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1996-04-10 第136回国会 参議院 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年四月十日(水曜日) 午後三時二分開会 ――
―――――――――――
小
委員
の
異動
四月四日 辞任 林 芳正君 四月九日
補欠選任
笠原
潤一
君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。 小
委員長
武見
敬三
君 小
委員
大木 浩君
笠原
潤一
君
野沢
太三
君 高野
博師
君 寺澤 芳男君
川橋
幸子君 照屋
寛徳
君 立木 洋君
武田邦太郎
君 椎名 素夫君 佐藤 道夫君 矢田部 理君
政府委員
防衛庁防衛局長
秋山
昌廣
君
外務省アジア局
長
加藤
良三
君
外務省北米局長
折田 正樹君
事務局側
常任委員会専門
員 大島
弘輔君
――
―――――――――――
本日の会議に付した案件 ○
アジア
・
太平洋
に関する件 (
中国
・
台湾情勢
について) ――
―――――――――――
武見敬三
1
○小
委員長
(
武見敬三
君) ただいまから
外務委員会アジア
・
太平洋
に関する小
委員会
を開会いたします。 まず、小
委員
の
異動
について御報告いたします。
委員
の
異動
に伴い、昨日、
笠原潤一
君が小
委員
に選任されました。 ――
―――――――――――
武見敬三
2
○小
委員長
(
武見敬三
君)
アジア
・
太平洋
に関する件を議題といたします。 まず、
政府
から
説明
を聴取いたします。
外務省加藤アジア局長
。
加藤良三
3
○
政府委員
(
加藤良三
君) ただいま御紹介いただきました
外務省アジア局長
の
加藤
でございます。 小
委員長
を初め小
委員各位
に対し、現下の
台湾海峡地域
の
情勢
及び
台湾
をめぐる問題に関する
我が国政府
の
立場
を御
説明
申し上げます。
台湾海峡地域
の平和と安定は
東アジア
の平和と安定にも重要な
意味
を持っており、
我が国
としても
情勢
の推移に大きな関心を払ってきたところであります。現在の
情勢
について述べる前に、これまでの
台湾海峡情勢
を簡単に振り返ってみたいと存じます。 近年、
中国政府
と
台湾当局
との
関係
は、
緊張
の
要素
をはらみながらも、おおむね安定的に推移してまいりました。特に、一九八七年に
台湾当局
が
戒厳令
を解除し、また
住民
の
中国大陸親族訪問
を解禁して以降、
海峡
両岸の間においては
人的往来
や投資、
貿易等
が活発に展開されています。
人口
約二千百万人の
台湾
において、昨年までに
中国
を訪問した
住民
の延べ数は約八百四十万人に上ります。また、
香港
を経由する
中台
間の
貿易
は
往復
で昨年二百十億ドルに達しましたが、これは九〇年の五倍の伸びを見せております。ちなみに、昨年の
日中貿易額
は
往復
で約五百八十億ドルでございます。 このような
交流
の
進展
と並行して、
台湾海峡
両岸では九〇年代初めに
実務面
を担当する
民間窓口機関
がそれぞれ設立され、さまざまな問題について
話し合い
を積み重ねてきました。しかしながら、
台湾
の
指導者
がいわゆる
実務外交
を展開するようになると
中国側
が
不信感
を高め、特に昨年の夏に
台湾
の
李登輝総統
が
米国
を訪問したことを契機として、
中国
は
台湾当局
の
政策
が
中国
からの
独立
を進めようとするものであるとして強く反発し、
民間窓口機関
間の
話し合い
は中断され、両
岸関係
は
緊張
の度合いを深めることとなりました。 現在の
状況
でございますが、
台湾
をめぐる問題に対し
中国
が従来から表明している
基本的立場
は、一国二
制度
による
平和的統一
に向けてあくまでも努力するが、
外国勢力
が
台湾
問題に介入したり、また
台湾
が
独立
を目指す場合には
武力
の
行使
を放棄しないというものであります。 昨年一月に
江沢民主席
が発表した
台湾
問題に関する八項目を内容とする談話では、
中国
はこのような
基本的立場
を確認しつつ、
中国人
は
中国人
を撃たないといったやわらかい表現も見られましたが、
李登輝総統
が訪米し、
台湾
での
総統選挙
が近づくにつれて、
最高首脳部
の
発言
は極めて厳しいものへと変化していく中で、
選挙
間近の三月に入り、
中国軍
は
台湾周辺
において
ミサイル発射訓練
、
海空軍
による
実弾演習
、
陸海空軍
の
統合演習
といった大
規模
な
軍事演習
を相次いで行いました。 この間、
我が国
として、
台湾
に対し直接の
武力行使
が行われるとの差し迫った
状況
にあるとの
情報
には接しませんでしたが、
台湾海峡
の
緊張
は一挙に高まり、
我が国
を含む
東アジア
の平和と安定の
観点
から憂慮される
事態
が生じました。
中国側
は、今回の
演習
の対象は
選挙
でも
民主化
でもなく、
台湾
の
独立
に断固として反対するためであると
説明
していますが、
軍事的圧力
を用いてその
立場
を
台湾
に伝えようとする今回の
中国
の
やり方
には
我が国
として疑問を呈さざるを得ず、また今回の
演習
が
中国
の
意図
したような効果をもたらしたかどうか定かではありません。さらに、今回の
中国
の
やり方
には、
東南アジア諸国
を初め
中国
の
周辺諸国
も少なくとも戸惑いを覚えているのではないかと
考え
られます。 次に、
台湾
問題に対する
我が国
の
基本的立場
でありますが、これは
日中共同声明
において表明されているとおり、
中華人民共和国政府
が
中国
の唯一の
合法政府
であることを承認するとともに、
台湾
が
中華人民共和国
の領土の不可分の一部であるとの
中華人民共和国政府
の
立場
を十分理解し、尊重するというものであります。このような
基本的立場
に立って
日中関係
を発展させ、また
台湾
との間に非
政府
間の
実務交流
を進めてきたことは
東アジア
の安定と
繁栄
に大きく寄与してきたと
考え
ており、
我が国
としてこの
基本的立場
を今後も堅持していく方針に変わりはございません。 同時に、
我が国
として
東アジア
の平和と安定の
観点
から、
台湾
をめぐる問題が平和的に解決されることを一貫して強く希望してきておりまして、バンコクにおける
日中首脳会談
及び
外相会談
において、
関係当事者
が
平和的解決
という
基本
的な
考え
に立って
行動
することを強く希望していることを明確に
中国側
に対して伝えました。また、その後、
中国
が前述した
軍事演習
を実施する過程において、私から二度にわたり在京の
中国大使館
に対し、
総理
及び
外務大臣
が表明した我が方の
考え方
を踏まえて、
我が国
の懸念を申し伝えました。これに対し
中国側
は、
台湾
問題に関する
原則的立場
を述べつつ、
当該演習
は
通常
の
演習
の一環である旨応答しました。また、我が方としては、
航空
、海運の安全などにつき、この
申し入れ
に加えて在
北京大使館
を通じて別途
申し入れ
を行った経緯があります。
台湾
の
選挙
を経た今後の展望でございますが、
台湾
において先月二十三日に初めて民選の
指導者
が誕生したことは、まことに意義深いものがあると
考え
ています。
台湾
における
選挙
が終了した今日、
我が国
としては
海峡
両岸の
関係当事者
が現在の困難な局面を乗り越え、
台湾
をめぐる問題の
平和的解決
に向けた方途を見出すことを強く希望するものであります。 去る三月三十一日には
日中外相会談
が長時間にわたり行われましたが、その際、
池田大臣
から銭其シン副
総理
兼
外交部長
に対し、
台湾
をめぐる問題に対する最近の
中国
の
対応
の仕方の
影響
もあって、
日本国民
の
中国
への親しみが減じていることを心配している
旨指摘
の上、
台湾海峡情勢
に関する
我が国
内外の
見方
を率直かつ明確に伝えた次第であります。
中国
では、現在、
江沢民主席
を
中心
とする
集団指導体制
のもとに
政治運営
が行われていると見ておりますが、
台湾
問題は
中国
にとって主権と
統一
に係る根本問題であり、予見し得る将来、
中国指導部
がこの問題に対する
基本的立場
を大幅に変更することは
考え
られません。しかしながら、
台湾
における
選挙
の後、
中国
の
指導者
や
公式報道
は、従来からの
基本的立場
を堅持しつつも、
選挙
前に見られたような激しい調子を控えているように見受けられます。また、
台湾
においても、
中国
との
話し合い
に向けてさまざまな検討が行われているとの話も耳にいたします。
台湾海峡
両
岸関係
の将来については今なお決して楽観するわけにはまいりませんが、
台湾海峡
両岸の
当事者
が、昨年夏までの間、両
岸関係
がおおむね安定的に推移してきたことが
東アジア
全体の安定と
繁栄
に少なからず寄与してきた事実を想起して、両
岸関係
の
安定化
に向けた努力を早急に開始することが強く望まれる次第であります。 なお、明年七月に
中国
に
返還
される
香港
については、一国二
制度
のもとで現行の諸
制度
が最低五十年間は変更されず、
外交
、
防衛
の
分野
を除き高度の
自治権
を有することとなりますが、
我が国
としては、
返還
後の
香港
がよく整備された
法制度
のもとで自由で開かれた
体制
を維持し、安定と
繁栄
を続けていくことを期待しております。 次に、
米国
の
動向
についてでありますが、
米国
は
国内法
において、
台湾
に危険が生じた場合にそれに対処するために
大統領
と
議会
がとるべき適当な措置について決定する旨定める一方、
中国
との間の
三つ
のコミュニケにおいて、
一つ
の
中国
、
一つ
の
台湾
といった
政策
をとらないことを明確に表明しております。このような
枠組み
のもとで、
米国
は
我が国
と同じく
台湾
問題の
平和的解決
を強く求めていると承知しております。
台湾
の
選挙
を目前に控え
中国
の
軍事演習
が本格化した時期、
米国
は二隻の
空母
を含む
海軍部隊
を
台湾近海
に派遣いたしましたが、この
米軍
の
行動
は
予防行動
として
通常
の
訓練
を行いながら
監視活動
を行うことを旨としたものであったと承知しております。
米国
は、
中国
の
軍事演習
を挑発的かつ危険であるとする一方、
中国
との間に
建設的関係
を築くことは
米国
の
国益
にかなうものであり、そのような
米中関係
は
台湾
の安定と
繁栄
にとっても根本的に重要な
要素
であるとの
認識
を示しております。来る四月十九日にはハーグにおいて
米中外相会談
の開催が予定されておりますが、
米中関係
をこのような方向に進める上でこの
会談
が成果を上げることを期待いたしております。
日米
間では、
台湾海峡情勢
を含む
アジア太平洋地域
の諸問題について、さまざまなレベルで広範かつ緊密な
対話
と
意見交換
を行ってきております。
日米安保体制
は
日米同盟関係
の中核であるとともに、
アジア太平洋地域
の平和と
繁栄
の
基盤
をなすものであります。御
案内
のとおり、
クリントン米大統領来日
の際には、
日米安保体制
のこのような重要な
役割
を改めて確認する
共同文書
を発出し、二十一
世紀
に向けた
日米同盟関係
の
あり方
につき内外に明らかにしていきたいと
考え
ております。 このような
日米安保体制
