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1996-05-07 第136回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月十五日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     橋本 聖子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 守重君     理 事                 木宮 和彦君                 楢崎 泰昌君                 風間  昶君                 萱野  茂君     委 員                 板垣  正君                 尾辻 秀久君                 高木 正明君                 橋本 聖子君                 三浦 一水君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 福本 潤一君                 星野 朋市君                 谷本  巍君                 照屋 寛徳君                 吉岡 吉典君                 武田邦太郎君                 島袋 宗康君                 奥村 展三君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君    政府委員        北海道開発庁計        画監理官     半田 博保君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       瀧川 哲男君        外務省北米局長  折田 正樹君    事務局側        第一特別調査室        長        入内島 修君    説明員        総務庁北方対策        本部審議官    大坪 正彦君        外務省欧亜局ロ        シア課長     原田 親仁君        厚生省社会・援        護局援護課長   橋口 典央君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管総務庁北方対策本部)、沖縄  開発庁)及び沖縄振興開発金融公庫)     —————————————
  2. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  去る五月一日、予算委員会から、五月七日午前の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、中西総務庁長官から説明を求めます。中西総務庁長官
  3. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 平成八年度の総務庁北方対策本部関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、総務庁北方対策本部関係予算額は十億七千二百八十一万三千円であり、これは前年度の当初予算額に対して六千九百十六万八千円の増額になっております。  その主な内容につきましては、まず、北方対策本部に必要な経費として職員の人件費等一億一千百十四万二千円を計上しております。  また、北方領土問題対策に必要な経費として九億六千百六十七万一千円を計上しておりますが、そのうち主なものは北方領土問題対策協会補助金九億百四十一万三千円であります。  この北方領土問題対策協会補助金は、同協会北方領土問題の解決促進のため全国的な規模で啓発等を行うために必要なものであります。具体的には、啓発事業関係については、まず、返還要求運動盛り上げを図るために実施する国民大会及び県民大会開催事業後継者育成を目的とした青少年向け啓発事業北方領土問題教育指導者啓発事業等を行うための経費を前年度に引き続き計上しております。  また、北方四島との交流事業の一層の充実を図るため、従来の派遣事業に加え、新たに北方四島交流訪問団に対し事前研修を実施するための経費を計上しております。さらに、根室地域における啓発施設を充実させるための経費も新たに計上しております。  このほか、返還要求運動中核的役割を果たしている各都道府県推進委員啓発活動北方地域居住者に対する援護措置等に必要な経費を計上しております。  また、北方地域漁業権者等に対する貸付業務関係についても引き続き所要経費を計上しております。  北方領土問題対策協会補助金以外の経費といたしましては、北方四島交流事業啓発用記録ビデオを作成、配付するための経費を、また、北方領土問題が未解決であることに起因する諸問題と諸施策整理、総括する調査費を、それぞれ新たに計上しております。  以上、平成八年度の総務庁北方対策本部関係予算概要を御説明いたしました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 成瀬守重

  5. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 平成八年度沖縄開発庁予算について、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁予算額は三千二百七十五億二千万円で、前年度当初予算額に対し一〇四・三%となっております。  まず、沖縄振興開発事業費について申し上げます。  平成八年度は、第三次沖縄振興開発計画の半ばに当たる予算であり、生活産業基盤としての社会資本整備について同計画に基づく継続事業の着実な推進を図るとともに、沖縄県の長年の懸案であった沖縄都市モノレール事業本体工事着工を初めとする新たなプロジェクト芽出しに努めるなど、沖縄振興開発施策の積極的な展開を図るため沖縄振興開発事業費所要額確保に努めた結果、三千五十三億六千三百万円で、前年度当初予算額に対し一〇四・三%となっております。  沖縄振興開発事業費内訳は、治山・治水対策事業費道路整備事業費港湾・漁港・空港整備事業費、下水道・環境衛生等事業費農業農村整備事業費等を主な内容とする公共事業関係費二千八百六十五億五百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費百四十七億二千九百万円、保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費十二億二千六百万円及びイモゾウムシ等根絶等のための植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費二十九億三百万円であります。  この沖縄振興開発事業費につきましては、特に、(1)上下水道・公園等生活環境施設整備、(2)水資源開発、(3)道路港湾空港等交通体系整備、(4)農林水産業振興基礎条件整備、(5)教育振興、(6)保健衛生対策推進等配慮をいたした次第であります。  次に、一般行政経費等につきましては二百二十一億五千八百万円で、前年度当初予算額に対し一〇三・三%となっております。  一般行政経費等の主な内容は、不発弾等処理対馬丸遭難学童遺族給付経費懸案であった八重山地域マラリア死没者慰謝事業経費等いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費沖縄振興開発金融公庫に対する補給金等経費沖縄コミュニティ・アイランド事業費及び沖縄振興開発計画推進調査費等であります。  また、沖縄振興開発金融公庫平成八年度における事業計画は二千百八十四億円で、前年度当初計画額に対し一〇〇・九%を予定しております。以上をもちまして、平成八年度沖縄開発庁予算概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いをいたします。
  6. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) 以上で説明の聴取は終わりました。   これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 三浦一水

    三浦一水君 自由民主党の三浦一水でございます。  ただいま御説明いただきました順序と多少逆になると思いますが、まず両長官中心お尋ねいたしたいと思います。  まず、沖縄開発庁関係予算についてお尋ねいたしたいと思います。  平成八年度の沖縄開発庁予算、ただいま御説明ありましたように三千二百七十五億円、前年度比四・三%増ということでございますが、中でも公共事業は四・七%増、全国平均の四・一%を上回る成果を上げております。しかも、補助率かさ上げほか、懸案の戦後処理マラリア問題等も決着されたという御説明でございまして、新規事業については今御説明のとおりで、すべてスタートが切られたという感じでございます。  依然として沖縄県が全国平均との所得格差でいまだ七割から七割五分であるという現状、あるいはまた失業率において五・一%、全国の二倍程度のものであるというような現状を考えまして、あるいはまた、同県の意向を踏まえながらいろいろと折衝に当たってこられました沖縄開発庁長官及び事務当局の御努力を積極的に評価したい、そのように思います。  そこで、長官は八年度の予算成立後、その着実な執行に向けて沖縄県の振興開発にどのような姿勢で臨んでいかれるおつもりか、その辺を決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  8. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 平成八年度は第三次沖縄振興開発計画のちょうど五年目でございまして、いわば前期の最終年ということでございます。したがいまして、前高木長官を初め開発庁を挙げて必要予算確保最大限努力をいたした次第でございます。  内容的には、先ほど申し上げましたように継続事業の着実な推進、特に先生も御指摘の、長年の沖縄県の懸案でございました沖縄都市モノレール事業、これがいよいよ本体着工の年を迎えたわけでございます。平成十五年の開通を目指して必要な予算確保を行った、これは言うまでもございませんが、私も先週このモノレールルートをずっと回ってまいりましたけれども、那覇のあの交通渋滞を解消するために、定時、定速大量輸送といういわば画期的な交通機関ができるわけであります。  そのほか、主要な新規プロジェクト等もすべて織り込みをいたしておりますし、沖縄への十分な配慮がなされた予算であるというふうに考えております。特に、戦後処理問題として長年の懸案でありました八重山地域のマラリア問題につきましても決着を見ることができたということは大きな成果であったと思っております。  開発庁といたしましては、今後、県、市町村の理解と協力のもとにこの予算の適切かう効率的な執行に努めまして、活力に満ちた潤いのある沖縄の実現に向けて努力をいたしてまいりたいと考えております。
  9. 三浦一水

    三浦一水君 私が昨年のこの委員会質疑の際に、沖縄振興開発行政をどう展開するかというかかわりで申しまして、米軍基地の存在をどのように配慮していくのかと。既に普天間飛行場返還に当たりましては決定を見たところでございますが、今後具体的にどのように取り組んでいくか、その辺をお伺いしたいと思います。  また、沖縄米軍基地の問題は、昨年九月の少女暴行事件以後大きな展開を見せております。普天間飛行場返還につきましては、今申しましたように四月十五日、沖縄に関する特別行動委員会中間報告に盛り込まれ、その後の十七日の日米安全保障共同宣言でも確認をされたところでございます。  一方、沖縄県は二十一世紀に向けたグランドデザインであります国際都市形成整備構想をことし一月に発表されたようであります。また、目標年であります二〇一五年を目途にした基地返還アクションプログラムも発表されておるようでございます。普天間飛行場返還合意等により基地返還後の対応策を詰めていく必要性が現実的な問題としてクローズアップされているところかと思います。  このような沖縄を取り巻きます最近の状況変化を念頭に置きながら、第三次沖縄振興開発計画との関係について長官に再度お尋ねしたいと思います。
  10. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 先般の日米首脳会談におきまして、沖縄における米軍施設区域、十一区域の、移転条件つきではありますけれども返還が決定いたし、これは大変に従来の経緯からいたしますと、もちろん沖縄方々の御要望を全面的に受け入れたものではございませんけれども、一歩も二歩も前進であると私どもは高く評価をいたしておるわけでありまして、特に、その中心になりますのが普天間飛行場でございます。  私も、先般あの普天間飛行場の中に入りまして管制塔の上から全域を眺めまして、四百八十一ヘクタールという大変に広大な地域でありまして、これが返還されることになるならば、この有効活用を図ることによって新しい沖縄の第一歩が築かれる、かようにも感じた次第でございます。その他の跡地についても、これから地元方々跡地利用計画というものを十分に踏まえまして、県とも密接な連絡を図りながら進めてまいりたい。  特に、国際都市形成等計画が県において今検討されておるということも聞いております。第三次沖縄振興開発計画におきましても、南の国際交流拠点として沖縄振興を図るということが掲げられておることでもあります。具体的な計画については、今県の方で地元とも御相談の上鋭意詰められておるということでございます。また、それをよくお聞きをし、そうした地元の御要望に沿えるような開発最大限努力を払ってまいりたいと考えております。
  11. 三浦一水

