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1996-03-28 第136回国会 参議院 科学技術特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十八日(木曜日)    午後四時三十分開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     中原  爽君      志村 哲良君     谷川 秀善君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 鹿熊 安正君                 吉川 芳男君                 石田 美栄君                 川橋 幸子君     委 員                 海老原義彦君                 沓掛 哲男君                 河本 三郎君                 谷川 秀善君                 中原  爽君                 楢崎 泰昌君                 松村 龍二君                 友部 達夫君                 林  寛子君                 山崎  力君                 峰崎 直樹君                 山本 正和君                 阿部 幸代君                 立木  洋君                 佐藤 道夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君    政府委員        科学技術政務次        官        松谷蒼一郎君        科学技術庁長官        官房長      工藤 尚武君        科学技術庁科学        技術政策局長   落合 俊雄君        科学技術庁科学        技術振興局長   沖村 憲樹君        科学技術庁研究        開発局長     加藤 康宏君    事務局側        第三特別調査室        長        塩入 武三君    説明員        科学技術庁長官        官房審議官    池田  要君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興事業団法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として谷川秀善君が選任されました。     —————————————
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 科学技術振興事業団法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。中川科学技術庁長官
  4. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 科学技術振興事業団法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昨年十二月二十五日に閣議決定されました「当面の行政改革推進方策について」におきまして、新技術事業団及び日本科学技術情報センターの二法人平成八年度において統合することが決定されたところであります。  これまで、日本科学技術情報センターにおいては科学技術情報流通に関する業務新技術事業団においては研究交流促進基礎的研究及び新技術開発等に関する業務を行うことにより、我が国科学技術振興のために重要な役割を担ってきたところであります。しかしながら、近時の研究開発高度化複雑化に対応して、科学技術振興のための基盤整備を図るとともに、先端的、独創的な研究開発をより効率的に実施することが極めて重要となっており、このため、両法人がこれまでそれぞれ担ってきた業務を一体的、総合的に行うことが求められる状況にあります。また、昨年制定された科学技術基本法においては、科学技術振興我が国の最重要政策課題一つとして位置づけ、科学技術創造立国を目指して科学技術振興施策の総合的、計画的、積極的な展開を図ることが求められております。  本法律案は、このような状況にかんがみ、行政改革に積極的に対応するとともに、科学技術振興のための基盤整備を図るとの観点から、日本科学技術情報センター新技術事業団とを統合し、科学技術振興事業団を設立するものであり、その設立に当たっては、行政改革趣旨を踏まえ所要合理化を行うとともに、科学技術基本法に定められている諸施策の重要な担い手として積極的な事業展開を図ることとしております。    〔委員長退席理事石田美栄着席〕  次に、本法律案要旨を御説明いたします。  第一に、科学技術振興事業団は、科学技術情報流通研究交流促進に関する業務等を行うことにより科学技術振興のための基盤整備を図るとともに、新技術創製に資すると認められる基礎的研究及び新技術開発等を行い、もって科学技術振興に寄与することを目的とすることであります。  第二に、同事業団役員として、理事長一人、専務理事二人、理事七人以内及び監事一人を置くことであります。  第三に、同事業団は、科学技術情報の収集、分類、整理、保管、提供及び閲覧に関する業務研究者交流共同研究あっせん等研究交流促進に関する業務科学技術に関する試験研究を行う者に対し試験研究効果的かつ効率的に行うために必要な人的・技術的援助及び資材・設備の提供を行う業務科学技術に関する知識普及並びに国民の関心及び理解増進を図る業務、新技術創製に資することとなる基礎的研究及びその成果普及を行う業務企業化が著しく困難な新技術について委託開発及びその成果普及並びに新技術開発あっせんを行う業務等を行うことであります。  第四に、同事業団は、内閣総理大臣が監督することであります。  第五に、日本科学技術情報センター及び新技術事業団から同事業団への権利及び義務の承継に係る規定、両法人の解散に係る規定等経過規定のほか、日本科学技術情報センター法及び新技術事業団法の廃止、関係法律改正等所要規定整備を行うことであります。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 石田美栄

    理事石田美栄君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 吉川芳男

    吉川芳男君 限られた時間でありますので、数点につきまして端的にお尋ねいたしたいと思います。  まず質問の第一は、これまでの新技術事業団日本科学技術情報センターの二法人統合によりまして、新たに科学技術振興事業団ができるわけでありますが、その統合理由につきまして、今ほど提案理由説明にもありましたけれども、昨年十二月二十五日の閣議決定、いわゆる当面の行政改革推進方策により二つ法人一つにされたというだけではなくて、制度改革を含めて、大きく飛躍、前進せんとする抱負のもとに決断されたものと聞いておりまするが、まず、その理由についてひとつお聞かせ願いたいと思うのでございます。
  7. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) これまで、新技術事業団においては研究交流促進等業務、また日本科学技術情報センターにおきましては科学技術情報流通業務をそれぞれ行うことによりまして、我が国科学技術振興のための重要な役割を果たしてまいりました。これらの業務は、研究者及び技術者研究開発効果的、効率的に行う、そういうことができるような環境をつくるという意味では共通目的を持って実施されてきた、こう理解をいたしております。  今回の両法人統合につきましてはこの点に着目をいたしまして、科学技術振興のための基盤整備を総合的、効率的に行うとともに、研究支援機能業務あるいはまた国民理解増進を行う業務も加えまして、独創的な研究開発推進をあわせ行うことにしまして、科学技術基本法に定められた施策を強力に推進するということを目的といたしております。  またあわせまして、行政改革趣旨を踏まえまして組織合理化あるいは既存業務見直し、こういうことを図ることによりまして、科学技術創造立国行政改革推進、両者にこたえることが可能、このように判断をして御提案申し上げている次第でございます。
  8. 吉川芳男