の
信頼性
の向上、またこれを
基盤
とした
日米
間の
協力
の
強化
は、
アジア太平洋地域
の平和と安定にとって不可欠の要因であります。このような
日米協力
の
強化
が
日中関係
あるいは
米中関係
の
進展
を阻害するかのごときものでないことは申すまでもありません。
日米両国
とも、この
地域
の安定と
繁栄
にとって
中国
が担う
役割
の
重要性
を十分
認識
し、今後とも引き続き、さまざまな問題に関し
中国
との
協力関係
を発展させていく
考え
であります。さきの
日中外相会談
において
池田大臣
が、
日米安保体制
の
重要性
を確認することは
日中友好協力関係
の促進に矛盾するものではない旨述べたところがございますが、まさにこの
考え方
を示したものにほかなりません。 二十一
世紀
は
アジア
の
世紀
と言われております。しかしながら、発展を続ける
アジア
の裏面には、食糧とエネルギーの不足、
人口
問題、
環境問題等
を抱えた
アジア
があります。このような
客観情勢
の中で、
中国
の今後の
動向いかん
は
地域
の平和と安定に必ずや大きな
影響
を与えずにはおかないでありましょう。
政府
としては、
中国
が改革・
開放政策
の推進をみずからの
国益
に最も資する
ゆえん
であるとの判断を堅持し、
我が国
がこれに実質的な
協力
を行うというシナリオが
地域
の平和と安定の維持のためには現実に最も望ましいものと
考え
ております。 今後の
日中関係
の
あり方
についてはさまざまな議論があり得ると思います。五月二十日には
台湾
で
総統就任式
が行われます。
台湾
への
米欧
からの兵器の供与も今後実施の段階に入ります。
香港
の
返還
は明九七年七月一日に予定されています。その間、
中国
の
核実験
、CTBTへの
対応
、人権問題、
海洋法条約
に伴う
問題米国
との間のMFN更新問題等々が世界の注目を集めずにはおかないでありましょう。
我が国
の
安全保障
にとって、
米国
との
同盟関係
を堅持しつつ、いかに
中国
との間に建設的なパートナーの
関係
を維持し得るかが最重要の
課題
となりましょう。
日中間
では、
政治
、
安全保障
、経済その他の
分野
での
対話
が行われておりますが、これを一層深める必要があります。それと並行して、既存の多数国間の
枠組み
の中における
対話
を推進することが重要であります。さらに、時宜に応じ
日米中三者
間の
政策対話
を推進していくといった必要もございましょう。結局、こうした
対話
の積み重ねと組み合わせが
台湾海峡情勢
を含む
東アジア
の平和と安定に寄与する
ゆえん
であることは言をまちません。
台湾
をめぐる問題についての
政府
の
基本的立場
は既に述べたとおりでありますが、こうした
考え方
について本
委員会
の御理解、御支援、そして御批判、御示唆を承りたく、よろしくお願い申し上げます。
武見敬三
4
○小
委員長
(
武見敬三
君) それでは、次に
防衛庁秋山防衛局長
。
秋山昌廣
5
○
政府委員
(
秋山昌廣
君)
防衛庁
の
秋山
でございます。 お手元に「
中台情勢
について」という
資料
をお配りしてあるかと思いますが、それに沿って私の方から、
中国
が三月に
台湾付近
で実施した
演習
の中身と、それから
中国軍
の
台湾侵攻能力
ということにつきまして御
説明
させていただきたいと思います。前者につきましては既にこの
委員会
で別の方からお話があったやに私も聞いておりますが、
政府
としてといいますか、
防衛庁
としてこのように
認識
しているということを簡単に御
説明
させていただきたいと思います。 まず、
演習
の概要、四ページに図が出ておりますけれども、三月八日から十五日まで
台湾近海
の二カ所に
航行制限海空域
を設定いたしまして、八日から十三日にかけて第二
砲兵部隊
が
ミサイル
を四発発射しております。
ミサイル
はいずれもM9と
認識
しております。
着弾地
は、一、三、四発目が高雄の西方、二発目が
基隆
の東方と
認識
しております。 何枚かめくっていただきますと別紙2というのがございますので、ごらんいただきたいと思います。 M9の
飛しょう概念図
でございますが、我々の理解するところでは、大体
射程距離
が六百キロという
ミサイル
と
認識
しております。
通常
でありますと、ここに書いてあるような
飛しょう概念
、つまり高度百五十キロで
飛しょう
時間約六、七分という
認識
でございます。 しかし、今回
中国
が撃ちました四発は、いずれも我々の理解するところでは、かなり高い仰角といいますか、上の方に撃って、
射程
では四百五十キロ強という形で発射しているというふうに
認識
しております。
ミサイル関係
の
専門家
によりますと、非常に
着弾地
の精度を高める
撃ち方
というような
認識
をしているところでございます。ある
意味
で、そらしてはならないといったような
撃ち方
ではなかったかというふうに理解しております。 それから、また
資料
の一ページを見ていただきますと、「海・
空軍実弾演習
」というところでございます。三月十二日から二十日まで
福建省南部沖
に
航行制限海空域
を設定いたしまして、
原子力潜水艦
も参加いたしました
各種艦艇
あるいは
各種作戦機
の参加による
実弾演習
が行われた
海空合
同
訓練
という
認識
をしております。
空中ミサイル射撃訓練
、対地あるいは対
海爆撃訓練等
が実施されたと見ております。
悪天候
の
影響等
によりまして、十五日以降はかなり
訓練
が小さかったと
考え
ております。 それから三番目でございますが、三月十八日から二十五日、
総統選挙
の日をまたいでの
陸海空統合演習
が
福建省北部
の
沿海部
及びその沖合に
航行制限海空域
を設定してなされた。しかし、これも
悪天候
の
影響等
がありまして、大
規模
な
演習
は実施されなかったという
認識
をしております。 二ページを見ていただきますと、その後の
状況
でございますが、我々の
認識
は、
中国軍
は
一連
の
演習
を終了して、
台湾正面
に集結していた一部の
部隊
がおのおの基地に帰還をして、ほぼ集まってくる前の
状況
に戻っているという
認識
をしております。
米国
の
対応
でございますが、今、
アジア局長
からも
説明
がありましたように、
空母インディペンデンス
及びニミッツを
台湾海域
に派遣いたしておりまして、
国防次官補代理
のキャンベル氏の
発言
にありますように、
事態
を重大に見ている
米軍
の
一つ
の
行動
であるという
認識
を我々も持っております。
議会
の
対応
は、御
案内
のとおりでございまして、三月十九日に下院での
決議案
、三月二十一日に上院での
決議案
といったようなものが採択されているわけでございます。
中国側
の反応は、これも御
案内
のとおりで、ここに書いてあるとおりでございますが、
李鵬首相
あるいは
外交部
のスポークスマンの
発言
といったようなものがあるわけでございます。
防衛庁
の
対応
といたしましては、
台湾付近
で実施された
中国軍
の
一連
の
軍事演習
の
動向
について、これは当然
十分注意
を払わなければいけないという
認識
のもと、
航空自衛隊
と
海上自衛隊
の
航空機等
によります
情報収集体制
を
強化
いたしたところでございます。当然のことながら、その他の
関連組織
における所要の
勤務体制
をとったところでございます。 それから、三ページを見ていただきますと、「
中国軍
の
台湾侵攻能力
」というタイトルになっておりますが、一言で申し上げますと、
中国軍
は
規模
的には大変大きいものがございますが、質的には旧式の
装備
が大変多うございまして、
台湾侵攻能力
は限定的という
認識
をしております。 もう少し詳しく御
説明
させていただきますと、
最後
の七ページになりますが、
中国
、
台湾
の
軍事力
を
比較
した表がございます。これはミリタリー・バランスあるいは
ジェーン年鑑等
をベースにいたしまして作成した表でございますが、まず上の方を見ていただきますと、
中国
には当然のことながら
台湾
にない
核戦力
というものを持っております。ICBM若干基、それからよく言われる
中距離弾道ミサイル
百基前後、そして
短距離弾道ミサイル
として今回四発
演習
で発射されたM9といったようなものがあるわけでございます。こういった
装備
は
台湾
にはございません。
陸軍
について見ますと、
兵力
では
中国
が約九十個
師団
、
台湾
が十二個
師団
、人員で二百万強と三十万人程度、こういう
比較
でございます。数はわかりませんが、当然
中国
に
地対空ミサイル
があるということと、
台湾
に、後ほど
ミサイル対処能力
というところで御
説明
したいと思いますが、
地対空ミサイル
として
ナイキ
四十基、
改良ホーク
百基、それから
台湾
が独自に開発いたしました
天弓
、これは数はわかりませんが今
配備
中という
認識
をしております。
海軍
でございますけれども、
艦艇
につきまして、
中国
が百万トンの一千隻、
台湾
が二十万トン強の約四百隻ということでございますが、
中国
の場合、小さい船を入れますともう少し多いのではないかという
見積もり
をしております。 しかし、中を見ていただきますと、
駆逐艦
、
護衛艦
は
中国
が五十二隻、
台湾
が三十五隻。
潜水艦
の数は
中国
の方が非常に多いわけですが、戦時中のドイツの
Uボート
から発展してきたような小さな
潜水艦
がたくさんあるということでこれだけ大きな開きになっております。
両用戦艦艇
を見ていただきますと、
中国
の場合、小さいものを入れますともう少し多いと思いますけれども、
ミリバラ等
の
比較
では
台湾
の方が多いような数字になっておりますが、ほぼ拮抗しているのではないかという
見方
をしております。
作戦機
の場合、
台湾
にはここの分類では対
潜哨戒機
だけでございますが、
中国
の場合、
海軍
も
爆撃機
、
戦闘機
を持っておりますので、下の方で合わせて見ていただきたいと思います。
空軍
では、
台湾
が
爆撃機
を持っていないというところが
中国
と違うところでございまして、
戦闘機
が
中心
でございます。全体で四百機強。それから、数で言いますと、
海軍
の
航空機
も入れまして
中国
は大変多くの
作戦機
を持っている。特に、
台湾
と異なりまして
爆撃機
を所有しているということでございます。 ただ、これは
台湾
と
中国
全体の
比較
でございまして、
中国
の
台湾侵攻能力
、
意図
は別にいたしまして
侵攻能力
というものを見ます場合には、当然
中国
のこれだけの
戦力
が全部
台湾
に行くということはあり得ない、
中国
の
人口
、国土それから地政学的に言いましても、この一部が行くということだと
認識
しております。 例えば、
中国
の
陸軍
について
考え
ますと、幾つかの軍区があるわけでございますけれども、
台湾
に面している軍区というのは
三つ
ほどでございまして、その軍区の
兵力
を例えば積み上げて見るといったような手法によりまして、一体
陸軍
、
海軍
、
空軍
、
中国
の
台湾侵攻兵力
というのがどのぐらいであるかと。
一つ
の
見積もり
でございますけれども、非常に雑駁な言い方をいたしますと、
潜水艦
を除きまして、
中国
の
台湾侵攻能力
というのは
台湾
を一とした場合に二ないし四倍といったような
見積もり
を我々はしているところでございます。 その中で、
台湾
と
中国
の間に
海峡