    三浦一水君 先ほど長官の方から、第三次沖縄振興開発計画折り返し点平成八年度はそのような節目になるのではないかというお話もございましたが、この現在までの進捗状況については長官御自身どのような評価をお持ちか、それもちょっとお触れいただきたいと思います。
  12. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 平成四年度からこの第三次振計が始まりまして、現在ことして五年目でございますが、この内容については着実な進展を果たしておるというふうに考えております。  したがいまして、来年からいよいよ沖振計画後期に入るわけでありますが、この後期展望をどうするかということを今沖縄振興開発審議会におきまして御検討いただいておるわけであります。先般も中間報告がなされました。もちろんこの計画内容を変更するということではございませんが、昨今のさまざまな情勢変化等を踏まえまして、後期展望と私ども申しておりますが、来年以降の計画についても十分御審議いただけるものと考えております。その結果を踏まえて来年以降さらにこの計画進展努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 三浦一水

    三浦一水君 第三次沖縄振興開発計画後期展望については、状況が随分変化をしてきている、置かれた状況変化をしたと。今のお話の趣旨と申しますのは、ちょっと確認をしたいわけでございますが、第三次振興計画そのものの再検討もあり得るというようなことでとらえられるわけでございましょうか。ちょっと確認をしたいと思います。
  14. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 第三次沖縄振興開発計画におきましても、既にこの米軍跡地整理、縮小ということはうたわれておりますし、そうした暁にその跡地を有効利用して沖縄の経済の発展なりまた民生の安定に資していくという基本的な考え方が述べられておるわけであります。また、失ほど申しましたような国際的な交流拠点として、この地域の地理的、風土的な条件を活用してそれにふさわしい地域開発を進めていこうという方針も出されておるわけであります。  しかしながら、その後におけるさまざまな具体的な情勢変化というものもあるわけでありますから、その計画内容を変更する必要はないと思いますけれども、具体的な諸施策についてはさらにこれに後期展望の中で追加して御審議をいただけるものだと、これは審議会の方でお取り計らいいただくわけでありますが、そういうふうに私どもとしては考えております。
  15. 三浦一水

    三浦一水君 次に、軍転法かかわりお尋ね申したいと思います。  普天間飛行場返還は五年から七律以内に行われるということでありまして、十一月までには沖縄に関する特別行動委員会が具体的な実施スケジュール計画を作成することになっておるというふうに伺っております。その際、土地権利者の一番の不安はやはり経済問題であろうかと思っております。沖縄県が独自に出されました先ほどの国際都市形成整備構想に対しましても、地元地主の間には明らかな反対の声もあるというやに伺っております。  そこで、昨年の調査事件質疑、私の質疑でございますが、そこでもお尋ねをいたしましたが、軍転法による給付金支給期間等のあり方につきましても検討する必要性がより強くなったんではないかと考えております。そこで、防衛施設庁当局所見を伺っておきたいと思います。
  16. 小澤毅

    政府委員小澤毅君) ただいま先生から御指摘がございました返還給付金についてでございますけれども、これは御案内のように、昨年の五月、沖縄県における駐留軍用地返還に伴う特別措置に関する法律ということで議員立法として成立六れたものでございます。これは、ただいま先生からもお話ございましたように、駐留軍用地返還後三年間は賃借料相当額返還給付金として支給することになっているところでございます。この返還給付金につきましては、平成八年度の予算案におきまして、平成七年十一月三十日に返還されました恩納通信所等に係るものとして約一億八古万円が今現在計上ということで、今御審議をいただいているところでございます。  この返還給付金に関しましては、軍用地等地主会連合会、いわゆる土地連と申しますか、これらを初めといたしまして県当局等いろんな御意見があるということは私ども十分承知しておりますが、当庁といたしましては、平成七年度に返還される提供施設に関しまして平成八年度に初めて返還給付金が支給されるものであるということから、まずこの返還給付金を規定に基づきまして適正に執行していくことが大切であるという考えを持っているところでございます。
  17. 三浦一水

    三浦一水君 基地返還後の整備のためには、現行のいわゆる沖振法なり軍転法だけによって、それで十分かという論議も大分あるようでございます。国によります特別の財政措置等を含めた新たな支援策が必要になってくるという要望も一方であるやに聞いておるところでございますが、これにつきまして岡部長官の御所見を伺いたいと思います。
  18. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 跡地利用の問題に関しましては、私ども現行の沖振法並びに関係沖規最大限に活用することによってこの開発准めることが十分可能であるというふうに現段階においては考えております。  ただ、今回は御案内のように普天間飛行場のように今まで経験したことのないような広大な地域開発という問題もあるわけでありまして、今後その計画等を煮詰めていく段階において県の方とも十分にこれは緊密な連携をとりながら、法制度について検討することが必要ならばそれは検討することにやぶさかでありませんが、現段階においてはそういうことは考えておりません。
  19. 三浦一水

    三浦一水君 次に移りたいと思います。先ほど長官の方から触れられた問題でもございますが、今回の一般行政経費の中では戦後処理経費が三五・三%増と大きく伸びております。その概要について、特に八重山地域マラリア死没者慰謝事業経費の三億円は与党政策調整会議要望によって解決を見たものであると存じております。いま一つ具体的な実施計画をお示しいただければと思います。
  20. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) ただいま一般行政経費についての御質問がございました。  私ども沖縄開発庁では、沖縄の戦後処理問題について昭和四十七年の本土復帰以来、その解決のために努力してまいったところでございます。平成八年度は継続事業といたしまして、首里城の問題でございますとか、不発弾の問題でございますとか、対馬丸遭難学童遺族給付の問題でございますとか、厚生年金特例納付に係ります利子補給経費、それに加えまして従前からやっております地籍の関係位置境界明確化経費など、これらのことをやってまいっているわけでございますが、それに加えましてただいま委員指摘八重山地域マラリア死没者慰謝事業に必要な経費も計上いたしております。これは額にいたしまして三億円でございますが、そういう事情によりまして前年度予算額に対しまして三五・三%の増加となっております。  そこで、お尋ね八重山地域マラリア死没者慰謝事業に要する経費内訳、その具体的な内容について御説明を申し上げます。  懸案でございました八重山地域マラリア死没者慰謝事業につきましては、与党戦後五十年問題プロジェクトチームの御尽力を賜るとともに、与党政策調整会議の特別の御配慮によりまして総額三億円の慰謝事業費を計上することができました。その内容でございますが、沖縄県と協議いたしました結果、慰霊碑建立事業費として五千万円、祈念館建設事業費として一億五千万円、与党政策調整会議から追加要求のございました一億円につきましては、マラリア慰謝のための死没者資料収集編さん事業費として八千万円、マラリア慰謝のための死没者追悼式典開催経費として二千万円となっております。具体的な実施計画につきましては、予算成立を待って早急に執行できますよう現在沖縄県と連絡をとりつつ準備を進めているところでございます。
  21. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。  平成八年度の要求新規事業はすべて芽出しができた、そのようなことであります。とりわけ長官からも触れられました沖縄都市モノレール事業工事着手はこの中でも目玉と言えるものかなと存じておりますが、完成までのあらかたの概要と、それから採算性の問題についても非常に関心の高いところかと思います。若干御説明をいただければと思います。
  22. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、沖縄におきましては鉄軌道システムというものがなかったわけでございます。そういう意味で車に頼る、あるいは道路に頼るという世界がずっと続いてきたわけでございます。その結果、大変な交通渋滞というものが生じました。これについて何とかしなければいけないというのが長年の懸案であったわけでございます。  現在計画されておりますモノレールルートは、那覇空港から首里汀良町というところまで区間にして約十三キロメートル、この間を約二十八分で運行しよう、こういうことでございます。  モノレール事業は、大きく分けますとインフラ部それからインフラ外部ということになりますけれどもインフラ部につきましては、道路予算執行としまして路線ごとに国、県あるいは市というものがそれぞれ事業主体になるわけでございます。一方、インフラ外部につきましては、もう既にできておりますけれども、第三セクターであります沖縄都市モノレール株式会社というところが整備を行う、こういうことになっております。  建設事業費は全体で一千八十億円を超えるという大変大きな事業でございます。そのうち私ども担当いたしますインフラ部事業費につきましては六百五十七億円ということに相なっております。  また、これも先ほど大臣から申し上げましたけれども開業予定平成十五年度ということを考えております。そのときの一日当たりの利用者数は約三万五千人と見込んでおります。  そこで、先ほどの採算の問題でございます。  沖縄都市モノレール事業収支計画というものがございますけれども、これに従いますと、損益の好転年次が単年度でいいますと開業後十年、累計で二十五年、二十五年たちますと累計にしても黒字に転換する、このようになっております。  この収支計画につきましては、現在の沿線の人口が約十万人いるということ、あるいは大いに利用していただけるであろう中南部都市圏の全体の人口が約百万人おられる、さらにほかの都市でのモノレールの利用実績等、こういったものを考えますと、現在計画されております沿線の都市開発あるいはバスからのモノレールへの乗りかえ、そういったものを促す基盤整備というものも行われますので、これらを総合いたしますと十分に採算の合うものであるというように考えておりますし、また、先ほどの収支計画も十分達成できるというふうに今認識しておる次第でございます。
  23. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。以上、沖縄関係の質問を終わりたいと思います。  次に、中西総務庁長官初め総務庁方々お尋ねをしたいと思います。  北方領土問題を解決していくに当たりましてはそれこそ粘り強い外交努力が必要かと考えております。また、日本国民の一致した世論と力強い支持が同時に必要である、そのように考えております。  四月二十二日の本会議で、橋本総理からエリツィン大統領との会談における内容の御報告がありましたが、九三年の東京宣言の再確認、ロシアの大統領選挙後には平和条約交渉を再活性化するということでとどめられていたかに報告があったようでございます。一方で、今月の二十一日には、当委員会と外務委員会に対して毎年行われております北方領土返還促進に関する要請、請願団からの請願を受理する手はずになっていると聞いておるわけでございます。  長官におかれましては、二月二十三日、当委員会におきます所信で、ことしが北方領土返還要求運動の五十一年目の節目の年である、新たな出発点の年であるということでございました。あるいはまた、国交回復四十周年の節目の年でもある、その年に当たりまして広報啓発活動をさらに推し進めたい。あるいはまた、返還要求運動が引き続き強力に推進されるよう支援をしてまいりたいといったような決意の披歴がございました。  そこで長官お尋ねしたいと思いますが、臼井防衛庁長官も先月末ロシアを御訪問され、領土問題には触れなかったものの、防衛首脳会談で相互の信頼醸成を高めることで基本合意に達するなど日ロ関係は側面からの情勢もプラスに働いているように思っております。  そこで改めて再度ということでございますが、北方領土問題解決に向けての長官御自身の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 北方領土は我が国固有の領土であるというこの基本認識の中から、半世紀に及ぶ長い間いまだに解決しておらないということを大変遺憾に思っています。  したがって、これらの問題につきましてはまず北方領土問題を両国間におきまして解決することが先決であると考え、その後に日ロ平和条約を締結し、安定した関係を確立していきたい、こう考えております。  そのためには、領土問題を解決するに当たりまして、国民多くの皆さんの御理解とそして御支援をいただいた中からこれをさらに確定的なものにしていかなくてはならぬ、こう考えておるところです。  今も委員申されましたように、この運動というのは五十一年目になり、しかも先ほども指摘がありましたように、昭和三十一年の日ソ共同宣言、ちょうど国交回復後四十周年目に当たるわけでありますから、政府といたしましてはこの基本方針に基づきまして、広報啓発をどのように充実するかというのが今一番の課題であろうと思っています。  同時にまた、北方領土返還要求運動を支えてくだすっておられる民間の運動団体の皆さんと緊密な連携をとりながら、返還要求運動全国的にどのように拡大していくかということが極めて重要だと考えております。  特に今実施しております、五回目になりますけれども北方四島との交流事業を行っておりますけれども、この中におきましていろいろな対話が行われ、そしてお互いに理解が深まっておると考えます。特に、北方四島在住のロシア人の間におきまして、従来日本が考えておる誤解あるいは領土問題等につきましていろいろ不信があったわけでありますけれども、これに対する認識も相当深まってき始めております。したがって、こういう交流事業等をさらに深めることによりまして、こうした事業の大きな発展の中から、さらにこうした相互交流の中から認識を深めながら、そして国民の皆さんのそうした御支援等をさらに強めていただくように施策を進めていきたいと思っております。  以上です。
  25. 三浦一水

