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武田邦太郎君
先生方の話を伺っている間にちょっと
予定外のことを話したくなりました、あしからず。
外務省が、ただ外国とのおつき合いじゃなくて、本当に望ましい
世界を実現するための、むしろ
世界政策省的性格をだんだん深くしているんじゃないかと思うんです。これは前の河野
外務大臣のときにも申し上げたんですが、それにしても余りに
予算がみみっちいですね。とにかく防衛庁の
予算の六分の一もないですからね。だから、私は、今の
お話にもありましたけれども、これから先の国際紛争を解決する手段として、
日本だけじゃなくて
世界のすべての国が武力は使わないというのが、これから先の歴史段階のいや応なしの歴史的要請だと、こう思います。
そういう国際間の問題、民族間の問題を武力で解決しようとする姿勢を改めない限り、どんな国でも核兵器を持ちたいと思うことは間違いない。あるいは最近では核兵器よりももっとコストが安くて殺りく効果の大きな、超近代的な化学兵器あるいは生物兵器があらわれつつあるということも情報としてあります。
こういうことをなくそうと思うならば、片方では国際ルールとして、国際間の問題は、劉邦ではありませんが、始皇のやり方をやめてモラルと英知によって解決する、武力は使わないということが、今のところでは
日本の憲法が唯一の憲法でしょうけれども、すべての国の憲法にこれを書かしめる努力をすることが
日本の
世界政策の一番大事なところであってしかるべきだと思うんですね。
現在の
外務省の
予算でも、半分は大体外国に対する
経済協力、もしくはそれに準ずる
予算ですね。だから、中身はだんだんよくなっておるんですけれども、いかんせん金額がみみっち過ぎる。
これも河野大臣に申し上げたんですけれども、例えば北方領土の問題を解決するのに今のようなやり方では百年河清を待つがごときものだと。ロシアと中国が仲よくなっているのは、地政学上の問題もありましょうけれども、今日、バイカル以東のロシアの国民の生活にどれだけ中国の行商人的な
経済活動が寄与しているか。珍宝島ですか、ああいう国際的な問題もとっくに解決したのは、やはりそこにロシアと中国との間の
経済協力といいますか、むしろ中国側からの
経済援助が実質上バイカル以東のロシアの国民に浸透しているからこそ可能なのであって、
日本がもし
外務省のリーダーシップによってバイカル以東のロシアの国民生活に
日本の
経済力、技術力をしんしんとして進めれば、北方領土なんかは熟柿が落ちるように返ってくるんじゃないですか、ちょっと話がよ過ぎますけれども。まずそういう流儀も考えてもらいたいのです。
これから先、
外務大臣の
活動は相当長い年数にわたるわけでありますから、そういうようなことを考えに入れて、少なくとも河野大臣には二兆円は欲しいというように申し上げたんです。それはせめて防衛庁の半分くらいという
意味でありました。
ことしの
外務省の
予算にもエネルギーとか食糧増産を特に取り上げておられるのは非常に聡明な問題キャッチだと思います。とにかく中国と仲よくしようと思えば、これはもう食糧問題とエネルギー問題を解決することで、それは中国の運命だけではなくて
日本の運命をも決定する重要問題でありまして、これはボランティアなんかでは歯が立たないんですね。どうしても
外務省が
予算を十分にとってこれに対応すると。
北朝鮮にしましても、百万トンや二百万トンの米を上げるのもいいですけれども、食糧生産そのものについて我々の真心と技術を提供する、こういうことが韓半島の平和の
一つの大きな主柱をむしろつくることになるのじゃないか。
中国と北朝鮮が非常に問題だと言うと、大臣はちょっと見解は違うようでありますが、日米安保は特定の国を目指したんじゃないと、こうおつしゃいますけれども、それは大臣のお考えで、仮に中国と北朝鮮が本当にそういう我々の
経済的、
文化的な、
文化的なというのは教育問題とか衛生問題を含むわけでありますが、ということで現在のとげとげしい対立
関係が解消すれば、これはアジア太平洋か何かは知りませんけれども、その地区における
一つの重大な平和要因が成長することは間違いありません。
アメリカのペリー国防長官自身も、アジア太平洋の安全と平和を守るには
日本と
アメリカの安保だけじゃ足りない、やはり中国、北朝鮮あるいは韓国、こういう国々が本当に日米安保の精神において手を握ることが必要だという
意味のことを言っておられるわけです。これは、私はそれらの国々が三十年の不可侵条約を結べば一番いいと思いますけれども、しかしペリー長官の
考え方もその根底においてこれらの国々が武器を持って対立しないという論理でありますから、これはなかなかいい線じゃないかと思います。ぜひ日米両
外務大臣においてこの線を掘り下げていただきたいと、こういうふうに思います。