があるわけでございますから、制空権、制海権、この辺が非常に大きな
課題
になるわけでありますけれども、
中国
にとって
一つ
大きな問題は、
海軍
における海を渡って侵攻する
能力
があるかどうかというあたりに非常に制限的なものがあるのではないかといったような
見積もり
をしているわけでございます。 いずれにいたしましても、これは
意図
は別にいたしまして、純粋に
配備状況
あるいは
装備状況
から
中国
の
台湾
への
侵攻能力
について見ますと、我々の
見方
は今申し上げたようなところでございます。 ところで、
台湾
の
弾道ミサイル対処能力
というところでございますが、これは
資料
の三ページのところに簡単に書いてございますけれども、現時点では
弾道ミサイル
に対処することを想定した
システム
を保有していないというふうに我々は見ております。 先ほどちょっと御
説明
いたしましたように、今
台湾
が所有している
地対空ミサイル
は
ナイキ
、
改良ホーク
、それから
台湾
が独自に開発したと言われる
天弓
というところでございますが、いずれにいたしましても今回
中国
が発射した
ミサイル
、あるいはそれより
射程
の長い
ミサイル
に対する
対処能力
というものは保有していないというふうに見積もっているところでございます。 参考のためでございますが、三ページにございますように、しからば
日本
の
弾道ミサイル防衛
はどうなのかということでございますが、これも率直に申し上げますと、
我が国
は
弾道ミサイル
に対処することを想定した
システム
を保有していないということでございます。
一般論
として、
我が国
の
防衛
に関しまして、
我が国自身
の
防衛力
と
日米安保体制
と相まって、すきのない
防衛体制
を構築することによりまして、この
弾道ミサイル
による攻撃といった
事態
も含めて、
我が国
に対する
侵略事態
を生じさせないことを
基本
としているわけでございます。
最後
に書いてありますように、
弾道ミサイル防衛
の問題についてどう
考え
るかということは、我々にとりましても大変大きな
課題
であります。かかる
観点
から、
我が国
としては
弾道ミサイル防衛
に関しまして、
米国
の
協力
も得て現在鋭意研究をしているところでございます。 冒頭の私の
発言
は以上で終わらせていただきます。
武見敬三
6
○小
委員長
(
武見敬三
君) 以上で
政府
からの
説明
の聴取は終わりました。 ただいまの
政府
からの
説明
に対し
質疑
を行います。 なお、
質疑
はお一人
往復
五分以内でお願いをいたします。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
野沢太三
7
○
野沢太三
君 まず、
アジア局長
さんにお願いしたいんですが、
台湾
の存在というのは
中国
にとって非常に大切なものだと思うわけです。いずれ自分のところと一緒になるんだと言っている以上は、やはり我々としてはこれは平和的にやってほしいと。
一つ
のモデルが
香港
ではないかと思うわけですが、その
香港
で一国二
制度
が可能ならば
台湾
でなぜそれができないか、
武力
までなぜ持ち出すかということですが、
香港
と
台湾
の違いといいましょうか、これをどうお
考え
になりましょうか。お
考え
があったら聞かせてください。 それから、
防衛
局長さんに先ほど
ミサイル
のお話を伺いまして大変参考になりました。私どもも、
台湾
侵攻ということになれば、制海権、制空権という問題がありますが、それを越える
弾道ミサイル
の存在というのは大変な脅威でありますね。ところが、中距離といいますか、この程度の距離と時間、六ないし七分ということで有効な
防衛
能力
というものが可能なのかどうか。それがもし可能ならば、これは大変な脅威を減殺できる。その
意味
でのBMDの研究というのは大変有意義ではないかと思うんです。
日米
はいいんですが、その場合に
台湾
は仲間に入ってくるかどうか、要するにBMDの研究成果を
台湾
も備えられるか、この点を御判断いただければありがたいと思います。 それから、折田さんがおいでですが、
日米
安保の存在というものは
中台
関係
の安定という点でも相当な寄与があるのではないかと私ども見ております。今回の再確認、再定義を進める場合でもこの辺は当然視野に入ると思うんですが、いかがなものでしょうか。これ、一問ずつ簡潔で結構です。
加藤良三
8
○
政府委員
(
加藤良三
君)
台湾
と
香港
の違いということでございますが、
香港
の場合には、
中国
から逃れた人たちがそこに居ついてそこでイギリスの施政下に置かれてきたということがあって、これが今度イギリスから
中国
の方に戻る、こういう因果
関係
になっているんだろうと思います。そういうことを反映してか、
香港
は
中華人民共和国
の言う一国二
制度
という
基本
方針を受け入れているということがまず出発点においてあると思います。 他方、これに比べて
台湾
の方は、かつて中華民国ということで一九七二年の共同声明ができるまで、すなわち日
中国
交正常化が行われるまで
日本
との間に
外交
関係
があった、その他の国との間にも
外交
関係
があったような国でございまして、そして大陸からある
意味
での遮断がなされてから相当長期間今のような姿で来ているということがあり、
中華人民共和国
の言う一国二
制度
という
制度
の中にみずからが入るということを受け入れていない、ここが大きな違いだろうと思います。
秋山昌廣
9
○
政府委員
(
秋山昌廣
君)
ミサイル
についての
対処能力
といいますか、
防衛
システム
ということについての御質問でございました。 私の理解するところでは、
ミサイル
にいろんな種類がございますけれども、大陸間弾道弾
ミサイル
も含め、それから今議論の対象になっている
ミサイル
も含め、
弾道ミサイル
に対する有効な
防衛
システム
は
米国
も含めてまだ開発できていないという
認識
をしております。特に今御指摘のありました
飛しょう
時間がいわば十分以内といいますか、五分をちょっと超えるような短時間のものについての
防衛
システム
というのは、これはまずその一点だけ取り上げてもなかなか難しいという
要素
がございます。 しかしながら、現実問題として世界にいろんな種類の
弾道ミサイル
があって、それが間違いなく脅威になっていることは事実でございますので、それを
防衛
する
システム
につきまして、これは個々の国の地政学的な
状況
によって異なると思いますし、いろいろな
装備
面の水準でも異なると思うわけでございますけれども、その研究はこれは大変喫緊の
課題
ということで、最も研究の進んでいる
米国
の
協力
も得て現在その研究を進めているということでございます。 我々が今進めておりますBMDの共同研究につきまして、御指摘のありました
台湾
についての考慮というものは全く念頭にございません。
折田正樹
10
○
政府委員
(折田正樹君)
日米
安保条約と
中台
関係
ということで申し上げますと、安保条約は別に
中国
に対抗するものではございません。
日本
もアメリカもこの
台湾
の問題が双方の
当事者
の間で平和的に解決することが必要であるというふうに
考え
ておりますし、
中国
が
アジア
太平洋
の平和と安定に建設的な
役割
を果たしてくれることが重要であるという
考え
を持っておりますし、この
地域
の平和と安定のためには
中国
との
協力関係
を進めることが重要であるというふうに
日本
もアメリカも
考え
ているんだろうと思います。 そこで、
日米安保体制
が非常にしっかりしていて、
アジア
においてアメリカのプレゼンス、関与ということがあるということにつきましては、これは私のあるいは私見かもしれませんが、
中国
が
台湾
問題を解決するに当たっていろんなことを
考え
る際に、
政策
のいろんな選択をする場合に、やはり
日本
、アメリカがそういう
考え
に基づいているということが入ってくるんだろうと思います。 そういうことは、
中国
が
台湾
の問題を解決するときに直ちに
武力
に訴えるとかなんとかということではぐあいが悪いんだと、そういう抑制的な効果を果たすのではないか、
日米
間がしっかりしていれば
中国
はより慎重になるのではないか、そういう
意味
で私は
日米安保体制
というのは
中台
関係
の
平和的解決
に大きな
役割
を果たしているのではないかというふうに思います。
高野博師
11
○高野
博師
君
加藤
局長にお伺いいたします。
中国
の
外交
政策
というか
外交
戦略の一環として大中小
三つ
の三角形の
関係
があるというのをちょっと聞いたんです。
一つ
の小三角形というのは
中国
と
台湾
と
香港
の
関係
、それから中トライアングルは
中国
とASEANとNIES諸国、それから大三角形が
中国
とアメリカと
日本
、この
三つ
がある。この大中小が大きくなるほど
中国
にとっては
重要性
を持っているということ。それで、この小三角形の
台湾
、
香港
との
関係
についてはむしろ国内問題であるから、
武力
を
行使
しようが一国二
制度
をとろうが何をしようが次元の違うアメリカとか
日本
は口出しはやめてくれという、そういう態度をとっているということを聞きました。 それで、
日本
との
関係
も、
日本
は
中国
脅威論とかなんとかというのをとることを含めて、この
三つ
の
関係
を非常に注視しなくてはいけないんではないか、特に
中国
の場合は原則がはっきりしているものですから。こういう
外交
戦略があるのかどうか、私はわかりません。こういうものがあるというのを聞いたものですから、局長のコメントをお願いしたいと思います。 それから
防衛庁
の
秋山
局長には、
中国
の軍部というのは国際
交流
がほとんどない、したがってその
考え方
とか視野はどちらかというと狭いというのを聞いたことがあるんです、世界をよく知らないと。ほかの
海軍
とかの場合は国際的な
交流
をやっていて、非常に緊密な
関係
を持っている。しかし、
中国
の場合は全くそれがない。そういう
意味
では問題が起きたときに
情報
等もなかなかとれないということがあって難しいと。この辺についてどう思われるか。 以上二つです。
加藤良三
12
○
政府委員
(
加藤良三
君) 今、先生が御指摘になられました
三つ
の三角形というような文言ないし表現での
政策
の表明というのは、公式には行われていないというふうに承知いたしております。
香港
、
台湾
については国内問題である、
中国
の内政問題であるという
立場
は極めて明確なものがございまして、これについては、先般、銭其シン副
総理
兼
外交部長
が来日しました折にも、その原則的な
立場
を改めて強調して言った経緯があるわけでございます。
中国
にとって
米国
、
日本
との
関係
はもちろん非常に重要なものであるだろうと
考え
ます。そして、我々に対しても
中国
は
台湾
問題は国内問題であるということを申すわけでございます。他方において、
中国
が
台湾
の
海峡
においてとる
行動
いかんによっては、それは国際的な
影響
というものをいわば不可避的にもたらすことがあり得ると。それを国際的な側面、すなわちこの
地域
の平和と安定に対する
影響
という
観点
から我々がそれを取り上げて我々の
立場
を
申し入れ
るということは、これは今の
中国
が
考え
ていることと別に矛盾することにはならないだろうというのが私たちの
考え方
でございます。
秋山昌廣
13
○
