加藤でございます。水質汚濁防止法の一部を改正する法律案につきまして、二、三質問をさせていただきたいと思います。  二十一世紀環境世紀と言われることがあるわけですが、そういう時代をどう見るか、そういった点については、切り口は多様なわけですから単純な見方はできないかもしれませんが、いわゆる過去の武力による競争時代を経て現在世界は大きく変化しているわけでありまして、国際社会は今や経済による競争時代に突入しております。さらに言いますならば、地球温暖化など、そういった人類の危機を回避するために今求められているのは、やはり人類生存への競争と。そろいった意味では、生存に向けてあらゆる工夫について競争するぐらいの姿勢でさまざまな環境政策を実行していくべきではないか、そういうふうに思っているわけでございます。  環境庁におかれましてもさまざまな形で環境政策を展開しているわけでございまして、国際社会におきましてイニシアチブをとる、そういうものをやっていける十分なポテンシャルがあるというふうに考えているわけでございますが、今回の改正案につきましては、非常に多く私も期待しておりましたが、必ずしもそうではないような部分もあるように思います。しかし、全体としては一歩前進というふうに考えていいのではないか、そのように思います。  ただ、環境政策における理念の問題というか、それに対応した形で環境基準をどういうふうに考えていくかということを考えていきますと、もう既に皆さん周知のように、人類がさまざまな形で経済活動を行っていく、そういった中で環境破壊も進んでいる。人間というのは生態系のいわゆるピラミッドと言われている頂点に位置するわけでございますから、そのピラミッド下層部分の積み重ねがあって初めて人類は、トップと言えるかどうかわかりませんが、頂点にいることが可能になっている。そういった意味では、生態系の支持、生態系のサポートがあって初めて人類生存が可能になるように思うわけでございます。  そういった点から考えていきますと、生態系に対してどういうふうに環境政策アプローチを行っていくか、極めて重要な点じゃないかなと私は思うわけでございます。  その点から考えますと、水、大気、そういった面におきます環境基準。日本の環境基準というのは、人の健康の保護に関する環境基準、いわゆる健康項目、さらに生活環境保全に関する環境甚準環境項目。私は今までの話を踏まえて考えますならば、さらに生物を含む生態系や自然の体系を保存するというそういう基準、そういうことム一つ基準として考えていく必要があるんではないかなというふうに考えるわけでございます。  今回、いろいろと勉強させていただきまして、このような報告書をいただいたわけでございます。有害大気汚染物質対策検討会報告書、これは大気関係報告書なわけでございますけれども、その中に、いわゆるOECD、そこにおきます有害大気汚染物質の定義と。その中におきましては、人の健康、さらに植物または動物にとっての有害な特性、そういったものを考えていくという条項もあるように思います。  私は、従来環境庁がお考えのそういう二つ基準だけではなくして、理念的な言い方になってしまうかもしれませんが、要するに生態系についての基準、それに対して汚染をしていく、そういった面についての関係基準についてもアプローチとしてあっていいのではないかなというふうに考えているわけでございます。  この点につきまして大臣のお考え、御見識をお伺いしたい、そのように思うわけでございます。
  22. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生今御指摘のように、OECD環境政策委員会化学品グループがガイドラインを出していることは私どもも承知をいたしております。  実は、平成五年一月の中央公害対策審議会答申の中で、「化学物質による水環境汚染への対応検討する場合、人の健康の保護観点のみならず、水生生物生態系への影響についての考慮も重要である。」という御指摘を実はいただいているわけであります。今回の法改正については、地下水汚染による人の健康被害発生防止が急務だという立場に立ちまして、水質汚濁防止法有害物質対象として早急に措置を講ずることとしたわけでございます。  御指摘のように、化学物質水生生物生態系への影響対策の目標となる基準のあり方などについて、なおやっぱりしっかり検討する必要があるというふうに思っていますので、今後それらの課題に対して、諸外国の状況どもしっかり勉強しながら、その情報を取りまとめて所要の調査検討を続けてまいりたいというふうに思っておりますので、いましばらく御猶予をいただきたい、こんなふうに思います。
  23. 加藤修一

    加藤修一君 積極的な答弁をいただきましてありがたいと思いますけれども、本当にそのような方向を持ちながら、極力早く結論を出していただきたいと思うわけでございます。  それから、今回の法律に関しましては、人の健康に係る被害となっていく場合についてというふうに私理解しているわけですけれども水道水源にかかわらない場合、そういう場合についての措置命令というのはできるのかどうなのか。要するに私の言いたいのは、その発動要件というのはどういった場合に想定しているのか、どういう項目から構成されているか、その辺についてお伺いしたいわけです。
  24. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回の法律改正の中でございますが、「特定事業場において有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある」と認められるときに今回の措置命令は発動されるというふうに書いてございます。  具体的に申しますと、地下水の評価基準、現在ございますが、地下水の評価基準に定められております基準を超える汚染が存在し、一つは、その地下水地域住民の飲用水または水道水源として利用され、もしくは利用される可能性があるという場合、それから二つ目は、飲用に係る非常用水源として位置づけられている場合、それから三番目でございますが、公共用水域水質に悪影響を与え、またはその可能性がある場合というふうに考えております。  実は、このようなことは去る二月の中環審の答申でも触れられているところでございます。
  25. 加藤修一

    加藤修一君 今の御答弁でございますけれども、「現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるとき」ということに集約されるように思うわけですけれども、実際に地下水汚染されたとした場合でも、それを飲み水、井戸水とか水道に使う、そういう場合でないときには発動はできないという理解でよろしいんでしょうか。
  26. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今申しましたように、現実に利用されていなくても利用される可能性がある場合でありますとか、それから先ほど言いましたように、特に非常用水源などの場合には、現在使われておりませんですけれども、いざというときには使うというような場合もございます。それから、公共用水域水質に悪影響を与える、これはその水を直接飲むということとは関係ないわけですが、公共用水域水質に悪影響を与えるというような場合についても発動したいというふうに考えております。
  27. 加藤修一

    加藤修一君 公共用水域に悪影響を与えるという意味は、環境基準をオーバーするという理解でよろしいんですか、使う可能性を含めて。
  28. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 基本的にはそういうことになろうと思いますが、考えておりますのは、地下水が例えば河川などへ流入いたしましてその河川などの公共用水域水質に悪影響を与える、またはその可能性があるという場合でございます。  例えば、河川の場合ですとかなり希釈される可能性がございます。そういうことで、その河川が即環境基準ということになるかどうか、そこは一概に言えないかとは思いますが、いずれにいたしましても公共用水域水質に悪影響を与える場合にはこの措置命令の発動要件にしたいというふうに考えております。
  29. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、具体的な例を申し上げたいんですけれども汚染物質があって、それが土壌浸透を起こしてずっと地中を伝わっていって地下水まで入っていく。地下水汚染し始めますよと。その地下水が飲み水に使われているという場合に、環境基準を超えるまでは大丈夫だと、超えて初めて発動できるということですね。それと、飲み水等に使っていないときには汚染されたままの状態でいても何ら構わない、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  30. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) まず最初のことにつきましては、先ほど申しましたように地下水の場合評価基準と申しておりますが、評価基準に定められている基準を超える汚染が存在する場合だというふうに考えておりますので、超えない場合にはとりあえずはこの発動要件の対象にはならないだろうと思っております。  それから、全く飲用水に使わない、例えば洗車等にしか使っていないとか、いろいろそういうケースがあろうかと思いますが、そういう場合にはこの発動要件とは考えておりません。  ただ、しかしながらこういうことにつきましてはケース・バイ・ケースでもって自治体がいろいろ判断される場合もあろうかと思います。そういうことも踏まえましていろいろ対応されると思いますが、今回の法律に基づきます発動要件といたしましては、完全に飲用水に利用されないような場合につきましては今回の対象からは一応外したいというふうに考えております。
  31. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次の質問に移りたいと思います、ちょっとまだまだ頭の中が整理されませんが。  汚染原因者がわかって初めて発動できるわけで、対象がいるということですから発動できるということなんですけれども、中には汚染原因者がわからないと、そういう場合はどういうふうに具体的に対処したらよろしいんでしょうか。
  32. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 実は、いろいろな詳しい問題につきましては先生の方が御専門でございますので、私の方から余り申すまでもないわけでございますけれども、今回の地下水対策水質汚濁防止法に基づきます特定事業場の設置者というのを対象にしていますので、かなり資料等が整備されているという、そういうのも一つございます。そういう前提におきまして、地下水汚染が発見された場合には、これはもう言うまでもないことでございますが、土壌ガス調査法などの調査技術を活用いたしまして汚染源の原因究明を適切に、また必要に応じまして詳細に行いますれば、基本的には汚染原因者は究明できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  33. 加藤修一

    加藤修一君 地下水汚染されているかどうかというのは当然観測しなければいけない、調査しなければいけない。私が聞いているところによりますと、観測するための井戸、そういったものを含めて調査費用というのは大体平均して三千万円ぐらいになるというふうに言われているわけですけれども、その場合の調査費用、これについての費用負担というのはどなたが持つことになるんでしょうか。  しかも、先ほどと関連づけますと、汚染原因者、それがいないときも当然考えられるわけです。しかし、汚染が進んでそれが被害につながっていく可能性も当然あるわけですけれども、その辺についてお願いします。
  34. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 汚染原因者の特定のための調査でございますが、これは浄化措置命令を課す上で当然のことながら必要不可欠な事柄でございます。したがいまして、命令を課すに際してのいわば事前作業だというふうにも言えるかと思います。こういうことから、措置命令を行使しようとする都道府県がみずからの負担で実施するというふうに考えております。したがいまして、汚染原因究明調査に要します費用につきましては、汚染原因者に負担を求めるということは考えておりません。
  35. 加藤修一

    加藤修一君 そうしますと、先ほどほかの委員の方が質問していた中の答弁、PPPという話がございましたけれども、それと矛盾するということにはなりませんか。
  36. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今申しましたのはあくまでも原因調査の費用でございまして、汚染原因者が判明しました場合の対策につきましては、PPPの原則によりまして事業者にやっていただくということでございます。    〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
  37. 加藤修一

    加藤修一君 対策はそうですね。対策はそうだと思いますけれども調査費用についてはどうお考えですか。
  38. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 汚染原因者を究明するための調査は、やはりこれは先ほど申しましたように命令をかけるその前提条件となるものでございますので、これは命令をかける都道府県等の自治体にやっていただくというふうに考えております。  あと、実際に事業を実施するために何らかの調査が要るとしますと、それは実施の費用でございますので、そこは事業者が負担することになろうかと思います。
  39. 加藤修一