    三浦一水君 そこででありますが、平成八年度の総務庁予算では、北方領土問題対策協会に対する補助金のうち、啓蒙宣伝関係費が前年度より減額されております。  冒頭申し上げましたように、北方領土返還実現のためには国民の力強いバックアップがぜひとも必要であると考えております。そういう中で、予算額が減額されるという状況でございますが、総務庁といたしましては今後どのように同協会を通じて啓発活動を強化されていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
  26. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) 北方領土問題対策協会への補助金についてのお尋ねでございます。  北方領土問題対策協会は、全国的な規模で国民世論の喚起を図るための啓蒙宣伝を行いまして、官民の統一のとれた北方領土返還要求推進する上で大変重要な役割を担っておるというふうに考えております。  平成八年度予算におきましては、御指摘のように啓蒙宣伝関係費が減額となっておりますけれども、これは、効果的な啓発活動推進するために従来の広報媒体を見直しした結果といたしまして、駅前等に設置しております広告塔の新設を廃止することによりまして減額になったものでございますが、それとは別途新たにレーザーディスクを活用した映像システムを、納沙布の現地に北方館という啓発施設があるわけでございますが、そこにそういうシステムを導入する経費として一千五百万円を計上しております。  今後とも、効果的な啓発事業推進するために必要な予算確保に努めてまいりたいと思っております。
  27. 三浦一水

    三浦一水君 それから、交流事業についてでありますけれども北方四島在住のロシア人との交流事業につきましては、相互理解のためにますます重要になってくるものと思われます。特に平成四年度から始まりましたビザなし渡航は大きな成果を上げておると聞いておりますし、中西長官もさきの所信におきまして、一層の充実を図っていくと発言をされております。  具体的に平成八年度の実施計画ではどのような対応をとられるのか御説明をいただきたいと思います。
  28. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) ビザなし交流についてのお尋ねでございますが、先ほど大臣の方からもお話ございましたように、相当の成果が上がってきているというふうに私どもも認識しております。それだけに、その内容を充実するということが大変重要になってきておるわけでございます。  平成八年度の実施計画といたしましては、四月から十月までを訪問期間というふうに考えております。日本国民の訪問といたしましては、九回、四百三十二人、四島からの受け入れにつきましては、六回、四百三十五人、合わせて八百六十七人の相互交流を現在計画しております。具体的に、実施に当たりましては、今までいろいろな経験、蓄積がされておりますので、その辺の成果を活用しつつ、所期の目的が達成されるように充実を図っていく考えでございます。  特に、本年度から交流事業の一層の充実を図るために、新たに訪問団に対しまして、北方四島の現状を理解することを主たる目的といたしまして事前研修を実施することといたしております。これによりまして、かなり内容の濃い交流ができるのではないかというふうに期待している次第でございます。
  29. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。  最後ですけれども北方領土問題対策調査費というのがことし新設をされているようでありますが、五百万円という、力強いとは言いがたい金額でございますが、この北方領土返還を具体化していく上で調査研究を進められるものだろうと思っております。具体的にどういうものかという点を御説明いただきたいと思います。  それから、この対策調査費の拡充と調査体制の拡充が私は図られるべきだろうなと、そのようにも思っております。  そのようなことで、総務庁長官のお考えもあわせてお尋ね申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
  30. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) それでは、前半部分の五百万の考え方、背景について私の方から御説明させていただきたいと思いますが、戦後五十年を経てなお不法占拠の状態にあるという、こういう状況のもとで、昨年、戦後五十年の節目に当たりまして、与党の戦後五十年問題プロジェクトチームにおかれまして北方領土問題についての検討が行われました。その結果につきまして総務庁に申し入れがされ、その決議を受けた格好で総務庁としてこの北方領土対策に五百万計上したわけでございますが、これは北方領土問題が未解決であるというような状況に起因して生じております諸問題について総括、整理するという考え方のものでございます。  具体的には、北方領土問題が未解決であるということに起因しまして、これまでどのような問題、課題があり、また、それらにつきましてこれまでどのような対策がとられ、その現状が今どうなっているのかと、こういうようなことについて総括、整理するものでございまして、返還後の問題を対象にしたものではないというふうな考え方  で今おる次第でございます。
  31. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 今、審議官の方から御説明申し上げましたように、この問題は総務庁といたしましては整理、総括をするための調査費を計上しておるわけでありますから、御指摘の問題につきましては、今後の返還交渉の推進状況を貝ながら、さらに適切に私たちとしてはこれを強化するなり、あるいは対策をさらに進めていく、こういうように考えておるところであります。
  32. 三浦一水

    三浦一水君 以上です。ありがとうございました。
  33. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間です。  ちょっと質問項目が多いので端的にお答えいただきたいと思います。  まず、沖縄開発庁さんにお願いしたいと思いますけれども、今もお話がありましたが、平成三年からのいわゆる三次振計の中に盛り込まれております石垣空港問題について、経緯はもうわかっておりますので、総論は県も石垣市も賛成だといろことでありますけれども、若干ニュアンスが違ろ中で、沖縄開発庁としては開発振興の観点からどういうふうにされていこうとしているのか、その対応を教えていただきたいと思います。
  34. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) 石垣空港でございますけれども、御案内のとおり、八重山地域の産業の振興とか、あるいは住民生活の安定という面から、当該地域におきまして最も重要なプロジェクトであるというふうに認識しております。  第三次振計におきましても、空港の「円滑な推進を図る。」というようにきっちりと書かれていろわけでございます。ただ、石垣空港の建設と申し上げますのは、県が事業主体になるわけでございまして、平成四年に宮良地区というところを沖縄県知事が建設候補地として選定されたわけでございますけれども、残念ながら地元の合意形成が主だできておりません。また、農業上の問題といろものもまだ残っておりまして、県の段階において十分に検討していただかなければならない課題というのが残されているわけでございます。  また、これも先生案内と思いますけれども、ことしの三月になりまして、宮良地区での基本計画策定のための調査費というものが県議会で可決されたわけでございますが、この県の予算に基づいて今後調査をどのように行っていくかということにつきましては、地元沖縄県において十分に検討し決めていただくべきものであろうと思います。  いずれにいたしましても、私ども開発庁といたしましては、県及び地元関係者が、将来の八重山地域の発展のために新石垣空港のあるべき姿について大局的見地から十分に協議をしていただきまして、お互いの相互理解のもとに一日も早く合意形成ができまするように大いに一層の努力をしていただきたいと、こういうふうに期待しておる次第でございます。
  35. 風間昶

