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1996-02-28 第136回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十八日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月二十一日     辞任       補欠選任      大脇 雅子君     竹村 泰子君   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 狩野  安君                 河本 英典君                 釘宮  磐君                 竹村 泰子君     委 員                 石川  弘君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 長峯  基君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 馳   浩君                 足立 良平君                 畑   恵君                 広中和歌子君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 有働 正治君                 中尾 則幸君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君    政府委員        環境庁長官官房        長        田中 健次君        環境庁企画調整        局長       大西 孝夫君        環境庁企画調整        局環境保健部長  野村  瞭君        環境庁大気保全        局長       大澤  進君        環境庁水質保全        局長       嶌田 道夫君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    中島 勝利君        北海道開発庁水        政課長      平野 道夫君        経済企画庁調整        局財政金融課長  内村 広志君        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課原子力安        全調査室長    片山正一郎君        環境庁長官官房        審議官      菊地 邦雄君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        加茂川幸夫君        厚生大臣官房厚        生科学課長    篠崎 英夫君        資源エネルギー        庁長官官房企画        調査課長     掛林  誠君        資源エネルギー        庁長官官房省エ        ネルギー石油代        替エネルギー対        策課長      河野 修一君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全企        画審査課長    辰田 昌功君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      三代 真彰君        郵政省通信政策        局政策課環境企        画室長      武内 信博君        労働省職業安定        局雇用政策課長  青木  功君        建設省河川局治        水課長      土屋  進君        建設省河川局開        発課長      竹村公太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全基本施策に関する件  )     —————————————
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、大脇雅子君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子君が選任されました。     —————————————
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹村泰子君を指名いたします。     —————————————
  5. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 馳浩

    馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。よろしくお願いいたします。  本日は、湖沼水質汚濁対策についてと、環境教育についてと、環境影響評価制度について、三つについて質問申し上げます。  まず、湖沼水質汚濁についてですけれども有機成分による水質汚濁指標としてBODあるいはCODという水質指標があるということでございますけれども、このBODあるいはCODというのはどういうことでございましょうか、その簡単な説明をお願いいたします。
  7. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) BODといいますのは、これはバイオケミカル・オキシジェン・ディマンドといいまして、言うなれば、BODの場合には生物によりまして汚濁を分解するときに水中に含まれている酸素をどれだけ必要とするかということでありますし、それからCODの場合にはケミカル・オキシジェン・ディマンドといいまして、化学的物質によりまして汚濁を抑止する場合にどれだけの酸素を必要とするかということで、BODの場合には通常河川で使っていますし、それからCODの場合につきましては湖沼それから海域について使われております。
  8. 馳浩

    馳浩君 そのBODCODの数値が高ければ高いほど汚濁は進んでいるというふうに理解してよろしいですね。  これについて環境基準というのがあるそうでございますけれども平成六年度の環境基準達成状況というものを見たときに、河川に関しては六七・九%、海域に関しては七九・二%、しかしながら湖沼に関しては四〇・六%と著しく環境基準達成状況は低いということでございます。  これに関連して、人の健康に有害なカドミウム等健康項目環境基準達成率は九九・六二%、ほとんども達成している。しかしながら、湖沼においては生活環境項目COD達成率が四〇・六%と著しく低いということ、これはなぜでしょうか。また、この達成率を上げるために現在まで行っておられる対策は何でしょうか。
  9. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先と言われましたように、健康項目につきましてはほとんど達成しております。生活環境項目についてでございますが、全国公共用水域におきますBODまたはCOD環境基準達成状況は御指摘のとおり余り改善が進んでおりません。特に湖沼につきましては、平成六年度におきましては四〇・六%と低い状況になっております。これは湖沼など閉鎖性水域一般の現象でございまして、特に閉鎖性水域におきましては水が滞留して汚濁物質が蓄積しやすいという特性がありますことと、それから湖沼におきましては産業排水よりも生活排水汚濁負荷がかなり高い割合を占めているという事情がございます。  このようなことから、工場事業場からの排水だけではなくて、生活排水対策重点を置きまして汚濁負荷の総合的な削減を現在図っているところでございます。  具体的には、産業排水対策としましては、水質汚濁防止法に基づきます排水規制だけではなくて、湖沼法に基づきます小規模事業場につきましても排水規制を行うなど、湖沼全般につきまして汚濁負荷量の総合的な削減を図っているところでございます。  また、生活排水対策といたしましては、湖沼水質保全計画に基づきまして、下水道及び合併処理浄化槽、それから農業集落排水施設などの整備計画的に進めているところでございます。また、生活排水につきましては住民理解協力が何よりも必要でございますので、廃食用油処理などの台所対策、それから洗剤の適正使用、それから住民によります実践活動などにつきましての啓発普及を行っているところでございます。
  10. 馳浩

    馳浩君 具体的に数字を挙げて質問させていただきます。  石川県の環境部が出しております水質汚濁防止のしおりというのがございまして、BODCODに関しまして排出基準というのが一六〇ppmと。ということは、一六〇ppmまでは出してもいいですよということになると思います。これは専門家に伺いますと、都市下水をそのまま垂れ流した状況でも一六〇ppm、そんなにひどいところまでいくかなという基準だそうでございます。  それに関連して、湖沼におきましては環境基準としてCOD基準が八ppmと、この開きには非常に差があると思うんですけれども、その排出部分での十分な基準があってもいいのではないかなというふうな気がいたします。湖沼に流れ込むまでに水に薄められて汚れが薄まるでしょうと言われるかもしれませんけれども、ちりも積もれば山となるという言葉がございますけれども、まず出どころでもうちょっと十分な基準をした方がよいのではというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  11. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) お尋ねのBODCOD排水基準値一六〇ppm、少し高過ぎるのではないかというようなことであろうと思います。  これにつきましては、水質汚濁防止法に基づきまして、一律の排水基準は、全国公共用水域におきまして適用されます言うなればナショナルミニマム基準として適用されているものでございます。このためにBODCOD排水基準値につきましては、先と言われましたように、一般家庭生活排水水質を勘案いたしまして、家庭雑排水を簡単な沈殿法によりまして処理して得られる水準を基準としているということで一六〇ppmと設定しているわけでございます。  しかしながら、水質汚濁防止法におきましては、地域の実情に応じまして、環境基準達成のために都道府県知事が一律排水基準よりも厳しい上乗せ基準を設定することができることとなっておりまして、現在までのところ、BODCODにつきましては全都道府県におきまして水域を定めまして上乗せ基準が設定されたところでございます。  この上乗せ基準値は、これは業種ごとに異なりますけれどもBODに関して見ますと、その最初のものについて言いますと、ほとんどの県におきまして大体三〇ppmないしそれ以下となっているというような状況になっております。
  12. 馳浩

    馳浩君 ちなみに、畜産農家ですね、小規模事業者からの排出基準というのは二六〇ppmなんですよね。先ほど申しました排出基準というのは一般家庭からの生活雑排水での基準だと思うんですけれども畜産事業者からの排出基準が二六〇ppm、これは本当にないに等しいような基準であるということで、そういう意味でも排出基準ということに関しましてもうちょっと御配慮いただけないかなということを申し上げて、次に移ります。  湖沼水質汚濁の今一番問題となっております富栄養化、そのもととなるのが窒素や燐の排出であるということを承っておりますけれども窒素や燐に関しまして、家庭からの生活雑排水あるいは小規模畜産事業者からの排水ということでの排出基準というのはございますでしょうか。それとともに、湖沼における環境基準というのはございますでしょうか。
  13. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 窒素、燐につきましての環境基準でございますけれども、これにつきましては、湖沼につきましては類型で決めておりまして、それによりまして、各湖沼ごとに決められた類型に従いまして燐ないし窒素の値が決まっておるという状況になっております。
  14. 馳浩

    馳浩君 ただ、この排出基準という点に関しますと十分でないということが学界における一般的な定説になっておると承っております。それで、出どころ排出基準ということもそうですけれども大気汚染に関しましては総量規制というのをしておるはずでございます。あるいは海域に関しましても汚濁物質総量規制というものをしておると承っております。  それでは、湖沼におきましてCODあるいは全窒素、全燐に関しましても年間の総量規制というものはできないのでしょうか。それも各都道府県においてこの程度以内に抑えなさいというような知事による指導というのはできないものでしょうか、御質問いたします。
  15. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 総量規制でございますが、現在、東京湾などの海域につきましては総量規制を行っておりまして、これにつきましては、その海域などに行われております総量規制制度、これは工場事業場の厳しい排水規制基準の適用によります汚濁負荷量削減中心となっております。  湖沼につきましては、海域などと異なりまして、水質汚濁の要因が家庭からの未処理生活排水やそれから農地などの、ノンポイントソースと言っておりますが、言うなればポイントソースでないノンポイントソースによりますものが多くを占めておりまして、それから最近の事例では、琵琶湖などにも見られますように、近年においては原因が不明なCODの上昇が見られるというようなことも、いろいろな要素がございます。  そういうことを考えますと、海域におきますような総量規制をすぐ導入いたしましても実効を期待することはなかなか困難じゃないかというふうに考えておりまして、これは従来からやっておることでございますが、まず何よりも生活排水対策といたしまして、下水道整備でありますとか、しゅんせつによります汚濁物質除去でありますとか、それから各家庭に対します水質汚濁についての普及啓発など、このような生活排水対策重点を置きました対策を進めていくことがまず必要ではないかというふうに考えております。
  16. 馳浩

    馳浩君 しゅんせつというふうに言われますけれども、大変なお金がかかるわけでございますし、下水道工事にいたしましても一朝一夕で済むものではございませんので、そういう意味では、まず入ってこないようにするという一つ政策というものを持って、そういう体制ができた後に汚濁物質やヘドロを総ざらいするとかという方向一つ検討の余地に入るのではないかということをまず申し上げます。  次に移ります。  昨年の十月に茨城県の土浦、つくばを中心にして第六回世界湖沼会議が行われました。  これで、ちょっと引用させていただきますけれども、元東京大学農学部教授田渕俊雄さんという方が、「二一世紀にふさわしい環境優先湖沼流域の創出を目指して」というテーマでの講演の中で、「湖沼自浄能力には限界があり、他方で人間活動による負荷は著しく大きくなりすぎた。」と述べておられます。湖というのは流れがないものでございますから、どんどんどんどんたまるばっかりで自浄能力がない、それに比べて生活排水等々での人間の方からの負荷が大きくなり過ぎている、大変問題であるという指摘をしておられます。  それでは、第六回世界湖沼会議において、こういった問題につきましてどういうようなテーマで討論がなされ、ある意味では方向性が打ち出されたのか、簡潔にその会議の意義をお伺いいたします。
  17. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 昨年の十月に霞ケ浦で開かれました世界湖沼会議でございますが、この湖沼会議の一番のねらいは、言うなれば従来の学者科学者からだけで成る会議ではなくて、住民参加を踏まえまして、みんな一緒になって湖沼水質改善を図っていこうという、そういう運動を行うところに一番の大きな意味があろうというふうに考えております。  そういうことで、霞ケ浦宣言ということでそのまとめも行われておりまして、例えば湖沼への生態学的影響を最小にするようなライフスタイルへの転換、今先生が言われたことにも関係するわけですが、このようなことでありますとか、それから湖沼問題についての知識と技術の移転を世界的に行おうとか、それからパートナーシップということで、行政、産業界、学会、住民パートナーシップを構築しまして湖沼環境回復とその望ましい管理に共同で取り組むというようなことも含めました霞ケ浦宣言を出しているところでございます。このようなことで世界的に重要な大事な湖沼を守っていこうというような決意がうたわれたところでございます。
  18. 馳浩

    馳浩君 それでは、関連いたしまして、平成八年度の新規事業として生態系を活用した水質浄化事業というものが登場しております。当初要望が二億円だったのが最終的には一億円ということで私はちょっとがっかりしているんですけれども、この事業予算化されるようになった経緯とその事業についての内容を簡潔にお答え願います。
  19. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 生態系を活用した水質浄化事業でございますが、これにつきましては、一昨年の環境基本計画におきまして自然との共生を基調とした施策を推進するというようなことがうたわれておりまして、このような一つの大きな計画を受けまして私ども予算を考えたわけでございます。  これにつきましては、湖沼やそれに至る河川自然環境を保全しながら湖沼水質改善を図ることがまず重要であると考えておりまして、平成四年から五年にかけまして野尻湖におきましてヨシなどの水質浄化機能について調査してきました。この野尻湖での実験によりますと、この水生生物を使いましたことによりまして窒素や燐が約三割程度削減できるということが明らかになったということで、湖沼水質改善にこれらのことが非常に大きな効果が期待できるというふうに考えたわけでございます。このようなことから、環境庁といたしましては、八年度予算において一億円を計上させていただいたところでございます。.中身と内容でございますが、これにつきましては、専ら湖沼水質保全を図りますためには流入河川をまずきれいにする必要があるだろうと。生活排水が流れ込みますのは、流入河川の中でも特に中小河川が多いということでございますので、その中小河川流域に着目いたしまして、例えば休耕田でありますとか市町村が持っていますため池などにこのアシヨシ等水生植物を植えまして、それによりまして水質浄化して、言うなれば中小河川水質浄化を図ることによりまして結果的にその湖沼水質改善を図っていくということをねらいとしたものでございます。
  20. 馳浩

    馳浩君 はい、わかりました。  それで、ちょっと学者の方に聞いたんですけれども、この事業に関連してですが、ちょっと読みます。  これは星稜女子短期大学沢野伸浩先生が書かれているものですが、「下水道をいくら整備しても河川ほどには湖沼浄化されていないということがあげられます。これは、通常下水道処理によって除去が行われるのは主として有機成分であり、」、先ほど申し上げたCODBODのことですよね、「湖沼汚れ原因となる栄養塩類除去力が劣っていることが最大の原因となっています。」と。栄養塩類というのが窒素であり燐である。その全窒素、全燐を吸収するのがまさしく水生植物浮漂植物による水質浄化事業ということを承っておりますが、これは非常に簡単な施設、簡単な運転技術によって窒素や燐の除虫効果が高いということでございます。  ただ、問題点もあるということも承っております。これは、アシヨシあるいは浮漂植物ホテイアオイ等がございますけれども、これは非常に繁殖力が強くて、ほっておいたらどんどんどんどんふえて、ほかの水域にまでふえてしまうわけですね。逆にそれが水質汚濁の逆効果を生み出すこともあるわけでございます。これはどんどん収穫して刈り取ってやらなきゃいけない。そして、あるいは刈り取ったものをまた処分しなければいけないですから、汚濁物質を搾り取らなきゃいけない、そういう装置が必要である。搾り取ったときには、搾り取った汚濁物質処理してやらなきゃいけない。それから、搾り取った後にコンポスト化をして、肥料化してまた土に返してやることができるという、こういうリサイクル的な活動も必要になってくる。  こういった部分配慮が十分なされていないと、この事業というのも結果的には実験施設として終わってしまって、非常に効果がないのではないか。施設をつくりましたよ、けれども、これは国が三分の一、県が三分の一、市町村が三分の一の負担になっておりますけれども、最終的にやっぱり維持、管理、運営の負担を受けるのは市町村でございますから、後々の負担が非常に大きくなってしまうという問題点が挙げられると思います。これに関しては、やっぱり環境庁からも十分な指導あるいは協力、あるいは施設、設備をつくる上での十分な指導というのが必要であると思いますけれども、これに関してはいかがでしょうか。
  21. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 先生おっしゃいましたように、確かにこの事業を進めるに当たりましては、その後の対策、言うなれば、例えば増殖したホテイアオイでございますとか、それからヨシ処理につきまして十分考える必要があると思っております。  例えば、茨城県におきましては、テストプラントでございますけれども、回収したホテイアオイ乾燥装置によって乾燥させまして、それに一定の処理を加えることによりまして、コンポスト、飼料それから固形燃料などに利用する例などもあります。それからまた、滋賀県におきましては、ヨシを再生して紙をつくっているというような事例もございます。それから、これはまだ実験でございますけれども、クレソンなどの野菜をつくって浄化を行って周辺住民がそれを収穫するというふうな、そういう事例もございます。  こういういろんな事例を幅広く私ども集めまして、これを自治体に情報として提供しまして、本事業が各地域で実際に根づいて実効が上がるようにしていきたいというふうに考えております。
  22. 馳浩

    馳浩君 ぜひお願いいたします。  例えば、農水省の事業の中で共補償事業というのがございますね、地域住民参加して生産調整実効を上げようと。こういったものと連携をして、コンポスト化した肥料を共補償事業参加した人たちみんなで使用しましょうよと、そして土壌に負荷の多い農薬を余り使わないでこういったものを活用してくださいといった横の連携というものが必要になってくると思います。これは一例でございますよ、私のただ提案でございますけれども、そういった意味でも横の連携が必要となってきますので、そういう点に関しての配慮をいただきたいと思います。  先ほどから答弁いただいている中で、やっぱり最終的には生活雑排水に関しましては住民の意識の向上が重要であると。これは世界湖沼会議でも幾度となく言われたことであると承っております。ということで、次に環境教育に関しまして質問を申し上げます。  一九九三年に我が国では環境基本法が制定されまして、同法の二十五条、二十六条、二十七条におきまして、環境教育、その情報の提供ということでの重要性がうたわれております。そこで大臣に質問申し上げます。環境教育環境学習重要性についてどのようにお考えで、平成八年度においてどのような事業を進めていかれますか。
  23. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) もう先生案内のように、今日の環境問題というのは、国民一人一人の環境に関する理解を深めて、環境保全に関する行動を促す教育学習が極めて重要であることはもう申すまでもございません。また、私どもそのように認識をいたしております。環境基本計画において環境教育学習をすべての主体の参加の実現のための大きな柱として位置づけていることについては御案内のとおりでございます。  環境庁においても、これまでも環境教育教材の作成やその提供を行うとともに、自然との触れ合いの場の整備環境に関する人材・行事等の情報整備、提供などを行ってまいりましたけれども、昨年からこどもエコクラブ事業を開始いたしまして、子供たちが地域で楽しく環境学習環境保全活動を行うことを支援いたしてまいりました。数えてみましたら、平成七年末にクラブ数において二千四百五十、それからメンバーにおいて三万六千二百一人。これをもっともっとふやしていきたいものだというふうに思っています。  それから、これからの施策として、八年度に国民の環境保全活動に対する意欲を行動につなげるための環境パートナーシッププラザを開設しようとしています。渋谷のちょっと手前にある国連大学のホールといいましょうか、フロアを使わせていただきまして、できるだけ官主導でなくて、NGOあるいはいろんなボランティアの皆さんがそれを運営していただくような、そういう努力をもしながら、それを拠点にして、できれば環境保全活動を支援するための拠点をあちこちにつくっていく事業に力を尽くしてまいりたいと思います。  いずれにしても、国民諸階層、とりわけ子供の時代から環境に対して思いやりを持つ子供たちを育てていくことが大事だろうというふうに思いますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。
  24. 馳浩

    馳浩君 今ほど承りましたこどもエコクラブについてはまた後ほど質問させていただきますが、私も石川県にある社団法人河北潟湖沼研究所というところと交流をしております。ちょっと残念なのは、そちらが社民党の支持団体なので、でもいいんです。  それで、こういう環境NGOの団体に対しまして国としてどのような支援をしておられるのか。NGOと申しますのは、やっぱり資金的にも活動的にも非常に横の広がりを持ちづらい面があると思いますし、そういう意味で、ぜひ国からの支援をより一層強くしていただきたいということで、この点について平成八年度はどういう支援事業がございますでしょうか。
  25. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 私ども、この環境問題についてNGOが取り組んでいかれることは、やっぱり国民一人一人が足元から行動を起こすということを促し、あるいは途上国等の現地のニーズに対応した草の根の環境協力を進めるという上でも非常に果たす役割が大きいと考えております。  そういう意味で、平成五年の五月でございますが、環境事業団に地球環境基金というのを設けておりまして、そこで国内の民間団体の開発途上地域での活動でありますとか、海外民間団体の開発途上地域での活動、あるいは国内民間団体の国内での活動などに対して助成を行ってきておりまして、平成七年度では百六十四団体、総額六億三千万円の助成を行っております。  それからまた、その基金では、財政面の助成のほかにも、例えば研修会をやるとか、海外NGOに派遣をするというような形で人材の育成を行うとか、あるいは環境NGO総覧というように環境保全活動を行う団体をまとめた冊子をつくりまして、そういう意味情報提供を行うという形でも民間団体のサポートに努めております。  今後とも、この基金の拡充を図ってまいりたいと思っておりまして、八年度におきましても、その基金の予算を一層充実するものにしたいと思っております。
  26. 馳浩

    馳浩君 より一層の拡充をお願いいたしたいと思います。  それで、先ほどのこどもエコクラブについてですけれども平成八年の三月二十三日に横浜市におきましてこどもエコクラブ全国フェスティバルが行われると承っております。この内容、そしてその目的、意図するところはどういうところでございましょうか。
  27. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 実は、こどもエコクラブというのは平成七年六月から始めさせていただいておるわけでございますが、先ほども大臣から申し上げましたように、昨年末で二千四百五十クラブ、三万六千人の参加を得ておりまして、自分たちの町の環境マップづくりでありますとか、あるいは環境学習プログラムを共通的に行う、あるいはリサイクル活動をやるというように、それぞれ活動目標を決めていろいろ独自の環境活動をやっていただいております。  今お尋ねのこどもエコクラブ全国フェスティバルというのは、言うならば第一年目の締めくくりという意味もございまして、ことしの三月二十三日を予定しておりますが、第一回のこどもエコクラブ全国フェスティバルというものを私ども環境庁と日本環境協会共催で、横浜のランドマークホールでございますが、そこで開催をしまして、ここ一年間の活動の発表と全国の会員の交流の場を設けたい、そういう趣旨で計画をいたしております。一年間の各地のこどもエコクラブの経験を全国の子供たちに紹介するとともに、全国のこどもエコクラブの相互交流を深めることで、今後子供たちの活動の充実を図れればいいなと期待をしておるわけでございます。  当日は、全国から八つのクラブの一年間の活動の結果発表を行っていただきますし、地元の子供たちが環境ミュージカルを上演するとか、あるいは全国四地点のこどもエコクラブからレポートもしてもらうなどの行事を行って相互の理解と交流を深めたい、このように考えておるところでございます。
  28. 馳浩