    加藤修一君 実施の費用について質問させていただきたいわけですけれども汚染原因者が複数いまして、その確定方法が当然あると思うわけですけれども、仮に確定できたとして、浄化費用の配分、それはどういう形で合理的に行われるか、その辺のことについてちょっと教えていただきたいと思います。
  40. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) これも正直言いますと先生の方がよほどお詳しいわけでございますので、あえてちょっと言いにくいわけでございますけれども、複数の汚染原因者がいる場合でございましても、調査を適切に実施することによりまして汚染原因者を特定することは技術的に十分可能であるというふうに考えておりまして、汚染原因者ごとの汚染寄与度もシミュレーションモデルを活用することなどによりまして把握することができるというふうに考えております。  このような場合には、汚染原因者ごとに浄化命令を課すことになりまして、シミュレーションモデルなどの活用によりまして汚染原因者汚染寄与度に応じて浄化を実施する、そのための費用を負担するということになるというふうに考えております。
  41. 加藤修一

    加藤修一君 ちょっと質問が前に戻るかもしれませんが、費用負担の関係で、それとそのほかの件も含まれるわけでございますけれども、中環審の答申の中に支援措置という話が出てきているわけですけれども、それはどういうふうに今回の中で生かされるか、その辺についてどうでしょうか。
  42. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 環境庁といたしましては、本法案によりまして地下水浄化が円滑に実施されますように、例えば技術マニュアルの作成など可能な限り必要な技術的支援に努めていきたいというふうに考えております。  また、このようなことから、汚染原因究明調査を実施します地方公共団体に対しましては、当然技術的な助言を行うわけでございますが、このほか財政的な支援措置といたしましても、平成八年度の予算案に原因究明調査費用の一部を補助する制度を盛り込んでいるところでございます。  このようなことによりまして、適切な浄化措置が円滑にできるようにというふうに考えております。
  43. 加藤修一

    加藤修一君 今回対象になっています化学物質トリクロロエチレン、これは主にハイテク産業の周辺で汚染状態が見つかるということが多いようでございますけれども、たしか環境庁は、先端技術による新たな環境汚染の可能性評価ということでいわゆるリスクアセスメント、それから生産、流通、使用、廃棄の各段階を通した総合的な環境施策ということでいわゆるリスクマネジメント、リスクアセスメントに対応した形でリスクマネジメント、そういう必要性を指摘しているわけでございまして、これはもっともな指摘だと思うわけでございます。  これに関しまして、現在この面につきまして、いわゆるリスクアセスメント、それに対応するリスクマネジメント、この辺について具体的な検討というのはどのように進展しているんでしょうか。お願いいたします。
  44. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 今御指摘いただきましたが、先端産業で使われる化学物質だけではございませんけれども化学物質対策を進めるに当たりましては、化学物質有害性と暴露量からそのリスクを評価するいわゆるリスクアセスメントと、それからリスクアセスメントの結果に基づいて化学物質の適切な管理を行うリスクマネジメントの考え方が大切であるということは私どもも十分認識をしておりまして、そのような考え方に沿いましてこれまで環境中の化学物質の残留状況調査をやってまいりましたし、また、先ほどちょっとお話もございましたが、化学物質生態系への影響試験等も実施をしているところでございます。  今後とも、今申し上げました考え方に沿いまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  45. 加藤修一

    加藤修一君 これに関しましては、リスクアセスメントの関連の法制化、そういったことについてはお話ございませんでしたけれども、それに対してのスタンスというのはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  46. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 現在のところ、リスクアセスメントなりリスクマネジメントについての考え方をより具体的にしていくということでございまして、現段階におきましては今御指摘のあったような法制化というところまで検討はいたしておりません。
  47. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、先ほどの御答弁の中に、汚染原因者の特定の問題で、たしか、資料が十分整っているので特定できないというケースはそうないであろう、いやほとんどないという話でございましたけれども、やはり合理的な汚染源の特定ができることがより望ましいわけでございます。  要するに、地質汚染メカニズム、それについてどういうふうに考えるかといういろんな理論があると思うわけですけれども、三つの要素に分けて考えることができるのではないか。一つは、その汚染物質の性質、それに非常に依存する。二つ目としては、汚染物質を移流させる流体の性質、これがかかわってくる。三点目としましては、流体の流動、貯留ですか、それに関する地層の透過性、そういったものによってほぼ決定されることになるのではないか、そのように思うわけでございます。要するに、こういう三つの要素が関与して形成されるいわゆる地層の汚染、それから地下水汚染、さらに土中にも空気がございますので地下空気汚染、そういった単元を明確にすること、それによって地層汚染のプリュームというんですか、そういった実像を把握することができるように思うわけでございます。  こういった科学的な知見を当然積み重ねて、よりよい地下水水質のあり方、そういったものを特定を踏まえた形で目指すべきではないかというふうに私は考えているわけでございますけれども、この辺についてどのようにお考えを持っていらっしゃるか、お願いいたします。
  48. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) まさしく先生おっしゃるとおりでございまして、地下水汚染源の特定につきましては、地下水汚染の発見されました周辺の井戸の水質調査、それから表層の土壌調査、それから周辺工場事業場汚染原因物質の使用状況調査等を行うことによりまして可能であるというふうに考えております。特に、揮発性のある有機塩素系化合物につきましては、土壌ガス中の汚染物質の濃度を測定することで効率的に汚染源が究明されるというふうに考えております。また、必要に応じましてボーリング調査を実施するという場合もあろうかと思います。  浄化対策につきましては先ほど申しましたので述べませんが、今まさしく先と言われましたように、地層もその地域地域によって違います。それから貯留の流速もまた違います。そういう地域状況に応じまして、それぞれ調査方法も今申しましたようなことの中で詳しくやっていく必要があろうかというふうに考えております。
  49. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、地下水の話でございますから、水のくみ上げ、要するにデパートなんかも冷房とかそういう関係で水をくみ上げて使っているというふうに聞いておりますし、かつてはそれによって地盤沈下が生じたというふうにも聞いております。  それで、井戸を掘る場合に、いろいろな掘り方が当然あるんでしょうけれども、単層じゃなくて多層、多層集水井戸。多くの地下水層があって、第一番目の地下水汚染されていますよ、第二番目、第三番目はもう何ともありませんよ、しかしある程度の深さを掘らなければ潤沢な水を得ることができない。そういうことで、汚染している層を貫いた形でのいわゆる多層集水井戸についての規制というか、そういうことがありますとどうしても汚染が広がる原因になりますので、その辺の防止策とかあるいは掘削の規制とか、そういったことについてのお考えというのはどういうふうにお持ちなのか、あるいは今後の対策としてはどういうことを考えていらっしゃるか、その点についてお願いします。
  50. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 一般的に地下水汚染は、汚染物質土壌中を浸透落下いたしまして、今言われましたように最も地表面に近い地下水の層、第一帯水層と言っておりますけれども、第一帯水層に達することによりまして引き起こされますことから、地下水汚染といいますのは第二帯水層以下には及んでいない場合が通常の場合多うございます。  しかしながら、第一帯水層に汚染が見られます場合に、それを放置したまま次の第二帯水層以下の地下水を利用するためにボーリングなどをした場合には、そのボーリングによりまして、結果的にそのボーリングのところから汚染が下の第二帯水層以下の方に拡大するということも懸念されるわけでございます。  このために、このような事態が生じないように、第一帯水層が汚染されている地域におきます新たな地下水利用につきましては、汚染が拡大されないように地方公共団体を通じまして今後必要な指導を行っていきたいというふうに考えております。
  51. 加藤修一

    加藤修一君 よろしく御指導のほどお願い申し上げます。  それでは次に、先ほど三要素の話を申し上げたわけでございますけれども、そのときに地層汚染地下水汚染地下空気汚染の話も申し上げたわけでございますけれども、今回取り上げております揮発性の有機塩素化合物、そういった汚染は、要するに地層の汚染あるいは地下水汚染、さらには地下空気汚染と、そういったものから成る汚染だと思うわけなんです。  それで、大気汚染にもつながる場合もあるし、それから、当然のことですけれども水質汚濁を伴う汚染であると。そういったことから、多くのメディアに汚染が及ぶということからクロスメディア汚染というふうに言われているわけですけれども、こういったクロスメディア汚染について、環境庁といたしましては、考え方、あるいはこのような多次元に及ぶ汚染と言うとちょっとおかしい話になるかもしれませんが、包括的な対応をどう取り入れるか、現行の法体系でいいのかどうなのか、その辺のことについてお考えをちょっとお聞きしたいんですけれども
  52. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 御指摘もございましたが、環境庁といたしましては、環境汚染防止していくためには、大気系でありますとか水系とか個別の環境媒体ごとの対応だけではなくて、関係する複数の環境媒体を視野に入れた対応が重要であるとの認識に立ちまして、平成四年度からクロスメディア汚染を引き起こす物質につきましてその対策検討するための有害性評価等に取り組んでおる段階でございます。  今後、これらの結果も踏まえながら、クロスメディア汚染に対する取り組みを推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  53. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いいたしたいと思います。期待申し上げます。  それでは次に、阪神大震災等にかかわる水質汚染並びに土壌汚染ということでございます。  今回は水質汚濁防止法の一部を改正する法律案ということでございますから直接的には土壌汚染には関係しないというふうに考えられるわけでございますけれども、ただ、阪神の大震災で、新聞記事によりますとクリーニング屋が倒壊してテトラクロロエチレンが大量に流出したという話も伺っておりますし、中には環境基準、これは土壌環境基準だと思いますけれども、その三千九百倍、そういった数値も検出されたと。非常にそういった意味では大変な問題だなというふうに思っているわけでございます。  日本地質学会の環境地質研究委員会が昨年調査した経緯がございますけれども、この調査によりますと、放置しておけば地下水汚染につながるほか、復旧事業絡みの建設残土、それがあちこちに運ばれていくということを通して全国に拡散するおそれもあるとつそのときの調査によりますと、市内五百五十四店舗のうち三百七十七店舗で聞き取りや土壌サンプルの分析をしたと。で、五十五カ所に汚染が見つかったというふうに書いてございます。また、中には六価クロムなどの重金属を持っている工場が倒壊した、そういったところから漏れるおそれも十分あり得ると。  ところで、阪神大震災の直後に、環境庁はそれなりの想定をして、さまざまな形で汚染が広がる可能性があるかどうか、その辺の判断材料を調査しなければいけないということで、水質大気汚染はしていると思うわけでございますけれども、どうも何か土壌汚染の状態についての調査はしなかったように思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
  54. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 阪神大震災に伴います環境汚染でございますけれども、今先生言われましたように、水質につきましては、震災が起きましてすぐでございますが、二月と三月の二回にわたりまして水質モニタリング調査環境庁としていたしているところでございます。  水質調査につきましてはこういうことで迅速にやったわけでございまして、なおまた土壌汚染調査でございますが、これはそれに引き続きまして平成七年度の震災対策の一環として行っております。予算を五月ごろから、これは補正予算でございますので、五月ごろから検討いたしまして、実際に調査を行いましたのは昨年の十一月からことしの三月にかけてでございますが、相当詳細な調査を行いました。現在、その調査の結果を取りまとめているところでございます。
  55. 加藤修一

