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1996-06-13 第136回国会 参議院 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年六月十三日(木曜日) 午後一時三十二分開会
—————————————
小
委員
の
異動
五月十五日
辞任
武田邦太郎
君 五月十六日
辞任
照屋
寛徳
君
辞任
矢田部
理君 五月二十四日
辞任
寺澤
芳男
君 六月三日
辞任
畑 恵君 六月四日
補欠選任
寺澤
芳男
君
補欠選任
照屋
寛徳
君
補欠選任
武田邦太郎
君
補欠選任
矢田部
理君 六月五日
辞任
寺澤
芳男
君
辞任
照屋
寛徳
君 六月十二日
辞任
大木 浩君 六月十三日
補欠選任
寺澤
芳男
君
補欠選任
畑 恵君
補欠選任
照屋
寛徳
君
—————————————
出席者
は左のとおり。 小
委員長
武見
敬三
君 小
委員
野沢 太三君 高野
博師
君
寺澤
芳男
君 畑 恵君
川橋
幸子君
照屋
寛徳
君 立木 洋君
武田邦太郎
君
矢田部
理君
政府委員
防衛庁参事官
小池
寛治
君
外務省アジア局
長
加藤
良三
君
事務局側
常任委員会専門
員 大島
弘輔君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
アジア
・
太平洋
に関する件 (
朝鮮半島情勢
について)
—————————————
武見敬三
1
○小
委員長
(
武見敬三
君) ただいまから
外務委員会アジア
・
太平洋
に関する小
委員会
を開会いたします。 まず、小
委員
の
異動
について御報告いたします。
委員
の
異動
に伴う
補欠
として、本日、
寺澤芳男
君、
畑恵
君及び
照屋寛徳
君が小
委員
に選任されました。
—————————————
武見敬三
2
○小
委員長
(
武見敬三
君)
アジア
・
太平洋
に関する件を議題といたします。 まず、
朝鮮半島情勢
について
政府
から
説明
を聴取いたします。
外務省加藤アジア局長
。
加藤良三
3
○
政府委員
(
加藤良三
君)
外務省アジア局長
の
加藤
でございます。 お
手元
に「
北朝鮮情勢
について」という
資料
を配付させていただきました。これに即しまして、若干敷衍しながら、まず冒頭の御
説明
を申し上げたいと思います。 「
金日成主席
死後の
動向
と
金正日書記後継
に向けた
動き
」ということでございますが、九四年の七月八日に
金日成主席
が死去いたしました。 そして、九五年七月から八月にかけましては豪雨による大
規模
な
洪水
が発生いたしまして、
北朝鮮
は
国連
諸
機関
などに幅広く
支援
を要請するということがございました。 そして、そこの(3)にございますように、九五年十月十日の
労働党創建
五十周年
記念日
に、
金正日書記出席
のもとに、
閲兵式
と百万人の
大衆行進
などが行われました。これは、党の
記念日
であるにもかかわらず
閲兵式
が行われるということに示されるなど、軍が前面に出る形で実施されました。
金正日書記
は、マスゲームや夜会を観覧するということで
市民
の前に姿をあらわしたわけでございます。 (5)の末段のところにございますように、
金正日書記
は九六年に入りましても
前線部隊
の訪問など
軍関係
の
活動
を主に行っているようでございます。 そして、
金正日書記
の
後継準備
は約二十年にわたって進められてきたものだと言われております。
金正日書記
は、いまだ
労働党
総
書記
、
主席
に就任しておりません。現在、同
書記
が
国政全般
を指導しているとの見方が一般的でございます。しかし、これらの
ポスト
への就任時期については、いまだ確たることは不明な
状況
でございます。
金正日
につきましては、党と
人民
の偉大な
領導者
であるというふうに呼称されており、また敬愛する
将軍
というふうにも呼ばれておるようであります。
金正日
と
金日成
の一体化のための
イデオロギー作業
が進められているというふうに見られています。敬愛する
将軍金正日
はすなわち偉大な
首領金日成
であり、我が
首領
は
将軍
の姿で永生するというふうにも言われているわけでございます。
金正日
の健康問題につきましては、引き続き注目すべきものがあると思いますが、現在のところ、少なくとも
内部指導
や執務に大きな支障があるとは見られていないというふうに思われます。昨年末、
金正日書記
に会った
外国人
の印象では、頭はしっかりしており、
健康状態
も問題は余りなかった、ただしお酒は一滴も口にしなかったというものがございます。 「最近の
動き
」というところでございますが、(1)にございますように、
北朝鮮
は従来から困難な
食糧事情
が伝えられておりましたが、昨年夏の
洪水被害
により困難の度が増しているものと見られます。先月、
韓国
の済州島で開催された
朝鮮半島情勢
に関する
日韓米高級事務レベル協議
におきましても、
北朝鮮情勢
は
経済
、
食糧
を
中心
に一層厳しくなっている、特に
食糧不足
については今後とも注視していく必要があるとの認識で一致いたしました。 この点についてでございますけれども、
北朝鮮
は種々の機会に各国に対し
食糧支援
を求めるようになっております。
情報
によりますと、三月の初め、
北朝鮮
は
在外公館
に対しまして、
接受国
と
現金決裁
でなくて
信用供与
の方式で
食糧
を輸入するための
交渉
を即座に開始するよう大
至急訓令
を発した
模様
であります。
アジア
のある国の
政府
に対しても、
駐在
の
北朝鮮大使
から申し入れがあったことが確認されております。ただし、同国は余裕がなく、否定的な回答を行った由であります。
中国
は、先月訪中した洪成南副
総理
との間で二万トンの
食糧援助提供
の
交換公文
に署名いたしました。
食糧事情
についてのエピソードでございますが、昨年末、ある国の在
ピョンヤン
の
大使館
が
北朝鮮
の
政府関係者
を招待してレセプションを催したところ、来訪したほとんどの人がテーブルの上に並べてある卵、肉、さらにはリンゴなどをその場では食べずに家に持ち帰ったというふうに言われております。家族に食べさせるつもりだったのではないだろうかとこの人は言っていたようであります。 また、昨年末、北京にある某国の
大使館員
によりますと、その人の
ピョンヤン駐在
の同僚の話では、先月、
大使館
のある
現地職員
が同人に
食糧
を分けてもらいたいと言ってきたと。こうしたことはこれまでには決してなかったことである。
北朝鮮
でも、
外国
の
大使館
で勤務する者は
一般市民
よりも
社会的地位
が高く比較的裕福であり、またプライドも高いと言われているが、そうした人でも
食糧
が手に入らないようだと。
現地職員
は大体やせてきていて、食事を余りとっていないように見える。家庭に
暖房
がないということから、朝出勤してくると、まず
暖房
の周りに集まって一時間ぐらいはじっとしているということを申していた
経緯
があります。 他方、最近、
北朝鮮
を訪問いたしました
日本
人によりますと、
自分たち
が見る限りでは
食糧不足
の深刻さは実感できなかった、しかし停電が頻繁にあり、
エネルギー不足
であることは間違いなかったということでございます。 また、本年初めに訪朝した
外国人
によりますと、若干驚いたのは、
北朝鮮
の
一般庶民
、例えば
運転手
や食堂のウエートレスといった
人たち
に至るまで、最も
食糧
が必要なタイミングで
日本
が
相当
の
食糧援助
をしてくれていることを知っている、そして感謝しているということを述べていた一ケースがあったようでございます。 このような
状況
ではございますけれども、これまたある
外交団
、
政府関係者
の
観測
でございますが、現在
韓国
においては前
大統領
、元
大統領
に対する
訴追公判
の手続が進行中でございますけれども、このような
動き
というものが、
北朝鮮
において見ると、例えば統一が起こった暁に、今
韓国
で起こっているようなことが
自分たち
に起こる運命であるというような
感じ
を与えまして、そのために一時的に
北朝鮮
の中の結束を固める方向に作用しているという
観測
を述べた向きがございます。 次に、
亡命者
の件でございますけれども、
韓国
への
亡命者
は、九〇年以降、年間七名から十名でございましたが、九四年、九五年には四十名
程度
に増加いたしております。もっとも、九四年に増加した
背景
には、シベリアで働く
北朝鮮伐採工
の
亡命
を
韓国
が受け入れることにしたという
事情
もあるように考えられます。本年に入ってからも、在
ザンビア大使館
の
書記
官、
空軍
。
パイロット
、
科学者
などが
韓国
に
亡命
いたしました。
中朝国境
、
中国
と
北朝鮮
の
国境
を越えて
中国
に逃げ込む者もふえていると言われますが、その数など正確な
実態
は不明でございます。 こういうふうに
亡命者
が増加していることは事実でありますが、現在のところ、これが散発的なものでないという確証もまたないように思います。すなわち、
亡命
の
背景
には、それぞれ個人的な
事情
も絡んでいるというものがあるように見られるわけであります。
亡命者
の増加が体制の動揺を示すものか否かについては、まだ慎重にこれを見きわめていく必要があるだろうと思います。 先月二十三日、
ミグ
19で
韓国
に
亡命
いたしました
李チョルス大尉
が、三十歳の人ですが、
記者会見
で、一応
亡命
の動機は、
人民
が飢えているのに権限を持つ者の不正と横暴が盛んであるなど
社会内部
の
不正腐敗
のためである、
人民
は虐待され飢えつつあるのに
金正日
は
戦争準備
に全力を注いでいる、このような
社会
ではもう生活できなかったなどと述べておりますが、昇進問題での
不満
もあったというふうに言われております。また、三十一日に
韓国
に
亡命
した
科学者
の場合には、
科学者同士
のあつれきや研究が正当に評価されない実情に対する
不満
もあった
模様
でございます。 九四年には康明道という人が
亡命
いたしましたが、この人は
姜成山総理
の
娘婿
と言われました。
北朝鮮
の放送は、この人は
姜総理
とは何の
関連
もない人間であって、莫大な
国家
の公金を横領した
犯罪者
で、姿をくらましたため
関係機関
の
捜査対象
となっていた者であるというふうな位置づけを行っております。 いずれにいたしましても、
韓国
は
北朝鮮
からの
亡命者
に対して、従来は
越南帰順勇士特別報償法
という
法律
によりまして
報償金
の支給や住宅の
提供
など
特別待遇
を施しておりました。しかし、
亡命者
がふえてきたことに伴い、九三年十二月から
帰順同胞保護法
という別の
法律
を施行いたしました。そして、
金銭面
での
援助
を減らし、
生活保護対象
として扱うというふうに今はなっていると承知いたしております。 次に、お
手元
の
資料
の2の「
北朝鮮軍事情勢
」についてでございますが、ここは
防衛庁
の方からも御
説明
があろうと思いますので、私からは簡単に。 (1)にございますように、一九六二年以来、全
人民
の
武装化
、全国土の
要塞化
、全軍の
幹部化
、全軍の
近代化
という四大
軍事路線
に基づいて
軍事力
を趨勢として増強してきておりまして、現在も、深刻な
経済
不振にかかわらず、依然として
GNP
の約二〇%から二五%を投入していると見られる
実態
があることを申し述べます。 また、
軍事力
は
陸軍中心
の
構成
で、
地上戦力
の約三分の二を非
武装地帯付近
に
前方展開
しているということもまだ変わっていないというふうに承知いたしております。
核兵器開発
の疑念につきましても、末尾のところに記してあるとおりでございます。 最近の
動き
を若干振り返って言いますと、
人民武力部
第一副
部長
による
談話
で、
朝鮮半島
の
休戦状態
は
限界点
に到達している、
軍事境界線
の非
武装地帯
の
地位
をこれ以上維持することが不可能になったという
状況
に伴う諸
措置
が盛り込まれた
対応策
を講究するのだという
発表
が三月二十九日に行われました。 四月四日には、
軍事境界線
と非
武装地帯
の
維持管理
に関する
北朝鮮側
の任務を放棄する旨の
発表
が行われました。そして、四月五日から七日まで三連夜にわたり、一個
中隊規模
の
武装兵力
を
共同警備区域
内に配置した後に二、三時間で撤収するという示威的な行動が繰り返されました。それから四月十一日、
北朝鮮軍兵士
が
軍事境界線南側
に侵入後、撤収したというケースもありました。そして、
韓国
の西海岸において
北朝鮮海軍警備艇
が
北方限界線
を越境後、撤収したということが四月十九日、五月二十三日に起こっております。
北朝鮮空軍ミグ
19
パイロット
の
韓国
への
亡命
については、先ほど申し上げましたとおりでございます。五月二十三日のことでございました。 3には、「
北朝鮮
の
核兵器開発