    馳浩君 活動を始めてまだ一年もたっておりませんけれども、こどもエコクラブに参加する子供たちのより一層の拡充を期待したいところでございますが、ここのポイントが二つあると思います。子供たちを指導、サポートするサポーターの養成と、同時に全国市区町村の環境部環境担当課のこどもエコクラブ市区町村事務局、これの充実が挙げられると思います。  こうなってきますと、環境庁指導だけでは賄い切れないというような事態があると思います。そういう意味では、学校教育ということを考えますと文部省の協力が非常に重要になってくると思います。ただでさえ環境庁予算は少ないわけですから、これはやっぱり利用できるものは何でも利用してやろうと。  文部省の方では、子供たちへの環境教育というのはどのように行っておられるのか、そして文部省と環境庁連携というものは十分にいっておるのかということの実態を質問申し上げます。
  29. 加茂川幸夫

    説明員加茂川幸夫君) 環境教育についてお尋ねでございますので、お答えをいたします。  児童生徒が環境問題について正しい理解を深め、責任ある行動がとれるようにすることは極めて重要であると考えておるところでございます。このような基本に立ちまして、学校教育におきましては、従来より小学校、中学校、高等学校を通じまして、児童生徒の発達段階に応じて、例えば社会科、理科等の教科を中心指導をいたしてきておるところでございます。  具体には、この教科指導基準となります現行の学習指導要領におきましても、これらの問題の重要性にかんがみまして、環境にかかわる内容の一層の充実を図ってきておるところでございます。小中高等学校それぞれの内容はございますけれども、例えば中学校について申し上げますと、中学校の理科で、「自然環境を保全することの重要性について認識すること。」という内容に加えまして、新たに「自然環境の保全に関する態度が育成されるようにすること。」と改めたところでございます。  また、こういった環境教育を推進するために、教師用の指導資料の作成、配付でございますとか、地域を挙げて環境教育の推進に取り組むためのモデル市町村の指定、さらには環境教育フェアの開催や環境教育担当教員の講習会等を実施するなど、環境教育充実のための各般の施策を行っておるところでございます。  また、環境教育の充実を図る上での環境庁、文部省との連携についてのお尋ねでございますけれども、こういった環境教育を充実する上で学校教育の内外のさまざまな分野で施策を推進していくことは大変に重要であると認識をいたしておりまして、文部省といたしましても、これまでも必要に応じまして、例えば教師用指導資料の作成でございますとか、先ほど申しました環境教育フェアの実施につきまして、環境庁さんとも密接に連携をとらせていただきまして、協力をとり合っているところでございます。
  30. 馳浩

    馳浩君 まさしくその文部省の意図するところは環境庁の意図するところと合致すると思いますので、やはりこれはより一層の連携をして、お互いにむだのあるところは省いて、協力してできるところは有効な予算の活用という意味での協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは次に、私ども石川県の原発問題ということで質問を申し上げます。  昨年の十二月九日ですか、今現在、石川県の志賀町におきましては原子力発電所一号機が稼働しておりますけれども、二号機の建設に向けましての志賀原発二号機建設に伴う環境影響調査住民説明会というのが行われました。ただ、これは恐らく運営の問題が多々あったと思うのですけれども環境影響調査という北陸電力あるいは通産省等からの説明に関して十分な理解が得られていないということで、地元の新聞では、ちょうどその一日前ですか、「もんじゅ」の事故が起こったばかりということで誤解もあったと思うんですけれども、我々の質問に十分答えていないということで、反対側住民のやじが飛んだりとか、説明の態度が悪いとか、非常に感情論に走ってしまって、肝心な環境影響調査報告ということに関しての理解が得られなかったと。  そして、これは本当に運営上の不手際だと思いますけれども、二時間で終わりますといったら本当に二時間で終わってしまって、そういうことがありまして、同じ地域に住む住民同士が二手に分かれて溝が深まってしまうということは、これはやはり県民にとっては悲しむべきことでもありますので、ぜひそういうことのないように十分な説明をしていただきたいというのがまず私の質問の趣旨でございます。  この十二月の説明会の中で、まず一つ基本的なことを質問いたします。  阪神大震災規模の地震があっても我が志賀町の原発においては大丈夫かと、これは基本的なことですよね。これに関しましての答弁が、数値的には大丈夫だと言われるんですけれども、阪神大震災の地域と志賀町の周辺地域の活断層の状況とは、これは違うわけです。数値で並べられても、地質、地層等は違うわけですから、やはり住民としては納得し切れないものがあるわけです。この点に関しましてどういうふうに説明をなされましたか。あと、この説明会の後のフォローというのはどうなっておったでしょうか、質問申し上げます。
  31. 辰田昌功

    説明員辰田昌功君) 原子力発電所の耐震性についての御質問にお答えしたいと思います。  平成七年の兵庫県南部地震は既知の活断層によりまして発生したものと見られておりますけれども、原子力発電所の立地、設計におきましては、まず、地点選定に当たりまして活動可能性のある活断層を避けるということとしております。さらに、すべての重要な建物、構築物を岩盤に直接固定いたしまして、加えて敷地周辺の活断層ですとかあるいは過去の地震、こういったものを詳細に調査いたしまして、それに基づきまして、想定される最大の地震動にも耐えられるよう設計されております。  また、建築基準法の三倍の地震力にも耐えられるようにするなど、十分な安全裕度を持った耐震設計を行っておりますので、耐震上の安全性に問題はないものと考えております。  なお、こうした原子力施設の耐震安全性の考え方、これにつきましては耐震指針というものがございますけれども平成七年兵庫県南部地震を踏まえましてもその妥当性が損なわれるものではないということを昨年の十月に原子力安全委員会が確認しているところでございます。事業者の方から、その確認される前段階での耐震安全性の一般論を説明したかと思いますけれども、その後、十分な検討を踏まえましても、その耐震安全性に問題はないということを確認したところでございます。
  32. 馳浩

    馳浩君 ということでございますけれども、この十二月九日の説明会以降も二十七日まで市町村の役場等々におきましてその資料の縦覧等、公開しておられるということでございますので、そういう疑問に対する要望がありましたら十分こたえることのできる態勢をとり続けていただきたいと思います。  それで、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関しまして、異常事発生時の運転停止という部分に非常に問題があったということでございますけれども、これはなぜでしょうか。と同時に、この志賀原発におきまして異常事発生時の運転停止ということに関しまして大丈夫なのでしょうか、質問申し上げます。まず「もんじゅ」の方。
  33. 三代真彰

    説明員(三代真彰君) お答えいたします。  運転マニュアルについて御説明いたします。  まず、安全確保についての考え方でございますけれども、通産省におきましては、実用発電用原子炉の安全規制を所管しているわけでございます。この観点から、従来から原子炉等規制法及び電気事業法に基づきまして原子力発電所の設計、建設、それから運転の各段階において厳重な安全規制を実施しております。また、各サイトに運転管理専門官を派遣するなど、電気事業者を厳しく指導監督しているところでございます。  これらの国の厳しい指導監督、そして電気事業者の自主保安、こういう結果として、基数はふえておりますけれども、トラブルの件数につきましては横ばいないし減少傾向にございます。また、計画外停止頻度、こういうものを見ましても、世界と比べて日本は非常に優秀な運転実績を示しているということでございますし、また、過去三十年間、環境に放射能の影響を与えるようなトラブルというのは起こしておりません。  先生御質問の運転マニュアルの件でございますが、これは発電所の起動、停止、あるいは出力運転、定期試験、あるいは異常時などなど、さまざまな運転条件において具体的な運転操作をどのようにするかということを電気事業者が決めた社内規則でございます。そういう観点から公開されていないものでございます。  以上でございます。
  34. 馳浩

    馳浩君 社内規則ですから企業秘密ということで公開しないということでございますけれども、要は、住民のお聞きしたいのは、異常事発生時にはすぐとめてくれるんだろうなと、こういうことなんです。これに関しては保証してくれるんでしょうねということなんです。
  35. 三代真彰

    説明員(三代真彰君) 軽水炉におきましては、原子力発電所の異常時の際には、運転を行っている当直長がみずからの判断でもって停止を含む応急の措置を講ずることとしております。また、その旨運転マニュアルに書いてあるというふうに我々は聞いております。
  36. 馳浩

    馳浩君 何か運転停止までに一時間近くかかったということを聞いておりますので、当直長がその責任において十分に判断して停止されるのかなと思います。今、私は志賀原発について申し上げておりますので、一号機に関しましては大丈夫なんですねと念押しをしておきます。
  37. 三代真彰

    説明員(三代真彰君) 大丈夫でございます。
  38. 馳浩

    馳浩君 続けます。  ことしの二月十七日に、今度は原発耐震安全性説明会、やはり震災に関する耐震性についての説明会がありました。これに関しまして、科学技術庁の原子力安全調査室の吉岡賢治室長補佐が出席しておられたということですけれども、そのときの説明会の雰囲気とか様子を吉岡さんに説明していただければありがたいと思います。
  39. 片山正一郎

    説明員片山正一郎君) 御説明を申し上げます。  委員御質問の二月十七日の石川県において開催されました原子力発電所の耐震安全性に関する県民説明会の状況でございますが、これは原子力安全委員会が兵庫県南部地震を踏まえて設置をいたしました兵庫県南部地震を踏まえた原子力施設の耐震安全検討会の報告書、それの状況を御説明するなど、原子力施設の耐震安全性について県民の皆様に直接御説明をしようということで、去る二月十七日の土曜日に羽咋市で、石川県そして科学技術庁の原子力安全調査室、志賀町等共催で、四百名の県民の皆様の参加を得て開催されてございます。我が方から、役所の方からの御説明、あるいは耐震安全検討会の先生方の御説明をさせていただいたところでございます。
  40. 馳浩

    馳浩君 最後に、その説明会に住民側は十分納得していないということをまず申し上げておきます。  と同時に、住民側が要望することとして、耐震性に疑問を持つ学者を招いて討論形式で、つまり一方的な説明会ではなくて討論形式で、やはり十分な納得の得られるまで説明会を開催していただきたいという要望が非常に県内に強いので、これは新潟県や福井県でも行われたことでございましょうけれども石川県からの、やはりちょっと反対側の住民も感情的になり過ぎて十分な議事進行が行われなかったという反省はあるんですけれども、ならばもう一度そういう説明会を開いていただきたいという要望を申し上げます。最後に御答弁を。
  41. 片山正一郎

    説明員片山正一郎君) 御説明を申し上げます。  当日の説明会におきましては、県民の皆様が日ごろ原子力発電所……
  42. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 説明員に申し上げます。  今の質問の趣旨は、もう一度説明会を開催していただくように約束をしていただきたいという趣旨でございますので、その旨お答えください。
  43. 片山正一郎

    説明員片山正一郎君) 十分に大部分の質問に御説明できたと考えてございまして、再度地元で開く必要性は現時点では特にないと考えておりますが、いずれにせよ、地元の問題でございますので、県当局等地元自治体と相談をして対応してまいりたいと考えてございます。
  44. 馳浩

    馳浩君 時間なんですけれども、これはそのように説明者の側が申されるのはむべなるかなと思いますけれども住民側は納得していないことなのでございますから、これはもちろん県の環境部にも私の方から申し上げますけれども、これは何度でも納得を得られるまで説明をいただきたいし、そういった上で、信頼醸成がなされた上での事業推進ということを私は支援していきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  45. 河本英典

    ○河本英典君 河本でございます。まず最初に、水俣病について質問させていただきます。  いわゆる水俣病問題でございますけれども、与党三党の合意などを経て大きく前進したわけでございます。その結果、政府においては閣議了解などのプロセスを経てその解決に向けて大変努力していただいておるところであるというふうに聞いております。大勢の関係者の長年の地道な努力によりまして現在までに至った水俣病問題を、この時期に詰めを誤ってはいけないというふうに思います。  このような中、環境庁長官の旗振りがまさに重要になってくると思うわけでございますけれども、水俣病問題の解決に向けて判定検討会の状況や今後の地元対策を含めてどのように対応していくお考えか、長官の御見解を伺いたいと思います。
  46. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 御指摘をいただきましたように、水俣病問題は戦後の日本の経済社会が残した未解決の問題の一つでございまして、村山前内閣が発足以来、重要課題として取り組んでまいりました。皆さんの御努力、さらに重い歴史を背負いながらも苦渋の決断をされた各団体の方々を初め関係者の御努力に対して、私の立場からも心から敬意を表したいというふうに思います。  政府といたしましても、昨年十二月の閣議了解に基づいて、本年一月九日にチッソ支援及び地域再生にかかわる財政措置を決定いたしまして、一月二十二日から熊本、鹿児島、新潟の三県で水俣病総合対策医療事業の申請受け付けが再開をされました。判定検討会についても逐次開催され、また、もやい直しセンター建設に向けての取り組みが地元で進められていると承知しています。今後とも閣議了解に基づく施策を誠実にかつ着実に実行してまいりたいと思っているところでございます。  なお、二月二十三日の東京高裁に引き続きまして、きのう新潟地裁でも原告と昭和電工との間で、昨年十二月十一日の協定書に基づいて裁判上の和解が成立をいたしました。引き続いて、新潟地裁に国賠訴訟について原告から取り下げ書が提出されました。東京高裁についても同様に取り下げ書が提出されると聞いていますけれども環境庁といたしましては、取り下げの同意の手続を速やかに行って国賠訴訟の終結を図ることとしたいというふうに考えております。  これで実は新潟水俣病訴訟はすべて終結することになるわけでございまして、昨年来、当事者及びさまざまな関係者の水俣病問題の解決に向けての多大の努力に対して、改めて敬意とお礼を申し上げたいというふうに思っております。今後とも、どうぞ皆さんにも御協力を賜りたい、お願いを申し上げる次第でございます。
  47. 河本英典

    ○河本英典君 今回の大臣所信でもかなりのページを割いていただきましてお話しいただいたわけでございますし、大変な大きな問題であったわけでございます。公平を期するということでよろしくお願いしたいなというふうに改めてお願い申し上げます。  さて、ほかの質問に移らせていただきます。  今日の環境問題というのは、地球規模の問題から身近な生活環境問題まで大変多岐にわたっておるところでございます。しかし、基本は、先ほど馳委員の方からお話がありましたように、自覚といいますか国民一人一人が身近な生活環境を大切にしていこうということに尽きるわけでございます。  そのため、国としても地域住民に最も関連の深い大気や水環境の保全、形成を図るために諸施策を講じていくべきだというふうに考えております。しかし、そのような取り組みは、先ほどからも話がありましたけれども、ともすれば地方自治体に任せっきりになりがちでして、国としてはそういうことでなくて、むしろ各自治体の活動を積極的に支援するということが重要ではないかというふうに思うわけであります。  特に、水については、我々の周りに大変清流がたくさんあって飲料にもほとんど適しておったわけでございますけれども、ミネラルウオーターを飲まにゃいかぬようなことになりましたし、山紫水明というような言葉もだんだん遠のいていくような気がするわけでありますけれども、そういった言葉を保っていくことがこれからの課題ではないかというふうに思うわけでございます。  そういった意味で、河川湖沼水質改善問題は大変重要だと思っておるわけでございます。世界的な湖沼水質保全を図る観点から、昨年、先ほどもお話が出ました世界湖沼会議霞ケ浦で開催されたわけでございますけれども、これをかけ声だけで終わらせてはならないのであります。  そこで、湖沼水質保全というものは大変難しい問題ではあると思うんですけれども世界湖沼会議の結果を踏まえた上での環境庁長官湖沼水質保全に関する基本姿勢をまずお伺いいたします。
  48. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 河本先生あるいは御承知かもしれませんが、私は琵琶湖で開かれた第一回の世界湖沼会議に招かれて出席をさせていただきまして、たしかその後、国際湖沼環境委員会の仲間で仕事をさせていただいたことを今思い出しています。率直に申し上げて、その後の私自身の取り組みは十分であったかと言われれば、あっちこっちの仕事に紛れて必ずしも十分な対応をなし得ていなかったことを最初にお断りしておかなければなりませんし、おわびをしなければなりません。  ただ、その第一回と比べますと、昨年の十月のことを聞きますと、第六回と回を重ねたわけでございまして、世界湖沼会議というのは、世界各国の湖沼の現状や水質浄化に関する事例が紹介され、湖沼水質問題に対する共通の認識が深められて将来の湖沼対策方向性が示されたというふうに伺っています。特に、七十八カ国から五百人、国内の参加者を含めれば八千人という大変な規模の会議が開かれたわけでございまして、それは地域住民の皆さんを中心として湖沼をみんなで浄化していこう、きれいな水を取り戻そうといういわば大きな市民運動というものの広がりを感ずるわけでございます。  こうした成果のほかに、私は、例えば琵琶湖なら琵琶湖、あるいは霞ケ浦なら霞ケ浦の県や市それから市民、そして国を含めた取り組みが一歩でも二歩でも前進できればなというふうに願っているところであります。  環境庁といたしましても、その湖沼会議の成果を受けまして、関係各省庁との連携をとりまして、一つ排出規制あるいは生活排水対策の充実、あるいは先ほど馳先生指摘をされましたが、生態系を活用した水質浄化等の総合的な湖沼環境保全対策を進めていかなければならないというふうに思っております。特に、霞ケ浦宣言と言われるものが多面的な湖沼に対する取り組みというものを指し示していただいたわけでございますから、この筋道を真剣に追求していくために努力したいということをお答え申し上げておきたいと思います。
  49. 河本英典

    ○河本英典君 長官、いみじくも一回目が滋賀県の琵琶湖で開かれたということを教えていただいたわけでございますけれども、本当に近畿の水がめとして豊富で安定した水源は極めて重要な地位を占めまして、その水だけでなしに、景観ということで近江八景というふうなものもあるんですけれども、大変な景観で国定公園にも指定されておるわけでございます。  湖沼ということで琵琶湖のことばかり言っておったら申しわけないんですけれども一つのシンボリックなものとしてとらえていただきたいと思うわけです。山水という言葉がありますけれども、山が富士なら水は琵琶湖でございます。東の富士山に対しまして西の琵琶湖ということで、そういったことで私は環境行政とかそういった水質の保全、浄化、それから景観ということも含めまして琵琶湖というものを考えていただきたいなと。これはちょっと我田引水になるかもしれませんけれども、そういったとらえ方が非常に大事ではないかというふうに思っておるわけであります。  そんなことで、琵琶湖をちょっとPRさせていただきますと、大変大きな湖であることは御存じでございますけれども、日本で一番でございます。面積が六百七十平方キロですか、ちょうど滋賀県の六分の一を占めておりまして、中禅寺湖の六十倍ということで、どんな規模か余りよくわかりませんけれども、初めて見た人が、私が覚えておりますのは、ちょうどその人は愛媛県の人でして、瀬戸内海みたいだと表現をしましたけれども、かなり大きなことは間違いないわけでございます。  その琵琶湖でございますけれども、最近様子を見ておりますと大変な汚濁が進んでおるわけでございます、先ほど数値がいろいろ言われておりましたけれどもCODであるとかいろんなことで。そういった意味で、その第一回の世界湖沼会議が開かれたときは、実は前大蔵大臣の武村さんが滋賀県知事をされておったときに開催されたわけですけれども富栄養化防止条例とか水質保全のための条例がかなり積極的につくられまして、一応県内では環境先進県だというふうに自負しておるわけですけれども、私が見ますところ、なかなか汚濁の進行ということはとまっていない。もちろん、守ること、ある水準に保つことがまず先決なんですけれども、先ほど言いましたように本当に美しい湖をシンボリックにとらえるためにも、ぜひともこれはやっていかないかぬ問題ではないかというふうに思うわけでございます。  原因は、これはもう定説のとおりでして、何が一番いかぬかといいますと、やはり世界的に見まして琵琶湖に流入する河川流域の中に百数十万人も人間が生活しているというのは、ある意味では世界的にも極めてまれな状況であるということでございます。もちろん、高度成長で内陸工業県として工場が進出しましたし、人口も当時、当時といいますと、例えば琵琶湖総合開発というのを特別立法としてつくっていただいたわけですけれども、できた当時の人口八十数万人が今は百三十万人になっておるということで、それだけ田舎でなくなったわけでして、大変な流入が起こっておる。  人口の流入もですけれども、琵琶湖の中に雑排水であるとか、もちろん規制は厳しくされておるんですけれども流れ込んでおるというのが現状でございます。出ている川は一本だけでして、それ一本以外は全部流れ込んでおるという状況でございます。そんなことで、琵琶湖のPRをさせていただいて申しわけないんですけれども、大変な最近の状況でございます。  これは、この間もこの委員会でつくばの国立環境研究所へ寄せていただいたときにも、アオコであるとかいろんなあれでやっておられましたけれども、滋賀県も研究所ぐらいは少しはあるんですけれども、研究はしたって、やっぱり水が入ってこないようにするとか水をきれいにしてから入れるとか、そういうことをしなければならないということでございます。  私はそういった意味で琵琶湖をきれいにするのが一つの仕事かなというふうに、簡単にはなりませんけれども、その辺のためにちょっと頑張らせていただかないかぬなというふうに思っておるわけでございまして、湖沼の代表は、代名詞は琵琶湖というふうに御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。  そんなことで、環境庁長官は、今後琵琶湖の水質改善にどのように取り組んだらよいというふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。
  50. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今、河本先生指摘のように、琵琶湖というのは近畿の千四百万人の飲料水の水源になっているわけでございまして、それだけではなくて、自然の生態系の宝庫として貴重な位置を占めていることは申すまでもございません。  湖沼水質保全特別措置法のいわば指定湖沼でございまして、総合的な水質保全対策が実施されているにもかかわらず、データを拝見すると、化学的酸素要求量、CODの濃度が全体的に見るとどうも漸増、つまり増えているという傾向が見られるわけでございまして、琵琶湖の水質というのはかなり厳しい状況なんだなということを今実感させられております。  しかし、そうは言ってもおられませんので、御案内のように平成八年度から十二年度までの第三期の湖沼計画が策定されることになっておりまして、環境庁としては、その計画の策定、実施に当たって湖沼会議の成果を踏まえまして、先ほど私が指摘したような趣旨に沿って、特に生活排水対策あるいは湖辺の生態系保全等の対策を充実させるように関係省庁と十分な連絡をとって頑張ってまいりたいというふうに思っています。  実は、琵琶湖だけじゃなくて、日本じゅうその傾向があるんですけれども先生がおっしゃったように、ある種のシンボリックな位置づけを自覚しながら、「ウサギ追いしかの山 小ブナ釣りしかの川」という歌の文句にあるように、もう一遍そうした自然を取り戻すために努力をしなければならない、こんなふうに思っていますので、ぜひ先生にも御協力をいただきたい、頑張っていただきたいと思います。
  51. 河本英典