    加藤修一君 そうしますと、昨年の十一月に日本地域学会からの申し入れがあってから土壌調査に踏み込んだということでしょうか。  要するに、水質汚染に関しての調査だけはやったけれども土壌汚染についてはずっと後回しにしたと。環境庁さんは当然プロパーも優秀な方もいらっしゃいますし、クリーニング屋の事業所が倒壊したときには有機物が流出するということは十分想定し得るわけでございまして、そういったところから考えますと、水質汚染調査に限らず、土壌汚染の状態についてもすぐやるべき態勢を組む必要があったんではないかと私は思うわけなんですけれども、そのようにタイムラグが相当あるように思うんですけれども、その辺はどういうことなんでしょうか。
  56. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 環境庁といたしましては、当然のことながら、震災におきます水質だけではなくて土壌汚染につきましても大変心配したところでございます。  そういうことで、調査の実施につきましてはかなり早い段階から兵庫県と協議をしてきてございます。昨年の五月に成立した補正予算におきまして震災地の土壌調査を行うこととしたわけでございますが、それに至ります前にも、相当前から兵庫県といろいろ協議、打ち合わせをいたしておりまして、実質的に事業を行いましたのが十一月となっておりますが、その前に、当然のことながら調査箇所数のクリーニング事業者の同意を得なきゃいけません。そういうことなども行いまして十一月に実施したということでございますので、私どもとしましてはかなり早い段階から実は準備をしていたと言っていいというふうに考えております。
  57. 加藤修一

    加藤修一君 わかりました。  大震災によってそういう環境汚染が広がる可能性が十分あるということはだれにとっても認識している問題だと思いますけれども、こういう非常事態が生じたときに、直後とはいかなくても、二、三カ月未満ぐらいにそういう調査をしなければいけないと、そういうマニュアルを含めた形でのそういったことについての対応というのは、いわゆる土壌汚染も含めてでございますけれども考えていらっしゃるのかどうなのか。私はこういった面につきましてはプロジェクトをつくって検討をするぐらいの重要な問題だと思っているわけでございまして、この辺についてはどういうふうにやらなければいけないかという点からお話をお伺いしたいと思います。
  58. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生がおっしゃいましたように、震災などの災害が発生した場合には、当然ながら水質汚濁それから土壌汚染などの環境汚染発生するわけでございますので、そういう意味では、汚染の有無の確認を含めまして迅速に環境汚染調査を実施するということは極めて重要であるというふうに認識しております。  環境庁では、昨年一月の阪神・淡路大震災の環境汚染の際に、これは関係します地方公共団体、言うなれば兵庫県の周辺の地方自治体でございますが、それらの関係地方公共団体の協力を得まして、数次にわたりまして環境汚染調査を行ったという経緯がございます。  このように、いざというときには関係する地方公共団体の協力を得るとか、いろいろの方策につきまして貴重な経験とかノウハウを実は我々としても取得したというふうに考えておりまして、このように得られました経験とかノウハウを生かしていくことなどによりまして、今後とも災害時の迅速な環境調査体制の充実に一層これから努めていきたいというふうに考えております。
  59. 加藤修一

    加藤修一君 それにつきましては、マニュアル等を含めてという検討でよろしいでしょうか。
  60. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 実は、正直なところ、今はまだマニュアルというところまでは行っておりません。しかしながら、今後ともそういうことも含めまして検討していきたいというふうに考えております。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 阪神大震災で汚染された地下水というのがあるように聞いておりますが、これは飲み水として使われ、しかも健康を害する、あるいは健康を害するおそれがあるといった場合も当然生じてくるわけでございますけれども、明らかに今回の場合は大震災でございますから、クリーニング屋さんが倒壊したといっても、この場合の汚染原因者、負担も含めてその辺のことはどういうふうにこういう非常事態が生じたときに最終的に考えなければいけないか、その辺のお考えをぜひともお聞きしたいと思います。
  62. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 一般論といたしましては、地下水汚染が地震などを契機といたしまして発生した場合でございましても、人の健康を保護する上で必要な場合には、今回の法律改正のことで申しますと地下水浄化の制度の対象となることがあるというふうに考えているわけでございます。  なお、このような地下水浄化の制度に限らず、水質汚濁防止法に基づきます排水規制などは通常生じ得る状態を想定して制定されているものでございます。  このようなことから、法律規制を遵守することがおよそ不可能と考えられる事態、今回の震災のような場合でございますが、そのような事態が発生した場合につきましては、法律の遵守を図るということは前提でございますけれども、個別にその対応検討せざるを得ないというふうに考えております。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 ちょっとまだよく理解できないんですけれども、要するに、汚染原因者が不明で自然災害に起因する場合は、私はやっぱり国が責任を持ってその辺は浄化すべきですし、対応する考えは持つべきだと思うんですけれども、どうでしょうか、その辺については。国という話は出てこなかったわけですけれども、個別に対応するという中にはそういうことも当然含まれるわけでしょうけれども、包括的にその辺の国の対応というのがあってしかるべきだと、私はそう思いますけれども
  64. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) これは今申しましたように、個別にケース・バイ・ケースでやはり対応せざるを得ないというふうに考えているわけでございまして、その対応をだれがするかということになろうかと思います。  その辺は、国でありますとか地方自治体でありますとか都道府県でありますとか市町村であるとか、いろいろあろうかと思いますけれども現実には、かなりの程度地方自治体の方が対応されているケースが多いのではないかというふうに思います。  いずれにいたしましても、ケース・バイ・ケースでこの辺は考えていかざるを得ないのではないだろうかというふうに考えております。
  65. 加藤修一

    加藤修一君 ケース・バイ・ケースと言いますけれども、ケース・バイ・ケースというのは、あってないようなものですよ、考え方が。必然的にならざるを得ないと思いましたけれどもね。もうちょっとその辺コンクリートにした考え方があってしかるべきじゃないでしょうか。  何か基準ができませんか、その辺について。ケース・バイ・ケースというのはあくまでケース・バイ・ケースですよ。共通な大枠の基準があったっていいんじゃないでしょうか。どうですか、その辺については。
  66. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回の阪神大震災のような場合におきますもろもろの対策についてどう考えるかと。これはひとえに地下水対策とか土壌汚染対策だけではなかろうと思います。他の一般的な話にも及ぶんだろうと思います。そのような対策すべてについてどのように考えるべきかということにつきまして、このような通常考えられないような阪神大震災の事柄につきましてどう考えるかということにつきましては、やはり全体的な立場からこれは考える必要があろうかと思っております。  そのようなことで、地下水だけの問題ではなかろうというふうに考えております。
  67. 加藤修一

    加藤修一君 十分理解できませんので、この辺の環境問題について御見識の深い大臣の方から御答弁をお伺いしたい、そのように思います。
  68. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 余り歯切れのいい答弁ができないんですが、ケース・バイ・ケースというふうに局長が申し上げたのは、例えば震災の規模だとかあるいはそのもたらす影響などについて一律にそのことを特別措置法みたいな形で決めることはいかがなものかということで答弁をしているんだろうと思うんです。  ただ、それだけの激甚災害といわれる場合に、ある種の特別立法が必要なケースがございます。これはもう御案内のとおりであります。だから、その特別立法などの中にそれらのことも含めて考慮されることがあり得るというふうにお考えをいただきたいと思うんです。  つまり、一般論で枠組みを、フレームをつくってしまうにしてはいろんなケースが考えられる。そのいろんなケースについて一律に、国が負担をするならするというふうに決めてしまうことはいかがなものかと。震災の規模やあるいはその影響などによって、特別立法などを含めて震災全体の対応をしていく中の一つの項目として、重要な一つの項目として考えられるべきではないか、こんなふうに思いますので、御理解をいただきたいなというふうに思います。
  69. 加藤修一

    加藤修一君 十分頭が整理されませんが、私は非常に大枠の議論をしているんであって、全部細かく網をかけてやるべきだという話をしているわけじゃなくて、基本的な原理的な面についてはやはりあってしかるべきじゃないかなというふうに思っております。その点については十分検討していただきたい、そのように思います。  それと、土壌汚染されたケースが、先ほども申し上げましたように数十カ所あるということですけれども、この汚染された土壌を除去する法的根拠はあるのかないのか。汚染されたものはいち早く除去すべきだと私は考えるわけでございますけれども、その辺についての法的な整備体制はどういうふうになっておりますか。
  70. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 実は、土壌汚染対策でございますが、農用地につきましては農用地土壌汚染防止法という法律がございます。この法律によりまして客土等いろいろな対策が行われておりまして、かなりの程度が整備されているという状況にございます。  ただ、市街地の土壌汚染対策につきましてはこのような法律、制度はございません。そういうことで、実は環境庁といたしましては、土壌環境保全対策懇談会というのを設けまして約三年間にわたりまして検討をいたしてきました。  昨年の六月にその懇談会の中間報告をいただいたところでございますけれども、その報告の内容につきましては、まず一つは、費用負担のあり方でありますとか実施主体でありますとか、それから対策の発動要件でありますとか、特に土壌汚染につきましては地下水以上に非常に難しい問題が多々ございます。また、既に同じような制度のございますアメリカのスーパーファンド法などにおきましても相当の問題が現在出てきているというような状況にもございます。  そのようなことでございますので、もう少しいろいろな角度から諸外国の事例などもよく検討した上でこの問題につきましては調査検討していく必要があるのではないかというような報告を受けておりまして、環境庁といたしましても、事柄の重要性はよく承知しておりますが、今後の検討課題にさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  71. 加藤修一

    加藤修一君 今の御答弁の内容につきまして考えさせていただきますと、こういう理解でもよろしいでしょうか、土壌汚染防止法、これをぜひとも近い将来つくりたいと。
  72. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 環境庁といたしましては、土壌汚染防止法というのが、できますれば今後の検討課題にしていきたいというふうに考えております。  ただ、今申しましたように、その前提となりますいろいろな問題がございます。実施主体の問題でございますとか費用負担の問題でございますとか、またスーパーファンド法にございます基金のあり方でございますとか基金の集め方、いろいろ難しい問題がございます。そのようなことでいろいろ検討すべき課題が多々ございますので、それらにつきまして検討した上で、今先生言われました土壌汚染防止法なるものにつきましてもそういうことの中で検討していきたいというふうに考えております。
  73. 加藤修一