    ○風間昶君 次に、沖縄の公営住宅の問題でありますけれども、地価は沖縄県の場合は全国平均から見てそれほど高いとは言えないんですけれども、残念ながら県民所得との対比で見てみますと、かなりやっぱり沖縄は地価が高い地域だというふうに認識できるんじゃないかと思います。  そういうような状況を直視するのであるな二ば、地価対策ももちろん必要だけれども、公共住宅の着工件数をふやすべきだと思うんですが、あるいは安価な安い賃貸住宅もふやすことが必要だと思いますけれども、いただいた資料、建設大臣作成の第七期地方住宅建設五カ年計画では、公営住宅が、沖縄は、二万二千戸のうち一番少ない三千戸になっているし、北陸地方が四千戸、ほとんどが一万数千戸のレベルなのにこんな少ない状態でありますし、五年間で公営住宅三千戸を設けるという計画であるようですけれども、もっと僕は多目にしていかなければならないんじゃないかというふうに思いますけれども、ちなみに、じゃ五年間で公営住宅三千戸となると初年度はどのぐらいを考えていらっしゃるのか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
  36. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) 先生ただいまおっしゃいましたように、実は沖縄の居住水準というのは大変全国的に見ても立ちおくれてございます。最低居住水準未満世帯の割合というのが、全国が七・八%に対しまして沖縄は一三・三%ということで大きく上回る。したがって、居住水準はよくないということになるわけでございます。  ちょっとお言葉を返しますけれども沖縄県の特に都市部は若干地価が高うございます。高いことに加えまして、御案内のとおり、台風が年じゅうやってくるとか、あるいは海が近いので塩害が多いとか、あるいはそのほかの亜熱帯の気候条件というものもございまして、実は建設コストもかさむ。そしてまた御指摘のとおり、所得水準が低いと。こういうことを考えますと、沖縄における公営住宅の必要性は大変大きいということにつきましては、全くそのとおりであろうと思います。  また一方で、地場産業の振興、あるいは過疎地も多いわけでございますから、そこで若い人たちに定住していただく、そういったことを促進するという観点からも公営住宅の建設というのは大きな役割を持っていると思います。  沖縄県におきまする公営住宅は、平成六年度までに約二万七千戸が県営あるいは市町村営を含めて建設されておるわけでございますけれども、これからもその建設は促進する必要があろうかと思います。  なお、先生先ほど御指摘の数字は平成八年度から十二年度におきまする第七期の住宅建設五カ年計画の数字をおっしゃられたんだろうと思います。これにつきましては、県の方と十分に御相談した上で、公営住宅三千戸を含めまして、公的資金による住宅三万六千戸というものを予定しているところでございます。初年度、八年度におきましては、先ほど御質問がございましたけれども、六百戸と承知しております。  開発庁といたしましては、県と今御相談しました第七期五カ年計画、その五カ年計画の目標を達成するために必要な財政支援等を行ってまいりたいど、かように考えておる次第でございます。
  37. 風間昶

    ○風間昶君 質問にだけお答えしていただければ、その前段、今局長がおっしゃったことは私存じ上げていますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、水資源確保でありますけれども、これも本当に沖縄は地質の問題もあって、しかも県民一人当たりの降水利用率はある意味では低い、全国でも低いと。  そういう意味で、特にダムの水をポンプアップする宮古の地下ダムを見させていただきましたけれども、これもかなりコストがかかる問題であります。これも含めて、西海岸の導水事業で工事に入っているところがあるというふうに聞いていますけれども、一点目は地下ダムについてのメリットとコストの部分でのデメリットを教えてください。  二点目は、西海岸地域での水源開発事業でのこの導水事業で、七年度から工事に入っているところもあるというふうにお聞きしましたが、今全体の中でどのぐらいの進捗率になっているのか、教えていただきたいと思います。
  38. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) まず第一番目の地下ダムの問題でございます。  現在宮古でやっておりまする地下ダムは上水ではありません。農水であるということをちょっと一言申し上げたいと思います。  地下ダムのメリットは、当然のことながら、地下にたっぷりたまっているものを、一回失ったものをもう一度取り返せるという意味では大変大きなメリットがあろうかと思います。ただ、いかんせん確かにコストが高いということも事実でございます。ただ、この技術、御案内のとおり、日進月歩、大変進んでおりますので、今後とも大いに利用できる技術だろうと思っております。  ただ、しかしながら、地層におきまするその地層のつくられ方というものに制約されるわけでございまして、例えば小さな伊是名島で始めようと思ったんだけれども、どうもうまくたまらないとか、そういった問題もございまして、一般的にあちこちでやる技術というわけにはどうもいかないように思っております。お答えになるかどうかよくわかりませんけれども。  そういった意味で、今おっしゃったような地下ダムも含めまして、沖縄は水が大変少のうございますので、また、すぐ海へ流れてしまいますので、いろんな多方面から水の確保をしなければならないという気持ちでおります。  お尋ねの西海岸でございますけれども、西海岸は平成十二、三年ごろを目標とします大保ダム、羽地ダム等々の十三河川の水をまとめまして、それを南部へ持ってくるという構想でございます。おっしゃるとおりで、まだ八年で二年目でございます。ちょっと今細かい数字ございません、申しわけありませんが三年目に入るわけでございますけれども、これから六年間で六百五十五億ほどの事業費のうち、始めたばかりでございます、調査が中心でございますから、実施計画の中身でまた御説明申し上げる格好になろうかと思います。
  39. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。ありがとうございます。  次に、先ほども出ていましたけれども米軍基地の一部本土移転が決まって、その跡地利用をどういうふうにするのかということが、ある意味では県だけの問題ではなくて今後日本全体の米軍基地跡地にもつながっていく問題だと思います。この県民経済の観点から、県民の総意を取り込む形で、国が県にこうせいああせいと言うわけにはいかないかもしれないけれども、しかし県と一緒になってその計画を考える、そういう意味で、沖縄開発庁の立場もあるんじゃないかというふうに私は思いますけれども、その再開発計画を考えているのかどうか。あるいは、考えるべきだと私は思うんですけれども、県にただ投げるんではなくて、後はどうぞ使ってくださいよ、そういう計画を出しなさいよというふうに言うだけじゃ沖縄振興開発にはつながらないというように私は思うんですけれども、どうですか。
  40. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 従来から、この返還跡地の利用につきましては、地元跡地利用計画がまとまったところにつきまして各種の諸事業を高率の国庫負担で実施するということで進めてまいったわけでありまして、今後もこの方針で進めてまいりたいと考えております。  ただ、普天間飛行場跡地のように四百八十ヘクタールという大変に広大な地域開発ということになりますと、これはもちろん地元の御意向ということを十分に踏まえて進めなければなりませんが、一方で、県におかれましても、いろいろと国際都市形成ビジョンなりいろいろな沖縄全体の開発計画の一環としてこの土地の利用ということについてのお考えも持っておられます。  したがいまして、地元も県も一体となって、もちろん国もその過程におきましてあらゆるお手伝いをさせていただきながら、地元、県、国一体となってやはり跡地計画をまとめていかなければならない問題であるというふうに考えております。
  41. 風間昶

    ○風間昶君 長官、ありがとうございます。長官がお答えになってくださると思っていなかったものですから、ありがとうございます。  それでは次に、戦争中の遭難船舶犠牲者に対する補償問題で、これは大変大きな問題で、厚生省さんにもおいでになっていただいております。所管がどっちとも言えないという部分もあるんでしょうけれども、要するに、この問題の解決に向けて、私は、戦後五十周年を終えたことし、五十一年に入って、本当にこれ手をつけないと、そのまま置き去りにされていって歴史の中に埋没するという状況になると思いますので、この解決に向けて何らかの特別措置ができないのかどうか。これは開発庁さんと厚生省さん、それぞれの取り組みを、基本的なところで結構でございます、まだ恐らくシミュレートもしていないでしょうから、教えていただきたいと思います。
  42. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) さきの大戦におきまして、乗船した船舶が米軍により撃沈をされ、亡くなられた方々につきましては、まことにお気の毒に存ずる次第でございます。  戦時遭難船舶犠牲者に対する国家補償につきましては、他の一般戦災者との均衡の問題が存在をいたしまして、また単に沖縄だけではなく全国的な広がりを持つ問題でもありまして、したがいまして当庁のみで対応するということは大変困難な問題かと思います。  難しい問題ではありますが、慎重な検討を今後していく必要があろうかと思っております。
  43. 橋口典央

    説明員(橋口典央君) 厚生省におきましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づきまして、戦争公務により死亡された方々の御遺族に対しまして年金の給付等の援護を行っているところでございますが、その対象となられますのは、軍人軍属、準軍属といった国と雇用または雇用類似の関係にあった方々でいらっしゃいます。  先生指摘の戦時中に交戦相手国の攻撃で沈んだ船舶の乗船者の方々につきましては、国との間で雇用または雇用類似の関係にあり、またその死亡が公務上のものであると認められた場合には援護法の適用があるわけでございますけれども、そのような状況にない一般の乗船者の方々の場合には援護法の対象にはならないということでございます。  これら一般の乗船者の御遺族に対します補償ということになりますと、援護法の解釈、運用を超える問題でございますので、厚生省としてお答え申し上げる立場にないということを御理解賜りたいと存じます。  以上でございます。
  44. 風間昶