問題」について若干の記述がございます。
米朝合意
の
経緯
でございます。 (2)にございますように、この問題で
北朝鮮
は九三年にはNPTからの
脱退
を決定いたしました。その後、
国際社会
の粘り強い働きかけや
米朝協議
が断続的に行われ、
北朝鮮
は
脱退
の発効を中断する旨表明いたしました。しかし、九四年三月には
IAEA
との間で事前に
合意
していた
査察活動
の重要な一部を拒否、九四年五月から六月にかけて、
IAEA
との間で
保管方法
について
合意
に達しないまま
実験炉
から
燃料棒
の抜き取りを行ったということで事態が緊迫し、
国連安保理
において
協議
が行われるに至ったわけであります。 こうした中で、九四年六月中旬、
カーター米
元
大統領
と
北朝鮮
の
金日成主席
との
会談
が実現し、これが
契機
となって
米朝協議
が
再開
され、
金日成主席
の突然の死去による中断はあったものの、九四年十月の
米朝合意
の成立に至るわけでございます。 その
流れ
として、
KEDO
につきましては九五年三月、これが正式にコンソーシアムとして発足いたしました。これは、
北朝鮮
における
軽水炉プロジェクト
の
資金手当て
及び
供与
と、第一基の
軽水炉建設
までの間、
北朝鮮
の
黒鉛減速炉
からの
エネルギー
にかわる暫定的な
代替エネルギー
の
供給
などをその目的とするものでございます。 次のページの(2)にございますように、九五年九月以降、
軽水炉プロジェクト
に関する
供給取り決め
の
交渉
が行われ、九五年十二月十五日、ニューヨークにおいて正式署名され、即日発効いたしました。現在、
実施細目
につき定める
議定書交渉
、
プロトコール交渉
が
KEDO
と
北朝鮮
の間で行われております。この
交渉
において、これまでのところ、概して
北朝鮮
は非常に実務的な
対応
をしてきたというふうに思われます。 「
コメ支援
・
洪水支援
」でございますけれども、4の(1)にございますように、九五年六月には、赤十字を通じて無償十五万トン、
延べ払い輸出
による十五万トンの計三十万トンの
支援
が確認されました。十月、二十万トンを追加的に
延べ払い輸出
することが確認されました。これらの
支援
、
日本
からの計五十万トンの
輸送
は四月に完了いたしております。
北朝鮮
に対する
経済協力
については、
日朝国交正常化交渉
の
妥結
が
前提
になるという
政府
の
方針
に変わりはございません。 なお、
我が国
による
支援
を
一つ
の
契機
として
韓国
からの
支援
が行われるに至ったわけで、またこのような
日韓
からの
支援
が行われた延長線上で、
北朝鮮
は
洪水被害
について
国際社会
に
支援
を要請するという
流れ
になってきたとも考えられます。このように、
日本
からの
支援
は、
北朝鮮
が
国際社会
に向けて開かれていくことを慫慂するという観点からも、一定の成果があったと言えるのではないかなというふうに考えております。
北朝鮮
の
洪水被害
に対しては、まず昨九五年九月、
日本
は諸
機関
の
努力支援
のため総額五十万ドルを拠出いたしました。
洪水被害
に対する
国際社会
の
支援
に
関連
して、本年初め、
北朝鮮側
は
国連
諸
機関
に対して
追加アピール
の発出は不要であるとの意向を表明いたしました。どうも軍の方が横やりを入れたと申しますか、
外国
の人が来て
自分
の国の中をのぞき回られるというのは余りいいことではないという
感じ
が軍の側にあったようでございます。しかしその後、改めて
国際機関
の
支援
を歓迎するという立場を明らかにいたしました。そして、途中を省略いたしますが、本年の六月六日、
日本
時間七日未明でございますが、
国連人道問題局
が昨年九月に続く
追加支援アピール
、四千三百六十万ドル
相当
のものでございますが、これを発出いたしました。 「
日朝国交正常化交渉
」については、これまで八回の本
会談
を実施いたしましたが、九二年十一月の第八回本
会談
で、
北朝鮮側
が李恩恵問題に関する
実務者協議
から一方的に退席し、次回日程も決めずに終了したまま
会談
が中断されて今日に至っております。 九五年三月、
日本
の連立三
与党代表団
が
ピョンヤン
を訪問し、
朝鮮労働党
との間で
日朝会談再開
のための
合意書
が
合意
され、これが
発表
されました。
我が国
といたしましては、
交渉再開
の段取りについて話し合うため
北朝鮮側
と接触を行ってきてはおりますが、
再開
の具体的時期等については決定されておりません。
経済協力
については、先ほど申し上げましたとおりで、
日朝国交正常化交渉
の
妥結
が
前提
になるというのが
我が国
の一貫した
方針
でございます。 以上でございます。
武見敬三
4
○小
委員長
(
武見敬三
君) それでは次に、
防衛庁小池参事官
。
小池寛治
5
○
政府委員
(
小池寛治
君)
防衛庁国際参事官
の
小池
でございます。 それでは、お
手元
の
資料
「
朝鮮半島
の
軍事情勢
」を配付させていただいておりますけれども、それに従って御
説明
いたします。
朝鮮半島
の
軍事情勢
は、総じて言いますと、
韓国
、
北朝鮮
の南北の対立というのが過去四十年間、
朝鮮戦争終了
時からずっと継続している
状況
というのは基本的に変わっておりません。
韓国
、
北朝鮮
合わせて百五十万人を超える
地上軍
が非
武装地帯
を挟んで対峙している
状態
でございます。 まず、
北朝鮮軍
の
動向
について御
説明
いたします。 一昨年の七月に
金日成主席
が死去して二年近くたちますが、いまだ
国家主席
、党総
書記
は空席のままで、
後継者
と目されております
金正日書記
は就任しておりませんけれども、
国防関係
の
ポスト
については、
人民軍最高司令官
には一九九一年になっておりますし、
国防委員会委員長
にはほぼ三年ほど前についておりまして、制度的には
金正日書記
が軍を完全に掌握しているという
状況
でございます。
北朝鮮
は、九〇年以降、
経済
的には
マイナス成長
が続いて、
食糧
難それから
外貨不足
など深刻な
経済
困難に直面しておりますけれども、それにもかかわらず
軍事面
に国力を重点的に配分する、
軍事力
の
近代化
を図って
即応態勢
を維持するということに努めていると見られております。
軍事費
の国民総
生産
に対する割合は四分の一ないし五分の一に達していると推定されております。
一つ
の推計によりますと、九四年の
北朝鮮
の
GNP
は二百九億ドル、それに対して
国防費支出
が約四分の一ないし五分の一に当たる五十六億ドルに上るというふうに言われております。 それから、総
人口
は約二千三百万人ですけれども、総
兵力
約百十三万人、すなわち総
人口
の約五%が
現役軍人
と推定されております。それに加えまして、一説には約五百万とも六百万とも言われる
予備役
が存在しているというふうに言われております。 それから
北朝鮮
の軍の
配備
ですけれども、
地上戦力
の約三分の二を非
武装地帯付近
おおむね百キロメートル以内に
前方展開
しておりますし、また
前方展開
した基地などかなりのものを
要塞化
しております。加えまして、長
射程
の火力、例えば二百四十ミリ
多連装ロケット
、
射程
約七十キロメートル、それから百七十ミリ砲、
射程
約五十キロメートルと言われておりますけれども、それを非
武装地帯付近
に増強
配備
しているという
状況
でございます。これは何を意味するかといいますと、この
前方展開
によって再度改めて展開することなく
韓国
を奇襲できるとか攻撃できる
態勢
にあるということです。また、それは
韓国側
から見ると、警報を発する時間が極めて限られておるという
状況
でございます。
北朝鮮
の
装備
の多くは旧式ですけれども、
装備
の
近代化
を図っている。その大きな
特色
としては、
奇襲戦
それから
ゲリラ戦
を行う
特殊部隊用
の
装備
を多数保有しているという
特色
を持っております。 各軍について見ますと、
陸軍
は二十六個師団、約百万人で
北朝鮮
の総
兵力
の約九〇%を占めている、すなわち
陸軍中心
の
構成
になっております。歩兵が
中心
になっておりますけれども、約三千両の戦車を含む
機甲戦力
あるいは長
射程
の火砲を保有しております。兵器の数量では、後でちょっと述べますけれども、
韓国
を上回っているという
状況
でございます。もう
一つ
の大きな
特色
としては、
ゲリラ戦
などを行う
特殊部隊
を多数保有しており、その数は約十万人ほどにも達するのではないかというふうに見られております。 それから
海軍
ですけれども、
海軍
は合計約六百三十隻、約八万七千トンを保有している。その内容としましては、
ミサイル高速艇
などの
小型艦艇
が
中心
になっております。それと、先ほどちょっと触れました
特殊部隊
の潜入、あるいはそれを運搬するためと見られている
ミゼット潜水艦
、これは乗員を含めて十人
程度
が乗り組む極めて
小型
の
潜水艦
ですけれども、その
ミゼット潜水艦
あるいは
エアクッション
の
揚陸艇
を多数保有しております。
エアクッション揚陸艇
というのは四十ないし五十名
程度
の兵員の
輸送
が可能という
揚陸艇
でございます。 それから
空軍
につきましては、
作戦機
を約七百七十機
程度
有していると見られております。
ミグ
29あるいはスホーイ25などの第四
世代
に属する
新型機
も保有しておりますけれども、保有している大部分は
中国製
あるいは旧
ソ連製
の第一
世代
、第二
世代
の
旧式機
が占めているという
状況
でございます。そのほか特徴的なのは、
特殊部隊
の
輸送
に使用されると見られるアントノフ2型、翼が二段になっている
複葉機
を多数保有しております。 それから
核兵器開発疑惑
につきましては、九四年十月の
米朝枠組み合意
により一応
問題解決
の道筋が提示されたところでございます。それに従って
北朝鮮
は、現在、
黒鉛減速炉
及び
関連施設
を凍結する、最終的にはそれを解体し
IAEA
による
保障措置協定
を完全に履行するということをコミットしております。これに対してアメリカは、
代替エネルギー
の
供与
あるいは
北朝鮮
への
軽水炉供与
の
アレンジメント等
を実施するということで、それに基づきまして
KEDO
と
北朝鮮
の間で
軽水炉供給取り決め
が締結されたということは
先生方
御承知のとおりでございます。 それから、
北朝鮮
の
ミサイル
の
開発
、
生産
、
配備
でございますけれども、
北朝鮮
は
スカッドB
、
スカッドC
などを
生産
、
配備
するほか、
ノドン
一号を
開発
中と見られております。
スカッドB
というのは
射程
約三百キロメートル、
スカッドC
は
射程
約五百ないし六百キロメートルを
生産
、
配備
しております。そのほか
輸出
もしているというふうに見られております。 それから、
ノドン
一号は
射程
約一千キロメートルのものを
開発
中というふうに見られております。
射程
一千キロメートルということは、
北朝鮮
のどこに
配備
するか、その
配備位置
によっては
我が国
の大半がその
射程
内に入る
可能性
があります。
ノドン
一号は現在まだ
開発
中と見られますので、その詳細は明らかではございませんが、いろんな
情報
を総合的に勘案してある
程度
の推定をいたしますと、
射程
が約一千キロメートルぐらい、
弾頭重量
は一千キログラム
程度
ではないかというふうに見られております。 それから
食糧事情
については、先ほど
外務省
の方から御
説明
がありましたけれども、恒常的な
食糧不足
に陥っていたと見られますが、特に昨年の
水害等
により現在
北朝鮮
の
食糧不足
は一層深刻化したというふうに見られております。 それから最近の
北朝鮮軍
の
動向
でございますが、ことしの三月末、
金光鎮人民武力部
第一副
部長
が、
朝鮮半島
における
休戦状態
は
限界点
に達しているという
談話
を
発表
いたしました。また、四月四日には、
人民軍
の
板門店代表部スポークスマン
が、
休戦協定
に基づいて負っている
軍事境界線
と非
武装地帯
の維持及び管理に関する任務を放棄する、あるいは板門店
共同警備区域
と非
武装地帯
に出入りする
北朝鮮側
要員と車両に、定められたすべての識別標識を使用しないことにするという
談話
を
発表
して、その直後、四月五日から三日連続で、迫撃砲、無反動砲、
機関
銃などで武装した兵士が板門店の
共同警備区域
内に進入して、応急陣地等の構築訓練を行った後、二、三時間後に撤収したという事件がございました。 これに対して、四月五日、
韓国
の国防部は、米韓連合軍の監視体制、ウォッチコンと呼ばれておりますけれども、監視体制を従来の三から二に引き上げたという旨を
発表
いたしました。報道によりますれば、その監視体制ウォッチコンというのは四区分になっておりまして、平時を四、それから最緊急時を一としているということのようでございます。 それから五月十七日には、
軍事境界線
