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1996-04-10 第136回国会 参議院 科学技術特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年四月十日(水曜日) 午後二時開会
—————————————
委員
の
異動
三月二十九日 辞任
補欠選任
谷川
秀善
君
志村
哲良
君
中原
爽君
沓掛
哲男
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
長谷川
清君 理 事 鹿熊 安正君 吉川 芳男君
石田
美栄君
川橋
幸子
君 委 員
海老原義彦
君
沓掛
哲男
君 河本 三郎君 楢崎
泰昌
君 松村 龍二君 友部 達夫君 林 寛子君 山崎 力君
峰崎
直樹君 山本 正和君 阿部 幸代君 立木 洋君
国務大臣
国 務 大 臣 (
科学技術庁長
官)
中川
秀直
君
政府委員
科学技術政務次
官
松谷蒼一郎
君
科学技術庁長官
官房長
工藤 尚武君
科学技術庁原子
力局長
岡崎 俊雄君
科学技術庁原子
力安全局長
宮林
正恭
君
事務局側
第三
特別調査室
長 塩入 武三君
説明員
原子力安全委員
会委員
佐藤
一男
君
参考人
動力炉
・
核燃料
開発事業団理事
長
大石
博君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
(
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム
漏
えい事故
に関する件)
—————————————
長谷川清
1
○
委員長
(
長谷川清
君) ただいまから
科学技術特別委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る三月二十九日、
谷川秀善
君及び
中原爽君
が
委員
を辞任され、その
補欠
として
志村哲良
君及び
沓掛哲男
君が選任されました。
—————————————
長谷川清
2
○
委員長
(
長谷川清
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
のうち、
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関する件の
調査
のため、本日の
委員会
に
動力炉・核燃料開発事業団理事長大石博
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
長谷川清
3
○
委員長
(
長谷川清
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
長谷川清
4
○
委員長
(
長谷川清
君)
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
のうち、
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関する件を議題といたします。 同件に関し、
政府
から
報告
を聴取いたします。
中川科学技術庁長官
。
中川秀直
5
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 昨年末の「
もんじゅ
」の
事故
につきましては、
地元
の
方々
や
国民
の
皆様
に大変な
不安感
、
不信感
を与えるという極めて遺憾な結果を引き起こし、
原子力行政
を預かる者として心からおわびを申し上げます。 私は、徹底した
原因究明
を進め、万全の
安全対策
を講ずるとともに、積極的かつ速やかな
情報公開等
を行うことにより、一刻も早く
国民
の
皆様
の不安、
不信
を解消し、
信頼
を回復することが重要と考えております。 このため、当庁の
原子力安全局
において鋭意
調査
を進め、去る二月九日に、これまでの
調査検討
の結果を取りまとめ、公表するとともに、引き続き破損した
温度計部
の
詳細調査等
を行ってきたところであります。 また、
原子力安全委員会
におかれましては、
第三者機関
として、独自の
立場
から
原因
の
究明
及び
再発防止等
のための
調査審議
が行われております。 今後、さらに
ナトリウム漏えい実験
、
振動解析等
を行い、これらの結果を総合的に評価し、万全の
安全対策
を講じてまいる決意であります。 本日、このような
調査検討
の
状況等
について、私より
参議院
本
会議
に御
報告
いたしたところでありますが、さらに、本
調査検討
に直接携わっている
原子力安全局長
より詳細について
説明
させることにいたしたいと存じます。 よろしくお願いをいたします。
長谷川清
6
○
委員長
(
長谷川清
君)
宮林科学技術庁原子力安全局長
。
宮林正恭
7
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 御
説明
させていただきます。 お手元に「
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
の
調査状況
について」という四月十日付の資料がございますので、それをごらんいただきながら聞いていただければと思います。
事故
は十二月八日に起こったということは既に御存じのとおりでございまして、
科学技術庁
の方では、
安全規制部局
であります
原子力安全局
に外部の
専門家
及び当
庁職員
から成ります
タスクフォース
を設置いたしまして、
立入検査等
を行いながら事実
関係
の解明、
調査
を進めてきております。 二月九日には、
漏えい発生原因
、
漏えい
後の
拡大防止
及び
動燃事業団
の
事故
時の対応といったようなことにつきまして整理をいたしまして、これまでの
調査状況
を取りまとめ、御
報告
したところでございます。 これらの中で
幾つ
かの
問題点
を指摘しておりますけれ
ども
、これに対しまして、二月二十七日に
動燃事業団
から
回答書
の提出がございました。その中で、
指摘事項
については可能なものから
改善措置
を早急に講じていくということが述べられております。 これにつきましては、
考え方
としては基本的におおむね妥当である、こういうふうに考えておりますが、具体的な
措置
につきましては、引き続き
動燃事業団
において
検討
が進められているところでございます。 次に、
原子力安全委員会
の方におかれましては、
事故
の翌日直ちに
安全委員
のお一人を
現地
に派遣されるとともに、独自の
立場
から
原因
の
究明
及び
再発防止
のための
調査審議
を行うこととされまして、
専門
の
ワーキンググループ
を設置いたしまして、
原子力安全委員
の
方々
も参加され、これまで四回の
現地調査
あるいは八回の会合といったようなことを行われまして
調査
が進められていると承知しております。 また、これに加えまして、
研究開発段階
の
原子力施設
に係る
事故
時の
情報公開等情報流通
の
あり方
及び
研究開発段階
の
原子力施設
に係ります
安全確保
の
あり方
という事柄につきまして既に
検討
しようということにされております。 それから次に、最近の
調査状況
でございますが、
漏えい
いたしました
温度計部
の
詳細調査
につきましては、これは
Cループ
の
配管
にあったわけでございますが、これを切り出しまして、
日本原子力研究所
及び
金属材料技術研究所
において破
面観察
などの
調査
を実施してまいりました。その結果は四ページをごらんいただきたいと思います。 破面は
温度計
の
さや管
の破面でございますが、真ん中にございます図のちょうどドーナツみたいになっておりますのが空洞の
部分
でございまして、
ナトリウム上流側
、
ナトリウム下流側
と書いてございますが、この両側から
亀裂
が出まして、それで、特に
ナトリウム
の
上流側
の
亀裂
の進行がどんどん進みまして、結果といたしまして、
ストライエーション領域
と書いてあります、ちょっと点が書いてあるような
部分
でございますが、こういうところが最終的にちぎれた、こういう形の全体的な
構造
になっているというふうに御理解をいただければと思います。これを
立体観察
の形で図に書いてみますと、下の図のようなことになります。 それから次に、
温度計
の
さや管
でございますが、これは本体の方でございましたんですが、一方の
さや管
、約十五センチぐらい、直径が一センチぐらいのものでございます。これの探索に手間取りまして
皆様方
にも大変御心配をおかけしたわけでございますが、ようやく三月二十八日に至りましてこれを見つけました。現在、これらにつきまして、
配管
を切断いたしまして取り出すための
準備作業
を行っております。今月の二十四日には
回収作業
が開始できるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
参考
の二、五ページに具体的に見つかった
場所
が示されておるところでございます。 上の図で
蒸気発生器
、
過熱器
と
蒸気発生器
は実は二
段階
に分かれておりますので、その
温度
をより高める
方向
のものを
過熱器
と呼んでいるわけでございますが、その
過熱器
の中の
ナトリウム
がちょうど入り込んでまいります
分配器
、こういうふうに称している
部分
がございますが、この中に
さや
が埋まっていた、こういうところでございます。これにつきましては、非常に複雑な
構造
のものでございますので、この中へ
機械機器
を持ち込みまして具体的に取り出すという
作業
は、ちょっと何らか一工夫、二工夫必要ということで、現在その手配をしているというところでございます。 それから三ページでございますが、
ナトリウム
の
燃焼挙動
あるいは
ナトリウム
の
燃焼
に伴う
影響
といったような
調査
につきましては、いろいろとやはり
試験
をする必要がございます。当然、
現場
の
調査
あるいはコンクリートのサンプリングな
ども
行ってはおりますけれ
ども
、そういう
試験
をやる必要があるわけでございます。これにつきましては先月末に
実験
を試みたところでございますが、残念ながら
ナトリウム
が早期に
漏えい
しましたために中止のやむなきに至りました。また、四月八日に再
実験
を試みましたところ、
予定
の
流出量
の三分の一の
流出
にとどまっております。現在、これらの
実験
結果につきまして取りまとめを進めておりますけれ
ども
、この結果を得まして今後の
方針
を決定したいということでございます。 また五月には、
現場
の
機器配管等
の
状況
を模擬した
実験
をやりたい、こういうふうに考えており、そのための
準備
中でございます。 また、
ナトリウム
が
漏えい
いたしました
Cループ
にあります他の
温度計
を切り出しまして、
損傷調査等
を実施いたしております。 それから、
Cループ
以外にA、
Bループ
というのがあるわけでございます。これらにつきましては、現在も
崩壊熱
を除去するために
ナトリウム
を循環させて冷却しているわけでございますが、
ナトリウム
の流速が小さいために、
温度計
に何らかの
損傷
があったとしてもその
損傷
が進展をいたしまして折れてしまうということはない、こういうふうには考えておりますものの、念のため
温度計
の
密閉性能
を強化いたしまして、万一破損を生じましても
漏えい
が生じないような
安全対策
を講じているところでございます。 今後の
予定
といたしましては、これまでの
調査
及び
実験
は
先ほど
申し上げました
タスクフォース
の指揮のもとに行ってきておりますが、
先ほど
も申し上げましたいろいろな
実験
をやりまして、それが終了し、その評価を行った上で
再発防止策
を取りまとめ、その上で最終的に
報告
を出せる
段階
になるのではないかというふうに考えております。 なお、途中経過につきましては
節目節目
で公表するというふうに考えておりますので、最新の
情報
につきましては、そんなに遅くない
段階
、できれば連休前には何らかのものが出せないかということで、今、鋭意努力をしている
段階
にございます。 以上でございます。
長谷川清
8
○
委員長
(
長谷川清
君) これより
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