    加藤修一君 この土壌汚染防止法というのができるならば、水、空気、それから土壌という形で、いわゆるクロス汚染についても包括的に対応できるような法体系が整備されると私は思います。もちろん細部に至っては詰めていかなくちゃいけないと思うわけでございますけれども、ぜひともこの点につきましても近々法案化されるように強く要望しておきます。  それでは次に、在日米軍基地の問題に参りますけれども、この水質汚濁防止法の適用範囲についてですけれども、基地外のところから汚染物質が流れて、それが在日米軍基地の中に伝わって汚染を生じている、あるいは被害が生じている、そういう場合には当然対象になるわけでございますけれども、逆に米軍基地の方から、我が国と言うとおかしいんですけれども、入ってきた場合、汚染になるようなことがあった場合一体どうするか、そういうことなわけです。  それで、昨年十一月に返還されました米軍基地跡、そこからいわゆる汚水処理槽の汚泥をチェックしてみたら安全基準の三倍を超えるカドミウム、水銀、そういう有害物質が検出されたと。カドミウムは汚泥一キロ当たり云々ということで、かなりの有害物質が、十一物質でございますけれども、ドラム缶に直しますと六百本分に相当する、そういう現実がございます。  こういった汚染源が明らかに米軍の基地の中にある、こういう場合は環境庁としてはどういう対応のとり方が考えられるんでしょうか。これ至急調査ということにだってなるわけですよね。調査できますか。米軍に申し入れすることが可能ですか。日米地位協定の中では確かに環境委員会というのがあるんですけれども、私は今までその辺についていろいろ勉強させてもらった関係上、どうもスピーディーなレスポンスがないというふうに沖縄の方々からも伺っている。これについてはどのように環境庁はお考えでしょうか。
  74. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生が先ほど言いましたことは沖縄県の恩納村の通信所の話だと思いますが、これは返還された後の土地の話でございまして、現在これは防衛施設局が所有しているというものでございまして、ちょっと違う事柄かとは思いますが、ただ、これにつきましては大臣の方から相当防衛施設局の方に申し入れをしていただきまして、環境庁としてはかなり強く申し入れをしているところでございます。  なお、後の話でございますが、先生御承知のように、在日米軍基地に起因します地下水汚染などが生じた場合には、我が国の環境法令などに照らしまして問題があると考えられる事実が認められる場合には、環境庁といたしましては、日米合同委員会のもとに設置されています環境分科委員会の場を通じまして、外務省でありますとか防衛庁等でありますとか、関係省庁とも連絡を密にしながら必要な対応をとってきているところでございます。  今後とも、米軍基地及びその周辺の環境保全のため、米軍による措置が適切かつ迅速に行われるように必要な対応を図ってまいりたいと考えておりますし、また、迅速に行われていないのではないかというような御批判に対しましては、今申しました環境分科委員会だけではなくて、個別の環境問題ごとに実務担当者によります専門家会合を設けておりまして、これは相当頻繁にやっております。  このようなことを通じまして、米軍に対しまして、速やかな対策が講ぜられますように必要となる技術上の助言などを行って、言うなれば少しでも早く対策が立てられるように米軍の方とも協議を続けていきたいというふうに考えております。
  75. 加藤修一

    加藤修一君 確かに、御答弁の中で指摘がありましたように、返還された基地でございます。  ただ、この返還された基地、返還されてから間もないわけでございますから、明らかにそれは米軍のさまざまな活動によって生じた疑いは十分あり得るということから考えていきますと、現在米軍が使っているほかの基地においてもこれに似通ったことが当然考えられるわけでございますから、至急それについては調査を、私は環境庁がする能力を持っているならば、というのは、条約とかいろいろございますので。そういった面から、至急やるべきであるというふうに強く要望したいと思うわけでございます。  それで最後に、時間がございませんので大臣にお聞きしたいわけでございますけれども大臣にお聞きする前にもう一点、今回の法律改正案の施行期日が何ゆえ平成九年四月一日ということで一年後であるか。半年後でもよろしいんじゃないでしょうか。私はごく常識的な人間でございますから、何で一年後という話になるのかなというふうに理解してしまったわけですけれども、その辺よろしくお願いします。
  76. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今度の改正法案におきましては、事故時の措置といたしまして、従来の特定事業場のほかに新しく貯油事業場というのを制度の対象としております。先ほども答弁いたしましたように、これは特定事業場じゃなくて、言うなれば排水をしない事業場、貯油事業場ということで新たなものでございます。このように新たな事業場の設置者に対しまして制度の趣旨を徹底するという必要が一つあるということのほかに、また例の浄化措置の命令に関しましても事業者に対する周知を図るということと、もう一つは、そのために制度を運用いたします都道府県に対しましても十分その制度運用方針の徹底を図る必要があるというようなことも考えまして、十分な期間をとった方がいいのではないか、それによりまして円滑な実施を図ることができるのではないだろうかというようなことがございまして、実は施行日を平成九年の四月一日というふうにしているところでございます。
  77. 加藤修一

    加藤修一君 私の全く素朴な疑問でございますけれども環境にかかわる法令に関してはこういうことが多いように思います。誤解かもしれません。  それでは最後に、大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、今まで答弁もお伺いいたしまして、いわゆる今後の土壌汚染、それから地下水汚染対応についてどのようにお考えなのか。  それから、先ほど申し上げました米軍基地の問題でございますけれども、日米地位協定の中に環境項目に関する補足項目、そういったものがあっていいのではないかというふうに私は考えております。これは何も、もしやったとして日本だけという話ではないわけでございます。NATOなんかは、既にドイツでは地位協定の中に環境項目あるいは環境計画にかかわることについて補足項目として取り入れているわけでございますので、私は環境庁としてはそういう申し入れがあってしかるべきではないかというふうに思っております。これが第二点目でございます。  それから第三点目については、先ほど大震災の話を申し上げましたけれども、これについて不可抗力の結果、自分に責任がないけれども原因責任者になりがちである、そういった場合について再度お聞きして私の質問を終わりたいと思います。大臣、どうかよろしくお願いいたします。
  78. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生御案内のように、日米合同委員会のもとには環境に関する議論をする分科会がございまして、これは環境分科委員会と言いまして、実は環境庁からは水質保全局の企画課長が出席をしているわけです。したがって、水質問題についてはこの場所で、かなりたくさんの議事録があるんですが、常時検討をし、議論をしておりますから、その機会に積極的にこちらから問題提起をしていくというスタンスをまず確認しておきたいというふうに思います。  それから、この間の沖縄の先生指摘の問題については、余り時間がずれ込むと沖縄の県民の皆さんにとってみればどうなっているんだということになりかねないと思いましたので、少し異例でございましたけれども、私が直接防衛施設庁に申し入れまして、まず調査をしなさい、そしてそれに対する対策を示しなさい、その上で、県民の皆さんにそうした対策を日本政府としてとるということを明らかにすることによって、基地問題をめぐる沖縄県民の感情あるいはそうした怒りに対して誠意を持ってこたえることが必要だというふうに強く申し入れをいたしまして、防衛施設庁は直ちにそのことに着手をいたしております。そのことを含めて答弁をしておきたいというふうに思います。  それから、今先生さまざまな御質問をいただきましたが、局長からも答弁をいたしましたけれども土壌環境保全対策懇談会というのがございまして、三年間議論をしてきて、去年の六月に中間答申という形でございます。この中間答申の中に、今先生が御指摘になったような事柄も含まれております。したがって、その中間答申をさらにしっかりしたものにまとめ上げていただいて対策を進めてまいりたいと思いますので、どうかその点についても御理解を賜りたいと思います。  申すまでもないんですけれども土壌環境というのは国民の生活やあるいは生産の基盤であって、また地下水生態系における健全な水環境を構成する重要な要素だということは先ほども私が申し上げてきたところでございます。  地下水について水質汚濁防止法に規定される有害物質地下浸透規制制度に加えて今回の制度を創設するということでございますから、ぜひ先生には前向きにひとつ受けとめていただきたいなというふうに思うわけでございます。水質保全に関して一層の努力をしていかなきやなりませんし、地下水に係る環境基準の設定のための科学的知見の充実を一層進めていかなきゃならぬというふうに思っております。  また、土壌環境保全に関して、今回の地下水浄化の制度によって土壌汚染に起因する重要な問題の一つとして対策が進展するというふうに思っておりますので、今後とも皆さん方の御協力をいただきたいと思いますし、私どももこれらの課題について全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ専門的なお知恵やあるいはさまざまな御指摘をお願いしておきたいというふうに思います。  以上でございます。
  79. 竹村泰子

    竹村泰子君 よろしくお願いいたします。  元来、地下水は、比較的一定の温度を保つことができる恒温性というんですか、そして適当なミネラルの含有というすぐれた特性を持っているものだと思います。今のところ、都市用水と農業用水の合計取水量の約一五%が地下水の使用となっており、全国で約三千万人の人々が飲用水として利用しているとされております。  地下水の利用は、地盤沈下などの地下水障害を発生させないような適正な開発、管理のもとに進められるべきであると私は思いますけれども、この法案の提案説明にもありますように、地下水は、一たん汚染されてしまいますと、その流速が極めて緩やかであるなどの理由から、自然浄化力が極めて低い。例えば、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物による汚染全国で千百五十一地域で確認されている。なかなかこれは改善の傾向が見られない。  つまり、汚してしまうとなかなか元に戻すことができない。そのために今回、水質汚濁防止法の一部を改正する法案が上程されているわけですけれども、都市や都市周辺の市街地ばかりでなく、地方のわき水やいわゆる名水と言われる、あちこちにございますが、そこら辺にまで広がってきている。このような人為的な原因による地下水汚染というのは全国に大変物すごい速さで広まっていると言ってもいいかと思います。  その意味では、今度の法律改正は大変いいことなんですけれども法改正とあわせた具体的な対応の強化を図っていかなければ事態は何ら進展していかないというふうな危機感を持って少し質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、地下水汚染実態と、それについて環境庁の認識をお伺いいたします。
  80. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今、先生の方からお話がありましたように、地下水は身近で良質な淡水資源ということで広く利用されておりまして、我が国の水使用量の一五%、それから都市用水の約三〇%が地下水に依存しているというような状況にございます。  これにつきまして先般環境庁調査したところによりますと、地下水の評価基準を超えました地下水汚染全国で千百五十一地域に上っているということが判明しているわけでございます。その原因物質といたしましても、テトラクロロエチレントリクロロエチレン、1・1・1トリクロロエタンなどの有機塩素系化合物が多く、全体の九割を占めているというような状況にございます。  環境庁といたしましては、このような有害物質による地下水汚染は国民の健康を保護する上で極めて重大な問題だというふうに受けとめておりまして、水環境の重要な構成要素として、また身近な水資源としての価値を十分に認識しつつ、その保全に努めていきたいというふうに考えております。
  81. 竹村泰子