政府委員
(
秋山昌廣
君)
中国
の軍部の国際的な
交流
といいましょうか、そういう点についての御質問でございます。 これは私たちから言うのもなかなか難しい問題で、御質問についてのお答えになるかどうかわかりませんが、東西冷戦下におきましては、
中国
は
中国
で東側との
防衛
交流
は頻繁であっただろうと思います。当然そのとき西側は西側で
交流
は頻繁であったと。しかし、その時点のときを
考え
てみますと、
我が国
にとって東側との
防衛
交流
というのはまずほとんどなかったということですから、冷戦下においての
状況
は東と西に分かれていたということであろうかと思います。もっともトップの方でいろいろ
交流
はあったかと思いますけれども、一般的にはそういうことでありました。 冷戦が終えんいたしまして、ロシアですとか東ヨーロッパがある
意味
で西側との
交流
が非常に頻繁になったというのと
比較
いたしますと、
中国
が西側との
交流
で相対的におくれているという面は現象としてあろうかと思います。しかし、当然のことながら、
我が国
としても
中国
との
交流
、そういった面で大いにこれは意を用いていかなくちゃいけないし、
中国側
にもその
意図
は十分あると思います。 この一月に
アジア局長
とも北京に参りましてポリティコミリタリー、安保
対話
というものをやってまいりましたけれども、
交流
については大変積極的でございました。御
案内
のとおりARFによるある
意味
での多国間の
安全保障
対話
、ここにも
中国
は参加してきているということでございますので、それほど閉鎖的とは私は思っておりません。
高野博師
14
○高野
博師
君 ありがとうございました。
立木洋
15
○立木洋君
加藤
さんでも折田さんでもどちらでも結構なんですけれども、アメリカと
中国
が国交正常化したのは一九七九年一月一日からでしたが、その後、
台湾
関係
法が
国内法
として成立したんです。一九九四年八月にこの
台湾
関係
法がアメリカで改正されました。そして九月七日に新
台湾
政策
というのがアメリカで決定されております。その当時、アメリカの新聞等はアメリカの
台湾
政策
が根本的に変わったということを各紙で一斉に報道されているわけです。アメリカでは確かにこの問題については経済、文化の
交流
を
強化
するんだというふうなことが提起されていましたけれども、内容を見てみますと、国交を正常化する過程の中での
米中関係
とさまざまな点で異なっている点がある。 その前に、アメリカの上院の会議においては、いわゆる
台湾
の国連加盟を全会一致で支持するという決議がされました。それから
関係
閣僚の
交流
、訪問をより積極的に推進すると。国家
関係
がないにもかかわらず投資
貿易
協定ですか、これが締結されるというふうな
事態
もありましたし、それから
台湾
が最も望んでいた台北という名称を加えて台北経済文化代表部というふうに名称が変えられたり、さまざまな経過があります。そして、武器の提供についてもそれまでの経過とは異なった状態が生まれてきている。 このアメリカの
台湾
政策
の変化ということを
日本
政府
はどういうふうに評価してこられたのか、そして一九九四年以降それに対して
日本
としてはどういうふうな
対応
をされてこられたのか。これが一点です。 もう一点は、
台湾
の問題というのは
中国
の国内問題であり、
中国
の
一つ
の省だと。ですから国内問題だという点についてはもちろんそれはそうなんですけれども、だからといって
武力
で威嚇を加えるということが許されていいはずが私はないと思う。だから、
中国
のそういう態度については当然これは批判されてしかるべきだろうというふうに思います。 先ほど
秋山
さんの方でおっしゃったが、
空母
二隻を
中心
とする十七艦船が出ておりますし、飛行機にしますと百四十機が周辺
地域
で警戒態勢に入っているという
状況
にあるわけです。これらについては、
台湾
内部においても、あるいはガリ事務総長も、これはアメリカの過剰介入じゃないか、もっと
関係
諸国は自制すべきだというふうなことでガリ事務総長も声明を発表しているという
状況
があるので、アメリカの態度についてもいかがなものかと、極めて私も批判的な
考え方
を持っております。 ですから、こういうふうな状態の場合、
台湾
の
住民
の意思も含めて
中国
の人々が自主的に平和的な方法で
一つ
の
中国
という問題を解決していく、これは自主的にやっぱり行われるべきだと。その場合に
日本
としては、平和的に解決するためにはどういう
対応
が
考え
られるのか、今後の
政策
の問題として
考え
ていただきたい。 この問題で特に問題になるのは、沖縄が今問題になっておりますけれども、先般アメリカが発表した
東アジア
戦略報告の中には、
中国
について
一つ
の項目を割いて述べております。それから、
日本
の新
防衛
大綱についても、
中国
を当然念頭に置いたと思われるような記述があります。核戦略を含む大
規模
な
軍事力
の存在に言及しております。 そういうふうなことを
考え
ていきますと、安保問題の再定義ということが今問題になって、それが
強化
されていくということになると、自主的、平和的に解決するという
日本
の主張していることと異なった
事態
が生まれてくるんじゃないかと思うんです。今度クリントン
大統領
が来たときに、その問題についての矛盾がないようにどういうふうに
対応
されるのかという点についてもひとつお答えいただければありがたいと思います。
加藤良三
16
○
政府委員
(
加藤良三
君) まず、事実
関係
そのものから申しますと、立木先生が指摘されました九四年夏の新
台湾
政策
と言われるものは、
実務面
での高官の
交流
の活発化でありますとか事務所の名称の変更、こういうものでありまして、これは
三つ
の共同声明の枠内に入る措置であるというふうに
説明
されているというふうには思います。ただ、そこの背景と申しますか、規定と申しますか、そこに
台湾
に対するある種の思い入れみたいなものは見られるわけでございます。 私は、その辺の事情を決してつまびらかにするわけではございませんけれども、例えば昔アメリカの
政府
にいた人なんかが個人的な見解として言っているものの中に、一九七〇年代、アメリカ、
日本
は中華民国との間の
外交
関係
を切って、そして
中華人民共和国
との間に国交の正常化を行うということがございました。そのときのアメリカの
政府
あるいは社会の中に、
台湾
というのはある種腐敗した政権で余り将来の展望の開けない国であろうという見込みみたいなものがあった。ところが、
日本
、アメリカなどとの国交が切れた後、
台湾
というのはまさに自力によって経済の成長を達成し、そして東洋世界では相当な
民主化
というものを達成した。 アメリカは、建国以来自分たちの国をまとめていく
一つ
のテーマといたしまして、あるいは柱石といたしまして民主主義ということを重要視していること、これは多くの人々の想像を超えたものがあるだろうと思います。
台湾
の
民主化
というものに焦点を合わせてみれば、アメリカの
議会
の中でこういう動きがあったということは、それは素直に結びつくところではないかと私は
考え
るわけでございます。そういうことが背景にあっての動きだろうと思います。 安保との
関係
については北米局長の方から申し上げます。
折田正樹
17
○
政府委員
(折田正樹君) クリントンさんが来られるに当たって、今まさしく
日米
安保に関する
共同文書
の作成の作業をやっている真っ最中でございます。二十一
世紀
に向けた
日米安保体制
の
あり方
について
考え方
を明らかにしていきたいということでやっておるわけでございますが、まだでき上がっておりませんで、アメリカ側と調整中でございますので、余り立ち入ったコメントをする段階ではないことをお許しいただきたいと思いますけれども、
アジア太平洋地域
の
安全保障
状況
に対する
日米
の
認識
というのが当然入ってくることになろうかと思います。 その際、私どもは、
中国
についてはやはり
中国
が肯定的、建設的な
政策
をとることが
アジア
の平和と安定にとっては非常に重要である、そういう
政策
をとることを慫慂するような、また
日本
もアメリカも
中国
との
協力関係
を深めていくことが大事であるという
観点
から、そういうことを重要視しているという点を踏まえながら文章が練られていくことになろうかというふうに思います。
笠原潤一
18
○
笠原潤一
君 本当は韓半島をめぐる問題でちょっとお尋ねしたかったんですけれども、きょうは
中台情勢
ということに絞られております。私は板門店へ一九七五年に実際あの中に入った。ですから
状況
を知っていますから、今のこの韓国と北朝鮮の問題について本当を言えば少しお聞きしたがったけれども、それはあすのあれに回させていただきたいというふうに思います。
一つ
は
アジア
太平洋
に関する、特に
中台
の問題についてですが、大分冷却してきたものですから私どもも非常に安心をしているわけです。
考え
てみますと、アメリカがどうして
台湾
に肩入れするかというのは、先ほどの立木議員の話じゃありませんが、
台湾
関係
法を結んだ。その時点、ちょっと古い話ではありますが、もともとキッシンジャーが隠密裏にインドから入っていってあれをやったことについて、結局はニクソンは再選をにらんでやったわけですよ、非常にいろんな問題があったから。ですから、アメリカがいろんな問題で
中国
を認めたことが大きなとがになっていることは事実なんです。 したがって、
日本
もばたばた慌てて、実際田中角栄さんも行って、もうあのときは本当に角さんも知らずに入ったという話もあるけれども、あのときのいろんな
状況
を聞いてみますといろいろあって、結果的にはどうもそれが足かせになって、今、日中も
中台
も大変いろんな問題を抱えておることも事実だし、歴史の事実です。もう二十年たってしまったんですから今さらこれを言ってもしょうがない話ですけれども。 ですから、アメリカの中で
台湾
を呼ぶときに、
台湾
を
独立
した国として呼んでいる連中は今なお圧倒的に多いわけです、地方へ行っても。それから同時に、彼らは
台湾
のことを何と言うかというと、フリーチャイナと言っているんですね、自由
中国
とか平気で言っているんだから。
中国
には二
制度
がある、こういうことを
中国
は言っているけれども、アメリカの大部分の人たちはそういうことを言っているわけです。 したがって、これからアメリカがどういうふうに出てくるか。クリントンさんが
日本
へ来て橋本
総理
とどういうお話をされるか知りませんが、サンタモニカの
会談
後、急速にこうなってきて、大分変わってきたんですから、一応その点はやや安心して、クリントンさんとこの問題はうまく話がいけそうではないかと思うんです、今の
状況
で見ますとね。そういう点で言えば、私は今の
状況
としては深刻さを一時的に脱しておると思う。
台湾
の問題でアメリカがなぜ
台湾
ストレートの中ヘニミッツをやったかといえば、本当はチベットとかいろんな問題にもっと介入すべきだったけれども、チベットとかああいう辺境の民族の問題は遠過ぎて、結果的に手を出せなかったということもあろうと思うんですよ。今回の
台湾
というのは本当に近いわけで、
太平洋
の中に浮かんでいる島ですから、そういう点で言うとアメリカも出ざるを得なかったと思う。 今後、一件落着とはいかないまでも、少しは
緊張
が緩和されたことについては非常にいいけれども、しかし油断はできない。
中国