川橋幸子
9
○
川橋幸子
君 社会民主党の
川橋
と申します。 本日は、順番を変えていただきます等、
委員長
初め
関係者
の
皆様方
の御配慮をいただきまして大変ありがとうございます。 ということで、いつものように
大会派
の
先生
の非常にアウトラインがわかるような
説明
的な設問が入りませんで、突如私の自分の
関心事
についてお尋ねさせていただきます。 きょうは本
会議
もございまして、
石田先生
、また我が党の
同僚議員
の
照屋
さんが大筋質問しておったわけでございます。そこで私は、前回、三月二十八日の当
委員会
で
第三者機関
のことをお尋ねさせていただいたわけでございますけれ
ども
、本
会議
の中でもその問題について質問があり御答弁がありましたが、この
委員会
には、直接その
第三者機関
の
メンバー
でいらっしゃる
佐藤一男
先年にお見えいただいております。お忙しいところ恐れ入りますが、ぜひ
第三者機関
、御
自身
のお言葉で御
説明
いただければありがたいと思います。 さて、今回、
参議院
での本
会議
の取り上げが
タイミング
はおくれたわけでございますが、おくれたといいますか、それが大変幸いいたしまして、妙な言い方でございますけれ
ども
、非常に大きな
節目
がちょうど来ているような
感じ
がいたします。
事業体
、
行政
、そして
安全委員会
、この三者の中でかなり結論が煮詰まりつつあること、それから国際的な動きといたしましては、
原子力サミット
が
日米首脳会談
の後、引き続き十九、二十日とモスクワで開かれる、またそのために
事前
のIAEAの
国際会議
が開かれて、チェルノブイリから十年たった今日において、
原子力
の安全について
専門家
の中でも
条約策定
に向けての議論がなされている、こういう
大変節目
の時期でございます。 私
ども
の
照屋議員
が申し上げましたように、昨年、戦後五十周年の
節目
でさまざまな
安全神話
が崩れるような、非常に
国民
にとりましてもあるいは
国民
に対しまして
責任
を負う議会といたしましても心の痛い話があったわけでございますけれ
ども
、年が明けまして、これからはどうやってこれを立ち直らせていくか、どうやって
信頼回復
をしていくか、そういう年になっていくのではないかと思われるわけでございます。こんな観点から
佐藤先生
にお尋ねしたいと思います。 まず一点目は、
原子力安全委員会
におかれましては今回の
事故
をどのように受けとめておられますでしょうか。
タイミング
よく
原子力安全白書
も発刊していただいたところでございます。概略述べられているかとは存じますが、
佐藤委員
の方から
お答え
をお願いしたいと思います。
佐藤一男
10
○
説明員
(
佐藤一男
君) 今回の「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関しまして、これは御
案内
のとおり、
漏えい
が発生いたしましたところはいわゆる二次系でございまして、そのために、周辺の公衆あるいは
従事者
への
放射性物質
の
影響
あるいは放射線の
影響
、こういうものはなく、
原子炉
も安全に停止はされたわけでございます。しかしながら、だからといってこれでこの
事故
は等閑視してよろしいというふうには
安全委員会
は決して受けとめていないところでございます。逆に、私
ども
としましては、結果はともかくとしても、この
事故
を非常に重く受けとめているところでございます。 その理由というのは
幾つ
かございますが、主なところを申し上げますと、まずこの
ナトリウム
を取り扱う
技術
というのは、
高速増殖炉
の
技術開発
をしなければならないさまざまなものがございますが、その中でも中核となるようなものでございます。これにつきましては、当然のことでありますが、高い
信頼性
を確保するということにしていたにもかかわらず、たとえ二次系であっても
漏えい
が起こったということになりますと、この
技術そのもの
が本当に十分なレベルまで到達しているんだろうか、もし足りないところがあればどういうふうにこれを補っていかなければならないのか、こういう問題が浮かび上がってくるわけでございます。 さらにまた、あえてつけ加えさせていただきますと、こういう
原子炉施設
のような、いわゆる俗に言う
巨大システム
でございますが、非常に複雑で巨大な
システム
におきましては、思いがけない
場所
の出来事がまた思いがけないところに
影響
を及ぼすということも決して珍しいことではございません。そういうことで、これが二次系であるといって私
ども
は等閑視するようなことなく、むしろ問題を非常に幅広くかつ深くとらえて解明していかなければならないというふうに受け取っているところでございます。
先ほど
も申しましたように、高い
信頼性
を確保することにしていたにもかかわらず、このように実際に
漏えい
が生じ、しかも、この
漏えい
を速やかにとめることができず火災の
影響
を拡大するというような事態が起こりました。さらにまた、その後、御
案内
の
ビデオ問題等
も含めまして
情報公開
あるいは
情報
の
伝達等
に大分問題があったということも明らかになっております。これによりまして、
地元
の住民の
方々
を初め多くの
国民
の
方々
に不安あるいは
不信感
というものを与える結果になった。これは
安全委員会
といたしましても極めて遺憾に存ずるところであります。 こういうようなことも踏まえまして、
安全委員会
といたしましては、今回の
事故
を重視いたしまして、独自の
立場
から
原因究明
及び
再発防止対策
等々の
調査審議
を行うこととしておりまして、
原子炉安全専門審査会
の中に
ワーキンググループ
を設置いたしましてそれに当たらせているところでございます。 また、
先ほど
ちょっと
安全局長
の方からも御紹介がございましたが、私
自身
も
事故
の翌日十二月九日、直ちに
現地
に参りまして
状況
の
把握
に努めました。その後、実は十二月二十二日にも
現地
に参っておりますが、この
状況
の
把握
に努めてまいったところでございます。 大体受けとめ方としてはこういうことだということに御理解いただきまして、この
原子力
安全の
行政
を的確に遂行していくために、
地元
の
方々
を初めといたしまして
国民
の
信頼
が大前提でございますので、私
ども原子力安全委員会
といたしましても、その期待にこたえるべく、全力で本件に取り組むつもりであるということでございます。
川橋幸子
11
○
川橋幸子
君 ありがとうございました。御熱心に御
報告
いただきましたその
方向
で着実に取り組んでいただきたいと思うのでございます。 起こったことは起こったことで、その
原因
を
究明
するなりあるいは
責任
の
所在
を明らかにして、これからの
危機管理対策
といいましょうか、災実
対策
といいましょうか、その
システム
を確立していただきたいと思いますが、その中で一番大きなポイントは、やはり
安全審査
の問題ではないかと思います。今回は
原子力安全委員会
がどんな
役割
を担われて、
事前
の
安全審査
についても
責任
を持たれたと思うのでございますけれ
ども
、そこにやはり不備があったと言わざるを得ないということではないのでしょうか。 きょうの本
会議
の中で、
大臣
の
説明
に対して我が党の
同僚議員
から、
温度計
の
設計ミス
かと非常に簡単明瞭に質問いたしました。それに対する
お答え
は、
ミス
という片仮名ではなくて日本語で
お答え
になられまして、あれはもっと短縮して端的に言えば、
大臣
の口から
ミス
があったとおっしゃったというふうに私
ども
は理解できるような気がいたします。 その
ミス
があったかなかったかではなくて、
安全審査
というものは、
事業体
、それから
行政
、そして
第三者機関
、ことし出ました
白書
によりますと、一ページ目には、工夫されたんだと思いますが、
顔写真入り
で
メンバー
の
方々
が御議論していらっしゃる風景が載っております。
原子力安全全般
について厳格な
調査審議
を行っていますと、そういうペーパーもございます。 そうした
事前
の
安全審査
が今回はどこかに
ミス
があった、そごがあった、欠陥があったとしたら、これを修正するのが
信頼
を取り戻す一番大切なことではないかと思いますが、
佐藤先生
いかがでございましょうか。
佐藤一男
12
○
説明員
(
佐藤一男
君)
安全委員会
の
役割
と申しますのは
規制行政全般
にわたるところではございますが、今お尋ねの
安全審査
は、
原子炉施設
あるいはその他の
原子力施設
のいわゆる
設置許可
時の
審査
を指しておられるものと理解いたします。 この
審査
におきましては、その
施設
の
基本設計
ないしは基本的な
設計
の
考え方
、こういうことについてまず
所管行政庁
、この「
もんじゅ
」の場合は
科学技術庁
でございますが、
所管行政庁
において
安全審査
が行われます。その後、
原子力安全委昌会
は、その
審査
の内容につきまして法令の定める
許可
の
基準
、例えば
技術能力
でございますとか、災害の
防止
上支障がないといったような
基準
の適用についてそれが妥当なものであるかどうかということを
審査
する、これを
通称ダブルチェック
と呼んでいるところでございます。 ただ、さらに
設置許可
に関する答申に際しまして、必要に応じまして、その後、
設置許可
以降
行政庁
が行う
設計
及び
工事方法
の認可でございますとか、使用前検査でございますとか、そういう後続の
規制
の
段階
におきまして特に留意すべき
重要事項
があればこれを摘出いたしまして、
行政庁
にこれを伝え、そしてその
処理方針等
について
報告
を受けているところでございます。 以上が
安全委員会
と
安全審査
のかかわりでございます。
川橋幸子
13
○
川橋幸子
君
設立許可
時の
審査
というふうにやや限定的な
感じ
で私は
お答え
を受けとめましたけれ
ども
、
設立許可
時の
審査
というのは今後の、もし
運転再開
が可能になるとすれば、そういう
状況
になるとすれば、そのときにもこの
審査基準
がしっかりと体系づけられて、今回の
事故
が起こるようなことがないようなより綿密な
基準
を考えていかれる必要があると思うんです。そういう
意味
の
ダブルチェック
だと思うんです。 時間がなくて恐縮なのですが、私は、やっぱりぜひとも聞きたい、
具体例
でもって聞いた方がわかりやすいかと思って聞きたいわけでございますが、
温度計
の
安全性
の問題でございます。本
会議
でも指摘されておりましたが、なぜ
常陽
と違ったものを使ったのか。
安全性
を
チェック
して、それで今度は「
もんじゅ
」で臨界になったわけです。何のためのテストだったのかというのは、これは常識的に非常に疑問に思います。
常陽
と違ったのはなぜか。 それから、
フランス
の
スーパーフェニックス
の
事故
の
情報
が入っておった。
さや管
は長いよりは短い方がよい、短くしないと
事故
が起こりかねないと、そういう
フランス
の
事故
の教訓があった。それがなぜ
学習効果
として生かされないのか。 それからもう一つ、これは
新聞情報
でございますが、
温度計
の
技術
的なガイドラインについては、ASME、
米国機械学会
がつくられておられて、ここでも
カルマン渦
だけではなくて、今回、多分そうであろうというふうに推測されておる
対称渦
というんですか、この渦のために
温度計
については九一年に指針を変えておられた。 これだけの
材料
があり、これだけの
情報
があり、多分これは皆さん、
事業体
も
行政
も
安全委員会
も一番最高のアカデミックな
人たち
がいらっしゃるわけですから、共有されたと思うわけです。なぜ生かされないのか、非常に不思議でございます。 そういう
安全審査
の
役割
と
責任
について、追及しているわけではございません、これからどうするかという
意味
を含めて
お答え
いただきたいと思います。 これは日経新聞でございますか、この社説の中でも、
責任
の
所在
の不明確さ、
温度計
の
安全性
をだれが
責任
を持って
チェック
するのかと。これは
温度計
というのは例示でございます。ほかにもさまざまな
構造
があり部品がある、
材料
があるわけでございますけれ
ども
、
具体例
を挙げて
温度計