の別のところですけれども、
軍事境界線
を越えて
韓国側
に
北朝鮮軍兵士
が侵入した。それで、一時間後に警告射撃に遭って撤収したという事件もございました。 それから海の方では、西海岸の方ですけれども、四月十九日には
北朝鮮
の警備艇二隻が、黄海に設定されている南北の境界線、
北方限界線
を越えて
韓国
領に侵入して、
韓国
海軍
の艦艇が出動して
北朝鮮
の警備艇は
北朝鮮側
に戻ったという事件がありました。同様の事件は五月二十三日、このときは警備艇五隻にふえておりますけれども、同じように
北方限界線
を越えて
韓国側
に侵入したという事件がございました。 それから五月二十三日には、
ピョンヤン
の近くにありますオンチョン基地から飛び立った
北朝鮮
空軍
の
ミグ
19戦闘機一機が、
韓国
機に誘導された形で
韓国
の
空軍
基地に着陸して、
パイロット
は
亡命
したという事件があったことは
先生方
よく御承知のとおりでございます。 次に、これに対する
韓国
軍の
動向
ですけれども、毎年
GNP
の約四%前後を国防費に投入しており、
陸軍
の
近代化
及び海
空軍
の
近代化
に努めている。
陸軍
は二十二個師団、約五十五万人、
海軍
は約二百二十隻、約十四万トン、海兵隊二個師団、約二・五万人、
空軍
はF16を含む
作戦機
約四百九十機を有しております。 それから在韓米軍ですけれども、在韓米軍は米韓相互防衛条約に基づきまして、歩兵師団それから第七
空軍
等約三万六千人の部隊を
韓国
に配置しており、
陸軍
部隊等は非
武装地帯付近
に
前方展開
しております。 米国は、在韓米軍の役割をできるだけ主導的なものから
支援
的なものへと縮小しており、平時の作戦統制権を
韓国側
に返還しております。 それから、米国は東
アジア
太平洋
地域における安全保障戦略、EASRにおきまして、今後もアメリカは
韓国
における軍事的プレゼンスを維持するということを確認しております。特に、戦争の抑止の重要性を強調しているところです。ちょっとそのEASRから
韓国
の
関連
部分についてアメリカの考え方というのを御紹介させていただきたいと思います。 「
韓国
における抑止力の維持」という中で、「米国と
韓国
は、
北朝鮮
による
韓国
に対する侵攻を打ち破ることができるであろう。しかしながら、戦争が再び起これば、非
武装地帯
の両側で甚大な損害がもたらされることになるであろう。特に、非
武装地帯
からわずか二十六マイルしか離れておらず、
韓国
の政治、
経済
及び文化の
中心
であるソウルについてはなおさらである。したがって、
韓国
にとって問題なのは、単に戦争に勝つのみならず、より重要なことは、
北朝鮮
による侵攻を抑止することであるという点を認識しておく必要がある。」「この文脈で、」「
韓国
における米軍のプレゼンスは、
北朝鮮
の侵略に関し、かかる紛争に米国が自動的にかつ直ちに関与することをまがうことなく明確にすることにより、これを抑止することに役立つものである。」というふうに述べて、その基本的な重要な任務が抑止にあるということを述べているところでございます。 以上でございます。
武見敬三
6
○小
委員長
(
武見敬三
君) 以上で
政府
からの
説明
聴取は終わりました。 ただいまの
政府
からの
説明
に対し質疑を行います。 なお、質疑はお一人往復五分以内ということでお願いをいたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
野沢太三
7
○野沢太三君
外務省
にお伺いしますが、先般の
情報
ですと、アメリカの国防総省で
北朝鮮
の崩壊がもういつ起こるか、起こるかもしれないというイフの段階ではなくて、いつ起こるか、ウェンの段階であるという
情報
がもたらされたという一方で、昨今は、今度は国務省の方の意見として、当面そのような心配はないんだと、
金正日書記
は統率力を維持しておるということで崩壊の心配はなさそうだという話をしておると。アメリカの
北朝鮮
に対する考え方についてこのところどうも多少の混乱といいますか、見方にいろいろと違いが出ているように伺っておるわけでございますが、この辺についていかがでございましょうか。
加藤良三
8
○
政府委員
(
加藤良三
君) 確かに
委員
御指摘のとおり、米国の内部においてもいろんな意見があるように思います。例えば、二月二十二日の段階で、これは米国の上院の
情報
委員会
でございますけれども、CIAのドイッチ長官が
北朝鮮情勢
につきまして、もし
食糧不足
が前線の部隊のところまで広がっていけば体制の安定が損なわれることになるかもしれないという証言をいたしております。類似の証言が国防省筋等によっても行われていたように記憶しております。 他方、この前五月に済州島で行われました日米韓の高級事務レベル
協議
において、やはり
金正日書記
が
国政全般
を指導しているという見方が一般的であって、今すぐ崩壊云々という
状況
にはない。
北朝鮮
が
食糧
、
エネルギー不足
などいろいろの困難を抱えているのは事実であるので、その情勢の把握にはいろいろ困難な点があるけれども、どうもこれは見ていくしかないなというような
感じ
で意見が一致したということもあるわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても、そういう
状況
が改善に向かっているということはないように思われるわけでございます。例えば、今回アピールを発出する主体となった
国際機関
、FAOとかWFPは、その評価ミッションの調査結果に基づく報告書において、
北朝鮮
は配給システムを維持するために既に備蓄を
相当
取りましている、これが補てんされなかったために備蓄量は継続的に減少しているのであるというような見通しを述べているわけでございます。そして、ことしの六月から十月にかけては昨年の収穫のほとんどが消費されて在庫が急速に減少するので、
食糧事情
はかなり悪化するだろうということを述べております。 そして、先ほど申し上げましたように、一般に
食糧
面などで優遇されていると言われる軍隊にも影響が出始めていて配給量が減っている、栄養失調者も出ているというような
状況
もあるわけでございます。 そういうわけで、ちょっとお答えが明確なものにならないで恐縮でございますが、明らかによくない方向に
状況
は向かっているように思われますけれども、現時点において
金正日書記
が全体を統括している、その体制を覆すような
状況
がそこにあるということではないと思われます。
野沢太三
9
○野沢太三君 そういう中で、前回
援助
した米の一部が軍の備蓄の方へ回されて本当に困っている人のところへ届いていないと、こんな
情報
もあるわけであります。今回、人道
援助
ということで、これは主としてお金で
国際機関
を通しての
援助
であるからにはいきなり備蓄ということにはならないかと思いますが、この辺に関して先般も
委員会
の方でお伺いをいたしましたが、これをどう担保して本当に
援助
の効果を上げるか、こういう点について再度お伺いしたいと思います。
加藤良三
10
○
政府委員
(
加藤良三
君)
委員
御指摘のとおり、私どもも、
北朝鮮
との関係を見ていくに当たって、根本的な問題は透明性の欠如ということだと思っております。そして、この透明性の欠如を完全に取り除く妙案というものは持ち合わせていないということだろうと思います。 今回の緊急アピールにつきましては、WFPという機構はそもそも
ピョンヤン
に常設の事務所を持っておりまして、これまでにも
状況
をモニターするために、WFPは昨年の十一月からことしの五月にかけてでございますか、三十四回、延べ八十一日間のモニタリングを実施しております。ユニセフ、児童基金の方でございますが、こちらは十七回、延べ二十七日間にわたるモニタリングを実施していて、そのいずれのモニタリングにつきましても、実際に港に物が着きましてから、あるいは鉄道の駅に物が着きましてからこれが最終の配付地に至るまで、いろいろの形でモニタリングを実施するという方式をとっているようでございます。そして、今回の緊急人道
支援
、このアピール、これに基づく協力を行うに当たりまして、今までとってきたこのモニタリングの体制を一層強化するということを言っているわけでございます。 第三者の評価ということでございますが、米国も、現時点においてこのWFPなどが実施するモニタリングというものが
支援
を本当に必要としている人のところに届かせる、その
状況
を確保するという上で多分最良のものであるだろうという評価をしていると承知いたしております。 いずれにいたしましても、私どもも
北朝鮮
との関係においては、今後とも透明性の向上ということに心がけてまいりたいと思います。そして、透明性が一〇〇%確保できないという現実はございますけれども、少なくともこちらから
支援
が何らかの形で行われる以上、それに見合って
北朝鮮
が順次なりとも透明度を高めていくというふうに持っていければなと考えておる次第でございます。
高野博師
11
○高野
博師
君
外務省
の局長にお伺いいたしますが、この
外務省
がつくったペーパーの四ページ目の4の「
コメ支援
・
洪水支援
」の(3)ですが、ここで「なお、
我が国
による
支援
を
一つ
の
契機
として、
韓国
からの
支援
が行われるに至り、また、このような
日韓
からの
支援
が行われた延長線上で、
北朝鮮
は
洪水被害
について
国際社会
に
支援
を要請するという
流れ
になったとも考えられる。このように、
我が国
の
支援
は
北朝鮮
が
国際社会
に向けて開かれていくことを慫慂するという観点からも、一定の成果があった」のではないかなとさつき局長が言われましたので、あったのではないかなというぐらいの確信のないことでいいのかなというのと、ここの(3)の話はかなり
政府
に都合のいいようにだんだん解釈してきているなという私は印象を持っております。
韓国
にしても、
日本
の
援助
、去年の五十万トンの
援助
については非常に困っていると、
韓国
からの
援助
の効果を薄めたというか、そういう批判もあり、反対もあったわけです。 それから、
日韓
の延長線上に
国際機関
の
援助
があったとは必ずしも言えない。
日韓
の
援助
の前に、もう
国連
関係機関
は
北朝鮮
の
食糧事情
、
洪水
の被害等について別途調査を行った。したがって、必ずしもそうは言えないんじゃないかなという印象を持っております。これが
一つ
の質問です。 もう
一つ
、突然
北朝鮮
が崩壊したときには当然難民の問題が起こるだろう、これが一番最大の問題だと思うんですが、この突然の崩壊はないとしても、平和的に統一がなった場合でも難民という問題は起こり得るのかどうか、私は起こり得るんではないかなとは見ているんですが、その辺どう
外務省
は見ておられるのか。 それからもう
一つ
は、冷戦が終わった後、例えばキューバの場合も、これは時間の問題だ、こういうことをよく言われました。しかし、依然としてキューバのカストロ体制は続いている。
食糧
さえあれば、そしてリーダーが存在していれば体制というのは簡単には倒れない。 私は
北朝鮮
の体制が倒れればいいと言っているんではないんですが、軍の備蓄を依然としてまだ放出していないという
情報
と、それから
経済
的に非常に困っていながら
GNP
の二五%も
軍事費
に向けているという現実がある中で、人道的
援助
とはいいながら
援助
を続けることによって今の体制が続く。続くということは、核の問題あるいは
ミサイル
の問題で脅威というか懸念がずっと続くことになりはしないかという意味で、きのうもちょっと
委員会
で言いましたけれども、
援助
にやはり条件をつけるべきではないかなと。軍の備蓄を全部放出しろ、それと
軍事費
をもっと削減しろというぐらいの条件をつけて、国際的な
援助
も含めて、
日本
の
援助
はやるべきではないかなと私は思っているんですが、その辺の見解を伺います。 最後に、
防衛庁
ですが、この
防衛庁
の分析あるいは
情報
についてはどこから
情報
を得ているのか。ミリタリーバランスとか国防省の
情報
等いろいろあると思うんですが、
防衛庁
独自にこういう
情報
を得る
情報
源を持っているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。 以上です。
加藤良三
12
○
政府委員
(
加藤良三
君) 第一点の配付
資料
の4の(3)の記述についてでございますけれども、我々といたしましては、ここに書いてありますように、まず
日本
による
支援
ということが
一つ
のきっかけとなって
韓国
からの
支援
が行われることになった、それでそれが南北関係の進展に資する第一歩になり得るであろうということで、それはその時点において私は前向きに考えられるべきことではなかったのかなというふうに思うわけでございます。 そして、「
日韓
からの
支援
