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1996-04-10 第136回国会 参議院 科学技術特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十日(水曜日)    午後二時開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     志村 哲良君      中原  爽君     沓掛 哲男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 鹿熊 安正君                 吉川 芳男君                 石田 美栄君                 川橋 幸子君     委 員                 海老原義彦君                 沓掛 哲男君                 河本 三郎君                 楢崎 泰昌君                 松村 龍二君                 友部 達夫君                 林  寛子君                 山崎  力君                 峰崎 直樹君                 山本 正和君                 阿部 幸代君                 立木  洋君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君    政府委員        科学技術政務次        官        松谷蒼一郎君        科学技術庁長官        官房長      工藤 尚武君        科学技術庁原子        力局長      岡崎 俊雄君        科学技術庁原子        力安全局長    宮林 正恭君    事務局側        第三特別調査室        長        塩入 武三君    説明員        原子力安全委員        会委員      佐藤 一男君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事        長        大石  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏  えい事故に関する件)     —————————————
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十九日、谷川秀善君及び中原爽君委員を辞任され、その補欠として志村哲良君及び沓掛哲男君が選任されました。     —————————————
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関する件の調査のため、本日の委員会動力炉・核燃料開発事業団理事長大石博君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関する件を議題といたします。  同件に関し、政府から報告を聴取いたします。中川科学技術庁長官
  6. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 昨年末の「もんじゅ」の事故につきましては、地元方々国民皆様に大変な不安感不信感を与えるという極めて遺憾な結果を引き起こし、原子力行政を預かる者として心からおわびを申し上げます。  私は、徹底した原因究明を進め、万全の安全対策を講ずるとともに、積極的かつ速やかな情報公開等を行うことにより、一刻も早く国民皆様の不安、不信を解消し、信頼を回復することが重要と考えております。  このため、当庁の原子力安全局において鋭意調査を進め、去る二月九日に、これまでの調査検討の結果を取りまとめ、公表するとともに、引き続き破損した温度計部詳細調査等を行ってきたところであります。  また、原子力安全委員会におかれましては、第三者機関として、独自の立場から原因究明及び再発防止等のための調査審議が行われております。  今後、さらにナトリウム漏えい実験振動解析等を行い、これらの結果を総合的に評価し、万全の安全対策を講じてまいる決意であります。  本日、このような調査検討状況等について、私より参議院会議に御報告いたしたところでありますが、さらに、本調査検討に直接携わっている原子力安全局長より詳細について説明させることにいたしたいと存じます。  よろしくお願いをいたします。
  7. 長谷川清

  8. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) 御説明させていただきます。  お手元に「高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故調査状況について」という四月十日付の資料がございますので、それをごらんいただきながら聞いていただければと思います。  事故は十二月八日に起こったということは既に御存じのとおりでございまして、科学技術庁の方では、安全規制部局であります原子力安全局に外部の専門家及び当庁職員から成りますタスクフォースを設置いたしまして、立入検査等を行いながら事実関係の解明、調査を進めてきております。  二月九日には、漏えい発生原因漏えい後の拡大防止及び動燃事業団事故時の対応といったようなことにつきまして整理をいたしまして、これまでの調査状況を取りまとめ、御報告したところでございます。  これらの中で幾つかの問題点を指摘しておりますけれども、これに対しまして、二月二十七日に動燃事業団から回答書の提出がございました。その中で、指摘事項については可能なものから改善措置を早急に講じていくということが述べられております。  これにつきましては、考え方としては基本的におおむね妥当である、こういうふうに考えておりますが、具体的な措置につきましては、引き続き動燃事業団において検討が進められているところでございます。  次に、原子力安全委員会の方におかれましては、事故の翌日直ちに安全委員のお一人を現地に派遣されるとともに、独自の立場から原因究明及び再発防止のための調査審議を行うこととされまして、専門ワーキンググループを設置いたしまして、原子力安全委員方々も参加され、これまで四回の現地調査あるいは八回の会合といったようなことを行われまして調査が進められていると承知しております。  また、これに加えまして、研究開発段階原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通あり方及び研究開発段階原子力施設に係ります安全確保あり方という事柄につきまして既に検討しようということにされております。  それから次に、最近の調査状況でございますが、漏えいいたしました温度計部詳細調査につきましては、これはCループ配管にあったわけでございますが、これを切り出しまして、日本原子力研究所及び金属材料技術研究所において破面観察などの調査を実施してまいりました。その結果は四ページをごらんいただきたいと思います。  破面は温度計さや管の破面でございますが、真ん中にございます図のちょうどドーナツみたいになっておりますのが空洞の部分でございまして、ナトリウム上流側ナトリウム下流側と書いてございますが、この両側から亀裂が出まして、それで、特にナトリウム上流側亀裂の進行がどんどん進みまして、結果といたしまして、ストライエーション領域と書いてあります、ちょっと点が書いてあるような部分でございますが、こういうところが最終的にちぎれた、こういう形の全体的な構造になっているというふうに御理解をいただければと思います。これを立体観察の形で図に書いてみますと、下の図のようなことになります。  それから次に、温度計さや管でございますが、これは本体の方でございましたんですが、一方のさや管、約十五センチぐらい、直径が一センチぐらいのものでございます。これの探索に手間取りまして皆様方にも大変御心配をおかけしたわけでございますが、ようやく三月二十八日に至りましてこれを見つけました。現在、これらにつきまして、配管を切断いたしまして取り出すための準備作業を行っております。今月の二十四日には回収作業が開始できるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。参考の二、五ページに具体的に見つかった場所が示されておるところでございます。  上の図で蒸気発生器過熱器蒸気発生器は実は二段階に分かれておりますので、その温度をより高める方向のものを過熱器と呼んでいるわけでございますが、その過熱器の中のナトリウムがちょうど入り込んでまいります分配器、こういうふうに称している部分がございますが、この中にさやが埋まっていた、こういうところでございます。これにつきましては、非常に複雑な構造のものでございますので、この中へ機械機器を持ち込みまして具体的に取り出すという作業は、ちょっと何らか一工夫、二工夫必要ということで、現在その手配をしているというところでございます。  それから三ページでございますが、ナトリウム燃焼挙動あるいはナトリウム燃焼に伴う影響といったような調査につきましては、いろいろとやはり試験をする必要がございます。当然、現場調査あるいはコンクリートのサンプリングなども行ってはおりますけれども、そういう試験をやる必要があるわけでございます。これにつきましては先月末に実験を試みたところでございますが、残念ながらナトリウムが早期に漏えいしましたために中止のやむなきに至りました。また、四月八日に再実験を試みましたところ、予定流出量の三分の一の流出にとどまっております。現在、これらの実験結果につきまして取りまとめを進めておりますけれども、この結果を得まして今後の方針を決定したいということでございます。  また五月には、現場機器配管等状況を模擬した実験をやりたい、こういうふうに考えており、そのための準備中でございます。  また、ナトリウム漏えいいたしましたCループにあります他の温度計を切り出しまして、損傷調査等を実施いたしております。  それから、Cループ以外にA、Bループというのがあるわけでございます。これらにつきましては、現在も崩壊熱を除去するためにナトリウムを循環させて冷却しているわけでございますが、ナトリウムの流速が小さいために、温度計に何らかの損傷があったとしてもその損傷が進展をいたしまして折れてしまうということはない、こういうふうには考えておりますものの、念のため温度計密閉性能を強化いたしまして、万一破損を生じましても漏えいが生じないような安全対策を講じているところでございます。  今後の予定といたしましては、これまでの調査及び実験先ほど申し上げましたタスクフォースの指揮のもとに行ってきておりますが、先ほども申し上げましたいろいろな実験をやりまして、それが終了し、その評価を行った上で再発防止策を取りまとめ、その上で最終的に報告を出せる段階になるのではないかというふうに考えております。  なお、途中経過につきましては節目節目で公表するというふうに考えておりますので、最新の情報につきましては、そんなに遅くない段階、できれば連休前には何らかのものが出せないかということで、今、鋭意努力をしている段階にございます。  以上でございます。
  9. 長谷川清

    委員長長谷川清君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 川橋幸子

    川橋幸子君 社会民主党の川橋と申します。  本日は、順番を変えていただきます等、委員長初め関係者皆様方の御配慮をいただきまして大変ありがとうございます。  ということで、いつものように大会派先生の非常にアウトラインがわかるような説明的な設問が入りませんで、突如私の自分の関心事についてお尋ねさせていただきます。  きょうは本会議もございまして、石田先生、また我が党の同僚議員照屋さんが大筋質問しておったわけでございます。そこで私は、前回、三月二十八日の当委員会第三者機関のことをお尋ねさせていただいたわけでございますけれども、本会議の中でもその問題について質問があり御答弁がありましたが、この委員会には、直接その第三者機関メンバーでいらっしゃる佐藤一男先年にお見えいただいております。お忙しいところ恐れ入りますが、ぜひ第三者機関、御自身のお言葉で御説明いただければありがたいと思います。  さて、今回、参議院での本会議の取り上げがタイミングはおくれたわけでございますが、おくれたといいますか、それが大変幸いいたしまして、妙な言い方でございますけれども、非常に大きな節目がちょうど来ているような感じがいたします。事業体行政、そして安全委員会、この三者の中でかなり結論が煮詰まりつつあること、それから国際的な動きといたしましては、原子力サミット日米首脳会談の後、引き続き十九、二十日とモスクワで開かれる、またそのために事前のIAEAの国際会議が開かれて、チェルノブイリから十年たった今日において、原子力の安全について専門家の中でも条約策定に向けての議論がなされている、こういう大変節目の時期でございます。  私ども照屋議員が申し上げましたように、昨年、戦後五十周年の節目でさまざまな安全神話が崩れるような、非常に国民にとりましてもあるいは国民に対しまして責任を負う議会といたしましても心の痛い話があったわけでございますけれども、年が明けまして、これからはどうやってこれを立ち直らせていくか、どうやって信頼回復をしていくか、そういう年になっていくのではないかと思われるわけでございます。こんな観点から佐藤先生にお尋ねしたいと思います。  まず一点目は、原子力安全委員会におかれましては今回の事故をどのように受けとめておられますでしょうか。タイミングよく原子力安全白書も発刊していただいたところでございます。概略述べられているかとは存じますが、佐藤委員の方からお答えをお願いしたいと思います。
  11. 佐藤一男