    吉川芳男君 次は、この統合によって、合理化といいますか、相乗効果というものがどうなるのかお聞かせいただきたいんですが、まず、役員は両法人の定数を十五人から十一人に削減するだけで、職員はどうなるのかといえばプラスマイナスはないんだ、こういうお話です。科学技術庁がつくられました参考リーフレットによりますと、七年度の事業費ベースで、新技術事業団が二百二十八億、日本科学技術情報センターは百七十四億円で、計四百二億円でありまするけれども、新たにできる科学技術振興事業団事業費ベースで五百七十二億円を予定されているんです。つまり、百七十億円の増加となっております。  としますと、本来リストラがあってしかるべきところでありますが、新たな事業展開相当人数を回して効率を上げていこうとするねらいがうかがえますが、その辺の考え方はいかがでございましょうか。
  9. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) 先生の御指摘いただいたとおりでございまして、新事業団では従来に加えまして百七十億円予算が増加いたしております。  この主な内容でございますが、一つには戦略基礎研究、これも新しい仕事でございますが、これに百五十億円を予定いたしております。また、ポスドク一万人計画という計画がございまして、この一部を事業団で担わせていただきたいと思っておりますが、この関係で十二億円。その他新しい仕事といたしましては、この事業団法に加えていただきました国民科学技術に関する理解増進する事業あるいは支援事業、そういったいろいろな仕事が新しくふえているわけでございます。  この新しい仕事に対します人員でございますが、私どもとしましては、既存組織をいろいろ合理化いたしまして削減してこれに充てることといたしております。  具体的に申し上げますと、両法人一つになりまして不要になった管理部門につきましては九人を削減しております。また、両法人事業部門におきましていろいろ合理化を図りまして十六人を削減いたしました。合計二十五人の人員をもちまして今申し上げました新しい事業実施させていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  10. 吉川芳男

    吉川芳男君 これまた科学技術庁の出されたレジュメによりますと、この科学技術振興事業団主要業務の第一は、独創的な基礎研究を強化するため、広く大学国研等に開かれた公募方式による戦略的基礎研究推進実施することにあるんだ、こう言われていますが、この戦略的基礎研究という言葉は余り法律案にはお目にかからぬ言葉なんですけれども、科技庁の並々ならぬ意気込みは感じられます。  戦略的というからには、対照的な言葉に戦術的という言葉もあるわけですが、これよりは長期的なしかも大局的な、将来を見据えて見通しを持ってやるというふうに受けとれますけれども、この言葉を使われたそもそものねらいといいますか、エッセンスとでもいいますか、そういうものはどこら辺にあるんですか。聞かせてください。
  11. 池田要

    説明員池田要君) ただいまお尋ねの戦略的基礎研究でございますけれども、この事業につきましては、知的資産の形成に資するような基礎研究充実強化を図るために、新技術事業団への出資金を活用して行おうとするものでございます。平成七年度に補正予算をいただきまして今年度から着手してございます。  まず、この制度におきましては、国が戦略的に研究目標を定める、これを受けまして新技術事業団が具体的に研究領域を設定し、そのもとで研究テーマ大学国研等幅広い機関対象にしまして公募するという形で実施をさせていただくことにしてございます。  この戦略的ということの意味合いでございますけれども、今その実施面につきまして御紹介申し上げましたけれども、意味につきまして付言いたしますと、ばらまきではないということがございます。戦略的視点に立って重点化を図ろうという意味でございまして、さらに具体的に申しますと、科学技術基礎研究全般を網羅的に対象にするということではございませんで、その時々の科学技術に対します社会的、経済的な要請を考慮しよう、そうした上でこれを実現いたしますために必要な研究、例えば新技術、新産業の創出につながるような基礎的研究でございますとか、地球環境問題の解決につながるような基礎的研究を重点的、集中的に取り上げることを意味する、こういうものとして御理解をいただければと存じます。
  12. 吉川芳男

    吉川芳男君 次に、これまた主要業務の二によりますと、ポスドク一万人計画という表題がありますが、近年とみに修士課程とか博士課程を経た技術者が多数輩出されていることは結構ですが、不安定な身分あるいは経済的に恵まれない立場研究に従事していることを耳にしています。この計画はそれらの人たちに福音になるであろうことは言うまでもありませんけれども、平成八年度より一体何千人くらいで出発して、何年後にはこの一万人計画というものが達成できるのか、あわせてその研究成果というものは一体だれが評価するのか、その辺についてお聞かせください。
  13. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) お答え申し上げます。  今、先生指摘のように、博士課程を終えまして研究機会に恵まれないという方が大変多うございます。現在約三万人博士課程にいらっしゃるわけですけれども、その博士課程を修了される方が毎年大体九千人いらっしゃいます。それで、そのうち就職がきちんとできる方が大体四千人前後、そうしますと大体四千五百人から五千人に近い方が毎年研究機会がないままに博士課程を終わらざるを得ないというようなことになっております。こういう若い研究者が営々と努力されてこられまして、博士課程が終わったところで研究機会がないということは極めて遺憾なことでございまして、若手研究者の創造的なそういう頭脳を生かしていくということが非常に重要なことになっております。    〔理事石田美栄退席委員長着席〕  そういうことで、与党の三党合意におきましてポスドク一万人計画というものを重要施策として御指摘いただいております。これをもとに文部省、それから通産省、科学技術庁、三省庁が、できましたら大体平成十年ぐらいまでに一万人ぐらいの方に研究機会を与えようという計画でございます。  それで、現在平成七年度でございますが、三省庁合計で三千七百七十五人に研究機会を与えさせていただいているわけでございますが、来年度はこれをこの方針のもとに大幅にふやさせていただいておりまして、約六千人を予定いたしておるわけでございます。これを逐次拡大いたしまして、先ほど申し上げましたように、できましたら平成十年には一万人まで持っていきたいということでございます。  それで、毎年、大体四千五百人から五千人近いポスドクの方が発生するということでございますが、これが累積いたしますとかなりの数でございますので、またポスドク一万人計画が完全に予定どおり計画どおりに実行されましても、この問題はまだ根が深い問題が残っておるということで、引き続き努力しなければいけない問題だというふうに考えておる次第でございます。
  14. 吉川芳男