    ○風間昶君 このように両者の言い分が違っているわけですけれども、先ほど長官から慎重な検討を要するということでありますが、これはある意味では抑制方向にならない形での慎重な検討をお願いしたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次いで、総務庁北方対策関係で、昨年も北方四島のうち色丹島と国後島に私も参加させていただきましたけれども、船が小さいという感じがすごくいたしました。委託をして対策本部でお金表出して、もちろん国の支援も含めているんでしょうけれども、居住性という観点から、私だけじゃなくて、やはり行った方々も北海道の方々も船が小さいので何とかならないのかなと。どっちにしても今の三百六十トンの船でさえ四島にバースがないから、はしけで一回乗りかえて行くわけです。むしろそれだったら、択捉あたりに行く場合は十数時間も船に乗っているわけですから、もうちょっと大きい船が使用できないかというのが一点。  それから、私は旧島民以外にも交流を拡大すべきだと思うんです。その方向で国自身が考えてくださっていることについては敬意を払いますけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。
  45. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) まず、使用する船のことについて御説明申し上げます。  現在、ビザなし渡航に使用する船は三百五十四トンという確かに大変小さい民間の船をチャーターして実施しているところでございまして、先生今御指摘のような意見、要望等が参加された方の方から出ているということは十分承知しております。  私どももさまざまな情報を今集めている状況ではございますけれども、この事業に使用する船といたしましては、交流事業内容あるいは北方四島の現状、こういうようなものを考えますと、一つには宿泊施設、宿泊機能あるいは厨房機能、こういったものがどうしても必要でございますし、なおかつ大きければいいというものではなくて適正な規模が必要ではないかなというふうに考えているところでございまして、関係方面数カ所に私どもの方も問い合わせしておりますが、現在我が国では今使用している船以外にはそのような適切な船はないというふうに聞いております。  私どもとしましては、四島交流事業は非常に重要だと思いますし充実する必要があるという観点からも、この辺の問題につきまして関係方面と引き続き連絡をとり、情報を集めながら研究してまいりたいというふうに思っております。  それからもう一点、ビザなし交流に参加する方々を一般国民にまで広げるべきではないかという御指摘でございます。  先ほどの御質問に大臣の方からも答弁されましたように、非常に効果が上がっているという中で一般国民にまで拡大をして関心を広めるべきだと、それがひいては返還要求運動の活性化なり進展につながるのではないかという御指摘があるわけでございます。  ただ、今の段階といたしまして、これは日ロ間で取り決められました枠のもとで実施しているわけでございますが、その考え方と申しますものは、北方領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的とするという、先生御承知のとおりの考え方を持っているものでございまして、このような暫定的、特例的な性格、あるいは現実問題といたしまして元島民や返還運動関係者、こういう方に参加希望してもまだ訪問を果たせないでおられる方が相当おられるというような状況を考えますと、今の枠のもとでは当面現行どおりのやり方が適当ではないかなというふうに考えます。ただ、一般国民への理解という点に関しましては、例えば参加されました方が、今は、それぞれの各地におきまして研修会、講習会、こういったようなところで参加体験というようなものをお話しするようなケースもかなりふえておりますし、私ども総務庁といたしましても四島交流を素材とした啓発ビデオを作成しまして、各地の研修会専の行事でこれを活用しまして一般国民の理解が深まるような努力はしてまいりたいというふうに考えている状況でございます。
  46. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。多少風穴があいて去ていますので、そういう意味では拡大に向けてもっと進めていただきたいと思います。  関連して、先ほどPRの部分で、道内の映画館ではほとんど幕間にコマーシャルが入るんですが、先日も有楽町のある映画館へ深夜映画を見に行きましたけれども、都内の映画館で見かけたことがないんです。啓蒙推進を本当にやっていただくためのアイデアをもっと出すべきだと思いますし、またやっていただきたいと思います。これが一点。  それから、日本古来の領土と言うからには、周有の領土と言うからには、根室までの補助が全くなくて根室から北方領土までの費用についてのみ補助があるというのは、今は旧島民の話ですよ、旧島民の居住地によって差ができているわけですからこれは問題だと私は思うんです、古来、固有の領土と言っているんだったら。  ここのところの二点。PRの部分と旧島民に対する旅費補助の問題。
  47. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) まず、映画館におきます幕合いの活用の点でございますが、私ども返還運動の啓発推進は二月と八月という強調月間のときに集中的な広報をしているわけでございます。  具体的な広報活動としましては、総理府で所管されております政府広報、これの各種媒体を活用させていただきましてやっているわけでございますが、その中に御指摘のムービースポットもお願いして活用しております。ただ、これは二月、八月に限定するという状況にはございますが、いろんな方法での広報は考えていきたいというふうに思っております。  それからあと、ビザなしで元島民の方が参加されるにつきまして旅費を負担させるのは気の毒ではないかという御指摘でございます。これにつきましては、実は平成八年度予算におきまして、訪問団の方々につきまして事前研修を実施するような予算を今要求しておりますが、その事前研修に参加される方につきましては、事前研修出席旅費という格好で旅費を補助するようなことを考えている次第でございます。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  次に、旧漁業権補償の問題ですが、戦後五十年を経てなお問題は残っておるわけです、これもまた。現行法では旧漁業権者は一代相続できる、元島民は本人限りだと。元島民で旧漁業権者は旧漁業権者扱いになっているわけですけれども、その特別措置法制定時と比べまして状況は随分変わってきていると思いますし、また、旧島民で旧漁業権者はだんだんやっぱり少なくなってきている、高齢者が多くなってきているということで、この際、法改正についてどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  49. 大坪正彦