    説明員佐藤一男君) 今回の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関しまして、これは御案内のとおり、漏えいが発生いたしましたところはいわゆる二次系でございまして、そのために、周辺の公衆あるいは従事者への放射性物質影響あるいは放射線の影響、こういうものはなく、原子炉も安全に停止はされたわけでございます。しかしながら、だからといってこれでこの事故は等閑視してよろしいというふうには安全委員会は決して受けとめていないところでございます。逆に、私どもとしましては、結果はともかくとしても、この事故を非常に重く受けとめているところでございます。  その理由というのは幾つかございますが、主なところを申し上げますと、まずこのナトリウムを取り扱う技術というのは、高速増殖炉技術開発をしなければならないさまざまなものがございますが、その中でも中核となるようなものでございます。これにつきましては、当然のことでありますが、高い信頼性を確保するということにしていたにもかかわらず、たとえ二次系であっても漏えいが起こったということになりますと、この技術そのものが本当に十分なレベルまで到達しているんだろうか、もし足りないところがあればどういうふうにこれを補っていかなければならないのか、こういう問題が浮かび上がってくるわけでございます。  さらにまた、あえてつけ加えさせていただきますと、こういう原子炉施設のような、いわゆる俗に言う巨大システムでございますが、非常に複雑で巨大なシステムにおきましては、思いがけない場所の出来事がまた思いがけないところに影響を及ぼすということも決して珍しいことではございません。そういうことで、これが二次系であるといって私どもは等閑視するようなことなく、むしろ問題を非常に幅広くかつ深くとらえて解明していかなければならないというふうに受け取っているところでございます。  先ほども申しましたように、高い信頼性を確保することにしていたにもかかわらず、このように実際に漏えいが生じ、しかも、この漏えいを速やかにとめることができず火災の影響を拡大するというような事態が起こりました。さらにまた、その後、御案内ビデオ問題等も含めまして情報公開あるいは情報伝達等に大分問題があったということも明らかになっております。これによりまして、地元の住民の方々を初め多くの国民方々に不安あるいは不信感というものを与える結果になった。これは安全委員会といたしましても極めて遺憾に存ずるところであります。  こういうようなことも踏まえまして、安全委員会といたしましては、今回の事故を重視いたしまして、独自の立場から原因究明及び再発防止対策等々の調査審議を行うこととしておりまして、原子炉安全専門審査会の中にワーキンググループを設置いたしましてそれに当たらせているところでございます。  また、先ほどちょっと安全局長の方からも御紹介がございましたが、私自身事故の翌日十二月九日、直ちに現地に参りまして状況把握に努めました。その後、実は十二月二十二日にも現地に参っておりますが、この状況把握に努めてまいったところでございます。  大体受けとめ方としてはこういうことだということに御理解いただきまして、この原子力安全の行政を的確に遂行していくために、地元方々を初めといたしまして国民信頼が大前提でございますので、私ども原子力安全委員会といたしましても、その期待にこたえるべく、全力で本件に取り組むつもりであるということでございます。
  12. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。御熱心に御報告いただきましたその方向で着実に取り組んでいただきたいと思うのでございます。  起こったことは起こったことで、その原因究明するなりあるいは責任所在を明らかにして、これからの危機管理対策といいましょうか、災実対策といいましょうか、そのシステムを確立していただきたいと思いますが、その中で一番大きなポイントは、やはり安全審査の問題ではないかと思います。今回は原子力安全委員会がどんな役割を担われて、事前安全審査についても責任を持たれたと思うのでございますけれども、そこにやはり不備があったと言わざるを得ないということではないのでしょうか。  きょうの本会議の中で、大臣説明に対して我が党の同僚議員から、温度計設計ミスかと非常に簡単明瞭に質問いたしました。それに対するお答えは、ミスという片仮名ではなくて日本語でお答えになられまして、あれはもっと短縮して端的に言えば、大臣の口からミスがあったとおっしゃったというふうに私どもは理解できるような気がいたします。  そのミスがあったかなかったかではなくて、安全審査というものは、事業体、それから行政、そして第三者機関、ことし出ました白書によりますと、一ページ目には、工夫されたんだと思いますが、顔写真入りメンバー方々が御議論していらっしゃる風景が載っております。原子力安全全般について厳格な調査審議を行っていますと、そういうペーパーもございます。  そうした事前安全審査が今回はどこかにミスがあった、そごがあった、欠陥があったとしたら、これを修正するのが信頼を取り戻す一番大切なことではないかと思いますが、佐藤先生いかがでございましょうか。
  13. 佐藤一男

    説明員佐藤一男君) 安全委員会役割と申しますのは規制行政全般にわたるところではございますが、今お尋ねの安全審査は、原子炉施設あるいはその他の原子力施設のいわゆる設置許可時の審査を指しておられるものと理解いたします。  この審査におきましては、その施設基本設計ないしは基本的な設計考え方、こういうことについてまず所管行政庁、この「もんじゅ」の場合は科学技術庁でございますが、所管行政庁において安全審査が行われます。その後、原子力安全委昌会は、その審査の内容につきまして法令の定める許可基準、例えば技術能力でございますとか、災害の防止上支障がないといったような基準の適用についてそれが妥当なものであるかどうかということを審査する、これを通称ダブルチェックと呼んでいるところでございます。  ただ、さらに設置許可に関する答申に際しまして、必要に応じまして、その後、設置許可以降行政庁が行う設計及び工事方法の認可でございますとか、使用前検査でございますとか、そういう後続の規制段階におきまして特に留意すべき重要事項があればこれを摘出いたしまして、行政庁にこれを伝え、そしてその処理方針等について報告を受けているところでございます。  以上が安全委員会安全審査のかかわりでございます。
  14. 川橋幸子

    川橋幸子君 設立許可時の審査というふうにやや限定的な感じで私はお答えを受けとめましたけれども設立許可時の審査というのは今後の、もし運転再開が可能になるとすれば、そういう状況になるとすれば、そのときにもこの審査基準がしっかりと体系づけられて、今回の事故が起こるようなことがないようなより綿密な基準を考えていかれる必要があると思うんです。そういう意味ダブルチェックだと思うんです。  時間がなくて恐縮なのですが、私は、やっぱりぜひとも聞きたい、具体例でもって聞いた方がわかりやすいかと思って聞きたいわけでございますが、温度計安全性の問題でございます。本会議でも指摘されておりましたが、なぜ常陽と違ったものを使ったのか。安全性チェックして、それで今度は「もんじゅ」で臨界になったわけです。何のためのテストだったのかというのは、これは常識的に非常に疑問に思います。常陽と違ったのはなぜか。  それから、フランススーパーフェニックス事故情報が入っておった。さや管は長いよりは短い方がよい、短くしないと事故が起こりかねないと、そういうフランス事故の教訓があった。それがなぜ学習効果として生かされないのか。  それからもう一つ、これは新聞情報でございますが、温度計技術的なガイドラインについては、ASME、米国機械学会がつくられておられて、ここでもカルマン渦だけではなくて、今回、多分そうであろうというふうに推測されておる対称渦というんですか、この渦のために温度計については九一年に指針を変えておられた。  これだけの材料があり、これだけの情報があり、多分これは皆さん、事業体行政安全委員会も一番最高のアカデミックな人たちがいらっしゃるわけですから、共有されたと思うわけです。なぜ生かされないのか、非常に不思議でございます。  そういう安全審査役割責任について、追及しているわけではございません、これからどうするかという意味を含めてお答えいただきたいと思います。  これは日経新聞でございますか、この社説の中でも、責任所在の不明確さ、温度計安全性をだれが責任を持ってチェックするのかと。これは温度計というのは例示でございます。ほかにもさまざまな構造があり部品がある、材料があるわけでございますけれども具体例を挙げて温度計についてお伺いしたいと思います。
  15. 佐藤一男

    説明員佐藤一男君) お答え申し上げます。  まず施設全体、この温度計も含めまして、その安全確保責任はだれが負うのかということでございますが、これはもう明瞭でございまして、施設設置者でございます。  それで、規制当局は、その設置者社会的責任を果たしているかどうかを監視し監督する、いわゆる監督責任を負っておるわけでございます。安全委員会は、さらにその上に立ちまして、規制当局規制が適正、妥当であるかどうかを見守る、これも非常に重要な任務であり責任であるというふうに理解しております。  さて、この温度計の問題でございます。この温度計は、そういう意味ではまず設置者がちゃんとチェックをしなければならないということでございます。実際に、規制で仮にこれをチェックするといたしますと、恐らくは設計及び工事方法の認可という段階規制当局が行うものと考えますが、現在までの慣行ではそこまでの詳細は監督が及んでいなかったというふうに聞いております。  しかしながら、今回の「もんじゅ」の事故を踏まえますと、安全委員会では、もう既に十分経験も積みほとんど定式化されているような原子力施設ではなくて、この「もんじゅ」のように研究開発段階施設につきましては、既にもう十分経験を積んだような施設とは違った目で見て、そして安全確保のためのさまざまの対策を講じていかなければならないであろうと。この中には、当然のことながら規制あり方、あるいは安全委員会の監視のあり方も含めてでございます。そういうものが必要ではないかというふうに考えまして、先ほど申し上げましたワーキンググループでの調査審議、あるいは規制当局調査等の結果も踏まえまして、その基本的な考え方検討することとしてございます。
  16. 川橋幸子