の中がどうなっているかということをこれから
日本
の方も、自民党の中でもそうそうたる皆さんが連休をにらんでおいでになりますし、小沢一郎さんも何か出かけていかれるそうだけれども、その中で
中国軍
部とか
中国
の
政府
とどういう
話し合い
ができるか、そこら辺はちょっとわかりませんが、いずれにしても橋本・クリントン
会談
でも
中台
の問題は主要なテーマになってくると思う。 したがって、問題は、李登輝さんが五月二十日に総統に就任される、その前後に
中国
がどういうことを行うかということだけれども、そんな挑発的なことはしないだろうと私は思っています。甘く見過ぎちゃいけませんけれども、どうもそんなような感じがいたさないわけでもないけれども、その辺はどうでございますか。
折田正樹
19
○
政府委員
(折田正樹君) クリントンさんが
日本
に来られたときに橋本
総理
とどういう話をされるだろうかという
観点
から申し上げますと、
中国
、
台湾
の
関係
というのは、私は首脳レベルでお話しになっても不思議のない問題であろうというふうに思います。最終的には両首脳がお決めになりますから、我々事務方でどうこうとは申し上げられませんけれども、事務方としてはちゃんと
資料
は準備するつもりでおります。
緊張
が一時と比べれば大分薄まっているというのは確かにそのとおりだろうと思いますけれども、他方、私は余り油断もできない、慎重にやっぱり見ていく必要があるんだろうというふうに思います。恐らく両首脳はお話しになるであろうというふうに思います。
川橋幸子
20
○
川橋
幸子君 今までの小
委員会
の開催
状況
の様子を御存じかどうですか、学者の先生、さまざまな専門あるいは
立場
の方が来られて自由な
発言
がありましたのに比べますと、きょうはお答えがかなり限定的でいらっしゃるだろうと思うので、何を聞こうか大変迷うところです。別に
政府
側とかなんとかということじゃなくて、個人的なお
立場
はとりにくいかもわかりませんけれども、できれば三局長、ぜひフリーにフランクにお答えいただけるとありがたいと思うんです。 直前の回では「結びつく経済、離れる心」というようなキーワードをめぐりましてさまざま質問が出たりお答えが出たりして、大変
考え
させられるところが多かったわけです。どういう脈絡で出てきたかというと、
中台
は、両岸はかつては離れた経済、離れた心だったんだけれども、このごろは結びつく経済になっているけれどもまだ依然心が離れているというような、こんな脈絡で出てきたんです。 それで、三局長さんは、
日本
政府
の
立場
といいますか、個人的にで結構なんですけれども
日本
の
立場
をお話しになられると思うので、このキーワードを
日本
の中に当てはめるのは難しいのかなと思いながらも、
中台
の問題というのは結局日中の問題であり
日米
の問題であるとすると、日中、
日米
、その経済面ないしはその心というのは何なんでしょうね。同じ価値観を共有する
政治
体制
ということですかしら。「経済」というのと「心」というキーワードがあるわけですけれども、どんなふうに
日本
はスタンスをとっていこうとお
考え
になられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 大変漠然とした問いかけでお答えにくいかもわかりませんけれども、
秋山
局長には、ポスト冷戦は脅威がなくなるというんですかね、脅威論がなくなるはずであると。学者先生の中でも、
日米
は仲よくしっかり同盟してもらっていいけれども、そこの中に脅威論を持ち込まないでほしいというような話が出てくるんです。脅威論というのは、くっつけるための脅威論あるいは離すための脅威論という、いろいろな
外交
があるのかもわかりません、軍事上の
外交
があるのかもわかりませんが、そんなことも少し御参考にしていただきまして日中、
日米
について。
中台
は今回例示的に挙がっているわけです。韓国の話も出てくるし北朝鮮の話も出ますし
アジア
の話も出るとすると、
アジア局長
さんには少し応用問題としまして、
日本
の
外交
・
防衛
政策
についてはどんなふうなスタンスをとっていくのが冷戦後はよいのか、
基本
的なところをお尋ねしたいと思います。
折田正樹
21
○
政府委員
(折田正樹君) お答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども、「結びつく経済、離れる心」というのは
中台
関係
を言われているんだろうと思います。私は個人的にあれですけれども、経済の
交流
が進めばどうしても人と人との
交流
というものが深まりますから、いろんなことはあるかもしれませんが、長い目で見ればやはり
協力
の方に心が向いていくのではないだろうかなという感じが漠然といたします。 私は、東京に帰ってくる前、
香港
の総領事をやっておりました。
香港
は
中国
の一国二
制度
のもとで来年の七月一日から
中国
のもとに入るわけです。
中国
は主権の問題ということで
香港
問題を非常に大事にしておりますが、
香港
から見ますと、
香港
の経済の今
繁栄
しているあの状態が
中国
に入ってもうまく続くようにということで彼らは頑張ってやっているわけです。
香港
と
中国
の間の経済
交流
というのは物すごい勢いで進んでいるわけで、私はそれがあるから、
香港
はああいう小さな存在かもしれないけれども、
中国
のもとに入っても生き続けられるし、そうしてほしいというふうに思っているわけです。今、先生のお話を伺ってそれをちょっと思いついたものですから申し上げました。
加藤良三
22
○
政府委員
(
加藤良三
君) 今の御質問は非常に根本的なところに触れておられるものですから、私としても部分的な回答ですらないものしかできないので申しわけないんですけれども。 第二次大戦後の世界というものを
考え
た場合に、西ヨーロッパというものと
アジア
の
地域
との間には
一つ
の顕著な違いがあったという事実はあると思います。すなわち、西ヨーロッパの方には、国と国との間の相互依存ということと並んで、人と人、民族と民族との間のある種の親和力みたいなものがあったということだろうと思うんですね。特に西ヨーロッパについて申し上げておりますけれども、その両者が兼ね備わっていたと思います。 それに比べて
アジア
の方を見ますと、国と国との依存
関係
というものはありますけれども、人と人との親和力というものにはちょっと乏しいものがあったというのが現実ではなかったかというふうに思うわけでございます。したがいまして、NATOのような
安全保障
の
枠組み
というものは
アジア
には生まれませんでした。SEATOというのができましたけれども、できた途端にもう活動しなくなって今日に至っているという
状況
だろうと思います。そのかわりにアメリカが中核になる形で
日本
それから韓国等と二国間条約というものを網目のように張りめぐらせて、それの積み重ねでもって全体の平和と安定を維持してきたという姿、現実がそこにあったという感じがいたします。 したがって、そういう特性というものを
考え
てみました場合に、やっぱり相互理解ということは大事なことだろうと思っています。相互理解というものを
中国
との間であれほかの国との間であれつくることは、言うはやすく行うはかたいことだと思います。しかし、いろいろなレベルでの
対話
、
安全保障
面での
対話
ということもそうでありましょうし、文化的な面での
対話
、人と人との
交流
というのもそうでありましょう。とにかくお互いの
立場
に同意するという以前の問題として、相互理解を増進して親和力を少しでも築き上げていくということは一般的に必要なことだろうと思います。ただ、国と国との
関係
を律していく場合にはまたそれだけでもいかないところがあるだろうという気もいたします。 したがいまして、例えば
中国
の場合、特に
台湾
との間での平和的な問題の解決を我々も望むということであるとすれば、
中国
の改革・開放
体制
というものをどう位置づけるかという視点が必要になってくると思います。
中国
が改革・開放
体制
というものに焦点を合わせて、これが自分たちの国策の第一優先順位の仕事であるということでありますならば、それを文字どおりに追求する
中国
というものはほかのシナリオのもとにおける
中国
というものよりも国際社会の平和と安定にとって望ましい
中国
ではなかろうか。したがって、そこのところは、
日本
はどういうふうに
中国
をそういう目標を追求し続けていく存在にするかというような面での
考え方
も必要になってくると思われます。 とにかくそのようなもろもろの
状況
というものを総合的に
考え
た
中国
政策
の
あり方
あるいは
アジア
外交
の
あり方
というのを
考え
ていくというのは、これから
日本
に課せられた大きな
課題
であろうと思います。
秋山昌廣
23
○
政府委員
(
秋山昌廣
君)
政府
の職員を離れて私人として答えたくなるようなテーマでございますけれども、
防衛
局長として答弁させていただきます。 今御指摘のあった結びつく経済は後戻りはないだろうと思いますけれども、離れる心というのは、私流に、まことに個人的な意見でございますけれども、二つの面があるのかなと。やはりもともとその違いはあったんだろうという、つまり本省人、外省人、そういった
台湾
と大陸の違いというものがあったのに加えまして、最近、
台湾
における
政治
制度
といいますか民主主義の発展といったようなことも
一つ
の
要素
として、
政治
体制
、社会
体制
が少し離れてきているというような問題もあるのかなという気がいたします。 ただ、私がここで申し上げたいのは、そういったことがあろうとも、それがどういうふうにいくか我々はよくわかりませんが、いずれにしても、非常にラフな言い方をすれば、この
中台
の問題における
中国
の存在は非常に大きなものではないか。当たり前といえば当たり前かもしれませんけれども、単なる国内問題という
意味
で私は言っているわけではありませんけれども、北京
政府
の
行動
といいますか、
中華人民共和国
の
行動
、物の
考え方
というのは非常に今後注意していかなくちゃいけない大きな
要素
ではないかという気がしております。 そういう
意味
におきまして、実は国防
分野
でございますけれども、
日米安保体制
の議論をこの一、二年間、米側とやってきた中で、もちろんこの
中台
問題も含めた北
東アジア
の平和と安定にとって
中国
の存在というものが非常に大きな存在として我々は議論してまいりました。その
一つ
の答えが今度の新
防衛
大綱に出ておりますところの
我が国
の「
防衛力
の
役割
」という
役割
の中に当然のことながら
我が国
の
防衛
というのはあるわけでございますけれども、それに加えてより安定した
安全保障
環境の構築という柱を立て、その中で意識的に
考え
ましたのは、
米国
と
日本
と
中国
といったような、そういうバイ・プラス・マルチと言うんでしょうか、それぞれバイの
関係
なんですが、結果としてマルチになるような安保
対話
の
重要性
というものを非常に
認識
してきているわけでございます。 したがいまして、もちろん日中の間でもこの
安全保障
対話
というものをバイで強力に進めていく必要はあると思いますけれども、この北
東アジア
の安定のために、
中国
の存在というものを十分意識して、この
対話
の中でいい結果を生んでいかなければいけないといったような
認識
をいよいよ強くしているわけでございます。
大木浩
24
○大木浩君 先ほどの
台湾
関係