が行われた延長線上で、」という書き方について、この書き方が極めて精密に条約の文章的に書いてあるものではございませんので、私たちの意図するところがあるいは正確に伝わらない表現になったかと思いますので、その点は、そうであるとすればおわびを申し上げたいと思います。 結局、そういう誇りの高い
北朝鮮
が、みずからの弱みというものを絶えて
国際社会
に漏らさなかったという国が、割合率直に
自分たち
の苦しさ、窮状というものを訴えるようになった。それをきっかけにして
国際社会
の方からある種の
支援
の手を差し伸べる、そのことに応じて
北朝鮮側
がもう少し透明度というものを増す方向に動く、そういう形で
国際社会
というものの一般的なルールの中にできるだけ
北朝鮮
を取り込んでおくということ自体は、あの
朝鮮半島情勢
における、だれにとってもいいことのない爆発的な事態と申しますか、緊急事態と申しますか、そういうものを避けるためには当然考えられてしかるべき課題なのではないのかなというふうに思うわけでございます。 それ以後、
米朝合意
もございましたし、またそれに引き続いて
KEDO
の
交渉
もございましたが、だんだん
北朝鮮
の側から合理的な
対応
、実務的な
対応
というものを引き出せるようになってきていることも事実でございます。 もちろん、縦割りの国、それから透明性が非常に欠如している国でございますから全貌が明らかになるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたような
KEDO
の
交渉
における
北朝鮮
の
対応
というものもある。したがって、米国も
北朝鮮
がそのような
対応
をしてくるということに応じて、先般、二百万ドル、五千トンから六千トンの穀物の
援助
というものを今回の
支援
に先立って既に行って、
北朝鮮
のそういう
動き
に対する認知というものを示したという
経緯
もあるのだろうと思います。そういうようなことを
背景
として、この(3)をお読みいただければと思うわけでございます。 一国の体制がどういうふうになっていくか、これはいわゆる学識経験者という方たちの意見なんかを徴してみましても、政権の正統性、レジティマシーの問題というものがあろうかと思います。その政権の正統性がある限り、多少苦しいことがあってもその国は続くということがあるのかもしれません。そこには恐らく、なかなか数量化することは難しいでしょうけれども、正統性の問題ということが基本にあっての話だろうというふうに思うわけでございます。 今回の緊急アピールということとの
関連
で軍用の備蓄の問題が提起されるわけでございますが、先ほど既に触れましたように、
北朝鮮
においては、軍用の備蓄かどうかその辺がよくわからないにせよ、少なくとも
国際機関
の調査で備蓄量は継続的に減少していて、九五穀物年度の初期においては
相当
少なくなっているであろうという
観測
がなされているわけでございます。そして、一般的に
食糧
面で優遇されていると見られている軍隊でも、配給量が減っていて栄養失調者も出ているというような
状況
があるということも言われているわけでございます。 そういう
状況
のもとで、今回
国連
の関係諸
機関
が、一応現時点において現実的に最も透明度が高いと言われる調査、モニタリングによりましてニーズというものを見極めて、それをアピールの形で問うてきた。これに対して私どもが
支援
する、あるいは米国が
支援
する、
韓国
が
支援
するということは、緊急人道
支援
の文脈においてこれは必要なことではないのかなと思う次第でございます。 大量難民が出るかどうかということでございますが、今現在そういう
状況
があるというふうには見られておりません。ただ、安全保障上の緊急事態に対して、大量避難民対策を含めて必要な
対応策
をあらかじめ検討、研究しておくことは、これは極めて重要であるということであろうと思います。関係省庁内部で所要の作業というものが行われている中に、そういうものも当然入るということだろうと思います。 いずれにいたしましても、
北朝鮮
について胸にすっきりと落ちるような透明度の高いいろんな手だてというものを講ずることがなかなか難しい
状況
にあることは事実でございますけれども、今申し上げましたような
背景
に基づいて一連の施策を考えてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
小池寛治
13
○
政府委員
(
小池寛治
君)
北朝鮮
はまことに透明性の低い閉ざされた
社会
でございますから、なかなか外からうかがい知れない国ではございますけれども、
我が国
の近隣にある国でもあり、種々の
情報
を得るように我々としても努力しているところでございます。その中には、当然のことながら、具体的には申し上げられませんけれども、
防衛庁
独自に入手している
情報
というのもございます。 それから、
情報
がはんらんするに当たっては、先生が先ほどお触れになられたようなミリタリーバランスとかあるいはジェーン年鑑等の公開
情報
、あるいは
北朝鮮
を訪問された方、あるいはこの前の
亡命者
の
記者会見
の発言などもありますけれども、そういうもの、各国の見方なども聞いて総合的に判断しているところでございます。 いずれにしても、近隣国ということでもあり、その
動向
については我々としては多大の関心を持って
情報
の収集、分析に努めているところでございます。
立木洋
14
○立木洋君 お二人に、
北朝鮮
についての基本的な認識をお聞きしたいんです。具体例は幾つか挙げていただきましたけれども、基本的にどう
北朝鮮
を考えているのか、見ているのかという点についてお聞きしたいんです。 どうしてかといいますと、去る四月にクリントン
大統領
が来られまして共同宣言を
発表
しましたが、その共同
記者会見
の席上でクリントン
大統領
は、ロックステーツ、つまりならず者
国家
の脅威というものに言及されたんですね。それで、ペリー国防長官も、五月十三日のハーバードの大学での講演の中で、ソ連の核戦力を引き合いに出しながら、ならず者
国家
の脅威はこれ以上に怖いという表現をしております。 このならず者
国家
ということがアメリカで言い始められたのは、一九九三年九月、アメリカ戦力の見直しの後に使われ始めて、今日ならず者
国家
こそ世界の最大の脅威だということがしばしば強調されるようになりました。これはもう
加藤
さんも御承知のことだろうと思うんです。 それで、ならず者
国家
とはどこの国のことを指しているんだと。いろいろな文献を見てみますと、アメリカ側で出しているのは、アメリカによれば
北朝鮮
、リビア、イラク、イラン、これらの国を指しているということが明らかになったわけです。これは拡散対抗戦略の中でも明らかなように、いわゆる大量破壊兵器を所有しようとする疑惑でさえも、アメリカはそれを軍事的な攻撃で先制的に抑えるということも当然だという立場をとっているわけです。 私たちは、もちろんどのような国であれ核兵器や大量破壊兵器を所有するというふうなことについては反対ですし、またそういう疑いがあるからといって、それを軍事的な圧力によって抑え込むという覇権的な行為にも我々は同調しません。反対です。 そこで質問なんですが、
加藤
さんにお伺いしたいのは、このアメリカのロックステーツという脅威論について
日本
政府
としてはどういう認識をお持ちなのかということを
加藤
さんにお聞きしたいんです。 それから
小池
さんに、
朝鮮半島
の有事という問題が今アメリカでもいろいろ言われています。きょうの午前中もここで議論されたわけですが、この
朝鮮半島
有事を想定したいわゆるガイドラインの見直しということは、アメリカのこういう認識と共通性があるのではないかというふうに考えられるんですが、今のこのガイドラインの見直しと
朝鮮半島
有事とのかかわりについてどういうふうな見解をお持ちなのか。 その後に、
加藤
さんに引き続いて、
北朝鮮
は
日本
にとって脅威があると、
日本
にとって脅威であると見ているのか脅威はないと見ているのか。脅威があると見るならばその根拠は何なのか、脅威がないといえばその根拠はどうしてなのか。そこらあたりのことをお二人にお尋ねしたいと思います。
加藤良三
15
○
政府委員
(
加藤良三
君) 大変私にとってお答えのしにくい問題であると思います。私の言葉ということでは必ずしもありませんが、非常に一般的に考えますと、ならず者
国家
であるとかなんとかそういう呼称、呼び方、レッテルということを考える前に、私は
朝鮮半島
とのかかわりであれ、あるいは
中国
とのかかわりであれ、その他の地域とのかかわりであれ、結局
自分たち
の利益のために仕事をしていくべきであるし、そうしているつもりだというのが先にあるわけでございます。 何が
日本
の国益になるのかということについて、もちろんケースによって意見が分かれるということは、これは多々あるのだろうと思うのでございます。例えば、国益の中に非常に短期的、具体的、直接的、即物的な国益というものもございますれば、一般的で抽象的で象徴的な国益というものもある。しかし、いずれが他方よりも必ず常に重要だということは恐らくないだろうと思います。 したがって、その二つのセットの国益をどういうふうに組み合わせて、
日本
にとってこれが一番望ましい方向に話を持っていけるのだろうかということを考えるのがまずポイントであろうと思います。その意味で、すべては
日本
に発するということだろうと私は思います。 そういう
日本
にとって安全保障というものを
日本
なりの考え方に基づいて確保していく、平和と安定を維持していくというときに、これは私は、こういう場ではございますけれども、決して特定の国とか地域に結びつけて申しているわけではございません。そういうことを
前提
にして申し上げれば、失うものがないままである場合により
日本
の安全が、ある国ある地域なりが全く失うものを持たないという
状況
であることが
日本
にとって安全に寄与する話であるのか。それよりも、失うものを何か持つということが安全にとってより寄与するゆえんであるのかという問題があろうと思います。 失うものがないときには、個人の次元であれ何であれ、失うものがない人間としての行動がとられるということだろうと思います。失うものを持つと、その失うものを失いたくないために行動が慎重になるということもあろうかと思います。ただ、そこに全く理屈に合わないボナンザ、とんでもない褒賞があるということでもこれはいけないと思います。だから、その辺のところをどう考えて外交政策とかほかの国とのかかわり合いを律していくのかというところが、一般的に申し上げれば私は一番肝心な問題だろうと思うのでございます。 ですから、私の立場から申しますと、立木先生から今おっしゃられた、そして安全保障の分野でずっと造詣も深くておられて、かつてのソ連脅威論とかいろんなことをつぶさに見ておられた先生に対してのあれでございますから、私はここでは脅威論、
北朝鮮
が脅威であるかどうかということに正面からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございまして、そういうとり方はいたしておりません。 ただ、これはアメリカも冷戦終了後になってしばしば用いていた修辞というか、レトリックでございますけれども、不確定性、不安定性ということはこれをできるだけコンテーンと申しますか、封じ込めていかなければいけないという認識があるわけでございます。不確定性、不安定性という形での新たな平和と安定に対する挑戦というものがあるわけでございまして、そういうものをどういうふうにうまく抑えていき、そして
経済
的な発展も含めて、これを地域において確保していくことができるのかということを、冒頭に申し上げましたように、
日本
の国益ということを軸にして考えていくということに私は結論は尽きるんではないかと思います。
小池寛治
16
○
政府委員
(
小池寛治
君)
北朝鮮
有事とそれからガイドライン見直しとの
関連
性ということについての御質問ですが、その前に、今の
朝鮮半島情勢
をどう見ているかということがまず第一の基本になろうかと思います。 若干繰り返しにはなりますけれども、非
武装地帯
を挟んで百五十万人を超える
兵力
が対峙しているという
状況
が過去四十年以上ずっと続いているような
状況
とか、あるいは
核兵器開発疑惑
が持たれたり、あるいは
ミサイル
の長
射程
化のための研究
開発
をやっている。それから、軍事の体制を見ても、百万人以上の軍隊を擁している国ですが、その三分の二以上が非
武装地帯
百キロメートル以内に、極めて近いところに
配備
されている、
前方展開
されているということを総じて見ますと、
北朝鮮
のこういう
動き
ということ自体が
朝鮮半島
の軍事的緊張を高めている。それは
我が国
にとっても、東
アジア
全域の安全保障にとってもやはり重大な不安定要因と見ざるを得ないんだというふうに考えます。 それから、日米防衛協力のための指針の見直しについては、これは先生の方がよく御存じですけれども、なぜこの見直しをしているかということは、現在の指針が策定されてから以降の日米防衛協力関係というのがずっと進展してきたということを踏まえるということ。それから、現在の指針というのは、前の防衛大綱の考え方を踏まえて策定されたものでありますけれども、内外のいろんな情勢がその間に変わってきております。それを踏まえて新しい大綱が昨年の秋に策定されたわけでございます。そういうことを考慮して見直しを実施するということでございまして、