    川橋幸子君 時間がないので、本来ならばこの御説明に対して私の再疑問を呈したいところですけれども、きょうはこのお答えでは大変不満だということだけ申し上げさせていただきたいと思います。  原子力安全全般について国民に対して責任を負う。国民に対する責任という意味では、現場、それから行政、その上に立ってどこかに責任が漏れないようにするのが全般的な責任という意味ではないでしょうか。今後について御検討くださるということでございますので、きょうは今後を期待いたしまして、この質問はこの限りにさせていただきます。  ところで、この原子力安全委員会、大変大きな力と権限とそして責任を持っていらっしゃるわけでございます。総理大臣が任命する。そして、こうした原子力の問題につきましては総理大臣を通じて関係行政機関の長に対して勧告できる、こういう権限を持った機関でいらっしゃいます。今までそうした勧告を実行されたことがあるのかどうか。  今回は、これは非常に大きな問題だと思います。原子力に対する国民信頼を取り戻す、そのためにも、そういうときにこそこの勧告権というものを有効にお使いになる必要があるのではないかと思いますが、結果はこれからというお話でございますから、またこれから必要かどうか判断して必要な場合にはそうしますというお答えではなくて、この勧告権に対する原子力安全委員会自身の意義というものを含めまして、お答えを簡単にいただきたいと思います。簡単で結構でございます。
  17. 佐藤一男

    説明員佐藤一男君) お答え申し上げます。  まず第一に、国民皆様方信頼にこたえるという、原子力安全確保全般にわたる責任を持っているのではないかという御指摘につきましてはそのとおりでございまして、それは日夜痛感しているところでございます。  まず、この勧告権でございますが、私も安全委員になりましてからまだ三年でございまして、従前のことを調べていただきましたところ、これまで安全委員会の中で企画、審議あるいは決定した事項につきましては関係行政機関の方で十分これを尊重しておられまして、あえて勧告という形をとらなくても十分であったというふうに伺っております。  今回のナトリウム事故について、先生からこれからだろうというようなことまでお話ございましたけれども、これは調査審議の結果を踏まえまして結論すべきことではございますが、もしその結果、勧告するのが必要でありかつ適切であるということになりましたら、私どもといたしましては、それを行うのをためらう理由は何もないというふうに考えてございます。
  18. 川橋幸子

    川橋幸子君 時間が参ったのですけれども、一問だけ大臣にお聞きしたいことがありまして、お許しいただきたいと思います。  ところで、原子力安全委員会の事務局が行政科学技術庁の中にあるのでございます。きょうの報告科学技術庁が、わざわざ安全委員会先生がお見えなのにもかかわらず、かわって局長が御説明なさる。これは、行政の側では二重人格である点は十分わきまえながらやっていらっしゃるとは思いますけれども、一般国民、第三者の目から見ますと、やはり独立性というのは非常に薄いように見られます。それは本人の主体的な問題じゃなくて、外から見たときの客観的な印象の問題でございます。  総理大臣に対して勧告も意見も述べられる、あるいは委員会としても決定できるということでしたら、ぜひその事務局は総理府にお置きになるとか、事務局は行政の機関からセパレートになさるということをお考えになられることはありませんでしょうか。
  19. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 原子力安全委員会は、何回も申し上げておりますけれども委員も御承知でございますが、総理府のもとに設置された諮問委員会でございます。下部組織として延べ約四百人に及ぶ各分野の専門家から構成される二つの審査会並びに十六の専門部会を持っている。そして、五人の委員先生方は国会の御同意を得て内閣総理大臣が任命するということにされている行政庁からは独立した第三者機関でございます。  委員御指摘の事務局が、それでも科学技術庁原子力安全局にあるのは独立性に欠けるではないか、こういうお尋ねでございますが、行政庁規制担当課、例えば原子炉規制課というものが行政庁の側にはございますけれども、その課や室とはまた全く別の原子力安全調査室というものがこの安全委員会の事務局として置かれているわけでございます。形としては委員御指摘の考え方も一つの考え方だとは思いますけれども、私としては、こうした体制によりまして、現実には原子力安全委員会の第三者性というものは保障はされている、このように考えております。  行政改革の中でのスリムな体制ということもございまして、現状の中ではそのように私どもは認識をしておりますし、そしてまた、安全委員会先生方もみずから御企画をなされ、そして審議をし、そしていろいろな主要な事項は御決定をいたしている、こういうふうに受けとめさせていただいているところでございます。
  20. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  同感いたしかねますけれども、また質問させていただきたいと思います。
  21. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。  昨年十二月八日に発生いたしました福井県敦賀市にあります高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故につきましては、昨年十二月二十七日に当委員会調査審議を行い、また本年一月十六日には当委員会として「もんじゅ」サイトにおきます調査を行い、さらに本日、本会議において政府より報告があったところでございます。  今回の事故が私の地元福井県民に対して、従来大変な信頼を寄せていただけに、大きな不安感不信感を呼び起こしたことはまことに遺憾でありまして、福井県選出の国会議員として福井県民の気持ちを代弁して今回の事故に対する政府の率直な反省を求め、それを踏まえた取り組みをさせていただきたいと思います。  私は、昨年十二月二十七日に行われました委員会におきましては、この「もんじゅ事故に対する東京と地元との意識のギャップ、あるいは専門家と一般市民とのギャップ、これについて指摘すると同時に、また科技庁が動燃だけのミスであるというふうな態度をとるということについては必ずしも地元県民が納得いたしかねるというふうな御質問をさせていただいたところでございます。    〔委員長退席、理事石田美栄君着席〕  まず、昨年の事故発生直後から科学技術庁の方では事故調査検討タスクフォースを設置いたしまして、原因究明作業を実施されてきたところであります。その途中経過について去る二月九日に中間的に取りまとめ、公表されたのであります。  その中で、ナトリウム漏えいを初期の段階で掌握し、火災拡大に至らないように適切に対処できなかったというナトリウム漏えい後の拡大防止については既に相当程度明らかにされました。しかしながら、ナトリウム漏えい発生の直接の原因となった温度計の破損原因につきましては、その時点では特定されていなかったのであります。その後、金属材料技術研究所日本原子力研究所におきます電子顕微鏡を使った調査などさまざまな調査の結果、温度計の破損原因は高サイクル疲労によるものと判断したとのことでございます。それと並行して動燃事業団でも振動試験などを実施し、また他の温度計につきましても調査していると聞いております。  本日の本会議、また先ほどの局長の御説明である程度御説明があったように承知いたしますけれども、今回のナトリウム漏えい事故原因となった温度計が高サイクル疲労を起こすメカニズムについて、これまでの調査においてどのようなことがわかっているのか、お伺いしたいと思います。
  22. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) お答えさせていただきます。できれば、先ほど私が御説明させていただきました資料の参考一ページ四をごらんいただきながら聞いていただければ幸いだと思います。  まず、先生お話がございましたとおり、温度計につきましては、日本原子力研究所あるいは金属材料技術研究所で電子顕微鏡などを用いまして破断面の調査などを行いました結果、先ほど申し上げましたようなところでございまして、亀裂は約十五カ所から発生したというふうなことがわかっております。そして、それが順次成長していって最後に切れたということでございます。  また、振動試験を、これはナトリウムをそのまま使うわけにはなかなかいきませんものですから、水を使いまして実験いたしました。この結果、当初はスピードが速いときに亀裂が発生するわけでございますが、流速が小さくなってまいりましてもさや管の振動が生じます。それで最後には切れてしまうというふうなことになっているということがわかったわけでございます。  具体的には、一〇〇%の流量、つまり一番速いスピードのときでございますが、このときには高サイクル疲労で亀裂が出てまいります。そしてそれは、先ほど申し上げましたように、上流側から下流側に亀裂が徐々に進みまして、逆に下流側からも少しずつ亀裂が出てくる。  それで、四〇%の流量、これはまさにこの「もんじゅ」のナトリウム漏れが起こったときの状況でございますが、この段階、ある段階まで進んでまいりますとこれくらいの流量でもさや管が振動しやすい状況になりまして、最終的には先ほど申し上げました両方の亀裂が合体をしまして、ちぎれて切れる、こういうふうなことになっているものと考えております。
  23. 松村龍二

    ○松村龍二君 温度計の破損は設計ミスとの指摘がありますが、現時点までの原因究明でこの点は確認されたのでしょうか。  また、私も大学の受験勉強のときに物理をとった程度の全くの技術の素人でございますけれども、流体の中にさおを入れれば、そのさおに抵抗がかかるというふうなことは私でもわかるわけですけれども、これがなぜチェックされなかったのか、お伺いしたいと思います。
  24. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) まず、設計ミスであったかどうかということでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたような高サイクル疲労がきっかけとなって最終的に破断をして事故が起こった、こういうふうに考えております。この段階で、最終的なあるいは断定的なことを申し上げるのはちょっと避けさせていただきたいと思いますが、設計に問題があった可能性は非常に高い、こういうふうに考えております。現在進めております調査の結果を最終的に総合的に判断いたしましてそういう判断をさせていただくことになろうか、こういうふうに考えております。  なぜチェックされなかったかということにつきましてでございますが、これにつきましては現在調査を進めておりますが、動燃におきまして自主保安によって安全確保が図られて設計審査をされてきているところでございますけれども、それにつきまして十分でなかった面があったというふうに判断せざるを得ない側面もございます。  なお、研究開発段階原子力施設安全確保あり方、これは先ほどもいろいろ御議論が出ておりましたけれども設計や施工の方法も含めまして原子力安全委員会において今回の事故にかんがみまして検討されているところでございまして、私どもとしましては、この検討結果を得まして今後の対応を十分とって、こういうふうなことにならないように気をつけていきたい、こういうふうに思っています。
  25. 松村龍二