    ○河本英典君 環境庁というお役所は企画調整の部分が非常に多うございまして、なかなかそういった意味で推進はしにくいかもしれませんけれども環境という言葉は最近になってかなり説得力のある言葉になってきたわけです。  ちょっと話が飛びますけれども、ある時期、文化という言葉がよく言われたんですけれども、世の中いろいろそういったことを浸透していくとか進めていくについて、やはり経済性といいますかそういうものを持ちますと大変推進力がつくわけでございます。文化という言葉も、もともと関西風に言いますと、なかなか文化じゃ飯が食えない、金にならないというようなことが言われておったわけですけれども、最近は、けいはんな学研都市も文化学術研究都市ということで、文化も一つのそういった推進力になるじゃないかというような認識がなされておるわけでございます。  私はその意味で、文化の次は環境がキーワード、もう既になっておるわけですけれども、まだ今のところ金ばかり食って大変だというような感じがするわけですけれども環境ということは経済的にも考えなきゃいかぬ。  これは本当に余談ですけれども、私、逓信委員なんですけれども、マルチメディアがこれから経済にインパクトを与える一つの推進力だという話がよく出ておるわけであります。私は環境もそういう意味一つのビジネスチャンスをつくっていくための、ベンチャー企業育成の一つのキーになるんじゃないかと。  だから、変な話ですけれども、自動車工ンジンの規制が厳しくなったから日本のエンジンは非常に性能がよくなって、なおかつ非常に公害の度合いが少ないというふうになったわけです。厳しい規制をつくることが逆にオリンピックの記録に挑むようにすばらしい技術を生むという効果もあるわけですから、強いて言うなら、琵琶湖を中心にそういうことを考えたらいいなというようなことを思ったことがあるわけです。そんな中で環境関連産業の育成ということも、実は青写真ぐらいはつくっていただいてもいいじゃないかなというような気がいたしております。余談でございますけれども、少しお耳にとめていただいて、ぜひ企画調整していただきたいなというふうに思うわけでございます。  次に移らせていただきます。  政府は、一昨年、環境基本計画を決定されまして環境政策の長期的な方向を示され、平成七年を元年として計画内容の実現に向けて取り組みに着手されようとしております。今述べました水質問題もさることながら、多様化した環境問題に対処するためには総合的な環境政策が必要であります。このような環境基本計画は、一度つくったらそのままにしておくというのではなくて、絶え間ない見直しが必要であると考えます。  環境基本計画のこれまでの実行状況はどのようなことになっているのでしょうか。そのフォローアップをどのようにしていくおつもりなのか、伺いたいと思います。
  52. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。  先生今御指摘のとおり、平成六年十二月に環境基本計画が策定されまして、その内容は、御案内のとおり、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会システムあるいは生活様式を問い直して、生産と消費のパターンを環境への負荷の少ない持続可能なものに変えていこうという非常に広範多様な内容を含む総合的なプログラムでございまして、このような施策を推進する上では、環境庁初め関係省庁一体となりまして総合的、計画的に実施することがどうしても必要でございまして、これまで私ども環境基本計画実施元年としてこの七年度、いろいろ努めてまいっております。  これまでその過程でなしてまいりました事業としましては、一つは、昨年六月に「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画」、いわゆる率先実行計画というのを策定し、その実施に努力してまいっております。また、同じ六月にはいわゆる容器包装リサイクル法というものも制定され、また十月には生物多様性国家戦略の策定を見ることができました。さらには、その基本計画で私どもにとって宿題になっております総合的な環境指標を開発するという作業につきましても、十一月から着手をして、今鋭意研究を進めているところでございます。  このように、できるところから一歩一歩まずその基本計画の実施に向けた努力はしているわけでございますが、今先生指摘あったように、これをフォローアップしながら、点検をしながら着実に進めていくということが必要でございます。  それで、現在、中央環境審議会が第一回目の点検作業に入っておりまして、昨年十二月、その第一回目の点検をどのようにやるかという方針を御了承いただきまして、この三月に福島、東京、奈良、福岡、四カ所でございますけれども、ブロック別のヒアリングをやって、国民各界各層の御意見を承ろう。それからまた、同時期、郵便、ファクス等による意見の受け付けも行っておるわけでございます。審議会では、そういう意見を踏まえまして、この六月をめどに点検結果をまとめまして公表ということになっております。  環境庁といたしましては、この審議会における点検作業を踏まえまして、より一層環境基本計画の具体化に反映させ、進めてまいりたい、このように考えておる状況でございます。
  53. 河本英典

    ○河本英典君 かけ声だけに終わらないようにぜひフォローアップをよろしくお願いしたいと思います。  次に移ります。  次世代に影響を与えるという意味では、何といっても地球環境問題が最たるものであるというふうに考えますが、地球環境問題には地球温暖化を初めさまざまな問題がありますが、我が国の公害の経験を発展途上国に伝えて、その経済発展に伴う大気汚染水質汚濁など、公害問題を克服させるということが重要だというふうに考えます。  環境庁長官の地球環境問題に対する取り組みはどのようなものなのでしょうか。特に、今申しました途上国の公害問題に対して環境協力を積極的に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
  54. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 地球温暖化、オゾン層の破壊、海洋汚染、熱帯雨林の減少あるいは砂漠化など、地球環境問題というのは実は人類の生存基盤に深刻な影響を与えている重要な問題であり、我が国にとっても緊急課題の一つであることはもう申すまでもございません。  我が国は、大規模な経済活動を営んで地球環境に大きなかかわりを持つとともに、環境の保全に関するさまざまな経験と技術を持っています。こうした経験や技術を生かし、開発途上国に対する環境協力に積極的に貢献するなど、その国際的地位にふさわしい役割を率先して果たしていくことが必要だということを痛感いたしております。特に、先生今御指摘のように、開発途上国において工業化、都市化の進展に伴っていわゆる公害問題が顕在化、深刻化しておりまして、これらの解決に向けた開発途上国の自助努力に対する支援は、我が国の国際的に果たさなければならない重要な課題だというふうに思っています。  環境庁といたしましては、従来より、開発途上国に対する環境協力のための所管のODA予算の拡充、そして必要な取り組みを進めること、途上国自身の対処能力の向上を図ることを目的として、外務省などとの協力のもと、専門家の派遣や途上国の環境研究研修センター事業に対する支援などを行ってきているところであります。  今後とも、バイといいましょうか、国と国の関係だけでなくて、例えばアジアならアジアのマルチな協力関係というものを通してその地域環境を守っていく、そういう二本立ての努力を、今までもやってまいりましたけれども、これからも集中的に取り組んでまいりたい、こんなふうに思っていますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  55. 河本英典

    ○河本英典君 この間の国立環境研究所ですか、見せていただいた中でも、大変な科学技術の粋を生かされまして、人工衛星を使った画像でどうこうするとか大変な技術があるわけですので、そういったことで環境を守っていただきたいということを、限られた地球でございますので、さっき言いました基準もますます厳しくなっていくわけでしょうけれども、きつくしていただいて、それをクリアする新しい技術の開発というためにも頑張っていただきたいなというふうに思っておるわけでございます。  以上で質問を終わります。
  56. 広中和歌子

    広中和歌子君 新進党の広中和歌子でございます。  大臣御就任おめでとうございます。これまで環境問題に深くかかわってこられた岩垂先生大臣となられ、御活躍を心からお祈り申し上げます。  昨年秋の水俣の和解解決、そしてまた昨日の新聞でも水俣に引き続き新潟水俣病の和解が成立したと報じられております。  冒頭から重苦しい話題で恐縮でございますが、最近、国民の間に行政の対応への不信感が高まっております。卑近な例を挙げれば、大和銀行、住専問題での大蔵省、「もんじゅ」における科学技術庁、エイズ薬害に対する厚生省のやり方などでございます。  さて、環境庁にとりましては、長いこと背負ってきた課題として水俣問題があります。水俣問題は、一九七一年に環境庁ができる以前に発生、そして当時、厚生省が深くかかわった問題でございます。その後、環境庁がこの問題を引き受け、対策に苦慮し、まさに苦悩してきたということが言えるんではないかと思います。  昨年の秋、村山前内閣の大島大臣のときに一応解決への筋道をつけた水俣病の対応ですが、現大臣として、これでよかったのだろうか、コメントをいただきたいと思います。
  57. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先輩である広中先生からお言葉をいただきましたけれども、それぞれ苦渋の決断をなすっていただきました。その意味では、さまざまな関係をする団体の皆さんが、ここに至る経過の中では非常に重たい気持ちでその解決を目指してくれたというふうに思っています。  特に、水俣病と認定されない方々の問題、この未解決の課題がずっと残っていまして、この未解決の問題の解決のために、村山前内閣においてその発足当初から重要課題として取り組んで、特に大島前長官が与党の最終解決策について関係者の合意を得るためにも御努力をなすって、与党三党の合意ができて解決にたどり着いたわけでございまして、私としては、私自身も実は長い間この問題にかかわってきたという歴史をひもといてみると、感無量なものがございます。  それだけに、ここに至った経過の中では、皆さんの大変な御努力や、あるいは重たい歴史を背負って、先ほどから何回か申しておりますように苦渋の決断をなさった各団体の皆さんの御努力に対して敬意を表すると同時に、誠心誠意この問題の解決に向かって私なりの努力を尽くしていかなければいけない、そういうことを自覚いたしております。  どうぞ今後とも御指導を賜りたいというふうに思います。
  58. 広中和歌子

    広中和歌子君 非常に長い時間がかかったわけでございまして、本当にもっと早く解決すべきだったというふうに思うわけでございますが、この解決のために全体でどのくらいの額が必要となるのでございましょうか。
  59. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 水俣病問題について環境庁が支出いたしました経費に限って申し上げたいと思いますけれども、中身としては、各県における公健法の認定に係る事務費でありますとか総合対策事業に係る経費、それから国立水俣病研究センターに必要な経費等がございますけれども環境庁発足後の昭和四十七年度から平成七年度までの間に、予算額の累計でございますけれども、約二百三十三億となっております。  また、企業が補償協定に基づきまして認定患者に支払ってまいりました補償金の累計でございますが、チッソにつきましては平成六年度末までに約一千三十七億円、それから昭和電工につきましては平成七年末までに約二百五十億円となっております。  以上でございます。
  60. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、チッソの中に非常に大きな借金がございますよね、県債から借りて、そしてそれを国がバックアップしているということがあると思うんですが、その総額はどのぐらいになりますか。
  61. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) お尋ねの県債によりますチッソへの金融支援の累積、平成七年十二月末現在の数字で申し上げますと七百五十八億余であります。
  62. 広中和歌子

    広中和歌子君 さらに、今回の和解は、だれがどういう形でお払いになるんでしょうか。
  63. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 今回の解決策に係りますお金でございますが、まず一時金で申し上げますと、これは救済対象者一人当たり二百六十万円ということでありまして、同時に熊本、新潟の六団体に総額五十三億八千万円が加算されるという形になっております。  それで、その金額が幾らになるかということにつきましては、今回の解決策での対象者が、これまで総合対策医療事業の対象になった方約四千六百名のほかに再開後の医療事業で今後新たに対象となられる方がおりますが、これらの方々が全体どれぐらいになるかという状況は現時点ではまだ予測がなかなか難しゅうございまして、そういう意味ではトータル幾らぐらいになるかというのはなかなか申し上げにくうございます。御勘弁をいただきたいと思います。  それから、一時金の支払いについて、チッソに同じようにやはり支払い上の問題がございまして、この一時金の支払いが確実に遂行できますように国、熊本県において支援策を講じております。  仕組みを申しますと、熊本県が水俣病問題解決支援財団というのを設立いたしまして、そこがチッソに貸し付けを行いますが、その資金として県が二百六十二億六千万円出資をいたしまして、そのうちの二百二十三億二千百万円を国が県に対する補助金として交付をいたしております。  それからまた、今回の解決に伴いまして、いわゆる地域再生・振興施策ということで、もやい直しセンターなどの施設の設置を考えておりますが、このための経費四十億四千万円を熊本県が出資しまして、そのうちの二十六億九千三百万円を国が同じく補助金として交付しております。  それから、今後総合対策医療事業として進めてまいります事業、八年度予算において十億二千五百万円計上いたしております。  大体そういうところでございます。
  64. 広中和歌子

    広中和歌子君 ざっと足し算いたしましても膨大な額になるわけでございますけれども、やはり国の責任というんでしょうか、かかわり、そういうことを考えますときに、これは絶対にお金を惜しんではならない問題であろうと思います。そういう点では住専とは全く違う問題であろう、そういうふうに思っているところでございます。  では、次の話題に移ります。  環境基本法が制定され、また環境基本計画も策定されました。環境基本法の理念は、環境の恵沢の享受と継承、それから持続可能な社会の構築、そして国際協力、この三点でございますけれども、具体的施策の中でどのような形で実現されているのか。環境庁を代表して、その意欲を大臣にお伺いしたいと思います。
  65. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 環境基本法に示された理念を実現するためには、国はもちろんのこと、地方公共団体、あるいは事業者、さらに市民が積極的に環境保全に取り組んでいくことが不可欠であることはもう申すまでもございません。その意味で、国として、国としてというよりも環境庁としてやってきたことを少し申し上げておきたいと思います。  一つは、「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画」、これは環境庁としての方向だけでなくて各省庁を含めて取り組んでいくという方針を平成七年の六月に策定をいたしました。それから二番目は、例の容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の制定、リサイクル法でございますけれども、これも七年の六月に皆さんの御協力をいただいて制定することができました。これは循環というテーマかもしれません。そして、生物多様性国家戦略の策定も去年の十月に、これも御協力をいただいて策定することができました。それから、総合的環境指標開発のための調査検討への着手、手がけ始めたということでございますが、昨年の七月にこれを実施いたしてまいりました。  現在、中央環境審議会で環境基本計画の進捗状況の第一回目の点検を進めていただいているところでございますけれども、その結果を踏まえて、今後とも環境基本計画のより一層の具体化を図ることによって環境基本法の理念の実現に努めてまいりたいというふうに考えております。
  66. 広中和歌子

    広中和歌子君 環境特別委員会というのは、代表して言わせていただきますと、与野党問わず環境庁の応援でございますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、各分野ごとにちょっと伺いたいと思いますが、自然環境保全の中で現在の最重要課題というのは何でしょうか。  自然環境といいますと非常に幅が広いわけですね、動植物の保護とか、それからそのためには生態系のデータ収集等いろいろございますけれども、どういったことを重点的にやっていらっしゃるか。生物多様性国家戦略というのをつくられたようでございますけれども、もうちょっと具体的にお願いいたします。
  67. 菊地邦雄

    説明員(菊地邦雄君) お答えいたします。  自然環境保全に関しましては従前より自然公園法等の法律を使いましていろいろやってまいりましたが、現在、やはり環境基本計画の意を受けまして、私どもとしては、生物多様性の保全ということと、もう一つ自然と人間の共生、この二本の柱を改めて確認しつつ進めていきたいというふうに考えております。  生物多様性につきましては、国家戦略を受けまして、今後、調査の充実あるいは情報の公開、その他野生生物の保護等の一層の推進ということに努めてまいりたいというふうに思っております。  また、自然との触れ合いにつきましては、従前より自然公園、いろいろ各般の事業をやってきておりますが、一層国民に自然を知っていただくという観点を含めまして、自然との触れ合いのある国土の創造というような観点でさらに進めていきたいというふうに思っております。
  68. 広中和歌子

    広中和歌子君 情報の収集、情報の公開ということをおっしゃいましたけれども、ここ一、二年でコンピューターネットというんでしょうか、インターネットが急速に進歩発展してきておりますけれども環境庁におけるお取り組みはいかがでございましょうか。  それから、環境庁自身がいろいろなソースでお集めになる、そのことも大切でございますけれども、先ほど申しましたように自然環境というのは非常に分野が広いし、それぞれの地域においての土地の研究家とか、研究家と言わないまでもローカルな人たちが非常に知識を持っているというようなこともあるわけでございまして、そういうような方たちが積極的にこのネットにアクセスして情報を入れてくださる、そういうような形がとられなければ包括的なものというのはなかなかできないんではないか。  そういう意味で、環境基本法の理念、いわゆる一般の人たち、NGOの人たちも含めて協力してやっていくという理念に立ちましても、ぜひそういうような方向でやっていただきたいと思うんですが、もう既にそういうお取り組みは始めていらっしゃいますでしょうか。
  69. 菊地邦雄

    説明員(菊地邦雄君) 御指摘のとおり、自然環境あるいは生物多様性というものを進めます上で、やはり基本的には生物学的な知見の集積、そしてそれの解析、あるいは情報を国民に広く知っていただくということだと思っております。そしてまた、ほとんどそうしたデータというのはフィールド調査から生まれてくるものでございますので、これは役所だけでできるものではございませんし、全国的な専門家の方々の御協力を従来からも得ておりますし、今後とも広くネットワークとして私どももお手伝いをいただきたいし、こちらからもいろいろ御協力をしたいというふうに考えております。  我々といたしましては、こういった情報と人と両方のネットワークづくりが大切と考えておりますが、そういう上でも、やはり専門家レベルのネットワークとそれから広くボランティアを含めた一般の国民の方のネットワークと二段階で進める必要があるのかなというふうに思っております。インターネットあるいはパソコン通信というのを使いました方式というのも現在検討いたしておりまして、特に平成八年度からはそういった方向の具体的なあり方というのを予算化いたしまして進めたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、身近な自然に親しんでいただく、あるいはそういったところの情報というのが根本的には多様性の保全につながるというふうに思っておりますので、なるべく多くの方の御協力が得やすいようなシステムというのをできるだけ早く構築いたしたいというふうに思っております。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当に一日も早くとお願いしたいところでございます。  自然環境保全の中で人間と自然の共生ということをおっしゃいましたけれども、港湾とか河川等の自然環境を保全していくために、環境庁は港湾事業とか河川事業、これは運輸省事業であったり建設省事業でもあったりするわけですけれども、そういう他省庁の仕事に関してどういう影響力を行使しているのか、またできるのか、お伺いいたします。
  71. 菊地邦雄

    説明員(菊地邦雄君) 御指摘のとおり、海岸線あるいは河川といいますのは水と生物が一体となりました非常に弱い自然でもありますし、また生物多様性という点では非常に豊かなところでございます。そういう観点で、御指摘のそういった事業環境庁の関係につきましては私ども幾つかの段階があると思っております。  一つ一番大きなところは、何度か出ておりますが、生物多様性国家戦略というものをつくります段階で、関係いたします建設省、運輸省あるいは農水省という事業を主体とされる省庁にもお入りいただきまして、一緒の舞台で生物多様性というものの保全あるいは持続可能な利用という点について考えていき、実行するという体制を現在つくったところでございます。こういう点を通じていろいろと御相談も今後できるんではないかなというふうに考えております。  それからもう一つ、それぞれ公共事業、五カ年計画というような大きな計画をつくられますので、そういう段階では、その都度私どもとしては全般的な生物多様性の保全あるいは自然環境の保全、広くは環境の保全に配慮してもらうというようなことを最近強く申し上げているところでございます。  それから、次の段階として、個別事業でアセスメント等が行われる段階で環境庁に御相談があるというようなときには、そういった個別の事業について私どもの持っておりますさまざまな生物に関する情報をもとにいろいろと御相談に乗っているということでございます。  いずれにいたしましても、こういった地域生物に関する情報を、先ほど来申し上げておりますが、私どももなるべく広くかつ深く調査をいたしまして、積極的に提供することによっていろいろな事業生物多様性の保全等に配慮されて進められるように努力してまいりたいというふうに思っております。
  72. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) せんだって閣議で、今、菊地審議官指摘をされましたように、公共事業の例えば都市公園あるいは港湾などの五カ年計画の枠組みが提起されまして、実はきのうも飛行場が出てきたわけですけれども、大変なお金を使うわけです。公共事業環境破壊をしたんじゃたまったものじゃありませんので、各省庁に強く、公共事業を進めていく場合に環境に対する配慮というものを十分にやってほしいということを閣議で強調いたしました。  そうしたら、総理にそのことについて別室に呼ばれまして、いいタイミングで言ってくれた、ぜひ環境庁を激励してやってほしいという言葉をいただきましたので、そこらを足がかりにして、御指摘のように公共事業にかかわる膨大な国民の予算でございますから、その意味でもこれからも環境への配慮というものを最大限、及ばずながらですけれどもしてまいりたいと思っております。
  73. 広中和歌子

    広中和歌子君 特に、計画の段階で御相談があれば非常にいいわけでございまして、先ほど審議官のお話にもございましたように、そういう御相談があればいろいろ話し合いをしながらやっているということでございますが、必ずしもすべての案件が相談されるわけではない中におきまして、やはり制度的にきっちりしなけりゃいけないんじゃないかと思います。  環境アセスメント制度につきましてはずっと環境委員会では取り上げられてきているわけでございますが、環境庁としても予算を得て調査検討を始めてからかなり年月がたつのではないかと思います。環境基本計画の中でも、環境アセスについては法案化も含めて検討するというふうに言われておりますね。政府としては法案化するのかどうか、そして法案化するのだったらいつお出しいただくのか、きっちりお答えいただければありがとうございます。さもなければ我々議員の方で議員立法をお出しいたしますので、こういうのはいい競争をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
  74. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 環境影響評価制度の今後のあり方につきましては、広中先生大臣のころでございますが、平成六年度予算環境影響評価制度特別総合調査研究費二億二千百万円、当時としては調査費としてはかなり大型の予算を計上いただきました。それを踏まえまして、平成六年七月、学識経験者によります環境影響評価制度総合研究会を設置し、自来その研究を進めてもらってきておるわけでございます。  その研究会におきましては、国内外の制度の実施状況等に関しまして、環境影響評価の対象事業をどうするか、あるいは手続の流れをどうするか、住民関与のあり方をどうするかなど、環境影響評価制度をめぐります課題ごとに横断的、総合的な分析、整理を関係省庁一体となって実施しているところでございます。  この総合的な調査研究は、実は本年夏をめどに結果を取りまとめていただくべく精力的に取り組んでいるところでございますが、この結果等を踏まえて法制化を含め所要の見直しを行う所存でございます。この法制化を含め所要の見直しを行うという表現自身、大臣も法律を制定したときに総理大臣の御意見も踏まえながら言っていただきましたが、現時点ではこの表現を一歩出るところまでは行っておりませんので、法制化を含め所要の見直しを行ってまいりたいと思っております。
  75. 広中和歌子