北朝鮮
有事というような特定の事態を念頭に置いているものではないということを申し上げたいと思います。
川橋幸子
17
○
川橋
幸子君
韓国
というのは近くて遠い国と言われますけれども、
北朝鮮
というのは本当に不思議の国ですね。不思議の国というのは、メルヘンチックなアリスのような国だとよろしいんですけれども、どうもやっぱり不気味だという
感じ
がある一方、非常に何か誇り高くて、戦前の
日本
のような神の国じゃないんでしょうけれども、何かしらアメリカが思うようなならず者の国の中でもちょっと違うんじゃないかなというような
感じ
を持つんですが、一体どういう国なんだろうというのが一番私の伺いたいことなんです。 歴史的には統一されていた国で、それが冷戦構造の中で、米ソの戦争の中で分断されたわけですね。それからもう四十年もたってしまうと血族というのも余りなくなるのかなという
感じ
がするのが一方にあって、もう一方では、逆に南憎しという
感じ
が少なくなってくるのかなとも、あるいはアメリカ憎しも少なくなったんでアメリカを頼るのかなと。アメリカを頼るということも、普通の感覚では、かつての敵国なわけですから、これはベトナムだってどこだってあるはずの話で、かなり人の心というのはわかりにくいところがあるわけなんです。 そのならず者の国の中でも、どうも何というんですか、もしかしたら多少の餓死者は出ても安定を保ち続ける国なのか、やっぱりここは国民を守るために三十八度線を南下するとか、あるいは軍の力でアメリカから
援助
を引き出していきたいというような、そんな外交カードを持つ国なのか、おわかりのところを教えていただければありがたいと思うんです。
加藤良三
18
○
政府委員
(
加藤良三
君) まことに申しわけございませんけれども、今の
委員
の御質問に満足な回答をするような知識、知見というものを持ち合わせておりません。ですから、飛び飛びのポイントをつなぐだけのお答えになってしまいますけれども、御容赦いただきたいと思います。 やっぱり、北から見ますと恐らくアメリカというのは非常に大きく見えているのだろうというふうに思います。ソ連がなくなった後、いわゆる認識一般の次元においては唯一残った超大国であるというふうに見えている。戦後の
日本
から見てアメリカがどう見えたかということと、そこにすぐ同じ線を引けるものだとは思いませんけれども、
相当
アメリカが大きく見えていることは間違いないんだろうと思います。 したがいまして、最近の何年間かにおける
北朝鮮
の行動というものは、まずアメリカとの間に
合意
を交わしてしまえば、あとは
韓国
であれ
日本
であれおのずとついてくるのだと、こういう
感じ
で物事を組み立てていたように思うわけでございます。最近は、しかしアメリカの方がなかなかそういうふうな
北朝鮮
の
動き
には乗らない。やはり
韓国
との関係が重要であるということで、
韓国
への配慮ということをかなり
中心
に据えて
北朝鮮
との
対応
を行っているようでございますから、その思惑どおりに動いていないというのはあるかもしれません。 アメリカとの関係でございますが、結局、戦争ということ、
日本
の立場から見れば戦争といえば第二次大戦でございますが、
北朝鮮
から見ればもちろん朝鮮戦争もあったわけでございます。それから、きょうの議題ではございませんけれども、
中国
という国をとってみれば、戦争といえば、第二次大戦の後もソ連と戦い、インドとも戦い、ベトナムとも戦いというようなことで、
相当
程度
戦時
態勢
のもとにみずからを置いてきたという感覚が強い国ではないかと思うんですが、
北朝鮮
もそういういわば臨戦
態勢
と申しますか、そういう感覚のもとに
国家
運営が行われてきているんだろうと思います。しかし、朝鮮戦争も
相当
昔になりました。おっしゃるとおり数十年前の話になってきた。 そこで、物事がどれだけ生きた政治的な現実というものから絵としてかき上げられた歴史というものに変わるかという、その節目の問題なんだろうと思うのでございます。一般的には文書公開の世界なんかで三十年というのが
一つ
の節目になって、三十年たったものは原則もう絵にかき込まれた、でき上がった歴史なのである、それに満たないものはまだ生きて動いている現実なのであるという一応の線を引いているわけでございますが、戦争なんかの場合にはもっと記憶力が双方において長いということがあるのかもしれません。 しかし、最近において、遺骨の返還
交渉
というようなことでアメリカと
北朝鮮
との間に実務的な折衝が行われて、初めて
北朝鮮
の軍人が、たしか中佐クラスかそこら辺だったろうと思いますが、ハワイというアメリカの領土の一部を踏んだというようなこともあったわけであります。そういう国民的な感情というのがアメリカに向いてどう動いているのか、私は
北朝鮮
の側に立ってこれ以上知るすべはありません。 南北の関係については、いろいろな関係、それこそかぎ括弧時効中断かぎ括弧閉ずというような形でいろんな出来事が起こっているということで、その間に私などのうかがい知れないような強い感情が依然として存在しているということだろうと思います。今、南北の関係が非常に難しくなっていて、私たちは北に対しても、また
韓国
に対しても南北関係の進展ということが非常に重要であるというようなことを説いておるつもりでございますが、なかなか現実には進まない。 初めて軍事政権色を取り払った文民政権の長となった金泳三
大統領
が、その後、
北朝鮮
との関係である種の打開を求めようとしたのがそれがうまくいかず、逆に
金日成
首席が亡くなった後の葬儀団派遣云々の件で今度は
北朝鮮側
の感情が硬化するというようなことになって、非常にぎくしゃくした南北関係になっているということを見ますと、なかなか進展というのは近い将来期待しがたい
状態
にあるのではないのかなと見る人が多いように思います。 いずれにいたしましても、
委員
がおっしゃられたように、近くて遠い国、不思議な国というような表現にはそういうことをしのばせる要素があるというふうに私も
感じ
ます。
寺澤芳男
19
○
寺澤芳男
君
KEDO
についてお伺いしたいんですが、去年の三月、日米韓三国が
朝鮮半島
エネルギー
開発
機構の設立に関する協定というものに署名したとここにありますし、事実そうだったと思いますが、これは国会の承認を得ず署名されたように私は記憶しております。アメリカでも国会が随分騒ぎましたが、アメリカも国会の承認を得ずスタートしたわけであります。 今、
KEDO
がどういう
状態
で何をしているのか。常勤スタッフが何人いて、
日本
からはどういう人が行っているのか。あるいは事務所経費が幾らかかっていて、これに
日本
から出ているのは三百七十三万ドル今経費が計上されていると書いてありますが、それ以外に千九百万ドルを拠出して緊急に
対応
するための特別の基金を設けるという
日本
側のことはここにあるんですが、どうも
KEDO
に対する全体像がよくわからない。現在の
KEDO
のそういった全体像、経費、それからいわゆる基金、そして実際にどういう
交渉
を
北朝鮮
とやっていて、アメリカと
北朝鮮
の
合意
で想定された国際コンソーシアムだろうと思いますが、その辺のところをひとつつまびらかにしていただければありがたいと思います。
加藤良三
20
○
政府委員
(
加藤良三
君) ちょっと今詳しく御指摘の点にお答えする
資料
が
手元
にないものでございますから、やや雑駁な御
説明
になろうかと思いますが、御容赦をいただきたいと思います。
日本
は、アメリカ、
韓国
とともに理事会のメンバーとして
KEDO
の政策決定に直接参加しているわけでございます。この三国だけが理事会メンバーでございます。
日本
は、
外務省
から梅津次長が出ておりまして、次長
ポスト
を確保しております。それから、そのほかに通産省、科学技術庁などから政策スタッフ、原子力の専門家を事務局に派遣しております。正確な数字は、もちろんこれはすぐわかる数字でございますので、判明次第また御
説明
させていただきたいと思います。
KEDO
につきましては、大きく言って二つの柱があるんだろうと思います。
一つ
は、炉そのものでございまして、
韓国
型の炉をこれから八年から十年ぐらいの間に、二〇〇三年でございましたか、二基
北朝鮮
に設置するという作業が
一つ
の柱としてございます。もう
一つ
の方は、この紙にも述べております
代替エネルギー
の
供給
ということでございまして、大体重油に直しまして五十万トン、五千万ドル
程度
のものをその間
供与
していくということがもう
一つ
の柱でございます。 そして、おおむねの考え方といたしまして、軽水炉の二基の方につきましては
韓国
が大宗の経費を負担するということでこれまで動いてきていると思います。昨年だったと思いますが、当地
駐在
の金太智大使が四分の三と申しますか、軽水炉二基にかかる経費の七五%ぐらいを
韓国
が負担する用意ありということをプレスクラブの講演の際に述べておられたというふうに記憶しているわけでございます。
日本
もそちらの側に貢献するということでございます。 そして、
代替エネルギー
としての重油の
供給
の方につきましては、アメリカが主として責任を持つという形でこれまで動いてきております。何もアメリカが
自分
で全部払うということではございませんで、世界の中で、俗な言い方をいたしますれば奉加帳を回して重油
供給
の方に貢献してくれる国または
機関
を選ぶということで動いているわけでございます。 そして、米国が今年度の予算に切りかわる過程で未曾有の予算危機というものを迎えましたために、流動性の危機が生じましたので、
日本
が一千九百万ドルというものを流動性の危機に手当てする基金として
供与
したということがございます。これは私たち、この時点で
日本
側が千九百万ドルを
供与
したという事実を踏まえて、これからの
KEDO
の、先ほど申し上げました二本柱を
中心
とする分担作業、これに
対応
していくということに当然なると思っております。そして、今現在、
日本
は事務局経費ということで三百七十三万ドルの経費を計上したりしておりますが、大体毎年三百万ドル
程度
のものを事務局経費として出しております。 ちなみに、アメリカは初年度、千九百万ドルのお金を重油用として、それから事務局経費としてやはり三百万ドル、合計二千二百万ドルというのを予算として獲得しているわけで、次年度予算におきましては、我々はアメリカに対して、事務局経費は同じようなものでしょうけれども、千九百万ドルの方の重油充当部分の方、これをもっと大幅に増加してほしいということを述べるとともに、また日米韓だけで全部背負うというのも将来難しくなっていくであろうから、ほかの国々ほかの
機関
からも拠出を取りつけるようにということを言っておりまして、
日本
自身もそれに協力しながらここまで参っております。 EUの方が非常に大口たり得る候補者でございます。例えばHUが千五百万ECUというものを何年間かにわたって拠出してくれるということになりますと、重油
供給
の問題につきましてはかなり見通しが前向きになってまいります。今そういう方向を確定すべくいろいろな折衝、接触が行われているという
状態
でございます。 あと産油国や
アジア
の国々に対しても参加を呼びかけております。ニュージーランドやらフィリピンやらシンガポールやらいろいろな国、これもちょっと正確なところは後ほど別途
資料
その他でお示しできると思いますけれども、
KEDO
に参加するということを言ってくれている国がございます。 そういうことでございますけれども、本格的な役割分担と申しますか、経費の負担というものも含めて、作業が必要なら、ことしの夏の終わりから秋以降、すなわち現在
KEDO
の枠内において、どこに炉を設置してどのようにするかという現地の調査作業やら、それから先ほど申し上げましたように特権免除その他を定める
プロトコール交渉
、
議定書交渉
というのが行われておりますので、特に前者の経費見積もり、炉の経費見積もりなんかが出てきた後、そういう問題を今度は詰めていくという姿になると思います。
寺澤芳男
21
○
寺澤芳男
君 ありがとうございました。
畑恵
22
○
畑恵
君
加藤
アジア
局長に伺いたいんですが、先ほど局長もおっしゃられたとおり、
北朝鮮
という国の非常に透明性の低さということがすべての問題の根幹にあると思いますけれども、非常に透明性の低いというところを外交戦略というか戦術というか巧妙に使っている国だなというのは、いろいろと言われているとおりです。 数少ない
情報
の中で、例えば先日、NHKだったと思うんですけれども、朝のニュースの中で、
北朝鮮
で
流れ
ている野草の食べ方というニュースの一部が紹介されていました。そのときの映像というのは、その後も繰り返し繰り返しかなり使われている映像だと思いますが、