    ○松村龍二君 折れたさや管につきましては、三月二十八日に蒸気発生器の入り口部分で発見され、実に管の中を百九十メートル流れ流れて蒸気発生器のところでとまっておったということでございますが、ようやく四カ月近くなりまして発見されて、今後、回収の上、調査を行うと聞いております。  また、一昨日は、動燃事業団ナトリウム漏えいの再現実験が行われまして、今後さらにより実物に近い形での再現実験も行う予定とされておりますが、地元としては、徹底的な原因究明を速やかに行い、その上で万全の再発防止策を慎重にまとめてもらうことが必要と考えるところであります。    〔理事石田美栄君退席、委員長着席〕  今後、さらに事故原因究明作業等をどのように進め、まとめていくつもりなのか、お伺いしたいと思いますが、これは温度計だけの問題ではない。温度計の問題においてこのように初歩的なミスがあったということで、最先端の原子力を利用する発電所ということでございますので、いろいろ事故究明作業等も行われなければならないと思うところでございますが、どのようにまとめていくつもりか、お伺いします。
  26. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) お答えさせていただきます。  現在、これまでに実施されてまいりました温度計の破面観察とか振動試験の結果につきまして最終的な評価をする、あるいは温度計設計に関する調査といったものについて最終的な整理を進めているところでございます。  しかしながら、先日行いましたナトリウム漏えい試験といったようなものにつきましては残念ながら必ずしも思ったようにいっていない、こういうふうな段階にございますので、これらの実験もどういうふうにして今後取り扱っていくかということについては、三分の一ぐらいは既に漏出する実験はしておりますので、それを含めまして大至急検討を進めていきたい、こういうふうに思っているところでございます。  また、さや管部分につきましては、先ほど申し上げましたように、これを取り出しまして破面観察調査をするというふうなことをしたいと思っております。  それから、ライナーの構造などを模擬しました全体的なナトリウム漏えい燃焼試験というふうなことをやはりやる必要があるのではないかということで、現在、タスクフォース先生方と御相談をしているところでございます。  したがいまして、これらの試験実験といったようなものを経まして、その結果を解析し評価をした後に、タスクフォースにおいて最終報告を出し得ると判断できる状況になれば、その段階で最終報告を出させていただきたい。また、先日、二月九日にいろいろと指摘をしたこと等につきましても引き続き調査などを進めておりますので、それにつきましても調査の結果がまとまり次第御報告できるようにしたいというふうに考えておりまして、いずれにしろ、節目節目で公表していくということで進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 松村龍二

    ○松村龍二君 一方、今回の事故の場合に、動燃事業団から地元自治体への、福井県あるいは敦賀市、あるいは関係近隣の町等への事故発生の通報連絡がおくれたことが指摘されております。  本来、事故発生時には地元自治体は、事業者との間に結んだ安全協定に基づきまして、事業者から連絡を受けることになっております。この安全協定はあくまでも当事者間の紳士協定でありまして、その運用に関して法的根拠があるわけではありません。要求しないでも出す某会社、要求して出す某会社、要求して出さない某というようなことが地元で言われておるように、まちまちなところがございます。  国はこれまでも安全協定の遵守について事業者を指導してきておりますが、実際には今回の場合もこれが適切に守られたとは言えず、抜本的な取り組みが必要であるとの指摘があります。すなわち、地元では、通報連絡について法的位置づけを明確にするなど、きちんとした仕組みの中で事業者に義務化すべきではないかという議論がございます。  考えてみますと、事業者の立場に立てば、事故をなるべく軽くおさめたい、そのことにまず集中したい、あるいはその事業体の幹部に報告し指示を仰ぎたい。県は、地域住民の安全のためにいち早く情報が欲しい、地域住民の生命がかかっておる、今回の場合は幸いにそのようなことはなかったわけですけれども、そのような可能性があるこの問題につきましてはいち早く情報が欲しいという立場でございます。  今回の事故については、動燃が県に通報したのは一時間おくれであったということが指摘されておるわけでございます。国は、事故がどの程度の規模の事故であり、これをどのように対処するべきか、その意味でいち早く情報が欲しい。それぞれ立場がございまして、これが単なる紳士協定では不十分であるというふうに県では見ておりまして、事業者に法的な位置づけで義務化すべきではないかという議論があるわけでありますけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
  28. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) お答えさせていただきます。  事故時におきまして、事業者が国あるいは立地する県、市といったところに直ちに連絡する、これはもう全く当然のことであるというふうに私ども考えております。今回の動燃の対応ぶりにつきましては、行き届かなかったところがあるということについては大変申しわけないことである、こういうふうに考えております。引き続き私どもとしましては動燃に対しまして強く指導してまいりたいということをまず第一点として申し上げたいと思います。  それで、法的に位置づけるかどうかということでございますが、これにつきましては、法的な意味あるいはその後に通知を受けた者がどんな役割を果たすかといったような全体的な法律論の詰めがどうしても必要になるのではなかろうかというふうに思われるわけでございます。  今後、自治体の御意見もいろいろ伺いながら、この問題につきましては私どもも研究をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  29. 松村龍二

    ○松村龍二君 原子力の防災につきまして基本法といったものをつくってほしいというような希望を持っておりますので、そのことについては後ほど言及いたしますが、そのような中に位置するのかどうかわかりませんが、御検討をいただきたいと思います。  また、現地に常駐し、「もんじゅ」の運転管理を行っている科学技術庁の運転管理専門官につきまして、事故発生直後の行動に関しどのような役目を負っていたのか、実際何をしていたのか、事故状況を的確にとらえていたのかなとの厳しい指摘を県の原子力安全対策にかかわっている人々はするわけでございます。これに対しまして科学技術庁は、二月九日、事故時・緊急時の運転管理専門官の役割の明確化と権限の強化を行うとの方針を示しておられるのであります。しかし、その内容の具体化はまだ示されておりませんので、今までの運転管理専門官と比べて何が変わるのかという疑問を持つ人もいるのであります。  県の方は、原子力発電所が十五基もございますので、長い間に経験を積んで、いち早く情報をとり、またいち早く現場に駆けつけてというようなことになれているわけですが、国から派遣されております運転管理専門官は、体制も弱いし、どろも県の姿勢と比べますと県民の安全といったことに対して何か緩いという印象を県では持つわけでございます。  運転管理専門官につきまして、従来と比べてどう強化されるのか、お伺いします。
  30. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) お答えさせていただきます。  事故時の対応につきましては、基本的には、まず事業者が責任を持って対応してもらう、そして事故に関します情報が迅速かつ正確に規制当局に十分提供される、こういうふうなことが安全規制の大前提になっております。しかしながら、残余ながら今回の事故ではこの基本は守られなかったということでございます。  今回の事故の対応を見ますと、運転管理専門官が事故に関する全体的な情報を迅速的確に収集把握をする、あるいは所要の対応をとるという点で弱体であったという御指摘については、私どもとしても反省をしているところでございます。このため、事故時・緊急時における運転管理専門官の役割を明確にしまして、必要に応じて一層主体的に対応できるような行動指針を明確にすることで現在その作業を進めているところでございます。  この中で、運転管理専門官が必要に応じて事故に関します情報の収集のために強制的な立入検査をするというふうなことにしたい、こういうふうに考えております。また、人的あるいは予算的な面を含めまして体制の強化についても検討を進めているところでございます。  なお、運転管理専門官への通信手段の強化につきましては、既に携帯電話等の配備は行っておりますけれども、引き続きその強化の手法をぜひ開発していきたいということで、最近の進歩した情報通信手段の活用というふうなことも通信事業者などに接触していろいろ検討を進めているところでございます。
  31. 松村龍二

    ○松村龍二君 次に、防災に関する特別法の問題についてお伺いいたしたいと思います。  原子力発電所の安全規制に関しては、原子炉規制法に基づき国が一元的に規制することが明確化されておるのであります。したがいまして、基本的には原子炉等については国が一元的に規制するという思想が当然のことながらあるわけです。  一方、原子力防災に関しましては、災害対策基本法に基づいて国や関係自治体等が必要な措置を講ずるとなっておりますが、国の責任が明確でなく、地方自治体に一義的に任されるといいましょうか、しかし、万一大量の放射能漏れが起こった場合、地元自治体だけで十分対応できるのかどうか疑問でございます。  起きて困ることには黙っていたいというのが日本人の古来の性格である。対策をしなければ事故も起きないだろうという傾向が日本にあると思います。また、住民の不安をあおることになってはいけないと。現在の金融システムの不安の問題もまさにこのような問題ではないかというふうに思いますけれども。  原子力防災につきましては、これまでそのようなことから具体的な検討を遠慮していた時期もあったかと思いますが、過去にチェルノブイリ、スリーマイル島の事故等が発生いたしました。日本ではそんな事故は起きないだろう、日本人の職員は立派だから、優秀だから、そのようなことは起きないだろう、地震に対しても万全の建築で備えてあるから起きないだろうと私自身も思いたいわけですけれども、やはり最近の国民の意識は、備えあれば憂いなしということで、具体的に重大な放射能漏れがあったときにどのように市町村、県、国が対応するのかというようなことをそろそろ決めてほしいという実感を持つ方が多いわけであります。  地元の福井県議会では、原子力防災に関し国の一元的責任を明確にすべきとの強い意見があると聞いております。また、福井県や全国原子力発電所所在市町村協議会からは既にこのような特別立法について要望が出されているにかかわらず、国においては一向に検討議論が進んでいないと聞いているのであります。  原子力防災に関して特別法を制定し、国の一元的責任を明確にし、積極的な対応が行われるべきであると考えるが、いかがでしょうか。
  32. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) まずもって、これまで我が国の原子力政策に最も大きく貢献をされ、そしてまた現に多くの原子力施設と背中合わせに暮らしておられる、そうした福井県民を代表されて御質疑をいただいている委員に対しまして、今回の事故地元福井県民の方々にいろいろな不信感不安感、そうしたことをお与えしたことに対して心からおわび申し上げたい、かように思う次第でございます。  ただいまお尋ねの原子力防災に関する特別法を含む防災対策の強化ということにつきまして、一般に、委員は十分御承知でございますけれども、防災対策というものは、地域の実情に応じました幅の広い迅速な対応、諸対策が必要であるという観点から、災害対策基本法に基づきまして、地方公共団体、そしてまた国、それぞれの役割に応じた措置をやっていこう、国はそれぞれの地方に十二分の手足を持っておりませんので、事柄によっては地方公共団体が主になりまして国がこれを支援する、こういう考え方でなされていることは御案内のとおりでございます。原子力防災についても基本的にはこういう考え方に基づきまして、現在までいろいろなそうした仕組みと申しましょうか、考え方で整理をいたしてきたところでございます。  具体的には、原子力防災の場合は他の事故あるいは災害と違いまして特殊性もございますので、国の方が防災指針をつくりましてお示しをするのみならず、緊急時には助言も行いあるいは専門家も派遣をする、そういう体制を整えてきたところでございます。また、財政面においてもあるいは技術面においてもそうした支援を国の方がいたしまして、防災対策が円滑に進められるように努めているところでございます。  しかし、委員御指摘のように、従来、国の防災基本計画の中に原子力防災における国の具体的な対応というものが定められているわけでございますけれども、よりこれを実践的なものにあるいはまた十分なものにしなきゃいけないという御指摘もございますので、これをさらにそうした方向で改定するために、中央防災会議におきましてこの五月中ということをめどに現に検討を行っておるところでございまして、当庁もその議論に積極的に参加をいたしておるところでございます。この防災基本計画の改定の中で、国、地方公共団体のそれぞれの責務というものがより明確になるように努めてまいりたい、このように目下努力をしておるところでございます。  国は、災害対策基本法のもとで原子力防災対策を充実すべく、今そうした方向で努力しておる、その結論をまた御審議賜りたい、こう考えておりますが、今御指摘のあった特別措置法等、原子力防災に関する御提案についても、各地方公共団体と具体的な点については今後も十二分に御相談をしながら、地方分権あるいはまた行政改革、そういうものも総合的に判断をしながら考えてまいりたい、こう考えております。
  33. 松村龍二