    吉川芳男君 このポスドク一万人計画と並んで全国科学館を活性化するなどの科学技術理解増進事業というものを実施されるような予定にもなっております。科学技術離れということをよく言われますし、若人をそちらの方に持っていかなければならぬということが言われておりまするけれども、そういう効果をどの程度上げられるものか、この事業の概要についてひとつお聞かせください。
  15. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) 若者の科学技術離れの問題でございますが、この問題はいろいろ根が深い問題でございまして、受験の問題でありますとか家庭教育の問題でありますとか、いろんなことが原因になっているわけでございます。  現在、この問題につきまして、科学技術会議科学技術基本法を受けました基本計画策定作業中でございますが、この中においてもいろいろ検討されると思いますが、とりあえずこの振興事業団規定を入れさせていただきまして実施予定しております事業でございますが、まず一つは、青少年研究者との触れ合いの場を提供していきたいということでございます。これには例えば、青少年研究機関にお招きして一緒研究をするとか、学校に研究者を派遣いたしましていろいろ研究の体験を語っていただく、出前レクチャーと申しておりますけれども、そういうことも予定いたしております。また、コンピューターネットワークを利用しまして、コンピューターのソフトを利用しまして、パソコンで科学技術知識に触れたりさまざまな疑問を解消するといったような、バーチャル科学館と言っておりますが、そういうものの開発をしたいと思っています。  また、科学館につきましては全国に三百館程度、今、都道府県等が建設をいたしておりますが、この展示につきましていろいろアイデアを募りまして科学館展示を試作いたしまして、全国科学館展示内容向上に努めたいと思っております。また、科学館のいろいろな関係方々をお招きして、一緒になってその方々能力アップといいますか、そういうことを図りながら全国科学館と連携をとりながらそういう科学館事業充実強化ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
  16. 吉川芳男

    吉川芳男君 最後に、きょうは中川長官のほかに松谷政務次官もお越してございますが、一問ひとつ聞かせていただきたいのは、この統合によって両法人職員理解と協力が必要なことはもう言うまでもないわけでございますけれども、何分三十年も別々な世帯を持ってやってこられた職員が融和統合するということは非常に今後の運営について大事なことだと思うんでございますが、政務次官の御所見をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  17. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) せっかくの答弁の機会をいただきましてどうもありがとうございました。  今、吉川委員からお話のございましたように、この二つ法人は歴史的な経緯も違いますし、それから規模もかなり違っております。そういうふうなことで、給与体系を初めとする労働条件にいろいろな違いがあるわけでございます。したがいまして、この統合に当たりましては、今後労使間で十分に話し合いを行いまして適切な解決を図っていくべきだと考えております。  もちろん、監督官庁としての科学技術庁立場からも、こういった労働条件等について、この統合により職員に不利益なことが生じないように、必要に応じ適切に指導してまいりたいと考えております。
  18. 友部達夫

    友部達夫君 平成会友部達夫です。  我が平成会は、たゆまざる改革、責任ある政治がモットーであり、行政改革は我が新進党の基本方針であります。行革はむだを省き効率、迅速、効果充実でなければなりません。  まず、行革について長官所見を伺いたいと思います。
  19. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 委員御案内のように、行革については前々内閣、また前内閣、今次内閣もそれぞれ内閣の最も重要な課題として取り組んでいるところでございます。また、数次にわたる閣議決定においても、この社会情勢の変化を踏まえて、国民の期待にこたえるために簡素で効率的な政府をつくっていく、そして本当に国民が必要とされている分野に人また予算、さまざまな資源を投入して十分配慮を加えてやっていくべきだ、こういう方針が示されているところでございます。  いずれにしても、国、地方合わせまして一年のGDPに匹敵する政府長期債務というものを抱えておる状態でございまして、我々、本当に国民合意理解の上に厳しい選択も時にはお話も申し上げる、そういう最重要なテーマ行政改革、こういうテーマではないか、こう私は受けとめております。
  20. 友部達夫

    友部達夫君 本法案は、新技術事業団日本科学技術情報センターの二法人統合され、科学技術振興事業団となるわけでありますが、初めに述べた行政改革観点に合致したものか、再度御説明を願いたいと思います。
  21. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 先ほど来の御質疑でも申し上げましたが、他方、科学技術振興、それによる新しい産業やまた新しい技術による国民生活の一層の向上というものを求める時代要請国民のニーズというものも非常に強いものがあるわけでございます。今般御提案申し上げている科学技術振興事業団は、そういう意味行政改革の一方の努力、特に特殊法人見直しということで決定された経緯もあって統合いたしますが、同時にまた、研究者支援業務あるいはまた国民理解増進を求める業務、こういう業務にも力を入れ、さらに戦略的科学技術振興といった新しい取り組み、これも業務に加えました。そういう意味では、形の上では予算もふえておりますし、また総体の人員も減ってはおらないのでございますが、しかし、行政改革と同時に新しい分野に、行政改革そのものも、今申し上げましたように国民が今必要としている分野に再配置をするというねらいもあるわけでございますので、そちらに力を入れるという結果そのような結果になった、このように理解をいたしております。  いずれにしても、本委員会でも御可決賜りました科学技術基本法要請しておりますさまざまな新しい時代への取り組み、その中核的な担い手、そしてまた我が国研究者が本当に広角的、効率的な研究開発を進めていく、その基盤をつくる縁の下の力持ち役をこの事業団が果たしていくということにしてまいりたい、そのように考えております。
  22. 友部達夫