洪水
の影響その他で非常に困窮している
北朝鮮
国民の悲惨な姿が映される。そういう姿を何度も何度も見せられると、これはやはり人道的に
援助
しなければということで、非常に数少ない
情報
を上手に出しながら
情報
操作、
情報
戦術をとっているなという印象が私にはいたしました、ちょっとうがったところもあるかもしれないんですけれども。 また、その問題と相前後して
亡命者
が相次いだ。たまたまそのときに、私どもの党で慶応大学の小此木先生に来ていただいてお話を伺いましたらば、小此木先生の見方は、
亡命者
については、人数は多いかもしれないけれども、どちらもさほど全体の格からいえば上の
人たち
ではないので、これをもって国が崩壊するというほどのことはないだろうという見方でいらっしゃったんです。 少ないなりに要所要所で出てくる幾つかの
情報
をどういうふうに
外務省
の方では読み取っていらっしゃるのか。同僚議員が質問させていただいたように、
援助
の仕方というのは、どうもこれは困っているようだな、じゃやっぱり出さなきゃ出さなきゃというと、非常に
北朝鮮
的な、ある意味で自国民を、ちょっときつい言い方かもしれないんですけれども、人質に出して、
自分たち
の国に
援助
しないと国民が結局餓死するんだ、国民が困るんだから
自分たち
の国に
援助
をしろと。でも実際は、どうもその
援助
がその
人たち
に本当に届いているのかというのは不透明と、非常にイタチごっこのようでストレスがたまると思いますので、この部分をどういうふうに解釈していらっしゃるのか伺います。
加藤良三
23
○
政府委員
(
加藤良三
君) 結論を先に申し上げますと、なかなかそれに対する解というものがないということだろうと思うんです。 野草の食べ方というNHKのテレビでの報道というのも承知いたしております。それから、どこかでちらっと聞いたいろいろな
情報
の中の
一つ
でございますけれども、木の皮をはいで食べている人もいるというような話を耳にいたしました。 しかし、やはり透明性というものが欠如しているという根本問題がございます。現に、最近、先方の招待によって訪れた
日本
の人なんかに伺いましても、そんなに
食糧
危機があるのかなと。
自分たち
に十分ごちそうが出てきたしということもあるでしょうけれども、なかなか
食糧
危機の深刻さをうかがわせるような
状況
が
ピョンヤン
の市内なんかにはないと。例えば、普通だったらありそうな戦闘機の飛行訓練やら戦車の行進と申しますか動いている姿とか、そういうものが見られないということはあるけれども、
食糧
危機の影はそれほど深刻には
感じ
なかった、こういう印象を持って帰られる人もいるわけでございます。したがって、そこにはよく
実態
がわからないということから来る焦慮感が我々にもあります。 今回ではなくて前回、すなわち昨年九月に
国際機関
が行ったアピール、最初千五百万ドルでその後二千万ドルに引き上げられまして、それで
洪水
の被害に対する手当てをしようとしたんですが、実は四五%しか集まらなかったということを明石次長も認めているわけでございます。すなわち、
日本
のみならず
国際社会
において、どこが本当の姿なんであろうかという透明性に対する
不満
足感がありましてそういう結果になっているのかなと思います。 今回の四千三百六十万ドルといううちの二千六百八十万ドルが
食糧
で、そこに
日本
が五百二十五万ドル、アメリカが六百二十万ドル、それから
韓国
が三百万ドル、これで五〇%ちょっとを見るということになりますけれども、ほかの耕地の回復とかそういうものも含めて、全体の四千三百六十万ドルのうちどれぐらいが最終的に満たされるかということは、まだ全貌が見えてきていないということがあるわけでございます。
亡命
につきましては、小此木教授がおっしゃられたという点については、これも似たような
感じ
を持っております。すなわち、数がふえてきていることは事実でございますけれども、現在までのところ、それはまとまった組織的なものと申しますか、そういう性格のものではなくて、散発的なものじゃないのかなというふうに思われるものが多いように思うんです。確かに、本当の意味でエリート中のエリートだという
亡命者
は少ないのであるという分析も耳にいたします。ただ、一人、九四年に
亡命
した康明道という人は
姜成山総理
の
娘婿
だと言われて、これはちょっと高かったんじゃないのかなというふうに言われましたけれども、少なくとも公式の部分に関する限りは、
北朝鮮
の放送で、これは
姜総理
とは何の関係もない、姿をくらました
犯罪者
であるという位置づけで片づけているということがございます。 この間の
ミグ
19で
韓国
に
亡命
した大尉にいたしましても、
科学者
にいたしましても、それぞれ
自分
の職場の周りで
不満
を個人的なものとして抱えていたという
状況
があるようでございます。
韓国
の方でも、
相当
亡命者
がふえてきたということで、従来は
越南帰順勇士特別報償法
という
法律
をつくりまして、これで
報償金
の支給や住宅の
提供
というのをやって
亡命者
を優遇していたわけでございますが、最近はだんだん珍しくなくなったせいか、
帰順同胞保護法
を九三年の十二月から施行いたしまして、
金銭面
での
援助
を落として
生活保護対象
としての扱いを
提供
するというふうになっている事実もあるようで、これは先ほどちょっと御紹介申し上げましたが、そういう
状況
だろうと思います。
畑恵
24
○
畑恵
君 ありがとうございました。
武田邦太郎
25
○
武田邦太郎
君 非常に困難な
状況
でしょうけれども、
北朝鮮
というのは世界で最もアウタルキー的な
国家
でしょうね。それで、ソ連からロシアにかけての
援助
は著しく低下しているはずですし、
中国
の
援助
も、時に消長ありますけれども、
北朝鮮
に対する親近度といいますか、これはもうかつてのごとくじゃない。それから、貿易関係は一応発展しているようには思えませんね。 そういうふうに考えますと、アウタルキーの中で、朝鮮戦争以後もう四十年、戦争以後生まれた
人たち
が
国家
の重要なところを担う年齢に達している。こういうことを総合的に考えて、
北朝鮮
というアウタルキーに近い
国家
は、非常に能力の高い民族だと思いますけれども、成長
状況
が続いておるのか、それとも衰弱の方向に向かう心配というのか
可能性
というのがあるのか、どうなんでしょうか。
加藤良三
26
○
政府委員
(
加藤良三
君) これまた、
北朝鮮
に関する質問はすべて難しいということかもしれませんけれども、今のも難しい御質問だと思います。 確かに、冒頭の親近感という点から申しますと、
中国
は
北朝鮮
に対して穀物
支援
を含めて
支援
措置
をとっておりますし、最近、
支援
措置
のテンポを速めているというような兆候もあるわけでございます。しかし、昔日の姿と比べますと、
北朝鮮
と
中国
との関係というのは冷えたものというか後退したものになっているということが正しいと思います。 ことしの三月末に来日されました銭其シン外交
部長
は、先代と申しますか、
金日成主席
のころはハイレベルの交流というのが
北朝鮮
との間であったけれども、最近はハイレベルの交流というのがなかなか持ちにくくなった、そういうことで
中国
の
北朝鮮
に対する影響力というのは余りないのであるという趣旨のことを述べておられた
経緯
がございます。もちろん、
中国
として
北朝鮮
というものを長く見、そしてつき合ってきたわけでございますから、独特の知見、知識の積み上げというものがあるでしょうけれども、今現在の関係はそういうものではない。 特に、一九九二年でございますか、
韓国
と
中国
が国交正常化をいたしました。その後、
韓国
と
中国
との関係の進展というものはいろいろな分野においてかなり速いものがあるというふうに評されていると思います。そういうことも当然のことながら、
北朝鮮
と
中国
との関係に影響を与えずにはおかないだろうと私は思います。 その
北朝鮮
自体がどうなるかということでございますが、私は
自分
の知識というものを何も持ち合わせませんのでまた受け売りにすぎないわけでございますけれども、
北朝鮮
の国の成り立たせ方と申しますか、国をこれまで引っ張ってきたやり方というのは工業立国だったと言う人がいます。
中国
、ベトナムの場合には、農業ということで国の基礎を固めることから今のような
経済
成長の路線をつかんでいるという姿があるのに対して、インダストリアルな国、産業
国家
と申しますか、工業
国家
と申しますか、そういう方向を志向してきた
北朝鮮
はそれがうまくいっていないという評価をする人がいるようでございます。 したがって、米の問題とか何かにいたしましても、農業政策とかなんとかという側面も含めて、構造的な問題を抱えて今の窮状に至っているというふうに見られるのではないかなと思っているわけでございます。このような
北朝鮮
というものについて将来どういう展望があるのか。これは、ちょっと私には今これ以上申し上げる知識はないわけでございます。
照屋寛徳
27
○
照屋寛徳
君
外務省
に一点だけお教えいただきたいと思います。
日朝国交正常化交渉
について、
政府
として現段階ではどのような努力や方策をとられておるのか。また、
北朝鮮
の側の
対応
というんでしょうか
動き
、それはどうなっておるのか、そこら辺をおわかりの範囲で。
加藤良三
28
○
政府委員
(
加藤良三
君) 日朝正常化
交渉
についての
政府
の基本的な立場というのは従来から一貫したものでございまして、二つの柱がそこにあるわけであります。
一つ
は、
北朝鮮
との正常化、これを進めて戦後五十年以上続いた不正常な
状態
を直さなくてはいけない、これが第一の柱です。第二は、しかしそういう過程が南北関係の進展、
朝鮮半島
の安定ということに資するものでなければいけないという柱が二つ目でございます。そういう二本の柱に基づいて
韓国
その他の関係国と連携を十分にとりながら進めていくというのが、一般的に申し上げた
日本
の
北朝鮮
との正常化に対する立場なのでございます。 具体的には、私どもは一九九二年十一月、今まで八回重ねてまいりました正常化
交渉
というものが絶たれて以来、第九回目が持てないでおります。そして、第九回目の正常化
交渉
、これをいつ持てるかということについては今日現在めどが立っておりません。
北朝鮮側
からはいろいろな意味で、主に間接的なチャネルを通じて、この問題をそろそろ動かさなくてはいけないのではないのかという意欲と申しますか、そういう希望みたいなものも伝えられてくるわけでございます。 ただ、冒頭の
説明
で触れましたように、板門店のところにおける軍事行動とか、それからスーパーKの話でありますとか、あるいは
日本
から善意の象徴として送った米を運ぶ同じ船にサリンの原料が大量に積まれていた、これは外為法違反のケースであるといったようなことで係争中の問題がございます。こういったようなことが起こるもので、雰囲気的に日朝の国交正常化
交渉
に向けて物事を動かす要素がちょっと欠けているのではないかなと思うわけでございます。 ただ、そういうものとは別に、我々は
北朝鮮
というあれだけ透明度の欠けた
国家
について、できるだけ先ほど申し上げました政策と背馳しない範囲内で
自分
の目で物を見ながら確認していくということは、これは必要なことであると思っております。 アメリカと
北朝鮮
との間には
米朝合意
の枠組みの中におけるさまざまな接触がありますし、
米朝合意
以外にも遺骨の返還
交渉
でございますとか
ミサイル
協議
とか、ああいうことで接触の場があります。
日本
の場合にはそういうものがなかなか限られていてございません。そういうわけではありますが、最小限の接触、
交渉
ではございません、接触でございますが、これは北との間に折に触れてまだ維持してきているわけでございます。その内容はしからば具体的に何かということになりますと、これはまさに外交
活動
の中の国際相場で見ても公にすべきでない部分に属することだと思いますので、その具体的内容を明らかにすることは差し控えさせていただかざるを得ないのでございますけれども、そういう意味での接触というものは維持して今日に至っているわけでございます。
矢田部理
29
○
矢田部
理君 朝鮮問題をどう見るか、どう
対応
するかというのは非常に大事な課題だと思いますが、どうも私、
日本
政府
の
対応
を見ていますと、先ほどの議論の続きでもあるんですが、対ソ脅威がなくなったということで、安保再定義で
アジア
太平洋
地域の地域紛争対象型の軍事同盟にしていくと。
日本
周辺ということも言うわけでありますが、そのポイントにやっぱり朝鮮有事を置いているというふうに考えざるを得ないんです。特定国を、特定地域を対象としたものでないと言いながら、実際のシナリオはそれで動いている。 この朝鮮有事を想定して米軍の出動に
日本
がどう後方
支援
するかと。つまり、緊張を和らげる方向ではなくて何となく
軍事力
で
対応
する、そういう体制をつくるようなにおい、意図をいろんな場所でかぐわけでありますが、そういうことを