についてお伺いしたいと思います。
佐藤一男
14
○
説明員
(
佐藤一男
君)
お答え
申し上げます。 まず
施設
全体、この
温度計
も含めまして、その
安全確保
の
責任
はだれが負うのかということでございますが、これはもう明瞭でございまして、
施設
の
設置者
でございます。 それで、
規制当局
は、その
設置者
が
社会的責任
を果たしているかどうかを監視し監督する、いわゆる
監督責任
を負っておるわけでございます。
安全委員会
は、さらにその上に立ちまして、
規制当局
の
規制
が適正、妥当であるかどうかを見守る、これも非常に重要な任務であり
責任
であるというふうに理解しております。 さて、この
温度計
の問題でございます。この
温度計
は、そういう
意味
ではまず
設置者
がちゃんと
チェック
をしなければならないということでございます。実際に、
規制
で仮にこれを
チェック
するといたしますと、恐らくは
設計
及び
工事方法
の認可という
段階
で
規制当局
が行うものと考えますが、現在までの慣行ではそこまでの詳細は監督が及んでいなかったというふうに聞いております。 しかしながら、今回の「
もんじゅ
」の
事故
を踏まえますと、
安全委員会
では、もう既に十分経験も積みほとんど定式化されているような
原子力施設
ではなくて、この「
もんじゅ
」のように
研究開発段階
の
施設
につきましては、既にもう十分経験を積んだような
施設
とは違った目で見て、そして
安全確保
のためのさまざまの
対策
を講じていかなければならないであろうと。この中には、当然のことながら
規制
の
あり方
、あるいは
安全委員会
の監視の
あり方
も含めてでございます。そういうものが必要ではないかというふうに考えまして、
先ほど
申し上げました
ワーキンググループ
での
調査審議
、あるいは
規制当局
の
調査
等の結果も踏まえまして、その基本的な
考え方
を
検討
することとしてございます。
川橋幸子
15
○
川橋幸子
君 時間がないので、本来ならばこの御
説明
に対して私の再疑問を呈したいところですけれ
ども
、きょうはこの
お答え
では大変不満だということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
原子力安全全般
について
国民
に対して
責任
を負う。
国民
に対する
責任
という
意味
では、
現場
、それから
行政
、その上に立ってどこかに
責任
が漏れないようにするのが全般的な
責任
という
意味
ではないでしょうか。今後について御
検討
くださるということでございますので、きょうは今後を期待いたしまして、この質問はこの限りにさせていただきます。 ところで、この
原子力安全委員会
、大変大きな力と権限とそして
責任
を持っていらっしゃるわけでございます。総理
大臣
が任命する。そして、こうした
原子力
の問題につきましては総理
大臣
を通じて
関係
行政
機関の長に対して勧告できる、こういう権限を持った機関でいらっしゃいます。今までそうした勧告を実行されたことがあるのかどうか。 今回は、これは非常に大きな問題だと思います。
原子力
に対する
国民
の
信頼
を取り戻す、そのためにも、そういうときにこそこの勧告権というものを有効にお使いになる必要があるのではないかと思いますが、結果はこれからというお話でございますから、またこれから必要かどうか判断して必要な場合にはそうしますという
お答え
ではなくて、この勧告権に対する
原子力安全委員会
自身
の意義というものを含めまして、
お答え
を簡単にいただきたいと思います。簡単で結構でございます。
佐藤一男
16
○
説明員
(
佐藤一男
君)
お答え
申し上げます。 まず第一に、
国民
の
皆様方
の
信頼
にこたえるという、
原子力
安全確保
全般にわたる
責任
を持っているのではないかという御指摘につきましてはそのとおりでございまして、それは日夜痛感しているところでございます。 まず、この勧告権でございますが、私も
安全委員
になりましてからまだ三年でございまして、従前のことを調べていただきましたところ、これまで
安全委員会
の中で企画、審議あるいは決定した事項につきましては
関係
行政
機関の方で十分これを尊重しておられまして、あえて勧告という形をとらなくても十分であったというふうに伺っております。 今回の
ナトリウム
の
事故
について、
先生
からこれからだろうというようなことまでお話ございましたけれ
ども
、これは
調査審議
の結果を踏まえまして結論すべきことではございますが、もしその結果、勧告するのが必要でありかつ適切であるということになりましたら、私
ども
といたしましては、それを行うのをためらう理由は何もないというふうに考えてございます。
川橋幸子
17
○
川橋幸子
君 時間が参ったのですけれ
ども
、一問だけ
大臣
にお聞きしたいことがありまして、お許しいただきたいと思います。 ところで、
原子力安全委員会
の事務局が
行政
の
科学技術庁
の中にあるのでございます。きょうの
報告
も
科学技術庁
が、わざわざ
安全委員会
の
先生
がお見えなのにもかかわらず、かわって局長が御
説明
なさる。これは、
行政
の側では二重人格である点は十分わきまえながらやっていらっしゃるとは思いますけれ
ども
、一般
国民
、第三者の目から見ますと、やはり独立性というのは非常に薄いように見られます。それは本人の主体的な問題じゃなくて、外から見たときの客観的な印象の問題でございます。 総理
大臣
に対して勧告も意見も述べられる、あるいは
委員会
としても決定できるということでしたら、ぜひその事務局は総理府にお置きになるとか、事務局は
行政
の機関からセパレートになさるということをお考えになられることはありませんでしょうか。
中川秀直
18
○
国務大臣
(
中川秀直
君)
原子力安全委員会
は、何回も申し上げておりますけれ
ども
、
委員
も御承知でございますが、総理府のもとに設置された諮問
委員会
でございます。下部組織として延べ約四百人に及ぶ各分野の
専門家
から構成される二つの
審査
会並びに十六の
専門
部会を持っている。そして、五人の
委員
の
先生
方は国会の御同意を得て内閣総理
大臣
が任命するということにされている
行政庁
からは独立した
第三者機関
でございます。
委員
御指摘の事務局が、それでも
科学技術庁原子
力安全局にあるのは独立性に欠けるではないか、こういうお尋ねでございますが、
行政庁
の
規制
担当課、例えば
原子炉
規制
課というものが
行政庁
の側にはございますけれ
ども
、その課や室とはまた全く別の
原子力
安全
調査
室というものがこの
安全委員会
の事務局として置かれているわけでございます。形としては
委員
御指摘の
考え方
も一つの
考え方
だとは思いますけれ
ども
、私としては、こうした体制によりまして、現実には
原子力安全委員会
の第三者性というものは保障はされている、このように考えております。
行政
改革の中でのスリムな体制ということもございまして、現状の中ではそのように私
ども
は認識をしておりますし、そしてまた、
安全委員会
の
先生
方もみずから御企画をなされ、そして審議をし、そしていろいろな主要な事項は御決定をいたしている、こういうふうに受けとめさせていただいているところでございます。
川橋幸子
19
○
川橋幸子
君 ありがとうございました。 同感いたしかねますけれ
ども
、また質問させていただきたいと思います。
松村龍二
20
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。 昨年十二月八日に発生いたしました福井県敦賀市にあります
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
につきましては、昨年十二月二十七日に当
委員会
で
調査審議
を行い、また本年一月十六日には当
委員会
として「
もんじゅ
」サイトにおきます
調査
を行い、さらに本日、本
会議
において
政府
より
報告
があったところでございます。 今回の
事故
が私の
地元
福井県民に対して、従来大変な
信頼
を寄せていただけに、大きな
不安感
と
不信感
を呼び起こしたことはまことに遺憾でありまして、福井県選出の国
会議
員として福井県民の気持ちを代弁して今回の
事故
に対する
政府
の率直な反省を求め、それを踏まえた取り組みをさせていただきたいと思います。 私は、昨年十二月二十七日に行われました
委員会
におきましては、この「
もんじゅ
」
事故
に対する東京と
地元
との意識のギャップ、あるいは
専門家
と一般市民とのギャップ、これについて指摘すると同時に、また科技庁が動燃だけの
ミス
であるというふうな態度をとるということについては必ずしも
地元
県民が納得いたしかねるというふうな御質問をさせていただいたところでございます。 〔
委員長
退席、理事
石田
美栄君着席〕 まず、昨年の
事故
発生直後から
科学技術庁
の方では
事故
調査
・
検討
タスクフォース
を設置いたしまして、
原因
の
究明
作業
を実施されてきたところであります。その途中経過について去る二月九日に中間的に取りまとめ、公表されたのであります。 その中で、
ナトリウム
漏えい
を初期の
段階
で掌握し、火災拡大に至らないように適切に対処できなかったという
ナトリウム
漏えい
後の
拡大防止
については既に相当程度明らかにされました。しかしながら、
ナトリウム
漏えい
発生の直接の
原因
となった
温度計
の破損
原因
につきましては、その時点では特定されていなかったのであります。その後、
金属材料技術研究所
や
日本原子力研究所
におきます電子顕微鏡を使った
調査
などさまざまな
調査
の結果、
温度計
の破損
原因
は高サイクル疲労によるものと判断したとのことでございます。それと並行して
動燃事業団
でも振動
試験
などを実施し、また他の
温度計
につきましても
調査
していると聞いております。 本日の本
会議
、また
先ほど
の局長の御
説明
である程度御
説明
があったように承知いたしますけれ
ども
、今回の
ナトリウム漏えい事故
の
原因
となった
温度計
が高サイクル疲労を起こすメカニズムについて、これまでの
調査
においてどのようなことがわかっているのか、お伺いしたいと思います。
宮林正恭
21
○
政府委員
(
宮林正恭
君)
お答え
させていただきます。できれば、
先ほど
私が御
説明
させていただきました資料の
参考
一ページ四をごらんいただきながら聞いていただければ幸いだと思います。 まず、
先生
お話がございましたとおり、
温度計
につきましては、
日本原子力研究所
あるいは
金属材料技術研究所
で電子顕微鏡などを用いまして破断面の
調査
などを行いました結果、
先ほど
申し上げましたようなところでございまして、
亀裂
は約十五カ所から発生したというふうなことがわかっております。そして、それが順次成長していって最後に切れたということでございます。 また、振動
試験
を、これは
ナトリウム
をそのまま使うわけにはなかなかいきませんものですから、水を使いまして
実験
いたしました。この結果、当初はスピードが速いときに
亀裂
が発生するわけでございますが、流速が小さくなってまいりましても
さや管
の振動が生じます。それで最後には切れてしまうというふうなことになっているということがわかったわけでございます。 具体的には、一〇〇%の流量、つまり一番速いスピードのときでございますが、このときには高サイクル疲労で
亀裂
が出てまいります。そしてそれは、
先ほど
申し上げましたように、
上流側
から下流側に
亀裂
が徐々に進みまして、逆に下流側からも少しずつ
亀裂
が出てくる。 それで、四〇%の流量、これはまさにこの「
もんじゅ
」の
ナトリウム
漏れが起こったときの
状況
でございますが、この
段階
、ある
段階
まで進んでまいりますとこれくらいの流量でも
さや管
が振動しやすい
状況
になりまして、最終的には
先ほど
申し上げました両方の
亀裂
が合体をしまして、ちぎれて切れる、こういうふうなことになっているものと考えております。
松村龍二
22
○松村龍二君
温度計
の破損は
設計ミス
との指摘がありますが、現時点までの
原因究明
でこの点は確認されたのでしょうか。 また、私も大学の受験勉強のときに物理をとった程度の全くの