    ○松村龍二君 先ほど東京と地元とのギャップということを申し上げたわけでございますが、長官におかれましては、就任早々敦賀にも行かれまして、地方自治体あるいは県民の気持ちといいましょうか、考えを聴取いただきまして、また今週には「大臣原子力を語る会」を催されまして一般の市民からも忌憚のない御意見を聞かれるということで、敬意を表し、先ほど申しましたようなことについてぜひ前向きに取り組んでいただきたいということをお願いする次第でございます。  さて、本年一月に福井、福島、新潟の三県の知事から内閣総理大臣科学技術庁長官、通産大臣に対しまして、原子力政策の進め方に関して幅広い議論を行い、改めて国の責任において国民的合意の形成を図ってほしい旨の提言が出されたのであります。これを受けまして、国においても原子力委員会原子力政策円卓会議を設置したりシンポジウムや地域フォーラムを開催するという前向きな姿勢を表明しまして、それなりに地元からも評価されているものと承知いたしております。  しかしながら、立地地域も含め、国民各界各層が幅広く参加し、さまざまな意見を交わし、十分時間をかけて議論や対話ができるとともに、国民、住民の生活者としての意見や受けとめ方を十分踏まえたものとなるよう、単に科学技術庁の既存の原子力の路線を説得するための変化球の道具ということではない運営に心がけていただく必要があると思います。  原子力政策円卓会議やシンポジウムにおきまして幅広い国民の声をくみ上げるため、その運営においてどのような工夫を考えておられるのか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  34. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) まさに三県の知事からの御提言を踏まえ、また総理からの御指示も受けまして、いろいろ関係者間で協議を進め、三月十五日に発表させていただいた原子力政策円卓会議の運営方法は、委員御指摘のような考え方、基本方針で臨んでまいりたい、こう考えております。  具体的に申し上げますと、行政の側が一定の運営方針を定めるということではなくて、全く第三者の、モデレーターと申しておりますが、そういう方々を今委嘱中でございます。近々またお引き受けをいただく方々にお集まりをいただいて、中立公平な立場で、どうやったら国民合意の形成に進めるか、そういうお立場で基本的な運営の仕方をお取りまとめいただく。  そのモデレーターも必ず毎回御参加をいただき、原子力委員先生方にも必ず御参加をいただいて、生活者の方々、また地元の代表の方々、そしてまた原子力政策に批判的なお立場方々、もとより学界や経済界や言論界、そういう方々にも毎回必ず、いつも同じメンバーということではないかもしれませんが、いずれにしても、そういうお立場の代表の方に必ず毎回御出席をいただいて幅広い御意見をいただいてまいろう、そしてそういう中で、いろいろな合意ができつつあるあるいはできた取り上げるべき政策というものを摘出いたしまして、柔軟、的確に我が国の原子力政策に反映してまいりたい、かように考えております。
  35. 松村龍二

    ○松村龍二君 核燃料リサイクルの体系の問題につきましては、プルサーマル計画で我が国の純国産のエネルギー資源でありますプルトニウムを利用する、そして将来の体制整備につなげていくという観点から重要でございます。また、使用済み燃料の貯蔵保管につきましても今後の見通しが地元に対して明確に示されていないのが現状でありまして、核燃料リサイクル政策についてどのように進めていくかというのは重要な問題でございますが、これはちょっと指摘するにとどめます。  最後の質問でございますけれども、昨年、この事故が起きまして風評被害がございまして、関西に勉強に行っている子供が、敦賀に帰るのは大丈夫ですかということを聞かれたとか、週刊誌にも書いてございました。ことしも五月の連休とか夏休みを迎えるに当たりまして、地元を訪れる観光客や、また農産物、水産物の販売が影響を受けるのかどうかといったことに対して、地元関係者は不安を持って見守っているところであります。  このような状況を一刻も早く解消し、関西圏の消費地や周辺地域の方々に対して、事故によってダウンした地元のダメージを、いい意味の、いい方法のPRによって回復していただきたいと思うのであります。  また、原子力開発利用について地元の理解と協力を得ていくためには、電源立地地域の住民の方々が電力供給基地としての恩恵を享受し、そのメリットを実感することができるような地域振興方策を講じていく必要があると思います。  大臣も御承知かと思いますが、あの福井県の嶺南、十五基の原子力発電所のある地域は、海と山に囲まれた細長い地域になっておりまして、国道が一本だけ走っておる。昨年の阪神大震災の後に、関西を通れなくなったトラックがここに集中いたしまして、ただでさえ夏場の海水浴客等で渋滞している道路がその輸送トラック等によってまた渋滞して、地域の人が敦賀へ出ていくにもままならないといったような状況で、我々は、これだけ国策で十五基も発電所を立地し、関西の電気の五〇%を供給しているにかかわらず、近畿自動車道敦賀線といった高速交通路がいつまでたっても実現されない、自分たちは一体何をやっているんだろうといったような気持ちを大変強く持っているところでございます。  このことは建設省の問題でありあるいは他の省庁にかかわる問題であるかもしれませんけれども、今後、原子力発電の立地が非常に制限される時代を迎える中で、やはり科学技術庁も、大きな意味で国策の一つとして地域の振興につきまして、今申し上げましたような悲願といいましょうか、このような地域の振興に対しましても十分理解していただきましてプッシュしていただきたいということを心から念願するものでございます。御意見を聞かせていただければ幸いです。
  36. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 前段の核燃料リサイクル政策につきましては、委員の御主張、御意見を踏まえまして、幅広い御理解をいただいていけるように引き続き全力で努めてまいる所存でございます。  また、地元の風評被害を初め、どう地域振興方策に取り組むかというお尋ねでございますが、電源地域の振興のためには、地元立場というものに立ちまして、総合的にまた真剣にその支援策に取り組んでいかなきゃいかぬと認識をしております。  福井県につきましては、これまでも電源三法の活用等によりまして、敦賀市清掃センター等の公共施設の整備に対する支援、あるいはまた若狭中核工業団地等、企業の立地促進等に対する支援、また今後はこれに加えまして若狭湾エネルギー研究センターへの支援を行うことにいたしております。  また、その余のもっと具体的ないろいろな風評被害に対する地元方々の直接的なお声というものも私自身伺ってきたところでございまして、いろいろ庁内でも議論をし、地元のそうした風評被害を起こさないための全国に対する正確な情報の発進というものを私どもなりに精いっぱい努めていかなきゃいかぬ。  また、イメージアップを図るために、エネルギーの消費地である大消費地において、エネルギーの生産地である電源地域に関する理解というものをもっともっと深めていただかなきゃいかぬという観点から、そういった地域の魅力というものを紹介するためにも、新聞、テレビ等の媒体を通じた広報等を、具体的にはたくさんございますけれども省かせていただきますが、現に今月あたりから精力的に実施をしようとしているところでございます。  また、ただいまお触れのありました近畿自動車道の問題につきましても、先般、私自身が閣議後、中尾建設大臣に対しまして直接お願いを申し上げまして、その促進に全力で取り組んでいただく旨、強力に御要請を申し上げたところでございます。  また、今後、「もんじゅ」のございます敦賀市においては市制六十周年等々のさまざまな行事も伺っておりますので、そういう面についても御協力ができるところは積極的に対応してまいりたい、かように考えております。  そんな意味で、立地地域と原子力施設の共存を図っていくために、関係省庁との連携も十分にとりながら、地元の御意見に即して一層きめ細かな対策や振興方策に取り組んでまいる決意でございます。
  37. 松村龍二