防衛庁
だけでなくて
外務省
も一生懸命やっているということを私は大変残念に思うわけであります。
日本
が今、対朝鮮外交でやるべきことは、確かに
食糧
とか
経済
的な問題、いろいろ抱えていることはそのとおりだと思いますが、人道的な立場で
支援
すべきは
支援
したらいい。アメリカの顔色をうかがったり、
韓国
と相談しなきややれないというようなものではないはずだし、客観性を担保するなら、
国際機関
などにもっと相談をして、それらのイニシアチブのもとに進めればいいというふうに私は思っております。 同時に、大事なのは、朝鮮は不透明だ、不確実だ、不安定だという言葉がやたらに走るわけでありますけれども、率直に言うと、まだ南
北朝鮮
あるいはアメリカとの関係も含めて戦争
状態
なんですね。板門店でどんぱちはやっていない、停戦ではあるけれども法的には戦争
状態
であるし、そういう意味でやつばり軍事的対立が続いているわけです。この対立の水準をできるだけ低めていくための努力などをどうしたらいいのかというようなことも含めて、朝鮮の周辺に平和が戻るような施策の展開を環境整備を含めてやるべきだというふうに考えるわけでありますが、その間に今議論がありました日朝国交正常化問題があるだろうと思います。 植民地支配以来、南とは
日韓
条約の締結がありましたが、これとても非常に無理押しをして当時の政権が結んだためにいまだにいろんな対日批判が起こるというのは、あの条約の立て方自体にも実はいろんな問題をはらんでいたわけです。
日韓
併合条約はもはや無効などというあいまいな
妥結
をしてしまった、従軍慰安婦問題についての解決が基本的にできなかったなどなど、政治的にまとめてしまったためにいろんな問題が根っこにあるわけです。 同時に、北との関係では、いまだに国交が正常化していない。それをどうやって進めるかということが
外務省
の主要な任務なのでありまして、いろんな努力をしていることは私も全く知らないわけでもないし、私たちも幾らか役割を果たしたことはないわけではないのでありますが、李恩恵の問題だとか、それから核疑惑だとかという
前提
条件を必ず
日本
政府
がつける。
前提
なしに話し合いたいというのが
一つ
。 それから、
日韓
で結んだ条約を
前提
にして事を運ぼうとするということで、それに対する
不満
がある。これは
韓国側
にも実はあるわけでありますが、どうしてもあるということなどを含めて、もう少し
外務省
は政治的にこの問題をどう解決をするのかと。あるときは政治が
動き
過ぎていかがかと思うようなこともないわけではありませんでしたが、その努力をすべきだと思うのですが、どうもやっぱりアメリカの
動き
が気になる、それから
韓国
の顔色をうかがっているということのために、朝鮮問題を本格的に解決するという腰が据わっていないというふうに私は思っているのであります。朝鮮の有事とか何かということではなしに、そちらに外交の力点を置いたらいかがかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
加藤良三
30
○
政府委員
(
加藤良三
君) 貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。 ただ、私が今の
ポスト
で仕事をしておりまして時間のほとんどを費やすのは、
朝鮮半島
の問題だろうという気がいたしております。もちろん、そこでの
外務省
の努力あるいは
外務省
の政策というものが不十分であるという御批判は、常に私たちは承らなければならないものだと思っているのでございます。 他方、
日本
の外交を、今の私の所掌ということでは必ずしもございませんけれども、全般に広げて、先ほど申し上げました私どもなりに考える国益ということをできるだけ大きく確保していく観点に立つならば、私どもは基本として日米の安保体制というものが
アジア
太平洋
全体における安定要因としてこれまで作用してきていた、それはむしろこの地域における平和と安定のやはり柱であるという、この基本については実は疑いを持っていないわけでございます。 そういう立場があるがゆえに、ある意味では
日本
の
アジア
全体に対する外交というものについてのクレディビリティーが非常に増すという面も多々あるというふうに思っております。逆の言い方をいたしますと、
日本
がアメリカとの関係を十分マネージできない、日米関係がよくなくなったというときに、いわば
日本
が
アジア
太平洋
において有する外交的な価値は全体として非常に低くなるだろうというふうに私は懸念いたします。 したがいまして、何も
日本
とアメリカとの間でインターオペラビリティーをどうせよとか、防衛力の水準をどうせよとか、そういう話の個々の局面に立ち入るつもりは全くございませんけれども、
日本
とアメリカがパートナーとしてこの
アジア
太平洋
地域にあるということは、私はしばらくたった後の歴史家の目から見てもこの地域の安定要因であったと認められるのではないのかなと個人としては昔から思っている次第でございます。 それで、
韓国
というのも、
韓国
自体の側面に照らしてみますと、この地域における非常に重要な国でありまして、価値の体系におきましても
日本
と共有する部分というのが非常に多い、民主主義勢力でこの地域にあるということでございまして、
韓国
との関係はやはり私は重要だと思います。そして、そういう枠組みを持っていることと、それから
北朝鮮
との今後正常化
交渉
を進めていって双方に受容可能な
合意
に至ると、いつの日かそういう
合意
に至るということが決して矛盾するものだというふうに私どもは端的に言えば考えていないわけでございます。 私は、日朝の正常化
交渉
とかなんとかという問題については、これは
韓国
の鼻息をうかがうというようなことまでしているつもりは実はございません。
韓国
との連携を密にする、それは
韓国
などというところには米国もあるいは
中国
も入るのかもしれませんけれども、そういう国々との風通しをよくすることは当然でございますが、それは別に
日本
の
北朝鮮
に対してとる行動に特定の国が拒否権を持つという意味では全くないというふうに思っております。
野沢太三
31
○野沢太三君
防衛庁
に御質問したいんですが、非
武装地帯
の近くに三分の二近い
兵力
を集結して南をうかがっているという話があるわけですが、この間
亡命
してきた
ミグ
の戦闘機の乗員の話では、三日でソウル、一週間で釜山まで征圧する計画があるというような物騒な話もあるわけです。しかし、どうもこの発想は朝鮮戦争当時の発想を何かそのまま拡大延長したような
感じ
を受けるわけで、昨今のような
ミサイル
が発達した
状況
では、第一撃の後、直ちに反撃が出るわけですから大変な結果になるということで、今の
状況
で北の百十万と南の五十五万と米軍の存在を含めた場合のバランスについて、
防衛庁
はどう考えているのか。そう簡単に三日や一週間で南が制圧されるのかどうかという
一つ
のこの判断。 それから、そういう中で最近の戦争は、もう単に
陸軍
が取った取られたというんじゃなしに、
ミサイル
を含めた大変なハイテク戦争だということが湾岸戦の場合でもあるわけであります。その意味で、
ミサイル
協議
というのが一回しか行われておりませんけれども、こういった対話を促進させるということは非常に重要ではないかと思うんですが、平和条約も締結されない中でそういうことができるかどうか。安保対話ということになるわけですけれども、南北、米朝、それから日朝、どんなレベルでもいいんですけれども、場合によっては
中国
、ロシアを介してもこれはいいと思うんですが、そういった意味での安全保障にかかわる相互
交渉
、こういったものをもっとやるべきではないかなと、ちょっと努力が足らないんじゃないかと思います。 それからもう
一つ
、難しいとは思いますが、これは
外務省
にお伺いしたいんですが、何といってもあの国が閉ざされた国ということが難しくしている原因ですから、例えばラジオとかテレビとか、あるいは新聞が入れられれば新聞、よその世界はこうなっているんだという
情報
をあの国の皆様に何らかの形でお届けする手段がないのかどうか。東西のドイツが統一された大きな原因の
一つ
が
情報
の交流というのが先行していたと、こういったことを私どもも伺っておりますが、その点、後でひとつ。
小池寛治
32
○
政府委員
(
小池寛治
君) 最後の
ミサイル
協議
の方については、むしろ
外務省
の方からお答えいただきたいと思います。 先ほどの
亡命
した
パイロット
の
記者会見
の中におきまして、
北朝鮮軍
は先制奇襲を行うための戦闘機を集中
配備
している、それから爆弾、燃料、補充燃料も十分に確保したといったような発言、あるいは先ほど野沢先生がおっしゃられた、
北朝鮮軍
は開城、汝山、ソウルを主打撃方向として設定して、釜山まで三段階にわたって、先ほどおっしゃられたように七日間で完全占領する戦略を立てて戦争演習を行っているという発言があったことは承知しております。 しかし、軍事バランスというのをきちんと戦略及び
装備
すべてを含めて想定することは極めて難しいんですけれども、合理的な判断に基づけば、
北朝鮮
が
朝鮮半島
を武力によって統一するというか、武力的に制圧するというのは極めて困難で、なかなかそういうふうに踏み切る
可能性
というのは低いというふうには考えられます。 と申しますのは、確かに奇襲能力というのは持っており、戦車の数あるいは自走砲の数というのは
韓国
を上回っておりますけれども、質的に、特に
空軍
力について見ますと、制空権を果たしてとり得るのかという問題、先ほど御
説明
しました在韓米軍が存在しておる、後方
支援
能力というのは果たしてあるのかどうか、それから士気はどうなのか、長期戦に耐える能力はどうなのかということをさまざま総合して合理的に考えると、本格的に侵攻するという
可能性
は乏しいのではないかと考えられます。 他方、
北朝鮮
のさまざまな行動の中には我々のうかがい知れない面がございますので、何らかの軍事的冒険に出るという危険性は全くないわけではないということで、先ほど冒頭に引用いたしましたけれども、東
アジア
太平洋
戦略におきまして、米軍の存在というのはそういう軍事的冒険あるいは戦争を起こすことを抑止するために存在しているということを特に強調されているというふうに考えております。
加藤良三
33
○
政府委員
(
加藤良三
君) 米朝の
ミサイル
協議
につきましては、九四年十月のジュネーブにおけるいわゆる
米朝合意
、この中で、「双方は政治
経済
関係の完全な正常化に向けて動く」ということを述べた上で、「米国及び
北朝鮮
は、各々の関心事項に係る進展に従い、その二国間関係を大使レベルにまで格上げする」という定めがあるわけでございますが、この
ミサイル
協議
というのは、これを受けて米国から
北朝鮮
の
ミサイル
問題につき提起するという形で始まったものでございます。 ことしの四月二十日、二十一日、非公開でございますが、ベルリンの米国
大使館
の分館、それから
北朝鮮
の利益代表部でこれが行われました。代表がアインホーン国務次官補代理とリ・ヒョンチョル外交部の米州局長でございました。第一回の
協議
でかつ二日間ということでございますので、具体的な成果はなかったというふうに聞いております。 そして、アメリカの方からは、
ミサイル
問題について、
輸出
規制という問題に加えて
開発
、
配備
の問題についても取り上げていきたいということを言っているわけですが、
開発
、
配備
の問題について
北朝鮮側
が果たして受け入れるかどうかは明らかでない
状況
のようでございます。 次回
協議
の日程については、引き続き調整していくということでまだ決まった日取りがあると承知しておりませんが、とにもかくにも
協議
を継続するんだという姿勢を
北朝鮮側
も示していること自体は前向きの話ではないのかなと思うわけでございます。帰趨は、今申し上げましたとおりはっきりいたしません。
北朝鮮
との間では、なるべく透明性を高めてもらうという観点から、例えば安全保障の分野の絡みで申し上げますと、NEACD、北東
アジア
安保協力対話と申しますか、そういう枠組みですとか、CSCAPという民間の人同士での交流というような枠組み、これがあると承知いたしております。NEACDの方には
中国
が非常に積極的に参加をして、そして
北朝鮮
をいざなってくれてはいるんですが
北朝鮮側
からの出席がない。他方、CSCAPの方については、
北朝鮮側
が出席したというふうなことであったと承知いたしております。しかし、これらも限られた窓口、枠組みというべきものなのかもしれません。
情報
について、新聞、テレビ、ラジオ、これをどうするかというのは、本当に私、ある意味では不思議なんでございますが、時々耳にする話では、ラジオもなかなか十分にいろんなものがキャッチできる
状態
ではない、ラジオですからいろんな電波が捕捉できるかというと、そういうふうにはなっていないのだというような話も耳にするわけでございます。それが機械的にどういうふうにすればそうなるのか、私そこはよくわかりません。 そういうわけで新聞、テレビ、ラジオのたぐいにおいてもなかなか周りからの声が届きにくい