法と、それからいろんな共同声明があるということで、
加藤
局長がおっしゃった共同声明との
関係
ですが、
台湾
関係
法というのは共同声明の枠内で読めると。要するに、それはお互いに矛盾しないというふうに言われたように私は聞いたんですが、そうじゃなかったんですか。では、もしそうでなかったらそれを直していただきたいんです。 いずれにしましても、今の時点におきまして要するにアメリカとしてはどれを
基本
として台中
関係
を
考え
ておるのか。ただ、アメリカから
政府
関係
者やら議員ばかりじゃなくていろんな研究所からいっぱい紙が来まして、その研究所によって、右寄りとか左寄りという言葉がいいかどうかわからぬけれども、あえて言えば共和党寄りとか民主党寄りとかいろいろありまして、その辺の読み方が多少違っているようにも感じているんですけれども、それをまずどういうふうに見ているか。これが
一つ
。 それからもう
一つ
、国連加盟の方は、実は二、三日前にちょうどシンガポールの在京大使と話をしていて、そんなことを言ってみてもどうせ
中国
が拒否するに決まっているんだからそんなものをやったって
意味
ないよと彼は言っていましたけれども、国連加盟のことを表にいきなり出さないにしても、これから
台湾
としてはいろんな
意味
で
外交
活動と言っていいですかね、やっぱりいろんな国とできれば
外交
関係
、できないまでもいろんな実務
関係
というのをもっと広げようと思っていると思うんですが、
台湾海峡
が大変厳しくなる前からいろいろ双方で、
中国
それから
台湾
側でそういった努力をしていると思いますが、その辺どういうふうに見ておられるか。それぞれが相当いろんな活動をしておると思われますので、これはファクトとしてどういう
状況
になっているかということをあえてコメントできるなら、ひとつしていただきたいと思います。 以上です。
加藤良三
25
○
政府委員
(
加藤良三
君) 第一の共同声明と
台湾
関係
法の
関係
についてでございますけれども、私が先ほど立木先生の御質問にお答えしたときに、
三つ
の共同声明が
台湾
関係
法の枠内に入る、あるいはその逆というようなことを申し上げたつもりはまず全くございません。それは併存しているわけでありまして、公聴会の席上なんかでもアメリカの
政府
の責任者が、アメリカの
中国
、
台湾
についての
立場
というものはこの
三つ
の共同声明と
台湾
関係
法という
枠組み
である、要するに両方あるということを述べている次第でございます。
議会
の中の雰囲気というものについてはもう御
案内
のとおりでございますけれども、アメリカの
政府
に限って申し上げますと、アメリカの
政府
はこの
三つ
のコミュニケを通じてほとんど
日本
政府
と同じ
認識
を示しているわけでございます。すなわち、
中華人民共和国
が
中国
を代表する唯一の合法の
政府
である、そして
台湾
は
中華人民共和国
の一部であるという
中国
の
立場
を、アメリカで言えばレコグナイズする、すなわち留意すると申しますか
認識
するというか、そういう表現でこれを規定している。すなわち、そこは
日本
の一九七二年の共同声明における取り扱いとほぼ同様の構成になっているということが言えると思います。 それに加えて、
国内法
としての
台湾
関係
法というものがございまして、これの中で、一定の
台湾
の安全が損なわれたというか安全に脅威が生じた場合にとるべき措置について
大統領
と
議会
が協議して決めるんだというような規定でございますとか、
台湾
に対して十分な
防衛
能力
みたいなものを保障するためのいわば武器の供与を行うとかということが条文に記載されているわけでございます。その二つをアメリカの
政府
の
立場
からすれば矛盾なく運用してきているということだろうと思います。 また、F16の供与についても、これは
中国側
から非常に強い反発があったわけでございますけれども、
台湾
関係
法の枠内の問題として処理されており、またそれは共同声明との間の整合性というようなところについても別にそれが違反しているとかなんとかというところで決着がついた話ではなかったんじゃないかというふうに思います。要するに、
三つ
の共同声明はその後といえども維持されつつ、
台湾
関係
法もそこに存在しているという感じであります。 この辺がアメリカの戦略的なあいまいさというところとどういうふうにつながるのか、私も必ずしも精密には申し上げられないんですけれども、とにかくそういう二つの
要素
を、
国内法
と共同声明というものの二つの柱を持った
枠組み
がアメリカの側にはあるということだろうと思います。 それから、国連加盟云々というところでございますけれども、先般の三月二十三日の総統の
選挙
に先立ち、あるいはその
選挙
を挟む形で行われた
軍事演習
、こういったものについての分析というものが
海峡
の両岸でやっぱり進められているのではないかなというふうに思うわけでございます。 先ほどの御質問にもあって、私がお答えしないでここまで来てしまいましたけれども、
中国
の方では、
独立
志向派というのが少なかった、現状維持を求める声が七五%であったという言い方をしており、また台独を主張する民進党の票が二一%であって、そしてむしろ大陸との連携を重視する新党、陳履安の党の票の合計が二五%ぐらいになるので、これはむしろ台独の方が負けたのであるという
説明
を
中国
はしているというところからいたしまして、そういう論理を構築しているところかなと思うわけでございます。 しかし、この後、李登輝さんの方でも、
中国
が
台湾
問題にやはりあれだけのこだわりを示している、昨年六月の訪米後の反応ということもまた思い合わせて
考え
られているのだろうと思います。この後の
台湾
の
繁栄
、平和、安定というものをどういうふうに維持していくのかということで、まさに今はいろいろ
考え
ておられる段階ではなかろうか。そういうわけで、この
選挙
での勝利に任せて国連の加盟ということをわっと押し上げて提起するんだというような兆候は必ずしもないわけでございます。 いずれにいたしましても、今、両岸が
比較
的落ちついた中で双方の
関係
者が
情勢
を分析し、これからの進め方を
考え
ているところではないかと思います。
佐藤道夫
26
○佐藤道夫君 外務省に最初にお尋ねしますが、まず
台湾
の若い
指導者
層、
政治
家とか官僚とか、学者も入るかどうかわかりませんけれども、事業家あるいは学生も含めていいと思いますけれども、若いエリート層が
台湾
の将来について三十年先、五十年先にどういう設計図を思い浮かべているんだろうか。多分調査されておると思いますので、その辺を
説明
していただければと思います。 というのは、我々にとってはせいぜい二十年先ぐらいを
考え
ればこれは十分なものですから、今までのまま、こういう状態のまま推移するであろうというくらいの気持ちしかないわけですけれども、彼らにとっては五十年たってもまだ七十、八十ですから、当然そこまでの設計がないことには将来の自分の人生設計もできないんじゃないかと思いますので重大な関心を持っていろいろと議論をし
考え
てもおることだろうと思うので、その辺のところ、わかる限り御
説明
いただければと思います。 それから、
防衛庁
については、これはたしか朝日の田岡俊次という記者が、それなりに名前の売れた記者ですけれども何かに書いていたことで、
中国
は
台湾
に対する
侵攻能力
はないとはっきり書いていました。なぜかといえば、軍備がすべて旧式である、特に
空軍
がひどい、ほとんどソ連からの下がり物であって古い旧型のミグであって、それがそのままの状態で使われておる。これに比べて
台湾
の方は金があるものですから年々新しくなって
装備
も近代化しておって、とてもじゃないけれども
中国
は太刀打ちできない、ですから
中国
の
軍事力
というのは
台湾
に関する限りはそう恐れるに足らないんだということを書いていたんですけれども、その辺のことは
防衛庁
はどういうふうに分析しておるのか。この二つです。
加藤良三
27
○
政府委員
(
加藤良三
君) 二十年先、三十年先ということを読み、あるいはそれを現実に考慮に入れた
政策
、国策を立案していくということは非常に難しいことであるだろうと思います。 私は、
台湾
の中でそういうような
政策
形成というのは進んでいるのかどうか、実はこれはつまびらかにいたしませんし、それから若いエリート層と言われる人たちの方向感覚がどういうことであるのか、これもいろいろコミュニケーションの手段ということが限られていることもございまして、十分に把握しているとは申し上げられないと思います。 ただ、一面におきまして、
台湾
がここまでの経済的な成長とか
民主化
の推進というものをなし遂げてきたところから見て、今現在の国民平均所得が二万一千ドルを超えるというような
状況
で、いいところまで来ている、今現実に手にしているところのものがかなりいいものであるという実感はあっても不思議はないだろうと思います。したがいまして、そういう
意味
での現状を維持し、これを漸進的にさらにもっとよくしていくというような志向が強いというところまでは言えるのではないのかなと思うわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても、
台湾
が今後本当に中長期的な将来ということを
考え
るのであれば、それは
中華人民共和国
との間の
関係
というものをどういうふうにするかということをおいては
考え
られないわけでございまして、そこの間に平和的な問題の解決を追求していくことがないと、長い目で見た場合の安定とかなんとかに資する結果がなかなか得られないであろうという感じは持っているわけでございます。 これは若干抽象論でございますが、これ以上のことは私としてもなかなか申し上げる
基盤
を持たないというのが現実でございます。
秋山昌廣
28
○
政府委員
(
秋山昌廣
君) 先ほど私が御
説明
いたしましたように、
中国
の保有する
軍事力
というものは
規模
的には大きいけれども質的には旧式
装備
が大部分であるということは事実だと思っておりますが、それでは
台湾
の
装備
は質的に非常に高いかというと、その点については私はそうでもないというふうに
認識
しております。 特に、
空軍
について見ていただきますと、先ほどの
資料
の別紙4というところを見ていただきたいと思いますが、
中国
の
戦闘機
について見ますと、J6というのは第一世代、一九五〇年代に開発された飛行機でありますから大変古いというのは事実でございます。そしてJ7、これも第二世代ですから六〇年代に開発された飛行機であります。ただ、
台湾
の方のF5Bというクラスは、これも大体第二世代の飛行機でございますから一九六〇年代の飛行機というふうに御
認識
いただいてよろしいのかと思います。むしろ
中国
はSU27、これはまさに第四世代の一番世界的にも非常に力のある
戦闘機
を一飛行隊今持っているわけでございまして、その
意味
では
台湾
は第四世代の
戦闘機
は持っていないという、そういう格差があるわけであります。 したがいまして、確かに
中国
は非常に古い飛行機をたくさん持っておりますけれども、質的に
比較
した場合に
台湾
が上だということは私は言えないというふうに思っております。
椎名素夫
29
○椎名素夫君
日中共同声明
のときですが、両方で唯一の合法の
政府
だということを当時の北京も台北も言っていたから、これはどっちか選ばなきゃしょうがないわけで、北京が唯一の合法政権だということを認めたと。それから、
