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武田邦太郎君 例によって原則論的な問題でございますが、
有事に対して対応するとか準備するとかということが盛んに言われるんですが、
有事を起こさせないような
努力がもっと大事だと思うんです。特に、
外務省は防衛庁ではないわけでありますから、防衛庁とは多少意見が対立してもそういう御
努力をお願いしたい、こう思います。
それで、このたびの
北朝鮮の非武装地帯任務放棄のことについて、新聞情報ですが、
北朝鮮は
韓国を除いてアメリカと直接的に話したいんだと、こういう見解があるようでありますけれ
ども、私などは、
日本がアメリカや
韓国を説きつけて、向こうはそういう気持ちがあるのかないのか、あるとすれば、大いに結構だよといって
北朝鮮と存分の話し合いをするという
姿勢を明らかにするくらいがいいのではないかと思うんです。そうでなくても向こうは孤独でかたくななわけですから、このかたくなな心を解きほぐして、例えば人民が飢えているといえば、
日本などは格別縁の深い間柄でありますから、一時間でも早くお米ならお米を届けてあげたいという気持ちといいますか、そういうものが響かなければお米を送るにしても
意味がないわけですね。だから、そういう心で向こうの心を開かせる
姿勢がこちらに必要ではないか。
先ほど来この
委員会でも、国交がないから国交がないからということを繰り返されますけれ
ども、これは国交を開こうじゃないかということを事あるごとに向こうに呼びかける、そういう
姿勢を
日本が持たなければ、能力の高い民族ですからなかなか難しいことはよくわかりますけれ
ども、大臣は頭のいいことでは定評があるわけですから、書類を見ても眼光紙背に徹するというふうにだれでも思っておるんですが、事平和問題については、人がよくて善意の塊だという一面を持ってこういう国には接していただけるとありがたい。
十回のうち一回や二回はだまされてもいいじゃないかぐらいの
姿勢で、それは知らないでだまされるというのはよろしくありませんけれ
ども、ちゃんと知っておって、それで許される範囲のことはまあまあだまされた格好をしようというぐらいのところがあってもいいじゃないかと思うんです。そういう
姿勢がないと、
有事有事といって
有事の準備をすれば本当の
有事になってしまうんですね。これは人類はたびたび経験しました。だから、
有事を起こさせない
努力をするのが
外務大臣としての何よりのお仕事ではないかというふうに思うんです。
アメリカもかなり腕力を振るうのが好きでありますし、
韓国はもうつばぜり合いの形でありますから、その中で
日本が両国の肩をたたいて、それも理屈はあるけれ
ども我々三国は
北朝鮮を包容しようじゃないかということを言い出す
立場に
日本が一番あるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。