    竹村泰子君 認識を伺ったんですが、御存じのように、このような人為的な原因による水質汚染実態は、地下水に限らず、既に私たちが毎日飲んでいる全国水道水中でも多くの有機化合物が検出されております。言ってみれば、水は循環しており、どんな水も必ず人を初め生き物だちの飲用に戻ってくるわけであります。  そういう水資源を扱うのに、我が国では七つの省庁、厚生省、国土庁、通産省、建設省、農水省、林野庁、環境庁と七つの省庁にまたがって、その役割に応じて予算配分がされているというふうに思いますが、その中で規制官庁としての環境庁の役割は大変重いと思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  82. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 地下水水質保全に関して、先生御案内のように、既に有害物質地下浸透の規制を行うなどのいわば未然の防止策というものは講じてまいりました。今回、汚染された地下水浄化措置を新たに設ける、つまり事後的な対策についても整備をするということにしたわけでございます。  環境庁としては、これらの未然防止及び事後の施策を適切に講じてまいりたい。地下水水質汚濁防止を図っていく最善の努力をしていくわけでございますが、地下水水質汚濁防止を総合的に推進するためには、地下水水質汚濁に係る環境基準を設定することが適当だというふうに思っております。そのために、できれば五月中にも中央環境審議会に対して環境基準の設定について諮問をしたいというふうに考えております。  これは先ほど長峯先生の御質問もございましたし、皆さんも恐らくぜひそうしてほしいという気持ちがおありだろうと思いますので、そんなことをお答えしておきたいと思うんです。  いずれにしても、これから地下水の流動あるいは地質構造などの地下水に係る科学的知見を一層充実させて、そしてそのための調査検討を精力的に進めてまいりたいと思いますので、ぜひ前向きで前進をするための法案だというふうにしっかりとひとつお受けとめをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  83. 竹村泰子

    竹村泰子君 これまでも、ハイテク汚染などによって地下水汚染され、その汚染源がはっきりした場合、当該自治体原因者との間での対応が確認されて諸対策がとられている場合もありますけれども、全体的には改善の傾向が余り見られていないのではないかと思うんです。  今回の法改正によって、都道府県知事は、汚染原因者に対して、相当の期限を定めて、地下水水質浄化のための措置をとることを命じることができるという対応の強化を法律で定めてあるわけですけれども、これまでも水質汚濁防止法によって基準が定められていまして、二十三の有害物質に関しては一度汚染が始まってしまうと浄化するのが極めて困難という実情があるわけですね。  一九八八年千葉県の君津市、汚染された水の飲用を余儀なくされた住民に対する検診を後で自治体が行ったというふうな例もあります。自治体が何らかの形をとっているにしても、あるいは君津市のように後でやるとしても、どちらも水が汚染されたことには変わりはないわけでありまして、今後、都道府県に対してどのような具体的な対応を求めていかれるのか、また現在実施されている土壌ガス吸引法地下水揚水法、これらで十分対応できると考えているのかどうかお答えいただきたいと思います。
  84. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回の法制度に基づきます浄化措置の実施主体は都道府県並びに政令市の市長さんにやっていただくわけでございます。そういう意味では、非常に自治体の果たす役割が多いものというふうに考えております。そういう意味で、個々の自治体に対しましては、環境庁といたしましてもいろいろな技術的な支援ないしは指導等を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお、浄化技術につきましては、土壌ガス吸引法並びに地下水揚水法というのが代表的な事例でございまして、これにつきましてはもう既に技術としては普及しているというふうに承知しております。現実に各自治体等で行われております浄化措置につきましても、大体この二つ方法によります浄化措置が相当のウエートを占めておりまして、このほかにもまだいろいろございますけれども、この二つによりまして大概のところが浄化されているということを考えますと、相当普及していると言っていいのではないかというふうに考えております。
  85. 竹村泰子

    竹村泰子君 相当普及しているというふうにお考えのようでありますけれども、これまでも行政によって汚染原因者に対する行政指導、これを行っていたものの、汚染の事実を一般には全く公表せずに、隠していたとは言いませんけれども、公表したくないものはしなくてもいいかなということなのでしょうか。浄化制度の導入とともに、私は情報の素早い公開、それはもう住んでいる人にとっては命の問題でありますから、素早い情報公開が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
  86. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 確かに、地下水汚染に限らず水質保全対策を推進する上で、有害物質の化学的な特性でありますとか汚染実態でありますとか対策技術、それからまたもう一つ汚染サイトの問題もございますが、こういう問題につきまして、地方公共団体を初めといたします関係者に広く情報を提供するということは重要ではあるわけでございます。  そういうことの中で、環境庁といたしましては、これは技術の話でございますが、地下水汚染土壌汚染に関します技術指針を示したということもこの情報提供の一つにはなろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、汚染サイトの問題でございますとか汚染実態の問題でございますとか、このような情報提供につきましては、一つは個人のプライバシーの問題にも関するところでございます。こういう問題につきましては、浄化制度全般ないしは情報公開制度全般の問題、いろいろあると思います、そういう中でひとつ適切に位置づけられていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  87. 竹村泰子

    竹村泰子君 今の答えはおかしいですよね。プライバシーとおっしゃるけれども汚染者のプライバシーを守るのか、住んでいる人の人権を守るのか、命を守るのか、それはやっぱり考えていただかないといけないわけで、今の答弁は非常に不服といたしますけれども、きょうは時間がありませんので次に移ります。しっかり考えなくちゃいけない問題であると思います。今のお話にも関連しますが、地下水汚染が明確に把握された場合でも、その汚染者との因果関係をだれがどのように特定し、汚染原因者をだれがどのように特定するのか。きょう私は、例えば日の出町の問題などとかあるいは先ほど同僚議員から御質問のあった米軍基地の問題であるとか、いろんなことが考えられますけれども、だれがどのようにして汚染者、因果関係を特定することができるのか、その辺をどう考えていらっしゃいますか。
  88. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 汚染原因者の特定でございますが、これは措置命令を課す上で必要不可欠な調査でございます。命令を課すに際してのいわば事前作業に当たりますために、措置命令を行使しようとします都道府県知事が行うわけでございます。  具体的な方法につきましては、先ほど来述べているところでございますが、周辺井戸の水質調査でありますとか、表層土壌調査、周辺工場事業場汚染原因物質の使用状況調査土壌ガス中の汚染物質の濃度測定調査が基本であろうというふうに考えております。さらには、必要に応じましてボーリング調査を行うなどによりまして汚染原因者が特定されるというふうに考えております。
  89. 竹村泰子

    竹村泰子君 そういうふうにすっきりといくといいんですが、すっきりといかないことの方がむしろ多いのではないかと私は思うわけです。  直接この法律とは違いますけれども、これまで多くの汚染の進行によって、地下水汚染源になる幾つかの有害物質について汚染の経路、実態が少しくわかっているものもあります。各自治体ごとにそれらの製造業者や工場に対するいわゆる事前チェックに類するものも行っています。極言すれば、汚染はもとから絶つにしくはないわけでありまして、このような問題に対する啓蒙活動、これは非常に重要だと思いますけれども、どのように考えていらっしゃいますか。
  90. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回の法改正によりまして、従来からの汚染未然防止策に加えまして浄化のための制度を設けまして、地下水対策といたしましては万全を期したというふうに考えているわけでございますけれども、こうした施策を的確かつ円滑に推進していくためには、浄化措置命令等の実施主体となります都道府県を初めといたしまして、事業者関係者の理解を得る必要がございます。あらゆる機会をつかまえまして、法改正趣旨、施行方法等につきまして説明をしてまいりたいというふうに考えております。  また、地下水汚染防止を図るためには、行政施策の適切な運用に加えまして、地下水重要性につきまして事業者のみならず国民全体の理解を得ることが必要でございます。この点につきましても、あらゆる機会をつかまえまして啓蒙普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
  91. 竹村泰子

    竹村泰子君 我々が使っているものすべて、使ったり捨てたりしたものはすべて最後には水に入っていくわけです。それはもう油を初めありとあらゆる化学物質ども地面にしみ込んでいって最後には飲み水に入っていくわけでして、その辺の啓蒙活動というか教育というか、そういうものが本当に私は足りないと、環境庁しっかり頑張っていただきたいと思うわけです。  確かに、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンなど有害性がはっきりしているものもありますけれども、最近の先端産業などで使用しているものの中にはその有害性すらはっきりしない物質がたくさんある。私は今回の水質汚濁防止法改正は前進と考えますけれども現状を見た場合、さらに進んで、既にはっきりしている有害物質、いまだに有害性がはっきりしない物質を使用する製造業者等に対しての対応を強化しなければ、まだまだ事態は大幅に改善されるとは思えないんです。確かに一歩前進ではあるけれども十歩前進ではない、一歩であるというところです。  同じことですが、前述の観点は農薬や合成洗剤などにも当てはまります。CNPのように、私も新潟の場合を追及したことがこの委員会でございますけれども、CNPのように水道水で検出されて後の研究によって発がん性が立証される、初めてそれから禁止されるというような例もあります。ダイオキシンなどはまだ発生原因すらわかっていない。  多くは基準は決めてあるものの極めてあいまいだということで、未規制物質地下水などの汚染がじわじわと進められているというこの実情を、かねてから環境派の議員として御活躍をしてこられました大臣、どんなふうに考えておられますか。
  92. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) おっしゃるとおりに、テトラクロロエチレントリクロロエチレンというふうな問題は、実は私の選挙区の川崎の井戸から発見をされた、そんなところから問題が起こってきた経過がございます。  事ほどさように、いろいろこれから心配しなければいけない有害物質がまだ規制されていないというケースがあるわけでございますけれども、これからできるだけ情報をきちんとつかんで、それで科学的な知見をきちんと集めて、そして人の健康に対する影響というようなものもしっかりと調査をしながら、規制物質を追加していくということが適当だと判断された場合には直ちに追加措置をとっていきたい。そして、今の形に限らないで、常時そういう問題について検討をしていきたいというふうに思っていますので、ぜひひとつその点について御理解を賜りたいというふうに思っています。これでおしまいではない、後から続くを信ずるというわけであります。
  93. 竹村泰子