    友部達夫君 日本は、まさに科学技術立国としまして国際的にも評価されております。人類に限りない夢と希望を与えたいと考えております。  長官の決意のほどをなお伺いたいと思います。
  23. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 我々人類社会というのは、常に技術進歩に伴って発展してきたということは委員指摘のとおりでございまして、まして二十一世紀資源環境、そして経済、また人口、食糧、さまざまな人類共通の直面する課題が山積をしておる新世紀、まことに厳しい世紀になろうと思われます。  その意味で、科学技術進歩がかぎを握っている、ある意味人類生き残りをかけた我々の努力が求められている、このように理解するわけでございます。我が国もそういう点では、戦後幾多の多くの皆さんの御努力によってその最先端に位置づけられてきたと信じておりましたが、いつの間にか、アメリカに比べましても、またヨーロッパに比べましても重要な分野でむしろ立ちおくれておる。特に基礎研究その他、また知的所有権の問題等々、非常に厳しい大競争時代に入ってまいりました。  そういう中で、我が国がいま一度フロントランナー、第一走者として人類に貢献をする、こういう立場に立たなければ我々の将来もない、こういう認識をいたしております。そういう意味で、未来に対する先行投資であると同時に、人類生き残りをかけた何としてもなし遂げていかなければならない戦略である、このように考えております。
  24. 友部達夫

    友部達夫君 エンデバーというのが打ち上げられました。あれについての感想をお聞きしたいのですが。
  25. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) スペースシャトル・エンデバ一号に我が国若田光一宇宙飛行士も搭乗いたしまして、日本人宇宙飛行士としては初めてミッションスペシャリスト、いわば研究者というよりもまさに宇宙飛行士操縦者、そういう役割を果たして、大変冷静沈着に、我が国の昨年三月に打ち上げました宇宙実験観測衛星フリーフライヤーを無事見事に回収してくれました。あのフリーフライヤー自身も無人ではございますけれども、将来の我が国のさまざまな分野成果をもたらすであろうと信ずるさまざまな実験を搭載いたしておりまして、細かく言えば数百種類ございます。いわば我々にとっては宝の箱である、このように考えておりますが、そういう任務を十二分に果たして帰ってきてくれた。  また同時に、これからの宇宙ステーション計画もそうでございますが、ロシアを含めて五極が一緒になってこの事業をやっていくわけでありますけれども、今回のエンデバーで若田さんも含めた宇宙飛行士たちが、そしてまたそれをバックアップした多くの技術者関係者がまさに見事なチームワーク、パートナーシップといいましょうか、国際協力の模範を示してくれたということも特筆すべきことではないかと思います。  さらに、若田さんは日本へ帰りましてからもテレビだけでも八局、また、子供たちまで含めましていろんな講演会で何回も御報告していただきまして、また宇宙から、そして日本へ帰ってきてからもそういった対話、いろいろな努力をしてくださいました。そういう意味で、科学技術に対する国民の関心というものを大変大きく喚起していただけたのではないかと思っております。これによりまして、子供たちにも自分も宇宙飛行士になりたい、あるいはまた宇宙開発に携わりたい、こういう青少年の宇宙へのあこがれを育てたのではないか。そういう意味で大きな夢を与えてくれたことである、このように考えております。  また、宇宙ステーション計画あるいは先般発表しました宇宙開発政策大綱等々でもいよいよこれから本格的な宇宙利用の時代に入る。こういう中で、例えば長期予報などの精度が大変上がるのではないか。さまざまな人工衛星を打ち上げるあるいはまた観測衛星を打ち上げる。さらには、実際の宇宙通信が我々の地上の通信手段の主要な部門を占めるような通信衛星を打ち上げていく。さらにはスピンオフと言っておりますけれども、現実に浄水器とか空気清浄機とかあるいはいろいろな素材とか、あるいはまたカーナビゲーション等々の測位技術、こういうものも全部宇宙開発の中からもたらされた技術でございます。  そういった努力を続けながら新しい時代の新しい技術、新しい産業を創出していくことにも大きく期待が持てるのではないか、こう考えております。そういう意味で、エンデバー号の仕事というのは大変大きな仕事である、このように考えております。
  26. 友部達夫

    友部達夫君 まだ多少時間はあるんですが、最後に、行政の減量化と新たな時代要請にこたえるという特殊法人整理合理化趣旨にかんがみ、また科学技術基本法の精神を生かす上から新たに設立される科学技術振興事業団においては、今後とも必要な改革を着実に実施することを強く要望し、質問を終わります。
  27. 川橋幸子

    川橋幸子君 社会民主党の川橋でございます。  昨年、議員立法によります科学技術基本法ができまして、そして行政改革目的もございますけれども、むしろこの事業団統合が新法の受け皿となるような環境整備役割を担っているのではないかと思います。  もう既にお聞きになられた委員の質問と重複するかと思いますけれども、改めてこの両法人統合のねらいといいましょうか、本当に戦略的なねらいがあるのではないかと思いますが、ねらい、その効果、メリット等についてわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  28. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) ただいま御指摘賜りましたとおり、まさに基本法に基づきます科学技術創造立国を目指します主要な役割、中核的な担い手、また研究者や科学者にとりましては研究開発、そうした活動をしっかり支える縁の下の力持ち役、こういうものを果たしてまいりたいというのが新事業団発足のねらいでございます。現在策定中の科学技術基本計画はこれとはまた、もう少し広い、我が国政府全体の十年を見通した五年間の基本計画にしたい、こう考えております。  もとより新しい産業の創出に資するような、そういう戦略的な研究あるいはまた基礎的な研究というものは新事業団主要業務に取り上げております。基本計画の方は、基礎研究、基礎科学というものにも当然漏れのないように考えていかなきゃならぬし、また同時に、既にもうドクターにもなられたようなそういうポスドクを含めた研究者のみならず、基本計画においては、本当に小さいころからの教育、学習の面において、さらに我が国の将来の人材の養成確保に資するような、そういうことにも言及をしてまいりたい。そのために全体的な計画を取りまとめてまいりたい、このように考えております。
  29. 川橋幸子