    説明員(大坪正彦君) 御指摘お話は、北方領土から引き揚げを余儀なくされた方々に対します融資制度のあり方のお話だと思います。  北方領土から引き揚げられた方あるいは北方四島で漁業をされておられた方、そういうような方々からいわゆる一世、その御自身だけではなくて、引き揚げられて日本国内に来られた後御誕生された二世の方、こういう方に融資の制度の資格を与えるべきではないか、こういうようなお話であろうというふうに思いますし、その点につきましてはかねて関係者の方々から強い要望が出ている問題でございます。  この問題につきましては、私どもの方で今検討しておりますが、考え方としまして、戦後五十年を経過しまして、また現行法制定からも三十四年経過した今のこういう時点におきまして、融資制度の趣旨、目的というものと御要望の具体的な内容、こういった内容をどういうふうに考えるかというようなことを中心として検討してきているわけでございますけれども関係者の御要望との間にまだ意見の一致を見ていない状況にあるわけでございます。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 関連して外務省の方に来ていただいていますので、旧漁業権ではありませんからあれですが、貝殻島沿岸の昆布漁で、ロシアに入漁料を払って今現在も続いているわけですけれども地元の漁業者から、ロシアと外務省、日本国との間の協議の交渉結果の概要を教えてほしいという声があるんです。  そういう意味で、ぜひ外務省に今後ともこの協議に一層御努力、御協力をしていただきたいというふうに思いますけれども、それに対する外務省の見解を伺いたいと思います。
  51. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) 貝殻島昆布交渉についてでございますけれども、この交渉は、北海道水産会とロシア連邦漁業委員会との間で毎年五月ごろに民間協定の延長を交渉してきております。ことしにつきましては、五月十五日から十七日までモスクワで行う予定であるというふうに承知しております。  外務省といたしましては、この交渉団に対しまして、従来からしかるべく便宜を図ってきておりますけれども、何分交渉当事者は北海道水産会でございます。ただいま先生から交渉結果を地元住民へ速やかに伝達してほしいという要望が強いというお話がございましたので、先生の御指摘につきましては北海道水産会の方にしかるべくお伝えしたいと思っております。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  総務庁長官、一月十一日に長官になられてまだ北方四島にいらしてないんですね。要するに根室までもまだいらしてないんですね、見えるところに。ぜひ根室に来ていただきたいという要望、また橋本総理に対する要望もあるわけです。そういう意味で、閣議のときでも結構ですし懇談会のときでも結構ですし、何をやっているときでも結構ですけれども、ぜひまず総務庁長官に根室においでいただきたいし、その後でもいいですから総理に北方四島の視察についての協議に入っていただきたいと思いますけれども、一言お願いしたいと思います。
  53. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 戦後五十年、昨年でございましたが、大変強い要望があるということも十分認識をいたしております。ただ、政局の状況あるいは国政の状況等を判断いたしまして、総理にはまた後日そうした相談も申し上げ、そして可能な限り努力してみたい、こう考えております。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひ長官まず先に、政局は今安定していますから来てくださいよ。それを言わせていただきまして質問を終わります。
  55. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 平成八年度の沖縄関係予算につきましては、岡部長官初め、また高木長官を含めて、沖縄開発庁が全庁挙げて大変な御努力をいただきまして、沖縄開発庁一括計上分の予算が初めて三千億円を超えた、こういうことで県民大変喜んでおるところでございます。特に、平成八年度の予算で、議論になっております都市モノレールの本体事業着工に入る、こういうことだとか、あるいは八重山地域における戦争マラリアの犠牲者に対する慰謝事業についても必ずしも十分ではございませんけれども、前高木長官にも大変な御苦労をお願いしたということを私もよく知っておりますので、重ねて御礼を申し上げたいというふうに思っております。  ところで、沖縄の戦後処理問題、必ずしも全部終わったわけじゃありませんでして、戦時遭難船舶犠牲者に対する補償の問題だとか、あるいは戦争で痛めつけられて大変な傷を負いながらいまだに補償がなされないという戦争障害者の会の皆さん方の補償問題も浮上してまいっておりますので、引き続いて岡部長官におかれましては、沖縄の戦後処理問題についてお力をおかしいただきたいということをまず御要望申し上げておきたいと思います。  さて、日米首脳会談に先立つ四月十五日に日米特別行動委員会、いわゆるSACOの中間報告が発表されました。このSACOの中間報告は在沖米軍基地の十一の施設について全面返還あるいは整理、統合を図るという計画でございます。中間報告段階では、約四千七百ヘクタール、現在ある沖縄米軍基地の約二〇%を縮小する、こういうことを言っておるわけであります。ところが、四千七百ヘクタールのうちその八三%は北部訓練場、ここは全部国有地なんですね。そういう実態がある。  同時に、普天間飛行場の全面返還五年ないし七年、こういうふうに言っておりますが、実はこれは県民が望んでおった普天間飛行場の無条件返還とはほど遠い内容になっておるわけですね。これはもう長官案内のように、この普天間飛行場の機能、これを損ねないという大前提のもとに、普天間飛行場のヘリ部隊の機能維持のために嘉手納弾薬庫地区内に、しかも三百六十ヘクタールというとてつもない規模のヘリポートを新設する、一千五百メートル級の滑走路もつくる、こういうことも今言われているわけですね。それから、極東最大の空軍基地である嘉手納基地に普天間飛行場の現機能の一部を移す、こういう内容であるわけです。  そうすると、既にもう嘉手納基地を持っている嘉手納町は町議会で全会一致で反対決議をするし、町民大会を開いた。この町民大会で小学生の少年が、爆音に苦しめられてどんどん学友が減っていく、友達が減っていく。こういう中でさらに嘉手納基地に普天間基地の機能が移されると、今でさえ殺人的な爆音で苦しめられているのに、もうこれ以上我慢することはできない、こういうふうに言っているわけです。  そこで、私は、SACOの中間報告について沖縄開発庁長官としてどのように思っていらっしゃるのか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
  56. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 先生おっしゃるとおり、四月十五日に発表されたSACOの中間報告は、これは沖縄方々が御要望する御要望をすべて満たしたものでは全くないということは言うまでもありませんが、ただ従来の経緯等から考えるとやはり大きな前進である、一歩も二歩も前進したということは間違いのない事実でありまして、私はその点では高く評価をいたしておるところであります。  普天間飛行場の全面返還に関しましては、今回合意された一連の措置というものが、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ沖縄県の人々の強い要望に可能な限りこたえたものではないかと思います。したがって、これを一つの足がかりとしてさらに前進をするという必要があるのではないかと思っております。  なお、この合意の実現に当たって、御案内のように移転先の方々の御理解と御協力を得るという大きな責任と努力が政府に課せられたわけでありまして、県御当局と一体となって、こうしたことがぜひ実現できるように努力をしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  57. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 このSACOの中間報告と関連して、普天間飛行場の機能の移設あるいは新たなヘリポートの新設が予定をされておる中部の十三市町村、中都市町村会がせんだって四月三十日に総会を開いて決議をいたしました。これは、基本的には普天間飛行場の機能移設に反対をするという内容でございますが、その中でこう言っているんですね。   中間報告にうたわれている、普天間飛行場の持つ軍事的機能を嘉手納飛行場と嘉手納爆薬庫地区に移設、統合、新設するという内容は五十年にわたって基地被害を受けてきた地域住民に更なる地獄の苦しみを強いるものであり断じてこれを拒否するものである。そして、   日米安保の重要性が強調される中にあって、安保による基地被害を沖縄県民のみで受ける理由はない。  アメリカ政府は、米国内の基地の再編閉鎖計画を進めており、その観点に立って在沖米軍基地の再配置、又は機能の移設、統合を日本本土及び米国領アジア太平洋地域まで拡大して進めること。こう言っているわけです。  中部の市町村、沖縄県の自治体が米軍基地を日本本土に移してくれと初めて言ったんです。このことについて、長官どう思われますか。
  58. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) ちょうど私、中部十三市町村長さん方の決議が行われた日に沖縄に行っておりました。したがいまして、その情報もいち早く存じ上げたわけでありますが、地元方々のお気持ちというのは、これはもう私どもには痛いほどよくわかるわけであります。  ただ、現在の安保条約との調和を図りつつ基地返還をするという方針のもとにおいてはやむを得ない処置ではなかったのかなとも考えておるわけでありまして、我々としては何とか地元方々の御理解を得られるようにこれから県と一体となって努力をし、また、地元方々の負担が軽減されるような処置を防衛施設庁等とも一緒になって考えてまいりたいと考えておるわけであります。
  59. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官、私がお聞きしたいのは、中都市町村長は全会一致で、保守とか革新とか超えて宜野湾の市長さんも含めて、このSACOの中間報告内容では沖縄県民に対してさらなる地獄の苦しみを強いるものだと。だから、安保で基地が必要であれば本土に持っていきなさい、アメリカ本国に持っていきなさい、こう言っているわけ  です。  長官沖縄開発庁長官としてどうでしょうか。この基地の負担、安保の犠牲を日本本土の市町村を含めて、自治体を含めて引き受けようじゃないか、こういうふうな御提言をなさるおつもりはありませんか。
  60. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) もちろん、安保条約のもとにおける負担というものは、これは国民全体が負わなければならない問題であるというふうに考えております。そういう観点から、今回交渉に当たられた方はまさにぎりぎりの交渉をなされ、こういう結果が出たものだと思っておるわけでありまして、私どもはこのもとで実質的な負担が減るように努力をしてまいらなきゃならないというふうに考えておるわけであります。
  61. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 返還された基地の跡利用の件でございますが、いろんな議論がされております。例えば、仮に普天間基地がSACOの中間報告どおり五年ないし七年のうちに返還された場合に、この跡地利用を進める上で、私はやっぱり今の軍転法現行法の枠内では非常に難しいんじゃないか、財政的な処置を含めて特別法の制定の必要性が高いんじゃないかと思っておりますが、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 跡地利用のために特別立法をすべきだ、こういう御意見は、私沖縄に参りましたときもいろいろと各方面からお聞きをいたしました。  ただ、現段階において跡地利用の作業というものはまだ始まったばかりでありまして、これから先それが詰められた過程でどういう問題が起きていくのか、具体的な問題がまだ全くわかっていない段階であります。従来から返還された跡地については既存の各法律を利用して、最大限に活用して進めてきたところでもありますし、そういうことをベースにして、もしどうしても必要な事態が起きれば、それは県とも十分連絡をとりながら検討をすることにやぶさかでございませんが、現段階においてはまだそういう具体的な事実は私どもお聞きをしておりまぜんので、現行法で十分できるものと考えておる次第でございます。
  63. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、モノレール事業がいよいよ着工の運びになったわけでありますが、私はやはり沖縄の産業振興を図っていくという上でも、このモノレール着工と同時に新しい沖縄の総合交通体系を早目に準備をしなければいかぬな、こういうふうに思っているわけでありますが、当面、そのモノレール事業着工に伴って既存のバス事業の健全化あるいは一元化というんでしょうかね、そのことをどのように開発庁としてお考えなのか。それから、近い将来このモノレールを中北部まで延伸をして沖縄の都市間交通あるいは総合交通体系の整備とつなげていくべきだ、こういうふうに考えているんですが、そこら辺の展望について長官の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 先般私もお邪魔したときにもそういう御陳情も地元からもお受けをしました。中部地域への延伸の問題につきましては、私はああいう便利な施設はできれば大いに延ばして、皆さんが利用できるようにしたらいいと思います。ただ、やはり経済性の問題がございますから、どこまで延ばすことによってその経済性がとれるのか、そういう具体的な開発計画があるのか、その辺も詳しくこれから調べていきませんと、軽々にその延伸ということを申すわけにはまいりません。そういう必要性があり、また経済性が十分とれるということになれば、当然これは延ばしていくべきだと思っております。  さらに、バス路線の再編認可等の問題は、これは運輸大臣の所管の問題でありますが、バス路線につきましても、バスとモノレールの共存共栄ということを基本とした路線の再編を行うために、今沖縄県と私どもの総合事務局、さらにバス四社、那覇市が検討中であるというふうに聞いておりますので、開発庁といたしましては、こうした関係機関と連絡を十分とりつつ、効率的な交通体系の形成に努めてまいりたいと考えておる次第であります。
  65. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 岡部長官にお伺いします。  沖縄県は、二十一世紀には基地のない平和な島ということを掲げております。「若い世代が希望の持てる基地のない平和な沖縄」、こうこの「沖縄からのメッセージ」というパンフレットでも書かれております。ところが、さきの日米首脳会談で、今後五十年、二十一世紀にも安保条約を堅持しようという方向が打ち出されました。これは大田知事がこのパンフレットの中で一番危惧している「二十一世紀にわたって基地が固定化されるのではないか」という、こういう心配を事実で裏づける結果になったと思います。  こういう基地のない平和な沖縄ということを沖縄県が掲げていることは、こういう日本政府から見るとまことに困った厄介な目標を掲げると見えますか。その点長官の意見をお伺いします。
  66. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) もう先生十分御承知のとおり、この国際情勢は依然として不安定、不透明な状況下にあるわけでありまして、そうした中で我が国が安全を確保していくためには日米安保条約を堅持していくということが必要でありますし、同条約の目的達成にとりまして必要な施設区域米軍に提供するということは不可欠の問題であると考えております。  沖縄県の基地返還アクションプログラムと今回のSACOの中間報告内容は必ずしも同じではないわけでありますが、普天間飛行場の全面返還を初めとして今回合意された一連の措置は、日米安保条約目的達成との調和を図りつつ、沖縄県の人々の強い要望に可能な限りこたえたものであるというふうに考えております。
  67. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 基地の存続と基地のない沖縄ということは、これは調和しがたいものだというふうに私は言わざるを得ません。  これはさておくとしまして、今度SACO中間報告によると、普天間飛行場返還は無条件ではなくて、五ないし七年以内に十分な代替施設が完成した後に返還される、こうなっているわけですね。これは、この条件三つあるわけですけれども、この内容中間報告にも書かれているわけですけれども、今後どういう手順、どういう手続を経てこの条件を整えていこうということになりますか。
  68. 小澤毅