    竹村泰子君 続くを信じましょう。  九三年三月の法律改正によって、地下水質評価基準はそれまでの十一項目から十二項目ふえて二十三項目となったわけです。それで現在に至っているわけですけれども、先ほど言ったように、CNP同様、例えば現在のところ発がん性は不明ではあっても急性の毒性は明らかにある、例えば燐酸トリフレジル、TCPやら燐酸トリフェルン、TPPなどは水道水からも検出されておりまして、この法律で言ういわゆる人の健康の保護に関する環境基準の項目及び値、ここについてはもっと拡大すべきであると私は思うんです。  なぜかといえば、TCPやTPPは、ほかの難燃剤同様、現在の消費生活の多様化の中では急速に使われており、例えばこれはNHKの番組で以前に放映されたんですけれども、テレビを分解して何が水に溶け出すかということで実験をしたところ、すべてのテレビ部品からTCPやTPPが検出されて、IC基板から溶け出したTPPはかなりの濃度があったということも報告されています。これらのテレビを含む電化製品がごみとなった際にどのような経路をたどるか、これはけさもテレビでやっておりました。  その説明はここでは求めている暇はありませんけれども、個々の電気製品とか最近のハイテクの製品についてやはり環境庁としては調査を進めていかれなければいけないのではないかなというふうに思いますが、これは通告をしておりませんけれども局長、何か御答弁がありますか。
  94. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先と言われましたように、そのような物質につきまして今後知見の集積に努めていくということは大変重要であると思っております。  今回の法律改正地下水汚染対象物質に関して言いますと、先ほど大臣の方からも言ったようなことでございまして、今回の対象としましては、当面人の健康に影響があり、特にまた緊急というような観点から、従来の二十三有害物質ということで考えているわけでございまして、先ほど大臣が申しましたように、今後それ以外のものにつきましても知見の集積をいたしまして、追加することが適当というふうに判断される場合にはまた項目の追加をしていきたいというふうに考えております。
  95. 竹村泰子

    竹村泰子君 私たちの生活はいや応なくハイテクの製品に囲まれており、高度な技術が普及してくるにつれてやはり環境汚染していき、自然から遠く離れていっているというのは非常に皮肉な悲しい現実であるというふうに思うわけです。  時間がなくなってしまいましたので、最後に一問申し上げておきたいと思います。  例えば北海道など、私は北海道に住んでおりますけれども、酪農が非常に盛んです。酪農王国であります。それらのし尿による地下水中の窒素分の上昇、これが問題になっておりますけれども、これをきちんと定量的に調査するまでには至っていない。なかなかこれははかるのが難しいようです。現在、常時監視等の対策が講じられているものの、地下水環境という全体的に見た場合、その環境基準は改定されておらず、それらを改定するためのきちんとした調査も系統的にはなされているとは言いがたい。  北海道ばかりではなく、畜産、酪農というのは全国にあるわけでありますけれども、このし尿処理といいますか、系統的に少しそれらの調査をしていかれる予定がおありかどうか、あるいは現状をどう見ておられるか、お答えを聞いて終わりたいと思います。
  96. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 畜産のし尿処理の現状等につきましては、ちょっと私の方としまして今データを持っておりませんが、多分農水省の方でそのようなデータがあるんではないかと思います。  ただ、環境の問題の関連でいいますと、先と言われました畜産のし尿処理の問題といいますのは、先ほどの問題とも絡むわけでございますが、未規制物質であります硝酸性窒素の問題につながるんだろうというふうに考えております。  硝酸性窒素の問題につきましては、これは確かに地下水汚染ということで一部の地域でその発生が見られておりますし、要監視項目にもなっているわけでございます。また今回、ことしの二月の中環審の答申におきましてもこの硝酸性窒素の問題が取り上げられておりまして、今後の検討課題の一つということになっております。  また、環境庁におきましても、このような中環審の答申を踏まえまして、平成七年度から五年間の予定で現在調査を実施しているところでもございまして、その調査結果などを踏まえながら今後適切な対応をとっていきたいというふうに考えているところでございます。
  97. 有働正治

    ○有働正治君 地下水重要性、その対策重要性は、提案理由説明あるいはこの間の本日の議論を通じても非常に明らかであります。私は熊本県の出身でありますが、例えば熊本市水域、二市十二町四村、人口は約九十万でありますが、生活用水のほぼ一〇〇%を地下水に頼っているということであります。水源のすべてを地下水で賄う水道事業体としては全国最大規模であります。それだけに、関係自治体関係住民もこの問題への対応を積極的に求められている。強い要望も多々出されているわけであります。そういう自治体の要望等を中心にきょうは対応をお尋ねするわけであります。  まず、幾つか事実確認を含めまして法改正と今後の課題の問題から入りたいと思うのでありますが、答弁を通じまして、有害物質による地下水汚染全国で一千百五十一カ所判明している、こういうことが述べられました。そこでお尋ねするわけでありますが、このうち今回の法改正によりまして対策がとられるのはおおむねどれぐらいの地域、箇所になるのか、汚染地域が完全にこれで捕捉され得るというふうに考えておられるのか、そこらあたりをまずお尋ねします。
  98. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回の法律改正によりまして地下水浄化対策を推進しようとしているわけでございますけれども、どのような地域であるかということにつきましては、具体的には、地下水水道水源となっている地域でありますとか、常時住民の飲用として用いられている地域でありますとか、また汚染された地下水公共用水域水質に悪影響を与えている地域などが今回の主な対象になるというふうに考えているわけでございます。  なお、これまで千百五十一の地域について地下水汚染が判明しているわけでございますが、具体的な法の適用地域につきましては、今後、地方公共団体によります調査等を通じて明らかになっていくというものであろうと思います。人の健康保護観点から今後大いに効果を発揮するというふうに考えておりまして、相当の程度はカバーできるというふうに考えております。
  99. 有働正治

    ○有働正治君 相当の程度ということでありまして、まだ漠としている状況があるわけであります。  それといいますのも、汚染地域自体の調査自身も私は完全でないのではないかということを考えるわけであります。総務庁の行政監察等々を見ましてもそういう問題点が指摘されていますし、総務庁の実態調査に基づく、これ抽出調査のようでありますが、そういう勧告によりましても、環境庁として全国浄化対策現状を把握して積極的に対応するよう求めているわけであります。  そういう点からいきました場合に、今回の法改正に基づく対応、やはり未解明地点への対応等々を含めまして引き続き相当努力が求められている、そういう点で積極的な対応が必要だと思うわけでありますが、そこらあたりの心構えなり姿勢なりはいかがでありましょうか。
  100. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生指摘されました総務庁の問題につきましては、実はこの総務庁の勧告を受けまして、平成七年、昨年の一月に全国的な調査を行いまして、今申し上げましたような千百五十一の地域汚染実態が判明したということでございます。  確かにこれは全国都道府県等からの報告をもとにしているわけでございまして、今後ともこのような調査につきましてはその充実を図っていきたいというふうに考えております。そういうことで、汚染地域の把握等につきましては環境庁としても十分これから配慮していきたいというふうに考えております。
  101. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、先ほど局長も幾つか答弁なされましたので、これは大臣の方にお尋ねするわけであります、局長答弁は示されていますので。  と申しますのは、中央環境審議会答申指摘された今後の課題が幾つかあるわけであります。水質汚濁に係る環境基準の設定、適用のあり方の検討、あるいは先ほど答弁局長がなされました硝酸性窒素による地下水汚染の懸念、それの調査なり積極的対応等々、いろいろ課題、今後の問題点について指摘があるわけであります。  大臣も、今度の法改正はいわば第一歩であるという点で対応されるということを述べられたわけであります。先ほど五月に諮問されるということでありましたが、こういう問題はおおむねどれぐらいで環境庁として対応していく方向を求めていくのか。今度の法改正を第一歩にして、今後の課題について速やかに積極的に対応していくという方向はいかがでありましょうか。
  102. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 環境庁として、これからの対策として中環審に五月中にも環境基準の審議をいただくための諮問をしたいというふうに私さっき申し上げました。できるだけ早くということをお答えする以外にないと思うんです。  つまり、中環審は独立して議論をするわけですから、それらのことをあらかじめいつまでにということを申し上げることはできませんが、この法律の施行を一つのめどにして、できるだけ速やかに議論をいただく、こんなことをお願いしたいものだというふうに思っているところであります。できるだけ早く進めてまいりたいと思います。
  103. 有働正治

    ○有働正治君 諸外国のこういう対策を見ましても、もちろん日本の場合と制度その他いろいろ同一に論じられない場合もあると思うんですけれども、オランダあるいはアメリカ等々を見ましても、まだまだ日本はこの地下水対策がやっと緒についたと言ってもいいのではないか。そういう点では、諸外国の先進的な例等々も考慮しながら、速やかに今後の課題を含めまして積極的に対応されるということを求めておきたいと思います。  そこで、汚染除去をめぐる幾つかの問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、対象となる汚染地域について汚染者、原因が特定されているのは大体どれぐらいというふうに見ておられるのでありましょうか。
  104. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 私ども調査した中でございますけれども、全体千百五十一の地域について調査したわけでございますが、その中で汚染原因者が判明していますのは約半分でございます。約五割ぐらいにつきまして汚染原因者が特定ないし推定できるというようなことになっております。
  105. 有働正治

    ○有働正治君 まだまだ対策がそういう点ではいろいろ必要だということだと思うのでありますが、環境庁としてそういう汚染原因調査のため予算措置なり手だてとしてどういうことをとっておられるのか、事実関係だけお尋ねします。
  106. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 環境庁といたしましては、汚染原因者を究明するための調査、これにつきまして平成八年度の予算でもって約五千億近くを計上して——失礼いたしました、五千万円でございます、五千万円を計上いたしまして、これによりまして各自治体原因究明の一層の推進を図るようにしていきたいというふうに考えております。
  107. 有働正治

    ○有働正治君 地方自治体の場合、調査に費用もかかるということで、なかなか原因者の特定が進んでいないというのも現状だと思うんです。  熊本地域の実情を、私も改めて現地へお伺いしまして現場もいろいろ見させていただきましたけれども汚染地域が十六カ所判明していますが、手だてをとって対策をとっているのはわずか三カ所で、十三カ所が未着手という状況です。  例えば汚染対策に着手している東野地区、これはガソリン漏れによる汚染でありますが、原因究明調査にここは約四百万円かかったということであります。それから高平台、ここでは浄化作業開始までに調査費等で六千六百五十七万円余りもかかったということであります。  したがいまして、今政府の予算五千万円と。五千億というのは目標かとびっくりしたのでありますが、どうもけたが違うということがはっきりしたわけでありまして、やっぱり環境行政を進める上で、国、自治体、一体となって進めるという点からいって、そういう地域自治体の苦労も考慮しながら、政府としてもできるだけ枠を広げるなり積極的に対応していただきたいと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  108. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 環境庁といたしましては、この制度の円滑な実施が図られますように、先生おっしゃいますように今後とも努力していきたいというふうに考えております。  また、先と言われました調査費用の熊本県の例でございますが、確かにケースによりましては非常に高いものもございます。ただ、私ども考えまするに、今までのこのような事例といたしましてはかなり実験的な要素の強いものも多うございます。そうしますと、当然ながら費用も高くなるというようなことでございまして、今後このような浄化措置の事例がふえますに従いまして、このような調査費用並びに実施費用も安くなっていくんではないだろうかというふうに考えております。
  109. 有働正治