    川橋幸子君 大臣はこの新しい事業団に夢と希望と抱負を大変お持ちのようにお伺いいたしまして、ぜひ大臣のリーダーシップでいいスタートを切っていただきたいと思います。  先ほども既に御質問がございますが、やはりこの二つ事業団から承継しなければならないことと、新たに付加していかなければいけないこととあるかと思います。組織というものはやっぱり人でございまして、人の問題がある意味では御苦心のところがあるのではないかと思います。  先ほど管理部門事業部門効率化して減を図るかわりに、新規事業研究部門でしょうか、そちらに振り向けたいというお話がございましたけれども、やはり一つは現有の職員の方がそっくり移られるわけです。その方々の中で管理部門事業部門、新規研究部門というふうにその部門のシェアがちょっと変わってくるとすると、今までの方々の職務内容とか処遇とかというものと新事業団の中の役割が変わってくることがあるのではないかと思いますけれども、その辺、職員の方の処遇面の確保とあるいはそうした職務内容の変化への調和策のようなものをどのように工夫しておいでになられるおつもりでしょうか。
  30. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) ただいま先生指摘の点、まず最初の処遇の点で差があるのではないか、またそれをどう調和していくかということの御質問の趣旨だと思うんでございます。  御指摘のように、両法人とも歴史が古うございまして、組合の性格も違いますし、いろんなことがございまして、労働条件の相違点がございます。例えば給与でございますとか、あるいは労働時間、それから昇給昇格の仕方でございますとか、いろんな面で若干の差があるわけでございます。  この二つ法人職員統合するわけでございますのでなかなかこれは、この法案を通していただいた後、正式に労使が話し合っていくことになるんだと思いますけれども、これに際しましては、両法人職員に理不尽な不利益が生じないように十分労使で話し合いができるように、私ども指導をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、両法人とも古い歴史を持ちまして、今まで、情報センターでございますと科学技術情報に関する仕事新技術事業団でございますと新技術開発でありますとか研究交流でございますとか、そういう仕事をやっておったわけでございますが、統合いたしました後は新しい法人になりますので、今までの仕事にとらわれることなく、両法人の方がミックスしていろいろ新しい仕事を体験して、今までの体験を生かした形で新しい法人仕事をやっていただきたいというふうに思っております。  そういうことで、この具体的な人事というのは新しい法人理事長以下役員がおやりになると思いますけれども、私どもとしましてはそういう考え方で両法人を指導してまいりたいというふうに思っております。
  31. 川橋幸子

    川橋幸子君 その方針でよろしく御配慮をお願いしたいと思います。組合ともよくお話し合いをしていただきたいと思いますし、それから、何よりもやっぱりこの新事業団職員方々が新しい事業団に対して誇りを持つというんでしょうか、そういうモチベーションをぜひ職員方々にも、植えつけるというとちょっと言葉は悪いかもわかりません、そのような教育訓練も必要ではないかと思います。  これから行財政改革が続くとすると、新しい事業団ができる、なお事業内容がふえるということは、なかなかこれからの役所の組織の中では、役所といいましょうか行政の組織の中ではないことでございます。ぜひ今回のこの事業団はいいスタートを切って、職員方々にも夢を持っていただけるように御配慮いただきたいと思います。  さて、人の問題で大きいのは、やはり理事者といいましょうか、リーダーの役員方々、それから、これは引き継ぎになるのかもわかりませんけれども、新技術審議会というものがあるわけでございます。ここできっと戦略的なるものの中身、何が戦略的なのか、抽象的な言葉ではなくて本当の戦略をお決めになられて、環境整備が図られるんだと思います。理事の人数は減るようでございますけれども、この際やはり二つ古いものを足して新しい革袋をつくるときには思い切った人事構想等々、この事業団の性格にふさわしい役員体制、あるいは審議委員の人選等をやっていただきたい、審議会の中にも女性を入れていただきたい、こういうことを思っておりますけれども、大臣いかがでございましょうか。
  32. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 法案成立の御可決を賜りました以降の具体的な人選等の問題については、ただいま御指摘をいただいたことも十分参考にして総合的に判断をしてまいりたい、こう考えておりますが、まず、閣議了解等でも官庁のOBはもう半分以下にするという、原則としてそういう閣議了解等もございますれば、そういうものも十分踏まえてまいらなければなりません。  新しい科学技術振興、先ほど局長が答弁いたしましたが、二つ違った法人一緒になって、先生おっしゃるような、職員にも夢を与えるような、一足す一が三になるような人、金、情報、そういうものが、また歴史が一緒になって新たなものが生み出されていくような、そういう事業団にしていくその先頭に立つ理事、しかも科学技術創造立国科学技術基本法を受けたスタートでございますので、やはり広範な科学技術全般にわたる知識また資格、そういったものの造詣の深い方を中心に考えていかなきゃならぬ、かように考えております。  ただ、多少踏まえなきゃならぬのは、長い歴史を持つ二つ法人業務を引き継いで新たに一つになる、こういうこともございますので、その継続性ということも判断の中の一つには入れなければならない、多少その辺の時期や幅というものも考えなきゃならぬ、そんなことを今頭に置いております。しかし、冒頭申し上げましたとおり、御指摘の点を踏まえて判断してまいります。
  33. 川橋幸子