    ○松村龍二君 終わります。
  38. 石田美栄

    石田美栄君 平成会の石田美栄でございます。  二月九日に出されたいわゆる中間報告以降にも、さまざまな資料が私たちの手元に届いております。  原子力安全委員会からは、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に対する今後の対応について、「「研究開発段階原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通あり方に関する特別会合」の設置について」、また「研究開発段階原子力施設安全確保あり方についての検討の進め方」といった資料、またさらには、原子力委員会では「「原子力政策円卓会議」の設置」について、また科学技術庁、通商産業省からは「原子力政策に関する国民的合意の形成を目指して」といったぐあいに、さまざまな今後の対応策が出されております。これは今後いろいろなことを非常に期待するわけです。  私は、きょうの本会議でも総理大臣と長官に質問させていただきましたが、さらにもう少し具体的に細かい点について詰めて伺ってまいりたいと思います。そして、監督官庁等のお話はさまざまお聞きしているんですけれども、むしろ事業所内といいますか、現場での責任がどうあったのかといったようなことを少し詰めさせていただくところで、私の提言もさせていただきたいというふうに思っております。  たびたび繰り返されますけれども、長官の御報告にも、「高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず」という言葉がございます。なるほど安全性に関しては、行政庁審査結果についてさらに原子力安全委員会ダブルチェックを行うのですから慎重に慎重を重ねてきたと考えられるわけですけれども、現実には、温度計さやの細管部が破損してナトリウムが漏れて大騒ぎになったわけでございます。  先ほども質問者の方から、なぜこの常陽スーパーフェニックスの教訓が生かされなかったのかという質問は重ね重ねされてきているのですが、私もこの図を見まして、本当に新聞なんかに出ますと国じゅうで皆見ているわけですけれども、一番最も単純な点、常識的に見てもやっぱり納得がいかないわけで、重ねてお伺いしたいんです。  常陽で三菱が得た成果、すなわち、くびれた部分が実際にはほとんど直角に近いカーブになっていて、常陽ではそれが非常に緩やかな丸みがつけてあったわけです。そうしたことが、なぜ東芝に移ったときに正しく技術移転がなされなかったのか。また、さや管の長さは十センチだったのが十五センチとか長くなっているというふうなこと。ところが、スーパーフェニックスの場合には、ナトリウムにぶつかって振動したことが原因とわかったので、温度計さや管が振動しにくい短いさやに交換したという本当に単純なことです。だのに実際には五センチも長くなっていたと、こういうことが現実にあったわけです。高度な技術というのはいろいろとチェックされているんでしょうけれども現場のことというか、幾つもの実験を重ねてもう日常的になっていてと、いろいろ言いわけはあるんですけれども、やっぱりなぜなのか。  実際には大きな事故になって国策として非常に重要なことのつまずきになっておりますので、こういう例がありながら審査の対象になっていなかったのは、ひょっとして、もうあそこのところで失敗したなということを実際にはお気づきになっているのかなとも思うのですけれども、なぜ温度計について審査対象になっていなかったのかということを重ねてお伺いしたいと思います。
  39. 大石博

    参考人大石博君) 動燃事業団理事長の大石でございます。  ただいま先生御指摘のとおり、温度計の形状は「もんじゅ」と常陽と異なっております。私ども温度計設計をするに当たりましては、「もんじゅ」と常陽の基本的な原子炉の違い等を考慮し、これに適した温度計の性能、それから強度等を確保できるような設計をしてまいったわけでございます。  したがいまして、温度計の所要の目的に合致するようなものをメーカーから提案させます。形状は違う場合があるということは最初からよく承知をしながらやってまいりました。「もんじゅ」の設計を行うに当たりましては常陽の実績をそのまま適用いたしました。温度計設計、製作を行うに当たりましての主要点は三点取り上げました。  一つは、ナトリウムの流れに対する強度あるいは熱膨張に対する強度、こういった強度を十分に持つということ。二点目は、よく言われますカルマン渦による振動に耐えること。それから三点目は、スーパーフェニックスでもございましたが、溶接部からナトリウム漏えいが起きないようにすること。この三点を主要点として設計を行ってまいりました。これは常陽で行ったことと全く同じでございます。これを行うに当たりましては、メーカーに対していろいろな設計、製作の諸基準がございます。その諸基準を用いて、これを適切に適用し設計することということでメーカーに設計、製作を依頼いたしました。  一方、スーパーフェニックス事故の反映というお話でございましたが、スーパーフェニックスでは、一つは溶接部における溶接欠陥によりナトリウムが漏れたということがございますし、もら一つカルマン渦による振動が起きたということから温度計の一部取りかえを行っております。私ども設計、製作をメーカーに依頼するに当たりましても、このスーパーフェニックス事故の反映をすべく、溶接については動燃みずからが詳細にチェックをいたしました。その健全性は確認をいたしました。それからカルマン渦につきましては、メーカーの諸基準に基づく設計内容を詳細にチェックいたしました。異常のないということで仕上がりの温度計の検査等も十分に行いました。  ところが、今回、ナトリウム漏えいが起きました。その原因につきましては、今、鋭意究明を行っておるところでございますけれども、これまでに、カルマン渦とは異なる原因によって振動が発生し温度計が折損をし、そこからナトリウムが漏れたということがわかりました。このカルマン渦とは異なる振動の発生防止についての標準的な設計基準は、現在のところ、私どもとしては承知しておりません。  したがいまして、今回の漏えいにつきましてはこのことを深く反省し、今後の改善対策の中で十分検討し反映すべきものというふうに考えております。
  40. 石田美栄

    石田美栄君 お答えを聞いていても、カルマン渦だとか高度な審査基準ばかりのお答えですので、やっぱり何か納得がいかない。  その三つの基準によって設計を依頼したとおっしゃいますけれども、なぜ五センチ長くなきゃいけなかったのか、くびれのところは丸くしてあった方が折れにくいというのは、普通だれが考えたって単純な、それを直角に近く変えるというこの点について。繰り返し幾ら言っても起こったことは仕方がないんですけれども、より高度なことはチェックしたんだけれども、なぜもっと日常的なそういうことについての思いがいかないのかという点、そういうところで高度な技術者集団の中で欠落していろいろんなことがあるのじゃないか。そのことがいろんなおそれにつながるといろことを、きょうはどんどん詰めていきたいというふうに思うんです。  ついでといいますか、ほかにも十六本くらいの温度計ですり傷が発見されたということが伝えられています。その状態について多少教えていただくのと同時に、ほかにも温度計といったような、高度なところから見れば安全審査の対象からは外れているんだけれども、その後のここ四カ月近くのいろんな調査の中で、ひょっとしたら案外こういう簡単なことが事故の危険性につながるのではないかということが、本会議のときの御答弁でも今検査中だというふうにおっしゃいましたけれども、現段階でそんなことが何点か見つかっていればお教えいただきたいと思うのですが。
  41. 大石博

    参考人大石博君) 十六本の温度計ですり傷が発見されたということにつきまして、私ども既に新聞発表等で行っております。御承知のとおり、このすり傷というのは、さや管の中に熱電対が入っておりますが、この熱電対を保護するための保護カバー的な役割を果たしておるものがございます、これをシースと言っておりますけれども、このシースの外麦面にすり傷がございました。これは、事故が起きましたCループではなくて、A、Bループの全部で三十二本あるうちの十六本にすり傷があったわけでございます。  すり傷はございましたけれども、この役割からいっても、この程度の傷は温度計の熱電対の本来果たすべき温度計測性能並びにさや管の健全性には直接影響するものではございませんので、これが安全上問題になるというふうには考えておりません。  以上でございます。
  42. 石田美栄

    石田美栄君 もう一点、後半でお尋ねいたしました。ほかにも安全審査の対象には今まではなっていなかったけれども、このたびの事故でいろいろ調査等されている中で、本会議の方でも似たようなことをお尋ねいたしましたところ、ただいまそういうことは検査中だということだったのです。この温度計に似たような、高度な技術からいえば考えてもいなかったけれども、案外こういうところに落とし穴があるのではないかと、今までの段階で今後も審査対象にしていかなきゃいけないんじゃないかというふうな点が見つかっておられましたらというお尋ねなんですが。
  43. 大石博

    参考人大石博君) 御説明が少し抜けておりました。温度計でこういうことがございましたので、私どもといたしましては、既に科学技術庁からの御指示もありましたので、「もんじゅ」はもちろんのこと、他の原子力施設につきましてもとりあえずの総点検は実施をいたしました。「もんじゅ」の今後の原因究明の進展に応じまして、「もんじゅ」を初め、他の事業所、他の原子力施設につきましてもさらなる総点検を実施してまいります。「もんじゅ」で問題になりましたことは、すべて他の事業所にも水平展開をしてまいることにいたしております。
  44. 石田美栄

    石田美栄君 具体的なお答えはいただけなかたのですが、次に進ませていただきます。  先ほどから温度計さや管のことをいろいろお尋ねしているわけですけれども、このさや管が見つからなくて、ここに御報告をいただいておりますが、見つかるまでに随分時間がかかっております。  こういうことも普通に考えますと、事故が発生してからとまるまでにも時間がありましたし、流れもかなりの勢いで流れている中で、さや管そのものはわずか十五センチのようなものですから、どんどんどんどん流れていって一番出口のところへ行っていると単純にすぐ考えられて、まず出口のところを見ればすぐ見つかりそうなものなのにと単純に考えるわけです。実際には、破損が起きたところから徐々に徐々に調べていってと、こういう手を踏まれているのですが、そういった私の素人の見解も含めて、なぜこんなに三カ月以上もかかったのでしょうか。
  45. 大石博

    参考人大石博君) 大変長くかかりまして申しわけなく思っておりますが、御高承のとおり、温度計さや管が折れておる、折損しておるということがわかりましたのは、事故発生後一カ月後、一月八日でございました。早速にさや管を探索すべく諸準備を開始いたしましたが、既存の探索装置、検査装置でできるものは早速に始めました。これは主として単純構造配管部でございます。  先生御指摘のとおり、今回さや管が発見されました過熱器の中にあるんじゃないかということは、私ども最初から考えておりました。したがいまして、探索の範囲は、温度計が折損したところから今回見つかりました過熱器までの間を対象範囲として検査を始めたわけでございます。  過熱器の中のさや管を探すには、通常の検査装置では探索できませんので、早速にこのための特殊な検査装置の設計、製作を開始したわけでございます。そして、モックアップ試験等いろんな訓練も行いまして、過熱器内の探索を行って発見しましたのが三月二十八日でございます。三カ月弱かかったわけでございます。  その間、念のためにいろんなところを全部従来ある検査装置で検査してまいりましたが、残念ながら発見はできませんでした。やはり先生御指摘のとおり、一番最終の過熱器の中にございました。そういう事情で大変長くかかりまして、申しわけなく思っております。
  46. 石田美栄