    ○有働正治君 問題は、国の姿勢を聞いているわけであります。やはり二千万円、三千万円、除去実験経費としてかかっている熊本市の別の事例もあるわけであります。  神奈川県の秦野市の場合は、一九九五年度までに地下水汚染対策に伴う経費として一般会計で六億四千万円、水道事業関係で四億二千数百万円、合わせて十億六千三百万円余りがかかっている。そのために、九五年に水道料金が二〇%値上げされた理由一つともなっているわけであります。  そこで、私は自治体側からいろいろ要望を受け取ったわけでありますが、熊本市では、環境庁に対しまして、地方自治体が行う地下水汚染回復対策に対する財政的支援措置が何らかお願いできないだろうかと、こういう強い要望でありました。同じく秦野市からも、調査費用に対する助成制度を確立していただきたい、浄化対策事業に対する助成制度を確立していただきたい、浄化技術を開発していただきたい等々の要望。また、環境対策を各自治体とも強めていまして、それを分析する機械等に費用が相当かかる、その整備に対する財政援助等々も何とかできないだろうか、こういう要望もあるわけであります。  こういう自治体側としての苦悩、要望、ここらあたりについてどのように考えておられるのか、お尋ねします。
  110. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 有働先生指摘のとおりでございますが、今回の制度が円滑に運用されるためには、地方公共団体が行う調査への助成、それから汚染原因者、特に中小企業への技術的な支援、それから浄化費用の低減のための装置の汎用化など、さらなる技術の開発が私どもとしても必要だというふうに思っております。  これらのことを通してこの法律の円滑な運営を図ってまいりたいと思いますが、私も実は局長から伺ったんですが、秦野市の場合などは器具を自治体が持っていて、そして、言ってしまえばレンタルみたいな形で、それで無償で貸して対応しているというようなことを聞きました。私はこれは非常にすばらしい一つの制度だというふうに思います。  だから、そういう事例をやっぱり全国にできるだけ宣伝をするというか、そういうやり方がありますよということを自治体の皆さんにもわかっていただく、そのための努力もしてまいりたい、こんなふうに思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  111. 有働正治

    ○有働正治君 原因者負担の原則、これは当然だと私ども考えるわけでありますが、例えばトリクロロエチレン等は三十年以上も前から広く脱脂洗浄剤、溶剤として使用されて、クリーニング業界などは非常に便利なものと、燃えずによく落ちてすぐ乾くということで広く使われてきたわけであります。それが、昭和五十年代後半からこれらの物質による地下水汚染問題がクローズアップされて、平成元年規制対象となった経緯があるわけであります。つまり、国による規制平成元年からでありまして、それまで事実上放置されてきた経緯があるわけで、そういう点ではやはり国の責任もあると思うわけであります。  今回の改正で、さかのぼって汚染者、原因者として除去措置をとらせるということになりますと、果たして当事者だけで済む問題か、こういう問題もあろうかと思うわけであります。国の責任も免れないという問題もあるわけであります。同時に、こういうクリーニング業界等々は中小零細、個人の経営等々が多々あるわけでありまして、実際問題として、原因者がわかっていても実際処理できないということも起こり得るということも考えられるわけです。ほかにもいろいろ事例があると思うのであります。  したがって、この法の運用に当たりましてこういう問題についてどう考えているか。なかなか自治体としても苦慮しているというのが実際なんです。その点で、どう考えておられるのかが一つ。  それから、大臣もおっしゃられたんですけれども、秦野市の例、これは私も非常に重要な一つの参考例と。ただその際、秦野市も先ほど申しましたように、これこそ億単位の金を使って相当自治体負担が大きい。そういう点からいっても、国が除去その他について助成措置を何とかもっと広げて充実させていただきたい、こういう要望なんです。その点、二つについてお尋ねします。
  112. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 確かに先生おっしゃいますように、今回の浄化対策を円滑に進めていく上におきましては、中小零細企業対策をどうするかという問題が一つ大きな問題だろうというふうに考えております。  そういうことでございますので、今先生がおっしゃいましたように、例えば秦野市などの例にございますように、秦野市などの場合におきましては施設の方を無償貸与いたしまして、事業者の方は言うなれば電気代でありますとか活性炭などのランニングコストだけを負担する。そうしますと、非常に簡単な場合ですとほんのわずかな金額で済むというようなことも聞いているわけでございます。  そういうことを広く各地方自治体でもって行っていただくために、私どもとしましてもどのような支援方法があるかということでございますが、そのような方法が少しでも広く広がるように、今後予算措置の中でも我々としても考えていきたいというふうに思っております。
  113. 有働正治

    ○有働正治君 環境事業団の問題、事実確認を一つだけ行いたいのでありますが、民間事業者土壌汚染防止し、または除去するための事業についての融資制度が設けられているわけでありますが、九二年十月一日から土壌汚染に関連して地下水汚染対策事業についても融資対象となっているわけであります。この地下水汚染対策事業の融資のその後の実績はあるのかどうかだけ、事実関係
  114. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 今、先生おっしゃられたように、平成四年の法改正で新たに設けられた制度でございますが、今日まで融資実績ございません。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねします。  先ほど大臣も述べられたのでありますが、私ここに全国市長会からの要望事項、環境保全に関する要望を受け取ったわけでありますが、その中で、繰り返すようでありますが、地下水汚染等に対処して水質測定調査及び汚染源解明調査を強化するとともに、その経費に係る補助制度を拡充していただきたい、また、汚染された地下水浄化事業等を推進するため、助成制度を創設し、浄化技術の確立を図っていただきたい。全国市長会、各地方自治体、地方団体、それぞれ環境行政の重大性にかんがみ、またこういう地下水対策の重大性にかんがみて積極的に対応していく、また今度の法改正に基づいて積極的に対応していく意向、これは十分あるわけであります。  それにかんがみまして、それにしても膨大な費用がかかる。今地方財政、非常に深刻なものであります。国、地方を挙げてやる上で、国としてもう少し御配慮いただきたいという要望を市長会としても出されているわけでありますから、ここらあたりについて、やっぱり大臣、いろんな方策を含めまして積極的に考えていただきたい。先ほどの五千万の予算だけじゃどうしようもないというのが実態なんです。  それから、先ほど答弁がございました環境事業団のこういう融資対象が今なお融資実績はゼロというのは問題なしとはしない。やっぱり融資実績が上がるように必要な制度改正なりもっと充実した対応等が求められる。これも一つの手だてではないかと思うのでありますが、時間が参りましたので、あわせて大臣の方からお願いしたい。
  116. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 有働先生から激励をいただきまして大変ありがたいのですが、率直に申し上げて環境庁の予算も七百億台でございまして、地方自治体も大変厳しいんですが、我が方も大変厳しい状況なんです。これは党派を挙げてどうかひとつ御協力をいただいて、やっぱり環境庁の予算がこんな状態では環境行政どこまでやれるかという心配が皆さんの気持ちの中にもあるだろうと私は思いますので、その点はまず御理解をいただきたいと思います。  それで、自治体の要望に対して可能な限り私どももこたえていかなければいけない、法律という制度を発足させる以上は、今先生が御指摘をいただいたような点を含めて対応していかなければならないというふうに思っているところでございますので、どうぞその点も御理解をいただきたいというふうに思っております。  それから、環境事業団のケースは、今日までなかったのにはそれなりの何か事情みたいなものがあったようでございますから、これから制度の周知徹底を図るために事業団の方にも努力をするようにということを要請してまいりたいというふうに思っております。その点で、こういう制度というものがあるということを周知徹底させるための努力を私どもとしてやってまいりますので、今後ともぜひそんな意味で御指摘をいただければというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  117. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾でございます。先ほどの質疑で私も質問通告していた大半が出ましたけれども、重複をお許し願って、改めて御質問を何点かしたいと思います。  環境庁の予算が七百億円と聞いてちょっと私も聞きづらくなりました。先ほどから地方自治体への支援策、今回の法改正によって充実強化されるのかということを私も聞きたかったのですが、今回の平成八年度の、今年度の予算措置で、先ほど水質保全局長が、夢でしょうか、五千億と言っていました。五千万円で、大変足りない。それから、一回目の質問の中ではこの金額をおっしゃらなかったわけです。いかに苦労されているかということを私は実感いたしました。  さて、何点か質問させていただきたいと思いますが、先ほど来の質疑の中で、地下水浄化方法として土壌ガス吸引法それから地下水揚水法がある、ほとんどの有害物質はこれで大丈夫だという御答弁がありましたけれども、この重立った二つ方法で、それでも除去できない、あるいは除去しにくい有害物質というのは存在するのかどうか、まずお教え願いたいと思います。
  118. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 土壌ガス吸引法でありますとか地下水揚水法は、どちらかといいますと有機塩素系化合物の系統のものが中心になるのではないだろうかというふうに考えております。重金属系のもの等につきましては、またそれぞれ対応する方法があろうと思っております。  地下水揚水法土壌ガス吸引法のほかに、かなり実験的なものでございますが、バイオレメディエーション法でありますとかエアスパージング法とかいろいろございます。今ありますあらゆる技術を活用いたしまして、いろいろな有害物質によります地下水汚染対応するよう、環境庁としても指導していきたいというふうに考えております。
  119. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 環境庁等の調査トリクロロエチレン等の有害物質全国で千百五十一カ所発見されたと。それから、これは水道水源の水質保全に関する有識者懇談会の資料なんですけれどもトリクロロエチレン基準値を超えたものが九十四カ所、これは水道汚染でございます。というふうに報告されておりますけれども、この千百五十一カ所、人のいわゆる飲み水、飲用に直接関係しているのは何カ所ぐらいあるのか。そしてその浄化対策、いわゆる飲用に関する箇所でございますけれども、進んでいるのかどうか。  それからもう一点、こうした浄化対策が進んでいないとすれば、今回の法改正によってどのような場合に改善命令が出せるのかどうか伺いたいと思います。
  120. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 千百五十一の地域のうち飲用としてどれだけ使っているかという御質問だろうと思いますが、ちょっとはっきりとしたデータは今手元にないんですが、承知している限りでは、約半数近くのところが何らかの形でもって飲用水として使っている地域ではなかろうかというふうに考えています。  それであと、そういう地域に対しましてどのような対策がとられているかということでもございますが、現在の段階では、千百五十一のうち約二百ぐらいの地域について対策がとられているというふうに承知しております。
  121. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ということは、飲用に関係するところはなかなかこれは該当数がわからないところもかなりあるということで、それから二百カ所ぐらい押さえているということで、まだまだ飲用に対して浄化対策が進んでいないというふうに理解してよろしいんですか。
  122. 嶌田道夫