    広中和歌子君 いや、その一歩をぜひ出していただきますように。  長官、いかがでございますか。
  76. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 実は、法制化を含めて検討するといういわば研究会の発足を、環境基本法の成立直前の総理に対する質問の中で当時の宮澤総理大臣からお約束を引き出して、その後先生予算をつけていただいたわけでございますので、その意味でいきますと、これ本当にあれからまだ、まだよりもうというふうに言うべきでしょう、二年たっているわけであります。  したがって、夏までにと言っていますけれども、夏も遅い夏もありますので、できるだけ早い夏のころに結論を出していただく、そして、場合によっては中環審に審議をいただかなきゃならぬことがあるかもしれません。しかし、そのプロセスもできるだけ早めて、そして法案を準備、まあ法制化を含めてということでございますから、研究会の答申がそうなることを期待しながらそういう対応を進めてまいりたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  77. 広中和歌子

    広中和歌子君 大臣指導力を期待いたします。  次に、いわゆる持続可能な開発のテーマに移りたいと思います。  我が国のような先進国にとりましては持続可能な開発というのは一体どういうことなのかなということで考えてしまうんですが、どういうイメージでとらえたらよろしいんでしょうか。私どもとしては、もうここまで経済発展してきてしまったわけで、これからは大量生産、大量消費、大量廃棄の経済社会システムを改めなければならない、そういうふうに言われているわけですけれども、今不況だ不況だと言われております。どんどん公共事業予算がつきます。そういう中でどうやって持続可能な開発を我が国はやれるんだろうか。あるいは、もし大量生産、大量消費、大量廃棄を押しとどめるとしたらGNPや景気回復とトレードオフになりはしないか。  そういうようなことで、環境というと、このごろ皆さんアンカンファタブルな、居心地悪いような顔をなさる方も結構いらっしゃるんじゃないかと思うんですが、それこそ環境庁が頑張らなければならないところですが、どういうイメージでとらえ、どういうふうな形でこの持続可能な開発に積極的に取り組んでいかれるか、お伺いいたします。
  78. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 先生案内のとおり、持続可能な開発の理念というのがいわゆるブルントラント委員会の報告書以来使われておりまして、その定義によりますと、将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすような開発、こういうことになっておるわけでありますが、そこから流れ出る考え方として、環境と開発を相反するものとしてとらえるのではなくて、環境を保全してこそ開発が可能で長生きするという考え方につながると思います。  では具体的に日本のような先進国がどういうふうなイメージで描けばいいかということでございますが、これはある意味では断面的なイメージになろうかと思うんですが、言うならば先進国側約二割の人間が地球上のエネルギーの八割を使うというような状況がまずある中で、先進国それから開発途上国が手を携えて地球レベルで持続可能な開発をなし遂げていこうというスタンスで先進国のイメージを考えますと、一つには資源やエネルギーの効率的利用、再利用、再生利用、そういったことを進めることを通じて、自然界からの資源等の採取あるいは自然界への不要物の排出に伴う環境への負荷というのをできるだけ少なくすることがまず一つあるんではないか。  それからもう一つは、豊かな環境を将来世代に残せるように自然の再生能力の範囲内で自然の利用とか開発を進めることというのがもう一つのイメージといいますか制約になってくるのではないかと思っております。  それから、そういう環境保全の取り組みを社会全体の公平な役割分担のもとで実行していくというもう一つの断面を考えなきゃいかぬのではなかろうか。  それからさらには、国内だけじゃなくて地球レベルでの取り組みを推進しなきゃいかぬのではないかということで、そんなことをつなぎ合わせていくと、言うならば環境基本計画が描くイメージがまさに先進国としての持続可能な開発の実現につなげる枠組みになっているのではないか。いわゆる循環、共生、参加、国際的取り組みというのを四つの長期目標に掲げておりますが、その目標の実現に努める手段なり責務というものが先進国が描くべき、あるべき姿の開発のイメージにつながっていくんじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つの観点は、いわゆるGNPや景気回復とトレードオフになるかならないかという点の御質問でございましたが、やはり現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会を変革していくには、当然短期的に痛みを伴うということがあると思います。その痛みが、あるいは場合によればGNPや景気回復とのトレードオフという形で出ることもあるのかもしれないと思います。  しかし、いずれにしましても私どもとしては、こういう新たな痛みも、先ほども河本先生の御意見の中にもあったと思いますが、新しい投資の機会ととらえて、適切な環境投資等を通して環境への負荷の少ない経済社会システムを実現していくということは、同時に資源エネルギーの利用効率を高めていくということにもなって、いわば長期的には持続的発展が可能な経済社会の構築に寄与すると考えられますし、そうした考え方から、環境対策をむしろ積極的なビジネスチャンスということで取り組んでいく企業も出てきているのではないかと思っております。  私ども環境庁では、企業の環境への取り組み状況、どのように取り組んでいるかという調査を毎年実施させていただいておりますし、早い段階から環境投資をすると長期的に持続可能な経済発展に寄与するというような分析も実は環境白書の中で述べさせていただいたことがございます。そんな形で国民の理解を広めていきたいということでございます。  また昨年、先ほども申しましたが、率先実行計画を定めました。言うならば、これも政府の職員にとってみると痛みを伴う行為でございますが、政府自身がそういうことを率先してやっていくことが事業者や国民、自治体の理解を高める上で非常に重要なのでは、あるいは有効なのではないかと考えておりまして、そういう意味でも率先実行計画を単なるうたい文句に終わらせないように頑張っていきたいと考えております。
  79. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。よくわかりましたが、さらなるPRをよろしくお願いいたします。  今、日本の国内における環境問題で一番話題になりがちなのはごみ処分場の不足だろうと思います。ごみ問題は環境問題の大きな課題であって、ごみの処理コストも上がっているんじゃないか。  その場合、ごみの有料化も含めまして、一般ごみもそうなんですが、私たちは東京なんかで例えば人間一人につきどのくらいごみ収集コストがかかっているかということを知らないんです。ですから、たくさん買ってたくさん捨てるという大量消費、大量廃棄のパターンが続くんじゃないかと思いますけれども、こういう中で有料化、一種の経済的手法を使うことがもうそろそろ必要になってきているんじゃないかということなんです。やはり市民にごみはただじゃないんだということを教える必要もある。非常に大きな教育効果があるのではないかと思いますが、環境庁はどう考えていらっしゃいますでしょうか。
  80. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 御指摘の点はまことに私どもも同感でございまして、ごみの問題に限って言いましても、有料化等によってごみについてのコスト意識というものを市民に持っていただくということから廃棄物の発生を抑えたりリサイクルを推進するという誘因、インパクトが出てくるんだろうと思います。  ごみの有料化をすると本当に減量効果があるかという点については、実は非常に顕著な例がございまして、北海道の伊達市で申し上げますと、導入前の六十三年度と導入後の平成二年度を比べると三七%ごみが減ったという実はデータがございますし、出雲市でも、指定のごみ袋制を導入すると、導入前の平成三年度と導入後の平成四年度で二八%ごみが減ったという実績がある。  このように非常に顕著な効果が出ている例もありますので、それを踏まえながら進めなきゃいかぬと思いますが、実は環境基本計画自身、既にそういう考え方を「廃棄物の発生抑制のため、一般廃棄物に関して従量制による処理手数料の徴収を推進する」というふうに環境基本計画の中にも書いてございまして、そういうのを踏まえながら、今後各自治体でもそういう努力が進められることを実は期待しているところでございます。
  81. 広中和歌子

    広中和歌子君 ごみという非常に環境にかかわるところを厚生省が握っておりまして実際の作業は自治体がやっているという中で、環境庁が幾らいいことを言ってくださってもなかなか実行されないというフラストレーションがあるんじゃないかと思います。  いわゆるごみというのは、川下産業というんでしょうか、静脈産業でございますけれども、ごみの収集についてはもう民営化も必要じゃないかというようなことを言う方もあり、近代化が必要だ、競争も導入してどんどんいい形でごみの収集をやっていく、リサイクルをやっていく、そういうような意見も出ているわけです。  環境改善するための重要な産業としていわゆる静脈産業というものを位置づけ、いわゆるエコ産業というんでしょうか、そういう形でビジネス界を巻き込んで何かリーダーシップをとっていただけないのかなと思うわけでございますが、御意見をお伺いいたします。
  82. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 先生指摘のとおり、いわゆる川下産業とか静脈産業とかという部門でございますが、社会の物質循環を考えたときに、できるだけごみという形で排出される部分が少なくなる循環体系ができるほど健全なリサイクル社会が実現できるという観点からいうならば、まさに経済活動からの排出物を有用物として再利用あるいは再資源化して新しい価値を生み出す、そういう持続可能な経済社会の構築に向けて川下産業、静脈産業は物すごい大きな役割を果たすことになると考えておりまして、そういう産業が現時点で産業形態として十分発達しているか、あるいは近代化がなされているかということについて十分考え直し、必要な新しい変革も進めていかなきゃならぬのだと思います。  環境庁としても、いずれにしてもこういう産業が健全に発展していただいて、その静脈の役割を十分果たしてもらえるようになると環境基本計画達成が非常に前に進めると、こういう感じを持っております。
  83. 広中和歌子

    広中和歌子君 新しい分野ですから当然小さく始めなくちゃならない。いわゆるベンチャーでございますけれども、今ベンチャー、ベンチャーといろいろ言われておりますが、環境産業というものは私は二十一世紀に向けて経済の吸引力の一つになると思っているわけでございます。  この環境ベンチャー企業を育成していくために、通産省とか他の省庁もいろいろやっていらっしゃると思いますが、環境庁としてはいいお知恵があるか、そしてまた、そのためにいろんな刺激策をどういうふうに講じていかれるおつもりか、お伺いいたします。
  84. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 環境庁では、毎年、環境にやさしい企業行動調査というのをやらせていただいておりますが、そういう調査結果の中でエコビジネス進展のための問題点というのをいろいろ伺っております。その返答の中で幾つか出てきておるものの中に、消費者やユーザーの関心がまだ低いとか、それぞれの分野の市場規模がよくわからない、あるいはどの分野が有望であるか十分把握できないといった、一種エコビジネス市場の不確実性というんでしょうか、そういうものにかかわる問題点指摘をいただいておるわけでございます。  そういう市場の不確実性に伴う問題点に対して環境庁が何ができるかという点は、実は職務権限上かなり制約をされるわけでございますが、私どもとして可能な範囲で進めさせていただいておるものに、一つはエコビジネスの現状、見通しについて調査、公表をし、それからエコマーク制度というようなもので環境負荷の少ない商品を適正に評価して、それが社会的に認知され、他の商品と差別化できるような仕組みを構築して運営していくというのが私どもがひとつ大いに進めなきゃならぬ分野かな、それがベンチャー企業の刺激策になればと思っております。  また、もう一つは、グリーン購入ネットワークというのを発足させるように働きかけをするなど、いずれにしても、エコマーク制度などと並びまして、環境負荷の少ない商品あるいはサービスの購入の促進、需要の喚起といったことで市場の不確実性を少しでも低減させて、そういう商品の開発、供給を促すといった努力が私ども環境庁の立場でもなし得ることかと思いますし、そういう点をまずしばらく一生懸命やっていきたいと今考えております。
  85. 広中和歌子

    広中和歌子君 今ちょっと思いついたんですけれども、アメリカではコンシューマーリポートというのがあるんです。数日前、日本経済新聞にも紹介されておりましたけれども、要するに、消費者団体が集まりましていろいろ商品をテストして、そしてレーティングをつけるということがあるわけでございます。グリーンコンシューマーリポートみたいなものを環境庁あるいは環境庁の関係する団体などがやって、積極的にマスメディアあるいはコンピューターネットを通じて発表していただくとか、そういうようなことも新たな可能性としてあるんじゃないかななんて、ちょっと思いつきましたので発言させていただきます。  次に、地球環境問題について伺いますが、地球サミット以降の五年間で一兆円規模のODA予算環境ODAとして予算化されているわけでございます。そして、もう既にそのうちの七〇%が使われたということでございますが、環境庁はそれにどういうふうなかかわり方をしてきているのか、案件発掘の段階から環境庁というのはかかわってきたのかどうか、お伺いいたします。
  86. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 今、先生指摘のとおり、一九九二年の地球サミットで我が国が九二年から五年間に総額九千億ないし一兆円をめどに環境分野のODAを支出するというのを表明されて、それが九四年度までの三カ年で七割強、既に七千億円の支出が達成されておるわけでございます。  この環境分野のODAの中身は、実は公害対策自然環境の保全のほか上下水道等の居住環境改善、森林の保全・造成、あるいは防災というふうに非常に広範多岐にわたっております。これらODAのほとんどは海外経済協力基金とか国際協力事業団で実施されておるわけですが、環境庁では、良好な環境援助案件の発掘に資するいわゆる政策対話ミッションというものに積極的に参加をさせていただいたり、JICAによります環境協力案件に対する専門家派遣というような形で参画させていただいております。  今後とも、そういう意味でJICA等による事業に積極的に参画してまいりたいと思っておりますが、また環境庁独自で、例えば必要な人材の養成等の事業も独自の予算の範囲内でやっていきたいというように考えております。
  87. 広中和歌子

    広中和歌子君 いわゆるODA予算の中で環境ODAと言われているものもやはり環境庁の視点でチェックしてみる必要があるんじゃないかななんというふうな感じがするわけで、環境庁にそれだけの権限というんでしょうか、役所の縄張りの中でできるかどうかわかりませんけれども、そういうこともぜひ必要だという問題意識を私ども新進党は持っているところでございます。  大臣、今いろいろ御質問させていただいたわけですけれども環境行政は大きく他省庁の行政にかかわっております。ですから、現環境庁の体制でその使命を十分に果たしているのかどうか、率直な御意見を伺い、そして将来に向けていかなる努力をしていただけるのかお伺いして、私の質問を締めたいと思います。よろしくお願いします。
  88. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 環境庁長官を御経験なさった先生からの質問でありまして、恐らくいろんな問題意識を持っておられるだろうというふうに思います。  率直に言って、私、実は去年の暮れは厚生省の与党の政策調整会議の座長をいたしておりまして、厚生省予算のとりまとめをいたしました。どのぐらいということは言いませんけれども、けたがかなり違います。予算の上でのけただけでなくて、スタッフの面でも決して十分ではございません。だから、お金もないし人も決して十分ではないけれども、しかしその中で精いっぱいやることが私たちの仕事だろうというふうに思っているところでございます。  先生のおっしゃろうとしている意味を私はそんたくいたしますと、例えば環境省というふうな議論というのはいつの場合でも出てきます。私どももそういうことを言ったことがございます。ただ、これも一長一短あることに気づきました。それは、総合的な企画調整機能を持った役所という意味では、力があれば他省庁に対してきちんと物を言う、そしてまた同時にその中で環境行政を進めていく、このこともできるわけでありますから、そういう点で企画調整能力というものを生かす役所という特徴をやっぱり精いっぱい生かしていく必要があるなと。  環境省というふうな議論で小ぢんまりまとまってしまってはいかがなものだろうかということなども、当然環境省というアイデアを否定するものじゃございませんけれども、それだけで問題がすべて解決するかといえばそうとも言えないんだろうという意味で、今の環境庁としての役割の中で、そして今のような予算や人員の中で精いっぱい努力をしていきたいものだというふうに思っています。  とりわけ職員の皆さんは、ほとんど環境行政を目指して環境庁で働いていただいているわけでございますから、その特徴を、そしてまたその希望を、それからそのいわば勇気、そういうものを生かすために私たちがどんな役割をするのかということの責任の重さをしみじみ、まだ二カ月たっておりませんけれども、痛切に自覚しながら毎日を送っているという状態でございます。  したがって、どうかいろんな意味で、私は何回も申しますけれども環境行政に与野党はない、お互いに切磋琢磨していくということが必要だと。その意味で、これからいろんなお願いをしていかなきやなりません、COP3の問題などはそれこそ党派を超えて取り組んでいかなきゃならぬ課題でございますから、そういうことを含めてあらゆる分野で諸先生の御協力をいただきたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。  十分な答弁ではございませんけれども、御寛容を賜りたいと思います。
  89. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  90. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時開会
  91. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 足立良平

    ○足立良平君 平成会の足立てございます。  長官、就任おめでとうございます。本当に今までずっと私も拝見をしておりまして、これから環境行政で今までの長官の政治的な経験を遺憾なくひとつ発揮をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  実は、私もまだ十分勉強し切っていないんですが、環境問題というのは、突き詰めていくとエネルギー問題、そしてコストの問題、そして人口問題というふうに、そういう問題に帰結していくんではないだろうかなと、実は私はそんな感じを持っているわけでございます。  そういう面では、いわゆる経済成長、経済活動あるいは人間の生活というものとエネルギーの関係というのは切っても切れないし、どういうエネルギーをどういうふうに供給するのかということとの兼ね合いで環境問題というか大気汚染中心に出てくるでありましょうし、自然との関係からするなら人口問題に帰結するでしょうし、あるいはまた環境を保全し、そして良好な環境をさらにつくり上げていくとするならだれがそのコストを負担をしていくのかという問題に私は実はかかわってくるんではないかと。情緒的にこの環境問題というものを議論するということはなかなか難しいのではないかという感じを実は持っております。  そういう観点から、きょうはちょっと、四十五分間でございますけれども大気汚染の関係、この問題に一応絞ってひとつ環境庁なり長官の考え方をお聞かせ願いたい、このように思います。  さてその上で、これは過日、一月二十六日くらいだったでしょうか、CO2の排出が最悪の状態に今なりかけてきているというマスコミ報道がございまして、そして、こういう面で一九九〇年時点のレベルでCO2の排出について安定化させるということについては大変に危機的な状況にある、あるいは難しい状態にある、こういうことが報じられております。環境庁としてこの実態を一体どのように御判断をされているのか、そしてCO2の排出状況、推移、これは一体どういうふうな状況になっているのかということをお聞きいたしたいと思います。  それからもう一つは、このCO2、これは気候変動枠組み条約の中でのいわゆる総排出量、それから国民一人当たりをどう見るか、日本はこの二つの方向をとっているわけでありますけれども、実際的に政府としてその二つのうち主眼を一体どこに置いているんだという問題を、ちょっと考え方もお聞かせを願いたいと思います。  それとあわせて、この変動枠組み条約の締約国中、国民一人当たり云々という日本が主張しているような考え方で目標を定めている国があるのかどうなのか、このことも含めてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  93. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) まず最初に、気候変動枠組み条約に関しまして二〇〇〇年時点での一九九〇年レベルのCO、排出の安定化の見込みのお尋ねでございました。  二〇〇〇年度における二酸化炭素排出量は、省エネルギー等にかかわります各般の施策が政府とか産業界あるいは国民等、各主体がそれぞれ努力することにより十分に実施されたということを前提とした場合に、一人当たり排出量は一九九〇年度実績と比べてほぼ横ばいと予測をされておるわけでございますが、総排出量につきましては一九九〇年度実績三億二千万トンに比べまして約一千万トン増加ということの予測をいたしております。  最近の経緯といいますか、実績の推移でございますが、一九九三年度の二酸化炭素排出量について見ますと、これは一九九〇年レベルを上回る水準にございまして、総排出量で申しますと三億二千四百万トン、九〇年度実績を四百万トンほど、炭素換算トンですが、オーバーしておりますし、それから一人当たりのCO、排出量で言いますと、〇・〇一トンでございますけれども九〇年度レベルを超えております。それから、九四年度につきましてはまだ正確な数値は算定されておりませんが、資源エネルギー庁の速報値等によりますと、やはり九〇年以来最大の排出量となるという見込みでございます。  このようなことから、気候変動枠組み条約に掲げられた一九九〇年レベルでの二〇〇〇年安定化の努力目標の達成のためには一層対策に努力しなきゃいかぬ、こういう認識をいたしております。  それから、政府としては国民一人当たりの排出量と総排出量と、いずれの安定を目指すのかという御質問でございました。  行動計画のCO、に係る目標は、実は二つの項目から成っております。  一つの項目は、官民挙げての最大限の努力によって行動計画に盛り込まれた広範な対策を着実に推進し、一人当たりのCO2排出量について二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化を図るというのが一つ目でございます。  二つ目の項目は、第一項の諸対策と相まちまして、さらに太陽光、水素等の新エネルギー、それからCO2の固定化等の革新的技術開発等が現在予測される以上に早期に大幅に進展するということによって、CO2排出総量が二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化するよう努めるというふうに定めてございます。  したがいまして、この目標の設定に関しまして、第二項の目標においては現時点では確定し得ない今後の開発動向を一応踏まえたものとなっておりますので、表現も、安定化するよう努めるという旨の表現を用いているわけでございます。しかし、いずれにしましてもこの第一項、第二項にわたる目標の達成に向けて、いずれがということでなくて、両項目の目標達成に向けて取り組みをしていかなきゃならぬというふうに考えております。  それから、もう一つのお尋ねの一人当たりの排出量を目標に定めておる国につきましては、ほとんどの国が一人当たりではなくて総量の方の項目を目標として掲げておるということでございます。
  94. 足立良平

    ○足立良平君 そうですね、ちょっと日本の、これは後ほども触れたいと思いますけれども、オイルショック以後大変な省エネをやってきたというところから一人当たりというふうな話が出てきているんでしょうけれども、その上でちょっとお聞きをいたしたいと思うんです。  このマスコミ報道の中でも、特に九四年度速報ですね、今局長からお話ありました、大変に悪い状態になってきている。この理由は、猛暑、渇水が大変な影響を与えているというふうに報じているわけでありますが、環境庁として、それでは九四年度の約三億四千万トンのCO2排出量が一応試算される中で、渇水あるいはまた猛暑というものがどれだけの影響を与えたのかということについては試算数字はございますか。
  95. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 昨年九月、通産省が発表しました速報値によりますと、九四年度のエネルギー関連のCO2排出量は約三億一千五百万トンとなっております。これに工業プロセス及び廃棄物の排出量を仮に前年度並みということで加えました数字がいわゆる三億四千三百万トンということでございますが、これは前年度と比べて五・九%の増加に当たるわけでございます。  この原因につきましては、一つには記録的な猛暑によって冷房需要が増加したということ、渇水によりましてCO2を排出しないエネルギーである水力の供給量が減少したということ、加えまして化学工業など一部産業部門の生産力が増加したということなどが考えられます。  そこで、そういう猛暑、渇水の影響を補正した試算があるかというお話でございますが、環境庁では残念ながらそういう計算はいたしておりません。ただ、通産省の発表によりますと、猛暑、渇水の影響を補正したエネルギー関連のCO2排出量は約三億九百万トンということでございまして、これは補正しなかった場合に比べて約五百万トン少ない数字ということになります。
  96. 足立良平