技術
の素人でございますけれ
ども
、流体の中にさおを入れれば、そのさおに抵抗がかかるというふうなことは私でもわかるわけですけれ
ども
、これがなぜ
チェック
されなかったのか、お伺いしたいと思います。
宮林正恭
23
○
政府委員
(
宮林正恭
君) まず、
設計ミス
であったかどうかということでございますけれ
ども
、これにつきましては、
先ほど
申し上げましたような高サイクル疲労がきっかけとなって最終的に破断をして
事故
が起こった、こういうふうに考えております。この
段階
で、最終的なあるいは断定的なことを申し上げるのはちょっと避けさせていただきたいと思いますが、
設計
に問題があった可能性は非常に高い、こういうふうに考えております。現在進めております
調査
の結果を最終的に総合的に判断いたしましてそういう判断をさせていただくことになろうか、こういうふうに考えております。 なぜ
チェック
されなかったかということにつきましてでございますが、これにつきましては現在
調査
を進めておりますが、動燃におきまして自主保安によって
安全確保
が図られて
設計
の
審査
をされてきているところでございますけれ
ども
、それにつきまして十分でなかった面があったというふうに判断せざるを得ない側面もございます。 なお、
研究開発段階
の
原子力施設
の
安全確保
の
あり方
、これは
先ほど
もいろいろ御議論が出ておりましたけれ
ども
、
設計
や施工の方法も含めまして
原子力安全委員会
において今回の
事故
にかんがみまして
検討
されているところでございまして、私
ども
としましては、この
検討
結果を得まして今後の対応を十分とって、こういうふうなことにならないように気をつけていきたい、こういうふうに思っています。
松村龍二
24
○松村龍二君 折れた
さや管
につきましては、三月二十八日に
蒸気発生器
の入り口
部分
で発見され、実に管の中を百九十メートル流れ流れて
蒸気発生器
のところでとまっておったということでございますが、ようやく四カ月近くなりまして発見されて、今後、回収の上、
調査
を行うと聞いております。 また、一昨日は、
動燃事業団
で
ナトリウム
漏えい
の再現
実験
が行われまして、今後さらにより実物に近い形での再現
実験
も行う
予定
とされておりますが、
地元
としては、徹底的な
原因究明
を速やかに行い、その上で万全の
再発防止策
を慎重にまとめてもらうことが必要と考えるところであります。 〔理事
石田
美栄君退席、
委員長
着席〕 今後、さらに
事故
の
原因究明
作業
等をどのように進め、まとめていくつもりなのか、お伺いしたいと思いますが、これは
温度計
だけの問題ではない。
温度計
の問題においてこのように初歩的な
ミス
があったということで、最先端の
原子力
を利用する発電所ということでございますので、いろいろ
事故
の
究明
作業
等も行われなければならないと思うところでございますが、どのようにまとめていくつもりか、お伺いします。
宮林正恭
25
○
政府委員
(
宮林正恭
君)
お答え
させていただきます。 現在、これまでに実施されてまいりました
温度計
の破
面観察
とか振動
試験
の結果につきまして最終的な評価をする、あるいは
温度計
の
設計
に関する
調査
といったものについて最終的な整理を進めているところでございます。 しかしながら、先日行いました
ナトリウム
漏えい
試験
といったようなものにつきましては残念ながら必ずしも思ったようにいっていない、こういうふうな
段階
にございますので、これらの
実験
もどういうふうにして今後取り扱っていくかということについては、三分の一ぐらいは既に漏出する
実験
はしておりますので、それを含めまして大至急
検討
を進めていきたい、こういうふうに思っているところでございます。 また、
さや管
の
部分
につきましては、
先ほど
申し上げましたように、これを取り出しまして破
面観察
の
調査
をするというふうなことをしたいと思っております。 それから、ライナーの
構造
などを模擬しました全体的な
ナトリウム
漏えい
燃焼
試験
というふうなことをやはりやる必要があるのではないかということで、現在、
タスクフォース
の
先生
方と御相談をしているところでございます。 したがいまして、これらの
試験
、
実験
といったようなものを経まして、その結果を解析し評価をした後に、
タスクフォース
において最終
報告
を出し得ると判断できる
状況
になれば、その
段階
で最終
報告
を出させていただきたい。また、先日、二月九日にいろいろと指摘をしたこと等につきましても引き続き
調査
などを進めておりますので、それにつきましても
調査
の結果がまとまり次第御
報告
できるようにしたいというふうに考えておりまして、いずれにしろ、
節目節目
で公表していくということで進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
松村龍二
26
○松村龍二君 一方、今回の
事故
の場合に、
動燃事業団
から
地元
自治体への、福井県あるいは敦賀市、あるいは
関係
近隣の町等への
事故
発生の通報連絡がおくれたことが指摘されております。 本来、
事故
発生時には
地元
自治体は、事業者との間に結んだ安全協定に基づきまして、事業者から連絡を受けることになっております。この安全協定はあくまでも当事者間の紳士協定でありまして、その運用に関して法的根拠があるわけではありません。要求しないでも出す某会社、要求して出す某会社、要求して出さない某というようなことが
地元
で言われておるように、まちまちなところがございます。 国はこれまでも安全協定の遵守について事業者を指導してきておりますが、実際には今回の場合もこれが適切に守られたとは言えず、抜本的な取り組みが必要であるとの指摘があります。すなわち、
地元
では、通報連絡について法的位置づけを明確にするなど、きちんとした仕組みの中で事業者に義務化すべきではないかという議論がございます。 考えてみますと、事業者の
立場
に立てば、
事故
をなるべく軽くおさめたい、そのことにまず集中したい、あるいはその
事業体
の幹部に
報告
し指示を仰ぎたい。県は、地域住民の安全のためにいち早く
情報
が欲しい、地域住民の生命がかかっておる、今回の場合は幸いにそのようなことはなかったわけですけれ
ども
、そのような可能性があるこの問題につきましてはいち早く
情報
が欲しいという
立場
でございます。 今回の
事故
については、動燃が県に通報したのは一時間おくれであったということが指摘されておるわけでございます。国は、
事故
がどの程度の規模の
事故
であり、これをどのように対処するべきか、その
意味
でいち早く
情報
が欲しい。それぞれ
立場
がございまして、これが単なる紳士協定では不十分であるというふうに県では見ておりまして、事業者に法的な位置づけで義務化すべきではないかという議論があるわけでありますけれ
ども
、これについてどのようにお考えでしょうか。
宮林正恭
27
○
政府委員
(
宮林正恭
君)
お答え
させていただきます。
事故
時におきまして、事業者が国あるいは立地する県、市といったところに直ちに連絡する、これはもう全く当然のことであるというふうに私
ども
考えております。今回の動燃の対応ぶりにつきましては、行き届かなかったところがあるということについては大変申しわけないことである、こういうふうに考えております。引き続き私
ども
としましては動燃に対しまして強く指導してまいりたいということをまず第一点として申し上げたいと思います。 それで、法的に位置づけるかどうかということでございますが、これにつきましては、法的な
意味
あるいはその後に通知を受けた者がどんな
役割
を果たすかといったような全体的な法律論の詰めがどうしても必要になるのではなかろうかというふうに思われるわけでございます。 今後、自治体の御意見もいろいろ伺いながら、この問題につきましては私
ども
も研究をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
松村龍二
28
○松村龍二君
原子力
の防災につきまして基本法といったものをつくってほしいというような希望を持っておりますので、そのことについては後ほど言及いたしますが、そのような中に位置するのかどうかわかりませんが、御
検討
をいただきたいと思います。 また、
現地
に常駐し、「
もんじゅ
」の運転管理を行っている
科学技術庁
の運転管理
専門
官につきまして、
事故
発生直後の行動に関しどのような役目を負っていたのか、実際何をしていたのか、
事故
の
状況
を的確にとらえていたのかなとの厳しい指摘を県の
原子力
安全対策
にかかわっている人々はするわけでございます。これに対しまして
科学技術庁
は、二月九日、
事故
時・緊急時の運転管理
専門
官の
役割
の明確化と権限の強化を行うとの
方針
を示しておられるのであります。しかし、その内容の具体化はまだ示されておりませんので、今までの運転管理
専門
官と比べて何が変わるのかという疑問を持つ人もいるのであります。 県の方は、
原子力
発電所が十五基もございますので、長い間に経験を積んで、いち早く
情報
をとり、またいち早く
現場
に駆けつけてというようなことになれているわけですが、国から派遣されております運転管理
専門
官は、体制も弱いし、どろも県の姿勢と比べますと県民の安全といったことに対して何か緩いという印象を県では持つわけでございます。 運転管理
専門
官につきまして、従来と比べてどう強化されるのか、お伺いします。
宮林正恭
29
○
政府委員
(
宮林正恭
君)
お答え
させていただきます。
事故
時の対応につきましては、基本的には、まず事業者が
責任
を持って対応してもらう、そして
事故
に関します
情報
が迅速かつ正確に
規制当局
に十分提供される、こういうふうなことが安全
規制
の大前提になっております。しかしながら、残余ながら今回の
事故
ではこの基本は守られなかったということでございます。 今回の
事故
の対応を見ますと、運転管理
専門
官が
事故
に関する全体的な
情報
を迅速的確に収集
把握
をする、あるいは所要の対応をとるという点で弱体であったという御指摘については、私
ども
としても反省をしているところでございます。このため、
事故
時・緊急時における運転管理
専門
官の
役割
を明確にしまして、必要に応じて一層主体的に対応できるような行動指針を明確にすることで現在その
作業
を進めているところでございます。 この中で、運転管理
専門
官が必要に応じて
事故
に関します
情報
の収集のために強制的な立入検査をするというふうなことにしたい、こういうふうに考えております。また、人的あるいは予算的な面を含めまして体制の強化についても
検討
を進めているところでございます。 なお、運転管理
専門
官への通信手段の強化につきましては、既に携帯電話等の配備は行っておりますけれ
ども
、引き続きその強化の手法をぜひ開発していきたいということで、最近の進歩した
情報
通信手段の活用というふうなことも通信事業者などに接触していろいろ
検討
を進めているところでございます。
松村龍二
30
○松村龍二君 次に、防災に関する特別法の問題についてお伺いいたしたいと思います。
原子力
発電所の安全
規制
に関しては、
原子炉
等
規制
法に基づき国が一元的に
規制
することが明確化されておるのであります。したがいまして、基本的には
原子炉
等については国が一元的に
規制
するという思想が当然のことながらあるわけです。 一方、
原子力
防災に関しましては、災害
対策
基本法に基づいて国や
関係
自治体等が必要な
措置
を講ずるとなっておりますが、国の
責任
が明確でなく、地方自治体に一義的に任されるといいましょうか、しかし、万一大量の放射能漏れが起こった場合、
地元
自治体だけで十分対応できるのかどうか疑問でございます。 起きて困ることには黙っていたいというのが日本人の古来の性格である。
対策
をしなければ
事故
も起きないだろうという傾向が日本にあると思います。また、住民の不安をあおることになってはいけないと。現在の金融
システム
の不安の問題もまさにこのような問題ではないかというふうに思いますけれ
ども
。
原子力
防災につきましては、これまでそのようなことから具体的な