状況
にあるということを言われる中で、少しずつ変わっている面もあるわけでございます。繰り返しになりますが、
KEDO
の関係で、
日本
人も含めて現地に参りましたときには
相当
オープンにサイトと申しますか、場所のあれを見せてくれたとか、そういうところがあるわけでございます。それから
洪水支援
の関係でも、先ほど申し上げました
国際機関
の職員の現地立ち入りと申しますか、モニタリングというのが認められているというようなことで、
外国人
でも地方にだんだん入っていける素地がわずかずつではありますけれども出てきているのかなというふうに思います。
日本
の国問研、国際問題研究所の代表団が三月に招かれて先方のカウンターパートに当たる
機関
と交流を行ったというようなこともございます。 私どもも、できるだけそういう側面、どうしたら透明性を高めてもらえるかということを不断に研究、検討、勉強していきたいと思っております。
高野博師
34
○高野
博師
君 先ほどの
矢田部
議員の御意見とも
関連
するんですが、伝統的にアメリカの外交政策というか対外政策というのは、パワーポリティックスで成り立っているというか、脅威を見つける、そして力の均衡あるいは敵を力で押さえつけるという考え方がもともとある。 冷戦が終わった後、ソ連の脅威がなくなった。そういう中で、
アジア
の安全保障の大義名分としてやはり脅威を見つけるということで、
北朝鮮
、
中国
は脅威だという見方をする。それがないと東
アジア
戦略というのは成り立たない。十万人の軍人を置いておくという理由が成り立たない。また、それがないとアメリカ国民も説得できないということで、新しい日米安保体制というのはこのアメリカの考え方にかなり
日本
は引っ張られているのではないかなと、私はそう思っています。いずれにしても、
中国
とか
北朝鮮
を潜在的な脅威だとかあるいは脅威だというのを強調し過ぎるのはどういうものだろうかなということを私は思っております。これは質問ではありません。私の意見です。 ちょっと
加藤
局長にお伺いしたいんですが、透明性がない国ということであるいは
政府
の立場として難しいかと思うんですが、
金正日書記
をどう見ておられるのか、その指導力というか、あるいはナンバーツーはどなたなのか。 私は、最初、
北朝鮮
のことを少し勉強を始めた段階では、
金正日
というのは非常に病弱で愚鈍でリーダーシップのない人かなと思っていたんですが、
亡命
した康明道とかあるいはいろんな
資料
等を読んでみると、なかなかしたたかな指導者で、戦略家で、割と柔軟な発想を持っている人かなと。しかし、人間としてはかなり冷酷で猜疑心の強い人だなという印象を持っているんですが、どのようにとらえておられるのか、差し支えない範囲で。
加藤良三
35
○
政府委員
(
加藤良三
君) そこに入ります前に、私も、今の
委員
に対するお答えというわけではなく、個人的な感想として申し上げますと、米国の
アジア
太平洋
における位置づけでございますけれども、その国防予算みたいなものも伸びているというわけではなくて、ああいう民主主義
社会
のもとにおける冷戦後の予算獲得ということがだんだん趨勢的に難しくなっているということではないのかなという
感じ
がいたしております。 したがって、米国の中にもいろいろな声がありまして、米国があらゆる国際紛争に手を突っ込むというわけにはいかないのであって、米国が手を突っ込むべき国際的な
状況
というものは選択的、セレクティブにしていかなければならないんだというような声も強いようでございます。決して、
北朝鮮
の脅威というものをいわば大々的に、針小棒大に言っているということばかりではない側面もあるのではないのかなというふうに私は感ずる次第でございます。 なお、
金正日
さんでございますが、私ももちろん会ったことはございませんし、うわさで聞いていること以外にそれほど知識もありませんので、何となくわからないまま象をなでているのかなという
感じ
がいたしますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、この方は、実際に会った
外国人
によりますと、要するになかなか頭がいいという
感じ
で、これは昨年末の段階でございますけれども、
健康状態
も、むくんでいるとかなんとかということが極端に、病的な意味でそうではなかったと。ただ、ちょっとさっきも申し上げましたが、一滴もお酒は飲まなかったということを言っている人がおります。 これは全くほんの一片の
情報
であって、これをもって
金正日
さんの
健康状態
その他、全般を推しはかることはできないと思いますけれども、そういう見方というものが割合まじめに観察する人から聞かれているという事実はあるわけでございます。 そして、あの国の成り立ちからそうなっているのでございましょうか、彼にかわる対抗勢力というものの存在はないと。非常に軍という側面に寄りかかった行動、姿勢という面が目立つようではありますけれども、それなりに国内の政治、軍、その他のいわば総括を彼が行っている、ないしはそれが揺らいでいるという兆候はないというのが一般的なところではないのかなと思います。 ちなみに、済州島における
日韓
米の三国間の高級事務レベル
協議
の際、いろんな意見交換、
情報
交換があるわけでございますけれども、そのときも、どうもやっぱりそういうことであるらしいという
感じ
でございます。それ以上に私ども、これはという
情報
を持ち合わせているわけではありません。 長く
北朝鮮
を見てきた人なんかに言わせますと、先ほど申しましたように、二十年間かけて継承を行っているということ、これはすなわち、その中に体制のセーフガードといったような点も含めて、いろいろなことを盛り込んでつつがない継承に持っていったと。周りの人が考えるよりも、二十年という長い年月をかけて丁寧に仕組んでいったシナリオなんで、その辺のところはやっぱり留意さるべき点ではなかろうかという意見もあるようでございます。
立木洋
36
○立木洋君
加藤
さんがさっき、北の脅威論についてはちょっと差し控えさせていただきたいと言われた。思い出したのは、一九七四年でしたか、木村俊夫さんが外務大臣のときに、北からの脅威はありませんと国会で答弁して大問題になって、
韓国
から大分やっつけられた。そういうことがあったので、脅威がないと言ってもまずいだろうし、あると言ってもまずいかなというふうに思うんです。 しかし、私は、
日本
の今まで
政府
がとってきた問題については、
日本
の安全保障については、
朝鮮半島
のあり方に極めて緊密な関係があるという立場を
日本
政府
は一貫してとってきたと思うんです。それが間違った方向に、私も
矢田部
さんの意見に賛成なんだけれども、正しい方向としてその問題が処理されてきたのかどうかという点になると、私はやっぱり疑念があるんです。 最初に問題になったのは三矢作戦ですよ。
小池
さん、もうあなた
防衛庁
に行かれて大分たっているんだから知らないはずがないんで、今度のガイドラインの問題だって、
朝鮮半島
との有事にかかわりがないなんというようなことをおっしゃったけれども、そうじゃないんです。三矢作戦に始まって、それから第六回の
日韓
閣僚会議まで、
朝鮮半島
における平和と安全は
日本
にとって極めて緊要だということを
日韓
閣僚会議の共同声明で必ず出したじゃないですか。第七回から変わったんですよね。
経済
重点に
援助
をして、南の、いわゆる
韓国
の
経済
的な
地位
を高めることによって北に対抗していく、そういう立場を補強していくと。あれは浦項製鉄所だったかな、始まったのが、第七回だったと思いますけれどもね。 そしてその後、朝鮮から米軍が引き揚げるという問題になったときに、引き揚げてもらっては困るんだという
日本
政府
はずっと態度をとってきて、いわゆる
韓国
における米軍のプレゼンス、これを異常に固執する立場をとってきているんです。そういう
経緯
がずっとあって、今度の日米安保の共同宣言の中で朝鮮についてはきちっと名指しをして出しているんです。 それから、この間のナイ、きょう午前中もちょっと発言したんですけれども、前のナイ国防次官補ですね、彼がこちらに来て話をした中で、あれは
記者会見
のときだったか、いわゆる
朝鮮半島
の有事の際に、戦っている米軍に対して
支援
をできないような国が果たして同盟国と言えるだろうかという発言までナイ氏は行っているわけです。 そういう問題とのかかわりの中で、今アメリカ側としては
朝鮮半島
の有事の問題に対して
日本
がどういう態度をとるかということは、準
機関
紙である「星条旗」、
太平洋
軍の「星条旗」なんかでも、こういうことをやってもらいたいということが既に数年前から指摘されるというふうな
状況
にある。だから、そういう
状態
で
朝鮮半島
の問題というのは極めて深いかかわりを持つものとしてアメリカ側も重視してきたし、
日本
側も一貫してそういうときに歴史的にそういう態度をとってきた。そういうことを念頭に置いて、やっぱりガイドラインの見直しという問題も重要な一環としてかかわりがあるんだということを
小池
さんにどうしても言っておきたかったんです。 よく考えて、関係がないなんというようなことを言うということは、幾ら
外務省
に長くおられて、
防衛庁
に移ってからの期間より
外務省
におったときの方が長いなんというようなことを言わないで、そういう歴史も踏まえて、やっぱり関係があるんだ、これは
日本
の安全の問題を考える上で非常に重要なんだ、だから正しい対処の仕方を
朝鮮半島
に対してとることは極めて
日本
のこれからのあり方にとって重要だと。これは
日本
の
政府
が今まで軍事的に
朝鮮半島
に関与しようとしたあり方ではない姿勢を私はとっていただきたいと思うんですけれども、
加藤
さん、
小池
さん、ちょっと一言ずつ何か所見を述べていただきたいと思います。
小池寛治
37
○
政府委員
(
小池寛治
君) 先ほどの話、若干公式答弁的になるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、ガイドラインの見直しというのは、
北朝鮮
有事というような特定の事態を念頭に置いているものではないということは再度繰り返して申し上げたいと思います。 しかし、一般論としましては、一般論ですけれども、
我が国
周辺地域で
我が国
の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、
我が国
としては
我が国
自身の平和と安全にかかわる問題として、憲法の範囲の中で事態に応じて適切な
対応
をとるということは当然であります。平素から何をそのためにすべきか、何ができるのかということについてできる限り具体的に研究、検討していくということは不可欠でありますし、かつ我々公務員の職務だというふうに考えております。
加藤良三
38
○
政府委員
(
加藤良三
君) 私の方からは特につけ加えるということがございません。とにかく、
小池
参事官が述べられましたように、備えをしておくということは
一つ
柱としてあると思います。私は、少なくとも
朝鮮半島
の情勢というのは、それは
日本
の国益、安定にとって非常に枢要な意味合いを持っていることだと思います。 そこで、何と申しますか、ソフトランディング、本当にふわふわのソフトランディングというのが実現できるかどうか、これはだれにだってわかりませんけれども、少なくとも英語で言うクラッシュというか、破滅的な事態になるということを望んでいる人は実は私はほとんどいないんではないかと思います。私は、むしろそういう角度から、なるべくソフトランディングの中で特にソフトな方向、ソフト度の強い事態の進展、解決というのが得られるということを目指して仕事をしてまいりますという、そういう平凡な結論になってしまうわけでございます。
武見敬三
39
○小
委員長
(
武見敬三
君) 本日の調査はこの
程度
にとどめます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 恐らくは、本日の小
委員会
をもちまして今期国会におきましては最後の小
委員会
となります。 本小
委員会
は二月二十九日に設置され、当面、
中国
・台湾情勢について調査を進め、去る五月十六日に外務
委員会
に報告書及び提言を提出いたしました。それに基づき、外務
委員会
で決議が行われたことは御承知のとおりであります。その後、本日は
朝鮮半島情勢
について小
委員会
を開きました。 いずれもこうした小
委員会
の
活動
を通じまして、外交と世論とのよき仲介者としての役割を一定
程度
担い得たものと考えております。 条約審査の合間を縫っての小
委員会
の
活動
でございましたが、おかげさまをもちまして大変大きな成果を得ることができました。小
委員長
といたしまして、この間、皆様方の御指導、御協力を厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十九分散会