    ○足立良平君 一応これは通産省あるいはエネ庁の方で試算はしているんでしょうけれども、これちょっと長官にお聞きをいたしたいと思うんです。  この九四年というのは、今から約二年くらい前でありますが、我が国の経済というのが相当落ち込んでいる状態、経済活動が沈滞している状態だと思います。そういう中で、今説明がありましたようないわゆる自然条件のゆえをもって若干そういう問題はあるといたしましても、これはやっぱり当初の一九九〇年レベルで安定化させるということは大変難しい状況にあることは、これはもう事実だと思います。  それで、問題は、排出量が何でどんどんふえてきているのかということがまず第一点。それから、今後一九九〇年レベルで安定化させていこうという目標達成に長官としてどのように取り組んでいこうとされているのか。そして三つ目に、今までの政治行動を拝見いたしますと、長官は環境問題に大変意欲的に取り組んできておられるわけでございまして、そういう面で、例えば地方の行政組織との関係、あるいはまたNGOとかそういう関係が今後の環境行政なり環境を守っていくのにどういう役割を任ずることができるのだろうかということについて長官の考え方をお聞きしておきたいと思います。
  97. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 足立先生エネルギー専門家でございますから私がお答えをすることは釈迦に説法かもしれませんが、率直に言ってかなり厳しい状況にあるということは、COP3を開く場合でも、そうであればあるほど真剣に取り組まなければならぬだろうというふうに思っております。  各分野での御協力をいただかなければなりませんけれども、特に今御指摘の地方公共団体あるいは事業者、それから国民、市民とそれから国が一体になった取り組みをしていかなきゃならぬということは、所信表明でも述べましたとおりに環境基本計画を推進する上で基本であると同時に、この問題の解決にも避けることのできない道だろうというふうに私は思っております。  そういう意味で、国民生活に密着した行政を展開している地方公共団体、そして市民の主体的な取り組みを促していきたいと思っておりまして、実はきのうも、地球的規模の環境問題に関する懇談会の地球温暖化問題に関する特別委員会に、東京都とそれから兵庫県と鎌倉市など関係の団体をお招きしまして、それぞれの自治体で今の温暖化についての取り組みをしている先進的な経験を勉強させていただきました。  私は、実はちょっと聞いてみまして、私も気がつかなかったいろんな取り組みが地方自治体で行われていることに気がつきました。それは、個々の問題だけではなくて、教育の問題とかあるいは地域の産業構造のあり方とか交通のあり方だとか、そういうことを地方自治体レベルでそれぞれプランを立てて、そして市民参加のもとで市議会や県議会の御検討もいただきながら取り組んでいるということに非常に勇気づけられました。  そういう意味で、そうした先進的な地方自治体あるいはNGOなどとの連携環境庁として一層強めながらこの枠組み条約締約国会議の成功を目指していきたいな、つまり、会議を開くことに目標があるんじゃなくて、会議を開く以上は本当に国民がみんなでその目標に向かって取り組んでいく国民運動をどうつくり上げていくかという課題が非常に重要だなと。実は、余り時間がないので、いろんな面で心配をしながらも、しかし何とかその目標と課題を共通の課題として取り組んでいきたい、こんなふうに思っております。
  98. 足立良平

    ○足立良平君 環境問題というのは、これは環境庁が上から決めてどんとやっていけるものではありませんし、そういう面では、NGOにしても地方行政にしても、ある面では地方分権的に、あるいはまた地方が主権的な判断の中で取り組んでいかなきゃならない課題を持っているのではないかというふうに私は思っております。  そこで、これはちょっと環境庁にお聞きをしたいと思うんですが、いわゆる一九九〇年レベルで安定化をさせていこうとする場合に、これは我が国も重要な取り組みをこれからしていかなきゃいけないわけでありますが、各国の取り組みの関係についてお聞きをいたしたいと思うんです。  これはそういう方向で、安定化で大体いけそうだというのはどういう国があるのか、難しい方が多分多いのではないかというふうに思うんですけれども、ちょっとその辺のところをまずお聞きしておきたいと思います。  それから二つ目に、これはちょっと私調べておりますと、ちょうど英国、イギリス、この国はエネルギーが従来の石炭中心から北海油田に変化してきて、いわゆる使用するエネルギーを変更することによって一九九〇年レベルのCO、排出量を何とかキープすることができるというふうなこともちょっと仄聞をいたしておりまして、問題は、先ほど冒頭申しましたように、どういうエネルギーをどういうふうに使っていくのかということと全体の総排出量とは密接に関係するのではないか、こう思いますので、ちょっとその点につきまして環境庁の考え方をお聞きしておきたいと思います。
  99. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 気候変動枠組み条約事務局が先進締約国十六カ国の国別報告書をまとめた結果に基づきまして考えますと、御指摘のように安定化が可能だとしている国、これは一番総排出量の削減率が大きいのはチェコの一七・二%でございますが、そのほかにデンマーク、オランダ、スイス、イギリスという五カ国が安定化可能としております。それから、ドイツは、二〇〇〇年のことは言っておりませんが、二〇〇五年において一九九〇年レベルで安定化するという言い方をしております。  一方で、安定化が困難という国は、最も総排出量の増加率が多いのがスペインの二四・一%でございますが、それを筆頭に、オーストラリア、カナダ、フランス、アメリカ、それに日本などを含めました十カ国という状態でございます。  それから、今イギリスのことについてお尋ねがございましたが、イギリスが九四年一月に提出しました気候変動枠組み条約に基づく国別報告書で見ますと、対策を講じますことによってCO2排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年レベルで安定化することが可能というようにはしているわけですが、石炭から北海原油への切りかえということについてはその報告書自体の中には明示されておりません。  したがいまして、一九九〇年レベルでの安定化に寄与しているかどうかという点については判断がなかなかしにくいわけでございますが、ただ、一九九四年の国際エネルギー機関の報告によりますと、イギリスでは二〇〇〇年において一九九〇年に比べ石炭の供給量が減って石油の供給量が増加するという見通しが書かれておりますので、先生指摘のようなことだろうと思います。
  100. 足立良平

    ○足立良平君 労働省お見えですか。ちょっとこれは労働省にお聞きをいたしたいと思うんですが、平成七年六月に雇用政策研究会の答申が行われまして、労働力の需給の展望等についての考え方が提起されたというふうに聞いております。今後の経済成長と、そして今日失業問題が大変大きな課題になっているわけでありますが、そういう関係でこの中でどういうことが主眼として盛られているのか、ちょっと説明を願いたいと思います。
  101. 青木功

    説明員(青木功君) 御説明申し上げます。  ただいま足立先生からお触れになりました雇用政策研究会報告「労働力需給の展望と課題」、昨年六月に発表をされております。  この中では、今後の雇用の問題といたしまして、今後二〇〇〇年までは労働力人口の伸びは鈍化するものの増加し続けるというふうに指摘しております。具体的には、例えば一九九四年の労働力人口が六千六百四十五万人でございます。さらに、これが二〇〇〇年度におきましては六千八百四十六万人となります。そういった中で、今後の雇用の安定を図っていくという観点からいたしますと、年率二%台後半から三%程度の経済成長がなされなければ労働力需給は均衡をしないという趣旨の御報告をいただいたところでございます。
  102. 足立良平

    ○足立良平君 ありがとうございます。どうぞ退席していただいて結構です。  経企庁、お見えですか。経企庁にちょっとお聞きしたいんですが、まず、我が国の経済のいわゆる長期計画では今後大体何%程度の経済成長を考えているのか。それから、今一応回復基調に入ったというふうに言われているんですけれども、今日の経済の状況は一体どうであるのか。あるいはまた、来年度、八年度は大体どういう成長を見込んでいるのか。この点についてお聞きをいたしたいと思います。
  103. 内村広志

    説明員(内村広志君) 御説明いたします。  平成七年十二月に閣議決定されました政府の長期計画でございます構造改革のための経済社会計画におきましては、平成八年度以降二〇一二年度までの経済成長率は、実質ベースで年平均三%程度になるというふうに見込んでおります。  また、景気の動向についてでございますが、我が国の経済は長期にわたり厳しい状況が続いてまいりました。しかし、最近、雇用情勢など一部に懸念すべき点は見られますが、設備投資及び住宅建設等におきまして明るい動きなどが見られ始めまして、また生産も緩やかながら増加するなど、景気は再び回復の動きが見られ始めております。  今後につきましては、次第に民間需要が力を増し、自律回復に移行するものというふうに見込んでおりまして、平成八年度の政府経済見通しにおきましては、実質経済成長率二・五%程度を見込んでいるところでございます。
  104. 足立良平

    ○足立良平君 ありがとうございます。経企庁の方も忙しいでしょうから、どうぞ退席していただいて結構です。  次、これはエネ庁にお聞きをいたしたいと思いますが、いわゆる最終エネルギー消費のGNPの弾性値といいますか、GNPの伸びとの関係についてお聞きをいたしたいと思うんです。第一回石油危機が昭和四十八年ですか、それから第二回が昭和五十三年から四年にかけてだったでしょうか、この石油危機の前の弾性値といいますか経済成長とエネルギーの使用の関係と、それから石油危機が終わった後、相当省エネが進んだと思いますが、その関係、そして最近の状況、まずこれについてお聞かせを願いたいと思います。
  105. 掛林誠

    説明員掛林誠君) 御説明させていただきます。  GDPに対するエネルギーの原単位の推移につきましてですが、第一次オイルショック以前の昭和四十七年度における我が国の一次エネルギー総供給のGDP原単位は、原油換算で一億円当たり百七十二キロリットルでございます。その後、二度目のオイルショックの後の昭和六十年度には、原油換算で一億円当たり百二十七キロリットルまで低下しております。その後、最近の状況でございますけれども平成三年度には過去最低の原油換算百十八キロリットルまで低下しておりましたけれども、最近では若干微増しておりまして、おおむね百二十キロ台で推移しているというのが最近の状況でございます。
  106. 足立良平

    ○足立良平君 これは環境庁にお聞きをいたしたいと思うんですが、先ほどからずっと労働省の考え方、あるいはまた経企庁のこれからの我が国の経済の姿、そして今エネルギーの原単位としての状況、こういうふうにちょっとお聞きをしてまいって、そして、我が国の経済がある一定の成長を遂げていかないと、大変な雇用問題を中心にして高齢化社会の中における福祉というものは達成することはできないというふうに考えます。  そうすると、大体二・五%から三%前後ぐらいの成長をし、しかも今の弾性値といいますかエネルギーの原単位の状況からすると、そういう成長したときの排出量、これは一九九〇年レベルで安定をさせようということが実際的に可能になるのかならぬのかという問題に実はなってくるわけです。その点について環境庁の方の考え方をお聞きいたしたいと思います。
  107. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 大変難しい質問でございますが、やはり一般的には、特に古い時代であれば経済成長率と排出量との関係がかなり強かったと思うのでございますが、最近の傾向を見ますと、経済成長率が高いとそれに比例して排出量がふえるという関係は必ずしもなくて、民生、運輸部門のCO、排出量の役割がふえた分、そこの関係が必ずしも一義的に決まってこないという感じがございます。  例えば、先ほどお尋ねありました九四年の数字でございますが、これも、猛暑、渇水などの増減を補正した後の排出量増加要因ですが、化学工業など一部産業の生産増加のほかに何かあるかと調べますと、パソコンの生産台数が随分ふえておりまして、このパソコンの電力消費がかなりふえているというふうに推測できる要素がございます。  そういう意味では、今後二〇〇〇年に向けて経済成長率等を踏まえながらCO2の排出量を想定していく場合に、民生部門なり運輸部門の増加とかそれから電力使用の形態とか、いろいろと頭に置いて考えないとあるいは間違うことがあるかもしれないというような認識を持っておりまして、余り明確なことを今申し上げるだけのしっかりした頭の整理ができておりませんが、そんな感じを持っております。
  108. 足立良平

    ○足立良平君 これは環境庁長官にちょっとお聞きをいたしたいと思います。今、局長も大変苦しい答弁をされていると私は率直に言って受けます。それは確かに苦しいんだと思います、現実的に。  これは、確かにエネルギーの使用は、例えば運輸関係というのは今相当ふえているわけですね。ですから、エネルギーの使い方という問題、その業種なり社会のシステムなり、あるいはまた経済構造というものを省エネルギーに向かってこれから一体どのように転換をさせていくのかということが本来的にはなければならないと思います。私はそう思いますから、そういう面では局長の話もそれなりに理解ができますし、電力化率の問題は後ほど少し触れたいと思います。  それで、私が長官にお聞きをいたしたいと思いますのは、長官の所信表明、私頭が余りよくないものですから何回も読ませていただきました。何回も読ませていただいて、そしてその中で地球温暖化防止に対して戦略を策定していかなきゃならないという文言、私はこれは大変実は興味深く読ませていただいたわけであります。  先ほど言いましたように、エネルギーなりあるいはまた産業構造の問題なり、そういういろんな問題が、そごが全部絡み合っているのがこの環境問題に最終的には出てきているわけでありますから、そういう点からすると相当の戦略というものを持ってかからないと、雇用を確保し、そして一定の経済成長を保ちながら、そして環境問題についても良好なものを維持、発展させていくという点からするとこれは大変なことだ。  ですから、私はそういう面で、戦略を策定するという長官の所信表明というものを大変興味深く受けとめさせていただいたわけでありますが、一体どういう戦略なんでしょうか。
  109. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今、企画調整局長がお答えをいたしましたように、これからの経済社会のあり方、それと照らし合わせてみて、一体本当に一九九〇年レベルで抑えることができるのか、抑えられなかったらどうなるのかというふうなことを真剣に考えますと、これから増加するであろうさまざまな要因について一つ一つ解析をし、分析をして排出を抑制するための手だてをしていかなきゃいかぬというふうに思っています。  シナリオといいましても、実を言うとそれほど特効薬があるわけじゃございませんで、何だかんだ言ってもやっぱりCOP3を成功させるという前提に立って、我々将来の温室効果ガスの排出を予測して、その削減のための政策シナリオをどうやってつくっていくか、ここのところに着目をしてまいりたいというふうに思っています。そのために平成八年度から調査をしてみようと。  その調査は、一つは温室効果ガス排出削減のための道筋をどういう形でやっていくかということについて議論をしてみたい。そして一つの結論を導きたい。それから、今先生おっしゃったように、産業それから消費、特に運輸などについて、各分野二〇〇〇年以降どのような対策を講じたらいいのかということについても少し詳細に検討をしていったらどうだろうか。  その二つのことについて我が国がやや中長期的な政策あるいは見通しを持つことができるようになったとすれば、それは途上国のみならず世界のそうした問題に真剣に取り組んでいる国々に対して非常に積極的な問題提起になり得るのではないだろうか。  そういう意味で、まず現状を把握して、そして今この現状の中で何が不足しているか、またどういう対策が重要なのか、そういう順番を決めながら、できるだけそうしたシナリオをつくり上げてみたいな、八年度が初年度でございますから余り時間がございませんけれども、精いっぱい考えてみたいなというふうに思っております。
  110. 足立良平

    ○足立良平君 長官、大変失礼なことを言って申しわけないんですが、長官としては環境行政に大変意欲を持っておられるということは私は十分承知をしているんです。だけど、今まで大臣の任期というものは、ここで何ぼとは言いませんが、平成八年度調査してかかるとおっしゃるんだったら、これは戦略と言えるんだろうかなという感じを私ちょっと持ちます。だけどそれ以上詰めません。本当は詰めたいと思うんですが、詰めません。  それで、次の問題に行きます。  もう一つ、私この所信表明でなにしたのは、六ページのところですが、「経済的手法の積極的活用に向けた検討を進めるとともに、」というふうにお述べになっているわけであります。この「経済的手法の積極的活用」ということは一体どういうことを頭に描かれているのだろうかなというふうに思うんですが、ちょっとこの点についてお聞かせを願いたいと思います。
  111. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 私は、実はかねてから経済的手法という問題を私なりに考えてきました。それは、今までのような規制的な手法だけでなくて、いわゆる市場メカニズムを通した経済的手法によって、それを生かすことによって、インセンティブのことも含めてですが、手だてが講じられないかなということを考えてきました。  幸いにして環境庁で、その経済的手法として税のほかに補助金あるいは排出権売買などがあるけれども、今は先生案内のような学識経験者による研究会を設けて内外の研究成果や政策の実際等を参考にして議論しています。その議論の上で一定の結論を出していただく。それは環境保全上の効果だけではなくて、国民経済に与える影響などを含めて議論をいただこうと思っております。  これはもう御案内のとおりの石先生中心にした研究会でございまして、ぼつぼつ、といってもまだ一カ月、二カ月というわけにいくかどうかわかりませんが、できるだけ早い機会にその結論を出していただきたいなと、そのことを期待しています。  そこで、先生先ほどおっしゃられましたけれども、確かに八年度調査して九年度からというのでは間に合わないんじゃないかと。おっしゃるとおりでございます。だけれども、こういう答申というか研究会の結果を発表していただきましたら、ややこれは国民の負担にかかわる問題でもあるものですから、一遍本当に百家争鳴で国民的議論をこの機会に起こしてほしいなと。そうしないと、税金を取る方、払う方という議論になってしまうと、ある意味環境問題というのはそれぞれが被害者であると同時に加害者の側面も持っているわけですから、その両方を踏まえた議論を国民的に起こしていただきたいな、こんなことを期待しているところでございます。  それからもう一つ、さっき申し上げましたように、国として方向を出す以前に地方自治体との連携も十分図りながら、具体的にその地域地域のそういう運動のかかわりを環境庁として御援助申し上げたりあるいは御協力をしていきたい、こんなふうにも思っているところでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  112. 足立良平

    ○足立良平君 今、経済的手法について、国民経済への影響というものを十分考えた手法というふうに長官おっしゃいましたが、私はそれで理解をいたしたいと思います。  これは、言ってみれば経済的手法は、炭素税であるとか環境税であるとかいろんな議論がされている。そのことによって経済的なインセンティブを与えながらエネルギーの消費を抑制するというのは、これは私は理論的にあり得る、またやらなきゃならないことです。しかし、それは同時に、一方において我が国だけがやることによって国際経済との関係の中でどうなのかということ。これを無視してやってしまうと、雇用問題、産業の空洞化問題、いろんな問題が派生をするわけでありますから、そういう点で、私はそういういろんな面からの検討というものを同時にしていただかなければいけないのではないか、このように考えております。  そういう面で、エネ庁にちょっとお聞きをいたしたいと思うのでありますが、先ほど来ずっと質問させていただいてまいりまして、いわゆるエネルギーをどういうふうに転換をするかという問題だろうと思います。それで、長官なり環境庁の方からの御答弁の中にも新しいエネルギーという話が出ているわけでありますが、一般的に太陽光発電であるとかいろんなことが言われている。  今日のいわゆる技術の進展状況と、そして問題は、エネルギーを考える場合には量とコストとそれから時間、時間というのは、今はちょっと難しいが、例えば二十年、三十年後は可能だというふうなそういう技術の発展の時間、そういう三つの原則を置いてエネルギーを考えていかなきゃいけないと私は実は思っているんです。そういう面で、この新エネルギーについての今の状況をお聞かせ願いたいと思います。
  113. 大渕絹子

  114. 河野修一

    説明員(河野修一君) 大変長い名前でございますが、答弁は簡潔にやりたいと思います。  御説明申し上げます。  新エネルギーにつきましては、第一次石油ショックのときに、これは将来大変なことになるということで、太陽光発電を初めといたしましていろんな技術開発をやってまいりました。自来二十年近くたちまして、ようやくそれが実用化に至ったものが続々と出てきているというのが現状でございます。  そういう状況を踏まえまして、先ほど来御議論のございますように、地球温暖化の防止の観点、あるいは中長期的なエネルギーセキュリティーの確保、こういう面から新エネルギーを積極的に導入していくべきであると、こういう認識に立ちまして、平成六年十二月に総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして新エネルギー導入大綱というのが決定されまして、これに沿いまして引き続き技術開発を行いますとともに、いろんな導入のための支援の補助金を出しているところでございます。これは通産省のみならず関係各省ともに取り組んでいるところでございます。  そういうことで進んできておりますが、エネルギーの種類によってはまだ技術開発に時間のかかるものもございますが、とりあえず太陽光発電の現状について申し上げますと、基本的にはこれは実用化という段階に至っておりまして、現時点で全国ベースで大体一・五万キロワットの太陽光発電が行われております。これにつきましては、先ほど申し上げました導入大綱におきまして二〇〇〇年に四十万キロワットまで拡大するということで努力をいたしておりますが、その目標の達成に向けて一番の大きな問題点は、御指摘がございましたようにコストの問題でございます。  太陽光発電の平成七年における発電単価というものを見てみますと、大体キロワットアワー当たり百円から百十五円というところでございまして、現行の電気料金に比べますとまだ数倍という状況でございますけれども、これを平成五年、今から三年前と比べてみますと、当時は百八十五円から二百四十円程度いたしておりましたので、二、三年で半減いたしてきておるわけでございます。ことしにつきましては、恐らく百円を切りまして九十円台になるのではないかというふうに予測いたしております。  こういうことで、太陽光発電につきましては、電気料金と比べますとまだ高いコストでございますけれども、着実かつ相当のレベルで下がってきておる、こういうことでございます。
  115. 足立良平

    ○足立良平君 一応そういう状況だろうと思います。  もう時間が二、三分しかありませんから、長官、最後にちょっとお聞きをいたしたいと思うんですが、そういうふうに新エネルギー、太陽光発電を含めて今ずっと技術開発をやっている、これはもうこれからもさらに絶対やっていかなきゃいかぬ問題だろうと思います。ただそれは、量的にそれがどれだけ確保できるかという問題だろうと思いますね、私は。  ですから、問題は、そういう面では長期エネルギーの需給計画等を見ても新エネルギーというのは二〇一〇年で三%だと。三%の新エネルギーですべて環境問題をクリアしていくことができるかというと、私は現実的には無理。そうすると、残念ながら、すべて原子力ありきとは私は思わないけれども、一定の経済成長を賄っていき、そしてそれに対応するエネルギーを担保していこうとするなら、そういう面ではやっぱり現実的に原子力というものは避けて通るわけにはいかぬだろう。ですから、安全の問題であるとかいろんな問題は、これはきちんとやっていくということは当たり前の話で、こんなもの一々言う問題ではない。  そういう観点で、この原子力問題について環境庁の長官として、これから大気汚染を防止していくという観点でどのように積極的に取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  116. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 二酸化炭素排出抑制のためにエネルギーの効率的な利用を図る、そしてエネルギー使用量をできるだけ抑制する、つまり省エネ、そして二酸化炭素排出量の少ない、または排出のないエネルギー源の導入、普及に全力を挙げる、このことが大前提でございます。  次に、それじゃ御指摘のとおりの原子力をどうするんだと。これは二酸化炭素排出削減のためのエネルギー面での対策一つとして、地球温暖化防止行動計画や閣議決定された環境基本計画において、放射性廃棄物対策や安全性が確保されることを前提としての利用を進めるということが位置づけられています。もう一遍申しますけれども、放射性廃棄物対策や安全性が確保されることを前提にしてその利用を進めることが位置づけられている。私としても、そうした立場に立って、原子力の利用に当たっては安全性の確保が大前提だという気持ちで対応してまいりたいと思います。
  117. 足立良平