検討
を遠慮していた時期もあったかと思いますが、過去にチェルノブイリ、スリーマイル島の
事故
等が発生いたしました。日本ではそんな
事故
は起きないだろう、日本人の職員は立派だから、優秀だから、そのようなことは起きないだろう、地震に対しても万全の建築で備えてあるから起きないだろうと私
自身
も思いたいわけですけれ
ども
、やはり最近の
国民
の意識は、備えあれば憂いなしということで、具体的に重大な放射能漏れがあったときにどのように市町村、県、国が対応するのかというようなことをそろそろ決めてほしいという実感を持つ方が多いわけであります。
地元
の福井県議会では、
原子力
防災に関し国の一元的
責任
を明確にすべきとの強い意見があると聞いております。また、福井県や全国
原子力
発電所
所在
市町村協議会からは既にこのような特別立法について要望が出されているにかかわらず、国においては一向に
検討
議論が進んでいないと聞いているのであります。
原子力
防災に関して特別法を制定し、国の一元的
責任
を明確にし、積極的な対応が行われるべきであると考えるが、いかがでしょうか。
中川秀直
31
○
国務大臣
(
中川秀直
君) まずもって、これまで我が国の
原子力
政策に最も大きく貢献をされ、そしてまた現に多くの
原子力施設
と背中合わせに暮らしておられる、そうした福井県民を代表されて御
質疑
をいただいている
委員
に対しまして、今回の
事故
で
地元
福井県民の
方々
にいろいろな
不信感
、
不安感
、そうしたことをお与えしたことに対して心からおわび申し上げたい、かように思う次第でございます。 ただいまお尋ねの
原子力
防災に関する特別法を含む防災
対策
の強化ということにつきまして、一般に、
委員
は十分御承知でございますけれ
ども
、防災
対策
というものは、地域の実情に応じました幅の広い迅速な対応、諸
対策
が必要であるという観点から、災害
対策
基本法に基づきまして、地方公共団体、そしてまた国、それぞれの
役割
に応じた
措置
をやっていこう、国はそれぞれの地方に十二分の手足を持っておりませんので、事柄によっては地方公共団体が主になりまして国がこれを支援する、こういう
考え方
でなされていることは御
案内
のとおりでございます。
原子力
防災についても基本的にはこういう
考え方
に基づきまして、現在までいろいろなそうした仕組みと申しましょうか、
考え方
で整理をいたしてきたところでございます。 具体的には、
原子力
防災の場合は他の
事故
あるいは災害と違いまして特殊性もございますので、国の方が防災指針をつくりましてお示しをするのみならず、緊急時には助言も行いあるいは
専門家
も派遣をする、そういう体制を整えてきたところでございます。また、財政面においてもあるいは
技術
面においてもそうした支援を国の方がいたしまして、防災
対策
が円滑に進められるように努めているところでございます。 しかし、
委員
御指摘のように、従来、国の防災基本計画の中に
原子力
防災における国の具体的な対応というものが定められているわけでございますけれ
ども
、よりこれを実践的なものにあるいはまた十分なものにしなきゃいけないという御指摘もございますので、これをさらにそうした
方向
で改定するために、中央防災
会議
におきましてこの五月中ということをめどに現に
検討
を行っておるところでございまして、当庁もその議論に積極的に参加をいたしておるところでございます。この防災基本計画の改定の中で、国、地方公共団体のそれぞれの責務というものがより明確になるように努めてまいりたい、このように目下努力をしておるところでございます。 国は、災害
対策
基本法のもとで
原子力
防災
対策
を充実すべく、今そうした
方向
で努力しておる、その結論をまた御審議賜りたい、こう考えておりますが、今御指摘のあった特別
措置
法等、
原子力
防災に関する御提案についても、各地方公共団体と具体的な点については今後も十二分に御相談をしながら、地方分権あるいはまた
行政
改革、そういうものも総合的に判断をしながら考えてまいりたい、こう考えております。
松村龍二
32
○松村龍二君
先ほど
東京と
地元
とのギャップということを申し上げたわけでございますが、長官におかれましては、就任早々敦賀にも行かれまして、地方自治体あるいは県民の気持ちといいましょうか、考えを聴取いただきまして、また今週には「
大臣
と
原子力
を語る会」を催されまして一般の市民からも忌憚のない御意見を聞かれるということで、敬意を表し、
先ほど
申しましたようなことについてぜひ前向きに取り組んでいただきたいということをお願いする次第でございます。 さて、本年一月に福井、福島、新潟の三県の知事から内閣総理
大臣
、
科学技術庁長官
、通産
大臣
に対しまして、
原子力
政策の進め方に関して幅広い議論を行い、改めて国の
責任
において
国民
的合意の形成を図ってほしい旨の提言が出されたのであります。これを受けまして、国においても
原子力
委員会
に
原子力
政策円卓
会議
を設置したりシンポジウムや地域フォーラムを開催するという前向きな姿勢を表明しまして、それなりに
地元
からも評価されているものと承知いたしております。 しかしながら、立地地域も含め、
国民
各界各層が幅広く参加し、さまざまな意見を交わし、十分時間をかけて議論や対話ができるとともに、
国民
、住民の生活者としての意見や受けとめ方を十分踏まえたものとなるよう、単に
科学技術庁
の既存の
原子力
の路線を説得するための変化球の道具ということではない運営に心がけていただく必要があると思います。
原子力
政策円卓
会議
やシンポジウムにおきまして幅広い
国民
の声をくみ上げるため、その運営においてどのような工夫を考えておられるのか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
中川秀直
33
○
国務大臣
(
中川秀直
君) まさに三県の知事からの御提言を踏まえ、また総理からの御指示も受けまして、いろいろ
関係者
間で協議を進め、三月十五日に発表させていただいた
原子力
政策円卓
会議
の運営方法は、
委員
御指摘のような
考え方
、基本
方針
で臨んでまいりたい、こう考えております。 具体的に申し上げますと、
行政
の側が一定の運営
方針
を定めるということではなくて、全く第三者の、モデレーターと申しておりますが、そういう
方々
を今委嘱中でございます。近々またお引き受けをいただく
方々
にお集まりをいただいて、中立公平な
立場
で、どうやったら
国民
合意の形成に進めるか、そういうお
立場
で基本的な運営の仕方をお取りまとめいただく。 そのモデレーターも必ず毎回御参加をいただき、
原子力
委員
の
先生
方にも必ず御参加をいただいて、生活者の
方々
、また
地元
の代表の
方々
、そしてまた
原子力
政策に批判的なお
立場
の
方々
、もとより学界や経済界や言論界、そういう
方々
にも毎回必ず、いつも同じ
メンバー
ということではないかもしれませんが、いずれにしても、そういうお
立場
の代表の方に必ず毎回御
出席
をいただいて幅広い御意見をいただいてまいろう、そしてそういう中で、いろいろな合意ができつつあるあるいはできた取り上げるべき政策というものを摘出いたしまして、柔軟、的確に我が国の
原子力
政策に反映してまいりたい、かように考えております。
松村龍二
34
○松村龍二君
核燃料
リサイクルの体系の問題につきましては、プルサーマル計画で我が国の純国産のエネルギー資源でありますプルトニウムを利用する、そして将来の体制整備につなげていくという観点から重要でございます。また、使用済み燃料の貯蔵保管につきましても今後の見通しが
地元
に対して明確に示されていないのが現状でありまして、
核燃料
リサイクル政策についてどのように進めていくかというのは重要な問題でございますが、これはちょっと指摘するにとどめます。 最後の質問でございますけれ
ども
、昨年、この
事故
が起きまして風評被害がございまして、関西に勉強に行っている子供が、敦賀に帰るのは大丈夫ですかということを聞かれたとか、週刊誌にも書いてございました。ことしも五月の連休とか夏休みを迎えるに当たりまして、
地元
を訪れる観光客や、また農産物、水産物の販売が
影響
を受けるのかどうかといったことに対して、
地元
の
関係者
は不安を持って見守っているところであります。 このような
状況
を一刻も早く解消し、関西圏の消費地や周辺地域の
方々
に対して、
事故
によってダウンした
地元
のダメージを、いい
意味
の、いい方法のPRによって回復していただきたいと思うのであります。 また、
原子力
開発利用について
地元
の理解と協力を得ていくためには、電源立地地域の住民の
方々
が電力供給基地としての恩恵を享受し、そのメリットを実感することができるような地域振興方策を講じていく必要があると思います。
大臣
も御承知かと思いますが、あの福井県の嶺南、十五基の
原子力
発電所のある地域は、海と山に囲まれた細長い地域になっておりまして、国道が一本だけ走っておる。昨年の阪神大震災の後に、関西を通れなくなったトラックがここに集中いたしまして、ただでさえ夏場の海水浴客等で渋滞している道路がその輸送トラック等によってまた渋滞して、地域の人が敦賀へ出ていくにもままならないといったような
状況
で、我々は、これだけ国策で十五基も発電所を立地し、関西の電気の五〇%を供給しているにかかわらず、近畿自動車道敦賀線といった高速交通路がいつまでたっても実現されない、自分たちは一体何をやっているんだろうといったような気持ちを大変強く持っているところでございます。 このことは建設省の問題でありあるいは他の省庁にかかわる問題であるかもしれませんけれ
ども
、今後、
原子力
発電の立地が非常に制限される時代を迎える中で、やはり
科学技術庁
も、大きな
意味
で国策の一つとして地域の振興につきまして、今申し上げましたような悲願といいましょうか、このような地域の振興に対しましても十分理解していただきましてプッシュしていただきたいということを心から念願するものでございます。御意見を聞かせていただければ幸いです。
中川秀直
35
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 前段の
核燃料
リサイクル政策につきましては、
委員
の御主張、御意見を踏まえまして、幅広い御理解をいただいていけるように引き続き全力で努めてまいる所存でございます。 また、
地元
の風評被害を初め、どう地域振興方策に取り組むかというお尋ねでございますが、電源地域の振興のためには、
地元
の
立場
というものに立ちまして、総合的にまた真剣にその支援策に取り組んでいかなきゃいかぬと認識をしております。 福井県につきましては、これまでも電源三法の活用等によりまして、敦賀市清掃センター等の公共
施設
の整備に対する支援、あるいはまた若狭中核工業団地等、企業の立地促進等に対する支援、また今後はこれに加えまして若狭湾エネルギー研究センターへの支援を行うことにいたしております。 また、その余のもっと具体的ないろいろな風評被害に対する
地元
の
方々
の直接的なお声というものも私
自身
伺ってきたところでございまして、いろいろ庁内でも議論をし、
地元
のそうした風評被害を起こさないための全国に対する正確な
情報
の発進というものを私
ども
なりに精いっぱい努めていかなきゃいかぬ。 また、イメージアップを図るために、エネルギーの消費地である大消費地において、エネルギーの生産地である電源地域に関する理解というものをもっともっと深めていただかなきゃいかぬという観点から、そういった地域の魅力というものを紹介するためにも、新聞、テレビ等の媒体を通じた広報等を、具体的にはたくさんございますけれ
ども
省かせていただきますが、現に今月あたりから精力的に実施をしようとしているところでございます。 また、ただいまお触れのありました近畿自動車道の問題につきましても、先般、私
自身
が閣議後、中尾建設
大臣
に対しまして直接お願いを申し上げまして、その促進に全力で取り組んでいただく旨、強力に御要請を申し上げたところでございます。 また、今後、「
もんじゅ
」のございます敦賀市においては市制六十周年等々のさまざまな行事も伺っておりますので、そういう面についても御協力ができるところは積極的に対応してまいりたい、かように考えております。 そんな