    川橋幸子君 ぜひその方向で大臣以下、科技庁一体となって滑り出し、日切れ扱いになって準備期間も六カ月確保できたことでございますので、御努力いただきたいと思います。  このごろ産官学、以前は産官学といいますと、非常に知的なストックが産官学の中で蓄えられるというそういうイメージがあったんですけれども、他省のことをここで申し上げるのはちょっと心苦しくはございますが、やはりエイズ問題等々を拝見しておりますと、産官学の連携の中にもやっぱり新しい風を入れていく必要があるかと思いますので、ぜひその方向で頑張っていただけますように、御活躍いただけますようにお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。     —————————————
  34. 長谷川清

    委員長長谷川清君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、沓掛哲男君が委員を辞任され、その補欠として中原爽君が選任されました。     —————————————
  35. 立木洋

    ○立木洋君 先般、科学技術基本法が制定されまして、これに基づいて、若干立ちおくれのあった公的研究部門の拡充を図るという努力をなさっておる、さらにプランについてもさまざまな検討をなさって前進の方向に努めておられるというふうに承知いたしておりますが、そういう状況の中で、二つのセンターと事業団、これを統合することによって、ここに、先ほど長官が言われたような、科学技術振興のための基盤整備を図るという点で非常に重要な意味を持つというふうに指摘をされているわけですが、特にこの基盤整備の面で、統合することによってどういう点で重要な意味を持ち得るのか、その内容について若干御説明をいただきたい。
  36. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) 両法人先生今御指摘ございましたように、基盤整備という観点から業務充実させていただいたわけでございますが、従来、まず日本科学技術情報センターが情報事業をやっておりましたが、これもある意味では科学技術基盤整備事業でございます。それから、新技術事業団の方では研究成果開発するという新技術開発業務、それから基礎研究業務、あるいは国際交流を含めた研究交流業務というふうなことをやってまいりました。  これに加えまして、新しく国民に対して科学技術に関する理解増進する、関心を増進するといったような業務、それから科学技術に関する試験研究者に対する支援業務というのを入れさせていた、だいたわけでございます。  ちょっと御説明が長くなって恐縮なんでございますが、従来、科学技術情報センターには非常に多くのノウハウがたまっておりまして、大体今、年間七十万件の情報を収集して、累積では二千七百万件の情報が入っております。それから一方、新技術事業団の方では創造開発でございますとか新技術開発を長年やってまいりまして、企業のいろいろな技術情報あるいは大学先生方のいろいろな情報、そういうものが蓄積されておるわけでございます。  こういうものを相互に利用し合うことによりまして、例えば、情報センターのデータベースの中で従来新技術事業団が培ってまいりました情報をデータベース化するとか、あるいは新技術開発基礎研究を行うに際しまして情報センターの持っておりますいろいろな情報に関するノウハウ、情報といったものを利用するとか、いろんな面でプラス面があるというふうに考えておるわけでございます。  こういういろいろな基盤整備に関する事業を総合的に行うことによりまして、従来培ってまいりましたノウハウ等を活用して効率的かつ円滑にやってまいりたい、やっていけるのではないかというふうに考えております。
  37. 立木洋

    ○立木洋君 先ほどの説明にもございましたけれども、今まで新技術事業団と情報センターがやってきた仕事以外の新しい仕事があるわけですね。新しい事業をやらなければならない。先ほど同僚議員もおっしゃっていました戦略的基礎研究推進事業というような非常に難しい言葉を使われておりますけれども、いずれにしろ、この独創的な基礎研究を強化する、さらにはポスドク一万人計画推進して、若手を育成していくためのこういう事業の問題、さらには国研等研究支援機能充実強化。これらの問題それぞれ一つ一つ取り上げてみても、非常にやっぱり重要な、しかも簡単にこれは実現が可能だというようなものではなくて、相当やっぱり力を入れていかなければならな  いというふうに考えているわけです。  そうしますと、今新技術事業団の方は九十二名、それで情報センターの方は三百十八名、これ合わせまして結局四百十名が今度の事業団に変わると。先ほど管理部門から若干異動するというふうなお話があったにしても、これだけ仕事の量がふえてきて、そして一つ業務に携わる定員数の比率が少なくなるという状態になるために基礎研究をよりょく充実させなければならない部門がおろそかにならないだろうか。あるいは、人数がそういう状況のままでやって労働強化が強まると、結局労働強化したために研究部門の力が十分に発揮できないという事態にはならないだろうかという懸念もあるんです。  予算の面でいえば、六百億余りから一千億になりますから、予算としては大分ふえますけれども、やっぱり先ほどから問題にされております人員です。今まで経験を持ったその人員を適切な比例配分できちっとやられるということが非常に重要ではないだろうか。そういう労働強化のために研究が立ちおくれるだとか、あるいは必要な業務に対しての定員比率が減るためにそれがおろそかになるというふうなことがないようにぜひとも尽力していただきたいと思いますが、この点についてのちょっと御見解をお聞きします。
  38. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) 先ほど既存事業部門から十六名の削減をしたという点に関しまして、その既存事業部門で労働強化にならないかという御指摘だと思うんでございますが、これにつきましては、これを削減いたします際に、まず一つは、不必要になった既存事業を倒した点もございます。それからもう一点は、極力外へ委託をしますとか外の方のお力をおかりするとか、そういうことで配慮した点もございます。また、最近ではコンピューター等の発達によりまして業務合理化が進められておりますので、そういう点から労働者の、労働者といいますか職員の労働負担の強化にならないように配慮しながらその削減を行いまして、新しい事業に振り向けさせていただいたところでございまして、今後ともそういう先生指摘のような心づもりでやってまいりたいというふうに思っております。
  39. 立木洋