    ○政府委旦(嶌田道夫君) まず、今申しました千百五十一のうち何らかの形で飲用水として利用しているというのは、約五百と言いましたが、失礼いたしました、大体三百弱でございます。正確には二百六十一という地域でございます。  それから、対策でございますが、先ほど言ったようなことでございますが、まだ千百五十一を調べました時点におきましては、これは平成五年度末の調査でございまして、今回の法律改正ができますなれば、一つ制度として非常に浄化措置を行う大きな励み、ステップとなるものでございます。そういう意味で、今回の法律改正が行われますなれば、相当の地域でもってこの対策がとられることになるのではないかというふうに考えております。
  123. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 常時監視の箇所が全国で四、五千カ所と聞いておりますけれども、人の飲み水、飲用に関係する地下水がほぼこの四千あるいは五千カ所の中で監視下に置かれていると考えていいわけですか。まだまだ調査しなきゃいけないということなんでしょうか、現況でございますが。
  124. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 確かに現在は地下水につきまして常時監視、先生おっしゃるような数につきまして監視しているわけでございます。この監視のところにつきましては必ずしも現在飲用に供していないところもあろうかと思いますけれども、大体監視している地点におきましては、かなり数多い中の観測地点でございますので、かなりの程度飲用に供している割合が高い地域であろうというふうに考えております。
  125. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 地下水調査というんですか、飲用の調査というのは大変難しいということはいろいろ聞きまして、頑張ってください。  次に、中環審はことしの二月二十日に水質浄化対策のあり方を答申いたしました。この中で、水質汚濁防止法に定められた二十三の有害物質以外の硝酸性窒素による地下水汚染が懸念されているという指摘がございます。その汚染の解明はどうなっているのか伺いたいんですが、この汚染実態がなかなかつかめないようでございます。農業関係の窒素肥料の関係が特に犯人ではないかと。水に溶けて硝酸性窒素になる。しかし肥料は使わなきゃいけないというような状況の中で汚染の解明はどのようにやっていかれるのか、端的にお答え願いたいと思います。
  126. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 硝酸性窒素によります地下水汚染につきましては、一部の地域でその発生が見られておりまして、この地域では肥料等に起因するものが多うございますが、必ずしも農業だけではございませんで、生活排水などによるものもあるわけでございます。  今、先と言われましたように、ことしの二月の中環審の答申におきましても硝酸性窒素による地下水汚染対策は課題の一つとして掲げられておりまして、汚染機構でありますとか対策手法に関しましてなお調査や知見の集積が必要であるというふうにされているわけでございます。  環境庁におきましても、このような指摘を踏まえまして、平成七年度から五年間の予定で調査を実施しておりまして、その調査結果を踏まえながら今後適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
  127. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほども質問がございましたけれども、ハイテク産業、先端技術産業の水汚染についても御質問がございました。先般の大臣の所信の中でも私は、ハイテク、いわゆるマルチメディアシステムが環境負荷を軽減する、それと同時に、その機材であるいわゆる半導体を含めてそれが汚染原因になっていると、まことに皮肉な状態になっておることは前回も指摘したつもりでございます。  端的に、日本列島全国各地に半導体等のいわゆる先端技術産業が根をおろして営業しているわけでございますけれどもトリクロロエチレン等の水質汚濁に対する防止策というのはどのようにとられているのか。
  128. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) おっしゃいますように、ハイテク産業を初めといたしまして、近年におきます多種多様な化学物質の生産、使用の拡大に伴いまして、これらの物質によります水質汚濁防止し、国民の健康を保護するというようなことが大きな課題となってきているわけでございます。  環境庁では、このような水質汚濁問題に対応するために、工場等の排水規制対象物質トリクロロエチレンテトラクロロエチレンなどの有機塩素系化合物を逐次追加いたしまして、公共用水域への排出、それから地下への浸透に対する規制を実施してきたところでございます。また、あわせて水質の常時監視も行ってきたところでございます。  今後とも、これらの水質汚濁防止法の適切な運用を図っていくということによりまして、有機塩素系化合物によります水質汚濁防止対策を推進していきたいというふうに考えております。
  129. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 続いて、水道汚染、飲料水の安全性についてちょっと二、三質問させていただきたいと思います。  一九七四年、アメリカ・ニューオーリンズ州の水道水、これが発端となったんですが、八十二種類の有機化合物を確認、中でもトリハロメタンの一つのクロロホルムを高濃度に検出したということがございました。トリハロメタンは、いろいろ聞いてみますと、浄水過程の塩素処理に伴って生成されるということでございます。  厚生省の一九九四年度の水質調査発がん性が懸念されているトリハロメタンの濃度が高いと指摘された要注意の水道事業体が前年度に比べて二倍以上にふえたと。この対策はどうなっているのか。これは水道水源へ生活排水が流入したことや西日本などの渇水が原因一つであろうと言われているんですけれども、これは厚生省ですね。
  130. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 水道水中のトリハロメタン濃度についてのお話でございますが、先生指摘の新聞記事では、おっしゃいますように前年度の二倍強というようなことになっております。具体的に現時点でのまとめた数字を申し上げますと、平成六年度中に全国水道事業体が行いました水道水中のトリハロメタン濃度の検査結果につきましては、調査した千九百四十六カ所の水道のうち、水道水の水質基準に適合していないところが六カ所、残りの千九百四十カ所は基準に適合しておりました。  ただ、新聞にも載りました要注意という意味でございますけれども、私どももトリハロメタン対策のアクションをとる一応の目安といたしまして、基準値の七割を超えたところでそれ以上ふえないように対応していくということが大事であろうということで、基準値の七割を一つのラインにしまして整理をしておりますが、この六年度の結果をそういう目で見ますと、先ほど申し上げました千九百カ所余の中で、基準超過の六カ所以外に百十九カ所がこの七割のラインを超えていたということでございまして、これらの水道につきましては、既に都道府県を通じて、あるいは個別に指導いたしまして、現時点では七割を下回るレベルまで来ているという状況でございます。
  131. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 水道水源の水質汚濁が進んでいる中で、特にダムの貯水池や湖や沼などの富栄養化が進んでカビ臭さなどの原因になっている。それで、一部の水道の水が大変まずいという指摘がございます。  私も今、清水谷宿舎に住んでいるんですけれども、札幌と行き来して東京と北海道で何が違うかといったら水のまずさでございます。これはミネラルウオーターが売れる理由がもうはっきりとわかります。こちらの水は若干いいのかなと思っておりますけれども。  ただ、この中でちょっと、一九八五年、昭和六十年の四月に、これは十一年前でございますけれども、厚生省のおいしい水についての報告書、私手に入れたんです。あるんです。こうやってやればおいしい水になると十一年前に研究されておるんですが、さっぱりおいしくならないんです。いろいろ原因はあろうかと思いますけれども、せっかく十一年前に研究会をスタートして、いろいろ書いてあるんですけれども、これはどうなったんですか。おいしくないですよ。
  132. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 先生お話しのように、水道水につきましては、主に水源の水質汚濁に起因いたしまして次第に水の味やにおいが悪くなってきているという状況がございます中で、昭和六十年にはおいしい水研究会というものを厚生省に設置いたしまして、こうした状況下でどういうふうに対応していったらいいかということを御検討いただきました。そのときに、おいしい水の要件というものも同研究会で報告をしていただきまして、それを目安に水道水の不評をできるだけなくしていく施策を進めていこうということでございます。  このおいしい水の要件というのは、実は平成四年に水道水質基準を全面改正いたしました際に、この研究会の成果を踏まえまして快適水質項目ということで定めて取り組んできているわけでございます。  具体的に、原因物質などを除去するためのことが一番大事になるわけでございまして、特にカビ臭などにつきましては高度浄水施設の整備ということを水道で進めることによりましてかなりおいしいといえる水になるものですから、昭和六十三年に国庫補助制度も整備をいたしまして、その後、東京でありますとか大阪の各水道に逐次こういった施設の整備が進められておりまして、おっしゃるようにまだ完全な状況にはなっておりませんが、全国的にも次第に、異臭味と言っておりますが、異臭味の影響を受ける方々の人口も減ってきております。  こうした施策を今後ともしっかりと進めていくよう努めてまいりたいということでございます。
  133. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そんな難しく考えず、いろいろあるんですが、おいしくないから。これは、おいしいというのはやっぱり水道水源が汚染されてないということもあるわけです。これは当然だれが考えてもわかるわけです。  それで、ひとつ厚生省それから長官、大変興味おありだと思いますけれども、住専に多額な公的資金を投入したってだめだと私はここで言いませんけれども、少なくとも、おいしい水を飲んでいただきましょうという、そのぐらいの研究開発費ぐらい少しとっても国民の皆さんは私は怒らないと思うんですが、それについてちょっと長官、どうですか。
  134. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) いろんな努力をしているわけですが、一方で水源地の汚染やら、それから、そういうふうに言うとしかられるかもしれませんが、やっぱり利根川の水質というものが実は東京の水道には非常に深いかかわりを持っているものですから、上流から下流までそれらのことも含めたいろんな対策を講じていくことが必要だなというようなことを私も提言したことがございます。  それらのことがございますので、今後、東京都民の水といえば本当にたくさんの人口の飲料水でもございますから、何らかの対策を講じていかなければならぬという気持ちで対応してまいりたいと思います。
  135. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 残り時間一分しかなくなりました。  厚生省、最後に一つ。昨年来、外国産のミネラルウオーターが大変問題になっております。この対策、簡単に一言だけ伺って私の質問を終わります。
  136. 森田邦雄

    説明員(森田邦雄君) ミネラルウオーターにつきましては、昨年九月、異物混入等の事例がございまして、その後、各都道府県、検疫所を通じまして、国内、輸入物について監視を強化しておりましたが、昨年の十二月現在で国産品十三銘柄、輸入品三十二銘柄、合計四十五銘柄に異物混入等の事例がございました。  こういう問題を私ども重要に受けとめまして、研究班を設け、この防止対策として、汚染原因は何か、また防止体制をどうしたらいいのかというような研究班の研究報告をいただきまして、それに基づきまして、国内あるいは輸入時の監視強化あるいは輸出国に対する汚染防止等についての要請をしておるところでございまして、現在のところ、その後違反事例は発生しておりません。今後とも違反のないように対応してまいりたいと思っております。
  137. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  139. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、ただいま可決されました水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、参議院フォーラム及び新社会党・平和連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、地下水保全対策の総合的な推進を図るため、地下水水質汚濁に係る環境基準を早急に設定すること。  二、硝酸性窒素等未規制有害物質による地下水汚染に関して、その健康影響汚染機構、対策手法等を十分調査するとともに、その結果に基づき、必要かつ適切な措置を講ずること。  三、汚染原因者が不明等の場合における浄化対策の実施主体、費用負担のあり方等について検討を行い、改正法の施行状況を踏まえつつ結論を得るよう努めること。  四、汚染源究明調査を実施する地方公共団体に対して、技術的援助等適切な支援措置を講ずること。  五、地下水汚染と密接に関連する土壌汚染についても、総合的な浄化対策制度の確立に向けて引き続き検討を進めること。  六、地下水の状態に係る科学的知見の充実に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  140. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 全会一致と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、岩垂環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩垂環境庁長官
  142. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。  ありがとうございました。
  143. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会