意味
で、立地地域と
原子力施設
の共存を図っていくために、
関係
省庁との連携も十分にとりながら、
地元
の御意見に即して一層きめ細かな
対策
や振興方策に取り組んでまいる決意でございます。
松村龍二
36
○松村龍二君 終わります。
石田美栄
37
○
石田
美栄君 平成会の
石田
美栄でございます。 二月九日に出されたいわゆる中間
報告
以降にも、さまざまな資料が私たちの手元に届いております。
原子力安全委員会
からは、「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に対する今後の対応について、「「
研究開発段階
の
原子力施設
に係る
事故
時の
情報公開等情報流通
の
あり方
に関する特別会合」の設置について」、また「
研究開発段階
の
原子力施設
の
安全確保
の
あり方
についての
検討
の進め方」といった資料、またさらには、
原子力
委員会
では「「
原子力
政策円卓
会議
」の設置」について、また
科学技術庁
、通商産業省からは「
原子力
政策に関する
国民
的合意の形成を目指して」といったぐあいに、さまざまな今後の対応策が出されております。これは今後いろいろなことを非常に期待するわけです。 私は、きょうの本
会議
でも総理
大臣
と長官に質問させていただきましたが、さらにもう少し具体的に細かい点について詰めて伺ってまいりたいと思います。そして、監督官庁等のお話はさまざまお聞きしているんですけれ
ども
、むしろ事業所内といいますか、
現場
での
責任
がどうあったのかといったようなことを少し詰めさせていただくところで、私の提言もさせていただきたいというふうに思っております。 たびたび繰り返されますけれ
ども
、長官の御
報告
にも、「高い
信頼性
を確保することとしていたにもかかわらず」という言葉がございます。なるほど
安全性
に関しては、
行政庁
の
審査
結果についてさらに
原子力安全委員会
が
ダブルチェック
を行うのですから慎重に慎重を重ねてきたと考えられるわけですけれ
ども
、現実には、
温度計
の
さや
の細管部が破損して
ナトリウム
が漏れて大騒ぎになったわけでございます。
先ほど
も質問者の方から、なぜこの
常陽
や
スーパーフェニックス
の教訓が生かされなかったのかという質問は重ね重ねされてきているのですが、私もこの図を見まして、本当に新聞なんかに出ますと国じゅうで皆見ているわけですけれ
ども
、一番最も単純な点、常識的に見てもやっぱり納得がいかないわけで、重ねてお伺いしたいんです。
常陽
で三菱が得た成果、すなわち、くびれた
部分
が実際にはほとんど直角に近いカーブになっていて、
常陽
ではそれが非常に緩やかな丸みがつけてあったわけです。そうしたことが、なぜ東芝に移ったときに正しく
技術
移転がなされなかったのか。また、
さや管
の長さは十センチだったのが十五センチとか長くなっているというふうなこと。ところが、
スーパーフェニックス
の場合には、
ナトリウム
にぶつかって振動したことが
原因
とわかったので、
温度計
の
さや管
が振動しにくい短い
さや
に交換したという本当に単純なことです。だのに実際には五センチも長くなっていたと、こういうことが現実にあったわけです。高度な
技術
というのはいろいろと
チェック
されているんでしょうけれ
ども
、
現場
のことというか、
幾つ
もの
実験
を重ねてもう日常的になっていてと、いろいろ言いわけはあるんですけれ
ども
、やっぱりなぜなのか。 実際には大きな
事故
になって国策として非常に重要なことのつまずきになっておりますので、こういう例がありながら
審査
の対象になっていなかったのは、ひょっとして、もうあそこのところで失敗したなということを実際にはお気づきになっているのかなとも思うのですけれ
ども
、なぜ
温度計
について
審査
対象になっていなかったのかということを重ねてお伺いしたいと思います。
大石博
38
○
参考人
(
大石
博君)
動燃事業団
理事長の
大石
でございます。 ただいま
先生
御指摘のとおり、
温度計
の形状は「
もんじゅ
」と
常陽
と異なっております。私
ども
、
温度計
の
設計
をするに当たりましては、「
もんじゅ
」と
常陽
の基本的な
原子炉
の違い等を考慮し、これに適した
温度計
の性能、それから強度等を確保できるような
設計
をしてまいったわけでございます。 したがいまして、
温度計
の所要の目的に合致するようなものをメーカーから提案させます。形状は違う場合があるということは最初からよく承知をしながらやってまいりました。「
もんじゅ
」の
設計
を行うに当たりましては
常陽
の実績をそのまま適用いたしました。
温度計
の
設計
、製作を行うに当たりましての主要点は三点取り上げました。 一つは、
ナトリウム
の流れに対する強度あるいは熱膨張に対する強度、こういった強度を十分に持つということ。二点目は、よく言われます
カルマン渦
による振動に耐えること。それから三点目は、
スーパーフェニックス
でもございましたが、溶接部から
ナトリウム
の
漏えい
が起きないようにすること。この三点を主要点として
設計
を行ってまいりました。これは
常陽
で行ったことと全く同じでございます。これを行うに当たりましては、メーカーに対していろいろな
設計
、製作の諸
基準
がございます。その諸
基準
を用いて、これを適切に適用し
設計
することということでメーカーに
設計
、製作を依頼いたしました。 一方、
スーパーフェニックス
の
事故
の反映というお話でございましたが、
スーパーフェニックス
では、一つは溶接部における溶接欠陥により
ナトリウム
が漏れたということがございますし、もら一つ
カルマン渦
による振動が起きたということから
温度計
の一部取りかえを行っております。私
ども
、
設計
、製作をメーカーに依頼するに当たりましても、この
スーパーフェニックス
の
事故
の反映をすべく、溶接については動燃みずからが詳細に
チェック
をいたしました。その健全性は確認をいたしました。それから
カルマン渦
につきましては、メーカーの諸
基準
に基づく
設計
内容を詳細に
チェック
いたしました。異常のないということで仕上がりの
温度計
の検査等も十分に行いました。 ところが、今回、
ナトリウム
漏えい
が起きました。その
原因
につきましては、今、鋭意
究明
を行っておるところでございますけれ
ども
、これまでに、
カルマン渦
とは異なる
原因
によって振動が発生し
温度計
が折損をし、そこから
ナトリウム
が漏れたということがわかりました。この
カルマン渦
とは異なる振動の発生
防止
についての標準的な
設計
基準
は、現在のところ、私
ども
としては承知しておりません。 したがいまして、今回の
漏えい
につきましてはこのことを深く反省し、今後の改善
対策
の中で十分
検討
し反映すべきものというふうに考えております。
石田美栄
39
○
石田
美栄君
お答え
を聞いていても、
カルマン渦
だとか高度な
審査基準
ばかりの
お答え
ですので、やっぱり何か納得がいかない。 その三つの
基準
によって
設計
を依頼したとおっしゃいますけれ
ども
、なぜ五センチ長くなきゃいけなかったのか、くびれのところは丸くしてあった方が折れにくいというのは、普通だれが考えたって単純な、それを直角に近く変えるというこの点について。繰り返し幾ら言っても起こったことは仕方がないんですけれ
ども
、より高度なことは
チェック
したんだけれ
ども
、なぜもっと日常的なそういうことについての思いがいかないのかという点、そういうところで高度な
技術
者集団の中で欠落していろいろんなことがあるのじゃないか。そのことがいろんなおそれにつながるといろことを、きょうはどんどん詰めていきたいというふうに思うんです。 ついでといいますか、ほかにも十六本くらいの
温度計
ですり傷が発見されたということが伝えられています。その状態について多少教えていただくのと同時に、ほかにも
温度計
といったような、高度なところから見れば
安全審査
の対象からは外れているんだけれ
ども
、その後のここ四カ月近くのいろんな
調査
の中で、ひょっとしたら案外こういう簡単なことが
事故
の危険性につながるのではないかということが、本
会議
のときの御答弁でも今検査中だというふうにおっしゃいましたけれ
ども
、現
段階
でそんなことが何点か見つかっていればお教えいただきたいと思うのですが。
大石博
40
○
参考人
(
大石
博君) 十六本の
温度計
ですり傷が発見されたということにつきまして、私
ども
既に新聞発表等で行っております。御承知のとおり、このすり傷というのは、
さや管
の中に熱電対が入っておりますが、この熱電対を保護するための保護カバー的な
役割
を果たしておるものがございます、これをシースと言っておりますけれ
ども
、このシースの外麦面にすり傷がございました。これは、
事故
が起きました
Cループ
ではなくて、A、
Bループ
の全部で三十二本あるうちの十六本にすり傷があったわけでございます。 すり傷はございましたけれ
ども
、この
役割
からいっても、この程度の傷は
温度計
の熱電対の本来果たすべき
温度計
測性能並びに
さや管
の健全性には直接
影響
するものではございませんので、これが安全上問題になるというふうには考えておりません。 以上でございます。
石田美栄
41
○
石田
美栄君 もう一点、後半でお尋ねいたしました。ほかにも
安全審査
の対象には今まではなっていなかったけれ
ども
、このたびの
事故
でいろいろ
調査
等されている中で、本
会議
の方でも似たようなことをお尋ねいたしましたところ、ただいまそういうことは検査中だということだったのです。この
温度計
に似たような、高度な
技術
からいえば考えてもいなかったけれ
ども
、案外こういうところに落とし穴があるのではないかと、今までの
段階
で今後も
審査
対象にしていかなきゃいけないんじゃないかというふうな点が見つかっておられましたらというお尋ねなんですが。
大石博
42
○
参考人
(
大石
博君) 御
説明
が少し抜けておりました。
温度計
でこういうことがございましたので、私
ども
といたしましては、既に
科学技術庁
からの御指示もありましたので、「
もんじゅ
」はもちろんのこと、他の
原子力施設
につきましてもとりあえずの総点検は実施をいたしました。「
もんじゅ
」の今後の
原因究明
の進展に応じまして、「
もんじゅ
」を初め、他の事業所、他の
原子力施設
につきましてもさらなる総点検を実施してまいります。「
もんじゅ
」で問題になりましたことは、すべて他の事業所にも水平展開をしてまいることにいたしております。
石田美栄
43
○
石田
美栄君 具体的な
お答え
はいただけなかたのですが、次に進ませていただきます。
先ほど
から
温度計
の
さや管
のことをいろいろお尋ねしているわけですけれ
ども
、この
さや管
が見つからなくて、ここに御
報告
をいただいておりますが、見つかるまでに随分時間がかかっております。 こういうことも普通に考えますと、
事故
が発生してからとまるまでにも時間がありましたし、流れもかなりの勢いで流れている中で、
さや管
そのものはわずか十五センチのようなものですから、どんどんどんどん流れていって一番出口のところへ行っていると単純にすぐ考えられて、まず出口のところを見ればすぐ見つかりそうなものなのにと単純に考えるわけです。実際には、破損が起きたところから徐々に徐々に調べていってと、こういう手を踏まれているのですが、そういった私の素人の見解も含めて、なぜこんなに三カ月以上もかかったのでしょうか。
大石博
44
○
参考人
(
大石
博君) 大変長くかかりまして申しわけなく思っておりますが、御高承のとおり、
温度計
の
さや管
が折れておる、折損しておるということがわかりましたのは、
事故
発生後一カ月後、一月八日でございました。早速に
さや管
を探索すべく諸
準備
を開始いたしましたが、既存の探索装置、検査装置でできるものは早速に始めました。これは主として単純
構造
の
配管
部でございます。
先生
御指摘のとおり、今回
さや管
が発見されました
過熱器
の中にあるんじゃないかということは、私
ども
最初から考えておりました。したがいまして、探索の範囲は、
温度計
が折損したところから今回見つかりました
