○戸田
邦司君 私は、
平成会を代表しまして、特に運輸省
関係の法案について御
質問申し上げたいと思いますが、その前に、関連で二、三お尋ねをしたいと思っております。
先日の本
会議で基本的なことについては大体御
答弁いただいておりますが、その中で
我が国が
条約の
批准が遅いというお話を申し上げました。
外務大臣の方から非常に真摯な、また丁寧な御
答弁をいただいております。
これは一般論でありまして、例えば今までの例を見ますと、
条約法条約、通称ウィーン
条約と言っておりますが、これなども
発効が昭和五十五年の一月、
日本が
条約を
締結しましたのが五十六年の八月、こういう重要な
条約でもおくれて
条約を
締結している。それで、このウィーン
条約なんというのは直接直ちに何か行使するとかいうようなことではないので実効上差し支えなかったというようなことがあるかと思いますが、
条約の種類というか内容によっては
我が国の発言権が、発言力が弱まるような場面もあるんじゃないか、そういうような感じがしておりましてお話し申し上げたわけです。
それで、ぎりぎりになってそういう
条約の
締結の
承認を求めてくるというようなことになりますと、例えば
国会が解散されてしまうと次の年までどうにもならないというようなことがありますが、現実にそういうようなことが起こったことがあります。そのとき、
締約国各国にその事情を説明しまして
我が国のものを受け入れてもらうというような措置をしておりますが、
条約の中身によっては非常に技術的な内容でそれほど
審議を要しない、そういうようなものもあるわけでありますが、そういったものをどういうふうに扱っていくかというようなことも
一つの問題ではないかと思っております。
英国議会の例ですが、
条約締結の
承認を議会に求めてきた場合に、ことしはこういう
条約を
締結しますよということを議会の廊下にかけてあるんだそうですね。これは私が確認したわけじゃありません、話を聞いただけですが。それで、関心のある人がそれを
一つずつめくっていって、これについては
質問があります、検討すべきですというようなことを言うと、それが初めて検討される、そうでないものはそのまま
政府が
承認されたものとして
条約を
締結しますというようなことがあるそうなんです。
それから、これも英国の例ですが、たしかマーチャント・シッピング・アクトというのがありまして、その中で、海上における人命の安全の問題、それから
海洋汚染の問題、この
関係の
条約を
締結するための
承認については運輸
大臣にその権限を委任する、それらに関する国内法の制定についても運輸
大臣の権限とする、こう書いてあります。そういったこともありまして、
我が国の場合、直ちにそういうようなことができるかどうかといえば非常に問題が多い点があるかとは思います。
今度の
海洋法条約ですが、これは膨大な
条約ですから、事務方の作業が相当大変だったんじゃないかと私は思います。正訳をつくるだけでも非常に大変な作業だったろうと思いますし、それから国内法とそれに
条約を照らしてそれで落ちがないかどうか、そういうところを精査していく、それも大変な作業だったのではないかと思います。
こういう大
条約ばかりではありませんで、国内法の措置ができるという見通しのもとに
条約だけ
締結したという例があります。例えば宇宙三
条約、これは国内の法制化が必要だったと私は思いますが、国内法の制定をしないで
条約の
批准をしている、そういうような例もあるわけです。
私が申し上げたいのは、
条約の
締結についてどうしてもぎりぎりになってしまうというようなことについては、外務省の方にも言い分があるだろうと思うんです。その辺、外務省側も検討をしていただいて、
国会がもうできるだけそれにこたえていく、それがこれからの国際社会での
我が国が強い
立場でいろんな場に臨める、そういうような基本ではないかと思いますが、その辺について
外務大臣からちょっとお話しいただければと思います。