    石田美栄君 長くかかって、そのこと自体が事故につながるとかそういうことではありません。このことだけでなくて、先日のJIロケット打ち上げの際にも、HYFLEXの回収失敗の原因報告をいただいて、また繰り返しますが、高度な知識とかではなくて、普通の目で写真なんかを見ましても、ライザーの取りつけ金具のエッジの部分と接触して、そこに触れて波の影響で接触部分がこすれてすり切れたと。このライザー自身を見ますと非常に強靱につくられているように見えますし、これとても多額のお金を投じての実験で、その結果ほとんどの資料は得られたというふうにおっしゃっていますけれども、普通にそういう綱がぶら下がっていて、そこに触れる金具の部分が揺れればかみそりの刃のように切れてしまうようになっていると。またこのような普通の危険性、そういうことがチェックできないということにやっぱり不安を感じるわけなんです。  ですから、今後いろんな方法で改善していかれるわけですけれども、やっぱりこういった本当に専門の、専門ばかと言っていいのでしょうか、専門の中に入ってしまって高度な技術そればかりを追求する中で、これいろんな面で言えるのだと思うんです。もう一度普通の感覚に戻って、これは意識改革というふうに表現されておりますけれども、思わぬ欠陥があってまた何かが起こるのじゃないかという一般国民から見れば不安がございます。どうか、今後の中にそういった常識的なことを生かしていただけたらというふうに要望いたします。  次に、長官のきょうの本会議での御報告の中の第二点目の、この事件が起きて後の、原子炉の早期停止等の適切な運転操作が行われなかったのは、異常時運転手順書の記載に問題があるほか、運転員の判断にも適切性が欠けていたことに起因していると考えられる旨指摘しておりますと、それからまた、ナトリウム火災検知システム等の設備面にも問題があったというふうな指摘をされております。私も現地視察に行きましてこれを監視する部屋に入りましたけれども、よく原子力発電所、原子力だけじゃありません、普通の発電所なんかに行きましても、もっともっとテレビカメラでいろんな状況が監視できるようになっているのに、「もんじゅ」ではどうもその点も欠けていたように見てすぐわかりました。  そして、非常時の手順書づくりの責任なんかも実際現場でどういうふうになっているのか。また、その手順書に従って恐らく訓練もされていると思うのですが、実際には、事件が起こってしまうとこうすればよかったというふうなことがいろいろ起こっておりますが、この点についても現場での状況をもう一度伺いたいのです。そういう手順書についての責任がどうなっていたのか、そして手順書に沿った訓練がどのように行われていたのか、特に危険な場所、そしてまだこれは実験中、より特別な配慮が要るというふうに報告書等にも書かれておりますけれども、訓練がどのように実施されていたのか、お伺いしたいと思います。
  47. 大石博

    参考人大石博君) 最初に運転手順書の件でございますが、運転手順書の作成は、「もんじゅ」の場合もんじゅ建設所で行います。その決裁は建設所長がいたします。本社は、その手順書について保安規定に適合しているかどうかという観点から十分なチェックを行い、もし保安規定に適合していない部分がございますれば改善を指示いたします。保安規定というのは、御高承のとおり、原子炉規制法に定められておりまして、これは科学技術庁の認可事項ということになっております。  運転員の判断が適切であったかどうか、この運転手順書が適切であったかどうかということにつきまして、私どもこれまでの原因究明の中では、手順書は必ずしも適切ではなかった、運転員の判断にも不十分な面があったというふうに反省をいたしております。今後の検討の中で改善をしてまいりたいと思います。  訓練についてでございますが、これは建設所で行っておりますけれども、運転手順書に従いまして実機を模擬したシミュレーターの訓練を中心に繰り返し実施してきております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、今回の事故を反省してみますと、必ずしも運転員の判断、操作が適切でなかったという部分がございますので、これらを貴重な教訓といたしまして、実態に即した教育訓練の充実強化を図ってまいらなきゃならないと思っております。  それから、運転員の判断が適切でなかったということの理由の一つに、マニュアルが必ずしも適切でなかったと。運転員が的確に判断できるようなマニュアルに現在鋭意改定を進めておるところでございます。
  48. 石田美栄