過熱器
までの間を対象範囲として検査を始めたわけでございます。
過熱器
の中の
さや管
を探すには、通常の検査装置では探索できませんので、早速にこのための特殊な検査装置の
設計
、製作を開始したわけでございます。そして、モックアップ
試験
等いろんな訓練も行いまして、
過熱器
内の探索を行って発見しましたのが三月二十八日でございます。三カ月弱かかったわけでございます。 その間、念のためにいろんなところを全部従来ある検査装置で検査してまいりましたが、残念ながら発見はできませんでした。やはり
先生
御指摘のとおり、一番最終の
過熱器
の中にございました。そういう事情で大変長くかかりまして、申しわけなく思っております。
石田美栄
45
○
石田
美栄君 長くかかって、そのこと自体が
事故
につながるとかそういうことではありません。このことだけでなくて、先日のJIロケット打ち上げの際にも、HYFLEXの回収失敗の
原因
の
報告
をいただいて、また繰り返しますが、高度な知識とかではなくて、普通の目で写真なんかを見ましても、ライザーの取りつけ金具のエッジの
部分
と接触して、そこに触れて波の
影響
で接触
部分
がこすれてすり切れたと。このライザー
自身
を見ますと非常に強靱につくられているように見えますし、これとても多額のお金を投じての
実験
で、その結果ほとんどの資料は得られたというふうにおっしゃっていますけれ
ども
、普通にそういう綱がぶら下がっていて、そこに触れる金具の
部分
が揺れればかみそりの刃のように切れてしまうようになっていると。またこのような普通の危険性、そういうことが
チェック
できないということにやっぱり不安を
感じ
るわけなんです。 ですから、今後いろんな方法で改善していかれるわけですけれ
ども
、やっぱりこういった本当に
専門
の、
専門
ばかと言っていいのでしょうか、
専門
の中に入ってしまって高度な
技術
そればかりを追求する中で、これいろんな面で言えるのだと思うんです。もう一度普通の感覚に戻って、これは意識改革というふうに表現されておりますけれ
ども
、思わぬ欠陥があってまた何かが起こるのじゃないかという一般
国民
から見れば不安がございます。どうか、今後の中にそういった常識的なことを生かしていただけたらというふうに要望いたします。 次に、長官のきょうの本
会議
での御
報告
の中の第二点目の、この事件が起きて後の、
原子炉
の早期停止等の適切な運転操作が行われなかったのは、異常時運転手順書の記載に問題があるほか、運転員の判断にも適切性が欠けていたことに起因していると考えられる旨指摘しておりますと、それからまた、
ナトリウム
火災検知
システム
等の設備面にも問題があったというふうな指摘をされております。私も
現地
視察に行きましてこれを監視する部屋に入りましたけれ
ども
、よく
原子力
発電所、
原子力
だけじゃありません、普通の発電所なんかに行きましても、もっともっとテレビカメラでいろんな
状況
が監視できるようになっているのに、「
もんじゅ
」ではどうもその点も欠けていたように見てすぐわかりました。 そして、非常時の手順書づくりの
責任
なんかも実際
現場
でどういうふうになっているのか。また、その手順書に従って恐らく訓練もされていると思うのですが、実際には、事件が起こってしまうとこうすればよかったというふうなことがいろいろ起こっておりますが、この点についても
現場
での
状況
をもう一度伺いたいのです。そういう手順書についての
責任
がどうなっていたのか、そして手順書に沿った訓練がどのように行われていたのか、特に危険な
場所
、そしてまだこれは
実験
中、より特別な配慮が要るというふうに
報告
書等にも書かれておりますけれ
ども
、訓練がどのように実施されていたのか、お伺いしたいと思います。
大石博
46
○
参考人
(
大石
博君) 最初に運転手順書の件でございますが、運転手順書の作成は、「
もんじゅ
」の場合
もんじゅ
建設所で行います。その決裁は建設所長がいたします。本社は、その手順書について保安規定に適合しているかどうかという観点から十分な
チェック
を行い、もし保安規定に適合していない
部分
がございますれば改善を指示いたします。保安規定というのは、御高承のとおり、
原子炉
等
規制
法に定められておりまして、これは
科学技術庁
の認可事項ということになっております。 運転員の判断が適切であったかどうか、この運転手順書が適切であったかどうかということにつきまして、私
ども
これまでの
原因究明
の中では、手順書は必ずしも適切ではなかった、運転員の判断にも不十分な面があったというふうに反省をいたしております。今後の
検討
の中で改善をしてまいりたいと思います。 訓練についてでございますが、これは建設所で行っておりますけれ
ども
、運転手順書に従いまして実機を模擬したシミュレーターの訓練を中心に繰り返し実施してきております。しかしながら、
先ほど
申し上げましたように、今回の
事故
を反省してみますと、必ずしも運転員の判断、操作が適切でなかったという
部分
がございますので、これらを貴重な教訓といたしまして、実態に即した教育訓練の充実強化を図ってまいらなきゃならないと思っております。 それから、運転員の判断が適切でなかったということの理由の一つに、マニュアルが必ずしも適切でなかったと。運転員が的確に判断できるようなマニュアルに現在鋭意改定を進めておるところでございます。
石田美栄
47
○
石田
美栄君 ぜひ今後の善処をよろしくお願いいたしますと同時に、また繰り返しますが、研究部門ですから本当に
専門
の優秀な方のお集まりでございます。ですからこそ、放射能の危険性の高い一次冷却の
部分
にはより集中されて、二次の方はまあ何かあってもというようなそういう気の緩みといいますかある程度軽く見るというか、そういうことがあったかと思います。今後、どうかそういう
意味
での意識改革、そして現実のマニュアル等の改定、訓練等よろしくお願いいたしたいと思います。 さて、最後に長官にお伺いするので出しておりましたけれ
ども
、一問につきましてはもう既に本
会議
の方で
お答え
いただいております。グリーンピース・ジャパンの招きで来たベネケ博士の点は済んでおりますので、最後に我が国のプルトニウム政策。これは我が国だけではなくて、ある
意味
では世界的な将来のエネルギー、あるいはアジアにおいてといってもいいでしょう、これからアジア地域も発展してまいります、そうすればエネルギーの需要というのはどんどん高まってまいります。そんな中で我が国の
核燃料
リサイクルの政策というのは非常に注目を浴びている重要な課題でございますけれ
ども
、このたびの
事故
によっていろいろな問題、それから政策のおくれ等ございますが、最後に、長官のこのプルトニウム政策の将来展望について御意見をお伺いいたしまして、終わらせていただきたいと思います。
中川秀直
48
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 基本的に、資源小国の我が国にとりましては、将来にわたるエネルギーの安定確保は国の政策の中でも極めて重要な基本政策であろう、こう考えております。
委員
御
案内
であると存じますが、現状の一般の軽水炉等におきましても、現実には、
原子炉
の中で発生するプルトニウムの核分裂によって全エネルギーの約三分の一ぐらいのエネルギーは得られておるわけでございます。また同時に、
原子力
発電所で
燃焼
させました後の使用済み燃料にも約一%のプルトニウムが含まれておるわけでございます。そうした後段の放射性廃棄物による環境への負荷の低減、御承知のとおり半減期が非常に長いプルトニウムをどう廃棄物として処理処分していくかという問題もございます。そんな
意味
で、使用済み燃料を再処理して回収されたプルトニウムを
燃焼
させていく、またそこから有効利用するというリサイクル政策というものを今日まで
原子力
政策の基本として進めてきたところでございます。 円滑にこの政策そのものを進めていくためには、やはり何よりも
地元
を初め、
国民
各界各層の多くの
皆様
の理解と協力を得ることが今日極めて重要になってきた、このように認識をしております。今回の
事故
によりまして、こうした
原子力
政策に関する
国民
合意の形成に向けてより一層努力をしなければならぬという強い声が寄せられていることを十分認識している次第でございます。 そんな
意味
で、
先ほど
も申し上げましたが、利
自身
も週末敦賀へ参りまして、過去の経緯をお託をし、そして「
もんじゅ
」の今度の
事故
を教訓にして、ともかく人知のあらん限りを尽くして、科学的に絶対こういうことは起こり得ない、
ナトリウム
漏えい
は起こり得ないと、あたかもそう受け取られるような御
説明
をしてきたとするならば、私は必ずしもそれは一〇〇%正しいとは思いません。 そうでなくて、人知のあらん限りを尽くして二度とこういうことを起こさない。そして、もし今回のようなかかる
事故
が起きた場合には、
原子炉
をすぐとめる、またすぐ
地元
にお知らせをする、また絶対にうそをつかない、そういう決意を持つてやっていく等々も十分御
説明
をし、その上で本当に公募された多くの
皆様方
あるいはまた会場の皆さんからもいろんな幅広い御意見を伺って市民と語る会をやりたい、こう思っております。そういうことを初めとして、円卓
会議
等いろいろな場でいろいろな
方々
の御意見を幅広く伺いながら、これを政策に的確に反映すべく積極的に対応してまいりたい、こう考えております。
阿部幸代
49
○阿部幸代君 初めに、
大臣
に伺いたいと思います。 国会でも「
もんじゅ
」の問題は十分審議をしようとしているわけですが、その審議に使おうと要求している資料を
科学技術庁
がなかなか出してくださいません。 我が党が何カ月も要求している資料、例えば消防法に基づく危険物予防規定、これは
ナトリウム
漏えい
火災の予防などを決めたものですが、一月半ばに要求して何回催促してもいまだに来ないんです。また保安規定寸
事故
の際などにどう対処するかを定めたものですが、中間
報告
にも引用されているものです。これも十二月十一日に要求して、やはり何回も催促してようやくつい最近、四月五日に来ました。ほかにもあるんです、いろいろ。動燃の方に確かめたところ、みんな三月十五日には科技庁に出したと言うんです。どれも動燃や科技庁がどんな
安全対策
をとっていたかを示す資料で、隠すべき理由はないわけなんです。これでは、
国民
が真相
究明
を願っているときに科技庁がそれを妨害している、国
会議
員の国政
調査
権の妨害ですから、妨害しているとそういうふうに見られても仕方がないと思います。
大臣
に、国会の審議に必要な資料は出していただけますね。
中川秀直
50
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 突然のお尋ねで、詳細に事実
関係
を承知しない上での
お答え
になりますが、基本的に、
国民
の理解、協力を得るためには、積極的な
情報
開示ということを私の
方針
にいたしております。また、
委員会
の
質疑
ということであればなおさらそういう努力をしていくべきものである、このように私は考えております。
阿部幸代
51
○阿部幸代君 二月九日に科技庁の中間
報告
をいただき、読ませていただきました。ところが、科技庁の
責任
には全く触れていません。驚きました。科技庁の
責任
といえば、
安全審査
の問題です。科技庁は
安全審査
の第一次
審査
権を持ち、みずから
安全審査
をパスさせてきたわけですから、その科技庁
自身
の問われるべき
責任
、
問題点
を明らかにするのが当然だと思います。 今回の
事故
に対する科技庁の
責任
についてどうお考えか、この場で明確に
お答え
いただきたいと思います。
中川秀直
52
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 現在、
事故
の徹底的な
原因究明
、万全な
安全対策
等の
作業
を継続してやっている最中でございます。そういう結論をまとめますまだ前の
段階
でございますが、基本的にはこの
事故
を十分に教訓として、改善すべきものは徹底的に改善するという
方針
でその
責任
を全うしなきゃいかぬ。またそれ以外の
責任
はどうだと、こう言われれば、今後の最終
報告
