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武田邦太郎君
沖縄は、太平洋戦争で非常な犠牲を受けた上、戦後五十年にわたって本土の国民と比べて余りに公正を欠く非常な犠牲を受けてまいりました。この犠牲的負担は一日も早く解消しなければなりませんけれ
ども、その償いとして、同時に、産業経済面あるいは
生活面で本土の国民よりもレベルの高い
状況をこれまた一日も早くつくり上げていく必要がある、こう思います。
きょうは、その中で農業についての
所見を申し上げますが、
長官はもう農業は権威者でありますので、私としては
質疑というよりもむしろ陳情であります。
農業といいましても、やはり平野部の農業、緩傾斜、急傾斜、いろいろございますし、当面申し上げるのは平野部についてでありますが、大体、
沖縄の農家戸数は昨年の農業センサスによりますと三万一千六百戸耕地面積は四万四千八百ヘクタール、農業後継者、これは年間百五十日以上自家農業に従事した三十歳未満の男子ということに規定いたしますと、わずか三百九十名ですね。結局、農業後継者は農家八十軒に一人という
状況でありますから、後継者にとってみれば耕地面積は、現在一人当たり百十五ヘクの耕地があるわけです。しかるべき規模拡大をやりませんと、現在やつておられる比較的年齢のいった農業者が農作業不可能になれば、日本全体そうでありますが、耕地はどんどんと荒廃に帰するということでありまして、規模拡大ということは、これはただ可能であるだけでなくて絶対必要な
状況であります。
私、
予算委員会におりましたときに、少なくとも一戸当たり三十ヘクから四十ヘクの規模拡大をやらなければ、二十一世紀には当然実現する自由化の前にまた今と同じように若者は到底農業をやらないだろう、こういうことを申しましたら、時の農水
大臣は、現在の新政策であっても一戸当たり十ヘクから二十ヘク、組織経営で三人の従事者で三十五ヘクから五十ヘク、これでも余りに飛躍的で、現実的でないと農政
審議会では言われているんだ、とても武田さんの言うようにはやれない、こういう意味の答弁がありました。
ここで私がはっきりさせたいのは、現実的とは何を言うのか。自由化は必ず来る、来れば若者は農業を去ってしまう、明らかにそういうことが予想されるような政策が現実的と言えるのか。それとも、明らかにやれるしゃらなければならない、しかも自由化に十分耐え得る農業の再構築が可能であるのを現実的でないと言うのか。こういうことは
長官に申し上げるべきことじゃありませんが、よくおわかりのことでありますけれ
ども、そういうことをいち早く我が
沖縄県においてやるべき意義がないか、こういうふうに思うんですね。
沖縄では、主要農産物がサトウキビということになっておりますけれ
ども、これは非常にもうからない。国際統計を見ますと、一番よくとれる国の半分も単収が上がっていないですね。それは、逆に言えば今の二倍の単収を上げ得る可能性があるということでありまして、
沖縄の大学には、品種改良であろうと土壌改良であろうと、すぐれた
先生方が顔をそろえておられます。こういう人たちに政治の側から十分に課題を提起して、
地元の研究者、
地元の熱心な農業者が力を合わせてあすの
沖縄の農業を準備する、こういうようなことを政治の側から課題を提起し
予算を用意するというようなことはぜひお願いしたいと思うのであります。これはさっき申し上げた陳情でありますので、よしよしと、よく検討させるからぐらいのお返事をいただければ、私は満足するのであります。よろしく。