    石田美栄君 ぜひ今後の善処をよろしくお願いいたしますと同時に、また繰り返しますが、研究部門ですから本当に専門の優秀な方のお集まりでございます。ですからこそ、放射能の危険性の高い一次冷却の部分にはより集中されて、二次の方はまあ何かあってもというようなそういう気の緩みといいますかある程度軽く見るというか、そういうことがあったかと思います。今後、どうかそういう意味での意識改革、そして現実のマニュアル等の改定、訓練等よろしくお願いいたしたいと思います。  さて、最後に長官にお伺いするので出しておりましたけれども、一問につきましてはもう既に本会議の方でお答えいただいております。グリーンピース・ジャパンの招きで来たベネケ博士の点は済んでおりますので、最後に我が国のプルトニウム政策。これは我が国だけではなくて、ある意味では世界的な将来のエネルギー、あるいはアジアにおいてといってもいいでしょう、これからアジア地域も発展してまいります、そうすればエネルギーの需要というのはどんどん高まってまいります。そんな中で我が国の核燃料リサイクルの政策というのは非常に注目を浴びている重要な課題でございますけれども、このたびの事故によっていろいろな問題、それから政策のおくれ等ございますが、最後に、長官のこのプルトニウム政策の将来展望について御意見をお伺いいたしまして、終わらせていただきたいと思います。
  49. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 基本的に、資源小国の我が国にとりましては、将来にわたるエネルギーの安定確保は国の政策の中でも極めて重要な基本政策であろう、こう考えております。  委員案内であると存じますが、現状の一般の軽水炉等におきましても、現実には、原子炉の中で発生するプルトニウムの核分裂によって全エネルギーの約三分の一ぐらいのエネルギーは得られておるわけでございます。また同時に、原子力発電所で燃焼させました後の使用済み燃料にも約一%のプルトニウムが含まれておるわけでございます。そうした後段の放射性廃棄物による環境への負荷の低減、御承知のとおり半減期が非常に長いプルトニウムをどう廃棄物として処理処分していくかという問題もございます。そんな意味で、使用済み燃料を再処理して回収されたプルトニウムを燃焼させていく、またそこから有効利用するというリサイクル政策というものを今日まで原子力政策の基本として進めてきたところでございます。  円滑にこの政策そのものを進めていくためには、やはり何よりも地元を初め、国民各界各層の多くの皆様の理解と協力を得ることが今日極めて重要になってきた、このように認識をしております。今回の事故によりまして、こうした原子力政策に関する国民合意の形成に向けてより一層努力をしなければならぬという強い声が寄せられていることを十分認識している次第でございます。  そんな意味で、先ほども申し上げましたが、利自身も週末敦賀へ参りまして、過去の経緯をお託をし、そして「もんじゅ」の今度の事故を教訓にして、ともかく人知のあらん限りを尽くして、科学的に絶対こういうことは起こり得ない、ナトリウム漏えいは起こり得ないと、あたかもそう受け取られるような御説明をしてきたとするならば、私は必ずしもそれは一〇〇%正しいとは思いません。  そうでなくて、人知のあらん限りを尽くして二度とこういうことを起こさない。そして、もし今回のようなかかる事故が起きた場合には、原子炉をすぐとめる、またすぐ地元にお知らせをする、また絶対にうそをつかない、そういう決意を持つてやっていく等々も十分御説明をし、その上で本当に公募された多くの皆様方あるいはまた会場の皆さんからもいろんな幅広い御意見を伺って市民と語る会をやりたい、こう思っております。そういうことを初めとして、円卓会議等いろいろな場でいろいろな方々の御意見を幅広く伺いながら、これを政策に的確に反映すべく積極的に対応してまいりたい、こう考えております。
  50. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 初めに、大臣に伺いたいと思います。  国会でも「もんじゅ」の問題は十分審議をしようとしているわけですが、その審議に使おうと要求している資料を科学技術庁がなかなか出してくださいません。  我が党が何カ月も要求している資料、例えば消防法に基づく危険物予防規定、これはナトリウム漏えい火災の予防などを決めたものですが、一月半ばに要求して何回催促してもいまだに来ないんです。また保安規定寸事故の際などにどう対処するかを定めたものですが、中間報告にも引用されているものです。これも十二月十一日に要求して、やはり何回も催促してようやくつい最近、四月五日に来ました。ほかにもあるんです、いろいろ。動燃の方に確かめたところ、みんな三月十五日には科技庁に出したと言うんです。どれも動燃や科技庁がどんな安全対策をとっていたかを示す資料で、隠すべき理由はないわけなんです。これでは、国民が真相究明を願っているときに科技庁がそれを妨害している、国会議員の国政調査権の妨害ですから、妨害しているとそういうふうに見られても仕方がないと思います。大臣に、国会の審議に必要な資料は出していただけますね。
  51. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 突然のお尋ねで、詳細に事実関係を承知しない上でのお答えになりますが、基本的に、国民の理解、協力を得るためには、積極的な情報開示ということを私の方針にいたしております。また、委員会質疑ということであればなおさらそういう努力をしていくべきものである、このように私は考えております。
  52. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 二月九日に科技庁の中間報告をいただき、読ませていただきました。ところが、科技庁の責任には全く触れていません。驚きました。科技庁の責任といえば、安全審査の問題です。科技庁は安全審査の第一次審査権を持ち、みずから安全審査をパスさせてきたわけですから、その科技庁自身の問われるべき責任問題点を明らかにするのが当然だと思います。  今回の事故に対する科技庁の責任についてどうお考えか、この場で明確にお答えいただきたいと思います。
  53. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 現在、事故の徹底的な原因究明、万全な安全対策等の作業を継続してやっている最中でございます。そういう結論をまとめますまだ前の段階でございますが、基本的にはこの事故を十分に教訓として、改善すべきものは徹底的に改善するという方針でその責任を全うしなきゃいかぬ。またそれ以外の責任はどうだと、こう言われれば、今後の最終報告を出してまいります。その適時適切な過程の中で、それはそれとして明らかにしてまいりたいと考えております。
  54. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、九四年の原子力委員会報告書、高速増殖炉開発計画専門部会報告書ですが、これと今回の中間報告を読み比べて、科技庁の基本姿勢に非常に大きな疑問を持ちました。率直に言って何て無責任だろうということなんですが、この部分です。  九四年の報告書ではこう言っているんです。この年は、「もんじゅ」が初めて臨界を達成したという年でバラ色です、この報告書は。「一九九四年四月に初臨界を達成」、「順調にその開発を進めてきている。その安全性に関しては、このような技術蓄積に基づくナトリウム冷却高速増殖炉の特徴を踏まえた安全設計を施し、実用炉と同様の国の安全審査を行い、確認している。安全確保等に係る技術的蓄積を踏まえれば、我が国には実証炉を開発する技術的基盤が十分確立されている」、こう言っているんです。  今回の中間報告では、「研究開発段階原子炉であること、原子炉規制法の使用前検査合格前の試運転中であること」、このことを殊さら言って、いろいろなことが起こり得るから、それをサポートする人的体制が十分なものでなければならなかったはずだというような検討課題を投げかけているんです。  私は、この九四年と今回の報告書を読み比べ九四年のは非常にバラ色に過ぎる、それから今回のは逃げ道になっている。いずれにしても、安全対策のために全神経、細心の注意を集中していくという根本姿勢が欠けているんではないか、こう思うんです。  中間報告だからという長官の答弁ですが、「もんじゅ」は研究開発段階にあるとはいえ、二十八万キロワットの出力を持つ商業炉と変わらない原子炉です。ですから、中間報告段階といえども、監督官庁のどこに問題があったのか自己反省するのが当然だと思いますし、そういう姿勢に立っていないところが大きな問題だと私は思っています。  具体的に伺います。今までの委員さんも質問されているんですけれども事故原因になった温度計安全審査の対象になっていないということですね。
  55. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) この温度計につきましては、安全審査といういわゆる基本設計あるいは設計の基本的考え方といったようなものを審査するという中では審査は行われておりません。
  56. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 原子炉等による災害を防止し公共の安全を図ると、こういう目的から見て対象となる設備ではない、そういうことなんですね。なぜですか。
  57. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) 少し安全審査のやり方について御説明をさせていただいた方がいいのかもしれないと思うわけでございますが、まさに先生がおっしゃいますとおり、原子炉規制法に基づきまして災害を防止する、すなわち最終的に一般公衆の安全が確保されるということを目的として行ってきているわけでございます。そのために、異常の発生防止でございますとか異常の拡大防止、あるいは周辺環境への放射性物質の異常な放出の防止を図るというふうな多重防護の考え方に基づきまして、設計、建設あるいは運転の各段階において安全規制を実施してきているわけでございます。  それで、安全審査におきましては、先ほど申し上げましたように、基本設計といいますかあるいは基本的考え方といいますか、そういうものにつきまして判断をしているということでございまして、その具体的な個々の部品につきまして、それもその設計そのものにつきまして安全審査をするというシステムにはなっておりません。
  58. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 現地に行きましたけれども、大変大規模な機械設備です。たくさんの部品もあろうかと思いますが、大規模事故といえども小さなところから発生していくわけです。  それで、この安全審査の対象の設備であるとかないとか、結局だれが判断するんですか。
  59. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) 具体的にどのものが安全審査の対象設備であるかどうかということにつきましては、基本的にはすべての原子力施設は対象設備でございます。しかしながら、それぞれのまさに部品というものについて安全審査という段階では審査をしていない、こういうことを申し上げているわけでございます。  その具体的な安全審査に使われます資料といいますのは、これは原子炉規制法に基づきまして、原子炉施設の位置、構造及び設備についての資料が出されてくるわけでございますが、これは申請書の記載事項というのが法律で定められております。また、それの具体的な中身につきまして、かつまた何を検討するか、こういうふうなことも含めてでございますが、これは試験炉規則と呼んでおります府令の中で決めているところでございます。
  60. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 設備の資料が提出されてくると今おっしゃいました。結局は出されてきた資料を信頼するしかないと、そういうことになります。その中からいろんな問題が起こってくることが今回一つの温度計で実証されたわけなんですけれども、やはり審査の対象になっていない部品で、今回のような事故につながるような部品がまだたくさんあろうかと思います。それは、でも対象じゃないんだ、資料が出されてきたらそれを認めるしかないんだ、追認するしかないんだということになりますと、もう国民は不安のどん底で、「もんじゅ」のパンフレットでは段階を経て行われる厳格な審査、こういうことが言われていて、安全審査については万全を期しているかのように書かれているんですけれども、そうではないということになるんですね。
  61. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) 安全審査段階におきましては、先ほど申し上げましたレベルのものであると。したがいまして、今度は安全審査が終わりますと、それを設計工事方法の認可ということで、設計工事方法につきまして申請書が出てまいります。これを審査いたしまして、安全確保、特に災害を防止する、つまり、一般公衆の安全にかかわることにはならないということが確認できればこれは認可をする、こういうふうなメカニズムになっているわけでございます。  今回の事故につきましては、国民皆様方に不安、あるいは特に地元皆様方には不信といったようなことも生まれたということは私ども十分理解をしておりますし、私どももその点については大変遺憾なことだというふうに思っているわけでございます。この安全審査あるいは設計工事方法では、今申し上げましたような災害を防止するあるいは一般公衆の安全が確保される、こういうふうな観点からやっているということのために、絶対にナトリウム漏えいというふうな事柄が起こらないと、こういうふうなことを前提としていろいろと私ども規制をしてきているということではないことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  62. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 わかったようなわからないような説明なんですけれど、結局、今回の温度計については安全審査の対象ではないと、これは公衆の災害につながるようなものではないと判断したということになるんですね。答弁はいいです。  原子力安全委員会についてですが、原子力安全委員会も「もんじゅ」の安全審査でオーケーの答申を出しています。ですから、今回の事故には責任があるわけです。ダブルチェックをするから安全だとさんざん言われてきたわけですけれども安全委員会審査基本設計のみで、しかも「もんじゅ」の安全審査の答申を見てみますと、ナトリウム漏えいに関しては、「漏洩時に安全上重要な構築物、系統及び機器の安全機能が損なわれることがないよう設計される方針であることを確認した」と。設計そのものではなく、方針が確認されただけです。その後、設計段階、施工段階でこの方針が実行されたのかどうか確認しているんでしょうか。
  63. 宮林正恭

    政府委員宮林正恭君) そういうような方針につきましての確認は設計工事方法の認可の中で行政庁がやる、こういうふうなメカニズムをとっております。
  64. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 結局、温度計について言えばダブルチェックの機能も何も果たされていなかったということで、安全委員会と科技庁の答弁を同じ方がなさいましたけれども、科技庁も安全委員会も結局動燃の方針を追認してきているだけ。安全審査を行う、そういう資格や能力がない、私はそういうふうに思います。動燃、科技庁、安全委員会とも事故の発生に直接利害関係があります。「もんじゅ」のオーケーをしたわけですから、全員そろって。  それで、この当事者だけによる調査というのは公平さ、客観性に欠けると思うんです。今回の事故の真相を究明し、原因を明らかにする資格はないし、国民立場からいって期待ができないんです。調査、分析なさることはいいんですが、しかし、みずから推進してきた人たちがやるわけですから、おのずから限界がある。本来、規制機関というのは、アメリカのNRCのように開発機関から全く独立して大きな権限と体制を持つべきだと思います。特に、今回のこの「もんじゅ」の事故に限っても、利害関係者を除く、皆さん一緒に答弁するんですもの、同じ立場ですから。そうではなくて、利害関係者を除く公正な第三者によって調査する機関、これをつくるべきだと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  65. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 簡単明瞭にお願いします。
  66. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 何回もこれについてお尋ねをいただきまして、答えがそう変わらないのでございますが、今の原子力安全委員会行政庁とは独立した独自の立場からいろいろな原因究明や、また安全確保等の調査、あるいはまた審議を行うということで進めておるものでございます。いろいろ御指摘がございましたけれども従事者初め一般公衆、環境、そういうものに放射能の災害を起こさないという観点では懸命な努力をそれぞれの立場規制当局安全委員会もしている、このように理解をいたしております。私も法律を細かく逐条にわたって関係担当者から伺いました、そういう法体系で今まで安全審査もやってきたと。  しかし、今回このような事故を教訓にこの全般についても、安全委員会安全委員会で、私どもは私どもで、また安全審査あり方温度計等についても、このようなことを起こさないために人知のあらん限りの努力をするという観点から、どういうやり方が正しいのか、それはそれとして研究開発の実験炉等々について、当庁の所管するところについてともかくもう一回見直しをしよう、こういう立場で今、鋭意検討を進めているところでございます。
  67. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 最後に一言。
  68. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 時間が来ておりますので、質問をしないように。
  69. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 一言で終わります。  日本では安全委員会第三者機関的な位置づけを持たされているようですけれども、少なくともこの「もんじゅ」の安全審査にオーケーの意思表示をして推進した側にいるわけですし、実際に権限も小さいんです。「当委員会が意見を求められた場合は」ということで権限も小さいです。ですから、やはりもっと独立した権限のある第三者機関の設置が今回特に必要だということを強調して、終わります。  どうもありがとうございました。
  70. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会