    ○足立良平君 終わります。
  118. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。  まず冒頭に、私からも、長官御就任おめでとうございますと申し上げたいと思います。  長官は、以前から環境問題は私のライフワークというふうにおっしゃっておられました。そのことを思い出しながら、非常に重要な時期を迎えているこれからの環境行政の新たなエポックをぜひ画していただきたい。今後の御活躍を心から期待したいと思います。  さて私は、この委員会におきましては今回が初めての質問でございますので、先日お聞かせいただきました長官の所信に沿う形で私なりに幾つかお尋ねしたいと思います。ただ、ポイントのところは既にきょう午前中から何人かの方からもお尋ねがあって重なる部分があるかと思いますが、私なりにお尋ねをいたしたいというふうに思います。  まず第一点は、先ほど来議論がありますように、ある意味で非常に画期的なと言うべき環境基本計画が策定されて本年はその二年次を迎えます。この環境基本計画に盛り込まれている幾つかの課題あるいはその基本的方向を今後どう積極的かつ着実に実行していくか、この点に関して長官の基本的なスタンスについて、とりわけ長官御自身の思いの部分を含めて、ぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
  119. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今、先生指摘のように、環境基本計画は、大量生産・大量消費型の現代文明のあり方を問い直す、そして生産と消費のパターンを環境への負荷の少ないものに変えていこうとするプログラムであることは申すまでもございません。  それは、現代に生きる私たちが子供や孫の時代にまで責任を持つということであります。そういう責任をこの世代が持つ、その世代の政治にかかわっている私どもの重大な責任だと自覚しながら、一つは、国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取り組みの率先実行計画を策定してまいりました。これは、ついせんだっても政府の中で各省庁にお願いをしたり、あるいは政府みずからが先頭に立ってそのことをやることが必要だという意味で問題提起をし、策定をしてきたところであります。それが地方自治体やあるいは事業者や市民の間に広がっていくことを求めたいと思っています。  二つ目は、先生も一緒に御苦労いただいた例のリサイクル法、これも循環という過程でいえば基本法の一翼を担うものでありまして、そういう意味でこの法律が制定を見たことは一つのステップだろうというふうに思います。  それから、生物多様性国家戦略の策定は、これも御案内のとおりでございまして、今私から御説明するまでもございません。  そして、計画策定二年目を迎えますので、計画内容の着実な実現という流れを一層促進させる、あるいは敷衍させるという意味で、国民の環境保全活動に対する意欲と行動をつなぐ交流の場として、ちょっと規模は小さいんですけれども環境パートナーシッププラザを設置してまいりたいと思っています。できればこれを全国に広げていくことができればなという感じがいたします。  それから、来年のことでございますけれども、第三回気候変動枠組み条約締約国会合、COP3を日本に誘致することによって中長期的な視野に立った温暖化防止の対策を進めていきたい。  このような国際的な取り組み、国内的な取り組み、そして政府自身の取り組みを通して、今後とも環境基本計画に掲げられた諸課題の着実な具体化に向けて努力をしていきたいというふうに思っています。  今、中央環境審議会で環境基本計画の進捗状況の第一回目の点検を進めていただいているところでもございますので、この計画の推進に当たってはこれらの議論というものを踏まえて新しい決意で努力をしていく必要がある、こんなふうに思っていますので、御協力をいただきたいと思います。
  120. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今お尋ねした点、お答えの中にもございましたし、さらに所信の中でも触れられておりますが、特に所信の中で新たな枠組みづくりが必要というふうにおっしゃっておられました。この新たな枠組みが何を指すのか、私自身は、その後半に述べられておりました環境影響評価制度の法制化及び経済的手法の積極的な活用、この二点を指すというふうに受けとめております。  この二つの課題については、それぞれきょう既に委員の皆さんからも御指摘があってやりとりがございました。とりわけ環境影響評価制度の法制化の問題については、元長官と現長官の間でいささか微妙なやりとりもありまして、ちょっと私からもお尋ねするのをどうしようか迷ったのでありますが、同僚の一人として、所信の中の法制化も含め所要の見直しを行うというところからもう一歩踏み込んで、法制化を目指すという方向でのお答えをぜひいただきたいと思いますし、少なくともその方向に向けて一定の軌道に乗せるべく御努力をいただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  121. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先ほどもお答えをしたわけでございますが、環境基本法が成立をするその最後の段階で、平成五年の五月十八日でございますが、宮澤総理大臣にお出ましをいただいて衆議院の環境委員会でやりとりをいたしました。そのときに、たまたま日本でサミットが開かれる年でございまして、サミットに参加する九カ国の中でアセスメント法がないのは日本だけでございまして、そこで宮澤さんに、九カ国のうちアセス法がないのは日本だけですよ、だから日本もきちんとその方向を指し示す必要がありますよということをかなりしつこく追及というか、要請をいたしました。その結果、総理大臣は、法制度というものになじむかどうかということをちゅうちょしておられた経過もあったわけですが、法制化を含む検討をやりますというお答えをいただきまして、それが実は広中先生のところに引き継がれて環境影響評価制度総合研究会というものが設置されたわけであります、予算がついたわけであります。  したがって、実はこの研究会というのは、流れからいいますと、法制化を前提にしてとは言えませんけれども、法制度というものを念頭に置いた研究会であったことは事実ですし、その法制化というものを目指した諸外国の実態の調査や、あるいはどこへどういう広がり、どういう範囲でこの制度を運用していくか、あるいは事前事後というような問題を含めた議論について地方自治体のいろいろな経験を聴取するというようなことが行われてきたわけです。したがって、今、朝日先生が言われたこと、私もこの辺まで言いたいんですけれども、実は研究会にゆだねているときに私から言うわけにはいきません。  しかし、実はこの研究会が設けられた背景をあえて申しますならば、私から、法制化つまりアセスメント法の制定を期待しているという答申であってほしいという気持ちを心から申し上げる以外には方法はございません。そこのところが広中先生とちょっと違うところでございますけれども、その辺は御理解と御寛容を賜りたいというふうに思います。
  122. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 長官という立場でなかなか明確なお答えがしにくい点があろうかと思いますが、ぜひとも再度、法制化を目指して一定の軌道に乗せるべく御努力をいただきたいと思います。  次に、先ほども話題になっておりました経済的手法の積極的な活用についてお尋ねいたします。  先ほどのお答えでは、経済的手法という中に幅広く幾つかの手段を想定されているようにお聞きをいたしましたが、やはりその中に、例えば炭素税であるとかデポジット制度であるとか、そういうものも含めた経済的手法というふうに私は理解をいたします。さまざまな主体が積極的に環境保全に向けて取り組んでいただく、インセンティブを与えるという言い方もありますし、私自身の言い方からすれば、どうそのように各主体へ動機づけを行うかということが大変重要だというふうに思います。  そういう意味では、この際何らかの経済的手法の採用にぜひとも踏み込む必要があるというふうに思っています。どれをというふうには今は申し上げる準備がございませんが、ぜひともその方向での検討をお願いしたいと思いますが、この点について長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  123. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) ちょっと先ほどの朝日さんの質問に対する補足でございますけれども環境影響評価制度総合研究会の中には、実は幹事会の中に、環境庁はもちろんですが、防衛庁、国土庁、大蔵省、厚生省、農水省、運輸省、通産省、建設省、自治省、計十省庁の皆さんが加わっているということをぜひ御理解いただきたいと思うんです。というのは、ここで意見の一致を見れば政府全体として用意ドンでスタート台に立てるということだけは今までの経過から見ると非常に重たい意味を持っている、このことだけつけ加えておきたいと思います。  ただいまの御質問でございますが、環境基本計画にあるとおりに、通常事業活動や日常生活に起因するところが大きい今日の環境問題の解決には、従来型の規制的手法に加えて市場メカニズムを通じた経済的手法を適切に活用することが有効だということは、これは国際的にも一定の評価といいましょうか認識が広がってきているというふうに思います。  環境庁として、現在、学識経験者による研究会を設けて、内外の研究成果や政策の実際等を参考に、環境保全上の効果、そして先ほど足立先生から言われましたような国民経済に与える影響などを中心にして検討をいただいているわけでございます。  私は、これが問題提起であって、それを受けとめる国民の側あるいは我々の側にしてみれば本当に百家争鳴の議論をしていただいて、その結果として、今先生がおっしゃったような、お互いに環境に対して責任を持つ、そしてその環境を守っていく上でも、税制といいましょうかさまざまな経済的な手法というものがあっていい、こんなことを感じているわけであります。  ただ、これは余談かもしれませんけれども、例えば消費税の問題やあるいはいろいろな問題が税負担みたいな形で国民の前に並んでいるものですから、これと一緒に議論して、取る方と取られる方というふうな議論にさせたくはないし、してはいけない、この点がちょっと配慮の要るところでございます。  しかし、いずれにしても、恐らくかなり前向きな研究会の結論が出てくるだろうというふうに思いますので、それを機会にして皆さんで討論をしていただきたいものだ、私どももその討論を広げていくための役割を果たさなければいけない、こんなふうに思っております。
  124. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思います。  次に、自治体の問題に引きつけて幾つかお尋ねをしたいと思います。  私自身の理解では、環境問題、とりわけその前段というか公害問題については、むしろ住民に身近な自治体レベルでの取り組みがある意味では先行し、さまざまな形での取り組みの発端となったというこれまでの歴史があったというふうに私は記憶しています。そういう意味で、これからの環境行政の中でも自治体がどれだけ積極的に取り組んでいただけるかというのが大きなポイントだというふうに思います。もちろんこの点については環境基本計画の中においても、あらゆる主体が環境保全に関する行動に参加する、とりわけ地方公共団体の役割ということで明記されております。  また、私から申し上げるまでもないことかもしれませんが、環境問題を語られるときに、しばしば、地球規模で考え地域から行動する、こういうことも強調されております。私自身は、そのアクトローカリーのところは、住民一人一人の足元からという訳し方も重要でございますが、もう一つはやはり自治体で何がどうできるかというところが大変重要だというふうに考えております。  しかし、大臣の所信あるいは基本計画、いろいろそういう観点から改めて読み直させていただきましたが、読み方が悪いのかもしれませんが、自治体における、それも都道府県段階における取り組みと市町村段階における取り組み、これがもう一つ具体的な形として見えてこないような気がしてなりません。ぜひ具体的な方策、あるいは具体的な実例など、幾つかの例示という形で結構ですので、具体的な取り組み、イメージが見えるような、感じ取れるような形で少しお聞かせいただきたいというふうに思います。
  125. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 環境問題について地方自治体が果たしてきた役割は大変大きいものがございますし、御指摘のように、かつて特に公害という問題が非常に大きなウエートを占めていた時代、地方自治体が先駆けていろいろ創意工夫を凝らした施策を打ち出して、それがやがて国の制度となり、それが他の自治体にも及んでいったという時期がございまして、その後、公害問題から環境問題一般というふうに環境行政の枠が広がった過程で、国と地方がお互いに情報を交わしながら一緒に進んでくるというような感じに少しずつなってきておりました。  それで、特に環境基本計画の策定がなされましてから、地方においても環境基本条例というのを同じような趣旨でだんだんつくっていただけるという動きが出てきておりまして、平成七年末でございますが、二十四の都道府県・政令都市で環境基本条例というのが制定をされております。それから、総合的な環境計画というものが同じように平成七年末で四十の都道府県・政令都市で策定されておりますし、これが市町村レベル、数はまだ確認しておりませんが、広がりを見せてきております。それから、アジェンダ21というものがございますが、このローカルアジェンダ21という形で、平成七年の十月現在でございますが十八の都道府県・政令都市で策定を見ておるというように、地球サミット、それに続きます環境基本法環境基本計画の策定という動きを受けまして、地方においてもそういう枠組みづくりが鋭意進んでいるということを大変うれしく思っておるわけでございます。  それから、そういう状況の中で、地方公共団体、いろいろ先駆的な事業に取り組んでいただいているところがございまして、私どもの方でも平成七年度から、そういうパイロット的といいますか先駆的事業に対して、わずかでございますが補助をさせていただこうということで補助事業を始めました。  そういう中で幾つか目につくものを申し上げますと、例えば川崎市は、廃棄物を輸送するのに鉄道を利用して、そうすると収集したごみの輸送を環境負荷が少なくてできる。つまり、鉄道を利用してごみを運ぶという事業を言うならば余り使っていなかった鉄道を利用してやっていただきまして、その事業に対して私どもの方で助成をさせていただいておりますが、一つの有効利用ということで、いいと思っております。  それから、埼玉県ではエコアップ調整池創造事業ということで、これは大規模開発に伴って設置された洪水調整池、その護岸を改修しまして自然の水辺のようにして水生生物が生きられるような環境をつくり出す、こういうことをする事業を試みられまして、これに対して補助をさせていただいているというのがございます。  それから、滋賀県の例でございますが、これは琵琶湖管理生物資源化事業という名前でございますが、これは琵琶湖の水辺環境保全のために底の泥のしゅんせつとか水草、水辺のヨシの刈り取りというようなことで発生しました派生物をれんがにするとか堆肥の原料にするとかということで資源にする事業をしておりまして、これも私どもの観点からなかなか目新しい事業ということで助成をさせていただいたなどがございます。  こういうように、いろんな形で地方公共団体がその地域の実情を踏まえながらいろいろ事業に取り組んでいただいておりますが、私どもとしましても、補助制度による支援のほかに、地域環境計画策定のためのお役に立てばという意味でハンドブックなども作成したりして、いずれにしても一緒になりながら取り組めるようにしているところでございます。  そういう意味で、今後とも地方自治体の御努力に期待をすると同時に、引き続き手を携えて進んでまいりたいと思っているところでございます。
  126. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと質問に追加いたしますが、一つは、各自治体レベルで例えば環境基本条例が制定されているかどうかとか、あるいは環境基本計画のようなものが策定されているかどうかとか、あるいはローカルアジェンダ21の策定がされているかどうかとかというものを、一年に一遍ぐらいで結構ですけれども、その進捗状況というのを取りまとめて各自治体にお知らせするような、そんなことはされていますか。
  127. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 実は、全国環境行政事情という名前でしたか、そういうような形で各自治体の取り組みを、かなり厚い本になりますが、毎年取りまとめまして、これを各自治体にもお配りし、また関係方面にお配りをしております。  それで、今後、特に環境情報ネットワークということで、コンピューターネットワークを使いました情報提供システムをこれから運用開始というところでございますが、今後は自治体のそういう情報はネットワークにおいても重要な情報源の一つと思いますので、そんな形も含めながら、自治体の情報が必要なところに行くように努めてまいりたいと思っております。
  128. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 私の方の不勉強で十分に知っていなかった面もあるのかもしれませんが、各自治体で何がどこまで進んでいるのかというのは必ずしも一般的に知られていないような気がしますので、もっと積極的な紹介というか、あるいは取り組み状況の公開をぜひ求めておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。.  それでは、最後になりますが、生物多様性国家戦略の問題について一言だけお願いをしたいと思います。  この委員会に出ていまして、生物多様性国家戦略という言葉を聞くたびに、何とまあわかりにくい言葉だなというふうに感じております。簡単に言えば英語の直訳そのものを日本語にしたということなんだろうと思います。  せっかく昨年こういう国としての戦略をつくった。つくる過程で大変御苦労があったと思うわけですが、さまざまな形で、相当膨大な形でこの戦略がつくり上げられた。さて、これをどうやって皆さんに知っていただくのかというところの努力がこれから必要だというふうに思います。わかりやすい表現というか言葉をぜひお考えいただいて、これは私の勝手な思いつきでこだわる必要は全くないんですが、生物多様性国家戦略などと漢字ばかり並べないで、例えば「生き物いろいろいつまでも」というような、これは全くの思いつきなんですが、そういうような形でもっと取っつきやすいPR版を作成していただいて、ああ、あそこではあんなことをやっているんだ、じゃうちではこんなことをしようということにつながるような取り組みがぜひ必要ではないかというふうに思います。  もちろん、専門家といいますか、ある課題にぐっと集中して取り組んでおられる方同士のネットワーク、情報交換も要ると思いますけれども、それ以外の必ずしも環境問題に十分関心を持ち得ていない皆さんにどうアピールするかということが大事なんじゃないかというふうに思います。ここはぜひそういうことも含めて積極的に取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  129. 菊地邦雄

    説明員(菊地邦雄君) お答えいたします。  生物多様性という言葉はもともと生物学の用語でございまして、新しい条約が出てきたときに初めて使われ、国の行政といたしましてもやっぱりこの条約を批准いたしますときに初めて出てきた言葉で、私ども自身もそういう感じを持っております。そういう意味では、生物多様性という言葉自体大変中身が深くわかりにくい言葉の上に、国家戦略という大変かたいのが後ろに、先生指摘のとおり条約の批准の際の成約の言葉をそのまま使っておりますのでかなりかたいイメージがあるのかなということで、我々も反省をいたしております。  いずれにしましても、この国家戦略、政府関係省庁十一省庁入っておりますが、政府の各省庁がどういうことをこの旗のもとにやっていくかという内容のものでございますので、広く国民の方に内容理解していただき、あるいは参加していただき、あるいは我々のやることを見詰めていただき、かついろいろ意見も言っていただきたいというふうに思っておりますので、先生のおっしゃいました「生き物いろいろいつまでも」、早速これも使わせていただきたいと思いますが、今後の私ども施策展開に当たりましては、御指摘内容をかみしめながら、わかりやすく、一つの我々のターゲットは子供さんの教育というか、もっと遊びの中にもこういうことを取り入れてというふうなことも進めていく必要があると思っておりますので、十分にそういった点については注意しながらやっていきたいと思います。
  130. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 以上で終わります。ありがとうございました。
  131. 竹村泰子

    竹村泰子君 大臣、御苦労さまでございます。きょうは、私は十五分しか時間がございませんので、質問というよりは問題提起ということになってしまうかもしれませんが、大臣の御決意を主としてお聞きしたいというふうに思います。  今、大変いい名前も飛び出したようで、生物多様性の下に仮名を振ればいいのではないかなと思いながらお聞きしておりましたが、そのぐらいのやわらかい頭で対処していただきたいというふうに思います。  ところで、これはきのうの朝刊でございますけれども、ごらんになっていると思いますが、林野庁が山を削って借金を返済していると。環境庁長官異議、「治山、治水どうなる」ということで大変大きな記事が出ております。  これは環境庁長官、よく異議を唱えてくださいましたと大変私も感激して読んだんですけれども、林野庁が三兆円を超える累積債務の穴埋めに「自然環境や国土保全が目的の森林でも、建築用材用の土石の採掘を検討する」というよりか、もうどんどん採石を実行しておりまして、「ここ数年は毎年、三千七百万t三千九百万トン、十五億−十九億円の売り上げ」があると。それでも三兆円を埋めるのはなかなかで、二〇〇〇年までには総額約五百億円の売り上げを見込んでいるということに対して、岩垂環境庁長官も御就任後の記者会見で、私としては反対であると、山を売ったり石をとったりしたら治山、治水はどうなるのか、失うものとのバランスはとれるのかということをおっしゃってくださった。  これには賛否両論いろいろ御意見があるかと思いますけれども、問題は、国民の共有財産である国有林を一省庁が国民の全く知らない間に山を一つ切りましてしまうような、そして再生不可能なような採石をしている、採掘をしている。「土石の採掘のため、山が半分に削り取られた国有林。」という写真も載っておりますけれども、こういうことを私たちは許していいのだろうかどうだろうかということです。きょうは広中議員もそして朝日議員も生物多様性のことについて御質問がございましたけれども、こういうことをほうっておいて生物多様性の問題を幾ら論じても、それは全く絵そらごとではないか。  この生物多様性国家戦略という、昨年の十月に大変立派なものをお出しになりました。これは私たちは、むしろ今は見送って、そして次の機会に、もっといろいろな国内の論議を積み重ねて国際的にも評価される国家戦略を次回の会議にというふうにお勧めをしたんですけれども、インドネシアで開催される生物多様性条約締約国会議に提出するために大変な御努力だったと思います、これだけの作文をなさるんですから。日夜忙殺をされて徹夜が続いているというふうにお聞きしておりましたけれども、中身は言ってはなんですが余りないんですね、申しわけないんですけれども、失礼ながら。これをやれば確かに生物は、植物は残せるんだというふうな戦略的な具体的なものはないんです、はっきり言いまして。大変な御努力をなさったことは認めますが、大変物足りないのですけれどもこういうものをお出しになった。  私が言いたいのは、先ほどの記事ではありませんけれども、こういうふうに多省庁にわたるいわゆる開発計画、地球環境の保全は唱えても、野生の生息地域の開発を推進する森林法や農地法、これは農水省、河川法、これは建設省、リゾート法、これは国土庁ですか、これらの国内法の改正は何ら予定されていないわけでして、まあリゾート法についてはかなり出ていると思いますけれども、これではその実効性は期待できない。  岩垂大臣、御就任早々私は大変辛口のことを申し上げてまことに申しわけないと思いますけれども、やはり先ほど広中議員の方からも総体的な多様性についての御質問がありましたが、これらの開発を主目的にしている国内法に手をつけることを環境庁主導できちんと言っていかないと、これは大臣だけ責めるんじゃない、環境庁だけ責めるんじゃない、ここにいる我々委員一同の責任である、あるいは国会議員全体の責任であると思いますけれども、そういうことをきちんとやっていかないと、このような立派な作文をおつくりになったって、現実にはこれです。山が半分あるいは全部削られたり森がなくなったりです。  一体今どのくらいの生物が、脊椎動物あるいは植物のそれぞれ何%が絶滅の危機に瀕しているのか、ちょっとお答えいただけますか。
  132. 菊地邦雄