    ○立木洋君 それから、役員の問題に関してですが、これも新技術事業団の方は役員が七名で常勤が五名、それから情報センターの方は八名で常勤が五名、こういうふうになっているわけです。これが今度十一人になって常勤が七名になるということなんですが、これはぜひ御配慮いただきたいと思うんですけれども、天下りの問題です。結局、国家公務員がやっぱりその受け皿として特殊法人役員になると。  この問題については、もう私らの方から詳しく申さなくても長官十分御承知だろうと思いますけれども、今まで内閣の閣議了解においても、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする」というふうになっているんです。だけれども、現在の状態を見てみますと、新技術事業団の方も五名の常勤役員のうち三名までが国家公務員からの天下り、それから情報センターの方も五人の常勤のうち三名までが国家公務員からの天下りと。つまり、この閣議了解で定められている「半数以内にとどめる」という点から見ると、両方とも適切な形にはなっていないということになるわけです。この問題について、科労協の方々が行ったアンケート調査について見てみますと、七八%の方々がやっぱり天下りには弊害を伴うという科労協としての調査の結果があるんです。  ですから、この問題に関してはぜひとも今後、先ほど申されたように、この目的充実し、さらによりよい状況のもとで仕事を発展させるために、閣議了解で定められた内容についても十分に検討されて支障がないような状態にしていただきたいということもあわせて要望しておきたいと思うんですけれども、長官、いかがでしょうか。
  40. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 御指摘のとおりの閣議了解等に従いまして、公務員出身にこだわることなく、広く各界から役員として十分な能力やあるいは識見に富んだ方をお願いするというのが原則であろう、そうしてまいりたい、こう考えております。  一点だけ申し上げますと、科学技術庁全体としては、特殊法人の常勤役員中、官出身者の割合は四十八人に対して二十人、四一・七%というのがこの二月の時点での状況でございます。なお、科学技術庁のOBということからいいますと、二十名のうち十四人、あとの六人は他省庁の方と、こういう状況にございます。それなりに状況を聞いてみると努力はしつつあるなと、こういうふうに理解をしておりますが、今後ともそういう努力はきちんとしてまいりたい、このように考えております。
  41. 立木洋

    ○立木洋君 今後ともそういう点に十分に目を配っていただいて、引き続き努力をなさっていただけるように重ねて要望いたしておきたいと思います。  それからもう一つ、これは大変遺憾なことなんですけれども、先ほど労働組合の関係においてはいろいろちょっと違いがあるという御説明がありました。ところが、今までの新技術事業団では労働基準法に基づく三六協定が締結されていないんです。これは私、科労協加盟の特殊法人のすべてにいろいろ聞いてみましたけれども、特殊法人で三六協定を結んでいないというようなところはもうないんですね。つまり、これは時間外勤務の問題や休日の労働の問題ですから、そういうのがいまだに存在するということは、それはちょっとおかしなことじゃないかというふうなことが言われるような状況新技術事業団の場合にはなっている。  この問題については、この間もいろいろ電話をかけて問い合わせますと、夜十一時に電話かけても職員の方がおいでになるんです。そして返事をするんです。夜十一時まで勤務をしておる。これは三六協定一体どうなっているんだろうか、そうしたら三六協定ないって言うんですよ。これはもう御承知のように、労働基準法の中の三十六条で決められておりますから、この三六協定は。ところがこの問題に関しては、三十六条について百十九条で見てみますと、「次の各号の一に該当する者は、これを六カ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」、こういう罰則規定まで書かれているんです。この三六協定が科技庁のもとにあるこの新技術事業団においてはなされていないと。  そうすると、情報センターの側にしてみると、我々が今度一緒になった場合に三六協定を一緒にやらないというふうな格好にならないだろうかという不安を持つというんですね。これはもう法律で決められていることですから、この問題については違法状態になるようなことに絶対ならないように十分に話し合いをして、この三六協定が結ばれるようにぜひともしていただきたいということを強く申し上げておきたいんですが、この点はいかがでしょうか。
  42. 沖村憲樹

    政府委員沖村憲樹君) この件につきましては先生指摘のとおりでございまして、私ども新技術事業団の方から説明を聴取いたしました。  新技術事業団の方では、この問題につきましては従来、組合があるんでございますけれども、非常に労使間が円満にいっておりまして、若干申し上げますと、この新技術事業団、当初は非常に小さい法人でございまして、しかも超過勤務もないような勤務状態が長く続いた状況がございます。それに近年、法律上の業務が加わりましてだんだん忙しくなったという背景がございます。そういうことで、労使間は非常に紳士的な関係で円満にやってきたわけでございまして、時間外労働になりましても所定の超過勤務手当等を適切に支給したりしておりまして、その点につきまして組合から特に要求もなかったというようなことが背景にございます。  ただ、この点につきましては、先生指摘のとおり、現在超過勤務が行われているとすれば労働基準法に反することになりますので、新法人になりました暁には、この点、労使間できちんと話し合いをするように指導したいというふうに思っております。
  43. 立木洋