を出してまいります。その適時適切な過程の中で、それはそれとして明らかにしてまいりたいと考えております。
阿部幸代
53
○阿部幸代君 私は、九四年の
原子力
委員会
の
報告
書、
高速増殖炉
開発計画
専門
部会
報告
書ですが、これと今回の中間
報告
を読み比べて、科技庁の基本姿勢に非常に大きな疑問を持ちました。率直に言って何て無
責任
だろうということなんですが、この
部分
です。 九四年の
報告
書ではこう言っているんです。この年は、「
もんじゅ
」が初めて臨界を達成したという年でバラ色です、この
報告
書は。「一九九四年四月に初臨界を達成」、「順調にその開発を進めてきている。その
安全性
に関しては、このような
技術
蓄積に基づく
ナトリウム
冷却
高速増殖炉
の特徴を踏まえた安全
設計
を施し、実用炉と同様の国の
安全審査
を行い、確認している。
安全確保
等に係る
技術
的蓄積を踏まえれば、我が国には実証炉を開発する
技術
的基盤が十分確立されている」、こう言っているんです。 今回の中間
報告
では、「
研究開発段階
の
原子炉
であること、
原子炉
等
規制
法の使用前検査合格前の試運転中であること」、このことを殊さら言って、いろいろなことが起こり得るから、それをサポートする人的体制が十分なものでなければならなかったはずだというような
検討
課題を投げかけているんです。 私は、この九四年と今回の
報告
書を読み比べ九四年のは非常にバラ色に過ぎる、それから今回のは逃げ道になっている。いずれにしても、
安全対策
のために全神経、細心の注意を集中していくという根本姿勢が欠けているんではないか、こう思うんです。 中間
報告
だからという長官の答弁ですが、「
もんじゅ
」は
研究開発段階
にあるとはいえ、二十八万キロワットの出力を持つ商業炉と変わらない
原子炉
です。ですから、中間
報告
の
段階
といえ
ども
、監督官庁のどこに問題があったのか自己反省するのが当然だと思いますし、そういう姿勢に立っていないところが大きな問題だと私は思っています。 具体的に伺います。今までの
委員
さんも質問されているんですけれ
ども
、
事故
の
原因
になった
温度計
は
安全審査
の対象になっていないということですね。
宮林正恭
54
○
政府委員
(
宮林正恭
君) この
温度計
につきましては、
安全審査
といういわゆる
基本設計
あるいは
設計
の基本的
考え方
といったようなものを
審査
するという中では
審査
は行われておりません。
阿部幸代
55
○阿部幸代君
原子炉
等による災害を
防止
し公共の安全を図ると、こういう目的から見て対象となる設備ではない、そういうことなんですね。なぜですか。
宮林正恭
56
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 少し
安全審査
のやり方について御
説明
をさせていただいた方がいいのかもしれないと思うわけでございますが、まさに
先生
がおっしゃいますとおり、
原子炉
等
規制
法に基づきまして災害を
防止
する、すなわち最終的に一般公衆の安全が確保されるということを目的として行ってきているわけでございます。そのために、異常の発生
防止
でございますとか異常の
拡大防止
、あるいは周辺環境への
放射性物質
の異常な放出の
防止
を図るというふうな多重防護の
考え方
に基づきまして、
設計
、建設あるいは運転の各
段階
において安全
規制
を実施してきているわけでございます。 それで、
安全審査
におきましては、
先ほど
申し上げましたように、
基本設計
といいますかあるいは基本的
考え方
といいますか、そういうものにつきまして判断をしているということでございまして、その具体的な個々の部品につきまして、それもその
設計
そのものにつきまして
安全審査
をするという
システム
にはなっておりません。
阿部幸代
57
○阿部幸代君
現地
に行きましたけれ
ども
、大変大規模な機械設備です。たくさんの部品もあろうかと思いますが、大規模
事故
といえ
ども
小さなところから発生していくわけです。 それで、この
安全審査
の対象の設備であるとかないとか、結局だれが判断するんですか。
宮林正恭
58
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 具体的にどのものが
安全審査
の対象設備であるかどうかということにつきましては、基本的にはすべての
原子力施設
は対象設備でございます。しかしながら、それぞれのまさに部品というものについて
安全審査
という
段階
では
審査
をしていない、こういうことを申し上げているわけでございます。 その具体的な
安全審査
に使われます資料といいますのは、これは
原子炉
等
規制
法に基づきまして、
原子炉施設
の位置、
構造
及び設備についての資料が出されてくるわけでございますが、これは申請書の記載事項というのが法律で定められております。また、それの具体的な中身につきまして、かつまた何を
検討
するか、こういうふうなことも含めてでございますが、これは
試験
炉規則と呼んでおります府令の中で決めているところでございます。
阿部幸代
59
○阿部幸代君 設備の資料が提出されてくると今おっしゃいました。結局は出されてきた資料を
信頼
するしかないと、そういうことになります。その中からいろんな問題が起こってくることが今回一つの
温度計
で実証されたわけなんですけれ
ども
、やはり
審査
の対象になっていない部品で、今回のような
事故
につながるような部品がまだたくさんあろうかと思います。それは、でも対象じゃないんだ、資料が出されてきたらそれを認めるしかないんだ、追認するしかないんだということになりますと、もう
国民
は不安のどん底で、「
もんじゅ
」のパンフレットでは
段階
を経て行われる厳格な
審査
、こういうことが言われていて、
安全審査
については万全を期しているかのように書かれているんですけれ
ども
、そうではないということになるんですね。
宮林正恭
60
○
政府委員
(
宮林正恭
君)
安全審査
の
段階
におきましては、
先ほど
申し上げましたレベルのものであると。したがいまして、今度は
安全審査
が終わりますと、それを
設計
・
工事方法
の認可ということで、
設計
・
工事方法
につきまして申請書が出てまいります。これを
審査
いたしまして、
安全確保
、特に災害を
防止
する、つまり、一般公衆の安全にかかわることにはならないということが確認できればこれは認可をする、こういうふうなメカニズムになっているわけでございます。 今回の
事故
につきましては、
国民
の
皆様方
に不安、あるいは特に
地元
の
皆様方
には
不信
といったようなことも生まれたということは私
ども
十分理解をしておりますし、私
ども
もその点については大変遺憾なことだというふうに思っているわけでございます。この
安全審査
あるいは
設計
・
工事方法
では、今申し上げましたような災害を
防止
するあるいは一般公衆の安全が確保される、こういうふうな観点からやっているということのために、絶対に
ナトリウム
の
漏えい
というふうな事柄が起こらないと、こういうふうなことを前提としていろいろと私
ども
が
規制
をしてきているということではないことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
阿部幸代
61
○阿部幸代君 わかったようなわからないような
説明
なんですけれど、結局、今回の
温度計
については
安全審査
の対象ではないと、これは公衆の災害につながるようなものではないと判断したということになるんですね。答弁はいいです。
原子力安全委員会
についてですが、
原子力安全委員会
も「
もんじゅ
」の
安全審査
でオーケーの答申を出しています。ですから、今回の
事故
には
責任
があるわけです。
ダブルチェック
をするから安全だとさんざん言われてきたわけですけれ
ども
、
安全委員会
の
審査
は
基本設計
のみで、しかも「
もんじゅ
」の
安全審査
の答申を見てみますと、
ナトリウム
漏えい
に関しては、「漏洩時に安全上重要な構築物、系統及び機器の安全機能が損なわれることがないよう
設計
される
方針
であることを確認した」と。
設計
そのものではなく、
方針
が確認されただけです。その後、
設計
段階
、施工
段階
でこの
方針
が実行されたのかどうか確認しているんでしょうか。
宮林正恭
62
○
政府委員
(
宮林正恭
君) そういうような
方針
につきましての確認は
設計
・
工事方法
の認可の中で
行政庁
がやる、こういうふうなメカニズムをとっております。
阿部幸代
63
○阿部幸代君 結局、
温度計
について言えば
ダブルチェック
の機能も何も果たされていなかったということで、
安全委員会
と科技庁の答弁を同じ方がなさいましたけれ
ども
、科技庁も
安全委員会
も結局動燃の
方針
を追認してきているだけ。
安全審査
を行う、そういう資格や能力がない、私はそういうふうに思います。動燃、科技庁、
安全委員会
とも
事故
の発生に直接利害
関係
があります。「
もんじゅ
」のオーケーをしたわけですから、全員そろって。 それで、この当事者だけによる
調査
というのは公平さ、客観性に欠けると思うんです。今回の
事故
の真相を
究明
し、
原因
を明らかにする資格はないし、
国民
の
立場
からいって期待ができないんです。
調査
、分析なさることはいいんですが、しかし、みずから推進してきた
人たち
がやるわけですから、おのずから限界がある。本来、
規制
機関というのは、アメリカのNRCのように開発機関から全く独立して大きな権限と体制を持つべきだと思います。特に、今回のこの「
もんじゅ
」の
事故
に限っても、利害
関係者
を除く、皆さん一緒に答弁するんですもの、同じ
立場
ですから。そうではなくて、利害
関係者
を除く公正な第三者によって
調査
する機関、これをつくるべきだと思うんですけれ
ども
、
大臣
、いかがでしょうか。
長谷川清
64
○
委員長
(
長谷川清
君) 簡単明瞭にお願いします。
中川秀直
65
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 何回もこれについてお尋ねをいただきまして、答えがそう変わらないのでございますが、今の
原子力安全委員会
は
行政庁
とは独立した独自の
立場
からいろいろな
原因究明
や、また
安全確保
等の
調査
、あるいはまた審議を行うということで進めておるものでございます。いろいろ御指摘がございましたけれ
ども
、
従事者
初め一般公衆、環境、そういうものに放射能の災害を起こさないという観点では懸命な努力をそれぞれの
立場
で
規制当局
も
安全委員会
もしている、このように理解をいたしております。私も法律を細かく逐条にわたって
関係
担当者から伺いました、そういう法体系で今まで
安全審査
もやってきたと。 しかし、今回このような
事故
を教訓にこの全般についても、
安全委員会
は
安全委員会
で、私
ども
は私
ども
で、また
安全審査
の
あり方
、
温度計
等についても、このようなことを起こさないために人知のあらん限りの努力をするという観点から、どういうやり方が正しいのか、それはそれとして研究開発の
実験
炉等々について、当庁の所管するところについてともかくもう一回見直しをしよう、こういう
立場
で今、鋭意
検討
を進めているところでございます。
阿部幸代
66
○阿部幸代君 最後に一言。
長谷川清
67
○
委員長
(
長谷川清
君) 時間が来ておりますので、質問をしないように。
阿部幸代
68
○阿部幸代君 一言で終わります。 日本では
安全委員会
が
第三者機関
的な位置づけを持たされているようですけれ
ども
、少なくともこの「
もんじゅ
」の
安全審査
にオーケーの意思表示をして推進した側にいるわけですし、実際に権限も小さいんです。「当
委員会
が意見を求められた場合は」ということで権限も小さいです。ですから、やはりもっと独立した権限のある
第三者機関
の設置が今回特に必要だということを強調して、終わります。 どうもありがとうございました。
長谷川清
69
○
委員長
(
長谷川清
君) 本
調査
に対する本日の
質疑
はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会