    説明員(菊地邦雄君) どのくらいの生物が絶滅のおそれがあるかという点に関しましては、私ども調査をいたしまして発表いたしております日本版レッドデータブックという調査報告書の中でございますが、実は動物全体で申しますと大変あやふやなというか、昆虫類が大変多いものですから数字がずっと下がりますが、例えば哺乳類で申し上げますと、我が国におります野生のもの百八十三種のうち十四種、七・七%、それから鳥類でいきますと六百五十二種のうち五十四種、八・三%が絶滅のおそれがあるというふうにレポートされております。  なお、植物につきましては、これは民間団体の調査報告書でございますが、いわゆる維管束植物という目に見える形の植物でいいますと、我が国の五千三百種のうち八百二十四種、一五・五%が危ないというふうな調査の報告がございます。
  133. 竹村泰子

    竹村泰子君 その分類の仕方とかそれから調査の主体とか、そんなことでいろいろ違うと思いますが、ある新聞によりますと、今、日本では脊椎動物の二二%、植物の一六%が絶滅の危機に瀕しているというこういう調査もあるわけでして、この九年間に自然海岸は二百九十キロ消滅、自然河川、干潟、湿地も次々と消えていっております。これは私たちの身辺をちょっと見回しただけでもそういう現状があります。神戸の地震があれだけの被害をもたらしたのは、もしかしたら神戸株式会社と言われるような非常な自然破壊が原因だったのではないかとさえ言われるほどやはり深刻な現実があるというふうに思うわけであります。  この生物多様性につきましては、生物多様性ネットワークというのがあることを環境庁もよく御存じであると思います。これは七十の自然保護団体が、過去の自然破壊を分析し、その原因を追求した上で環境行政の改善策を出さないと同じ愚を繰り返すことになると。これは市民運動団体とも近くていらっしゃる大臣はよく御存じでいらっしゃると思います。  こういうことを、私はここで、ここをこうしなさいああしなさいということはもちろん言えません。ただ、大臣はこういったことについてどのようにお考えで、そして環境庁長官に御就任なさいまして、どれだけの期間かわかりませんが、この期間にこういった絡み合っている環境破壊の仕組みといいますか、このことについてどのような御決意で臨まれるおつもりでしょうか、ちょっと御所見を伺いたいと思います。
  134. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 大変難しい質問でございますけれども、実は長官就任以来、例えば小笠原の兄島の飛行場のこととか、それから中海の干拓のことだとか、今、竹村さんから御指摘いただいた栃木県の山を崩す、それは林野庁の仕事ですが、余りきちんとはっきり言ったわけではなくても、私の発言というものが持っている意味、それが地域のいろんな団体に及ぼす影響の大きさというものをしみじみ今実感させられています。  その意味で、いわばそこで一生懸命で運動している諸君を勇気づけることになってみたり、あるいは地方自治体に対して少し反省を求める発言というふうに受けとめられてみたり、いろんなことがございます。  私は、政府だけが、あるいは環境庁だけが日本の環境、世界の環境を守れるとは思っていません。やっぱりNGOを初めとする市民みんなの努力で、あるいは世代的な責任みたいなものも、次の世代の人たちに渡さなければならないという使命があるわけでございますから、そういう点で慎重な中にもやっぱりきちんと言うべきときは物を言うという姿勢だけは貫きたいなというふうに思っているところです。  だから、この間、公共事業のときも、予定をされていませんでしたけれども発言を求めて申し上げました。それは、公共事業というものが持っている性質から見て、国民の本当の血税で、もちろん住みよい環境をつくっていくという上では意味のあることだろうと思います。しかし、その結果として生態系が損なわれたり、逆に弱い立場の人やハンディを背負っている人たちに対して負担になるようなコンクリートで固めた町づくりというようなことであってはならない。そういう意味では、やっぱり物を言っていくというその務めが環境庁にはあるなというふうに思っています。  今、先生指摘の、例えば森林法とか河川法とかリゾート法とかいろいろあるわけですが、それにいろいろアセスの面で物を言っていく立場にもあるわけですから、それはそれできちんと言っていく役割を果たしたいと思っています。この戦略についても実施状況について毎年関係省庁で連絡会議を開いて点検を行う、フィードバックをやるということになっていますから、できればその機会にも環境庁としては積極的に物を言っていく必要があるなと、こんなふうに思っています。  環境庁は決してでっかい役所では、あるいは体制ではございませんけれども、やる気になって本気でみんなで頑張っていこうじゃないかというふうに思っています。その上でも、私は先生方の御協力で水俣が一つの解決を見たというのは非常に大きな意味を持っていると思うんです。環境庁の諸君も、どっちかといえばこういう感じで背中を丸めて歩いていたのが、少しはしゃんとして胸を張ってやっていけるという、そんな気持ちになってくれることを期待したい。  そんな気持ちで一体になって頑張ってまいりたいと思いますので、激励、叱咤をお願い申し上げたいと思います。
  135. 竹村泰子

    竹村泰子君 私どもも応援いたしますので、ぜひ枠をはみ出しても頑張っていただきたいというふうに思うわけです。  もう時間がありませんので、きょうは簡単に終わりたいと思いますが、つまり私が何を言いたいかと申しますと、山から海までの一体となった自然の中で多くの野生生物が暮らしている。例えば私の住んでおります北海道の、長官よく御存じの知床などは日本では数少ない豊かな生態系を持った国立公園であります。例えばここで、知床五湖というのがありますが、昨年十二月に観光道路の一部が冬期営業を求めるユースホステルの要望で除雪され冬期間も通行可能になりました。旅行者にとっては大変結構なことかもしれないんですが、しかしこの沿道にはオジロワシの営巣木、シマフクロウのえさ場、ヒグマの越冬穴が点在していることが地元の自然保護団体から指摘されて、野生生物への影響が心配されております。  こういうことはアマミノクロウサギにしてもアツモリソウにしても、もう本当にあちらこちらにあるわけですけれども、こういうことをきちんととめられるようなそういう生物多様性国家戦略でないと、私は野生生物はこれでは守れない、申しわけないけれども現実ではそういうふうに思っておりますので、環境庁も頑張っていただきたい。私たちも頑張りたいと思います。  終わります。
  136. 有働正治

    ○有働正治君 私は、大臣の所信表明の幾つかにもかかわる問題といたしまして、病原体・遺伝子組みかえの実験施設、私はここでバイオ施設というふうに略させていただきたいと思うのでありますが、その環境対策環境行政の上からこの問題をどうとらえて対応していくかという立場から本日質問したいのであります。  世の中バイオ時代と言われてかなり経過しているわけでありますが、近年、その中で公衆衛生、環境保全について新しい問題として、こういう病原体や組みかえDNA、これを実験、研究する施設、いわゆるバイオ施設というものが周辺環境にも影響を与えかねないということで、これは人間社会、地域環境にとっても、国内的にはもとより国際的にも非常に大きな問題になってきているわけであります。そのため、国際的には施設についての事前アセス、あるいは実験等についての一定の基準を設けて、安全性をいかに確保し担保していくかという問題、あるいは法制化等々の動きもあるようであります。  そこで、まず長官にお尋ねいたしますが、バイオ施設環境保全対策というのは、施設内は言うまでもないことでありますが、周りの地域社会にとっても非常に重要な問題であり、当然万全を期すべきだということが求められるわけであります。この問題というのは環境行政上も重大な関心あるいは必要な対応も払うべき問題だと私は認識するわけでありますが、長官の基本認識をまずお伺いしたいのであります。
  137. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 実は大変難しい問題でございまして、病原菌や遺伝子組みかえ体を取り扱う施設については、御案内のように厚生省とか科学技術庁とか文部省とか農林水産省、そして通産省においてそれぞれ対応しているわけであります。  環境庁では、遺伝子操作生物が開放系、つまり一般環境中で利用される際に特に環境保全上十分な措置を講ずることが必要であるという観点から、実は中公審の企画部会に設置されたバイオテクノロジー専門委員会において討議が行われまして、平成三年に報告書がまとめられました。その報告書では、遺伝子操作生物の開放系利用について、個別の利用計画ごとに環境影響を評価することが必要であるというようなことが指摘されて、現在、その報告を踏まえて、生物を利用した環境修復技術の利用のあり方及びそれに伴う環境影響の評価手法の検討を進めているところでございます。今後とも、遺伝子操作生物の開放系利用に伴う環境問題について必要な検討を加えていく所存でございます。  ただ、できれば関係省庁のところがある程度責任を持っていく、その基本的なものがないとやっている仕事について責任を持てなくなると思うんです。よそから言われたから何かやりましょうかという対応じゃなくて、もっと実は積極的にやっていくところが、それに対して住民の不安というものを解消していくための努力が必要ではないかな、こんなことを、実は私は戸山の予研と若干のかかわりを持ったものですから、そのときにしみじみそう思いました。  そうしませんと、そこはそこ、こっちはこっちで、何かこっちが裁判所で、こっちは何をやっても裁判所から文句を言われない限りは大丈夫だと、こういうような議論になってはいけないと思いますので、先生その点は御理解の上での質問だと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  138. 有働正治

    ○有働正治君 開放系の利用の問題については、少なくとも環境庁としても検討をするなり今後対応していくということをおっしゃられました。私は、環境行政の上からも、やっぱり環境庁長官がイニシアチブをとって、ほかの省庁にまたがるような問題があればこういう点での安全性その他についても積極的に物申していくと、そういう全体が環境行政にかかわるという視点から広くとらえてイニシアチブを発揮していくということが求められていると思うのであります。話を幾つか進めます。実は、なぜ私がこの問題を取り上げるかというと、国内的に心配される事態をここ一年ほどに幾つか感じたからであります。一つは、オウム事件の問題であります。警察庁にお聞きします。報道などによりますと、捜査当局の方の調べなどで、オウム真理教の括弧つきのいわゆる厚生省の大臣遠藤誠一被告を中心に炭疽菌やボツリヌス菌、Q熱リケッチアなどを培養していると、あるいは東京亀戸で九三年七月に炭疽菌を散布したのではないかという疑惑も提起される、あるいは昨年三月、地下鉄霞ケ関駅で噴霧器を使ってボツリヌス菌をまこうとしていたのではないか、こういう信者の供述等も報道されているわけであります。この点、警察庁としてはどう把握されておられるか、簡潔にお示しいただきたい。
  139. 中島勝利

    説明員(中島勝利君) オウム真理教によります炭疽菌等の問題でございますけれども、昨年の五月に厚生省国立予防衛生研の細菌部の御協力をいただきまして、私ども警視庁を中心にいたしましていわゆる上九一色村のオウムの施設の研究施設と見られるところを数カ所調査、検証をいたしました。その結果、同教団が炭疽菌あるいはボツリヌス菌の培養のための研究をしているという状況はうかがわれましたものの、培養ができていたかどうかについては確認するに至っておりません。  なお、Q熱リケッチアにつきましては、培養あるいは研究の事実というふうなものは私ども今のところまだ把握をしておりません。  それから、御指摘の亀戸の異臭の問題でございますけれども、この事案は、平成五年の六月から同年の七月の間に数回亀戸道場と言われるところから発生をしたと見られますけれども、腐敗臭ということで、付近住民の方々からの通報によって警察官も臨場いたしまして捜査をいたしましたけれども、直接被害に遭われているという方がおりませんし、それからその際に炭疽菌等の確認には至っておりません。  なお、地下鉄の噴霧器の問題でございますが、これは昨年の三月十五日でございます。これはアタッシュケース入りの噴霧器三機を押収しておりまして鑑定をいたしておりますけれども、御指摘のような菌の存在というふうなものは今のところは確認をされていないという状況でございます。
  140. 有働正治

    ○有働正治君 警察庁、結構でございます。  ボツリヌス菌の毒素がどれだけ危険かという点につきまして厚生省から資料をいただきました。その毒素というのは、国立衛生試験所の名誉所長の川城巌先生の「食品衛生学」という本の中での紹介のようでありますが、「ボツリヌス菌の毒素一掛ける十のマイナス十乗グラムは」、つまり何十億分の一グラムということになるのでありましょうけれども、「体重二十グラムのマウス一万匹を腹腔内注射で殺すことができ、また百グラムで八億人を殺害することができるといわれており、超猛毒性に属するといえよう。」ということを指摘しているわけであります。  国際的に施設の事故として有名なのは、一九七九年四月から五月にかけて旧ソ連のスベルドロフスク市で炭疽という急性感染病が流行し、市民や家畜が大きな被害を受け、少なくとも九十六人が感染させられ、うち六十六人が死亡したという事件が専門誌で発表されていると聞いております。これらバイオセーフティーを必要とする施設というのは、施設内はもとより、外部への影響が大きいものであります。  そうした立場から、まず厚生省にお聞きしますけれども、結論だけ述べていただきたいのでありますが、厚生省所管の中で、民間を含めましてこうしたバイオ施設が国内にどれぐらいあるのか、制度上つかめるようになっているのかどうか、この点について結論だけをお尋ねします。
  141. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) 厚生省所管の民間企業などの研究施設におきます病原微生物につきまして、届け出などによる把握の体制はとれておりません。ただ、組みかえDNA実験などにつきましては科学技術庁に報告することになっております。
  142. 有働正治

    ○有働正治君 オウムがああいう団体であることから、みずから申告することは予想できないわけでありますが、危険の伴うこういう施設等が全国的にどういう状況に置かれているかというのは、当然掌握が必要だというふうに私は考えるわけであります。  次に、昨年の阪神・淡路大震災で、大学施設等でありますが、実験・研究施設も相当大きな被害が出ています。兵庫県立衛生研究所の被害も報告されているわけでありますが、これは環境庁、把握するシステムにこういうのはなっているのかどうか、これだけをお尋ねします、結論だけ。
  143. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 環境庁におきまして国内の病原体等を使用する施設状況を把握できる体制にはなっておりません。
  144. 有働正治

    ○有働正治君 厚生省はいかがですか。
  145. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) 衛生研究所の施設の被害状況について報告を受けているところでございます。
  146. 有働正治

    ○有働正治君 私が聞いた段階では、県の単独事業で、厚生省として十分把握していないという答えが返ってきて、きのうになって私に報告書が届けられたというのが実態なんです。  環境庁は御答弁のとおりなんです。  私はその報告書も事前に掌握していたのでありますけれども、本来あってはいけない、七階から地下まで全館が床上冠水の状態にあった。つまり、病原体をそこは扱っているわけであります。それが冠水状況になったということは、万が一の事態になれば病原体がずっとはびこるという事態も予測されたと。  それからP3施設、これは遺伝子組みかえ実験などで危険な病原体などが外部に出ないように物理的に封じ込めるための施設だと私は承知しているわけでありますが、P1からP4までの四段階があって、P4が最も危険性の高い実験が扱われるわけで、P3というのはそれに次ぐレベルだというわけでありますが、このP3施設の安全キャビネットの排気ダクトが接続部で外れていたと。報告書は、たまたま大事には至らなかったということが書かれているわけでありますけれども、万が一の場合には病原体が近隣その他に飛散して重大な影響がなきにしもあらずということも予測されるということであります。  一九七八年の宮城県沖地震の際は、逃亡したマウス、ラット等が九百七十七匹、千匹近くいた。つまり、病原体を持っているこういう小動物が逃げたという問題があるわけであります。  そこで、環境庁にお尋ねしますけれども、先ほども大臣が述べられましたけれども、こういう施設地域社会、人間社会に、周りに対しても大きな影響をもたらし得る危険性はあるわけでありますから、国内でどれぐらいあるのか、そういうことを制度上も環境庁もつかんで対応できるようにする必要があるのではないかと思いますけれども環境庁として、現在国内にどれぐらいの施設があってどうなっているかつかむ状況になっているのかどうか、これだけお尋ねします。
  147. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) そういう状況になっておりません。
  148. 有働正治

    ○有働正治君 そこで大臣、一言お尋ねしますけれども、確かに各省庁の担当のものは省庁の担当として当然把握して責任を持つ、これはもう大臣言われたそのとおりだと思うんです。  同時に、施設そのものは、所管の問題と同時に、環境行政上の立場からいえば、それぞれやっぱり大きな意味合いを環境行政上持つということは否定できないし、また現にこの間も研究なされてきたと大臣も言われたわけですから、ここらあたり環境庁としても十分検討して必要な対応もしていただきたいということであります、長官。
  149. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 先生案内のとおり、先ほど私申し上げました例の中公審企画部会のバイオテクノロジー専門委員会の報告、これ両論併記になってしまっているんです。これは、例えば環境影響評価等の実施を義務づけるべきだというのと、それはというのと二つありまして、それがある意味一つの結論になってしまっているものですから、その後実は余り研究をしていません。  しかし、阪神大震災などを受けて考えてみますと、何らかの対応をどういう形かでしなければならないことは事実であります。したがって、そこらのところを含めてもう一遍環境庁の内部で議論をしてみた上で、各省庁と連携をとってその辺についての対応を対処してまいりたい、このように思っておりますので、お願いします。それも、余り悠長なことを言っておられないのかなという実感を持っております。
  150. 有働正治

    ○有働正治君 そうですね。  それで、私は国際的にどうなっているかということを事実関係だけちょっと確認したいのでありますが、環境庁にお尋ねします。  欧米諸国の場合に、御専門の方々等のお知恵もおかりしながら私なりに調べた範囲ではありますけれども、アメリカでは、早くから国家環境政策法によりまして、連邦により免許、許可または財政的な援助を受けてなされるバイオ施設については環境影響評価の事前の発表が義務づけられていると承知しているわけでありますが、この点間違いないかどうか。  また、内容上私は一々立ち入りませんけれども、EC指令、あるいはドイツ、イギリスには法律もあるということを承知しているわけでありますが、この点間違いないかどうか結論だけ、まず環境庁
  151. 大西孝夫

    政府委員(大西孝夫君) 間違いないというふうに簡単に言えない面もあるかと思いますので一応ちょっと御説明しますと、アメリカの場合は、確かに連邦政府機関が行う行為に対して環境影響評価手続を行うということが決められておりまして、病原菌等を取り扱う施設についても、連邦機関がみずから立地を行う場合、あるいは連邦機関が立地等に関する許認可や財政援助を行う場合があれば環境影響評価手続が実施されるという形になっていると理解をしております。  それから、EU諸国では、遺伝子操作生物の閉鎖系利用を対象として、その利用という行為を対象としてでありますが、遺伝子操作微生物の閉鎖系利用についての指令というのがありまして、それに基づきまして、環境保全の観点からEC理事会が定めた統一的な審査手続等を含む制度を各国で整備しているというふうに聞いております。  ドイツでは、一九九〇年四月に成立した遺伝子工学法に基づいて、遺伝子操作生物を規制する独自の法律を制定しているというふうに聞いております。  イギリスでは、一九九〇年環境保護法に基づく遺伝子操作微生物(閉鎖系使用)の規制についての規則が施行されているというふうに聞いております。
  152. 有働正治

    ○有働正治君 国際的には非常にこの問題の危険性、安全性を考えながら、事前のアセスの問題、また一定の基準を設けながらやっていると環境庁も今説明がございました。  大臣も申されましたように、環境庁の方でもこの間審査したけれども途中でとまっているとか、そういう状況から進めると。これはバイオ関連施設環境保全対策分科会を設置して国内で今実施されているガイドライン等々の問題についていろいろ研究されているけれども、何ら実際上は開かれていないという状況もあるように聞いておりますので、ぜひ先ほどの大臣の答弁を踏まえて対応していただきたい。  それから、次にお尋ねしますのは、国際的な一つ基準と申しましょうか、WHO指針の問題について。  WHOは、病原体実験施設内部での微生物実験の安全のための指針、これをその後九三年に改定してやっているわけであります。内容上は立ち入る時間がございませんので述べませんけれども施設内部についてのいろんな実験、運営、管理、器具等々の指針を決めているわけでありますけれども、これについてまず厚生省に、このWHOの指針について日本政府はどういう考えで受けとめているのかというのが第一点。  二つ目は、先ほど大臣も述べられた予研、これはこのWHO指針水準にあるというふうに見ておられるのかどうか、完璧だと見ておられるのかどうか、WHO指針との関係。  三つ目、国内のほかの研究所なり実験施設の場合、この予研のガイドラインを参考にしているようでありますが、予研ガイドライン水準にそれぞれの施設はあるというふうに見ておられるのかどうか。厚生省、結論的に述べていただきたい。
  153. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) 先生指摘のWHOの指針につきましては、主に微生物実験室の設備、運営、管理に関する指針を定めたものというふうに理解しておりまして、この指針の性格は、その指針自体にも書かれておりますように一つのモデルというふうに思っております。したがって、各国が実情に合った具体的な指針を作成することが適当であると考えておりまして、私どもも、我が国における公衆衛生の状況を勘案しながら、病原体などの安全管理に関する規程を策定する際の参考として利用しているという考え方でございます。  それから、予研のことでございますが、私どもの予防衛生研究所におきましては、WHOなどの指針を踏まえまして病原体等安全管理規程を定めております。危険度の高いP3レベルの実験などにつきましては、指針よりもさらに厳格な取り扱いを行っているというふうに認識をいたしております。  それから、厚生省所管の他の試験研究機関ではどうかということでございますが、厚生省所管の試験研究機関におきましては、今申し上げました予研の規程に準じた規程を設けるなどいたしておりまして、予防衛生研究所と同等の取り扱いを行っているということでございます。
  154. 有働正治