台湾
が
中華人民共和国
の領土の不可分の一部であるという
中華人民共和国政府
の
立場
を十分理解し、尊重したわけですね。しかし、
日本
は戦争に負けて、
台湾
を放棄して、その帰属については我々の方から言える
立場
じゃないというのが当時の
立場
ですね。それは今でもそうなんだろうと思うんです。そうすると、これは国内問題だとおっしゃる
立場
は、理解し、尊重するという以上のことは出ないだろうと思うんですが、それを
一つ
伺います。 もう
一つ
別の角度を言うと、さっき佐藤
委員
がおっしゃったけれども、
台湾
の人たちが先のことを
考え
るというようなことで、先のことを
考え
てその意思が
政治
に反映するような
政治
制度
をつくってしまったというのは、当時と全く違ったと言ってもいいんじゃないかと思うんですが、
状況
ができてきてしまっているというあたりをどうお
考え
になっているのか。
我が国
だけでなしにどの国でも、アメリカでもそうだと思うんですが、両
当事者
間で十分話し合えと言っているということは、両
当事者
がいるということなんですね。それは理屈の上で一体どういうことになるのか。あいまい
政策
でいかなきゃいけないんだったらお答えにならなくても結構ですが、そのあたりを伺いたい。
加藤良三
30
○
政府委員
(
加藤良三
君)
日中共同声明
の中の表現、すなわち「
台湾
が
中華人民共和国
の領土の不可分の一部である」との
中華人民共和国政府
の
立場
を十分理解し、尊重すると。そこでいわばとどまっておるということはそのとおりでございます。すなわち、理由はまさに椎名先生がおっしゃられたようにサンフランシスコ条約の二条で権原を放棄したわけでございますが、だれに放棄するということを決める
当事者
能力
がない、したがってそのことについて
日本
が口を差し挟む余地がないということがあるわけでございます。 そこで、国内問題云々ということでございますが、実は私どもは国内問題であるという言い方は必ずしもしておりません。国内問題という言葉でございますが、これは厳密な法令上の定義とかなんとかというのはあるいはないのではないかと思います、すなわち、国内問題であるということを言っても、それが国際的な
影響
というものを及ぼす場合には、その及んだ国際的な
影響
という
観点
からその国内問題について他国がいろいろな
発言
を行い、
立場
を表明し、
申し入れ
を行うといったようなことはそれはあり得るわけでございますが、国内問題というその言葉自体が非常に私はあいまいなものだろうと思います。国内管轄事項というようなかたい言葉が国際法的な文脈ではあるようでございますけれども、その内容というものはこれまた時代とともに移り変わりする
要素
もあると思います。 したがいまして、そこのところは原点のところに戻りまして、共同声明に記載されているとおり十分理解し、尊重しなければならないということでございますが、そこでとどまるわけでございます。 実は、当時大分話題になったと思いますけれども、法匪事件と申しますか、正常化交渉を担当していた高島条約局長が法匪だと言われたエピソードがございました。何をめぐってそういう表現が出てきたかといえば、この理解し、尊重するというところを越えて承認するというところまでは言えないということを
日本
側が
最後
まで主張して、それが入ったというそのエピソードの部分を指すわけでございます。 それから
当事者
のあれでございますが、これについては
海峡
の向こう側の両
当事者
、ちょうど民間のあれができておりますし、そこで現実に会って話し合って、そしてできるだけ前へ進めて平和的な解決に資するようなものであるならばそれはそれでいい。もう
当事者
ということでいえば通ずる感じになっておると思いますので、ある
意味
ではその
当事者
間の平和的な
話し合い
による解決を求める
立場
というものを支持するということで、そういう
立場
を堅持していくことになると思います。
武田邦太郎
31
○
武田邦太郎
君
日本
としては、
中国
と
台湾
とが平和裏に
一つ
になってほしいとか、そうあるべきだという
基本
方針がありますね。ところが、アメリカで見ると大体似たような線もあるようだけれども、もし
中国
が
武力
的な
行動
をとる場合にはアメリカが
武力
を発動して
台湾
を極端に言えば守るという姿勢があるとすれば、必ずしも
日本
とアメリカのこの問題に対する態度が完全に一致しているとは言いがたいと。特に、
日米
安保によって
日本
がアメリカの軍事
行動
の後方支援的なことをやらねばならぬとすれば、これは
中国側
から見れば、幾ら
日本
が平和的に一体になることを願うといっても素直には受け取れない条件がそこにあるのではないかというのが
一つ
です。 もう
一つ
は、そうはいっても
中国
の
政府
の
あり方
が我々にとって望ましいかというと、これは必ずしもそうではなくて、
台湾
に対する姿勢もそうですが、例えばチベットに対する態度だって同じような
中国政府
の
基本
姿勢がそこに出ているとも言えぬことはありません。また現在の、これは小さい声で言うわけですけれども、江沢民政権の
基盤
がまだはっきりしていない、ややもするとうつぼつたる軍部がこれを引っ張り回す心配が絶無ではない、これは
日本
の過去を振り返っての反省もあるわけですが。 したがって、我々が平和的に一体になることを望むとすれば、本当に友情に満ちた隣人としてはかなり北京
政府
にアドバイスすべき問題性を
日本
は持つのが至当であろう。こういうふうに
考え
ますと、問題はなかなか単純でありませんですね。これで我々が北京に対し、ワシントンに対し、双方を納得させる世界
政策
の
基本
線を出すということになれば、どういう
政策
論理が成り立ちましょうか。
加藤良三
32
○
政府委員
(
加藤良三
君) 既に
日本
がアメリカとの間に
日米安保体制
を中核とする
同盟関係
を有しているということで、その問題についての
一つ
の
基本
的な解決の方途は示されているんだろうと思います。この
日米
の安保
体制
というものを、先ほどの北米局長の話にもございましたように、その根本的な
考え方
、哲学というものの上に立って堅持していって、その上で
中国
との間でできるだけ建設的なパートナーシップの
関係
を樹立していく、簡単に申し上げればそこに
日本
のこれからとっていく道は尽きているのかなという気がするわけでございます。
中国
に対しては、これは率直な
対話
でいろいろなことを伝えなければならないし、また伝えるべきであろうと思います。しかし、それを伝える場合に、これはむしろ戦略に比べれば戦術的な次元になることかと思いますけれども、
中国側
の人々の胸にやっぱり落ちやすい表現ないしは方途によるメッセージの伝達ということを
日本
は
考え
ていくことが必要であろうと思います。そういうメッセージを
中国側
の胸に落ちやすい形でなるべく率直に伝えていく過程を通じて、改革・開放
体制
、これが国策の第一の優先順位の事業である、むしろ軍事的な
能力
の開発よりも上の優先順位をそっちに与えているという
中国
の
基本
政策
、これが実効性を持って担保されていくような
関係
を
日本
として構築する、こういうことになるんだろうと思います。
立木洋
33
○立木洋君
加藤
さんに先ほどお尋ねしたときに
一つ
お答えいただけなかった部分があるので、簡単で結構ですが。
台湾
問題と言った方がいいか、より正確に言うならば
台湾海峡
というふうに言った方がいいかもしれませんけれども、この平和的な解決のために
日本
政府
は何をすべきで、何をすべきでないのかという点だけお伺いいたします。
加藤良三
34
○
政府委員
(
加藤良三
君)
台湾海峡
の問題の平和的な解決にどれぐらい直接的につながるかどうかは別として、今の
日本
が
米国
との間に持っている
日米安保体制
というものが引き続き実効性、
信頼性
を持って堅持されていくように努力して、そしてこの
地域
における平和と安定を全般的に保つようにするということが
一つ
の柱だろうと思います。その上において
中華人民共和国
、これも巨大な実体でございます、そして隣国でございます、との間にできるだけ建設的なパートナーシップというものを築いていって、そしていろいろな問題について要するに話が通ずるように持っていくということであろうかと思います。
立木洋
35
○立木洋君 すべきでない方、してはならない方はどうですか。
加藤良三
36
○
政府委員
(
加藤良三
君) してはならないことというのは、これはもう今の私には同義反復をもってお答えするしかないわけでございまして、今のような
基本
的な
政策
というものに照らして賢明でない、適当でないと判断されるような具体的な措置はとらないようにするということであろうと思います。
照屋寛徳
37
○照屋
寛徳
君
中国
の
台湾海峡
での
演習
をめぐる
中台
関係
の
緊張
の中でいよいよ来週
日米
首脳
会談
が開かれるわけでございますが、新しい時代へ向けた
我が国
の
安全保障
を
考え
ていく上で、特に基地の島沖縄に住む者としてこの
中台
関係
の
緊張
がどういう
影響
を及ぼすんだろうかということで非常に注目をしておるわけです。 それで、これまで外務省、
防衛庁
、それから
政府
を挙げて御努力をしていることはよくわかるわけですが、正直申し上げましてマスコミ等から伝わってくる首脳
会談
へ向けた
外交
交渉の内容に沖縄の県民は期待をしていないというか、また私たち県民のあれが裏切られるんじゃないかという思いが今しているわけです。
安全保障
を
考え
る上で、私は
武力
には
武力
をとか、あるいはかつて冷戦
体制
の中で沖縄の基地が対ソ侵略から
我が国
の安全と
防衛
を守るためにつくられたといってどんどん仮想敵国がふえるのは非常に困るな、こういう思いを持っているんです。
中台
関係
で参考人の先生が「結びつく経済、離れる心」と、こういう表現をしておりましたけれども、結びつく
日米
、離れる沖縄であっては困るわけで、この
中台
関係
が今度の首脳
会談
にどのような
影響
を及ぼすというふうに
考え
ておられるんでしょうか。
折田正樹
38
○
政府委員
(折田正樹君)
中台
関係
で確かに
緊張
が高まったという
事態
がありますけれども、私ども
東アジア
の
安全保障
環境ということを
考え
ますと、既に私どもは冷戦後もこの
地域
には依然として不安定要因が残っているということをずっと申し上げてきたと思うんですけれども、その
認識
が今度の
中台
関係
の問題で言ってみれば改めて確認されたということであって、
認識
自体がこれによって厳しくなったとか特別に変わったという
認識
は持っておらないところでございます。 沖縄の方々が非常に関心を持って見詰めてくださっているアメリカの基地の整理、統合、縮小の問題でございますが、
中台
問題があったから私どもが作業を控えただとか、それからアメリカ側が
中台
問題があるからここのところは今までとは違うんだよというようなことを言ったということは全くございません。
中台
問題があろうとなかろうと、私どもはずっと努力してきているところでございます。 余り大した結果が出ないのじゃないかというようなことを今おっしゃっておられましたけれども、クリントンさんが来られるまでまだ一週間弱ございます。私どもかなり精力的にやっておりまして、実はきょうもこの
委員会
が終わったら直ちにまたアメリカ側と交渉をやる予定でおりますし、今、できるだけの成果が出るように日夜努力しているということは申し上げたいと思います。