    政府委員小澤毅君) 先般合意されましたSACOの中間報告につきましては、先生からただいま御指摘ございましたように、三つの条件等がついております。これらにつきましては、本年十一月までに具体的な実施スケジュールを付した計画を作成することとなっておりまして、防衛施設庁といたしましても、今後日米間で協議を行い、可能な限り努力してまいる所存でございます。  いずれにしましても当庁といたしましては、本件につきましては、本土を含む地元関係者の御理解と御協力が得られることがぜひ必要でございますので、これの御協力、御理解に配慮しつつ、最大限努力していく所存でございます。そのため、関係省庁及び沖縄県の代表の方々にも御参加いただきまして政府としてタスクフォースを設置するということが決まっておりまして、その第一回の会合が明後日五月九日に開催される予定というふうに我々承知しております。
  69. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もうちょっと具体的なことを聞きたいと言って事前にお願いしておいたんですけれども、これ時間がありませんからそれをせんさくしているわけにまいりません。  この普天間返還、これはどういう交渉を通じて決まったのか。突如天から降ってきたものではないと思います。これは総理が個人外交でやられたのか、外務省もかんだ交渉があったのか、その交渉の中で普天間の今後の返還条件にかかわるようなこともいろいろ、結論は別として出ていたのかどうなのか、その点明らかにしてください。
  70. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 昨年の十一月にSACOが設立されまして、そのSACOの場でSACOの関係者が種々議論をしてきたわけでございますが、その中で日本とアメリカと共同作業で知恵を出しながらどういうことができるかという議論をしてきたわけでございます。その中で普天間基地の返還問題もございました。普天間基地の返還の問題というのは非常に難しい問題であるという認識ではありましたけれども、この問題については避けては通れないという認識もございました。  そこでさまざまな議論の積み重ねがあったわけでございますが、最終的には、総理とそれからアメリカ側を代表いたしますモンデール大使との間で交渉が行われまして、去る四月十二日に結論が出、そして四月十五日の特別行動委員会中間報告において結論が出されたわけでございまして、「今後五−七年以内に、十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場返還する。施設の移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力は維持される。このためには、沖縄県における他の米軍施設及び区域におけるヘリポートの建設、嘉手納飛行場における追加的な施設整備、KC−130航空機の岩国飛行場への移駐及び危機に際しての施設の緊急使用についての日米共同の研究が必要となる。」ということで合意がなされたというのが経緯でございます。
  71. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、事前に協議があったわけですね。最近、いろいろ新聞で普天間返還条件について報道があります。先ほどありました千五百メートル滑走路もその一つでしょうし、NHKでも報道しましたヘリコプター三百機というような報道もありました。  外務省の事務当局の方に聞くと、返還条件は何にも聞いていない、すべてこれから協議が始まるという説明がありましたけれども、そうじゃなくて、そういう事前の協議の中でいろいろ出ていたことが今報道されているのだなと私は思います。結論は別としまして、何も今まで協議なしにこれからイロハから始まるということではないと思います。困難か困難でないかのそういう協議があったと思います。  そして、その三つの条件が満たされなければ、これは返還ということにならないわけです。もし、ならないということになると、政府はどういう説明をなさるか。普天間返還が実現できなかったのは、嘉手納その他の住民が反対したためである、あるいは本土が反対したためであると。こうして普天間返還が実現しない場合が起これば、沖縄県内、本土と沖縄との関係に原因を求めるような宣伝、理由.つけをなさるつもりかどうか、ちょっとお伺いしておきます。
  72. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私ども、これが実現しないという可能性については考えておりません。何とかこれで速やかに実現がなされるよう、総理もいろんな場で言っておられますけれども、一日も早く具体的に話を詰めてこれが実現されるよう政府として全力を挙げてやるということでございますし、その際、地元の御協力、関係者の御協力もぜひ得たいということで、我々は積極的に取り組んでいこうという考えでございます。
  73. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、沖縄県内のいろいろな動きの状況を見ると、これは簡単に合意が得られない、得られないだけでなくほとんど不可能だ、そういうふうに思います。  そうなると、移転もできない、普天間返還もない。第一、普天間返還されたとしても、五年ないし七年後です。その間、どういう問題が起こるか。普天間飛行場のある宜野湾市の桃原市長は、来年四月以降、市有地の提供を拒否する、こう言っています。そうなると返還に先立って、返還されたとしても、五年ないし七年間は存続するところの普天間飛行場そのものも、楚辺通信所と同じように不法に存続するという事態にもなりかねない。沖縄情勢はそういう情勢なんです。  その点はどうお考えになりますか。これは長官にお伺いしますが、どなたでも結構です。
  74. 小澤毅