    ○立木洋君 うまくいっているというお話はいささかいただけない回答じゃないかと私は思うんです。法的に決められた内容が十分に守られていなくても、何か労使間がうまくいっているんだから問題ないんだというとらえ方ではないように、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思うんです。  どういうことになっているかというと、休暇の種類でいいますと、情報センターの方は介護休暇が実施されているんです。ところが、新技術事業団の方は介護休暇が実施されていないんです。現実に法律で決められたそういう権利が労働者の側に十分に保障されないというふうなことになってしまいますと、これは情報センターの側の方に御意見を聞きますと、何とかうまくやっていかないと、これから仕事を力を合わせてやっていくという点では問題が生じるおそれなしとしないということで、大変不安に思っておられるんです。  それから、時間があれですからついでに申し上げますと、新技術事業団の方は九十二名が今までの職員の数ですから非常に小規模であるということはわかるんですけれども、その中で見てみますと、いわゆる管理職について、課長代理以上を管理職と勘定しますと、新技術事業団の方は女性はゼロです。そして、情報センターの方にしますと十九人の管理職がいるわけです。  それから、結婚して働いている場合の人数を調べてみますと、情報センターの方は七十九人の女性中半数以上が結婚しても働いているんです。ところが、新技術事業団の方は何とその一割しか女性が結婚しても働けない状態になっているというのです。  それから、子供を産んで働いている女性の数はどうなのかというと、情報センターでは七十九人の女性のうち三分の一以上が働くことが可能になっている。しかし、新技術事業団の方では子供を産んで働いている女性はこれまた一割だというのです。  ですから働く条件、つまり、女性の労働の問題についてもいろいろこれまでも問題になってきましたけれども、そういう点から見ても、いわゆる介護休暇が実施されていない、三六協定が結ばれていない、それから女性の働く条件がそういうふうな状況に置かれているということになっていますと、今度これが統合した場合、どちらに合わせられるのかというふうなことになると、情報センターにおいでになる三百十八名の職員方々労働条件の問題については非常に不安に思っておられるんです。  これは何としても力を入れていただいて、先ほど来問題になっておりますように、協力関係というのが十分にできないとこの目的を十分に達成することができないわけですから、この点については万全の努力をぜひともお願いしたいということを申し上げておきたいと思うんです。  ですから、統合が行われたゆえに労働条件の切り下げになるというふうなことが絶対にないようにぜひともお願いをしておきたい、要望しておきたいということで、最後に長官の御所見を承って、私の質問を終わります。
  44. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 三六協定を新法人ではどうすべきかというお尋ねと理解をいたさせていただきますが、先ほど来申し上げておりますとおり、一方が三六協定を結んで一方がない、こういう状態でございますが、統合に当たって労働条件について職員に不利益を生じさせないというのが我々の考え方でございますので、三六協定は締結すべきものである、このように考えております。そのような方針で臨んでまいります。
  45. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私も同僚議員に倣いまして天下り問題特に大蔵官僚の天下り問題に絞ってお尋ねしたいと思います。  くしくも昨日、人事院が天下り白書なるものを発表いたしました。これは、政府関係のある民間企業に天下っている高級官僚の各省庁別の内訳、こういうことで大蔵省が際立って突出しているということが報ぜられておりました。その数はたしか五十九名というふうになっておったようであります。これは民間企業の場合ですが、政府関係機関事業団、公団、公社、特殊法人の場合は、これは論ずるまでもなく、調べるまでもなく大蔵省が各省の中では一番多いんだろうと思います。どんな法人にも最低一人はおるはずでございます。  なぜこういうことになっておるかといいますと、事業団等をつくる場合に、大蔵省に予算をつけてくれるように折衝に行きますと、予算をつけてもらうその見返りとして向こうから天下りとして理事一つ二つ要求されてそれをのんでということで、交換条件のようになって大蔵省が理事ポストを獲得して、それがいわば大蔵省の株であるようになって連綿と何十年にもわたって伝わってきまして、三年、五年おりますと次の天下り官僚と交代していくということでございます。  今回、整理統合される二つ事業団について調べてみますると、きちっと一人ずつちゃんと大蔵省が入っておりまして、一つの方は元理財局長、一つの方は国税庁の元局長、こういうことになっておるようであります。これが合体されますと、株が二つですから十一人中二人になるのかどうかよくわかりませんけれども、時代が変わっておりまして、うちの株だからこちらによこせとかそういう時代ではもうないと思うんです。先ほど大臣もおっしゃっておられましたけれども、まさしく適材適所、民間活力ということもあって、民間からも人材を発掘するというふうな目で新しい人材を登用すべきではないかという気もいたします。  特に、大蔵省から天下って何をしておるかというと、多分に経理、総務関係をやっておるんだろうと思います。こんなことは事務職員にやらせていいわけですから、もう少し科学技術関係について造詣の深い人材、もちろん官僚OBであってもいいわけですけれども、そういう人を積極的に登用するという目で、この新しい十一人の役員を選考していただきたいと思います。これは私の希望でもあるし、またお尋ねでもあります。  まだ役員は決まっていないということですから、どうかそういう目で新役員のスタッフをお決めいただければと思います。関心を持って見守っていきたいと思っておりますので、その点も含めて御所見を伺って私の質問を終わります。
  46. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) いずれにしても、委員の御指摘も十分頭の中に入れて考えてまいりたいと存じますが、閣議了解等がございます。そして、今要請されているのは、必ずしも公務員出身にこだわることなく、広く各界から役員として十分な能力あるいは識見に富んだ者を登用するというのが時代要請であろう、こう考えております。  ただいま委員新技術事業団また日本科学技術情報センター、大蔵省の役員がそれぞれ一名ずつおると、こういう御指摘でございましたが、確かに新技術事業団にもおりますが、これは非常勤でございます。また、科学技術情報センターは常勤の理事が一名おります。必ずしも大蔵省だけを目のかたきと、こう言うつもりもございませんが、いずれにしても、私個人が思っておりますことは、この問題は政治の場で考えなきゃならぬ、やっぱり公務員の人事システム全体のことも我々政治の場でいろいろ議論をして、仮に次官が同期から出ようと早期退職などはしないで六十歳までちゃんと勤めていただく、こういうことが肝要なんだろう。そういうことをやっぱりいろいろ議論しなければならぬ、こういうふうに全体の問題としては思っております。  この新事業団役員の人選については、当委員会で御指摘のあったことをいろいろ私なりに判断をして、参考にしながらやってまいりたい、こう考えております。
  47. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  科学技術振興事業団法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  48. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会      —————・—————