    ○有働正治君 限られた時間でありますが、大臣も答弁されたいようでありますので、じゃ大臣にお尋ねしましょう。  実は、新宿の予研も、私先日、国立環境研究所を委員会として視察したのを受けまして、関心を持ちまして、実は現場を案内していただいて説明も受けたわけであります。  そこでおっしゃっていた一つは、先ほども阪神・淡路の地震問題がありましたけれども、予研としても地震問題についてきっちり対応するという点ではこれからまだまだやらなくてはいけないという問題を、幾人かの研究者を含めまして現場を見ながらお尋ねしたわけですが、おっしゃっていたわけであります。そういう点からいいましたら、あの阪神・淡路の地震、日本は地震国で、こういう研究所が十分それに対応するように予算措置を含めて積極的に総点検して対応する必要があるんじゃないかなという点で、長官としてもイニシアチブを発揮して、各省庁大臣とも国務大臣として連携しながら対応していただきたいというのが一点です。  二つ目、予研がWHO指針から見てより充実して、それを上回っているような厚生省の御意見でありましたけれども、一々述べる時間はありませんけれども、例えばP2実験室も見させていただきましたけれども、きちっと整とんし清潔に保たなければいけない、機材が混在してはいけない等々、いろいろWHOは指針を設けているわけでありますけれども、そういう状況には必ずしもなっていないというのが私の実感でもあったわけであります。P3実験室の場合には、実験室からの排気が人のいる建物並びに空気取り入れ口から遠ざかるようにして建物の外に直接排出されなければならないというふうにWHO指針にはなっていますけれども、早稲田大学文学部が隣にありまして、そこで排気がもろにかぶる状況もあると。これは岩垂長官が当時社会党の環境問題に携わる立場で御視察もなさったということのようであります。  したがいまして、大臣、第二点にお尋ねしたいのは、WHO指針というのは一つの国際的な指針であるわけでありますから、環境行政を進める上でもできるだけそれを遵守していくというのが望ましいというふうに考えられるのかどうか、その点が二点目。  それから、予研の周りの地域の人々、文学部では非常に深刻な要望が出されていました。これは一々述べませんけれども、本当にもろに来る予研の立地状況があるわけであります。都心部でこういうのをつくったことに対して、やっぱり非常に都心部は難しいということも当時恐らく岩垂長官はお感じになったのではないかと思うのでありますが……
  155. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 有働委員、時間が来ていますので、まとめてください。
  156. 有働正治

    ○有働正治君 そういう都心部からの移転をその方々は要望しておられますけれども、感想を含めましてぜひお答えいただきたい。  第四点は、先ほど述べられた環境影響評価、朝日委員に対して答申が法制化の方向であることが自分個人としては望ましいと。そういう方向でこの一連のバイオ施設の問題を考えても、やっぱり法制化をやってきっちり対応することが国際的な流れからいっても求められていると思うのでありますが、申しわけありません、だんご状況での質問になりましたけれども、お願いいたします。
  157. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 私は厚生省の担当ではございませんものですから、例えばWHOのことも、それから予研のこれからの問題についても直接的に御答弁を申し上げるのは適切でないと思いますけれども、今までかかわってきた関係からいいますと、当然WHOのガイドラインというものはできるだけ尊重さるべきものだというふうには思います。  それから、例の予研の立地については、早稲田大学の文学部の先生方に私も随分いろんなことを訴えられまして、それなりの対応はしてきたつもりですが、決して十分でありません。恐らく不安はそのまま残っているかもしれません。しかし、これも厚生省にいろんな意味でお願いをしたり、あるいはこうした方がいいんじゃないかという意見を申し上げてきました。したがって、その立場で、これからも国務大臣という立場ではございますけれども注目をしてまいりたいというふうに思っています。  それから、一番最後に一言だけ申し上げたいのは、先ほど先生、中公審のバイオテクノロジーの専門委員会の再開というふうにおっしゃられましたけれども、必ずしもそこにこだわらないで、今先生が御質問の中でおっしゃったように、アメリカの場合、EUの場合、つまり環境影響評価のところがポイントになりますから、今議論になっている環境影響評価の総合研究会の中で対象事業それから手続、そんなことをやっていますので、国際的な教訓、経験をこの中で議論していただく、こんなことになるかもしれませんので、必ずしもその分科会、昔のやつを今引っ張り出してきて、さてこれからという話になるかならないかということは、むしろそれよりも環境影響評価の総合研究会の方が実際的である、こんなふうに思いますので、御理解を願っておきたいと思います。
  158. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 最後の質問になりました、参議院フォーラムの中尾でございます。  まず、大臣御就任おめでとうございます。かつて私も大臣と一緒に環境委員会で勉強させていただきました。ミスター環境ということを聞いておりまして、大臣に就任なさってからもしっかりと環境行政に取り組んでいただきたいと期待もしております。  さて、第一問でございますが、私は環境庁長官の所信についてお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事河本英典君着席〕  二ページでございますが、二ページの中に「環境への負荷の少ない「循環」を基調とした経済社会システムを実現する」とうたってございます。つまり、これから二十一世紀に向けて、私がとやかく言うことではないんですが、社会経済システムを展望するときに、高度情報化・マルチメディア型社会に移行するということが必然でございます。つまり、高度情報化社会にどう環境政策が対応していくかということだろうと思います。  アメリカのクリントン大統領を支えているゴア副大統領、環境派と言われていますけれども、この方はたびたび情報通信と環境政策について各地で演説等々を行っております。一九九四年三月、ブエノスアイレスで開かれたITU、国際電気通信連合の総会での世界情報基盤、GII構想についての一節をちょっと御紹介いたします。  この中でゴア副大統領は、クリントン政権はGIIを地球環境の保全に役立てることを考えている、人工衛星や値人レベルの通信技術を活用して地球規模の環境情報ネットワークをつくる、近いうちにこんな提案も行いたい、世界じゅうの学校や学生の参加を求め環境についての学習情報収集を日常的に行い、その成果をテレビを通じて伝え合いたい、こんなように述べているわけでございます。  それで、第一問でございます、長官。  所信に述べられた環境負荷の少ない経済社会システムと高度情報通信社会のかかわり、どう認識していらっしゃるのか、まず長官にお尋ねします。
  159. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 高度情報化の進展というのは、人や物の移動の代替あるいはペーパーレス化などを通じて環境への負荷の低減につながることが期待される一方で、御案内のように経済活動が活性化いたしまして情報通信に伴うエネルギー消費を増大させるというような一面も持っていると思います。そして、このような高度情報化と環境との関係は、プラス・マイナス双方の効果を考えなければならないと思っておりますけれども、基本的には、高度情報化により量、質ともに充実した情報が活用され、効率的な経済活動が営まれる可能性が高まると考えられております。これが資源エネルギーの面での効率化を通じた環境への負荷の低減につながることを私どもは期待したいと思っております。  そして、ゴア副大統領が指摘をなすったこと、私も日本にお見えになったときにお目にかかっておりますけれども、問題提起というのは、国際的な新しい時代の呼びかけである、こんなふうにも受けとめたいというふうに思っております。    〔理事河本英典君退席、委員長着席〕
  160. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この二十ページに及ぶ大論文、私ももう何度も読みました。感激しました、これ。内外の諸問題。しかし、残念ながら情報通信は一行もないんですね。私は、これ英訳してインターネットに乗せて、日本も取り組んでいるんだよと。先ほどから話を聞いていまして、もう日本の国内だけじゃなくて広くそういう時代になっているんじゃないか。残念ながら、刷り直しは大変でしょうけれども一つ私は指摘しておきたいと思います。これをなぜここに載せなかったかという理由はあえて聞きません。  次にお尋ねします。  平成六年十二月、閣議決定された環境基本計画には、情報通信の利用と環境との関係について調査研究を進め、環境への負荷低減に資するよう適切な活用を図る、こううたってあります。環境への負荷低減に資する適切な活用とは一体何なのか、環境庁として具体的な取り組みは何をやっているのか。簡単で結構です、大体わかっておりますから、はっきりと言ってください。
  161. 田中健次

    政府委員(田中健次君) お尋ねの情報化の進展と環境との関係についての調査研究でございますけれども、私どもといたしましては、現在郵政省で実施をいたしております環境負荷低減型の情報通信システムの普及方策に関する調査研究、これに環境庁としても参加をいたしておりまして、いろいろと環境負荷低減効果等について現在検討いたしておるというところでございます。  私ども、今後ともこの研究会の成果も見つつ必要な調査研究を実施していきたい、こういうふうに考えております。
  162. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 次の質問でございます。その今郵政省が主体となって進めている環境情報通信の問題でございます。郵政省に伺います。  先ほどもゴアさんの話で私も御紹介いたしましたけれども、国家情報基盤、NII、あるいは世界情報基盤と言われているGII、その構想実現に向けてアメリカは積極的に取り組んでおります。これは周知の事実でございます。  郵政省に聞きたいんですが、具体的に今アメリカはこの情報通信と環境政策をどう位置づけているのか、どう具体的に成果を上げているのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  163. 武内信博

    説明員(武内信博君) 米国の取り組みにつきましては、連邦レベルでは、テレワークによります交通に伴うエネルギー消費量あるいは大気汚染物質の排出量等への影響について調査研究を進めております。また、州レベルにおきましては、例えばカリフォルニア州におきまして、一九八八年から二年間、在宅勤務によるテレワークの実験プロジェクトが行われ、大気汚染の防止や省エネに効果があると報告されておりまして、さらにその推進のための法制度の整備も進められていると伺っております。
  164. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 テレコミューティングの話でございますね、今のは。例えばアメリカは、一九九〇年、これ今御説明のカリフォルニア州、テレコミューティングという通信通勤、いわゆる在宅通勤、日本でも今少しずつ動きが出てきています、そのことでございますね。
  165. 武内信博

    説明員(武内信博君) はい。
  166. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それで、今ちょっと御説明なかったんですが、例えばフロリダ州では一九九〇年、これはやっぱりテレコミューティング、いわゆる通信通勤法、あるいはワシントンでは一九九一年通勤削減法というのを、これ内容はつまびらかでないんですが、七つの州で何かそんなようなことがあるというふうに理解しています。連邦政府もテレコミューティングを行う企業に対する税制優遇などテレコミューティング基盤整備法案を審議中だ、こういうことで理解しております。  時間がないので、大変申しわけありません。  もう一問郵政省にお願いします。先ほど御説明ございましたけれども、じゃ日本はどうなっているのかということでございます。  私、これいただきました。「環境に貢献する情報通信」というこんなパンフレットがございます。大変わかりやすいパンフレットでございますが、先ほど御指摘ありましたこの研究会、大変これは朝日先主が先ほど言ったように長いんですね。これいただきました、環境負荷低減型情報通信システムの普及方策に関する調査研究会というんです。この方ももうちょっとわかりやすくされたらどうかなと思いますが、その研究の内容、簡単にちょっとお示しいただけますでしょうか。
  167. 武内信博

    説明員(武内信博君) 情報通信の活用によりまして、資源エネルギーの効率的な利用ですとか人や物の移動の代替、あるいはペーパーレス化というふうなものを通じまして環境問題への解決に寄与することが期待されているところでございますが、昨年度、情報通信と環境問題に関する調査研究ということを行いまして、個別のモデルケースによる定量的な分析を行ったところでございます。  さらに、近年、情報通信があらゆる社会経済活動の基盤としての役割が大きくなっている、国民生活や事業活動を根本から変革する可能性を有するものであるということで期待されておりますので、それに伴う環境問題への影響についても検討してまいりたいということで、今年度はさらに、今御紹介ありました研究会によりまして、人々のライフサイクルを変革するものとしてテレコミューティングを取り上げまして、その環境改善効果について調査研究を進めておるところでございます。
  168. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 説明いただいたんですが、大変失礼ですが、今の説明よりこっちのこれ見た方がわかりやすいんですわ、ごめんなさいね。  例えばNO2だとかCO2が東海郵便局におけるケーススタディーではこのぐらい抑えられたとか、そういうことですよね。効果は微々たると言いますけれども、これからやっぱり経済社会が変わっていく中で、これはもう先ほど岩垂長官も言いました、すべてプラスとは言いません、マイナス面もございます。しかし、いずれにしてもこういう社会になっていくという中で、これ環境政策の中できちっと視点を盛り込んでいただきたいと思います。  マイナス面といいますのをちょっと調べましたら、電子部品の製造か何かすると地下水が汚染されていくというんですね。これ大変難しいところだなと。本当は、いわゆる排気ガスをなくさせて、テレビ会議や例えばバーチャルリアリティーだとかいろいろありますよね、そうしょうと思ったら、その部品そのものが環境負荷を与えると。しかし、これは人間の知恵で解決していくべき問題ではないかなと思っております。  これについてはまた改めて環境庁の皆さんに、私も勉強させていただきたいと思いますので、今回はこの程度に抑えておきます。  それでは次に、北海道開発庁が現在進めております千歳川放水路問題について若干御質問申し上げます。千歳川放水路計画、これは石狩川水系、長官もよく御存じの問題でございます。  千歳川流域の治水対策として放水路計画が公表されてもう既に十三年になっているわけです。通常日本海側に流れている水を、御存じのように洪水のときにはせきとめて逆に太平洋側に流す。これは時代の逆行じゃなくて逆流なんですね。ここに無理が生じているんです、はっきり申し上げて。川幅たるや二百五十メートル、四十キロです。総事業費は四千八百億円。例えば長良川河口堰の総事業費は一千四百九十九億円。いかに巨大な国家プロジェクトが進んでいるかということは環境庁長官もかねがね事情は知っていると思います。ルートを一部迂回させて何とか環境団体や市民団体の要望にこたえようとはいいますけれども、なかなかそうはいかぬ。自然を逆流させるというのは大変なことでございます。  それで先に、時間も余りないんですが、建設省いらっしゃってますね。放水路を引くと地下水脈を分断するんですね。これが今問題になっているわけです。地下水脈を分断するということは、地下水脈が放水路に流れていくと。地下水脈がもうどんどんなくなつちゃうから、止水壁といって四十メートルぐらい埋めちゃうんです。壁をつくっちゃう。そうすると、こちらウトナイ湖は御存じのようにラムサール条約の登録湿地でございます。ここに水が行かないことになる。それじゃ大変だというので、今度はとめた反対側からポンプアップしてそして水を渡し込む、それが千歳川放水路計画の一番の問題点だろうと思います。  簡単に答えていただきたいんですが、これ私も何度か見てまいりました、この美々川源流、ウトナイ湖のいわゆる水脈の八〇%を美々川が擁しているわけですけれども、枯渇する問題、あるいは果たしてこれで自然体系が守られるのかということについて、建設省はどうお考えでしょうか。
  169. 土屋進

    説明員(土屋進君) 御説明をいたします。  ただいま先生お話しございましたように、美々川の今の左岸側に当たります東側と右岸側に当たります西側の両方から地下水を受けまして、それがウトナイ湖に入っている。おっしゃいますように、放水路を設けますと放水路の掘削によって地下水が入ってくるということで、その放水路の両側に止水壁を設けまして地下水が放水路に入らないようにしていこうということで現在やっているわけであります。  そうすることによって本当に地下水脈が復元することができるかどうか、こういうことかと思いますが、地下水対策につきましては、現在、井戸を掘りまして、それで揚水をして、それをもう一回地下水に注入しょうということで現地の実験を実施し、継続中であります。  過ぐる平成六年の十月に学識経験者から成ります地下水工法調査委員会というものを設けまして、その指導あるいは御助言をいただきながら、地下水も確保できるようなそういう工法を選定していきたいというふうに考えているところであります。
  170. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そういう技術報告書も出されておりますけれども、これについて疑義を唱える学者、研究者もたくさんおるんです。これについては改めて環境委員会でやりたいと思います。  しかし、私が見る限り、自然の地下水をポンプアップして、今度中に渡し込むわけです。ただ水量だけ確保すればいいという問題じゃないんです。あそこは源流なんです、御存じのように。これは私も見た限り大変苦慮しております。そこだけ申し上げておきます。  問題点だけもう一点、今度は北海道開発庁、いらっしゃいますね。  御存じのように、この放水路計画についてさまざまな意見がございます。もちろん洪水対策については、これも大事でございます。計画の当初のあり方、最初に放水路ありきということについては改めて別の場所で私も質疑をしたいと思いますけれども、ただもう一つは、漁業団体から白紙撤回を強く求められておる。つまり、逆流させていわゆる汚れた水が太平洋沿岸に流されると、あそこはホッキの漁場でございます、漁民からは絶対反対だという意見が出されております。  それで、約十年間にわたって調査しているんですね。昭和五十九年から専門機関が調査をやった。十年間研究してこれといった具体的な対策が出ないというのは、私は一つ計画に無理があると。十一年目になったら見えるという問題ではないわけです、はっきり申し上げて。それについて、事業を実際行っている北海道開発庁の端的な意見を求めます。
  171. 平野道夫

    説明員(平野道夫君) 御指摘のありました漁業影響につきましてですが、御指摘のとおり昭和五十九年から専門の学識経験者の御指導を受けながら海域及び河川域の調査を実施してきているところでございます。  これまでの調査結果から、太平洋海域につきましては、対策を実施しない場合、放水路による放流水やそれに含まれる土砂の拡散、これらによりカレイ類、サケ定置網、貝類などへの影響が考えられております。  現在、具体的な影響軽減策等検討を進めております。今後も十分な影響軽減策を用意いたしまして、漁業関係者との一層の話し合いに努め、可能な限り早く理解を進めていきたいと考えております。
  172. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私が言っているのは、可能な限りやってきているわけです、皆さん御努力しているのはわかるんですが、これはやっぱり環境というのは大変だということが改めてわかると思うんです。逆流させたりするということは、これは本来自然の中であり得ないことなわけです。  ですから、今回の計画見直しについて洪水対策とどう並行していくのか。例えば、今回のいわゆる洪水時の水量、計画水量が当初の水量からかさ上げされているんです。一秒間当たり一万八千立米、当時は九千何がしの立方メートルでやられていた。これについては答えは要りません。それは昭和五十六年の洪水時に計算した。ところが最初に放水路計画ありきなんです。だから、私はここに問題点がある。今回の大臣の所信にもありますけれども、自然との共生。そして開発はどうかと、私は開発は絶対しちゃいかぬと言っていないんです。初めにあるから、そしてそれに見合ったアセスをやろうとしているから無理があるんです。ここが問題なんです。  私は洪水の現場も見ました。私も報道記者の一人として皆さんに説明を受ける前に知っています。そして、今回のこの川、一番初めの始発点が私の祖父の切り開いた土地です。それから最後に流される手前のところが私の父の開いたところです。私は三代目です。ですから、どういう影響があるかということは皆さんに言われなくてもわかっているつもりです。  そこで、この計画の見直しをするというのは、大変これは勇気の要ることです。もう一つ漁業の話を言いますけれども、こんなことを言っているんですよ。漁協組合長会議では、こんなの対策じゃないと言っているんです。我々の死活問題だと言っているんですよ、一体何をやっているんだと。こういう意見にやっぱり耳を傾けて、これは抜本的に見直さなかったらいけないと思います。  長官に伺います。余り下向かないでほしいんですが、長官この問題はよく知っていると思うんです、ウトナイがどういう位置にあり、そして洪水対策がどう必要でありと。例えばいろいろ背割り堤の問題とか、これはだめだと言うんですよ。それじゃ百五十年に一回の水害から守られないと言うんです。まあいろいろあります。そうなのかなとも思いますよ。  自然の中に人間が住むということはどうなのか。例えば茨城県の小貝川、水害でどうしようもない。どうしようもないから集落をちょっと移転しましょうよという発想も出てきているんです。  そういう視点から開発と環境を考えなかったら、日本はめちゃくちゃになりますよ。人がずっと住んでいて、川は何にも文句言っていないんですよ。自然とうとうと流れているわけです。それが自然の流れなんです。どうやって人間が調和していくかですよ。そして、そこにお住まいの方、ちょっと移転地を高台にしましょうよ、場合によっては遊水地にしましょうと。そのときの補償をどうするかということで考えてもいいんじゃないか。その計画には全く乗らないわけです。ここに僕は今回の千歳川放水路の問題点がある。初めに百五十年の洪水が怖いからと。それは洪水も怖いですよ。そこに知恵を集めるのがこの大臣所信に書かれた本旨じゃないでしょうか。  ただ、建設省が昨年いろいろ第三者機関の意見を聞くという大型公共事業に対する見直しを始めました。私も一部評価しておりますが、先ほどから広中元長官初め皆さんが言っている、どうしても環境庁の行政は待ちの行政なんです。  例えばアセスについて最後に伺いますけれども、建設省さん、数字だけ教えてください。今まで、昭和六十一年以降アセスの対象は何件、そして環境庁長官の意見を求めたのは何件ございますか。数字だけでいいです。
  173. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 事前の先生の御質問の中で、特にダムについて御質問がございましたので……
  174. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ダムは言っていません。それはカットしています。
  175. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) そうでございますか。私、ダム担当でございますので、ダムに関しましては、閣議要綱の決定に基づきます対象事業は現在まで十三事業でございます。過去の、今までやってきたのが十三事業でございます。
  176. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私、聞いているのは、昭和六十一年以降、このアセスを実施したのは何件。これ閣議決定に書いてありますね、「環境庁長官の意見」というところがあります。例えば、必要があると認められたときには、主務大臣、大方これ建設大臣です、大体八十数パーセントは建設省ですから、建設大臣から環境庁長官に何件意見を求めたのか。  いや、わかります、十六件です。答えていただけると思ったから資料をちょっと散逸しちゃった。二百七十件余りのうち十六件ですよ。十六件しかないんです、環境庁長官。  それから、意見求めないって、環境庁長官も幾ら頑張ろうとしたって、意見をあなたに求めないといったら何にもできないんです、今の制度は。これは環境アセスじゃなくて、よく言われる事業者アセスなんですよ。  だから、繰り返し申し上げますけれども環境アセスメント法の制定というのは当たり前のことでございますが、現状で泣き言も言っていられないんで、先ほど法制度を見直す、アセス制度を見直すと言っているわけです。早急にやらなかったら、例えばこの千歳川の問題も、これは環境庁長官、どうやって意見を言えますか、ちょっと聞きたいんですが。
  177. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 今御指摘のとおりに、環境庁長官が意見を求められた件数は一割以内でございます。少ないと思います。だから法制化が必要なんだということを私は言ってきたわけです。今日の私の立場は先ほど申し上げたとおりで、研究会にゆだねてありますから、それが私どもの気持ちが生かされるように期待をしたいと思います。  それから、千歳川の問題は、中尾さん御存じのように一番最初から私かかわってきておりますので、それ以上申しません。ただ、これについては恐らく開発局において詳細な調査検討が行われていると聞いていますので、閣議決定要綱に基づいても環境アセスを受ける立場だというふうに私は考えております。それで、それを受けた場合には、言うまでもありませんけれども、ラムサール条約の登録湿地であるウトナイ湖や美々川源流部等の自然環境の保全に最善を尽くすために努力をしなければいけない、こういう立場だというふうにお考えをいただきたいと思います。
  178. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 本当はミスター環境の岩垂長官、もっと歯切れがよかったんですが、やっぱり長官が本当に本心述べられるような環境行政でありたいなと思っています。  最後に……
  179. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 時間が来ています。
  180. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 お答えは要りません。ぜひここの環境団体や漁業者の皆さんの生の声を聞いていただきたいと思うんです。お願いを申し上げて、ちょっと時間オーバーしまして申しわけありません。質問を終わります。
  181. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会