    政府委員小澤毅君) 私の方からは、普天間飛行場返還等に関しまして宜野湾市長の方から市有地の、今、先生の方から賃貸借契約の問題について一つありましたので、これについてまずお答えいたしたいと思います。  これにつきましては、市長さんからそのようなお話があったということは報道等を通じて我々は承知しておりますが、これにつきましては宜野湾の担当者また市長さんともいろいろよく相談いたしまして、そのような事態に至らないようにということで今最大限努力をして御理解は得つつあるのではないかというふうに思っております。  また、もう一点の問題につきましては、普天間飛行場が返らないというふうな場合でございますけれども、これについては先ほど外務省の方からも御答弁がございましたように、我々は普天間返還に向けてこれから最大限努力を行うというところでございますけれども現状普天間飛行場は御承知のように極めて重要な軍事上の機能及び能力を持っております。これはその返還がなされるまでの間は維持される必要があると思います。  したがいまして、普天間飛行場の代替施設が完成し返還が実現されるまでの基地機能は、そのまま現在のとおり維持させる必要があるというふうに我々は考えております。また、そのために、いろいろな騒音対策等につきましては、今後とも全力を挙げて対応してまいりたいというふうに思っております。
  75. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  76. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 沖縄は、太平洋戦争で非常な犠牲を受けた上、戦後五十年にわたって本土の国民と比べて余りに公正を欠く非常な犠牲を受けてまいりました。この犠牲的負担は一日も早く解消しなければなりませんけれども、その償いとして、同時に、産業経済面あるいは生活面で本土の国民よりもレベルの高い状況をこれまた一日も早くつくり上げていく必要がある、こう思います。  きょうは、その中で農業についての所見を申し上げますが、長官はもう農業は権威者でありますので、私としては質疑というよりもむしろ陳情であります。  農業といいましても、やはり平野部の農業、緩傾斜、急傾斜、いろいろございますし、当面申し上げるのは平野部についてでありますが、大体、沖縄の農家戸数は昨年の農業センサスによりますと三万一千六百戸耕地面積は四万四千八百ヘクタール、農業後継者、これは年間百五十日以上自家農業に従事した三十歳未満の男子ということに規定いたしますと、わずか三百九十名ですね。結局、農業後継者は農家八十軒に一人という状況でありますから、後継者にとってみれば耕地面積は、現在一人当たり百十五ヘクの耕地があるわけです。しかるべき規模拡大をやりませんと、現在やつておられる比較的年齢のいった農業者が農作業不可能になれば、日本全体そうでありますが、耕地はどんどんと荒廃に帰するということでありまして、規模拡大ということは、これはただ可能であるだけでなくて絶対必要な状況であります。  私、予算委員会におりましたときに、少なくとも一戸当たり三十ヘクから四十ヘクの規模拡大をやらなければ、二十一世紀には当然実現する自由化の前にまた今と同じように若者は到底農業をやらないだろう、こういうことを申しましたら、時の農水大臣は、現在の新政策であっても一戸当たり十ヘクから二十ヘク、組織経営で三人の従事者で三十五ヘクから五十ヘク、これでも余りに飛躍的で、現実的でないと農政審議会では言われているんだ、とても武田さんの言うようにはやれない、こういう意味の答弁がありました。  ここで私がはっきりさせたいのは、現実的とは何を言うのか。自由化は必ず来る、来れば若者は農業を去ってしまう、明らかにそういうことが予想されるような政策が現実的と言えるのか。それとも、明らかにやれるしゃらなければならない、しかも自由化に十分耐え得る農業の再構築が可能であるのを現実的でないと言うのか。こういうことは長官に申し上げるべきことじゃありませんが、よくおわかりのことでありますけれども、そういうことをいち早く我が沖縄県においてやるべき意義がないか、こういうふうに思うんですね。  沖縄では、主要農産物がサトウキビということになっておりますけれども、これは非常にもうからない。国際統計を見ますと、一番よくとれる国の半分も単収が上がっていないですね。それは、逆に言えば今の二倍の単収を上げ得る可能性があるということでありまして、沖縄の大学には、品種改良であろうと土壌改良であろうと、すぐれた先生方が顔をそろえておられます。こういう人たちに政治の側から十分に課題を提起して、地元の研究者、地元の熱心な農業者が力を合わせてあすの沖縄の農業を準備する、こういうようなことを政治の側から課題を提起し予算を用意するというようなことはぜひお願いしたいと思うのであります。これはさっき申し上げた陳情でありますので、よしよしと、よく検討させるからぐらいのお返事をいただければ、私は満足するのであります。よろしく。
  77. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 農業の権威者である武田先生から大変貴重な御意見を承りまして、本当にありがとうございました。  沖縄の農業は御案内のようにサトウキビ農業が基幹農業である、こういうことでございますが、おっしゃるとおりに耕地面積としては六割ほどありますけれども収益は二割だということで、やはりますそのサトウキビ農業の生産性向上ということが第一の課題だと思います。これはいろいろあります、品種改良の問題もありますし、いろいろあります。特に、区画整理がほとんどできていないで収穫に非常に時間がかかるということが一つの大きな原因だと思います。それからまた、干ばつのときにはがたんと収量が下がると。したがって、そういう手当てをしなければならないと思いますが、それと同時に、やはりできるところはサトウキビ農業からもう少し収益性の高い農業を道入していくということが非常に大きな課題であると思います。  私も、復帰前後からもう何回か沖縄へ行っておりますが、特に最近参りますと、南部の地域、それから先般も読谷の地域に行きましたが、あの辺でも花卉栽培だとかああいう施設園芸、こうしたものが相当出てきておりますし、また市町村長さん方もそういうことに大変意欲を持たれておるということを感じまして、非常に力強く思ったわけであります。伊江島あたりでは既にuターンが相当起きてきて、むしろ、まだまだ帰りたい人はいるんだけれども基盤整備がまだ進展していないから少し待たせているんだというふうな話さえ聞いたわけでありまして、そういう施策を集中することによってこれからやはり収益性の高い農業に転換する、そうすれば必ずこの後継者問題も今とは違って改善されてくると。  やはり、沖縄においては、失業率も非常に高いわけでありますから諸産業の振興を図らなければいけませんが、特にその中においても、あの地域を利用して、亜熱帯の気象条件を利用した農業の振興ということが私は欠かせない重大な問題であるというふうに考えております。
  78. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 つくる者は最適の作物を選ぶのは当然でございますが、要するに、四十ヘク程度に拡大する営農規模を、年間千六百時間くらいの肉体労働、頭脳労働で、所得は十数年後あるいは二十年後に二戸当たり千五百万くらいの所得を上げれば、大体これからの日本の経済成長の二次、三次産業とバランスするのではないか、こういう問題を提示して研究者に勉強してもらうということをお願いしたいと思います。  時間がありませんけれども、そういう拡大する営農規模を千六百時間前後で完全にこなすということになりますと、当然、これはもう長官が一番お得意の基盤整備を徹底的にやらなきゃならぬわけであります。  今、国は第四次土地改良長期計画で四十一兆円の事業費をもって進行中でありますが、面積割りにしますと沖縄は四兆円の金が使えるわけであります。それらを使って本当に、今問題になりました農業用水、これは農村地区でダムをつくりましても水は皆都会に持っていかれてしまって農業はほとんど使えない、こういう状況でありますので、一つの有力な方法としてはやはり非常に低コストのエネルギーを研究して、それで海水の淡水化ということは一つの大きな問題だろうと思います。これをやっているのはサウジとかイスラエルとか、油がたくさんある国、あるいはお金がたくさんある国でやっておるのでありまして、これは本当にコストの安いエネルギーを何とかして開発しなければならぬ。  今、一般の家庭でも、五百万の金があれば四、五人家族の電力エネルギーは一応賄える、こういうふうになっておりまして、だんだんと、今まではとても引き合わないと言われておった太陽エネルギーの開発がどうやら一般大衆の手に届くところまで来ておるようでありますし、特に太陽エネルギーとなればもう沖縄は、一般の、日本の本土よりもはるかに恵まれた条件がありますので、そういうこともぜひひとつ沖縄において本土に先駆けて掘り下げていただくようにお願いいたします。
  79. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 長官は去る四月三十日に沖縄を訪問されて、例のSACOの中間報告返還合意がなされた施設、十一施設のうち九施設を視察されたようでありますけれども、御承知のように、広大な米軍基地が存在している沖縄県の発展そしていろいろな将来というものが米軍基地によって阻害されているという面でよく実態をおつかみになったというふうに思いますけれども、政府と沖縄県民との基地に対する認識というものは非常に温度差があって、先ほど来聞いていましてももう質問もやめておこうかなと思うぐらい非常に差があるんです、本当の話。それじゃ県民はもう本当に、先ほど話がありましたように、五十年間も今日まで、米軍にいろんな重圧を押しつけられて今日に至っているんですけれども、ですから大田知事としては、どうしてもこれを何とか県民の願いにこたえて、そして二十一世紀に向けて本当に基地のない平和な沖縄だというふうなことが言えるようなアクションプログラムあるいはまた国際都市形成構想とかいったようなものを今検討しているわけです、あるいは政府に要請をしているわけです。  いろいろ知事からも要請を受けられたと思いますけれども、そういうふうなことを含めて、この四月三十日から沖縄訪問をされて、基地の問題、あるいは沖縄の経済問題、あるいは二十一世紀の、いろんなものがありますけれども沖縄県におけるところの諸問題、それを沖縄開発庁として、長官としてどのように認識され、そして沖縄の基地の視察、そういったふうなものを含めて、感想をお伺いしたいというふうに思いますけれども、よろしくお願いします。
  80. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 聞くと見るとは大違いと申しますが、私も今回参りまして、北部の訓練場はちょっと参りませんでしたが、それ以外のところはほとんど拝見をしてまいったわけでありますが、沖縄本島の二〇%が基地だということをよく言いますけれども、しかし基地のあるところは集中してあるわけですね、あの中部の地域は。本当にもう基地の間に市街地があると言っても過言ではないようなところがあるわけでありまして、やはり土地利用上も大きな支障になっているということはもう本当に実感をいたしました。  したがいまして、何とか先生おっしゃるような理想の沖縄をつくりたいと思いますが、ただ、現在の安保体制のもとにおいてやはり一歩一歩前進していくということが必要だと。そのためには今回のSACOの中間報告は大きな前進であるということは間違いないと思うわけであります。問題は、私どもの立場としてはこの返還される基地をどのように有効に沖縄の経済の発展なり民生の安定のために利用していくか、開発を進めていくかということに尽きるだろうと思うんです。このことに関して、もちろん地元方々の御意向を十分踏まえながら県と一体となって努力をしてまいりたいと、かように存じておる次第であります。
  81. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ありがとうございます。  そこで、そういった跡地の、いわゆる基地返還と跡利用の表裏一体というものが、先ほど来話がありますけれども、軍転特措法というものが、これは議員立法でなされておりまして、それは沖縄県も十七年間かけて長年要請された問題であったわけですけれども議員立法成立はしておりますけれども、これ具体的に返還されますと、どうしても今の軍転特措法ではやはりちょっと期間というものが不十分じゃないかというふうなこともありますし、先ほど長官現行法でできるというふうなことをおっしゃっていましたけれども、やはりこれは従来のいわゆる県民の要求とは非常に差があるわけです。  ですから、もう少し現在の特措法を検討する必要があるんじゃないかというふうに思うんです。先ほどは現行法令で十分だというふうなお話がありましたけれども、再度その辺について、やはりこれから返還をされるというふうな面について本当に現行法で大丈夫なのかどうかというふうな不安があります。そういった点でもう一遍お伺いしておきたいと思います。
  82. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 軍転法につきましては、これは防衛庁の所管ではございますけれども先生おっしゃったように議員立法でもありますし、この法律の成立には島袋先生も大変に御尽力をされたということを聞いておるわけでありまして、まだ成立してから適用された事例がないわけですね。私、先般言いましたら、恩納通信所が第一号になるんじゃないかというふうにも聞いております。  そこでまず、やはり同法を最も有効に適用すると、その執行に努めてまいるということがまず最初に大事なことではないかというふうに考えておるわけでありまして、その他の法制についてもいろいろと話はございますが、具体的にそれでは今の法制ではどういうところができないんだということが、まだ全体の計画が詰まっておりませんからいま一つわからないわけでありまして、そういうことがわかった段階で必要があれば検討をすることにやぶさかではございません。
  83. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先日の予算委員会の総理の答弁のように、政府が威信をかけて普天間基地の返還に取り組んでいるというのであれば、やはり返還跡利用の問題については開発庁が指導をしていただいて、そして斬新的な取り組みをしていただきたいというふうに改めて要望しておきたいと思います。  それから、北部に行かれて古宇利島の架橋の問題で多分要請を受けられたんじゃないかと思います。もう時間ないんですけれども、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。
  84. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) 古宇利島について細かいことの御説明は割愛させていただきますけれども、従来村道として整備してきたものが昨年の九月ですか、県道昇格という形になりまして、平成八年度の予算からは県道事業として工事に着工すると、こういう段階に至っております。用地買収等は従来から継続して行いますけれども、既に実施設計の段階に入ってきたと、こういうことで御認識いただきたいと思います。  沖縄における離島架橋で千九百六十メートルというのは最大規模でございます。そういった意味では、技術的にもいろいろまだ細かい問題は残っているんでございますけれども、できるだけ早く完成するように頑張ってまいりたいと、かように思っております。
  85. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がないんであと一点だけお伺いしておきたいと思います。  例の三次振計で、伝統芸能の上演施設整備を進めるということがうたわれております。  そこで、沖縄県の要望である国立組踊り劇場、それは沖縄にとっては非常に大事な施設であるというふうに思いますので、ぜひその実現方をお願いしたいんですけれども、その取り組みの状況についてお伺いしておきたいと思います。
  86. 瀧川哲男

    政府委員瀧川哲男君) 私ども、これまで国立劇場を所管している文化庁あるいは沖縄県と三者で連絡協議会というものをつくって幅広い角度から検討を行ってまいりました。  また、私どもの方の予算調査費用を計上いたしまして、沖縄の伝統芸能について調査を行っているという段階でございます。  私ども、今後とも沖縄の伝統芸能の振興を応援するという立場から所管官庁でありまする文化庁及び地元沖縄県と十分相談してまいりたいと、かように思っております。
  87. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  88. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) 以上をもちまして平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会