秋山昌廣
39
○
政府委員
(
秋山昌廣
君) 今の照屋先生の御指摘は大変重要なポイントでもございますし、今の北米局長の答弁につけ加えて私の方からも一言答弁させていただきたいと思います。 確かに
中台
問題、
緊張
問題が起こった
一つ
の結果として、例えば
我が国
における危機管理
体制
はどうだとか、あるいはもう少し具体的なことを申し上げますと
日米
間の
防衛
協力
の問題はどうだろうとか、そういう問題がある
意味
でクローズアップされたあるいはそういう
影響
があったということは私は事実だろうと思いますけれども、今申し上げました問題については、実は昨年
防衛
大綱を策定したときから問題意識を持っていた問題でございます。その点については当然やらなければいけないということで我々は
考え
ておりましたが、かなりこれをクローズアップして報道されたりあるいは議論されたりしたという印象を持つものでございます。 他方で、沖縄の
米軍
基地の整理、統合、縮小という問題を
考え
る場合において、我々が何度も現時点では次のような方針でということを申し上げておりますのは、
日米安保体制
の目的達成との調和を図りつつ、現有程度の
米軍
の機能とか
兵力
を前提にして何とかその整理、統合、縮小をと、こういうことを議論しておりますが、中長期的に
考え
た場合に、当然のことながら、
我が国
を取り巻く
安全保障
環境あるいは北
東アジア
のいわゆる軍事
状況
といったようなものは
一つ
の大きなこれからの検討すべき
要素
であると思っておりますので、今最初に申し上げたような問題と同時に、
我が国
を取り巻く
安全保障
環境の好転といいますか、より安定したものへの我々の努力というものもあわせて我々は議論をしている。 その点が余り脚光を浴びておりませんけれども、そういう点も我々は十分重視しながら、そしてこの沖縄の問題について検討をさせていただいているということを答弁させていただきたいと思います。
野沢太三
40
○
野沢太三
君
秋山
さんにお伺いしたいんですが、
中国
の軍隊が着々と近代化を進めたり増強したり、特に予算の面で見ると軍事費の増強というのは相当なレベルだと私ども拝察しているわけです。一方、その
意図
というかそういった面では、
防衛
に徹するということで
防衛
白書というものも初めて出すということで、いわば
防衛
的なものであるということも一方で言っているわけです。そういう
状況
でございますと、私どもとしては、
日本
と
中国
のいわゆる
安全保障
対話
というものをもっともっと各レベルで促進をすることが極めて必要であり、有意義であると思うんです。 局長は、このお正月でしょうか、
中国
へも行かれていろいろ
対話
されてきたんですが、その後それをどういうふうに展開するかということについての
話し合い
はどうでしょうか。銭其_さんもおいでになった中で何らかの
進展
があったかどうか、できる限りで結構ですからお話ししてください。
秋山昌廣
41
○
政府委員
(
秋山昌廣
君) 一月の日中安保
対話
における
一つ
のテーマがこの日中安保
対話
の促進あるいは日中
防衛
交流
の促進ということでございました。 今、大きな
課題
として我々が
考え
ておりますのは、従来から
中国
の遅浩田国防部長の訪日というものを実現したいということで、この
課題
が
一つ
ございます。それから我々としては、この遅浩田国防部長の訪日とあわせ、あるいは前後して、今御指摘のとおり、各レベルでの
防衛
交流
あるいは安保
対話
というものを実現したいということでいろいろ具体的な提案もし、現在事務レベルで
話し合い
をしているところでございます。 一月以降実現した話としては、
一つ
は
中国
国防省の詹懋海少将が二月に
日本
にある程度の人数を連れてやってまいりました。このときのテーマは、なかなか私も興味を持ったんですが、
防衛庁
、自衛隊における教育
制度
あるいは教育の
あり方
というものがテーマでございました。
防衛庁
の新しい
防衛
政策
ということではなくて、教育の
あり方
、そこに
一つ
また
中国人
民解放軍の関心が割合と現実的に示されたということで、私は大変興味を持った次第でございます。 そのほか、例えば自衛官、制服組の
交流
も、今もちろん少しは実現しておりますけれども、日中の
関係
でございますから余りにも少ないということで、そういう面での
交流
も
考え
て今検討をしているところでございます。例えば、日韓の
防衛
交流
が過去二年間に急速に発展いたしました。それと同じような
状況
が今起こっているかというと、そうでもございませんが、私は楽観的に
考え
ております。
野沢太三
42
○
野沢太三
君 これはひとつ着実に
一つ
一つ
積み重ねて信頼
関係
を醸成していただきたいと、こう思います。 それから、
加藤
さんにもう
一つ
御質問したいんですが、
台湾
の
独立
は許さないとか阻止すると言っているんですが、民主的に総統を選ぶという手順、手続というのは
中国
の歴史にとってみればいわば初めての経験であった。こういうこともあって、実は
中国
として一番心配しているのは、もし民主的なリーダーを選ぶという手法、要するに
民主化
が本土に及びますと現在の北京
政府
そのものが否定されるんじゃないかということがむしろ心配の種ではないか、こういう
見方
も
一つ
あると思うんですね。十二億とか十三億とか言われるようなあの大きな国が
一つ
でいること自体が
一つ
の奇跡のような気が私はするんです。 それで、社会主義・市場経済という
体制
がいつまで続くのか、要するにこれでどこまでやれるのか、非常に私は興味あるし、それがうまくいけば結構なんですけれども、果たしてどこまでやれるのかなと大変危惧もしておるわけです。これはもう個人的見解で結構ですから、ひとつおっしゃっていただければと思います。
加藤良三
43
○
政府委員
(
加藤良三
君) 全く個人的な見解であり、かつわざわざ申し上げるほどのものでもないのかもしれませんけれども、私の感じを申し上げます。 確かにこういう民選というのは初めてのことであったということだと思います。したがいまして、
中国
の側では今回の
台湾
のあの
総統選挙
を
総統選挙
とは呼んでおりませんで、
指導者
選出の方法の変更というか、そういう表現でたしか呼称していたと思います。 今おっしゃられたような点は、実はこういうレジームということであればそのレジームに不可避的に伴う点であろうというふうに思うんです。まだ今の
中国
の政権というのも過渡期に特有の不確実性、不確定性というものを国内に抱えて
政治運営
を行っている
状況
にあるのではないかというふうに
考え
ます。
中国
についての問題点というのは、やっぱり
中国
が非常に大きな存在であって、これはだれにもうまく
中国
を自分の意のままに誘導することができない存在だということなんだろうと思います。
独立
国であればおおむねそういうことだという御意見はあり得るでしょうけれども、特に
中国
の場合にはこの地球上のだれをもってしても
中国
をうまく誘導することさえ非常に難しい。まして
中国
自身が言うようにコンテーン、封じ込めというようなことをしようとしても不可能な国であるだろう、そういう不可能な実体であるだろうというふうに私は
考え
ております。 そういう誘導不可能な巨大な実体というものがあって、その進み方というのは結局その本体自身において決められなければならないことでございますけれども、それでは全く打つ手がないかといえば、ただ供手傍観しているということではなく、その巨大な実体がなるべく我々の目に触れる世界で透明性を持ちながら活動していってくれる、ないしはそういう
状況
を確保するということだろうと思います。 既にAPECというような
枠組み
がございます。それからASEAN
地域
フォーラムのような
安全保障
の
対話
の場もございます。
アジア
・欧州
対話
というような
枠組み
も新たにできてまいりました。それから、今度ASEANの非公式首脳協議とかいろんな会合があるたびにASEANの側から
日本
、韓国とあわせて
中国
に招待方招請があるというケースも多く予想されるわけでございます。そういうふうな
枠組み
が、
政治
、
安全保障
、経済、いろんな面にわたってつくられてきて、その中に
中国
がメンバーになっているという状態が最近顕著になってきているということも、今、先生が御指摘になられましたような
アジア
におけるそういう感じというものをもしかしたら心の底に置いて出てきた話なんではないかという気もするわけでございます。 そういう枠内においてどういうことが結局自分たちの、
日本
でいえば
日本
の
国益
にとって一番よい方途であるのかということを
考え
ながら、
中国
とのおつき合い、
中国
への
政策
ということを
考え
ていくということしか実はないだろうと思います。
高野博師
44
○高野
博師
君 簡単にお伺いしたいと思います。 今の
加藤
局長のお話で大体解答はあるのかなと思うんですが、
一つ
はこれから
中国
が一体どうなるのかということなんです。この膨大な十三億という
人口
を抱え、そしてまた広大な土地を持っている
中国
で当然、古い言葉ですが富国強兵、あるいはナショナリズムを高揚する
政策
をとっていくんだろう、こう思うんです。そういう中で
中台
緊張
とかあるいは天安門事件のようなことはこれからも十分起こり得るのではないかなというふうに私は見ております。 もう
一つ
は、対
中国
の
外交
政策
の我が方のカードとしてよく言われている円借なんですが、この円借というか、そのカードの使い方というか、これが余り上手でないんではないか。
核実験
をやったときにすぐ円借をやめるぞということを言って、かえって逆に賠償問題を持ち出すぞということでおどされるとかそういうこと。今回は
政府
は円借の話は全くしませんでしたけれども、与党の一部の
政治
家は円借はやめるべきだなんということも言っている。したがってこのカードそのものは
中国
に対しては余り効き目がない。したがって、この
外交
のてこというか、カードはまた別なものを
考え
るべきではないかというふうに私は思っております。
中国人
の物の
考え方
の
一つ
として、本音を言うのは余り尊敬されないということで、特に
中国
にとっては経済的な問題が一番痛いところ、そこをこの円借を絡めて言われることは一番嫌なところで、そういう
やり方
は再検討する必要があるんではないかというふうに私は思っております。簡単で結構でございます。
加藤良三
45
○
政府委員
(
加藤良三
君)
中国
に対する円借というのは、単に円借という以上の
意味
を持っていると思います。それは、今のような
日中関係
を下から支える最大の柱としての
役割
を果たしているということだと思います。この円借が、言葉をかえて申し上げれば、
中国
が改革・開放
体制
、改革・
開放政策
、これを追求することを可能にする非常に大きな道具立てになっているということだろうと思うので、その
意味
というものを看過してはならないというふうに思います。 現実に
中国
に対して円借をどういうふうにするかということは、今申し上げました円借がエキストラに持っている重要な
意味
も踏まえて、そして慎重に検討されるべきものだというのが
政府
の
立場
でございまして、それ以上のことをこれまで申し上げたことはないと思います。
武見敬三
46
○小
委員長
(
武見敬三
君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会